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1968-09-19 第59回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十九日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大森 久司君     理 事                 林田悠紀夫君                 佐野 芳雄君                 阿部 憲一君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 河口 陽一君                 鈴木 省吾君                 高田 浩運君                 上田  哲君                 木村美智男君                 鈴木  強君                 竹田 四郎君                 渡辺  武君    国務大臣        農 林 大 臣  西村 直己君        通商産業大臣   椎名悦三郎君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君         —————        会計検査院長   山崎  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局長     諸永  直君        国税庁長官    亀徳 正之君        食糧庁長官    桧垣徳太郎君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (最近における諸物価値上げ問題等に関する  件)  (大企業合併問題等に関する件)  (消費者米価問題等に関する件)     —————————————
  2. 大森久司

    委員長大森久司君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  速記をちょっととめてください。   〔速記中止
  3. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記を起こしてください。  当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと議事進行発言をしたいのですが。速記をつけたまま……。  実は、最近物価が急激に値上がりしているわけですね。どうにも国民として不満を持っているわけですよ。私は、参議院選挙が終わっていま思うのに、われわれの選挙を通じて、物価安定ということが非常に強く要請された、国家をあげて。ですから、何としても、この物価安定をひとつここでやってもらわないことには、国民としてもどうにもならぬところに来ておると思うのですよ。ことに、最近、物価問題について政府態度を見ておりますと、宮澤さんきょう出席されておりますが、ビールの問題について、かなり消費者立場に立ってやってもらっておる。一方、大蔵省なり政府全体から見ると、何かこう、宮澤さんの足を引っぱるような空気さえあるわけですよ。私は、きょうは、そういう意味でぜひ総理大臣出席をいただいて、この際閣内を完全に統一して、公取等とも十分な連携をとるように、積極果敢に物価安定の具体的な政策を進めてもらうようにお願いしたいと思って総理に要求したのですが、委員長もいろいろ御苦労があったようですけれども、御出席がないわけです。総理は、きょうはどうしても、あれですか、他に用事があって出られないというわけですか。
  5. 大森久司

    委員長大森久司君) 前からのお約束があって、どうしてもぐあいが悪いと、こういうことです。ただ、何回か足を運んで、田中国対委員長も入って要求したのですが、どうにも都合つきませんでした。そういうわけです。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 委員長の御熱意はよくわかります。わかりますけれども、いま国民は、これほど物価に対して不満を持っておるときですから、むしろ総理は、みずから出て、この場所で政府の所信を訴えるべきだと思うのですよ。そういう意味からいきますと、他に用事があるというのですけれども、私もかなり早く、前の委員会が終わってから総理の要求を申し上げたわけです、委員長を通じて。そういうことについては、もう少し委員長においても——どうしてもこういう用事で、公務で出られないということなら私どももわかります。わかりますけれども、他の用事というようなことで抽象論で済まされるということは不満ですよ。結局、政府が、総理大臣自体物価に対して熱意がないということにしかとれないですよ。どういう公務なんですか。そこまで調べてもらえますか。
  7. 大森久司

    委員長大森久司君) とにかく、何回か要求しましたけれども、まあどうしてもいけないということであるし、また、一つはですね、主務大臣がみなそろっておられるから、同じ時間にたくさん大臣みな来てもらっても、これは質問が十分できるかどうかということを私は疑問を持つのです。あえてこれは何回もやりました。とにかくこれ、時間がかかりますから……。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 とにかく、わかりましたが、私はそういうふうに判断しますよ、総理熱意がないと判断しますよ。委員長としても、この委員会運営についても、もう少し掘り下げて、閣僚都合に合わせて委員会を開くということでなく、こちらの都合に合わせて委員会をやってもらいたいですよ。そして、この委員会が、夕方、少なくとも四時なり五時まで、ゆっくりと質疑ができるような委員会運営も私は希望したわけです。それが、きょうやっていただいても、また中途はんぱになってしまうわけです。多少不満がある。これは私のほうからも理事が出ておりますから、打ち合わせをしてきめたことですから、それは従いますけれども、今後のこともありますから、もう少し、閣僚なり総理出席できない場合には、具体的に、どういう公務のためにできないかということをわれわれに説明できるように希望しておきます。
  9. 大森久司

    委員長大森久司君) 木村君。
  10. 木村美智男

    木村美智男君 いまも鈴木委員から言われましたが、この問題は、ひとつ委員長理事打ち合わせ会で、総理出席について、次回あたりには必ず出てもらうように、これはぜひ協議をしていただくようにお願いをいたします。  時間が三十五分ということでありますから、一つは、大型合併について通産省のほう、それから当面の物価対策について企画庁長官にお伺いをしたいと思います。  できるだけ簡潔に申し上げますが、まず第一に、当面の物価対策の問題で宮澤長官に伺いたいのですが、いまとにかく、総値上げ日本列島とか、物価台風とかいうことばがもうあらわれているように、私はこれは、今日の物価問題を当面の最重点施策だと言っている佐藤内閣にとっては、不名誉きわまりないことばであると同時に、やっぱり大きな政治に対する不信という、そういうことに実はなってきているのじゃないか、こういうふうに思うのです。私から一々具体的にあげるまでもないのですが、とにかく、酒、たばこ、国鉄定期代を上げて以来、この間のビールの三円値上げ、それから十月一日からの消費者米価、さらに輸入小麦粉を引き上げるということから、すでにうどんの価格が五円値上げになっている。あるいは食パンも五円値上げになっている。五百円理髪がささやかれ、そしてクリーニングやあるいは浴場も値上げ、来春には、私鉄以下、電話から国鉄運賃から、メジロ押しに公共料金値上げが控えている。こういう状況を前にして、物価を担当する企画庁長官として、率直にお伺いしたいのですが、これらをとにかく抑制をする方法がないのかどうか。それから、そういうことを押えようという、本気でそういう気持ちになっているのかどうか、この点ひとつ長官に伺いたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 基本的なお尋ねでございますので、そういう観点からお答えをいたしたいと思いますが、わが国の消費者物価が顕著に上昇気配を見せ始めましたのは、御承知のとおり、昭和三十五、六年からあとでありまして、三十年から三十五年くらいまでの期間は、経済成長は相当ございましたが、消費者物価上昇というものは非常に軽微でありました。三十五年ごろを境に、かなり高い上昇率が四十年まで続きました。四十年に入りまして、ちょっと、多少、一ポイントとか一ポイント半くらい上昇度合いがやや弱まっておる。過去の経緯は大体そういうことであります。  そこで、経済成長をするということは、ことに三十五年以降雇用の増大がございました。そして、それが賃金、なかんずく初任給等上昇を伴ってきておりますから、基本的には、これはやはり物価を幾らかは引き上げるような基調が、それから今日まで基本に存在しているというふうに考えなければならないと思います。問題は、それが非常に急激な上昇になって国民生活に不安を与えるということを、どうやって防ぐかということにあると思うのであります。  で、この賃金のほうの系列から申しますと、これは、国民経済の中で生産性の高い分野においては相当程度賃金上昇生産性上昇でカバーできる、今日までできておるように思いますが、他方で、生産性上昇が本来なかなか期待できない部門がございます。中小企業であるとか、サービス業でありますとか、あるいは農業もその一つでありますが、労働が過剰であればともかく、労働が不足になってまいりました現在、当然に生産性の高い部門における賃金上昇生産性の低い部門に伝播せざるを得ない。これは当然のことだと思いますが、その際、生産性の低い部門では、人をどうしても雇わなければならないということであれば、それだけの賃金を出さなければなりませんし、その出した賃金生産性上昇コストをカバーできませんので、勢い、価格あるいはサービス料金に転嫁をする。こういうことが継続して三十五、六年ごろから起こっておるように思います。したがって、その対策としては、非常に時間のかかることでありますけれども生産性の低い部門での生産性上昇をどうやって私どもが援助できるかということに対策がかかると思います。これはしかし非常に地道な、長い時間がかかる努力であると思います。それでも、サービス業のように、生産性上昇には限度があるという部分がやはり存在するように思うわけであります。それが一つ系列の問題であります。  それから別途に、いわゆる季節商品につきまして、これは、都会に人口が集中をし始めて、しかもそれは従来農産物の生産基盤であった土地を食っていくということでございますから、需給のバランスがそこでくずれる。のみならず、輸送がやや遠距離になって、どっちかといえばコストがかかりやすい、こういったような問題がございます。これにつきましては、すでに、いわゆる主産地の形成、価格安定等に、政府ももう数年前から乗り出しておりますけれども、そうして、流通機構合理化とか、いわゆる貯蔵、保存、加工といったような技術の進歩とかから、多少落ちつきが見えておるんでございますが、しかし、やはりまだ消費生産のアンバランスがあるように思うわけでございます。  そこで、そのほか、いろいろ原因をあげればたくさんございますけれども、やはり私どもとしては、一つは低生産性部門に対するいろんな意味での援助、それからもう一つは、できるだけ自由競争原理が私企業の間においては働くように、また、公企業あるいは独占に近い企業においては合理化を徹底していく、こういったようなことが基本政策でなければならないと思いますが、基調的に、消費者物価は、どちらかといえば上昇をしたい、そういう基調であるということは、これは認めていただいて、その上でどういう対策が可能かということを考えなければならないと思っております。
  12. 木村美智男

    木村美智男君 大臣ね、お願いしますが、三十五分とわざわざ私申し上げののは、とにかく私の質問のほうが三十五分なら、だいぶできるんですが、行ったり来たりということだかも、大臣みたいに長い間わかりきったことをべらべらやっていると、もう三回もやれば終わりになっちゃいますよ。たいへん失礼な言い分かもしらぬけれども、私のほうも端的にお伺いしますから、ぜひそうしてくれませんか。  で、本年度予算編成の段階で、長官しばしば四・八%以内に物価上昇率をとどめるんだと、こういうふうに言ったんですが、今日、私はもうすでにこの四・八%はくずれているんじゃないか、都市銀行である勧銀ども、五・五%、場合によっては六%という、こういうことになりそうだという見通しをもうすでに出しているんですが、この点は、明らかにこれは政府見通しが狂った。狂ったというよりも、四・八%に押える努力が足りなかったということも言えるんじゃないか。いま大臣が言われているように、たとえば、低生産性部門生産性を上げてコストダウンをはかるといったって、中小企業近代化資金なんというものはどれだけ物価対策的観点から使われているか、一々具体的なことをここで申し上げている時間はありませんが、大臣の言う自由競争原理を導入するというようなことは、原則的に、あるいは大ざっぱにはわかるけれども、一体具体的にはどういうことなんだということについて、その適確な、適切な指導というものがやっぱり行なわれていない。この自由競争原理導入の問題は、あとで米の問題で農林省に聞きますが、これでもやっぱり、大臣の言っているところは、言わんとするところはわかるが、ちょっと大ざっぱ過ぎて、そしてその問題が過ぎてしまうと、そいつは具体化されないで言いぱなしになって終わっていると、こういうところに実は問題がある。  そこで、四・八%の問題について、一体これでとどめられるのかどうかというと、とどめられないとすればあなたの政治責任はどうするのか、これはきわめて大事なことです。すでに四十四年度の予算編成というものも始まっている。各省六兆六十億ぐらい、大蔵省景気警戒型でとどめたいと言っているけれども一体経企庁長官としては、来年の予算編成にあたって物価上昇率を何%に押えようという考え方でいま臨まれているのか。こういうことについて、二点、四・八%の問題と来年度のパーセンテージの問題、これをひとつ聞かしてください。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 努力目標としての四・八%を引きおろすつもりはございません。  来年度の消費者物価見通しでございますが、実は、今年度のことに追われておりまして、来年度のことをただいままだ申し上げるだけの用意がございません。
  14. 木村美智男

    木村美智男君 それは、大臣、引き下げるつもりはないとあなたが幾らがんばったって、数字は具体的なことだから、実態的なものだから、これは間違いなく四・八%をこえているということだけは間違いない。そういうことだから、この際は引き下げるつもりはないなんと言って、やせがまんして突っぱらないで、とにかくこれは努力したけれども、今日の経済の全体の動きというものは、いまの政治力をもってしてはなかなかむずかしいのだと、率直に大臣言われたほうが私は常識だろうと思う。来年度のことについて計画がないというのは、私はきわめて不満なんで、早急に経企庁としてやはり来年度の物価上昇というのは……。なぜかというと、大臣昭和四十六年度は三%ぐらいに目標をということは天下の公約なんです、あなた方の。そういう数字からいって、来年度何%に押えるかということは、これは早急にひとつ立てていただきたい。  それから消費者保護基本法によって消費者保護会議というものをつくったけれども総理大臣が親方になってやっているが、どうも何一つ動いていないみたいに見えるので、これは企画庁が事務的な部門の担当をやるという立場からいうと、これを少し推進をしてもらいたい。これは要望です。  それから、国民生活審議会というもののいい意見がだいぶ出されているが、これが十分に具体化されていない。これは物価の問題としては相当大きな問題なので、その点を要望しておきます。  いままで言ったのは要望ですが、企画庁長官ビール値上げ問題についてだけ、あと触れます。  ビール値上げについては、ビール会社には全く理由はないのだ、経理内容を見て……、そういう立場から佐藤総理打ち合わせをして、十日の閣議後にああいう態度をきめた、ここまでは非常によかったのですよ。しかし、大臣、さっきから私が本腰を入れているかどうかと言うことは、これは岩尾官房長ではいかぬと言わぬが、総理とあれだけ相談してきめたら、なぜあなたが直接呼び出して、そうして本気になってビールを押えるということをやらなかったか。世の中で何ということを言っているかというと、消費者米価値上げをあの日閣議できめた、この盛り上がりをビールのほうに転換させて、国民をあわの中に突っ込んでしまって、そうして消費者米価値上げのいわば反対の世論をビールの中に解消させようという、そういうねらいであのビール問題は取り上げられた、だから本腰が入らなかったのだ、という悪口も言っているのですよ。私は必ずしもそうは思っていないけれども、せめて大臣が直接呼んで、総理大臣のツルの一声だったら、大臣が直接呼んで、それだけの対策をとるべきじゃなかったかということが一つ。  それから、閣内でやっぱりあなたがそういう積極的な姿勢を示したときに、同じその日に大蔵大臣ビール値上げはやむを得ないのだと一方で発言をするような、こういう閣内の統一問題。これは、したがって、冒頭申し上げたような佐藤総理にぜひ出てもらいたいというのは、そこにある。そういう閣内の不統一を来たしているから、この点が問題なんだ。  二つ目質問は、結局、酒というやつは、いまのような状態にして、いわゆる過保護大臣言われましたが、そういう条件にあることがやはり問題なんだ。大蔵省酒税確保という名目で、卸やあのお酒の関係を過大に保護しているというところに問題がある。この点は、私は、大臣の言う自由競争原理をここに導入するという意見賛成なんです。免許の問題、登録の問題、この点について、大臣が、言うことを聞かないから、あいつを検討せにゃならぬと、こう言ったことについては、私は原則的には賛成なんで、早急にひとつあれを具体化してほしい。その気があるかどうか。  この二つをお伺いします。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国民から行政をおあずかりしておる者が特定の商品の値段について公に云々するということは、行政のやり方としては私はあまりいいことだと思っておりません。やむを得ずそれに近いことをいたしましたが、これは緊急にやったことであって、私自身感心した行政だと思いませんし、今後繰り返したいとも思っておりません。ただ、私は、ビール会社の首脳を呼び出すという表現はどうも適当でないと思いますが、実は、話は直接にいたしておるわけでございます。そうして、その結果、私なりにわかりましたことは、今年春値上げをするつもりであったのに対して、ともかく夏場は非常に需要が多いので、それを考えて秋までがまんをしてほしいというような関係官庁意思表示を、メーカー側としては、秋になれば値上げをすることが認められたというふうに解釈をしたようでございます。そういうことがもとにありまして、したがって、今年度の資金経理計画等を、そういうことを織り込んで各社とも考えておったということが事実らしく思われます。これはどこに責任があったということでなく、そういうふうな解釈業界側がいたしておったように思われます。といたしますと、そういう行政のタッチのしかたに多少問題があったのではないだろうか。これは、御指摘のように、長いこと酒税確保という大義名分が、もう数十年税務当局にございまして、そこから酒の行政がかなりきめこまかく指導されてきて、戦後になっても、昔ほどではありませんが、しかしそれは続いておったように思う。少なくともきわめて最近までそのとおり昔とあまり変わらずに行政の中にあったように思います。これについては、御指摘のような観点から、一般的に過保護自由化の方向に持っていくということについて国税庁とも話をいたしまして、基本的には国税庁も今後そういうふうに姿勢を改めてまいりたいと思っているように了解しております。ただ、これも長い間のやはり一つ制度慣行でございますから、そういう制度慣行の中で育ちました、いわば先方から言わせれば既得権といったようなものの考え方がございます。で、制度慣行を打破する場合の一般原則として、ある程度時間をかけて、そうして一定の目標を定めながら行政を進めていく、こういうことが必要ではなかろうか。私は、基本的には、木村委員が後段に御指摘になりましたことは、私もそのように考えております。
  16. 木村美智男

