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1968-11-16 第59回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月十六日(土曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 堀  昌雄君    理事 玉置 一徳君       遠藤 三郎君    岡本  茂君      小宮山重四郎君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    田中 六助君       橋口  隆君    岡田 利春君       久保田鶴松君    佐野  進君       永井勝次郎君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         防衛庁防衛局運         用課長     安田  寛君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省銀行局中         小金融課長   長岡  実君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業大臣官         房審議官    成田 寿治君         通商産業省企業         局長      大慈彌嘉久君         通商産業省重工         業局長     吉光  久君         通商産業省公益         事業局長    本田 早苗君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         海上保安庁警備         救難部参事官  上原  啓君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最初中小企業庁長官に聞きますけれども、昨年の九月以来の金融引き締めによって、下請である中小企業は、手形サイトが非常に延びたり、あるいはこの年末にあたって金融問題で非常に困る。わが国の九〇%以上の企業中小企業である。したがって、この中小企業に対してどういうように年末に際して政府は対処するか、それについてお聞きしたいと思います。   〔委員長退席海部委員長代理着席
  4. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先生ただいま御指摘のように、昨年末以来の金融引き締めは、その後順調に緩和傾向をたどってはおりますものの、しかしなお依然として中小企業の、特に中小企業の中でも弱い層におきましては、金融引き締めの影響が相当強く残っております。さらにまた、今回の金融引き締めは、中小企業がその間の設備投資をおくらさざるを得なかったということになっておりまして、中小企業といたしましては、この非常に激動する情勢に対しまして、合理化投資、特に省力投資を進めねばならないのにかかわらず、引き締めの間、相当合理化投資がおくれたという状況でございます。したがいまして、今後の金融といたしましては、相当中小企業に対します需要は強いわけでございます。  ときあたかも年末を控えますので、私たちといたしましては、二つの面に対して処置をいたし、遺漏なきを期したい。第一は、政府機関、すなわち私たちの所管しております中小公庫、国民金融公庫、商工中金、この三金融機関に対します年末の財政投融資追加が第一でございます。第二は、市中民間金融機関に対します中小企業向け貸し出し確保でございます。  第一につきましては、先週閣議に対する報告をもちまして固めたのでございまするが、貸し出し規模におきまして千百六十五億の追加をいたしました。国民金融公庫四百三十億、中小企業金融公庫三百九十億、商工組合中央金庫三百四十五億という貸し出し規模追加をいたしまして、所要の財政投融資措置を完了いたしました。私といたしましては、決してこれは十分な金とは考えられませんけれども、しかし年末を中小企業が越すために必要なる政府サイトにおける資金手当ては完了したというふうに考えます。  第二は、市中金融機関中小企業向け貸し出しでございまするが、これは一兆二千億を目標に本年設定をいたしまして、市中金融機関に対しまして一兆二千億の中小企業向け貸し出し確保大蔵当局より要請をしておる、こういう状態でございます。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 政府中小機関ですか、これが千百六十五億。こういうことでありますけれども、昨年が千六十億、はたして今度の金融引き締め——八月ごろから、公定歩合の引き下げということで少しは緩和したといわれておりますけれども、これは大企業のほうが緩和しただけであって、中小企業のほうにはなかなか回ってくるのがおそい。また、昨年の金融引き締め、こういうことを理由に、あるところにおいては手形サイトがまた一カ月延びたとか、また支払いがうんとおくれるとか、これを理由にして中小企業の下請けに払わない。しかし、昨年の千六十億に対して、わずか百億ぐらいしか増額されてない。そこで、一つ例をとりましても、国民金融公庫ですか、これの申し込みが二十日分ぐらいたまっていた。それが今度は四十日ぐらいに延びておったのですね。はたしてこれだけのわずかなことでこれがまかなえるかどうか。中小企業庁として非常に弱腰ではないかと思うのです。中小企業のこういう団体からは、七千億ぐらいの融資確保してもらいたい、こういうことを言ってきておるわけでございますけれども、はたしてそれではっきりした施策がとれるかどうか、激増する中小企業の倒産を防ぐことができるかどうか、この見通しについて長官の御意見を聞きたい。
  6. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先ほどお答え申し上げましたように、政府機関からの貸し出しは非常に良質な金でございますので、中小企業者に対しては極力これの充実をはかってまいりたいということで、私たち責任者といたしましてはせっかく努力しておるわけであります。  年末の財政投融資千百六十五億では足らないのではないかという先生の御指摘でございますが、実は昨年の千六十億と申しますのは、非常な強い金融引き締めを予想いたしまして、これに対する対策として、従来とははるかに格段の措置といたしまして千六十億を追加したわけであります。そういう点から考えますると、ことし金融緩和基調に向いているという場合に、中小企業金融も、本来の金融の筋である市中金融原則はたよる、政府の補完的な措置は昨年ほど強くやる必要はないという、相当強い意見も実はあったのでございまするけれども、先刻申し上げましたような、特に省力化投資を進めねばいかぬという点と、特に零細層に対しましての補完は依然としてやる必要があるということで、昨年度に対します一割の増額である千百六十五億を確保した次第でございます。  先生指摘の、特に中小企業の中の零細層国民金融公庫に依存をいたしますので、いま御指摘のように、確かにこの金融引き締め期におきましては、申し込み額相当ふえてまいりましたし、特に国民金融公庫申し込みがあってから貸し出すまでの期間がだんだん延びまして、御指摘のように一番長いときには、全国平均でございますが、三十八日——平均は二十四、五日でございますけれども、三十八日ということになったわけでございます。しかし、その後だんだん改善をいたしまして、現在のところ、十月現在では三十日を割っておるというふうに改善をしてまいったわけでございますが、年末の対策といたしましては、特にこの国民金融公庫資金繁忙に対する意味もございまして、千百六十五億の中で四百三十億を国民金融公庫に振り向けた、こういうことで、相当重点配分をしたつもりでございます。  以上のようなことでございまするので、最初に申し上げましたように、政府金融機関に対する年末投融資は多々ますます弁ずではございますけれども、諸般の情勢から見まして、現在程度の金額を確保できれば、まあまあ年越しができるというふうに考える次第でございます。
  7. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これは非常に金融公庫利用者申し込みが増加しておるわけでありまして、申し込んでから非常に長い。年末済んでから借りたってこれは何にもならぬ。したがって、強力にひとつ中小企業が潤えるような施策をしてもらいたいと思うのです。これは要求しておきまして、次に民間金融機関ですが、いま一兆二千億ですか、こういう話でありますけれども、昨年は八〇%しか達成しなかった。申し込んで、要するに貸し出しができなかった。本年はどれくらいの見込みであるのか。あるいはまたこれだけの一兆二千億のあれをとっておいて、そうして結局は達成  できないということは、なかなか銀行は金を貸さぬということなんです。大体あまり必要でないところに対しては貸す。必要でないというとおかしいけれども、逆にどうしても必要だ、こういうところに対しては、銀行は非常に窓口規制をしておる。これに対する長官意見を聞きたいのですが、どうですか。
  8. 乙竹虔三

    乙竹説明員 御指摘のように、民間金融機関の年末の中小企業向け貸し出しは、これは目標額であります。計画額ではないわけでありますが、昨年は一兆九百億であります。これに対します達成率は、先生指摘のような八割を若干オーバーするという、これは後刻大蔵当局から説明があるかと思いますが、達成率であります。ところが本年はこれが一兆二千億ということで一割以上の増になっておるわけでありますが、従来は金融引き締め期におきましては達成率について相当いろいろ問題がある。しかし緩和期につきましては達成率相当いいという状況でもあるようであります。私たち中小企業庁といたしましては、特に大蔵省に強くお願いをしてあるわけであります。大蔵当局としても強く金融機関を指導されるということになっておりますので、一兆二千億の努力目標額相当本年は達成できるんではないかということを期待をしておるわけであります。
  9. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そこで大蔵省としてはこれに対して、どういうような銀行に対して要求をしておるか、またどういう手を打っておるか、その施策を聞きたいと思います。
  10. 長岡実

    長岡説明員 本年の年末の民間金融機関貸し出し目標額一兆二千億につきましては、各銀行協会とも十分に打ち合わせをいたしまして、実行可能な目標を定めておるつもりでございます。昨年は、先ほど長官も申し上げましたように、金融引き締めの最中でございまして、窓口規制等関係もございまして、目標に対して八割を若干上回る程度にとどまりましたけれども、その前の年は九六%をちょっとこえるくらいまで、ほぼ一〇〇%近いところまで実行いたしております。本年につきましてはただいま申し上げましたように、いわゆる金融引き締めも一応終わった時期でもありますし、また各協会とも十分に意思疎通をはかって定めた目標額でございますので、私どもは実行可能であろうと考えておりますし、また実行をしてもらうように指導をしていくつもりでございます。御参考までに申し上げますが、やはりまず各銀行がその気持ちになってもらわなければいけませんので、全国銀行協会は去る十一月八日、相互銀行協会は十一月十四日、信用金庫協会は十一月十五日付をもちまして、傘下の金融機関のすべてに対して特別に通知を出して、地元地方公共団体の年末融資対策に積極的に協力しながら年末の中小企業対策に万全を期するようにという通知を出しております。
  11. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そこで、大体市中銀行から金を借るときにはどうしても保証協会保証が必要になる。担保物件がないときには特にそれが必要でありますが、先般の当委員会におきまして私はこの保証協会保証限度といいますか、基金の五十倍をオーバーしてもいいじゃないか、またそういうように中小企業庁のほうで考えているかどうか、あるいはまた大蔵省と話し合ったかどうか、これについて質問いたしましたけれども、そのときは確たる返事はなかった。この五十倍を引き上げる意向があるか、またどういうようにお互いに相談したか、これについてまず長官からお聞きしたい。
  12. 乙竹虔三

    乙竹説明員 信用保証協会ただいま先生指摘定款倍率であります。この定款倍率は、各協会基本財産を持っておりまするが、この基本財産の何倍まで保証契約ができるか、こういうことの倍率をきめたわけでありまして、この倍率以内に保証限度を押えておくということは、協会の健全な経営基盤確保するためには大事なことであるというふうに思います。ただ、この倍率協会の実質的ないろいろな経営基盤と申しますか信用力と申しますか、こういうものを片一方に踏まえ、また片一方には保証要求というそのときの時勢を踏まえてきめなければいけませんので、先生指摘のように一律に五十倍というふうに硬直的にきめるのは、これは適当ではないわけであります。したがって、現行制度もこれは協会ごとにきめておりまして、定款できめるので定款倍率、その定款主務大臣が認可する、こういうことになっております。ただ主務大臣の認可いたします限度が、一応現在のところは内規で五十倍というふうにきまっておりまして、五十倍頭打ちということにしておりますが、協会協会によりましてまだ五十倍に達していないものが大部分であります。ただ協会だけは一応五十倍ということまで来ております。私たち、先般の国会先生から御質問ございましてお答え申し上げましたように、各協会相談をしたのでございまするが、現在この五十倍の限度近くなっておりますのが、一番大きな保証、この倍率を持っておりますのは四十五倍というところでございまして、なおまだ五倍分の余裕がある。あとはみな四十倍そこそこということでありますので、さしあたりまだこの五十倍を引き上げなくてもやっていけるという状況でございます。ただ先生御指摘のように、この五十倍というものが支障になりまして協会保証ができないということではいけませんので、私たち、各協会に対しましてはこの定款倍率というものを一つ目標にして、したがって保証限度を引き上げますためには基本財産充実するということは非常に大事でございますので、まず基本財産充実努力してもらうという要請をいたしますとともに、なおこの五十倍がさしあたり最高限ということで保証いたしますのにじゃまになるという協会が出てまいりますれば、この五十倍の倍率を引き上げるということを個々的に検討してまいるというつもりでおります。
  13. 長岡実

    長岡説明員 保証協会保証能力の問題として定款倍率五十倍という最高限度をいま定めております。これにつきましては、一応五十倍を定めましたときに、五十倍が最高でいいんだという計算をいたしてございますけれども、その後相当の年数を経過した今日におきまして、保証協会業務運営の実績を見ますと、理論的には弧十倍をこえてはならないというほど強い理論的根拠がある数字ではございません。したがいまして、ただいま長官からお答えがございましたように、個々協会の実態を見まして、一方においては基本財産の増加を進めながら、一方においては具体的に五十倍ではとても十分な保証ができないというような保証協会が出てまいりましたときには、弾力的に対処いたしてまいりたいと考えております。
  14. 岡本富夫

