運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-11-21 第59回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月二十一日(木曜日)   午後一時十三分開会     —————————————    委員異動  十月九日     辞任         補欠選任      成瀬 幡治君     松本 英一君      鶴園 哲夫君     前川  旦君  十一月十六日     辞任         補欠選任      三木 忠雄君     宮崎 正義君  十一月二十日    辞任          補欠選任     松本 英一君      中村 波男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 小林  章君                 佐藤  隆君                 武内 五郎君                 塩出 啓典君     委 員                 江藤  智君                 久保 勘一君                 中津井 真君                 増田  盛君                 中村 波男君                 前川  旦君                 村尾 重雄君                 河田 賢治君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        総理府総務副長        官        八木 徹雄君        内閣総理大臣官        房参事官     川上 幸郎君        科学技術庁研究        調整局長     梅澤 邦臣君        科学技術庁国立        防災科学技術セ        ンター所長    寺田 一彦君        大蔵省主計局法        規課長      小幡 琢也君        文部省大学学術        局研究助成課長  笠木 三郎君        運輸省自動車局        長        黒住 忠行君        気象庁長官    柴田 淑次君        建設省住宅局長  大津留 温君        消防庁次長    山本  弘君    参考人        東京大学教授   宮村 攝三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (局地激甚災害指定基準に関する件)  (飛弾川バス事故に関する件)  (秋田県大舘市及び兵庫県有馬地区火災に関  する件)  (地震による災害対策に関する件)  (防災科学研究予算に関する件)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十六日、三木忠雄君が委員辞任され、その補欠として宮崎正義君が選任されました。また昨二十日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として中村波男君が選任されました。     —————————————
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  地震による災害対策に関する調査のため、東京大学教授宮攝三君を、本日当委員会参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     —————————————
  5. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) これより災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  6. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それじゃ速記を始めてください。  まず、局地激甚災害指定基準に関する件について調査を行ないます。  この際、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。田中総務長官
  7. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) たいへんお待たせしました。  局地激甚災害指定基準につきましては、前回の本委員会で御報告をいたしましたその方針に基づきまして、関係省庁におきましても鋭意具体的な作業を進めてまいったところでございます。  今回の指定基準には、市町村単位という新しい考え方を採用いたしましたために、検討に相当時間がかかりましたが、ようやく昨二十日に各省庁間の調整を終わりました。指定基準案がまとまりましたので、次にその内容を御報告をいたさしていただきます。  局地激甚災害に対しまする激甚法適用は、第二章の公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助のうち市町村負担にかかるもの等第五条の農地等災害復旧事業等にかかる補助特別措置、第六条の農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例、第十二条の中小企業信用保険法による災害関係保証特例、第十三条の中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間等特例、第十五条の中小企業者に対する資金の融通に関する特例、及び第二十四条の公共土木施設農地及び農業用施設等災害に係る地方債元利補給等につきまして行なうことといたしますが、これらの個々条文に関する指定基準の要点は次のとおりでございます。まず、第二章関係については、各災害ごと公共土木施設災害復旧事業費の額が、当該市町村にかかる当該年度標準収入の二倍をこえる市町村一つ以上ある災害、第五条及び第六条につきましては、農地等災害復旧事業に要する経費の額が、当該市町村にかかる当該年度農業所得推定額の一〇%をこえる市町村一つ以上ある災害、第十二条、第十三条及び第十五条につきましては、中小企業関係被害額が、当該市町村にかかる当該年度中小企業所得推定額の一〇%をこえる市町村一つ以上ある災害及び第二十四条につきましては、第二章または第五条が発動された災害をそれぞれ局地激甚災害として指定し、当該市町村適用することといたしておるところでございます。  なお、これらの新基準は、現行指定基準とは切り離して、新たな基準として中央防災会議において決定いたすよう現在手続を進めておるところでございますが、本年の災害に対しまする適用につきましては、前委員会でも御説明を申し上げましたとおり、昭和四十三年一月一日以後の災害につきまして適用いたす所存でございます。  以上で局地激甚災害指定基準についての説明を終わりますが、なお、飛騨川バス事故に対しまする自賠法の適用及び有馬温泉等火災につきましては、後ほど担当省庁から御説明をいたさせます。
  8. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) これより本件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 中村波男

    中村波男君 ただいま総務長官から御説明のございました局地激甚災害指定基準について、若干の質問を申し上げたいと思うのであります。  集中豪雨等によりまして、災害は局地的に甚大な被害をもたらしたにもかかわりませず、被害発生地域が局地的に限定されておりますために激甚法による指定が受けられずに、被災地方団体はその財政負担に耐えかねているという実情であることは、いまさら私が申し上げますまでもないところであります。本委員会におきましても、本年五月十日に激甚法適用基準の再検討を要望する決議をいたしましたのをはじめといたしまして、その後何回もの委員会で各委員から激甚災害指定基準実情に合った改定を強く要望、要請いたしてきたのであります。今回多年の懸案が一応解決されましたこととなり、現行指定基準A、Bに加えて局地的な激甚災害に対処するための第三の基準が設けられ、局地的な激甚災害激甚法適用の方途を開かれることとなりましたことに対し、まことにけっこうなことであり、その労を多とするものでございます。しかしながら、今回の基準によって一市町村内の特定地域に限られた局地的激甚災害については、激甚法適用が困難な場合が多いなど、まだまだ不十分な点があり、またかねてよりわれわれが問題にしてまいりました個人災害に対する財政援助に触れない等、われわれの意に満たない点がありますことは、あらためて指摘しておきたいと思うのであります。  それはそれといたしまして、ただいまから具体的な内容について数点質問を申し上げたいと存じます。  まず、新しい基準の今後の取り扱いについてでありますが、いつごろ中央防災会議におはかりになり正式御決定をされるのか、さらにいつの災害から新しい基準適用されるのか。本年一月以降の災害について、もちろん適用されるお考えであると思うのでありますが、念のためにお聞きしておきたいと思うのであります。  次に新しい基準に基づきまして、政府激甚法第二条による個々適用災害指定政令をいつごろ出される予定でありますか。また新しい基準によって、新たに激甚法適用を受けることになる市町村の具体的な名前を、この機会にお示しいただければ幸いだと思うのであります。  三番目は、今回の基準市町村単位とし、当該市町村標準税収入等を尺度として激甚災害指定することに改められたことによりまして、たとえば公共施設災害復旧関係について見ますと、一災害二百六十億円の公共施設被害がなければ指定を受けることができなかったものが、新しい基準では一市町村一億円以上の被害があれば指定され得ることになったと聞くのであります。今回の基準によって改善された点をもう少し具体的に御説明をお願いいたしたいと思います。  四番目は、従来は激甚災害指定基準による指定を受けると、激甚法の各条文が全面的に適用されまして、各種の特別措置がとられることになっておったのに対しまして、今回の指定基準によりますと、指定については適用条文が何条何条関係と限定されておりまして、たとえば農業関係では第十条の土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助、第十一条の共同利用小型漁船建造費補助等適用はないのでありまして、また建設関係でも第二十二条の罹災者公営住宅建設事業に対する補助特例等適用されないことになっているようであります。このように適用される条文を限定した理由はどこにあるのか。また将来適用される条文を広げていく方針があるのかどうか。当然広げていっていただきたいということをこの機会に強く要望申し上げる次第であります。  第五番目は、新しい基準におきまして、たとえば公共施設災害復旧事業関係では事業費一億円未満を、また農地復旧中小企業関係については五千万円未満のものを災害指定から除外することにいたしておるのでありますが、このような指定除外を設けられた理由について御説明を承りたいと思います。この結果として、公共施設関係について九千万円の災害復旧事業を行なう村の税収入が四千五百万円以下であります場合には、今回の基準に従って指定されるべきであるにもかかわらず、当該町村指定除外を受けなければならないという不合理を生じまして、税収入五千万円以下の村ははなはだ酷な取り扱いになると思うのであります・また指定除外を受けた町村に対しましてどのような財政措置をとるのか、特別交付税交付基準等配慮しているのか、この点についても御説明をお願いいたします。  六番目は、本委員会でもたびたび審議してきました岐阜県における集中豪雨による被災市町村について新しい基準に基づく指定がなされると思うのでありますが、具体的な適用関係を御説明を求めるのであります。たとえば美濃加茂市については、公共施設関係中小企業関係については指定はされなくて、農地関係についてのみ指定されるのではないかと思うのでありますが、関係市町村について個別的な説明をでき得ますならばお願いいたしたいと思うのであります。  七番目は、一市町村内の特定地域に限られた局地的な激甚災害に対しましては今後いかなる措置をおとりになろうとしておるのか。町村合併によって私が言うまでもなく市町村区域広域にわたっておる今日、特に私は問題があると思うのであります。合併することによって激甚災害指定が受けがたくなるという結果にならないよう、たとえば合併町村については合併前の行政区域単位として指定する等の措置をとりますと、さいぜん私が指摘をいたしましたような不合理、矛盾、不公平が解消するのではないかと思うのでありますが、これらの点について政府方針、また前向きでひとつ再検討をお願いいたしたいと思うのであります。  八番目は、さきにも指摘いたしましたように、個人災害に対する補償についてまだ何らの施策も実施されておらないと思うのであります。もちろん私は激甚法の法のワクの中で検討するということについては問題があろうと思うのでありますが、それはそれといたしまして、個人災害に対する救済の道を当然開かなければならないというふうに思うのであります。いろいろ個人災害というものの実態というものはありまするけれども、たとえば先般岐阜県を襲いました集中豪雨被害状況を見てまいりましても、水がいわゆる家の中を通り抜けた、そのことによって家財道具等がほとんど使いものにならなくなりまして、たいへんな個人負担をしいられておるのでありますが、今日までの法律によりますならば、商品等については適用を受けますけれども、同じ被害を受けましても、個人のものについては全く適用除外という、こういう結果になっておるのであります。これは一つの例でございますが、したがいまして、ひとつ早急に何らかの方策を打ち出していただきたい。これらの点について別途にいろいろ方針を御検討中であるのかどうか、加えて御質問を申し上げたいと思うのであります。ただいまお示しをいただきました説明によりまして、御質問を申し上げたのでございますので、私の質問に不十分な点もありますし、また理解をしておらないために逸脱をした質問があったかもわかりませんけれども、できるだけひとつ懇切丁寧に御答弁をいただければ幸いに存じます。お願いいたします。
  10. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えをいたします。  御質問の第一点は、この法案はいつ成立するのかという御質問でございますが、御案内のとおりに中央防災会議におきましてこれはまず決定をいたします。これは現在こちらで御答弁を申し上げておりますこれと並行いたしまして、いろいろの手続を進めておる次第でございますが、防災会議決定ができまして、一両日中には決定の運びと相なります。  また第二の点でございますが、これは一体今年のいつの災害から適用されているのか、こういうふうな御質問だと存じますが、これは暦年で昭和四十三年一月一日からの災害適用される、こういうようにいたしてございます。  第三は、この局地激甚災害指定政令の問題でございまして、実際の局地激甚災害指定政令が公布できますのは、やはりこちらのほうのいろいろな査定確定いたした後に相なります。さようなことから市町村確定時期はおおむね二月、三月の年度の終わりとなるだろうと存じますが、これは事務的になかなか査定——最終的にその市町村に対しまする被害額、さらにそれに対する標準財政収入なり何なりの問題というふうなことの確定が事務的におくれる関係からやむを得ないことであろうと存じます。  それから第四に、今後これを拡大してはどうかというような御意見もございましたし、あるいはまた新市町村が旧市町村と比べても広域市町村に相なっておりまする場合の不利益をこうむらないようにというふうな御注意やら、あるいはまた指定除外町村との間の均衡の問題でありますとか、あるいは過ぐる岐阜県等の災害におきまする具体的な問題等々いろいろと詳細にわたりましての御質問がございましたが、一番その中で残されました問題としましては、個人災害に対する国の災害補償をどうするか、こういう御見解でございますが、この点は災害の場合におきまして、ただいま例におあげになりました商品等々の場合におきましては、中小企業等に対する融資の特別措置でございますとか、税の減免とかいうふうな手段を救済措置として講じておるのでございますが、直接その物件その他の物に対しましての財産権個人補償ということは、たてまえ上いたしておりませんし、またそれは今激甚法改正等におきましても、考えておらないのでございます。ただいまの四、五、六、七等の詳細な点につきましては、本法の成立にあたりましても、非常に日夜努力をいたしてくださいました副長官、あるいはまた担当参事官も参っておりますから、その担当者のほうからさらに詳細にひとつ御説明を申し上げます。
  11. 八木徹雄

