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1972-05-23 第68回国会 衆議院 逓信委員会放送に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十七年三月八日(水曜日)委員 会において、設置することに決した。  三月八日  本小委員委員会において、次の通り選任され  た。       内海 英男君    加藤常太郎君       佐藤 守良君    羽田  孜君       林  義郎君    古川 丈吉君       本名  武君    水野  清君       森  喜朗君    阿部喜男君       武部  文君    古川 喜一君       中野  明君    樋上 新一君       栗山 礼行君  三月八日  水野清君が委員会において、小委員長に選任さ  れた。 昭和四十七年五月二十三日(火曜日)     午前十時十七分開議  出席小委員    小委員長 水野  清君       内海 英男君    加藤常太郎君       左藤  恵君    佐藤 守良君       羽田  孜君    古川 丈吉君       本名  武君    阿部喜男君       武部  文君    中野  明君       栗山 礼行君  出席政府委員         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  小委員外出席者         参  考  人         (放送番組向上         委員会委員長) 高田元三郎君         参  考  人         (東京地域婦         人団体連盟副         会長)     小柴 美知君         参  考  人         (放送評論家) 志賀 信夫君         参  考  人         (日本視聴者会         議理事長)   金山 正直君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     —————————————委員の異動 五月十一日  小委員森喜朗君及び中野明君三月十七日委員辞  任につき、その補欠として森喜朗君及び中野明  君が委員長指名で小委員に選任された。 同    日  小委員林義郎君及び阿部喜男君同月八日委員  辞任につき、その補欠として林義郎君及び阿部  未喜男君が委員長指名で小委員に選任された。 同    日  小委員佐藤守良君同月十日委員辞任につき、そ  の補欠として佐藤守良君が委員長指名で小委  員に選任された。 同月二十三日  小委員森喜朗君同月十二日委員辞任につき、そ  の補欠として左藤恵君が委員長指名で小委員  に選任された。 同    日  小委員左藤恵君同日小委員辞任につき、その補  欠として森喜朗君が委員長指名で小委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送に関する件(放送番組に関する問題)      ————◇—————
  2. 水野清

    水野委員長 これより逓信委員会放送に関する小委員会を開会いたします。  放送に関する件、特に放送番組に関する問題について調査を進めます。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中御出席いただき、まことにありがとうございます。皆さま御承知のとおり、最近の夜の十一時台の番組をはじめ、いわゆるポルノ電波取り扱いにつきましては、各方面から問題の提起がなされております。この際、参考人方々から、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜わり、もって調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の都合上、御意見の開陳はお一人十分程度とし、そのあと委員からの質問にもお答え願いたいと存じます。  また、御発言の順序につきましては、かってながら小委員長に御一任願いたいと存じます。  それでは、高田参考人にお願いいたします。高田元三郎君。
  3. 高田元三郎

    高田参考人 高田でございます。  私は、番組向上委員会委員長というものをしておりまするが、本日は向上委員会委員長としての発言でなくて、個人高田元三郎発言としてお聞き取りを願いたいと思います。と申しまするのは、本日放送小委員会参考人として出席するにあたりまして、委員会にそのことをはかって、委員会としての意見をまとめてという手続をとりませんでしたから、したがいまして、個人意見としてお聞き取りを願いたいと思うのでございます。  そうは申しますものの、私はこの向上委員会委員として、番組問題をそういう見地から扱っておりまする関係上、やはり最近、性あるいはポルノというようなものを扱う番組が非常に多くなりまして、中には非常に問題とされるものが見受けられるということにつきまして、やはり向上委員会として、どうしてもこの問題は閑却できない。これについて委員会として十分検討して、とるべき措置があったならば十分ひとつそれをとるということをやっております。したがいまして、本日私が申し上げたいことは、向上委員会としてこの問題をどう見ているか、またどう扱っていくかということを中心に申し上げたいと思うのでございます。もちろん、性とか、性道徳あるいはそういうような問題につきましても、これは時代とともに価値観が変わっていくと同じように、その問題に対する見方というものも、当然変わってまいるだろうと思うのでございます。私ども子供のときには、むろん全裸のいわゆる裸体画というようなものは、いわば禁止されておるといったようた状態であったわけでございますが、今日は美術館に参りましてもそういうことは全然なく、また裸体を写した写真などというものが、公然と世の中には行き渡っておる。それを見ても、人々も、昔われわれがそういうものに対して感じたというような感じも持たず、そういうものは別に問題としないというような状態でございます。でありまするから、テレビ番組にそれを扱う場合にも、そういうものを一がいにやってはいかぬというようなことでわれわれは見ておりませんし、またそうであってはならぬと思う。ある程度そういうものをやってももう差しつかえないような時代になったんじゃないかと思うのでございまするが、問題は、テレビで扱う場合に、番組をつくる姿勢、あるいは表現のしかた、さらにまた放送結果の影響というようなことを、十分考慮してやっておるかどうかというところに問題があるだろうと思う。  昨年以来、主として民放各社番組の中に、いわゆる深夜番組と申します、まあ十一時以後の番組の中に、そういうものを扱う番組が非常にふえてまいりまして、ことに私どもが問題としましたのは、内容を見るまでもなくて、その番組のタイトル、表題というようなものが非常に扇情的なものがある。どうもそのことだけでも、若い人に対してどうかと思うようなおそれをわれわれが感ずるようなものが多く、また内容に至りましても、テレビでこういうような場面を扱っていいかどうかというようなことは、非常に問題でないかというふうに感ずるものが多々あったわけでございます。  むろん、テレビのいわゆる放送番組基準——テレビ番組には、NHKといわず民放各社といわず、みな放送番組基準というものが設けられまして、その基準に従って、こういうものは放送に出してはいかぬという限度がおのずから守られておらなければならぬわけでございますが、そういうことにつきましては、あるいは全裸のものを露骨に出してはいかぬとか、非常に嫌悪の感を抱かせるような性行為の表現というものは、これをやってはいかぬというようないろいろの番組基準ができておる。しかし、それがはたして十分守られておるかどうかということが問題でございまして、露骨にこれに違反するということでないにしましても、やはり基準すれすれのものが多い、あるいは基準に必ずしも抵触しないまでも、さっき申し上げましたように、放送した結果どういうような影響、ことに年少の人たちにどういうような影響を与えるか、これはやはり考えざるを得ないようなものが非常に多かったわけでございます。  向上委員会といたしましてもそういう点を非常に考慮しまして、現実に番組を見、それから委員の間でいろいろ意見も戦わし、一般世論向上委員会として集められるだけは集めて、その結果に基づいて、これは放置できない、やはり局のほうで自粛をしてもらう必要があるのじゃないかということで、民放連会長あてに、昨年の十二月、向上委員会委員長の名をもって、そういう点で一応申し入れをしたわけでございます。それに対して、民放連会長から私どものほうに、申し入れの御趣旨はよくわかったから、民間放送連盟としても善処する、各社でひとつ十分その趣旨を体してやるようにしてもらうことにしたいというような意味の返事をもらったわけなんでございます。  私どもがそういう申し入れをしたためにそういう影響があったのかどうかわかりませんが、本年の初めから少なくとも二、三月ころまでは——前には盛んに扇情的な表題などが多かったのでございまするが、そういうことが少しなくなったような気がいたしまして、多少の効果はあったんじゃないかと思っておりましたところが、またこの四月ごろから、御承知のように新しい番組ができて、それが以前にも増してかえって激しくなるというような傾向が見られたわけでございます。いろいろの方法をもって局側のほうと懇談して、われわれはしよっちゅうそういう点について、われわれの考え局側のほうに伝えて善処してもらうというような方法をたびたびとっておりました。すでにそういう番組を比較的多くやっておるというような社に対しましては、委員会のほうから委員がその社に出向きまして、社長以下首脳部と懇談してわれわれの考えを申し上げて、局側善処を求めたというようなこともございます。さらに、四月になりましてからそういう傾向がますます顕著になったということを考えまして、委員会としてはもう一応、正式に文書をもって局側反省を促したらどうかということで、そういうような措置もとったのでございます。これに対してまた局側のほうからも、委員会申し入れ趣旨は十分了承する、適当な改善方法を必ずとるというような御返事をいただいておるわけでございます。でありまするから、今後は多少そういうような効果が期待できるんじゃないか、かように考えております。  しかし、先ほども申しましたとおり、これはテレビでそういうようなことをやる、つまり、いわゆるポルノというものを、非常に露骨な場面テレビ番組に乗せて、一般家庭にそれを送り込むというところにやはり問題があるので、これは映画でありまするとか、あるいは刊行物にそういうような写真が載ったというのとさらにまた違った意味があるというところに問題があるのでございまするが、これはやはり何らかの方法をもって、そういうことをひとつやめてもらうということが望ましいのでございます。申し上げるまでもなく、これは法律をもって規制するというようなことはできないわけでございまするから、どうしてもやはり局側善処にまつ以外にはないと思うのであります。結局、番組基準というものがあって、これを十分よく守ってもらえるならばそういうことはないわけでございまするが、やはりそれが十分に守られておらぬというのが実情であろうと私は思うのです。局側にいたしまするならば、やはり視聴率というものがわれわれにとって一番大事なんだ、ポルノということをいっただけで視聴率が非常に上がるのだという、どうも局側経営というものを一番重く考え立場から申しますると、視聴率の上がる番組をやらなければならぬという宿命的なものがあるのだというようなことを申しますが、しかし、はたして視聴率が上がる、あるいは経営効果が非常にあがるというようなことをするためには何をやってもかまわぬか、これは決してそういうわけのものではなかろうと思うのであります。結局、帰着するところは、これは委員会でも私どもいろいろ方法をもって局側のほうと懇談もし、申し入れもしたりなんかしておりまするが、どうも局側姿勢と申しまするか、態度と申しますか、ことに経営首脳部あるいは制作首脳部認識の問題に帰着するという結論を私どもは持っておるわけでございます。さらに、これはいろいろの手段、方法をもちまして、どうもやはり局側制作首脳部あるいは社の首脳部認識をひとつ正してもらうという以外にはないのではないかと思うのです。  私どもは、最近ある地方局の主脳と懇談したことがございまするが、この地方局の主脳などは、やはり私どもが言っているようなことを考えておるのです。現にその局ばかりでなくて、その地方に隣接する同じキー局につながった局の首脳部と話し合って、その番組審議会の名をもって、あるいは局の名をもって、そのキー局社長に厳重な申し入れをして、そういう番組はひとつやめてもらいたいというような申し入れをしておるというようなことも聞いておるのであります。さらに、効果がない場合には、もっと大規模なそういうような番組審議会委員あるいは社として、キー局社長にひとつ申し入れをする、そういうようなことをやっておる。どれだけの効果があるかわからぬが、効果があるまでわれわれはやるつもりだというようなことをやっておりまするが、私は、これは非常に大きな効果があるのではないかということで期待しておるわけでございます。これからわれわれがとるべき方法としては、やはりそういうようなことが一つあるのです。やはり局の中にも現在そのキー局から送ってくるところの番組そのものが好ましくない、あるいはそういうものはやめてもらいたいということを考えている人が多いのでございまするから、こういうことの声を強く反映して、その人たちと一緒になって向上委員会としてもそういう声を強くして経営首脳あるいは制作首脳反省を促す、それ以外に方法がないのではないかというふうに考えておるわけでございます。でありまするから、向上委員会としては、外からごらんになっておるとまことにやっておることが手ぬるいじゃないかというような御批判が必ず出るだろうと思うのでございます。しかし、われわれとしては、強権をもってこれをするとか、あるいはわれわれの申し出を強制をして、まあ強制力はないのでございまするが、これを局側のほうにどうしてもやらせるというようなことはできない。やはり、先ほど来申しますとおりに、良識によって結局局側のほうの姿勢を正すというようなことで、そういうものはもうやらぬようにするということでやってもらう以外にないと思うのでございます。そのために、ただいま申したような方法をも考えまして、できるだけ局側反省を促し、効果のあがるまでひとつそういうような方法をいろいろ続けたい、かように考えております。  御参考にもなりませんが、それだけ私として申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  4. 水野清

