運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1969-03-25 第61回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十五日(火曜日)    午前十一時五分開会     —————————————    委員異動  三月二十日     辞任         補欠選任      櫻井 志郎君     木島 義夫君  三月二十二日     辞任         補欠選任      木島 義夫君     櫻井 志郎君  三月二十四日     辞任         補欠選任      上林繁次郎君     沢田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         任田 新治君     理 事                 園田 清充君                 宮崎 正雄君                 中村 波男君                 矢山 有作君                 藤原 房雄君     委 員                 亀井 善彰君                 河口 陽一君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 田口長治郎君                 高橋雄之助君                 森 八三一君                 和田 鶴一君                 杉原 一雄君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 沢田  実君                 向井 長年君                 河田 賢治君    国務大臣        農 林 大 臣  長谷川四郎君    政府委員        農林大臣官房長  大和田啓気君        農林省蚕糸園芸        局長       小暮 光美君        水産庁長官    森本  修君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画変更について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 任田新治

    委員長任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨二十四日、上林繁次郎君が委員辞任され、その補欠として沢田実君が選任されました。     —————————————
  3. 任田新治

    委員長任田新治君) 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。長谷川農林大臣
  4. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  生糸需要は、今後長期的に見て、国民所得上昇に伴い国内及び海外において増加する見通しであり、こうした需要長期的見通しに即応して養蚕振興をはかってまいることが、ますます緊要と考えられるところであります。  これがため、繭及び生糸価格を安定させることにより、蚕糸業経営の安定と生糸輸出の増進をはかることが強く要請されるのであります。  繭及び生糸価格の安定につきましては、これまで、その価格異常変動防止に関しては、昭和二十六年度以降国が繭糸価格安定法に基づき、糸価安定特別会計を通じて生糸買い入れ及び売り渡し等業務実施してきたのであります。さらに、昭和四十一年に民間と政府との共同出資によって日本蚕糸事業団を設立し、異常変動防止のための価格安定帯範囲内でのいわゆる中間安定をはかるため、生糸買い入れ及び売り渡し等業務実施してきたのであります。  これらの国及び日本蚕糸事業団が分担実施してきた業務は、いずれも繭及び生糸価格の安定を目的とした業務であることにかんがみ、行政簡素化趣旨にも照らし、これらの業務日本蚕糸事業団に一元的に行なわせることによって、繭及び生糸価格安定機構簡素化及び合理化をはかることが必要であると考え、今回この法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、従来国が糸価安定特別会計によって行なってきた繭及び生糸価格異常変動防止に関する業務を、日本蚕糸事業団に行なわせようとすることであります。  この異常変動防止に関する業務日本蚕糸事業団への承継に伴い、政府から事業団に三十億円を追加出資するとともに、この業務にかかわる事業団債務について、政府債務保証をすることができるようにすることであります。  第二は、従来日本蚕糸事業団が行なってきた繭及び生糸価格の中間安定をはかるための生糸買い入れ及び売り渡し等業務については、従来どおり事業団に行なわせようとすることであります。  第三は、日本蚕糸事業団が繭及び生糸価格異常変動防止に関する業務と中間安定に関する業務を一元的に実施することに伴い、事業団組織財務会計等に関する諸規定を、繭糸価格安定法規定しようとすることであります。  財務及び会計については、この異常変動防止に関する業務にかかわる経理と中間安定に関する業務にかかわる経理とを、それぞれ勘定を設けて整理することとし、異常変動防止勘定において、政府からの追加出資三十億円を経理するとともに、その債務につき政府債務保証することができるようにすることであります。  その他、従来日本蚕糸事業団が行なってきた輸出用生糸買い入れ及び売り渡し等業務につきましては、従来どおり事業団実施できるようにすることであります。  なお、外国生糸価格低落等により生糸輸入が増加したため、わが国蚕糸業経営の安定に重大な支障を及ぼし、または及ぼすおそれがある場合において、必要があるときは、政府は、生糸輸入に関し、必要な措置を講ずるものとすることであります。  以上が、この法律案提案理由と主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 任田新治

    委員長任田新治君) 次に、補足説明及び関係資料説明を聴取いたします。小暮蚕糸園芸局長
  6. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、繭及び生糸価格異常変動防止に関する措置改善したことであります。  その第一点は、現行法におきましては申し込みに応じて、予算の範囲内において最低価格生糸買い入れ、その買い入れ生糸最高価格で売り渡すこととなっておりますが、売り渡すべき生糸数量が、買い入れる旨の申し込み数量に比べて少量である場合には、申し込みによる最高価格での建て値売り渡しは、売り渡しの相手方の選定に困難が生じることが考えられますところから一般競争入札その他の方法で売り渡すことといたしております。この売り渡し方法改正に伴い、最高価格名称安定上位価格と改め、売り渡し標準とするとともに、あわせて最低価格名称安定下位価格変更することとしております。  第二点は、安定下位価格買い入れることのできる生糸国内において製造された生糸に限ることとしたことであります。昭和二十六年に現行法が制定されました当時は、国内輸入生糸が流入することは全く想定されなかったところから特に買い入れ生糸について国内産に限定する必要はなかったのでありますが、昭和三十八年以降の生糸輸入増加傾向に対処し、一定の財源をもって国内蚕糸業経営の安定に資するためには、買い入れることのできる生糸国内産のものに限ることが必要となってきたのであります。  また、外国産の生糸価格低落その他予想されなかった事情変化により輸入が増加したため、国内生糸需給が著しく均衡を失し、わが国蚕糸業経営の安定に重大な支障を及ぼし、または及ぼすおそれがある場合において、必要があるときは、政府生糸輸入に関し、当該事態を克服するため相当と認められる措置を講ずることとしております。  第二は、繭及び生糸価格の中間安定に関する措置についての改善であります。  従来、繭及び生糸価格の中間安定のための生糸買い入れ、売り戻し及び売り渡し、委託による乾繭の売り渡し等業務に関する諸規定は、日本蚕糸事業団法第三章に規定されておりますが、それらについては次の二点の変更を除いては、同内容規定繭糸価格安定法第三章の繭及び生糸価格の中間安定に関する措置として加えることとしております。  変更の第一点は、事業団が定めることになっている買い入れ価格及び標準売り渡し価格名称中間買い入れ価格及び標準中間売り渡し価格変更することといたしております。これは、これまで国が行なっていた繭及び生糸価格異常変動防止に関する業務事業団が行なうこととしたことに伴い、中間安定の業務にかかわる生糸の売買についての価格名を明確にするためであります。  変更の第二点は、中間買い入れ価格買い入れることができる生糸を、日本蚕糸事業団に対して出資した製糸業者国内において製造した生糸に限ることとしていることであります。これは、最近における輸入生糸増加傾向に対処するためのものであり、安定下位価格買い入れ生糸国内産生糸に限ったのと同じ理由によるものであります。  第三は、日本蚕糸事業団組織役員財務会計等に関する諸規定整備であります。  従来、日本蚕糸事業団組織役員財務会計に関する諸規定は、日本蚕糸事業団法第一章総則、第二章役員等及び第四章財務及び会計規定されておりましたが、今回の改正によって、総則及び役員等規定は、改正後の繭糸価格安定法第四章第一節総則及び第二節役員等に同一内容として加えられることになっております。また、財務及び会計については次に述べます四点の改正を行なおうとするものであります。  その第一点は、事業団経理を区分して二つの異なる勘定を設け整理することとしていることであります。これは、従来国が行なってきました異常変動防止に関する業務事業団に追加することによって、その業務について、従来日本蚕糸事業団が行なってきた中間安定の業務経理内容を区分して、それぞれの業務ごと財務の状態と経営の成果を明確に把握するために異なる勘定を設けて整理することが必要となってきたことによります。  第二点は、糸価安定特別会計廃止に伴い、政府から事業団に対して三十億円を追加出資することとしていることであります。  第三点は、事業団業務の円滑な実施を確保するために異なる勘定間において相互に繰り越し欠損金を補てんするために積み立て金を減額して整理することとしていることであります。  第四点は、異常変動防止に関する業務にかかわる事業団債務について政府が保証することができることとしている点であります。これは、従来糸価安定特別会計では資金運用部資金借り入れ等方法により業務に必要な資金を調達することができたのでありますが、事業団にあってはその必要とする資金は、農林中央金庫その他の金融機関からの借り入れによってまかなうこととなるため、事業団信用力強化、補強の観点から政府による債務保証制度を新設しようとするものであります。  第四は、これまで日本蚕糸事業団法附則第十四条の二の規定に基づき行なってまいりました輸出用生糸買い入れ及び売り渡し業務については、繭糸価格安定法附則に同様の規定を設け、引き続き日本蚕糸事業団において実施できることとしております。  以上の改正のほか、本法の附則において、従来繭糸価格安定法に基づいて行なった生糸買い入れ及び売り渡し、繭の買い入れ及び売り渡し並びに繭の価格の維持のための助成に関して国が有しております権利及び義務は原則として事業団承継するとともに、その承継のときにおける糸価安定特別会計の資産の価額から負債の価額を控除した残額に相当する金額のうち三十億円は、政府から事業団に出資されるものとすることとしております。  また、糸価安定特別会計法及び日本蚕糸事業団法廃止に伴い必要とされる所要の経過規定を設けることとしております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明といたします。  なお、お手元繭糸価格安定法の一部を改正する法律案参考資料をお配りいたしておりますので、これにつき簡単に御説明申し上げます。  まず、一ページのグラフでございますが、蚕糸業概況といたしまして生糸生産量、それから純内需量輸出量輸入量、並びに生糸価格をそれぞれのグラフに出しております。右のほうにまいりまして四十二年のところから、ごらんいただきましておわかりいただけますように、内需量生産量を若干オーバーいたしました。しかし四十三年に再び生産量のほうが内需量よりも多くなったということでございます。その間、四十一年から四十二年にかけましてかなり糸価が高騰いたしましたが、最近糸価がまた低落傾向になっております。これを反映いたしまして、一番右の下にございますが、四十二年には生糸輸出輸入が逆転いたしておりますが、四十三年にはまた輸入量よりも輸出量のほうが多いというような形になっております。ただし、この輸出は織物を含むということです。  それから二ページに、累年繭生産量あるいは生糸需給を一表にしてございます。一番左の下、四十三年の繭生産量十二万一千十四トンというのが戦後最高生産量でございます。  それから三ページにまいりまして、養蚕業推移、そして養蚕農家戸数桑園面積等を摘記いたしております。四十三年で養蚕農家戸数は四十五万五千戸、桑園面積十六万二千ヘクタールでございます。  四ページは、一戸当たり桑園面積、掃き立て卵量収雨量について摘記してございますが、四ページの一番右の欄をごらんいただきますと、上繭一キロ当たり労働時間が昭和三十年が七・五時間でございますが、四十二年に三・九時間ということで、ほぼ半減いたしております。  五ページは省略させていただきます。県別蚕繭数字でございます。  六ページに、稚蚕共同飼育普及状況というのを掲げております。  それから七ページに、年間条桑育および屋外条桑育普及状況——省力飼育普及状況という趣旨でこれを掲げてございます。  それから八ページに、繭の粗収益および労働報酬をその他の農産物との比較で一表にいたしてございます。  それから九ページに、繭の価格について三十年以降の推移を掲げてございます。  一〇ページに、製糸業概況ということで、器械製糸国用製糸玉糸製糸の別にそれぞれ業界の工場数概況を示してございます。  その次のページに、近年の生糸価格推移グラフで掲げてございます。先ほど申し上げましたように、四十一年から四十二年にかけましてかなり急激な価格上昇を見ておりますが、四十三年の半ばから価格低落いたして今日に至っております。  それから一二ページに、生糸需給につきまして累年数字とごく最近の月別を掲げております。先ほど申しましたように、戦後最高収繭量でございました四十三年は生糸生産量も三十四万五千九百俵で、かなり供給力が豊かになっておるということでございます。  それから一三ページに、生糸輸出について掲げてございますが、一番左の欄をごらんいただきますと、四十一年が九千五十五俵、四十二年三千六百三十八俵、四十三年九千四百八十八俵になっておりますが、やはり国内価格が非常に上がりましたときには急激に輸出が減りましたけれども、国内価格が下がりましたのを反映して四十二年から四十三年にかけては約三倍に生糸輸出がまたふえております。  それから一四ページ、一五ページには各国の繭の生産量生糸生産量を御参考までに掲げてございます。  それから一六ページに、これまで繭糸価格安定制度で定めてまいりましたそれぞれの行政価格が一表にいたしてございます。現在、一番下の右の欄をごらんいただきますと、基準糸価六千百円、それから事業団による生糸買い入れ価格五千九百円、売り渡し価格六千七百円ということでございます。  それから最後の一七ページに、昨年十一月に公表いたしました「農産物需要生産長期見通し」から、繭の生産生糸需要見通しについて摘記いたしてございます。  以上でございます。
  7. 任田新治