    木村美智男君 いま大臣お答えの中でもやはりうかがわれるのですが、どうしても税金を扱う大蔵省、それから国民生活のことを重点に考える経済企画庁、そういうところの関係が、やはり行政の面で、物価問題についてはばらばらだとういところに、何としても今日の物価対策ほんとうに的確な手が打たれていないということがどうしても感じられますよ。だから、この点はぜひ総理大臣出席願ってやる以外にはないと思うのです。  もう一つ問題は、とにかく佐藤総理と相談をして、新聞にまで出ているという、そこまでいっておって、しかし、総理意思をもってしても、いま業界の、いわばこういう値上げといったようなものが押えられないということについては、これは岩尾官房長の話では、新聞——このとおり言ったかどうかわからぬが、これ拒否されれば政府としては最大の侮辱だと、こう言っているのです。この侮辱は、結果としては侮辱されたのだが、それはどういうことに実はなるのか、このまま黙って引っ込んじまうのかわかりませんけども、しかし、そういったようなやりとりだけで、結果としてはそのままビール値上げを認めてしまうということは、何と言っても、国民にとっては、これはがまんしきれないと思います。  そこで、私は、この原因は、自治省に正式に届けられている政治献金の、自民党に対する二千二百万という、こういう問題この点、まあほんとう政治資金規正法の問題もさることながら、これは総理大臣に考えてもらわなければならぬ点じゃないか。それが、わずか三円値上げだというものの、それも全部メーカーに入る、あるいはこの四社に入るとは言わぬけれども、一円上げて四十億だ、三円上げて百二十億の増収をはかっていくというようなことが、こういうことが、やっぱり政治献金をもらっているから強いこと言えないじゃないかというのが素朴な国民の声ですよ。だから、私は、そういう意味でいえば、もう、こういう物価関係が直接出てくるようなものについて、やっぱりこれは政治資金を文字どおりもらうことをやめて、国民の側に立つという姿勢が、今日、これは内閣指導として、あるいは自民党にそういう方針をつぎ込んでいかなきゃいかぬ問題じゃないのかということを、特にこれは痛感しておる。  国税庁関係あとでまた別の機会にお伺いすることにして、割り当ての時間がなくなりますかち、私は大臣にたいへんきついようなことを申し上げましたが、大臣努力しようという気持ち程度までは私理解します。しかし、本腰が入っていないじゃないかということについては、何としてもこれは声を大にして言わざるを得なかったので、ちょっとことばが過ぎた点もあろうかと思いますが、とにかく物価値上げ日本列島全体が吹きまくられているというのがいまの状況なんですから、これがまかり間違うと、いわばパニックみたいな、たいへんなインフレの状況が出てこないとは限らぬという心配を実は私は持っているものだから、だから、そういう意味ほんとう本腰を入れてこれから物価の問題に対処していただきたい。こういうことを申し上げて、長官のほうは終わりにします。  あと、残された時間の中で通産大臣にお伺いするのですが、時間がありませんから農林大臣にひとつ聞いておきます。  この間畜産局長お答えをいただいたわけですけれども、とにかく最近の豚肉の値上がりというものは、「豚」は「トン」と読むから、トントンと値が上がるという、こういう冗談がもうかわされているのだ。いまや、こま切れが、大臣、八十円ですよ、百グラム。中肉が百円だ。私が口すっぱくして言った牛肉に近くなっておる。牛肉はいまや遠くなっちゃって、手が届かない、国民から。豚肉のほうが牛肉に追いついてくるという状況だ。この間の畜産局の答弁では、間もなく輸入計画のほうも見通しもついたので、安くなる。いつ安くなるかと言ったら、日時は明確にできないが、間もなくと、こう言う。その後、もうすでに五円ぐらい上がっている、こま切れも中肉も。よく聞いてみると、輸入計画なんというのは、農林省の思惑がはずれて、四千トン輸入しようというところが、今日契約ができたのが二千四百トンしか契約ができてない。しかもその中で、契約だけであって、ほんとうに実際に輸入したのは七百トンなんだ。畜産事業団は倉庫はからっぽだ。したがって、放出する何ものもなし、豚肉はもうお手あげという形で、値がどんどんどんどん上がっていると、こういう状況ですね。これは、農林大臣、考えてもらわなきゃならぬ。去年から私が一年じゅう口をすっぱくして言っているにかかわらず、依然として何かこだわって、輸入計画と増産対策というものをきちっと三年間ぐらいの計画を立てて、あるいは五年ぐらいの計画を立ててやれということについて、ちっともこれは農林省やってない。この点は一体どういうことにするつもりなのか、あと押える方法というものをどう考えているのか、これ、農林大臣に伺いたいと思います。  それから通産大臣参っておりますから、時間の関係質問だけ一通りやってしまいます。  通産大臣ね。この間、鈴木委員質問に答えて、「私あまり合併問題について業界あと押しをするようなことをむやみやたら言うようなら大臣やめちまってもいいくらいなんだ」と、こういうようなことを言って、たいへん調子のいい答えをされたわけですよ。私ずばずば言いますよ。しかし、あなたのところの兵隊は——兵隊というか、将校だが、将校は、あなたの意思にかかわらず、どんどんとラッパを吹いている。この間、山本次官が盛んに言ったときに私おきゅうをすえたから、なるほどその後静かになったけれども、今度、熊谷さんが次官になってから、また言い始めた。熊谷私案というものが出ていたのだけれども、これは、独占禁止法について、いわゆる合併の認可基準の中に、対外情勢ということを加えろということが一つ。もう一つは、宮澤さんと私がここで独禁法のやりとりをしたときに詳細は出ているのですが、合併後に競争制限の弊害が出たら、その場合は資本の再分割ができるように独禁法を改正しろというわけだ。これは宮澤さんと私ではっきりしたものだから、そういうことはできないということがわかったものだから、そういうことができるようにしようということだ。そうすると、この二つは、ねらいはどっちにあるのかということが一つ聞きたい。一、二とあるのだが、二は全くのこれはつけ足しであるということ。問題は、つけ足しでないと言うなら、あなた方は、経済力過度集中排除法といったようなものがなくなっている今日で、何を、どういうものをこの歯どめとして用意をされているのか。用意なしに熊谷私案なるがごときものをぽかっと出したというなら、これは合併問題に対する公取委の審議に対して圧力をかけたと言ったって、私は抗弁の余地はないだろうと思う。その点を大臣はどういうふうに考えているか。次官もし来ておられたら、通産次官直接答えていただきたい。  それからもう一つも最近、ガイド・ラインの問題で、米国の独占委員会はシェア二五%という線を出している。イギリスでは、三大銀行の合併についてこれを明確に非難をしましたね。で、国内で、大型合併をしなければ国際化に対応できないというようなことを通産省盛んに言っているけれども、これは、いわゆるアメリカあたりでこういうふうに二五%であっても、どんどん進出をしてきて、こっちは困っているようなわけですな。だから私は、必ずしもこういう問題については、まだまだ大型化というようなものについては、チョコレートの宣伝じゃないけれどもと私この前言ったけれども、でっかくさえしておけばいいんだという考え方指導をしているとすれば、ぼくは、通産省、問題があるじゃないかと、一体通産省としては開放経済下の産業再編成の問題を基本的にどう考えているのか、これを明らかにしてもらわないと、やっていることはみんな、公正取引委員会に対して圧力かけているようなことばっかりやっているというようなことになり、通産省は業者とべったりじゃないかという批判を受ける。それがほんとうならしようがないが、そうでないと言うなら、もう少しこの産業再編成問題について基本的な考え方を伺いたい。  そして、国際競争力に勝つということは、その力となるもの、モデルとなるものは一体何なのかということになれば、私は必ずしも、言ってみれば、会社をでかくした、いわゆる資本をでかくした大型という、そういったようなものだけじゃないんじゃないか。つまり、資本もある程度意義を持つけれども、そのつくる品物がやはり安くて品質がいいということによって買っていくという、ここのところをむしろ重要視しなければならぬのじゃないかということは、これは私の考えだ。今日の独占禁止法の基本的な考え方は大手併存である。あるいは競争で寡占体制ということが、これはぎりぎりの限界なんです。したがって、そういう意味で言えば、きょうは公正取引委員会があっちでやっておられるから、私は具体的に当面の問題を出してものを言おうとは存じません。あなた方みたいにはね。汚職やなんかのときには、この問題はいま裁判所、検察庁がやっていますからと言って遠慮する、そういうのが普通の政府の答え方なんだけれども、事大型合併については、通産省が今日王子三社の合併についてとっている態度というのは非常識きわまる。きわめて内政干渉的なルール違反をやり、独占禁止法を無視し、あるいはそういう圧力を、とにかくかけているというので、きわめて評判が悪いので、大臣、ここはきょうから合議に入ってきて大事な時期だから、きょうから新聞に一行でも、圧力をかけたような事態が起こったら、私はやっぱりこれはまた次に大臣に出てきてもらわなきゃならぬと思うので、そこら辺はもう少し……。大臣がこの前答えられて、私その後それを信用しておったのだけれども、現実にはそうなっていないものだから、そこをひとつ大臣に伺いたい。  だから、いまの合併問題については三点を……。もう一つ、四点あります。合併のほんとうのねらいというのは一体どこにあるのかということを、やっぱり通産省だって国際化ばかり言っていないで、考えてみてほしい。私はやっぱり、何だかんだと言ってみても、設備投資の増大のもとで、労務費であるとか、あるいは資本費の増加というのは必至になってくるのですよ。大型合併になってくればくるほど、寡占体制が進めば進むほど、それは必至になる。そこでやはり、これを価格面に転嫁できるような仕組みがほしいというのが、何といってみたって、この合併のほんとうの本心だと思うのです。これがそうじゃないというのなら、理論的にも現実的にもそれは反駁してもらいたいと思うのです。したがって、市場支配力を強め、ある程度競争制限の状態をつくっていくということが、そのために不可欠の条件になってくるわけなんです。そういうことをひとつ考えてもらって、そうして、ものをちゃんと言ってもらう。したがって、開放体制下の産業再編成はかくあるべきだというところからものを言っているのだけれども、だから熊谷私案というものは決して圧力でも何でもない、そういう意図は全くないのだ、そしてそれが経済の民主化、国民生活のことも十分考えているのだということを通産省が自信を持って答えてくれれば、私はあまり文句は言わぬつもりだ。終わります。
  17. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 熊谷私案というものが、実はどうも調べてみると、ないのです。新聞記者に質問を受けて、それでその問答の間にいろいろなことが言われたようでありますが、それを新聞社のほうでどういうふうに解釈するか、これは御自由であります。その結果が新聞にあらわれて熊谷私案として紹介されたのであって、熊谷次官は、決して独禁法を改正しようというような提案をしたわけじゃない。第一、事務当局でございますから、一体発案権がどこにあるのかぐらいのことはもうよく知っておるので、発案権もないところで、そんな熊谷私案なんていう、まるで見当違いのものは考えられたはずがない。そういうわけでございまして、決して私案なるものが意識的に提案されたのではないと、こういうふうに御了承願います。でありますから、海外の情勢を、必ずこれを加えて、そして考えろというようなことであるとか、あるいは、認可する際に、何もかにも将来のことを予想して、そしてまあここらでよかろう、こういうことでなしに、やはり現実的にその時点において十分考えられることは、これは詮議してもいいけれども、何年か先にそういうことになるかもしれぬというようなことを想定して認否を決するというようなやり方はどういうものであろうかというような考え方は持っておるようであります。しかし、これは必ずしも現法制を改正しなければいかぬというような、そんなはっきりした考え方を言っているわけじゃないということを私から申し上げておきます。  それから、いろいろ御意見が多岐にわたっておるようでございましたが、圧力をかけるということと、産業官庁の当局者として産業経済の現象に関しての所信を表明するということは、これはひとつ区別してもらいたい。何もかにも、それに関してものを言えば圧力をかけたのだというようなことは、ひとつどうぞお考え直しを願いたいと思うのであります。いっそのこと、黙っていれば一番いいのかもしれぬけれども、それではどうも、産業当局としての所信がどこにあるかというようなことを聞かれた場合に、何もございませんじゃ、これは話にならない、そういうことでありますから、一々圧力をかけるというようなことでやっているわけじゃございません。その点はひとつよく御了承願いたい。  それから、経済の国際化、あるいは資本自由化に対処してやることは、何もかにも大型化すればいいのだ、こういうことも考えておりません。結局は、企業を強化して、そして海外の資本攻勢に対して十分にこれを防衛するということに結論、目標があるのでありまして、もう何もかにも、のみ込んで大きくなって、総身に知恵が回りかねるような、そういうことをわれわれは考えているわけじゃない。  これで御質問に対するお答えになるかどうかわかりませんが、一応これだけ申し上げておきます。
  18. 木村美智男

    木村美智男君 国民生活との関係はどうか。防衛はいいです。
  19. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) よくアメリカの挑戦というようなことが言われていまして、ヨーロッパに対してアメリカがどんどん企業進出をして、またたく間に非常に実力、実勢を張る、こういう状況が書かれておりますが、しかし、その結果、ヨーロッパの各国の国民ほんとう経済的な安定、繁栄というものにプラスであったかどうかということは、いろいろ見方があると思いますが、ほとんどすべての場合に、欧州に上陸した企業の本山はやはりアメリカにある。そしてすべてそこの指令によって動いておると、こういう状況でございまして、いわば、何と申しますか、経済的な自主性を奪われておる、失っておる、こういうような状況になっておるようであります。こういうことが、ヨーロッパの各国の国民ほんとう経済的な繁栄、幸福、そういうものに第一義的につながっていくものであるかどうかということは、多くを言わずして私は了解できるのではないか。ことに、国情、その他民族の習慣、考え方、そういうものを異にする外国が全部支配する、こういうことは、私は国民にとって決して幸福ではない。こういうことは概括的に言えると思うのであります。
  20. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 豚肉、豚価の問題につきまして御質問でございましたから、お答えをいたします。  申し上げるまでもなく、豚価が上がっておる。この理由につきましては、一昨年来の低迷のあとを受けて、昨年から出荷が少し落ち、それに対して需要は堅調である。特に四月を底といたしまして、振興事業団の放出も大体底をついた。そこで、今日残念ながら、五百円というラインの相場を出しております。これに対しましても、お説のように、対策としてはもちろん国内の生産の問題がありますし、もう一つは、緊急のいわゆる供給手当てという意味で、緊急輸入、この二つの手を打たなければならぬ。  緊急輸入につきましては、お説のように、さしあたり四千トンの緊急輸入をいたしまして、一部海外の市況が少し高値でありましたから、必ずしも契約が一時伸びなかったのでありますが、最近におきまして海外市況が落ち着きましたので、現在、四千トンのうち三千四百七十二トン契約ができておる。通関実績は現在七百二十一トンであります。さらに、いまの国内の需給、状況を見まして、本日、輸入公表を発表いたしまして、六千トンの追加割り当てをいたしておりまして、これもある程度、海外の現在の市況から見れば、国内へ入ってまいると思うのであります。  一方、国内の出荷の状況でございますが、最近の値段等も影響したのでありますか、八月ごろから大体前年同じころの水準に着実に上回って出荷が来ておる傾向でありまして、今後は出荷がふえてまいるというふうに私どもは見ておるわけであります。したがいまして、ただいま高値であることは残念でありますが、これらが総合されまして、豚の肉の価格は順次鎮静の方向へ持っていくことができる、こういうふうに考えております。もちろん、豚のいわゆる需要に対します供給対策としては、これは、おっしゃいますようにロングランの立場から見ていくべきことは当然であります。したがって、私のほうとしては、出荷につきまして、あるいは養豚態勢につきましても、さらに下部へ下部へと、きめのこまかな計画性を持たせるということが一つだと思います。いま一つは、畜産振興事業団の機能にも限界がありましょうが、しかし、できるだけこの機能というものを有意義に発揮させる、それから海外の輸入態勢というものは、それに見合って、やはり大事な国民の食糧でありますから、安定的供給というものを長期にわたって努力してまいりたい、こういう決意であることをお答え申し上げます。
  21. 大森久司