    岡本(富)委員 四十五倍とか四十倍とか、現在まだ達成してない、こういうことですけれども、やはり保証協会も五十倍筒いっぱいということはしない。どんな保証をせんならぬかわかりませんし、どうしても若干下回りまして保証しているわけです。この保証協会の活動が制限されますと、これは借りたい人が保証してもらえなくて困っている。すでに相当こういうケースがある。もうワクがいっぱいですというふうに断わられているわけです。ですから先国会において、私は先般の当委員会におきまして、五十倍をオーバーしていいかどうか、またそれはどの辺のところまで限度をもっていくか、これを中小企業庁大蔵省と話し合ったことがあるかと前に話をしたのですが、あなたのほうでは、特に大蔵省の田代さんでしたか、全然聞いておりません、こういうようなお話でした。だから今度はちゃんと話し合って、協会のほうからどうしても足らぬのだからといってきたところに対しては個々にやる、こう言っておりますけれども、実際協会理事長あたりに聞いてみますと、これがじゃまして仕事ができないのだ、だからどうしてもこの定款倍率を上げてもらいたい、こういうふうな話があるわけなんです。したがって、ここで論議するよりも、協会に対して、どうしても必要である、あるいはまた中小企業を育成する上において、保証をするためには定款倍率はもっと大きくなってもいいんだというような通達を出したか、あるいはまた話をしたのか、ここをひとつ両方から聞きたいと思います。
  15. 乙竹虔三

    乙竹説明員 先ほど申し上げましたことでおくみ取りいただけたかと思ったのでございますが、私たちは、もう少し端的に申し上げますと、もし定款倍率がさしあたりじゃまになって、定款倍率頭打ちのために保証がこれ以上引き受けられないという協会がございましたならば申し出てほしい、これはいつでも御相談に乗ります——これは大蔵当局も私たちも一致して、同時に相談した上の態度としておるわけでございます。もちろん相談に乗りますという意味は、必要があれば倍率を上げることもやぶさかでない、こういうことでありますが、ただ倍率をとにかくいたずらに上げるということより、倍率を上げることも場合によっては必要かと思いますが、それとともにやはり協会財的基礎を固める必要がございますので、基本財産充実努力してもらう。基本財産充実は、これは各府県等のいわば出指金金融機関等出指金、これをどんどんやってもらうということによりますと、保証倍率はそれほど引き上げなくても、協会財的基礎を固めながら、なお保証限度が高められる、こういうことでございますので、結論的に申し上げますと、私たちは五十倍というものをかたくなに守ろうということではございませんので、必要がある協会は出てきて相談をしていただきたい、こういう態度になっております。
  16. 長岡実

    長岡説明員 この問題の取り扱いにつきまして、大蔵省中小企業庁との間の意思疎通は十分にはかられております。個々保証協会の問題になりますが、これにつきましては、全国保証協会連合会を通じまして、この限度に達しそうで、もうすでに保証余力がない、また、いまはあるけれども、ごく近い将来保証余力がなくなりそうだというところは、定款倍率変更について大蔵省通産省も弾力的に対処するつもりであるからという趣旨は十分に伝えてございます。
  17. 岡本富夫

    岡本(富)委員 わかりました。それで結論としては、これは基金を集めるのは相当協会で苦労しています。ですから五十倍をオーバーしてもいい。ではどの辺まではいいのだということを、これは明示したわけですか。それともこれはしていないのですか、どうですか。
  18. 乙竹虔三

    乙竹説明員 これは最初に申し上げましたように、定款倍率定款変更申請というかっこうで出てくるわけであります。現在のところ、定款倍率定款を直してここまで上げたいという具体的な個々協会要望は、まだわれわれのところへ来ていないわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、ほんとうにお困りなら相談してくださいということを申し上げておりますから、これでもってほんとうに御支障のある協会はお申し出があるものというふうに考えております。
  19. 岡本富夫

    岡本(富)委員 わかりました。ではこの問題はこれで打ち切ります。  そこで、いま一番お金に困っておる、要するに切実にこの年末を越すのに困っておるのは、町を歩いてみますと、無担保保証小口保険でありますけれども、これでたしか先国会のときだったと思うのですが、一年間の納税証明がないと貸せない。ところが、事実中小企業は、商売を始めまして二年や三年は納税できない。そんなに初めからもうかるわけはないので、商売はしているけれども納税はしていない、こういう人に対して、事実それだけの仕事をしておる、売り掛けあるいは買い掛けあるいはまた銀行、こういうものがあれば、これは納税証明がなくても無掛保保証保証をしてあげる、こういうことでひとつやってもらいたい、こういうふうに私は思うのですが、どうですか。
  20. 乙竹虔三

    乙竹説明員 信用保証制度は、零細な、資金力のない方に非常にお役に立っておるものであります。特に資金力のない方に御便宜を計らうように、われわれも努力をしておるわけであります。ただ保証制度も広義では金融制度の一環であります。やはり保証債務が弁済されるといいますか、ということでなければならないわけであります。ただ銀行がとりますような担保とか、こういうものは極力保証の場合にはとらない。特に五十万円までは無担保保証というふうなことで便宜を計らっておるわけでありますが、現在五十万円までの特別小口につきましては納税要件居住要件、この二つ要件最小限度の必要な要件ということで残しておるわけであります。これは無担保保証ということでございますので、納税居住の両要件二つとも完全に廃止するということは非常にむずかしい。ただ先回の商工委員会中小企業信用保険公庫法の改正の際に附帯の御決議もいただいておりまして、対象小企業者の具備すべき納税要件を緩和するようにという決議が三月につけられておるわけであります。この決議に基づきまして努力をいたしました結果、本年の四月からは身体障害者それから老年者、寡婦、こういう方々につきましては、特別控除によって住民税所得割りがなくなる場合があるわけでございます。こういう場合には均等割りだけでよろしいというふうにして緩和措置を講じたところでございます。
  21. 岡本富夫

    岡本(富)委員 わずかだと思いますけれども、このわずかな一番零細なところが直接銀行に行っても借りられない。したがって、書類の上で審査になるかあるいはまた実地審査でもしてもらって、そして確かにこれは商売をやっていた、こういうことがはっきりすれば——これは中小企業に対して政府施策としましてはもうほんとうに唯一の施策、ほかのものはほとんど机上計算みたいなものであって、この前長官は大いばりでたくさん施策をやっていると言いますけれども、これはほんとう机上論で、われわれ中小企業やってみまして、全然こっちの出している施策とそれからあれとが違う。その実例はきょうはもう申しませんけれども、ひとつ次の機会にはその点をよく研究してもらって、そして大蔵当局両方ともよく検討してそこまで持っていこう、こういう決意を、これは政務次官にお願いしたいのですが、どうですか。
  22. 藤井勝志

    藤井説明員 せっかくの御要望の御発言でございますので検討はさしていただきますが、先ほど長官からお答えをいたしましたように、この特別小口保険制度性格からして、原則的には納税要件居住要件というものはやはり一応守っていく、そしてその原則をそこなわない範囲において、たとえばいま特別控除でずっと税金は納めなくなった、均等割りだけというようなところくらいに広げてきたわけでございまして、これを一切なくしてしまうということになると、この制度性格との関係において、この原資の性格からいって、やはりちょっとむずかしいという感じがいたしますけれども、御趣旨の点はよくわかりますし、ほんとうに零細な庶民の、金に困って、しかも生業にまじめに取り組んでいる者にとって、これが迎え水となり得る、こういったものについて何とかくふうしろ、こういう御趣旨はよくわかりますので、十分検討させていただきたいと思います。
  23. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは中小企業関係はそれで終わりまして、次に、通産省鉱山局長来ておりますか。
  24. 海部俊樹

    海部委員長代理 成田審議官が来ております。
  25. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最近、石油コンビナートがあっちこっちにできるわけでありますけれども、過日、姫路に出光石油が進出してくる、こういうことについてだいぶ話がありましたが、この石油審議会の答申をひとつお聞きしたいと思いますが、どうですか。
  26. 成田寿治

    ○成田説明員 十月に石油審議会が審議の結果、通産大臣に対して答申を出しておるわけであります。出光興産の姫路製油所につきましては、十五万バーレルの申請になっておりましたが、需給上の総ワクとの関係等がありまして、十一万バーレルの許可ということに審議会の答申ではなっております。  それから、姫路製油所につきましては、従来の経緯から考えましても、いろいろ地元との問題があるというので長年かかったようでございますが、そういう特殊な事情を考慮しまして、出光興産の姫路製油所については十一万バーレルの許可案を答申しただけでなくて、そういう特殊な事情にかんがみまして次のような審議会から注文が出ておるわけであります。読みますと「出光興産姫路製油所については当該特定設備の新設計画に関し、公害対策、漁業問題処理等地元との調整につとめるものとすること。」、そういう従来公害関係では例が非常に少ない一つの注文がついておりまして、われわれ通産当局としては、審議会の許可の答申とあわせて、こういう注文、今後十分企業側を督励して、あるいは県なり市とも十分連絡して、こういう努力をさせてまいりたいと思っております。
  27. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私はこの出光石油の進出に反対するのじゃありませんけれども、それについてやはり地元の漁業者、あるいはまた何のために反対をしておるか、こういう面を通産省のほうが許可するにあたりましてもよく調査をして、そしてみんなが納得いくような許可をしてやってもらいたい、こういうふうに思うのですが、それについてどうですか。
  28. 成田寿治

    ○成田説明員 こういう答申にも出ておりますので、御趣旨に沿って許可し、また許可後の指導もやっていきたいと思っております。
  29. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そこで、私のほうの調べでは、日本の敗戦の結果、昭和二十年の八月の下旬ごろアメリカより日本統治のために司政官として日本に進駐してきたラモート中佐の命によって、当時日本軍の火薬庫であった神崎郡の高橋の火薬庫あるいはまた姫路市外にあるところの神崎郡の火薬庫から、貨車を利用して、あの辺側にあるところの富士鉄の岸壁から相当多量の爆弾を海に投げられておる。これはずっと調べますと相当な量になるのですが、そのとき、ちょうど昭和二十年の十一月六日、この広畑製鉄の岸壁において現場監督を命ぜられた人たちの話によりますと、相当な人数の者が、爆発して、死んでいるわけです。約十六人死んでいる。それに対するあとの補償はできておるわけでありますけれども、こういうことを見ますと、一日に百五十トンから二百トンくらい、約一カ月間、海中に投棄している。こういう事実を調査したわけでありますが、それについて、ここに石油タンクがもしもできた場合、もしも爆発した場合に大きな事故にならないか。そういう面も織り込んで許可をし、あるいは審議をしたのかどうか。これについてあなたの御意見をひとつ伺いたい。どうですか。
  30. 成田寿治

    ○成田説明員 その問題につきましても、いろいろ考慮したのでありますが、それについてのわれわれのほうの情報なり考え方をちょっと申させていただきたいと思います。  出光の姫路製油所の関連の航路、妻鹿港と思いますが、しゅんせつの際には、そういう爆弾等の危険物は発見されなかったというふうにわれわれは連絡を受けております。それから、姫路製油所の予定地になっておりますところ、今後石油装置建設の予定地は、過去においては農地であったところであると聞いておりまして、そういう関係から、そういう爆弾等の危険物は埋没しているおそれはないというふうに考えられております。ただ、今後シーバースの建設をやり、またそれに関連しましてパイプラインの施設工事を水中等でやりますので、これにあたりましては、事前に慎重な調査を行なわせて、企業側なりあるいは県、市とも十分連絡をとって、万が一にもそういう保安事故が発生することのないように十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  31. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次に、海上保安庁の上原さん来ていますね。いまこの播磨灘には、こういう海中に投棄された爆弾、火薬がどのくらいあるのか、またこれをどういうふうに掃海したのか、これについてちょっと聞きたいのです。
  32. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。終戦当時あの海域に相当量の火薬類、爆弾等が投棄されたということは承知いたしておりますけれども、どの程度投棄されておるのかということは、正確な数字は私のほうはキャッチいたしておりません。それはむしろ防衛庁のほうがかえって御存じではないかと思います。
  33. 岡本富夫

