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1970-04-07 第63回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月七日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       遠藤 三郎君    大久保武雄君       神田  博君    北澤 直吉君       久保田円次君    左藤  恵君       始関 伊平君    進藤 一馬君       田中 六助君    山田 久就君       石川 次夫君    中井徳次郎君       中谷 鉄也君    松平 忠久君       横山 利秋君    近江巳記夫君       松尾 信人君    川端 文夫君       米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君         通商産業省企業         局長      両角 良彦君         中小企業庁長官 吉光  久君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局鉱政課長 林 信太郎君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     久保田円次君 同日  辞任         補欠選任   久保田円次君     大橋 武夫君     ————————————— 四月三日  下請中小企業振興法案内閣提出第九六号) 同日  外国産果実等貿易自由化反対に関する請願  (藤田高敏紹介)(第二二七八号)  特許法等の一部を改正する法律案反対に関する  請願近江巳記夫紹介)(第二二七九号)  同(岡本富夫紹介)(第二二八〇号)  同(多田時子紹介)(第二二八一号)  同(松尾信人紹介)(第二二八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第四五号)  輸出中小企業製品統一商標法案内閣提出第五  三号)(参議院送付)  下請中小企業振興法案内閣提出第九六号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 大臣が本委員会に御出席くださるのは、予算委員会関係もございまして、まれでございまして、それにもかかわりませず、本委員会は鋭意審議を進めて、わりと順調にいきまして、むしろ野党内では批判があるくらいであります。ずいぶん協力をいたしておるところでございますから、ひとつ大臣もその意を了として、可及的本委員会に十分時間をとっていただくようにお願いをしたいのであります。  さて、この委員会にかかっております輸出保険に関する法律案も、ずいぶん本委員会で詰めてまいりましたが、どうしても大臣の御答弁を願いたい点が幾つか残ってまいりました。輸出振興という角度から、二、三お答えを願いたいのであります。  第一は、先般も輸出入銀行に来ていただきまして、政治的懸案となっておりまする、輸銀の金を未承認国使用させることが今日的課題であって、これは輸出入銀行としては何ら差別はとっていないというわけでありますが、実際問題としては、大臣御存じのように、輸銀の金が未承認国におきましては使用をほとんどされていない。特に、中国及び朝鮮民主主義人民共和国を比べてみましても、いわゆる北朝鮮のほうは皆無であります。私どもがそれを主張いたしますのは、輸出保険につきましては、韓国であれ、あるいは朝鮮民主主義人民共和国であれ、いかなる未承認国といえども、何ら差別することなく全く平等に、また、実績におきましても平等に扱っておるわけであります。輸出保険は、申すまでもなく政府保険であります。政府輸出を奨励し、そして承認国、未承認国の別なく輸出保険をつけておりますにかかわりませず、さて金の問題になりますと、いろんな経緯もございまして、未承認国に対しては差別をつけておるわけであります。  御存じかもしれませんけれども、もうすでに東欧諸国あるいは西欧諸国におきまして、たとえば北朝鮮に出しておりますものにつきましては、もう五年、七年、十年というような状況がございますし、金利につきましても格段の相違がございます。もしそれ輸銀の金が使われようとするならば、中国はもちろんでありますが、北朝鮮の最近におきまする膨大な引き合いから比べまして、加速度的に輸出振興になることは理の当然のことであります。  私は、先般質問いたしました際に、ちょっと時期の悪いときに私は質問しておると言いました。というのは、申すまでもなく乗っ取り事件の最中であったからであります。乗っ取り事件の最中に、いかに筋の通ることとはいいながら、何か質問するのにじくじたる思いがするということであります。けれども、いま一段落をいたしまして、そうしてこれからひとつ新しい観点に立つことがどうしても余儀なくされる時期になっておるのでありますが、いろいろな政治的なそういう思惑を抜きにいたしましても、今日、日本国益に関する輸出振興という問題から考えてみまするならば、この際ひとつ中国朝鮮貿易輸銀の金を漸次使用させることにしたらどうか、こういうことを私は先般も主張いたしました。これは大蔵省関係外務省関係であるという御答弁がございました。しかし、そうはいっても、通産省がむしろ貿易振興に力を入れるところであるから、よそはともかく、まず通産省がその気持ちになるかならないかが問題なんだと言いましたら、政務次官をはじめ、そこにすわっておられました各高官一同、特に政務次官が代表いたしまして、全く同感であります、事通産省に関しましては、輸銀の金を未承認国といえども使わせることについては積極的に推進をいたしたいと思います、こういう答弁がありまして、はなはだ満足をしたわけであります。  しかし、通産省政務次官をはじめ皆さんがその趣旨をお考えになりましても、要するにこれは個人意見でございまして、通産省を代表する大臣としてお考えをいただきたいという希望をいたしまして、本日御出席を願ったわけであります。本件につきまして、軽々に大臣お答えになるはずはないと思いますけれども、非常にデリケートな国際情勢を含んでおるときでもありますから、なかなかむずかしいことではあろうと思いますけれども、そういう国際情勢抜きにして、従来からのひっかかりの問題であり、一歩進めるべき情勢があって、これをやったところで、別に今回の乗っ取り事件に直接関連をしたという問題の経緯とは違うのでありますから、この際、ひとつ輸出振興という観点に立って、輸銀の金の使用につきまして大臣の御意見伺いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、輸銀の金を使いますことが輸出振興に非常に貢献するということは、おっしゃるとおりでございます。したがって、それらの国に対しても、そういうことができるならば輸出振興に大いに寄与するという見地から、政務次官お答えを申し上げましたことは、私はしごくもっともなことだと思いますし、また、通産当局全体としてもそれを希望しておると思います。  ただ、この問題は、申し上げるまでもなく一通産当局、あるいは一通産大臣の問題ではございませんで、内閣全体の国際政治外交等関係のある問題でございますから、そういう見地から考えていかなければならないと、常々思っております。  ただそこで、それらの国については、輸出入銀行融資はいたしませんという立場と、ケース・バイ・ケース考えてまいりますという立場は、たとえ過去何年かの結果はノーケースではないかということがありましても、私はその間に、やはり立場の違いがあるというふうに考えておりますので、将来いろいろな可能性がある、少なくともそれを否定していないという立場というふうに私は考えております。けれども、具体的にケースが起こりましたときには、これは一通産大臣の問題としてではなく、私は内閣全体の問題として考えていかなければならないというふうに思っているわけでございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 きょう配付を願いました輸銀の未承認国向け融資実績を見ますと、融資承諾件数が五百三十六件、融資承諾金額が百四十四億円、貸し付け残高九億円、貸し付け年利四分から五分五厘貸し付け期間一年から七年、こういうことになっております。この内容につきまして、私の承知する限りにおきましては、ほとんど圧倒的に中国でありまして、そして若干の件数が東独の模様であります。  この中国向け輸銀承諾件数内容考えてみますと、短期のものがほとんどでございまして、まあ二、三年ということだと私ども考えておるわけであります。ここにあります貸し付け期間七年というのは特別のものでございまして、大体二、三年だと思っています。ところが、たとえばこの件数の中に、一回も承認をされない北朝鮮を例に引いてみますと、西欧諸国北朝鮮に出しておりますのは、六九年でフランスが八年から十年、西独が六年から七年、オランダが七年から八年の延べ払いである。それに対して、中国輸出する場合の金利は、どうしても市銀から借りて毎回前渡しする関係から、大体一〇%であります。この一〇%の金利で、そうして輸銀融資も受け得ないような状況でありますから、これはまるきり引き合わないということになります。しかし、それにもかかわりませず北朝鮮貿易がわりあいに伸びておる。また、短期のものを、輸銀の引き当てを受けています。中国貿易が非常に伸びておるということは、潜在的に、もし輸銀融資が受けられるならば、中国はもちろんでありますが、北朝鮮は非常な貿易の伸びになることは、言うまでもないことだと思っておるわけであります。  重ねてお伺いをいたしますが、大臣自身としては御賛成なのでありますか。そこまで、つまり外務省大蔵省あるいは総理に対して、これはもうその時期になっておると言うような決意がおありになるのかどうであるか。非常に慎重であることはわかりますけれども、もうこの辺で貿易振興のためにも踏み切るべきときであるというお考えを、大臣自身としてお持ちなのでありますか、それをひとつはっきり聞きたいと思うのであります。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国は、申し上げるまでもなく、北朝鮮、それから中国本土台湾韓国というような国と非常に近接の位置におりますから、欧州諸国がそれらの国に対する関係わが国とは、おのずからいろいろな点で異なってまいります。その点、あたかもポーランドに対して私どもが持っている感じと、ドイツ政府が持っている感じとが違う。あるいは、私どもキューバに持っておる感じと、アメリカ政府キューバに持っておる感じとは違うというようなことと類似しておると思うのであります。  そこで、この輸銀の問題でありますが、終局的にどうするかということは、内閣最高首脳部において判断すべきものだと私は思います。その場合、私もおそらくその判断に加わる一人ではございますけれども、私がただいま内閣を代表してどうこうということを申し上げるのは適当でないし、申し上げることもできないと思います。  ただ、通産大臣立場として考えるといたしますと、おそらく具体的なケースが起こりましたら、私が考える一つの要素は、かりに中共に対して輸銀使用を認めるということになった場合、たとえば、わが国とその他の国との貿易関係にそれがどのような影響を与えるであろうか。もっと具体的には、たとえば台湾でありますとか、韓国でありますとかいうことになりますが、そうして、その上でプラスマイナスと申しますと、いかにも次元の低い話になりますが、しかし、通商関係から申せばそれも大切なことであって、わが国にとってネットのプラスになるか、それも、あまりあすあさってのことばかりでなく、少し長い将来まで考えまして、おそらく私が通産当局責任者として考えますときの考慮に、そういうことも一つ入ってくるだろうと思います。さてその上で、しかし終局的には、これは内閣最高首脳部において決定すべき問題であろう、かように考えております。
  7. 横山利秋

