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1971-10-08 第66回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月八日(金曜日)    午後一時二十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 山崎 竜男君                 森中 守義君     委 員                 稲嶺 一郎君                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 平島 敏夫君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        労働政務次官   中山 太郎君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道副        総裁       山田 明吉君        日本国有鉄道理        事        原岡 幸吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄財政再建問題等に関する件)
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣国鉄総裁質疑を行ないます。  国鉄総裁、二時までだそうですから、総括的なものを運輸大臣にお尋ねして、あとはなるべく総裁質問いたしまして、あとの問題はその後に譲ります。  いま沖繩国会の前に中国問題やドルショックでたいへん問題が緊迫しておりますが、同時に、この前の国会で積み残されました三K問題——健康保険法、米、国鉄の問題は、それに劣らぬ国内的な重要な問題だと、私はこういうふうに存じます。しかるに、健康保険の問題も米の問題も国鉄問題も、まだ臨時国会では十分な回答も出されておらぬまま時日が推移しております。私は、いま予算編成期の重量な段階でありますので、特に私ども運輸委員として四日間、国鉄あるいは海運、航空など調査してまいりましたから、本日はその調査に基づいて国鉄再建問題及び合理化の問題を中心に質問をいたしたいと思います。  いま国鉄実態を見てみますと、戦争、食糧増産、石炭、電力あるいは重化学工業部門の犠牲にされてまいりまして、にっちもさっちもいかない情勢にある。これは万人が認めるところであります。で、この前の国会で、予算委員会で、私は総理大臣並びに運輸大臣国鉄総裁にこの現状をどう打開するかと質問いたしました。これに対しましては、八月から秋にかけて答申が出ますから、この答申に基づいて国鉄を抜本的に再建いたします、こういう答弁がなされております。ところが、先日出されました総合交通答申を見ますというと、ほとんど国鉄再建方策については具体的に書いてありません。新しい予算要求されておりますけれども、一体この予算はどういう根拠で要求されておるのか見当がつかぬわけであります。  国鉄を、現場調査いたしまして、総論的なことを、結論的なことを言いますと、三つ、いま国鉄現場に問題があるように私は思います。  一つは、とにかく増収しなきゃならぬ。駅長室に参りますというと、団体募集の割り当てがありまして、各係で団体募集して、その駅から一個列車どこかにひとつ出そうと、それで増収をはかろうという試みがされております。非常なそれは苦労であります。  もう一つの問題は、赤字線区を廃止するために局あるいは現場担当者諸君市町村、県などに行って説得活動を、血みどろの戦いをしている。ところが、その赤字線廃止についてはなかなか市町村の納得が得られない。ここにもたくさん陳情書が来ておりますけれども赤字線の廃止されるものを存続してくれという陳情。先般の県知事や市町村意見を聞きましてもそうです。そういう第二の問題がいまある。  第三の問題は、いわゆるマル生運動であります。これは後日まとめてそこで質問するので、きょうは省略いたしますけれども、一例、一つ言いますと、私どもが行きました職場で、こういう机の上に白いペンキで裏切り者よ死んでしまえと書いてある。四十人ぐらいのテーブルですね。そこの中で八名、組織を脱退した。そこで残った方が書くんでしょう、だれもとがめようがない。だれが書いたかわからない。私は行きましてそれに触れました。その脱退した人はその机の上の字を見てどう感ずるでしょうか。書いた人も毎日心に迫るでしょう。それは私が見たその職場だけじゃないと思います。そういうものが、いま田代さん言いましたように問題として起こっています。しかし、その問題は触れません。  この三つの問題がいま一番国鉄の中で——特にこの私どもぴんととらえた三つの問題、私はその第一の問題と第二の問題をやりますけれども、第一の問題はあとのほうで総裁及び理事のほうから聞きます、増収問題は。それから問題は、いま総裁おられる間に国鉄再建方針は一体どうするのか、このことを伺います。したがって、まず運輸大臣から、前の運輸大臣が、秋の答申を待って抜本的に再建策を出しますとおっしやいましたが、一体どうされるか大臣の御見解を聞きたい。
  4. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、確かに御質問のとおり、ただいま国鉄再建の問題は、国政の最も重要なる問題になっております。御指摘のように、国鉄にいろいろな諸原因によりまして赤字が累積してまいりまして、政府もそれに対しましていろいろ、再建補助金拡大であるとか政府出資計上等財政措置を講じてまいった次第でございますが、しかしながら、いろいろのローカル線その他におきまして、経常経営においてもややもすると赤字が出てくるというような問題も含めまして、四十七年度におきましては、ローカル線赤字が千七百億円にも及ぶ、こういうふうな状況でございます。なかなか容易ならぬ事態を生じている次第でございます。したがいまして、政府といたしましては、これらの問題は、いかに解決の方向に向かいまして国民的合意を得るかということをせっかく検討中でございます。要は、御承知のとおり、はっきり申し上げますると、専門家小柳先生承知のとおり、国鉄のほんとの経営黒字増収になりますのは新幹線を含めて幹線のごく一部でございます。全体におきまして相当部分赤字経営であるという実態でございます。また一面におきましてナショナルミニマムといたしまして、国鉄経営によりまして足の確保をはかり、また新しき新全総と申しますか、そういうようなことにおきまして、過疎、過密の問題を解消するためにもどうしても国鉄経営によるところの足の確保が必要であるというような要請がございまして、それらに対しまして国鉄企業としてあげるところの収益、そうしてまたナショナルミニマム要求を達成するためにどのくらいの政府投資が必要であるか、政府の資金が必要であるかというような問題ともかみ合わせてこれからの問題を考えてやらなければならぬと思う次第でございます。いま御指摘のございました、いわゆるほんとに不合理の線でございまして、しかも道路その他の事情が改善をされまして、いわゆるその他の輸送機関でもって十分にこと足りるようなところにおきましては、できるだけ勇断をふるいまして路線の改廃を行なうことは当然でございますが、それらと、また、いまにおきますところの賃金体系といいますか、国民協力の面をいかにするかという三つの面を含めましていま検討をせっかく進めている次第でございます。  いま御指摘がございましたが、総合交通体系におきましても一応答申が出まして、それらも勘案をいたしまして、来たる通常国会までには成案を得てまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 大臣、抽象的なことでは答弁にならぬです。もう十月ですね、臨時国会がすぐ始まります。あと通常国会も二、三カ月で始まりますね。そういう抽象的なことでは答弁にならぬです。具体的には、春の三月の予算委員会のときには、総合交通体系に関する答申が出ますからその答申で具体的な再建策を提案いたしますと、総理並びに運輸大臣答弁されましたね。そのあとを受けてどういましておりますか、具体的に答弁してください。抽象的な答弁は要りません。
  6. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 抽象的なというおしかりを受けた次第でございますが、ただいまそういったような根本方針に基づきまして、われわれといたしましては、国鉄赤字の問題につきまして利子補給の面をどうするか、また新線計画につきましてどのくらいの見当をするかというような問題をせっかく詰めているところでございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 それは予算要求、昨年度の予算に対して幾らくらいプラスしていこうかというようなことでは予算が出ております。ことしの予算幾ら要求になっておりますか、大臣、具体的に御存じですか。
  8. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 具体的な点につきましては鉄監局長から御説明申し上げます。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 ちゃんと答弁に来るときに見てきなさい、そのくらいのことは。
  10. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 四十七年度の予算でございますが、これは先生指摘のように、四十六年度予算におきましては、何といいますか、償却赤字をかろうじて埋めたというような非常に無理した姿の予算でございまして、したがいまして先生指摘のように、四十七年度には抜本的なことにしなければならぬということでございますが、ただいままだ完全な来年度の構想がまとまっておりません。しかしながら財政法等の定めるところによりまして予算要求をしなければならないわけでございまして、とりあえずのものといたしまして来年度予算要求をいたしまして、その中身でございますが、第一点は……。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 私はわかっているんですよ。大臣が、あれだけ大問題である三Kといわれた国鉄問題で、今年の予算に対して、では一体何%くらいプラスして要求しているか御存じですか、局長答弁あとにも求めます。
  12. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 御承知のとおり、いま国の予算規模につきましては、四十七年度は二五%の増加を認めていただいておりまして、そのワク内において予算請求するようにということでございます。ところが国鉄のは、それだけでは、今回の再建その他のことを考えますと、とうてい処理し切れない次第でございますので、せっかくいま検討しているところでございます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 いろいろほかのことは御存じだと思いますけれども国鉄再建をする、とにかく三K問題として去年の国会で騒がれて解決できない問題を控えて、運輸大臣になられて就任早々からやはり国鉄問題をどうするかということは真剣に取り組んでおらなければならぬ。国鉄の問題をどうするかということは、金をどうするかということでしよう。抽象論幾らでも意見はみんな言えますよ。運輸大臣担当者ですよ、鉄道建設したり廃止したり、みんなあなたは権限があるんだから、その運輸大臣が、来年どういう方向国鉄再建しようか、この答申にはそれがないんだから、予算はどのくらい取るかちゃんと腹に入れておかなければ、局長がちゃんとおるからいざのときに聞こう、それでは建設にならぬのです。自民党の部会に行ったらどう主張しますか、閣議でどういうふうに主張しますか。だからいつまでも国鉄再建できないのですよ。総理も同じですよ。腹の中で見えるようにわかっていながらやろうとしないでしょう。総理もほんとうはここに来てもらわなければ解決しない問題ですよ。では一体どう具体的に——運輸大臣は、この次の国会までには成果を得たいとおっしやられる。具体的に言って下さい。抽象論は要りませんよ。
  14. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 抽象的になりますが、具体的の金額は御承知のとおりただいまではまだ詰まっておりませんので触れるわけにはまいりませんが、長期債務に対します利子の免除であるとか、設備投資に対します助成であるとか、財政再建補助拡大と、新幹線鉄道複線化に対する政府出資等がございます。また、合理化によって生じました人員の退職を促進するための特別給与金制度の新設であるとか、また、関連事業拡大のためにも鉄道法の改正の問題であるとか、また地方交通体系、これをどのくらい合理的にやっていくか。それから公共負担の是正であるとか、こういったような問題、それからまた地方財政との調整をどのくらいしていくかというような問題を踏まえてこれから詰めてまいりたい、こう思っておる次第です。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 時間がないので大臣あと質問いたします。  国鉄総裁、いまの問題はどういうふうにして再建しようと思っているか、見解を。
  16. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄財政状態、年を追うに従って窮乏をつげまして、本年は御承知のとおり約三百四十億償却前赤、初めての赤字予算、事実上の赤字予算を組んだわけです。いまのままでまいりますと、昭和四十七年度は約千七百億の償却前赤になるだろうと推定されるわけでございます。ことに最近不景気でもって貨物輸送が沈滞しておりまして、貨物収入が思うようにあがらないということで来年度は最低千七百億円程度の償却前赤になるという計算でございます。これに対しまして、いろいろの角度から問題がございますけれども、ごく大ざっぱに問題を二つに分けまして申し上げます。  一つは、そのうちの中でも企業として一応成り立つ部門約一万キロ、これは大体収支とんとんでございます。この一万キロにつきましては、いま大臣がおっしゃったように、利子を補給していただいて、いまの五分五厘をもっと下げていく、あるいは政府出資をもう少しふやしていく等によりまして、これは将来とも収支とんとんでもって収支償っていくという形で維持できていくというふうに思っております。すなわち、安い金を貸していただいて、そして建設を進めていけば輸送量はふえていく。したがって、この幹線キロ一万キロにつきましては、そういう工事費の若干の補助めんどうをみていただく、あるいは政府から出資をしていただくということによって、一応未来は明るいというふうに私は思っております。しかし残りの一万キロ、いわゆる地方交通線一万キロ、これの赤字が大体千七百億でございますので、この千七百億につきましては相当思い切った経営努力をし、思い切った合理化をしても、やはり過疎地帯である、人がいない、産業がないということで収入がふえる見込みは全くない。しかし経営人件費その他の関係でふえざるを得ないということで、この一万キロの地方交通線につきましてはどう考えても企業採算として合わない。しかし先ほどの大臣お話のとおり、これはソシアルミニマムとして維持しなければならないということで、そこから出てくる来年度の千七百億前後の償却前の赤字についてはどうしても黒字線に負担させるわけにはいかない。したがって、その部分については政府あるいは地方公共団体めんどうを見るという、少なくともスタートラインにつけていただきたい。もちろん非常な巨額でございますから、初年度から全部というむちゃなことはできないにいたしましても、方向といたしましては、国鉄企業として維持できないナショナルミニマムについては普通の一般企業ならやめてしまうものでございますが、やめるわけにはいかないということになれば、そこから出てくる赤字国鉄がしょうわけにはいかない、どうしても政府あるいはその存続をどうしても必要とされる地方自治体、地方財政においてめんどうを見ていただきたい。いわゆる補償というようなことを言っておりますが、前の部分補助あと部分補償というようなかってな感じを言わしていただければ補償という意味でめんどうを見ていただきたいということでいま政府にお願いしている次第でごいますが、非常に巨額な金でございまして、私ども自身として、自分たちで出した赤字でございますので、非常に問題いろいろあると思いますけれども方向といたしましてはそういう方向で考えていただきたいということを夏前から実は政府関係方面にもお願いいたしているところでございます。  また、いま大臣がおっしゃられました公共負担につきましては、先生承知のとおり貨物運賃につきまして、運賃法以上の割引を年間五十億相当無理してやっておりまして、あれは今月の初めごろからやっと半分だけは免除していただく、すでにそういうふうな措置をとって、いわゆる公共負担の軽減については第一弾の措置を具体的にとって、ちょうど九月末で終わりましたので、半分だけはとにかく免除する、国鉄めんどう見ないでよろしいという形でもって公共負担を軽減していただいたということで、現実の姿になってあらわれておりますけれども運賃法以上に引いている公共負担がたくさんございます。五百億くらいまだございます。今後は、これらについての問題につきましても十分政府でお考え願いたいというふうな感じで、いまいろいろ政府関係方面にお願いしている次第でございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 謙遜しているようで、いろいろ控え目に言っておられるようですけれども、とにかく日本国有鉄道をしょっておられますし、これは単なる利益会社ではないのですね、私企業でない。いま総裁おっしゃられたそういうふうな要求なり願いを、運輸大臣なりあるいは総理大臣なり経済閣僚などにどのくらいの熱意で折衝しておられるか、実態をお聞きしたいのです。
  18. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 御承知のとおり、内閣がかわりましてからあと関係大臣その他にも直接お目にかかりまして、いろいろ全般的な情勢を申し上げております。ただ、あまりこまかいことを申し上げてもなかなか御理解していただけませんので、ごく大ざっぱに、いま申しましたように、いわゆる企業体として成り立つ面と、どうしても企業体として成り立たない面、二つあるのだということをまず認識していただきまして、企業体として成り立つ面についてはいまよりもっと安い金を貸していただければ何とかやっていけます、十分やっていける、二十一世紀まで日本国有鉄道として何とかやっていける。しかし企業体としてどうしてもやっていけない面がある、いわゆるこれは半分ある、国鉄赤字はここから全部出てくる、このポイントに集中して、実はその点に焦点を集めて御説明しているわけでございまして、関係大臣あるいは関係の諸先生方の御理解は徐々に私は深まっていっているというふうに思っております。  しかし、まだまだいろいろ問題が非常にございまして、私のおそれますのは、先ほど先生おっしゃったように、ほかの大きな政治問題——財政、外交問題の中に国鉄問題が埋没しちゃ困るということをはっきり申し上げております。とかく埋没されがちでございますので、そういうことのないように関係閣僚にもいろいろお願いしておる次第でございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 昨年春からやっておりました総合交通体系答申総裁これを読まれまして——これは、鉄道につきましては昭和六十年度に新幹線七千キロにせいということと、貨物輸送分野を若干検討せいということしか書いてない。あとはみな自動車とかバスとか都市交通など書いてありまして、これを基礎にして国鉄再建をなされようとした政府方針は、もうその答弁は、私に対する答弁はうそだったということになる。それに対して国鉄総裁はどういう抗議をされたのですか。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は、いま先生のお持ちになっております総合交通体系政府への答申でございますが、私は率直に申しますとたいへん不満でございます。そして実は、それをお書きになりました先生においで願いまして、そして御説明を願いましたその際に、やはり私は予算委員会で申し上げましたとおり、とかくそういう委員会は、いわゆる青い鳥を追うような話が多くて困る、私のほうはいま青い鳥ではなくて焼き鳥の問題だということをるる申し上げました。ところが、この焼き鳥云々につきましては、冒頭の七、八行目に国鉄財政問題は別だとはっきり書いてございます。触れておらないという点が一つ。  それからあと交通施策——交通施設と申しましたか、のところに、若干、地方交通のことに触れられております。その地方交通につきましては、ソシアルミニマムの維持についてはやはり国鉄としてはめんどう見られないだろう、やはり政府なり何なりがめんどう見なきゃいけないということが、二十何ページでございましたかに触れられております。これは分量としてはきわめて少ない分量でございます。それから運賃上の公共負担につきましても、これは国鉄に負担させるのは無理だという点にも触れておられますけれども、全体として、おっしゃったように、非常に明るいビジョンが出過ぎていまして、もちろん明るいビジョンも非常にけっこうでございますけれども、さしあたりの経費の不足ということを補うにはあまり役に立ってないということで、実はそれをお書きになりました先生もだいぶその点心配されまして、実情の話も実は承りました。しかしこれは運輸大臣諮問機関でございまして、私がぐずぐず申すべき筋合いではございませんが、私は、国鉄責任者としてはそういう率直な意見を申し上げまして、運政審先生方に、国鉄問題自体についてのお考え方をもう少しはっきりさしていただきたかったということをるる申し上げておりますし、その点につきましては運政審のほうから運輸省のほうにも何かお話があったやに承っております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 まあ、その自分責任事業をやっておられるという責任感はいいんですけれども、やっぱり国全体としてこの国鉄をどうするかという問題について、もっと国鉄全体で体当たりで、内閣なりあるいは国会にぶち当たる体制を期待したいんです。  で、国鉄財政再建推進会議意見書昭和四十三年の十一月に出まして、それから財政制度審議会の建議及び中間報告というのが四十五年十二月に出ています。それから国鉄諮問委員会意見書が四十五年十二月二十一日、それから国鉄会計制度調査会が四十五年十二月十九日に意見を出しました。それから国鉄諮問委員会廃止予定線という八十三線が四十三年の九月に出ています。いまあなた方は、大体こういうものを基準にして合理化なりあるいは増収をはかっておられると思うんだけれども、これで一体やっていけるとお考えであるかどうか。
  22. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いまおあげになりました各委員会答申、あるいは、すでに昭和二十九年から内閣なりあるいは政府のほかの部門にもいろいろ国鉄についての委員会ができておりまして、各種答申が出ておりまして、いわば国鉄に対する処方せんは、私はすでに全部出尽くしておるというふうに思っております。これ以上幾ら委員会を開いても同じような結論が出るだけだと。したがって、私は、ぜひ実行あるのみということをお願いいたしたい。そのたくさんの答申の中で、要約いたしますと、三番目にお触れになった、昨年の暮れの——私のほうの諮問委員会でございますけれども、「国鉄経営をいかにすべきか」という答申、これがまあ大体過去十数年間の各種答申を総合的にまとめ、きわめて要領よく簡単に申し述べておられるというふうに思うわけでございまして、私は焦点をこの諮問委員会の昨年の暮れの答申に集中いたしまして、それの実現方をお願いしている次第でございます。さっき私が申し上げましたのも、大体その趣旨に沿ったことを申し上げたわけでございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、この国鉄財政再建推進会議意見書は四十三年の十一月一日に出まして、これでローカル線赤字線について主として意見を述べて、たとえば自動車に切りかえたらいいものは自動車にしなさいとか、いろいろ書いてございます。特にその合理化の中で、旅客が一日に八百人以上、貨物は一日に八十トン以上、それ以下のものは無人駅にするとかあるいは合理化する、それからそれを五十三年度までにする、五〇%無人駅にするということを書いてあります。あなた方はいまそういうことを目標にしてやっていると思うけれども、この四十三年に出た推進会議意見書なるものが、現在のこの総合交通体系を考えなければならぬ、いまの陸、海、空、地下のこの緊迫した——これはもう国鉄だけじゃありません、ほかにもありますけれども、そういう時代にマッチすると国鉄総裁はお考えであるか、お聞きします。
  24. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 四十三年の推進会議答申でございますが、これは非常に膨大なものでございまして、初めの総論部分と一部会、二部会、三部会の各論で非常に詳しく書いてございます。しかし精神としましては、数量八百人その他の限界を書いております。もちろん、その後、情勢が変わっております。しかし変わった情勢の中で二つの面がありまして、その後、道路の整備あるいは自動車の台数のふえ方という国鉄以外の交通機関が非常にふえてきたという変わり方が一つと、それから逆に過密地帯等におきまする自動車の公害あるいは道路のふくそう問題ということが起こっております。そういう前向きとうしろ向きの二つの問題が起こっておりますが、それらを頭に置きながら、私どもとしては、おおむね四十三年度の趣旨を昨年の暮れの諮問委員会で踏襲した答申になっておりますが、この趣旨で経営合理化に進んでおるわけでございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 その場合に、たとえば県や市町村からたいへんりっぱな意見を持って陳情されております。にもかかわりませず、強引にこの基準に従ってやっているという印象を受けるものが多々あります。この日本国有鉄道監査報告を見ますというと、そういう無理なところは運輸大臣に相談しなさいと書いてございますけれども、たとえば一つの例を言います。私はこの間、熊鉄のほうのあれを調査いたしましたが、たとえば船小屋という駅があります。これは筑後市の温泉町の玄関で、十名ぐらい職員がいたのですけれども無人駅になりました。そのときに、筑後市の議会、市長からもたくさん陳情がありました。本省に行きましたら、熊鉄局長の権限ですからということで、次に私も熊鉄局長を紹介され陳情に行きました。これは六百五十人ぐらいですから基準より若干下ですが、市からどうしても、一人でも二人でもいいからと言いましたけれども、これは表玄関ですから、温泉街の玄関ですから市としても将来考えますからということでしたが、ついに強引に無人化したのです。おととい私も現地へ行って見てきました。ところが、その駅はまだりっぱな駅舎だけはありますけれども、その辺の工場の人たちの自転車置き場になって、子供の遊び場になっている。そしてそこで仕事をしております人の意見を聞きますと、子供が線路におりて遊んでいる、自分たちが工事の仕事をしているけれどもあぶのうてしようがないから、とにかく早く駅舎を取っ払ってもらいたいと。その状態を持って市役所に行って市長に会った。ところが、熊鉄から、あの駅の前の土地を買ってくれと言っている、私どもがあれだけ、何十回陳情しても、ついに、たった一人の駅員も置いてない、それを今度は、無人化してあと土地を買うてくれとは何事かと、いま模様を見ております、市価の何分の一かならば考えましょう、ということです。そういうところが全国に無数にあるのじゃないかと思うのです。国家的にその財産の消耗というものを考え、あるいは危険度というものを考えるなら、たった一人の駅員がなぜ置けなかったか。あるいは市からOBを一人雇いますと言う、それがなぜできないか。そんなことがたくさんやられております。その基準ですよ。一日の乗降客八百人以上、貨物扱い量が八十トン以上、それで五十三年度までには半分は無人化しますという方針ですね。それを強引にやられる。それが皆さんの経営合理化ですよ。  そして今度は勝田線、あれは廃止ということになっておるが、県に聞いたら置いてもらわなければ困ると言う。市に行ったら、そこから太宰府まで延ばしまして、太宰府から筑肥線の姪ノ浜に接続しますと、将来、板付空港から地下鉄で筑肥線に快速列車を走らせるので、福岡市環状線になりますから廃止しないでくれと言います。ところが、強引に国鉄は勝田線廃止の方向市町村説得に回っておられます。たいへんな苦労です、それは。もちろん、苦労はしなければなりませんけれども、そういう合理化が進んでおるが、その合理化について国鉄総裁は再検討する意思はないですか。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 合理化にはいろいろな方法がございます。いまおっしゃったように、駅の無人化あるいは貨物駅の集約、いろいろ地元からのお話もございますけれども、やはり全体として営業体制を近代化するというたてまえからいって、地元から極力御納得を得てやめたいのでございますけれども、たとえば、いい例としまして、鳥取県では農協とお話しして農協に駅務を全部お願いしている、運転関係以外は全部農協にお願いしている、駅舎は農協の売店、極端に言えば理髪店にも使っている、そうして全体としての効用、活用をはかっているというような合理化のやり方もございますし、いまお話しのように町から人がやってきている。しかし全体としてそういうこともしないというところにつきましては、むしろ駅舎があること自体が非常に荒廃して困る、あるいは逆に火事の原因になるということで、全部駅舎を取っ払って、そうしてホームを簡単なプレハブ式の待ち合い室に直すというのが現状でございます。もちろん、いまおっしゃった具体的な勝田線そのものの問題はともかくといたしまして、ローカル線であっても将来別な角度から生かせるものにつきましては、もちろんこれは考えております。たとえば、いま福岡市の地下鉄問題がございますが、これらと関連して、いまの勝田線をほんとうに使えるか使えないか。もちろん電化しなければ使えません。はたして電化してそれだけの価値があるかどうか。筑肥線を板付まで延ばして勝田線まで結ぶという案もございます。私どもの人間が行って現地でつくったものです。そういう生かし方も考えておりますけれども、生かせないものはやむを得ないというふうな考え方で進んでおります。私どもといたしましては、相当弾力性のある考え方、しかも新しい交通事情にマッチした考え方でやっていきたいというふうな考え方でございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 時間がないから、あと二問、総裁質問いたしますが、一つは、いまの問題で国鉄が直接行って市町村説得しておりますけれども、もうワンクッション置きまして、もう一回、別に地域住民なりあるいは地方公共団体なりの意見を聞いて、それじゃ一体どうしたらいいか、あなた方またどうしたらやれますかと、そこまでのワンクッションは置けないものであろうか。その点どうですか。
  28. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は、まず私どもは、市町村の当局者に相当具体的に、相当何と申しますか、積極的に何か名案がないかと、あんたのほうで使えないかというふうなことも申し上げておるところでございます。それから、そうでないところは、もう私どもの手に負えないから、あなた方、説得してくださいと言われて、地域住民を説得して回っているところでございます。市町村によりましてニュアンスが違いますので、一がいには申し上げられませんけれども、私どもといたしましては、極力、地域の市町村長の同意が得られるようにという方向でやっておるわけでございまして、決して無断でやめてしまうというふうな勇ましいことをやっているわけではございません。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 最後の問題は、新線建設の問題でございますけれども、時間がないから最後に。たとえば高千穂線の新線建設については、熊本県知事からこんなことを言って切々と陳情がありました。ところが、向こうの日ノ影線は廃止線、熊本県の高森線は廃止線。両側が廃止線で、まん中が建設線。しかも、建設公団の報告によりますというと、来年の四月には開通ですと書いてある。竣工ですと書いてある。このようなものを国鉄総裁としてはどうお考えですか。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 新線建設につきましては、先般も一カ所そういう問題がございまして、非常に私どもとしては問題がむずかしいというふうに思っておりますけれども、これはもう先ほど先生のごらんくださった四十三年の推進会議意見書の中で、いわゆるA、B、C線、新線建設の中でもA、B、C線については再検討するというふうに言われております。私どもも初めはA、B、C線全部いやだ、絶対要らないということを言っておりましたけれども、これは非常に極端だということで、ぜひ、重点的に、要るものは、将来二十一世紀になっても使える、いわゆる国の交通系絡として、交通のネットとして必要なものはこれはたとえ赤字でもしかたがないだろう、しかし、できてほとんど乗り手がないというふうなものはやめてほしい、いわゆる新線建設の重点化ということで、最終的にはその推進会議の結論が出たわけであります。私どもは初め絶対いやだ、何でもかんでも全部いやだと申しておりましたけれども、それは少し極端だということで、率直に改めまして、徹底的に重点化して、そうしてひとつ国としての交通網をなすものはこれをおつくりください——たとえば四国の循環線であるとか、あるいは三陸の循環線であるとか、そういうものは必要だと思います。しかし、そうでない建設線はやめていただきたいということを、もうるる申し上げております。これは、いずれ政府は遠くない期間にA、B、C線の再検討をしてくださるということを確信いたしております。したがって、方々へできましたのに、なぜやらないという問題が起こっておりますけれども、私どもはどうしてもここでA、B、C線の再検討をしていただきたいということを強くお願いし、また、四十三年の推進会議意見書、閣議決定どおり再検討してくださるであろうということを私は確信いたしております。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題、具体的にこの高千穂線も五十数億の金を使っているわけです。そうして来年四月は開通。日ノ影線、高森線の廃止は遠い先でありましょうから、四月の開通には、国鉄、反対されませんね。
  32. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは、いま私の調べておりますのは、あの線がほんとうに観光線として役立つかどうか、観光線以外これは意味がないと思います。率直に申しまして、森林資源もほとんどございませんし、ほとんど人家もございません。ただ、非常に景色のいいところだと私は実は存じておりますけれども。ですから、いろいろ調べさせまして、はたして観光地として成り立ち得るかどうか。たとえば最近開業いたしました福島県と新潟県とを結ぶ只見線、これも直通したためにかえって赤字はふえております。高森線も私は同じようなことだと思いますけれども、それでもなお、国の美を再発見するという角度から必要なら、これは私はあえて反対いたしませんが、それから出てくる赤字が一体どのくらいになるのか。とても全通までは間があります。はたしてどうなるか、その辺について、いま資料を検討中でございます。
  33. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  磯崎総裁、いまの高森線、高千穂線をそういう認識で国鉄は見ているのですか。行ったことがありますか。これは九州の知事会、あるいは市町村会、いまの高森線あるいは建設中の日ノ影線にそういう認識をしていませんよ。あなたの認識しているのは実際問題とだいぶ違う。だから、日ノ影線が開通することは一日も急がなければならぬし、高千穂線にこれを結びつけるということになれば、ようやく浮揚時代を迎えた九州の宮崎、熊本を結ぶ一つの動脈が完全にでき上がる。また、森林資源ないと言われるけれども、あの一帯における一次産品の最近の生産状態というものは、かなり注目すべきものがある。ですから、確かに、やり方としては正しくない。いま小柳君が言うように、片や工事を進める、片や廃線というのは一体何だ。むしろそのことが問題なんであって、私は、やはり日ノ影線を直ちに結びつける、そうして浮揚産業をいまやっと迎えようとする九州で一つの動脈となるわけですから、これはどうしても推進してもらわなくちゃならぬ。もちろん採算が直ちにとれるかとれないかという問題は、いま少しこまかな計算をしてみなければわかりませんよ。むしろ、つなぎ合わせることによってベースに乗るんじゃないか、こういう見解を私は持つ。ちょうど宮崎の平島先生もおられるけれども、あなた、そういう考えで高千穂線、あるいは高森線を見たらたいへんだよ。それはどうもそういう軽率な見方じゃ困る。ですから、鉄建公団、運輸審議会、それと国鉄との、そういう一連のやり方、進め方というのがむしろ問題だ。部分的にそういうふうに切ってみても、これは全然価値ありませんよ。つなぎ合わせるところに九州はやっと日の目を見よう、また、鉄道で九州の南岸と東のほうを結ぼう、こういうわけですから、ここはもう少し慎重に検討してもらいませんとね、もうそういうことでそれを簡単に言われるのじゃ困りますよ。一ぺん行ってごらんなさい、向こうに。必ず採算に乗りますよ、それだけは。ほかは知らないですがね。そんなことはたいへんですよ。  それと、もう一つ、これは立ったついでだからお願いしておきますがね、資料になるでしょうな。真鍋職員局長、常務理事、最近ひんぱんに地方出が多いようですね。在来、本社理事、局長というものが一体どういう業務で地方に出るのかよくわからぬけれども、新しい年度になった以降、真鍋職員局長が地方に出張した期間、行き先、目的、次の委員会までには資料で出してもらいたい。それが一つと、これは仄聞するところによると十八日ぐらいに九州熊本にこの人が行くとしている。しかも出張の目的は運転監査ということになっておりますよ。運転局長というのがいるんでしょう、職員局長が何で運転監査をやるんですか。そういうように国鉄の首脳部、幹部というものはみずからの所掌以外のものでも出るような慣例になっているのかどうなのか、社内の内規にどういうものがあるか、おそらく筋違い、見当違いもはなはだしいと思う。だから、私の聞いたことが間違いであれば訂正してもらいたい。けれども、十八日、このころに運転監査という項を設けて九州に行く、一体、職員局長とは何をやる人だ。まあ、主として人事問題等が中心のはずですわね、それが運転監査ということで行くと。こういうような運転監査なら運転局長をやりなさいよ。おそらく常務理事とか局長が動く場合には総裁の決裁が要るんでしょう。もう決裁されているんですか。ちょっとそれも聞かしてください。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 高森線は、先ほども申しましたとおり、私はまだ行ったことはございませんが、観光として成り立ち得るかどうか。さっき申しました森林資源については、いま実際、国鉄全体の貨物輸送量を見ますと、森林資源はどんどん落ちておりますので、はたしてその例外になるかどうかということにつきましても、いま調査中でございます。実は、福島県と新潟県を結びましたけれども全然ふえないという実積もございます。これは水かけ論になりますから、いずれ数字をもって御説明申し上げます。  あとの、運転監査につきましては、現在私のほうは全局長を出しております。運転監査——運転と申しましても、単にドライバー、機関車を動かすことだけじゃございません。国鉄全体のオペレーション、これを整備、監査するわけでございまして、運転局長も施設局長、電気局長も、あるいは工作局長、全局長に地域を分担させ、そして職員局長には運転局の課長をつけるとか、コンビネーションで全局長にきわめて短期間に全国を見せて、そして運転の事故防止につとめている、これがやり方でございまして、これは私どもの事故防止対策委員会で正式に決定したものでございます。
  35. 森中守義

