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1968-09-10 第59回国会 参議院 物価等対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年九月十日(火曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  八月二十七日     辞任         補欠選任      藤原道子君      木村美智男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大森 久司君     理 事                 林田悠紀夫君                 佐野 芳雄君                 阿部 憲一君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 佐藤 一郎君                 鈴木 省吾君                 高田 浩運君                 山本  杉君                 上田  哲君                 木村美智男君                 鈴木  強君                 竹田 四郎君                 渡辺  武君    国務大臣        通商産業大臣   椎名悦三郎君        運 輸 大 臣  中曽根康弘君        国 務 大 臣  宮澤 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        公正取引委員会        委員長      山田 精一君        農林省農林経済        局長       亀長 友義君        農林省畜産局長  立川  基君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (国鉄赤字線廃止問題等に関する件)  (大企業合併問題等に関する件)  (最近における諸価格の引上げに対する公正取  引委員会態度等に関する件)  (タクシー料金に関する件)  (食肉等価格安定対策に関する件)     —————————————
  2. 大森久司

    委員長大森久司君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  3. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記を始めて。  委員異動について報告いたします。  さる八月二十七日藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として木村美智男君が選任されました。     —————————————
  4. 大森久司

    委員長大森久司君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 鈴木強

    鈴木強君 質疑の前に、いまの委員長の御報告くださいましたきょうのこの委員会の運営について意見があるのですけれどもね。ですから、それを聞いてくださいませんか。
  6. 大森久司

    委員長大森久司君) では、速記をとめて。   〔速記中止
  7. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記を始めて。  鈴木君。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 では、非常に質問がやりにくいのですが、最初に、国鉄関係の問題二、三についてお尋ねしたいと思います。  これは、まあ来年度の予算との関連もあると思いますが、石田総裁が八月三十日の記者会見で、来年度一〇%の運賃引き上げをやらなけばいかぬ、増収をその程度に見てめどを立てたい、こういうお話でありましたが、われわれも、三十九年から国鉄赤字に転じて、昭和四十一年にも上げましたね、基本料金、それからことしまた通勤通学運賃を上げておるわけです、しかし、非常に国鉄財政に問題があるということはわかりますが、どうもこの石田さんの発言の趣意がよくわかりませんから私は伺いたいんでありますが、従来、国鉄では、資本増資ですね、それから公共負担国鉄に背負わせるのは無理があるんじゃないだろうかとか、あるいは市町村納付金の問題についても、これは不合理だという点を主張されておったように思うわけであります。大体過去二年間、資本増資については要求したがゼロであったと、そういういきさつもありますので、もうそういう点をあきらめちゃって、そしてその赤字分料金値上げに求めようとするのか、それとも、そういうふうな基本的な国鉄財政再建のための根本論というものをもっと突っ込んだ論議をして、そしてその上に立って、赤字路線の問題もあるようですから、そういうものも含めて将来堅実な国鉄経営の方向に向かおうとする、その基本線というものをとりあえず放棄したようなかっこうになるのかどうなのか、という点がちょっと不明確ですから、国民といたしましても、何か安易な道を国鉄は歩んでいくのじゃなかろうかと、こういう感覚で受けとめているのですが、まず、この点はどうなんですか。
  9. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの鈴木先生の御質問でございますが、現在、御承知のとおり、政府部内で国鉄財政の根本的な立て直し、いま先生のおっしゃった、ある長期の見通しに立った根本的な立て直しというものを行なうべく、財政法できめられました財政制度審議会、これは大蔵省諮問機関でございますが、それで一つと、それからもう一つは、経済企画庁の中に過般ございました物価問題懇談会結論を受けまして、経済企画庁並び運輸省諮問機関として現在国鉄財政再建推進会議という二つ委員会政府部内に設けられております。で、去る六月から両委員会が発足いたしまして、目下精力的に、いま先生のおっしゃったように、もちろん運賃問題だけでなしに、国鉄財政に対する企業内、企業外全般にわたりまして、いろいろ根本的な対策を練っておられる最中で、大体まあ来月の中旬ごろには一応の結論が出るように承っております。したがいまして、過般、八月三十日に総裁発言いたしましたことは、そういう各般の問題の中の一つの問題として運賃問題も取り上げ検討されていくということを申したのに、その点だけに非常にスポットが当たりまして大きく報道されましたわけでございます。現在、両委員会におきまして非常に精力的に、一週間二度くらいの会議を持ちまして、全般的な問題として審議されている最中でございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 これは大体わかりました。それで、やはり考え方としては、来年度予算にある程度の料金改定ということをやらざるを得ない、そういうように判断をされておるわけですか。
  11. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は角度がいろいろございますが、もちろん、国鉄運賃の問題と物価の問題、並びにすでに独占性を完全に喪失いたしました国鉄といたしましては、たまたま先生のおっしゃった、いわゆる安易な運賃値上げ料金値上げということは、必ずしもそのとおりの増収を伴わないという、何と申しますか、競争価格になってきているということも事実でございます。したがいまして、単にいままでのように運賃を上げれば企業が健全化したという時代はすでにとっくに去っておりまして、われわれといたしましては、飛行機、自動車あるいは内航海運等対抗運輸機関運賃を全部考えませんと、ただ運賃をいじるということだけで収入増加が期待できるという時代は去っております。そういうことを総合的に検討いたしましてきめなければなりませんが、いまのところ、先ほど申しました両方の委員会結論が出るまでは、私どもといたしましては、運賃をいじるとも、いじらないとも、現在申し上げられない客観的な段階でございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 それはそうでしょう、いまの段階ではね。それで、予算会計はもうすでに出してあるわけですね。そうしますと、その中で、市町村納付金の問題についてはやはりなくしてもらいたいということで、百三十億か幾らになると思いますが、やっておるかどうかですね。  それからもう一つは、例のいま問題になっている黄色い黄害対策、便のたれ流しのやつですね。これに対する対策というのはどうなっているか。  それからもう一つは、国鉄総裁諮問機関であります国鉄諮問委員会が九月四日に出した赤字路線のうち八十三線区二千六百キロを廃止するという、そうして自動車輸送に切りかえるべきだという、こういう答申が出ておりますが、これに対して石田総裁は、非常にむずかしい問題だが、地元のほうとも十分連絡をとって、できれば来年からやりたいという、こういう考え方を発表されているようですが、これらの問題については、一体、来年度の予算との関連ではどういうふうになっておるのか。
  13. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの御質問の第一の概算要求の問題でございますが、これは実はあす、私、主計局長と直接話をする日程になっております。そういう事情にございますので、国鉄予算だけは少しおくらそうということになっております。現時点では昨年度の要求ベースでとにかくしょうということになっておりますので、それが必ずしも来年度の基本概算要求にならない、こういうふうに考えております。  ただ、その中で、一応、市町村納付金については、いま先生のおっしゃったとおり、昨年どおり、少なくとも私のほうとしてはゼロとしておりますので、今年度も一応ゼロで、現在、概算要求のもう一つ前の、何と申しますか、ほんとうの計算だけを出しているという段階でございますが、あす、もう少しく主計局長と詰めることにしております。しかし、いずれにいたしましても、大蔵省としては十月中旬までは具体的な作業ができないということになっております。  ただいま御質問の、いわゆる黄害問題、これは大体八月ごろ、降ってわいたような、八百億くらいということで困っておるわけでございますが、八百億、これはとても五年間ではやれませんので、十年——五年ないし十年というふうに考えておりますが、過般も参議院におきまして非常におしかりを受けまして、あらゆることに優先して黄害問題をやれ、こうおっしゃいましたけれども、やはり私どもといたしましては、通勤対策もあり、いろいろございますので、全部来年度の予算黄害に持ち込むということはできません。そういうことで、ある程度のことはやらなければいかぬというふうに考えております。  また、先ほど世上いろいろ問題になっておりますいわゆる赤字路線、ことにローカル赤字路線の問題につきましては、諮問委員会から建議が出たばかりでございますが、これをどう具体的に扱ってまいるか。すでに各地方から電報の山がまいっております。しかし、われわれといたしましては、すでに鉄道守備範囲を去った路線につきましては逐次自動車に置きかえていきたい。しかし、切り捨てごめんではなく、十分地元話し合い納得の上でやってまいりたいと思いますので、それがすぐ来年度予算に、億の単位あるいは十億の単位でいくとは申し上げかねるのであります。相手のあることでございますので、答申に沿ってやりますけれども、それが予算が数字のオーダーで億の単位で出てくるということは、すぐには期待できないと思っております。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 赤字路線廃止の問題についてはいろいろ苦心をされていると思いますが、一方においては、いま赤字路線とおぼしき新線の建設を進めているわけですね。こういった新しく建設するものと、いま既存のものを廃止するというのは、不離一体でなければならぬと思う。しかも、北海道とか東北とか北陸とか積雪地帯になりますと、やはり、赤字だから廃止しなければならぬということにもならぬと思いますよ。だから、この辺は、公共事業をやる国鉄事業としてはつらいところだと思いますが、慎重に配慮をしてもらわぬと、簡単に、答申が出たからやるということではないと思いますが、石田総裁のあの直後の記者会見を見ますと、来年度予算からひとつやっていくのだ……。そうすると、副総裁は非常に慎重論です。これは、いま国鉄総裁運輸大臣がおりませんから後ほど聞くことにしますけれども、そうすると、来年度から直接の廃止ということで手がけるのは非常にむずかしいと判断していいのか、それとも、ある線の一つくらいはやるというような、そういう考え方もあるのかどうか。
  15. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ローカル線の問題につきましては、まだ、いま答申が出たばかりでございますが、私どもといたしましては、諸外国に例を見ましても、やはり、十九世紀の鉄道守備範囲はすでに終わったというところにつきましては新しい交通機関にその席を譲るべきだという考えには変わりございません。しかし、いま先生のおっしゃいました積雪の問題、あるいはその他の道路問題等、いろいろございますので、慎重に運ぶつもりではおりますけれども、一線一線具体的に話を進めてまいりたいというふうに思っておりますが、できれば、もちろん年度内に話し合いのできるものは話を始めたいと思っております。しかし、さっき申しますとおり、切り捨てごめんという一方的にやるということは事実問題として不可能でありますし、やる気はないということだけ申し上げておきます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 総裁答申を受けてすぐ発表をすることについては、総裁としての決意があったと私は思うんですね。ですから、あなたは副総裁ですから、きょう総裁が、かぜかなんかで出られないということですから、あなたにいま出ていただいたわけですけれども、そうすると、その答申が出て、それを国鉄として十分に検討を加えて、そして総裁が言ったということじゃないわけですね。総裁が、答申を受けた直後に、そういう自分考え方を述べたのであって、それは少し、言うならば軽率的なところがあったんじゃないか。もう来年から一つ一つやるんだというんですから、そうであれは一また、答申があった場合に、国鉄当局がその答申に基づいてその現地へ行ってすべての実情を実地に調査して、その答申と全く間違いない、しかも地元のほうの意見廃止に対してもあまり抵抗がない、やむを得ないだろうという空気になって初めて私は作業が進むと思うんですね。ですから、少し時間的に見てもタイミングが合わないように思いましたけれども、少し軽率だというふうに受け取ってるんですけれども総裁発言としては……。
  17. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 総裁発言は、原稿自分が書いたものでございますが、相当慎重に発言しておるはずでございます。ことに、その中には、地元の問題と、それから並びに先ほど申しました二つ委員会の御意思も十分受けた上で、政府といろいろ御相談して進めていきたいと、こういうふうに申しております。新聞によりましては、全文書いてございませんので、先生はそういうふうに御了承になったかとも存じますが、原稿は私自身が書きましたもので、私の考え方と全く同じでございます。  ただ、御承知のとおり、いまの国鉄黒字線は、わずか全体の二割でございます。八割の赤字線をしょっておるわけです。その八割の赤字線を全部やめるというわけじゃございませんので、そのうちの約二千六百キロが俎上にのぼったというわけでございます。今後、もちろん完全に地元了承を得るまでには相当の時日がかかると思いますが、なるべく早く話を始めて、そして代替の、かわりの交通機関その他を十分考えた上で廃止に踏み切るという時期は、これはもちろん国鉄限りではやはりできないわけでございます。運輸大臣の承認が要るわけでございますので、国鉄運輸大臣に申請いたします前に、大体地元納得をとりませんと、運輸省ではほとんど受け付けていただけませんので、そういった手続を全部いたしますのには相当手間がかかります。したがって、着手と申しますか、地元との話し合い、あるいはあと始末のいろんな輸送機関の問題は、これはなるべく早くやっていきたいと思います。しかし、それを正式に大臣に認可申請するには、まだ相当手間がかかるというふうに考えております。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 もう一つ新線建設のほうですが、これはかなり政治的な路線があるわけですね。これのほうについては、国鉄はどういうふうに考えておるわけですか。いま工事に着工したものは、これはしかたありませんが、しかし、場合によったらバス路線に切りかえるということだって不可能ではないですね。そういう新線建設に対する赤字路線廃止と同じような思想というものがあるとすれば、それは具体的にどういうふうにしていこうとするのか、その点も伺いたい。
  19. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほどの諮問委員会建議の中にも、その新線建設に触れておられます。現在、御承知のとおり、鉄道建設公団で着手いたしております新線は六十六線、約二千七百キロでございます。これを完成いたしますには七千七百億の金がかかります。このうち、これは四つに分かれておりまして、ABCDに分かれておりますが、AB線はいわゆるローカルでございます。これが約二千キロ、C線と申しますのは、地方交通線と申しまして、これは約四百キロ、それからD線が主として東京のバイパス、いわゆる武蔵野線と申すものでございます。もう一つは、滋賀県の湖西線と申しますか、この二つあと二、三ございますが、おもなものはその二つで、約二百キロでございます。そのうち、私どもとしましては、AB線ローカル線につきましては、大部分がただいまお話の八十四線とほとんど性格を同じゅうするものでございます。したがって、これにつきましては、これだけで約三千七百億の工事費がかかります。これは、政府出資国鉄出資と、この二つでもってやることになっております。このAB線につきましては、私どもといたしましては、国鉄出資している七十五億につきましては来年度から再検討さしていただきたいと思っておりますが、ただ全般的にこの建設線をどう進めるかは、先生方もお入りになっている建設審議会でおきめになることでございますので、私の個人的な考え方は申し上げられませんが、性格的には、AB線八十四線、俎上にのぼった線と大体同じ性格の線でございます。B線は、これはぜひつくらなければならないもの、C線はその中間的なものでございます。大体四つの種類に分かれております。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄のほうは終わります。  それから公取委員長にお尋ねしますが、富士・八幡の鉄の大企業合併と同時に、旧王子製紙会社の三社の合併問題がいま俎上にのぼっていると思いますけれども、きょうは、私はおもに王子系の三社の合併についてお尋ねしたいと思います。  われわれがいろいろ情報で知り得る範囲で調べてみますと、本年の五月ごろから合併の問題が公取事務局のほうを通じていろいろ調査をされているように聞いておりまして、最近の各種の新聞を拝見しましても、もうすでに九月の三日ぐらいの新聞でも、王子系三社の合併を認めずと公取結論を出したという見出しで報道されている。あとまあ大同小異でありますが、そういう記事が目に入ってくるわけです。この合併については、もちろん政府政府としての、いま貿易の自由化や、資本自由化の中で企業構造改革体質改善をしよう、そういう気持ちはわかりますが、一面、これは利用者立場に立って考えていただかないと、競争制限になって、そのことが、せっかく下がるべき価格が下がらないで、国民が損をする、こういうことになるわけですから、これはメーカー側国民側も非常に重大な関心を持っていると思うんです。そこで、公取として、この問題が独禁法十五条の一項に抵触するという判断を持たれていろいろ事実調査をやられていると思うんですよ。現在おたくのほうで調査をされている段階というのは、どこまでいっているんでございましょうか、ちょっと判断に苦しむわけですね、われわれは。新聞を見ると、結論が出たようにもうかがえるし、おそらく、これだけでなくて、他のケースの場合でも、一応そういう問題が出た場合ですね、公取がいろいろな情報を収集して、その結果独禁法違反だというふうに考えれば、みずから調査されるでしょう。そうして、事務局が、委員長を含めた五人の委員皆さんのスタッフとしていろいろな調査をされると思うんですよ。そうして事務局がある程度の結論を出されて、それを委員皆さんの手元に資料としてお配りになって、委員皆さん委員皆さんとして、また独自の立場から調査をされるでしょう。そうして最終的には五人の委員会で決着がつくと思うんですけれども、私が聞きたいのは、一体事務局として、この問題についていろいろ実態調査をされて、すでに結論が出ているのか、出ておって、その結論に基づいて、各委員の方々に、事務局としてはこういう結論になりましたということをお示しして、委員皆さんがいま検討されている段階だと思うんですけれどもね。委員会一体何回開かれて、どうなっているのか、ひとつ経過的に……。たいへん恐縮ですけれども、いろいろ御苦労いただいている委員長にわざわざおいでいただいて、心から感謝をしながら私は質問をしているわけです。
  21. 山田精一

