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1972-04-20 第68回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 地崎宇三郎君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君 理事 伊藤卯四郎君       阿部 文男君    有馬 元治君       金子 岩三君    中村 弘海君       山崎平八郎君    細谷 治嘉君       松本 七郎君    田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業省企業         局参事官    田中 芳秋君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 青木 慎三君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部産         炭地域振興課長 中井 富男君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         自治省財政局財         政課長     近藤 隆之君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   進藤 一馬君     中村 弘海君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     進藤 一馬君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二三号)      ————◇—————
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 石炭問題、特に鉱害復旧等に関連する法律案を中心として若干の質問をしたいと思います。  最初にお尋ねしたいことは、石炭対策特別会計というものを今度は石炭石油特別会計に直した理由、これは一体何か、お尋ねします。
  4. 莊清

    莊政府委員 現在までのところ、原油及び重油に対する関税というものは年々相当な額に達しておるわけでございまするが、御案内のように、そのうちのいわゆる十二分の十に相当するものが石炭特別会計に繰り入れられまして石炭対策に充てられておるわけでございまするが、今後わが国エネルギーというものを考えます場合に、石炭石油というものが非常に重要であるというところから、やはり長期的に安定的な財源をこのために確保したいということが基本的な考え方であります。したがいまして、原重油関税全額を新たに特別会計に入れまして、その全額をもって石炭石油に対する対策を総合的に講じていくことにするということがこの制度の骨子になっておるわけでございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 石炭対策特別会計というものを石油と一本にした、こういうことなんでありますけれども、いまの答弁では、どうしてわざわざ——石炭石油はっきりしているわけですね。そして、石炭会計石油とは勘定は別なんですね。これを分けた理由はわからぬわけですよ、いまの説明だけでは。財源確保するためだ、今度は十二の十二をそのまま特別会計に入れるのだ、しかし、十二の十というのは石炭勘定だ、十二の二というのは石油勘定だ、こういうことなんですね。この法律改正にあたって、石炭対策及び石油対策に必要な費用を勘案して、予算で定めるところによって石炭勘定石油勘定を設けたわけですね。どうしていままで石炭だけ分かれておったものを一本にしなければならないのか、その理由がいまの説明では納得できないのですよ。もう一度お答えいただきたい。
  6. 莊清

    莊政府委員 従来はいわゆる十二の十というものは石炭特別会計に繰り入れるということが明らかに制度上なっておりまして、残りの部分につきましては、これは一般会計に年々入っておりまして、エネルギー対策としてこれは確保されておらなかったわけでございます。先ほど御答弁申し上げましたとおり、今後におきましては関税収入全額エネルギー対策に使うのがねらいでございます。そのうち十二分の十につきましては、現在どおり四十八年まではこれは明確に財源石炭勘定分ということで制度上も今回の法案で明らかにしておるわけでございまするし、その後におきましても、これはただいま御指摘のございましたように、石炭対策に必要な経費というものを十分に勘案いたしまして、これは十分に確保していくという趣旨でございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 依然として納得できないわけでありますけれども、そこでお尋ねいたしますが、今度の特別会計、これは大蔵省の所管でございますから、この特別委員会にはかからぬ法律ですね。この法律は、いまのところは四十九年三月三十一日で終わるわけですね。したがって四十八年度で終わる。今度の石炭石油対策特別会計ということになりますと、これは五十二年三月三十一日までになるわけですね。端的に申しますと五十一年度。この附則改正するわけですね。そうすると、この法律を読みますと、石炭勘定の十二分の十というのは何年までですか。
  8. 莊清

    莊政府委員 昭和四十九年度までにつきましては、法律上現在の石炭特別会計法と同じ額というものを石炭勘定に繰り入れるという規定がございまするが、その後につきましても、五年間を通じまして石油石炭とは勘定を明確に区分して経理を行なうということになっております。したがいまして、五年間を通じまして勘定別建てにいたします。ただし、その勘定に繰り入れられる額というものは、現在の石炭特別会計法にございまするように、四十九年度までは原油なり重油なりにつきましてそれぞれの関税収入につきまして一定の金額というものが法律上もはっきりと明記をされておる、こういうことでございます。勘定は五年間を通じて別建てでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 勘定別建てであるということは、この法律の、五十二年三月三十一日、ことばをかえて言いますと、五十一年度までは石炭勘定石油勘定別であることはわかっています。十二分の十二の分け方、十二分の十というものと十二分の二というものは、四十九年の三月三十一日まででしょう。四十八年度まででしょう。そうじゃないですか。お答え簡単でいいです。
  10. 莊清

    莊政府委員 法律上明らかになっておりますのは、抑せのとおりの時点まででございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 十二分の十というのは法律上四十八年度までは保証する。その後は一体どうなるのです。
  12. 莊清

    莊政府委員 これも法律にございますように、石炭石油それぞれの対策に必要な費用というものを勘案いたしまして予算で定めるというふうに法律案では相なっております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 予算で定めるということは、法律上は十二分の十ということは保証しないということもあり得るということですね。そうでしょう。いかがですか。
  14. 莊清

    莊政府委員 四十八年度末まで現在の石炭特別会計法の額というものが法律上それらの種類別に明記されたという点につきまして、経緯をひとつ御説明さしていただきたいと存じます。  一つには、現在石炭鉱業審議会におきまして今後の石炭基本対策というものが検討されておるわけでございますが、遺憾ながら、その検討が手間どっておりまして、現在のところ、まだ今後の基本対策、したがってそれに要する財源というものの見通しが明確でないということが実は一つ理由でございます。  もう一つ事情といたしまして、御案内のように、関税収入でございますが、原油について、A、B、Cそれぞれの重油につきまして額が変わっておりまして、そのうちのそれぞれの一定額法律上明記されておりまして現在の石炭特別会計の歳入ということになっておりますが、その中には暫定関税部分が入っております。その暫定関税というのが実は関税法のほうで規定されておりまして、いまのところ四十八年までしかない。なお関税率審議会等におきましても、今後の関税水準についてはまた別途その期限切れの前に慎重な検討をするんだというふうなことが別途行なわれておるというふうな事情が実はございます。そういう点を考えまして、現在の特別会計法におきましてはっきりいたしております四十八年度末までというものは現在どおりの額を入れるということでございまして、その後におきましては一体いかにするかということが、現在もいままで申し上げました二つの理由もございましてまことに明記いたしかねるという事情一つございます。いずれにいたしましても、四十九年度以降におきましても、石炭対策に必要な経費というものは、全体の十二分の十二の関税収入の総額の中で、これは政府として、通産省としては確保をいたすという基本方針でございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの局長のおことばで、四十八年度以降も、いまの法律間の関係、もう一つは、石炭鉱業審議会石炭問題についての答申がおくれているため、こういうことであるけれども、四十九年度以降もこの法律が存続する、要するに、五十二年三月三十一日までは十二分の十は確保する、こういう通産省のお考えだということをいまおっしゃられたですね。そうだとするならば、暫定関税等の問題があるにいたしましても、この特別会計存続期間を四十八年度末から五十一年度末までにしたのならば、関税のほうの暫定関税のほう、そちらのほうをその段階で直せばいいのであって、なぜこの附則会計存続期間だけを直してこの特別会計を直さなかったのか。あなたがおっしゃるとおりなら、直していいじゃないですか。産炭地人たちあるいは石炭問題に重大な関心を寄せている人たちは、こういう形について非常な不安を持っているのですよ。ですから、あなたがそこまでおっしゃっているのなら、ぴしゃっとこれは会計存続期間法律的に裏づけたらどうですか。それでいいはずですよ。できない理由ないでしょう。いかがですか。
  16. 莊清

    莊政府委員 先ほどの御答弁に対する補足でございますが、現在の石炭特別会計法においてどうなっておるかと申しますと、石炭特別会計に繰り入れる関税の額でございますけれども原油につきましては六百四十円のうち五百三十円、それからA重油B重油それぞれございまして、一番多いC重油でございますが、たしか六百六十円のうちの二百九十円というふうなことにそれぞれ額がきめられておりまして、その分母に当たります関税のそれぞれの額という中に暫定関税というものが実は入っておるわけでございます。この暫定関税をどうするかという問題につきましては、関税率審議会としても、今後慎重にまた洗い直しをして検討をしなければならないというふうな附帯決議も実はついておるような事情もございまして、現在のところ、分母に当たる額を一体幾らにするかということは、政府として、これは大蔵省が主管でございますけれども、まだきめかねておる、今後の検討課題であるというふうになっておるわけでございます。私ども通産事務当局としては、少なくとも現在程度暫定関税を含めた関税収入というものは、三年とか五年とかという期間に限らずぜひ確保をして、わが国エネルギー対策安定財源にすべきであろう。外国ではなるほどそういう関税というのはほとんどないかもしれませんが、やはりわが国の場合には、こういう資源のない国であり、必要である、こういう判断通産事務当局としてははっきり持っております。ただ政府全体としてまだそれが公式の決定には至っておらない、今後なお検討を要する、こういうことでございます。通産省としては、いま申し上げたような姿勢で今後も引き続き努力をいたします。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 今度の答弁でぼけちゃったんですよね。通産省考えだけだ。重油関税の十二分の十相当額というものを、この会計が存続する四十九年度以降も確保するんだ、これは通産省考えだ、こういうことですね。ですから、この法律改正にあたって「必要な費用を勘案しで、予算で定めるところにより、」というのですから、これはどうなるかわからぬと思うのですね。これは当然なことだと私は思うのですね。あなた、いまの暫定関税の問題で分母が動くかもしれないと言われた。あなたの言い分なら、分子はきまっているわけですよ。そうなるとするならば、との特別会計法律としては、附則特別会計存続期間が五十一年度末というのになったのですから、これは今度できるわけですね、石炭石油特別会計という形で出るわけですから。きちんとそちらのほうも、四十八年度末じゃなくて、五十一年度末にするのが当然じゃないかと私は思うのですよ。  大蔵省にお尋ねします。どうなんですか、通産省考え大蔵省考え、違うのかどうか。
  18. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  財政当局立場といたしましては、この限られた国民の税金と申しますか、その財源を数多くの需要に対しまして合理的に配分する、そういう立場からは、特定収入特定目的に固定するということは、原則としては好ましくないわけでございますけれども先生御存じのとおり、石炭対策特別会計は、おそらく唯一の例外と思いますが、石炭対策、特に、先生指摘のような産炭地振興対策のために特別な措置をとってきているわけでございます。で、これを引き継ぎました石炭石油特別会計でございますが、いま申し上げましたように、まあ特別会計としては非常に異例の形でございますので、これは当然、財源——もちろんこれを使います使途のほうも問題でございますけれども、また財源のほうとの結びつき配意しなければならない。そこで、この石炭石油特別会計の、先生の御指摘のような点の勘案にあたりましては、先ほど通産省から答弁がございましたように、石炭対策について、いわゆる第五次策につきましては、目下石炭鉱業審議会でいろいろ審議を重ねて、まだ結論が出てないということもございますし、また、これも通産省から答弁ございましたけれども、まず財源に対する配意をいたしまして、この特別会計特定財源であるその原重油関税につきましては、暫定税率が四十八年度限りでございまして、これから先はもう一度関税率審議会審議を経なければならないわけでございます。また、その関税率審議会審議経過を見ますと、この点につきまして、やはり特定財源特定目的に使うということにいろいろ御異議を述べられる委員もいろいろございますので、そういう面の配意もしなければならないわけであります。  そのようなことも勘案いたしまして、これを総合的に見まして、一応現在の制度といたしましては、四十九年度以降につきましては、この財源を固定化してしまうということは適当ではない、このように判断いたしまして現在の措置をとった次第でございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 財源を固定化することはよろしくないということばは、これはもう一歩進んで解釈いたしますと、四十八年度までは石炭勘定を十二分の十、石油勘定を十二分の二ということだけれども、これについては違った意見を持っておる人もあるので、財源を固定することはいかぬから、暫定関税が四十八年度末で終わるそのことを理由にして、結局四十九年度以降は、いまの情勢からいくと、十二分の十を減らす、こういう意図だと推定するのが常識だろうと思うのですよ。ですから、全国津々浦々で産炭地関係で不満、不安が起こっているのだ、こう思うのですよ。  私の感触としては、局長の言うのと大蔵省主計官の言うのと少し違いますよ。大蔵省のほうは、やはり減らそう、そして石油のほうに財源を持っていこうとしているのですよ。特別会計重油関税というものを全部一本で受けるけれども、十対二という割合は、四十九年度以降は石油のほうへ重点を持っていこう、こういう意図がある、こういうふうにしか考えられないじゃないですか。通産省局長意向大蔵省主計官意向、いまの答弁では違いますよ。いかがですか。
  20. 莊清

    莊政府委員 現在の石炭特別会計は、御案内のように、四十二年から四十六年度一ぱいでちょうど五年でございます。その間の関税の総収入を見ますと約五千億でございまして、そのうち約四千億が——原油については幾らのうち幾らC重油については幾らのうち幾らという積み上げ計算の結果、約四千億入ってまいりました。私ども、これは見通しでございますけれども、今後この特別会計、四十七年以降五年間でどれくらいかという実は目算をいろいろ立てておりますが、かつて十数%ずつ年々伸びてまいりました原油の輸入というものも、今後の経済が安定成長のラインに乗るという場合に当然落ちるかと思います。一〇%を下回るような、九%そこそこというふうな年率で、非常にかたい目に見ました場合に、今後五年間で大体七千五百億の総収入がある。五割増しでございます。当然、十二分の十というふうに考えますと、四千億入った過去五年の分がまた五割増しということで、六千億ぐらいの勘定で私どもは実はものを見ております。この点は大蔵省でもいろいろ御計算になっておりまして、数字まで、末までぴたりではございませんけれども、ほぼ七千五百億、場合によったら八千億近い数字になるかもしれませんが、そういうものを総財源石炭石油もやっていこうじゃないかという点については、政府としてのコンセンサスは十分にございます。今後第五次策で石炭対策を十分に講じなければなりませんが、これは従来よりも予算額を減らしていくようなことでできるとは、これはもう初めからだれも思っておらないと私は信じておりまして、やはり第五次策のもとで十分な石炭対策というものは当然講じなければならない、そのため必要な財源というものは確保をしてまいるということを御答弁申し上げておる次第でございます。  なお、石油についてそれでは財源があるのか、石炭に十分使ったあと石油は何をするのかということもございましょうけれども、この点につきましてもまだ成案は得ておりませんけれども、現在通産省といたしましては、保有外貨の活用ということで、これは石油公団にも活用できますし、あるいは輸出入銀行にも活用できるではないか。大体わが国エネルギーに使っております予算というものは、石炭に千億、原子力に五百数十億、石油関係ではことしが二百六十億程度脱硫重油等に対する関税還付、これを補助金とみなしまして四十七年度の推定が二百億弱、こういうものを全部ひっくるめまして大体二千億程度、七億ドルを若干下回る程度でございます。今後は円も外貨も総合的に考えましてエネルギー対策全体をもっと強化すべきだというのが、通産省としての基本的な判断でございまして、すべてその次元に立ちまして石炭対策というものの財源確保するという方針でございます。そういう気持ちにおきまして通産省大蔵省も私は隔たりはない、かように信じております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっと話が、蓄積される外貨問題までお答えがいっちゃったのですけれども、それはあとでまた質問します。  いまの通産省局長さんのお答えは、五十一年度までは、大体において五割ぐらい伸びるというのですから、九%ぐらいの年率の伸びで六千億円程度のあれが石炭勘定に投入される可能性がある。このことは、十二分の十ということですね、ことばをかえて言いますと。その線で大蔵省コンセンサスはできているというのですから、大蔵省、それでよろしいのですか。
  22. 徳田博美

    徳田説明員 お答えします。  関税の今後の収入見込みについては、実はまだ確然とした数字は得ておりませんけれども、ただ、私がちょっと先ほど申し上げたところで、あるいは舌足らずのために誤解をお招きしたかもしれませんが、特定財源特定目的に使うことは好ましくないという関税率審議会意見は、関税自体一般財源に回すべきだ、そういう特別の会計に回すのはおかしい、そういう意見がかなりある。したがいまして、そういう点を考慮いたしまして、かつまた、第五次策が固まっていないことも考慮いたしましてこのような措置がとられたんだ、こういうことでございまして、石炭とか石油とか、そういうことを申し上げたわけではございません。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう答えを聞くと、また議論をとめるわけにいかぬようになるんだな。重油関税なんというのを特定目的に使うべきじゃない、一般財源として使うべきである、こういう大蔵省議論があるのならば、こういう十二分の十そのまま入れるような特別会計をわざわざ今度の国会に出すということ自体がおかしいでしょう。出しているのでしょう。そうして五十一年度末までやるというのでしょう。私が言いたいことは、五十一年度末までこの石炭石油特別会計というのを動かしていくというならば——あなたのほうも認めたでしょう。関税一般財源に使いたいんだけれども特定財源に、石炭石油関係に使っていこうということを認めたわけでしょう。ならば、暫定関税の問題があるけれども分母は変わるかもしれませんけれども、現実には四十八年度末まではあるのですから、分子のほうは固まっているわけですから、おっしゃるように、局長は、六千億は大体予定されるということで、その辺はコンセンサスがあるというのですから、この辺はっきりしたらいいんじゃないですか。あなたのことばは矛盾があるですよ。一般財源に使いたいというのなら、なぜこういう特別会計を今度新設するのですか。四十八年度末で切れるのでしょう。そう思うのですよ。  委員長、この問題についてここで議論しても、時間がかかってしょうがない、これはもう大臣に来ていただかなければいかぬと思いますから、この問題は私は留保します。これはたいへん重要な問題です。それで、この点は留保いたしまして次に進みます。  もう一つ石炭にとっては重要な問題でありますが、産炭地域振興を推進する機関として、産炭地域振興事業団というのが現存しているわけですね。これを今度は工業配置とくっつけて、工業配置・産炭地域振興公団法——事業団公団になって、そうして工業配置がくっついた。これは一体どういう意図でおやりになったのですか。行管のほうでは、事業団公団等を新設することはいかぬという原則がありますから、それにのっとって、産炭地域振興事業団というものを改組強化するという名でおやりになったという答えが返ってくるんじゃないかと思うのですけれども、そういうことですか。
  24. 青木慎三

    青木政府委員 工業配置問題と産炭地振興問題とは、私ども考えでは、相補い相助け合っていくような関係の両法体系だと思います。したがいまして、その実施機関である、新しくつくります政府機関としましては、従来の産炭地域振興事業団を拡充改組いたしまして公団に格上げして、工業配置の問題もあわせて行なうということによって、より能率的に国家機関としての業務が遂行できるというふうに判断して、その両者の統一をはかったということでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 笑い話ですけれども産炭地域振興事業団というのがあって、工業配置を今度一緒にやることになるから、産炭地域振興工業配置という、どっちを先に頭に乗せるかということで一月の段階議論があったということでありますけれども、事ほどさように産炭地域人たちは、この事業団を、しかも昭和三十年代に石炭問題ががたくずれしたときに、何といっても産炭地域を守ってもらわなければいかぬということで、公団事業団をつくってくれという、きょう陳情に参りました全国鉱業市町村連合会でも非常に熱心にお願いした成果として生まれてきたものが、今度はなくなるわけですから、重大な関心を寄せることは当然だと思う。  そこで石炭部長、あなたはそうおっしゃいますけれども工業配置促進法案の三条ですが、「通商産業大臣は、関係行政機関の長に協議し、かつ、工場立地及び工業用水審議会意見をきいて、工業配置計画を定めなければならない。」と書いてあるのですよ。産炭地域振興審議会意見を聞くなんて書いてないですよ。雲散霧消するじゃないですか。さらに第三項を見ますと、「工業配置計画は、全国総合開発計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖繩振興開発計画、農村地域工業導入基本方針その他法律の規定による地域の振興又は整備に関する国の計画との調和」北海道は入っていますよ、産炭地域として。九州とか常磐とか山口とかは入ってないじゃないですか。どこでかみ合っているのですか、お答えいただきたい。
  26. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 第一点は、第三条第一項に掲げますように、工場立地及び工業用水審議会意見を聞いて通産大臣工業配置計画を定めることといたしておるわけでございますが、現在、工場立地及び工業用水審議会定員三十六人という形になっておりますが、この人選と申しますか、委員会の構成につきましては、御指摘の点を踏まえまして、私ども御趣旨が十分達成せられるように配慮を加えたいということで現在考えておるわけでございます。  それから第二点の、第三条第三項に掲げます全国総合開発計画等々の各種計画との調和の問題でございますが、ここにございますように「その他法律の規定による地域の振興又は整備に関する国の計画」ということをうたっておるわけでございまして、これは、産炭地域振興基本計画及びその実施計画は通産大臣が定めることとなっておるわけでございますが、これらの計画につきましては、当然私ども工業配置計画、これとの調和をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 調和を考えていくというのはいま石炭部長お答えいただいたのだが、調和を考えている証拠がどこにあるかということを私は質問しているわけです。そういいますと、三項の「その他法律の規定による地域の振興」この中には、近畿圏、首都圏、中部圏、北海道総合開発、沖繩振興開発とあって、九州とか常磐なんてないですよ。さらに第三条第一項、「工場立地及び工業用水審議会意見をきいて、工業配置計画を定めなければならない。」産炭地域振興審議会というのがあるでしょう。その意見は聞かぬでしょう。どこでかみ合うのですか、法律的に。運用でかみ合うというんでしょう。そんなばかなことはありませんよ。いままでこの特別委員会石炭プロパーの問題として産炭地域振興事業団というのをやっておったのでしょう。その法律が今度は工業配置というのが頭へくっついて、石炭問題から出ておる重要な産炭地振興の問題というのは、もはやこの石特委員会の主管の問題じゃなくなるのですよ。  委員長工業配置の問題については、商工委員会と連合審査をするように申し入れをしていただきたい、私はこう思うのですが、これは委員長にお願いしておきます。  いま私が指摘したことについて、お答えがないでしょう。
  28. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 たいへん舌足らずの答弁であったことをおわび申し上げたいと思います。  産炭地域振興事業団を今回改組いたしまして、発展的にこれが拡充をはかり、工業配置産炭地域振興公団といたしたいと考えておるわけでございます。この公団は、ただいま御説明申し上げました工業配置促進法案、御審議中の法案及び産炭地域振興臨時措置法とを受けまして業務を行なう形になるわけでございます。その意味で、工業配置の計画を定めますときは、全国的な規模のもとに、しかもそれらの地域振興に関する計画を十分考えましてつくるわけでございます。実際の公団の仕事にあたりましては、両者が十分かみ合いますように、両法律のもとにこれらの仕事をやってまいる、その間に有機的な連携をとって事業を推進してまいる、こういう考えでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 そうおっしゃいますけれども、この工業配置促進法の目的の第一条にも、おっしゃったようなことを書いてないのですよ。どういうことを書いてあるかといいますと、「過度に工業が集積している地域から工業の集積の程度が低い地域への工場の移転及び当該地域における工場の新増設」云々と書いてある。産炭地のサの字もないのですよ。そして、具体的には、三条一項、三項で、意見を聞くあれはないでしょう。ただこれを推進する機関としての工業配置産炭地域振興公団、これだけで、名前だけでしょう。この産炭地域振興事業団を、おもやもひさしも全部とっちゃうわけですよ。そうでしょう。そうとしか考えられないでしょう。あなたの説明石炭部長説明も、運用においてやっていきますということでありますけれども、深刻な産炭地の問題を運用で片づけるのじゃなくて、せっかくこの法律をつくるならば、御承知のように、産炭地域振興審議会の建議書にどう書いてあるかといいますと、こう書いてあるわけですよ。去年の十一月二十四日に出た産炭地域振興審議会建議書「産炭地域への企業導入にあたっては、国の立地政策の効率的実施の観点から、過疎過密対策としての全国的な規模での工業の分散再配置対策との調整について充分に配慮し、工業の誘導地域としてすぐれた条件を有している産炭地域への企業進出を促進すべきである。」この建議書は工業配置をやるのはけっこうであるけれども、その場合には、誘導地域としてのすぐれた条件を有しており、すでにその土台も部分的にいままで事業団の努力によってできつつある産炭地への企業進出を促進しろ、こう書いてあるのですよ。ところが、できた法律は、いま申し上げたように、この建議書の精神なんというものは一字一句もないのですよ。ですから、石炭部長なり、いまの答弁はどうしても理解できない。どうですか、まだ答えるつもりですか。
  30. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 私どもといたしましては、御承知のように、国土面積の二〇%を占めます太平洋ベルト地帯に工業集積が七三%というような高い率になっておりまして、今後の国土発展ということを考えます上でも、それからまた、いま御指摘がありました産炭地域の状況、一方、大都市における過密の一そうの進展というようなことを考えました場合に、やはり開発の起爆力となります工場、工業を地方に分散さしていくということが何よりも必要だというふうに考えたわけであります。そうした観点から、今回の工業配置促進法案におきましては、従来、産炭地域振興臨時措置法等によりまして、産炭地域におきます工業の立地につきましての優遇措置その他、いわゆる受け入れ基盤を整えていただいたわけでございますけれども、しかし、どうも最近の状況を見ますと、都市集中、これは企業内部におきますそろばんだけから考えますとどうもそちらのほうが得だ、しかし、国民経済的に見れば国民は非常な負担をこうむらざるを得ない、こういうような状況にあるわけでございます。こういった点を是正して、今後はできるだけ、こうした太平洋ベルト地帯を中心とします過密地域から、せっかく御努力いただいて各種の法制を整備していただいた産炭地域等に優先的に企業が出ていくようにいたしたい、いわば工場を地方に追い出す——と言うと、ちょっとことばがあれかもしれませんが、そちらを主眼に実は法案考えたわけでございます。  なお、公団につきましても、私ども考え方といたしまして、従来の産炭地域振興事業団の仕事に加えて今回の工業配置業務をやらせるということでございまして、両者かみ合ってその目的を達成いたしたい、私どもはこのように考えておる次第でございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 もうあきらめました。  そこで、これはここの法律ではありませんで、商工にかかっておるわけで、先ほど委員長に、これはおもやを明け渡すわけですから、何が何でも連合審査してもらわなければいかぬと言ったが、私はどこの委員会にかけるべきだということをここで申し上げるわけじゃないけれども、これはいままで石特のおもやだったのですよ。そして、ひさしもなかったところに、今度はおもやが商工に移るわけです。移るなら移るとして、ひさしらしいものでも、法律の第一条なり、三条一項なり三条の三項——特に三条の三項なんというものはおかしいですよ。北海道総合開発計画、これは産炭地でありますから、当然なことです。九州は入ってないで丸よ。九州総合開発計画なんというものは入ってない。あるいは常磐、東東北あるいは南東北、正式には南東北です。南東北の開発計画というものは入ってないですよ。目的にもない。せっかくある産炭地域振興審議会、それが、きわめて重要な、産炭地にとって希望の持てるような条件が整備されつつある産炭地、これを誘導地域にしなさいという建議書を出しておる。それを受けてこれが出ておるのに、その一片すらもあり得ない法律なんですから、これは石特としては、あるいは産炭地の皆さん方としては、とてもじゃないが、了承できない、こう私は思うのですよ。  でありますから、これはここの法律じゃありませんけれども委員長、この辺を生かした意味において法律の修正をしていただかなければならぬと私は思うのでありますから、ひとつぜひ連合審査を商工に申し入れていただくようにお取り計らいいただきたいと思う。いかがです。
  32. 鬼木勝利