    ○森中守義君 まあ、その理由はいずれにしても、何も真鍋職員局長をやる必要はない。だれかほかに、適当な人にかえてもらいたい。困りますよ、こういう人はね。少なくとも、そういう運転事情であるとか、いろんな事情に明るい、門司の支社あたりに勤務した局長がおいでのはずだから、そういう人をやってもらいたい。真鍋さんは困る。  それと、資料はいいですか。出せますか。
  36. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 承知いたしました。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 いま総裁が退席されるもので、前にやりましたから、いまの続きをやります。  予算は、四十七年度は償却前の赤が千七百億と見込んでおる。それはとても国鉄自体では処分できない。したがって、政府にお願いしているところだとおっしゃるが、これについては自信がありますね。
  38. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) この問題は、先ほどからも私申し上げましたとおり、国鉄のそういったよってくる赤字の原因が非常に深い次第でございまして、一ぺんに解決しませんでも徐々に解決していかなくちゃならぬ、その解決の方向に向かっていかなくちゃいかぬ、その端緒をただいませっかく検討中でございますが、先ほども申しましたとおり、いわゆるそういったローカル線経営するにつきまして、利子のかからない出資金をどのくらい政府として出すべきであるか、また、いままでの累積した赤字につきまして、利子補給といたしまして国の費用をどれぐらい出すべきであるか、また、先ほどから総裁も言っておりますが、国、地方公共団体との負担分野というものをここにどのくらいの合理性をもって組み合わせることができるか、いろいろの問題がございます。  これはまあ御承知のとおり、いま鉄道の問題はわが国だけではございません、世界あげましてそういったような問題が非常にいま問題になっておりまして、私企業でやっておりますアメリカにおきましても、すでに公社をつくりまして国、公共団体がどのくらいの負担を持つかというようなことにつきまして検討しているところでございます。諸外国もやはりそういったような意見を持っておりまして、やはり社会資本、社会交通資本の投下に対しましてどのくらいの熱意を示すかということの問題と、そうしてまたそれに対しまして、今日の物価体系のうちにおきまして公共料金であるところの運賃をどのくらいの程度で押えることが適正であるかという問題、また、先ほども国鉄総裁からお話がございました、要するに社会公共の割引料と申しますか、そういったようなものにつきましてどのくらい国なり公共団体が負担すべきであるかというような問題もからみまして、いまお話しのそれらの千七百億にのぼろうというような赤字に立ち向かいまして、少なくとも今年度一歩前進を見せていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 まことにいま大臣、抽象的でして、もう十月でして、すぐに臨時国会でしょう。臨時国会終わりますと、すぐに通常国会ですよ。しかも十二月から正月初めには予算は本ぎまりいたしましょう。そういうことで、たとえば失礼ながら私が総理大臣で、あなたを呼んで、おい、国鉄はどうしたらいいか、具体的に数字を示せというよようなときには、いまのような答弁をされるのですか、大臣は。答弁にならぬでしょう。もう赤字は、はっきり千七百億は赤字が出ます。それは何とかしてもらわなければ、国鉄のいままでの自前では何ともいたしかねるところにきていると国鉄総裁言いましたでしょう。それは全面的にあなた受けて政府として処理できますかと聞いたら、まだ全然具体的な答弁ないでしょう。そんなことで答弁にならぬですよ。もう少し具体的に、何かあなた考えがあるでしょう、それを言ってください。
  40. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私どものまあ政府に対する要求といたしましては、昨年度まぼろしの補助金であったものを、これではとてもだめであるから、少なくとも利子につきましては、場合によりましては全額補給の場合もあるし、三分五厘まで下げる問題もある、いろいろ具体的な問題がございます。しかしまあそれらを全部やっぱり総括いたしまして、これからせっかく煮詰めてまいりたい、こう思っている次第でございます。また、その間におきまして、いろいろお知恵も拝借したい、こう思っている次第でございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な数字は、あとでまた局長に聞きましょう。  そこでもう一つは、いま建設線と赤字線の問題の回答がありました。建設線も、赤字線を廃止するのも大臣の権限ですね。法律上、大臣がいろいろ検討して、この線を建設しては経営が成り立たないというようなことであれば中止することができるわけです。また、営業線の廃止も大臣が廃止できるようになっております。そのような権限を持った運輸大臣がいま申し上げましたような——高千穂線を一つの例に言いましたが、これが全国でいま七十一カ所あります、前の線は廃止して、まん中に建設するようなものは。そういうものを運輸大臣はこれからどうしようとされますか。
  42. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) この点につきましては、いままで相当、申しわけない次第でございますが、新しいAB線の新線計画と、それから廃止線の問題そのつながりの問題その他の点におきまして、私、就任いたしましてからいろいろ調べておりますると、そごの問題、かみ合わない問題が相当出てきているように思う次第でございます。先般の委員会におきまして、確かに今日の国鉄におきましては、企業努力、赤字線廃止といいますか、赤字解消の熱意からいたしまして、もう少しでもやはり独立採算に合わない点で、しかも非常に営業上不利益と認めるものは廃止をしたいという要求が強い次第でございます。また一面におきまして、最近の新全総から申しましても、過疎、過密の問題が非常に問題となっておりまして、過疎地帯は、やはりこの鉄道敷設によりまして将来の過密地帯にしたい、そしてまた、その地方における地方の開発の拠点にしたいというような点がございます。独立採算の面からいたしますると、どうしてもこれは廃止をいたさなくちゃならない点でも、国の新全総と申しますか、総合的な見地から見まして、その地方の開発からいたしまして、どうしてもやはりただいま現時点におきましては赤字ではあるけれども、将来におきましては、これはやはり黒字に変わるのではないか、また、その地方におきまして最小限度の輸送といたしまして、また、足といたしまして残すべきではないかというような観点を総合的に検討いたしまして、そうして国民の皆さまの御納得のいくような合理的な結果を得たいと、せっかくただいま、これまた検討中でございます。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 それでは具体的に聞きますが、国鉄諮問委員会がきめました、四十三年九月にきめました八十三線の廃止予定線というのは再検討するということで確認していいですか。これは運輸大臣並びに国鉄総裁に聞きます。
  44. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 御指摘の二千六百キロ、八十三線区、これは当時の調査で、もう道路輸送に切りかえたほうが国民経済的に有利であるという一応のめどで調べたものでございます。したがいまして、現在、それ以降もう時日も三、四年たっておりまして、それに加えるような性格の線も出てきている状況もございます。それから、その後、新たに地域的な経済発展計画で、あるいは団地の計画とか、あるいは工業団地の計画とかが樹立されたところもございますが、しかし現実の姿としてそれがまだ実現しているところはございません。そういう意味で、当時の調査の結果に手を加える必要がないと認められております部分につきましては、先ほど総裁も申しましたように、地元の御了解を得る努力をしながら、道路輸送への転換を促進していこうというのが私どもの考え方でございます。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、八十三線区につきましてはもう固定的に考えないで、プラスすることもあろうしマイナスすることもあるだろうと、再検討すると、これでいいですか。
  46. 山田明吉