    委員長大森久司君) 鈴木君。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん時間に制約されておりますから、問題を具体的に私はお伺いしたいと思いますから、どうぞ簡潔にお答え願いたいと思います。  いま木村委員からお話がありましたように、政府が十月一日から消費者米価八%引き上げという方針を決定されましたことを機会にして、最近諸物価が一斉に値上がりをしようといたしております。ちょっと調べてみましても、たとえばビールは、まあいろいろな問題がありましたが、三円上がりました。それから白菜なんかも、きのうあたりの市場で見ると、半切れ、一つを半分に割って、それを六十五円で売っておりますね。それから大根一本が大体まあ六十円から八十円、キャベツ一個が七十円、こういうふうに野菜も非常に上がっておる。それから肉なんかも、豚肉が、きのうの市場をちょっと見てみますと、百グラムで、こま切れ七十円から最高百三十円、それから牛肉が百グラムで最低九十円から最高三百円、こういう値段になっております。お魚を見たって、サンマが七十円から百円ぐらいしています。それからそのほか、小麦粉が平均二・五%、お茶が、これは二〇%、それからそのほか、豆腐とかパン——これはあとから聞きますけれども、納豆、うどん、ノリ、これもあとから聞きますけれども、そのほか、理髪だとか、クリーニングだとか、こういったように諸物価が一斉に値上がりしております。また値上がりをしようとしているわけですが、この最近における物価上昇というのは非常にひどいと思うのですね。ものすごい値上がりだと思います。ですから、物価安定を約束して政府は一体何しているのだという不満の声が全国に爆発していると私は思うのです。こういうことになったのは、何といっても、これは当面政府の大きな責任だと私は思います。したがって、物価問題に取り組む政府姿勢というものは一体どうなのか、具体的な問題を通じて国民はよく知っておりますよ。だから、私はそういうことについて、きょうはぜひ総理に伺いたいと思いましたが、総理の御出席がないので、関係大臣に逐次お尋ねをしたいと思います。抽象論ではもうだめですから、私は具体的に問題を伺いたいと思います。  まず第一番に、お米の問題ですけれども、これは他の委員会でかなり詰めた話をしておりますから、一般論は避けまして、私が特に不審に思っている点だけをお尋ねします。  その第一点は、十日の参議院の農水委員会でも問題になったようですけれども、例の米の低温倉庫の補助金六十億の問題です。これは、新聞の報道するところによると、米価値上げの当時そういう約束をしたとかしないとかいう話があったそうです。西村農林大臣はこの話を知らなかったように十日の委員会の記録では拝見できますが、しかし、そのときには、一応大蔵大臣経済企画庁長官と話し合って対策を練ると、こういうことになっておりますが、農業団体に百二十億円を貸して、その分の六十億円は返さないでもいいように補助金で見てやるという、そういう約束を一体したのでしょうか、それはその後どうなりましたか、これは。
  23. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 生産者米価決定にあたりまして、付帯事項といたしまして、一つは出荷調整対策費としての六十億円、それからいま一つは、倉庫が必要であるというので、低利資金をもって倉庫に対して財政投融資資金百二十億円を融資をする、ここまでははっきり当時きまっております。ただ、来年度以降この百二十億をどういうふうに扱うかということは、来年度の予算編成と相まって今後——もちろん、政府と与党と一体でありますから、政府与党の意見の調整をはかって今後考えてまいりたい、こういうことであります。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、それは話があったわけですね。あって、したがって来年度の予算の中でその問題については考えると、こういうことですね。
  25. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) この当面の財政投融資は投融資として、これは百二十億円、六分五厘でもって融資していく、倉庫対策として使っていく、来年度の問題は、ここでもって私が申し上げられるのは、来年度の問題として今後私が農林大臣として、もちろん政府も他にも閣僚がおりますから、加えまして、政府与党の間で十分検討してまいりたい、こういう意味でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 宮澤経済企画庁長官は、この問題についてどう理解しておりますか。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま農林大臣の言われましたとおりに理解しております。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、その次にお尋ねしたいのは、消費者米価は八%上がりましたが、政府のほうでは、古いお米を八%値上げした新しい価格で売る、こう言っておられます。それについて非常に不思議に思うのは、販売業者が旧料金で買い入れたものを十月一日から新しい価格で売るわけですから、そこには差益というものが出てくるわけです。一体この差益は、国に入らないで、米穀業者のふところに入っていくのでしょうか。これはすでに、昭和三十八年十一月二十六日に会計検査院から農林大臣にあてて、その点に対する不合理性があるから、益差または損益があった場合の措置については十分な対策を講ずべきであるという勧告をしておりますね。農林省は、そういう勧告が、三十八年でなく、もっと、二十何年か、前からあった、話があったわけですから、知っておって、みすみすそういうことはやらなかった。その実態を会計検査院のほうから、できたら……。過去四回やっておりますから。今回を除いて三回。在庫は一体どの程度あって、どのくらい米屋はもうけているか。また、農林省はその勧告を受けてどういう改善策を具体的にやりましたか。
  29. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 会計検査院からのこれに対する勧告があったことは事実でございます。それから、これに対しまして、考え方基本としては、なるほどこれは、卸あるいは小売りの手に渡って、そうして国の手から離れたものでございます。しかし、そこに値上がりがあった、不労所得と申しますか、所得が発生している。それをただそのまま置いておくのは妥当でないじゃないか、こういう勧告だと思います。  そこで、ある程度の手持ちがなくてはこれは困るわけでございますから、手持ちに対してその上がった分の全部というわけにはいきませんので、在庫数量からある程度のものを引いたもので、それに対してある程度のものを徴収する、こういうふうに実際やっているわけでございまして、この内容あるいは数量につきましては食糧庁長官から御説明申し上げますが、小売りにつきましては、あまりにも数が多い、御存じのとおり。小売りの数は、たしか六万でございますか、そのくらいございますのと、量そのものは比較的少ない。あるいはこれを金額的に直しましても、一万円であるというような、きわめて微弱なものでございます。総計にすればある程度のものが出てまいると思いますが、個々については微弱である。そこで、卸につきましては、すでに私どものほうとしては、差金徴収はやっているわけでございまして、ただ、それが十分でないという面もあるかもしれないので、さらにこれに対して現在検討を加えて、適正に実施するようにしている。こういうのが農林省の現在の状況でございます。ちょっと数字的には食糧庁長官のほうから説明させます。
  30. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) いま農林大臣が話しました大筋はそのとおりでございますが、私どものほうといたしましては、ものが一度政府の手を離れまして、卸売りの販売業者あるいは小売り販売業者の所有に属して後に発生するものでございます。また、それについての差益徴収の法的根拠もございませんので、業界との話し合いによって、契約に基づく差益の納付という方法をとっておりますが、三十九年には、卸売り段階から、販売価格の改定当日の午前零時現在における在庫量のうち、年間扱い量の平均三日分を除いたもの、こえる分の四分の三を政府に納付させるという約束をいたしまして、その結果、三十九年度には一億五百万円余りの差益を徴収し、四十年度は六千五百万円ばかりのもの、それから四十二年度は七千七百万円ばかりのものを差益として納付させたのでございます。小売り販売業者につきましては、大臣の答弁にもございましたように、たいへん零細で、かつ相手方が多く、また政府との間には直接の契約関係はないという事情もございますので、差益の徴収はいたしておりません。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 会計検査院は。
  32. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 会計検査院といたしましては、三十八年の十一月二十六日でございますが、消費者米価値上げに伴う販売業者の差益について改善の意見農林大臣あてに差し出したのでございます。その要旨は、先ほど話がございましたように、米穀は食糧管理法によってその売買が規制されて、販売業者の販売価格につきましてもその販売手数料を含めて考慮されております。農林大臣が販売価格を指定しているものでありますから、その改定によって販売業者が差益または差損を受けるのは適当でないから、適切な処置を考えろという意見でございます。  その後、国会の決算委員会におきまして、この改善策につきまして御審議がございまして、時の農林大臣から善処するという御答弁がございまして、ただいまお話がございましたような三日分の在庫をこえる分の四分の三につきまして納付するということになっております。なお、その後私どもは、改善意見の履行につきましては注意しておるのでありますが、当局におきましても検討なさっていることを承っておりますので、目下その成り行きを注目しているという現状でございます。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 この制度上、法的にもし不備があるとすれば、それを直すべきだと私は思うのですね。たとえば、塩とかたばこの場合には、それぞれ値上がりになった場合には、現品をちゃんと調査して、そうして旧価格のものと新価格のものは一つも間違いのないように新価格で売って、それはすべて政府に入ってくるわけですね。そうなっているわけですよ。農林省としても会計検査院から指摘されて、なるほど不合理だということは認めたわけですね。したがって、その卸のほうだけは三日を除いたあと四分の三についてとっていく、小売りのほうは七万軒ですか、約六万軒あるからできない、一万円くらいというのですが、確かではないと私は思うのですね。消費者立場になってみれば、せめて古い米は分けてくれないかというと、それはできない、混合して売るとがんばったわけでしょう、農林省は。だから、どうしていままで——二十九年に指摘をされて今日まで十数年間、やらぬとは言いませんけれども、多少の手心を加えた、それは、あなた方が会計検査院から指摘されて不合理だと認めたからでしょう。もっと一歩進めて、どうしてそのことができないのですか。たばこや塩がやれて米がやれないということはないでしょう。あなた方は消費者立場を考えていないからこういうことになる。その金が幾らあるか。私はちょっといろいろ情報を集めてみると、一晩で十五億円くらいの金が米屋のふところにころがり込むということを言っている。四年間で五十億にものぼるというようなことです。そういう金額があれば全部知らしてください。だから、もし食糧管理法というものがそういうことを規定していないとすれば、なぜそこを直さなかったんですか。私は政府の怠慢だと思うんです。これは事務的に不可能じゃないでしょう。やればできることじゃないですか。そうして、みすみすそういう金が一部の人のふところに入ってしまう。それを消費者になぜ還元することを考えないのですか。食管会計が赤字だ赤字だと言いながら、たとえ十億円でも二十億円でも、そうして生み出すべきですよ。そういうところに、物価安定に対する政府姿勢というものに対して国民不満を持っている。これは大臣、どうですか。
  34. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 大臣から政治的な観点からのお答えがあろうかと思いますが、現在の消費者価格あるいは卸売り販売業者が小売り販売業者に売ります米穀の統制価格は、物価統制令に基づく最高販売価格ということに相なっておりまして、かつては経済統制が一般でございました時分に、物価統制令自身の中に差益徴収の根拠規定があったのでございますが、現在ではその根拠規定は削除されておるのでございます。経済統制の根拠法規であります物価統制令で、一度あった法規が国会の御審議の結果廃止されたというようなときに、その法規に基づく統制価格というものについての差益徴収権をまた旧に復するということには、相当問題が、立法経過としてはあるのではなかろうかということが一つございますことと、また、そういうことをされました理由が、一つは、塩あるいはたばこのごとき専売物資、財政収入——一種の財政課税的な性格を持ちますものと、一般商品としての物資に対する統制価格というものとの違いがそこにあるのではなかろうかというふうに思われるのでございます。なお、私ども考え方としては、確かに国民感情としても、あるいは食糧管理のたてまえといたしましても、価格改定時における差益がそのまま販売業者に留保されるということについては、理解しにくい、適切であるとも考えられないというふうに思われるのでございますが、一つの方法は、政府を通じ、あるいは政府から売り渡されました旧価格による米穀については、これを消費者の側へ旧価格に基づいた販売価格ということで還元するという方法が一つと、それから差益徴収という方法と、二つあると思うのでございます。私どもいま考えておりますのは、小売りの段階で、五万六千の小売り商について午前零時の数量をつかまえて、それを公平に政府が差益徴収をするといったことは、ほとんど不可能に近い。むしろ、小売りについては、旧価格で仕入れたものについてはその価格を基準にして消費者に還元するという考え方をとらせたらどうであろうか。ただ、卸の段階では、流通の過程に一段階入りまして、時間的誤差等もありますのでなかなか困難でございますので、卸売り業者との関係では、従来の差益徴収よりももっと適正な政府への徴収のしかたを、業界とも十分な理解のもとに進めてまいりたいということで現在折衝いたしておるのでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 これはどうも国民消費者立場からすると納得できないですよ。だから、会計検査院が、法の不備といいますか、処理上の不備というものを見つけて適切な勧告をしたことだと私は思うのです。ですから、それに対して農林省が積極的に解決するというならば、局長のおっしゃるように、二つあるでしょう。あるでしょうけれども、どっちでもいいですよ。みずから具体的に、そういうことをもっとてきぱきとやるべきですよ。昭和三十九年にそういうことが勧告されて、今日まで何しておったのですか。あなた、やる気になればできるのですよ。しかも、勧告を受けてから、四十年から初めて卸売り業者に限って三日を控除するというのはどういうことですか。理由は何ですか。そして、あとの四分の三だけについて新旧価格価格差を納めてもらう。これは何のために……。三日間控除するというのは、そんなことは理屈にならぬですよ。その根拠は何ですか。いずれにしても、私はもっと詰めた論争をしたいと思ったのですが、時間が制約されているので、大臣はその不合理性を認めていると思うから、だから積極的に改善策をとったらどうですか。できないできないと言うけれども、五万何ぼあるようですがね、五万六千か七千。やる気になったらできますよ。これはやる気にならぬからできないわけでしょう。消費者のことをほんとうに思えば、たとえ十億でも十五億でも、ちゃんとけじめをつけてやることはできますよ、そんなものは。だから、そういう行政上の、指導上の不備というものが法的にあるなら、法律を変えてもいいですよ。そういうことをやっぱり真剣に考えてもらわなければ納得できないですね。消費者米価値上げということについては、大臣にはひとつ今後の問題として考えてほしい。  それから、会計検査院長さんはお忙しいところを来ていただいたのですけれども、さっきちょっと声が小さくてよくわからなかったのだけれども、今後会計検査院としては、勧告をされた立場からしてですね。いまやっているように、三日を控除して、あとの残りの四分の三について差益を入れてもらうということは、あなたの勧告の趣旨からいったら不十分じゃないですか。ですから、もっと全部をやれという趣旨だと思いますから、そうすると、会計検査院でも、そういうことについて強い姿勢を示してもらいたい。  それからもう一つは、行政管理庁という役所がある。行政管理庁は一体これまでこういうことについて検討を加えたことがあるんですか。なければ怠慢だね。これはさっそく今後やってもらいたいのですがね。そこをちょっと、簡単でいいですから、三人から聞きたいのです。
  36. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) この差益金の問題は、国民のサイドから見ますというと確かに不合理だ、妥当でないという面はわかります。一面、今度は、多数の小売り屋が、今日のような米の需給下において、ものを売っていかなきゃならぬという現実の問題もあります。でありますから、いろいろなこういう問題については、現実に即して、しかも国民感情に従って、困難な問題もありますが、しかし同時に、われわれとしては国民感情に適した解決なり検討なりをはかっていくように努力していきたいと思います。
  37. 山崎高

