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1969-09-03 第61回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年九月三日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 川村 継義君    理事 上林山榮吉君 理事 細田 吉藏君    理事 湊  徹郎君 理事 金丸 徳重君    理事 斉藤 正男君 理事 神田 大作君       稻葉  修君    鍛冶 良作君       田中 榮一君    竹下  登君       塚田  徹君    中山 榮一君       葉梨 信行君    八田 貞義君       水野  清君    唐橋  東君       福岡 義登君    古川 喜一君      米内山義一郎君    小沢 貞孝君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      床次 徳二君  委員外出席者         総理府総務副長         官       鯨岡 兵輔君         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         経済企画庁総合         開発局参事官  角田 正経君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         大蔵省銀行局特         別金融課長   戸田 嘉徳君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         農林政務次官  小沢 辰男君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局保険管理課長 小野 重和君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         食糧庁業務部長 中村健次郎君         林野庁指導部長 松本 守雄君         通商産業省公益         事業局長    本田 早苗君         中小企業庁計画         部長      外山  弘君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     高野 宗司君         気象庁長官   吉武 素二君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         郵政大臣官房電         気通信参事官  高田 希一君         建設政務次官  渡辺 栄一君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省河川局開         発課長     黒田  晃君         建設省河川局防         災課長     生瀬 隆夫君         建設省河川局砂         防部長     木村 三郎君         自治大臣官房調         査官      成田 二郎君         消防庁調査官  永瀬  章君         日本国有鉄道施         設局土木課長  久保村圭助君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   桑原  進君         参  考  人         (東北電力株式         会社常務取締         役)      後藤 壮介君         参  考  人         (関西電力株式         会社取締役)  吉田  登君     ――――――――――――― 九月三日  委員谷垣專一君渡辺肇君、淡谷悠藏君及び小  川新一郎辞任につき、その補欠として田中榮  一君、竹下登君、米内山義一郎君及び鈴切康雄  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大野市郎君、鍛冶良作君、田中榮一君、竹  内黎一君、竹下登君、葉梨信行君、八田貞義君、  稻村隆一君、猪俣浩三君、唐橋東君、中澤茂一  君、古川喜一君、三宅正一君及び米内山義一郎  君辞任につき、その補欠として福本一臣君、早  稻田柳右エ門君、谷垣專一君田澤吉郎君、渡  辺肇君、古内広雄君、三ツ林弥太郎君、平等文  成君、森義視君、野口忠夫君、佐々栄三郎君、  兒玉末男君、芳賀貢君及び神門至馬夫君議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び  に台風第七号及び第九号による災害対策  関東地方等における異常低温による災害対策      ――――◇―――――
  2. 川村継義

    川村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  それでは、昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び台風第七号及び第九号による災害対策について調査を進めます。  本日は、参考人として電源開発株式会社理事桑原進君、東北電力株式会社常務取締役後藤壮介君及び関西電力株式会社取締役吉田登君、以上三名の方に御出席を願っております。  この際、委員長より申し上げます。  参考人各位には御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  なお、御意見の陳述は質疑応答の形でお述べいただきたいと存じますので、さよう御了承を願います。また、御発言の際はそのつど委員長の許可を求めるようにお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍛冶良作君。
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は、このたびの災害については、特に八月八日から十二日までの集中豪雨による富山県の大災害について、原因及び実害の起こったことについて関係各位に聞いてみたいと思うのであります。   〔委員長退席金丸(徳)委員長代理着席〕  私も災害地に生まれた者で、ことに黒部川の沿岸に生まれた者でございますので、ずいぶん水害にあって、経験を経ておる者でありますが、このたびほどあっという間に大災害の及んだことは初めてです。ことに私はちょうどその日におりましたので。しかも白昼襲ってきた。まことにどうも驚き入ったというほかはございませんが、どうしてこういうことが起こるのであろうか、またこういうことが二度と再びきたのでは、地方の住民はまことに安らかにあそこに生活しておることができないと思う。そこでその原因をひとつ明らかにして、実害のあったことを明瞭にし、今後の対策をひとつ十分していただきたいと思いますので、それらの点に対して時間の許す限り事情を明らかにして、今後の対策をお願いしたいと思うのであります。  そこで第一番にお聞きしたいのは、昨日も気象庁その他からいろいろ答弁がありましたが、ああいう現象は私は経験が初めてでございますが、気象庁としてこういうことはたびたびあったのですか、いまだかってない現象でございましたか、この点をひとつ聞きたいのです。なかったものであったか、それともたびたびあったのか。たびたびあったけれどもこういう実害はいま初めて起こったのか。きのうのおことばを聞くとこんなことはちょいちょいあるように感じたのです。そうだとするとこれはたいへんなんですが、まずこの点から気象庁でひとつ詳しく御答弁を願いたいと思うのです。おわかりですか。
  4. 吉武素二

    吉武説明員 お答え申し上げます。  過去において今回のような集中的な豪雨があったのかどうかというお話でございますが、簡単に申し上げると、たびたびあった、雨という現象としてはあった、特に最近御存じのように異常気象状態でございまして、今後もこういうことは十分可能性があるというように私は考えております。
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員 富山県においては、八日の晩から襲ってきた豪雨実害を及ぼしたのですが、特にひどかったのは十一日の午前八時ごろから夕方の四時ぐらいまでのが一番ひどかったと思うのです。十一日は一時間に九十ミリ以上の豪雨であって、吉田知事説明では、ちょっと経験のないことだと言っておりましたが、こういうことがちょいちょいありますか。これはあるとすれば大災害が起こっておるのだが、こういう実害がちょいちょい起こったのではたいへんだし、また私の知っておるのではいままでなかったのですが、ほかにでもちょいちょい実害が起こっておりますか。もしそういうものだとすれば、これからどうもこういうことがちょいちょいあるものだと考えなければならぬ。そうすると、ちょいちょいあったら、ちょいちょいあるときには生きていくにはどうするかという大問題になるのですが、どうですか。ほかにどういうことがございましたか、実害をひとつ聞かしていただきましょう。もし気象庁でわからぬなら、どなたかその点のわかる方にひとつ説明を願います。
  6. 吉武素二

    吉武説明員 お答え申し上げます。  いま先生のおっしゃったように一時間雨量が非常に大きい、こういうことは非常に異常なケースだというように私は考えます。異常なわけでございますから、そうしょっちゅうあるというものではございませんけれども、そういう現象というのは将来も起こり得ないということは保証できないということでございます。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あとでいろいろのことをお聞きしますが、河川局長にひとつ実際の問題から聞きますが、常願寺川の上流、千寿ケ原でたいへんな災害を及ぼしました。私は行こうと思っても行かれなかったのですが、あそこにかかっておった大きな橋が落ちました。そしてあそこでいろいろの施設をしてあるものがことごとく崩壊してしまったようです。これは山の上にある、たいへんな高いところにあるりっぱな建物なんですが、われわれはどうも普通はああいうものがこわれていく、川の水で流されるなどということは想像もできないのですが、ああいうものまでも流れるということは、どれほどの水が来てやったものか。そしていま気象庁が言われるように、こういうことはちょいちょいあるんだ、こういうことになりますと、ああいうところにはもうこれから住んでおれなかったということになりますが、この点、建設省のほうではどうながめておいでになりますか。ちょいちょいあるものか、あるとすればこれはおられぬと思いますが、おるとすればどうすればいいとお思いになるのか、ひとつお考えのところを聞かしてもらいたいと思います。
  8. 坂野重信

    坂野説明員 お答えします。  さっき気象庁長官お答えになったように、私どもとしてもこれは最近にない異常出水だというぐあいに考えております。黒部川にいたしましても、計画流量、これは私どもは大体百年に一ぺん起こり得る洪水というものを対象にいたしております。黒四のダムサイトにおいてもそういう設計で、百年確率ということで計画されているようでございますが、それをはかるに上回る大出水を見たということは、これはやはり異常の出水豪雨であったということを私どもは痛感しているわけでございます。  そこで、今後の対策としては、できるだけそれらに対処するように治水施設の面その他において、この災害を契機としていろいろ考え直す必要があるのじゃないかというぐあいに考えております。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員 平地で川の水がふえまして大きな提防を越したということならばやむを得ぬと思いますが、山の上へ水が上がって橋梁から建物を流すというのですから、これはどうもちょっとわれわれはあり得べからざることだと思うのです。しかしあったのですから、そこでこういうことはちょいちょいあることだということになると、よほど考えて今後の対策をやってもらわなければならぬと思いますから私はくどくこのことを申し上げますので、その考えをもって当たっていただきたいと思うから、この点はこの程度にしておきましょう。  その次に、私はこれは自然の原因を申し上げたのですが、もしも人的原因でこういうことが起こりはせないか、このことを非常に心配しておるのでありますが、この点は何か思いつくことがあれば、関係官庁方々お答えを願いたいと思うのです。  そこで第一番は、この豪雨と一緒に、どこへ行きましても谷間の山がほとんど欠けて落ちております。みんな山が落ちている。  〔金丸(徳)委員長代理退席委員長着席〕  山が落ちたものだから、これは川で流れぬでも山とともにがけがくずれて橋などの落ちたのも多いようです。そこで、どうしてこんなに山が、どの山もどの山もくずれたろうというと、一様に言われるのは、森林伐採をしたからだ、乱伐ではないか、こう言われるのですが、私は、どうも見ましたところ、そう乱伐をしておるとは思わないのです。ずいぶん森林があるのに、森林とともにどうも山がみんな欠けておると思いますが、この点は乱伐があったがゆえにこういうことが起こったものであるか、乱伐ではないけれども、こういう豪雨があれば山は欠けてくるものか、これはひとつ林野庁方々に、お調べになっておると思いまするので、この点はどういうふうに見ておられまするか、ひとつ御答弁を願いたいと思うのですが、林野庁見えておるでしょう。
  10. 松本守雄

    松本説明員 お答えをいたします。  森林と山くずれの関係でございます。これは一般的に申し上げまして、豪雨によって山がくずれるという場合に、森林があることによってそれが防げるという場合と、もう森林によっては防げないという場合がございます。それはそのくずれる原因が、森林の発達をしておる根茎の深さがございますが、その深さ以下の層にくずれの原因がある場合、これは森林によっては防ぎきれない。それからもう一つは異常豪雨一定限界以上の降雨がありますと、森林があることのいかんにかかわらず、くずれが起こるということが言われておるわけであります。  今回富山県下におきまして非常な山くずれがあった。森林伐採との関係は、いま先生もおっしゃいましたように、それほど乱伐をしておるとは思っておりません。元来、富山県は相当部分が保安林に編入されております。その保安林に編入された森林計画的な施業、一定の制限をされた施業内で伐採が行なわれておるという関係にございますので、森林の取り扱いにつきましては十分慎重な方法考えていかなければいけない、またそのように扱っておるつもりでございます。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると乱伐がなくても、これだけの集中豪雨があればああいう山くずれはしかたのないものだということですか。また防ぐ方法はございませんか。それともそのほかにも何か原因があればこの際考えていただいて、ここで聞いておいて、また対策を講ずることをお願いしたいと思う。これは林野庁と同時に建設省のほうでも何かお考えがあればこの際お述べを願いたいと思うが、どうぞその点ひとつお聞きしたいものです。
  12. 松本守雄

    松本説明員 森林の山くずれ防止機能に対しましての一般論、これはいま申し上げたとおりでございますが、そういう森林がございまして、しかもくずれの危険があるという場合には、いま予防治山というのを実施をしております。それは傾斜の関係、地質の関係、あるいは地割れが入っておるという場合には十分事前念査をいたしまして、それに対して予防的な工事を施行しておる。その工事の施行は、山腹土どめ、谷どめ、いろいろございますが、そういう点をできるだけやっておる。つけ加えますが、森林の山くずれ防止機能というのはいま申し上げたとおりでございますが、そのほかに土砂流出防止機能、徐々に降雨ごとに土が流れ出すのを防ぐというその機能につきましては、森林は絶対的に効果があるということがいわれております。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員 建設省ではどうですか、ひとつこの際その点の思いつくところはございませんか。ことに私が思い当たるのは、いままで私のくにで大洪水が出るのはたいてい七月の入り口なのです。八月に入ってこういう大洪水ということはほとんど私は経験ありません。七月の入り口にどうしてあるかというと、まだ雪が残っておりますから、豪雨と同時に雪解けがひどいのです。そこで雪が解けてくるときに大なだれがきますから、そのなだれに沿うて山くずれが起こってくるのです。今度はなだれがないのに、ひとりで山くずれが来たのです。そこで、あなたのほうで砂防もしくは山くずれに対する手当てをやっておられるのですが、今度はどうも雪がないのにひとりで来ましたから、この点はたいへん考え方を異にしてひとつ研究してもらわなければならぬと思うのです。この点等も考慮して考えられるところがあろうと思うのですが、その点お考えがありましたらここでお聞かせ願いたいと思います。
  14. 坂野重信

    坂野説明員 お答えします。  さっき治山課のほうでお答えになりましたが、砂防事業としても、やはりそういった土石流に対する対策あるいは地すべり現象に対する対策というものをかねがねやっておるわけでございまして、富山県等につきましては、最近確かに台風による被害というのは比較的少なくて、雪解けの融雪時における地すべり現象とか、そういうものが多かったと思います。しかし台風はいつどこを襲うかしれませんので、やはりそういうものに対する対策というものは必要でございます。砂防事業をやったところについては、若干の被害を受けておりますけれども、少なくとも砂防ダムをつくったところについては、幸いに相当被害が減少している事実が明らかに、富山あるいは新潟の西部のほう等にあらわれておるわけでございますので、砂防施設をがっちりやりさえすれば相当程度被害を防ぎ得るということを考えております。ただ最近の集中豪雨の傾向を見てみますと、今度の場合でも一時間当たりが六十三ミリとかあるいは八十ミリとかいわれておりまして、これは一時間雨量にすれば相当な豪雨でございまして、それが二時間、三時間続いているということになってきますとなかなか防ぎにくいということはございますけれども、しかし現状の状態においては、残念ながらやはり砂防施設にしろ河川改修にしろまだ不十分なことは事実でございますので、その辺を今後十分充実しさえすれば相当程度災害は減少し得るというぐあいに考えております。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員 次に考えなければならぬのはダムです。多目的ダム富山県では各河川等にずいぶんございます。ところが大河川、中河川、このたびは川と名のつくものはことごとくあふれました。みんな川らしいものにはダムがあるのですが、このダムの効用というものは全然なかったと言うていいです。さらに、なかったどころでなく、県民ダムがあったがために大被害をこうむったと現在言っておる。この点で参考人にも来てもらったわけですが、もしそうであるとすればこれはたいへんなことでございまするので、この点ひとつ十分究明してみたいと思うのです。  第一番に承りたいのは、関西電力参考人の方にお聞きしたいのですが、十一日の大豪雨で、増水の最中に黒部の第四ダム放水路をあけられたそうです。あけられたことは間違いないようですが、この点をまず承ります。そこで県民の言いまするのは、ああいう大洪水のときにダムをあけたがゆえに一そう洪水の勢いを強くした、そして黒部川のいままで切れたことのない右岸までも切れたのだ、こう言うておりますが、この点はあなた方のほうでいまどうお考えになっておるか、まずその点から承りましょう。
  16. 吉田登

    吉田参考人 関西電力取締役をやっております吉田でございます。  ただいまの鍛冶先生の御質問に対してお答えしたいと思いますが、ただいま言われました中で放水路といわれますのが私のほうで少しわからないのでありますが、黒四ダムは、御承知かもしれませんけれども上部には洪水吐きのゲートをつけておりません。そういう関係でございますので、ダム満水になりますと頂部の溢流堤は自然排水状態になるようになっております。自然溢流型でございますので、洪水が出ますと徐々に水位が上がりながら、そのためにそこに貯留を幾らかされますが、そういう状態で徐々に洪水上部からはかされていくというふうになっております。  今度の場合も、先ほどからお話しのありましたように、黒部上流の刈安というところでは一時間八十ミリの豪雨を記録しております。なお一日では約五百七十ミリというような降雨になっておりますが、流入しました最大ピークは約千七百立米になっております。それが先ほど言いましたような上部からの溢流する際に、水位が上がりますことによって自然にダムの中に洪水貯留されますので、概算でいきますと約一千万トンほどの水がダム貯留されまして、ダムから出ますピークでは約千三百トンということになります。流入しました千七百トンに比べますと、ピークにおきましては約四百トンの流量洪水カットしたという形で黒部からは放流しておりますので、ダムによって洪水を増大したというようなことは決してないというふうに思っております。  ただし、先ほど言われました放水路という意味はちょっと私わかりませんのですが、カットということは小さくするということで、千七百トンの流入量がありまして、ダムを溢流しますときに、水位が自然に上がっていきますので、その間にダム貯水池の中に約一千万トンの水が貯留されます。そういうことで自然貯留調節作用ダムが持っておりますので、下流に出るときには約千三百トンで、入りました量に比較しますと約四百トン少なく下流には流したということが洪水量だけにつきましては言えます。そのほかに、いま膨大な土砂貯水池の中に流れ込んでおります。これは全然流下しないという状態で、いまでも上流にたくさんの土砂が堆積しておる状態でございます。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は専門でないからちょっとわからぬので、わかるようにひとつ説明してもらいたいのですが、雨の降る前に比べて雨が降ってからはダムに入る量は相当多くなりましたでしょうね。そしてそれが多くなって、そのうちに一定量をこすと自然に外に出るようになる、こういうことですね。雨の降る前と降ってからとの差はどれほどになるのか、まずそれから聞きましょう。それが幾らくらいだったのか。
  18. 吉田登

    吉田参考人 これは先ほど鍛冶先生も言われましたように、八月八日から雨が降っております。八月八日のときでは黒四のダムも、いまの頂部満水しますところから幾らか下に水位が下がっていたわけであります。しかし八月八日の水もやはりダム地点では一日に約二百ミリの豪雨になっておりますので、その際にダム満水状態になりました。ですから、満水状態になりましたので上の溢流するところまで水位が来まして、その後も雨が降っておりましたので幾らかずつ上部から若干の水が溢流している状態にあったわけです。その状態で十一日に豪雨が来ましたので、その状態のままでだんだんと水位が上がってきまして、そして入ってくる量と出る量というものが自然に調節されまして、最大には、計算しますと約一秒間千七百トンの水が入ってきましたけれども、出るときには千三百トンになった。その間に約三メートルほど水位が上がりますので、その上がった量が、換算しますと約一千万トンの水になります。その一千万トンのものがそこに自然貯留された、こういうことでございます。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その三メートルというのは、それは絶対にとめることはできないのですか。
  20. 吉田登

    吉田参考人 これは、上部にはゲートがありませんので、自然に溢流する形になっておるわけでございます。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ダムというものは洪水調節のために非常に大きな力になるというので、われわれはダムというものに非常な信頼を持っておったものですが、そうなると、一定のところへまいりますともうダムにはたよることはできないものですね。それはそういうことになりますね。
  22. 吉田登

    吉田参考人 これはダムの種類によりますし、その場所によりまして、ダムの持っております機能によって、私のほうの口から言うのはあれですけれども、たとえば治水上の治水ダムだとか、そういうような場合とはまた若干の違いがあると思いますけれども、黒四の場合につきましてはダム自体が、先ほど言いましたように満水になっている場合でも調節能力は持っているわけでございますし、八月に入りましてのこのような集中豪雨ですから、かつてわれわれも経験したこともありません。そういう豪雨で、先ほどの、たとえば八月八日の場合ですと二百ミリもの雨が降って相当の豪雨が出たけれども、これは水がたまって、ほとんど放流する部分がなかったというような状態で非常に調節をしているわけです。ですから、その機能、そのときの状態、いろいろなものが関連すると思いますけれどもダムは一部には洪水調節の能力は持っているというふうにわれわれは思っております。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員 だいぶわかりました。要するに、八日の豪雨であって、九日でとまってくれればたいへんな効力があったのだが、その後、十一日のような大豪雨になるととうてい効力が及ばぬものであったということがわかった、こういうことになりますね。  そこで先ほども言うようなもので、もしこういうことがしばしばあるということになるとはなはだたいへんなんです。しばしばでもあったら、これは現在こういうことの経験があったのですから、そうしてみるとこれからもしまたこういうことがあったらたいへんだから、こういう場合にはどうするかということを考えなければならぬ、こういうことになると思います。  そこでもう一つ聞きたいのですが、これから下にまだまだたくさん関西電力ダムがございますね。これは私はどのダムもみな何べんも行ってよく知っておりますが、その次にあります仙人ダムです。私が初めて仙人ダムに行ったときには青い海であった。戦争中に私は行ったと思っております。いま行ってみますと下には砂が一ばいになって、ほとんどダムの効力はなくなっておりますね。その次のところへ行ってもそうでしょう。欅平のところに行ってもそうでしょう。みんなそういうことで、欅平のところだって初め行ったときには船を浮かべておった。いまではそんなものはだめですね。  そうなりますと、最初できました多くのダムは、みんな発電をやると同時に多目的ダムである。さらにこれをつくれば洪水の場合に調節ができるものだというので、県民は非常な期待をかけてこの完成を待っておったものでありまするが、今日となりましては、洪水の場合にはほとんど役立たぬものになっておる。そこでさらにこの三、四年前にできた第四ダムも、今度こそは大ダムができたからどの大洪水にも役立ってくれるものであろうと思っておったにもかかわらず、このたびの集中豪雨で、八日の豪雨には間に合ったが十一日の豪雨には間に合わぬものであったということがわかった。こうなりますると、何もあなたのところだけを責めるわけにもいかぬかしらぬが、これは今後こういう豪雨のあるときには、こういうものだけではわれわれは安心どころでない、これはどうも洪水に役立つものと考えておれないということに結論を持ってこなければならぬと思うのです。これはこれ以上責めてみたってあなたのところはしかたないかしらぬが、私はそういう結論が出るように思うが、河川局長いかがです。そういう結論にならざるを得ぬようですが、その結論は悪いか。もしそういう結論が出るとすれば、今後これはどうしたらいいものだとお思いになりますか、ひとつ、だいぶむずかしい話ですが、ここでお考えを述べていただきたい。
  24. 坂野重信

    坂野説明員 先ほど答弁がございましたように、やはり黒四のダム自体は本来電力の開発というものが主目的でできておるものですが、私ども河川管理者の立場からいうと、洪水時においてもひとつできるだけ洪水調節に寄与してもらいたいという気持ちがあるわけです。そのために私どもはいろいろ電力会社あるいは通産省等に対しても、操作規程の段階において、できるだけ洪水調節の役割りを果たしていただけるようにいろいろ打ち合わせをし、要請をし、逐次そういう方向に向かっているわけでございます。  先ほどお話がございましたように、黒四のダムは、たまたま結果的にはさっきもお話があったように洪水調節に役立っております。最高時点においても、八日以降においても四百トン近い洪水調節を結果的にやっておるわけですから、下流に対してはいい条件こそ与えておりますが、悪い条件は決して出しておりません。それは明らかな事実であります。地元であるいは間違ってダム洪水を助長しているのではないかというぐあいに受け取られておるかもしれませんが、私どもの資料の分析でもそういうことはございません。  ただ、先生おっしゃるように、あれだけの大きなダムを持っておりながら、何とか洪水調節に寄与のしかたがもうちょっと大きくやってもらえないかという気持ちは、私ども河川管理者としても同じ気持ちでございますので、今後通産省あるいは電力会社とも協議いたしまして、黒四のダムの操作についてさらに検討する余地があるかどうかというような問題につきまして今後打ち合わせをして、ひとつ相談をまとめて、できるだけ洪水調節の役に立つような方法を見出すことについて検討いたしたいと考えておりますが、やはり根本的には、これは下流洪水の出方を見てまいりましても、計画流量を上回っております。そのために不幸にして黒部川の本堤において破堤を見たわけでございますので、この際ひとつ抜本的な河川の改修計画河川治水計画というものを立て直したいということで、いろいろ現在検討いたしておりますが、できれば上流に専門の洪水調節ダムを一つ計画すべきじゃないかということを考えておりまして、そういう方向でひとつ早急に検討を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ついでだから言っておきますが、上市川に県営ダムがあるのです。これも放水したからだといって県民が騒いでおるのですが、これは県からお聞き下さったと思います。いまお聞きすれば同じじゃないかと思うが、そのほか北陸電力のもたくさんありますが、早月川もそういうことになりますか、それはどうですか。変わったところはありますか、お聞きになっておったらお答え願います。
  26. 坂野重信

    坂野説明員 別に特別の問題があったということを聞いておりません。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうだとすればやむを得ぬようですが、これは関西電力ひとつよく考えていただきたいのです。こういう雨だからしかたがないじゃないかと言われればそれっきりですけれども県民に初めから大雨には間に合わぬものだぞと言っておつくりになったものじゃありませんよ。洪水にはたいへん役立つものだというので、一つのたいへんな命の綱、と思うほどでもないかしらぬが、一つのたよりにしておったものですよ。あなた方もそう言うてつくっておられるのですよ。しかるに今日、いやこんなんじゃしようがないじゃないかとうそぶかれたんじゃ、それはたいへんです。こういう経験がありました以上、これはひとつ考えてもらいたい。いま河川局長が言われたとおり、なるほどこういうこともあるんだ。そうしてみると、どうもいままでの考えでは足らなかったということへ心を向けてもらわなくちゃいかぬ。そうしてみて、ここでひとつ建設省と同様の考えを持って深く考えていただくことを申し上げておきましょう。これはそれ以上やむを得ませんから。しかしこれは大問題ですから、深く考えていただくことをここで申し上げておきます。  そこでもう一つ、私が先ほど言うたように、ダムは幾つもありますが、みんな役立っていませんよ。ところが、今度は有名な愛本橋が落ちました。これはあなたのところでないかしらぬが、越中の愛本橋は日本三奇矯の一です。どうして日本三奇橋の一かというと、黒部川は川幅が広くて、そうして昔はあばれ川だから川を渡るわけにいかなかった。だからあそこを通れなかった。そこでいろいろ研究した結果、黒部川に山が寄ってきて一番狭いところがあった、それが愛本町だ。その山と山と寄ってきておるところへ飛騨の匠を呼んできて橋をかけた、それが有名なる日本三奇橋の一である愛本のかけ橋であった。それは北陸道における唯一の国道であったのです。その橋がいま流れていきました。山と山とせってきたところへこういうかけ橋をかけたものですから、われわれ子供のときにその橋の上から石を落として、何十数えられるといって先生が数えさせた。一、二、三と三十幾つまで数えた覚えがある。一斗だるに水を一ばい入れて口をとってあけますと、一斗だるのたるの水がみんな下へ出てしまっても、まだ下に間があるといわれたくらいな隔たりのあるものです。その狭いところへ水をとめます堰堤をつくくった。堰堤をつくりますと、水は流れてきて堰堤へ来るから堰堤で水がよどみます。水ばっかり来ません。上から砂利を持って水が来る。ここでよどむものですから、よどむところで砂利がみんな沈む。だからここから約百メートルのところから砂利が沈み出して――ここは有名な青ふちで、大蛇が住まいしているといわれている蛇の宮という宮がある。それくらいです。その百メートルのところで砂利が沈んでついにここに島ができた。この前の二十七年の大洪水にこの島へ水がぶつかって、ぶつかったために逆流してこの上の部落に水が入って、部落が大水害を食ったのですよ。そこで私は、この島のある限りはこの洪水は避けられぬからこの島をとらなければいかぬ、こう言っておったのだが、いま申しますが、とうとういままでとらなんだ。とらなんだから、今度はその島が全部、この辺が全部陸地になっちまった。そうしたら今度は逆流するどころか、ここから上にずっと水が上がってしまった。ここの辺から上がるものだから、愛本橋のところに楽に水が行くようになって、今日は橋が流れていってしまった。堰堤の効力どころの騒ぎじゃありません。この堰堤あるがゆえに日本三奇矯の一である愛本橋を流していきました。私はこうだと確信いたしております。  こういうことになるというと、この堰堤というものは洪水調節どころの騒ぎじゃありません。堰堤あるがゆえに住民を殺すことになります。私はかように考えるが、私の考えが間違いであれば幸いであります。もし私の考えが当たっておるとするならば、この対策を根本的に考えられなくてはあそこに人間は住まわれぬことになります。この点をひとつ、まず河川局長よりほかありますまい、これを調べられた方に私の考えが違っておるかどうか。違っておらなければどういうことをしようといま研究しておられるか、ひとつお答えを願いたい。
  28. 坂野重信