    水野委員長 どうもありがとうございました。  次に、東京地域婦人団体連盟会長小柴参考人にお願いをいたします。小柴美知君。
  5. 小柴美知

    小柴参考人 小柴でございます。  私は、東京地域婦人団体連盟、会員は十二万といわれておりますが、その婦人団体、あくまでも地域婦人会でございますので、私のような主婦でございますおかあさんの集まりでございますので、決して高度な意見をここで申し上げることは、おそらくできないのではないか。ですが、きょうの小委員会は、委員長さんはじめ各委員先生方が、この番組に対して私ども世論として申し上げておりますことをたいへん御心配くださいまして開かれる委員会と承りました。それだけに心からお礼を申し上げまして、なまの主婦の声をきょうはお伝えさせていただきたいと思うわけでございます。  私は、地域婦人団体の副会長という立場でございますが、ちょうど昭和四十五年十二月十日でございますか、私ともの全国——ども東京でございますけれども全国に組織がございまして、北海道から沖繩まで、連絡協議会という形で、こういう青少年に与えるいろいろな番組の問題について調査もし、話し合いも、全国大会またブロック会全国で持たれるたびに、県婦連方々が全部御参加なさいましてその問題が出るわけでございます。そのたびにやり玉に上がりますのが東京都でございます。東京にほとんど放送局を持っておるではないか、何でも東京から悪いものが出てくるのではないか、そういうような率直なおかあさま方の非難も浴びつつ、東京地婦連しっかりしろという激励さえもいただいておるような立場でございますので、どうぞその点よろしくお願い申し上げたいと思います。  この前のときは、田中事務局長から、CM調査をいたしましたことについてこの小委員会で発表させていただいたわけでございます。今回は、私どもこの番組に対して集計しまた調査ということを現在まだいたしておりません。それだけに、少し私の個人的な意見も入ることをお許しいただきたいと思います。  私、青少年部長という役を東京都の地婦連におきまして過去二十年間やっていたわけでございます。ですから私といたしましては、文部省が、テレビが初めて普及されますときに、青少年テレビ影響調査委員会というのを文部省の中に設置をされまして、そこの第一回の委員も承ったのでございます。そのくらいテレビ番組が、青少年にどのような影響を与えるかということが、テレビがこのように普及される前におそれられて、そうしていろいろな形でやられたわけでございますが、私、現在は完全に野放しといっても過言ではないと思う番組でございます。そして、このおかあさまたちから集まってきます声というものをちょっと申し上げてみますと、十一時以降の番組でございますが、これがおとなの番組だということで許されているとは思うのでございますが、現在ゆとりのない住宅状態の中に住んでおります者にとりましては、子供番組を見てもらうテレビ、それからまた成年になった子供に見てもらうためのテレビ、それからまた主人のため、主婦のためという、四台、五台というテレビを持ち合わせて、またそれを置く場もないような住宅状況に置かれております家庭主婦たちは、ほんとうにチャンネルの問題では困っているわけでございます。私は住まいが深川でございますが、昨日おかあさん方に家へ集まってもらいました。そして率直な意見を出さしてみたのでございます。それはやはり婦人団体指導者的位置にある人と、またおかあさん方ほんとうのなまの声というのが、どこかずれて違っていてはいけないと思いましたために、再度そういうことをやってみました。そして出たことを申し上げますと、要するに視聴率によって振り回されている現在の番組というのに一つの大きな問題がある、これは見られている番組だから、どうしてもテレビ局が他のテレビ局のまたまねをする、同じような番組の繰り返しがたいへん出ているということを嘆いておりました。それですから、私たち選択の自由といっても、特に十一時ごろの番組では選択の自由といわれても、選択し得ないような番組がわりあいに多い、NHK一つ頼るのみであったんでは困ると言っておりました。  それでテレビと風俗との密着ぶり、どうしてテレビってああヌードが好きなんでしょうか。それも特に男性はちっとも関係ございませんので、女性おもちゃにされているという感じがするわけでございます。そして私どもが声を上げますと、必ず見るから悪いんだというのです。受け手のほうに原因を押しつけてまいります。ですが、受け手というのは、送り手があるから受け手があるわけでございます。この送り手のほうの局側というものに対しては、やはり企画力の貧困と無気力、そして先ほど申し上げました他局とよく似通った、視聴率のいいものをまたまねるというようなことがだいぶおかあさん方の声から出ております。  私、委員会から参考人という御指名を受けましたので、睡眠不足になるのもがまんいたしまして、ここのところ十日間、懸命に夜中の十二時半までがんばったわけでございます。公務員の女房といたしましては、朝早く起きて主人のしたくもせにゃなりませんので、とってもつらいことだったのでございます。そして睡眠不足になりつつがんばったのでございますが、私が主として見ましたのは「11PM」、これはほんとうに息の長い番組でございます。どうしてあれがおもしろいのか、夜ふかし癖のある方たちのためにある番組ではないかなという気がいたしておりました。そしてこれは私の娘から「23時ショー」をぜひ見ろ、おかあさんとてもおもしろいものが出るから、おかあさん頭にかっかと血ののほるようなのがあるから「23時ショー」に焦点を合わしてみなさいと言われました。そして、どういうものを見たのと聞きましたら、過去において娘が気にいたしておりましたのは、「ペチャパイコンクール」というのがあったそうでございました。お乳のぺちゃんこの最高のを選び出す「ペチャパイコンクール」、それから「女ずもう」、それからゲームが、女子大生とモデルさんと一般の女の方が三チームに分かれてゲームをやります。そうしますと司会者だの、そこに呼ばれているゲストが、負けると喜んで一枚ずつ脱がせるゲームだそうでございまして、最後は女子大生チームが負けたとか聞いております。そしてパンティーとブラジャーだけにむかれたときには、ほんとうに悲壮な顔をしたというのですけれども、そういう女性おもちゃにしたようなお遊びが、ほんとうにいまの番組に多いのではないでしょうか。そうして、この中でございますが、ただいま、視聴者参加という意味があるのかどうか知りませんけれども、募集をいたしておりますのを、先生方お忙しいと思いますのでちょっと読ましていただきます。「オール日本変身美女コンテスト」「衝撃!夜の身上相談」「ビックリセール花嫁大売り出し」、これは見合いの売込みで、女性に限るということでございます。それから「よろめきドラマ入門コンテスト」、これも女性に限るそうでございます。「突撃!浮気の告白コンテスト」、これも女性に限るそうでございます。何かそういうふうな、週刊誌のまた裏づけをするようなものが、ブラウン管を通じて茶の間へ断わりもなしに入ってくるというようなことを平気で企画を立てているという現状でございます。  そうしてその間に、「23時ショー」は五十分やるわけでございますが、私一生懸命勘定いたしましたら、そこに三十二のスポンサーがついております。五分ごとCMが入るわけでございます。そのCMも何だかわからないうちに次のが出てくるというように、私たち消費者から——たちはお客さまでございます。そういうCMが三十二も、視聴率をあおっている番組には参加し、いい番組にはつかないということは、婦人団体またスポンサーに対しても一文句あるところでございます。  それとこの「23時ショー」に視聴者参加といたしまして、はがきに、これは高峰秀子さんも指摘されたと思うのでございますけれどもはがき一枚で参加いたして、それによって抽せんで当たるわけでございますが、そのやり方が丁半の形だと私は思います。それは一から六まで自分の好きな番号を書いて投書するわけでございます。そうしますと、司会者が大きなダイスを持ってまいりまして、それをころがすわけです。そうしますと、一が出るとか、二が出るとか、そのとき一から六までで何か一つ当たった人が、こんな大きな箱の中にはがきがびっしり入っております、そこの中からたった一枚抜きまして、すぐに電話をかけるわけでございます。そして見ていなければ没でございます。ですから、見ていてもらわなければ困るんだと、投書した以上は見ててくださいよというようなことを司会者が申します。これじゃどうしても投書した人は、あれだけの一から六までございます大きな箱に、びっしりはがきの入っているのを見て、自分に当たるんじゃないか、たった一枚でございます、それも一と二、こういうところで申しあげてはおかしいかもしれませんが、丁と半でございます、それをダイスをころがしたばくちのような感じさえも私は受けます。そして、そこで当たりますと電話がかかって、すぐアベックで来いというのでございます。それで二人で行きますと、賞品を二つくれるわけです。行かれないというと、次の人にその賞品が回っていくというしかけになっております。ですから、これはいやだといっても、はがきで投書した人は見ないわけにいかないということでございます。そういうところがほんとう視聴者参加でございましょうか。これは私は何か与えてやるということで引っぱるような、あまりすっきりしたものではないと思います。そのあとに星占いというのが出まして、運勢を、何かしゃりこうべですか、前へ置いて、そうして女の人が星占いをいたします。その次が競馬の予想ということで、桜花賞なんかのこともやっておりました。  そういうようなことであおり立てる、こういう夜の番組、これらやはり「11PM」でベッド体操が最後にあって終わると同じように、どうしてもう少し健全な番組をしないか。「11PM」は私も出たことございますが、ウイスキーを飲みながらやる番組でございます。その出演者がウイスキーを飲んでいるわけです。それをまたお茶を飲みながら見ているこっち側のほうが何かばかのような気がいたすわけでございますけれども、私は何か視聴者を小ばかにしたという感じがあるわけでございます。  前に参考人としてお話しになりました高田先生の向上委員会に、私ども地域婦人団体は期待するところが大なのでございます。それは、たった一本民放とつながっているパイプであるということでございます。私ども意見は、何かの形でこういうところでお取り上げいただき、母親として、これが家庭事情でやはりどうしても見てしまうという、子供参加いたしておりますということを申し上げまして、決して私どもは言論の自由を封じ、そして法律によって規制をしていただきたいと言ってはおりません、あくまでも自粛をし、番組の向上をお願いをしたいということを申し上げたいと思います。  たいへん長くなりまして、お許しいただきたいと思います。(拍手)
  6. 水野清

