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1970-12-09 第64回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月九日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 本名  武君 理事 水野  清君    理事 武部  文君 理事 樋上 新一君    理事 栗山 礼行君       加藤 六月君    上林山榮吉君       佐藤 守良君    坪川 信三君       羽田  孜君    浜田 幸一君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    阿部未喜男君       古川 喜一君    中野  明君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省人事局長 北 雄一郎君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         日本電信電話公         社運用局長   中林 正夫君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     島本 虎三君 同日  辞任         補欠選任   島本 虎三君     安宅 常彦君 同月八日  辞任         補欠選任   佐藤 守良君     増田甲子七君   森  喜朗君     赤城 宗徳君   安宅 常彦君     中澤 茂一君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     森  喜朗君   増田甲子七君     佐藤 守良君   中澤 茂一君     安宅 常彦君     ————————————— 十二月七日  低料第三種郵便料金値上げ及び一年ごとの第  三種郵便物認可更新制度反対に関する請願(麻  生良方紹介)(第一〇六号)  水戸市千波町、笠原町の郵便物取扱い改善に関  する請願二見伸明紹介)(第一七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森喜朗君。
  3. 森喜朗

    ○森(喜)委員 このたび郵政審議会から、郵便料金改正答申もございましたので、私は自由民主党を代表いたしまして、これらに関しまして質問をいたしたいと思いますので、お願いをいたしたいと思います。  このたびの答申は、内容的にはいろいろ配慮をしてあるようでございますけれども、平均三五%ということで、物価高騰あるいは心理的なものから見まして、国民に対してかなり影響があるのではないかと思いますし、特に最近の新聞テレビ等、毎日毎日郵政関係の記事の見えない日はないぐらいでございます。そういうときにあたりまして、まず第一、なぜ郵便料金を上げなければならないのかという点から、ひとっこまかなお答えをいただきたいと思います。
  4. 竹下一記

    竹下政府委員 お答えいたします。  料金は上げないにこしたことはないのでございますけれども、最近の事業収支状況をながめました場合に、そのバランスが大きくくずれてきたわけでございまして、その最大の原因は人件費上昇ということでございます。  御承知のように、郵便事業は人力に依存する度合いが非常に強うございまして、人件費が総経費中に八〇%占めておるという非常に特異な事業体でございますが、ここ数年来、人件費アップつまり毎年行なわれまするべースアップの推移をながめますと、私どもが予定しておりましたラインを非常に大きく上回ってきております。したがいまして、四十一年七月に料金改正をいたしまして一応収支バランスが保てたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、主として人件費アップのために、五年たちました今日、収支バランスがくずれるに至ったということでございまして、それを補うためには料金改正やむなし、こういうわけでございます。
  5. 森喜朗

    ○森(喜)委員 今度の改正に伴いましての増収額、それに伴っての御計画というものをちょっと伺いたいと思います。
  6. 竹下一記

    竹下政府委員 今回の郵政審議会答申によりまする料金改正案を実施いたしました場合に、この料金改正は今後、つまり四十六年度以降三カ年を予定しておりますが、三カ年の間に九千五百九十二億円の収入に相なります。これを料金値上げをいたしませんで現行のままいきました場合には、三カ年の収入が七千九十億円でございますから、その差額二千五百二億円というものが料金改正による増収分でございます。つまり増収率は三五・三%になります。
  7. 森喜朗

    ○森(喜)委員 そこで私は、ここでなぜ三年にするかということにちょっと疑問を持つわけでありますが、たしか前のときには一応五年間据え置いたわけです。その間の人件費は大体六〇%くらい上がっておるようでありますし、とにかく経常費の八割くらいを人件費で占めるというような、こんな異常な郵政業務といいましょうか、このまま参りますと、国鉄と同じようなことになってまいります。いまのところは三Kで問題になっておるわけでありますが、そのうち三KプラスYなんというのが出てくるのじゃないかという気もするわけであります。そこで、三年にしたということは、何かとりあえず三年間だけやっておいて、前のときは一応三年だけれども五年に延ばした、そのくらいのゆとりを多少持たしておくんだというような感じもするわけでありますが、一体三年間おかなければならなかったというはっきりした根拠国民に対する説明、そういうことをまず御説明いただきたいと思います。
  8. 竹下一記

    竹下政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、郵政審議会におきましても十分に検討がなされたのでございますが、また御指摘のように、料金はできるだけ長期に安定した形で置いたほうがよろしいわけでございますので、その点につきましてはそういう方向がとれないものかという方向十分検討がなされたわけでございます。かりに五年持たせるということにいたしますと、やはり料金値上げ値上げ幅がかなり大きいものになりまして、大体現行料率に対しまして五〇%ばかりのアップになる。これは上げ幅といたしましては非常に大きいですから、国民生活にも非常な影響もございますし、極力上げ幅を少なくするということに着目いたしますると、勢いその期間は短縮せざるを得ない。そこがちょうど三年くらいの線が出てくるわけでございます。したがいまして、三カ年を一応の目途とするという線が出されたようでございます。
  9. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いま五〇%というような上昇率のことを局長おっしゃいましたけれども、それではいまの三五%のアップ一体国民生活に対してどれだけの影響があるのか。今度三五%上げるといたしまして、国民各階層にわたってどのような影響があるのかということを私はまず伺いたい。  といいますのは、私どもも決して料金が上がるということに賛成をしておるわけじゃございません。上がらなければ上がらないにこしたことはない。ただ、いまのこの赤字といいますのはほとんど人件費であること、この辺に対して補てんをしなければならぬということであります。  と同時に、毎日毎日手紙を書く人じゃない人たちのほうがむしろ騒いでおるというような感じがするのです。いわゆる会社だとか商社、私ども国会議員も多いわけでありますが、そういう人たちよりも、一月に一通か二通書くか書かないか、こういう人たちに対してマスコミによるかなりの影響があるような感じがいたしますけれどもほんとうにいまの七円のはがきが十円になることによって、三円の価値というものを一般国民手紙を出すことによってそんなに考えておるのかということ、もしこの上昇によってほんとうにいい策をこれから出していただけるものならば、七円がかりに十円になったとしても国民は納得するんじゃないかと思うのです。  その辺のことを考えまして、先ほど前提に申し上げましたように、今度の値上げ、あるいは五年間にした場合に、いま局長は五〇%上げたのでは上げ幅がきわめて大きいというようなことをおっしゃいました。一体これによってどれだけ影響というものを感じておられるのか、あるいは郵政省としてはどの程度調査をされておられるのか、伺いたいと思います。
  10. 竹下一記

    竹下政府委員 郵便料値上げ一般家庭家計にどういう影響を及ぼすかという問題でございますが、結論を申せば、その影響度合いはきわめてわずかなものであるというふうに私ども考えております。ここに昭和四十四年度における総理府統計局が調べました数字がございますが、四十四年度におきまして一世帯当たり年間支出金額の中で、郵便費が占める程度は〇・二二四%でございます。したがいまして、かりに審議会が予定しておるような料金値上げをいたしました場合におきましても、影響度は事実はたいへん軽微なものでございます。心理的なものは多少あろうかと思いますけれども、実際の家計に及ぼす影響度合いというものはわずかではないかと思います。
  11. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いまの郵便物で、大体会社とか特にダイレクトメールを中心とするこういうものと、それからいわゆる私信、個人的にお手紙を出される、こういうものとの割合というものはおわかりになりますか。
  12. 竹下一記

    竹下政府委員 最近では個人個人との間、あるいは家庭相互間、あるいは個人家庭の間、いわゆる消息通信といいますか個人通信といいますか、そういうものは非常に割合が少なくなっておりまして、絶対数は落ちてはいないのでありますけれども、総郵便物の中に占める比重が落ちてきておりまして、大体二〇%程度になっております。したがいまして、あとの八〇%は、会社会社との間の通信、あるいは会社個人つまり会社と株主との間の通信、そういったいわゆる業務用通信と私どもは言っておりますが、そういった郵便物と、いわゆる最近問題にされておりますところのダイレクトメールのたぐい、あるいは新聞三種郵便、そういったものでございます。
  13. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いま、二対八くらいの割りだというような感じ受けましたけれども、確かにいま一般個人家庭、私どもに来る手紙でもそうでありますけれども、ほとんど印刷物デパートダイレクトメール、特にいま年末ですから、カレンダーだとか何か会社の景品みたいなもの、サンプルみたいなもの、そういうもので、おそらく各家庭の団地なんかの受け箱でもそうでしょうが、とにかくあふれるようになっているのが現状だと思うんです。そういうことによって、郵便屋さんたち業務に携わっている方々も、たいへんな努力があると私は思う。逆な見方をすると、何か会社とかデパートだとか、新聞関係通信関係、そうした人たち輸送業務を、郵政省がかわりにしてあげているような、そんな感じがするんです。一体郵政省、いわゆる郵政事業会計会社のそういう輸送業務に対することをかわってやってあげなければならぬような、そんなことがあるんだろうか。これだけ一生懸命、郵便局から配達方々すべて、——とにかくたいへんな私は国民に対する一種のサービスだと思うのです。もちろんサービスが足りないという面もかなりございますけれども、いまのような機械化された時代で、これだけ国民一人一人に対して持っていって差し上げるというような、これだけのサービス業務は私はないとむしろ思っておるのです。それがだんだん会社ダイレクトメール、そういうものによって圧迫受けてしまって、会社肩がわり郵政省がして、それを国民の税金でかわってやってあげるというようなことに対して、私は多少の——多少どころか非常に疑問を持つわけですが、これに対してDMに対する措置ですね、そういうものに対する当局としてのこれからの対応策、あるいはいまこういうことで手を打っていきたいんだというようなお考えがありますかどうか、ひとつ具体的に国民にわかりやすく御意思のほど、御決意のほどをお話しいただきたいと思います。
  14. 竹下一記

    竹下政府委員 最近の郵便物中身は、先ほど申し上げましたように、いわゆる信書と申すべきものが非常に少なくなりまして、信書でない、いわゆる企業活動のためのものあるいは周知宣伝のためのもの、こういったものが非常にふえてきておるというわけでございます。これは日本だけでございませんで、世界じゅうそういう傾向があるのでございます。しかし、郵便事業国営事業として独占的にこの仕事を運営しておるということを考えますると、郵便局郵便として差し出されたものは、差し出した人の身になって考えますると、まことに重要なる通信でございます。ダイレクトメールといえども、差し出す人は非常に大事なものと思って差し出しておるわけでございますので、やはり私ども仕事を引き受けてそれを送達するということを義務づけられておる者といたしましては、きん然としてこれをお引き受けするということでなければいけないと思います。  ただ、申し上げたいことは、これは信書ではないということが一つ言えると思います。さらに業務用通信といいあるいはダイレクトメールといい、企業活動一つとしてなされておるものでございますし、そういうことを考えますると、郵便料金というものは、企業的なセンスを取り入れまして、業務運営に必要なるコストをまかなうに足りる料金をいただく。つまり、私ども仕事は引き受けますが、そのために必要なるお金はちょうだいいたします、そういうことで、相互了解の上でこの郵便物をお出しになることですから、もう何ぼでもよろしい、お出しになるものはきん然として引き受けます、こういう姿勢でなければならないと私ども考えております。くどくなりましたが、料金の面におきまして適正料金、私どもはそういうふうに申し上げますけれども、そういう配慮がなされるならば、私どもはそれをきん然として引き受ける、こういう立場でございます。
  15. 森喜朗

    ○森(喜)委員 局長お話を伺っておりますと、ちょっと私も疑念をはさむのです。確かにどんなものであってもお客さまはお客さまである。内容はともかくとしても、受けたものは私どもはそれに対して喜んでそれ相応の料金をいただいてやっておるのだということであります。しかし、国民がそれをもらってはたして見ておるのかどうか。いまの新聞の中に入っておる折り込みと同じで、初めから裏を見るとわかっておるから、すべて捨ててしまっているのが現実だと思うのです。よほどのひま人でもない限りは、のんびりと開いてそんなものを見てないと思う。その辺の受ける側の感触、そんなにありがたいと思ってないし、迷惑だと思っておる国民のほうがむしろ多いのじゃないか。皆さんとしては、客としては受ける、誠意を尽くすということですけれども国民の感情というものを一ぺん調査されたほうがいいのじゃないかと思うのです。  要は、お受けになることはかまわぬのですが、問題は、そのことによっていわゆる消息通信といいますか、私的な通信圧迫受けているんだということに、現状をもっと認識をされなければならぬと思うのです。特に受け箱なんかごらんになるとおわかりだと思いますし、おそらく竹下さんのところも入っていますが、ときおりはあまり出版物やそういうものが多いために、その間に大事なはがきまで見落とすようなことがあって、パンフレットが入っておるとそれと一緒にうっかり捨ててしまったり、むしろそういう問題が多いのじゃないか。むしろ郵便事業の本来の目的をそこなっているというのが現実だと思うのです。そういうような、一般国民がそういうものをもらって喜んでおるのか、喜んでないのか、そのあたり局長さん一ぺん調査されたほうがいいと思う。  そういう調査もときどき必要だし、それによって調査するまでもなく、一人の国民の声としてはっきり言ってみれば、そんなことでむしろDMに対する対策も取り組んでもらいたいし、あるいは先ほどからくどいようですが、特にそうしたダイレクトメールというものは規格が非常にめちゃくちゃだと思うのです。むしろ、一般国民の大事な手紙に対して定形化をはっきり打ち出しておって、そういうものに対しては自由奔放にやらしておるということも、国民利用者から見ると逆のサービス郵政省がやっておるのじゃないかというような感じもするのです。ですから、これからむしろそうしたものに対する対策考えていただく、あるいはダイレクトメール通信というものに対する定形化というものを、もっとその人たちが不自由するような、一般国民のほうがもっと楽になるような、そういうきめのこまかい血の通った施策というものを考えてほしいというように思うのです。その辺のことを、いまお答えをいただかなくてけっこうですから、局長お願いをしたいし、そういうことを前向きにやってくれなかったら国民は実際納得しないと思うのです。  それと同時に、関連しまして今度第三種郵便物値上げになるわけでありますが、その中で従来二つでございましたけれども、今度三つに、週三回発行ですか、そういうふうに区分を三つに分けられたわけでありますが、その根拠についてお答えをいただきたいと思います。
  16. 竹下一記

    竹下政府委員 三種郵便物は、従来二種類でございましたものを、今度の審議会の案といたしましては三種類に分けられておるわけでございます。これは十分検討がなされました結果でございますけれども、従来低料扱いになされておりました新聞類つまり月三回以上のものにつきましては一部三円とするという取りきめがございましたのですが、これは月三回以上ということですと対象新聞紙も相当のものでございますし、対象の部数も非常に膨大なものでございます。したがいまして、同じような新聞でございますけれども公共性の強いものとやや軽いものと二つに分けまして、公共性の強いと思われるもの、これは日刊紙及び隔日刊紙にしぼっていいのではなかろうかという一つの線が出まして、つまり週三回以上という規定はそういうことでございますが、そのタイプの新聞につきましては低料の七円という料率を適用する、それ以外のものにつきましては九円ということで扱いに格差を設けた、こういうことでございます。
  17. 森喜朗

    ○森(喜)委員 今度の第三種改正で、私どももかなりいろんな各層から陳情書をいただいて、ここにおられる多くの議員方々もいただいておられると思うのですが、ただ月何回出すとか週何回出すとかいうようなことであまりこまかくやられますと、少ないけれどもきわめて中身の濃い、また非常に高度なものもあると私は思うのです。ただ、在的なものとか、そういう団体、グループによってそう慣例化して出せないというようなものもあるのじゃないかと私は思うのです。そういう面についての配慮というものをやはり内部について——ただ単に発行回数だけできめられるということに対してもかなり批判があるのじゃないかと私は思うのです。もう少し、たとえば小さないなかの町村あたり出しておられるもの、それも年に何べんしかお出しにならないものもあるので、あるいはその町なり村から出て東京、大阪その他全国に散らばっておる郷友会というのでしょうか、そういう方々に出されるというものもあると思うのです。そういうものはかなり、町の財政あるいは村の財政の中でおやりになるわけでありますけれども、そういうものに対してもただ月の発行回数だけによって制限するということは、そういう地方財政に対してもかなり私は迷惑をかけるのではないかと思いますが、その点に対しての配慮というものはおありになるのでしょうか。
  18. 竹下一記

    竹下政府委員 第三種郵便物の中の新聞につきましては、料率の適用を違えるということは、考え方といたしましてはいろいろと議論が出るところでございまして、一種類でいいじゃないかというお話のようなことも当然出ます。あるいはもっと刻みをこまかくしていいじゃないかという論も出ましたし、これが絶対ベストであるという線はなかなか出にくいわけでございます。かたがた、郵政財政の及ぼす影響つまり三種郵便料率をいかにきめるかということで、収入はそれに伴なってまいりますから、それが財政にどういう影響を及ぼすかということも考慮しなければなりませんし、いろいろなことを勘案しつつ、いま言った新聞について二段階、さらにそうでない一部十五円という三種郵便もございますから、三段階になっておりますけれども、この刻み方は、それ以外に考えるものは全然ないということではございません。今後なお、これは検討すれば、し得る余地は残されておると思います。
  19. 森喜朗

    ○森(喜)委員 これは私から要望ですが、第三種についても、ただ単に印刷物だという扱いじゃなくて、ひとつきめのこまかなことをお考えをいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  そこで、ちょっと問題点を変えますが、これは七日の朝日新聞に出ておりました写真です。ごらんになったでしょう。管理職はつらいといって、課長さんがなれないアドレスを持って、袋をさげておられます。このかっこうは今日ではあまりいいかっこうではないと私は思うのです。私どもの会合あるいはこういう郵便の話の中で、——郵便配達をされる方々かっこうというのは確かにスマートじゃないわけです。何もこれはたまたま管理職だからかっこうが悪いわけではありませんけれどももの腰かっこうが悪いだけであって、大体普通のときだって、これと似通ったかっこうをしているわけであります。十年くらい前と比べても、せいぜい自転車がスクーターにかわったというだけで、配達する方々かっこうというのはそう変わったわけじゃない。  今度のことは、国民ほんとうに説得できるだけのものをお持ちならば、さっき申しましたように、七円のはがきが三円上がるということに対して、いまの若い人たちが三円落ちているからといって拾うような時代でもなくなってきているわけです。決してそんなものを粗末にするわけじゃありませんけれども、それだけに郵政省として、それに対して何かきめ手になるようなりっぱなものをお出しになる必要があるのじゃないか。もう少し配達なんかについても、機械化するというとこれ以上のことはできないわけですが、配達制度についても何らかの方法がないものだろうか。この際、先ほど私が申し上げた、ただ三年に据え置くのはなぜかということ、三年間にきめたのはなぜかということを最初に冒頭に申し上げたのも、ここに実は根拠があるのです。かりに国民ほんとうに説得ができて、いまの国鉄のようにならない郵政事業というものをつくるなら、局長、この際思い切った、何かりっぱなものを国民に、どうだ、こういうことをおれはやるのだというようなものを、郵政省としてひとつ提示してもらいたい。  たとえば、私は幼稚なことを申し上げますが、郵便配達あるいは郵便を投函してから相手につくところまで、時間をきちっと国鉄ダイヤみたいにはっきり出してみる。何月何日に投函したものは、この地区は何月何日にここにつくのだというくらいなこまやかなものをつくって、そのかわりおくれたら切手代を返すくらいの——約束を違えたのですから、特急だって何分間かおくれると料金を返すでしょう。だからつかなかったら、それに対して国民に対して何か埋め合わせをするのだということ、これはきわめて幼稚なことかもしれませんが、技術的にはむずかしいのかもしれませんが、そんなことを考えてみるとか、国民の皆さん方に全部私書函制度というものをもっと充実さしてみる。いまのようにこうやって配達して歩くというのは、日本のようなこういう都市形態といいますかあるいはいなかの部落形態といいましょうか、そういうものから見ても、郵便事業に携わる皆さんは非常に御苦労だと思うのです。ですから、そういうようなことをもっと思い切った、変わった、なるほどおもしろいことをやるな——何も外国の例ばかり見ておってはだめです。日本流のものをやればいい。大体都市計画なんか日本と外国と違うのだから、日本流に合ったものをひとつ局長はだっと打ち出してみるようなことをお考えをいただきたいと思う。そうしたら国民は、はがきが七円が十五円になっても文句を言わないと思う、一日二十本はがきを書いておるわけではないのですから。そういうようなことを、私はいま具体的なことを二、三申し上げましたけれども、何かお考えがあると思うのですが、ひとつお答えをいただきたい。
  20. 竹下一記

    竹下政府委員 私どもが目ざしておりますことは、業務の正常運行、一口に申しまして遅配の解消ということでございます。業務の実態は、御指摘のとおりにきわめて遺憾な点がございまして、私どもは決してこれでよろしいとは思っておりません。昔はこういうことでなくて、先ほどおっしゃいましたように、郵便には標準送達速度というものがございまして、駅にあります時刻表、あのとおりにはいきませんけれども、それに近い時刻表を利用者の皆さんにお見せすることができたわけでございますが、今日ただいま実はそういうことは残念ながらできないわけでございます。したがいまして、私どもの目ざすところは遅配の完全解消、撲滅ということでございます。これにつきましてはいろいろと努力をいたさねばなりませんし、具体的な方策につきましてはいろいろと検討を進めておるし、プランもございます。それにつきましても、たとえば服装の問題にいたしましても、もう少しいいものを着せたい。そのほかにも局舎の問題もございます。局舎をよくしてあげたい。さらに、雇用難ということでございますけれども、やはり建物をよくすることによっていい人材を吸収することができる。今日遺憾ながらそういうことはできませんし、一口に申しまして、この事業運営のための投資という面につきましては、非常な投資不足といいますか、これは人的なあるいは物的な施設につきまして両方にいえることでございますが、非常な投資不足ということで今日まできておるわけでございまして、そういうことをいろいろ考えますると、業務の正常運行、遅配の解消ということを目ざす上には、やはり財政の基盤を確立しなければいけない、そういう面も非常に強いわけでございます。料金問題もそういったところから出るわけでございます。
  21. 森喜朗

