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1971-05-07 第65回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月七日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  五月七日     辞任         補欠選任      櫻井 志郎君     津島 文治君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          河口 陽一君    理 事                 亀井 善彰君                 園田 清充君                 村田 秀三君                 沢田  実君    委 員                久次米健太郎君                 小枝 一雄君                 小林 国司君                 高橋  衛君                 津島 文治君                 堀本 宜実君                 森 八三一君                 山下 春江君                 和田 鶴一君                 北村  暢君                 河田 賢治君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   宮崎 正雄君        林野庁長官    松本 守雄君        水産庁長官    大和田啓気君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農地局計        画部長      桜井 重平君        林野庁職員部長  齊藤 誠三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有林野活用に関する法律案(第六十三回国  会内閣提出、第六十五回国会衆議院送付) ○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○漁港法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○海洋水産資源開発促進法案内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 河口陽一

    委員長河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  国有林野活用に関する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次発言を願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 この国有林野活用法案は過去提案されてから数ヵ年にわたりまして継続審議等を経ましてようやく参議院段階審議することになったわけでありますが、今回の国会では次期選挙関係もありまして会期延長等がない、そういうようなことで審議時間等も相当制約されるわけでありますが、特に例年行なわれております林業白書等についての本会議質疑等もできるかできないかわからない状況であります。したがってまことに恐縮でございますが、活用法に直接関係しないかもしれませんけれども、やや林政全般について質疑をさしていただきたいと思います。したがって若干時間的にも長くなるわけでありますけれども、しかしそのことがこの国有林斬り活用法関連して今日の林業の非常な危機的状態にある問題に、国会として私はやはり真剣に論議する中から、おのずから国有林野活用法等にも関連をしてくる問題であろうと、このように思います。特に衆議院におきましてはこの法案関連をいたしまして林業振興に関する単独の決議案が、委員会決議でありますが行なわれておるわけであります。そういうようないきさつもありまするので、前置きは長くなりましたけれども林政全体についての質疑をさしていただきたい。もうそろそろ大臣が退出される時間でございますからその間質問を続けるということはちょっとどうかと思うのでありますが、ごく事務的なことになるかとも思いますから、まあ大臣のおられるところでは、ひとつ午後一時ごろから来られるそうですからそれに集中することにいたしまして、まず林政全般についての質疑をいたしたいと思います。  そこで過般、四十五年度の林業動向に関する年次報告がなされ、きのうも杉原君から外材輸入等の問題について質疑があったわけでありますが、今年度における林業経済の概観的なものが述べられておるわけでありますが、この概観の中で四十四年度でついに自給率が五〇%を割って外材のほうが五一%を占めるようになり、四十五年度、昨年度では五五%になったということが、きのう杉原君の質問に対してあったわけですが、このような外材を急速に輸入しなければならないような状況になったことは、昭和四十一年度に長期見通しを立てておるわけですが、当時の長期見通しの中で最低の自給率がたしか七一%か二%であったと思います。ところがもうこの見込がすでにくずれて、先ほど申したように四十五年度五五%、こういう長期見通しからすれば、非常に予測しなかった事態が起こっておるわけでありますが、これに対して四十四年の十月ですか、林政審議会昭和五十年を見通しての見通しを立てた、検討されたようであります。昭和四十一年度の長期見通しを立てたとき、すでに翌年からもう見通し狂い始めておる。こういう事態になって、四十四年度で木材需給についての、需給見通しと今後の施策ということについて林政審議会検討されたわけであります。その実情について、一体木材需給現状がどのようになり、どういう検討がなされたのか、こういう点についてまずお伺いをいたしたいと思うわけです。
  4. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 木材需給、いままでの幾つかの見通しに対しまして、実際の動きが相当食い違っておる、その間の事情を説明せよという御質問でございます。  確かに、昭和四十一年に閣議決定をされました資源に関する基本計画、その長期見通しというものがございまして、それが相当その後の経済情勢とかけ離れております。それに対しまして、昭和五十年の中期見通しを四十四年の十月に林政審議会諮問——諮問ではない、建議でございます。林政審議会農林大臣に対する建議であります。その中期見通しをいたしておりますが、その際に出ておりますのがやはり木材の総需要量が一億二千万から一億二千八百万立方メーター昭和五十年には必要とするであろう。国内供給量が、それに対しまして五千四百万から六千五百万立方くらいしか期待でできない。その差し引きが外材供給量に期待せざるを得ないという見通しを得ております。  これらの見通しがなぜ変わったかということでございますが、建設需要や紙の消費動向見通しのときと比べまして食い違いが出ております。まず、建設需要でございますが、相対的には需要量伸びておりますが、その消費構造、その内容がだいぶ変ってきております。それと、当時、幾つかの経済見通し経済伸び率を想定をして、その木材需要をはじいておりますが、中期経済計画——これは三十九年——四十三年でございますが——のときの経済成長率見通したものが八・一%になっております。それから、経済社会発展計画——四十二年——四十六年の計画でございますが——それがやはり八・二%、こういう成長率伸び土台にいたしまして木材需要をはじいておると、実際にはその経済成長率が、一〇%あるいは手数%になっておるというようこととからその見通し狂いが生じたということが一番大きな原因ではないかと、このように考える次第でございます。いずれにいたしましても、見通しとその後の情勢が大幅に食い違いを生じておるということで、それを土台にするところの林政の仕組みというものにも影響がございますので、この需給計画につきまして目下慎重にその改定作業検討いたしておる段階でございます。
  5. 北村暢

    北村暢君 まずこの木材需要見通しについていま長官から説明ありましたように、その当時の見通し算定基礎というものに経済成長率、あるいは建築等の見込みが当初と狂ったということですが、大体需要見通しが、昭和五十年度で長期見通しの場合は合計して約一億立方という見通しであったわけですね。ところがこの前の検討では一億二千万立方ないし一億二千八百四十万立方、約二割から三割にわたって大幅に需要伸びというものについて見通しが変わってきているわけですね。これは四十一年のときの見通しというものがそれなりにやはり算定基礎をもって科学的にやったはずなんです。ところがまあ二、三年たたないでもうこの長期見通しはくずれぎるを得ない、五十年という最も近い時期——長期見通し昭和九十年を目標にして検討されておるわけですね。それがもう五十年——一番近い五十年の段階で二〇%から三〇%修正をしなければならないような状況にあるということになれば、これはまあ九十年というものを見通すこと自体これは不確定要素を含めて見通しておるわけなんですが、意味がないんじゃないかと思うんですね、需要の面だけ見まして。そういうような点であまりにも見通しというものが、昭和五十年においても二〇%から三〇%の狂いが出てくるということは、どうも当初の見通しがずさんであったのかどうなのか、現実問題としてたいへんな狂いである。ところがこの見通しというものは、大体新全総においてもこの長期見通しというものを前提にして計画が立てられているんじゃないかと思うのです。そういう権威ある閣議決定をしたものが非常に大きな狂いを生じておるというところに大きな疑問を感ずるわけです。それから供給の面を見ましても国内供給計画についてこの前検討した場合には、長期見通しのおくれというものを今後五十年差でに克服していくというたてまえに立っての供給予測と、林道あるいは造林生産というものが現状に推移するという場合の二通りの予測をしておるわけなんでありますが、それにしても非常に当初の見通しとは狂いを生じておる、こういうことなんですね。  そこで私最初にお伺いしたのは、この見通しが狂ったということで検討をされたのはいいんですが、なぜ供給面において——需要の面は計算違いだったといえばいいんですが、供給の面についてはこれは計算違いばかりではない、現実に長期見通し計画に対して実効というものが、実績というものが非常に欠けておった。その現状把握というものを当然林政審議会でも建議するにあたってやっているわけでありますが、一体その計画に対して造林林道等実績がどういう状況になっているのか、そのことが木材生産等に非常に大きな影響も出てくるわけであります。そういう面についての、まず供給面についての実態がどうであったかということを明らかにしていただきたい。     —————————————
  6. 河口陽一

    委員長河口陽一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井志郎君が委員を辞任され、その補欠として津島文治君が選任されました。     —————————————
  7. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 国内生産停滞見通しに対して実績が低いではないか、その原因いかんという御質問のようであります。確かに見通しに比べまして生産が落ちておりますが、そのおもな理由を申し上げますと、まず資源的な制約がそこにあるわけであります。ちょうど伐期に達しておる造林木が少ない。言いかえれば、大正の時代、昭和の初めの造林が少なかったということも言えるわけでありますが、そういうものが戦争中、戦後最近に至るまで相当切られてきた、いま残っておる資源が少なくなったということが第一点、それから第二点は、林道生産基盤の整備が十分に計画に対して進捗をしなかったという点、それから零細分散的な所有構造になっておるということが第三点、それから第四点に、労働力減少過疎現象その他からくるところの林業労働力減少をしてきたというような、こういうことが幾つかかみ合わさって国内林業生産停滞、むしろ逆に減少気味で推移をしておるということが言えるかと思います。
  8. 北村暢

    北村暢君 まあそういう抽象的な説明もいいんですが、そうでなしに、長期見通しともう一つ基本計画があるわけですが、基本計画との関係における林道造林資源的な問題——資源的な問題等については、これは戦時中、戦後、乱伐して造林等空白状態があったということは、これは四十一年の長期計画を策定するときにすでにわかっておる問題ですね。でありますから、資源的な問題がどうこうということは、これは私はあまり理由にならないのじゃないかと思う。  そこで、この停滞した原因を三つほどあげられたようでありますけれども、まず林道を例にとりまして林道というものがどういうような状態になっているか、大体全国森林計画開設すべき林道延長計画量実績実数において約六〇%しか実施されておらないのじゃないか。その場合、これは国有林民有林に区別してどういう状態にあるか。これは生産停滞する一つの大きな原因として、林道開発のおくれというものが原因していると思うのです。林道開発実績が六〇%程度に推移しているということ、これは毎年繰り返されているわけですね。四十一年の計画を立てた以後においても若干伸びているような状況もありますけれども、相対的に計画量に対して実行比率というのは六〇%程度になっている、こういうことが繰り返されていることが生産停滞に大きくつながっているということが言えるのではないか、このように思いますが、林道停滞している実態原因は一体何であるかを明らかにしていただきたい。
  9. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 林道に対して計画実績がどうなっているかというお尋ねでございますが、林道計画はまずいまありますのが全国森林計画、これは昭和四十三年から五十七年の十五ヵ年計画であります。期間計画でございまして、これは年次計画にはなっておりません。その期間十五ヵ年間にどれだけの林道をつけるべきかという計画がございます。  なお、これは数字で申し上げますと、民有林では六万四千キロ、国有林では二万三千キロというものを十五ヵ年間につけるということで、それに対して四十三年度、四十四年度、二年度の実績でございますが、それぞれ六千キロ、二千七百キロ、合計して八千七百キロというものが実績でございまして、これを十五分の二ですか、十五ヵ年計画ですから十五分の二対この二ヵ年の実績ということになりますと、そこに一つ数字が出てくるわけであります。が、いまも申し上げましたようにこれは期間計画でございまして年次ごと計画になっておりませんので、そういう比較をするのがよろしいのかどうか疑問もございますが、なおその数字につきまして十五ヵ年全体計画について二ヵ年間の進捗度民有林国有林それぞれ九・六%、一一・八%になっております。  これがなぜおくれておるか、十分進まないのかという理由でございますが、その一つは全国的に林道開設位置が逐次奥地のほうへ移行をしてまいっております。また労働力の不足もございまして賃金が上昇をするというふうなことで、工事費単価上昇をしてきておる。奥地開発林地帯林道の骨格となる大規模な林道を必要とする反面、財政力に乏しい市町村が多く、かつ天然性低質材が多いために受益者負担能力が低位にある、そういったようなことから開設がおくれておる理由幾つかに数えられておるのが実態でございます。
  10. 北村暢

    北村暢君 それから林道の問題については計画期間中に目標量達成すればいいんだ、したがって、これは年度ごと計画になっておらぬから比較しにくいというようなお話ですけれども、これは四十二年度から改定されておるようでありますけれども、三十九年、四十年、四十一年、ここずっと見てまいりましてね、それ計画改定以前からこれは六〇%程度しか進捗してないんですよ。それで改定しているわけですね。ですから、計画期間中であるから、それが計画期間中の十年以降十五年の五年間でもって急速にピッチを上げれば、それで計画達成できるんだと、こういうことには従来の実績からいってならないです、これは。こういう林道開設計画量に対して実績年度ごと比較はできないかもしれませんけれども、かりに十五年間の案分でいったと仮定するならば六〇%程度の進度にしかならない。ですから、十五年計画の中の十年はサボってあとの五年でもって計画をやるんだというふうにはちょっと従来の林道予算伸び率からいってそうは簡単にはならないのではないかというのは常識的に言えることです。  ですから、私はここでやはりひとつ、これはいま私は長官に言いませんけれども、そういう実態はやはり率直に認めるべきじゃないかと思うのですね。これは林政審議会でもこの検討はされているわけですわね。そして原因がどういうところにあるかというようなことも検討されているわけです。実情はやはり実情として認めて、知らないことはない、知っているわけです。林政審議会も知っている、林野庁も知っているわけです。なおかつ、この六〇%計画期間中の年平均というようなものを想定すれば立ちおくれていることはもう間違いないわけです。これが私は大きな原因になっているというふうに思います。ですから、この長期見通しに対しても、目標量に対して五十年目標でもとっても達成できないだろうという見通しもある。もう一つ、この民有林道国有林林道との五十年度を目標にしての達成可能性についてどういうことになっておるのか。これは林政審議会でも検討して結論出ておるはずですから、どういうふうになっておりますか。
  11. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま先生、五十年の達成目標とおっしゃいましたが、五十年までに幾らつくるかという実はそういう年次計画はございません。ありますのは、民有林では五十七年までに全体計画達成する。それから国有林は若干、奥地がたくさんございますので、おくれまして、六十五年が達成最終年次でございます。それまでに両方合わせて十八万三千キロという林道をつくり上げていこうということを考えておりまして、まあいずれにしましてもいままでの実績は必ずしも十分とは申せませんが、今後その目標に従いまして関係方面ともよく打ち合わせをしながらその目標達成努力を重ねてまいりたい、このように存ずる次第でございます。
  12. 北村暢

    北村暢君 役所側のほうから言わせればそうかもしれませんがね。林政審議会建議した中においても、「「資源基本計画」における昭和五十年度目標実績との対比」というものがこういうふうにちゃんとあなた検討されておるのですよ。そうして林野庁建議されておるのですよ。だから、それによる意見では、ちゃんとあなた出ていますよ、国有林民有林については大体五十年度の目標達成される予想である。それから民有林についてはきわめて困難と予想せられると、はっきりそういう見通しをしておるわけです。これを林政審議会も空虚に論議しているわけじゃないですから、したがって、この建議を受けた林野庁は、この林政審議会意見を認めるのか認めないのかね、そういう実態というものを。認めるか、認めないか、それをお伺いしているのです。林野庁計画からいえば、それは十七年間計画かなにかで、そのときがこなければわからないのだと、こういうことではあぶなっかしくて林野庁にまかしておけないではないですか。
  13. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま申し上げました、まあ将来の達成目標と申し上げましたが、その過程昭和五十年、六十年、七十年と、各過程ごとにおろした数字は持っておるわけでございます。林政審議会建議もそのような数字が出ておりまして、こういったものに対しまして林野庁といたしましてもまあ実現努力を重ねていかなければいけない、このように考えておる次第でございます。
  14. 北村暢

    北村暢君 いや、尋ねているのはね、国有林とそれから民有林とそれぞれ計画があるわけですね。それに対して林道延長目標というものがいまのおくれの状態でいけば、国有林達成される、やや達せられるだろうと、努力いかんによっては。ところが、民有林関係達成が非常に困難だと、こう言っているのです。こういう実態を認められるのですかどうですかということを聞いておるのです。
  15. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 民有林につきましては、まあ毎年相当な伸びでもって林道開設が実施をされております。たとえば、昭和三十九年では千五百六十一キロ開設をいたしましたのが、昭和四十四年では三千百五十八キロでございますから、約二倍の、一年度二倍の実績にふえておりますが、なおこれでもまだ昭和五十年そのキロ数達成するにはまだ足りない、今後これを達成するには四千数百キロというものを毎年つくっていかなければならないということになるわけでありますが、現時点では若干そのテンポにおくれをとつておるというのが実情でございます。
  16. 北村暢

    北村暢君 それは国有林民有林に分けてどうですかと聞いているんです。
  17. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いまのは民有林についてでございますが、国有林は従来は大体計画に近い線が開設をされておりますが、今後は国有林予算財政状態その他からして、また開発費単価伸びというものからいってそういう基本投資がなかなかできにくい要因も出てまいっておりますが、林道、そういうものはいずれにしても基本的な設備でございますから、そういう基本的な設備はその計画に従いまして何とか実現をさせるべく努力をしていかなければならないということで、国有林林道の毎年の開設伸びも若干ふえておりますが、今後はその施行の内容その他くふうをすることによって目標達成努力をしていく、このように考えております。
  18. 北村暢

    北村暢君 目標達成にいくように努力をいたしますと言うんですけれども、これはいますでに計画改定後四十二年、四十三年、四十四年、四十五年と、四ヵ年を過ぎようとしているわけですね。それが、先ほど言ったように、かりに計画期間中の年次で一年間分の平均比較すれば、六〇%か七〇%でおくれておる。しかも、この林道のおくれている理由として、先ほど長官が言われたように、奥地化してきて開発単価も高い、労働力不足というような面もあるというようなことでおくれているんだと、こう言うんです。ところが、そのおくれている原因が簡単に解決するような将来の状況であるかどうかというと、労働力確保の面から言えば、過疎化現象はますます激しくなる、年々歳々激しくなる、林道はさらに奥地化している、悪い条件ばかりそろっているでしょう。それに実行単価もどんどん上がっていく、これも事実です、奥地化していくんですから。悪い条件ばかりそろっているのに、これを林野庁の単なる努力でもって計画目標に持っていく、このように努力いたします、こうおっしゃるけれども、そんなことをやっているから、今日林業生産停滞しているんじゃないですか。計画実数の上において、最大の原因予算がつかないということです。そういう画もあるわけです。労働力もないし、奥地化する、単価も上がっているという点もあるけれども、とにかく計画量を遂行する上において絶対的な予算が不足しているということでないですか。  したがって、これは林道問題について抜本的な対策を講じない限り、計画量達成というものはまず不可能に近い、こういうふうに見るのは当然じゃないかと思う。この現状認識だけはやはり林野庁は深刻に認識してもらわなければいけないと思うんです。どうも国会答弁として、おくれているけれども、計画期間中はまだ十年も何年もあるんだから、その間に努力すればいいんだと、努力するんだと、こういうことでは、過去の実績からいって私は計画量達成できないというふうに思います。ですから、これは長官に何ぼ言ってもしようがないですから、大臣に私は質問することにいたしまして、その現状認識だけはひとつはっきり認識をしておいていただきたいと思うんです。これは長官、その現状は、林政審議会建議するのにあたっての検討された事項というものは認められるのだろうと思うんですね。そうでないと、今後の林業政策を抜本的に検討する場合における非常に重要な要素ですからね、このままで堕していったならばこれはたいへんなことになるから私は言っておるわけです。現状だけはひとつ認識していただきたい、こう思うんです。これは認められますかどうですか。
  19. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) お答えいたします。  林政審議会建議、またその実態、確かにその必要性を認めなければいけないと思います。
  20. 北村暢

