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1970-04-03 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月三日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山本弥之助君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君      稻村左四郎君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    中島 茂喜君       中村 弘海君    永山 忠則君       野呂 恭一君    安田 貴六君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    華山 親義君       桑名 義治君    和田 一郎君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   中山 正暉君    稻村左四郎君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     中山 正暉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改  正する法律案内閣提出第六三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  地方財政に関する件(昭和四十五年度地方財政  計画)      ————◇—————
  2. 砂田重民

    砂田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は所要のだめ出席がおくれますので、委員長の指定により、理事の私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出にかかる地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田一郎君。
  3. 和田一郎

    和田(一)委員 若干の質問をきせていただきます。私は質問が八番目でございますので、たいがい先先生方がおっしゃいましたので、また変わった角度のほうから御質問をいたしたいと思います。  まず公営競技、これはいろいろありますけれども、その中で一番売り上げの多い、または開催回数等の一番多いのは競輪ですね。その競輪について、ちょっと掘り下げて政府考えを聞きたいと思います。  最初に、世界で競輪をやっている国はどことどこですか。
  4. 長野士郎

    長野政府委員 これは私どももいろいろ資料を調べておったのでございますが、あまり例はたくさんはございませんが、一番古いのはデンマークだというふうに聞いております。
  5. 和田一郎

    和田(一)委員 デンマークとあとはどこですか。——じゃ、私がお教えします。これは四十四年十二月発行の全国競輪施行者協議会参考資料です。これにはデンマーク日本の国だけなんですね、競輪をやっているのは。そうしますと、日本の国で競輪場は幾つあるのですか、それを教えてください。
  6. 長野士郎

    長野政府委員 四十三年度におきまして、競輪場は五十一でございます。
  7. 和田一郎

    和田(一)委員 これを見ますと、デンマークは三会場ですね。先ほど財政局長がおっしゃったように、デンマーク競輪歴史自体が八十年ぐらいになるそうです。ところが、三会場しかやっていない。わが国は五十一会場、しかも開催は毎月です。こういうことについてどうお考えでしょう。
  8. 長野士郎

    長野政府委員 まあデンマークわが国とでは歴史も違いますし、国の大ききも違いますし、競輪が始まりました、その契機になりました考え方も非常に異なっておるのではないかと思いますから、一がいにそれだからこうというわけにもいかないのではなかろうかと思います。そういうことでありますが、元来こういう公営競技につきましては、現状以上には奨励はしないで、ただその存続については存続の必要を認める。そしてこれに伴う弊害をできるだけ少なくするようにするというのが、調査会答申でもありますし、現在政府としてもとっておる態度でございますので、競走場の数あるいは開催回数、そういうものを全体としてあまりふやすというようなことは考えておりません。むしろそういう意味で、社会的にいろいろ御議論があって、どちらかといえば、この競走場につきましても、三十六年には競輪場は五十六ございました。四十三年には五十一でございます。まあテンポはのろいかもしれませんが、縮小の方向にはなっておる、こういうことでございます。
  9. 和田一郎

    和田(一)委員 五十六という数をおっしゃいましたけれども、最高六十二あったのです。ですから、とにかく競輪場という会場も多いし、それから開催回数も多いし、戦後復興のそういうものがあったかもわかりませんけれども、何と言っても世界的に競輪王国だと言ってもいいくらいだと思うのです。それが地方財政であるとか、またはいろいろな産業に対して貢献しているということ、それはそういう理由はあるかもしれません。しかし、それだけに大きい弊害もあると思います。  次にお尋ねしたいのは、公営競技競輪だけではなくて、公営競技自体から発生した犯罪数、またはそれが大きな原因になって発生したいわゆる犯罪数御存じでしょうか。
  10. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 私どもにはその資料の持ち合わせはございません。
  11. 和田一郎

    和田(一)委員 それは困ると思うのです。競輪が、または公営競技自体がいろいろな批判があるのです。いままでの先生方は一人残らずおっしゃいました。そのように世間の注目を浴びている、こういう公営競技に対して、一番大事な立場皆さん方がそういうことを御存じないということは、ちょっと問題じゃないかと思うのです。これは警察庁のほうから、警察庁と同じ建物にいらっしゃるのですから、ひとつよく聞いていただきたいと思うのです。  昭和三十九年には競輪競馬オートレース、ボートレースに基因する検挙人数は二千八百六十八人、一番会場数の多かったころは五千人くらいあったそうであります。それだけ減っていることは事実でありますけれども、とにかく三千人くらいの検挙数がある。それで御承知のように、競輪場へ入りますと、一ぱい人が集まっていますから、その中で目につくのはほんの一部分でしょうけれども、それだけでも約三千名が検挙されている。これは大きな社会問題の一つだと思います。そういったことについて、もっと政府のほうでも研究をされる必要があると思うのです。それについていかがでしょうか。
  12. 長野士郎

    長野政府委員 お話のとおりでございまして、そういう意味で、こういう競技についての弊害、これはいろいろな面にあらわれるわけでございますが、この施行者といたしましては、競技場施設改善競技場周辺の整備、それから、いろいろ事件が起こるものでございますから、そういうことでファンが激高するとか、いろいろなことがございますので、警備員の強化、それから窓口などのさく、その他の設備を強化する。こういうようなことで、非常に秩序ある運営を心がけておるということになっておりますが、公営競技が人の多く集まるところでございますので、いろいろ事件が起きてはいけないということで、本年度におきましては、特別にそういう経営管理体制を、ファンに対するサービスというものも含めながら充実をはかって、そういう不祥事件の起こらないようにやっておりますが、中によく競輪ですったとか、競馬であれしたとかいうのがありますが、これは個人の心得の問題であるわけでございまして、この辺になりますと、まあ一般的な良識というもので考えていただくよりほかないんじゃなかろうかと思います。ただ、誇大に競輪とか競馬についての広告とか宣伝、そういうことも非常に自粛をしておりまして、射幸心をそそるようなことは控えております。こういうことでございます。
  13. 和田一郎

    和田(一)委員 個人の自制心だといまおっしゃいましたけれども、いわゆる射幸性のある娯楽に関する、何といいますか、家庭不和といいますか、いろいろな事件が起きる。何も競輪場だけの検挙じゃなくて、全体に起きてくる場合があります。御主人がすっちゃって、そして自暴自棄になって起きたような犯罪もあるかもしれません。そういったものは、大体どのくらいつかんでいらっしゃいますか。おわかりにならないでしょう、さっきの話では。多いのですよ、これは。一年間に約八千件あるのです。いわゆる射幸性のある娯楽のために一これはマージャン、パチンコも多少は入りますが、幾らでもありません。しかし、そういう射幸性娯楽を公でやっているという問題、これは、これから開催回数を減らすとかふやしていかないというような、そういうものだけじゃなくて、もっと根本的に公営競技そのものについてのモラルの面からでも、これは皆さん方研究する必要があると思う。ただ、地方財政に貢献しているということは、これはもう私は認めております。しかし、地方財政というのは、政府ほんとうの仕事なんです、どっちかというと。  そういう基本的な問題をもう少し、私、突っ込んで数字の上からお聞きしたいと思いますが、その前にお聞きいたしますけれども財政局長はいま答弁されましたけれども、あなた、競輪場へ行かれたことございますか。
  14. 長野士郎

    長野政府委員 私はわりと縁遠いほうでございますが、かって一回行ったことがございます。
  15. 和田一郎

    和田(一)委員 それは御自分でお遊びにいらっしゃったのですか、視察ですか。
  16. 長野士郎

    長野政府委員 たまたまあるところへ参りましたところが、ちょうど競輪をやっておりましたので、時間がありましたから入りまして、車券なるものを買ってやってみました。
  17. 和田一郎

    和田(一)委員 政務次官にお聞きするのは悪いから、聞きませんけれども、賞金の払い戻しですね、あれは現在七五%払い戻しておりますけれども、その七五%という根拠、また、それでいいかどうかという問題についてお尋ねします。
  18. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この払い戻し金割合につきましては、いろいろ議論のあったところでありますけれども、外国の例を見ますと、七五%よりも高い払い戻し金の率をとっているところもあります。ただ、そういたしました場合に、射幸性をそそることが大きくなるのではないかといったような議論もございます。それで結局七五%程度が適当であろうということで、きめられたものと思いますけれども、この割合を高くするか低くするか。これは射幸性の高い低いという問題とも関連していろいろ議論のあるところだと私ども考えております。
  19. 和田一郎

