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1971-12-22 第67回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十二月二十二日(水曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 田村 良平君    理事 葉梨 信行君 理事 服部 安司君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    金丸  信君       砂原  格君    古内 広雄君       村田敬次郎君    森下 國雄君       山下 徳夫君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君    北側 義一君       内海  清君    浦井  洋君  出席政府委員         大蔵政務次官  田中 六助君         建設政務次官  藤尾 正行君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         自治大臣官房企         画室長     横手  正君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     中込 達雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     島  守一君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     川口 京村君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     東  貞三君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  荒木茂久二君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二十一日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   林  百郎君     浦井  洋君     ――――――――――――― 十二月十六日  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願渡辺  武三紹介)(第三四二九号) 同月十七日  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願柳田  秀一紹介)(第三六六五号)  同(新井彬之君紹介)(第三七八五号)  地代家賃統制令廃止反対に関する請願津川武  一君紹介)(第三七八四号) 同月十八日  高速道路三ツ沢線路線変更に関する請願(門  司亮紹介)(第三八一一号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願佐野  憲治紹介)(第四〇九七号) 同月二十日  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願浦井  洋君紹介)(第四二五九号)  消費者保護目的とする宅地建物取引業法の改  正に関する請願田中榮一紹介)(第四三六  九号)  中央自動車道西宮線の四車線施工に関する請願  (林百郎君紹介)(第四五二六号)  急傾斜地崩壊対策事業促進に関する請願(林  百郎君紹介)(第四五二七号)  公営住宅建設事業に対する国庫補助増額に関す  る請願(林百郎君紹介)(第四五二八号)  第二期住宅建設五カ年計画における住宅建設戸  数の地方配分等拡大に関する請願(林百郎君紹  介)(第四五二九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二十日  下水道事業整備費国庫補助率引上げに関する陳  情書  (第三一一号)  治水事業促進等に関する陳情書  (第三一二号)  都市政策の強化に関する陳情書外十三件  (第三一三号)  土地住宅政策に関する陳情書  (第三一  四号)  都市防災対策推進等に関する陳情書  (第三一五号)  上武国道等建設資材地元調達に関する陳情書 (第三一六号)  急傾斜地崩壊対策事業促進に関する陳情書  (第三一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会審査に関する件  建設行政基本施策に関する件  請 願   一 不動産鑑定士等特例試験期限延長反対     に関する請願奧田敬和紹介)(第八     二号)   二 同(小川半次紹介)(第八三号)   三 同(左藤恵紹介)(第八四号)   四 同(正示啓次郎紹介)(第八五号)   五 同(松野幸泰紹介)(第八六号)   六 同(三池信紹介)(第八七号)   七 同(松山千惠子紹介)(第一七三号)   八 同(關谷勝利紹介)(第二三九号)   九 同(田中六助紹介)(第二四〇号)  一〇 同(安宅常彦紹介)(第四五五号)  一一 同(塩崎潤紹介)(第四五六号)  一二 表具工技能検定試験合格者建設業許可     基準適用等に関する請願石井桂君紹     介)(第四八二号)  一三 都市公園整備事業に対する補助金増額に     関する請願宇田國榮紹介)(第七八     七号)  一四 表具工技能検定試験合格者建設業許可     基準適用等に関する請願早稻田柳右エ     門君紹介)(第八四二号)  一五 京滋バイパス計画変更に関する請願     (柳田秀一紹介)(第八四三号)  一六 不動産鑑定士等特例試験期限延長反対     に関する請願地崎宇三郎紹介)(第     九〇三号)  一七 同(春日一幸紹介)(第九五二号)  一八 同(谷川和穗紹介)(第一〇七〇号)  一九 銚子大橋渡橋料免除に関する請願(伊     能繁次郎紹介)(第一一五八号)  二〇 不動産鑑定士等特例試験期限延長反対     に関する請願木野晴夫紹介)(第一     二一二号)  二一 大都市の公共下水道事業に対する国庫補     助率引上げ等に関する請願樋上新一君     紹介)(第一五八三号)  二二 表具工技能検定試験合格者建設業許可     基準適用等に関する請願山本幸雄君紹     介)(第一六三九号)  二三 草加バイパス歩道橋設置に関する請願     (小川新一郎紹介)(第一八一四号)  二四 住宅建設促進に関する請願松浦周太郎     君紹介)(第一八一五号)  二五 急傾斜地崩壊対策事業促進に関する請     願(倉石忠雄紹介)(第一九八三号)  二六 同(羽田孜紹介)(第一九八四号)  二七 同(増田甲子七君紹介)(第一九八五     号)  二八 中央自動車道西宮線の四車線施工に関す     る請願増田甲子七君紹介)(第一九八     六号)  二九 同(小川平二紹介)(第二一一四号)  三〇 同(倉石忠雄紹介)(第二一一五号)  三一 同(中澤茂一紹介)(第二一一六号)  三二 同(羽田孜紹介)(第二一一七号)  三三 同(原茂紹介)(第二一一八号)  三四 同(松平忠久紹介)(第二一一九号)  三五 同(井出一太郎紹介)(第二二六九     号)  三六 同(唐沢俊二郎紹介)(第二二七〇     号)  三七 急傾斜地崩壊対策事業促進に関する請     願(小川平二紹介)(第二一二〇号)  三八 同(中澤茂一紹介)(第二一二一号)  三九 同(原茂紹介)(第二一二二号)  四〇 同(松平忠久紹介)(第二一二三号)  四一 同(井出一太郎紹介)(第二二七三     号)  四二 同(唐沢俊二郎紹介)(第二二七四     号)  四三 中央自動車道長野線整備計画早期決定     に関する請願小川平二紹介)(第二     一三三号)  四四 同(倉石忠雄紹介)(第二一三四号)  四五 同(中澤茂一紹介)(第二一三五号)  四六 同(羽田孜紹介)(第二一三六号)  四七 同(原茂紹介)(第二一三七号)  四八 同(増田甲子七君紹介)(第二一三八     号)  四九 同(松平忠久紹介)(第二一三九号)  五〇 同(井出一太郎紹介)(第二二七一     号)  五一 同(唐沢俊二郎紹介)(第二二七二     号)  五二 公営住宅建設事業に対する国庫補助増額     に関する請願小川平二紹介)(第二     一四〇号)  五三 同(倉石忠雄紹介)(第二一四一号)  五四 同(中澤茂一紹介)(第二一四二号)  五五 同(羽田孜紹介)(第二一四三号)  五六 同(原茂紹介)(第二一四四号)  五七 同(増田甲子七君紹介)(第二一四五     号)  五八 同(松平忠久紹介)(第二一四六号)  五九 同(井出一太郎紹介)(第二二七五     号)  六〇 同(唐沢俊二郎紹介)(第二二七六     号)  六一 第二期住宅建設五カ年計画における住宅     建設戸数地方配分等拡大に関する請願     (小川平二紹介)(第二一四七号)  六二 同(倉石忠雄紹介)(第二一四八号)  六三 同(中澤茂一紹介)(第二一四九号)  六四 同(羽田孜紹介)(第二一五〇号)  六五 同(原茂紹介)(第二一五一号)  六六 同(増田甲子七君紹介)(第二一五二     号)  六七 同(松平忠久紹介)(第二一五三号)  六八 同(井出一太郎紹介)(第二二七七     号)  六九 同(唐沢俊二郎紹介)(第二二七八     号)  七〇 中央自動車道西宮線の四車線施工に関す     る請願向山一人紹介)(第二三八三     号)  七一 同(小坂善太郎紹介)(第二五八〇     号)  七二 同(下平正一紹介)(第二五八一号)  七三 中央自動車道長野線整備計画早期決定     に関する請願向山一人紹介)(第二     三八四号)  七四 同(小坂善太郎紹介)(第二五八二     号)  七五 同(下平正一紹介)(第二五八三号)  七六 急傾斜地崩壊対策事業促進に関する請     願(向山一人紹介)(第二三八五号)  七七 同(小坂善太郎紹介)(第二五八四     号)  七八 同(下平正一紹介)(第二五八五号)  七九 公営住宅建設事業に対する国庫補助増額     に関する請願向山一人紹介)(第二     三八六号)  八〇 同(小坂善太郎紹介)(第二五八六     号)  八一 同(下平正一紹介)(第二五八七号)  八二 第二期住宅建設五カ年計画における住宅     建設戸数地方配分等拡大に関する請願     (向山一人紹介)(第二三八七号)  八三 同(小坂善太郎紹介)(第二五八八     号)  八四 同(下平正一紹介)(第二五八九号)  八五 地価抑制に関する請願天野光晴君紹     介)(第二八六六号)  八六 地代家賃統制令撤廃に関する請願田中     伊三次君紹介)(第二九一二号)  八七 同(小川半次紹介)(第三〇四五号)  八八 公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願     (渡辺武三紹介)(第三四二九号)  八九 同(柳田秀一紹介)(第三六六五号)  九〇 同(新井彬之君紹介)(第三七八五号)  九一 地代家賃統制令廃止反対に関する請願     (津川武一紹介)(第三七八四号)  九二 高速道路三ツ沢線路線変更に関する請     願(門司亮紹介)(第三八一一号)  九三 公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願     (佐野憲治紹介)(第四〇九七号)  九四 同(浦井洋紹介)(第四二五九号)  九五 消費者保護目的とする宅地建物取引業     法の改正に関する請願田中榮一君紹     介)(第四三六九号)  九六 中央自動車道西宮線の四車線施工に関す     る請願(林百郎君紹介)(第四五二六     号)  九七 急傾斜地崩壊対策事業促進に関する請     願(林百郎君紹介)(第四五二七号)  九八 公営住宅建設事業に対する国庫補助増額     に関する請願(林百郎君紹介)(第四五     二八号)  九九 第二期住宅建設五カ年計画における住宅     建設戸数地方配分等拡大に関する請願     (林百郎君紹介)(第四五二九号)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  審査の方法についておはかりをいたします。  各請願の内容につきましては文書表で御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会で御検討願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第一二ないし第一四、第二一ないし第二三、第二五ないし第八四及び第九六ないし第九九、以上の各請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり三十二件であります。この際御報告いたします。      ――――◇―――――
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりをいたします。  理事会の協議によりまして、本委員会といたしましては閉会中もなお審査を行なうため、  建設行政基本施策に関する件  国土計画に関する件  地方計画に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件 及び  建築に関する件について、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  9. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  建設行政基本施策に関する調査のため、本日、日本住宅公団より、総裁南部哲也君、理事中込達雄君、理事島守一君、理事川口京村君、理事東貞三君、並びに帝都高速度交通営団より、総裁荒木茂久二君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。      ――――◇―――――
  11. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。佐野憲治君。
  12. 佐野憲治

    佐野委員 きょうは大臣質問の通告をしておったのですけれども大臣がおられないので非常に困るのですけれども、一応政務次官も御出席になっておりますし、公団参考人として出席しておられますので、公団家賃値上げの問題につきまして率直な見解を承りたいと思うわけであります。  と申し上げますのも、この十三日に大蔵省予算編成方針なるものが新聞紙上を通じて発表されているわけですが、この件につきまして昭和三十年から四十一年度、この間に建設いたした公団住宅に対しまして平均三七%の値上げをする、こういう方針だと伝えられておるわけであります。これは、日本住宅公団法によりまして住宅公団総裁が案を具して建設大臣承認を求める、こういう手続規定があるわけでありますが、こういう手続日本住宅公団からなされておるのかどうか、まず公団総裁からお聞きします。  と同時に、それらの案が具されて、それによって建設省として検討をなされたかどうか。検討をなされた上において大蔵省に対してどういう申し出がなされておったのかどうか、この点をまずお聞きしておきたいと思います。
  13. 藤尾正行

    藤尾政府委員 それでは私からお答えをさしていただきます。  私ども、この十三日に新聞紙上に、大蔵省当局予算編成方針とからめまして公団家賃を引き上げるというようなことが、発表でございますか、あるいはどういう形でございますか知りませんけれども、出されまして、それが新聞紙上に非常に大きく扱われまして、世上に大きな問題を投げかけたという事実に対しまして、非常に実は遺憾に存じております。と申しますのは、佐野先生も御指摘のように、こういった問題につきまして政府方針をきめるということは、決して大蔵省がきめるのではございませんで、私どもが最終的に決断をし、私どもがきめるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてこういった問題につきましてまだ何らその決定をいたしていない段階におきまして、かようなことが、財政当局のどなたか知りませんけれども、一方的に流されたということにつきましてはまことに遺憾千万である、かように考えておるわけでございます。なお詳細につきましては関係のほうから御説明をいたします。
  14. 多治見高雄

    多治見政府委員 ただいま御質問手続の点で御説明申し上げますが、日本住宅公団法施行規則というのがございまして、その第十条で「家賃及び敷金の変更等」という規定がございまして、建設大臣承認を得て変更できるということになっております。それにつきましては、まだ公団のほうからそういった承認意思表示もございませんし、われわれのほうとしては、一応事務的ないろいろな検討は別といたしまして、正式には何も決定いたしておりません。いま政務次官お答えのとおりでございます。
  15. 佐野憲治

    佐野委員 公団、まだだれも来ておりませんのですか。――途中だったから、あるいはいまの質疑の中でおわかりだろうと思うのですけれども公団法施行規則第十条によりまして、家賃変更その他の場合には、総裁が案を具して建設大臣承認を求めるとなっているが、そういう案を具しておられるかどうか、その点をはっきり伺いたい。
  16. 南部哲也

    南部参考人 お答え申し上げます。  公団といたしましては、家賃についていろいろ検討しておることはございますが、いまだ建設大臣あてにこのようにしてもらいたいという案を具申したことはございません。
  17. 佐野憲治

    佐野委員 大蔵省主計官の方が来ておいでになりますが、大蔵省は一体どうした根拠に基づいてあのような方針新聞紙上を通じて発表になっておるのか、この点をひとつ伺いたい。
  18. 藤井直樹

    藤井説明員 お答え申し上げます。  現在の住宅公団家賃の状況を見ますると、第一に、入居当初にできた家賃が、あき家となった場合を除きまして、現在ずっと据え置かれております。その結果、新しい住宅家賃との間に非常に大きなアンバランスが生じている。これはそういう意味で、家賃負担率の面で見ましても大きな差が出ておりますので、そういう不均衡是正を行なう必要があるのではないかというふうにまず考えられるわけです。この点につきましては、住宅宅地審議会の答申の中にもそういう指摘があるわけでございます。もう一つの点は、当初家賃を据え置いております関係上、修繕費等の値上がりがだいぶ出てきておる、そういう意味公団住宅の正常な管理に支障を生じているのではないか。そういう点から見まして、新旧住宅家賃の不均衡是正、それから修繕費等管理費の不足に充てるということで、住宅公団家賃を引き上げたらどうか、そういうふうに考えておるわけでございます。  手続の面につきましては、確かに、公団が定めて、建設大臣が認可するという点は私どもよくわかっておりますが、財政的観点からそういう提案を建設省にいたしたい。それは予算のときにいたしたい。こういうことで十三日の新聞紙上に出たわけでございます。その方針につきましては、今後予算段階建設省公団と十分御相談をしていきたい、こういうふうに考えております。
  19. 佐野憲治

    佐野委員 大蔵省は、財政投融資資金その他の関係建設大臣と協議する点はあると思います。しかしながら、いやしくも公団法規則からいいましても、公団総裁が案を具する、その上に立って建設大臣承認、こうなっておるわけでしょう。その承認以前に大蔵省が一体何の権限があってそういう一方的な見解発表されるのか。皆さんは、財政投融資資金の問題につきましていろいろな問題があるとすれば問題として指摘されていいと思います。財政投融資資金運用なりその他においていろいろな問題があると思います。しかし、当面しているドル・ショックを中心とするいろいろな問題があったといたしましても、事住宅公団沿革なりその目的なり、いろいろそれを規定しておる手続条項なりあるわけですね。しかもこれは公用的な使用でなくて、私法上の観点に立っているわけでしょう。大蔵省は一体何を根拠としてそういうふうなかってな見解を述べられるのか、その点をもう少し明確にしていただきたいと思います。
  20. 藤井直樹

    藤井説明員 現在、日本住宅公団住宅建設にあたって必要な資金というものを財政投融資計画の上で計上いたしまして、これを毎年度投入しているということにしているわけでございますが、その資金算定その他にあたりましては、当然に家賃をどうするかということが関連してまいります。そういう意味で、今後の予算編成上の問題として、そういう家賃――まあ家賃ばかりではございません、建設規模、それから建設の単価、各住宅規模、そういう点について常に検討を続けているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたようなことで、やはりこの際そういう不均衡是正をはかったほうがいいのではないか、そういうことで考えたわけでありまして、財政上、資金上の観点からの取り組み方をしている、そういうことでございます。
  21. 佐野憲治

