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1969-02-18 第61回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年二月十八日(火曜日)委員会におい て、次の通り小委員及び小委員長選任した。  消防に関する小委員       青木 正久君    大石 八治君       塩川正十郎君    古屋  亨君       保岡 武久君    山口シヅエ君       太田 一夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君  消防に関する小委員長                 古屋  亨君 ————————————————————— 昭和四十四年二月十八日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 鹿野 彦吉君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 細田 吉藏君    理事 保岡 武久君 理事 山口 鶴男君    理事 山本弥之助君 理事 折小野良一君       青木 正久君    奥野 誠亮君       亀山 孝一君    吉川 久衛君       斎藤 寿夫君    永山 忠則君       太田 一夫君    野口 忠夫君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野田 武夫君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         警察庁警備局長 川島 広守君         自治政務次官  砂田 重民君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁次長   山本  弘君  委員外出席者         警察庁警務局人         事課長     国島 文彦君         警察庁刑事局保         安部長     海江田鶴造君         厚生省薬務局参         事官      下村  孟君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 二月十五日  委員太田一夫辞任につき、その補欠として川  崎寛治君が議長指名委員選任された。 同日  委員川崎寛治辞任につき、その補欠として太  田一夫君が議長指名委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置の件についておはかりいたします。  消防関係法令整備及び消防施設整備強化をはかるため、小委員十一名からなる消防に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは小委員に       青木 正久君    大石 八治君       塩川正十郎君    古屋  亨君       保岡 武久君    山口シヅエ君       太田 一夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君 を指名いたします。  小委員長には古屋亨君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長委員異動に伴う補欠選任並びに小委員及び小委員長辞任許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次に、地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奧野誠亮君。
  7. 奥野誠亮

    奥野委員 さきの委員会における自治大臣所信表明に関連いたしまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  その中で自治大臣は、都道府県合併特例法案を今国会に再度提出し、ぜひその成立をはかりたいと述べておられるわけでございます。戦後、府県性格を国の出先機関的のものから完全な自治団体に改められたわけでございまして、その際に、府県区域を改編する権能も当然自治団体であります府県に与えられておくべきだったと考えるわけでございます。その忘れられていた部分の手直しがこの特例法案だと考えます。したがいまして、今日府県制度について起こっております問題は、これだけでは解決にならないと考えておるものでございます。また、そのような見地もあって、先年政府から地方制度調査会府県制度改革についての諮問がなされ、もう十二年前にもなるわけでございますが、昭和三十二年にその答申政府に提出されておるわけでございます。戦争が終わりましてから今日まで二十四年たっているわけでございますけれども、そのちょうどまん中の時点における答申でございます。まだ民主政治も国民の間に定着しなかった期間においていろいろの論議が進められてきたと思うのでございまして、今日なおこの答申が実現に至らないことにつきましても、やはりそれなりの事由があると私は考えておるわけでございます。  その後にわが国の経済はさらに飛躍的な発展を遂げてまいったわけでございまして、社会情勢も大きく変化いたしてまいっております。そして府県制度改革必要性は高まりこそすれ減退はいたしていない次第でございます。ことしは明治百一年だといわれております。新しい百年に向けて出発する年だといわれておるわけでございます。明治の先覚が九十年前に、馬が唯一の乗りものであった時代に、三百有余の藩を廃止して四十余りのおおむねいまの府県に統合するという大改革を断行したわけでございまして、明治百一年といわれるいまこそ新しい飛躍に備えて、それを可能にするような府県制度改革に取り組むべき時期に参っていると考えるものでございます。この改革に取り組んだからといって、半年や一年ですぐ結論の出てくるものではないと思います。同時にまた、結論の出る過程におきまして相当準備期間を必要とする性格のものだ、かようにも考えておるものでございます。そうだとすれば、やはりこの際、あらためて地方制度調査会に、府県制度をどう考えるかということについての新たなる諮問がなされてしかるべきではなかろうか、かように思うわけでございます。  私も地方制度調査会に席を連ねておりまして、昭和三十二年の答申が、どうも論議の足を引っぱり続けておるわけでございます。あれを今後も実現するものとして論議を進めていくのか、あるいは、あれはあれでもう終わったのだというたてまえで論議を進めていくのか、いつも混乱するような場面にぶつかっているわけでございます。私は、新たに政府地方制度調査会府県制度改革問題についての諮問をされるべき時期だ、こう考えておるわけでございますが、これらの問題について自治大臣がどうお考えになっているかをただしておきたいと考えるものでございます。
  8. 野田武夫

    野田国務大臣 ただいまの奥野委員の、現在の府県制についての御意見は、私は全く同感でございまして、御指摘のとおり九十数年前にきめた府県制が、今日経済社会の急変と申しますか、非常な変動にあたりまして、これが適応しておるものとは考えておりません。お話のとおり、三十二年に地方制度調査会答申を得ましたのでありますが、その後地方制度調査会におきましても、いわゆる最後の結論と申しますか、まだその点を得ていないのでございます。いまの府県制につきましてのあり方につきましては検討すべき問題がたくさんあるのでございます。そこで、政府といたしましては、当面は第十次の地方制度調査会答申を生かすように府県合併特例法成立をはかりたいというので、今国会にも提案して御審議をいただく予定でございますが、御意見のとおり、これだけで足りるとは考えておりません。現在開かれております第十三次の地方制度調査会に、社会変動に対応する地方公共団体あり方について諮問してありますし、その答申を待ちまして所要制度整備、また、実際に適応するような制度の確立をはかりたいというので、今日それらにつきましても、政府として十分の検討を重ねております。
  9. 奥野誠亮

    奥野委員 多少はっきりしない点もございますが、時間を急いでおりますので、次のお尋ねに移りたいと思います。  一口に都道府県といいましても、それぞれの間に相当実態の差がございます。特に府県制度改革というようなことを考えます場合には、東京都についての改革を急ぐべきだ、こう私は考えておるものでございます。東京都という狭い区域に日本の人口の一割以上が住んでいるわけでございますけれども、現在の都のこの仕組みのままでは、これらの人たちが幸福な生活が送れるような仕組みを果たせない、こう私は考えておるものでございます。  まず、いまの都制の生まれました経緯考えてみましても、東京市と東京府を廃止して設けられたわけでございまして、地方行政がきびしい国家統制のもとに置かれ、民意が強く抑圧されていた戦争中の改革でございます。現在はそのころとは想像もつかないくらい民意が活発になってきておりますし、戦争中心行政から住民福祉増進中心とする行政に変わってまいっております。行政内容はきわめて複雑多岐にわたっておるわけでございます。  したがいまして、まず第一に、東京都の事務が膨大に過ぎているということがしばしば指摘されております。人口が激増してきていますし、きわめて稠密であります上に、旧東京市の事務も合わせて都が処理しているわけでございます。しかも中央政府所在首都でございます。それだけにまた国際社会とのつながりもきわめて多いはずでございます。美濃部知事がいろんな座談会で、東京都には仕事が多過ぎるということをしばしば嘆いているのを私読んでおります。また、かつて東京都に勤務したことのある人たちは、東京都の改革考える場合には、東京都の事務がふえない、減らす方向において考えていかなければならないということをしばしば指摘しているわけでございます。なおまた、千万人をこえる住民に必要な施設を提供するのには、いまの東京都という狭い区域中心考えていたのではとてもそのねらいを果たせない、そういうことでは将来に大きな悔いを残すおそれさえあると思うのでございます。今日、都内から学校や研究機関を茨城県の筑波山麓に移して筑波学園都市を建設しようという作業も行なわれております。しかし、不幸にして遅々として進んでおりません。これが同じ自治団体の中でそういう計画が立てられ、それが遂行されていくといたしますならば、もっと私は円滑に運ぶだろうと考えざるを得ないのでございます。これは学園都市の建設だけでございますけれども、こういう問題は幾らでもあるわけでございます。千万人のしあわせを考えるのには、私はいまの東京都の区域は狭過ぎる、こう思っておるわけでございます。  なおまた、特別区の自治権の拡充問題がございます。二十三区の区長住民の直接選挙にしろという要望がかなり強いものがございます。しかし、いまの二十三区を見てまいりますと、二十三区の仕事中身一般市町村とは雲泥の差がございます。さて区長住民の直接選挙にして住民の負託にこたえてどれだけの仕事ができるか、どれだけの権限が与えられているか、一般市町村とは雲泥の差がございまして、早い話が、し尿、ごみ処理まで区の権限ではないわけでございます。社会福祉、保健衛生しかりでございます。でございますだけに、区の職員の八割近いものが実は東京都の職員身分を持っているのでございます。区長住民から選ばれて、自分が指導していく、指揮していくその職員が、区の職員じゃなくて東京都の身分を持った職員が八割近いのでございます。これではたして特別区を自分の責任で運営していけるだろうかということになりますと、これまた疑問なしとしないのでございます。財政的に見ましても、東京都からの交付金財源の大部分を占めているような区もございますし、反対に、また自分で取りました税金を東京都に納付して、それを他の区に分配しているようなところもあるわけでございます。そうしますと、今日の二十三区の問題は、区長公選だけでは何の解決にもならないのでございます。かえって矛盾を拡大するだけだ、かように考えておるものでございます。  こういうことをいろいろ考えてまいりますと、私なりにやはり東京都の区域は広くしなければならないなと思うのでございます。同時に、二十三区や周辺の市を合わせて新しい区の再編成を行なって、これらの区を自治体として充実させる。その暁には、長は住民の直接選挙にする、そうしてしかるべきだと思うのであります。同時に、区の連合組織をつくって、これに東京都の仕事を思い切って移す、首都らしいものをここに求める方法があるのじゃないだろうか、こういう考え方を持っているものでございます。私は府県制度改革について、すみやかに地方制度調査会諮問されるべきだと申し上げましたが、それ以上に東京都の改革の問題は急がれるべきものだと考えるものでありますが、それにつきましての自治大臣所見を伺っておきたいと思います。
  10. 野田武夫

    野田国務大臣 東京都のあり方につきましては、いま奥野委員の御意見のように、まことにここまで膨張しました東京都の行政あり方、それから特別区の制度あり方というものは、ここでひとつ思い切った制度改革をやらなければ、完全に行き詰まっている。これはひとり行政だけではなくて財政上の問題もございます。せっかく特別区がありながら、御指摘のとおり、財政上の問題、またその区の職員の八〇%も都の職員というふうな変態的な実情でございます。  そこで、基本的に申しますと、大体奥野委員もよく御承知のとおり、首都圏というものができましたのは、これはそういう意味において東京都を中心として、この周辺の広域な地域を統合的に考えていこうというねらいだったと思っております。しかし実情はこれに伴っておりません。ことに特別区のあり方につきましても、いまお述べになったとおりでございまして、これらにつきましては、各方面からもいろいろの意見が出ておりますが、地方制度調査会におきましても、相当そういう意見が出ていることを存じております。  そこで、まずいま御意見にありましたとおり、東京都を中心とする首都区域の拡大、これによって一つ東京都を中心とする首都圏行政と申しますか、そういうものにひとつもっと真剣に取り組んでいきたい。それから、特別区のあり方というものにも、これはもちろんいまお話しのとおり、この際ひとつ何らかの改革をやる必要がある。これはいまの区の連合体をつくって普通の市のような行政あり方にしようという御意見も、私は一つの建設的な御意見だと拝聴いたしました。その他各方面からこれをながめました場合において、もうすでに東京都全体といたしまして、特別区も含めて、完全に行き詰まっている。つまりこの際何とかメスを入れなければ、にっちもさっちもいかぬという状態だ、常識論でありますが、これはわれわれもよくわかっております。  そこで、その基本的な考えは、やはり奥野委員のお考えのような方向にいくべきだ、したがって首都圏全域にわたっての区域役割り等検討する必要に迫られておる。そこで現在第十三次地方制度調査会検討されることになっておりますが、この際には、当該特別区制度だけではなくて、いま申しましたとおり、首都圏における東京都制あり方というものを地方制度調査会諮問する、そうして十分論議をいただきまして、その答申を得たい、こういうことを政府考えております。このことはひとつぜひ、調査会答申を得まして、所要整備に取りかかりたい、こう考えております。
  11. 奥野誠亮