    和田(一)委員 高いというのは、どこですか。どこでどのくらい払い戻しておりますか。
  20. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 いま具体的にどこの国が何%という資料は私ども持ち合わせておりません。払い戻し金の八〇%の割合をとっているところもあるということを聞いております。
  21. 和田一郎

    和田(一)委員 七五%というのは、大体そうらしいのですけれども、それよりも下があるのですね。フランスでは四八%です。こういう点について検討をされたことはございましたか、いままでに。それともずっと慣例に従ってやっておったのですか。
  22. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和三十六年の公営競技調査会議論の過程におきまして、この率についてもっと低くしたら射幸性が少なくなるのではないかといったような議論もございました。あるいはまた、もっとファンに還元すべきではないかといったような立場からの議論もございました。しかしながら、大体世界的な傾向から見て、まあこの七五%程度が適当ではなかろうか、こういうことで現在の各競技法規定が定められております。そのそれぞれの競技法規定に従って、現在払い戻し金の率はきまっておるわけでございます。
  23. 和田一郎

    和田(一)委員 先ほどから御答弁が、資料をお持ちでなかったかもわかりませんけれども、あまり明確じゃないので、世界的なそういった公営競技に対する研究は、これはどこがされるのでしょうか。どの省が、またどの方がやられる立場なんでしょうか。
  24. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 競技そのものにつきましては、現在競輪及び小型自動車競走につきましては通産省、競馬につきましては農林省、モーターボートにつきましては運輸省が、それぞれ所管をしておるわけであります。自治省を含めまして四省が検討していくということになっております。
  25. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、自治省がそれを取り持って検討していくという御答弁がいまありましたので、私も自信を持ってお聞きいたしますけれどもほんとうに現在大衆娯楽になっているかということ、その点についてどうでしょうか、参事官、お考えは。御答弁によりましては、数字のほうでまたお聞きいたしますから。
  26. 長野士郎

    長野政府委員 お手元に差し上げております資料の中にも、四十三年度の公営競技入場者概数が入れてございますが、八千二百九十六万人です。そういうふうな数はやはりかなりの入場者数だというふうに私は思います。またそれに従いまして売り上げも相当な額になっておりますが、そういう意味では、やはり相当国民大衆の間に一つのレジャーと申しますか、娯楽性の高いものとして、現在定着をいたしておるというふうに見ていいのじゃないかと私は考えております。
  27. 和田一郎

    和田(一)委員 八千万とおっしゃいますと、日本の人口の八割、これはすごいというふうにお思いでしょうけれども、その数字は、全部の公営競技を合わした数ですね。ですから、その人が一年間に一回しか行かなかったかという問題なんですけれども、一年間に八回行くと、その人たちは一千万ということになるわけですね。その実態を調査した資料が私の手元にあるんですけれども自治省としてもそういった資料でもって検討されたことはございますか。
  28. 長野士郎

    長野政府委員 最近入場人員もふえておりますし、売り上げも伸びておりますが、これは競技場施設をだいぶ改善をいたしまして、収容人員も混乱をしないで入れるようにしたということも相当関係しておるわけでありますけれども入場者の個々の人の追跡調査といいますか、そういうものはまだいたしたことはございません。
  29. 和田一郎

    和田(一)委員 これはどうでしょうね、政務次官、こういうことは大事と思うんですがね。今回この委員会でもお問いになる先生方全部このことについて疑問を出しましたし、それから、確かに功もあれば罪もあるという問題で、罪のほうは、いま私が申し上げたようないろいろな犯罪につながるような問題、または家庭不和のような問題が一番大きなものだ、いわば女性の敵といってもいいくらいだと思うんですね。そういう面で政務次官、今後自治省なら自治省の中で、ファン動向等も追及する。各委員会附帯決議だけでなくて、独自の調査も必要じゃないかと私は思うんですが、政務次官のお考えを承っておきたい。
  30. 大石八治

    大石政府委員 御質問にありました犯罪件数なり、その他弊害の面についての調査の点も多少ゆるんでいる、そのことを知っているか知っていないかについては、御指摘の点で、確かに私ども関係省とすれば、もう少しその点に積極的な関心を払う必要があると思います。ただ、財政局長からお答えしたとおり、犯罪等の点も、狂暴らしきものもありますし、いろいろな設備やなんかの点で改善をはかるとか、いろいろ考えなければならないと思っています。  ただ、私は、全体的に日本人意識というか、ものの感じ方というものが実際はかなり問題だろうと思うんです。終戦後だんだん安定してまいりましたし、そういう意味で、同じ競輪にいくとかあるいは競馬にいくというふうな場合でも、非常なかけがあるわけですけれども、同時にそれを楽しみのかけというふうな心情になっている。それに一切をかけてしまうようなものから、もう少し日本人が落ち着いて楽しむかけというふうなところに入ってこなきゃならぬじゃないかというふうに感じているわけであります。それは、単に自治省だけの問題じゃなくて、日本人全体の気持ちの持ち方のことになると思うのです。そういう意味で、私ども全体的な日本の国情と、変化していく日本の中で、そういう点ではだんだん落ち着いてくるだろうし、またこなければならぬというふうに感じているわけであります。
  31. 和田一郎

    和田(一)委員 政務次官の今後の御活躍を期待いたしたいと思います。  もう少し具体的に、また意地の悪い質問になるかもしれませんけれども、お伺いしたいと思いますが、ここに電通リサーチで調べた競輪ファン動向というのがあるのですけれども、これを見ますと、競輪ファンはどんな人が多いか、大体二十歳から二十九歳、それから三十歳から三十九歳の階層が一番多い。おのおの三割ずつ、締めて六割。そうして高年者になっていくほどどんどん減っていく、こういうことが出ているんです。ですから、青壮年層に多い。大体六割の人がそのくらいだ。ところが、そのうちのほとんどの人が十年以上の経験者だ、こういうことです。ですから、もはやプロ化していると考えていいのですね。いま参事官首をひねっていらっしゃいますけれども、何も全部が全部プロだというわけではありませんが、そのような姿である。それが一つ。もう一つは、いらっしゃる方々は月間どのくらいの収入をお持ちであるか、それを見ますと、月に六万円見当です。そして一回競輪場に来るときに持ってくるお金幾らかというと、四千円から九千円持ってくるのですね。その人たちが月に何回ぐらい競輪場に行くかというと、二回だ。そうすると、一万円以上二万円ぐらいのお金を持ち出すわけでございます。ところが、大体平均の収入といいますと、六万円前後。何も人のふところですから……。しかし、やはりそういう面で家庭不和というのがあるんじゃないか、私はこのように思うのです。確かにおいでになった方のほとんどが楽しみおいでになる。競輪施行者も一生懸命に努力しまして、いわゆる緑地帯をつくったり、お子さんの遊び場のようなものをつくったり、一生懸命やっているんです。やはり競輪施行者にしても、何か心のすみに公営ギャンブルだという意識があるのですよ。だから、確かに家族連れ遊び場遊び場ということをおっしゃっているのです。しかし、ああいうところに入りますと、これはおせじにも家庭的な雰囲気とは言えないのが現状なんです。しかも、自分の買った車券が当たらなかったら、聞くにたえないようなことばをはく方もいらっしゃいます。ですから、家族連れで行くなんていうことはおよそ考えられない、そういうような現状でございます。もう一つは、警備体制。これも、おそらく地元の警察の方にもお願いしておりますけれども、それだけでは間に合わないということで、ほとんどいわゆる警備保障会社ガードマンをたのんでおります。そのガードマンもいま足らないのですね。ですから、どこかのお役所をおやめになった方、相当高齢の方々が制服を着て警備されている。だから、一朝事があったら、必ず突破されるというのが現状なんです。そういう面から考えまして、どうでしょうか、確かに皆さん方も、これからふやさないとおっしゃってますけれども、もう少し積極的に競輪というものを、また公営競技というものをそういう面で至急検討していただきたい、こう考えているのですが、長野財政局長、いかがですか。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 いまのお話は、私もそのとおりだろうと思いますが、やはりそういう意味では、どこかでそういう刺激とか娯楽を求めるという風潮があるわけであります。いま、プロ化しているというお話でございましたけれども、ある面ではファンが定着化しているといいますか、そういうふうにも考えられるわけでございます。そういうことで、まあ人間射幸心がある、ギャンブルじゃないか、まさにギャンブルそのものでございますが、そういうのはやはり所得なり娯楽なり、まあ所得水準が上がるということに並行して出てくるものでありまして、そういう行為というものが、人間社会個人の生活にも、いろいろな遊戯とか競技とかいうものがあります以上は、そういうことが行なわれていくということも避けられない状況だろうと思うのです。したがいまして、公営競技ということでやっておるものをだんだん減らしていくということがいいという御意見は、確かにそういう面はあると思いますが、そういう射幸行為というものが、みずから競技をするあるいは競技を楽しむ、そういうことに関連してどうしても出てくるというものでありますれば、それを公営ということで、公開の場所で秩序ある節度を持った運営をするということも、ある面、存続を認めるという調査会答申の中には一つの観点として受けとめられておるのではなかろうかと思うのであります。もちろん、他の面といたしましては、地方財政に寄与するという面もあるわけでございます。そういう両方からこういう競技存続を認めておるということにもなっておるわけでございます。ですから、一がいに、減らしてしまうということが必ずしもいいのかどうかという点になりますと、いろいろな面から考えていかなければならないということに相なるわけであります。もちろん、そういうことを含めて検討すべきではないかというお話だと思いますので、私どもも今後そういう問題についてはとくと検討を続けてまいりたいと思います。
  33. 和田一郎