    佐野委員 それは全くけしからぬじゃないですか。法的にこういう手続が進められてまいる、その中から財政投融資資金運用はどうするか、これは大きな高度な政治的判断になってくるでしょう。そういう問題において、あなた方大蔵省は単なる協議する機関にすぎないわけでしょう。おかしいじゃないですか。しかも、いま聞きますと、建設大臣を代理する次官のほうからも、全く困っておるのだ、迷惑だ、けしからぬではないか、こういう指摘があるわけでしょう。公団総裁もまた全然知らない。発表になってようやく、おかしいじゃないかという感じを持っておられる。  と申し上げますのは、この委員会で、公団住宅家賃算定はどうあるべきか、新しく建設されるもの、ないしは現在の問題に対しましてどう対処するか、それからあき家、その場合におきましても政府がとっておる、あるいは公団がとっておる措置に対しまして、当委員会としては重大な問題を提起いたしておるわけです。だから、私たちはそういう点をあらゆる角度から指摘をして、住宅公団法が生まれた沿革、その使命、しかもその目的は、住宅の著しく不足する地域、住宅に困窮しておる勤労者のために住宅を提供する、国民生活安定と社会福祉に寄与する、この目的から考えて、現在の運営に対しまして、公団そのもの運営に対しましてもあらゆる角度から当委員会におきましても検討しておる。ですから公団の前の総裁の林さんも、基本問題検討委員会を設けて、白紙の立場において、今日当面しておる公団の実情、しかも目的に照らしてどう対処すべきかという点の具体的な検討をやっておるのだ、このように言っておるわけですね。あるいは建設大臣もまたそういう意味におきまして、総理と話し合いの中で、物価に及ぼす影響が非常に重大だ、国民生活の安定、この面から、ことしの三月十日における私の質問に対しても、総理も値上げをしないと言っておる。建設大臣としても、検討はしておるけれども値上げはしないのだ。政治的な社会的な情勢というものは、事居住問題に関しましては非常に重大だ。憲法の精神から照らしても、公団法の使命から考えても、検討するのだ、こう言っておるわけでしょう。当委員会におきまして大臣あるいは公団総裁がその質疑に応じて答えておる。その検討しておる条項に対しまして、あなたたちはこういうふうな重大な問題に対して――しかも総理は本会議において、住宅家賃がもたらす社会的な影響、今日における住宅の不足しておる、住宅勤労者にとっていかに大きな地位を占めているかという点から考え、物価の問題を考えても慎重な態度をもって臨まなくちゃならない、だから値上げはしないのだ、このように述べておるわけでしょう。それが、国会の意思としていろいろ主張されたことに対する行政府におけるわれわれに対するところの責任ある答弁であったわけです。ですから、検討条項に対しましていろいろ問題があるとするなら、私たちも本委員会を通じても十分検討していくのだ、このように主張しておるのに、あなたたちは国会における審議の状況なりそういうものは一体見ておるのですか。どうですか、主計官
  22. 藤井直樹

    藤井説明員 住宅公団家賃の問題を私どもが考えた場合に、やはりこの際値上げをするのが適当ではないかということで、その機会を予算の編成の際にやりたい。しかしそれはわれわれが提案するだけでありまして、実際に建設省その他公団と御相談をしてきめていく、そういうことでございます。したがって、ではそういうアプローチを何でするかということになりますと、やはり先ほど言いましたように、財政的な観点から考えた場合にそういうことをこの際やる必要がある、そういうことでございます。
  23. 佐野憲治

    佐野委員 やはり大蔵大臣出席すること、その中で一――この問題は非常に重大だと思うのです。一主計官がそういう見解発表するのじゃなくて――国会の本会議において、委員会において、大臣総裁と具体的な資料を中心として十分に検討されておる。しかも検討するのだ、値上げをしないのだ、このようになっておるときに、一大蔵省の主計当局が何の権限、何の法的な根拠もなく、しかも新聞紙を通じて発表する。全くけしからぬじゃないですか。どうですか、その権限はどこにあるのですか。どうお考えになるか、もう少し――これは大臣でなくてはしようがないのですけれども、しかし大臣ですらも、そういう高度な政治判断なり、公団法沿革なり使命というものを中心として検討しなくちゃならないのに、一体主計局が、予算編成にあたっての事務的ないろいろな点があるでしょう、事務的な折衝をする、事務的な方針を固めるときに、こういう高度の政治問題をなぜ新聞なんかに発表するのか。そういう権限があるのですか。どうですか、もう少しその点を明確に……。
  24. 藤井直樹

    藤井説明員 先ほどからお話し申し上げておりますように、公団家賃というのは、住宅公団に対する財政投融資その他の資金をきめていくにあたって重要な要素になるわけであります。そういう意味で、予算の過程でその問題に取り組んだ。それをこの際取り上げてやっていくにあたりまして、やはりこれを提案して、そして各省と御相談してやっていく、そういう意味で新聞に出た、そういうことでございます。したがいまして、手続的には十分その辺につきましてしかるべき手続をとりまして実際にその運営を行なっていく、そういうふうに考えております。
  25. 佐野憲治

    佐野委員 全くけしからぬと思うのです。あなたたちは一体大蔵大臣なんですか。しかも、立法府としての意思表示がしてあるわけでしょう。行政の責任者がそれぞれの立場に立って答えておるわけでしょう。しかも、それに基づいて検討を内部に命じておるわけでしょう。それに対して一体どうなんですか。これは行政事務的な問題じゃないでしょう。国会の意思というものを一体どう考えるのですか。総理なり建設大臣あるいは公団総裁なり、これらが国会において述べていることに対して、あなたたちはそれと全然無関係にそういうものを、しかも新聞紙を通じて発表する。一体国会の意思に対してはどうなんですか。国会の意思はどうでもいいというのですか。
  26. 藤井直樹

    藤井説明員 今後、この問題につきましては、建設省公団と十分相談をしてやっていきたいと思います。
  27. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私から一言お答えいたします。  ただいま先生方の御指摘のとおり、大蔵大臣が閣議等で建設大臣あるいは総理大臣に建議するというなら、これはまだ話はわかりますけれども、大体大蔵省の一事務当局がさようなことをするに至っては言語道断である、越権これに過ぎたるものはない、かように私は考えるのでございまして、今後のことは今後のことといたしましてこれは運び方はございましょうけれども、ただいままでのところ、これは大蔵省事務当局の越権行為である、私はかように考えます。
  28. 佐野憲治

    佐野委員 ただいま次官から見解の表明がありましたが、私は非常に重大だと思うのです。国会の意思、あるいはまた国務大臣として、あるいは行政の長である総理大臣、この人の見解、その人が国会において約束していることを、どうでもいいのだ、事務的にやる、こういう考え方に対して、次官の見解表明というのは私たちと同じだと思います。主計官、いまの次官の表明に対しましてどうですか、あなたの率直な見解を述べていただきたいのであります。
  29. 藤井直樹

    藤井説明員 大蔵省として、公団家賃について是正をしていく必要がある、そういうことで今後建設省と相談をしていきたい、こういうことで考えておるわけであります。予算の編成の過程で十分御相談して処理していきたい、こういうことであります。   〔発言する者あり〕
  30. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、暫時休憩をいたします。    午前十一時三十一分休憩      ――――◇―――――    午前十一時四十三分開議
  31. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐野君。
  32. 佐野憲治

    佐野委員 ただいまの質問の中で、いろいろな重大な問題としてもう少し解明しなければならない点もありますので、いま大蔵大臣もしくは政務次官を要求いたしておりますので、出席を願って質問を継続したいと思います。その間暫時質問を留保さしていただきます。
  33. 亀山孝一

  34. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいま佐野委員の発言、重大発言でありますので、処理がつくまで私が持ち時間の中で他の問題について質疑をさせていただきます。  第一番目は、これは建設大臣にお尋ねしたいのでございますが、建設大臣がおられませんので関係局長と次官にお尋ねします。  土地問題でございますけれども、根本構想、前建設大臣の根本さんが、公共用地の先行取得については、土地問題で非常に大きなウエートを占めている、これは超党派で議員立法でやっていこうという話し合いもありまして、私どももこの土地問題についての姿勢については、各党の土地政策、都市政策の中で、公共用地の先行取得という問題について十分配慮してまいりました。ところが、先般建設省で、この公共用地の先行取得について建設大臣から案が出ましたし、またこの問題については大蔵省に自治省から予算の申請も行なわれております。私この問題についてお尋ねしますが、第一番目に、建設省の市街化区域内における公共用地の取得というものは大幅な私権の制限になると思いますけれども、この点については建設省はどう考えて対処していくのか、これについてお尋ねします。
  35. 藤尾正行

    藤尾政府委員 お答えをいたします。  小川先生の御指摘のとおりこの問題は重大な問題でございまして、根本前建設大臣が非常な御勇断を持たれましていろいろな考え方を述べておられるわけであります。私どもは、前建設大臣の根本構想というものを尊重いたしながら、これをどのように具体化していくかということにつきまして、その具体的措置をただいま検討中でございます。
  36. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 新聞で発表されたことはどの程度私たちは信用し、またそれに対して態度を持ったらいいでしょうか。
  37. 藤尾正行

    藤尾政府委員 これは御案内のとおり法律問題でもございまするし、またこれに関しまする予算措置というものも非常に大きなものを伴います。したがいまして、これの具体化につきましてはただいま検討中ということで、ひとつ私どもを御信頼いただきたいと思います。
  38. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはちょっと違うのですがね、次官。自治省では、この公共団体の市街化区域の先行取得については、もう予算まで組んでこれは具体化しているという事実をあなたは御存じですか。
  39. 藤尾正行

    藤尾政府委員 存じております。
  40. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それについてはどのように建設省と連絡がとれているのですか。
  41. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私どもの事務当局で自治省とも一緒になりまして検討は進めておるはずであります。
  42. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、自治省にお尋ねいたしますが、自治省構想と建設省案との違いについては、どこが違っているのですか。
  43. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。  自治省としましては、明年度土地の公的保有の拡大を進めたい、こういうような観点から、土地の先買い権の制度の改善策と申しますか、そうしたものについて検討を進めてまいっておりましたが、この点につきましては私どものほうは一応構想の段階でございましたが、建設省さんのほうにおかれていろいろ検討しておられまして、うまくまとまればおそらく今度の通常国会までというような話し合いでお互いに協力しながら検討を進めておる、こういうような段階でございます。
  44. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、大蔵省にはその問題で予算要求は出してありますか。
  45. 横手正

    ○横手説明員 私どものほうで明年度の予算要求をいたしておりますのは、土地の公有化を進める、こういうような観点から、中央に何らかの金融公庫が必要ではなかろうかということで、現在ございます公営企業金融公庫、こうした公庫につきまして、財投関係におきまして政府保証債あるいは縁故債、こうしたものについての予算要求を行なっております。また、縁故債につきましては多少金利が高いという面がございますので、この金利をできるだけ低く押えたい、こういうような趣旨から一部利子、補給の要求も――これは国の一般会計予算ベースでございますが、そうした利子補給の予算要求を行なっておる、こういうような状況でございます。
  46. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その程度のことで一体、市街化区域内の、十年間に都市化しようとしているところの地方公共団体がどの程度の土地を先行取得できるのか、こういう問題が非常にあいまいである。予算要求しておると言っておりますけれども、これは私は建設省のほうから見ますと非常に微々たるものだと思うのです。これは新しい土地開発金融公庫という名前と開いておりますが、それに間違いがないのかどうかが一つ。もう一つは、土地の公社ですね、地方公共団体のいまの開発公社というものは民法上公益法人になっておりますが、これを全面的な公的な公社とするのかどうか。この二つの問題については建設省のほうとよく連絡をとっているということを聞いておりますが、これは関係局長にお尋ねしますが、そのようなことを建設省のサイドの政策の中にはどこに入れるのですか。
  47. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘のように、市街化区域内におきます公有地をいかにふやしていくか、これは非常に大事なことでございまして、自治省といわばタイアップして、自治省のほうは財源の確保をはかる。建設省サイドはいかにして取得を容易にするかという制度面を研究するということで、両者協力してやっております。そこで、先ほど政務次官お答えいたしましたが、市街化区域というのはおおむね十年以内に市街地を整備するという方針のもとに定められた区域でございますから、これを促進するためには、将来公共用地または公用地になるべきところをなるたけ早目に確保しておくということがきめ手になります。したがって、その市街化区域内で土地の売買が行なわれようとする場合に、公共団体に先買い権といいますか、先に取得する権限を与える、そういう方法が一つの有力な方法ではないかというので、そういう観点からいま研究を進めておる段階です。
  48. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 お互いに共同、タイアップと言っておりますけれども、財源のほうは自治省まかせだ。建設省はただ政策サイドだけだ。その政策サイドの中でも、土地の先買い権については都市計画法に基づく事業認定をされなければ――これこれしかじかの事業を認定いたしました、そしてこの事業の内容を公示して初めて買い取り請求権、先買い権というものが、私権の制限というものが行なわれるのが現行法でございますね。それではおそいからといって先買い権を拡大するわけですね。そうすると、どの時点でまず先買い権を拡大するのか。それからもう一つは、その面積を確保するために金融公庫が出すのは、現金で買うのか、地方債、建設公債でもってまかなうのか、これが二番目。三番目は、そのような公債で買うのは正当なる補償に該当するのかどうか。こういう三つの点が非常にあいまいもことしている中で自治省が予算要求をしている。土地の買い取り金融公庫ですか、これは現実には予算要求をしているのですから、これとの関連が私はスムーズにいかないように思う。その点についてはどうですか。
  49. 大津留温

    ○大津留政府委員 小川先生御指摘のように、都市計画決定いたしました区域内だけの先買いでは将来の整備には足らないということで、市街化区域内におきましてそういう決定がない場合におきましても、私人間で売買が行なわれようとする場合には、つまり売り主、所有者としましてはそれを他に売ってもよろしいという考えになった段階において、公共団体にその旨を届け出をしていただきたい。そうしますと、公共団体が将来の都市づくりのためにその土地がほしいということなら、その所有者と協議してそれを買い取るということでございます。したがって、所有者が第三者に自分の土地を売ろうという意思をきめて、それを届け出た段階で公共団体が先買いに乗り出す。しかもその値段は両者で協議してきめるということがいいんじゃないか。したがって、強制的とかいうことにはならないわけでございます。また原則としてそういう場合の支払いは現金によるのが好ましいと思います。ただ相手が公債でもいいという場合には公債で支払うという道を考える、こういう考え方であります。
  50. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではまるで先買いではないじゃないですか。不動産業者がどんどん蚕食して入ってくる。土地問題はそんなのんきな状態じゃないでしょう。どんどんどんどん業者がいま市街化区域に殺到しています。調整区域には住宅が建てられないのだから、不動産業者は市街化区域に殺到しているわけです。そして、公園をつくりたい、いろいろと公共事業をしたいというときに、売り主から不動産業者より上回った値段で地方公共団体が買うわけがないじゃないですか。そんな話し合いだったら先買いじゃないのであって、要するに都市計画事業を遂行する立場に立ってこの面積だけは先に買っておくのだ。そのために私どもは先買い権というものを付与している。そしていま言ったように、事業認定の時点で先買い権というものは現行法律では生きているのだけれども、それでは後手後手になるから、要するに根本構想というのはもっと先に、計画の時点において先買いを大幅にやって土地を確保する、そのための措置であると私どもは理解しておった。いまの官房長の話を聞いておりますと、あくまでも合意である。それでは先買いじゃないのであって、要するにそこで私権の制限というものが出てくるのでありますから、それについてはいま言った自治省が予算要求しているような金融公庫程度のものでは都市計画上の事業というものは遂行できないから、ここでもっと大幅に建設省も財源措置を講ずるような政策というものが必要ではないだろうか、これが私のいま言っている意味なんです。それがあなたのほうと私のほうとちょっと食い違いがあるわけです。その辺どうなんですか。
  51. 大津留温

    ○大津留政府委員 根本構想といわれた根本前大臣の構想の中にはいわば二種類の考えがございまして、ただいま小川先生が御指摘になりましたように、市街化区域の中で特に将来優先的に市街化すべき地域という、そういう地域を指定いたしまして、それにつきましてはいま御指摘のように将来そういう市街化事業を行なうわけですから、それは強制的にでも将来は取得するようにしよう。しかしそれ以外の市街化区域の中で将来そういうことに役に立つかと思われるところは、先ほど申しましたような方法で優先的に入手しよう、こういう考えでございまして、先生の御指摘のような構想はわれわれとしても検討いたしておるわけであります。
  52. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、先買い権は法改正する意図があるのですか。
  53. 大津留温

    ○大津留政府委員 先ほどお答えいたしました、市街化区域内におきまして公共団体が私人間の売買に先立って入手するということにつきましては、立法措置が必要だと思います。
  54. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設次官、ただいま官房長から重大な発言があったわけです。要するに、先買い権を強化するためには、事業認定時でなくて、計画とかそれ以前の先買いの権利、要するに、買い取り請求権というものを市民が持つために、こちらも先買いの権利を持たせるために法改正の検討というものをいまおやりになるとお考えになっておりますが、私は、土地問題ではもう私有権のある程度の制限というものはやむを得ない、この程度の制限では普通である、こういう考えを持っておりますが、これは大臣と一体であるところの次官、この点で法改正についての見解をお願いしたい。
  55. 藤尾正行