    説明員山田明吉君) その表現でございますが、プラスするものもございますし、マイナスするものもございますが、それにつけ加えて申しますならば、いまのところプラスする要素のほうがよけいに出てきているような状況だと判断いたしております。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 いまの問題ですよ、その国有鉄道というのが独立採算制であるのか、もちろん独立採算制ですけれども、公共性を重んじるのか、あるいは採算を重じるのか、そういうことでおのずから運営方針変わってまいるのですが、一番基礎ですからね、これからの。で、たとえば、いま過疎地域のバスなどもなかなかやっていけないんですよ、私企業で。したがって、枝線はほとんど廃止を各地の陸運局に申し出ております。そうしますと、バスも通らない、もちろん自家用車も通らないところがたくさんあるんですね。そこに、たとえば通学なり通勤なり、これはもちろん採算とれませんね、赤字線です。その赤字線、しかしそれがなければその人たちは一体どうしようか、町に出るにも出られませんでしょうし、学校へ行くにも行けませんでしょう、そういうものこそ日本国有鉄道として残す線ではないかと思うのです。それには国や県や市が補助することも必要でしょうし、赤字だから、赤字線であるから廃止するという考え方自体をこの際、再検討しなければならぬのではないか。しかも、赤字線の手前にちゃんと建設線が建設されつつあるわけです。さっきおっしゃった二千六百キロですね。したがって運輸省方針大臣、いままでのいわゆる独立採算制で利潤追及の立場から、収益の立場から考えた国鉄というものを少し検討しなければならぬのではないか、陸海空の、あるいは地下の総合交通体系の中で検討し直さなければならぬ段階ではないかと思うのですが、いかがですか。
  48. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御意見でございますが、私も大体においてそういうふうに考えておる次第でございます。と申しますのは、ただいま赤字というお話がございましたが、国有鉄道としてはただ赤字ということでなく、国有鉄道といたしまして、その地方に設置することがどうしてもやはり国家的に見て、国民的見地から見て必要であるかどうかということはやはり十分検討してみなければならぬと思っている次第でございます。で、申しますのは、ただいま過疎バスの問題が出ましたが、私も、このままにしておきますると過疎バスも漸時私企業ではやっていくものが少なくなる。本年も御承認いただきまして、わずかでございましたが一億五千万の補助を国から出した次第でございます。これも独立採算制から申しますると、それに対しまする国の援助でございますから、その点は少し破られているわけでございますが、私は来年は少なくともそれの十倍近い補助をぜひ出せということをすでに指示をしておりまして、来年度の予算にはこれを要求するつもりでやっている次第でございます。また、御承知のとおり地下鉄につきましては、その施設につきましては国と地方団体でもって敷設線につきましてはすでに半分の補助をしている、こういうことでございます。国民の一番大切なものに対しましては、やはり社会交通資本の投下ということは必要になってまいる次第でございます。それで、そういう点で確かに人数の点あるいは物量の点におきましてある程度の採算制の、ミニマムはこれは必要でございますが、ところによりましてはどうしても道路ではやれない、バスあるいは普通の自動車では行けないという積雪地帯であるとか、いろいろの非常な、そういったような点につきましてどうしてもやはり鉄道によらなきゃならぬという地帯もあろうかと思う次第でございます。そういう点は十分検討して進むことがこれからの交通行政の中心の観点でなきゃならぬかと、こういうふうに考えておる次第でございますが、ただ私どもは、それによりましてやはり合理性というものを失ってはならぬ、やはりできるだけ合理化し、そうして国の出資、地方の出資も国民の税金でございますから、それがむだ使いにならぬように合理的に配分をすることが一番の行政だと心得ておりまして、不合理なものは、これを廃止するには勇敢であるとともに、どうしてもナショナルミニマムにおきまして必要なものは置くこと、やはりそれに付随しまして需要の変更がございますので、その変更に対処するためには勇敢に改廃をしなきゃならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 大臣、そんなことはわかっているんですよ。じゃ具体的に聞きますが、いま大臣が初めのほうでおっしゃった、そういうふうな立場から、今度のこの総合交通体系に関する答申では国有鉄道に対してあまり書いてありませんから、すぐ近くまた答申を求める、運輸政策審議会に検討してもらって答申を求めるということで、その答申が出たら直ちにそういうことでやるというようなことはお考えですか。
  50. 山口真弘

