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廣瀬国務大臣 まずもって、私いろいろな事情があったとは申しながら、貴重な当
委員会におくれて参着いたしましたその姿勢を心からおわび申し上げる次第でございます。
ただいま武部
委員から
お尋ねの、第一の郵便
貯金金利引き下げ反対の問題でございますが、これはあくまでそういう姿勢をくずさない、こういう
方針で進む覚悟でございます。これは現在におきましても、
大蔵省から郵便
貯金の金利の引き下げについて何ら要請を受けておることでも全くないのでございまして、せんだってから重ねて銀行、郵便預
貯金利子の引き下げということが新聞等で報道されまして、いかにも
郵便局に再び
貯金利子の引き下げについての要望があるようなことが報道されておったのでございますが、さようなことは全くありませんし、私は、また郵便
貯金の金利の問題については郵政
大臣の
所管事項でございますから、このことについては絶えず研究しておかなくてはならないということで、大いに関心を持っておるわけでございます。各方面の
意見を聞きましても、郵便
貯金の金利は引き下げる必要は全然ない、こういうようなことをおっしゃってくださっておりますし、
郵政省におきまして学者、
先生、経験者等の御
意見も、何人かからおいでを願って求めたわけでございますが、ほとんどすべての方が私の
意見に賛意を表してくださっているのでございまして、ますます私は自信をつけております。現在日本の経済の実勢から申しまして、郵便
貯金の金利を引き下げる必要は全くない、こういうように確信をいたしております。将来とも、これは郵政
大臣の
所管事項であるというたてまえを堅持いたしまして、引き下げないという
方針を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。と申しますのは、もう事由については武部
先生すでに御
承知と思いますけれ
ども、郵便
貯金と銀行預金というのは本質的に違うものだというように考えておるわけでございまして、銀行預金の大半と申しますか、短期で申しますと七割、それから
長期を含めましても五割までが法人の預金でございます。つまり会社の預金でございまして、短期の場合は預託の期間もわずかに〇・四カ月というように銀行預金はなっておるわけでございます。これに対しまして郵便
貯金は、九割九分六厘までが個人のきわめて零細な、つまり
庶民大衆が粒々辛苦の御
努力によってたくわえましたいわば
生活資金、その集積が郵便
貯金であることがはっきりわかるわけでございまして、いわば
国民の
貯金であり、また消費者の預金である、しかも
生活資金であるというように考えられますところが銀行預金とまさに異質的なものである、こういうように考えておるわけでございます。そういうことを考えますときに、現在のように消費者
物価がどんどん
高騰しているという現状から申しまして、消費者の
貯金であります郵便
貯金をこれ以上利率を引き下げるということになりますと、
庶民大衆が
貯金そのものについて絶望感を感ずる。
貯金してもだめじゃないか、もう使ってしまえというようなことになりまして、むしろこれが
物価高騰のさらに刺激剤となりまして悪影響を与えるということになりますことすら考えられるわけでございますから、消費者保護、庶民の貯蓄保護という立場から申しましても、この預金の利率は下ぐべきでないという
方針を持っておりますし、また将来ともそのような考えで進みたい、このように信念をいたしておるわけでございます。
それから第二の、いわゆる
庶民金融、郵便
貯金の預金者貸し付けの問題でございますが、これは私は
国民大多数の方から御共鳴をいただいておるものだと確信をいたすわけでございますけれ
ども、主として
大蔵省サイドで同調してくれない。事務的に申しますと、かねがね、ずいぶん以前からそういう資料を
大蔵省に
提出いたしまして、郵便
貯金の問題は郵政
大臣の専決事項でございますけれ
ども、郵便
貯金が財投の
資金になるという面におきまして大蔵
大臣と
関係がありますものですから、どうしても財投の
法律を一緒に
改正しなくちゃならぬということになるわけでございますので、
大蔵省と合い議をしなくちゃいかぬということになるわけでございまして、そういう
意味で資料を出して
検討願っておるわけでございますけれ
ども、なかなか協議に応じてくれない、
検討してくれないということで、私
どもは困り抜いておったわけでございますが、なるべく早くそういうようなチャンスをつくりたいということで
努力はしてまいりましたが、やっと月曜の夜になりまして会おうということにきまりまして、こちらは私と
貯金局長、向こうは大蔵
大臣と銀行
局長、四者会談をホテルの一室でやったわけでございます。一時間半ばかりの会見でございましたけれ
ども、おのおの立場を主張いたしまして、もちろんにわかに妥結点に到達するということはできなかったわけでございまして、しかし形におきましては、今後両省間で協議に入るということにいたしたわけでございまして、事務的にも話が進んでおりませんので、事務
段階から話を進めていくということに道は開けたわけでございます。しかし、御
指摘のように今度の通常国会におきましてもタイムリミットがあるわけでございますので、私
どもは非常に焦慮感を覚えておるわけでございます。
政府提案で出すにいたしましては、もちろんそうした時限、タイムリミットということを考えて、両省、さらに
関係がありますのは農林省でありますが、協議に加わってもらって早く案をつくらなくちゃならぬというわけでございますが、しかし、
大蔵省の月曜日の晩の言いわけを聞きますと、なかなか早急に話を詰めようというような考えがないようでございまして、
大蔵省としましては金融
制度調査会にかけなくちゃならぬとかいうようなことを申しておりますし、ですから私の見通しといたしましては、
政府提案で出すことが一番いいと思いますけれ
ども、時間的に物理的に、どうもそういうことはできなさそうだと心配をいたしておるわけでございます。しかし、私
どもといたしましては
政府当局でございますから、鋭意その
努力は続けてまいりたいと思っておりますけれ
ども、実際上、はたしてそういうことができるという確たる見通しはつけにくいのでございまして、そういう
情勢を、党のことを申して恐縮でございますけれ
ども、自民党のほうで通信部会で察知されまして、われわれは
政府、
関係省間の話し合いの結果を待つというわけにいかない、もうだんだん通常国会も末期に迫っておりますので、早く議員
提案として出すべきだというような御意図が動いていらっしゃるようにも承っておるわけでございまして、私といたしましては理想的に申しますれば、
政府提案ということが一番いいことだと思っておりますけれ
ども、しかし、この
制度を
創設するという立場から申しますと、
政府提案ができなければ議員
提案で、それが各党御一緒の
提案になりますかどういうかっこうになるかそれは存じませんけれ
ども、とにかく何らかの形でこの
法律案が国会に出されまして、そうして御
審議いただきまして成立させていただく。そしていわゆる
庶民金融、この預金者貸し付けの
方法が開かれるということになりますれば、その実は私といたしましては取りたいわけでございまして、そのようなことを考えつつ事態の
推移を見守りますとともに、私
どもといたしましては最後まで
政府提案で出すという希望を持ちながら
努力を重ねてまいりたいと思っております。しかし、これにはおのずから限度があるわけでございますから、ある時期にはもうこのことについては
政府提案ができないものだと認めるというようなことを相手方に対して申し上げるというようなことも必要ではないか、そういうチャンスも必要じゃないかというようなことに考えておるわけでございます。こういうことが現状でございます。