    藤尾政府委員 この問題は、憲法に規定されておりまする私権の制限に関する非常に重要な問題であります。でございますから、事務当局がただいま述べましたようないろいろな態度、こういったものが一体どの程度までやれるのか、そういった問題もあわせ考え、ただ単に将来のためにこれが必要であるということだけでそれに踏み切れるかどうか、その辺のところを十二分に踏まえながら検討をしておるわけでありますから、先生のおっしゃられるように、計画段階あるいはもっと前の発想の段階といったところで一体そういった強制権をかけ得るかいなか、こういった点、その構想の段階でやるということになるときに、一体そういった公的団体の行為というものがはたして憲法とどの程度に調和をするのか、こういった点につきましてはさらに慎重な検討を要する、私はかように考えておるわけであります。ただいま事務当局を督励いたしまして検討いたさしておる。私が先ほど申し上げましたのもそういった点でございます。この点につきまして私は私なりの見解はありますけれども、これは高度の、ほんとうに最高度の政治的判断を必要とする問題でございますから、その決定を見ますまでは、暫時私の発言はその辺にとどめさしていただきたいと思います。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 きょうは住宅公団総裁も来ていますが、結局住宅公団がいま非常に御苦労しているのはやはり用地の取得なんですね。要するに、市街化調整区域に建てるということになりますと、これは法的にきめられたような、都市計画法で定まった一つのあれがございますが、何といっても交通の問題だとか何だとかで、公団住宅は欠陥住宅と言われてしまうのですよ。これは住宅公団だけの責任じゃないと思うのですよ。公団が一生懸命やったって、土地が買えないのだから調整区域に延びていく以外にない。調整区域というものは御存じのとおり市街化されない地域ですから、保留地域ですから、当然町に来るまでに関連道路も必要だろう、バスも必要だろう、電車も必要だろうということになってきますと――私は確かに憲法上の問題の大事な問題を聞いているのですが、住宅公団とか地方住宅供給公社とかまたは地方公共団体とか、こういう半公共性並びに公共性の、要するに憲法第二十九条の私有財産権の中でも、第二項ですか、公共は私権に優先するとあるし、民法もそれをうたっているのですよ。ですから当然その立場を踏まえて、今回の私有権の大幅制限というものは建設省が訴えて、この公共用地の先行取得というものを打ち出したのです。ところが、その責任者である次官のいまのおことばは、確かにそれはそつのないおことばで、私も聞いておって、優等生の答弁です。そんなことを聞いていたのではいつまでたっても進まないのに、建設サイドの事務当局ではどんどん検討が進んでいる。これは一体いつになったらできるのですか、こういった問題は。私がいま言ったような、事業認定時以前にさかのぼったところの計画時においても、それ以前においても、地方公共団体が先買い権の権利が施行できる段階はいつなのか。それができなかったら、こんな絵にかいたような計画なんか幾ら出されたって、議会のほうではこれは審議できませんよ。これははっきりしてもらわなくちゃ……。それでどんどん政策では打ち出していく。でかく出ている。この一点がはっきりしないから、今日の住宅公団が当面している問題も、地方公共団体の住宅政策も宅地の政策も、全部行き詰まっているのはそこにある。私は、いま市街化区域内にあるところの大幅な、民間デベロッパーや不動産業者が持っている土地の面積は幾らなのか、調整区域に持っている地方公共団体の国有地とかそういった公共用地以外の、私人の持っている土地は一体幾らなのか、この面積を調べ上げた上でこの計画をお立てになったと思っているのですから、どうかひとつこの点については、いまも官房長は前向きの姿勢を述べられたが、私はもう一ぺんこれをあえてお尋ねしたいのです。
  57. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私はあまり優等生ではないつもりでございますけれども、しかしながら私どものただいまの責任ある立場というものから考えましたならば、先ほど申し上げましたようなお答えにならざるを得ないわけでございます。ただ、私どもとしても、じんぜん検討にばかりゆだねて日を送っているわけじゃございません。決断すべきときには決断いたしますから、その点はひとつ私どもに、御信用いただいておまかせをいただくほかにはない、かように考えております。
  58. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その決断は四十七年度当初予算、一般会計予算に当然計上されてくる、予算面の上に反映すると理解していいですか。
  59. 藤尾正行

    藤尾政府委員 必ずしも全部が全部というわけにはまいらぬかもしれませんけれども、できるだけそれに近い方向でまいりたいと私どもは考えております。
  60. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはこれ以上言っていてもおそらくどうしようもない問題だと思うのですが、土地開発公社について、だれもいないから私じっくり、時間をいただいてますから、きょうはひとつ次官と議論したいのですが、土地開発公社のいまの機構についての御見解をまず聞きたい。
  61. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私はただいまのところ、こういった方法でやっておるというのはきわめて妥当である、かように考えております。
  62. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 妥当であるということは、いま自治省が予算化されつつあるその金融公庫と、土地開発公社と、大体二点あると聞いているのですが、その土地開発公社の性格が妥当だと思っているのですか。
  63. 藤尾正行

    藤尾政府委員 ただいま申し上げておりますのは、私どもは将来にわたって新しい法制でこの問題に対処していきたいということを官房長も申しておりますし、私も冒頭申し上げたつもりでございます。したがいまして、その時点から先、開発公社というものが一体どのようなものになっていくかということはこれは別の問題といたしまして、ただいまそれがまだ発動されていない現段階におきまして、そういった構想といいますものを進めてまいるということは私はきわめて妥当である、かように申し上げておるのであります。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 土地開発公社というのは各地方公共団体で、ありますね。それは、土地開発公社の性格が要するに民法上の公益法人とみなされている土地開発公社なんです、民間資金が相当導入されていますから。たとえばこの理事長になるのは地方公共団体の責任者である市長がなっている場合がある。そのために、いまこの土地の取得に対して、開発公社に対しては、当該地方公共団体の議会においては監査の対象になっていないのです。そこでいろいろな問題が起きていますね。こういう問題を是認した上で、いま出された、予算要求されている自治省の開発公社とみなしておるわけですか。
  65. 藤尾正行

    藤尾政府委員 ただいま小川先生の御指摘のとおりに、いろいろな欠陥と申しますか、考えていかなければならない問題を含んでいるということは私も承知をいたしております。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、これは関係局長でもけっこうですが、ちょっとむずかしいのですが、全面公的土地開発公社をつくっていくことを自治省と話し合って、自治省の予算要求というものを建設省サイドでは共闘しているのですか。
  67. 大津留温

    ○大津留政府委員 土地開発公社、現在のものは、御指摘のように民法上の公益法人という形をとっております。それではやはりいろいろ不足がございますので、法的な根拠を与えましてしっかりしたものにしようというのが自治省の構想でございます。私どもはその構想を是認いたしまして、それとタイアップしていろいろ制度面を整備していく、こういうことでやっております。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 次官、これは非常に大きな問題だと思います。いまの官房長のお話を聞きまして、確かにいままでの民法上の公益法人としての性格の地方開発公社、土地開発公社、土地取得の公社というものは非常な問題があるから、いま四十七年度一般会計予算大蔵省に要求していらっしゃる。要するに市街化区域並びに都市計画事業を遂行するために、地方公共団体が用地の先買いをするために、その機関であるところの地方の開発公社というものを公的公社にするための予算要求であると私はきょう初めて理解したわけでございますが、これについては次官はもう御意見ございませんか。
  69. 藤尾正行

    藤尾政府委員 こういった問題につきましては私どもが指示いたしまして検討させておるわけでありますから、私に異議があろうはずはないわけであります。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 次官なかなか頭がいいから、一つ言えばもうぱっと読みとってしまって、私の言わんとする質問を切り返しているのですけれども、私はこの問題について、きょうみたいな非常に静かな何にも声の出ない委員会で、じっくりこうやって討論する機会を得たというのはほんとうにいいことだと思うのです。もう少したつとこれがまた大蔵問題で大騒ぎになりますから、その間ひとつ冷静なところで……。この問題は大事な問題でございますから、財源がないとかなんとかということでは困る。  それから、関係局長にお尋ねいたしますが、そういった先買いについて、財源がない場合、地方公共団体が公債でお買いになる場合には、正当なる補償として見るという見解を持っているかどうか、お尋ねしたい。
  71. 大津留温

    ○大津留政府委員 正当なる補償であるかどうかというのは、法律的に問題になるのは、収用法によりまして強制取得をした場合に、その対価として公債で支払うということが許されるかどうかということだと思うのです。先ほども申し上げましたように、任意買収の際に相手の了解を得て公債で支払うということは何ら差しつかえない問題だと思っております。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと官房長、私有権の大幅制限で、要するに先買い権というものが発動されますと、これは土地収用法ほどではないにしても、憲法上の私権の大幅な制限ですね。要するに先買い権が発動されるのですから、そしていなやもなく買われるわけですから。その場合に、地方公共団体が、自治省が出しているような土地開発公社とか金融公庫とかでまかなえればいいのですが、当該地方公共団体が財源的にない場合に、まして円・ドル問題で数兆円のお金が落ち込むといわれている固定資産税等々の四十七年度の財政を見たとき、当然先買いが必要だ、先買い権が発動された、そこで建設公債で買い取るというのは正当なる補償ではないですね。どうですか、この見解は。
  73. 大津留温

    ○大津留政府委員 先買い権と申しましても、先買いの権能の度合い、これからどういうふうに制度としてきめるかによっていろいろ違ってこようかと思いますが、先ほど申しました、公共団体が、私人間の取引に際して、先に購入する交渉権を持つという場合におきまして、その対価の支払い方法を相手と相談して、公債で支払うことを相手が了承するということなら憲法上の問題はないと思いますが、かりに、そういった先買いをした場合に相手の意思にかかわらず公債で支払うというような制度をつくるとすれば、これはやや問題になってこようかと思います。しかしそれも、いろいろ法的にそういうことが許されるという見解もあろうかと思いますので、これは非常にむずかしい法律問題、検討しなければならない問題だと思います。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは重大な問題ですから、この問題の見解が出ないうちは建設省のやっているいまの先買い制度というものは一歩も前進しない。そこでそういった一つのラインがいつも引かれているために。先ほど政務次官がおっしゃられたように、確かに国民の私有財産を守ることは憲法上の基本的な問題です。これを侵してはなりませんよと、確かに憲法第二十九条第一項ではいっているのですから。しかし第二項以下には、公共事業を推進するためには私権の大幅な制限もやむを得ない、という見解の中で私どもは議論をしているわけでございます。これはひとつ早急に見解をまとめていただきたい。よろしいですね。  それから第二点は資料要求をお願いしたいのですが、市街化区域の中の、不動産業者、民間デベロッパーの持っている土地面積、並びに市街化調整区域に買い取っておられるところの民間デベロッパー及び不動産業者の面積、これをひとつお願いしたいと思います。  では続けて質問いたしますと、今度は住宅問題でございますが、住宅建設五カ年計画で重大な影響を持つところのプレハブ住宅住宅製品の工業化、これに対するいろいろな規格の問題がありますが、この規格の問題は住宅公団でも非常に大きな問題になっております。たとえば団地サイズというのがあって、畳一畳が民間のサイズよりも小さいとか、窓ワクのサッシがどうだとか、こういった問題でいま十一社の民間プレハブ協会と建設省、通産省との調整がいろいろ行なわれていると聞いております。この点については通産省と建設省意見が相違しておって、なかなかこの規格がまとまらないということを聞いておりますが、その事実はどうなっておりますか。
  75. 多治見高雄

    多治見政府委員 住宅建設の工業化と申しますか規格化、これはわれわれとしてはこれからも一番努力を続けるつもりでございます。ただ、住宅建設は御承知のように工場生産の面と現場でいろいろ作業する面と両方ございますので、規格というのはなかなかむずかしいという面がございます。それと、地域的に伝統的に非常に違う面がございます。たとえば畳の寸法にいたしましても関東と関西では寸法が違う。それから寸法のはかり方にいたしましても、柱のしんからしんまでの寸法ではかるか、表面から表面の寸法ではかるかというような面で、いろいろな地域的なサイズがある。これを一挙に規格化するとかあるいは工業化するということを申しましても、なかなかむずかしい面がございます。そういう点で、通産省とは非常に緊密に連絡をいたしておりますけれども、通産省のほうは住宅生産についてのそういったむずかしい面の理解と申しますか、要するに工場生産の面だけを非常に考えておられるので、われわれとしては現場生産といいますか、技能工のいままでの伝統的なやり方という問題も非常に重要視しなければいかぬという立場もございますので、そこら辺で多少意見の食い違いがありますけれども、緊密に連絡をいたしまして、できるだけ統一いたしまして、関東、関西の地域的な差異等も超越して、何とか規格化に持っていきたいということで努力しておる段階でございます。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その場合、その規格をはっきりさせた場合には、融資の義務づけとして、業者から念書を取っておるようなことはありませんか。日本開発銀行から融資を受ける場合の念書を取っておりませんか。
  77. 多治見高雄

    多治見政府委員 実は私どものほうで本年二月に基準寸法というのを提案いたしておりまして、これは九百ミリメートルを基準にいたしまして、これをもとにいたしまして、この二倍あるいは三倍ということで寸法をきめたいという、要するに規格化の第一歩を始めたわけでございます。これにつきまして、開銀の融資をこちらで申請いたします場合に、今後この寸法が規格化されました場合はこれを守ってくれという意味の念書を取っておるようでございます。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今後、将来、法的に規格がきまった場合には、これに違反しないように、またそれを守るように念書を入れた。入れた会社はどことどこで、入れない会社はどこで、また念書を入れたことによって日本開発銀行から融資を受けるとか受けられないとかというようなことがいま流れておりますが、それは事実ですか。
  79. 多治見高雄

    多治見政府委員 われわれといたしましては、要するに住宅の低廉化といいますか、要するに低廉な価格で住宅を供給したいということで、その一環として規格化を進めたいという努力をしておるつもりでございます。したがいまして、規格化ということも非常に重要な一環であるということで努力いたしております。開銀に対する融資のあっせんといいますか、これは公式には何もありませんけれども、われわれとしては、こういう産業については開銀も大いに融資の努力をしてくれということを申し入れておるわけでございます。その場合に、今後われわれの考えておりますような規格化が実現した場合はこれに合わすようにしてくれということを要望いたしておりまして、それをその産業が守ってくれるという約束がございました場合は、われわれのほうも強力に開銀に推薦したいということでやっておるわけでございます。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が聞いているのは、現在開銀の融資を受けようとしているプレハブ会社が、いま言った規格品の問題で念書を入れないと、建設省のほうから開銀に対してそういったあっせんの労をとらない。それじゃ念書というものがそれほどまで重大な左右、影響というものを与えるのかどうか。念書というものがなければ建設省は、何々会社は念書を入れてないから、たとえば開銀に対しては何にもあっせんをしないのか。またあっせんなんかする必要がないじゃないですか、そんな念書を入れたとか入れないとかで。それが事実であれば、それじゃ念書というものが非常に効果があり、効力があり、業界にとっては非常な影響力があり、またその念書を入れても、それを破った場合はどうするという問題も出てくる。そういうことでいろいろと陰で舌を出しているような業者もいるわけです。それはそんな事実があるのですか。何でもなければいいのですけれども、念書を入れても、お金の対象にされているような念書だったらまことに不愉快ですな。
  81. 多治見高雄

    多治見政府委員 われわれはただいま、住宅建設五カ年計画を達成したいということで非常に努力しております。その中で一番大きな目標といたしましてむずかしい点は、住宅生産の工業化、規格化という問題がございます。したがいまして、規格化は先ほども申し上げましたように非常にむずかしい問題でございますけれども、何とかこれをやりたいということで規格化推進のための努力をしているつもりでございます。その中で、開銀という政府機関が融資する場合、規格化を進める方向で御協力いただく企業についてわれわれとしても強力に推薦したいということだけでございまして、開銀自体が最終的に判断をする権限があるわけでございます。われわれとしては、住宅生産の規格化に御協力いただく企業を建設省としては推薦したいということでございます。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、開銀に対しては、念書を入れた業者を推薦した事実はないのですね。
  83. 多治見高雄

    多治見政府委員 われわれの立場といたしまして、今後住宅生産の規格化ということを進めるにあたりまして、これに御協力いただく企業については開銀に融資をごあっせんするということで、最終決定は開銀のほうがおきめになる。私のほうとしては、住宅生産の規格化について御協力をいただける企業についてごあっせんをするということでございます。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、そこのところはちょっと局長、それはわかりましたよ。問題は、念書を入れた会社だけあっせんをするということは、将来、その会社が念書を入れたんだから、要するに規格統一に対して建設省の意向のとおりになるからあっせんしたのか。念書を入れたことによってあっせんしたのか。それと、入れない会社はそれじゃなぜあっせんしないのですか。それを聞いておる。
  85. 多治見高雄

    多治見政府委員 小川先生御承知のように、第二期五カ年計画で九百五十万戸の住宅を建てたいということでやっております。その中で、やはり従来のように現場生産の、要するに現場でつくり上げる住宅というものよりは、量産の、できるだけ工業化された……(小川(新)委員「そういうことはけっこうですから、一言で、したのかしないのか」と呼ぶ)われわれとしては、開銀にあっせんするのは、要するに今後の規格化について御協力いただける企業だけについてごあっせんする、そのほかにつきましては開銀のほうの御判断にまかす、こういうことでございます。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 だから、さっきから私が言っていることは、念書を入れたものにはあっせんしたんだ、その念書を入れなければ信用しないのだからあっせんしなかったということで、その念書そのものがそういう、建設省が日本開発銀行に融資のあっせんの対象になるほど重大な影響を与えていることについて私はさっきから言っているのであって、念書を入れなくたって別に差しつかえないのであって、これは法律的にはまだきまったわけじゃないでしょう。将来の話じゃないですか。その将来の話に一々念書を入れたものだけ差別する。それはあっせんしても、融資するしないは向こうの調査によることですけれども、不良会社だってあるわけですから、それをただ念書さえ入れればどんどんあっせんするということは軽率ではないか。そういうことじゃなくして、その念書というものはそんなになくたっていいじゃないかということなんです。そういう見解なんです。
  87. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私からお答えをいたします。  ただいま小川先生の御質問は非常に大切な問題でございまして、私どもは、いまの住宅事情から住宅を早急に建設をして、できるだけ多くできるだけ早く住宅を持っていただく、そのために規格化ということが必要であろう。こういうことで、そういった方針にできるだけそういった生産会社か協力をしてくれるということが望ましい、こう考えておりますわけで、それだけの話でございます。したがいまして、念書を入れたからどう、念書を入れないからどうということではございません。ただ、念書を入れましても、あまり信頼のできないような会社が、おれは念書だけ入れるからやれといわれましても、そうはなかなかいかない。私どもとして、ほんとうにこれはやってくれるという確証がなければ御推薦もできないだろう。もしそういった方針に反するような行為がございましたならば、それはやっておるほうが悪いのでございますから、厳重に処断をいたします。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 わかりました。非常に明快な答弁をいただきましてよくわかりました。  次は東北縦貫自動車道路で、岩槻インターチェンジの建設現場で、誘導路工事に伴って約四、五メートルあそこを盛り上げていますが、そこの路線が長さ百三十メートル幅二十数メートルにわたって沈下し、そのあおりで今度はその道路が四、五メートル盛り上がってしまったのですけれども、これはどういうことなんですか。
  89. 藤尾正行

    藤尾政府委員 道路当局が来ていないようでございますので的確な御返答はできませんけれども、そういう事実があるかないか・厳重に調べさせまして御答弁申し上げます。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それじゃ私の質問は保留しまして、あとでいたします。
  91. 亀山孝一

