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1968-08-09 第59回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年八月九日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 小泉 純也君    理事 久野 忠治君 理事 四宮 久吉君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 島上善五郎君 理事 西宮  弘君    理事 岡沢 完治君       永山 忠則君    丹羽 久章君       堀  昌雄君    山花 秀雄君       山下 榮二君    伏木 和雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君  委員外出席者         警察庁刑事局長 内海  倫君         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省行政局選         挙部長     皆川 迪夫君         自治省行政局選         挙部選挙課長  山本  悟君         自治省行政局選         挙部管理課長  植弘 親民君     ───────────── 八月六日  明るく正しい選挙推進等に関する陳情書  (  第一〇二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  公職選挙法改正に関する件      ────◇─────
  2. 小泉純也

    小泉委員長 これより会議を開きます。  閉会審査に関する件についておはかりいたします。  篠田弘作君外四名提出の公職選手法の一部を改正する法律案及び公職選挙法改正に得する件について、閉会中もなお審査を行なうため、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関しおはかりいたします。  ただいまの閉会審査申し出案件が付託になり、その審査のため現地調査の必要が生じました際には、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣期間派遣地その他所要手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小泉純也

    小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  6. 小泉純也

    小泉委員長 この際、御報告いたします。  本委員会に参考送付された陳情書は一件であります。      ────◇─────
  7. 小泉純也

    小泉委員長 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  まず、参議院議員通常選挙結果の慨要について、自治大臣から説明を聴取いたします。赤澤自治大臣
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 七月七日に行なわれました参議院議員通常選挙の結果につきまして、その概要を御報告申し上げます。  今回の選挙は、第八回目の参議院議員通常選挙でありまして、改選議員の数は、全国区は補欠議員一人を加えて五十一人、地方区は七十五人の合計百二十六人であります。  選挙当日の有権者数は、陽子三千百七十一万人、女子三千四百十八万人、合計六千五百八十九万人で、前回通常選挙より六百三十四万人増加いたしております。  投票状況について申し上げます。  七月七日の投票当日は、裏日本の一部及び九州南部を除いては、全国的な好天に恵まれたこともありまして、午前中から有権者の出足はよく、その投票率は、前回より一・九%高い六八・九%に達しました。これは、参議院議員通常選挙におきましては、昭和二十五年の第二回選挙に次ぐ第二番目に高い投票率であります。この選挙におきましてこのよう投票率が向上いたしましたのは、一つには、この選挙の争点となりました安保問題、物価、土地、住宅の問題などの諸問題についての有権者関心が高まったことを示すものと考えられるのでありますが、一方、政府が中心となり、全国選挙管理委員会、各選挙関係団体及び各報道機関一致協力のもとに、明るく正しい選挙推進につとめてまいりましたこともあずかって力があったものと考えられるのであります。  投票率に関し、特に申し上げるべきことは、女子投票率男子投票率を上回ったということであります。従来、女子投票率男子のそれより低いのが例でありまして、女子政治選挙に関する関心度が低いのではないかということがいわれていたのでありますが、この男女の投票率の開きは、選挙のたびに少なくなり、前回では一・八%の差にすぎなかったのでありまして、今回はついに男子のそれを上回ることになりました。  なお、投票率全国第一位は、前回同様島根県でありまして、八四・八%に達しております。これに対し、全国最下位は埼玉県でありまして、六〇・三%であります。  立候補の状況について申し上げますと、今回の立候補者数は、全国区九十三人、地万区二百十二人でありまして、その競争率は、全国区で一・八倍、地方区で平均二・八倍であります。全国区の立候補者数九十三人は第一回選挙以来最も少なく、前回より六人減少いたしております。地方区におきましても前回に比較し十一人減少いたしております。  次に、当選人状況について申し上げます。党派別に申し上げますと、自由民主党全国区で二十一人、地方区で四十八人、合計六十九人が当選社会党全国区で十二人、地方区で十六人、合計二十八人、公明党は、全国区で九人、地方区四人の合計十三人、民主社会党は、全国区で四人、地方区三人で合計七人、共産党は全国区で三人、地方区一人、合計四人が当選いたしております。無所属の当選人全国区で二人、地方区で三人の合計五人でありました。  また、このうち婦人の当選者は五人で、前回の七人より二人減少いたしました。  復帰直後の小笠原諸島におきましては、復帰後初の選挙が行なわれましたことは、まことに喜ばしい限りでございました。ちなみに、ここでの投票率は八五・九%でございました。  以上をもちまして、今回の参議院議員通常選挙の結果の御報告を終わります。     ─────────────
  9. 小泉純也