    奥野委員 自治大臣お話を伺っておりますと、現在地方制度調査会諮問されている項目の中に、東京都のあり方についての改革答申も期待しているのだ、こう理解してよろしいのでしょうか。
  12. 野田武夫

    野田国務大臣 現在の第十三次地方制度調査会都市問題として取り扱っておりますその中には、都制問題並びに特別区の問題もあわせて審議していただくようになっております。
  13. 奥野誠亮

    奥野委員 第三の問題に移りたいと思います。  私は、地方自治地方行政というものは、地方地方実情に応じて、面積の広狭にとらわれずに、その区域を定める地方ごとに必要とする事務を取り上げ、地方ごとに運営に適する仕組み考えていく、そうして、それぞれの財政需要に応じた財源の付与をしていくことが適当だ、こう思っておるものでございます。しかし、現在の姿を見ておりますと、どうも都道府県とか市町村とかの名称にとらわれて画一的に考え過ぎているきらいはないだろうかという疑問を抱かざるを得ない一人でございます。そういう見地お尋ねしたいのでございます。  現行の地方自治法では、人口五十万以上の市で政令指定をした市につきましては、府県の行なっている仕事も、その区域に関する限りにおいては市が行なうんだというたてまえをとっておるわけです。政令市と呼ばれているわけでございます。この制度になります前、戦前は大都市につきまして内務大臣監督督励というような勅令がございました。大都市につきましては、地方債許可も、府県知事じゃなくて内務大臣が行なうし、同時にまた、一般府県が行なう仕事も、その市については市が行なうというような仕組みがとられておったわけでございます。それが戦後、いま申し上げたような仕組みに変わったわけでございます。仕組みに変わってどれくらいそういうような市がふえたのかと見てまいりますと、北九州市だけでございます。  そこで私は、政府の改正された地方自治法を運営していく態度に若干疑問を感ぜざるを得ないのでございます。昭和四十年の国勢調査の数字によりましても、人口五十万をこえました市が札幌川崎尼崎広島福岡とございます。おそらく最近の人口ではこれに追加される市が幾らかあると思うのでございます。にもかかわらず、いわゆる政令市は六大都市のままにとどまっておるわけでございます。私がいま読み上げました市は、当然道路の問題にしましても、その他の問題にいたしましても、従来の大都市同様、みずから総括して処理したほうが市民に都合のよい行政をてきぱきやっていけるんじゃなかろうか、こういうふうに考えるものでございます。もしいまのままであれば、地方自治法の規定を昔に戻すべきだという議論さえ私は起こせると思うのであります。やはり、そうではなくて、中身の充実した市には、充実の度合いに応じてどんどん中身をふくらましていくんだという考え方地方自治法改正の精神だ、私はこう考えるわけでございます。人口五十万以上の市がどんどんふえているにかかわらず、その内容を充実させるについての政府の取り組み方が不十分だ、こう思いますので、これについてのお考え方を伺ってみたいと思います。
  14. 野田武夫

    野田国務大臣 いまお話しのありましたとおり、人口五十万以上の都市指定都市としての制度を持っております。五十万以上の都市は、現在指定された以外の都市では全国で川崎札幌福岡広島尼崎と五つあります。指定都市制度ができましたあとにおける実態は、非常に都市化現象が大きく伸びたと申しますか、あらわれてまいりました。中には人口においては要件を上回る都市が、いま示しました、またお話しがありましたとおり、幾つか出現しておりますが、これらの都市には衛星都市的な性格のものがあって、その他において必ずしもすべてが地方自治法が想定するような実体を備えたものとは言えない点もございます。したがって、五十万以上の人口を持った都市すべてを指定して入れるのは多少困難と申しましょうか、自治法の当時の想定の条件に必ずしも適しないというようなこともございますので、現状においては、いまお話しのありましたように、北九州を入れたほかはまだ指定しないでおります。この意味におきましては、この制度あり方、また指定要件などにつきましても、多くの都市が五十万以上の大都会となっております関係上、あらためて検討を加えるときに至っておると思っております。  これらに限らず、市町村、特に都市につきましては、規模、行政能力の程度において、処理すべき事務の範囲も差を設けることが必要とされる分野が非常に増加しております。保健、衛生、公害行政建築基準行政などがその例でございます。したがって、これらの行政について、各法規においてばらばらに指定が行なわれていることは望ましくない点でありますので、これが指定都市制度以外に統一的な基準を与えることについてひとつ検討してみたいと思っております。  現在第十三次地方制度調査会におきましても、これらの問題をあらためて検討することとなっておりまして、いまの御意見は私は尊重すべき御意見と思って、この地方制度調査会答申を待ちましてひとつこの際所要整備をはかりたい、こう思っております。
  15. 奥野誠亮

    奥野委員 市町村能力がないから仕事をおろせないというのであれば私はやむを得ないと思うのでございます。十分能力があるにもかかわらず、府県仕事市町村におろしていない、そこに私は多くの疑問を抱いておるわけでございますので、ぜひいまのようなお気持ちで改革を進めていただきたいと思うのでございます。  また、いままでのような姿だから、たとえば、相当の市になりますと保健所を市が設置するということになっているわけでございます。これは占領中、占領軍の政策でそうなった経緯がございます。ところが、その後にどんどん大きな市ができているにもかかわらず、保健所をその市に設置させないわけでございます。厚生省考え方からしますと、市に保健所設置を認めたのは間違いであったという考え方を持っているようでございます。いずれが間違いであるかは別にいたしまして、市の能力が十分熟したものになってきたにかかわらず、たとえば政令指定市にしない、このような姿勢が、こういう問題の解決をも困難にしているのではなかろうか、こう私は指摘しておきたいのでございます。たとえば保健所設置している市の一つ大牟田市がございます。大牟田市の人口は十九万人でございます。十九万人の大牟田市が保健所設置しているにかかわらず、人口四十四万の東大阪市には保健所設置が認められていないのでございます。近いところでは千葉市でも同じでございます。全く矛盾だと思うのでございまして、これはやはり政府間において考え方をすみやかにまとめて、いずれの方法住民にとって一番しあわせであるかという探究をし、またそれに向かっての改革を進めていただきたいものだ、かように考えるものでございます。これについての御所見を伺っておきたいと思うのでございます。
  16. 野田武夫

    野田国務大臣 いま御指摘になりました保健所設置の問題でございます。全くその基準といいますか、能力の測定といいますか、そういう点におきまして、私もむしろ非常に疑問を持つ一人でございます。そのことを私も承知しております。したがって、これらにつきましては、やはりこれは関係官庁のあることでございますから、私はここでもって何とかということをはっきりお答えできませんが、私も同様な疑問を持ちますし、また、大体において奥野委員と同様な意見を私も持っている一人でございますから、これらにつきまして関係官庁とひとついろいろ懇談をし、話し合ってみたい、こう考えております。
  17. 奥野誠亮

    奥野委員 最近人口三万以上の町が連合いたしまして市を名のりたいと、こういう運動をされております。地方自治法では人口五万以上でなければ市を名のれないことにしておりますので、法律の改正を求めておるわけでございます。調べてみますと、五万未満の市が二百六十六に及んでいるわけであります。市を名のっているところの半分近いものがいまの法律では市を名のれないものなんでございます。しかも三万未満の市が二十六もございます。こういうような矛盾した姿の中で、三万以上の町が市を名のりたいといわれて、いやそれはだめだと、簡単にノーと言うだけで私は済まされないと思うのであります。やはり市の能力においてその市の事務内容が定まる。同時に、積極的に、能力ある限りは市のほうに——国から府県に、府県から市へおろす努力を積み重ねていかなければならないと考えるわけでございますけれども、このような点について政府はどう対処していこうとされているのか、その考え方をお示しいただきたいのでございます。くどいようでございますが、五万以上でなければ市を名のれない制度にしておきながら、現実に半分近いものが人口五万を割っている。そしてまた、三万以上の町が今日連合して市を名のらしてくれと言っている。しかも三万未満のところで市を名のっているところが二十六もあらわれている。これではただノーと言うだけでは済まないのではないか、こう思うものでございますだけに、どう対処していこうとしておられるか、考え方をこの際聞かしておいていただきたいと思うのでございます。
  18. 野田武夫

    野田国務大臣 御指摘のとおりで、現在三万未満の市が二十六もある。私も産炭地なんか歩きますとよくぶつかりまして、実情をよく知っております。ただ制度としては五万以上になっておる。ここに制度上の、今日までの運営でございますから、自治省といたしましてもやはり三万になった人口の市について今日まで相当難色を示しておった。実際を申し上げますが、そうだろうと思っております。これはまあ何と申しますか、市となる要件というものがございまして、社会の実態と、それからその地域の内容というものが当然条件になるのでございます。そこで、現在の制度考えております要件をこの際引き下げるということになりますので、いま直ちにここでもってはっきりしたお答えができないのは残念でございますが、お話のとおりのことでございまして、全体的の実情をひとつ勘案いたしまして考えてみたい。現在地方制度調査会においても、これらにつきまして検討されるということになっているようでございますから、この答申も出てまいりましょうし、また、自治省自体としても、社会の一般地域の実情を勘案いたしまして検討いたしたい、こうお答えいたしておきます。さらに、これはいろいろまた御要望がありましょうが、一応この地方制度調査会答申を待ってみたい、こう思っております。
  19. 奥野誠亮

    奥野委員 現実に三十有余の町から熱心な希望の出ていることでもございますし、私が申し上げましたように、非常に矛盾した姿になっていることも事実でございますので、地方制度調査会答申を待ってということではなしに、積極的にこの問題を御検討いただいて、なるべくすみやかに結論をお出しいただきますように希望を申し上げておきたいと思います。  次に、自治大臣所信表明の中に「過密過疎等の現象に対処するための新しい諸施策に積極的に取り組んでまいらなければならない重要な時期にさしかかっております。」こう述べておられるわけでございます。私は、このことにつきまして財政的な面だけを二、三お尋ねしておきたいと考えるものでございます。  従来地方団体がその責任を果たしていくのに財源が十分でなかった、国からも財源の移譲を求めてまいりましたけれども、それだけでもなかなか解決いたさないものですから、比較的ゆとりのある団体の財源をゆとりの乏しい団体に移していくというような方策も積極的に取り上げてまいったと思うのでございます。いわゆる偏在是正という名のもとにこのような改革をかなり手きびしくやってきたと思うのでございます。偏在とはいいますけれども、今日の事態になって考えますと、それは適当な財源をこえたものであるか、あるいはまだそこまでいかなかったものもあえて取り上げたのか、そこに私は多くの問題をはらんでいると思うのでございます。幸いにして経済もよくなり、財政状態もよくなってまいったわけでございますので、税金の金で手当てをしなければならない。そういう需要がどういうところにどの程度あるかということについては、積極的にそれを見出して、その手当てをするという姿勢に返ってしかるべきだろう、こう考えておりますし、この数年来私はそういう意味の姿勢が強く出てきている、こう思うわけでございます。  今日都市への人口流入がはげしく続いているわけでございます。そして住宅は郊外へ郊外へと広がりますし、反面、オフィスは住宅を押しのけても都心で確保されてまいっているわけでございます。その結果、一面には通勤輸送が大問題になっておって、反面には都心の学校ががらあきになって、周辺部の生徒児童数が激増してまいってきているわけでございます。こういうこともございまして、最近では食住近接の原則ということが強くいわれるようになりました。職場と住居とが近くに接しておるべきである、そういうたてまえで「街づくり」をしていかなければならないということが強くいわれるようになってまいりました。同時に、土地の少ない日本では、私は、「街づくり」は立体的に行なわなければならないということを強く考えている一員でございます。「街づくり」を立体的にやってまいりますと、どうしても人口密度が高くなってまいりますだけに、公園緑地や道路の面積が全体の面積に占める割合を高めていかなければならないはずでございます。同時にまた、道路そのものも立体的につくっていかなければならない。自動車専用道路は高架にしていく、路面電車は地下に移設していくというような作業も積極的に行なわなければなりませんし、また、行なわれてきている、かように考えるものでございます。ことに、路面電車を地下に移設しますことは、どちらかといいますと、自家用車などの自動車が激増したために、路面電車を地下に追いやるわけでございます。地下に追いやりますと、トンネルの掘さくなどに非常に金がかかるものでございますから、いまの地下鉄の料金を三倍にしても、収支とんとんになるのだけれども、減価償却ができないのだというような話も聞いておるわけでございます。しかし、地下鉄は大衆の足であります。そうしますと、トンネル掘さくに要するような経費については、税金の金で手当てをすべきであって、料金の原価に算入すべきではないという考え方も生まれてくると思うのでございます。こういうようなところから、私は二つの私なりの意見を申し上げて、御判断を得たいと思うのでございます。  今回、地方財政の改善を進めるにあたって、自治省では、地方団体に土地基金をつくらせるという考え方を持っておられるようでございます。これは財政の弾力性を確保していくという考え方もあろうかと思うわけでございますけれども、いま申し上げましたように、立体的な都市を  つくっていかなければならないのだ。そうすると人口密度が高くなるのだから、公園緑地や道路の面積というものの、全体の面積に占める割合をうんと高めていかなければならないのだ。自然、都市における土地の確保、これは積極的に行なわなければならないわけでございますから、土地基金の財源配分などにあたっては、こういう配慮を加えるべきだ、こう思うわけでございますので、こういう配慮をどう加えようとしておるかということについて、お考えをただしたいのでございます。  もう一つは、地下鉄については、料金をもらうのだから、必要な経費は原価に織り込めばいいという考え方を排除して、いま申し上げたようなことで地下に移していくわけですから、少なくとも、トンネル掘さくのような経費は道路をつくる経費と同じように考えて、国も、地方団体も、相当に税金の金を注ぎ込むべきだ。また、そういう負担制度もはっきりさせるべきだ、こう考えるわけでございます。そういう考え方に立ちますと、当該都市の負担すべき部分は、地方交付税の基準財政需要額に算入すべきだ、こういう結論が生まれてくると思うのでございます。負担区分の制度を確立し、都市の負担に属するものについては基準財政需要額に算入するという考え方、こういうことについてどういうお考えをお持ちになっているか、ただしておきたいと思うものでございます。
  20. 野田武夫