    横山委員 かつて日本政府は、閣議において一たん決定したことを、韓国抗議によって取り消した——取り消したということばが適当でないたらば、延期をして、事実上の取り消しを行なったということがございます。それは申すまでもたく、北朝鮮からのプラントによる機械を引き取りに来るための入国を認めるということが、いろいろな紆余曲折を経て一たん閣議で了解したにかかわりませず、韓国政府が一たん抗議をいたしましたら、一朝にしてそれが取り消されたという苦い経験を持っています。私は、ある意味において恥ずべき経験だと思っておるわけであります。  大臣がおっしゃるように、この北との貿易輸銀使用を認めることが、台湾やあるいは韓国に快かろうはずはない、それはもうあたりまえのことであります。しかしながら、現時点におきましても、輸銀使用は認めないけれども貿易が行なわれ、人事の往来が、ふぐあいなやり方ではありますが行なわれていることは、天下周知の事実であります。そして、その上不幸にして乗っ取り事件が、北と南との複雑な関係、しかも、それを日本政府が調節をしていかなければならないということを、一挙にすべての国民に知らせた結果と相なりました。この機に、日本政府が引き続き従来の関係をそのまま維持し得るかいなかという点については、テンポの早さおそさの区別はあれ、今日の南と北との関係について、ある程度日本政府が一歩前進をしなければならないということは、もう既成の事実だと思うのであります。ただ、それをイデオロギー上に前進をさせるか、あるいはオーソドックスな国交という面において前進させるかという点については、ずいぶん時間がかかろう。しかしながら、もっと早い前進のしかたというのは、言うまでもなく、今回の例に見られたような人道的な問題である。そして第二番目には、文化とかスポーツの問題であり、そして三合目に、いますでに行なわれておる貿易の問題である、こういうふうに私は考えるわけであります。  そこで、その意味におきまして二、三お伺いをしたいのですが、通産省が世紀の事業として意気込んでおられました万博も、いろいろな問題はございますけれども、きわめて成功裏に開幕がされ、国民をはじめ全世界の注目を浴びておるわけでありますが、その万博に対して、朝鮮民主主義人民共和国から見たいという希望があるという点であります。これは旅券の問題でありますから外務省の問題でありましょうが、万博を主催しておる通産省として、どういう御意見をお持ちになるかという点が第一であります。  第二番目の点は、これはかつて予算委員会で私か外務大臣通産大臣に御質問して御了解を得たことなんでありますが、日本からソビエト経由朝鮮に入る、そしてまた商談を済ませてソビエトを経由して日本へ帰ってくるというのが、日本人商社の大体の筋道であります。まことにばかばかしいことだ。出国についてはやむを得ないとしても、入国については朝鮮から船便もあるのだから、わざわざ五日ないし数十万のむだな金を投じないで、純然たる商売なんだから、日本へ直接帰すことを考えたらどうか。そうしたら、外務大臣考えましょうということで、一ぺん直接に帰国をさせました。そして法務省外務省も船着き場まで出迎えて、たいへん親切にしてくれたと感謝をしたことがございます。ところが、昨年同じ商社の人が行こうとしたら、外務省は厳重に、行かないと書け、直接に往復しないと書け、こういうことで、結局は一札を書かないで、課長の前で、私は今度はソビエトを経由して帰ってこようと思うということを言ったということで、結局直接往復を許可されませんでした。この既成事実というものが、だれがどう考えても、日朝貿易が行なわれておる限りにおいては、日本人商社皆さんが行ったり来たりしておるという事実にかかわりませず、ソビエトを経由して往復をしなければならぬ。その間に費用が数十万円、あるいは日数も十数日むだな日数を費しておるということは、貿易の問題としてまことに意味のないことだ、こう思います。  この間も、外務省に来ていただきまして議論をしたわけであります。旅券法改正にも関連をいたします、それはよくわかっています。あなたにお伺いをしたいのは、この貿易という意味においてむだなことが行なわれておるとお考えになりませんか。このわかり切った、むだな、ばかばかしいことをやっておることについて改善をさせるべきだと思いますが、この万博の問題と日本人日朝貿易に関するむだなことを除去するために、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 両方とも外務省のほうの、あるいは法務省の問題であるわけでございますけれども入国を制限するということは、何かおそらくそれが国益を害するという考慮に立ってのことであろうと思います。そこで私は、万博を見るということ自身が、見てもらうということが、わが国国益を害するとは考えられませんので、むしろ幾らかの利益があると考えるべきだと思いますが、それを越えてなお国益を害する問題があるのかどうかという判断になりますと、これは所管大臣判断をなさるしかない。私が申せますことは、万博を見てもらうこと自身それだけを切り離せば、これはおそらくわが国国益に何がしか寄与するところがあるであろう、こう考えておりますけれども、それを越しての国益に対する害があるという判断であれば、これは主管大臣判断に従うことが適当であろうと思っております。  それから、後段の問題でございますけれども、これは旅券法等改正でいろいろ問題になっておるようでございますが、あの旅券法改正が成立いたしましたら、私としては、いまのような回りくどい方法は改善をすることがいいのではないか、私はそう思っております。
  9. 横山利秋