  92. 佐野憲治

    佐野委員 ただいま大蔵政務次官がお見えになりましたので、私のほうは特に大臣出席を要求していたのですけれども……。  と申しますのは、いま質疑の中におきまして問題となりました点は、公団家賃値上げの問題に関連していま質問しておるわけでありますが、この中で、この十三日に大蔵省予算編成に対する見解ですか、これが新聞紙を通じて発表されてまいっておるわけであります。公団家賃値上げに関しましては、いま大蔵省発表になっておりますのは、昭和三十年から四十一年度の公団居住者に対する一斉値上げ、平均三七%だ。具体的な数字もあげられておるわけです。この委員会におきまして、日本住宅公団の使命、沿革、これらの問題をめぐりまして、公団の新規の家賃、これをどうすべきかという問題、第二点は居住者に対する不均衡という問題についてそれぞれ、行政管理庁の住宅行政監察結果の報告なり、住宅宅地審議会からの答申もあるし、その答申が、実情を非常に無視しておるのではないか、内容においても問題点を多く包含しておるのではないか、こういうことで、長らく本委員会において論議されてまいったわけであります。昭和四十三年にあき家住宅に対する値上げ問題が起こってまいりました。これに対しましても、これらのことがほんとうに住宅政策の中において、公団沿革から考えて妥当かどうか、これらの点に対しましてもずいぶん論議が積み重ねられてまいっておるわけであります。  そういう中で私が指摘いたしましたのは、本委員会におきまして、非常に重大な問題である、ですから建設大臣も十分白紙の立場に立って検討する。住宅公団総裁もまた、基本問題検討委員会を設けまして、それらの点をあらゆる角度から検討してまいりたい、このように国会で言明いたしております。あるいはまた総理も、本年度の予算編成におけるところの議会におきまして、公団住宅に対する値上げの問題は非常に社会的にあるいはまた物価の問題等を通じましても慎重に検討しなければならない、だから値上げはしない、このことを言っておるわけであります。もちろん、国会のいろいろの論議の内容を根本前建設大臣としても総理に報告すると同時に、十分検討する、こういうことで国会において報告しておられるわけであります。ですから、そういうときに突如としてこの十三日に、大蔵省の事務局の説明だと伝えられておりますけれども、これは新聞紙を通じて発表になってまいる。  そこで私は、日本住宅公団法規則に基づきまして、特に規則の第九条あるいは第十条、これを中心といたしまして、公団家賃変更なりに対しましては一つの手続規定が存しておるわけですから、これは日本住宅公団総裁が案を具して建設大臣承認を求める、こうなっていますから、一体日本住宅公団総裁はそういう案を具したことがあるのかどうかをお聞きいたしますと、具してはいない。建設省としてはどうか。大臣の代理で出席しております藤尾次官は、建設省としてはそういうことに対しましては、公団総裁から何らの案も具してきていないし、かつまた大臣としてもそういう問題に対していま検討していないんだ、だから全く意外だ、こういう回答があったわけです。この点に対しまして、大蔵省の主計局から来ておられる主計官は、事務的な面においてそういう見解というものを発表したのだ、こう言われるわけです。  そこでお尋ねいたしたいのは、そういう重大な政策的な問題で、しかも本委員会におきまして、大臣公団といろいろな角度から十分検討しておるさなかであるにかかわらず、何らこれに対するところのそういう意見が組み入れられていないではないか。しかも総裁大臣も知らない。行政の最高責任者である総理大臣の国会において言明しておることとも違っておるではないか。そういう重大な政策的な決定を新聞紙を通じて明らかにするという態度は間違っておるではないか。国会軽視ではないか。また何の権限をもって、重大な政策立案に対する、しかも国会の意思を無視してあのような措置をとられたのか。その根拠は何だ。この点をいまお尋ねしておるさなかでもあるわけであります。  そこで次官、どうですか、あなたの見解は。
  93. 田中六助

    田中(六)政府委員 現在四十七年度予算を鋭意大蔵省としては検討中でございますが、御承知のように景気は非常に沈滞しておりまして、財源、税収、そういう点で財源の面で頭を痛めておりまして、したがって事務当局といたしましては、財源になるものはないかということでいろいろな総ざらいをしておる段階でございまして、総ざらいをしておる中に、懸案事項の一つといたしまして公団住宅の古いほうの値上げの問題ということがあるのは事実でございますし、それもワン・オブ・ゼムの中に入っておると思います。それは昨年来、建設省住宅公団あたりの事務当局と話し合いを進めておった問題でございまして、まだ上のほうには来てないのでございますが、事務当局といたしましては常にそういうことを検討するのは一つの職務でございますので、当然だと思います。  ただ、だんだん上の段階に持ってきてこれをきめるということは、そういう事務当局が検討することとは問題が別だと思うのです。私どもがその受けざらでそれをどうするこうするということはこれからの問題でございまして、たまたまいま新聞記者会見や何かでそういう記事になったということが大きな問題になっているわけでございますが、それが決定するということは、佐野委員もすでに御指摘のように、国会もあり、総理もそういうことをおっしゃった――私は寡聞にして聞いておりませんが、そういうこともあった。それから建設大臣も正式には知らないということになっておる問題でございますので、これが決定するかどうかということは全く別な問題ではないかというふうに考えております。
  94. 佐野憲治

    佐野委員 私の指摘いたしておるのは、日本住宅公団法手続規定があるでしょう。これによって運営されなくちゃならぬ。その公団法施行規則九条、十条で、原価主義、あるいは財投資金の利回りというものも一応五%以下、こういうぐあいに押えられておるわけですね。しかも、公団総裁が案を具して大臣承認を求めるという手続をとるわけです。ですからこれは年度途中でもいいわけです。しかしながら、そういう手続をとって、その上に政策的にはどうなんだ、日本住宅公団沿革は一体どうなんだ、使命はどうなんだ、このことが大きな問題になってくると思います。それで、財政投融資その他、そういう財政資金運用に対しましては、これも高度な政治判断を要する問題です。ドル・ショックに対処するために、過去における住宅のストックなり住宅投資なりがいかに世界から立ちおくれておるか、そのことがいまの新しい通貨問題にも関連してきておるではないかということで、根本的な財政投融資の社会資本、生活基盤への切りかえという問題が論議されておるところでしょう。その方針決定していないわけですね。しかも重大な社会問題であり住宅問題であるということから国会において論議されておる。そういうときに事務当局が、国会の意思というものは全然考慮されていないということです。これは国会軽視ではないですか。  それから、そういう手続をもってやっていくという手続規定を無視しておる。全く越権行為じゃないですか。大蔵省の事務官僚が総裁の権限、建設大臣の権限を抜きにして、全然知らない、しかも検討しておるという中において、そういう見解なるものを発表する――発表となっておるでしょう。だから各紙一斉に載せておるでしょう。しかも、単なる論議の過程でこういう話があったのだというのじゃなくて、具体的に数字をあげておるでしょう、三七%の内訳を。一体何の権限があってこういうことをやるのですか。事務官僚あって公団総裁あるいは建設大臣なし。このことが無視されていいんですか。ここにはそういう規定になっておるでしょう。どの権限をもってこういう発表をやられたか、こういう点を聞いておるのですよ。  しかも総理が、あるいは大臣も、住宅政策の根幹、物価問題、将来におけるところの日本の社会資本の充実、こういう高度の政治判断のもとで、私が冒頭に申し上げましたような、住宅の著しく不足しておる、住宅に困窮しておる勤労者のために住宅を提供するという使命、この使命の中で一体どうすべきか。そのためには、新しい公団住宅が四万円もする、四倍だ、十六万円の勤務者がここに入ることができるかどうか、この問題を一体どうするのだという問題が出てくるでしょう。あき家の問題につきましても、原価主義のたてまえでいくならば一体どうだろうか。すでに七十年の償還の中で、公団規則の第九条によりまして、御存じのとおり修繕費なり何なりというものは全部明らかにされておるわけです。しかも五年、七年というものは全然修理費は要らないわけです。要らないけれども七十年という中で年限割りをやっているわけですね。減価償却制度をとっていっておる。ですからそれらのものは他に運用されているわけでしょう。そういう意味におけるところの原価主義の内容におきましても、しかも原価主義をとったといたしましてもたいへんな問題が起こるではないか。  これは次官、あなたは日本住宅公団の発足したときにおける国会の審議というものを一度ひもといたことがありますか。当時鳩山内閣のもとにおきまして竹山祐太郎氏が大臣として提案する場合におきましても、現在における住宅不足の著しいときに、勤労者のために低廉な住宅を提供することはたいへんな問題だ、だから財政投融資計画におきましても、あるいは元利償還に対する利子にいたしましても五%以下だ、民間の資金その他を導入いたしたとしても五%以下でなくちゃならないぞ、こういう規定を置いたのはそういう趣旨でやっているわけです。ですからこれはたいへんな問題だ。しかしながらこの公団の成立の沿革、この使命感に向かって、困難を乗り越えてやっていきたいのだということが立法の趣旨であり、それに対する国会における慎重な審議がなされておるわけです。ですから、原価主義をとりながらも、なおも勤労者の困窮しておる住宅問題に対して取り組んでいくのが公団の使命だ、こうなっているわけでしょう。ですから、私はあえて申し上げますけれども昭和三十四年の四月、行政管理庁から、住宅行政に対する監察の結果の報告として、昭和三十年四千円で出発いたしたものが、わずか二、三年で五千円になってしまう。このことは住宅公団沿革、使命から考えて、はなはだしく不均衡な措置ではないかという点が指摘されているわけです。だから値下げをすべきだ、こういうことが勧告として出されておったわけでしょう。  私があえてこういう沿革を申し上げますのも、この法律の立法の趣旨、それがどのように日本の住宅政策の解決のための位置づけが与えられておったか。だからこそ、住宅公団総裁が案を具し、建設大臣承認を求める、こうなっておるでしょう。ですから、財政投融資の問題にいたしましても、出資金の問題にいたしましても、補給金の問題にいたしましても、あくまで住宅の著しく不足しておる、住宅に困窮しておる勤労者、このための任務があるわけです。その中から、財政投融資計画はどうすべきか、一般会計の繰り入れはどうだ、過去において産業投資会計から繰り入れたものをどうするか、こういう問題も出てくるわけでしょう。そういう点を私たちは論議しておったわけです。そういう問題を事務官僚が、単なる現在におけるところの財政的な一部の現象のみをとらえて――国会において審議したこと、公団において、あるいは建設省において真剣な討議が重ねられ、明年度予算にいたしましてもその見解から、政府資金の増額なり、あるいはまた補給金なり、要求いたしておるわけです。民間資金は四九%もこえていく。最初の設備投資から見てまいりますとたいへんな違いが出てまいっておるわけです。こういう点も一体どうあるべきか。  同じ住宅におきましても、雇用促進事業団は三百八十億円の無利子の金を失業対策特別会計から事業団に出資することによって、無利子の金を使って現に住宅建設をやっておるではないか。しかも公営住宅よりも安い家賃で提供しておるではないか。こういう問題等、一体公団はどうだろうか。しかも、公団は最低を押えているけれども、この最低をやるために、夫婦共かせぎでも入れない。入れないから親元から送ってもらう。財産譲与だ。送ってもらった分をプラスすることによって最低の収入というものを確保して申請しなくちゃ入ることもできないではないか。こういう現実にあるときに、一体住宅に困窮する勤労者のための住宅建設の使命感というものは全く失ってしまっておるではないか。こういう点も私たちは指摘いたしておるわけでしょう。  そういう点から見て、そういう大きな政策的な問題を大蔵省の事務官僚が、公団とも相談しない。建設省においても全く白紙で驚いておる。全く越権行為だという声すらも出てきておるという現実に対しまして、一体どう考えられますか。もう一度この点を……。
  95. 田中六助

    田中(六)政府委員 手続上の問題といたしまして、総裁の案を建設大臣が受けてこれを認可するという、そういう手続上のことが全く無視されておりますので、これはあくまで事務当局の案にすぎないということは断定できると思うのです。したがって、これは決定的なものではございませんし、先ほど申し上げましたように、事務当局が一つの案をいつも練るということは、これは仕事でございますので、しょっちゅうやっていることでございましょうし、昨年から建設省公団とずっと考えておったことでございます。佐野委員の御指摘のように、住宅問題というものは私ども国民生活に非常に直結するものでございますし、これの値上げは即物価に響くというようなこともございまして、慎重に扱わなければならないのは事実でございます。したがって、これを決定するかどうかという段階になりますれば、そこにやはり政治というものがなければなりませんので、十分慎重に取り扱うということは私ども断言できると思います。
  96. 佐野憲治

    佐野委員 それはけしからぬじゃないですか。昭和四十六年度の予算編成にそういう話があった、一体どこで話したのですか。四十六年度の国会審議の中におきましても白紙の状態であって、今後の住宅政策のあるべき道、これに基づく、国民総支出の中における住宅投資は世界的に比較して全く不足しておるし、ストックも不足しておる現状から考えても、これはたいへんな問題を含んでおるわけですね。だから公団総裁にいたしましても、現に置かれておる財政状態のもとでたいへんな事態に、いわゆる繰り越し資産ですか、借金を返すための借金をしなくちゃならない。こういうものは七分の一にもなってきてしまっておるというような状態のもとで、いろいろな点が議論されておるわけでしょう。それを事務当局が――そうした事務的な行政内部の話なら行政内部の手続があるでしょう。行政内部の手続の法律があるでしょう。大蔵省というのは法律から別格に存在しておるわけですか。別格に存在しておると思われますか、どうですか。
  97. 田中六助

    田中(六)政府委員 法律は、私どもが守らなければならない最高のものでございまして、大蔵省がその法律のらち外にあるということは言えないと思います。  それで、この問題は、先ほどから何度も申しておりますように、事務当局がこれを財源の一つに検討するのを、してはいけない、あるいはそれをどうのこうのということは私どもとしては言えませんですが、問題は、その手続を踏んでおりませんし、皆さんの了承も十分得ておりませんので、これはあくまで案でございまして、その案がいい悪い――ちょうどこれがたまたまこういうような形で新聞に載ったという事実から問題になっておるわけでございますので、そういう点は私どもも十分よく考えまして対処していきたいというふうに思います。
  98. 亀山孝一

    亀山委員長 それではこの際暫時休憩をいたします。    午後零時五十六分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十三分開議
  99. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、大蔵政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。田中大蔵政務次官
  100. 田中六助

    田中(六)政府委員 公団住宅家賃値上げ問題は、かねてより国会で慎重に審議されていましたにもかかわりませず、大蔵省が去る十二月十三日に新聞に発表したことは軽率でありまして、今後かかることのないように注意したいと思っております。
  101. 亀山孝一

    亀山委員長 質疑を続行いたします。阿部君。
  102. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま大臣政務次官から御発言がございましたが、公団住宅家賃値上げ問題は、ただいまの田中政務次官御発言のように、国会におきましても総理大臣の御発言もあり、また建設大臣の御意向等も明らかにされて、慎重なる審議を行なってきておったわけであります。その際に、建設省がこの問題に、国会の意を受けて、あるいはまた住宅公団におきましても、慎重な取り組みをなさってきたわけでありますけれども大蔵省が突如として、いわば建設大臣の権限を越え、または住宅公団総裁の意向等をも乗り越えて発表したということについて、遺憾であったという意向の表明があったわけであります。自今こういうような、いわば財政当局はあらゆる政府のそれぞれの機関あるいはまた国会の意思にも優先するような態度、これはひとつ厳重に反省をしてもらわなければならぬと思うところであります。  そこで、藤尾政務次官に私最後にお尋ねをしたいのでありますが、先ほど藤尾政務次官が、大蔵省のこういう態度はまことにけしからぬ、こう非常にふんまんを込めた御発言がございましたが、私ども与野党を通じて実は全く同感に思っておるのであります。また、第一線で非常に困難な中で住宅政策に取り組んでおられる建設省関係者、または住宅公団関係者の皆さんも、藤尾政務次官の先ほどの御発言に対して実は深い共感を持ったところだと思います。この機会に、大蔵省発表した来年十月から家賃値上げをやる、こういう発表に対して、藤尾政務次官から建設省の立場で、先ほど大蔵省のやり方についての批判があったのでありまして、御不満の意の表明があったのであります。家賃値上げ問題に対しては、先ほどは白紙だという御答弁でございました。  そこで、私は一歩進めて、おそらく今度の七二年という新しい年を展望いたしました場合に、円の大幅切り上げの問題があり、日本経済の七二年という展望はまさにきびしい年になる、こういうふうに思われるわけであります。この際に住宅公団家賃値上げが行なわれるということになりますと、いろいろな面にたいへんな影響が及んでいくと思うのであります。したがって、白紙あるいは慎重にという御意向は先ほど表明されておったのでありますが、次の経済情勢のきびしい見通しともかかわりまして、この際、七二年における公団住宅家賃値上げは行なわない、こういう一歩を進めた意向を表明して、物価の値上がり等を抑制し、日本経済のこの危機的な様相に対応していく、こういう前向きな御意向を実はこの機会に承りたいというふうに思うわけであります。いま大蔵政務次官のほうからも、大蔵省のとってきた越権的な軽率な行為に対する御反省の御発言もあったのでありますが、藤尾政務次官として、本問題のよって起こった、公団住宅家賃値上げの本問題に対しての前向きな御答弁をこの機会にぜひ承りたい、こう思うのであります。
  103. 藤尾正行