    坂野説明員 愛本橋の影響度合いにつきましては、いま実は調査中でございます。なおしばらく時間をいただきたいと思いますが、やはり現在までの私ども調査では、今回の出水は、先ほどお話がありましたように、何しろ計画流量を非常に上回った大出水計画流量河川のほうからいいますと毎秒四千二百トン、それに対して五千二百トンの推定でございますから、約毎秒一千トン以上の異常な出水だということでございまして、まあその辺が主原因となって、かりに愛本ダムがなくてもあるいはこの出水によって橋が流失したのではないかということも考えるわけです。ただ先生御指摘のように、愛本ダムがあるために確かに上流土砂の堆積ができております。そのために水位の上昇を来たしているということも事実でございますが、ただその辺の影響度合いというものが非常に分析しにくいわけでございます。若干は確かに愛本ダムの影響もあろうかと思いますが、主導原因としてはやはりそういった異常出水現象があったということが主導原因でございます。しかし先ほども申し上げましたように、堆砂があること自体は、上流のいろいろな周辺の治水の問題あるいはいまの橋の安全性の問題等にも影響がございますので、今後さらに十分調査をいたしまして、その調査の結果によりまして、愛本ダムについて今後いかなる対策を講ずべきであるかというようなことを、上流の堆砂状況と見合いましてひとつ慎重に検討してまいりたいというぐあいに考えております。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それと、もう一つ申し上げますが、そこで二十七年の水害のあとで、そこへできました島のある限りはこういうことを繰り返すに違いないというので、どうすればこの島をとれるかということをやかましく言って、何としてもいわゆる逆流した部落の上へ堰堤をつくる以外にないというので、堰堤をつくることにきまったのです。考えてみますと、私は建設省と相談して、たしかあの時分赤城さんが参議院議員で砂防なんかやっておられたので、それできめたと思うのです。それが今日できておらぬので、この間言われて私の怠慢だと思ったが、考えてみると私は三十年に落選した。落選したら流れていっちゃった。それでいま思い出したんだが、これはひとつまた考えてもらわなければならぬ。私が落選すると流れるような決定でははなはだ困るので、大いに考えてもらいたいと思う。  それから、関西電力もひとつ考えていただきたい。こういうことになりますと、ダムあるゆえにどうも洪水を増すことになりますから、これは考えておいてもらわぬと、これが理由だといわれますからね。どのダムもみなこういうことになりますから、ひとつ考えていただくことをお願いいたしとうございます。  時間もございませんので、あとは富山県としていろいろお願いすることを申しますが、まず激甚災害の指定についてはきのうから各委員方々が申されましたので、私あらためて申しませんが、大体いつごろきまる予定でございましょうか。何か見当でもございましたら、早く県民に聞かしてやりたいと思うが、いかがです。
  30. 床次徳二

    ○床次国務大臣 この、今年の七月二十一日から八月十二日までの豪雨及び台風七号によるところの災害に対しましては、この五日の閣議でもって激甚災の指定をいたすことになっております。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いろいろむずかしいなにもありましょうが、何といっても、激甚とはどういうことか知らぬが、これほど激甚はないと私は思いますから、それらの点はひとつ十分御同情をもって適用を考えていただくと同時に、すみやかに御決定せられることをまずお願いいたします。  その次は各省へお願いすることでございまするが、災害復旧については年度をきめてたいていやっておられるようだが、こういう大きなことになりますると、ことしはどれだけやって来年幾らとかいうようなことをいっておられてはとうてい住民はやりきれませんから、少なくともことしから来年中にでも復旧工事をやるように、特別に単年度で復旧することをお願いしたいということを県から強く申し出ておるのでございます。この点ひとつ特に御考慮願いたいと思うが、いかがでしょう。代表して建設省からお答えをいただきたいと思います。
  32. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  直轄の河川災害につきましては二年以内、補助災害につきましては特に緊急なものは三年以内ということになっておりますが、その範囲内におきましても、また個所ごとにいろいろ実態を見まして、急ぐものはその範囲内においてもできるだけ早く、国庫債務負担行為等々の予算的な措置も考えて、早急に復旧するように努力いたしたいと思います。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは建設省と厚生省にお願いしたいのですが、水害のあとに渇水が来ます。ことに水道の源をみな破壊されておりますために、飲料水がことごとく枯渇しております。それで、県のほうでもいろいろ応急策をやっておりますが、そんなことでは追っつかぬのですから、これはひとつ特別の方法をもって給水作業をやるようにお願いしたいと思うが、現にやっておられるであろうけれども、いまどのようにやっておられるか、また特にやるようにお手配を願いたいと思うが、この点、現状と同時に今後の対策についてどのようなお考えがあるか、お聞かせ願いたい。
  34. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  今回の集中豪雨によりまして、上水道もそうでございますが、特に山間部につくられております簡易水道の被害がかなり出ております。この範囲は相当各県にまたがっておりますが、集中豪雨関係は一応現在のところ応急仮復旧工事が終わりまして、応急水源によりまして通水いたしておりますが、何ぶん日常生活と一番密接な関係を持っております水道でございます。本復旧をできるだけ急ぎたいと目下県を通じまして指導いたしておりますが、特に水源関係につきましては河川の改修計画、護岸計画等との関連もございまして、関係出先機関との打ち合わせ、協議等を重ねておりますが、季節の関係もありますので、目下大至急作業を進めさせております。復旧につきましては、災害復旧工事としてもちろん単年度を目ざして進めるつもりでございます。  以上でございます。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員 気象庁に県からもお願いが出ておると思いますが、特に機能の抜本的強化をお願いしたいという申し出でございます。具体的には立山の浄土山頂に気象レーダー、半径六百キロの観測所を設置していただきたい。それから東部地区に測候所を新設していただきたい。これは昭和二十三年に旧観測所を廃止されたようですが、今度はどうあってもつくってもらいたい。それから片貝川、早月川上流等の五カ所に自動記録つきの無線ロボット雨量計を設置してもらいたい。これは冬の遭難に対する対策にもなりますので、これらのことはこの際ぜひひとつお願いしたい、こう申し出ておりますが、この点はどのようなお考えをお持ちでしょうか、気象庁から御返答を願いたいと思います。
  36. 吉武素二

    吉武説明員 お答え申し上げます。  現在気象庁は十六カ所にレーダーを備えつけております。まだ一部はカバーできない地域がありますけれども、大体全国的に十六のレーダーでカバーできております。特に富士山のレーダーは世界一の強力なものでして、半径七百キロの範囲内の雨域を的確にとらえております。もちろんお話のありました富山県もつかまえられておるわけでございます。この山は非常に高いわけですから、ほかの山の陰になって電波が届かない、そういうことはないわけでございます。  それで、いま気象庁考えておりますことは、このレーダーでつかまえた映像というものを、お互いのレーダー基地間で交換し合うということ、それから幾つかの必要なところにそのレーダーの情報を流すということ、これはレーダーの図を、雨域をスケッチしたものを官署に教えてやるということ、そういうことによって一応全国的な雨域をつかみたい。雨の状況を刻々つかんでいきたい。それをまた気象官署にもお知らせしたいし、また一般にもテレビ、ラジオを通じてお知らせしたい。ただラジオでは残念ながら絵がお目にかけられないという欠点はございます。しかし、御存じのようにレーダーというものは雨量をそう正確にはかることはできません。雨の降っておる区域をつかまえる。ただその映像の濃い薄いということ、それによって雨のある程度の強弱の判定はできます。したがって、そのレーダーによる映像だけでなくて、雨量観測点というもので、全国にロボット雨量計を二百数十カ所、普通の雨量計による観測所が大体全国で千六百カ所ぐらい置かれております。そういう情報を集め、そのレーダーの映像と合わせて考えることによって、一応雨がどんな降り方をしているかということはつかみたいというように考えております。気象庁として一番問題になることは、結局いま強く降っている、しかしこれがどの程度あと続くのかあるいはもうすぐやむのかという問題があります。それは今後の技術の開発ということになってくるわけでございまして、私たちはその問題にいま真剣に取り組んでおる。その問題が解決しない限り、幾らレーダーをつけても、今後雨がどう降るか、どれほど降るかということはなかなか予測できないというように考えております。  一番目のお答えはそういうことにして、次の二番目の測候所を新設するということでございますが、いまのところなかなか測候所の新設ということはむずかしいですけれども、私たちの考えはどちらかというと、いま通信とかいうものが、非常に情報伝達というものが発達しておる時代でございます。ですからなるべく集約的に仕事をしたい。そこでいままでより以上いい質の情報を集めてそれを皆さんにお伝えする。昼間でしたらテレビとかいうものでじゃんじゃんお伝えする。そういう方向でやっていくのがいまからの気象業務ではないかというように私は考えております。  それから三番目の片貝川、早月川上流の五カ所に自動記録計づきの無線ロボット雨量計を設置するということでございますが、私のほうとしても無線ロボット雨量計はもう少しつけて、的確な雨量を、それはその地点だけの雨量しかわかりませんけれども、つかみたいという計画をいたしております。  以上でお答えといたします。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員 では終わります。
  38. 川村継義

    川村委員長 斉藤正男君。
  39. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 各位からかなり広範な質問がございまして、特に激甚災害特別援助法の適用等については、概略的でありますけれども、当局の御答弁もあったわけでございます。幸いきょうは電源開発株式会社、東北電力、関西電力、電力関係のお三方が参考人として御出席でございますので、まず、私は、ダムの問題について基本的な質問をしてみたいと思うわけであります。各位からダムに関連をしたお尋ねもございました。しかし、根本的にわが国の電力開発の中で占める水力発電、この水力発電が特に国土総合開発の名のもとに戦後急速に進められた。総合開発といえば当時は水力発電だというまで言われたわけでありますけれども、私は毎回の災害対策特別委員会ダムのあり方につき建設省あるいは電力会社から見解を伺いました。どうしてもわからない点があったわけでありますけれども、昨日ようやくそのわからない疑問点が明らかになりました。  それは、昭和二十六年、中谷宇吉郎先生がある論文を発表しているのでございますけれども、この論文は主題が「ダムの埋没」、副題が「これは日本の埋没にも成り得る」、こういうことでありまして、ダムの埋没は即日本の埋没だ、こういう考え方であります。ダムには、中谷宇吉郎先生に言わせれば二つの問題がある。その一つは合理的なダムの建設並びにその使用の合理化、それと貯水池の埋没を防ぐことの二つである、こういうように言っているのであります。そして合理的なダムの建設並びにその使用の合理化については、まずダムに関連をする広域な地域の降水量の把握と降水時期の把握が絶対欠くことのできない条件だ。ダムの埋没については、いろいろいわれているけれども、これを放任する限り日本の埋没に連なる、こういう結論を出しておるわけであります。  そこで、昭和二十六年当時、いわゆる只見水系の開発にあたって、当時の電源開発の総裁であった小坂順造氏、電力界の鬼といわれます松永安左衛門氏、これらが、私的の金であったか公的な金であったかは明らかにされておりませんけれども、百六十万円をくれて、中谷宇吉郎先生を主査とし、河川学では現在日本の第一人者であるA博士、砂防ではこれまた日本第一の学者でありかつ技術者たる参議院のA博士、N研究所の理事長K氏、運輸研究所のH博士、人工放射能の専門学者、科学研究所のY博士、このほかに地質学者のH氏、治山に関心の深い林野庁の〇〇部長O氏、他に専門の電気技術者で信頼し得る二人の学者ということで、中谷宇吉郎先生を含めて十人の委員が選ばれて只見の科学的な調査に入りました。そして、特に東北、北陸は御承知のように豪雪地帯でもありますので、降水量は雪がどれだけで水がどれだけかという調査を始めたのであります。水につきましては、約百カ所に自動雨量計を設置をし、雪につきましては、クマも通れないという山をかき分けて、三班を編成をし、三月十五日から奥只見の魔境と書いてありますけれども、ここに入って悪戦苦闘、豪雪の調査をやって、ほぼ陸についてはその実態をつかむことができた。かくして只見水系については、一応雪の調査が終わり、雪が五・五に対し、雨が四・五であるという概算も生まれてきた。ところが、どういうことがあったか知りませんけれども、「七月の中頃、事務局から書面が来た。あの調査は電力会社の方で自分でやることにしたから、貴方の方はやらなくてもよろしいという意味の文面であった。メスの使い方は分ったから、手術はこちらでやるという危っかしい話である。三十年かかって出来なかったことは、一寸話を聞いたくらいではやはり出来ない。それくらいのことは、十分承知の上の話であろう。もともとこちらから頼んだ仕事ではないのだから、自由にされた方がいい。病人が治してもらひたくないというのだから、どうにも手のつけようがない。」ということを書いております。これが、いわゆる降水量の把握を水系全域にわたって科学的に検討し、そして先ほど言いましたような合理的なダムの建設、合理的なダムの運営の資料にする、どうしてもやらなければならない基礎調査だと中谷先生考えておったわけでありますけれども、ついに電力会社のほうからやめてもらいたいという通達がきてやめざるを得なかった、こういうことであります。  そういう合理的なダムの建設と合理的なダムの運営をやる科学的な基礎資料をつくることに、ときの資本がなぜ反対をしたのか、あるいはときの政府もまたそのときの科学的研究を押えたのかという点につきましては、ほぼ想像がつくわけであります。こういうことを言っております。「何故あのように必死になって、われわれの研究や調査を妨害したか、その真意は甚だ不可解である。外からのぞかれたくない何ものかがあるのでないかという疑問が起きるのも、そうひどい邪推ではないであろう。その何ものかが、何であるかという点については、これ以上立ち入らない。ただそれは日本国土の総合開発を不成功に終らすものではなかろうかという心配はある。」こういうことを言っているのである。しかも最後に、「現在の状態で総合開発をしたら必ず失敗すると、私は確信している。一億の人間が悠々暮せるくらいの資源がありながら、一部の人間のためにそれが資源化されないことは、如何にも残念なことである。ダムの埋没はまだよい。それが日本の埋没にならないことを祈る次第である。」こういうことを言っているのでありまして、中谷先生にしては、かなり激しい論文であり、かなり激しい主張だと私は思うわけでありますけれども、要するに、さらに私が邪推をするならば、もしこういう事前の科学的調査を綿密にやるならば、ダムはつくってはならぬ、ダムはつくるべきではないという結論にすら到達してしまう。一歩譲っても、ダムをつくるのはよろしいけれども、そのダムは、あくまでも国民の生命、財産を守ることに主力を置き、発電は二の次、三の次だという結果になることをおそれて、この日本の権威を網羅した調査委員会にストップを、時の資本と政府がかけたのではなかろうか、こういうふうにすら思われるわけであります。  ダムの問題に二つあると申しましたけれども、実はもう一つの問題は、先ほど言いましたように、ダムの埋没の問題であります。この埋没につきましても、私も数回いろいろ伺いました。ダムの埋没に関連をして上流本川なり支派川の河床の上昇等についても、なぜ上がるのかという私の問いに対し、この前も申し上げましたけれども、わかりません、鋭意これから検討をいたします、こういうことに終わっておるわけでありますけれども、中谷先生はこういうことを言っているのであります。昭和二十六年ですよ。いま四十四年、十八年前。「次ぎは埋没防止に必要な基礎資料である。これが難問題であって、一体洪水の場合に河底を移動する礫や岩塊の運動すら、まだほとんど分っていない現状である。これについては、安藝博士の有名な研究があるが、山間の渓流における急激な大出水に伴う岩塊の移動については、まだ全く見当がついていない。山奥の洪水の恐ろしさは、一度遭った人でないと、到底その姿をリアライズすることが出来ない。洪水中は逃げるだけがせい一杯であって、測定どころのさわぎではない。それで洪水中の岩塊の移動状態及びその速度を測る何か新しい方法考え出す必要がある。この目的にかなった巧い方法が、この頃はある。それは人工放射能の同位元素を使うことである。原子爆弾の副産物として、いろいろな同位元素が出来るが、そのうちコバルトで非常に強いガムマ線を出すものがある。このガムマ線は、水を五米くらい通っても、容易に検出が出来る。ガムマ線は、ガイガー計数管が簡単に検出されるので、これを利用するに限る。」ということで、岩塊の移動は簡単に測定できるということが書いてありますし、また「磁歪現象を利用した測器を作ればよいのである。特殊の成分をもった鉄で、圧力やねじを与えると、その磁性が変化するものがある。磁性の変化は簡単に電流に直すことが出来る。H博士がこの方面では熟達しているので、早速これを利用した水圧計を作ってくれた。水深を水圧で測るので、水底を一ぺんこの水圧計をひっぱると、それで断面がかけるわけである。H博士はその外に、同じく磁歪を利用して、水底に設置しておいて、その上にたまる土砂の量だけを時間的に記録する測器も考案してくれた。試作品をみると、精度の高い見事な機械である。」こういうことで、昭和二十六年、ロケットで月に行く今日いまから十八年前に、すでにこのコバルトを利用したり、あるいは磁石の利用によって土石の移動とかあるいはダムの埋没の量だとか質だとかいうものが、ほぼ見当がつく、こう言っておるのでありますよ。こういうことから考えたときに、資本と政治は、このころから強い癒着を始めて、今日ダム建設の前には、いやこのダムができれば洪水は起こりません、このダムができれば水には事を欠きません、うまいことを言ってダムをつくる、つくれば最後、居直り強盗のごとく居すわって、あの水ではどうしようもありませんでした、水は金であります、こういうことで、どのような水害を沿岸住民に与えようとも加害者意識はない、こういうようにしか考えられないわけであります。  そこで河川局長に伺いたいわけでありますけれども、いま私が古い書物を引っぱり出して読み上げたわけでありますが、昭和二十六年当時、いまは故人となっておられますけれども、中谷先生はこういう調査の主査に任命をされて、しかも日本の権威を集めて研究に入った。ところがストップを食らった。ストップを食らったのは事実だからそれでしようがない。しかし、再三の私のお尋ねに対し、洪水時の洪水の断面についてはわかりません、こういう答弁でありますけれども、事務当局に伺いますと、建設省もただふところ手をし、指をくわえて見ていたわけではない、あの手、この手でいろいろな研究をやっているけれども、天下に公表し、実用する段階になっていないんだ、こういうようなことも聞いておるわけでありますが、建設省は一体、こうした中谷先生の主張を、いま私が申し上げたことを聞いて、さらに私が常々申し上げてあること等も関連をして、御見解を賜わりたい。同時に、三電力会社を代表して電源開発から、一番進んだ考え方を性格上当然持っていなければならぬはずでございますから、設置前の科学的な総合調査と、ダムの埋没に対する科学的な調査についてどのようにお考えになり、どのようにおやりになっているのか、承りたいと思うわけであります。
  40. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  中谷先生の話は、私自身は初耳でございますが、もしそういう事実があったとすればまことに残念だと思います。ただ中谷先生は、その当時確かに雪の問題あるいはダムの堆砂の問題等、非常に関心を持たれておって、そういうような問題についていろいろ前向きで検討されていたということは、私どもも記憶いたしております。ただ、中谷先生をわずらわすまでもなく、私どもダムの堆砂の問題あるいは雪の問題等につきましては、かねがね明治、大正、昭和に至る間、長年研究いたしておるわけでございます。特にダムの堆砂の問題につきましては、先ほど先生が読み上げられましたアイソトープの利用の問題等については、別に先生の応援をわずらわさなくても、私ども自体がすでに研究いたしておりまして、すでに重信川その他の河川についても相当の実験的な研究というものも行なっておりますが、なかなか砂の問題は、私どもの土木工学の中でも一番むずかしい問題でございまして、気象的な条件あるいは土質の条件、傾斜の条件、それからいろいろな条件が入り込んでおりまして、それらが複雑にかみ合わされているために推定が非常に困難である。したがって、そういう分析的な実験室で行なうようなものだけではなかなか推定いたしかねるということで、現実にダムをつくりながら、その様子を見ながらやっていくというのがいままでの実態でございます。まあしかし、だんだん積み上げが出てまいりましたので、私どもは現在のところ、ダム計画する場合には百年堆砂ということで、百年間かかれば所定の、何といいますか、計画堆砂線にいくであろうというような想定をいたしております。しかし、実際現象としては、先生御承知かと思いますが、百年もかかるものが、ダムをつくった翌年に満ぱいいたしているものもございます。例外もございます。それほどこの事象というものはむずかしい問題であるということを私どもは痛感いたしておりますが、今後のダムの設計等にあたりましては、いままでの経験を生かして――従来はどちらかというと、ダムをつくると水平線に乗って堆砂が起こるであろうということを推定をいたしておりましたが、案外そうではなくて上流のほうに向かってある勾配を持ちながら堆砂していく。それがまた洪水の出るごとにいろいろな形で部分的にしゅんせつなりを行ないながら、またいろいろな変動を来たしていくという非常に複雑な現象を起こしておりますので、一がいになかなかつかみがねる。それは先ほど申し上げましたように、雨の降り方、それからケース・バイ・ケースでもって、その土地の山の状態、土質の状態、また粒の大きさ、そういうようないろいろな現象が重なってくるものですから、いまだに、はっきり申し上げますと、この問題はもう日本だけではなくて、世界各国で悩んでいる問題でございます。しかし大体の傾向をつかめておりますので、それに沿ってひとつ私どもは今後の技術のさらに進歩という方向に向かって進んでまいりたいと思うわけでございます。
  41. 桑原進

    桑原参考人 桑原でございます。  先生の御質問でございますが、私、土木のほうの専門でございませんので御期待どおりのお答えができるかどうかわかりませんが、私の感じておりますのでは、私のほうの会社では、ダムをつくりますときには堆砂状況というものを、大体このぐらいになるだろうということを予定をしてつくっております。それから、私いま保守運営のほうを担当しておりますが、堆砂が多くなってきましたものにつきましては、一部につきましては排砂、堆積土砂の排除工事、それから洪水のときにフラッシュするということもやってみております。で、かなりの効果があるのではないかと考えておりまして、引き続きそういうことについては努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  42. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 河川局長、私に教わるまでもなく承知をしているということで、たいへん覚悟のほどを伺ったわけでございますけれども、なるほどお聞きいたしますと、九頭竜川福井、丸山ダム岐阜、湯原ダム岡山と、電発、関西、中国のそれぞれ所管でありますけれども、その後、たとえそれが利水ダムであっても、ダムの上面の水の運用については河川管理者である建設省が指揮をとるということで、利水の面についてもあるいは治水の面についても国の権能が電力会社の上へおっかぶさって、まず洪水の害を防ぐという点についてそうした面での配慮はされていることは、新しいダムについてはわかるわけであります。しかし何といいましても、きのうも小川新一郎君からお尋ねがありました河川法第一条の目的並びに五十二条の緊急指令といったような問題については、特に五十二条の適用は新河川法誕生以来一度も使ったことがないということも聞いているわけでございまして、非常に今日大きな社会問題になり、政治問題になっていることは事実です。  私は昨年からことしへかけて一年間一人でダムの問題をやってきましたが、今回は富山県におきましても、あるいは後ほど福島県におきましてもこのダムの問題についてお尋ねがあるわけでございまして、いかに利水ダムであろうとも、過日の建設大臣の答弁は、初めは発電に支障のない限りというまくらことばがついておりましたが、だからけしからぬと言ったら、斉藤委員のお考えと全く同じでありまして、発電に支障があっても人命、財産を守るためには運用に万全を期したいというお答えをいただいて、私もほんとうは最初答弁したのが腹で、あとは私が突っ込んだものですからそういう答弁にし直したのではないかと思いましたけれども、それにしても認識としてはそのようになってきているということはまあ当然だと思うわけであります。  そこで、いよいよ洪水が来る。ダム操作規程によって予備放流をしてポケットをあける。ところが降るはずの雨が降らなかった。したがって発電に支障を来たしたという場合が問題であります。たまたま私は八月の十八日から新潟、富山へ行っておったわけでありますけれども、十九日、お見えの鍛冶先生の国会報告演説会に大平通産大臣も現地へ来られておって、現地で新聞記者と会見をいたしました。そのとき、予備放流による発電の被害については制度的に考慮しなければならぬ段階に来ておる、検討をしたい、こういう意味の発言をされておるわけであります。大臣お見えになりませんけれども、大臣の発言の意図は那辺にあったのか。そしてまたその検討は具体的にどのようにされていこうとしているのか、局長から伺いたい。
  43. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  先般、大臣が富山県におきます新聞記者会見におきまして発言いたしました趣旨は、治水ダムを設けることについてはやはり実態を調査することが必要だろうということを申し上げたことと、発電ダムが予備放流をした際の国家補償という問題については、実は初めて聞いた、県の意向等を十分聞いて慎重に検討いたしたいと思います、こういうことでございまして、新聞記事とは若干趣旨がずれておるようには存じます。  そこで、通産省として、予備放流の問題との関連でございますが、もう先生十分御承知だと思いますが、洪水調整を目的として建設しておらない利水ダムの場合には、いろいろ洪水調整については効果の点で問題があると思います。たとえば洪水吐きのゲートを有しない構造の場合とかあるいは発電用のダムの場合には貯水量が必ずしも集中面積とのバランスがとれておらない、したがいまして、おけのほうが小さくて雨量のほうが多いという場合には洪水調整効果があまり期待できない、あるいは発電用のダムは上から下まで調整池あるいはダムが連なっておりますので、これらの運用については支流の状況あるいは沿岸の状況等を考慮して運用しないとかえって災害が大きくなるような可能性もあるというようなこともございまして、いろいろむずかしい問題がございます。  それから、先ほど御指摘の、電力の供給に支障のない限りという点についてはもう一ぺん考える必要があろうというふうに建設大臣がおっしゃったようでございますが、大局的に申し上げますと、御承知のように水主火従の発電形態から火主水従に移っておりまして、しかも最近の水力は貯水用あるいは調整池を利用してピーク時に供給するという体制になっております。荒い計算をいたしましたが、基本の発電量に対して需要が変動するために時間を限って供給を上乗せする発電、こういうものについてのダムによる発電あるいは調整池による発電のウエートがいま非常に高くなっております。したがいまして洪水期において災害予防の措置として事前に放流するということも考える必要もあろうかと思いますが、全体の電力供給の体制からいいますと、これを大幅に実施するということになりますと、たとえば全国的に縦断する台風に対して予防措置として大幅に予備放流をするということになりますと、電力供給の面にはかなりの影響が生ずるということもございますので、われわれといたしましては治水ダムをつくるとか多目的ダムをつくるということで、長い目としてはそういう計画でやることが必要だろうというふうに考えるわけでございます。御指摘のように、河川法の五十二条で予備放流の規定がございますので、これにつきましては、その規定に基づいて運用されるものについては、これは電力会社としては当然社会責任としても協力すべきものというふうに存じます。ただその際に、あとでどうかという問題になりますと、それはそれぞれの問題であろいうと思いますので、すぐに何ともお答えはいたしかねると思います。しかし原則としては、五十二条の運用については社会責任として協力すべきもの、こういうふうに考えております。
  44. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 五十二条については通産省としてはそういう見解を持っておられる。しかし実際として新河川法ができて以来五十二条は一回も適用されていない。しかしダム原因だと思われる水害は続発している。その思われるところにみそがあるのでして、被害者並びにわれわれは明らかにダムの責任だと言う。しかし建設省並びに電力会社はダムの責任ではないと言う。そこに問題があるわけでして、一度でも二度でも五十二条を適用して、なるほど五十二条というのは伝家の宝刀だ、あれで水雷がなかったということが一件でもあれば、これは非常に伝家の宝刀たる価値があるわけですが、いまだかつて新河川法施行以来使ったことがない。使うについては非常に問題が多いと各層各般が思っている。   〔委員長退席金丸(徳)委員長代理着席〕  そこで、伝家の宝刀を抜く基礎に科学的な気象観測と気象情報の伝達が前提としてあるわけです。長官は非常に学者のようですから、いやこうすればこうなります、ああすればこうなりますという控え目な御答弁ばかりされておる。そういうことだから予算がとれないんだと私は言いませんけれども、大前提として立山へ富士山以上のレーダーをつくります、つくりたくたって大蔵省が銭をくれないんだ、建設省が協力してくれないんですというようなことを言っていいと思うのです、腹にあるなら。腹に全くなくて、科学的に学問的に富士山レーダーで間に合っています――特に北陸などは豪雪地帯でもあるし、こうした集中豪雨もあったり、日本海、シベリアの気象の状況もキャッチしなければならぬというときに、富士山が高い山ぐらいはだれでも知っています。それで六百キロの範囲を持っています、だから富山も全部入りますということだけで、いま私が言っているような総合的な治水行政なり洪水対策なりというようなものに、根拠としてどうも足りないのじゃないかというように思うのでありますけれども、きのうも予報部長が立山へそういうものをつくる意思はありませんと言って小川委員にしかられた。なるほどいまの施設でだいじょうぶだと言うならそれでいいですよ。いいけれども、いま私が申し上げましたような、たとえば河川法五十二条を適用する根拠として、精密な、正確な気象のキャッチというものが前提に立つというようなことを考えますと、もし間違った場合には最終的に気象庁の責任だなんて言われるかもしれませんよ。しかしそれはあくまでも予報だ。予報はあらかじめ知らせるということであって確報じゃない。確報というのはあとからの観測で、あるいは測定でわかることであって、予報に間違いがあったってそれはやむを得ないと思う。そのときには国が何らかの方法で責任をとればいいというように思うのでありますけれども気象庁長官、科学的な、近代的な観測網なり伝達網の整備について決意のほどを――われわれは昨年の災害対策特別委員会でも特別決議を上げているのですよ。しかも災害のたびにあなたのところが攻撃の的と言っちゃ何だけれども、常に注目されておる。新しい長官になって決意のほどもあると思うのです。どうも少し弱腰だというように思うのだけれども、いかがでございましょうか。
  45. 吉武素二

