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1971-07-24 第66回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十四日(土曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  七月二十三日    辞任          補欠選任     矢野  登君      熊谷太三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事         宮崎 正雄君                 松本 賢一君                 多田 省吾君                 河田 賢治君     委 員                 植竹 春彦君                 木内 四郎君                 佐藤 一郎君                 高橋文五郎君                 渡辺一太郎君                 秋山 長造君                 戸田 菊雄君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 村尾 重雄君    国務大臣        自 治 大 臣  渡海元三郎君    政府委員        自治政務次官   小山 省二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        警察庁刑事局長  高松 敬治君        自治省行政局選        挙部長      中村 啓一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特別委員長辞任及び補欠選任の件 ○公職選挙法改正に関する調査  (選挙制度に関する当面の諸問題に関する件)  (参議院議員通常選挙執行状況等に関する  件) ○理事選任の件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————   〔理事松本賢一委員長席に着く〕
  2. 松本賢一

    理事松本賢一君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  永野委員長から委員長辞任申し出がございますので、暫時、私が委員長の職務を行ないます。  委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、矢野登君が委員辞任され、その補欠として熊谷太三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 松本賢一

    理事松本賢一君) それでは、委員長辞任の件についておはかりいたします。  先ほど申し上げましたように、永野委員長から委員長辞任の願いが提出されております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松本賢一

    理事松本賢一君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。     —————————————
  5. 松本賢一

    理事松本賢一君) これより委員長補欠選任を行ないます。  つきましては、選任の方法はいかがいたしましようか。
  6. 河田賢治

    河田賢治君 私は、委員長熊谷太三郎君を推選することの動議を提出いたします。
  7. 松本賢一

    理事松本賢一君) ただいまの河田君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 松本賢一

    理事松本賢一君) 御異議ないと認めます。よって、委員長熊谷太三郎君が選任されました。     —————————————   〔熊谷太三郎委員長席に着く〕
  9. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 一言ごあいさつ申し上げます。  ただいま委員各位の御推選によりまして委員長をつとめることになりましたが、せっかくの御指名でございますので、つとめさせていただくことにいたしたいと存じます。  たいへん微力でございますが、委員会の運営にあたりましては、できるだけ円滑公正を期してまいりたい所存でございますので、委員皆さま方の一そうの御支援、御指導をお願い申し上げる次第でございます。(拍手
  10. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 渡海自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡海自治大臣
  11. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私は今般の内閣改造に際し、自治大臣に就任いたしたのでありますが、選挙関係につきましては当委員会皆さま方にかねてから格別の御高配にあずかっておりまして、この機会に厚くお礼申し上げます。  選挙は申すまでもなく、民主政治の基盤であり、民主政治を発展させ国民政治に対する信頼を高めるためには、国民の意思が正しく反映されるとともに、安定した政治が行なわれるような制度を確立することはもちろん、政党の近代化国民政治意識の高揚につとめることが必要であるとかねてより考えておる次第でありまして、その責任の重大さを痛感するとともに、できる限りの努力を傾注する所存でございます。何とぞ格別の御指導と御協力を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)  この機会に、去る六月二十七日に行なわれました第九回参議院議員通常選挙の結果につきまして、その概要を御報告申し上げます。  まず今回の改選議員の定数は、全国区五十人、地方区七十五人の合計百二十五人であり、ほかに沖繩選出が一人あります。  選挙当日の有権者数は七千百十七万人で、国の選挙において初めて七千万人の大台に達し、前回通常選挙より五百二十九万人増加しております。  投票状況について申し上げますと、投票当日は、一部の地域が小雨であったほかは全国的にまずまずの天候でありましたにもかかわらず、その投票率は全体で五九・二%という成績でありました。  参議院議員通常選挙が今回のように四月の統一地方選挙に引き続いて六月に行なわれましたのは、十二年前の第五回目のときでありますが、その際の投票率は五八・七%で、これまでの最低となっておりましたので、政府といたしましては、選挙管理機関選挙啓発関係団体もとより報道機関協力をいただきまして、全有権者がこぞって自覚ある一票を行使されるよう呼びかけてまいったところであります。しかしながら、その投票率は先ほど申し上げましたように、遺憾ながら十二年前をわずかに上回る結果にとどまったのであります。  立候補状況について申し上げますと、今回の立候補者数は、全国区では百六人でありまして、その競争率は二・一倍、前回の九十三人に比較しまして十三人増加しております。地方区では沖繩を含めて二百二人でありまして、その競争率は平均二・六倍、前回の二百十二人に比較して十人減少しております。  次に当選人状況について申し上げます。自由民主党は、全国区で二十一人、地方区で四十二人、沖繩で一人、合計六十四人、日本社会党全国区で十一人、地方区二十八人、合計三十九人、公明党は、全国区で八人、地方区で二人、合計十人、民社党全国区で四人、地方区で二人、合計六人、日本共産党は、全国区五人、地方区一人、合計六人がそれぞれ当選いたしております。無所属当選人全国区で一人だけでありました。また、このうち婦人の当選人は八人で、前回の五人より三人増加いたしました。なお、去る七月八日参議院議員山本伊三郎氏の死去に伴い黒住忠行氏が繰り上げ当選になり、この結果、日本社会党当選人は三十八人、自由民主党当選人は六十五人となっております。  次に党派別得票率を見ますと、全国区では、自由民主党は四四・四%、日本社会党は二一・三%、公明党は一四・一%、民社党は六・一%、日本共産党は八・一%、諸派無所属六・〇%となっております。  これを前回比較いたしますと、自由民主党公明党民社党及び諸派無所属得票率がそれぞれわずかばかり減少いたしております。これに反しまして日本社会党及び日本共産党得票率がそれぞれ数%増加いたしております。また、地方区では、自由民主党四四・三%、日本社会党一三・二%、公明党三・五%、民社党四・八%、日本共産党一二・一%、諸派無所属四・一%となっております。前回との比較による党派別の増減の傾向全国区の場合とほぼ同様であります。  最後選挙違反状況について申し上げますと、七月十五日現在の検挙件数は二千六百八十三件、検挙人員は四千百四十四人でありまして、前回比較しまして、ある程度減少しているとはいえ、なお違反あとを断たないことはきわめて遺憾に存じております。  以上をもちまして、今回の参議院議員通常選挙の結果の御報告といたします。
  12. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) この際、小山政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。小山政務次官
  13. 小山省二

    政府委員小山省二君) このたび、はからずも自治政務次官を拝命いたしました。  渡海大臣もと地方自治行政進展のため、また正しい選挙制度を確立するために全力をあげて努力するつもりでございます。  どうぞ委員皆さまの変わらざるひとつ御叱正と御鞭撻を特にお願いいたしましてごあいさつといたします。(拍手)     —————————————
  14. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 参議院議員通常選挙執行状況等に関する件を議題といたします。  先般行なわれました参議院議員通常選挙執行状況並びに選挙違反取り締まり状況について報告を聴取いたします。中村選挙部長
  15. 中村啓一