    ○森(喜)委員 局長お答えを聞いておりますと、どうもやはり郵政省らしいお答えで、できないのではなくてやらないのではないかという感じもするのです。もう少し局長、郵務局長在籍中に、金がどうかかるかということよりも、何かスマートな、そして国民に日本の、特に外国から模範になるような思い切ったものをぜひとも御検討いただきたいし、プランもお立てをいただきたいと思います。  もっとそのことについて申し上げたいことはあるのですが、せっかく大臣もお見えでございますので、大臣に御質問さしていただきたいと思います。  私は、いま値上げに対して局長にいろいろお答えをいただいたわけでありますが、いまおそらく閣僚会議で問題になっておられる——内容というものは私はわかりませんが、公共料金ストップ令ということも出ておるわけでございますし、きまったかどうかはわかりませんが、とにかく三十九年のときも公共料金値上げをストップしました。しかし結果的には、一年間据え置きましたけれども、そのあとには大幅な値上げというものがみんなあったわけであります。結局は国民に迷惑をかける。それよりも、先ほどから申し上げたように、局長に申し上げておったんですが、ほんとう値上げを絶対しなければならないのだ、それによっての一つは、国民に対してのサービス、いま問題になっておるような点を解決をされて、明示をされて、そしてひとつあくまでもこれをやっていくんだという大臣の所信といいますか、あるいはとにかく腰を落ちつけてやるのだということについて私はお伺いをしたいわけでありますが、大臣の御決意をひとつ伺いたいと思います。
  22. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 森委員と郵務局長との間におそらくは詰めた問答がおありだったと思いますが、いま当面、郵政審議会答申受け取ったのが一昨日でございまするし、それを踏まえて鋭意郵便正常化、このために取り組んでおるわけでございます。答申にはおよそ四項目にわたりまして正常運営のあり方についての御注文を承り、あわせていまの財政値上げによって健全化していく、こういう案をお示しになっておるわけであります。いまおっしゃるように、最近の郵便の状況というものは、遅配、欠配がもう常習化してしまって、まことにその点、意に満たないという仰せでありますが、私ども日夜これに実は苦心をしておるわけであります。一体どこにそのネックが存在しておるのか、これを解明することによって、一日も早くこういう事態を解消しなければならないといと思うのでございますが、それには、一つは労使間の問題もございます。いま御心配をわずらわしております全逓の闘争も、日夜私、心を砕いておるのでありまして、これが解決に向かってもいま精力的に努力をしておるわけであります。  そこで、ここ一両日来新たに出ている問題が公共料金の全面ストップ、こういう考え方がきのう閣議に出され、きょう直ちに閣僚協議会が開かれました。そのために私ついおそくなったわけであります。国の基本的な姿勢といたしまして、昨今の物価高、これを一種の危機感をもって受けとめる、これは当然そうでなければなりますまい。その場合に、政府が関与し得る物資やあるいはサービス、こういうものに対する料金の設定に、積極的に値上げというものと遮断をするという考え方は、これは単に政府だけにとどまらずして、その心がまえといいますか、姿勢といいますか、これが民間にも移っていって、あるいは物価なり賃金なりに影響を与えるであろう、この効果を考えるという意味においては、これはたいへんな意味があることだと思います。  その場合、しからば一体郵便あるいは電信電話、これをどういうふうに扱うかという問題にもなるわけでありまして、その全体の政府の考え方については、これは私どもも同調するにやぶさかではございませんが、その中で特殊な事態をになっておる郵便料金というものについては、実はきょうのところ最終結論には至らずして、郵政、大蔵、経済企画庁長官、三人にさらに再協議をするということで、ただいま時間切れにもなりましたから、おさめてまいりました。そういう次第でございますから、片や審議会答申を踏まえながら、一方はいまの国の基本政策にも協力をしつつ、そして三者の間で何とか問題を煮詰めていこう。そしてただいま御発言のような郵便の正常運行というものにマッチするようなそういう線を出したい、かように考えておる次第でございます。
  23. 森喜朗

    ○森(喜)委員 私はまた新聞出しますが、これはきのうの朝日です。「労使がけんかするのは構わないよ。だけど迷惑するのはこっちじゃないか。オトムレエの通知が遅れてついたら義理欠くじゃねえか。だからやってんのさ。労働者を圧迫しようなんてそんなハラじゃねえよ」ということで、これはどこか下町の町内会が配達の応援をしておられる、そこの町内会の会長さんの江戸っ子の弁である、こういうように書いてあります。これは私は、国民はこの町内会長さんでなくても大体似たり寄ったり、こんな考え方だと思うのです。  今度の暮れのこれだけのいつもの騒ぎ、年中行事化しておるような全逓と郵政の戦い、これが今度の場合は特に昔からの因襲がたまりたまって、何か異様な戦いに私は見えるのです。こんなものをいつもこんな時期にやらなければならない。それば相手にダメージを与えるためには、戦術的なことからいえば確かにいい時期かもしれませんが、いまの国民の声のことを考えたら、こんなに不愉快なことはないと思う。  一体長い間こんな問題を皆さん方で話し合われたことがあるのか。こんな時期になってきてこんな問題を出してくる。出してこないからこんな問題をさわらないようにしておくのか。いつまでたってもこんなことをやっておったのでは、国民ほんとうに納得しないと思うのです。一体今度の闘争で大義名分は何なんですか、そのあたりからまず伺いたいし、時間もございませんので、特に私は今度、何か郵政、全逓という長い対立の総決算みたいな印象も受けますし、特に全逓、全郵政という組合のセクト的な対立を郵政の事業の中に持ってきているのじゃないか。こんなことがあったのでは、国民こそ大きな迷惑だと私は思っておりますが、そのあたり、大義名分は何かということと、いまのような点について、大臣のお考えあるいは現在の状態をひとつお答えいただきたいと思います。
  24. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 全逓の年末闘争をめぐって、郵便の遅配がかなり深刻に起こっております。こういうことをとらえて御発言でありますが、たいへん御心配をかけておりますことに、私としては心から相済まないという意思を表明したいわけであります。  そこでこの問題でございますが、この四月に全逓の側から、郵政省の労務政策というものがどうも気に食わぬ、これを修正せよというような御要求があって、あのときに、まあかなり犠牲の多い闘争が行なわれたことは御承知のとおりであります。その最終の結末は、私、宝樹委員長ともしばしば会談をいたしまして、一つの申し合わせと申しましょうか、確認事項がそこまで生まれたわけでございます。これはもとより当然のことでありまして、労働問題に省が介入をするというふうなことは相なってはならぬ。何か組合が二つあることによって差別人事をするなんということはもってのほかだ、それはそのとおりでございまして、これはもう省として、もしそういうことがかりにあるとするならば、厳に戒めなければならないというような意味のことを総括的に確認をしたわけであります。  ところが、なかなか問題の根が深いとでも申しますか、まだもう少しそれには正常化のための時間が要るということでございましょうか、まあ労使互いの関係というものは一種の相対主義みたいなものでして、絶対論が通るというものではないと私は思う。ですから、双方がアプローチするという努力を互いにしなければならぬと思うのでありまして、それがまだ十二分に行なわれてきておらないというのが実際であろうかと思うのであります。  そこで今回は、その四月九日の事項というものが守られておらぬというところに一つ全逓の側で闘争の目標を置いておるようであります。さらに、たいへんな数の項目ですけれども、しぼっていけば数項目の経済要求、こういうことになると思うのです。それで、これについては、残念ながら超勤拒否という程度でなく、ここ三日間は休暇闘争に入っておられる。こういうことでたいへん肝胆を砕いて今日まできておるのでございますが、私は、人事局長その他にこれはもうできるだけ誠意を尽くして話し合いをしなさいよ、こういうことで逐次話を煮詰めつつあるようでございますが、これを、国民の側の御迷惑を思うときには、一刻も早く解決をしたい、こういう気持ちで私自身もこれと精力的に取り組んでおる、こういう現状でございますことを御了承願いたいと存じます。
  25. 森喜朗

    ○森(喜)委員 私どもの部屋にも全逓からパンフレットが来ておりましたけれども、その中でも、何か機械化するとあんまり組合にはよくないのだというようなことで、機械化反対というようなことも書いてあります。ところが、こうやって出てくる新聞写真を見ていると全部、特にこういう悪いところばっかりとったのじゃないかと思いますけれども、何だか暗くて、仕事がしにくいような雰囲気のところばっかりとってあるわけです。機械化を進めちゃいけない。しかし、現実財政は八〇%も人件費がかさんでおる。そこで、きょうの新聞では、全逓は値上げ反対、これははっきりしております。こんなこと言ったら、実際には郵便事業というものはやっていけないわけです。どうですか、大臣、人事院の勧告もありますけれども、こういう上げないということになれば、もう一切政府関係の労賃もストップするのだ、そういうような大臣のお心がまえ、気がまえはございませんか、お伺いしたいと思います。
  26. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 閣僚協あたりもときおり話題になるのでございますが、一体、物価と賃金の悪循環ということを申しますが、これは鶏が先か卵が先かというような問題で、経済学的にもなかなか割り切るのにむずかしい問題だと思うのであります。しかし、最近のベースアップというものを見ておりますと、これは容易でない。したがいまして、たとえば人事院というふうなもののあり方がこれでいいのかというような議論も、ときおり出るわけであります。しかし、なかなかそこまで手をつける、いわば所得政策といいますか、そういうドラスチックなところまではなかなか踏み切りがたいように私は見るのでありますが、当面、郵政省が現業官庁として、そして三十万人に近いような働く人々を対象にしてこの仕事をやってまいりまするためには、何としても人的な関係というものを大切にしていかなければならぬものだ、こう心得るわけでございますが、これは相手のあることでありまして、私は丁寧に話し合いをすれば、これは必ずやわかってもらえることだ、こういう気持ちで臨んでおるのでありますけれども現状においてはどうも御指摘のございましたような遺憾なことばかりで、たいへん残念にたえません。
  27. 森喜朗

    ○森(喜)委員 最後に一つだけ。  これはほかの県ではどうか私も把握しておりませんが、私のくにの石川県で、石川県評、石川県教組、私教労連、いわゆる全逓の打ち合わせ会で、高校生のバイトを使うことについて反対の申し入れをしているわけであります。その中でも特に、アルバイトに学生を使っている場合はピケをもって排除することもあり得るということで、教組側にも協力を呼びかけをしておるようであります。こういう子供たちの、高校生のアルバイトに対して、こういう労働争議の中に子供たちを巻き込むようなことがあったのでは、私はたいへんなことになると思います。いまのところは休みじゃございませんから、そういう中でまだそういう事態が出ておりませんけれども、年末になって学校が休みになって、それまでに解決しないようなことがあってこんなことがもし起きたら、いたいけない純真な高校生にまでおとなの労働争議の中に巻き込んでしまうということがあっては、私はたいへんなことだと思いますから、それについて何かお聞きになっておるか、あるいはそれについて何か手を打たれたのか、あるいは文部省側とお話しになったのか、もし大臣御存じの点あるいはそれに対しての御見解をお伺いしたいと思います。
  28. 竹下一記

    竹下政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、金沢郵政局長からその報告を受けております。ただし、おっしゃるようなことはだいぶ前の時点の話でございまして、十一月の末ごろのことでございまして、その後事態はやや変わりまして、教員組合等のそういった動きがおさまった、それまではおっしゃるようなことがあったのですが、おさまった。それから郵政局といたしましても、関係方面にいろいろPRをいたしまして、年末は学生のアルバイトがなければこれはやれないことでございますので、郵政局としてもいろいろPRをしたようでございますが、事態はおさまったように聞いております。
  29. 森喜朗

    ○森(喜)委員 私の話を聞きましたのは十二月四日のことでございましたし、済んでしまったことじゃないと私は思っております、私の知っておる段階では。ですから、そのことはともかくといたしましても、要はこんな争議の中に子供たちを巻き込むことがないように、早くこれは解決していただかなければならぬと思います。いま子供たちは年に一ぺんのクリスマスカードあるいは年賀状を楽しみにしてやっておる。それが新聞やテレビを見て、はたして着くのかどうかわからないなんということをやっておられたのでは、子供たちの夢も私はきわめて暗いものだろうと思います。どうぞひとつ大臣も、大臣のお人柄はきわめて円満で低姿勢ですけれども、言うべきところははっきり言って、一日も早く解決をされて、国民ほんとうに安心ができて年末、正月を迎えられるような、そういうことにぜひとも御努力いただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  30. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  31. 武部文

    ○武部委員 時間が限れておりまますので、大臣に二つ三つの点について御質問をいたしたいと思います。  まず最初は、十二月一日、消費者五団体の代表が佐藤総理と物価問題について会見をいたしました。その報道によりますと、郵便料金はどれもこれも上げるわけにはいかない、はがき、封書は値上げしないように担当大臣に言いつけてある、こういう報道がございました。これは二、三の報道も大体内容は似たり寄ったりでありますが、一体郵政大臣は総理からこの問題についてどういう指示を受けられたのか、それを最初にお伺いしたいと思います。
  32. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私もあの記事を見まして、総理の意図が那辺にあるかということを確かめる意味においてお会いしたわけであります。確かに物価問題かまびすしいおりから、公共料金についてはできるだけこれを押えたい、こういう意図を漏らされて、具体的な例としていまおっしゃるようなはがき、封書の問題が出たそうであります。これに対して、なるべく、あるいはまあできるだけというような表現はされておるようでありますが、さしあたり私に対して指示とか命令とか、そういうものは別にございませんでした。
  33. 武部文

    ○武部委員 その辺が非常にあいまいでありまして、これから申し上げることにも関係するわけですが、一体佐藤総理が真剣に物価問題について考えておるということを私どもは信用しないわけですよ。たとえば消費者五団体が十二月一日に会見いたしておりますが、その前にも何回かそういうことがありました。ところが、どれもこれもその場限りの答弁であった。しかし、今回ははっきりと、はがき、封書と第三種とを分けて消費者団体に答弁をしておられるのですね。それから、電報料金の問題についても触れておられるわけですね。広域時分制とかその他のことには触れないで、電報料がたいへん問題が、はがき、封書も問題だ、こういうふうに分けて答弁をしておるのですね。これはいままでにないことなんです、具体的な項目をあげておられるわけですから。したがって、国民の側から見ても、同時にまた会見に行った五団体の代表も、これはもういいことだと思っておるようですが、いまのお話を聞きますと、別にあなたに対して値上げをしないように言いつけてあるというようなことはなかったということになれば、これまたその場限りの全く逃げ口上の答弁であったというふうに私どもは思わざるを得ないわけですね。  それはそれとして、この答申書の問題に入るわけですが、これは幾つかの問題点があります。特にその中で、これはあなたの諮問を受け答申をしておるわけですね。したがって、この内容についてどういうお考えをお持ちだろうかということをお聞きいたしたいのであります。あとまた、公共料金の一年ストップのことにも関係いたしますが、あなたの諮問に対して郵政審議会答申をした。その内容は、主として料金値上げが基本になっておる。このことについて、郵政大臣としては答申をどのようにお考えになっておるか、ちょっとそれをお伺いしたい。
  34. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おっしゃるとおり、郵政審議会に対しまして、郵便事業の正常運営を確保する方策いかんという諮問を申し上げましたのが、九月二十八日であったかと記憶をいたします。そして、その後鋭意御検討をいただき、特別委員会も設置をされまして、二月余り御勉強をいただいたわけでございます。それを先般私のところへ答申としてちょうだいいたしたのでございますが、それは収支均衡に関する値上げ案と同時に、正常運営をどうするかということについて数項目にわたる御指摘があったのであります。これらは一々ごもっともでございまして、私どもの強く反省しなければならない項目にわたっておるのであります。そして、その後半にございます料金値上げの問題も、現に昭和四十六年度で五百七十数億円の赤字が予定される、こういう現状におきまして、一方において企業努力を鋭意しなければならぬということはもとよりでありますが、過去五年現行料金でやってまいりまして、すでに本年度といえども赤字予算を組まなければならなかったという現状にかんがみまするならば、御答申にある値上げ案というものは現状をよく分析された上で、まずこれから三年間もたせるためには最小限度かようかくかくの料金値上げが必要であろう、こういう点をお認めになって私どものほうへ答申をいただいたというふうに考えておるわけであります。
  35. 武部文

    ○武部委員 答申についてはこれから検討するということのようでありますが、この答申そのものは確かに郵便事業の正常運営を確保するための方策に関する答申となっておりますが、すでにこの前、郵政事業全般について、同じ郵政審議会から公社化の答申が出ておるわけですね。そのこととこのこととは全く無縁のものじゃないと私は思うのです。ところが、一応あなたのほうから諮問をされたとはいえ、この内容は、公社化なんということはこの中に全部読んでみても一言半句もない。私はあとで申し上げますが、いまの郵政事業の危機というものは一体どうしたら克服できるかということについていろいろ意見を持っておるわけです。そこで、それはあとに譲りまして、先ほどの質問の中でここ二、三日から問題になっておる公共料金の一年間ストップの問題と郵政料金のことについてお伺いいたしたい。  いまこれだけ物価が上がっているのだ、したがって政府自体が危機感を持って対処しなければならぬ、政府が関与し得るものについては、そういう料金について積極的に値上げを遮断する、そういう内容のことをいまおっしゃいましたが、国民も大体そういう気持ちになってもらわなければならぬ。その場合に、一年間公共料金ストップが経企庁の長官から提案された。きのうはいろいろ意見があったことを私ども報道で知りました。きょうの物価閣僚協議会で、いまお話を聞いておりますと、いろいろ意見が出て最終結論は出なかった、そして何か再協議をするということで、三者で協議ということをおっしゃったわけです。  ここでお伺いしたいのですが、この三者というのは、大蔵大臣と郵政大臣と経企庁の長官だと思うのですが、これは郵便料金のみについて三者で協議をする。そうすると、あともう一つ出ておる国立大学の授業料の問題だとかあるいは公団住宅の問題とかその他ございますね、それは個別に再協議をするのであって、その一つ郵便料金の問題として三者協議ということになったのかどうか、それを最初にお伺いしたい。
  36. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いまおっしゃるような授業料その他幾多の項目が議題の対象としてあげられておりました。それらについては関係閣僚が政府の大方針に協力をするという意味で、平たく申せばおりたという形でございます。しかし、郵便料金はその中でも一番の大ものでございましょうか、しかも、私のほうとしましても郵政審議会答申受け取りましたのがつい一両日前のことでありますから、これはそうなかなか簡単にわずかの時間の会議でどうこうというわけにはまいりかねますから、そこでこれは特に重大事項という意味でさらに協議をしよう、こういうことになったわけであります。
  37. 武部文

    ○武部委員 経過はわかりましたが、そういたしますと、郵政大臣としてはきょうの物価閣僚協議会でどういう態度を表明されたのか、どういう見解を述べられたのか、それをお伺いしたい。
  38. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 郵便事業現状を説明いたし、特にその財政問題につきましては審議会答申もこれあり、やはり料金に手をつけませんとなかなか事態の解決にはならぬ、そういう趣旨のもとに郵政審議会答申を私としては一通り説明をいたしたわけであります。したがいまして、もし郵便料金に手をつけることがまずいないしは不可能ということであるならば、これは当然予想される赤字の問題をいかように処理をするかということにもつながってまいりまするので、そういうふうな問題をも含めて再検討をしようということであります。
  39. 武部文