    委員長任田新治君) 本日は、本案に対する提案説明補足説明及び関係資料説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  8. 任田新治

    委員長任田新治君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。長谷川農林大臣
  9. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 漁港整備計画変更について承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び主要な内容について御説明申し上げます。  わが国水産業は、国民食糧特に動物性たん白質供給部門として、国民経済上重要な役割りを果たしていることにかんがみ、今後一そうその積極的な振興をはかることが必要であります。このためには、まず漁業根拠地である漁港を、漁業動向に即応して全国にわたり計画的に整備拡充することがきわめて必要でありまして、この趣旨から、漁港法に基づきまして政府漁港整備計画を立て、国会承認を受けて漁港施設整備をはかってまいったのであります。  現行漁港整備計画は、昭和三十八年第四十三回国会において承認を受けたものでありまして、当時の漁業情勢基礎とし、これに将来の漁業動向を勘案して定められたものでありますが、最近における漁業情勢その他経済事情の著しい変化に伴い、このたびこの計画を実情に即するよう全面的に変更することといたしたのであります。  次に、本計画の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  今回の漁港整備計画は、漁業漁港施設の現状を基礎とし、将来における漁業動向漁船勢力及び漁業生産の増大、流通機構改善漁村地域社会基盤強化観点から、漁港整備を効果的に行なうこととし、遠洋及び沖合漁業根拠地として重要な漁港沿岸漁業振興上重要な漁港並びに漁場の開発、または漁船の避難上特に必要な漁港について、その整備をはかることとしております。  整備漁港選定にあたりましては、漁業振興上重要であり、かつ、漁港施設不足度の高いもの及び経済効果の多いもので、緊急整備の必要があるものを採択することとし、三百七十港の漁港について、昭和四十四年度以降五年間に、それぞれの漁港に適応した外郭施設系留施設水域施設輸送施設及び漁港施設用地整備することとしております。  以上申し上げました漁港整備計画変更につきまして、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、その答申を得ましたので、国会承認を求めるため本件を提案した次第であります。  以上が、本件を提案する理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  10. 任田新治

    委員長任田新治君) 次に、補足説明及び関係資料説明を聴取いたします。森本水産庁長官
  11. 森本修

    政府委員森本修君) 漁港整備計画変更について承認を求めるの件の提案理由につきまして補足して御説明を申し上げます。  まず、現行漁港整備計画実施状況から申しますと、その総事業費一千億円のうち実施済みが約六百三十二億円で、その進捗率は約六三%となっております。  次に、今回承認をお願いいたしております変更整備計画に基づきまして緊急に整備を必要とする漁港三百七十港の漁港種類別内訳を申し上げますと、第一種漁港が八十三港、第二種漁港が百四十四港、第三種漁港が七十五港、特定三種漁港が十一港、第四種漁港が五十七港となっておりまして、これらの漁港昭和四十四年度以降五年間に総事業費千五百億円をもって整備することといたしております。  また、現行整備計画に定められております整備漁港と今回の変更整備計画に定められております整備漁港との関連を申し上げますと、現行整備計画から引き続き変更整備計画に取り入れようとするものは二百七十二港でありまして、今回の変更整備計画におきまして新規に採択しようとするものは九十八港となっております。  なお、現行整備計画整備漁港のうち今回の変更整備計画整備漁港とされていない百八港につきましては、このうち現在整備を必要としない十三港を除いた九十五港は別途改修事業または局部改良事業により整備することといたしております。  また、現行漁港整備計画整備漁港以外のもので、今回の漁港整備計画変更に際して新たに加えるよう要望のあったもののうち、この整備計画に採択されなかったものについても、整備を必要とする漁港は、同様に改修事業または局部改良事業により整備することといたしております。  以上をもちまして漁港整備計画変更について承認を求めるの件の提案理由補足説明を終わります。  お手元にお配りしております関係資料の要点を御説明申し上げます。横刷りで横に長くなってる分でございます。  第二ページは、都道府県別漁港種類別港数調べであります。県別は省略をいたしまして、右の下の欄をごらんいただきますと、全国の指定を受けました漁港は二千七百七十五港にのぼります。その種類別は、ここにありますように、第一種漁港が二千百二十八、第二種は四百六十六、第三種が九十三、特定三種が十一、第四種漁港が七十七ということでございます。  それから三ページへまいりまして、第三次漁港整備計画実施状況でございますが、一番上の欄は、事業費として一千億、国費が六百七十九億というのが計画内容でございましたが、四十三年度までに支出をいたしましたのは、事業費で六百三十二億、六三%の進捗率国費で四百四十四億、約六六%ということでございます。右のほうにその差引が載っております。それから二番目は、いま申しました全体の事業進捗状況年次別状況でございます。これはごらんをいただきたいと思います。なお、漁港改修事業、それから局部改良事業につきましても同様に書いております。で、全体を合計いたしますと、四十三年度までに一番右の下の欄でありますが、事業費にいたしまして九百二十一億ということであります。全体を通じました計画事業費が千四百億でありますから、漁港修築事業が一千億、漁港改修事業が二百五十億、それから漁港局部改良事業が百五十億、あわせまして千四百億ということでございますので、それに対します全体の進捗率としては六五・八%という状況でございます。  それから四ページにまいりまして、今回の整備計画種類別状況でございますが、これは先ほど補足説明で読み上げましたとおりでございます。本土離島北海道——一番右の欄をごらんいただきたいわけでありますが、内訳として本土が二百一、離島が九十六、北海道が七十三。種別の内訳は先ほど御説明したとおりであります。  それから五ページのほうは、前回現行整備計画と今回変更になります整備計画との関連でございます。前回整備計画にのっとりました港が三百八十港、完成いたしましたのが四十九、未完成のものが三百三十一。それから三百八十の港のうちから今回の整備計画に引き続き採択されるのが二百七十二。このうちには前回整備計画ですでに既定の計画を完成したもの十六港も含まれております。それから(3)といたしまして、新たに今回の整備計画に追加されますのが九十八港ということでございます。それからなお三百八十港の前回整備計画のうち、採択されないのが百八港ございますが、それぞれの内訳が下のほうに書いてあります。  それから六ページへまいりまして、現在の漁港の修築事業に対する国の負担率あるいは補助率の関係を書いております。非常にごちゃごちゃしておりますが、本土北海道離島というふうに大別をいたしまして、本土のほうは本則で補助率を書いておりますものと、それから附則で書いておりますものと二つありますので、ごたごたしておりますが、いずれにいたしましても、第三種漁港までは大体五〇%の補助率というふうに御理解をいただければいいかと思います。それからいわゆる特三種と特四種漁港はそれよりも補助率が比較的高率になっておるというのが今度の状況であります。それから北海道のほうは、いずれも漁港法附則によりまして、本土よりは補助率がかさ上げになっております。それぞれの種別の状況はここに書いたとおりであります。それから離島のほうは、離島振興法によりましてそれぞれまたかさ上げになっております。それぞれの種別につきましては、ここに記載いたしましたとおりであります。  それから七ページへまいりまして、漁港関係予算の状況でありますが、四十三年度予算と四十四年度予算をそれぞれ漁港関係の種類別事業に従って予算額が記載されております。一番下を見てみますと、全体で前年度が百八十六億、それが二百二十一億ということで四十四年度予算の御審議をいただいております中に入っておるわけであります。それぞれの部分につきましては省略さしていただきます。  それから八ページは漁船動向でございますが、一番左の欄に全体の漁船動向が書かれております。隻数の状況と総トン数の移動の状況でございますが、隻数のほうはここ数年ほとんどそう大きな変化はないと一口で言っていいかと思います。それから総トン数のほうは漸増してきておるという状況であります。それから海水漁船の中で内訳がございまして、動力漁船と無動力漁船というふうになっておりますが、これも大勢から申しますと、無動力漁船が隻数、トン数ともに減少して、それから動力漁船が隻数、トン数ともに増加しておるというのが現状であります。それから淡水漁船がほとんどネグリジーブルでございますので説明を省略いたします。  それから九ページへまいりますと、海水の動力漁船推移を書いております。総数は先ほど申しましたとおり、隻数、トン数ともふえております。それから階層区分別には、五トン未満これが増加をいたしております。それから五トンから二十トン、二十トンから五十トン、五十トンから百トンという階層は何と申しますか、停頓状況といいますか、そう大きな変化を示さない。それから百トン以上は、最近増化が著しいというのがトン数区分別の漁船状況であろうかと思います。  それから十ページへまいりまして、漁獲量の推移でございますが、全体の漁獲量と海面と内水面を分けて書いております。全体の漁獲量はごらんいただきますように、三十七、八年に一たん高くなってきまして、三十九年が減少いたしまして、それから四十年、四十一年というふうに増加をいたしまして、そこに四十二年が数字が落ちておりますが、四十二年のほうは約七百八十万トンということでありますから、四十、四十一、四十二というのがかなり漁獲量が増加してきておるという状況であります。それから海面漁業は、いま申しました総数の動きがほぼパラレルに動いております。それから内水面漁業は、ここにございますように、ここ、二、三年来増加をしてきておるというのが現状であります。  はなはだ簡単でございますが、以上のような状況でございます。
  12. 任田新治

    委員長任田新治君) 本件に対する質疑は再開後に行なうこととし、これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      —————・—————    午後一時十六分開会
  13. 任田新治