    和田(一)委員 今後検討されるという御答弁なので、もう一つ申し上げたいのですけれども、これは世界的な対象になりますけれども、いわゆる公認射幸競技というのを一番多くやっているのは、御承知のとおりイギリスなんですね。イギリスの場合は、一切かけごと公認ですね。その次に多いのは日本らしいのですね。どこの国でも、見てみますと、競馬またはドッグレース、だとかトトカルチョだとか、公認は大体一つ二つなんです。ところが、日本の国だけは競輪競馬、オート、ボート、宝くじ、こうある。ですから、これはモナコどころじゃないですね、それは意味が違いますけれども。ここらもひとつ考えていただかなければならないと思うのです。まさに公営ギャンブル公営と言っては申しわけないかもわからぬけれども、まさにそういう王国であって、それで地方自治体は潤っているんだ。ですから、いままでいろいろな点を潤してきたことは認めますけれども、もはやこの辺でどっちかの方向を向いていかなければならない、そのことを参考までに申し上げまして、一応次へ移ります。  やはり競輪競馬の問題でありますが、売り上げ金の中から一号交付金、二号交付金、三号交付金と出ますね。その一号、二号、三号は、どういうふうなほうに使っていかれるか、ちょっとお答え願います。
  34. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 競輪それから小型自動車モーターボート、これは大体似たような使い方でございますが、第一号交付金といいますのは、関連産業振興というものに使われておるわけです。それから第二号交付金は、競馬を除きまして、競輪オートレースモーターボート、これらは公益事業に使うということになっておりまして、これは体育でありますとか、社会福祉でありますとか、医療、文教といったような関係事業に使用されております。競馬につきましては、他の二号交付金に該当するものがございません。それから三号交付金、それから競馬の場合の二号交付金、これは競技関係経費でございます。選手なり審判員なりの養成あるいは資質の向上といったような競技関係経費に使われる、そういうことになっております。それからモーターボート船舶振興会の三号交付金はございませんで、これは競技関係経費の部分はございませんが、競輪オートレース、これは一、二、三号交付金、それから競馬モーターボート、これは一号、二号、二つ交付金に分かれております。
  35. 和田一郎

    和田(一)委員 この一号、二号、三号の割りでございますけれども、この率のきめ方は一体どういうふうな根拠でおきめになったのですか。
  36. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この交付金の算式は、それぞれ各競技ごと計算のしかたが違っておりますが、売り上げの多寡に応じましてそれぞれ計算方式が定められております。したがいまして、どの一号交付金に何%というのは直ちには出てこないわけでありまして、これは競馬ごとに、あるいは競輪場ごとに違ってくるわけであります。ただ総体といたしまして、最近の状況からみますと、この交付金総体としましては売り上げの二・七%ぐらいになるということでございます。
  37. 和田一郎

    和田(一)委員 売り上げの二・七%ですか、一号、二号、三号合わせて。そういうことですか。  もう一つお聞きしますけれども、この一、二、三号の交付された結果は、どのような結果でありますか。その金額だけでいいですよ。
  38. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 四十三年度の数字を申し上げますと、関連産業機関に充てられました交付金の額が、総額で約百二十六億でございます。それから体育、社会福祉等の公益事業関係に充てられました金額が約九十億でございます。それから競技関係経費に充てられました額が約十八億、合計で二百三十三億ということになっております。
  39. 和田一郎

    和田(一)委員 特に三号交付金ですが、三号交付金は、大体どういうふうに使われているのですか。
  40. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 三号交付金といいますのは、おそらく競技関係経費のことと存じますが、この経費は選手、審判員の養成あるいは資質の向上、それから各施行者競技実施の指導といったような経費に充てられておるものでございます。
  41. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは、あまり時間がありませんので、次に進みたいと思いますが、このことについてあと一つ。たとえば自転車振興会ですか、そういうのが交付金を受けて、そして全国の関連産業または福祉法人へお金が回っていますね。その配るきめ方、または手続、どうすればもらえるのか、それからだれの権限で出しているのか、これをひとつお聞きします。
  42. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 公益事業関係に配分いたします最終的な権限は、競輪の場合でありますと、日本自転車振興会に属しているわけでありますけれども、これを具体的にどういう事業主体にどれだけの配分をするかということは、体育、文教関係につきましては文部省、福祉関係あるいは医療等の関係につきましては厚生省、そうした各事業の主管省のほうからの推薦によりまして、それをもとにして振興会のほうで決定するという手続になっております。
  43. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、そういうもらう事業者から申告か何かあって、それを各官庁でまとめて、そういう振興会のほうに出されるのかどうか、手続、道順を教えていただきたい。
  44. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 それぞれの事業をやっております団体が、いわば認可された主管省、スポーツ関係でありますと文部省の体育局のほうにまずその申請を出しまして、それによってその事業主体がりっぱな事業主体である、それから事業内容についても文部省のほうとして十分適当なものであるというような副申を添えて、それで振興会のほうに正式の申請を出すことになるわけでございます。
  45. 和田一郎

    和田(一)委員 ひとつ委員長にお願いしたいのですけれども、いろいろな各団体のほうへ一号交付金、二号交付金として出たものを資料として出していただきたいと思いますので、お願いいたします。四十三年度でいいです。
  46. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 四十三年度の分を取りまとめまして、別に資料として差し上げたいと思います。
  47. 和田一郎

    和田(一)委員 もう競輪のほうはやめまして、次に、公営企業のほうに移らせていただきます。その前に一言申し上げますけれども、ある競輪関係の方、競輪をやってらっしゃるほうの方です。ファンではありませんけれども、この方が、この法案に対してこういう感想をおっしゃっております。私、聞きましたのですけれども、このような公営企業に対して競輪の収益から出すということは、公営ギャンブルと世間からいわれているものに対して、確固たる地位を固めていくにひとしいから、大いに喜ばしいという御意見がちょっと、非公式ですけれどもあったのです。まさかそういう意味でおやりになるのじゃないと思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  48. 大石八治

    大石政府委員 施行者のほうから感じたという場合には、そういう心境といいますか、になるということも、私は想像できないわけではない。ギャンブルというものについての多少の——多少といいますか、ひけ目というものを感じていることは確かだろうと思うのです。   〔砂田委員長代理退席、塩川委員長代理着席〕 しかし、それが売り上げ金の一部から地方公共団体というものにサービスをする、均てん化ということばで言っておりますが、そういうことをすることで多少慰められるといいますか、そういう意味では、心理的に何かこれで認められたという心境、それをいまお話しの、確立されたというか、そういう気持ちを持ったということは、私は想像はできます。しかし、発案者のほうで考えることは、その問題も公営競技調査会で、存続させるという基本方針を出しておるわけでありますから、このこと自体で非常に大きな変化が出てきているとは私ども思いませんが、気持ちは、そういうことをこちら側が想像しようと思えばできます。しかし、この行為によって事態の大変化というものが起きているとは思いません。
  49. 和田一郎