    鬼木委員長 委員長として申し上げますが、後刻理事会を開会いたしますので、いま細谷君の御要求の件につきましては、理事会で御要望に沿うように協議いたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 これはその際に私も詳しく質問をしたいと思うのですけれども、もう一点、田中通産大臣がこの工場再配置法律を出すにあたって、工業配置計画指標というものが出されておるわけです。これを拝見いたしました。この一六ページに、「従来の立地性向を延長した場合と各地の開発ポテンシャルに応じた工場再配置目標との対比」という形で、地域別工業出荷額というものが出ております。ここにあらわれておる北海道は、四十五年の地域別工業出荷額のシェアは二・二なんですよ。工業配置をやってみますと、暫定試算として五・八までシェアがなる。北海道にとってたいへんけっこうなことです。九州はどうなるかといいますと、四十五年度の実績シェアは、かつて九州は一割経済といわれたけれども、いまや五%経済ですよ。その五%というのが、このままほうっておくと三・七になる。ところが、工業配置をやりますと一一・四になる。昔の一割経済になるというんですよ。たいへんけっこうな、バラ色のビジョンなんですよ。  そこで私はお尋ねしたいのでありますけれども、どちらがお答えになるのか知りませんが、昨年の十二月二十八日にできました産炭地域振興計画と、そのビジョンに掲げられた数字とはどういうつながりを持っているのか、これを通産省のほうの担当のお二人から、どういう関係があるのか、きょうお答えできないならば、私どもを納得させるようなこれとの連関の数字を御提出いただきたいと思うのです。いかがですか。
  34. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 工業配置計画につきましては、まだ今国会で御審議段階でもございますし、また、法律三条に定めるところによりまして、関係行政機関の長の意見を聞いて定めることとなっておるわけでございます。ただいま御指摘のありました数字につきましては、私どもといたしましてまだ正式に見通し数字ではない形でございます。したがいまして、いまの時点では、私どもといたしまして、産炭地域との関連につきまして正確に関連づけるということにつきましては、今後の仕事というふうに考え検討を進めたいと思っておるわけでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 冗談じゃないですよ、あなた。この法律をやっているのに、空のような法律を出されても困るわけですよ。あなたが答えられないなら、荘局長さん、あるいは部長さん、いかぬなら産炭地振興課長、一体これとどういう関係があるのか、お答えいただきたい。
  36. 莊清

    莊政府委員 産炭地域の振興十カ年計画といいますものも一つの長期の開発の目標でございますが、先生指摘のいまの数字というものも、数字検討の煮詰まり方はまだこれからの点が多いかと存じますけれども、当然、産炭地域の分も中に含んでの地域全体の——九州とか北海道全体という地域ごとの目標でございまするから、産炭地域の分も当然中に入っておる、こういうふうに了解しておるわけでございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 入っておる、入っておるとあなた方はずっと最初から私の質問に対して答えているのだけれども、入っているのならば、こういう中にどういうかっこうで——ぴしゃっと産炭地域振興計画というものが去年の暮れにできているわけですから、そして工業配置関係指標というものが通産大臣の名前でできているわけですから、これとこの振興計画というものは一体どういう関係にあるのか、数字的にその連関を示してほしい、こう言っているわけですよ。固まったものでなくてもいいんですよ。あなた方の事務当局で当然持っていなければいかぬはずです。それでなければことばの上だけで、法律にはそう書いてございますけれども、これらの建議書の精神にのっとって工場再配置というものと産炭地というものは密接不可分の関係を持っているのだという証拠がないでしょう。その証拠を、いま持っておる手持ちのものだけでも出していただきたい、こう思っているのですよ。どうですか、部長。いかぬければ課長でもいいです。
  38. 青木慎三

    青木政府委員 産炭地域振興計画につきましては、昨年審議会の議を経まして政府として正式に決定しまして閣議に報告したものでございます。片っ方のいまありました試算は、事務当局が、大臣の命を受けまして、ある想定を置きましてマクロの数字としてはじいたものでございますので、観念的にはこの中に入っておると申し上げるべきだと思いますが、直接作業の過程においてこれを結びつけた作業はいたしておりません。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのところ結びつけた作業をしていないというのですけれども、ひとつ次の委員会ぐらいまでに、こういうものと振興計画との関係というものについてできるだけ作業をしていただいたものを御提出いただきたいと思うのですが、委員長においてお取り計らいいただきたい。
  40. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 御指摘の点につきましては、若干時間をいただきませんと、私どもとして、まだ全国的な再配置といいますもの、たとえば六十年の目標、これの経済成長をどの程度に見るか、また工業の伸びをどの程度に見るべきか、それを地域的に、ただいま御指摘のありましたような地域をどう持っていくかということにつきましては、検討にきわめて時間が要るのではないか、かように考えますが、できる限り私どもといたしまして今後御趣旨の線に沿うように進めてまいりたい所存でございます。したがいまして、若干の御猶予をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど理事会で、全国鉱業市町村連合会の代表の方が委員長以下各理事に陳情された要望書というものの中に、「工業配置促進法、工業配置産炭地域振興公団法の制定に当っては、産炭地の振興及び社会資本の有効利用等の見地から、誘導地域への優先指定、進出企業に対する特別優遇措置等の方途を講ぜられたいこと。」まさしく審議会の建議書の内容を受けて、産炭地の代表の方が地域の存続をかけて陳情なさったのですよ。まあ作業に時間がかかるということでありますから、私はこの次の委員会までと言いましたけれども、ぜひひとつこれを提出していただかなければ、われわれも、この問題を審議して、その辺のめどが立たぬで法律だけ通すなんということは、国会議員として不見識ですよ。徹底的にその辺を納得する段階まではこれはやはり明らかにしなければならぬ、私はこう思っております。  そこで、この話が出てしまいましたから、少し小さい問題になりますけれども、御質問いたしたいと思うのでありますが、先ほどの陳情を拝見いたしますと、産炭地域の代表の方は、去年この委員会で問題になりました産炭地域振興臨時措置法の六条について、懸案だった事業税を入れた、これは評価できるということであります。  自治省の近藤課長が見えておりますけれども、事業税をようやくこの法律に入れたのはどういう理由ですか。
  42. 近藤隆之

    ○近藤説明員 昨年の国会におきましても、この事業税を導入することにつきまして種々問題がございまして、本委員会あるいは地方行政委員会でも御質問等がございました。局長はそのときの答弁におきまして検討を約束いたしまして、その後、本年に入りまして関係各省御相談の結果、今回事業税を入れることにしたわけでございます。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 長い間の懸案であったことを実現いたしたわけでありまして、この点については、通産当局、特にこの問題で五・六億円の金を交付税で処置しなければならぬ自治省の誠意には感謝いたします。  ところが、この建議書の「事業税の減免補てん措置を講ずるとともに、地方税減免補てん対象業種を拡大すること。」この辺のことについては消化しきってないですよ。消化不良ですが、近藤課長どう思いますか。
  44. 近藤隆之

    ○近藤説明員 この種の地域開発立法の税の減免関係につきましては一つの型があるわけでございまして、新産都法の固定資産税、不動産取得税のみという一つの型と、それから低工法などの、それに製造業に関する事業税を加えたものと、それからもう一つ、過疎法と沖繩の離島関係だけだと思いますけれども、個人の自営水産業、それから薪炭業等につきまして減免しておる、この三つの型があるわけでございます。  そこで、今度のこの石炭関係につきまして関係各省協議いたしました際に、個人の事業税関係につきましてどうするかということが一つの問題になったわけでございますが、御承知のように、この仕組みは一番初めは過疎法で採用されたものでございます。それは、過疎地域においてそういった個人の自営業者を定着させたいということでこの制度を特に導入いたしまして、それが今度の沖繩の離島というのに拡大されてきておるという経過でございます。  ところで、この産炭地域について見ますと、六条市町村のうちの七割以上だったかと思いますが、過疎法と重複いたしておりまして、産炭地域で人口が減少するというところは、その過疎法の規定によりまして、個人のそういった水産業等についての税の減免、交付税による補てんの措置がなされておるわけでございます。あとは人口の流出がそれほどないというような地区でございますので、これらにつきましては、製造業を営む者の事業税の拡大だけで大体目的は達するのじゃなかろうかという考え方のもとに、今回、事業税につきましては、製造業を営む者だけにしたわけでございます。  なお、そのほかの税につきましても減免するかどうかということになりますと、いままでの開発関係の立法の型というものをどう考えるかということでいろいろ関連するところが多うございますので、将来の検討事項にさしていただきたいと思ったわけでございます。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 通産省にお尋ねいたしますが、将来の検討にゆだねるというのでありますが、通産省と自治省なりあるいは大蔵省の話し合いの中で、製造業を営む者の事業税だけで満足でございますということで通産省は引き下がったのですか。
  46. 青木慎三

    青木政府委員 私どもとしましては業種の拡大をも希望したわけでございますけれども、ただいま自治省のほうから御紹介がありましたような議論がありまして、今回は製造業に限ることで意見の一致を見た分で落着したわけでございますけれども、今後引き続き、ほかの業種に必要があるかどうかという実態を十分調べまして検討してまいりたい。もし必要があるならば、自治省のほうとさらに相談してまいりたい、こういうふうに考えております。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、いろいろ問題があろうと思うので、これ以上申し上げませんが、両方とも検討するということでありますから、大蔵省もおりますので、さらに十分検討して対処していただきたい。建議書があるわけですから、お願いしたいと思います。  そこで、せんだっての委員会でも岡田委員、相沢委員から指摘した点でありますけれども、前国会で私もきびしく当時の通産大臣に迫った問題のうち、一つはいま申した事業税で片づいているわけですけれども、もう一つの問題点は十一条ですよ。いまの陳情でも「産炭地域振興臨時措置法第十一条を改正一定の高率補助とされたいこと。」と、簡単に高率補助高率補助とおっしゃっていますけれども、いままでのかさ上げ方式がずっと来ておりますから、簡単に産炭地の皆さんがおっしゃる高率補助というのは離島か何かを目標にしておるのでしょうけれども、これだと出たり入ったりするのですよ。ですから、いままでの実績を踏まえるといろいろ問題があるので、私は簡単に高率補助なんということばで表現することは問題があると思っております。地元から来ましたけれども、高率補助ということだけでやるのじゃなくて、やはり地元は問題が問題だけにもつと掘り下げた陳情をすべきじゃないかというのが私の意見です。  ところで、お尋ねしたいことは、さっきの陳情にもありました二つのうちの一つ、これは自治省が五、六億円かぶった。通産省は何もやっておらぬじゃないですか。十一条の問題については先ほども通産省に不満がぶちまけられておった。何もやっていないですよ。これは一体どうしたことですか、お答えいただきます。
  48. 青木慎三

    青木政府委員 十一条の問題につきましては、審議会からの建議もございますので、高率補助ということで予算審議の過程におきまして大蔵省のほうと鋭意折衝したわけでございますが、一つは、地域立法全体の横並びの問題がございます。一つは、地方財政と国家財政との間のいろいろの入り組んだ関係もございますような一般論もございまして、予算折衝期間中についに意見の一致を見なかったのはまことに残念でございます。ただ、何もしなかったのではございませんで、事務当局の話し合いがつきませんので、大臣折衝をしていただきまして、大臣間の御相談の結果、引き続き今後も両省で検討しろ、こういうことでございますので、現在引き続いてどういう案がいいかを検討しておるのでございます。来年度の予算要求につきましては、その成案を得ましてもう一ぺん両省で協議をするように持ってまいりたい、こう思っております。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 両省で話し合いがつかなかったので、検討して来年度実現したいということは、ずばりお答えいただきたいのですが、昨年の石特で通産大臣お答えしたことは、来年の国会までに必ず決着をつけますと言ったのですから、この点に関する限りは、委員会に対する約束が実現しなかったということを率直にお認めになりますか。そうでしょう。来年の国会なんて言っていませんよ。この国会で十一条の問題は通産大臣が約束しているんですよ。それが実現しておらぬのですから、この点に関する限りは、委員会に対する約束は履行できませんでした——申しわけありませんと言わぬでもいいですよ。その事実だけを認められるかどうか。
  50. 青木慎三

    青木政府委員 昨年の当委員会で大臣が前向きの答弁をしまして、それが実現しなかったことは、きわめて遺憾に思っております。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、私は昨年も申し上げたわけですけれども、四十五年度にこの十一条に基づいて——建議書は高率補助と書いてないんですよ。補助率の引き上げと書いてあるんですよ。ですから、産炭地の皆さんが言ったように離島並みの高率補助なんて書いてなくて、いろいろ慎重にあらゆるケースを想定して、補助率の引き上げ、こういうふうに建議書は書いてあるんですよ。ところで、現行で四十五年度の——通産省からいただいた資料を見ますと、どういうことになっておるかといいますと、六条地域が補助率の引き上げによってどのくらいになったかといいますと、三分の一ですね。六条地域は六億九千六百五十五万八千円、十条地域が十四億一千百五十五万一千円ですね。六七%ですよ。産炭地の問題として一番深刻な六条地域というのが三分の一で、そうしてそうでないところ、十条指定のところが三分の二、補助金をよけいもらっているわけですね。  そこで、私は個々の市町村について調べてみました。私の住んでおります福岡県というのが一番わかりがいいわけでありますから……。全国的にはいま申し上げたとおり。そうしますと、どういう形になっているかといいますと、福岡県の場合は、六条地域は二億九千七百万ですよ。引き上げ額は三億円です。ところが二条地域は十億円ですよ。疲弊しておる六条地域が三億円で、そして二条地域は十億円です。その十億円のうち、代表的な市であります北九州市が九億七千万いっているのですよ。そして石炭できゅうきゅういっている田川市なんというのは八百九十万です。各県のものがありますけれども、北九州市は十億近くいっているのですよ。六条指定できゅうきゅういっているたとえば田川市は八百九十二万円、こういう実態なんですね。こういうことになりますと、もはや来年なんということで猶予できる筋合いのものでないと私は思うのですよ。いかがですか。
  52. 青木慎三

    青木政府委員 数字につきましては、先生指摘のとおりだと思います。われわれのほうといたしましても、一番疲弊しております六条地域についてこういう制度が十分適用されないというのは、一つの大きな問題点であると考えております。そこで、これは現在検討中の問題でございますけれども、その主たる理由は、現行制度では、公共事業の市町村税負担額が市町村の標準財政規模の一定割合、たとえば、六条地域につきましては百分の六でございます、これをこえないと適用されないという点に一つの問題点があるのではないかと考えております。これは本来はこういう市町村に公共事業をたくさんしてもらおう、それによって国の補助をしましょうという目的を持った制度だと考えますけれども、実際問題として、非常に疲弊した市町村にはこのバーがなかなか越えられないというのが実態ではないかと思っております。  将来の改正の方向としましては、こういう制限を取り払うのも一案かと思っておりますが、そういう方向で今後検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省、自治省にお尋ねいたしますが、いま私が四十五年度の実績の数字を申し上げたわけですけれども、これでいいと思うか。たとえば、全国の代表的な指定市である市が十億ももらった、そうして六条指定の市町村が全部合わさっていってもその三分の一だ。これではこの法の精神が生きてない。これは私は算式にあると思っておるのです。いまおっしゃったように、標準算式、特別算式とあるわけです。いま部長が言ったのは、特別算式を言っておるわけです。ここに問題があるのだと思うのです。これは石特のほうでこの特別方式というものを数年前につくって、そうして合意した上でこういう法律ができたわけですけれども、私は問題があると思うのですが、大蔵省、自治省は、この十一条の内容というものが合理的であり、妥当だと思うかどうか、お尋ねいたします。
  54. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  十一条の問題につきましては、確かに先生指摘のとおり、財政力の乏しいと申しますか、疲弊度が著しくて一定の公共事業のできない市町村に対しては、その対象にならないという矛盾があること、これは確かにわれわれも認めておるところでございます。ただ、今回の改正問題の件につきましては、石炭部長からいろいろ説明がありましたように、離島あるいは過疎地等との権衡その他で問題を残したわけでございます。ただ、これにつきます一つ対策といたしましては、先生も御存じと思いますけれども産炭地域振興臨時交付金につきまして、制度を改めまして一億六千万増額いたしまして、この重点的配分によりまして六条地域に対しても十分な措置をとることを期待しておるわけであります。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問をそらしてはいかぬですよ。特別交付金とかみ合わせてそれで埋めていくんだとおっしゃっておる。自治省どうですか。
  56. 近藤隆之

    ○近藤説明員 補助率のかさ上げ方式にはいろいろな方式があることは、先生御承知のとおりだと思います。この産炭地域のいま御指摘になりました現実の事業のやり方等から見まして、十一条については非常に問題があるということで、前々から通産省のほうにわれわれも申し入れましてこの改善方をお願いしておるところでございます。ことしは実現を見ませんでしたけれども、明年を期して、通産省も内部で御検討いただくようでございますので、相協力してもっと実情に合った補助制度にしていただきたいと思っております。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 明年なんて言って——公式の場では言わなかったかもしれないけれども、明年なんて、そんなに待っていいのですか。私の住んでいる大牟田は、通産省のこの表によると、かさ上げがないんだ。おそらくバーをこえてないのですよ。全国鉱業市町村連合会の会長所在地である代表的な田川市が、さっき言ったように八百九十万、全国一のミニ市といわれる山田市が七十四万円ですよ。全国一のミニ都市です。この山田市というのはかつて四万五千の人口があったのですよ。それがいまや一万五千です。それが、仕事ができないものですから、七十四万六千円しかもらっていない。指定市である北九州市は九億七千万もらっているのですよ。これを来年なんということで待てますか。法の趣旨が貫かれてないわけですよ。それはどこからきているかというと、十一条の算式に問題がある。でありますから、通産省、このまま一年これでいくのですか。自治省、このままあなた認めるなら——あなたの前の財政課長は、この問題をやったときに、六条の事業税の問題について産炭地に認めるならば、十一条を直してこなければ、とてもじゃないけれども、自治省は認められないと私に言っておったでしょう。それがいつの間にか、やるべき通産省のやるものはやってないで、あなたのほうだけ強姦されているじゃないですか。けっこうなことならばこれは強姦されてもいいけれども……。自治省も一貫してないですよ、そういう点では。
  58. 近藤隆之

    ○近藤説明員 お説のとおり、六条の事業税を入れる際には、当然十一条のほうの国庫補助率のほうの改定もしていただきまして、すっきりした形でしていただきたいということで、部内でいろいろ折衝いたしましたが、十一条のほうが諸般の事情によりまして今回は実現を見なかった。その場合、それなら六条のほうもやめてしまうかという問題は確かにあろうかと思います。ただしかし、いま先生がおっしゃいましたように、全部やらないよりは、一つでもやったほうがよいということもあろうかと思いまして、地元の産炭地の市町村の困っておることは事実でございますから、いいことは一つだけでもやろうということで、今回こちらだけ改正するということになったわけでございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省主計官にお尋ねいたします。  この十一条の算式は、一〇%と二五%の頭打ちというのが標準方式、ところが、特別方式では、六%と一五%という頭打ちですよ。一〇と二五、六と一五というのはどういう関係なのですか。あなたのほうが主張してこうなったのだから、納得いくように説明してくださいよ。一〇%のときは〇・二五だ、六%のときは〇・一五だ、こう算式に出ているのですよ。私はどうしてもこの算式は納得できないのだ。この合理性を言ってください。
  60. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  いま先生指摘の算式につきましては、非常にいろいろ複雑な経緯がございましてこのように落ちついたということを聞いておりますが、確かに、合理的な数字でこうというようなものでは必ずしもないと思います。その点で、確かに先生の御指摘のとおり、十一条についてはいろいろな矛盾があり、問題があるということはわれわれも認識しているわけでございまして、先ほど石炭部長から説明がございましたように、今回本年度の予算折衝の最終過程におきまして、大臣相互間で今後とも検討を続けるということで話がついていたわけでございますので、先生指摘の点も十分勘案いたしまして検討してまいりたいと思います。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 合理性はないのだ。一〇%をこえた場合に二五で頭打ち、六%をこえた場合には一五だ、三%のときには七だ、これは合理性がないのだ。だとするならば、先ほど部長おっしゃったようにバーを取っ払ってはどうですか。しょせん特別方式でしょう。バーを取っ払うということは合理性があるかないか、お答えいただきたい。
  62. 青木慎三