    横山委員 いまここで旅券法内容について議論をしておる時間がございませんので、省略をいたしますが、旅券法改正案では、これを必ずしも解決をしておらないのであります。ですから、私ども旅券法改正案反対をいたしています。  ただ、この旅券法改正をめぐって、おそらく通産省外務省、あるいは通産省法務省との間に議論がなければうそだと思っているわけであります。貿易振興というもの、それから北朝鮮を敵視し、中に入れたら何か事が起こるという先入主、そういうものは非近代的であり、国民感情としても、もうぼつぼつ国民としてもそれに対する理解をしておるわけであります。いわんや今回の問題があったわけでありますから、単なる先入主、あるいは重箱のすみっこをようじでつつくような、こういう危険がある、こういう危険がある、日本へ入れたら、日本がそれだけでたいへん変わってくるというような、そんなような憶病な心を持っておって、どうして貿易振興が果たせるであろうか。いま全体から考えて、日本の経済の発展の中で、これがいつまでも続くと思われないし、多角貿易をやっていく、特にアジアの国々と貿易をしていくということが大事なことであるとするならば、この際、そういうような先入主を払拭をして、貿易立場というもの、通産省立場というものがもっと主導権を握ってもいいではないか。おれのほうはこう思うけれども法務省やあるいは外務省が言ったらそれはだめだから、それはしかたがないということでなくして、閣僚のお一人として、しかも実力者のお一人として、そんなやはなことばもう言うべきでない、いま貿易のほうを中心にひとつ考えてもらわなければ困る、こういう大臣気持ち主導権をもうとるべきときではなかろうか。外務省法務省政策転換になるようなことを、みずから言い出すことはなかろうと思うのであります。むしろ私は、この問題の成否は、通産大臣としてのあなたのお気持ち熱意いかんにかかわることではなかろうか。それは総理が裁断をなさるにしたところで、通産大臣自分所管の問題について、また閣僚の一人として、もういいではないかという熱意いかんにかかわって成否がきまるのではないか、私はそう考えるのであります。  この私の気持ちがわかっていただけると思うのでありますが、先ほどの答弁では、自分はいいと思うけれども、まあしかしより高次判断法務省外務省にあればしかたがないというのですが、私は、むしろあなたの判断高次であってしかるべき時期ではないかと言っておるのであります。重ねて御意見伺いたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどは、問題を二つお出しになっておったわけでございますけれども、ただいまのお尋ねのほうは、商社北鮮に直接入れないということのお尋ねと、こう考えましてお答えをいたします。  いろいろ微妙な問題があるようでございますけれども、私どもとしましては、旅券法改正案を本院において、両院において御可決を願うということからこの問題は展開を早める、そうあってしかるべきものではないかという考えを持っております。
  11. 横山利秋

    横山委員 旅券法改正案はこの問題を満たしていない。旅券法御存じでございますね。私はこの問題は、たとえば、向こうから機械を引き取りに来るという問題について入国を許す、あるいは日本人が直接に北朝鮮往復すること、あるいは万博を見に来ること等について、旅券法改正案は、私の言うことをオーソドックスに満たしていない、こういう判断をしておるのですが、大臣は、旅券法改正されればその問題は解決をするという判断に立ってのお話でございますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 旅券法のことになりますと、詳しく私、存じませんので、その点を詳しくはお答え申し上げませんけれども、確かに法律そのものは、いま言われましたようなことをカバーしておるわけではございませんけれども、しまのようなことは、結局政策運用の問題でございますので、そこで、旅券法がああいうふうに改正されるということを転機に政策運用展開をしてくる、そういう可能性があるのではないかということを申し上げたわけでございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 お話の点は、やや私は大臣のお気持ちがわかるような気がいたしますが、旅券法改正機会にして、いま私どもが申し上げておることができ得る可能性を生じていくだろうと思うのですか。思うということは、あなたが私の気持ちをくんで、その方向に努力してくださるという意味に理解してよろしゅうございますか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私としては、そうすべきものだと考えております。
  15. 横山利秋

    横山委員 それでは、次の質問に移りたいと思うのでありますが、先般来、本委員会がたびたび参考人も呼んでお伺いをしておるわけでありまするが、若干本案の問題とは違いますけれども、この機会大臣にだめを押しておきたいと思うのでありますが、繊維の問題でございます。  たびたび参考人を呼んで、政府の態度をどう思っているか、あるいはあなた方がこれからどうなさるかということを聞きましたところ、六人ばかりの各関係者参考人が異口同音におっしゃいましたことは、要するにばたばたしない、この際一喜一憂しないで、ある意味ではアメリカのマスコミの謀略のような気持ちもあるのだから、ゆっくり腰を落ちつけてやろうというお気持ちであります。今朝の新聞によれば、宮崎会長に至っては、もしもどうしてもアメリカがやってくるというならば、貿易自由化について対抗する、そして政府に対しても従わないというような気持ち決意まで明らかにされておるわけであります。  先般来、私どもたいへん疑いましたことは、政府の中で、何とかこの妥協点をつかまえて、できるならば両者を組み合わせて納得をさせようというような動きがあったのではないかということを考えましたし、業界の一部もそれに対して、先般の総会では、きわめて重大な疑惑を持っておったことが明らかになりました私は、先般参考人皆さんのおいでになったときに、結論としてこういうことかと言って聞いたわけであります。つまり、いろいろ紆余曲折はあったけれども、もう出るべき妥協案らしい雰囲気というか、あるいは蠢動というものは、もう出るべきものは出尽くしてしまった、そして白紙に返った、基本線に返った、こう考えてよろしいかと言いましたら、まあ言い方はともかくとしてそういうことでしょう、したがってもうこれ以上は基本線以外にはない、いろいろ考えたことも、言うこともみんな終わっちゃった、失敗しちゃった、だから基本線以外にはないという考えで、腰を落ちつけてやろうというような雰囲気であります。政府として、いまどんなお考えでこの問題に対処しておいでになりますか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府立場から申しますと、これも私どもの基本的な立場の一つでありますけれども、日米間のこの問題がいつまでも解決をされないでいるということは、いろいろな意味でよくないと思っておるわけでございます。したがって、基本的な原則、これは国会の御決議もあることでございますから、これは守らなければなりませんけれども、しかし何か、このかなり長くなりました日米間の紛議というものを、冷却させる方法はないであろうかということを考えておるわけでございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 紛議を冷却とおっしゃったのですか。終局——何とおっしゃったのですか。ちょっとそれを……。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 冷却と申し上げました。
  19. 横山利秋

    横山委員 冷却ということは、どういう意味でおっしゃったのですか。私は、もうある意味では冷却しちゃった、かっとなっておったものが冷却しちゃった。それで、新しい提案を政府が、最近何かの形で行なわれるお気持ちがおありになるだろうか。この、いま膠着状態になってしまった状況に対して、政府が何か新しい進展を見せるための努力をなさるお気持ちがあるのかないのかという点を、まず伺いましょう。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに、こちら側は静かになっているわけでございますけれども、先方は逆にそうではないようでございますので、両者の関係からいいますと、まだ冷却されているとは申せない。  そこで、政府は三月の初旬に、先方に対してわれわれの考え方を示したわけでございますから、もし何かあるのならば、それは先方から提示せらるべきものであって、こちらからいまの段階で、進んで何かを言うべきときではないというふうに思っております。
  21. 横山利秋