    和田(一)委員 次に、時間がありませんので、はしょってやりますが、昭和四十二年度決算で見ますと、各公営企業、特に法適用企業では二八%が単年度の赤字を出しておる。そうして累積赤字をずっと加えていくと、地方公営企業全体が千五百六十六億の赤字だというのです。その赤字のほとんどが、ほとんどというよりも、一番多いのが上水道事業なんです。こういうことを見てみますと、これはりつ然とせざるを得ない。特に地方公営企業の再建問題がいろいろいわれております。このことについては、政府のほうもほんとうにこれから真剣に取り組んでいただきたいと思います。いままでもやられていらっしゃるでしょうけれども、さらに今回の審議を通じて、これはいままで質疑をされた先生方も全部おっしゃっておられました。この一言に尽きると思うのです。  そういうことで、ひとつ厚生省の水道課長さんがおいでになっていらっしゃいますので、ちょっとお聞きしたいのですが、全国の水道料金、平均でけっこうですから、水道料金のうちいわゆる先行投資の利息、水道料金のうち利息が一体幾らあるかということを教えていただきたい。
  50. 国川建二

    ○国川説明員 四十二年度の全国平均の水道の給水原価で申し上げますと、給水原価が三十円二十銭になっております。そのうちのいわゆる七円十六銭が支払い利息、率にいたしまして二三・七%、約二四%、そういう状況であります。
  51. 和田一郎

    和田(一)委員 皆さん方のお支払いになる水道料金のうち、四分の一が支払い利息ですね。利子というものはそんなに高いものでしょうかね。この原因というのは、これからどんどん都市化してまいりますと、現在の水源地では足りないというので、水源を求める。水利権の問題でたいへんな金もかかるでしょうし、また配水管の本管だとか、浄水場であるとか、いろいろかかります。それは十年先、十五年先、二十年先を見越して公営企業金融公庫等から借りてやるわけですね。それはわかるのですよ。ところが、それは自分が飲む水道じゃないのですね。早く言えば、あとの人が飲む水道なんです。それまでも水道料金の約四分の一に相当する金額の利息を払っていかなければならない。さらに今度は、農村のほうの水道が普及してまいります。洗剤であるとかどうとか、いろいろな化学的な家庭用品を使いますから、井戸もあぶなくなってきたというので、ほとんど水道になってくる。昭和四十五年度の各地方議会を見ましても、水道料金の値上げが出ているところがあるのですね。また、この際じゃなくて、中間に上げようというところもあるのですから、さらに上がっていく。その上がる原因というのは、多少は値上がりもあるでしょうが、ほとんどは先行投資に対する利息が多いのです。このことについて、まず水道課長さん、あなたのほうの率直な御意見を伺いたいと思うのです。
  52. 国川建二

    ○国川説明員 水道料金の上昇の原因と申しますとこれはいろいろございますが、一番大きな問題は、やはり水道の使用水量、いわゆる生活水準が向上したり、あるいは人口の集中とか、そういった意味での水の需要量が非常に急激に伸びている、特にここ十数年来のそういう傾向に対処いたしまして、施設を整備する必要が急激に高まっておるわけでございます。そのために、いろいろ水源を開発したり、あるいは非常に遠方から水を引っぱってきたり、あるいは都市内部における配水管の施設整備を急激にしなければいけないという条件がございまして、そういったことから、やはり建設費そのものが非常に高額になってきているのが現状でございます。  御承知のように、水道事業を一応公営企業として経営していきます以上は、それだけのかかりました建設費が料金という形でかぶってくるわけでございまして、もちろんいわゆる先行投資もございますけれども、そういう建設費そのものも含めまして私ども考えていきたい。特に利息等につきましても十分下げるために、あるいは公共料金の非常な急上昇を押えるためには、そういったことを今後考えていきたい、そういうふうに考えております。
  53. 和田一郎

    和田(一)委員 水道課長さんの御意見を伺いました。一つの例を申しますと、新しい街づくりのためにそこへ水道本管を入れる、大きな鉄管を入れます。その鉄管の耐用年数が四十年から四十五年ですね。ところが、そのために金融公庫からお金を借りる、そうするとあれは返済期限が二十三年ですか。だから、四十五年間かかって返していってもいいものを、二十三年間でぱっと返さなければならない。そのために一ぺんに利息がかかるのです。それはどこへいくかというと、みんな一般の市民の方々にいっちゃうのです。そういうところは、利息を下げるということは考えられないものでしょうか。今回も下げるには下げるのですが、いままでもありましたように、スズメの涙のような下げ方であります。根本的に公営企業という問題と取り組まなければならない、しかも現状では市民の方々が全部かぶってしまう。私、いま一つの例をあげたのですが、大体四十年から四十五年もつというのです。四十年で払っていけば、ずっと水道料金も安くなるのです。ところが、二十三年間で借りたものは返さなければならぬというので、勢い利息も高くなるでしょう。そういう点もあるということで、どうしても償還年数を延ばしてもらいたい、それから利息も下げてもらいたいというふうに、どこでも言っております。結局犠牲者は、犠牲者と言っては語弊があるかもしれませんけれども、一番しわ寄せを受けるのは一般大衆だということになりますので、ひとつ財政局のほうもその点について極力御検討願いたい。一言おっしゃっていただきたいと思います。
  54. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 御指摘のように、上水道の起債の償還年限は、政府資金が三十年、公庫資金が二十三年ということになっております。したがいまして、上水道施設の耐用年数に比べて償還年限がやや短いということは、まことに御指摘のとおりなんでございます。ただ、利子の負担がそれによって高くなるかといいますと、四十年間の借金に対しますと利子負担は高いわけです。むしろ問題は、減価償却費で元本償還ができないというところに問題があるわけでございます。そういう意味におきましては、償還年限を延伸するということは、われわれとしてもできる限り努力をしていかなければならない。公庫としましても、少なくとも政府資金程度の償還年限まで年限を延長する措置を考えていかなければならない。このためにはやはり公庫の資金量の絶対量というものをふやしていかなければならない、こういう問題がございます。  さらにまた、起債についての利子負担を軽減するために、何らかの措置をとるという問題でございますが、この辺がまた公営企業に対してどういう考えをとっていくかということによって変わってくるわけでございます。いま上水道事業は、受益者というものが非常に明確である以上は、その受益者による受益の程度に応じた負担というたてまえで料金制度がきめられておるわけであります。利子をたとえば一般会計で負担するということは、一般の租税負担によってその料金をまかなうということになるわけであります。いわば租税負担にするのかあるいは料金負担にするのかというのは、これからの考え方の問題であり、政策の問題であろうと思いますけれども、私どもは、現在、公営企業というものはやはり受益者負担を原則にすべきであるというたてまえをとっておるわけであります。
  55. 和田一郎

    和田(一)委員 受益者負担とおっしゃいましたけれども、それがまた問題なんですよ。自分がいま飲んでいる水道の水はちゃんと来ているわけです。ところが、新しい街づくりのために使う水道の本管の水は、ほかの人が飲むのです。そうすると、受益者という意味にならない。それは大きく言えば、受益者かもわからないけれども、個々に言えばそうじゃない。その点ひとつ検討していだたきたいと思うのです。  時間がありませんから、あと一つだけ。次は病院のことなんです。市立病院といいますか、いわゆる公営企業の病院。ちょっと私金融公庫の資料を見せていただきましたら、今年度は病院のほうには貸し出すあれはないようになっておるのですが、その点どうですか。
  56. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 現在病院事業につきましては、確かに公庫の貸し出しの対象事業にはなっておりますけれども、全部政府資金でやっておりますので、公庫のほうからは貸し出しいたしておりません。
  57. 和田一郎