    野田国務大臣 いまの奥野委員の御意見のとおり、今日、自治省といたしましては、いろんな地方行政の水準を全体的に引き上げることはもとよりでございます。特に、過疎、過密地帯対策というものは、重点的に考えなければならない段階に入っておると思います。いまの御意見のうちで、地下鉄の問題をお取り上げになりましたが、これは今日大都市交通の混雑打開のための大きな一つの支柱だと思います。何といたしましても、大量輸送ということからいたしますと、路面の交通緩和の意味におきましても、私どもは地下鉄の建設を奨励したい、むしろそういう気持ちを持っております。ところが、この建設費が非常に高い。一キロメートル六十億円をこえるというようなばく大な費用で、これを単にいまお話のありましたとおり利用者の負担にする、こういう考えでほうっておきますと、全体的の都市計画、交通政策というものが行き詰まってしまう。だから、私どもといたしましても、特にいまおあげになりました地下鉄建設につきましては、これはやはり相当税金をもってまかなったがいいという基本的な考え方を持っております。今度の四十四年度の予算編成におきましても、そういう心がまえで自治省は考えておりましたが、はっきりした成果をあげなかったのは遺憾でございます。四十五年度の予算編成にあたりましては、この点を十分財務当局も考慮するように強く要請いたしまして、ある程度の了解を得ておるのでございます。いま地下鉄はむしろ路面から地下に道路が移るという一つのたとえをお話しになりましたが、全くそのとおりでございます。今後その心がまえで、地下鉄建設につきましてはさらに積極的に取り組んでまいりたい、こう考えております。  また、土地基金の新しい考え方についてでございますが、これはもう御承知のとおり、今日各地方公共団体がいろいろな公共施設をやります場合に、一番悩むのは地価がだんだん高騰する、どうしてこれを抑制し、——抑制するというよりも、自分たちの公共施設の設備ができなくなる、こういうことでございますから、今回都道府県、ことに大きな都市はもとよりでありますが、十万以上の都市にこういう制度をつくり、また大都市周辺の地域にもこの制度を適用したいと思って、せっかくいま立案いたしている次第でございます。
  21. 奥野誠亮

    奥野委員 呼び出しがかかってきておりますので、あと一問だけでやめさせていただきます。若干まとめてお尋ねをしたいと思います。  私は、府県にしろ、市町村にしろ、財政需要を的確に把握して、それに対応する財源を的確に与えることを積極的にやっていかなければならない、こう考えているものでございます。その場合に、府県についてはある程度的確な財政需要を、特定の指標でとりやすいと思います。また、特定の指標ではとりにくいものにつきましても、国庫補助事業が急激に拡大する、したがって地元負担も相当な額にのぼる場合には、現在行なわれております事業費補正というような方法を用いましてもさほど障害はないと思うものでございます。したがいまして、指標だけでは財政需要を的確に把握できない場合には、事業費補正を行なって、できる限り与える財源をその団体の需要に合わせる努力を積み重ねてほしい、こう思います。  そういう見地で見ていきますと、現在道路費については事業費補正が行なわれているわけでございますけれども、同じ性格を持った街路費については事業費補正が行なわれていないわけでございます。たまたまばく大な街路事業をかかえた府県では、その裏負担に困り抜いてしまいますので、こういうものは積極的に事業費補正の対象にする、また、そういう思想で全体に対処すべきではなかろうか、こう考えますので、このことをひとつ伺いたいと思うのでございます。  次に、市町村の場合には、私はそういうことはなかなか困難だと思います。したがいまして、市町村につきましては、必要な財政需要はさしあたり地方債でまかなわせる反面、その地方債の元利償還額を基準財政需要額に算入するというような方式をとっていけば、よろしいのではなかろうか、そして、それぞれの団体の需要に対応する財源の付与を積極的に行なっていくべきではなかろうか、こういう考え方を持っている一人でございます。  また、そういうこともございまして、辺地については、特定の指標で財政需要を的確に把握できない、したがって辺地債というものを設けて、その元利償還額の五七%は基準財政需要額に算入するという方式がとられておるわけでございます。あの制度が設けられてからもう七、八年もたったのではないかと思うのでございます。その当時の地方財政の状況と今日と比べますと、格段の差だと思います。あの当時で五七%の元利を基準財政需要額に算入したのだから、そもそもこの割合を高めてしかるべきではないか、こう思うわけでございます。  特に私、昨年の暮れに見聞をして、なるほどこれはほうっておけないという感じを持ったことがございますので、ちょっと一言つけ加えさせていただきたいのでありますが、自分選挙区でありながら、生まれて初めて昨年の暮れに野迫川という村を訪れました。村長さんの示します丘の上に二十戸ぐらいの部落がございます。自動車道はその二千メートル手前までしかきていないのでございます。生活物資はロープで運んでおりますけれども、重病人がございますと、担架で二千メートル下の道路へ運んでくるよりほかないわけでございます。高さは二千メートルもございませんで、わずかなものでございますが、お医者さんに見てもらいますと、また担架で上へ運んで帰るわけでございます。そこにぜひ自動車の入る道路をつけたいのだが、約四千万円ぐらいかかるそうでございます。一戸当たりにしますと、二十戸ですから、二百万円ということになります。これは村としてもとてもお金が出せない。しかし、二十戸の世帯がなくなりますと植林もできない。山が崩壊していくかもわからない。ですから、やはり国庫補助金を出してでもそこに住んでもらわなければ困る地域のようでございます。そうしますと、この四千万円内外の道路費は、国民全体の金でつけてあげなければならぬではないか、こう思うわけでございます。そのために辺地債の制度が生まれたのでありますから、辺地債も、こういう場合の辺地債は、九割までは元利を基準財政需要額に算入するのだ、こういう積極的な財源対策を行なうべきではないか、かように考えるわけでございまして、辺地債の考え方も前進させるべき時期にきている、こう思いますので、これらについて、どう取り組んでいこうとされておるか、お考えをただしておきたいと思うのでございます。  同時に、過疎対策の問題は、やはり財政需要というものを特定の指標でなかなか把握していけませんので、辺地債制度を活用していかなければならない。そうすると、辺地債の対象地域を広げていく、対象事業を広げていく、こういう問題も積極的に考えてもらわなければならない。場合によっては、部落統合の費用も辺地債で見ていくという姿勢が必要だと思うのでございます。そういう辺地でありましても、どうしても長く住んでもらわなければ国家的に困る場所がたくさんあるわけでございますから、ある程度文化的な生活ができるようにするためには、部落統合も必要になってくるわけでございます。こういうものも辺地債の対象に取り上げていくべき時期にきている、こう私は判断をしてお尋ねしているわけでございます。  同時に、こういう地域におきましても、やはり教育はある程度高いものを受けてもらうように仕組んでいかなければならない。学校統合が必要になってくる。学校統合をしますと、どうしてもスクールバスを運営していかなければならない。そうすると、スクールバスについて、文部省側の補助金なんかもございますけれども、それもさることながら、どうしても市町村に残る経費がございますので、建設費だけではなくて、スクールバスについても動かしていく経費は当該市町村財政需要に算入していくべきだ、こう考えるわけでございます。地方交付税の基準財政需要額にこういう経費も積極的に算入していくべきだ、こう考えるわけでございますが、こういう点についてもお考えをただしておきたいと思うのでございます。  同時にまた、最近、観光都市で旅館の大火が続発して多数の犠牲者が出ております。私は、こういうような地域は、おそらく旅館の密集地域だと思います。思い切って街路を広げませんと、消防率も入れないと思います。また、そういう地域については、若干ひなびたところでありましても、常備消防を必要とするのではなかろうかと思うのでございます。そうしますと、やはりそれなりの消防経費も基準財政需要額に見ていかなければならない、こう思うのでございます。ただ声を大にして合同査察とか、あるいは消防機能の充実とかを言うだけではなしに、金の手当てもあわせて地方交付税制度を通じて積極的に考えていかれる必要があるのではなかろうか、かように考えますので、この点もあわせてただしておきたいと思います。
  22. 野田武夫

    野田国務大臣 何かお呼びがあるそうですから、簡単にお答えいたします。  事業費補正の適用費目につきましては、都市計画事業費または清掃事業費等にも拡充をいたしたいと思って検討いたしております。特に都道府県外にあっても、都市計画事業費及び上下水道事業費等につきましての適用を考えていきたい、こういうことでいま検討いたしております、  それから、過疎地域、特に辺地債のお話がございましたが、御意見どおり辺地債の算入の率、これを現在の率よりも引き上げなければならぬ。これは各辺地の実情に照らしまして——いま実例をお話しいただきまして非常に参考になりましたが、そういう場所もありましょうし、これらも、重ねて申しますが、引き上げるつもりでおります。その方法等につきましては、いま十分検討いたしております。  それから、スクールバスの維持費等のお話がございましたが、これは通学費の補助等に関する経費の一半でございますが、これも必要と思っておりますので、関係費目を基準財政需要額に算入するという原則をきめまして、いま検討いたしております。これは実現したいと思っております。  それから、辺地債の対象をもう少し広げたらどうかというお話があったようでありますが、これもいま申したとおり、過疎対策に対するいろいろな重点事項をいま検討いたしておりますが、辺地債の区域の拡大につきましてもいま検討いたしております。できるだけそういたしたいと思っております。  それから、消防お話でございまして、最近引き続き起こった旅館その他の大火、これはいまお話しのとおり、ただ査察をしてこうこうだという報告だけをしても、実体が伴わないじゃないかという御懸念は、従来から見ると、そういう傾向があったことは認められます。最近の磐光ホテル、それからその前の有馬温泉の大火というものからいたしまして、いま御指摘のとおり、こんなことをほうっておいてはいかぬ、もう少し厳重に、しかも厳密にこの対策を考えなければいかぬというので、ただいま一つ例をお示しになりましたが、市町村道に消防車が入れるようにするというようなこと、これに対しましても、当然それを満たすような方法考えたいというのでございまして、消防行政につきましては、最近の実情に照らしまして、きわめて現実的な、しかも積極的な態度で取り組んでいきたい、こう思っております。
  23. 奥野誠亮