    横山委員 業界の皆さんは、私どもがいろいろ質問しました結果、いま業界から何にも言うべきではないし、政府も、簡単に言いますと、いろんなことをやってもらいたくない、こういうお気持ちでありますが、あなたがお考えになりまして、業界の意見政府意見とは完全に一致しておるとお考えになりますか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いまの段階で、政府として何もすることがない、しないほうがという業界のお考えには、私は賛成であります。  ただ、業界のお考えと私ども考えとが違うと思われますことは、それは当然立場が違いますからあたりまえのことかと思いますが、私どもは、この問題を片づけずにいつまでも紛議が続いておって、しかも、アメリカが制限立法をやるというようなことになることは好ましくない。それも受けて立つのだというような御意向も、業界の一部にあるようでございますけれども、制限立法の内容によりますが、私は、そういうことはアメリカとして賢いことではないと思いますし、世界の自由貿易のためにもいいことでないと考えておりますから、そういう事態は、両国の政府の協力によってできるだけ回避すべきである、私はいまだにそう思っております。ただ、さりとて、いまの段階で日本側が何かを言うべきかといえば、私はその点は、いまわれわれが次の動きをする段階でない、こう思っておるわけでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  次の質問、簡潔に続けていきますけれども、最近国会で取り上げられましたアルゼンチン国鉄の問題であります。これは予算委員会でわが党の橋崎君が提起をいたしまして、この経過においてたいへん問題があるということを言いました。もちろん、これは外務省及び現地の大使館、あるいは民間商社、あるいは国鉄、あるいは政治家というふうに複雑な問題がございますが、私、総括的に考えてみまして、ある意味では画期的な契約になると考えています。通産省がこの問題についてどの程度援助し、あるいはタッチしてお見えになるか、まずそれが伺いたいのであります。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 正式には、通産省には何らの申請はないということに聞いておりますけれども、わがほうの現地の大使館も熱心に先方と接触をしております関係上、通産省としても当然情報ももらい、またそれについての技術的な考え方も、非公式には外務省を通じて申しておる。  そこで、いまの段階で、これは御承知のように三つの部分から成っておるわけでございますけれども、その最初の部分、すなわち従来の車両、電気機関車等を更新しなければならないという部分については、これは、条件がリーズナブルなものであれば考えてもいいのではないだろうか。そういう意味では、その部分については前向きに考えてもいいのではないかと考えておりますけれども、御承知のように、わが国としても、おのおのの国に対して年間どれくらいのクレジットを与えるのが限度であるかというような目分、腹づもりもございますが、全部のプロジェクト三つ分、これは一億八千万ドルでございましたか、ちょっと数字を持っておりませんけれども、それについての政府としての何かコミットメントをするということになると、これはなかなかむずかしい。まず最初の部分についてならば、条件いかんでございますけれども、前向きに考えてもいいのではないか、内々はそう思っておりますが、まだ正式には話が提出されていないということでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 本件について具体化をしてまいりましたときに、結局、総合的に外務省大蔵省通産省と三省が問題になると思うのでありますが、この種のものがかりに契約が成立をいたしまして、日本の国鉄の技術、鉄道の技術というものが、かく膨大な契約がアルゼンチンにおいて履行されますとすると、他の国に非常に波及をし、影響を及ぼすといいますか、さらに拡大していくという可能性があると思うのであります。  残念なことに、この種の画期的な契約の裏面において、楢崎君が質問いたしましたように、数々の疑惑が生ずるとするならば、これはたいへん残念きわまることだと思うのです。日本政府として、アルゼンチンの国鉄の幹部が五月に日本へいらっしゃるという話でありますが、この種の疑惑というものがどういうものであって、そして事実はどうなんだということを解明をしておく必要が、対アルゼンチンにおきましても、あるいは対日本におきましても必要なのではないか。こういう疑惑に包まれた大きな契約が、かりにそのために不成功に終わった場合と成功した場合と比べますと、輸出振興はもちろん、日本の技術の世界的な展開から考えますと、天地雲泥の相違があるように私は思うのであります。したがって、いわゆるこの疑惑というものについての解明を、政府はみずから進んでなさるお気持ちがないであろうか、こう思いますが、その点は、政治家としてどうお考えでございますか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 せんだっての他の委員会における楢崎委員の御発言は、私も承っておりましたが、承った限りでは、疑惑という表現が当たりますのかどうか、そこまでの印象は、つまりそれまでのことは、楢崎議員はおっしゃってはいらっしゃらなかったようで、いろいろ関連のありそうなことを幾つか御指摘にはなりましたが、結論的に、疑惑というようなふうには私は受け取りませんでした。  ただ、聞きますと、各国おのおの複雑な政情がございますから、アルゼンチンにもそういうことがあるということは、おのおのの国ございますから考えられますが、ことに国産化の問題というものがあって、そういう電気機関車あるいは車両の更新について、自分の国の産業も育成すべきではないかということは、これは私は当然だろうと思いますし、その問題をめぐって、アルゼンチンの国内でいろいろ議論があるということも事実のようでございますから、私どもは、経済協力という善意をもって両国の親善のためにこれをやりたいと考えております以上は、それが結果として逆になるということでありましたら、これは目的に沿うゆえんではございませんから、その国産化の問題あたりについての事情は、こちらが決断をいたします前によく調べておかなければならない、かように思います。
  27. 横山利秋

    横山委員 私は輸出振興につきまして、おそらく他の同僚委員もともども意見だと思いますが、国益意味において輸出振興をはかるという点においては、だれしも異存がないと思うのであります。ただ、その輸出振興をはかるために、正さなければならぬ問題が案外なおざりになっている。輸出振興の陰に、ずいぶんつまらない、あるいはむだな、あるいは疑惑に包まれた問題が、案外なおざりになっていることを考えているわけであります。  もう一つの問題点として、先般来やはり国会で同僚諸君が取り上げておりますのが、映画の輸出振興の問題であります。聞けば、四十一年から総計して九十億円もの財源が、輸出振興という名をもって税金から使用されている。しかし、その輸出映画というものに、それでは所期の目的どおりに支出されておるかどうか。実際かかった経費と、振興の名で融資をされた金額とのつり合いはどうかという問題になってまいりますと、実にずさんではないか、でたらめではないか。映画というものが斜陽産業であるから、もっとそれを輸出をして映画振興に役立てるという意味におきまして、目的は正しいにしましても、映画の輸出振興のあり方というものは、ずいぶんずさんなやり方ではないかという点が国会で指摘をされておりますが、この点について、大臣はどうお考えであり、どういうふうに調査をされましたか、伺いたいのであります。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは私、詳しいことは実は存じませんのでございますけれども、おそらく制度としては、一定の目的を持って発足をして今日に至った、これはもう間違いないと思いますが、いろいろ御指摘のような問題もあるのではないかという印象を持っておりますから、四十六年度の予算要求、予算編成作業をいたします前に、制度のあり方を少し私なりに再検討してみたい、こう思っておるわけであります。
  29. 横山利秋

    横山委員 指摘をされております二、三の点を参考のために申し上げますと、去年までは五社だけしか貸していなかった。日本映画の最近の状況を見ますと、全くエロ映画、あるいはグロ映画、あるいはまた猛獣というかゴジラ映画、この三種類に大別をされておる。まじめな映画をつくるのは、一般的にいえば、独立プロがわりあいにまじめな映画を常に企画し、推進をしておるわけです。ところが、エロやグロやゴジラは売れるけれども、まじめな映画は配給関係からいって採算が合わないということもあり得ます。ところが、この映画の輸出振興に対して貸される金は、五社以外には貸さなかったわけであります。その点がきわめて遺憾千万であり、一体どういうやり方でやっておるかということが一つの指摘である。承りますと、本年度からついに独立映画のほうもワクの中に入れるというお話があるそうでありますが、それが事実であるかどうか。  第二番目には、担保を提供しなければならぬ。しかし、担保余力のないものに貸しておる。これは輸出振興でありますから、私は、完ぺきに担保余力がなければ貸してはならぬというのも若干いかがかと思いますけれども、しかし、評価においてごまかしがあるのではないかという感じがするわけです。オーソドックスに評価がこのくらいであって貸すということになればよろしいが、評価にごまかしがあって貸しておるのではないか。インチキが行なわれておるのではないか。それからさらに、独立映画においては担保がないので、そういうものに貸さないということになれば、これは本質的にまたいかがなものであろうか、こういう問題がございます。  一般的に言いまして、映画が最近において非常に斜陽であるから、大蔵大臣は入場税を来年度から何とかしようではないか、こういう態度があるわけでありますが、この九十億の金を支出をするに際して、もう少し健全な、ほんとうの意味輸出振興という方向に目を向け、むだな金の支出はやめたらどうか、こう考えるわけであります。  たくさんの指摘をしたいのでありますが、その時間がございませんが、これらの点についてどうお考えでございますか。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま詳細なことを政府委員からお答え申し上げますが、その前に、一度考えられた制度というものが、いつまでたっても一〇〇%妥当であるということは、どんな制度についても言えないことでございますから、この制度につきまして御批判がございましたら、私は聞くべき御批判は十分に聞きまして、将来に向かっては再検討をしていきたい、こういう心組みでおりますことを申し上げまして、政府委員からお答えを申し上げます。
  31. 両角良彦

