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1968-11-22 第59回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年十一月二十二日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君    理事 徳安 實藏君 理事 福井  勇君    理事 山村新治郎君 理事 小川 三男君    理事 山下 榮二君       阿部 喜元君    小渕 恵三君       大竹 太郎君    加藤 六月君       川野 芳滿君    菅  太郎君       菅波  茂君    中川 一郎君       福家 俊一君    板川 正吾君       久保 三郎君    内藤 良平君       米田 東吾君    渡辺 芳男君       沖本 泰幸君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         気象庁長官   柴田 淑次君         気象庁次長   坂本 勁介君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     湯川 龍二君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         専  門  員 小西 眞一君     ───────────── 十月七日  委員板川正吾辞任につき、その補欠として淡  谷悠藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏辞任につき、その補欠として板  川正吾君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員加藤六月辞任につき、その補欠として大  久保武雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員大久保武雄辞任につき、その補欠として  加藤六月君が議長指名委員に選任された。 十一月十二日  委員小渕恵三君及び加藤六月辞任につき、そ  の補欠として赤城宗徳君及び内海英男君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員赤城宗徳君及び内海英男辞任につき、そ  の補欠として小渕恵三君及び加藤六月君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十二日  委員神門至馬夫君辞任につき、その補欠として  久保三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として神  門至馬夫君議長指名委員に選任された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道経営に関する件  気象に関する件(気象測器に関する問題)      ────◇─────
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。中川一郎君。
  3. 中川一郎

    中川(一)委員 ただいま委員長お話もありましたように、国鉄問題について、この際二、三お尋ねをいたしたいと思います。  先般の国鉄諮問委員会意見に次いで、今回また国鉄財政再建推進会議から意見書が出ております。けさ新聞の報ずるところでは、さらに引き続いて財政制度審議会から国鉄についての意見も出ております。このように審議会あるいは委員会等からいろいろ出ますが、政府としては、これを受けて、今後どういったスケジュールでもってこれを政府の案として決定するのか、そのスケジュール、今後の扱い方についてまずお聞きをいたしたいと存じます。
  4. 町田直

    町田説明員 お答えいたします。  国鉄財政再建推進会議意見書、それからただいまお話にございましたように、本日の新聞によりますと、財政制度審議会意見書等も出ておりますが、まず、国鉄財政再建推進会議意見書につきましては、御承知のとおり、この意見書国鉄財政再建のための抜本的な施策経済社会の伸展に即応した長期にわたる国鉄の能率的、合理的経営の方策について、三十数回にわたる審議を経てまとめられたものでございます。運輸省といたしましては、この内容はきわめて適切なものであると考えております。したがいまして、この意見書中心にいたしまして、国鉄問題を最重点施策一つとして取り組むことにいたしておりまして、関係閣僚によりまして、臨時国鉄問題閣僚協議会というのが内閣に設けられまして、この閣僚協議会において、この意見書の提案につきまして検討を行ない、すみやかに政府としての対策の樹立をはかるということといたしておる次第でございます。
  5. 中川一郎

    中川(一)委員 その閣僚協議会なるものはいつごろ開き、いつごろ決定する見通しでありますか。
  6. 町田直

    町田説明員 この答申が出されまして直後に、閣僚協議会閣議決定になりました。そして十九日第一回の閣僚協議会を開きました。第一回の閣僚協議会において、これは大臣から御答弁することになると思いますけれども、趣旨説明、各閣僚間の協議がございまして、なおいろいろな問題がございますので、閣僚協議会のもとに各省次官をもって構成する幹事会というのができておりまして、その幹事会におろしまして、幹事会で詰めた検討をするということになっております。いまの予定では、来週の月曜日にこの幹事会が開かれる予定でございます。なお、引き続いて精力的に幹事会を行ない、できるだけ早く結論を出したい、このように考えております。
  7. 中川一郎

    中川(一)委員 そうしますと、四十四年度の予算については、この国鉄財政再建推進会議から出た意見書に基づいてやるのか、政府の決定した再建案によってやるのか。ひっくり返して言うならば、政府決定案予算決定前にやるつもりか、そのあとになる見通しですか。
  8. 町田直

    町田説明員 来年度予算につきましては、別途国鉄から来年度の予算案の提出がございまして、これに基づいて、運輸省が受けまして、大蔵大臣運輸大臣協議をするという形になっております。しかし、この国鉄財政問題は、御承知のごとく推進会議意見書長期にわたる、大体十年間を目的としたものでございますので、閣僚協議会におきましては、長期にわたる国鉄財政再建ということを目的としております。ただ、来年度がその初年度ということに相なりますので、できますれば、予算編成決定前に政府としての考え方をきめたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 中川一郎

    中川(一)委員 基本的には、私どももこの意見書内容については了解できるわけですが、しつこいようですが、了解できないのは、赤字線廃止新線建設の取りやめ、この点であります。これは先回の委員会において、国鉄総裁からも、心配しなさんなということであったのでありますが、日本じゅう大騒ぎをいたしております。特に、北海道においては、開発途上地域である。そこから鉄道廃止をしたり、あるいは新線建設をやめるというようなことであってはたいへんなことである。これは地方民ばかりではなく、有識者の間においても、日本政治において大事なのは過密過疎の問題である、この過密過疎を激化するのが今度の国鉄再建案の中にある赤字路線の問題であるという声が出ております。そこで、これがだんだんまとまる段階におけるこの赤字線新線建設の問題についての、もう少しこまかいというか、具体的な考え方について御説明をいただきたいと思います。まず、鉄監局長から。
  10. 町田直

    町田説明員 推進会議意見書によりましても、赤字線の問題と、それから新線建設の問題は触れられております。資料がお配りいたしてございますと思いますが、赤字線の問題につきましては、七ページにございますが、「道路輸送への転換が適切と認められる線区は、極力その転換を促進する。なお、転換後の輸送の確保については万全を期する。」こういうことが述べられております。また新線建設につきましては、八ページでございますが、「(3)現在建設中及び建設予定鉄道新線については、国民経済的観点及び当該地域実情等から再検討を加え、極力その建設重点化する等の措置をとる。」こういうことが述べられておる次第でございます。で、赤字線問題並びに新線建設問題につきましては、ともに御承知のような最近の輸送構造変化によりまして、道路輸送のほうが鉄道輸送よりもより適切である、あるいは道路輸送によって鉄道輸送と同等あるいはそれ以上の実際上の効果が与えられる、しかも道路輸送のほうが国民経済的に見て有利である、こういうものについては積極的に赤字線廃止、あるいはそれと同じような趣旨新線建設についても十分考慮してやりなさい、こういう趣旨であろうと考えられます。この問題につきましては、しばしば運輸大臣も御答弁申し上げておりますように、赤字線の問題につきましては、当然でございますけれども、個々線区につきまして、その線が鉄道網に占める位置とか、あるいはその地方におけるその線区役割り、あるいは総合的な国土開発計画との関連性、あるいは地域開発の面から見た将来性、それから具体的な道路整備状況というようなものを、それぞれ具体的に綿密に調査の上、総合的観点から判断していく、こういうふうに考えておる次第でございます。それに伴いまして、新線建設につきましても同じような趣旨で、交通事情変化によりまして、あるいは現在計画中、あるいは若干建設しておりましても、再検討をするものがあるかもしれないということが考えられるわけでございます。そういうものについてはなお慎重に再検討した上で今後の建設方針をきめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 中川一郎

    中川(一)委員 そこまでの話は非常にきれいなんで、心配ないのですが、先般国鉄諮問委員会からは、その結果に基づいたであろうと想定される線名キロ数があげられておるわけなんです。ここに心配が必要以上に出ておる。そこであの諮問委員会の案は、運輸省としては線名まで決定したものではない、あの点については白紙で、いま言ったような観点から検討するものなのか、あれをベースにして検討するのか、その辺のところをもう少し具体的に言っていただかないと、一般大衆の受け方としては——あの線は、いま言ったいろいろな理屈があるようですが、その理屈から出た線なのか、その辺ひとつ運輸省としての考え方をもう少し具体的に説明していただきたい。
  12. 町田直

    町田説明員 国鉄諮問委員会の案と申しますものは国鉄諮問委員会考え方でございまして、国鉄総裁に答申されたという性質のものでございます。具体的にあげられました線名につきましては、諮問委員会でお考えになった一つ考え方で、しかもそれぞれ相当程度の御調査をした上でお考えになったものであろうというふうに考えております。しかし先ほども申しましたように、一つ考え方ではあると思いますけれども、運輸省といたしましては、先ほど繰り返して申し述べたような趣旨で、個々の問題については対処してまいりたいというふうに考えておりますので、あの諮問委員会であげられました線が即座に、そのまま国鉄から申請があって運輸大臣が認可するというふうなものではない。それぞれの場合において、ただいま申しましたような趣旨十分検討の上で当否を決定していく、こういう性質のものであるということを申し上げます。
  13. 中川一郎

    中川(一)委員 それは局長、そう言わせられないのです。なぜかというと、国鉄諮問委員会から出た案と、それから国鉄財政再建推進会議から出た意見とは、そう差がないのですね。だから、出てくる形は二つだけれども、やっている作業員は同じだという感じがする。これは違うのですか。大体同じでしょう。だとすれば、路線についても大体同じ結果が出てくるのじゃないかという不安を持つのは当然だと思う。だからこの際、あの点については非常に不安もあるようだが、今度の推進会議から出た意見はあれとは相当違ったニュアンスのものが出るだろうというぐあいにはっきり言ってもらいたい。それは言えないですか。
  14. 町田直

    町田説明員 御指摘のとおり、国鉄財政推進会議考え方は、詳細はこの第二部のほうに書いてございますけれども、大筋においては、推進会議考えられた、いわゆる国民経済的に見た自動車国鉄とどっちが有利であるかということの考え方は、一応そういう考え方をとっているわけでございます。ただ、詳細にお読みいただきますとわかりますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、「個々線区について、当該線区地域交通に占める役割、当該線区鉄道網に占める地位、総合的な国土開発計画との関連当該地域地域開発等からみた将来性、他輸送機関への代替可能性等を、具体的かつ綿密に調査し、総合的観点からその当否を判断すべきである。」ということを特に述べておりまして、つまり個々の具体的なものを考える場合にはそういうことを十分考慮の上でやりなさい。なお、そのあとのほうに「また、自動車輸送にゆだねるに際しては、地域交通便益性がそこなわれることのないよう十分に配慮する必要がある。」こういうふうに繰り返し述べております。繰り返しになりますが、具体的な問題といたしましては、そういう観点から一つ一つ調べていくということになるのは当然であろうと思います。必ずしも国鉄諮問委員会で出しましたあの参考線そのものが、そのまま国鉄から国鉄の御判断で運輸大臣申請があるかどうかという問題は別にございますけれども、あったとしてもそのままで認可をするとか、そういういうことになるということではないということを申し上げます。
  15. 中川一郎

    中川(一)委員 ですから私の質問は、諮問委員会もそういった国民経済だとか、代替輸送だとかいうことをいろいろ考えてやるべきだ、そうした結果出た線があの路線である、こういうことになっているわけなんです。そこが問題なんです。だから諮問委員会考え方推進会議考え方がここにおいて違うから、もうちょっとあれよりは少なくなってくるだろうとか、こうやって検討すれば大体二、三本しか全国でならないだろうとか、ニュアンス諮問委員会とここが違うのだということを聞きたい。その文書を読むのは、もう時間がないからけっこうです。その諮問委員会推進会議とのニュアンスの違いがあったとしたら、それを聞かしてもらいたい。同じだとすれば、同じ結果になるとしてまた心配をする。
  16. 町田直

    町田説明員 諮問委員会とどこが違うかというお話でございますけれども、諮問委員会考え方一つ考え方に基づいてやっております。たとえばこの総合的な国土開発計画との関連とか、あるいは当該線区地域交通に占める役割りとか、あるいは鉄道網に占める地位、こういうような点を諮問委員会がどの程度十分に検討しているかどうかという問題だろうと思います。特に総合的な国土開発計画との関連というようなものは、全体の国土開発計画との関連政府としてこれを見ていかなければいけない、こういうふうに考えるわけでございます。その辺のところには諮問委員会のお考えニュアンスの違いというものはかなりあるのじゃないかと思います。
  17. 中川一郎

    中川(一)委員 そうすると、国土計画という観点からいうとちょっと違う、だからあれくらいのたくさんの路線にはならないだろう、こう考えていいのですか。
  18. 町田直

    町田説明員 その点は個々の具体的な問題でございまして、必ずしも絶対にあの程度にならないというふうに言えるかどうかは個々の問題として判断してみないとわかりませんけれども、あのとおりになるということでは必ずしもないということだけは言えると思います。
  19. 中川一郎