    青木政府委員 ただいま御指摘のように、バーに若干問題があることは私どもも十分承知しておりますが、それをどう直していくかという点につきまして、私どもいま案を練っておるところでございますので、その方向で至急案をつくりまして関係各省と折衝してまいりたいというふうに考えております。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 バーを取っ払ってもたいしたことはないのだ。たいしたことないですけれども、標準算式というのがあるわけですね。一〇%をこえた場合には補助率のかさ上げを行なって、八割のところで頭打ちする、これから二五出てきているわけです。そこでいろいろ特別算式というのができたのは、産炭地の事業の全国平均というものを考えてみますと、大体〇・六か七ぐらいだろうということで、〇・六という特別算式が生まれてきた。そこで、〇・六ならば一五だということは、大蔵省のいまの次官である鳩山さんが強引に六と一五の関係をこの委員会に押しつけたわけだ。主計官、いきさつはそうなんですよ。そうだとするならば、この六%というのは問題があるのです。それは、通産省に聞きますと、全国平均いまは九くらいになっているのだ、そうおっしゃるかもしらぬ。おっしゃるかもしらぬけれども、これはいま言ったように、指定市なんという、産炭地とは比較にならないようなものを入れての全国平均の話でありますから、六条地域を見た場合に、六条のみに適用される特別算式というのは、標準方式によるけれども、こういう特別算式によった場合には、どちらか多いほうをとるということなんですから、バーを取っ払うというのも一つの方法でしょう。ちょっとでも産炭地が前向きのために——山田市でも七十四万円もらっているわけですから、やったらそれがわずかでも振興に役立つ対象事業とするならば、バーを取っ払っていいじゃないか。取っ払い方については、私が言ったように取っ払ったならば、その一〇と二五の関係、六と一五の関係——取っ払ったらゼロだから、ゼロを何倍したってゼロだからということではないのですよ。取っ払って、そして頭打ちの八〇%というところだけを生かしてこの特別算式を改めたらどうか、こう思うのですよ。それは部長はこまかいこと御存じないと思うのですけれども産炭地課長、バーを取っ払って一体どうなるのですか。不合理といいますか、いままでもらったよりも減る市町村があったり何かあってはいかぬと思うのです。全体としてやはり産炭地の六条地域だけは生きていけるように、ふえていくように、地域振興に役立つようにしてやらなければいかぬわけですから、その辺考えて一体どうなるのか、私の案が問題があるのかないのか、ちょっとお聞きしたい。
  64. 中井富男

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  いま先生のお話ございましたような、バーをはずすという問題、これだけに限定して考えますと、現在補助を受けている市町村間のバランス等はくずれないと思います。ただ問題は、百分の六のバーをはずす場合に、いまの六条市町村の公共事業の実施率が百分の九くらいにいっているかと思います。その辺の問題等も考えまして、ただ、平均はそういうことでございますけれども、六条市町村の中で、財政力のかなり豊かなところと、そうでない非常な貧困なところと、いろいろあろうかと思いますが、その辺、平均論でいけるのかどうかといった問題も含めまして、今後検討してまいりたいと存じます。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 特別算式というのは、これはちょっと高等数学よりも悪いのだけれども、〇・六、大体こういう算式を、地域開発の補助率かさ上げの方式を通産省がうのみにしたところから間違いが起こっておるわけだから、ですからにっちもさっちもいかぬところに来ているわけですから——近藤さんは頭振っているけれども、確かにそうでしょう。通産省が、地域開発の補助率のかさ上げなんて、一人前の地域の、これから発展していこうというところの算式を取り入れたところに問題がある。重病人なんですから、結核の三期なんですから、死ぬか生きるかで寝ている人なんですからね、そういった点に問題があるわけなのです。いろいろ問題点がありますけれども、いま課長が言うように、その間で、市町村間にいままでもらったより減るというようなことがないということであるならば、この委員会でも〇・三までおろしたらどうか、こういう議論もあった。ところが、〇・三におろしても、どうもやはり問題がある。いっそのこと、特別算式でありますから、〇・六というバーを取っ払って、とにかく六条の市町村が対象事業をやったならば、その分について特別方式でかさ上げをしてやる。簡単な、二分の一を三分の二とか四分の三にするなんて、そういう補助率じゃなくて、かさ上げをしてやる、こういうのも一つの理論だと思うのですよ。  委員長、いま私が質問したように、このままの不合理を来年の予算待ちでは、とてもじゃないが、委員会として許せないと思うのであります。この特別方式を設けましたいきさつからいきまして、ひとつ委員長中心に理事会で——そういう不合理を一年間認めることはできないわけですから、進んでこの算式を、この法律案を通す際に議員の手によって委員会で修正をしていただきたいと思うのであります。委員長いかがですか。
  66. 鬼木勝利

    鬼木委員長 細谷君に申し上げます。  御要求の件につきましては、先刻の件もございますので、後刻理事会におきまして十分検討いたしたい、かように存じます。御了承願います。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、私ばかりでなにですから、あと一、二点質問いたしたいと思います。  石炭部長さん、この一月にイギリスで炭鉱のストライキがありまして、その規模等は一九二六年以来のゼネストであった。そのために英国の経済、国民生活はたいへんな状態におちいりました。ヒース内閣もまさに倒れるところまでいったわけですね。この英国の炭鉱ストというのがあれほどイギリスの経済界を震撼さしたという根本的な問題はどこにあるのですか、お答えいただきたい。
  68. 青木慎三

    青木政府委員 イギリスのストに関しましては、私ども詳しく勉強しておりませんけれども、私どもの理解する限りでは、一つには、炭鉱の賃上げの問題に関して政府との方針が違いまして、それによって大きなストライキに発展したものと聞いております。そのストライキの影響が非常に広範に及びましたのは、イギリスの総エネルギーにおける石炭の地位がきわめて高く、各産業に非常に密接な関連を持っていたためで、長期のストによりましてエネルギーの供給がストップし、それがひいては日常の国民生活あるいは産業の動力になる電力あるいは石炭等の供給に非常に大きな影響を与えたというふうに聞いております。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 私は英国のストライキを新聞なり雑誌等で見まして、事の深刻さに驚くと同時に、イギリスが依然としてやはり国内資源というものを、エネルギーの安全保障というたてまえから、あるいは日本と違って国防というたてまえから、この石炭産業を守ってきた、したがって、いまイギリスの石炭業界というものは、イギリスの経済界に対して一定の決定的な影響を持つくらいのシェアを持っている、こういうところにあると思うのであります。  そういうことを考えるにつけて、あの二十年代、日本の経済復興の柱となってまいった石炭産業というものが、斜陽に斜陽を重ね、総くずれ、いまや日本のエネルギーの中においてもコンマ以下、こういうところに来たところに、彼此比べてみて、イギリスと日本政府石炭問題に対する取り組み方の基本姿勢というものが非常に大きく違っておる。言ってみますと、やはりイギリスは自己の資源を守ってきた。ところが日本は、いわゆる経済原則、外国から入ろうが何であろうが、とにかく安いものがいい、もうけさえすればいい、こういうことでやってまいり、それに通産省が追随してきたから、何べん石炭の答申を受けて石炭政策を立てても、みんな総くずれ、やるごとに加速度的に石炭がくずれ去っていった、こういうふうに言ってよろしいかと思うのでありますけれども、私の考えが間違っているか間違っていないか、お答えいただきたいと思います。
  70. 莊清

    莊政府委員 御指摘のように、英国では、これは世界的に見ましても、米国に次ぎまして石炭の生産量が一貫して多いわけでございまして、現在でも石油と並びまして石炭がほぼ四五%程度のウエートを持っておるように承知いたしております。もっとも、英国でもエネルギーが全体として消費量が伸びるに伴いまして今後は石油のウエートが相当上がる、出炭量は特に減らなくても、石炭としてはウエートは下がるけれども、相当な出炭を続けるという実態にあるようでございます。  先般私どもの局から担当の者を二名ヨーロッパ各国へ視察に派遣いたしたわけでございますが、コストの上昇という点については、英国のみならず、各国とも非常に政府当局は頭を悩ましておるということのようでございますが、特にわが国の場合には、従来通産省も経済原則にすべてを放置して石炭を切り捨ててきたというふうには私どもは決して考えてはおりません。結果といたしましては、目標に掲げました生産の予定水準というふうなものが不幸にして下回るという事態が続いておるわけでございますけれども、国内の資源というものは活用できる限り活用していくということが、いずれの国においても基本的な考え方になっておるという点は、御指摘のとおりでございます。通産省といたしましても従来いろいろ石炭対策は講じてまいりましたけれども、このところコストアップ要因が非常にございますし、自然条件もまた悪化している山が多い、また、思わざる影響といたしましては、円の切り上げというふうなことがあって輸入炭がまた下がった、あるいは公害問題が起こってきたというふうな、直接石炭産業自体の責任とか、こういうことは言えないような、経済全体の事情変化もいろいろ重なりまして、国際的に見ましても、わが国石炭鉱業はまことに恵まれないと申しますか、苦しい現状にあるということをよく認識しているつもりでございます。ただし、石炭につきましては、日本の石炭は実は非常に小さな規模になりつつございますけれども、やはり貴重な国内資源でございますから、現在審議会でも、そういう点を踏まえて、今後の石炭対策のあり方について鋭意御検討いただいておる点でございます。御指摘のございました点というものも、その趣旨は十分に体しまして私ども努力いたしておるつもりでございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 いま石炭鉱業審議会の五次答申がおくれておりますが、いずれにしても四月末ぐらいには出てくるんじゃないかと思う。うわさされておるところによりますと、大体二千万トンを下らない、こういうことで、新聞並びに雑誌等で拝見する限りにおいては、需要者と供給者側ではかなり大きな違いがあるようでありますが、この間の委員会で相沢委員、岡田委員の質問に対して、二千万トンプラスアルファだ、アルファというのは、百万トンとか二百万トンじゃない、八百万トンもある、こういう意味のことを会議録でお答えしているわけですけれども、とんとわからない。そして全体を通じて感じとして言えることは、どうも通産省がきわめて消極的な態度であって、この産炭地人たち石炭に働いておる労働者の人たちが、何とかして石炭を、自分の一生をかけての生業として、安心して働けるように位置づけてほしい、こういう切なる声がありますけれども、いまやそれもぐらぐら危殆に瀕しておると思うのであります。  そこで、審議会の答申が出ておりませんので、仮定の問題でたいへん恐縮でございますけれども、仄聞するところによりますと、かりに二千万トンくらいになりますと、なだれ現象が起こりまして、かりにそれが二千万トンで食いとめたとしましても、たいへんな離職者、失業者が生まれると承っております。そこで、労働省の部長さん、仮定の問題に答えられぬとおっしゃらぬでくださいよ。私も非常に重大な問題だとこれは受け取っている。その辺の社会の安定という問題あるいは地域社会という問題をとらえてみますと、たいへん重大な問題と受け取っておるのですけれども、労働省としてはどういう受け取り方をしているのか、お聞かせいただきたい。
  72. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 石炭鉱業審議会の場で二千万トンという数字が出ております。これを上回るという受け取り方を私どもはしておりますが、需要業界は千五百万トンという数字が出ておりますが、基本的には私どもそれを非常に心配しております。それで、二千万トンだったらどのくらいの失業者が出るかという仮定の議論でございますので、私どもも、山ごとの事情もいろいろ違います、能率その他が違いますので、現段階においては、どのくらい出るということは申し上げにくいと思います。ただ、過去の実績から見まして、四十六年度は、通産省数字等を見ますと、約六百万トンくらいの閉山になっております。それで、私どものほうは、常用労働者以外の関連下請等もございますが、離職者が一万三千人くらい出ております。そういうところから見ますと、現在の出炭から二千万トンあるいはそれ以下になりますと、相当数の離職者が出るということが当然予想されます。その数だけではなくて、出てまいります地域が主としてこれから北海道という、そこに石炭以外の産業が必ずしも十分にないという事情がございます。と同時に、最近炭鉱離職者は四十歳以上の方が非常に多くなってきて、老齢化してきているというようなことで、この離職者対策は非常にむずかしくなるだろう、こういうふうに思います。したがいまして、私どもといたしましても、できるだけ二千万トンを相当こえる数字で主張いたしたいと思いますし、そういった中で議論を深めながら、地域における炭鉱離職者の雇用安定あるいは離職者対策がスムーズにいくような形において最終的な結論が出ることを期待いたしております。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 部長の桑原さんの答弁を私はもう一歩聞きたい。  いまうわさされておるようになった場合に、一体どういう事態になるのか。具体的な数字をむろん労働省はお持ちだろうと思うのですけれども、私もある程度聞いているのですよ。それを聞いたら、この法律審議するまで寝っころがらなければならぬような事態になるんじゃないかと私は思うのだ。だからこれ以上は言わぬ。しかし、十全の対策を講じていただかなければならぬ。しかし、根本は、やはり石炭を位置づけることだ。これは公害対策と同じなんですよ。環境がどうのこうのというが、発生源を押えれば公害が起こらぬと同じように、石炭をきちっと位置づけて、それが崩壊しないように石炭産業自体が現状を基礎として守っていきさえすれば、そういう不安はないわけですから、いままでの問題、よどみだけを、鉱害とかなんとかを片づけていけばいいわけです。真剣に産炭地振興にも取り組めるわけですけれども、またぞろそういうものが出るということは、容赦ならぬことだと思うのですよ。そういう点で、この問題についても十分時間をかけて議論をしなければならぬと私は思うのでありますけれども、きょうのところは、もうこれ以上突き進んで論議いたさないで、保留しておきたいと思うのであります。  最後に私は一言、大臣がいいと思うのでありますけれども、私に、いつの日か特別委員会で、石炭を守るために、十二分の十という財源だけで、いわゆる重油関税財源だけで守れない場合には、田中通産大臣は実力者でありますから、一般財源でも投入しなければならぬ、こうおっしゃったんですよ。私は筋論として考える場合に、かりに今後六千万ということになりますと、平均、年間千二百万くらいになるわけですが、そういう場合に、いまの石炭会計というものから支出されるものを見ますと、産炭地の振興とか、それから離職者の問題なんというのは、確かに石炭と密接不可分のものでありますけれども、鉱害とか、石炭を掘る問題とか、そういうプロパーの問題とはちょっと違うわけなんで、本来これはそういう財源でなくて、むしろ鉱害復旧なりあるいは石炭対策というものにそういう財源を強力に重点的に投入して、社会的な影響を持つ地域社会の今後の問題に関係する産炭地振興の問題とか、あるいは離職者という、労働安定あるいは労働力を保全していく、こういう観点からいきますと、この種のものは一般会計で負担するのが私は筋であると思うのです。そういうことによって、いまなだれを打ってまたも崩壊するだろうと仰せられたものを、何とかここできちんと歯どめをする必要があるのではないかと思うのであります。これはたいへん重要な問題で、いろいろ議論があると思うのでありますけれども、この辺もとくと考えて、そうしてみんなが血の声として叫んでおる石炭の位置づけ、その基礎というのはやはり叫びであります。現状を土台として、その現状は、五年後にはやめていくものもあるでしょうし、新規開発されるものもあるでしょう。しかし、現状をあらゆる面から守っていくということが必要ではないか、私はこう思うのです。そういう点でひとつ通産省が積極的に、事務的なものじゃなくて、日本の資源である——ここまで衰退してもはやエネルギーの中の位置づけなんという時代じゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり日本の資源でありますから、これを守る、こういうことで積極的にひとつ取り組んでいただきたい、これを要望して、鉱害問題等もありますけれども、もう時間が十二時半になりましたから、私の質問の一部を残して、きょうの質問を終わっておきます。  どうもありがとうございました。
  74. 鬼木勝利

    鬼木委員長 午後一時十分再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  75. 鬼木勝利

    鬼木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。相沢武彦君。
  76. 相沢武彦

    ○相沢委員 法案に対する質問に先立ちまして、政務次官にお尋ねをしたいと思います。  先日の当委員会におきまして、昨年の住友二山の閉山に伴う三笠、歌志内の両市に対するグループの企業誘致についての協力要請の件でありますが、その後聞くところによりますと、先日政務次官が住友グループの代表との話し合いを持ったということでありますので、その経過について御説明いただきたいと思います。
  77. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 昨年の十月閉山後、地元の強い要請もございましたので、昨年のうちに住友グループの中核十一社が現地を調査いたしました。その後の状況については、御承知のように幾つかの企業が進出をいたしましたが、全く零細企業、こういう形でございまして、地元のほうといたしましても、たいへんあせり——というわけではございませんが、何とかひとつ有力企業を誘致していただきたい、こういう要請がしばしばあったわけでございます。そういう意味合いから、十七日、住友グループの代表者に通産省においで願って、私のほうから強く要請をいたしました。その結果、住友グループの中で有力企業が全く近近中に公表する段階になったことを、まず御報告をいたしておきたいと思います。  今後通産省といたしましても、鉱山石炭局長の名で、文書で住友グループの各社に企業進出に対する協力要請をいたします。また、振興事業団機関紙を通じまして、三笠、歌志内両市の企業誘致特集号を五月中旬に発行いたしまして広報活動を積極的に行ないたい、こういうふうに考えております。またさらに、五月末には両市に、産炭地域振興事業団、北海道庁、商工会議所、札幌通産局が共同して企業家による視察団を派遣するということにいたしております。なお今後とも三笠、歌志内両市の企業誘致については、できるだけ具体的に積極的に協力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  78. 相沢武彦

    ○相沢委員 先日御答弁をいただきまして、さっそく実行に移されて、一応いまおことばがあったようなところまで進捗したわけでございます。まだ諸般の事情等あって進出企業の名前までは無理かと思いますが、これが実現されるように一そう御努力をいただきたいと思います。それでは、お忙しいようですから、けっこうでございます。  次に、臨時石炭鉱害復旧法の改正につきまして、前回に続きまして若干御質問を重ねてまいりたいのですが、被害者の方たちは、前回の当委員会での質疑の内容等を聞かれまして、不適地関係改正についてはまだまだ不安を抱いているようであります。かねてからの懸案事項を大幅に盛り込んだという点については評価するのでありますが、今回新しく措置されたところの、復旧不適農地、家屋についての金銭補償にあたっての被害者の同意を求める旨の明確な条文がないために、被害者の方の言い分あるいは意向というものがはたして実際に反映されるかどうかということが非常に不安である。この点は運用において十分考慮するという御答弁がございましたが、実際行なわれたときにそのように運用されるのかどうか、この点が単なる危惧にすぎないということを、明確にここで再度御答弁をいただきたいと思います。
  79. 莊清

    莊政府委員 ただいまお尋ねのございました点は、今回の法律改正に関連いたしまして非常に重要な事項であり、また、地元関係の方々が非常に御心配になっている点だろうと存じます。重ねましてただいま御指摘のございましたように、この制度の運用にあたりましては、いわゆる被害を受けた人の切り捨て的な運用は絶対にいたしませんということ、及び、この計画を組みます際にも、地元の市町村長の意見を十分に聞きまして、また、この市町村長は被害者の地元の方と事前に十分話し合いをして円滑に進める、そういう方針で臨むということを明瞭に御答弁申し上げたいと思います。
  80. 相沢武彦

    ○相沢委員 その点明確な条文化はできなかったのか、また、条文化すれば何か差しさわりがあるのかどうか、その辺の事情はまだありますか、この点についてもう少し突っ込んで御答弁いただきたい。
  81. 莊清

    莊政府委員 法律の問題でございますので、非常にこまかい御説明になりまして恐縮でございますが、お尋ねでございますので、若干説明をさせていただきます。  従来からさようでございますけれども、今回の制度改正におきましても、鉱害復旧の基本的な考え方というものは、被害を受けた物件を極力原状復旧をする、それによって被害者の救済をはかるということが第一義でございます。もちろん地域の事情等もいろいろ変化してございますから、いろいろな地域開発計画等との関連も考えまして、最も有効な形での復旧ということを考えることも当然でございますけれども、第一義は被害者の救済でございます。したがいまして、被害者の方の十分の理解と協力というものを得ながら進めるということは当然でございます。  そこで、みなし復旧の場合には、被害者の同意を実施計画等でも得なければならないということに実はなっておりますが、金銭補償、いわゆる打ち切り補償の場合には、それが法律上明らかでないという御指摘でございます。みなし工事の場合には、復旧はいたすわけでございます。ただ、農地であったものを農地そのままには復旧せず、むしろ宅地復旧するということが一番合理的である、それによって被害者の救済は最も合理的になるということでございまして、被害者が持っておられる土地につきまして工事を加えるわけでございますから、その所有権者に対しまして、どういう内容のみなし工事をして、どんな宅地にするのかという点について、これは事前にはっきりと個別の同意を得なければならないというふうに、法律上も明確にいたしております。  補償の場合でございますが、これは、原状復旧はもちろんのこと、みなし工事もやりたくもできないというふうな場合でございまして、従来でございますと、加害者である石炭企業が無資力の場合には、もう裁判で争って金をとる方法すらない、しようがないということで、文字どおり打ち捨てられておったものを、今回は、土地には手を触れるわけにいきませんので、それにかえましてお金で補償をするという趣旨でございます。従来、制度の不備で打ち捨てられておった被害者の方に、その望んでおられた最後の手段である金銭での解決ということを行なえるようにしたというのが趣旨でございます。したがいまして、ここで最も中心になりますることは、ほんとうに技術的に復旧ができないのかどうかというふうなこと、こういう点が一つの中心になります。また、かりに復旧をいたしましても、農地の場合でも、水が得られないとか、そういう事情で、地域の事情をどう総合的に判断するかという認定の問題になってまいりますので、これについては地元の市町村長の意見を十分に聞く。地元の市町村長としても、原状復旧が第一でございますし、みなし工事がそれに次ぐということで、十分考えた上で、いかにもこれは金銭補償以外に方法がないという場合以外に同意をされるわけもないと存じます。そういうことで、この認定は、事業団と地域住民の総代表としての市町村長の公の判断法律上はゆだねるということでございます。運用上は、先ほど申しましたとおり、市町村長は個別の被害者の方と十分事前の打ち合わせをする、こういう運用をするということで、地方に対しても責任をもって指導いたします。
  82. 相沢武彦

    ○相沢委員 そのみなす復旧工事に関連してお尋ねをいたしますが、今回の改正で、国土の有効利用という観点から、みなす復旧工事を奨励するために、現行の予算補助率の六五%を法律補助率七五%に改正されまして、これによりまして今後みなす復旧工事がいままでよりは一そうスムーズにいくのではないかということは、確かにそのとおりと思われるわけでありますが、ただ地元の関係者からこれまでも強い要望が出されたのは、復旧法の五十二条にあります受益者負担の廃止の問題でございます。つまり、鉱害による被害者を受益者として扱って負担金を課するのは少し酷ではないのか、また、筋からいっておかしいのではないか、これは当然廃止すべきじゃないかということがこれまで言われてきたのでありますが、この点は今回は一体どのように考えられておりますか。
  83. 莊清

    莊政府委員 その点も従来から地元でいろいろ御要望の多かった点であると承知いたしております。昭和四十五年度までは、お話がございましたように、みなし復旧をいたします際には、被害の起こる前の地盤の高さ以上に復旧をするという場合、その上回った分につきまして費用を受益者に持たせるということに相なっておったわけでございますが、四十六年度からその運用を一部改めまして、従来であったならば取られたであろう負担金の七〇%程度が免除されるというふうに、運用上改正をしたわけでございます。  今回は、ただいまお話がございましたように、六五%の補助率から七五%にかさ上げが行なわれ、それが法律上明記されたわけでございますので、それに伴いまして、さらにまた、結果として受益者部分が減るということに相なるわけでございます。
  84. 相沢武彦

    ○相沢委員 被害者を受益者として扱うというこのたてまえ、考え方ですけれども、これは一体どういうところから来ているのでしょうか。また、それをこの法律の中で大義名分づけるだけの根拠はございますか。これはどうしても納得ができないのですが……。
  85. 莊清

    莊政府委員 確かに一つの問題の所在だと存じます。ただ、いまの鉱害賠償制度というのが、鉱業法の無過失賠償責任ということで、原状復旧ということを基礎に置いておりますので、みなし工事で、従来農地であったものを宅地にかえるというところで、宅地であるから、農地と違いまして、また道路よりも幾らか一尺なり二尺程度高いところまで当然に土盛りもしてそしてつくるというふうことがあるわけでございます。したがいまして、それをもう全部復旧工事であるというふうに割り切れば、一つの割り切りかと存じますけれども、従来の法体系及びそのもとでの考え方では、やはりみなし工事で宅地でございますから、高くしたという場合に、その部分についてはそれだけ現状よりもよくなったという判断法律が基本から構成されておるということでございまして、今回の改正でも、法律考え自体は特に変えておりませんですが、運用面におきまして、先ほど申し上げましたように、逐次実質的な改善につとめておるわけでございます。今後も引き続きこういう点についてはきめこまかに検討をいたしたいと思います。
  86. 相沢武彦