    水野委員長 どうもありがとうございました。  次に、放送評論家の志賀信夫さんにお願いをいたします。志賀参考人
  7. 志賀信夫

    ○志賀参考人 志賀信夫でございます。  私は、評論家という立場で、少し水野委員長の御意向に即しないかもしれませんけれども、幾ぶんマクロな点から、四つの角度から切ってみたいと思っております。  第一点は、テレビと社会とのかかわり合い、関連性ということです。それから第二点は、テレビというマスコミの媒体としての特質という点からポルノ問題を考えてみたい。それから第三点は、送り手側の問題。それから第四点は、受け手側の問題という、この四つの角度からポルノ問題を取り上げてみたいと思うわけです。  まず、第一点ですけれどもテレビは社会の窓だとか、社会の鏡だとかいうふうにいわれています。ですから、ある意味で世の中全体がポルノに非常に興味を持っておるのだからポルノテレビに出てくるのだというような現象が、社会とのかかわり合いの中にはあるのではないかという点が一つあるわけです。じゃあ、世の中が興味を持っているのだから、テレビに全部出していいかどうかということは、またこれからの問題として、まず第一点として、そういう社会的に大きな環境の中にテレビが生きているのだということを指摘しておきたいと思います。  第二点の、マスコミとしてのテレビの媒体というものに関しては、日本はあまりにも過剰な期待をしているし、同時にテレビ局自身も、非常にオールマイティーである、万能選手であるがごときテレビに印象を持っているという点があるのじゃないかと思います。そのために、テレビがやらなくてもいいような領域にテレビ自身が手を出している、そういう事態があらゆる面で起こっている。ポルノもその一つのことじゃないかと思います。  それで、きょうはたまたま出てくる前にちょっと読んだものがあるのですけれども、BBCのロビン・デイという人が言っています。「テレビは思考よりも行動」——この行動というのはたいていの場合、暴力的て血なまくさい行動——に片寄りがちである。それから「問題の根本よりは偶然の出来事に、解明よりはショック的な手法に、考え方よりは人物そのものに焦点が当てられがちである。」テレビのマイナス面として、彼はこういうことを言っています。「テレビは、考え方とか知的な議論よりも、イメージや印象を伝達するのに適した媒体である。」「テレビは、十分に検討されていないテーマを、視覚的に伝える要約媒体である。」  これなんかも非常にポルノの現象を的確に、理論的に表現したものではないかと思われます。それからことに、「テレビは、開放的な民主主義国においてこそ、報道媒体としての十分な効果を発揮できるが、権威主義的な国では、それほどの効果がないばかりか、しばしば不正確な情報提供者となる。」日本の現状なんかも、今後考えてみますと、そういう点で非常にテレビの使い方に問題点があるのじゃないかと思われるわけです。いままではいわばテレビが持っているプラス面のみを強調されて使われてきた。テレビであれば何でもできるのだ、それからテレビを利用すればたいていのとは可能なんだという考え方に立ってテレビを使ってきたということは、もう来年二十年を迎えるテレビにおいて、反省期に立たねばいかないんじゃないか。むしろテレビにおけるデメリットの面をわれわれは大いに考えテレビを今後使っていかなくちゃいかぬじゃないかということを、ぼくはテレビを批評する商売人として非常に痛切に感じているわけです。  そういう点から見ますと、ポルノというものを表現する場合、テレビには非常にデメリットな面が多い。そこを、テレビ媒体が持っているデメリットな面をどういうふうにカバーしてテレビを使っていかなくちゃいかぬかということは、テレビ製作者も、同時にテレビ局の首脳も考えなくちゃならない問題になってくるだろうと思われるわけです。  次に、第三番目の送り手側ですけれども、これは先ほどから出ておりますように、視聴率中心、すなわち資本の論理に動かされ過ぎているということだと思います。たとえば十一時台というものを何かゴールデンアワーに近く使おうとするとか、そのためには刺激的な情報を非常に大量に流して視聴率を上げていかなくちゃいかぬ、それはすべて資本の論理に動かされ過ぎているわけで、その辺、公共媒体であるという、テレビが持っている媒体の特性というものを、もっと考えて、それで送り手側は今後処置していかなければならぬじゃないかと思われるわけです。  第四番目の受け手側ですけれども、これはある民放局が午後十一時台を調査しましたところ、十八歳以上の男女が九〇%見ているわけです。そのうち男が四二%、女が四八%、すなわち、夜の十一時になりますと、もう男のほうが多いのじゃないかと思われるわけですけれども、実は女性のほうが六%ばかり多いわけです。ただいま小柴さんから御指摘の「ペチャパイ」などということが出てくるのも、実は女性視聴者が多いということ、すなわち、そういう視聴者に迎合してサービスするというようなことになっているのが、そういう番組を生み出している原因の一つじゃないかと思われるわけです。しかし、そういう視聴者層というものは、今後また変わっていくわけですけれども、まずそのために、若干テレビ番組全体として、またテレビ文化全体として淫靡な傾向、センチメンタルな表現、何かそれによって視聴者に優越感を与える、見ているほうが非常にいい気持ちをして見ている。それで、出てくるのはいわば整形美人であるとか、あまり美人でない人が出てくるというようなことにしまして、優越感を持たしているという迎合サービスをしていくということじゃなく、今後、もっと媒体の持っている特性を生かして、テレビというのは健全な表現をとっていかねばならぬじゃないかと思われるわけです。  ことに、最後になってきますが、今後社会とのかかわり合いの中において、ポルノ問題というのは、やはり日本の世の中が一体どういうふうにポルノという問題を取り扱っていくのか。日本全体の考え方というものが基調になってこない以上、一テレビの媒体の表現問題をとかくすることは、やはり考え方としてはちょっと現象にとらわれ過ぎていやしないか。もっと根本の問題、それを解決していくことが大切なんじゃないか。その中でテレビはどういう役割りを果たしていくのだ。マスメディアのテレビというのは、そこの中で国民の生活とどういうかかわり合いを持っていくのだというふうな基本問題が今後に残されているようにぼくには思われます。(拍手)
  8. 水野清