    説明員八木徹雄君) ただいま御質問になりました中で、長官からお答えしなかった部分について、私から補足答弁を申し上げたいと思います。  三番目に、新基準によって、市町村がどの程度具体的に、どういうものが具体的に救済されるのか、という御質問がございました。もちろん、この基準を制定するにあたりまして、標準税収入額の二倍あるいはこの一〇%といったものを適用したときに、具体的にどこが該当するかということを試算せずに、パーセンテージをきめるわけにはまいりませんので、一応の試算はいたしておるのでございます。しかし、四十三年災害の最終的な査定の終了というのは十二月でございますので、ここであいまいなことを申し上げて、かえって誤解を受けたりしてもいけぬと思いますので、詳細に申し上げられにくいのでございますが、たびたび国会で答弁いたしましたように、その基準が今回の最大のポイントになるわけでございます。その基準そのものが無益な基準であってはならないという見地に立って努力をいたしまして、かなり相当な市町村救済されるという見込みを私たちは持っておるわけでございます。災害そのもので申しますならば、大体八つの災害がとりあえずなるであろうと思っております。市町村については、たとえばえびの吉松はどうかと言われれば、それは適用されますということは言えますけれども、あとで岐阜県の具体的例はどうかというふうに言われますと、岐阜県の場合などは非常に微妙なところでございますので、この村はだいじょうぶですがこの村はあぶのうございますというふうには、いまの段階では言いにくうございます。そういう点でひとつお許しをいただきたいと思います。  それから、標準税収入額基礎としてやっておるが、旧来の場合では二百六十億以上の災害でなければならぬといった公共土木については、今回は一町村一億以上となっておるが、それはどういうことになるかと、そういうことでございますが、御案内のとおり、従来の公共事業激甚災害というものは、災害全体でそれが国民経済に大きな影響を与えるということを想定いたしておりますから、非常にこの限度を高くいたしております。今回、この新しい新基準を設けたということは、そのことが非常に不親切ではないかと、局地的なものについては何か配慮する必要があるのではないかということでございましたが、旧来のものとは発想を全然異にいたしております。このような市町村激甚という災害国民経済との関連において、はたして立法技術的に可能なのかどうかという御意見もあったのでございますけれども、われわれは国民経済というものをできるだけ拡大解釈をしながらも、やはり国民経済というものを全然無視することができませんので、そういう意味合いで、在来の基準というものをひとつ基礎にしながら、母法やその他をひとつ勘案をいたしまして、その結果としてあのような基準というものを出したのでございます。そして、いまおっしゃられました、一町村一億以上とは申し上げておりませんので、一町村の場合では標準税収入額の二倍をこえて、下切りは一千万ということにいたしております。しかしその下切り一千万だけでは不十分であるので、国民経済という立場もありますから、全体として数町村がやはり重なった場合、そのどれに対して一億以上あるもの、一億以下のものは切り捨てるんだ、こういうふうに下切りをしたにすぎないのでございます。その意味において、市町村のこの採択をする場合に、一番ポイントになりますものは、標準税収入額の二倍であるということと、一千万円以上であればその町村激甚災にひとつ指定されると、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。  それから第四番目に、条文が限定されておるが、なぜその他までひっくるめなかったのか、こういうことでございます。実は、このことは一番、私たち作業を進める上において苦慮いたしたところでございます。特に局地激甚というものをひとつ認めようとする場合に、その基礎をなす国民経済云々というものを無視できない・そういう意味合いで、たとえば十六条の公立社会教育施設、十七条の私立学校施設、十八条の私立学校振興会、十九条の市町村が施行する伝染病予防事業、二十一条の水防資材費、二十二条の公営住宅、御指摘にあったように、二章が確立すれば、援用してやれるという——いままでのその援用分を、なぜこれを入れなかったかと言われるところであろうと思うのでございますが、局地激甚災を仕上げていくという段階におきまして、一番大きなポイントは何かと言えば、やはり公共事業であり、農地農業用施設であり、中小企業であり、この三本の柱をとりあえず、ひとつ確立をいたしたい。できれば全部やりたいところでありますけれども、全部包含することによって、この新基準成立が非常におくれるとか、あるいはそれが不能になるといったようなことになりますと、それこそ角をためて牛を殺すようなことになりかねないので、少々不満であっても、大きな三本の柱は何が何でもひとつこの際片づけたい、そういうような発想がございましたので、これは、今回の場合には、そこまでいかぬから、もう少しやったらよかったろう、こういうふうに御指摘を受けるのは覚悟いたしておりますが、この際はこの程度でひとつ、とりあえず基準をつくらしていただきたい。御承認をいただきたい、こういう気持ちでございます。  それから、いま申しました災害指定除外というものを設けた理由は何であるか、こういうことでございますが、前段に申し上げましたように、国民経済というこのワクというものを一応持っている限り、あまり、全体として零細なものは、国民経済的立場に立って押えざるを得なかった。そういう意味合いで、過去の実例等を見ましても、公共事業全体で一億、その他が五千万というのは、その中に大多数の九一%までは包含される実績もございますので、やはり、立法技術的に——立法ではありませんが、立法精神というものを生かすという意味においても、この程度ワクというものをはめざるを得なかった、こういうことでございます。  そこで、御指摘になりましたように、わずかの差でボーダーラインで除外された場合、かわいそうではないか、どうするのかということでございますが、各省との協議の中でそういう話が出たのでございますが、どこに線を引いてもその問題は起こってまいるわけでございます。そういう意味合いで、そのような除外されたところについては、この激甚災をつくったり、新基準をつくったひとつの精神というものを生かしながら、御指摘のような特交措置をするといったような配慮を加えて、不均衡というものをできるだけなくするようにしよう、激甚災そのものでは、こういう基準を守らざるを得ないが、ボーダーラインのところについては、自治省側配慮をいただいて、著しい不均衡のないようにいたしたいということを相互に理解し合っている、そこらのところでひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。  それから、岐阜県の具体的な例は、先ほど申し上げましたとおりでございますが、七番目に、市町村の中で広域合併などをして、それがために旧村単位でいくなら助かるのに、合併したがために、その標準税収入額との対比のために除かれるということは、ちょっとかわいそうではないか、というような意味の話であったと思うのでございますが、実は、この議論も衆議院の理事さんの中からもそういう御意見がございまして、現在、その一方においては、広域行政というものを推進するために、合併というものを推進さしておる。その奨励措置に基づいて積極的に協力したがために、こういうものから除外されるのはかわいそうだから、旧村単位でやれないかというお話でございましたが、これはやりようがないのでございます。標準税収額ということでございますから、旧村の標準税収額のとりようもございませんし、作業上も不可能でございますので、そういう意味においてそういうような特例というものを何らかの形で設けるということは技術的に不可能と判断いたしまして、先ほど申しましたように、この特別交付税その他の制度活用ということで、御不満は解消願うようにお願いをして、とりあえずこの程度でひとつ御了解をいただきたい、こういう気持ちでございます。
  12. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと中村君の質問に関連をしまして私もお尋ねをしたいと思うのですが、いま八木長官から最後に御答弁になった点は、非常に私は重要だと思うのです。ある市町村の場合に旧村地域またはある一集落、相当広範にわたるある一集落が激甚な災害を受ける、そういう場合の留意すべき事項いかんということでありますが、いかんともしがたいという御趣旨でありますけれども、私どもが山村振興法を与野党で話し合った際にも、ある一市町村の林野率を出すときに、相当山村地域の多い地帯であっても、合併地域が広範なために林野率が八〇%に達しない、そういう場合の措置としては旧村地域を単位とする林野率を見る、こういうことも考慮されたやに思っておるのであります。私その後の法制定の際には議席におりませんでしたので、その話し合いをする過程ではそういうことにしようといって別れましたのですが、その後の経過を存じておりませんが、そういう点もあったと思います。またかりに八木副長宮のおっしゃるようにむずかしかったといたしましても、現在えびの地震等についても特別交付税等によってある程度救済措置ということがなされておるやに、私ども仄聞をいたしておるのであります。したがいまして、そういう点については、これは政府広域行政主義を指導奨励をしてきたところからくる矛盾でありますから、そのために旧村地域またはその旧村地域の一集落が著しい激甚災害を受けたときに対処する措置というものは重要であろうかと思うのであります。ただむずかしいというふうに突っ放さないで、何らかの措置を今後御検討になってしかるべきものであろうと私は考えます。山村振興法の場合の例を申し上げまして、これはいま調べてみてもらっておりますが、私の記憶違いであればいたしかたがありませんが、もし山村振興法等についてもそういう点が配慮されておるとするならば、これはよく御検討になってしかるべきではないか。いま直ちにとは申しませんが、また特別交付税等の措置等も相当御検討になっていままできたと思います、救済措置としては。そういった点についていま少し突っ込んだ御検討を願いたい。たとえば美濃加茂市の場合は、農地はかかる、ところが公共事業のほうはかからない。しかも私どもが現地を見て、飛騨川のバス転落による遺体の収容から、その収容施設からあらゆる努力をした市が、公共施設激甚災適用ワク外に出るというようなことは、何か政治のあたたかさという点から見ましても、矛盾したものを覚えます。これは法律でありますからきちんとしなければならないのでありますけれども、そこにいま一歩踏み込んで御検討が願いたいと思います。これに関連をしまして標準税収入ということが基準一つになっておる。その被害が二倍をこえるということは、最近のインフレ的な傾向もありまして、四、五年前にできた災害激甚法の当時における標準税収入というもののことばと、いまの標準税収入ということばは一緒でありますけれども、その中身には大きな差が出ておると考えざるを得ません。したがって、税額が著しく膨張しておる。その二倍をこえるということになりますと、なかなか適用をしてみますというと困難な面が出てくるのではなかろうか。それがつまり美濃加茂市等の一つの生きた証拠となって出ておるのではなかろうかと、さように私は思うのでありまして、この標準税収入の二倍をこえるということについても、いろいろ御議論があり、慎重な御検討のあったことは聞いておりますが、何かこの標準税収入の二倍ということで公共事業の問題が微妙な立場に置かれるということは、今回の新しい基準を設定されておる意義を薄めやしないかという杞憂もございますので、この点についても御所見があれば承っておきたいと思います。この点は八木さんが御担当のようでありますので、具体的に承りたいし、大筋においては長官からも御答弁をわずらわしたいと思います。
  13. 八木徹雄