    ○両角政府委員 お答えを申し上げます。  最初に、映画の輸出振興金融が特定の五社に限られたのではないかという御指摘でございますが、これは、映画輸出振興のための金融措置をいたしまする際に、これら五社の代表の方々が集まられまして、日本映画輸出振興協会という組織をつくられましてこの輸出振興の推進に当たる、こういうたてまえで発足をいたしました経緯からいたしまして、従来は、五社の中の特定の三社に事実上融資が行なわれておったということはございます。しかしながら、御指摘のように、石原プロあるいは三船プロといったような、独立のプロダクションで十分な資産並びに常時の営業活動を続けておりまするような、そういうプロダクションに対しましては、これらの融資の対象として取り上げるという道を開いておる次第でございます。  それから、第二の御指摘の担保でございまするが、御承知のように、本件金融は興長銀から映画会社に行なわれる金融でございまして、そのような金融を決定いたしまする際には、興長銀の専門家が担保物件の評価につきましては十分これを検討いたしまして、適格性のある担保を徴しておる、かように私どもは解しております。  それから第三に、金融上むだな融資が行なわれているのではなかろうかという御指摘でございまするが、この映画の金融につきましては、審査委員会を専門家の方々でお願いをいたしまして、真に輸出の適格性がある作品であって、しかも、適正な製作費であるものを特に御選定を願っておる次第でございまして、またその選定に基づきまして、当省自身といたしましても、十分これを検討を加えまして推薦を行なっておる次第でございまして、今日までの融資経緯にかんがみまして、特別のむだな金融が行なわれたとは解しておらない次第でございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 大臣は十二時までというお話で、しかも同僚委員の質問がございますから、私の質問はこれで終了いたしますが、この輸出保険関連をいたしまして、さまざまな同僚委員からの質問がございましたし、希望もございました。  私の質問を要約すれば、本件に関連して、第一に、未承認国との輸銀の問題、あるいは入国の問題、それが第一であります。それから第二番目には、映画の輸出振興としての問題、第三番目は、アルゼンチン問題等につきまして問題を提起したわけでありますが、通産大臣としてこれらの問題について、直接所管のものとそうでないものとございますけれども、格段の努力をされるように要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  33. 八田貞義

    八田委員長 中村重光君。
  34. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの横山委員から質疑がなされました輸出映画の問題については、十日の一般質問の際に質問の通告をいたしておりますので、必要な資料を後刻要求をいたしたいと思います。したがいまして、御協力を願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 承知いたしました。
  36. 中村重光

    ○中村(重)委員 議題外でございますけれども、緊急な問題として通産大臣の見解を伺いますが、輸出金利の引き上げの問題であります。  御承知のとおりに、国際収支の好調、また国際金利が異常高という状況の中で、日銀がこれを背景にして輸出金利を引き上げるという態度を本日決定すると伝えられているわけであります。これに対しましては、まあ当然だというこれを支持する意見、あるいはまた、中小企業の貿易に重大な影響を及ぼすとしてこれに反対する意見等々あるわけであります。通産大臣としては、これに全面反対をされる意向なのか、あるいはまた、中小企業の貿易に影響を来たさせないということにおいて条件つき賛成をされる意向なのであるか、見解をひとつ伺ってみたいと思います。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 日銀当局の説明によりますと、わが国の外貨が急増を続けておりますが、そのことの背景に、中央銀行が特別の金融を輸出を奨励するためにやっておるということが、いろいろIMF等の国際経済社会で問題になっておって、いかにも輸出の急増が目につくので、この際全部とは言わないが、ある程度正常のほうに金利をしておかないと、外国に対して説明が非常にむずかしくなる、基本的にはそういうお話でございました。私も、それはある程度ごもっともなことであるというふうに考えております。しかし、それなりにまた他面の問題がございますから、私といたしましては、三つの希望を日銀総裁に申し出ております。  第一は、こういう改変というものは、一定の経過期間あるいは周知期間というようなものが必要であると考えるということ。第二に、中小金融について、輸出前貸し制度等々が、文字どおり、中小商社ばかりでなくメーカーまで届くように、しかも従来に比べて何らか若干の優遇が行なわれるように。第三に、問題が外貨準備の急増ということであるといたしますと、輸入について何らかの金融上の新しい方法が考えられないか。この三つのことを私の希望として申しております。事は金利でございますから、中央銀行の独立性から申しましても、日本銀行が判断することが筋でございますけれども、私ども関係ではございませんので、こういう希望を申し入れました。私の推測では、おそらくそれらの希望は日銀当局において十分考慮されるもの、こう考えております。
  38. 中村重光

    ○中村(重)委員 日本輸出金利が非常に低いということ、それから輸出貿易が非常に伸びている、またそのために日本の製品が外国市場にはんらんをしている、それらの点からとかくの批判があるということは、これは間違いのない事実であります。だがしかし、大臣いまお答えになりましたように、繊維その他中小企業の輸出に影響するところは非常に大きいと思うのでありますから、慎重に対処していただきたいということを要請をいたしておきます。  次に、輸出保険法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  改正点の第一が付保対象範囲の拡大の問題、第二点が担保危険の拡大、第三点がてん補要件の拡大、第四点がてん補率の引き上げということになっているわけですが、いまこの条件を拡大をしなければならぬという客観的な条件というものはどこにあるのか、端的にひとつお聞かせを願いたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国輸出を増大していく、あるいは海外経済協力を推し進めていくということは、いずれの観点から見ましても、わが国にとって大切でございますけれども、ことに、多少わが国の外貨に余裕が出てまいりましたので、平和国家としては、世界各国のいわゆる地域格差の問題をわれわれの努力で解消していくということが、大切な国の仕事であるというふうに考えます。しかし、そのリスクを全部企業が負うということは、これは無理なことでございますから、できる範囲で政府がリスクをカバーしてやりたい、従来以上にカバーしてやりたいという気持ちを、このたびの改正案にあらわしております。  なお、わが国だけの立場から考えますと、いわゆる経済の成長に伴って資源の確保というものが問題になってまいりますから、あわせてそのことにも資したいと考えております。
  40. 中村重光

    ○中村(重)委員 アジア・アフリカ諸国の国内情勢というのを、暴動であるとかいろいろなことが起こるケースが多いわけでありますが、それらの点を配慮したということになりますか。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういうことも確かに入っております。
  42. 中村重光

    ○中村(重)委員 そこで、この国際収支に関する要件を削除をしているわけですが、これはどうなんですか。国際収支が非常に好調であるからということでございますか。
  43. 後藤正記

    ○後藤政府委員 私からお答えいたします。  現行の海外投資保険制度におきましては、国際収支の改善に著しく寄与すると認められる海外投資に限って保険の対象にする、付保の対象にするということが法第十四条の二の二項できまっております。しかしこれは、海外投資保険が、元本保険、利益保険ともに発足をいたしました昭和三十一年当時の国際収支の状況というものは、非常に悪うございまして、現在におきましては、先ほど来御議論ございますように、外貨準備にもある程度余裕ができてきておる現状でございますので、したがって、今般の改正におきましては、国際収支要件をはずしたわけでございます。  結果的には、こういう国際収支要件というものを特に要件といたしますると、やはり出かせぎ的な投資を奨励するという点もございますので、国際収支が好調になり、外貨の蓄積がある程度たまってきた、こういう状況におきましてはこういう要件は省きたい、かような今般の改正案になっておる次第でございます。
  44. 中村重光