    小泉委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  10. 堀昌雄

    堀委員 今度の参議院選挙をずっと振り返ってみまして、参議院選挙制度あり方等につきまして、かねてから国民からいろいろと問題を提起されておりましたことを、五日の本会議におきまして、佐藤総理大臣お尋ねをいたしました。お尋ねをいたしましたことは二点でございまして、赤洋自治大臣もお聞き及びのとおりでございます。特に参議院地方区における定数是正の問題につきましては、総理大臣も、この点については是正は急務である、審議会を設けてすみやかに答申を求めたい、こういう意味の答弁をされておるわけでありますが、総理が本会議において言明された地方区是正——是正のしかたは、当然審議会において御検討ただくわけでありますが、是正をするという方針と、それをやりますためには、現在では、御承知ように第五次審議会が昨年の十一月に終わりまして以来、審議会が設けられていないわけでありますから、設けられていない審議会を、早急に第六次選挙制度審議会を発足させて、そこの審議を継続していただいて、少なくとも次の通常選挙までに成案を得て、是正を行なうべきである、こうお尋ねしたことに対しての総理の御答弁であったわけでありますから、所管大臣として、少し具体的にこの問題についてお答えをいただきたいと思います。
  11. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 本会議堀議員質問に対して総理が答えられましたことは、私もその場におったので承知しております。私は御指名がなかったので、あえてお答えはしなかったわけでございますが、総理が急いで定数是正をやる必要があると申しましたが、やはり私もやらなければならぬと思います。ただ、すぐ、鳥取県が十五万票であるのに、たとえば東京のごときはこれでさえ落選しておるというような数字があげられますが、私はやはり、参議院性格もあわせて検討しながら、こういった問題を解決すべきであって、ただ人口割りということで簡単に片づけるわけにはいくまいと思います。このことは、選挙制度審議会でも、第三委員会で、この問題にも触れていろいろ御議論がありましたことは、堀さんも御承知のとおりでございます。しかし、私ども考えますのに、いま先般の選挙が終わってまだ数日しか経ていない現状でございますし、極端なアンバランスがあるということは事実でもあるし、ですから、これは是正の方向で検討をお願いしなければならぬことは間違いありません。しかし、何ぶん次選挙は三年先のことでもありますし、いますぐ着手しなければならぬということでもなかろうかと思いますが、次の選挙までには、十分検討して結論を出すべきものと考えます。  それから、もう一つは、第六次審議会の発足の時点のことでございます。これは私も終始この審議会に出席いたしまして、委員諸先生は非常に根を詰めて答申をなさった。例の政治資金規正特別委員会答申、それから第一委員会、第二委員会とも答申が出ております。ただ区制改正答申については、一本にまとまった形で出ておりませんから、柱という形で出ておるから、この扱いについては議論のあることは承知しておりますけれども、しかし、制度改正区制改正だけでなくして、運動の方法その他の改善につきましても、たくさんな事項が答申に盛られてあります。それにまだ、何と申しますか、党のほうで受け取って十分検討して、その結論皆さん方審議の対象に供しておる段階でもありません。去年の十一月に第五次審議会が終わったばかりであります。そのときに答申をいただいた直後でございますので、もう少し、せっかくの答申を生かす研究、くふう、努力をいたしまして、そして法律にもきめられております、審議会のことでございますので、その状況をよく見まして、発足させなければならぬ、かよう考えております。
  12. 堀昌雄