    岡本(富)委員 防衛庁の安田防衛局運用課長ですね。
  34. 安田寛

    ○安田説明員 防衛庁からお答え申し上げます。防衛庁といたしましては、終戦後米軍からいろいろな情報を聞いておりまして、米軍関係の投下した機雷につきましては承知しておりますが、そのときに日本軍の投棄した、ただいまおっしゃいました火薬類がどの程度あるか承知しておりません。
  35. 岡本富夫

    岡本(富)委員 海上保安庁も防衛庁も、その事実があるのですから、こういうことはやはり調査して——なぜかというと、本年の四月ごろから関西電力の第二配電所が妻鹿港の、ちょうどいま出光ができるところのすぐ近所に埋め立てをやっている。そこで、そういう爆弾がどんどん上がってきて、この埋め立てを請け負っておるところの佐伯組というのは、あぶなくてもうそれで中止してしまった、そういうことの事実があるわけです。そうすると、やはりあの地域にはこういう危険な個所が何カ所かある、こういうことを考えられるわけでありますが、いやしくも海上の保安をしようという、また沿岸にそういうものができようということに対しては、これは海上保安庁ももっと真剣になって取り組まなければならぬ、ぼくはこう思うのですが、どうですか。
  36. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。爆弾類、砲弾類につきましては、海上保安庁の考えといたしましては、それが海底にございましても、船がいわば海の上を通行しておる限りは船舶には支障はない、こういうぐあいに考えております。当庁としてむしろ関心のございますのは、機雷がまだ残っておりはせぬかという点でございます。したがいまして、その点につきましては、自衛隊にお願い申し上げまして掃海を進めていただいておりまして、現在瀬戸内海一帯には、浅海面を除きましては、水深の浅い部分を除きましてはほとんど全部掃海が完了している、こういう状態であります。ただ海底にあります爆弾、火薬類にいたしましても、これはしゅんせつ工事などいたしまして異様な衝撃を与えますと爆発する危険が多分にございます。したがいまして、そのような場合は、たとえば港内でありますと、港則法にいいます港域内でございますと、これは港長の許可を要することになっております。その許可の際に、機雷その他の危険物があるかないかということを確認さしてから許可を与えるということにしておりますし、港域外の場合は、これは直接規制はできませんけれども、情報を入手いたし次第、その工事を施行する者に対しまして、同様な安全措置、確認措置をいたすように指導いたしております。その措置をいたしますと、機雷も砲弾も爆弾も同時に発見できるというぐあいに考えておりまして、一応できるだけの措置はとっておると確信いたしております。
  37. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この埋め立て工事をやっているとき爆弾が出まして、これを当時の飾磨警察あるいは海上保安部にちゃんと届けてある、こういう事実があるわけです。ですから、いまここであなた方がもうひとつ調査が不十分で、はっきりしてなければ、さらに海上保安庁が特に中心になって、防衛庁にも協力してもらって、そうして早急に海中の捜査をして、今度陸にできるところのそういったタンクなんかに迷惑をかけないように、あるいはまた爆発してタンクにでも火がついたら姫路は焼き打ちになります。したがって、これは重要な問題ですから、ひとつ早急に調査をして報告してもらいたいと思いますが、どうですか、海上保安庁。
  38. 上原啓

    ○上原説明員 御趣旨はよくわかりました。関係官庁と打ち合わせの上、十分検討さしていただきたいと思います。
  39. 安田寛

    ○安田説明員 防衛庁といたしましても、施工者がこの種の危険物を発見いたしましたとき、通報がありましたならば直ちに必要な処理をいたすことは、陸上、海上ともに日々行なっておるところでございまして、御趣旨の線に沿いまして努力したいと思います。
  40. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そこで、大体海中にあるところの爆弾はさびないというのが、こういう爆弾を扱っている人に聞きますと、一般の常識なんです。それから古い火薬というのは、一般学問の範囲を出てしまって、そして特に鋭敏になっておるというようなことが常識になっているそうでありますから、その点も頭に入れて、ひとつ早急にこの姫路海域の爆弾は処理してもらいたい、こういうふうに要望しておきます。時間があまりありませんから、この問題はこれくらいで一応とめます。  次に、経済企画庁来ておりますか。——最近、カドミウムあるいはまた水銀中毒等の公害問題が非常に表面に出てきておる。水資源確保、また汚濁防止のために、これを仕事するのが経済企画庁ですが、これは今後どういうような、あるいはまた現在どういう体制、どういう姿勢、今後はどういうようにするのか、水質二法の改正案がどうしても必要になってくると思うのですが、この三点について簡単に答えてもらいたい。
  41. 八塚陽介

    ○八塚説明員 最近工業その他の発展に伴いまして、いま御指摘のような問題が特に顕著になってまいったわけでございます。御承知のように、私どものほうで所管をいたしております水質保全法につきましても、従来かなりな役割りを果たしてまいったというふうに考えております。さらに、ただいま申し上げましたような情勢に対応して、改正をすべきであるかどうか、あるいは改正をいたすとすればどういう点を改正をすればいいかどうかというようなことにつきまして、数カ月来検討を進めておるわけでございます。いずれにいたしましても、私どものほうの気持ちといたしましては、そのような情勢でございますから、さらに水質保全につきましては、できるだけしっかりした体制でやっていくという覚悟で関係各省といろいろ話し合いをしてまいりたいというふうに考えております。
  42. 岡本富夫

    岡本(富)委員 水質の汚濁防止について、こういうように重金属の公害がよく出てきておる。これに対して、あなたのほうでは現在どういうような研究、調査をし、あるいはまたこの防止についてどういう態度をとっておるか、これを一ぺん聞きたいのですが。
  43. 八塚陽介

    ○八塚説明員 御承知のように、ごく最近の具体的な問題といたしましては、メチル水銀の問題があるわけでございます。これにつきましては、科学技術庁の見解も出たところでございますので、私どもといたしましても、ごく近いうちに水質審議会等におはかりいたしまして、全国的にメチル水銀については水質規制を早急にやってまいりたいというふうに考えております。それ以外に、たとえばカドミウムの問題等が神通川で起こっておりますが、これにつきましては、私どもの水質基準をすぐかけるというまでには、まだ厚生省あるいは通産省等の調査も行き届いておりませんので、その両省の検討の結果を待ちまして、やはりメチル水銀と同様な態度で処していきたいというふうに考えております。
  44. 岡本富夫

    岡本(富)委員 このカドミウム問題それからメチル水銀の問題は、もう起こってやかましく言ってからずいぶんになる。いままであちらこちらの調査をしまして、経企庁だけは何か横にのいていて、ほんとうに腰を入れて、あなたのほうが水質の汚濁の防止あるいはまた被害を起こさないようにしようという態度が非常に緩慢であり、また何もやってない、こういうように見受けられるわけです。そこでどうしても水質二法の改正が必要である。これはぼくは先国会でもやかましく言っておいたのですが、いつごろこの改正案をあなたのほうで国会のほうに出すか、これをきょうお聞きしたいのです。
  45. 八塚陽介

    ○八塚説明員 御承知のように、経企庁の経企庁らしさと申しますか、仕事の態様というのは、すべての具体的なことを全部自分のところでやっていくということではございませんで、それぞれ各省の機能を十分に発揮していただいて、そうしてそれを調整し、推し進めていくということにあるわけでございます。そういう意味におきまして、私どものほうは決して従来ともそういう水質の汚濁の根源になるいろいろなアイテムについて目を離しておったわけではございませんが、そういう立場で従来とも政府見解の出るのを待っておった、その点であるいは非常に受け身であるというおしかりがあるかと思いますが、決してそういうことではないということを申し上げておきたいと思います。したがいまして、現在の水質保全法がどういうふうな形で改正されていくべきであるかということについても、ただいま申し上げましたように、何でもかでも経企庁だけでやる、ないしは経企庁でおおむねやってしまうということではなくて、それぞれ各省の機能あるいは地方自治体の機能というものを十分に発揮していただきながら仕事を進めていくという形で改正を検討いたしておるわけであります。
  46. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いままで見ていますと、経企庁がこの川ならこの川の水質基準をきめる、それに向かって工場排水をその基準に合わせなければならぬとか、あるいはまた都市排水はこうしなければならぬとか、こういうふうにして経企庁がその水質基準をきめることによってほかのが改善されてきた。あなたのいまの話を聞くと、ほかでやってもらってからあとできめるのだ、こういう考えです。各省にいろいろ聞いてからやります。そうではない。経企庁においては、長官は水質を保全しあるいはまた水質基準をきめる責任がちゃんとあるでしょう。それならば、いろいろ各省の意見も聞くと思いますけれども、しかし基準をきめるのはあなたのところじゃないですか。その基準がきまらぬことには、あとの工場排水に対してはこうする、ああする——ぼくは事実あっちこっち回りまして、各企業も困っておる。じゃ、たとえばカドミウムが何PPMになったらよろしいのか、どれだけだったら許可されるんでしょうか、このことがない、それを言うてもらったらしますよ。その基準がないじゃありませんか。政府としても何を基準にして取り締まるか、これをきょうはあなたに聞きたいと思ったのです。そこで、やはりどうしても水質基準を経企庁がきめる、これに対して各省が、たとえば工場排水はこれだけの改善をしなければならぬとか、これは通産省仕事ですわね、そういうことになるのじゃないですか。あなたのほうはいま聞いていると、各省からいろいろ意見を聞いてからやりますので、うしろからついていっている。そんなものは必要ない。これは長官とよく相談したほうがいい。そして今度の水質二法の改正はやかましく前からいわれているが、これはいつごろ提出するんですか。
  47. 八塚陽介

    ○八塚説明員 法律に書いてあるとおりにお答えすれば、まさに先生のお話しになったとおりでございまして、私どもはきわめて受動的に、全部おぜん立てが整ったところで水質をきめさせていただくというようなつもりで、実はお話し申し上げたわけではございません。当然経済企画庁が水質をきめるわけであります。それがあって初めて各省大臣がやるということでございます。ただ、現実にそういう形できめます過程あるいはきめたあとの実施の確保というような点で各省のいわば積極的な協調あるいは連絡が必要であるということを申し上げたわけでございます。  それから、水質保全法の改正につきましては、ただいま申し上げましたように、改正すべき点がかなり法律発足以来ございますという点もございまして、検討いたしております。いずれにいたしましても、法律の改正の問題については、私どもといたしましては、そういうめどのつき次第、改正案の御検討をお願いするということになるわけでございます。
  48. 岡本富夫

    岡本(富)委員 めどがつき次第——これはだいぶ前から、ほんとう先国会に出すとかこういう話もあった。次の通常国会には出すんですか。
  49. 八塚陽介

    ○八塚説明員 当然法律改正の機会というのは、その次の通常国会になるわけであります。ですから、そのころまでに十分検討を進める。そうして各省とも御相談を申し上げるということで進めておるわけであります。
  50. 岡本富夫

    岡本(富)委員 約束の時間ですから、もう一点だけ申しておきますけれども、次の通常国会には水質保全法の改正案を出すのか出さないのか、聞いているんですよ。
  51. 八塚陽介

    ○八塚説明員 国民生活局の立場におきましては、出すべくただいま調整、検討を進めておるわけでありますが、どういう法律をどういうふうに出すかということにつきましては、まだ通常国会に対してそういうことの検討が終わっておりませんので、その点あまりはっきり申し上げるわけにはいかないわけであります。そういう意味で、私ややぼかして言っておるわけであります。しかし、通常国会に出せるような姿勢で仕事を進めておるということだけを申し上げておきます。
  52. 岡本富夫

    岡本(富)委員 きのう、これははっきり答えるようにとずいぶん経企庁に対しては言ってあったわけです。これはまた次の機会にもう少し突っ込んで説明を求めますから検討してください。約束の時間ですからこれで終わります。
  53. 海部俊樹