    説明員中村啓一君) お手元に配付されております「参議院議員通常選挙結果調(速報)」によりまして、ただいま大臣から報告のありました第九回参議院議員通常選挙につきまして、計数的な補足の説明をさせていただきたいと思います。  この結果調の二ページをお開きをいただきますと、全国的な投票状況掲記をされておるわけでございますが、今回の投票率は、全国的に見ますと五九・二三%でございまして、男五九・一、女五九・三、若干女性が男性を上回ったという程度にとどまりました。投票率が一番高かったのは島根県でございまして、七八・一四%となっております。島根県は、毎回投票率がよろしいわけでございますが、また二カ月前にありました知事選挙等では九〇%近い投票成績でありまして、今回の参議院選挙においては七八%という結果になりました。このほか七〇%台というのは、その上の鳥取県、それから高知県、北のほうにまいりまして山形県、福島県という程度でございます。投票率が最も悪うございましたのは千葉県の五〇・五九ということで、ようやく五〇%の台に乗ったということでございます。なお、五〇%そこそこというのは埼玉県、神奈川県ということになっておりまして、東京は五六・四%ということであります。また五〇%そこそこは、東京周辺のほかは愛知県でございまして、愛知県が五一・四五%というような形でありました。いずれにしましても、二カ月前の地方統一選挙におきましては、かなり投票率上昇傾向にございましたが、引き続きましての選挙のせいでございましょうか、参議院選挙は、十二年前の同じような事情にありました四月統一選挙、六月参議院選挙成績を若干上回る程度にとどまった次第であります。  それから、次に一〇ページをお開きいただきますと、党派別得票数を表に掲記をいたしておりますが、全国区につきましては、この計欄にございますように、自民党四四%、社会党二一%、公明党一四%、民社党六%、共産党八%という数値でございます。前回と対比をいたしまして、総体として票が伸びたというのは共産党だけになっておるわけでございます。しかし、比率におきましては、社会党は三%近い伸びになっておるわけであります。  地方区につきましては、一四ページに掲記をいたしておりまして、一番下の欄にございますように、特に徳島地方区当選されました小笠議員につきまして、自民党所属候補として整理されたいという党からの申し入れによりまして整理をしたものでございますが、これによりましても、大体、全国区とほぼ同じような傾向が示されております。もとより得票比率につきましては、ある程度全国区、地方区と違いはございますけれども傾向としては大体同じような形になっておりまして、社会党は二%程度以上前回よりも総体的な比率においてはアップをいたしておりますが、票全体としてはダウンをいたしておりまして、伸びておるのは共産党だけというような形になっておるわけでございます。  それから、次に一七ページをお開きいただきますと、今回の全国候補得票数得票順位ごと掲記をいたしておるわけでありますが、五十位は立川談志、戸籍名松岡克由議員でありますが、得票数が四十四万三千票ということでありまして、前回、三年前の五十位が四十七万七千票でありましたので、今回はむしろ当選圏が三年前に比較して下がったという形になっております。なお、その後山本伊三郎議員の死亡によりまして、五十一位四十万八千の黒住忠行さんが議員に繰り上げ補充されておるわけでございます。  それから、こまかい計数省略をさしていただきまして、最後無効投票状況だけを計数によって御説明を申し上げますと、三五ページをお開きをいただきますと、全国区の場合の有効投票無効投票の別が掲記をされております。投票総数の中で、全国区の場合、特に案分をいたしておりますので、案分の際に、開票ごとに行ないます関係上、一票が割り切れないということで切り捨てになったものが全国区で十八票ございます。また、いずれの候補者にも属しない票というのが七十七票ありますが、これはやはり同じように案分をいたすべき票でありますが、その開票区で基礎票のないものがありまして、その結果、いずれの候補者にも属しないものとして扱わざるを得ない票があったわけであります。したがいまして、無効投票は二百二十二万票ということでありまして、無効投票率は一番下に書いておりますが、全体の投票総数に対しまして五・二七%という形になっております。これは三年前が五・一四%でありますので、若干ふえております。しかし、六年前は六%でありますし、一回目のときは一五%ということでありましたので、若干ずつ改善の方向にきておりましたが、今回、全国区については前回を下回るという結果にはなりませんでした。こういうふうに全国選挙は特にほかの選挙と比べまして無効投票が多いのが実情でありますが、約半分は候補者でない方の氏名を書いておる、その結果無効になっておるというのが原因のように存ぜられます。  それから、最後が四八ページでございまして、これは地方区に関します同じような無効投票の率でありますが、これは都道府県ごとにかなり多いところ、小さいところ、非常に多いところは、たとえば和歌山県をごらんをいただきますと、九・九七というふうに、かなり高い数値のところもありますが、全体としては四・三四%でありまして、前回が四・七五ということでありますから、これは減少の傾向を示しておるところでございます。  計数的な御説明はこの程度にさしていただきまして、なお、今回の参議院選挙管理をめぐりまして、特に問題であったと存ぜられます一点についてだけここで御報告をさしていただきたいと存じます。  それは、今回の選挙において発行をいたしました選挙公報をめぐりまして、いままで考えられなかったような特異な事例がございました。この機会に、その内容経緯等につきまして簡単に御報告を申し上げたいと存じます。  問題の候補者は、百六人立候補されました中で九十九番目に受付をいたしました窪田志一という候補者でございますが、この候補者から——ここにございますけれども、この右側のほうの原稿でありますが、この右側のほうにございますような形のものを全国選挙公報掲載をしてほしいという申し出がございました。で、見ますと、まず見出しからいわゆる差別用語あるいは賤称用語ということで、関係者の間ではこれを用いることは極端に問題視されるような表現がとられておりました。内容におきましても、そういう表現を用いて述べられておる点がございました。そこで、私ども選挙管理当局といたしましては、決して候補者政見に対してチェックをするというようなことはさらさら考えませんし、なすべきではないと存じておるところではございますが、こういう表現をお用いになるということになると、たいへんに社会的には影響が出ますので、その点については候補者の御良識によって何とかそういう問題を起こさないような表現をおとりいただきたいということを懇請をいたしたところでありました。しかし、どうしてもこの候補者は、この表現を使うところに自分としては意味を感じておるという趣旨のことを強調をされまして、その後何回も何回も本人と、この表現をおとりいただかないようにという説得をめぐりまして日を費したわけでございます。とうとう最後には、本人のお宅に参りまして、何回かほとんど夜を徹して本人翻意を求めたということもあったわけでございます。  まあ、いずれにしましても、この表現がいわゆるヒューマニティーと申しますか、あるいはナショナルマインドというものから見まして、非常に問題になり、用うることによって大きな影響のあるということについては事実であろうと存ぜられましたし、そういう意味で、相手方に不適切であるということを申し入れをし、翻意を促した次第でございました。しかし百五人の方々政見もそろいましたし、とにかく選挙公報有権者候補者政見を周知をさせるという手段としてはきわめて重要なところでございますし、これはやはり法に定められましたように、正規に各世帯に配布をしなければいけないことになっておりますので、候補者に対する説得をするかたわら仕事を進めまして、この原稿は一応このまま各都道府県に送付をいたしました。各都道府県でこの百六人の政見を受け取って、抽せんをして掲載順序をきめて、各都道府県ごと全国選挙公報印刷をし、配布をするということになっておるわけでございます。そういう手続を進めましたところ、やはりはたせるかな、この表現があるとすれば、それだけで関係者の感情を全くさかなでをして、そのために選挙公報の円滑なる配布はとうてい期待できない、さらに問題は深刻な問題になって、これはまあいわゆる基本的人権と申しますか、そういう法律論議もさることながら、もっともっと深刻な社会問題になって、選挙公報の円滑な配布、ひいては選挙の全体の円滑な遂行が困難であるということが、特に関西を中心にした各府県から非常に強く要請が出てまいったところでございました。  そういう事態の中で、中央選挙管理機関といたしまして、いわゆる検閲をすべきでないという基本のたてまえは一切くずすべきではないが、しかし、たった一人のこの窪田さんという候補者表現の自由を守るために、少なくとも百五人の方の政見が行き渡らなくなって、そのために選挙無効の原因がみすみすつくられるということになりますと、これだけ国民的なエネルギーを投入をして展開をされてきました六月二十七日選挙が、円滑に終わらないことになるということが案ぜられる事態になりました。  そこで、非常に議論を重ね、また、たてまえ論議に徴していろいろと検討を重ねました結果、公職選挙法の上では明文の規定はございませんけれども、このまま放置をするということになりますと、一人の表現の自由を守るためにたいへん大きな公益の侵害が起こる、しかも、それは裁判手続を待ってあとで救済をするというようなこととは事柄が違う事態であるというふうに存ぜられました。そういうことで、守るべき公共の福祉の比較検討等をいたしますと、この際、最底限、いわゆる問題の賤称用語、極端なる差別用語だけは落とすということで、三カ所にわたりましてその賤称差別用語を落としましたこちら側の原稿もと選挙公報を作成をすることはやむを得ない措置であるというふうに判断をいたしました。しかし、そういうふうに手順手順を重ねてとったところでありましたので、その時点におきまして、全国のすべてにわたって問題の表現手直しをしたものを印刷をし、配布をするということもまた技術的に不可能なところもございました。そこで、技術的に可能な限度において手直しをしたものを配布をするということになりまして、結果的には二十六都道府県手直しをしたものを配布をし、二十道県が初めに出されたものが配布をされたということになったところであります。  で、むろん窪田候補におきましてはこの措置に不満を持っておりまして、なお、今後に法廷闘争等を考えておるようでございます。また、部落関係方々においても、結果的にその経緯等について、選挙管理機関のとった措置については十分なる理解をいただいておりますけれども、二十道県について差別用語が用いられたということについては、なお問題を残しておるように存ぜられます。  そういう経緯と事実でございますが、私どもとしては、やはり何としてもこの六月二十七日に取り行なわれる運びでありました参議院選挙が円滑に遂行される、それを考えまして、やむこと得ざる措置としてとったところでありまして、この点は条理上もあるいは法理上も許容をされるところであるというふうに存じておる次第でございます。  その他選挙管理をめぐりまして、幾つかの問題がございましたが、御説明をすることは省略をさしていただきます。  以上。
  16. 熊谷太三郎