    中川(一)委員 そうすると、言い回しはいろいろあるけれども、五十歩百歩だ、こういうことですか。
  20. 町田直

    町田説明員 五十歩百歩ということではございませんで、違うということなんです。諮問委員会考え方をそのまま推進会議がとったものではないし、またこの推進会議考え方政府がとる場合には、推進会議の言っている点を非常に重視してとるということでございますから、決して五十歩百歩ではないと思います。
  21. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは九十五歩くらい違う、相当幅があるという考え方でいいですか。大体運輸省当局としては、この新線建設なりあるいは赤字路線の問題については、この結果どれくらいにしたいという考え方くらいあってしかるべきだと思う。基本方針だけは出てまいりました、裏にあるものはちょっとわかりませんというようないまのようなあいまいな態度は、許さるべき行政態度ではないというふうに思うのですが、もうちょっと具体的に言って国民を安心さしてもらいたい。言えないですか。言えなかったらひとつこれから大臣を呼んできて意見を聞かなければならぬということになる。
  22. 町田直

    町田説明員 どうも繰り返しになって申しわけございませんけれども、政府という立場で先ほど申し上げたような総合的な国土開発計画との関連とか、あるいは当該地域地域開発等というものを十分考慮して判断する、こういうことでございますので、具体的にどうなるかということにつきましては、たとえば試算としては一応考えておりますけれども、具体的にどうなるかという問題については、こういう点を十分考えて判断したいということでございますので、大臣ももちろんそういうふうな御答弁になると思いますけれども、その点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  23. 中川一郎

    中川(一)委員 おかしいと思う。十ヵ年計画でどれくらい赤字が出てどうするから、収入はこう見て再建しょうというわけでしょう。その中で赤字線新線建設のものは大きなウエートを占めているわけだ。どれくらいその面で赤字を減らそうかという大まかなところは少なくともなければならぬでしょう。一つも切らないのか、二千キロくらい切るのか、あるいはけさ新聞のように六千キロも切るのか、どれくらい切るということがなければ再建案にならないでしょう。だから、腹にはどこか持っているのだろう。持たないできめちゃうというつもりですか。
  24. 町田直

    町田説明員 このお配りしました資料にも出ておりますとおり、参考として一応の試算は出ております。これは必ずしもローカル赤字線対策とか新線建設というようなものだけではございませんで、いろんな項目を全部含めたということでございます。しかもそれらはすべて一応の仮定に基づいた試算でございます。これは当然なことでございまして、将来のことでございますので、すべての問題について確実な数字を出すということは非常に困難でございますので、一応の仮定に基づいた数字でございます。そういう仮定に基づいた上での一応の試算は出しておりますので、この面での数字的なバランスというものはあるかと思いますけれども、それが実際に行なう場合に、当然現実に基づいて変わってくるということはあり得ることであります。そういうことはやむを得ないことではないかと思います。
  25. 中川一郎

    中川(一)委員 やっぱりあるのでしょう。仮定数字はある。その場合、赤字線はどれくらい切る仮定数字になっていますか。それから新線建設も。
  26. 町田直

    町田説明員 赤字線は十年間で二千五百キロという仮定数字になっております。新線建設数字的には入っておりません。
  27. 中川一郎

    中川(一)委員 そうすると諮問委員会とやはり同じということだな、幾らも違わないわけでしょう。だからあなた方の答弁というものはおかしいのだ。ぬらりくらり表面だけ言ってわれわれ政治家をごまかそうとする、けしからぬと思う。大体五十歩百歩ではないですか。今後やるときには、あるいは実行案では変わってくるかもしれないというならばまだわかるけれども、この案としては、大体国鉄諮問委員会で出した二千六百キロ前後のものは切る前提でこの案ができております、こう言わなければ時間がかかってしょうがない、もうちょっと質問を一ぱいしようと思ったけれどもできなくなってしまう。あなた方も忙しいかもしれないけれども、われわれもいろいろ忙しい。そうすると、もう一ぺん繰り返しますと、そう諮問委員会と変わらない再建案である、こう考えてよろしいですか。  それともう一つ、具体的なのは、新線建設については東京周辺の六線しかやらないということになっておる、あとは全部やめてしまうということになっておるのだが、新線建設のとりあえずの案というものはどうなっておるのですか。
  28. 町田直

    町田説明員 この試算表はこれについておりますとおり参考表でございまして、あくまでも意見書の本文がこの意見中心でございます。私たちも中心にして考えたいことはこの意見書でございます。意見書内容は、先ほど読みましたように、道路輸送への転換をいたします場合のいろいろな条件を書いてございまして、そういう趣旨に従ってやれ、こういうことでございますので、一応の試算としては二千五百キロと出ておりますけれども、あくまでも意見書趣旨を尊重いたしまして個々の具体的なものについて考えていきたい、こういうことでございます。
  29. 中川一郎

    中川(一)委員 この問題についてもっとやりたいのですが、時間がありませんので、今度は運賃値上げの問題について、事務的な質問になりますけれども、一〇%程度というのに対して明年度一三ないし五%ですか上げたいというのですが、これは三年間にその程度上げていくというようなことを聞いておりますが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  30. 町田直

    町田説明員 推進会議意見書は、十ヵ年間の再建期間初期において公共負担の是正を含めて一〇%上げる、それからその後は物価上昇とかそういうものに適応して適時適切に上げられる、こういう形にしておきなさいという趣旨内容であります。これも試算の問題になりますけれども、試算上はそういう物価上昇に伴って適宜適切にという上げ方というのは非常にむずかしゅうございますので、一応四年に一ぺん実収一〇%という形で試算はいたしておりますけれども、趣旨はあくまでも初年度において一〇%の値上げ、その後は適宜適切に物価動向等を勘案した上で、こういう意見書になっている次第でございます。
  31. 中川一郎

    中川(一)委員 その点もうちょっと。初期において一〇%ではなくて、全体として考え国鉄運賃値上げについては年率どれくらいになるという表現のほうがいいのではないか。一〇%また上げるのかということになるよりは、年率にするとどれくらい上げていかなければならぬという言い方をしていただけば、国民にそう心配をかけないで済むのではないかと思いますが、大体どれくらいになりますか。
  32. 町田直

    町田説明員 四年に一ぺん一応一〇%という試算上の考え方をとりますと年率二・五%という形になるわけでございます。ただあくまでも意見書としては毎年上げなさいとか四年に一ぺん上げなさいとか、こういう言い方ではございません。
  33. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは若干時間がありますので、せっかく大臣がお見えになったので大臣にお聞きしておきたいのですが、今度国鉄諮問委員会に引き続いて国鉄財政再建推進会議の案が出まして、いま局長の言うところでは、近々これは閣議決定に持っていきたい、いま閣僚協議会検討中である、できれば四十四年度予算編成までに間に合わせたいということであります。しかも、この案が大体いいのではないかと思っております、こういうことになってくると一番心配なのは、新線建設赤字路線廃止の問題はどうなるか、いろいろ詰めて聞いたところでは、大体国鉄諮問委員会の出した二千六百キロ、あの程度廃止することをめどにして成り立っておる、こういうことなんですが、そうだとしたら、これは国民心配がまたたいへん激化するだろうと思うのです。そこで大臣は、この前のときには、一本一本の路線についていろいろ検討してやるので、しかも地元が反対するうちはやらない、こういうことでありました。この点、この案を今度閣議決定になるか何か知りませんが、これに対する基本的態度として、あんなにたくさんのものにはならないだろう、あるいはならないようにしたいとさっきも言ったんですが、過密過疎対策からいったら非常にまずいやり方である。通勤対策のほうにばかり重点を置いて、地方についてはやっておらない、けしからぬという声がマスコミ、言論、有識者の中からも出ております。大臣、この際ひとつ地方の人が心配しないように、この機会に大臣考え方をはっきりとひとつ言明していただきたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 国鉄財政再建推進会議意見書は尊重していきたいとは思っております。あれを中心にして現在閣僚協を開きまして事務的に詰め合わせをやっておりますが、あの中で一つの大きな問題点はいま御指摘の赤字路線の問題でございます。この問題につきましては、前に申し上げましたように、国鉄の使命の中には格差の是正、あるいは住民福祉の均衡という大事な目的もございまして、政治的に大局的に判断をしなければならぬ要素があるわけでございます。したがいまして、住民の意思を尊重し、そして代替路線がありまして、住民の人がそちらでよい、そういう御判断が出たときにかわるべきものであろうと思って、一方的に線路をはがすというような措置をとるべきではない。しかし国鉄政府といたしましても、何しろ赤字が出ているということは何とか解消しなければならぬわけですから、できるだけサービスをよくし、代替路線その他のくめんもして、なるほどこっちのほうがいいのだという実績も見せて、皆さんが喜んでそちらの方向に転換していただけるような措置を講ずることも必要であろうと思います。しかし最初から申し上げましたように、何といっても住民の御意思をよく尊重して、そうして納得の上でやるということは申し上げておきたいと思っております。
  35. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは時間がきましたので、質問を終わります。
  36. 大野市郎

    大野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三分休憩      ────◇─────     午前十一時二十二分開議
  37. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。久保三郎君。
  38. 久保三郎

    久保委員 簡単に国鉄再建問題というか経営の問題で二、三お尋ねしたいのであります。先ほども自民党のほうからお尋ねがありましたが、特に最近国鉄財政再建というか、全体的な再建方策、こういうものが政府内部でも問題になってまいりました。このことはいまさら申し上げる必要のないことなのでありますが、いまやっている第三次計画、これを立てるときに国鉄は大きなデッドロックに乗り上げたはずなのであります。その当時、第一次、第二次五ヵ年計画が中途で挫折した原因、そういうものを反省し、その批判の上に立って第三次計画は立てられるべきなのだ。ところが、その第三次長期計画というか現行の計画を実施する際に、政府と自民党は国鉄総裁にから手形を渡した。から手形というのは、財政についても、基本問題についても、いうならば政府と自民党が責任を持つということである。たしか昭和三十九年度の予算編成を、それでのがれていったと思うのです。当時私どもは国会に、日本国有鉄道緊急整備促進法案というのを出しまして、われわれの意図するところを明確に申し上げました。そのおおよそは、第一点として、第一次、第二次五ヵ年計画とも、計画が中途で挫折した原因は二つある。一つは、その計画が経済の成長に伴わないほど小さいものであったということ。計画が小さい。ところが、その小さい計画自体も達成することができなかった。もう一つの原因は、政府財政的に特に責任を持たなかった。いうならば、計画はあるけれども、財政的な計画というのは何もなくて、単年度の予算編成の処理にまかされてきた。その中身は運賃値上げと内部的な合理化の二つの面からやってきた。そして急場しのぎに、長期の負債というか借り入れ金に依存してまいりました当然の帰結でありまして、今日あらためて見直す必要も何もありません。昭和三十九年度予算編成のときに問題になっていたことであります。この問題を三十九年度の時点で静かに反省し、きびしくこれを批判して政策を立てなかったところに問題があるわけなのです。それをいまさらのごとく、国鉄経営は償却前赤字も間もなくくるであろうなんて、そんなことはとっくにわかりきった話だと私は思う。  そういうところからいきますと、今回またまた運輸大臣の諮問機関の一つである国鉄財政再建推進会議というものができまして、ここで一応の結論を出して大臣に答申がなされました。そのいうところは、大体においていままでの諮問委員会の答申、そういうものとあまり変わってはおりません。ただ変わっているのは、この中でもいうとおり、三つの方法というか、三者とも負担をすべき問題である、いわゆる三方一両損と新聞等では書いておりますが、そういう方向でやらねばならぬ。これまた、いままでと同じ言い方であります。一つは、利用される国民運賃値上げというか、そういうものに協力してもらわなければならぬ。それから国鉄の職員も合理化という問題に負担を、いわゆる犠牲というか、これは当然しょってもらいたい。三つ目には、政府財政的に責任を持て。この三つなんですね。これはいま新しく結論をつけたものではありません。ところが、この推進会議の特徴は、この三つの中で、つまみ食いはいけませんというだめ押しをしている。これが、これまでの各種の意見より進歩した意見であります。いうならば、いままでは二つだけ、国民と従業員の負担だけを押しつけて、政府の責任というのは、たな上げしてしまった、そういうことなんですね。だから、先ほど大臣からお話がありましたように、問題は、政府がどう財政的にこれは措置するかという問題が最後に残るわけであります。  ところが、たまたまけさ新聞に出ているように、昨日の、大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会は、いうならば二方一両損という形で再建をはかれ。簡単にいうなら運賃値上げ、合理化を徹底的にやれ、要員を縮減せい。それから赤字路線諮問委員会推進会議のほうは、おおよそ二千六百キロといっておるようであるが、この制度審議会のほうは六千キロをなまのままで撤去せいといいう。国民大衆に対しては、運賃値上げ赤字線の撤去でこれをやっていく。さらにもう一つは、長期計画の工事費は一割削減せいという。来年度予算編成で、その要求が国鉄からいまなされているようでありますが、仄聞するところによりますと、来年度予算編成の中で当然既設線区の増強が取り上げられねばならぬ。ところが、既設線区の増強については微々たる範囲でやる。大半は東海道、いわゆる山陽新幹線の方向にこの工事費が変わっていくような形であるとわれわれは聞いております。それでなくてさえそういうことなんですから、そこへ工事費の一割削減、設備投資を一割減らすということは、既設線区はもはやかまわぬ。しかも、国鉄の分野は何かというと、これは推進会議も同じでございますが、推進会議よりは制度審議会のほうがきちっとしている。いわゆる国鉄の分野は都市間の旅客輸送、中長距離の貨物輸送、都市の通勤輸送に限定しろ、その他は一切もうやるな、分野からはずせ、撤退作戦をやれというのである。これでもって国民大衆が納得すると思うかどうか、これはここにおいでの賢明な大臣総裁はおわかりのとおりである。ところが、政府部内にこういう意見が出てきている。  そこで大臣にお尋ねしたいのは、いま私が申し上げたように、過去におけるところの国鉄経営のあり方についての答申は、何べんやってもこれは同じであります。つまみ食いをしてはいけないという推進会議の一言だけでも忠実に守られるかどうか。少なくともきのう大蔵大臣に答申された財政制度審議会のような答申では、国民大衆は納得しないし、また国民経済的に見ても、国鉄の存在理由というものは薄らぐであろう、また再建も不可能であろうというふうに私は考えているわけであります。間もなく政局は転換いたしまして、このまま中曽根運輸大臣として大臣がお残りになるかどうか、これは保証の限りではないと思いますが、少なくとも有力な現閣僚といたしまして、将来にわたって、あなたが手がけた国鉄再建の問題は、これは政治家としても貫き通さなければいかぬと思うのです。ついては、くどいようでありますが、推進会議のつまみ食いをしてはいけない、特に政府のお考えについて、いかように考えられておりますか、お答えをいただきたい。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 財政審議会が出されました国鉄再建に関する考え方には、承服いたしかねます。現実的な政治観点から見ても、国鉄の現状から見ましても、あの案はかなり現実性のない、ある一つの理想像といいますか、そういう程度のあり得べき希望を述べたような印象を私は持つので、それを現実化するというようなことはとてもできるものではない、そのようにまず考えます。  第二に、推進会議の御意見はかなり具体的、詳細に各般の情勢を御検討なすってできた案でありまして、この案はできるだけわれわれは尊重しなければならぬと思っております。そして、御指摘のとおり、これは包括的一体として実現さるべきものであって、部分的につまみ食いをして国鉄再建されるとは考えておりません。その点につきましては、大いに努力してまいりたいと思っております。
  40. 久保三郎