    堀委員 赤澤さんも、この前の第五次選挙制度審議会委員をしておいでになりましたから、御承知だと思いますけれども、とかく選挙制度審議会——これまで私は一次、二次、五次と三回出ておりますけれども期間は一応一年に限られておるわけであります。御承知よう任期一年でありますから、この一年の任期というのはいかようにも短いわけでありまして、昨年のごときは、あの暑い夏の最中に、連日にわたって委員会を開くというようなことが行なわれたことは、赤津さんも御承知のとおりであります。ですから、私どもは、これから三年先の参議院通常選挙に備える、こういうことになりますと、要するにその前に、やはり通常国会がその年ならその年にあって、その年の通常国会できまって、それに基づいて是正をやるなどということは、こういう選挙制度の問題については、必ずしも適切な処置ではないのではないか。できるだけ早く国民が周知できるよう処理をするということでは、早過ぎて間違いが起こることはない。私は、改正法案取り扱いについてもまずさよう考えますし、審議をしていただく側にいたしましても、選挙制度審議会をたいへんおそくにして、今度はしかし早く答申出してくれなどということは、審議会皆さんはたいへんお忙しい方がお集まりでありますから、適当な時間割りによって行なっていただくというのが、やはり審議会皆さんに対して、自治省としてお考えになる当然のことではないのか、こう私は考えるわけであります。ですから、総理大臣方針についてはっきり本会議国民お答えになっており、さらにあなたもいまここで、やらなければならぬのだということをはっきりおっしゃっておりますから、やらなければならないのなら、要するに差し迫ってばたばたっと急ぐのではなくて、時間の余裕をもって処理をすることが非常に適切ではないのか、こう私は思います。もちろんこの間の第五次審議会の第三委員会に私も出ておりましたけれども参議院の問題というのは、単に地方区アンバランス是正だけではございません。全国区の制度あり方について、これはきわめて問題があるわけであります。今回の参議院選挙を見ましても、事の当否は別としても、その制度がもたらしておるひずみというものを、国民はひずみとして理解しておることもまた、私は間違いのない事実だと思うのでありますから、やはり選挙制度というものは、国民選挙しやすいよう制度にならなければならぬということも必要でありますから、この点の研究も必要だと思いますが、これはやはり衆議院区制との関連もありますから、そうすぐ、いまの衆議院のあの答申をもとにして参議院全国区をどうするかということも、これまたなかなかそう簡単にまいらない問題だろうと思います。  しかし、私はそこでもう一つ提案をいたしておるのでありますが、実は何回か政府が御提案になって廃案になっておるところの政治資金規正法取り扱いの問題であります。当時私は審議会委員として、審議会皆さん感触を伺っておりましたけれども審議会委員の方の政治資金規正法についての感触は、こんなゆるやかなものでいいのだろうかという感触で実はあったわけであります。しかし、それが答申をされて、自由民主党でいろいろと論議をされる段階になってみますと、あれでもなかなかたいへんなんだというのが、おそらくいまの実情ではないか。そのことが前回答申に近い政府案については、与党皆さんが一斉に立って質問をされるということで、われわれ異例なことだと思いますけれども政府提案をして与党が流したという事実が出てまいったことは、当時赤澤さんは自治大臣ではございませんでしたけれども、当委員会理事をしておいでになりましたから、よくおわかりになったと思うのであります。  そこで、この間皆さんのほうがお出しになった案は、これはまたわれわれとしては、本会議でも申し上げましたように、政治資金奨励法と言わんばかりの法案をお出しになっておるわけで、これは国民全体として、政治資金の規制についてきわめて不十分だ、不十分だけではなくて問題がある、こうなっておるわけであります。しかし、今度の日通事件の問題を見ましても、やはり政治資金規正というものがきちんとされていないために、三億近くの資金が流れておりながら問題になった方がただの二人だ。あと一億九千万円でございますか、巨額の資金が四十七人の人に流れておるといいながら、これは何ら問題がないんだというようなことは、国民としてはやはり何か割り切れない感じを強く持っておるということについては、おそらく赤洋さんも同じようなお考えではないかと思うのであります。ですから、今日政治資金の問題をいかにして処理するかということは、処理のしかたは別といたしましても、国民はどうしても早く、政治資金の問題について、少なくとも国民の納得のいくよう処置をしてもらいたいというのが、私は国民一般の気持ちだろうと考えております。ところがここまで参りますと、非常に問題が、何といいますか、膠着をしたようなかっこうになって、問題の打開をはかる必要があるのじゃないかというのが、この間の本会議における問題提起でございます。  そこで私は、いまの当面の地方区定数是正の問題を審議をしていただくと同時に、重ねて選挙制度鮮議会に現在の実情に即した政治資金規正方法について諮問をしてごらんになったらどうか、こういうことを実は提案をさしていただいたわけであります。総理は、そこのところはちょっと十分御理解がいただけなかったようでありまして、ただ私がその場合に言った、今度答申をされたものについては、ひとつ文字どおりそれを尊重してもらいたいという、そこだけにこだわられたようでありますけれども、私が問題提起をしたのは、この膠着状態になっておる状態を打開する一つ方法として、一事不再議なんという言葉はありますけれども情勢のいろいろな変化がその間にあるわけでありますから、もう一回、そういう自由民主党内部実情なり国民の側の問題なり、いろいろな問題を考えていただいて、ものによっては経過的な時間を設けてもいいであろうし、時間がたっておる関係からいえば、金額に多少の変化があってもいいであろうし、そこらも含めて、審議会委員の良識にまって、もう一回現状に即した、実情に即した政治資金規正について、ひとつ具体的な方法を問うという諮問をしたらどうだろうかというのが、第六次審議会をすみやかに発足させるもう一つの、実は私の理由であったわけであります。その点について、自治大臣はどのようにお考えになるのか、お答をいただきたいと思います。
  13. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 参議院制度に関して、第三委員会では議論が途中になっておりまして、これには島上さんもあなたもいらっしゃったわけですが、それで、やはり参議院性格論もずいぶん論ぜられましたけれども、時間的にいって、まだ煮詰まっておるはずもありませんし、ただ定数問題について私の受けた感じを申しますと、何せ半数改選であるために、一人区というところをつくるわけにいかぬ。最低が二人区だ。そこで人口割り定数是正考えました場合に、とても二百五十名のワクにはおさまるはずはない。そうすると、参議院性格論にまたさかのぼってやりませんと、衆議院の上へ同じものを積み重ねていくものであっても、それはまずかろう。参議院半数改選、また全国区というものがある、これをどう扱うか、いろいろ議論はいたしました。しかし、そういう問題についても、可及的すみやかに結論を出す必要はありますが、先ほど私、三年と申しましたけれども全国区の候補者が早く準備にかかるといったって、そう三年前からばたばたするわけでもありませんし、いま第五次審議会も終わって半年たつやたたずのことでありますので、やはりもう少しいままでいただいた答申を前向きに検討して、そして一応法律が全部通過しないまでも、審議を軌道に乗せるということの進みぐあいを見て、早い機会に第六次の、特に参議院定数是正を含む御検討をお願いしなければならぬ、こういう考え方でおるわけでございます。  後段の政治資金規正法扱いですけれども、これは、私も就任当時私見めいたことをちょっと言って、それが大々的に取り上げられた。皆さんがこの問題につきましては私見を持っていらっしゃる。しかし、私見の衝突では法案としてのまとめができませんので、私どもはやはり提案をいたしますからには、どうしても党の了承も得なければなりませんし、党の選挙制度調査会でもこの問題を十分検討してもらいましたけれども、しかし私の考え方としては、最小限政治資全焼正法が貫くべきたてまえというものはくずさないということを心がけまして、政府のほうでもこれに接触しながら、この間一つの案を得たわけです。それがこの審議会答申どおりになっていなかったからというので、たいへん皆さんのごきげんを損じたわけでございまするけれども、私の考えとしては、やはり政府提案をしたものはここで十分審議していただく。審議の過料で、これがどういう要素によって成り立っておるか、これがいまの規正法と比べて一体後退しているのか前進しているのか、なおこの案に対して、ぜひこういうものは国会修正をもってしても加えなければならぬとか、こういった問題点国民の前に明らかにするということが一番必要なんじゃないか。政府がつくった法案をちょっと見ただけで、これはだめだということは、私としてはたいへん心外だという印象をいまも持っておるわけでございます。  いま日通事件などのお話が出ましたけれども、この問題になりますと、司法当局でいろいろ御検討になって、結論もほぼ出たようでございますが、一つは公選法の問題、つまり選挙に関しておるかどうかとか、それから規正法になりますと、政治家として受け取るべからざるところから受け取ったかどうか、職務関連があるかどうか、こんな検討は、これは刑法に照らして司法当局でなさるわけでございます。ただ資金の量だとかなんとかになりますと、やはり政治家に対する一つの戒めと申しますか、政治をこれによって乱ることがあってはいけませんので、こういったことにつきまして一つの基準を示すということも、私は規正法一つの任務であろうと思います。しかしながら、せんじ詰めて申し上げれば、私は最初からこういう考え方を持っております。それは、政治資金規正法におっしゃるような骨があるとするなら、公開原則をいかにして貫くか、公開原則を貫く担保は何かということが重点であって、それから先、それが政治を乱るとか、個人が私腹を肥やしたかどうかということは、刑法でもちゃんと条文があるわけでございますので、ものの根底が明らかになれば、その判断は十分司法当局でもやることができるわけでございますので、それだけはぜひ貫きたい。その他若干の問題、規正法を扱う上において絶対必要だと考えられる筋だけは通しましたけれどもただ審議会答申どおりにはならなかった。それに対して、今度堀さんの提案は、とにかくああいうものをつくったけれども、また資金規正法答申とは少し遠ざかっておるけれども、何かそういったことにもろともな理由があるとするなら、さらにそれを現状に即する形でもう一ぺん再答申を求めて、答申のとおり法律をつくったらどうかという御提案ようです。しかし、やはり審議権だとか法案決定権は、議院が国権の最高機関という立場で、議会が持っておるわけでございますので、ただここで、第六次の審議会を構成して、そこから得たものをそのまま法文化しますという約束はできかねる。と申しますことは、政党政治実情を堀さんもよく御承知のとおりでございまして、私どもの党内でも、この問題の取り扱いについて、ずいぶんその点については議論もあったわけでございます。そういうことを総理答弁申し上げたと思いますが、われわれとしては、やはり現状を打破して、数歩でも、とにかく皆さんの御了承を得て、進めるということについては、私ども懸命の努力をいたすつもりでもありますし、しておるところでございます。
  14. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと、前段に区制定数是正の問題が出ましたから少し具体的にお伺いをしていきます。  そうすると、赤津自治大臣は、次の通常選挙が新しい定数で行なわれるようにするということでございますね。総理の御答弁はそうであったわけですから、その点をはっきり……。
  15. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりです。
  16. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、そのためには、当然どこかの通常国会——短期なところでは無理でありますから、通常国会審議をしてもらう、政府側としてはこういうことになろうと思いますが、その点いかがでありましょう。
  17. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりです。
  18. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、そのためには、実は次の通常選挙は四十六年の六月ないし七月ごろに行なわれる、こうなるわけです。四十六年の六月ないし七月に行なわれるときに、四十五年の十二月から始まる通常国会出したのでは、いかようにも選挙の直前にこういう情勢がきまるわけですから、このことは私は亜ましくないと思います。そうすると、物理的にいきますと、四十四年の十二月から始まり四十五年の五月に終わるであろう通常国会出して、そこで法案として成立をすれば、それから約一年間あるわけですから、選挙のためには非常に適切な処置になる。四十四年の十二月の通常国会に出すためには、選挙制度審議会答申は、少なくとも四十四年の十月か十一月に出していただかなければ、ものごとの順序としてはうまくいかない。四十四年の十月か十一月に答申出していただくためには、四十三年の、ことしの十月か十一月に審議会を発足させるのが、私はものごとの順応だ、こう思うのです。どうでしょうか、赤澤自治大臣
  19. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 必ず次の選挙に間に合わそうといたします場合には、御計算のとおり、次の次の国会結論を得なければなりません。それまでに答申をいただくことは言うまでもないことでございます。しかしながら、やはり答申をいただくのに、いままでの諮問だっても、長い時間かかって、何年かかかって、おるわけです。参議院のこの定数だけを算術計算することはこれはわけはないことですが、いま言ったように、二百五十名のワクを突破するかせぬかということになりますと、やはり全国区も含めて、参議院性格論に及ばざるを得ない。なかなかむずかしいことである。これは一年、二年で的確な答申をいただけるかどうか、それも私ども何とも予想ができぬことでございますが、政府方針としては、申し上げたとおり、次の通常選挙に問に合わすということは、逆算しまして、いま堀さんが言われることは十分含んでおるわけでございます。しかし、片方、いますぐ第六次を発足することについての難点と申しますか、やはり政府の立場というものもありますので、早い機会に、時期を見て発足はさせなければなりませんけれども、いましばらく、いままでのいただいた答申についての扱いというものについて、もっと事態が進みますまで、見送っていただきたいと思います。
  20. 堀昌雄