    説明員山口真弘君) ただいま大臣から申しましたことは主として地方交通体系の問題でございますが、地方交通体系におきまして、この運輸政策審議会の答申におきましては、ただいま大臣申しましたように、要するに、国鉄ローカル線等につきましては自動車輸送への転換が適切なものは極力これに対する転換をはかるべきである、基本的にはそういう考え方を述べておりまして、その考え方の具体的な内容といたしまして、地方地方の実情、あるいは当該地域における道路の現状、あるいは通勤輸送が可能かどうかというような現状というようなものを、具体的にその問題を処理してやっていくという趣旨でございます。  なお、先生指摘の、将来検討云々という問題につきましては、この答申全体が、緊急問題であるところの国鉄財政再建につきましてはさらに別途検討する機会を持つべきであるという趣旨のことを言っておりました。私どもといたしましては、何らかの形で、当審議会かあるいはその他の形によりまして国としての方針を早く固めまして、来年度の予算要求並びに今後の国鉄の抜本対策というものを打ち出さなきゃならぬというふうに考えております。
  51. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ局長質問しますが、来年度の予算とおっしゃったけれども、いま四十七年度の予算を固めつつあるわけですね。四十七年度の中にいまあなたがおっしゃった意見を入れたい、こういうふうに理解していいですか。
  52. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 先ほど大臣から総括的に申し上げましたが、来年度の国鉄予算の大きな問題といたしましては、一つには、従来の債務の利子負担というものが非常に大きいわけでございまして、その従来の債務の利子負担につきましては現在、四十三年度末政府管掌債務に関します再建債を発行いたしまして、これの孫利子補助するという方式をとっておるわけでございます。こういうやり方ではちょっと間に合わなくなったというのが現実でございまして、そういう問題につきましては来年度、その範囲を四十三年度末政府管掌債務ということでなく、さらにそれを拡大する方法はどういう方法があるだろうかということが第一点でございました。  それからさらに、昭和四十三年度末政府管掌債務以外の債務につきましても、それを広げた場合に、その助成の方式を、従来、再建債プラス利子補給というやり方をとっておったわけでございますが、そういう方式でなくて、利子それ自体に対する補給というような方法を講じなければならぬかという問題を検討いたしております。さらに将来の問題につきましては、国鉄設備投資というものは非常に懐妊期間が長いし、また収益にも結びついていないものが多いわけでございますので、そういったものに対しまして、現在でも設備投資に対しましては五分五厘までの利子補給ということをやっておるわけでございますが、これは五分五厘でいいのかどうか、たとえば三分五厘というようなものまで要求すべきじゃないかということを現在検討いたしております。  なお、そういったような問題に関連いたしまして、本年度、四十六年度予算におきまして、新幹線並びに電化、複線化につきまして、初めてと言っていいほどでございますが、二十数年ぶりで政府出資措置が講じられたわけでございますが、こういったものも加味いたしまして、来年度の予算にそういったものも要求しなければならぬのじゃないかということを考えております。さらに、先ほど大臣から申し上げましたように、合理化等によって生じたところの人員等の利用ということのために関連事業等を拡大をするとか、その他の方法を考えるとか、あるいは地方交通線問題につきまして、これは一つには地元地域住民に非常に大きな貢献をいたしておるわけでございますから、そういった地域住民への貢献というものに関連いたしまして、国なり地方公共団体がある程度これを持ってこれを維持するというものも考えなければなりませんし、それから鉄道輸送によることが合理的なもの、あるいは自動車輸送にするのが合理的なものというような運送種別によるところの合理性の違いがあるわけでございますから、そういう面からの配慮というものも考えていかなければならぬ。それからさらに、現在国鉄というのは、従来の独占時代の制度というものがそのまま残っておるわけでございまして、その残っておる大きなものといたしまして国鉄公共負担制度というのがあるわけでございますが、これにつきまして先般やや改善をいたしましたが、まだこれが残っておる、来年度そういった問題をどうすればいいのかということを検討する。こういうことで四十七年度予算を含め、さらに将来の展望の上に立った予算を組み立てていかなければならぬというわけでいま検討しておるところでございます。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 もう少し具体的に質問しましょう。いまの、初めのほうですけれども長期債務利子免除の問題ですけれども、これは私どもとしては、たとえば炭鉱がやりましたように、石炭産業があのように斜陽化いたしまして、どうにもにっちもさっちもいかないようになったときには累年の負債をたな上げして再建いたしました。国鉄はちょうどいまそのような情勢になっておるのじゃないかと思いますが、いま局長お話では、その中の一部を、利子を免除するような方式ではということですけれども、それではほんとうの解決にならぬと思うのですよ。そこで、長期負債の全額国庫負担、そのくらいの思い切った手を打って、さあ、ひとつこれでやってみろという体制をとらなければ国鉄再建できぬと思うのですが、大臣の御答弁及び大臣の具体的な御答弁がなければ局長から見解を……。
  54. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 国鉄の債務は、まず長期的な債務と短期的な債務と分けて考えられるわけでございますが、短期的な債務は原則といたしまして流動的な必要のために使うものでございまして、原則として当該年度末までには完結してしまうというものでございますから、主として問題になりますのは長期的債務でございます。長期的債務の中で国鉄は、資金運用部資金あるいは簡易生命保険特別会計等から借り受けます、いわゆる財政融資というものと、それから鉄道債券等で、一般の市中の銀行あるいは一般の私人の方々に持っていただく鉄道債券というものがあるわけでございます。で、その中で、鉄道債券の中でも政府が持つものもございます。その中で、まず政府が持っておるものというものにつきましては、これは貸し主は政府でございます。資金運用部資金特別会計なり簡易生命保険特別会計でございますから、したがって、これについては政府段階の措置だけである程度措置がとれるというわけでございます。そう申しましても、資金運用部資金特別会計の原資は郵便貯金が主体でございますから、郵便貯金としての使用というものも考えなければいかぬわけでございますけれども、とにもかくにもそういう性格のものでございまして、現在、四十三年度末の政府管掌債務についての措置というものも、そういう立場に立って政府管掌債に限っているわけでございます。一般の私人その他が持っておりまする鉄道債券等につきましては、これは何らかの措置をとるということになりますと、直接その債権者に対する措置をとるわけにはいかぬ性質のものでございまして、何らかの形でこれは政府の手を一ぺんくぐり抜けた姿で国が助成をしなければならぬということに相なるかと思うわけでございます。まあ、そういうことをいろいろ考えまして、たとえば政府管掌債務は四十三年度末でございますが、これをもっと最近年次に延ばすというようなことができないかどうかというふうなことを考えております。さらに、先ほど申しましたように、現在のやり方は再建債並びにこれに対する利子補給という形でとにかくたな上げ措置をやっておるわけでございますが、そういうたな上げ措置では直接の損益効果といたしまして当該年度の損益計算に上がってこない、孫利子部分だけしか上がってこないという結論になりますので、その孫利子方式でなくてさらに子利子方式というようなものも今後考えていかなければならぬというふうに考えております。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 予算要求期でありますから、具体的には言えぬようでありますが、来年度の問題は設備投資に対する助成ですね、これで財政再建補助金の助成が今年度も二百九十二億円出ておりますが、来年度の見通し、これももう少し増額しなきゃ何ともならぬのではないか。  それから新幹線と電化に対する政府出資でありますが、この監査報告にも書いてあります。工事経費で国鉄経営を圧迫しないように国が特別に措置をするようにということが書いてありますが、このいわゆる設備投資に対する助成についてはどんな決意ですか。
  56. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 設備投資に対しまする利子負担の軽減ということのために、従来から国鉄に対しましては、六分五厘と当該調達資金の平均金利との差の利子補給という制度が財政再建補助金の形で行なわれておりまして、それに対しまして四十六年度からは、その六分五厘を五分五厘というように改めまして、平均調達金利と五分五厘の差の利子補給というようなことにいたしたわけでございます。で、来年度四十七年度予算におきましては、これをさらに下げていく、たとえば三分五厘というような形で要求をしたらどうかということをいま検討中でございます。  なお、この設備投資の中で、四十六年度新幹線と、それから電化、複線化に対しまして政府出資が行なわれたわけでございます。これにつきましては、これをさらに拡大をしていく必要があろうかと思います。それで、なお、この新幹線につきましては、先般、新幹線建設することに関連いたしまする鉄道建設審議会等の議論におきましても、この新幹線は将来の目から見れば非常に効果が大きい、しかしながら、さしあたりは非常に多くの資金を要し、また収支にも大きな影響を与えるということで、二分の一の政府出資ということで検討すれば、将来とも在来線も含めて非常にいい成績をもたらすことができるという答申がございました。その意味で、私どもも昨年もそういう要求をしてまいったところでございますが、来年度もその要求でまいりたい、基本的にはそれと同じような形の資金コストということになるような形で要求をしてまいりたいと考えております。
  57. 小柳勇

    小柳勇君 次は関連事業拡大ということですね、おっしゃってます。これも抜本改正の中に一つおっしゃいましたが、どういうことを拡大されるか、これは運輸省並びに国鉄からもひとつ意見を聞いておきたいと思います。
  58. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 関連事業拡大の問題でございますが、現在、国鉄法第六条並びに国鉄法の施行令によって、かなりの範囲の事業出資によって行なえるという能力がございまして、国鉄といたしまして二十数社の事業関連事業として、業種はそうたくさんございませんけれども、やっておる次第でございます。本年の正月にまた政令の改正追加がございまして、一口で言いますと、いわゆる旅客駅の複合ターミナルに関して関連事業として国鉄がやる能力を与えられております。それから国鉄が構内でやるいろんな構内作業あるいはいろんな委託事業、こういうものについても関連事業として国鉄出資してやれる、こういうような拡大が行なわれておりますが、その線に沿っていろいろ具体的な計画をいろいろ進めておる最中でございます。ただ基本的に、現在のそのような状況では十分でございませんので、一例をあげますと、たとえばパイプライン事業、これもいろいろいきさつがございましたが、いろいろ関係の業界と目下話し合いをしておりまして、国鉄の輸送に非常にパイプラインの事業は密接に関連しますし、かつ、国鉄の機能を効率的にするし、また、施設を有効に活用するゆえんであるというような観点から、このようなこともすぐ目の前のこととして拡大一つの内容に考えていきたい、こう思っております。これは要するに国鉄といたしましては、お客さんあるいは荷主さんの利便になるように、かつ、国鉄経営の改善になるように、かつ、具体的には地元の開発あるいは地元の発展のためになるように、こういうような事情を勘案しながら具体的な計画をつくる、要すれば政令を改正し、要すれば法律まで改正してやっていきたい、このように考えております。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 それでどのくらいの増収の見込みですか。
  60. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 関連事業そのものにつきましてどのような増収の見込みがあるかということにつきましては、具体的な計画がございませんので、これを総括して申し上げるわけにはいきませんけれども、たとえば臨海鉄道という形でもって、臨海の工業地帯で非常に産業が発達しておる、そこに鉄道を敷いて、それが約十一か二すでに関連事業がございますが、これらの関連事業、これらの臨海工業による貨物収入でございます。これがたとえば高崎の管理局の、全管理局中、中間の規模の管理局の一局当たりの貨物収入に値するというものが国鉄収入として入ってくるというようなことでございまして、関連事業そのものによって総体的にどれだけの事業収入があるかということについては、先ほど申し上げましたようにトータルのあれはございませんですけれども、個々のケースとして相当事業収入に貢献しておる、このように考えております。
  61. 小柳勇

    小柳勇君 いまから三年か四年前、いまの総裁が副総裁のときに、いろいろ再建策で論議したときに関連事業というものを言ったことありますよ。ところが、もうとにかくしろうとだから事業に手を出したら損ですよ、だからやりませんと言明しておった。ところが二、三年したら、去年から関連事業拡大方向に出ているんですけれども、何かちゃんとした目標がありますか、増収の。赤字解消の見通しがなければやらぬでしょう。いまの答弁では、ただ、事業をやりますが増収の見込みはまだはっきりしませんでは、これは一つ、年度の抜本改正の中に入りますよ。どうですか。
  62. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 私どもいま考えておりますその関連事業、これは率直に申し上げまして、国鉄のこの財政状態で大いにもうけなきゃいかぬというような非常にありがたい助言をいろいろいただいております。たとえば私鉄と比べて、私鉄があれだけやっておるのだから国鉄だってやれないはずはない、私どもの能力は別といたしまして。また、それをやるための法律改正というようなこともございますけれども、その問題は別といたしまして、たとえば不動産事業をやったらいいじゃないか、あるいは遊園地の経営もやったらいいじゃないかというような助言もいただいておりますけれども、これにはおのずからやはり国鉄としての性格上、限度があろうかと思います、まあ端的に言いまして、一例で申せば、そういう不動産事業までやるべきではないのではないかという感触を持っております。しかし、その中間的に、駅の近所の国鉄の用地を利用した、たとえばアパートあるいは店舗、これを直営するというよりも、いま御説明いたしましたような国鉄出資による管理会社のかっこうで経営することは可能でございます。また、私は、そういう能力が必ずしもうちの国鉄の職員に全然皆無だとは思っておりません。やらせていただけばやれる能力があると思います。それによって、それでは来年度だけのその赤字千七百億円が解消できるかと言ったら、これはそれだけではできないと申さざるを得ないと思います。この赤字解消のお話、先ほどからいろいろ出ておりますが、これはあらゆる方法で——どものその経営努力、その中には合理化の努力ももちろんございますし、積極的な増収の努力も当然やらなきゃいけません、まあそういうあらゆる努力の一つとして当然考えるべきではないかという考えでいろいろ現在考えているわけでございます。
  63. 小柳勇

    小柳勇君 運輸省方針としては、この関連事業赤字の幾ぶんを解消したいというような抜本改正がこの中に入っているわけですよ、千七百億円の解消の中には。だから質問しているわけでありまして、あとはまた運輸省に聞きますがね。あと貨物増収対策は基本的にまとめて聞きますが、いま、ことばの中に、たとえば車両の改良とか、新設なんかありましたが、ちょっと聞きますけれども、たとえばいま自動車を輸送する車をつくって運送していますね、新しい貨車をつくって、自動車会社からその自動車を積んで輸送しているが、原価計算したら一体もうかっているのかどうか。それから九州などから鮮魚輸送するためにまっ白の貨車を最近つくりましたが、鮮魚輸送列車、こういう新しい時代の要求に応ずるためにどんどん新しい貨車をつくっているが、原価計算したら一体プラス、増収になっているのかどうか。私どもどうもちょっと頭の中で計算しただけでもプラスにならない、赤字じゃないか、新しい車をつくるだけで赤字じゃないかという気がしてならぬのだが、まず自動車輸送の貨車について原価計算してもうかっているのかどうか、理事から聞きましょう。
  64. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 乗用車を輸送するために車をつくりまして、それで相当な数を毎日運行しておりまして、これが原価的にもうかっているのかどうかということでございますが、そのもの、それをとらえて非常に緻密な計算は実はいたしたものを現在ここに持っておりません。しかし、できる範囲において、この計画そのものをつくるときに、収入それから経費、こういうものを計算しましたけれども、自動車輸送につきましては一応もうかっておると、こういう計画のもとで始めております。ただ、自動車そのものの輸送量が、乗用車そのものの輸送需要が、あるときには非常に多くて、あるときには非常に少ない。ことにモデルチェンジしたとか、あるいはまたいろんな事情で車の輸送需要が落ちるというような時期もございますので、ある程度長期的に見てなお最初の計画どおりのことかどうかということはトレースしないと正確には言えませんけれども、計画といたしましては、これがもうかるもんだとわかる範囲の要素において検討した結果、そのような観点からやっておるわけでございます。
  65. 小柳勇

    小柳勇君 一ぺん具体的に各車の運用なり原価計算を聞きますけれども、たとえば食堂車で、食堂車を貸して都ホテルなどに経営さしているが一体もうかるのかどうか、各車の動きを、一ペんずっと私どもがしろうとなりに概算したのがありますからね、そんなものを一ぺん各種別、各貨物別あるいは客貨別に一ぺんずっとお話を聞きましょうきょうはあと——ありますか、あったらひとつ。
  66. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) お答えにならないで恐縮でありますけれども、原価計算そのものを厳密にやるということはきわめてむずかしいというか、ほとんど不可能に近いということでございまして、しかもなお、それではいけないということで、現在、列車別に少しでも突っ込んだ正確な原価計算をつかまなければならぬということで、中でプロジェクトをつくってやっておりますけれども、まだそれも進行中でございまして、なかなか正確な数字を近時のうちに求めるということは不可能じゃないかと、こう思いますので、一応お答えいたします。
  67. 小柳勇