    ○中村(重)委員 確かに国際収支は好調ではありますが、将来ともに好調であるという見通しの上に立っているのかどうかという点と、それから、国際収支が非常に好調である、それに伴って日本の海外におけるところの経済進出というものは非常に活発になってきている。ところが、これに対するいろいろな批判もある。そこで、国際収支の要件というものをはずさなければ、日本国益という点からのみ経済進出をしておるのだというアジア諸国その他の警戒というものを配慮して、特にこれをはずしたということになりましょうか。確かにいま好調ではあります。しかし、将来ともに好調であるという見通しがなければ、もし悪くなったら、朝令暮改ということでまた入れなければならぬということになるわけですから、いまあるものを除くということについては、積極的な理由というものがなければならないと私は思う。その点はいかがでしょう。大臣、これはむしろ事務的な問題ではないのではないでしょうか。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おおよそ国際収支に寄与するということを、短期的に考えるか長期的に考えるかということであろうと思います。わが国の国際収支は、この程度余裕ができましたから、たとえいっときの流出があっても、それは長期的には国際収支に寄与するであろうと私は思います。わが国の経済の体質が、いまやいっときの資本流出というものに耐え得る、それがやがて将来の国際収支の改善に貢献する、そういうふうに考えられるようになったということであろうと思います。  今後のわが国の国際収支はどうかというお話でございますが、私の考えもしろうと考えの一つにすぎませんが、やはりわが国としては、貿易収支で相当黒字をかせいで、それを資本流出の形で出していく、投資していくというような姿になった。この姿は、まずまず先々変わらないであろうというふうに考えております。
  46. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係もありますから、議論はあまりいたしませんけれども、現にいまこの法律の要件の中に入っているのですよ。これをはずすということになってまいりますと、やはりそれだけの積極的な理由というものがなければならない。いま国際収支が好調であるからということだけで、これをはずすということはいかがなものであろうか。国際的な配慮というものがそこで働いてきた、日本に対する警戒心というものをなくしていく。、いま国際収支が好調であるし、将来ともに日本貿易は伸びるのだという認識が、政府にもありましょうし、諸外国だってそういう見方をしていると思うのです。したがって、国際収支を改善する、そのためにこういった制度が必要なのだということになってくると、そのことに対する国際的な批判というものも、制度の改革、拡張と相まって起こってくるだろうという感じはするわけですよ。それならば、それらしい提案の理由づけというものが明確にされなければならないのではないかと思うわけです。だから、これは事務的な問題ではないのだ、やはり政治的な判断ということになってはずされたものだというふうに、私なりに判断をしておったものですからお尋ねしているのですが、いかがでしょう。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこには中村委員の言われるような気持ちが確かにあると思います。先ほど政府委員が、いわゆる一時の金かせぎといった印象にとられたくないし、もうそういう必要もございませんと申し上げたのは、その気持ちと思います。  沿革的には、このような保険制度ができましたときには、わが国はともすれば貿易収支が赤字であって、それを長短期の資本流入で埋めておった姿でございましたが、いまやその姿は完全に変わりまして、貿易収支は黒で、ことに長期の資本流出をその黒字でまかなっていく、それによって経済協力もでき資源確保もできる、こういうことに体質的に確かに変化した。基本的に変化したし、この体質は見通し得る将来変わらないであろうと考えましたので、それで改正機会に、昔の体質から出ておりましたこのようなものの考え方は改めたほうがいい。なぜ改めたほうがいいかといえば、それが自然であるからでもありますけれども、これからのわが国の海外経済協力、海外投資の姿勢を示す、こういう意味合いであろうと思います。
  48. 中村重光

    ○中村(重)委員 そこで、それと関連をすることになってまいりますが、御承知のとおり、アジア諸国が日本にいままで抱いておったのはいわゆる畏敬の念であった。ところが最近、非常に恐怖の念に変わりつつあるのではないかと私は思うのです。その上、エコノミック・アニマルというような呼び方をして日本を非常に批判しておるということですが、この点に対しての大臣の見解と申しましょうか、見方はいかがでございますか。
  49. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まことに遺憾ながら私も同じような考えを持っております。したがって、よほどこれから気をつけてまいりませんと、ただいま言われましたような不幸な事態が生まれてくる。どうやってそれを防ぐかということを、よほど真剣に考えなければならないと思っております。
  50. 中村重光

    ○中村(重)委員 宮澤大臣としても、経済企画庁長官をしておられたし、また今度は通産大臣をおやりになっているので、こういった点がいけないのだ、こういう声が起こるのはここにあるのだという具体的なことに、十分考えを及ぼしていらっしゃるのではないかと考えます。横山委員その他同僚委員から指摘されたことでもあるわけですが、日本の経済協力のあり方、経済援助というけれども、実際は援助ではない、日本のみずからの利益のみを追求しているではないか、そういった批判は、私は当たっている点があるだろうと思う。そうした経済協力のあり方並びに進出した日本の企業の態度について、これまた強い批判があるわけですが、その点は、具体的な問題として大臣が改めなければならぬとお考えになっていらっしゃるのは、どういう点でございましょう。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、私も憂いを同じくしておりますので、私の考えでは、わが民族は他民族と共同の仕事をするという経験を過去に持っていないわけでございます。他方で、ともかくある程度ふところぐあいがあたたかくなったという経験も、過去において持っておりません。その二つの未知な経験をこれからしようとするのでありますから、よほど気をつけないと、これは失敗の危険があるということを常に考えておかなければならないと思います。  そこで両者とも、根本から申せば、結局、国民の心がまえ、教育ということになるのでありますが、教育はいっときにしてなるものでございません。したがって、わが国は、それこそ平和憲法のほんとうにこいねがうところ、戦争を起こさせないというためには、こういう経済協力こそ、南北間の格差をなくす、そして戦争のきざしという文のを芟除することに一番役立つのでありますから、このごとく、やや豊かになり、自分たちの生活にそう困らなくなったわれわれ民族のこれからの使命は、そういうことであるという教育を根本的にやっていかなければならないと私は思うのであります。  しかし、現在仕事に従事しておられる方々は、不幸にしてそういう時代に生まれたのではない、最近そういう時代に際会したというのにすぎませんから、ともすれば間違いを起こしやすい。そういう点を、国としてもまた関係商社あるいは業界におかれても、絶えず注意をしていただきたいということを、私は機会あるごとに実は申し上げておるところでございます。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 御承知のとおり、東南アジアの諸国に日本の企業がものすごい勢いで進出しているわけですね。ところが、日本人の体質というのか、強い競争心がある。その競争心というのが、結局利益を追求していくことになる。その利益の追求のために必要であるとするならば、契約を簡単に破棄したり、あるいは有利なものに乗りかえたりするということですね。そうした日本の企業の態度ということが、私は大きな問題であろうと思うのです。政府といたしましては、進出した企業に対してどのような指導と申しましょうか、要求といいますか、やっているわけでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 民族としての最初の経験でございますので、とかくいろいろ問題を起こしやすい。私どもとしては企業に対して、とにかく相手の国柄、相手の国民と文字どおり一緒になって協力をして、そうして長くそこにとどまるような、そういう気持ちで仕事をしてもらいたいということを申し上げているわけであります。しかし、これはことばではやさしいことでございますけれども、何ぶんにも民族として最初の経験でございますだけに、少し長い目で見れば、残念ながらこれは試行錯誤の結果そういう考え方が定着していく、こういうことにならざるを得ないだろう。しかし、なるべくならばそういう間違いをちょっとでもしないでもらいたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  54. 中村重光

    ○中村(重)委員 海外投資ということになってまいりますと、民間の直接投資はどうしても市場指向型、資源指向型、労働指向型という形になるわけですね。そこにやはりアジア各国というのは、みずからの国の経済発展に寄与してもらいたいという願望というのが、アメリカであるとかヨーロッパ諸国に対する期待と違って、お互い仲間だ、アジア人同士なんだという意識がありますから、そういうものが強いと思うのですよ。だから、欧米諸国の企業が進出をするとか、あるいは経済援助のあり方というのは、日本と同じようなことをやっておりましても、受け取り方は私は違ってくると思うのですね。それから、日本が非常に急速に戦後経済発展をしたということ、そういうねたみというものもありましょうか、いろいろ錯綜したものが感情となってあらわれてきておるであろうと私は思うのです。それと、松平委員から指摘されたことですが、日本の進出している企業というのが非常に過当競争の状態になって、それが非常にむだをやり、無理をやっているということですね。  ですから、今後の海外投資の許認可にあたっては、それぞれのこれに対する要件というものがあるわけですから、その要件というものを十分満たすような形ですね、そういうような態度をもって今後は臨むべきであると私は思いますが、いかがでございましょうか。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはもう非常にごもっともであると思います。競争ということは、フェアな競争であれば、それが経済を伸ばす、消費者のためにもいいわけでありますけれども、どの程度をもってフェアと考えるか、そのフェアネスの標準というのが国によって違うと思うのでございます。ですから、よほど商社にそれを気をつけてもらいたいと思いますし、また、海外投資の型によりましては、私ども場合によっては、ことに資源開発などはそうでございますけれども、共同で各社がやっていくというようなことも、これも指導すべきものだと思います。
  56. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的に法律案の中身でお尋ねをいたしますが、この損失てん補の条件というものがあるわけですが、戦争それから革命、内乱、暴動または騒乱ということになっていますが、これの判断基準と申しましょうか、戦争とか革命というものは大体わかりますけれども、暴動または騒乱ということになってまいりますと、どの程度が暴動でどの程度が騒乱なのか、判断基準というのが非常にむずかしかろうと思いますが、この点はどのような判断基準を持っていらっしゃいますか。
  57. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  仰せのとおり、どの程度が暴動でありどの程度が騒乱であるか、どこまでいくと内乱になるかというその辺の限界は、非常に区別がつきにくいというように考えております。普通常識的に考えまして、損害と申します場合には、工場施設の破壊等の直接的損害のみでなしに、軍隊やあるいは暴徒が工場を占拠することによって操業不能が起こったり、あるいは工場地帯が戦乱化いたしまして工員が使用不能になった、あるいはまた交通機関が長期途絶いたしまして原材料、製品等の輸送不能という状態が起こった、こういう直接、間接の損害を含むものと考えております。それからまた、戦争が被投資者の所在する地域に行なわれる場合だけでなしに、隣接した地域における戦争あるいは隣国の戦争によって、港湾がたとえば封鎖される、あらゆる方途を講じてもその原材料の確保等ができなくなった、かような場合を想定し、かように解釈いたしておるわけでございます。  しかし、以上申し上げましたことは、戦争等による損害であることがやはり常識的に明確に立証されることが必要である、かように解釈いたしております。
  58. 中村重光