    堀委員 おかしいですね。私がいま少しものごとの順序を伺ったわけですから、ものごとの順序というのは、それは審議会の御審議がどうなるかについて、予測を今日われわれだけがするわけにはまいりません。しかし、ものごとの順序として、いま申し上げたように、あなたも、次の次の通常国会には出すようにしたい、次の次の通常国会ということは、要するに四十四年十二月に始まる通常国会ですから、四十四年十二月に始まる通常国会出したいということをあなたが公式におっしゃった以上は、それまでに答申が出なければ出せない。答申が出る可能性を期待するためには、少なくとも四十三年の十月か十一月に審議会を発足させて、一年間御審議をいただいて、四十四年の十月か十一月に答申を得る以外に処置のしょうがない。私はこの前の第二次審議会のときに定数是正の問題をやりましたから、衆議院定数是正については経験を持っておるわけでありますが、やはり、今度の審議会についての主たるものはこれでございますといってお願いすれば、何もこれまで。ペンディングになっておったものができなかったから次に入れないということはないわけです。これまでに第一次の答申が出てたくさんペンディングになっておるものを、第二次を発足させ、第二次の答申がちっとも実現しないうちに第三次を発足させ、第四次を発足させ、こうやって引き続いてきたわけでありますから、私はそのことにこだわる必要はないと思う。政府答申を受けて、ものごとには順序もありますし、いろいろな難易の点もありましょうから、それについて次々に問題を処理するということで、それが多少ペンディングになっておるから、そのために、この次の次の通常国会のための第六次を発足させてはならないということにはならないと思うし、いまあなたのお話を伺っておると、どうしてもことしの十月——十一月に発足させなければ、話のつじつまが合わないじゃないですか。なぜあなたは、ことしの十月か十一月ごろには発足させて、いま申し上げたとおりのスケジュールどおりにやることが適当だと思うと答弁できないのですか。理由を聞かせていただきたい。
  21. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは政府のほうの判断でやることであります。ですから、総理も申したとおりに、すみやかに是正したいということは聞違いない。すみやかにということは、やはり次の通常選挙に間に合わせたいということは、逆算すれば、最終的には四十四年の通常国会で解決しなければならぬ、こういうことですから、それに間に合わせるよう方法検討いたします。
  22. 堀昌雄