    説明員八木徹雄君) いま委員長から御質問のございました最初の問題は、山村振興法の例に照らしても、別にその旧村単位でやれないことはないではないかとこういうようなお話でございますが、先ほど長官から申し上げましたように、局地激甚災の新しい基準設定をしようとする私どもの基本的な姿勢は、その局地的な激甚災のためにその市町村が財政的に非常に苦境に立つ。いままではそれに対して特別交付税等において措置しておるけれども、それだけでは不十分である、その意味で高率補助適用しよう、市町村の財政を高率補助適用することによって救済しようということの精神に立っております。そういう意味合いで、あの基準の設定につきましても、標準税収額あるいはその市町村の農業所得、市町村中小企業所得といったような市町村単位のその中でそれぞれのパーセンテージを設けたというようなこともございますので、先生のおっしゃるこの局地激甚災というものと、一般国民に対する愛情という点においてもう少し踏み込んだやり方をやってはどうかというお気持ちは、すなおにわかるのでありますけれども、市町村財政の救済という見地に立つと、やはりその村の標準税収額というものを基礎にせざるを得なかった。旧村でやろうとする場合には、その基準財政収入額の把握が非常に困難でございます。そういう意味合いで直ちにこの結論が出ませんので、まあもちろんこの半年ばかりかかって苦慮したわけではありますけれども、まだこれで完ぺきだとは私どもも必ずしも思っておりませんから、将来この基準の不備な点、あるいは本法のほうの法改正の必要性、そういったものも含めて将来の課題として御検討をいただく、われわれのほうも検討する、そのことはやぶさかではありませんが、現在の指定基準をつくった根本精神に照らしまして、この際は旧村ということがとりづらいというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それからもう一つ標準税収入額の二倍がいいのか、あるいは一、五倍がいいのか、一倍がいいのかという議論がそれぞれあると思うのでございます。あると思うのでございますけれども、母法精神、いままでの激甚災精神あるいは基準のあり方というものを勘案いたしまして、総合勘案の結果、ここはもうこのことに一番苦慮いたしたわけでございますけれども、各省、大蔵省等といたしまして、とりあえずこれで相当な市町村救済ができる見通しがあるので、これで完ぺきであるかと言われれば、それは必ずしも完ぺきではなかろうと思いますが、決してこれで救済される市町村がほとんどないんだということにはならぬと思いますので、われわれはその確信の上でひとつ二倍というものをようやくにまとめて、皆さんにも御理解をいただいておるわけでございますので、将来このことは固定的なものとは考えておりませんが、現状ではこれでひとつお認めいただきたいと、すなおにひとつお認めをいただきたいという気持ちでございます。
  14. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 八木長官ね、山村振興法施行令の第一条にはやっぱりあるんですよ。「旧農林業センサス規則に基づく林業調査の結果による当該旧市町村区域に係る林野率が〇・七五以上で、かつ、当該調査の結果による当該旧市町村区域に係る総人口(総理府令で定める旧市町村区域にあっては、総理府令で定める方法により算定した人数)を当該旧市町村区域に係る総土地面積で除して得た数値が一、一六未満であること。」と、こういう特例がやっぱりあるんですね。何かこれは御検討をしていただきたいと思います。いま急に、せっかく御苦心になっておることはよくわかっておりますが、やはりくふうをすれば、検討すれば何らかの知恵は出てくると思います。ただ、母法との関係をいま副長官おっしゃいました。確かに私も母法との関係がありますので、これ以上はこの場では申し上げません。母法との関係も考慮して十分将来完ぺきを期したいという御趣旨の御答弁でありますので、それを了といたしまして、あえてこれ以上は申し上げませんが、長官におかれましても最善を尽くして、今後実情に即するように一そうの御努力をわずらわしたいと思います。
  15. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま委員長からの御指摘もございまして、それは実は激甚法の第三基準というものは、委員長よく御承知のとおり非常に実はむずかしいことだったわけでございます。それで副長官をはじめ担当各方面におきましても、非常にこれは研究もし、議論もございまして、それでここまで運んだわけでございます。で、いまのような広域行政の問題と山振法等々から出ておりますような問題のようなものでありますが、これはまあ一度これが第三基準として現実の災害適用してみまして、それでその後にまたもしこれじゃいかぬというような点がございましたらばまた改めるということにいたすべきじゃないか。いまのところは、現在の考えられる各省間のいろいろな折衝の過程におきましては一応こういうところで御了承を賜わって、それでなるほど実際の災害適用してみたところが、これじゃ実際ぐあいが悪いというようなことも出てくるかもしれません。あるいはまた案外それでもってうまい調子にいくようなこともあるかもわかりません。これは実際の具体的なケースバイケースでぶつかってみませんといけないのではないか。私のほうといたしましては、一応今日までこうやって話を詰めてまいりましてここまでまいりましたので、ひと、こういうところで第三基準というものを一応線を引く、むしろそのほうが非常に重大でございまして、デテールにわたっての調整は、また自後のことに譲りたい、かように考えております。
  16. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ほかにありませんか。——ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  17. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、飛騨川バス転落事故に対する自賠法の適用の経過について、運輸省から報告を聴取いたします。黒住自動車局長。
  18. 黒住忠行

    説明員(黒住忠行君) 飛騨川バス事故被害救済のための措置につきまして御報告を申し上げます。  去る八月十八日未明発生いたしました飛騨川バス事故被害者に対し、運輸省といたしましては、自動車損害賠償保障法を適用することが妥当であるとの結論に達し、現在保険金の支払いもほぼ完了した状況でございますが、この間の経緯につきまして御報告を申し上げます。  すでに御承知のとおり、本件事故は異常気象時の集中豪雨下に発生したものであり、自賠法適用の対象になるかどうかが非常に微妙なケースであるだけでなく、事故発生に至るまでの事実関係の詳細な点が判然としなかったために、直ちに自賠法適用の有無を判断しがたく、このため本委員会の席上でも運輸大臣がお答えいたしましたように、警察の捜査の結果を待って検討することとし、その間運輸省といたしましても名古屋陸運局その他を通じまして事実の調査につとめてきたわけでございます。  警察の調査の結果は九月二十六日に発表されまして、事実関係並びに刑事上の責任関係について詳細に述べられ、結論といたしましては、本件関係者のいずれについても業務上過失致死傷罪の刑事責任を認めることは困難であるということでありました。運輸省といたしましては、警察の捜査結果を参考にしつつ、法務省をはじめ関係機関の意見を徴する等によりまして、自賠法の適用について慎重に検討を進め、一方自賠法の適用がかりに困難な場合における措置についても、別途並行的に検討を重ねるなど、被害者の救済対策についてはあらゆる努力を傾注したのであります。その結果、本件事故については当該貸し切りバスの運行に関し事故の発生を未然に防止すべき注意義務に欠けるところはなかったと断定することはできないと判断をし、したがいまして自賠法の趣旨に即しまして同法の適用によって保険金を支払うことが妥当であるとの結論に至りました。十月十一日の閣議におきましてその了承を得たのでございます。なお保険金の支払いにあたりましては、被害者の早急な救済をはかるため、いまだ行くえ不明の十二名の方につきましても死亡に準じて取り扱うほか、請求の手続も保険会社から遺族に対し詳細な説明を行ない、遺族団から一括請求されることといたしました。その他手続の簡素化をはかる等の措置により査定事務の処理を急ぎました結果、書類不備等の方々のものを除きまして、九十二名につきまして去る十八日の合同慰霊祭前に支払いを完了いたした次第でございます。  以上簡単ではございますが、飛騨川バス事故被害者の救済につきまして概要を御報告申し上げた次第でございます。
  19. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御苦労さまでした。     —————————————
  20. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、秋田県大舘市及び兵庫県有馬地区火災による被害状況等について消防庁から報告を聴取いたします。山本消防庁次長
  21. 山本弘

    説明員(山本弘君) まず最初に秋田県大舘市の大火の火災について御報告申し上げます。    〔委員長退席、理事武内五郎君着席〕  火災は、昭和四十三年十月十二日、十一時十六分に出火いたしまして、消防署が覚知いたしましたのは十一時十九分でございます。その後十四時三十分に鎮火をいたしております。  火災発生の場所は、御承知のように大舘市は終戦後数たびの大火を起こしておるわけでございますが、そのたびごとにその地区におきましては都市計画はなされておりますが、今回発生いたしました場所は老朽した木造家屋が多く、また木材工場等の工場が多くある地域でございまして、火災発生後に消防車が総計四十四台出動いたしたのでございますが、結果的に見ますと、焼失面積は約八万平米、焼失棟数は二百九十棟、罹災世帯が二百四十八世帯、罹災人員九百十名の大火に至ったのでございます。幸いにいたしまして死傷者はなかったことが幸いでございました。なお損害の見積もり額は約十五億円といわれております。  かように大火になった原因といたしましては、この地区は先ほど申しましたように木造家屋を中心として、木材工場が入り組んだ複雑な地域であり、またおりからの冬を控えて一般家庭では木くずを燃料とするストーブを使っている関係上、そういった可燃物が多かったということが言えるわけでございますが、何と申しましても、初期消防力の不足ということが、この際指摘できるんじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、当該場所は九メートル国道が通っておりますけれども、これが一本でございまして、焼失いたしました地域に入るには、非常にまあ道路事情が悪いということから、覚知いたしまして消防車が直ちに出動いたしましたが、最初に大きなタンク車が入り込んだために、一斉に放水を、周囲を包みまして一斉放水消火をするというふうな状況になかったわけでございます。そういったわけで、初期消火の実があがらないままに延焼火災に相なって大きな損害を出した、というふうに考えられるわけでございまして、今後そういった点につきまして消防戦術等のあり方につきましても反省すべきものがあるというように考えるわけであります。また、同時に、根本的な問題といたしましては、かかる火災危険地域に対する都市改造の問題、こういった問題も必要な措置を講じておくべきであったというふうに考える次第でございます。  以上で秋田県大舘市の火災の概要について終わります。    〔理事武内五郎君退席、委員長着席〕  次に、十一月二日に発生いたしましたところの兵庫県神戸市の有馬温泉の池之坊満月城の旅館の火災の状況について御報告申し上げます。  発生日時は昭和四十三年十一月二日でございます。発火時刻は二時三十分ごろと推定されるのでございます。しかしながらこれを消防署が覚知いたしましたのは三時六分でございます。直ちに有馬町にございます有馬出張所の消防自動車二台、救急車一台が急行するとともに、兵庫署の管轄に属しております地域でございますので、同じ兵庫署の北神分署の鈴蘭台出張所あるいは兵庫本署から順次消防車がかけつけまして消火活動なり人命救助に当たったのでございますが、不幸にいたしまして三十名の死者と負傷者四十四名を出しましたことは、この種の火災における問題といたしまして、われわれも今後の対策につきまして深く、これを契機といたしましてかかる惨事が再び起こらないように十分なる対策を講じていくべきである、ということを銘じておる次第でございます。  この旅館はすでに御承知と思いまするが、大体一万二千平米の延べ坪を有しております。大きく分けますと木造部分と鉄筋コンクリートの部分と鉄骨モルタルの三つの部分がございますが、それぞれ順次拡張をする際に建て増しがされまして、それが廊下によってつながって、全体として一つの大きなホテルを形式をしておるというふうなものでございます。  ただいまも申し上げましたが、二時三十分ごろに発生をいたしました火災がかかる大きな惨事を引き起こしに原因について、いろいろございますが、おもな点について申し上げたいと思います。  まず第一番に、火災の発見通報がおくれたということでございます。それは先ほども申し上げました、二時三十分ごろの出火に対しまして消防署に通報されたのが三時六分でございます。また、夜間における防火管理の態勢がきわめて不備であった、こういったことは火災の発見がおくれた、あるいはまた避難誘導が適切になされなかったということにも関係がございます。  さらにいわゆる内装の問題でございますが、内装には多くのいわゆる新建材というものが使われておったようでございます。新建材につきましてはいわゆる純不燃、難燃という見地から申すならばけっこうな面もあるのでございますが、逆に煙を出す、あるいは有毒ガスを出すというふうな点から言うならば、防火上きわめて危険であるというふうな点があるのでございまして、この場合におきましては内装材が多くの煙また有毒ガスを出したということが、三十名の死者の中で相当数の窒息死あるいは中毒死の死者を出した原因の一つとして考えられるのでございます。  次に、自動火災報知設備が設けられていなかったのでございます。こういった旅館等の防火対象物につきましては、消防法上自動火災報知機を設置する義務があるのでございます。この自動火災報知機が設置されていなかったということが火災の発見をおくらせて、また非常警報装置と申しますか、非常ベルと申しますか、それが不完全であったということで、所轄署に対する火災を知らせるということができなかった、ということが言えると思うのであります。  なお、この自動火災報知設備等につきまして、消防当局におきましては、査達によりこれが設置方を要請をしておったということはすでに御承知のとおりでございます。また、避難経路の案内も事前においてなされておったという形跡はあまりございません。また、発火をいたしましてからの後の従業員による避難誘導等も、適切に行なわれたものであるというふうには認められないというふうに考えておるのでございます。  この旅館につきまして、先ほども申し上げましたが、消防法令あるいは建築基準法令の違反が数点指摘されております。たとえば消防法令について申し上げますならば、自動火災報知設備なりあるいは電気火災警報機が設置されていなかった。また、避難設備が法にきめられた基準に合致していなかったというふうな点がございます。建築基準関係といたしましては、一部については無届けあるいは竣工検査を受けずに営業に使っておった、というふうな向きもあったというふうに聞いておるのでございます。  かように、こういった旅館、ホテル等の特殊な建造物におきましては、夜間宿泊をするということでございますので、特に夜間においてこういった火災が起こりました場合においては、人命の危険を非常に大きくはらむものでございます。そういった見地から、旅館、ホテル等に対する防火対策というものを今後強力に進めていくために、消防庁、建設省あるいは労働省、厚生省、運輸省等と事務レベルの連絡協議会をさっそくつくりまして、今後の対策について協議をいたしておるのでございますが、それぞれ法令でもって早急に処置すべきことは処置する、あるいは政令でもって処置すべきものは処置するというふうに話し合っております。また、行政指導の面で強化すべき点につきましては、当然に指導を強化していくというふうな申し合わせをいたした次第でございます。  なお、この火災の原因でございますが、一応出火場所といたしましては、地下一階部分にございまするサービスルーム付近であるということは確定をいたしたのでございますが、サービスルームからどういった原因によって出火したということにつきましては、なお警察、消防両当局協力の上調査中でございますので、いま少しく時間がかかるというふうに聞いております。  なお、現地消防関係といたしましては、先ほど申しましたように、消防用設備に対する設置義務違反につきまして告発をいたしておりますとともに、この満月城旅館は一部、すなわち、本館の扇形の地下二階、地上三階の部分が、一部火が入ってはおりますけれども、残っております。この部分について、消防法上の義務が履行されない限りは使用をされない、という使用停止の処分をいたしておる現状でございます。以上、はなはだ簡単でございますが、有馬温泉旅館の火災概要について御報告申し上げた次第でございます。     —————————————
  22. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、地震による災害対策に関する件について調査を行ないます。  先ほど御決定されました参考人の方に御出席を願っておりますので、これより参考人の方から御意見を承ることにいたします。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして厚く御礼を申し上げます。参考人におかれましては、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願いを申し上げます。
  23. 宮村攝三

