○
田中説明員 食糧庁が
配給いたしております米の現状についていろいろ例示的に御
指摘をいただいたわけでありますが、確かに
やみ米がどの程度かということはいろいろ先ほど先生御
指摘いただいた数字で私
ども発表をいたしております。あれは、生産高から、
現実に農家が実際に消費したであろうという数字を一応算定いたしまして、それを差し引いたものの中で政府に売ったものが幾ら、したがって
あとはやみ販売と称するか、そういう形になっているということで推定したのが七十万トンということでございます。最近四、五年の傾向を見ますとこの数量は非常に減ってきていることは事実でございます。結局政府売り渡しの比率が高まってまいりまして、政府に売ることが農家としては一番確実であり、しかも安定的であるという傾向が今日出ておるわけであります。
それから、お
米屋の
段階においての
やみ米と称する
配給が行なわれているという御
指摘でございますが、総理府の家計
調査を見ますると、これは
全国でございまするけれ
ども、大体ここ数年三〇%程度が非
配給ということになっておるわけであります。この非
配給というものの
内容を分析いたしますると、先ほどの七十万トン近くの農家の手から放れる
やみ米があるいは一部入っているものもございましょうけれ
ども、御
指摘のございましたやはりお
米屋の
段階において、この米は自由米ですよ、
やみ米ですよ、こういうような売られ方をしているものが非
配給になっているという面が多々あると思います。大阪等の実例でだいぶ高い数字をおっしゃいましたのですが、根拠は私よくわかりませんけれ
ども、そう高い数字が必ずしも出ているとは思いません。いずれにいたしましても家計
調査等から見ましても三割程度のものはあるようでございます。
そこで、
配給関係に対する
食糧庁の
指導なり今後の
販売業者に対する
指導体制ということについて、どういう観点からこの問題について考えていくかということでございますが、何といたしましても
配給業者がそれぞれ
配給品目について、やはり
消費者に対して
一つの自党を持つということが何よりの
一つの柱であろう、こういうぐあいに思っているわけでございます。また
消費者の側におきましても、最近の傾向からいたしまして、
配給品目について、それぞれ大都市等におきましては
配給精米の批判会とか、あるいは
配給改善委員会とか、随時県庁を主宰としたそういう場も設けられておりますから、そういう場へいろいろ家庭のほうからの苦情が持ち込まれて、それによってお
米屋の反省を求めるという体制も実はとっているわけでございます。しかし、そうはいいましても、
消費者の側におきましても、うまい米は高くてもいいから持ってきてほしいというようなことになりますと、勢いお
米屋さんのほうで少し白度を加えてくるとか、いろいろな手を加えた形において売り込むという傾向は、これは否定できないと思います。こういう問題につきましては、
配給制度全体をどうするかという
改善の一環としてもメスを入れていかなければならぬ、そういうぐあいに思いますので、先ほど
武部先生からもいろいろ御
指摘がございましたのですが、今後の
配給制度の
改善にあたりましては、
消費者がお
米屋さんを同一市町村内ならばどこでも選べるというふうな
一つの仕組みも用意しながら、この問題について十分
配給統制の意義が末端まで理解を深められるという形に持っていきたいと思うわけでございます。なお、目に余る
販売業者のいろんな悪質な
行為等につきましては、それぞれ
都道府県の
知事の
責任の
範囲内におきまして是正措置なり矯正措置をとってまいるということを考えておるわけでございます。
それから第二点の、うまい米を現在の食管の制度の中でどういうぐあいに取り入れていけるかどうか、将来の見通しというようなことがございました。端的に申し上げますると、やはり
配給統制というものはどちらかというと画一的になりやすいものでございます。そういう点におきまして、うまい米を現在のような完全な直接統制の中に相当勇気をもって取り入れるということになりますと、うまい米は高くすることはよろしいのですが、まずい米はそれじゃ生産者価格を一体どうするのだというような問題にもくるわけでございまして、この問題についてはやはり統制のあり方とも関連しながら今後
検討を進めていかなければならぬというぐあいに考えております。先般農林大臣からも、新農政の推進、その中におきまして、米の管理のあり方というようなものとも関連をいたすわけでありますが、やはりうまい米を
消費者にできるだけ
配給をするのだというような
考え方も出ているわけでございますが、それらはやはり管理のあり方とも関連してこういう問題に対して取り組んでまいりたい。
ただ、
一つここで申し上げておきたいと思いまするのは、現在直接統制下におきましても、やはり府県の奨励品種はかなり限定をされてきております。その府県の奨励品種も、やはり奨励する
一つの目標といたしましては、量も質も大体兼備したものというのが現在大多数を占めていると私は思うわけでございます。もちろん量のみに片寄り過ぎた傾向もあるわけでございますが、奨励品種の現在の普及状況から見ますと、従来質も量もかなり兼備しているというぐあいに私
どもは考えております。その中におきまして、御
指摘のたとえばコシヒカリ、ササニシキ、こういう、いわばその地帯におきましては確かにりっぱな品種があるわけでございます。これらもその産地を離れて、たとえばコシヒカリなんかはいま宮崎県までいっておるわけでありますが、そういう極度な地帯に参りますと、本来の味が必ずしも十分発揮されておらない、こういうことも考えていかなければならぬと思うわけでございます。