    久保委員 お話のとおり、ぜひ政府の責任について特に実行をお願いしたいと思います。  そこで、次には、財政再建推進会議は、それらの盛られた方策について、その実行を担保し保証するために、推進するために、国鉄財政再建法というか、そういう法律をもって制度化すべきだという意見を出しております。先ほど私が申し上げたように、私どもはすでにそういう法案を第三次長期計画策定の際に出しております。これは、言うならば、中身は計画的な工事の推進、さらには政府財政的の措置、そういうものを盛り込んだものでありまして、当然今回この財政推進会議が期待しているところの法的な措置というのは、計画に対して政府が責任を持つ、特に財政措置について責任を持つというところがなければ、意味がないのではないかと思うのであります。いまそれぞれ作業を進めておられると思いますが、この法案に盛られる要綱はどんな点が大体予想されますか、いかがでしょう。
  41. 町田直

    町田説明員 ただいま推進会議の結論自体を閣僚協議会あるいはその幹事会検討している最中でございますので、具体的にまだこの臨時措置法の内容政府として確定なり案の段階まではまいっておりません。しかし、ただいま先生から御指摘のございましたように、計画を確実に実施することが担保されるということでございますので、その中には国鉄の合理化問題もあるいは財政的な政府の措置も当然入る法案になるべきであるというふうに考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 そういうふうな法案になるだろうとか、考えられるだろうとかいうのは、たいへん第三者的な見方をしておられるが、監督官庁であり、じかに扱わなければならぬ運輸省としてはどうあるべきか、それをお聞きしたいのであります。第三者的じゃなくて、推進会議の答申を運輸大臣が受けたのだから、その答申を踏まえて閣僚協議会にお出しになっているけれども、その幹事役というか、それを運営するところの運輸省として、法案の準備は当然あなたのほうでせねばならぬと思うのです。だから、気持ちとしては、この推進会議意見書に基づいて全部網羅するものか、部分的なものであるのか、いかがでしょう。
  43. 町田直

    町田説明員 当然、意見書に基づきまして全部を網羅するという趣旨の法案になるべきだと考えております。
  44. 久保三郎

    久保委員 くどいようでありますが、昨日答申になった大蔵省の財政制度審議会の答申の中身にどうもなりそうな心配があるわけであります。そんなことはありませんという顔をされておるようでありますが、それならけっこうであります。しかし第一次、第二次、第三次とやってきた経緯にかんがみますれば、しかもそういう意見が、運輸大臣は現実性に乏しい幻想であるというような——幻想とはおっしゃられなかったが、そういうふうにおっしゃっても、現実にそういう意見が出てきているのでありますから、これはよほど力を入れて推進しなければ、ほんとうに推進会議の答申を受けて立つことにはならぬと思うのです。どうなんですか。鉄監局長としてはどういう点を入れなければならぬ——私から言わせるならば、計画には、政府がきちんとまず第一に保証をする、責任を持つ、特にこの推進会議の中で、財政的には、いままでの借金に対する政府の関係のものに対する利子補給、たな上げ、そういうもの、少なくともこの推進会議だけでもその後の年間約五、六百億入ってくるそういうものについてこの保証が得られるような法律制度でなければ、法律制度は必要ない。いままでどおりでけっこうなんです。だから、そういうものが推進できないなら、この推進会議は法律できちんとしてもらうということなんですよ。やってくれるなら問題ない。そこに政府に対する不信感が——この意見書の中においての、つまみ食いはいかぬ、法律でやってくれというのは、不信感が横溢しているということをあなたは御存じでなければいけない。いかがですか。
  45. 町田直

    町田説明員 御指摘のとおりでございまして、この意見書に申し述べております総括的に「一体として、すべて確実かつ速やかに実施」するということは、先生のおっしゃるとおり、国のやる財政措置も国鉄がやる合理化も、あるいは国民の協力もすべて一体として行なう、こういう趣旨であることは十分承知しております。したがいまして、この法律案の内容といたしましては、当然そういう財政措置の内容を盛り込まれるべきであるというふうに考えております。
  46. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんし、しかもこの問題は大きな問題で、来年度予算編成ばかりでなくて、長期にわたる国鉄再建の問題であります。てまえどもも一つの方策を持っておりますし、近々通常国会にはわれわれの考えを法案の形で出してまいりたいと思うので、本日はこの程度にしておきますが、どうか、大臣、おかわりになるかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、これはあなたの時代にちゃんとあなたがこういう機構をつくってやって、あなたが答申を受けて閣僚会議まで持ち込んでいるわけでありますから、たとえばあなたがよそのポジションにおつきになったといたしましても、これはやはり責任をもって遂行されることが一番望ましい姿だし、そうあるべきだと私は思うので、強く希望して本日はこれでやめておきます。
  47. 大野市郎

    大野委員長 内藤良平君。
  48. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 赤字路線問題で大臣に御質問したいと思います。  私の手元に、赤字路線廃止に反対する世論を代表するものとしまして、たくさんの陳情が来ております。おわかりと思いますけれども、ちょっと御披露しますと、全国都道府県議会議長会、全国町村議会議長会、東北の知事協議会会長、北海道・東北六県議会議長会、いまのところこの程度でございますが、私の秋田県なども、もうこれは全県をあげて赤字路線廃止絶対反対ということであります。おそらく全国で、この赤字路線のはずされるというぐあいに出ておるところは全部反対ではないかと思いますが、この大きな世論、反対というぐあいにたくさん世論が出ていますが、この世論を押し切ってまで赤字路線廃止は実行される、そういう強硬な御意思があるのかどうか、まずこの一点を聞きたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、地元の住民の民意をよく尊重して、代替路線が整備され、住民もそちらにかわるということがよろしいと選択なさる場合に、われわれは廃止すべきものである、一方的に取りはずすというようなことはやるべきでない、そう考えております。
  50. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それでは、この赤字路線で名の出たところは、代替対策というものを全部一応立ててみるわけでございますが、おそらくこれはケース・バイ・ケースで、五千キロあるなら五千キロ、あるいは何百という路線によって全部違うわけなんです、その代替対策は。それを一つ一つ立てて、そしてこまかく地方住民と折衝されて、その納得を得た上でやられる、これは時間的にもたいへんかかることだと思うのですけれども、そういうお考えはあるのですか。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 時間がかかっても、地元住民の意向を尊重するという手続は尽くさなければならぬと思います。
  52. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 そうしますと、赤字路線廃止ということは、いま当面の急には、当面の役には立たぬような感じもしますけれども、その程度考えでいいものでしょうか。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 忍術使いみたいに一ぺんに全部消すなんということはできっこない。政治でありますから、納得したものから順次解決していく方法だろうと思います。     〔「じゃ納得しなかったら絶対やらないのかと   いうことを聞いておけ」と呼ぶ者あり〕
  54. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それでは、いま外野のお話にもございましたけれども、納得しない場合は絶対やらない、こういうぐあいに確認してよろしゅうございますか。
  55. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 鳴くまで待とうホトトギスという歌もありますから、そういうこともあり得るだろうと思います。
  56. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それから現在の路線をはずして、そしてバスか何かにされるのでしょうが、そのはずすにも相当の費用がかかるでしょう。ただでははずせないでしょう。いまは労働賃金も高いですし、あるものをはずすのに経費をかけて、それから道路を改修して、何かまた動くものを走らして、それで国鉄が黒字になって経営にプラスするというこまかいデータを全国各路線ごとにやってみたでしょうか。大臣はそこまでお考えがないようですけれども、関係者からひとつ御答弁願いたいと思います。
  57. 町田直

    町田説明員 ただいまのお話でございますが、具体的にはずすのに幾らかかるかという計算まではおそらくできていないと思います。ただ、この赤字路線と申しますか、ローカル路線赤字のものにつきましては、代替のおもなところは現在でも非常に需要が少なくなっておりますが、今後とも少なくなっていくであろうということが考えられるわけであります。したがいまして、このものを残すかはずすかということは将来にわたっての問題でございますので、計算上はそういう点を考えていかなければならないというふうに考えております。  それから、個々の具体的な問題につきましては、これは国鉄におきまして、個々の線について代替輸送をどうするか、はずす場合にどういう措置をとるかということは、それぞれ個々の場合について検討していきたい、こういうふうな考えでございます。
  58. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 いま四十四年度の予算のいろいろ作業も進んでおる時期だと思いますけれども、この赤字路線をはずしてしまうということで新聞なんかにも発表されましたが、あれについては、いまお話のあったような計算上の作業は進んでいるでしょうか。
  59. 小林正知

    ○小林説明員 お答えいたします。  来年度の予算要求は、先ほどもお話が出ましたように、すでにだいぶおくれましたけれども、十八日に予算要求を運輸省のほうに提出させていただいております。その中で、いまお尋ねの赤字路線の処理につきましての予算上の措置でございますが、これはどの線区のどういう線について自動車への転換をはかるかというような問題につきましては、先ほど大臣お話にございましたように、個々の具体的な実情に即しながら個々に当たって話をつけていくというかっこうで進めてまいるべきものである、かように国鉄も存じておりますし、また、そういったことができますのは、年度の途中と申しますか、結果が出るにいたしましても、予算的な措置としては、四十五年度からそのほうにかかりますので、四十四年度の予算といたしましては、ローカル線関係につきましてのそういった道路転換に基づきます経費あるいは収入の増減というものは計上しておりません。
  60. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 結局各路線ごとのそういうデータは、まだ出ていないということでしょう。やっていないんでしょう。ないということでしょう。
  61. 小林正知

    ○小林説明員 どの線をどういうかっこうでやるかということは、その線によりまして内容がまちまちになっておりますので、それを事前に予想いたしまして、収入あるいは経費の問題で計数を出して予算にあらかじめ計上するということは非常に困難であると思います。これは今後のそういった進め方の内容によりまして固まってくるものでございますし、それもそう簡単に話が詰まるものでもございませんしいたしますので、来年度の問題といたしましては、そういった検討あるいは調査はどんどん進めますけれども、それをするにしましても、予算として計数的に計上いたしますのは一年おくれになる、こういうことでございます。
  62. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それでは、いろいろ騒がれておりますけれども、国会のわれわれ側といたしまして、赤字路線を実際にはずした場合に、それに代替するものとして具体的にどういう交通機関を走らせて、その結果どういう財政的な効果があるのかという路線ごとの資料を要求した場合には、すぐ出ますか。あるのですか。
  63. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 各路線の過去の決算に基づきます資料、これはございます。しかし八十三線につきましては、現在調査中でございまして、たとえば収入が今後どうなる、あるいはこれを道路転換するという場合の、補償というような問題がかりにありますれば、そういうものは個々のケースによるというふうに考えております。資料といたしましては、過去の決算によります線別の資料はございます。
  64. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それでは、まだ資料が完備していない、こういうぐあいに理解していいですね。回りくどく言わないで、そうでしょう。
  65. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 八十三線の個々資料につきましては、過去の決算によりますものはございますが、しかし個々の問題について現在調査中でございますので、こまかいデータはまだ調査中でございます。
  66. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それでは、くどいようですが、これまでの赤字路線のはわかります。ぼくらもいろいろ聞いておりますけれども、今度赤字路線国鉄ではずして道路にして、バスでもいいが、走らせた場合に、それがどういうぐあいに財政的に効果があらわれるのか、そういうデータはいつごろできるのですか。
  67. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 八十三線につきまして、現在の赤字というものを計算いたしますと、これは相当な赤字になっておりますが、これをかりにバスに転換する、この場合にはいろいろケースがございます。たとえば国鉄のバスあるいは民間のバスというケースによりまして非常に違うわけでございまして、それぞれの輸送の状況に合わせまして、そういう道路転換できるかどうか、これはそのケースによるわけでございまして、現在調査中でございます。
  68. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 調査中ということですから、ぼくらのほうで要求しても出ないようですが、それでは、ぼくらもいろいろやってみたいと思うのだが、これはどうなりますか。一つ、具体的なんですが、線路をはずしたあと道路にしてしまうということでしょう、それを何か地方自治体の県道か区道か、いわゆる国鉄道路を私設の道路にするとか、そこら辺はどういうぐあいに考えているのですか。
  69. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 現在の考え方といたしましては、現在ございます線路は撤去いたしまして、そこに走っております県道、区道、町村道、ここに自動車を走らせるという考え方でございます。したがいまして、線路自体を道路転換するというケースはいま考えていません。したがって、その処分につきましては今後の問題かと思います。
  70. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 それでは、ぼくは錯覚しておりましたが、鉄道をはずしたあと道路にして走らせるのじゃなくて、はずしっぱなしで、あと国道、市町村道、県道、それを利用する、こういう考えですね。いろいろ聞きたいこともございますけれども、いまのことをちょっと確認してお答え願います。
  71. 長瀬恒雄