    ○相沢委員 次に、石炭鉱害賠償法について若干お尋ねをしておきたいのですが、前回もいろいろお尋ねしましたが、四十六年度末見込みの鉱害量というものは、復旧費で千三百億ということですが、だんだん無資力鉱害がふえてまいりまして、全体の六〇%近くなってきていますし、今後さらに増加するということが考えられます。こういったことで、今回は、あと十年で一切鉱害を処理しよう、復旧をしようということで改正案が出されたわけでありますし、また、鉱害処理というものが、国土の保全や民生の安定という見地から、これまでにも増して総合的な、また計画的な計画が行なわれなければならない、また、総合農政や産炭地振興対策の今後の進行と考え合わせて、国民経済全体の立場から最も効率的な処理、運用をする時期に来たのではないか、こういうことで、これまでも石炭鉱業審議会等、また衆議院の石特委員会におきまして決議等も出されたわけでありますが、いわゆる鉱害を処理する機構として統一賠償機関をそろそろ具体的に法律の上で盛るべき時期が来たのじゃないか、こういうことが考えられるわけでありますが、今回の改正にあたって、この統一賠償機関に対する考え方の検討が行なわれたかどうか、この点についてまず伺いたいと思います。
  87. 莊清

    莊政府委員 今回の法律改正につきましては、昨年、石炭鉱業審議会の鉱害部会におきまして御審議をいただいたわけでございまするが、その際には、御指摘のありました統一的な機関の問題については特に審議はなされておりません。
  88. 相沢武彦

    ○相沢委員 今日まで、鉱業審議会は、四十一年七月二十五日付のいわゆる第三次答申におきまして、「石炭鉱業の抜本的安定対策について」の中で、統一賠償機関について答申を行なっております。御存じのように、「鉱害の処理を総合的に行なう機構を整備し、有資力賠償義務者に処理事業量に応じ一定限度の金額を納付させる等の制度についても検討する必要がある」、こうありますし、また、その後当委員会でも、四十三年四月二十三日の石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案にかかる附帯決議といたしまして、「鉱害の総合的かつ急速な復旧並びに金銭賠償の円滑化を計るため、強力な統一賠償機関を設けること。」こういうように、統一賠償機関の必要性が強調されているわけです。また昨年の六月に、鉱業審議会の鉱害部会が現地視察を行ないまして、福岡市で関係団体から鉱害二法改正に関する要望を聴取しておりますが、この席上でも、この統一賠償機関に対する要望が行なわれたのでありますけれども、これについての検討は行なわれなかったということは、全然考えなかったのですか、それとも、非常にやりづらい問題なので、できるだけ手を触れないでおこうと、こういうことなんですか。
  89. 莊清

    莊政府委員 いわゆる統一賠償機関という構想が前々からございますということは、通産省としても承知いたしております。ただ、今回の法律改正におきましては、一応現行の制度のたてまえのもとで、非常に鉱害の復旧が急がれておりまするので、制度の最大限の改善、運用の改善を行なうという趣旨から、従来の問題点を洗いまして御審議をいただいたわけでございます。お話しのございます、この石炭企業から納付金をあらかじめ取っておいて、法律上の考え方としては、無過失賠償責任というものを何らか第三者的な統一機関法律構成としては肩がわりをするというふうな一つの新しい考え方に切りかわることになるかと存じますが、そういう法律上のたてまえの大きな変更の問題を伴いまする上に、これは運用の問題だと存じますが、いつ、いかなる時点で、どの程度の額を取るか、工事費なども年々上がってまいるわけでございまするが、そういう運用でこれは考えればよろしい問題でございまするが、法律制度の基本に触れる点でございまして、前々から検討はなされておるのでございますが、これにあまりまっこうから取り組みましても、懸案事項の処理にはたして間に合うかどうかというふうな点もございまして、この問題は残されておるわけでございます。ただし、御指摘のございましたような精神は、今回の制度改正なり予算の編成でも極力取り入れているつもりでございまして、無資力関係についての国の補助の強化とか、あるいは、先ほどお答えいたしました復旧不適農地等についての補償金、こういう問題はすべて国なり事業団というものが中心になって行なう方向への一歩ないし二歩の前進である、かように存じております。  こういうことでございますので、今回は直接統一機関の問題は審議会でも検討するひまもございませんでした。これはなお懸案事項として通産省でも検討さしていただきたいと思います。
  90. 相沢武彦

    ○相沢委員 今回の法律案、御趣旨も違うでしょうから、検討事項としたいということは了承できますが、先ほど申しましたように、現在すでに全鉱害量の約六〇%を石炭鉱害事業団が処理しているわけでありますから、実質的には統一賠償機関としての性格をだんだん深めていっているというふうにも考えられるわけであります。そういうことで、今後鉱害復旧という問題をとらえるのに、総合的また計画的復旧の必要性の観点からも、従来どおり、同じ復旧長期計画策定区域内の鉱害について、無資力、有資力の二本立てで鉱害を処理していくよりも、今後比重が非常に激減する有資力鉱害もあわせて石炭鉱害事業団が処理することが非常に合理的ではないかというふうに思われますので、この懸案事項を具体化するには一体どうすればいいのかということについての検討を早急にぜひともする必要があるのではないかと思いますので、これに取り組んでいただきたいと思います。  次に、産炭地振興とあわせまして問題になりますところの工業配置促進法について若干お尋ねをしたいのですが、これは午前中細谷委員からも御質疑がありましたように、自治体、また住民の立場から考えますと、一体この法律がどう適用されるか、非常に注目の的であります。そういったことで、今後商工委員会で審議が行なわれ、また、きょう細谷委員から要望されましたように、石特との連合審査も持たれるようにぜひしていただきたいし、その時点で明らかになると思うのですが、もし現在までにその内容、性格等についてはっきりしている点があれば、ここできょう御答弁を明確にしていただきたいと思うのです。  まず第一に、誘導地域を指定するにあたって一般的な考え方についてお伺いしておきたい。
  91. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 工業配置促進法案第二条第二項におきまして、誘導地域というのを指定しておるわけでございます。この考え方は、まず第一番目に、工業の集積の程度が低いということ、そしてまた、人口の増加の割合が低い道県という形で区域を指定しておるということでございます。これから考えられますことは、私どもといたしまして、北海道、それから東北六県ほか、北陸あるいは中部地方の一部、山陰、四国、九州、こういった地区の県がその地区に当たろうかというふうに考えております。ただし、この中できわめて大きな大都市も存在しておりますし、こうした大都市では工業の集積の程度が高い、また人口増加も高い、こういったところを誘導地域といたしますことは、そういう都市におきましてまた過密の問題が出てまいると思いますので、こういった大きなものは除いてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、こうした道県単位のほかに、これらの道県と区域が連接をいたしておる市町村がありますが、その市町村の工業の集積度が低いし、人口の増加も割合が低い、こういうような地域については、これもやはり誘導地域にしていきたいというふうに考えているわけでございますが、この地域は、具体的に申し上げますれば、たとえば福島県と連接しております関東の北辺部、あるいは兵庫県の裏日本側、鳥取県と連接しておりますような、こういった地域を指定してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  92. 相沢武彦

    ○相沢委員 大体概要がわかったわけでございますが、産炭地域は、御承知のように、四次にわたる石炭政策のかいもなくまたスクラップ・アンド・ビルドということなんですが、非常になだれ閉山的な様相が濃くなりまして、近年では特に北海道で相次ぐ大型閉山等がございましたし、その打撃というものは地域社会に非常に大きな影響を与えております。したがって、今後の産炭地域振興策に対する期待というものは非常に大きいわけでございまして、この法律の持つ責任も非常に重大であると思います。そうした意味におきまして、今度の再配置法の誘導地域については、これまで行なってきた産炭地域振興策をさらに強力に推し進めて生かしていくものでなくてはならないと思うわけであります。そのためにも、いまおっしゃったように、工業集積度のきわめて大きいところ、特殊な地域は除いたとしても、産炭地域は残らず誘導地域に指定すべきではないか、こう考えますが、この点について明らかにしていただきたい。
  93. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 ただいま申し上げましたような考え方をもちまして政令をきめたい、このように考えておるわけでございます。  産炭地域につきましては、これはほぼ全域にわたりまして工業の集積度が低いし、それから閉山に伴います、人口の増加といいますよりは、むしろ減少が見られるわけでございますので、こういった地域は誘導地域として積極的に企業の立地推進をはかってまいりたい、このように考えております。
  94. 相沢武彦

    ○相沢委員 いまの御答弁で、産炭地はほとんど誘導地域に指定されて企業の進出がはかられる、こういうことでございますが、これまで全国的に見ますと、産炭地振興法によりまして、九州はどちらかというと早く閉山に見舞われましたので、これまでの法律でかなり産炭地振興等がはかられておりますが、北海道はこれから閉山のあらしにあうところがほとんどでありますし、また、閉山を受けたあと団地造成等をやってきたわけでありますが、なかなか思うように企業等が来なかった。今後誘導地域に指定されれば若干それが促進されるのではないかと思いますが、ただ、指定されたとしても、ほんとうにそのとおりいくのかどうか、これも非常に心配をしているわけでありまして、今度の新しい法律でほんとうにそれが生かされるように当局としては十分に考えていただかなくてはならないと思うのです。産炭地の工場誘致、団地造成、工業用水道、そういった産業基盤の整備等はもうすでに行なわれておるところはかなりありますので、産炭地域へ誘導することはメリットが大きいわけでありますから、その誘導地域に指定した中でも、産炭地を優先にという考え方を持っていらっしゃるかどうか、そのランクづけ等について具体的に考えていくのかどうか、その点をお伺いいたします。
  95. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 工業配置促進法によります誘導地域の指定、これに基づきます企業立地の推進という形でございますが、これは法律第三条にございますように、通商産業大臣が再配置計画をつくりまして、これに基づいて推進をするという形になっているわけでございます。一方、産炭地域の振興につきましても、御承知のとおり、この振興計画につきましては同じ通商産業大臣がつくって、これの振興をはかってまいるわけでございますので、御指摘の地域の振興といいますのは、当然同一の精神をもって貫かれていくというふうに考えるべきものであると思っておるわけでございます。  さらに、具体的な工業立地の推進の業務でございますけれども、これも工業配置産炭地域振興公団という構想で法案を御審議願っておるわけでございますが、工業配置に関します業務は、過密地帯からの企業の移転促進というような業務を一つの柱として推進をいたします。一方、その同じ公団が、産炭地域の振興事業を従来と同様あるいは従来に増して力を入れていこう、こういうことで、表裏一体となって推進をしていく体制を考えておるわけでございます。  具体的な企業の立地等につきまして、私どもといたしましても、先ほど住友鉱山等の話も出ましたが、こういった地点を優先的、重点的に推進してまいるという姿勢で臨みたいと思っておるわけでございます。
  96. 相沢武彦

    ○相沢委員 次に、この工業配置促進法の運用と実施についてお伺いをしたいのでありますが、運用にあたりまして、従来から地域開発、地域振興について長い間の経験を積んでいるところの産炭地域振興の経験を十分に生かすことが必要であると思いますけれども、この点についての考え方はどうか。  さらに、実施にあたっても、誤りなきを期するためにも、当然、審議会に今後の運用などについて諮問をされていくと思うのですが、その審議会の委員として、産炭地域の実情に詳しい委員を追加して入れるべきじゃないか。現在定員等がありまして、すぐには増員できない、あるいは改選できないということでありますが、追加して認めるということはやれるのかどうか。  またさらに、これまでの産炭地域振興審議会は一体どうなっていくのか、それとの関連性はどうなのか。  この三点をお伺いしたい。
  97. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 今回、工業配置産炭地域振興公団といいますものをつくりました理由一つといたしまして、従来から実績をあげておりますし、そしてまた、こうした産業立地等につきまして深い経験を持っております現行産炭地域振興事業団の経験を十分生かして工業配置と一体的にこれを遂行してまいりたい、こういう趣旨によるものでございまして、いま御指摘の形で今後公団を運用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  第二の問題といたしまして、工場立地及び工業用水審議会意見を聞いて、工業配置計画を定めることにいたしておるわけでございますけれども、御指摘のように、私どもといたしましては、委員の追加、特に産炭地域等の実情に詳しい方の追加をお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、産炭地域振興審議会があるわけでございますが、公団の運用にあたりましても、現在産炭地域振興審議会の御意見を聞きながら産炭地域振興事業団の運営に遺憾なきを期している状況にもかんがみまして、私どもどいたしましても、再配置計画の策定につきましては以上のような形で遺憾なきを期しますが、公団の事業遂行にあたりましても、従来と同様、産炭地域振興審議会等の意見をも十分考慮いたしまして、事業遂行に遺憾なきを期してまいりたい、このように考えておる次第であります。
  98. 相沢武彦

    ○相沢委員 公団発足後の運営についてでありますが、新しい公団ができた場合に、大きく分けて、工業配置の促進のために跡地処理のための融資、これが大きな業務になると思うのです。あとは、それによって促進されて新しく今度移っていくために、やはりこれまでの産炭地域振興事業団でやっていた業務がさらに拡大されなければならないと思うのですが、そういった人員の配置の点では、これまでの産炭地域振興事業のほうの仕事の量が減り、あるいは人員的に減っていくというようなことはないでしょうね。その点。これまでの事業団の伝統や特質というものをそこなわないように、しかも有効的に活用されるように配慮しなければならないし、また、これまで産炭地域振興事業に努力してきた職員が、新公団の職員として十分に報われるような配慮もしなければならない、その点の考え方と、いわゆる人員配置の点で、産炭地域振興事業のほうの人員や何か、勢力や組織が縮小されるようなことはないのか、そういう心配はないのか、その点について……。
  99. 青木慎三

    青木政府委員 産炭地域振興事業団の今回の法律が通りましたあと公団への改組に伴います機構、人員がどうなるかというお尋ねだと思いますが、新しく公団になりましても、組織的にあるいは経理的に区分して運用するということでございますので、その両者の区分は不明確になることはないというふうに理解しております。  そこで、現在まできまっておりますことは、現在、産炭地域振興事業団には、理事長一名、理事四名、監事一名、それから職員が二百十名おるわけでございます。これが四十六年度の定員でございます。新しい公団ができますと、総裁が一人、副総裁が二人、理事が七名、監事が二名というように、組織が拡大される予定でございます。これを産炭地振興と工業配置にどう配分するか、ただいまきまっておりませんけれども、従来の産炭地域振興事業団の機構を縮小することはないというふうに考えております。  それから職員につきましても、数十名を増加するということで、新しく加わります工業配置の分につきまして人員の増がございます。  それから、旧来の産炭地域振興事業団の職員なり役員なりを削って工業配置方面に持っていくということを考えていることは全然ございません。したがいまして、私どもとしましては、産炭地振興のほうの事業も拡充してまいりますので、人員等については配慮して、だんだん増員をはかっていくという方向で極力努力してまいりたいというように考えております。
  100. 相沢武彦

    ○相沢委員 そうしますと、四十六年度におけるところの現在の事業団の職員数二百十名、これは決して割らないで、いわゆる工業配置促進のほうの跡地処理のための人員というものは新たにふえるのであって、産炭地域振興のほうの職員の数は現在の二百十名よりもさらにふえるという見通しだ、こういうことですか。
  101. 青木慎三

    青木政府委員 産炭地振興事業関係の職員を切ることはないと思っておりますし、それをなおふやすように今後とも事務的な努力を続けてまいる、こういうことでございます。
  102. 相沢武彦

    ○相沢委員 この点、企業局とのコンセンサスはできておりますか。
  103. 田中芳秋

    ○田中(芳)政府委員 意見を十分交換しながら進めておるところでございます。
  104. 相沢武彦

    ○相沢委員 公団が発足したあとにおいても、産炭地域振興の事業が縮小したりあるいは現状のままであっては、この法律がつくられたことによって産炭地人たちは非常なショックを受けるわけであります。その点絶対に心配ないのだという裏づけの一つは、予算的な配分がどうなるかということであろうと思いますが、これについて、新しい工業配置産炭地域振興公団におけるこの両者の区分をして予算の配分がどうなってくるのか、大蔵省主計官が来ていらっしゃるので、この点について……。
  105. 徳田博美

    徳田説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、産炭地振興と工業配置の双方の領分が同一の公団において行なわれることによって、予算が相互にそこなわれることはないか、こういうことでございますが、もともと産炭地振興の重要であることはわれわれも十分認識しておりまして、産炭地振興のためには、もちろんいろいろ公共事業あるいは地方財政その他各般の施策が必要でございますけれども、なかんずく、前向きの施策と申しますか、産業力の増強ということが大事でございまして、このため企業誘致あるいは雇用機関の増大ということが、先生指摘のとおり、非常に大事なことでございますので、両方が一つになったということは、両方にとって前向きのことではないかと考えております。  予算的な措置でございますが、これは全く別途の立場から——と申しますのは、産炭地振興は、従来石炭特別会計、今回は石炭石油特別会計の見地から要求されておりますし、工業配置関係はまた別途に企業局から要求されておりまして、これは予算の経理も別個でございます。先ほども説明がございましたように、副総裁も二人でございまして、発足当初からこの程度の規模の公団で副総裁二人というのもかなり異例だと思いますが、そういう意味ではっきり経理も分かれておりますので、先生指摘のような御心配はないものというふうにわれわれは考えております。
  106. 相沢武彦

    ○相沢委員 組織的な拡充という点で石炭局長のほうはどうお考えですか。
  107. 莊清

    莊政府委員 先ほど石炭部長からお答え申し上げましたが、産炭地域事業団の現在の定員というものは少なくともそのまま、いま主計官から御答弁ありましたように、法律上も別組織といたしまして新しい公団の中に引き継がれていくわけでございます。さらに経理も区分されておりまして、人件費も、産炭地関係は当然石炭特別会計勘定からいくということになります。現在通産省では、四十七年度につきましての産炭地関係の職員の増員をどうするかということについて、大蔵省といま事務的折衝をやっておる最中でございます。別勘定であり、別組織である産炭地関係について増員を具体的にいま折衝中であるということを申し上げておきたいと思います。  なお、これと関連いたしますが、産炭地関係予算は今後も別勘定で、財源石炭石油特別会計石炭勘定からいきまして、公団の中でも経理が区分されるわけでございますが、産炭地関係予算は、過去五年間で、いわゆる特別会計からの分が約二百七十億程度、財投からの貸し付けが三百十億程度、合わせて六百億弱でございますが、四十七年度におきましては、特別会計から八十億、財投から百十五億程度、合わせて二百億弱でございますから、最近ではかなりふえつつあるということが申せるかと思います。今後も石炭特別勘定の中から所要の財源確保するということでございます。
  108. 相沢武彦

    ○相沢委員 この法律に対する質疑は、連合審査が持たれた時点でぜひまたさせていただきたいと思います。  次に、さきに行なわれました、当委員会に参考人を招いての意見聴取に関連をいたしまして質問をいたしたいのですが、その中で特に需要業界の意見でございますが、参考人の意見を聞いておりまして、率直に言って、政府が、今後も現在のような需要のあり方をやむを得ない、こうして推移していけば、たとえ鉱業審議会で需要量の決議をしても、おそかれ早かれ、需要側の主張してきました一千五百五十万トン程度に五十年度になれば落ち込んでしまう、こういうおそれは十分にあるのではないか、非常に憂慮されるわけであります。したがって、現在検討されている第五次対策において、いわゆる総合エネルギーにおけるところの石炭の位置づけ、また体制問題とあわせて、この需要確保の問題というのは非常なウエートを占めてくると思うわけでありますが、このことをあいまいにさせるならば、たちまち石炭産業は崩壊してしまうだろう、このようにきびしく受けとめなければならないと思うわけでありますが、この点の当局の認識について伺いたいと思います。
  109. 莊清

    莊政府委員 全く御指摘のあったとおりに、通産省も事をきわめて重大に考えておるわけでございます。この需要が激減するという切迫した議論石炭鉱業審議会の場で出ました有力な一つの根拠といいますのは、今年度で約八百四十万トンぐらい引き取り実績があるところの九電力の一般炭の引き取りが、公害の関係等もございまして、五十年度には四分の一程度の二百二十万トンしかどうしても無理だというふうな意見が出まして、四分の一でございますから、これではもう石炭産業は全部やめるというにひとしいということになったわけでございます。こう一般炭の需要が激減いたしますと、当然に原料炭のコストアップということを招きまして、鉄鋼業界のほうでも、内外格差が現在程度のものなら、国内資源の活用という見地から国策に協力する気持ちがあるが、一般炭の減少に伴うコストアップ分まで持ち込まれるというふうな事態では、もう鉄鋼業といえども何ともしがたいというふうなことで、石炭全体の需要ががた落ちしてしまうというふうなことで、これではなだれ閉山以外の何ものでもないということでございます。そこで、石炭鉱業審議会でも、千五百五十万トンを前提にしての政策は立てないということで御意見が一致したわけでございまして、今後対策検討するにあたりましても、従来のいろいろ議論がありましたその実態、それから経緯、審議会の委員の決議の趣旨というものをよく体しまして努力をする所存でございます。
  110. 相沢武彦

    ○相沢委員 政策需要の確保について、特に北海道の、石炭専焼火力によっている北電について若干数字をあげてお尋ねしたいのですが、北電の将来の見込み引き取り量、この間岩本参考人から述べられておりましたように、四十七年度で三百十万トン、四十八年度で二百五十万トン、四十九年度で二百三十万トン、五十年度になりますと二百二十万トンというように、現在電力会社関係の引き取り量の四〇%を占めている北電ですらも、年々引き取り量を減らしていくという方針であります。こういった予定を立てざるを得ない理由として、コスト高あるいは公害規制の強化などをあげておりましたが、一番主要な要因というのは、今日の石炭産業が不安定である、どうしても供給確保に対する不安定要素というものがあまりにも多いということで、やはり電力としても大量の引き取りはできないんだということだろうと私は思います。したがって、この供給不安定の不安を取り除くことができるならば、今後より強力な第五次政策が確立されて石炭の供給が安定できるということになれば、北海道においては、北電において現在考えている以上の引き取りも将来可能ではないか、もう一ぺん見直すことができるのではないか、そういう道も開かれるのではないかと思いますが、この点について当局はどう考えますか。
  111. 和田文夫

    ○和田説明員 先生指摘のとおり、北海道電力の石炭の引き取り量といいますのは、四十六年度で三百七十万トンでございますが、現在の見込みでは、五十年度に二百二十万トンということで、逐年減少する予定になっております。この理由といたしましては、御承知のとおりの石炭の供給不安のために、北海道管内におきまして沿岸部に重油専焼火力が四基建設を始めまして、すでに運開したもの、あるいは建設中のものがございますが、こういうものが逐次運転を開始しております。これが新鋭火力でございますので、これの運転開始に伴ってだんだん石炭火力への投資がおのずから減っていかざるを得ない、こういう理由でございますが、先生指摘のとおりの石炭需要の今後の重要性にかんがみまして、通産省といたしましても、電力業界に対して、石炭確保に最大限の努力をするよう強く要請しておりまして、北海道電力においても、可能な限り、さっき申し上げた引き取り数量の増量につとめることを目下検討中の次第でございます。
  112. 相沢武彦

    ○相沢委員 どうも何だかはっきり御答弁がのみ込めないのですが、今後工業配置等によりまして、北海道で例をとりまして、いわゆる内陸の産炭地域に中核企業の誘致も促進されてくると思うわけでございます。そうすれば、そういった産業進出に伴う電力が必要だ。この点については、単に電力需要の面からだけじゃなくて、できれば石炭需要につながるような企業を誘致するように働きかけることも必要ではないかと思いますし、こういった点、電力会社に対する説得なり指導、協力要請によって政策需要の道が開ける可能性があるのではないか、こう思うわけでありますけれども、特に北海道の第一次産業として農業と石炭が二本の柱になっている。資源の枯渇あるいは採炭状況が非常に保安上無理だといったところは、これはどうしても閉山やむを得ない。その他まだまだ採炭量もあるというところ、こういうところは、石炭専焼火力によるところの電力をふやして、電力の需要先をふやす。同時に、第五次の政策によってかなり手厚い、また前向きな政策がとられることによって石炭産業をやり続けられる、そういう産炭地石炭産業を盛り上げていく、こういったことで考え直すことができるんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、この点についての御見解を御説明願いたいと思います。
  113. 和田文夫