    北村暢君 次に、その計画についての造林計画実績です。造林のほうは、これは計画量にやや近いものにいっているようですが、これもまた国有林民有林に分けて長期見通しに対して——これも長期見通しは五十年、六十年、七十年というふうに区切っているようですから、これについてもひとつ現状は、ここ最近の状況は一体どういうふうになっておるか、この状況を明らかにしていただきたい。
  21. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 造林につきましては国有林民有林とも、まず造林計画の前に伐採計画があるわけでございます。伐採に伴うそのあとを造林するというたてまえになっておりますので、伐採をされたあとには必ず造林がついていくという考え方から造林計画を立てておりまして、いま民有林について申し上げますと、やはりいま申し上げましたように計画年次別になっておりませんので、これをそのまま実績比較するのも問題であろうかと思いますが、一応その計画というものをそれぞれ全国森林計画に基づく造林長期計画というものがございますが、それに対比して実績を見ますと、再造林のほうが五九%である。これは四十年から四十四年の五ヵ年の実績でございます。拡大造林のほうが九〇%、両方合計いたしまして八二%、計画実績の対比が、一応比べますと、そういうことになります。国有林のほうは経営基本計画なり地域経営計画によりまして計画をされておるものをまた年度別に業務計画を立ててやっておるわけでございまして、これは伐採をしたあと、要造林——造林をする必要があるというものには、これはすべて造林をいたしておりまして、計画実績が追いついていっておるということが言えるかと思います。
  22. 北村暢

    北村暢君 いまの長官のお話ですと、伐採あと地には必ず造林をしていくんだ、これはそういう考え方なんでしょうけれども、ところがいま再造林の場合が非常に落ち込んでいるでしょう、拡大造林のほうは九〇%と言いましたね。ところが再造林のほうは四〇何%か五〇%である。だから、これは一体どういうことなんですか。人工造林であったものを伐採したあとに造林をやるというのは、これは当然だろうと思うのですがね。
  23. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 再造林が確かに造林実績としては毎年相当な減り方をしております。それはやはり造林地の伐採そのものが少なくなっておるということに原因をしておりまして、造林地の伐採をしたあと造林をされないという事態は現在までのところほとんどそういう事態、問題を聞いておらないのが実情でございます。
  24. 北村暢

    北村暢君 そうすると、計画的な伐採が行なわれていない、予定してある再造林というものが計画量に対して伐採が行なわれていない、いわゆる資源が温存されておる、こういう結果になっているんですか。
  25. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) これは造林地の民有林につきまして人工林の伐採面積を、これは統計調査部の資料でございますが、見ますと、四十年に六万三千ヘクタール、人工造林伐採がございましたが、四十四年には四万ヘクタールになっておる。同じように今度は造林のほうを見ますと、四十年には五万六千ありましたのが四十四年には三万六千というふうに落ち込んでおります。伐採の落ち込みとおおむね比例をいたしまして人工造林減少停滞、そういう傾向になっておる。人工林が伐採をされないのが温存ではないかということでございますが、これは言いかえれば切り惜しみということが言われておりますが、確かに民有地の所有者の一部にはそういう傾向がなきにしもあらず、そのように考えますが、先ほど申し上げましたように、その最大の原因資源的な内容が戦争中、戦後の伐採によって、人工林の伐期に達したものが少なくなった。四十一年の資料によりますと、四十一年生以上の人工林は民有林の人工林のうちに七%くらいしかなかったかと思います。そのように伐期に達しておる人工林そのものが少なくなってきたというのが最大の原因であろうかと思います。
  26. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、再造林が五〇%程度であるということはこの計画量そのものが、いま資源の温存ということもありましょうが、五〇%というのはいかにもこれ落ち込んでおるとか何とか言ってみたところで切り惜しみも何もあるというが、計画量の五〇%というのはこれはちょっと説明がつかないのじゃないですか。やはり計画が無理であったのか、それともこんな状態に伐採されるべきものがされなかったのかというこの原因究明はなされておるのかどうなのか。
  27. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 確かに計画に対して実績が対比いたしますと半分前後になっておりますが、その計画が適正であったのかどうかということで、率直に申し上げまして、私はその計画に当時策定をしたものとその後変わりました幾つかの社会的、自然的な要因が変化をいたしてまいっております。そこでその原因をさらに分析する必要があるというようなことを感じまして、実は四十五年度に予算をちょうだいいたしまして、民有林生産力の調査をやりました。各府県千四百スポット、全国で数万スポットの調査をやりまして、いまその集計中でございます。そういった集計が出ますと、人工林、天然林別にいたしまして、伐採可能量といいますか、その潜在的な生産力といいますか、そういうものが幾つか出てまいりますので、そういう調査の結果がいま集計中でございますが、その結果を待ちましてこういった問題の分析をやりましてその対策につとめてまいりたい、このように考える次第でございます。
  28. 北村暢

    北村暢君 次に拡大造林ですが、これも九〇%くらいの状況です。それで総体的に見まして、三十六年を境として年々歳々造林面積は減少傾向をたどっております。これは長期計画からいえば、再造林、拡大造林を含めて、造林面積は年々歳々ふえていくというのが状況でないかと思うのですが、ところが三十六年ごろを境として年々歳々造林面積は減ってきている。これは減っていいんですか。長期計画との比較においてどうなんですか。
  29. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 日本の造林が本格的に始まり、復興いたしましたのが、戦後は十年ぐらい過ぎた昭和三十年代に入りましてから本格的に造林が進められるようになった。それまでは戦争中、戦後の伐採をしたあと造林をしておらない、造林未済地と申しますか、また原野その他放置をされておりました土地がたくさんございました。そういうものをまず解消しなければいけないということで、三十年代から造林政策に相当な力が入ってまいっております。そういうことで三十年から三十六年ごろが造林のピークでございます。そういった戦争中、戦後の未済地、はげ山を造林するということが行なわれまして、ようやくそれが解消されましたのが三十年代は中ごろではなかったかと思います。したがって、その中ごろが造林のピークになっておりまして、その後は伐採のあとの造林、伐採と造林が循環をいたすまあ経常の形になってきておるわけでございます。したがいまして、その後造林量は全国的に減っておりますが、減っておることが決して国土を荒らすんだ、はげ山をふやしておるんだということにはならないかと思います。まあそういうことで御了解をいただきたいと思います。
  30. 北村暢

    北村暢君 いかにも造林がうまくいっているような御答弁ですけれども、そういうことでは、たとえば国有林等においても伐採量というものは生長量の約倍くらい切っておるわけでしょう。それは将来天然林から人工林に切りかえて生長量が飛躍的に上がるであろうという想定のもとに資源の先食いをしているわけでしょう。そういうことが事実行なわれているわけです。したがって、切ったあとは植えております、拡大造林もやっております、山は荒れておりませんと、こうおっしゃるんですけれども、しかし、そういう状態の中で長期計画に基づく飛躍的な生長量を拡大するという目標を立てておるわけですよ。ただ山が荒れていないという程度造林では、これは計画目標達成することはできないわけです。これは造林林道計画目標達成することにおいて需給のバランスというものをとっているわけでしょう。長期の見通しを立てているわけだ。したがって、国有林の場合は人工造林の面積もやや計画量に達するようにいっておる。民有林においては目標達成はやや困難である、困難であるということを言っているんですよ。したがって、最近における造林停滞というものは、決して山は荒らさない程度停滞で、それが停滞してずっと少なくなってきているということではないんでしょう。そういう意味における拡大造林ということでもってあなた方は計画を立てておるわけですね。拡大造林で天然林を人工林に切りかえていく積極的な施策をとっているわけです。ですから、それは計画目標に対しておくれていることはもう否定できないというわけですね。否定できないわけですよ。したがって、これは計画量にいっているというようなことにはなっておらぬ。そういう意味において、再造林についても計画量の半分である、拡大造林についても九〇%である、総体的には八〇何%である、そういう状態でしょう。そういう状態でいけば、特に造林というものは将来の蓄積なり生長量というものにきわめてもう直接的に影響のある問題ですね。そうすればこれはもう当然需給生産という問題について、これはあんた計画どおりにいかなければ計画量を落とさなければならない問題が起こってくるんですね、これは。林道も問題ですけれども、造林の場合はこれはもう直接的な問題ですわ、資源についてもね。  だから林野庁長官のように非常にのんびりしたことを言っていたんでは、この長期需給見通し、しかも需要量というものが五十年度で先ほど言ったように二〇%から三〇%狂いを生じて必要量というものはどんどん計画量より上回っているわけでしょう。生産面は全部計画量より下回っているわけでしょう。これで一体日本の林業というものが成り立つんですか、一体計画というものは。そういうのんびりした答弁をされて、はあさようでございますかといって私は引き下がるわけにはいかないんですよ。そういう日本の林業の危機というものについての深刻な理解というものが、長官みずからがそういうのんびりした考え方では私はこれはたいへんなことだと思うんですがね。これはまあ長官に言ってもしょうがないんです。これも農林大臣の問題ですからね。今後の林政における重大問題です、これは。あなた方需給見通しといまの生産のあらゆる要素というものを含めて、需要量に対してどうやって自給度を高めていくかという、足りないものは外材に依存するというような形でいいのか、どうなのかという根本的な問題なんです。現実に四十五年度の外材の輸入は五五%でしょう、きのうの答弁によると。こんなものはあんた長期計画のときに全然想定されていない問題でしょう。そういう問題がいま出てきておるわけですね。ですから、あなたは現状造林状態が非常に満足すべき状態にあると理解されておるんですか、その認識をひとつまずお伺いしておきます。
  31. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) まあ一応いままでも御説明申し上げましたのは、伐採のあと造林をすべきところの造林が行なわれておるかという視点に立ちまして御答弁申し上げたのでございますが、現在までのところ、そうした伐採したあと造林すべきところはおおむね造林がされておるということを申し上げたのでございますが、いずれにしましても過疎現象奥地山村におきますところの各種の社会的な情勢が変わっておりますので、造林ということにつきましては今後林野庁としましても最大の関心を持って、今後各地で造林がやりにくくなった、非常に苦しくなったという声も聞かれますので、これの問題の取り組みをいま全庁あげてやっておりますが、いま申し上げましたように、将来の需給見通し昭和五十年の需給国内生産というふうなものを考えますときに、決していまの施策が十分とは思っておりません。まだまだ、造林しましても林道にいたしましても拡充をしなければいけない、そのように考えております。ただ、再造林というものは、これは単純再生産と申しますか、造林の繰り返しでございまして、問題は、国内生産、総生産をふやすという視点に立ちますと、どうしても拡大造林というものに力を入れていかなけりゃならぬ。その拡大造林が、幸いに四十四年度、四十五年度も、前年に対比いたしまして増加の傾向をたどっております。それまではずっと減少をしてまいっておりますのが、四十四年、五年と、まあ一時的な現象か、今後将来的な現象かはさらに分析を要するにしましても、拡大造林というものが増加の傾向をここ一、二年持ったということがございますが、決してこれは将来安心だということではない、このように認識をいたしまして、今後さらに慎重に前向きで検討をさしていただきたいと思います。
  32. 北村暢

    北村暢君 需要量が非常な勢いで伸びておるのに造林が伴っていってない。一応計画を改定すれば——飛躍的な、造林量を改定しないというと、少なくとも自給率を高めていくという方向には進まないと、私はそう思うのです。ところが、ここ一、二年、拡大造林伸びたとこうおっしゃられるけれども、私が民有林について林野庁実績をこうずっと見ますと、大体八五%程度です。四十三年から九三%になっていますがね。四十四年、五年はどうなっているかわかりませんが、いまの長官の話だというと、対前年比ふえているということでありますけれども、もうすでにあれですよ、長期見通し全国森林計画ですか、において、三十八年以降、いま私がここに持っている資料でも、あなた毎年三万ヘクタールなり四万ヘクタールなり計画量より下回っているのですよ。最近二、三年間よくなったというような話のようですけれどもね。この計画量に対して、あなた、実績がずっと、一回だって一〇〇%以上になんてなったことはない。全部下回っている。ですから、これは私はたいへんな問題だと思いますし、再造林に至っては、これはもう下降の一途をたどっていますね。三十八年は計画量に対して比率が八〇%だったものが、四十三年度五〇%、年々歳々下回っているんですよ、これは。そういう点からいって、いかに答弁されようと、そういう答弁技術がよかったか悪かったで日本の造林、山がよくなるとか何とかの問題じゃないんです、これは。結局、自給率を高めていくという点においては非常におくれていることは間違いないわけですよ。長期見通しに対して大きな誤差が出てくることはもう間違いないわけです。  そういう点で私は指摘をしているのでありまして、これは国有林——林政審議会検討の資料の中に、私見ましても、これは計画量達成民有林の場合は困難だとはっきり書いてあるのですね、これは困難だと。だから、困難であるから、林道においても、造林においても、この計画量達成が困難だということになれば、これはもう重大な、木材需給見通しについて狂いがくるわけですから、そういう点で、毎年計画期間中これを繰り返して、終了したということになれば、これはそういうふうになる可能性が非常に強いから私は言っているわけなんです。したがって、抜本的な、林業の積極的な施策なり何なりというものが講ぜられなければならない。まあ最初に御答弁ありましたように、計画自体を再検討するというが、計画はもう農林省の計画なり何なり、これは林野庁ばかりでないです。農林省の計画計画であって、実績とはなかなか、非常に大きな食い違いが出てくる。これはもう林野庁ばかりでないです。が、しかし、今後の計画を改定する、計画を改定するだけでは済まない問題なんですね。とにかく、国内生産よりも外材が多くなって、外材国内木材価格を支配する段階になって、これ、たいへんなことなんですね。ここ二、三年の状況でしょう、それは。四、五年前までは、これは予想もできなかったことです。そういう事態にきているわけですからね。私はそういう意味における——これは、いま私が申しているのは、この計画量に対して実績がどうであるかという点だけの論議でいま話しているのですがね。その原因については、もっと深刻にやはり検討をする必要があるのではないかと思います。  そこで原因でありますが、先ほど二、三の例をあげているようですけれども、また、民有林実態調査もやられているようでありますけれども、こういう、日本の林業自体が、長期見通しとは非常に大きな狂い——生産停滞するような状態狂いが出てきている。そうして外材に仰がなければならないそういう状態。そこで、昭和五十年度を目標とした見通しの結果についても、需要量一億二千万から一億二千八百万を見通しております一ね。それに対して、林業施設が現状のまま推移するとすれば、国内供給量はチップを除き五千三百九十万立方外材は約六千六百九十万ないし七一千四百五十万という見通しを立てておりますね。で、五千三百万の国内生産に対して七千四百五十万の外材輸入となるというと、これ外材のほうの比率はどうなるんでありますか、これ。おそらくこれ六〇%か、それ以上の比率になるのじゃないですか。そうすれば、これは現在は木材は石油に次いで第二番目の輸入額ですわね。これ、石油を追い越すような木材の輸入になりますよ。そういう膨大な木材を輸入しなければならない段階がくる。それが昭和五十年、あと五年後です、これ。そういう点について、いまこの長期見通しの再検討をやる、こういうことのようですが、すでに林政審議会から建議をされ、その建議に基づいて林野庁は何とか計画の練り直しなり七積極的な林業政策を打ち出さなけりゃならない段階に私はきていると思うんですよ。そういう林業自体の危機感というものについて、認識があまりないんじゃないかというような感じがしているんですね。私はそういうふうな感じがするのです。  それじゃ一体、需要量は一億二千万から二千八百万、需要量はだんだん拡大するわけですから。そうかといって、国内生産はそうは伸びない、あとは輸入だと。これで一体いいのかどうなのか。したがって外材は、それじゃ足りないものを、かりに七千四百五十万を外材に仰ぐとして、昭和五十年度までに七千五百万の外材を輸入することが、将来とも飛躍的に外材が多くなっていって、相手先の状況というものが一体どうなんだろう。資源的に、貿易手続的に、足りないから足りないものは外材に仰げばいいんじゃないかという投げやり的な計画でいいのだろうか。で、外材についての南洋材——ラワン材、さらに米材、ソ連材、これがまあ三つの外材のあれですが、その外材の輸入可能量というものはどういうように検討されているか。必ずしも私は輸入相手国の木材生産状況というものが、そんなに日本の需要に対して対応できるような安易な状況にあるとは考えられない。この外材の輸入先の、相手国の状況をどうふうに把握されているか、この点をお伺いしたい。
  33. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 外材の相手国の状況、まず簡潔に申しますと一口に言いまして、ここ当面は輸出国の最近の丸太輸出制限などはございますが、相手国の経済情勢に急激な大きな変化がない限り、当面は安定的な輸入は可能であろうということが一口に申せられます。なお、アメリカ、カナダ、これは輸出制限、丸太の輸出制限の動きも確かにございます。実際にもその制限も実施をされておりますが、今後、大幅な増加は見込めないにいたしましても、いままでぐらいの量は当面期待していいんじゃないかということが言えます。それからシベリアでございますが、ソ連は非常な森林資源の豊富なところでございますが、資源的には十分なものがございますが、いずれにしましても未開発の森林でございまして、これも大幅な増加はなかなか期待できないんではないかということが考えられます。  それから南方諸地域、これにつきましては、いままでの一番の最大の輸出国でありましたフィリピン、これは資源的にまた国内木材工業がだんだん伸びてまいっておりますので、フィリピンは逐次減少するであろう、その減少も相当な幅で減少するということが言われておりますが、サバ、サラワク、これも将来大を期待できないであろう。大きく期待できますのは、インドネシアのカリマンタンその他の地区でございますが、これはまだ未開発の膨大な資源がそこに残されておる。問題はその開発の資本と技術でございます。後進国でありまして、速急な開発は期待はできませんが、それを開発輸入と、外国の資本と技術を導入いたしまして、開発が逐次順調に軌道に乗りつつあるという状態で、将来はインドネシアから相当大きなものが期待できるんじゃないかということでございまして、以上申し上げましたように、相手国の情勢を申し上げましたが、最後に、特に南洋地方におきまして、森林資源も十分に把握されておりません。また、そっち方面の技術者も、十分訓練をされた者が現在おらない情勢を踏まえまして、予算的に、森林調査、空から空中写真による森林調査と、それから技術者の養成訓練というものをいま予算化いたしております。
  34. 北村暢