    水野委員長 どうもありがとうございました。  次に、日本視聴者会議の理事長の金山正直参考人にお願いをいたします。金山参考人
  9. 金山正直

    ○金山参考人 金山でございます。  私は、八年半にわたりまして、放送ないしはテレビをよくしようという民間の団体を率いて営々と今日まで参ったものでございます。一昨年第一回のこちらの小委員会が開かれましたときには、たいへん張り切って参考人に呼ばれてまいったのですが、ことしはいささかニヒリスチックな感じで呼ばれてまいっておるようなわけでございます。と申しますのは、あの時点におきまして、テレビの総括的な問題がいろいろ論じられましたが、その後見ておりますと、何らの施策がなされておりませんし、また放送局側においても、あるいはそれを取り巻く諸機関におきましても、何らたいしたことが行なわれておりませんで、テレビ番組はますます低下しているというふうに考えざるを得ないので、むしろ絶望的な気持ちにさえなっておるというような感じがいたします。  それはそれといたしまして、われわれの団体は、テレビと映画や演劇とはおのずから違うんだ、そういう考え方で、茶の間に入るテレビ番組は、他のメディアよりももっときびしくあらねばならない、そういう観点からテレビ考えてまいりましたが、その点からいたしますと、現在のピンク番組は、いかがわしいものがかなり多いということがいえるんじゃないかと思います。たとえばその双壁をなすのが、どなたも御指摘のように、現在においては「11PM」と「23時ショー」というようなことになるんじゃないかと思いますが、しかしながら、「11PM」といいましても、関東の「11PM」と関西の制作の「11PM」では、そこにいささかやはり区別して考えてみなければならないものがあるというふうに考えております。東京地婦連小柴会長は、十日間も続けて一生懸命で深夜番組をごらんになったそうですが、私は以前からちょくちょく見ておりますので、ほとんど見てまいりません。五月の十五日の「23時ショー」と「11PM」と、一緒に見ましたし、五月二十二日、昨晩のものですが、これも両方を見てみたという程度のものでございます。と申しますのは、一般にはどうかよくわかりませんが、われわれの視聴者会議の会員などにおいてはもうテレビ離れという現象がかなり進行しておりますし、テレビ離れといわないまでも、選択視聴、もう悪いものといいますか、気に入らないものは見ないという傾向が非常に浸透しておるというような状況でありまして、私もテレビ離れしているほうの一人ですし、私たちの役員の中にも、非常にそういう風潮が行き渡っておりまして、うちでいつもやっております、毎年やっておりますワーストファイブなどの調査の際にも、つまらないものは見ないからといって、ワーストファイブには白紙投票を投じてくる者が非常に多い。ワーストファイブもできなくなっているんじゃないかというようなことを感じております。  それはそれといたしまして、私はポルノ番組とかピンク番組とかいったものは、テレビのほんの一部のものでございまして、それほど問題にしても、まあそう言っては失礼ですけれども、いたし方ないんじゃないかという感じがいたしまして、結局ポルノ番組を研究して、それならそれをどうするかという、やはり規制と申しますか、そういうことに関して実行の段階に入っていただかなければ、ただこの委員会も勉強会にすぎないというような結果に終わるのじゃないかと思いまして、何とか実行に移っていただきたいということを切に要望しておきたいわけでございます。  それならどういう方法でそれを規制したらいいかという私の案もあとから申し上げますが、その前に一応お尋ねしておきたいのは、私が長年運動してきました経験で何となく感じられることは、政府・自民党も、低俗番組はよしとしているのではないか。思想的な偏向の問題は、これはたいへん政治がやりにくくなりますから、神経をとがらせるのじゃないかと思いますが、低俗番組ほんとうはよろしい、そういうもので白痴化さしておいたほうが政治はやりやすいのじゃないか。これはなぜかといいますと、政府・自民党において、低俗番組について何らかの対応策を真剣に考えたという話も全く聞かないからであります。それから逓信小委員会にいたしましても、まあ先ほどに戻りますが、勉強会をするだけで、これをどういうふうに規制したらいいんだという実行には全く乗り出すお気持ちがないんじゃないか。そういう点についてあとからどなたからでもけっこうですが、御回答を承りたい、このように思うわけです。  それで、先ほど高田先生が、いろいろ局に申し上げて、そして局側善処を要望して、局側からもこういう回答かあったんだということでございますが、私は、単なる放送局による、あるいは放送局関係の深い機関だけによる自主規制というものは、最近ではあまり信じられない。これは私がたいへん子供っぽい人間であるために、いまさららしくそういうことを申し上げるわけですが、私の最善の規制方法というものは、ことばでいえば、放送局による規制ではなしに、やはり民間規制といったような、ことばはあまりよろしくないかもしれませんが、第三者の民間規制の機関をつくるということが一番いいことじゃないかと思います。で、これを具体的な形にしぼりますと、たとえばここに出席しておられる、向上委はもちろんのことですが、地婦連さんとか、あるいは主婦連さんもけっこうでしょうし、そのほか各婦人団体の代表、あるいは自分から言うのもおかしいですが、視聴者会議の代表とか、そういったものに加えて、放送局の代表とかあるいはスポンサーとか、そういったものを加えた機関を持って、それを十分に活用する、そういう方法が一番よろしいんじゃないかと考える次第でございます。  質問がございましたら、また後刻お答えいたしたいと思います。(拍手)
  10. 水野清

    水野委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 水野清

    水野委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  12. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 先生方どうも御苦労さまでございます。  ただいま四人の先生方から、それぞれの立場でのポルノについての御意見を聞かしていただきましたけれども、現行のポルノ番組がそれで非常にけっこうだという御意見は、志賀先生も含めてなかったというふうに私は理解をしております。どの先生も、このままではよくないのではないか。ただしかし、どうするかということについては、いま最後に金山先生から若干の御意見があった程度で、抽象的で、何とかしなければならないが、このままでは困るが、何とかするにはなかなか方法がないのだ、そういうような御意見のようでございます。しかし、その中で、たとえば高田先生の場合には、番組向上委員会としての一つの与えられた任務と申しましょうか、使命と申しましょうか、そういうようなものがあるのではないか。それだけに、いままで何回かにわたって民放局側に対してそれぞれの御意見を申し述べてこられておるように承っておりますけれども先ほどのお話では昨年の暮れに局側に対して一応文書で申し入れをした。少しよくなっておったと思ったんだが、新しい年度の番組からまた非常に悪くなったのではないか。それで、さらにまたキー局に注意を喚起したというお話しでございましたけれども、先生のほうから民放に、それぞれ文書なりあるいは申し入れをされたときの向こう側の態度、局側の態度について先生がお受けになった感じ、そういうものをもうちょっと具体的にお聞かせ願えませんでしょうか。
  13. 高田元三郎

    高田参考人 お答えいたします。先ほど私が申し上げましたように、昨年末、十二月に一回、民放連会長あてにそういう申し入れをいたしまして、連盟で善処していただきたいということ、それに対して会長からは、やはりその申し入れ趣旨は十分わかった、適切なる処置をとるという返事をいただいております。  それからさらに、この四月になりましてから、先ほど申しましたように、また少しそういう番組が目につくようになりましたので、今度は先ほど来問題になっておりまする「11PM」、それから「23時ショー」、それを放送しておりまするキー局でありまするところの日本テレビ並びに日本教育テレビ社長あてに文書をもってこの申し入れをしたのでございます。  日本教育テレビのほうからは、社長からの御返事だということで、この編成の責任者から、これは文書でなくて電話をもって、申し入れ趣旨は十分了承しました。なるべくすみやかに適切なる処置を局側ととる。しかし、何ぶんやはりいまもう制作しておる番組は、これはある程度先どりをしておるのでありまするから、来週からとかあるいは明日からこれを改めるということはできないが、新しく制作する段階に、この申し入れ趣旨を十分生かして、ひとつ御希望に沿うように努力するという返事がございました。日本テレビのほうは社長が旅行中で不在でございましたので、編成担当の重役から、社長がただいま旅行中であるが、私は、社長の意向もそうであろうと思うが、申し入れ趣旨は十分了承したからできるだけするということでございました。しかし、私どももそれだけでなくて、やはり局側に、御承知のように民間放送連盟番組基準審議会というものができておりまして、前回もそうでございましたが、向上委員会のほうの申し入れをその基準審議会として取り上げてもらいたいということを申しております。そのほうで、これは適確にこういうことの措置をとったということはまだ聞いておりませんが、今度五月から委員長が新しくなりまして、その委員長が非常に熱心にそういう問題と取り組みたい、向上委員会申し入れ趣旨を十分ひとつ基準審議会においても取り上げて善処したいということを申し入れてまいっておりますから、私どもはそのほうにも期待しております。  しかし、先ほど来申しますとおり、これは結局局側姿勢で、やはり首脳部のそういう態度というものが、もう一にかかってそこにあるのじゃないかと思う。と申しますのは、私は先ほどもちょっと触れましたが、そういう番組を受けて放送しております地方局社長が、それはもう断固として自分のほうでやめたいが、いろいろの事情があってちょっとやめられないから、これはわれわれのほうとして単独の申し入れをしただけでは聞かぬから、やはり連合してキー局のほうに申し入れをするというようなことを申しておりますし、そういうようなことをやるような機運になっておりまするから、向上委員会といたしましても、先ほども申しましたとおり、そういうところと話し合いをしまして、やはりなるべく一緒になってやるということはさらに効果があるのじゃないかというように考えるのでございます。何ぶんわれわれのほうには規制力も何もないのでございますから、それ以上にどうこうということは期待できないと思うのでございますが、これはしつこくそういうことを言う以外にないのじゃないかと思うのであります。ある局の首脳部が、向上委員会からどんどん申し入れをやってください、われわれはそのつど、やはり、こわいおじさんのほうからこういう申し入れがあったから、ひとつ少し気をつけてやってもらいたいということを言います、またしばらくすると、またもとへ戻るようなことになるから、また言ってもらえばまた直すというような、それだけの効果は確かにありますから、というようなことを申しております。  現状は、もうほんとうに率直に申しますと、そんな効果しかないかもしれませんが、やはりそれをもうちょっと、先ほど来申したような方法で、ひとつ局側のほうの善処を促すというようなことを続けていく以外にないのじゃないかと、私どもはかように考えております。
  14. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 高田先生、続いてもう一点ですが、先ほど先生もおっしゃいました番組基準審議会のほうでございますけれども、この基準審議会のほうでは、一応ポルノ等についても基準はあるようでございますし、この基準が守られておるならば、いまここで問題になったような放送はあり得ないのではないか。ところが、先生のほうは向上のほうです。しかし、現実の問題は向上どころか基準さえ守られていない、こういうような結果になっておると思うのです。  そこで、先生にお願いしたいのは、いまちょっとお話が出ましたが、向上委員会と審議会との関連と申しましょうか、関係をもっと密にしていただいて、いま私が申し上げましたような、番組向上どころか、こういうものについては基準さえも守られていないのではないかという点についての基準審議会のほうと今度は局側との関係を、もっと道徳的にといいますか、規制をしていただく、そういう自主規制の方向で第一点は持っていっていただかなければならないのではないかと思いますが、向上委員会としては特に審議会に対して、せめて基準は守ろうではないかということを向上の第一歩として努力をしていただけないかどうかお伺いしたいのですが…。
  15. 高田元三郎