    堀委員 だから、いまここまで詰めてきたら、審議会を次にスタートさせる時期は、常識的に十月か十一月に第六次をやらなければならぬということは、だれが聞いてもわかっておるわけでしょう。それをなぜあなたは書いたくないかということを聞いておるのです。要するにこのスケジュールに間に合わせるならば、十月か十一月に発足させるということが——物理的現象です、いいですか。私はほかのことを言っておるのじゃない。審議会は一年というのがきまりで、その答申は途中で出せることもあるでしょうが、やはりお願いした以上は、確かにあなたのおっしゃるとおり、二百五十名を動かすかどうかというのも一つ問題点です。私はこの前の審議会で、全国区の幅を狭くしてもいいのじゃないか、そうして地方区を広げて、アンバランス是正をしてもいいのじゃないか、こういう提案をしておる。それは私の意見ですから別にどうこうというものじゃないが、やり一年間というものは必要だと思う。あなたもいま必要だろうとおっしゃった、相当時間がかかるだろうとおっしゃった。そうすると、少なくとも一年はかかると見たほうがいいということになれば、十月か十一月というのは物理的に客観的にきまってくる事実でしょう。だから、どうしてもあなたがそれを言いたくないというのは、何か特別の理由があるのかどうかということを聞いておるので、それだけ答えてほしい。ほかのことはよろしい。
  23. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 理由は先ほど申したことに尽きるわけでありまして、どの委員会答申というものもまだ審議の場にのぼっておらない。それから、次の答申をいただくのも、これが早いかおそいかということは、諮問の内容にもよります。単に算術計算と言わないけれども、とにかく定数だけでやってほしいということも一つ諮問でありましょう。それから、審議会だって、一年間に三回開くのも審議会の任務であれば、十回開くのも任務。去年は真夏の間たいへんやっていただきましたが、これは御案内のとおりに、残っている委員会がまだたくさんありましたから、複数でしたから、しかし今度は問題点一つにしぼって答申をお願いすれば、またそういう運び方もあるし、間に合うとか間に合わぬと言うわけにもいかないと思います。だから、結論的には、総理が申しましたそういうことは、私も十分心得ておりますので、そういう方針で進めていきたいと思っております。
  24. 堀昌雄

    堀委員 それでは、時間も十分ありませんから一つだけ。  要するに、四十四年の十二月までに審議会答申を得て、四十四年十二月に始まる通常国会法案にしたい、こういうことですね。その点をもう一回はっきりと、私が言ったことをもう一ぺん繰り返してください。
  25. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 次の通常選挙を新しい定数で行なうということは、そのことを意味するものでありますので、重ねて申し上げる必要はありませんが、順序としてはそうなります。つまり、議決する時点は四十四年の通常会である、こういうことでございます。
  26. 堀昌雄

    堀委員 そこがきまっていれば、あとは技術論ですから、あなた方がいつ開こうと、四十四年の十月か十一月に答申を得て通常会でやるということだけはっきりしましたから、あとはそのままにしておきます。  政治資金規正の問題は、要するに、それは確かにこの間あなた方が出された法案については、第一、政府の出す時期がおそいから、審議する時間がなかったわけであります。それはともかく政府の責任なんですよ。政府の責任なんだから、もしどうしてもそこにこだわるのならば、やはり国民の世論がどうなったかということを新聞その他でごらんになれば、あなた方も御存じでないわけはないと思う。私は、赤津さん自身はかなりいろいろのことをよくわかっていると思うのですけれども、党内を説得するだけの自信をもう少し持っていただかなければ、党の言いなりになっていたんでは、政府はもたないと思う。やはり国民の期待することを党にも理解してもらう努力を、自治大臣はもっと真剣にやってもらわなければ困ります。そういうことで、この間お出しになって廃案になったものを次の通常国会にそっくりそのまま出すなどということは、国民を非常にばかにした取り扱いだと思う。これから時間もあることですから、もう一ぺんあなた方はひとつあの問題について、答申の線にいかに近づけるか。私にちょっと言わしてもらうと、まず政治資金規正をやるのに、現在でも、法人の寄付については、御承知ように、資本金の百分の四と、それから収入の、所得の千分の四を足したものをともかく認める、こうなっておるのですから、そのワクの中で現在処理されておるならば、それ以上、法人の寄付に対して免税をやるなんということは、これはみなが奨励だと言うことになるわけですから、そういうような、現状ですでに十分まかなわれておるものはそれで処資するとか、少なくとも国民が重大な関心を示しておる問題、ディスクロージャーの問題でもそうでありますし、さらに総ワクの問題で触れておりますが、今度の問題というのは、そういう原則的なところがはずれておるところに問題がある。総ワクが多少大きくなろうとも、その総ワクの中で個人も派閥も政党も一緒に処理するということになれば、当然政党のほうに近寄っていくということになって、あるべき姿で、個人や派閥に行くお金が減るから、そのことを国民が求めているわけですが、別ワクにしたならば、個人や派閥に行く金が減らない。そういう基本的なことを再検討して、通常国会にもう一回出すということであるならば、私ども喜んで審議に参加をしたいと思いますが、どうでしょうか。あのままのものをまたそのまま出すというのか。要するに原則は、国民が反対しているもの、そして答申の骨組みになっているところ、そういうことをもう一ぺん再検討をして、党内を十分説得して、よりよき案を次の通常国会提案する、こういうことになるのかどうか。赤澤自治大臣、ひとつ政治責任において——これをやるかやらぬかで、あなたの評価がきまるのです。政治家の評価なんてものは、長く自治大臣をやっておったからいいのではない。歴史的に見て、赤澤さんのときに、なるほど彼はしんどかったろうけれども、よくぞここまでやって政治資金をまとめてくれた、赤澤というのはなかなかたいした自治大臣だったといって——額が上がったってたいしたことはないのだ。国民の歴史の中にそれが証明をされて、初めて政治家としてその役を全うすることができるのではないか。私はあなたと同じ宿舎にいて非常に心やすいから、そういう友人としても、私はあなたにそれを御忠告したいと思うが、どうでしょうか。
  27. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 友だちということで、好意的な御忠告はまことにありがたいことでございますが、しかし、議会政治政党政治の運びは、私も国会に出まして二十二年になりますけれども、実にむずかしいということをいまさらながら痛感しているわけです。冒頭に申し上げましたように、個人的な意見は皆さん持っていらっしゃるが、最大公約数をまとめて、そして提案するのには、少なくとも党意思の決定をしなければならぬ。その段階で、自民党ぐらいのものをぎりぎり引っぱって、思いどおり運ぶことができぬかとおっしゃいますけれども、なかなかこれはむずかしいことであって、規正法の筋と申しますか、とにかくこの点だけが心棒になっているのだというところはくずさないようにということで、いろいろ配慮して得ました結果があれでございます。これを手直しして提案するかどうかということにつきましては、いままでの議論をまたむし返して再検討することになるでありましょうが、これは問題点どれを取り上げましても、ずいぶん議論した案件ですから、私の感じとしては、手を入れることはなかなかむずかしいのじゃないかと思う。しかし、堀委員のそういう御議論は、私もわからないことはありませんので、党にはかって、これを再提出するにあたりましては、なお手を入れるべきところがあるのかないのかということにつきましては、真剣に再検討してやりたいと思っております。
  28. 小泉純也