    ○武部委員 そこで、先ほどの公社化の答申と今回の答申とのことについてちょっと触れておきたいと思うのですが、四十四年度には物数が百十一億に達して、今後大体年四%ないし五%ぐらいの割りでこの物数は伸びていくだろうということがいわれております。先ほどの答弁にも大体そのようなニュアンスがございました。そこで与党の委員の方からもお話があったように、今度の答申は三年ということをこの中に若干述べておるようですが、三年たったらまた改正するのじゃないかというようなことは当然疑問として起きてくるわけですね。私どもは、いまの郵便事業の危機というものが、そういうような独立採算制をとっておるというようなことから、これは本質的に解決できるものじゃない。いかに機械化、合理化が進んだところで、もう人手にたよらなければできぬという特殊性を郵便事業は持っておるわけですね。ですから、たとえば郵便番号制をとったって、そのことがはたしてどれだけ合理化になったかということを見れば、私はそうたいした合理化になっていないと思うのです。したがって、大型のものにみんな番号を一生懸命で書いておるわけですけれども、そんなものは機械にかかりませんね。そういうような点を考えたときに、一体いまの独立採算でいくべきかどうか。これは当然私どもは従来から一般会計で繰り入れてやるべきだという主張を続けてきました。  そういう点について、私はアメリカの一つの例は非常に参考になると思うのです。日本は百十一億の物数でありますが、アメリカは年間八百四十億通、そのうちの八割が大口利用ですね、営業用だというのです。大体日本と似ておるようですね。先ほど郵務局長の答弁は、二〇%が一般の私信でしたから、アメリカが大体同様なことをやっておるようです。人員は七十二万五千人、局数は三万二千局、こういうのです。彼らは郵便事業をどういうふうに考えておるか。これは明らかにアメリカも郵政事業は危機だというのですよ。日本と同じですよ。で、どういうことを考えたか。これはもう抜本的に公社でなければならぬ。公社案というものが、いろいろな紆余曲折を経たけれども一つの案として下院で審議をされて可決をされた。その中で出てきた答えは、かりに公社になっても七年先ですよ。七年先までは一般会計から繰り入れていかなければ独立採算制はとれぬということになっております。完全な独立採算制になるのは八年目だというのです。そういう公社案がすでにアメリカでは十分論議をされておるのです。  日本は同じような郵便の危機を、ただ単に料金値上げだけで解決しようという。そういうことでは私は本質的な解決にならぬと思うのです。これは必ず三年先には、さっきの話じゃありませんが、またぞろ同じことが出てくる。そういうことで、この郵便事業の正常運営を確保するための方策に関する答申というものに、公社なんということが一言も触れておらないということに私はたいへんに不満を持つのです。公社案についてはいろいろ異論があります。ありますが、いろいろ条件をつけながら、ただすべきものはただし、そうして公社の方針をどう具体化するか、そういう抜本的なことを提案をしながら、郵便、保険、貯金のうちのただ一つの問題だけ、料金を上げてやればいいんだというような安易な答申のしかたというものについて、私は間違いだと思う。このことに全然触れておらないことについて、先ほどから申し上げるように、たいへん遺憾に思うのです。  したがって、料金値上げで問題を片づけるのではなしに、いまこのようにアメリカと同様なほんとう郵便の危機がきておる。このことについて抜本的な公社案とかあるいは一般会計の繰り入れとか、そういうことをもって乗り切るというような意向があるのか。閣僚の一人として、当然物価抑制のために一年間公共料金の抑制ということには賛成をしなければならぬ立場にある郵政大臣は、現実に自分の持っておる郵政省受け持ちからは非常にジレンマにおちいっておられると思うのです。ただ一年間公共料金をストップしたらそれで物価が下がるか。なるほど昭和三十九年に一年間ストップいたしました。三十八年の全国消費者物価指数の半分に下がったのですよ。ところが翌年の四十年にはまた倍に上がった。それは一年間公共料金をストップしたときに何にもしなかったからです。政策がつきまとっていなかった。ただストップしただけだった。そういう過去の苦い経験を持っておるわけですから、一年間の公共料金ストップにはそれだけの裏づけのある政策が続かない限りは、これは確かに何にもなりません。  そういう面で、一体郵政大臣は今後の郵政事業の危機をただこの料金値上げ、こういうことで解決できると思っておられるのかどうか、私はその点について疑問を持つのですが、どのようにお考えでしょうか。
  40. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 実はきょうの閣僚協議会にも武部さんと御同様な意見が出されまして、この一年間をただ形式的に全面ストップをして、それで能事足れりとするものではないはずではないか、その間にいかなる構想、どのような抜本策を講ずるかということでなければ、ストップというものは意味がない。これは私も同感でございます。  そこで、郵便事業の危機でありますが、先年公社化についての答申案もちょうだいをしております。そこで今回の答申と脈絡、関係がないではないかという御指摘でございますが、実は御承知のように郵政省内に公社化対策委員会というものをつくって、事務次官を長にして鋭意検討をしてきたわけでございますが、郵政の長い歴史を考えてみますると、非常な抜本的な改正ということに相なるわけでありますから、いまにわかにそこまで踏み込めないにしても、ここ当面その準備段階のような意味においてでき得ることからやっていこうではないか。そこで郵便関係の法制の問題も、いまのようにすべてが法律でがんじがらめになっておるものを少し機動力を持たせるような方式を考えるというふうなことで、次の国会には法律案を用意しておるというふうなこともございます。  ですから公社化をことごとく断念してしまったというのでは決してございません。いまおっしゃるアメリカの例などもども十分に参考にしなければならないことかと考えておるわけであります。私のほうとしては、公社化に対する御答申をどう処理したかということを一度事前に御報告をしたことがございます。そういうことがあるものですから、今回審議会のほうにおかれましては、まあそれはそれということで切り離して今回のような限定された御答申に相なったのではないか、かように心得ておるわけでございます。  そこで問題は、単なる料金値上げというような安易なことだけでよくない、おっしゃるとおりだと思います。したがいまして、いままでの料金体系で五年もった、今度はアップして三年もてばそれで事は足りるんだというようなものでは断じてございません。過去の五年間を振り返ってみますと、最初は三年もてばというのが五年もったというふうにも見られるわけでございまして、やはりこの間における一番大きな問題は賃金の上昇だと思います。この五年間に六一%上がっております。ところが、当初計画は五年間で三一%アップということでできておるわけであります。そこにはそれだけ大きな差がある。先ほど機械化その他はあまり有益に役立っていないではないかとおっしゃいますが、しかし、例の自動取りそろえ選別の機械であるとか押印機であるとかいうふうなものが稼働をして、そういう面からの労務の節約になっておるということは、事実として私は認めていいのではないかと思うのであります。  そこで、これからしからばそういった資本装備をいかにするかというような問題をもあわせまして、この三年間なら三年間を取り上げるにあたって、単なる料金だけでなくして、郵政の基本に立ち返って問題を考えていきたい。いま、一般会計から繰り入れることも年来の御主張のようでありますけれども、このあたりも今回の三者会談等においては当然出てくる問題ではないか、かように存じておるわけであります。
  41. 武部文

    ○武部委員 申し合わせの時間が来ましたから、これ以上時間がございません。郵便労働者の対遇の問題、あるいはさっきも服装の話も出ましたし、いろいろ私ども要望を持っておりますし、具体的な事実も知っておるわけでありますが、時間がございませんから、あとに譲りまして、私の質問は一応これで終わります。
  42. 金子岩三

    金子委員長 阿部未喜男君。
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、先ほど森さんのほうからも出ておりましたが、いま郵政省は、労使の紛争をめぐって世の中からはそっぽを向かれ、さらに経営の内容は膨大な赤字をかかえて、料金値上げを迫られるという、いわば郵政事業の危機に立っておると思うのでございますけれども、とりわけ労使の紛争が、本年の四月九日に、先ほど大臣がおっしゃるとおり、大臣と全逓の宝樹委員長との間で話し合いがつき、円満妥結をした。当時私は、大臣の英断と御労苦に心からお礼を申し上げた記憶がまだ新しいのでございます。もちろん、そのとき大臣は、これは非常に根の深い問題だから、時間をかしてもらいたいというお話もございました。しかし、その問題は今日労使紛争の基本的な課題になって、再び郵政省の労務政策の変更を求めて全逓の組合が闘争をしておる。そのことを考えますときに、約束というのは、本来破ったほうが腹を立てるのではなくて、破られたほうが腹を立てる、これは私は原則だと思うのですが、この問題が再燃したということについて、大臣が委員長と約束された内容が、一体今日下部で守られておるとお考えになっておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  44. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 経過につきましては、ただいま阿部さん御指摘のとおりでございまして、私も、本年の四月九日にああいうことを確認いたしました際は、大きな前進である、こういうふうに皆さまからも力づけられたわけでございます。そこで、自来その方針に沿いまして、事あるごとに、あるいは局長会議等とか、文書の通達等をもちまして、これを下部へおろすことに努力をしてまいりました。しかるにかかわらず、また同じ問題が闘争の目標に掲げられておるということは、私としてはこれは非常に残念でございます。したがいまして、私のそういう気持ちが末端へ徹底していないとすれば、これは私の監督責任の問題にもなるわけでありますが、先般、組合の幹部諸君とも会いましていろいろ御指摘受けましたことごとについて、いま、これをさらに役所の機構を通して、その事実の確認等をしておるわけであります。ですから、その当時の気持ちは私はちっとも変わっておらぬのでありまして、お互い出過ぎたところがあれば引っ込めなきゃいかぬのじゃないか。労使の間柄というものは、何も一〇〇%一方に勝利だとか敗北だとかいうようなことで処理すべき問題ではない。この気持ちは現在も全く同一でありまして、おそらくは、そういう相対的なことでありまする以上は、これはどっちにも理屈はあるかもしれません。しかし、それを話し合うことによってアプローチしていく、こういう努力をただいま続けておるわけでありまして、そういう点は、結果としては半年くらいの間にまた同じことが起こるというのは非常に残念でありますけれども、これであきらめることなく、さらにもう少し努力をしてまいりたい、こういうつもりでおります。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣が誠意をもって約束を守っておるというお話でございますけれども、私ども国政調査等に出まして郵便局を回ってみましても、大臣のお気持ちがなかなか下部まで行き渡っていない。まだ従来と少しも変わらない労務管理が行なわれておるという実態が目につくわけでございます。まあこれは笑い話みたいなもので、ちょっとお伺いしたいのですが、十一月の三十日に郵政局長、監察局長の合同会議が行なわれたその席で、大臣が、不当労働行為をやってはいけないぞ、それからまた全逓の違法な闘争については断固処分をするのだ、そういう発表をなさったということが新聞にも出ておりましたが、そのあとの郵政局長、監察局長の宴会の席で、大臣が、さっきは部外の人もおったからああいうふうに言ったけれども、私の気持ちはさまっておるのだから断固やってもらいたい、そういうお話があった、こういうのです。  この断固やってもらいたいという内容がもしもそうであったとするならば、私、推測ですけれども、大臣のお人柄から考えて、何も労務対策を断固切りくずしをやれ、こうおっしゃったものではなくて、おそらく郵便料金改正か何かの問題でそういう意味の気持ちを非公式に披瀝されたもの、こう思うのですけれども、何と、これを受け取った郵政局長や監察局長の中には、大臣の全逓に対する労務管理の姿勢は変わっていないのだ、こう受け取っておる向きがあるのです。郵政の労務管理というものが、国民に向けては、正常化します、こう言いながら、裏ではそういう受け取り方をするほどいびつなものであり、裏表のある労務管理であるということを、私は、この際大臣にぜひ知っておいてもらいたいと思うのです。これは答弁は要りません。  そこで、時間がありませんから、二、三申し上げて、これからなにしてもらいたいと思うのですけれども、ゆうべの毎日新聞の下段の「近事片々」というところに、郵政審議会の会長の藤井さんが、郵政省の労務管理は落第だ、こう言ったと書いてありました。これは十二月九日、けさの朝日新聞の社説——全部読むひまがありませんから、ところどころ読みますが、大臣もあとで全部読んでもらいたいのでありますが、「それにしても、郵政労使の根深い憎悪は一体、何に基づくものなのか。不当労働行為まがいのことが数々あるということを労組が訴えること自体、郵政の労使関係がいかにいびつであるかを示す。近代的な労使関係とは、協約を労使がたがいに尊重するということにある。郵政省の望む職員の事業愛、義務感は、組合への敵視政策から決して生れてこないことを、改めて指摘しておきたい。」これは朝日新聞の社説です。  きのうの毎日新聞の社説、これも最後のほうを少し読みますが、「こうした状態を打破するためには、何よりも、当局側の組合側に対する理解が要請されなければならないのであり、その第一歩は、まず、四月の確認事項を実施することであると思う。このことは、組合側も認めているところであり、当局側にとっても、それほど困難なことではなかろう。労使関係にとって、相互理解が基調であることは、いまさらいうまでもない。」そして最後に、「こうした最悪事態をさけるためにも、当局に対して、四月確認事項の実施を強く訴えたい。」これは大新聞の社説でございます。  したがって、私は繰り返して申し上げますが、大臣のお気持ちとはうらはらに、大臣のお約束が末端の管理者まで行き渡っていない、そこに今日の紛争が再び再燃してきたところの原因があるということを訴えて、大臣もいまから鋭意解決に当たられると思いますけれども、具体的にどうすれば法に禁止された不当労働行為というような問題をやめさせることができるかという点について、方策を立てていただいて、そして何とかこの年末が国民の負託にこたえ得る郵政事業の運営ができるように期待をいたしまして、私の質問を終わらせてもらいます。
  46. 金子岩三

    金子委員長 樋上新一君。
  47. 樋上新一

    ○樋上委員 私も引き続きまして、当面の重要課題である郵便料金の問題について、大臣に質問をいたすのでございますが、先ほど来同僚武部委員に対する答弁を聞いておりますと、どうもはっきりしないところがありまして、重複しますけれどもさらに御答弁を願いたいと思うのです。  このあなた自身が諮問されたものに対して、白根私案とほとんど変わらないような答申が出てきておると私は思うのですけれども郵政省の中では、この答申を見て、これからあらゆることにおいてこれを十分検討されて、そして答えを出すというようにお話を聞いておりますけれども、これはあなた方らが全面的に値上げをせなければならない、料金に手をつけなければならないという前提のもとに諮問されたものであって、それが答申になってきたのですか。この問題についてもう一度具体的に、それではどうしていくのかということをお伺いしたいのです。
  48. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ちょっと御質問の趣旨をおくみ取りしかねたのでありますが、審議会では非常に御熱心に検討をしていただきまして、こういう結論をお出しをいただいたのですが、樋上さんのそれに対する御感触は、何かあらかじめ値上げなら値上げという予定を設定して、そこへ役所がリードして落とし込んだとでもお受け取りになったのでございましょうか。  これはもとより長い審議の期間を通して、御要求になるあらゆる資料を整え、その間に懇切な御説明をずっと続けてまいりました。だからそういう意味において、省の意のあるところは委員の皆さまには伝わったというふうに私は見るわけであります。しかし、先ほど私が申しましたように、何かこれが予定の行動であるとか、そこへことさらに誘導してというふうなことは、審議委員の皆さま方にそんな失礼なことを申し上げるわけにはいきませんので、自主的に委員諸君が御決定いただいたわけであります。
  49. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、この答申どおりやるということはないのだ、まだ決定はしてないのだ。これから協議されるのですね。それで、大臣がいろいろの答申受けられて検討するという段階でございますけれども、私はさらに物価問題から考えまして、先ほどもお話しがありましたように、佐藤総理は消費者五団体といろいろ話をされて、はがき、封書に限っては値上げをしないように担当大臣に申しつけてある、こういう話でございましたのに、新聞を見ますと、その翌日あなたは佐藤総理とお会いになりまして、そこでどういうぐあいに御返事されたのか、また、佐藤総理の言っていることは参考に聞いておくぐらいの程度か、また、一国の総理大臣がああいう消費者団体と話しをし、各新聞に報ぜられ、そして各国民は今度ははがき、封書は値上げにならないのだというふうに安心していたところが、あなたが佐藤さんとお会いになってどういう話をされたのか、その点をもう一ぺんお答え願いたいのですが、先ほど聞いていますともう一つ納得がしかねるところがあるのですね。
  50. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私は、総理が部外の人とああいうふうな談話をなされた、それが新聞等にも出まして相当な反響を呼んだわけでございますから、当面の担当責任者として総理の感触を確かめておく必要がある、こういうことで会見をしたわけでございますが、まあ総理の正式な発言は閣議の場もありましょうし、あるいはきょうのような閣僚協議会というふうな場もございますから、そういう際のものがやはり公式なものでありまして、私が総理に会いましたときの中身は、かえってこういう場所で申し上げることはいかがかと思いますけれども、要は総理の感触を確かめた、こういう程度に御承知おきを願います。
  51. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは私は、一国の総理大臣が軽軽しくそういうことを消費者団体に安心さすということをしても、どうも担当大臣のあなたがそれば聞きおく程度であって、公式の場合じゃなかったらそれははっきり言うことはできない、こういうことだったら、だれのことを聞いたら安心するのか。それじゃもう佐藤さんがどう言おうがこう言おうが、あなたがこうだとおっしゃったことは全部やっていかれるのか。佐藤首相がこれからもあちこちで、公式の場所以外で、旅先の駅頭でいろいろなことを言いますね。それだったら佐藤放言になってしまいますね。何でも佐藤さんの言うことは正式な場で言っていることじゃない、旅先で言っていることである、こういうことだったら、佐藤さんの言うことは信用なしなりますよ。いまあなたのお話を聞いていると、それは公式の場でなければそれはないのだと言われる。それなら佐藤さんが旅先で言われたことは何もかも全部だめなんですか。
  52. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 およそ一国の総理でございますから、いかなる場所といえどもその言責というものは国民注視のまとの中にあるわけでございまして、これはそう放言だというわけにはまいらぬものだと思うのであります。私の申し上げましたのは、私と総理との会談が言うならば決して公式なものではございませんから、私は感触を確かめたというだけにとどまりまして、その中身をこういう席で申し上げることはいかがか、かようにお答えをしたつもりであります。
  53. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、あなたは物価安定についてどうも全然考えておられないというふうに、たいへん失礼なことになるかも存じませんけれども郵便料金値上げが物価にいかに大きな影響を来たしてくるかということは、いま国民全部がひとしく注目しているところですね。ですから佐藤長官がああいうぐあいに公共料金ストップを言った。そしてまたきょうは閣僚会議があった。そこにおいても、ほかのものはいろいろ検討されるけれども郵便料金の今度の値上げの問題について、郵政事業については重大な問題であるからこれは保留ということになり、また慎重審議をしなければならないというような先ほどの御答弁でしたけれども、そこで私は、この物価安定の一番重要なところの郵便料金を、公共料金ストップと言われているときに、むしろよし、という英断をもってあなたがストップしようということをやられる。それは国民に大きな影響を持って、諸物価の高騰を防ぐ一つの歯どめの状態になるんではないか、こう思うのです。   〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 それをきょう結論が出なかったから後日それを検討しなければならない、こういうようになりますけれども、根本的に料金値上げはやるべきじゃない、もっと違ったいろんな方法がなかろうかというあなたの腹が、物価安定というものに重大な意思を持ち、勇気をふるって、今度は思いとどまるという意思のもとにやられるのならば、私はとどめられると思うのですよ。おおよそ公共料金というものに許されているものは、政府が公共料金——こんな基本的なこと言わなくてわかりますけれども一般の物価の上がるときは、相手があって、そして業者間の申し合わせなどによって上げることができますよ。この間のビールの値上げなんというのも自由価格なので値上げすることができる。ところが、公共料金の場合はそういうことは慎重に考えなければならぬと思うのです。政府がやろうと思えばやれる。ほかの物価は値上げをするなと言っておいて、政府の公共料金は自分たち考えておるもので、それをやるということでしたら、これはどう思っても理屈に合わないと思うのです。ですから、いま一番注目されておる郵便料金値上げを、公共料金が一年間ストップするんだったら、進んでこれはストップすべきであるというあなたの御決意が私は一番重要なことじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  54. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 政府の方針といたしましては、公共料金に対して厳にこれを抑制しよう、こういうことで進んでおります。また、樋上さんもそれには御回調いただけるようなお考えと拝察をいたします。したがいまして、私も御意見のほどはよく承りまして、私の判断の材料にはいたすつもりでございますが、先ほど来申しましたように、郵政審議会の熱心な検討の結果は、ああいうふうな形でちょうだいしておるわけでありますし、これまた尊重をお約束したという手前もございますから、その辺私としては、もう少し勘案をする時間的な余裕をおいていただきたい、こういう気持ちであります。
  55. 樋上新一

    ○樋上委員 いずれにしても、私は意地悪を言うようだけれども答申の都合のいいときにはすぐ尊重してやって、答申の都合の悪いときには何とかかんとかずるずる引き延ばされているようなことが過去にもありますので、世間から、あらゆる審議会というものは政府の隠れみのだ、こういうぐあいに悪く批判されるのではないかと私は思うのです。ですから、先ほどお話が出ましたように、公社化の問題も、相当期間がたっておるのにいまだにいろいろな面で検討しておる、検討しておるというて、昨年からの問題で今日までなっておるけれども、いいことならば、首相じゃないけれども、もっと蛮勇をふるってやろうということでやってもらわなければならぬ。大臣をやめるときは値上げしておいてやめるというのは、いままでほかの人もよくあるのです。ところが、あなたが今度留任されておるということは力強く思っておる。内閣改造はなかった、特に郵政大臣として井出大臣が残ってもらったということは力強いと思っておるのです。だから、あなたが任期のあるまでは絶対上げずに、さすがにいいところあったなという一つの例をつくってもらいたい。どうですか、こういう点は。
  56. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 御意見をよく尊重して対処いたします。
  57. 樋上新一

    ○樋上委員 いろいろ申し上げたいことも多々あるのでございますけれども、どうもいまこの審議会答申検討中ということになりましたら、何を申しましても結論が出ないと思うのですよ。要するに私が言いたいことは、この答申をそのままやるのではないんだ、答申はいろいろな検討をされたんだけれども、この際これをとどめるべきであるということの線に向かって邁進していただきたい、私はこう思う次第でございます。  最後に、先ほどもお話が出ましたこの年末を控えての闘争ですね。新聞にはアベック闘争と出ておりますが、いろんな両方の問題があると思うのですけれども国民が、こんなに郵便が遅配し、そして年賀郵便もどうなるかと心配している最中に、いつになったら解決するんだろう。そして一方値上げという問題が新聞に出てきて、片一方はサービスは出ていない。どうして労使協調が一日も早くできないのか。私はいつも考えておるのですが、この点についてもう一度、どういう御決意で、いつごろこれは解決のできる問題であるかということを聞かしていただきたいと思います。
  58. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 まさにおっしゃるように、内憂外患こもごもかかえておるという状況でございます。そこで、労使の問題は誠意を持って急速に打開をいたそう、この決意は先ほど申し上げているとおりであります。そして一方おりもおり、こういうときに値上げの問題というのでございますから、私もほんとうに心いたむわけであります。この点先ほど来のおことばもございますので、どういう結論に落ちつきを見ますか、これもそう長いことではありません。少なくとも予算策定までには決着をつけて数字も盛り込まなければならぬという要請に迫られておりますから、その場合はただいまおっしゃったような御趣旨も私よく心にとめて対処いたすつもりであります。
  59. 樋上新一

    ○樋上委員 それじゃ最後に、けさの朝日新聞に出ておりました社説の中に「第三は、郵政事業の将来の展望についてである。たとえば、その一つ配達会社構想であり、いま一つは公社化についてである。」こういう点はどうか、またあるいは特殊法人化するという必要はないか、こういう点が出ておるのですが、これはどうでしょうか。
  60. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 配達機関というものを一元化したらどうかというアイデアは、実はそういう進言を従来も受けましたし、私もひとつこれは検討に値するものだというふうに考えるわけであります。たとえば郵便の小包あるいは鉄道の小荷物ないしは新聞配達ども非常に悩みが多いようでありますから、こういうものも何か打って一丸とした一つの特別な機関というものが構想として可能ではないか、それをやったら案外いけるのではないかというようなことも、実は寄り寄り相談をしておるわけでございます。そういうものがもし具体的になったならば、またひとつ皆さまの御批判も仰ぐような機会があろうかと思うのであります。  それから、公社化の問題は先ほども申し上げましたように、これを決して断念しているのではございません。さっき武部さんからアメリカの例が引き合いに出されましたが、あるいはイギリスあるいはドイツも踏み切ろうとしておるという実例をいまつぶさに検討しておるわけでございます。今回郵便法などに幾らか手直しをいたそうという趣旨も、あの公社化の答申に盛られた線に沿っておるわけでございまして、これもわれわれの検討の材料として生きておるんだ、このことをお含みをいただきたいと思います。
  61. 水野清