    北村暢君 いまの長官の御答弁では、現状程度の、大ざっぱに言って現状程度の輸入には支障がないというようなことのようですがね。   〔委員長退席、理事亀井善彰君着席〕 南洋材を見ましても、五〇%はフィリピンから輸入してるわけですけれども、フィリピン自体が輸出制限を始め、みずから加工する、国内加工するという方向一に転換していることはもう間違いないのです。さらにインドネシア、マレーシアという方向についての話がありましたが、現在は台湾、韓国というのが日本の競争相手である。いままでの日本の合板材がアメリカに相当輸出されておりましたけれども、これはもう現在非常に停滞をして——停滞というよりも急速な減少傾向、これにかわって韓国の合板がアメリカに輸出されておる。韓国は安い労働力でもって日本の合板と競争して、はるかに安い値段でアメリカに輸出できる要素を持っている。日本の合板は立ち打ちできないわけですね。そのために、輸出面における合板というのは大幅に減っているでしょう。いま台湾がそれをやっているわけです。台湾も韓国も南洋材でしのぎを削っていまインドネシアなりマレーシアに行っている。そういう中で、日本が安易にマレーシア、インドネシアに、いままでの外材だけでいかないということで、いまおっしゃるように開発輸入にならざるを得ないわけでしょう。しかも人の国のところを空中から写真をとって調査して、そして技術を持ってきてというのは、これはどちらかというと、開発輸入というやり方そのものについてこれは相当慎重にやらないというと、また日本は経済侵略をするであろうというふうに受け取られるという問題を含んでいるんです。ですからこれは南洋材等においても私はそんな簡単なものじゃないと思うんです。  さらに米材については国内で規制しておるかというと、明らかにこれは連邦の法律をもって成立さして昭和四十三年に輸出制限の法律が制定されておりますが、アメリカの連邦において法律を制定して四十四年の一月から実施しているということでしょう。そういう点からいって、法律で輸出制限をするものをきめて実施しているのはここ一年のことなんですよ。ですから、米材においても今後飛躍的に輸入の増加は期待できないのではないか。この計画からいけば外材は四千五百万立方か五千万立方のやつが七千万立方輸入しなければならないということになる。これは増加は建築用材その他が多いわけで、米材に期待しなければならないという問題ですからこれはたいへんなことだと思うんです。ソ連材はソ連材で、資源は豊富であるけれども、どんどん奥地化していって、なかなかこれは沿海州の海岸まで出すのにたいへんな困難を来たしつつある。北洋材だってそう簡単に、あることはあるけれども利用ができないという状態にいまあるんじゃないですか。  したがって、長官がおっしゃられるように、国内生産でできないものは外材をどんどん輸入すればいいじゃないか、そういう計画になっておるのですね。もう、ぎりぎり一ぱい国内生産を見積もって、需要量に足りないものは外材に仰ぐ。それで需給のバランスをとっているのでしょう、計画自体が。そういう安易な状態における外材依存の需給のバランスをとる計画でいいのかどうなのかということが私は非常に問題があると思う。だから林政審議会需給目標を立てた五十年度ですら、もうすでにそうでしょう。大体、いまの戦後のいわゆる乱伐後における造林というものの成果があらわれてくるのは昭和六十年以降でしょう。したがって、五十年でこれですから、五十年から六十年までの間というものは、これは国内生産力が飛躍的に伸びるという要素はないと思うのです。したがって、これはそういう意味においてはこの林政審議会の五十年目標需給見通しというものは、六十年を見通した場合に、まだ苦しい状態に私はくると思うのです。そういう点からいって、いま長官が仰せられた外材の輸入の見通しというものは現状程度ではあまり支障がなく入ってくるという見方ですね、これは私はやはりそういう不安定な外材に安易な期待を持っての需給計画というものは非常に危険であるというふうに思うのですがね、この見解はあなたはどう思っておられますか。
  35. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま先生の御質問、まさに私もそのように考えます。外材国内木材需要に対して不足しておる供給を補うために外材を入れておるということで、林政の基本はやはり国産材優先といいますか、国産材によってできる限りの供給をまかなうというのが第一義的には必要であろうと思います。その上にどうしても足りないものを外材に仰ぐ。ちょうどいま、戦前の日本国内造林をされました大正、昭和の時代から見ますと、現在、昭和五十五年——六十年くらいまでが日本林業の端境期ということが言われるのではないかと思います。その端境期をどうやって乗り切るかということが一つの当面対策になるわけでありますが、その当面対策の一つとして外材を考えざるを得ない。その外材は、先ほど申し上げましたように、当面と言いましたのは、しいて申し上げますと、五年かそこらぐらいの期間はまあいままでの程度のものは何とか輸入されることを期待してよろしい。それから先のことは必ずしもわからない。外材といえども資源的な制約がございます。またコストの面でもいろいろと問題がございまして、その木材長期見通し需要国内供給差し引き外材という単純なやり方がはたして今後できるのかどうか、非常に疑問でございますが、いま検討にとりかかろうとしておる長期見通しの改定、これにいたしましても、国産材と外材、また総需要量というものをにらみ合わせましてまあ両々調整をしていかなければいけない、ただ足りないものはすべて外材だという単純な考え方ではいかないんではないかということで、いま目下慎重に検討を進めておる状況でございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 時間ですから、ここのところだけで終わりますがね、午前中は終わりますが、昭和四十四年の外材輸入量は白書によるというと四千八百七十五万立方メートルですわね。ところがあなた、五十年目標のやつは七千四百万立方なければ——これは最大の場合ですが、六千六百九十万から七千四百五十万と、現状状態でいけば。これは長期見通しに合わせるように林道開発から何からこれから急ピッチでやればの場合はですね、その場合は五千五百五十万立方から六千三百十万立方、こういう見通しでしょう。いまの長官のおっしゃる五年くらいの見通しというのは、いまから五年といえばちょうど昭和五十年だ。それで現状程度くらいしかといったら、五百万立方くらいしか期待できないことになっちゃって、この五十年の見通しですら需給のバランスが合わなくなっちゃうんですね、これ。そういう状態ですよ。ですからね、まあ皆さんの長期需給見通しなり生産なり、これから検討するとおっしゃるんだから、まあ大ざっぱな質問をしただけで、非常にこれは計画を立てる、見通しをする上においても、需要量の急速な伸びに対して供給が非常に困難であることだけは私はわかるのではないかと思うんです。そういうきわめて危機的な状態にあるということだけで、まあ午前中の質問を終わっておきましょう。
  37. 亀井善彰

    ○理事(亀井善彰君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会  〔理事園田清充委員長席に着く〕 。
  38. 園田清充

    ○理事(園田清充君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有林野活用に関する法律案について質疑を行ないます。
  39. 北村暢

    北村暢君 午前中主として長官長期計画とその実績等についての質疑をかわしたのでありますが、今度の白書で、国産材の供給量は前年に引き続き四。四%減少して四千六百八十二万立方となったと、こういうことで国内木材生産は増加どころか減少しつつある。この原因等についてどのように分析されているかお伺いしたいと思います。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 さらに昭和四十四年度でありますが、ここ数年の間に、減少傾向にある木材生産をどの程度まで生産を高め得るかが私は非常に問題だろうと思うのであります。その高めるための施策、そしてここ数年といえば昭和五十年目標ですが、昭和五十年度までにどの程度まで高める見通しをお持ちになるのかどうか、これは検討されておるかどうか、見込みをひとつ知らしてもらいたい。
  40. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 昭和五十年度までに国内生産をどの程度まで引き上げられるかということでございますが、四十四年の十月に林政審議会から建議を受けましたときには、先生に先ほど申し上げましたように、六千万立方前後の国内生産が期待をされるということでございましたが、その後情勢も変わっておりますことに対応しまして、いま見通し改定作業をしておるということが一点と、それからもう一つは、四十五年度に予算をちょうだいいたしまして、国内の主として民有林に対する生産力の潜在的な力を調査しようということでやっておりまして、そういったものがいま逐次集計されつつございます。そういうのをもとにいたしまして見通しをあらためて立て直したい、このように考えております。
  41. 北村暢

    北村暢君 見通しを改めたいというのですけれども、現実にいま生産供給量が減少傾向にあるわけですね、ここ数年。長期計画によればこれは五十年で七千万立方生産を見込んでいるのですね。ところが四千六百八十二万でもって四十四年度で、年々減ってきているわけです。したがって、この林政審議会の四十四年度の六千万立方見通しすら非常に困難ではないかというふうに私には思われる。一体、林政審議会はこれを建議したんで、相当林野庁の資料等も使ってやっているはずなんです。それすらもいま私はあぶないのではないかと思うんです。ですから、行政当局としていま民有林の林力を調査してその検討をしていますという段階ではないんじゃないか、これは。  ですから、私はこれは長期計画から言えば七千万立方ですよ、五十年までにあと五年間の間にここへ持っていくなどということはもちろんできない。四十一年度に立てた計画で、四十四年度ですでに十万立方すでに引き下げて見通しをして、その四十四年度に見通したものそのものがもう直ちに四十五年に林政審議会見通したものがあぶない、そういう状態じゃないですか。だから、それもわからないで一体あなた方は木材国内生産自給率を上げるとか上げないとか、造林はうまくいっていますとか、林道計画計画年度のあとがまだたくさんありますから、そこに集中してやるとか、努力いたしますとかということを言っておるけれども、そんな無責任なことで一体あなたいいんですか。私は、だから大臣にこの際林業の危機というものについて全く認識されておるのかされてないのか。きょう、NHKかで、外材の輸入についての何かテレビかなんかでやるらしいんですがね。国民全体がこの林業の危機なんというものについて全然無関心でいるんじゃないかという感じさえする。行政当局ですら危機感というものを感じていないのではないかと思うんです。大体、長期計画の五十年目標の七千万立方がだめだ、四十四年度に見通した五十年の六千万立方、これがいくんですかいかないんですかというのは、まだ行政当局はこれから検討いたしましてなんという段階で、そういうのんびりしたことでいいのかどうか、大臣の責任ある答弁をいただきたい。
  42. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話の将来の見通しにつきまして、お話のとおり林政審議会等で二回、いまお話のを承りましてもなかなかこれはわれわれが実行していくのにたいへん困難な状態であることであります。そこで、そのことをも含めて私どもにとりましては、現在の林政というものが非常にむずかしい段階に差し迫っておるということは十分行政当局も認識しているわけであります。したがって、これにどのように対処すべきであるかということにつきましては、私どもも部内においてそれぞれの資料を検討し、そうして林政審議会その他学識経験者にお願いをいたしまして、それらの点について十分の検討をしていただいて、腰をすえて対拠しなければなるまい、このように考えておるわけであります。
  43. 北村暢

    北村暢君 いま国内生産のことだけ言いましたが、国内需要は先ほど言ったように昭和五十年目標長期計画では一億立方です。ところが需要は二〇%から三〇%、二七、八%ふえるだろうという見込みなんですね。生産は逆に一〇%、これでいけば一〇何%ダウンですよ。需要伸び供給はダウンするでしょう。この開きはたいへんなものになってくるでしょう。それを安易に外材でカバーしよう、こういうことになってくるでしょう。それで非常な危機の状態です。需要量は一億立方目標のやつが一億二千万ないし一億二千八百万にふえるわけです。供給量は七千万立方国内生産をしようという計画になっているのが、もう四十四年で六千万立方、一千万立方ダウンした。それすらもいまできるかできないか。いま減少傾向にあるのですから四千六百八十二万立方で、これが四十四年。四十五年もおそらくこれは横ばいか減少傾向でしょう。ふえるという見込みがないじゃないですか。七千万立方を予定しているのが四千五、六百万のところで停滞をして、そういう需給のアンバランスというものは非常に大きな勢いで開いていっている。これを危機という認識ですね。認識だけでは私は済まぬと思うのですよ、全くどうしようもない段階にきているのですよ。これは。  そこで大臣に私はこの危機の事態というものを認識されると同時に、そういう数字の開きになってあらわれてきている現状において、それじゃ一体この林力を増強する、生産力を増強するための積極的な施策というものはあるのかないのか。いまからこの計画自体を生産力、民有林生産力を調査をして、計画自体をその現状に合わせるような計画なんかつくられたって意味ないのです、これは。これから計画つくるというのでしょう。見通しをしようというのでしょう。そんな段階じゃないのですよ、これは。見通しを立てただけで済む問題じゃない。何とかしてこれは解決策を具体的に講じなけれゃならない。需要量がもうものすごく伸びるやつを押える何か統制でもしなけりゃならない、そんな段階にきているでしょう、と思うのです、私は。ここ数年来これはたいへんな事態だと思いますよ。それかといって予算伸びその他から見て、いままで林道関係にしても計画どおり、もちろん計画の六〇%くらいしかいかない、造林計画を下回っておる。需要だけはどんどん伸びる、計画をはるかに上回る。こういうふうな事態現状は何とかかんとか切り抜けたとしても、将来のことを思えば、これは林業ですから、いま講じた施策が直ちに来年効果をあらわすという問題じゃない。三十年後、四十年後でなければ、ことし講ずる施策が生きてこない、そういう問題でしょう。  だから、今日の危機は、私から言わせれば、もう相当長期にわたってこの危機が続くんじゃないかというふうに思われる。それを克服するというものはあの長期の見通しを見ただけでも、六十年以降生産が上がってくることになっているけれども、それは計画どおりいった場合の話であってね。造林も、林道もはるかに計画より下回っている場合に、あの計画見通しどおり六十年になって生産が上がってくるのかどうなのかという点について非常に疑問を持たざるを得ない。そういうことなんですよ。ですから、そういうふうに努力いたしますとかなんとかじゃなくして、私はこれはもう緊急の課題としてこの事態というものを何らかの手段を講じてやらなきゃならない段階にきていると思うんです。したがって、私はこの四十四年度の前年度比四・四%減の四千六百八十二万立方というものは今後五年くらいにどうやって上向いていくのか、そういう自信のある施策というものはあなた方お持ちなんですか、どうなんですかということを聞いているのですよ。これから見通しをするんですなんということを聞いてみたところで、これは意味ない。それほど怠慢であったということになるのですね、これは。どうですか。
  44. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) これいままでもしばしば当委員会でも機会あるごとにお話し合いのありましたのは、いまのわが国の林業の危機についてであります。これはまあ国有林民有林合わせて林政全体の問題だと思いますが、要するに、需要が非常に急激に伸びてきておることはもちろんでありますが、わが国の特殊な事情である時期に非常に乱伐が行なわれ、そうしてそれの補充的植林がともすればおくれがちであったと、そういうことが今日まで尾を引いてきているものが非常に多いとわれわれも思っておるわけであります。したがって、そういう点についての林政当局としては国有林はもちろんのこと民有林とてもできるだけの助成をいたし、たとえば拡大造林あるいはまた林道、そういう施設に全力をあげることによってできるだけの生産をあげるようにいたさなければなりません。そのために審議会等をわずらわしていま御審議を願っておるわけでありますが、その審議会の御答申を得て、それに至る過程においてもすでに御指摘のように、非常に計画にも困難性が加わってきておるということで、したがって、私どもはこれからはひとつできるだけ合理的に経営を行ない、同時にまた生産伸びるためには一体どういうことが必要であるか、これは労働力確保も必要でありましょうし、それから経営の抜本的な再検討も必要でありましょう。さっき長官がお答えいたしました簡単なことばの中にもそういうことを含めてお答えいたしておると思うのでありますが、現状に対してわれわれは十分認識を持っておりますので、学識経験者等の意見も徴しながらそういうことに全力をあげて対処してまいる体制をすみやかに整えてやっていかなければならない、このように部内では話し合っておるわけであります。
  45. 北村暢

    北村暢君 この危機の状態というのはここ二、三年の問題なんですね。急速に外材がこうふえてきたと、ふえざるを得ない状態になってきたのですね。ふえざるを得ない。ここ二、三年の問題です。いま戦後の何とかというような御説明ありましたけれども、この乱伐なら乱伐に対して対応するような対策は、戦後造林臨時措置法でそうした措置も講じましたし、やってきたわけです。それで、この計画ができたのは四十一年ですから、長期の見通しを立てたのは四十一年です。四十一年に立てて四十二年からもうすでに狂っちゃった。四十四年にいま林政審議会建議をして、これもまた四十五年にいま狂おうとしているわけです。見通しすらですね。そんな目まぐるしい危機状態にあるということなんです。  それで、林業行政上における従来の予算措置その他をずっと見ましてもね、画期的な予算の措置が行なわれたわけでもなければ何でもない。自然増を含めて大体国の予算伸び率程度予算伸びしかしてない。それで一%でも予算伸びたらもう鬼の首でも取ったように役人はいばっておる、そんな状態でしょう。ところが、需要状態はそんな状態で、対処できる状態ではないのですよ。だから私は午前中二時間かけて長官——いや造林は大したことない、うまくいっているような話をしますしね、林道のほうはいまおくれておるけれども、もう少しすれば追いつくように一生懸命やるのだという程度のそういう認識では、今日の林業の危機というものは私は打開できないと思います。この数字からいったってそうでしょう。自給率最低七〇%といったのが自給率四十何一%に下がっちまっているのですから、外材のほうが多くなっているのです。しかもこれは五十年に至るというと、さらに、もう四、五年の間に外材のほうが七〇%くらいいくようになってしまって、日本の国内生産が三〇%か四〇%になろうとしている、そんな事態なんです。ですから認識程度で、いま学識経験者の意見も聞いてだの何だのという段階じゃないのです、これは。  あなた方いま米が余ったら三千億でも何でも出して生産調整してやらなければと緊急措置を講ずるでしょう。林業のほうはたいへんな危機になっているのに予算伸びは一向平年度どおりでしょう。どれだけ目新しい画期的な予算ができたのですか。そんなものはないのです。そういう状態でしょう。そういう認識でいいのですかということを聞いている。これはたいへんな事態ですから、ひとつ認識をし直してもらわなければならない。しかもいま私がお伺いをして、生産を上げるという、これは一年や二年で来年から直ちに生産を上げるということはできないでしょう、林業ですから。農業の一年の作物と違うのですから、そういうことはできないということは百も承知でありますけれども、現状のままでいけばもう十年後、二十年後、四十年後が非常にたいへんな状態になるんじゃないですか、ということを私は心配しているのです。ですから、そういうことを私はくどく言っているわけです。これでおそらく需要量はまだ伸びていく。生産もそれに従って伸びるでしょうけれども、この長期計画を見ましても、相当な、生産量においても倍くらいいかなければならないことになっているでしょう。  大体あなた、長期見通しでは五十年が七千万立方、九十年には一億三千二百万立方ですよ。一億四千万と倍にならなければならない。ところが現在は停滞したままでしょう。のぼっていくような傾向はいま出ていない。これは六十年、七十年には上向きにはもちろんなるでしょう。ならなかったらたいへんなことでしょう。なるでしょうけれども、いまの計画どおりいった場合における計算でこうなるのですから、先ほど言ったように、林道は六〇%、造林は八〇%ちょっとでしょう。そういう計画に対してそれしか行っていない。需要量は一二〇%、一三〇%伸びる。このギャップはたいへんなものです。そういう点でひとつ大臣のこの問題に対しての、私は危機感に対しての決意というものをここではっきり示してもらいたいと思うのです。これは学者の意見を聞いてだとか、見通し検討し直すつもりですとか逃げられない問題なんです、これは。見通しを変えてみたところでこれは急速に生産がふえるわけじゃないんですからね。  そういう点でこの今日の林業の立ちおくれというものの原因の究明なり、いかにして生産を上げていくかということの具体的な施策というものが私はここに明示されなければならないと思うのです。これだけあんた計画実績狂いが出てきてどうにもならない段階にきている。それでもなおかつ何らの施策もないというのだったらこれはどうにも方法ないと思う。しかもこの条件は非常に悪い。昭和六十年までは先ほども言ったように、大臣のおっしゃるように戦時中、戦後の乱伐のブランクがあるわけです。それがちょうど五十年から六十年にぶつかる。生産を上げようたって上げられないという段階ですからね。しからばこれはどうするかということ。こういう点について大臣は危機というものを認識していますというなら、しているような具体的な施策はどういうふうに検討されるのか、はっきりしていただきたい。
  46. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) これは先ほども申し上げましたように、しばしば林政についてここでもいろいろお話があり、当局も十分そういうことは認識をいたしておるのでありますが、とにかく御指摘のように用材の率から申しますと外材のほうがだんだん多くなってきておる。これはわが国の経済成長等に伴う建設関係等の状況もあるでありましょうが、私どもといたしましては、やはりこのおくれを取り戻すためには全力をあげてやらなければなりません。それは先ほど来事務当局もお答えをいたしておると思いますし、私どもも例年予算編成にあたりましてもやはり必要な手段についてはできる限り予算措置を講じてまいったわけでありますが、それでもなおかつ先ほどお話の中にありましたように、林道等の一ヘクタール内のあれについてはまだはるかに諸外国の森林国から比べて劣っております。それらのことについて十分私どもも政府も認識をいたしておりますので、そういう点については事務当局をもちろん鞭撻し、また政府は予算的にもできるだけ努力をいたしまして、このおくれを取り戻すために全力をあげなければならない、そういうことの計画を立て計画的に進めてまいりたい、こういう考え方を持っているわけであります。
  47. 北村暢