    和田(一)委員 政府資金のほうでやっている、それは利子が安いし、いいかもわかりませんが、問題はこういうことがあるのです。大体現在病院のほうの通例といいますか、私、しろうとだからわかりませんけれども、三百床なければ、普通、病院はやっていけないというようなことがあるのです。そういう意見があるのですよ。その三百床そろえるためには五億から七億かかる。そういう投資したものは料金収入からあがってこないのですね。あれの場合は点数できまっていますから、患者さんからもらったものからとても返せない。全部一般会計ということになっておりますね。政府からお借りした金も返さなければならない。病院建設に対する補助というものがどうなっておりますか、ひとつ教えてください。
  58. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 確かに現在の診療報酬単価の計算上、病院の建設に要する経費の減価償却費の見込み方というものは非常に少ない。そのために、病院を建設いたしました場合に、どうしてもその面からの赤字要因が現在の企業の中にあることは、御指摘のとおりでございます。それでまた、病院の事業自体が一般行政面における衛生部門の担当もいたしているわけでありますので、現在特定の行政病院、精神病院でありますとか、その他へき地診療施設等につきましては国庫補助がございますけれども、通常の一般病院の場合には、そうした補助制度はございません。ただ、病院の建設につきましては、そうした衛生行政面のこともあって、一般会計をもって幾ぶんかの負担をすべきであるという考え方をとりまして、現在財政計画上、病院の建設改良に要する経費につきましては、二分の一程度は一般会計で負担すべきである、こういう考え方をとりまして、財政計画上繰り入れ措置として一般財源の負担を認めておるわけであります。
  59. 和田一郎

    和田(一)委員 ひとつ今後もそういう公営企業に対する御配慮を心から期待申し上げます。お願いします。  それで、いま大臣がおいでになりましたので、もう少し早く来ていただきたかったのですけれども、いままでのいろいろな議論の中を総括していきますと、公営競技については、御答弁によりますと、いろんな面から研究していくということがございました。それは政務次官から御答弁ありましたので、私、満足しておりますが、いまお話ししましたのは、公営企業の問題であります。水道にしても、一つ例をとりますと、大臣、水道料金を出しますね。そのうちの四分の一は利息なんですよ。大臣のおたくの水道もやっぱりそうですよ。だから、その利息負担がほとんど一般大衆にかかっていることが実態なんです。いま参事官の御答弁または財政局長の御答弁を聞きますと、今後さらに利率の引き下げまたは償還期限を延ばしていく、その方面に対して一生懸命にがんばるという御答弁がありましたので、大臣からも、その点についてひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  60. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 水道事業のみならず一般に公営企業におきましては、その利子負担が非常に過重である、また公営企業におきましては政府資金が少ない。それが傘下の投資先の公営企業の経営を悪化せしめ、利子負担を過重ならしめておるという事情にございますので、今後政府資金等優良なる資金を豊富に公営企業金融公庫に供給することによりまして、利子負担を軽減せしめ、公営企業の内容の健全化をはからなければならない。せいぜいそれに努力してまいりたいと考えております。
  61. 和田一郎

    和田(一)委員 それじゃ、大臣の御答弁がありましたので、以上で終わりますが、ひとつ今後とも公営企業につきましては全力をあげて改善されんことを心から望みます。終わります。(拍手)
  62. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 青柳君。
  63. 青柳盛雄

    ○青柳委員 共産党を代表して質問いたします。  地方公共団体に対する政府の財政投融資計画によりますと、昭和四十三年度は総額二兆六千九百九十億円のうち四千六百三十七億円、約一七・二%、四十四年度は総額三兆七十七億円のうち五千二百十六億円、一六・九%くらいになっておりますが、昭和四十五年度の財政投融資計画によって地方公共団体に対する投資計画はどのような額になっているか、まだおわかりになりませんでしょうか。
  64. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十五年度の財投計画は総額三兆五千七百九十九億円、そのうち地方団体分の財投計画分といたしましては六千六億、その他を入れますと、地方団体分が九千八十二億、こういう数字でございます。
  65. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その他というものは何でしょうか。
  66. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 縁故資金等を入れますと、九千八十二億ということでございます。
  67. 青柳盛雄

    ○青柳委員 財投計画の対象の中には地方公営企業も含まれておるんでしょうと思いますが、そうだとすると、どのくらいな額になっておりますでしょう。
  68. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 いま正確な数字にはなりませんけれども、約二千六百億程度であります。
  69. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それは何年度でございますか。
  70. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十五年度の財投計画対象分の数字のうち、公営企業関係の分約二千六百億ということになろうと思います。
  71. 青柳盛雄

    ○青柳委員 地方公営企業の建設改良費の財源としましては、企業債のほかに、一般会計等からの出資とか長期貸し付け金、また補助金というようなものが予定されているようでありますけれども、これがどんな割合になっておりますか、額及び割合を知りたいと思います。   〔塩川委員長代理退席、砂田委員長代理着席〕
  72. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十三年度の決算から申しますと、公営企業の資本的支出分が七千八十八億でございます。そのうち建設改良費が五千七百二十億円ということになっております。そのうち企業債が三千八百九十三億、それから他会計からの出資金が二百九十二億円、他会計からの借り入れが約二百四十七億円、こういうことでございますが、国庫支出金の割合は、ちょっといまのところ手元資料がございません。
  73. 青柳盛雄

    ○青柳委員 地方公営企業の借り入れ金の現状は、大ざっぱにいって政府資金が何%で、民間資金が何%か、その比率はおわかりになりますか。
  74. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十五年度の計画におきまして、政府資金分が約四五%でございます。
  75. 青柳盛雄

    ○青柳委員 第十四次地方制度調査会答申というのがありますが、「昭和四十五年度の地方税財政対策についての答申」と題するもの、この第四の「地方公営企業について」というところには、その健全化のためには政府資金の増額をはかるべきであるというような項目がありますけれども、この増額というのは、どういうものをふやし、また、どのくらいな額にしようという計画になっておりますでしょうか。
  76. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 この答申の中におきましては、資本費の軽減をはかるために、低利の資金をできるだけ多くふやしていけということを抽象的に述べられたものだというふうに考えております。したがいまして、地方債計画を計画いたします過程におきまして、できる限り政府資金の増額と公営企業金融公庫資金の貸し付け条件の改善ということをはかって、資本費用の軽減をはかるということを考えていきたい、こういうつもりで計画の策定を目ざしておるわけでございます。
  77. 青柳盛雄

    ○青柳委員 企業債の公募資金には、公営企業金融公庫資金からのものと市場公募の資金とがあると思うのですが、それぞれの割合がどうなっておるかも知りたいと思います。
  78. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十三年度末現在の企業債の現在高が約二兆四千九百億でございます。このうち、政府資金によります分が四六・二%でございます。それから市場公募によります分が一四・七%、それから公営企業金融公庫からの資金が一二・八%でございまして、市中銀行からの縁故借り入れが一四・七%。そのほか交付公債でありますとかあるいは共済組合等からの縁故借り入れといったようなものがあるわけでございます。
  79. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それらのものに対する地方公営企業が負担しているところの利息が、年間どのくらいになり、そうしてその割合がどういう状態か。特に市場資金といいますか、民間資金に対する利息の支払い額が、政府資金関係の利息の支払いと比べて、どんな状況になっておるかを調べられたことがありますか。
  80. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 昭和四十三年度の法適用事業の総費用六千七百八十億のうち、支払い利息が千百六十八億でございますから、その支払い利息の比率は二割弱でございます。しかし、そのうち政府資金分あるいは公募資金分、縁故資金分という区分は、資料作成には相当時間がかかるかと思っております。
  81. 青柳盛雄

    ○青柳委員 これ以上こまかなことをやって時間を費やすのもなんですから、そうしてまた他の委員先生方も十分関心を持っておられることだと思いますので、なるべく早い機会に、いま私が質問したことに関連し、またそれ以外のことでも、地方公営企業の実態を知る上で役に立つような資料をつくって、全部の委員に渡されるように期待いたします。  次の質問に移ります。  地方公営企業は、四十四年三月三十一日現在、その事業数六千百八十三。この中で住民の生活環境に重大な関係を持っておりますのが上水道、これが千四百二十一、二三%、簡易水道、これが千八百七で二九・二%、それから病院が七百三十五で一一・九%、交通関係が百四十五、二・三%、その全体が四千百八で六六・四%というふうな大きな比重を占めております。それから経営規模にいたしましても、四十三年度歳出決算によれば一兆六千八十六億円、先ほど申しました四つの事業で八千九百二十四億円で五五・五%、従業員数におきましても、全体が二十六万五千六百十二人のうち、いまの四事業で二十二万七千二百十五人、八五・五%、こういうふうに大きな比重を占めております。特に東京都及び六大都市では事業数が八十二で一・三%ですけれども、経営規模が五千六百七十七億円、三五・三%、職員が八万二千人、三一%、こういうふうに集中をいたしております。また、そういう状況であるにもかかわらず、法適用事業について見ますと、四十三年度の純損失が交通、水道、病院、こういうものを合わせまして、三百六十九億というような大きなものになっております。累積欠損金も千六百十四億六千七百万円。いずれにいたしましても、八〇%以上のものが、損失の分でも累積の点でもそうなっておりますし、不良債務でも千百五十五億二千四百万円、非常に経営は苦しいわけでございます。この経営の困難な状況を打開するということが、これは国も地方自治体も大きな課題として課せられているところでございまして、これを解決しなければ、地方住民に対する受益者負担その他等々で公共料金を値上げしなければならない、したがってまた物価高を刺激するという循環をしていくわけでありますが、こういうことについて抜本的な解決の方法を政府として何か考えておられるのかどうか。  共産党は、地方公営企業に対して独立採算性というものをたてまえにして、赤字になってもやむを得ない、何とかその独立採算のワクの中で財政の再建をはかる、赤字を克服するという方向を出しているのでありますけれども、どうも独立採算性ではこの問題は解決しないんじゃないか。やはり一般会計からの繰り入れとか、あるいは独算性を認めるといたしましても、政府資金を大幅に導入する、そして利息と償還期限を考慮するということが必要だと考えます。この点について大体の方針を承りたいと思います。
  82. 長野士郎