    ○水野委員長代理 中野明君。
  62. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣の時間があまりないようですので、私、関連してちょっと申し上げます。  先ほどもちょっとお話しになっておりましたように、労働紛争の問題ですけれども、誠意をもって解決するというようなことを述べておられますが、七日からまた休暇闘争にも入っておるようでありますし、同時に一日からは超勤闘争、現在もすでに相当滞留の郵便物がある、こういうことが刻々と報じられておるところであります。大臣が本気でこれを解決しようとなさろうとする以上は、根本的にどういうところに原因があるというように大臣は見ておられるか。そこの基本的なことを一応あらためてお聞きしておきたいのですが、この紛争をどこに原因があるとごらんになっておりますか。
  63. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これはいろいろ複雑な原因はあると思いますが、一言に言うならば、やはり人と人との関係でございますから、その間の不信感というふうなものが長い歴史を通してこじれてきておるような感じがいたすわけであります。したがいまして、そういうところへひとつメスを入れる、お互いに話してわからぬはずはない、こういうことで私もずっと苦心をしてまいりましたつもりでありますが、その点がたいへん不十分であった。そういう結果がまた今回紛争を巻き起こしておるのではないか、こう思いますので、こういう点、今後十分注意をして——こういうことを繰り返しておったんじゃほんとうにお互いのエネルギーのロスでありまするし、それから国民の皆さまからあいそをつかされるというおそれがございますので、こういう点をひとつしんぼう強く、ここは当面いまの紛争を、いうならば短期的にといいましょうか、応急対策として解決をしなければならぬというのが一つ。それからもう一つは、長期展望を持って、これをおさめたあともう少しお互いに汗をたらしてみる、こういうことではなかろうかと思うのであります。
  64. 中野明

    ○中野(明)委員 双方にもいろいろ言い分があると私は思いますけれども、いずれにしましても、郵便の遅配とか、あるいは労働争議によりまして一番迷惑をこうむっておるのは国民であるということをお忘れにならないようにお願いをしたい。これはいま大臣のおことばの中にもありましたように、このままでは国民にあいそをつかされるとおっしゃったわけですが、ほんとうに毎年年中行事のようになって、これがあたりまえだ、そういうふうなことでは、私ども国民に対してどう申し開きをしていいかということでありまして、非常に国民自体が迷惑をしております。  特にこの問題について、郵政の会計もたいへん赤字だ、こういうことでいま答申が出たりして苦慮しておられるわけですけれども、この年末の滞留を処理するため、先ほどからアルバイトを雇うとかいろいろな話が出ておりますけれども一体郵政省としてどれくらい予算を考えておられるのか。この年末の紛争のためにアルバイトを臨時に雇ったりして処理をしなければならぬ、また一それに関連してかなり金が要ると思いますが、どれくらい金がかかるのですか、大臣。
  65. 竹下一記

    竹下政府委員 アルバイト雇用のために相当の経費が要ると思います。最大限必要数を確保するためには三十数億の賃金が要ると思います。ただし、これは反面一般職員が超過勤務をいたさないということになりますと、その面の経費が浮きますから、経費的にはとんとんということでございますが、賃金額は先ほど申し上げましたとおり、相当高額でございます。
  66. 中野明

    ○中野(明)委員 いま大ざっぱに計算してとんとんとかおっしゃっておりますけれども、ただ人件費だけじゃないと思います。やはり管理職人たちも、それに対して余分な人件費もまた出てくるでしょうし、その他関連して経費はたくさん要ると思います。こういう問題については、私は大臣からお答えをしていただきたかったわけですけれども、郵政の会計が非常に窮屈である、苦しい、こういうやさきにこういう紛争が起こっている。これに対してほんとうにただの百円の金でも余分にそういうことで使うということは、やはりそれがそのまままた赤字を累積さすということにもなるわけです。そこら辺を本気で考えていただければ、紛争の解決を早くしなければならぬ、こういう気持ちが強く出てくるんじゃないか、このように私は思うわけです。  特に心配しておりますのは来年の年賀状ですね。これがおくれるんじゃないか、このようにいろいろ言われておりますが、ことしの年賀郵便は、私聞きますと、時間がありませんので申し上げますが、すでに七円の年賀はがきは十一億八千万枚発売されて、結局昨年より八千万枚ふえております。年賀状はふえて、そして紛争があって郵便がおくれる、こういうことで、どうでしょうか、元日にちゃんと届くだけの見通しを持っておられるのかどうか、自信がおありなのかどうか、そこのところを……。
  67. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 前段似せられましたことですが、正規の職員が一方において休暇をして休み、アルバイトでこれを補てんをする、これはどうしたって能率その他においては違いますから、その間におけるロスは相当大きいものだと思わなければなりません。そういう意味で、単にとんとんになるというような安易な考え方では私はいけない、こう心得ております。  それから年賀状の問題でございますが、これはストが非常に長引くというようなことになると、たいへん懸念しておるのでありますけれども、ここ数日の間に何とか打開をしたいというように考えておりますので、できるだけ妥結をして、そうすることによってあまり大きな影響なくいけるとは思いますが、これは専門の郵務局長から必要があればお答えをいたします。
  68. 中野明

    ○中野(明)委員 それでもう一点だけをお尋ねしておきますが、先ほど郵政省のほうも経営努力をしなきゃいけない、こういうようなお話が大臣からも出ておりましたが、私ども、やはり国営であるというだけに経営努力は非常に不足しているということは日ごろから指摘されているところですけれども、その一つの例をあげてみましても、四十一年でしたか、前回郵便料金改正のときに同時に出ました、通常ミニレターといわれておりますけれども郵便書簡です。これがあの当時の議論を読み返してみますと、こういうものをつくったってなかなか売れませんよというふうに、この委員会でも議論されております。調べてみますと、一億枚つくられたようですが、それからまる四年たってもまだ四割そこそこしか販売されていない、こういうことも聞くのですが、せっかくそれだけの新しいものをつくってやられている以上は、やはりPRもして、そして努力されることが大事じゃないか。四年間たってもまだ当初予定したところの四割余りしか販売されていない。私どももそういうものがあるということを、ほんとうに情けないのですが、ついこの間まで知りませんでした。大臣もお知りになっておったかどうか、これはわかりませんが、ここにおられる人も、全部の人がミニレターというものがあるのか知っていたかどうかも疑問だと思うのです。  そういうふうな一つの例をとってみても、やはり企業努力という点について、まあ国営であるだけに非常にゆっくりしておられる、そういうことも感じます。なおまた、現場の意見を聞いてみると、非常に労働力が不足で、一例をあげれば、速達郵便は本人に手渡さなければならない規則になっておるようですけれども、私がここ最近記憶しておる範囲でも、直接速達を受け取った覚えはありません。全部郵便受け箱へ速達がどんどんほうり込まれていっておるという現状です。それなんかも、現場の声をいろいろ聞いてみますと、とてもとても労働過重でそういうことはできないのだというふうなお話も聞きます。そのようないろいろの実情を見てみますと、せっかく規則をつくってあったって規則どおり行なわれていない。  そういうふうなことからいろいろ考えていきますと、これは本気でこの問題を話し合いをして実情をよく把握されて解決しておかれないと、いつまでたっても毎年毎年紛争を繰り返して、先ほどの大臣のお話ではないですけれども、最後は国民にあいそをつかされる。こういう現況で、けさほどから郵便料金値上げがあるかないかということで心配されて議論されているわけです。だから、いまのような状態で郵便料金値上げというのは、一般国民は絶対に承服できないと思います。その辺の国民感情というものをよくお考えになって、おそらくけさも閣僚懇談会でその点は他の大臣からもお話が出たのじゃないかと思いますが、郵便料金値上げその他につきましても、これはまず値上げをしないということを大前提にして根本的な解決をはかるということが大事じゃないか、私はこのように考えます。その点の経営努力、そして労働の関係と、いろいろ私の意見もまじえて申し上げたわけですけれども、最後に大臣から、郵便料金値上げを含めてもう一度お答えをいただいて終わりたいと思います。
  69. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 中野さんのおっしゃる、やるべきことをきちんとやって、そうでなければ値上げなんというのは受け付けられぬぞというきびしいおしかりでありますが、私も、お述べになりました事柄、たいへん同感にたえないのでありますから、そういう気持ちの上に、値上げ問題は私もまだもう少し自分の考え方を整理してみなければなりませんので、きょうの御発言も体して慎重に検討をいたしたいと考えます。
  70. 水野清

    ○水野委員長代理 栗山礼行君。
  71. 栗山礼行

    ○栗山委員 三十分質問の時間をいただいておるわけであります。大臣は十二時半ごろに所用で出なければならぬということでありますが、できるだけ短い時間で御質問を申し上げてお答えをいただきたい、かように考えておるわけでございます。  いろいろ御質問がありまして、御答弁を伺ってまいったのでありますが、私は主として、いまの労務政策転換闘争によります全逓の超勤拒否及び休暇闘争、こういう事態が非常に深刻な様相に、時期を含めまして進んでおる、たいへん大臣は深刻な事態の中で御考慮をされておるというふうに理解をいたしておるのでありますが、四月に解決をされました全逓の宝樹及び当局側とのいわゆる協定がいまだに実施がされないということで、それの実施を迫る労転闘争を柱にいたしまして、当面の年末闘争及びその他待遇の諸要求、こういうことが今度の戦いの一つの路線として進められておるやに私は理解をいたすのでありますが、たいへん率直に申し上げまして、この問題をどう国民受けとめるかあるいはどういうふうにこれを評価をしていくべきかということは非常に重大な問題でございます。過去の労使関係の歴史の経過をたどりましても、今日の事態に対応する労使関係の方向が見出せずして、依然として親方日の丸のマンネリ化した一つの状態が今度の闘争の歴史的な背景と事実になってあらわれてまいっておる、こういうふうに私は受けとめておるわけなんでありますが、大臣は四月の協約行為の実施をめぐる問題についていろいろ御意見がございましたが、今日の労使関係の正常化、そして郵便業務公共性という立場に立って、この問題を一体どのようにとらえていらっしゃるかということについて、私はもう少し率直簡明に意見をお伺いいたしたい、かように考えておるわけであります。
  72. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 長いこと労働問題に通暁されておる栗山さんが、いまのような御心配をしていただいておることはよくわかるつもりであります。私が四月の初めに確認をいたしましたことは、これは労働問題におけるABCみたいなものでありまして、たとえば不当労働行為にわたるようなことはせぬとか、あるいは当局が労務問題に介入をするというようなことはいかぬとか、差別人事があっては相ならぬとか、これは当然過ぎるほど当然なことでございます。これが末端において必ずしも浸透しておらぬという御指摘がさっきからあり、今回のこともそれに端を発しておるようでありますが、当局側の責めに帰すべき問題は私の側において厳に戒めなければなりませんが、これは相手のあることでございまして、そちらの側においてもまあ出ばった分はひとつ切り捨てていただくというような相対の努力をともにしなければならぬと思うのでございます。そういう点が何かぎこちなく肩ひじを怒らしておるというようなことでなく、もっとフランクに相手の中へとけ込んでいくというふうなことでなければならぬと思うのでありますけれども、なかなかそこに歴史あり、沿革あり、これを解きほぐすためにはどうももうちょっと時間がかかるのではないか。たいへん残念でありますけれども現状をそんなふうに認識をしておるわけであります。   〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうも慎重にして諸般の考慮をされました御答弁で、私の求めておるのといささか異にする御答弁を伺う、こういうことでありますが、私は、いま御指摘になりました官側にもやはり管理運営上の正すべき姿勢というものを確立しなくちゃならぬということが一点と、それから依然として闘争第一主義的な活動の姿勢が望ましいかどうか、この点について、いわゆる労使関係の不正常という事態が生まれてまいっておると考えるのでありますが、ずばり申し上げまして、前回も私、その問題について若干質疑を展開いたしたのでありますが、労使関係は鏡のようなものだ、一方を責めて一方を是とするということはいえない、こういうことであって、官側の正すべき姿勢というものは、国民の信頼に基づく一つの管理の姿勢をすみやかに確立をいたしなさい、さらに相手方がもし誤った活動の方針があるとするなれば、それはき然としてそれを非として臨んでまいるということが望ましい、それが今日における労使関係のとるべき方向でないか、こういうことでいろいろ質疑をかわしたことがあるわけでございまして、御承知のとおりでありますが、やはり何というても国民受けとめ方というものは、労使関係に大きな不信と疑惑を抱いておるということであります。依然として労使関係の健全な慣行が確立されないというところに、国民はまたかということと大きな不信の声をもってながめておる、こういうような形になっておるのではないか、こう考えるのであります。やはりき然とした態度をもって臨まれるべきである、その姿においてのみ解決する、私はこういうふうに考えるのでありますが、現時点における一つの問題の収拾について、どのような具体的な所信のもとに事態の収拾を、いま当面する問題に運んでいらっしゃるかということについて、北人事局長もいらしゃいますけれども、大臣の不変の方針をここでひとつ明らかに、この委員会の審議を通じて所信を表明されてしかるべきじゃないか、かように考えるのでありますが、御所見を承りたい。
  74. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、管理する側からいいますと、これはもう自信をもって、そしてき然たる態度でなければなりません。したがいまして、相手方に闘争第一主義あるいは階級国家観というふうなことで臨まれるとするならば、その非をやはり相手に示さなければならぬという意味においては、栗山先生と私、決して考え方が変わっておるとは思いません。そこで当面経済要求というふうなものについては、これは合理的なものである限りは早いところ解決をはからなければなりませんし、さらにまた四月確認条項というものはきわめて当然なことでありますから、これをやはり十分に周知徹底をするということにおいて、一刻も早く問題の処理をしたい、こう思っておるわけであります。
  75. 栗山礼行

    ○栗山委員 私、結論だけを申し上げます。  この問題について、当面する紛争について国民により以上の迷惑をかけない、いわゆる遅配をすみやかに解消する方向の中で、しかも従来のような一応のアベック闘争といわれるようななれ合い的な解決ではなくて、将来の労使関係正常化の建設的方向の一環としてこの問題にすみやかに対処するということの御勇断をお願いを申し上げて、この点は強く御要望を申し上げておきたい、かように考えております。意見はけっこうでございます。  先ほどから論議がございました九月の二十八日の郵便事業の正常運営を確保するための方策についてということで、七日に答申が出てまいりました。七日の答申を待ちまして八日の閣議において、佐藤経済企画庁長官は特に発言を求められて、いわゆる物価の上昇の大きな要因としての公共料金の問題につきましては、経済コストダウンの一つ方向に高めてまいるという、ーコストインフレの傾向が非常に強まってまいったということで、公共料金の問題については一年間ストップを強く訴えられた、こういうことを新聞が伝えておるのでありますが、引き続いてきょうは、この問題は物価対策閣僚協議会において関係閣僚においてお話をする、こういうことで、大蔵省の一つの見解は、若干郵便事業の独立採算制の立場においてこれを肯定するというようなことが伝えられ、佐藤経済企画庁長官は強く同意を求める、こういうことが新聞で伝えられまして、先ほど御出席されて、いろいろ協議をされてまいった、こういうようにお話を承っておるわけであります。  私は先ほどからいろいろ伺ってみまして、政府の基本的な公共料金の問題の取り組み方にも、これに謙虚に対処し、あるいは審議会答申受けとめ方についても、これを尊重する立場に立ってこの問題に対処していきたい、こういうふうな国の財政及び経済の安定的成長の立場における公共料金の取り上げ方と、それから独立採算でございます公共料金の取り上げ方というものとどのように政策的調和をはかってまいるかということについて検討を深めておるのだ、こういうふうなお話のようでございます。先ほどから武部委員も御質問がございましたが、かりに公共料金が一時ストップいたしましても、いろいろ問題点が残ってまいるという過去の経過も承知をいたしております。三十六年、三十九年の公共料金のストップがその後における公共料金にどういう結果をもたらしたかという一つの歴史的な事実もございます。もし公共料金を断じて一年間凍結をするという前提に立ちます場合において、郵政大臣は、いわゆる一般会計の繰り入れ方式というものについてどのような見解をお持ちになっておるか、これを端的にお伺いいたしたい。
  76. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 まだお答えをするのには少し早いのではないかという気がいたしますが、一般会計から繰り入れたという例は、たしか占領時代でございましたか、あります。しかし、これは非常に特殊なものでありまして、金額もそれほど大きなものではなかったはずであります。したがいまして、これは財源の問題とも関連いたしますが、一般会計でことごとく赤字がふき切れるかという問題も残っておるだろうと思うのであります。あるいは財政投融資、そういうふうなものから一時借り入れるということも考えられないことはない。私は従来、半年くらい前から、もし値上げができない場合はどうかというお尋ねに対して、そういう道があるにはあるのだというお答えはしてまいってはおりますけれども、いよいよ予算の大みそかみたいな時期になりますから、その辺の勘案をいかようにいたしますか、いずれにもせよオーソドックスな考え方からしますると、独立採算、そうして受益者負担ということであるべきだと思うのでありますが、何せ一つの緊急事態であるとすれば、いまおっしゃるような道も一つの考慮の対象にしなければなるまいか、こう思うわけであります。
  77. 栗山礼行

    ○栗山委員 答申を五つの柱にして答申をされております。しかも位置づけにつきましては、第五項の三五%、三年の収支均衡という一つの原則を踏まえつつ、今度の値上げ案というものが答申をされておる、かように考えるのですが、この値上げについて、いわゆる経営収支を基礎とする感覚からこのものをとらえておられる。いわゆる経済サイドで、独立採算制とは経済ベースであるということで割り切った一つの形が、ここで述べられておるように思うわけでありますが、しかし、郵便料金の問題というのは公共料金の主たるものでありまして、独立採算制による一つの企業性というのみでこれをながめるということにつきましては、いろいろ問題点があろうかと思うのです。結論的には、公共性の、しかも郵便法に定めておられますなるべく安くこれを取り運んでいく、そうして国民の福祉に寄与していくということの郵便法の定義からいきまして、公共性と採算ベースとのかね合いというものをどのように大臣は理解をされているかということが、非常に大きな問題になってくるのではないか。答申をいたしておりまする形におきましては、公共性を認めつつも、経済サイドの上において今度の答申の内容が貫かれておる、こういうような感じをいたすわけでありますが、この問題についての御見解をお伺いいたしたい。
  78. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おっしゃることは、公共事業の基礎にかかわっておる問題だと思います。この答申は、言うならば経済合理主義とでもいいましょうか、独立採算のベースを確立する、こういうことでお書きになってあると思いますが、ここずっと久しい間、大体そういう原則のもとに運営せられてきたものと思います。しかし、おっしゃるような公共性というものを全く除去した仕事ではない、これが郵政事業の特質であろうと思うのであります。そういう意味において、今回この事態において起こり得るいろいろなケースというものを、もう一度原点に立ち返って郵便事業公共性というものを議論をする一つの機会ができたというふうにも思うのでございまして、これからの問題でありますけれども、そういう点も検討の大きな材料の一つにいたしたい、かように存じます。
  79. 栗山礼行