    吉武説明員 私は別に遠慮しているわけじゃございません。やはり私も一介の技術屋として、技術的にあくまでも問題は考えていきたい。測候所を一つつくったから災害がなくなるわけでもない、やはりものごとは科学的に考えていく以外にないのだ、そういう観点に立って私は気象事業を推進しておるつもりでございます。あしからず御了承いただきたいと思います。
  46. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 自信のほどを伺いましたからこれ以上追及はいたしませんけれども、幸いにして関電の参考人がお見えでございますから………。  黒四ダムは八月一日に初めて満水になったということでありますけれども、八日までの間に、一日に満水になった水位が幾らか下がったのでありましょうか。それから八月八日に満水になったということでありますけれども、その後の気象情報その他で――なるほどゲートのないダムというのは、私は全く目のない顔、口のない顔のように思うのです。当時の設計としてはゲートなしでもよろしいということでああいうダムをおつくりになったと思うのですけれども、たとえば用水の注水口と申しますか排水口と申しますか、そういうものはあると思うのでありますけれども、その八日の段階で、九日、十日、十一日等々の時間的な推移から予備放流的なことをゲートを使わずにやる方法は全くないのでありましょうか。
  47. 吉田登

    吉田参考人 お答えいたします。  八月一日の資料は持ち合わせておりませんので、ちょっと正確なことがわかりにくいのでありますけれども、八月八日のときには水位が一メートル五十、約二メートルくらいの間満水から下にあったわけでございます。それで、先ほど言いましたように、八日の約二百ミリほどの降雨によりましてそれが満水になりまして上からオーバーをした状態になっております。そういう状態でありましたけれども、その後、九月十日もずっと降っておりますが、九日に大雨洪水注意報が発令等になりまして、八月の十日の二十三時くらいから雨がやみました。そして二十四時、一時と、ここで三時間ほど、黒四の上流地点にロボット雨量計が二カ所ありますが、その地点も含めて雨量がやんでおります。そういう状態で、この辺で一つの峠ではないかというような、若干われわれしろうと観測でございますけれども、そういうような雨量の面からは出てきました。それでおりましたところ、三時にまた急な降雨が出ております。これが約五十数ミリのものが出ました。その後雨量が続きまして、大雨洪水警報が発令されましたのが八時二十分でございます。その時点ではすでに流入しております洪水量が約四百トンということになっておりまして、このダムの操作規程によりますと洪水が二百六十トンということで規定されまして、二百六十トン以上は洪水ということになります。洪水時にはそれ以上のものを過放流することはできませんので、先ほど説明したように自然のダムでございますので、貯水をしながら自然に流れてくるものよりも少しずつ減少して放流されるという結果になっております。ただ、先ほどの御質問にちょっとありました、これの下部のほうにバルブがついておりますので、若干それで放流はできるのでございますけれども、いまのように予報的にも大雨洪水警報が出されましたときには、流入量がいわゆるダムとして規定されております洪水量をもうすでに上回っておったというこういう状態でございますので、その時点で何かそういうものがありましても不可能な状態であったというふうに思います。
  48. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 時間がありませんので………。河川局長ゲートのないダムは目のない顔、腸閉塞みたいなもので、これは珍しいダムだと思うのですけれども、今後もゲートのないダムをつくらせるつもりですか。それとも、いま日本にゲートのないダムというのは幾つあるのですか。
  49. 坂野重信

    坂野説明員 ゲートのないダムをちょっとはっきり数字はあれしておりませんが、今後の私どもの方針としては、できるだけゲートがあって洪水調節にも役立っていただけるような工法を考えていただきたいということでひとついきたいと思っております。
  50. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこで地元の問題にちょっと触れますけれども、秋葉ダムに堆積しておる土砂というのは何立米ぐらいだとお考えでございますか。
  51. 坂野重信

    坂野説明員 約一千万ぐらいだと思います。
  52. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そこでようやく電源開発株式会社はいましゅんせつを始めておるわけですが、あのダムへたまった土石というものは河川管理者のものなのか、ダム所有者のものなのか。河川生産物として河川管理者のものだという規定なのか、あるいは自分のつくったダムへたまったものだからダムのものなのか、そこをはっきりしてください。
  53. 坂野重信

    坂野説明員 直接の管理者は電力会社でございますから、そこの中に入ったものは電力会社のものであるというぐあいに一応考えます。ただしそれをいろいろ除去したりする場合には河川管理者の同意が要る。一義的には第一次管理者のものであるというぐあいに、あるいは間違っておるかもしれませんが、そういうように考えます。
  54. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 最後に間違っておるかもしれませんと言いましたけれども、やはりこれは電力会社のものでないということのようです。したがって電源にお伺いしたいのですが、ようやく掘り始めてくれました。ところが掘るための足場にわざと山土をダムの中へ入れて掘り出した。そこへ機械を据えた。車の置き場もつくった。そこでわずかの腕でシャベルを入れて掘っておるわけです。そうすると、せっかくつくった足場が幾らも掘らぬうちにくずれて、機械もろともダムの中に入っていっちゃうのです。足場はよそから持ってきた土でつくって、しばらく掘っているうちにその足場がずるずるくずれてダムの中に入っちゃう。あんな児戯に類することをやったってとても能率はあがらぬと思うのだ。地元がやかましいもので掘ってますよという看板にはなるかもしらぬが、あそこへ立って二時間も見ておれば、何をばかなことをしておるのだということにもなりかねないわけでありますけれども、それはそれでいい。  一体、昭和四十三年より埋没させない、昭和四十三年の程度に確保しますという約束だと思うのだけれども、それには一年間に何十万立米土石が入ってくるとお考えになっているのか、そして約束した四十四年分ですか四十三年分だか知りませんが、いま掘っているもの、あれは何十万立米掘るおつもりなんですか。その点ひとつ伺いたい。
  55. 桑原進

    桑原参考人 お答えいたします。  実は大体年に四十万立米ぐらいずつ流入しているように過去の統計から考えておるわけでございます。それで地元とは四十三年度末の河床より上昇させないようにいたしましょうという協定をいたしましたので、四十四年度におきましてはとりあえず二十万立米ぐらいは掘ってしまおうということをまず考えたわけでございます。それでことしの冬でございますか、四十三年度じゅうでございますが、フラッシュということをひとつ考えてみようじゃないか。これは国内ではあまり実績がございませんものですから、そういうことも研究しようということで、川のふちにあります土砂をバックウォーターの終点付近の川の中に押し込んでみたわけでございます。それで佐久間の発電放流でどのくらい流れるかという実験をやってみたわけでございます。これならどうやらいきそうだなという予定も立ちましたので、二十万は掘ろう、二十万はフラッシュをして秋葉のデットウォーターの中に入れてしまおうではないかという計画をしてみたわけでございます。幸い六月末でしたか、かなりの洪水が続きましたので、発電のほうの支障もございましたけれども水位を下げて運転をしてみましたら、約十五万立米ぐらいが動いたように思われます、正確な測量をしてございませんのでわかりませんが。それでそのときにシャベルその他でとろうとしておりましたところが、なくなってしまったようでございます。それで入ることができなくなりまして、しようことなしに先ほど先生がおっしゃいましたような土砂を盛っていったようなことをやっているわけでございますが、これもちょっと考え直さなければいかぬではないかと考えております。いずれにしてもしゅんせつ工事は続けますし、年内に洪水がございましたらさらにフラッシュもやってみたい。まだ埋められるデッドウォーターの部分が数百万立米はあると思っております。そういうことでございます。
  56. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 時間がありませんからあれですが、四十万立米大体埋まる、二十万立米はフラッシュする、二十万立米は地上へあげる。フラッシュは湛水線の近くの堆稚土をダムサイド付近まで平均するという効果はあっても、ダムから除くということはどうなんですか。一体ゲートから下へ流れるのですか。ダムの中に一部分高くなっているところを平均化するとか、上流のやつをダムの中流、下流へ持っていくとかいう効果しかなくて、ダムを越してまで下流へ流すという力はないじゃないかというように思うので、結局二十万をフラッシュするといってもその二十万はある位置が変わるだけであって、ダムのしゅんせつにはならぬというように思う点が一点。  それから二十万立米掘るといっても、八トン車で五立米しか積めないのですよ。そうすると、二十万立米というと五、四、二十、四万台要るわけです。四万台とにかくトラックで運ばなければならぬ。これはえらいことであります。そうでしょう。八トン車で五立米しか積めないのですから、二十万を五で割れば五、四、二十、四万台のダンプが要るじゃないですか。いまあそこ十台ぐらいでやっているかどうか、そのぐらいだと思いましたけれども、そうすると、何往復して何日やるか知りませんけれども、容易なことじゃないと思うのですが、いずれにしても二十万はフラッシュする、二十万は必ずあげる、こういうことですね。確認しておきたいと思います。
  57. 桑原進

    桑原参考人 お答えいたします。  そういう計画をやっておるわけでございますが、フラッシュというのは案外効果がある。これは先生おっしゃいましたように、ダム下流まではなかなかいかないわけでございます。いずれにしましてもまだ六百万立米程度ございますので、できるだけそこのところへ流し込もう。そういたしますと、大体堆砂は普通の状態ですとダムのバックウォーターの終点あるいはそれから上流にいくわけでございますから、上流に及ぼす影響というのはあまり出てこなくなるだろう。デッドウォーターのほうへ入れておきまして、今度はその辺からも将来はとることを考えなければいかぬと思います。そうでなければ全体の河床が上がるということになりますので、いずれはそういうことも考えますが、フラッシュの効果を見ながら堆砂量のしゅんせつ工事のほうもあわせて考えていきたいということでございます。
  58. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 たいへん時間が延びて同僚議員に迷惑をかけておりますが、最後に床次大臣、いまお聞きのような状態でして、ダムの問題というのは非常に複雑でむずかしい問題であります。しかし大平通産大臣が富山で発言をいたしておりますように、ダム公害に対する対策だと私は去年から主張しておるわけでありますけれども、降るはずの雨が降らなかったというときに発電に支障がある。非常に専門的で、どこまで放水すればどれだけの発電ができてどれだけのロスがあって、それが金額では幾らだなんということになってくると非常にむずかしいのでありますけれども、むずかしいからといって放任できない。総合行政が私はダム問題には必要だと思う。治水、利水、いずれもそういうように思うのです。したがって、幸いにして建設省でも五十二条の問題を含め検討されておりますし、初めて通産大臣がああいう発言をされてもおりますし、電力会社としても、怨嗟の的になって現地で働く従業員のことを考えますと耐えがたいものがあると思うのです。そういういろいろなことを考えますと、しかも罹災者はもうほんとうに腹の中から憤って、ダムは敵だ、私の地元の浦川地区では、第一のスローガンが秋葉ダム撤去、破壊をするというのですよ。それだけは待て、こう言っておるのですけれども、いよいよ電発並びに国を相手に訴訟をするという段階にまできているわけであります。重要な問題だと思いますので、過日も一度御答弁いただいたかと思いますが、大平発言のあとでもございますので、総合行政の上から御見解を承りたいと思います。
  59. 床次徳二

    ○床次国務大臣 具体的にはよく承知しておりませんが、御意見を伺いまして、ダムというものが非常に災害に対して影響のあることは明らかであると思います。地元におきましても地方の防災計画等を十分検討いたしますので、関係者集まりまして、各省とも連絡をとりまして、今後とも最善を尽くすように努力いたしたいと思います。
  60. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 郵政省その他お尋ねしたいことがありましたけれども、時間がたいへん超過いたしましたので、個人的にまた後ほど伺うことにして、これで終わりといたします。
  61. 金丸徳重

    金丸委員長代理 次に唐橋東君。
  62. 唐橋東

    唐橋委員 時間がだいぶおそくなりまして、参考人の方、非常に御苦労さまでございますので、参考人の方に先に簡単にお伺いしたいと思いますので、ひとつ率直にお答え願いたいと思います。  まず東北電力の後藤さんにお伺いしたいのですが、後藤さんは御承知のようにあの只見川建設の当初から現地において第一線に立たれた方であると、こう存じております。確かに東北電力が昭和二十六年に柳津、片門の両発電所、続いて本名、上田の二つの発電所を同時建設し、いずれも不眠不休の突貫工事をして、そして一年有半の短い年月の中で当時の電力事情の窮迫状態を救ったということは、只見川の総合開発に記念すべき一大金字塔を立てた、こういうことさえいわれておるわけでございますが、しかしこの完成には三つの欠点といいますか、特徴といいますか、そういうものがあると私はいわざるを得ないわけでございますが、それに対してひとつお伺いしたいのです。その一つは、何と申しましても当時の事情からいって、地元民の偉大な協力があった。むしろ、ことばをかえて言えば地元民の大きな犠牲をも含めた協力があった、こう考えておるわけでございますが、これに対して後藤さんはどうお考えになっておりますか。
  63. 後藤壮介

    後藤参考人 お答え申し上げます。  昭和二十六年から柳津、片門をはじめとするいわゆる電源開発が行なわれたわけでございますが、各地元とも非常に熱烈なる協力をちょうだいいたしまして、無事に仕事が終わったということでございます。
  64. 唐橋東

    唐橋委員 そのような御協力の中で問題の一つは、当時の開発は、先ほども各議員から各地の情勢の一端が出ましたが、地元民にはバラ色の夢を与えて、開発になればこの地域は全く裕福になるんだ、豊かな郷土になるんだ、こういうようなことの希望を与え、もう一つは、これが完成すればやがて上流には田子倉、奥只見のような巨大な貯水ダムができるから洪水は絶対心配ないんだ、こういうことを地元の人たちに与えたということは事実であろうと思うわけでございます。それが開発がいまほとんど最終段階に来ております。尾瀬ケ原の発電所さえできればこれはもう全面開発が終わるといっても決して過言でないわけでございますが、この段階に来まして住民は全く期待が裏切られた。むしろ豊かな郷土でなくて、ダム放下による地獄であるとさえいま地元の人たちは言っておりますが、このような点について、当時の状態もお知りになっており、そうして現状もお知りになっておる後藤さんはどうお考えになっておいでになります。
  65. 後藤壮介

    後藤参考人 当時私どもが只見川の計画を検討いたしましたのは、戦後のいわゆる日本の資源があらゆるところで不足になったけれども、水力だけが残っているというふうなことで、国のほうでもお力をお入れになり、それからわれわれとしてもどうしても水力を開発したいということであの地点の計画を進めてまいったのでございまして、私どもは、あの水系の発電所ができ上がりますとあそこから非常にたくさんの電気が起こる、それが国のために役に立つというようなことは盛んに言っておったわけでございますが、直接地元に対してそういうような、地元が非常に裕福になるとかいったようなことは、そういう社会政策的なことは私どもは申した覚えがないのでございます。また、上流のほうに非常に大きいダムがつくれる、それによりまして洪水はある程度少なくなるということは確かに申したかと記憶いたしておりますが、いわゆる絶対に洪水がないというようなことは、私も一技術者でございますので、そういう絶対といったようなことは決して申した覚えはないのでございます。
  66. 唐橋東

    唐橋委員 この点についてのことばの端を申し上げるわけではございませんが、しかし地元は、ほとんど洪水はなくなるんだというこの考えはすみずみまで徹底して協力したという事実だけは、はっきり認識していただきたいと思います。  第三番目の問題でございますが、これは技術屋である後藤さんにほんとうにお伺いしたいのですが、あの建設に二十六年から急速に着手された場合に、先ほど斉藤委員も申されましたように、只見川電源開発と同時にあの只見川河川改修というこの基本計画が並行して行なわれなければならない。   〔金丸委員長代理退席委員長着席〕 これは技術屋からいえば当然だと思いますが、その基本的な計画設計、あるいは先ほど斉藤委員が申されました基本的な研究が最も不足していた、そうして自然河川状態のままに、そのところにだけいわゆる発電をしていったという、このことは明確に言い得るのではないか。この点に対して技術屋である後藤さんはどのようにお考えになります。
  67. 後藤壮介

    後藤参考人 只見川の開発につきましては、あそこがいわゆる階段式の開発という形になっておりますが、私どものほうのダムでは、非常な低いダムの連続という形の只見川の階段式の開発計画でございます。したがって、いま先生からもお話がございましたように、大洪水になりますといわゆる自然河川と同様なところの部分が各所にあるわけでございます。したがいまして私どもとすれば、このいわゆる自然河川と同様な部分というのは、いうなれば私のほうでは直接そういうところの工事は手を出さない。私のほうのダムというものをつくったために自然河川でない部分、つまり発電のためにというか、発電所あるいはダム付近というようなものにつきましては、これは直接私のほうの構造物として私のほうで施工したというような形になっております。
  68. 唐橋東

    唐橋委員 いまの御答弁が非常に重要になってくるわけでございます。というのは、自然河川のところには手を出さぬ、私たちのほうは私たちだけのいわゆる必要な限度の中で開発をしていった、これが、現在の只見川の開発が根本的な一つの災害発生の基本になると考えざるを得ないわけでございますが、それはあとでなおお伺いします。  私がいま申しましたように、基礎的な研究が非常に少なかった、そうしていまのような自然河川状態の中でつくられていったというために、建設以後、今度十八年、二十年近くなりますが、発電所自体も被害を受けている、発電所自体も数次にわたる災害に見舞われておる、このことさえも私たちは指摘せざるを得ないわけでございます。三十年度災では新郷の発電所は、あれは戦前の建設だからという、こういう一つの言いのがれはあろうかと思いますが、要は水をかぶっております。発電所自体がもう冠水しておる。あるいは山郷、上尻等がやはり計画洪水以上に見舞われておる。今回は宮下、柳津、片門というような発電所が計画洪水以上に水が出ている、こういうような点が明らかにあらわれてきたわけでございますが、一応開発が終わった現段階で、会社側として、先ほど自分たちの一つの計画設計の中でやったのだ、こういうことですが、その建設当時はあくまでも推定であり、科学的な一つの計算だと思います。今度は現実が出てきた、こういう場合に、いま発電所自体の後藤さんの所管しているこの中においてさえ、もう少し基本的な検討を要する点が出てきておりませんか。こういう点はもっと検討すべきだという基本的な問題が浮かび上がってきておりませんか。いかがですか。
  69. 後藤壮介

    後藤参考人 私どものほうの計画で問題になりますのは、ただいまこの席でも問題になっておりますいわゆる洪水の量の大きさをどうきめるかという点かと思いますが、これは私どもとしましては大体確率計算をいたしまして、最近では百年くらいでの大体確率というような洪水でやっておりますが、当時といたしましてはデータ不足、過去の洪水の記録といったようなデータ不足といったような点もございまして、また当時は、いわゆる現在のような確率計算といった手法で計画洪水量をびしんと決定していなかったというような経緯もございますけれども、いずれにしましても過去おそらくなかったであろうというような相当大きな洪水計画洪水量と決定した次第でございます。しかしその後、不幸にしましてその計画洪水量をオーバーするようなものがときどき見受けられていることは事実でございます。  私どもとしましては、その私どものほうの発電所あるいはダム等につきましては、いわゆる私のほうの計画洪水量というものに対しましてある程度の余裕を持った設計にいたしておりますので、若干それを上回る水が出ましても、私のほうの構造物には、特に危害といったようなもので第三者の方に御迷惑をおかけするということはまずないと考えております。ただ、発電所といいあるいはダムといい、私どもが設計します場合には、当然そういうような考えられるところの洪水というものを考えるわけですが、これは不幸にして今回のごとき非常に大きな洪水があったということの現実をつかまえまして、洪水等につきましては、今後も一体どの程度洪水がどういうふうに出るかといったようなことにつきましては、私どもとしましても十分今後も検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 唐橋東

    唐橋委員 今回今回と申しますけれども、実は毎回なんです。そして毎回そのたびに、今回のような、今回のようなということが、一つの言いのがれ的に聞こえるのです。時間がありませんから過去の洪水の記録等は申し上げませんけれども、三十三年には二回、三十四年、三十五年、三十六年、三十七年、そして四十一年、それにさらに今回というような中で、今回のような大水、こういうように申しましても、あの阿賀野川水系あるいは只見川水系においては、最後の絶対量は阿賀野川になって新潟県に放出される水の量なんですが、それはずっと少ないのですよ。こういうような点も考えていきますと、何か今回はという言いのがれは、私はやはりあり得ないというような感じを持っておりますが、議論はいたしません。  一つお伺いすることは、先ほども私のほうの持ち分ということを申されましたが、これは電発さんのほうも、それから河川局長のほうでちょっと計算して、あとで資料をほしいのですが、電発が管理する長さ、それから東北電力が管理する長さ、残余の建設大臣が管理する長さ――只見川は揚川から尾瀬ケ原までずっとありますから、上流の尾瀬ケ原は別にしてもいいのですが、いまともかく河川の中で三者が分担しています、全体の長さの中で分担する率をひとつ出してみてください。これはいますぐというわけにいきませんでしょうが、あとで、私の質問に間に合うならばなおいいのです。上流の尾瀬ケ原の場合は自然河川でうんと長いから、これは省略してもけっこうです。ともかくその中で、私はあとでこれは建設省にもお伺いしますが、いわゆる自然河川の部分が非常に問題がありますが、参考人への質問なので、後藤さん、いままで建設した中で、さっき各発電所さえ被害を受けたと言いますが、建設されて現在まであった中で、いま申し上げましたこの災害で、あなたたち会社が管理されている部分でどれだけ被害があったか、そうしてその被害に対してどのような復旧、防災、そういうようなものをしたか、これをひとつあとで資料に出していただきたいと思うのです。そして残ったところは今度は建設省所管になりますから、これはひとつ資料をお願いいたします。  それからもう一つ、お伺いを先に進めまして、後藤さん、これを御存じですか。建設省北陸地方建設局で出しております阿賀野川水系工事実施基本計画参考資料を一応御存じだと思いますが、これは只見川も兼ねております・その中でこれがあるわけなんです。ちょっと読んでみます。「洪水調節」というところで、この阿賀野川あるいは只見川には、多目的ダム計画というようなことで、本川上流――これは御承知のように阿賀野川本川をいいます、本川上流ダムの建設が必要である。そしてその容量はどのくらいかというと四千万トン、只見川の場合は、上流ダムは突堤の高さが約七十メートルで、有効貯水容量が約六千万トン程度が必要であるのだ、そうすればあの下流の馬越の高水位はこうなるのだ、こう書かれておるわけでございます。そして、いま本川関係の中では他の舟子ダム等が計画されておる。そしていま実際直轄工事という部面で河川局のほうでこの河川改修は行なっておる、こう見てみますと、この計画の中でいわゆる洪水調節のため一応六千万トンは只見川でしなければならないという想定なんです。そうしますと、いま全部開発されてきました――これは電発も一つ関係しますが、上流まで開発されておるうちに、あの只見川水系でこの六千万トンの調節ができるのですかできないのですか。これは重要な問題ですから、あとで河川局長からもひとつお伺いしたい。後藤さん、技術屋のあなたの立場では、現在のあなたが所管されておる只見川の発電所の中でこの基本計画に沿うような調節が可能ですか、不可能ですか。
  71. 後藤壮介

    後藤参考人 私どものほうのダムの本名以下のダムでは、洪水調節機能というものをほとんど持っておりません。ゼロとは申し上げませんが、ほとんど持っておりませんので、いま先生のお話にございましたような調節ということは、私のほうのダムに関する限りまず不可能に近いというふうに考えております。
  72. 唐橋東

    唐橋委員 明白になりました。これはあとで河川局長にお伺いします。  ちょっとお伺いしますが、六千万トンといえば、片門発電所の総貯水量、宮下発電所の総貯水量はどのくらいありますか。片門発電所の三倍以上の発電所がなければこの貯水量には該当しないと思うのですが、どうですか。
  73. 後藤壮介

    後藤参考人 私のほうの本名の発電所の有効貯水量、これは利用水深十メートルでございますが、十メートルの深さをとって約一千四百万トンというのが最大でございますが、あとそれ以下のダムは大体二百万か、大きいもので五百万ぐらいでございます。各発電所とも大体そういうような有効貯水量でございます。
  74. 唐橋東

    唐橋委員 有効貯水量はそうだと思いますが、貯水ダムという関連になってきますと、やはり私は総体の貯水量になってくると思います。総貯水量をちょっと見てみますと、私の資料では宮下が二千五十万、片門が千六百九十一万、そうしますと大体宮下の総貯水量の三倍の洪水調節のための貯水量が必要だという計画建設省計画なんです。これはあとで河川局長にお伺いしますがね。  そうしますと、あの只見川電源開発の中でこれだけの総貯水量が、いま後藤さんの言われましたようにやる場所がない。やるとすれば片門、柳津、それから本名、この三つの発電所は全部からにして、そして貯水ダム機能を発揮させなければ只見川の洪水は防げない、こういう結論になってくると思うのです。そういう点については、これはあとで河川局のほうから十分お伺いしますが、今後、たとえば滝の上、これは電発さんのほうの関係ですか、滝の上にいわゆる調節ダムが一つ計画されておる、こういうようなこともありますが、あの水系の中で、東北か、あるいはまた電発さんかわかりませんよ、そういうような貯水の計画はあるのですか。洪水調節のための計画はございますか。
  75. 桑原進