    参考人(官村攝三君) どういうことを申し上げていいのかあまりはっきりしないのでありますが、おそらく最近私が学会で発表しました件について、新潟の小千谷付近で地震があるのではないかという記事が新聞に出ましたので、そのことに関して御関心があってお呼びいただいたと思いますので、これに関連して発言したいと思います。  新聞に出ておりますことは、内容はよくお読みいただければほぼ正しい、別に間違っていることが出ておりません。ただ、ある新聞の見出しなどに「東大地震研が初の予知」ということばが出ておりましたけれども、これはまだ予知というようなものではないこと、もう一つは、「地震研が」ということが出ておりましたが、大学の研究所は主として何ごとかをきめて出すということは一応やらないたてまえになっておりますので、それは研究者としての学術上の意見が発表されたものである、というふうに考えていただきたいと思います。  さて問題の件でありますが、これは一般に地震と申しましても、関東地震とか南海地震のような特大の地震というものがまず日本の場合ございますが、これは太平洋側のほうにございまして、日本の内帯のほうには起こらないのでございます。それからその次の大地震というものは、これは日本の内帯にときどき起きており、新潟地震、えびの地震というふうなたぐいのものでございます。それでその次に中地震あるいは小地震どまりの地震活動というものがございます。このたぐいのものの一種類が現在問題になっておる活動褶曲というものに伴う地震ということになります。  活動褶曲というのは、褶曲というのはしわということでございまして、地層のしわのようなものが東北、日本の内帯——青森県から長野県に至るところに百万年ぐらいの前からたまっておる第三紀層という地層がございます。石油などが取れる地層でございますが、これが百万年ぐらい前からしわのようになって所々に積もっておるわけです。そのしわのよった運動というものが、現在国土地理院などが水準測量という地面の上がり下がりをはかる測量があります。その水準点の標石がこの褶曲構造の軸を横切っているような部分、たとえば米代川の下流あるいは新潟県の長岡付近、小千谷付近というような所で国土地理院の測量の結果を見ますと、このしわの運動が現在も動いておる。年間ごくわずか何ミリかでありますが動いて、このしわがだんだんひどくなるということになっておるということは、これは昭和十四年ごろからわかっておりまして、しかし、その状況が十分さらに詳しくわかるために地震研究所は所々にさらにこまかく水準点をきめまして、頻繁に測量を繰り返すということを考えてやってまいりました。しかし、いろいろ研究費の都合その他であまりそうひんぱんにはやらないし、運動もそれほど激しくないので、数年ないし十年くらいの間に一回半くらいということでやってきたわけです。  ところが、それで小千谷付近の場合には、十年くらい前に特別の石を入れまして、そうして昨年再びこれをはかってみたわけでありますが、その十年間に初めに十三個ばかり石を入れておいたのですが、九個ばかりはいろいろな事故や何かでだめになりまして道路のわきにあるもんですから、破損しましたので、わずかに四個ばかりが残っておったわけで、それの変動ですから、小千谷付近でもって年に土地の傾きが百万分の一ぐらいの割合で最近の十年間に進行しておったということがわかったわけです。この変動は、こういう活動褶曲という運動のあるいろいろな場所、米代川とかその他の場所の運動の中でもかなり大きい量である、こういうことがわかりました。一方、長岡の西のほうにはやはり同じような構造がずっと続いているわけでありますが、ここでは一九六一、二年に長岡地震と称する局地的な小さい地震がありまして、多少の被害があったわけであります。それから先ほど申しました秋田県の米代川下流においても、やはりこういう構造のあるところで一九五五年に二ツ井というところで二ツ井地震というものがございまして、これもやはり局地的被害がございました。そうしてその運動はその水準測量による活動褶曲の進行ときわめて密接な関係があるということがわかっております。したがって、小千谷の付近においてもやはり同様なことが期待されるわけであります。ただし、地震と地面の変形ということは必ずしも直接的に結びつくものではない。土地土地のくせのようなものがございますし、そうしてこの変形がある程度進んだところがあまり大きくない地震であって、それが解消していわゆるそういうようなかっこうで進行していけば、あまり大きい地震にはならないわけでありますし、それから小さい地震が非常に起こらないでその変形がずっと進行して、そうしてときどき破壊されるということになりますと、やや大きい地震が起こるということになるわけです。小千谷付近の地震の状況は、一九〇二年、明治三十三年にちょっとした地震が、長岡地震程度だと思いますが、マグニチュード五・八という程度のものが明治五年にあったということがわかっております。あとはそれほどの大きさの地震はございませんで、すでに数十年たっております。ただ、人体に感じる程度地震となりますと、気象庁の発表でも一九五一年、昭和二十六年に一つ小千谷付近というのが報告されておりますが、マグニチュードどの程度であるかは発表されておりません。おそらくもちろん五よりは小さいものであるはずでありますが、しかし、この程度地震が小千谷付近におきましてどのように起こってきたかということは、十分まだ研究されておりません。それから現在もどの程度そういうものが起こっておるかということは、これから調べないとわからない。気象庁の観測網は、残念ながら新潟の測候所はたいへん振動の激しいところにあって、地震計の倍率があげられません。あの付近では高田測候所が近くでありますが、ごく浅い小さい地震の探知にはまだ不十分のような状態であります。すでに地震研究所でも地震予知計画の一環として、柏崎に本年一つ観測所をつくることができました。そういうようなものでもってこれから十分あすこの地震活動を調べていきますと、この変形の進行を今後もはかっていって、その進行がどういうふうであるかということと、例の地震でなしくずしになっているかいないかということを調べるということで、あすこに地震が起こり得るかどうかということが、これから監視する必要があるという変形の最悪の場合、地震が全然いままで一九〇二年以来なくて、数十年経っていって、そうしてあまり大きい地震がなくて、そうしてあの程度の進行がしかもずっと一様に続いていたとすれば、つまり最悪の条件を考えると、数年以内に小さい地震が、明治三十五年程度地震が起こる準備ができているのではないかと思ったわけです。ただし、いろいろの条件がございますが、つまり変形の進行がずっと一様であるかどうかということも監視していかなければいけない。それから地震活動もどういうふうであるかということも監視していかなければいけない、こういう要注意地域であるということを発表したわけです。  ここに注意しなければいけないことは、ここの研究は数十年前から始まっているわけですけれども、これと類似のところは南のほうで十日町の付近に至るまでずっと長岡の辺から続いているわけでありますから、他のところは十分調べているわけでありませんので、小千谷だけを調べたので、こういう状態であるということがわかったということを申し上げているので、調べてないほかのところのことはわからないわけです。ただし、地震活動の調査のようなものは過去の記録をもう少し調べるとか、あるいは今後調べるというようなことで他の地域のこともわかるし、それから地形、地質などの調査は他の地域についても調べることができると思います。ただ地形の変動をはかるという水準測量その他となりますと、こういうネットをかぶせて監視の測量をしなければなりませんので、そうすべてのところをやるというわけにはいかないのではないかと思います。しかし、必要とあればやらなければならないとは思いますが、現在、まあここはこういうようなこの種の地震は小規模の地震でありまして、しかも浅い小規模の地震でありますから、監視のネットは比較的小規模で済むので、すでに研究所としては一つのこの種類の地震の予知に対する非常にいい何というか、重要な研究地域である、こういうふうに考えて注目してやってきているわけであります。しかし、もちろんその間こういうような情報が得られましたので、地域のほうにはやはり最悪の場合を考えて御注意をいただいたほうがいい、こういう意味で新聞記者にもお話したわけであります。  先ほど申しましたように、ここに起こり得る地震というのは、まあ幾ら大きくてもマグニチュード六をこえることはないという程度地震でございますから、そういう地震は東京付近などでありますと、ときどきあるのでありますが、しかしこれは深いところで起こりましたために被害がほとんどないのであります。しかし、新潟の奥の活動褶曲に関係した場合は二キロとか五キロとかいう浅いところで起こりますので、ごく限られた範囲ではありますが、被害が起こるというので注意はしなければならない。特に新潟地震のような大地震と違って、広い範囲に被害があるわけではないのでありますが、震源地が相当浅いのです。ただし、その地震の性質は非常に短期間に終わります。しかし震動は激しい速い震動であります。それから上下動を当然震源地のそばですから伴うのです。そういうようなことを注意して要心が必要であるということになるわけです。対震防災に関しては私専門でございませんので、そういったほうについては、また専門の方にも研究を聞かしていただく必要があるかと思います。  それからもう一つちょっと調べてわかっていることは、この種の地震一つ二つ同じ程度のものが組みになって起こるということは、ときどきあります。松代のように点々とたくさん群がって起こるというような種類ではないだろうと思います。  それから、この新聞の発表のあったすぐあとで、十四日の夜中に小さい地震があって、たいへん土地の方は驚いたというお話でございましたが、気象庁に問い合わせましたところ、この地震は飯山の南方の発哺温泉の近所の地震でありました。私の現在申し上げてる小千谷付近の褶曲活動の地震とは別物であったようであります。新潟県南部にはこういったような局地地震の起こるところが、いろいろところどころにあるということの一つの例であります。  それから、こういう地震についての観測体制は、先ほど申しましたように、必ずしも十分ではございませんが、それを補なうためには、こういう浅い地震については住民の方々の御協力によって、人体に感じる感じないというような調査を、これから広くやりたいと思います。で、そういう人体に感じるような地震でも、気象庁の観測所では、現在一、二点でとれる程度の、ということがこういう地震の場合多いわけです。そうでありますと十分震源がきめられないということになりますので、むしろ人体感覚の調査は、非常に住民の御協力を得て、正確にできますと、相当現状においてこういう地震の状況が調べられるわけです。これは何も新潟だけのことじゃない、全国的なことでありますが、新潟の問題について特に必要なものです。で、新潟地震のような種類の地震は、そういう浅いところであの辺に起こるということはないと考えております。  大体申し上げたいことは、ちょっと言い残したことあるかもしれませんけれども、こんなところでございますので、あとは質問……、新聞記事にも書いてありましたように、変形の監視には上下運動ばかりでなくことしからは光波測量、光の波の測量による長さの伸び縮み、水平の伸び縮みの変動などもはかりたいと思っております。
  24. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ありがとうございました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  25. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 参考人の先生とそれから政府側にあわせて、ひとつ話をお聞きいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  最近の地震は、いまほど先生からもお話がございましたけれども、まあ三十六年の長岡地震あるいは三十九年の新潟地震、松代、えびの町、日向灘、十勝沖と日本列島全般的にゆれておると言っても大げさではない。特に世界中の地震の一五%は日本で起こっておるということを私ども聞いております。地震に対する学問、地震学については、まあ世界的水準の最高峰をいっておるということも聞いておりますけれども、しかしながら地震に対する一つの恐怖というものは、何かこう常識的に、はなはだ遺憾でございまするけれども、常識的な恐怖というものがあるんじゃないか、そんなふうに実は考えられるわけでございます。まあ地震学についての専門家の先生方が、いろいろな形で地震の起こり得る可能性について警告をされ、あるいは予知をされておるのでございますが、まあ東京に関東大地震級のものがあるのではないかなどということを、われわれ聞いたこともかってございました。そういうことになった場合は、これは過密対策とか、いろいろまたむずかしいまたすぐ考えなければいかぬ問題も出てくるわけですが、近い事例ではこの間の十五日の地震学会秋季大会で東大の地震研究所の茂木先生ですかが、三十年間大地震がなかったのだから、これはもうこの三十年間大地震がないということ自体が異常である、であるとするなら、これからの動きについてはほんとうに注目をしなければいかんのだというようなことを発表しておられるわけでございます。特に静岡から大体宮城県に至る間の太平洋岸の地帯を指して、指摘をされておるのであります。そんないろいろなことが言われておりまして、ばく然とした不安を私どもは持ち続けておる。こうした中で地震予知について一〇〇%的確であるかどうか、いまほど先生のお話では、予知という意味ではないのだ、研究の一つの成果として発表されたというようなお話をいま承りましたが、まあいずれにしてもそうした予知ないしは予言、そうしたことが一〇〇%的確に行なわれなくても、これは一〇〇%的確ということはあり得ないと思うのですが、しかし学究グループの方々が、ひとつ勇気を持って発表していただくことが私は必要なことだと、こう思います。ある人に言わせれば、何かこういろいろな形で発表されるから、これは人騒がせだ、もう学者の方々がかってに発表されて人騒がせだという議論も聞くことがありまするけれども、私はやはり予知の意義というのは最悪の事態を想定して、被害を最小限度にとどめるために、防災対策というものを練って、そして住民の不安を解消するのだということに意義があると思います。そういうことでひとつ今後ともそうした予知、予言については一〇〇%的確であるということは、これはあり得ないと思いますけれども、ひとつでき得る限り発表をされて、そしてあわせて政府側におかれてはそれに対処するということが必要だと思います。そうした状況の中で、いまあるこの環境の中で一番大切なことは、学究グループの方々、それから気象庁なりあるいは科学技術庁なりあるいはこれは学究グループということになりますると、文部省の関係も出てまいりますが、そうした横の連絡、連係、そういうものがどういう形において行なわれているか。たまたまきょう私どもが参考人として直接学究の任に当たっておられる宮村先生においで願って、また政府当局もおるこうした場面でございまするから、こう話ができるわけでございますけれども、何か定例的というか、何か横の連絡をとるようなことが、はたしてやってもらえるのかどうか。一番窓口はこれは総理府あるいは中央防災会議あたりが窓口になって当然これを進めてリーダーとしてやっていかれるべきだと思うのでございますが、そうしたこういういろいろなことが言われているいまの日本の社会環境の中で、気象庁長官もお見えになっておりますが、あるいは科学技術庁からもお見えいただいておりますが、一体どういうふうにお考えになっておるか、どうあらねばならぬ、こうした形が望ましいのだ、そして原因を究明してあるいは対策を講じていくのだ、何かその辺の考えからひとつお聞きしたいと思います。
  26. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 気象庁から最初にお答え申し上げます。  ただいまの御質問内容といたしまして、そういった研究機関と、気象庁を含めた行政機関との間の連絡は一本どうなっておるかということが一つ質問であろうと思いますので、お答えいたしたいと思いますが、それにつきましては、先生も御承知のように、この地震の予知というものの研究の進め方ということにつきまして、互いにこの地震予知に関係のある研究機関あるいは各省庁の間に申し合わせみたいなものがあるわけであります。その申し合わせの根拠というのは、先日、七月の下旬に文部省の測地学審議会におきまして計画され、各関係大臣に建議をされました地震予知推進計画というものに基づいてそういったお互いの申し合わせみたいなものがございます。その申し合わせと申しますのは、もう少し具体的に申しますと、地震予知をやっていくためには、たった一つの観測をやっていてはしようがないので、いろいろな観測をやらなきゃならない。そのいろいろな観測の内容を見てみますと、各研究機関あるいは各省庁に関連してまたがったものでございます。したがいまして、そういった総合的にそれを推進するためには、各官庁あるいは研究機関がそれぞれの観測を分担いたしまして、ここはこういう観測をやるのだ、ここはこういう研究をやるのだというように分担をいたしまして、その各官庁及びその研究機関がその分担に応じて地震予知の業務と申しますか、研究を推進するというのが現状でございます。で、そういうのが一方にございまして、それと同時に、各官庁及び研究機関が研究をしましたその研究の成果をお互いに持ち寄りまして、地震予知業務、地震予知の研究に対して今後どうあるべきかということをお互いに連絡し合うということになっているのでございます。気象庁といたしましての分担業務はちゃんときめられておりまして、大中小地震の観測、それから検潮と地磁気観測の一部を分担しておりますので、研究機関は大中小の小以下の何と申しますか、もっと小さいほうの地震を研究機関が分担しておられます。そういうような分担とその連絡の申し合わせがございまして現在やっている次第でございますが、実はこれをもう少し組織化し、公式のものにするということで、実はそのお互いの研究の分野におきましてそれぞれの何と申しますか、センターとわれわれが言っておりますが、たとえば気象庁の中には地震観測センターというセンターを気象庁内に置きまして、そしてまた国土地理院のほうには地殻変動のセンターを置き、あるいは東大の震研には他のセンターを置いて、その三つのセンターを総合しまして連絡会というものを置く。それぞれそういうことをするためには若干の予算と人員も必要な場合がございますので、それに対しましては、おのおの各関係省庁で来年度の予算を要求しております。したがいまして、そういう人員と予算というものがちゃんとつきますと、これが公式に組織的に来年度から発足するということに現在なっておる次第であります。
  27. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 科学技術庁でございますが、科学技術庁は研究調整局の私たちのほうが、調整業務といたしまして、やはり一つの防災科学の中の主要テーマとして地震予知の問題あるいは地震に対する耐震の問題、そういう点についての予算あるいは研究の総合連絡の場合の総合調整予算をいただいております。その関係で行政的に予算の関係あるいは研究項目の重複あるいは促進、そういう点の調整を行なうとともに、私どものほうに補助機関として防災科学技術センターがございまして、ここが科学研究の一部をにないますと同時に、研究の連絡、データの連絡その他、そういう関係で現在整備して、各省の研究の総合体制を進めていきたいという形で進めております。
  28. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 調整局長、いまのお話で、あれですか、学者グループ、学究グループ、たとえば東大地震研のようなそうしたところとの連絡はどういうことなんですか。
  29. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 学者の方々の科学研究をおやりになっておられますことについては、各省の研究所がそれぞれ研究内容として御連絡になっておられます。私たちのほうは、それを行政分野として予算的にどうするか、あるいは研究課題を総合研究として大きく取り上げる場合に各省庁とどう持っていくかということの連絡体制を密に進めていきます。
  30. 八木徹雄