    ○栗山委員 御答弁の本旨も理解できるわけでありますが、いわゆる採算重視の方向ということには問題がある。公共料金それ自体の性格と任務づけを考えつつ、独立採算制の本旨からどう対処するかということについて、私は慎重なる御検討を深めてもらいたいということを特に御要望を申し上げてまいりたいと思います。  それから、答申が五つに分かれておるのでありますが、主として五にわたる料金改正の問題は、いろいろ論議のあるところでございまして、いま突き詰めてお伺いするという時期にあらざることを痛感をいたすのでありますが、その他の問題について私は総括して、五を抜きまして、一、二、三、四、特に本文に強く指摘されております「労使関係がとかく円滑を欠き、正常運営の確保のうえで大きな障害となっていることも看過できない。健全な労使関係の樹立に格段の努力を要望する。」こういうふうに、まさに抽象的でありますけれども、意味するものは、非常に深刻ないまの不正常の状態についてこれを正すべしと、こういうような内容であるかと思うのであります。特に、付記といたしまして、先ほどお話のように、やはりどのような施策を行なうにいたしましても、結局経営と人にあり、こういう一つの信頼関係と人間関係というものを特に重視してはかってまいらなくちゃならぬということが、やはり官側におきましてもあるいは従業員全体におきましても、その人間関係とそれから信頼というものをつくってまいらなければ何にも結果があらわれるものではない、こういうような指摘をされておると思います。  私は、今日こういう郵便事業の正常化を答申されるということは、今日的にいえば、不正常な郵政業務の実態というものが、大臣が今日のあるべき姿を答申で求める、こういうふうに現実は不正常な状態からいかに正常化して郵政業務本来の任務を続けていくか、こういう原点に立った御答申を求められた、このように理解をいたしておるわけであります。  いろいろ多くの問題がございますけれども、なかんずく私は、やはり郵政の責務の重大性を痛感されまして、労使関係の健全な一つ方向として、いままでの歴史を顧みつつ、勇断をもってこれを是正し、国民が信を置いて郵政業務を見守るという方向に持っていってもらいたい、かように見解を持つわけでありますが、いろいろビジョンの問題もございますけれども、いま何をもって郵政業務の改善を行なうべきかという、基本的な姿勢の問題が重要な問題だと痛感をいたします。  こういう意味で、私は簡潔に、今日の現状にかんがみ、また明日の郵政業務の建設的な健全運用のために、ひとつ牢固たる決意をお伺い申し上げて、私の質問を終わりたいと考えます。
  80. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 栗山さんるるお述べになりましたその御趣旨は、私は答申の内容とも一致しているものと思うのでございます。したがいまして、あの答申は単なる値上げ案というのではなくて、その前段に書かれた四項目が、あるいは労働問題に触れた点がたいへん重要である、こういう受けとめ方をして努力をいたす所存でございます。
  81. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  82. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、二つの問題について、大臣もお忙しいということでありますので、約十分間程度の質問をさしていただきたいと思います。  第一の問題は、今回の答申の問題をめぐりまして、佐藤政府が去る六十三特別国会において声明をいたしておりますように、今年度は警戒型の安定経済政策を中心とする財政あるいは政治をとっていきたい、こういうことを申しておったわけです。そして物価の値上がりは四・八%程度に押えなければいかぬ、それ以上はやらぬ、責任をもってそのような体制を組んでいきたい、こういうことを佐藤内閣は言明しておったわけであります。そういたしますと、閣僚の一人である井出郵政大臣も、同じように佐藤内閣の中において、現在約七%前後の消費者物価が上がっておるわけですが、こういうことは大臣の重大な責任の問題でございます。なお、私鉄運賃が去る十月の当初から上がっております。かてて加えて、一般生鮮食料をはじめとして食料品は非常に上がっております。こういう物価の値上がりに対して、郵政大臣は、閣僚として、佐藤内閣としてどういう責任を負うのかという点が第一点。  第二番目の問題は、諮問の内容は明らかに料金値上げとは書いてないわけです。あなたがおやりになったことは、郵便事業の正常運営を確保するための方策について郵政大臣が答申を求めたわけです。ところがこの内容は、その重大な基本であるところの郵便事業の正常運営を確保するための方策を中心に答申をしていないわけです。問題は、郵便料金値上げという方向にこの答申が行なわれておるわけです。そうなってまいりますと、ここで抽象的に指摘をしておるのですが、労使間の問題についてはきわめてあいまいな、きわめて抽象的な答申をしておるわけです。その他の事業面においても大体そういうことがいえるのじゃなかろうか。ただ、料金の問題については非常にこまかくいろいろ書いてある。したがって、郵政大臣が諮問しておる内容とはずれた、料金値上げという内容を、この郵政審議会は故意に佐藤内閣の基本的な態度に逸脱をしてこういう答申をしておるのじゃないかといっても過言ではないと思うが、大臣はどう考えるのか。これが第一の大きな問題。  二つ目は、特に赤字が出ておるということをいっておるのですが、御承知のように四十一年度から計画的な郵政事業の会計を持ちまして、四十五年度において百十九億の赤字を出しておる。四十六年度になれば約五百七十億の赤字を出す、こういうようなことがいわれておるわけです。そして、先ほどからの答弁では、人件費の一六%のベースアップのために、そのために赤字が出たというような説明を加えておるわけです。したがって、この赤字という問題がはたしてほんとうかどうか。つまり佐藤政府の高度経済成長政策に伴うところの大資本に奉仕をしながら、日本全体が軍国主義化をする方向で、結局郵政事業を通じて大資本に奉仕をする体制を終始一貫とっておる。その結果赤字が出ておるのじゃなかろうか。いわば政策的な赤字じゃなかろうか。こういう懸念を私ども多分に持たざるを得ない。したがって、現在郵政大臣が直面をされておる物価を上げない、そして安い料金郵便物を輸送する、こういう基本的な線をはずしておるのではなかろうか。  この答申の内容としては、特に物価問題については何ら書いてない。少なくとも郵政大臣の諮問機関であるべき郵政審議会が物価問題について何にも書かない。料金問題についても、その内容を的確にただすようなことについては書いていない。これはどういうわけか。この答申自身がある種の誘導された、そしてその結果から結論を出した、そういう答申であるとしか考えられないように思うが、どうか。こういう点についてまず答弁をしていただきたい。  もしあなたが答申を求めた適正な内容からいうならば、現在の全逓その他の労働者との関係はどうあるべきか、あるいは賃金の形態についてもどうすべきか、あるいはこの協約違反傾向についてはどういうふうにやるべきかという点をやはり明確に答申すべきである。そういう肝心なところは触れないでおいて、ただ料金のところだけことこまかに書いて、しかも中には、場合によっては一便だ、こういう国民に対する恐喝的な内容を含んでおるわけです。明らかに郵便法の規定に違反をすることを郵政審議会答申をしておるわけですよ。したがって、こういう点、答申内容自身について大臣はどう考えておるのか、この点を伺いたい。先ほどからの経過は聞いておりますから、今後とも大蔵大臣あるいは経済企画庁長官、郵政大臣がこの問題について、ほんとう郵便料金を上げないという立場で、物価問題について当初の約束どおり佐藤政府の方針を堅持すべきである、こういうことについての明確な御答弁をいただきたいと思うわけです。
  83. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 土橋さんの御質問はたいへん多岐にわたっておったと思いますが、これを集約いたしますと、大体物価問題にわたる部分、それから答申の内容に関連をされる部分、それから赤字に関連をし、一体料金値上げだけでそれが解決されるのか、こういうふうなところに集約されると思います。  そこで物価事情でありますが、おっしゃるように、昨今は七%台というように昨年対比の数字が出てまいりまして、これはたいへん憂慮すべき状態であります。もちろん季節生鮮食料品のようなものが大きな物価上昇の原因になっておるのですけれども、同時にもう少し構造的なといいましょうか、昨今では食料加工品が高い、衣料品が高い、卸売り物価も心配になってきたというようなことでございまして、まさにSOSを乱打しなければならないくらいの状態でございましょう。これは私も閣僚の一人として責任を負わなければならぬのでございますが、その際、内閣の方針として、極力公共料金はこれを押えるということはしばしば総理の口から言明されてきた点であります。今回はそれを極力などというなまぬるいことでなくして、現にこれを押えるという方向が出ておるわけでございます。  そこで、それに郵政、郵便事業等を関連せしめまするならば、公共料金の最たるものとして一体いかなる位置づけをすべきかという問題になるわけであります。その際、たまたま答申が出たわけでありまして、この内容は、土橋さんの側においては、はなはだ不満足なものとして受けとめていらっしゃるようですけれども、しかしこれなりに当面の課題にはこたえておると思うのでありまして、たとえば労使関係等についても御不満ではありましょうけれども、いまの現状を一刻も早く正常化の方向へ持っていくべし、こういう御指摘があるわけでございまして、われわれもそういう線に沿って努力をいたしておるさなかでございます。  そこで、郵政財政のことはずっと申し上げてまいりましたが、その赤字の原因は何か。大資本に奉仕しておるがゆえに出てきたのだ。その御説明をまだこれから伺わなければならぬのですけれども、あるいは機械を注文したなんというのも大資本に奉仕したのかどうか。私はそういう点になれば、少し土橋さんとは見解を異にするのでありますけれども、それにしてもこの赤字をどういうふうに対処すべきかという問題になりますと、オーソドックスなやり方としては、従来ずっとやってまいりましたように、料金の問題としてこれを取り上げるということになるべきだろう。これが審議会のほうでもお取り上げになりました考え方のようであります。しかし、問題は先ほど来議論のありますように、いまや緊急事態である公共料金オールストップという場合に、郵政だけ大手を振ってその中で予定どおりの値上げ一体敢行できるかという問題に帰着すると思うのであります。そういう点でございますが、さっきの三閣僚がこれを協議して、いかなる線を出すかということがいま迫られておるわけでありまして、きょうはいろいろ皆さま方から御意見がございましたが、そういうものをも踏まえながら、この問題に誤りなきを期したい、かように考える次第でございます。
  84. 土橋一吉

    ○土橋委員 これはあとでいいですから私のところにどなたでも説明に来ていただきたいと思いますが、十七ページの「三カ年間の支出に要する経費の見込み約一兆百四十九億円をまかなうため、昭和四十六年四月以降、平均約三五%の増収を確保しうる郵便料金改正案を答申するものである。」しかし、なお郵便局舎なんかの設備はやらない。こういうところは逃げておるような説明をしておられるのですが、一兆百四十九億円というのは一体どういう経費の内容か、あとで私のところに説明をいただきたいと思います。  時間がありませんので次の問題。きょうの新聞、昨晩の夕刊などを拝見しますと、約六百万通という郵便物が滞貨をしておるといわれておるわけです。そうして郵政大臣もたいへん御尽力になっておるわけですが、この滞貨した六百万通というものは容易なものじゃございません。全逓労働組合のほうから提出をされておる四月九日の協約事項の完全なる実施ということと、労働条件の改善及び年末手当の要求その他の諸要求を中心としていま闘争が起こっております。  そこで労使間の関係でございますが、いままでのあなたの御説明によると、かなり努力をされておる。しかし、郵政当局の幹部諸君がこれを受けて、真に労使間の関係の正常化をはかっているかどうかという点については非常に疑問があるわけです。その例を簡単に私は一つ申し上げてみたい。一つの例です。  これは、この委員会においても私は指摘をしたのでございますが、ちょうど九月ごろでございましたが、立川の郵便局長さんで中野銀造さんという方が、これは八月に立川郵便局に着任をされておるわけです。九月の初旬のころ、私の近所の町内の自治会館で庶務課長及び労務担当——庶務課長さんは絵面さんです。それから労務担当の方は長束俊彦さんというのが立川の労務主事でございますが、この方々がしめし合わせて、そして現在の全逓のほかに第二組合をつくるということで、いろいろその会館を数回使っております。  たまたま私は銭湯から帰るときに、ちょうど外に立っておる人がおられて、何ですと聞いたら、実は立川の局長と労務担当主事と課長がこの二階の第二組合の諸君と連絡をするためうろうろしておるのだ、土橋さん助けてくれ、こういうことでありましたので、私がこう見ると、ちょうど私の家のところから三十メートル向こうの大通りのところに一人立っておる。そこで私はつかつかと行きまして、あなた、何でお立ちになっておるのですかと言ったら、向こうはもじもじしておる。あなたは立川の労務主事さんでしょうと言ったら、そうです。それから町の暗いところで、ネクタイを取ってそうして大きなふろしき包みを持ってどこの無頼漢かわからないようなかっこうをして、一人はまたネクタイを締めている。これが絵面という庶務課長さんです。私は、どうして局長さん、そういうところにあなた、お立ちになっておるのですかと言ったら、土橋さん、ここで一ぱい飲もうと思っている。私の近所は酒屋なんかないわけです。駅の近所ならたくさんございます。そうしてしかも、局長さんが町のポン引きのようなかっこうをして、一体、こういうところにお立ちになっておるのはよくないじゃないですか。あなた方はあそこの児童会館の諸君と連絡をとるためにそういうかっこうをしておるのですか。いや、そんなことは考えておりません。しかし、あなた方は数回私の家を通ってそうしてこういうところに立っていて、しかも酒を飲むというのに酒を飲むような場所は一つもないわけです。奇怪千万な話です。しかも庶務課長はこの地理はよく知っておられる、局長さんはなるほど赴任をして一カ月そこそこかもわかりませんけれどもね。  第二組合をつくろうという諸君のいわゆる趣旨方針なるものも私は持っておりますけれども、現に下部の浅見東京郵政局長の中ではこういうことが公然と行なわれておる。つまり全逓をつぶすために第二組合をつくる。それには庶務課長、労務担当の長束俊彦さん、そうして局長の中野銀造さん、この方は山梨県の全逓の地本の委員長さんでございました。一体これはどういうことなんだか、どういう関係でこういうことになっておるのか私は理解に困るわけです。非常に困難を感じておる。  こういう事態が現にありますので、あなたが先ほどのように御答弁をいかほどなすっても、現実には浅見東京郵政局長のもとではこういうことが公然と行なわれておる。しかも立川の郵便局長が、九月ごろのように、ノーネクタイで、そうして労務担当主事とか庶務課長を連れて、第二組合のそういうところに出入りをする。こういういかがわしいことが現に行なわれておるわけであります。でありますから、どうか——こういう点をあなたはどう考えておられますか。先ほどの答弁ですと、厳重なる態度をとって善処したいということでありますが、どういう善処をこういうことについておやりになるのか御答弁をお願いしたと思います。名前もありますからどうぞ。
  85. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 土橋さんのおあげになった事実を私、信頼しないわけではありませんが、もしそういうことがありとすれば、役所を通じて一ぺんそういう問題をよく調べてみる必要があろうかと思います。そして、もしそれが行き過ぎ、私の考え方に逸脱しておるというふうなことがありとすれば、これはその場合において十分対処しなければならぬ、こう心得ております。
  86. 土橋一吉

    ○土橋委員 これで終わります。幸い北人事局長もお見えになっておりますので、いまの中野銀造立川郵便局長、絵面庶務課長、長束俊彦という労務担当の主事、こういう諸君に対して、先ほど郵政大臣の御答弁でございますと、不当労働行為にはわれわれ賛成しない、不当労働行為はしないという約束を全逓としたということなんですが、こういうことについて北人事局長一体どう考えておるのか、これが第一点。  第二点の問題は、最近の新聞でずっと出ておりますように、東京郵政局管内では、依然として労働組合の大会とかあるいは集会に対して、東京郵政局の腕章をかけだそういうのが取り巻いていろいろ監視的なことをやっておるとか、あるいはまた二月ごろ杉並の郵便局で行なわれましたが、タイムウオッチを持ってそして作業を監督するとか、あるいはお手洗いに行ってもおまえは長いぞとかいろいろな口実をつけ、場合によっては話をすれば賃金カットをするぞというようなおどかしをかけて非常に問題を紛糾させておる。これは東京中央郵便局、東京の京橋郵便局、日本橋郵便局などで行なわれておるといわれておるわけです。現にそういう写真も私は拝見しておるのですが、北人事局長はそういうことに対してどういうお考えを持って善処されようとしておるのか、明確に答えていただきたいと思います。
  87. 北雄一郎

    ○北政府委員 第一点でございますが、立川の件、私不敏にいたしましてただいま初めて先生からお伺いしたわけでございます。先ほど大臣がお答え申し上げましたように、そういったことの有無につきまして、またその辺にいたとしたら何のためにおったのかということにつきまして調査をしてみたいと思っております。  また組合の集会を監視しておるというようなことにつきましても、具体的な話といたしましてはただいま初めて伺うことであります。もしそういうことがあったとすれば、たとえば勤務時間内であるとか、あるいはその使用許可を得ないままに局舎内でやっておるとか、あるいは使用を不許可にしたのにやっておるとか、何か特殊な事情があった場合でなかろうかというふうに推察はいたします。  それから次の問題といたしまして、この仕事をしておる職員にいろいろ監督者がつきまとって、どういうことでございましょうか、一種の監視をしておるのではないか、こういうような御質問であったと思いますが、ごく一部の郵便局でございますけれども、管理者の指揮、指導等をことさらに無視いたしまして、故意に作業能率を低下させておるというような職員が間々あらわれることがございます。そういった場合には業務の正常運行ということを確保する。もっぱらそういう見地からやむを得ない緊急の措置といたしまして、当該局の管理者等がそういった一部の職員の、サボタージュでありますと違法行為になりますので、そういった違法行為の確認あるいはそういったことをするなという指導をする、そのためにその人のそばにいていろいろ指導なり確認をする、こういう事態はやむを得ない事態としてございますので、そういったケースであろうかというふうに存じます。
  88. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  89. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  90. 武部文

    ○武部委員 時間は二時まででございまして非常に短い時間ですが、私は二つ質問をいたしたいと思います。  最初に電電公社にお伺いいたしたいのであります。電報の配達一体どういうやり方をしておるのか、こういうことをいうと、電報の配達配達員がやっておるのだ、こういうことになるわけですが、私がきょうお伺いをいたしたいことは、大阪府茨木電報電話局で起きました茨木市長リコール問題にからんで電電公社のやられたことに疑問を持つのでありまして、その点でひとつ端的にお答えをいただきたいのであります。  まず最初に、電報の配達の請負制度というのがあるはずですが、請負制度はどういう形でやっておるのか、それを最初にお伺いしたい。
  91. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  電報の配達の請負についてはどういったふうになっておるかという御質問でございますが、現在非常に電報の配達通数の僅少な局を対象にいたしまして、公衆法の八条の第三号に基づきまして、夜間についてこれの配達を請負制度をとっております。大体実施の基準は、一日の配達通数が百七十通未満であって、午後の五時から翌日の午前九時までの間の通数が五通以下の局というものにいたしております。
  92. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、請負制度の法的な根拠は、公衆法の第八条三号に基づいてやっておる、こういうふうに説明があったわけですが、そうすると請負人というものが確実に配達すること、あるいはプライバシーはどうするか、あるいは通信の秘密はどうするかというようなことについては、どのような措置を公社としては考えて平生指示をしておるのか、これはどういうことになっておりますか。
  93. 中林正夫

    ○中林説明員 請負者の選定にあたりましては、公社の通達によりまして、取り扱いの局の近傍に居住する者、あるいは請負だけで生計を有しないで他に本業のある者であるとか、それから通信の秘密確保に遺漏のないと思われるような人であるとか、取り扱い局から非常に容易に連絡のできる人であるとか、そういった面を通達面において指湧いたしてやっております。
  94. 武部文

    ○武部委員 時間の関係で先を急ぐわけですが、そうするといまの請負制度というやり方は、不定期に不特定を対象に請け負わせるというようなことはできない。あなたのほうでは、ある特定の人間を定めて、それと契約をしてやっておる。したがって、不定期に不特定を対象として請け負わせるというようなことはできない、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  95. 中林正夫

    ○中林説明員 請負につきましては、不定期といいますか、そのときどきに請け負わせる、そういった形ではなくて、ある一定の期間というものを考えまして、そして人についてもなるべく永続するような形で選定いたしております。
  96. 武部文

    ○武部委員 そこで、先ほど申し上げましたような大阪の茨木報話局のことを申し上げたいのですが、この市長リコール問題の内容を私は承知をいたしておりません。どのような理由で市長のリコールが起きておるのかということは知りません。また、電電公社は、こうした政治的な問題について当然中立でなければならぬわけですから、そういう点についてははっきりいたしておると思います。そこで、私の承知しておることを申し上げて、間違いないか、その点をお伺いしたいと思います。  まず十一月十日、発信人は福井農協、ここから約四千九百通、——通数に間違いあれば御訂正をいただきたい。四千九百通の電報が持ち込まれた。この持ち込まれた電報について、公社は発信人である福井農協に行って臨時雇いを依頼をした。そして、発信人である農協が十五人の臨時者を選び出してそれを依頼した。そうして、その中に婦人が含まれておった。こういう事実が私のほうに入っておりますが、その点は間違いないか。  同時に、この十一月十日に持ち込まれた四千九百通の——四千五百通ではないかと思うのですけれども、その辺はあとで御答弁いただきたいのですが、この料金が十一月十四日に納入をされておるわけですが、この事実を御承知ですか。
  97. 中林正夫

    ○中林説明員 電報利用者の氏名につきましては、通信の秘密の問題もございますので、御容赦をいただきたいと思いますが、この十一月十日以後におきまして、電報通数の茨木局の配達の状況を申し上げますと、十一日が千七百十七通、十二日が千八百八十二通、十三日が千八百二十通の配達というものをいたしておりまして、茨木局は通常日におきましては、大体二百数十通ないし三百通程度配達というものをいたしております。  それから第二点の臨時雇いの雇用でございますが、茨木局といたしましては、いま申しましたように、平常日におきましては大体二、三百通程度の電報のところでございますので、一時にたくさんの電報というものを処理するという能力はございませんので、第一次的には職員並びに労働組合の協力を得て、超勤において処理をする。しかし、それによってもなお処理できない、あるいは協力を得られないといったような場合には、臨時雇いというものによってこれを処理をするということにしておりますので、この間において臨時雇い十五名というものを、十一日、十二日の二日間は臨時雇い十二名というものを雇っております。それで、臨時雇いの雇用につきましては、局としてもなかなか雇用源といったようなものを得ることがむずかしいような状況から、地元の農協にそういうのを照会といいますか、といったようなことをやった。照会をして、そしてその人と臨時雇いの契約というものを結んだ事実は報告を受けております。  それから、いまの料金の問題でございますが、料金につきましては、利用者のほうからは十日か十一日に——十日だと思いますが、料金の即納を申し込まれたわけでございますけれども、非常にたくさんの通数でございましたので、これはあとで通数の確認をした上で料金をちょうだいをするということにいたしまして、その確認がおくれたと申しますか、その事務処理というものがこちら側の手数不足のために二、三日おくれまして、十四日に料金をちょうだいいたしております。
  98. 武部文

    ○武部委員 いまの御説明ですと、千七百十七通、千八百八十二通、千八百二十通、合計五千四百十九通になりますね。これは平常の茨木電報局の通数を合わせたものでありますか。私の言っている四千九百とだいぶ違うのですが、これは内容をあなたはおっしゃらないわけですが、いわゆる市長リコール運動に対する反対の電報なんですよ。ですからそれはそれでいいのですよ。いいのですが、私はあとで申し上げたいが、そういう内容を持ったものである。したがって、電電公社というのはあくまでも政治的に中立でなければならぬのです。そういう点から私は指摘しておるのですが、五千四百十九通の電報とあなたはいまおっしゃったわけです。  そこでもう一点お伺いいたしますが、この臨時者の中には、本来公社としては婦人は採用していないということになっておりますが、間違いありませんか。
  99. 中林正夫

    ○中林説明員 臨時者につきましては、特に基準法上の問題はないかと思いますが、配達というような特殊ななにから、婦人と契約するというようなことはないように指導いたしております。  なお、この茨木局の臨時者の雇用にあたっても、婦人というものは採用していないように報告を受けております。
  100. 武部文

    ○武部委員 私が問題にしたいのは次の三点であります。一点は、公社が発信人である農協に仲介として間接請負をさせているのではないか。それはなぜそういうことになるかというと、私はいま女の人のことを言ったのですが、電電公社の従来の指導は、臨時者というものに女は使っていないのですよ。どこを調べたってそういうものはないのです。ところが、現実に今度のこの五千通余りの電報が配達をされたときに御婦人の方が配達をされておるのです。これはあなたのほうにはそういう答えがないようですが、これは名前もはっきりわかっておるのです。しかし本人の名誉のために申し上げません。申し上げませんが、現実に女の人が配達をしておる。十五人の配達者は全部男の人であるはずですね。私は名前はわかっておりますが、そちらから答弁を求めようとは思いません。十五人の臨時者があなた方のほうから照会を受けて、あなた方に提出をして、そうして何千通かの電報を茨木の電報電話局から一括して持って出て、それをまた福井農協まで持っていって、そこで手分けをして区分をして、その区分をしたものを十五人以外の人がそれを受け取って、持って配達をしておったということなんですよ。これは明らかに間接的請負といっていいと思うのです。そういうやり方は電電公社の運営上認められていないはずなんです。そういう点はどうですか、間違いありませんか。
  101. 中林正夫

    ○中林説明員 いまおっしゃられたような電報の配達請負を一時的にある団体なりに請け負わす、そういったようなことはいたしておりません。今回の場合は十五人の臨時雇いの方、まあ二日か三日公社と雇用契約を結んだわけでございますが、この方々配達をした、そのようにわれわれは報告を受けております。  それから、いま武部委員のおっしゃいましたある場所に立ち寄って区分けをし直して配達に行ったという点につきましては、私どもの報告を受けておるところでは、十五人の人に、局において約百通前後の電報というものを全部区分けをしまして、道順を立てまして、そうして一人一人にその電報を渡して配達に行っていただいた、そういったふうに報告を受けております。
  102. 武部文