    長野政府委員 公営企業につきましての経営の基盤を強化して健全化を確保いたしますために、抜本的な対策を行なうべきではないかというお話でございます。公営企業と一口に申しましても、先ほどおあげになりましたように、いろいろな企業があるわけでございまして、それぞれの経営の困難な状況も一様には申せないわけでございまして、原因がそれぞれ違っております。大きく分けまして、それは、この前も申し上げましたように、企業の内部に原因がありますものと、企業を取り巻く外的な条件に原因があるものと、両方に分けられるわけであります。それぞれについての対策というものを、やはり綿密に立てていかなければならないということでございます。同時に、そういう場合に、公営企業の中でも、行政施策として行なってどうしても維持していかなければならないというものもございますし、それから料金等につきましても、ある意味の規制がございまして、一定の限界があるというものもございます。そこで、そういうようなものについては、やはり一般会計その他によってのある程度の出資なり補てんなりという問題も出てくる場合もあります。そういうことでございまして、すべて企業の経営の困難性を一般会計において負担するということじゃなくて、やはり企業の中には、本来料金をもって維持していくというたてまえで貫いていくべきものも——基本的にはずっとそういうたてまえの企業のほうが多いと考えなければなりませんし、またある面では、利用者が対価を払うということのほうが公平である。つまり利用の程度に応じて収入があるといいますか、その利益の限度に応じて対価を払うということに、公共料金でありましても、なるわけでございます。そういうものを一定の限度を越えるようなものにつきまして、全部一般財源で負担するというふうな形になりますことは、かえって不公平だという場合もあるわけでございます。これは企業の種類によっても、そういうものも考えながら措置をしていかなければならないと思いますし、また、企業自体の経営の合理化ということも大いに進めていかなければならないというわけでございます。現在は、交通事業等を中心にいたしまして企業の再建をはかっているわけでございますが、全体として考えますと、いろいろな対策をそれぞれの企業について講じていかなければならぬ。一般的に言えますことは、その中でも資本費の増高というものは、ある面では共通事項でございます。そういう意味で、良質な資金の供給を確保する、そして利率の安いもの、そして償還期限の長いものに置きかえていくような努力をしていく、こういうことは共通事項として、私ども当然これから進めていかなければならないものと思っております。
  83. 青柳盛雄

    ○青柳委員 事業の実態に沿って、いろいろと適切な措置をとっていかなければならぬ、一がいには言えないという御趣旨のようであります。私ども、地方住民の生活環境に関係のあるものと、それから高度経済の成長を保障する意味での生産の基盤、産業基盤をつくるための事業というようなものとは、おのずから扱いを別にしてもいいのじゃないか。   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば工業用水の事業とかあるいは電気事業、港湾施設事業、こういった直接的には地方住民に関係のない事業などについては、独立採算で大いにやって、受益者負担で、これを利用する産業界のほうからしかるべき料金を負担させるということでいいと思うのでありますけれども、少なくとも生活環境に関係するものは、一般民間企業と同じような形で利潤を追求するあるいはそれに類するような考え方で対処したのでは、赤字はふえるばかりだし、これを克服しようとすれば、勢い料金を上げなければならぬというようなことにならざるを得ないと思います。こういう考え方は政府としてはとられないのかどうか、お聞きをいたしたいと思います。
  84. 長野士郎

    長野政府委員 産業基盤の整備をはかるということは、住民に直接関係をしないということのようなお話でございますが、必ずしも一がいにそうも断定しきれないわけでございます。やはり地域開発とかあるいは工業用水道のような問題になりますと、地盤沈下対策とかいろいろな関係から、行政的な措置も含め、また地域の振興ということも考えながら措置をして整備していくという状況が実態でございます。そういうことでございますが、ただ、公営企業としての原則は、やはり独立採算ということで考えていくということは、私どももそのように考えていくべきだと思っております。しかし、また一面、住民生活に直結しておる公営企業は、そういう独立採算の原則をはずすべきだというお説であるといたしますと、これもまた一がいにはそうは申せない、やはり原則としては独立採算という考え方で、企業としての経営というものを本体に置きながら、その中で行政的な施策として考えなければならないもの、そういう要素も相当あるわけでございますが、そういう点につきましては、やはり一般会計から出資をするとか、あるいは経営の健全化のための繰り出しを考えるとか、これはどうしても両々相まって考えなければならないという点はあると思いますけれども、住民生活に直結しているから、すべて独立採算の原則を取りはずしてよろしいのだというふうにはまいらない。これは先ほど申しましたように、企業によりましては、利益を受けるもの、それを利用するものとしないものとの間では非常な差があるわけでございます。そういうものを、料金というものをたてまえにしない経営方式を考えることは、かえって全体としては不公平になるということもあるわけでございます。そういう面を考えなければならないし、また、経営自体といたしましても、合理的な能率のいい経営を行なっていくというたてまえも、これはぜひ必要でございます。同種の事業との関係もございますが、そういう意味で、経営の健全化をはかりながら行政上の措置の必要とする面は、随時企業のそういう実態に応じて配慮をしていくということではなかろうか、こう思います。
  85. 青柳盛雄

    ○青柳委員 時間もありますので、公営企業の運営についての質問はそのくらいにいたしまして、本法案で問題になっております、ギャンブルからの収益金を金融公庫のほうに繰り入れるという問題に関連して、お尋ねいたします。  公営競技収益金繰り入れ額がどのように使われているかということについて、「地方財政の状況」、六十三国会提出の、一三三という表の続き、三五〇ページにありますけれども、これを見ますと、いろいろの種類に出されているようでありますが、大体四十三年度の決算に基づく表だと私は理解するのですけれども、民生費に三十八億、それから衛生費に四十三億、土木費に四百七十七億、農林水産費に五十四億、商工費が十六億、教育費が三百十九億、災害復旧費が七億、その他が百二十四億、公営事業会計への繰り出しが四十一億、そして総計が千百二十二億というふうになっておりまして、これが都道府県の場合と市町村の場合とにまた仕訳がされているわけでありますが、都道府県がいま言ったような種類のものに出すのが二百八十億、それから市町村が八百四十一億、その割合は大体都道府県が二五%で市町村が七五%、こういうふうに理解できるのでありますが、これが都道府県あるいは市町村の四十三年度の歳入歳出に占める割合が、歳出に対しては一・三八%程度、わずかのものではありますけれども、いま言ったような使途に使われるということが恒常化し、あるいは拡大していくということになれば、相当地方財政の中では重要な部分を占めるような結果になってくるおそれがあると思うのです。こういう傾向をどう理解されるか、この点だけお尋ねをいたしたいと思います。
  86. 長野士郎