    説明員八木徹雄君) 地震予知の研究並びにその地震予知のための関連施設整備というのは、いままでも力を尽くしてきているところでございますが、ちょうどえびの地震があり、続いて十勝沖地震があった後、閣議でもこれが問題になりまして、どうも本年度地震が活発になる年ではなかろうかという不安がある。その意味においてこれらの予知研究の問題並びに体制の整備等十分にひとつ考えていかなければいかぬのではないか、こういうようなお話が閣議の席にも出たわけでございますが、それから後に、関係閣僚の間で、と申しますのは、文部大臣、通産大臣、運輸大臣、建設省の各大臣が地震予知の推進ということに閣議了解を取りつけました。御存じのとおりだと思うのでございますが、その閣議了解につきましても、今後さらに計画的に地震予知を強力に推進し、その実用化をはかる必要があるので、すみやかにこの目的を達成するため関係諸機関の研究施設等の整備、並びに地球物理学的観測及び調査業務の強化拡充につとめるものとする、こういうようなことが出まして、その線に沿って、実はいま前段に申し上げましたように、予知体制、研究の一そうの推進、施設の整備等につとめておるところでございます。それが、それから後にいま申しました測地学審議会のほうから答申が出てまいりまして、それによりますと、関連機関の連絡を強化するために地震予知連絡会議等を設置する必要があるのではないか、こういうような答申も出ております。また、その答申が七月十六日に出たわけでございますけれども、それぞれが、その答申にはその他にもたくさんあるわけでございますが、その答申に従って鋭意努力をしておりますが、横の連絡のための特別な連絡会議というものができておりません。御指摘のとおり地震予知というものはたいへん大事な課題である。そのために地震予知について積極的にいままでと違った対策というものを立てていくという場合に、その中枢機関をどうするか、窓口をどうするか、どのようにこの連絡会議を進めていくかといったようなことが、当然議題になってまいらなければならぬと思います。前段申しましたように、閣議了解事項もございますし、測地学審議会の答申もあることでございますから、いままでは正直に申し上げまして、その中に防災会議を主宰する総理府は参画いたしておりません。先ほど申し上げましたように文部省、通産省、運輸省、建設省というようなことでやっておりますから、これをどこを窓口にしてどのように横の連絡をはかり、どのように推進していくかということについてはなお調整しなければならぬことがあると思いますけれども、御指摘のとおりあいまいなもので済ませることではございませんので、私たち防災会議の事務局を担当する立場に立って、御意見のほどは現実の施策の上で反映できるように十分に内閣に対しまして申し述べて実現をはかるようにいたしてまいりたいと、こう思います。
  31. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 いま総理府副長官からお話がございましたが、やはり窓口というかそれがやっぱり必要だ、何か中心になる機関が必要であるということは、これはもうだれもが言えることだと思います。そこでそれは何かというと、やはり私は中央防災会議ではないかと、こう私は思うのです。ところがですね、中央防災会議については、そのあり方等については、私もことしの初めから何回か質問をしてまいりました。中央防災会議というものはこうあるべきなんだというようなことでいろいろ質問もいたしてまいりました。四十四年度の予算要求時にあって、どうしてもその中央防災会議というものをひとつかっこうづけていくというためには、まあ顔ぶれは、この中央防災会議の議長は総理大臣ですし、事務局長は総理府総務長官ですし、あともう議員というのは全部大臣がずらっと並んでおりますから、かっこうはいいのですけれども、実際中心になってやる人はだれかということになると、はなはだ問題があると思います。そこで四十四年度の予算要求時にもう入っておるわけですがね、中央防災会議にですね、専任の次長というものはおらぬ。みんな兼務なんですよ。事務局長は総理府総務長官、これは忙しいですよ。総理大臣が議長だなんといったって、これはしょっちゅう出れるわけはないですよ。そういうことになりますと、やはり専任の次長というものを置いて、中央防災会議の仕組みというものはこうなんだ、しかも内容はこうなんだ、スタッフはそろったんだということで、人がいなければこれは仕事ができるわけはないですよ。私は中央防災会議のいまの仕事のやりぶりについては非常に多くの不満を持っております。私はきょうここで四十四年度の防災関係全般に関する予算要求案というものを、本来であれば中央防災会議は各省から取りまとめたものを持っておって、そうして示されるような事態にきておればいいと思うのですが、残念ながら私きょうその筋の方々にお聞きしましたところ、それはまだまとめておらぬ、こういうことなんです。それは私、別に追及いたしません。それは無理ですよ。いまもう激甚法の第三基準をつくることだけでももう精一ぱいなんです、いまのスタッフでは。まあそういうことでひとつ中央防災会議に専任の次長を置いて、ほんとうに中央防災会議の使命というものが果たせるような、これがなければもう地震の問題をいったってだめなんです。横の連絡とれなんといったってだめなんです。そういう意味で大蔵省のほうからひとつ、いま実際問題として総理府でもこれは重点事項として、専任次長を中央防災会議に置くことについて要求しておるはずですから、その見通しについてひとつ明確にお答えいただきたい。本来であれば大蔵大臣から来ていただいて、いやわかりましたやりますよということを、この災害対策特別委員会でちゃんと表明するくらいでなければ困ると思うのですよ、ひとつお答え願います。
  32. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 私、法規課長でございまして、実は直接この問題の担当者でございませんが、何ぶん御承知のように来年度の予算編成の途上でございまして、来年度の予算のことにつきまして、ただいまお答え申し上げる段階ではございませんので、ただまあこの問題は定員、機構の抑制という非常にきびしい政府方針がございまして、なかなかむずかしい問題とは存じますが、まあ定員の振りかえとかいろいろな問題もあるかと存じますが、そういった問題につきまして、先生の御意見もありますので、十分慎重に検討するように直接の担当者に申し伝えることでお許し願いたいと思います。
  33. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 私があなたにこういうことを質問したこと自体が無理かと思いますが、気持ちがないのに事務ベースで運ばれるわけはないので、気持ちがあるかどうか、そういう気持ちになってもらいたいということを、私はいまお願い申し上げておるわけでございますから、大臣なりあるいは次官のほうなり、ひとつそういう気持ちになっていただいて、何が重要かということと、またやはり中央防災会議それ自体の機関をますます生かすこと、これがきょうの議題である地震にも関連してくるのだ。だからそういう気になって総理府もお願いしているだろうと思うので、ひとつ積極的にこれに取り組んでいただきたい。その気持ちを受けて事務当局におかれては、これは当然やるべきことですから、あたりまえのことですから、そこまでいけばできることですから、それをぜひお伝えいただきたいと思います。  それから具体的ないまの地震の問題でございますが、先ほど宮村先生からもお話がございましたように、十一月の十四日に新潟地方気象台の地震計には反応があらわれなかった震度二という地震が起こっているわけでございます。このことについて、まあたまたま新聞に出た直後地震があったもんですから、まあ内容をお聞きすれば、先生方が予測されておった問題とは別の要素なんだと、こういうお話でございまするけれども、一体あの地帯の新潟地方のいまの問題になっているこんなことは、数年来にあるかどうかといわれておる新潟地方の気象観測というか地震予知についての設備なりそういうことは一体どうなっておるのか、先ほど宮村先生のお話では、何か新潟市にある気象台というのは、地盤があまりよくないというお話もちょっとあったようでございますが、そういうことについて、あの辺の観測施設、気象施設としてはこういうことが望ましいんじゃないか。この程度まではそれは幾ら予算がどうのこうのといっても、これだけは必要なんじゃないかというようなことを、もし具体的に宮村先生のほうから学者の立場でアドバイスいただけるなら、先生もしょっちゅう新潟に行かれたことでもありましょうし、アドバイスいただけるならありがたいと思います。あわせてですね、行政庁として、気象庁におかれてはどうお考えになっておるか、それをひとつお答え願いたいと思います。
  34. 宮村攝三