    北村暢君 大臣が見えませんから——大臣の答弁もこれはさっぱり精彩がなくて感心しないのですが、それくらい長官、今日林業の問題は私は危機に対応する措置その他において私はこの危機をただ傍観してきたというふうにしか受け取れない。それでそのために今後の画期的な施策を要望したいのでありますけれども、ここら辺でこの問題は一応置くことにいたします。  次にお伺いしたいのは、新全総できのう杉原君から質問がありましたように、昭和四十年から昭和六十年を目標にいたしまして、森林の面積は二千五百十七万ヘクタールから二千四百万ないし二千四百五十万ヘクタールに減少を見込んでおる、農用地のほうへ転換をするという見込みになっているわけですね。それでこの計画は企画庁の案でありますけれども、これは政府の案として公表されているものであります。ところが、ここにも、自然の保護及び森林保護のためにほぼ現状程度の森林が確保されるということを文章上は言っておるのでありますが、面積的には百万ないし五十万ヘクタール減ることになっております。ところがいままで論議いたしました長期の見通し、それから四十四年のこの林政審議会建議基礎は、森林面積は現状維持ということでなっておりますね、現状維持。  したがって、私がお伺いしたいのは、農林省、林野庁計画は、森林面積は現状維持ということで需給見通しを立てておる。ところがこの企画庁の新全国総合開発計画によるというと、面積は五十万ないし百万ヘクタール減ることになって、しかもこの農用地の拡大につながっておりますから、この農用地に適するところは森林にとっても経済性の一番高いところであったはずである。そういう面積が減って、なおかつこの長期の見通しなり何なりというものは達成できるのかどうなのか。また、この新全総の面積の減少国有林民有林を通じて減る割合はどのように想定されているか。これはおそらく農林省にも企画庁は協議をしてこの計画はできているはずであります。したがって、この面積を減少することについての見込みというものは一体どういう基礎のもとにできているか。これは国有林民有林の別にひとつ明らかにしていただきたい。
  48. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) どうもたいへん失礼しました。民有林国有林の内訳は、この新全総計画ではございません。
  49. 北村暢

    北村暢君 それじゃ、この百万ヘクタール、五十万ヘクタールというのは当てずっぽうに減らそうというのですか。何ら具体性のない計画なんですか。
  50. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 確かにこれは農林省としても合議は受けておるはずでございます。そこで、森林が五十万から百万ヘクタール減少するということは、国土の土地の高度利用という将来の目標を考えますときに農地とか草地、そういうものが増加するという計算になっております。その増加が両方合わせて、農用地合わせて、六百万ヘクタールが六百五十万ヘクタールから七百万ヘクタールに増加するということ、それから原野が百七万ヘクタールありましたものが六十年には三十万ヘクタール減少する。森林もいま先生おっしゃいましたように五十から百くらい減少するという、ある一定の幅をもって見通し計画がなされております。そういった点から重ねて申し上げますが、国土の高度利用という観点からこのような構想が策定されたものと思います。
  51. 北村暢

    北村暢君 だから高度利用のためにそういう計画になっている。それはやはり畜産振興ということを一つには考えて、畜産振興なり果樹振興というものを考えて、想定してそれができている。これは一つの政策目標ですから必ずしもこうなるとは、もちろんならぬかもしれませんですね。ならぬかもしれません。しかしこれは各省と協議をし、各省から担当官が参画して、そうしてできているものであって、決して企画庁独自で無関係にやったものではないことは明らかであります。したがって、その問題は、私は森林を農用地に転換をするということについて、なぜ国有林民有林の別を聞くかというと、相対的な問題として今後の農業生産というものを拡大をしていくという点については、これは考えられることなんでありますが、この大部分が国有林になるのか、民有林になるのかということは、これは林業政策上の立案の上からいっても、これは当然考慮に入れないというと林業自体の生産計画が成り立たないということになるのではないでしょうか。この新全総で「森林資源計画的培養」というところで、面積がこれだけ減っても、なおかつ、生産基盤林道開発あるいは低質、過熟天然林について生長率三倍の人工林に積極的に転換をしていく、人工林は現在八百万ヘクタールくらいでしょうか、それを人工林を一千二百万もしくは一千三百万ヘクタールに造成をして、面積が減ってもなおかつ六十年目標に九千万立方国内需要量を確保できる、こういう森林資源の培養計画ができているわけです。これは面積が減っても、これだけ九千万立方を確保できるという、先ほど言ったように四千五、六百万立方でしょう、約倍の国内生産量に持っていくという計画になっている。これは政府の計画なんで、林野庁はこれに参画しておりませんとは言えないはずだ。これは昭和六十年を目標ですからね。先ほどの六千万立方というのは昭和五十年目標。面積が減ってなおかつ三千万立方ふやせるという見通しに立って推算がなされているわけです。それが国有林が減るものだか、民有林が減るものだかわけがわからないで、こういう数字が一体出てくるのかどうか。これはそんな大ざっぱなものなんですか。この新全総というのは全く架空の机上の計画であって、実現できるのかできないのか、それはもうあまり重要ではないというふうにお考えになっているのかどうか、ここら辺のところは林野庁と企画庁との調整がどういうふうになされているのか。こういう閣議決定をしたものが、四十四年の五月三十日にこれは閣議決定している問題ですからね、無関係に出てくるということはあり得ないと思うのです。これはどうなんですか。
  52. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 新全総は経済企画庁で担当いたしまして閣議決定をいたしておる計画で、政府全体の計画でございます。当然その限りにおいては農林省としても参画といいますか、相談を受けておるということでございますが、この新全総計画そのものが実地から積み上げた計画ではございません。全国的にマクロ的にこれを見通しをいたしまして、農地であれば将来増加するであろう果樹とか酪農、そういうことから土地の開発計画が立てられ、一方宅地にいたしましても、この計画では七十八万ヘクタールあるものが六十年には百二十万から百三十万ヘクタール、大幅にふえる計画が出ております。こういったマクロ的なそれぞれの土地利用の六十年目標をはじき出しまして、最後に森林というものにしわ寄せということばが適当かどうかわかりませんけれども、森林というものに土地利用の上から、また土地生産性の上から、最後にそういう土地利用の調整が森林というものに押し寄せられてくるということはある程度やむを得ないと、このように考えるのでございますが、その土地利用計画というものが適正な将来の日本経済上必要なものであれば、まあこういったことになるということでありまして、これがいい悪いはこの場で申し上げるべき筋のものではないと思います。
  53. 北村暢

    北村暢君 いい悪いではなくて、国内木材供給量の九千万立方というのは農林省の長期見通しの六十年九千万立方というこれと一致しておるのですよ。したがって新全総の推計というものは農林省の長期見通しというものを基本に使っておる可能性がある。その場合、林野庁長期見通しは、面積は現状のままいくという計算になっておる。計算がこういうふうになっておる。ところが企画庁のほうは、先ほど言ったように、五十万から百万ヘクタール減るということを前提にしておる。減ってもなおかつこの長期見通しの六十年国内生産九千万立方というのは、これはしりだけは合っておるのですよ。ですからどういう推定でなされたか知りませんけれども、ややこの農林省の長期見通しというものを踏襲しておるような感じを受けるのですよ。  ですから私がお伺いしておるのは、先ほど言ったように、農林省の見通しは、森林面積は現状維持、企画庁のほうは五十万から百万減る、しかもそれは農用地に転換するのですから山のてっぺんの木のはえてないところをやるわけはない。やはり森林にもいいところを転換するに相違ないのですね、これは農用適地なんですから。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 それでなおかつ生産が同じようにあげられるというのですから、そこら辺のところは何か相談があってなおかついけるという見通しに立っておるのではないかと推定しますから、それでお伺いしておる。それであったならば、国有林民有林の区別くらいどのくらいというものが推定されてこの数字が出てきたのではないだろうか、こう考えておりますからね。
  54. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 新全総につきましては、先ほども申し上げましたように、国有林民有林別には積み上げておりません。それから、林野庁長期計画長期見通し、これはこの積算をいたしました資料としては、一応国・民別の資料はございますが、閣議決定その他公表をいたしましたものには内訳が出ておりません。いずれにしましても、この新全総、まあ林野庁長期見通しもマクロ的にこれをつかまえてみたということでありまして、細部につきましては、まあ若干その不備な点もあることを率直に私ないとは申せない点があると思います。
  55. 北村暢

    北村暢君 どうも答弁がはっきりしませんがね。政府の計画されるものの中に、農林省の計画と企画庁の計画が食い違って数字が出てくるということは、これは私はちょっと問題があると思うんです。したがって、そういう食い違いはないんだと私は思うんですよ。それなりに理由があるんだろうと思うのです。ですから不備とか不備でないとかいう、不備であったら、不備であるものがあればそれはいけないんで、不備でないようにならなければならない、協議がなされて、できるできないということではっきりされなきゃ、しかも公表されたものには表の数字だけで、やはり裏にはこれを積み上げた数字基礎というものがあるわけですね。偶然にこれができてくるわけじゃないもんだと思うのです。したがって、これはわからないわけじゃない。わかっているわけなんですよね。それで企画庁の意見と農林省の意見が合わなかったというんなら、合わなかったという点はあるかもしれません。合わないなりに企画庁は数字を載せたという点はあるかもしれませんけれどもね。どうもそういうことがあっちゃいけないのではないかと私は思います。  まあこれは論争していてもしょうがないので——私はそこをなぜ聞くかと言うと、農用地のための林野の高度利用ということは、今度法律で出てくる国有林活用だけでは私は目的を達しないのではないか。しかも五十万から百万ヘクタールということになりますと、これは国有林だけで消化するわけにもちろんいかないでしょう。ですから、これは当然民有林も高度利用の見地から、農用地として転換をしなければならない、そういうことが基礎になければならない、これは林業のほうは生産量がきまっておりますけれども、これは畜産の関係においても新たに百四十万ヘクタール程度の草地を確保して、飼料基盤を強化することにつとめる必要がある。その場合の乳牛と肉用牛は約一千万頭を飼養する目的で農用地の造成というものが計画、見通されているわけです。だからこれは偶然じゃ、でたらめじゃないんですよ。一千万頭の乳用牛と肉用牛を飼養するためには、少なくとも一百四十万ヘクタールの草地を確保しなけりゃならない。そういうことで畜産の関係とも密接な関係がある。百四十万というのは、これはちょうどこの林業、森林関係の五十万ないし百万、さらに原野の百六万が三十万で七十万ヘクタールぐらい原野が減ることになっていますね。これは主として農用地転換のためでしょう。そういうようなことでやはり計算の基礎というものは企画庁なりにはっきりしている。  ですから、私は先ほど来言っていることは、国有林が減るのか民有林が減るのか。マクロ的に百四十万というだけでどっちにどうなるのか、そこがわからないで、それじゃ農業政策、畜産関係の政策も林業関係の政策もあまりにも大ざっぱであり過ぎて、こういう見通された政策目標に向かって各省が協力して新全国総合開発計画というものが達成されるように努力する。その努力目標が示されていると思うのです。そういう意味で企画庁がマクロ的にやったものでしょうという程度で済まされていいものかどうなのか。これはいわゆる重大な問題ですよ。大体、企画庁のこの見通されている政策目標に対して総合開発計画に対して農林省は協力する意思があるのですか、ないのですか。
  56. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 新全国総合開発計画につきましてはただいま長官がお答え申し上げましたように、具体的な個々の積み上げというような形で土地利用計画ができておらぬわけでございますが、土地利用のフレームとしての数字が先ほど先生が申された数字であるというふうに私ども理解しております。したがいまして、どの地目からどこに何ヘクタール移動するというふうな具体的なものはございませんが、農用地といたしましてはこの四十年と六十年の間に五十万ないし百万ヘクタールというものがフレームとして確保される必要があるというふうにこの計画では表明されておると存じております。しかしながら、農林省といたしまして農用地開発事業が単なるフレームとしてではなくて、別な角度から別な調査をいたしておりますので、その点を若干御説明申し上げたいと思います。  昭和四十四年度に農地局と畜産局と共同で今後の農用地造成の可能地の面積を調査しております。これは個々の土地に当たった、いわば悉皆的な調査でございますが、この調査の結果によりますと、今後農用地として開発適地と考えられますものが農地面積といたしましては六十五万ヘクタール、それから草地といたしましては九十四万ヘクタールという数字が出ております。この中には国有林が入っておるわけでございますが、その比率を申し上げますと、農地に関するものが一三%、それから、草地に関するものが二四%、こういう調査の数字でございます。
  57. 北村暢

    北村暢君 それは、その調査は、いまの農用地として転換可能なものというのですね。できないものというのですか、ちょっと説明を。
  58. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 転換可能と考えております。
  59. 北村暢

    北村暢君 可能なものが……。そうしますと、約百三、四十万ヘクタールになるのですかね。そういうことですが、それは技術的に所有権その他の移動とかなんとかいうこととは関係なしに、農業技術的に見た転換可能なものということで、技術的に見て、傾斜度、土質、そういうものを見まして、可能なものがこれだけあるということであって、所有権その他の住民の意思その他を問いたわけではないわけですね。それはそこまで、住民の意思とか所有権とかまで含めて調査されたのかどうか。
  60. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 先生のおっしゃいましたように、主として自然条件、それから一部は——一部と申しますか、当然それが経済的に作物なり市場として成立する可能性があるかというような経済的な条件というものは調べておりますが、所有権につきまして、それがその所有者が農地に転用する意思があるかとか、あるいは外に出す意思があるかとか、こういうことにつきましては、調査書が、そういうことが非常に容易にで曇るような情勢にあるとか、あるいはかなりむずかしいであろうとか、こういうような判断をしておりますが、いわば自然条件あるいは経済条件というような見地から見たものでございまして、直ちにこれをもって即座に地目が変わり得るというようなものではございません。  北村暢君 大体事情わかりますがね。ですから、そういう可能なものが、そういう技術的に、自然条件経済条件で、森林原野が農用地として、構造的に物理的な条件その他でなり得るものがあるということですわね。それは政策目標として誘導する意味における指針には確かになりますわね。それは後ほどその資料を私にいただきたいと思うのですが、かつて農地白書が昭和三十何年ですか、六年ごろか、初めて農地白書を出したときに、開拓可能な土地が三百万ヘクタールあるということが出ておる。ですから、私どもの党でもそれが基礎になって、民有林国有林を通じて、これは区別はもちろんわかりませんが、農用地に転用可能のものは三百万ヘクタールある、こういうことが出ておるのですが、いまの答弁からするというと、調査した結果によると、それが百四、五十万ヘクタール程度のものだということが私は答弁でわかりましたが、それも実際に農用地に転換するかしないかはこれは所有者の意思というものが相当これは働くわけである。それだけであるから直ちにそれがというわけにはもちろんいかないと思う。ですから、そうしますと、企画庁あたりの転換の百万ヘクタールあるいは原野の農用地転換を含めて百四、五十万ヘクタール、ややこれは合っているような感じがしますが、どうなんですか。いまあなたの言った数字と企画庁が一千万頭の乳用牛、肉用牛を育成するために、百四十万ヘクタール程度の草地を確保する必要があるというのとやや一致しているように感ずるんですが、これとの関係、農林省のその調査の関係は無関係なんですかどうなんですか。
  61. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 当初申し上げましたように、農地局並びに畜産局で調査いたしました時点に若干ズレがございまして、むしろ農地局、局が調査を発表しておるのはこれよりもあとになっているようなことになっております。新全総ではこういう意味の積み上げの数字でないということは初め申し上げたとおりでございます。  それからなおストレートに全部林地から農用地のほうにいくというようなものだけではございませんで、当然ここにも、土地利用のフレームにもございますように、市街地とかこういうものに農用地自身が変わってくる部分が相当ございます。そういうような関係で、五十万あるいは百万というものが両方の数字が符合しておるようでございますけれども、実際にはもっと複雑な出入りがなければならぬというふうに考えます。
  62. 北村暢

    北村暢君 それからついでですからお伺いしておきますが、今度米の生産調整で、約五十万ヘクタールを作付転換をする、そのうち草地、飼料用作物というようなものに転換をするという計画を持っておるようですが、その見通しはどのようになるか。  それと新全総計画見通した当時に、そういう要素は含まれていなかったんじゃないかと思われるんですが、新全総当時見通したときと、米の生産調整を今後の五年間でやろうという計画見通しとの関係ほどうなっておりますか。
  63. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 新全総当時の米の見通しあるいは水田面積と最近におきますもの、特に具体的には農業生産の地域指標というような形で公表されておるわけですが、これとはおっしゃいますとおりに違っておるのでございます。つまり新全総当時よりも水田面積は所要量が少なくなってきておるという状況にあります。
  64. 北村暢

    北村暢君 これは新全総の当時は水田面積は若干減ることになっておりますが、若干しか減らないんですよ。ですから、現状維持といってもいいくらいですが、それで計画ができておりますね。ですから、これは五十万ヘクタール作付転換するということになれば、これは非常に大きな面積ですわね、水田面積二百七十万ヘクタールくらいですか、それの五十万ヘクタールというんですから、これはもうたいへんなものです。その五十万ヘクタールというのは、実は従来の林野の農用地への転換面積。これは農地改革のときに約三十九万ヘクタール余でしょう。そのほか、林野整備その他で国有林野を払い下げた総面積にいたしましても、これは全部合わせたって五、六十万ヘクタールだと思うんですね。だから、戦後の国有林が農用地に、あるいは農用地以外のものに転換をした総面積に匹敵するような面積なんです。ですから、これをいかに活用するかということは、これは畜産の振興にもきわめて重大な影響を持ってくるのでないかと思うんですね。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 それかといって、まあ野菜とか果樹とかいろいろあるようですが、とても五十万ヘクタールなんてものは消化できない。どうしても飼料作物、大豆その他に転換せざるを得ない、こういうことなんですがね。そういう面を見ますと、この新全総を計画した当時、それには五十万ヘクタールというものは含まれていないわけですから、しかも、これは五年後には作付転換をせざるを得ないと、農林省は重大な決意をしているわけですね。その利用方途というものの計画は、まあ何か出たものじゃ私も見たことがあるんですが、いまその資料持ち合わしておりませんが、それとの関係はどのように考えるか。これは計画部長ではわからないかもしれないから、政務次官がおられるから、政務次官に聞いてみましょうか。
  65. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 水田の転換を盛り込みまして、昨年の十二月に、先ほど申し上げました「農業生産の地域指標の試案」というものが公表されておるわけでございますが、この数字を申し上げますと、五十二年におきましては、耕地面積がおおむね五百五十八万ヘクタールということになっております。延べ作付面積で申しますと、六百三十六万ヘクタールという数字になっております。それからそのほかに草地がおおむね五十一万ヘクタール、これらのものが必要であるということにされております。それで作物別に見ますと、今後需要の増大が見込まれます耕地飼料作物、これは四十四年度のおおむね六〇%増の九十八万へクタール、それから果実、これがおおむね一六%増の四十七万ヘクタール、それから野菜がおおむね一五%増の七十三万ヘクタール、それから豆類がおおむね五六%増の五十三万ヘクタール、これらの増加が必要であるというふうになるわけでございます。それで、こういうようなワクが考えられておるわけでございますが、先ほどちょっと触れましたように、最近の都市の拡大による農地の壊廃、こういうものが相当量ございますので、そういうものを見込みまして、先ほどの畑作物における増加面積、そういうものを相互勘案いたしますと、余剰水田面積、これを全部いまの畑作物のほうに振り向けましても、なお相当量の農用地の造成が必要であるというふうな試算がなされております。これは試算の段階でございますが、四十五年度から五十一年度までの間に、農地としておよそ三十万ヘクタール、それから草地としては二十五万ヘクタールくらいがさらに造成されるというふうに試算としては出ておるわけでございます。
  66. 北村暢