    桑原参考人 お答えいたします。電源開発の桑原でございます。  当社といたしましては、洪水調整のダム計画は現在持っておりません。
  76. 唐橋東

    唐橋委員 東北電力さん、持っておりませんね。
  77. 後藤壮介

    後藤参考人 東北電力といたしましても、持っておりません。
  78. 唐橋東

    唐橋委員 議事進行なんですが、参考人に対する質問をもう一つしますが、終わってあと古川委員がもし質問をやるとすれば、参考人だけ終わらせていただいて、あとは当局にお伺いしたいと思います。  最後に、東北電力の後藤さんにお伺いしたいのですが、日本発送電が昭和二十五年以降行ないました沼沢沼の発電は一切東北電力が引き継いでいられるわけですね。といいますのは、その場合の補償問題等で多少現在まで問題が残っている、こういうようなことであるならば、当時は日本発送電だからそういう補償問題などは終わっているのだろう、こういうようなことで、私は関知いたしません、問題が残っていても。あるいは、そういうようなことではなくて、もしそれがあるとすれば、やはり現在東北電力もひとつ引き継いで考えます、そういう事務はやはり引き継いでやります、内容は別ですよ、形式論として、こんなように理解していいですか。
  79. 後藤壮介

    後藤参考人 沼沢沼発電所の計画につきましては、当時の日発の東北支店がやりまして、その契約等の内容につきましては、ただいま東北電力が全部承継いたしておるわけでございます。いまの沼沢沼発電所をやりますときのその補償契約等につきましては、他の発電所も同様でございますが、私は全部終わっておるものというふうに理解いたしております。
  80. 唐橋東

    唐橋委員 まあ終わっているかどうかはあとでじっくりとすることにいたしまして、内容が実は地方自治法、地方財政法に関連する問題なんです。ですから、ここで私は東北電力の見解がどうだということはお聞きいたしません。ただ、今後自治省と県を通じて、地方自治法、地方財政法に関係する問題でございますので、あとで持っていきますので、ひとつ誠意を持って御検討いただきたい、こういうことを申し上げて要望して、参考人への質問は一応終わります。
  81. 川村継義

  82. 古川喜一

    古川(喜)委員 先ほど鍛冶委員並びに斉藤委員から質問された黒四ダムのことに関連して二、三質問をしたいと思います。  まず、吉田さんにひとつお願いいたしますが、あのダムは利水ダムで、ゲートはないということもわれわれは聞いておるわけですが、先ほど言われましたように、用水の調節あるいはダムの必要上、バルブがあるはずでありますが、そのバルブが何本あって、全開するならば毎時何トンの水が放出できるのか承りたいのであります。
  83. 吉田登

    吉田参考人 バルブは四つありまして、四つで約二百トンほど放流できるようになっております。
  84. 古川喜一

    古川(喜)委員 四本ということを聞いておりましたが、先ほど承りましたが、八月八日に大きな雨量ダム満水をしたということでございまして、引き続き、十日の八時三十分注意報が解除されるまで、大雨洪水注意報が出ていたわけでありますから、われわれから考えるならば、ほんとうにその災害ということに重大な関心を持っておられるならば、ゲートがなくても、そのバルブの全開で予備放水ができたはずであるというふうに考えるわけであります。それをやはり発電だけのことを念頭に置いておいでるからそのようなことがなされなかったのじゃないか。さらにまた、十日の十四時三十分、いわゆる午後二時半に再び大雨洪水注意報が出ておるはずでありますから、それからでもそのバルブを全開をするならば、相当の水の流出ができたはずである、このように考えてまいりますると、関西電力としては、あれは洪水調節ダムではないのだ、発電のためだけのダムなんだから、そういうことは一切念頭に置いておく必要がないのだという、そのものの考え方がそういう住民とのギャップを生んでおるのじゃないか、このように考えるわけですが、どう思っておいでになりますか。
  85. 吉田登

    吉田参考人 お答えいたします。  先ほどもちょっと御説明いたしたのでございますけれども、いま言われましたように、八月の十日十四時三十分大雨洪水注意報が発令になっております。この状態のときはすでにダム満水になっておりまして、上部から溢流しておる状態でございますので、バルブをあけましてその水を出しても、これは上部から溢流するか、下から溢流するかということでございますので、それほどの差はないのでございますが、先ほど鍛冶先生からもお話がありましたように、当黒部川で八月に洪水の出たような経験はいまだかつてありません。特にこの八月の八日に約二百ミリのものが出まして、それだけでもわれわれはたいへんびっくりしておったわけであります。そういう状態でございますので、警報が出まして、われわれは注意しておりましたが、先ほど言いましたように、十日にだんだんと雨が減りまして、二十一時、二十二時、二十三時と減りまして、二十四時、一時には全部雨がやんでおります。そういう状態でありましたが、われわれも警戒しておりましたから、三時に大きな雨が出たということで、その後バルブの放流を開始しております。大雨洪水の警報が出ましたのは八時二十分でございますけれども、その前に自流以上にはならないようにバルブの放流はしております。
  86. 古川喜一

    古川(喜)委員 バルブの放水はしておったということでございますか。
  87. 吉田登

    吉田参考人 ただいま言いました大雨洪水警報の出る少し前でございます。五時、このときはすでに自流の流入量は約四百トン、放流量でいきますと約二百トン足らず、バルブ放流でございますのでそういうことになっております。
  88. 古川喜一

    古川(喜)委員 まあ専門的なことになりますが、先ほどから説明されておるように、ダムに流入する水と流出する水と四百トンカットしておる。そういう意味では、むしろ洪水調節に若干役立っているんだというふうに説明をされておりますね。しかしながら、しろうと考えからいいますと、山林は自然に水を調節をする。だから、ああいう大きいダムで、そこへすばやく水を集中させて放流するから、われわれからすると、ためて流すという印象を受けるわけです。ダムがなければ山林が自然に水を調節している。だから山にたくさん木を植えなければならないということをいわれているわけですから、そういう意味では、四百トンカットしたということは、われわれしろうとから、あるいは下流住民の被害を受けた人たちからするならば、カットされたとは考えておらない。ダムがあるから災害が大きくなったんだというふうに考えるわけであります。だから今後もいろいろ問題があって論議されてくるでしょうが、発電会社はこの災害ということにいま少し神経過敏になっていただいて、発電だけのみ考えてやられては困るということをひとつ申し上げておきたいと思いますと同時に、午後から参考人がお帰りになりますから、聞いてだけおきますが、この河川法五十二条の「洪水調節のための指示」でありますが、河川管理者から洪水調節のための指示があった場合には、無条件でこれに従われますかどうか、参考のために承っておきたいと思います。
  89. 吉田登

    吉田参考人 実際の状態になってみないとわからないと思いますけれども、五十二条の指示をするという条項でございますので、当局のほうでいろいろ検討された結果の指示でありますれば、われわれのほうもそれに従わなければならないように思っております。
  90. 古川喜一

    古川(喜)委員 以上で終わりまして、あとの質問を保留いたしておきます。
  91. 川村継義

    川村委員長 関連して、小沢貞孝君。
  92. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 関連して、私、関西電力吉田さんにお尋ねをいたしたいと思います。  先般の異常な豪雨で、黒四関係でたいへんな被害を受けられたことにお見舞いを申し上げたいと思います。  そこで私、ちょっとお尋ねをしたいことは、午後の私の質問は、零細企業やそういうところに対しては災害上の特別な援助というようなことがあるのですが、中企業以外のところにはそういう制度がないわけです。そういうことから関連してお尋ねをしたいと思いますが、このたびの黒四関係、あの付近の関西電力被害額はどのくらいであるか、大まかな点でけっこうです。それが一つと、そういう復旧費というものはみんな自己資金でまかなっておるのか、あるいは北海道東北開発公庫というようなところからの融資を受けてやられるのか。要するに、国または国に関連する公的な機関からの災害復旧等についての融資等があるのか、それを利用されておられるのか、その一点だけ御質問したいと思います。
  93. 吉田登

    吉田参考人 復旧費の点でございますが、現在会社で推定しております復旧費は約十一、二億の見当でございます。そのほか停電によります直接、間接災害といいますか、その間発電所が、黒四も若干制限しましたけれども、そのほかの発電所は全部大なり小なり停電したし、まだ一つ復旧しないでおる発電所もあります。それのキロワットアワーが、推定で――まだわかりません、いまとまっておりますので、現在の推定では約八千万程度のキロワットトアワーになるのじゃないかというふうに思っておりますが、これも不確定でございます。そのほか、間接的には黒部軌道がとまるとか、大町側でもバスがとまるとかいうような問題がありますけれども、その点はわれわれのほうでも勘定しておりませんので、ただそういう関連をした被害がそのほかにあると思います。  それから第二の点につきましては、私も土木屋でありまして経理的な点につきましては確としたことを知っておりませんけれども、現在のところでは当社の費用で復旧するようになっていると思っております。また間違った点がありましたら後刻訂正させていただきたいと思います。
  94. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どうもありがとうございましたた。
  95. 川村継義

    川村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には長時間にわたり、まことに御苦労さまでございました。ありがとうございました     ―――――――――――――
  96. 川村継義

  97. 唐橋東

    唐橋委員 河川局長にお伺いするのですが、先ほど申しましたように、自然河川状態のところに電源開発をした、こういうのがやはり一番問題ではないのか。そういう点で現在に至ってもなお尾を引いておる。こういう状態を私は指摘したいと思うのです。三十三年災のときに福島県が只見川洪水対策について調査団をつくった。そして十八カ所に及ぶ個所を指摘して東北電力と県側とがそれぞれ持ち分を分けて、そして災害復旧に当たった。こういうことなんですが、その個所が今度の洪水でどうなっておるのかということを見てみますと、私の資料では、会社側の施行したところはわりあいにこわれていない。県側の施行したところはほとんどこわれておる、こう言っても決して過言でないのですよ。ですから、これらの点についてはどうお考えになっておりますか。
  98. 坂野重信

    坂野説明員 その十八カ所の内容については、私最近、県に問い合わして知ったばかりでございますので、今後、県側がやったところがなぜ災害を受けたかということをよく調査いたしたいと思います。
  99. 唐橋東

    唐橋委員 この川は一級河川でありますが、直轄区域でない、こういうことで県に委任されておる状態で、いま申しましたように県が中心になってやっておるわけでございますが、その中で、この開発の場合に基本的な調査が非常に薄かった。先ほど参考人の東北電力の後藤さんが、当時建設のときはデータが非常にありませんでしたということを率直に申されておる。これは事実だと思います。したがっていまこれだけ開発されたときに、阿賀野川水系工事実施基本計画が立てられておるのに対して、それはいわゆる阿賀野川の本川ですね、只見川の工事実施基本計画が立てられていない。これはどうお考えになっているのですか。
  100. 坂野重信

    坂野説明員 工事実施基本計画と申しますのは、工事を実施するための基本となる事項を河川法によって定めているわけでございます。これは治水面と利水面とございますが、治水面では全体の何といいますか、基本となる高水、基本高水というものを全体的にきめまして、その中で河川の改修計画としてはっきり明確になっているもの、いろいろな問題として残されているものはその中には掲上しておりません。そういう関係で只見川の下流、只見川といいますか、阿賀野川の全体の下流の直轄の工事区間におきましてはこれははっきり基本としてうたっておりますが、そういった中小河川の部類に属するというようなものはその中に一般的に含めないことになっております。いわば大きな水系全体としての基本的な計画というものを定めておる関係上、細部のそういった支川にわたるこまかな計画というものは一般に載せないことになっておりますので、そういう段階でお考えになったと思います。それで、全体のその当時の基本となる流量というのは七千五百というものがきめられておりまして、先ほど先生もお話がございましたように、上流ダムによって洪水調節した残りが只見川系として六千三百だということが基本となっておりまして、それが本川と合わせて下流で一万トンというのがいわゆる工事実施基本計画のまた基本になっているわけであります。
  101. 唐橋東

    唐橋委員 数字は大体私も、只見川のいわば合流地点で六千五百トンがいわゆる水量だ、こういうような点はそのとおりだと、この計画書にも出ておりますが、しかし、その場合に発電所がおのおの持っております計画洪水水量、そういうものに対して各地の高水位が立てられているのですか。たとえば柳津の場合ですと六千二百トンがあの計画洪水だ、その場合に、その六千二百トンが出ればここまで水が上がるのだという水位の問題、そういうものは明確にしておかなければならないと思うのですが、それはできているのですか。只見川についてどうなんです。
  102. 坂野重信

    坂野説明員 それはダムサイドごとに、工事の工作物の設置を認可する段階でできておるわけでございますが、工事実施基本計画はそこまでうたう必要はないわけで、これはいわば工事を実施する場合の基本はどこにあるかということであるべきでございますので、ちょっと管理上の問題とはまた別の観点があるわけでございます。
  103. 唐橋東

    唐橋委員 そういう点をお聞きしているわけじゃないのですよ。たとえば川全体のいわゆる流量、それに対してやはり一つの場所場所によってあなたたちは高水位をきめておくのでしょう。そういう、いわゆる何トン流れた場合にはこれだけの高水位になります、高い水位ですね、そういうものを明確にした中でこの只見川電源開発が行なわれなかった、こういう点、私たちは非常に疑問に思うのですよ。だから、いま人工洪水だと騒がれております柳津の場合あるいは片門の場合、それならばこの計画洪水に対して片門と柳津の高水位を示してくださいよ。
  104. 坂野重信

    坂野説明員 それはさっき申し上げましたように、それぞれダムを設置したいという場合に、河川の管理者に対して設置願いを出すわけです。それを承認する段階だけでございまして、あとはそれを参考にして、今度はその中でいろいろな中小河川の改修工事をする場合にはそれを参考にしながら改修計画を立てるわけで、別に河川管理者としてそういうものをセットしているわけじゃないのです。先ほど申し上げましたように、改修の明らかな区間、たとえば阿賀野川の下流のほうについてはどこからどこまでの高水位がどうだということを計画水位としてきめておりますけれども上流のほうにつきましてはさっき申し上げましたように、個々のダムについてはもうはっきりいたしておるわけです。それは当然しているわけです。それは発電会社から、こういうダムを設置したい、それはどういう条件で設置するか、バックウォーターはどうなるか、計画はどういう計画でいくかということ、それを河川管理者が審査して、それならけっこうだ、それをつくってよろしいということでつくっておりますが、これは工事基本実施計画としてはっきりしているのじゃなくて、個々のダムを設置する場合には、治水上支障ないということを確認して認可している、そのダムサイトごとにきまっているのです。したがって、その付近の工事をする場合にはこれを参考にして、それに抵触しない範囲内でやっておるわけです。
  105. 唐橋東

    唐橋委員 だから問題なんですよ。河川局長、いま御説明があったように――あなたにさっき私はあとで資料を出してくださいと言った。いわゆる直轄部分について発電所のほうはどうだかというと、ダムの直下流は三百メートルでございます、バックウォーターする部面までが私の責任なんです、あとは建設省の責任なんです、こういうように言っているでしょう。あとは建設省の責任の部分における高水位というようなものが明確になっていない。もちろん高水任を基準とした河川改修も行なわれていない。だから、ダムが今度のように七千トンを流すと、今度はダムがたまっておるところに水が重なったのだからというわけで、地元は人工洪水だと言う。そうすれば、今度会社側のほうでは、いやそうでないのです、この高さで必ず来たのですから、これは洪水自体の高水位なんです。こういうような議論でいつでも問題が解消していない。これはもう少し議論したいところですが、時間がありませんので、ともかくあなたたちが直轄をしていくべき、管轄をしていくべきいわゆる部分についてはどれだけのものが残されているかは、あとで資料を出していただきたい。それに対するほんとうの基本的な、阿賀野川の本川でやっておるようないわゆる改修というものをはっきりと計画的にやっていかない限りは、問題は解決しないということを私は申し上げざるを得ないわけでございます。  次の質問に入りますが、先ほど申しましたように、参考人は、只見川水系ではもう電発も、そうして今度東北電力も、私たちは貯水ダム計画ございませんと言っている。そしてさらにどうだかというと、もうほとんど今度は全川開発になっているわけです。どこに貯水ダムをつくるかというと落差がちょっとある滝付近だけ、あと新郷付近は二メートルくらいの高さでしょう。あとは完全落差が一応消化している、こういう開発でしょう。そこに六千万トンの貯水ダムができなければだめなんですという、この基本計画との関係はどうなんです。
  106. 坂野重信

    坂野説明員 お答えします。  只見川はもちろん本川にそれぞれの電力のダムができておるわけでございますが、私どもは只見川の水系全体を考えればいいのでございまして、必ずしも本川だけに限る必要はないわけで、たとえば支流の伊南川につきましても相当な流域面積がございます。そういうものを総合的に考えて、目標値としてはさっき先生おっしゃいましたように六千万トンくらいの貯水量を設けたいということを考えているわけでございまして、その辺ばまだいろいろ予備調査の段階でございますので、どこにどれだけのダムをつくるということはちょっと申し上げかねますけれども、只見川全体として総合的に洪水調節の六千万トンくらいの容量のあるものを考えたいということでございます。
  107. 唐橋東

    唐橋委員 だいぶ明白になりました。この六千万トンの調節ダムができなければ只見川の根本的な洪水対策はできない、だから、今後そういう立場に立ちながら検討していく、こういう理解でいいんですね。どうですか。
  108. 坂野重信

    坂野説明員 そのとおりでございます。
  109. 唐橋東

    唐橋委員 これは只見川全体の問題として今後の重要な基本的な問題だと思いますので、いまのような方向で早急にひとつ検討していただきたい、こう思います。  それから建設省関係で一つつけ加えたいのですが、今度の被害の特徴は各地区とも同じだろうと思いますが、山間部に入りますと、中小河川で、橋脚があるために、川から流れてきたものが全部とまってダムになる、それで両側が洗われて被害を受けておる、こういうことなので、今後災害復旧の場合は原形復旧というようなものにとらわれないで、ひとつ橋脚のできるだけ幅の広いもの、こういう点について建設省は行なう。もちろんこれは、林道関係では林野庁も当然やってもらわなければならない問題でございます。中小河川になりますと林道関係も多いのですから。この点につついてはどんな方針をお持ちですか。
  110. 坂野重信

    坂野説明員 お答えします。  災害復旧は原形復旧が原則でございますけれども、原形を復旧した場合はきわめて不適当である、または、原形復旧してもすぐに災害を受けるおそれがあるという場合には、もちろん改良復旧という制度があるわけでございまして、これを十分活用したいわけでございます。しかし、ものによってはあるいは地元の負担なり、あるいは橋梁の場合につきましては橋梁の改良費というものを別途に加えて、総合的な対策考える必要のある場合もあるわけでございますので、ケース・バイ・ケースで、方向としてはそういう改良復旧という方向でやっていきたいと思います。
  111. 唐橋東

    唐橋委員 建設省関係の質問を終わります。  自治省関係で二、三お伺いしたいのです。  消防の出動体制並びにそれに対する手当の支給、さらにその手当の支給に対する国からの援助、こういう点についてお伺いするわけでございます。時間がありませんので、もう議論をしておる問題でなくて、災害の現地に行ってみますと、自分の家が流されているのに消防なるがゆえに他に手伝いに出ている、市町村は災害に金がうんと必要なために手当は出せぬ、これが現地の状態。それに対して隣接町村はどうかというと、応援部隊をどんどん出している、それに対してどれだけの手当を出すかというと、私も県を通じて実態を調べたものをいただいたんですが、これは全くまちまちです。全然やらないところ、二百円のところあるいは二百五十円のところあるいは千円のところ、こういう点に対して、いわば規定上は交付税の算定はこうなっております、こういうことはあったとしても、そういう点の指導が末端に行き届いていない。安心してこれだけの手当を出そうというように徹底していないから、全然出さないで精神訓話だけで出動させておる、あるいは現物給与で、たき出しだけでそれをやっておる、あるいは二百円、これでは足らぬ、こういって千円を出しているところもある。これはいつでも災害のときに出てくる現象だと思いますが、こういう点に対して従来までどのような指導をしたか。また安心して出動できるような解決策というものをお持ちだろうと思いますが、その点についてお伺いします。
  112. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問の消防団員の出動手当のことでございますが、お話がございましたように、一応交付税の算定の基礎といたしましては五百円になっております。私どもも実態をいろいろ調査いたしておりますが、お話がございましたとおり、各市町村によりまして非常に差異がございまして、出していないところ、また条例化していないところ等がございます。これに対しまして、本年の六月にも私どもとしましては県を通じまして、出動手当を条例化していない市町村及び少なくとも基準額の五百円以下の市町村に対しましては、これを早急に改善するよう通達を出しております。
  113. 唐橋東

    唐橋委員 時間がありませんので、その通達を末端に十分徹底するようにさしていただきたい、こういうことで質問を終わります。  もう一つは、市町村によって、死亡した場合には二十万、それから家屋が全部流失してしまったというときには大体二十五万、こういうように市町村が早急に手当をしたという場合に、やはりそれなりのものを、各市町村ともあまり差のないように見てやるべきじゃないのか。隣接市町村で、他方では出さない、こちらでは出した。そういう場合の取り扱いは、災害対策の場合に財政措置には一応あるのだけれども、やはりいまの消防手当のように全くこれもまちまちになっておる。こういう点については、自治省としてはどうお考えになりますか。
  114. 成田二郎

    ○成田説明員 お答えいたします。  そのような市町村間のアンバランスはなるべくないように、今後とも十分各県の担当の者を通じまして指導してまいりたいと思います。またそれに足りるだけの財政力がない場合も懸念されますので、それに対しましては今後十分特別交付税その他起債等の措置を通じまして、災害復旧措置には遺漏のないようにしてまいるつもりでございます。
  115. 唐橋東

    唐橋委員 その場合にいろいろ内容を見てみますと、災害やその他の額に対する〇・一を見るのだ、こういうことなんですが、その場合に、見込みとしてはこれだけいくんだというようなことが市町村でいち早く実態がつかめていく、たとえば激甚災の指定がない場合、激甚災が指定になればこうだというような財政の仕組みの徹底がないので全く困っているというのが市町村の実態ではないかというような点も考えますので、そういう点をひとつ含めて今後も御指導いただきたいと思います。  次には、運輸省関係と国鉄関係にお伺いします。簡単に一言だけ。  いままだ災害を受けた線であります川口-只見間の鉄道が復旧しておりません。その復旧の見通しが一つ。  それからもう一つは、あの地帯は冬期間の交通は御承知のように鉄道以外にバスもなければ自動車もありません。したがって、この国鉄の会津線が唯一の冬季間の交通機関になります。しかも毎年のようでございますが、豪雪地帯のため二週間、三週間というものがいつでも交通が途絶される。今度の災害で、やはり今後の雪に対して、なだれがあるとかあるいはそのような危険があるので、またまた例年以上に只見線の開通がおくれるのではないか、こういうような点、いまから冬季間の交通を心配しておる、こういう状態でございます。これに対して当局の御見解をお伺いしたいのです。
  116. 久保村圭助

    ○久保村説明員 会津線の川口-只見間につきましては、現在のところまだ不通でございます。御利用の皆さまにたいへん長の間御迷惑をおかけいたしておりますけれども、この間におきましては、二十八キロございますが、非常にたくさんの災害個所がございまして、八十二カ所ということで、隧道の埋没あり、橋梁の洗掘ありあるいは地すべりありで、土砂崩壊が非常に多うございまして、三万立米の土を取り除かなければならないという非常に大きな災害でございます。その後一生懸命でやっておりますが、大体五人の業者の方に入っていただきまして、いまのところブルドーザー十台とかあるいは百人ないし百五十人の人が入って、鋭意復旧につとめております現在のところ八、九割はどろを除きまして、あと軌道を引き延ばすということでございまして、大体現在のところ九月十日を開通の目標にいたしております。  それから後段のお話でございますけれども、防災設備でございますが、おおいだとか擁壁だとかさくあるいはなだれ防止林、こういう設備のお話かと存じますけれども、それらの設備は雪害対策といたしましてもあるいは水害対策といたしましても、両者に使えるかと思います。今回の水害によりまして、いままでわれわれが設備いたしました設備のうち、約二割ぐらいが被害を受けておりますが、現在は九月十日を目標に開通のほうに一生懸命になっておりますので、その辺の調査はまだ十分いたしておりませんけれども、相当山も荒れておるようでございますので、この辺とあわせ検討いたしまして、前の年よりも少しでも防災的な機能の上がるように考えたい、このように考えております。
  117. 唐橋東

    唐橋委員 ひとつ十分なる御努力を切に要望いたします。  最後に、経済企画庁あるいは農林省との関係もでき、あるいはその他の省との関係もあると思いますが、今度の災害で、谷間にある部落、それが集団的に移動したい、しかも耕地はそのまま残しながら集団で移動したい、こういうような要望が出てきておる。それに対して市町村は、全体の市町村の今後の発展のためにもぜひやりたい。しかし、どんな形で、国、県なりの指導があるのか、なかなか一つの町村では判断もつかぬ。福島県の場合、それに対して、この前の臨時県会において、事業費等の内容を含みながら多少予算化はしたのですが、このような事例は現在までの全国の災害地の中でやはり出てきておると私は聞いております。事例等については私も多少調べたのがありますが、省略いたしますが、それに対して早急に県あるいは市町村と連絡をとりながらその状態を把握し、そしてこのような方向でやっていけば国からもこういう金が出ます、たとえば農林省ならば構造改善課の中でこのような方向で進められます、こんなような指導があってほしい。しかも、それは日時というものをいつまでも延ばすわけにいかぬ。そこに住む人たちですから、早急にしてやらなければならない問題なんですが、それらに対する取り扱いの方向並びに現在までやってきました事例等もあわせながらお伺いしたいわけです。
  118. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  災害関係のお話でございますので、実はこれは企画庁の立場で全部お答えするわけにまいらないかと思いますが、私どものほうは山村振興法を所管いたしておりまして、山村の振興計画をつくりまして推進しております立場でお答えをさせていただきたいと思います。  先生から御指摘のありましたように、いま山村におきます振興計画をつくっていろいろやっておりますけれども、大きな問題はやはり集落の再編成、移転の問題等も含めました問題が大きな問題でございます。この事業をいたします上では、各省のいろいろな施策を全部総合的にやりませんと、事業がうまく実施できません。具体的にどのようにしたらいいかという点がいろいろ問題がございますので、実はちょっと手おくれのようで申しわけございませんが、ことしから事業のやり方につきましての調査をモデルをあげましてやっておる次第でございます。その結果をまちまして、私どものほうは山村振興という立場から必要な集落移転等の場合、再編成をいたします際の事業の実施のしかたについて、各省にいろいろお願いいたしまして、総合調整いたしまして推進をいたすように目下検討中でございます。
  119. 唐橋東

    唐橋委員 今度の災害地にそういう事例が出てきたのに間に合うのですか。
  120. 角田正経

    ○角田説明員 ただいま申し上げましたのは災害関係なしの立場で調査いたしておりますので、災害の応急の対策といたしましては、すぐに結論が出るということにはちょっと間に合いかねるかと思います。
  121. 唐橋東

    唐橋委員 計画であって、現在の災害にはほとんどまだ手は及ばない、こういうことなんですね。そういう災害をあわせて手を伸ばしてみよう、こういうことでもないんですね。
  122. 角田正経

    ○角田説明員 災害関係を除くということではございませんで、ただいま申し上げましたように、事業の実際の促進、調査等を、先生の御指摘のように本来もう少し早くしておけばよかったのでございますが、ただいま着手したばかりでございます。ただ、ですからといって私どもほうっておくわけではございませんで、振興計画の実施という促進の面を私ども担当いたしておりますので、具体的な事例がございますればそれを調査いたしまして、県あるいは市町村の皆さんと御協力いたしまして、各省間の事業調整につきましては極力努力いたすつもりでございます。
  123. 唐橋東