    参考人(宮村攝三君) 浅い小地震というものはなかなか探知がむずかしいのでありまして、気象庁では現在マグニチュード三から五までの間が小地震でありますが、三以上を全国的に探知できるようにしようという計画でやっておられるようでありますが、現在新潟に関しては具体的な計画はよく知りません。で、地震研究所では、地震予知研究計画の一環として、全国のではなくて、一部分ある地域を選んで研究的に観測をやると、小地震の観測をやるということで、新潟の場合は柏崎に小地震観測所というものをつくるということが今年度の予算できまりまして、そして現在柏崎に観測所をつくっております。しかし、そしてそれには衛星点と称して何点かの地震観測所を別なところでつくって、それで一つの網を構成して地震を探知するわけでございますから、現在のところ柏崎微小地震観測所では、高田経由と湯沢経由とに大体少し土地を調べまして衛星点をつくる計画でございます。この三点が来年になれば動くようにしたい。この三点で、それでは新潟県の南部の地震がどの程度検知できるかということについては実際やってみないとはっきりしたことは申し上げられませんが、マグニチュード三くらいのものはどうやらできるかもしれないとは思っております。しかしこの三点では十分に正確にできませんので、現時的には五点以上の衛星点が必要であります。現在、和歌山とか北近畿とかそういうところは微小地震観測所は相当整備されているわけでございます。そういうところの経験からいたしますと、五キロくらいの浅い小地震を検知するのにもう少し設備を拡充する必要があるだろうとは思っておりますが、それともう一つは、常時、そのくらいの地震になりますと、新潟の場合はそれほど数が多くないと思いますけれども、非常に検知する地震の数も全体としてはふえてくるので、それを読み取りをして整理をする人間あるいは計算機の操作というようなものに関する定員その他の諸経費というようなものについては、現在認められておるところでは私どもはたいへん不安に思っておりますが、どの程度できるか、これからやってみないとわかりませんが、過去の経験からはかなり困難なようになっております。現在われわれ微小地震観測所と称しているものが、理想的に言いますと、三よりもちょっと小さいくらいの地震が感知できるはずになると思います。そこで、それを補うために住民の協力を得て人体感覚による調査をやる。これはもし御協力が得られれば比較的お金がかからない。モニターに謝札を差し上げるというようなことになればこれはとうていできませんけれども、自治体あたりの御協力を得てやるということになると、かなり局地的な地震のモニターに役に立つ。これが機械観測の整備するまでのつなぎ措置としては特に必要だと現在思っております。
  35. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 気象庁としましては、新潟付近に現在地震計のある場所は、長岡と高田と相川でございます。それから、御承知のように松代には非常に精巧な地震計がございますが、ただいま宮村さんがおっしゃいましたように、新潟は非常に地盤が悪いので、現在五十倍くらいの倍率しか地震計がはかっておりません。これでは不十分でございますので、これの対策といたしまして、実は従来からやっておりましたのは、その地震計を地表面に置いて観測するという方法がとられておりましたのですが、それでは地盤が悪い場合にはあんまり倍率もかけられないというので、今度はそこに穴を掘りまして、その穴の中へ地震計を入れる、垂直に穴を掘るのでございます。深さは大体二百メートルくらいはわれわれ予定しておるのですが、そういうような深いところまで穴を掘って穴の底に地震計を入れますと、地盤の悪いという点が大体解消できるのではないかというような見通しを立てまして、来年度、私のほうの気象研究所の地震研究部におきまして予算を要求いたしまして、新潟地方気象台の構内にそういった穴を掘って試験的に観測しようじゃないかということをいま計画しているのでございます。新潟というところは現在のところ変えるつもりはございません。
  36. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 宮村先生にお聞きいたしますが、体感によるモニターをということでございますが、何か機械でこれを予知するというようなそういう機械はあるのですか。というのは、実は、私は新聞を見ましたら小千谷地方にある県の出先機関で、そんなことは全然知らなかった、そう言われてみれば——宮村教授の発表されたこれを見て、そう言われてみれば数年前に何か機械を扱った覚えがあるというようなことを言っておるわけでありますが、それが記事に出ておったんですが、何か機械でもって観測をするというようなことができるのですか。あるいはもう一つ、先ほど水準点ということばが出ましたが、水準点ということについてやはり地元の協力を仰がねばならぬということも先生言われておるわけですが、その水準点について地元の協力を仰ぐ形としては具体的にこうしてくれというようなことを御希望でございましたら、ひとつせっかく行政庁もおるわけですから教えていただきたい、こう思います。
  37. 宮村攝三