    ○長瀬説明員 現在の考え方といたしましては、並行いたしております道路を使いまして自動車転換するというのが基本的な考え方でございます。
  72. 内藤良平

    ○内藤(良)委員 まだ聞きたいこともございますけれども、時間がないということでございますので、これで質問を終わります。
  73. 大野市郎

    大野委員長 山下榮二君。
  74. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が限られておりますから、大臣にいろいろお伺いいたしたいと思います。     〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕  輸送機関が非常に大きな転換期に差しかかっていることは、御承知のとおりだと思うのであります。したがって政府としても、あるいは運輸省としても、国鉄といたしましてもそれぞれ諮問機関をつくり、委員会をつくり、いろいろいたしまして苦労されている点については、われわれもわからぬわけではないのであります。海にいたしましても空にいたしましても陸にいたしましても、輸送、運輸というものの大きな一つ転換期を迎えているものと想像をいたすのであります。こういうときにあたってまず本日取り上げてお伺いをいたしたいと思うのは、鉄道輸送の問題であります。  さきに諮問機関が発表をいたしました八十三路線についてでありますが、これを拝見いたしますると、北海道で十五線、本州、四国で四十六線、九州で二十二線、すなわち八十三線が廃止または自動車運送その他に切りかえられるやに伺っておるのであります。延長にいたしましても、いろいろ報告によってまちまちだと思うのですが、この八十三路線の延長をここで報告を見ますると、二千五百九十キロというものが書かれてあるのでありますが、けさ新聞によりますと、御承知のとおり、このいま爼上にのぼっております赤字路線の六千キロを自動車輸送に切りかえる、または廃止をする、あるいは国鉄経営以外に移すべきである、こういう答申も行なわれておるようであります。これらに対して、一体国鉄経営以外に移すべきであると報告されておるのは、大臣は私鉄にするとお考えになっているのか、どういうふうに解釈をされているのか、ちょっと伺いたいと思います。
  75. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり国鉄国鉄としての使命を果たしていくようにいたしたいと思っております。最近は公共性を負担する部分が非常に強くなってまいりましたから、従来の国鉄の概念からまたさらに一歩進めまして、公共的使命を非常に帯びた国鉄という線を強調して、できるだけ政府の援助を獲得するように努力してまいりたいと思っております。
  76. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 先ほど大臣は、国鉄の使命は格差の是正ということも大きな使命の一つである、こうおっしゃったのでありまして、まことにそのとおりであると私も思っているのであります。最近、御承知のとおり、都市の過密化あるいは農山漁村の過疎化ということが相当問題になっておるのであります。これらの問題もこの鉄道廃止または変更等にも大きな影響を与えるものではなかろうかと想像されるのであります。御承知のごとく、新産都市をつくり、いろいろ都市の構造改良等が考えられておるのでありますが、これらの点といま諮問機関等が答申をいたしました点とマッチしていないのじゃないか、こういう感じがいたすのでありますが、大臣はこの点についていかようにお考えになっておりますか。
  77. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 新産都市の発展ということは国策の一つでもありますし、また新産都市に特にありますのは高架の問題がございますが、それらの問題も政府内部におきまして負担率等の調整を行なっている最中であります。来年度予算は義務費が非常に増高して苦しい部面もありますけれども、国鉄長期計画をもって目標とした政策はぜひとも実現するようにわれわれは努力を継続してまいりたいと思っております。
  78. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 新産都市は継続していい、こうお考えですか。それとこの八十三線の変更の問題とあわせ考えていかようにお考えになっていますか。
  79. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 新産都市というものはやはり国策でああいう政策が確立されたのでありまして、その新産都市に至る過程に赤字路線の問題やあるいは新線建設等の問題が出てきているところもございましょうが、それはまた新産都市建設という新しい部面からの光に照らしてみて再考すべき余地は十分あるであろうと考えております。
  80. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 同じようなことを伺うわけですが、この八十三路線のうち、私ごとを申し上げてまことに恐縮ですが、私の住居する兵庫県も四線指定されておるようであります。そのうち篠山口−福住路線というところを通勤路線としてバス路線に切りかえるというように伺っておるのでありますが、地元ではむしろこれを京都府の綾部に延長をして、そうして赤字路線の解消の道をはかることが、先ほど申し上げましたような農山漁村の過疎化その他農村漁村の開発、こういう関係に深いつながりを持つのじゃないか、それが国策ではないか、こういう意見が相当強いのでありますが、そういうところもあるということをお考えになりますか。それともいま諮問機関が指定をいたしましたものは当然何らかのかっこうで考えなければならぬ、延長どころではない、ただもうかろうという新幹線のみに力を集中する、これに限られておるのでありますか。大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
  81. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ケース・バイ・ケースで個々の事情をよく検討しながら処理をしてまいりたいと思います。
  82. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それじゃケース・バイ・ケースで考えていく、こういうことになりますと、そのところところによって考え方が変わっていく、こういうことにならざるを得ないと思うのであります。たとえば私の考えは、もし北海道、東北の積雪地帯において軌道をはずして自動車に切りかえる、こういうことになってきた場合には、冬の豪雪の季節になりますと、自動車でありますならば、バスでありますならば、なかなか運行が困難になるんじゃなかろうか、こういう心配をいたすのであります。これらについては一体いかように考えておられますか。
  83. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり代替路線ということは前から申し上げているとおり大事なことでございまして、交通途絶その他の点も十分考慮に入れて赤字路線、新線問題というものは考えなければならぬと思っております。
  84. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 もう一つ伺っておきたいと思うのは、もし軌道を廃止いたしまして自動車に切りかえられる場合、先ほども質問の中にあったかも伺っておったのですが、道路がなければ自動車は走れないのであります。道路を新設されるのであるか、あるいは軌道を道路に切りかえられるのであるか、そういう点についてのお考えがまとまっておるものであるか、まとまっていないものであるかどうか。これは建設省とも関係があるであろうと想像するのでありますが、もし軌道をはずして、軌道を道路にして自動車に切りかえる、こういう場合でありますならば、道路ができるまでの間のその期間というものは一体どういう処置をとられるのでありますか。そういう点についての運輸大臣としての行政上の処置というものは、きわめて重大であろうと思うのであります。通勤通学その他の問題について相当混乱を生ずることも考えなければならぬと考えておるのでありますが、これらに対していかようなお考えを持っておられますか。
  85. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 代替輸送の確保ということはもう至上命令でございまして、その上に固有の事情をよく検討した上で処置すべきであると考えております。
  86. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ちょっと大臣わからぬのですけれども、よく考慮した上で処置すべきであると伺ったのですが……。
  87. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 代替輸送の確保というものは、至上命令であります。国鉄を撤去したために交通が途絶したなどということは、絶対に起こすべきではないと思います。したがって代替輸送手段というものを十分整備して、そしてその上に住民がそれでよろしいという御了解をいただいて、そちらのほうに移行できる状態ができた場合に移行するのが適当である。その間にあってはその土地その土地のいろいろな事情もございましょうし、県議会の意向もございましょうし、市町村議会の意向もございましょうし、そういう御意向も十分承ってやるべきものであると考えております。
  88. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 ただ私が心配するのは、いま大臣のおっしゃることは、もしその地域自動車の通れるような道路があったりいろいろする場合は、いま大臣の言われるような処置が講じ得られると思うのであります。山間地域に至りますと自動車の通れない道路、こういうところ等についての処置が一体どうなるか、あるいはその地域の開発に非常な支障を及ぼすのではないか、あるいは木材の搬出あるいは木炭等の搬出、その他鉱山等もありましょう、いろいろな関係等があるであろうと思うのですが、そういう場合の処置等についてはよほど事前からお考えを願っておかなければ、ただ赤字だから廃止するということだけではものが収まらぬのではなかろうか、こういうことを心配しておるのであります。ただ、その付近に自動車の通れる道路のある地域については、いま大臣のおっしゃるとおりの処置が講ぜられる、こう思うのであります。そういう新規の場所しかも山間僻地の場所、こういうところが一番赤字が多いのでありまして、そういう地域に対しての処置は一体今後どういうような処置が講ぜられるのであるか、その辺を伺いたい、こう思っておるのであります。
  89. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういう具体的な問題は、その具体的な条件に適応して考えなければなりませんが、道路がないという場合には道路をつくる必要があるでございましょう。木材あるいは炭を搬出する道路が必要だという場合にはそういう道路をつくる必要もございましょう。それで住民が納得してくれ、そして県議会その他もそれでよろしいというならば、移行しても差しつかえないと思うのです。しかし鉄道がなくなったために、道路もないし、あるいは長い距離を住民の人たちが歩いて通らなければならぬとか、そういう不便をかけるようなことはやってはならない、そう考えておるのであります。
  90. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それでは時間が来たようでございますから最後に伺いたいと思うのですが、いま国鉄財政再建推進会議意見書が出ております。また国鉄総裁の諮問機関である日本国有鉄道諮問委員会が答申をいたしております。昨日はまた御承知のとおり、財政制度審議会がこれらに関する答申を出しておるのであります。これらの問題はそれぞれの省あるいは国鉄、そういうかってかっての立場に立っておるのですか。それとも、政府全体一体となってものを処理されていく何らかの処置をお考えになっておるのでありますか。この答申が出た。この答申に沿うての今後の処置についていかような処置をとって政府としてはいかれ、大臣としてはいかれる考えであるか、それを最後に伺いたいと思うのであります。
  91. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 第一段階においては関係閣僚会議の議に付しまして、事務的にいろいろ折衝をやらせまして、そして関係閣僚会議においてそれを調整する。第二段階においては、終局的には閣議で統一する、そういう関係であろうと思います。
  92. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それじゃ時間がまいりましたから申し上げませんが、最後に希望だけを申し上げておきます。大臣もそういつまでも大臣をやられるわけじゃないだろうと思うのですけれども、この赤字路線廃止変更等は住民にきわめて大きな影響を与えるのみならず、地域開発の上にも大きな影響を与えるこれは重大な問題でございます。したがいまして、先ほどから大臣の言われるように、地域住民と十分な話し合いの上に立って、そうして了承を得た上、了解のもとに物事が推進される、こういうことがきわめて必要ではなかろうかと思うのであります。最近の情勢を見ますと、ことごとに問題が衝突衝突ばかりで、なかなか円滑にものが進んでいないのが最近の実情であります。どうかこの重大な問題につきましてそういう衝突のないように、地元民の十分な理解と了解のもとに推進されるように希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  93. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 沖本泰幸君。
  94. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ただいま山下議員からお話がありましたとおりに、財政再建推進会議意見書について、先ほど鉄監局長は、大体その意見書に従って検討を加える、こういうふうにお話があったように記憶しておりますが、いつも議論になると思いますけれども、こういうところでやはり国鉄の企業性と公共性という内容が一番重要な問題になってくる。ものの考え方の基礎、その点について大臣はどのようなお考えでいらっしゃるのですか。
  95. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり国鉄は第一義的には公共性を重要視し、あわせて企業性も閑却すべからずという態度が望ましいと思います。
  96. 沖本泰幸