    北村暢君 そのよけい要るということは、この生産調整の五十方ヘクタールを入れてですか。この計画の中に、五十万ヘクタールの作付転換が入っているのですか。
  67. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 五十万ヘクタール、これは入っております。これは先ほど申し上げましたような畑作に利用して、なおかつ農地の壊廃等を考慮すれば、いま申し上げたような数字が新たに造成することが必要ではないかというようなことが、われわれ事務的には試算できておるということであります。
  68. 北村暢

    北村暢君 それは何年度を目標に……。そういう草地と畑作ですか、合わせると約五十万ヘクタールぐらいですね、そういうものが必要だというのでしょう。それは何年度を目標に必要だということなんですか。
  69. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 五十二年でございますから、五十二年の需要量ということになりますから、したがって造成は五十一年までにやらなきゃならぬということでございます。
  70. 北村暢

    北村暢君 その五十万ヘクタール余の農地、新たに農用地造成の五十二年度目標の対象を、計画的に、具体的に——どこを何県幾ら幾らというような積み重ねでこの計画が具体的にできているのかどうか。
  71. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 地域指標のほうはこれは具体的に地域ごとに出ているわけでございますが、造成をどのくらいするかということは、これは先ほど申し上げました数字は差し引き計算で出したわけでございまして、具体的な地域というものはございませんが、ただし開発可能地調査というものは、これは地域ごとに、どういう地域にどれぐらいの開発可能地があるかということは出ております。
  72. 北村暢

    北村暢君 これは先ほど来質問しているのですけれども、農地局、畜産局の共同調査ということでしたね。それで共同調査に——いずれ農用地に転換するところは山林か原野に相違ないですわね。相違ないわけですから、それは農地局、畜産局が、林野庁なり都道府県なりに協力願って調査されておるのですか。
  73. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) その調査は具体的に県に委託して調査しておりますが、林野庁のほうに調査の中身について協力を願ったということでなくて、農地局と畜産局が独自の立場で調査しているということでございます。
  74. 北村暢

    北村暢君 独自の調査で、その調査した結果を五十二年度目標に農用地造成を、五十二年度というと五年か六年しかないわけですか、それは実際に調査した結果を政策目標として年次別ぐらいに割って造成をするということになっているんですか。その場合に、農地局と畜産局との共同調査で、提供するほうの林野庁との協議はなされておらない、それて実際にそういう農用地ができるようにお考えなんですか。
  75. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 農地局と畜産局が調査をいたしましたのは、これは全体の適地調査ということでございまして、その性格も先ほど申し上げたとおりのものでございまして、いま直ちにそれを実施するというような性質のものではございません。  それから五十二年までに必要になる造成面積というのは、これは繰り返しになりますが、差し引きこの程度のものが必要になるんじゃなかろうかということでございまして、これももちろん年次別に出してあるというような数字ではございません。実際に農用地造成を行なうというのは、これは別に県あるいは国がそれぞれに地区調査というものを実施いたしまして、そしてその場合には林野庁のほうにも、国有林等がございます場合には十分相談いたしまして、今後造成しようとする土地を決定するというような手続をもちろん行なうわけでございます。
  76. 北村暢

    北村暢君 従来も国営のパイロットとかなんとかでやっていることは知っておりますし、農用地造成をやっておりますことも知っております。ですから昭和五十二年目標に約五十万ヘクタールの農用地を造成する必要があると、いまの農産物の生産見通しから言って。これは農林省の五十二年目標の農産物の生産見通し、あれに基づいているわけでしょう。あれを達成するためにはこれだけの農地が要る、こういう考え方だと思うんですがね。ですから目標達成するとすれば、やはり草地並びに畑地で約五十万ヘクタールの目標達成しなければならない、こういうことでしょう。ですからそれは四、五年で五十二年が来るわけですから、そうすれば当然年次別の計画目標があってしかるべきだし、そうであるならばすでに林野庁とも協議がなされていなければならないはずだと、こう思うんですが、あの見通し見通しで、五十二年に需給率が幾ら幾らというあの農林省の農産物の見通しですね、あれに基づいてやればこれだけ必要だというだけの話で、これは見通しですと、それだけにとどまるのか、政策としてそれを実際にやっていくのか、ここが問題なわけです。  ですからその農林省の農産物の生産見通しというものを実現する積極的な意欲があるのかないのかという問題とも関連しますけれども、農地局としては、計画部長のところではどうだかわかりませんけれども、実際に適地調査をやった結果に基づいて実際にそれを農用地造成するということになれば、これは地元民の意思なり何なり確かめなければならない。そして具体的に地域を決定しなければならないわけなんですから、そういう面がね、いまの段階で五十二年を目標とすれば五十万ヘクタールほど必要ですという程度でいいのかどうなのか、その点がもう少し明らかにならないですかね。
  77. 桜井重平

    説明員(桜井重平君) 御承知と思いますが、現在は昭和四十年を初年度とします土地改良十ヵ年計画長期計画、これに基づいて事業を実施しているわけでございますが、ただ御承知のような米の生産調整、こういう事情の変化がございますので、それに対応して長期計画の改定ということが必要になってくるわけでございますが、もちろん今後全然長期の計画なしに事業をやっていくということではございませんで、そういう状況の変化等を考慮いたしまして計画の改定ということをいま鋭意検討中の状況でございます。
  78. 北村暢

    北村暢君 そこで林野庁にお伺いしますがね。いま新全総だけでなしに、同じ農林省の中でも農地局の計画の中に五十二年目標に五十万ヘクタール農用地に転換する、こういう計画、農用地を造成しなければ農産物の五十二年目標生産目標達成できない、これは農林省内部でそういう論議がされているわけですね。片一方見れば、この新全総も四十四年ですが、あなたのほうの林政審議会建議もあれは四十四年です。その場合に、林野面積は減らないことになって計画が立てられている、一体これはどういうことになっているか。各省庁のなわ張り争いで、自分のところだけ計画が都合いいようになるように立てて、お互いに自己満足されたって、これは私ども国民は非常に迷惑な話です。そこら辺の、同じ農林省ですら農地局でそういう調査をやったのを知らないし、計画を立てているのを知りませんで、林野庁林野庁で森林面積は減らないということを前提に計画を立てる、これじゃ、どこがどうなっているんだか、どういうふうに聞けばいいんだか、受け取ればいいんだかわからないじゃないですか、どうなんですか、そこら辺は。これはちょっと新全総のときにはマクロ的だの何だのって逃げたけれども、五十二年目標の農産物の生産見通しを立てる際には、これは農林省内部ですから、それは林野庁、私は知りませんでしたとは言えないんじゃないですか。一体これ、どういうことなんですか。
  79. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま幾つかの計画についての具体的な数字につきまして、突合しないじゃないかという御指摘でございます。確かにそういう点がございます。いまの農地局の計画部長から御答弁申し上げた土地改良計画なり、四十四年度に実施された調査につきましても、これは農地局、畜産局サイドで調査したものでありまして、林野には逐一現地での積み上げ的な協議がございません。また協議がありましても、なかなかこれは林野としてけっこうだという即答はしかねると思います。いずれにしましても、そういったものは一つ目標——政策を立てるための目標としてつかんだもの、このように解釈せざるを得ないわけでありますが、実際にそれが年次的に実行に移される段階で、林野庁としても畜産局なり農地局なりから具体的にその実地につきまして協議が出てまいります。その協議の段階でさらに共同調査というものも行なわれます。そういうことでその段階でそれが国有林なら国有林がそういった土地開発に協力できるのかできないのか、国有林の使命の達成と調整をしながらそういうことも考えるということでありまして、林野庁が、いま林政審議会建議にしましても、四十一年に策定をいたしました長期計画にいたしましても、森林面積は一応現状のまま変わらないという一つの前提を置いた試算が長期計画数字なり、それから五十年の中期見通しなり、前提に置いた場合には、こういうことの数字が出てまいりますよという見通しなり、展望なんでございまして、そういう点に、こまかく言いますと数字的に突き合わないという点も出てまいります。  以上御答弁になりましたかどうか、御了解をいただきたいと思います。
  80. 北村暢

    北村暢君 御了解いただけと言ったってあなた、食い違っておるものをどうやって了解するのか。御了解はできませんけれども、実際問題として農地局もいま直ちにと言っているわけじゃない。これは実際に計画を実行に移す場合には、当然それは県当局においても林務関係と農地関係の調整なり、畜産関係の調整なり県内でももちろん行なわれる。それから具体的になることは、これは当然なんです。ただ私は、今後の農業政策遂行の上において、土地の高度利用という点から言って林業をやっていったほうがいいのか、あるいは農用地に転換したほうがいいのか、これはやはり国民経済的な見地に立って当然検討さるべき問題だと思います。そこでいま長官のおっしゃられるように、先ほど来私が盛んに指摘しているように、農業にとっても農用地を拡大しなければならないという要求があるし、林業にとってもいまそれどころではない、林業の危機打開のための積極的な施策をやらなければならない。五十万ヘクタールの生産調整の中においてすら、水田にすらいま木を植えるということがあの中にありますわね、何万ヘクタールかそれはある。そういう事態ですから、それは場所場所によってそういうこともあり得るだろうと思います。  ですが、ここで農業サイドから言わせれば、農産物の確保のためにはどうしても五十万ヘクタール農用地を造成する必要がある。林業関係からは林業の危機を訴えられているのでそれどころではない。米が余って五十万ヘクタールも生産調整のために作付転換をやらなければならない。それが何をやるかといって簡単にきまらないような状態にあるときに、わざわざこの優秀な経済林と目されるところ、これは農用地に転換するところは林業にとってもいいところにきまっておるわけなんです。木のはえないようなところには草を植えても草もはえないわけです。したがってそこに必ず調整の問題が出てくるわけです。ですから長官は五十万ヘクタール農用地に転換するという協議を受けても簡単にそれに応ずるわけにもいきませんと、気持ちはわかるわけなんですが、しかしこれは大勢は全国総合開発計画にあるように、森林面積は五十万から百万減ってもなおかつ長期見通し林業生産額というものが達成できるんだというような推定になっておるのです、これは。  そういう点からいくと、農業サイドと林業サイドとの調整の問題が必ず起こりますけれども、その前にどうしても私は、これを農用地に転換を強いられて押し切られる可能性というものが出てくるだろうと思うのです。これは力の強いほうとか弱いはうとかいうことでなしに、そういうようなことがあり得るのではないかというふうに思います。ですからこれはやはり林野庁としても周囲の空気は、これは林野庁が農用地転換ということで要求されても簡単に応ずるわけにいかないといってがんばり通せるものかどうかということについて私は非常に疑問に思うのです。それほど客観性がないということは、農用地としての今日の進み方、高度利用という点の進み方と、林野関係における林業としての高度利用という面について、私は林業のほうが相当まだ高度に利用すれば生産をあげられる余地というものが林業の場合には大いにある。これは第三者が見れば必ずそういうふうに見るのではないか、私はそう思う。  ですからそういう意味では私は先ほど来林業の危機を訴えましたけれども、なおかつそういう危機にありながらいままでのこの林業政策の不徹底から生産性をあげ得ないでおったという面が非常にあるんじゃないか。もっともっと農用地と比較して林業生産は面積を若干縮少してもなおかつ生産性をあげる余地があるんじゃないか。これはひいき目で見なくて第三者は私はそういう見方をするものが非常に多いのではないか。こう公平な目で見てそう思うんです。そういう点について林野庁長官はどのような見解を持っているか、この際お伺いしておきたいと思います。
  81. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま、最初にお断わり申し上げなければいけませんのは、ただいま御答弁申し上げましたのが、先生若干誤解をされているように受け取っていただいているような点が一つございます。それは先ほど、簡単に応ずるわけにまいりませんということでなくて、四十四年の調査なり土地開発計画なり、農地局、畜産局サイドで調査をされましたものをすぐその場で相談をされましても、将来の全国的な全体計画としてこれでいいかどうかということを相談されましても即答は申しかねるであろう、しかし、個々にそういう事例が出てまいります場合には、国有林経営上の調整をはかりながら前向きで積極的に協力を申し上げる、ただ、これこれこういう場合にほ活用は原則といたしません、こういう幾つかの基準を用意しておりますが、姿勢としては積極的に協力していくということが一点と、それから林業的な利用を考える場合に、現在よりもっともっと価値生産といいますか、生産をあげる方法がまだあるんじゃないか、確かにその点はございます。先生のおっしゃる説、そのとおりであると思います。
  82. 北村暢

    北村暢君 大臣は来るのか、来ないのか。
  83. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 速記を起こして。
  85. 北村暢

    北村暢君 新全総それから農用地転換の問題については、あまりしっくりしませんけれどもそのくらいにしておきまして、若干国有林の問題について触れておきたいと思うのですが、国有林の使命については林業基本法で明らかにされ、さらに国有林野活用についても基本法第四条でその趣旨が明らかにされておるのでありますけれども、今日、国有林に対する批判というものは私は相当いろいろな面で出てきておるだろうと思うのです。それで国有林のあり方の問題について若干触れておきたいと思うのです。  「国有林を重要な林産物の持続的供給源としてその需給及び価格の安定に貢献させるともに、奥地開発林野の開発等を促進して林業生産の増大に寄与するほか、国有林野の所在する地域における林業構造の改善に資するため積極的にその活用を図るようにするものとする。」ということではっきりしておるのでありますが、この基本法でうたっているこの使命というものについて、私どもこの基本法を論議する際に若干疑問を述べておりましたし、国有林の見方について、この基本法の考え方と私どもの考え方と若干違います。違いますが、この基本法四条における国有林野の管理運営の事業が「その企業性の確保に必要な考慮を払いつつ」ということで、国有林の企業性というものについて非常に第一義的に出ている。私どもはこの国有林の使命というのは、企業性の確保ももちろんこれは当然やらなけりゃならない問題でありますが、国有林は国土保全という機能、それから木材の持続的な生産、こういう国土保全の機能と経済的な機能と、こういうものを両々持っておるというふうに私どもは見ておるんです。ところが、この基本法の四条には国土の保全機能というのはあと回しになったような形で表現されている。まず第一に企業性というようなものがうたわれてる。ここに感覚の差が若干あるわけですが、それはまあさておいて、今日この国有林の運営に当たって、たとえば価格調整の機能を持つという使命を一つ持っておりますね。ところが、企業性を追求するがゆえに、国有林が今日木材の価格を調整する機能を十分に果たしているかどうかというと、これは全く逆だ。これはまあしばしば言われてるととですが、木材の価格が値上がりをした、そういう場合に増伐をして木材の価格が上がったときに冷やす役割りをすれば調整の機能を果たしたと、また木材の価格が安くなったときに国有林材を節伐して価格を安定させるのに寄与させる、これは価格調整の機能でしょう。ところが、価格調整機能を持ちながら、法律でうたいながら、全く逆なことをやってる。木材の価格が上がれば、国有林は収入がどんどん上がりますから節伐をするんですね、増伐はしないんです。節伐をして木材の価格が上がるのに協力するような形。木材の価格が低落した場合には収入が上がらないといけないので増伐をして、ますます木材の価格が下がるように協力する。価格調整機能だなんていうことをうたいながら、全くそれと逆なことを現実にやっておる。これは一つの例ですけれども、そういう批判は当然出てくる。かつて河野農林大臣のときに、たった一回だけ、木材価格がものすごく上がってたいへんなときに、茨城県あたりから国有林材を緊急増伐をやって輸送したというような例は、たった一回かある程度です。そういう点。  それからもう一つは、この国有林は企業性を追求するがゆえに、今日自然保護ということで非常にやかましく言われてる。ところがこれは、奥地林を開発する使命も持ってるわけです。そのことと自然保護ということが今日の段階で非常に矛盾が起こってるわけですね。まあ秩父の国立公園地帯とか、あるいはこの間災害特別委員会でも問題になりました大山の国立公園地帯におけるブナの原始林を皆伐するという問題。貴重な天然原始林というものが、奥地開発の使命のために伐採せざるを得ない、それは自然の破壊になる。しかも機械化し、作業能率をあげるためにこれはもう当然皆伐をやらざるを得ない。そういう問題が出て、国有林は企業性を追求するがゆえに、国の事業でありながら自然をどんどん破壊していってる、こういう批判が一面に起こってくる。かつて——これはまあ長官に技術的な問題ですから後ほどお答えいただきたいと思いますが、皆伐作業級と択伐作業級の比率は今日一体どうなっておるか、国有林は。かつてのオーソドックスな林業技術としての択伐作業なんというものは全く顧みられなくて、最近では機械化に伴いまして大面積の皆伐をどんどんやっている。しかも採算性を云々するために、低質広葉樹の奥地のところの赤字事業所というようなものについては閉鎖をするというような形で、積極的に林種改良をやらなければならないようなところで将来当然切らなければならない問題でも、赤字なるがゆえに閉鎖をする。したがって、企業性優先的な感覚で国有林というものを運営しておる。そのほか問題になります合理化の問題で、きのうも触れられました薬剤散布の問題——公害をみずからばらまく、こういうようなことを平気でやる。こういうことが今日国有林のいわゆる官僚独善的な運営に対して大きな批判が出てきてる。国有林活用等の問題についても、現在の共用林制度等においても、なかなか条件がきびしくて、地元が直接的に利用できない、薬剤散布のために、従来の共用林野で山菜等をとってるものがとれなくなるというようなことで、この国有林の運営について、確かに先ほど来私が言いました林道だとか造林だとかいうような問題については計画量にやや合致するような計画的な運営がなされておりますけれども、全部が全部悪いとは言いませんが、非常に大きなやはり国民的な批判を受けているんですね、国有林は。これは私は改めなきゃいけないと思うんです。  その根本が何にあるかといえば、やはり特別会計の独立採算制というものにある、このように私には思われる。で、独立採算制で、企業性をルーズにやれというようなことを私は言ってるのじゃない。企業性的な性格を持ってるんですから、そういう意味における企業性の追求はいいんですが、その企業性が行き過ぎるというといま言ったような国民の批判を受ける結果になるのではないかというふうに思われるのです。したがってそういう意味における国有林の反省というものが必要ですが、さらに国有林野特別会計の現状であります。国有林野特別会計は従来剰余金、損益計算、まあ両方あるようですが、戦後の昭和二十二年以降国有林野特別会計はこの剰余金においてマイナスになったことが三回、損益計算でマイナスになったことが三回で、あとは全部国有林は黒字であります。それで、剰余金は二十二年以降から一千四十億円程度、一千億円をこえる剰余金を出し、損益計算において一千三百六十一億余、一千三百億円余の利益をあげてますね。しかしこれは、利益をあげることが悪いと言っているのではないのですが、こういう利益をあげながら四十六年度の予算では御存じのように五十億の赤字予算を組んだわけです。したがって、この特別会計の今後の収支の見込み、将来の見込みは一体どのようになる見込みであるか。かつてこの見通しもやりまして、おそらく昭和四十四、五年からは毎年百億くらいづつの赤字になるという試算をした事例もあります。ところが最近の木材価格の低迷状態、賃金の上昇というようなことで特別会計もようやく赤字傾向に転落しつつあるのですね。そういうようなことで、これの見通しは一体どのように考えておられるのか。まず国有林の批判に対する反省と特別会計の今後の見通しというものについてお伺いいたしたい。
  86. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) われわれにとってたいへん重要な問題の一つを御指摘になったわけでありますが、お話のように森林は国土保全それから水資源の確保とか保健、休養などの公益的機能を持っております。反面、また林産物の持続的供給という経済的な機能をあわせ持っていると思うのであります。そこで、ことにまあ最近いろいろ経済の成長が十分になり、国民全体が自分の環境というものを顧みてみますというと、やはりこのいま私が申しましたような点に、重点的にこの国土保全並びに保健、休養等のことについての森林の持つ公益というふうなものも、また新しい角度から大きな認識を増してきていると思うのであります。しかしそういう機能を発揮させるにもやはり経営というものが十分に調和されながら進められていくということは大事なことだと思っているわけであります。そういう両方の機能を調和させながらその機能を十分に発揮させるというところに森林行政の一番大事な問題があると思うのであります。  そこでいま御指摘のございましたように、国有林関係を見ますというと、確かに四十六年度において五十億の赤字を計上いたしておりますが、これらのことにつきましてはもう予算でも御説明できておりますように、まあいまお話のございましたもろもろの条件が重なり合って赤字を計上するようになっているわけでありますが、私どもは国有林の公益的な機能というものを念頭におきますというと、やはりいたずらに企業性のみで経済合理主義でものを進めてまいるということもできない国家的任務を持っている仕事でありますので、そういう角度からこれの経営をどのように合理化していくべきであるかということについて、十分に検討してみなければなりません。先ほど私は専門的な知識を持っておられる方々の御意見をも承りと申しましたのは、こういう点にもひとつあると思うわけでありまして、したがって私どもとしては森林行政の中における国有林の再建ということについて十分にひとつ検討をして、国民の期待に沿い得るようにいたさなければならない、こういうことで研究をいたしているわけであります。
  87. 北村暢