    ○和田説明員 電力業界におきましては、御承知のように、将来の経済成長に見合いましてそれぞれ電力需要の見込みを立てまして、それに応ずる電源開発をしているわけでございますが、それでさっき申し上げたような重油専焼火力も着手しているわけでございますが、先生指摘のとおり、産炭地域の振興という意味でいろいろな産業が出てきますれば、それに伴いまして石炭火力、重油火力ともに稼働率も上がってまいりますし、そういう意味では、そういうことになりますと石炭の消費量も増加できるんではなかろうか、こういうふうに考えております。
  114. 相沢武彦

    ○相沢委員 国内資源の確保、また有効活用という点から考えて、石炭産業はどうしても守らなきゃならない。また、それを使う鉄鋼あるいは電力関係にしてみれば、特にいま例をあげております北電の場合、他の電力会社がコストの安い重油に切りかわっているときに、石炭の専焼火力でやっていかなきゃならないということになりますと、非常にコスト高、あるいは施設設備等において他の電力よりも条件が悪くなる、費用の負担がかさむ。こういった点の費用分担ということを国が援助をすれば、石炭の専焼をおもにやっている北電の場合というものは、まだまだこういった国の要請によっていわゆる政策需要を確保することができるのではないか、また、そうすべきではないかと思いますが、この点についてはどうですか。
  115. 和田文夫

    ○和田説明員 いまの御指摘は、これから石炭をたける新しい火力をやったらどうかという御指摘だろうと思いますが、御承知のとおり、火力は、計画してから、場所によって異なりますが、三年ないし四年程度竣工までにかかりますので、当面の石炭引き取り対策にはなり得ないということでございます。  それから石炭火力の建設を今後考えるに際しましては、積極的に石炭の安定供給体制あるいは電力需要の動向等がございますが、重油専焼火力に比べまして建設費が二割前後割り高でございますし、それから北海道におきましてその燃料費の値段がどうなるかわかりませんが、そういう建設費の割り高、あるいは運転上の経費重油火力よりちょっと増加いたしますので、そういった点を考えて、そういう場合には当然何らかの助成策を考えていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  116. 岡田利春

    ○岡田委員 関連して、若干いまの問題をお伺いしたいと思うのですが、問題は、エネルギーをどう比較をするのかという点が非常に基本の問題だと思うのです。一応原則的には、カロリー当たり幾らするかという比較論になるのではないか。これを、たとえば油であれば一基百万キロの発電所ができるのだということになりますと、これは石炭では百万キロの火力というのはむずかしいと思うわけです。ですから、その比較を一体何でするのかというところをまず定めてエネルギー政策を考えなければならぬのではないか、私はこう考えるのでありますけれども、現在では、北電の火力で油と石炭を比較したら、カロリー当たりどうなっていますか。
  117. 和田文夫

    ○和田説明員 概略の数字でございますが、油を専焼的に使う火力は、北海道電力じゃなしに、苫小牧の共同火力でございますが、重油の値段が千キロカロリー当たり大体七十銭程度、それから北電の火力は、これは低品位炭を主として使っておりますので、千キロカロリー当たり五十銭程度、こういうふうに承知いたしております。
  118. 岡田利春

    ○岡田委員 私の手元にある資料から見れば、大体四十六年から急速に油の値段が上がってまいりましたから、C重油のカロリー当たり価格で、これはいま九電力の使っておるものでありますが、七十八銭、これに対して国内電力に使っている一般炭の場合、平均をとれば八十六銭、四十六年度はこういう数字になるわけです。しかも油の価格が逐年上がっていくことはきわめて常識だと私は思うわけです。ですから、これからさらに油の価格が上がっていく動向等を判断いたしますと、石炭が単に高いという設問の立て方には、国際的な石炭政策から見れば若干問題があるのではないかという気がするわけです。なぜかなれば、いまのC重油には関税一〇%よりかかっていないわけです。しかし、わが国と非常に似ている政策をとっているイギリス、フランスあるいはドイツ等の政策を見ますと、いずれもC重油及び灯油消費税二千ないし二千五百円かけているわけです。もしこの政策をとって、石炭特別会計財源をとっておると換算をすれば、もうすでにそう値差はないといわなければならない。私は、そういう意味で、日本の石炭政策を一体どこに視点を求めてある程度の調和をとりながら立てていくか、ここが非常にポイントではないか、こう考えておるわけです。そういう判断に立ってものごとを考えていかなければいかぬのではないか。大体いままでに関税関税と、何で関税をかけるのだ。本来であれば石炭政策のためにガソリンやあるいはまたナフサに関税をかけてそしてそれを財源とするのはおかしいわけなんです。ですから、初め特別会計ができたときには、重油消費税、これが基本であったわけなんです。そういう答申が出たのを、いろいろいちゃもんがついて関税になったという歴史的ないきさつがある。ですから、たとえば今日原料炭の場合でも、値差がある値差があるというけれども、もちろん値差はあります。これを一定量以上にドイツのように関税をかける。たとえば一千四百万トンの国内原料炭が出れば、一千四百万トン以上の原料炭には関税をかけてこれを石炭政策の財源にするのが至当じゃないのか。これは原料炭だってフィフティ・フィフティで出るわけですから、そういう考えでまた考えていきますと、これはもし高いというならば、そういう財源をとってドイツのように補給すればいいんじゃないか。価格差を埋めておつりがくると、私どもの試算では出ておる。ですから、石炭政策の視点というもの、ポイントを一体どこに置くのか。私は、残念ながらやはり国際的な合意も必要でありますから、少なくとも西ドイツあたりの政策を十分見て、そこに視点を合わせなければ、いまの電力の問題でもすれ違いになってしまうのではないか、また石炭政策に対する考え方のすれ違いが出てくるのではないのか、ここを私は非常に心配するわけです。とにもかくにもフランスと同じ出炭規模で、フランスは五年後に二千五百万トンの石炭を維持するといっている。しかも能率は日本の半分ですよ。日本の能率に比べたらわずか五五、六%の能率ですよ。それでもなおかつフランスは二千五百万トンをフランス経済の中で維持しようとしているわけです。そういう点が私はきわめて重要な問題があると思います。  ですから、いま申し上げました論法が立ちますと、北海道でも六百円以上の運賃をかけて東京電力でたいているわけですから、これをもし苫小牧でたくとすれば、内陸運賃だけで済むわけです。それで、油の価格の上がっていく動向を考えれば、苫小牧で石炭重油の混焼火力をつくっても経済ベースに合うはずなんです。残念ながら、九つの電力会社に分かれて、やはり自分のところにも油の専焼火力を持ちたい、そしてまた原子力の火力も持ちたい、そういう九社が別々の要求があるから、なかなか政策がうまくいかないのです。そうすると、結局、電発を含めた十電力というものをトータルして考えなければならないのではないのか。将来原子力がどんどんできてくれば、もう九電力なんて言っておられない。私は、そういう点で将来の原子力政策をも展望しながら問題を考えるべきではないのか、実はこういう気持ちを持っておるわけです。したがって、いま相沢委員の質問がございましたけれども、問題は、要は政策の立て方、決意にかかっておるんじゃないか。相当調整は可能である。そして私は、単に石炭にかければいいんだという主義ではなくして、大体西ドイツが行なっておる政策に準じたものはやはり行なうべきだ、こういう考えでありますけれども、いまの特に電力の質疑を聞いて感ずるわけですが、この点、局長から見解を承っておきたいと思います。
  119. 莊清

    莊政府委員 お話のございましたように、原油の値上がりから、発電用の重油というのは非常に上がっております。特に低硫黄の発電用の重油というのは値上がりが一段と大きうございまして、このままでいけば、あるいは電力のコストアップということが深刻な問題になりかねないとさえ言われておるやに聞いております。したがいまして、やはりエネルギー政策という見地からは能率という点もございましょうけれども、特に産炭地におきましては、片一方において、生産面においての安定供給が可能になるような体制を整えるということが必要な条件ではございますけれども、これを使うほうの面におきましても、やはり長期的に見て、地場での石炭の大きな消費源として石炭火力を考えるということは、十分合理性のある点であろうというふうに私どもは見ております。大臣もそういう見地からわれわれに対して検討を命ぜられておるわけでございまして、いま省内で検討しておる状況でございます。
  120. 相沢武彦

    ○相沢委員 ただいまもお話の中に出てきたのですけれども産炭地域で火力発電を行なえば輸送経費等の節減になるということでございまして、電発など本州の石炭火力の問題点なんですけれども、いわゆる京浜地帯の工場密集地域または過密地域なんかでは、硫黄、ばいじん規制の強化などによりましてだんだん石炭使用を受け付けなくなってきている。したがって、この点なんかも工業配置とからめて、過疎地域——というよりも、産炭地域にむしろ発電所を建設して、近接する地域の電力をまかなう。まあ大きな発電規模はとれないにしても、その地域の電力をまかなう程度の発電はできるんじゃないかと思うわけでありますし、あるいはまた、大口需要に対しては、長距離送電線等を整備すればロス等もまだまだ防げるのではないか、こういう点から考えまして、輸送経費の節減その他非常にメリットも考えられるわけでありますから、今後そういった産炭地域における石炭火力発電ということについて、先ほどは技術的な立場からのお答えだったのですけれども、どうもあまりぴんときませんので、ひとつ石炭局長のほうからこの点についてお伺いしたいと思います。
  121. 莊清

    莊政府委員 当面の問題としては、北海道地区を例にとりますと、道内の電力の需要の伸びなり予備力の現状なり、あるいは送電線の技術なり、いろいろの点で問題はあろうかと思いますけれども、やはり昭和五十年で少なくとも二千万トンというものは——それ以降におきましても、資源の枯渇とか、あるいは思わざる事故というふうな、やむを得ない事情によって減らざるを得ないというのが不幸にしてあった場合には、それはやむを得ませんが、そういうことがなければ、全体の伸びていくエネルギー需要の中で、その程度のものはやはり国産資源として備蓄的な意味もあるわけでございますから、極力これを維持したいというのが現在の考え方でございます。そういう意味におきまして、これは単に短期だけの問題ではなくて、長期の地域開発とも関連のある問題でございます。そういう見地から、大臣も、この問題は前向きに検討すべきであるという御指示でございます。石炭を担当しております私の立場としては、そういう見地から、省内において前向きの検討——これは長期的な課題だとは存じますけれども、ぜひ前向きの検討がなされることを期待いたしておるわけでございます。
  122. 相沢武彦

    ○相沢委員 もう一つ具体的にお尋ねしたいのですけれども、三井芦別炭鉱の山元に石炭専焼の火力発電を建設してほしいという要望等が出されておりますが、投資効率十五年、三十六万キロの発電で、年間最低八十万トンから百万トン必要だといった条件等も考え合わせて、三井芦別炭鉱の場合の採炭可能量、また炭質その他条件を考え合わせて、この場合に近い将来火力発電の建設に対して可能性があるかどうか、この点の検討ができていたら、ここで発表していただきたいと思います。
  123. 和田文夫

    ○和田説明員 具体的なお話を承っていませんので、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、特にこれから内陸部に石炭火力をつくる場合には、石炭火力発電所の耐用年数が十五年ないし二十年ございますので、その間継続して安定して石炭が供給できるかどうかということが一番の問題だろうと思います。それで、これを避けるために、たとえば重油混焼の設備にいたすことも可能ではございますが、そうなりますと、石炭がなくなったときに重油を相当長距離輸送せにゃならぬという問題もありますので、もう少し具体的に検討いたしませんと何とも申し上げられない。はなはだ申しわけございませんが、そういう感じがいたします。
  124. 相沢武彦

    ○相沢委員 はなはだたよりないお答えなんで、もう少し具体的に検討してみて、あとでけっこうですから、ひとつ資料等で説明に来ていただきたいと思うのです。  先ほど、住友二山閉山によるその後の企業進出の問題で政務次官からお話がありまして、近々有力な企業が進出できるのではないか、まあそこまで話が煮詰まってきたというお話であります。その場所は、三笠、歌志内の二市あるんですけれども、三笠のほうであろう、こう聞いておりますが、その点いかがですか。
  125. 青木慎三

    青木政府委員 候補地としては三笠だと聞いております。
  126. 相沢武彦

    ○相沢委員 住友二山のうち、三笠の場合は、北海道の中心である札幌から大体車で一時間十分もあれば行けるんじゃないかと思います。また、造成団地等も国道のすぐわきにありますし、そういった条件を考えますと、企業進出も非常にしやすい。もう一方の閉山の歌志内の場合は、行かれればわかりますように、山合いの非常に狭いところで、しかも国道から入ったところでありまして、まあなかなか通産省当局としても、企業に対してあそこへ行ってくれと無理押しのできかねる地域じゃないかと思うのです。また現在、現実に造成団地をやるだけの広さがない。つくるについては、それこそ山をくずして整地しなければならないということで、今後工業配置産炭地域振興公団ができて促進するにしても、歌志内の場合には企業進出が非常に無理だし、まあ行ったとしてもごく小規模なものしか行けないという立地条件、そういうことを考え合わせていわゆる石炭対策産炭地域振興対策考えなければならないと思うのです。ですから、ある程度政策によって、石炭も埋蔵量がある、採炭条件もある程度整っている、補助によっては機械化してもっともっと効率もあげられる、そういったところは石炭産業を続ける。あるいは、どうしても出した石炭の使用をしてもらえないということでだんだん行き詰まっているわけでありますが、そうしたならば、いろんな点での多少の補助は充てても現地において火力発電をつくって、それで電力をつくり、それを使用してもらうという点において産炭地を守っていく。また、もうすでに閉山になった、あるいは歌志内の場合は、もう一つ空知鉱ですか、炭鉱がまだ残っているわけでありまして、ここは中小の中でもかなり優秀なほうだと聞いておりますし、ここへ相当てこ入れをしていく。歌志内の場合はやはり炭鉱が残っているんだし、まだまだ採炭量等もあって、石炭産業としてやっていけるところ、こういったところはさらに石炭産業の規模を拡大して、そういったことによって労働力を吸収する、あるいは産炭地の疲弊を防ぐ、こういった個別の対策考えていかなきゃならないと思うのですが、空知鉱の将来について、その規模を拡大して炭量を増大させるお見通しがあるかどうか、その点おわかりでしたら伺っておきたいと思います。
  127. 青木慎三

    青木政府委員 個別の炭鉱の評価のことでございますので、私どものほうで明確に、保証すると言うわけにはまいりませんけれども、中小の山の中では、空知炭鉱というのは経理状況がよろしいほうに属しているというふうに聞いております。  そこで、もう一つのお尋ねの、山によってある程度差別をつけた政策補助をしたらどうかという御意見でございますが、これらの問題は、すべてを含めまして、対策として体制委員会のほうで検討していただくことにいたしたいと思います。
  128. 相沢武彦

    ○相沢委員 新鉱開発についてお尋ねしたいのですが、昨年五月の当委員会におきまして、細谷委員から、日鉄有明鉱の再開発についての質問がありまして、そのときの政府答弁では、四十三年四月の異常出水のため一時中止となっているけれども、四十六年五月の時点で、再開発のための設備投資計画あるいは操業計画等の具体案について最後の検討をしている、こういった答弁があったわけですが、その後、具体案ができて開発が進められるところまできているのかどうか。  それと同時に、北海道の夕張新鉱について、その後の進捗状況についてどうなっておりますか、あわせてお伺いしたいと思います。
  129. 青木慎三

    青木政府委員 まず、有明新鉱につきましては、四十三年四月に異常出水のために工事を中断して現在に至っておるわけでございます。それは御指摘のとおりでございます。その後、この再開につきましてはいろいろ技術的の問題もございますので、専門家のチームをつくりまして、開発の方法についていろいろ議論をしまして、一応開発は可能であるというような技術的な結論は出ていると聞いております。ただ、再開にあたりましては、従来やっておりました日鉄と、今度の新しい計画によりますと、三池のほうに炭をあげる計画になりますので、それに伴いまして三井鉱山が一枚かんで開発する、それにあわせまして、長期の需要確保の意味からいいましても、出てまいる炭の八五%は原料炭でございますので、鉄鋼業界の協力をも仰ぐというような形で、この日鉄、三井鉱山、それから鉄鋼業界、この三者の間で開発についていろいろ検討を進めている段階でございます。ただ、再開にあたりましては、現在の鉄鋼の不況の状況もございますので、三者の意見が必ずしもまだ一致して再開に踏み切るというところまでは至っていないというのが現状でございます。  それから、北炭の新鉱につきましては、大体四十八年度末出炭開始を目標に四十五年の十月から開発工事に着手しまして、現在、立て坑一本と斜坑二本の掘さくを進行中でございますが、その後当初計画以上の水が出てまいりまして、あるいはガス量が増大するというようなことがございまして工事が若干難航しておりまして、最初の計画よりも六カ月程度工事が遅延しているというのが現状でございます。したがいまして、出炭開始は四十八年度末よりずれまして、四十九年度にずれ込むという見通しでございます。
  130. 相沢武彦

    ○相沢委員 この二カ所ですね、当初計画から推定して、五十年度の出炭量はどのくらいに考えておりますか。
  131. 青木慎三

    青木政府委員 計画で申しますと、夕張新鉱が百五十万トンで、原料炭が九五%でございます。それから、有明新鉱のほうは百十万トンで、原料炭の比率は八五%という計画になっております。
  132. 相沢武彦

    ○相沢委員 五十年度出炭規模二千万トン程度を下らないということで決議が出たわけでございますが、四十六年度の出炭の内容を見ますと、露頭炭で二百五十万トン、雑炭で二百万トン、中小の坑内炭で六百万トン、大手が二千三百万トンということでありますが、雑炭の場合は、実態がはっきりしない、どう推移するかわからないという、非常に不安定な要素がありますが、先日の委員会での御答弁を聞いておりますと、こういった露頭炭も雑炭も含め、またさらに新鉱開発におけるところの出炭も含めて二千万トン程度考えているということは、非常にこれから閉山が出るところが出てくるということを憂慮するわけでありますけれども、この新鉱開発のほうもかなり予定が延びておるようでありますし、この点はもう一ぺん再検討して、少なくとも新鉱の分を除いてやはり五十年度の出炭規模というものを考え、それに、先日おっしゃったように、プラスアルファという点での政策をどこで線を切ってやるか、これからの詰めになると思うのですけれども、この新鉱の分も含めて二千万トン程度考えるのでは、これは産炭地は急速に閉山に追い込まれる。もう一ぺんこれは通産省としては考え直すべきだと思いますけれども、この点いかがですか。
  133. 青木慎三

    青木政府委員 有明新鉱と夕張新鉱でございますが、二つの新鉱の生産量を二千万トンの中に見込むかどうかということでございますが、この点につきましては、二千万トンの需要が確保できたとき、その需要に見合うその炭の出炭量だけではなくて、どこの地域から生産される山が残るか、あるいはどういうカロリーの炭が需要とミートするかというこまかい分析をしなければならないと思いますが、その辺は、現在新しい政策立案が事務当局のほうで作業中でございます。したがいまして、この新鉱のトン数をどういうふうに評価するかという点については、現在作業中でございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、簡単に言いますと、夕張新鉱の場合は、北炭の中で炭量がなくなりまして閉山する山と見合いの出炭になりますので、特別にこれだけがこぶになっているという感じではないと考えております。それから、有明新鉱の場合も、三池の全体の生産計画との総合的な運営になると思いますので、必ずしも、ここで百十万トンの出炭ができる場合に、供給が百十万トンふえるということにはならないように考えております。その辺の将来の見通しとあわせまして計画をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  134. 相沢武彦

    ○相沢委員 五十年度における出炭規模の問題、また産炭地振興の問題その他につきまして、二十四日にまた大臣にお尋ねしたいと思います。  本日は以上で終わります。
  135. 鬼木勝利

  136. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま提案されておりますこの鉱害復旧の問題等については、先日私が具体的に質問しまして、また同僚各位からも相当具体的に質問がされておりますので、そういう点を重複を避ける意味において、きょうはその法案等の問題については他日に譲ることにしたいと思っております。  実は、この間から私が田中通産大臣と話し合いをしたこと、あるいは本委員会で参考人として生産者側、大口需要家側を呼んでやったことも、これは局長、部長も出席して聞いておられたから御存じであろうと思うわけでございます。  ついては、世の中に、風前のともしびという話がありますが、いま炭鉱は実はそういう状態にあると思っております。そこで、いかにして石炭幾らかでも多く使わすようにするかという議論はずいぶんやられております。二千万トン以上どうして維持するかなどもずいぶん真剣に論争されておるわけですが、そこで私は局長、部長に伺いたいのは、石炭を二千万トン以上使わすようにするということを大口需要家に相当積極的に働きかけておられるし、われわれもそういう努力をしておるつもりでおるのですが、さて、大口需要家のほうから、あなた方は石炭をこれだけ使えということを相当強く要請されておるが、炭鉱生産者側が一体それだけの石炭を出炭して、われわれに需要に対してはだいじょうぶだということの保証をしてくれますかという意見が出れば、私は実は自信がないのですが、局長や部長は、もし大口需要家の方面からそういう意見が出てきたら、だいじょうぶです、より以上需要に応ずることができますというようなことの回答ができますか、どうですか、その見通しについてあなた方の決意をちょっと聞かしてください。
  137. 莊清

    莊政府委員 電力も鉄鋼も、量の問題と同時に、当然、取引条件と申しますか、品位なり価格についてのユーザーとしての希望というものをもちろん言っておるわけでございます。したがいまして、出炭を確保するためには、石炭鉱業の現状からいいまして、政府の助成なくして成り立つというふうには考えませんが、ユーザーが、出炭はだいじょうぶですかという場合に、かりに二千万トンユーザーが買うと確約した場合におきましても、価格の問題が同時にあるわけでございますから、やはりその点も含めまして、今後の対策の中で、供給ができ、かつ、それが需要者に引き取られ、実際に使用されるというための対策考えなければならない、これが体制委員会のこれからの政策を審議する場合の基本前提になっておるわけでございます。したがいまして、現在まだこれからの段階でございますから、具体的にこの場では申し上げられませんが、そういう姿勢で審議会で政策を練っていただきまして、それを実行することによってユーザーの心配がないような安定供給体制をとる、こういう筋道になるだろうと思います。
  138. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 政府のほうで、大体年々このくらい出炭が減じていくであろうというところの予定を立てておられるのですが、ところが、はるかにそれより、なだれ閉山ということでつぶれていく山のほうが多くなっているのだが、この点は、どういう点でそういうふうに政府で減産するであろうという予定よりより多くのなだれ閉山が出ているのか、この原因はどこにあるということでこれに対処しようとしておられるのですか。
  139. 莊清

    莊政府委員 昭和四十六年度におきまして六百万トンを若干上回る非常に大きな閉山が現に出たわけでございますが、これは常磐の水没とか、あるいは北海道の住友の事故というふうな、全く予想しなかった事故による閉山という不幸な事態がございまして、そのために、政府で予想しておった四十六年度の閉山規模というものを、この事故による閉山分だけは完全に上回ったわけでございます。それ以外の分についてはほぼ見通しの線であったわけでございます。ただ、過去からのずっと何年間かを通じて見ますと、まさに先生指摘のとおり、何年度においては約何千万トンの出炭及び消費規模という予測を立てまして石炭政策を進めてまいったわけでございますが、常にそれから下回っておりまして、第四次策で四十八年度の三千六百万トンという一応の見込みに対しまして、昭和四十七年度の実際の出炭需給計画というものは、約一千万トン下の二千七百五十万トンというところまでなっておるわけでございます。これは需要面を政府としても意欲的に若干見ておったという面もございましょうが、同時に、やはり対策が必ずしも十分でなくて、そのために経理の悪化もございますし、そういう過去の対策が必ずしも十分でないという結果としての閉山というものも事実あったことを否定することはできません。また、中には、自然条件が予想を上回って急に悪くなった、炭層の条件が悪くなってきた、見通しが悪かったということの閉山もある程度最近ではございますが、こういうものを除けば、やはりなるべく将来の需要というものを見通して、そしてその需要も、ただ出てきただけの需要ではなくて、ここまではぜひ確保したいという線については、それなりの、ユーザーも含めた、政府も入ったコンセンサスをきちんと固めまして、その上でそれの実現に必要な対策というものをまじめに積み上げる、こういうことでいかないと、幾らでもなだれ閉山になっていくのではないか、かように反省しております。
  140. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 予想以上にとめどなくなだれ閉山になって減産になっていくと思うのですが、それを食いとめてどうして維持していこうという、いわば前向きというか、そういうことについての具体的な対策はどういうふうにしてやろうとしておられるのですか。
  141. 莊清