    会計検査院長(山崎高君) 会計検査院の考え方は、差益の一部を納付すればいいというわけではございません。やはり、差益または差損があった場合、たとえば販売業者に差益があった場合には納付させるし、差損についてはこの場合は考えられませんが、要するに、差益または差損を販売業者に帰属させるのは適当でないと、こういう考えでございまして、現状におきましては一部だけ納付されておりますけれども、先ほど申しましたように、当局でも種々御検討でございますので、われわれ検査に行くたびにその改善の措置については注目しております。そういうようなことでございますので、ただいま当局のおやりになることを注目しておると、こういうふうなことでございまして、今後もこれについてそのままでいいんだというような考えではございません。
  38. 諸永直

    説明員(諸永直君) 行管としては、従来この件について監察または調査をしたことはございませんが、今後の農林省のおとりになる措置を見まして、調査を行なうかどうかということについて検討いたしたいと思います。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 農林大臣、あなたは問題をごっちゃにして考えられている。私どもは、小売りの業者の方々があの重い米を一生懸命配給してくれる、その御苦労は感謝していますよ。なかなか手数料等も少ないわけですから、御苦労されていることはわかっています。もしそうだとすれば、手数料をちゃんと上げればいいんですよ。手数料のほうで少ないから、それじゃそれで少しカバーしてやろうじゃないかということではないと思いますが、そうとれますよ、あなたの発言を聞いていると。これは問題の所在をぼかすことであって、私はそれはいけないと思うのですよ。だから、そういう差益金については、会計検査院が言うように、全部取り立てなさい——それはそうですよ。そのために努力するということをなぜ言明できないか。そうして、なおかつ小売り業者の経営上の問題について問題があれば、ちゃんとやってください。そうすれば国民は納得しますよ。手数料がいまの手数料では米屋さんがやっていけないから上げるんだということになれば、そのために消費者米価が上がっても、それはちゃんと理解しますよ。けじめをしっかりしなければいけませんよ。あなたの言うのはそういうことではないと思いますけれども、会計検査院の言うとおりに、あなたは主管の大臣ですから、不合理があったら直すことは当然じゃないですか。もう一回聞きたい。
  40. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 配給全体につきまして私どもはいま再検討を加えている最中でございます。したがって、その中の一つとしては、これは当然不合理な面もありますので、われわれとしては改善をしてまいりたい、こういう考えでございます。
  41. 上原正吉

    ○上原正吉君 質問の応答を伺っておりまして、私どうしても得心のできないことがございますので、皆さま方、非常に貴重な時間で、制約を受けて御質問なさっている中に関連質問いたしまして、まことに申しわけないと存じますけれども、商人が商売として持っておる在庫品、値が上がったからそれが利益であるという考え方は、私は根底から間違っておると思います。商人の利益というものは、在庫品を販売して、売り上げ高で、そのお金でそれと同じものをもう一ぺん仕入れるときに、その差額ができただけが利益である。五十円で仕入れようとも六十円で仕入れようとも、それを百円で売ったら、また同じ数量を買うときに百円以下で買えた、その差額だけが利益、こういうものなのでございます。  たとえば、これは具体的にお百姓さんの例をあげるとよくおわかりいただけると思うのでございますけれども、お百姓さんは、たんぼ、山林、畑、こういうものを財産として持っております。この財産の値が上がった、だから利益だということになりますると、二十年、三十年も前から持っているものは、全部税金にとられてしまう。売ったときに初めて、あとから同じものを買って、同じく三反なら三反、一町歩なら一町歩の土地が買えたときに、売った金よりも買う土地のほうが安かった、その差額だけが利益である。そうでなければ、物価がどんどん上がっていくときに、どんどん売ってそれが利益ということになれば、しまいには資本金がなくなってしまう、資本がゼロになってしまう。(「食管法というものをどう考えているか」と呼ぶ者あり)法律はどうであろうと、商売というものはそういうものである、利益というものはそういうものだということを、どうかぜひひとつ会計検査院も、それからまた農林省も、経済企画庁も、十分ひとつ、お答えいただかないが、私はお考えをいただきたいと思うのでございます。売った値段で物が買えなくなったら、これは欠損である、商人だから。ぜひひとつお考え願いたい。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 その次ぎお尋ねしたいのは、けさの新聞を見ますと、東京都内のスーパーマーケットで新米を堂々と売り出しているという記事を見ました。二キロで三百五十五円ですよ、やみ値で。配給米のほうで見ると、二キロ二百八十二円ですから、七十三円だけやみが高いわけです。宮澤長官新聞を見られたと思うのですがね。ここに、「埼玉の新米ただ今到着。古米とは味もケタ違い」という宣伝をしているのですね。食管法違反もはなはだしい。こういうやみ米の取り締まりといいますかね、こういうものは一体どうしているわけですか。やっちゃならぬことをやっておるわけです。大阪のほうでも何かこういうことをやっているそうですね。これは配給制度との関係もあると思いますがね。その関連で、あったらひとつ教えてもらいたい。
  43. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 食糧管理法違反は、申し上げるまでもなく刑罰法規を伴います。違法行為でございますから、これは厳密に申せば検察ないし法務の問題でございますが、現在の情勢のもとで現実に食糧管理法違反の取り締まりの運用を見ますと、大口の米穀のやみ取引、いわゆる違法取引というものについては、年間、私の記憶では三、四十件の範囲であったと思いますが、警察取り締まりによって捕捉をいたしまして、法に従った処分をしておるということでございますが、非常に需給が緩和してまいりました今日においては、厳密な意味での食管法の取り締まりが厳行されておるという状態ではないし、またそういう厳行することは取り締まり当局でも非常に困難な事態にあるというようなふうに承知いたしております。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 具体的に、こういう堂々と札をかけて売ってる事態がある。これは新聞に出ている。大阪でもやってるそうですから、こういうものについて、あなたはどう考えるかということを含めているのですよ、私は。
  45. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 新聞の報道を、私もけさ読んだのでございますが、好ましいことではない、食糧管理法のもとに米穀の流通が規制をされておる限り、新聞で報道されたような正規以外の米が堂々と販売されるということは、流通の秩序その他から見まして適当でない、また、消費者米価の最高限を物統令できめておるということからも好ましくないということでございますが、新聞の報道によれば、所在の行政庁、区役所において販売の取りやめを勧告いたしまして、中止をしたというようなことでございますので、起こりました事態、それ自体好ましいことではございませんが、不幸中の幸いであったと思います。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 不幸中の幸いじゃない。もうこれで売ってるんだよ。商売を始めて何日かやってるんだ。そんななまぬるいことを言ってるから、悪いことするやつがはびこってくる。だから、食管法違反なら違反で取り締まる、はっきり。それは警察当局の御協力もいただかなきゃならぬのだが、そういうき然たる態度をとらなきゃだめですよ。なまぬるいことを言ってるから悪いことをするやつがどんどんはびこってくる。これは、農林大臣どうですか。私の言うことは間違ってないでしょう。きびしく取り締まってください。
  47. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 制度の論から申しますれば、私は、おっしゃることは間違ってないと思います。ただ、食管制度そのものが、これだけの需給緩和、特に配給面において、スカートであれば、あまりにもミニスカートになって、どこまでがひざで、どこまでがひざでないかというような議論の中で、ひざを出してるようなことになってんですが、しかし、それはすべて取り締まり対象にしていくのは非常に困難を感ずる。したがって、きわめて現在の制度そのものを真正面からこわすような事態においては、警察当局とよく相談して、いろいろ調査をしたらいいんではないか。実際の法の運用の問題でございますので、現実の事態とあわせてやはり考えていかないと、ただ論理的にそういうことであるからといって、全警察をあげてやっておったら、これは、ずいぶん数多い事例が発生した場合には収拾がつかぬ。といって、法のたてまえというものがありますものを、根本からくずすようなことはさしたくない、こういうような考えでおります。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 どうも少し腰が弱くていけませんね、そういうことでは。やっぱり、現行法律のもとにちゃんとやることはやらなきゃいかぬでしょう。そうしないと、やっぱり問題が残りますよ。それは宮澤さんはどうですかね。あなたの意見を聞かしてください。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 農林大臣の言われましたことに尽きると思います。そこで、おそらくまあ、はたから伺っておりまして、こういうことではないんだろうか。つまり、同じ法律があり、同じ行為がなされた、いまから二十年前になされた、いまから十年前になされた、現在なされた、法律と行為との関係は同じでありましょうから、違法であって、それは取り締まらなければならない。ただ、過去二十年から今日までの間に、そういう行為の反社会性というものがやはり客観的に変わってきているので、そこで、十分に取り締まりが行なわれる場合と、現実にそうでない場合とがある、こういうことではないだろうかと思って、いま伺っておりました。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 政府はどうもあれですね。こういうものに対すると非常に消極的になってしまうのですね。やはり法律のもとで取り締まるものはちゃんと取り締まっていただかないと、どうも困るわけです。困るのは消費者ですから、その点に関しては十分肝に銘じてやっていただきたいと思います。もう時間がないから……。もう少し強く言わなければならぬのですが。  それから、この配給制度についても、この登録制というものをなくして、東京の場合でしたら、同じ区内であればどこのお米屋さんでも自由に買えるとかいうような方法をおとりになったらどうだろうかという意見もありますね。それからもう一つ、やはり小売り屋さんの新設等についても、一つの基準があるようですけれども、そういうものも緩和して、もう少しお米屋さんをふやしたらどうだろうかという意見もあるわけですね。そういうことに対しての一般的な配給制度の改善ということは、食糧庁はいま検討されているようですけれども、具体的に、いつごろからそういうふうにやろうとしていらっしゃいますか。
  51. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 配給制度につきましては、先ほど来触れておりますように、当時、配給という考え方基本には、物が足りないから公平に分配するという思想からスタートは切られたと思います。しかし、今日では需給の著しい緩和であるということは言えると思います。そこで、それに合うような形に改善をくふうをこらしていく。しかし、その中で、やはりものごとは、制度を改善するには、それによっていろいろなすべての機能が動いている面がありますので、そこへあまりショッキングなことをやって混乱してもいけない。そこらを十分よくにらみ合わせながらやっていきますので、当面的な事柄、あるいはさらに先の事柄ということを振り分けつつ実施に移してまいりたい。さしあたり、食糧庁のほうにおきまして今回考えております登録制の緩和であるとか、卸、小売りの結びつきの問題であるとかいうようなものを、現在の段階では、まず最初に実施に移してまいったらどうか。さらに食糧庁長官のほうから内容を御説明申し上げます。
  52. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 配給の改善の問題について各方面からいろいろな御意見が出ているのでございますが、根本的に、たとえば割り当て制でありますとか、販売店の登録制度でありますとか、購入券による販売規制というような問題に手をつけようとすれば、当然法律改正が要るわけでございます。その問題は、私どもは当面の問題としては慎重に食糧管理の改善の全体的な問題の一つとして考えていきたい。  当面私ども考えておりますのは、お話のように、同一市区町村内における消費者は従来のように特定の小売り販売業者に登録をするという形で結びつけることをやめて、どの小売り店からでも、購入券を呈示する限り米穀の配給を受けられるというようなことにしたらどうか。それからまた、卸売り商が大型集中精米を行なって、小袋詰めの配給をするというような形態をとろうとしますときには、卸売り商と小売り商の兼営を認めたらどうか。同時に、小売り商が共同して、あるいは共同の出資によって、大型集中精米というものによって小袋詰めの配給をするという場合には、卸売り商の兼営を認めたらどうかというようなことを考えております。なお、時代おくれになりますが、外食券の廃止でございますとか、あるいは現在十キロ配給ということで限度をきめておりますが、その限度の引き上げ等について目下検討いたしております。可能なものは十月一日から実施をいたしたい。業界等で準備を要しますものについては、若干の期間を置いて、さらに準備を万全にした上で実施に移したいというように思っております。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 最後に、時間がありませんから、まとめてお伺いします。  一つは、せんだってビール騒動がありましたが、結局政府側の負けで、値上がってしまいました。そこで、国税庁長官にきょうお忙しいところをおいでいただきましたが、ひとつこの際明らかにしていただきたいのは、四ビール会社の経営内容については当然お調べになっておると思います。これは経済企画庁もお調べになったようですが、それは時間がありませんから、あとで資料で出していただくことにして、問題は、こういう値上げを誘発するような一つ原因の中に、酒類の販売免許というものが独占的免許になっておるわけですね。この免許権というものについていろいろ業者側は関連をしてものを考えると思うのですよ。そういうところから出てくる弊害というものがあると思うのです。ですから、この際免許を大幅に緩和して、自由競争方式といいますか、販売方式といいますか、そういう方法をとったらどうかと私は思うのですが、あなたは最初えらいビール会社のほうに加担したようないきさつもあるようですけれども、中途で、夏は待ってくれ、まあ十月ごろ、というようなことを言ったのかどうか、これは憶測になって失礼ですけれども、中間的な指導が、どういう指導がなされたかわからぬけれども、これは別として、技術的な面においてこの免許制度をもっと緩和してもらいたいと思うのですが、これはどうですかということですね。  あと、パンの問題ですけれども、これがまた値上がりになるようです。しかも、非常に頭脳的にものを考えて、一斤四十円を四十五円にするというのだが、それは、新しいパンをつくって売り出すのだということで五円の値上げをしようとしているのです。これは、メーカーの第一、第二的な業者の大きなパン屋さんが次々にやってくるようです。しかも、今月の二十日から二十二日ごろにかけてやりそうです。したがって、その他のメーカーもこれに追随するでありましょう。この際、経済企画庁や食糧庁が、これらの動きについてどういうふうに把握されて、どういう対策を立てておるかということを伺いたい。聞くところによると、いまの一斤四十円のパンはなくして、これをつくらないで、新らしいパンだけにするということですから、結果的には大きな値上がりになると思います。好むと好まざるにかかわらず、四十五円のパンしか買えないということになるのです。昨年値上げをしてもらいたいということを言ったときには、その条件として、パン対策費一億八千万というものを国が業界と団体に支給しておるようですけれども、そういう一つの方法をとってパンの値上げを押えてきたといういきさつがあるわけです。新製品ということに銘を打って実際は旧製品をなくすわけですから、たちが悪いと思うのですが、何とかして値上げを阻止してもらえないかということです。  もう一つは、韓国ノリの一億万枚の凍結の問題ですけれども、これは宮澤さんにお伺いしたいのですけれども、日韓閣僚会議のときに、四億八千万枚いままで日本が輸入すると言っておったやつを、今度一億万枚だけ余分に輸入するということにしたのですね。そのときに、一億万枚というものは凍結をしておくということを条件にして、ノリ業界との間に話がまとまったということを聞いておるのですけれども、これは閣議でも問題になったけれども、西村農林大臣業界側の肩を持つ、宮澤経済企画庁長官のほうは、どちらかというと放出すべきだという意見のようですが、こういうことは国民にとってはきわめて不可解であり、納得できない。いま、ノリが一かん千円もする。なかなかノリが食えない、買えないというときに、そういうものがあるならば放出してくれないのかという疑問を持つのです。これに対して、いろいろノリ業界にはノリ業界の御都合もあるようですけれども物価高を押えるというたてまえに立って、ぜひこれは放出をして、安いノリが買えるようにしてほしいと思うのですが、これに対しての考え方を伺いたい。  あと、時間がないようですから、いいです。
  54. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) 今回の経緯についての御説明をくどくど申し上げることは省略させていただきまして、端的に、いま小売り免許制度の大幅緩和についてどう考えるかという一点に限ってお答えを申し上げます。  現在、酒の製造、販売につきまして免許制度をとっております。現状、この免許制度をとっておりますが、これの執行が現状に合っているかどうかという点につきましては、十分われわれも反省し、また改善を加えたいと思っております。ただ、今回の経緯に関連して、たとえば免許制度を一挙に撤廃したらどうだ、あるいはそこらで自由にどんどん売るようにしたらどうだという御議論が実はございましたが、私たちの立場からいたしますと、御存じのように、本年度五千五百三十三億の酒税からの税金をちょうだいいたしておるわけでございますし、また、ビールに限って見ますと、約二千九百億、これが全然滞納なしに的確に納まっているわけでございます。これがやはり代金が回収できないというようなことになりますと、ひいては、やはり酒税確保という点に支障が出てまいるわけでございまして、やはり一本当たり、たとえば百三十円のビールにつきましては六十七円九銭というものが酒税でございまして、こういった物品を取り扱う販売業者の方々につきましては、やはり資力とか、いろいろな点が、それでだいじょうぶだろうかという点を検討して免許を与える。だれにでも扱わしていいというものではないと思います。したがいまして、今回の問題とは切り離して、常にやはりわれわれは、こういう免許制度を、そういうものにあぐらをかいて、おかしな事態があるということは厳に戒めなければならぬと同時に、この酒税確保の上で、やはりこの免許制度がなくてはならない。むしろそれの運用をどうするか。たとえば、最近、都市郊外にいろいろ団地その他がどんどん建ってきます。これは、従来のわれわれの通達の基準その他からいいますと、距離が何メートルでなければならないとか、いろいろやかましいことがございますけれども、どんどんそういう点は緩和して免許を認めております。したがって世の中の新しい進展に応じて、やはり免許……。われわれがやっております通達そのものの運用が時代にマッチしていないところがあるかどうかということは、十分われわれとしては反省しなければいけませんし、先ほども酒税課長会議を開催いたしまして、そういう点を検討したところでございます。ただ、基本的に誤解がないようにお願いしたいのは、やはり五千五百億をこえる酒税を的確に徴収していかなければならないという立場も十分御理解いただきたい。しかし、その中でやはり特権に眠るということが、いかにしたら、ないようにできるかということは、われわれは日々取っ組んでいかなければならぬ問題だと考えておる次第でございます。
  55. 上原正吉