    北村暢君 そこで大臣のおっしゃる国有林の使命達成のために公益性、公共性というものを持っている、まあそれはそのとおりでありますが、したがって特別会計はいま独立採算制で運営されているわけです。そこで従来国有林の黒字傾向であった場合において、剰余金の使い方について特別会計で規定されている。一部は林政協力費という形で一般林政に協力する、一部は国有林の運営のために積み立てをしておくという制度になっているわけですが、昭和三十五、六年ごろから林政協力費というものが支出されるようになった。それで大体いままでに四百億をこえるものが林政協力費として出ているのじゃないかと思います。そのほかまあ今年度の予算内容から見ましても、その公共性、公益性という点からいって林野整備、農業構造改善事業あるいは林業構造改善事業、官行造林、それから民有林野の買い入れ、林木育種事業、自然休養林等のいわゆる国有林の事業的な、企業的な性格以外の一般林政と目されるようなもの、ここの中で一番大きなものは民有保安林の買い入れ十一億八千万、約十二億近くです。いま申したようなものを総計して約二十四億くらいのものが出ております。国有林野事業そのものの運営でなしに一般林政と目されるようなものですね、特別会計でまかなっている。それから治山事業、これは大河川の治山事業は十五、六億一般会計から繰り入れられておりますけれども、それ以外の国有林野内の治山事業、これは当然公益的な機能を持っております。それが百二十五億余であります。さらに林業振興諸費という林政協力費ですが、これが森林開発公団等の出資を含めて約八十億程度ですね。総計して約二百三十億程度のものが国有林野事業そのものというよりは一般林政的なもの、あるいは国有林野内の治山事業あるいは林政協力費という形でもって約二百三十億程度のものが計上されておる。そういうものを含めて五十億の赤字予算になっておる。幸いなるかなこの赤字五十億はいままでの積み立て金の中から食いつぶすということで切り抜けられるからいいですが、それがあと二百五、六十億しかないと思うんですが、これを食いつぶしてしまうというとほんとうの赤字になって、国鉄の赤字財政とやや同じような形に近い将来に転落するということが起こり得るわけです。したがって、ことしの五十億の赤字予算というものは、五十億の赤字予算の約四倍半くらいのものの二百三十億というものが、いわゆる企業的な性格のものなんです。国有林野事業として負担するのが適当であるかどうかと思われるものを含んでの五十億の赤字予算。これは私は早急に検討する必要があると思うんです。御存じのように、かつて中林審から国有林のあり方について答申がなされた。それについては、企業性を重視したところの公社制度というような問題を含んでおるわけなんです。これについて、国有林がいよいよ赤字傾向に至ってきた。したがって、合理化もやらなければならない。賃金は、これは他の企業並みに上がっていかなければならない。これはもうことしも当然上がるわけです。そういう状況生産伸び、収入の伸びというのは、先ほど言ったように国有林の場合、やや計画的にいっているとはいえどもとてもそれを補うだけの伸びというものは期待できない、赤字傾向で——これは故意に宣伝するのかどうか知りませんけれども、とにかく赤字傾向になってきたことは事実なんですね。それで一体この国有林というものの特別会計の中のあり方というものについて私は再検討しなければならない段階にきているんじゃないか、このように思うのですが、一体どのような見通しで今後やろうとしているのか、基本的な態度をひとつお伺いしたい。
  88. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどのお尋ねにお答えいたしましたように、森林は公益的機能を非常に多く持っておる大事な国有財産であります。総面積の六八%を占めるといわれております林業、その中の大切な部分をやはり国有林が持っておるという、先祖代々こういうりっぱな財産を受け継いでおって税金というものは払わないわけでありますから、私はこれをあずかっておる行政府としては、国民に対する責任上あとう限りの努力をいたしまして、先ほどお話しのございましたような治山関係、あるいはまあ民有林を保安林のために買い上げるといったような程度のことはできるだけやはり国有林野の特別会計が負担のできるような経営のあり方がいいんではないかと、このように思っております。しかしながら最近は、先ほど来お話しのありましたように、自然環境の保全であるとかいろいろその国有林野の持つ公益的機能に対して国民の要請が特段と高まってまいっておる状況等にかんがみまして、それからまた他方いま御指摘のように、国有林野事業の財務状況がだんだん悪化いたしておる、こういう傾向にありますので、これらの問題を、公益的機能の十分の発揮に必要な経費負担をどのようにすべきであるかということは研究問題だと思っておりますが、たてまえとしてはやはりわれわれは最大の努力をいたしまして国有林野事業が負担のできるような努力をわれわれとしてはしなければなるまいと、こう思っております。  もう一つは、いまお話しのように、最近のこの日本全体の林政、それからその中でわけて国有林問題等についても民間の有識者たちがいろいろ所見を新聞、雑誌等にも公表されておる方もありますし、特に関心を持っておられる人たちが出ております。そういうような人たちの御意見の中には、いろいろの御意見を私は印刷物で拝見いたします。たとえば行政と現場とを分離したらいいというような意見もありますし、それから公社化がよかろうという意見も出ております。しかしなかなか私どもがこの大きないままでずっとやってまいりました林野庁国有林野事業というものに中心を置いて考えてみましたときに一長一短がありまして、いずれがいいというふうなことをまだ判定しかねておるわけでありますが、いずれにしても政府といたしましてはこのままで放置いたしておくということは、先ほど来のお話しのように私ども一種の危機意識を持っているわけでありますので、十分にひとつ検討をいたしてまいらなければなるまいと。要はやはりこれだけの貴重な国の財産を先祖から受け継いだ現在の当事者である私どもは、やはり国民の期待に沿い得るようにしっかりした国有林の経営をいたしていかなければならない。そのためには何をなすべきであるか。先ほど来御指摘の点は十分私どもにおいても参考にいたし、施策に資さなければなりませんけれども、そういう意味でいま一生懸命検討をいたしておる最中でございます。
  89. 北村暢

    北村暢君 また大臣の特徴の、得意の検討が出てきたようでございますが、もちろんこれはそう簡単に結論の出る問題ではないと私も思います。しかし、このことは相当長い間の懸案事項なんですね。国有林のあり方について、抜本的に一体国有林というものをどういう方向に持っていくのか、使命達成のためにどういりふうにやるのかということについては、そろそろやはり結論を出さなければならない段階に来ていると思うのです。国有林のあり方についての構想の一端とも思われる国有林の機能としての公共性、公益性というものについて重視するという点、しかも民有林協力というような点もやりながらという大臣の御意思のようですから、そうすると、現在とあまり変わらないような感じがいたします。しかし、赤字傾向にあるので、これを克服するための内部的な施策を慎重に検討していく、こういうことのようです。しかし、いまの御答弁からするといりと、一部にある企業性というものを強力に追究するという意味における公社化という問題についても、意見としてあるが、結論は出しかねておるようでありますが、それなりに非常にむずかしい問題だと思います、私も。  しかし、私はここで考えてもらわなけりゃならないことは、いまおっしゃるように、一般林政的なものも含め、林政協力的な面も含め治山もやり、なおかつ特別会計の赤字問題というものを考えていく場合に、どうしても私は背負い切れない問題が将来出てくるのではないかと思うのです。そこで、衆議院における林業振興に関する単独の決議の中にも、その第六項目に「一般会計から国有林野事業特別会計への繰入れ等、必要な財政金融措置を積極的に講ずること。」ということで、これが出てきていると思う。何か国鉄の赤字問題を論議する際に、公共的な性格を持っておるために、一般会計からの繰り入れというものは、なかなか結論は出ません。このこともよく知っております。しかし、国有林野特別会計において、先ほども)申しましたように、一千七百八十三億ですか、今年の予算、特別会計ですね、の中の二百三十億程度のもの、これは私がでたらめに拾ったのではないのです。これはかつて林野庁が特別会計の検討をした際に、一般林政に該当すると思われるようなものということで、林野庁が試算をしたことがあります。そういうようなものを含めて、私が言っているのではなくて、林野庁がかつて計算したことのある項目の昭和四十六年度の予算を拾ってみて、約二百三十億程度あるわけです。それについて、こういう仕事もやり、なおかつ企業的な合理化もやりながら、特別会計を維持していくということになれば、従来特別会計から黒字であった場合一般会計へ繰り入れていたわけですけれども、これはもちろんできなくなるでしょうし、逆にこういう一般林政的なものについては、一般会計から特別会計へ繰り入れる努力はなされるべきではないか、そうしなければこれはまたたいへんな赤字で苦しむ結果になる、こういうことを心配いたしますがゆえに、先ほど国有林特別会計の赤字というものは将来の見通しはどうなっているかということを聞いたわけです。そういうような観点からこれは与野党一致の決議として衆議院委員会決議されているわけです。これに対して政府はどのように対処せられるか。
  90. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 従来でもたとえば石狩川等大きな流域についての広域的な施策につきましては、これは一般会計から出していることは御承知のとおりであります。そこで、先ほども申し上げましたように、国土保全、あるいは国民健康のために活用するといったような、そういう意味について、森林に対して、こういう国有林に対して国が期待する一般的な事業がだんだん広がってきつつあろうと思うのであります。そういうものについてはやはり今日のような財務状況林野庁において、全面的にこれを負担するということはなかなか困難なことでありますので、衆議院における附帯決議が行なわれます場合の話し合いでも、そういうような話が出ております。私どもといたしましては、そういう点について十分に考慮をいたし、そうしてまたどのようにそういう面を実現すべきかという点について検討いたしましょう、こういういうことをお答えいたしているわけでありまして、私は全部が全部企業的な考慮の中で、特別会計の中だけで負担すべきものであるというようなことを言っているのではないのでありまして、従来のような施策につきましては、できるだけ自分の会計の中で処理するのがたてまえである、こう申しているだけであります。
  91. 北村暢

    北村暢君 その従来のたてまえで、従来の状況の中では特別会計の中で負担をするのがたてまえである、そういう努力をする。ある程度これはいままではよかったのです。いままでは積み立て金を食いつぶした後における特別会計、これは四、五年でなるのじゃないか。ここら辺のところを具体的ですから長官数字的な問題を若干含んでおりますからどうなんですか。特別会計ことしは五十億の赤字予算ですけれども、来年、再来年は赤字予算を組まないでやっていけるのですかどうですか。
  92. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 四十五年末でこれは概算でございますが、三百五十億の積み立て金がございます。これは企業内で使える積み立て金、そのうちから五十億をとりくずす、赤字穴埋めをするというのが四十六年の予定でございます。でありますからこの調子でいきますと、このままで推移いたしますと、収入の増加がなかなか期待できない。一方事実、特に人件費の割合が国有林野事業では過半を占めており、人件費の上昇というようなことからさらに五十億に相当するところの赤字というものは将来ふえていくんではないか。このように考えます。
  93. 北村暢

    北村暢君 まあことしの五十億が来年は六十億になるか八十億になるかね。大体これはふえることはあっても減ることはない。ここ五、六年はないのじゃないですか。というのは、私の推測ですが、いまの木材価格の低迷の状況からいけば、いままでが黒字になってきたのはこれは四、五年前まであらゆる物価に比較して最大の木材価格の値上がりに助けられてきたのですよ、これ。ところがもう最近は低迷どころかちょっと木材価格の値上がりというのは外材のこういう圧迫からきて、期待できないですね、これ。そういう点からいって収支が悪化していくことはもう歴然たる事実ですよ。そういう中において、いま大臣がおっしゃられたように、従来のものは従来のもので企業内で何とかやっていく、その心意気は確かに私どももわからないわけでもないのですけれども、一挙に転換するというわけにいかないですが、いわゆる国有林に期待する自然保護的なものについては背負い切れないのではないか。この予算でも自然休養林の予算というのは約四億程度です。これがまあ先ほど私が指摘しましたように、施業の方法等をかえる、皆伐をやめて択伐に切りかえるとかいうようなことによる収入減というようなものも出てくるでしょう、当然、自然保護という意味から、そういう点が非常に強くなってきました。そういう点のマイナス面というものは当然出てくるのですが、それは一般会計から補なうという性格のものではない、施業のやり方を変更する程度のものは、これは赤字でももちろん国有林野事業として当然やらなければならないであろうと思います。ですから、いまおっしゃる新たに起こるものの程度の一般会計からの繰り入れというものを検討する程度では、早晩この特別会計は行き詰まるのではないか、このように思われるのです。  そういう意味で、この一般会計からの国有林への繰り入れ、先ほどおっしゃたように大河川の国有林の治山事業についてはこれは五、六億程度でしょう。約二十億までいかないですね、その程度のものですが、先ほど言ったように、二百三十億からの一般林からと思われるものがあるわけですから、私は少なくともこの国有林野内の大河川のみでなしにこの百二十五億というこの大きな治山事業費がある、国有林野内の治山事業費がある。こういうものをも一つと拡大することによって、一般会計からもう少し見る必要が出てくるのではないか。林政協力費はこれは赤字になればできないという方向にいくでしょう。森林開発公団等の趣旨等もこれは財投資金でやっていくということにもなるでしょう。それは減るだけであって、一般会計から入るというわけにいきません。そういう点をまで含めて、やはりやや将来を見通したところの特別会計の検討というものが必要である、そういう意味における衆議院決議案もそういうところがら出てきている、こういうふうに思うのです。これはいずれ当院においてもこの委員会でもこれに類する決議案はやるつもりですけれども、これらの点について、もう少し大臣見通しを持った答弁を重ねて要望いたしたいと思います。
  94. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私が申しておりますのは、自分の経営に属する事業について、努力を十分にした上で、一般会計に依存すべきものは、これはもう当然依存してもいい。ただやたらに一般会計に依存するという安易な考え方は持たない、こういう趣旨で申しておるわけでありまして、誤解のないようにお願いいたします。
  95. 北村暢

    北村暢君 それじゃ話わかりました。そういう趣旨で大いに努力してください。  次にですね、衆議院決議とも関連して確かめておきたいと思うのですが、先ほど来質疑をいたしました造林関係の問題、これについて現在いろいろな補助造林、融資造林、事業主体としては個人もありましょうし、県の公社の場合もありますし、公有林の場合、県あるいは市町村の自治団体。でありますが、概して造林計画量を下回っているこの事実。国有林はまずまず計画量をいっていますけれども、民有林木材価格の低迷と同時に造林意欲が低下をして造林計画どおりにいかない、こういう現実。それから先ほど長官は再造林の場合は切ったものは必ず植えているのです。伐採されなかったので計画量の五〇%ですと、こういうことでございました。  現実問題として私も二、三事例を知っておりますけれども、現在官行造林法は廃止され、従来の契約したものの継続だけが行なわれる。その官行造林の、有数の官行造林の伐採期にきている市町村で、伐採面積の約三分の一しか、どうしても再造林ができない。あとの三分の二は再造林ができないで放ってあるところがあるということを、市町村長に会って私どもも話を聞いておる。それは官行造林の収入があるから再造林までめんどう見る必要ないんだというたてまえになっているわけですね。ところが現在の市町村財政の窮乏の実態からして、官行造林で上がった収益というもの、相当収益を上げている市町村もあるわけで、非常に喜んでおります。喜んでいるが、その収益が、やはり村財政の運営のほうからいって、なかなか再造林に全部金をあてられない。学校建てたり、下水道をどうするとか、上水道をどうするとかいう方向に向けられてしまう。そのために、確かにこの地方自治体の財政面に大きく寄与しているのでありますけれども、まず、再造林という、山をつくるということについてはあと回しという結果になって、再造林が行なわれてないという事例があるのです。これは、私も事実村長にその実情を聞いております。実情は何かといえば、いま言ったように、財政上の問題が主です。そのほか労力が足りないとか何とかという面もありますけれどもね、実際にそういう面がある。  したがってこの森林開発公団ができた際に官行造林法が廃止されたわけでありますけれども、まあ森林開発公団もあと七、八年か十年で任務完了するわけでありますが、この再造林を含めて官行造林というものを今後考えていく必要がある。まあ官行造林ということば自体がもう時代に沿いません。したがって国の行なう民有林野の分収造林等の制度的な措置ということで使っておりますけれども、そういう意味において、これは分収歩合からいっても林業の助成策にもちろんなるわけです。地方自治体のためにもいいし、またこれは私有林にまで発展させようということを言っているわけだ。民有林計画造林がどうしても達成できないという段階において私は、やはり国が積極的に国有林の技術と労力、それから国有林野事業の運営との調整というようなものを含めて、国が積極的に分収契約によってやっていくという措置は、これは検討すべきであるということが、この林業振興一つの方策として出ておるわけです。そういう点について、ぜひひとつ理解ある措置を要望いたしたいと思うのですが、大臣の見解をお伺いします。
  96. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど来たぶん再造林についてのお話はあったかもしれませんが、私ども実は再造林につきましては特別な補助をすることは必要がないのではないかという考え方に立っておるわけでありますが、しかし造林事業全般につきましてはもちろんお話のようにきわめて重要なものでございますから、林政上の重点施策として拡大造林の積極的な御協力はもちろんいたさなければならない。助成内容の充実等につとめてまいったわけでありますが、今後さらにその施策の拡大強化をはかっていく考えでございますが、再造林につきましてはお話あったかと思いますが、私どもは四十六年度予算の編成にあたりましては、いまお答えいたしましたような考え方に立っているわけでございます。
  97. 北村暢