    莊政府委員 この問題につきましては、一応二千万トンを下らないという水準を昭和五十年度及びそれ以降の出炭の目標にする、国民経済の中でそれだけはぜひ確保するという見地から、今後石炭鉱業審議会で総合的な御検討をいただくことにしておるわけでございます。関係の産業界等からは従来でもいろいろな要望というふうな形で出されておるものはございます。必ずしも煮詰めた形ではございませんが、端的な要望という形で出されておる項目もございます。それ以外にも、審議会では、やはり総合的な立場から、要望がなかったことについては検討しないというふうなことではございませんで、全般的な立場から、第三者も加えまして御検討をこれからいただくということでございます。
  142. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも局長、あなたの答弁では、私がいま質問しておることについて、具体的な歯どめ、前向きということについて少しも答えておられぬと思うのです。  それからまた、審議会とか、そういうところに、自分たちが困るとすぐ持っていって、そこを隠れみのにしてずるずるべったりにやっていくところに、問題がだんだん取り残されていってしまいつつあると思うのだが、いえば、政府にとって都合のいいときには審議会のなにを用いて、都合の悪いときには審議会の隠れみのに隠れようとする。それから、いいときには大いに自分らの手柄のように言われる。それは手柄のように言われてもいいのですけれども審議会だけに依存をされるというのは、私は、行政官庁として、そういう責任をもってやらなければならぬことについて何らの方針もない、無定見というか、そういうその日暮らしのようなことでやっておられるところに、私は石炭問題がだんだん取り残されてきてしまっておると思うのですが、この審議会というもののみに依存しないで、あなた方のところでみずからやらなければならぬ行政上の責任もあるのだから、そういうことについて、私がさっきから言っておることについて具体的な対策というものがあってしかるべきだと思うが、みずからそういう体制をつくるということをせないで、やはり審議会の答申に依存をしてのみやろう、それ以上は何もないといってわれわれはきめつけていいのですか。
  143. 莊清

    莊政府委員 石炭鉱業審議会、これは法律上の権威ある機構でもございまするし、第三者も含めまして、生産者、労働組合、それから石炭のユーザーの代表も全部入っておりまして、最も権威のある場でございますから、政府といたしましても、そういうところで、いろいろ立場は違いまするが、積極的な意見、前向きの意見をどんどん出していただいて、もちろん政府も事務当局として審議会に大いに関係しておるわけでございまするから、衆知を尽くしてそこで政策を考えるということは、これは当然のことであることはお認めいただけると存じます。その場合に通産省として、ただ人の意見を聞くだけでなくて、腹案を持っておるのかというお尋ねだと私は拝聴したわけでございますが、その点につきましては、従来からいろいろ懸案になっておる点が対策問題としてございますので、そういう問題について、現在通産省内部では、われわれ独自の立場でできる調査とか検討ということはもちろん努力しつつあるところでございます。
  144. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 以前からだんだん審議会等でも政府のほうに答申をしております。その答申の中に、石炭は国策の一つとして必要であるということがはっきりこの前の答申にも書かれて出てきているのですが、そうすれば、それを国策として具体的に解決をしていくのが、私は、行政官庁のその担当の責任と使命だと、こう思っておりますが、この私の考え方は違っていますか。
  145. 莊清

    莊政府委員 そのとおりでございます。
  146. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そのとおりと認められるなら、通産省としてこれに対する具体的な解決対策が必要なわけです。私がさっきから伺っておる、より以上のなだれ閉山で減産していくというものを、どのようにして食いとめていくかということについて私がさっきから伺っておるのだが、どうも具体的な考え方について答弁がないようでありますが、それらについてもう少し、私が得心のいくような、具体的な対策というものを当然持っておられるだろうと思うから、それをひとつ聞かしてください。
  147. 莊清

    莊政府委員 通産省の内部でもちろん、先ほど申し上げましたとおり、いろいろ指摘されておる問題等を中心に調査もし検討もしております。ただ、これらについてはまだ事務当局の素案という形での成案を得ておるわけでもございませんし、審議会の体制部会の委員各位の御意見というものも今後加えた形で、全体としての政策というものを検討されていくわけでございますので、現在のところ、ここで具体的にこれが政府方針であるというふうに申し上げる程度のものはまだ実はないわけでございます。
  148. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 これ以上私がそれを突っ込んでいくと、おまえもずいぶん意地の悪い質問をするじゃないかと思われるかもしれませんから、より以上突っ込んではいきませんが、結局のところ、私から言えば、大口需要家に炭価をもっと上げさすということもありましょう。しかし、これはなかなか困難でしょう。そうすれば、安定補給金を国から出して閉山を食いとめさせるようにしていこうということがあると思います。そうすれば、当然、さっきから同僚委員からも質問しておりましたように、やはり油の輸入関税によるいわゆる石炭特別会計、それらによるところの財源によって安定補給金の問題、あるいは炭鉱がつぶれないように食いとめていくという問題、そこらが私は大体当面やれるところの一つのまあまあの解決策だと思っておるのです。  そこで、そういうことについてもう少し具体的に、そういうことを解決して食いとめていくということについて何らかの議論をされて一つの安全対策を立てられたことはありますか。
  149. 青木慎三

    青木政府委員 対策につきましては、現在内部でいろいろわれわれの中で議論をしておるわけでございますが、これである程度いろいろな制度につきましてそれの及ぼす影響なり利害得失なりを分析しまして、審議会でいろいろな方の意見を聞きながらそれを固めていくという方向で私どもは政策をつくり上げてまいりたいというように考えておるわけでございます。  そこで、たとえば安定補給金というのを増額するのがいいのか、あるいは従来の石炭関係の政策は非常に複雑でございまして、たとえば事業団による近代化資金の貸し付けという制度を強化すればいいのか、あるいは従来の累積赤字をどう処理したらいいのか、いろいろな手段方法がたくさんございます。  で、いま手段を全部洗いましてその問題点を勉強しているという段階でございますので、事務当局としまして、この政策を重点にやるべきだとか、あるいはこれをこういうふうに改善するのだという成案を実は持っていないのが正直なところでございます。現在勉強中でございますので、それぞれのいろいろな対策について、これがいいか、あるいはこれを強化するか、あるいはこの制度をむしろなくして集約したほうがいいのかというような問題点について勉強している最中でございます。  以上でございます。
  150. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま安定補給のそういう貸し付け金等の問題について部長言われたわけですが、そうすると、いま御存じのように政府金融機関である開発銀行あるいは合理化事業団からの貸し金、これはもう各炭鉱から抵当を全部取って手一ぱい貸してしまって、もう貸す金が私は全然ないと思うのですが、それ以外に何か政府資金として融通されるものがあるか、あるいは炭鉱経営者側では、もう民間金融機関は炭鉱などは見向きもしない、これは一万円の金を借りることもできぬということから、政府の開発銀行と合理化事業団とに入れておる抵当を抜いてくれ、そうすれば三百万、四百万の民間金融機関から借りる信用状態が出てくるから、こういうせっぱ詰まった切々たる訴えが出ておるのですが、これはどのように政府のほうでは処理、解決をしてやろうとしておりますか。この問題はもう局長も部長も頭の痛くなるほどよく知っておられるわけですから、何らかこれについての処理対策の方法というものが考えられておると思うが、この点どうです。
  151. 青木慎三

    青木政府委員 いま先生指摘になりましたのは、いわゆる業界で申しております担保抜きの問題だと思います。この担保抜きにつきましては、業界からも非常に強い要望がございまして、私どものほうとしましては、昨年の十二月の石炭鉱業審議会の緊急対策として、政府が肩がわりした分についての担保抜きということの実現性を検討しろという課題がおりてまいりまして、それにつきましては、四月十二日に石炭鉱業審議会の資金経理部会というのを開きまして、肩がわりの進行に対応した担保抜きというところを検討いたしまして、極力この肩がわりの進行に見合う分だけでも可能な限り実現するということで、金融機関とも相談いたしまして、各企業ごとに問題を解明して、政府はこれを十分応援していくという策をとっておるわけでございます。  それから、根本問題としての完全肩がわりということによります担保抜きの問題につきましては、これは根本対策として今後の対策の非常に大きな課題の一つであると思います。で、完全肩がわりというかっこうで担保を抜くのがいいのか、あるいは第一次、第二次にやりましたような第三次肩がわりということを実施すべきであるのか、その利害得失その他につきまして現在われわれは勉強中でございます。それで、完全肩がわりというのに対します問題点の一つは、あまりにも手厚過ぎるという批判が一部にございますし、それから、完全肩がわりして抜かれた資産をもってはたしてその企業が石炭鉱業に再投資してくれるかどうかという問題も一つ残るわけでございます。そういうような問題点について現在勉強中ということで、現在の段階はそういうことでございます。
  152. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 お説教がましいことを言うわけじゃありませんが、炭鉱を優遇し過ぎるという意見があるというようなことをいま部長おっしゃったのですが、ところが、御存じのように、炭鉱は優遇されていないのです。優遇されていないから、政府石炭国策というものがないから、そこでだんだん、それこそさっき言った風前のともしびみたいになって、全く歩くにも歩けない、よちよちしておるという状態です。だから、だいじょうぶだという炭鉱は、私の知る限りにおいては、三つ四つはあるような気もしますけれども、現在ある炭鉱の中で三つ四つ以外の炭鉱というものは全くどうすることもできないということが、私は一番の大きな悩みだと思っておるのです。  そこで、政府機関に入れておる抵当を完全に抜けないということがあるなら、あるいはいま部長が言われたようなそういう段階的な点で、保証というか、あるいは借り入れ金ができるというか、そういう形が考えられておるとすれば、それはたいへんいい。前向きで検討されておると思いますので、その点には私も敬意を表するわけであります。それらの点について、いつごろまでにそういう段階的な信用、借り金のできるようなこと等を進められておるか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  153. 青木慎三

    青木政府委員 政府の肩がわりの進行に伴います担保抜きにつきましては、この間、一般論として資金経理部会で議論していただいたわけでございますが、必ずしも不可能ではないということで、むしろ個別ケースとして、銀行なり各炭鉱との間で、こういう案件についてこういうものをはずせるのではないかという具体的な案件を持ってきて、それを政府がバックアップするというようなかっこうで、個別にケース・バイ・ケースに解決していこうということになっておりますので、そのケースが出てまいりますれば、そのつど、いろいろ考えながら実行してまいりたいということでございます。
  154. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま政府機関の二つの金融機関に入れておる抵当をそのままにして、それ以外に炭鉱に一体まとまった金を借りる抵当物件がありましょうか。私の知る限りにおいては絶対にないと、私はここで明言をしていいのです。ようじで重箱のすみをほじくるという話もありますが、私はそれよりもっと貧弱だと思っている。だから、そういうことでいま炭鉱がどうすることもできないという融資の解決をそこに求められようとするなら、私はこれはもう問題にならぬと思う。だから、そうでなくて、政府の金融機関に入れておる抵当を完全に抜けないなら、ある程度抜いて、それを民間金融機関の保証抵当になり得るようにしてやる、あるいは政府みずからが何らかこの二つの金融機関というか、あるいはそれ以外に何か考えられるか、そこらでこのせっぱ詰まっておる金融の問題は解決されることを見出されない限りにおいては、私はその解決の処置はないと思うのです。  そこで、いま部長のおっしゃったようなこと等では、何回集まってもらって個別的にやられても、私は絶対にないとここで明言していいのですが、部長のところで個別的に呼んで抵当がまとまったら金を借りられるであろうという、そういう抵当保証があるということがあったら、ひとつ教えていただきたい。
  155. 青木慎三

    青木政府委員 現在どこの会社がどういう抵当をどういう金融機関に入れているかということを御説明することはできませんけれども、合理化事業団が取っておりますのは、ほぼほとんどが鉱業財団でございますので、それをそのまますぐ換価処分というのはむずかしいかと思っております。ただ、開銀が持っております債権に見合う担保というのが若干ございまして、これは開銀に対する政府の肩がわりが進行すれば、年々幾らかの担保のすき間が出てくるというように解せられますので、その辺を弾力的に運用することによって企業によっては若干の担保抜きが成立する可能性があると思います。  なお、これは緊急対策でございますので、本格的な対策ができるまで、ことし昭和四十七年度一年の企業の非常に苦しい資金繰りを幾らかでも助けようということでございますので、極力そういうケースを見つけて、幾らかでも企業の金融負担力をつけてやりたいというのが、私どものせっかくのねらいでございます。
  156. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 開発銀行が抵当を取り過ぎておるから、ひとつ取り過ぎておる点を、解除というか、そういう形で開発銀行がその取り過ぎた抵当を出して、それによって民間から借りられるようにするか、あるいはその取り過ぎておる抵当に開発銀行が上積みをして貸すようにするか、そうなれば私は一つの道がある、こう思うのです。そういう考え方でいま私が開発銀行が取り過ぎておるものについての二つの意見を出した。それらについてどうですか。金融の道がそこにある程度あるということが部長のところで満たされるという見通しがありますか。
  157. 青木慎三

    青木政府委員 まだ実際に具体的なケースが出てきておりませんけれども可能性はあり得ると思っております。
  158. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それじゃ、ひとつそれを貧者の一灯というか、とにかくそういうこと等で努力をしてもらえば、これはわりあいに、民間金融機関と違って政府の金融機関ですから、これを担当されておる局長、部長のところでそういう考え方でそこに一つの金融の道を満たしてやるということで努力をされれば、私は、それは当然その道が開けてくるであろう、こう思います。それじゃこの点はひとつそういうことに私も大いに期待をして、その努力の成果をできるだけ早くあげていただくように、これはお願いします。  それから、この前参考人を呼んだときであります。局長、部長もおられたのですからお聞きになっておられたと思うのですが、つまり、硫黄分の少ない一般炭と硫黄分のあるものとの混炭、それから輸入する強粘結と国内にある弱粘結との混炭、これはいずれも混炭をしてその成果があがっております。そこで、そういうこと等をやるのに、個々の事業家にまかしておいたのではこれはなかなか容易にやれぬから、そこで国が一つの出先機関をつくって、一手買い取りと一手販売というようなものの扱い方をしてやれば、この処理が非常にやりやすいのじゃないか。それから、硫黄分のない一般炭を輸入されるということも政府のほうではきめておるようですから、これがどの程度いつごろからそれを輸入されるということになるのか、それをひとつお聞かせ願いたいことと、それから家庭用石炭というものはもうほとんどなくなって、いずれもみんな生産用のいわば大口需要というもの、ほとんどそれであると言ってもいい今日の状態になっておるわけです。ですから、一手買い取り一手販売というものも非常にやりやすくなっておると思うのです。そこで、いまお話しましたいわゆるそういう混炭の技術、そういうものを成功さすためには、国の出先機関をつくって一手買い取り一手販売をしてやるということになると、そういう一つの技術的な成果をあげていくということにも有効なことになりますから、私がそういうことをこの前提案しましたから、おそらくそのことについても、局長や部長のところでも、いいとか悪いとかという検討もされたのじゃなかろうかと思いますが、そういうことについていかがでしょう。
  159. 莊清

    莊政府委員 混炭の問題につきましてはその必要性が非常にございますので、現在引き続き、海外の状況、それからユーザーとの間の話し合い等、石炭協会を中心に検討を実際続けております。まだ結論は出ておりませんが、主として電力用炭でございますが、この問題については、硫黄の問題の解決という点も含めまして実際的な検討を続けております。  そこで、一手買い取り販売の問題でございますが、先般の参考人の意見聴取の際にも重要な議題になったことは、十分承知いたしております。今回の体制委員会での石炭対策検討にあたりましては、体制問題といわれておる問題全体につきまして各委員にもいろいろな御意見があるようでございまして、重要な審議事項として予定されておりますので、当然、一手買い取り販売の問題も、それからその他のいわゆる一本化の問題等も、すべて審議会の場で議論されるわけでございますが、この一手買い取り販売会社の場合には、価格差の調整というふうな機能の問題も当然に相伴って出てまいるかと存じます。混炭の問題もございますが、そういう大きな政策とのからみ合いの問題もございますので、審議会でも重要な審議事項として考えております。御趣旨の点は私どもも心得ておりますので、一手販売会社をつくるということになるかどうかは別にいたしまして、前向きに検討いたします。
  160. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私がさっきから質問しております金融上の問題、これは全くもう炭鉱を存続させることができるかできないかというせっぱ詰まった問題であります。この金融処置をどうしてやるかということ、それからいま私が提案して質問しておるこの一手買い取り一手販売という処理の方法も、これもやはり一つの国策としての問題になりますから、事務当局で事務折衝の上だけではなかなか困難な点のあることを私も十分知ることができます。ですから、この次の本委員会に田中通産大臣も出席をされるということを聞いておりますから、その際私も、一段高い見地から、この石炭国策を解決するためにはこれが必要だ、それから、いまつぶれつつある、とめどもなくなだれ閉山になる、これを食いとめるためには、炭価問題、金融問題をこういうように解決しなければこれを解決することはできないぞということなどについて、田中通産大臣と十分ひとつこの解決策で論議をしなければならぬ、こう思っておるわけであります。そこで、田中通産大臣——まああの人も、石炭石油の問題はおれは専門家だと言っておられるけれども、あなた方のように直接責任を持ってやっておられるわけじゃありませんから、結局、局長、部長等がそれに応じて一つの答申というか、そういう意見を出されない限りにおいては、それこそ大臣の要領答弁だけになってしまうおそれがありますから、そこで私がさっきから伺っておるこの金融の問題と石炭の一手買い取り一手販売の解決の問題、こういう問題等について、それがいいとか悪いとか、あるいは伊藤の言っておるようなことあのままじゃいかぬが、こういうようにすればいいとかいうことについて、ひとつあなた方のところで案をつくって、それを大臣のものとして大臣がやれるように——やはり大蔵大臣との問題もありましょう、あるいはまた、閣議にはからなければならぬというようなこと等も、私は国策として当然起こってくるのじゃないかと思うから、そういう点についてひとつ大臣に十分その解決策について知恵を授けるというか、自信を持つようにやってもらいたい、こう思いますが、そのことをどうですかと聞くのもやぼくさいような気もしますけれども、これはひとつ大いに自信と勇気を持って、石炭国策を解決するためにはわれわれ局長と部長でやらなければならぬのだということでひとつやってもらうということについて、いま、いやわれわれはとてもやれぬ、あるいは、いやそれはやるよ、そういうことについてひとつ聞かしておいていただきたいと思います。これはこの次に私が大臣と論議をする上に——私は単に意地悪く質問するとかなんとか言っているのじゃないのです。何とかして石炭を国策として解決さすようにせなければならぬ。局長、部長が骨を折っておるから、それを何とか幾ぶんでもわれわれは助けてやらなければならぬ、いわば老婆心も含んで私は言っているのですから、その辺はひとつ誤解のないように、伊藤も大いに誠意をもってやってくれておるなという受け取り方で、ひとついまの私の最後のそれを一言お聞かせ願っておきたいと思います。
  161. 莊清

    莊政府委員 先ほども申し上げましたとおり、二千万トンを下らない安定出炭体制というものを固める、そのための総合対策ということが石炭審議会のこれからのきわめて大きな役目になってきておるわけでございまして、これから審議が本格的に始まるわけでございます。したがいまして、御指摘のございましたような問題について、先生の御趣旨というものはわれわれ事務当局としても誤りなく把握をしておるつもりでございますけれども、要は、一定財源の中でそれをいかなる方途でどう使うのが最も石炭産業の安定という点に寄与するかという見地から、いろいろな施策について総合的な判断の結果として施策がきまってくるわけでございます。御指摘のような、体制問題についての一つのお示しになりましたような販売機構の設立というふうな問題も、その場合、当然、審議会でも重要な審議事項になるわけでございます。ただ、大臣においても一般的なお考えは当然あるわけでございますけれども、恐縮でございますけれども、施策の中のある部分について、これはこの段階でもう問題にならぬとか、これは必ずするとかということを、大臣といえども、責任ある場で申し上げるほど、全体としての審議は、遺憾ながらまだその段階まではきておらないという点については、何とぞ御了承いただきたいと存じます。
  162. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 以上、局長、部長等に強く希望を申し上げておいて、次回に大臣がおいでになることになっていますから、その際この問題を十分お互いに審議し合って、解決策の一助となるように私も真剣に取り組んでいきたいと思っておりますから、局長、部長もそういうことでひとつ一そう努力をしてもらいたいということを要望して、私のきょうの質問をこれで終わります。
  163. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田代文久君。
  164. 田代文久

    ○田代委員 大臣がおればぐあいがいいのですけれども大臣がいまいないようですから、局長がおられるので、石炭の基本政策については十分通産省で討議されておりましょうし、おわかりになる範囲内で質問したいと思います。  私どもは、政府石炭政策をずっと見ておりますと、実際に政府石炭政策を持っておるかどうかということに疑問を感ずるのですね。端的に単純な言い方をしますと、政府石炭政策なんか持たない、全くその日暮らしにすぎないというような印象しか受けないですね。たとえば、宮澤前通産大臣は、結局、石炭について、ユーザーあっての石炭産業だというようなことを言い放しで消えていったのですね。結局、ユーザーと生産者、幾ら炭を掘り、またそれを幾ら使うという、その関係の中でやりくりがされておるのにすぎないのであって、これではだれでもできるのです。政府の必要も何もないと思うのです。しかし、どんなに困難にあっても、非常に有利な立場であれば、これはなおさら政策はとりいいのですけれども、どんなに困難にあっても国家が一つの政策を立てるということになれば、そういうその日暮らし的なものではならないし、また、宮澤前通産大臣が言ったような、そういう単純な言い方で突き放されたのでは、石炭鉱山で働いておる労働者、あるいはまた石炭の生産者、あるいは石炭の町で栄えてきた地域住民、自治体も、たまったものじゃないと思うのです。そういう中で、今度田中通産大臣になって、そうしてそういうことの反省の上でしょう、当然反省でなければならぬと思うのですが、そういうことではいかぬ、だから、少なくとも一たんそういう方針を立てるなら、昭和六十年代を仮定するならば、エネルギー総量の中でこの石炭産業なり石炭の進むべき位置づけ、いわゆる朝に夕に右に左にゆらぐというのでなくて、はっきり動かないそういう政策を立てねばならぬと言われて、私ども非常に信頼感と、これは非常にありがたいことだと思いましたけれども、具体的にどうされておるかが問題なわけですが、私はいまとにかく非常に失礼な言い方をしました。政府自身としては石炭政策というものはないのじゃないか、ただ需給関係を右に見、左に見て、そうしてそれに対してただその場限りの手を打っているのではないかという言い方をしたのですが、私のそういう失礼な言い方が正しいかどうか。正しくないとすれば、日本の石炭産業はこういう確固不動な方向でエネルギー政策の中の重要な一環として進むのだということをお知らせ願いたいと思うのですが、基本的な態度をまずお尋ねしたいと思います。
  165. 莊清