    説明員山田精一君) お答えいたします。  ただいま御指摘のございました旧王子系三社合併の問題でございます。初めに申し上げておきたいのでございますが、これはよく御承知のことと存じますが、先方の当事者といたしましては、まだ成規手続によって私ども役所に届け出をいたしたわけではございません。内相談を持ちかけてまいったという段階でございます。  その経過を若干申し上げますと、ことしの三月の二十一日でございましたが、当事者三社の間に合併の覚え書き調印されましたそうでございまして、新聞に発表されたわけでございます。続いて四月の上旬に入りまして、私ども役所事務局に対しまして、当事者のほうから合併趣旨説明がございました。さらに、こえて四月の下旬でございましたか、三社の社長が打ちそろって私のところへ尋ねてまいりまして、合併趣旨説明を聞きましたわけでございます。私どもといたしましてはこの内相談に応じまして、資料を要求いたしまして調査に取りかかったわけでございます。七月の下旬から八月の中旬ごろまで大体その調査が逐次でき上がってまいりまして、私ども委員会に対しまして事務局から調査の内容の報告がございまして、私どもはこれを聴取いたしましたわけでございます。さらに、最近では、八月の二十八日でございましたが、三社の社長が打ちそろって委員会の席に参りまして説明をいたしました。さらに九月の二日には通産省繊維雑貨局長委員会に見えられまして、通産省とされての御説明を承ったわけでございます。  かようなわけで、ただいまの段階におきましては、事務局が一応調査をいたしまして取りまとめました段階でございまして、委員会がまだこれを合議いたす段階には至っておりませんで、これらの調査を各委員が慎重に検討をいたしておる、かような段階でございます。九月の三日の新聞にいろいろの記事が載ったわけでございますが、これは多分に推測をまじえました記事でございます。事実とはかなり相違をいたしておる節があるわけでございます。私どもは、まだ結論、あるいは判断、こういうような段階には至っておらないわけでございます。私どもといたしましては、どこまで独禁法の第十五条に準拠いたしまして、ただいま御指摘のございましたような、大所高所から、広く国民全般の利益、これを基準といたしまして、判断を厳正に、慎重に進めてまいりたい、かように考えておりますのがただいまの段階でございます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 公取調査に乗り出したということは、これは、「産業構造改善推進に関する独占禁止法の運用について」という、通商産業省の事務次官から公取事務局長に宛てた照会文書がありまして、これに対して、おたくのほうから回答がありますが、その中を見ても、「産業構造改善の円滑な推進を図るため、公正取引委員会および通商産業省十分連絡調整を図ることとし、また個々のケースについて産業界から照会があったような場合には、公正取引委員会は可能な限り事前に独占禁止法の適用に関する判断を明らかにすることとする。」と、こうあるわけですから、会社から、当事者から正式に申請がなくてもこれはできる。むしろ親切にそういう独禁法に抵触するかしないかの判断公取がするということを、あなた方約束しているわけですね。ですから私は、正式な申請がなくても当然やれることですし、また独禁法の精神もそういうことだと思います。その点は、私は、正式な申請を当事者が出すということは一つの形式行為であって、実際には公取がどんどん進めてよろしい、こう判断しているわけですよ。  そこで、さっき私が質問した中でお答えしていただけませんでしたけれども、かつて雪印乳業とクローバー乳業の合併の際に事務局がまとめました案というものが否決されたことがあるのです、委員会で。これは私はそういうことはあり得ると思うのです。あり得ると思う。だから、このことはいいんだが、私の聞きたいのは、事務局一つの案として、十五条に抵触をして競争制限に実質的になるとかいうような判断をして、この合併はいけませんとか、独禁法違反だとかいって一応事務局案としてつくって、これを委員に示しているのじゃないですか。私はそう思うのですよ、あらゆるケースは。だとすれば、今度の場合は一体事務局案はノーと出ているのかイエスと出ているのか、合併についてですよ。その点はどうなんです。
  23. 山田精一

    説明員山田精一君) 事務局結論を出す役目は持っておりませんわけでございまして、事実に関する調査報告を委員会に提出いたすわけでございます。委員会がその判断をいたす、かようなたてまえになっておると考えております。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 それは一つの形式論ですね。実際に、じゃ雪印乳業とクローバー乳業との合併の際に、事務局はいけないという判断だったのでしょう。それを委員会のほうで押し切ったというふうに私は聞いておりますがね。これは事実としてあったんでしょう。もちろん、最終的な案というのは委員皆さんがきめることですから、最終決着はそこにあると思います。しかし、どこの委員会を見たって、運営上事務局はスタッフですから、委員皆さんの。そこが委員皆さん判断資料として適切なものをつくってお出しになっていると思う、報告書を。その中には、要するに、皆さん通産省と約束した合併についての市場占拠率とか、それから企業数、企業規模の順位のほか、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)とございますね。こういった問題について慎重に配慮をして、その上で、きていると思いますよ。それを見れば、合併はいいか悪いか、独禁法違反か違反でないかという、そういうものは十分に私は事務局で出ていると思うのです。そういう点を聞いているわけです。だから、あなたがここで、まだ決定段階でないし、重要な問題で、ここで答弁できないというのなら、これはまた一つの方法としてわかるのだけれども、運営について聞いているのです。実際運営はそうでしょう。私の言うとおりになっているんじゃないですか。
  25. 山田精一

    説明員山田精一君) 私ども役所は、現在日本では非常に数の少ない行政委員会でございまして、ほかの委員会とはかなり性格を異にします。したがいまして、事務局は、いわば委員会の手足になりまして、事実あるいは判断の材料を収集いたす役割りをになっておるものと考えております。したがいまして、事務局が集めました材料、これを委員会において聴取をいたしまして、合議をいたしました結果、あるいはこれでは資料が足りないから別の資料をさらに調査をするようにということを命ずることが往々にしてあるわけでございます。したがいまして、委員会といたしましては、まだ判断をする段階には至っておらない、かようなことでございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、じゃ、ちょっと参考のために、答弁してもらえるかどうかわかりませんけれども、以下幾つかお尋ねしたいと思いますが、まず、会社のほうで合併をしなければならないという大きな理由はどこにあるわけですか。
  27. 山田精一

    説明員山田精一君) まだ委員会で合議いたしまして問題点をしぼっておりませんので、その点は差し控えさせていただきたいと存ずるのでございます。会社側が一番強調いたしておるように従来聞いておりますのは、国際競争力を強調いたしておるように聞いております。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、非常に抽象的で、われわれ理解しにくいのですけれども、二回あなたのところに直接三社社長が打ちそろって来られたことですし、委員会の席上にも来ておられるんですから、実質的に委員会審議は始まっているわけですね、審査は。したがって、まず皆さんが、当事者が何のために合併さしてくれというのか、その理由、根拠がわからずして審議が進むんですか。それはちょっと私はおかしいと思いますよ。ですから、ここで、何かの秘密で、言っちゃいかぬとかなんとかという話があるなら、そう言ってくださいよ。私は、審査を進めるにあたって、そういう、まあ外国資本に相対応するような体質改善をやりたいということでしょうというような程度の……、国際競争に打ち勝つような、それはわかります。一つの理由でしょう。だけど、もっとひとつ、一体いま三社の経営はどうなのか……。われわれが聞くところによると、数億の負債をかかえている会社もあるとか聞いておりますよ。ですから、そういうあらゆる角度から検討を加え、もちろん目標は、実質的に競争を制限するかどうかという、まあ独禁法の十五条のところに皆さんはかかっていると思いますよ。かかっていると思いますけど、それを判定するためには、いろんな要素を、やっぱりファクターを取り出して検討してみなければ、そこに到達しないでしょう。だから私は、もっと会社のほうでは、幾つかの問題について、ぜひこういうために合併さしてほしい、したいんだという意思を委員長に伝えていると思うんですけどね。どうですか。
  29. 山田精一

    説明員山田精一君) 当事者側は、いろいろの理由をあげておるわけでございますが、私どもといたしましてこれをいかに評価するか、これは、ただいま御指摘のとおり、独禁法競争制限になるかならないかという見地から、いろいろな角度で十分に慎重に検討いたしたい、かように考えておりますが、ただいまその論点が、判断のポイントがどこになるかということは、まだ合議に入っておりませんので、申し上げることを差し控えさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、委員長も、立場上そう言わざるを得ないでしょう、いま審査の過程ですからね。われわれもまた、あなたのほうに何か圧力になるような発言を、ここでしてなんという気持ちは全然ありません。ただ私は、企業国民立場に立って、それこそ国家的な見地に立ってこの問題を考えていただかないと、企業サイドにだけ立たれたんじゃ、これは迷惑するのは消費者ですからね。また、ただ単に消費者だけのサイドに立っても、企業がつぶれたんじゃ、これは困るわけですから、そういう点はわれわれもよくわかっているんです。わかっている中で、一体どうしたら一番国民の利益を守れるかということは、やっぱり独禁法ですからね。その独禁法の精神をどう解釈するかはあなたの責任ですから、あなたが当然負いますよ。だから、われわれはその審判を冷静に待つと、そういうことなんです。  ただ、われわれがなぜこんなことを言うかというと、椎名通産大臣が、何か、もし公取がこの合併を認めなければ、独禁法の改正までやるんだというような発言をされているように聞いているんですよ。これは私はとんでもない思い違いだと思いますね。通産大臣こそ独禁法を守らなければならない立場にあるでしょう。かつて倉石さんがああいう発言をして、おやめになったんだが、それと私は同じような発言だと思うんですよ。だから、これはもうわれわれ黙視できない非常に重要な発言だと見ているんですよね。それは、この問題が決着をして、さらに広い角度から独禁法検討して修正していくというのなら、わかりますけど、いま、せっかくあなたが一生懸命に努力されているさなかに、少しおどかしに聞こえるような、そういう発言をすることはけしからぬことだと私は思っているんですよ。事もあろうに、総理大臣までが、あなたの仕事を非常に注目しているとかなんとかというような発言まで出てきたのでは、一体いまの政府はどっちを向いているんだと、経営サイドにだけ立って、一体この合併競争制限になるのかならないのか、そのことによって国民一体どうなるのか、ここまで考えてくれると思えないんですよ、われわれは。だから、私は、きょうどうしようかと思ったんですよ。どうしようかと思ったけれども、そういう意見があるから、この際公正取引委員会皆さんの勇気を鼓舞して、ひとつ厳正な立場に立って結論を出してもらいたいと、私はこういう願いを込めて、きょうは実はお忙しい中を来てもらったんですよ。ほんとうは、静かに見守るべきです。私は、ああいう意見がなければ、事態を静観したいと思っていたんです。これと鉄との関係もそうです。これは重要な関連があるわけですから。いま佐藤内閣は、おそらく経営サイドに立って強力な合併推進しようという立場にあることは間違いないと思いますよ。しかも、それがどうもかなり行き過ぎをしている。総理大臣発言にしてもそう思いますから、私はたいへん失礼ですけれども、それならばどうだということを聞こうとしておるわけですよ。  そこで、これは、紙にも同業他社がありますね、大昭和とか中越とかありますけれども、審査の過程でこういう方々をお呼びになっているのでございましょうか。そうして、そういう方々は合併に対してどういうような意見を持たれているのか、あるいははまた、消費者関係の団体もあると思いますけれども、要するに、消費者の立場に立って、こういう問題について一体公取としては意見を聞くような方法をとられているのかどうなのか、そういう点をひとつ伺いたい。
  31. 山田精一

    説明員山田精一君) ただいま御指摘の点は、現在まで私どもが事情を聴取いたしました個人及び事業者団体は総計四十六名ございます。新聞関係、あるいは出版印刷関係、それから紙の販売業者関係、それから、ただいま御指摘のございました競争会社関係、合計四十六ございます。そのほかに、電話によって事情を聴取いたしましたのはここの数字に載っておりません。それから、先方から意見書として書面を提出してまいりましたものが、そのほかに若干ございます。その辺の意見を十分よく聴取をいたして適正な判断をしたい、かように考えておるわけでございます。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 その方々がどういう意見を言っておるかということは教えてもらえないですか。
  33. 山田精一

    説明員山田精一君) これは、書面にいたしまして発表されました団体も若干ございましたけれども、多くは相対で聴取をいたしておりますので、だれがどういう意見を申し述べたかということは、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたい、かように存ずるわけでございます。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 私も、だれがどう言ったということじゃなくて、おおよそ意見というものはどうだかということも教えてもらえないですか。その程度でもだめですか。名前を出すのはたいへん失礼でしょうからね。
  35. 山田精一

    説明員山田精一君) その点は、ひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 空気だけでもだめですか。空気はどっちか。
  37. 山田精一

    説明員山田精一君) これは各種各様でございまして、中には、自分は絶対に反対であるけれども自分が反対だということは決して言わないでもらいたい、将来の取引の関係もあるから、という意見を述べる人もございますので、ひとつその点をよろしく御了承をいただきたいと思います。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、その三社の経営内容については御調査をなすっておるんでしょうか。これは決算は公表していますね。もしおわかりでしたら、配当、利益率ですね。配当はどの程度やっているか、その程度のことはわかりませんか。
  39. 山田精一

    説明員山田精一君) 私どもむろん調査をいたしておりまして、公表されております以上ある程度の調査をいたしておるわけでございますが、これはやはり当事者の営業上の機密にわたる関係もあるかと思われますので、当事者が申し上げるなら別でございますが、私の口から申し上げますと、これは真実を発見していきます上において今後障害となりますと困りますので、これもひとつごかんべんをいただきたいと思います。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。もう私はこれ以上は申し上げませんが、あとは、山田委員長以下、委員皆さん方の良識を信じて、公正な御裁断をくださるようにお願いしますけれども、ただ一つ参考に伺っておきたいのですけれども通産省あたりは、きょう大臣あとから来ますから、来てから聞こうと思うのですけれども、どうも企業サイドに、ややもすると足を踏み込んだようにとれるような言動があるわけですよ。そこへもってきて、一番監督の責任にある所管の大臣が、ああいう独禁法改正までほのめかすような意見を出される、それにまた総理大臣も追いかけたような意見を発表される、こうなりますと、さっき申し上げたように、非常にこれは問題ですよ。これは、私は参考のために——新聞等に載せられておる、「公取委への〃圧力〃に批判」という大学の経済学者の先生方意見も載っているのを拝見しましたけれども、全部が異口同音に、合併そのものを認めている方でも、椎名さんの発言というものはけしからぬ、総理の発言というものははしからぬということを一斉に批判していますね。あなたは、一生懸命いま公正な審判を下そうとして努力されておるさなかにこういう発言を聞いたときに、どう感じましたか。しっかりやろうと思いましたか。おれをばかにしていると思いますか。どうですか。
  41. 山田精一

    説明員山田精一君) さような御発言があったとは私考えておりません。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 それはあなたの認識の相違なんですよ。日本の朝日新聞なり読売新聞なり一流の新聞が書いたことだから、これは間違いないですよ。これ見てごらんなさい。勉強しなきゃ、うそですよ。しらばくれたことをおっしゃってもだめです。これは大事なことですよ。これは質問に答えたらしいのだけれども、要するに、「公取委が結論を出すには、まだしばらく時間はかかろうが、かりに否認することになれば、この問題はさらに発展することになろう」、発展とは何だという、とを聞いたら、独禁法の改正も含まれていると言うのです。間違いないです。もしあなたが読まなかったとしても、こういう事実があったんだ。総理大臣は経済関係閣僚懇談会のときに言ったんですよ。そういう発言を聞いたらどうなりますか。
  43. 山田精一

    説明員山田精一君) 新聞にさような記事が載りましたことは私承知いたしております。ただ、その辺のいろいろことばのニュアンスもあることでございまして、私直接伺いましたわけではございませんので、そのとおりの御発言があったとは信じたくないわけでございます。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 それは私も、間接的に言っておりますから、椎名さんが言ったことをいま録音を持っているわけじゃありませんよ。しかし、およそ記者の皆さんが書いた記事ですから、これはわれわれが間違いないと信頼するのがあたりまえですよね。その上に立って聞いているわけだから、全然感じないですか。こういうふうなことを言われても、あなたは全然感じないんですか。見たというのでしょう、これ。
  45. 山田精一

    説明員山田精一君) 私どもは私ども立場でもって、国家的な立場から公正な判断をいたしていきたい、かように覚悟いたしておるわけでございます。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 覚悟はわかったけれども、直接こういうふうな新聞やなにかにずっと書かれて、しかも、きのうの朝日の「天声人語」見たでしょう。いまや世論は、あの発言についてはけしからぬ、こういう発言はいまの段階で不謹慎だ、取り消すべきだというぐあいに、やはり世論というものはあの発言に対して反発していますよね。その当事者の、嵐の中にあるあなたが、何と言われても、そんなことは知らぬ、公正にやりますと、そういうことだけでいいですか。人間であれば、何を言っているんだ、わしがいま一生懸命にやっているのに、おどしをかけるようなことを言うのはけしからぬ、いわゆる準司法的な立場に立って第三者の独立機関として認められている公取委に行政府が何を言うか、冒涜じゃないかと——あなただけでなくて、あなたの下にいるスタッフの全体の士気に影響しますよ。もっと委員長は、き然たる態度で、こういうことは絶対困る、われわれを信頼してくれという程度の談話くらいを発表してしかるべきだと思うのですよ。しかし、あなたがやらぬと言うのを、私が幾らここで言ってもしょうがない、水掛け論になりますけれども、少し腰が弱いですよ。私は、もう少し、こういう発言を聞いたら、委員長たる者、憤然とこれ、やはり席を立ってうちへ帰るくらいの決意がなければだめですよ。これは、委員長という立場は大事ですから、そう簡単には捨てられないだろうけれども、部下のために、こんなことを言われたら、そのくらいの気持ちはぼくは腹の中に持っていると思うのだけれども、あなたは気がねしているのだよ、椎名さんや佐藤さんに。そこへ鈴木のやつが委員会質問して、そう答えたとなると困るから、遠慮しているのでしょう。よくわかっているんです、そんなことは。だけど、もう少し、き然たる態度でやってくださいよ。あんなことを言われて引っ込んでいるようではだめですよ。私は公取の空気も知っておりますけれども、全職員の士気に関係しますよ、そんなことを言われたのじゃ。だから私はここへ来て、執念深いようですけれども、言っているんですよ。まだだめですか。
  47. 山田精一

    説明員山田精一君) 御激励のおことばをいただきまして、ありがたく拝聴いたしました。
  48. 木村美智男

    木村美智男君 関連して。  せっかく公取委員長いらっしゃっておりますから、ほかの問題もあるのですけれども、大型合併の関係だけ触れておきたいと思うのですが、公正取引委員会がとにかく厳正慎重にこの問題を扱うという委員長の前国会の答弁を私は信頼をして、そういう意味で、あまり公取委員長に注文がましいことを言う気持ちはいまは持っておらないので、もっぱら推移を見守っているわけですが、最近盛んに……。この前企画庁長官といろいろやり合いまして、企画庁長官はだいぶ慎重に最近なられておりますが、通産省は、もうとにかく、いまや、何といいますか、全然業界べったりですね。これはもう非常識きわまると言っていいくらいで、合併については通産省の態度はけしからんので、あと大臣見えるそうですから、その点はよく伺いたいと思うのですが、山田委員長にちょっと伺いたいのは、最近、合併の禁止問題で、ガイドラインについてアメリカの独占委員会はシェア二五%というのを出しましたね。イギリスでは、御承知のように、三大銀行の合併が、これは預金のシェア四〇%ですけれども、一応独占委員会によって否認されたけれども、こういう海外の顕著な動きというものが一つ出てきておる。そこで私は、国内で大型合併をしなければ要するに国際化に対応できないといういまの業界の言い分というものを、これはやはり相当具体的に突っ込んで分析してみる必要があるのではないか。特に日本の企業なんかも、ソニーのような、海外にどんどん進出しているところ、あれは一体、普通ならば大型合併といわれるような企業であるのかどうかという一つの例がここにも見られるわけです。そういう意味でいえば、産業再編成と大型合併という問題について、これはほんとうは私、通産省の熊谷次官、椎名通産大臣にもお聞きしたいのですが、この際、独占禁止法立場に立つ公正取引委員長として、産業再編成というのは一体日本の場合にはどういうところに基本を置いて進めるのがいいのだろうかということについて、独占禁止政策とも関連をして実は公取委員長意見を御参考までに聞きたい。質問の焦点が通産省なものだから、どうもあなたにこう、ぴんと来る質問にならぬかもしらぬですが、私はやっぱり、このいまの産業再編成というやつは、大手がやはり併存をする競争的な寡占体制のもとで、そしてやはり自由競争というものがそこにあるということは、日本における企業合併産業再編成問題については、きわめて大事なことなんです。それを抜きにしてしまうと、通産省のような態度をとっていくと……。
  49. 大森久司