    藤尾政府委員 お答えをいたします。  この問題につきましては、御案内のとおりいろいろな視野からいろいろな理由をもっていろいろな意見がなされておるわけであります。しかしながら、先生御指摘のとおり、この問題は物価あるいはその他いろいろな問題との相互関連においてとらえなければならない問題でございまして、私ども建設省におきましても、西村建設大臣みずから、この問題に対しては慎重に、ひとつ自分にまかしてほしい、こう言っておるわけです。おそらく大臣の持っておられまするお考えでは、総理と大蔵大臣その他とも相談をして、そうして納得のいく答えが出るまでは、自分の発議においてはなさぬ、こういう御意思であろうと思います。したがいまして、大臣がさような御意思であられるということを私どもは大体においてうかがい知っておるわけでありますから、私は私としての意見は別にございます、ございますけれども建設政務次官といたしまして大臣のかわりに発言をさしていただく立場でございますから、大臣の御意思を体して、大臣の御指示を待って、私どもはその御指示に基づいて行動をすべきであろう、かように考えておるわけであります。
  104. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま藤尾政務次官からきわめて意味の深い御発言がございました。西村大臣としてはこういう情勢下においては慎重に、特にわれわれが受け取ったただいまの政務次官の御発言は、自分としては上げない、こういう意思を西村大臣としてはお持ちである、この立場を踏まえて今後の行政に慎重に対応したい、こういう御発言でありました。ぜひひとつ、七二年というこの経済情勢、非常にきびしい時期でありますので、ただいまの、西村大臣の意思としては上げないという立場で慎重に取り組むという、この立場を貫き通して、日本のこのいまの住宅政策に対して取り組んでいただきたいということを強く要望を申し上げる次第であります。  この問題に関する私の関連質問は以上で終わりますが、委員長、私が最後にお願いしておるほうはあとでやらしていただきます。各党全部同じ関係の問題でありますから……。
  105. 亀山孝一

    亀山委員長 小川君。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 公明党の小川でございますが、本問題に関連いたしましてひとつ意見を申し上げたいし、聞きたいと思います。  先ほど、白紙だということでございますが、総裁住宅公団値上げの問題に一番関心を持っているということは、公団財政事情が非常にたいへんである。聞くところによると一日一億円もの利子を払っている。こういう問題を、住宅公団昭和三十一年以降の、要するに二十二万戸の十年以上たった公団住宅の人たちのまず家賃値上げにはね返らして対策を講じたいということが一つと、もう一つは、新しい公団住宅の値段が、上限がありませんのでとめどもなく上がっていく。三万円がことしは四万円になる。来年の面開発はおそらく五万円になるだろう。これもまた総合土地対策、総合都市対策というものの欠陥からこうなるのであって、私はあえて住宅公団だけを責めているわけではありません。しかし、こういう問題が、家賃の格差とかいうものが一部の、二十二万戸、数十万人の公団住宅にお住まいになっている方々の生活の上に反映してくるということは重大であります。そこでいまこの問題については慎重に国会で審議を重ねてきたわけであります。ところが先ほどの問題では、公団は今回の値上げ大蔵省のこの発表については関知しなかったということでございますが、全国決起大会が行なわれました自治協の幹部が公団に行ったときに、「公団管理担当の川口理事は、自治協側の家賃値上げ反対の要求に対して次のようにのべました。」と、ここに出ているのです。「一、大蔵省の具体的方針は承知していないが、公団としては値上げは必要であると考えている。一、値上げ実施にあたっては、政治的判断が行なわれるにしろ公団はことしの暮の予算編成期待ちである。一、値上げ問題については、公団は業務として関係各省に説明してある。」こういうふうに川口理事さんが述べられておりますが、本日川口理事さんはおいでになっていますか。――私の言ったことが間違いであるならば、これは間違いであると川口理事から御発言をいただくとしても、ただいま三つの項目を私述べましたが、まず、「公団としては値上げは必要であると考えている」、この問題については総裁としてはいかがでございますか。
  107. 南部哲也

    南部参考人 ただいま御指摘の記事につきましては、当人も来ておりますので、真偽のほどは当人からはっきりさしてもらいたいと思います。
  108. 川口京村

    川口参考人 ただいまの記事といいますのは、どういう新聞に出ていたのでございますか。
  109. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 あなたが発言したかしないかをお聞きしたい。
  110. 川口京村

    川口参考人 公団の立場といたしまして、家賃の「値上げは必要であると考えている」というような発言はいたしております。それから「関係各省」といいましても、それはことばのあやでございます。建設省には説明してある、そういう意味でございます。つまり、こういう格差がございますからというような説明建設省にしてある、そういうことでございます。ただ、値上げの幅とか時期とか、そういうものについては別に発言はしておりません。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 確かに川口理事が言っていることに間違いがありませんが、理事としては、「大蔵省の具体的方針は承知していないが、公団としては値上げは必要であると考えている」これはいま発言をなさったわけですね。それに対して「関係各省」というのは、これは大蔵省は含まない。建設省には確かに言ったんですね。
  112. 川口京村

    川口参考人 建設省住宅局に私は説明しております。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総裁川口理事さんがこうお答えになっていらっしゃることは、理事でございますから、幹部でございますから、このことはもう公団総裁としても同じ御意見で、建設省にそういった御説明をさせるように、まずあなたから御指示をなさったのですか。それからまた値上げについてはやむを得ないものなのか。その値上げの幅とか時期とか、そういう問題は当然これはおくといたしましても、大蔵省から出た問題は全然おれは知らないのだ、寝耳に水だというのと、こういう根回しがもう行なわれているということについては、私どもとしても非常に遺憾に思うのでございますが、このことも、やはり公団の立場があるのでそういう発言をなさったと思うのでございますから、私は何も公団のことを責めているわけではありませんが、先ほどの総裁の御答弁では、全然知らなかった、何に毛相談がなかった。しかし「関係各省」はことばのあやであって、大蔵省には行かなかった。要するに建設省だけなんだ。ここで建設省だけと言ってくれれば間違いなかったけれども関係各省ということだから、私どものほうは、大蔵省も入っていて、大蔵省としたって住宅公団建設省からもこういう説明があって、値上げがどうしても必要だというデータその他の値上げ説明があったから、こういう問題が大蔵事務当局から当然要請されてきたのだと理解せざるを得ない。これに対しては、ここでおれのところは全然知らないのだという責任回避であっては困るのであって、この問題については、値上げの意思はあるのだ。だけれども、いま言ったように、時期、幅、そういった高度の政治的判断が行なわれる問題については、確かに大蔵省の言っていることは知らなかった、こう理解していいのかどうか、この辺のところ……。
  114. 南部哲也

    南部参考人 公団家賃の不均衡是正といいますか、そういう問題は実は住宅宅地審議会で提起になりまして、さらに行政管理庁から公団の査察の際にも指摘になっておるというようなことで、公団といたしましてはこの問題について十分の検討が必要であるということで、この問題の基本問題検討委員会というのをつくりまして、あらゆる面からの検討はいたしております。  そこで、第一の値上げが必要であるかどうかという問題でございますが、これはいろいろな意味公団が独立の企業体として考えた場合、これは十六年前にきめた家賃というようなものが、現在のところ理論的には七十年間で償却するということでございますので、この間全然値上げはしないで経理ができるかという検討は当然しなければならない問題でございます。そういった検討の過程で、たとえば修繕費であるとか公租公課であるとかいうような問題について、現在でも確かに赤字になっておるというような問題等も検討いたしまして、これらについてどのように措置するかという点は事務的ないろいろな検討はしているわけでございます。したがいまして、これをどういうふうに取り上げてどういうふうに対処していくかということとは別に、そういったような検討の結果というものは、これは建設省のほうにも説明をしておるという現実は当然あったわけでございます。ただ御説のように、これをどのような幅でどのような対象戸数でいつからやるかというような問題につきましては、現在のところ公団としての案はございません。これはもちろん、建設大臣が白紙と言っておられますけれども公団自体の案というもの、これが公団の案であるというものはないわけでございます。現状はただ格差の実態的な現実の姿の検討といいますか、それの研究ということにとどまっておるというのが現状でございます。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大蔵省主計官の方にお尋ねいたしますが、こういう値上げの問題は唐突的に出てきた問題ではないと思うが、住宅公団からは何ら説明がなかったのですか。この値上げについては住宅公団及び建設省からこういう説明というものが全然行なわれずに、あくまでも住宅公団の意思を無視した、大蔵省としての独特の立場でこういった問題を出したのですか、どうですか。
  116. 藤井直樹

    藤井説明員 公団住宅家賃値上げ検討にあたりまして、検討の資料として建設省から各種の資料の提出はいただいております。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 住宅公団そのものからはなかったのですね。
  118. 藤井直樹

    藤井説明員 建設省を通していただいております。
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省にお尋ねいたしますけれども、そうしますと、住宅公団の意図というものは、建設省住宅公団からこういう説明があったと、建設省を通して大蔵省値上げの必要性という説明をやったのですか。
  120. 多治見高雄

    多治見政府委員 値上げの必要のあるとかないとかいう問題ではございませんで、現在の家賃の構成、それからその資金コストの問題等につきまして、われわれとしては資金コストを下げたいという要求を来年いたしておりますので、それにからみましていろいろな、家賃決定する場合の積算の根拠については十分説明しております。それをもとにしてはじき出せばいろいろな数字が出てくるということでございます。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると住宅公団建設省に対して、値上げをしてくれと直接には説明をしてきたわけじゃないのですね。
  122. 多治見高雄

    多治見政府委員 御承知のように、住宅公団は家主としての立場で、自分のほうから家賃を上げたいというような希望はなかったというふうにわれわれ考えております。ただ、われわれの立場といたしまして、三十一年からずっと長年住宅をつくっておりますので、この間の家賃の不均衡という問題があるので、その点について検討すべきであるということは考えておりますけれども、それについての公団意思表示というものはまだございません。
  123. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 よくわかりました。そうしますと、住宅公団値上げの要求は直接はしない。建設省も、積算の説明、また、もっと対策を講ずるならば家賃の値下げをしないまでも据え置くことは可能である、こういういろいろな説明のことはお互いにやったけれども、直接に、値上げをしなければいまの財政的にも住宅公団を救う道はないということで、大蔵省説明をしたことはないと私は理解したのですが、大蔵省主計官、そのとおりですか。
  124. 藤井直樹

    藤井説明員 値上げの必要性については十分議論をしておりますが、具体的にどういう時期にどういう幅で値上げをするかということについては、この予算編成の時点で伺ってはおりません。
  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと主計官、直接そういった議論はしたけれども値上げの要求がないのにこういう三八形も三七%も上げるということは、あくまでこういう値上げの問題については、関係各省及びその公団等の意見は置いておいても、大蔵省のこれは必要性の見解からこういった問題を発表した試案だと思うのです。そうするとこういう問題は、そういった関係各省や公団等の所管の関係のところから来なくても、大蔵省の判断で値上げをするとわれわれは理解してしまうのですが、今後こういう問題は、大蔵省の判断で値上げというようなものはできるのであって、それでは今回からはもう、建設省とか住宅公団等にはこういった値上げ反対の陳情は行なう必要はなくなる。もうこういった値上げの問題についてはあくまでも大蔵省が実権を持って、大蔵省の判断で値上げをするのであれば、もうこういった公団住宅やまた公営住宅等の方々の組合というもの、また代表というものは、住宅公団建設省に行く必要はなくなって、ただもう大蔵省へ行けばいい、こういうことになるのですね。大蔵省建設省住宅公団の意思というものを無視して、こういった国民生活に重大な影響を与えるものをただ財政的な問題で御判断なさった、こういう大きな、国民に重大なショックを与え影響を与えるような問題を独断的にやると理解せざるを得ないのですが、こういう点について私は非常に遺憾だと思う。この点について、先ほどから佐野委員から御叱責があり、いまもこういった回答を次官からいただいたわけですけれども、今後この姿勢というものは続けていくのかどうか。どうなんですか。
  126. 藤井直樹

    藤井説明員 いろいろな予算の事項の中で財源問題その他を検討していくのは私どもの仕事でございますが、今度の公団家賃値上げの問題についても、値上げの必要性はあるということは建設省住宅公団も持っておられるわけです。そこで、ではいつ、どうするかということになったときに具体的な問題になるわけですけれども、これについて私どもは、今度の予算編成の過程でこういう形で処理をしていったらどうかという提案をして、それをもって建設省と相談をしていきたい、こう考えていた案でございます。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 こういった席上でお互いに責任を転嫁しているような言い方で、川口理事さんのほうは建設省へ、建設省のほうはそういった議論はしたけれども面接値上げをどうこうした覚えはない、こういうことで、はっきりしておりませんけれども、私は建設政務次官とそれから総裁に重ねてお尋ねしますが、いよいよ二、三日後に迫った予算編成の内示の段階においては、この住宅公団家賃値上げは見送る、見送ってもよろしい。こういうふうな騒ぎになっている今日、これは申し送るべきではない。こう理解してよろしいですか。
  128. 藤尾正行

    藤尾政府委員 お答えをいたします。  先ほども申し上げましたとおり、この種の問題の決定権は私どもにあります。ほかのどこにもございません。したがいまして、建設省を代表いたしまして私が、大臣の御趣旨はこういうところにはたぶんないであろう、それに従って私ども方針を実現してまいる、こう申し上げているのですから、ほかのことはあまりお気になさらないで私の言うことを御信用を願いたい。
  129. 南部哲也

    南部参考人 ただいまの藤尾政務次官の御答弁のとおりでございます。
  130. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、藤尾政務次官が、この常任委員会の権威を保って、所管の大臣がいまおりませんから、最高の責任者としていま御決意を述べたことを私も確信していきたいし、また御信用もしていくつもりでございます。  まだあと残された質問が二、三あるのでございますが、この問題に限っての関連質問ということでございますので、私の質問はあとは保留さしていただきます。またあとでやらしていただきます。
  131. 亀山孝一

  132. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 今朝来問題になっております今回の公団住宅値上げ新聞発表、これはまあ大蔵省の案として発表なさったということでございますが、私も明らかにこれは大蔵省の越権行為であると思う。もちろん、入るをはかりていずるを制するという本来の大蔵省の任務の中で、建設省から相談のあったときに検討をするために、あらかじめいろいろな案を立案される、これはもちろん大蔵当局の任務であろう。それまでも私は否定するものではございませんし、当然それは自己の業務の範囲内としておやりになることはきわめてけっこうであろう。しかし、現実に法の定めるプロセスによってきめていかなければならない公団家賃等が、あたかも、大蔵省案なるものを新聞に発表することによって国民に与える影響は、もうきまってしまったという印象、これはぬぐい去られない。こういうことがあるわけでございますので、先ほど次官から釈明をされましたように、今後厳重にひとつ注意をしていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。  なお、それに関連をいたしまして、これは実は十二月十三日ですか、新聞紙上発表をされたわけでございますが、十五日の日にすでに関係大臣である西村建設大臣並びに与党の小坂政調会長あるいは中曽根総務会長、さらには自民党の中の大都市から出ておられる議員、こういう方々が数名集まられまして、公団家賃値上げはしないということを決定をしたんだということで、そしてそれをこういうビラにしまして公団の居住者に配って歩いた。大蔵省はそういう決定をしたけれども、もう建設大臣やら政調会長やらあるいは総務会長等々、私ども都市選出議員が入って、値上げをしないことに決定をしました。皆さん御安心くださいと、すぐにこういう党利党略的な、選挙に利用をしているわけですよ。きわめてこれは遺憾なことなんです。署名入りですよ。実名入りで名古屋の公団住宅の居住者に配られている。こういうことは悪く裏から解釈すれば、先に大蔵省発表さしておいて、すぐにおれたちが行ってそれは取り消さしてやるから、これは非常に大きな選挙運動になる、こういうことでおやりになったということも考えられないこともない。十三日にやられて、十五日にはすでに関係大臣まで含めてそういう決定がされているのです。  そこで次官にお伺いをするわけですが、西村建設大臣もこの中に入って、公団家賃値上げをしないことに決定をしたのだ、こういうふうに明らかにここに書いてございますが、次官はこのような事実、御存じでしょうか。
  133. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私はそういう事実はないと思います。ただ、私が申し上げましたとおり、西村建設大臣はかねてから、こういった問題はいま急に起こった問題じゃございませんから、前々から、大臣御就任当時からこの問題には触れておられまして、物価問題その他の社会問題との関連を常に頭に置かれて、こういった問題については慎重にやらなければいかぬ。そういった問題は、いろいろな雑音はあるけれども建設大臣としては全然白紙で、自分の考えで自分がきめていく、こういうことを言っておられるということでございまして、十三日に発表をされて、十五日にそれを党三役との会談できめたというような事実は私はないと思います。
  134. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしますと、これは私が書いたものではなくて、実際に配られたものをコピーしてきたわけですが、これは明らかにインチキだ、こういうことでしょうか。
  135. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私はいま初めて渡されたわけでございますが、いま初めて見まして――これはおそらく党におきましても、こういった問題を決定するのは党三役できめることはできません。これは政調会できめて、そうしてそれを総務会できめて、それを裏づけをするというのが順序でございます。そういったプロセスはいままでにはなかったように私は思います。したがいまして、これはおそらく、先生方のお名前を見ますと大都市選出の方々でございますから、それぞれ大都市選出の方々がお集まりになられて、そしてその場に西村建設大臣あるいは政調会長、総務会長を、この中には幹事長が入っておりませんが、呼ばれて、それぞれの意見をただされた。それぞれの立場におかれて、西村建設大臣は西村建設大臣として、小坂政調会長は小坂政調会長として、中曽根総務会長は中曽根総務会長とされて、自分はかく思うということをおそらくその場で言われたのではないか。そしてそれを大体集められた結果が、ほぼこの方向にいくであろうということをここに御署名の丹羽久章さんが御判断になって、あるいは速報をせられたのではないか、かように考えます。
  136. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 きわめて遺憾なことでございまして、特に大蔵省の方もよく聞いておいていただきたいのですが、あなた方は、われわれは業務の範囲内でこういうことをやったんだ、一向に差しつかえないのだというお気持ちをまだお持ちのようですけれども、事が重大に、しかもそれらが事実としてこのように使われていくわけですよ。こういうビラを見ましても、新聞発表があったその直後で、いやあの新聞発表があったんだけれども、われわれの努力によってあれはやめさせたのだ、こういうサル芝居が行なわれるわけですね。しかもそれらが、いま次官の説明によりますと、ということであろうというふうに推定をしてお書きになったでありましょうと言われておりますが、ここには明らかに、公団家賃値上げをしないことに決定をしましたので御報告をいたします、と書いてあるのですよ。いやしくも署名入りで、実際に利害関係のある公団住宅に住んでおられる方々にこれが配られておる。こういう事実を考えるときに、そういう非常に大きな社会的に影響のある問題、しかもそれが論議の過程において発表をされるということばきわめて遺憾なことだということが、こういうことからも言えるのではないであろうかというふうに私は考えますので、先ほどから何回も言っておりますが、再びそういうあやまちをおかさないように、強く要望をいたしておきたいと思います。  さらに住宅局長にお伺いをいたしますが、公団住宅あるいは公営住宅等が建設をされる目的は、いまさら私が申し上げるまでもなく、住宅に困窮をする勤労者のために、政府の手によってそれらの人々に住宅を与えていこう、こういう目的を持っておるわけですね。ところが最近の公団家賃そのものの状態は、建設コストの上昇を理由にいたしておりますが、新聞紙上等で報道されておりますように、三万円台もしくは四万円台の公団住宅すら出てくる、こういう報道がなされております。したがって、本来この法が定めておる目的、いわゆる住宅公団法なり公営住宅法なりが定めております目的ですね、その目的と、現在定められんとしておる新しい住宅等の家賃との関係、これを一体どのようにお考えになっておるのか。  さらに、公団住宅そのものはいわゆる原価主義によって、建設コストがこれだけ、土地代がこれだけで維持費がどうなんだから、したがって何年間で償還するためには幾らになるのだ、こういういわゆる原価主義で家賃決定をされていくようでございますが、少なくとも法の定める目的に沿うようにきめるためには、ストレートにそれらをすべて家賃に転嫁していいのかどうか。さらには、本来的に建設コストが上昇してきた最も大きな理由は何であったのか。その大きな理由に対して、どのようにコスト低減の努力をしてこられたのか。この辺についてひとつお答えを願いたい。
  137. 多治見高雄

