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1968-05-07 第58回国会 参議院 文教委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月七日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤  隆君     内田 芳郎君  五月六日     辞任         補欠選任      内田 芳郎君     佐藤  隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 小野  明君                 鈴木  力君     委 員                 久保 勘一君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 吉江 勝保君                 岡  三郎君                 加瀬  完君                 千葉千代世君                 松永 忠二君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        総理府人事局長  栗山 廉平君        文部政務次官   久保田円次君        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部大臣官房会        計課長      井内慶次郎君        文部省体育局長  赤石 清悦君        文部省管理局長  村山 松雄君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君    説明員        総理府人事局次        長        宮内 通雄君        大蔵省主計局総        務課長      佐藤 吉男君        大蔵省主税局税        制第一課長    大倉 真隆君        自治省行政局公        務員部福利課長  寺本  力君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○教育文化及び学術に関する調査  (日本学校給食会に関する件)  (教職員福利厚生制度に関する件)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事に一名の欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  3. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。それでは、理事佐藤隆君を指名いたします。     —————————————
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 教育文化及び学術に関する調査中、日本学校給食会に関する件を議題といたします。  本件に関し文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。灘尾文部大臣
  5. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先般来、特殊法人日本学校給食会職員収賄容疑検察当局の取り調べを受けておりましたが、今回起訴されるというようなことに相なりました。まことに遺憾に存じておる次第でございます。ことに学校給食会教育関係する団体でありますだけに、ひとしお残念に存じておる次第でございます。  文部省といたしましては、このような不祥事件の起きましたことについて深く責任を感じております。同時に、再びかかることの生じないように、原因を究明いたしまして、指導監督に遺憾なきを期してまいりたいと存じておる次第でございます。このために、学校給食会に対しましては、直ちに自粛自戒、服務の厳正を期するように警告いたしますとともに、このような事件の発生を防止するための機構の関係あるいは人事管理関係等について、さらに一そうの適正化をはかるほか、同会の業務運営改善措置を真剣に検討するように指示いたしました。  日本学校給食会内部におきましても、業務運営改善委員会を設けまして、業務運営処理の全般にわたって改善方策を講ずるように進めており、今回の事件責任を明らかにするため、当人及び監督上の地位にある役職員について懲戒の処分が行なわれるように聞いておる次第であります。  文部省といたしましては、日本学校給食会物資供給業務の実態及び業務執行方途等につきまして全般的に検討を加えておりますが、今後業務監査を徹底するなど指導監督の強化をはかっていく所存でございます。  なお、事件概要につきましては政府委員から御報告をいたさせますが、まことに遺憾千万なことでございますので、深く皆さま方におわびを申し上げる次第でございます。
  6. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 日本学校給食会職員にかかります収賄容疑事件概要につきまして、御報告させていただきます。  昭和四十三年五月二日起訴にかかるものについて申し上げたいと存じます。  公訴事実は、小松三郎は、日本学校給食会輸入する学校給食用脱脂粉乳の寄託に関し、有利な取り計らいを受けたことの謝礼並びに将来も同様の取り計らいを依頼する趣旨で、昭和四十年五月以降合計五十万円を数次にわたり、東横倉庫株式会社代表取締役大西公男、同取締役営業部長女池肇より収受し、また同様の趣旨で、昭和四十一年八月以降合計八万円を数次にわたり、常盤倉庫株式会社営業課長渡辺き代治より収受したというものでございます。  二番目といたしまして、現在さらに取り調べ中にかかるものについて申し上げますと、これは新聞報道等総合したものでございますが、小松三郎は、日本学校給食会輸入商社に委託する学校給食用脱脂粉乳輸入に関しても収賄容疑が持たれております。すなわち、本年四月十九日、脱脂粉乳輸入商社である三井物産、小網、東食、兼松江商野村貿易及び安宅産業職員が、同月二十三日には三菱商事の職員が、それぞれ贈賄容疑で逮捕されております。また、五月四日、さらに篠崎倉庫職員三名が贈賄容疑で逮捕されております。これらの容疑につきましては、現在捜査当局において取り調べ中でございます。  以上が事件概要でございます。
  7. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本件に対し質疑のある方は御発言願います。
  8. 小野明

