○樋上
委員 私は、
一つはそういうような問題があるときに、今日まで放任しておったところに郵政省の怠慢もあろうかと思いますが、おくればせながら今回のこの
郵便切手類模造等取締法案が御提案されてきたのですけれ
ども、この
提案理由を拝見いたしますと、わが公明党が参議院におきまして四回にわたってこの問題について質問し提案してまいりまして、そして何とかそれにつきまして、できなければ議員
立法でもやろうかというぐあいにまで特に熱意を込めて今日までまいったのでございますけれ
ども、この
提案理由の
説明、それを提案された背景といったものが、わが党が提案しようとしておりますところの
提案理由と多少の相違がございます。御
承知のようにわが党の提案の
理由は、
郵便切手類及び通信日付印
模造取締法案提案理由説明、こういうように出したはずなんでございます。御参考までにあらましを読み上げてみますと、
今日、わが国の
切手収集人口は、約三百万人
ともいわれ、その約七割が、どちらかといえば
収集の専門的知識を持ち合わせない小中学生で
あるといわれております。
新しい
切手の発売日ともなれば、幼いマニア
たちは早朝から
郵便局の前に長い列をつくり、
しかも、やがて無情にも売り切れを告げられ、
せっかくの努力も水泡に帰してしまう。
このような最近の
郵便切手の収集趣味に対す
る驚異的なブームは、ここ当分の間続くのでは
ないかと推測され、投資、投機の材料にすら
なっているのが実情であります。
このブームに便乗し、一部業者の間では、す
でに強制通用力を失っている昭和初期の無目打
ち
切手や、収集家の間で高値を呼んでいる「見
返り美人」、「月に雁」、「えび蔵」、「ビードロを
吹く娘」など、現在でも強制通用力を有してい
るものまでが公然と
模造シートという形で
販売
されております。
その
模造シートの大部分は、最近の印刷技術
の進歩により、印刷されている文字、模様、肖
像は、郵政
大臣発行の
真正の
郵便切手と酷似
し、形状、
寸法もほとんど同様であり、通常人
が不用意にこれを一見した場合に
真正の
郵便切
手と思い誤るのではないかと思われる精巧さ
で、かりに
模造シートを切り離して、これを行
使したとしても、おそらくは郵政当局は、その
不正使用を発見できないまま終わるでありま
しょう。
また、最近、
郵便切手を消印する公印ともい
うべき普通通信日付印や、特別通信日付印を写
真製版などにより勝手に作成し、それを色紙等
に押印し、
販売するという新商売も現われてき
ており、好ましくない方向にエスカレートしつ
つある傾向を呈しております。
この種の
模造の
郵便切手や通信日付印がブー
ムに悪乗りして正常な郵趣の世界に割り込んで
くるということは、社会通念をゆがめ、かつ混
乱させるとともに教育上の観点からも決して好
ましいことではありません。
このような
状況にかんがみ、かつまた昭和四
十六年五月二十一日批准した
万国郵便条約の第
十一条に
規定する
約束の
趣旨を尊重し、
郵便切
手類及び通信日付印の
製造、
輸入、
販売、頒
布、使用を取り締まることによって、
郵便切手
類及び通信日付印の
信用及び権威を保持すると
ともに予見される弊害を除去するという観点か
ら、ここに本
法律案を提出することといたした
次第であります。というわが党の
提案理由でございますが、この中にこの「日付印
模造」ということがはずされておるのですが、この点はどうなんでしょう。