    委員長大森久司君) ちょっと木村委員に……せっかく発言中ですが、大臣の時間に制限がありますので、続いて通産大臣が見えましたから、公取委員長への御質問あとにしていただいて、大臣に対する質疑を先にやっていただきたい。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 それじゃ、いまの点だけ。  どうも途中で腰を折られてしまったんだが、大手併存ということイコール競争的寡占体制というようなことでいかないと、消費者というものの立場は、全然これは無視されていく結果がやはり出てくる。そういう意味で、管理価格の発生ももちろんだし、価格の硬直性ももちろんですが、そういう弊害の問題はいまここで議論をしようとは思いませんが、基本的に、公正取引委員会が、独占禁止法運用の立場から、日本の産業再編成、独占禁止政策としては、一体この大型化という問題、再編成問題をどう考えているのかということだけ、これ一つだけお伺いをしてみたいと思うのです。
  51. 山田精一

    説明員山田精一君) 産業再編成をいかにいたすべきかということにつきましては、これは通産省の御所管のことでございますので、私は門外漢としてこれにとやかく意見を申し上げることは差し控えたいと存じます。ただ、先般産構審の答申にもございましたように、やはりそれは独占禁止政策というものと十分両立し得るように考えていかなければならない、かような線がはっきりと出ておったように考えております。私ども役所といたしましては、独禁政策の見地からこれを考えてまいって、必ずこれは両立し得るもの、かように考えております。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 宮澤長官が見えましたから……。  いま、旧王子製紙の三社の合併問題で公取委員長に伺っておったのですが、六日の日に三社の社長があなたのところを訪問されていると思います。これについて、ひとつ合併促進に協力してくれとおっしゃったかどうかわかりませんが、どういう趣旨の要請があなたになされたか、あなたとしては経済企画庁という立場に立って、いま公取で審査をしております王子三社の合併についてはどういうお考え方を持っておるか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  53. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 王子関係三社の社長が来訪されまして、短時間ではありましたけれども、三社の合併について公正取引委員会判断を求めている、こういうお話でありまして、説明されましたところの主たる部分は、いろいろ、国際競争、輸入等々も勘案すると、三社が合併しても独禁法の違反になるような心配はないものと思う、こういう趣旨お話でございました。で、私自身は、実はこの問題につきましてほとんど知識がございませんし、研究もいたしておりません。現在でも実はあまりいたしておらないのでございますが、そこで、私としてはお話を承り置いたということでございます。したがって、ただいまこの問題についてどういう所感かとお尋ねがございましても、十分お答えできるだけの知識を私としては持っておりません。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 まあしかし、少し無責任のように思います、私は。やっぱり経済企画庁長官として一つの見識を持ってほしいと思いますね。あなたにたよれると思ったから行ったのでしょう、本人たちは。そういう政治的な配慮からだったかもしれませんが、いままでぼくらが仄聞するところによると、経済企画庁自体はかなり慎重論をおとりになっているように聞いておったんですけれども、全然これは門外漢で、私のところは知らぬという、そういうことですか。そういうふうにとれるのですがね。
  55. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そのときも実は申し上げたのでございますけれども、抽象的に、いわゆる大型合併というものが独禁法の違反であるかないかというようなことは言えないわけでありまして、合併をかりにした結果どうなるかというようなことは、個々のケースによって違うわけでございます。鉄の場合、私は、合併が行なわれても独禁法にさわることはないし、わが国経済全体に好ましくない影響を与えることはないという、これは具体的な判断を私自身がいたしておりますけれども、王子の場合に、私はそれだけの検討も実はしたことがないわけでございます。で、会談の際に申し上げましたが、大局的にこれが日本の経済全体に将来にわたっていいのか悪いのかという議論もさることながら、私の承知しておるところでは、公正取引委員長は公正取引に関する法律を忠実に施行されるという、そういう任務を持っておられる。また、それ以上でも、それ以下でもないというお立場でございましょうから、それを離れて抽象論をいかにやってみても、これは、公正取引委員長のお立場からはあまり大した意味のないものであって、やはり具体的な法律に基づいて具体的なケースについて議論をなさるよりほかないのではありませんかと、こういうことだけを申し上げておきました。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 鉄のほうは、一つのあなたの見識というか、見解というものを明らかにされている。これもよくわかっていますが、まあ非常に慎重のようですから、わかりました。これはまあ公取判断待ちというようにも受け取れるので、積極的にあなたが合併に賛成するという意見もないし、反対するということも、ちょっとこう、うかがえないわけですね。ですから、その点はわかりました。  それから、時間が、どうもきょうは中途はんぱになりまして困るのですけれども、通産大臣に……。  あなたの御出席前に、旧王子系三社の、製紙会社合併問題について、公取のほうによく意見を伺っておったのです、いままでの経過を。わかりました、それで。ただ、あなたに伺いたいのは、三日の日に記者会見なさいましたね。いまも公取委員長に私は見てもらったのですけれども公取委員長もごらんになっているようですが、記者会見の中で、大型合併は国益上の問題であり、これが否認された場合は、教唆するわけではないが、業界が高裁に提訴することも考えられる——これはまあ当然法律的にはできることですから、それはいいのです。しかし、あなたのほうで教唆するというのはいけませんよ。だけど、それは法律に基づいてやることはいいと思う。  その次がちょっと問題なんです。また、独禁法の改正の問題については直接は言いませんでしたけれども、記者の質問に答えて、独禁法の改正にまで発展する、要するに、もし認めなければ事態はもっと発展すると、こう言ったわけだな。発展ということはどういうことかと聞いたら、それは独禁法の改正も入っているのだと、こういうふうに答えたと書いてあるわけですね。ですから、これは私は、まあ新聞を信頼するから、そのままここであなたに伺おうと思うんですが、もし誤りであれば、また正してもらいたいと思います、私は直接そこにおりませんから、これは一流の新聞ですから、間違いないということを私は確信して申しておるわけです。こういう発言をなされたというふうに書いてある。これはきわめて重大ですよ。いまも申し上げたんですが、いま宮澤さんもおっしゃるように、これはどうなるかちょっと判断に苦しむと、何とも言えぬと、公取がせっかく審査をしているんだからという意見、これは第三者的に聞こえるけれども、一応まあ立場上そういうことを言うのは私は間違ってないと思うんですよ。宮澤さんの意見にしてもね、これはわかる。ところが、あなたの場合には、全く企業サイドに立ってしまって、何が何でも合併をしなきゃいかぬ。これが国益上——この国益上というのは一体何なのか。あるいは企業サイドのための合併なのか。合併することによって、独禁法十五条のいわゆる競争制限になり、そのことが、価格がここで下がるものが下がらない、逆につり上げていくというような結果になって、管理価格的なものも出てくるでしょうし、そして物価が下がらないで、そのためにばかを見るのは国民ですよ。だから、そこを守るために独禁法というものがあるわけですから、その精神を体して通産大臣としてもやらすというのが私は筋だと思うんですよ。そうだと思います。ところが、どうも、いま一番大事な段階で、公取がせっかく慎重に審議をしているときに、何かしら、公取に圧力を加えるがごとき発言にとれるわけですよ。あなたは新聞をずっと読んでおられるでしょう。これは九月七日の朝日だと思いますがね、「通産省のおどしは憲法違反」、これは内田忠夫さん、東大教授。それから、「公取委の独立性をおかすな」というので、野田一夫先生が、立教大のね、書いておる。それから「独禁法改正の必要なし」、これは力石定一先生、法政大学教授。これは、にわかには合併に対してそんなに反対をしないという立場をとりつつも、あなたの発言については、これは非常にけしからぬ発言だというふうに、すべて論評していますよ。きのうの「天声人語」を見ましても、全く、ずばり、ぼくらの言いたい、国民のずばり言いたいことを書いてくれている。これは少し事の次第を取り違えたのじゃないですか。あなたが、この事件が決着をされて、いろいろと討議を戦わした結果、悪い点があったら直すという、そういう御判断を持つことは、これは私たちも当然だと思いますけれども、タイミングが悪いです。いませっかく審査をしている段階で、独禁法改正まで、認めなければやるんだというようなことき発言をされたということは、これは重大問題で、われわれとしては断じてこれを認めるわけにはいかない。無視するわけにはいかぬということで、実は忙しいところをあなたに来てもらったのです。ですから、真相、真偽をまず伺わないと、私が一方的に独断的にきめつけた発言しても失礼ですから、一応私は新聞を根拠にしていまの質問をしておりますので、大臣の所見を承りたい。
  57. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) どうも私は少し舌足らずの傾向があるので、ときどきとんでもないことを書かれるんですが、これは記者会見のときに速記をとっておったそうです。まあ、しきりに、公取がノーと言った場合どうするんだと、こういう質問をするんですね。しきりにやってくる。それで、とにかく事後に……。それを判定して、いろいろそれに対して判断を加えるという立場公取であって、まだそれがきまっておらぬのだからと言っても、何か聞きただそうとする。いずれにしても、かりにノーという判決があった場合には、そのままでストップするよりも、あるいは相当の発展があるかもしらぬ、発展とは何だと、こういうようなわけだったんです。で、それは独禁法の改正でも考えているのか、こう言うわけです。それからまあ、改正をしてくれというような会社側の動きがあるのかないのかというような問題になってきて、そういうことも事後の発展ということになるかもしらぬが、私はそういうことは重大な問題で、仮定の上でそういうことを言うことはできない、こう言ったのです。それで、だめになった場合、独禁法の改正を考えるということになるかという質問に対して、さあそこまではねえ、それも一つの発展の方法ではあろうが、しかし、あまり仮定を置いて論議するのはよくない、こういう答えをしております。それから、政府部内で独禁法の改正が問題になるかとの質問については、それは私は聞いていない——そういうふうにやっているのですね。これがとんでもなく屈曲して、そうして独禁法の改正でこれに立ち向かうのだというようなことを私がもし話したとしたら、これは通産大臣は落第です。そんなばかなことを私が答えるようになったら、自分で引っ込みますがね。そういうわけなんです。でありますから、どうぞその点をひとつ御了解願いたい。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 経過はわかりました。そこで、大臣が非常に信念を持って、それは笑いごとでなく、私はそんなことを言ったらあしたからやめる、みずからやめる、これはりっぱだと思います。だから、いまあなたの読まれたものを貸してください、ぼくも念のためにもう一回読んでみますから。  それはそれとして、いまこれの委員会が正式に開かれて、物価との関係で国民は非常に関心を持っている。しかも、新聞の報道によると、あなたは袋だたきになっているわけですね。事実そうだとすれば私はやめると言われているわけですから、だからひとつ、王子系三社の合併について、通産大臣としての所見をこの委員会を通じて国民に明らかにしてほしい。そういう意味で通産大臣としての考え方をはっきりここで聞かしてもらいたい。
  59. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 御承知のとおり、紙パルプの用途というものは非常に広がってきております。そうして、需要はどんどん伸びつつある。ところが、御承知のとおり、去る第二次大戦において樺太の森林資源というものが全然手から離れる。それから北海道の森林資源も昔のような状態ではない。だんだん枯渇していくという状況にある。片方においては、いま申し上げたように需要がどんどん増大する。それからそれに対する木材資源というものはだんだん減少していくという状況にありまして、もはや日本のパルプ企業というものは、海外の資源というものに大きく依存しなければお先まっ暗だというような状況にある。そういうわけでございまして、資源的にも非常に窮屈な状況にありまして、カナダその他の大資源というものを手に入れて、そうして安定した操業をやって、将来の需要にこたえていくだけの準備をしなければならぬという状況にあることは、私が申し上げるまでもないことでございます。それで、王子系会社でも非常に努力をして、ようやくカナダの森林資源というものに取りついているというような状況にございまして、今後こういう方向で相当に苦難の道を歩んでいかなければならぬという状況にあると私は思いますが、そういう海外の大資源を掌握していくというようなことは、相当大会社ではございますけれども、なかなか独力でそれをやっていけるかどうかという、これはしろうとから言って、失敬な批判かもしれませんけれども、なかなかたいへんな仕事じゃないかと思います。それで、もしもこのままで推移すれば、海外の十分な資源というものを背景にして、そして国際的に大きな歩みをしている企業がもし日本に上陸をするということになれば、これは西独の例を引くまでもなく、私はかなり相当な状況の変化がすぐあらわれてくる、こういうふうにも考えられますので、そういうことを考えると、いまはまことに穏やかで、何のさわりも支障もないように見えますけれども、そういうことがすぐ次の段階に待ち受けているというようなふうに私は考えますので、こういうことを考えるというと、自由化というものを前にして、日本の紙パルプの事業というものはもう少し力をつけて、そして国内の需要の情勢に対処するということが今日の急務ではないか、こういうふうに考えまして、私は、紙パルプについての大型合併は、いま非常に穏やかなような状況であるけれども、もう台風が南のほうの海上に近づいているというような、たとえは適当でないかもしらぬけれども、そういうように考えられますので、私はこれはやるべきである。そして国内の市場のシェアを何か非常に独占するような形が非常に危険であるとすれば、それはその防止策を十分にとって、十分に監視していけばいいのではないか。むしろ、大型合併を実行しようという企業の気持ちに立ち入れば、そういうことは非常にこわいのではないか。企業というものは、いろいろな政策上、困っても困らぬような顔をするものなんですが、そういったような情勢というものにいま非常に敏感に感じて、こういうことをやろうということになったことは、ほぼ、聞かぬでもわかるような気がいたします。そういう点で、私は、紙パルプの大型合併も、今日の情勢に処して適当な方向ではないか、かように考えておる次第でございます。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 これはちょっと時間的な点で、私は他の委員の方々に御迷惑をかけることを憂えているのですが、大臣は何時まで、十二時までで帰るのですか。それでは困るんです。三大臣ともどうですか。委員長、そうしないと質疑のやり方に困るのですがね。ちょっと聞いてください。
  61. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 私は十二時までに……。
  62. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記をとめて。   〔速記中止
  63. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記を起こして。  運輸大臣は帰っていただいてよろしゅうございます。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 いまの通産大臣の御意見、承りました。言われることもわかります。だけれども、どうも企業サイドに立ってものを考えているようにしかとれないんですよ。あなたが最後に触れられた、それでは合併によって競争制限が具体的な事実問題として出てきた場合にどうするかということについて、それはそれなりの何か対策を立てればいいんだと、こうおっしゃるわけですね。そんなの、ありますか、いい対策が。いま宮澤さんが非常に困っているビールだってそうですよ。便乗値上げについて、あれだけわれわれが予算委員会のときに歯どめをして、努力してくれましたけれども、結果的にはどうにもならなくて、上がっちゃったじゃないですか。それとこれと比較するのはあまり比較にならぬかもしらぬけれども、そういう具体的なものがあるものですから、われわれはそういう点をやはり心配する。国益というものは、ただ単に企業だけの国益ではない。日本国民全体を含め、業者を含めた国益というものでないと困るのですから——大臣、もちろんそういう立場に立っておられると思いますけれども、だから、パルプ材の不足によって自由化に備えていくという、これはわかりますよ。わかりますけれども、それと同時に、一方そのことによって国民は不利益を受けないかどうかという、そこに悩みがあるわけですね、問題が。だからこそ、公正取引委員会もその点に対する判断をしている段階でしょう。それにまかすというのが筋でしょう。その点は何か妙案があるんですか。あなたが責任をもって、合併をした場合にシェアが三〇%が六〇%になるか、そういう歯どめになっていく妙薬がありますか。もしあれば、ここで発表してもらえれば国民の心配というものは消えると思います。私はないと思う、そんなものは。特に紙業界というのは、これが合併するとたいへんなマンモス企業ですよ。これに太刀打ちできる企業はないですよ。大企業にしても中企業にしても。だから、そういう点を十分に考えて、国民側立場ですね、そこに問題があるように思う。だから、それも舌足らずというか、ああいう発言になってあらわれてくるのはゆえなきにあらず、そういうふうに私は思いますから、その辺をもう一ぺん伺いたい。
  65. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) まあ、日本の紙パルプというものが非常な混乱におちいったような場合を考えてみると、いろいろ問題が派生する業界というのが相当にあると思います。その紙パルプというものの大会社につながるいろいろな操業的な方面、あるいは、何といいますか、機械のアッセンブルも違いますから、下請けというようなことは相当これは考えなくてもいい問題だと思いますけれども、その国内の大企業につながるもろもろの企業というものは、まあ同じような運命になっていくということでございます。それからまた、紙の需要も、これはまあ新聞社が非常に大きな消費者、需要家でありますから、そういう方面の意見も、まあそれとなく聞いておりますが、とにかく王子三社の合併については大体了承しておるようであります。外国の企業が来て、外国流に市場を支配するというようなことになりますと、これはまあ一々申し上げぬでも、なかなか国民の世論とか気持ちとかいうものは、そう敏感に向こ、うが聞いてくれるものでもない。かなり冷酷な状態が行なわれるということを覚悟しなければならない。まあ、そんなこんなを考えますと、それがまた他の産業に与えるいろんな影響、効果、あるいはそういったようなことを考えると、やっぱり重大な日本の国益の問題であるということは、これは言えると思います。ただ会社の側に立って、その役員が考えるようなことを考えて私はものを言っているわけじゃない。そういう点を広く考えまして、やはり日本が海外のそういう競争に耐えられて、そして日本人としてこれに立ち向かっていくというふうな姿がだんだんこわれていくということは、私はちょっと簡単には許せない問題ではないか、こう考えております。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろ聞いてみても、やっぱり納得できないですね、大臣のおっしゃることは。それじゃ具体的にひとつ伺ってみましょう。  たとえば、海外のパルプ材の確保なんかについたって、必ずしも、合併しなければそれが確保できないということでもないと思います。これは、過去においたって、むしろ三社以外の会社が積極的にそういう方途、道を開いたことも事実としてあるわけです。だから私は、共同投資とか共同出資というような形でこの問題を扱うことができるのだから、あなたがそうおそれているようなことがはたして来るかどうかということについても、まだこれは論議が大いにあると私は思います。それから外資の点についても非常に心配されているのですけれども、それは外資が日本にどういうふうに入ってくるかといったって、率直に言って、まだ雲をつかむみたいなものでしょう。だからこそ、そういうことが言われてみても、具体性がないのです。もしこの三社が合併したらたいへんなことになる。管理価格も出てくるだろうし、合理化して当然下がらなければならぬ、技術革新をして下がらなければならぬ価格だって下がらないかもしらぬ。そういう心配を持つのは当然ですよ。それは商売ですから、がめついですから、もうけ主義でいくでしょう。合理化をどんどん進めていくでしょう。それによって当然コストダウンする。それをやらないでいくということだってできますよ。  で、そういう心配があるから、われわれは、この問題については、そういう立場に立って考えた場合に、慎重にやらなければならない。それは、競争になるかならないかという独禁法の解釈上の問題があるのですが、通産省立場は、おそらく合併を促進しようという立場にあることはわかります。だから、そこで、私はこの点については、あなたとここでやってみても並行論だと思いますから、これは第三者の公取判断を待つことにいたしましょう。要するに、そういう立場で、公取のする法律に対する解釈——それは、皆さんのほうでも、すでに、産業構造改善推進に関する独占禁止法の運用について、あなたのほうと公取委員長の間で、いろいろこういう合併の問題が出たときにどうしようかということについて相談して、そうして合併するにはこれこれこういう問題について調査研究して協力し合っていこうじゃないかと、事前にそういうことを約束しているわけですから、そこまで話が行っているんだから、厳正中立の公取のほうの筋を守っていくという、これが正しいあなたのいまの立場ではないか。その点はどうですか。  これで私はいいです。
  67. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 最後の、合併に対する判断は、全くそれはおっしゃるとおり、公取意見によってきまるわけで、そしてそれに不服な場合は、会社側は第二審にこれを持ち込むということが許されております。でありますから、われわれとしては、産業政策の立場からこういうことが望ましいということだけは言わざるを得ない、そして公取のこれに対する公正な判断というものを待つ、こういうわけでございます。
  68. 大森久司