    高田参考人 ただいまの御質問、実は私どももただいまの御意見と全く同じでございまして、民放連にそういう機関ができたのであるから、そこと十分連絡をとってひとつやるということが一番いいのではないか、すでにそういう考えを持ちまして、基準審議会のほうでひとっこれを取り上げてやってもらいたいということを申しました。先ほども申しましたとおり、現在までのところ基準審議会としてこういうような措置をとったということはまだ聞いておりませんが、今度新しく基準審議会の議長がかわりまして、その方とわれわれのほうで懇談をしましたときに、まずわれわれのやることは、基準を新しくつくるということでなくて、現在ある基準をやはり守らせるということが一番急務であるから、私はまずそれをやりますということをわれわれに申しました。たいへんわれわれは期待ができると思います。さようお答えいたします。
  16. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 それから、志賀先生にお伺いしたいのですけれども、これはどの先生の御意見もそうで、視聴率が高いからといういわゆる資本の論理に左右されておる。それはそのとおりでございます。まあ余談になりますが、私たまたま公害のほうの委員もいたしておるのですけれども、公害の場合だって、資本の論理からいけば全くもうけさえあればいいということになってくるわけなんですけれども、それにもかかわらず、国民の健康を守るためには、ある程度の規制をせざるを得ないというのが今日の公害対策委員会における国の立場となっておるように考えております。ただ、このテレビの問題等については、言論の自由という問題がからんでくるものですから、規制ということになると非常にむずかしい問題なんですけれども、その中で、先生のおっしゃったポルノ取り扱いというものは、日本全体の問題で、テレビだけ云々してみてもしかたがないのではないか、そういう先生の御意見だったと思いますが、もし間違いがあれば御訂正いただきますけれども、そうだとすれば、先ほど小柴先生からもお話がありましたけれども家庭、日本の家族構造の上から、チャンネルをひねればそれがどういうものであるかわれわれが予測し得ないものが飛び込んでくる。その飛び込んでくるものがいま問題になっているわけですから、そうすれば、ポルノの問題が日本の全体の社会の問題であるにしても、現実押しつけられてくる、まあ半ば強制をされるこのテレビポルノというものについて、全体の問題だからしかたがないじゃないかということになるのか、もう少しほかに考え方があるのではないかという気もするのですが、先生のお立場からひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  17. 志賀信夫

    ○志賀参考人 一点は、現在放送局が公共性もあるのにかかわらず、他の企業に比してそういうウエートが非常に重いのにもかかわらずポルノ番組を流しているのはどうかという御質問だと思いますけれども、確かにそのとおりだと思います。ただし、現状においては、テレビは何でもできるのだということにやはりぼくは、最初の論点にまた戻りますけれども、何でもテレビはできるのだ、テレビ局では何をやってもいいのだというような点が現状の制作者側、テレビ局首脳部にある、経営者の首脳部にあるということが、テレビとは何か、テレビ経営とは何かという最も大切な基本点をいまぼくは、本気になってテレビジョンは取り組まなくちゃいかぬのじゃないか、それを取り組んでおらぬというのがぼくの見解です。それが第一点です。  それから第二点は、では対社会的に見てどうかという御質問ですけれども、その対社会的に見てどうかということは、いわばテレビは中間文化だとぼくは思います。そのいわば中間文化が非常に底辺の部にも、それから非常に難解きわまりないようなことにもテレビが手を出している。求めるほうもテレビに異常なものを求めているし、それから日本文化というものも、テレビによって非常に左右されているという現状ですね。これは報道機能としてのテレビが機能として肥大化している、膨張化しているということが、ぼくが一番言いたいことなわけです。すなわち、テレビが現状のままにいきますと、テレビという媒体のために日本の文化が左右されるということになってくる。すなわち、ぼくはかねてから、ここで言うことではないですけれども、報道機関としての機能以上のものを現状のテレビは持ち出しているということに基本的な問題点があるのじゃないか。ですから、日本文化という点から見ると、ある意味でもっとポルノがかりに解放されていれば、そうすればテレビに何も求めないわけですよ。何もあんなテレビで薄暗い、何か淫靡なエロを求めなくても済むわけです。ですから、そういう意味で何かテレビに寄りかかっている生活自身、もっと日本の文化自身の問題をぼくは先に論じていかなくちゃいかぬ基本問題じゃないか。そういう意味で問題を投げかけたつもりです。以上、阿部さん、そういうつもりです。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 志賀先生のお話よくわかりました。ただ残念ながら、われわれはまだ日本文化全体について議論をするという準備もしておりませんので、いまはテレビの中にあるポルノをどう見るべきかということについて考えておったので、非常に次元の低い質問をいたしまして恐縮でございましたけれども小柴先生、先ほど特にくじですか、たくさんのはがきの中から自分が投書したものが当たることを期待をすれば、どうしてもその番組を見ていなければならないという、これは私はある意味では番組を見ることを強制されているような気がするのですけれども、見ますと投書しておるはがきの数は、先生のおっしゃるように非常に膨大なもののようでございますが、あれはやはり投書した人は全部見ておるものでありましょうね。おもしろ半分に投書して、あとは見ていないというような方が相当数おるのか、先生のおっしゃるように、投書したらほとんどの人が期待を持って、全員があの番組は見ておるということに実際問題としてなっておるのでしょうか、どうでしょうか。
  19. 小柴美知

    小柴参考人 私、それは的確に、放送局じゃございませんから、しっかり把握いたしませんが、ダイスをころがしますまで実にじょうずに引っぱっているということでございます。それは、そのときに当たりますのが抽せんではございませんので、あくまでも、さいの目ということばを使ってはどうかと思いますが、さいの目によって当たり番号がその場で出るわけでございますから、一から六まで、自分の好きな番号に投じたのが出るか出ないかは待っていなければならないわけでございます。ですから、自分が一から六まで投書してがんばっている方ももちろん私はあると思います。それですけれども、そこで実に簡単に高価なものが渡される、おもらいということを楽しむというかもしれませんけれども、ちょっと私どもが手につかないような、庶民にはちょっと縁の遠いような品物が贈られるということになりますと、これはどうしても見ていなくちゃならないと思います。それと同時に、あくまでもそれで視聴率を引っぱるというのは番組の魅力じゃないと私は思いますので、そういう点が私は何か局側が、あまりすっきりしたものじゃない、腹立たしいものさえも覚えるわけでございます。その番組自体に魅力があって、最後まで夜中でも何でも見ていたいというような番組になってくれることを望みたいと思っております。
  20. 水野清

    水野委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  21. 水野清

    水野委員長 速記を始めで。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 もう一つ小柴先生にお伺いしたいのですけれども、このポルノ番組の中で一般考えられるのは、家庭の中で、特にまだポルノについての十分な理解のない青少年の問題があると思うのです。ところが先生のお話の中には、もう一つの柱として、これらの番組の中では女性おもちゃにしておるではないか、先生のおっしゃったそのままのことばですけれども、そういうお話があったようでございますが、その点は先生どうですか。われわれが一番心配しておったのは、実はそこまでは思い及ばずに、子弟に与える影響のほうを重点的に考えておったのですけれども、いま先生がもう少し大きい社会問題として、まるで女性おもちゃにしているではないか、そういう御意見もあったように承ったのですが、そういう意味でございましょうか。
  23. 小柴美知

    小柴参考人 何か女性として答えるというのはちょっとつらいのでございますけれども、確かに、先ほど申されましたように、セックス、またそういうポルノに対して、日本全体がまだ幼稚だというのでしょうか。さもなければ、それを否定する人間は、私のようなおばあちゃんだということばでけられるのではないでしょうか。ですけれども、けられてもけられても、私はまだ言い続けようと思っております。それは、そういうものをブラウン管を通じまして茶の間に持ってこられましても、受け入れの体制が、それのような子供をまだ育てておりませんので、その関係で私は心配いたすわけでございます。ですから女性を玩弄物にするというのは、テレビに始まったことではなく、雑誌にも全部言えることではないかと思っております。それを指摘いたしますと、ときどき歌手などの男性がぬいでいるようでございますけれども、そういうようなものを女性が見るというのは、私、必ずしも「ペチャパイコンクール」を、自分のと比べたくて見ているのではないと思うのでございます。ただ、昨日こういうおかあさんがおりました。子供たちが全部寝てくれた、静かになってやっと自分の時間がきた。それは十時以降だ。そして十時以降に何かつくろいものをするとかしながらでも、手を動かしながら、やはり夜ほっとした時間にテレビを見たいそうでございます。そうじゃないと、番組を見ながら台所に立つ回数が主婦というのは意外にあるものでございますから、特に乳飲み児をかかえたような若いおかあさん方は、十時以降の番組にほっとする時間を求める、そのときに出てくるから、しようがないから見ているのだ。その時間に何かほかの局で同じようなことをやっていないで、もう少し趣味になるようなもの、それからもう少し自分たち参考になって、お勉強のできるもの、特に女性がいま職場に進出いたしております現在でございますから、やはり視聴率が高いというのは、必ずしも女性女性を見て批判しようということではないのではないかというような気が私はいたします。ですから、あくまでも女性おもちゃにするということは、私は声を大にして言いたいと思います。男性もこれから大いにあそこにおいてむかれて見ていただいたら、男性はおこるのではないかと思います。弱い者いじめもいいかげんにしていただきたいと感じます。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 それから志賀先生、評論家の立場からですけれども、先生のおっしゃった高度の日本の文化全体についての議論は別としまして、いまでも放送の中でも、特に刑法に触れる部分についてはこれは警察のほうで取り締まることになると思うのですが、要するに刑法に触れないところの、ぎりぎりのところが問題になってくると思うわけです。したがって、先ほど先生もおっしゃった、テレビの持つ性格から考えて、全体の問題はもとよりですけれどもテレビそのものについても規制というものが必要ではないか。その規制を行なうということを前提にした場合に、——これは前提でございますよ。とした場合に、規制の方法はいかにあるべきかという点についてのお考えを承りたいのですけれども
  25. 志賀信夫