  29. 島上善五郎

    島上委員 ただいまの堀委員質問に対する御答弁からすると、第六次審議会はいずれは発足させるという考えように承りますが、同時に、ただいまの御答弁の中に、第五次審議会までの答申処理、これを法律化する、その進みぐあいを見ながら、こういう御答弁でもございましたので、第六次審議会の発足については、時期的にもおおよそいつごろという予測がなかなかできないような御答弁でしたが、そういう点は、おおよそのお考えはございますか。
  30. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま堀委員お尋ねに対してお答えしたとおりでございます。
  31. 島上善五郎

    島上委員 いや、堀委員に対する御答弁からすると、いつごろ発足させるかということは、おおよそでもわれわれに見当がつかないのですね。いつごろかということは全くばく然としている。つまり、いままでの答申法律化の進みぐあいによって、こういうことになるという。たとえば政治資金規正法一つについても、いまの質疑応答の中でも感じられるように、答申に相当近づいたものということはなかなか困難なようです。さりとて、前回出しような、大骨、小骨を抜いてしまったものをそのまま出したのでは、これは世論も野党も承知しないということになれば、政治資金規正法一つ法律化するだけでも前途容易ならざるものがある、こう思われるのですね。しかるに、一方では、定数是正は次の通常選挙には実行したいと言う。そう言う一方では、時期的な制約があるわけですね。そういうところから考えると、おそくともことしの末か来年には発足させなければなるまいという結論が出ないわけではないけれども、一方この法律化の状況を見てということになると、全くこれは時期の予測はできないということになるわけであります。私は、いままでの答申法律化の状況を見てということ、そういう大臣のお考えにはもちろん賛成できませんけれども、そういうお考えだと、いつごろかということが全然見当つかない。それで、私はこのことを伺うのは、選挙制度審議会設置法によって、選挙制度解議会を設置するという法律になっており、任期は一年、こうなっておるのですね。それなのに、今任期中、去年の任期、第五次審議会委員任期が済んでから第六次が始まれば、一年というと、ことしの十一月に一任期終わるわけですね。その一年の任期が終わる間に発足させなければ、一年間は、一任期の間は、選挙制度審議会は設けなかった、なかった、こういうことになるのですね。それは一体、法律との関係で矛盾も怠慢もないというふうにお考えですか。
  32. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおりに、やっぱり極端なアンバランス是正しなければならぬという考え方に立っておるわけでございまして、ぜひ次の通常選挙には間に合わせたいということを申し上げた。逆算いたしますと、審議会も含んで、大体見当もつくような形になっておりますので、私が申し上げることは、いま堀君にも申し上げたとおりに、審議会だって、期限つきで回答を求めるというようなことはなかなかできるわけのものでございません。十分審議していただいて結論を得るわけですが、それはいままでの答申というものは非常に幅が広かったわけです。今度は参議院定数是正だけということに限定すれば、諮問のしかたによって、そう長い時間がかからないかもしれない。しかし、これは私がここで幾らお約束をいたしましても、審議会答申が得られないままに法案をつくって提出するわけにはまいりません。ですから、四十四年、明後年の通常会にかけて議決を願うといっても、とにかく答申がどうしても出なければ扱いようがないということも、これはもう島上さんは御承知のことと思います。ですから、すみやかに発足したいという気持ちはある一方、いままでの特別委員会、第一委員会、第二委員会——第一委員会答申はなかなか扱うことはめんどうだけれども、それでも特別委員会や第二委員会答申の内容だって、まだつくったものを国会皆さん審議に供して、そして議論するところにさえいっていない。そこへもっていって、第六次だの第七次だのという選挙制度審議会をつくるといたしましても、そこになかなかむずかしいところもあるし、ですから、いま一歩こういった消化という点で努力をいたしまして、しかるべき時期に第六次審議会をお願いしたい、こう考えておるわけでございます。いつ幾日出発いたしますということは、ちょっと申し上げかねる現状でございます。
  33. 島上善五郎