    ○沖本委員 やはり運賃値上げとかこういう問題がこの中に一番よく盛り込まれていて、国民が一番運賃値上げについて関心を高めていて、また、いろいろな新聞の報道を見ていましても、第二の食管になるのじゃないか、こういうことも懸念されておるような内容になりますけれども、現在国鉄の中にあるいろいろな法律や制度をこのままで推進されていくのでしょうか。あるいは何らかの形で変えなければならないというお考えなんでしょうか。
  97. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり、推進会議の御意見を尊重いたしましても改革しなければならぬ点はあるだろうと思いますし、特別立法によって国鉄に特別の援助を与えるということも必要であると考えております。
  98. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そこで、たとえば新聞でも問題にされておりましたけれども、鉄道敷設法なんか古くなって、これは廃止すべきである、こういう意見も出ておりますし、また、鉄道建設公団もあまりいい役目を果たしていないような内容に私は考えるわけですけれども、この際ですからこういうものは廃止したほうがむしろ新しい改革になっていくのじゃないか、こういうふうな考えを持っておりますが、大臣はどういうふうなお考えでいらっしゃいますか。
  99. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御意見には傾聴すべき内容がかなりあるように私も考えます。しかし、この点は、波及するところも非常に大きいので、慎重に検討してまいりたいと思います。
  100. 沖本泰幸

    ○沖本委員 同じように、波及する内容が非常に大きいことになるのですが、先ほどからしばしば、大臣がそのままいらっしゃるかおかわりになるかわからない、こういう時期であるわけですが、その中に、国鉄運賃法の特例的処置を講じて運賃の問題を大臣の認可事項にしていく、非常に内容があるのですが、大臣は、やはりそうしたほうがいいとお考えですか。
  101. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 答申、意見書の中にはそういう部分がございますが、それは国会に関することでもございますので、慎重に考えてみたいと思います。
  102. 沖本泰幸

    ○沖本委員 はっきりしたことをおっしゃらないわけですけれども、そこで、運賃にからんでお伺いしたいと思うのですが、国鉄のほうとしても企業性という問題がありますけれども、やはり公共性が一番重大じゃないかということは、だれが考えても同じことが言えるわけです。ある新聞によりますと、二十日に記者会見をおやりになりまして、大臣は、大手私鉄のほうの運賃値上げを来年の四月ごろを基準にして考えなければならぬ、そういう時期にも来ている、こういう御発言があったように記事で見たのですが、そういう事実があったのでしょうか。
  103. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この推進会議意見書の中にも、国鉄運賃値上げの問題が論議され建議されておるわけです。私鉄につきましては、定期券について一年間がまんしてもらってきておるわけであって、赤字額も三百数十億円以上にすでに累積しているという状況でありますから、四月に国鉄のほうをもし上げるとすれば、私鉄のほうもある程度上げてやらざるを得ないだろう、そういう判断に立っているということを申し上げたいと思います。
  104. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そういうことになりますと、もうすでに運賃値上げというものはきめておかかりになっておる。そういうときに政治的配慮から大手私鉄にもまずもってそういう内容を御発表になったのだということになってくると、影響というものは重大な問題を含んでくるのじゃないでしょうか。いわゆるお米の生産者米価が、どうにもならないので結局消費者米価のほうへスライドしていった。こういう問題と同じように、いわゆる国鉄赤字国民の肩にスライドしていく、こういうふうないき方は私は絶対反対なんですが、大臣はそういう点について、どうせ来年から国鉄も上げるということを言ってきておるし、意見書の中にもそのことが含まれておるし、また意見書の中の大半の要項というものは運賃値上げ重点を置かれておる、こういう観点から政治的配慮をもってそういうふうな御発言になったのでしょうか。
  105. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それらの問題は、すべてこの十二月におきまして、予算編成のときに閣僚協あるいは閣議において総合調整さるべきもので、いますでに何もきまったわけではございません。終局的には十二月に予算編成と一括して同時に解決すべき問題であって、運輸省として正式な態度をきめたというわけではまだございません。
  106. 沖本泰幸

    ○沖本委員 しかし、すでに大臣がそういう御発言になるということは、もうそういう既定方針であると大半のものは受け取っているわけですが、やはりそういうふうな現在の物価の値上げの問題で一番問題になるのは、公共料金が一般物価を刺激するということを言ってもおりますし、またこの推進会議意見書に対して宮澤構想というものは、もう明らかにこういうことをすべきではない、現在の消費者物価の上昇が目立っているときに、受益者負担の原則だけで公共料金の問題を考えてはいけない、こういうふうな意見も出て、盛んに世間は上げるというムードの中に包まれつつある、こういうときに大臣がこういうふうな御発言を前もってなさるということは、私は非常に軽率じゃないか、こういうふうに考えるわけですが、やはりはっきりした根拠でそういう御発言になったわけですか。
  107. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 国鉄財政再建推進会議意見書の中にも盛られておりますし、それから来年度予算編成という準備がある程度国鉄内部においても進められておる段階におきまして、運輸省としてもある見当をつける必要はあるわけです。したがって、国のほうで相当の援助をしてくれるというめどがつき、国鉄がある程度それで乗り切れるという形になれば、この国鉄運賃の問題もまた別の形が出てまいりましょう。しかし、財政再建推進会議の構想がそのまま生かされるという段階においては、これは推進会議の御議論のようにある程度上げざるを得ないだろう、私はそういう判断を申し述べたので、要はこれからの予算折衝にかかっている。そういう宮澤君には宮澤君の意見もございましょうし、また宮澤君や大蔵大臣意見のぐあいによっては、われわれもわれわれの意見がある、そういうことで、まだすべて相対的な函数関係になっているということを申し上げたいと思います。
  108. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そうであれば、当然やはりこういうふうな私鉄関係の値上げの問題等は、総合予算というものがはっきりしてくるような段階において国民の前に大臣の構想を明らかにされるなり何なり、そういう方法をおとりになるべきであって、現在そういうふうなことが公にされていくということはもう自然物価を刺激していくということは、だれでも考えられる問題なんです。こういうふうに物価を刺激するという内容について、いま国鉄運賃値上げなり、こういうふうな一般公共性のあるものの料金の値上げというものが響くという点について、大臣はどういうふうなお考えですか。
  109. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 物価政策には内閣は最大の力を尽くさなければならぬと思っておりまして、私もそういう意味で私鉄側については非常な努力をして一年間がまんを要請してきた次第もあります。そういうように物価政策について内閣は真剣に取り組むということは、今後とも必要であると思います。しかし、要するにそれは来年度予算編成の総合政策の中でおのおの解決されるべき問題でありますから、いまどういうことになるかということは明言しかねます。
  110. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そのときの御発言で、大都市のバスやタクシーの料金もそういう段階にきているというような御発言があったようですが、その点についてはいかがですか。
  111. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大都市のタクシーについては、いま原価計算書を出さしておりまして、実際経理内容がどういう状態であるかということを検討している最中です。その検討を経た上でわれわれは考えをきめていかなければならぬと思っております。
  112. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そうしますと、タクシーの点についてははっきりわかりませんが、一応来年度は国鉄も大手私鉄もすべて上がるんだ、こう国民承知してふところの立て直しをしなければならないのでしょうか。
  113. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは総理大臣が答うべき内容でありまして、運輸大臣のような伴食大臣が答うべき問題ではないのでありまして、閣議で総合的な議を経た上で責任ある答弁はなさるべきものであると思うけれども、内閣としてはできるだけ物価を上げないように誠心誠意努力すべきものであると考えております。
  114. 沖本泰幸

    ○沖本委員 素朴な質問になりますけれども、大臣は今後も運賃値上げ問題に関してはあらゆる努力を払って、国民に迷惑をかけないように努力をなさる、こういう方向でお進みなんでしょうか。または、国鉄は、ここの段階まで来たんだから、国民の困ることもわかるけれども、ここは運賃でカバーして国民にがまんしていただかなきゃならない、こうとるべきなんでしょうか。
  115. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 できるだけ物価を上げないというのは基本方針でありますから、鉄道運賃についてもそういうふうにやっていきたいとは思いますが、大蔵省がどの程度金を出すか、内閣全体の政策がどういうふうに動くか、そういうことともからんでおりますので、私一人の独断では言えないと思うのであります。
  116. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そこで、まだ内容についてはいま検討中で、内閣のほうで閣議にかけるとはおっしゃっておりますけれども、いまこういう内容意見書もわれわれのほうはいただいておって検討もしておるわけでありますけれども、赤字の立て直しのためにやすやすと運賃改定を持ち出すのでは、やはり問題だ。経営の合理化という点もうたわれておりますけれども、内容から見ていってそれをつづめていきますと、どうしてもわれわれが受け取れる面は、運賃を上げることを解決のおもなところに持っていこう、四年後にもまた運賃が上がっていくような内容になっておる。こういうことになると、何でもかんでも国民のほうが迷惑をしなければならない。こういう点に大臣は、大蔵省の金の出し方ということによって変わってくる、あるいは予算の編成で内容が変わるということですけれども、やはり姿勢というものは、政府のほうが金を出さないから結局国鉄のほうは考えなきゃならない、こういうことではなくて、大蔵省のほうに押されぎみであるということではなくて、やはり公共性を考えて、私鉄のほうでも非常に条件の悪いところでも、企業体であった場合には企業性がなかったら経営はできないわけですから、赤字経営になるということは倒産ということになるから、極力その点は考えてやりますけれども、常時その経営内容考えて、どういう時間帯がいいか、乗客はどういう点を望んでおるか、あるいは車の台数とか、こういうものが綿密な計画の中に計算されていってという、そういう企業性を真剣に持っていっている。こういう内容国鉄のほうも十分学んでいただかなければならないんじゃないか。そういう点を私は強く申し上げたいわけです。ですからまだまだ検討を加えていただいて、そして赤字を極力避けていくという内容はもっともっと検討すべきである、こう私は考えておるわけです。こういう点についてどうお考えですか。
  117. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御意見はよく拝聴いたしておきます。詳細については鉄監局長答弁させます。
  118. 町田直

    町田説明員 御指摘でございますが、この意見書は賃上げに大部分をさいているわけではございません。先ほどからも御議論ございましたように、まず国鉄自体の合理化ということを徹底的にやるような趣旨でございます。それから国としても、国鉄がいろいろな公共負担等で非常に大きな負担を負わされておりますので、そういう面をできるだけ解消するように、国で財政的な措置をするようにということでございますが、それでもなお国鉄の現状を見ますと、なかなかしばらくは収支が合わないという状態でございます。かたがた国鉄運賃は非常に政策的な見地から、ある意味では安く押えられておるという面もございますので、そういう点はある程度原価に従って是正していくべきじゃないかということが述べられておるわけでございます。国鉄の合理化でございますが、たとえば投資規模にいたしましても、第三次長期計画考えておりましたものをさらにスローダウンをしたような形で投資規模をきめております。また合理化の内容につきましても、たとえばいろいろな、駅の整理とか、思い切った、国鉄としてはたしてそこまでできるかどうかと思われる程度考え方も入れておるわけでございます。いろいろ御議論はございますけれども、繰り返しますが、まず国鉄の合理化を徹底してやるということが前提になっておるというふうにお考えいただいてよろしいと思います。
  119. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それにつきましてもう少し……。地方の公営企業体の中に、たとえば住宅建築という問題がありますが、これで年間計画を立てて予算は立てますけれども、工事の時期とかそういう問題でその年度内にできない、繰り越しになってしまう。こういうものが何年間か積もっていって、そして年間の予算は単年度でつくってはおるけれども、実際に仕事をしておるのは数年前の年間計画をやっておる。こういうふうな内容がしばしば問題になります。  それと同じように、先ほど久保議員からお話があったとおり、第一次、第二次、第三次と、こういう長期計画をお立てになっておるけれども、全部やり残しが残ってしまって、結局一次、二次の内容のものを第三次の中にやり、それもだんだんだめになって、次の計画というものは全然前のものだけが踏襲されていって、つまらない内容になっておるということと、時代の推移とかそういうものとからみ合いがなくなってくるわけです。予算の問題とかいろいろな問題もからんできてそういう事態になるということは了解はできますけれども、それでは何も長期計画を立てて、そういうことをしなくてはならないということにはならないわけですから、言ってみれば国鉄はこういう新しい計画国鉄計画を出していっております、こういうふうにぽんと、たとえば万博には新幹線が走っておるのですから出展の必要はない、こういう御意見なんかずいぶんりっぱなものだと思いますけれども、そういうものだけでお茶を濁して、長期計画が何か看板だけに終わっておる、こういうふうに考えられるのじゃないかと思うわけです。ですから当面はもっと抜本的な内容から組みかえていっていただかなければならない、こういうふうに考えるわけです。  それと、これは話が違いますが、今度の中にも、市町村の納付金なんか、地方税に回されておる部分をおことわりするというような内容で、金額が載っておりますけれども、この前もこれはだめだったわけですね。だめなんだけれどもお載せになったのでしょうか、どうなんでしょうか。
  120. 町田直

    町田説明員 この前というのは昨年、今年度の予算でございますか、市町村納付金を廃止していただきたい、こういう折衝をしたわけでございますが、今度の答申では、大幅に軽減するということでございまして、当然市町村納付金制度そのものは存置されますけれども、この十ヵ年の再建期間中に限りまして、大幅に軽減してもらいたい、こういう考え方が述べられておるわけでございます。だめだけれども書いたということではございませんで、ぜひそういう趣旨でやっていただきたいというふうに私どもは思っておる次第でございます。
  121. 沖本泰幸

