○
鈴木(珊)
政府委員 どうもおそれ入りました。補足いたしまして説明申し上げたいと思います。
日本の国が
貿易立国だということは、かりに景気が悪かろうが悪くなかろうが、基本的な
政策理念であると存じます。買切
立国である以上は、物を
輸入し物を
輸出する。その
分量は、ときによっては変わるかもしれません。そのためには
自分の船というものを持っておりませんといかぬではないか。これは
自分の
輸入するものを全部運ぶとかいうほどの船は要りませんけれ
ども、少なくとも
自分のところで必要とする
物資を運ぶための船の半分くらい運ぶ力がないと、いざという場合に困るのじゃないかというようなことで、
日本の
商船隊が一本の必要とする
物資を半分くら運べる力があってしかるべきではないか。
実情を申しますと、現在
輸出におきましては大体三七、八%の
積み取り比率、それから
輸入は四四、五%でございます。きわめて低い。これはどうかといいますと、相当
船腹はふえましたけれ
ども、
輸出入貿易量の
伸びのほうがいままでは非常に
念速でございましたので、
船腹の
伸びがそれに追いつかないというような
実情でございました。したがいまして、かなりつくっておりまして、現存実質的には
世界第一といわれておりますけれ
ども、まだそういったような
積み取り比率の
状況であることは事実であります。
そういった点が
一つと、それからもう
一つは、先生が御
指摘のように、いままでの旗じるしとしては、
国際収支の見地から
船腹を
増強して
運賃等の
外貨払いを減らしていこうという
目的がございましたけれ
ども、これにつきましては昨今のような
状況でございまして、むしろ黒字、
外貨がたまるということでございまして、そうひどい
赤字でないならば、多少の
赤字があってもいいのではないかというふうに私
ども認識しております。したがい度して、
国際収支への寄与という問題につきましては、旗じるしは御
指摘のように現在おろさざるを得ないということは私
どもも認めておるところでございます。
第三点は、やはり御
指摘のような
企業当盤の
強化という問題があるのではないか。まさにお説のとおりでございまして、
企業基盤の
強化ということも
計画造船の中には織り込んでおるわけでございます。ところが、
企業基盤の
強化の問題につきましては、すでに三十九年から五年間かかりまして、要するに
外航海運の
集約整備、それに対しますいろいろな
裏づけ、たとえば
利子のたな上げとかいろいろな
補助制度をやりまして、その結果、
再建設備が無事完了いたしまして、たいへん未
曽有な合併がありましたけれ
ども、幸いにいたしまして
海運企業もいよいよ
基盤が整備し始めたというふうに
改善されてきたことは事実でございます。ところが、つい昨年あたりから、
世界不況それから
ドル・
ショック、
日本の
国内経済の
沈静等が影響いたしまして、せっかく立て直しに出てきたところが、そういったような
海運の環境が、悪化したために現在非常に
不況におちいっていることは事実でございます。たとえば、三月
決算におきましてはかなり業績も苦しくなってきており、九月
決算もどうなるか心配しておりますけれ
ども、そういったような現在の経淡情勢の不安定、
世界全般の
海運不況から申しまして、
海運企業基盤というものもちょっとあぶなくなってきたということも事実でございます。そういったような点を考慮いたしまして、まず
船腹の問題につきまして、先ほど
大臣がおっしゃいましたように、現在の
海運六カ年
計画の
基礎となっております
経済社会発展五カ年
計画、その
経済諸
指標が
経済企画庁等におきまして今後
検討されまして、それでこれを
修正する、手直しする、たとえば、
鉄鋼とかあるいは
石油等の
消費需要というものが相当な
程度要るのではないかという
見通しによりまして、そういった手面しが行なわれますならば、それによって立ちますところの
計画造船といいますか、私
どもの
考えております六カ年
計画というものも、
経済指標の変化に伴いまして変えていく。したがいまして、所要の
貿易量、したがってその
輸送量、また
船腹も、現在
考えておりますような三百八十万トン、四百万トンというような
分量があるいは減るかもしれない。そういった点の
検討、手直しをやる必要があるのではないかと存じます。
それからいま
一つは、
企業基盤がいまのような
状況に追い込まれておりますので、もしも、
国際競争力の面からいいまして、非常に
日本海運がそれに耐えられないということであれば、いろいろな
条件、たとえば
財政比率だとかいうような
条件につきましても再
検討をする必要があるのではないかということで、私
ども準備を進めておるわけでございます。もし、そういう暁には、
海運造船合理化審議会に諮問いたしまして、いろいろ各方面からの答えを聞きまして
検討していただいた結果によりまして、もう一ぺん手面しの案をつくりたい、かように私
ども考えて、おります。
基本的にはやはり
海運基盤が立ち直ったとはいえ、船というものは非常にお金がかかる、高い
設備投資でございます。現在までの体力ではまだ
自分で市中の銀行の金を借りて船をつくるというところまではいかない。さらに、たとえば船のコンテナとか、これから出ます
LNG船とか、あるいは超大型のタンカーとかいうものを
国際競争上どうしてもつくらざるを得ないではないか。それにつきましては、やはり
財政資金というものの
裏づけを持ちまして、
長期、低利の
利子でつくらせるということが必要であると思います。その場合に、それではどんな船でも
財政資金でいいのかというわけにいきません。やはり
優先順位をきめまして、
優先順位を持って国の
資金でつくっていく。国の
資金も限度がございますので、そういうことも必要でないかと思います。これは私
ども計画造船と呼んでいるわけでございまして、大量につくることだけが
目的ではございません。したがいまして、時々の
船腹の、
需要に応じましてつくる量もかげんされますでしょうけれ
ども、基本的にはやはり国の
財政資金を投入して、そういうささえをしてやらなければ、
海運業界、
企業自身ではとても新船はつくれない。また、それでなければ、
国際競争に勝てないというのが
実情だと存じます。そういう
状況が続く限り、やはり私
ども考えておりますような
計画造船の
方式というものはやってしかるべきではないかというふうに
考えておるわけでございます。
たいへん長くなりましたけれ
ども、そういうことでございます。