  17. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 今回の参議院議員通常選挙違反取り締まりの概況につきまして御説明を申し上げます。  お手元に、七月二十二日現在の件数を記載した一枚の紙を配付してございます。七月二十二日現在、つまり、投票期日後二十五日目の数字でございます。先ほど大臣所信表明の中にありました数字とちょっと違っておりますが、期日が違っておりますので数字が変わっておる、こういうことで御了承をいただきたいと思います。  警察といたしましては、今回の選挙におきましても、従来と同様に違反取り締まりを通じて選挙の公正の確保に寄与する、こういう立場に立ちまして、あくまでも不偏不党、厳正公平な取り締まりを行なってまいりました。特に取り締まり重点買収、供応、それから公務員の地位利用、組織的、形式的な形式犯、その他選挙の公正を著しく害する事犯、こういうものに取り締まりの最重点を置く。  それから第二番目には、従来の選挙にしばしば見られます誹謗、文書違反演説妨害、ポスター破り、運動員に対する暴行、こういうような、いわば選挙の自由を妨害するような事犯についての徹底した取り締まりを行なうということを重点一つといたしました。  第三としては軽微な形式犯については積極的に注意、警告を行ない、そうして違法状態の除去と違反の続発の防止をはかる。これは地方選挙の際のやり方その他を考えまして、この点に今回の選挙は特に力を入れてやってきました。  以上のような諸点に重点を置きまして取り締まりに臨んだ次第でございます。  取り締まり状況につきましては、お手元に差し上げました資料にありますように、七月二十二日現在で検挙した総数は、件数で三千三百五十一件、人員で五千百六十三人でございます。この前の参議院議員選挙期日後二十五日、つまり同じ期間における検挙件数検挙人員比較いたしてみますと、件数で約四〇%、人員で約三八%減少いたしております。  それから地方区全国区の別で申しますと、地方区違反は、前回選挙比較いたしまして、件数で二四・九%、人員では一四%減少いたしております。それに比べまして全国関係違反件数で四三・九%、人員で四五・六%、まあ非常に大幅に減少しているというのが今回の選挙取り締まり一つの特徴でございます。  罪種別に見ますと、買収文書違反で大体八五%一件数全体で申しますと八五%ぐらいを占めております。買収が、そこにありますように千四百九十一件で、違反全体の四四・五%、人員で申しますと二千五百四十五人で、違反全体の四九・三%、それから文書違反は千四百二十五件で、違反全体の四二・三%一人員で申しますと二千百四人で四〇・八%、こういう状態でございます。  全国区では、やはり文書違反が多くて、文書違反検挙数が千二百三十九件、千八百四十二名というふうになっております。買収は八百四十三件千三百五人でございます。  それから地方区では今度逆に買収が多くて六百四十八件、千二百四十名、それから文書違反が百六十八件、二百六十二名、こういう数に相なっております。  これらの数字は、現在なお捜査継続中のものがかなりございまして、今後まだまだこの数字は変わってまいると思いますが、一応、中間的な数字として御報告申し上げます。  それから警告は、全般といたしまして一万九千百三十八件、二万五千八百二十一人というのが警告の件数人員となっておりますが、警告全般として、大体前回に比して一二%ばかりの増加でございますが、特に文書違反関係についての警告は警告人員をとってみますと約四〇・九%増加しておる。つまり文書関係の警告が非常に多くて、四一%ばかり前回より多くなっておる、こういう点が非常に目立っておるというのが今回の選挙一つの特徴であろうかと存ぜられます。  以上、簡単でございますが、概況を御報告申し上げます。     —————————————
  18. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) この際、前回保留となっておりました理事に宮崎正雄君を指名いたします。     —————————————
  19. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  20. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  ただいまの御報告に対し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  21. 秋山長造