    委員長任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  これより漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件について質疑に入ります。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは、漁港法十七条に基づく漁港整備計画変更について提案がなされましたけれども、この提案理由の中でまず言われておるのは、「わが国水産業は、国民食糧、特に動物性たん白質供給部門として、国民経済上重要な役割りを果たしていることにかんがみ、今後一そうその積極的な振興をはかることが必要であります。」そのための根拠地としての漁港整備はきわめてこれまた必要である、こういう提案の理由がなされておるのでありますけれども、言われているように、確かに国民食糧としての動物性たん白質供給部門としての役割りはきわめて私は高いものがあると考えております。同時にまた、今日の日本の漁業を取り巻く環境というものはきわめて私はきびしく困難な環境にあろうと考えております。たとえば、国際漁場の規制の問題、あるいは漁業資源の確保の問題、漁業労働者の老齢化と労働者の不足の問題、あるいは漁村のいわゆる過疎状態に対する衰退の問題、あるいは漁業経営の困難性の問題等、まことに多くの困難な問題をかかえておると思うのであります。したがって、こういう日本漁業の今日の状態に対して、どういう対策をもって振興策をはかろうとされておるのか、まず大臣から基本的な問題について立場を表明願いたいと思うわけであります。
  15. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 御指摘のように、日本国民の動物性たん白給源というものを、今日まで海産物といいましょうか、魚介類に求めてきた。これだけ定着してきたものが、魚介類が少なくなったからすぐ動物性にという簡単なわけにもまいりません。しかし、あわせて行なってきてはおりますけれども、こういうような点から考えまして、逆に沿岸漁業が非常に漁獲量が少なくなってきておる。それではといって、海外に遠洋漁業もそれほど思うようには——数字から見ますと出ておりますけれども、実際はそれほど、国民の全体がその消費にまかなうというか、その要望するものに、要求するものにぴったり合ったものを漁獲するわけにもなかなかまいっておりませんので、今後の、将来にかけましても、日本国民がたん白質をどちらかといえば海産物に求めるというようなことは、それはまあ当然であろうとも考えます。こういうような上に立って、沿岸漁業においてはまず半面、魚をいかにつくっていくか、こういうような点。つくるというのにはどうするか。まず魚礁というような面につきましても考えを置かなければなりませんし、漁場の整備をまず行なわなきゃならぬ。といって、さらにまた船舶が、漁船が船着きができやすいような、また荷おろしの、流通の上に立って、またその関連を持つ漁港整備を行なっていかなければならぬ。こういうような点について特に本年度は意を用いたつもりでもありますし、本日承認をお願いをしておる漁港整備にいたしましても、まずその一環であると申し上げて差しつかえないと思うのでございます。したがって、御指摘の海外の漁場が、たとえば大陸だな一つ取り上げてみましても、わがほうは大陸だなというものは認めていない。鉱物資源あるいは定着性のもの、こういうようなものはあるけれども、大国アメリカ、ソ連がこれをもって日本の漁業というものを圧迫をしておるというような点等々から考えて、われわれはたとえば一つのカニの漁業、カニというものを取り上げてみましても、カニは定着性動物ではない、こういうような立場をとって、大陸だな条約にも入らない、まあこういう考え方で進めておるのでございますが、今後ともさらに一そう沿岸漁業の発展をどう求めるかと申し上げますのは、冒頭に申し上げたように、何としても資源の確保、それとあわせて魚をいかにつくっていくかという、こういう観点に立って今後の施策を進めてまいりたいと、このように考えております。
  16. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ大まかな大臣の考え方はほぼわかりましたけれども、このまた提案理由の中で、「漁港を、漁業動向に即応して全国にわたり計画的に整備拡充することがきわめて必要」である、こういう理由が述べられておるのであります。私も確かに今日の日本の漁業の実情から考えてまいりますときに、漁業振興漁港整備をすることはもちろんでありますけれども、この漁港をいかに利用するか、生産拡大のためにいかに利用するかということが同時に裏打ちされなければ私はならぬと思うのであります。そういう意味においては漁港整備と同時に、この漁港を効果的に、しかも生産拡大の基盤として、あるいは漁村の根拠地として利用するための、遠洋、沖合い、あるいは沿岸にわたるところの抜本的な振興対策がなければ私はならぬと思うのであります。そういう意味において、今回出されておる変更整備計画というのは、ある意味では確かに漁港整備については前向きであり、前進した面があると思いますけれども、その裏打ちとしての遠洋、沖合い、沿岸の振興策について、私は基本的のものがないように見受けるのであります。この関連について、大臣の考え方をただしておきたいと思うのであります。
  17. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 漁船のまず整備を行なわなければならない、それには漁船自体そのものがもっと近代化していかなければならない、と、ことばでは言っても、現在の漁民にはなかなか困難性が伴っておりますので、これらに対しまして本年は特に金融の面、助成の面、こういう面を思い切ってまあその道を開いたとはっきり申し上げられると思うのでございまして、前年度までのずっと長い間の比較をしてみて、まず本年からはそういうような漁港整備、同時に漁港というものは何のためにあるのだという、それには、お話のように、沿岸あるいは遠洋、沖合いのこういうような漁獲をしたものが、そこに集荷をされて水揚げをされて、それがスムースに消費地へ流れていくような方法を半面また考えなければならぬ。御承知でもございましょうけれども、もう現在では、生産という面もさることながら、いかに消費というものが先行して、それに沿ったところの生産というものが行なわれていかなければならないであろう、こういうような考え方にあるわけでございまして、御指摘のように、今後はさらに一そう漁船の近代化、あるいは船員に対するいろいろな施策といいましょうか、保護施策というものをあわせて考えて、漁獲の拡大をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  18. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらにお尋ねをしておきたいことは、漁業の中における——いま申し上げたのは、漁港がいま申し上げた振興策が同時に裏打ちされなければ完全な機能を果たすことができない、その意味での大臣の答弁であったと思うのでありますけれども、今日、同時にまた、漁業の中における漁港の果たす役割り漁業生産の拡大のためにおける漁港をどう位置づけていくべきかという点について、大臣の考え方をただしておきたいと思うのであります。
  19. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 漁港そのものは、漁業生産といいましょうか、これの根拠地でございますから、まずその整備というものを第一位に考えなければならないだろう、生産基盤のまず整備を行なっていかなければならぬ、こういうような考え方でございます。
  20. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあはっきりいたしませんけれども、基本的な考え方として理解をいたしておきたいと思うのですが、さらに今回の第四次の整備計画でありますけれども、整備計画を今回お出しになった、言うなれば第三次計画変更してそして第四次計画というものをお出しになった。なるほど内容的には、第三次計画よりも前進をし、前向きであるという面は若干うかがえるのでありますが、計画変更をされる根本的な理由ですね、これを御説明いただきたい。長官でけっこうです。
  21. 森本修

    政府委員森本修君) 現在までやってまいりました第三次漁港整備計画、これは御承知のように、昭和三十八年に大体八カ年の目途ということでやってまいりました。もちろん昭和三十八年に三次計画を立てます際に、漁業が将来どういう姿になるか。特に第三次計画の目標年次でありますところの四十五年ごろにどういう姿になるかということを想定いたしまして、それに即応したような漁港計画を立てておったのでありますが、漁船の数にいたしましてもあるいはトン数にいたしましても、その他漁業全般を取り巻きますところの諸条件も、かなり当時とは変化をいたしてきております。したがいまして、八年間の計画でありますから、本来は四十五年まで三次計画を続けていくのが計画としては普通の姿でありますけれども、それではむしろ最近の情勢にマッチしない。多少期間を早めまして改定をする。新しい情勢に即応したような計画変更をして漁港整備を進めていったほうが最近の実情に合う、また、漁港整備としても適切である。こういうふうな考えに到達をいたしまして、四次計画を四十四年度からということで出発させたいと、そういう理由計画変更をお願いいたしました。
  22. 達田龍彦

    達田龍彦君 そこで、今回の変更計画について若干お尋ねをしておきたいのであります。今回の変更計画を見てまいりますと、私はどうも印象として、総花的な印象を受けてしょうがないのであります。それは第三次までの計画を見てまいりましても、確かに計画そのものはいろいろな問題点をとらえて計画をされておりますけれども、進捗状況を見てまいりますと、計画どおり進んでまいっておりません。これも私は今回の変更をしなければならなかった大きな理由の一つであると考えておるのでありますけれども、その三次までの計画内容を見てまいりますときに、あまりにも完成までに長期間を要するものがたくさんあるのであります。もちろん漁港整備でございますから、たいへん金がかかることも私は存じておりますけれども、あまりにも長期計画の中に漁港整備が組まれておるところに整備また整備という形で、一回整備したものを再度修築あるいは改良しなければならぬと、こういうわけでいつの日に完成するのかということが、私は非常に懸念をされるのであります。また、全体の、計画全体から見ても、緊急度あるいは必要度の高いもの等から重点的に漁港を完成すべきではないかという面も、私は一面あると思うのでありますけれども、そういう面について、全体の漁港整備という、そういう方向からのみの検討が強いため、総花的に予算が配分され、全体整備の水準を上げるという方向に進められているような印象が非常に強いのであります。これは予算全体の使い方、あるいは日本の漁港全体の水準を上げていく、あるいは全国を平均して見ていくと、こういう立場からはたいへん必要でありますけれども、いま言ったように、欠陥も持つわけでありまして、そういう面について、過去の漁港整備計画の欠陥を今回の第四次計画の中ではどういうふうに生かそうとしておるのか。こういう問題点に対する生かし方を具体的に説明願いたいと、こう思うのであります。
  23. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘のように、漁港整備計画を進めていきます際に漁港の対象、整備の対象をどのように考えていくか、つまり重点的に行なうのか、ある程度全国的に需要が多いわけでありますから、そういった全国的な需要を満たしていくといったような方向で考えるのか、また、能率的に限られた予算でありますから、有効に使っていくにはどうすればいいかといったような、実際問題としてはきわめてむずかしい問題があるわけであります。今回漁港整備計画の第四次をつくります際に、一つは、御指摘がございましたように、従来の整備計画におきましては、大体まあ八年程度ということで、かなり長い期間を想定してやってまいりました。したがって、そういたしますと、その間にかなり事情変化が起こりやすくなるというふうなこともございますし、また一つの事業を遂行いたしますのに相当長期間を要するということで、漁港を使われる方にもまたいろいろ御不便もおかけするというふうなこともございますから、一つはできるだけ期間を短縮いたしまして、集中した期間の間に実績をあげてまいるというふうなことを一つの要点といたしまして、また漁港の数にいたしましては漸次第二次、第三次、第四次と集中的といいますか重点的な整備という方向に向かっております。あまり総花的にやってまいりますと、アブハチとらずといいますか、そういうふうなことにもなりがちであります。しかし、これは言うべくして、数をしぼるというのは、現在の漁港全体の趨勢からいきますと、それにのみ徹底するわけにもまたまいらない事情がございます。方針といたしましては、重点的に漁港整備を進めてまいる方針をとってまいりました。そういうことで整備計画に載せておる漁港も第三次よりは若干減っておるということであります。もちろんこういった数だけでは、三千近い全国漁港に対して整備を進めていくのは十分でございませんので、これを補完するといいますか、それとあわせて一方改修事業局部改良事業というものをかなり数をふやしまして並行して進めてまいるというふうなことも考えております。ざっとさような考え方で今回の整備計画を考えた次第でございます。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 第三次漁港整備計画計画と実績、これは修築事業局部改良事業の別に大まかでいいですから進捗状況説明願いたいと思うのです。
  25. 森本修

    政府委員森本修君) 事業費進捗状況で申し上げますと、修築事業のほうは六三%、これは四十三年度末見込みでございます。それから改修事業のほうは六八%、それから局部改良事業のほうは七八%ということで、三事業を平均いたしますと約六六%という実績でございます。
  26. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらに、確かに国会承認を得るのは漁港整備計画の中では漁港法の解釈から修築事業に限られておるわけでありますけれども、漁港全体の整備計画としては改修や部分改良の事業も修築事業の一部分として当然私は計画整備をしていくべきであると考えておるのであります。今回出されておる面は、法のたてまえ上修築事業に限られておるようでありますけれども、いま申し上げましたように、整備計画全体としては改良事業であれ、修築事業であれ、計画を補うものとして整備をする全体の計画としては、これまた計画として私は必要であると思うのであります。この修築、改良、それから改修事業計画について御説明をいただきたいと思うのであります。
  27. 森本修

    政府委員森本修君) 説明の資料として縦書きでお配りをしておる一番最後のほうにもございますが、修築事業としましては、先ほど申し上げましたように、事業費として千五百億、それから改修事業は四百億、それから局部改良事業のほうが二百億ということで、あと調整費が二百億、合計で事業費としては二千三百億。で、個所は、修築事業は大体三百七十港、それから改修事業はおおむね五百五十港、それから局部改良事業のほらは、これも年々の予算でやってまいりますので、港数としては現在のところ八百ないし千港程度、これをこの予算で長期的に整備をしてまいるというふうなおよそのもくろみであります。
  28. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらに整備計画に指定された漁港の具体的実施計画ですね、たとえば期間、工事内容、こういうものについては少なくともこの程度の資料、計画の提示をすべきじゃないだろうかと私は思うのであります。三百七十港にわたっての一応計画提示がなされておるわけでありますから、これに対して、この港はこういうことを工事の目的として、いつから始め、いつまでに完了をし、工事費は大体幾らである、こういうものが、少なくとも計画の裏打ちとして、私は国会審議の場に提示されてしかるべきであると思いますが、そういう計画が立てられておるのかどうか。立てられておるとするならば、それを資料としてひとつ御提出をいただきたい、どうですか。
  29. 森本修

    政府委員森本修君) 従来からこの漁港整備計画国会で御承認をいただきます様式について問題がございまして、私どものほうとしても、従来から現在のような港の名前と、それから整備すべき施設の態様というふうな形で御承認をいただいておるわけであります。いま御指摘がございましたのは、別段承認形式としてどうだということではございませんようで、審議の一つの材料として各港別の詳細な資料を出せないかというお話でございます。もちろんこういった整備計画をつくりますには、そういった概略の積み上げといいますか、というものがございます。ただ、もう一度、あるいはこういった御承認をいただきましたあとに、各県なり管理者と十分、工事の実施計画については細部にわたって詰め合わせるというふうな段取りでもございますので、いまのところ確定的なものとしておとりいただきますと非常に窮屈な形になって、それを変えるようなことになるとまた御承認をいただかなければならぬという感じも出てまいりますので、ごく概略ということでございますれば私どもで調製をさせていただきたいと思いますが、多少時間をかしていただかないとむずかしいかと思います。
  30. 達田龍彦

    達田龍彦君 ひとつ、それは若干おくれてもけっこうですから、概略でもけっこうですから、資料をお出しいただきたいと思います。  さらに、承認をもらう漁港の指定でありますけれども、内容を検討してまいりますと、工事金額の額によってこれは承認を受けるようになっておるわけであります。そこで、私はそういう形で承認をし、計画をつくるというのも一つの方法であろうと思うのでありますけれども、今日の日本漁業動向あるいは漁港の果たす役割り等から考えたときに、また予算の効果的な使用の方法から考えたときに、むしろ漁港の機能別といいますか、役割り別といいますか、そういう面で分類をし、そうして漁港整備をはかっていくほうが、私は今日の日本の漁業動向や漁村、漁業のあり方にぴったりいくんではないかという面を持っていることを考えておるのであります。そういう意味で、金額によって承認を受ける、あるいは整備をしていくということよりも、むしろ漁港の機能別の整理を行ない、その中から整備をしていくということが実際的ではなかろうか、私はこういう考え方を一面持っておるのでありますけれども、これに対して水産庁はどうお考えになっておるのか、考え方を承っておきたいと思うのであります。
  31. 森本修