    奥野委員 終わります。
  24. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 依田圭吾君。
  25. 依田圭五

    依田委員 それでは私は公安委員長並びに大臣の所信表明に関連いたしまして、数点御質問いたしたいと思います。  まず最初に、これはきのうの話でありますが、午後三時四十分ごろ、東京都江東区の住吉町の交番で、そば屋の店員の態野さんという二十歳の人が、ピストルでもって小野さんという巡査の方の間違いといいますか、ピストルのたまが暴発をして頭を貫通し、即死をした。この問題につきまして、国家公安委員長から、ひとつ警察全般の問題とも関連をさして御答弁をいただきたいと思います。
  26. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘の問題、私も新聞を通じ、テレビを通じて聞きまして驚いたわけですが、理屈抜きに申しわけないことをしでかしたと存じております。大体、ピストルなんかには安全装置はないのかと聞いて見ましたところ、あの型のピストルには安全装置はないそうです。ただ、いきなり引き金を引きましても、一貫目ぐらいの重さを感ずるような引き金の引き方でないと引き金の効果を発揮しないということにたよっておるピストルらしゅうございまして、そういうピストルのせいにする意思は毛頭ございませんけれども、再びこんなことが起きませんためには、ピストルそのものにも今後の問題としては考えなければならぬ課題があるんじゃなかろうかと思っておる次第でございます。繰り返し申し上げますが、人の命を誤ってでありましょうとも奪いましたことを、ほんとうに申しわけないことに存じております。
  27. 依田圭五

    依田委員 この少年のおかあさん——これはけさの読売新聞ですが、その使っておる店主の吉田さんという人の談話が出ております。「いまどき珍しい働きもの。給料をコツコツため、事故前日の十六日、待望の新車を購入、母親の美代子さん(四四)を助手席に乗せて成田山へ行ったばかりだった」こういう談話が載っておるわけであります。この警察官のほうも昭和三十八年の六月に警視庁に採用になり、一生懸命やってまいりました非常に優秀な警察官の一人ではなかったかと私は思うのですが、どちらもそういうような事故を起こすような気持ちがないのにこういう不幸な問題が起こる、こういうことについて、私はかりにも国家公安委員長として、二十万近い警察官と絶対的な権限を与えられておるその責任者として、私はこの問題をどのような立場で、単にそのピストルに安全装置があったのかなかったのか、あるいはそういうピストルがどうのこうのということでなくして、たくさんの警察官が市民の安全のためにきょうも働いております。それらの人にこういうような間違いが、新聞には報道されないけれども無数にあるのではないか。あってはならない、一つでもあらしてはならないという、こういう立場からの気持ちと決意を、私はこの席でお聞きをしたかったわけであります。そういう意味でさらに質問を申し上げたいと思います。
  28. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 さっきピストルのことなど申し上げたわけですけれども、それも一つのことではありますが、基本的にはピストル、拳銃等が、どんな精巧なもの、安全装置等がありましょうとも、それを携帯し、それを使う立場の一人一人の警察官が、絶対に、誤ってでも暴発なんかの事故を起こさないという心がまえ、警察官としての使命感に徹した心がまえこそが根本だろうと存じます。そういう角度からかねて薫陶は受けておることとは思いますが、この悲しむべき事故を契機といたしまして、一そう全国の警察官に、あらためて気持ちをひとつ厳粛に反省する、再びこんな事故は絶対に起こさないという心がまえを徹底させるように適当な指示、連絡等をいたしたいと存じます。
  29. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 山口君の関連質問を許します。山口委員
  30. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 簡単にお尋ねをいたしますが、ただいまの大臣の御発言を聞きまして非常に異様に感ずるわけです。安全性のない拳銃というのが、現在警察が使用している拳銃全体の中で一体何丁、何割あるのか、お答えをいただきたいことと、それから、昭和三十七年五月十日、警察庁訓令第九号、拳銃操法というのがありますね。この拳銃操法を見ますと、第三条の(四)、「たまのそうてんおよび抜き出し」という項がございまして、この中には「右手の親指で安全せんを掛けて、元の姿勢にもどる」という文章がありますし、それからさらに同じ四号のイの中には、「右手の親指で安全せんをはずし、遊底すべり止めを左手の親指と人さし指で逆につまむ」云々という形で、拳銃操法の中に安全性を具備しなければならないということがきちっと規定されておるじゃないですか。とすれば、現実警察庁が出しておられる拳銃操法に相反する拳銃が、平然と各署に存在しているということは、国民の安全から見まして非常に私は遺憾だと思うのですが、この点はいかがでありますか、お答えをいただきたいと思います。
  31. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 具体的にお答え申し上げなければなりませんので、政府委員にお答えをさしていただきます。
  32. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  昭和四十三年度末の警察の保有いたします拳銃総数が十六万五千五百五十二丁でございます。このうち今回事故を起こしましたような回転式の拳銃、たまを撃つたびに弾倉が回転する方式の拳銃が十四万四千五十丁であります。したがいまして、回転式拳銃の比率は全体の八七%でございます。  ただ、ここでただいま御指摘の操法にもからみまして、安全装置の点をちょっと申し上げたいと思うのでございますけれども、警察官の持つべき拳銃が、自動式がいいか回転式がいいかという問題は前からあるわけでございますが、自動式の拳銃には御承知のように安全装置がございます。しかし、この取り扱いは、機構上非常に操作が複雑でございまして、しかも一番の欠点は、外からたまが入っているかいないかわからないというところにございます。したがいまして、自動式拳銃のほうが、比率といたしますと、安全装置を誤信したための事故が少なくないのでございます。回転式の拳銃は、御承知のように安全装置そのものはございませんけれども、たまが入っているかいないか、外から一見してすぐわかるということ、それから拳銃を装着いたします場合に、拳銃そのものを入れるケースがあります。ホルスターがございますが、このケースに入れまして、そして撃鉄のところに皮のひもをかけるようになっております。しかも先ほど大臣が申しましたように、たまは撃鉄を起こさない限りは出ない。その撃鉄そのものは、約七・五キログラムの力をかけないと撃鉄が起きないというようなことで、ただいま申しました一連の装置でこれが全体として安全機構になっておるということ、それからもう一つ、自動式のように連続発射ができませんけれども、初弾発射が非常に早いというようなことで、大体護身用のピストルといたしましては諸外国でもレボルバー式回転式がほとんど使われておる、こういう状況でございます。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 拳銃操法に回転式と自動式の二つの操法が書いてありまして、説明の点わかりますけれども、しかし国民の安全という観点からこのような事故を起こしたということはきわめて遺憾でありまして、この点につきましては、専門的な立場から十分検討をいたすことも必要だと思いますが、やはり大臣としまして、今後再びかかる事故を起こさぬような確固たる一つの方針を確立をしていただきまして、対処するようにお願いをいたしたいと思うのです。決意のほどをひとつお聞かせ願いたい。
  34. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、何といいましても拳銃を持っておる者自体の心のすきがあったのではどうにもならないことでありますから、今度の問題にいたしましても、新聞によりますれば、ついあわてたということが書いてありますが、あわてるような心のすきがあったことが今度の事故の精神的な原因じゃないかと、私は新聞を読みながら想像したわけです。そういうようなことのないように厳粛な気持ちで護身用の拳銃を扱うようにという心がまえこそ徹底させるべき課題、かように存じます。
  35. 依田圭五

    依田委員 私が冒頭に、きのうありましたこの不幸な事件を取り上げましたのも、実はこれから御質問いたしたいと思います機動隊あるいは警備関係のいろいろの問題についてたくさんの負傷者が出たりしておるからであります。それらについて、警察側はともかく武装されておるわけでありますから、納税者の負担で完全な装置ができる立場にあるわけでありますから、よほど慎重の上にも慎重に行動をとり、また取り締まりに当たってもらわないと、たまたまきのうこういう問題が一つ新聞に発表されましたけれども、無数に埋没していく多くの事件があるのではないか、そういう面から、私は市民の基本的な人権の擁護、それらを本来目的としている警察あり方として、前提としてこれをお聞きしているわけであります。  具体的に質問に入りますが、まずことしの警察庁予算の中で機動隊を警備関係の強化のために東京中心に二千人、近県に五百人、合計二千五百人、それから公安の私服の捜査員を千人、外勤の職員を含めまして五千人の増が発表になっております。これに対して、従来こういうように極端な数を増加させなかったのにもかかわらず、本年これをこういうような量に一挙に予算に計上するに至ったかを、ひとつ詳しくデータをもとに説明をしていただきたいと思います。
  36. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 増員の趣旨は、御承知のとおり最近集団的な不法行為が続出をいたしておる。特に大学紛争に関連しましては全国的なものでありますが、特に東京においてはかれこれ申し上げぬでも御承知いただいておるような事案がございます。それらのことを考え、具体的にはたとえば一月十八、九日の、東大の要請に応じまして機動隊が出かけましたが、数千名出かけましたその留守をねらって、神田、駿河台方面にバリケードを築くなどということが起きましたけれども、機動隊をそのほうに向ける余裕がなかったというふうなこともございますが、それはむろん予算の概算要求以後のことではありますけれども、そういうふうな集団暴力横行の傾向にある、それに応じますためには、国民の生活を不安におとしいれないように、暴力まかり通るような風潮を抑制する意味においても、機動隊の増員の必要を考え、さらにまた、外勤警察官も足りませんので何がしかを増員する。警備関係の刑事も同じような意味において必要を認めまして、増員関係の予算の御審議をお願いしておるようなわけであります。  具体的にという御要望でございますので、政府委員から補足説明させていただきます。
  37. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 昭和四十四年度の警察官の増員は、おっしゃるとおり五千人でございまして、そのうち外勤千五百人は、御承知のように昭和四十三年度におきまして外勤警察官を六千人を増員をいたしました。その六千人の増員のうち、羽田事件以後の治安情勢からいたしまして、どうしても緊急に千五百人の機動隊を増強しなければならないということで、六千人の外勤のうち千五百人を機動隊に振り向けまして、増員をいたしたわけでございます。したがいまして、その穴埋めといいますか、そういう趣旨でこの千五百人が四十四年度に繰り下がっておるわけであります。そのほかの三千五百人は警備、公安関係でございまして、二千五百名は機動隊、千名は最近の警備事件におきまして現場における現行犯検挙が相当ございますけれども、その首謀者なり指揮者なりそういう中心人物にまで捜査を及ぼしていくということの必要から、千名の増員を計画をいたしたわけであります。機動隊の増員は、特に昨年の一〇・二一新宿騒擾事件、あるいはその後の東大、日大等の学園紛争事件等から見まして、御承知のように、連日のように新聞には、警視庁の機動隊五千人動員、七千人動員というような報道がなされておりますが、実際には、訓練を積んだ機動隊というのは三千人しかおりません。したがいまして、その残りは外勤なり交通から引き上げてまいっておるわけでありまして、これも、月に二、三回程度ならまだいいんでありますけれども、最近のような情勢になりますと、もう常時引き上げなければできないというようなこともございます。そういう意味で、実際にあいておる外勤なり交通の面を埋めていかなければ、とても第一線の治安が保てないというような心配もございます。  それからまた、御承知のように、最近の学生の事件を見ますとる、神田なり御茶の水の場合を考えましても、もう一般民家に対する被害、一般市民生活に対する被害が非常にふえておるということからいたしまして、どうしても今回の機動隊の増員は、最小限度、警視庁におきましては、五千人規模の機動隊を必要とするという考え方、また、神奈川、千葉、埼玉におきましても、それぞれ空港問題あるいはその他のいろいろな警備事件をかかえております。また、人口の急増に伴って、機動隊が集団的に部隊として警らなり一斉取り締まりをやらなければならないようなケースがふえてきておりまするので、そういう考え方からいたしまして、最小限度、この機動隊を増員しなければならないという考え方で計画をした次第でございます。
  38. 依田圭五

    依田委員 また聞きますが、外勤職員の千五百人というのは、警備、公安へ回す職員ですか。
  39. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 いま説明不足かと思いますが、これは外勤なんです。ただ、四十三年度に六千人の外勤を増員いたしましたが、そのうち、千五百人は機動隊に振り向けましたので、その分として計上したわけです。
  40. 依田圭五