    ○志賀参考人 規制ということは、ぼくは前提に立つということ自身に実はたいへんに疑問を抱いているわけです。たとえばNHKの放送が始まりましたとき、有名な松内アナウンサーという——せんだって亡くなりましたけれども、松内アナウンサー、神宮球場カラスが二羽、三羽というみごとな情景描写をしてたいへん著名な方ですけれども、あの松内さんが、お定もどきなというような発言をして、そこで規制されまして、始末書を書かされて、鉛筆で書いて突っ返されて、また書き直しをして、というようなことから、NHKの体質みたいなものが自然にああいうふうな形になってでき上がっていったという点から考えてみましても、規制をする前提ということ自身が考え方として基本的に間違っているんじゃないか、阿部先生の前でたいへん恐縮ですけれども、そう思うわけです。まず、その前提に対して、ぼくは納得しかねるという考え方が前提にあります。  それでその前に、それじゃそれをどうしたらいいのか、規制以外の方法で、それを健全な文化に育てていく方法があるのかということは、やはり放送に国民の世論——いまのような小柴さんの御意見高田先生のような御意見、皆さんございますから、そういう国民の世論をみごとに反映できるような放送、いわば普通の人間が編成権や番組制作権に加入できるような方法参加できるような方法を組み込んでいくことこそ基本ではないか。ですから、現状の考え方、現状の放送のあり方自身をもっと変えていくことこそ大切なんで、規制をすることが先決じゃなくて、改善することが先決じゃないか、こう思うわけです。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 規制ということばは非常にむずかしいので、使い方で困るのです。おそらく金山先生のさっきのおことばの規制というのもいま志賀先生からお話しになったような意味ではないと思うのですが、民間の何らかによる何らかの措置、それをたまたま規制ということばで使われたと私は思うのです。  そこで、今度は金山先生に最後にお伺いしたいのですけれども、いますでにたとえば民放には放送番組向上委員会がある。あるいは基準審議会がある。そういうものが現にあるにもかかわらず、さっき申し上げたように基準そのものさえ守られていない。そうすると、一番もとに戻るのですが、かりに先生のおっしゃるような主婦団体の方とか、あるいは視聴者の代表の方、スポンサー、局の代表等をもってつくる民間の何らかのもの——規制ということばを使いますが、何らかのものをつくってみても、やはり志賀先生のおっしゃるように、そこには資本の論理が働いて、視聴者というものが結局は最後の決定権で番組内容を左右するということになってくるのではないかと思うのですが、先生の提唱される、とまではいきませんが、お考えの中にあるいわゆる民間のグループによる一つの何らかの向上の機関といいますか、そういうものを先生お考えのようですけれども、それでは、それが一体いまある番組向上の委員会なり審議会なりが、その機能を十分に果たしていないということと関連をさせて考えた場合に、先生の期待どおりのものが生まれ得るだろうかどうか、ちょっと私心配なんですが、もう少しいまの先生の構想を、具体的にその機能し得るところを御説明願いたいと思うのです。
  27. 金山正直

    ○金山参考人 私は、志賀さんと少々意見が違うのですが、と申しますのは、企業がコマーシャリズムの行き過ぎになって企業公害を流す、そういう場合に、政府がこれを規制しなければ怠慢だといって国民は非難いたしますね。ですから、その規制をするのは当然オーケーだ、こういうことになりますね。今度は、たとえば映画界でコマーシャリズムが行き過ぎになって、日活のロマンポルノ、そういうようなものが起こって、これを警視庁なり何なりが規制しようとすると、これはノーと言いますね。それからテレビの場合でも同じで、テレビ公害が流れた場合には、それを規制しようとするとノーと申しますね。しかしながら、なぜノーと言うかということになりますと、これは過去の全体主義といいますか、軍国主義といいますか、そのときの言論、表現の自由を抑圧されて、一挙に一定の方向に持っていかれたと、いう、また個人も弾圧を食らったという苦い経験からそう言うわけですね。ですから、もちろん規制ということはよろしくないことには相違ないけれども、それではその精神公害、テレビ公害といったものを放置して、それだけでよろしいかどうかということになると、これはたいへん疑問があるし、むずかしい問題だ。それでこれを官憲が取り締まるとか権力が取り締まるということになれば、当然大きな反発を食うわけで、われわれとしても反対なんですね。  ところが、それじゃ放送局だけによる自主規制がはたしてどれだけ実効をあげることができるかということは、いままで自主規制の機関ができてからの歴史を見れば、たいした効力があがっていないということは、どなたでもお認めになるわけでありまして、それならば、あがるかあがらないかわからないけれども、それにもう一つのワクを広げて、民間規制機関というものを設けたらどうか。先ほどのときに申し上げましたとおり、その民間規制機関というのは、各団体の代表とか、あるいは放送局もまじえ、あるいはスポンサーの代表もまじえるというような、きわめてずさんな考え方ですけれども、そういったものをどこかの肝いりによってつくるということですね。そうしますと、これは逓信委員会なんかは一番いいところじゃないんですか、そういう肝いりの役をするには。といいますのは、逓信委員会は政府機関じゃございませんし、各党の先生方がいらっしゃるわけですし、そのくらいのことをせめてやっていただかないと、こういう会を何回開いてもこれは単なる勉強会にしかすぎない。それなら、もう私はこれから呼ばれることもないと思いますし、来ることもないと思いますけれども、やはり実行に一歩踏み出していただかないと満足できない段階にきているということを申し上げて、私のお答えにしたいと思います。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 私ももうやめるつもりでしたが、それじゃもう一点だけお伺いしたいのですけれども、金山先生、規制ということになれば、法が作用しないとなかなかむずかしいのじゃないでしょうか。権力が作用しなければなかなか規制というのはむずかしい。たとえば、先ほどちょっと申し上げましたが、現行でも刑法に触るる部分については取り締まりができるわけでございます。したがって、刑法に触れない部分において、われわれの常識なり放送基準というようなものを——まあこれをわれわれの常識とするならば、これを上回る、これよりも悪い、しかし、刑法には触れない、この間が私ども一番問題になっているんだと思うんです。したがって、規制ということになれば、その団体がかりにどういう形の団体であるにしても、何とか法の作用がない限り規制はできないのではないか。権力の作用がない限り規制はできないのではないか。そういう意味で、いますでにあるけれども、それが十分な役割りを果たしていないこととあわせ考えると、先生の御主張のようなものをつくってみても結果的には同じになるのではないか。そういう懸念がありますので、もう一度お願いしたいと思います。
  29. 金山正直

    ○金山参考人 規制ということになると、すぐ権力ということになりますけれども、私の申し上げたいのは、たとえば日本視聴者会議においては、いままでは左右に偏向しないで放送局とともども、あるいは理解あるスポンサーもまじえて、あるいはタレントの方もやはりいいところで仕事をしていたいわけですから、そういう国民総ぐるみで放送をよくしていきたい、まあこういう夢みたいな考え方でやってまいりましたけれども、それを八年半続けてまいりましてその結果言えることは、これからはもう少し、戦う日本視聴者会議の色彩を強めていかなければどうにもならぬ。放送局も非常に冷淡ですし、それを取り巻く諸機関も非常に冷淡ですね。視聴者べっ視という考え方が伝統的にございますよね。そこで、結局考えられますのは、政府が法的に規制するのでなしに、視聴者一人一人といいますか、視聴者の団体がやはり放送に対する意識にはっきり目ざめることですね。たとえば、NHKの受信料を払っている者が、NHKに対してまあいわば株主であるという意識をはっきり持つ。民放に対しても、スポンサー番組を買っておるけれども、これはもちろん消費者大衆、視聴者大衆のお金を吸い上げることによって得られたその利益によって番組を買うわけですから、間接的かもしれませんけれども、やはり視聴者主人であるというその意識の上に立って、そして、この力を次第次第に結集していくよりほかないのじゃないかと思うのですね。ですから、市民運動の一環としての視聴者運動と申しますか、そういった方向で、法的に規制するのでなしに、そういうものの力によって徐々に放送をよくしていくということよりほかにはないように私は思うのです。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)小委員 ありがとうございました。
  31. 水野清

    水野委員長 次に、武部文君。
  32. 武部文

    武部委員 私はたいへん不勉強で、この間初めてこの国会内で「11PM」のビデオを見せてもらいました。初めて見たわけですが、私にとってはたいへん意外な番組で驚きました。十日間も見ておればもっと質問もできるのですけれども、そこまでよう見てなかったわけです。  映画あるいは写真週刊誌あるいは一般図書、そういうものを通じてのポルノというものとテレビとは、私はその内容において、与える影響において、たいへんな違いがあると思うのです。それは、テレビの普及状況、あるいは見る人、見る時間、見る場所、そういうものが先ほど申し上げるような映画とか、あるいは週刊誌とか、一般図書あるいはいかがわしい写真とか、そういうものとは全然内容を異にすると思うのです。そういう意味で、私どもはこの問題にたいへん関心を深めておるわけでありますが、いろいろ四人の先生方からお話を聞いておりまして、まず、いまのポルノ番組というのは、従前に増して、よくなりつつあるどころか、むしろ悪くなりつつあるという点については、四人の御意見は大体そう開きはなかろうと私は思います。  そこで、それではこのような番組について一体規制をすべきかどうかということについては御意見が分かれるところだと思います。いまお話を聞いておりますと、金山先生は規制をすべきである、志賀先生は規制をすべきでないという前提でお答えになっておったとお聞きいたしました。また、規制の方向についても、法律的、権力的な規制ということではなしに、視聴者の自発的な結集、そういう世論の力で放送事業者が良識を持ってそういう番組を規制すべきではないか、そういう運動を広め、高めていかなければならぬというような御意見もございまして、ニュアンスはそれぞれ違うと思いますが、いまのこのようなあり方について、放送番組向上委員会もいろいろ御努力なさっておるけれども、具体的にはなかなか時間もかかるし、効果もあがらない、そういう点で何らかの規制が必要であるとお考えなのか、また、御婦人の立場小柴先生も、何らかの規制が必要だというふうにお考えか。あとのお二人の方はわかりましたので、最初に、お二人の方からお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 高田元三郎