    唐橋委員 丁寧な御答弁なんですが、今度の福島県の場合、いわゆる事例として取り上げますか。
  124. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの先生御質問の趣旨でございますが、おそらく昭和四十二年八月の羽越災害のときにおきまして、集団移転対策につきまして政府部内で討議したことがございますので、これをおさしになったことと思われます。でございますので、今回もそれに似たような事例でございますれば、その内容等をよくお聞きいたしました上で、先ほど経済企画庁の角田参事官一般論をおっしゃっておりましたけれども、よく経済企画庁ともお打ち合わせをいたしましていろいろな措置をとりたいと考えております。
  125. 唐橋東

    唐橋委員 終わります。
  126. 川村継義

    川村委員長 午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十分休憩     ―――――――――――――    午後二時三十八分開議
  127. 川村継義

    川村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十四年七月下旬及び八月の集中豪雨並び台風第七号及び第九号による災害対策について質疑を続行いたします。古川喜一君。
  128. 古川喜一

    古川(喜)委員 本年も九州地方豪雨が襲い、この台風九号まで非常に甚大な被害をもたらしましたが、山岳地帯の多い、そうして河川の多くを有するわが国にとりましては、地理的の条件からいきましても、気象的な条件からいたしましても、風水害は年中行事のようになった感があるわけであります。毎年平均三千億円もの被害が恒常化しているという状態から見てもそう思えるわけでありますが、そのようにいたしまして、災害が発生するたびに治山治水の重要性が叫ばれ、あるいは水防計画のずさんさが宣伝されておりますが、真剣にほんとうに被害を受ける国民の立場に立って災害を反省し、それと取り組んできておられるかどうかということに対しては、非常に疑わしい気持ちを持つのは私一人ではないと思うのであります。常識的に考えても、毎年のようにこういう災害が繰り返されているということは、いかに国民の政治に対する不信感をあおっておるか、はかり知れないものがあると思うのであります。災害がこれほどひどくなるとは思わなかったとか、あるいは局地的にこんなに集中豪雨があるとは常識的には考えられなかったなどのことで、責任のがれをするようなことばをよく聞かされるわけであります。だからこそダム公害だ、人災だと言って住民が騒いで、あるいは県や関係会社に押しかけてその不満、不信をぶちまけているということになるんじゃなかろうかと思うわけであります。  で、今度の集中豪雨を通じまして考えましたことについて若干質問をいたしたいと思いますが、まず観測体制の強化についてお伺いしたいと思うわけであります。  災害の未然防止やあるいは被害を軽くする、そのために予報がすみやかで、そして的確であるということがいかに大切かということは言うまでもないことと思いますが、たとえば先ほど午前中にダムの問題なども質疑されておりましたが、八月八日十七時十五分から出ました大雨注意報あるいは大雨洪水注意報などが十日の八時三十分に解除になっている。そしてわずか午後二時三十分に再び大雨洪水注意報が発令されておるなどのことも、いま少し予報が的確であったならば、この災害が形を変えてきているんじゃなかろうかと思われるわけであります。気象庁に伺いますが、この集中豪雨あるいはこの八月に起きましたたつまきなどの情勢をもっと早く的確に予報キャッチすることができないのかどうか、それは技術的にむずかしいのか、体制上からそうならざるを得ないのか、そこをまずお伺いしたいと思うのであります。
  129. 吉武素二

    吉武説明員 お答え申し上げます。  御存じのように、集中豪雨というものは非常に狭い範囲で起こる。なぜそれだけ狭い範囲に多量の雨が降るかということ、そのこと自体も、はっきり申せば私たちのいま研究課題でございます。最近は御存じのようにレーダーというものが全国的に整備されてきております。しかし、このレーダーに映るのは雨域でございまして、ただそのエコーの強さによって雨が強いとかあるいは弱いという程度の判定はできますけれども、なかなか量的にはむずかしい。それでいま私たちが考えていることは、このレーダーによる情報をレーダーサイト間で自由に交換できるようにしたい。いままでは電報とかあるいは口頭で電話で伝え合っても、やはり雨の降っている範囲というものをことばでは十分相手に伝えることはできないわけでございます。それをお互いに今度はその絵を交換し合うということによって、的確に雨の降っている範囲をお互いに伝え合う。そうしてまたそれを必要とする官署に絵の形で送ることによって、その官署がいままでにない新しい資料を持つことになりますが、そうすればいま以上に私たちは皆さんにお役に立つ注意報なり警報というものを差し上げることができるのではないかと思っております。ただ問題は、現に降っておるということはレーダーでとにかく確かめられるわけですけれども、それがどれだけ継続するか、そういう問題に私たちはいま最大の関心を持っておりまして、たとえば集中豪雨のようなときは非常に高い雲頂を持った範囲がある、そこに集中豪雨が見られるというようなことも最近わかりつつあります。そういうことはある意味ではレーダーではつかめます。しかし一体どれだけ降るかということになってくると、これはなかなかむずかしい問題だと私は考えております。しかし非常に重要な問題ですから、私たちはこの問題に今後真剣に取り組んでいくつもりでございます。  それからもう一つ、旋風、たつまきと申しましょうか、これについてはなかなかいまのところ予報というものも非常にむずかしい。ただある程度のそういう危険があるということは、現在でも何とか皆さんにあらかじめお伝えできるんじゃないかと思っております。  以上でお答えといたします。
  130. 古川喜一

    古川(喜)委員 集中豪雨、たつまき等については研究課題としてこれからも努力をしていくということでございますが、先ほど申し上げましたように、被害を未然に防止する、あるいは被害を軽く押えるというためにも重要な問題だと思いますので、これからも意欲的に研究努力を続けていただきたいと思うわけであります。  そこでいまほどおっしゃいましたように、集中豪雨は非常に狭い範囲でということをおっしゃいましたが、狭い範囲であるならば、われわれしろうとからするならば、狭い範囲であればあるほどレーダーというものの役割りが重要になってくるし、レーダーでキャッチできるのではなかろうかと思うわけであります。いわゆる豪雨をもたらす前線とその動向を掌握するという意味において、レーダーというものは非常に重要な役割りを果たすのではなかろうかと思うわけであります。そこで午前中問題になっておりましたレーダーの設置問題が出てくるわけでありますが、何か答弁を聞いておりますと、現体制でいけるのだというふうな印象を受けるわけであります。そういう点、富山県からもいろいろ要望が出ておりますが、立山にレーダーを設けるとか、あるいは同じレーダーにいたしましても、強力な半径六百キロというような要望も出ておるわけですが、その点をいま一度、現体制でよろしいと考えておいでるのか、御答弁を願いたいと思うわけであります。  さらに、地上の雨をすばやく察知するために、いわゆる無線ロボットの自動受信機という問題もあるわけでありますが、そういう、どれだけ量が降るかわからない、あるいはなかなかむずかしい問題だとすればするほど、研究も大切だが、そういう体制を強化していくということより重要じゃなかろうかと思うわけで、その点について御答弁を願いたいと思います。
  131. 吉武素二

    吉武説明員 お答え申し上げます。  レーダーが全国に十六カ所いままで既設のがありますが、あとやはり多少はふやしてみたいという、いま計画でおります。それで、先ほど申し上げましたように、そのレーダーサイト間を結ぶその必要なデータを地方気象台とかいうところに流すということをまず私はやってみたい。その上で、新たにレーダーサイトというものを設けるべきだというようなことは次の段階として考えてみたいというのが私のいま気象庁考えておる考え方でございます。  それからもう一つの雨量観測点をふやせ。なるほどレーダーでは雨が何ミリ降ったということはわかりません。ただ、雨が強いとか中ぐらいだとか弱いとかいう程度のことでございます。雨量観測点がいま全国で、はっきりとした数字は覚えておりませんが、約千六百カ所くらいございます。一つの県当たりにするとかなりな数になりますが、決して私は十分とは思っておりませんし、またその多くはロボット観測所ではないのでございまして、ロボット観測所は二百数十カ所だと記憶しております。これについては現在かなり老朽化しておりますので、それの更新をいま一生懸命でやっております。ただそれだけではなく、今後はやはりもうちょっとふやしていきたい、そうしてそのロボット観測所とレーダーというものを有機的に結びつけるということによって、集中豪雨とかそういうような雨の問題に対処していきたいというのが気象庁考えでございます。
  132. 古川喜一

    古川(喜)委員 最後になりますが、いまのような状態と直接関係はございませんが、山岳地帯が多い。したがいまして気象災害が非常に多い。たとえば豪雨、豪雪にあわせて登山者の遭難などがあるわけでございますが、であるから測候所の増設ということも必要になるんじゃないか。そうすることによって山岳地帯の気象災害というものは減少していく、登山者の被害も少なくて済むんじゃなかろうかと考えるわけであります。いろいろ先ほどから御答弁をいただいておりますが、集中豪雨、つむじ風、たつまきなどの非常にむずかしい問題についてのこれからの研究にあわせて観測体制を強化して事故を未然に防ぐ、あるいは減少させるということにもっと積極的に取り組んでいただきたい。いろいろ施設的に防除するということも進んではおりますが、より科学的な気象観測というものが非常に重要な役割りを果たすんじゃなかろうかと考えますので、特にその点を要望しておきたいと思うわけであります。  次に河川局長にお尋ねをいたしますが、今度の災害被害を受けた住民の中では、人災であるという考え方の人が非常に多いんじゃなかろうかと思うわけであります。たとえば黒部川の今回決壊したところは入善の福島地区でございますが、美田が約四千町歩被害を受けておるわけであります。そこで五十町歩ほどは、大きい石ころが流出してきましたところは収穫皆無であります。さらにまた冠水で五十町歩ほどが七割の減ということがいわれておるわけでありますが、ここの堤防がいつごろ設けられたのかということを私は黒部建設事務所に調べに行きましたところ、明治二十七年に決壊をして、三十年から三十三年に復旧いたしているわけですから、明治時代の堤防であるということであります。しからばその対岸はどうなっているのかといいますと、対岸は昭和十九年七月一日に決壊をして、二十年に改良復旧をいたしているわけでございます。それ以来住民は入善町を通じまして、あるいは直接黒部建設事務所に出かけていって、ぜひ復旧してもらいたいということを強く強く要望いたしているわけでございます。そしてまたその場所がいつも水防訓練の場所に当てられているわけなんです。水防訓練の場所に当てられているということは、危険な個所だから訓練に利用されるのであって、りっぱな、何ら危険のないところでは訓練は必要じゃないわけです。だから訓練のために残してあったのかどうかと皮肉りたいくらいになるわけでありますが、われわれの心情からするならば、破れるかもしれないからすみやかに改良してもらいたいという要求をしておる。それをいれることができなくて結果的にそこが破れたとなると、全責任を負わざるを得ないようなことになるわけであります。また現地の黒部事務所の人たちが、われわれが調査に行って説明をしておると、住民がどんどんあらわれてきて罵倒する。これはおまえたちのためにこういう被害をこうむったのだ、現地の人たちは小さくなっているわけです。これはやはり本省のほうの予算の獲得、予算の配分等にも重大な影響があるのだろうけれども、現地の人は非常に気の毒だと思うのです。これらに対して、はたして人災だとお思いになりますか、やむを得なかったのだと考えられるか、御答弁を願いたいと思います。
  133. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  いろいろ事情があったかと思いますが、結論的に申し上げますと、午前中にもお話しいたしましたように、今回の災害計画流量が四千幾らに対して約千トン毎秒の計画を上回った異常出水でございまして、結局これだけの大水が出てまいりますとどこかで破堤のうき目を見ることにならざるを得なかったというふうに私ども考えておるわけでございます。黒四ダム等の問題、いろいろありますけれども、結局は異常出水計画を上回るような大出水があったために破堤したのだというぐあいに、結論的には私ども考えておるわけであります。  その間に、先生おっしゃいました地元の陳情等の話も聞いておりますけれども、私どもの事務所等から聞いているいきさつとは先生のおっしゃるのと若干食い違っているようでございますが、ただ地元としては、できるだけ自分の地先の堤防を早く強化してもらいたいという要望のあるのは当然でございまして、私どもとしては川全体をながめながら、一体どこが一番危険であるか、どこを早く整備しなければいかぬかということを常にながめておるわけでございまして、左岸側のほうはどちらかといいますと、いままで出水によって被害を受けた回数からいいますと右岸側よりもはるかに多いわけであります。そういうために、災害復旧のほうも左岸側のほうが重点的に行なわれる、そういうようなことで、いっかも先生御指摘になりましたが、堤防の面から見ますと結果的に左岸側のほうがじょうぶになったのじゃないかというような見方もあるわけでありますが、決して左岸と右岸とを区別しておるわけではございませんし、それから最近の河川状態等を私どもいろいろデータを取り寄せて、私自身もまた現地を先般視察したわけでございます。災害の時点においては流心といいますか、川の全体の流れはやはり左岸側に寄っておったということで、右岸側のほうはまだまだある程度出水があってもその地点はだいじょうぶじゃないかというような考え方があったことは事実でございますが、最近の予算の配分等を見ましても、右岸側のほうにむしろ重点を置いて工事を実施中の段階であったわけでございます。  以上、総合いたしまして、私どもとしては、まことに不幸ではございますけれども、やむを得ない災害であったというぐあいに考えております。
  134. 古川喜一

    古川(喜)委員 そう言わざるを得ないでしょう、人災だったとは言えるはずがありませんから。それにいたしましても、おっしゃることはいずれかが破れるのだというふうな考え方のようでもあるし、さらに左岸がいままでも非常に多く被害を受けた、だから逐次堤防もりっぱになってきたとおっしゃいますが、そのとおりです。であるならば、専門家でございますからなお御存じでしょうが、対岸がりっぱになれば自分の側のほうが危険になるということは、これは当然のことなんです。だから、あれだけの水ならいずれどこかで破れるでしょうということではなくて、やはり体制としては、どのような水が出ても破れない、りっぱな体制をつくっていくということが任務ですから、やむを得なかったでしょうけれども、それだけで済ましてもらいたくない。そういう天災とも思われる災害が起きた。天災でやむを得なかったという状態にしてもらわないと、天災であると思っておるのに人災だという声が出ることはやはり政治に対する不信だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、きのうも質問が行なわれておりましたが、どうも国全体の予算が産業開発に片寄り過ぎて、治山治水の予算が少ないんじゃなかろうかという批判も出ておりますし、また同じ建設省関係でも、大河川に重点が置かれて中小河川がなおざりになっているんじゃなかろうか、こう言われているわけでありますが、特に治山治水計画が、きのうも指摘されておりましたように、第三次治水五カ年計画が予算の関係もあって非常に進捗度がおそいということでありますが、これらがそれをあらわしていると思うわけであります。したがいまして、これをすみやかに計画を実施すると同時に、この計画ができれば大体万全だということになるのかどうか、お伺いしたいと思うわけであります。
  135. 坂野重信

    坂野説明員 お答えいたします。  治水の予算の問題につきましては、御鞭撻いただいてまことに感謝しているわけでございます。私どもは決して現在の第三次の治水計画が十分で潤沢のものだとは思っておりません。これはほんとうの特に危険な個所、重点個所だけを実施するための必要最小限度の予算でありまして、しかしこれだけはぜひとも計画どおりに実施したいというのが私どもの念願でございます。この五カ年計画を実施いたしますと、特に重要なところ、特に危険なところは相当程度被害が免れます。しかし、先般いつか私申し上げましたように、私ども考えでは、今後治水の完ぺきを期するためには実に二十三兆円になんなんとする巨額の治水投資を必要とするわけでございまして、現在の治水の五カ年計画はわずか二兆五百億でございますので、なかなか治水の完ぺきを期するためには容易ならざる、まだ今後膨大な事業が残っておるということを御認識をお願いしたい、どうぞよろしくお願いいたします。
  136. 古川喜一

    古川(喜)委員 不幸にしてこういう災害が起きてしまったわけでありますが、災害のこういう状態のときにいつも叫ばれてくる治山治水の十分な手当てをというこのときに、いまおっしゃいましたように、局長が考えておる対策、中小河川対策よりも十分の一よりも少ない第三次計画ということでありますが、大いにがんばって予算を獲得していただいて、いわゆる中小、小河川にも改修が行き届くようにお願いをしたいと思います。  そこで、先ほど関西電力吉田さんにお伺いしたのですが、いわゆる五十二条ですね、河川監督者の指示に無条件であなたは指示された場合従いますかと言ったら、まあ河川監督者から指示があれば従いますということであったが、五十二条は、この条文のとおりにあなた方は伝家の宝刀を使うことができるというふうに考えておられるのかどうか、七十五条、七十六条と何らか関係があるのか、これをひとつ御答弁願いたいと思います。
  137. 坂野重信

    坂野説明員 お答えします。  五十二条は、先生もおっしゃいましたように、非常災害の場合必要に応じてその河川全体をながめて、その条件が整えば私どもも決して五十二条を発動することに対してちゅうちょするものではございません。ただ昨日も私申し上げましたように、五十二条を発動するためにはあらゆる気象的な条件、気象予報というものが的確でなければ、誤って五十二条を、予備放流というようなことをやりますと、今度はかえって下流に対して人工災害、人工洪水というような問題が起きてくる。それから電力のダム等、一般の利水ダムというのがもともと洪水調節に適するような構造になっておりません。黒四のダム自体がそうでございます。そういう点で構造的にもかなり制約がある。それから洪水調節をやるといいましても、かなり大きなダムでないと、小さなダムではポケットが小さいためにその効力が出てこない。いろいろなそういったいわば技術的な制約があるわけでございますので、私どもはこれを発動するにはよほどの周到な注意と、よほどの綿密な準備、計画というものがなければ、洪水調節の役を効果たそうと思ってもかえって逆効果になるというおそれが多分にあるわけでございますので、私どもとしてはできるだけ全国の利水ダムを目下調査中でございます。そして各通産省あるいは電力会社と打ち合わせ中でございまして、とりあえずその操作規程をできるだけ洪水調節に寄与していただくようなことで、まず操作規程の段階でひとつ十分打ち合わせしたい。それで電力会社といいましてもそう技術者の方がそろっておるわけでもございませんので、五十二条をいきなりやれといっても、どういう方法で、どういうぐあいでやったらいいのか、なかなか簡単にわからぬわけでございます。そういうことで、まずその準備期間が必要であります。  それから、洪水調節をやらすにしても、場合によっては利水ダムのある程度の改造をやっていただく必要も出てくるのではないかというようなことで、ダムごとに実はここ二、三年来検討を重ねておりますが、できるだけ操作ルールの面でまず洪水調節の効果をあらわしめるというようなことで、たとえば佐久間ダム等におきましては昨年来からずいぶん勉強いたしまして、今年度は非常に洪水調節の役に立つような操作をやっていただいて、あれは実質的に五十二条を発動したものと同等の操作を行なったというぐあいに解釈しております。  そういうことで、できるだけ間違いのないような準備、周到な計画を重ねた上でひとつ考えていきたい。それには何よりも大事なことは、気象予報が的確でなければこれはできないわけでございます。今度の黒四のような場合のことを考えてみますと、あれはなかなか洪水というか気象予報がむずかしい状態でありますので、あのような場合にはなかなか五十二条の発動というものは、実際やろうと思ってもむずかしいのではないかというようなことがございます。気象予報の技術の進歩と相まって、私ども方向としては五十二条の発動をするのに決してちゅうちょするものではございませんので、河川管理者として治水の役割りを果たしてもらいたいということは全く先生と御同感でございますので、この点御了承をお願いしたいと思います。
  138. 古川喜一

    古川(喜)委員 おっしゃることは非常にりっぱではありますが、いわゆる気象の予報情報がより的確で、それに十分信頼でき得る体制のもとに五十二条の発動ということになりますと、いまの体制では不可能だということにひとしいわけなんです。先ほどからの気象庁答弁から聞いておりましても、集中豪雨はなかなか掌握がむずかしい。あるいは雨が降るということがわかっておっても、どの程度の量なのかということはなかなか察知しにくいというふうな日本の気象体制であるならば、観測体制が現在のようであるならば、五十二条は、あなたのおっしゃることはりっぱだけれども、空文にひとしいということになるわけであります。  そこで問題になりますのは、富山県からも要望が出ておりますように、利水ダムの予備放流に対する補償という問題があれば、もう少し予備放流というものが、そう簡単にはやれるものではないでしょうけれども、いまの五十二条といまの気象体制のもとにおいては少し問題が有利にやれるのではなかろうか、こういうことを考えるわけですが、これはあなたの管轄ではないわけですか。補償問題などは通産省になるわけですか。これは政府としてもひとつ考えておいていただきたいと思うわけであります。その災害の未然防止ということのために、ダム調節、雨が降ると思って予備放流したのに降らなかったという場合の補償というものが何らかの形で確立しておれば、もっと問題が解決しやすいんじゃなかろうかと思うわけでありますので、それは要望いたしておきます。  それで、農林省関係に伺いますが、今度の災害で山手の農民の被害というものは非常に大きいのであります。そしてまた今日まで過疎対策としていろいろ政治の手当てが行なわれておるわけでありますが、そういうときに今度の集中豪雨で、山間のほうが特にひどくやられた。したがいまして、いまだに途絶状態のところもありますし、ようやく仮歩道橋だけをつけて連絡を保っているというところもあります。そしてまた農地の復旧にいたしましても、平坦地の農地とは違いまして非常に困難な状態であります。特に用水などは何年後に回復するかわからないというほどのひどい状態のところもあるわけであります。公共土木の場合あるいは河川の復旧の場合でも緩急の度合い――区域住民にするならばすみやかに復旧をしてもらいたいということでありましょうが、予算の関係もあって、緩急の度合いをつけ得る可能性はあるわけです。しかしながら農地の場合は、直ちに用水を復旧して、まだ残っておるたんぼに水を送らなきゃならない。あるいは災害を受けた農地にしても、直ちに復旧して来年度の生産に間に合わせたいということがあるわけであります。したがいまして、例年のように四カ年間で復旧するんだというようなことでは、農民としてはとてもたえられないと思うが、この復旧の度合いということをどのように考えておられるのか、どういう対策をやろうとしておられるのか、お伺いしたいわけであります。
  139. 井元光一

    ○井元説明員 この会ではたびたび御指摘がありますように、私どもも一生懸命に、応急復旧等によって早くやるようにつとめておりますが、一般的には御存じのように四年でやっております。けれども、中には緊急を要するものは一年、あるいは二年、三年で、地区ごとに処理しているわけであります。特に用水のような場合には応急工事で一応は片づけておるわけでございます。しかしながら復旧個所数が御存じのとおり非常に多いわけでございますので、中にはほかの事業との関連とか上下流の問題とか、他事業の関係において早期の復旧が非常に困難な場合があるわけでございます。しかしながら今後も極力早期に復旧をやりたいと努力する次第でございます。
  140. 古川喜一

    古川(喜)委員 いまほど申し上げましたように、過疎対策ということがいわゆる災害がない状態においても行なわれておる事態に、さらに災害というものが加わってきたわけですから、いままでより以上にこの事後対策ということに力を注いで、不満の声が起こらないようにしてもらいたい。と同時に、山間の貧弱な治山治水程度のところですから、これからまた予想される台風などでさらに大きい被害を受ける可能性があるわけです。傷口がさらに大きくなるという可能性がある。だから復旧対策ということには十分意を注いでいただきたいと思うわけであります。  次に、個人災害のことについて、総理府の関係になるのですか、伺いますが、公共災害はいわゆる公金でとにかく復旧される。もちろんそれは税金になるわけでありますけれども、個人災害は全く自分の負担であります。しかも天災に備えて、いわゆる台風集中豪雨等の情報をキャッチして、個々にどれだけ一生懸命に防備の準備をしたって、あんなひどいたつまきやあるいは雨量では、個人の努力というのは蟷螂のおのにひとしいわけです。天災であると同時に、多分にそこには政治的責任というものも加わってきておるだろうし、この個人災害というものに対してもっと何か手だての方法はないものかということを、あの悲惨な災害調査するたびに思うわけでありまするし、また過去において先輩各位はそういうことを十分論議をされた段階もあるやに聞いておりますが、どのようなものでしょうか、ひとつ考え方を伺いたいと思うわけであります。
  141. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 お答えいたします。  従来しばしば、個人災害について何か政府として考えたらいいではないかというお話があったことはお話のとおりであります。しかしながら従来は、御承知のとおり個人の災害は、まことにお気の毒なことではありますが、個人の力によって復旧を待つ、そのために生活に困るとかなんとかいうことであれば、これは御承知のとおり生活保護法その他いろいろありますけれども、一番ひどいのは命をそのために失うということです。そういう場合でも、地方によってお見舞いを出すというようなことがあっても、それに対する補償というものがなかったわけであります。そこでこういうふうにしばしば災害があるという時点にかんがみて何か考えたらどうであろうかということは、大ぜんの人からいわれているわけであります。政府としてもそのことについては意を用いていろいろ考えてきたのですが、考えられることは共済保険くらいであります。共済保険ということになりますれば、それに加入する人がなければなりません。はたしてどれだけの人が加入するであろうかというようなことをいろいろ考えてみると、なかなかそんなに大ぜいの人が加入するというふうに残念ながら考えられない時点であります。そしてまたことしも、いま問題になっている災害の中でも命を失われた方などもありまして、まことにお気の毒なことであります。  そこでことしの予算で、できれば県に委託をして調査をして、非常に災害の多い県等で、もし共済保険というようなことを採用した場合に、県民のどのくらいの人がこれに賛同してくれるであろうかというようなことを調査してみよう。それで大ぜいの人がこれでやってみようというようなことになれば、これはもちろん政府としてもそれに対する補助金というようなことも考えなければならぬと思います。思いますが、現在の段階ではとりあえずどこかの県、特に災害の多い県にお願いをして調査をしてもらおう、そうして県民の意思をひとつ聞いてみようではないか、こんなことになっていることを御承知おき願いたいと思う次第であります。
  142. 古川喜一

    古川(喜)委員 いろいろ質問をしてまいりましたが、要は現実に災害が発生し、多数の国民が困っておるわけでございますから、政府としてもすみやかにこの復旧対策を立て、万全を期して、今後さらに来るであろう台風等に対しても、少しでも国民が安心できるように積極的な努力を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 川村継義

    川村委員長 湊徹郎君。
  144. 湊徹郎

    ○湊委員 過般の集中豪雨、七月下旬から八月上旬にわたる集中豪雨について、基本的な問題を若干お尋ねしてみたいと思います。  一番最初に激甚災害並びにその指定基準の問題でありますが、最初に激甚災指定のための準備作業がどのくらい進んで、大体いつごろめどが立つのか。具体的に全体としての激甚に公共土木あるいは農地等、それぞれいまの段階で、ここら辺は該当しそうであるというような目安が立っておるならそれをお示しいただきたいし、同時に局地激甚について個々の町村ごとにどのくらいのめどが立っておるのか、最初にお聞かせいただきたいと思います。
  145. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 お答え申し上げます。  詳細な点については川上君も来ておりますからお答えさせるとしまして、大綱についてお答えをいたしますれば、御心配をいただきました激甚指定の問題は作業をおおむね完了いたしまして、まだまだ詰めなければならぬ点ももちろんありますが、この次の閣議にこれをかけて、それで決定をいたしますれば、四、五日のうちに公布しよう、こういうことになっておりますことを御報告申し上げます。
  146. 川上幸郎