    海部委員長代理 玉置一徳君。
  54. 玉置一徳

    ○玉置委員 まず最初に大臣にお伺いしたいのですが、八幡、富士の合併についてであります。目下公取で審査中でもありますので、時節柄言いにくいこともあるのではないか、かように思いますので、あまり具体的な問題に触れないで、一般論として、あるいはこれと関係のないような問題について方針をお伺いしたいと思います。  まず最初に八幡、富士の鉄鋼合併でありますが、一般論でいわれるように寡占体制というものはどうしても管理価格を形成しやすい、したがって国民経済に及ぼす影響は少なくないという可能性を包蔵しているということはいなめない事実であると思うのでありますが、大臣も御案内のとおり、ヨーロッパ先進諸国のようなここ数年来の鉄鋼需要の伸び、したがって生産の伸びが横ばいになっているというような場合におきましては、思い切った構造改善を行なうときにはやはりスクラップ・アンド・ビルドの方式をとらざるを得ない、したがって競争というものが勢い制限され、イギリス並びにフランスに見るように官民協調方式もしくは国営というような姿になりつつあるわけでありますが、これと逆に、わが国のきょうまでの鉄鋼の需要の伸びは、輸出を合わせまして、ここ数年は一千万トンを上回るような年間の伸びを示しておる。将来諸般の事情でこの伸びが押えられるといたしましても、五、六百万トンの伸びは数年は考えられるのではないだろうかというような場合には、寡占が直ちに競争制限をするというような懸念は比較的少ないというように私は思うのであります。なお、その需要の一番大手であります自動車、機械等の業界はそれぞれ資本の自由化の体制までしいられているわけでありますので、その上にあぐらをかくというようなことはできないと思うのでありますけれども、一般論として巷間やかましい寡占体制の管理価格形成をし得るような蓋然性と申しますか可能性というものに対する恐怖というものを何か納得せしめるような方式が要るのではないだろうかと思います。  そこで具体的に御質問申し上げるのは、一つには、ここ五、六年と申しますか、あるいは十年近くか知りませんけれども、鈍化しつつも相当な伸びを示す間は、比較的ゆるい方式でありましょうとも、何らかこういう重要基礎産業につきましてはチェックする方式を考えられて国民の理解と安心を願われることが好ましいのではないだろうか、それから二番目には、そういうものの伸びがうんと横ばいになるような場合には、これはこれでもう少し思い切ったチェックをする方法を考えざるを得ないのではないだろうか、こういうことをひとつ大臣にお伺いし、重ねて大臣からお答えただきたいのは、もし万一——万一といいましょうか、かりに公取のほうの審査が合併についてオーケーが出た場合、国民諸君の一部の不安を除くためのそういった協調方式、そういったチェックする方式を整えられる用意があるかどうか、こういうことをお聞きしたい。
  55. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 いま日本の鉄鋼業は非常な勢いで成長しております。かつては千トン溶鉱炉なんて言われたものですが、今日は一日の出銑量が六千トン、七千トン、こういうような高炉がどんどん建っておる、こういうようなことでございまして、結局需要の伸びが内外ともに非常に高い、こういう状況でありますから、需要が鈍化した場合には、とかく競争制限の情勢に対して注意深く、かなりきびしくこれを監視する必要がありますけれども、   〔海部委員長代理退席、委員長着席〕 私はいまの鉄鋼業のあり方は、少なくとも日本を中心とする内外の需要情勢というものは、非常な勢いで伸びておりますので、競争制限というものに対して非常な神経を使うというようなことは、少しどっちかというとその必要が少ないのではないか、こう考えておるのでございまして、ことに日本の場合には国際的になっておりますので、国際競争というのがどんどん日本の中へ迫ってきておる。こっちも国際市場にどんどん出ておりますけれども、反対に外部から競争が起こってくるという可能性も非常にあるわけでありまして、その間非常に流動的であります。でありますから、あまりその問題に重点を置いて考えることは大局を誤るのではないか、こういう考えであります。
  56. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、私はこういう国民の産業の基礎になる重要な基礎産業の経営者のモラルというものも非常に大事だと思うのです。過般、八幡の社長か何かが新聞でおっしゃっておったように、合併の利益は国民に返さないんだ、それは会社の基礎の充実に使うんだ、こんなことは言わずもがなのことでして、そういう刺激的なことを言うということ自体が、私はやはりこういう問題の阻害を来たすゆえんだ、重要な基礎産業の経営の衝に当たる人は、すべからく国民の生活の福祉にすべてをささげますというような態度でなければいかないと思うのです。そこで、合併をいたしましてから問題になるのは、ある製鉄会社の社長の言うておるように、合併はこわくないけれども、政府がかまわないでおいてほしい、自由放任にしておいていただくんだったらそれはけっこうなんだというようなお話がありますが、これとても、重要な基礎産業で、しかも設備にものすごい巨大な投資をするわけでありますから、ほっておけば無制限な放任の状態になり、またゆゆしき問題が起こるんじゃないだろうかというわけで、私は合併が成り立ちましたときに、それから後のいわゆる設備の協調方式と申しますか、それはどういうように運営されていくかということが、非常に心配なところじゃないだろうかという感じがいたします。いわゆる四位と五位とか、五位と六位というような合併だったら好ましいことはだれでもすぐわかるのですが、何しろ一位と二位がやっているところに大きな問題があるわけでありますので、一位と二位とが、いまでもものすごい政治力を持っておる八幡、富士が合併されると、どんな政治力でもって次の設備の割り当てを強引にやっていかれるかというようなことに心配があるんじゃないか、こう思うのです。そこで、これの合併後の設備をどういうふうに指導していくことが好ましいのか、それについての腹案があるかどうか。  もう一つは、たとえば富士と八幡の合併は、私が先ほど申しましたイギリスやフランス等におきますいわゆる需要の伸びの少ないところの構造改善方式でありますスクラップ・アンド・ビルド、これも八幡、富士についての企業内のスクラップ・アンド・ビルドをある程度加味しながら、そういうものを全般に協調させた形で、しかも設備をいままでのようにわざわざ数年がかりでもって高炉一基ずつを順番にやっていくというような不便さがなしに、もう少し合理的な経済的な方式でやり得るような考え方が御用意あるかどうか。これにつきまして大臣もしくは当局のほうから御説明をいただきたいと思います。
  57. 吉光久

    ○吉光説明員 いま合併を前提にしてのお話がございましたけれども、私ども実は合併問題とは関係なしに、ない問題として鉄鋼の設備調整についての考え方というものについてお答え申し上げたいと思うわけでございます。  すでに御存じのとおり、鉄鋼はすべての産業の基礎素材でございますので、この価格が乱高下するということは、他の関連産業へきわめて悪い影響を及ぼすくらい重要な産業でございます。したがいまして、この価格の乱高下を防ぐためにどうあったらいいかという点が、いま御指摘の設備調整面で出てまいるのではないであろうか。これは先ほど来お話ございましたように、鉄鋼産業のよってもって立つ基盤である需要業界が非常に複雑多岐でございまして、したがいまして、需要の面から起こる擾乱要因、それと同時に、設備大型化に伴います生産設備面からくる供給過剰というふうな潜在性を常に包蔵しておるわけでございます。現在設備につきましては、いわば官民協調の設備調整方式と申しますか、産構審の鉄鋼部会で最終的に調整方式を打ち出しておるわけでございますけれども、将来の事態に対応いたしまして、これは現実の経済自体がどう動くかということとの相関関係になるかと思いますが、いま御指摘ございましたような、スクラップ・アンド・ビルドを中心としたような形で、いまの設備調整の要領の内容を再検討していくというふうなことも必要ではないであろうかというふうに考えておりますけれども、要するに、客観情勢がどう進展してまいるかということとの対応関係の問題として設備調整についても考えてまいりたい、このように考えております。
  58. 玉置一徳

    ○玉置委員 局長にもう一つお伺いしておきますが、わが国におきます高炉六社におきます普通鋼材、これの生産品種の推移を見ておりますと、大体ここ十年来ある一社にかたまっておった品種が、わが国の産業界の需要の伸びとともに、ほとんどの各社が割り込んできた。ある特殊な重軌条とかあるいは外輪というようなもののみは需要の伸びがあまり著しくございませんので、ほんの数社あるいは一社に片寄っておりますが、将来ともこういう傾向は、いまの高炉六社にいたしますと、技術的に別にたいした困難というのはほとんどないと見るのですが、将来の見通しはどうでありますか。
  59. 吉光久

    ○吉光説明員 鉄鋼業が現在展開いたしております競争の特徴でございますけれども、これは他の産業にちょっと見れないような、むしろ鉄鋼業自身が巨大な装置産業でございますので、必然的に鉄鋼業についての総合メーカーとしての地位をお互いが確保しようとする、そういう動きがそれぞれの経営者の一つの経営戦略として採用されておるんではないであろうかと考えるわけでございまして、それが過去におきまして、いろいろとニューカマーが新しい分野に進出してまいった基本的な原動力ではないかと考えられるわけでございます。したがいまして、ある特定の分野を除きまして、一般的な話で申し上げますれば、そういう必然性は当然に今後も起こってまいるであろう、こう考えております。
  60. 玉置一徳

    ○玉置委員 先ほど大臣にお伺いいたしまして、お答えをいただいたわけでございますが、事務当局の最高責任者として局長は、この合併がもしも成立するような状況になれば、国民の皆さんに御心配をかけないように、しかも一番重要な基礎産業として——現在とてもその心配はわれわれはここ数年は少ないと思いますけれども、競争制限もしくは管理価格の形成等の心配のないように、どのようにチェックしていったらいいかという御検討をなすっておいでになるかどうか、あるいはまたその成案をほぼ得つつあるという考え方になっておいでかどうか、ちょっとお伺いします。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと関連して。実は、いま鉄鋼問題は御承知のように公正取引委員会が審議をしておる最中でありますから、私どもはつとめて、この際は公正な判断を公正取引委員会に求めるのが至当であると思って、審査が始まりましてからは、私ども社会党はこの問題に意識的に触れていないわけであります。民社党がお触れになるのは自由でありますが、政府は現在置かれておる情勢を十分認識して、あまり仮定の事実に立って予測をし、あるいはその結果によって審査その他に影響をもたらすような答弁のないように厳重にひとつ配慮してもらいたいと思います。
  62. 吉光久

    ○吉光説明員 御質問の趣旨が二社の合併論を前提にしてのお話であったわけでございますが、こういう価格、競争条件の問題等につきましては、私、実は二社の合併を前提としないでも、いろいろな角度から検討する必要があるんではないであろうかというふうに考えるわけでございます。公正な競争条件が維持されるということは非常に重要な問題でございます。したがいまして、合併されるとかされないとか、そういうことなしに、やはり常に真剣な検討が行なわれなければならない問題ではないかと思うわけでございます。具体的な問題は別にいたしまして、ただ先ほど大臣からお答えがございましたように、日本の鉄鋼業界の競争は従来も熾烈でございましたし、将来ともまた競争条件は残っておるのが現状ではないであろうかというふうにお話がございましたわけでございますけれども、そういう前提で考えます場合、いま直ちに新しい制度を採用してまいるというふうなことは必要はないのではないだろうか。問題は、世界の鉄鋼業界の中における日本の鉄鋼業がどういう形で実態的に推移してまいるか、そういう関連におきましてあるいは将来いろいろな面から検討してまいる必要も出てくるであろうと思うわけでございますが、現実の事態を前提にいたしましては、実はこれはすぐに直接的な手段を持つ必要はないであろう、こういう判断をいたしておるわけであります。
  63. 玉置一徳