    小柳勇君 いまのいろいろの貨物の話はあとでいたしますが、公共負担の是正の問題ですが、まず一つは、市町村納付金の問題ですが、再三どこでも問題になりますが、市町村ではもう絶対にこれを廃止してもらっちゃ困ると言っております。来年も百十八億ばかり見込んであるようでありますが、国鉄としては、公共性の強い国鉄からどうして百十八億もの納付金を払わなければならないのか——あるいは公共負担につきましても、監査報告書の中に、踏切道は国と地方公共団体が財政負担をするようにということがちゃんと書いてあります。いわゆるこういう公共負担について、大臣どういうお考えですか。
  68. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いまの納付金の問題は、固定資産にかわるべきものであろうと思う次第でございますが、これらのやはり国鉄が地方団体に払う投資につきましては、いろいろ見方によりまして議論の分かれるところでございますが、私ども交通行政に携わっておる者の観点からいたしますと、どうしてもその点は解消してもらいたいということを強く望む次第でございます。しかし、御承知のとおり本年は、私、率直に申しますと、非常に地方も財政事情が悪くなっておる、いろいろ地方税の減収あるいは交付税の減収、その他地方財政の悪化の諸原因を持っておりますので、私は、交渉はなかなか難航するだろうと思う次第でありますが、私ども交通行政を担当する立場からいたしまして強くこれを要求する次第でございます。
  69. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣日本国有鉄道監査報告書が出されましたから、これにいろいろのことが書いてございますけれども、いま申し上げましたような点を大宗に、前向きに書いてあるのですが、運輸大臣としては、これの内容についてどういう御見解ですか。尊重するとか、いろいろありましょうね。気に食わぬとか、いろいろありましょうが、どうなのですか。
  70. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 大体におきまして私は尊重してまいりたい、こう思っている次第でございます。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 それで、さっきの鉄道建設のことに返りまして、鉄道新線建設が今後問題になってまいりますけれども鉄道建設審議会というのがありまして、これが建議いたしまして政府が決定して鉄道建設をするわけですね。その建設審議会の会長に自民党の総務会長が当たる、そういう方向になっております。そうしますと、自民党の皆さんというのはこの国鉄再建には全責任があると思う。運輸大臣はこの国鉄再建の方策について、自民党の部会なり、あるいは閣議でどういうように発言されておるか。特に鉄道新線建設赤字線廃止の問題を、これは抜本的に検討しなければならぬことは、この間の予算委員会でもおっしゃいました。具体的にどうするかを、ひとつ具体案があれば局長から、具体案がなければ大臣からの見解を聞いておきたいと思います。
  72. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 赤字線並びに新線建設の問題につきましては、基本的には先ほど申し上げましたように、運輸政策審議会の答申の中におきまして、地方交通線問題の考え方というのが載っておるわけでございまして、その考え方に従って建設すべきものは建設し、また撤去すべきものは撤去するということでございます。問題は、そののっとった比較的抽象的な問題というものが、具体的にどの線にはどういう形でマッチして、どの線は建設を促進し、どの線は撤去すべきかということであろうかと思うわけでございまして、この点は、まだ具体的な線等につきましてはそこまできちっとしたものをきめてないわけでございますが、今後ともそういう基本的な線に沿って、個々の線につきまして、たとえばこの線につきましては道路輸送転換が適当であると考えるものにつきましては、地元との十分な話し合いのもとにおいて転換を促進してまいるようにいたしたいと思いますし、さらにそれと同じような性格の線につきましては、これをなるべく、何といいますか、重点化の外に置くと申しますか、重点的建設をしないでいくということにしていくということになろうかと思います。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 時間もありませんから結論的に、一つ質問いたします。  これは、局長、昨年、国鉄財政再建についての運輸省の考え方というものがありまして、これにはまあ国の補助の財政的な試算まで一応してある。その去年考えに国鉄財政再建の考え方によりも、ことし四十七年度予算編成に対する運輸省の考えは前進しているのか後退しているのか。私どもは総合答申が出たあとで抜本的にもう少し根本的な改正を望んだ。しかし、もういまの段階ではおそいですね。それも早急にやってもらわなきゃならぬが、おそいから。去年のあなた方が考えたこの試算よりも今度の予算要求は進んでおるのか、後退しておるのか、このところどうですか。
  74. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 国鉄財政再建問題につきましては、先ほどお話がございましたように、国鉄財政再建推進会議の結論に基づきまして、政府といたしましても国鉄財政再建促進特別措置法を国会に提案をいたしまして、御審議をいただきました。それの可決によりまして、その線に沿いまして財政再建を進めておるわけでございます。そうして、四十四年の九月に閣議決定をいたしまして再建の基本方針を定め、それに基づきまして国鉄再建の具体案を作成いたしまして、その具体案によって現在再建が進められているところでございます。ところが、その後、事情の変化と申しますか、国鉄収入につきましての伸び悩みというものが一つございますし、一方、当初想定いたしましたところの人件費の増加というものよりも大幅な人件費の増加があった等々の事情によりまして、当初の見込みというものが実はさらに悪い状態になってまいっているというのが実情でございます。したがいまして、来年度及び来年度以降の長期的な見通しにつきましては、こういう現実を踏まえまして、従来よりももっと大きな国の助成措置というものをしなければどうしてもやっていけないというように私ども考えておるわけでございまして、そういう方向で来年度予算要求並びに今後の計画というものを考えてまいりたいと思います。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 その問題に対する最後の質問は、運輸省は二分割案を考えていて、黒字線赤字線いわゆる幹線系線区と地方交通線区を分けてありますね。これは会計上の二分論であって、経営上は二分論では、これは非常に矛盾があるわけです。たとえば、いま黒字でありましても、運賃が安くて経費がかかれば赤字になることは火を見るよりも当然でしょう。何も黒字だからこれを国鉄がやって赤字だからローカルなんという議論は暴論ですね。したがって、確認いたしますけれども、それは会計上二つに分けて考えたのであって、経営上は二分するのじゃないのだと、これは確認していいですね。
  76. 山口真弘

    説明員山口真弘君) 国鉄の全線区を、まあ基本的な線区、基幹的な線区と地方的な線区に分けて、そして分けた場合の収支はどうなるかということを考え、そしてそれによって今後のとるべき方策を考えていくということは、先ほど国鉄総裁からも申し上げたところでございますが、この点につきましては、これはあくまでも経理上そういうふうな考え方になり、そして助成もその趣旨に沿って考えていくということでございまして、この経営を二分割するというようなことは私ども全然考えておりません。
  77. 小柳勇

    小柳勇君 あと合理化の問題と貨物増収の問題がありますが、具体的な問題を二つ。  一つは「雲仙」の火災事故ですね、あれの原因と、それからその後の予防措置と、それから補償措置と、これを具体的に簡巣に御説明願います。
  78. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 先日、十月六日でございますが、夜中の一時ごろ、山陽本線の笠岡−大門駅間で「雲仙3号」が火災事故を起こしまして、乗客の一人がおなくなりになりまして、数人がけがをされました事故が発生しました。まことに私ども申しわけない事故であったと思います。  それで、どうしてその火災が起きたかにつきましては、まだ最終的な警察当局の御意見も伺っておらない現在の状況ではございますが、一応現在推定で詰めておりますものは、洗面所にありましたくずもの入れから発火したと思われるわけでございまして、車両そのもののブレーキあるいは電気系統からは発火していないということが大体現在つかめているところでございまして、それでは、くずもの入れからどうして発火したからという点につきましては、まだその原因を突き詰めておらない状況でございます。それで、そこから発火した火災が、列車の進行中に急速に車内に火が広がりまして、それで、その車が全焼いたしましたほか、前後の車も一部焼いております。そのために、これは消火後発見されたわけでございますけれども、その発火した車の洗面所の向かい側にあります便所内に男の焼死体が発見されて、まことにお気の毒なことでございました。それで、このなくなられたお方につきまして、これは原因のいかんを問わず、まことにお気の毒だと存じておりますが、負傷された方、これは比較的軽い負傷だったようでございまして、それぞれ適当な手当てをして、もうお宅へ戻っておられるようでございます。それで、なくなられた方は大阪の方でございまして、御遺体は霊枢車で御自宅のほうへお届けいたしまして、たぶん今明日お葬式のように聞いております。  それで、まあ事務的な話になりますが、この賠償の問題でございますけれども、これはまず原因が国鉄の過失によるものか、あるいはそのくずもの入れから出た火のその出火原因、とれが何らかほかの国鉄の過失以外の原因で出たものか、これによって賠償の手続も違ってくるだろうと思います。いずれにしても、私どもといたしまして乗客がなくなられたという事故は鶴見事故以来でございまして、まことに残念、かつ、お気の毒に存じております。できるだけの措置はしたいと考えます。
  79. 小柳勇

    小柳勇君 あの新聞見まして、なくなった方の見舞い金及びけが人の見舞い金が非常に少なかったような印象がありまして、まああとでまた正規のお見舞いなどなされるものとは思いましたけれども、非常に額が少なかったものですから、それこそ料金払って寝台に寝ておりましてね、火災で焼けて、国鉄としてこのくらいしかできなかったかなあと思いましたものですから。そういう点はどうなってるんですか。
  80. 山田明吉

    説明員山田明吉君) これもたいへん事務的なお答えになって恐縮でございますけれども、おなくなりになりました方にはとりあえずお見舞いとして五万円、それからけがをなさった方にはけがの程度によりますけれども、これもとりあえずお見舞いとして五千円、それからけがをなさってあと治療費を要するような場合にはその治療費を出す、こういう内規がございまして、とりあえずその内規で弔慰金あるいはお見舞い金をお届けした、こういう状況でございます。
  81. 小柳勇

    小柳勇君 あとまたいろいろ予防措置などについては他の委員からもありましょうから、次の問題に移ります。  次は、けさの毎日新聞に出ましたが「国鉄がモグリ貸切バス」「大分、違法承知赤字対策に」と書いてあります。これは「゛赤字減らし゛のため、国鉄バスが大分県下で貸切バスの゛もぐり営業゛をしていたことがわかり、大分県陸運事務所は七日「国鉄に違法の営業をされてはしめしがつかない」と、道路運送法違反の疑いで調査に乗出した。マル生(生産性向上)運動を展開中の国鉄の゛増収作戦゛が生んだヤミ営業とみられ、民間バスの場合は違反すれば営業停止になるが、国鉄には罰則規定が適用されず、陸運事務所は゛法の盲点゛をつき、全国的にこのもぐり貸切営業が行なわれているのではないか、との疑いを強め、調査結果を福岡陸運局に報告する。」、こういう記事が載ってております。この実情についてお話しを願います。
  82. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 大分の貸切りバスの実情そのものをそう正確にはまだつかまえていないのでございますけれども、一応先に、全国的に国鉄の貸し切りをどれだけやっているか、こういうことを申し上げますと、全国で五十七カ所、百七両の貸し切り承認をいただいてやっております。そのほかに、先ほどの大分の例のように、臨時の許可を得まして貸し切り営業をやっているというようなことでございます。しかして、その国鉄の貸し切り営業でございますけれども、これを全国的に見ますと、一般の路線の営業収入の増加よりも貸し切り営業収入の増加というものが非常に微々たる比率でございますけれども、しかし、かなりの、何といいますか、貸し切り収入の増加というものはあるわけでございまして、そういう意味において、かなり現在各営業所において増収の意欲に燃えて貸し切り営業をやろうとしている事情は十分まあ推側されるわけでございます。なお、貸し切り営業をやる場合のやり方につきましては、昭和二十八年に一つのやり方が指示されまして、いろんな事情を考慮してやるのだというルールがございまして、やり方としましてそんなふうにやっておるというふうにまあ一応考えられるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、貸し切り営業が非常に収入の増加率が高いということにかんがみまして、にわかにそれが違法であるとかなんとかいうことを断定することはもちろんできませんですが、非常に増収意欲に燃えて、あるいは時と場合によって違法な状態がないとは私は断言できないというような気持ちもするわけでございます。したがいまして、大分の場合につきましては、もっと具体的によく見まして、もしそのようなことがあれば直ちに直させたい、このように思っておるわけでございます。
  83. 小柳勇

    小柳勇君 団体募集もそうですけれども、たとえば一個列車ですね、駅の皆さんが一生懸命団体募集をして、どこかに旅行に行きますね。そうすると、たとえば一人当たり一万円の会費で行きましても、国鉄のほうに入るのは二割くらいらしい。その中で、それを旅行社のほうに下げますから、国鉄に入ってくるのはわずかです。これはあと増収のところにも関係がありますけれども、たとえば東名、名神などの国鉄バスの営業はすべて日交観と称する企業に当面請負わしております。国鉄収入は少ないのではないか。この国鉄バスというのが動いているけれども、一人立ちできないで、この民間のほうは自由に行くところでも国鉄バスは制限されている。あるいは貸し切りバスの契約があっても、これを何か民間の旅行会社などに名前がなっておるというような、いろんなそういう矛盾があるように聞いておるが、貸し切りバスをこうやって営業所が持っておって、何も許可なくやらなきゃならないように追い詰められておるのですかね、実態は。
  84. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 国鉄バスの営業、増収のためにいろいろ、何といいますか、端的に申しまして制約を受けるような感じの営業をしなければならないというような事情はございます。しかし、貸し切りバスの営業をやる場合に、これは直ちに違法なことをしなければならないということなしに、しかるべく手続を踏んでやることは十分可能でございまして、また、原則的にはそのようにやっておると私は考えておるのであります。
  85. 小柳勇

    小柳勇君 私は、増収対策ですから団体募集は悪いとは言いませんけれども、たいへんな努力をしながら国鉄増収になるのはわずかだと、それで聞くわけですよ。一生懸命やりましても、たとえば五百人募集しましても国鉄に入る収入はこれだけですよという話を助役やその担当の職員から聞くわけですよ。この国鉄バスの貸切りバスの問題、これは違法は悪いですよ。違法は悪いけれども、わずかな利益をあげるためにこういうふうなことをやっておるんじゃないかと思うから、よく調べて、このように社会問題になるようなことが起こりませんようにしてもらわなければならぬと思うのですが、どうですか。
  86. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現場増収意欲、これが違法とかなんとか言われないかっこうで認められ、かつ、それがほんとうに国鉄増収につながるような、具体的に大分の事情を調べて、これを機会になお一そう改善に努力したいと思います。
  87. 小柳勇

    小柳勇君 けさの新聞ですから、十分質問通告もしなかったので、全国的にすぐ調べて、このようなものがあるのかないのか、あればどうするのか、すぐ資料としてひとつ出してもらいたい。  あと五、六分、合理化の問題と貨物駅廃止の問題ですが、第一は、合理化で、四十三年から、さっき申し上げました国鉄財政再建推進会議意見書によりまして合理化を進めてこられたが、これで国鉄は一体幾ら利益になっておるのか。
  88. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) まず合理化の内容でございますけれども、一応貨物なり旅客の駅を廃止したりあるいは旅客の駅に人を配置しない無人停留、所化、あるいはまた、どこかに駅の運営を委託する、それからほんとうに貨物の駅を集約してしまう、こういうようなことをやっておるわけでございますけれども、四十五年度の実際の数字を申し上げますと、これは一部、四十四年度が入りますけれども、廃止が七、停留所が二百七十六、委託が七十六、貨物集約が三百八。それによります合理化人員と申しますか、これが二千九百人でございます。それから四十六年度、ことしに入りまして、十月一日からかなりの駅をこのようなかっこうでいわゆる合理化をいたしまして、それから四十六年度中にまた計画しておるものもございます。したがいまして、四十六年度につきましては、一部は実績、一部は推定、計画ということでございますけれども、一応数字を申し上げますと、廃止は五、停留所が四百二十、委託が七十、貨物集約が五百五十、これは決定でございませんので、一応、計画も含みますが、これによる合理化人員は三千七百名、このように考えております。したがいまして、たとえば四十五年度に人件費を一人当たり百五十万と仮定して計算をいたしますと、四十四億、こういう額になります。
  89. 小柳勇