    莊政府委員 従来も政府といたしましては石炭対策について決して何もしなかったわけではないと考えておりまするが、結果として、コストアップの要因なり自然条件の悪化の程度というものが、遺憾ながら、従来のところ常に予想を上回るような結果になっておったことも事実でございますし、公害の問題が全国的な問題になってきたとか、あるいは石炭産業と全く無縁な理由によるもので、責任は企業には全くないと思いまするが、円の切り上げのために輸入炭の価格がますます安くなるというようなことで、全く内外ともに困難をきわめる事態が、常に政府見通しを上回る形で出てきたということは、率直に私ども反省をしておる点でございます。したがいまして、従来の対策考えておりました出炭の規模あるいは石炭の使用の規模というものにつきましても、結果としてはやや大き目のものになっており、その結果として政府対策のほうもどうしても広く薄くというふうな形に、結果としてはこれまた相なっておるというふうなことを申し上げなければならないと思うわけでございます。ただ、政府といたしましては、決して経済原則一本やりで、ユーザーの言いなりにしておればいいということではございませんし、たとえば今回の石炭鉱業審議会の場の議論一つとってみましても、ユーザーの言いなりというのは、言っておるだけの数字というのは、国の政策的な見地からはそれは認めらるべきではないという委員各位の御意見もございまするし、通産省といたしましても、これは生産部門も持っておりまするし、需要部門もかかえておるわけでございますが、次官、大臣まであげました通産省一本の思想としては、全く審議会の先生方の御意向と同じであったという点があるわけでございます。さらに、実際上のわれわれの姿勢といたしましても、今回の需要の問題一つとりましても、全国の三十五の火力発電所につきまして、約二カ月くらいかけまして可能な限りの徹底した調査、検討を行ないまして、ほんとうに石炭がたけないのか、いつまでならたけるのかということにつきましての突っ込んだ調査、検討を行なって、決して企業一辺倒とか、そういう姿勢は持たずに実はやっておるつもりでございます。今後におきましても、石炭といえどももちろんこれは国のエネルギーでございまするし、その結果というのは国民全体にやはり経済面、社会面でも影響がございまするし、石炭対策といえども、最終的にこれを負担するものはすべて国民でございまするから、そういうことは心得ておるつもりでございますけれども、これは同時に、国民全体の代表であるところの政府立場としては、長期的な見地から、ナショナルセキュリティーを確保するということが、長期的に見て国民全体の福祉につながるという判断に立ちまして、財源は無限というわけではないと思いますが、その範囲内で石炭対策というものは確立をはかるという姿勢で臨んでおるわけでございます。決してユーザーにすべてを放置して経済原則の前にすべてを投げ出すというふうな考え方はごうも持っておりません。この点を申し上げておきたいと思います。
  166. 田代文久

    ○田代委員 日本の産業の中で、非常に日本の資本主義なり生産が発展する中で占めた石炭産業の位置づけというものは、実に決定的な意味を持って日本の産業の発展をになったわけなんですけれども、現在これはいろいろ複雑な面から見て非常に困難に当面している。そういう当面をしている中ですきっとした政策を出すということは、非常に困難と思いますし、非常に苦慮されていると思う。その気持ちはわかりますけれども、やはりもうここまで言ったらこれはちょっと言い過ぎですが、こういう状況になっているこの石炭産業は、単なる石炭産業だけとしてはこれはもうエネルギー問題として解決できないのじゃないかと思うのです。ですから、さっきどなたかが質問されたときに、これはもう腹をきめてやらなければだめなんじゃないか、そういう段階じゃないかということを同僚議員は質問しておったようですが、事実そういうところまで来ているのじゃないかと思うのです。そういう点では、もうとにかくこうしなければだめだ、こうすることによって非常に希望が持てるのだという線を出すように腹を固めてこれは今後の政策を出していただきたいということを要望したいのです。  そこでお尋ねしますが、通産省としては四十七年度における石炭の需給見通し、これをどのようにきめておられますか、ちょっと説明していただきたい。
  167. 青木慎三

    青木政府委員 四十七年度の需給見通しといたしましては、総供給量を二千七百五十万トンと見ております。総供給のうち、原料炭が千三百八十万トン、それから無煙炭煽石が五十万トン、一般炭が千三百二十万トン、合計で二千七百五十万トンでございます。このほかに雑炭が百三十万トンばかりある見込みでございます。  需要のほうは全体で二千八百二十二万トンというふうに見ております。このうち、原料炭が千四百二万トン、無煙炭煽石が五十七万トン、一般炭が、精炭で千三百六十三万トン、このほかに雑炭百三十万トンを見込んでおります。この需給の差は貯炭減というふうに見ております。
  168. 田代文久

    ○田代委員 その供給の二千七百五十万トンですね、ところが、これはずっと昨年なり一昨年からの貯炭というやつがあるのじゃないですか。その関係を見なければ需給関係ははっきりしないのじゃないですか。
  169. 青木慎三

    青木政府委員 四十七年度の年度初めの貯炭は、八百一万トン見込んでおります。そのうち一般炭が、内数で六百五万トンでございます。以上のような需給がありまして、四十七年度末の貯炭は七百二十九万トンになりまして、そのうち一般炭は、内数で五百六十二万トンというふうに見込んでおります。
  170. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いまの需給関係ですね、いわゆる供給関係としては、貯炭も含めて三千五百五十一万トン、それから需要が二千八百二十二万トン、こういうことになるわけですね。そうすると、それの根拠、実際に供給はそれだけのものが確保される、それから需要は、必ず二千八百二十二万トンの需要というものが四十七年度において確保されるというその根拠、これはどういうことになりますか。事実こういうことにほんとうに間違いなくなるかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  171. 青木慎三

    青木政府委員 これは四十七年度におきます石炭の需給見通しでございますので、現段階においては私どもはこうなることと考えておりますが、年度半ばにおいてもう一ペン洗い直しをする予定でございます。ただ現在のところの展望といたしましてはこういう需給になるであろうということで、供給のほうは、各山ごとの生産計画の積み上げでございます。それから需要のほうは、これくらいのものがあるだろうということと同時に、大口の需要業界にはこれだけ引き取ってほしいという要請数量でもあります。需要業界のほうにもこういう要請をいたして、一応納得いただいているという数字でございます。
  172. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、この二千八百二十二万トンの需要については、鉄鋼あるいは電力、そういう大口その他については大体確保できるという数字だ、そういうことになっておるわけですね。
  173. 青木慎三

    青木政府委員 業界全体としてこれくらい引き取るという納得をいただいている数字でございます。ただ、途中生産が落ちましたりあるいは状況が変わりますと、見直しをしなければならぬと思いますが、現段階では、納得いただいている数字だというふうに御了解いただいていいかと思います。
  174. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、こういう需給見通し数字が出ておるわけですが、この数字がこういくとして、そういう目標から見て大体これだけの供給を達成する、あるいは需給等のバランスをとるということになりますと、やはり相当な閉山見込みあるいは出炭減見込みというようなことがあるんじゃないですか。その点どうですか。そういうことはないんですか。
  175. 青木慎三

    青木政府委員 この供給見込みの生産計画の中には、閉山量は二百七十万トン見込んでおります。
  176. 田代文久

    ○田代委員 そういう需給計画を立てておられるんですけれども、これがこの見込みどおりいくとして、これではやはり日本の石炭産業というのはもうしり細りにならざるを得ないですね。したがって、これは労働関係から言えば、炭鉱労働者が失業の方向へ非常に不安を感ずるというような問題が起こるわけなんですが、そのような問題は別として、そうすると、輸入炭量、これの見込みはどうですか。
  177. 青木慎三

    青木政府委員 四十七年度の輸入の見通しは、原料炭で四千八百七万トン見込んでおります。
  178. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、輸入炭は約五千万トンですね。これは将来円の切り上げなんかとの関係もありましょうけれども、需給関係を見て、将来の方向、大体輸入炭の傾向というものについては、ふえるのか、減るのか、減らすのか、そういう点の見通しをちょっと知らしていただきたいと思います。
  179. 青木慎三

    青木政府委員 この需給見通しは、年度ごとの需給見通しでございますので、将来の見通しを含んでおりません。ただ、実績等を比較してみますと、四十六年度の実績見通しでまいりますと、輸入炭が四千六百七十二万トンでございます。国内炭が四十六年度は千二百七十三万トンでございますので、輸入炭の比率は、若干絶対量でふえますけれども、比率では下がるということで、なるべく需要者に輸入を抑制していただいて、国内炭をたくさん使ってもらうということで協力を要請しております。
  180. 田代文久

    ○田代委員 では次に、鉱害関係法案と直接関係するのですが、お尋ねいたします。  今度の法案では、十年間に残存鉱害を全部なくするというプランになっておりますが、実際にこの計画によって十年間にほんとうにこの復旧が完了するということが言えるかどうか、また、かりにそれが目標どおりにいかずに残存するというようなことになった場合、また新しく出る鉱害に対する対策という点につきましては、どのようなお考えを持っておられますか。
  181. 莊清

    莊政府委員 十年間の鉱害復旧を考えます前提といたしまして、昭和四十四年度に、すでに発生済みの鉱害、それから今後の石炭の採掘に伴って新しく起こるであろう鉱害というものを全国的に通産省で調査をいたしました。それを把握した上で、十年間で全部を解決するという基本的な方針を固めたわけです。その当時の時価で、四十四年末で千三百億程度のものが残っております。今後の工事費、物価等も当然年々上がりますので、千三百八億円予算があれば工事が当然解決ができるということではございませんけれども、従来非常におくれておりました家屋の復旧等は、なるべく早い時期に繰り上げて行なうというふうな弾力的な逆用を含めまして、十年間でこれは十分に解決できる、また、今後におきましても全国的な鉱害の量の調査というものはやはり行ないまして、その正確な数字を把握した上で十年間で必ず全部片づける、間違いないようにいたします。
  182. 田代文久

    ○田代委員 非常に確信をもって、間違いのないようにということをおっしゃいましたが、非常にけっこうなことですけれども、いままでのあれからいって、実際にこの鉱害の被害者からいいますと、不安が非常に残っておるわけですね。私どもとしましては、やはりいま、太鼓判を押したような形で、十年間でとおっしゃいましたけれども、これは十年間で片づかぬじゃないか、片づかないというふうに思うわけですね。もしそういう場合に、鉱害が残るとか、新しく起こるとか、あるいは新鉱害がふえるというようなことになった場合には、どういう手を打たれますか。いまは、とにかく十年でなくなるとおっしゃるから、手を打つ必要はないということになりましょうけれども、被害者なり私どもとしては、とにかくそういうふうに楽観するわけにはいかないという点で、そこにやはり弾力性を持った見通し考えなければいけないし、その問題についての政府のお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  183. 莊清

    莊政府委員 石炭鉱業の実態から申しまして、次第に北海道に重点が移りつつあるというふうな事情もございます。北海道の場合には、原則として、地理的条件から申しまして、地盤沈下等起こる危険が非常に少ないわけでございます。主として鉱害は、従来も現在も九州地区でございますけれども、その九州地区でも、ようやく鉱害の安定期と申しますか、地盤沈下等が下げどまる時期に相当入ってまいりましたので、今後全国的に見ましておおむね三年程度を目途にすべての地域につきまして具体的な復旧基本計画というのをつくりまして、その復旧基本計画の中ですべて物件別に復旧の目標年次というのをきめるというふうに、法律制度の上でも、おるわけでございます。この目標年次というものは従来は定められておりませんで、今回の法律改正でそれを入れたわけでございます。その後におきましても、やはり予想よりも鉱害が上回って続発してくるということが、九州等において起こらないということは断言できません。したがいまして、これは定期的に国で全国的な鉱害の状況の調査というものを行ないまして、その計画の補正ということも行ないつつ、必ず十年の間で全部片づける、こういうふうにいたす所存でございます。
  184. 田代文久

    ○田代委員 そういう確信で、十年目にすかっと全部鉱害がなくなったというように、われわれの不安を解消してもらうように期待しまして、次に、今度の法案の中で特に産炭地の振興ということが非常に強く、以前よりは前進していることは、われわれこれを評価いたしますが、また、その中で、農地とか、いわゆる農業関係においても、これはずっと発展するようにすべきだというような、非常に正しい方向が打ち出されておりますが、そういう関係の中で、これはいつかも私ちょっと質問しましたが、国有林の問題ですね。全国的に産炭地の地方自治体の中に国有林というものが相当の面積あると思うのですが、この産炭地域における関係の国有林の調査はされておりますか。
  185. 中井富男

    ○中井説明員 産炭地域振興計画をつくります際に、都道府県あるいは地元の市町村等といろいろその地域の振興策につきまして御相談申し上げておりまして、かなり詳しい調査を毎年委託費等も出しながらやっておるわけでございます。その中におきまして、各市町村のいろんな計画等とからんで問題になってまいります国有林その他の関係、こういったものを一応把握はいたしておるつもりでございます。ただ、全国の問題その他になりますと、これは農林省とか、そういった主管の官庁の統計等によるほかはないと思います。
  186. 田代文久

    ○田代委員 これは法律が通産関係が主になって出ておりますけれども産炭地振興という問題になりますと、これは関係している各官庁、政府一体なんですから、これは通産関係ではない、これは農林省関係だというふうに分けられると迷惑すると思うのです。ですから、そういう問題が被害者なり関係自治体からあれば、これは一体となって対策を立ててもらわなければいけない。そして、きょう私どもが質問する場合、きょうは農林省なり営林署関係は来てないから答弁できませんというようなことじゃ困ると思うのです。そういう要望なり質問があったら、それは即時関係の省に自分みずからのこととして対処してもらって、そうして正しい結論が出るようにしていただく必要があると思うのですが、とにかく、ただいまの御答弁では、一応産炭地振興という原則からいって、関係地方自治体における国有林の調査なるものが把握できているということなんですが、具体的に筑豊なんかからもいろいろ陳情が来ておりまして、これは相当に典型的な——あそこに筑豊の山田という市があります。これはとにかく炭鉱ばかりで栄えた町で、現在全国一の、一万数千人しかいないような、市としては最小の、町でもあまり大きな町でないくらいに小さな町になっている。そこが何とかやりたいということで、考えてみたら、そういう国有林が相当ある。これを活用するならば、住宅とか営農とか、そういう点で非常に役立つという計画を立てておられるというようなことがある。これはこの山田だけではなくて、福岡県の嘉穂郡の、たとえば嘉穂町とかいうところもそういうあれが来ていまして、この資料を送ってきたりしておりますが、そういうところでも相当の国有林がある。これを払い下げてもらえば、いま言ったようなことで非常に産炭地の振興に役立つし、また、どうしても現在そういう手を打たなければ市としてはやれぬのだというような、せっぱ詰まった気持ちもあるようなんです。  この際に、嘉穂郡というところから言いますと、嘉穂郡の城山というところから十三ヘクタール、それからそれに隣接した笹尾とかいうような地域が六十七ヘクタールというように、相当の大きな国有林があって、これにナシを植えたりあるいはブドウ園にするというようなこと、あるいはその他の農耕関係に使いたい、こういうプランを持っておるというわけです。ところが、これがいままでなかなか払い下げができなかった。これはどうしても払い下げてもらいたい。ですから、これを払い下げることについて、この法律に基づいて、関係各省、通産省はもちろん、農林省あるいは大蔵省なんかでも、どうしても、産炭地振興の法案のたてまえからいっても、地方自治体が要望する方向を見きわめたりしてやるべきだということを、積極的に国有林の払い下げ問題を重大なテーマとして対処していただきたい。  地元の人は、この法案ができたということは知っていても、これをどんなにすれば払い下げてもらえるかということは、実際にはうといのです。だから、そういう場合において、産炭地を振興させたい、また、させなければならぬという立場からは、そのうとい地方自治体なり、また地域の住民の方々に対して、こうこうこうされればこれは払い下げできますよというふうに、上から誘導してもらうのが政治じゃないかと思うのですね。ですから、そういう点が幾らかやられておるように聞いておりますけれども、より積極的にこれはとにかくやっていただきたい。たとえば山田のいまの払い下げの問題でも、たとえば直方の営林署まではそういう話は来ておるけれども、九州全体を管轄する熊本の営林局にはまだ行ってないとか、それがまたその上の農林省なりには来ていないということで、そこでふん詰まりになってうまくいかないというような事情があるわけなんです。そういう場合には、親切に、こうしなさい、そうしたらこういうふうに払い下げできますよ、それによって、これができると地方自治体が相当振興のためには役立つというような積極的な働きかけを上からやっていただきたい、そういう姿勢を持っていただきたいということをまず要望したいのですが、その際に、この払い下げの価格ですね、これが高いので、なかなか地方も——御承知のように、産炭地の地方自治体というものは、赤字財政で四苦八苦しておるわけですから、そういう点で、ほんとうにほしいけれども、また払い下げるということがきまっても、価格が高いので手が出ないということで、たとえばいまの山田とか嘉穂郡のこの付近は、地場相場からいいますと大体坪五百円くらいだというのですね。ところが、実際に払い下げてもらったら、ずいぶん高いらしくて、手が出ない。だから、ただでくれればそれは一番いいのですけれども、ただでいただきたいということは言わないというのですね。地場のそういうような現在の相場からいいますと、坪五百円くらいで払い下げていただくということがはっきりすれば、無理してでもとにかく金をつくって払い下げてもらいたい、そして産炭地振興のそういう方向で役立たせていきたいという、非常に切実な要望が来ておるわけです。そうすると、この坪五百円見当の払い下げということはできるとか、できぬとかいうことは、いま御答弁できますか。
  187. 中井富男

    ○中井説明員 私ども、昨年の暮れに審議会から答申をいただきました産炭地振興計画によりまして、先ほど先生からも御指摘のございましたように、製造業の立地が非常に不適当なところにつきましては、農林でありますとか、通産でございますとか、そういったいろいろな、その土地に適したような産業を育成していくという大きな方針を立てておるわけでございます。そういう意味では、先ほど例示として御指摘のございました筑豊南部の農業開発につきましても、県とわれわれと共同いたしましていろいろと調査等もやっておるわけでございますが、その際、当然地元市町村等ともいろいろな御相談をいたしておりますけれども、国有林の払い下げにつきましては、別途やはり国有林の払い下げにからむ問題としての地元計画が必要になってまいります。その辺がややウイークな点があったようでありまして、私ども、昨年の暮れから、地元等に対しまして、地元の、直方営林署になりますけれども、直方営林署にきちっとした計画を出して十分な説明を行なうことが大切であるというような指導もやったわけでございます。御指摘のように、これからいろいろな地域開発を行ないます場合には、それに必要な国有財産の活用、これも大切な問題でございますので、われわれ従来からも地元といろいろ連絡をとりながら各省関係に協力を依頼申し上げておったわけでございますが、今後とも、われわれとしましては、そういった地域開発の観点から、一そう強力に協力依頼をしたいと思っております。  なお、価格の問題につきましては、国有財産の払い下げのいろいろな基準等もございますと思いますので、その辺のところを詰めてまいりませんと、私どものほうでは、いまの段階でできるだけ安く、地域開発に役立つようにということで、各省に協力の依頼を申し上げますけれども、値段の問題につきましてはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  188. 田代文久

    ○田代委員 大蔵省関係おられますか。——いない、じゃ、あれですが、いま言いましたように、五百円とか六百円とかということは、それはすぐ御答弁していただきたいということにはいかぬと思いますけれども、これは普通世間の国有林の一般の払い下げ価格ということで考えてもらっては困ると思うんです。これは当然のことですけれども産炭地をとにかく振興させるというこの大義名分が大きな原則として出ておりますから、したがって、一般の場合には八百円でも、産炭地においては五百円にするというような手を打つのが正しいんじゃないかと私は思うんですよ。まして、地元のほうはそういう無理は言っていないんで、その地域の地場相場でもいいんだというようなことを言っておられますから、その点は十分考えていただいて、関係各省ともよく折衝していただいて、それで地元の要望に沿うように努力していただきたいということをお願いしておきます。  時間の関係がありますから次に入りたいと思うんですけれども、この前のときに相沢議員が質問されたと思うのですが、北海道において閉山が相次いでそして炭鉱の失業者が非常にふえてきている、しかも就職がまだできない相当数の方がおられるというような問題。北海道におけるそういう失業対策、あるいは福岡県なんかでやっております緊就というやつですね、緊急就労事業、あるいは開就といわれるやつ、こういう緊就とか開就とかいう失対事業について、北海道の事情はどのようになっておりますか。
  189. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 炭鉱離職者対策につきましては、先生御承知のように、求職手帳を出しまして、それで手当を差し上げて、その間に職業訓練とか職業紹介とか、いろいろな手当てをしまして、そして安定した雇用についていただく、こういうたてまえになっております。そういうたてまえになりましたのは、御承知のように、三十八年におきます炭鉱離職者臨時措置法によってそういうたてまえになったわけでございます。それ以後、緊就事業につきましては、新規に入れないというかっこうになっております。したがって、新規に出てまいられます炭鉱離職者につきましては、先ほど申しました手厚いいろいろな援護対策を講じながら、職業紹介等を通じまして安定した雇用についていただく、こういうことになっておりまして、現在、緊就事業につきましては、三十八年現在において実施しておられます地域において実施いたしております。したがって、当時北海道は実施されておられませんでしたので、現在も実施をいたしていない、こういう事情になっております。それから、その後、そういった炭鉱離職者の対策が、手帳制度を中心とした対策と関連いたしまして、その産炭地域において、そこの地域の振興をはかりながら、暫定的な雇用の場をつくり出すという意味において、産炭地開就事業というものが最近できたわけでございますが、これは現時点におきましては、特にこれまでの閉山の状態が、九州、特に福岡を中心にして大量に離職者が出てこられまして、関連産業等も相当な離職者が出られて、滞留の状態があるというような判断から、そういう地域に現在行なわれております。したがって、私どものほうから見ますと、北海道地域においてはまだそういった滞留の状況というものが、筑豊等から比べますと、必ずしもそこまではいっていないというようなことが一つと、それからもう一つは、北海道地域は積雪寒冷地域でございますので、年間を通じて十分なそういう事業があるかどうかという技術的な問題もございまして、いま申し上げましたような事情で北海道地域においては現在実施しておられません。
  190. 田代文久

    ○田代委員 ただいま御説明でございましたけれども、年間の事業として仕事があるかどうかと、これは結局くふうの問題じゃないのですか。幾ら雪が降ったって、実際仕事があると思いますよ。基本的にはこれは、そういう失業者で非常に食うことに困っておられる方々を、やっぱり社会保障の観点からもこれは救済するという大眼目がありますから、一年じゅう北海道は寒いから、雪があるから仕事がないなんということで片づけられてはいかぬと思いますね。それから、開就というようなことで、福岡あるいはその他の地域のように失業者の滞留ということが北海道においてはまだ少ないからというようなふうに承ったんですけれども、もうすでに滞留ということは相当始まっているんじゃないかと思うんですよ。であれば、これはやはり当然早く、そういう失業してほんとに気の毒な労働者の方に対して、とにもかくにも食いつなぐためにでも、そういう窓をあけてやるという親心を持つべきだと、このように思うわけです。北海道がその点で非常に除外されるということ、これは歴史的なものもありましょう。けれども、これはやっぱり私どもとしては非常に不十分じゃないかと思うんです。  それとの関連で、福岡その他の地域、常磐あたりもそうですけれども、緊就、開就のこのワクですね、これをもう少し広げる必要があるんじゃないか。非常に希望者が多いけれども、これはとにかくワクをふやさない。それから単価が安くて、なぜもう少し単価を上げてくれないか。単価を上げるということは、これは地方自治体にとりましても非常にやはり大事なことなんで、地方自治体としてもやはりこの単価を上げてほしいという切実な要望があるわけです。その点についてひとつお答えいただきたいと思うんです。
  191. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 緊就事業につきましては、先ほど申し上げましたように、新規に入ってまいりませんから、ワクの拡大ということよりも、むしろ、就職されたりあるいは年をとってやめていかれるということでワクが小さくなってまいるわけでございます。ただ私どもは、四十七年度の予算では、現在参議院で御審議いただいておるわけでございますけれども、三千四百人のワクを確保しております。現在就労していただいております方の数からいいますと、十分対処できると私ども考えております。単価のほうは、三千百円から三千四百円、三百円アップいたしまして予定を組んでおります。     〔委員長退席、相沢委員長代理着席〕 それから産炭地開就事業のほうは、三千二百人のワクでございます。これは四十六年と同じでございます。これはいろいろ事情がありますが、私どもも、この三千二百人で、いろいろ御希望がございましてワクの拡大には努力いたしましたけれども、こういうような事情で、まあまあやっていけるのではないかというふうに感じておりますが、特に単価のほうの御希望も強かったので、むしろそちらのほうに重点を置きまして、五千円を四十七年度の予算で五千六百円、六百円上げまして予算を組んでおるわけでございます。
  192. 田代文久