    ○玉置委員 次に自動車に移りたいと思います。  先般来、数次にわたりまして日米自動車交渉につきまして折衝を重ねられまして、昭和四十七年から自由化するというようにようやく一応妥結をみたのですが、その後ニクソン大統領の当選その他と相まちまして、新聞その他の報道を見ましても、アメリカの攻勢はなかなかきびしいように感じます。なお本日の新聞を拝見いたしますと、トヨタ自販の社長が、自由化は四十五年にも来るほどきびしいのじゃないかということさえ公開の席上でお話をなすっておいでになるというようなことを考えますと、事態のなかなか容易ならないことを想像されるわけであります。  そこで、その見通しにつきまして一、二御質問を申し上げたいのですが、それまでに国内体制の整備が現在のような状況ででき得なかった場合は、政府のいまお考えになっておるような国内整備体制が十分にでき得ないというような現状であったならば、昭和四十七年ですかまではエンジンの自由化を含めました自動車の資本の自由というところまでは絶対にいかない決心でおやりになっておるかどうか。その次に、同じく外国資本との国内の自動車企業の提携は認めないという方針でおやりになるのかどうか、この点について大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  64. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほど御指摘ただきましたように、本年の八月二十日に日米自動車交渉は妥結を見たわけでございますが、その妥結の内容は、先ほどもお話ございましたように、四十七年の一月にエンジン等自動車部品の輸入の自由化をするよう努力するという点が第一点でございます。と同時に第二点といたしまして、いわゆるノックダウン、外資によります組み立て生産に伴います当時の申請はケース・バイ・ケースで審査するということ、そうして第三番目といたしまして、国会の承認が得られまするならば、大型車の関税を昭和四十四年、来年の四月にケネディラウンドの最終譲許税率の一七・五%までに一挙に引き下げること、これらの三つの項目を中心にいたしまして了解が成立いたしたわけでございます。したがいまして、この三つの前提に立ちました上で今後の自動車産業に対するいろんな手段を考えていかなければならない、このように考えておるわけでございます。したがいまして、この三つの原則からさらに一足飛びに資本自由化の問題あるいはまた自動車メーカーと外資との提携の問題、こういうふうな問題について、ここらのめどを立てました後でなければ一挙にこれに踏み入るわけにはまいらないというふうに考えておるのが現状でございます。
  65. 玉置一徳

    ○玉置委員 これは大臣の答弁ともう同じだと認めて次の質問に移りたいのですが、それならば自動車産業の自由化体制を早急に整備するというので、二度にわたりまして通産当局の考え方が出されたわけでありますが、その後これはいずれももちろん強制すべきことじゃなしに、自発的にそういう体制にお入りいただくことを希望されておると思うのでありますが、徐々にそういう方向には行きつつありますけれども、なかなかむずかしい問題が残っておるのじゃないか、こう思います。ここ一、二年の間に千ccないし千六百cc程度の各社の競争が猛烈に熾烈になりまして、ようやくこれではいかぬということになって、ここ二、三年後に皆さんの所望のところに行き着くものと見通しをおつけになっておるのかどうか、これが第一点。それから、ここ二、三年の間、四十七年までにもしもその体制が整備されなかった場合、そのときにはどういうような交渉をされるつもりであるのか、あるいはまた資本の自由化というものは、もちろん国内のあれとどうしたらいかぬというような条件をつけ得られないのが原則だと思いますけれども、もしも国内体制が整備でき得なかった場合、若干の条件を付してでも早くそこへ行き着くことがいいのか、条件はつけ得られないのか、こういう三つにつきまして御答弁をいただきたいと思います。
  66. 吉光久

    ○吉光説明員 お話ございましたように、自動車産業の競争力を強化いたしますために、集約化の体制というものができるだけ早くできるということが非常に望ましいわけでございます。これは結局量産体制を確立することによりまして、競争力のある自動車メーカーというものができてまいるわけでございます。ただ先ほどお話ございましたように、四十七年から資本の自由化をするというふうなことは実はきまっておらないわけでございまして、さっき日米交渉で話が出てまいっておりますのは、実はエンジン等の輸入の自由化につきまして四十七年の一月からできるように努力いたしますということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、そこらの全体の体制の成り行きを見た上でないと、資本の自由化問題についてはなかなか踏み切れない。自動車産業が非常に多くの産業の集約産業でございますだけに、困難な問題をかかえておるのではないであろうかと思うわけでございます。そうかといいまして、ただ漫然と自動車業界が動く方向だけでものごとを考えていくわけにもまいらない面もあろうかと思うわけでございまして、少なくとも国際関係におきます競争の激化と申しますか、あるいはまた国際的な協調と申しますか、そういう線からいろいろな意味での外的な脅威と申しますか、それが迫ってくることも予想されるわけでございますので、ただ単純に業界の思うとおり、そのとおりにやっておるというだけではいささか手ぬるいのではないであろうか。むしろやはり積極的にそういう体制整備のできますような環境を政府といたしましてはできるだけ整備してまいる、それによりまして各社の再編成が円滑に進展してまいるというふうな方向でさらに努力を重ねてまいりたい、このように考えております。
  67. 玉置一徳

    ○玉置委員 エンジンの輸入の自由化と資本の自由化とは別であるということで了解いたします。  そこで、いまも後段でお話しのように、各般の国際条件とかみ合わしてものを考えていかなければいかぬという話でありますが、関税、物品税の問題です。小型車の昭和四十四年に二〇%というのは、イタリアの問題でうまくいきませんので三〇%にとどめるということでありますが、これはイタリアの問題はイタリアの問題として、対米その他各般の状況を考えまして、別個にこれはやはり二〇%までお下げになるようなことを御検討されてもいいのじゃないだろうかというような感じがするのですが、お答え願いたいのです。
  68. 吉光久

    ○吉光説明員 御指摘ただきましたように、小型乗用車の関税につきましては、KRの交渉におきましては、イタリアが自動車の対日差別輸入制限を撤廃することを条件にいたしまして、当時の四〇%の関税率から二〇%まで引き下げることを約束いたしたわけでございます。ところが、交渉の過程におきまして、イタリア側はどうしても対日輸入制限についての差別待遇を撤廃することについて同意を得られなかったと申しますか、そこが妥結に至らなかったわけでございます。関税率表というのは、どこかの国だけに差別して、たとえばイタリアだけを三〇%にして他の国を二〇%にするというふうな差別的な扱い自身が、実はガット違反でございます。したがいまして、根強くイタリアの対日輸入制限を撤廃させることを重点的にやりまして、その了解をできるだけ早くとることによりまして、KRで交渉妥結を見ております最終年度二〇%の線までできるだけ早く下げるようにつとめてまいりたい、このように考えております。
  69. 玉置一徳

    ○玉置委員 その意味はわかりますが、イタリアだけのことにこだわって、社会全般の、自動車の輸出並びにそれに関連しまして日本の輸出品全般に悪影響を与えるようなことを、いつまでもそれを根拠に突っぱっておるということが妥当かどうかということを私は申し上げておるわけであります。そういうことについてもう一応検討するお考えはないですか。
  70. 吉光久

    ○吉光説明員 現在国際的な問題といたしまして、たとえば近く開かれますガットにおきまして、残存輸入制限の問題等が取り上げられるように伺っております。と同時に、その際やはり対日差別を事実上やっております国々に対しましては、この問題もあわせて、やはり対日差別の撤廃力を強く要請するというふうなことであろうかと思うわけでございます。いまお話ございましたように、イタリアだけに拘泥しないで、他の国々との関連においてすべてのものごとを考えていく、こういう基本的立場、私も全く同感でございますけれども、ただ何ぶんにもイタリアが現在のような態度でおります限りにおきましては、なかなかものごと全体の進展がはかばかしくないという問題等もございまして、あくまでも全体として二〇%の線まで下げるという点につきまして積極的に努力してまいるというのが現在の政府の基本的な態度でございます。ただイタリアだけに拘泥しておると申しますよりか、あるいはイタリアに対して、これは小型自動車のみならずいろいろな品物につきまして、まだいろいろな交渉ごとが残っておるようでございますので、国際交渉全体の問題としてどうすればよいかというふうなことについて、さらに積極的に判断を加えていくべきではないであろうか、こう考えておるわけでございます。
  71. 玉置一徳

    ○玉置委員 自動車は資本自由化に対処しましてすみやかに体制整備をはからなければならない。しかしながら、これはいずれも民間各社の自主的な御努力にまつわけでありますので、なかなか言うべくしてむずかしい問題もある。そういう中で、私は、自動車の大メーカーは別にいたしまして、自動車産業はエンジンとプレス、あとは七割にわたる関連産業と申しますか、下請と申しますか、それの組み立てであるということをこの間見さしていただいたわけでありますが、その部品産業あるいは機械産業と申しますか、これが必ずしも日本のは強くない、完全な近代化が親企業に比べてまだ進んでいないというのが実情でありますが、これもここ数年のうちにすみやかに体制整備をしなければならない、こう思うのです。これについて自動車部品工業の育成、あるいは割賦販売の——前の国会のときにも住宅あるいは自動車等々の割賦金融の問題につきましても前向きに検討せられたいというふうに附帯決議あるいは要望があったと思うのですが、こういう問題についてどういうように対処しておいでになるか、ひとつ御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  72. 吉光久

    ○吉光説明員 まず最初の部品工業の振興施策の問題でございます。いま御指摘をいただいたとおりでございまして、総合的な部品の工業の基盤の上に立って日本の自動車産業が発展してまいっているわけでございます。したがいまして、この自動車部品工業がどのような形であるかということが自動車産業全体に大きな影響力を持っておるわけでございまして、これはいまお話のあったとおりでございます。したがいまして通産省といたしましては、昭和三十一年から機械工業振興法の指定業種として自動車部品を取り上げ、それを積極的に育成をはかってまいったわけでございます。ただこれは従来の取り上げ方が、いずれかといいますと企業内の合理化、と同時に部品の標準化と申しますか、こういうふうな方向に力が注がれていたわけでございますけれども、やはり昨今のような国際的な立場の中における日本の自動車工業というふうな観点から考えました場合には、この際思い切ってむしろ部品工業全体についての積極的な構造改善対策を打ち出す必要があるのではないかというふうなことから、最近自動車部品についての構造改善計画というふうなものを立案いたしておるわけでございます。  構造改善の方向といたしましては、現在の単品の専門メーカー、たとえばエンジン部門で申し上げますと、ピストンの関連部門だとかあるいは吸排気弁の装置の問題だとか、その他いろいろあるわけでございますけれども、従来そういう単品の専門メーカーの育成強化につとめてまいっておったわけでございますが、さらにそれらを集約化いたしまして、むしろエンジン全体として機能的な完成品を生産する総合部品メーカーの育成をはかってまいる、そういうふうな形で集約化してまいることが必要ではないだろうか、このように考えておるわけでございまして、こういう計画もいま業界内部でもだんだん成熟しつつある状況でございます。したがいまして、こういうものにつきまして通産省といたしましても、税制上、金融上その他のいろいろな優遇措置をさらに適用いたしまして、積極的な育成をはかってまいりたい、このように考えております。これが第一の関係でございます。  それから第二に、割賦販売金融の御質問をいただいたわけでございますけれども、お話ございましたように、わが国で販売されております自動車のうちで、現金で販売されておりますのは二五%でございまして、残りの約七五%は割賦契約でございますとか、あるいはオートローン等によりまして購入されておるのが実態でございまして、自動車販売協会連合会の推定によりますと、割賦販売のための所要資金残高は現在一兆二千億円にものぼるというふうにいわれておるわけでございまして、さらに自動車の販売がふえればふえるほどこの残高はふえていくというふうに考えられるわけでございます。したがいまして通産省といたしましては、割賦販売のための割賦販売審議会というものがございますので、その中に自動車分科会を設けまして、すでにそこで数回の検討を行なっておるわけでございますけれども、割賦販売のための金融会社の設立などを含めまして、先ほど申し上げましたような増大する所要資金を確保し、割賦販売金融の円滑化をはかることにつきまして、目下真剣に検討をお願いいたしておるわけでございます。大体の現在のめどといたしましては、来年の三月末くらいまでには具体的な成案を得たいということで、現在せっかく努力をいたしておるところでございます。
  73. 玉置一徳

    ○玉置委員 よくわかりましたが、いずれも大体いつごろ必要な法案なり行政措置をお講じになるか、めどをお聞かせいただきたいと思います。
  74. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほどの構造改善の問題につきましては、現にございます制度をそのまま先ほど御説明申し上げましたような趣旨で運用してまいりたいと思っております。したがいまして、現にそういう具体的な計画も出つつあるわけでございます。  それから割賦販売の関係でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、来年の三月末くらいまでには成案を得たいと思っておるわけでございますが、それがすぐに法案になるのか、あるいは具体的な措置だけでできるか、これは審議会の答申の結果を見ました上で積極的に努力してまいりたいと考えます。
  75. 玉置一徳