    北村暢君 再造林という問題について助成をする考えはない。これはいま始ったことでなくて造林臨時措置法が目的達成した段階において切りかえた際に、拡大造林については助成をする、再造林についてはやらないという思想であったことは私ども理解しております。がしかし、これは助成のことを私はいま聞いているものではなくて、助成についてはまた別の見解もありましょうけれども、官行造林の場合も再造林はこれはやらないことになっておりますね、官行造林のほうは。それは収入があがるからその収入でやれということになっているのですよ。そういう思想で官行造林は二代にわたって契約しないことになっているわけですね。そのために分収歩合もよくなっているわけです。分収歩合も市町村に有利になっている。これは事実なんです。その思想です。  ところが現実問題として造林技術の問題、労力の問題、それから地方財政の問題等で、今日やはり一番蓄積その他で低いのも公有林野である。これは公的な機関でありますから一林野庁の指導なり何なりに従って当然やられなければならないはずでありますが、実際できていない、こういう問題があるわけです。これはしたがって先ほど言ったように、地方財政には非常に役に立っているわけなんですよ、喜んでいるわけです。だけれども、再造林のほうまで手が回らないというのが現実なんです。そういう意味で、私どもは国が行なう分収造林を再造林までやらないというならやらないということでもいいが、これは復活させる意味における一つ決議になるわけです。ですから事情もわかります。県の公社が、造林公社的なものができて、それを奨励してきたいきさつも知っておりますし、ありますが、それでもなおかつ計画量に達しないわけです。ですから私は将来の森林資源状態を憂うるがゆえに、そういうものは積極的に国ができ得る限りの、国が直接分収契約によって造林をしていくという積極策がとられてしかるべきだ、そういう趣旨でこの決議がなされている。  これは非常にむずかしい問題でありますから最後まで自民党もずいぶんこの点についてちゅうちょしたわけでありますが、最終的に自民党もこれは状況やむなしということでのんだわけです。したがってこれは行政当局からすれば非常に迷惑なことかもしれませんが、相当検討した結果においてこれが全会一致で決議されているわけです。そういう意味でぜひひとつこれは一介の決議として、決議決議でどうでもいい、こういう態度ではなしに、ひとつ行政当局としても国会の意思というものを尊重する意味において大臣はこの決議がなされたときに十分に尊重いたしましてと答弁したはずなんです。意思表示をしたはずなんです。そういう意味において念を押して私はお尋ねしているのですから、一般の造林の助成とか補助とかいう問題ではなしに率直に御答弁をいただきたいと思います。
  98. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 再造林につきましては前々からいろいろな方の御意見も承っておりますが、一応さっき私がお答えいたしましたのがたてまえであります。そのことはよく御理解をいただけることだと思いますが、分収方式によります造林につきましては、いまお話の中にありましたような県段階造林公社、あるいは森林開発公団といったような公的機関がございまして、これらがいままで有効に働いておったわけでありますが、これらの機関の適切な活用方策についてさらに政府がくふうをいたしてみたい、こう思っておるわけでありますが、やはり全体の民有林状況林政全体からみまして、お話のような点について十分われわれはくふうをこらすべきではないかという考えに立ちましてこの決議を尊重するということを申し上げておるわけでありますが、そういう点については十分ひとつさらにくふう検討をいたしてみたいと思っております。
  99. 北村暢

    北村暢君 これは衆議院において芳賀委員もだいぶ丹念に念を押しているので農林大臣も、「国が直接実施いたすことにつきましては、いま申し上げましたような方式との関連などを考慮しながら慎重に検討してまいりたい、」こういう答弁をされておりますね。したがっていま御答弁のありました趣旨も決議はされたが、決議決議でということではなしに、この点についても検討したい、こういう趣旨のように私は受け取りますので、これはひとつ前向きに検討をしていただきたい。実際にこれは市町村でも非常に喜ばれているのでしょうね。廃止した後におけるいろいろな調査、あるいは林業関係の何か公聴会的な際にも市町村長から直接そういう意見があちこちから出ているのです。そういう意味で私どもも率直にこれにこたえていきたい、こういう趣旨でありますから、ぜひひとつ、公社造林も何もいいんですけれども、なおかつ国で直接行なう造林について非常に大きな要望する向きがあると、そういうことでひとつ大臣の答弁もそういう前向きの検討をされるということで理解をしたいと思います。  次に林道網の整備についてでありますが、これについての高率補助、高率の国庫負担というものを林道網の整備について検討すべきであるというような決議がなされておる。これ際これに関連してお伺いしておきたいのですが、林道——特にいま大きな批判が出ているのは、林道工事の際の機械が非常にいま進歩してまいりました。ところが道路法のように林道については法律ではなしの規定でやっておる。もちろんそれなりに道路法に基づく一般道路のような規格等についても規定をしておるのでありますけれども、ところが特に新聞等でたたかれました長野県から山梨県に抜けるスーパー林道の場合、大臣、長野県でありますから、当時新聞に出たことを御存じだろうと思いますが、あれが林道網をつけたことによって自然を破壊する、原生林が相当被害をこうむる。それと同時に工事のやり方が切り取り、盛り上等の際における工事が、どうも予算との関係で徹底してなされておらぬ。そのために土砂崩壊の原因になるような林道が出ておるという批判が出ておる。こういう面についての私は一つ林道網整備にあたっての、林道工事の施行に当たって非常に批判が出ておる。それも要するにこれは予算を切り詰められるから結局そういうことになっちまう、いいかげんな仕事をやっちゃう。それが自然破壊なり、つくった道路がかえって川になって土砂崩壊の原因になっている、こういう結果になっておる。そういうことでありますから、高率の国庫の負担をするというのと同時に、予算の確保、単価問題等とも関連してくる。そういう点で林道網の整備等についての考え方というものを、この際明らかにしていただきたい。
  100. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 林道林政にとって非常に大事なものでありますので、なるべく私どもは自然を破壊せざる範囲で、しかも林業が円満に進んでまいりますために、林道網を完備したいと思っておるわけでありますが、たまたまスーパー林道でただいま御指摘の長野県に一つの問題のありましたことは事実でありまして、かえってああいうやり方だと、いまお話のように自然を破壊したり、土砂の崩壊の原因をつくるだけであるという非難がずいぶんありました。私はさっそく事務当局に命じて、その調査、それから対策等を講じるようにいたしたわけでありますが、なお御指摘のこと全く私どもも同感でありまして、林道網の開設は、ぜひこれは必要なことであると思いますので、将来そういうことについては十分ひとつ注意をいたすようにつとめてまいりたいと、これらにつきまして私ども農林省が、そのことについてなすべきことにつきましては、できるだけの努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  101. 北村暢

    北村暢君 四番目に外材の輸入について、先ほど来触れたように、もう五〇%ふえて外材国内木材価格を支配するような状況になっているわけです。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 で輸入材についての課徴金制度の問題も最後のところに、決議案の中に出ているんですが、まあ、きょうの新聞によりましても、国際貨幣の不安の問題、ドル不安の問題でこの課徴金制度の問題が問題になっておるようですね。で、これは問題になっているのは西ドイツ等で輸出の課徴金制度だと、ところがこれは輸入の課徴金制度を検討せよと、こういうことなんです。これほど外材が入ってきますというと、外材がいわゆる輸入業者の思惑その他で、四十三年等は輸入し過ぎて在庫がだぶつくというような事態もあったようであります。そういうような点からいって、木材は、これは自由化されておりますから、直接的に管理するとか統制するとか、いまさらなかなか簡単にいく問題ではない。しかし、今日このような外材状況からいたしますというと、これは無秩序に放任するわけにはいかない。しかも外材が入ることによって木材価格が低迷しており、国内生産というものに少なからざる影響が出てきている。こういう点からして、この外材に対する行政的な配慮というものがどうしてもこれは必要になってきているんじゃないか。そういう趣旨で政府の責任において外材輸入の適正な調整機能を発揮するようにつとめる。これは民間では当然やっているだろうと思うんですけれども、この趣旨はいま申しましたような   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 趣旨なので、これについての政府の見解をただしておきたい。
  102. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) この問題は非常にむずかしい問題であると存じます。それで、大体普通に考えますというと、外材が入るのは、これは入るだけのそれ相当の理由があって入るわけでありまして、つまりわが国の林材よりも、同じような用途に使えて、そして価格が安いということならば、やはりそういうものはかなり業者としては入れるでありましょう。そこで、やはり私どもといたしましては、それに立ち向かうだけの体質改善をして、そして生産を増強することにまず第一に努力をしなければ、幾ら口先で外材防止を云々いたしても、それはむずかしいことだと、こう思います。したがって私どもといたしましては、これは前々からここでしばしばお話し合いのありますように、特段の努力をして、早くその目的を達成するように努力をいたすことがまず第一であります、これは他の農作物でも同じことが言えると思うのでありますが。そこでどこの国でもやっぱりある一定の時期には農作物に対しては特別な保護措置を講じております。そういう意味で私どもといたしましては、やはり国内生産が非常に圧力を受けることのないように、ある程度体質が改善されてまいる間は、価格政策で保護をいたしてまいる。これは日本だけではありません。そういうことのために課徴金という制度を考え出したわけでございましょう。日本だけじゃなくて、ほかの国でもそういうことをやっておりますが、私どもといたしましてはやはりあらゆる努力を払って、国有林はもちろんのこと、民有林がやはり国内生産の大きな部分を占め得るように最大の努力をしなければならぬ。これはもう前提だと思うのであります。しかる後になおかつ品種によっては、種目によってはやっぱり外材が入ってくるでしょう。そういう場合にできるだけそれを防止していくということは、わが国の林業を育成していくためには必要なことでありますので、適宜に弾力的にそういう制度を活用して、つまり課徴金制度のようなものを弾力的に活用してまいりたいと、こういうことは私も衆議院における決議のときにもそういうことで申しておったわけでありますが、そのように考えておるわけであります。
  103. 北村暢

    北村暢君 次に、今日の林業生産停滞一つの大きな原因として労働力不足の問題、これは白書の中にも出ておりますように、過疎化現象が進行しておりますし、山村からの労働力の流出は依然として他の地域に比べて高い。優秀な若い労働力が流出いたしておるわけであります。これを確保するためにどうしても労働者の労働条件というものをよくしていかなければならぬ。これは雇用の問題もありましょうし、賃金の問題もありましょうし、社会保障制度の問題もありましょう。そういう面の充実を期していく。この点も当然のことだと思う。特にお伺いしておきたいのはですね、労働災害の問題で、特にこの国有林野事業に従事する従業員、労働者の中で今年度になってですね、四月以降、聞くところによるともうすでに四名の死亡者が出ている。国家公務員災害補償法の適用を受ける、こういう状態である。これは四月以降四名ということは、これは十日に一人ずつ死んでいくことになるようであります。これは異常な状態国有林野事業にとって異常な状態。しかも定期作業員等で死亡した場合に、国家公務員災害補償法によって支給せられる額が、これは公務のために死にながら涙金ほどのものも出ない。全くこれはひどい状態です。したがって、これは国家公務員災害補償法の改正を待たなければおそらく抜本的な措置はとれないのだろうと思うんですが、国有林で長い間働いて、定期作業員なるがゆえにほんのわずかの涙金しかもらえない、こういう点について国有林当局としては、国家公務員災害補償法の改正を待つなんということでなしに、何らかの措置というものがとれないだろうかというふうなことが現実の問題として起こっている。これに対してひとつ理解ある御答弁をお願いいたしたい。  それからもう一つは、基幹労働者と常勤職員の雇用条件との均衡の問題なんです。これはいままで労使間の団体交渉でも相当詰められ、また衆議院でも取り上げられまして、関係各省庁との折衝がなされ、近い機会に一定の結論を出すという段階にあるということを聞いておるのでありますが、この現状見通し、特に常勤職員の雇用条件との均衡を考慮した処遇の改善ということになれば、当然これは予算の問題であります。で、四十年間勤務をして、林野庁の職員としては最高の精勤賞を受けたような人が非常に大きな給与上の差別を受けている。これは定員外なるがゆえにそういう差別を受けているということなんです。大体一級精勤賞から五級精勤賞までで四十五年で約三千三百名からの表彰を受けている。そういう人が日々雇用せられる者というふうに取り扱われているという問題がございます。これについてずいぶん長い間各省庁と私も折衝してまいりましたし、林野庁当局もこの処理のためにだいぶ精力的にやったということは認めるわけでありますけれども、その折衝の現状状況見通しについてお答えを願いたい。
  104. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いまの死亡災害の補償の点でございますが、それは国家公務員災害補償法の定めに従って補償をいたしております。遺族補償の規定によりまして補償をしておるということでございます。  それから日給制職員の賃金と月給制職員の賃金の格差の是正につきましてどんなふうに考えておるかということでございますが、いまこれは労使間で話し合いを進めております団体交渉中の事案でございますが、賃金の水準は職務内容とか雇用形態、賃金体系などの相違もございます。これと単純に比較することはきわめて困難なことでございますが、一応これを月給制職員と比較をいたしますと、その差はあるにいたしましても、ここ数年来その格差の比率は若干ながら縮小傾向をたどっておる。アップ率を日給制のほらに相当よくいたしておりますので、格差比率は若干ながら縮小をしておるということでございます。したがって、日給制職員の賃金水準の引き上げにつきましては、従来から努力しているところでございまして、国有林経営の現状から直ちに格差を解消することは困難な状況でありますが、今後経営の改善と相待ちまして、逐次その改善に努力をいたしたいと思います。  また、国有林の基幹労働者の常勤化の問題を早急に処理すべきではないかという事案でございますが、これも従来ここ数年間、基幹作業員の通年化ということを逐次進めてまいっておりますが、通年化された常用作業員、これを常勤職員と同じに取り扱えないかということでございますが、これも先般政府の統一見解といたしまして、国有林野事業の基幹的な作業員を制度的に常勤職員としますことにつきましては、国家公務員の体系にかかわるなかなか困難な問題であるということで、慎重に検討してまいろうということにいたしております。ただ、そういう常勤的な職員がおるということは認め、前提といたしまして、今後検討をいたそうということで努力をしてまいるつもりでございます。
  105. 北村暢

    北村暢君 公務災害でなくなった人を国家公務員災害補償法でやるというのですが、定期作業員の場合、遺族補償は幾らもらえるのですか。
  106. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 職員部長にお答えさしていただきます。
  107. 齊藤誠三

    説明員(齊藤誠三君) お答えいたします。  定期作業員も常用作業員も同様でございまして、遺族補償金が支給されるのでございます。
  108. 北村暢

    北村暢君 幾ら支給されるかと聞いている、額を。
  109. 齊藤誠三

    説明員(齊藤誠三君) 不勉強で申しわけございません。当該災害死亡者の格づけ、賃金を勘案いたしまして遺族補償がきまるわけでございますが、大体現時点で三十万から六十万程度のものでございます。
  110. 北村暢

    北村暢君 大臣、いま聞いたとおり、この定期作業員一人死んで公務災害の遺族補償三十万から六十万程度、人間一人死んで三十万か五十万しかもらえないという状態がいまの国家公務員災害補償法なんです、定期作業員の場合ですよ。これで一体遺族がどうするですか、これ。そういうことでいままでほっぽらかしてあるのです。いま、あんた、交通事故や何の保険だって三十万や五十万なんという保険はありゃしない。だから私は、国家公務員災害補償法で支給しますなんというこの白々しい答弁で、それで満足するのじゃないんです。これは当然改定されなければならない問題で、いままでやっていないんです。ですから、そういう答弁するだろうと思っておったのです。ですからそれではあまりにも気の毒でないかということなんですよ。しかも、公務でなくなって三十万から六十万支給されて、それでほうり出されるということはあまりにもひどいのではないですか。そういうことなんです。ですから、これは法律でそうなっているからしかたありませんといえばそれきりなんですが、私は、これは法律改正まで——これは身分をそういうふうにほうっておくことも問題なんですけれども、そういうふうに定員内と定員外の職員の中に差があるわけなんですよ。同じ人間でありながら、そういう低い補償しか受けられない。したがってこれは、法律改正までいければあれですけれども、何とか、これは法律改正まで、林野庁として見るべき方途が検討されないものでしょうかということを言っているのですよ。
  111. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま職員部長の申し上げましたのは三十万から六十万、これは年金でございます。一時金でなく年金ということでございまして、この額が少ないという御見解のようでありますが、これは国家公務員災害補償法というもので規定をされておりまして、むしろ林野庁の問題ばかりではないわけであります。いずれにしましても、そういった事案につきましてよく調査をいたしまして、要すれば検討をしなければいけないと思いますが、一応いまそういう規定でやられております。まあそういう実態でございます。
  112. 北村暢

    北村暢君 いま年金ということのようですが、定期作業員の場合に年金として出るのですか。
  113. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) たいへん勉強が足りませんで恐縮でございます。いまのお話、先ほど御答弁申し上げましたように、公務災害によって死亡した場合の遺族補償は、原則として年金が支給されますが、遺族の希望によりまして年金の先取り——前払い一時金として平均給与額の四百日分が支給されます。また遺族が年金受給資格を有しない場合は一時金として千日分が支給されることになっております。
  114. 北村暢

    北村暢君 その点はまた機会あるときに譲りましていまの答弁でまあ一応了承しておきます。  あとの、非常勤職員——非常勤というのですか、それと常勤職員との処遇の均衡をはかるという問題ですね。これは制度的に常勤性を付与しないということで林野庁当局ではすでに団体交渉で回答しているわけですが、これは各省庁との連絡をとったものではない、したがって、制度としては非常にむずかしい、なかなかむずかしいということで実際には予算の問題がからんでくるということなんでありますが、そういう面からして特に大臣に要望しておきたいことは——したがって、まあきょうは大蔵省の担当の主計官も来ていただいているわけなんですが、要するにこれは行管でも総理府の人事局でも、人事院でも、みんな責任のがれ的な形で逃げているわけですね。結局は実際の該当者も何も定員内になるとか何とかということを望んでいるわけではない、とにかく相当の差があるということについて、処遇上の差があるということについて問題にしている。したがって、処遇の問題はこれは団体交渉でやればいいじゃないかと、こういうことになっているんですが、実際には予算折衝をやれば大蔵省が認めないということで行き詰まってしまう問題なんです。したがって、これは大臣もこの問題については各省庁と折衝せられ御苦労願っているわけですけれども、最終的に予算の問題になりますので、これはひとつぜひ大臣も責任を持ってこの予算問題処置する上においてひとつ大蔵当局とも折衝されて予算確保に最大の努力をしていただきたい、このように思うのです。その点についてひとつぜひ思いやりのある御答弁をお願いをいたしたい。
  115. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 国有林野事業の基幹的な作業員の処遇につきましては、その勤務の態様が常勤の職員に類似いたしておる面があることも関連いたしまして、労働力の適正な配置等による生産性の向上に配慮しつつ、目下その処遇のあり方について真剣に検討いたしておるところでございます。
  116. 北村暢