    委員長大森久司君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  69. 大森久司

    委員長大森久司君) 速記を始めて。  阿部君。
  70. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 企画庁長官にちょっとお伺いいたします。もう時間がございませんそうですから、ごく簡単にお答え願いたいと思います。  去る四日に、私は長官あての米価の値上げ反対についての申し入れ書を持って行って企画庁の官房長にお渡しし、これを長官に見せていただきたい、こう申し上げたわけでございますが、それはごらんいただいたと思いますが、それについて簡単にひとつ御返事願いたいと思います。
  71. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) お申し入れの書面は確かに拝見いたしました。私ども、いろいろな経緯から生産者米価五・九%引き上げということを決定いたしまして、その後に消費者米価をいかにすべきかという問題に当面したわけでございます。片方で、家計米価の上昇の一定の限度というものが、法律に定められておりますとおり、ございますし、他方で、私どもといたしましては、本年度は補正予算を組まない、総合予算を文字どおり実行いたしたい、また他方で、現在の制度では、売り渡し申し込みのありました米は政府が全量買わなければならないというたてまえでございますから、予算で見込んでおりました八百万トン余りの売り渡し量をこえて、九百万トン、あるいは一千万トンに近い売り渡しがありそうな現状にかんがみますと、それだけの財源措置もしておかなければならない。それらのことをいろいろ考えておりまして、消費者にはたいへん申しわけのないことではありますけれども、明年度からこの制度もいろいろ改まるという、少なくとも政府与党といたしましては、そういう考え方をほぼ固めつつございますので、そういうことを背景にして、今回程度の消費者米価の上昇をひとつ認めてもらいたい、なお、その間、いわゆる昭和四十二年産米と、新しくとれます四十三年産米との間に、価格上の格差をつけることができればなおけっこうなわけでございますけれども、事実問題として、四十二年産米はまだ品いたみが来ておるわけでもございませんから、配給面で消費者が両者を見分けるということが実際上むずかしいであろう、こういうことも考えまして、一応いまの段階としては、十月から両方同じ率の値上げを行なう、しかし、明年になりますと、おそらく四十二年産米については、多少の福精度、精白度を上げなければ品質の確保ができないと思われますから、その点が第一点、さらに、四十三年——もう少し時間がたちますと、それでもなお四十二年産米はいわゆる古米になりますので、その品質等で、さらに搗精度を上げただけで価格が従来と同じでいいかどうかという問題もあるいは出てくるのではないか、そのときには、搗精度の問題と価格の問題とを両方もう一ぺん検討しなければならないことになるかもしれない、そのような含みを残しまして、本日、消費者米価につきましての閣議決定をいたしたわけでございます。この点は、お申し入れの御趣旨と合致いたしません。十分御趣旨を尊重できなかったことを残念に思いますが、事情はそのような事情でございます。
  72. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの御答弁はわかりましたが、私も、総括的に言いまして、やはりこの米価の問題、ひいてはこれは物価の大きな問題になりますけれども、これについて、長官はもっとひとつ真剣に考えていただきたいと思います。  ちょっと時間がありませんもので、簡単に申し上げますが、実は私のところへ、数日前、十日以上前でございますが、世田谷に住みまする七十八歳になる老人から手紙が参りました。自分は非常に足が悪いので来られない、だから手紙でお許しを願いたいという前置きでございました。要旨は何かと言いますと、自分はいまもう人生の終点にある。自分のいまの楽しみとしては、テレビを見ることと晩酌をやることである。ところが、その晩酌はもうすでに自分の生活上続けられなくなっている。この五月の値上げを機会に決心をしてやめたが、しかし、酒をやめたので非常にさびしいけれども、これは命に別条はない。しかし、お米だけは上げてもらっては困る。政府はまた今度何か上げるように新聞に出ているけれども、これだけはぜひ阻止してほしいと、こういう、非常に人生の、何といいますか、終点に近づいた人からの真剣な訴えと聞きまして、私自身としては答えるすべもないような状態でございますが、時間があれば長官からその答えをひとつしていただきたいと思いますが、そういう実情にあることでございます。結局、この米価の値上げ自体が、一般大衆、ことに所得の少ない人たち等に非常に大きな影響を与え、まあ一カ月二百五十円かなにかのはね返りになるとか言っておりますけれども、この一人二百五十円のはね返りを非常に大きく感ずる国民が非常に多数あるということを常に念頭に置かれまして、ひとつ一段の御努力を願いたいと思います。  なお、これにつきましては、また機会がございましたら続けて御質問申し上げたいと思います。本日はこれで終わります。ありがとうございました。
  73. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 徳用米、徳用上米等も設けておりまするし、これらは据え置かれておりますけれども、しかし、やはり国民感情として、自分だけがそういう米の配給を受けるということは、なかなか、あるいはいさぎよしとしないという気持ちを持たれる方も当然あると思います。それで、私ども、少なくとも私といたしましては、米管理をめぐる長い間のこの制度をいろいろな繩縛から解き放すことができれば、いまのような問題が非常にかど立たずに解決できるのではないかというようなことも実は考えておりますが、これらは明年度に残されました宿題でございます。阿部委員の御発言も十分考えながら、今後いかにすべきか、真剣に検討政府としていたすつもりでございます。
  74. 大森久司

    委員長大森久司君) 竹田君。
  75. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ちょっと一言企画庁長官にお尋ねしたいと思うのですが、ここ非常に物価が次から次へ上がってきて、きょうの毎日新聞を見ますと、物価値上げの政府主導型の台風が日本の南の海岸に押し寄せているというような表現で出ているのですが、経済企画庁としては、これは当然物価の問題を所管されて、物価を押えていくというお立場にあるだろうと思うのですが、しかし、きのうのサッポロビールですか、ビールの三円値上げについては、どうも政府間で意見が違っているように思うわけです。たとえば、国税庁のほうは、もうすでに、前の七円の税金の値上げのときにはちょっとぐあいが悪いから、これはある程度先にいって上げることを認めよう、認めてもいいというような発言をされている。企画庁の長官は、三円なんて上げる必要はないのだ、こういうような政府の各省の間の意見の不一致、そういう虚をやはり突かれまして物価の値上げというものが起きているように思うのですが、企画庁長官として、こうした、もう連続して上がってくるところの値上げに対して、閣内を統一して一定の物価を押えるという方針を私は出すべきだと思うのですが、この点について企画庁長官としてはどのようにお考えになっておられるか、あるいは、企画庁長官の物価を下げようとするところのその根本的な所信ですね、これをこの際お聞きをしておきたいと思います。
  76. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 物価を人為的に押えるということは、おそらく長期的には無理なことでありますので、物価が上がる原因というものを基本的にどうやって除去していくかということが正道の対策であるというふうに考えております。それで、それは幾つかございます。申し上げるまでもなく、御存じのことでございますけれども一つは、やはり私企業につきましては自由競争原理を十分に導入をする。それのさわりになるものはなるべく切り捨てていくということであろうと思います。それからもう一つ、それでも生産性の上がりにくい私企業が幾つかございます。中小企業、サービス業、あるいは農業等でございますが、これにつきましては、やはり生産性向上ができるような資本装備率の上昇と申しますか、そういう基本的な構造対策を国も応援をしながら講じていく、こういうことになると思います。それから、私企業でない、やや公的な企業、あるいは独占的な企業につきましては徹底的に合理化を進めていく、それによって冗費の節約をはかる、これらのことが私は基本的な方策であろうというふうに考えます。
  77. 大森久司

    委員長大森久司君) ちょっと申し上げますが、長官は実はもう十八分ほど延ばしてもらっておるのですが……。
  78. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もうちょっとだけ。
  79. 大森久司

    委員長大森久司君) じゃ、簡単に願います。
  80. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いまの長官のお答えというのは、具体的な物価を上げていかないという経済政策についておっしゃられたと思うのですが、私は、むしろいまの政府の態度自体に問題があるのじゃないか、たとえば、国税庁とあなたと意見が違うとか、あるいは米価の問題についても結局意見が違う、あるいは独占禁止法に対する態度にしても、先ほどからいろいろ意見が出ているように、違ってくる、こういうものは、物価を押えていくのじゃなくて、むしろ便乗値上げをやっていくようなすきを与えているのじゃないか、そういう点で、政府の態度というものも、もう少し統一的な見解を持ってもらわにゃ困ると、これが国民の気持ちだろうと思うのです。その点についてお聞きをしているわけです。
  81. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 経済が高度成長を続けておりますから、勢い、国内では需要が供給をやや越えぎみと申しますか、需要の強い経済でございますし、また、社会的に変化をしてまいりますから、それに供給・需要両面が対応できないということもあると思います。それから、賃金水準が年とともに上昇してきた。これらのことが、すべて、どちらかといえば物価を上昇させる要素であると思いますので、そのことを私は基本的には認めてかからないといけないと思います。ただ、急な物価上昇ということは国民生活にいろいろな不安を与えますので、それを最小限度に食いとめていく方法いかんということになると考えるのであります。  で、各省の間に、確かに、いろいろ施策の重点の置き方がございますので、いま御指摘のような傾向が従来なかったわけではございませんが、このごろは、国会で消費者保護基本法などの御制定もございまして、だいぶ行政をする人々の頭も変わってまいりました。生産の面もさることながら、消費というものも、消費者の立場も考えなければならない。一ころに比べますと、だいぶそういう姿勢の変化が出てきております。私としては、この物価の問題は、経済企画庁がしょい込むという姿勢は、結果としてはいい姿勢ではない。やはり各省が行政をするときに消費者の立場を一緒に考えてもらう、そういうことが有効な施策であるというふうに考えまして、そういうふうにできるだけお願いもし、また誘導もして今日に及んでおるつもりであります。御指摘のようなことは、まだまだ時として見られることでありまして、行政をする人々の姿勢を、徹底して消費者のことも考えてもらうというように、関係閣僚からも、ときどき指示をしてもらっておるような次第でございます。
  82. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 さらにいろいろお聞きをしたいことがありますが、長官のほうの都合もあるようですから、また次の機会にしたいと思います。
  83. 大森久司

    委員長大森久司君) それでは、企画庁長官は帰っていただきます。
  84. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 引き続き、公取委員長にちょっとお聞きしたいのですが、山田委員長さん、たいへんいま、あちこちでえらいパンチを食わされながら、その中で孤軍奮闘されている点については、私はほんとうに敬意を表したいと思います。  そこで、公取委員長さんにお聞きしたい点は、具体的に、王子とか八幡・富士の具体的な事例というものは、おそらくここでなかなかお話しできにくいことでしょうし、まあ審査に非常に関係もするであろうと思いますから、私、そういう面でかしに、今度の佐藤首相をはじめとして、椎名通産大臣、あるいは宮澤企画庁長官のいろいろ新聞発表になっている点を見ますと、この独占禁止法について国際市場との関連においてものをおっしゃっているように思うわけです。先ほども意見の中に、国際競争力云々というようなことばがあったと思うのですが、一体独占禁止法というのは国際競争場裏まで含めてものを考えるようにできているのか、むしろ国内の市場関係だけにおいてものを考えてやっていくのが適切であるのか、この点についての委員長からのひとつ御見解を承りたいと思います。
  85. 山田精一

    説明員山田精一君) ただいま御質問のございました国際経済との関係でございますが、これはむろん大きな一つの要素として考えるべき問題と心得ております。たとえば、当該商品のシェア、これを単純に機械的に何%といって判断をいたすのでは適当でないのではないか。たとえば、直接予見されるところの輸入品、これがどの程度のシェアを占めるか、こういう点も十分考慮をいたしまして判断をいたしてまいる必要がある。法律の用語に即して申しますならば、独禁法は、一定の取引分野における競争の実質的制限、こういう表現を用いておりますが、一定の取引分野、これに輸入品というものも当然考えに入れなければならない、ひとり輸入品のみならず、代替品等も考えなければならないと、かように考えております。
  86. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私がお聞きしたいことは、まあ競争制限ということになるかならないかという議論の中で、輸入品とか代替品とか、こういうものは非常によくわかるのですが、一般に合併に賛成している側からは、特にそういう国内における市場の問題じゃなしに、国際的な国際市場、日本の市場よりももっと大きく拡げた国際市場の中で伸びる、国際市場の中で競争ができるからいいじゃないか、こういう言い方をしているわけです。私は、むしろこれは間違いじゃないのか、むしろ国内だけの市場におけるところの競争ができるかできないかというふうに考えるべきだと思いますが、その点はどうでしょうか。
  87. 山田精一

    説明員山田精一君) それは、いろいろと御意見のあり得るところと考えます。それからまた、抽象的に国際競争力と申しましても、これはあまりはっきりいたしませんので、せんだっての産構審の答申にもございましたが、抽象論ではいけないので、やはり個々の業種に応じまして実証的に検討をいたしていく必要があるのではないか、かように考えております。ただいま御質問の、国際的に伸びていくためのというおことばでございましたが、おそらく日本の企業が海外に進出するという場合のことではないかと承りましたのでございますが、さような場合においていかにすることが最も適切であるのか、たとえばアメリカの企業は、ヨーロッパに非常に進出はいたしておりますが、これはアメリカの国内において独禁法が相当きびしく運用されております関係上、国内に市場を求めませんで、国外に、ヨーロッパに進出をいたした、こういう要素も非常に大きいように私は聞いておりますが、その辺は十分考える必要があるのではないか。非常に抽象論になりまして恐縮でございますけれども、具体的の場合に即して実証的に考えてまいりたい、これが私の考えでございます。
  88. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これから十五条の、一定の取引分野における競争の制限となることとなる場合ということの解釈ですが、これも、最近いろいろな解釈がされてきている。普通、この場合に、可能性、蓋然性、確実性という三つの分野に分けているようであります。最近は、確実性ということが立証されなければ競争制限にはならないという議論が非常に多いわけです。委員長は、その三つの考え方が大体いま学界の考え方だろうと思いますが、そのうちでもってどれをとるべきであるか……、法解釈においてですね。
  89. 山田精一

    説明員山田精一君) 御指摘のように、いろいろ、学説といたしましても、また実際の運用といたしましても、議論があるわけでございます。何ぶんにも、合併の問題を処理いたします場合、競争を実質的に制限することとなるという場合も、現状で判断する場合もございます。合併の問題を処理いたします場合のものさしといたしましては、将来を予測いたすのでございますから、確実性ということは、これは神様でなければ、まず予見できないのではないか、かように考えております。したがいまして、私といたしましては、合理的な蓋然性と申しましょうか、プロバビリティであるべきではないか、かように考えております。
  90. 上原正吉

    ○上原正吉君 ちょっと関連して……。  委員長にお願いしたいのですが、いま大型合併というのがだいぶ問題になってるようなんです。まあどれだけの害が起こるかしらぬが、起こるであろう害を予測していろいろ伺いたい、こう考えておるのですが、いま問題になっておりますけれども、製紙にしても、あるいはまた製鉄にしても、また、問題にはなっておりません電力にしても、これは戦前は非常に膨大な——割合がですよ、一つ企業だったものを、アメリカ軍の命令で分割したものなんです。そして分割した上、どれほどの利益があがったか。それからまた、分割されない、日本の電力がほとんど一社でまかなわれておったというふうな時代にどんな弊害があったか。分割したらどんな利益があがるかということに私はどうも無知識なんですがね、申しわけないけれども。分割以前にこういう害がある、分割してこういう利益が生まれたという実例があったらお示しをいただきたいと思います。委員長よく御存じでなかったら、きょうでなくてもけっこうですから、お調べくだすって御教示を賜わりたい、こう思う次第でございます。
  91. 山田精一