    参考人(宮村攝三君) あとのほうの水準点の問題を先に申し上げます。  水準点というのはつまり高さをはかる基準のところでありまして、一般に、地面の中に石を強固に植えつけて、そうして地面をつないであるというようなもので、建設省国土地理院で全国の国道沿いに二キロごとに入れてあるというようなのが普通であります。これは建設省の場合は、上に出ているものは御影石の四角いところをまるくきれいに削ったようなものでありまして、そのてっぺんの高さを、一つのところから次のところまで二キロの間がありますが、ここの高さとここの高さが何ミリメートル違うかということを精密にはかる。そうしてはかっておいて、それからまた何年かたって、もう一回はかってみるわけであります。そうすると、前のときはそれが一メートル十三センチ五ミリであったものが、今度は一メートル十四センチ五ミリになっておったとすれば、一センチそこで地表の上でこういう傾斜が出た、二キロの間で傾斜が出た、こういうことになるわけであります。ですから、十何年かの間その石はじっとしていてもらわないと困るわけであります。ところがその間に自動車がぶつかったりなんかしてその石がちょっと動いたということになると、もう、十年たってはかってみても何にもならない。こういうことになる。そういうふうになったものを故障点というわけであります。そういう故障が起こらないように、たとえば積雪地域ですと道路をグレーダーでもって雪かきをする、そういうときに、頭をがんとぶつけてしまえばだめになってしまうわけであります。それで、これは私どもの水準標石ばかりでなく、特に地震予知には一番重要な、全国を監視するための建設省国土地理院の水準点、それから水平動を見る三角点というものも山の上にあるわけであります。これは山の上なので比較的安全なわけですが、やはりいたずらする人もあるわけで、これはちょっと動いたら用が足せなくなる。したがって国民の皆さんがこういうものは非常に地震予知に大事なものだということを注意していただいて、大事にしていただく。たとえば電電公社でもってケーブルを埋設するとか、電気会社が何か増設するとか道路工事をするとかいろいろな工事で道路をいじくるわけであります。そういうときに近所の人も目を光らしておいて、これは大事なものだからさわっちゃいかぬぞというふうに言っていただけばいいし、もちろん行政当局とか会社とか、そういう当局の人ももちろん気をつけていただかなければならぬわけですけれども、住民の人もそういうことがないように気をつけていただく。万一、そういうことがあったときには、すぐ建設省のほうへあるいは地震研究所のほうへ連絡をしていただくということで御協力をお願いしたいということであります。  それから人体感覚について、何か機械はないかというお話でありますが、小千谷で機械をお預けしたというのはちょっと記憶にないので、あるいは測量の装置か何かであったと思いますが、機械のほうはもちろんつくればあると思いますけれども、つまり簡易地震計というような形のもの。しかし、そういうものでも、ちょっとしたものをつくると、一万円くらいはかかるというふうにすぐなりますので、そうなると百つくるというと百万円になってしまうようなことだろうと思うので、つまり何百人とか、千とか、こういう各村でももって四、五人の人がというようなことになりますと、数からいうと相当になるので、そういう安いもので、何かうまいものがないかということで、かなりいろいろ考えているようですけれども、できましたら、もちろんそういうものもためしてみたいと思っておりますけれども、特に現在、製品としてこれならというようなものはございません。人体感覚、これを数百人とか千人の人の協力を得る、こういう人海戦術が必要である、こういう意味でありまして、私どもは衛星点として置く装置、これは何百万円とかかる。地震計でありますが、これとて、それぞれのところに人をつけることはできませんので、毎日記録を取りかえなければならないわけですから、毎日記録を取りかえるとか、あるいは故障したようなときには通報をしてもらうとかいうようなことは、そこにその住民の方に委託して観測をやるようになっております。そういう地震計を置くところに全部人をつけるというようなことはとうていできないので、まあ住民の御協力や委託観測ということを大学では考えております。  それから先ほど気象庁のほうで穴を掘っておやりになるということがございましたが、これはたいへんけっこうな試みだと思いますが、まあ点数と感度ということから考えて相当計画をして、将来の観測も気象庁のほうに御協力できるようにできるだけしたいと思っております。
  38. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そこで、先ほどまあ、最近の地震はいろいろな地震があるということをお話しました中に、長岡地震のこともちょっと触れましたが、このたび予知された地震というものは、大体まあ大きいか小さいかと言えば小さい部類に属するというふうに受け取れるのでございますけれども、しかし、昭和三十六年二月の長岡地震は、二月という豪雪時でございましたので死者が五名、倒壊戸数が二百、負傷者が三十名、こういう大きな被害を出しておるのでございます。そこで、私、実はこのことについてもどんどん話を進めていきますと、また雪害、豪雪対策について質問を展開していかなければなりませんので、きょうはその時間はございませんので、ひとつ議事録に残して、関係各省におかれては、十分ひとつそれをきょう来ておられない——自治省は来ておられないのでしょう。ひとつあとで読んでいただいて、その対策をどうとられたか。あとで実績を見ながらあらためての機会に御質問申し上げる、こういうことにしたいと思います。  まあ積雪寒冷地帯というよりも、豪雪地帯に起こる地震については、特別の配慮が必要だと思います。豪雪それ自体が災害だということで、たいへんなわけでございますから、これと地震がダブったらどうなるか、たとえ震度四であろうと、マグニチュード五・五であろうと、これは相当な被害を受けるということは、先ほど申し上げたような長岡地震で経験済みのことでございます。ししたがって道路、家屋の除雪、圧雪、なだれ防止策、これは建設省の関係でございますが、あるいは地すべり対策、砂防、そういうことについて特別の配慮をひとつ考えていただきたい、こう思います。なお、いま申し上げました道路、家屋の除雪、圧雪——圧雪というのは雪を押えつけることです。なだれ防止とかいろいろこういうことについては県市町村に対する財政的な配慮、たとえば一番手っとり早く言えば特定の問題等が出てくると思いますが、そういうことについて特に裏づけを考えておいていただきたい。豪雪と地震の重なった場合のことを考えておいていただきたいということをお願い申し上げておきます。  時間がございませんので、締めくくりを申し上げますが、冒頭申し上げましたように、中央防災会議の機能を十分発揮できるようにひとつお考えをいただきたい。そのための人員の問題は、先ほど申し上げたとおりでございます。  さらに防災関係の四十四年度の予算要求、現在大蔵省とやり合っているその内容について、ひとつ川上参事官、総理府のほうから後刻私のほうへその資料をひとつ出していただきたい。これをお願いしたいのでございます。  さらに学究部門との連携については、いまほど学究グループ、研究所におかれましても、ひとつ気象庁にも協力しようというようなおことばを拝聴しました、非常にありがたく思います。ぜひともそういう考え方で、連携をとりながら、具体的な措置がより一そう早く進められるように、この機会にお願い申し上げたいと思います。  最近の新聞のいろいろなことのネタをここに持っておりますけれども、もう不安になるような、こうなるとこうだぞ、あぶないぞというその記事だけがマスコミなんかに取り上げられて記事になっておって、これに対する対策というのはこうなんだということはさっぱり記事に出ないわけですから、これではほんとうに社会不安というか、住民不安がつのるのもやむを得ないと思います。そういう考え方からして、願わくは総理府なり中央防災会議においては、そういう学究グループなりの意見があったときにはそれを卒直に受けて、最悪になった場合に、こういう措置をとるとか、そういう際にやはりマスコミを通じて発表願う、そういうことにして、社会不安を少なくともだんだん解消していくというようなことをぜひ考えていただきたい、こう思うのでございます。  以上をもって私の質問は終わります。ありがとうございました。
  39. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 参考人の方に一言御礼申し上げます。  本日は御多忙のところ御出席いただきまして、貴重な御意見を御開陳いただきましてまことにありがとうございました。本委員会より厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。     —————————————
  40. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、防災科学研究予算に関する件について調査を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  41. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 総理府にお尋ねしたいと思いますが、非常に日本の国は災害王国といわれて、毎年数千億の被害を受けている現状でございます。そういう点から、被害を受けた後の救済も大事であるとともに、防災のための処置をしていくことも大事ではないかと思うわけであります。そういう点におきまして、この災害科学に対する研究が、大学等においても行なわれておるわけでございますが、そういう研究体制がいまどうなっておるか、その点についてお答え願いたいと思います。
  42. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 防災関係の研究につきましては、主として国立研究所のほうを主体に強化していく。私たちのほうは非常に関係省庁が多ございますが、現在各省で研究、たとえば今年は関係各省の研究全部まとめますと、現在、統計をとっておりますが、おおよそのところ約全部で二十二億円をこえる程度の研究費になっていると思います。したがいまして、それを私たちのほうとは研究が重複しないようにあるいはできるだけ効率的に促進できるように各省の連絡会を設けて行政的な連携を保っていく。また、防災関係につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、防災科学技術センター所長が来ておられますが、センターのほうはやはり各省の研究の連絡を密にする。研究者あるいは研究所それぞれの連絡体制の連絡機関として設けられております。
  43. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大学関係の研究者をまとめた災害科学総合研究班ですか、そういうのがございますが、それと国立防災科学技術センター、それとの関係はどういうぐあいになっておりますか。これは所長さんにお伺いしたいと思います。
  44. 寺田一彦

    説明員(寺田一彦君) お答え申し上げます。  先ほどの御質問災害科学の研究のほうは、これは文部省の研究費のもとに行なわれておりまして、これは主として文部省関係のほうでございますから、大学関係の方のほうに研究費が分配されております。そしてこの研究発表、先ほど宮村教授が御発表になりましたような、ああいうような研究発表をやりますときには、そのほか関係の学会などが後援をいたしまして、これを実際に行なっておる状態でございます。私のほうとしては、直接の連携はございませんが、しかしながら、研究内容、それから研究のやり方、その他につきましては、非常に密接な関係を持って仕事をしております。たとえばいま宮村教授がお話になりました活断層の問題のようなものは、私のほうの国立防災科学技術センターにおきましても、発足以来この問題にあたっておりまして、日本全国にわたってこの活断層、活褶曲の状況をほとんど調べることができました。その結果は近く発表することになりますが、これにもやはり大学関係の方と協力いたしまして、結果ができ上がったわけでございます。そのうちの一部が、先ほど申し上げました小千谷のような活断層の問題にあたるわけでございます。そういう意味でございますから、災害科学の研究とは直接の連絡はございません。間接ではございますが、非常に密接に連携をとって仕事をしております。こういう状態でございます。
  45. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、災害のためのいろいろな研究がなされるわけであります。そういう研究の結果というものが即刻、今後の工事の面に応用されていかなければ意味がない。そういう点は国立防災科学技術センターがそういう技術というものを全部まとめて、そしてその実施方面において具体化していく。そういう形になっておると考えてよろしいわけですか。
  46. 寺田一彦

    説明員(寺田一彦君) センターといたしましては、研究の結果をできるだけ行政面に反映させ得るように努力をしております。しかしながら、行政のほうは御承知のように各省庁別々のお立場でいろいろ仕事をしておられますので、私のほうの研究結果が、これがいいからあなたのほうで使えというと言うようなことはできませんが、いろんな意味でサゼッションを与えたりあるいは研究の結果を御報告申し上げたりしております。そのうちの若干は、やはり行政面のほうでもお取り上げになっておるものもございまして、われわれのほうといたしましては、まだできましてから五年余でございますが、結果は着々として実際面に使われるようになってきているのじゃないかと思われます。
  47. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 文部省にお聞きしたいと思いますが、防災科学総合研究班というのがありますが、それに対する本年度の予算がどの程度であるか、また来年度はどの程度要求をしておるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  48. 笠木三郎

    説明員(笠木一二郎君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねがございました文部省関係災害対策関係の研究費でございますが、これはいわゆる科学研究補助金の中に、特に学問的ないし社会的に要請の強い分野につきまして、推進すべき特定研究という一つワクがございまして、この中に自然災害の研究を対象にいたしました災害科学という領域が用意されているわけでございます。この災害科学の関係につきましての本年度予算は、約九千万でございます。なお明年度予算の要求のワクといたしましては、約一億五千万程度を考えておるわけでございますが、これは今後の予算折衝の結果によりまして決定するものでございます。
  49. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この九千万というのは、大学関係のいわゆる災害科学総合研究班に対する予算が九千万ということですね。
  50. 笠木三郎

    説明員(笠木三郎君) ただいま申し上げました災害科学の関係の研究費のワクが、いまお尋ねになりました総合研究班を含めた個々の研究のテーマに対する研究助成費全部を一括して申し上げたわけでございまして、ここでいまお尋ねの総合研究班と申しますのが、おそらくその中で、特に総括的な、総合的な研究で取りまとめをやっております班のことかと思うわけでございます。それで、この総合研究班自体の研究活動に対しましては、この九千万の中で、その一部をこの班の活動プロパーに支出しているわけでございます。
  51. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 九億の間違いじゃないですか。私の調べでは九億になっているわけでございますが、九千万ですか。
  52. 笠木三郎

    説明員(笠木三郎君) 災害科学の関係は約九千万でございます。
  53. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、これは国立防災科学技術センター所長にお聞きいたしますが、先日徳島の地すべり学会において大阪工業大学の玉城教授が地すべりの測定について非常に従来の方法に比べて、まあ人数の面においても半分以下、調査期間、調査費用等も十分の一程度で済むという、そういう研究を発表しておるわけでありますが、そういう点の報告はきておりますか。
  54. 寺田一彦

    説明員(寺田一彦君) 私のほうにも、実は、地すべり関係の職員がございますので、そのほうには連絡があったかもわかりませんけれども、私のところには、直接はまだその報告がございませんので、それで、もしあるといたしますれば、非常に重要なことでございますから、私のところにも連絡があるはずでございます。まだないところを見ますと、その問題は検討しておるところではないかと思います。
  55. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私が言いたいことは、たとえば現在、道路の建設をする場合に、飛騨川事故の場合ものり面の工事というのが非常に問題になったわけでございますが、現在、道路工事ののり面につきましては、建設省のほうでは土工指針という基準に基づいて行なわれておるわけでありますが、私も現地の建設局に行きまして、いろいろお聞きしたわけでございますが、その基準もはなはだ不完全である。そして、その工事もほとんど勘にたよって行なわれておる、そういうような状態であります。そういう点、はなはだ科学的な研究の結果のやり方というような面が乏しい。そういう点で、この地すべりを学会に発表されたこの測定方法によりますと、まあ斜面の地すべりの危険度というものを非常に簡単な方法で知ることができる。そういう測定をもとにして、この土質の場合には、この程度の工事が必要だ、ここには必要でないと、そういうように、非常にその現場に即し、また安全性を見込んだ工事というものが考えられるわけであります。そういう点で災害科学の研究というものは、その成果というものは非常にあらわれてきやしないか。そういう点から、もっともっと、この災害研究に力を入れていかなければならない、そのように思うわけであります。そういう点で、今年度は、全体の予算が、二十数億のそういう災害研究のための予算が、文部省、科学技術庁、運輸省等に使われているわけでありますが、そういう点、数千億の被害を受けている点から考えてみても、非常にこの研究費用は少ない、もっともっとふやすべきである、かように思うわけでありますが、そういう点、いわゆる中央防災会議を主宰している総理府のお考えを聞きたいと思います。
  56. 川上幸郎