    小柳勇君 運輸大臣ひとつ聞いてくださいよ。四十三年にああいう意見書が出まして、もちろん合理化しなければなりませんよ。生産性をあげなければなりません。そういうものについては、私どもは反対はしておりません。ただ、これだけ労使一体となって苦労して血みどろにやっていまして、そうしていままでの合理化の効果は、まあ金目だけじゃありませんね、それは金目だけじゃありませんが、四十四億円です。一千七百億の赤字を解消するにはほど遠いですね。このような合理化が強引に進んでいるわけです。さっき私は、ワンクッション置いて、もっと地方住民の声を聞いたらどうかと総裁に言いましたが、それは国鉄だけでいま孤立しているのですよ。地域の皆さんは線路があったほうがいい。なければ困るわけでしょう。あるいは駅に駅の人がおったほうがいいのです。ちょっと駅におりて旅館を聞くこともできますね、あるいは道を開くこともできますね。それはもう金銭にかえられませんです。晩おそく駅に着いて、さあどこへ行こうかと思ってもどこへも行きようがないですよ。だから金銭にかえられないものがありますけれども、金銭に換算したものは四十四億円ですよ。それがいま進んで、合理化、いろいろな意味がありましょうけれども、したがって、このような合理化が進むためには、これに反対する労働組合が強くては困るわけだ。民主団体があまり反対しちゃ困るわけですよ。そういうものがこの次問題になるマル生ですがね。そこで、このようなもの、もちろん金銭だけではありませんが、さっきの総裁答弁では、今後もなおあの線に沿って合理化を進めていかなければならぬとおっしゃる。しかし私は、総合交通体系答申でも出て、陸、海、空、地下の全般的な交通量の移動あるいは長距離貨物のトラック輸送の制限など、いろいろあとで論議しますけれども、そういうものがあったあとやってもおそくないのではないかと思うが、そういう強引にいまのような孤立したまま何でもかんでもやらなければならぬといってねじ伏せるようなかっこうでいまの合理化経営近代化というものをお進めになるのかどうか、聞いておきたいのです。
  90. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 何でもかんでも馬車馬のようにやるかという端的な御質問でございますけれども、まず第一に、一晩明けて起きてみたら駅がなくなっておったという、そういうやり方はいたしておりません。これは貨物扱いにしろあるいは旅客扱いにしろ、地元の方々の御了解を得る努力を最大限にいたしております。いままでやってきたのも、御了解に非常に時間のかかったところもございますし、それから非常に協力的な、やむを得ないだろうというような御了解であったところもございます。ただ、その合理化の度合いあるいはその進み方でございますけれども、よくいわれますように、現在の駅の配置が、明治初年からの荷馬車あるいは人力車が唯一の交通機関であった当時の駅の配置でございまして、その駅の配置状態が大体平均で四キロというような状態でこざいました。極端な例を言えば、四キロごとに貨物列車をとめていたのでは、これは幾ら性能のいい機関車を使っても自動車にスピードにおいて負けることはあたりまえでございますし、かたがた、道路も非常に発達した今日でございますので、二、三十キロは当然自動車でカバーできる範囲じゃないか。また、旅客駅にいたしましても、最近は自動販売機とかいろいろな機械的な設備ができますので、ことばは悪うございますけれども、お客さまのセルフサービスもぜひお願いしたい、これは国鉄を救っていただく国民の御協力の一つとしてお願いしても無理ではないんじゃないか、そういう考え方でいわゆる合理化問題は今後も進めてまいりたいと思っております。
  91. 小柳勇

    小柳勇君 時間がありませんから、合理化問題はまた別の機会に具体的にひとつ論議していきますが、次の最後の問題は、貨物輸送増収の問題です。これは来年度の予算説明でも聞いてから言うのがほんとうですけれども、大体六%ぐらいの減収ですね、貨物見込みは。この間熊本へ行きましたら、熊本だけで二割の減収です。局長さんに、一体、増収対策はどうですかと聞いたら、レールのない貨物駅をつくりまして誘致する、そういうことも考えておりますとおっしゃる。ところが、すぐ縦貫道路ができるわけです。そうすると、縦貫道路へ大型トラックがどんどん通ります。たとえばレールのない駅をつくりましても、とても貨物をその辺から集めるわけにはまいらぬでしょうね。しかも、また、フェリーが九州からどんどん東京まで、あるいは名古屋、大阪へ行っているわけです。それへもとられていくしね。そういうように野放しに競争さしておいて、そうして貨物が減収になる……。鉄道貨物増収については、原岡理事、どういうお考えでございますか。
  92. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま御指摘の熊本の状況、これ私つぶさに知りませんけれども、いわゆる野放しにしておいてどうするかという問題、もちろんあると思います。しかし、貨物そのものの増収が十分期待できない、成果をあげていないという問題については、根本的にいろんな問題があろうと思います。まあ、これを長時間かけて申し上げるのは失礼でございますので、端的に要約して申し上げますと、内向きのやり方といたしましては、網羅的な、たくさんある駅、それからヤード、こういうものを整備いたしまして、整備といいますか、むしろ端的にいうと整理集約、整正いたしまして、貨物輸送の非常な特色である鉄道貨物の大量性、高速性、直行性、こういうものが具体的に実現できるような物理的な態勢をつくっていくということが一つであろうと思います。それから、そういうことを実行していくために、いま申し上げました網羅的な駅の整正の問題もさることながら、特に到着、発送の多いターミナルを近代的なものとして、自動車とのコンビネーションも考えてよく整備していく、こういうことが第二点じゃなかろうかと思います。もう一つ、非常に運賃制度あるいは国鉄の荷主さんに対する関係、そういうものは従来の硬直的な、旧来的なものがたくさんございます。こういうものを改めてやっていく、そういう方向であろうと思います。  したがいまして、これを最も具体的、端的に実行していくという姿が、一つはいわゆるフレートライナーというものを整備拡充していくという方向でございます。それからもう一つは、非常に大量の流動に適合した輸送施設を整備していくという、いわゆる国鉄の中でいわれております物資別な鉄道輸送体系の整備拡充と、この二つに要約されるのが、先ほど申しました考え方の具体的な表現じゃなかろうかと、こういう方向でやっていきたいと、かように思っています。
  93. 小柳勇

    小柳勇君 来年度の予想は六%減収であろうという予想ですけれども、再来年度はどんな見通しですか。
  94. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現実の減収の姿を見ますと、非常に端的に申し上げますと、昔は国鉄貨物と申しますと石炭が約三割も占めておったわけであります。その石炭が、現在は、四十年に比較いたしまして、四十五年が約半分になっております。したがいまして、その収入の減はきわめて著しいわけでございまして、さればといって、減収でいいというわけじゃございませんけれども、減収の中身をよく検討いたしまして、先ほど来申し上げましたように、長期にわたって世の中に求められている鉄道輸送の特色を生かすような行き方を整備していくという中で、四十六年度がどうであるか、四十七年度どうであるか、四十八年度どうかと具体的に御質問されてもお答え申し上げられませんけれども、長期的にそのような形を整備していくことによって、きわめて前途は、私は期待が持てると、このように確信を持っているわけでございます。
  95. 小柳勇

    小柳勇君 いろいろな増収対策がありますけれども、時間がありませんから、大臣局長に最後に質問したいんですが、陸、海、空、地下のこの交通で、客貨の流れですね、年々変わってきますね。鉄道自分の金で通して、その上に貨車を自分でつくって、客車をつくっておいて、それで収支がどうかということを検討をするのです。それからバス、トラックなど地方のこういうものは、大型道路を国が、あるいは県が投資してつくりまして、その上を大きさの制限もなくそのトラックが走ります。それに、自由に戸口から戸口まで運搬いたします。それとさあひとつ競争しなさい。もし時間がかかるならばフェリーをつくりましょう。フェリーは、これはまた別に国の援助もありますが、別の会社であります。こういうような野放しの輸送行政では国鉄再建ができるであろうか。いろいろ答申にも書いてありますが、監査報告にも書いてありますけれども、おのおのその任務があるならば、その任務を全うするように法律でちゃんと規制しまして、そうしてそれがおのおの採算がとれるように配慮ができるはずですよ、コンピューターもありますし、あなた方優秀でありますから。そういうことで、法律の規制なり、あるいは行政的な措置なり早急にやらなければ、抜本的に国鉄再建もできないし、地方私鉄などの育成もできぬと思いますね。地方鉄道赤字だから補助することは私ども反対しません。地方鉄道補助して、なぜ、じゃ国鉄補助できないか。地方の大事な路線であるからバスはそれじゃ援助しましょう。地方のバスには援助し、あるいは都市の住宅団地から駅まで行くバスには補助して、なぜ、じゃ国鉄には補助ができないのか。理屈はまちまちですよ。もう少し大臣局長は一元的な交通対装を立てて、その中でちゃんとみんなが生きるように、みんなが採算とれるようにしなければほんとうの再建はないでしょう。そのためにはこういうものを待っていたのですけれども、これは出ないですね。少し委員も私はひきょうだと思う。もっと勉強して出すべきですよ、あれだけ国民に言明しているのだから。これにはただ自動車関係だけ出ている。あとはおざなりでしょう。ほんとうは少し委員会もぼくはひきょうだと思うのですよ。しかし、それはしょうがないから、あとは行政的に運輸大臣がちゃんと自分の配下を指揮して、早急にそういう政府の施策をやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。大臣から……。
  96. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘でございますが、人的、物的の輸送、これはやはりお客の選択の自由はとどめるべきだと私は思っている次第でございますが、しかし、いま御指摘がございましたように、道路は国が全額出資をしている、船舶の輸送につきましても国が相当の補助をしている、私鉄につきましても、これは最近におきましては、過疎バスその地につきましても補助をしているときに、国鉄になぜ補助がないか。ごもっともと私も思っている次第でございます。社会資本、交通資本の増加に対しましては、極力これからやはり国あるいは公共団体におきまして、負担区分を明確にいたしまして、これの援助をすることが当然のことだと思っている次第でございますので、その方向で私も進みたい、こう思っている次第でございます。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 質問終わります。
  98. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  99. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記をつけて。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 いま国鉄の問題につきましていろいろ質疑がありましたが、私も重ねまして、国鉄再建問題につきまして若干質問をしたいと思います。  いま一般の会社であるならば倒産することは問違いない状態でございますが、そういう国鉄経営を放置しているというわけにもまいらないと思う。そこで、いろいろ長期計画なりあるいは短期で解決できる合理化等もなさっていらっしゃると思いますが、いま一番国鉄として経営合理化し、あるいは国鉄赤字を解消するために力を入れていらっしゃる問題、何に力を入れていらっしゃるのか、簡単でけっこうでございますから、まず国鉄当局からお答え願いたいと思います。
  101. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いまの御質問に対しまして、一言で申しますと、やはり第一はどうして収入を増加するかという問題であろうかと思います。先ほど小柳先生からも貨物収入の見通しのお話がございましたが、ことし四十六年度でございますが、私どもの会計年度は四月に始まりまして来年の三月に終わりますが、ちょうど半年経過した状況でございますが、現在までのところ、四十六年度国会でお認めいただきました予算に対しまして、旅客収入貨物収入とも下回っておるような状況でございます。したがいまして、この状況が今後続きまして、来年の三月までに、残念ながら、現在のこの傾向が好転する望みがなかなかないのではないか、そういうふうに考えられている状況下ではございますが、増収には何としてでも、あらゆる知恵をしぼって、努力をしなければならないかと思っております。  それから第二点は、片一方、経費の増加を何とかして防ぎたいということでございます。その経費の中で一番大きなウェートを占めるのが人件費でございます。で、人件費につきましては、これも一言で申しますと、来年のベースアップというものは、これは公労委の仲裁というものが出まして、それの処理——これはもちろん政府がおきめになる問題でございますけれども、一応のやはり相場というものがございまして、これは国鉄としても人並みの給与は職員に与えてやりたいという気持ちでおりますので、結局、人件費を減らすためには頭数を減らすよりほかないわけでございます。しかし、現在働いております者が遊んでいるというような状況ではございません。そのために合理化というような問題もその間にございますけれども、毎年退職する人間が約一万人おりますが、これは従来その補充に高校卒の新しい若い者を採用しておりましたが、これは部内の合理化によって浮かせた人間を配置転換することによって新規採用を極力ゼロ近くにとめまして、それで、長期的になりますが頭数をぜひ減らしたいという努力で人件費の増加を押えてまいりたいと思います。そのほか修繕費とか、いろいろな経費、この節約は申すまでもないことであります。その二点がいま当面の一番大きな問題であります。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 いま二つの、収入の増加、そわから経費増加を防ぐにはどうすればよいかと、こういう一貫した二つの方針を基調にいたしまして、国鉄全体として生産性向上の運動、通称マル生運動をなさっていらっしゃいますが、いまその問題が、ただ単なる国鉄内の問題でなくして、これは世間にも大きな影響を及ぼす段階になりつつあるんじゃないかと私は思います。で、本来この生産性運動の基本的な考え方は私が言うまでもございませんが、ILOのフィラデルフィヤ宣言にもありますとおり、この国際労働機関の国鉄に関する宣言にもそのことがうたってあると思うんです。これにもありますとおりに、まあ一言で言うならば人間性尊重の労使関係、これを確立するところにあるんじゃないかと私は思うわけなんです。ところが、このフィラデルフィア宣言のこの精神というものと——現在、それまでの経過につきましてはいろいろありましょうけれども、現時点におきましてはあまりにも隔たりがあり過ぎる。まあ、この運動を打ち出されました当局者として、この宣言の精神と合わせまして、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  103. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま先生が御指摘になりましたように、生産性運動の基本的な理念はILOの思想から出ていることは、もう先生の御指摘のとおりでございまして、この思想は私どもも非常にけっこうな思想だと思いますし、現に世界各国、日本の大きな企業でもこの精神でそれぞれの企業内の生産性向上をやっておられることから見ましても、この思想が世界的に、また日本全国的に認められているものだという認識は私どもも持っております。それで、たびたびお話が出ておりますように、現在の国鉄が、冒頭に先生も御指摘になりましたように、民間だと破産状態にある。しかし、破産状態で破産させてはこれは相ならぬ、何とか再建しなければいけないということで、そのための法律もつくっていただきましていろいろやっているわけでございますが、その再建の理念に通ずるのではないかということで、私どもこの生産性理念を取り入れたわけでございまして、その取り入れ方も、これは各企業によってその企業の体質が違いますので一様に行くものとは考えておりません。したがいまして、国鉄に取り入れるなら、国鉄の仕事のやり方にふさわしい取り入れ方で取り入れるべきだというふうに考えておるわけでありまして、国鉄の仕事は職員の数で申せば四十六万人、仕事の内容で申しますと、保線もございますし、駅の関係もございますし、工場の関係もございますし、運転の関係もございます。それぞれそれに取り入れるILOの精神の消化方法については具体的には違うわけでございまして、まあそういう考え方でいま全社的な再建の理念としてこれを取り上げているわけでございます。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 いま副総裁が、ILOの人間尊重の労使関係を目的とした精神を国鉄に取り入れるなら国鉄にふさわしい取り入れ方をしたいと、そういう意味の御答弁でございまして、四十六万人の国鉄関係の皆さん方に対してそれを取り入れられておりますけれども、一部には、この生産性向上のために、試験があるときにはその試験を有利に導くとか、あるいは昇給にそれを有利に導くとか、そういう昇給だとか、あるいは試験だとか、表彰だとか、そういうようなものですね、たとえば、またあとでるる実例を申し述べたいと思いますけれども、そのようなことがなされているわけなんです。おそらく私が、いま副総裁に、こういうことを、いまから述べます事実について、やっておりますかと言えば、そういうことはやっておりませんと、おそらくは末端職制のそういう人たちが自主的にやっておるんではないかと、おそらくそうおっしゃるんではないかと、私はそんな感じがするわけなんです。しかし、これはそういうもので済まされるものではないと思うんです。だから、こういうわけで生産性向上は一体何を目的にしていらっしゃるのか、そういうような特に国鉄には国鉄事情があるんでしょう、確かにそうでしょう。これは労使といいましても、労働者の中にもいろいろ事情があると思います。これが労働者同士の話し合いでしたならば、これは話し合いがつく面がありますが、これに国鉄当局がからみ合った問題であるところにこの問題点がいろいろ複雑な面に拡大されておるんではないかと思うわけなんです。そういう意味におきまして、国鉄当局自身が、生産性向上が目的といいながら、そういう褒賞金ということばは語弊があるかもわかりませんけれども、そういう何かえさをもちましてこうすればごうよくなるぞと、そういうような持って行き方では私は疑問があるんじゃないかと思うのです。また組合の皆さん方もおそらく理解しにくい点がある、もっと理解さすべきではないか。国鉄はいろいろなパンフレットを出しまして国民にもPRしておりますけれども、おそらく国民の皆さん方もこの真実の問題というのは知らないんじゃないかと思うのですけれども、その点に対しましてはどのようにお考えでございましょうか。
  105. 山田明吉