    ○秋山長造君 大臣、政務次官の御就任に敬意を表します。非常に大臣はお急ぎのようですから、私は一言だけお尋ねしてみたいと思います。  第一点は、佐藤総理が機会あることに政治資金規正法の改正はあくまでやるのだということを言ってこられて、実際には何もやれない。この間の本会議でも社会党の加瀬君の代表質問に対して、また重ねて政治資金規正法の改正はあくまでやるつもりだという御答弁があったわけですが、実際こういう実のない御答弁を繰り返されてきておるのですが、今度自治大臣も新しく新進気鋭の渡海さんが御就任になったわけですが、総理大臣から何か御就任にあたって規正法の改正についてお話があったかどうか、またあなた自身がこれを総理大臣の言明どおりおやりになるつもりなのかどうかということをお聞きしたい。  それから第二点は、政治資金規正法に基づいて毎年上半期、下半期二回に分けて政党、政治団体から政治資金の報告書が出ておりますね。これをまとめて年二回公表されておるわけですが、去年の下半期の報告書は、すでに七カ月たっておるのですけれども、いまだに公表されてないわけです。これはどういうわけでしょうか。また、いつ公表される見通しなんでしょうか。その点お伺いしたい。  もっとも、私が先に御答弁をかわりにしておきますが、地方選挙参議院選挙で忙しくてということをおっしゃるかと思うのですが、それだけならまだある程度了承できるのですが、やっぱりこういう情勢のときですから、何かこうあまりあからさまに政治献金の内容をばっと公表するのをマスコミなんかで大きく取り上げられたりすると、また回り回って政府にとって都合の悪いことになるのじゃないかということもあって、多少政治的考慮があって、いつまでも公表しないでおられるのじゃないか、若干意図的なものがあるのじゃないかという感じも私率直に言って持っているのですよ。そこら辺を明確に御答弁をお願いしたい。
  22. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 政治資金規正法の改正の問題でございますが、選挙の浄化、政治に対する信頼を得るため、ぜひとも選挙を浄化したいという国民の願望にこたえるためにも、私は、この問題はぜひ実現いたしたいと考えております。これは総理と私も同様でございます。  しかし、私もこの公職選挙法委員として、衆議院の特別委員会におきましてこの問題の審議の衝にも当たらせていただいたわけでございますが昭和四十二年に提案されましてから三回にわたって廃案となっております。これらの経緯も十分検討し、また金のかからないような政党本位の選挙制度とも合わせ考えまして、実現可能な成案を得るようできるだけ努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。  第二点の報告でございますが、おくれておりますことは御指摘のとおりでございまして、私も、就任いたしましてからこの点事務当局にも聞きまして、極力急がしております。いま秋山委員の質問の中に、答弁でこう言うだろうという御指摘がございましたが、まさしくそのとおりでございまして、統一地方選挙参議院選挙に忙殺されておりまして事務的におくれております。あとう限り努力いたしまして、早急に報告できるように努力いたしておる最中でございます。  なお、ほかの意図があっておくれているのじゃないかという御質問でございましたが、そういう意図は全然持っておらず、事務的にできるだけ早く公表することができますよう目下鋭意努力中でございますので、御了承をお願いいたしたいと思います。  なお第二点の問題につきまして、事務的なことは事務当局から答弁をさせていただきたいと思います。
  23. 中村啓一

    説明員中村啓一君) ただいま秋山先生から御指摘を受けました点は、たいへん恐縮に存じます。実は毎回政治団体の収支の公表につきましては、約三カ月間御報告を督促をしまして、その上で三カ月間整理をして、大体六カ月目に公表するといういままでの運びでやっておったところでございまして、それが今回ダブル選挙関係人員を全くそれにさいてしまいまして、その結果、いまたいへん執務体制の強化をして整理中の段階でございます。極力急ぎまして公表をいたす運びにいたしたいと存じております。
  24. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、高級公務員の立候補につきまして大臣の所見をお伺いしたいと思います。  その前に刑事局長に、前々からのことですけれども、非常に高級公務員の選挙違反が目立っておりまして、国民の不信をかっておるのですが、今回、あなたのほうで今日までにわかった高級公務員の検挙件数並びに人員、それを今回立候補された各候補の派閥別にわかっておればひとつお聞かせを願いたいと思います。
  25. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 私のほうでは、たとえば買収でありますとか、文書違反でありますとか、そういう罪種別の統計はとっておりますが、選挙の主体あるいは候補者の高級公務員とか、そういう何派別ということの統計というものはございません。そういうふうな数字を把握していないわけでございます。それから選挙違反につきましては従来から選挙違反の全体的な状況につきまして、先ほど申し上げましたような違反の総件数人員罪種別人員というふうなものを公表しておりますが、個々の候補者について、その候補者別にそれの内容とか人員とかいうことを従来から申しておりませんので、その点御了解いただきたいと思います。
  26. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま高級公務員の立候補の問題がやかましいときですから、あなたのほうで公表ができないとおっしゃるならば、私のほうにひとつ出してもらえませんか、個人的に。
  27. 高松敬治