    ○武部委員 私の聞いておるのとあなたの聞いておるのとは違うようですね。これは現地の新聞も取材をして現地の新聞にも出ておるようです。なぜそういうことになったか。これは事が政治問題だけにあとで申し上げる料金等の問題もあるのですが、公社がそういうことをするのは片手落ちではないか、おそらくそういうことになったと思うのです。私どもそう思うのです。  それから、大体電報の配達のあり方として、あなた方がこうした間接的請負というものをお認めになると将来大きな問題になると思うのです。通信の秘密の問題からしても当然起こり得る問題だと思う。公衆電気通信法の第五条は、通信の秘密をちゃんと書いてありますね。こういう点について今回の茨木の報話局が行なった電報の配達のやり方というものは、明らかに女子を使い、婦人を使い、特定の人間を使い、内容は政治的なものです。そういうものを十五人以外の臨時者に配達させておるという事実、私はこれは軽いものではないと思うのです。たいへん重大な問題だと思う。あなたのほうはそういうことはないとおっしゃるが、さっきから言うように御婦人の名前は申し上げませんが、現実に御婦人から電報を受け取った人がいるのですから、それはいつでも名前を言ってもいいのです。そういうことを事実やっておったのです。だから報話局長がどういう報告をあなた方のほうにしておるかわかりませんが、事実を報告してないと言って私は断言できるのです。  いま一つは、あなたがおっしゃった十日に受け付けをしたけれども、十四日に料金受け取った、それは通数の確認に手間どった、そんなへ理屈は通りませんよ。そういうやり方が許されるなら、営業規則の第七十条というものはどういうことになりますか。「電報の料金の支払方法の原則」ということでちゃんと基準が定めてありますね。あとで払っていいときはこうこうだ。それはたとえば私どもが解散のときに解散電報を打ちますね。そういうのは事前にそういうことをやっておりますね。そういうやり方がちゃんと書いてあります。そういうようなことをかってに現場の長が、通数の確認がどうだからといって三日も四日も——たまたま三日あとでした、四日あとでした、そういう権限が現場の長の一存でできるのですか。明らかに公衆電気通信法の第二十三条違反ではないですか。そういうふうにやったことはどうですか。
  103. 中林正夫

    ○中林説明員 営業規則なり法律による料金の後納というものについては一定の手続というものが要るわけでございますが、いまの料金の問題につきましては、非常にたくさんの電報でございますし、それが名簿による発信というものがなされておったために確認がおくれ、さらに、これは言いわけにもならないかとも思いますが、たくさんの電報を転写したり配達をすることに追われておったということのために、いまの料金の収納がおくれたわけでございまして、決して好ましいことではなくて遺憾なことであったとは思っております。
  104. 武部文

    ○武部委員 ここのところが大事なのではっきりしていただかなければならぬのですが、電気通信法第二十三条の後段、「公社又は会社は、電気通信設備による受付をした電報の発信人がその料金の支払を怠ったときは、料金の支払があるまで、その者について、その電気通信設備による電報の受付をしないことができる。」そうしてあとに「料金後払」は営業規則の第七十三条にありますね。そういう点から見て成規の手続をとったやり方ではないでしょう。今度の茨木報話局の五千四百十九通ですか、その料金を三日間あと払いさせたということは成規の手続をとっていないでしょう。その点ばどうですか。だとするならば違反ではないですか。  もう一つお伺いいたしますが、そうしたやり方は茨木報話局長の独断でやったのか、それとも上部の指示を受けてやったのか、その点はどうですか。
  105. 中林正夫

    ○中林説明員 ただいまの料金があと払いになったということは、いまの法律並びに営業規則七十三条に規定されております料金あと払い制度、こういったものによってあと払いにしたわけではございませんので、先ほど申しましたような事務処理というもののおくれのために、いわば物理的にあと払いという結果になったわけでございまして、この点につきましては、上部段階と相談をした上であるかどうか、その点は、私、まだその間の事情をよく調べておりません。
  106. 武部文

    ○武部委員 発信人が五千何百通というものを一度に持ってきておるわけですね。ところが、さっきおっしゃったように、それは名簿を持ってきた。そして一度に持ってきているんですよ。それを単に報話局のほうは、私のほうは一日に二百通程度しか配達能力がない、したがって、これはおくれますぞということを言ったんでしょう、おそらく。それでなかったら、電報を茨木市内で打っているんですから、大体電報が三日後に着くことを初めから了解するのなら、頭からはがきを出せばいいんですよ。郵便局はがきを持っていって出したほうが、あすの朝着くかもしれませんね。大体内容的にいっておかしいと思いませんか。北海道に打つんじゃないですからね。同じ茨木の窓口に持っていって、茨木市に配達してくれというのに、三日あとでもいい。そういう点について、私、ちょっと常識はずれだと思うのですけれども、これは打つ者が金を出して払うのだから、とかくのことは言いませんけれども、それにしてもおかしい。それで、あなたのほうは、一度に配達できぬから三日間で配達するということを向こうもどうも認めたというのですね。そうしてどうしても人間が確保できぬからおまえのところでどうにかしてくれ。発信人がまた仲介を依頼して、その者がまたぞろ違った者を連れてきて、通信の秘密が保たれますか。あなたは内容はおっしゃりたくないようですが、そんなことは筒抜けでしょう。窓口に持って来れば内容は一見してわかりますわ。そうして、それに臨時でない他人の請負人まで入って配達をしておる。通信の秘密どころか筒抜けですよ。同時にいまおっしゃったような、物理的にあと払いになったというようなことは、ちょっと答弁になりませんね。そういうことがいいとするなら、これからだってみんなしますよ。一体これが物理的に処理できないのですか。そんなことは絶対できぬことでしょう。いかぬことでしょう。あなた方も物理的にしかたがなかった、そういうふうに公社としてお認めになりますか。どうですか、その点。
  107. 中林正夫

    ○中林説明員 先ほどお答えいたしましたように、茨木局は平生は二百通ないし三百通程度の電報を配達をしておる局でございますので、一時に非常にたくさんの電報が参りましたので、ただいま申されましたように、この電報については、いわば遅延承知というか、おくれるということを承知の形でこれは受付をいたしまして、それで茨木局としましては、——もちろんほかの場合にも、発信人の方に臨時雇いの人を紹介してもらうということもケース・バイ・ケースにおいてはあり得るわけでございますけれども、この場合はもちろん当時のいろいろなその土地の情勢からいいまして、好ましいことでないという判断を持っておったわけでございますけれども、しかし他に臨時雇いというものを雇用する道がなかなか見出せない。それから局としてはやはり持ち込まれた電報というものについては、なるべく早くあて先に配達をしたい、そういった気持ちから、いまの臨時雇いの紹介というものをなにしたわけでございまして、その点については、われわれもう一段の配慮、他に臨時を探す努力というものがほしかった、こういうふうに考えております。  いまの料金の問題につきましても、いま申し上げましたとおり、局としてはともかく電報を早くあて先のほうに届けるということのほうに心が向いておりまして、その確認というものがついおくれまして、料金の収納というものが十四日になった、こういったような事情でございまして、決してこれがいいことだとかそういったような気持ちでおるわけではございませんが、当時の状況としてはやむを得なかったのではなかろうかというふうな気持ちでおるわけでございます。
  108. 武部文

    ○武部委員 あなたがおやりになったことじゃないですから、あなたの責任じゃございませんが、報告が、どうも真相が報告されておらないようですな。  そこで、だれが常識で考えたって同文電報のはずなんです。同文電報で同じ市内に配達される五千四百通ばかりのものを、その確認がおくれたからといって、三日間かかって計算して、三日後に料金をもらうなんていうことは、これはあなたがどんな答弁をおやりになったって、それは答弁にならぬのです。すぐ計算できますよ。北海道へ打ったり東京へ打ったり九州へ打ったりする電報なら、通数や字数が違って、計算になるほど三時間、四時間かかるでしょう。しかし、同文電報で、字数が同じなんですから、数で計算すればすぐ計算できることでしょう。  それで上に指示も何も仰いでおらぬということになれば、これは明らかに局長個人の一存によって便宜供与をはかったことになるのです。これは政治的に中立であるべき公社のやることじゃないじゃないですか。そうして問題は市長のリコール運動が成功する直前に、リコールされては困るほうが、——これはあなたからおっしゃらなくても私のほうから言いますからいいです。リコールされる側が困るというので、反対の電報を打ったんですよ。政治的な問題ですよ。そこで現場の責任者である局長が介入をして、一存で料金の問題をそのように取りはからって、便宜供与を与えたり、あるいはまた間接的請負をさして、通信の秘密を保たなかったり、あなたのほうがいかに秘密だといったって全部ばれていますよ。そういうことでは中立じゃないじゃないですか。  私はそれを言っているんで、臨時者が何のたれべえと言えとか、そんなことを言っているんじゃないですよ。御婦人も使っておやりになったり、何かあそこに老人会というようなものがあるようですが、そういうものもお使いになっておやりになって、そういうようなことがたまたまここで起こった。それは公社としてしかたがなかった、だから好ましいことではないけれども、しかたがないというような簡単なことでこのことを済まされるならば、これは他に影響すると思うのです。将来の電信事業の問題に発展すると思うから、ここできちんとけじめをつけて、そういうやり方は間違いだ。間違ったやり方だ。そこで、私の言っていることと、いまあなたが答弁になったことと違うというならば、内容をお調べになって、これこれしかじかだ、間違いだ、したがって、やったことについて局長に責任をとらせるなり追及するなら追及するとはっきり態度を述べられればそれでけっこうなんですよ。それ以上のことを私どもは言うつもりはありません。  電信事業七カ年計画の中で、将来電報というものはたいへん困難な状況になるからというようないろいろな構想がありますが、そういうようなことの中から、こんなことを野放しにしたら、一体将来の電報配達はどうなるか。特定局が請け負っていることについても、いろいろな形がありますね。そういうことについてのいろいろな不安なり疑問を私は持つから、この際こういうことについては、き然たるはっきりした態度をとるべきではないか。このことを言っておるのです。ひとつ総裁のはっきりした見解をお聞きしたい。
  109. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  事実行為につきまして、私、詳しいところを承知しておりませんが、ただいまお話が出ましたように、公社といたしまして、こういう政治問題等につきまして公正でなければならないということは非常に大事なことでありますし、また通信の秘密に対しましても、厳重にこれを守るように平素指示をしております。ただいまの問題につきまして、確かに御指摘のような事実に対しまして、適当でないような事態があるように思います。私どもといたしまして、この問題につきましては、確かに一回、新聞か何かに出たときに運用局長から報告を聞いたのでありますが、その後詳しい事実を実はまだよく聞いておりません。なお、よく実情を調べまして、不適切なところがありましたならば、それを是正させたいと思います。
  110. 武部文

    ○武部委員 私はこの問題はこれで終わりますが、私の言っていることと運用局長の答弁との間に、だいぶ内容に違いがあるようです。それは、あなたのほうは現場の局長から報告を受けられておる。ところが、その報告がどうも真実でないようです。したがって、きょうここで名前を言いませんが、はっきりわかっておりますから、あなたのほうに名前をお知らせいたしますから、調査されればすぐわかることなんです。そしてそういう間接的な請負の制度は事実やったということ、それからなぜ三日間もこの金額の納入がおくれたか、それをただ単に、あなたがおっしゃるような物理的なことというようなことでは、これは答弁にならぬのです。ですから、そういう点について御調査をされて、私のほうに報告をしていただきたい、こう思います。どこまでもこれは政治的な問題ですから、やはり公社は中立的な立場をとられるべきだと思うのです。そういう点でこの茨木の報話局の問題をきょうここで取り上げたわけであります。  時間が中途になりまして、次はちょっとぐあいが悪うございますから、これで私は質問を終わります。
  111. 金子岩三

    金子委員長 午後三時再開することとし、休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      ————◇—————    午後三時七分開議
  112. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次官も見えておられるようでございますから、政務次官には政治的な立場から、電電公社当局には具体的な取り組みについてお伺いをしたいと思います。  昨年の六十一国会四月十六日の逓信委員会において、公衆電気通信法の一部を改正する法律案が通過をする際に附帯決議が行なわれておるようでございますが、決議の内容は、全部は読み上げませんが、特に「加入電話の申込積滞の解決に努力すること。」この附帯決議は、いまお見えの次官が趣旨説明に立たれて、内容については詳細に御承知のはずでございますが、一年八カ月の期間が経過しておりますが、政府当局として、この決議に対してどういう取り組みをしてきたのか、そしてまた電電公社として、この委員会の決議に従ってどういう具体的な措置を講じてきたのか、その点についてお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
  114. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 電電公社といたしましても、毎年の予算の許す限りの範囲内において、全力をあげて当委員会における附帯決議の趣旨に沿うて、その架設のために努力をしてきたものと確信をいたしております。
  115. 秋草篤二

    ○秋草説明員 附帯決議の御趣旨を体しまして、まず目先の四十五年度の事業計画概算要求等におきまして、特にまた当時の郵政大臣からも御指示もありまして、従来考えておりました計画に約二十万の加入者増設を追加いたしまして、今日の予算が実行されております。なお長期計画の展望におきましては、当初考えた設備計画に約百万の加入者増設を加えまして取り運ぶわけでございますが、五十二年度までの展望に立った新しい長期計画の展望に対しましては、ことしの八月に経営委員会の承認を得まして、あとでまた御質問ございますれば詳細御説明申し上げますけれども、七カ年の長期計画の中にこの御指示の趣旨を盛り込んでつくっておるつもりでございます。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この附帯決議の趣旨を見ますと、大体当時、昨年の四月ですから昨年の年度末と思われますけれども、その当時にすでに二百四十万の積滞がある。これが第四次ですかの計画昭和四十七年度末においてもなお計画では百二十万の積滞が出るであろうということが想定をされる。これは次官、あなたがおっしゃっておるのですが、これを解消して、少なくとも昭和四十八年度からは、申し込めばすぐつくような電話になる、それを期待したのがこの附帯決議であったというふうに私は理解をするのですが、もしそうであるとするならば、一体昭和四十四年度、いわゆる昨年の年度末になりますが、昨年の年度末にどのくらいの積滞があったのか、そしてまたあるのか、これをひとつ知らせてもらいたいと思います。
  117. 浦川親直

    ○浦川説明員 お答え申し上げます。  四十四年度末の積滞数でございますが、二百八十五万でございます。四十五年度に二百十万の架設をいたしまして、四十五年度末の積滞数の予定といたしましては約二百九十万というふうに予測をいたしております。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、昭和四十三年度の年度末には大体二百四十万、これは議事録になっておりますが、その次に四十四年度の年度末は二百八十五万、四十五年度の年度末の見通しは二百九十万といえば、積滞は解消されたどころじゃなくて、むしろ逆に積滞がふえているじゃないか。一体四十七年度末に積滞を解消すべきであるという本委員会の附帯決議を、公社当局はどういうふうに考えて、こういう積滞がふえるような計画になっておるのか、知らせてもらいたいと思います。
  119. 秋草篤二

    ○秋草説明員 確かに、年々歳々私どもも懸命な努力をして積滞解消に努力をいたしますが、異常な経済の成長とまた国生民活の向上に伴いまして、電話の需要は非常に旺盛でございます。ただいまも約三百万の積滞をかかえておりますが、しかし実情は、この努力を怠っているかどうかと申しますと、今日の四十五年度につきましても約六千九百億の新規投資の予算をちょうだいいたしまして、実に二百六十万の電話を架設しておる。この数というものは非常に大きな数でございまして、私どもの電電公社発足当時の累積された加入数というものは、わずかに百四十万ほどでございますのを、その倍を一年間にやるという数はたいへんな金額でもあり、努力でもあるということも見ていただかなければならぬと思うのでございます。今後も思い切った計画を立てておるつもりでございますが、この経済の成長と国民生活の需要というものを考えますと、電話に対する関心は非常に深まってまいりますので、本来ならば、先生のおっしゃるとおり、四十七年度末ころには積滞も一掃できると思っておりましたけれども、今度五十二年度末にはこうしたものを解消する努力を目標として、今後関係方面に働きかけていきたいと思っております。
  120. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 当局として、取りつけた個数においてはたいへんな努力をなさった、それはわかります。しかし、国民が期待しておるのは、やはりさっき申し上げたように申し込んだらすぐつけてもらえる、それをやっぱり国民は期待をしておるわけですから、その意味では、むしろ公社当局の見通しにあやまちがあったといいますか、計画に狂いがあった、私はこう申し上げざるを得ないと思うのです。  そこで、過ぎたことはやむを得ませんが、いまのお話では、五十二年度を目途に積滞の解消をされるという計画のようでございますが、もう少しそれを詳細に、いわれるところの七カ年計画でございますか、これを説明して、どういうふうに積滞を解消していくのかお聞かせ願いたいと思います。
  121. 浦川親直

    ○浦川説明員 ただいま副総裁からも申し上げましたが、現在の、四十五年度末で、先ほど申し上げましたように二百九十万の積滞が予想されるわけでありますが、年間の四十五年度の新規需要といたしまして二百二十万程度、したがいまして、若干ふえたわけでありますけれども、四十六年度は概計におきまして二百四十万の要求をいたしております。新規需要が二百三十万程度でございますので、これから申しますと、四十六年度の積滞は四十五年度の積滞よりも若干減ってまいる。これを一気に解決いたしますと、いままでよりも倍以上の工程をやらなければいけないということになりまして、これはやはり非常に急激な上昇ということはなかなかむずかしいことでございます。で、私どもといたしまして、できるだけ早く解消いたしたいのでございますが、五十二年度末で、地域集団電話を含めまして三千六百八十万の需要を予測しております。そのために一般加入電話は七カ年間で千九百七十万というものをつける予定にして、それで積滞が解消ということになるわけでありますが、これを一挙に急激に増設をするということは、なかなか無理ではなかろうかということに考えまして、できるだけ漸減と申しますか、逐次積滞を減らしていく。その間において、また年度年度でできるだけ早く積滞を解消するようには努力いたしますけれども、一応千九百七十万という工程をやりまして、五十二年度末に積滞を一切解消するということを一応目標にいたしておるわけでございます。
  122. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体計画はわかりましたが、しかし、昨年の委員会の附帯決議が、四十七年までの間でさえこういう大きい狂いを生じてきておるのに、これから向こう七カ年間の計画の中で解消するということは非常にむずかしいような気がしますし、とりわけ今日のような流動きわまりない経済情勢のもとで、いま公社が計画しているような形ではたして積滞が解消されるのかどうか、私は非常に疑問に思います。とりわけこの電信電話拡充七カ年計画というものが先般説明をされたわけでございますけれども、四年間の経済の見通し、電話の架設でさえ思うようにいかないものが、七カ年も先に電話の架設を押しやって、積滞の解消を押しやって、しかもなおかつ公社は、いまデータ通信とかあるいは画像通信というようなものにいうところの先行投資を行なおうとしておるようでございますけれども、今日の時点でまだ国民が望んでおるものは、一般の大衆が望んでおるものは、データ通信や画像通信ではなくて、一日も早く電話をつけてもらう、それを一番国民が待ち望んでおる。そのことについてもう少し公社に努力をしていただいて、四十七年末とは申しませんが、せめて五十年ごろを目途にこの積滞の解消が、他の先行投資を積滞の解消に回してでも解決できないものかどうか、その点についてお答え願いたいと思います。
  123. 浦川親直

    ○浦川説明員 御指摘でございますが、もちろんこの七カ年計画におきまして最重点は、電話の架設でございます。それで、ただいま阿部委員がおっしゃられましたデータ通信その他につきましてでございますが、やはり情報化社会といわれまして、非常に社会的な要請も強うございます。これにこたえまして、やはり公社といたしましても、電気通信の大宗をになう公社でございますので、このデータ通信につきましてもある程度はやっていかざるを得ないだろう。しかし、最重点はもちろん電話の架設ということにいたしておるわけでございます。  それから、電話の予測でございますが、上実は三十三年ごろ、第二次五カ年計画というものをつくりました際に、その当時の情勢といたしまして、非常に先の話でございますが、四十七年度末大体千万程度の需要というものを見込んだわけでございます。そうしまして、まあその程度であれば大体積滞を解消できるのではあるまいかということを考えまして、申し込んだらすぐつく電話ということにいたしたわけでございますが、第四次計画のときでございましたか、やはり経済成長率が非常に急速に発展してまいったということで、需要が倍くらい、二千万程度と予測されまして、これではとても無理であろうということで、三世帯に一電話というようなことに変えさせていただいたわけでありますけれども、今回の七カ年間先を見通した予測というものも、阿部委員がおっしゃったように非常に困難なことではございますけれども、新経済社会発展計画に示されました実質経済成長率一〇・六%という線で予測いたしますと、まずだいじょうぶではないか。  と申しますのは、一方、千九百七十万の電話をつけますと、大体先ほど申し上げました三千六百八十万の加入数になりますが、普及率にいたしまして三三%、これは現在のアメリカ並みでございます。その時点におきますところの一人当たりのGNPというものを比較いたしましても、まだ日本はアメリカに及びません。相当下回っております。それにもかかわらず、普及率はアメリカ並みということにもなります。住宅用電話の世帯普及率にいたしましても七五%ということになりますので、私どもといたしましては、大体これでいけるのではないかというふうに現在時点においては考えておる次第でございます。
  124. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 特に私がお伺いしたのは、この七カ年計画の中における膨大なデータ通信や画像通信に要する資金を、まず電話の架設にもっと振り向けて、五十年ごろまでに何とかならないか、これが一点目です。  それから、ついでですからもう少し伺いますが、少し技術的になりますけれども、積滞の解消のために秘話式二共同電話の奨励、そういうものをおやりになったら、利用者としてはわりあい安い費用でうまくいくのではないか、積滞の解消ができるのではないかという気がしますが、公社当局として秘話式二共同電話の取りつけについてどういう考えを持っておられるのか、ちょっと知らせてもらいたいと思います。
  125. 浦川親直