    ○沖本委員 これで終わります。
  122. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 加藤六月君。
  123. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣にお伺いしようと思っておったのですが、大臣がおいでになりません。また先輩議員各位がすでに相当これから私が質問いたしたい点についてもう質問もお済みになったようでございますので、ごく簡単に要点だけお伺いし、また私の意見を述べさせていただきたい、こう思います。  先般国鉄財政再建推進会議政府が開催せられまして、抜本的な検討が進められておる。十一月一日にその意見書の取りまとめが行なわれた。その内容を熟読玩味させていただきますと、昭和四十四年から五十三年に至る十カ年間の財政再建期間というのを設け、その間に各般の施策を集中的に措置して、国鉄財政再建をはかるという内容であるということを読み取ったわけでございます。そしてその意見書政府関係方面に対し出された、こういうことでございます。わが党の国鉄基本問題調査会はかねがねこの問題につきましても多く研究し、また主張するところはよく主張しておったわけでございますが、わが党のその調査会の主張する趣旨と大体意見が合致いたしておるのではないか、こう思うわけでございます。  すなわちその内容は、国鉄が今日この段階になった場合に、再建するためにはどうならなくてはならないかというと、三つの大きな柱が必要である。一つ国鉄自身の徹底的な合理化が必要である。二つは、強力な国の財政措置が必要である。三つ目は、国民の積極的な協力と理解というものが必要である。この三本を柱としまして、昨年来主張してきたわけでございますが、この推進会議意見書を読ましてもらいますと、そういう点で大体一致するということでございますが、なお二、三お聞きしておきたいという問題がございますので、ちょっとお聞きしておきたい、こう思います。  大臣がおいでにならないので局長あるいは副総裁から、適宜御答弁願いたいと思います。まず局長にお伺いしますが、意見書の七四ページに書いてありますが、第三部会でやっておられます「資金及び財政措置について」の(2)の「運用部借入金等の政府関係債務に係る利子の支払猶予」という意見がまとめて出ておるようでございますが、  これにつきまして、昭和四十四年度の予算措置としましては、政府当局としてはどの程度の決意で、どういう方法でこの意見書を取り入れようとされておるか承りたい、こう思います。
  124. 町田直

    町田説明員 この意見書の四十四年度の予算といたしましては、私ども運輸省といたしましては、この意見書のとおり、政府管掌関係資金六千三百億円の利子分、四百八億でございますか、これを一般会計から国鉄に交付金として出してもらいます。これを利子として特別会計に納める、こういうことで措置いたしたいと思いまして、予算要求いたしております。     〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 加藤六月

    加藤(六)委員 引き続き政府財政措置の項でございますが、三番目に、「財政再建補助金の拡大」ということ、われわれはこれをいわゆる利子補給、こう言っておるわけでございますが、この意見の中に非常にわれわれとしても考えさせられるところがあるわけでございますが、これに対しましてはどういう処置を講じられておりますか。
  126. 町田直

    町田説明員 これもこの意見書のとおりのことを考えておりまして、四十四年度につきましては、現在六分五厘まで補給してもらっております補給金を六分までということにいたしまして、概算要求の際に提出いたしました金額にさらに三十九億をプラスいたしまして、あらためて追加要求をいたしております。
  127. 加藤六月

    加藤(六)委員 その次に、同じく財政措置としての市町村納付金の軽減という問題が出てくるわけでございます。昨年われわれはこの問題を取り上げてやったわけでございますが、昨年の経過から見まして、今後なお非常に紆余曲折が予想されるのではないか、こう思っておりますが、これに対しましてどういう予算措置をされておりますか、承っておきたいと思います。
  128. 町田直

    町田説明員 この点につきましては、予算上は国鉄予算で来年度は全体のと申しますか、現在の三分の一、総額から申しますと六分の一になりますが、その予算要求を国鉄予算要求として出しております。具体的には自治省と折衝いたしまして実現をいたしたいというふうに考えております。
  129. 加藤六月

    加藤(六)委員 自治省との折衝にはどの程度の腰をお入れになるつもりですか。
  130. 町田直

    町田説明員 全力を尽くしたいと思います。
  131. 加藤六月

    加藤(六)委員 時間がないので、どんどん飛んでいきますが、次に第二部会で出ておる「収入増加のための施策」というのがございます。その中の「(2)運賃及び料金」というところ、並びに一番最後の「参考−1」の「国鉄財政長期収支試算」という表がございます。この中の4に「運賃改訂(公共負担是正を含む)」というので、四十四年度、四十八年度、五十二年度にそれぞれ一回実収一〇%と仮定した運賃改定問題を出されておるようでございます。先ほどの先輩議員に対する答弁として局長がすでにおっしゃっておられましたが、これは三本の柱のうちの一つの大きな柱になるのではないか、こう思うわけでございますが、四十四年度はこの運賃改定を行なわなければならないという強い決意を持っておられるわけですか、どうですか、それを承りたい。先ほどの御説明ではどうもあやふやなような答弁であったと私は思うのでございますが、その点をはっきりおっしゃっていただきたい、こう思います。
  132. 町田直

    町田説明員 この点は、実は先ほど大臣から御答弁ございましたが、私どもは、この財政再建推進会議趣旨に沿いまして運賃改定を行なわざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。なお、国鉄予算としては一〇%の運賃改定の形で提出されるものと思います。ただこの内容につきましては、具体的にそれではどういう形で運賃改定を行なうか、方法論その他につきましてなお詰めて検討しなければならない点がございますので、もちろん政府の物価抑制対策との関係もございまして、政府部内で十分検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  133. 加藤六月

    加藤(六)委員 どんどん話が飛んで申しわけないですが、次に、六六ページにあります「財政再建期間中の国鉄投資の内容は、次のとおりである。」この問題が非常に大きな問題になってきておるわけでございますが、まず承りたいのは、四十四年度の工事の投資規模を幾らくらいにされておるかというところから承りたい、こう思います。
  134. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 四十四年度は、私のほうは四千億ということでいま運輸省予算を提出いたしております。
  135. 加藤六月

    加藤(六)委員 そのうちに、山陽新幹線の岡山までの分は幾らくらい含まれておるでしょうか。
  136. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 四十四年度の四千億の一応の内容でございますけれども、現時点では大体五百億というふうに見ております。
  137. 加藤六月

    加藤(六)委員 岡山−博多間の調査費はどの程度になっておるでしょうか。
  138. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 実は、工事に非常に長期間を要するところが二、三カ所ございますので、これらの調査費という意味で、一応三十億を見込んでおります。
  139. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が質問いたしましたのは、東海道新幹線の増強を昭和四十五年、山陽新幹線の建設を昭和四十五年に岡山まで、おそくとも昭和五十年に博多までを完成させるということがございまして、いま経済企画庁の新国総にある全国新幹線の建設計画、あるいはこの建設資金という問題が出てくるわけでございまして、この再建期間中の十カ年間の投資額を三兆七千億ということにしぼっておられる。そうすると、多くの国民が期待しておるいろいろな新幹線の問題に対する建設資金というものは、一体どこでどのようにして確保するのだろうか、あるいは十年間以内には一切着手しないのだろうかということ、あるいは、せっかくいまつくろうとしておる新国総というのが机上の空論になるのではないか、こういう問題があるわけでございまして、そういう点でまずお伺いしたわけです。これからあらためてお伺いしますが、全国新幹線の建設計画並びに建設資金というものは、この再建十カ年の間には手をつけないというのですか、別途の方法で建設資金を講ずるのであるか、そこら辺の当局の考え方を教えておいていただきたい、こう思うわけなんです。
  140. 町田直

    町田説明員 実はその点非常に重要な問題でございますので、この答申の六ページにも書いてございますけれども、「将来の国鉄の役割及び輸送需要からみて別に必要となる新幹線の建設等については、その投資財源について別途確保をはかる等、特段に配慮のうえ、その推進をはかる。」こういう趣旨でございます。私どもも、国鉄が十年間にやる仕事は三兆七千億というふうに一応考えておりますけれども、その間に当然新幹線の建設の必要性が出てくると考えておりますので、この点につきましては、実はまだその財源措置その他につきまして十分な成案を得ておりませんけれども、至急に考えまして別途考慮するということで成案を得たい、かように考えております。
  141. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、その別途考慮するというのは、たとえば鉄建公団というものの性格を変えるという意味であるか、それとも、全然新規のものを持ち出していくのであるかという構想は、まだ固まっておりませんか。
  142. 町田直

    町田説明員 その点につきましても、まだ最終的に構想は固まっておりません。ただ、この建設のために鉄建公団が一つの有力な考え方であるということはいえると思います。
  143. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると、けさ新聞に載っておりました鉄建公団廃止論、これとは考え方は全然違うわけですね。
  144. 町田直

    町田説明員 けさ新聞に載っておりました財政審議会考え方は、実は再建推進会議考え方とも違いまして、鉄建公団をやめてしまうという考え方はとっておりません。運輸省としても、現在の段階では、鉄建公団をやめるという考え方はとっておりません。
  145. 加藤六月

    加藤(六)委員 わかりました。  次に飛びまして、この意見書の一番最後の「国鉄財政再建促進法(仮称)の制定等。」一番最初に申し上げましたように、各般の施策を一体として強力に進めなくちゃならない、また「不退転の決意と一致した協力が不可欠である。」というような結び方をされておりますが、国鉄財政再建促進法の要綱はできておるのでしょうか、できていないのでしょうか。
  146. 町田直

    町田説明員 まだ実は要綱の要綱と申しますか、事務段階の考え方でございまして、運輸省としても最終的にきまったわけではございません。ただ、いま検討中ということでございます。
  147. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、将来この促進法をつくるときには、この中にずいぶん盛られておる内容があるわけで、これは再建促進法をつくらないとちょっとこの意見書のとおりにうまく進まないのじゃないか、あるいは国鉄再建はできないのじゃないかと思えるほど内容がたくさんあるわけなのですが、そういうものを全部この中に含んで出したいとかどうかということまではまだお考えになっていない、こういうように判断していいわけですか。
  148. 町田直

    町田説明員 先ほども御答弁申し上げましたとおり、私どもとしてはこの答申を最大限に尊重いたしたいというふうに考えておりますので、その意味では、この中に述べられておりますことをできるだけ網羅的に入れたいというふうに考えておる次第でございます。
  149. 加藤六月

    加藤(六)委員 この法律は通常国会に提出する決意ですか。
  150. 町田直

    町田説明員 その決意でございます。
  151. 加藤六月

    加藤(六)委員 その下に最後に、この推進会議は「国鉄再建審議会(仮称)を設置し、再建の監督推進に当るよう措置することが必要であると考える。」こういうように言われております。これは同じことなのですが、これに対する考え方あるいは当局の見通しというものを伺っておきたい、こう思います。
  152. 町田直

    町田説明員 これもこの意見書を尊重いたしたいと思っております。ただ再建審議会につきましては、実は現在国鉄の監査委員会というものもございますし、その他運輸省部内にもいろいろ委員会がございますので、それらとの調整をどういうふうにはかっていくかということを検討中でございます。その点をもう少し検討いたしたいというふうに考えております。
  153. 加藤六月

    加藤(六)委員 一番最初に申し上げましたように、国鉄財政再建推進会議意見書というものは、わが党の国鉄基本問題調査会並びに交通部会がかねがね主張しておったところとほぼ一致するわけでございますが、ただここで、これは答弁していただかなくてもよろしいが、二、三要望をいたしておきたい、こう思います。  それは、いわゆる赤字線廃止新線建設の問題でございます。長い間、各地各地方予定線あるいは調査線、工事着工線となっていて、それぞれの地域の住民が願望しておった線というのがたくさんあるわけでございます。あるいはそれが着工線になる、こういうところ、あるいはまた逆に過疎に悩み、赤字線廃止という風評にふるえおののいておる地域住民もたくさんおるわけでございます。したがいまして、こういう方々に対して意見書の中にもいろいろな表現がされてあります。簡単にずぼっと全部六千キロ切れとか、あるいは二千六百キロ切れとかいう簡単な表現ではなくて、無人化とか、あるいは駅の廃止とか、いろいろな問題で合理化をやっていけという内容があるようでございますが、その中でわれわれが政府並びにそれぞれに申し込むようにいたしておる内容でございますが、過疎地域における住民の福祉というものと国鉄との関連、これを実情をよく調査していただきまして、国鉄線区道路輸送への転換、あるいは当該線区の採算の観点のみから行なってもらっては困る、当該地域の実情、代替交通機関の状況等を慎重に考慮して行なっていただきたい、また地元便益の確保に遺憾なきを期するために、鉄道新線建設は今後とも国土の均衡ある発展を目標として、国土開発計画あるいは有機的な鉄道網の形成並びに地域の実情、これを十分考慮し、慎重なる配慮をもって推進していただきたいということが第一点と、また時代の変遷に伴って、従来の新線建設計画の改定が必要となる場合には、鉄道建設審議会があるわけでございますから、すみやかにこの審議会の議に付してもらいたい、役所同士の取引でごそごそとおやり願わないように強く要望するわけでございまして、その点を要望しまして、時間がございませんので私はこれで終わらしていただきます。      ────◇─────
  154. 大野市郎