    説明員高松敬治君) いま申し上げましたように、一つは、そういう統計というものをとっていない、従来からとっておりませんし、そういう材料がございませんというようなことと、それからそういうふうに各候補者別の違反内容人員というものを公表しないということでやっておりますので、そういうことでひとつ御了解いただきたいと思います。
  28. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、大臣にお伺いしますが、この高級公務員の立候補制限の問題が衆参両院におきまして問題になった。本会議におきましてもまた予算委員会等におきましても質問が続いて行なわれ、その内容等につきましても、特に黒住派の問題が参議院の予算委員会においてわが党の三木委員の質問によってかなり暴露されたわけですけれども、それはあなたが御承知のとおり、新聞等にも、社説等にも出ておりますが、黒住氏が自動車局長在任中に設立された公益法人が二十一もある。そしてその外郭団体というものが非常に伏魔殿のようになって、それが選挙母体になっている。なお、全国を陸運局の行政区域と同じ九ブロックに分けて、そしてブロック責任者が買収の実務に当たり、運輸省出身者が十八人も逮補されているということが出ている。  そういうことで、この高級公務員の立候補制限の問題が非常にやかましくなっておるんですが、このことは、すでに何回となく審議の対象になり、また選挙制度審議会の答申も出ておるんですね。それで、今回、大臣が就任にあたりまして、この高級公務員の立候補制限の法制化についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、まずそこからお伺いしたい。
  29. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 高級公務員であった者を退職後一定の期間立候補の制限をしてはどうかということは、従来からしばしば議論されております。このことは、いま中尾委員御指摘のとおりでございます。また、今回の選挙に関しまして衆議院の審議の過程、参議院の審議の過程におきましてもこの問題が議論されておること、いま中尾委員御指摘のとおりでございまして、私もその審議の経過等を十分聞かしていただいておるような次第でございます。第一次の選挙制度審議会におきまして答申されましたが、そのときも、いわゆる被選挙権の平等をうたっておる憲法四十四条の関係をどう考えたらよいのか、あるいは制限するにしても、高級公務員の範囲をどうきめるか等の立法技術的な問題が問題になりまして、その選挙の根源であるところのいわゆる高級公務員の地位の利用そのものを強化することがその本質でないかということであのような措置がとられたのではなかろうか、こう思います。  しかしながら、その後数回行なわれました選挙において、特に今回の選挙におきましてこの法律だけでは実効があがり得ないということが現実の姿となって出てまいっておりますので、私は、新しい角度からこの問題を再検討せなければならない時期にきているというように感じておるような次第でございます。幸いいま第七次選挙制度審議会で参議院の選挙制度のあり方の根本問題について御検討を願っておりますので、この審議会におきまして、この問題も合わせぜひとも御答申を得、その答申に基づいて処置をいたしたい、このように考えておるような次第でございます。
  30. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この選挙制度審議会の答申は、今日まで高級公務員の立候補制限に対しまして何回出ておるか、その内容を事務局のほうでひとつ読んでください。
  31. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 高級公務員の立候補の是非をめぐりましての議論は、三十六年に発足をいたしました第一次選挙制度審議会で論議をいたしました。この審議会が三十六年十二月に答申をいたしておりますが、そのうち高級公務員の立候補の問題につきましては、このように答申いたしております。「国又は公社、公団若しくは公庫の法律で定める職にあった者は、離職後最初に行なわれる参議院全国選出議員選挙に立候補できないものとすること。」とあります。これの答申をどう生かすかということにつきましてのその後の経緯は中尾先生がよく御案内のところでございます。選挙制度審議会としましては、その後特にこの問題について答申という形で示したことはございません。しかし、その後もこの問題を含めて参議院の全国区の問題というような問題は大きな論点として論議が続いておるという実情でございます。
  32. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 審議会の前の調査会の時代ですねここにも出ておるように、私は思うんですが、第七次選挙制度調査会の答申、三十四年の十二月二十六日、「高級公務員等が、在職中にその地位を利用して運動を行い、選挙に立候補することは、選挙公明化の見地からきわめて好ましくないので、退職後一定期間立候補を制限する等適当な抑制措置を講ずること。」、ですから調査会、審議会を含めて二回出ておるんですね。これはその後、政府のほうがなかなかふん切りがつかないと、こういうことでありますけれども、この記録を見ますと、第一次の審議会の答申における——審議会の第一委員会、三十六年九月十二日、当時の松村選挙局長、この方の答弁を見てみますと、こういうふうに書いてある。「内閣の法制局といたしまして、今後現職を退いた公務員は、もう民間と同じ立場に立っている者ですが、こういう者に無制限に立候補の制限をすることについては、はっきりとこれは憲法違反だとはきめつけませんが、非常に問題がある。そこで、率直に申しますと、選挙の種類の方を限定するか、ことえば全部の選挙でなくて、参議院の全国区だけに限るとか、こういうふうに選挙の方を限定するとともに、立候補をする側も限定する。たとえば次官、局長全部を制限するのではなくして、何省の何次官、こういうふうに具体的に、一方においてポストをきめる。具体化する。そうして、他方においてその選挙の種類を限定する。」、これは当時の松村局長の答弁ですがね。  そのほか、第四十九回の国会、参議院議院運営委員会において、当時の——これは四十年八月十一日ですね、内閣官房長官橋本登美三郎君、ここには、こういうふうに出ておる。  〔委員長退席、理事宮崎正義君着席〕 「高級公務員の立候補の制限につきましては、次期公選法の改正に際しましては、これをひとつ、ぜひとも実現すべく最善の努力を払って、かようなことのないように措置いたしたい、かように考えております。」と。  なお、当時の自治大臣の永山忠則君、これは「高級公務員の立候補の制限につきましては、次期公選法の改正の際は、これを実現すべく最善の努力をいたしたいと存ずる次第でございます。」、こういうふうに、すでに官房長官、自治大臣が、立候補制限につきまして法制化するように努力すると、こういうふうにも言っているんですからね。ですから、この点につきまして、あなた、大臣かわったんだけれども、どうお考えになるのか、一度お伺いしたいんです。
  33. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいま御指摘のありました昭和四十年、参議院議院運営委員会におきまして当時の橋本官房長官、永山自治大臣ともに、早急にこの問題を実現したいというふうなお答えをなさっておったことを、私も当時の速記録を読ましていただきましてよく承知しております。昨日も、私は、議院運営委員会においてお答えしたのでございまするが、当時、ちょうど第三次の選挙制度審議会の答申を近く得るという時期にまいっておりましたので、その答申を得て、その答申に従いまして政府として善処したいというお気持ちで、そのように答えられたと、かように考えるのでございますが、不幸にして第三次選挙制度審議会では、その問題に限らず、答申が出ることなく終わったというふうな結果になったために、   〔理事宮崎正義君退席、委員長着席〕 成案を得るに至っていないというのが経過でございます。今回、また同じようなことが繰り返されましたので、確かに再検討せなければならないと私も考えます。幸い、第七次選挙制度審議会、目下審議中でございますので、ぜひとも今回はこの問題に対する御答申も合わせ得て、私たち善処さしていただきたいと、このように考えておる次第でございます。
  34. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 審議会の答申待ちということですけれども、過去の経緯を見ても、審議会の答申を尊重する場合もあろうし、尊重しない場合もある。選挙制度審議会設置法につきましては、これはまあ答申を尊重しなければならぬと、こういうふうに出ておるわけですがね。だからあなたの答弁として、審議会の答申待ちということは、答弁としてこれは当然そう言わなければならぬでしょうけれども、われわれは、大臣のせっかくおっしゃる答弁でありますけれども、なかなか大臣答弁というものは信頼できない。都合のいいときは尊重し、都合の悪いときは尊重しない。ですからね、ただいまあなたの答弁承りましたけれども、あなた個人、大臣の見解としてはどういうふうにお考えになるのか、その辺もお伺いしてみたい。
  35. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私は、選挙制度というものは、民主政治の根本になるルールをつくる問題でありますので、第三者機関である選挙制度審議会において十分御検討を願い、しかもその選挙制度審議会には、各党ともに特別委員として入っていただいておるというふうに制度ができておるのじゃないかと思います。したがって、もちろん責任者である自治大臣といたしまして、責任を持って顧慮すべき、また行なわなければならない点もあろうと思いますが、現在、審議会の行なわれておる段階におきまして、個人の意見と申しますか、そういったことは私は差し控えさしていただきまして、答申が出ました上はこれを尊重して、ぜひとも実現に移すよう、責任者として最善の努力をいたしたいと、さように考えておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  36. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それならば、答申が出た場合、あなたはそれを尊重しますか。それが一点。  それから、審議会でもそれはけっこうですけれども、あなたは、所管大臣としてどういうふうに責任をお考えになるのか。ただいまの高級公務員立候補の根本問題についてですな、審議会まかせでなしに、広く公聴会を開く意思がないのかどうか、その辺のところをお伺いしてみたい。
  37. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私は、法律にも明示されておりますので、答申をぜひ尊重して、私の全力をあげてその実現をはかってまいる決意でございます。  なお、審議会だけでなしに、その他の方法で、公聴会等を考えてはどうかという御意見でございましたが、御意見十分検討さしていただいて、今後そのようなことが必要でございましたら、そのようなことも行なわさしていただきたいと思います。検討さしていただきたいと思います。
  38. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これで終わりますけれどもね、これはいろいろ検討されておりますけれども、私はこの際、大体あらあらのことはわかっておりますけれども、一体どういうところが憲法上問題があるのか、その辺をちょっとお伺いして、これでもう終わりますから……。
  39. 中村啓一