    ○上原正吉君 ちょっと関連して。  ただいま伺っておりますると、酒税確保のために免許制度が必要だ、こう承ったんですが、あらゆる種類の税金は全部確保する必要があるのじゃないかと思う。特に酒だけを確保しなくちゃならぬという理由をひとつ御説明を承りたい。
  56. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 経企庁長官のほうからもお答えがあるかと思いますが、パンとノリの問題につきまして答弁申し上げます。  パンにつきましては、八月に小麦粉のごく一部の値上げ、売り渡しの値上げがございました。これ自体がパン一斤に影響する部分というのはそう大きいものではございません。数字は後ほど調べて申し上げてもいいのですが、きわめて小さい部分でございます。これは、パン全体としましては、比較的長い間価格が上げられない状況に立っておったのと、一方逆に、労賃であるとか、いろいろな社会的な他の要因が加わったために上げたいという動きがあるということが一つ。いま一つは、中小業界においてかなり激しい競争をやっておる。こういうことから起こってきた事象だと私は思うのでございます。これに対しまして、私ども行政的にパン業界に対して直接指導するとか直接取り締まりをするというような対象物資ではございませんけれども、しかし、消費者に対する影響というものも大きいのでございます。できるだけ公正な競争の中でやっていきますれば——こういうものをやたらに上げていくことによって、はたして業界自体が激しい競争の中でやっていけるのかという面もございましょうし、いま一つは、私のほうでもたくさんな食品加工を持っておりますので、食品加工が、ノリの場合でもやや似ておるのでございますが、数が多い中で近代化がおくれておる。これに対して、私どもがやはり近代化の面から、できるだけこういう業界指導して、資金のあっせんであるとか、近代化についての協業の問題とか、いろんな面を今後打開してまいりたいと思うのでございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 補助金は出さないんですか。
  58. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 御指摘がございましたように、昨年、小麦、原麦の払い下げ価格の修正をいたしました際に、パン業界の近代化を進めるという基金の一部として、一億五千万円ばかりの基金ができるような払い下げ方式をとったのでございますが、当時からこれは一年限りの措置ということで業界にも申し渡してございました。本年度は特別の措置をとっておりません。  次に、ノリの問題もあわせて……。ノリにつきましても、非常にいろいろな御批判をいただいておるようでございまして、私自体も頭を痛めておる問題であります。と申しますのが、実は私自体も韓国へ参りまして、このノリの問題にも関係いたしました。実は、ノリの状況と申しますのは、ことし相当需要が伸びると思いましたところが、こういう天候で、一つは需要が伸びない。それから、不作であると思ったところが、供給が予想外によかった。こういうような二つの面から、国内産がだぶついておる。そこへ四億八千枚の輸入を、すでに御存じのとおり、韓国からいたしております。ところが、この流通関係業界がきわめて弱くて、数が非常に多い。問屋でございますね。そういうようなところから、そういうところに一部思惑もあったと思いますが、あるいは生産者団体等の平均売り等も十分にうまくいってなかったんじゃないかと思いますが、高い値段で買ってしまって、かかえ込んじゃった。そこへ、韓国のほうといたしましては、どうしても通商政策上、片貿易であるから追加輸入をしてくれ、こういうような事態になったわけでございます。そこで、これをさばきますのに、韓国のノリは、御存じのとおり加工用に使いますが、一般ノリになりますと、比較的内地の普通ノリのようにいいものではございませんので、かりに放出というものがありましても、普通のいいノリは値段が下がらない。ここに一つの問題があります。加工用のほうに主として回る、あるいは下級品のほうには回ってまいると思いますが、なかなか内地産は、高い値段で買っちゃって、しょい込んでおりますから、これをどうやっておろさせるかということが、金融その他から考えてまいりますと、一部にはすでに倒産問題があったくらいでございますので、内部にはやっかいな問題が一つある。それからもう一つは、放出という問題は、私ども自体の、政府の権限ではございませんで、これは、民間が輸入するのに対して、政府としてもそういうようなもとに韓国との話し合いをつけてまいりますから、もし放出するんだということになりますれば輸入しないという結果が起こってしまうことになりますので、放出問題と価格問題と直接いかにも関連があるようでございますけれども、関連が事実上はなくなっている。もし放出しろというなら、そんなものだったら買わないということになってしまえば、韓国に対して約束はできないことになるし、今度は、そこでもって、現物が来ないことになっちゃいますから、放出の問題は消えちゃう。そこで、根本の問題としてはどうしたらいいかというと、私は、これはきょうも水産庁とも十分……。やはり流通段階のあれを、できるだけこういうものを近代化していかなきゃならぬと思う。思惑などはいけないような形にしていかないといけない。たくさんできたときに、やはり政府のきちっとした、消費者までに行き届く近代的な問屋、小売りのルートに乗っていって、そうしてそれがうまく消費者の手に渡っていくようになれば正常価格になる。それが、途中でいろいろな複雑な機構があり過ぎまして、高い値段でしょい込んじゃっている。その裏には金融を受けていましょう。そうなると、そこはどうにも解決ができないような状況になってまいります。私は、こういうところは、やはり流通機構の改善というものに、思い切り実態を明らかにしてメスを入れながら、かたわら、韓国ノリの輸入——普通、韓国ノリは、業界のいままでの慣習としましても、出来秋のときには入れないことになっております。大体三月ごろから九月ぐらいの間に入れちゃって、十月ごろから新ノリが国内でできますから、その期間には入れないのを今回は例外的に入れたために、これはむしろ普通の原則のところまで待ちましょうという条件でやっているわけであります。  それからノリの価格見通しにつきましては、専門の水産庁のほうの意見も、新ノリができるから、これはやはり新ノリの価格に従って、いましょっているノリの価格は全体としては私どもは下がっていく傾向になるだろう、こういうふうに見ている状態でございます。  要は、結局、正直に申し上げまして、この放出の問題よりは、私は、やはり流通機構というものをより近代化する努力というものをこういうノリ業界に訴えたいし、また、その努力指導、相談、こういうものをやってまいりたい、こう思います。
  59. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 小麦粉がかりに二・五%上がりましても、パン一斤に与える影響は一円以下だというふうに思われますので、それ自身が、値上げを必要とする理由にはならないと判断しております。ただ、メーカーが新しい規格のものをまたつくろうということは、これは妨げる理由のないことですが、その場合には、従来の規格とどう違う、どれだけ内容が変わって、量目も変わっているのかということは、はっきりさしておいてもらいたい。と同時に、従来の規格に対する需要もあるでありましょうから、メーカーはそれについては従来どおりの価格で供給してもらいたい。農林大臣の言われましたとおり、やはり自由競争が十分行なわれることが必要であると思っております。  ノリにつきましては、ただいま農林大臣の言われたとおりで、やはり非常に流通段階が複雑のようであります。生産者との関係も複雑なようでございますから、そういうことをもっと近代化してもらうことが必要であろうと思います。
  60. 亀徳正之

    説明員(亀徳正之君) あるいは私の説明がなお不十分であったかと思いますが、特に酒につきましては、やはり度数に幾らの税金というふうに、いろいろ検査をしながらかけていかなければいかぬという点もございまして、長く歴史的にこれが免許制度をとられているわけでございます。もちろん、現状のままでいいかどうかということは、先ほど申し上げましたように、私もこのままでいいのかどうか、また、その適用のしかたというものはよく考えなければいかぬと思います。ただ、こういって長く免許制で来ましたものを、やはり相当多額の税金がこれによってスムーズに入ってきたという、この行政を直していくためには、急激な変化、そういったものは、ただ混乱を起こすだけであると考えております。したがいまして、現在免許制度を一挙に撤回というようなことには、なかなかまいらないであろうと私は考えております。
  61. 大森久司

    委員長大森久司君) ちょっと申し上げますが、大臣以外への質問あとに……。大臣時間がありませんので。
  62. 上原正吉

    ○上原正吉君 ちょっと大臣に。私の質問は簡単です。企画庁長官お答え願いたいと思うんです。  この物価騰貴とか、物価安定とか、非常に問題がやかましくなっております。物価を安定させる、これをするのには、品物をたくさんつくるのが一番早道なんです。たとえば、ビールのごときですね。いま問題になっておりますビールのごとき、夏場のビールの払底なんということは言語に絶するものがあるんです。だから、長官値上げをする必要がないとちゃんと御認定になったものを、どんどん上げた。上げたって売れるから上げるんですよ。ビールがたくさんあれば、上げたくたって上げられないんです。だから、そのビールに限らず、物資が豊富になるように、そしてまた、国民の購買力が大きくなればどうしても物が売れるから、不足してくるから、値が上がる。だから、国民の購買力がべらぼうに大きくならないように、生産がもっと多くなるように、経済政策を確立して閣内を御指導賜わりたいと、これをお願いするのですが、そういう御覚悟、御準備があるかどうか。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 全く御指摘のとおりだと考えます。そしてしかも、別々の銘柄が同じ値段で売られておるということもきわめて奇怪なことだと思っております。
  64. 大森久司