    ○浦川説明員 まず最初の第一点でございますが、五十年度に積滞が解消できないかというお話でございますけれども、いまのところ私どもといたしまして、これについては一応五十二年度ということを目標にいたしておりまして、五十年度にできるかどうかということをここでまだ申し上げられないところでございますので、御了承願いたいと思います。  それから第二点の秘話式二共同電話でございます。これは先般の国会における衆参両院の附帯決議にもございますように、二共同電話の普及につとめるということでございますが、私どもとしてもちろんこの方向で進んでまいりたいと思いますが、やはり加入者の御希望によって二共同を無理に押しつけるというわけにもまいりません。したがいまして、そういう方向ではまいることにしておりますけれども、やはり加入者の方にも御理解いただいて、そして単独だけを希望なさらないようにというふうにもしたいと思います。ともかくただいま申し上げましたように、二共同電話というものにも重点を置いてまいりたい、かように存じます。
  126. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この秘話式二共同電話等について、まだ住宅の加入者の場合にそれがどういうようになるのかというようなことについて、あまり周知されていないように見受けられるのです。そんなに不便なものではない、住宅用の電話ではむしろこのほうが有利だ、そういう宣伝をすればもっとこの積滞の解消には役立つのじゃないかと思います。  それともう一つ、五十二年度を五十年度にしてくれと私が申し上げたのは、計画の変更をしなければ困難だろうと私は思います。したがって、七カ年計画の変更があるかないか、これはこれからの問題になろうと思いますし、料金改正等の問題ともからんでくるわけですが、公社の姿勢として、何よりも積滞の解消に重点を置いてもらいたい。そのことを特に要望して、次に移りたいと思います。  次に、料金体系の合理化について、これは七カ年計画と非常に密接な関係を持っておるようでございますけれども、広域時分制を採用したいという公社のお考えのようです。広域時分制を採用するにあたって、度数料は七円から十円に引き上げる、こういう計画になっておられるようですけれども、度数料を三円引き上げることによって年間大体どのくらいの増収が見込まれるか、これが第一点です。  それから二点目は、市内通話にも時分制を採用する、いわゆる三分制を採用するということになっておるようですが、三分ごとに十円という制度をとった場合に、これによる増収がどの程度見込まれるか。  それから三点目に、広域時分制をとれば、いまの公社の計画によると加入数がふえてきますから、したがって、単位料金区域の加入数がふえれば当然基本料が幾らかずつ上がってくると思われます。この基本料による年間の増収をどのくらいに見込まれておるのか。これはいろいろ会計上問題となるところと思いますけれども、設備料をいまの三万円から五万円に引き上げたいという公社の計画になっておるようでございますけれども、ここで二万円引き上げるとすれば、かりに四十六年度で二百四十万個の電話をつけると仮定すると四百八十億というような膨大な数字になるようですが、これらのものを合わせてどの程度年間の増収を見込んでおるのか、知らしてもらいたいと思います。
  127. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 ただいまの御質問に対しまして、一つ一つお答えをいたします。  四十四年度のベースで試算をいたしまして、七円を十円に引き上げることによって、増収分約六百億でございます。  それから三分の時分制をいわゆる市内に導入することによりまして、百六十億の増収でございます。  最後の基本料相当の増収分が約四十億、そこまで合わせまして大体八百億、これが四十四年度のベースではじいた概算でございます。  それから設備料でございます。設備料が五万円になりました場合二万円上がるわけでございますが、御承知のように共同電話の場合は一万円でございますから、簡単に二万円掛ける加入数というわけにはまいりません。来年度の予算ではたしか三百七十五億はじいてあったと思いますが、その程度の増収でございます。
  128. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 設備料のことでちょっとお伺いしておきたいのですけれども、私は、設備料というのは本来公社の投資として公社が負担し、そして使用料金によって償還していくといいますか、それが大体本筋ではないかと思うのですけれども、設備料をいま加入者に負担させておるだけでなく、さらにこれを値上げしたいというのは、どうも本末が転倒しているような気がするのですが、この点はどうでしょうか。  それからもう一つ、これに関連をしますが、いま債券を買うことになっておるようですけれども、これはたしか時限立法で、昭和四十七年か八年ごろには終わることになっておったと思うのですが、これはもう設備料を上げることによって、法律どおりに廃止をする、そういうことになるのかどうか、知らせてもらいたいと思います。
  129. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 設備料の性格につきましては、もうだいぶ前からそういういろいろな御見解も承っておりますけれども、私どもといたしましては、新しく電話に加入される方が、電話をつけられることによって得られる利益といいますか、そういうものを一部負担していただく、そういう性質の料金だというぐあいに考えております。  それからもう一つは、拡充法の関係は、これは七カ年計画の中ではっきりあれしておりますが、設備料の五万円引き上げとは別個に、私どもとしては計画の中では延長していただきたい、こういう希望を現在持っております。
  130. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 電話債券の場合、これは法律事項でたしか時限立法になっておるのですが、延長する場合は特に国会の承認を得る必要がないのですか、必要があるのですか。
  131. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 もちろん、国会の御承認が必要なわけでございますが、私が申し上げましたのは、七カ年計画の中でその延長をしていただくことを前提といたしまして新計画等が組まれておる、こういう意味であります。
  132. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこでお伺いしたいのですが、大体設備料の問題は、これはまだ議論の余地が残ると思いますけれども、それをのけても、年間に約八百億の増収が広域時分制によって見込まれる、そういう形になろうと思います。ところで、御承知のように先般総理大臣は電話料の値上げについて賛成をしないというふうな意見があったやに聞いております。これは消費者代表が総理のところにお伺いしたときに、郵便の一種、二種、電話料の引き上げはやらない、こういうことも話されたようでございます。そこで、この八百億の増収について、公社としては新しい施設に使いたい、特に市外電話料の引き下げを中心にこの八百億を使う、したがって、八百億の増収があっても、市外電話料を引き下げることによって、俗に言う差し引きとんとんだ、こういうお説のようですけれども、もしそうであるとするならば、いま電話料の引き上げ等について、一般の大衆から、七円が十円になることに非常に大きい抵抗が示されておる。また、国策としても、この市内の通話料を引き上げるべきでないという意見がある。そういう時期に、公社が好んでこの市内の度数料を引き上げて、そして市外の通話料を引き下げなければならないという理由がどこにあるのか。なろうことならば、この国民の期待にこたえて、政府の方針に従って現行のままで広域時分制を採用しても、市外通話料の引き下げを行なわない限りにおいては、公社当局にとって特段の収支上の影響はないはずですが、その点はどうお考えでしょうか。
  133. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お説のとおり、広域時分制の採用によって約八百億の増収は計算上出てまいりますが、先生はもう十分御案内のように、その額はあげて全額値下げのほうに向けるという決意で、今日の熾烈なる公共料金をはじめ、物価問題に対する政府なり国民の悩みに対しては非常に協調をして、大いに協力する姿勢で、財源的にはこれを計算上増収としては考えていない、こういうことを申しておるわけでございます。  しかし、上がるという方面だけではどうしても皆さま方に御迷惑かける分野でございますけれども、私どもいろいろ世論の反響とか感触を伺いましたところでは、場所場所によりましてはずいぶん賛成というところもあるわけです。これは全体的な国家レベルにおいて、千五百万の加入者レベルにおいて、この公共料金を上げない、物価には反映させない——まあ専門家の物価指数への反映のしかたは万分の二だけの計算が出るそうでございます。ただ、場所場所によっては市内電話の利用度の非常に多い方もいらっしゃれば、また市外なり近距離の近効の電話の利用者も非常に多うございますから、これは全体的な話であって、まず私ども料金の合理化に対する根本的な気持ちなり姿勢に同情ある理解を持っていただきたい。私どもはなかなかPRも行き届かない点もございますけれども、この点が一番大事なことだと思って、あげて値上げにはならない、全体的としてはそういう姿勢を持ってないのだ、こういう気持ちを持っておる次第であります。
  134. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私が考えるのには、広域制については私は賛成が多いと思うのです。しかし、市内料を引き上げて市外料を引き下げるという点については、これはむしろ市内の度数料の引き上げに反対する声のほうが多い。なぜならば、常識で考えても遠距離電話を使う人というのは大体きまっておるし、その数もまたきまっておるはずなんです。ほとんどの方々は、広域制が採用されれば非常に助かる上にしかも料金は上がらなくて済む。そこで先ほど来申し上げておりますように、広域制を採用しても市外料金を引き下げなければ、これはやれるという計算になるような気がするのです。広域制は採用するが市外料金は引き下げない。それによって国民の抵抗のある引き上げという感じ、精神的な値上げに対する抵抗、これをなくするためにも、ことさらにいまこの時期に市外料金を引き下げるために度数料を引き上げる必要はないのじゃないか、そういう気がするのですが、その点はどうなりましょうか。
  135. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先ほどの御質問に、少し後半の分野を答え忘れたような形になりまして、再度御質問をいただいて恐縮でございますが、問題は、それならばなぜ私どもがこうした中においてあえて電話料金の合理化をなさなければならぬのか、ここに問題があるわけでございます。料金の増収をはからないにもかかわらず、先生のおっしゃるとおりそうした不満なり反感というものの中に立ってまでなぜやらなくちゃならぬかという点は、やはり今日の電話料金の不合理性というものを申し上げ、その不合理性をできるだけ早く是正していかなければならぬという気持ちを持っておるわけでございます。今日、長い間の伝統の中で料金制度は利用者の方々に通用しておりますけれども、この実態をわれわれも静かに見ますると、非常に不公平がございます。  これは第一番に、いわゆる市内料金というものの公平性を一ぺん観察いたしますと、一番手っとり早く東京の市内料金というものは、御案内のように直径三十キロくらいの区域に対しまして無制限に七円という制度になっております。ところが、こうした加入区域の制度でいなかに参りますと、平均二キロなり二・五キロくらいの半径の加入区域でございまして、それがまた不規則にいろいろありますけれども、いうならば東京の百分の一くらいの加入区域の中で同じサービスを同じ料金の制度のもとに制度上お願いしているという点は、今日の地域社会の広域化なり近接化ということに伴いまして、何とかもう少し加入区域をふやしてくれないか、広げてくれないかという陳情は日常茶飯事になっております。本来ならばこれを大きく広げたいわけでございますが、今日まで不合理のままにやって、だんだんはふやしておりますけれども、非常な不合理がある。  第二番目には、今度は区域内のいわゆる市内電話というものは無制限に七円でございますけれども、一歩加入区域から出ますと明快な時分制をとっております。準市内料金あるいは近効即時市外料金、遠距離市外と、各段階を追っていろいろと距離別時間差法をとって区切っておりますけれども、非常にシビアな時分制をとっております。したがって、この境界線は非常に格差がございます。市内と市外の非常なアンバランスがある。これがますます不合理性をかもすような社会発展の状況を来たしておるといいますか、大都市の広域化なりベルト地帯の開発あるいは総合行政区域、こういうような現象から、地域社会の方々にはますます不合理に見えるようなお気持ちが出てくるのは無理のないことでございます。これにまた対処してまいりますと、ますます不合理が出てくる。この際、今後のあらゆる将来性を考えても、すべて距離と時間に割り切っていったほうがいいのじゃないか、こういうことで、いままでの行政区域とかそういうものを超越いたしまして、距離と時間で割り切れるように、最も合理的なものにしていきたい。加入区域で申しますと、今日約五千のこうした不合理な区域がございますが、これを十分の一の五百ぐらいのゾーンに分けて、まず何とか合理的なものに持っていきたい、こういう気持ちでございます。
  136. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 こういう計算をしたらどうなりますか。広域制についてはだれも反対をしていないわけなんです。ただ料金が上がることについて反対が出るわけです。したがって、市外料金現行のまま据え置くと仮定をして広域制をとった場合には、どのくらいの減収になるのですか。そこをちょっと知らせてくれませんか。いまの公社の計画でけっこうです。
  137. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いまの阿部委員の御質問、なかなかむずかしいのでございますけれども、市内というものと市外というものの二種類に分けます場合の市外をとりますと、広域にいたします中にすでに市外の部分が入っておるわけでございます。その部分をいままでどおり、たとえばいま申しました広いゾーンの中で八十秒七円という形にいたしますことは、私は無理だと思うのでございます。それはまた広域ということばにも反します。したがって、その計算は、いろいろなタイプがございますので、いまここで一がいにはお答えできないのでございます。もちろん技術的にできないというわけではございませんけれども、全体になだらかにしていくためには、やはり三分のところから一歩飛び出て八十秒七円という現行のままでは無理ではないか。そこで三分で十円ということにそこを引き延ばしますわけですから、その部分は、いわゆる市外通話というものもその中に入っております。一番遠いところの問題はまた別でございますが、いろいろなタイプがございますので、どういう形の試算をさせていただくかによってちょっと違うと思うのでございます。もし御指示があれば、それによって試算をさせていただきたいと思います。
  138. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは確かにむずかしい問題だろうと思いますが、もしいまの度数制を七円のままにして、公社が計画をしておる広域制をとった場合の計算が、概算でいいのですが、できればこの次までにひとつ試算をしておいてもらいたいと思います。  次の質問に移らせてもらいますが、新聞報道によると、いま公社のほうでは通信回線を開放するという構想があるようでございますけれども、この通信回線の開放をどういうふうな形でやろうとしておられるのか、ひとつこれを知らせてもらいたいと思うのです。
  139. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 郵政省のほうからお答えさせていただきますが、現在公衆電気通信法の改正を政府として準備の段階でございますが、これに盛り込みますいわゆる通信線の開放は二通りございまして、一つは、現在公社の専用線としておりますデータ通信、これで使える範囲を相当広くするための公衆法の改正でございます。  もう一つは、これは最近そういうことに考えを進めたわけでございますが、一般の公衆電話あるいはテレックスでもいいわけでございますが、この電電公社が公衆通信に利用しております通信網自体に端末機あるいはコンピューターをつなぎまして、任意の相手との間に、ダイヤルをしてデータ通信等を行なえるようにした、この二つのものを骨子といたしまして、公衆電気通信法の改正案をいま作業を進めているところでございます。
  140. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは専門的になるので、私はあまり詳しくわからないのですけれども、公社の説明によると、広域時分制はともかくとして、いわゆる三分制が実施をされないと、どうもこの通信回線の開放は非常に困難だということを聞いておるのですが、この点は一体どういう関係になるのですか。ちょっと知らしてもらえませんか。
  141. 浦川親直

    ○浦川説明員 三分時分制の問題でございますが、これの第一の出発点は、先ほどからるる副総裁も説明しておりますような電話料金体系の合理化ということがまず一番大きな重点でございます。加入電話網をデータ通信等に利用するためには、一方、現在の市内通話が無限大で七円でございますと、機械対機械の通信になりますので、非常に不合理ではないかということで、やはりこれも三分時分制にしたほうがデータ通信等に使うにも非常に合理的である、こういう二つの理由でございますけれども、第一番目の通話料金の合理化ということが最も大きな理由、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  142. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、公社のほうとしては、かりに三分時分制がとられなかった場合でも通信回線の開放はやれる、こういうふうに考えられるのですか。三分時分制がとられない場合には回線の開放も困難だというふうに考えておられるのですか。ここのところを聞いておきたいのです。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 結論だけお答えいたしますと、時分制が実施されませんと、公衆回線の開放ということはできないと思っております。
  144. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 同じことを郵政省の電波監理のほうにお伺いしたいのですが、公社のほうでは三分時分制がとれない限り回線の開放は困難だと言っておるし、郵政省は何か回線の開放をやるのだということを打ち出しておるようです。少し食い違いがあるようですが、どうですか。
  145. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 回線の開放ということが一般に少し誤解されている点もあるかと存じますが、さっき私が申し上げましたように二つございまして、一つは、専用線的なものを利用しやすくする、もう一つは、公衆電気通信網そのものをデータ通信のために使う、この二つがあるわけでございます。この前者のほうは、時分制とは何ら関係はないわけでございます。この部分は、法律さえ実施できれば、公社のほうでも受け入れる準備が進んでおりますので、これはわりあい早くできるということになると思います。  問題は、広域時分制に関係いたします公衆電気通信網の利用のほうでございます。これは非常に純粋に技術的にいえば、それだけを切り離してやるという方法もないわけじゃないかと思います。しかし、この公衆網を使う使い方として一番多いのは、非常に簡便な使用のしかたでございますので、一般の電話機を切りかえて使うとか、あるいは公衆電話から使うとか、電話機にカップリングしましてどこへでも持ち運んで使う。心電図を電送するとか、セールスマンが販売先へ行ってデータ通信をするというようなやり方が非常に多いわけでございますので、そうなりますと、公社がデータ通信を開放した区域の電話機につきましては、全部時分制のメーターをつけ直さなきゃいかぬという問題があるわけでございます。  その辺の関係上、どうしても、いま公社から御指摘がありましたように、一緒にやったのが一番円滑にいくし、またそれが一番スムーズに効率的なやり方だろうということになるかと存じます。その点はいわゆるポリシーの問題としてそのほうがずっとベターだろう、私どもはそういうふうに考えておるわけでございます。
  146. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、専用回線については、極端にいえばすぐにでもやれる。しかし、公衆電気通信網の開放のほうは三分時分制が一応の前提とならなければ非常にやりにくいのだ、そういうような答弁のように聞こえますが、そうすると、かりにいま公社のほうでお考えになっている広域時分制が採用されないと、特に料金問題がからんで、政府の方針もあってこれができないときには、公衆電気通信網の開放はかなり先に伸びる、これができるまでは無理だ、こういうふうに考えて間違いないですか。
  147. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまお伺いしたように、これを一緒にやらなければ実施上はたいへん問題がある、むずかしいということで、できるだけタイミングを合わせてやりたいというふうに、これは公社とも相談の上、私どもでもそういうふうな考え方をしておるわけでございます。
  148. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ここの通信回線の開放でもう一つお伺いしたいのですが、特に公共性の強い医療の関係であるとか、天気予報とか、そういういわゆる公共性の強いものについては、直覚というと問題があるのだが、公社が直接おやりになるような考えがあるのかどうか。その点をちょっと聞かしてくれませんか。
  149. 秋草篤二