    ○田代委員 あと一、二点で終わりますが、そういう事業を含めた公共事業の労務費ですね、労務費が、福岡県の場合、全国的なあれから非常に安いですね。これはなぜか、私は非常に疑問に思うんですね。たとえば四十六年のこの資料によりますと、広島なんかと比べて——四十七年のあれでも、広島の公共事業の労務費の単価というのが二千八十円なのに、福岡は千八百三十円。大阪なんかは二千六百八十円で、はるかに高い。これは大都会ですから、高いのは当然ですが、岡山なんかもやっぱり広島並みの二千八十円なのに、福岡は千八百三十円。それから北海道が二千四百八十円なのに、福岡は千八百三十円というふうに、非常に安いですね。福岡は、都市関係から見るならば、政令都市が二つもある。東西南北、非常にそういう産業が発達した地域なのに、なぜこのように公共事業における労務費の単価が安いかということですね。これはどういうわけですか。非常に安いのです。当然これは上げなければいかぬと私は思うのですが、大体上げるような形になっているのかどうか、その点の御答弁を願いたいと思うのです。
  193. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 公共事業の賃金は、失対賃金と違いまして、労使でお話し合っておきめいただく、こういうのが原則になっております。ただ現在、運輸省、建設省、農林省、この三省で、この公共事業の設計にあたっての労務費の一つの基準というものをお示しになるようでございますけれども、そういうのが一つの準拠になっておるのではないかと思います。これについては私ども労働省はタッチいたしておりませんが、基本的には、その三省で相当の数の調査をやられまして、それによってきめておられるように聞いております。やはり現実的にはそこの地場のいろいろな事情が反映しているのじゃないか、こういうふうに考えております。
  194. 田代文久

    ○田代委員 まだ聞きたいのですけれども、時間が長くなりましたから、終わります。
  195. 相沢武彦

    ○相沢委員長代理 続いて、岡田利春君。
  196. 岡田利春

    ○岡田委員 きょうは時間がありませんから、数点にしぼってだけ質問いたします。  初めに、本法案関係のある問題で、先ほど詰めて議論が行なわれた産炭地振興法十一条の改正についてですが、これは制度的にいえば、今年の予算は去年の実績分に対してそれぞれの地方自治団体にこの補助金が出されるわけです。昭和四十七年度の実績に対しては四十八年度支給されるわけです。したがって、十一条の改正は、今年の適当な臨時国会もしくは来年度間に合うように通常国会で必ず検討し、その結果を法改正をするということは約束できますか、できませんか。
  197. 莊清

    莊政府委員 私ども通産省といたしましては、ぜひ四十七年度当初からこれを改正したいという気持ちで予算折衝に臨んだわけでございます。不幸にして力足らず実現することができなかったわけでございます。そこで、大蔵大臣と通産大臣との予算の閣僚折衝の場合に、通産省で十項目程度重要事項が大臣間で議論されたわけでございますが、その中にこの問題が入りまして、引き続き検討をする、通産省といたしましては、これはもちろん前向きに実現するという方向で検討するということであるというふうに了承をいたしております。ただ、公共事業費というのは、各省の予算、道路とかその他関連のあることでもございまするし、政府内部での主務官庁というのは予算当局になるわけでございますので、時期についてまで私この場で直ちに必ずということは申し上げられません。通産省としては、可能な限りなるべく早い時期にという気持ちでおることだけは、はっきり申し上げたいと思います。
  198. 岡田利春

    ○岡田委員 この点、二十四日に本法案について一応どうするかという日程がありますから、ここまで二度にわたって詰めておる議論でありますので、通産大臣委員会に出席するでしょうし、相当確たるものがないとするならば、議員修正をわれわれは提案せざるを得ないと判断をいたしておるわけです。したがって、この点については次の委員会までの間に明確な回答が出るように、この点強く指摘をしておきたいと思います。     〔相沢委員長代理退席、委員長着席〕  次に、これはもう簡単に答弁願いたいのですが、第四次政策は失敗したと思っておるかどうか。私は第四次政策は明らかな失敗であり、この第四次政策の審議に当たった一員としてその責任を痛感いたしておりますけれども、いかがですか。
  199. 莊清

    莊政府委員 出炭の目標数字というものについては、なるほどかなりな下回った結果が出ておるわけでありまするが、もしも第四次策なかりせば、すでに石炭産業というのは全山閉山しておったのではないかと思います。そういう意味におきまして、今後しっかりした対策を講じて石炭産業を安定させるということが、やはり政府として一番大事なことでございまして、これは完全な全部の失敗というふうには実は政府としては考えておりません。
  200. 岡田利春

    ○岡田委員 昭和四十八年に三千六百万トン程度、労働者数は十一万人程度ということで第四次政策が組まれたわけです。結果、労働者は五万を割り、出炭は二千七百万トン台に大きく落ちて、しかも三年間で二千万トンの閉山が行なわれた。このことは、やはり石炭政策の基本は何であるのかということを考える場合に、これは当然失敗だといえるのではないのか。大なだれ議論というものをやりましたけれども、何ぼいったら一体大なだれなのか。政府は、大なだれではないと抗弁してきた。われわれは、このなだれは続くだろう、大々なだれになるだろうということを指摘した。そのとおりに全部なっているわけです。私は、そういう趣旨からいって、これは明らかに失敗であるということになると思うのですが、いかがですか。第四次政策があるないの問題ではないわけです。第四次政策の目ざしたものに到達できなければ、当然失敗であるということはすなおに認めていいのではないか。それとも政府は、第四次政策は石炭の撤退論であったから、一応二千七百万トン程度までは維持をしておるし、基本的な石炭の総撤退方向を目ざしたものであるから、その限りにおいては失敗ではないというならば別です。いかがですか。
  201. 莊清

    莊政府委員 四次策そのものが石炭の総撤退を目ざしたものでないということは、もう申し上げるまでもないことでございます。ただ、先ほども私御答弁申し上げましたが、政府見通しというものがいろいろな点において結果として見込み違いになっておった、予算措置その他も広く薄く、効果の薄いという面が事実あったという点は、率直に反省をいたしております。この四次策での経験というものは、今後ぜひこれを活用いたしまして、前向きに政策を今後は充実するという努力をいたしたいと思います。
  202. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、少なくとも権威ある審議会の議を経て練りに練った計画でこれだけの差の出る計画というのは、幾らいまの政府の計画がずさんとはいえ、他に類例がないということだけは言えるのではないか、こう実は思っておるわけなんです。  そこで、第二点の問題ですが、現在石炭需給の見通しについて非常に問題が提起をされておるわけです。私は西ドイツで関係者とも数回にわたっていろいろ話し合いしたこともございますけれども、西ドイツの石炭関係者は、日本の政策に対してある程度注目をしております。日本もまた、西ドイツの石炭政策に対して注目をしております。そういう関係にあり、ヨーロッパ三国の場合も、一応民間体制でやっておるのは西ドイツでありますから、当然西ドイツの政策というものがわが国の私企業石炭体制の中では最も注目されなければならない政策であるわけです。そういう角度から、西ドイツの需給対策は、私の把握ではこのようになっておると思いますが、このとおり認識をしているかどうかということだけを返事をいただけばいいわけです。  燃料油消費税、重質油二千五百円・トン、軽質油千円・トン、これをことし、来年、二年重質油に限って五百円ずつ引き下げをする。油の値段も上がってまいりましたから、こういう政策をことし、来年、二年間にやる。電力用炭二法に基づいて公共発電における使用燃料の五〇%の石炭使用を義務づけている。新設石炭火力建設に対する税制上の恩典として、建設費の四五%を準備金に繰り入れている。電力用炭に対する重油との価格差補給金は大体トン千円から千五百円補給している。輸入石炭、これはおもに原料炭ですが、輸入石炭に対する関税割り当て制、七百二十万トンをこえる数量に対してはトン千六百円の関税を割り当てている。そういう需給確保対策をとりながら、財源確保し、価格差の調整をする。こういう政策をとっているわけです。これはこのとおりに認識は一致いたしますか。
  203. 青木慎三

    青木政府委員 ただいま手元に精密な資料はございませんので明確にお答えできませんが、おおむねそのとおりだと思います。
  204. 岡田利春

    ○岡田委員 原料炭の輸入炭と、わが国の鉄鋼あるいはガス会社が引き取っている原料炭の価格の差、先般のあれでは、五百円補給して千三百円、しかし、円切り上げ後さらに広がりつつある、こう言われているわけです。ですから、この点をまずわれわれは西ドイツの場合と比較いたしますと、もし関税を賦課するという同じような観点に立った場合、国内出炭量、これに見合う分は無関税、それ以上に関税を課するドイツ方式でやれば、これは別にそう問題ではなくなってくるのではないのかという一つの視点がある。当然、原料炭でも二種類ありますから、内容はさらに検討しなければなりませんけれども、そういう見方がある。一方、電力の場合には、わが国は油のダンピング市場でありましたけれども、七〇年代は徐々に国際価格に統一されてきているわけです。四十五年には重油のカロリー当たりは六十一銭一厘、四十六年には七十八銭、四十七年にはまだ若干上がるでありましょう。公害規制もきびしくなってまいりますから、当然価格というものは上がってまいるわけです。そして北海道、九州の産炭地と揚げ地を比較いたしますと、油の七十八銭に対して、石炭は、北海道の場合四十九銭五厘、九州は七十八銭に対して六十二銭八厘、揚げ地の場合には七十八銭に対して八十八銭、ここまで縮まってきている。もちろん、炭鉱には別に補助金は出しておりますけれども、価格の面で見ればここまで縮まってきていると言うことができると思うのですが、こういう数字の理解は一致いたしますか。
  205. 青木慎三

    青木政府委員 私の手元にあります資料で見ますと、四十六年度上期で見ますと、北電でカロリー当たり石炭が四十九銭、重油が八十銭、それから九電で石炭が六十七銭、重油が六十九銭、揚げ地平均で見ますと、石炭が九十四銭、重油が七十二銭となっておりますが、これは時期のとり方等で若干の差があると思いますが、おおむね大体一致する数字だと思います。
  206. 岡田利春

    ○岡田委員 産炭地の油の価格というのは、揚げ地と同じように、たとえば北海道でいえば、苫小牧で見た場合、もちろん、内陸へ運べば高くなります。九州の場合も同様でありますが、そういうとり方で揚げ地と同じ条件で油の価格をとってみても、産炭地の場合の価格は安いのだ。もちろん石炭にはデメリットがございます。ございますけれども、ここまでくると、やはりこれからの石炭政策には従来の第四次政策の発想を転換させなければならないのではないか、こう私は思うわけです。いわば従来の政策は、国内の資源を確保しつつ産炭地経済の安定をはかっていくという面がやはり非常に大きな柱であったろうと私は思うわけです。そしてこの場合も社会摩擦をできるだけ解消するという点がウエートが高かったと思うのです。しかし、第五次政策の柱は、私は、国際的に今日エネルギーが不足の傾向があり、価格の高騰の傾向も慢性的に続いてまいるわけでありますから、そういう意味でいま各国ともエネルギー政策の転換期に立たされておるし、転換の方向をいま求めておる。ということは、最も豊富なエネルギーを持っているアメリカでさえもその政策の転換を迫られつつあるわけです。そういう国際環境の中では、資源の確保の国際的な連帯性と、特に経済成長が最も早い資源多消費型の世界第一のエネルギー消費国、輸入消費国である日本として、国際的な信義を考えなければならぬ。ここまでくると、国内資源の積極的な確保考えなければならないと同時に、従来の、経済の振興、安定を考えていく、ここから次の第五次政策を発想する時期である、こう視点を定め、石炭の位置づけを考えるべきだと思いますけれども、この基本についてはいかがですか。
  207. 莊清

    莊政府委員 OPECの原油値上げ等を契機にいたしまして、世界のエネルギーというのは、六〇年代と変わりまして、七〇年代以降は高価格時代に入るだろうというのが、次第に一般的な見方になりつつある点は、先生指摘のとおりでございます。他方、わが国石炭産業も、自然条件も、相当長期の間に、国際水準よりもやはり非常に深いところを掘るとか、炭層がますます薄くなるとかいうふうな、国際的に見て困難な条件がふえてまいっておる。片一方、経済の成長の中で賃金の上昇ということも、石炭だけが低いというわけにはいかないという困難な事情等も他方またございます。これらは総合的に考え合わせるべき事項だとは存じますが、やはりわが国が圧倒的に石油に依存しておるということは事実でございますので、別途のきわめて安定、低廉な第三のエネルギーが確立すればまた話は別でございますけれども、少なくともここ当分の間、国内にある石炭というのは、ヨーロッパ各国でも可能な限度でこれは極力維持するという政策が現にあるようでございます。わが国の場合にも、基本的な認識として、いまお話がございましたように、私もそういうふうに考えております。
  208. 岡田利春

    ○岡田委員 わが国に入ってきている、国内原油と同じサルファ〇・一%のインドネシアミナスをはじめとする各種原油の価格は、ここ約半年の間、昨年の暮れから今日まで何%上昇しておりますか。
  209. 莊清

    莊政府委員 二億キロリットルほど輸入されております原油の総平均で申し上げますが、OPECの値上げ前に比べまして、積み地のFOBで約四〇%の値上がりでございます。十二月に大幅な円切り上げがありましたので、現在のCIF日本価格で円三百八円レートで換算いたしまして、OPECの値上げ前に比べまして約二〇%の値上がりでございます。この中でも、インドネシア等のものはFOB価格で約五〇%値上がりしておりますので、CIFでは二割をはるかにこえております。
  210. 岡田利春

    ○岡田委員 これをC重油として国内に転嫁しておる値上げ分は大体六〇%になっているのではなかろうか、私はこう見ておるわけです。最近特に、一三・六%一方的な通告で値上げをする、これに対して手の打ちようがないというのが現状であります。ですから、円切り上げで、別にいまの段階ではまだ、最大の消費企業である電力の重油価格が引き下がっておるのではないわけですね。もうそれ以前にすでに上げておりますから、下がった分はもう前の赤字は帳消しだと精製会社は言っているわけでありますから、国内の最大の消費企業である電力からいえば、上がったものはそのままストレートでほとんど転嫁をされているということが言えるのではないかと思うわけです。  そこで私は、そういう情勢の中で、第五次政策をどこから発想するかということが一体きめられておるのかどうか、そういう議論が真剣になされておるのかどうか。いわば技術論で議論しているのか、ある一定の要件を積み重ねて議論をしているのか、そういう方向でいま体制委員会は第五次政策の審議をしているのか。少なくとも事務当局としては、第五次政策の作成にあたって、どういう基本的な方針議論を進めているのか。この点、私どもはずいぶんいろいろな資料を見ておりますけれども、別にそういう考え方というものを出されていないわけです。石炭が困るから、石炭が危機だからやるんだという程度考えではないかと思うのですが、この点は何か明確な視点を定められて第五次政策を出されておるかどうか、伺っておきたいと思います。
  211. 莊清

    莊政府委員 石炭鉱業審議会の体制部会の中立委員先生方の場で、相当突っ込んだいろいろな意見交換、討議が行なわれたわけでございますが、その中で、いわゆる価格差の問題、世界のエネルギー価格の上昇を全般としてどう見るかというふうな点について、もちろん検討がなされたわけでございます。そして、ユーザーの言っておる千五百万トンということにこだわってはやはり正しくないという認識というものも、そういう審議と、それ以外の事項もいろいろ審議しておりますから、全体の結果として出たわけでございます。いま御指摘のございましたような、将来の全体のエネルギーコストの中でも見る、こういう視点からも、千五百万トンだけで考えるのはおかしいという議論が出てきたことは事実でございます。
  212. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、もしイギリス、ドイツ、フランスの三国が、わが国と同じような鋭角的なスクラップ方式をとっていたら、世界の石炭需給事情は一体どうなっていただろうかという点についても考えてみなければならない重大な時期に来ているのではないかと判断をするわけです。すでにオーストラリアの原料炭は、一部イギリスでは輸入を始めておるわけです。もしこの三国の石炭が日本のようになだれ現象で閉山を続けていくという仮設を立てれば、アメリカの原料炭を持ってくるのは、ヨーロッパのほうが近いし、船舶も大型化できるわけです。日本の場合は、これはパナマ運河で大体六千トン程度の船に制限をされるという地理的な制約があるわけです。だから、ヨーロッパの各国が苦労しながら今日一億四千万トンとか一億一千万トンとか石炭確保していることによって、わが国が、国際的に石炭の需給事情の面から見れば安い、ある程度価格の面についてヨーロッパと競合しないで、米炭、カナダ炭、豪州炭を確保することができる条件にあるということは、一面言えるのではないかと私は思うのですが、そういう見解についてはいかがですか。
  213. 青木慎三

    青木政府委員 御指摘の点は、そう言えると私ども考えます。
  214. 岡田利春

    ○岡田委員 そこで私は原料炭というものについて考えてみたいのですが、いままでの第四次政策までの間、原料炭はとにかく鉄鋼ユーザーとして引き取るという原則が明確に確立をされ、何回も確認をされて今日までの政策に至っている、こう私どもは受けとめておるわけです。そして先般中間答申がなされて、原料炭確保という点について鉄鋼業界からも要請があって、原料炭へ傾斜する政策を確立したということも、これはよく認識されておるところだと思うわけです。  私は、さらに、わが国の原料炭の需要が停滞あるいは減少していくというならば、ここではある程度の調整をしなければならぬと思うのですが、去年とことしと比較して、貯炭も多うございましたから、ことしの引き取り分は五千万トンを若干落ちるぐらいだ。しかし、やはり契約内容を見れば、七千五百万トン程度の一応の量のうち八〇%、七〇%程度は長期契約をいたしておるわけでありますから、伸び方は別にしましても、これから原料炭の需要はふえていくことだけは間違いないわけですよ。そういう中で、無関税方式で、しかも従来の政策の立て方は、原料炭は引き取るのだという原則が一貫して流れてきておったのでありますから、そういう意味では、原料炭の位置づけというものは、政策の流れからいってそうむずかしいことではないのではないか。いやしかし、私企業だから、うんと言わなければ引き取らないというならば、やむを得ず関税をある部分にうんとかけて、価格を調整してもいいわけです。これも政策ですよ。それがいやなら、ある一定の量の原料炭は引き取る。いずれを選択するかという決断をしなければ、政策は立たぬのではないか、需要確保の面のぴちっとしたものは出てこないのではないか。原料炭について言えば、私はそう思うわけです。  一般炭について言えば、昭和四十八年度に電力で二千万トンの石炭をたくというのが第四次政策の柱であった。それが今日くずれて、五十年には、九電力では、北海道電力の二百二十万トン程度だというユーザー側の希望が出てまいったわけでありますけれども、これは単に公害問題からくる環境の変化ということだけではないし、これはすりかえられてはならないと私は思うわけです。もし価格差の問題が問題であるとするならば、私はこれは政策で調整でき得る態勢に入ってきたと思うのです。原油が五千円を割るようなダンピング時代とは違うわけでありますから、これは西ドイツと同一の政策をとれば、直接重油の消費税をかけるのですから、少なくとも千円かければ、重油価格は半分ですから、フィフティー・フィフティーに見ても、五百円という価格は調整されるわけです。大体納めている石炭で換算してみますと、揚げ地でカロリー価格差で見れば五百三十四円くらいでしょう。そうすると、これは調整できるわけです。  ですから、そういうぐあいに考えてまいりますと、やはりいままでの政策の立て方が常に不安定であって、初めは、話し合いがついてこれだけは引き取る、そしてこれ以上の場合には、負担増対策として政府がささえるということであったけれども、やはり時間が推移してくると、安定供給がなかなか成り立たないというようなことで、一方的に需要の面が減らされる。だから、いつまでたっても不安定だと思うのです。第五次政策は安定性をとるとするならば、当然そういう点の措置をしなければ、石炭政策というものは安定しないのではないか。いわば第四次政策までの発想転換をしないと第五次政策が成り立たないし、石炭の安定というものは成り立っていかないというのが私の意見なわけです。これは意見でありますけれども、そういうものごとの考え方について、あるいは第四次政策まで基本としてとってきた原料炭、一般炭の需給対策というものは、いま私が申し上げたことが間違いであるかどうか、伺っておきたいと思います。
  215. 莊清

    莊政府委員 原料炭のお話があったわけでありますけれども、鉄鋼業界といたしましては、日本の原料炭は、質の点からいっても価値は認めておる、それから、国内に資源があるということは、それなりに鉄鋼業としては確かにプラスだという基本的な認識があるということをはっきり申しております。ただ、諸般の事情から、結果として輸入原料炭の価格と国内との価格差というのが非常に拡大をしてきておりますのと、他方、鉄鋼産業自体が国内におけるやや設備過剰という実態、それから海外に対しましても、過剰開発と申しますか、そういう実態にあるという苦しさから、これ以上内外石炭の価格差が拡大していくようでは、鉄鋼業としても私企業として受けとめかねる。しかし、価格差があるからいけないというのじゃなくて、現状程度で推移するのであれば、極力国内のものは使用したいという意向を明快に述べております。これは私、当然に正しい見解だろうと思います。ただ、石炭産業の場合に、やはりコストがどうしても上昇いたしまするし、重油の価格につきましても、原油は上がれども重油は上がらずという、こういうアップのおくれ等も事実ございます。そういうことから、鉄鋼業が心配しておるとおり、原料炭についても価格差拡大のおそれありという認識は持っております。したがいまして、私しばしば申し上げておりますが、今後二千万トンを下らないという線は——自然条件の悪化とか保安の悪化等によりまして、やむを得ざる閉山というものは、将来とも、人間のすることですから、あり得ると思いますけれども、そういうやむを得ないものを除いては、セキュリティーという見地から確保するということを前提に今後の対策考えなければならぬと思います。そういう意味におきましては、第四次対策の立っておる哲学というものと完全に同じではないか。まあかなり思いつめたと申しますか、ぎりぎりの線でこれは守ろうという見地をはっきり持っての対策考える、こういうことでございまして、そういう意味では、単純な政策の延長ではない、かように私ども考えております。
  216. 岡田利春

    ○岡田委員 自由世界の産炭国では、電力が一番安いのはカナダ、その次がアメリカであります。それからまあ日本ということになるわけですが、その日本の場合には、家庭用電気料金が十一円九十一銭、商業、工業は、大口、小口を含めて四円九十二銭、西ドイツの場合には、家庭の電気料金が十二円八十七銭、商工業用は六円七十五銭で、日本に比べて商工業用のほうは高いわけです。わが国の電力行政の場合でも、原価主義の問題がそろそろ再検討の時期に来ているわけでありますけれども、私は、そういう意味で日本の企業は、いま国際競争力が——円の切り上げが行なわれた、あるいは課徴金の問題が出てきている、輸出割り当ての問題が出てきている、こういう情勢の中にあって、普通一般国民よりも比較論で国際市価より安い電力を使って生産をすることができる。高いのであれば国内のものはお断わりで、安いものを買いあさってこれを確保する。まあいわば中身がすべて企業優先になっているわけですね。あらゆる仕組みが、こういう一つの例をとらまえても大体そういう傾向になってきている。この転換をわが国としていま行なわなきゃならない時期に来ておるわけです。私は、そういう意味でわが国の通産行政もいま一つの転換期に立たされていると思います。そして石炭政策もまた、従来の発想哲学とは違って、一つの大きな転換期に立たされていま第五次政策が諮問され、検討されておると思うわけです。  きょうは時間がありませんから終わりますけれども、そういう意味で、私がなぜきょう数点について申し上げたかという点について——これから体制委員会に事務局が資料を出す上において、的確な資料を十分出さないと、体制委員会の先生といえども、何ぼ勉強するといっても、これは専門職ではないわけでありますから、なかなか審議がむずかしいのではないか、こう思いますので、そういうために三、四点質問をいたしたわけです。したがって、そういう点を十分踏んまえてひとつ慎重に検討されて、事務局としては体制委員会に対処されることをこの機会に再度要望しておきまして、終わりたいと思います。
  217. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次回は来たる二十四日月曜日午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会