    説明員山田精一君) ただいま御指摘のございました、分割をしたためにこういうメリットがあった。もしもかりに分割せざりしならばどういうデメリットがあったかと、こういう御質問かと承りましたのでございますが、何ぶんにも事経済に関することでございまして、どうもケミストリーの世界のように試験管の中で、こう、分割せざりし場合と、分割した場合ということを実験をいたすことが、これはほとんど不可能でございますので、的確なるお答えをいたすことはできないかと、私考えるのでございます。ただ、大ざっぱに申しまして、戦前において、御指摘のように電力会社が非常に独占のもとにあった。これは、電力は必ずしも適当な例ではなくて、地域的に、自然的に独占的な要素を備えておりますので、あるいは適切な例ではないかと存ずるのでございますが、たとえば、戦時経済のもとにおいて、統制経済、政府が非常に大きな力を加えまして、ある目的のために統制をいたしております場合には、独占がありました場合にもそれほど弊害が出ないかと存ずるのでございます。ただいま自由経済、特に国際開放経済に向かいます昨今の状況として判断をいたしますると、やはり、ただいまの経済体制のもとにおいては、競争原理、先ほど企画庁の長官からも御指摘がございましたが、価格の適切な形成をもたらしていきます上におきましても、競争の原理というものは非常に必要なものではないかと、かように考えております。したがいまして、競争原理を阻害いたしますようなこととなる各種の事例、これはできるだけ押えてまいりまして、競争原理が十分に働き得るように、むろん完全競争というものはいまの世の中において望むことはできないと思いますけれども、有効競争の原理を達成いたしてまいりますのが国益の上から必要なのではないか、私どもはかように考えておる次第でございます。
  92. 上原正吉

    ○上原正吉君 この競争原理が働かなくなったという実例があったかどうかということ、その実例をお示しいただきたいというのが私の質問なんでございます。それからまた、お話に出ました電力のごときは、地域によって非常なコストの差があるのですね。原価の差がある。これを、ある合同することによって平均化して、全国に、まあどちらかといえば低廉な電力を供給できたという実例も、私は身をもって体験しているのでございますけれども、これを分割したことでどんなメリットが出たかということは、さっぱりわからないというのが現状なのでございまして、大型合併というものがどういう実害をもたらしたか、分割されない前を大型合併が行なわれたものと仮定して、分割されない前にどういう被害を国民が受けたか、それからまた、分割されたためにどんな利益を受けたかということを、理論的でなくて、具体的に実例をお示しいただきたいと、こういうことなのでございます。だから、いまここでお示しいただかなくても、時間がかかってもけっこうですから、お調べをいただいてお教えいただいてけっこうなんです。
  93. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もう一つお聞きしておきたいと思うのですが、さっきの通産大臣の話を聞いていると、何か外国の資本が来て日本の中で独占的な力を発揮して、日本のすべての産業を、その特定な業種の産業を占領をしてしまう。これはフランスとかドイツには確かにあった。その場合に、一体いまのような通産省なり業界が言っているような形で合併をした、そのときにいったら、今度はどうも負けそうだ、こういうときに、はたして、外国から入ってきた企業を、あなたのほうで、おたくは分割しなさい、競争原理をもっと採用しなさい、こういうようなことが現実にできるかどうか、あるいは日本の国内においても、たとえば八幡・富士が合併される、そうしたならば、いまあちらからも御質問が出たようでありますが、まあ現実にはUSスチールのシェアを見ると、どんどんどんどん下がっているわけです。他にも、たとえば英国のICIですか、こういうのを見ても、シェアというのは下がっている。競争力というのはだんだんだんだん落ちてきている。そういうふうに、合併の意図と反対になって、競争がされてくる。値段が協調的な寡占の形になってくる。そのときに富士・八幡に対して、再度あなたは、新日本製鉄という、仮名でしょうけれども、これを元の八幡、富士に分割しなさい、こういう審判をおたくのほうで出して、それが現実に実行されるという保証というのは一体あるのかないのか、そういうものを公正取引委員会としてはお持ちになっているのかどうか、現実に、ことばの上でなくて、現実に企業を分割するという権限をお持ちになっておるかどうか、その点についてお聞きしておきたい。
  94. 山田精一

    説明員山田精一君) ただいまのお尋ね、二つあるかと思うのでございますが、あとのほうからお答え申し上げます。  かりに八幡、富士が合併いたしまして、合併公正取引委員会が認めまして、平穏かつ公然に合併をいたしまして、ある期間経過いたしました後に独占の弊害が生じてまいった、独占と申しますより、寡占の弊害が生じてまいったというときに、これに分割命令を出す、これはできないと存じます。また、これは法律的にもそうでございますし、経済的に申しましても、ほとんどできないと私は考えております。  それから、外国資本が日本に進出をしてきて、非常に大きな力を占めた場合に、独禁法としてどうするかと、こういうお尋ねであったかと承りましたのでございますが、これは外国資本の出方によると思いますが、たとえば、新聞紙上などにときおり伝えられますように、外国資本が日本に進出いたしまして、すでに日本にございます会社の株式を取得いたして、買い占めをいたして、これによってある程度の市場支配力を持つ、こういうような場合には、その株式の処分命令を出すことはできるわけでございます。これが市場の支配にならないように、それが私どもの役目であろうと存じます。また、各種の方法があると思いますが、日本の会社との間に契約を結びまして、国際的な契約の中に不公正な取引方法、たとえば、何と申しますか、先方の優越した地位を利用いたしまして不当な条件でもって契約を結んだというような場合には、独禁法の六条によりまして処置をいたすことができると思います。  それから、あるいは不当なダンピングと申しますか、このような場合には、不公正な取引方法、これによって処置をいたしていくことができるわけでございまして、その点においても独禁法を十分厳正に活用していかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  95. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大体わかりました。そういう点で、今度の二つの大型合併の問題については、ここで悪例を残しますと、将来において外国の大きな資本が入って日本の市場をかなり占拠をするという場合にも、ここで一つの審判例というものが出てまいりますと、いまおっしゃられたように、外国が入ってきても簡単にそう分割がおそらくできなくなる。そういう意味では、ひとつこの際の二つの問題には政府機関のいろいろな強迫的言動があるようでありますけれども、こういうものにめげず、ひとつ公取委員会の中立性というものを発揮をするとともに——やはりいま一番物価の問題で国民がやってもらいたいと思っているのは公取委員会だと思うのであります。この国民の負託にひとつこたえていただきたいと思います。  もう一点、ここでちょっとお聞きしておきたいことは、いま、非常にマスコミ時代なわけであります。でありますから、テレビのコマーシャルに乗っているということが、製品の内容のよしあしを問わず、あるいはその価格の高低を問わず、その一つの商品が差別化されていく。そして国民の需要というものが一つの商品に集まっていくという傾向は認めざるを得ないと思います。そのために、幾ら国民の消費にとっていいもので安いものがあっても、これは排除されていく。そういう意味では、今日のコマーシャルというものは相当真剣にわれわれ考えていかないと、ほんとうに安くていい商品を国民に提供することはできないと思うのであります。そういう意味では、前に、公取のほうでは、不当な景品ですか、については何か勧告をなされたようでありますが、不当なコマーシャルというものですね。こういうものについては、どのようにお考えになっておるか、お伺いしたい。
  96. 山田精一

    説明員山田精一君) ただいま、テレビコマーシャルのお話がございましたが、ひとりテレビのみならず、新聞広告等におきましても、特に当該商品の品質が同業者の製品に比べて非常に優秀であるような不当な表現を用いておる広告、こういうのは、私ども役所といたしまして取り締まりの対象にいたしておるわけでございます。ただ、非常にスポットのコマーシャルをたくさん使いまして印象づける。その表現が正しい表現でございますと、これは独禁法に触れるというわけにはまいりませんかと思いますけれども、いやしくも消費者の誤認を生ぜしめるような、たとえばほんとうのレモンの汁が入っておるかのような広告をいたしまして、それが入っておらない場合、あるいは最近取り扱いました事例で申し上げますというと、日本の国内でつくりましたセーターに「ベントリー・イングランド」というようなマークをここにつけまして、あたかも英国製品であるかのような表示をいたしますとか、こういうようなものは私どもの取り締まりの対象になっておるわけであります。
  97. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま公取委員長がおっしゃった、むしろ不当表示のコマーシャルについては取り締まる、こういうお話、これはまことに当然なことであろうと思います。しかし、競争制限という立場からものを考えていきますと、一つの特定な商品がコマーシャルに乗る、ほかは乗らない、それは、広告する自由を制限することはできないと思いますけれども、こういうふうな形で、今日のマスコミ時代の中で商品の差別化をして、特定な商品を国民大衆にコマーシャルで売る、こういうことになりますと、国民自体が選択の自由を失う。これは、ひいては私は競争制限の形につながっていくのじゃないか、ですから、そういう意味で、今日の独禁法を私もそこまで十分研究していないのですけれども、私は、ある意味でそういうものも制限をして、消費者がほんとうに競争的にいい品物を安く買える、こういうような形で、集中的な宣伝といいますか、何ということばを使っていいかわかりませんが、商品の差別化のための特定な宣伝、こういうものについては規制をする必要があると思うのです。その点はどうですか。
  98. 山田精一

    説明員山田精一君) その広告が少しも不当でない、真実を伝えております限りにおきましては、その企業といたしましては、当該製品のほんとうの値打ちを消費者に知ってもらうために、知ってもらいたいために広告をいたす、これは必ずしも悪いことではないように存じます。と同時に、消費者におかれましても、コマーシャルだけにとらわれないで、やはり現品について十分選択をしていただきたいと、かように考えておるわけでございます。
  99. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ、公取委員長は消費者にそういう選択をしなさいと、これは、けさの新聞で企画庁長官がおっしゃっていることとほとんど相違がなくて、サッポロビールを買わないで、ほかのビールを買いなさい、こういうことと同じじゃないかと実は思うわけですが、それだけ今日の消費者というのは選択できるような情勢にないと思うのです。その点をお考えいただければ、たとえば今日家庭電気器具などというのは非常に需要が多いわけです。これが、それじゃ、そういうものをほんとうにその性能とか何かを比較して、しかもどちらが高いか安いかということも研究して買えるということが一体あるのかどうか、おそらく、いろいろな広告、特殊な集中的にやられる広告に迷ってしまって買ってしまう、こういうものが私は独占的な商品になり、あるいは寡占的な商品といってよろしかろうと思うのですが、それが今日の価格を引き上げて、物価値上げの大きな要因になっているのじゃないかと思う。そういう意味で、私は、むしろそういうものを、集中的に知らせるのじゃなくて、もっと何らかの形で公平に知らしていく、こういうような措置をとるべきだと思うのですが、これはいまの公取の管轄ではできないわけですか。そういうことを……。
  100. 山田精一

    説明員山田精一君) 独禁法の運用といたしましては、ただいま申し上げましたように、不当表示あるいは誇大な表示は、これは十分取り締まってまいりたいと思っております。ただいま御指摘のありました家庭用電気製品、消費者が選択いたします場合に、値段がどれが安いか高いか、品質はどれが優良であるかどうか、これは一見しただけではなかなかわからないわけでございますが、これは、先般の消費者保護基本法によりまして、ほうぼうの役所でもって、半分公的な、あるいは純粋に公的な商品試験所のようなものをつくられるというお話も承っております。こういうところで十分インフォメーションを消費者に与えるようにしていただきたい、かように考えておるわけでございます。現に、ある民間の雑誌で、家庭用電気製品、クーラーでございますか、等について試験をいたしました成績が出ておりましたが、ある程度と申しますか、かなり売れ行きに影響したような話も聞いておりますので、そういうような方法も大きく考えていくべきではないかと、こういうふうに考えるわけです。
  101. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 当面、それが公取独禁法でどうにもしようがないとすれば、これは委員長にお願いしてもしようがないと思うのですが、そういうことも将来の検討の中に含めて私ども問題を考えていきたいと思うわけであります。  それから自動車局長さんいらっしゃいますか。自動車局長さんにお尋ねしたいと思うのですが、最近タクシーの値上げというのが新聞に非常にたくさん出てきているわけでありますが、今日のタクシーの利用というものを考えてみますると、私は、かなり中所得層以下の利用度が多くなってきているのじゃないかと、こう思うわけでありますが、そういう中で、タクシー料金の値上げという問題は、そうした層にかなり大きな影響が出てくるだろうと思います。特に、今度の値上げは、神奈川県の乗用車協会が申請しているところを見ますと、五〇%の値上げになる、こういうことであります。こういう値上げに対して、いま自動車局のほうでは一体どういうふうにお考えになっているのか、これを認めようとしておられるのか、あるいは未来永劫にわたって上げないというわけにはいかないだろうと思うんですが、当分の間これは押えていく——当分というのは、かなり長い期間を私は申し上げているわけですが、一、二年というくらい押えようとしておられるのかどうか。その辺、どのようにお考えになっておるか、お答えいただきたい。
  102. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 先生がただいま御指摘のように、ハイヤー、タクシーにつきましては、現在一日約八百二十万人の人たちを運送しておるわけでございまして、したがいまして、これは大衆の足と言えると思うわけでございます。特に、東京あたりでございますと、年間都民が約七十回ぐらい利用しておるというふうな統計に相なっております。で、現在、タクシー、ハイヤーの運賃につきましては、全国で八十六地区、法人等の事業者につきまして約五千、それから個人タクシー業者で一万一千あたりの人たちが申請をいたしているわけでございます。で、ただいまのように非常に重要な足でございますから、この運賃改定を審議いたしますにつきましては、一般生活に及ぼす影響等を十分考慮いたしまして、当面、事業者の収支状態が非常に悪化しておるような地区もあるわけでございますので、非常にこの収支状態が悪化しておるような地区につきまして、緊急度に応じて改定を審査し、慎重にそれを検討をいたしたいと存じます。
  103. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま御報告の中で、収支状況が悪化している地区があるというのですが、これは具体的にどういう地区でございますか。ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  104. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 現在八十六地区が出ておりますのは陸運局に提出されておりまして、本省のほうにはまだそれは提出をされておりません。したがいまして、ただいまのところ、この地区は特に悪いという判断資料は持っておりませんが、最近実施いたしました地区を見ますというと、地方的にも、前回の改定から相当期間が経過しておりますような地区がやはり悪い、収支状態が悪いような地区でございます。現在申請のものにつきましては、ただいまのところ、陸運局のほうで審査をしております次第でございます。最近行ないましたものにつきましては、たとえば岩手県の山間部、平たん部、それから兵庫県の東及び西の播州地区というふうなところは収支状態が悪化しておりましたので、改定を実施した次第でございます。
  105. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういたしますと、現在の状況で、現在のタクシー料金でそんなに収支の状況は悪化していないと、全般的にそのように判断してよろしゅうございますか。
  106. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 全般的に悪化しておるかどうかということでなくして、地区的には悪化しておるところもあるわけでございまして、ただいまの、たとえば北陸地区等につきましては、収支状態がほかの地区よりも悪いのじゃないかというふうに思っております。しかしながら、その詳細につきましては、ただいま陸運局のほうで審査をいたしておりますので、その結果等を待ちまして判断をいたしたいと思います。
  107. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いまの御答弁をお聞きしていますと、一番最初にこれお答えいただけなかったんですが、当分の間タクシー料金を上げなくてもいいんだというふうに、その点お答えがなかったんですが、どうなんですか。上げなくてもいい状態にあるのか。全般的な問題ですが、個別的な修正はいろいろあろうと思いますが、全般的には上げなくてもよろしい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  108. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) タクシー業界全体といたしまして、この際収支状態が悪いから全国運賃改定の必要があるというふうには考えておりません。地区的に見まして、おのおのの地区におきまして原価計算を行ないました結果収支状態が悪いところがありますので、そういう悪いところからその緊急度に応じて検討していきたいと思っております。
  109. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いま何かはっきりされない御答弁なんですが、一番タクシー、ハイヤーを利用されているのは大都市だと思いますが、大都市関係はどうなんですか。たとえば神奈川県あたりでも現実には出されておりますが、そういった問題をひとつ、神奈川県はどうだということでお答えいただかなくて、全体的に大都市及びその周辺はどうか。
  110. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 先ほども申し上げましたように、大都市のほうが一般の利用度も高いわけでございまして、それはすなわち大衆の足といたしましての影響も強いということでありますから、特に慎重を期する必要があると思っております。現在、タクシーの運賃につきましては地方の陸運局長の権限でございますけれども物価全体に及ぼす影響、公共料金全体における問題等がございますので、特に六大都市につきましては、運輸省のみならず、経済企画庁とも十分相談いたしまして、さらに閣僚のベースに上げまして審査が行なわれるわけであります。したがいまして、当面、大都市につきましては、われわれといたしましては、申請がありますと検討はいたしますが、非常に大きな問題として、重大な問題として考えをいたしたいと思っております。
  111. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これで私の質問を終わりたいと思いますが、先ほど私が申し上げましたように、今日物価を上げていく要因の一つタクシー料金がなっていることも事実だと思います。そういう意味で、私どもタクシー料金を上げられることは実は困るわけであります。しかし、いまの交通の実態ということから見ますと、確かに車の運転回数といいますか、能率といいますか、そういう面では非常に交通の渋滞で困っているわけであります。こうした状態がさらに続いていくということになりますと、これは問題が出てくるのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。しかし、それが一般物価にはね返る、タクシー料金にはね返るということは、これは困るわけでありまして、そうした点で、ひとつ自動車局は、またほかの手当てをすることによって、たとえば、そういうことをしなくても済むような問題点もあるだろうと思います。たとえば、タクシー、 ハイヤーが一番利用されるようなラッシュのときには営業車を優先させるルートというものをつくって、そこを営業車を通らせる、自家用車は、特定のものを除いてはそのルートは通さない、こういうような方法も、私は、タクシー料金を上げさせないで、しかもタクシーの交通安全を守るという立場では非常にいい方法じゃないかと思っているわけであります。あるいは、いまのタクシーというのはほとんどLPGを使っていると思うのですが、たとえば、それに限ってはLPGの税金を減免するというような措置も一つの措置じゃないか。あるいは、今日タクシーに使っているところの車というのは、全体の車の生産量のうちの八%程度だそうでありますが、この分については特に税金の問題を考えるとか、あるいは価格の問題を考える。まあこういうような形で、ひとつ、いまあちらこちらで物価値上げということで非常に困っているわけです。おそらく私は、増税よりも、物価値上がりというのはもう非常に大きな犯罪だとさえ思っております。そういう点で、行政措置あるいは財政措置の裏づけによってタクシー料金は上げなくて済む。  あるいは、これはぜひ検討してもらいたいと思うんですが、タクシー営業地域とハイヤーの営業地域とあります。ハイヤーの営業地域は非常に高いわけです。しかし、現実にはそれが都市化され、いつまでもハイヤー料金式にしておく必要のないというようなところは、どんどんとタクシー料金の地域に入れていくことによって、現実にはタクシー料金国民は利用できるわけでありますから、こういうような形で、タクシー料金の値上げではなしに、実際的に経営内容をよくし、それから運転者の労働条件をよくしてやるような措置は当然とっていかないと、また、値段は上げないけれども非常にあぶなくてしょうがないということでも、これは困るわけでありますから、いままで見ましても、タクシー料金が上がったからそれによって運転者の労働条件が非常に上がったというような例はあまり聞かないわけであります。こういう点についても、やはりいろいろいまタクシーの走行については国民の批判もありますから、特にそういう点にもひとつ力を入れていただいて、タクシー料金の値上げというような措置はとらないようにしていただきたい。これは私の要望でありますけれども、申し上げまして、以上でもって私の質問を終わります。
  112. 上原正吉