    ○玉置委員 いまの部品工業の問題でありますが、中堅企業金融というものをあとで御質問申し上げようと思ったのですが、もう中小企業金融公庫のあれでは間尺に合わない、こういうものを集めまして中堅企業金融として開銀に特別ワクを設けてそういうものの育成強化をはかるべきじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけですが、そのときにまたあわせて御質問を申し上げることにいたします。  そこで、大臣と、きょう特別ごやっかいになりました大蔵政務次官にお伺いしたいのですが、前の自動車取得税のあり方についてであります。去年は国鉄の市町村への固定資産税の免税問題とか、あるいはガソリン税の増徴は当時ちょっと一、二年前にやったときでありますので、物価へのはね返りを考えて好ましくないとか、あるいは市町村から返付金をどうだとかこうだというようなことで、最後にひょいと自動車取得税が市町村の道路財源に持っていかれたわけであります。市町村の道路財源を拡充してあげなければいかぬということはだれにもまして私は熱意はあるつもりでありますけれども、それとは別に、あれは当然は、ガソリン税の増徴によりまして建設省にまいります道路財源のうち、有料高速道路はどうするのだ、国道は前の一国は完全に済んだから次の十年間で二国を完全にするのだ、府県道路はどうするのだ、市町村道路はどうするのだという分け前の問題だと思います。それまでは市町村道路のほうへはほとんど財源が渡されていなかったことは現実でございますが、だからというてこれは取得税というようなものでもって便宜的にやるべきものじゃないのだ。やはり道路財源は一番公平なガソリン税によってその分配をどうするかということが問題だ。かりに去年が三百五十幾億ですか、平年度五百三十億幾らでしたかね、あれをこのまま便宜的に置いておきますと、だんだんとやがては千億円になり千五百億円になってくる時代がくるのじゃないだろうかというようなことになりますと、私は目的が財源の措置として均衡を失するような感じがいたします。なお巷間伝えられるところによりますと、都市に乗り入れするものに税を課して三百数十億円、これは運輸省の目的税として地下鉄をどうするのだとか、今度は全然自動車と関係ありませんが、公害の問題で重油の発電の何とかに税をかけまして、今度は厚生省が自主財源を三百数十億どうするのだとか、こういう各省がかってかってにお互いに自己財源、目的税を持つようなことにすれば、しまいには大蔵省という意味が、統轄して国の財政をお互いに分配するというのが非常に硬直化され、変なものになってくるんじゃないかという考え方を持っておるのであります。ましていわんや片一方で自動車は、いま国の戦略産業として何とかして守ろうと一生懸命になっておるのとうらはらに、ちょっと手につけやすいものですから、みんなねらわれておるのが現状でございまして、こういう点はなはだ遺憾に思うのでありますが、そこで自動車取得税は、私はあのときにも話しておったのですが、最高をきめまして、あのときも二・五にしようか、三%にしようか、捕捉率はどうだろうかというようなことで、やってみなければしようがないじゃないかというようなことで済んだわけでありまして、私はあの三%を大体頭打ちにして、将来二・八なり二・五なり、自動車のふえ方によってやはり考えていかなければ、あるいは抜本的にいえば、ガソリン税の増徴というような空気がいま出かけておりますけれども、そういう場合には取得税は取得税であっていいけれども、もっと違った形のものに持っていくべきじゃないだろうか。やはり道路財源というものはガソリン税でもってまかなって、配分をどうするかということを建設省の中できめていくことが本来の姿じゃないか、こういうように考えます。これをどうお考えになるか。  それから第二点は、自動車取得税はあのときも非常に問題になりましたが、中古車にはもう税をかけないというくらいに、そういう点からも少なくとも思い切った姿勢を出すべきじゃないだろうか、こう思いますのと、三つ目は、アメリカへの輸出もなかなかたいへんなことになってくると思います。したがって、市場分散と申しますか、海外市場のいろいろな開拓が必要となってまいると思います。そういうことになりますと、市場確保あるいは拡大のために部品もしくは修理工場というものを各地に設けざるを得ないのじゃないだろうか。こういうアフターサービスに対する何かの損失勘定というような制度をお設けいただいてもいいのじゃないだろうかということを考えるのでありますが、以上三点につきまして大蔵当局並びに通産当局の考え方をお伺いしたいと思います。
  76. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいま自動車に対する課税がいろいろ種々雑多あって、これはあまり多過ぎるのじゃないか、むしろ揮発油税一本で財源の配分を考えたらいいではないかという御趣旨の御質問がございましたが、私どもも概観して申しますれば同じような考え方を持っております。現在では燃料課税たる揮発油税、それから軽油引取税、それから自動車に対する物品税、地方税たる自動車税、自動車取得税、非常に複雑でございます。このほかさらに、いま財源確保のための目的税を設けるということになると、御指摘のように、自動車に対する真の税負担というものが非常にあいまいになってくる、また財政硬直化を招くということになりますので好ましくないという点については、玉置委員と全く同意見でございます。  それから自動車取得税の中古車に対する云々という問題でございますけれども、これは地方税でありますので、所管が自治省になっておりますので、一応私のほうから答弁するのは差し控えたいと思っております。
  77. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 最近関係省庁との間で話し合いをしておりますが、もちろん中古車については、新車をも含めて、中古車に関しては御指摘のような点は確かにあると思うのであります。それで、この点は今後慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  78. 玉置一徳

    ○玉置委員 大蔵政務次官からお話しになりました、取得税は自治省の関係だということはごもっともでありますが、こういうようにあっちこっちにそれぞれが分かれているというところに問題があるのじゃないだろうか。自治省は今度は大蔵省との関係で、交付税のどこかを切られるのじゃないかということで、いま攻防の最中だと思いますが、私はやはりそういう本筋のもので必要経費の財源を満たすべきであって、こういったものに便宜的に取るべきじゃないというような感じを持つものですから、お話をしておったわけですが、ついでに大臣のお答えもちょっとあれでしたが、そういうようなことに関連をいたしまして、中小企業ことに零細企業が主として使っておりますライトバンに対する課税のにおいがあるやに聞いておりますが、同じような意味におきましてこれはやるべきでないということと、もう一つは、大蔵省のほうにお伺いしたいのですが、賠償保険がどうしてもいまの三百万円が五、六百万円になるような趨勢にあることはいなめない事実でありますし、このことは必要だと思います。そこで消費者にすれば、何もかもこのごろついてくるわけでありますので、こういう機会に火災保険その他におやりになっておりますような税の免税措置というようなものもあわせてやっていくということが政治の要諦じゃないだろうかというように感じるわけです。なるほど理屈としては、片一方は生命保険等は貯蓄になるから、貯蓄奨励の意味だというようなお話もありますけれども、これはまた逆に考えれば強制であり、社会的に非常に大きな役割りも持つというようなこと、それから火災保険等の損保にもすでに適用されております、あの限度も非常に低うございまして、現在の実情には合いませんけれども、これの限度を高めることと、それからいま申しました損害賠償保険にも適用されることが望ましいと思いますが、ライトバンの課税とあわせてひとつ所見を承りたいと思います。
  79. 倉成正

    ○倉成説明員 お答えいたします。第一の、ライトバンに対して物品税を課すかどうか、税制調査会では物品税の課税対象についてもう少し広げたらどうか、他の物品税の課税対象との均衡を考えたらどうかという答申をいただいております。この観点から見ますと、ライトバンは非常に乗用車的な色彩が強い、それからメーカーがライトバンは乗用車として使えるという宣伝をしておる、こういう点から課税したらどうかという意見が出てくるかと思います。しかしライトバンの問題は、中小企業が主として使用しているという点もございますので、そういう点も考慮に入れながら今後慎重に検討したい、かように考えております。  それから自動車賠償保険の問題でありますけれども、これは御承知のように、事業用に供しておる自動車については損金として控除の対象になっておるわけでありますが、ただ家庭用のものについてこれをどう見るかということになるわけでありますが、これは一般の家事用に使うのかどうかということが非常にむずかしいものでありますから、自動車は必需品といえば必需品でありますけれども、国民大衆から見るとまだ自動車が全般に普及していないという点から考えますと、むしろ所得税の課税最低限を引き上げる、あるいは税率をもっと緩和する、こういうものが優先するのではなかろうかというふうにいま考えておるわけであります。
  80. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣があと十分ほどでお帰りになりますので、大臣に関係のあることを先にまとめてお伺いしておきたいと思います。  ニクソンさんが大統領になられましてから、新聞論調を見ましても、課徴金、その他国内産業の保護奨励というような意味で輸入制限等の問題が出てくるのじゃないだろうかということを、これは別に大統領がかわったからとかかわらぬからとかいうのじゃなしに、おそらくそういう空気は前からあったわけでありますが、大統領のかわられたのを契機にそういうことがより一そうはっきりしてくるような感じがいたします。  つきましては輸出振興でございますが、輸出振興に関する税制の、輸出割り増し償却、中小企業の海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、技術輸出所得控除制度、輸出交際費の課税の特例というようなものが、大体本年度末をもって期限がまいるわけでありますが、これについて当然これはそのまま大蔵省にこれの延長を要請されると思いますが、どうでありますか。  二番目に、毎年年末にはポンドの暴落からドルの不安が続いてまいりましたが、まあ国際社会の非常な英知をもちましてこれの平衡を保ってまいったわけでありますが、またぞろポンド並びにフランの切り下げ等のいろいろな通貨の不安が出てまいっておるわけであります。こういう問題について。  それからなお、主としてアメリカにいろいろなものが重点的に輸出されておりましたのが、諸般の事情で後進国にもいままでより以上に力を入れて、分散していくということがどうしても必要だというようになってまいりますので、為替の損失準備金制度というものをどうしても一刻も早くつくるべきじゃないだろうかというように考えるが、大臣の考え方をひとつお伺い申し上げたい。  それからもう一つ大臣にお伺いしておくのですが、商工金融であります。まず第一に商工金融で一番問題になりますのは、中小企業という定義が現状に合わないのじゃないかという点もいろいろ出てまいっているような感じがいたします。そこで、この中小企業の定義をもう一度ひとつ考え直さなければならない時点に来ておるのじゃないだろうか。もちろん業態ごとにこれは違うと思います。資本金の五千万円、従業員の三百人、こういう問題もいまの経済の実情に合わないのじゃないだろうか、こう思いますのと、先ほど申しました中堅企業と申しますか、自動車、造船、その他の関連産業と申しますか、部品産業と申しますか、下請産業と申しますか、こういった産業の育成には、いまの中小企業金融公庫のたとえ貸し付け限度を上げるといたしましても、ちょっと間尺に合わないんじゃないだろうか。片や開銀の地方開発費というのがあるわけでありますが、これとてもそういう企業を育成することを専門に設けられておる部門じゃない。こういう観点からいたしまして、私は各地の企業を見せていただきまして痛切に感ずることは、わが国の通産行政の中の金融の一番いまポケットになっておるのは中堅企業に対するあり方じゃないか、こう思うのです。この輸出税制問題、それから商工金融のうちの中堅企業金融というものと中小企業金融公庫限度額の引き上げ、あるいはそれに関連いたしまして中小企業という定義そのものを一度現状に合うように検討を加えていくべき時期に来ているんじゃないだろうか、したがって、その運用も若干弾力性を持たして運用しなければならないんじゃないか。こういう点につきまして大臣の御答弁をいただきました上で大臣にはお帰りをいただいたら、こう思うのです。
  81. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ニクソン政権にならなくとも、すでにもうアメリカの国内においては保護主義者というものがしょっちゅう攻勢に出ておるわけで、そのたびに日本の輸出が脅威を受けておる、こういうことでございまして、これは繰り返し繰り返しそういうことをやってきたわけでありますが、幸いにして民主党内閣が、国際貿易の自由主義というものを堅持いたしまして、たいした破綻を来たさずに今日まできております。政権がかわっても、アメリカの国際的に金看板であったところの自由貿易主義、こういうものを捨てるというような気持ちはもちろん私はないように見受けております。おりますけれども、従来の保護貿易主義者の動きが依然として継続いたしまして、これにある程度動かされるということがないかどうか、こういう点をこれから絶えず注意をいたしまして、もしその徴候があった場合には、これに対して相当対策を講じていかなければならぬ、こういうふうに考えております。実際問題として、ニクソン政権というものがスタッフをそろえて、そしていよいよ具体的に政策に乗り出すというのには数カ月まだ余裕があるように思われます。その間にも十分に経過を注視いたしまして、その徴候があらわれた場合には、それに対する対策をタイムリーに講じてまいる、こういうことが必要であろうかと思います。  それからポンド、フランの不安、これに関連して為替損失に対する対策という問題につきましては、御指摘のとおり今後一そうこういう問題が高まってまいります形勢にございますので、これは関係当局と協議して何らかの対策を講じたいというので、ただいま準備をいたしておるところであります。  それから日本の経済全体が非常に高まってまいりまして、これにつれて中小企業というものに対する従来の国の諸般の対策というものを考え直していかなければならぬ、特に金融等の面において、上のほうの限度をもう少し拡大していかなければならぬのではないかということは、これは全く私は御意見に賛成でございます。これをどの程度にするかということは、業界もかなりいろいろございますので、相当複雑な問題であると思いますが、この点につきましては十分に考えてまいりまして、国際情勢に対処して、中小企業あるいはその上部のほうの中堅企業というものに対して特別の考慮をする必要があるかどうか具体的に検討してまいるつもりでございます。ただいますでにそういう検討を開始して、各方面と打ち合わせを開始しておるような状況でございます。ただこの際、やはり中小企業の一番底辺には小規模零細企業というのが存在しておるわけでありまして、それが一緒につられてだんだんその程度が高くなるということはどうも期待できない。そういうこともございますので、こういう際には底辺の小規模零細企業というものを忘れてはいかぬ。忘れるどころか、そういうものに対する施策というものは十分にともに考えていかなければならぬということを念頭に置きながらこの問題について対処してまいりたいと考えております。
  82. 玉置一徳