    説明員(川上幸郎君) お答えいたします。  ただいま先生から科学技術の研究に対します費用の額が相当少ないではないかというような御指摘を受けたわけでございますが、中央防災会議を主宰いたします総理府におきましても、各省と常に連絡をとりながら、かつなお本日御出席になっております八木長官等からも非常な御援助をいただきまして、年々、これをふやすように努力をいたしておる次第でございます。昭和四十二年度で申し上げますと、先生がおっしゃいましたとおり、十九億数千万が、昭和四十三年度におきましては二十二億三千万というふうになっております。というふうに、かなりの伸びを示しているというわけでございますので、総理府といたしましても、なお一そうの努力をいたしたいと考えております。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 年々ふえておる、努力をしておる、それは予算も全体がふえておるわけでしょうから当然ふえるのはあたりまえでございますが、大体この災害研究に使われる費用そのものが非常に少ない。たとえばこれは科学技術白書に書いてあることでございますが、昭和四十年の国民所得に対する研究投資は一、七%、昭和四十一年度は一、六七%である。これだけの金額があらゆる研究に使われているわけであります。そのうち大体大学の研究に使われる予算は、その研究費の中の約一二%が大体使われておるといわれておるわけであります。そういう点から考えますと、たとえば土木建設の事業費が、公共土木関係で二、五兆、民間でも三、四兆、合計約六兆ぐらいの土木建設工事が行なわれておる。そういう点から計算いたしましても、これは公共土木関係だけを計算いたしまして、二、五兆の一、七%、それの一三%が大学関係で使われるとするならば、五十億から六十億の金額が大学の研究に使われても、それがほかの研究のレベルである。ところが全体でわずか二十三億、それでは非常に低いと思うのであります。まあある学者の説によりますと、農林災害は一年間に七百億の災害を受けておるけれども、そういう研究が進んでいくならば、七割ぐらいは減らすことができる。七割にすれば、もうあと三割で、約一年間に二百億ぐらい、これはまあ学者の言うことだから、全部が全部当てにならぬわけでありますが、そのように言っておる人もあるわけであります。そういう点で、もう少し災害の科学研究、そういう面にやはり総理府あげて推進をしてもらいたい、そのように思うわけでありますが、その点ひとつよろしくお願いいたします。  それから次に防災科学総合研究班、これは先ほど話に出ましたように、現在各大学のそういう防災に対する研究班、研究をしている学者を全部集めたグループでございますが、その研究班が第一次五カ年計画というのを数年前に発表いたしました。これはいろいろ災害については非常に未知な問題が多い、そういう災害を防ぐために何としても研究したい、そういうような項目を全部まとめて五カ年計画を発表し、その予算として、これは地震予知の予算を別といたしまして、五年間で約百八十二億の推進費が必要である、そのような計画を発表をしておるわけでありますが、これに対してはどういう考えでやったのか、その点をお伺いしたいと思いますが、これは総理府のほうはそういうこと御存じないですか。——じゃ国立防災科学技術センターの所長さん、お願いいたします。
  58. 寺田一彦

    説明員(寺田一彦君) 私は、その問題には直接参画してはございませんでしたけれども、その案ができましたときに、たまたまその席上におりましたから、様子はうすうす知っておりますが、これはいま国立大学が非常にたくさんできまして、各地方にそれぞれ研究者がございます。そういう方が十分研究ができるように、また災害に対するいろいろな資料を中心に集めるようにするように、またそのためには研究者もふやさなければならぬ、講座もふやさなければならぬ、そういう意味で、大学関係の方がまとめたものでございます。私は、その程度しか存じておりません、よろしくお願いいたします。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どうもそのような災害科学の研究のための人員の要求、あるいは予算の要求、そういうものを現在推進しているのはどこがやっているわけですか、文部省がやっているのか、総理府がやっているのか。
  60. 笠木三郎

    説明員(笠木三郎君) ただいまのお尋ねの点でございますが、御指摘の総合研究班から長期の第一次計画というものの概要が出ておりますことは私も承知しております。その中身につきましては、その相当部分が大学におけるたとえば講座、研究所の部門ないしは資料センター等の施設拡充整備ということでございますので、この問題につきましては、国立大学につきましては、文部省のほうで必要な措置をすることになるかと思うのでございますが、この点につきましてはまだ全体計画として、かなり膨大なものでございますので、目下事務的な検討をしている段階でございまして、どういうふうにこれを具体化するかという点につきましては、まだ結論を申し上げる段階に至っていないわけでございます。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまのお話にありましたように、非常に災害科学の研究も各部門に分かれて文部省とかあるいはまた科学技術庁の中とか、そうしてそういうところは一括して予算を請求する場合にも、やはり災害というのは一つの部門として軽視される傾向があるのではないかと思うわけであります。そういう点で、先ほども質問がありましたように、この防災科学の研究については、総理府または中央防災会議等が中心となって国家百年の大計の上から、もっと強力に予算の推進または研究の推進、そういうものを行なっていただきたい、そのことをお願いいたします。
  62. 八木徹雄

    説明員八木徹雄君) 先ほど来から、この防災の体制の整備あるいは防災のためのいろいろ研究予算の獲得の推進といったような、ほんとうに身近かな問題について、中央防災会議がキャスティングをとってやるようにしたらどうか、こういうようなお話であろうかと思います。確かに現状の中で防災の基本的な何と申しますか、研究ということについてどうも中核がはっきりしないじゃないか、各省がばらばらなそしりを免れぬではないか、そういう気持ちがおありであろうと思います。私も同感でございます。ただし、現在の防災会議の任務、所掌任務ということから申しますと、そういうものをやれるようになっていないわけです。先ほども佐藤先生からも御指摘があって、大体その陣容が整備できておらぬじゃないか、陣容からまずひとつかかってまいれ、こういうようなお話もございました。実は私らも次長制度というもののひとつ予算要求を行管並びに大蔵省に対していたしておりますが、専任次長が置けたなら——先ほど来佐藤先生なり両先生のお話のあったような問題のいわゆるうちが中核体となって推進できるようなそういう組織形態ということになっておりませんので、先ほども申しましたように地震一つの問題をとって見ましても、それらの総合調整という役割りは必要だということは痛感いたしますが、防災会議を今後どのように位置づけするか、その任務、目的をどのようにやるかということについて、新しい観点に立って検討をしていかなければならぬと思いますが、現状ではたとえば来年度について、どうおまえは考えるか、おまえのところはどうするのか、こういわれても、こういうことについて取りまとめをし、推進をするというそういう役柄になっておりませんので、将来の問題として、それらのことが実はどこかが中心になってやれるような体制を整備することについて、内閣全体の責任でひとつやれるように、私たち努力をし、献策をしてまいりたい、こう考えております。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点、よろしくお願いいたします。  それからもう一つは、災害を防止するためには、観測体制の充実ということが当然大事になってくるわけでございますが、先ほども地震の件につきまして気象庁長官のほうから、センターが三つほどあって、いろいろそこで資料を集めておる、そういうお話があったわけでありますが、地震に限らず、あらゆる観測は気象庁とかあるいは大学の研究室、研究所あるいはまた建設省あるいは農林省等、やはりそれぞれ独自の観測を行なっておるわけでありますが、そういうあらゆる観測というものを全部総合し、検討し、そしてまた判断をしていく、そういういわゆる資料センターといいますか、そういうのはいまどこがやっておりますか。その点を気象庁長官にお聞きしたいと思います。
  64. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 気象庁といたしましては、気象庁の業務の非常に大きな分野を占めております気象につきまして申し上げますと、気象の資料センターというものは、そういう名称のものは現在ございません。しかし、気象庁としまして、近き将来、気象庁の中にそういう名称のものを置きたいという希望がございます。それは近き将来のことでございますが、現在といたしましては、そういうセンターはございませんけれども、気象に関しての大体の資料は気象庁の中にございますし、また建設省、農林省関係に保存されております資料につきましては、関係省庁の御協力を得まして、いつでもそれを拝見できるというような状態にございます。それが現状でございます。  なお、海岸だとか地震だとか、いろいろな方面に関する資料のセンターをどうするかというような問題が現在起こっております。これにつきましては、まだそれぞれ決定的の結論には達しておりませんけれども、これも近き将来、海洋に関するセンターあるいは地震に関する資料センターというものはどこかに置く必要があろうかと、私は考えております。
  65. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いろいろなそういう観測資料というものが各部門で分かれて、ただ保存されて、いつでも引き出せる、そういう状態ではなくして、そういうのをもっともっとやはり有機的にまとめ、そうして総合的な立場から情勢を分析していく、そういう資料センターというものを早急につくって、やはり国全体の立場から、今後の防災の対策を立てていかなければならぬじゃないか、そういう点で先ほど話がありました資料センター、そういうものをひとつ早急にその体制を整えるようにしていただきたい。そのことをお願いいたします。  それから最後に、これは何回か前の委員会において質問した事件でございますが、先般の十勝沖大地震のときに木造建築はなかなか倒れなくて、むしろ耐震構造であるところの公共の大学とか、そういう建物がこわれた。そういうような点で質問したわけでありますが、それに対しては建設省と、それから文部省においてそれを調査しておる、そういうお話でございましたが、この研究の結果がどうなっておるのか、その点の御報告をお願いしたいと思います。
  66. 大津留温

    説明員(大津留温君) 建設省の建築研究所におきまして、地震の直後に現地の調査に出かけまして、公共建築物を中心に被害を受けたものにつきまして、とりあえず講ずべき応急措置を明らかにいたしました。その後、その調査の結果に基づきまして、検討を重ねまして、地震度の特異性、構造設計並びに材料及び施工の実情について検討を重ねてまいってきておる状況でございます。また一方、日本建築学会にも協力を求めまして、その調査研究を進めていただいておるわけでございます。  現在までに判明いたしておることを申し上げますと、一つはあの地震が、大きな地震度が長時間継続したという、ある程度の特異性を持っておるということでございます。  第二点は、構造設計を立てるに当たりまして、均衡のとれた力の配分をはかることが必ずしも十分でなかったのではないかと思われますこと、つまり使用材料の品質、施工基準等の実態に対する配慮が不十分であったのではないかという点であります。  第三点は、使用されました材料及び工事の施工が若干不十分なものが見込まれることであります。  これらの原因が重なって被害を生じたものと推定されますが、詳細な原因につきましては、なお相当時間をかけて検討を要するものがあると認められます。建築研究所及び日本建築学会におきましては、現在の段階におきます調査研究の結果を一、二カ月のうちには行ない得るのじゃないかというふうに考えております。  なお、現在までのところ、検討した結果の範囲内では、建築基準法等を直ちに改正すべき必要は認められないのでございますが、今後の詳細な調査研究によりましては、技術的な点について改正の必要が生じますれば、もちろんこれを取り上げる考えております。
  67. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまのところは、結局構造設計が十分でなかったとか、施工が不十分であったとかそういう基準どおりやっていなかった、そういうところに原因があるのであって、建築基準法自体は検討すべきものはない、大体そういう結論なんですか、いまのところは。
  68. 大津留温

    説明員(大津留温君) 先ほどお答え申し上げましたように、必ずしも設計が基準法に違反していたあるいは施工法に重大な欠点があったというようなふうには見られないわけでございますが、先ほど申しましたように、地震度がある程度特異と見られる点、それから構造設計を立てるに当たりまして、均衡のとれた力の配分をはかることが必ずしも十分でなかったのではないか。また、使用しました材料なり、施工方法にいくらか不十分な面があったというようなことが重なってああいう結果を生じたというふうに一応推定されるのでございます。設計が基準どおりに行なわれていないとか、施工に重大な欠点があったというふうには必ずしも言えない、こういう状態でございます。
  69. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まだ結論を出す途上で、要領がわかりませんが、いずれにしても、この前も話しましたように、耐震である建物がこわれて、木造がこわれない、そんなばかなことはないと思う。そういう点で、現在もどんどん公共の建物も建てられているわけでありますが、その調査結果をすみやかにやって、そうして今後のその結果に基づいて対策も立てていかなければならないのじゃないか、そういう点でもう地震があってからだいぶ期間もたっておるわけでありますが、すみやかにその研究結果を出して、そうしてまた次の機会にすみやかに原因の結果を報告していただきたい。そのことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  70. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会