    北村暢君 いや、質問に答えてくださいよ、書いたものを読まないで。  予算の問題がネックになっているから、大臣としてもひとつ最大の努力をしてください、思いやりのある努力をしてください、こら言っているのです。ひとつその点を……。
  117. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私実はいまどういう過程になっておるか、正直申し上げてよく知らないのですが、職員団体の人とはしょっちゅう会う機会があるわけであります。両方の——両方というとおかしいですけれども、当局のほらといまいろいろやっておるようでありますから、お話を聞きまして努力をいたしたいと思っております。
  118. 北村暢

    北村暢君 どうもうまくいかないです。  もう団体交渉ではいいところまでいっているのですよ。いっているのですけれども、林野庁がやりたいといってもなかなかできないのです。できない。それは予算の問題である。ですから行管も、この勤務の実態からいって常勤性を付与するということについては、そういう実態であるということはもう認めざるを得ない、認めるわけなんですが、制度としてはこれは他官庁との関係もあり、なかなか認定しにくい問題である。したがって結局この処遇上の改善で解決したいというのが考え方のようでありますね。これは制度となれば文句ないのです。文句ない。それがあと六月か七月ころまでに結論が、各省庁先ほどの御答弁でもだいぶ鋭意努力をしているようですから、結論を出す努力をしておるということは私も認めているわけなんですが、非常に弱り切っているのは、最終的には予算の問題にぶつかるわけです。ですからその予算の場合にひとつ大臣実現するように努力をされる、それくらいは、あなたの部下なんですからね。これは気持ちよく働いてもらうためには必要なのではないかと思うのですがね。その点をひとつ努力をすると言えばそれでいいのです。その努力するということを言わないわけですな。
  119. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 私はたてまえとしては職場の人たちにできるだけ喜んで働いていただくようにしなきゃいかぬと思っております。ことにまあ毎々お話がありましたとおり、いま林野庁でも一般の林業家にとりましても、労働力を確保するためにたいへん苦労しておる最中でありますから、できるだけの処遇をいたすようにしてあげることが双方の利益だと思っております。で、実はこの間からその問題について一ぺん長官から報告を受けたいと思っておりましたが、ほかのことで忙殺されておりまして聞いておりませんので、とにかく長官、職員部長等は十分一生懸命やっておるのでありましょうから、その報告を聞いて努力をいたしたい、こうお答えをいたします。
  120. 北村暢

    北村暢君 まあその程度でいいことにしましょう。  それでいよいよ活用法質問にこれから入るわけなんですが、長くなって恐縮なんですが、もう少しがまんをしていただきたいと思います。今度の国有林野活用法案を提案するにあたりまして、提案した以前と提案後とどういうふうに変わるかということについてきのう質問がございまして御答弁がありました。したがってそういう点は省略をさせていただきますが、この法律によって積極的に国有林野活用をはかっていくということでございますが、その活用の推進には六つの項目をあげて活用の具体的な方法等について示してあるわけでありますが、その中で第三条第一項第二号の代替地の問題でありますが、代替地の問題について、農業構造改善事業の場合の代替地なんですが、これは「林業経営の用に供されていたものに代わるべき土地として林業経営の用に供することを目的とする国有林野活用」、それで代替地というものを認めたわけですが、その際に「当該譲渡をした者で農林省令で定めるもの」、こういうことで政令でもって限定をしておるわけです。その政令の内容はいただきましたが、これの代替地の条件といいますか、考え方というものを御説明をいただきたい。
  121. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 代替地の考え方でございます。どういう場合に代替地活用を認めるかと、その点について申し上げます。第一点、小規模林業経営者が林業経営の用に供していた民有林を農用地造成事業のために譲渡した場合であること、第二点、その林業経営者が造成される農用地をもっぱら利用することとならないこと、第三点、その林業経営者がその譲渡によって林業経営に支障が生ずると認められること、以上三つの点がすべて満たされる場合に限り行なう、こういう考え方に立っております。
  122. 北村暢

    北村暢君 私のいただいた政令案見込みと若干違うようでありますが、いずれにせよこれは非常に限定をされ、この三つの条件がすべて具備していなければならない、こういうことのようでございます。しかも、譲り受けたものというのには都道府県あるいは市町村という公共団体、これは該当しないように受け取れます。それはそのように理解してよいかどうかということ。  それから、農用地造成の事業により造成された農用地をもっぱら利用することとならないことということは、趣旨は、譲り受けた所有者の土地について、農用地が造成された場合、それは利用しない、また、農用地になるときに、あくまでも私は林業経営がやりたいということで不賛成で参加をしない、そういう人に限って他のいま申された二つの条件を具備しなければ代替地を認めない、こういうことになるのか。したがって、これは農用地造成のために参加をしない、なおかつ林業経営をやりたいという希望のある者に代替地を認める、こういうことになると理解して差しつかえないかどうか。
  123. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そのとおりでございます。
  124. 北村暢

    北村暢君 そうすると、都道府県、市町村は該当しない。私ども聞くところによると、農業構造改善事業で市町村有林を牧野等に供すると、市町村としては牧野に供したのだから、代替地を国有林に求める。たまたま隣接して国有林がある場合、現実にそういう事象にぶつかって、私もそういう陳情を受けたことがあります。そういう場合でも市町村には農業構造改善事業のためであるから、構造改善事業は市町村のためではない、農業者のためであるという観点から、市町村には認めない、こういうことになるというふうに理解いたしますが、これは具体的に申し上げましたが、それで差しつかえないかどうか。
  125. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そのとおりでございます。
  126. 北村暢

    北村暢君 従来も代替地というものの制度があったように聞いておりますが、実績はあるのですか、どうですか。
  127. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 実績はございません。
  128. 北村暢

    北村暢君 次に、「国有林野活用の適正な実施」ということがいわれておりますが、これとの関連で前にも若干さかのぼるかと思いますが、国有林野活用、構造改善事業その他の実績については資料をいただきましたが、大体過去の国有林野活用実績——林業構造の改善のための国有林野活用実績、こういう資料をいただきましたが、これによると、農業の場合は三十八年度から四十四年度まで、林業構造改善事業は三十九年度から四十四年度までの実績、農業が二万二千九百九十五ヘクタール、林業が二万一千百三十七ヘクタール、過去四、五年の間にこういう程度実績しかないわけですね。そこで、全国国有林野解放対策協議会等の今後の国有林野活用計画というのが、解放対策協議会で一応、市町村に照会をして回答のきたものだけということですが、その資料は、要求事項は、計画林野庁のほうにもすでに行っているのじゃないかと思うのですが、農用地の場合十二万八千四百九十九ヘクタール、それから林業の場合三十万三千七十九ヘクタール、こういう国有林野活用計画が、これは回答のきたものだけということです。ですからおそらくこれは正確にやればもっと多くなるのじゃないかと思われるのです。そういう要望が出ております。特に林業の構造改善事業等については、払い下げ等を要望するものが、三十万三千ヘクタールのうち二十四万六千ヘクタール払い下げてもらいたいというのが出てきております。そうしますと、従来の農林業構造改善事業のための国有林野活用実績、四、五年の実績でわずか農業、林業合わせて四万四千ヘクタールという状態ですね。ところが解放対策協議会は農業、林業含めるとこれは四十四万ヘクタールですかね、くらいの現状で、年間だけでそういうものが出てきている。ですからこういう要望に対して、この法律が通ったならば、国有林野活用というものがどういう形で行なわれるかということは、非常にこれは要望する側からしても重大な関心事だろうと思う。そこで従来の国有林野活用は、基本法四条に基づく国有林野活用についての次官通達が出されているわけです。これは、農業構造改善事業のための国有林野活用並びに林業構造改善事業のための国有林野活用、こういう次官通達が出ており、それぞれの国有林野内の農用適地選定基準、それから国有林野内の林業構造改善事業の活用林地選定基準というものでもって今日まで運用してきているわけです。それで今度の法律でも、こういうことを農林大臣が決定をし、公表しなければならないということになっておりますが、一体この法案が通ったならば、従来の次官通達がこの法律に基づく何か通達というような形になるのかどうかわかりませんが、内容的にはこの次官通達の趣旨というものが踏襲されるのかどうか。先ほど申したように、国有林解放対策協議会のこういう膨大な要望というものの期待に簡単に沿えるような形になるのかどうなのか、この法案通過後において従来のそれぞれの農林次官通達との関係はどのようになるか、また法律通過後の農林業構造改善事業のための国有林野活用というものが従来の実績比較してどのように飛躍的に拡大されるのかどうなのか、そういう見通しがあるのかどうか、こういう点について見解を伺いたい。
  129. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のように、次官通達でいままでやっておりましたけれども、活用の適格者それから活用し得る場合などが政府内部の通達等で定まっておったわけでありますので、活用制度の周知徹底が必ずしも十分であったとは言えないと存じます。そこでその活用の実施に関する国の方針等を法律で明確にいたしまして、それで活用希望者にそのことを明らかにいたしまして適正かつ円滑な活用に資する必要があるということはまあ強く要望されておりました。そういうようなこともございますし、それから土地の売り払いまたは活用に伴う立木等につきましては、原則として一時払いとなっておりましたために活用の円滑な実施が行なわれることに支障を来たしておったというようなこともございます。それからまあ今度の活用によりましても、これは林業についても言えることだと思いますが、農業の構造改善等については、この解放された土地について新しい計画に基づいて構造改善の事業が積極的に行なわれることを期待いたしたいと、こう思っておるわけであります。
  130. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 補足いたしまして御答弁申し上げますと、従来の次官通達の選定基準をどうするかという点でございますが、おおむねそれの選定基準を踏襲するつもりでございます。別にその基準で支障を感じておりませんので、踏襲するということ。  なおつけ加えれば、位置とか土質とかいろいろ基準がございます。それの基準と、それから保安林等の第一種林地、これに準ずる第二種林地、幼齢人工林、苗畑、林道、そういうものは活用を避けるということ、そういう選定基準がございましてそれをおおむね踏襲をする。  以上でございます。
  131. 北村暢

    北村暢君 この選定基準を踏襲するというと、従来の——従来といいますか、農地改革当時におけるいわゆる緊急開拓、当時非常にずさんな開拓地の選定をやった。解放対策協議会のほうからいわせれば、開拓の不成功であったのは国有林はいい所は一つも出してくれない、悪い所ばかり出している、だから成功しないのはあたりまえだ、こういう批判が一つあるわけであります。その批判にこたえて、おそらくこの農業構造改善事業を実施するためにこの次官通達が出され、選定基準も厳格にした、こういうことだろうと思うのでありますが、したがってこの基準に従って売り払いその他の処置で活用された場合には、農業経営に支障を来たすなんということは起こらない、こういうふうに理解をいたします、厳正に行なわれる、そうしてこの選定基準というものは今後も踏襲していく、こういうことのようですから。しかし、活用という面については、大臣のおっしゃるように希望するものが獲得できるように積極的に周知徹底をする、こういう措置をとる、こういうことのようでありますから、それはそれなりに理解をいたします。  そこで、この林業の構造改善のための払い下げというものが二十四万六千ヘクタールも出ているわけです。ところが従来の林業構造改善事業のための国有林野活用は、おおむね部分林制度を活用するということで決定をしておる。そのほかにも、この部分林の要求ももちろんございます。したがって、これは私どもの理解からすれば、この国有林活用というものは樹園地をつくるとか畑をつくるとかいうことで、直接農業の生産そのものに関連をし、個人的な経営がいいというものについてはこれは売り払いなり所属がえなりの方法がある共同牧野、そういうようなものについては利用権を設定してこれは貸し付けをしたほうがいいのじゃないかと理解をしている、またそのように従来も運用されているようであります。で、この要望の林業構造改善事業の払い下げという問題について、先ほども私この要望にこたえられるかどうかということをお尋ねしたんですが、御答弁がなかったようですが、この林業構造改善事業の零細林業経営の規模拡大のために行なう国有林野活用というものの形は一体どういうものをお考えになっているのか、この際明らかにしておきたいと思います。それでないというと、これは解放対策協議会の調べでは払い下げ等の要求が相当多く出ておりますから、期待をして期待はずれということにもなりかねないのでありますから、法案審議段階においてどういう方針でおられるのか明らかにしていただきたいと思います。
  132. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 第三条第一項の第三号、個人活用がそこの規定に書かれておりますが、現在林業構造改善という事業をやっておりますが、この林業構造改善をやる場合に部分林を設定して経営規模の拡大に協力を申し上げようということ、まあその他幾つかの事業内容がございますが、その林業構造改善を実施する場合にこの第三条第一項第三号の規定を適用しようという考え方でございますので、この際林業を営む個人というものは当面活用の対象に考えておりません。林業構造改善事業に基づく近代化の事業を行なう場合の団体、まあ主として団体を考えておりますが、その団体に対しまして原則として部分林活用を進めていこう、これをかりに個人活用といたしますとまあたいへん事務が煩瑣になりまして、かりに個人的に少しくらいの活用をいたしましてもほんとうに活用の実効があがるかどうか問題でございまして、将来のそういう小規模林業経営の指導方向としましては協業化を考えておるわけでありますからその協業化の方向でその活用にも御協力を申し上げるということで、個人には当面考えておりません。
  133. 北村暢

    北村暢君 個人には考えないが、共同の場合も部分林制度を活用するというので払い下げそのものはやらない、そういうことですか。
  134. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そうでございます。
  135. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、この解放対策協議会の払い下げの要望というものには実質的にはこれ、こたえられないことになりますね。
  136. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 協議会の御要望があることも承知はいたしておりますが、まあ簡潔に申し上げますとそういう結果になろうかと思いますが、しかしいろいろとお話しをいたしまして、今後の林業の方向は協業化へ行くべきだ。その協業化の推進の方策としては部分林が一番いいのだといったようなお話し合いを進めまして、御理解をいただきながら積極的に活用をしてまいる、こういう考え方であります。
  137. 北村暢

    北村暢君 本日はこの程度に私はとどめておきます。
  138. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  139. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案については前回で質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  140. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は日本共産党を代表して、水産業協同組合法の一部改正案に反対するものであります。  今回の改正案は、第一に、法人の組合員資格、准組合員資格を大幅に緩和し、大漁業法人に、組合の管理運営への参加、組合の施設や資金の利用の道を開くものであり、ひいては大漁業者中心の組合運営がはかられる危険を持つものです。第二に、組合員の代理権拡大、総代会の機能と権限の強化、連合会においては一会員一票制に特例を設け、組合員数に基づき議決権等を与え得るなどの改正があります。これは、特定の組合員や大組合による組合運営の傾向を強めるものであり、協同組合の民主的強化に逆行するものであります。  以上のように今回の改正は、中小零細漁業者が力を合わせて組合を民主的に運営していくという協同組合の根本精神に全く反するものであります。同時に、拠点方式の名のもとに、汚染地域や中小零細経営地域を除外した第二次沿岸漁業構造改善事業や中小零細漁港を切り捨てていく第四次漁港整備計画などと合わさって、沿岸漁業はじめ日本漁業全体を大漁業者、大組合中心に再編成しようというねらいを持つものと言わざるを得ません。  こうした多くの中小漁業者の利益、協同組合の真の発展に相反し、ただ大漁業法人、大組合の要求にのみこたえた今回の改正に強く反対することを重ねて表明して、私の討論を終わります。
  141. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  水産業協同組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  143. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきも一のと決定いたしました。  亀井善彰君から発言を求められておりますのでこれを許します。亀井君。
  144. 亀井善彰

    ○亀井善彰君 私はただいま可決されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党共同の附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。  以上であります。
  145. 河口陽一

    委員長河口陽一君) おはかりいたします。  亀井君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  146. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 多数と認めます。よって、亀井君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉石農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  147. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、対処いたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  148. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 次に、漁港法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案については、前回で質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  漁港法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  150. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  151. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 次に、海洋水産資源開発促進法案を議題といたします。  本法案については、前回で質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  152. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、海洋水産資源開発促進法案に反対するものであります。  周知のごとく、日本漁業とりわけ沿岸漁業はきわめてきびしい情勢にあります。国民生活に欠くことのできない水産物は、その需要は年々増大しているにもかかわらず、生産量の伸びは近年停滞しており、中でも新鮮な魚介類を供給している沿岸漁業は、浅海の埋め立てや公害により、その環境悪化は著しいものがあります。自民党政府の高度経済成長政策が、海をつぶし、海をよごし、漁業と漁民の暮らしを破壊しつつあることは、漁業関係者が一致して指弾いたしているところであります。しかるに、政府・自民党は、大資本本位の政策を一そう推し進めようとしており、もし新全総計画などがそのまま実施されるならば、日本の沿岸漁業は壊滅的打撃を受けるでありましょう。ところが、農林省・水産庁は、これらの政策に従属し、中小零細漁業者の多い沿岸漁業の環境悪化は事実上放任したまま、大漁業資本による遠洋漁業において生産拡大をはかろうとしており、今回の立法は、こうした方向を推し進めるものであります。  すなわち、法案では、沿岸漁業と沖合い・遠洋漁業の振興をそれぞれうたいながら、沖合い・遠洋漁業のために新設するという海洋水産資源開発センターにのみ、十億円以上の予算が計上されているのであります。これこそ、大漁業資本、上層漁業者奉仕という今回の法案の本質を明白に物語るものであります。  第二に、沿岸漁業における増養殖の振興についても新しい積極的な施策はありません。しかも、開発区域の設定にあたって、全国水際線の四分の一を占める港湾区域、公告区域は原則として除外し、また、埋め立てや公害の進んでいる地域、中小零細漁業者が散在している地域等は切り捨てていくものであります。  第三に、工業などとの調整にあたっても、既存法令の運用を要請できるとするのみで、少ない開発区域や指定区域においてさえ、届け出のみで海底の掘さく等ができるなど、漁場保全の効果は、ほとんど期待できないものです。  第四に、海洋水産資源開発センターを設立し、新漁場の開発とその企業化のための調査を、国費で行なうというものです。これは、資源開発の名のもとに主として大漁業資本、上層漁業者の利益をはかるものであり、政府は大漁業資本による略奪漁業を戒めるのでなく、一そう官民一体となって経済侵略的漁業の推進をはかろうとするものであります。  このような法案は、公害をなくし、沿岸漁業の振興を心から願っている中小零細漁民の期待に全く反するものと言わざるを得ません。わが党は、無制限の埋め立てや、公害発生源を強く規制し、海のよごれを防止すること、漁場、漁港の整備を強力に進め、育てる漁業を発展させること、大漁業者、大漁業資本中心をやめて、中小零細漁業者のための漁業振興政策を行なうことなどを強く主張するものであります。  以上を強調いたしまして、私の反対討論を終わります。
  153. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  海洋水産資源開発促進法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  155. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  村田秀三君から発言を求められておりますので、これを許します。村田君。
  156. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は、ただいま可決されました海洋水産資源開発促進法案に対する自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党共同の附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。  以上であります。
  157. 河口陽一

    委員長河口陽一君) おはかりいたします。  村田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  158. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 全会一致と認めます。よって、村田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉石農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  159. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、慎重に対処いたしてまいる所存でございます。
  160. 河口陽一

    委員長河口陽一君) なお、三案に対する審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 河口陽一

    委員長河口陽一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会