    高田参考人 お答えいたします。私は長年新聞に仕事を持っておりまして、ことに戦前、言論全く不自由時代に新聞記者をやっておったものでございますから、痛切に言論の自由というものは守らなければならぬという考えを持っておるものでございます。しかし、言論の自由を守るのは、マスコミに従事しておる者自体が守らなければならぬ。その新聞、放送その他マスコミに関係しておる者がどうしても一定の限度以上に及ぶ、自分たちがこれだけは守らなければならぬ、つまり憲法にいうところの公共の福祉に反せざる限り、それを守ることができないということになったならば、みずから言論の自由を主張する権利を放棄したものだと私は思うのです。でありますから、そういう場合になったら規制というのは問題でないと思う。しかし、それまでは何としてもやはり自分たちの手で言論の自由を守るために、自分たちはある一線を踏みはずさぬようにしようという努力をしなければならぬ。現在の私どもあるいは番組審議会、その他いろいろの向上のための機関がございますが、まだ十分な活動をしておるとは私は思っておりません。先ほど申しましたように民放のマスコミ、放送に従事する者自体のうちからも、やはりこの状態ではいかぬ、われわれ自体で何とかしなければならぬという声が出ておる際でございますから、できるだけその努力はしなければならぬと思っておる。しかし、繰り返して申し上げまするが、自分たちに言論の自由を守る力がなくなったならば、これはよそから規制されることは、当然じゃないかと思う。みずからその権利を放棄したものだと私ども考えております。
  34. 小柴美知

    小柴参考人 私、冒頭に申し上げたつもりでございますけれども、私はやはり言論の自由ということはとうといと思います。ですから、それによって法律で規制をかけてしまうということは、私ども地域婦人団体は強く反対をいたしております。終着駅を急ぎません。ただ民放というのにはスポンサーがついております。このスポンサーと私どもとのこれからは戦いではないかという気が最近は盛んにいたしておりまして、CMを前回取り上げ、そしてお金を出す側に私どもが強く消費者の立場で立ち向かっていこうという、あの手、この手をただいま考えております。ですが、ただ私ども婦人団体に、そういうわりあいにパイプのつないであるような感じのする委員会とかなんとかいうようなところの門が閉ざされているということでございます。そういうところに行って、この声をもっともっと強く伝えたいと思うのでございますが、現在はいろいろなことでそれ以上は申し上げませんが、映倫や何かの例をおとりいただいても、私ども憎いことを言うものを迎え入れてくれるでしょうか。その門の閉ざされているということで、私どもの力が十二分に発揮できないということでございます。全国組織を使っての動きというものは、完全にできるという自信を持っております。
  35. 武部文

    武部委員 わかりました。それじゃ、もう一点でありますが、このテレビ番組、このポルノ番組について、警視庁、特に大阪府警がこの問題について介入をいたしたことは報道されているとおりであります。私は、志賀参考人にお伺いをいたしたいと思います。この問題で評論家の皆さんがいろいろとマスコミを通じてお述べになっておる。放送倫理綱領に基づいて各放送局はある程度自粛をしておるんだから、警察が介入することは越権だ、またあるいは深夜番組であって、これは家庭でコントロールすべきものである、コントロールできるじゃないか、だからあとは各放送局番組審議会が自主的にそういう問題について改善をすればいいじゃないかというような御意見がございました。いろいろそういう意見があることは承知いたしております。私が一つこの問題でちょっと意外に思いましたのは、この番組に出演をしたストリッパーが逮捕されたということであります。日活のポルノ映画は摘発されましたが、そのときに摘発をされて出頭を命ぜられたり、いろいろ起訴とかそういうものをされたのは制作者であります。ところが、「11PM」で大阪府警に摘発をさせて逮捕されたのは、出演をしたストリッパーだということであります。私は、この新聞記事を見て実は意外に思ったのであります。そのときの新聞にこういうことが載っております。大阪府警は、「このストリッパーがテレビでいかがわしい踊りをみせるなど、もってのほか。テレビ局反省を求める意味で、逮捕に踏み切った。今後もテレビ番組がピンク路線を突走る場合は、刑法一七五条(わいせつ文書の配布)を適用して取締る」、こういう談話を発表いたしておるのであります。映画では制作者、テレビでは出演者という、こういうことについて、府警がテレビ番組反省を求めるために出演者を逮捕したということについて、評論家の立場からこれをどのようにお考えでしょうか。私は非常に興味のあることだと思っておるのですが、いかがでしょうか。
  36. 志賀信夫

    ○志賀参考人 お答えいたします。テレビは御存知のように、非常に大切なのが編成権でございます。ですから法的にも番組の編成ということに関してはるる述べておるわけで、大阪府警さんのほうは、テレビというものに関して実態をおつかみになっていないのじゃないかと思います。あくまでもぼくは、個人をつかまえて、しかもそれをテレビ局に間接的に反省を促すという手段は、まことに現状の放送法もよく御理解いただけないのじゃないかと判断しております。
  37. 武部文

    武部委員 私の意見と同意見でございますから、これでよろしゅうございます。私もそう思っております。  そこで、このような番組がいろいろ問題になりつつありますが、放送法、電波法の元締めである郵政省として、こういう問題について一体どう処置をしたらいいかということを何かお考えになっておるかどうか、その点いかがですか。
  38. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。郵政省といたしましては、あくまでも法令、法律のもとに仕事をしているわけでございまして、現在御存じのように電波法、放送法という法律のもとでやっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、あくまでも現在の法律にございます番組審議会その他を通じて、放送の事業者が自主的に規制をしていただくということが一番望ましい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  39. 武部文

    武部委員 そういたしますと、放送法、電波法の改正問題というのは、いろいろ私どもやりとりをしてきたわけでございますが、こういう問題について、いま私どもが具体的にやり合っている問題について、放送法、電波法の改正ということについては何ら考えていない、こういうように理解してよろしゅうございますね。
  40. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在いろいろな角度から電波法、放送法の改正という点について検討しておりますけれども、こういったこと、番組内容というものに関しましては、私どもとしましては直接にそれに関与するという考え方は持っていないということでございます。
  41. 武部文

    武部委員 あなたに聞いてちょっとぐあいが悪いかもしれませんが、先ほどのストリッパーの逮捕問題ですね。私はこれはちょっと問題があると思ったのでこの機会にお聞きをしたわけでありますが、放送の媒体としてということがだいぶいわれておりますし、編成権ということもいまお話もございました。警視庁がこれからそういうものをどんどん摘発していくという、そういう傾向がないとはいえないと思うのです。大阪府警がやったわけでありますが、そうなってくると、先ほど起きたような事件が次々と起こってくる可能性がある。このことについては先ほど志賀先生からもお答えをいただきましたように、ちょっと私は映画とテレビとの間のやり方にたいへんな違いがあるという点から、たいへん疑問に思っておったので御意見を聞いてよくわかりましたし、私もそうだということをお答えいたしました。こういうことについて警視庁が刑法上の問題として、今後摘発なりそういうものに乗り出してくる可能性が非常に強いと思うのですが、このことについて志賀先生としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  42. 志賀信夫

    ○志賀参考人 かつての歴史から申しましても、いま武部先生の御意見のとおりの形態を日本の放送の歴史の上でもたどってきているわけです。たとえば郵政省に対して内務省が放送のいろいろなものに関与してきた歴史というものは、いままでも何度かあったわけです。ですから、それは当然こういう形でも、郵政省がいわば責められる立場に追い込まれるということは、今後もあり得るとぼくは思います。そういう意味で今後の郵政省の皆さんのいわば姿勢を堅持して、そして放送に対する郵政省の姿勢というものをぜひ正していってほしい、そう思うわけでございます。
  43. 水野清

    水野委員長 次に、栗山礼行君。
  44. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん参考人の、勉強会ということでおしかりを受けまして、まさにそのとおりでございます。そこで私小委員会委員の一人といたしまして金山先生に御意見を伺ってまいっておきたい、かように考えております。  御案内のとおり与党さん、野党さんも——野党の多極でございますから、社会党さん、公明党さんあるいはまた私どものように民社党と、いろいろそれぞれのバラエティーの一つの構成でございますので、いろいろ見解があろうかと思います。逓信委員会で問題になりましたのは、御案内のように井出郵政大臣のときにいわゆる俗悪、低俗番組の問題シロシロ、シロクロと申しますか、そういった一つの限界を越えたいまの低俗番組をどうながめるかという世論を背景にいたしまして、御案内のとおり、官側のモニター制というようなことが、非常に大きい問題に発展をいたしました後にこの小委員会が生まれてまいったわけでありますが、これは独自性で逓信委員会の持つ役割りとして小委員会を設けて、これらの問題を立法機関として対処いたそうじゃないかというようなことでこれをつくってまいりましたことは、金山先生もよく御承知のとおりでありまして、前回もいろいろ御高説をお伺いいたしました。自来、今日までのその評価について、委員会自体が実行性の伴う委員会の役割りを持っておるか、あるいはまた単なる勉強会か、こういうことについて御批判を受けまして、胸に打たれるものがあるということを私一委員といたしましては率直に感じておる次第でありますが、しかし、私は小委員会をつくるにあたって、少なくとも一つの基本の方向を明確にして、そしてその作業を順次進めてまいろう、こういうふうな考え方でございましたが、何といいましてもやはり話し合いの委員会の構成のことでございますから、なかなか一人の意見によってそういう方向づけをするということはできない。ただし私も、今日の段階でこの委員会の評価を私なりにいたしておりますことにつきましては、放送小委員会が設置されたということ自体と、いろいろ皆さんの御意見を伺いまして、それに対処いたしてまいろうという姿勢をとってまいった事柄が、いわゆる低俗番組等々の問題について良識的自粛を促して、それなりの消極的な評価もまた小委員会にいたしていただいたのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。決してこれは及第点ではございません、落第点でございましょうけれども、何がしかの一つの効果的な要因があったのではないかというようなことをながめておるのでありますが、先ほど委員がお尋ね申し上げましたように、だんだんやはり世相と社会的情勢の変化に伴います、またテレビの低俗及びたいへん憂慮すべき事態に発展をいたしておる、こういうことでございまして、私ども委員会の役割りをどうながめて、どう対処いたしてまいるかということを前提に、いろいろきょうの御意見を拝する、こういう経過に私自身はなったと理解をいたしておるわけでありますが、そういう評価についてどう金山先生はながめていらっしゃるか。  それから先ほどちょっと私わからない点でございますが、前回伺いましたところによりますと、会費をもって、みずから会に参加された人によっていい放送、いい番組ということで真摯な活躍をいただいておる自主的な団体である、こういうふうに視聴者会議の人格づけといいますか、役割りを私はお伺いをいたしておるわけでございますが、先ほどのお話しのように、いわゆる第三者機関等も設けて、そしてこれに対処する一つの方向というものが逓信委員会の役割りに適した方向でなかろうか、こういうふうに私承ったのでありますが、もう少し具体的に、長い経験によって御意見を持っていらっしゃることを私は承知をいたしておるのでありますが、しかられついでに、逓信委員会及び放送小委員会はかく進むべしというような具体的な一つの御提言があれば、これは大胆にお聞かせをいただきたい、これが一点でございます。
  45. 金山正直