    ○川上説明員 御説明申し上げます。  ただいま副長官が申しましたとおりの手はずで進んでおりますが、その内容といたしましては、本激甚に該当いたしますものは、第五条の農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例、第十条の土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助、第十二条から第十五条まで、十四条は除かれますが、中小企業関係に対しますいろいろな特例でございます。それから第二十一条、水防資材費の補助の特例、及び第二十四条第二項から第四項まで、これは農地等小災害に係ります地方債の元利補給でございますが、これらの措置でございます。これらにつきましては大激甚を適用いたしますので、中小企業関係につきまして、その適用地域は災害救助法適用地域で、これはすでに災害救助法を出しておりますので、決定をいたしております。  なお農地等につきましては一定の要件がございますので、この一定の要件に該当するところ、これは相当なところに該当することと思われます。  なお、最後の局地激甚の点でございますが、公共土木施設にかかわります局地激甚につきましては、これは先生御案内のとおり査定額を待ちまして初めて確定いたすものでございますから、これは建設省におきまして現在鋭意作業を進めておりますので、しばらくお待ち願いたい、こう考えております。
  147. 湊徹郎

    ○湊委員 ただいま話がございましたように、五条以下の点は適用になるけれども、二章の関係は適用にならぬ、こういうことでございますが、次に、その基準について考えてみますと、まあA基準、B基準あるわけですが、A基準、これは実額ではじきますと千億をこえる、それだけの査定見込みがないと該当はしない、B基準のほうも本規定のほうは三百十一億にならぬといかぬ。それから、さらにかっこういう要件を満たせということで二つある。特に県と町村のほう――県のほうが従来からいささか甘くできておるような感じがしておるのでありますが、その県の場合でさえも、この部分が該当しない、ために今回適用にならぬというふうに思うのでありますが、その本規定のA基準は別にしても、B基準の本規定のほうは該当しているのですかどうですか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  148. 渡辺栄一

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいまの湊先生の御意見でありますが、やはり今回の公共土木施設災害の内容に入りますと、梅雨前線豪雨被害が三百九十三億、七月下旬から八月上旬の豪雨が五百五十五億というようなことになりますので、B基準の三百十一億ということには一応はまるわけでございます。しかし、府県の関係あるいは市町村の関係が該当しないために、B基準には該当しないような結果になっておるわけでございます。このことにつきましてはいろいろ御意見がございまして、二章グループにつきましては多少基準がきびし過ぎるのではないかというような御意見もあるようでございます。しかし今日まで、先生御承知のように、激甚災害といたしまして、三十七年に二回、三十八年、三十九年、三十九年は二回、これはみなB基準でございます。四十年がやはりB基準、四十年に一回A基準が指定になっております。四十一年、四十二年、四十二年が二回B基準、こういうことでございまして、やはりB基準によりまして相当に救われてきておるわけでありますから、必ずしもきびしいということが当てはまるかどうか、さらにこれは慎重に検討してみる必要があると思います。  ただ標税が非常に上がってきておる関係と、あるいは物価その他も上がっております、基準と相当に開いておりますので、どうしても、相当な被害が出ましても、税収入額等との関連におきましては激甚災にはならないというのはお説のとおりであります。われわれといたしましても、こういうような点につきましては今後やはり慎重に検討してみる必要があるのではないかということを考えております。
  149. 湊徹郎

    ○湊委員 ただいま話がございましたように、かつて年に一回ないし二回適用になっておった、今回の九州の場合もそうでございますし、北陸、福島、長野その他、今回の集中豪雨についても、実地に見た被害額、被害の実態というのは、決してその当時にまさるとも劣らぬような感じを実は持っておるということになりますと、ただいま申し上げたこの指定基準、特に標準税収入の伸び率は、このごろの経済の伸びに並行してかなり高うございます。反面、農地等の場合に、御承知の同じB基準の二番目の選択基準として、十億円という固定基準がございます。これはくぎづけのまま、こういうことで、両者の対比において実際に計算してみますと非常な乖離を感ぜざるを得ないわけであります。早い話が片や十億円、片や三百十億と、本基準だけで比べても農地のほうは三十分の一というふうになるわけであります。それから特に同じ建設と農地の場合で、今回のような土石流を主にしたいわゆる鉄砲水災害におきましては、山間部の被害が特に大きい。その場合に建設のおやりになっておる砂防と、それから農林省のおやりになっておる山腹崩壊防止の砂防事業、これは性格から見て全く同じだと私は思う。ところが農林省のほうは、所管がそうであるからということでいろいろな取り扱いも全部五条関係になるし、そこで分かれて取り扱われる。こういう点もいささか考えてみなければいかぬ点じゃなかろうかというふうに思っておりますが、その点について先ほど建設政務次官のほうから、率直に、検討してみたいというふうな話があったのでありますが、もう一度、建設省だけでなくて総理府のほうからも、それから、ついでですから小沢政務次官からも、ひとつ三者どういうふうに御協議をなすっていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  150. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 それではお答えいたします。  これは三者協議ということではありませんが、もう言うまでもないことですけれども先生の言われるのは一つのものさしですから、今度の災害に既定のものさしを当てはめてみよう、こういうことですから、そこで、このものさしがもう時代にそぐわないではないかということです。これは十分考えなければならぬことで、今度の災害に当てはめるとか当てはめないとかいうことと別に、このものさしが今日の経済状態の中で正しいものさしであるかどうかということを検討しなければならないではないか、そういう検討をする用意があるかないかという御質問であれば、それはもう小沢政務次官といい、渡辺政務次官といい、みんなこれは検討しなければならぬ、こう考えておりますので、お答えいたします。
  151. 渡辺栄一

    渡辺説明員 お答えを申し上げます。  ただいま鯨岡副長官があわせて答弁をされましたので、もう申し上げることはないと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、やはり現在の社会、経済情勢全体から見まして、慎重に検討していく必要があると思います。ただ、昨年は局地激甚制度がようやく実現をいたしまして、従来救済できなかった災害等もある程度救済できるようになってきておる段階でございますから、そのような事実ともあわせ十分検討してまいりたい、かように考えております。
  152. 小沢辰男

    小沢説明員 私のほうはどうも、今回でも激甚の適用になるような基準になっておりまして、たいへん答えやすいわけでございますが、しかしこれはやはり政府全般としていろいろ問題がありましたので、いま渡辺君から答えましたように、局地激甚という制度を去年新たに設けて、そういう矛盾をなるべく解消していく方向でやろう、そういう考えであればできたものと思います。しかしなおかつ、いま湊先生おっしゃるように、どうも平仄合わぬじゃないか。一般の受ける側のほうでは農林省であろうと建設省であろうと、そんなことは全然関係がないわけで、要するに自分たちの地元のそういうものが高率の補助によって復旧をしてもらえるかどうかの問題ですから、これはせっかく先生が与党を代表しての質問でございますので、与党のほうでぜひひとつ強力な方針を打ち立てていただきまして、これはもう事務当局――政務次官は政治家のはしくれではありますけれども、どうも私は政務次官以下ではどうにもならぬと思うのです。やはり党のほうでひとつ最高の方針をきめていただいて、ことに今回の問題では、建設関係の非常に大きな災害でありながら、どうもその制度のきめ方によって激甚の適用になっていかないというようなことで、建設省当局も非常に苦労していると私は思うのでございます。そういう意味で、むしろこれは先生方のほうの政治的な解決をひとつぜひお考え願って、私ども部内で検討いたしますが、なおよく政府と御協議をいただきたい点だと思います。
  153. 川村継義

    川村委員長 関連して小沢貞孝君。
  154. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それと関連して、けさも理事会で、どうも公共土木関係の激甚だけはきつ過ぎていかぬ、これを研究しようじゃないか、こういう申し合わせも行なわれたばかりなんです。そこで先ほど渡辺次官から答弁があったようですが、公共土木の激甚指定のA項、標準税収の四%ですか、これが該当になった災害というものは三十七年以降ありますか。該当になった災害が一回もないような基準なんかなくても同じことだと思うのですね。A項はたしか全国規模で標準税収の四%をこえる災害、こういうことですが、これは基準ができて以来、A項に該当したのは一回くらいあったのでしょうかね。これは事務当局でいいです。
  155. 坂野重信

    坂野説明員 現在の試算によりますと、四十年の台風二十三号、二十四号及び台風二十五号と九月の降ひょうによる災害がA項によるということでございます。
  156. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私、こう思うのですね。このA項という項をつくったのはいいけれども、それが制定以来七、八年ですか、十年近くになる間に、三本一緒にしたのですか、二十三号、二十四号、二十五号、三つの災害一緒にして、やっとこさっとこ適用されるというようなA項であるならば、これは絵にかいたもちではないか。A項をせっかくつくるならば、いま少し激甚指定が具体的に適用されるような基準にしなければならない。これは考えてみればあたりまえのことだと思うのです。まず第一にA項というのは適用されることがまれである。ほとんどない。ほとんどないようなものはここに書いておいてもむだ事だ、こういうふうに私は考える。もし改定なり何なりの研究をするとするならば、まずこのA項を二%かもつと以下に下げる必要がある。それが第一点だと思います。  第二点は、B項のほうの標準税収の一・二はことしもまた該当しているらしいのだけれども、今度は都道府県が標準税収の一倍になる県が一県以上なければならない、この項でつかえてしまっているわけです。もしこれで救済されないならば、局地激甚というのは去年の暮れにできましたけれども、この局地激甚の指定があって、今度は局地激甚のほうにくると、町村の標準税収の二倍と、こうなっているわけです。だから、B項と去年できた局地激甚とひとつ一緒にすれば、標準税収の一・二%で――局地といえどもひどいものは救済しよう、こういうわけですから、都道府県単位の標準税収の一倍の県が一県あればというならば、市町村のほうにおいても標準税収をこえる町村があればその町村だけは局地激甚――これはB項全体で全国とはいいませんが、そう考えるならば、今度は局地激甚の標準税収の二倍をこえる町村という、この二倍が高過ぎるのではないか、こういうように考えるわけです。だから全体が救済されないならば、局地激甚でもっとたやすく救済できるようにするというならば、局地激甚も去年つくったばかりなんですが、もう一つ、全国的には標準税収の一・二%、そうしておいて、町村の場合には一倍をこえると、こういうようにやれば、局地としては救われる町村がたくさん出てくるのではないか、こういうように考えるわけです。検討の方向はそんなような方向で検討してもらうのが実情に合って、去年できたばかりの局地激甚や、ずっと前からある本激甚というぐあいになる。研究の方向はそういう方向ではないかと思う。もう研究しますからと言うから、具体的に何を研究していただけますかという質問に入るわけなんですが、いかがでしょう。
  157. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 だんだんのお話を承っていて、一つの考え方だと思います。私どももそういうようなことを議論し合ったことがございます。したがいまして、慎重に、いまのお話も重要な参考にしながら今後検討してみたいと思います。
  158. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、私、関連ですから終わりたいと思いますが、去年は年の初めから局地激甚を災害委員会でやって、十一月ごろに、お骨折りをいただいて公布になって、一月一日にさかのぼって局地激甚をやる、こういうようになりましたから、ことしは――農林政務次官、三本は一本にしてもらってありがとうございました。三本を一本にしたにもかかわらず、まだ公共土木においてはなかなかシビアーでいかぬ、こういうことになってきたものですから、いよいよきょうは、公共土木だけはきびし過ぎてだめだ、こういう話に実はなってきたわけで、だから、三本を一本にしてもなおかつだめだということになれば、またもう一回変えてもらって、ことしの十二月ごろまで検討してもらって――去年の局地激甚のあれを出してもらったのは十一月ごろだったと思います。そのくらいに出してもらって、ことしの一月一日にさかのぼってやってもらう、こういうように具体的に前進させてもらいたい。これは総理府副長官のほうでしょうか。
  159. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 お答えいたします。  先ほどお答えしたとおり、そういうこともしばしば相談の中で議題にのぼったことです。したがいまして、重要な参考にして、すみやかにひとつ検討をしてみたいと考えます。
  160. 渡辺栄一

    渡辺説明員 ただいま小沢先生のお話でございますが、特に局地激甚の実現にはいろいろと御苦労をいただきまして、それだけに御研究をいただいておって非常に私も敬意を表しておりますが、率直に申しまして、経済の非常に激しい成長のもとに、やはり私は激甚災害のA項等は、お話しのような問題に結果としてはなっておると思います。それを救うためにB項がある。B項はいまお話しのようなことで、県なり市町村の段階におきましてこれがはまらない、こういうことになっておるわけですから、先ほど以来慎重に検討を申し上げたい、こういうことを申し上げておるわけでありますが、さらに局地激甚のほうにつきましても、御承知のように、公共災害の指定というものは非常に少ないわけであります。これもやはり標準税収入というようなものがからんでおるというところに、実態に沿わない問題があるいはあるのではなかろうかというような御意見ではないかと思います。私どもも、その点につきましても御意見を十分尊重してまいらねばならぬと思いますので、関係各省庁御協議をいただきまして、十分ひとつ検討してまいりたい、かように考えております。
  161. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 局地激甚という制度ができたのは、大きな全国的な広がりの中で、自分のところがやられたということと、全体としてはたくさんないが、自分のところがやられた。その被害程度が同じならば、国家の救済する方途は同じでなければならないというような趣旨であったと思います。ところが、一年たって当てはめたら、建設省だけはきびし過ぎた、こういう結果が結論として出たように感ずるわけです。だから、去年十一月にやっていただいた。ことしも十一月ごろまで検討してもらって、ことしの一月一日にさかのぼってやっていただく、そういうことをすみやかに御検討いただくようにお願いしたいと思います。  関連は終わります。
  162. 湊徹郎

    ○湊委員 ただいま小沢委員からもいろいろ話がございましたが、実際問題として、どんどんこれからもおそらく日本経済は一〇%台を上回る成長を続けるであろうということになりますと、これに見合って標準税収が、ウナギ登りとは申しませんが、それに近い上昇をたどることは必定であります。反面、災害のほうになりますと、集中豪雨や何かの被害を受けるところというものは大体実はさまっているわけであります。一種の集中豪雨常襲地帯とでもいうような県がございまして、受けるたびに施設が更新されますからりっぱになります。そのほかでも、一般の河川その他の改修がどんどん進みますから、それに対応して被害の額というのは落ちていく傾向にある。片方の基準の標準税収はますます上がる。片方の被害額のほうはますます下がっていく、こういうことになるのでありますから、いよいよますますこれは該当しなくなる。これはもう、一つの傾向として私は明らかだ、こう思います。そうでありますから、むしろこういうものはある程度スライド制をとるとか、標準税収一本という基準にすることがいいか悪いか。特に農林省では農地災害について固定基準をとっておる。これはこれなりのおそらく理由があったろうと思います。それぞれの基準が別々であるというのも、これはちょっとやはりいかにも検討を必要とするように思いますから、相互の関連において、これは本来は実は法律でもない、政令でもない、防災会議で相談してきめる事項なんでありますから、党は党としてもちろん検討はしますけれども、それとは別個にやはり政府部内で、有力な政務次官三名おそろいなのでありますから、ここで相談すれば、いますぐとは参りませんにしても、慎重にかつ早くひとつ御協議いただくようにお願いをいたします。一言代表して総理府副長官、御答弁を願います。
  163. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 お答えいたします。  先ほどから申し上げているように、御趣旨のことはよくわかっております。慎重にしかもすみやかに検討をいたすことを申し上げておきます。
  164. 湊徹郎

    ○湊委員 それじゃ指定基準の問題はこのくらいにいたしまして、次に気象関係の問題についてお尋ねをしたいと思います。  先ほどからいろいろ話がございましたが、原始河川、これは通常、時間雨量にして三十ミリをこえればこれは洪水になるのは常識だと思います。特に今回の場合、時間雨量にして九十ミリをこえる、こういうことでありますから、予測をこえるような災害が出るのも当然だろうと思います。そこで、先ほどもお話がございましたが、雨量の予測というものは技術的に不可能なのかどうなのか。またそういうことをやろうとすればどういう条件、体制が整えばできるのか。そこら辺、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  165. 吉武素二

    吉武説明員 雨量予測というような問題は、不可能だとは思っておりません。しかし現段階においては、決して皆さんに十分満足していただけるような量的な雨量予報の技術が確立されていない。われわれはこの問題に現在非常に真剣に取り組んでおります。そのためには一体どうすればいいんだということは、やはり一つのケーススタディーといいますか、そういうものを重ねながら、それに対する施設というものをつくり上げていきたい。集中豪雨があったから測候所をつくるとか、ロボット雨量計を置くとかということでは、私はこの問題は根本的には解決できない問題だと思っております。  以上でお答えとします。
  166. 湊徹郎

    ○湊委員 それから、ダムに関連して午前中からいろいろ問題もあったようでありますが、河川計画水位ダムや何かの洪水流量、これを今回上回った河川、これがどのくらいあって、それで被害との関係はどういうふうになっているのか、一応御説明いただきたいと思います。
  167. 坂野重信

    坂野説明員 ちょっといま資料を詳細持ち合わせておりませんが、中小河川で決壊いたしたものはほとんど計画流量をオーバーしております。新潟の場合は、代表的な河川からいいますと、加茂川、それからあと外波川、それから富山県の上市川とか早月川、それから問題の黒部川、常願寺川、――常願寺川は計画流量以内でございますが、まあそういうことで、かなり計画流量をオーバーしているものがございます。  なお、詳細につきましては、ちょっといま失念しているものもありますので、また後ほどお送りいたします。
  168. 湊徹郎

    ○湊委員 そこで、いまのように、かなり降雨量自体も予想を絶しているし、それによって受けた河川に関連する被害も、計画した以上の流量が出たために当然激甚な被害を受けた、こういう関係になっておるのでありますが、この集中豪雨が特にここ数年目立ってきております。それで気象的に見て、その長期予報的な観点から、この集中豪雨というのは、別に周期説というのじゃございませんけれども、これから大体どのくらいいまのような形で続く見通しがあるのか、そこら辺、多少長期的にひとつお話を願いたいと思います。
  169. 吉武素二

    吉武説明員 私どもも、そういう長期的な見通しについて、この席でいまちょっとお答えしかねますが、大野主任予報官がおりますから、そちらからお答えさしていただきます。
  170. 大野義輝

    大野説明員 お答え申し上げます。  どのくらい先の長期というのかよく存じませんけれども、結局、現在シベリア方面には、今世紀になってから最強の冷気塊、冷たい気塊が存在している。それは、われわればかりではなくて、国連にWMO、世界気象機構というのがございまして、そこに報告されているのがその資料でございまして、これが現在極東方面にしばしば南下したりなにかして、それが原因集中豪雨が降っている、こういうことが世界の気象学者間でいわれているわけでございまして、じゃこれはいつになったらばなくなるかと申しますと、これは現象がそこにあるということだけがわかっておりまして、それの解消する期日というものは――少なくともいまのところしばらくはそういう傾向が続くのではないだろうかと、私どもは思っているわけでございます。したがいまして、今後何年以内になったらばもう集中豪雨がなくなるというようなことは、ただいまのところはっきりしたことは申されませんが、私どもはそういうことを頭に念じておりまして、これから何年先になるかわかりませんけれども、そういうことについて特に警戒の目を向けていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  171. 湊徹郎

    ○湊委員 先ほど古川委員のほうからいろいろ話がございましたが、今回の集中豪雨に伴う前線の停滞というのは、七月二十七日からとにかく八月十二日、大体半カ月にわたって、行ったり来たり、新潟なんかは三往復しているような勘定になっております。それだけになかなか実態をとらえにくい点はあろうと思いますが、大体前線の動向というやつをレーダーでもってつかみながら、現地のそのゲリラ的に集中して来る豪雨というものを個々の観測点やなんかで的確につかまえ、それを相互に連係し合う、そういうことが必要だと、先ほど長官おっしゃっておったわけであります。で、現在のそのレーダー、これは東尋坊なり弥彦はいずれも三百キロのレーダーのようにお聞きしておるのでありますが、少なくとも日本海全体くらいをつかむようなということになると五百キロぐらいになりますか、富士山あるいは室戸岬のレーダー程度のものでないと、この北陸、裏日本側は集中豪雨にしばしば見舞われておりますので、そういう考慮がひとつ必要だろうというふうに思いますが、その点はいかがですか。
  172. 吉武素二

    吉武説明員 お答えいたします。  きょう午前中にもちょっとお話し申し上げたのですが、今度の富山、新潟、その方面の集中豪雨というのは、かなり距離はありますけれども、やはり富士山のレーダーでははっきりその雨域というものがとらえられておるわけでございまして、まだそれ以外の地域について、富士山ほど強力なレーダーというのはいま私たちは持っておりませんけれども、これは今後の問題だというふうに考えております。しかし、御存じのように、レーダーを置けばもうそれで雨についてのすべての知識が得られるのかというと、なかなかそういうものではレーダーはございません。決してレーダーは万能なものではございません。最近は、御存じのような気象衛星というものもわれわれの利用し得るものになりつつあります。これは非常に広い範囲の、しかも日本全体の雲の分布が一体どうなっているかということがわかるわけでございます。残念なことに、いまのところはまだ一日一回程度しか情報がつかめておりませんけれども、これはいずれもう数年を待たないうちに、一日に何回もその情報がつかめるという時代が来るんじゃないかと思います。いずれにせよ、何かそういう新しいいろいろな技術を使いながら、こういうような問題に対処していくのがいまからの気象業務のあり方ではないかというように私は考えております。
  173. 湊徹郎

    ○湊委員 それから、今回のように非常に短い時間に急激に、しかも狭い範囲で、ゲリラ豪雨と通称されているような災害が出ますと、なかなか、現地の観測点お互いの情報連絡とそれから実際の地域住民等に対する一つの情報の伝達等について、今回も率直な話、各地に問題があったろうと思います。  そこで、ちょうどこの富山地方気象台長さんが、先月随筆めいたものを今回の集中豪雨に関して書いていらっしゃるのでありますが、これによりますと、あの当時朝日町、これはかなり、九十二ミリの時間雨量のあったところでありますが、そこから十五キロぐらい離れた地点の自動受信機ですか、ロボットは、この豪雨になったときも、雨量ゼロであるというふうなことが書いてある。こういうことは、これは機械が間違っておったのか、あるいは事実そういうわずか十キロないし十五キロという距離で、片方は九十二ミリだけれども片方はゼロであるというふうなことが実際にあったのかどうかという点が一つ。それから、先ほど、この観測点は全国に千六百カ所ぐらいある、それからロボットも二百数十カ所あるのだという話でしたが、富山の場合は県内に乙種の観測所が六カ所しかない、農業気象観測所が十カ所ある、しかもお互いの連絡は電報であるというふうに書いていらっしゃる。そこで、今回のような雨になると、電報が間に合わないことが多いと書いてある。こういうことになりますと、これはなかなか実際の臨機応急の措置というものはとりにくかろう、こういう点から考えると、これは雨のせいだと一がいに言い切れない。やはりそこら辺の体制なり設備なり、これはよほど本腰を入れていただきませんと困るじゃないか、こう思うのでありますが、これは気象庁のほうと、ただいま聞かれて、総理府のほうでいかにお考えであるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  174. 吉武素二

    吉武説明員 お答えします。  御存じのとおり、集中豪雨というのは、非常に狭い範囲に降るがゆえにこそ集中豪雨という名前がついているのでございまして、たとえばいまお話のございましたように、わずか十キロか十五キロ離れたところのロボット雨量計にはほとんど雨量が記録されていない、そういうことはしょっちゅうあるわけでございます。それゆえにこそ、私たちは非常に悩んでいるわけでございます。それで、その集中豪雨を全部つかまえるほど雨量計を置いたらどうだという御意見もあると思いますけれども、やはりなかなかそれまで置くということについては、置いたのは置いたけれども、その情報を今度集めるということを考えなければ何にもなりません。そうするとやはり問題は残ってくるわけでございまして、今後私たちは単に気象庁だけの雨量観測所のみでなく、ほかにもずいぶんそういう観測をなさっていらっしゃるところもあります。そういうような情報をなるべく多く迅速に集めるようにしそれから、なお今後一番大切だと思っていることは、やはりいまのこの通信の発達している時代ですから、皆さんにただ注意報を出したり警報を出したりしておればいいという問題ではない。気象の情報というものをなるべく回数多く刻々皆さんにお知らせする、そうして皆さんと一緒になってこの災害を防いでいく、そういう体制こそ望ましいのではないかと考えております。
  175. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 いまほとんど尽くされてお話がありましたが、私も今度現地へ行ってみて、特に新潟県の青海は百六十戸くらいがほとんど全滅している。それでいて死人は一人もない。どうしてそうなったかというと、一にかかって、早く予報を聞いてそれに対して適切な処置をとったということでありまして、非常に感心したわけであります。ですから、おっしゃられるとおり、正しい予報をしてもらって、それを早く住民に知らせる、こういうことがとりあえず考えられなければならぬということでございますので、いまお話しのように、機械だけを設備していいというものではないことは言うまでもないのですが、万々遺漏のないように設備を整えていくという必要を十分認めているものであります。
  176. 湊徹郎

    ○湊委員 一つ漏らしたのは、情報を集める、ないし現地に伝達をする、これがいまのところ電報によってやっておるんだということ。これはおそらく台長さんが書かれたんだから間違いはないだろうと思います。せめて通信施設ぐらい、相互の観測施設、レーダーあるいは測候所、そういうものでやはり最小限そのぐらいのことはやる必要があるんじゃないかと思いますが、その辺いかがですか。
  177. 吉武素二

    吉武説明員 いまおっしゃいましたように電報で入っているものもございますし、それから電話で入るものもございますし、それから私たちは一応レーダーで、雨がどんなに降っているか、このところは非常にレーダーのエコーが強い、非常に心配だ、そういうときには、そこに観測点がなくても、いまは電話もずいぶん発達しておりますから、何とかしてその情報をつかむように、こちらから電話をかけてでも教えていただく。何も気象庁はこういうような問題のときに、非常にこまかい、百五十三ミリ雨が降っていたとか、そういう情報でなくとも、大よその皆さんの感じの情報でも得れば、こういうときには非常に役立つものですから、そういう努力も今後続けていきたいというように考えております。
  178. 湊徹郎

    ○湊委員 その次に、先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、大体集中豪雨常襲地帯というのですか、これは非常に地形の複雑な山岳地帯が大半のように思います。羽越災害だって奥羽山系、それから去年の飛騨川災害だって飛騨川の山系、九州の場合は霧島山系に集中的に降る。今度の場合もまた立山山系というぐあいに、大体地形、地勢によってそういう変化しやすい気象の場所というのは、私どもしろうとから考えると見当がつくように思うのです。そこで、日本地図の中でそういう集中豪雨に見舞われる危険性の多いところをやはりはっきりきめて、もう大体これこそ予測可能だと思うのです。そういうところに気象庁や何かも、レーダーはもちろんでありますが、測候所あるいは観測点あるいはロボット、それから伝達のためのいろいろな通信施設、こういうものをやはり集中的に増設する、そういうことがぼくは必要だと思うのです。さっき観測点が全国で千六百カ所というふうに伺ったのですが、富山県には六カ所しかない。これは県平均しても、富山県のような立山山系を控えたところはもう当然増設してしかるべきことだと思います。そこらは、そういうふうな取り扱いというものはできないものかどうか、こういうことが第一点。  それに関連をして、集中豪雨災害を例年見ておりますと、大体もうきまって上流部は急激な雨のためにいわゆる土石流でもってやられる。それが中流部に来ると、その土石流の影響とそれからさっき話があった計画水位をオーバーするような水によって破堤が起こる。下流部のほうに行きますと大体水が湛水しちゃって、そして特に都市の湛水防除等について問題になるというぐあいに、地帯ごとに災害の起き方、それが上流、中流、下流、それぞれ何か一つきまったような形できまったような災害を起こしている。ちょっとこれは芸のない話じゃないかな、こういう感じを数年集中豪雨とおつき合いをしまして、私は痛切に感じておるわけであります。そこら辺について、建設省として、集中的に何か対処し得る対策というものがないのか、お考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。  以上二点。
  179. 坂野重信