    ○中村(重)委員 従来、内乱とか暴動とか騒乱というものがあったわけですが、いままで、いわゆる判断基準の点で問題になったことはありませんか。
  59. 後藤正記

    ○後藤政府委員 特に従来の例ではございません。
  60. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ、うまく物議をかもさないでやっているということになるのでしょうが、あまりこういうことがあってはよくないことで、好ましいことでは実はないわけです。また、これは国内の問題じゃなくて国外で起こった問題でがちゃがちゃやりますと、あまり名誉でもありません。慎重にこの点は配慮してもらわなければいけない、こう思います。  そこで、進出した企業の責任において暴動とか騒乱が起こるということもあり得ると私は思うのですよ。先ほど来、進出した日本企業のあり方の問題で、具体的な問題として、これが有利になるといったら契約を破棄するとか、あるいは有利なものに乗りかえていくとか、あるいは労働者に対する首切りとか、労働条件というようなものを低下させていくとか、いろんなことをもうかるためにやりかねないだろうと思うのですよ。そういうことから端を発して、暴動という形に発展をしてくるということだって私はあり得ると思います。そういった企業責任において起こった事件というものは、どのように扱っていらっしゃいますか。
  61. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  労働者を解雇したことが原因で騒ぎが起こり暴動にまで波及した、それによって損害を受けた場合にはどうなるか、こういうことでございますが、当該事由の発生が、投資企業側の故意または過失による場合には、これはちょっと責任は負いかねる、かように考えます。  したがいまして、これが故意または過失によって、その企業が直接にそういうことを内々意図しながらそういう者を解雇して、さてそれがだんだん波及して騒ぎになり、暴動にまでなっていったというような事態は、これは責任を負いかねますので、その点は、個々の約款におきましてでき得る限り具体的にきめてまいりたい、かように考えております。
  62. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたのお答えですが、どうもはっきりしないわけですね。そのこと自体に、故意とは何ぞや、過失とは何かという問題だって起こってくるだろう。そんなことをずっとせんじ詰めていっても、なかなか答えというものは出にくいだろうと思うのです。人間がやることですからね。ところが私は、通産省だけの判断であり解釈であってはならぬと思う。内乱であるとかあるいは暴動であるとか、騒乱だってそうだろうし、これにいま申し上げた企業の責任というものだってどうなのかということは、私は政府自体の統一見解というものがなければいけないと思います。  そこで、いままで、外務省であるとか大蔵省とか、これらの問題について検討をした結論というものがあるのかどうか。いまあなたがお答えになったのは、そうしたいわゆる政府のはっきりした態度と受け取ってよろしいのかどうか。
  63. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 問題が二つあるわけでございますね。つまり具体的な事態を、暴動、騒乱等々どのように判断をして保険をとるかとらないか、これはまあ型としてきめるということは実際むずかしゅうございますから、具体的にその場できめていかなければならないと思いますが、これはもう従来からそうでございますが、外務当局等とは、当然その具体的な時点、時点で相談をいたしてまいります。  それから、もう一つの御質問は、たとえば解雇が騒乱の原因になることがあり得るだろう。それは私はあり得ると思うのでございますが、結局、その企業の故意または過失というものをどの程度約款で書けるかということになりましたら、これはやはり相当因果関係というところで考えていくしか方法がないのではないか、そういうふうな約款の書き方をすべきではないかと思います。
  64. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、この海外投資保険の対象となっていないものがあるわけですね。これは同僚委員からも質問があったように記憶しますが、融資買鉱における貸し付け金、それからいま一つは債務保証の形態をとる海外投資、このことに対する措置はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  65. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  まず第一の融資買鉱の場合でございまするが、海外資源の確保手段としては、政策的には、資本参加を伴う自主開発方式が一番望ましいわけでございまして、かような自主開発につきましては、今般の改正案によりまして海外投資保険の対象になり得るわけでございます。  そこで、資本参加を伴わない、先ほどお尋ね融資買鉱等の開発融資につきましては、この保険の対象には今回取り入れておりませんが、これにつきましては、別途、金属鉱物探鉱促進事業団とかあるいは石油開発公団等の債務保証制度等を活用してまいる余地があると存じます。しかしながら、この点につきましては、今後さらに検討をいたしたいと存じます。  それから、第二の債務保証の場合でございますが、改正後の海外投資保険におきましても、この債務保証というのは対象といたしておりません。特に、そういう需要がいままでもございませんでしたし、将来ともそういうものは起こる可能性は非常に少ない、かように考えたわけでございます。しかしながら、債務保証を付保の対象にするかどうかにつきましては、さらに実態面を十分に調査をいたしまして再検討の対象といたしたい、かように考えております。
  66. 中村重光

    ○中村(重)委員 お答えのように、自主開発が好ましいということは私も異論はないのですよ。しかし現実問題として、この融資買鉱というものがウエートを占めているわけですね。ですからこのことを無視してはならないと私は思うのです。  それから債務保証の問題も、そういうことはいままでないのだとおっしゃいますけれども、実際は、この債務保証というものはやらなければならない。これからますます増加してくるであろうと私は思うんですね。そのことに耳をおおうてはならないと私は思いますよ。  それと、いまあなたがお答えの中で、公団法とか事業団法ということを引用なさいましたが、この公団法とか事業団法というのは、探鉱資金とか開発資金にかわるものに保証をするものであって、融資買鉱はその対象になっていないと私は思う。ですから、探鉱資金、開発資金、これがいま申し上げたように、公団法、金属事業団法の要件になっているわけですから、やはり融資買鉱をどうするかということを、的確にここで明らかにしていただいておかなければ、現実に相当なウエートを占めているものが置き去りにされていくということであってはならない。やはり今回のような法律改正の際に、そういうものを残しておいてはならぬと私は思いますよ。
  67. 後藤正記

    ○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、これにつきましては、金属鉱物探鉱促進事業団あるいは石油開発公団等の債務保証方式による、こういう方式があるわけでございますが、保険制度といたしましても、現状にかんがみまして、今後前向きの姿勢で検討をいたしていきたい。重ねてお答えをいたします。
  68. 中村重光

    ○中村(重)委員 前向きの姿勢で検討するということになれば、どういう扱いがありますか。また法律を改正しなければならぬということになってくるのじゃないですか。行政措置で何かできますか、どうですか。
  69. 林信太郎

    ○林説明員 私からお答え申し上げます。  現在の資源の調達につきましては、ただいま中村先生から御指摘のとおり、すぐには自主開発というような好ましい形にまいらない状況でございます。相当量融資買鉱という形に依存しております。したがいまして、そういう実態に担保力の弱い日本の鉱山企業が十分対応し得るように、金属鉱物探鉱促進事業団の中の債務保証という業務がございます。これを本年度画期的に拡充いたしました。これで、現在私どものほうにあがってきております案件につきまして、市中銀行の融資を受けて行ないます融資買鉱は、十分カバーできるような形になっております。ちなみに、担保の限度も従来よりはずっと引き上げまして、基金の十五倍までその債務保証を引き受けるというふうな形になっております。  以上でございます。
  70. 中村重光