    依田委員 そうすると、三カ年計画で一万八千人ですか、六千人ずつ出してまいりましたね。あのうちを振り向けたというのは、そのままいまの警視庁の六、七、八、この三つの機動隊に充当して、ことしの一月十日に増設しておりますね、これのことですか。
  41. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 警視庁が六、七、八とふやしましたのは、これは何といいますか、完全な編成になっておる部隊が、先ほど申し上げたように、三千人でございますけれども、指揮者等の完全編成でなく、数はまあ少ない、そういう部隊をつくりまして、実際の運用におきましては、先ほど申し上げた、第一線からのいわゆる第二機動隊を充当いたしまして、そうして機動隊として活動させるという、必要に応じてやったのでありまして、千五百人の増員に伴って警親庁は三千百名になっておるわけです。ですから、三千百名の機動隊をいまのように完全編成にいたしませんで、基幹要員だけを編成して、そうして実際の運用には、第二機動隊を当てまして運用する、こういう計画でございます。
  42. 依田圭五

    依田委員 そうすると、六、七、八のこの三機動隊のことしの創設は、これは東京都側の完全な了解の上に創設しておるわけですか、警視庁と都当局の。
  43. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 東京都の完全に了解を得ていると聞いております。
  44. 依田圭五

    依田委員 間違いないですね。
  45. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 はい。
  46. 依田圭五

    依田委員 それから、関連して聞きますが、管区警察隊の中で、ことしの新しい公安委員長の方針といいますか、四千人ですか、新たに管区警察学校に各署から選抜して、これに警備訓練を中心にその訓練を行なうということを決定したと聞いておりますが、間違いありませんか。
  47. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  48. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お尋ねのとおりでございまして、昭和四十四年度から、管区警備部隊四千名を編成いたしまして、管区警察学校に入れて、三分の一ずつ教養する、合同訓練を行なう、こういう計画をいたしております。
  49. 依田圭五

    依田委員 管区警察学校は、警察法によりますと、幹部教育ということになっておりますので、それは各署からどういう人を警察学校に入校さして、どのくらいの期間、また、いま提案になっております予算面ではどこに関連をしてそれが行なわれるのですか。
  50. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 この管区警備部隊のやり方は、各県ごとに県で編成する部隊でございます。平生は警察とか本部で勤務をいたしておりまして、それにあらかじめ指名をいたしまして、そうして編成をしておく。したがいまして、常設の部隊ではございません。一応形だけ指名をして編成をしておく。そうして、先ほど申し上げましたように、四千名を三分の一ずつ管区警察学校へ入れます。そうして合同訓練をやる。したがいまして、これらの管区警備部隊は、それぞれの県で機動隊の補助としてその県のいろいろな事案に対処する。また、必要がありましたならば他の府県にも応援に参るというような考えでございます。  予算面におきましては、この訓練のために旅費が必要でございまするので、旅費が計上されております。
  51. 依田圭五

    依田委員 そうすると、七ページの四億五千九百万余円というのがそれに当たりますか。
  52. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 いま申し上げましたのは、八ページの八の警察活動に必要な経費の活動旅費の中に計上いたしております。
  53. 依田圭五

    依田委員 そうすると、八ページの後半から九ページにかけて活動旅費三十二億八千余万円というのに入っているわけですね。
  54. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 そうでございます。
  55. 依田圭五

    依田委員 間違いないですね。
  56. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 間違いありません。
  57. 依田圭五

    依田委員 これは四千人のその管区警察学校の生徒の旅費が三十二億も要るのですか。積算基礎をはっきりしてください。
  58. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 この中に、端数がちょっとあるのですが八千万入っております。これは全体の警備、捜査、防犯、交通の活動全体でございますが、費目としてはこの中に八千万円旅費が入っております。
  59. 依田圭五

    依田委員 官房長、あなたの予算書はわずか一二ページなんですよ。数字を全部覚えたってたかが知れているのですからね。私が関係している委員会は党内も入れて十六委員会あるのです。時間がありませんから、もう大臣もいなくなるということですから、ひとつてきぱきやっていただきたいのです。  そこで、これは公安委員長にお聞きしたいのですが、四千人の警察学校の生徒を常時部隊に置いて、かつまた機動隊を二千五百人増加させて、それから最小活動とはいうものの、事実上千人の私服の公安関係刑事を増員させるということになると、七千人くらいになるのですね。現在だって七千人前後の機動隊の数でやっておるわけです。東大のときにも逮捕者五百名余に対して、八千五百人が警視庁だけの動員力でもって行なわれておるというのですね。これは公安委員長、文部大臣の当時から、なかなか日教組に対しましても面会もせずに、非常に高姿勢で令名の高い人なんですが、あなたがこちらにおいでになりましてから倍近い警備関係の機動隊なり、警察関係の生徒をふやさなければならぬほど、昨年あなたが就任なさってから治安に対して不安をお持ちになったのですか。この増員についてはあなたが責任者なんで、あなたから命令が出て、そのように事務当局が編成をし、大蔵が了承をし、国会にかけられていると私は思うのですが、それについての御所見をお聞きしたいと思います。
  60. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 五千名の今度御審議願っております予算に関係いたしますことは、きわめて抽象的ではございましたが、先刻お答え申し上げました。いまの四千名の管区警備部隊ということを事務当局から話を聞きました場合に、機動隊をそんなにたくさん必要があるかなあと愚問を発したわけでありますが、つまらないことを申し上げてお許しをいただきますが、いや、それはさっき官房長が御説明申し上げましたように、たとえば佐世保のエンタープライズだなんだというときにも集団暴力はなやかでございまして、長崎県の警察官だけではどうにもならない。そこで長崎県から近隣の県に応援を求めて、そしてどうやら一応の責めを果たしたということでございまして、その応援に出かけます場合に、それぞれの県の警備力と申しますか、警察官としての機能と申しますか、訓練が同じ程度にないと、応援に行きましても、応援された側も非常に使いにぐいし、効果があがらないというふうなことにかんがみまして、先刻官房長が御説明申し上げましたように、同じような訓練程度まで持っていっておいたほうが相互応援のときに有効だということで臨時に訓練をする。常時は、先刻申し上げたとおり、署なり本部等に勤務しておりますけれども、訓練期間だけは一緒に集まって訓練を受ける、それを管区警備部隊と名づける、仮称でございますが、何だか名前と実体がぴったりせぬじゃないか、訓練部隊とか、教育部隊とか、そんなふうにでもいわなければはっきりしないじゃないかと雑談をかわしたような次第でありまして、くどくなりましたが、機動隊を四千名新たに増員するということではむろんございません。
  61. 依田圭五

    依田委員 それでは、管区警備部隊についてもう少し詳しくお聞きしますが、これは警察官の階級に九つありまして、巡査から始まって警視総監に至るわけですが、巡査長なり警部補なり、どの人を管区警察学校にどのくらいの数入れるのですか。三分の一とおっしゃったのですけれども、具体的にどの管区にはどうするとか、あるいは中央に全部集めるとか、それを明確にしてください。  それから、警備関係の教養を施す、教育をするというのですが、常時そこにおるわけですね。たとえば三分の一なら三分の一、四カ月ごとに常時そこにおるということになるのですか。絶えず一つの部隊がそこにおるとわれわれしろうとは考えるのですが、その点をひとつ説明してください。
  62. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 政府委員からお答えさせます。
  63. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの管区警備部隊は、いま大臣がお答え申し上げましたように、あくまでも常設の部隊ではないわけでございまして、四千二百名の総員を三回に分けますから、端的に申し上げますと一回千四百名程度になります。それを全部の管区に分けるわけでございます。そうでございますので、克明に申しますと、関東管区学校には千名でございますから、したがって三カ月ずつ、来年度の四月から十二月まででございますね、三カ月ずつ、したがって三百三十名ずつ管区学校で訓練を受けておる、こういうかっこうになるわけでございます。近畿管区の場合でもおおむね千名でございます。その他の管区はそれぞれ四、五百名というふうなかっこうになっております。その四、五百名のうちの三分の一でございますから、百二十なり百五十なりというものが管区学校において訓練を受けておる、こういうかっこうになるわけでございます。
  64. 依田圭五

    依田委員 どういう階級の人を入校させるのですか。
  65. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 これは通常の部隊を組みます場合と同じでございますので、巡査から警視まで、全部入ってまいります。中隊長でございますれば警部でございますし、大隊長であれば警視である、こういうことでありますから、数はもちろん部隊編成で三・三・三でいってまいりますから、そういうかっこうで、普通の分隊、小隊、中隊、大隊、こういうかっこうになります。
  66. 依田圭五

    依田委員 管区警察学校というのは、警察法ではっきりしておるように、幹部教育を施すわけですね。先ほど官房長の御答弁だと、その人たちが地元の警察に帰って何か補助的な仕事をするというのですが、年齢制限とかそういうことはどうなっておるのですか。ただ、署からどういうように指名して入校させるのですか。署から推薦させるのですか。推薦させるとすればどういう選考基準でもって、年齢的な、技能的な、あるいは——そういったことについて詳しく説明してください。
  67. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 お答え申し上げます。  この部隊は、大臣のお答えの中にもございましたように、それぞれ各県差し出しますところの部隊は、それぞれ千葉県は千葉県の部隊として編成するわけでございます。それで共通の練度を高めるために、合同して訓練をするというのがねらいでございます。名前はただいま大臣も答えられましたように、問題があると思いますけれども、関東管区警備部隊の千葉部隊、あるいは埼玉部隊、茨城部隊になります。そうしますと、それぞれの各県におきましては、それぞれの県の実情に応じまして、いろいろな抽出方法をとっております。たとえて申しますと、五府県でたとえば三十五名というものができ上がります。その全体が集団警ら隊ということで外勤課のもとに所属するところもございますれば、あるいはまた他の県では、県庁所在地に近い警察署、あるいは県庁所在地に五名ずつ指定をしまして三十五名を編成するとか、それは各県においてそれぞれ違います。したがいまして、三カ月の訓練を終わりましたあと、それぞれ所属に帰るわけでございますから、帰りました場合には、おおむねの場合は、集団警ら隊として十名とか十五名という使い方もございますし、先ほど申しましたように、外勤課のもとにつけまして、三十五名が常時集団パトロール隊として動いておる、こういうことにもなるでありましょう。  それから、さっきお尋ねがございましたが、管区学校は、お説のように、管区内の警察官の教養ということのほかに、その他所要の訓練を行なうことになっております。在来も、巡査、巡査部長、それぞれ専科教育も行なっておりますし、それから、先生御承知のように、現任教養というものをやっております。これは巡査になってから一年間実務経験を終わったあと、再教養として現任教養というのを在来やっておるのでございまして、これは管区学校の場所は変わりますけれども、訓練をする場所としてお借りするということでございます。
  68. 依田圭五

    依田委員 二月二日の読売新聞によりますと、管区警察学校の生徒といいますか、学生ですか、関東地区に千人、近畿地区に千人、中部に六百人、九州に五百人、東北、中国に三百人、北海道二百人、四国百五十人ということで常駐することになっておるわけですが、東京、大阪で二千人がおるわけです。そうすると、一年たつとまたそのくらいの数が訓練を受けて、そして幹部として所轄の署に戻るわけですね。軍隊の在郷軍人みたいに、一応機動隊としての警備訓練をされた者が、それぞれ毎年四千人ずつ人をかえて各出身の署に戻る。そして幹部教育に当たる。幹部学校ですから幹部教育に当たる。また、幹部教育を管区警察学校でも施す。毎年四千人である。それから、常時三カ月ほど在隊させるわけですから、常時四千人は教育上にある。これは一カ所であるか、あるいは何カ所に分けるかは別として、四千人は三回に分けますか、そうすると、ともかく年間で通し四千人が、絶えず三分の一なら三分の一ずつ四カ月ごとにおるということ、それはあれですか、その人たちはその訓練のためにその隊におらせるわけなんですが、たまたまそういう部隊を使う必要が生じた場合には、それは演習——実戦の演習といいますか、出動させるわけでしょう。そういうことは当然想定しておりますね。それを明らかにしてください。
  69. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 お尋ねのとおりでございます。幹部教育ということではございませんで、先ほど申しましたように、巡査から巡査部長、全階級が入っております。部隊の編成で全階級が入っておりますから、これは三カ月の訓練を終わりますと、お話しのとおりに県に帰ります。県に帰りますと、交通をやる者もあれば、外勤をやる者もございます。いろいろさまざまな職務につきます。しかしながら、これは一応の、一定の三カ月という短い期間でございますけれども、ある程度の練度を備えたものでございます。おっしゃるとおり在郷軍人みたいな形になりましょうが、それぞれの部隊におるわけです。一年間を通しますと、本年の十二月に、お話しのとおり四千二百名という一応練度の水準に達した者が全国におるというかっこうになるわけであります。
  70. 依田圭五