    多治見政府委員 いま先生の御質問のとおりでございまして、公団住宅、公営住宅、公社住宅、すべて都市勤労者の特に低所得者の、自分の収入では家を持ち得ない方について、何らかの国の施策によって住宅を供給しようということを目的にしているわけでございます。ただ、四万円というお話がございましたけれども、現在の実情を申し上げますと、住宅公団は三十一年度から家を建てておりますけれども、そのときの平均家賃は四千六百円でございます。それから現在、四十五年度分で見ますと、平均で一万七千六百九十七円という形になっております。ただ、非常に高いようなお話が新聞紙上その他に出ますけれども、これは特殊な住宅でございまして、都市内の面開発、工場あと地の利用というような面で、市街地関係で特殊な住宅について家賃はある程度高くなっておったという事実はございますけれども、平均で申し上げますと、四十五年に建てました住宅は一万七千六百九十円ということで、われわれといたしましては、民間の建てます住宅よりは大体三分の一程度の家賃で供給いたしておるというふうに考えておるわけであります。
  138. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 長くなると思って質問をまとめて申し上げましたら、ほとんど答弁漏れになってしまっております。私は、建設コストが上昇してくる一番最大のものは何か、それに対してどのような対策をとっておられるかということもお開きしたと思いますけれども、一言半句お答えをされぬわけですけれども、それについてはどうですか。
  139. 多治見高雄

    多治見政府委員 実は家賃あるいは分譲代金等、年々逓増しておりますのは御承知のとおりでございます。これに対する対策といたしまして、われわれとしてはいろいろやっているというつもりでおりますけれども、やはり一番大きな影響は地価というふうに、私ども住宅政策の立場からはそう考えますが、地価につきましては、内閣の最高責任者の間でいろいろこれの抑制案をお考えいただいているというふうに理解いたしております。それで住宅政策の担当局といたしましては、建築費をできるだけ、先ほど申し上げましたように工業化して平準化したい、上がらないようにしたいということに努力を注いでいるつもりでございます。したがいまして、これでカバーできない面を来年度は公団資金コストを下げるということで予算要求をいたしまして、これによって何とか家賃を押えたいという努力をするつもりでございます。
  140. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 つまり、低所得者層の勤労者に対する住宅を供給をしていこうという法の目的に沿うためには、やはり家賃決定にあたっての一つの大きな要素として、勤労者の所得というものが相当勘案をされなければならないわけですね。もちろん、その所得を勘案するためにさらに逆算をして、まあそのくらいの人ならば、いわゆる屋根もかわらぶきはいかぬからトタンぶきにという、バラックに質的に低下をしてしまうということをする、これはいけないわけでありまして、つまり人たるに値する生活を保障するというたてまえからも、いまの平和がすでに二十数年も続いておる今日、国民の生活水準が上がっておるというのですから、それに見合った質的な向上というものも当然考えていかなければいかぬ。しかしながら、それに付随をして国民所得が上昇をしていない。いまの国民所得、これは労働省が白書を発表いたしておりますので、それを見ますとサラリーマンの平均賃金も出ております。それらに比べますと、大体公団住宅というのはこの家賃の四倍の収入がないと入る資格がないということになっておると思いますが、ほとんど大半の人が少し質のいい公団住宅には入れないという結果になってしまう、こういう矛盾が出てきておると思います。したがって、そのコストアップの要因をさらに私はこまかく分析をして、それらがほかの手段によって押えられないかどうか、こういうことがほんとうに真剣に検討をされていかなければならないわけでございます。ところが従来までの経過を見ますと、きわめてイージーに家賃にすべてが転嫁をされていく。維持費その他全般を含めまして、赤字になれば家賃に転嫁、赤字になれば家賃に転嫁と、こういうことがイージーに行なわれておるのではないであろうか。これは経過的に見てそうであるというふうに断定せざるを得ないわけでございます。局長はむろんのこと努力をしたのだとどうせ言いたいだろうと思いますが、その努力の効果が一体どれほどあがっておるのかというふうに見ていきますと、決して努力をしておるのだとはなかなか言い切れない状態ではないであろうか。結果的に見て家賃に転嫁をされてきておるおそれというものが多分にあるのではないか。したがいまして、やはりそういう収入面から見た適正な家賃をきめる。つまり、家賃決定にあたっては所得というものを十分に勘案をしていかなくてはいかぬ。     〔委員長退席、田村(良)委員長代理着席〕  そこで、やはり、それ以上にかかる建設コストを具体的にどうするかという問題が私は出てくると思います。あるいは公団自身がいろいろ借り入れ金等をやっておられるようですが、それに対する利子の補給だとか、あるいは土地そのものを政府そのものが取得をしてやるとか、いろいろなことが私は考えられると思いますが、いずれにしてもその所得を中心にしてどの程度ということがきまってくれば、それ以上オーバーする家賃については、建築コストについてはいろいろな点が私は考えられるし、またそれぞれの対策をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけですが、その辺がどうもきわめて抽象的な御答弁しかございませんでしたけれども、今後いわゆる原価主義というものが、いま考えられておるような、この間試算をされた大蔵省発表によりましても、原価主義そのものをもくずすというような方向で値上げ検討されておるのではないか。原価主義そのものでも実際には相当高額になりつつあるにもかかわらず、それらが無視をされて、さらに政治的な上積みがされていくという傾向が出てきておるのではないか。こういう問題については、むしろ原価主義が逆に――これは法の中にもございますね、著しく家賃が高くなった場合には、ある一定の期間を置いて、そして家賃を減額させることができるのだ。こういうときこそ、そういう逆のそれができる項目を採用されて、そしておやりになるならば別ですけれども、それは逆作用で、非常に建設コストがかさんで赤字が蓄積をしておるので、この際何とか家賃値上げをして、こういう考え方が非常に強いのではないか。この住宅公団法施行規則の中にございますその項目、これらを適用されて現実に家賃を減額をされたという事実がいままでございますか。
  141. 多治見高雄

    多治見政府委員 先ほどのお話の中で最初にございました、赤字を家賃に転嫁するということは全然いままでやっておりません。要するに、家賃の計算方法はきまっておりますので、この原価をこういう計算方式で、こういう計算で家賃をきめろということになっておりますので、赤字になったから家賃にこれを転嫁していくということは一切行なっておりません。  それともう一つ、本年度を初年度といたします第二期住宅建設五カ年計画というものをわれわれ策定したわけでございますが、これの中で収入別に応じた象の供給方式、具体的に申しますと、公営住宅、公社住宅公団住宅、それから公庫融資による住宅、それから自分でお建てになられる方はお建てになるというのを、収入階層別にずっと分析いたしまして、それに応じた戸数を建てていこうじゃないかという計画になっておるわけでございまして、決して収入を無視して家賃を上げるとか、そういったことがないようにということで、新しい計画をことしから始めておるわけでございます。実は、第一期計画でいろいろ御批判ございましたけれども、そのときもそういった同じような分析で計画を立てたわけでございますが、その後の日本の経済条件の変化、それから人口の流動の状態等につきましてわれわれの見通しが若干甘かったのじゃないかという点はございますけれども、今度の計画ではそういう点もあわせまして、十分そういった事態に対処できるということで、昭和五十年までには住宅難問題は解消したいということで考えておるわけでございます。
  142. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長、いままで家賃のきめ方は、建築に要したコストをすべて含めて、それは維持管理費をも加算をされて、金利も加算をされてきまってくるわけでしょう。そうしますと、たとえばあき家ができて収入が減ってきたという場合には、それを補てんをするために、つまりあき家家賃とかいって、また新しく入る人の家賃を高くしておりますね。そうでしょう。それはいわゆる赤字を家賃に転嫁するということにはならないのですか、あなたの見解では。
  143. 多治見高雄

    多治見政府委員 いままでお話のございました家賃の問題とあき象家賃の問題は、われわれ別な問題であると考えております。といいますのは、人が入れかわりまして、その間あき家ができました場合は、それに改良を加えまして、家のコストが高くなるということで、それをもとにして計算しているというつもりでございますので、一般の家賃決定の方法とは別に考えておるわけでございます。
  144. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その改良を加えるということはどういうことなんですか。それは維持、修繕をするために、若干壁を塗りかえたり、畳をかえたりと、こういう改造という意味ですか。
  145. 多治見高雄

    多治見政府委員 その住宅につきまして改良を施すということで、いまお話しのようなことをやっているわけでございます。
  146. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それがなぜ建設コストに響いてくるのですか。それは入っておったって、普通維持管理費として要るのじゃないですか。
  147. 多治見高雄

    多治見政府委員 公団家賃の問題につきましてはいろいろ内容的に問題がありますが、先ほど公団総裁からお答えいたしましたように、この修繕費、管理費等につきまして、非常に最近の経済条件が変わってまいりましたので、七十年間同じ率で同じ建設費を償却するという方法でやっていけなくなっておる面がございます。これは改善しなければいかぬ。ただ、あき家家賃の場合は、あき家になりました場合にこれを改良しまして、これのコストを家賃の計算に入れるということで、いまお話しの修繕費、管理費等についての率の改定等はやっておりませんので、要するに、いまお話しの壁、天井、窓ワク等について改善をした部分について、それを建設費のコストに入れるということになっております。
  148. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その程度が、実際に非常に長い年月にわたればきわめて小さな額だと思うのですよ、そのものは。現実に上げられておる額との差額は実際にはそんなものじゃないと思うのですね。だからその辺には私は非常に答弁がおかしな、食い違っておるのではないかというふうに思うわけですが、いずれにいたしましても、法の目的からいくと、この家賃そのものがやはり非常に問題があるというふうに私は考えますので、家賃決定にあたっては、少なくとも現在の所得暦、勤労者の所得というものを十分に勘案をして、そうして建設コストがやはりさらに上がっていくということであればこれは別な方法で考えるべきではないか、こういうふうに考えるわけですよ。したがって、いつもイージーな公団住宅なり公共住宅家賃値上げということが騒がれてまいるわけですけれども建設省としては基本的には法の趣旨を守っていくのだ、目的を守っていくのだ。したがって、最後の最後に、どうしても努力してもできない場合にしか家賃は上げないんだ、こういうふうにお考えでしょうか。
  149. 多治見高雄

    多治見政府委員 政務次官もおられますので、私から建設省としてはという御答弁はどうかと思いますけれども、少なくとも住宅建設する、住宅を供給するという立場の局といたしましては、いまお話しのような趣旨で、とにかく家賃はできるだけ押えたいということで努力するつもりでございます。
  150. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 政務次官、いまの局長の答弁で、法の目的に沿った方向でやっていきたいのだ。法の目的とは、何回も説明しておりますから省略しますが、そういう方向で公団、公共住宅家賃値上げは――むしろ、諸物価の値上がり等による建設コストの上昇は、ほかの要因というのがたくさんあるわけですね。先ほど局長も言われておりますように、まずは地価の高騰が一番大きな原因ではないであろうか、こういうふうに言っておられるわけですよ。そうだとすれば、その地価の抑制に関する建設省の努力というものがやはり最優先して行なわれてこなければいけないわけですよ。これを逆にいえば、そういう原因が明らかになっておるにもかかわらず、それに十分なる処置をせずに、イージーに家賃にそれを転嫁せしめておるといっても言い過ぎではないような状態になってくると思うのですね。地価の問題も、これはもう長年にわたって論議をされておることですけれども、きわめて抽象的なことしか言われてこずに現在に至っておる。まあ地価公示法等ができましたけれども、それがどれほど地価の抑制に影響しているかということは、これは実績を見ればすぐわかることでありまして、一向に諸物価の上昇に比べて地価の騰貴というものはおさまっていない、こういう事実があるわけです。しかも建設コストの中で一番大きなものは何かという質問をいたしますと、やはり地価の高騰だ、こう来ますね。それならばなお一そう建設省としてはその地価の抑制をはかるためにどうしなければならぬか、こういうことが出てこなければいけないわけです。それが、お尋ねをするときわめて抽象的に、いま一生懸命に鋭意検討中でございまして、努力をいたしておりますという、型にはまったような答弁がいつも返ってまいります。その結果はどうかというと、また家賃が上がっていく。一体そのコストは何が原因なんだというと、地価が非常に高騰いたしますので、こう循環しているだけなんですね。いわば建設省の怠慢が公団住宅等に入っておられる居住者の負担に振りかかってきておる。極端にいえばそういうことが言えると思うのです。したがって、ひとつそういうことを十分に御理解、御認識をなさって、少なくともそういうことのないようにこれから努力をしていくのだ、こういう決意を持っていただきたいわけですが、その辺の決意をひとつ次官から御答弁願いたいと思います。
  151. 藤尾正行

    藤尾政府委員 先ほどからいろいろ御議論を承っておりましたが、地価といい、あるいは家賃といい、これは何も公団だけの家賃家賃でもなければ、あるいは公団だけの地価が地価でもないわけであります。一般的に申しまして、たとえば民間の木造アパート等々に住んでおられる方々のお払いになっておられる家賃家賃でございます。したがいまして、公団家賃をもって一般的にこうだと言われるのはきわめて迷惑でございまして、これらをなべて一つの政策として考えていかなければならぬだろう、かように考えております。したがいまして、ただいま御指摘のとおり、地価に対しましても、私どもといたしましても公示法でありますとか税制その他の努力をいままでもやり、またこれからもやってまいるわけであります。しかしながらそれがなかなか効果をあげていないじゃないか、だからおまえらは怠慢だ、こう言われたのでは、これは身もふたもないので、私どもとしては、まことに申わけがないと言えばそれまででありますけれども、それだけのことばでは私は相済まぬであろう、かように考えるのであります。皆さま方がおっしゃる立場と私どもの立場と、立場が違いますから食い違いが出てくるのはやむを得ませんけれども、私どもとしてやらすべきことをやらしていないわけでもなし、やるべきことは私どもとしても懸命にやっておる。それが効果をあげていないというような面はまことに遺憾でございますけれども、そういった点はできるだけ今後の指導で是正をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  152. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 次官の答弁は、気に食わぬか迷惑か何か知りませんけれども、私は一般的にいっていま建設コストの一番上がっているのは何でしょうか、そうしたら地価の高騰だ、こういう局長の御返事ですから、したがって、しからばその地価の高騰を抑制をするような方向というものを建設省が考えていただかなければいけないのだ。そしてイージーに家賃にそれを転嫁するという方向ではなくて、少なくとも建設コストを下げるという方向の努力というものがなされていかなければならぬ。それを極端にいえば、いわば建設省の怠慢で家賃に転嫁されているということ、こういうことを言っているわけであって、何もあなたが怠慢だと言っておるわけではないのです。入っておる人、現実にその負担をこうむっていかれる人の立場から見ればそういうことが言えるのではないか、こういうことなんですから、当然私はそれらが事実としてある程度認められるとするならば、その地価の高騰というものが一般諸物価に比べて非常に高い、三倍にも四倍にも及んでおるということならば、これはやはり何かほかのそれを抑制をするという方向を真剣になって考えていかなければいかぬということですし、それはそれなりに私は謙虚に次官に聞いておいていただかなければいかぬと思う。それをあたかも、立場が違うからあなたと私の意見が合わぬのは当然かもしれぬけれども……こういう態度ではなくて、私はもっとすなおに事実というものを認識なさって――もちろんわれわれも努力をいたしていきます。理事会の中でも、この地価の抑制については超党派で一ぺん真剣に考えていこうじゃないかということまで言っているわけですから、少なくとも建設省としてはそういう立場で考えていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから住宅公団総裁に一言お聞きをしておきたいと思うのですが、住宅公団公団住宅をお建てになるときに、同じように土地を購入しておられると思います。ところが、やはり実際のその地方の地価というものがあるわけですね。そして民間デベロッパー等が購入しようとしておる土地とその地価を比較いたしまして、私の見聞しておる範囲内では、むしろ住宅公団の用地取得の方法というのはきわめてイージーだ。そして逆にその地方の地価をつり上げてしまうおそれすらあるのだ。私はそういう事実も知っております。私の関係する会社が住宅を建てようとして用地を取得にかかっておった。ところがたまたまその付近に公団住宅が建てられることになった。ところが住宅公団の方々が用地を取得されるほうがコストが高かったために、私の関係しておる会社の土地取得はできなくなってしまった、こういう事実があるわけです。そういう事実から推していきますと、どうも普通の営利を目的としたものと違って、建てればいいのだという目的のほうが先に立つのかどうか知りませんが、逆に地価をつり上げてしまうという買い方、これがやはり残念ながら事実としてあるのではないか。私は、一生懸命努力をしておられるとは思いますけれども、結果的に見てそういう事実がなきにしもあらずでございますので、その辺はひとつ十分に、住宅公団としても厳重に努力をされたい。やはり法の目的に沿うような少しでも安い家賃にするためには、この地価の折衝ということも大いに影響するわけですから、何でもいいから買えばいいのだ、かかっただけは家賃に転嫁すればいいのだ、こういう方向ではいけないわけですから、この辺をひとつ十分に御認識をいただきたい。逆の説もあるわけです。実は住宅公団があるから地価のつり上げを押えておるのだ、こういう意見もあるようでございますが、私どもが見聞しておる範囲内では、なかなかそういうところよりも逆につり上げておるというところが多いという事実があるものですから、この辺の事実を十分に認識をしていただいて、そういうことのないように努力をしていただきたい。この辺についての見解を聞いておきたいと思います。
  153. 南部哲也