    ○中村(重)委員 融資の道はあるとしても、私はいわゆる損失が起こった場合の保険という問題で言っているわけですから、いまあなたがおっしゃるように、かりに百歩譲ってその対象になるといたしましても、やはり公団であるとか事業団の求償権に対応する債務というものは、残ってくることになりはしませんか。
  71. 林信太郎

    ○林説明員 ただいまの御指摘の点は、先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、財政を基金にいたしまして、企業が海外で活動する場合に、一応そういう形で担保します。求償権は、御指摘のように最後まで残るわけでございますが、これは税金を原資といたしましてそういう企業活動を支援するという立場と、借りた金に対して責任をとっていくという企業責任の立場の接点、調整点というふうな形になっておりまして、これは、単に金属鉱物探鉱促進事業団の債務保証の場合に限らず、一般にそういうパターンになっておるように感じております。
  72. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、いまの答弁、またそういう扱いでは不十分だと思うのです。何回も申し上げるように、現実に融資買鉱というものが相当なウエートを占めてきているのだ。それが、戦争しか革命とか内乱とか、暴動、騒乱が起こったその被害をこうむることは同じなんです。債務保証も申し上げたとおりなんです。それならば、ただ事業運営に援助をしていくということではなくて、その損失をやはり保証する、担保するという方法が当然考えられなければならない。求償権に対穴するところの債務が残るということでは、いま言う損失を担保するという形にはならない。そこが私は、問題である、今回の改正案の不備な点であると思うわけです。  しかしながら、これを改めていく、いわゆる前向きで考えていくということでございますが、前向きで何か政府の行政措置、まあ政令か何かで下さればけっこうなんですが、これはなかなかむずかしいであろうと思います。しかし、これは放置してはならない。これをどうするかという問題を具体的に政府は検討して措置しなければいかぬと思いますが、この際大臣お答えを伺っておきたいと思います。
  73. 八田貞義

    八田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  74. 八田貞義

    八田委員長 速記を始めて。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの中村委員の御指摘の二点は、両方ともきわめてごもっともなことでございまして、そのような体制に応ずるとすれば、これは将来法律のたてまえを変更する必要があると思います。  そこで、ただいままでのところ実態につきましても十分の調査も行き届いておりませんので、将来そのような二点について、現実にきわめて必要だという事態になりましたら、その際にまたあらためて御審議をちょうだいしたいと存じます。
  76. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣の提案理由の説明にもありますように、海外投資と海外保険というものは不可分の関係に実はあるわけです。先ほど来私は、経済協力のあり方ということに対しましても、進出企業の態度という問題に対しましても、いろいろ指摘をいたしましたが、大臣も同感の意を表明され、積極的に改善をする意向を明らかにされました。何と申しましょうか、脱アジアということではなくて、アジアの先進国としての責任を果たしていくという態度で積極的に対処していただきたいということを私は強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  77. 八田貞義

    八田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  78. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 八田貞義

    八田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  81. 八田貞義

    八田委員長 次に、内閣提出輸出中小企業製品統一商標法案及び下請中小企業振興法案の両案を議題とし、順次政府より提案理由の説明を聴取いたします。宮澤通産大臣。     —————————————
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 輸出中小企業製品統一商標法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国の繊維工業品、雑貨工業品等の中小企業製品の輸出は、国内にあっては人手不足に起因する生産コストの上昇により、また、海外にあっては発展途上国の工業化に伴う激しい追い上げを受けて、近年伸び悩みの傾向にあり、これらの生産にかかわる中小企業にとって大きな問題となっております。  このような情勢に対処してわが国の中小企業製品の輸出振興をはかるためには、発展途上国の製品と峻別し得る先進工業国にふさわしい優良高級品を、その品質に相応した価格で輸出し得る体制を確立することが必要であります。  しかしながら、従来、わが国の中小企業製品は、ややもすれば仕向け国の輸入業者の主導権のもとに輸出されてきたために、わが国製品独自の商標をもってする市場開拓に欠けるところがあったのであります。  本法案は、このようなわが国中小企業製品につきまして、特に品質のすぐれたものを対象として、中小企業が結束して統一商標を定め、これを海外に普及せしめることにより、わが国の中小企業製品の優良高級品としての声価を確立し、輸出振興と中小企業の振興をはかることを目的としております。  次に、法律案の要旨を御説明いたします。  まず第一に、生産を行なう事業者の大部分が中小企業者である貨物のうち、海外市場における声価の向上をはかるには、品質の向上と商標の適切な使用とが特に必要である貨物を特定貨物として政令で指定いたします。そしてこの特定貨物の生産を行なう者を構成員とする商工組合等の中小企業団体は、統一商標を付する特定貨物の品質の基準、特定貨物の品質の検査を行なう機関、統一商標の使用及び管理の方法等を内容とする統一商標規程を作成し、主務大臣の認定を受けることができることといたします。  第二に、統一商標を付した特定貨物は、検査機関により統一商標規程に定められた品質の基準に合格した旨の表示を付されたものでなければ輸出してはならないこととし、これを輸出通関に際して税関において確認することといたします。  第三に、以上のほか、主務大臣が統一商標規程を認定した場合にその要旨を公示すること、認定の取り消し、輸出制限の適用除外、罰則等について所要の規定を設けることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、下請中小企業振興法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  下請中小企業は、わが国産業に広範に存在し、わが国経済の重要なにない手として、その発展をささえてきており、今後とも、わが国産業の高度化の進展に伴い、その役割りはますます増大するものと見込まれております。  しかしながら、下請中小企業は、受注の不安定、体質改善のおくれ等多くの問題をかかえており、さらには深刻な労働力不足、親事業者からの合理化要請の強化等きびしい環境に直面しております。  このような情勢に対処して、下請中小企業が自主的にその事業を運営し、かつ、その能力を効果的に発揮することができるようにすることは、わが国経済のバランスのとれた発展を確保する上からもきわめて重要な課題となっております。  本法案は、このような観点から、下請中小企業の実態に即して効率的に近代化の促進をはかるとともに、下請取引のあっせん等を推進することにより、下請中小企業の振興をはかろうとするものであります。  すなわち、第一に、下請中小企業の振興に関し、下請中小企業者及び親事業者のよるべき振興基準を定めるとともに、これに基づき必要な指導、助言を行なうことといたしております。  第二に、国民経済上特に近代化を促進する必要がある下請中小企業について、特別の近代化制度を創設することといたしております。すなわち、下請中小企業者が組織する事業協同組合及びその親事業者が、親事業者の発注分野の明確化、下請中小企業者の設備の近代化、技術の向上、事業の共同化等を内容とする振興事業計画を作成して、政府承認を受けることができることとしております。政府は、承認した計画の実施を促進するため、金融上、税制上の助成措置を講ずることといたしております。  第三に、下請取引のあっせん、下請取引に関する苦情相談等の業務を行なう下請企業振興協会に対して、その業務の公正的確かつ広域的運営を確保するため必要な指導、助言を行なうこととしております。  これが、この法案の提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  83. 八田貞義

    八田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。  この際、横山利秋君から発言を求められております。これを許します。横山利秋君。
  84. 横山利秋

    横山委員 両法案につきまして、資料の要求をしたいと思います。めんどうなことで恐縮でありますが、政府側で善処されますようお願いします。  第一の資料は、各省がコンピューターをいままで設置をしておる状況、その予算、その使用目的、これが第一の資料要求。  第二番目には、本年度予算で、コンピューターをはじめこの法案に関係のある各省の項目及びその金額。  第三番目は、各省の今後の計画。  第四番目は、情報政策についての各省の所管、これは単に協会とか、そういうことばかりでなくて、今後、文部省なら文部省、あるいは通産省なら通産省、各省ごとに、この種の政策展開について、どんなことが各省のそれぞれの所管に該当するかという表。  その次は、郵政審議会のこの問題に関しての答申を、余分がありましたらわれわれに配付をしてもらいたい。  それから、この間技術者の試験を通産省でなさったそうですが、これはもう公表されているから差しつかえないと思いますから、その試験問題を私どもに配付をしてほしいと思います。  以上です。
  85. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 できます限り各省の協力を得まして、御希望に沿うように努力いたします。
  86. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十三分散会