    ○秋草説明員 先生の御質問の趣旨をあるいは取り違えているかと思いますが、間違ったらまた重ねてお答えいたしますが、たぶん、データ通信業務範囲といいますか、公社側の取り組むべき範囲という意味でお尋ねと存じます。  今日私ども事業の本質からいいまして、公益性の強いとかあるいは社会性の強いというような需要に対しては、優先的に早く取り組むということは、過去におきます一般の電話につきましても、諸般の規定も、またそういう慣習にもなっております。データ通信の領域につきましては、現在までのわれわれの仕事の範囲では、その点はまだ明快にはなっておりません。今度の法案の中身は、監理官から、いろいろ提案のときに、性格とか御質問の趣旨のような分野について、またいろいろと御審議があると思いますが、ただいままだ提案までになっておりませんけれども考え方としますと、将来の展望を考えますと、そういう方面には配慮をしながら、同じデータ通信でも設備計画等とも取り組んでいかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
  150. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一度お伺いしますが、いわゆるデータ通信業務とでもいいますか、そういうようなもので公共性の強いものについては、公社のほうでやらなければならないかもしれない、そういうふうなお考えですか。どうも少しはっきりしないようですが、公共性、公益性の強いものについては、単なる回線の開放でなくて、データ通信業務そのものを公社が直接扱うといいましょうか、そういう形になるのか、すべて民間で扱うことになるのか、そのことをちょっとお伺いしたがったのです。
  151. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 郵政省からお答え申し上げますが、ただいままだ法案の政府部内での作成過程でございまして、まだ非常にはっきりした線でお答え申し上げる段階にまで至っておりませんのですが、考え方といたしまして、電信電話公社が単に回線だけを貸すのではない、現在そういう形でデータ通信システムがたくさんできておるわけでございますが、そういう場合はもちろん例としてはこれから非常にふえていくかと思います。したがいまして、公社はそういうふうな線の貸し方については、十分条件が合って需要にマッチするような潤沢な回線網を用意するということを考えているわけでございますが、それとあわせまして、電信電話公社のほうでコンピューターと端末と回線とを一体としましたシステムとしてこれをユーザーに使っていただく、そういうものにつきまして、特に公共性の高いものについては優先的にこれを提供できるような体制をつくりたいというのが趣旨でございます。  もちろん、公社のほうも資金的にあるいはその技術陣容でなかなか制約がございますので、これからの日本の置かれた立場で最も効率的にデータ通信が今後情報化社会に役立つような方向で、たとえば政府の大事な仕事に使うものとかあるいは全国的なシステムになるようなそういう公共的なものであるとかいうようなものから——もちろんこれはユーザーがあってのことでございますが、そういうものが公社が効率的に資金が使えていくというような方向で公社が対処すべきものではないかという考え方は別にいたしまして、いま法案を準備しておるわけでございます。
  152. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへんありがとうございました。  これで質問を終わらしてもらいたいのでありますが、最後にもう一度繰り返して郵政当局並びに公社にお願いをしたいのは、第一点は、申し込めばすぐつく電話、国民の期待をする電話を七カ年計画の中で重点的にやっていただいて、できるならば計画を変更してでも、五十年ころまでにはそういう体制がとれるような御努力をお願いしたい。これが第一点目です。  それから二点目は、料金の合理化と申しますか、料金体系の改正の問題ですけれども、これはいま度数制が七円から十円に上がる、三分時分制をとるというような点については国民の中からかなり強い抵抗がある。あわせて国の物価対策上にもいろいろ問題のあるところですから、あまりこれを無視して押し通すことがいいのかどうか、私は非常に問題になるところと思いますので、この点はひとつ慎重に御検討を願いたいと思います。  それから、通信回線の開放の問題については、特に専用線は問題がないとしても、その他の線についての開放の問題は、これは一ぺんやってしまうとなかなか取り返しのつかぬ問題だとも考えられますし、一ぺん開放したものを、またこれはぐあいが悪い、都合が悪いからもう一ぺんもとに戻して郵政省の統制の中に入れる、こういう性質のものでもなかろうと思いますので、この点についてもひとつ慎重を期していただくように要望をいたしまして、質問を終わらしてもらいたいと思います。
  153. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  154. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、二つの問題を聞きたいと思うのです。  一つの問題は、先ほどから問題になっておる電話料金の問題と、機材購入に関する問題をお聞きしたいわけです。これが第一の聞きたいことです。  第二番目は、電信事業百年、電話事業八十年——ことしはちょうど百年に当たっておりますので、米澤総裁があらゆるところで業界の発展のためいろいろな演説をしておられます。まことにたいへんな御高説を述べられておりますが、そういう問題について一、二の疑点がありますので、その問題についてきょうは聞きたいと思います。  第一の問題ですが、先ほどから問題になっております広域時分制の問題ですが、電電公社の資料によりますと、どの資料も共通して、大体電話は百十一秒くらい話しておる。つまり三分以内で電話を話しておるのが大体八〇%だというふうにいわれておるわけです。二〇%は長電話を話しておるのだ。全国平均して大体三分足らずの電話が八〇%であるというのにかかわらず、どうして三分という時限を限ってやらなければならないのか。あるいは広域時分制の加入しておる——東京は大体四十万台ほどありますが、全国で大体どの程度の電話台数が広域時分制によって十円の範囲になるのか、こういう点を聞きたいと思う。これが第一点です。  第二点は、市内電話の場合の一通話の料金の基準になっておるのは、どういう要素が基準になっておるのか。すなわち、設備消耗その他人件費を加える問題と、距離の問題、これは市内電話では問題ございませんが、あとの問題で問題になりますが、どういう関係で市内の電話の料金の基礎を構成させておるのか、どういう要素で基礎ができておるのか、こういう点をちょっと聞きたいわけです。まず最初、その点だけひとつ答えていただきたい。
  155. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 まず第一点の通話時間の問題でございますが、いまお話がございましたように、平均いたしまして、一通話の平均秒数は百十一秒というのが統計的な数字でございます。それから、大体通話の八〇%が三分以内に終わっておるということもそのとおりでございます。したがいまして、土橋委員のおっしゃっている意味が少しわかりかねるのであるいは間違っておるかもわかりませんが、そういう観点から大体三分というものを基準にいたしておりますが、なぜ三分というのをとったかということになりますと、いま言ったような統計的な数値からいって大体三分というのがいろいろな標準的な妥当な時分ではないかというのが一点と、それから御存じのようにいろいろな電話の関係、世界的にも三分というのが一つの単位になっているケースが多うございます。あるいは普通の黒電話でなくて、公衆電話でも現在三分打ち切り制ということをやっておりますが、そういう関係もありまして三分というのを一つの単位にとらしていただいておるわけでございます。  それからその次の質問の、全国の電話の一体どのくらいが十円の範囲か、こういう御質問だったかと思いますが、これは御質問の意味がちょっとわかりかねますが、現在約二千万台近い電話が日本じゆうにございますが、ある意味で申しますと、全部が十円の範囲でございます。と申しますのは、それぞれのゾーンの中で二千万台の電話はいずれもどっかのゾーンに属しておるわけでございますが、そのゾーンの中にある限りにおいては、そのすべての電話が十円の範囲でかけられるわけでございますから、そういう意味で申しますと、全部ということになろうかと思います。  それから市外通話、市内通話のあれでございますが、これは御存じのように、現在では七円、今度の案でまいりますと十円というものを単位料金といたしまして、市外通話については距離と時間によってきめられておる。それが従来の市内通話の部分だけは、つまり加入区域内の通話の分だけは時間という観念がなかったのでございますが、今度は市内通話を含めまして時間の観念で、つまり時間が長くなればなるだけ単位が上がっていく、あるいは距離が長くなればなるだけ単位が上がっていく、こういう形で全体の構成を統一的につくっておるわけでございます。
  156. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、電話は、飛行機に乗ったり、あるいは電車に乗ったり、船に乗るのと同じように、その時間とその距離を料金の計算の基礎にしているのかどうか。その距離が長くなれば、どういういわゆる設備上の経費がかかるのか。電波というのは、光と同じように、それこそ非常に早いものであるわけだ。距離の関係はどういう形で電話料金の基礎になるのか、その点がよくわからないわけです。その点を教えていただけばいいわけなんです。どういう点で距離が長くなれば——回線その他の都合でどうしても費用がかかるというならばやむを得ないけれども。要するに、もし通しの線で青森まで専用回線があったとする。ここから同じように海岸線へ回線を持っておった。その場合には時間的にも何も関係ないわけです。つまり、やっている時間というのは関係ないのに、なぜ距離が遠くなれば、飛行機やあるいは汽車と同じように料金を加算するかということが、私にはどうしてもわからないのです。
  157. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 私も技術屋でございませんので、土橋委員の御疑問はよくわかるような気がいたします。いまの時間と距離のうち、時間の点はおわかりいただけると思うのでございます。と申しますのは、電話をしております時間の間に機械が動いておるわけでございますから、これはおわかりいただけると思うのですが、距離の点については確かにそういう御疑念がおありだと思うのであります。ですけれども、現在電話に使っております電波と申しますものは、決して私ども家庭へ行っているラジオのように、ここで発信をしますとそのまますっと向こうへ行くものじゃございませんで、やはりマイクロウェーブとか同軸とかいうもの、同軸の場合は一つの固体をずっと延長してまいります。マイクロの場合でも、御存じのようにある一定のキロ数をおきまして非常に高い山の上に中継所をつくり、非常に高価な器械、中継設備をそこに設けます。それからまた、そういう高いところに置いておりますものですから、これに対する保守費も、人件費を含めましてかかるわけでございます。もちろん昔のように、一本一本ずっと電線で引っぱっていく時代に比べますと、その点は確かに距離によってふえる部分は昔ほどはふえない、合理化されておるのでございます。しますけれども、私ども家庭へ行っているラジオのように、アメリカであれしたものが何も間がなくてすっと来る、どんなに距離が遠くなってもすっと来るというものではございません。この点は中継所等をごらんいただきますと、こういう施設があるのか、しかもそれが非常に高い山の上に置かないといけないとか、あるいはそういうところに保守をする人間が下から行く、その人間の労力と申しますか、お金に換算いたしますと、そういう保守費というものがかかるということは御理解いただけると思います。そういう意味で、市外通話にいたしましても距離という観念を全く無視することはできない。したがって距離の観念がどうしても料金の中に入ってくる。こういうことになろうかと思うのでございます。
  158. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は議論しようとは思いませんが、電話に加入した人は、架設料を三万なり、これから五万なり払おうとしておるわけだ。しかも電話債券を十二万なり十三万なりあるいは十五万買っておるわけですよ。私がいま青森へかける、私がいまここから仙台へかけるというのにあたって、そういう設備のもとに回線が敷かれ、あるいは電波を受けるような仕組みになっておるのであって、かける私は、地元地元で当然そういう負担をされて、それがずっとまとまって一つの同軸ケーブルになったりあるいは電話の電波を受ける仕組みになっておるわけだ。だのに、私がかけるのに何でもう——そういう人たちはそういう金を払って電話設備をちゃんとつくっておるわけだ。したがって、国民の一人である私は、電話をかけるのに仙台までかけて——仙台にかけるのは、たとえば海岸線通りで東海村等を通って非常にめんどうだ、中の線で東北本線でいけばまっすぐだということを考えてみると、何ら理由がないわけだ。仙台までの料金と青森までかける料金で差が出てくるという理由が何もないわけだ。もしこれが飛行機に乗った、船に乗った、汽車に乗ったというなら、なるほどガソリンを使っておるし、人も現に動いてやっておるし、サービスもしておる。もっともだなということは私にはわかるわけだ。しかし、少なくともその地域地域でちゃんと電話架設の金を払っているし、そしてまた債券も買って協力しておるというのに、仙台までかけてちょっと安い、青森までかけて何で私がそんなに高い料金を取られなければならぬのか、もう一回説明してください。
  159. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 よくわかりますので、どういうぐあいに御説明すればいいのかと思っているのでございますが、いまの設備料は、これは新しく電話をおつけになりますときに、昔の電話でございますと、たとえばいまから十年前ですと、新しく電話をおつけになりましても、その電話をつけることによってこれから自分の電話でかけられる可能性のある電話の範囲というものは、たとえば国内で申しますと約五百万人くらいだった時代がございます。いまではそれが千五百万人くらいの方にかけられるという意味の設備料でございますね。  それで、今度通話料になりますと、これは従量制ということでございまして、実際におかけになったときに、おかけになっていただいたその通話に見合う料金をいただいているわけです。それで、いま土橋委員がおっしゃいましたように、飛行機ですとか汽車でございますと、その具体的なサービス中身が、遠くへ行くときと近いときとで違うということが目に見える、あるいははだに感じられるわけでございますが、通話の場合には、何と申しましても相手が見えないものでございますから、その間にいま申し上げましたような山の中継所があったり、あるいはそこで人が保守をしたりしている姿が、現実に目に見えたりはだではちょっと感得できないものですから、おわかりいただけないのじゃないかと思いますが、現地へ行っていただきますと、これはもうすぐ理解していただけることだと私は思うのでございます。その辺の違いをやっぱり御理解いただきませんと、こういう目に見えないサービスを提供いたしております私どもといたしましては、何かごまかしているような気持ちがあるかと思いますが、いまのマイクロの中継所を冬保守している人間の姿なんというものをごらんになりますと、人さまのことを申し上げてはあれでございますが、国鉄とか飛行機の中のようなきれいなお嬢さんのやっているサービスとは比較にならないくらいの苦労をやっているわけでございまして、その辺のところはひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
  160. 土橋一吉

    ○土橋委員 では、この問題はまたあとでよく教えていただくことにいたしましょう。私もあなたの説明で、まだよく納得できないわけなんだ。  ここで、私はちょっと総裁がおられたら——ほかの方でもいいですが、米澤総裁がことしの八月二十九日、箱根宮の下の富士屋ホテル会議室において、電電のトップマネージメントゼミナールであいさつをされているわけですね。このあいさつをされている中で、こういうことを言っておられるのです。私にはどうしてもこれが理解できないわけです。いろいろありますが、「元々せいぜい二、三千円しか月に入らない。電電公社としては月約五千円の収入がなければ事業としてはペイしないのだから、住宅電話の方は電電公社としては赤字を我慢してやっているわけなんで、従って国鉄が新幹線で儲けてそれを地方の赤字線にバラ蒔いているのとは大分違う。元々赤字なのを少し支出を増していただくという事になるのだといったのであります。」こういう演説をしておるわけですね。  電電公社というのは、一体だれのものか。米澤総裁や現在の電電公社の幹部諸君の理事たちのか、それとも国民全体の電話であるのか、この点がこういう説明をされると非常にあいまいになってくるわけだ。私たちは、電話事業は、回線であれあるいは電話の機械であれ、電電公社のそういう諸設備であれ、要するに電話加入者をひっくるめた国民全体のものだというふうに考えているわけだ。そうすると、電電公社の総裁はこういうことを言って、家庭電話ではたかだか二千円くらいしか金が入らぬから迷惑をしていると言わんばかりのことをここに書いてあるが、はたして電電公社の総裁はそういうことを言っていいものかどうか。もし従業員にそういう教育をトップマネージメントでやっておるとすればゆゆしき問題であるが、副総裁はどう考えておるのか、現物があるから読んでみて答弁してもらいたい。
  161. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいまの土橋先生の新聞記事の内容ですが、まずもってお答えしておきたいことは、たぶんそれは公社の主催のセミナーじゃなくて、どこかの団体のセミナーに講師として米澤総裁が招かれたときの講演だと存じます。  それから、その新聞の内容をつぶさにまだ拝見もしておりませんし、そのときのニュアンスというものもじかに聞いてなければわかりませんが、私どもの管理者、総裁を含めて管理者が、いまの電電公社の仕事は、一般家庭電話、住宅電話というようなのは事業的に迷惑なんだというようなことを考える者は一人もないと思います。で、ものはいろいろそういうふうに大きくとりますと、非常に私は遺憾だと思います。  おそらく総裁がそんなことをおっしゃるはずはないので、私がこれを側近として、いろいろな会議とか何かをしょっちゅうやっておりますし、また、国会等においてもいろいろの質疑に答えておりますが、これを正常な一つ総裁考え方と考えれば、今日私どもの電電公社はやはり一つの企業でございますので、いろいろお客さまの分析とか収入の単金とかを調べます。これを大ざっぱにいって、今日の電電公社をささえておるのは、やはり企業用の電話が電電公社の財政をささえております。それからまた、私ども事業一般の大衆あるいは農村漁村、こうした完全にベイラインに乗らない完全な赤字、こういう事業もやるのが使命であります。あえてそういうことは受けて立つというのが公共事業体の使命でございます。ですから、いつも問題になりますような電信事業が七倍なり来年度は八倍の赤字を出しておっても、一つの使命として考えてやってきておったのでございますが、あまりにもこの中身なりその利用者の内容とか、あるいは利用目的とかが偏向いたしておりますので、国会に訴えて、少し料金を変えていただかないと、本来の公共企業体の使命からいっても、少しはわれわれ自身も反省しなければいけないんじゃないかという趣旨に立っておるのでありまして、事業の本来の使命として、赤字のものはあまり歓迎しないんだというようなことは毛頭考えているものではございません。
  162. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは十月二十六日の通信興業新聞というので、いわば一種の業界新聞ですわね。これは三段目のところでこういうことを言っていますから、あなたのほうでお調べになって——こういうものは私どもの目から見ると、全く了解に苦しむようなことが出ておるわけです。まことに遺憾だと思うのです。いまあなたが答弁されたような趣旨でおられると思いますが、引き続いて、ここでまたこういうことを言っておられるわけであります。見ますと、いままでは競争入札をやっておったけれども、いろいろな関係で随意契約のほうがいいんだ、随意契約をやったほうが製造会社でベースアップが云々というようなことをいろいろ説明しておるのですが、資材関係とかそういう重要な機材は、御承知のようにこの新聞によりましても、四十四年度に電気器具、通信機の生産実績というのが、大体三千九百二十一億円の需要があったわけですね。その中で、官公庁が六一%の需要をしておるわけだ。その六一%の中で、特に電電公社が五二・四%占めておるほど電電の通信機械を購入しておるわけですね。そういう関係に立っておるので、ここで言うような、そういう安易な随意契約がよろしいというようなことを言うということになってくると、これは非常に大きな問題じゃないかというふうに私は思うのですが、これはどういうわけですか。
  163. 秋草篤二

    ○秋草説明員 これも土橋先生に、逓信省以来今日までの私どもの資材行政と申しますか、資材業務、ことに契約のしかた等につきましていろいろ申し上げれば、十分御納得がいくと思います。ただ、この機会に、詳細に説明する時間はございませんけれども、随意契約は問題じゃないか、もっと競争に付すべきじゃないかということは、国鉄、電電、こうした大量の資材を扱っておりますところに対して、決算委員会とかあるいは逓信委員会とか、そういうところでよく質問があったことは、まず毎年ないことはないくらいに経験しております。しかし、るるその事情を説明申し上げますと、非常にわかっていただいてくる問題でございます。  端的に申しますと、私どもの電気通信資材というものは、一般の民需のものと違いまして、マーケットは私どもだけといってもいいくらい特殊なものでございます。したがいまして、世界どこの国でも独占で、あるいは半独占くらいに大きな事業をやっておるウェスタン・エレクトリックのようなところでも、資材を供給するメーカーというものは、単独であればあるほどコストダウンができる。しかし、これは一般の社会の方々には、苛烈なる競争に付して値段を下げさせて、倒れるものは倒れさせるというような行政をして、安いものでいいものを買うという常識から考えると、なかなか納得できないのですけれども、私どもの非常に計画的なマーケットが独立した事業にむだな競争をさせて、そして来年はまた参加できないといってみましても、どこへそのはけ口を持っていけるか。これは自動車とか家庭電機とはだいぶ違うわけであります。そういう点で、やはり随意契約の範囲が——率直に申しまして、私どもは九五%くらいは随意契約でございます。これは反面、私どもが安易にやりますと、結局私どものマーケットが一つでございますから、永久に必ず買ってくれるのだという温室の花になるわけです。これの自粛自戒は必要でございます。一面メーカーのほうも、大きな公共性と社会性の上に立った事業であるという理解は持っていただかないと、非常にまた高いものにつきます。この反省を重ねながらやれば、私は今日のような随意契約のほうが安くて、究極には加入者の料金の負担を増さないようになる原因になるという確信を持っております。
  164. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま重大な発言をされておりますので、これは逓信委員の皆さんはよく聞いていただきたいし、私は委員長にもよく聞いていただきたいと思います。  いまの副総裁の説明は、この中にも書いてあるわけです。逓信委員会でも決算委員会でも常にこの問題が論議された、ここ一両年間は論議されなくなった、そして、随意契約の効果が逐次あらわれてきたということを米澤総裁はおっしゃっているわけですね。ところが、独占的な企業である電電公社が特定の会社と随意に、競争入札をしないでそういう機械類、器材類を入れるということになってくると、私は非常に弊害があるのじゃないかというふうに思っておるわけです。ですから、あとで弊害がないということがはっきりしておったら、その内容を説明していただきたい。説明していただかなければ、私のほうで資料をあげて次の機会に追及したいわけです。だから、どなたかよくわかる方が私のところに来て説明していただきたい。でなければ、この裏を見ていただくとわかってもらえるように、盛んに業界に、いわゆる佐藤政府の高度経済成長政策に伴う電電公社のいろいろなイメージを述べるわけです。そうすると電気メーカーとしては、その電電公社をあてにして、こんなものも買ってくれるのではないか、あんなものも売り込んだら買ってくれるのではなかろうかといって、高度経済成長政策に拍車をかける結果になっているわけですね。これはおわかりでしょう。そうなってまいりますと、私は、米澤総裁がたとえばここで述べられておりますね、これは十月の二十七日から三十日まで四日間にわたって千代田区大手町の経団連会館で演説をしておられるわけです。ベル電話研究所のジャック・モートン副社長の次に総裁が演説をしておられる。この内容をずっと拝見しておりますと、この中にもやはり佐藤政府が目ざしておるところの高度経済成長政策、つまり電気メーカーはすべて電電公社の仕事をすればたいへん大きな発展をするぞ、そういうことは言っていませんが、話の内容を聞いておると、いま申し上げるように、こういう機械をつくって売り込んだらもうかるのじゃないか、ああいう機械をつくったらもうかるのじゃないか、そういう余地があるように思うわけですよ。  現在国民は高物価、重税政策で非常に苦しんでおるわけです。特に皆さんも、知っておるように、いま電話料金を上げるとか郵便料金を上げるとかいうことになってくると、国民生活はまさにピンチに瀕しているわけだ。こういうときに、高邁な、第三次通信革命であるなどと言われて盛んにいろいろなものを振り回されていくというと、現実の労働者の待遇、あるいは現在の物価高、あるいは国民大衆が非常に苦しんでおるこの世情の中において、こういうことをやたら至るところにおいて発表されて——その内容自身はきわめて技術的であって、しかも高度の内容を示しておられるわけで、傾聴に値をするものであるわけだ。しかし、実際問題として業者をどう刺激しているのか。佐藤自民党政府がいう高度経済成長政策の一翼をになってこういう演説をして歩くということはやはり——これが一技術者として、発明家として、文化的な人間として発言されることについては、私は異存がないわけだ。まことにけっこうな発言だ。しかし、電電公社の総裁として何十万かの労働者をかかえ、そして試験場を持ち、業界を片方に控えて、しかも随意契約をするというような内容の中においてこんなことを発言していくならば、その影響するところはどういうところに影響するだろうかということを私は考えざるを得ないのですよ。  現実の政治を抜きにして、現実の物価高の問題を抜きにして、佐藤政府の高度経済政策を抜きにして、こんなことをやたらに言われるというと、私は米澤総裁は、意識的に佐藤政府の高度経済成長政策をこういう演説の場をかりて、側面的に業者を通じてどんどん宣伝して歩いていると言わざるを得ないのであります。いま少し自重して、これが純学術上の問題、全技術的な問題として御発言になればけっこうであるけれども、電電公社の総裁として、いま申し上げるような経済条件、労働者の待遇の問題、現在の物価高の問題、公共料金引き上げがどんなに国民大衆を苦しめておるか、こういう中でこんなことを言われるということは、すぐ裏には、業者がこれをえさにしましていろいろなことを書いておるわけですね。こういうことの反応を一体電電公社総裁は見ておるのかどうか。  ただ自分が高邁な電気通信業務に関するうんちくを傾けることによって、一そう物価高を招来したり、業界のそれぞれの需要を強化するということについては、現在時点においては私は非常に遺憾だと思うのですよ。現在のわが国の佐藤政府のもとにおける、いわゆる帝国主義復活といわれ、独占資本に奉仕をしておる政治をやっておるといわれる中では、まことに不適切であるといわなければならぬが、本日は総裁もおられませんから、あとでそういうことについての御意見を聞きたいと私は思うのです。
  165. 秋草篤二

    ○秋草説明員 土橋先生の後段の問題につきましては、私の答弁する限りではないと思います。全く先生の独自の一つの解釈であって、私はそういうことは想像もしておりません。  ただ前段の、私が申しました契約につきましてもし誤解があるといけませんから、随意契約の問題につきましては、決算委員会等におきましてときどき問題があることは私が経験しておるということで、今日そういうものがいつも課題になって、電電公社を批判されているという意味ではございません。私はことばを控えたのでございますが、初めてこの話を聞くときにはみな非常に了解に苦しむという先生方が非常に多い。これで通信事業の特質とか資材行政の特質を申し上げますとみなわかっていただける、こういうことでございまして、いま課題になっているんだということではございません。それから、今日の私どもの資材行政は完ぺきとは思いません。常に反省の上に立って、先生の御注意を体しましてやりますけれども、やはり随意契約はいま少しも不合理ではないと信じております。
  166. 土橋一吉

    ○土橋委員 これで終わります。ただあとで私のところへ、随意契約が電電公社の事業面においていかに有利であるか、実際競争入礼から見るならば、価格の点においてどの程度よろしいかというような点について、資料なりあるいは説明をしていただきたい。そうでないと、いま申し上げるようにまだ警察電話もあるわけです。それから例の鉄道電話も持っておるわけです。こういう中で、電電公社が自分のことだけ考えて随意契約をするというならば、私は一つ問題があると思います。警察電話と鉄道電話の関係上考えまして、ひとつよろしく説明をお願いしたいと思います。
  167. 金子岩三

    金子委員長 次回は来たる十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会