    ○上原正吉君 関連して。  このタクシーの問題で、乗車拒否というのがたいへん新聞紙上などをにぎわしておるわけですけれども、乗車拒否というのは、料金が安いからではなくて、運転手の待遇が悪いからではないか。そう言っていいのかどうかわかりませんけれども、とにかく運転手の収入が少ないような、そう見える客は乗せないんじゃないかと思うんですが、こういう点を御当局としてお調べになったことがあるかどうか。
  113. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 乗車拒否につきましては、いろいろ原因があるかと思いますが、たとえば、交通状態がふくそういたしますために近拒離に行くにも時間が相当かかるから、それをきらうというふうな場合、それから夜の銀座その他におきますように、一時的に需給の非常なアンバランスが生ずるような場合というふうなときに乗車拒否が行なわれることがあるわけでございます。で、やはりこの事業を改善いたしますためには、事業者といたしまして、事業の運営を、いわゆる公共的機関としての自覚のもとに改善努力をする、その中には、いま御指摘のように、運転手の待遇を改善いたしまして、いわゆる魅力ある職場にすべきである——といいますのは、流しタクシーというのは相当労働が過激でございます。したがいまして、それに対しては働きやすい職場にしていくというふうなことがぜひ必要なことだと思う次第でございます。で、先ほども指摘がありましたように、タクシー事業につきましては、ことに大都市におきましては、運賃の改定の前に事業の運営を改善いたしまして、一般からいわゆる愛されるタクシーにしていきたいということで、われわれといたしましてもいろんな項目につきまして指導をいたしておりますし、最近におきましては業界のほうもそれを受け入れまして、具体的に改善の努力をしておるわけでございます。その中の一つの点といたしましては、運転手の待遇を改善していきたいというふうな点も含まれているような次第でございます。
  114. 大森久司

    委員長大森久司君) 木村君。
  115. 木村美智男

    木村美智男君 経済企画庁長官と通産大臣の関係について、たいへん残念でしたが、これはあとに回しまして、せっかく公正取引委員長見えられていますから、あと、農林省の畜産局長さんにも出ていただいて、それを二十分くらいで私終わります。  たいへんおそくなって申しわけありませんが、山田委員長さんに四点ばかり聞きたいのですが、一つは、去年の物価の特別委員会で、とにかく再販問題というのはあれだけ時間をかけて、そうしていろいろの議論をして、ある程度方向づけがたされて、それで公正取引委員会におまかせをしたようなかっこうに結論はなっているわけです。で、委員長は洗い直しということで答えられて、私ども了承をしたわけです。非常に長期にわたって洗い直されているので、もうすり切れてしまったのじゃないかと思うのですが、これを詳しく突っ込んでやろうとは思っていません。思っていませんが、この始末は一体どういうふうにするおつもりですか、それを一言。
  116. 山田精一

    説明員山田精一君) 洗い直しの作業をただいま急いでやっているわけでございますが、はなはだ時間がかかりまして申しわけないのでございます。極力作業を急いでおる段階でございます。
  117. 木村美智男

    木村美智男君 実は、もう少し正直に答えてもらってもいいと思うのです。これは、いろいろ客観情勢も変わってきているし、それから私は変えてないですが、各党の方針も少し変わってきているようだし、そういうこともあるから、公正取引委員会、いまあまりこの問題やっちゃおらぬですよ。私はよく知っているのですよ。だから、委員長、急いでいるなんて言っているけれども、そんなものは一カ月中に結論を出しますと委員長が言った去年の三月段階から言うと、なに、こんなものは一生懸命やっちゃいないです。これは、そういうことをやることが一体適当かどうかということもよくわかりますから、したがって、これはひとつうまく始末をつけてほしい。  そこで、私二つばかり意見を申し上げたいのは、一つは、要するに公正競争規約の問題、これは、業界が自主的にやる場合、あるいは委員会がある程度指導されてやられる場合、現実に幾つか問題が扱われているわけですね。そこで、私、化粧品の再販の問題等についても、公正競争規約で何とか落ちつけようという動きが最近出てきているように仄聞をするわけです。私、それも一つの方法だと思う。それが、私たちが委員会で議論をしてきたことに全く適合するかどうかは別ですよ。別ですが、それも一つの解決の方法だと思うのです。そういう意味で、これは公正競争規約という方向も一つはあるということ。そしてその場合、やはり小売り店だけの保護だとか——ほんとうは、これは小売り店の保護にならないのですが、理論的に突っ込んでいけば、結局はメーカーの保護なんです。だから私は基本的に再販は廃止をしてもらいたいのですが、しかし、いまの情勢はそういうことで動いてきていますから、だから小売り店の保護ということも、これは重要視していいのじゃないか。同時に、これは小売り店の保護だけをしてもらっては困るので、消費者保護という観点もこれは十分考えてもらう。それはどういうことかと言えば、結局、一つは公正競争規約の面でいくということと、もう一つは表示の問題、この化粧品にはこういう材料が何グラム入っているのだという関係を、内容、品質を表示をしてもらう。これさえやっていただけば、あとは消費者が、先ほどの御質問にお答えしたように、私はそれは判断をして選ぶ。香料の少し余分に入ったのがほしいのだという消費者はそういうものを選ぶだろうし、中身は大して変わらぬのだから値段でいくという人はそういう買い方をすると思う。したがって、私は、この公正競争規約の中にぜひその品質の内容というものを明確にするように指導をしてもらいたいと思う。たとえば、タール系の色素が、やかましく言った結果、食品からは確かにはずされましたけれども、薬品の分野では依然としてタール系の色素が残っていますね。こういう問題。それから外国の化粧品会社が入ってきて、クリームの中に砒素が入っているという事態も現実にありましたね。それから、パーマ屋のヘアスプレーが、これはきわめて人体に害を及ぼしたという具体的な事例もあがっています。だから、そういうことも、やはり消費者保護という形で守ってやるということが、どうしても、再販を認めるといなどにかかわらず、これは大事な点だという点から、ひとつ公正競争規約の方向をかりにとるならば、ぜひいま言ったところの指導をするという立場に立っていただきたい。そうすれば、私は、いろいろこの問題の扱いの複雑な点もあるから、公取の今日的処置としては了解をせざるを得ないんじゃないかというふうに、率直に、これは委員長、形式的に急いでやっているとかなんとか言わぬでも、私これだけ腹を見せて質問をしているわけですから、だから突っ込んでこれをやろうとは思ってませんが、その点ひとつ、一つの提案みたいな形になりますが、御見解を聞かせていただきたい。
  118. 山田精一

    説明員山田精一君) 現在、化粧品業界におきましては、公正競争規約の設定につきまして一応の案ができまして、これについて、消費者、関係官庁、学識経験者等の意見を聴取をいたしておる段階でございます。この業界でつくりました案の中には、ただいま御指摘のございました成分表示は入っておらないのでございますけれども、消費者側から成分表示を一般的に義務づけてほしいという御要望がはなはだ強うございますので、今後、学識経験者あるいは関係官庁の意見等をも十分承りまして、慎重に検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  119. 木村美智男

    木村美智男君 その成分表示だけは、ぜひひとつやっていただきたい。  で、次に、けさの新聞なんかにも出ておりますように、いま再販に関連をして、やみ再販の問題をもう一回委員長にやはりこの際銘記をしてもらいたいと思う。たとえば、大塚製薬のオロナミンCドリンク、崑チャンがよくコマーシャルに出ますね。あれ、やはり相当やみ再販の疑い濃厚だということで公正取引委員会は手入れをされたようです。これは何としてもやはり……。私、去年ほんとうに物価問題の一つのきめ手として、実は縦のカルテル問題を提起をしたつもりなんです。いまここで縦のカルテル論を繰り返そうとは思いませんけれども、しかし、やみのカルテルについては、これはひとつ厳格に取り締まっていただくという基本的な立場に立って、ぜひ消費者保護の実績をあげてもらいたい。これが一つ。  二つ目には、しかし、なかなか公取の勧告なり、そういったようなものがあっても、それを受けとめてくれない業者もあるわけです。したがって、これが審判に持ち込まれておるわけですが、特に松下の場合なんか、審判にかかってもう二年越しですわね。しかし、これ一体どういうことになるかというと、やはり審判にかかっている間は、これはやらずぶったくりじゃないけれども、業者が勝ちで、消費者はそれだけとにかく無視されているわけですね。だから、その意味では審判をぜひ促進をしてもらいたい。牛乳問題等についてはこの前の委員会で私質問したんですけれども、裁定書ができている段階だと言ったけれども、その後、じゃ審判としてきちっとそのけじめがつけられたかどうか、この点についてもやっぱりこの前指摘をしたんですが、ぜひ審判を急がして、そうして、どっちへ結論つけるにしても、あとは政治問題にするのか、あるいは、今日の公取独禁法から言う権限がないのかあるのかという、そういう問題点をきちっとせんけりゃいかぬじゃないかと思うものですから、それで言うわけですが、ぜひやみ再販を厳格に取り締まるということ、審判についてはできるだけ短時間に決着をつける。それがなかなか促進されないのにはいろいろの理由があることも私知っております、きょうは申し上げませんが。そういうことで、もっとやはり、この物価の関係を公取にむやみに背負わせるような世論のいまのあり方は、私はほんとうの筋道じゃないと思いますが、独禁法立場からする物価問題に対しては、相当やっぱり公正取引委員会の果たす分野というものがあるわけなんで、そこは非常に消費者としても大きな期待を持っておるところですから、そういう意味で、いまの二つの点について、ちょっと委員長のお考えを聞かしていただきたい。
  120. 山田精一

    説明員山田精一君) 第一の、やみ再販の取り締まりにつきましては、十分厳正にこれを実施いたしてまいりたい、かような決意でおります。  それから第二の、審判が長引きます件につきましては、極力これを急ぐようにいたしておりまして、機構的にもこれを拡充いたしてまいりたい、かように考えております。
  121. 鈴木強

    鈴木強君 関連。  きょう私はビールの値上げについて長官にただしたかったのですけれども、次期に譲ります。私一つ……。経済企画庁がかなり抵抗してビール値上げを押えようとしたことは事実です。が、きのうついにサッポロが上げたわけですね。その過程で、宮澤長官からあなたのほうに、独禁法違反の疑いがあると思うから監視をしてくれないかという話がいっていると思うのですね。いっておりませんかどうか。その話聞いておりますか。
  122. 山田精一

    説明員山田精一君) 経済企画庁長官からは、直接ではございませんが、私のところへ、新聞記者会見をした場合に、もしも各社が一斉に値上げをするというと独禁法違反の疑いがあるということを話したいと思うから、含んでおいてくれという御連絡をちょうだいいたしました。私どもといたしましては監視をいたしておるわけでございます。
  123. 鈴木強

    鈴木強君 それがね、一つだけですからお聞きしたいのですけれども、そうしますと、あと朝日、麒麟、サントリーと、三社が残っておりますね。これは、大・中がそれぞれ三円、特大が五円上がっているわけです。もしかりに、あとの三社がこれと同じような値上げをしたとします。これは仮定の話で恐縮ですけれども、大体追随してくるということは既定の事実ですからね。そうなりました場合に、その四社が談合をして値上げに踏み切ったのかどうなのかというところが問題になると思いますけれども、その辺に関しては、かりにいままでのケースを見ましても、値上げするときには必ずどこかがやるのですよ。そしてそれをやらしておいて、独禁法違反だと言われるのがおそろしいものだから、時期を見て上げているというケースがいままでありますから、そういうことから見て、近い将来三社が上げたとすれば独禁法違反になる、談合になる、というふうにも考えるわけですけれども、そういう点について、委員長としてどうでしょう。かりに、近い将来、何日かというときに上げた場合、談合しないと言ったって、これはしたと同じですよ、事実値上げするわけですから。そういう場合には、あなたのほうで取り上げてもらえますか。
  124. 山田精一

    説明員山田精一君) これはなかなかむずかしい問題であるかと思います。特に、仮定の問題でございますから、私ども、どうこうということは申し上げにくいかと思うのでございます。御承知のように、ビール業界は典型的な寡占でございます。したがいまして、談合をいたしませんでも、そういうことが起こり得るわけでございます。その辺のところを十分に監視をいたしておるわけでございます。
  125. 鈴木強

    鈴木強君 十分監視してください。
  126. 木村美智男

    木村美智男君 公正取引委員長さん、けっこうです。私はいいです。  それで、あと時間もないですから簡単にお伺いしたいのですが、農林省の畜産局長に伺いたいのですが、実は、食肉の問題——だいぶ去年は牛肉の問題で私やかましく申し上げたのですが、これはもう対策がさっぱりとられぬで、上がりっぱなしになっている。最近は、牛肉だけでなしに、豚肉がものすごい高騰を示しています。私が申し上げないでもわかると思いますが、もう豚のこま切れが七十五円、百グラム。中肉が九十円。まさに牛の肉に、もう近づいてくるという、こういう段階です。それは、理由は私もよくわかっていますがね。大体、畜産対策というか、あるいはいまの値上がりというものを、もうすでに私警告を発していたにもかかわらず、それをさっぱりやらぬでこういうことになったというのは、これは私、農林省としては相当政治責任があると思うのです。たとえば、今度の四十三年度の米価の問題でも、二百六十五万トンの古米がだいぶつくのだということはわかっているにかかわらず……。私は、中国から米を十万トン入れるかわりに肉を入れなさいということを盛んに主張した。ところが、肉を入れないで米を十万トン入れて、余っている米のところにまたプラス十万トン。それで、古米をさばくのにどうするかということで、農林省てんやわんやしている。それで、不足している肉のほうは、そういう対策をちっともとらないで、どんどん値上がりして、高い肉を国民に食わしている。一体農林行政、畜産行政というものがあるのかないのか。こう言いたくなる。この点、豚肉の今日の価格騰貴の現状が、一体根本的な核心はどこに問題があるのか。そうして、これからこれを打開するためにどうしようとしているのか、これをひとつ聞かしてください。
  127. 立川基

    説明員(立川基君) たいへんむずかしい基本的な問題になるわけでございますが、ことに最近の豚肉の価格の上がっております事情を若干御説明いたしますと、御案内のように、昨年の夏までは、むしろ豚肉につきましては、生産過剰といいますか、畜産振興事業団で買い上げを一年半も二年も続けておったような状況でございます。その後だんだん需要が増大してまいりまして、価格が上がってまいりまして、事業団が持っております豚肉を放出いたしまして、昨年の暮れには大体一応鎮静したのも事実でございます。それから、ことしの春になりましてから、また再び需要が増大してまいりまして、畜産事業団も持っている肉を再び放出し始めたわけでございますけれども、七月ごろになりまして事業団の在庫が切れたものでございますから、その関係もございまして、非常に価格が上がっているのは、いま先生の御指摘のとおりでございます。  これに対しまして、おそらくこれには緊急対策と恒久的な対策二つあると思いますけれども、緊急的な対策といたしましては、われわれとして、ことしの六月におきまして四千トンばかりの豚の緊急輸入ということを一応公表いたしまして、今月までに大体成約が来ておりますのが二千三百トン余りが成約をして、九月末には着荷する見込みでございます。生産それ自体も次第に回復してまいりまして、ことしの初めあたりは、前年対比にして約一〇%くらいダウンしておりましたけれども、八月におきましてはほぼ前年同月並みでございますし、われわれがいま各地から得ております情報によりますと、この九月、十月には、前年対比六%なりあるいは七、八%増のような生産の見込みでございます。したがいまして、現在の数字におきますような価格がそのまま持続するというふうには私たちは考えておりません。  それから恒常的な対策につきましては、もちろん従来からも力を入れているわけでございまして、豚肉にいたしましても、牛肉にいたしましても、それぞれ前々から御説明申し上げているように、重点施策の一項目として取り上げておりました繁殖センターをつくるとか、公庫資金の対象にするとか、その他いろいろな措置をとっているわけでございます。
  128. 木村美智男

    木村美智男君 前のほうの畜産事業団の関係なんか一切知ってるんです。私が聞きたいと思うのは、とにかく農林省自体として、まず第一に、私は生産計画をきちっとしろということを言ってるんですよ。国内の生産だけでどうしても間に合わないというならば、輸入対策を考えなさいと言っている。ところが、生産対策については、去年、四十二年度の予算を見ても、いま時間がないから詳しいことは言いませんが、四十三年度の予算計画を見ても、この価格上昇を押えるような本腰の入った予算的な生産計画というものが裏づけられてないという、これが一つ。  それから輸入の問題についてはどうかというと、輸入は台湾から四百トンぐらいを入れてくるとか、口蹄疫の発生しておったアルゼンチンなどから、南アメリカの突端のほうから、はるか船で持ってきて、しかもそれは煮沸肉という形で持ってくるとか、そういうこそくな手段を弄して、わざわざ——すぐ隣の中国にあるにかかわらず、そういうことをやってる。今日値上がりになることは目に見えているのじゃないかということで指摘したにかかわらず、畜産局はがんとしてその耳をふさいでやってきた結果、いよいよ畜産事業団の手持ち全部を放出してしまっても間に合わない。いま畜産局長の言うことでは、間もなく安くなるような話だけれども、私はそんなの甘いと言う。もし安くなると言うならば、いつから安くなるか、それを明確にしてもらいたい。なぜそれが私信用できぬと言うかというと、これは、畜産事業団は一日百トンずつ放出したのですからね。そうでしょう。あなたの説明からいうと、六月に緊急四百トンをやって、いまや二千三百トンの輸入の目鼻がついていると言っているが、二千三百トンは、言ってみれば二十三日分ですよ。そんなもので……。そんなら、生産計画のほうはこれだけよけいにされているから、輸入計画として二千三百トンぐらいでも大体間に合うのだということを、数学的につじつまが合うように説明してくれませんか。それなら納得します。したがって、いつからあなたのほうでは値段が下がるというふうに思っているのか、数字的に答えていただきたい。
  129. 立川基