    説明員中村啓一君) いわゆる公務員であった者の立候補の資格を奪うという問題でございますが、したがって直接的には、憲法四十四条でうたっております被選挙資格の平等という面で、なぜ公務員であったがゆえにその資格が剥奪されなければいないのかというのが中心の議論でありました。議論を進めていきますと、公務員であったがゆえに悪いのではなくて、公務員であったゆえをもって、すでにやめた役所の組織なり、影響力なりというものを自分の選挙に持ち込むことが悪いのではないか、そういうことで、いやしくも役所の影響力、役所の権限というものを選挙に一切持ち込まないような仕組みを考えるべきではないかということになりまして、現在のような公務員の地位利用の厳禁、また在職中の地盤培養行為の厳禁、それから組織的に選挙運動をやって違反をした場合には当選人当選をすっ飛ばすという公務員の特別連座ということで、この問題を解決しなければいけないということでやってまいったところでございます。  ただ、先ほど大臣からお話のありましたように、なかなかその法制をもって現在の実情が所期のような効果をあげているかどうかについては問題があるということは、私も、中尾先生の御指摘の点で、論議の問題意織は十分に持っておるところでございまして、従来の論議経緯を考えながら、事務当局としても研究をさせていただきたいというふうに存じておる次第でございます。
  40. 多田省吾

    ○多田省吾君 ただいま自治大臣の御就任に際しましての所信の表明を伺ったわけでございますけれども、この選挙制度に関する事項を所掌する特別委員会として、私も非常に失望したわけでございます。大臣も御承知のとおり、今回の選挙におきまして、非常にいままでも腐敗の選挙が行なわれ、しかも制度面におきましても、参議院地方区の定数の不均衡の問題、あるいはただいま御質問のありました政治資金規正法の改正を放置している現状、あるいは広域、大規模な選挙違反がありましても、連座制にかけることは非常にむずかしいという、現行法の問題もあります。あるいは罰則不備の問題、さらには裁判をやっても最高裁までいけば六年もかかるのじゃないか、こういう問題もあります。そのほか、今度の統一地方選挙、参議院通常選挙を通じてみましても、選挙管理委員会のいろいろな誤り、選挙管理委員あるいは職員の不正行為問題、あるいは茨城県の町長選挙におきましては五千円札の郵送事件等もございました。あるいは高級公務員の悪質大規模な違反事件選挙公報の削除刷り直し事件、こういったたくさんの欠陥があり、そうして混乱を呈しているところから、国民の世論というものも、こういった制度や、あるいはこの違反現状をもっともっと改めて正しい明るい選挙にしなければならないと、こういう考えが出ているわけでございます。このような現実を前にいたしまして、この問題点対して少しも触れることなく、ただできるだけの努力を傾注する所存であると、このように言われましても、私たちはどうしても納得できないわけでございます。大臣は、いまの日本の選挙制度のこういう混迷の根本原因は何だとお考えになっておられるか。  それから、大臣がこの所信表明の中におっしゃっております国民意思の正確な反映と政局の安定との調和のとれた選挙制度と、こうおっしゃっておりますが、これは具体的にどういうものを考えていらっしゃるのか。また、これは到達するためにどういう具体的な方法をとろうとなされているのか。また、今回の統一選挙通常選挙執行の結果問題点はどの辺にあると思われているのか。  まず、大臣の御見解をお示しを願いたいと思います。
  41. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 統一地方選挙あるいは今回の参議院議員選挙におきまして、数々の選挙にまつわるところの違反あるいは不当な処理問題選挙管理の誤り、そういった事件が起きましたこと、まことに多田委員の御指摘のとおりでございまして、私は、民主政治の根本は選挙が浄化することにありますので、ぜひともこの問題を真剣に解決して政治の信頼を取り戻すという方向に努力させなければならないと痛感いたしておるような次第でございます。  いまの政局の安定化、あるいは私が所信表明で述べましたものをどういうふうな具体案で考えておるかということでございましたが、現在の選挙が、数次において法の技術的な改正等も加えてまいりましたけれども、なお金のかかるような選挙であることは現実面が示しておるとおりでございます。金のかからない、また今日政党が戦後二十五年ここまで基盤が固まりましたので、その政党本位の選挙制度が行なわれることが金のかからない選挙であり、また国民に対しても、政策面において政党本位として戦うような選挙、そういう制度もとに行なわれればそのような問題が解決できるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。  なお、選挙管理委員会の今回の誤り等につきましては、これは単に法制化の問題ではなく、地方自治団体の行なわれることでございますので、県並びに地方自治体に対して、選挙管理の充実につきまして、日ごろから訓練あるいは選挙時におけるところの人員の派遣等について十分な考慮をしていただきまして、選挙管理選挙執行のあやまちなきを期していくとともに、また選挙方法の近代化と合理化等を考えていただきまして、今後このような誤りの出ないように全力をあげてまいりたい、かように考えておるような次第であります。
  42. 多田省吾

    ○多田省吾君 御答弁にまだ私たちは納得できませんけれども、まあ時間もありませんので、次に移りますが、いま中尾委員からも質問されましたけれども、高級公務員の立候補制限というものはもう第七次選挙制度調査会あるいは第一次選挙制度審議会の答申と二回あった。また、松村局長のこれは法制面のお話でも、はっきり全国区に限るとか、あるいは各省庁でこの次官、局長というふうに限定すれば憲法上問題ないと、はっきりした答弁が国会において出されておるわけです。しかも、昭和四十年の参議院選挙、六年前の参議院選挙直後の参議院の議院運営委員会におきましても、いま質問ありましたように橋本官房長官あるいは永山自治大臣からも、この次ははっきり法制化したいという話もありました。そうして今回のまた大違反でございます。私は、当然国民の世論からも考えても、第七次選挙制度審議会の答申を得てというような消極的なことではなしに、ただいま現在、自治大臣の責任において、私は高級公務員の立候補制限をすべきだ。たとえば一つの案としては、各省庁をやめてから二年間は参議院全国区の選挙に出られないようにするとか、こういうことはたやすいことだと思う。これがなぜできないんですか。
  43. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 今回の選挙の現実の姿、また今日までの経過等から考えまして、現在ただいまにおきましてこれを真剣に再検討せなければならないということは、いま多田委員御指摘のとおりでございます。私もそのように考えております。できないことでないから直ちにやれということでございますが、事いままででも議論のあったことは多田委員も十分御承知のとおりでございます。幸い、いま第七次選挙制度審議会の審議の途中でございますので、ぜひとも各界の衆知を集めて、私は、この問題を今回こそ解決する方向で善処をいたしたい、このような考えでおりますので、御了承賜わりたいと思います。
  44. 多田省吾

    ○多田省吾君 それじゃ、百歩譲って、自治大臣は、この前の選挙制度審議会の合同委員会にもそのことは直接お話には出ませんでしたけれども、新しく二十七日に第七次選挙制度審議会の第一委員会がありますけれども、そういった席に臨まれて、そして高級公務員の立候補制限について何とか答申を出してほしいという、こういう御要望をなさるのか、それともここだけで済ませてしまうおつもりなのか。そして答申が出た場合に、先ほどの中尾委員の御質問にありましたように、必ずそれを実施するのか、この三点をお伺いしたいと思います。
  45. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 諮問の形におきまして、私は、ただいまのところ、選挙制度審議会へさらに追加諮問の形で出そうという考えはございませんが、根本問題の中には当然考えていただくべき問題でございますので、この問題についても考えていただきたいということは委員各位にお願いいたしたいと考えております。
  46. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、どういう形で——諮問の形でお願いしないと、しかも委員各位にはお願いしたいということは、この趣旨を何らかの方法で委員にお伝えなさるおつもりですか。ただここでおっしゃったことが通ずると思うと、こういうことですか。
  47. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 正式な諮問の形では、ただいまのところ、行なう考えは持っておりません。ただ、根本問題について御検討願っておりますので、当然この問題も含めていただくと、この問題を特に含めて御審議賜わりたいということは、運営委員会等を通じましてお願いいたしたいと、かように考えております。
  48. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、ただいま秋山委員から御質問がございました問題でございますが、政治資金規正法によるいわゆる報告書が年二回出る。普通六ケ月日に公表されるのに、今回は七カ月たっているのにまだ公表されない。これはいろいろ御説明もございました。いま整理中というお話でございますが、これはあれですか、早急にあるいはできるだけ早くとおっしゃっていますけれども、たとえば七月一ぱいぐらいには、あるいは八月の初めごろにはこれは公表される予定でございますか。
  49. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま極力進めておりますが、事務的なことでございますので、事務の状況につきまして事務当局から答弁させます。
  50. 中村啓一