    南部参考人 用地の買い方につきまして、過去においていま先生のお話がありましたような事例が確かにございました。われわれとしてはこれについて非常に反省をいたしまして、最近の用地の取得におきましては、すべて鑑定士法による土地の鑑定士の免許を持った方々、これの三者の鑑定をとりまして、その平均以下で購入するという努力をいたしております。特に地価の公示の制度ができますと、これは公団はもろにこの制度をかぶりまして、それ以下でもそれ以上でも買えないというようなことになっております。したがいまして、最近の土地の購入におきましては、先生おっしゃったような、地価をつり上げておるというようなことはわれわれとしてはないというふうに実は考えておりますが、十分に注意して今後の用地取得にも当たっていきたいと存じております。
  154. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは最後に、先ほどから何回も次官に答弁をいただいておりますが、いまあの新聞発表によって一そう公団住宅に住んでおられる方々に不安の念を植えつけております。一方、それらを逆用して選挙運動に使おうとしておる人たちもおるようでございますが、そういうようないわゆる不明朗なことが起きないように、これからも私どもも気をつけていかなければいけませんけれども理事者側においても十分注意をし配意をしていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  155. 田村良平

    ○田村(良)委員長代理 浦井君。
  156. 浦井洋

    浦井委員 私は関連質問といたしまして、大蔵省建設省、それから公団、その三つに質問いたしたいと思います。  けさ方からの論議によって、大蔵省の十三日の発言は軽率であるということで、この新聞発表は消えたものだというふうに私理解をするわけです。それはさておきまして、その新聞発表を見てみますと、格差を是正するのだ、それから一般の物価とつり合っておらないから、古い公団家賃値上げするのだということで、非常にこまかい計画数字をあげておられるわけなんです。私は、この住宅を建てるのは、これは建設省の仕事だ、公団家賃値上げあるいは値下げをきめるのは、これは建設大臣だというふうにいままで理解をしておったわけですが、どうもこの間からの、しかもけさ方からの経過を見ておりますと、大蔵省も非常にこの問題については詳しいというふうに思えてしかたがないわけなのです。詳しいついでにひとつ大蔵省にお尋ねをしたいわけですが、いま値上げということだけを考えておられるわけです。しかし新しい公団住宅家賃というのは非常に高い。この高い家賃大蔵省は一体、値上げでなしに値下げをするということを考えられたことがあるのか、あるいはそういうことを考えるのなら、具体的なやり方を大蔵省に御教示を願いたいと思うのです。
  157. 藤井直樹

    藤井説明員 現在の住宅公団家賃算定にあたりましては、たとえば耐用年数の見方については、通常であれば二十年ぐらいでいいものを七十年にするとか、またはその金利につきましても、投入する金利が五分になるように、従来補給金の計上その他で補てんしてまいったわけでございます。そういうことで、現在まで家賃算定にあたっての財政資金の見方としてもかなりなものになっていると考えておりますので、現在これをさらに手厚くしてその家賃を押えていこうということになりますと、財政面からなかなか困難ではないか。一方、国民経済の発展によりまして所得水準も上昇しておりますので、家賃負担率全般の面から見ていきますと、かなり古い家賃についての負担率は下がっている。一方、高いとおっしゃる家賃でございますけれども、全体の所得水準の上昇から見ますると、家賃負担率全般としてもそれほど上昇している傾向もございません。現在のところ従来の体系で進めたいと考えております。
  158. 浦井洋

    浦井委員 値上げのことは一生懸命考えておられるわけですが、値下げのほうにはとんとよい知恵がないようにお見受けをするわけなんです。そういう一方的な考えしか持っておられないなら、これは公団家賃の問題については一切手を引いて建設省にまかしておかれたら私はよいと思う。  そこで私、ちょっと意見を述べてみたいと思うのですが、現在の公団家賃の現状を見ると、確かに数字の上で格差があると私も思うわけです。しかし、格差が大きくなった原因というものは、先ほどから申し上げておるように新しい公団住宅家賃が高くなってきておる、このことが格差を生んでおる、こういう考え方が一番正しい、まっとうなんだ。だから古い家賃値上げをやるということでなしに、新しい住宅家賃が高くならないように考えるのが私は政府の政策の根本でなければならぬと思う。それを大蔵省は、一生懸命新しい公団住宅家賃が高くなるというほうは考えて、それは野放しにしておいて、それに見合うように古い住宅家賃値上げをはかるというのは、非常に私こそく的な手段だというふうに思うわけなんです。こういうようなやり方をするから、この格差がだんだん縮まるというのでなしに、もう時期がくれば古いのは上げるのだという既定事実ができ上がって、結局公団住宅家賃がどんどん上がっていく。それが引き金になって他の公的施策の家賃あるいは民間の家賃、さらには一般物価の値上げ、こういうものを促進する。そうなるとさらに家賃値上げがまた次にくるというような悪循環を繰り返すばかりだと思うわけなんです。だから私は、いま大蔵省が考えておられるような古い公団家賃値上げには反対だということをまず最初にはっきりと言明をしておきたいと思うわけです。  そこで公団にひとつお聞きをしたいのですが、公団というのは政府や民間から金を借りて、そして住宅を建ててそれを管理していく、そして入居者から、いわばたな子から家賃を取って、それで採算をとっておる、こういう仕組みだと思うのですが、問題は政府や民間から借りるお金の返済、借金の返済期限ですね。これとたな子から返してもらう金との、その辺のズレがある。ここが一つ大きな問題だろうと思うのです。このために、公団のほうとしては資金繰り資金というようなことで、非常に経営的に苦慮をされておるというふうに聞いておるわけです。ちょっと数字をお聞きしたいのですが、四十四年から四十五年、六年、それから七年はこれは予測になると思うのですが、公団資金繰り資金の量というのは大体どれぐらいになるのですか。
  159. 中込達雄

    中込参考人 お答えいたします。  四十三年、四年、五年ぐらいとおっしゃったのでございますが、つまり……(浦井委員「四十五年、六年、さらに七年の予測」と呼ぶ)七年の予測はちょっといま持っておらないのでございますが、四、五、六の数字をまず申し上げますけれども資金繰り資金だけをまず申しますと、四十四年が二百十六億、四十五年が四百十二億、四十六年が六百八億、こういう数字になっております。なお、この年度の事業資金がどのぐらい要るかということでございますが、それは四十四年が二千四百四十三億でございますから約一割、それから四十五年が三千二百三十四億でございますから一割ちょっと、四十六年が四千二百九十三億でございますからこれは一割五分というぐあいに、多少ずつ上がっているわけでございます。  数字だけ申し上げました。
  160. 浦井洋

    浦井委員 あとで聞こうと思った事業費も教えていただいたわけですが、これはこういうふうに公団予算を分析してみますと、総事業費はどんどんふえていっておる、そのわりに建設戸数はふえておらないということが、グラフをかいてみますとはっきりと出てくるだろうと思うのですが、端的に申し上げて、この資金繰り資金のほうに相当金が回っているために思ったほど建設戸数がふえないということは、これは言えるわけですか、言えないわけですか。
  161. 中込達雄

    中込参考人 実は年々建設戸数は御承知のように上がっております。五カ年計画にのっとりまして毎年何千戸かずつ増になっております。その資金量はちゃんといただいております。その上にいまの資金繰り資金は別ワクとしてもらっております。したがって、これによって事業費を圧迫しておるわけではございません。ただ、運用資金全体として住宅公団に向けるワクがあると考えて、公団にはこれだけ使おうと思ったが、その中に資金繰り資金があるからこっちが圧迫されたとお考えになればそういう考え方ができるかもしれませんけれども、私どもは年々の計画がございます。その必要金額は別にいただきまして、その上に資金繰り資金をつけて、そして事業費をまかなっていく、こういうふうに理解している次第でございます。
  162. 浦井洋

    浦井委員 どっちともとれるようなお話なんですが、私はあとのほうの答えをとりたいと思うのですが、いわば、いまやまさに住宅公団は借金返し公団に質的に変化しておるのではないか、こういうふうにさえ言って差しつかえないのではないか。こういうふうな状態は、いま説明をされたような状態というのは、公団としていまの経済事情の中であたりまえのことなのか、それとも何とか改善をしなければならないのか、どちらに考えておられますか、総裁。     〔田村(良)委員長代理退席、委員長着席〕
  163. 南部哲也

    南部参考人 お借りしている資金の一番長いもので三十年、民間資金は昨年におきましてようやく十年ということでございます。返すほうは賃貸は七十年でございますから、七十年で返すということになれば、十年の場合には七回借りかえなければならない。それから分譲の場合は二十年ですから二回借りかえなければならない。こういうような事情で資金繰り資金そのものがどうしても必要だという仕組みに、これは発足のときからなっておるわけでございます。三十年あるいは三十五年の資金を使いましても、七十年というと二回転しなければならない。そういったような資金繰りのめんどうはいままで財政当局のほうでしていただいておりますが、それといまの建築費の高騰とかあるいは家賃の高騰ということとは直接には結びついておりません。ただ、それはできれば無利子の政府資金なり何なりがどんどん入ってということは望ましいことではありましょうけれども、これはやはりそのときそのときの国の財政状態からの制約がございますから、それに従って来ておるという現状でございまして、われわれとしてはできるだけ家賃を安くするための努力というのは、いまの償還金の五分の計算を四分にしていただきたいというようなことでお願いをしているわけでございます。
  164. 浦井洋

    浦井委員 先ほどのお答えで、四十七年度の予測は、資金繰り資金はどれくらいになるかということは言われなかったのですが、私が調べたところによりますと一千八十億くらいになるというような数字があるそうですけれども、これは事実ですか。――時間があれですからそれはいいです。そういうふうな予測もできるほど資金繰り資金の量というのは雪だるま式にふえていっているのが現状だと思う。だから総裁、そういう答えをされたわけですが、もっと精力的にこの問題についての解決策ということに努力されなければいかぬわけです。そうですね。具体的にいまいろいろな利率の問題とか、ちょっと言われたのですけれども、もう一度、公団の中のどこで、どういう組織でどういう方向で努力をされておるのか、もう一ぺんお聞きしたい。
  165. 南部哲也

    南部参考人 資金繰り資金の増大ということは、ただいまの仕組みでいきますと公団の生まれたときからの宿命みたいなものでございまして、確かにこれがどんどん雪だるま式にふえていけば、資金量全体からいえば非常に圧迫になるという点はあろうかと思いますけれども、これは要するに借りかえ資金といいますか、一般の民間企業でいいますと運転資金に相当するものでございます。それがあるから家賃が高くなるという要素はないわけでございます。家賃のほうはちゃんと計算の方法がございまして、五%ではじいております。したがいまして、民間資金を使えば家賃が高くなるではないかという御批判がありますが、これは現在の制度では利子補給金といたしまして――現在の実際に使っておる現実の公団全体の資金の利率からいいますと七分ちょっと欠けるくらいのものになる。それを五%で計算いたしますから二%だけはどうしても理の当然に足りない分が出てくる。その分は利子補給金で決算補助という形で、来年度で申しますならば一般の国民の税金から三十億円をいただきたいというような要求は、建設省のほうにわれわれのほうから申し出ておるわけでございます。
  166. 浦井洋

    浦井委員 私、資金繰り資金が雪だるま式にふえていくので、家賃がストレートにそれに影響されるというようなことをいま言っておるわけではないのですよ。経営を圧迫するのではないか。幸い建設省住宅局長はじめおられるし、大蔵省もおられるわけですから、公団として、予算がきまる前の段階としてぜひこういうことをしておきたいというのを、こういう公的な場でひとつ発言されたらどうですか。たとえば以前には政府資金というのがあったわけでしょう。こういうのを復活してほしいという気はないわけですか。
  167. 南部哲也

    南部参考人 政府資金のかわりに利子補給金という制度が現在行なわれておる。ですからわれわれのほうとしてはむしろ、いまお願いしておりますのは、五%の償還ということで計算しておるのを、かつて十年間は四分一厘で計算しておる、しかもいま全体の経済状態からいいますとみんな金利が下がっているという状態でございますから、ぜひ五%から四%にしてもらいたいということが、実は来年度の予算要求の私どもの一番の大きな主眼ということでお願いしているわけでございます。
  168. 浦井洋

    浦井委員 たとえばその利子補給金の問題にいたしましても、以前は概算払い方式というのですか、これが決算方式に変わっているわけでしょう。ここらに相当ズレがある。こういう点はやはり昔のように戻してほしくないわけですか。
  169. 南部哲也

    南部参考人 これは決算よりは概算でいただいたほうが、われわれのほうの資金繰りとしては楽なことは自明の理でございます。しかし現在のところは決算補助ということで考えておりますものですから、それでそのような要求をわれわれのほうとしてはしておる。欲を言えば概算に直したほうがなおよろしいということはもちろんございますけれども、それらの点についてはまたいろいろと建設省のほうにもお願いをするということにしておるわけでございます。
  170. 浦井洋

    浦井委員 非常に遠慮深い総裁の発言なんですが、そういう面はほどほどの努力をしておいて、大蔵省がアドバルーンを上げてくれた、そういうふうにしておいてもらって、あと公団家賃を一斉に値上げしようとかいろいろなことを考えておられなければ、そっちのほうにむしろウエートを置かれているというようなことでなければ、私非常に幸いだと思うわけです。  だから、もう一つ聞きたいのですけれども、現在、たとえば四十五年度でいきますと、公団が払っておる支払い利息が七百二十六億だ。これをたとえば四十五年度の建設単価一戸当たり二百八十万円ですか、これで割りますと二万五千戸ぐらいになるわけですね。ところが四十五年度の公団建設戸数というのは八万一千戸ですか、そうすると三割以上の住宅が、利息を払わなければそれで建てられる。そちらに回せば新しく公団住宅が二万五千戸建てられたというふうな分析ができ上がるわけなのですが、大体このような数字で正しいですか。これは専門のほうから……。
  171. 中込達雄

    中込参考人 お答えいたします。  利子と元本と合わせまして現在千六百億ぐらい返しております。したがって、その利子が四十五年度七百億でございまして、先生のおっしゃるとおりで、御指摘のように相当の額になるということは確かでございます。ただ、これは要するに公団の事業にどの種類の金を使うかということであるかと思います。現在、国としては運用部の六分五厘の金と、それから信託銀行、生命保険会社からのは七分七厘でございますが、その金を入れまして、そうして総体の利回りが約七分になるというようなことになっております。そこで、いまの賃貸住宅の利子は五分でありますから、それより安いわけであります。先ほど総裁から申し上げましたように、その差額を利子補給をしておる。それが決算補助になりましたから、あとになって資金繰りが苦しかろうとおっしゃいますが、その資金繰りはやはり運用部から見てもらっておる、こういうことになります。したがって、それによって直ちに資金が減るということにはなりません。それから、利子を返済する金も合わせて資金として見てくれてあればこの戸数を圧迫するということにはならない。ただそういう金も使わないで、返済する必要のないような金をどんどん住宅に入れろというお説ならば、そのほうがもっといいわけですけれども、それは国の住宅政策でどの程度の金をここに入れるべきかの判断によるわけであります。
  172. 浦井洋

    浦井委員 最後に大蔵省に聞きたいのですが、そういうような計算が成り立つわけですね。いま最後に公団理事の方が言われましたように、現在まだ住宅緊迫地域というのは首都圏あるいは中京あるいは関西に非常に多いわけですし、安い家賃公団あるいは公共住宅を望んでおられる人は非常に多いわけなのです。この辺についてひとつ大蔵省の基本的な考え方をもう一度お尋ねしたい。
  173. 藤井直樹

    藤井説明員 四十六年度に住宅五カ年計画が発足いたしまして、住宅公団建設についてもその計画の一環として実施しておるわけでございます。そういう点で、その資金につきましては従来どおり財政投融資を中心として調達をしていきたいと考えております。ただいまの資金繰り資金の問題とか、それから金利の支払いとか、そういうものは確かに事業規模の拡大によってふえてまいっておりますけれども、これが家賃との関係が遮断されていることは先ほど申し上げたとおりでございますし、それも含めて財政投融資の資金需要として見ておりますので、そういう面から建設のほうに御指摘のとおり障害が生ずるというようなことはない、そういうたてまえになっております。
  174. 浦井洋

    浦井委員 けっこうです。――非常にじょうずな御答弁なのですが、時間がないということなので、最後にもう一つの問題を、今度は建設省にお聞きをしたいのですが、関連公共施設の問題なのですが、私、ことしの三月でしたか、この建設委員会で、関連公共施設の整備費であるとか建築費、こういうようなものが公団住宅家賃にはね返っておるというようなことを指摘した記憶があるわけなのです。昨日公団からいただいた資料によりますと、千葉県下のある団地の例なのですが、そこでは家賃が二万九百円から二万三千三百円ですが、いろいろな関連公共施設費を家賃にはね返らして、それが二千五百円であるというような例を見つけたわけです。これは家賃の中で一割以上になっておるわけなのですが、こういうような現象について住宅局長は一体どのように考えておられるのか、まず最初にお聞きしたいのです。
  175. 多治見高雄