    説明員(立川基君) 何日から幾らになるのかということは非常にむずかしいことでございまして、率直に申し上げて、それはお答えできないと思うわけでございますが、私が申し上げたいのは、先ほど申し上げましたように、輸入いたします数量、四千トンの緊急輸入の公表をいたしておりますし、さらに今後、要すれば追加して輸入を公表する用意もございますし、それから私たちがもう一つ申し上げたいのは、各都道府県なり主要な豚の生産地から得ております出荷動向調査というのをやっておりますけれども、その見通しをとりましたところ、八月においては大体前年同月に比べまして一〇〇%、それから九月、十月につきましては、それぞれ一〇四なり一〇五なりというふうに供給の増が一応見込まれますので、両方の点を考え合わせまするならば、現在のような高値というものは続かないで、安定的に、ある程度鎮静していくのではなかろうかというふうに申し上げたわけでございます。
  130. 木村美智男

    木村美智男君 もう抽象的な話をしている段階じゃないですよ。いま牛肉は、はるかもう手が届かぬ、いまや大衆は豚肉にも手が届かなくなりそうなところへ来ているのですよ。そうでしょう。豚のこま切れが七十五円ですよ。去年の六月段階はどうだったと思いますか。私はあのときにも、豚肉の問題でね、豚は大体安定しているようだけれども、と言って、牛肉を特に言ったんだけれどもね。その後の、不足した状態になってきているということしの三月ごろの時点でも、畜産局に警告を発したんですよ、この問題については。ところが、いまこういう状態になっているというところを見ると、やはりガンは、そういう、足らなくなったら緊急輸入だとか、そういうこう薬張りの、もう対策では、こういう問題はだめなんだということを、はっきり示しているじゃないんですかと言っている。だから、たとえば、そんなら、あなたのほうでは、この問題について、まあ時期は明確にできないならできないが、近いうちに安くなるという、そういう方向にあるということで今日の時点では私は私なりに了解してもいいんですよ。いいけれども、それはほんとうの意味でのこの委員会としては、それじゃ十分じゃないんですよ。やっぱり具体的な数字を示してもらって、荘本的に食糧政策として、食肉の対策としていまこう考えている、生産対策はどう、輸入対策はどうする、ということを、やっぱり数字的に明らかにしてもらう必要がある。これはまあ、きょう出してくれということも無理でしょうから、そういうことで、近く安くなる、あるいは将来に向かって安定的な価格が保持できるんだ、こういうふうに、ひとつこの次には説明できるようにしてもらいたい。  二番目に聞きたいのは、畜産事業団の例の四十六億の赤字の問題、下限価格三百二十円で買い込んで、それですでに四百四十円ぐらいするというようなことで、もう値段がなってしまって、実際放出すると、この間の、七千トンか八千トンかわかりませんが、あの肉が四十六億の赤字になってきた。これは、大蔵省のほうは、そんなものは知らぬと言っている。農林省は、当然これは一般会計から穴埋めしてくれと、こう言っているようだけれども、これは一体どういうふうに処理する方向にきまったかということ。  時間がないから、もう一つ聞きますが、さっきも触れたんですけれども、二百六十五万トンの古米がダブついているときに、十万トン買い入れる、こういうばかな政治があるかといって、ぼくは言ったにかかわらず、農林省は、いまもうとっくにないという、幽霊を捕えてみれば枯れ尾花ですよ。五年前に、もう口蹄疫はなくなったと言って——田中畜産事業団の副理事長といえば日本の獣医学界の権威者だ、これが行ってきて、まあ大体だいじょうぶだと言うのに、台湾とアメリカのほうばかり向いて、そして食糧政策を考えているから、ダブついている米をわざわざ十万トンも買い込んでいる。これが農林省の今日の農林行政です。あなた気の毒だけれども、しょうがない、畜産局長になったのだから。ほんとうは、あなたがおこられるはずじゃないんだ、これは、前の岡田畜産局長がきょうおこられなければならない。あなたはかわりにおこられているわけだけれども。客観的に見て国民納得できますか。いまダブっている米を十万トンも買い込んで、豚肉を買えと言ったものを、向こうも売りたいといっているものを、それを断わって、そしてこま切れ七十五円で買わされるという、こんなばかな農林行政を一般の国民皆さんが知ったら、これはただじゃおかれませんよ。そこら辺を考えてみると、どうも農林省は、農林の畑の中のことをやっていればいいと思うかもしれぬけれども、もう局長さんになったら、国の情勢を見てもらわなければならない。なぜかというと、とにかくいま中国にいる日中覚え書き貿易協定に基づくあの事務所の大将たちが、次の協定存続の問題を話し合っていますね。その中に、この協定が存続するかいなかのポイントはどこにあるかといったら、日本が食肉を輸入するかせぬかということが相当ウエートが高くなってきている。これは政治問題だから、農林大臣きょうどうしても来られないというから、あなたから伝えてもらうために言っているのだから、これについてはあなたに確信ある答えを求めちゃいないですよ。しかし、農林省は、やっぱりそういう政治的な立場を考えて、日中貿易協定をどうするのかという、そういう立場を考えながら、一つの食肉対策というものを、農林行政というものを、考えなければならぬところにいま立たされているのだということを、これはひとつ大臣にお伝えいただいて、省として、農林省として、ひとつ十分な答弁をしてもらいたい。あんなものは別に考えなくてもやっていけるのだというならば、それなりのやっぱり対策、生産対策、輸入対策を数字的にきちっと出して、これだからおまえ、日中貿易なんというものについては、わがほうは、農林省としては、こんなものは問題にしていないのだと、こう説明されれば、数字の面では——政治的には問題が残るけれども、少なくとも食肉対策としてはつじつまが合うから、それはそれなりに了承のしようはあると思うのです。だから、その点は、最後のはあなたに対する質問じゃなしに、農林大臣に十分ひとつ伝えてもらって、次の段階では大臣に聞くから、したがって、その農林省としてのひとつ方針を……。  それで、あなたも、せっかく畜産局長にかわられたのだから、あまり過去のいきさつで、どこからか指令が来るような形で、それに金科玉条のようにしがみついて、前の岡田君のようにしがみついてやるのじゃなしに、ほんとうに消費者のいまの立場というものを解決するために、農林行政として物価対策上この食肉対策をどうするかということを、ぜひあなたは新しい気分で、新局長立場でこれは考えておいていただきたい。このことはこの次の委員会質問しますからね。さっきのやつはちょっとでかいですよ。政府の問題だから、これは大臣に聞きます。  そういうことで、その畜産事業団の例の赤字の問題だけ、どういうことになるのか、ならぬとすれば、どういうふうに解決したいのか、その点だけお答えいただきたいと思います。
  131. 立川基

    説明員(立川基君) 最初に、畜産振興事業団の赤字の問題でございますが、先ほどお話がございましたように、四十一年、四十二年を通じまして、かなりの頭数の豚を買い入れたわけでございます。それの保管いたします金利なり、倉敷なり、あるいはさらに、冷凍にいたしますので、その冷凍にいたします経費その他で、実質的に四十七億七千万円程度の赤字になるわけでございます。これが補てんにつきましては、われわれといたしましては、一ぺんに全部を一般会計からということも、財政上の事情もございますので、その一部分について一般会計から補てんしてもらいたいということで、一応大蔵省お話をしておるわけでございます。したがって、まだ双方において合意に達したということではございません。  それから第二番目の問題でございますが、肉全体についての畜産としての計画を立てろというお話でございまして、これにつきましては、実は前の委員会でも前局長から御説明したと思いますが、肉牛その他につきましても一応の計画を持っているわけでございますが、最近の新しい事情もございますので、乳牛を含めまして一応の計画をいま検討しつつございます。ただ、私の見込みといたしましては、それによりましても、この一年なり二年なりに国内で全部自給ができるということには必ずしもならないのではないかというふうに私は考えております。ただ、その問題と、先ほどから先生お話しになります中共からの輸入の問題は、また別個に考えるべき筋合いのものじゃないか。私は繰り返して申し上げませんけれども、前から申し上げておるように、病原菌の問題がございますので、その病原菌がどの程度に国内に影響を及ぼすかということをある程度詳しく知った上でないと、入れるか入れられないかということは判断できないのではないかというふうに私は考えております。  以上でございます。
  132. 木村美智男

    木村美智男君 まあ、赤字の問題だが、これは答えられているように、話がついたわけじゃないと、要求しているのだという農林省サイドのお考えだけれども、これ、依然として問題は残っているから、これは、どういう処理のしかたをするのか、ひとつまあきめて、そしてそのことがこれからの畜産事業団の運営問題にもからんでくると思うから、きわめて重要な問題だから、これは一応要求している段階だということで、これは了解しておく。あとの点はまた伺う。  それから、いまも局長が言われたように、とにかく去年大体日本の食肉需給についての不足が十七万トンぐらいでしょう。ことしはおそらく需要が上がってきて二十万トンぐらい。昭和五十年は、伝えられるところによると、三十万トンから三十五万トンぐらいの不足になるという、そういう長期展望に立ってこの食肉問題をどう解決するかという意味では、あなたがおっしゃるように、今年度の計画とこの中共病原菌の問題別個だなんという、そういうのんびりした考え方を持っているから、いつまでたっても基本計画ができないのだと言うんだよ。そこが問題なんです、実は。そこで、その病原菌なら病原菌の問題についても、もっと積極的な姿勢を持っていれば、これはぼくらは別にそう農林省に、何もことばを悪くすることはないんです。ただ、ほんとうに何かにとりつかれたように、病原菌、病原菌と言っているが、そんなら、現実に向こうから——私もこの前提案したけれども、中国全体が病原菌になっているわけじゃないんで、ある個所というものを指定をして、そしてこちらの係官がちゃんと行って、そして検疫官を派遣をして——戦争中はそんなことはなかったんですからね。戦争中は、口蹄疫があったけれども、どんどんどんどん、年間十九万トンぐらい輸入してきたという、ちゃんと実績があるんだから、それをいまごろ、病原菌がということ自体がおかしいんだけれども、しかし、中共はもう六年前、一九六二年以降一頭も発生しないということを、これを明らかにしている。それから、田中さんは第三回目に行って、その事情も大体見て来て、ほぼだいじょうぶだと、専門家は大体心配ないと言うのに、農林省の、獣医さんでもない人たちが、しろうとが、だめだめと言っている。そういうことは一般国民にはなかなか納得できないですよ。専門家は大体だいじょうぶだろうと言うのに、しろうとが、あぶないあぶない、こう言っているんでしょう。そんなら、あぶないならあぶないなりに、もうちょっと合理的に、科学的に、ちゃんと中共の肉について、ビールスは何なのか、型は何なのか、したがって、これを防ぐためにはどういうワクチンをやればいいのか、ということを積極的に調査をしたらどうだ。調査もしなければ検討もしないで、質問があるたび——ここもう十年越しだ、十年越し。この問題は昭和三十六年ごろから問題になっているわけだ。予算委員会でも、農林委員会でも、また物価委員会でも、なっているけれども、農林省は十年一日のごとく答えがおんなじなんだ。ここが、ぼくはやっぱり問題だと言うんです。確かに、積極的に行って、いま言ったようなことを調査研究をしてきた結果こうですと言えば、それはぼくらも、これはやむを得ないじゃないかということになるでしょう。ところが、その材料は一つも出さないで、積極的に農林省からも出て行かないで、岡崎嘉平太事務所かなにかの人に、ちらっと、どうかと、そのことを聞いて来いぐらいのことを言って、それでお茶を濁しているから、私はおこっているわけです。だから、今度は、ぜひあなたの局長段階で、新しい立場から、たいした予算もかからぬのだから、それはやっぱり専門家、調査団を、もう一回やるならやって——田中さんおこると思うけれども、彼は日本一の獣医科学者だといって自負しているんだから。だが、そんなことはしようがないよ。国民全体の利益のためにはね。だから、もう一回とにかく行って、科学的にこうだと、具体的にこうなんだと、だから、持ってくれば日本の牛や豚がやられてしまうからだめなんだということになれば、この問題は私はもうやめますよ。それでない限り、これはあなたの怠慢ということになる。牛肉がいま百グラム七十円ぐらいになるとか、豚が六十円になるとかいったような、そういう安定をしているんならいい。一般の物価の上昇に応じて上がっているなら、私は認めると言うんです。そうじゃない。豚肉と牛肉は一般の物価の値上がりとは端的に……。それは食肉対策が不手ぎわなために特別の値上がりをしているということを私は問題にしているんですからね。これは、畜産局長、普通の物価の四・八%何がしという、そういうペースの中の問題なら・あまり文句言わないですよ。そうでないところに、異常な問題として出てきているから、言っているわけです。だからひとつ、いままでの畜産局長の考えていたワクとは別に、今度はひとつ、あなたは新しい立場でこの問題を検討してもらう。そして、自民党だって、与党だって、田川代議士さんや古井さんや、彼らの意見は、私がいま申し上げているとおんなじ意見です。うそだと思ったら聞いてみなさい、同じ意見です。ところが、それは最終的に、やっぱり佐藤さんがそういう決断をしないというところに問題はあるが、決断のほうは上のほうにまかせて、そのときこそ政治の問題として、よかったか悪かったかは別の問題になるから。しかし、上のほうがそうだからといって、畜産局がただ単に十年一日のごとく言いならされてきたことばでわれわれに相対しているということでは、これは済まされない問題じゃないか。この点、どう考えますか。
  133. 立川基

    説明員(立川基君) ただいまのお話でございますけれども、われわれとしても、中共につきまして、先ほど先生のおっしゃいましたように、数回も、これは役人じゃございませんで、民間の調査団の方でございますけれども調査に行かれました結果を獣医関係の方々に御相談した結果、この前からお話が出ておりますように、先生が先ほど言われましたように、口蹄疫の発生の状況だとか、それを撲滅するやり方だとか、あるいはワクチンの型だとか、そういうような具体的な事情についてお調べいただきたいということを申し出ているわけです。ところが、向こうからそのことについて御回答がないままで今日に至っているのが事実でございます。  それから役所そのものとしてそれじゃ調査団を向こうに派遣できるかということになりますと、これは、現在のところ、両国の間に国交が回復されておりませんので、役所自体として向こうに調査団を出すことも困難だろうと思います。
  134. 木村美智男

    木村美智男君 申し入れているというけれども、いつどういう申し入れをしたか。これも私知らぬわけじゃない。知っているのですよ。農林省がほんとうに本腰を入れてこの問題を解決しようかという前向きの姿勢で正式な文書をもし出したというなら、いつどういう文書を出したか、出してみなさい。
  135. 立川基

    説明員(立川基君) いま原文がございませんですが、四十一年の六月一日のように記憶しております。私のほうの前局長から岡崎嘉平太先生に、そういうことでお願いいたしたいということを申し入れているはずでございます。
  136. 木村美智男

    木村美智男君 ところが、いま聞いてもわかるように、ことしは昭和何年ですか。四十一年の六月でしょうが。この問題が出てきたのは、この文書が行ったという時点とはまるっきり違うのですよ。昨年豚肉が暴落をした、その前から牛肉が、おととしの暮れあたりから上がってきた、こういうことから問題にしているのだから、その後何かやったかということなんで、四十一年は前の話です。四十一年に文書を出したことは私はよく知っているのです。だから、今日は新しい事態というふうに局長も認識して、局長もかわられたのだから、いままでのようなことばっかり言っていないで、皆さん納得できるような措置を一回とってみる気はないのかというふうに申し上げているのです。四十一年ごろやったものを、いまごろ返事が来ない——じゃ、何回催促して、催促した結果どういう返事があったというなら別ですけれども、岡崎嘉平太事務所の人が行ったときに、あのときに文書を持っていってくれというのでは、ちょっとこれは、姿勢として問題があるのですが、終わったことはいいから、新しい立場でひとつ、この問題については、結果としてノーであろうと何であろうと、私はそういうことについてどうこう言うつもりはない。問題は新しい観点で、あなたの立場から、この中国との接触を一回してもらいたい。特に今度の日中覚え書き貿易協定の更改期には、必ずこの問題が問題になるのだから、日本政府がこれは相当窮地に立ちますよ。これは貿易はやらない、そっちのほうはやらない、商社だけがするのだという考えになるかもわかりませんけれども、しかし、これは与党内部にもそういう強い意見が出ていると同時に、いまの佐藤内閣の閣内でも、たとえば中曽根運輸大臣が中国の船舶輸出問題をやっているように、これはやっぱり輸銀を使用させるべきだという意見を出しているのと同じように、世の中は逐次変わってきている。  それから、農林行政としても、根本的に将来の食肉の需給状況の展望をして、三十万トン、四十万トンの肉不足の事態にどう対処するかということを、国内の需給計画と輸入計画と、あわせてひとつこの際、畜産局長かわられていい機会だから、これの展望を立ててもらいたい。その一環として、いま言った中国の関係についても、ひとつ接触を——政府部内で政府が直接ということはできないというお話だから、それはいいです。だから、従来のように民間を使うかどうか、それはおまかせしますから、ぜひ新しい接触をして、そうして、こういうことだという、やはり合理的な、そういう、こうやった結果こうなっているからだめなんだという、返事をぜひしていただくように……。どうですか、これは。
  137. 立川基

    説明員(立川基君) ただいま言われましたように、長期的な食肉の需給全体を考えて、その場合に、輸入なり何なり問題をあわせ考えるべきだというのは、ごもっともなことだと思います。ただ、その問題と、長年問題になっております中共肉の輸入の問題とは、若干私は性質が違うのではないかと思います。岡崎先生にも実は私が局長になりました直後にお会いしたことがございます。それで、この問題も一応お話に出たわけでございますけれども、われわれとしては、これはあくまで、いまの、単に、何と申しますか、需給の問題というよりも、むしろ、これは衛生上の問題なんだ、衛生上の問題を判断するには、最小限度われわれが教えていただきたいという五つの項目を向こうにお話ししているわけでございますけれども、これは、どこの国の場合についてもこの程度のことはお互いに情報を交換をして、そうして相互にそれを確かめて、その上で安心したという自信がついたときに初めて輸入ということになっているわけであります。ことに前の委員会速記録を拝見して、先生も詳しく御存じのように、日本の場合には、口蹄疫については非汚染国でございますので、抵抗力が非常に弱いわけでございますから、万が一ということがあった場合のことを考えると、慎重の上にもやはり慎重を重ねないと、ぐあいが悪い。そういうふうに考えまして、最小限度これだけの条件のものについてお教え願いたい、お教えを願ったら、その上でどう対処するかについては、また別途御相談申し上げますからということはお話したわけでございます。
  138. 木村美智男