    ○玉置委員 倉成政務次官にお伺いしたいのですが、現行輸出振興税制の延長についてどうお考えになっておるかということと、そのうちの海外市場開拓準備金ですが、御案内のとおり五年間の均等取りくずしになっておりますが、ようやく五年目になっておるところがかなりできつつありますので、やはりここに何らかの措置、たとえば五年間の据え置きというようなものを入れなければほんとうの利益を享受することができないようなものがずいぶんできつつあるわけでありますので、これをひとつお考えをいただくかどうか。  それから御承知のとおり、これの現行積み立て率が、商社取引のほうにおきましては、資本金によって段階を〇・五%と一%に分けておりますが、輸出と国内向けとの割合等がございまして、資本金別でやっておるのは実情に合わないのじゃないだろうか、やはり輸出実績に応じて段階をおきめいただくのが正しいのじゃないかと思いますので、この点も御考慮いただけるかどうか。  それから海外投資損失準備金ですが、これがいままで株式取得を主とした形を対象にいたしておりましたけれども、昨今、鉱石の輸入等を確保するためには鉄鉱石等々あるいは石油等、生産分与方式がソビエトその他いろいろな各地で行なわれつつありますし、それから融資買鉱の方式が現状としてとられつつある。こういうことが非常に多くなりつつあるということも御承知のとおりでありますので、これを投資に準ずるものとしてお加えいただかないと実情に合わないのじゃないか、かように考えます。  なお、主として後進国に向けておりましたけれども、石油、木材、銅等、カナダ、アラスカ、ソ連等というようなところでいまのような方式をとりつつありますので、先ほども申しました分与方式等々を加えていただくと同時に、対象地域をも拡大をしていただかなければその効果があがらない、こういうことに実情がなっておりますので、この点お考えいただかなければならぬと思うのですが、御所見を承りたい。  最後に、これも先ほど大臣の申しました為替損失準備金制度の創設でありますが、このぐらい各国の為替相場が動いてまいりますと、輸出意欲を阻害することが非常に多くなるのじゃないかということを憂えるものであります。したがって、完全にそういうものが平静化することは当分の間ないんじゃないかというような感じもいたしますので、こういった制度がぜひとも必要じゃないかと思いますが、これに対する所見をお伺い申し上げたいと思います。
  83. 倉成正

    ○倉成説明員 ただいま輸出税制を中心としてお話がございました。申すまでもなく、これは税制調査会の答申にもありますように、これらの特別措置は、やはりこの政策目的が合理性があるかどうかということを絶えず見直していく必要があるのじゃなかろうか。一度この制度が設けられますと、いかにも既得権化したり、あるいは慢性化するということだけは排除しなければならないと私ども考えておるわけであります。そういう観点から考えてまいりますと、一応輸出税制については、やはり輸出振興というのは日本の経済にとっての一つの非常に大きな柱でありますから、やはり輸出振興という見地から、いろいろな個々の政策目的を考えながら、その効果を考えながらただいま御指摘の諸項目について検討を加えておるという段階であります。  順序が前後いたしますが、為替損失準備金の問題につきましては、これは御趣旨は非常にごもっともだと思いますけれども、御案内のように、為替損失というのは非常に偶発性が強いわけであります。ポンド切り下げの問題等ございましたけれども、非常に偶発性の強い毛のにこういう準備金制度を設ける、いわば内部留保するわけですから、これが適当かどうかということについてはもう少し専門的に検討してもらおうと思っております。  それから海外市場開拓準備金の五年間の問題、これも現在五年間猶予を認めているわけですが、さらに据え置き期間を設けることが適当であるかどうかということは、ひとつ慎重に検討してまいりたいと思っております。  それから海外市場開拓準備金の資本金というのを輸出額でやったらどうかという御指摘でありますけれども、これは商社についてこういうことをやりますと、やはりメーカーについても同じことが出てくるということで、われわれとしては消極的な考えをいま持っておるわけでございます。  それから海外投資損失準備金の対象をもう少し広げたらどうかという問題でありますけれども、石油資源確保のためからは、今年度の税制改正でカナダ、アラスカを新たな石油資源開発地域として指定したわけでございます。その他の木材、銅等の問題については少し慎重に検討すべき事項じゃなかろうかと思っております。ただいまのところまだ前向きと申しますか、これをやろうというところまでは踏み切っていないというのが実情であります。
  84. 玉置一徳

    ○玉置委員 狭い国土の中に一億人が、しかも重要な基礎産業である石油あるいは鉄鋼その他ほとんど九割九分近くを海外に仰いで、その優秀な技術でもって差益をかせいで一億人の生活を確保しておる、なおそれでもってお互いに生活を向上しておるのだということから見れば、日本の輸出というものは柱というよりは、もうほとんど日本の国是の前提条件であるというぐらいに私は考えたいと思います。そういう意味におきまして、ひとつ先ほど御答弁になった諸点を前向きにお取り上げいただきまして御検討をお願い申し上げたい、さように思います。  そこで、先ほど大臣に御質問を申しておきました商工金融でございますが、まず、中小企業庁長官にお伺いしたいのですが、大臣にもお話を申し上げておったとおり、いまの中小企業の定義では、経済の大型化に伴いまして、いよいよ税制、財政、金融等のところに合致しないものも間々見受けられております。しかも、これをあまりに変革を急にすれば問題も起こると思いますけれども、業態ごとに徐々に変えていかなければならないのじゃないだろうかということも、これは事実でありますが、こういうものをひとつ前向きに御検討願えるかどうか。  第二点は、先ほど申しました中堅企業金融であります。これは第三点の中小企業金融公庫の貸し付け限度の問題と同じでありますけれども、関連しますが、中小企業金融公庫の三千万円限度というものは、これはだいぶ以前の決定、三十八年度の決定でありまして、現状に合わないことは、これはもういろいろな事例でわれわれはぶつかっておるわけであります。こういう意味で、これの限度の引き上げ、少なくとも三千万円をとりあえずすみやかに五千万円くらいにはしなければ、産業振興の実情に合わないのではないか。環衛団体並びに先般できました食糧の流通近代化資金、こういうものは、小売屋さんの店舗改造につきまして、それぞれ小売屋さん一軒ずつに一千万円を限度とした貸し付けをすでに行なっておるのが現状であります。こういう点から見て、主として制度金融であります中小企業金融公庫の貸し付け限度三千万というものは、だれが見ても均衡を失するのではないだろうか。来年度にもこの点改めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  したがって、これと関連いたしますけれども、日本の、先ほど申しました自動車産業、機械産業もしくは造船業等の、実質七割を占めておると思われる関連産業の育成強化というものは非常に緊急の問題であります上に、この人たちは、この三千万限度中小企業金融公庫金融でもってしてはどうともなり得ないというのが現状でありまして、いわば日本の中小企業のうちの中堅企業と申しますか、こういう方々は、いま制度金融からはある意味ではほっておかれておるというような場所においでになるのじゃないだろうか、こういうように考えますが、中堅企業金融としては、新しく設けるということにはまたいろいろな問題があると思いますから、とりあえず開銀にそういった別ワクを設けるということは、先ほどの食料店の流通近代化で国民金融公庫に別ワクをやっていただいたのと同じような方式でありますけれども、一番手っとり早く、しかも効果があがるのではないか。いまの地方ワクの中では、ホテル業あるいは地方の産業基盤の整備等、幾多の中へ入っておるわけでありまして、ほんのわずかの協調金融でしかあり得ないと思います。したがって、これを育成、助長するようなぐあいにはまいっておらない。それが現状でありますので、こういう点をぜひともすみやかに考えていただかなければならないと思いますが、これは乙竹長官並びに倉成政務次官の御所見をひとつお伺いしたいと思います。  関連いたしまして、これと同じでありますのでついでにお伺いしておきます。国民金融公庫でありますが、限度額が三百万円であります。すでに食料品の小売り業者の流通近代化資金別ワクは、同じ金融公庫取り扱いといたしまして、一千万円でありますから、これはどうしても一千万円と三百万円との差がありまして、あまりにも均衡を失する。しかも、諸般の状況から、経済の大型化に伴いまして、三百万円という限度もこれは少なくとも六百万円程度まで上げざるを得ないんじゃないだろうか、こういうように考えますが、これについての御両者の御見解を伺い、時間の関係がありますから、一瀉千里にこちらだけ飛ばしてしまいたいと思います。  倉成さんに、国民金融公庫ですが、終戦のときにわれわれ引き揚げ者や、あるいは戦争遺族の方々等も、あるいは未亡人の方々も、ほんとうに更生的にごやっかいになった金庫の名前でもあったわけでありますが、ほんとう中小企業金融公庫は主として設備金融をやっております。これは製造業をやっておることが実態であります。流通の小さい金融国民金融公庫がやっていくようなイメージチェンジをだんだんとはかっていく必要があるんじゃないかということを、私はこのごろ各地を回りまして、具体的な事例に会いまして、そういうことを痛感するのであります。そしてその他の生業資金等の関係は厚生省所管で厚生金融公庫——環衛金融公庫のことを言うとしかられますが、あれは一般の商工金融だ、そして生業資金というようなものは厚生金融公庫というような名前でお集めになっていくような方向にまとめていくということが望ましいんじゃないかというような感じがいたします。環衛のことまでお答えは要りませんけれども、国民金融公庫のイメージチェンジということについて、ひとつこの際前向きに御検討いただけぬかどうか。  それから商工中金でありますが、商工中金は、どこへ行きましても、政府の金は二割だ、だからやかましく言うなといってしかられるのですが、それでもって金融の金利が高いような感じを皆さんに抱かしていることは事実であります。よく見てみれば、決して出資その他財投等は少なくはないのでありますけれども、全般の金の運営は、商工債券まで利用いたしますれば、政府関係のものは二〇%であるということも事実でありますので、出資金並びに財投を思い切ってお出しいただきまして、商工中金の制度を御利用なさっておいでになる組合金融関係者の御不満をひとつ解消していただきたいということを御質問申し上げ、御要請を申し上げる。  最後に、まだもう一つ違う質問が簡単に残っているのですが……。
  85. 小峯柳多

    小峯委員長 一緒にどうぞ、もう時間ですから。
  86. 玉置一徳

    ○玉置委員 償却資産の耐用年数の短縮ですが、これは繊維の構造改善等で各地を歩き、あるいは自動車その他の機械工業等を見て回りまして、非常に急激な技術の革新によりまして、機械が実際に現存しておる、摩滅をしないという耐用年数ではこのごろ全部間尺に合わないというのが現状でありますが、これとても非常に大きく税財政に響きますから、急激にどうしろということは私も申し上げることをはばかりますけれども、実態がそうである以上、なるべく早く、それに一つでも二つでも近づけていく努力を前向きにお払いいただくのが望ましいのじゃないだろうか、こう思います。——あとに五分間だけ、原子力の問題で、あるのですが、あまり関係が違いますので、残しておきまして、以上、お二方の関連の御説明をいただきたいと思います。
  87. 小峯柳多