    多治見政府委員 御承知のように、団地をつくります場合に関連公共施設が非常に問題になっております。現在、公団が団地などをつくるにつきましても、なかなか公共団体の同意が得られないというような非常に困難な状況にあります。したがいまして、これの解決策といたしまして、できるだけ公団が立てかえて必要な公共施設をつくり、その公共施設を長期割賦で公共団体に譲渡するということで解決したいという方向で考えております。これにつきましては従来からそういう方法でやっておりますが、いまのお話しの実例は私ちょっと知りませんけれども、要するに、用地を買いまして、その用地の効用といいますか、価格的に高くなるという効果のある面についてはある程度用地費でまかなってもいいのじゃないかということで、これはなかなかいろいろな御意見がございますので実際はあまり大きな額は望めませんけれども、要するに用地の効用が高まるという面においては、そういった家賃にはね返るという問題はございますけれども、そのほかにつきましては全部立てかえるということで、長期割賦で公共団体からお支払い願うという方法で進んでおります。
  176. 浦井洋

    浦井委員 三月に質問をしましたときに、建設省大蔵省、自治省、厚生省、それからもう一つ文部省ですか、学校の問題がありますから、この五つの省が集まりまして、お互いに連絡をとり合って協議をしておる最中だというような答えをもらったわけなのですが、その三月の時点から具体的にその話し合いは進展しておりますか。何かよい結論が出ておりますか。これは少しこまかいといえばこまかい問題かもわかりませんけれども、これは公団と地方自治体との間で一番問題になる点ですからあえて聞くわけですが……。
  177. 多治見高雄

    多治見政府委員 三月の御質問というのは、実は私記憶にございませんけれども、当時すでに五省協定というのができております。それにのっとって、いま申し上げましたような趣旨で仕事を進めておるわけでございます。その後特にこれを改定するとか直すとかいうことはやっておりません。
  178. 浦井洋

    浦井委員 先ほど申し上げたように、これは非常に難問題ではあるけれども、早急に解決しなければならぬ問題だというふうに私思うわけであります。時間がないのでこまかく聞けなかったわけなのですけれども、この点については公団と地方の自治体との間でいろいろなトラブルが起こっておるところを見れば、やはり建設省としてはもっと積極的にそれぞれの問題を詰めていって、そうして、いやしくもこういう関連公共施設の費用が家賃にはね返って入居者にとって税金の二重払いにならないように、そういうようなことを厳重に守りながら、ぜひ早く結論を出すべきだというふうに思いますけれども、もう一度住宅局長の決意、具体的な方策について聞きたいと思います。
  179. 多治見高雄

    多治見政府委員 全く御趣旨のとおりでございまして、住宅局といたしましてはその方向で従来も努力をいたしておりますし、今後も努力するつもりでございますが、なかなかむずかしい問題で、われわれの思うような方向でなかなか進まないというのが現状でございます。ただ、今度の経済状況の変化等によりまして、できるだけわれわれの考えておるような方向でまとめたいということで、いま事務的な折衝はいたしておりますけれども、お話しの御趣旨は全くそのとおりでございます。
  180. 浦井洋

    浦井委員 最後に、私建設委員会の席上で何度も申し上げておるわけですが、この公団住宅の問題については、根本的にはもっと政府が金を注ぎ込むべきだ。具体的には、先ほどの関連公共施設も含めまして、建設費の三分の一くらいは国の補助金を入れるべきだ。そして現在国の貸しておる金の利息あるいは償還期限というものをもっと低くし長くするということが必要であると思いますし、公団総裁運営のやり方あるいは管理のやり方ももっと民主化をせなければいかぬというふうにわれわれかねてから主張をしておるわけなんです。家賃の問題についても、一昨日でしたか、公団自治協の方々と一緒に私は西村建設大臣に会ったわけなんですが、そのときにこういうことを言っておられる。政府が家主になって、せっかく住宅を建てて苦労しておられるのでしょうね、わずかばかりの家賃値上げをして国民からきらわれるのは非常に愚かなことであるというようなことも西村大臣は言っておられるわけなんです。こういうところから、どこから考えてみましても大蔵省のいま出してきたこの案というものは下の下策である。これは藤尾政務次官も全くそのとおりだと先ほどからはっきり言明をされておりますので、こういうことは絶対やらないということをもう一度強く要求をいたしまして、私の関連質問を終わります。
  181. 亀山孝一

  182. 佐野憲治

    佐野委員 時間もおそくなりましたので、いま関連質問で私の質問しようとする問題点が相当出ておりますので、一応最初に資料の要求をいたしておきたいと思います。  それは、住宅公団の事業資金の総額と内訳ですね。第二は公団の事業資金の年度別内訳。第三は四十六年度の中層団地の平均家賃の内訳。家賃算定、積算の基礎、これをひとつ示していただきたいと思います。  それからいま質問にありました関連公共施設の整備の費用負担について、都市センターですかにおいて荻野委員会が設けられて、具体的に関連公共施設が地方自治体にどういう影響を及ぼしているか、それからまた受益者負担として団地の用地造成費の中にどれだけ食い込んでおるか、こういう点を真剣に討議されておるわけです。これらのも結論が出ておりましたら――出ていなかったら小委員会の中間報告でもけっこうですけれども、これをひとつ提出していただきたいと思います。  以上の資料の要求、ひとつ委員長取り計らっていただきたいと思います。
  183. 亀山孝一

    亀山委員長 了承しました。
  184. 佐野憲治

    佐野委員 それから問題は、時間もありませんのでひとつ要望という形で二、三述べさせていただきたいと思いますが、先ほど来のお話を聞いておりまして、私やはり住宅公団の性格、住宅公団の使命、住宅公団の発生の沿革、これが相当大きく変わろうとしておるのじゃないか、たいへんな危険な道を歩いておるのじゃないか、こういうことが気がかりになってくるわけであります。  そこで私、本委員会におきましても討議したことを思ってみますと、たとえば昭和四十一年、あき家に対するところの家賃値上げの問題が出てまいったのであります。このときにおける瀬戸山大臣と私たちの質疑の中で、住宅局長、やはり記憶にとどめておいていただきたいのは、先ほどの質問に対しましても、特別いろいろな補修費がかかる、この部分を値上げに求めるのだ、こういうように言っておるわけですけれども、しかしあのときの審議の状況におきましては、二割は補修費だ、八割は新しく建設する住宅団地の費用に回るのだ、このように言っておられるわけですね。先ほどの質疑を聞いておりますと、みんながみんな団地に入る人たちの修繕なり模様がえなり、あるいは台所なり風呂場なり、そういうところに向かうのだという御説明だったと思うのですけれども、その点ひとつまたよく検討していただきたいと思います。  と同時に、そういう質疑の中において一番心配されましたのは、あき家住宅家賃を上げる。そういたしますと、一つの団地の中においてあき家の人たちが上がってまいる。五年たったものから上げていくわけですから、いろいろ団地の不均衡が出てくるのじゃないか。不均衡が出てくることを予期しながら、そういう結果として居住者のいわゆる公団家賃値上げを誘発するのじゃないか。誘発するのじゃなくて、そのことをすでに予想してこういうあき家住宅家賃値上げ決定したのじゃないか、こういうことが質疑の中で大きく論争されたわけです。このとき瀬戸山大臣は、公団法公団の使命、これに基づいて絶対そういうことはない、ですから勘ぐりはやめてもらいたい、これはあくまであき家の皆さんに対してある程度の補修をさせてあげたい、八割は新しい団地の建設費を低くするのだ、こう言っておられたわけですね。そのいきさつから考えてみましても、やはりそのときでも私たち問題にいたしましたのは、皆さんも住宅公団法規則の第十条を常に説明にあげておられるのですけれども、これは「家賃及び敷金の変更等」という題目がついているのです。ですから家賃の値上がりということをうたっているわけじゃないのですね。この点をひとつ誤解を解いてもらいたい。第九条にはいわゆる家賃算定方法を明確にしており、十条には例外規定を設けておる。この例外規定は、皆さんのとかく先ほど来の説明に出てまいりますところの第一号の「物価その他経済事情の変動に伴い必要があると認めるとき。」というこのことは、現在における物価その他の状態の中で勤労者の困窮する住宅を充足するのだという、この趣旨から考えてまいりますと、物価が上がる場合は家賃を下げてもよろしい、こういう場合にも用意をされておる。この規則ができました昭和三十年八月二十五日の当時における考え方はこれから出発したのじゃないですか。上げるための規定を設けておるのじゃなくて、逆に下げる場合もある。その場合は下げなさい。このことが誤解されておるのじゃなかろうか。私が先ほど述べましたように、三十四年の四月三十日に、四千円で出発したものがわずか二、三年にして五千円に上げなくちゃならない、勤労者の平均所得賃金その他から見てまいってむちゃである、下げなさいという行管庁の勧告が、この委員会の中において出ておるでしょう。この勧告が出てまいりましたのも第十条の第一号が基礎になっておるわけですね。だから、そういう勧告を皆さん受けられた、そのときのいろいろ苦労したことは公団十年史の中にちゃんと記録されておるでしょう。皆さんあのときの状態はどうであったか。だから公団の使命なり公団の役割りというものを、物価云々、だから値上げしてもよろしいのだ、逆に値下げしてもよろしいのだという、二つのものが第十条に含まれておるということを、やはり留意しておいていただきたいということが第一点です。  きょうは時間がありませんからそういう問題点だけを指摘して、また別の機会に論議を深めさしていただきたいと思います。  ですからその場合におきましても、不均衡是正ということになってまいりますと、結局現在の居住者の公団家賃を上げなくちゃならぬじゃないかという危険性があることに対して、そんな勘ぐりはやめてもらいたいと、瀬戸山さんがことばを荒々しく述べているわけですね。しかし、やがて不均衡是正という問題がここに出てくるのじゃないか。この場合はどうなんだ。去年の場合に、第二回の値上げがありましたね。四九%という驚くべきあき家住宅値上げ昭和四十五年の四月一日付をもって行なわれましたね。このときにおきましても国会の中で論議されておるわけです。だから、そういうことになってまいりますと、やがてこれは公団の現在居住しておる人たちの値上げへと発展していくのじゃないか。不均衡是正ということになってまいりますと、こういう危険性をもすでに包含しておるのじゃないか。ですから、この第二号における不均衡是正ということも、立法の趣旨に従って、公団を設立したときの状態を考えてやはり考えなくちゃならぬじゃないか。  と申し上げますのは、局長さん、そのころから公務員住宅建設されてまいったわけです。公務員住宅は公務員の住宅困窮者に対して提供する。公務員住宅というのは御存じのとおり無利子の金が入っておるわけですね。無利子の金が入っているから非常に安い。国有地を使っておる。地代の計算も用地費の計算もやらない。しかも無利子の金がここに投入されて、これは家賃には影響がない。となってまいりますと、非常に低廉なる公務員住宅というものが出てまいっておるわけでしょう。ですから、今日における公務員住宅は、国、地方全部を合計いたしますと公団住宅を上回っておるわけでしょう。公団が十六年間かかって建設をしてまいりましたところの建設戸数よりも、地方公共団体なり国が公務員の給与住宅として建設しているのは、ほぼ匹敵か、それを上回っている。しかも金額においては安いわけでしょう。安くしなければ公務員としての任務を果たせない。現在の公務員の給料、公務員の実態から見て、このような家賃でなくちゃならないのだという一つの前提のもとに行なわれておるわけでしょう。  そうなってまいりますと、そういう公務員住宅に対して、公団の原価主義でいく場合におきましてこれが上回ることもあり得るではないか。そういう場合には不均衡是正という措置をとってもよろしいじゃないか。原価主義であるけれども、不均衡是正、いわゆる安いほうに――国民、勤労者住宅困窮者に対して供給をするのですから、その意味において問題を考えなさい、これが昭和三十年にできた公団法並びに公団政令なり公団規則を貫いておるところの一貫した考え方だと思うのです。この考え方がほとんど逆になってしまっておるということですね。皆さんは逆に、第一は、物価が上がったから上げてもよろしい。第二は、新しい公団住宅建設していくのは非常に経費がかかる、あるいは土地が二〇%も上がっている、工事費が六%も上がっておる、たいへんだ。公共関連施設もやらなくちゃならぬ、自治体は引き受け手がないからやらなくちゃならぬ。原価主義でいけば、ここで非常に高い住宅ができてまいる。そうなってまいりますと、不均衡是正だから、これを上げなければおかしいじゃないかという論議を皆さんが持ってきておるわけですね。ですから、立法の当初の考え方とみんな逆の考え方をやっていかなければ、公団というのはやはり運営していけないという立場に追い込まれている。公団総裁もお見えになっております。林さんともその問題で論議したことがあるのですけれども、そういう点に対してひとつ住宅局長、十分検討してみていただきたいのです。立法の趣旨がなぜ変わってきてしまったのだろうか。逆の運営をしなければ公団を維持していくことができないのだ、こういう点、どこに原因があるかという点をひとつやっていただきたい。  それからもう一つは、四十一年度のいわゆるあき家家賃値上げと同時に、そのころから一世帯一住宅という形において第一期五カ年計画も出てまいりました。ですから、皆さんの計算によると一世帯一住宅が完成するのだ。私はそれは不可能だと言う。皆さんは、できるのだ、一世帯一住宅政府の公約だ、やれるのだからこの五カ年計画承認してもらいたいと言う。私たちはこれは不可能ではないか、こう言ってまいりましたけれども、それは別として、それを契機として出てまいりましたのが出資金に対する打ち切りであったわけです。そういう状況だから出資金はもう要らぬではないか。出資金昭和三十九年度は九十五億円、この一般会計あるいは産投会計から出資されておった出資金が三十九年度をもって打ち切りになっておるわけですね。そこで、先ほどのお話では、利子補給があるではないか、だからいいじゃないかと言うけれども、この場合におきましても、利子補給はいままで四・一%だったのを、これを機会に五%に引き上げてしまったわけでしょう。では見返りは一体どうだろうか。金額で見てまいりますと、昭和三十九年度には九十五億の出資金があったのに、翌年度の四十年度には四・四億円だ、その次の四十一年度は十六・二億円だ、四十二年度には三十九億二千万円だ、合計五十九億八千万円、これだけの利子補給がなされて、昭和四十六年度の予算を見てまいりましても補給金が入っていないわけですね。そこで皆さんどうなんだと言うと、いやこれは単年度の概算払いから三カ年後の決算における精算払いになってしまったと言う。ですから、四十二年を最後といたしまして四十六年まで、実は補給金は一銭もないわけですね。こうなってまいりまして、先ほど来指摘しておられる公団財政そのものが非常に危機に立たざるを得ないということが出てまいっているのでしょう。利子補給のほうは四・一から五%に上がってくる。出資金は打ち切られる。補給金はわずか五十九億八千万程度だ、あとはないんだ。こういうところにも、第一期五カ年計画住宅建設計画が、いわゆる一世帯一住宅ができることを前提として、公団の役割りというものがチェックされてきておる。こういう結果がいろいろな面から出てきておるのだろうと私は思います。そういう点をもう少し掘り下げる必要があるのじゃないか。  先ほども申し上げました公務員住宅を見てまいりましても、あるいはまた雇用促進事業団のほうを見てまいりましても――この場合は新しい発足にして、三百八十億円のいわゆる出資金が特別会計の中から出ていっておるわけでしょう。だからこういうところに公団住宅との不均衡があるのでしょう。こういう点もひとつ十分検討していただきたい。なぜ彼らのほうが安くなっておるのだろうか。公務員住宅のある川崎の近くに行ってごらんなさい。ここには国家公務員の住宅がある。同じところに公団の団地があるのですよ。そこに一緒に住んでいる。たとえば国会職員だからその恩恵がない。公団住宅に入っている。同じ学校を出て、同じ形であっても、片方は国家公務員になった。だからこれは非常に安い。片方は非常に高い。一体これはどうなんだろうか。こうなってまいりますと、やはり原価主義であっても、状況によってその原価主義をいかに薄めるか。そのためにはやはり政策家賃というものがなくちゃならぬのじゃないか。ここに官房長がおられますけれども、官房長が住宅局長の時代は一いわゆる生計収入の一〇か一五%を目標に努力していきたい、こう言っておられるし、世界の情勢を見てまいりましてもそうだろうと思います。一〇%が大体普通になっている。それ以上オーバーする場合には、補助なりいろいろな形をもって家計費の一〇%に公団住宅あたりの家賃が押えられてまいっておる。日本の場合、一体どうなんだろうか。どうして一〇%を下げることができないのだろうか。この点もひとつ検討していただきたい。  そこで最後に、そういう中で、今度のドル・ショックを通じていろいろな教訓もありますけれども、輸出第一主義なり民間設備投資主導型財政運営というものがいかに愚かしき、むなしい努力であったかということを、ニクソンの声明によって私たちは身をもって教えられたと思います。そういうときに、片方においていわゆる社会資本、国民生活基盤、その住宅は一体どうだろうか、世界の先進国から見れば、住宅投資を比較して見てまいりましても、一世帯一住宅といったにもかかわらず三百六十万の人たちが住宅難にあえいでおる。しかも劣悪な中で入っている人たちも数多くかかえておるし、今日の住宅難だということになってまいりますと、ここに根本的に考え直さなくちゃならない問題点があるのじゃないか。きょうは大蔵省の主計局長か大蔵大臣にその問題はもっと突っ込みたかったのですけれども、また別の機会にいたします。そういう点もひとつ皆さん真剣に検討する中で、今回における予算編成建設省の態度というものを明確にしていただきたい。次官おいでになりますが、そういう点で次官も非常に真剣な決意の表明もありましたし、公団総裁もお見えになっておりますから、みんな力を合わせて、国民生活を中心とする、その中心点に住宅を置く、これぐらいの決意を持ってひとつ当たっていただきたい。こういう点を意見を申し上げまして、いずれ別の機会にこうした住宅問題をひとつもっと掘り下げていただきたいと思います。  以上によりまして私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  185. 亀山孝一

    亀山委員長 貴重な御意見、有益に拝聴いたしました。  次回は、来たる二十四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会