    説明員山田明吉君) その生産性運動、特に最近、新聞等で毎日のように報道されるようになったわけでございますが、これは私ども国鉄再建というその中で、国鉄の職員として一人一人か、あらゆる違った職場におる職員の一人一人がどういうふうに行動をすべきか、それに通ずる一つの考え方の方向づけとして使っておる理念でございまして、したがいまして、お答えにならないか、少し見当違いかもわかりませんけれども、これで国鉄を御利用になる国民に押しつけるとか、あるいはその国民の御協力を求める以前の、国鉄の内部の職員の問題だと、そういうふうな理解をいたしておるわけでございます。
  106. 田代富士男

    田代富士男君 いま職員の問題だと、このように副総裁が申されました。それぞれ主観によってこれは見方が変わってくると思います。そのように思っていらっしゃるのを、そう思ってはいけないと私はあえて申し上げませんが、しかし、このマル生運動を通じまして、全国各地の公労委または地方裁判所に労組側からいろいろと不当労働行為であるという訴えが、申請がなされていると思うのです。この点につきましては労働省のほうは見えておりませんから何でございますけれども、新聞報道等によりますれば数十件のそういう問題が起きております。特にこういう国労やあるいは動労からの問題点につきましては、団結権の侵害であるとかあるいは組織の切りくずし攻撃であるとかあるいは支配介入であるとか、こういう弾圧はまさに憲法、労働法を無視した、さらに人権問題を無視したものであるというような、そういうきびしい提起がされているわけなんです。で、この問題に対して、いま申されるとおりに、職員の内輪の、内部の問題であると申されますけれども、私は一つ一つ例をとって申し上げますと、それはもちろん内輪の問題であるかわかりませんが、マル生運動の講習会を開いた、またはマル生学習グループの加入につきまして自主参加といいながら事実は加入を承諾するまで説得する、そうして、そこで加入した人に、脅迫と言えばことばが穏やかでございませんけれども、いまさっき簡単に申し上げました利益誘導するような強要が行なわれている。たとえて言うならば——これは私が読みました新聞にも報道されておりますが、新聞のとおりに読んでみますと、「仙台管理局では、昨年から当局と鉄労が一体となって、激しい組織攻撃をかけてきている。」というようなことが書いてございます。そして、去る六月の十三日でございますが、三名の従業員の青年の人ですが、そういう鉄労の手を振り切ってまた国労あるいは動労に復帰したという意味のことが書かれている。さらにどういうことが書かれたかといえば、国労から除名された菅野という者が、当直助役が休養する本所二階の宿直室で、いまさっきの青年のうち二人が帰るという意思を無視して、「生産性向上運動に協力しない者は処分される」とか「君たちはマル生運動の本部研修にいってきたばかりなのに、国労に復帰するということは、国鉄方針に反するし、国鉄にそむくことになる」などと一時ごろから五時間にわたって国労脱退を強要した。これは一例、あといろいろございますけれども、こういうようなことがおそらく打ち出しはされてないと思いますけれども、事実はこういうことがなされておりますけれども、これに対していかがお考えでございましょうか。
  107. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御指摘になりましたような事実が各地にあるということで不当労働行為として国労あるいは動労が公労委に提訴しているのは、これは事実でございます。いま私どもの提訴されている相手方は国鉄総裁でございますが、大体五十五件ございまして、それで、そういう事実があったというか事実については公労委でいろいろお調べになるわけでございます。その一々の事実、それからその事実があったかなかったかというような問題は事実問題でございますが、いま御指摘になりました具体的な内容は私ちょっと調査をしてまいりませんでしたが、そういう事実が起こった事情についての説明もこれは公労委の場でいたすわけでございます。それについて、そういう事実問題あるいはその事情、これらについての私ども見解は、それは不当労働行為につながるものではないという点がいま提訴されている問題についての争いでございますが、その登別に、いわゆる生産性運動が、すなわち不当労働行為と言われているそういうケースを起こしたかどうかというその点は、私どもは理論的にもはっきり峻別をいたしておりますし、また生産性運動そのものの理念からも出てくるはずはないわけでございまして、それで、くどいようでございますけれども、先ほど申しましたように、生産性運動の理念というのが再建に通ずるのだ、再建といいますのは、これはもう申し上げるまでもないわけでございますけれども国鉄法でもうはっきり第一条に能率的な運営により国鉄経営を発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的とするのが日本国有鉄道であって、そして同じ国有鉄道法の三十二条で「職員は、その職務を遂行するについて、誠実に法令及び日本国有鉄道の定める業務上の規程に従わなければならない。」し、「全力をあげて職務の遂行に専念しなければならない。」、いまの目標は何かというと鉄道再建である、それが一つの表現としてあるいは一つの理念として生産性運動ということで私ども推進しているわけでございます。したがいまして、先生がいま御指摘になりました仙台の一例のような、いわゆる不当労働行為の問題とは全然別個のものである、そういう認識で私どもいるわけでございます。
  108. 田代富士男

    田代富士男君 いま副総裁は、この生産性運動が不当労働行為になっていない、そういうたてまえの御発言じゃないか、簡単に言えば。その理念から言ってもそうなるはずがない、そのようにおっしゃいましたけれども、事実はこういう問題が起きているわけなんです。それを、その問題と関係がないと思いますけれども、その方針を打ち出したればこそこの問題が起きてきていると思うのです。この方針を打ち出されれば、そうでしょう。その生産性向上の運動を打ち出してなかったならばこのような問題が起きてきているでしょうか。やったために起きてきたのです。その理念が違うと、そうおっしゃいます。また、国鉄従業員の、これは部内の問題であるとおっしゃった。いま三十二条でございますか、お引きになりまして、業務上の規程に従わねばならない、そういう意味のことをおっしゃいます。業務上の規程に従わなければならないけれども、それならばこういう場合はどうなりますか。あるいは国労、動労の合理化反対、マル生粉砕の方針は当局の進めている生産性向上運動を阻害するとして公然と国労、動労の運動方針を誹謗している。業務上の規程に従わねばならないということはわかりますけれども、労組のそういう方針に対して誹謗するということはどういうことでしょうか。たとえて申し上げまするならば、これは岡山管理局内のことでございますが、現場職制の支配介入が行なわれているのです。一つは、簡単に申し上げますと、いろいろありますが、「伯備線むつみ会報」というのがありますが、前田という駅長ですが、これは「企業意識を養い、生産性向上へ寄与する」との一文を載せまして国労を誹謗した、そういうことをやっているんです。また、今度は福山車掌区長ですが、これは、ここの職員の家庭に送付したあいさつの中で、国鉄から職を失うた組合専従者が扇動して革命の予行演習をやっている——こんなことを言えますか、業務に対しては忠実でなくちゃならないけれども。また、局人事課の「ベア情報」には、合理化反対は国鉄がつぶれることを願っているガン細胞だ、ガンは早く切り取らなければならない。メスはマル生である——こういうようなことがなされている。また、宇治という予備助役ですが、これは「君が鉄労にいくことは大歓迎」と言い、また、下山という助役は「鉄労にいけば試験に人情味がある」。いまさっきから言うような、いま副総裁がおっしゃいますような、三十二条の、業務上の規程には忠実に服さなければならない、それを指導監督すべき人がこういうことに対して介入してよろしいでしょうか。だから副総裁は、生産性向上、不当労働行為、それは峻別されるべき問題とおっしゃった。また、ILOのその宣言から言ってもそうなるはずはないとおっしゃった。このようになっておると副総裁はそうおっしゃいますけれども、ちょうど政務次官おいでになりましたので、いま具体的な問題を二つ述べましたけれども、この問題いかがお考えになりますか、一言お願いいたします。
  109. 中山太郎

    説明員(中山太郎君) いま先生指摘ございました点についてお答え申し上げますが、去る九月三十日に、総評、国労、動力車の代表の方々が労働省にお越しになられまして、労働大臣に、マル生運動に関する実態調査説明陳情がございました。労働省といたしましては、多数の国民を毎日運ぶこの国鉄の安全という問題からも、あるいは労働問題の面から見ましてもきわめて重大な関心を持ちまして、一昨日、官房長官並びに運輸省運輸大臣を労働大臣がたずねまして、本問題に関して双方の事情聴取並びにでき得れば仲介の労をとりたいという意思の表明を行ないましたところ、運輸大臣から協力方のお話がございまして、本日ただいま労働省に国鉄総裁を呼んで事情を聴取いたしております。  なお、明日は各組合の代表者を労働省にお招きをいたしまして、それぞれ事情を聴取させていただいた上で慎重に検討したいと考えております。
  110. 田代富士男

    田代富士男君 いま九月三十日のお話を承りました。そのときにも、事態が事態だけに何らかの政治対策を考えなければならないだろう、そういう意味から、きょうはいまさっきまで磯崎総裁いらっしゃいましたが、労働大臣のところにいま行っておると思います。いま申されるとおりに、これは職場でなぐり合いが起きている問題ではない労使の信頼感の問題でございます。いま私が提起した問題に対しては、事情を聞かないとそれは何とも言えません。おそらくこれ以上私が質問しましてもそうではないかと思うんです。  もう少し具体的な例をあげますと、いま副総裁のおっしゃったように、やっていないとおっしゃるけれども、業務には忠実でなければならないけれども、いま言ったようなことが起きているわけです。だから、その問題に対して副総裁どのようにお考えでございますか。いま三十二条の精神は聞きました。しかし、実際にそういうことが、いま申し上げたことが起きているわけです。それに対していかがでございますか。
  111. 山田明吉

    説明員山田明吉君) 田代先生の最初からのお話が、生産性運動と不当労働行為というようなお話がございまして、大体その線でお答え申し上げたわけでございますが、私のほうの組合に、すでに御承知のように、国労それから鉄労、動労という大きな組合がございます。それで、その組合にそれぞれのイデオロギーがあることは申し上げろまでもございませんで、当然それぞれの組合はその自分の組合員の数を広げようと努力しておることは当然でございまして、他面それに対応しまして、私どもの職員は、いわゆるオープンショップ——どの組合に入ってもよし、入らなくともよしという制度でございまして、これはもう法律にはっきり書いてございますので、したがって、どの組合にも入らない職員もございますし、いま申しました組合に入っておる職員もございます。それで、これは古くまでさかのぼる必要はございませんけれども、いわゆる春闘とかあるいは何々闘争というように、場合によっては国鉄経営を離れた、いわゆる政治闘争のためのストをやるというようなスケジュールがときどき発表されます。それに対しまして私ども、特にこの再建で国民の協力を求めなければならない、大きいストをやって国民に迷惑をかけることが組合員である以前の国鉄職員として許されることかどうか。あまつさえそのストそのものは現行法では違法であるということがはっきり出ているわけでございまして、そういう場合に一体そういう行動をとることがいいのか悪いのか、各人で判断してくれ、そういうような指導は、これはもうはっきりいたしております。それを先生がいま一つの具体的な例としておっしゃいました、そういうような違法なスト指令を発する組合にいることがいいのかどうかというような発言でした。勇み足と申しますか、そういう点が全然なかったとは私は申しません。ただ、それが、国鉄へ入ったときの先輩とかあるいは友人としての助言もございましたでしょうし、あるいは同僚として明日のストに参加するかどうかというよう討議、相談もあっただろうと思います。そういうところがいま御指摘一つのケースじゃないかと思います。それで、先ほどからくどく申しております再建というような問題、これはもう組合の問題を超越したと申しますか、その以前の問題として、職員として——これはもう職員だけでなくて私どももそうでございますが、第一にやらなければならない一番大きな問題であるというところで、生産性を向上しよう、もうありていに私ども職員に言っておりますのは、みんな一生懸命働いて国鉄をつぶさないようにしようじゃないかということが生産性運動の理念でございまして、そういう事象が現場へ参りまして混淆すると申しますか、ことばはあまり適当ではございませんが、そういう点が御心配をおかけした点ではないかと思います。
  112. 田代富士男

    田代富士男君 いま副総裁が、三つの大きな組合をかかえている、それにはイデオロギーの違う点もあります土、それはまあ私も理解できないことはありません。そして国鉄側は、この生産性運動を拡大するためには、ただ従業員としてのたてまえをもってスト等は回避して協力してもらいたいと、で、国鉄の場合はオープンショップであるために、まあ私たちがやってきましたそういう立場がございますが、いま申したとおりに、鉄労に入りなさいというそういう働きかけが行なわれているわけなのです。これじゃあまりにも介入し過ぎますよ。これ、白紙の状態だったらまた話もありますが、鉄労に入りなさいと。まあこれ問題を私も調べてみましたが、私の驚く問題が一ぱいあるのです。これが一部に勇み足があった、これは認めざるを得ないといういまの話ですが、勇み足ということは全国にあるわけです。どこかにそういう面があるのですけれども、いま起きている問題は全国から起きてきているわけなのです。いま二つのいろいろな事態を申し上げましたけれども、いま言うとおり、鉄労に入りなさいということは、国労、動労からの脱退強要をやっているのに、助役だとか管理職の人々が陰に陽に、あるいは区長室とか助役室に呼んでそれをやって話をつける、脱退届けだとか、そういうものまで入れているというような事態も起きているわけなのです。  具体的に申し上げますと、そういうことでノイローゼになった人がある。これはマル生運動が原因じゃないと言われればそれまででございますけれども、これは新聞に報道されたのを読んでみますと、「二日朝、新潟県新津市、こうじ販売業吉井寅さん方二階で、帰省中の三男弘さん(24)=国電渋谷駅員、東京都板橋区桜川二ノ一ノ六=がロープで首つり自殺した。弘さんはノイローゼのため八月中旬から実家に帰っていた。同僚や国労渋谷分会の話では、吉井さんはマル生運動にからんで職場の上司から国労脱退を暗に要求されていたことがあり、それがノイローゼの原因になっていたのではないか」ともいわれている。これは決定じゃありませんですよ。こういうことも出ておりますし、また、これは静岡のことでございますが、「静岡電力区第一電力支区柳島支区長と助役二名は検査長数名とともに、昨年十月八日夜、国鉄中田宿舎集会所に国労組合員の電力検査掛を集め。「国鉄赤字経営だ、これに職員として取り組むため国労を脱退せよ。」」、赤字経営だ、職員として取り組むためにがんばれ、がんばろうじゃないかと、これまでは私も三十二条の精神でいいと思うのです。これ国労を脱退しろと言う、「国労の方針は正しくない。」と言う、「今夜国労を脱退する意思表示をしろ」などと言って一人一人に脱退届けの用紙を配ったというのです。こういうことが行なわれている。「また支区長と山田検査長は同じ日、杉野君を支区長の自宅に呼び、「将来はみんな鉄労になる。企業のためにならない国労を早く脱退しろ」などと、約二時間にわたって強要した。」と、また、掛川駅、浜松駅でも国労組合員に対して「国労にいては不利だ。鉄労にはいれ」、このように鉄労に入れと、管理者あるいはこういう人がこういうことをやっている。これが勇み足でなくて全国各地です。これは関西のことですけれども、「紀北駅連区分会のA君が脱退届といっしょに出した手記」がありますが、それには、「私が国労を脱退するについては、駅長・助役と仲間との会合をもち、駅長・助役の勧めもあり、すでに藤本助役から脱退届書を受けとり私が押印しており、脱退を仲間たちと約束しましたので、国労役員の説得もありましたが脱退に決意しました」、こういうことが書かれている。また、今度は亀山車掌区、これは助役が家庭訪問してきている。そして言うことには、「六月十六日二十時ごろ奥村首席助役が手みやげを持って私宅にきた。助役は「東京の南・北局は今回のストで大量の処分者をだすと思うが、天王寺局は六百名近い処分者となる。なんでも反対の組合を君はどう思う」「二、三日前に区長が局の人事課で話をしてきた。試験があまり悪ければ別だが、ある程度の点があれば努力するので、考えてみないか」」と言い、八名ほどの名前をずっと見せた。また、今度は貨物分科等におきましても、「ストを行なう国労にはいっておればいくら百点満点であってもいかん。国労にはいっている時点から心の持ち方がかわっている。いっさいの試験にいっても合格はしない。」、こういうような、あとたくさんのこういう事例がありますが、私はこれをここであえて申し上げませんけれども、いまさっき申しましたとおり、このように、ただ労働組合の問題であるならばよろしいけれども、そういう管理者だとか、こういう人がこういう介入をしている、こういうことに対してどのように思われますか。また、政務次官ですね、いまさっきはおいでになった直後でございまして、いま労働大臣が仲介役をとっておりますということでございますが、こういう問題を私は提起いたしまして、政務次官はどのようにお考えになるか、まず国鉄当局からお尋ねして、あとで政務次官のお考えをお伺いしたいと思います。
  113. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま先生がいろいろ御指摘になりましたような点が、いわゆる不当労働行為に当たるといって提訴されている問題でございまして、私ども、昨年起きた事件もございますし、ことしに入って起きた事件もございますし、その当時の客観情勢、昨年はいわゆる動力車の助手の廃止問題で大体三日にわたるストをやりまして国民の皆さま方にたいへん御迷惑をかけまして、それからまた、ことしのいわゆる春闘にも、これも十九時間というこれは国鉄始まって以来の規模のストライキが行なわれました。そういう雰囲気の中で起きたという事件が大部分でございまして、片一方の組合側の申し立てではこういう事実がある、こういうことを言ったという申し立てでございます。私どもは、ほんとうにその事実があったのか、また、その事実がかりにあったとしても、どういうような事情でそういうことになったのかということを個々に調べている過程でございます。したがいまして、それがたいへんおことばでございましたけれども、ございましたと言い切るまだ私ども確証を持っているわけではございませんで、しかし、先ほど先生からも御指摘がございましたように、労使関係がぎくしゃくした関係になっていることは、これは否定できないわけでありまして、それがどういう原因でなったかということは、先ほど生産性運動の問題とか、あるいは国鉄法の規定をるるくどくど申し上げましたけれども、いずれにしても、労使関係の信頼感と申しますか、ぎくしゃくした関係を一日も早く取り除かなければ、先生の御指摘になりましたように、国民の信頼もなかなか得られないというように考えておりますので、その点はこれから大いに努力を、いままでも努力はしたつもりではございますけれども、これからも大いに努力したいと考えております。
  114. 中山太郎