    説明員中村啓一君) ほんとうに政治資金規制法の公表がおくれておりまして、おしかりを受けることは重ねて恐縮に存じます。  実は、私ども関係職員は全体三十名おりまして一割の三人を政治資金に充てております。ところで、この四月選挙、六月選挙のためにこの三人を政治資金規正の仕事に従事をさせることが、少なくとも四カ月間は不能でございました。そういうことで、ただいま選挙が終わりましてから大車輪をかけて、しかも応援体制をとって整理に当っております。ぜひ八月中にはめどをつけたいということを努力目標にただいまやっておるところであります。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 ところで、この政治資金規正法は佐藤総理が、第五次選挙制度審議会の緊急措置すべき事項として答申されたときも、小骨一本抜かないと、そして車の両輪ではなくして、この政治資金規正法だけ単独に成立さしたいと、こう約束されたわけですが、たいまは、総理大臣はじめいまの自治大臣のお話でも、車の両輪だと、政党本位の選挙の確立とともに、この政治資金規正法を合わせてやりたいんだ、こういう後退したお考えのように思われ、非常に私たち遺憾でございます。これはすぐ単独でもやろうと思えばやれる問題、やらなくてはならない問題です。ところで、この改正をしていない現行の政治資金規正法の段階でもまだ問題がある。これは千四百九十五にわたるいわゆる政治団体と目されるものの中で、報告がしてないものが約半数あるわけですね。国政調査会から、前にも現役の大臣報告しないのではないかということで告発された。その調査もまだはっきりしていない。ところが、今度は、昭和四十五年のこれは上半期ですか、その段階で報告書を出していない国会議員十五人に対してまた告発されているわけです。こういった問題は大臣も御存じだと思うのです。それから前秋田自治大臣は、もしこういう現行法で、しかも報告していない政治団体があるならば、いわゆる税の優遇措置もなくするように改めなければならないというようなこともおっしゃったわけでんね。この問題もまだ解決してないままで終わっているわけです。この二つを新自治大臣としてはどのようにお考えか。
  52. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま御指摘になりました現行法に基づく報告のおくれておる点、私も就任以来、事務当局にその状態を聞きました。おくれておりましたら、むしろ自治当局が告発をするというふうな処分をすべきであろうと思うのでございますが、その前に、まず行政措置として督促をするというふうなことで相当数の督促をやっておるということは事実でございますが、なお、いま御指摘になりました国政調査会が告発をされたように、半年近くになっておりますが、未提出のまだ個人あるいは団体等がございまして、まことに遺憾に思っておりますが、今後ともに督励いたしまして、実効をあげてまいるようにいたしたいと思っております。なお、告発されました個人に対しましても、その責任者にそれぞれ連絡をとりまして近日中には報告をし、すでにもう報告を終わっていただいたところもできておるような状態でございますので、あわせて御報告さしていただきたいと思います。  なお、税の優遇措置の問題につきまして、私、いま御指摘になりましたように、十分その点は引き継ぎの中に聞いておりませんでしたんですが、ごもっともなことであろうと思いますので、大蔵当局とも連絡いたしまして、ぜひ検討さしていただきたいと、もうしばらく御猶予を賜わりたいと存じます。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、参議院地方区の定数是正あるいは衆議院の定数是正に関しまして、大臣の御答弁を聞いておりますと、国民は現行制度で定数是正を早急にやってもらいたいというお考えなのに、総理大臣自治大臣の御答弁は、現行法を政党本位の選挙法に改正した時点で合わせて検討をすみと、このように非常にお考えが後退しているように思います。いま国民が強く希望していることは、現行法のままでも、参議院地方区とまた衆議院のいわゆる定数是正は、さっそくに第七次選挙制度審議会の答申もことしじゅうくらいに得て次の通常国会には成立さしたほうがいいんじゃないか、そうしなければ次の通常選挙に間に合わないと、こういうお考えかと存じます。私たちもその考えです。ところが、御答弁はそうじゃなくて現行の選挙制度を改正した時点で定数是正も一緒にはかるんだ、こういう後退したお考えです。これは国民の考えに反するし、またこれは早急にやらなければならない問題ですから、特に参議院地方区の定数是正に関しましては、第六次選挙制度審議会で答申が出ているのですから、その精神にのっとって幾らでも次の通常選挙には間に合わせるように法改正はできると思うのです。  それから、ことしの二月末の前内閣の閣議におきましても、佐藤総理ははっきりと次の総選挙は定数改正したもので衆議院総選挙をやりたいという意思表示をなさって、新聞にも出ております。こういったことから、私は、早目に衆議院の定数につきましても、あるいは参議院の定数は第六次の答申でもよろしいし、また第七次に求めるならば早急に——ことしじゅうぐらいには容量をもらって、次の通常選挙においてそれは実現すべきであると、このように私は思うわけでございます。自治大臣は、どのようにお考えですか。
  54. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いまの定数是正の問題でございますが、現行制度でもやったらいいじゃないかというお話でございましたが、定数是正をするとなりましたら、いま地方区百五十名となっておりますのも、それでよいかどうかというふうな問題、あるいはこれは衆議院のことでございますが、いま衆議院で最も人口の少ないのが兵庫区の五区でございますが、これはいま定数三名でございます。当然増減を加えて定数をあまりふやさないということになりましなら、ここを一名減にせなければならない。そうなりましたら、これは二名になる。現在の衆議院の制度そのものの中に、奄備大島の特定区の一名区というのがございますが、二名区というふうな特別区をつくるべきであるかどうか、また中選挙区はあくまでも三名と五名の定数の中でやるんだとか、人口のふえました区を選挙区を割りまして、中選挙制度を維持してのやり方で衆議院における定数の是正をやったことがございますが、そういうふうな問題がございまして、いまこれをやるとすれば、結局は、そういった問題で根本問題にも触れてくるというところから、第七次では根本問題もやっていただいておりますので、ぜひともそれを合わせて考えていただきたいという意図で述べたのでございます。しかし根本問題でできないという場合は、現行法の範囲におきましても、許す限りの姿で次の参議院の通常選挙が定数の問題の不均衡を合理化した姿においてできるように私は、審議会でもその分だけの御答申はいただけるというふうな姿になるんじゃないかということを期待しておりまして、次の選挙にはぜひとも合理化された案によってやりたいということは考えております。合わせて考えていただくという意味は、そういう意味で申し上げておりますので御了承賜わりたいと思います。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 ですから、参議院の通常選挙に間に合うようにとおっしゃいますけれども前回の例にかんがみまして、私は、次の通常国会に法案を提出しませんと、来年の暮れの通常国会に提出するような姿ではちょっと間に合わないのじゃないかなという、こういう危険性を感ずるのです。ですから、次の通常国会に間に合うようにしなければというお考えを聞いておるのです。それでまた選挙制度審議会の答申がおくれたからというような理由でおくれるということではいけないと思うのです。その点も十分お考えの上やっていただきたいと思います。  時間もありませんので、急いで二、三残った問題を御質問いたしますけれども、もちろん、いまの大臣の御答弁は非常に残念ですし、承服しかねる問題もたくさんあります。私は、どこまでも現行制度で早く定数是正問題は解決すべきである、このように思うのです。そのような大臣の御答弁では、私は、逃げ口上じゃないかなと、このように残念ながら思わざるを得ないのです。  次に、今度の選挙の結果、大きな問題は選挙制度審議会の答申を求めるべきありますけれども、いろいろこまかい問題——たとえば参議院全国区の供託金を引き上げるとか、あるいは地方区の公営費用が、東京地方区のような場合、余ってむだであるとか、いろいろな問題があるだろうと思います。こういった問題に対して自治省は何か考えておられるか、いま現在考えておられることがありたらおっしゃってください。