    ○金山参考人 初めの、小委員会が設置されましたことにつきましてですが、これは申し上げるまでもなくたいへんけっこうなことで、小委員会ができて一年間で終わらずに、また引き続きやる。そして放送界に厳然とそうした機関があるということはたいへん心強く思いますし、そのことだけでたいへんな意味があるというふうには十分認識しております。それで、私がたいへん先を急いで、実行に乗り出したらどうかというようなことを申し上げましたけれども、これはそういう方向に多少とも進もうとする意欲がおありなら、それ以上申し上げることはないわけでございまして、はたしてあるのかないのかというきわめて素朴な質問を発したわけです。そういうことになりましたのは、私もすでに年ではございますし、高田先生から見ますと私は多少若いのですけれども、年のかげんで非常にせっかちにもなっておりますし、それからいろいろな事情がございまして、八年半続けてまいりました日本視聴者会議も、ぼつぼつ店じまいをしなければならぬかという事態に差しかかっておりますので、それで先ほど申し上げましたような第三者機関といったようなものがこちらの肝いりでできればたいへんけっこうじゃないか、そういう理由から先を急いで申し上げた。  それから小委員会がどう進むべきかというようなことに関しましては、私わかりません。昔の五年制の中学の、五年ぐらいの知識しか発達していない部分がたくさんございますので、とても小委員会がいかに進むべきかというような具体策についてはちょっと申し上げられません。  以上でございます。
  46. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん、表現を願わないところを心を心といたしまして、それぞれ小委員会として十分に将来検討いたしまして、現下のこの問題に対処するという委員の一人といたしまして、そういう意見を申し述べて、これ以上突っ込んでお伺いを申し上げないということにいたしてまいりたい、かように考えておりますが、いま同僚委員からお話がございましたが、高田先生に二点だけお伺いをいたします。  一点は、私は、向上委員会の構成、機構それ自体に一つの問題が存するのでないかということを、率直に理解をいたしておる一人なんでありますが、抽象的に申し上げますと、いま金山先生もお話しのごとくに、番組向上委員会という一つの機構運用上の、構成上の問題に、もう少し多面的な要素を入れたらどうかというような点について、高田先生はどういう御見解を持っていらっしゃるかということが一つであります。  これに関連いたしまして、確かに私も勉強が足らないのでありますけれども、これはNHKと民放とによりまして若干の経費負担というような向上委員会の運用上の財政上の方向づけでないか、かように理解をいたしておるわけでありますが、それはそれなりでりっぱな運用を願えばけっこうなんでございますけれども、結局、それの価値と受けとめ方ということによりまして、皆さんのせっかくの御努力をいただいておるのに、十分の効果があらわれてまいらない、こういう一つの結論から申し上げますと、そういう構成それ自身にも機能上の問題の欠陥が存しておるのでないか。これはたいへん言いにくい質問でございますけれども高田先生個人の資格でけっこうでございますから、そういう所見を承りたい。  それからもう一点、欲どしいのでございますが、先ほど言論界の最長老としての、言論の自由の問題についての実に高邁な御意見を承りました。いろいろ議論いたしましても、議論は分かれておるのでありますけれども、これは単なる部分的な、あるいは一つの技術上の問題で解決する問題ではない。もっと言うなら、世界観と人生観といまの社会構造をどうながめて、そしてその中における役割りといいますか、価値といいますか、そうして憲法も実にりっぱな憲法がわが国に現存いたしておるのでありますけれども、その憲法の条々に基づかざる内容にいまや発展いたしておるというところに、一つの問題が存する。私は、観念的に申し上げますと、これはもう世界的な悩みであるし、日本の国民的な悩みである。政治の大きな盲点が今日のこういう欠陥を露呈いたしておる、こういうふうにながめておるわけなんであります。  そういたしますと、これはたいへん観念論になるのでありますが、先ほど議論がございました放送法及び電波法の問題でも、ずいぶん長きにわたります改正上の問題が、どういたしましても、政府が勇気をふるって提案をなし得ないという政治の状態の中にございます。たいへん放送法の改正及び電波法の改正というものが、現在の情報化に対応する電波及び放送法の実態に適応するかということにつきましては、いろいろ議論の存するところでございますが、そういうふうな意味で、私は、法の規制をそういう抜本的な立場から行なわなくちゃならないという御意見を、私式にひとつ理解をいたしておるのであります。金山先生はおおむね私と見解を一にするような御意見やに理解をいたすのでありますが、高田先生の先ほどのお話の内容をながめますと、少なくとも言論の自由は守るべきであるが、それを尊重すべきであるが、それを守れないということは、言論の自由をみずから放棄したものである、こういう名言をもってひとつとどめをさされたように思うのでありますが、現行の放送法及び電波法の問題をどのように評価されておるか。個人的見解でけっこうでございますから、この点をひとつ承りたい、かように考えております。
  47. 高田元三郎

    高田参考人 お答えいまします。御質問の第一点につきましては、向上委員会のただいまの構成上の問題と承ったのでございまするが、いまお述べくださいましたように、向上委員会というものは、日本放送協会と日本民間放送連盟に加盟しておるところの各社共同の機関としてできておる、文字どおり自主規制の機関といって差しつかえないと思うのでございます。先ほど来たびたび申すようでございますが、何ぶんどうも法律によった機関でもなし、規制力も何もない、話し合いによってひとつその実をあげようというような機関でございまするから、やはりなかなか成果か——どもは必ずしも成果があがってないとは考えておりませんが、皆さんが御期待になるような成果をあげるというのはなかなかむずかしいような状態でございます。  ある時期には、こういう状態に放置できないという皆さんのお考えがあって、私どもにもそういうお話がございました。いまおっしゃったようなぐあいに、構成上の欠陥があるんじゃないか、これは金山さんの言われたような第三者機関にしたほうがいいんじゃないかという御意向も伺ったことがございます。どうしても自主規制の機関が実があがらぬということになれば、それはいたし方ないと私は思うのでございますが、ちょうどそのお話ができたときには、民放の内部において、もっと自主的の規制といいますか、自粛を徹底しなければいかぬという機運が盛り上がったときでございますから、いまの段階で向上委員会の構成を変えるというようなことはまことに不適当であるばかりでなくて、効果があがらないことになる。そういうものをつくっても、結局民放がその向上委員会のいったことを守ってくれるとか、それに従って番組の改善をやってくれるという態度がなければ何にも効果があがらぬ。かりに第三者機関をつくって、あるいは放送法によってその勧告は守らなければならぬというようなことになりましても、民放各社において積極的にその勧告に従うという姿勢、態度、精神がなかったならば、結局効果はあがらぬのじゃないか、かように考えております。でありまするから、私どもとしては、できるだけ現在の構成をもって実をあげるようなぐあいに、まだほかにやりようがあると思いますから、そういうほうをまずやるべきじゃないか、かように考えております。  ただ、その構成の問題につきまして、先ほど主婦連の小柴さんからもお話がございましたように、各方面の視聴者の声を、もう少し集めるという努力をわれわれとしてもっと積極的にしなければなりませんから、ある場合には、そういういろいろの団体の代表者の方から御意見を伺うなり、そこに集まった御意見をわれわれのほうに寄せていただくなり、そういうことができるようにしなければならぬのじゃないか、かように考えております。そういう努力はしなければならぬと思いますが、ただいまのところは、やはり自主的の機関として存立するということが一番大事じゃないか、かように考えております。  御質問の第二点は、非常にむずかしい問題でございまして、私もどうも率直に申し上げて、個人の資格でというお話でございましたが、放送法あるいは電波法は、現在のものがそのまま完全なものとは考えておりません。現に何年か前に、皆さまのほうが一番よく御承知のとおり、改正のあれができまして、そのときやはり改正のための民間の諮問委員会、機関みたいなものができましたのですが、その時分に述べられたような意見には、私どもはやはりおおむね賛成したところが非常に多いわけであります。でありまするから、私どもは、やはり現在の放送法について考えているところのものは、そういう私どもの気持ちからお察しを願いたいと思っております。でありまするから、また端的に申しまするならば、やはり現在の放送法改善の余地ありというふうに考えておりますが、それならば具体的にどういう点かというと、まだそこまでは十分検討しておりませんので、これだけひとつお答えしてごかんべん願いたいと思います。
  48. 栗山礼行

    栗山委員 どうもありがとうございました。  小柴、志賀両参考人に御意見も私一、二お伺い申し上げたいと思ったのでありますが、ちょうど時間が参っておるということの委員長の通達でございまして、後日の機会に、勉強会というおしかりを受けぬような形において御意見を拝することにいたします。どうもありがとうございました。
  49. 水野清

    水野委員長 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を賜わり、まことにありがとう存じました。本問題調査参考に資するところ大なるものがあったと存じます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。たいへん御苦労さまでございました。本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十一分散会