    政府委員森本修君) 私どもも、単に漁港整備事業の規模だけで整備計画にのせる港を選定しているわけではございませんけれども、御指摘がございましたように、整備事業の規模も一つの大きな選定の要素になっておることは事実であります。そういたしますのは、こういった長期的な計画を立ててやっていくということになりますと、やはりある港について相当ロングランな見通しを立てて本格的な整備をしてまいるというための一つの事業計画というふうな面がかなり出てまいると思うのであります。先ほども申し上げましたように、そのときどき局部的な補修をする、あるいは改良をするというふうなものは、それぞれ毎年度その需要に応じて手軽に採択をし、事業もまた一年、長くても二年といったようなことでやっていく、そういう式の事業もまた必要だと思いますけれども、国会で御承認をいただきますところのこういった修築事業整備計画というものは、やはり全国的に見まして相当重要な漁港について長期の見通しに立ったかなりなスケールの整備事業といったようなものを対象にして御承認をいただくという考え方で従来やってきておったと思うのであります。そういった面も私どもとしては踏襲していかなければならぬというふうな感じがいたします。また、御指摘のお気持ちもよくわかるのでございまして、そういった単に物量的な尺度でのみものごとを見るということは適当ではないんで、それぞれ漁港の持っている漁業振興上の機能といいますか、役割りといったようなことに着目してこういった計画も立案せらるべきである、それはまことにそのとおりであると思います。そういう意味におきましては、おそらく第一種なり第二種なりといったような小さな漁港、特に零細な漁港についてもかなりの配慮をしてまいらなければならぬというふうなお気持ちであろうかと思いますが、私どももそういう意味では整備計画の採択にあたってそういう点をある程度配慮してまいりました。ただ何ぶんにも先ほど申し上げましたようなことで、スケールの小さい事業ということになりますと、それぞれ改良なりあるいは局改事業で拾い上げるというふうなことのほうが機能的で、また仕事の進め方も非常にスムーズにいくといったような実績もございますので、そういった事業もあわせていま申し上げましたような種類の漁港については仕事をしてまいるというふうな考えでございます。
  32. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はもう少しこの面についても、実績の上から検討してみたいと実は考えておるのであります。たとえば海難事故の発生頻度の高い漁港に対する重点的な漁港整備をやるとか、あるいは今日の漁村における漁港役割りというのは、単なる漁港整備をするという意味よりも、漁村対策あるいは過疎対策としての行政機能の面から考える漁港役割りというのが、私はたいへん強い要素を持っておると考えておるのであります。そういう意味では、私はある意味での地域性あるいは機能別ということ、それから緊急度、重要度というものを入れて計画をしていくということが、今日の日本の漁業動向に合っている面も多分にあるというような、現実の上に立って気がいたすのであります。特に今回の計画の中で私が非常に不満に思いますのは、沿岸漁業振興をはかろうという意図にあるにもかかわらず、整備計画の中では、沿岸漁業が特に必要とする第一種、第二種の漁港整備は、全体の数から見てもきわめて数が多いにもかかわらず、整備計画の中では非常に低い立場で取り扱われておるのであります。そうして第三種特定三種、こういうものが全体の数から見るとその事業量においても、計画内容においても高く取り扱われておるという傾向にあるのであります。私はこの点は非常に不満に思うのでありますけれども、今日特に離島、僻地における漁港の果たす役割りというものは、漁村対策としても必要でありますし、また漁業だけが産業であるという辺地や漁村のあり方から考えても、漁港整備というものはそういう面からとらえあげていかなければ今日いけないのではないかという気がいたすのであります。とりわけ沿岸漁業振興が日本の漁業振興と発展を裏づけていくと同時に、日本漁業基礎になるという考え方を持っておるのでありますけれども、そういう面から考えても、なお今日の漁港整備計画というものは、どうも第三種等の大型漁港あるいは流通機構等の機能を備えた漁港、そういうものに重点が置かれている傾向が強いと私は判断をいたすのであります。こういう点について、将来の漁港のいわゆる計画というものについては、今日非常に疲弊をしておる漁村というもの、離島、僻地の漁村というものに対してどう考えていくかという点について、十分ウエートを置いて漁港整備ははかるべきであろう、こう考えますが、そこらの点に対する水産庁の考え方と、この計画の中における配意のしかた、こういうものをひとつ具体的に御説明いただきたいと思うのであります。
  33. 森本修

    政府委員森本修君) これは、一つは、整備計画国会で御承認をいただきますところの対象が修築事業になっておるというところから、いま御指摘になりましたような御意見なり、御指摘が出てくると思います。もちろん今回の修築事業の中におきましても、三百七十港のうちで、一種ないし二種の漁港は二百二十七含まれております。したがいまして、全体の修築計画の中の六一、二%は一種、二種で占められておるわけであります。ところが、港全体はそれに比べまして非常に多いわけですから、一種、二種はまだまだカバレッジといいますか、採択率といいますか、そういう点では必ずしも十分ではないということになろうかと思います。三事業の採択の配分のしかたが、先ほど言いましたような点もございますので、修築事業としてはさような姿を示しております。しかし、繰り返すようで恐縮でありますが、改修事業あるいは局改事業、こういうものの従来の実績から見ましても、ほとんどが一種、二種漁港で占められているといっていいくらいの実績であります。今回の第四次計画と並行して行ないますところの改修事業、局改事業でも、やはりそういった点を重点に置いて一種、二種を採択してまいるというふうなつもりでございます。大体の目算では、そういうふうにしてまいりますと、三つの事業を合計いたしますと、一種、二種の現在の漁港数に対して、ほぼ七割程度の漁港が三事業によってカバーをされるというふうな目算になってまいります。そういう点から、私どもとしましても、各種の事業をあわせまして、沿岸漁業根拠地でありますところの一種、二種事業について十分整備をはかってまいりたいと考えております。  なお、離島につきましてもやはり同様な御指摘がございました。私どものあれでも、離島についての採択率というふうな観点からは、他の一般の漁港よりは優遇されておるというふうな形になっております。そういうことで、御指摘のようなことにつきましても配慮をしておるつもりでありますが、なお改良、改修事業なり局改事業の採択にあたりましては、いま言われましたような観点を十分頭に置きましてやってまいりたいと考えております。
  34. 達田龍彦

    達田龍彦君 この沿岸漁業振興のための漁港の果たす役割り、これは私は幾ら強調してもし過ぎることはないと、実は今日の日本の漁業の現状から考えておるのであります。とりわけ漁業労働者がたいへん不足をいたしております。また老齢化をしておるという現状があるのであります。これはやっぱり漁村における沿岸漁業振興がはかられてまいりますと、将来の漁業に対する希望と魅力を持つから、後継者もできるであろうし、若年労働者の漁業に対する就業率も高くなると私は考えております。そういう意味でも、私は当面の、たとえばこの大きな漁港に対する修築計画、改良計画というのは、たくさんの金をかけて長期にやられておるけれども、この機能というのは流通機能であってみたりあるいは荷揚げの機能であってみたり、補給基地的な要素を持つものが多いのであります。これらは、私は漁港としての性格を否定することはできないのでありますけれども、たとえば民間の資本にたよって、ある意味では整備ができる面もたくさんあるのじゃないか、あるいは他の行政官庁との関連において整備をしていく面もこれまたたくさんあるのであります。あるいはそういう面から考えてまいりますと、私は、そういう面に食われている要素というものが全体の予算の中から非常に高いのではないか、そういう気がしてならないのであります。でありますから、ひとつ将来の計画の運用にあたっては、ぜひ沿岸漁業漁港、とりわけ辺地、離島漁港整備については、単なる漁港整備ということではなくて、いま申し上げたように、これは同時に漁村対策であり沿岸漁業振興につながる唯一の基幹的産業である漁業というものを、漁港整備を通じて発展をさせる、そういう位置づけを漁港の中に求めて、重点的に整備すべきではないかと私はそう考えるのであります。どうかそういう意味で、将来の改良事業だとかあるいは改修事業ですか、こういう弾力的な運用のできる部面については、そういう面を重点的に取り入れて漁港整備をはかってほしいと考えておるのであります。  さらにもう一つ、私は離島や辺地あるいは市町村だけが利用しているような小さな港の整備統合ということを、ある程度私は検討する段階にあるのではないかと考えるのであります。私のところは長崎県でございまして、港の指定数においても単県としては最高の港を指定されておるのでありますけれども、どこの村や町へ行っても、まず漁村では漁港整備ということの陳情を受けるのであります。私は確かに漁港漁業者にとっては根拠地であり、ある意味では漁業活動のすべての役割りを持っておるということを理解するのでありますけれども、たとえば同じ村の中で、一つ山を越して漁港がある、また一つ山を越して漁港がある、谷を越して漁港がある。こういう形で、一つの町村の中に二つも三つもの非常に未完成なままの漁港があるのであります。私はこういう漁港のあり方というものが予算の分散化になって、完全な漁港というものが遅々として進まないためにできていかないという原因にも一つはなっておるのではないかと思います。これは漁港整備計画というものは、やっぱりその衝に当たるところが一つの基本方針を出して、それに統合した整備計画をして、そうしてそこにたとえば漁村の行政機能を集中しながら、漁港もその一つの役割りとして集中的に予算を入れながら、漁村対策を兼ねた漁業振興ということを行政機能を含めて考えないと、いまみたいに一つの村の中に幾つもの漁港を未完成な状態で残しておるということが、日本の漁港整備漁業活動の中にはたしていいのか悪いのかということについて、非常に私は今日の現状の中から疑問を持つのであります。そういう面での漁港の、いわゆる行政機能を通じて漁港を整理統合するような誘導行政を、この際抜本的に検討して行なうべきではないか、こう考えておるのでありますが、そういう点について水産庁は一体どういう検討をされるお考えを持っておるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
  35. 森本修

    政府委員森本修君) 私どもも漁村を回りまして、御指摘のようなことを実際の感じとして非常に強く持つのでございます。一つ山を越すとすぐ、要するに津々浦々ということばがございますようなことで、そういうものについてもう少し集中的といいますか、漁港整備の面にしましても、あるいはその他漁業施策の面においても、もう少し集中的な形が出てまいりまして、それをてことして、いま申されましたような姿が描いていけないかということはまことに同感でございます。ただ、一つの問題は、漁村におきますところの感情でございまして、やはりできるだけ自分の近い所に船を置きたい、また水揚げ場を置きたいといったような実感もまたわからないこともないのであります。まあそういったものと、いま申し上げました理想の姿とをいかにして現実的に調和をしながら誘導してまいるかというところに、現実行政のむずかしさがあるというふうに私どもは思っております。感じとしましては、いま申されましたような方向はまさに向かうべき姿ではなかろうか。今回の漁港整備計画の採択にあたりましても、やはりそういったその漁港の持つ背後地の実勢といいますか、そういったことも一つの採択の勘案要素になっておる。したがいまして、中核漁港といったようなことばを使っておりませんけれども、ややそういった表現をもってあらわしても差しつかえないような感じも入れまして、整備計画の採択というふうなことにあたっております。  なお、現在行なわれております構造改善事業も、やはり同様の考え方をもって整理いたしませんと実行ができないような事業でございますが、私どもの漁港整備計画と構造改善事業におきますところの各種の機能施設、流通施設、そういうふうなものが相まちまして漁港のほうに集中をされれば、ある程度現実的な漁村に対する誘導効果が出てくるのではないかといろ感じで、漁港整備計画なり構造改善事業を実際的に運用してまいりたいというふうに思っております。
  36. 達田龍彦