    小峯委員長 どうぞ適当に簡潔に願います、たいへん質問が多いようですが。
  88. 倉成正

    ○倉成説明員 中小企業庁からお答えがあるかと思いますが、われわれ財政当局でありますので、さらに中小企業庁長官としての御所見をお聞き取りいただきたいと思います。  まず、中堅企業金融体制の問題でありますが、御指摘のように、中堅企業というのは大体資本金五千万円以上十億以下と一般に言われております。これが生産高、従業員、大体二割程度を占めております。これを十分今後育成していかなければならないというのは玉置君の御指摘のとおりでございます。開銀の融資を見ましても、実はこの中堅企業に対する金融はかなりのウエートで行なわれておりまして、われわれが比較的重要であると考えております企業に対しては、相当なウエートを占めておるわけであります。したがって、中堅企業の育成ということは、開銀のみならず、長短金融のあり方、ただいま金融制度調査会でやっております問題、長銀のあり方、こういうこととあわせて検討すべきものではなかろうかと思いまして、いま直ちにワクを、中堅企業だけについて開銀でどれだけのワクということをきめることが適切であるかどうかということは、ちょっとなかなかむずかしいような感じを持っております。  それから、第二点の中小企業金融公庫の貸し付け限度の問題でありますが、これは国民金融公庫の問題とあわせてお答え申し上げたいと思っておりますが、中小企業金融公庫は、御承知のとおりやはり一般の金融機関融資することを困難とするものに対して質的な補完をするということになっておるわけでございますけれども、三千万以上となっておりますが、現実には製造業については五千万まで限度超過の貸し付けができます。また近促法による貸し付け、特定機械産業貸し付け等の貸し付けでは、八千万円または一億ということで、実際の運用において十分これは御期待に沿うようにされておりますので、これらとにらみ合わせてただいまの御指摘の点を検討してみたいと思っております。  それから、国民金融公庫についても、御承知のとおり、一応三百万となっておりますが、生鮮食料品の小売り業の近代化、これは他の貸し付けと合わせて一千万、流通近代化についても他の貸し付けと合わせて六百万、それから産業安全衛生についてもほかの貸し付けと合わせて六百万ということになっておりますので、実際の運営におきましては、一律に三百万ということにはなっていないわけであります。これを一般的に上げますと、少し下のほうがちょっと軽んじられるという点もありますので、全体のワクと関連して、これは中小企業金融公庫の場合も同じでありますが、全体のワクとにらみ合わせながら、経済の変化と適応して貸し付け限度の引き上げということは考えていくべきじゃなかろうかと思っておるわけでございます。  それから、耐用年数の問題でありますが、これは三十九年、四十一年にも手直しをしておるわけであります。これは実情に合わないものがあれば当然手直しをしていくべきだと思っております。  それから先ほど落としましたが、商工中金の問題であります。これは御承知のとおり、やはり中小企業等協同組合、その他中小企業者を対象とするいわゆる民間金融機関からだんだん発展してきたものでございますので、純然たる政府金融機関とは違っておる。したがって、その仕事のやり方も、事業計画については、商工中金の場合には認可ということでなくて、中金自体でやれるということになっておりますので、この点、やはり他の政府金融機関と違って自主的にやっていくという点から考えますと、あまり政府が出資をしたりするということも適当でないのではなかろうか。現在でも御承知のとおり出資金の六二%に当たる百八十四億の出資をいたしておるわけでございまして、貸し出し利率は大体他の政府金融機関に比べて二厘高いということであります。しかし、これはもちろんそういう経過とそういう内容を持っておりますけれども、国民金融公庫中小企業金融公庫、こういうのとあわせて位置づけていくという意味において、今後ともこの商工中金が十分機能を発揮できますようにわれわれ考えてまいりたいと思っております。
  89. 乙竹虔三

    乙竹説明員 中小企業庁としての見解をお答え申し上げます。まず、中小企業の定義でございますが、大臣が先刻答えました点で大体尽きておると思いますけれども、基本法ができましてすでに五年にもなっておりますし、経済が相当大きく動いておりますので、見直しをしなければならない時期であるという御意見が各方面から出ることは承知をしております。ただ中小企業の定義の問題は、結局政府が取り上げるべき中小企業問題のポイントはどこかということでございますので、どこに傾斜をかけて中小企業問題を政府が取り上げるべきかという点について検討してまいりたい。特に大臣が申しましたように、零細中小企業者に対しての対策が薄くならないように、この点も十分慎重に考える必要があると思います。  それから、これの定義の問題に関連して中堅企業の問題でありますが、企業局長の守備範囲でありますので、後刻企業局長から……。  それから中小企業金融公庫限度の引き上げ、大蔵政務次官からお話がございましたが、中小企業庁といたしましては、三千万円にきまりましたのはだいぶ昔のことでありますので、一般の限度は引き上げるという方向で検討し、また関係方面、大蔵省とも実はいま話を進めておるという段階でございます。まだ完全に一致しておりませんけれども、そういう面から私のほうとしては努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから自動車その他機械産業の育成強化でございますが、これは先生指摘のとおりでありまして、私たち中小企業行政としてこれからも非常に重点を注いでまいりたい。これがための道具として中小企業金融公庫を使いますほかに、中小企業でございましょうとも開銀の活用は十分考えるべきである。現に繊維でございますとか、電子工業とか機械工業は開銀を使っておりますので、こういう方面をさらに活用してまいりたいというふうに考えております。  それから商工中金でありますが、現在すでに中金の出資は、いま政務次官お話しのように六二%政府出資ということになってき、債券の発行額でも政府引き受け分は約四分の一というふうにだんだん政府の比重が高くなっております。私たち中小企業庁といたしましては、中小企業を組織化するということは、政策浸透をはかり、実効をあげるために絶対に必要でありますので、中金の活用はますます考えていかなければなりません。いろいろ財政当局がございますけれども、よく財政当局と相談をしながら、しかし政府の中金の中に果たす部分についてはさらに効果をあげていくという方向で私は努力いたしたいと思います。
  90. 玉置一徳

    ○玉置委員 先ほどお答えただきました倉成政務次官の、三千万円に対して特別なワクがあるというようなことは私も承知しております。いろいろ回りまして構造改善等のことで工場を見せていただきまして、いまの実態から抜け出して、将来とも残り得るために買わなければならないということになると、一つの織機にしろ一つの機械にしろ大体二千万円程度が最低なんです。そういうことでありますので、いまの三千万円限度、その他で五千万、八千万の別の運用があることも私は承知をしておりますけれども、その最低限を五千万に少なくとも引き上げなければ現状に合わないということです。もう古い機械をいまごろから買ってやる人はありません。いまやはり一生懸命近代化しようと思うのには、そのくらいの程度一つの機械でありますということでお願いをしておるわけでありまして、国民金融公庫のほうも、製造業等で中小企業金融公庫に行くまでにない程度のものが、このごろやはり三百万では工場をちょっとこしらえるとか、いらうということができないのが現状でありますので、一般の小売り店のああいう整備にしろ一千万という限度ができておるような現状でありますので、いま内規は六百万であることは私もよく承知いたしておりますが、そういうような意味でお願いをいたしておりますので、今後よく検討をしていただきたいと思います。  それでは最後に原子力発電に対する質問をしておきたいと思います。  わが国の産業が非常な発達をいたしておりますけれども、おくれておるのは原子力と情報産業であると、こういうようにいわれております。これは製鉄の問題にいたしましても、やがては原子炉を使ったような思い切った開発革命が行なわれる可能性も私たちは想定をいたしておるわけです。そうすると、先ほど申しましたように、わが国の産業の基礎の基礎である石炭、鉄鋼、自動車等々、またもう一つその基礎になるのがこういう原子力じゃないだろうか。きょうの新聞を見ますと、大蔵省も前向きに取り組んでおいでいただくことを発見いたしましたので、詳しくは申し上げませんけれども、着工いたしまして四年の予定でやりますものが、つい五年になりあるいは六年になる。このことはいろいろな点、欧米の実例を見ましてもそうなっております。あるいはまた操業いたしましても、いろいろな故障でうまくいかないということも事実であります。こういうので操業率が世界じゅう見ますと、四六%くらいになっておるというふうに出ております。重油燃焼の火力発電でございますと三年で、四年目からはフル運転できることも、これは周知の事実でありますが、コストが高い電気を、しかもそういう企業リスクを当然承知しながら将来のためにやらざるを得ないというところに問題があるんじゃないだろうか。こういうことを考えますと、これに対する原子力の発電の企業リスクをどのように解消していくか。非常におくれているということになると、統計では二流のうちでまん中ごろだという言い方もできますが、何も二流のまん中で甘んじておる必要はないのであります。ここ十年くらいだけは思い切って助成措置を講じて、当然ほっておけば政府がまるがかえでやらなければならぬようなものを、企業がこれは自分のところでやらなければおくれていかぬと思ってやってくれておるわけですけれども、そういう点も考えて、企業リスクの解消のために何らかの税財政の措置を講ずべきじゃないだろうかということが一点。  二番目に、償却年限がいずれも火力発電の場合と同じ十六年、場合によってはこっちのほうが長くて二十年ということになっております。しかしながら、日進月歩の技術革新の世の中でありますので、耐用年数という問題では短いほうが好ましいことは事実でありますけれども、特に原子炉の場合には、増殖炉その他の、これは技術の開発によりましては全くゼロになってしまう、もしくは廃棄するかほとんど根本的に改造しなければいかぬ事態が来る可能性も、非常にその他の機械産業に比べまして多いのではないかということを考えますので、ちょっと償却年限が長きに失するのではないか、こういうことも考えられます。  この二点につきまして、原子力発電の産業の積極的な育成を政府ははかるべきではないだろうか、こういう意味で大蔵、通産のほうから御所見を承りたいと思います。
  91. 倉成正

    ○倉成説明員 わが国のエネルギー産業の将来のにない手としての原子力発電の重要性は、われわれも十分認識しております。これは先進国の例を見ましても、積極的に国家の助成を見ているわけでございます。こういうものを参考にしながらひとつ慎重に検討してまいりたいと思っております。  第二点の設備の陳腐化の問題、御指摘の点ごもっともだと思います。しかしこれは非常に専門的な技術的な問題と思いますので、これらの専門家の意見を参考にしながら善処してまいりたいと思います。
  92. 本田早苗

    ○本田説明員 御指摘のように、今後のエネルギー需要の傾向から見てまいりますと、このままでまいりますと石油系統のエネルギー依存率が非常に上がる。これに伴いまして、輸送、備蓄あるいは外貨払い、あるいは最近問題になっております公害の問題等が出てまいります。今後の発電設備としては、原子力に大きく依存せざるを得ないというふうに考えます。御指摘のとおり、原子力発電を実施するにあたりましては、技術の蓄積は各国ともまだ十分でなく、したがいまして、現在までの原子力発電の運転状況は必ずしも期待のとおりにはいっておらない。しかし日進月歩の状態でございまして、いずれ経済的に十分成り立つ原子力発電が期待できるという現状になりつつあるものだと思います。わが国としても原子力発電に大きく期待せざるを得ない状況でございます。そういう意味で、原子力発電の開発につきましては、今後電力会社が商業的に成り立つ炉を逐次建設してまいりますが、この際いろいろ経済的なリスクが予想されるわけでございますので、われわれといたしましては、現在のところ、原子力発電を建設するにあたりましては、建設費の一定比率につきましてこれを準備金として積み立てておきまして、そうして運転開始後一定期限内は所期の効率の運転ができないことに伴う損失が生じたときに大きく寄与するというふうな原子力発電開発損失準備金制度というものができるように検討している次第でございまして、その点につきまして大蔵省とも検討を続けてまいりたいというふうに考えております。  それから償却年限の問題は、これは非常に技術的な問題もございますし、現に商業炉として運転するというのがまだ——一基だけ一応商業炉的に運転されておるわけです。今後逐次運転開始になろうと思いますが、こうした事態とにらみ合わせまして検討したいというふうに考えております。
  93. 小峯柳多

    小峯委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会