    依田委員 そうすると、川島さんに聞きますが、この試みは本年限りなんですか。これからもずっとそういう意味でやっていくんですか。
  71. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 本年限りの予定にいまいたしております。
  72. 依田圭五

    依田委員 公安委員長に聞きますが、局長のいまのような御答弁は、もちろんあなたの御方針だと思いますが、間違いありませんか。
  73. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 予算面から申しまして、一年限りのものを要求しておるという意味ではなかろうかと思います。  よくお尋ね以外のことを申し上げることを、お許しいただきますが、七〇年対策でいろいろやっているだろうと衆参両院で御質問を受けたこともございますが、そのときにも申し上げましたように、一体、警察の国民に対する責任というものは七〇年だ、昭和四十五年だということに限られるべきものでなくて、七〇年だろうと、八〇年だろうと、警察の責任を果たすべき課題がそこにある場合は、国民に不安を与えないように治安の責任を果たすという必要性から考えられるべきことであって、七〇年ぽっきりの対策ということはあり得ない。しょっちゅう私はそう思っておりますし、申してもおります。したがって、いまの管区警備部隊の課題にいたしましても、予算としましては、四十四年度限りということになっておりましょうけれども、必要性がある限り、何年でも続いていってしかるべき、必要がないならばやめてしかるべき、そういう課題ではなかろうかと自分としては心得ております。
  74. 依田圭五

    依田委員 それは結局来年も再来年もまた必要があれば——必要があるということをあなたが認定されれば、さらに増額しても要求なさるということですね。私はこう思うのです。どうも荒木さんは、文部大臣の当時は、先ほども申し上げましたように、なかなか高姿勢で、そういう意味における名のたいへん高かった大臣さんであったわけです。こちらへ来られてから機動隊をまた二千五百人もふやして、同じ年度の予算で四千人もその年限りでも幹部教育をする。それから、なかなか幹部の養成というものは、一朝一夕にできません。昔の軍隊でも、兵のほうは召集すればできますが、幹部教育はなかなかできませんから、管区警察学校という幹部教育学校でその問題について慎重にお考えになるのも、そういう面からは一つの理屈だと私は思うのですが、来年も、また再来年も、そういう意味でもって毎年とっていく、こういうように急に機動隊及び警備関係をふやすということ、それでなくても最近の警察あり方というものは、警備万能といいますか、警備関係に重点が移って、そうして、いわゆる市民の生活の安全を保護すべき刑事関係——直接の日常の、どろぼうをつかまえたり、殺人犯を追ったりする刑事関係——何も連続射殺事件だとか三億円の問題を私はここで取り上げようとは思っておりません。どうしても警備のほうに比重がかかって、いわゆる市民の卑近な日常の問題を保護すべき本来の警察の、厳正中立な民主警察の、憲法のもとにおける昭和二十九年にできた警察法の二条に明記されておる、警察の本来のあり方である市民警察的な面が、どうも後退をしておるのが最近の風潮なんだ。それに加速度的な拍車をかけてくるような予算をお組みになり提案になる。それが昨年荒木さんが大臣になられて以来の動きである。確かに東大問題があり、中央大学問題その他の問題がありました。ありましたけれども、佐世保の問題だって、警察法五十九条の協力義務、あるいは六十六条の要請の権利、それから六十一条でありますか、そういうようなものでもって、都道府県が各個に緊密に連絡をして、エンタープライズのときも六千人も佐世保に集めて、また警察庁の本部からはちゃんと指揮官が行って——これは当時の委員会でも問題になりましたが、ともかくやっておるわけであります。逮捕が四、五百人、ほんとにその中で中核で働く者が何人いるか知りませんけれども、それに対して十倍以上の動員をかけて現在やっておるわけです。ですから、警備に比重のかかった警察運営なるものが、荒木さんの時代になりましてからは、加速度を増してきたんじゃないかと予算の面から思うわけなんです。ともかく全国で六千数百、東京で三千というものでもって、また各都道府県警察は、警視庁、警察庁を中心に緊密にその権利と義務で保障されました協力体制をとって治安に当たってきたのですね。あなたになってから、高姿勢の荒木さんになってから、どういう意味で不安に思われたのか、御心配になるのか、急に倍近い警備関係の要員、機動隊の要員をふやし、しかも毎年四千人も幹部教育を施していかなければならぬ。いよいよもって拳銃事件や射殺事件のようなものをつかまえようとする市民警察というか刑事警察の面は後退をせざるを得ない。これはまことに重大な問題だと私は思うのですが、あなたの御所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  75. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 高姿勢という御批判は、恐縮ですが、あえて申し上げさしていただけば、あたりまえなことをあたりまえにやっていることを、新聞紙上では高姿勢だといわれておったと私は信じております。こんなへらず口みたいなことを申し上げることは申しわけみたいなことですけれども、仰せになりましたから一応弁解さしていただきます。  私が公安委員長になりましてから、特に機動隊をふやして警備関係に重点を移してやっておるような御質問でございますけれども、さような考え方は特別にございません。私が就任します以前から、学生騒ぎをはじめといたしましての集団暴力ざたというものは、だんだん年を経るに従ってエスカレートしたようなかっこうでありましたことは事実でありまして、私が公安委員長になりましてから急にふえたわけではございませんし、およそ警察機能は、こと新しく申し上げるまでもなく、先刻も触れましたように、国民の生活、市民の生活を守る、大学であれ、大学外であれ、国民の生活を守るという使命を果たすことが法律上要請されておると思います。したがって、その守るべき対象が、いろんな計画を定めて、七〇年闘争だ何だと言っておる向きもあるようでございますが、そういうことも念頭に置きつつ、東大問題その他で、あるいは御指摘のとおり地方でも、各県の協力を得て問題を処理してはおりますものの、応援することそのことが、当該応援させられた側におきましては、お話のような欠陥が出てくる道理でございまするし、東京におきましても、東大問題で警視庁管下の警察官を数千名も動員しますれば、そのことがお話の市民生活に直結した刑事警察なりあるいは交通戦争に対処すべきものまでがかり出されざるを得ないということに相なりまするので、市民生活を念頭に置けば置くほど、また一方において集団暴力ざたがあり、かつまたあると予想されまする限りにおいては、一体をなして考えていくことが、警察の国民に対する使命だろう、かような考えは持っておりますけれども、私がことさら機動隊だけを増員すればよろしいということを、私の私見として考えたことに基づいての予算の御審議ではないことを申し上げさしていただきます。
  76. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 ちょっと依田さん、荒木国務大臣は、一時から参議院の内閣委員会で行管長官としてのあいさつをしなくてはなりませんので、退席さしていただきます。その間、他の人に対して質問を向けていただければと思います。
  77. 依田圭五

    依田委員 では質問いたしますが、これは予算面ですから官房長に聞きますが、東京都にことし十億円ですか、特別補助金としてお出しになるということは、これは機動隊増員に関連をして出すわけでありますか。それともどういう費目にこのお金を使わせるといいますか、必要を認めてお出しになるのですか。
  78. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  東京都に対しまして、四十四年度予算案におきましては、首都警察に対する特別補助十億を要求をいたしております。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 これは機動隊の増員とは関係ございません。この考え方といたしましては、警視庁は首都警察として他の府県警察に見られないような事務を常時担当させられております。たとえば皇室関係の警備、警護あるいは国会政府機関あるいは外国の大公使館等の警備あるいは政府要人、外国要人その他政界の要人等の警護、その他このような首都であるがための国の利害に非常に関係の深い事務相当に担当いたしておりまして、これにかなりの警察官が処理に当たっておるということが実情でございまして、したがいましてこの事務量の計算は、いろいろとらえ方によりまして、また事案の発生状況等によりましてもいろいろ異なりまして、困難な問題もございますけれども、これを平均的に考えまして、大体第一線の警視庁の警察官が月に八時間ぐらい、ならしてその事務の処理に従事をいたしておるということで、これに見合う超勤を補助をいたそう、このような考え方でございます。
  79. 依田圭五

    依田委員 八時間に対して超勤の単価をかけて十億という数字を出したというお話ですが、何も東京都に政府があったり、議事堂があったり、あるいは皇居があったりすることは、きのう、きょうに始まったのじゃないので、もう何十年も前から、明治以来あるのです。東京都は絶えずこの種の要人警備費であるとか、あるいは首都に関連をいたしますオーバーワークになっておる。あなたは八時間と言いますから、八時間程度の費用というものを絶えず要求してまいったのですね。インフレが進んでおりますから、昔は十億という数字じゃないときもありました。私の記憶でも、数年前に六億という数字がいま記憶に残っておりますが、それを何で、従来長いことキャンセルしてきて、ことし突然にこの問題をあなたのほうでは取り上げて出すことになったのですか。昨年までは長いことキャンセルしてきたいきさつと、今回これを突如として計上したいきさつについてもう少し説明をしてください。
  80. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  おっしゃるとおり、従来とも首都警察としての事務を処理してまいりましたが、特に最近におきましては、このような事案の処理がふえてきておるということと、それから、従来ともこのようなことで、財政が許しますならば、特別補助をいたしたいという考えでございますけれども、その事務量がふえてきておるということ、それとただいま申しましたような財政的な見地からいたしまして、今回ようやくそれが実現する、こういうことでございます。
  81. 依田圭五

    依田委員 何も一ぺんに八時間認めるという、八時間でも十時間でもそれはけっこうでありますが、現在まだ警視庁の超勤だって十時間しかないので、現在でもたいへん不足しておるのです。長いこと不足しておるのです。それをことしになって、機動隊二千五百と関連させないとあなたはおっしゃっておるけれども、火の車の東京都の財政を見越したわけじゃないでしょうけれども、とってつけたように、ことし十億だということは少しおかしいじゃありませんか。どうも納得がいかないのですがね。都民が聞いたらおこりはしませんか。長いことほっといて、今回、普通なら二時間、三時間、五時間、八時間と上げていくのです。いままで東京都は何度も警察庁に要請しておるのですよ。全部キャンセルしてきて、ことし直接の関係はないというあなたの御答弁だからそのとおり信じますが、ぽんと十億円、ある有力新聞は、機動隊に対する持参金じゃないかといってこれを書いておりますよ。三大紙の一つですから、あなたもごらんになったと思います。もう少し十億円についておとなの話といいますか、納得のいく、都民が聞いてもおこらないような話をひとつ説明してください。
  82. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 ただいまお話のございましたように、警視庁が首都警察であるがために非常な財政上の負担をしておるということからいたしまして、たとえば四十三年度におきましては、御承知の機動隊に対する治安出動の場合の超過勤務手当の全額補助、これも半分以上大半のところは警視庁に補助金が参るわけでありますが、そういうような措置もとっております。今回、先ほど申し上げましたような趣旨で十億の特別補助を積算をいたしまして要求したということでございます。
  83. 依田圭五