    坂野説明員 私どもは、特に先生の御指摘になられました土石流の危険個所というのを点検いたしております。その中で、五カ年計画で少なくとも千八百渓流くらい考えておりまして――全体でいいますと実は一万五、六千渓流くらいあるわけでございまして、なかなか容易なことではございませんが、それらを重点的に考えて、逐次実施いたしておるわけでございますけれども、何さま、先ほど気象庁からおっしゃいましたように、集中豪雨の予測というものはいまのところ非常に的確性を欠いているという問題がございます。どこにいつ発生するかという予測が実はできさえすれば、かなりそこに重点的に向けるということができますれども、いまのところは、地形、地質等から見て危険な個所を考えているわけでございまして、気象関係のほうは、いまのところ全然そういった統計的な資料も気象庁のほうからも出ておりませんし、また技術的にむずかしい問題でございますので、やむを得ずそういう豪雨があった際に起こり得る危険の度合いということを地形と地質のほうから判定いたしまして、逐次やっているわけでございます。
  180. 吉武素二

    吉武説明員 いまおっしゃいましたように、気象庁ももうかれこれ百年までにはなりませんけれども、気象観測の初期にはやはり雨をはかるということから始まっているわけで、日本全体についていうと、大体一応そういうような、この辺は集中豪雨が多いところだとか、そういうような雨量に関する一応の調査はできております。それに応じて雨量計をどういうふうに配置したら一番いいかということをわれわれ考えながら、いま雨量計というのは配置しておるつもりでございます。しかし、何しろその集中豪雨というのは狭い範囲で起きる。大体この付近が非常にあやしいぞということは現在もわかってきつつありますが、最後のきめ手で、この小さな河川のあるいはこの山の谷間のここに降るということは、いまのところはなかなか手がつかない問題で、簡単な一例を申し上げますと、小さな紙があるのですが、これがどこへ落ちていくかというふうな問題にからんで、気象台の問題というのは多くあるのです。これはその辺で非常にむずかしいけれども、私たちは全力を出してこの問題に取り組んでいきたいと思っております。
  181. 湊徹郎

    ○湊委員 この前、富山の県知事さんから、気象庁長官が例年なかなか奮闘努力をしても思うように予算がつかぬ、その結果観測施設等の整備不十分だから、これはよろしく国務大臣をもって当てるべしというような陳情まで承ったわけでありますが、国務大臣におなりになったおつもりで、長官、来年度はいま申しますように集中的に各種の施設整備のために、及ばずながら私どもも大いに応援いたしますから、がんばっていただきたいと思います。最後に御要望申し上げておきます。  その次に、天災融資の関係についてお聞きしたいのでありますが、これはもう再々の災害の際、私御質問を四点ほど申し上げておったわけでありますが、その点についてどのように検討し、どのように前進をして、いつごろ大体めどがつくのか、お答えをいただきたいと思います。
  182. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  天災融資法につきまして、かねて先生のほうからさらに改善方について御指摘がございまして、部内でも再三にわたりまして、本件については検討いたしたのでございますが、結論的に申し上げますと、研究の過程でも、議論としては非常に困難な感じを受けております。  まず第一点の御指摘の利率の点でございますが、現在天災融資法につきましては、一般的に年利六分五厘ということになっておりまして、そのうち特別被害農家というものは年三分の金利で、この二、三年の貸し付けの実績を見ますと、貸し付けワクといたしましては、この三分資金の系統が融資総額のワクのうち約八〇%のワクで貸し付けておりまして、結果論といいますか、実績としては約九〇%前後は三分資金がいっておる。結論といたしますと、三分資金が九割近くもいっております関係で、非常に低金利のもので、いまの段階ではさらにこの三分資金の金利を二分というふうに引き下げるということは困難ではないか。特に六分五厘のいわゆる一般融資につきましては、先ほど申し上げましたが、実績もワクも非常に少なくなってきております。中小企業関係の天災融資等、政府の一般的な方針の金利体系かとも思いますが、六分五厘という一つの大きな筋がございまして、中小企業もそれでやっておられる。農家はさらに六分五厘のほかに三分資金で、いわゆる年一回の農作物の被害というもの、そういうことを尊重して三分にしておりますので、これをさらに二分とか一分というふうに下げるのはきわめて困難ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。このほか自作農維持資金として、災害ワクとして相当潤沢なものがやはり年利五分で、これ等を勘案いたしますと、いわゆる災害資金の利率としては、日本の中では最低の金利体系になっているのではなかろうかというふうにわれわれ判断いたしまして、これ以下にはなかなか実質的にむずかしいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから償還期限等につきましては、現在六年以内ということになっております。これは四十年に定めたものでありますが、それは三十八年のいわゆる農家経済余剰というものを前提にして調べたのであります。そのときは六万五千円というのが農家経済の余剰でありましたが、その後農家経済の余剰は、四十二年の実績をわれわれいま調べますと、二十万円ということで、六万五千円から二十万円というふうに、農家の経済実態は非常によくなってきておるというようこともありましなて、この六年をさらに延長する必要は特に考えられないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから貸し付けの限度額につきましても、現在天災資金につきまして、内地が二十万円で北海道が三十五万円と、それぞれ経営規模の関係で限度額をそういうふうにきめておりますが、四十年の法律改正に際しまして、いわゆる果樹、畜産とかいうふうに経営費の高いものにつきましては、さらに五十万円まで限度額を引き上げることができるというふうになっております。   〔委員長退席金丸(徳)委員長代理着席〕 こういうことで、われわれといたしまして、さらに激甚災がかりにこれに適用されるということになりますと、いわゆる貸し付け額はこのそれぞれに対して五万円さらに適用されるということで、北海道は四十万円で内地が二十五万円、それから果樹、畜産等を営んでいる者は六十万円までさらに限度額が引き上げられるというふうに、加算額等もそれぞれの実態に応じまして限度額を上げることもできるということで、天災資金制度といたしましては、われわれとしてはこういうこと以外にいまのところちょっと考えられないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  なおさらに天災融資法よりも、農林省といたしましては、現在保険制度の改正について検討あるいは研究を加えておりまして、果樹につきましてはいま実験的にいろいろ検討を実施しておりますし、さらに研究会等を設けまして、果樹以外の畑作物の一部につきましても、災害に際しましての検討を今後進めていく必要があるのではなかろうかということで、検討しておるということをお含みおきを願いたいと思います。
  183. 湊徹郎

    ○湊委員 早い話が、この前から全然――一応検討はしているけれども、これぞという答えは出そうもないというふうなお答えのようでありますが、今度は政務次官に繰り返してポイントだけ申し上げますが、これはやっぱり小沢政務次官、どうしてもおかしいですよ。災害資金というのはただにしろという議論まであるぐらいですが、これは系統融資を使っての金ですから、ただとは言わぬ。しかしそれにしても六分五厘というのは、これはもうとてもいまの段階では災害についていえるような金利じゃなかろうと実は思うのであります。特に激甚災に、先ほどから問題になりましたように指定になりますと、ものによっては九割は当然、九割七分ないし八分くらいまで補助になるというふうなたてまえになっておりますし、同じ系統資金を元金にしている各種の制度も、その後いろいろ御承知のようにできているわけであります。総合資金なんというのは四分五厘。これから農業経営をやろうという人に貸す総合資金が四分五厘で、それから特に近代化資金も全体が六分になって、そして団地営農や何かをやる場合は特に一分を下げて五分にしよう、こういう制度まで発足しているときに、同じ原資を使いながら災害については六分五厘。それで幸い実際の実績割合から見れば九割くらいは三分資金になったんだからまあまあいいじゃないかと言うけれども、どうせそのくらいなら、三分資金に全部一括して統一してしもうたほうがこれはいいのじゃないか。六分五厘を生かしておくというのは、これはみっともないだけでなくて、何か人をばかにしておるという印象さえ災害については与えるのじゃなかろうかというふうにぼくは思っております。  償還期限のことは言いませんが、貸し付け限度額についても、これまた御同様であります。最近は農業経営も自立経営ということでどんどん大きくなってくる。青天井の金さえ貸していいじゃないか、しかしそうもいくまいといって、一応八百万円を限度にして総合資金が発足しておる。あと継ぎの連中に対する後継者資金でさえも五十万円、これじゃまだ話にならぬから今度の予算では百万円にしようということで、内々いま相談を進めておる。土地取得資金だって二百万円と、こういうふうにもう単位自体が変わってきているのですから、一般の災害の場合に二十万円というこれに固執しておるというのは、これまたいかにもおかしな話ではなかろうか。  ほかにもありますが、その二点について、これは政務次官、ほんとうに検討して、ほかとの金利体系、それから限度額あるいは償還条件、やはりバランスをとって、災害に対応してこれだけのことをやりますというふうな制度にひとつ組み直していただきたいと思います。いかがですか。
  184. 小沢辰男

    小沢説明員 党内でも非常な農政通の湊先生のお話ですから、私も非常に同感の面が多々あるわけですが、この災害関係の利率とか限度額というものについては、確かにいまおっしゃられたいろいろな前向きな農政の進展のための制度については、金利を最近だいぶ下げたり、奨励というようなことでやっておりますけれども災害関係のほうでは、一応激甚法をおつくりになるときに、国会でも全体のバランス、基本的な金利というものの考え方を――今日それがいいかどうかは別問題にしまして、いま法律では中小企業の激甚災の適用で六分五厘、こういうのが特例として認められてあるわけでございます。   〔金丸(徳)委員長代理退席委員長着席〕 それと農業のほうとの関係を、年に一回の作物、あるいは天候に非常に左右される農業の特殊性という点から見て、激甚災のときには一体どの程度その差を設けたらいいのかというような点をいろいろ検討され、また国会で御承知のように御修正にもなって、三分というものがいまきめられているわけでございます。したがって、一方先ほども御議論が先生からありましたが、個人災害の問題等を考えますと、災害のときにはただでもいいじゃないかというような御議論もあるかもしれませんが、そういういろいろな点を勘案して、結局比較的他の関連やその他いろいろなことから見た一つのバランスをとった体系というものできめられてきておるのじゃないかと思うのです。しかし、おっしゃるように基本の金利が六分五厘、それはしかしいまのあれからいうとおかしいじゃないか、こういう点は私もよくわかるような気がいたします。この点は中小企業の点でも問題になろうかと思います。しかし三分からさらに下げるかどうか。大部分が激甚災で三分の適用になっておるわけですから、三分の金利をさらにこれを切るべきかどうかという点については、これは先生の御意見ですけれども、全体のあれから見て、いまの個人災害でもあるいは農業と中小企業の問題、その他から見て、大体この辺のところが、国会の御意思としても、三分が適当だということで御修正になったように思いますので、なおひとつ検討させていただきますけれども、いまのところはどうもいいお答えはできないわけでございます。  それから限度額のほうは、私も、いま経営規模がどんどん拡大しようという、しかもこういうような災害のときでございますので、災害によって特例をある程度行政的に、それぞれの実態に応じて若干考慮するような道も考えて、いままでも、現にたしか新潟県の七・一七、八・二八水害のときもそういう特例の道を考えたこともございますので、若干弾力的にものごとを考えておるのじゃないかと思いますが、なおその点は、確かにただでくれてやる金でありませんし、全部償還をしなければいかぬ問題でございますから、実態に応ずる限度額というものを検討すべきじゃないかと思います。ただ、まだしろうとなものですから、帰りましてよくひとつ前向きに、御趣旨に沿うような方向が見出し得るかどうか、十分努力して検討いたしたいと思います。
  185. 湊徹郎

    ○湊委員 それから、さっき集団移転の問題があったわけでありますが、これはかっての伊那谷災害、さらに羽越災害の際もございましたし、今回も集団移転を必要とする若干の部落が見当たるようであります。これについて、現在のところ制度化する御意思がおありかないか、あるいは個々にいままでこういうふうな対処の仕方をしてきたので、今回もそれに準じたような扱いをしたいというふうにいまお考えになっておられるのか、そこら辺ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  186. 川上幸郎

    ○川上説明員 御説明いたします。  ただいまの集団移転の件につきましては、午前中も御質問ございましたが、これは先生がおっしゃいましたように、過去に何回かいろいろございまして、特に最近は羽越災害、四十二年の八月に、集団移転につきまして各省庁寄りましていろいろ議論したことがございます。このときには、いろいろな予算措置等によりまして若干の手を打ったのでございますが、これはいろいろな各地方の希望とか、またその受け入れ対象の能力とかによって変わってまいります。でございますので、今回も各地方の事情をお聞きいたしまして、その受け入れ体制、または能力等を勘案して、各省と御相談の上、いろいろ善処いたしたいと考えております。
  187. 湊徹郎

    ○湊委員 大体以上で終わりますが、先ほど話がありましたように、激甚災、局地激甚の基準並びに天災融資の内容について、ひとつなるべくすみやかに御検討の上、結論を出していただくように希望いたします。特に局地激甚は、本激甚のほうが見込み額できめておるのに対して、実際の査定額というふうなことになっている関係上、だいぶ手間どると思いますが、最後に、局地激甚の指定をきめる時期について大体お聞かせをいただきたいと思います。
  188. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの局地激甚を決定いたす時期でございますが、これは先生方御審議願いました際御存じのとおり、中小企業関係につきましては貸し出し等がございますので、これはまたそのほかの要件も伴いまして、災害の直後におきまして一般激甚政令と同時に出しております。しかしながら、御案内のとおり公共土木施設及び農地――農地につきましては、これは大体本激甚に出ておりますので、本年あと若干ある程度でございますが、これらにつきましては査定額を待ちませんとその内容がはっきりいたしてまいりません。査定がはっきりいたしてまいります時期は、これは建設省のほうがより詳しいのでございますけれども、相田おそくなりますので、これは激甚災を指定いたしまして、あとでさらに再度繰り返しまして、その激甚災の適用されます市町村を告示いたします時期が大体翌年の二月ごろとなっております。三月の場合もございます。これらとあわせて行なわれるだろう、こう考えております。
  189. 湊徹郎

    ○湊委員 終わります。
  190. 川村継義

  191. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間もだんだんおそくなりますので、簡単明瞭に二つ、三つだけお尋ねをいたします。  たしか八月十五日のこの災害対策特別委員会で私のほうから質問をして、七月末豪雨、七号、八月ゲリラ、三本を一本にしてもらいたい、こういうことで提起して、そういうようにしていただいたことを感謝申し上げます。それで、局地激甚あるいは激甚災の適用その他については、先ほど来の川上参事官、副長官より御答弁がありましたので、私はそのときにも申し上げておきましたが、天災融資法の発動について荒勝農林大臣官房参事官にお尋ねをいたします。  たしかあのときの質問は、七月末の被害額が八億六千万、七号台風十九億、八月ゲリラ三十五億、合計六十三億の県報告があります、こういう答弁であったと思います。しかし、その当時は、原因別に天災融資法は発動するので、こういうことでは発動になるかどうか憂慮いたしております、こういう答弁でありました。ところが激甚災の適用その他について、七月末豪雨と七号と八月ゲリラ、この三本が一本の気象条件であるというぐあいにお認めいただいたので、今度は天災融資法の発動についても同様に認めていただける、まずこの一点がよろしゅうございますかということと、したがって、そういうことになりますと、八・六億、十九億、三十五億、合計すると六十三億になりますから、天災融資法の発動条件である国民経済に重大な影響のあるといわれておる額三十億を当然これはこすわけでありまして、天災融資法も近く閣議で同時に政令をきめて発動していただける、こういうように理解してよかろうか、こういう質問を、これは政務次官でしょうか……。
  192. 小沢辰男

    小沢説明員 天災融資法は、おっしゃるようにいたします。
  193. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 第一の質問はそれで終わります。  それでは第二の質問に入りたいと思います。第二は、有線放送電話と災害防止に関連して質問をいたしたいと思うわけです。  有線放送電話は、現に経済企画庁山村振興課において補助をしておる。この額はきわめて少額なので、山村にとってはもう少し多額にほしいところですが、補助してやっておるわけであります。したがって、自治省、あるいはまた農林省は農業近代化資金あるいは農林漁業金融公庫、こういうことで融資をしておるし、ずっと前には山村振興か何かでもっと積極的にやっておったということで、全国的にたいへんこれは定着をして発展してまいっておるわけです。これが災害の予報、こういうことにたいへん効果を発揮いたしました。特にまだ国が十分施設をしていないような、砂防等十分やっておらない中小河川のはんらんをするような地帯において、避難命令等を出す場合にきわめてこれは有効であるわけであります。有線放送電話は、そういうように災害の予報その他ばかりではなくして、その村の一体化のため、あるいは文化や教育のため、あるいは営農技術の振興のためと、こういうようなことで、非常に多目的に農村の振興に役立っておるわけであります。あるいは地方自治の発展のために役立っておるわけであります。  ところが、きょう問題を提起しようということは、一つ二つあるわけなんです。この有線放送電話が、最近電電公社のほうにおいて農集――今度は名前が変わって集団電話となりました。農集というものがだんだん進出してきて、村の中の中心部の一番おいしそうなところだけ食っていってしまうわけです、農集によって。そうすると、災害や何かで谷間とかそういうところに予報を出す場合に、もう農集にまん中のいいところを食われてしまって、有線の経営が成り立たない。この有放はもう成り立たない。こういうような状況になってきておるわけです。これは郵政関係のほうと農林関係のほうと長い間論争をしてまいった問題でありますが、現に最近はそういう問題が出てまいりました。昔の有放があったならば避難命令等一斉放送でうまくできたものを、農集にまん中のいいところを食われてしまって、有線放送全体の経営が成り立たなくなったがために、有線放送はもうやめになっちゃった。災害で急速に避難しろというのが伝達されなかった、かんかんがくがくと論議が続けられておるわけであります。  そういうことについて、もうすでに長い間の問題ですから御理解をいただけておると思いますが、若干それに説明をいたしますと、電電公社は非常に赤字であるにもかかわらず、これを農村振興のためということもあるでしょうが、農集については債券等を売ってしまえば一万何千円くらいで入るわけで、だからまん中のいいところだけ食っていってしまうわけです。有放は、最初の設備のときはいろいろ国や自治省その他から援助があった。しかし、これはいよいよ更改期になってきたときに、また三万円から四万円出さないと有放ができない、こういう問題になるわけです。そこにもってきて電電公社が入り込んでいって、まん中のいいところだけ食っていってしまう。簡単にいえばそういうことです。  だから、これを実は災害対策委員会で提起するゆえんのものは、私は、まず第一には、災害及び営農上これは非常に有効であったということを認めて、これはやはり有線放送電話をその農協、その村、こういうところでやろうとする場合に国がもっと積極的な援助をすべきだ、こういうように考えるわけです。  そこで、もう具体的にずばりと私は質問をいたしますけれども、いま農協等でその有線放送を更改しよう、新設しよう、こういう場合の融資は幾らかというと、農業近代化資金で七分、たしかこれに保証が若干つきますから、一厘か二厘の保証費も要ると思いますから、実質的には七分一、二厘になると思います。農林漁業金融公庫においては七分五厘であります。これを安くしていただければ、災害にも営農にも役立つ、有放というものは更新されて、やはり相当な今後の発展も続けていけるのではないか、こういう状況であります。こういうことが前々から山村地帯においては非常に問題であったがために、私たちの民社党の党議としてきめて、農林漁業委員長と私は有線対策委員長をやっておる。実は農林大臣に申し込みに行った。まあ農林大臣、元気がいい方だから、町の中まで有放が来るということはいけないけれども、この有放というやつはいいことだから、これはひとつ金利を下げても大いにやろうじゃないか、簡単にいえば、そういうきわめて明快な答弁であります。先般来事務当局にこの問題について具体的に進んでおるかどうかということをお尋ねすると、なかなか金利体系はむずかしそうなようであります。  そこで私はいろいろ研究してみると、農林漁業金融公庫の業務方法書を見ると、たとえばこれは電気施設の導入という項目においてはやはり五分、こういうようなぐあいになっておるわけです。だからそういう項目に当てはめていただけば、当面全国の有放の関係者が要望しておることは満たされるわけです。それからまた、災害等に警報を出すところの有放というものは、やはり国がこれだけめんどうを見てくれたかということになると思うわけです。端的にいま天災融資法をやりますと言ったと同じように、これはちょうどそれと類似の電気導入施設の場合には五分という金利があるわけですから、これにもう改めていただく、こういう御答弁をいただければ私の長い質問は要りませんから、ひとつ明確にそういうように御答弁をいただきたい。どうしてかというと、たとえば米が余っちゃった時分に、構造改善か何かのときには三分五厘か何かでやっておるわけでしょう。たぶんそうだと思います。非補助融資三分五厘ということと比べれば、これだけ災害にも、営農にも、文化向上にも役立つところの有放について金利をそういうように下げていただくのは当然なことではないか、こういうように私は考えるわけです。もののずばり、いまと同じようにひとつ御答弁をいただければこれで質問を終わります。
  194. 小沢辰男

    小沢説明員 どうもしかく簡単でないのでございまして、まことに申しわけございませんが、実は電電公社がいいところだけ食っていくわけじゃありませんので、非常に地元の熾烈な要望によって、むしろ電電公社のほうでできるだけサービスをしているというふうに私どもは理解をしているわけであります。これは弁護でありませんがが……。それで有線放送の効用等については、私も非常に御同感でございます。ただ、金利体系全般については、これはもう公庫のほうでいろいろ複雑な金利体系がございまして、これをもっと明確なものにしなければいかぬというような意見もありますけれども、それぞれやはり一つ動かしますと全体の金利体系に非常に影響してくる、しかも電気導入については生活に不可欠な、何と申しますか、ちょっと私、性質が若干そこに違いがあるのじゃないかというふうにも考えられますので、事務当局にいま実は聞いてみましたら、事務的にはとうていこれは考えられないということでございました。しかし、大臣が有線放送については非常に理解がおありになりまして、私どもも、農村に帰っていろいろそういう点については先生と同じように聞いておりますので、今後ひとつ、私どもの党のほうでも総合農政全般の検討をいろいろ農村の生活まで広く考えまして、いま御検討していただいているようでございます。私ども農林省のほうでも、そういう総合農政全般の御方針を承らないうちはいろいろな面で作業がなかなか進みませんので、おそらく近くそうした方針が出てくると思いますので、これを受けまして、十分ひとつ大臣とも御相談をして検討いたしていきたいと思います。
  195. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 事務当局、とうてい不可能というその事務当局に私はお尋ねをしたいのですが、電気の必要なのは、これはもうめしと同じように必要だ、これはわかっていることです。ところが、われわれの県域で有線放送がないというのはほとんどないから、これはもう電気以上に必要なんです。山の上の一軒家まで有線放送が張りめぐらされておって、それによって唯一の通信施設あるいは村の一体化のための放送をやっておるから、電気がない家はいまはないと同じように、有線放送のないところはいまないわけです。だから、電気は五分なんだけれども、有線放送は何で七分五厘でなければいけないのだ、その理解がわからない。
  196. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  先ほどとうてい不可能と政務次官おっしゃったのでございますが、私、とうてい不可能と申し上げましたわけではございませんので、実は先生も前々からこのことに関連がありまして、私どもも御指示をいただきましてたびたび有線放送の問題の補助をするとか、あるいは利下げの問題につきまして検討もいたしましたし、また努力もいたしてまいりましたわけでございますが、先ほど政務次官からお答え申し上げましたとおり、一般金利体系全体の問題とからむものでございますので、先生御指摘のように、なぜ片方が五分で片方が七分五厘だという問題は、私どもとしても政務次官からお答え申し上げました以上に詳しく理由があるというようなことは申し上げられないわけでございますけれども、そういった全般的な問題でございますので、私どもも今後とも検討、努力を重ねてまいりますわけでございますが、いままでの情勢からいって、先生御承知のとおり、何べんやってみましてもなかなか困難であった、でございますので、たいへんむずかしいということを政務次官に申し上げましたわけでございます。そういう趣旨でございますので、御了承願いたいと思います。
  197. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま政府で補助金を出しているんですよ。経済企画庁山村振興課においては補助金を出しているんですよ。だから補助金を出さなければならないような必要性があって出していると思うのです。かつて自治省もそうです。かつて農林省でもそうなんです。そういうようなことだから――昔は開拓地や何かに、電気導入のときにはやはり積極的に県や国が補助金を出した。これはそういう性格と同じなんです。だから開拓地や何かに電気導入の場合には五分の金利になっているわけです。それと同じように、農村や山村にとって必要欠くべからざるものだから、これは同じ性格のものでいいのです。そこを区別しなければならない理由を私は聞いているわけです。いまの日本政府が、きわめて少額ではあるけれども補助金まで出してやろうというものに、一般の共同施設と同じような金利体系はおかしいのではないか、私のほうでおかしいのではないかと言って質問しているんですよ。私が言い出したものは、これは日本政府がちゃんと補助金を少額なり出している。農林省でもかつてやっていた。自治省もこの効能を認めてやっている。しかるに、電気のほうだけは五分の金利だ。どうして有線放送、全く同じ性格のものが七分五厘でなければならないか、そのことを尋ねているのです。
  198. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 十分お答えになりかねるかと思うわけでございますが、先ほど先生が経済企画庁の補助金とおっしゃいましたのは実は農林省の補助金でございまして、農林省でも、そういう先生が御指摘になりましたような山間僻地でございまして、非常に通信とかその他に問題のございますところにつきましては、いまだに補助金制度というものをとっているわけでございます。その他につきましては、かつて新農村建設事業のときに補助金でやりまして、構造改善事業に移りまして以来融資に変わっておるわけでございます。その点、先ほど申し上げましたように、やはり一ぺん補助金をやりました事業でございますし、その後やはり普通の電気導入といいますか、電灯がつく、つかないというような問題に比べまして、私ども全体の評価といたしましてなかなか同列に並べがたかったという事情もございまして、当初そういう区別がついたわけでございます。したがいまして、いまこれから直すということにつきましても努力をいたしておりますけれども、御承知のとおり、なかなか実現を見ていないという状態でございます。  満足なお答えになりませんで申しわけございませんですが……。
  199. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 満足なお答えじゃない。農林省のいろいろな制度の中で、補助を出しているものに融資する場合の金利と非補助の融資と明らかに区別して出しているのじゃないですか。いま補助を出している山村振興のところの残りた融資については、それは自治体の経営等が多いと思いますが、そういうものについて私は言っているわけじゃない。非補助でやろうという場合には、金利は明らかに差別をつけてやっているのが全部の制度じゃないですか。何がゆえに有線放送だけはその制度からはずしたのかということです。開田なんかの場合だってそうでしょう。補助の場合の残りの融資、この場合の電気を導入するときの金利も、補助の場合の残りの融資というのは違う。農林省で補助をやっているのですか。窓口はいま言う山村振興課じゃなかったのですか。そうじゃなかったかと思いますが、補助を出しているその残りの融資のことを言っているのじゃないので、最初から非補助で融資をやる場合に、ほかのものが全部そうなっているのになぜ有線放送だけは差別待遇をしているか、補助も非補助も同じような状態にしておくか、それが私のほうからいえば不合理だ、こう思う。不合理を合理的に直すのは事務当局としてあたりまえのことじゃないですか。
  200. 小沢辰男