    委員長大森久司君) それでは、これから大臣のみの質問にしぼってやっていただきたいと思います。  阿部君。
  65. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 宮澤長官にちょっとお伺いいたしますが、政府の景気の見通しにつきましては、幾つかの狂いができました。特に国際貿易の進展に伴なって、国際収支の見通しにおいては、当初の悲観的な見通しが大きく狂い、これが好転を示しております。また、各経済指標につきましても、最近の新聞紙上等でごらんになったと思いますが、通産省の見通しだとか、あるいはまた有力銀行の見通しなどを見ましても、その狂いは明瞭でございます。政府は、この現在の経済情勢をどういうふうに見ているか、簡単に御説明願いたいと思います。  なお、これに関連しまして、ことしの一月二十六日に経済企画庁のあなたのほうでおつくりなったこのパンフレットで、「昭和四三年度の経済見通し経済運営基本態度」というものでございますが、これに載っておりまするこの主要経済指標、これも、いま御指摘申し上げましたような非常な狂いが感じられますので、それについてのお考え、お見通しとあわせてお願いしたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のとおり、経済情勢は、私どもが当初予測いたしましたよりも好転しておりまして、ただいま御指摘になりました書類にも、本年度の国際収支は総合収支で三億五千万ドルの赤字というふうに申し上げておると思いますが、今年度の国際収支が総合で赤字になるということはこの段階で考えられないことでありまして、相当大幅の黒字になると思われます。しかし、国内の設備投資の水準は決して低くはない。経済活動はかなり高い水準で堅調である。非常に走り出すとは思いませんが、しかし相当高い準を続けておるということであろうと思います。そこで、例年でございますと、秋に補正予算を組むということが御承知のようにございます。そこで、経済見通しを改めるといったような、その観点からの必要が出てくるわけでございますが、本年度は補正予算を組むつもりがございませんで、この経済見通しを改めるにいたしましても、それは来年度の予算を終局的にまとめにかかるそのころの時期に、必要があればいたしたい。おそらく必要があるだろうと思っております。そういう考えでございます。
  67. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま私が御質問申し上げましたうちの、例の主要経済指標についての長官のお見通し、現在の段階においてはどのように修正しなければならぬというふうに……。お考えになっていると思いますが、どうでしょうか。
  68. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、詳しく積み上げておりませんので、具体的に申し上げることがむずかしゅうございますが、概して申しますと、おそらく経済成長率は実質で一割にかなり近いであろう。そうして、鉱工業生産等の水準も一五%をあるいは上回っているかもしれない、そんなことを、勘では感じておりますけれども、この際改訂をいたすつもりがございませんので、あまり積み上げた計算はいたしておりません。
  69. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この主要経済指標に載っております消費者物価指数、これが一〇四・八%、すなわち四・八%上がるというお見通しのようでありますが、これについても長官はどういうふうにお考えになっているか。おそらくこれは実際問題として四・八で堅持できるという情勢ではないと思いますが、長官の御返答を願いたいと思います。
  70. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 四・八%は、先ほどからしばしばお尋ねがございますように、私ども努力目標として達成したいと考えているものでございまして、今日でも、これは何とかこれで達成したいと考えております。米価が上がったというようなことから、その分だけ困難が増したということは否定いたしませんが、しかし、いまこれをそれならばどういうふうにするか、かりに変更いたしてみましたところで、どういう実益があるだろうか。それに伴って、いわゆる物価値上げに対する消費者全体の抵抗を強めることにならずに、逆の結果になるのではないかということも実は考えられますので、その両面の見地から四・八%で努力したい、続けたい、こう考えているわけであります。
  71. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この消費者物価指数の問題ですが、これにつきましては、先ほどもお話がありましたが、日本勧業銀行あたりで相当大幅な、五・五%というような数字を言っております。長官はこれに対して御感想はありませんか。こんなものは一顧だに値しない統計だとお考えですか。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは何とも申せないことでありまして、実は、昨年度の場合、結果は四・二で終わったわけでありますが、やはり当初私ども以外のところでは五%以上を予測した方はたくさんございます。どなたもこれは予測が非常にむずかしいのは、基調的に強いということはわかっておりますが、いわゆる季節商品の動きというものは非常に予測がむずかしいために、いろいろな予測が成り立つであろうと思います。五・五%というような説がかなり多いということは私も知っておりますが、過去の経験にかんがみると、必ずしもそれできまったものだというふうには私は思わないのでございます。
  73. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま御質問申し上げました物価指数ですね。結局、私も四・八%で、むしろそれ以下にいくことを消費者立場から期待するのでありますが、現実にこういったあれを繰り返しするもとはと言えば、この十日政府が御決定になった例の消費者米価が一番大きな問題だと思います。この消費者米価値上げにつきましては、先ほど来からいろいろ質問がございましたので、重ねて申し上げるつもりはないのですが、いろいろな食料品が値上がりを引き起こしている。なお、いわゆる物価値上がりムードとういものを非常に来たしておりまして、これは非常に国民にとりましても残念なことだと思います。これに対しては私は農林大臣にお伺いしたいのでありますが、こういう物価の安定、その基本になる米価の安定というものに対して、どうも農林省の態度、取り組み方というものは、なまぬるいような気がいたします。したがって、物価安定するのだと言いながら、次々と政府の施策がくずれてきた。要するに、現在の物価の安定をくずすのはむしろ政府じゃないか、政府主導型の物価値上げじゃないか、こういうふうに国民も言っていると思います。私は、それについて農林大臣はどのような責任を感じているのか。また、こういった問題が、来る年も来る年も行なわれる。秋になれば、取り入れを前にしては、またしても米価が上がるのじゃないか、こんなことを繰り返しておりますが、こういうことはむしろことし限りでやめたい。私自身もそう思いますけれども、これについての農林大臣考え方、また、方針なり施策なりをお伺いしたいと思います。
  74. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 米の問題は、御存じのとおり、あれだけ多くの方面の、各界の意見を呼び起こすという、ことほどさように大事であり、また一面から言えば、むずかしい問題であることは御了承いただけると思うのでございます。それで、米価のあり方につきまして、ここ数年来、生産者米価も相当上がってまいり、また消費者米価も四年連続して上がってまいりまして、しかも、毎年相当なエキサイトした中で決定されているということはいい姿ではない。私といたしましても、個人としては、これを繰り返したくないという気持ちは強く持っておるものでございます。これは二つの面が、御存じのとおり、ございまして、生産者に対しては再生産意欲というものを保持していかなければならない。一方、消費家計の安定、したがって、これが現行食管法の基本になっております。ただ、食管法自体が米の足りないときにスタートしましたから、どちらかというと、消費家計の安定というものがウエートになって、そしてそれに対して生産増強を続けてまいりまして、今日の過剰の状況ができた。この過剰の状況は、非常に国の力としては農民に感謝もしなければならぬが、一面におきまして、過剰米の地位、その圧力、しかもその過剰の中で、国が相当な財政負担をしてもなお消費者に御迷惑をかけなければならぬ。そうしてこれが波及効果を持つものである。これらを考えますというと、私どもは、単に米だけを見詰めて米価というものの面から解決する前に、農政全体をひとつ、農業基本法本来の精神にのっとりながら、その中で米の位置づけをやっぱりやるべきじゃないかと考えまして、先般、一つは総合農政への転換という考え方をもって、米だけに偏重したような姿の農政に対しては、もう少し調和のとれた農政、たとえば価格だけで米を解決していく姿を是正する。一方において、今度は農政におきましても、米以外に国民の需要動向が変わってきております。非常に酪農製品、肉製品、あるいは野菜、果物等々を相当求めている。しかも、それがまた物価問題を起こしておる。あるいは国際収支に相当影響を与えているという面を是正していくような農政、こういうようなたてまえから、総合農政としてのいろいろな指針を、省内にも与え、来年以降の予算にもそれを反映さしていきたい。かたわら、米につきましての価格決定の方法なり、あるいは配給の方法なり等々について改善を加えていく。これが、食管制度の改善、こういうことばで、ただいま政府の方針になりました。やがてこれを私どもは検討して成案を得て、各方面の御理解を得ながらいかなければならない。ただ、事柄が非常に関係する層が厚いものでございますから、米につきましては、やはりある一面におきましては、混乱とか非常な摩擦をやはり警戒はしていかなければならぬし、一方におきまして、しかし、国民のための食管制度であり、国民経済のための米であるという観点、特に消費者というものは、どちらかといえば、組織的の声の出にくい面もございますから、そういうものも加味しながらやってまいりたい。  それから、農林大臣といたしましては、確かに生産の仕事は大事でございますが、先ほど来お話がありましたように、農林省には、米でも、食糧庁と申しまして、消費者の配給面まで責任を持っております。また、他の農産加工品につきましても、食糧につきましてはいろいろな分野がございますので、私は、農林省の性格というものは、農林省であると同時に、食糧省的なやはり観点から絶えずものをながめていく習性という点は今後強めてまいりたい。また同時に、その意味で機構等も、たとえば最近、企業流通部というようなものをつくりまして、食品加工その他の企業の近代化というものも農林省としてはできるだけ今後努力していきたいというふうに考えております。
  75. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 大臣のお考えの一端をお伺いしましたのですが、先ほどちょっと触れましたように、どうもこの食糧を扱っている農林省におきましては、生産者といいましょうか、あるいは販売業者というようなもののほうの肩を持ち過ぎて、一般消費者立場に立っておらない、そういうふうにも見受けます。それは非常に遺憾だと思いますが、ひとつ、そういうことのないようにしていただきたいと思います。幾つかの例がございますので、あげて御質問したいと思いましたが、時間の関係もございますので、それは省略しますが、要は、どちらかというと、消費者立場——昨年あたり問題になったわけでありますが、ミルクの共同購入の問題がございました。これは、消費者消費者自分自身を、物価高、ミルクの値段の上がることから生活を守ろうと、そういう見地から出たんですけれども、これに対しましても、もう少し農林省がこういうことに対し理解のある指導をしていたならばよかったというようなふうに聞いておりますが、まあそういう点、今後大いに国民の声、ことに消費者の声というものを聞いて、いまも大臣の言われましたような政策を立てていくべきじゃないかと、こう思います。  なお、米の食管制度の改正についてはこれから検討中だということで、はっきりした御答弁がいただけなかったのでございますが、これにつきまして企画庁長官新聞等に何か新しい意見を出しておられるようなことがございましたが、この機会にお伺いしたいと思いますが、新しい食管制度と申しましょうか、米価の対策について、いかがでしょうか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは実は、衆議院のある委員会で、おまえはどう思うかという話で、私は、これからこの問題は非常に一番むずかしいところにかかりますし、政府与党内はもちろん、国会でのいろいろ御議論も仰がなければならないところでございますから申し上げることができませんと申しましたところが、私見でいいから、ごく大まかに、どういうことが最低限度必要と考えるかと、こういう御質問でございましたので、それではそういう前提のもとに申し上げましょうといって申し上げたのですが、私自身は、従来とにかく量を幾らかでも増産しようということでずっと政府指導をし、そういう制度で来たのでありますから、それに乗って田地を新しく開いてきた農民はたくさんある、したがって、今度もう量は必要のないということを卒爾として申してそれでよろしいものではないと思う、これからはどうぞそういうことは新たにはやらぬでくれと言うのはよろしゅうございましょうけれども、きのうまでやった人に対して政治というものは責任を負わなければならないであろう、したがって、どこにも持っていきようがないというような米がかりに生産されましたら、それはやはり政府に持っていらっしゃい、ある価格政府が買いますと言う政治的な責任は私はどうしてもあるのではないだろうか、それが一点。それから消費者にとりましては、万一米価が非常に高騰するということになれば国民生活を直接脅かしますので、そのときには、政府が幸いにして相当の手持ちを持っておりますから、無制限に放出をして、消費者米価が一定額をこえないようにする、この二つのことは、どのように考えてみても入り用ではないかと思いす、それ以外の点は、この二つの原則に比べれば私はたいして重要なことではない、むしろ、なるべく生産者にも、あるいは消費者の選択にも自由を与えるという方向が好ましいのではないか、ただしこれは私見でございます、というふうに申し上げたのでございます。
  77. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 お考えがわかりました。この米価の問題について特に私感じたんですけれども政府は本年度から総合予算主義ということを立てられて出発されたようでございますが、これがどうも非常に障害になっている。それはまあ、政府から言えば、障害にするために出したかと思いますけれども、たとえば、この間の人事院の勧告にあります公務員のベースアップ、これなんかも五月からやれというのに、予算がない、結局八月から実施だというふうに政府は弁解したように聞いておりますけれども、これなども、結局は、補正予算をやらないということから来ているんじゃないか。また、米価の決定についても同様に私ども感じたんですけれども、いわゆるもろ刃の剣と申しましょうか、生産者にとっても消費者にとっても、両方に都合のよいように切れるようになっているわけなんです。生産者米価をきめるときには、総合予算主義のたてまえから、上げまいとする。今度、生産者米価をとうとうきめられてしまって、次に来たるのは消費者米価消費者米価のときもまた同じこの剣を出して、今度は総合予算主義の立場から、どうしても上げなければならない。結局、政府のお考えよりももっと上がったかのように承っておりますけれども、八%というような大幅な値上げをせざるを得ない。このように、結局は、政府の主義はともかくとしまして、国民に不利な、国民の生活を脅かすような問題、このような問題になると、消費者米価値上げというようなものも、総合予算主義のたてまえをとるために起こる。こういうふうになりますと、総合予算主義は、とりもなおさず、国民生活を脅かす結果を招いているわけなんです。そんなことからしても、総合予算主義そのものは、私は、予算を立てる上には当然な処置だと思いますが、現在のように予算を狂わせるようないろいろなファクターが初めからある。公務員のベースアップにしろ、米価の決定にしろ、いろいろあるわけです。その他、災害等もたくさんあります。それを無視して、といいましょうか、それをほとんど考慮せずに総合予算主義を貫き通すということは、少なくとも、もう少し社会が安定した、と申しましょうか、経済ほんとうに順調になった場合、それならば当然この措置はいいでしょうけれども、いまのような環境においては、総合予算主義を貫くこと自体が大きな矛盾じゃないか。同時に、国民に対して非常な損害を与えている、こういうふうに思いますけれども、この総合予算主義についての長官のお考えを伺いたいと思います。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど阿部委員の御発言の中に、消費者米価に関連して、来る年も、また来る年も、という御指摘がございましたが、私は、そこのところがやはり非常に大切なポイントであろうというふうに考えるわけでございます。今年七月の十三日に、農林大臣が、現在の米の需給関係は一時的なものではなくて、基調的なものであるという判断をされました。このことは、最も基本的な、大切な判断であったと思いますが、その場合でありましても、かりに総合予算がございませんでしたら、おそらく今年度の生産者米価、消費者米価の決定というものは補正予算というものを含みになされたであろう、例年のとおりなされたであろうと考えるわけであります。今回は、補正予算がないということで、生産者米価引き上げは消費者に転嫁されるということが、だれの目にも明らかでございましたので、生産者米価の決定についてはある程度それが抑制要因となって働いたことは、おそらく確かであったと思います。逆に申しますと、消費者米価については、それをまともにかぶった、補正予算で逃げるといった方法がなかったわけでありますから。これで補正予算が組めておるとすれば、なるほど、消費者米価上昇はもう少し少なくて済んだかもしれない。また、逆に申しますと、その場合には、むしろ生産者米価がさらに上がって、そして結局、消費者としては同じ程度の負担をしなければならなくなったかもしれないと思いますけれども、いずれにいたしましても、補正予算に逃げ込めないということで、ことしの米の問題がこれだけ全国民の関心を呼ぶようになった。その結果は、制度運営についてある程度の改善が必要だという考え方が相当国民の中に広く支持を得るようになったと思います。これはやはり、総合予算を組んで問題の所在を国民みんなにわかってもらうという意味での、制度を改善するための一つの方法であったと考えておるわけであります。  それから、公務員給与につきましても同じ問題がございまして、人事院の勧告を尊重するということは、もとよりそのとおりでありますけれども、だからといって、それが年度の途中に補正予算を必要とするような形で出てこなければならないとは限らない。一本の予算を組んで、その中で人事院の勧告を生かしていくという道もあるのではないだろうか。何といっても、年度の途中で相当額の大きな補正予算を組むということは、それ自身が、経済にゆるみを生じて、インフレ的な印象を国民に与えやすいものでございますから、長期的に見れば、私は、総合予算というものは、制度を直していくこと、及び途中の補正予算をやめるという意味で、経済の安定、ひいては物価の安定に寄与すると考えております。短期的には、しかし、阿部委員の御指摘のように、一応財政で負担をしておけば問題は一時糊塗できるという意味で、短期的には消費者物価上昇を誘うことがあり得る、それは私も認めるにやぶさかではございませんが、やはり長期的に制度慣行を改善をしていくことが、私は長い目では消費者のためにもいい、こう考えておるわけでございます。
  79. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 時間がありませんものですから、この辺でやめたいと思いますが、短期的にと長官言われました。この短期的がいま現在の時点に当たっておると思うわけであります。ですから、私は、もちろん長期的には総合予算主義というものを政府は堅持すべきものだと思いまが、この最近数年来の状況を見ますと、いままでも総合予算主義をとれなかった。ことしから、勇断をもってかどうかしりませんが、政府は総合予算主義をとられた。先ほどから申しましたように、ちょっと無理な段階じゃないか、こう痛感したものですから、お伺いしたわけです。長官の御意見もわかりました。  私の質問は、以上で終わります。
  80. 大森久司

