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柏木政府委員 まず、いわゆる
拡充法でございますが、これは御
承知のように
昭和三十五年に
制定されたわけでございます。御
承知のように、
わが国の
電話は、
戦前の
最高では約百八万
加入というところまで行ったのでございますが、終戦時に非常な被害を受けまして、
全国で五十四万という数までに減少したわけでございます。その後の復旧、これはたいへん困難な
事情がございまして、その
需要にもなかなか応じきれない。そこで
昭和二十六年にいわゆる
負担法を
制定いたしまして、新
申し込み者に対しまして
建設費の
資金の一部を
負担してもらうということにしておりまして、さらに
昭和二十八年になりまして
負担法のほかに
電信電話債券を引き受けてもらうことが始まったわけでございます。
電信電話債券の発行によりましてこの
建設はかなり促進されてまいりまして、
昭和三十四年の末におきましては約三百十万
加入というところまで達しましたのでありますが、その後の
わが国の経済の成長は非常に急速でございまして、あわせてまた
生活水準の向上というものも著しいものがございまして、この結果、
加入電話に対します
需要がますます急激に増大したということでございまして、
公社発足後の五カ年
計画、第二次五カ年
計画、
昭和三十三年から三十七年でありますが、その当時の予測をはるかに上回っている。そして
加入の
申し込みの積滞ということが年々
増加するという傾向をたどってきておるのでありまして、これまでの
設備拡充の
程度ではとうていこれをまかなうことができないということで、この悪化する
電話の
需給状況に対して、根本的な
対策が必要になってきたというわけでございます。そのために、
電話の
設備の
規模拡充を大幅にやらなければならぬ。当時の
見込みといたしましては、
昭和四十七年末には百人当たりの
普及率を約一〇%、百人に十
加入程度のものまでやればいいじゃないか、ここを
一つわれわれ
目標にしていままできていたわけでございますが、このようにいたしまして
拡充法が三十五年に
制定されて以来、いままで
電信電話の
拡張資金の非常に重要な財源といたしまして、
日本の
電気通信水準の
拡張には非常な
役割りをいたしておりまして、この最近数カ年の
電信電話、特に
電話の
架設の伸びというものは、欧米の
水準をはるかに上回っている。その
増加の速度はざっと
先進国の
水準の三倍
程度のスピードを持った
拡張を続けていたということは、これはひとえに
日本独得の
拡充法によります
加入者による
資金の協力という新しい方途を創設したためという
評価ができるかと存じます。
これを
歴史的にざっと見ますと、第一次
計画におきましては
電話の
架設数が百九万個であったわけでありまして、
年間平均二十万増、第二次五カ年
計画、ここで
拡充法が
効果をあげているわけでありますが、二百十四万個、
年平均にしまして四十万個、さらに第三次五カ年
計画におきましては五百十一万個、
年平均百万個という
増設をいたしておりまして、第四次五カ年
計画等におきましては、
年平均二百万個という
計画で現在進めているというわけであります。
このような非常に急激な
電話の
増設ができるような
対策をとっておるのでございますが、しかし、いまの
需給均衡ということは相当時間がかかる。一応
昭和五十二年を
目標にいたしておりますが、この
均衡時点に達したあとにおいては
電話の
加入の
新規架設の
申し込みというものは、
年平均二百五十万前後のものが数カ年見込まれるであろう。したがいまして、このような状態でこの
加入者債というものを廃止するということになりますと、非常に重大な
支障を来たしまして、さらに現在のような二百万あるいは三百万というような積滞をかかえるような
事態に直ちに悪化するというような見通しを立てているわけでございます。
それから、
質権法の
関係でございます。
質権法はこれも
昭和三十三年に
制定されました
法律であることは御
承知のとおりでございますが、この
法律が
制定される前におきましても、
電話の
加入権というものは
譲渡ができるという
公衆電気通信法上の
性格を持っておりました。特に
日本では
需給均衡が
歴史的に非常にアンバランスであったということから、
電話の市価というものが非常に高い
水準に保たれた
経過がございまして、それにつきまして、
加入権というものが
一つの財産権的な社会的な
扱いを受けることになりまして、これが、
電話の
質権は
公衆電気通信法では禁止されているにかかわらず、たとえば
譲渡担保というような
方式で、あるいは
白紙委任状つきの
融資というようなことでの
金融業者の
扱いにかかるということで、この結果
公社のほうの
業務面でのいろいろな
支障もございましたし、また
加入者の保護という面から見て非常に好ましくない
事態も出ておったわけでございます。しかし、
電話の
質権という新しい
制度をつくるためには、一般の
質権とは違ういろいろの
制約要件がございまするので、それらを勘案いたしまして、簡便な、しかも安全確実な方法で
加入者の利益を十分保ちながらこれを
担保にした質の
制度ができるということを当時非常に要望されまして、その
事情を
背景にいたしました
質権法が三十三年に
制定されたわけでございます。
この
法律につきましては、また一方、
電話の
需給の
均衡がとれないということが
一つの問題になっておりましたこととともに、
負担法あるいは
拡充法によります
加入者の
資金の
負担につきまして、特別な
融資の
制度も考えてやったらどうかというような
国会での
附帯決議もありましたことを踏まえました結果、このような特別の
融資制度ということで、非常に現在、特に
庶民金融といいますか、
中小企業金融といいますか、そういうような
金融の
体制というものが非常に不備であります
日本の
事情におきましては、低額、有利、確実なこのような
制度というものが
庶民にもたいへん喜ばれてきたという実績がございまして、現在までも約百六十万というような
利用がされているということでございます。この
質権の問題も、結局はつまるところ、
需給の不
均衡というところに
一つの大きなネックの問題がございますので、これは
公社といたしましても、一体どのようにして今後の
需要の
見込みを立て、これに対する
供給の
体制を考えていくか、つまり長期的な
計画をどのようにして推進していくかということを十分御
審議、究明いただけませんと、これらの
法律につきましての問題の解決がむずかしいのではないかということで、この
二つの
法律は、やはり
一つの
需給不
均衡に基づくというところから、共通の問題としまして、一本の
法律として立案を進めたということでございます。
なお、
自動化に伴います
特別手当の
法律につきましては、
人事局長のほうから御
説明申し上げます。