    島上委員 つまり、第六次審議会が引き続いて発足すれば、ことしの十一月までに第六次審議会任期が終わるわけですね。去年第五次が終わって、従来のに引き続いて発足すれば、ことしの十一月に第六次の任期が終わるわけですね。その任期が終わる間には、私どもあなたの答弁から察するに、終わるその十一月の任期の間には、第六次審議会の発足はないというよう考えられるわけですね。ないものと考えられる。もしそうだとすると、現在ある法律との関係が一体矛盾を生じないかということです。
  34. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 任期一年の審議会ですから、島上さんがおっしゃることは、去年の十一月に終わった、第六次はその直後また審議会を招集してことしの十一月に終わるはずなのが、その間に審議会の構成ができず、また出発もしなかったから法律違反じゃないかという意味の御質問じゃないかと受け取ったわけですが、大体選挙制度審議会というものも、諮問事項があって構成をお願いするわけでございまするので、いま諮問ということについて、私が申しましたよう状態、態度であります関係上、いますぐに審議会をつくるというつもりはございませんので、そのこと自体は、法律違反になるものとは、私はただいま考えておりません。
  35. 島上善五郎

    島上委員 赤澤自治大臣選挙制度審議会の特別委員で、審議会についてはよく御存じのはずです。ほかの審議会調査会設置法もありますけれども、私の調べたところによると、選挙制度審議会設置法は、ほかの審議会調査会の設置法と違う点が少しあるのです。これは選挙制度審議会設置法ができる際に議論された点で、特徴的だといってよろしいと思うのですが、第二条の所掌事務というところに、第一項、一、二、三、四。「次の各号に掲げる事項に関し、内閣総理大臣諮問に応じて調査審議する。」こうなっておりまするが、第二項には「審議会は、前項各号に掲げる事項に関し、自ら調査審議して内閣総理大臣に意見を申し出ることができる。」こうなっておるのですね。これはよく御存じのとおり。しかも第五次審議会は、第一委員会から第三委員会、さらに特別委員会まで設けられて、第三委員会は、先ほど来質問のあった参議院選挙制度に関して審議半ばにあるのですね。ですから、もし第六次審議会が発足いたしますれば、その事項が諮問されない場合でも、当然、審議半ばにある事項に関しては審議をするということになりましょうし、その参議院定数是正を中心とする参議院問題が諮問のおもなる問題だとすれば、なおさら審議半ばまで来ておるのですから、継続して審議をすると、委員が多少変わるか、同じ人になるか、これはわかりませんけれども、そういうふうな順序で、審議の作業が進むものと思われるのです。そういう点からしても、政府が特に諮問事項はあるけれども政府の都合で、あるいは政府の怠慢で、いままで答申法律化が進んでいない、停滞しておるということでもって、発足をストップさせておくということは、あまりにも政府のかって過ぎるやり方じゃないか、同時にこれは法律違反になるか、法律と矛盾するか、あるいは法律の執行に怠慢かという点に、私は問題があると思うのですよ。まあ憲法を引っぱり出すと大げさですけれども、憲法の七十三条には「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。」ということの第一項に、「法律を誠実に執行」する、こういう一項が一番先にあるのです。選挙制度審議会設置法に「選挙制度審議会を置く。」と、置くことができるじゃないんですね。「置く。」とはっきりなっておるのです。「置く。」となっておるものを置かないということは、これは怠慢だと思うのです。法律を誠実に執行したことにならぬと思うのです。そういうことになりませんかな。
  36. 小泉純也

    小泉委員長 島上委員に申し上げますが、自治大臣が予算委員会に出席する時間もだんだん迫ってきたようでありますので、そのつもりでお願い申し上げます。
  37. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは島上さんも終始委員をしておられたし、私もしておりまして、いまのメンバーは、御案内のとおりに、選挙問題についてはベテラン中のベテランである。長い間によくここまで勉強された。たいへんな御苦労があったものと私は思っておるわけです。そこで第六次審議会をお願いする場合には、やはりこの積み上げの上にぜひ構成をしたいものである。これは島上さんだって、そういうおつもりであろうと思います。ちょうど任期切れでございますので、もう私はごめんこうむるとおっしゃる方もあるでしょう。私やってやろうとおっしゃる方もあるかもしれぬ。しかし、相なるべくは全部の方がとどまっていただいて、参議院制度だってあそこまで御審議願ったわけですから、その上にさらに定数是正を急いでいただきたい、という形の諮問にいくのが一番妥当である。ただ形式的に、何でも審議会を構成すればいいだろうとはおっしゃいませんでしょうけれども、そうだったらいとも簡単にいくわけですけれども、この長い間の積み重ねというものは生かして、新しい審議ということでなくして、生かしていきたいという気持ちが非常に強いわけでございます。ですから、単に法律にきめられてあるからだれでもいいという、審議会の構成ではなくて、やはり私ども、いままで御苦労いただいたこういった方々の御了承のもとに、次の第六次審議会も発足するという形にしたいと思っておりますが、やはり実質的に審議する諮問事項などを十分検討いたしまして、そうして確信ができた問題、事項について、またしかるべき時期にお願いをして、そうして結論出し答申出していただくということで、私は差しつかえない、かよう考えております。
  38. 島上善五郎