    委員長大森久司君) 中沢君。
  81. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いつも私のところにくると、もう時間がなくなったから簡単にやってほしい、こういうふうなことを言われるわけですけれども、阿部先生もきちんとやっていらっしゃいましたから、個条的に御質問を申し上げます。  いままで質問の一番最大の関心事であったし、また、弱い力ながら最大の抵抗を試みた消費者米価値上げの問題でございますけれども、いまも阿部先生からいろいろお話がございましたが、総合予算主義を貫く目的のために、政治加算の分まで消費者におっかぶせられたり、あるいは食管会計の赤字が二千四百億円、その中の大かた半分の千二百億円が大かた事務費であったり倉庫保管料であったりするのに、それまでも消費者におっかぶせられなければならないという今度の消費者米価値上げは、非常に私ども心配をいたしておりますし、また、国民もそれには最大の抵抗をいま試みておるわけでございます。こういう中で、私ども宮澤経済企画庁長官に非常な御期待をかけておるわけですけれども、けさほどからずっとの御答弁を伺ってみても、どうも長官は少し御遠慮をしていらっしゃる、このように私どもには思えてならないのでございます。どうか、もう少し長官も元気を出して、勇気を出して、思っておることを着実に実行に移していただきたい、このように思うわけでございます。  その中で、農林大臣にお伺いをいたしますけれども、そういうような背景の中で、今度の米価の問題、あるいは混合率の問題、あるいは古米の問題、そういったような問題と同時に、また生産者に対しては、いままでは早出し奨励金というものがあったのに、今度はおそ出し奨励金をつける、こういうようなことを見てまいりますと、どうも、農業政策あるいは米価の問題そういったものが場当たり的で、ちっとも真剣味がなさ過ぎる、こういうふうに私は指摘をしなければならない感じがするわけでございます。どうかその辺をひとつ、農林大臣企画庁長官からはっきりと一度御答弁をいただきたいのでございますけれども、混合率の問題も、だいぶ初めのお考えとは変わってきたように思います。その辺のことを、どれが一体ほんとうなのか、一度お話を承りたいと思います。
  82. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 消費者米価決定にあたりまして、御存じのとおり、米価審議会に御諮問申し上げ、そうしてそれの答申をいただきました。その答申には、一部は、基本的に政府案はやむを得ないというのと、古米等の取り扱いを特にひとつ中心に再検討したらどうか、こういう御意見が出ました。政府は、したがって、それに基づきまして関係閣僚等で再検討いたしました。  この値上げ率につきましては、御存じのとおり、末端の逆ざや解消と総合予算主義のたてまえから、平均八%、ただし、この場合も、大消費——東京、大阪、神奈川、兵庫等の大消費地附近でございますが、に対しましては、八%をちょっと落としました七・八という数字にいたして計算をいたしております。  それから今度は、古米と新米と申しますか、四十二年産米と三年産米の配分率、混入率でございますが、これにつきましては、当初は、昨年の豊作で四十二年産米をたくさん持って、背中にしょっておるわけでございますので、早く食べていただかないと、来年のつゆのあとに、二度つゆを越すお米が残るという一つ国民経済的な損失も考えましたが、しかし、一方消費者からの非常に強い御要望もありますので、十一月以降、これを、当初の配給混合率を変えまして半々にいたして、五〇%・五〇%にいたします。これが政府の方針でございます。  なお、それから古米については値段を分けたらどうかという、相当そういう御意見も一般にございました。しかし、なかなか食管会計その他のあれから、補正も組まないししますと古米格差はできないし、古米自体が四十二年産米が別に味とかあるいは食味とかに変わることはない。しかし、一月になりますというと、水分その他の関係から歩どまりが悪くなりますから、一月には歩どまりの分を一%引き下げる。それから四月以降になりますというと、今度は、いわゆる四十二年産米というものは相当時間もたちますので、それに対しては、あるいは歩どまり率を、いわゆる搗精度をもっと引き上げるか、あるいは古米格差というものをそこに新しくつくりまして、新しい品目で別建てに値段をつけてお配りするか、いずれか、それは、これからの配給の結果、いろいろな消費者の御意見も出ましょう。それから、米の繰り回しのいろいろな状況も見まして最終的にはきめたいのでありますが、いまきまったのは、率と、それからさしあたりの混合率が五〇・五〇。それから一月に搗精度を、さらに搗精を強くやるということによって食味を変えないようにして歩どまりをやはり補てんしていく。それから四月以降については、古米格差をどうするか、あるいは搗精度をさらに強めるか、どっちかの方向で古米に対する措置をとってまいりたい、これがきまっている方針でございまして、これからは、政府としてもさきに閣議におきましてきめまして、新聞等において御発表申し上げておるのでございます。
  83. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 宮澤さんにひとつ御答弁いただきたいと思います。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いま農林大臣の言われましたことに特につけ加えることはございません。
  85. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いま米審のお話が農林大臣から出ましたけれども、これは九月十八日の朝日新聞でございますけれども、その中で、物価安定推進会議の中山座長さんが、「全くものすごい値上げ攻勢だ。小麦粉、ビール、パン……これでは、物価問題の関係者は、みんな討死しなくてはならない。」、このようなことを言っておられるほど、もう物価安定推進会議でも、さじを投げている感じでございますね。そうして、今度のビール値上げに対して宮澤企画庁長官が、一円の値上げビールでも買いなさんな、ほかのビールを買いなさい、こういうふうなことを言われたということは、結局、もう政府には何とも物価値上げに対する手はございません、国民自身が自分たちで防衛をしなさい、こういうふうなことばに私ども聞こえるわけですけれども、こういうことでは、ほんとうにもう国民としてはやりきれない感じがするわけでございます。先ほど鈴木委員がいろいろ魚や肉や野菜の値段をおっしゃっておられました。私も、たまたまきのう乗りましたタクシーの運転手さんが、年齢は四十代、その人の話で、タクシーの運転手をしていて約五万円前後の収入しかない、それで子供が二人あってアパート暮らしをしていると五万円ではとても生活ができない——これは当然なことです。大体家賃が一万円余り、それからいまの、私も市場に行ってみましたけれども、サンマを一匹買うのに、宝塚で約百二十円、これくらい小さなイワシですよ、てんぷらにするようなイワシが一匹三十円、こういうような中でございますから、おそらく四人で一カ月生活をするのにはどうしても二万五千円くらいの食費がかかるでしょう。それにお米を入れると、食べるだけで約三万円はかけないととっても暮らせない。こういう状態でございますから、この米価の値上げに端を発して、いろいろなものすごい物価値上げ攻勢というものはずいぶん国民を苦しめているのが実情でございます。どうか、こういうことの中で、ほんとう政府はやる気があるのか、物価を安定させる気があるのかないのか、こういうことを御質問するわけですけれども質問してみても、その答弁は、やる気はあるけれどもできないのだ、こういうようなことしか、おそらく答弁でははね返ってこないと思う。それで、いろいろ審議会に答申をしてみたり、あるいは消費者の声も聞いてみたり、いろんなことをやっておられますけれども、それはただ、ていさいだけを整えるだけであって、ほんとう国民の声を聞く意思はちっともない、こういうふうにしか私どもには思えないのでございます。  そこで、いま古米の問題を、半々に配給すると言っておられましたけれども、私どもは、最近の米屋さんの問題についても、ほんとうにこれを半々にまぜてくれるかどうか、こういうことにも多少の疑問を持たないものではないのです。そこで、この古米と新米とを別々に、半々なら袋に別々に入れて消費者に渡してもらうわけにはいかないだろうか、このことを一つ質問申し上げ、また御提案を申し上げるわけでございます。そうしてまいりますと、古米がまた相当残ります。そうすると、古米を、あるいは沖繩なんかに食べてもらうわけにはいかないでしょうか。沖繩では、私、昨年行ってみましたけれども、非常にまずいお米を食べさせられてきました。カリフォルニアから輸入をしているように聞いておりますけれども、カリフォルニア米と日本の内地米を比べると、そこにずいぶん大きな値段の格差があると思いますけれども、沖繩の人たちに日本の内地米を食べてもらう、それにはやっぱり現地価格で同じ値段で内地米を向こうに渡す、こういうことはできないものかどうか。あるいはまた、その古米の処理の問題については、いまパンの給食を学校で行なっておりますけれども、これをお米で、配給米でやるわけにいかないものか。そのためには、いま学校でパンを給食しておりますと、相当私は小麦を輸入していると思います。その辺のこともあるから、せっかく日本内地で余っているのだから、そのお米を学校給食に回すわけにはいかないものか。あるいは外米を輸入することをやめるわけにはいかないものか。もしも、これだけ消費者米価値上げして、あるいは老人ホームとか施設とか生活保護家庭とか、そういうところに一体このお米を、やっぱり値上げしたお米を配給するのか、あるいはこういう人たちには少し安く分けてあげることができないのか、生活保護費を上げるのか、その辺のいろいろな問題があるわけです。そういう問題についてひとつお考えを承りたいと思います。
  86. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 米を袋詰めにして分けてやるのはどうかと言うのでありますが、実は私も、搗精なんかの問題が、集中搗精が発達してまいりますれば、もう品質がきちっとしてまいりますと、分けてやるというようなことは非常にいいと思います。末端まで袋詰配給で分けてやるほうがいいと思うのでありますが、いまのような、まだ配給の業界の段階で、はたしてそれができるかというと、できないでしょう。また、古米と新米とを簡単に分けてやることによって、新米だけを要望されて、古米がますます残ってしまうということも一つの問題になりますし、非常に技術的にむずかしい問題があるだろうと思います。場合によれば、食糧庁長官から、さらにその点は申し上げたいと思いますが……。  それから古米につきましては、確かにおっしゃるように、本年の予約数量等も相当な予約数量——いわゆる二年続きの豊作でございますから、四十二年産米が場合によりますと二度つゆを越す、食用以外のものに供さなければならぬような米というものが相当量できるかもしれません。これは国民経済上たいへん大きな問題でございます。そこで、私どもとしましては、農政というものの面からも、米に対する位置づけというものをやはり気をつけてまいる。もう一つは、米を価格の面だけから解決していこうというような行き方に対してやはり反省していかなければ、消費者ともに苦労する。米が余りながら米はやはり高くなっていくような傾向、あとは財政で負担するか、消費者に御迷惑をかけるかという、どちらにしてもめぐりめぐって国民経済の中にこれが出てくるわけであります。そういうところを十分に私どもとしては真剣に取っ組んでおる最中でございます。これはしかし、食管制度その他につきましては長い歴史を持っておりますから、いろいろな意味の関連ができて、一面においては硬直をしておる配給業者自体を考えましても、六万という配給業者がおられる。なかなかその他にも、生産の面も多ければ、いろいろな面がありますけれども、しかし、私どもは勇気をもってやはりできるだけ国民のために前進をしていかなければならない、こう考えております。  それから輸出の問題でございます。当然、私も輸出援助というような形でもって、米が余ったから輸出するというのではなくて、やはり将来の日本の農政というものは——いままでは余ったことは考えないで、足りないことだけを考えてきた農政ですが、これから私は、米にしましても、あるいは酪農振興にしましても、場合によれば、余ったときにはどういうふうにこれを扱うか、あるいは輸出する、それにはやはり生産性を高めて、輸出する能力というものを持たせるような面もくふうしながら考えていかないというといけない時期に少し入ってきたのではないか。生産力がこれだけ強くなってきておりますから、やはりそういう面も考える。さしあたりは、私はやはり国内消費を高めると同時に、国内についての消費のくふうをこらせると同時に、輸出なり援助についてはやはり不断に関係の外務省その他と御相談申し上げておるわけであります。  一例を申し上げますというと、韓国も非常に米作が悪いのでございます。アメリカと折衝はされておりますが、この間も韓国に参りましたときに、万一需給上必要があればいつでも御協力する用意があるということを私は向こうの首脳者にお答えしております。  それから沖繩も、確かにおっしゃるとおり、カリフォルニア米を食べておりますから、値段の差があります。これも、差益は国民負担になりますけれども、やはり同じ日本の方々が住んでおられるのでありますから、私どもは、現在はアメリカの施政権下でありますけれども、沖繩に対しましても日本米を食べていただくというような努力は重ねてまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  87. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほどから古米の味の問題が出ておりますが、この間も宮澤経済企画庁長官がちょっとおっしゃったのですが、いま国民は、味のよい、おいしいお米を食べさせてくださいというのが、今度の米価問題の中で国民の大きな主張でございますが、私どもやはり昔から御飯をたいてまいりました。いまもたきますけれども、新米の味というものは特別なものでございまして、やはり皆さんがおっしゃるように、一年ぐらいたったお米と新米と、いまの消費者にそれほどわからないだろうということは、ちょっと納得がいかない。どうしても、新しいお米がせっかくできたときには、新米のおいしいお米を消費者に食べさしてあげたほうがいいんじゃないか、このように思いますね。ですから、私は袋詰めのお米ということをさっき申しましたけれども、やはり新米は新米、古米は古米、別々に同時に配給するわけですから、消費者自身がそれを処理すればいいわけですから、たまには新米のおいしいのを食べさせてあげたらどうか、このように思います。  それと同時に、先ほどお米屋さんの問題にちょっと触れてみましたけれども、最近は、お米屋さんが米屋さん自身の店頭でやみ米を売っている、あるいはダイヤ米とかパール米とか、いろいろなことが新聞に出ておりますけれども、私はまだそれを見たことありませんけれども、そういう中で、やはり多少お米屋さんにも全幅の信頼を置けないような状態になっておるわけです。そこで、昨年の牛乳問題の例もあるとおりでございますが、この際、非営利団体の新規の参入権を認めるべきであると思いますが、それは、いままでの古いお米屋さんの権利が利権化してしまったような感じがございます。そこで、この際新規参入権を認めるべきであると私は考えますけれども、この点のお考えを承りたいと思います。  それからもう一つは、時間がございませんから、いろいろ引っくるめて申し上げますれけども、最近、ビール値上げに端を発して企画庁長官が、先ほど申し上げましたように、値切って買ったらどうかとか、あるいは安いところで買ったらどうかというふうなおことばから、消費者米価の問題も、価格統制令によって最高価格だけがきめられているのにすぎないから値引きの余地がある、こういうふうなことをだんだん消費者も知ってまいりまして、私のおります宝塚市のすぐ隣の川西市では、市内の消費者モニターが市内のお米屋さんと小売りの価格引き下げの団体交渉を行なうことにしている、こういうような問題もございますが、これは相当に消費者にも業者にも混乱が起こるのではないか、このように心配をしながら、それでも、交渉団体が一緒になって大きな団体を組んで交渉ができるならば非常にありがたいのですが、やはり消費者は弱いのですが、そういうことのできないところと、できたところと、ずいぶんバランスがとれなくなってきて、またこれは一つの問題を起こすのではないか、こういうふうに考えますが、その辺のところをもう一回お答えを願いたい。
  88. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 前段の、消費者団体等にも小売り配給のあれを認めたらどうか、参加を認めさせたらどうか——生活協同組合等ではそういう例があるかもしれませんが、私どもとしては、団地等、人口急増のような地域につきましては十分そういうようなことは検討して増加をはかってまいりたいと思います。ただ、現在六万からありますものを、権益擁護ではありませんけれども一つの秩序としてやっているものを、できるだけやはり適正に円滑にさせていくという意味から、無用な摩擦は起こさぬように指導し、しかもこれが正しい、何といいますか、配給商業と申しますか、配給業をやっていくように指導していくのも私どもの一面また責任であろうと思います。
  89. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大阪府で主婦団体が結集をされて、ビールを店頭で買うときには、いわゆる今度の問題の一円は払わないでよろしいという、そういうお話し合いができたということでございますが、一般的に、消費者が少しでも安いものを、またいいものをというふうに自分の意思で動かれるということは、供給側に、サービスをできるだけよくしようと、また、かりに不正というようなことはあぐらをかいてはできないというような、十分な自由競争の条件を刺激することになりますので、私自身は、消費者自身がそういう心がまえを持って行動をされるということはお互いのために好ましいことであろうと思っております。
  90. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後に一つだけ宮澤経済企画庁長官にお伺いをいたしますが、今度の消費者米価値上げで、大体一合について一円五十銭から二円くらい値上げになるというお話でございますけれども、外食の問題ですね。外食では、おそらく二円値上げをしますということでなしに、あるいは五円、あるいは十円ぐらいの値上げをするようになろうかと思います。この辺の問題をどう把握していらっしゃるか、これをお伺いして、質問を終わります。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 決して、私、それを奨励するとか、それでいいと申している意味ではございませんけれども消費者米価が八%上がりましたときにどのような影響があるかということを計算いたしましたときに、配給米だけでなく、外食の一部に響くことがあるかもしれないということを考えまして、〇・六四、本年度の場合〇・三二ということを言っておるわけでございます。
  92. 大森久司