    長野政府委員 収益金の使途につきまして、いま数字をおあげになりましたが、各費目を大きく分けておりますけれども、最も大きいのは土木費関係でございます。それは道路を中心にいたしました事業の実施ということが一番大きなものであります。その次が学校施設の整備、こういうところへ一番用いられておるというふうに私ども考えております。  地方財政全体に占める割合がだんだん大きくなっていくというようなことにならないかというお話でございますけれども、この点につきましては、いま公営競技を行なっております団体は、ある面では非常に特定したところの団体、特に都市的な施設整備の急速な実行を迫られているような団体が多いわけであります。そういうところについてのいろいろな財政措置も年々拡充をしてまいっておるわけでありますけれども、何せ社会経済の急激な変動を一番もろに受けておる地域でございますので、そういうところが収益金をもってそういう関係事業の整備のために事業を行なうということは、ある点やむを得ないという実情も考えなければいけないというふうに思うわけでございます。そういうことでございますけれども地方財政全体としてそれがどうこうという大きな影響を及ぼすというふうには考えておりません。同時に、そういう団体が一番警戒しなければならないことは、財政の規模というより、運営の中で、そういう収益金というものを恒常的な財源として扱いまして、そうして特に経常的な支出を要する経費というものにそういうものを充てまして、それに大きく依存するという財政運営が行なわれるということは、これは大いに警戒をしなければならないし、私どももそういうことのないように十分指導を尽くしてまいりたい、こう思っております。
  87. 青柳盛雄

    ○青柳委員 終わりにいたしますが、いまも言われましたように、土木費が五四・七%、それから教育費が二八・五%というような比重を全体の中で占めるということは不健全だと私は考えます。こういう点について、行政指導のほうで政府としては十分配慮しなければならないものだと考えます。  終わります。
  88. 菅太郎

    ○菅委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  89. 菅太郎

    ○菅委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  90. 菅太郎

    ○菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  91. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、中村弘海君、山本弥之助君、斎藤実君及び岡沢完治君から、四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。この際、本動議を議題とし、趣旨の説明を求めます。中村弘海君。
  92. 中村弘海

    ○中村(弘)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公営企業の経営の健全化を図るため、次の措置を講ずべきである。  一、公営企業金融公庫に対する政府出資金を大幅に増額すること。  二、公営企業金融公庫の発行する政府保証債の発行枠の拡大を図ること。  三、公営企業金融公庫の貸付対象団体並びに事業を拡大するとともに、利率の引下げ、償還期限の延長等、貸付条件を改善すること。 右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  93. 菅太郎

    ○菅委員長 本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、中村弘海君外三名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣。
  95. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきましては、慎重審議を賜わりまして、かつすみやかな御可決に接しまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。  なお、本法の施行にあたりましては、ただいま賜わりました附帯決議の趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じております。     —————————————
  96. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  98. 菅太郎

    ○菅委員長 地方財政に関する件について調査を進めます。  昭和四十五年度の地方財政計画について説明を求めます。秋田自治大臣。
  99. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 このたび昭和四十五年度の地方財政計画を策定いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十五年度におきましては、最近の経済情勢の推移及び地方財政現状にかんがみ、国と同一の基調により、行政経費の効率化と重点化に徹し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。  地方財政については、かねてからその健全化と行政水準の向上をはかるため、各般の措置を講じてきたのでありますが、昭和四十五年度におきましては、以上のような基本的な考え方のもとに、地方財源の確保に配慮しつつ住民負担の軽減合理化を推進するとともに、財源の重点的な配分を通じて地方の行政水準の一そうの向上をはかり、あわせて地方公営企業の健全化をさらに促進するため、所要の措置を講ずることといたしたのであります。  次に、昭和四十五年度の地方財政計画の策定方針及びその特徴について申し上げます。  第一は、地方税負担の現状にかんがみ、個人の住民税、事業税等についてその軽減合理化をはかることであり、減税の総額は七百三十八億円となっております。  第二は、行政の広域化への要請にこたえて広域市町村圏の振興のための体制を整備することであり、そのため、地方交付税、地方債等を通じて所要の措置を講ずることといたしております。  第三は、都市化の著しい進展に対応し、都市財源を強化して都市行政の充実をはかることであります。そのため (一)法人課税の増徴に伴う法人税割りの増収を全額市町村の税源として賦与するとともに (二)人口急増地域における各種の施設整備を前年度に引き続いて推進し、 (三)公共用地の先行取得を円滑化するための措置を強化するほか、 (四)都市交通対策に資するため地下鉄の建設及び経営に対する助成措置を拡充することとし、また (五)都市圏補正の合理化等により地方交付税の配分を充実することといたしております。  第四は、過疎地域の振興をはかるため総合的に過疎対策を推進することであり、 (一)過疎地域における生活関連施設産業基盤施設等を整備することとし、そのため (二)過疎対策事業債制度を創設するとともに、辺地対策事業債を充実することとするほか、 (三)過疎地域における行政水準の維持向上をはかるための措置を充実することといたしております。  第五は、住民の日常生活に直結する各種の公共施設の計画的な整備を推進して、住みよい生活の場を整備することであります。そして、その重点は (一)地方道、下水道及び清掃施設など特にその実施が急務とされている施設を積極的に整備すること、 (二)交通安全対策、公害対策など新規の財政需要に対処するための措置を講ずるとともに、防災、救急体制をさらに整備することなどに置いております。  第六は、地方公営の経営企業の基盤を強化して、その健全化をはかることであり、 (一)地方公営企業に対する貸し付け資金の増額をはかるとともに、公営競技収益金の一部の公営企業金融公庫への導入等により貸し付け条件を改善するほか、 (二)公営企業会計に対する一般会計の負担の合理化を進めることといたしております。  第七は、地方財政の健全化を推進するとともに、財政秩序を確立することであります。そのため、 (一)地方交付税の総額について、法人課税の増徴に伴う増収を確保すること。また、市町村民税臨時減税補てん債及び特別事業債の償還に要する経費は地方交付税で措置することとすること、 (二)昭和四十五年度の地方交付税の総額について、その増加状況等を勘案し、所要の特例措置を講ずること、 (三)定員管理の合理化を推進し、既定経費を節減すること、 (四)国庫補助負担事業にかかる地方団体の超過負担及び住民の税外負担を解消するための措置を講ずることといたしております。  なお、地方公務員の給与改定など年度途中における事情の変化に対処するため、あらかじめ財源を留保することといたしております。  以上の方針のもとに、昭和四十五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は七兆八千九百七十九億円となり、前年度に対する増加は一兆二千五百八十二億円、一八・九%となるのであります。  以上が昭和四十五年度の地方財政計画の概要であります。
  100. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、補足説明を求めます。長野財政局長
  101. 長野士郎