    依田委員 その次に、これは二月十四日の新聞に出ておる、関西大学院大学の女の学生が関西学院大学の問題のときに機動隊から発射されましたガス銃といいますか、それを受けましてたいへんなけがをした。一人は「下半身に赤ん坊の頭大から親指ぐらいまでの水泡が無数にできている。火傷は二度から三度。最悪の場合、よくはなってもケロイドが残るおそれもあるという。治療を受けている三人は、はげしい痛みを訴えて苦しむので鎮痛剤で押えつづけている。」「警察庁の調べによると、催涙弾は警察庁が一括購入して全国の各府県警に配布したもので、弾の中には強い痛みの症状を起す激薬のクロルアセトフェノンの粉末が詰めてあり、発射後約四秒で破裂する仕掛けになっている。」云々、こう出ております。また、医学部の教授の松本さんという人が「肺に吸込むと肺の中でも炎症を起すことがある。」ということを言っております。これは安田講堂のときにもたくさんに資料があるわけでありますが、これらについて、昨年細谷委員がこの委員会でクロルアセトフェノンの問題に関連をして、毒ガスであるということから詳しく質問をいたしました。そのときに厚生省の薬事課のほうから来ておりまして、至急にこれを国立の衛生試験所に送付いたしましてその毒性については報告をいたしたい、こういうことを言っておりますが、警察庁はその後厚生省のほうから公式のこのアセトフェノンに対する報告を受けておりますか。受けておったらその内容をここで明らかにしてください。
  84. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  厚生省としては直ちに分析結果を命じてその結果を明らかにしたいと言われておりましたが、その後私どもに対する中間報告、中間連絡といいますか、これによりますと、国立衛生試験所で実験をされまして、特に経口毒性、経口的な飲食をしたりする場合の経口毒性及び目に対する刺激の試験、その毒性、及び皮膚に対する刺激の試験、これらについて詳細な実験をされたようでありまして、私ども一応中間的に連絡を受けておりますところでは、クロルピクリンその他の劇毒物と違いまして、重篤な結果は、そういう反応は起こっていない、こういうふうに承知しております。
  85. 依田圭五

    依田委員 その中間報告なるものは、いつの日付で警察庁にされましたか。あとで資料で配っていただきたい。それが一点。  それから、中間報告というからには、結論は出ていないと理解してよろしいかどうか、官房長から御答弁願います。
  86. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  厚生省の担当参事官が見えておられますので、それらのほうから……。
  87. 下村孟

    ○下村説明員 参事官でございます。ただいまの御質問にお答えいたします。  実は、昨年の御質問がございまして以来、国立衛生試験所のほうで動物実験をいたしております。その実験はまだ継続中でございます。継続中ではございますが、一応の中間報告はできております。その報告につきましては、後ほど書類でお届けいたします。ただいまのところ、先ほどお話がございましたように、経口毒性は、マウスを使いました動物実験では、体重一キロにつきまして五〇%の致死率、これが四百四十二ミリグラムでございます。この値は非常に大きな値でありまして、たとえばクロルアセトフェノンの濃厚な液五%でございます。五%のものを使いました場合の局所の刺激作用について実験をしておりますが、その結果は刺激作用は非常に強くあらわれるようでございます。ただ低濃度の場合、たとえば〇・三三%以下の液でございますと、催涙作用はございますが、非常に一時的なものでございまし  て、障害はすぐ消失してしまいます。もとどおりに回復しております。これは動物実験の結果でございますが、そういう結果をいまのところ得ております。
  88. 依田圭五

    依田委員 このわれわれの資料によりますと、第一期が湿疹だ、第二期が疱疹だ、第三、第四期がひどい火傷風になってくる。それで東大の場合には三百六十九人が負傷いたしております。そのうち重傷になった者が七十六名である、こういうように出ております。警視庁のほうではどういうような数字を東大の問題のときには、一月十八、十九日だと思いますが、報告をしておりますか、お聞きしたいと思います。
  89. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 十八、十九日の学生側の負傷で、われわれのほうで消防庁あるいは関係病院その他をくまなく調査いたしました結果は、かすり傷その他を含めまして、学生が百四十一名のけが人でございますうち、入院いたしました者が十一名、現在なお入院している者が二名でございます。ただいま申しました百四十一名のうち、入院の十一名を含みまして、いわゆる二週間以上の治療を要する者、こういうふうに診断を受けました数が四十七名と相なっております。
  90. 依田圭五

    依田委員 「このクロロアセトフェノンはCBR(化学細菌・放射能)作戦の一環として防衛庁の“第三次防技術研究開発計画”にふくまれており、ゲリラ戦、治安、人心撹乱用の化学戦の主要武器となっている。」「このガスの研究は自衛隊では埼玉県大宮市の陸上自衛隊化学学校で行なわれ、」在日米軍は神奈川県の座間でやっておる、こういうようにいろいろ資料が出ております。  それから、ガス銃の使い方なんですが、水平に当てられたために、失明直前になっておる者が三名おるということが報告されております。三十度以上の仰角で発射するようには——これは厳禁をされておるはずだということになっておるのですが、このガス銃ですか、これの使用規定、これについて警察庁ではどういうような指導をしておるのか、内容について御説明願いたいと思います。
  91. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまお尋ねのございましたように、ガス銃と申しますのは、ガスの入った紙製のまるい筒でございますが、これを飛ばすわけでございます。これは先生御案内のとおりに、通常の場合はガス弾、たとえば東大のあの事件で申しますと、安田講堂の屋上、あるいは工学部の列品館とか狭い屋上に落とすわけでございますから、どうしても相当高い仰角で、大きな仰角でございませんと届かないわけでございます。われわれの教養訓練の要領といたしましては、仰角三十度以上ということに指導してまいっておりますし、また御案内のとおりに、ガス銃を使います場合には、これは個人個人が使うわけではございませんで、現場におります指揮官の命によって使うことになっております。したがって個々の警察官が恣意的に使えるものではないわけでございます。先生も新聞、テレビで御案内のとおりに、あの撃っておりましたかっこう、新聞で出ておりましたけれども、すべて私がいま申しましたような仰角以上のものをもって使ったわけでございます。
  92. 依田圭五

    依田委員 そうすると使用規定というものはないわけですか。
  93. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 取り扱いの規定はございます。これは先般の委員会でも御了解を得ましたように、実はガスと申しますのは、いま警察の持っております中ではこれはいわば最大の制止の用具でございますので、これの取り扱いというものの中には、いろいろな取り扱いの要領が書いてございますので、これを外部に発表いたしますしことは、相手方に防御の手段その他を講ぜられます懸念もございますので、先般の委員会でもその旨御説明申し上げて、部外秘として取り扱わせていただきたい、こういうふうにお答えしたわけでございます。
  94. 依田圭五

    依田委員 この「朝日ジャーナル」の二月二十三日の「花咲ける機動隊武士道」という警視総監その他各機動隊の幹部の方々の座談会のスクープしたものがここに載っておるのですが、増山さんという人が、ガス銃を軽便にしてもらいたいという要求の中で「うちのほうはバルサンをだいぶ使われたです。」総監が問うて、「バルサンとは何だ。」津田さんという人が「油虫を殺す薬剤ですね。大正製薬かどこかで出している。」こう言っておるのですね。また、渡辺さんという人が総監の質問に答えて、三連発できるようなガス銃をどうしてもつくってもらいたいというような意味のことをここで言っておるわけですね。ガス銃というものは、相当警備のウエートがいま重くなってきておる、こういう情勢の中で、新たにバルサンなるものを使う。いま二つ併用しておるわけですか、この辺について詳しい説明をしてください。
  95. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 いま先生お尋ねのバルサンと申しますものは、安田講堂の三階から上がってまいりますときに相手方が使ったのでございます。硫酸、硝酸それからいろいろなものを投げられまして、御案内のとおりに、えらい目に——こっちはたいへんなけが人を出したわけであります。あのとき相手方が使ったのがバルサンなんです。私のほうは使っておりません。
  96. 依田圭五

    依田委員 局長、「朝日ジャーナル」の二月二十三日、何もこれがとことんまで信憑性があるとは私は言いませんけれども、その四一ページに、増山さんが「うちのほうはバルサンをだいぶ使われたです。」と警視総監に答弁しておるのですよ。
  97. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 向こうに使われたわけです。
  98. 依田圭五

    依田委員 いやいや、そうではないですよ。
  99. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 それは間違いございません。使われたのです。
  100. 依田圭五

    依田委員 うちのほうは使ったという意味のことも書いてあるのです、前後の文章からいって。
  101. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 これは依田先生、お間違えのないように……。これは学生のほうが使ったのでございまして、あとから押収捜索の中にも入っております。
  102. 依田圭五

    依田委員 私も東大のときにだいぶ行っておったのです、あまり遠くないところですから。それで全然寄れないのですね。日大、明治大学の近所に機動隊が配備になっておりますと、本郷三丁目からあの辺にかけて全然寄れない。それから、安田講堂のときには本郷通りが全然寄れない。こういうようなことで、これからますますクロルアセトフェノンですか、これをどんどん使っていくということで、ここに写真がありますが、こういうような炎症を起こしておるわけです。これは話にならぬ炎症を起こしておるわけですね。この炎症の実情を——医者の談話やそれからこれの弁護団の実証の写真を一々、私がここで呈示するわけにいきませんけれども、前に細谷さんも言っておったように、もう少し毒性の少ないものを使って防御するような方法は警視庁としてはお考えにならないのかどうか。この座談会に出ておるように、軽便に持って歩けて、目に向かってやったりしたら三名ばかり失明の心配があるという報告を医師田がしておりますが、あなたのほうは三十度の仰角をもって撃つように訓練しておると言っておりますが、たくさんある警察官の中には、必ずしも混乱のときにそう守り切れない場合があるわけですね。最初に私が申した、きのうの午後に、貫通でそば屋の店員を殺したということについて、その警察官が必ずしも悪い警察官とは私は思いませんけれども、そういう不幸な事態がたくさんの権限を使っておる警察官の中にはあるわけですね。これはやむを得ない、人間のやっていることですから。それらを含めて、あなたが警備局長としてどういうようなお考えを持っておるか、この際聞かしてもらいたいと思います。
  103. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 実は、先生もせっかく御案内のとおりでございますように、いま警察が使っておりますアセトフェノンガスと申しますのは、諸外国の先進国でもどこでも使っているわけでございます。だからといってそう申すわけでございませんで、昨年の佐世保事件以来、実は警察庁といたしましても、担当の装備課長その他をはじめといたしましてヨーロッパ各地に出張を命じまして、現在各国の警察が持っております装備の内容等につきましていろいろ研究をさせてきておるわけでございます。このガス銃につきましては、いま先生おっしゃいますように、本来使っていますガスは一過性の刺激性で涙腺を刺激するということがねらいでございます。現在使っておるものについては、そういう意味合いで一過性のものでございますから、何ら後遺症的な機能障害を起こさないということの観点からこれを選んでいるわけでございます。いろいろ研究もしておるわけでございますけれども、後遺症的な障害を起こさないという観点から申しますれば、これが最も有効である、こういうふうに目下のところ考えているわけでございます。しかし、この問題につきましては、今後またさらに研究はしてまいらなければならぬ、こういうつもりでいろいろ検討しておる段階でございます。そのように御了解いただきたいと思います。
  104. 依田圭五

    依田委員 公安委員長がお戻りになりましたので聞きたいのですが、先ほどから何度も言っているように、あなたのときになってから機動隊その他が非常に急角度にふえてまいったということについて、私は、なぜそれだけの——五千人あるいは管区警察学校の生徒を入れますと四千人がさらに出るわけです。それが毎年毎年ふえていく。本来、警察は刑事警察のほうに力点があって、できれば警備関係はこれを避けたいというのが警察法の原則であるはずだと私は思いますが、どうも荒木さんになりましてから、急にそういうような予算がふくれてきたということに納得がいかない。先ほど官房長のお話だと、つかみで五千人と言っておりますが、何で四千人ではいけないのか。どうしても五千人で、五千五百人なら多過ぎるのか。そういう面についての確実な資料とあわせて、補足の説明も長官とともにあなたにひとつ、どうして今回従来の普通のスピードを無視して突然にこの種の数字をあげたかを説明してもらいたいと思います。
  105. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 先刻申し上げました以上のことを申し上げかねますけれども、私が公安委員長を拝命しましてから集団暴力がたくさんになった関係のものじゃないと思います。繰り返しますけれども、警察の国民に対する責任は、国民を不安におとしいれないように、不法まかり通ることはデモクラシーの根本をゆすぶる課題でございますから、そんなことにならないようにということも含めて国民に責任を負っていると存じます。そういう見地に立ちまして、私が起こしているわけじゃございませんが、集団暴力がだんだんエスカレートする傾向にあることは、これは衆目の見るところだと思うのでございます。具体的には私も承知いたしませんけれども、三派全学連をはじめとしまして、七〇年にまた騒いでやるんだという計画まで持っていると聞いておりますが、そういう現実の事態に対しまして、いままでの警備力では足りない。先刻も触れましたように、東京におけるいろんな大学紛争だけをとりましても、現に御指摘もございました、御承知のとおり刑事警察ないしは交通関係のものまでも、外勤の警察官までも臨時動員しなければ暴力騒ぎをおさめ得ないということは、もう事実不足しておることを証明しておる課題かと心得ておるわけでございます。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 そういう国民本位の、東京ならば東京都民本位の、生活の不安をなくする、平和な生活を営んでもらいたいということを確保する警察の責任上必要であると思いまして、予算の御審議もお願いしておるような次第でございます。
  106. 依田圭五