    説明員(中山太郎君) 先生指摘の点に関しましては、労働省といたしましては、先生指摘の点が、それが不当労働行為であるかどうかという見解をおただしになったものだと受け取っておりますけれども、その点に関しましては個々の問題が裁判所並びに公労委でいろいろと審査をされる、その段階で、労働省といたしましては現在の段階で深くせんさくをいたしたくないという考えを持っております。  なお、個人の見解に関しましては、ひとつ御遠慮さしていただきたいと思います。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 政務次官にそれ以上のことはお聞きいたしません。  運輸大臣にちょっとお尋ねいたしますけれども、いま起きてきた問題は事故を調査している、また、そういうことがあったかなかったかということを確認しておりますという国鉄当局からの、山田総裁お話です。これが一カ月あるいは二カ月前の事件でしたならば、現在調査中でございます、こういうことを聞きましても、それはそうだろうなと私も理解することができます。しかし、いま私の知る範囲内における事件でもずいぶん前の事件があるのです。それが全然形態が別個の事件かといえば、類似した事件が多いわけです。これに対して現在まだ調査中であるという国鉄のこの取り組み方の姿勢、また、この問題に対してこれだけ問題が起きてきているのに対して、ただ生産性向上の運動とこれとは区別しなければならないと、そのようにきめつけてかかる、こういう国鉄の姿勢というものに対して監督していただきます運輸大臣としていかがお考えになりましょうか。
  116. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘でございますが、実はこの問題が昨年来、公労委にも提訴されているということを知りまして、運輸省といたしましても国鉄当局にそれぞれの事情につきまして事情を聴取している次第でございますが、国鉄当局は、先ほども総裁からの御説明がございましたとおり、ILOの精神に基づいて、要するに労使協調と申しますか、国鉄再建の一環として生産性向上運動をやっている、そのほかに他意がないということでございまして、そうして不当労働行為に及ぶような懸念はないというような報告をいままで受けてきた次第でございます。しかしながら、先般それらの点につきまして労働団体から労働大臣のほうにいろいろ話がございまして、労働大臣、一昨昨日でございましたか、運輸省に参りまして、これらの、やはりただいまの時点におきまして国鉄の労使の間に協調を欠く、先鋭化するというようなおそれのあることは非常に好ましくないので、それらの事情を聞いて、できるだけそういうことのないように持っていきたいというようなお話がありました。非常に私はけっこうなことだということで賛成をいたしました。ただいま労働大臣のほうにおきまして、労働問題の主管省でございますので双方からの事情を聞いておるところでございますが、いずれまたあらためていろいろ私のほうでも事情を聴取いたしまして、協議をいたしまして、そしてお互いの関係が円満にいくようにぜひともはかってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 運輸大臣お話を聞いておりましても、国鉄当局のお考えと、生産性向上運動に他意はないと、また、そういう事実を私も掌握してと、そういうお考えでございますが、それならもう一つその事実を申し上げます。もうこれでたぶん——いろいろ事実を申し上げましたけれども、まだおわかりにならないなら一つ事実を申し上げます。まあ、不当労働行為ということに考えられる点は、いまさっき申し上げました昇給だとか、あるいは表彰、そういうものを、えさというのはおかしいですけれども、こういう利益誘導、そういうものが多々あるわけです。  また、具体的に申し上げますと、これは北海道の駅でございますが、追分駅です。まあここにも発表されておりますが、「片山駅長は鉄道学園の入所にあたって鉄労組合員を優先させ、国労組合員を差別待遇した。また、助役試験に合格した者を利用して組織分断攻撃を行なった。岩泉指導助役は配転希望調書をとったさい、国労組合員に対して強制・脅迫した。平沢首席助役、楠美助役、岩泉助役は一方的に組合掲示板をとりはずした。大滝助役は国労組合員に対し「国労にいれば試験に合格しない。鉄労に加入せよ」」、このようなことがなされておりますし、はなはだしい場合は試験問題を事前に流されて、これは大阪の阪大の問題でも、試験問題が事前に流れて大騒ぎをしました。まあ、国鉄の部内の試験のことですからさほど問題はないだろうが、これは「運輸省付きの川崎茂市郎首席助役」、これは津山です。「関西学園入所試験にあたって、その試験問題とほとんど変わらぬ内容の問題集を事前に鉄労組合員に渡していた。岡鉄局では、ついこのあいだも、岡鉄学園の講師が信号操車登用試験の問題を事前に特定の者(学習グループ)にもらした事実がばれ、当局も放っておけず関係者を処分、総務部長と能開課長みずから厳重注意を受けるという醜態を演じたばかり。」、これは全部処分してある——これをまだ、いまは、そういう面を収集中で、調査中であります、しかし、この問題はもう当局で処分された。これをいま副総裁も、また運輸大臣も、その事情を現在調査しているのですが、生産性向上に他意はないとおっしゃる——これは処分されている。試験問題を事前にそういうふうに流す、こういうことはあってはならないことです。それが鉄労関係のそういう組合に流されている。これは処分された。これは事情聴取ということに対して、私はこれはどうも話がおかしいと思うのです。いま私が手元に持っているだけでも一々言えばたいへんなことになる。全部のいろいろなこまかい事件、いま事情調査中だとおっしゃるから、私はあらためて、じゃこれは、処分した問題はどうなんだ、もう考えれば切りがない。こういう問題に対しまして、処分してあるのでしょう、副総裁いかがでしょうか。その点、もう運輸大臣、処分してあるわけだ、これに対していかがでしょう、お聞きいたします。
  118. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御指摘の処分をした案件については、その事実がはっきりいたしたので処分したのだろうと思います。まことに申しわけございませんが、先生が一々御指摘になりましたその個々のケースについて、私、実は調べてまいりませんので、一般的に先ほど申しましたのは、いままで私どもは、不当労働行為をしていいというような指導はもちろんいたしておりませんし、それから、したがってそういう指導によりまして、現場でも不当労働行為はやっていないというように考えておりましたので、まあその日常のやりとりというような、これは何万件、何千件あったと思いますが、その中の特異なケースを、これが不当労働行為だと組合側があげてきたことについて、こちらが全くそういう不当労働行為と思っておりませんので、当然いままで調べもしなかったわけでございます。そういった、出てきたものについては、やはりこちらも事情を解明しなければいかぬという意味で、一般的に申したわけでございます。いま御指摘の処分の済んだものは、いまは不当労働行為というよりも、業務上の、やはり適正な措置でなかったように、先生のお読みいただいた記事を拝聴しますと、そういうふうに考えますので、それに従って処分をしたのだろうと、こういうふうに思われるわけでございます。  それから、いまこれは御指摘になりました中で、どれがどうというわけではございませんけれども、差別待遇というようなことをときどき私どもも耳にするわけでございますが、これは結果的にそうなった例が非常に多うございまして、これはほんの一例でございますけれども、違法行為である、ストをやってはいかぬということを申しております。これは先ほど申したとおりでございまして、したがって違法行為をやれば、そのケース・バイ・ケースで処分をするぞということも、これも申しております。それによって処分を受けた者が、昇給を待たされるとかあるいは推薦順位があとになるというようなことは、これは当然あり得るかと思います。組合の所属によってそういうことをやっているということではございませんで、処分を受けたか受けなかったかというような一つの基準で、結果的にそういうことになった例もございます。いま先生が御指摘になった中のどれがどうということではございませんが、そういう意味で、先ほど一般的な申し方として、われわれいままで不当労働行為なんてことを考えていなかったような事案が突然出てまいりました、それについての事実問題、それからそこに至った過程を調べるという考えを申し上げたわけでございます。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 だから、いまこういう事実もあるわけなんです。この生産性向上運動と全然関係がない、そういう姿勢でなくして、改めていく点もなければ、私は、これは解決する問題じゃないと思うのです。特に十月五日でございますか、御承知のとおり、公労委より、この不当労働行為の認定につきましては、まだこれはいまからいろいろ議論されるかと思いますけれども、一応は国鉄に謝罪命令が出されているわけなんです。だから、これが全然一方的にわれわれはそういう不当労働行為をしてよろしいということをおっしゃるわけがありません。しかし事実こういうことが出てきているために公労委からのそういうような通達も出されたと思うわけなんです。これに対しまして、いまいろいろお答えになりましたけれども、この公労委の謝罪命令の通達とあわせまして、いままで申されたこととどのようにお考えであるか、国鉄当局として御答弁願いたいと思うんですね。
  120. 山田明吉

    説明員山田明吉君) いま御指摘になりましたした公労委の命令というのは、きょう実は私こちらへ出席する直前に公労委から私どもの者が受け取ってまいりまして、その内容をまだ私はよく読まないで出てまいったわけでございますが、提訴されている案件のうち、不当労働行為に該当すると考えられるという決定が一部に出たのは事実でございまして、その決定をされました考え方についての内容をしさいにまだ承知いたしておりませんので、国鉄としてはその内容をしさいに検討いたしまして、これからの取り扱いについてはきめてまいりたいと、そのように考えております。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 いまの、いろいろ申し述べてまいりましたけれども、もう一言お聞きいたしますけれども、このような生産性運動と一緒に、これもからんで起きた事件だと思いますけれども、労働者の当然の権利でありますところの年次の有給休暇の申し出をしたんですけれども、これも一方的に取り消しをされております。そして日鉄法の三十三条の乱発ですね。こういうことがなされているわけなんです。  具体的な問題を申し上げますと、これは大阪の問題です。これは大阪管内の摂津富田駅の問題です。この組合員が勤務時間中、上司に暴言をはき、暴力的行為で威圧したということで停職六カ月の処分を受けているのです。国労の吹田支部です。経過は、五月の二十五日、六月分の勤務予定表が発表されて、五月二十六日、父親の病気見舞いのために帰りたいと六月六日非休・休暇・公休を申し出たところ、当直の助役は検討すると言って、六月一日まで待てと言われた。六月の一日に出勤しまして、点呼後、当直助役のところへ確認に行ったところが、休暇の件はどうですかと聞くと、それはあかんと——大阪のことばでだめだということですね。あかんではわからぬと五分ほどそこでやり合った。それで六月四日、当直から休暇が入ったと連絡があった。そして六日、休暇をした。休暇を与えておきながら停職処分が発令された。こういうことは私は、こういう事実を知る知らないにかかわらず、これは労働基準法違反にも私はなるんじゃないかと思うんですけれどもこの点いかがでございましょう、労働省のお立場として。
  122. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 私、労政局長でございまいまして、労働基準法のほうは所管いたしておりませんが、労働基準法の年次有給休暇というものは、労働者が自由にこれを請求し、使用できるものである、業務上やむを得ない場合、特に国鉄の場合は、三十三条に当たります場合には、これを直ちに変更することができるということになっておりますが、この使用者側のいわゆる拒否権的なものは乱用すべきものではないと思います。ただいま御指摘の事件につきましては、必要がございましたら詳しく調査いたしたいと思います。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いまいろいろ私は具体的は問題を申し上げましたけれども、時間の制限を付されております。この問題につきましては、まだまだ突っ込んで質問したいと思いますけれども、いま申されましたとおりに、公労委から国鉄に対しての謝罪命令が出されている、こういう状態でございまして、いま私がもうほんの一部でございましたが申し上げましたことによりまして、労働組合法第七条の精神について、どのようにお考えであるか、ちょっとお願いしたいと思います。第七条の精神。
  124. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 労働組合法第七条、不当不当労働行為について定めております規定は、これは申し上げるまでもないわけでございますが、労使というものは相互に対等であり、かつ独立でなければならない、特に経営者は強い権力を持っているので、経営者の言動というものが労働組合にいろいろな影響を与えることがある、そこで経営者側の行為につきまして、一定の制約を加えまして、不利益処分の取り扱いあるいは団体交渉の拒否あるいは特に使用者の言動による組合内部事項に対する不当なる支配介入というものを禁止しておりますのが七条の精神であります。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 運輸大臣も労政局長も四時三十分までという、また委員長から通達がありましたから、ここでもっといまからお聞きしたいと思いましたけれども——運輸大臣、第七条の、不当労働行為に対する、労働組合法の精神、いまいろいろ申し上げてまいりましたけれども、これをお考えになりまして、運輸大臣としていかがお考えでございますか。いまさっきは、生産性向上に他意はないという意味のことを申されましたが、この七条の精神の上にのっとった上からどうお考えでしょうか。
  126. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほど私が申しまししたことにつきまして、田代委員からお話がございましたが、私が国鉄当局から聞きまして、生産性向上運動というものは何ら差しつかえないだろうということを私は申し上げただけでございまして、いま問題になっております不当労働行為、これが不法であり、これが許すべき問題でないことはもう当然のことでございまして、これらの点につきましては、ただいま機関でございます公労委におきまして、いま認定中であるということを聞いておりますので、私はそれの結果を十分お聞きをいたしまして、事実問題につきましては、その公労委の認定というものを十分伺いまして、その上で客観的に公正な判断をいたして、そして以後の監督の処置をきめてもらいたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 国鉄山田総裁にお尋ねいたしますが、これは総裁と御相談されなくちゃならないことかわかりませんけれども、公労委の権威ある決定がなされた場合に、国鉄といたしまして、これを不服とされまして裁判所に行政訴訟等起こされる考えがあるのかどうか、一言、お聞きします。
  128. 山田明吉

    説明員山田明吉君) その点につきまして、先ほども申しましたように、その決定に至る考え方、考え方、まだ私、承知していないまま、ここへ出てまいりまして、もちろん国鉄として十分慎重に検討いたしたいと考えております。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 まだいろいろありますが、委員長からも通達がありましたから、この問題は次回にまたやりたいと思います。きょうはこれにて終わります。
  130. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会