    長野政府委員 それでは簡単に御説明をさせていただきます。  まず、計画の策定方針でございますけれども、これはただいま大臣が申し上げたとおりでございまして、一から順次項目に従って概要を御説明申し上げます。  まず、全体の規模でございますが、規模につきましては七兆八千九百七十九億円でございまして、前年度に対しまして一兆二千五百八十二億円の増加でございます。その増加率は一八・九%でございます。  次に、歳入関係につきましておもな問題を御説明申し上げますと、一つは、歳入におきましては、地方税でございますが、この関係は、説明の概要の六ページから七ページのところに、地方税関係の説明をいたしておるわけでございます。これを簡単に申し上げますと、税制改正後におきまして、前年度に対しまして五千七百五十億円の増加でございます。府県税は三千三百二億円、市町村税は二千四百四十八億円、前年度に対しまして五千七百五十億円の増加でございますが、増加率は二〇・五%となっております。減税及びこれに伴う減収は、住民税につきまして、課税最低限度の引き上げなどによりまして六百六十二億円、事業税等につきまして、事業主控除の引き上げによりまして六十億円、その他電気ガス税の免税点の引き上げにより十六億円となっております。このほか土地にかかる固定資産税の評価がえに伴う都市計画税についての負担調整を行なうことといたしました結果、二百三十五億円の減収と相なっております。一方都市における財政需要の増高の実態を考慮いたしまして、都市財源の充実をはかることといたしました。法人課税の増徴に伴う法人税割りの増収をすべて市町村の財源として付与することといたしました。  第二番目には、八ページでございますが、地方譲与税の関係でございます。地方譲与税の収入見込み額は千九十七億円であります。前年度に比しまして、地方道路譲与税につきましては百十八億円、一五・一%、石油ガス譲与税六十三億円、八五・一%、特別とん譲与税は四億円、六・九%、計百八十五億円の増加と相なっております。この中で、特に著しく増加しておりますのは、石油ガス税の関係でございますが、これは四十五年の一月一日以降におきましては、従来適用されておりました暫定軽減税率の特例の措置が適用されなくなってきた一そういう関係で、増加率が非常に高くなっておる、こういうことでございます。  その次の九ページでございますが、地方交付税でございます。地方交付税の総額は一兆六千九百二十五億円でありまして、前年度に対しまして三千三十三億円、二一・八%の増加であります。これは九ページの表にございますように、四十五年度の国税の総額五兆三千二十八億九千四百万円の三二%相当額一兆六千九百六十九億二千六百万円でございますが、これに対しまして、四十五年度の特例措置といたしまして、三百億の減額をいたします。その次に四十三年度の四十億円の精算分がございます。それからさらに、特別会計の段階におきまして、四十三年度の借り入れ分、これは返還金と借り入れ金と両方書いてございますが、結局八十五億円の差し引きの返還ということの措置をいたす必要がございます。これに加えまして、四十四年度の補正予算におきまして三百八十一億円の繰り越しがございますから、交付税総額といたしまして一兆六千九百二十五億六千三百万円、こういうことに相なるわけであります。  その次に、一〇ページにございますのは国庫支出金でございますが、国庫支出金につきましての総額は二兆四十億円であります。前年度に比しまして二千五百八十一億円、一四・八%増加をいたしております。この中で増加の著しいものは生活保護費の関係、児童保護費、精神衛生費、老人保護費等の保護基準の単価の引き上げによる増加、それからその次には公共事業費の関係におけるところの道路あるいは河川関係の補助金が非常に増額をされております。そういう関係で全体としては一四・八%の増加と相なっておるのであります。  一一ページに参りまして、地方債の関係でございますが、地方債の一般会計分は三千六百三十二億円でございまして、前年度に対しまして七百三十五億円、二五・四%の増加と相なっております。この中で増加の著しいものは公営住宅の建設事業、それから新たに加えましたものといたしましては、辺地及び過疎対策事業費二百億円というのがございますが、この中の過疎対策費、過疎債は百三十億円、辺地債が七十億円ということになっております。その次に同和対策事業債七十億円、それから義務教育施設整備事業の中には、人口急増地域等の需要に見合いますために用地取得の起債を八十億に増額をいたしておるというような点がおもなものでございます。そのほかにも広域市町村圏関係の単独債といたしまして三十億円等の増加も加えまして、合計いたしまして昨年に比べまして七百三十五億円の増加に相なっております。  なお、そのほかに、使用料とか手数料、雑収入等についても、これは一三ページでございますが、それぞれ相当額の増収を見込んでおるわけでございます。  第二番目に、歳出について見ますと、一五ページでございますが、歳出全体といたしましては、おもな増減内容は一四ページにございますが、全体といたしましての総額で一兆二千五百八十二億円、一般財源分として九千八百七十三億円でございます。おもな経費について申し上げますと、給与関係経費は二兆五千二百二十五億円でありまして、前年度に対しまして三千二百四十七億円、一四・八%の増加となっております。その内容といたしましては、昨年度の給与改定の平年度化分二千百二十三億円、昇給に要します経費が五百三十七億円、年度途中に予想されます給与改善に必要な財源といたしまして三百二十一億円、うち一般財源二百六十億円の増加のほかに、事務事業の増加を考慮いたしまして、警察官及び高校教員等の増員に伴う増九十九億円を計上いたしております。  また、その次のページでございますが、特別職の給与改善等の改定増とか、定員の合理化によるところの減とか、その他共済組合負担金の引き上げ等に伴う増をそれぞれ計上いたしております。  なお、給与改善費につきましては、前年度と同様国の措置に準じて所要額を計上することといたしております。  一般行政費につきましては、一兆五千四百二十六億円でありまして、前年度に比しまして二千三百六十八億円、一八・一%の増加となっております。このうちで国庫補助負担金を伴いますものは千二百九億円の増加で一八%、国庫補助負担金を伴わないものは千百五十九億円の増加で一八・三%となっております。国庫補助負担金を伴わないものには、本年度におきましても公共用地の先行取得のための土地開発基金の設置に要する経費として六百億円を計上いたしておりますが、そのほかに公務員の給与改定、現年発生災害等年度途中におきますところの追加財政需要というものに備えまして、前年度に対して二百億円の増加、この関係は一九ページにございますが、二百億円を増加いたしまして七百億円を計上いたしております。  公債費につきましては、一般会計分の地方債にかかわる昭和四十五年度の償還額として三千九十一億円を計上いたしております。前年度に比しまして五百三十七億円、二一・〇%の増となっております。  次に、二〇ページにまいりますが、二〇ページで維持補修費関係につきましては、これは各種の施設の増加や補修単価の上昇等を考慮いたしまして、増加を見込んでおるのであります。  次の投資的経費でございますが、その総額は三兆四百三億円でありまして、前年度に比しまして五千八百七十三億円、二三・九%の増加であります。  このうち直轄事業負担金につきましては国の直轄事業費に見合いまして、公共事業費及び失対事業費につきましては歳入に見合って、それぞれ歳出を計上いたしております。  二一ページは直轄事業費の内訳、二二ページは公共事業費の内訳でございますが、二三ページに参りまして、投資的経費のうちの一般事業費というものがございますが、この関係におきますところの一般事業費とか特別事業費とかいいますものが、いわゆる地方の一般単独事業でございます。  一般事業費につきましては、総額が五千九百六十五億円でございまして、前年度に比しまして千百二億円の増加をいたしております。この増加率は二二・七%と相なっております。これには教育、産業経済、住宅、厚生等の関係施設の整備をはかるための普通建設事業費として一千八十三億円を増額計上をいたしております。  その次に、四十四年度発生災害にかかる復旧残事業費と現年発生災害にかかる復旧事業費などを加えまして、災害復旧事業費として百五十五億円を見込んでおりまして、前年度に対しまして十九億円の増加となっております。  特別事業費につきましては、地方の公共施設の整備充実を計画的に推進する、そういうことのための事業費でございまして、いわゆる住みよい生活の場を整備するという財政計画策定の基本方針にのっとりまして、二千四十億円、三八・一%の増額計上をいたしました。総額におきまして七千三百八十九億円と相なっております。その内容は、道路、治山、治水、清掃等の各種の長期計画にかかる単独事業費として千三百七十一億円。  その次に、二四ページに参りますが、内容の二番目といたしまして、過密過疎等の対策事業といたしまして、人口急増対策、過疎対策、交通安全対策等のための事業費として千八百三十一億円、前年度に比しまして四百六十一億円の増加計上をいたしております。  第三番目は、広域市町村圏の振興整備のための事業費といたしまして二百八億円を計上いたしました。  その次には、公営企業の繰り出し金の関係でございます。公営企業繰り出し金の総額は、ここに書いてありますように千三百四十八億円でございまして、前年度に対しまして二百億円の増加ということにいたしております。その繰り出しの関係におけるところの計上のしかた、考え方は、原則として前年度と同様でありますが、四十五年度におきましては地下鉄の建設費に対する新たな助成措置が講ぜられることになりましたに伴いまして、地方団体の補助分として三十七億円を計上することといたしております。  なお、超過負担の解消につきましては、四十五年度におきましても、これまでの基本方針にのっとりまして、総額四百五十三億という解消措置を講ずることといたしております。  以上でございます。      ————◇—————
  102. 菅太郎

    ○菅委員長 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題として、提案理由の説明を聴取いたします。秋田自治大臣。
  103. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由と内容の要旨を御説明申し上げます。  昭和四十五年度の地方交付税については、地方団体の行政経費の増加に対処するため、地方交付税の単位費用等を改めるとともに、昭和四十五年度分の地方交付税の総額について特例を設ける等の必要があるのであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  まず、地方交付税の算定については、市町村道その他各種公共施設の計画的な整備に要する経費その他給与改定の平年度化、各種の制度改正等に伴い増加する経費を基準財政需要額に算入するため、関係費目の単位費用の改定等を行なうとともに、——最近における社会経済の進展に対処し、それぞれの地域の特性に即応した財源措置の強化をはかってまいりたい所存であります。  次に、昭和四十五年度分の地方交付税の総額については、三百億円の減額措置を講ずるとともに、昭和四十五年度までの繰り延べ額の総額九百十億円は、昭和四十六年度分から昭和四十八年度分までの地方交付税の総額に加算することといたしております。  以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  104. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、来たる七日火曜日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十一分散会      ————◇—————