    大野委員長 次に、気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  155. 久保三郎

    久保委員 時間も限られておりますが、気象庁の気象行政というか、この問題について二、三お尋ねをいたしたいのであります。つとめて簡略にお尋ねを申し上げますので、結論だけを御答弁いただきたい、かように考えているわけであります。  そこで、具体的に御質問申し上げる事項は、茨城県にございます気象庁の気象測器製作所の業務縮小の御計画があるそうでありますが、その計画内容は、いまさらお聞きしなくても、てまえ承知しております。しかしながら、その縮小計画というものは、言うならば気象業務の中で観測行政というか、そういうものがきちんと方針として立てられて、その縮小をおやりになるのか——縮小と言ってはたいへん語弊がありますが、改革をおやりになるのか。いままで、われわれ仄聞するところによりますというと、気象庁における観測業務というか、行政というか、その方針は確たるものがないように伺っているわけであります。これははなはだ残念なことでありまして、てまえもこの製作所には何べんかおじゃまをして実態を拝見しております。その拝見した範囲から申し上げますならば、もし気象庁がいま言うところの、この製作所の製作並びに修理という業務は非常に少なくなってきた、だからという理由は、この責任は、言うならば、気象庁の首脳部にありはしないかというふうに考えるわけであります。先ほど申し上げたように、測器の業務に対する基本方針というものがございませんようでありますし、よってもって、これに対する長期計画というか、そういうものがなくて、この特殊な観測測器の製作所の運営は、単年度の予算計画だけでやっておる。しかも、計画すらないのじゃなかろうかと思っているわけであります。気象庁の全体から見れば観測は中心的な業務でありますが、それを土台にした測器の製作、修理、そういうものはどうしてもアウトサイダー、言うならば、地域から見ても、気象庁本庁は東京にあるが、茨城県の片いなかに地理的にも存在している。業務の見方も、残念ながら、そういうような見方をして今日まできたのではないか。もしもそういう意味で縮小する必要がある、改革の必要があるというならば、今日までの当面の運営管理の責任にあった者の責任を、これは明確にしてもらわなければいかぬというふうにも考えます。私は、先般この製作所に伺って、所長さんにもお会いしました。どうもそういう感じがしてならない。ことばが多くなりますけれども、たとえばこの製作所が運輸省設置法に基づくところの「設計、製作、検定、修理及び調整」、こういうものだとするならば、年次計画をまず立てるべきである。全国における気象庁の出先官署、そういうものが持っている測器の修理あるいは増備あるいは調整、こういうものを少なくとも単年度予算でさえ、私は、計画の上に乗っかって予算要求はしていないんじゃなかろうかと思うのですね。言うならば、目の子勘定、割り当てというか、大体この程度あればいいだろうというようなことでやっておられるのじゃなかろうかと思うのですね。これではどうも非能率に見られるのはあたりまえでありますし、しかも、これは昭和十九年にできたそうでありますが、当時は必要であった器械も、今日では御案内のとおり、いろんな材料も違ってまいりましたし、そういう考えから、大きな旋盤とか、そういうものは要らなくなっているかもしれぬ。ところが、それが今日、何らの処分というか処置もされないままに存在するから、たまたましろうとの行政管理庁の査察というかそういうものが行けば、これは器械が遊んでいてひまじゃないか、こういうことになると思うのですね。これくらい本質を誤る見方は私はないと思うのであります。だから、簡単に結論を申し上げますれば、前段申し上げたように、気象庁としては、観測測器の業務に対する基本方針をおきめになって、その上で、この今回の改革案というのをそれぞれの向きに提案しているのかどうかお伺いしたい。
  156. 柴田淑次

    ○柴田説明員 測器行政と申しますか、測器をどういうように配分し、どういうような測器に対しての行政をやるかというようなことにつきましては、これは測器というのは気象庁にとって重要な面でございます器械でございますので、気象庁の業務をやるためには器械が必要でございます。その器械の行政という面は決して従来から、先生おっしゃいましたように、アウトサイダー的の存在とは私は考えておらなかったのでございます。そう見えたかもしれませんが、決してそうでございませんで、気象庁の業務にとっては、繰り返して申すようでございますけれども、測器行政は非常に重要な面であるということでございます。  それで、測器行政につきまして従来から、将来の見通しあるいは長期計画というものがなかったのではないかというような御質問でございますが、これは実ははなはだ申しわけないことでございますけれども、気象庁としまして、この測器行政のみならず、その他の業務に対する長期計画というのが従来からなかったので、私、それではいけないということで、昨年でございましたか、気象庁の業務全般につきましての少なくとも五ヵ年計画をつくらなければならないというので、五ヵ年計画を作成いたしました。それで、昨年から、その五ヵ年計画に基づいて気象庁の業務をやり、また予算も要求をしている次第でございます。したがいまして、その中の一部というこの測器行政につきましても、その五ヵ年計画の中に大体の将来の方針というものをきめまして、それによって本年もやりますし、将来もやっていきたいというのでございます。ただ、それを具体的に、ここをどうするのか、あすこをどうするのかというようなところまでは、その五ヵ年計画には書いてございませんけれども、重要な考え方というものは少なくともその五ヵ年計画に盛り込みまして、それに基づいてやっている現状でございます。
  157. 久保三郎

    久保委員 どうも長官のお話、よくわからないのであります。というのは、ものごとは、御提案は、より具体的になっているわけですね。この製作所の工作課というかそういうところは廃止をしましょうという御提案がなされているようであります。だから、私の質問も、そういうものの上に立って具体的にお答えをいただきたい。だから、もう一ぺん申し上げますと、測器行政というか、その基本方針というのをお立てになって、その上で、かくあるべきだというので今日の御提案があるのかないのか。それから、将来は、じゃ、どういうふうな方向でやっていくのか。それから、私が批判した事項について、反省はそのとおりなのかどうか、そのとおりだ——御批判申し上げたのは、何らの計画がないから、まあ単年度予算でこのくらいで、やっていくものは大体これで、全国の気象官署が必要な修理とかあるいは製作とか増備とか改良とかそういうものは全然御計画はなくて、まあちょっとことばは悪いんですが、成り行きまかせで、きたものはひとつ試作してみたらどうかとか、きたものはひとつくってあげたらどうか、きたものは修繕してみたらどうかというようなことでおやりになっているのではなかろうかというふうにわれわれの目からは見えるわけであります。これであっては、国家的な利益からいっても、残念ながらこれは不利益な方向でありますね。ある施設と技術というか、そういうものはフルに動かさにゃならぬ。しかも今日われわれが見る目では、気象行政の中で測器行政というのはもっと高度のものに置きかえていかなければならない時代であるにもかかわらず、何かそういうものがちっとも見当たらない、それであってはならぬ。ある極端な表現もありますぞ。明治時代の機器がそのままの形で残っているものもあるそうでありますな。これであっては、今日の精密な観測というか、そういうものはおそらくできないだろうと私は思うのです。そういうものを開発し、そういうものを製作し、新しくしていくことが、測器行政の中に取り入れられなければうまくないのじゃないか。時間が短くてと言いながらどうも饒舌にわたりますが、どうですか、基本方針はございますか。簡単に言ってください。製作所はどういうふうに使って、いわゆる測器の研究開発というか、そういうものと、それから増備というか、充実はどういう方向でやって、その中で製作にはどういうような地位を占めさせるか。
  158. 柴田淑次

    ○柴田説明員 測器行政につきましての大きなところは、もうこういう時代になりますと、メーカーの技術もたいへんに進んでまいりましたので、測器製作所の中で取り扱っております外注できるようなものにつきましては、できるだけ外注するようにする、そういうことになりますと、その程度はどの程度かというような見通しもつけまして、今回の測器製作所に対する計画を立てたのでございます。したがいまして、その場限りの処置でこういうような計画を立てたのではございません。  なお、将来の測器製作所の見通しといたしましては、測器製作所という名前はともかくとしまして、測器行政というものが将来どういうような姿で行なわれていくのが最もいいかというその観点に立ちまして、その中で測器製作所について考えていきたいというように考えている次第でございます。したがいまして、その場限りの単年度の計画でこういう計画を立てたのではないということをひとつ御了承願いたいと思います。
  159. 久保三郎

    久保委員 長官、どうもあなたのお話はよくわからぬ。その場限りのあれでそういうことを考えたのではない、だけれども、これから測器行政は考えていくとおっしゃるんだな。私は、測器行政を考えた上でおやりになっているのかと、こう聞いておる。そうすると、そういうものはこれから考えるのだが、さしあたり何となくこの辺をちょっとちぎってとろうかということでありますか、そうなんですか。
  160. 柴田淑次

    ○柴田説明員 ちょっとことばが足らなくて、まことに申しわけございませんでした。先にもちろん測器行政を考えて、その中で測器製作所のあり方というものを考えたのでございます。
  161. 久保三郎

    久保委員 抽象的でよくわかりません。工作課というのは、大体製作、修理が中心の課だと思うのですね。それじゃ次長に、あなたは実務のことはよくおわかりかもしれませんから——長官、ちょっと基本方針がよくわからぬから、頭の中で整理してください。では、次長からでも具体的な話を聞きましょう。  それで、工作課を廃止するというのはどういういきさつか、簡単にお述べいただきたいと思います。
  162. 坂本勁介

    ○坂本説明員 長官の申し上げたことと重複するかとも思いますけれども、測器行政の主としまして製作部門を中心にして考えます場合に、大きな分野が二つあるわけでございます。  一つは、特にこれが将来の気象庁にとって非常に大事かと思うのでございますが、測器の試作、改良あるいは開発、こういった分野でございます。それからもう一つは、現在すでにできている測器のといいますか、あるいは仕様書等々ができ上がっておりまして、それの製作ないしは修理という、この二つの分野であろうかと思います。  そこで、申し上げました後ほどの部門の製作、修理というものにかかわりますものについては、大体測器製作所ができ上がりました当時の社会的事情からして、気象測器というようなものをあまり民間会社でつくるようなところもございませんし、官みずからの手でそういうものを製作、修理していかなくちゃならないという状態、主として実はそういう理由で測器製作所ができたのでありますが、気象測器関係の民間メーカー、かなり中小企業も多うございますけれども、大は東芝その他いろいろ大きいところもございます。最近だんだん技術も発達してきまして、相当部門、あとのほうに申し上げました製作、修理といったようなことは、かなりそういう民間企業にまかせてもいいという方向が大体ついてまいったようでございます。そこで、将来の気象庁の測器行政の重点は、今後の科学技術の伸展に即応しまして、いかように気象測器があるべきか、どうそれを設計、開発していくべきかというところに当庁の気象測器の測器行政の重点を置くことにいたしまして、ありますところの測器の製作、修理といった部門はできるだけ外注方面に回しても差しつかえないのではなかろうかという一応の見通しを立てたわけであります。その限りにおきまして、現在の工作課のいま申し上げました後段階の純然たる製作、修理にかかわるものとの関連で、工作課をつぶすといいますか、その限りにおいて縮小をはかった、そういうことでございます。
  163. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんけれども、いまの坂本次長のお話は、製作、修理の部門をとにかく外注でまかない得られるから、これは廃止する。結局残りは、そうすると製作、修理というのは一切もうおやりにならぬと、こういう意味でありますか。
  164. 坂本勁介

    ○坂本説明員 前段階で申し上げました設計、開発、いわゆる気象測器のこれからの開発というものに伴います当然の工作部門は残るわけでございます。それはまだ残すつもりでおります。
  165. 久保三郎

    久保委員 聞くところによりますれば、それもだんだんには下請というか、外注するようなお話をしているように思うのですが、そうしますと、最後にはもう測器行政というか、製作の行政というか、そういう開発というか、そんなものはなくなってしまうようにわれわれは思うのですが、そういうことは誤りですね。
  166. 坂本勁介