    達田龍彦君 もう一つ、私は今日の漁港計画を見ますとこれは総花で、さっき指摘をいたしましたのは、機能別にもう少し系統的な漁港整備をすべきだということも一つ入っておるのであります。たとえばいま申し上げたように、この漁港の中に流通機構が、市場がある、そういう機能のものと、いわゆる操業面の根拠地としての漁港整備というものがあるのであります。中継地としての、補給基地としての整備があるのであります。こういう一つの系統的な漁港整備計画、こういうものをしていかないと、流通機能の面でも漁港をつくってみてもその役割りというものが分散的になるのであります。こういう点を、もう少し系統的な漁港整備計画というものを機能別にも考えていく必要がある、こういうのが私の考え方でありまして、そういう面は第四次計画の中では説明では入れられておるけれども、見たところどういうこれが系統的な関連を持ったいわゆる計画に進んでおるのか、こういうものについて非常に欠ける面があるように私は思うのであります。こういう点についても、将来の漁港計画の中に十分取り入れて私は漁港計画を進めてもらいたい、こういうように考えておるのであります。  さらに今度は、先ほどから私は、日本の漁業を発展させるには、大臣から先ほど表明もありましたように、国際漁業の問題あるいは漁業資源の枯渇の問題、労働力の不足の問題、こういう非常にきびしい環境の中にあるわけでありますから、将来の日本の漁業をどう発展をさせるかということになると、やはりもとに返って日本の沿岸漁業を発展をさせることに中心を置いていかないと、日本の漁業というものは、先行き非常に困難な暗い道を通っていくのではないかという気が私はいたすのであります。そういう意味で、沿岸漁業をどう振興させるかということは、今日の日本漁業の最大の私は課題であろうと思います。とりわけ沿岸漁業は、寒村あるいは僻地あるいは離島に多いのであります。したがって、この沿岸の漁業対策として離島や僻地や寒村の漁港整備というものは、先ほど申し上げたように、単なる漁港漁業対策ではなくて漁村対策であり、あるいはその村や町の産業の中心になる漁業でございますから、そういう機能も持っておると思います。そういう意味では、全体の予算が少ないから非常に配分にも困るという実情はわかるのでありますけれども、私はそこに重点を置いた漁港整備というものが必要ではないか。漁港の果たす役割りが、都市の場合と離島、僻地の場合においてはその果たす役割りと機能が違う。したがって、その面から私は予算全体の中で、たとえば三分の二はそういう第一種、第二種の沿岸漁業振興漁港整備のために使うというワクをまずきめて、その中からその予算全体をいわゆる計画的に使ってはどうだろうか。いまの計画では、いま申し上げたように重要度だ、あるいは工事の多寡によってきめるきらいがありますから、全体の予算がたとえば百億としてみても、その中において漁港の数においては十くらいのものが全体の予算としては八〇%ないしは八五%使うというものが出てくると私は思うのであります。あと残された十五か十の予算でもって、八十五くらいの小さな漁港整備をしなければならぬという結果になってしまうのであります。私はそういうようなやり方ではなくて、沿岸漁業というものをどう振興させていくかというための漁港整備としては、まずそのワクをきめて、その範囲は必ず毎年沿岸漁業中心の漁港整備をやる、こういうような方針を立てて予算を使うべきではないか、それが沿岸漁業振興に強く結びつくのではないか、それが日本の漁業の将来の発展に私は一番中核的に働いていくのではないか、こう見るのでありますけれども、そういうお考えはございませんか。大臣、どうですか。
  37. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もちろん漁港は今日漁業のみでなくて非常な公共性を持ってきておる。したがって、まず交通という点にも考え合わせて、こういう点、さらに先ほど御指摘のあったような過疎地帯のこれらをどう解決するかという問題にも大いに役立たなければならない問題があります。したがって、道路、流通、こういうような面、ただ旧来のような単なる漁港という面ではなくて、ほんとうに大きな役割りを果たすことが、すなわち漁港整備の第一の目的だろうと考えられます。先ほど御指摘の中にあった一つの村に三つも四つもあるというのは、まことにごもっともな御指摘だと思うのでございます。私もぜひそうやりたいと思うのでございます。そうでなければならないと思うのですけれども、また部落部落の漁業のやり方といい、その出漁先というものもおのずからまた違っておる、同じ村にあっても違うところがあるものですから、そういうような点についてはなかなか苦慮しておるようでございます。私もその点については御指摘を申し上げたほうの自分の立場だったものですから、なかなか現在はむずかしいようではございますけれども、まさに御指摘のような方途をとることによって初めてその公共性なるものを生かしつつ、ともに漁業者がより以上の向上をはかることができ得るということだけは誓って間違いないと思います。したがいまして、今後はただいまの御意見等は十分参考にして今後の計画を立てていくべきだ、このように考えております。
  38. 達田龍彦

    達田龍彦君 ぜひひとつその趣旨を生かして、今後運営の中で弾力的に運営をしていただきたいと考えるのであります。  さらに今回の計画内容を見てまいりますと、確かに漁港法の三条は漁業施設としては、基本施設と機能施設があるわけでありまして、漁港とはこの二つの総体でなければ私はならぬと思うのでありますけれども、計画の中では機能施設の明示されたものが非常に少ないのであります。これは私はそういう意味で港をつくるならば基本施設と機能施設が完全につくられて初めて港の機能が完全なものになると思うのであります。その意味では基本施設だけが先行して機能施設というものがほとんど取り上げられてない、予算が少ないという関係もあると思います。しかし、そういう漁港整備計画を続けていく限り、たとえば十年前にやった漁港整備計画が今日なおかつ改正されたのにもかかわらず補修をしなければならぬ、改修しなければならぬ、あるいは機能施設を付加していかなければならぬという結果になって、いつまでたっても完成した港ということはできないのではないかという私は気がいたすのであります。こういう点について、この予算の配分計画内容についてどういう水産庁はお考えに立っておるのか、御説明を賜わりたいと思うのであります。
  39. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘のとおりでございまして、漁港の施設としては、いわゆる基本的な施設、それから機能施設、両者が一体となって総合的に整備をされませんと完全な漁港機能の整備ということにはならないと思います。ただ、従来からもそうでございますけれども、ともかくも漁港の最低の要請といたしましては、漁船を安全にかくまう、また、とってまいりました魚を能率よく水揚げをするというふうな点がどうしても何といいますか、費用が限られております際には、優先的に取り扱われてくるというのがいままでの漁港整備の一つの傾向になっております。まあ数回の整備計画を重ねてまいりましたので、御指摘のように漸次外郭施設なり水域等の基本施設から機能施設の整備へと重点が多少移りつつあるというのが現在の実情であろうと思います。第四次の計画におきましても、事業費の中におきまして、機能施設の割合が若干高められておるというふうな努力を私どもはいたしております。  なお、御指摘がございました機能施設の中でも、整備計画に盛られておる施設が一部のものに限られておるというお話、これも従来整備計画の中に書かれておりますものは、事業主体が必ずしも管理者に限られないようなものもございます。加工施設でありますとか、貯蔵施設とか、そういったものは大体他の事業主体がやるといったような形になっておりますので、主として事業主体の面から管理者が重点的に、かつ公共的なものとして整備をするようなものについて、整備計画の中に書くという慣習になっておりますので、そういう慣習に従いまして今回も御承認をお願いするものの中にはそういうふうなものを書いております。  なお、他の施設につきましても、国からの補助としましては、先ほど来申し上げました構造改善事業によりまして漁港施設の若干のものをカバーしております。あるいは流通対策の費用の中からも機能施設について補助が見られるものもございます。まあそういうものもあわせまして、漁港機能の施設の整備を総合的にはかってまいりたいというふうな考え方でございます。
  40. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は港の完成、港が完全に整備をされた、こういうのはいま御指摘を申し上げたように、機能施設がやはり完全に整ってはじめて港の機能が完全になるわけでありますから、まあ基本施設だけを先にやってしまって、あと機能施設を追加をしていくというやり方も一つの進め方ではありますけれども、そうばかりは港の性格、機能によっては言えないのではないか。したがって、そういう点もただ通り一ぺんにいまの方針としては予算が少ないから基本施設だけをというやり方ではなくて、やはり機能施設も港によっては必要なものは取り上げて完全なものにしていく、たとえば先般の国会で言われた利根川の河口のああいう緊急の必要があるようなああいう危険な港に対しては、本来はまあ例にも出ておりますけれども、今日約十何年にわたってあれの整備計画というものが進められながら、なおかつ完全なものではない、その結果ああいう海難事故を起こしております。ですから私はそういうものに対しては漁港整備の方針が今日の予算の関係から基本計画だけにとどめるという、基本施設だけにとどめるということを画一的にするからああいう欠陥が出るわけでありますから、そういう面については、人命にかかわるような問題については、やはり機能施設を含めたこれが完全な港を短期間に重点的に完成していく、こういう配慮が場合によっては必要ではないか、こういう点をひとつ御指摘を申し上げ、善処をお願いをしておきたいと思うのであります。  それから今回の施設の中にも機能施設が若干入っておりますけれども、これは先ほども長官から御指摘があったように、他の官庁所管のもの、あるいは民間の施設がこれと相マッチして機能が完全になるものがあるのです。したがって、今回の計画と民間の施設やあるいは他官庁との関連は一体どういうふうに計画をされ、話し合いがついているのですか。そういう点について、具体的になかなか港ごとにいかないと思いますけれども、考え方として、進め方としてどうなっておるのか御説明をいただきたいと思うのであります。
  41. 森本修

    政府委員森本修君) 他の官庁の所掌のものとしましては、たとえば航路補助施設といったようなものがございます。これは海上保安庁。それから民間が主として建てるというふうなものは、先ほど申し上げましたようなことで漁獲物の処理なり、貯蔵なり、加工なりといったようなもの、また補給の施設といったようなものもあろうかと思います。その他漁港管理者が建てるものでない機能施設も多々あるのでございます。で、役所同士の連絡を要するものにつきましては、私どもそれぞれの所管の役所にこういった計画を示しまして、工事上の手順等打ち合わせを要するものもございます。港口補助施設であれば、こちらのほうで防波堤がいつごろ完成するというふうな計画をよく示しまして、向こうのほうでもそれにマッチしたような予定を立てていただくというふうなことをやっております。民間のものにつきましては、一々中央官庁である私どもがやれませんので、県のほうによくお願いをいたしまして、県の段階でそれぞれ漁港施設の中におけるこういったものの処理につきましては、十分地元で関係者と打ち合わせをしていただきまして、そういう打ち合わせの上で私どものほうに漁港整備計画の案を提出をしていただいております。そういうものをよく見まして、今回の整備計画の中に採択をした。なお実行にあたりましては、十分時期、方法等について関係者と打ち合わせ、そごのないようにしてまいりたいと思います。
  42. 達田龍彦

    達田龍彦君 それから、漁港はつくるだけではいけないわけでありまして、漁港法にも書いてありますように、その維持管理がこれまたきわめて重大な問題であると思うのであります。ところが、私は先ほど申し上げましたように、長崎県である関係もありまして、よく漁村、山村を回るのでありますけれども、新築あるいは改良された港が使えないような状態のところがあります。たとえば土砂が埋まって船が入れないというような、これは特に離島、僻地に多いのです。まあ十年前まではよかったけれども、船が大型化して、そうして魚を満載して入ってくると入れないと、からの場合は入れると、こういうような港を見受けるのであります。これは、先ほど私が一点指摘しましたように、漁港整備計画が基本計画だけに終わって、基本施設だけに終わって、機能施設等についてたとえば土砂が入らないように、そういう工事をしておけばそういう結果は起こらないのでありますけれども、そういうものをしないために、結果として利用できないという結果になっておるのであります。この維持管理というものが私は港の利用について死命を決するほど重大ではないかと思うのであります。つくるほうは国も市町村も金をかけてつくりますけれども、維持管理の費用まではなかなか手が回らぬという実情にあるために、こういう結果になるものもあるのであります。  さらにまた大きな港になりますと、いろいろな目的で港を使っておりますけれども、漁港に指定されたために汚水や海水の汚濁がきわめてひどいところがあるのでございます。こういう点についても、汚水、汚濁の問題について、漁港管理の立場から、私は管理形態をきちんとしていくべきではないかということを考えるのでありますけれども、こういう点についての水産庁のお考えと方針をただしておきたいと思うのであります。
  43. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘のような問題があろうかと思います。漁港をつくります場合に、一生懸命につくりますけれども、なかなか維持管理ができなくて、十分機能が発揮できない。そういう事例があるとすれば、私どもはきわめて残念であります。たてまえを申し上げますと、漁港の維持管理につきましては管理者というのが定められております。これは原則として地方公共団体でありますから、市町村ないしは都道府県知事といったようなことになっておるわけでございます。それに管理規定というものがやはり条例できめられております。したがって、管理上の責任は地方公共団体が持つというたてまえであります。したがいまして、御指摘になりましたような、土砂が堆積をして、漁港の機能が十分果たせられないというふうなもののしゅんせつ、その他は漁港管理者が行なうということであります。その費用につきましては、従来、地方交付税というものが御承知のようにございますが、その中に、平均的な形では維持管理費、いま申し上げましたような補修なり、あるいは最小限度の維持に必要な費用は織り込まれておるということになっております。したがいまして、役所流の説明を申し上げれば、いま言ったようなたてまえであり、また費用についても見ておるという形になっております。ただ、ところによりましては、あるいは御指摘がございましたような事情はあろうかと思います。また、もし多少私どものほうで手をかけるということにいたしますれば、採択基準で許されるならば、局部改良事業といったようなものでそういうものも見られる場合がございます。特定漁港でそういったものに当てはまるものがあれば、私どもの手で直接的な手も講じられるかと思いますが、御指摘のようなことがございますれば、それぞれの現地の事情をよく伺いまして、私どもも処理をいたしたいというふうに思います。
  44. 達田龍彦