    依田委員 文部大臣のときには確かに日教組を文部大臣としては重要な相手として対処されたと思います。もちろん文教の責任者ですから、日教組のみならず無数にあるわけでございますが、しかし公安委員長になりますと、基本的な人権である、一歩間違うと思想の弾圧とか、あるいは基本的人権の無視であるとか、文部大臣に劣らない、あるいはさらにそれ以上に重大な影響のあるお立場にあるわけですから、私は一そう慎重を期してもらいたいと思うわけです。考えてみましても飯田橋事件、その前の第一次、第二次羽田事件、あるいは博多の事件、佐世保の事件、そういうふうに日を追うて機動隊と学生がエスカレートしてきておる。そうした果て得るところがない。全くお互いにお互いを憎み合うといいますか、そういうような状態でエスカレートしてとどまるところを知らない。そうなると、市民を守るべき、市民の立場から要求しております刑事警察なりなんなりはだんだん後退をいたしまして、そしていたずらに警備の面だけが前面に出てきております。それもやむを得ないというお話でありますが、これでは民主警察の本来の趣旨がゆがめられていく。はたしてあなたの言うように、ことし四千人の管区警察隊をふやし、毎年それも幹部教育をいたし、しかも二千五百人も機動隊をふやして、それで一体、力には力でもって対処して、冒頭申し上げましたように、警察官といえども神さまでないのですから、間違いもあるわけなんです。そういう中において、関西大学の例を取り上げましたように、アセトフェノンの毒性だって、まだ中間報告ではっきりしておりません。もろに目にぶつかったりはだにぶつかったらどういうやけどを起こすかわからぬ、こういう中で対処していく公安委員長の全責任というものはたいへん私は重いと思うのです。その重い責任のあらわれ方というものが、こういう予算の増と機動隊の増だけに出てまいる、こういうことは私はどうしてもまだ釈然としないので、さらにあなたの御決意をお聞きしたいと思います。
  107. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 同じことしか申し上げられぬで申しわけないのですが、警察官は基本的人権を守り、生命、身体を守り、財産を守るための存在であり、法律上その使命と職責を課せられておるものと思います。ゲバ棒をふるって暴力に訴えることをはじめとする不法行為は断じて許せない。これは憲法の命ずるところ、警察法その他の命ずるところ、あるいは刑事訴訟法の命ずるところでございます。その法律の定めによりまして、その範囲内において人権を守り、不法行為を予防し、排除するということにつきまして、いま何だか感情問題、憎しみをもって警察官が行動しておるような御指摘があったように思いますけれども、そんなことは断じてあり得ない、あらしめてはならないことでありまして、むしろあるとするならば、学生集団の警察アレルギーといわれるものがしからしめていることがあるいはあるかもしれませんが、警察側にそれらの不法行為者に対して憎しみをもって臨むなどということは許されない。一人といえどもそんな者はいないと私信じております。
  108. 依田圭五

    依田委員 それでは、時間がありませんし、最後の質問ですが、これは交通関係なんですから交通局長に聞きます。  都心に対する交通規制について御答弁願いたいと思いますが、新しい交通巡視員という制度をつくってこれを強化するといいますか、対策を立てていくというのですが、この内容について御説明願いたいと思います。
  109. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 都心の交通規制につきましては、いろいろいま警視庁で対策を講じておりますが、御承知のように一方通行、駐車禁止、右折禁止といったような交通規制を強化してまいると同時に、信号機の改良、高度化をはかりまして、交通の渋滞をなくするということでいろいろ手を現在打ちつつあります。御指摘の交通巡視員という名前でございますけれども、これは今度の予算には計上しておりません。私どもの将来の考え方といたしまして、駐車違反を取り締まる場合、警察官の補助員として警察官でない者でも補助できる余地があるのではなかろうかということで、仮称でございますけれども、巡視員ということで現在検討をしておる制度でございます。
  110. 依田圭五

    依田委員 それでは最後に、八十一億円ばかりの警備関係の費用の明細をここで明らかにしてください。
  111. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  先生のおっしゃいます八十一億円というのは、四十四年度の予算に要求しておりまするもののうち主として警備関係に充当せられる経費としての八十一億と考えましてお答えをいたしますが、警備用の車両の購入並びに維持費が約十億、警備装備費、個人警備その他の装備でございますが、これが六億、それから機動隊の施設約十三億、それから警備訓練等の活動費約三十六億、通信器材約五億、超勤の補助が八億、それから、これも警備関係に限りませんが、主として警備関係、リハビリテーション施設の補助が四千万円、増員関係の教養経費その他の事務費が二億六千万、合計をいたしまして約八十一億ということに相なります。
  112. 依田圭五

    依田委員 この超勤の補助の八億というのはこれは機動隊だけですか。それともそれ以外も入っているのですか。
  113. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 機動隊員のまあ大規模な警備に出動した場合の超過勤務手当でございます。その全額補助であります。
  114. 依田圭五

    依田委員 警備関係の予算の十億というのは、もう少し詳しくどういう車両をどのくらい買うのか、それを明らかにしてください。
  115. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 十億のうち、車両の購入費が四百十七台、九億三千五百万円、それから車両の維持費が八千万円、合計いたしまして約十億一千万円でございます。  車両の購入費の内訳は、輸送車が二百八十七台、五億一千八百万円、放水車が二十一台、一億一千万円、現場指揮官車が二十台、四千七百万円、資材運搬車が十一台、千五百万円、その他、数は少ないのですが、多重無線車、投光車、警護車、広報車等であります。合計いたしまして四百十七台、九億三千五百万円でございます。
  116. 依田圭五

    依田委員 リハビリテーション関係の費用というのは一体どういうように具体的にこれを使うのですか。
  117. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 これは東京都に二年計画でつくりまして、その施設の建設の補助であります。
  118. 依田圭五

    依田委員 最後にちょっとシンナー関係の防犯関係の話を聞きますが、昨年からことしにかけて非常にシンナーの遊びが流行いたしまして、たくさんの死傷者が出ておる。これに対して最近の事情とその指導を聞きたいと思います。
  119. 海江田鶴造

    ○海江田説明員 お答えいたします。  シンナー関係は一昨年の六月ごろから見え始めましたが、昨年に入りまして七月ごろからこれの乱用が、主として高校生あるいは就職している少年の中に広がりまして、昨年の死者が、少年だけで約六十四名でございます。このほかに、二十五歳未満の準少年ともいうべきものが四十六名ぐらい死んでおりまして、合計百十名死んでおります。  警察といたしましては、昨年六月ごろから急増いたしましたこれらのものに対しまして、できるだけ早期に発見をして保護するということで、全国的に非常な努力をいたしまして、昨年中事前に補導をした少年の数が約二万をこしております。  なお、この問題の防止につきましては、警察だけでは万全ではありませんので、昨年の七月に実情を通産、厚生、文部、総理府等の関係省庁にも訴えまして、対策の樹立について申し上げたわけでありますが、昨年の七月並びに昨年の十月と二回にわたりまして関係省庁と協力して、業者団体あるいは一般の家庭に対するPR等を行ないまして、幸いにいたしまして昨年の十一月をピークにいたしまして十二月、一月と死者が漸次減っております。また、警察の手による補導をされる数も減っておりますが、まだ一月も少年七名、成人七名、合計十四名の死者が出ておりますので、さらに一そう関係方面と協力いたしてこれの防止につとめたいと考えておる次第でございます。
  120. 依田圭五

    依田委員 最後に一点、これは官房長に聞きたいのですが、現在の警察官の老後といいますか、退後職の就職状況、あるいは退職金は、まあきめられたとおりの退職金をもらっているのでしょうけれども、生活の実情ですね、これを一言言ってもらいたいと思います。どんなことになっているか。どこが再就職をあっせんしておるか。
  121. 国島文彦

    ○国島説明員 私からお答え申し上げますが、大体警察官の退職者は合計しまして昨年約四千人、ことし約五千人になります。大体まあ民間の会社とかあるいは——民間の会社が一番多うございますが、約三分の一強は民間の会社、そのほか自動車教習所関係、あるいはその他県庁関係消防関係、そういうところへ大体九〇%以上は再就職しているというような実情でございます。まあ大体、非常に困っているという者に対しましては退職後もいろいろ家事相談等それぞれの警察でやっておりまして、われわれのいままで知り得た範囲では、大体うまくいっているのではないか、こういうふうに考えております。
  122. 依田圭五

    依田委員 大体うまくいっているであろうとあなたがおっしゃっているわけですから一応それを信用いたしますが、私が選挙区で知る限りにおきましては、たいへんたくさんの警察官が老後苦労いたしておるわけです。まして今度、この警察庁の問題とは直接には関係ありませんけれども、定年法一つとりましても、まあ退職金がまた半減いたしまして、勧奨退職がなくなるわけですから、二、三百万の退職金でたいへん苦労するわけなんです。しかも長い三十年、平均して三十二年くらい勤続するわけですから、警察人として非常に長い勤務のために、退職されてもいろいろ順応しきれないという人がたくさん出てくるわけです。すべて私は、国民世論といいますか、先ほど国家公安委員長は、マスコミがどう取り上げるかしらぬが、私の信念はというお話をなさいましたけれども、何といいますか、どろぼうをつかまえてもらったり、あるいは刑事警察の面、交通巡査のような方にはたいへんやっかいになっておるわけです。国民は感謝しておるわけなんです。しかし、比例の原則がありますから、あれやこれやと当局の答弁は説明をされるでありましょうけれども、たくさんの学生がありましてもほんとうに中核になる部隊は少ないわけなんですね。そのわずかな学生に対して何倍もの警察官、機動隊が動員されてこれを取り巻く。しかもいろいろの問題が発生する。これらのことを何回も繰り返していくと、公安委員長がお考えになっておる治安の維持やその他をこえて、国民が非常に警察官に対する親愛の情といいますか、そういうものを考えてくる向きがあるのではないかと私は思います。そういう面でもう少し警察官というものが——これは学者によりますと、五つの原則があるといって、警察官は隊伍を組んではならぬ、また市民の生活から離れてはならぬと、いろいろあります。軍隊とは違うのだというようなことを言っておりますが、いま行なわれております警備警察万能的な傾向の姿勢というものは、むしろ隊伍を組むべし、部隊を編成すべしというような方向へどうしても力点がかかってくる。それを裏づける予算であるとわれわれは考えざるを得ないのでありまして、それでは警察一般に対するイメージというものが上がらない。そのことはまた、老後の生活その他警察官に対する印象というものが、非常に国民からいろいろの角度から見られるようになると、それはゆゆしい重大事であるというように思うわけであります。ですから、公安委員長がことしこういう予算を御提案なさるにあたりましても、その面からも——何もそれは私が市民警察あるいは刑事警察の面に重点を移せと言っているわけじゃありません、本来そうあるべきものですから。しかし、幾多の問題が未解決になっておるにもかかわらず、機動隊のみ、あるいは警備警察のみが独走するようなこの予算については、私としてもまことに納得しかねるということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。十分にその点に注意をしていただきたいということを要望いたしておきます。
  123. 鹿野彦吉

    鹿野委員長 次回は明後二十日木曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十三分散会