  56. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 多田先生から御指摘のありましたように、特にことしの二つの選挙を通じまして、選挙管理面あるいは運動面で、いわゆる基本問題とまでいきませんが、当面、早急に解決をお願いをいたしたいと考えられる点がございます。  ごくかいつまんで申し上げますと、多田先生の御指摘の問題点と全く同様でございますが、一つは、選挙公営のあり方がこのままでいいかどうかということでございます。七千万人をこえる有権者に、ほんとうに適切な選挙のインフォメーションを提供するというあり方から見まして、いまの選挙公営の制度については検討を要する面が多々ございます。前に、多田先生からもお話がありました穴だらけのポスター掲示場というようなことなんかは、私どもも、ほんとうにナンセンスだと思っておりまして、ぜひ手直しをお願いをいたしたいと思っているところでございます。  二番目には、立候補のあり方をめぐる問題でありますが、この問題は、先ほどの選挙公報の問題にも若干からむ問題でもあろうかと思います。また、その中には、多田先生のお話のように、供託金問題を再検討をお願いをいたすのにふさわしいのではないかと思っております。全国区で約五百万円、地方区で約七百万円の一人当たり公営費用をかけております。全国区六十万円、地方区三十万円という供託金額が現状に合っているかどうかは、いろいろ問題があろうと思っております。その他、立候補の現行の仕組みについて一歩進めていただく点が私どももあるかと存じております。  第三には、私どもは、いまの選挙運動とそれから政治団体の関係をこのままにしておいていいのかどうか、選挙法のたてまえは、選挙運動の主役は候補者だ、表舞台は候補者だと言っておりながら、実際のさいはいは、裏で影武者であるはずの政治団体がとっておられて、そのウエードがずっと高いという仕組みについても問題があろうと考えます。  大きく私ども選挙管理的な立場から考えて、問題をそういう三点に集約をしておりますが、これからの点につきましては、第一線の選挙管理に当たっている人々の意見も、またいまの選挙をながめておられる有権者皆さま方の御意向もできるだけ吸い上げまして、そういう当面の解決問題というものを整理をし、集約をして、ぜひ国会の御検討を賜わるような形に持っていきたいというふうに考えております。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に御質問いたします。  一つは、地方の選挙管理委員会が非常にこのたびあやまちをおかしたわけですが、その対策といたしまして、第六次選挙制度審議会の答申でも、その管理委員会の充実の面が答申されたわけですが、全然実行されておりません。ですから、たとえば常駐者を一人必ず選挙管理委員会に置くとかいろいろ改革はできるわけです。そういうお考えはないのか。  それからもう一点は、いわゆる十八歳選挙権という問題、衆議院の特別委員会でも、自治大臣は前向きに検討したいと発言されたそうでございますけれども、このたび自治省で、参議院選後、全国で三千人を対象に、十八歳に選挙権を下げることの是非の問題とか、政治的成熟度についてとか、そういった問題を中心に意識調査を実施されて、その結果を参考資料とされて、そして選挙制度審議会に諮問するというようなお考えがあるそうでございますが、これが事実かどうかですね。そしてその場合、もうすでに共産主義諸国はもちろん、イギリスも十八歳実施中でございますし、アメリカ、西ドイツは次の総選挙から実施すると決定いたしました。またオランダやフランスも実施準備中でございます。その他比例代表制の諸国でも、これに続く見込みでございます。こういった中で、わが国がこれを検討する際に、やはり何年かいろいろ調査もしなければならないし、また各方面の意見も聴取しなければならないと思いますので、期間がかかると思います。その際、選挙制度審議会に諮問するのも一案でありますが、はっきりとしたこれに対する調査会等をつくって、がっちりつくって、何年かかけて根本的に調査審議していくというあり方が必要だと思いますけれどもそこまで大臣は前向きに踏み込むお気持ちがあるかどうか。この二つをお尋ねいたします。
  58. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 第一点の選挙管理委員会の機能の強化の問題でございますが、御指摘のとおりでございまして、御答申でいただきましたような点も十分尊重いたして、各地方公共団体に強化していただくように処置したいと、このように考えております。  人員等の関係もあろうと思いますが、地方交付税の配分等についても、選挙管理委員会におきまして、もう少し各地方公共団体で充実ができるように配意してまいりたいと、このように考えております。  選挙権の年齢の問題でございますが、現在、わが国は戦後二十歳ということになっておりますが世界の大半は二十一歳でありまして、その意味からは、わが国が必ずしも選挙年齢が高いということは言えないと思います。しかしながら、いま多田委員御指摘のとおり、共産圏諸国並びに自由諸国にありましても、イギリス、アメリカ、ドイツ等におきまして、一部選挙年齢を引き下げたということは、私も承知いたしておりまして、かねてから強い関心を持っておるものでございます。ただ、選挙年齢の問題は、単に選挙年齢を引き下げるということだけでなしに、引き下げを行ないましたそれらの国々におきましても、民法上の成人の年齢あるいは兵役の年齢、刑事の年齢、それらも合わせまして長い間議論を積み重ねた結果行なわれたように聞いております。私たちも、この問題は、ただ単に選挙年齢だけの問題でなく、広く各省の協力も求めまして、政府の立場において、成年の年齢の問題あるいは刑事年齢の問題等も合わせて考慮していかなければならないと思っております。なお、世論の動向も踏んまえ、いま多田委員御指摘のとおり、青年の政治意識調査、これはまず私たちの自治省で行なわなければならないのだ、こう考えまして、いま現に実施をしておるような状態でございます。  いま、選挙制度審議会だけでなくて、新しくこのための審議機関を設けてはどうかという御意見でございますが、ごもっともな御意見であろうと思いますが、十分検討さしていただきまして、必要とあればそのようなことも考えさしていただきたいと、かように思います。
  59. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 本件に関する調査は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  60. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 継続調査要求についておはかりいたします。  公職選挙法改正に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  63. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取りきめ等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会