    達田龍彦君 もう一点、汚水、汚濁の問題に対しての管理規制ですね、これはどういう対策をとっていますか。
  45. 森本修

    政府委員森本修君) 漁港法規定によりまして、漁港の区域内において汚水の放流もしくは放棄を行なうときには、「農林大臣の許可を受けなければならない。」ということになっております。また、そういうものが漁港に及ぼす危害が非常に著しいというふうな場合には、それを防止するために必要な施設、措置等を「命ずることができる。」というふうな、一応法律上の根拠なり体制が整っております。ただ、現実にこういうふうな根拠に従って、いかような運営をしておるかということになりますと、あるいはそれぞれの現地の事情をよく精査をいたしますと、十分その点についてホローとしてないようなこともあるいはあるかと思います。そういう点につきましては、よく実情を私ども調べまして、それぞれに必要な措置をとってまいりたいと思います。
  46. 達田龍彦

    達田龍彦君 汚水、汚濁、汚物の投棄の問題は、特に大きな都会の漁港の中では、公害と同様にたいへん重要な問題として提起をされてまいっておるのであります。たとえば私の長崎港なんかは、まさにその典型的な海水の汚濁、それから廃棄物の投棄ですね、そういうことがある意味では原因をして海水が非常によごれておるのであります。それを使って魚をそこで洗っておるという現状もある。市の婦人会あたりでは、それを最近保健所あたりに調査を依頼して、一体どれだけ海水が汚濁をされているかということに乗り出している状態があるわけであります。いま、長官が、何か汚水投棄について管理規制がなされておるような御答弁でありますが、実際には全然これに対する管理規制はなされておらないというのが現実であろうと、私は現状から理解をいたしておるのであります。したがって、これはいま産業公害が漁業の中に与える影響というものを漁業の立場から問題にしておりながら、漁業が与える公害というものについては、やっぱり水産庁は十分考えてやっていかなければならぬと、私はこう思うのであります。でありますから、そういう点については、ひとつ水産庁の立場から、漁港の中における海水の汚濁を与えるようなそういったことに対しては、十分きびしい対策を早目にとらないと、これは私は将来公害と同様に国民的な問題として漁港等では問題が提起されるんではないか、こう思いますから、そういう点についてはひとつ再検討をお願いをいたしたいと思うのであります。  時間もだいぶ過ぎましたけれども、あと若干御質問して終わりたいと思うのであります。それで、今回のこの整備計画を大胆におつくりになるのはけっこうでございますけれども、国がそれだけ予算を盛り、大規模にやられようとするならば、地方公共団体の負担というものも当然増加をいたすのであります。過去の整備計画内容を私はこの欠陥というものについてまだこまかく分析をいたしておりませんけれども、第三次までの計画の中で予定どおり実際が進捗しなかったという原因の一つに、地方公共団体がその財政負担を負い得なかったという面があって計画が進まなかった面もあったんではなかろうかという気がいたすのであります。ないとするならば、これはけっこうな話でありますけれども、そういう面で今回の計画にあたって地方の財政負担を一体どういうように考えておるのか、たとえば地方の起債等の問題について、財政投融資等でどういう対策をお持ちであるのか、こういう面についてお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  47. 森本修

    政府委員森本修君) 数年前といいますかやや前までは、地方の負担ということ、特にまた交付税なりあるいは地方庁の起債なりというものが漁港整備をいたしていきます上に非常に大きな問題であったようであります。最近はその点はわりあいに改善をされてまいりまして、私どものほうにもそういったことについての苦情なり要望というのが少なくなってきたというのが実情のように聞いております。しかし御指摘のように、こういった計画を進めてまいりますのに、国から補助が出ますけれども、補助残について地方の負担がどうなるかということは、私どもとしても細心の注意を払わなければならないと思います。交付税の関係では、こういった漁港整備に対する事業費の補正ということをやってまいりました。特別の補正のために交付税をかなり優遇されたような形で、漁港をやりますところの地方公共団体が配分をされておるということになっております。また起債の点につきましても、ほとんど要望のございますところの分については、それほど充足されない部分がないといったような形で、自治省とも打ち合わせをして起債についてめんどうを見ておるつもりであります。そういうことでありますから、地方負担の関係でそれほど今回の漁港整備計画に対して実行上支障になるというようなことがなかろうというふうに私どもは踏んでおりますが、なお、特定の地方公共団体にありましては、さような楽観的なことではいかないこともあろうかと思います。そういった問題につきましては自治省とも十分打ち合わせをいたしまして、地方負担のためにこの事業が十分円滑にいかないというふうなことのないように配慮をしていきたいと思います。
  48. 達田龍彦

    達田龍彦君 特に離島や僻地の山村の地方負担というものは非常に重いんですね、これは。先ほど申し上げたように、港が一つの町村の中にたくさんあると、そういう整備をしなければならぬというために非常に重いのであります。でありますから、そういう点については特別の御配慮をして、そうして、いやしくもそのために漁港整備がおくれるということがないように十分配慮をしてやっていただきたいと思っております。  さらに、今回は全然補助率の改定を提案されておらないようでありますけれども、補助率の改定についてはやらないおつもりですか。それとももうこの程度で十分だというお考えですか。どうですか、その点。
  49. 森本修

    政府委員森本修君) 前回漁港整備計画の改定を国会で御審議をお願いいたしました際に、補助率の改定について非常に強い御要望がございました。附帯決議等も衆参両院でつけられておるというふうなことで、そういったことを踏まえまして、昭和四十年に一種、二種の漁港について補助率のかさ上げといいますか、引き上げを行ない、それから四十一年には局部改良事業につきまして補助率の増額をするというふうなことで、漸次補助率について私ども努力をしてきたのであります。もちろん、現状をもってして決して十分とは思っておりませんけれども、補助率の問題は単に漁港だけというわけには必ずしもまいりませんで、やはり公共事業全体とのバランスといったようなこともございます。それからまた、同じ国費を使いますのに、やはり補助率の増加がいいか、あるいは事業費を伸ばしていったほうがいいかといったような、漁港整備をいたしてまいります際の国の経費の使い方といったようなことも考慮しなければならぬといったようなこともございます。過去におきましてさようなことをやってまいりましたので、今回は特に補助率を増加する、引き上げるというふうなことはいたさなかったのであります。もちろん、こういったことにつきましても、御指摘のように僻地あるいは離島等におきましてはかなりの負担になっておると思います。将来の問題として私どもも取り組んでまいりたいというように思っております。
  50. 達田龍彦

    達田龍彦君 それじゃ最後に大臣にお尋ねをして終わりたいと思いますけれども、私は、この計画は、農林大臣が今回の整備計画を完全に実施するという決意があるかないかに実はかかっておると思うのであります。たとえば予算の確保の問題にいたしましても、四十四年度の予算は百七十三億でありまして、千五百億の五カ年計画の単年度の計算にいたしましても二百八十四億必要であるにもかかわらず、四十四年度は計画の当初ということもあろうかと思いますけれども、百七十三億という予算であるのであります。こういう状態でありますから、一体こういう予算の獲得の状況の中で、この第四次変更計画というものが完全にやれるのかどうか非常に私は危惧をいたすのであります。その点について、この整備計画を完全に実施する決意があるのかどうか、予算確保についてどういう努力をされようという御方針があるのか、大臣から最後に承りまして質問を終わりたいと思います。
  51. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 日本のいま農業、漁業すべてこういうような生産体制の中で一番立ちおくれていると言っても過言でないと思う漁業の問題でございまして、したがって陳情に中央へ出てきたくても来られない団体、これは漁業団体だと私は思います。農業団体はまあ圧力団体といわれるほど出かけてはこられるけれども、この漁業に携わっておる方々は、こうもしてもらいたい、ああもすべきであるという考え方を持ちながらもなかなか出てこられない、それだけの余裕がない。したがって、消費者からの要求はますます高まっていっておる。よく一口に言う板子一枚下は地獄だという海上においての漁業を毎日営んでおるこの団体の方々に対してこれでいいか悪いか、こういうような点については就任と同時にずいぶん考慮をしたつもりでございまして、したがって、四十四年度のただいま御審議を願っておる金高二千三百億円という問題におきましてもかなり強い折衝をいたしましたし、構造改善事業あるいは補助率の幾ぶんかでも上げてやりたい、こういうような点につきましてはかなり強い折衝をしたつもりでございますので、今後も引き続きまして農林省水産庁といたしましてはこの気持ちをさらに踏襲し、そうして来年度は一段と漁港整備はもとよりであり、これら漁民に対する幾多の要求をされておる施設に万全を期して、安心して安定の上に立った漁労が行なえるような施策を講じてまいりたいと、こういうような念願を持って臨んだわけでございます。まあ本年度は御指摘のとおりではございますけれども、昨年度来から比べてみればかなり大幅な獲得はしてあるというふうにも考えます。といってこれで足れりというのではなくて、明年度はこれらを基礎として、さらに一そうの努力を傾けて、申し上げたような点の充実をはかってまいりたいと、このように考えております。
  52. 和田鶴一