    島上委員 どうもちょうどいいところで時間がなくなって、次回に譲ることになるようですが、大臣の言うこと自体に矛盾がありますよ。もちろん、いままでの審議の積み重ねの上にりっぱな結論を得るということは当然だと思うし、そうでなければならぬと思う。だからこそ、一年も二年も空気を入れて、まるで審議を初めからやり直しをするようなことではなしに、継続なさったらどうか。法律にもこうなっているし、こういうことを私どもは言っているわけなんですよ。あなたの腹の中、政府の腹の中は私たちわかっているのですよ。わかっているということは、理解しているということじゃないのですよ。理解しているということとわかっていること——日本語はどうもことばが正確じゃないから、そうとられると困る。私どもは理解はしていない。納付はしていない。政府が発足させないで、もじもじしているのは、法律がある以上は、発足させませんとは、ここでは答弁できないのです。ですから、いずれは発足させる、こう答弁するしかない。時期もはっきり言えない。しかし、発足させない腹のほんとうの理由はわかっている。それは発足させようとして前の委員に委嘱状を出すときには、政治資金規正法をどうしてくれる、どうする、政府の案はまるで答申と違うじゃないか、そのことでくぎをさされるに違いないのです。去年くぎをさされているのです。去年のあの緊急総会で、総理大臣は呼ばれてくぎをさされて、それで、審議会答申に沿うたものを次の国会には出します、次の国会に成立をはかりますと約束しているのです。その約束違反をやっているのですから、そういう事情が裏面にあるからであって、これは私どもちょっと理解はもちろん、納得もしない、できない事柄ですけれども、そういう事情にあることを私ども知っております。町間がないそうですから、その法律問題は、私は、法律違反、もしくは少し負けてもたいへんな法律の怠慢だと思うのです。誠実に執行しなければならない義務を憲法で負わされておる政府が、誠実に執行していないのです。この問題は、この次の機会にまた少し残しておきますけれども、とにかくあなたの答弁自体矛盾がありますよ。積み重ねの上にりっぱな結論を得ようとするならば、一年も一年半も途中中断してしまって、そういうことでは、積み重ねの上にりっぱな結論を得るということにならぬと私は思うのです。  時間だそうですから御答弁があったら御答弁をしていただいてどうぞ御退席ください。
  39. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何か私の腹の中を知っているような御発言ですけれども、私はそう悪玉ではないですから、きわめて善意に、いままでの審議会委員の方々の御努力にも敬意を表して、ですから、これを消化するという前向きの姿勢で取っ組んでおるわけでございますので、諸先生からおしかりは受けるかもしれません。しかし、それはそれとして、やはり同じメンバーにお願いして、次の諮問は、その積み重ねの上に答申をいただくのが筋であると思いまするので、その努力をいたす次第でございます。
  40. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ちょっと大臣が帰られる前に、関連を許していただきたいと思うのです。  先ほど堀君、島上君から、選挙制度審議会答申等について、いろいろ応答が行なわれておったのですが、応答を伺っておりまして私が感じたことは、やはり次の参議院通常選挙には定員是正を行ないたい、そういう方針のもとに進んでいきたい、こう大臣は言っておられるわけですから、これはいま島上君との応答の中に、私は非常に矛盾を感ずるわけなんです。大臣はぜひ——これは大臣だけでできるものではなかろうから、内閣とも相談をされて、第六次選挙制度審議会を早急に委嘱されて、次の参議院通常選挙に定員是正のことが間に合うようにされるべきだ。そうしなければ、時期的に、堀君の言うように、物理的に間に合わない、こういう結果が生ずることは、論をまつまでもないと思うのです。また、定員是正といいましても、必ずしも算数的に、数字的にきちっとなるわけではない。これは地方行政区域があり、政治というものは、ただ人間のことばかりじゃございません、山も川も橋も道路も、一切を含めて政治は運営されるのですから、そのことも考慮の中に入れられなければならぬでしょう。そういう点等も考えてみますと、せめて自治大臣の腹の中には——早急に第六次審議会を成立するよう努力をするという決意ぐらいは、この席上で述べられることが当然ではなかろうか、こう私は思うのですが、一体いかようにお考えになっているのでしょうか。その辺を伺いたいと思います。
  41. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは私、たいへん残念なことを聞かれたわけですが、もちろん決意しております。と申しますことは、はっきり次の通常選挙是正された定数でやるということを考えておりまするので、それを逆算して、皆さん専門家ですから、審議会の出発にお触れになったわけであります。ですから、おそかれ早かれの問題であって、これについて、やはり新しく御破算で委員を委嘱するということは、形式的につくるということではなくて、いままでの御苦労願った方々に、もう一苦労お願いするからには、政府として、その間まだなすべきことがある。やるべきことは一応できるまでやって、間に合う機会にぜひお願いして、審議会を構成したいと考えております。その決意には変わりありませんので、それと取っ組んでまいることを約来申し上げておきます。
  42. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 しつこいようですが、どうも最後のことばが私はふに落ちないのです。できるだけ間に合うようにやると、こうおっしゃいますけれども、できるだけ早急にやるということをされなければ、間に合うようにやると言うても、日にちはだんだん先へ先へ進んでいくのですから。もう三年後には選挙のあることはきまっているわけなんです。過ぐる第五次選挙制度審議会の中にも、御承知のとおり参議院選挙制度に関する審議も行なわれておるのです、実際問題は。全国区をどうするか、どうやるかということ等の審議もすでにもう手をつけられているわけですから。私は、少なくともこの席上で、本年度中には六次選挙制度審議会を発足せしめて、間に合わせるなら間に合わせる、これくらいの決意を述べられてしかるべきじゃなかろうか、そこまでの熱意がなければ、ただ委員会で通り一ぺんの、何とか間に合うよう考えますということばだけにしか受け取ることができない。もっと真剣に前向きに取り組んでお考えただく、こういうことにして、年内に発足するならするという、何か明確な答弁をひとつお願いしたいと思うのです。
  43. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私はその決意で申し上げておるわけでございます。ただ、次の選挙は三年先ですからまだ遠い先のことであるという、そういう認識ではない。やっぱり時間的に詰めてまいりますれば、最終議決しなければならぬ国会ももうきまっておるわけでございますし、それに間に合うよう答申もいただかなければならぬ。しかし、先ほど申しましたように、期限つきで回答を求めるという性質のものでもありません。ですから、私たちは非常な決意は持っております、そのことはお誓いできまするけれども、それからの先のことは、かりに提案したものが議決されるかどうか、これは国会のお考えですし、まあなかなかむずかしい関門というか、要素があるわけでございます。しかし、自治大臣としては、山下議員御指摘の決心、決意をいたしております。
  44. 小泉純也

    小泉委員長 本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十二分散会