    木村美智男君 いまの衛生上の問題というのは、それは確かに衛生上の問題ですよ。だから、それはそれで検討されていいのですよ。ただ、あなたのほうで、あんまり衛生上、衛生上という問題を言うならば、アルゼンチンから煮沸肉を輸入するという問題は、これは衛生上から見たら危険きわまりないことですよ。これは、局長も御存じのように、ビールスというやつは人間の体にもついてくれば、靴の裏にまでついてくるのですよ。だから、その煮沸肉という形でつくる段階に、どこへひそんで、どこで付着しているかわからないでしょう。これは、そんなことを言うならば、羽田から、あるいは各港から、全部防疫体制をきちっとしなければ、あぶなくて、こんなものを入れたら、たいへんなんですよ。アルゼルチンといったら、口蹄疫で最も有名なところです。そういうことを一方ではやって、片方は、衛生上の問題だ、衛生上の問題だと言っているから、どう考えてみても、これはとにかく、いまの日本の外交政策としてやはり吉田書簡が問題になったと同じように、アメリカに百トンの、松阪か兵庫かわかりませんが、その肉を輸出しているやつがとめられるとかというような心配、蒋介石のほうから横やりが入るとかというような心配、こういう政治的な問題によって曲げられてくるんじゃないかというもっぱらのうわさになっているわけです。それを、いやそうじゃないのだということにするためにはどういうことなのかと言ったら、農林省がそんな問題を離れて、純粋に科学的に、こういうことでこうなっているからだめなんだという材料をちゃんと教えなさい、そういうことを衛生上の問題として言っている。そうしないで、アルゼンチンから、ああいうひどいところからわざわざ、煮沸するということだから、だいじょうぶだというふうに言わして、入れているけれども、あれは危険きわまりない。それを考えれば、アルゼンチンから煮沸肉を入れたということは、口蹄疫について一歩それは前へ進んだということなんです。だから、そんなのをいつまでも、中共のほうは教えてくれないからだめなんだと言うだけでは済まされませんぞ、 いまでは。それで、ある程度そりゃ国民をごまかしたり、おどかしたりすることもできたでしょう。病気があるから、入れてきたらたいへんなんだと言って。そうして、それに畜産関係の業界あたりにも反対だという声を片方ではあざさしておる。それじゃ消費者が浮かばれないじゃないですか、消費者が。そこのところを、こんな高いものを食わされておっても、これは牛が足らないのだ、豚が足らないのだということだけで、あとは、持ってこようにもこういう事態があるから持ってこられぬのだということが、ちゃんと資料として出されて、説明もされれば、国民だって、これはやむを得ないじゃないかということになるでしょう。ところが、そこのころは、ただおどかしだけでされているから問題がある。そんなにおどかしをするのならば、アルゼンチンからだって、煮沸肉を持ってきているじゃないかということなんだ。そこら辺の説明が全然できないで、衛生上ということだけで突っ張っていける状態に、きょうはもうないのじゃないか。いわんや、ことしは貿易協定の更改期にあたって、この肉の問題が一つのポイントになっている。だから、産業界の中だって、肥料業界、機械業界は、均衡貿易だから、どうしても米が余ってだぶついているのだから、今後米買うわけにはいかないのだ。そうすると、歯かなんか買わない限り均衡貿易の日中貿易は成り立たなくなる。そうすると、これは単に消費者だけの要求じゃなくて、その機械業界、肥料業界まで、やはりこの食肉問題ということは相当重要なウエートを置いているわけだ。だから、いずれ遠からぬうちにこの問題に対決を迫られる時期になるから、ぼくは、そういう時期であっても、肥料業界あるいは機械業界を納得させられるような、そういう資料をやはり農林省はつくらなきゃならぬ。口蹄疫ということを、衛生上ということを言う以上は。そういう意味で言っているわけで、新しい態度でいまのような対策を立てない限り、何ぼ百グラム、中肉が百円になろうが、百十円になろうが、そんなことは知っちゃいないんだということでは、農林省、済ますわけにはいかぬじゃないか。畜産局としては、それでは責任を果たすわけにはいかぬじゃないか。ましてや、佐藤内閣は、物価対策というのを当面の最重点政策の一つに言っているわけだから、そういう大所高所から考えて、やはり具体的にひとつ、納得のいくような、そういう資料をつくってもらう、具体的に、向こう側との接触の関係も、ひとつ説明ができるようにしてもらいたい。この点約束してください。
  139. 立川基

    説明員(立川基君) いまの点でございますけれども、われわれが向こうに要求しております資料は、決して、繰り返すようでございますけれども、ほかの国なり何なりに対して要求している以上のことを要求しているわけではございませんので、その事情はどういう理由か詳しく説明していただかないと、要するに畜産衛生の関係の責任者としては、輸入を許すわけにはまいらないと、そういうことですから、先ほどから御議論のございます五つの事情につきまして御説明を願いたいということを、繰り返して申し上げておるわけです。早い話が、それがわかって、もちろんだいじょうぶだということになれば、国内の生産者の方々も、なるほどそれはもっともだと、言われるのももっともだ、そういう御議論になるだろうと思うのでございます。ことに中共は、国際の獣疫関係の会議には加入していないわけもございますけれども、世界的に一応権威のある国際獣疫の事務局から出ておりますレポートによりますと、やはり一応は部分的な発生があるというレポートになっておるわけでございますから、そういうような事情であればあるほど、やはりわれわれが、何と言いますか、お願いしておる関係についての御説明をいただいて、それで納得した上で、こういう事情であるからこういう措置をとるということで、ものを考えたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 木村美智男

    木村美智男君 いまの、局長、部分的に発生しているという、国際獣疫機構でしょう、きっと、そこのところからそういう資料が出ておるというやつ、これはあとでひとつ私にも見せてください。それじゃ、欧州のこの関係国、それは北欧、それから東欧を中心にして、中国からだいぶ食肉を輸入しています。そういうこととの関係はどう説明するのかという問題と、もう一つ、答えがないと言っているが、この答えがないというのは、農林省はたいへんきれいごとを言っているけれども、あの質問書というのは、今日の国際情勢の、ベトナムを控えて、そしてアメリカと中国との関係から言うと、いわゆるこれはビールスの問題だから明らかにできないという、きわめて微妙な国際関係がここに介在をしているのですよ。その話が一つある。それをあなた方ちゃんと知っているものだから……。それにもってきて、ビールスの型は何だ、これに対するワクチンは何だという、答えられないことに答えを求めているというのがほんとうのところなんだ。だから、そんなことをあなたらが聞くくらいなら、何で高松博士から始まって田中副理事長に至るまで、三回もわざわざ中国まで調査団を出して調査なんかしたのか。その調査をされておきながら、今度大体問題がなさそうだということになったら、いまの質問状を出して、答えられないことがわかっておって、そして、だからどうにもしようがないんだというような態度をとっておる。これが本音じゃないですか。  この問題は、もう局長じゃこれ以上前進しないから、これ以上聞こうとは思わぬが、あなたもやはり岡田さんと同じようなことばかり、十年一日拡声機のごとく答えていると、あんた、委員会のたんび、私らはやらざるを得ないからね。ほんとうにあなたが農林行政の座を受け持っている国民に対する責任ということを考えるならば、あなたみたいに一あなたみたいと言っても、きょう初めてだから、あまりぼくもこれ以上言おうとは思わぬが、岡田さんは、全く判で押したように同じことを、よくしんぼう強く十年間も言っているなと思うくらいやっている。食糧庁長官が官房長時代に、坂田農林大臣が判こを押す寸前までいったやつを松野さんがひっくり返した。これは、自分の選挙区の肥後牛がどうこうという意見が出てきたものだから、それをかばうために待ったをかけた。そういうようなことはもう公然の事実として自民党の議員の中ですら言っているんだよ。そういう状態というものがあって、それを岡田さんは、農林大臣よりももっと上のほうから指示されて、おまえやせがまんをしてがんばれと言われている。これまでぼくは知っているよ。だから彼はがんばった、やせがまんをして。そういうことで、この畜産対策というか、食肉対策というものをやられて、それで豚のコマが七十五円もするという高い肉を食わせているというのでは、全く国民も、消費者の基本法なんというのはどこへ行っちゃったかわかりませんよ。こういうことについてあなた方といつまでもこういうことをやっているとなれば、委員会で相対で質問をなんという方式をやめて、別途の形でぼくだって考えざるを得ないから、もう少し、こういう委員会の応答として考えるならば、ちゃんと具体的なデータをそろえて、こういうことになっているからこうだと言うべきなんだ。これはおととしの委員会で、その後ずっとやりましたが、おととしから岡田さんが言っていることと大差ないんだ、いま局長の言っていることは。だから、もうちょっと、ただ受け継ぐだけじゃなしに、自分自分自身の立場でもう一回これを見直して、先入観かなにかでなくて、よく見直して、そしてこれで今日の物価対策上から考えてもどうなのかということで、その結果、全体的に国内の生産計画からいって間に合うという結論が出たら、それはそれでけっこうです。それが間に合わない、どうしても不足するということになれば、じゃ、輸入対策をどうするのか、その一環として、やはりもう一回この問題に帰ってこざるを得ないと言っているんですぼくは、必然的に。だから、そういう面もずっと一応の御説明ができるように、ひとつ新しい局長にこれは希望しておきます。次の機会にして、大臣でないと、例の政治的な問題は無理かもしれませんので、以上で止めます。  たいへん時間が長くなりましたから、食料品の価格安定対策を少し予算的に聞きたいのですが、五分くらいかんべんしてもらえませんか。またあとで長官と、大臣だけは除いたけれども、またここでそういうことをやっていると、次に運営上皆さんに迷惑をかけるから。
  141. 大森久司

    委員長大森久司君) 時間がたいへん……。五分くらいでやってもらえれば。
  142. 木村美智男

    木村美智男君 農林省の農政局長さんですか、食料品関係、要点だけ聞きますがね。生鮮食料品の流通機構の近代化の問題で、中央卸売り市場の施設の整備、これについて、大体いままで九億だった補助金が十三億くらいになったわけですね。それをさらに農林省は、農林漁業金融公庫から、卸売り市場近代化資金として三十億のワクというものを融資しているはずですよね。大体そういうことでしょう。そこで、全国的にこの資金によって整備が可能なのかどうか、これが一つ。それから人口十五万以上の都会ですよ、大体それについてどの程度やれるのかということ、これが一つです。——五分間のうちに質問を全部出しておきます。  それから二番目には、大体補助なり融資ということから計算すると、何年かかっても、どうもいまみたいな微々たるものではだめなような気がすると考えられるので、この点は自信を持ってある程度の見通しの上に計画の遂行ができるのかどうか、これが二番目。  それから三番目には、この政府の補助金というものは、施設の三分の一だけでしょう。大体公設市場をつくるのに最大の障害になっているのは用地費なんですね。そうすると、この用地費の関係から考えると、どうも地方自治体だけ負担が重くなっちゃって、こんな微々たる農林省の予算で流通機構の改善はできないという感じなんですけれども、これは一体それでできるのかどうか。  第四番目には、地方の卸売り市場整備費として六千万円を計上していますね。これについても国の補助というのは二分の一ですから、考えれば三つの市場を整備すれば大体終わりになってしまうという、それくらいの予算にしかすぎないと思うのですけれども、全国の地方市場の数からいって、こんなものじゃとうていだめだと思うのだが、これは一体どういうふうに処置するつもりなのか。  それから小売りの近代化ということで、大都市に公設小売り市場というものをつくろうとしているわけですね。一億二千万円の計上をしているけれども、何年計画でこれを整備しようとしているのか。用地費の問題は、やはりさきの問題と同じです。  それからもう一つだけ聞きますが、食品加工流通業の構造改善という問題で、特にしょうゆだとか、みそだとか、かん詰めだとか、こういったような、そういう加工業の育成対策として、農林省の今年度予算を見ると、企業対策費わずかに一千三百万円しか組んでない。それから食料品関係企業の合理化ということで千四百万円、これ以外には、ちょっとどこをさがしても出てこない。そうすると、両方合わしても二千七百万円しか、これ、ないわけですから、そうすると、一体調査研究と言うが、いまごろこれ調査研究をやっているようなもんじゃ、とにかく今日の物価対策に的確な手が打てないということになるだろうと思う。そこで、あなた方を、まあ何というか、責めてみたってしようがないのだが、とにかく、ぼくの言わんとするのは、あまりにも予算が不足しておって、物価対策にも、あるいは公設市場の整備にも、あるいは食品工業、中小の近代化にも実効ある施策が、これっぽっちではとれないんじゃないかということが言い分です。したがって、もし聞いているようなことが事実であるとすれば、今度の四十四年度予算の編成にあたって、相当農林省としては腹をすえて予算要求をしてもらわなければいかぬのだということが最後の結論です。  五分間でちょうど終わりましたが、五つばかり伺っておきたいと思います。説明をしていただきたい。
  143. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 中央市場の整備につきましては、ただいまお話しございましたように、逐年予算を増額しておりまして、四十二年九億のものを、本年度は十三億というふうに増額いたしております。さらに明年度も積極的に増額につとめてまいりたいと考えております。また、このほかに起債が相当ふえておりまして、四十二年度は五十四億というものが、本年度は六十五億というふうにふえております。全体的な計画といたしましては当初計画をつくりましたけれども、その後いろいろな事情で、毎年中央市場に指定をしてもらいたいという希望の都市がふえてきておりますので、そういう関係で、全体的に進捗率がどうかということを議論することはむずかしいのでありますけれども、われわれとしましては、現在の中央市場の対象となる都市については、できるだけ、地元等の御希望がある場合は、中央市場の認可をしてまいる。それに伴って施設の整備予算も年を追って拡充していく、かように考えております。  それから土地取得資金が対象になっていないということでございますが、国の補助で、土地の取得費に対して補助をするということはきわめて日本の予算制度のもとでは限られておりまして、中央市場関係の補助につきましても土地は対象にいたしておりませんが、そのほかの施設につきましては、おおむねほとんど対象になっております。さらに、起債によるという府県につきましては、起債の対象として土地を取得するということは可能であると、かように考えております。  さらに、地方市場の整備につきまして、非常に今年度予算が少ないじゃないか、六千万円で三分の一の補助でございますが、三ヵ所程度でございます。確かに少ないのでありますが、最初の、着手したのは本年度からの予算でございまして、私どもとしても、本年度の成果を見た上で、明年度はさらにこれが大幅な拡充をやっていきたい、かように考えております。これは、予算も本年度から始まったばかりで、非常に歴史の浅い予算でございますから、長い目で見ていただきたいと思っております。  小売りの公設市場につきましては、これはいろいろ実施していく上にむずかしい問題がございまして、また、地方公共団体、都市等でも、必ずしもいろいろな地元の事情から急速に進めがたいという面もございますが、一応の計画として、私どもは五十カ所を四カ年くらいにやるという計画を持っております。そういう線で今後考えてまいりたいと思っております。全般的に申しまして、中央市場なりあるいは地方市場の予算は、私が申すまでもなく、ここ数カ年の間に、補助対象も広がり、補助率も上がり、また金額的にも、ほかの予算に比べればかなり飛躍的に増進をいたしておりますので、私どもこの線でさらに明年度予算においては積極的に要求をいたしたい、かように考えております。  食品加工の問題につきましては、御指摘のように、調査予算だけじゃないかというお話でありますが、これは、将来の企業自由化とか、あるいは基本的な問題を長期的な視野で研究するための調査予算でございまして、当面の食品加工の近代化の問題につきましては、一つには、中小企業近代化促進法に基づく指定を、二十五業種くらいになるかと思いますが、いたしておりまして、そういうものの中に、御指摘のみそ、しょうゆ等も含まれておるわけでございます。この中小企業の一般政策の中で、できるだけ農林関係の食品加工業に対する助成を手厚くしてもらうという線で中小企業庁ともいろいろお話をいたしております。これに指定になれば、いろいろ設備に関する中小企業金融公庫あるいは中小企業事業団というようなところから低利融資が受けられますとともに、さらに税法上の特典もあるわけでございます。また、本年度から、御承知のように、国民金融公庫に百三十億の特別の融資ワクを設けまして、食品加工業、魚屋から八百屋さん、それからパン製造業というふうな、あるいは酒類販売というようなところまで、いわゆる小売り業に対し、かなり広く食品関係の施設資金を低利融資する道を開いておるわけでございます。そういう面で、必ずしも、農林省の予算ではございませんけれども、中小企業庁なり、あるいはそれに関連する金融施策、あるいは国民金融公庫の中の金融施策という形で、非常に多くの額が計上されておるわけでございます。こういう企業対策でございますので、農林省の予算としましては、長期的な調査研究の経費というのが大部分でございますので、表面少なく見えて、しかし基本的な施策としてはかなり私ども広範にやっておるつもりでございまして、今後ともそういう面の施策は一段と強化をしてまいりたいと考えております。
  144. 木村美智男

    木村美智男君 一言。いま予算の関係を回答をいただいたわけですが、確かに昨年から見れば、それぞれの関係で少しずつふやしておることは間違いないのです。それはそうだけれども、全体として、いまの、何というか、消費流通機構に対応するようなことには、はるかにおぼつかないということをやっぱり腹に入れて、そして来年度の予算の関係についても対処してほしいというのが、これが私の言わんとするところです。それと同時に、農林省は、どうもこれだけ見てみると、施設さえりっぱにすりゃ、何か流通対策はでき上がったような考え方を持っているのじゃないかというぐらいに、実はいまの答弁を聞いていても、感ずるわけです。それは、もうすでにある既存の魚屋や八百屋を、りっぱな施設に国の補助を使って安い家賃で入れてやるというだけのものでは、これは流通機構の整備ということには私はならぬと思う。これは単なる権益を特定の者に与えてやったというだけにしかならぬ。もう少し施設を整備するとともに、内容というか、こういうものを固めなければいかぬ。標準小売り値段という問題については、もう東京都がやって試験済みなんだから、だからやっぱり、建物もりっぱにすると同時に、その公設小売り市場なり、あるいは卸売り市場のその仕組みというか、運営、この問題にもやっぱり相当の力を入れてやってもらわなければ、これはほんとうの意味での流通近代化にならない。言わんとすることがわかれば、そういうことを具体的な施策の中でぜひ具体的に生かしてもらいたい。  以上でございます。
  145. 大森久司

    委員長大森久司君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十八分散会