    ○和田鶴一君 ただいま達田議員から各般にわたりましてきわめて詳細に質疑が行なわれましたので、もはやお尋ねする向きもあまりないのでありますけれども、なおまたただいま農林大臣から達田議員の質疑に対する考え方の披瀝もございましたけれども、私はこの機会に二、三点だけお尋ねをしておきたいと思います。  漁港整備といいますと、漁港整備というものは漁業全般の中に占める位置といいますか、漁港整備が望ましい姿で整備が完了したならば、もはや国が行なう漁業全般についての施策はもうあまり残らないと言ってもいいぐらいに私は漁港整備というものの漁業に占める位置の大きさを痛感いたします。そこで、そういう観点に立って官房長にもよく聞いておいていただきたいと思うんですけれども、農林省の漁業に対する考え方なり取り組み方について大臣に一、二伺っておきたいと思うんであります。  歴代の農林大臣はことごとく生鮮食料品の安定的供給の確保というものが農林行政の根幹であるということをおっしゃいます。そのとおりだと思います。また、このたびの大臣の所信の表明についてもそのとおりのことが書かれておりまして、私はこれに対しては異論がありません。ところが、またことばをかえて非常に大事だから水産庁という役所があるんだということも言えるかと思うんでございますけれども、この所信表明の前半といいますか、ほぼ八割程度については、いわゆる農業を中心にした考え方なり、施策の方向については食糧という立場から議論をいたしております。ところがその場所には魚という字が一つも出てこない。食糧という議論をその前面で行なっておるんですけれども、その場には魚という字が出てこないんであります。最後に水産業というところで、「水産業について申し上げます。」ということで、この表現のしかたはきわめて客観的に批判をした述べ方をしておる。前の米はもちろんのこと、畜産、果樹に至るまで食糧としてとらえて、しかもその中に入り込んで議論をしておる。ところが水産についてはきわめて客観的にこれを批判したような考え方しか私には受け取れない。総合農政がやかましく言われてまいりまして、自民党にも総合農政調査会というのができて議論をいたしました。その席上で、それぞれえらい方々が立っていろいろお話をなさいましたけれども、その場合ですら魚ということばが出てこなかったんであります。  そこで私は、食糧の安定的供給の確保ということ、それはそのとおりだと思うんです。魚が食糧に入らないのかという議論をいたします。私は米は絶対に軽んじません。ところが米は四十二年度千三百五十万トン、四十三年度千四百万トンという豊作がありまして、四十三年産米にいたしましても単年度三千億の食管会計に対する繰り入れも行なったのであります。ところが先ほど水産庁長官の資料説明の中で、四十二年度の水揚げ高は七百八十万トンだと、こういう説明がございましたけれども、千四百万トンというお米に対してたん白食糧である魚が七百八十万トンという水揚げがされておるにかかわらず、農林省はこれに対して食糧という考え方から真剣に取り組んだ施策を行なってきたか、あるいは議論をしたかということを疑いたい。  形で申し上げますと、農林省の四十四年度の予算約六千億、その中で漁港の修築、改修、局改、それらを含めて二百二十億余りが四十四年度で予算が出されておるわけでありますけれども、そうした公共事業を含めて三百億余りということは、農林省の全体の予算の中で水産庁の占める予算の割合は五%というまことに常識で判断しかねるような形が出ておるんであります。これは私は予算の取り方というものはまだよくわかりません。従来それぞれの役所なりそれぞれの部課において一定のワクがある。そのワクが基本になって、ことしは経済の成長率についてこれだけの税の自然増収が見込まれるから、そこで今年度は前年度の何%増しで予算を組んだという、きわめて算術的な計算に基づいてやっておるのかもわからぬのでありますけれども、これほど食糧という問題についてきわめて真剣に取り組まなければならない段階で、その食糧の内容をしさいに検討をした場合、私はもし過去においてそうした機械的な、算術的な計算が惰性として今日まで行なわれてきたとするならば、この辺で思い切って一ぺん漁業というものについて、農林省が根底から私は考え方を改めてもらいたい、そういうふうに思うのですが、まずこの点に対して大臣のお考えを承りたい。
  53. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) これほど食糧が高級化してき、農業技術も今日の発展を見るようになった。したがって米の需給の緩和をはじめとして、畜産も果樹もある程度進んできておる。しかし、逆に沿岸漁業というものは衰微をたどっていっておる。こういう現実の上に立って、これでいいか悪いかということになるならば、全く御指摘の点を私はそうでないとは申し上げられません。でありますので、今後は沿岸漁業というものがなぜ今日このようになってきたかという、その推移を振り返ってみて、先ほども御指摘がありました公害問題もさることながら、沿岸を通る魚族というものが少なくなってきておるという点もあるであろう。さらに沿岸の産卵状態というものができなくなってきた。魚礁というものがまず役に立たなくなってきているというような点もいえるであろう、こういうことで沿岸漁業生産につきましても、もうさらに一段と力を入れなければならない。この三年間ぐらいの統計を見ると、沿岸漁業も幾分かは好転してきたようではございますけれども、この程度であってはならないと考えまして、こういうような点に考えを置きまして、本年からはいま御審議願っておる漁港整備はもちろんであり、魚礁、これらを設置しなければならぬ。したがって漁場を開発しなければならぬ。浅海漁場というものも開発を行なっていくんだ。そうしてまず魚を——現在の沿岸をこのままにしておくということになるならば、将来ますます消費のふえていく日本に対してどのような措置を講じなければならないかということになりますので、今後は栽培ということばが当てはまるかどうかは知りませんけれども、どうしても魚をつくることに専念をしていかなければならぬ、こういうようにつまり考えて、そこで種になる魚をどういうふうに人工的に養殖をしていくかというような点についてもいまだ——和田さんの考えではないが、いまだ見るべきものはないであろうと考えるのでありまして、こういうような点に今後水産庁としては全力をあげて取り組んでいかなければならない問題であろうと考えます。したがって沿岸漁業におきましても、新たなる漁場というものを開発するために現在ではやってはおりますけれども、他国に比較をしてみて、船一そう見ましても、その調査船にしてもまだ優劣の間がありすぎるだろう、こういう点にも思いを置かなければならないであろうし、今後のたとえば各国、いろいろな国々との提携によって、漁業を行なっていくというような点にも遠洋は思いをいたすべきである、こういうような幾多の条件を本年は掲げまして、そうして明年度からはこれらを基盤として折衝をし、でき得る限りのつまり助成指導を行なってこの目的を達していくようにしていきたい、こういうような念願を持ちましてたとえば本年の予算の折衝に当たったわけでありますが、私もまだ農林大臣を拝命して日ならず、幾日もなかったけれども、漁業の問題はもっと真剣に取り組むべきであるという、そういう意見を申し上げまして、そうして昨年度から比較をいたしますれば、本年度の予算は一七%強の予算の獲得をしてあるはずでございます。御指摘の点十分に尊重しながら明年度からは、ただいま申し上げたような目的のもとに水産庁は大いに努力を傾けて御期待に沿うようにいたしたいということだけをはっきりとお答え申し上げておきます。
  54. 和田鶴一

    ○和田鶴一君 総合農政を強力に推進するために、いろいろございますけれども、土地改良であるとか、あるいはまた用水の問題とか、土地の問題にいたしましても、その基本となる構造政策というものを推進するために関係法案を提出されておそらく今国会において審議をするようになろうかとも思いますけれども、漁業におきましてもそうした基盤整備の問題、たとえばいま大臣がお話しになりました浅海漁場の開発であるとか、つきいそであるとかいうよく似た問題もございますけれども、少し趣を異にして、同じ基盤整備でありましても、漁港整備というものは、これはもう漁業にはそのウエートがきわめて重い性格を持ったものであります。冒頭に申し上げましたように、漁港整備が好ましい姿、望ましい姿で整備ができましたら、あとはもう、たとえば技術の問題、漁法の問題、そんなものは、政府で試験研究機関等を持っておられますけれども、これはもう漁師のほうがずっと進んでおりまして、むしろそっちから教えてもらわなければならないようなことであろうと思う。  そうなってまいりますと、極論するようでございますが、とにかく漁港整備だけ一生懸命にやっておりなさいと言っても私はいいと思います。と申しますことは、たん白食品を確保するということのために、大いに畜産問題でも苦労もし、相当量の予算も計上していろいろ農林省も苦労いたしておりますが、それとこの七百八十万トンという漁獲量と、もちろん食品のことでございますから、カロリー等の計算もやらなければならないので一がいには言えませんけれども、そうした数量の比較を見たときにでも、私は、これはもっともっと農林省全体が——水産庁というのではなくて、農林省全体が私はこの問題と真剣に取り組んでもらわなければならない、こういうふうに思うのであります。漁港がだんだんと整備ができてきますと、必ず漁港に寄る漁船の形が大きくなっております。無動力が動力になります。馬力が大きくなります。トン数が増してきます。近代化されます。機械化されます。そうして、必ずと言っていいくらいに、整備された漁港においては漁獲量がふえているのであります。いろいろな施策をするねらいがいわゆる生産の増強ということであると思うのであります。そうなってまいりますと、そういう現実を踏まえて、五年間に千五百億の整備計画なんて私はきわめて遺憾だと思います。改修、局改を含めて二千三百億、先ほど達田委員から、離島や僻地における漁港の問題をこまかくお話しになりましたが、全くそのとおりであります。  私はこの辺で大臣がえらい努力をされて、一七%以上の予算を確保していただいたわけでありますけれども、今後はそういう立場に立って、私はもっともっと水産の予算全部はさることながら、漁港整備という問題を強く私は政府の当局にぶっつけていただきまして、できるだけ先ほど達田委員も心配されておりましたように、五年にできるかどうかわからぬですよ、これ。計画は五年であるけれども、はたして五年でできるのかということになると、非常にむずかしい。私は自分の町のことを言って申しわけないんですが、三種港の指定を受けて、ある程度進捗いたしましたけれども、漁港整備が始まって、途中大東亜戦争という期間もございましたが、ことしで二十五年であります。まだ完成いたしておりません。おそらく私が死ぬまでの間に漁港の完成式ができるかどうか疑問であります。そういうことは三種港の相当重要な漁港でありますが、その漁港ですらその程度でございますので、二種、一種、そういう点になると私は思いやられるのであります。どうか大臣の今後ともひとつ十分予算の確保についての御奮闘をさらにお願いをいたします。  あとは長官でよろしゅうございます。計画変更承認をするということでありますが、国がいま経済企画庁の総合開発局が中心になって、新全国総合開発計画というものを進めておりますけれども、その新しい二千三百億五年間という漁港計画、千五百億五年間という修築計画、これらは国のそのような総合開発計画とどの程度の関連を持たしておるのか、基本的な考え方の中にはおそらくそれがあるんだと思いますけれども、たとえば漁港は従来はきわめて端的に漁船を管理するという、そういう施設としての考え方がありました。生鮮食料品の確保並びに価格の安定という立場で流通問題が非常にやかましくなってまいりまして、漁港は単なる漁船の管理という施設でなくて、流通センターであるという性格が強く打ち出されてまいりました。その意味でこそ、重要漁港は国が補助まで出して機能、施設までやらしておるわけであります。また、先ほどこれも達田議員のお話にございましたけれども、漁民の生活の基盤としての考え方、そうした生産漁業者の生活とそれらを含めた総合的な拠点としての港としていろんな計画が、考え方がなされておるんでありますけれども、そういうような点についてどの程度の配慮をされておるか。私はそうしたことが、この計画内容において、いろいろその形が出てくるんではないかと思います。長官のお考え方をひとつお聞きしたいと思います。
  55. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほど言われましたように、漁港整備はいろんな面で、その影響なり、機能を果たすということになろうかと思います。漁業生産の基地といったような機能もございますし、また、そういった漁業に非常に依存しておりますところの地域社会全体の開発なり、向上といったような面におきましても、非常に大きな影響力なり、役割りを果たすということでございます。したがいまして、今回の整備計画をつくります考え方の中にも、単に漁業生産面といったようなことだけではございませんで、漁業の持つそういった地域社会に対する役割りといったようなものも評価をいたしまして、私ども計画を立案をしたつもりでございます。全国の国土総合開発計画の考え方の中にも立案中のあれでありますが、漁港整備、またそういったものを中心といたしまして、資源培養型の漁業の展開といったようなことも計画の一つの大きな課題になっております。そういった考え方は、もちろん今回の私どもの漁港整備計画を進めてまいりました考え方とその方向を一にするものでございまして、全国の国土総合開発計画の思想と今回の私どもの思想も十分調整をいたしております。また漁港整備計画のみで、こういった漁業の発展なり、成果ということは、十分ではございません。従来からやってまいりました構造改善事業、また近くそれについての次期対策といったようなものも検討を開始する予定になっております。漁港整備沿岸漁業についての構造改善事業の今後のあり方と、そういうふうなものを十分関連を持たせまして、漁業振興上の今後の方途について十分ひとつ検討し、整理し、進めてまいりたいと思っております。
  56. 和田鶴一

    ○和田鶴一君 整備計画に採択されている漁港、またされていない漁港、いろいろございますが、いま長官のお話にも出ましたように、いままで水産庁が行なってきたいわゆる水産行政の中で、全国的に非常に喜ばれたものといいますと、あまりないんですけれども、構造改善事業、これは喜ばれました。おそらく初めはどういうものかわからなかったものですから、全国的に希望も少く、水産庁が用意したワクを一ぱい確保するのに、むしろ国が積極的に地方庁を通じて働きかけたぐらいだったわけでありますが、やってみて非常に効果があるというところで、どんどん希望者がふえてまいりまして、いま水産庁がそのアフタケアー的な性格を含めて構造改善事業の推進に非常に真剣に取り組んでいただいている。これはもう漁民が非常に喜んでおります。  そこで、このことに関しまして、先ほどもお話がございましたが、そうした構造改善事業を推進する場合にも二種、一種といったような、中小の漁港、特に沿岸の小漁港というものが、その周辺の構造改善地域の基盤をなしているという点から考えてみまして、総合的に施策を推進するという立場からこれを切り離してこれを考えるというわけにはまいらないと思います。そういう点に関しましても、いろいろ計画承認という問題について、改修をどうするか、局改をどうするかという問題、先ほど長官からお話ございましたが、あるいはそのほうが都合がいいのかなというふうに思いますが、そういう問題を取り上げて考えていただくときに、小漁港を統合するという考え方、これも一つ私はいいと思います。ところが漁民の立場に立って考えます場合、何といっても唯一の財産は漁船であります。漁船そのものが漁師の唯一の財産であります。そこで、ちょっと風が吹いて波が立ちますと、すぐ飛び出していってともづなをとり、いかりを入れかえるというきわめて卑近な場所に船を置きたいというのが漁業者のこれは偽らざる心境であります。そこで、先ほど長官が津々浦々ということを言われておりましたけれども、一つの山を越えて統合された港にかけ出していくということもこれはたいへんなことなんであります。私はそういう点等も考えまして、構造改善事業等の推進とからみ合わせまして地域に合った方法を採択していただいて、そうした小漁港に対してでも手厚いひとつ施策の推進をお願いをいたしたいと思うんでありますが、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  57. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほどもお答えを申し上げましたのでありますが、確かに漁港の集中といいますか、集約といいますか、そういったことも一つの投資をいたしてまいります際に、考え方としては持つべき考えであろうと思います。要するに漁港整備あるいは事業を進めていく上の重点化ということも一つの考え方であります。しかし、ただいま御指摘がございましたようなことで、漁民感情といいますか、漁業特有の一つの感情もございます。したがいまして、それをいかように現実的に調和し、円滑に進めていくかということが非常に大事なことであろうかと思います。したがいまして、漁港整備計画をつくる、また構造改善事業を現実にそれぞれの港においてやってまいるという過程を通じまして、別段中核にまとめるんだとか、そういう抽象的な指導をやっておりましてもうまくいきませんから、現実の事業を通じて現地の感情をよく尊重しつつ、いま言ったような重点化なり、あるいは中核化といったようなことを推し進めていくのがいいのではないかというふうに私どもは思っております。そういうことで今後とも仕事を進めていきたいと思います。
  58. 和田鶴一

