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淡谷委員 委員会に配られております青森県下の被害調書、ここに一つの非常に注目すべき事例があがっておるのであります。三ページの「人的被害」のところであります。二名の死亡者と十三名の
負傷者を出しておる。この死亡者が、屋根雪おろしの
作業中に転落して死んだという事例が、二つともそうなのであります。しかもそのほかに、
負傷者の中にも屋根から落ちてけがをしたというのは三人ございます。これは今日
道路上の
豪雪がたいへん問題になっていると同じように、
道路の上の屋根の雪の始末が非常に緊急な問題になっている明確な証拠でございますし、特にさっき
気象庁から
お話しがありましたとおり、最近の雪というのは、
ドカ雪とかいうことばを使われておりますけれ
ども、ちょうど雨で言いますと集中豪雨みたいに、降り積もるのじゃなくて一挙に落ちてくるような
豪雪ですから。私も長い間雪の中に育ちまして雪の経験は持っておるのでありますが、これはなみなみならないおそろしさがあるのであります。しかも最近のように、
ドカ雪に反して人手がたいへん欠乏している場合はなかなか屋根の雪はおろせないという事情がある。このけがをした人たちはいずれも四十歳、三十一歳、年上の人で五十三歳という人がけがをしておりますけれ
ども、死んだ人は五十七歳の女性と六十五歳の男性で、やはり落ちてこの人は死んでおるのです。そうしますと、いかに屋根の雪をおろすために苦労しているかということがはっきりわかっておる。しかも、さっき国鉄のほうから
お話があったとおり、一般の人夫賃よりも安いといわれております人夫賃でも千二百円、女性で九百円、この目に見えない雪おろし
作業の中で非常にたくさんの金が支払われている事実がある。今度の被害
報告によりましても、十七億という青森県の被害が出ておりますけれ
ども、そのうちの七億円以上が屋根の上の
除雪の費用であるということは、何としてもこれはあらためて御
注意を願いたいと思うのであります。特に
道路の広いところは、さっき
お話がございましたけれ
ども、かなりダイナミックな
除雪作業が行なわれまして、前から見ますとはるかによくなっておりますけれ
ども、この
除雪作業に伴う各家の入り口から
道路へ出る間の
作業、特にこういうふうな
除雪機械の入らない市町村道などでは、非常に大きな犠牲を払っておるわけなんです。こういう点についてどういう御
配慮をされておるのか、お聞きしたいのが一点。
もう一つは家屋の形ですが、少し屋根の雪をおろさないとつぶれてくるうちが出ています。それもかなり大きな車庫とか学校の講堂とかいったものがつぶれておる。将来この
積雪地帯における屋根雪の
関係と建物の
関係について何らか抜本的なくふうが要るのじゃないかと考えるのであります。
それから、特にけがをした人たちの中で、危険なのはつららによるけがであります。つららというと、この辺でいいますとまことにやさしい感じがいたしますけれ
ども、これは文字どおりつららといっても氷柱で、
委員長の目の前にありますその水のびんよりははるかに大きいのですね。ひどいのは盆の直径ぐらいのつららが幾らも下がるわけなんです。しかも、まごまごしておりますと、屋根雪がすべり落ちる場合に、内側のほうに向いてこのつららがぶつかってきますから、ふろへ入っておった十一の子供がこのつららのためにけがをしたという事例が出ておる。まあいわば、かたい氷のやいばで刺されるような形の危険を始終感じております。
負傷者の中にも、外を通っておって屋根から落ちてきたつららのためけがをした者、あるいは落ちてくる雪のためにけがをした者、こういったような非常に差し迫った危険にさらされておるわけであります。私、さっきの
気象庁の
報告を受けまして、また近いうちに
ドカ雪が来るといったような予測がございましたので、これは非常に目の前に迫ってきておる危険として、早急にどういう
対策をしたらいいのか、私自身にも見当がつかないのであります。しかし、何といってもあぶないことはあぶない、さっきから
火災による惨状の
お話がございましたけれ
ども、火の勢いと雪の勢いとは違いますけれ
ども、これまた熱さと冷たさの違いはありますけれ
ども、きびしさと激しさにおいては同じようなものを持っているのであります。人命に与える危険もやはり同じであります。これはやはり早急に
災害対策として事後の処置も必要でございますけれ
ども、目の前に迫っておる
ドカ雪に対して、市町村道、この
除雪の問題と屋根雪の始末ですね、これは実に頭が痛いのです。
昭和二十年の終戦の年も、これはもう歴史上めずらしい
降雪がございました。私、まだいなかにおりまして、この雪の体験をしているのですが、晴れ間を見て雪をおろすという段階じゃないのです。もう何昼夜もやむことなく降っておる。一晩に一メートルの雪が積もるということは容易なことではないのであります。人手がないので自分で雪をおろしましたけれ
ども、とてもおろし切れるものじゃない。めしを食べていると屋根がみしみしきしんで、あぶなくてしようがないから、まためしをはんぱにして飛び出す。ほんとうに寝ないで雪をおろしたという苦しい体験を持っておるのであります。目の前に迫っております危険に対して、どういう
対策をとられるか、お聞きしておきたいと思います。