    ○坂本説明員 あらゆる気象、水象、地象を全部合わせまして、気象庁の一番それのフィールドの根幹をなしますものは測器であろうと思います。それの設計、開発といったその開発分野というものは、今後気象庁が重点としてあげて、その方向にいろいろ重点的に指向する政策をとっていかなくちゃならない分野かと思います。その限りにおきまして、これを伸ばす方向を考えこそすれ、これをよそさまにおまかせするというか、気象庁の分野からなくすということは毛頭考えておりません。
  167. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、製作、修理は外注でやる。ところが、製作所ができた当時と今日でも変わりがないのは、あなたの御答弁では外注が可能であるようにお話がありましたが、大体気象測器という特殊なもので、オートメーションでつくってもらうようなものではないようですね。まず第一に、この個数が非常に少ない。極端なものは一個かもわからぬですね。だからそういうものを引き受ける会社というか、これはなかなかないだろうし、それからもう一つは、そういうものを引き受けたにしても特殊なもので採算ベースに合わないというようなこと、それから技術的にやはり製作の段階でもいろいろ問題が出てくるようなものがあると思うのですね。そうなると、これはまず第一にそういう当時の考え方とそんなに変わっちゃいないが、東芝みたいな大きなところでつくるのはどんなのがあるのかわかりませんけれども、それは特殊なものだと思うのですね。あとはもう中小企業にやらせるようなものである。そうしますと、中小企業はそういう要求にこたえ得られないのではないかという問題が一つある。  もう一つは、それじゃ大蔵省を中心にした予算要求がうまくいくかどうかという問題だ。いままでは何といっても施設と人間がいたわけです。技術がいたわけです。それを離れれば、今度は持っていきようがないのですね。だめなときにはこれは布川の製作所に持っていきましょうということにはならない。予算がとれなかったならば製作、修理ということは、これはなかなかうまくいかないのではなかろうか。特殊なものでありますから、競争入札なんという簡単なものにはいかないのだろうと私は思うのです。部品の一つや二つはあるいはあるかもしれませんけれども。たとえば数取り器みたいなのは、どこかのメーカーのものを持ってくればくっつきますから。そういうことを考えますと、これは言うべくしてそんなに簡単なものではないと思う。だから、もう少しこれを掘り下げて考える必要がありはしないか。どうもいままでのやり口というか、やり方を見ていると、長官、さっき申し上げたような基本方針として何もないから、たまたま布川というところに何か盲腸的な存在みたいなのがありそうだ、そこをちょっとつまみ取ったらどうかという安易な気持ちでおやりになっているのではないかと思うのですね。これがどこかの気象台ということになるとそう簡単にはいきませんね、大体長官も知っていらっしゃるから。しかし測器の製作は御存じないでしょう。私は地元だからちょいちょい見に行きまして、よく見ています。だけれども、そういうものも私は十年以前は知らなかった。あることがわからなかった。だから気象庁の歴代の長官で、おそらく製作所がどんな地形のところにあるのかおわかりにならない方が、歴代ずっと多かったのではなかろうかと私は思うのです。柴田長官はおいでになりましたか。おいでになった。それは奇特なことであります。いずれにしても御存じない方が多い。だから、そういう安易な考えでこれを整理すべきではないというふうに、てまえどもは考えているわけであります。もちろんいまの行政管理庁あるいは大蔵省その他いろんな方面から圧力がかかりますな。五%定員減なんという話がございますから、御苦労なさっていることは十分われわれもわかります。しかし気象業務、気象行政がゆがめられるような形でのいわゆる苦心惨たんはおやりになるべきじゃない、こういうふうに考えます。そういうことでありますが、それでは坂本次長のおっしゃるようにやっても、これはなかなか、予算的な保証がどこにあるんだ、これは保証がとれるかどうかという不安が気象関係の仕事をやっているものには、これは横溢することは当然だと思うのです。  それからいままでの成績からいえば、修理やその他も業者に委託したものについてはかなり故障が多いということが資料として出ております。農業気象観測で福島県かどこかでやったのが、百何十日間観測ができなかった事例がある。これはたいへんなことだと思う。一日でも観測がとだえると、これはまずい。だからさっき前段申し上げたように、観測機器の管理というものをもう少し長期展望に、計画の上に立ってこの製作所を含んで一元的な行政をやはりきちんときめる必要があると思う。いままでの御答弁では、そういうものはこれから考えるということであって、残念ながらそれでは困る。だから早急に測器行政についてきちんとした方向をお立てになることをまずもって要望しておきます。  それからもう一つ、次に、そういうふうに、坂本次長がおっしゃるようにするとするならば、運輸省設置法はこれは改正するのでありますか。設置法はさっき読み上げたように「設計、製作、検定、修理及び調整を行なう機関とする。」こう書いてあるが、あなたがおっしゃるようなことになるというと、これを改正するということになるのか。それとも、これはそのままでおくというのか。それはいずれですか。
  168. 坂本勁介

    ○坂本説明員 正直申し上げますと、実際にそこまで検討しておりませんが、改正いたします場合には、いま申しました設計ということばの中に当然に工作部門も入るような読み方ができれば、たとえば製作という文言をはずすとかいったようなごく小部分の改正にとどまることになろうかと思います。
  169. 久保三郎

    久保委員 私はこの設置法は改正すべきではない、こういうふうに考えております。と申しますのは、先ほど来たびたび申しましたように、測器行政に確たる方針がつくられてから検討されるのが当然であって、布川の製作所の工作課の問題でこれを改正すべきではないと私は考えておりますが、いかがですか。
  170. 坂本勁介

    ○坂本説明員 先生のおっしゃるとおり、そういう方面の検討をさらに今後やらなくてはいかぬわけであります。したがいまして、現実にすでにあります先ほど申しました後段階の製作、修理にかかる部門についても十分支障なく、たとえば工作課を廃してもやっていけるかどうかは十分検討しなければならないわけでありますが、特に私どもが将来志向する測器の開発、調整といった分野からでもいまのままの文言でいいのか、あるいはより積極的に設置法に何らかのかっこうで盛るべきかといったような検討も十分してみたいと思いますので、先ほど申しましたように、直ちに設置法を改正するものだというふうには全然考えておりません。
  171. 久保三郎

    久保委員 きっとまだお読みになっていなかったのでしょう。失礼な言い分ですが、気象庁長官も次長も設置法の中にこの布川の気象測器製作所がどんなふうに規定されているかごらんになっていないと思います。だから私の意見のほうが先行しているわけですよ。だからこのほうが賢明だと私は思っているわけです。そういうふうに考えます。だからこれは一ぺんごらんになってください。  時間もありませんから先にいきますが、そこで、そうだとするならば設計、試作、開発というか、それも含まれますね。そうだとするならば、その後こういうものがだんだん多くなっていかなくてはいけないのですよ。ぼくの言う基本方針からいえば、古い型のものがあって開発されないままでいるものがたくさんあると思いますが、故障の多いものもあるし、農業気象に使っても農薬関係からいって、材質がいままで何でもないところの測器と同じようにはいかない。これも一つの研究課題となっている。そういうふうにたくさんのものがあるので、結局この設計、試作というか、そういう部門がだんだん多くなっていくような計画でなければ、測器行政というものは進展しない、よってもって気象業務というか気象行政は発展しない、こういうふうに思います。だとするならば、これに対して対策はどうするか。単に工作だけもぎっちゃって、あとは成り行きにまかせるということでは困ると思う。これは今後お立てになることですか。長官どうですか。
  172. 柴田淑次

    ○柴田説明員 測器の開発、試作という面に今後重点を置くということは、先ほども次長が申したとおりでございまして、その開発、試作に必要な工作というものは当然あろうかと思います。それにつきましては当然、測器製作所の中に残すつもりでおります。
  173. 久保三郎

    久保委員 それは残すということですが、だんだん仕事の量が当然のごとく多くなるだろうと私は考えておるわけです。製作、修理は外注だ、外注といっても、予算面からいっても、技術の面からいっても、中小企業のあり方からいってもむずかしい。だから、これはよほど慎重にかまえなければならぬ。それからいま言った設計、試作についても同様であります。これは先ほど坂本次長が言うように、このまま従来どおりきちんと残しておくのだというお話だけれども、そうすればこの仕事量がふえていくのだから、業務量がふえていくのだから、これに対してはしかるべき措置が必要であろう、こういうふうに思いますが、それはいいですね。
  174. 柴田淑次

    ○柴田説明員 そのとおりです。
  175. 久保三郎

    久保委員 そうですね。——時間もありませんから、その次に参ります。ただこの外注の場合、特許権の問題があると思うのですね。特許権の問題では、特許料を支払えば云々という見方もあるし、便法もあろうかと思うのでありますが、ただ、特許の部分を改造するという、そういう開発は手がつかぬことになると思うのですね。これはどうですか、御研究になっておりますか。たとえば、特許の部分を改造するというのは、特許料を払ったって、これはできないことでしょう。特許料を払えば、そのものを使うだけなんです。製作はできる、しかし、それを改造するというのはできないんじゃないんですか。それはおわかりにならないのですか。そういう問題をどう処理されるか。特許の問題では、非常にむずかしい問題があると思うのですね。しかも特許でやった場合には、その問題は別にして、あるメーカーに一つやったらば、これは独占の結果になる。そうなった場合に、はたして値段の問題、納期の問題、あるいは製品の問題等に、十分に気象庁の要求にこたえられる結果が出るかどうかは疑問があると思うのですね。だから、その辺のところを十分考えないで、それはマージンというか、使用料を払えば、ロイアルティーを払えばいいんだというようなことで処理されるものではありませんね。坂本次長、どうですか。
  176. 坂本勁介

    ○坂本説明員 先ほどから御答弁いたしておりますように、製作あるいは修理というものを外注するようなたてまえになったとしますれば、この特許制度との関連で、一社独占という弊害が生ずるということは、正直に申し上げて、否定できないと思います。しかしながら、その際といえども、私どもとしましては、そのために不当に値段がつり上がったり、ために価格の面で著しく測器行政に妙なことになってくるんじゃ困りますので、できるだけ業者を指導いたしまして、独占の場合には、特許使用料を払ってもらって共同使用的な形態にするような行政指導を行なうようなかっこうで、そういう弊害をできるだけ避けていくようにしていきたいと思います。  また前段の先生御質問の特許それ自体につきましても、今後とも、これは測器製作所の形で残るか、あるいは研究所というようなことでいくのか、とにかく気象庁の業務のたてまえの重点に測器の試作、開発というものを最重点に置きます以上は、おのずから、そういう技術の進展に伴って——たとえは現在でも、ある測器につきましては、気象庁みずからが特許を持っているものもございます。そういったことでの、さらに民間でとっております特許より飛び越えたかっこうで、うちが特許をとっていくというような技術の開発、設計というものをやっていかない限りは意味がございませんので、そういうことで、それでも、あるいはちょっと答え方が語弊があるかもしれませんが、さまで大きな問題にはなるまいかと思われます。
  177. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、簡単に行きましょう。  たとえばこの外注、特許の問題も含めて、そういう体制をどう確立するかという問題が、答えが出ないうちに、この部分は外注でできますというようなことは不見識じゃないだろうかというふうに、私はどうしても思っているのです。だから、そういうものがひとつ考えられないことはない。これはみんな私は予想で言っております。予算が取れないんじゃないか、独占になって困るんじゃないか、技術的にもまずいんじゃないか、こう言っているのですよ。そういう受け入れ体制をきちんとしないままに一つの課を廃止しましょうということは、さっき言ったように、この辺はつまみ食いしても関係がないだろうということで、ぱっとやられたに違いない。それは少しひどいじゃないでしょうか。気象庁としても不見識じゃないでしょうかということに、どうしてもなってくる。時間がありませんから、それだけ申し上げます。受け入れ体制というような、そういう対応の機関というか、そういうシステムがきちんと整備されないままに切りかえられたら、どうなりますか。その責任は、柴田長官と坂木次長が全部しょっていくことになるのだが、役人は偉くなるとどこかへ行ってしまう。気は軽いのです。しかし柴田長官は、この道で一生を送ることになるのだから、そのうちに学界に戻られようが何しようが、あなたは責任はありますよ。もし観測が停滞したり、うまくいかないというようなときには、未来永劫あなたの責任ということになるのですよ。おどかしじゃないですよ、ほんとうに。それだけ真剣に測器の問題を考えてもらわなければいけない、どうなんですか。幸い問題を投げかけたから、国会でも取り上げたが、問題でもなければ、われわれもあまり積極的に検討をしませんから、取り上げませんよ。幸いですよ。しかしながらそれだけでやることは——久保先生、とるほうはやりますが、あとは知りませんということは許しませんぞということを私は、いま申し上げたいのです。基本方針はちっともわからないのだ。だめですよ。  それからもう一つ申し上げておきたいのは、たとえばあなたのほうの計画どおり、それじゃ配転か何かやるということになりますれば、あそこにおられる職員は、幾人でもないかもしれません、しかしながら、地理的には、東京からはかなり遠い、僻地ではありませんけれども、まあ遠いところですね。しかし、技術は特殊な技術を持っておられる。こういう場合に、画一的なもので処理されることはおそらくないとは思いますけれども、さっき申し上げた、前段のものを消化しながら考えていかなければならぬことだと私は思うのです。長官、どうですか。
  178. 柴田淑次

    ○柴田説明員 職員の配置転換が生じるであろうということにつきましては、そのとおりだと思います。しかし、その配置転換を行なう際の行ない方が問題でございまして、われわれ、たとえばその職員の生活を脅かすような配置転換というものは絶対にやらないつもりで配置転換を行ないたいというように考えております。
  179. 久保三郎

    久保委員 生活を脅かすというのはたいへんなことですよ。刑事事件になりますよ、長官。そうですよ、これはほんとうに。だから生活を脅かすというのは論外ですよ。だからこれは十分本人の希望その他は——もしも最終的に何人かの人は配転したほうがいいということが、職員とあなたのほうで結論で出た場合にも、生活を脅かさない、これはあたりまえのことですよ。そうでしょう。その人の希望なり、将来なりを十分考えて、善処するというか、納得のいくように処置するのが一番いいのです。しかし、これは万が一の話です。前段の話を中心に私は申し上げたいのです。どうもきょうの御答弁の中では、測器の行政については確たるお見通しはない。だから来たるべき国会になりましたら、ひとつ予算要求とからんで、明確な方針がなければ、私は予算委員会にも所属いたしておりますから、そこで追及をいたしていかなければならぬということでありまして、どうか次回の運輸委員会で明確に御方針がお示しいただければ、なお幸いであります。要望して、時間がありませんから終わります。ありがとうございました。
  180. 大野市郎

    大野委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十九分散会      ────◇─────