    ○和田鶴一君 それでは、最後に先ほど達田議員の質問に対して大臣から必ずこの整備計画はやってのけるという力強い御意見の表明がございましたから、私からは申し上げませんけれども、この国会には漁業近代化資金の法律も出されておりますし、それが制度化されてまいりますと、一段と沿岸漁業の近代化が推進すると私は大きな期待をいたします。そうなってまいりますと、自然発生的に漁港整備につれて漁船が大きくなり、計画化されてくるという面もありますし、同時にそうした制度の面からも非常に合理化、近代化が進んでまいります。そうなってまいりますと、漁港整備がそれにおくれるようなことでは、せっかく生産増強に大いに取り組もうとする漁業者の意欲をそぐということになって、これは食糧を安定的確保に基づいて供給をしようとする農林省の使命に反するわけでありますから、私は重ねてこの程度の整備計画で満足するものではなく、ひとつ今後といえども、国の総合開発計画に乗りおくれないように、絶えず周到な計画と御注意の上に、ひとつ漁港整備計画計画以上の発展が私たちも十分期待でき得るように、大臣中心になられて、単に水産庁というだけではなくて官房長もひとつ農林省でそういう立場から協力をして推進をはかってもらいたい。以上で終わります。
  59. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 先ほど達田さんにもお答え申し上げましたとおり、何といっても基盤整備ということが第一の条件でなければなりませんし、まず漁港というものを整備するということが第一の条件である、これはもう論を待たないところでございまして、漁港整備は必ず御期待に沿うようにやりますし、あわせまして機能施設——先ほど御指摘のあったような機能施設も併行して考えながら、これらについて万全を期していくということだけをはっきり申し上げておきます。
  60. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまもるる先輩の方々から質問ございまして、基本的なことについてはお尋ねする何ものもないのでありますが、一、二点だけちょっとお聞きしておきたいと思います。先ほどの質問の中にもあったのかもしれませんが、確認の意味でお話したいと思います。  先ほど大臣のこの漁港整備計画提案理由説明の中にございましたが、「最近における漁業情勢その他経済事情の著しい変化に伴い、このたびこの計画を実情に即するよう全面的に変更する」というこういうお話で、第三次計画を四十五年を待たずしてこのたび変更することになった、それには漁業情勢とか経済事情とかこういうことがあるんだ、こういうことでございますが、具体的にはどういうことが一番大きな原因であったのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  61. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほども申し上げましたが、第三次計画昭和二十八年に立案をいたしました。その当時端的に漁港整備に一番関係がございますのは漁船の勢力ということでございます。その他漁業全般のことについても、どういうふうに移り変わっていくかということを見通しまして、それに即応した整備計画をつくっておるわけでありますが、端的に関係が深いのは漁船の勢力でございますが、その当時目標年度でありますところの昭和四十五年の姿を想定したわけですが、その想定は漁船の隻数にいたしまして昭和四十五年には十九万隻、それからトン数にいたしまして二百二万トンになるであろう、それに相応する漁港整備といったようなことをやっておったのでありますが、予想外にそういった隻数の増加なり、あるいはトン数の増加というものが急ピッチといいましょうか、早いテンポで進んでまいりまして、四十一年の状態では漁船の隻数にいたしますと二十二万隻、それからトン数では二百十二万トンといったような形になってまいりました。これでは従来立てておりました計画をそのまま遂行いたしますと実情に合わない、さらにこういった漁船の勢力に見合ったような計画をつくり直さないと、漁港整備としては十分ではないというようなことになりまして、期間を二年短縮をして、新しい四次計画をつくることになった、一例だけ申し上げますとさような変化があるわけでございます。
  62. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ急激な社会の変貌といいますか、産業の発達によります高度成長によりまして、今後のこの数年というものたいへんな勢いで発展すると思います。先ほどの質問の中にあったと思うのでありますが、この五カ年計画が終了時には大体どのくらいになるとお見通しになっていらっしゃるか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  63. 森本修

    政府委員森本修君) 先ほどの延長でございますが、漁船の隻数なりあるいはトン数でいきますと、昭和四十一年が先ほど申し上げましたような二十二万隻、二百十二万トンということになっております。で、目標の年次が昭和四十八年ということになっておりますが、そのときには漁船の隻数では動力漁船でありますが、約二十五万隻くらいになるであろう。それからトン数にいたしますと二百五十九万トンくらいになるであろう。いずれも隻数で一三%増、トン数で二二%増くらいになるであろうということをにらみ合わせまして、それぞれの漁港整備計画を立てておるということでございます。
  64. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そこで考えられることは、先ほどもお話があったのでありますが、漁船の大型化ということが当然それに伴ってまいります。総計で何万トン、何%の増という一応の目標をお立てのようでありますが、私ども過日いわき市の中ノ沢という所に行ってまいりましたが、そこは運輸省管轄の港にはなっておりますが、強い現地の要望としましては、最近の船の大型化のために、自分の港にとった魚を持ってこれない、こういうことでぜひ水深を考慮していただきたいという、深くしなければならないということでお話がございました。このようなことは何もここだけではなくて、いろいろのところにあると思います。こういうことからいたしまして、この五カ年計画には、十分にそういう点の配慮があると思いますが、どうか先ほどから指摘のありましたように、せっかくつくったものができ上がった時点において計画変更しなければならない、こういうことのないような考慮をして進めていただきたいと思うのであります。  次にお聞きしたいことは、港湾は運輸省に属する関係のものでありながら、漁業者が利用しているところは相当数あるのではないかと思うのでありますが、どのくらい数があるかお聞きしたいと思います。
  65. 森本修

    政府委員森本修君) 概数ですが、約九百くらいでございます。
  66. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 北海道の釧路、先ほど申し上げましたいわき市の中ノ沢とか、たいへん重要な漁港といいますか、漁業者の利用する、港湾が利用されているという、非常に大きな位置にあるわけでありますが、しかしこれは漁港としてではなくて港湾ということで運輸省の所管になっておる、こういうことでございます。その港が占める利用度というものは、たいへん漁業者の利用度が高いのでありますが、港湾という指定のために漁業関係のほうの整備がなされない。こういう点については、運輸省と農林省がお互いに連絡をとり合って万遺漏のないような連携がとられていると思うのでありますが、先ほど来大臣のお話がありましたように、非常に漁業振興という上からいきまして重要な問題だと思うのでありますが、この港湾の中で、特に漁業者が非常に利用しております漁港と名づけてもいい、漁師の方々の利用している釧路や真鶴や中ノ沢のような所、こういう所に対しては、運輸省、農林省、どういうふうに話し合いを進めてどのように進めていくか、こういう点についてお伺いをしたいと思います。
  67. 森本修

    政府委員森本修君) 御指摘のように、漁業根拠地として実際に使われておりますけれども、港の性質としては一般の港湾というふうな扱いを受けておるものが、先ほど言いましたように相当ございます。特に北海道においてはその例が多いようであります。私どもとしましては、運輸省とも従来から協議をいたしておりますが、利用状況によって漁港として指定するということが適当なものはできるだけ漁港としての指定をする、漁港の扱いをするというふうにいたしたいと思って相談をしております。最近も、そういうふうな形で港湾から漁港に指定がえになったものも相当ございます。また現在漁港ではなしに港湾という形で依然として残っておるものもあるわけですが、そういったものの整備につきましては、私どもからも運輸省によく話をいたしまして、漁港としての機能が十分果たされるように運輸省での配慮をしてもらいたいということを申し入れ、打ち合わせをいたしております。
  68. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それからもう一つは、計画がなされてそれからいよいよ着工という段になりまして、できてからももちろんでありますが、地元民からはぜひわれわれの望むようにこういう形にしていただきたい——、できんとする設計図、青写真とまた地元民の方々の要望するものとの違いというものを、ときおりそういうことを耳にするのでありますが、この計画立案の過程におきまして地元民の要望というものをどのように反映させているのかという点、この点についてお伺いいたします。
  69. 森本修

    政府委員森本修君) 私どもがこういった修築の計画あるいは改良の計画を立てます際に、当然これは今回の整備計画は農林省の計画でありますけれども、手順としましてはそれぞれの管理者なり、あるいは県庁なりから整備計画の原案を持ってきてもらいまして、その上で十分打ち合わせをしてこういうものを練り上げております。そういう原案をつくります際に、管理者なり地方庁に対しまして、地元の方々と十分打ち合わせをした上でそういった原案をつくるようにということを申し伝えております。また現に行なわれておるのを見ますというと、むしろ県庁等よりは地元のほうが非常に熱心でありまして、直接私どものほうにも要望に来られる、また漁港整備内容についてもいろいろ私ども御注文を伺うというふうなことでございまして、現地の段階におきましても、あるいはまた地方庁と私どもの段階におきましても、十分さような関係者の意向をよく反映をした計画をつくるようにと、配慮いたしているつもりでございます。
  70. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほどの話に戻るわけですが、この港湾とまた漁港という問題でありますが、時代の推移に伴いましてこれは抜本的に考えていかなければならない問題じゃないか。運輸省のほうと話し合っておりますということでありますが、どのように話がなって、具体的な問題がありませんとこれは話が進められませんが、各省によってそれぞれの考え方もありましょうし、また利用度とかその地域差といういろいろな問題があって一様にはいかないと思うのでありますが、いずれにしましても、漁業の置かれている漁業振興という大きな目的のためには、現在のような行き方というものは根本的に改める、そういう段階にきているのじゃないか、このような考えもするわけでありますが、いま長官のお話ですと、逐次希望のあるところについては進めているということでありますが、もう一歩進んだ抜本的な改革という、こういう考えがおありかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  71. 森本修

    政府委員森本修君) 役所同士の話でございますから、私ども連絡を十分とっているつもりでございますけれども、あるいは客観的に見まするならばそうでもないといったようなこともあろうかと思いますが、そういう点は連絡方法その他十分緊密にしてまいるようにつとめてまいりたいと思いますが、とりあえずのやり方としましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ港湾でありましても漁港になし得るものは漁港の指定ということでこちらのほうへ移してまいるということをやっていくよりいたしかたがないんじゃないか。もちろん港湾として非常に割合が高いものは、どうしても港湾という形で残らざるを得ないというものもあろうかと思いますが、そういうものの漁港機能についての整備のしかたその他は、十分ひとつ運輸省と連絡をして遺憾のないようにしたいと考えております。
  72. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 最後に要望でありますが、先ほどからも各先輩の議員の方からもお話ありましたように、いずれにしましてもこの五カ年計画がりっぱに遂行されて、漁業振興の大きな力になっていくように心から要望する次第であります。まあそれらのことにつきましては先ほど大臣からもお話しがございましたが、私どももその点につきましては、どうしてもこの漁港整備というものが漁業振興の大きな柱である、このように確信する次第であります。その点につきまして大臣から一言決意のほどをお伺いして終わりたいと思います。
  73. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 御指摘のとおりでございまして、漁港問題がまず解決がつかなけりゃならぬ。したがって、本年の予算を見てもおわかりのように、たとえば船にいたしましても、いままでかつて開かれておらなかった長期低利の金を、近代化資金を出しまして、そうして利子補給をする。そうして近代化した、しかも大型化した漁船に持ってまいりますから、いやが上にも漁港というものの整備をしていかなければならないし、先ほど藤原さんもお話しがありましたように、さらに漁港というものの使命は非常な大きな公共性を持ってきておりますから、これらに対しまして十分にその機能が果たせるような計画のもとに実施をしてまいることをはっきりお答え申し上げます。  以上、大体来年度からはさらに一そう拍車をかけてこの整備に当たるということを申し上げて私の答弁といたします。
  74. 任田新治

    委員長任田新治君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 任田新治

    委員長任田新治君) 御異議ないものと認め、これにて質疑は終局いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  76. 任田新治

    委員長任田新治君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会      —————・—————