    小沢説明員 先生がおっしゃっておられます補助のある場合とない場合の、たとえば土地改良ですね、非補助融資の場合には三分五厘でやっているじゃないか、そういう点、その他非補助融資で相当低金利でやっているものがある。有線放送についてもそれと同じようにひとつ考えていったらどうだ、こういうことなんでございますが、七分五厘と五分のこの違いというものが、電気導入の場合と有線放送の場合との軽重というものがその二分五厘でいいかどうかという問題はあろうと思いますけれども、私はやはり、電気導入の場合と有線放送の場合とは同一に論ずるわけにいかぬのじゃないかと思うのです。一緒でいいという議論には私はならぬ。やはり電気がないからどうしても電気を導入していくという場合、その生活における必要性の度合いと有線放送の必要性の度合いとは私は一緒には論じられない。両方大事だと思いますけれども、一緒にはやはり論じられないのじゃないか。しかし、その差が二分五厘というようなことでいいかどうかというようなことについては、議論があることは確かに何か私どももわかるような気もいたしますけれども、これを同一に論ずるわけには少しいかぬのではないかというふうに思うのです。ただ、七分五厘がいいかどうかという議論になりますと、大臣も非常に有線放送についてはひとつ前向きで考えたらどうだというお話もありますし、私どもやはり政治家としては、先生のおっしゃることもよくわかりますから、この点は公庫の金利全体の検討も、総合農政の観点からおそらくいろいろな点で検討があると思いますので、ひとつきょうの御意見を十分尊重いたしまして慎重に検討してまいる所存でございます。
  201. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあ慎重に検討しようということだからこれでやめておきますが、政務次官の感覚、私おかしいと思う。昔、電気のないようなことじゃ生活必需品だからとてもだめだ、こういうことです。これから情報化社会というのでもう盛んにやっているじゃないですか。電話なり有線放送なり何なりないのは、昔電気がなかったことと同じことなんですよ。だから感覚が私はおかしいと思う。  いま一つは、私、金利全体を検討しろとは決して言っていない。ほかのものはみんな補助のものについては金利は少し高い、非補助については金利は安いというのは、農林省の一切のことです。電気導入にしたってそうなんだ。非補助については安くて、電気導入の補助なんかついているやつは金利が高い、こういうことになっている。山村振興等について補助金を出しているものについて私は言っているのじゃない。ほかと同じように、この部分だけが非合理だからそれだけを直すべし、こういうことを言っているのだから、金利全体の検討なんか待たなくも、この非合理のことだけをやればいい。大臣はやると言っているのだから、政務次官も参事官もあまりブレーキをかけないように……。だから、これはひとつ次回までに積極的に検討いただいて、災害防止や営農とか、いろいろの面においてこれは非常に役立っているから、当然そのくらいのことは非合理を直して合理にする、こういうことにしていただくように、この点ひとつ要望して終わりたいと思います。政務次官はここではなかなかむずかしそうに言っておいて――この前の三本一本論もそうだ。この次にはぽかっとやってくれるだろう、またそうなることを期待して、これは終わりたいと思います。  次に、私は中小企業、特に中堅企業について災害対策らしいものがないと思われますから、その点一、二点だけお尋ねしておきたいと思います。  私、具体的に例をあげたほうが早いと思います。この間新潟の青海町に行って、そこに日本石灰石という会社があります。二億四千万ばかりの会社だそうです。そこは二億何千万の被害を受けた。さあそういうことについては、融資その他の道というものは何もないわけです。私の県の大町の近くに蔦温泉という有名な温泉があります。ちょうどこの間の災害のときに人間国宝がいて、ヘリコプターで救出いたしまして、だいぶ話題を――岩波書店の社長もいますなんていって、ヘリコプターで救出されるときにだいぶ新聞等にも出たわけです。ところが、その葛温泉のほうは資本金七、八百万の会社が三軒灰じんというか、全然なくなってしまったわけです。その損害は幾らかというと、三億とか四億という額です。温泉もなくなってしまった。それを復活するということになると五億、六億要るということになる。その二つの例を申し上げましたけれども、こういうものに対していろいろ研究をしてみましたが、災害対策としては何にもなさそうなんです。だから一般論として、いま言う五十万円を百万円融資しますとか、激甚になったからあとの五十万が六十万になりますとか、一軒の人間のうちをつくるといったって一千万もかかるときに、中小企業対策として三十万を五十万にした、百万を二百万にしたというのは中小企業対策にはならないじゃないか、私はこういうふうに考えます。したがって、いままでの制度のいま一つ上のところ― 午前中に聞いた東北電力が十二億の損害だ、そういうところまで何も積極的にやる必要はないと思いますけれども地方に育った中堅企業というものが壊滅的な災害を受けたときには、一般論として災害対策というものは何にもないじゃないか、こういうふうに考えるのです。だからその辺を前向きに検討していただきたい。これが一点です。
  202. 戸田嘉徳

    ○戸田説明員 ただいまの御質問は、実は東北地方につきましては中堅企業でありますと北東公庫、それ以外でありますと開銀の地開の対象の問題かと思いますので、本来はそれぞれ企画庁なり通産省からお答えがあるべきだと思いますが、両方にまたがります問題でございますので、僭越ながら私取りまとめて御返答申し上げたいと思います。  いまのお話でございますか、確かにいわゆる中小企業というものに対しましては、それぞれ中小公庫なり国民公庫なりあるいは環衛公庫なりというところで災害貸し付け制度という制度がございます。しかしながら、中堅企業については、そういう制度としての災害貸し付け制度というのは一般的に設けてございません。しかしながら、本来貸し付け対象になるという企業、北東公庫なりあるいは開銀の地開において、本来貸し付け対象になるというような企業が災害を受けました場合に、それを新増築するといいますか、そういうような需要がございますと、これはそれぞれの機関において当然そういうお申し出があれば審査をする。どういうものに貸し付けるかどうかというのは、これはそれぞれの金融機関の金融判断に待つことになると思いますけれども、そういう形で、全然道がないとおっしゃいましたけれども、そういう点でのそういう道はあるというふうに考えております。
  203. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私、質問を明確にすると、一般論と個別の問題と二つに分かれると思いますが、一般的に北東公庫あるいは開銀の融資対象になるようなところは、開銀や北東公庫の判断によってやるだけで、災害のときに制度として金利を少し低くするとか貸し付け条件を緩和するとか保証をどうするとか、こういった制度として中堅企業に対する災害対策、融資の道はないのではないか。そのことをひとつ、これは防災会議、副長官あたりのところで研究してもらわなければならない、こういうことがまず先の質問であるわけでございますが、どうでしょう、そういう点。
  204. 鯨岡兵輔

    ○鯨岡説明員 先ほど人命の問題でもお答えをいたしましたが、個人の災害については個人の力による復旧に待つというのが制度であることは、先生も御承知のとおりであります。いま御指摘の問題は人命の問題ではございませんが、個々の問題として、その土地で育った中堅の企業が、かりに山の中にそういう工場があった、それが壊滅的な打撃を受けた、これは立ち直るのにどうするか、こういうことでございます。  私事を申し上げてまことに恐縮でございますが、私が東京で事業をやっておりまして、これが大水害でもって非常な損害を受けたことがありました。これなども、やはり保険その他で自分の力以外に制度としてはなかったことを私残念に思いましたが、ただ、これを制度としてつくるということになると非常に広範囲なものになって、なかなかむずかしい問題が出てくるのではないかと今日自分でも思っておるわけでございます。しかしながら、せっかく一生懸命になって育ててきたものが、そのために壊滅的な打撃を受けるということを黙って見ていくということも政治ではないかもしれません。そこで、御指摘もありましたので、なお関係省庁と検討をいたしてみることにいたしたいと思います。
  205. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、いまちょうど大蔵省のほうから御答弁がありましたけれども、いま二つ申し上げたようなのは、開銀あるいは北東開発公庫、こういうようなところで具体的な融資なり何なり、この災害について特別に考慮をしてやるというような道は開かれ、あるいはまた、そういうことを考えてやっていただけるわけですか。
  206. 戸田嘉徳

    ○戸田説明員 お答えいたします。  いま申し上げましたように、したがって、災害について特別の貸し付け制度というのはないわけでございます。それぞれその、いわゆる工場でございますと工場の増改築というような形で審査の対象に十分なり得るはずでございます。  それからもう一つの温泉のほう、ちょっと私具体的によく存じないわけですけれども、おそらく旅館じゃないかと思うのでありますが、実は開銀の地開の対象になるのはいわゆる政府登録の国際観光旅館、こういうやつなんでございます。そして、それの規模がございまして、それが例の中小企業になります、つまり資本金が千万円以下、あるいは常時雇用する従業員が五十人以下というふうになってまいりますと、これは今度は中小公庫の対象になる。そうして、さらに日本ホテル協会所属のホテル、それから国際観光旅館連盟の会員たる旅館、これもいずれも中小公庫の対象になる。それ以外の日本観光旅館連盟所属の旅館とか、あるいは全然何も所属していない、そういうものは環衛公庫の対象になる、こういうふうな政府関係機関の振り分けになっております。したがって、それのどこに該当なさいますかちょっとわかりませんのですが、それぞれの該当するところでそれぞれ、中小公庫並びに環衛でございますと、これは先ほど申し上げました一応災害貸し付けというものがございますが、それ以上といいますか、開銀の地開でございますと、いわゆる地開の対象となり得る、そういうものでございますとそれは十分審査の対象になる得る、こういうふうに考えます。
  207. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 おそいから、私これで質問を終わります。     ―――――――――――――
  208. 川村継義

    川村委員長 次に、関東地方等における異常低温による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中山栄一君。
  209. 中山榮一

    ○中山(榮)委員 だんだん時間がおそくなりましたので、私は相当質問もあるのでありますが、大部分を次の機会に譲ることにいたしまして、ほんとうに簡単な、短い質問をいたしたいと思います。最初に農林のほうに質問をして、それから建設省のほうの質問に移るのが、私の質問ではきわめて自然なかっこうでありましたのでございますが、河川局長が早く退席する御用があるとのことでありますので、まず、逆に建設のほうにお願いをいたします。  これも、いま非常にはんらんなどをしております中小河川、そういう問題についてのことの質問もあるのでありますが、その質問をいたしますとこれまた長くなりますので、それも次の機会に譲りまして、ひとつ私のほうでいま起こりつつある、これはやはり災害、大災害でありますが、そのことについて一言質問をいたしたいと思います。  これは、私のほう、茨城県の霞ケ浦地帯でありますが、霞ケ浦地帯は、御承知のように国定公園の指定地でございます。いま私が申し上げているのは、そのうちの浮島という風光明媚なところがあります。この村は桜川村といいますが、そこに起きた一つの事態でございます。  それは、霞ケ浦の沿岸に砂や砂利がありますので、そこへいま業者が、建設省の許可を得まして、そして入り込んだ。最初は、たいしたことないと思って村長も判を押したような次第でありますが、その弊害というのが非常に出てきておりますので、村長もあわてふためいているような次第でございます。村長がそういう判を押したというので、村ではもう、村長のリコールをやろうというような大騒ぎで、小学校の生徒たちも、作文に筆をそろえてそのことをいま書くというような大問題になっておるのであります。  それは、その業者のトラック、ダンプカーが数百台も入っておりまして、そしていま砂利の運搬をしております。そこで、もうもうと砂塵を巻き上げて朝から晩までやっておりますので、その辺の水田の稲穂にもその土がつきまして、稲穂にそういう土がついたりどろがついたようになりますと、これはもう稲の価値がなくなってしまう、飯米には適しない、アルコールにでも向けなければもう使えないというような次第です。もう一つは、葉たばこの栽培の盛んなところでありまして、この巻き上がった砂塵がその葉たばこについてしまう。これはもう、葉たばこに毎日毎日ほこりがっきますと、たばことしての価値はない、全滅なんです。非常な問題でございます。建設省がそれを許可したということは、別に問題はそれほどのことと思わないで許可したと思うのです。また、地元の村長の判もあるので、その書類上を見て、それほどのことはないと思って許可したのだと思うのでありますが、事実はそういう状態になっております。  それから、ずっと霞ケ浦地帯にいま大きな堤防が回してございます。その堤防の上にそのトラックが上がりますので、堤防が一メートル以上沈下してしまった。これでは霞ケ浦の水に対して、一朝集中豪雨でも出た場合には、もう堤防の役をしなくなってしまう。そこから水が温水して入ってくると、そのうしろのほうには一万町歩以上の水田がございます、そこへみんな水が上がってしまって大水害になってしまう、そういうかっこうになっております。それから、堤防から何十メートル先という条件だそうでありますが、沖のほうへ行くともう砂利も砂もない、どろなんであります。でございますから、業者としてはだんだん堤防の近くへ掘り進んできて、ことにいまの機械は非常に新式なんでありましょうが、ジェット式何とかという機械で、まっすぐに三十メートルも掘り下げる機械だそうでありまして、それを掘り下げますと、砂などでありますから、だんだん掘り下げられるところへ集まってくる。そうすると、もう堤防ぎわの砂までそっちのほうへ流れ込んでしまって、少しオーバーに言うと、堤防がひっくり返っちゃうというようなことに相なっておるのでございます。  これはたいへんなことでありますので、三人か四人の業者の利益のために地方にそういう大損害を与えるようなことはさせてもらいたくない。ちょうど九月一ぱいの許可だそうでありますので、その後の許可を与えてもらいたくない。その九月一ぱいの許可した間はやむを得ないというのが地元の一般の声であります。これは集中豪雨災害とかなんとかいうほうのことではありませんが、地元としてはたいへんな災害であります。  それで、実はきのう地元から千何百名の調印をした陳情書を持って十数名の代表が参りましたので、私も建設省へ同行して陳情をしてきたばかりでありますから、きのうの陳情をきょう答弁しろと言ったって、これは無理な話でありますが、実情はそういうわけでございますので、絶対今後の許可はしてもらわないようにお願いするわけであります。そこは特に観光地帯としての指定地区でありまして、県からも厳重に砂をとることを禁止するというような指令が出ておりますが、何しろ業者のほうは建設省の許可があるんだというところで、その県の停止命令を聞かないというような状態であります。  こういうことで、きょう答弁河川局長からお願いするのは無理だと思いますが、一言御答弁をお願いいたします。
  210. 坂野重信

    坂野説明員 砂利採取につきましては地方建設局の事務所長に権限を委任しておりますので、先生のお話はよくわかりましたので、早急にひとつ実情を調査しまして善処するようにいたしたいと思います。
  211. 中山榮一

    ○中山(榮)委員 それでは、そういうわけでありますから、きょうはその辺の御答弁で満足でございますので、よろしくお願いをいたします。  それから中小河川等の問題は、今後の災害対策のときにお願いをいたしたいと思います。  次に、農林方面のことで質問を、これもきわめて簡単にいたしたいと思います。新聞やラジオ等の報道によりますと、ことしも大豊作で千四百万トンほどの米ができる、史上三番目の豊作だということが報道されております。が、私の茨城県、特に南部の水田地帯におきましては、ちょうど米の実を結ぶ時期に非常な冷気の期間がありまして、その影響を受けまして、穂ができましても実がない、中がからっぽの穂がたくさんできるというような状況で、昨年の六割減だ、いいところで三割減だというような、たいへんな災害ができてきております。それでいま地元でも非常な問題になっておりまして、特にいま困ったことは、そこへもってきて病虫害が発生し始めた、ウンカのようなものも発生し始めたということで非常に困っておる次第でございまして、これは害虫駆除の問題でいち早く農薬等を散布してやらなければならないのでありますが、こういうことについてどういう対策が政府としてできるか、そういうこと。  それから、一緒にまとめて御質問いたしますが、そういう次第でありますから、米の品質も非常に悪い等外等が相当出るのではないか。政府の買い入れの対象にならない等級の米が出る、そういう見込みである。そういう場合に、特にそういった激甚の災害地に対する処置として、農林省で買い入れの対象にしてもらえるか。これは前例があることでありますから、昨年度などもそういう処置をとった場所もあるやに聞いておりますので、そういう処置がことしもとれると思いますけれども、農林省当局のほうからそういったことについての御答弁をいただきたい、さように思います。
  212. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 先生の御質問の前段のほうにつきましてお答え申し上げます。  冷害が関東三県を中心にかなり起こっておるわけでございますが、私ども先生お話しございました病害虫防除の農薬の問題につきましては、これは従来からもたびたびそういう御要望があるのでございますが、昔からいろいろ検討はいたしておりますけれども、農薬費というものは大体一般の経営費と区別が非常にしにくい。それから、かつて二十年近く前には農薬の補助金を出したことが一、二度ございますけれども、そのときいろいろな、区別がつかない、その他の問題で、会計検査で農家にかえって迷惑をかけた例がございまして、それ以後経営費の一部ということで、天災融資等の中にも肥料費というものが含まれるというようなこともございまして、病害虫防除の農薬につきましては、私ども毎度努力はいたしておりますけれども、今回につきましても補助金を出すというようなことはむずかしいのではないかと思います。  それからもう一つ、先生のお話はございませんでしたが、そういう事態になりますと種もみの問題が出て、来年の種もみが得られるのかどうかという問題もございまして、被害がひどい方についてはおそらくそういうものがない。そこで、そういったものがある程度以上の規模になりました場合には、従来種もみの補助というものを農林省は行なっておりますので、そういった点につきましては県の御報告等を今後検討いたしまして、必要な場合にはそういった手段をとることができるというように存じております。前段のほうにつきましてはそれだけであります。
  213. 中村健次郎

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  等外米の買い入れにつきましては、買い付け条件で、災害等によりまして農林大臣がやむを得ないと認めた場合に農林大臣の指定するものを買うことができるというふうになっております。ただ、どういう場合に農林大臣としてやむを得ないと考えるかという問題でございますが、御承知のように、今米穀年度末に五百六十万トンに達する古米、古々米の持ち越しを持つような状態でございますので、こういった低品位米の買い付けにつきましては慎重に取り扱わなければならない事情にございますけれども災害の状況が非常に激しくて、等外、規格外米等がたくさん出る、これを買わないのでは農家に非常に大きな影響を及ぼすというような場合につきましては、それらのことを慎重に調査検討いたしまして善処するようにしてまいりたい、このように考えております。
  214. 中山榮一

    ○中山(榮)委員 これらについてももう少し質問したいことがありますが、きょうは以上で終わります。  もう一つ、ただいま答弁中に、端境期に五百六十万トンの米が余る、そういう話がありましたので、そういうことに関連して私はどうしても納得のできないことが一つございます。それを一言お聞きしたいと思います。これは大体小沢政務次官から御答弁をいただきたいのでございますが、同じようなことを私は簡単に一言農林委員会で触れて、小沢政務次官からもそのとき御答弁をいただいております。簡単な質問でありましたから、小沢政務次官のそのときの御答弁もきわめて簡単でございましたが、これはそう簡単に済まない事柄でございます。  米が今度の端境期に五百六十万トンも余る、それで余った米の処分にいま手を焼いておる。古々米などは、これを飼料にしてしまうという考え方もある。飼料にすると、一トン当たり十四万円の米が二万二千円か三千円になってしまう。この赤字が四十二年度だけでも千二百億も出てしまうというような状態だそうでございます。そういう状態下におきまして、十年間にわが国のたんぼを二百万ヘクタールぐらいに減して、そして需要と供給のバランスをとろうというような構想もいま出ているやに聞いておりますが、そういう情勢下においてたいへんふしぎで、どうしても私にはわからないことがある。  それは、農林省から聞いたところによると、いま干拓を五十七カ所もやっておる。そしてたんぼをつくる仕事をいまやっているわけですね。これはどういう感覚だろうと私は思います。ことに、この五十数カ所の干拓地の中には、まだ工事を始めないところがあります。それは十七カ所ぐらいです。これもばく大な事業費です。いままで継続してやったところもいろいろ文句があり、理屈があると思いますけれども、まだ手もつけていない、海や湖水を干拓してこれからたんぼをつくっていこう、この感覚はどういうところから出てくるのか。片方、いまの三百万ヘクタールもあるたんぼを減して二百万ヘクタールぐらいにして需要と供給のバランスをとっていこうという一方に、今度はこれから五十何カ所も干拓してたんぼをつくろうという感覚、この食い違い、この二つの矛盾した流れはどういうところから出てくるのか。いつか、きょうは見えない農地局長にもそのことを言いましたら、そのことを言われると弱いと言って頭をかかえておる。何でそんなことで頭をかかえる必要があるか。一応そういうことはストップすべきであろう。それで将来また米が足りなくなったときにそういう仕事をやっていっていいのではないか、私の常識としてはさように考えるのでございます。  この事業量もたいへんなものであります。農林省でそういう非常に矛盾した二つのことをやっておられる。この前も農林委員会で質問したのですが、きわめて簡単なその場ふさぎの、無責任とは言いませんが、責任のない答弁を受けておかしかったのであります。ふしぎなことに、こういう大問題を、いつもいろいろなことに敏感な新聞なども感じないのですね。どうもおかしいので、それでは私の頭がかえっておかしいのかと一時は思ったことさえあるのだが、幾ら考えてみてもこの矛盾は私の常識では解決できない。こういう際にひとついいあんばいの答弁でなく、二つの矛盾をどうするのか。ことに要らないものをつくってどうするのか。  私のほうにこんなのがあるのですよ。私のほうは茨城県の霞ケ浦の沿岸でありますが、霞ケ浦沿岸で非常に住民が疑問を抱いておる問題がある。それは、そこの農協の倉庫には四十二年度の米がまだ六万俵も俵で重なっておる。処分がつかない。それなのに、目先の霞ケ浦をこれからとめて――膨大な何百町歩といいますか、はっきり私は覚えておりませんが、とにかく広い満々と水をたたえておるところをとめて、これからかい出してたんぼにしようというので、これは来年度あたりからやるのでしょう。そこで農林省の事務所なんかも建ちまして、これから水をとめて、かい出して、たんぼにする仕事を始めようとしている。その地方の村民が、こんなに四十二年度の米が六万俵も余って処分もつかないで農協の倉庫にあるのに、どうしてここであらためてたんぼをつくらなくちゃならないのだろう、国はどういう方針だろうと、みんないまそういう疑いを持っております。こういうことについて御意見を伺いたい。
  215. 小沢辰男

    小沢説明員 中山先輩のおっしゃることは確かに私どもも非常に頭の痛いといいますか、一見おっしゃるように矛盾した、米が余るのにさらに開墾を進めていくということはおかしいじゃないか。したがって、私ども農林省としては、開田抑制ということば今年からはっきり打ち出して進めているわけでございます。来年もますますその方針を強めていきたいと考えておるわけでございますが、ただ当時、御承知のように今年度の予算編成のときに、農林省のそうした考え方を党のほうにも御相談に上がりました。そのときに、御承知のようにそれぞれ事情をかかえ、またそれぞれの御意見による党内の議論が沸騰いたしまして、いろいろな経過から新規開田の抑制ということで、現在着工中のものは一応田畑輪換の問題にするなり、あるいはまた他の作物に転換を考えるなり、そういうような方向でいま先生の御指摘の矛盾を解消しつつ、着工したものについても一応制限をしながら速度をゆるめるなり、そういうようら方向でやむを得ないものだけは実施していこう、こういうことに党との相談で結論がなったわけでございます。  一方、御承知のとおり、日本の農業のいろいろな問題点がありますけれども、何としても経営規模の拡大という方向には私どもいろいろな面から施策を進めていかなければいけない要請がございます。そういうことを考えましたり、あるいはまたいろいろ公共事業その他が進むに従いまして、かえ地の問題等も起こってまいります。それらのことの事情から、現在すでに着工しているような開田の問題については、抑制をしつつもこれを全く放棄といいますか、やめてしまうというようなことは、その準備段階において、あるいはまた着工の過程において、各農家に相当の負担もかけているような実情もございまして、そういう点の実情に応じて、ひとつ私どもとして、この抑制の方針はあくまでも堅持しながら進めていこうじゃないかということになったわけでございます。  御承知のとおり、今年も稲作は、心配をいたされておりましたが、どうやら平年作以上になりそうな観点、ますます米の余剰という問題を私ども真剣に考えなければならない段階でございます。したがいまして、先生おっしゃるような新規開田については、今年度の方針以上に厳格な態度で臨むのが当然じゃないかと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、それぞれの地区で一つの計画を持ち、負担等もかけ、すでに一定の目安のもとに計画を進めているようなところについては、思い切ってこれを数年間ストップするというようなことがなかなか現実の政治問題として行なわれがたい面も出てくるわけでございます。また、それぞれの必要な農地の拡大その他の点もあるものですから、したがって私どもは、なるべくひとつ他の作物に転換をするなり、あるいは果樹、畜産のほうにそういう農地を回すなり、あるいは作目の転換等を考えながら、できた土地の利用については趣旨に沿うように十分考えていかなければいけない、かように考えておるわけでございまして、基本的には、先生の御意見と同じように、あくまでも抑制をしていく方針をもっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  216. 中山榮一

    ○中山(榮)委員 政務次官を困らせる考えはちっともない。しかし、国家とすればこれは大問題ですね。いま米が何百万トン、一説によれば七百万トンくらい余るだろう、その処分をどうするかと言っているときに、片方に今度はいまからたんぼをつくろう、それで米をもっとふやそう、こういう大矛盾をそのまま、仕事を始めたのだからしかたがない、やってしまわなければならない、そういう考え方は、これはもう大所高所からいってよくない。これは何千町歩、何万町歩――たぶん五十七カ所かでやっているのですから、どのくらいセーブができるのだかわかりません。何万町歩だか十何万町歩だか知りません。そのことは具体的にわかりませんが、相当大きな面積のたんぼができる。そうしたら、いまでさえ余っているところへ、またそこからできた米がそれに加わっていく。これじゃ農家が、仕事を始めていて中途にしてやめてはかわいそうだと言うが、そうなったら今度はかえって逆に農家の首を締めてしまう結果になる。情けがあだになってしまう、私はそう思いますので、もう思い切ってそういう矛盾したことはやめてしまう、これが一番いいことだと思います。  ただやめろというわけにはいきませんが、わが国は領土の狭い国でありますから、陸地造成の意味で、たんぼにしないでそれを陸地にしていったらいいじゃないか。いまそういうお話もここにありましたが、私も従来そう考えておりまして、開田を転換して、そして陸地造成にする。それは仕事を農林省から建設省なら建設省へ移して、陸地造成に変えていくべきだ。それならばわれわれは、そこへ国費を使いましても納得がいきます。どういう事情があっても、米があり余っているところにたんぼを造成して、またそれ以上米をつくるということにはどうしても納得がいきません。その仕事はここで思い切って中止をして、そして陸地造成のほうへ転換していくべきである、さように思います。これに対する答弁は要りません。――ありますか。何か御意見があればひとつ御答弁をお願いします。
  217. 小沢辰男

    小沢説明員 中山先生の御意見、私どもも十分わかっておりますし、またこういうときでございますから、おっしゃるような方向で考えなければいかぬと思っております。結局は、できたあとの利用の問題を十分ひとついまの状況に合うように、また必要な方向にこれを利用するような方向で考えていくのがほんとうではないかと考えておりますので、開田を抑制する方針を出して相当強く臨んではおりますけれども、北海道あたりはもう自分でどんどんたんぼにするというようなことで、五千町歩ないし一万町歩ふえようというような状況でございます。なかなかこういう点は自由主義経済の中ではめんどうな点もありますけれども、少なくとも国がやっている開田事業につきましては、そのあとの利用について、そのときどきにおける農業政策なりあるいは国全体の政策の方針に沿うような方向へ持っていくべきだと思いますので、御意見は十分ひとつ承りまして、来年度の予算編成につきましては、私どももひとつよく検討させていただきたい、かように考えます。
  218. 中山榮一

    ○中山(榮)委員 以上で私の質問はやめたいと思いますが、一言言わせていただきます。  それは、北海道のほうで自分の力で土地造成をやっていると言いますけれども、干拓にしろ開田にしろ、これは国の予算が過半数補助金として出ておるわけです。国の金というのはもう国民の税金でありますから、そういうむだなところへ国民の税金を投入するということ自体、これは問題であります。そればどういう理由があってもこのことはつじつまの合わないことでありますので、農林当局においてもひとつ真剣に考えて善処していただきたい、そういうことを申し上げまして、たいへん簡単でありますが、あとはあとの委員会に譲って、これで私の質問を終わります。
  219. 川村継義

    川村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後五時四十分散会