    委員長大森久司君) 両大臣にお願いしたいのですが、約束の時間はもうすでに済んでおるのですが、もう一人質問者が残っておられますので、二十分ほど延長していただきたいと思います。  渡辺君。
  93. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは宮澤経済企画庁長官に伺いたい点なんですけれども、今回の消費者米価値上げは四年連続の値上げで、しかも四年間に五八%という、非常に大幅な値上げであります。これが先ほど来いろいろ問題になっておりますように、その他の物価の一斉の値上がりを刺激するという大きな要因になったことも、これは否定できない事実だというふうに考えております。しかも政府は、自分が決定権のある米の値段については消費者米価を引き上げておきながら、自分が決定権のないビールなどについては大騒ぎしておられるというような状態じゃないかと思います。米というのは、長官も御存じのとおり、日本人の主食である。ビールというのは、これは嗜好品の一種である。しかも、米は政府自身が決定権を持っている。ビールは、もう事実がはっきり示しておりますように、政府自身がもう何ら施すすべがないというような状態です。ですから、国民の中には、政府ビールなどについていろいろやられていることについて、消費者米価値上げしたことについての、その問題をおおい隠す煙幕としてやっているのじゃないかという強い批判の声があるわけです。しかも、いま申したように、ビール値上げについては何ら政府の処置が効を奏していないというような状態でありますので、したがって、これらの事実は、政府物価安定に何らの誠意も持たず、そしてまた、効果ある政策も持っていないということを示すものだと見ざるを得ないというふうに私には考えられます。しかも国民は、この値上げが、食管制度を根本的に改悪して、米も間接統制に移そうという政府の意図と結びついて行なわれているのじゃないだろうか。もしそうなったら、生産者である農民の大多数は、ちょうどいま小麦がそういう状態に置かれていると同じように、米の流通を大企業に押えられ、外国農産物の侵入によって打撃を受けるなど、一そう経営の困難におとしいれられることになり、同時に、消費者米価も年々引き続いて値上げされることになるのではないかという重大な不安及び重大な不満にかられているというのが実情だと思います。  長官も御存じのとおり、食管法の第三条は「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」と断わってはおりますけれども、根本的には米の「再生産確保スルコトヲ旨トシテ」政府の買い上げ米価を定めるべきであるということを述べておりますし、また、他方第四条のほうでは、「家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」と断わってはいますけれども、根本的には、「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ」消費者米価を決定すべきことを規定しているという状況であります。  そこで、現在のように米の再生産費が毎年毎年値上がりになっているという状況のもとでは、生産者米価が値上がりするのは当然のことだというふうに見なきゃなりませんし、同時に、他方では、いまの物価のひどい値上がりで消費者の家計が圧迫されているという状況のもとでは、この食管法第四条にうたわれているような「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ」消費者米価を安く据え置くためには、どうしても現在の食管制度、とりわけ根幹の一つである第三条、四条などの立場からする二重価格制度を守って正しく運営することが必要であるというふうに考えられます。これこそ、現在の条件のもとでは、消費者物価安定のための根本条件の一つではないかというふうに思いますが、宮澤長官は先ほど、いまの食管制度についての私見を述べられましたけれども物価安定政策という見地から、食管制度、とりわけ三条、四条に基づく二重価格制度を維持すべきだとお考えになりますかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ビールにつきまして、私は、先ほど上原委員が御指摘になりましたことはそのとおりだと思います。自由経済だからビール価格が上がってもしようがなかったということではなく、十分に自由経済でないから一斉値上げが行なわれたというふうに考えておるわけであります。したがって、私が指摘したかったことは、十分に自由経済の原則を入れていくべきだということであったわけでございます。  それと米との関係でございますが、渡辺委員は、生産者米価が上昇することはやむを得ない、当然である、こういうお立場に立っておられるとすれば、そのしりはどうするか、結局、消費者が負担するか、あるいは一般国民が税金で負担するかということになるのでありますから、その間の選択はその私企業の利益が大きいとか少ないとかいうことと私は異質なものであろうと——消費者に負担してもらうか納税者に負担してもらうかということの選択は、やはり相当慎重に考えなければならない問題だと思います。  で、最後に言われましたことでございますが、実は、そういう議論を長年やってまいりまして、毎年同じことをやってきたから、今日までこの問題の進展がなかった、発展がなかったと考えております。私は、やはり先ほど私見として申し上げましたことを基本にしながら、なるべく生産者も消費者も自由な経済行為ができるということのほうへ待っていくことのほうがお互いのためにいいのではないかという考えをいたしております。
  95. 渡辺武

    ○渡辺武君 私のお伺いしたいのは、いまの食管法の第三条、第四条などを、これを守るかどうか、これに基づいた二重価格制度を、長官として、物価安定対策という見地から守られるかどうか、ということをお伺いしたわけです。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は、先ほど阿部委員に申し上げましたことと、ただいま申し上げましたことと、両方あわせて御判断いただきましたら、それでよろしいのではないかと思います。
  97. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、なんですか。もう食管法の第三条、第四条は守らなくてもいいという見解だと理解して差しつかえないですか。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたとおり、現在生産をやっておる農民に対して、あなたの米はもう買ってあげませんというようなことは、政治責任として言えないということを申し上げました。これは三条に関係するものであります。それから消費者に対しては、米の価格がむやみに暴騰するということはもちろん避けなければなりませんから、政府がある程度の手持ち米を持たなければならない、これは食管法の四条に関係のあることであります。
  99. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、先ほどおっしゃった、一定の価格で農民から政府が無制限に買い上げて、もし米価が高騰するようなときには、政府保有米を放出して価格を統制してやるという御見解でしたね。これは、いまの小麦でとっているのとよく似た間接統制だというふうに理解できると思うのですが、どうでしょう。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどもお断わりいたしましたとおり、これは私の私見として申し上げておりますので、あまりこれ以上立ち入って話を申し上げておりますと、その点について誤解が生じてはいけないと思いますので、私は、大きな原則はいま申したようなことではないかと申し上げるにとどめたいと思います。
  101. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、長官のいまおっしゃったことをまとめてみますと、食管法の第三条、第四条の根本は守るということでございますな。しかし、先ほどおっしゃったような私見の方向で考えていくということですか。
  102. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 米の集荷及び配給について、すべて政府が自分の手で行なわなければならないということ自身は食管法の根幹ではない、こう考えております。
  103. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは私の質問した趣旨に対するお答えになっていないというふうに思います。第三条、第四条ですね、この点についてどうお考えになりますか。
  104. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたとおり、私の私見におきましても、生産者に対する考慮は第三条に定めるところであり、消費者に対する考慮は第四条に定めるところであります。  それから、先ほど申しましたように、政府が全部、集荷から配給ということに一から十までかからなければ食管法の根幹は守れないのかということになれば、私は、法律的にはおそらくそれはそうではないであろう、こう申し上げておるのであります。
  105. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、食管法の第三条、第四条のこの立場に立つという御趣旨のことをおっしゃったわけですけれども、だとするならば、いま言われている、いわゆるこの生産者米価と消費者米価との末端逆ざやということは、現在の条件のもとでは当然のことだというふうに見なければならないと思いますが、どうでしょう。
  106. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは必ずしもそう申せないのではないかと思います。
  107. 渡辺武

    ○渡辺武君 必ずしもそう申せないというのは、理由はどういう点ですか。
  108. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) たいへんにむずかしい法律問題でございますから、食糧庁長官のお力を借りたいと思います。
  109. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 御指摘になりました末端逆ざやというのは、生産者から政府が買い入れる価格よりも、政府がいろいろのコストをかけて最終的に消費者に売り渡す価格のほうがなお安いという状態をさしておるものでございます。  そこで、これは三条、四条の関係から当然ではないかということでございますが、四条の、家計の安定を旨として消費者米価を定めろ——言うならば、家計米価の限度内で押えるためにやむなく起こるという事態は私はあると思います。しかし、それが当然であるというわけではない。むしろ、本質的には、食糧管理法のたてまえは、農家の保有する、農家の自家用に必要な米は保有して、商品化するものはすべて政府に売り渡すということが食糧管理法と食糧管理法施行令で定められておるというたてまえは、少なくとも、生産者が自分の米を全部供出をして、そうして米屋から買ったほうが有利であるという価格関係を前提にしておるとは思えないのでございます。そういう意味で、私どもは、これは不自然な形であり、御指摘のような関係が当然の姿であるというふうに思っていないのであります。
  110. 渡辺武

    ○渡辺武君 だから私は、現在の条件のもとではということをはっきりお断わりしてあるのです。いまのように米の再生産費が非常に毎年値上がりしているという状況のもとで、生産者米価というのは当然再生産確保することを旨とするということなんだから、上がらざるを得ないでしょう。同時に一方で、消費者の家計を安定せしむることを旨とするということでもって消費者米価をきめられるとすれば、こういう条件のもとでは、なんでしょう、末端逆ざやというのが生まれてくるのは当然のことでしょう。
  111. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 補足的な意味お答えいたしますが、生産者米価は、確かに御指摘のように、米穀の再生産確保することを旨として定める。そこで、生産費が上がれば、現在の算定の方式のもとでは、これは上がるという傾向がある。そこで、そういうふうにかりに上がってくるという傾向があるにいたしましても、消費者米価の決定をする際に、消費者の家計の安定を旨とするということの技術的な方法として採用いたしております家計米価を限度とするという考えの中でその生産者米価の水準を吸収し得ることが正常の姿である、したがって、これはその限りにおいて例外的にそういう事態の起こったことも現にございますが、正常な姿であるとは思えないということでございます。逆に申せば、家計米価の許容する範囲内で末端逆ざやは解消すべきであるというふうに私どもは理解いたしております。
  112. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がないので非常に残念なんですけれども政府のいま消費者米価算定にあたって使っている家計米価の算定方法、これ自身が現在の食管法に違反している。消費者の家計を安定せしむることを旨とするという点で全く食管法に違反している。これは、時間があれば、いずれかの機会に皆さんに御質問してみたいと思っておりますけれども、とにかく、したがって、いまの御答弁、私は納得しません。  で、時間がありませんので、次に移りますけれども、先ほど宮澤長官も、西村農林大臣も、末端逆ざやの解消、それから総合予算主義というたてまえからして、今度の消費者米価値上げをやらざるを得ないという趣旨のことを述べておられると思うのですけれども、こういう財政上の理由ですね、これを持ち出して、そうして消費者米価をきめる、物価を安定させるという見地に徹底的に立たないで、総合予算主義という、全く物価問題とは別の見地から消費者米価をきめる、これは、政府自身が物価の安定という点に真剣に取り組んでいないということをはっきり物語っているというふうに考えられますけれども、どうでしょうか。
  113. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、先ほど阿部委員にも申し上げましたとおり、総合予算主義というものは、ただ財政のエゴイズムから来るものではなくて、これによって、長期的にはわが国の経済、ひいては物価を安定させよう、そういう考えでございますから、確かに本年一年とって考えれば、どれだけ生産者米価が上がろうとも消費者米価を押えて、そうしてそれを全部財政に負担させるということはあるいは可能であるかもしれない。しかし、そういうことを繰り返していけば、必ずわが国経済あるいは国民生活全体のためには、もはやよくないことだというふうに私どもは思っております。
  114. 渡辺武

    ○渡辺武君 将来物価が安定するだろうというふうに幾らおっしゃられても、いま政府が決定する権利のある消費者米価を上げておいて、そうして将来物価が安定するだろうと幾ら言われましても、これは国民にとっては、から手形にすぎないというふうにしか思われないと思います。  それで、いま長官のおっしゃった総合予算主義というものは、長官はこの主唱者のお一人ですから、これが非常に有効なものだというふうにおっしゃるのは無理もないというふうには思われますけれども、しかし、この実体は何かという点から見てみますと、これはまず第一に、三次防を中心とする軍事費四千二百二十億円、それからまた司法警察費など人民を弾圧する支出千六百七十億円、それからまた、大工場の工場敷地だとか港湾だとか、あるいはまた、主として大企業の使う高速自動車道路とかいうものに対する支出五千億、こういう方向に国の支出をどんどん出し、それに加えて、租税特別措置その他で大企業に対する特別な減税一兆二千億をやっているというような状況確保して、そうして戦争のため、弾圧のため、大企業の利益を守るために国の予算をたっぷりと使いながら、一方では人民に関係のある予算は徹底的に削っていこう、人民の生活に必要があっても補正予算も組まないというところに、いまの総合予算主義の実体があると思います。だからして、その総合予算主義のたてまえから、先ほどもお話がありましたけれども公務員の賃金は押え、あるいはまた、受益者負担という名目のもとで健康保険料の値上げがあり、国鉄運賃、酒、たばこの値上げがあり、このたびは消費者米価値上げもやるという状況だと思います。したがって、この総合予算主義というものをとる限り、私は、物価の安定ということを口にしたって、これはもう、ことばにすぎないというふうに考えます。  したがって、長官に伺いたいのですけれども物価の安定のために真剣に努力なさるか、それならばこの総合予算主義を捨てなければならない。あるいはそれとも総合予算主義を今後ともとっていかれるか、それならば物価の安定などということは少しも考えていないのだということをはっきりと公言しなければならない。そういうふうに思いますけれども、どうですか。
  115. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政治の目的は、国民生活をより幸福にするためにはどうすればいいのかということでございますから、その間の資金、資源の配分というものは、やはりかね合いの問題であろうというふうに考えます。自衛隊を全部やめ、高速道路をつくらず、それで浮いた金を食管会計に全部つぎ込めば国民の幸福が増進されるというふうには、私ども必ずしも思いません。
  116. 大森久司

    委員長大森久司君) もう時間が過ぎました。
  117. 渡辺武

    ○渡辺武君 すぐ、ほんの一言です。  高速自動車道路をつくる金を全部削れというようなことを私どもは言っているわけじゃないです。わが党は、いまの消費者物価の安定のためには、先ほども申しましたように、食管法、とりわけ食管法第三条、第四条に基づく二重価格制度を維持して、法に基づいて正しくこれを運営する必要があるということを主張いたします。すなわち、消費者米価消費者の家計を安定せしむることを旨として据え置くべきであり、同時に、生産者米価は米の再生産確保することを旨として適切に定むべきだというふうに主張します。そして、このためには、何よりもまず第一に、現在の総合予算主義をやめなければならぬ。そうして、国の財政を徹底的に民主化すること、これこそが重要だというふうに考えます。一般会計で申しますと、軍事費、これは徹底的に全部なくさなければならぬ。しかし、司法警察費などは大幅に削り、それから、先ほども申しましたこの工業用地、港湾、高速道路、独占企業に役立てられているもの、これも全部削れとは申しません。しかし、これは大幅に削る必要があるというふうに思います。また、租税特別措置その他で大企業のためにだけ特別に減免している国の税金一兆二千億、こういうものの減免措置は不当ですから、直ちに取りやめて、これを正当に取り立てる、こういう措置をとれば、二千億や三千億くらいの食管会計の赤字を補てんする財源というのは十分に出てくるというのがわが党の考えです。  それから第二に、もう一つ。私どもは、生産者米価が米の再生産費が高くなっているから上がるのは当然だと言っておりますけれども、無制限に上がるのは当然というふうには少しも考えておりません。いまの米の再生産費を高くしている最も重要な原因一つは、肥料、農機具、農業機械その他大企業のつくった農業資材の価格が高い、また、農民の使う生活物資の価格が高い、こういう大企業の製品の値段を引き下げていくならば、米の再生産費の値上がりは十分に防ぐことができるのじゃないか。また同時に、政府のこの管理費、特に食糧証券の利子、こういうようなものについては、やはりこれは徹底的に引き下げなければならぬし、それからまた、先日問題になりました日通などの大企業に払う運賃だとか、あるいはまた保管料だとか、こういうようなものは引き下げて、不正な支払いは徹底的に禁止するということが必要だと思います。こうするならば、二重価格制度を維持する財源は十分にまかなうことができる、私どもはこれが根本的な解決の道だというふうに考えております。  それから、総合農政というようなことで、米作だけに片寄らないような農政をやりたいというふうに西村大臣もおっしゃいましたけれども、いま農民が米作に片寄っているという根本原因には、一つにはアメリカを中心とする外国農産物が日本に入ってきて、このために、小麦の作付あるいはまた大豆その他の裏作が徹底的に縮小させざるを得ないという状況、もう一つは、食管制度によって米価が比較的安定しておったという二重の原因によるというふうに見なきゃならぬと思います。したがって、外国農産物の無制限な輸入は制限して、同時にまた、米だけではなくして、麦、野菜、果物などのおもな農産物に対しては適切な二重価格制度をしいて、やはり米だけに片寄らなくても十分に他の作物をつくることによって経営が成り立つような政策をとって、農民に対して低利長期の融資を保障するという政策をとれば、十分にやっていけるというふうにわれわれは考えます。これだけが、いまの物価の値上がりを防ぎながら、しかも農民の経営も安定さして、日本農業の自主的な発展をはかっていくというための唯一の根本的な道じゃないか。決して総合予算主義だとか、あるいはまた消費者米価値上げだとかいうようなものは必要じゃありません。この点について長官の御意見を伺いたい。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大きな財政でございますから、金が必ずしも効率的に使われていないといったようなことは私はあり得ると思いますので、政府としては常にそういう点は反省していかなければならないと思っております。また、それが納税者に対する政府としてあるべき態度であろうと思います。けれども、他方で、共産主義社会において、食糧の増産、農政の運用というものが必ずしもうまくいっていないということは、私どもしばしば見たり聞いたりするところでありまして、私どもは、経済というものは、やはり基本的には自由主義経済というものがいいのではないかというふうに考えておるものでございます。
  119. 大森久司

    委員長大森久司君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめたいと存じます。次回の委員会は、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会