    小野明君 この学校給食会の問題につきましては、いろいろお尋ねいたしたい件もあります。決算委員会並びに予算委員会でも若干は質問をいたしているのでありますが、本日あらためて概略の報告をいただいたのですが、質疑につきましては後日あらためていたしたいと思います。後日の機会を委員長のほうでお取り計らいいただきたいと思います。
  9. 千葉千代世

    千葉千代世君 脱脂粉乳についての資料要求をお願いしたいのですが……。
  10. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) いかがですか、脱脂粉乳に関する資料要求……。
  11. 千葉千代世

    千葉千代世君 で、内容は、輸入して日本倉庫に入れて、倉庫から今度は出しますね。そうすると、相当悪くなっているのがあるそうです。実際にすぐ学校で使うのと、それから悪くなったから外へ流す、たとえばお菓子屋さんの材料にするとか、もっと悪くなったものは家畜の飼料にするとか、そういうふうになるのがあるということです。これは二年くらい前の国会で私がただしたのですけれども、その後、現地から積み出す期間あるいは製造して港に送るまでの日数、そういうものを規制して、それから会社も、向こうのつくる会社も指定するとかいう、改善していくということを述べられたわけです。しかし、現実にはその当時と比べてたいへん腐敗物がありましたね、くぎが入ったりなんか。あの時分と比べて現在の状況を知りたい、こういう意味資料を要求したいのです、どの程度になっているかということ。
  12. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) これは不適品の事情及びその処理現状、そういうふうに了解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
  13. 千葉千代世

    千葉千代世君 たとえば処理値段ですね、うんと安くしたり、あるいは現実お菓子屋さんに高く行っている場合もあるそうですからそういう値段
  14. 赤石清悦

    政府委員赤石清悦君) 承知いたしました。
  15. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまの資料要求、よろしいですね。     —————————————
  16. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 教育文化及び学術に関する調査中、教職員福利厚生制度に関する件を議題といたします。  なお、政府側より灘尾文部大臣久保文部政務次官村山管理局長島人事院職員局長尾崎人事院給与局長が出席いたしております。  質疑の通告がありますので、これを許します。小野君。
  17. 小野明

    小野明君 教職員につきまして、給与改善ということはもちろん必要な欠くべからざることでもあるわけであります。しかし、実質賃金ともいわれるべき福利厚生という面につきましても、一般職員と同様にひとつ重視をしておいていただかなければならぬという立場から、若干の質問を申し上げたいと思っておるのであります。  それで、まず総理府人事局長見えですか。——それでは、人事局長がまだお見えでありませんから、人事院のほうにお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  これは昨年でありましたが、私も総裁にお尋ねをいたしたことがあるのでありますが、国家公務員には厚生経費が大体年額千円程度のものが計上されておりまして、この四十三年度からは一人当たり千三百円ぐらいに増額されていると思っているのであります。ところで、この程度の額で一体どのような福利厚生事業をやっておられるのか、調べておられれば、お伺いしたいと思います。
  18. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) ただいまの厚生経費は、四十三年度から三百円増額になりまして千三百円となったわけでございますが、この経費でもって福利厚生活動がすべてまかなわれるのかどうかという御質問でございますが、この内訳は、定期健康診断関係といたしまして、千三百円の内訳の中でございますが、四百三十円が健康診断費用でございます。それから、レクリエーション費用として七百五十円、それから表彰関係費用として百二十円、合計千三百円でございます。  ところで、その福利厚生という問題、その概念がなかなか一義的に規定しがたい問題がございますが、私どもでは、この福利厚生というその概念内容でございますが、まあ労働条件の基本的な事項、たとえば賃金であるとか労働時間であるとか、そういう基本的な勤務条件ではなく、その周辺的なものである、こういうふうに私どもは観念しておるのでございますが、たとえば住宅の問題であるとか、食堂の問題であるとか、あるいは診療施設の問題であるとか、いろいろの活動があると思います。それらの施設に要する費用というのはただいま申しました千三百円ではとうていまかない切れない問題でございまして、それはそれぞれの予算が計上されて、その予算の範囲内においてそういう施設拡充等をはかり、そういう福利厚生活動をまかなっているというのが実情でございます。
  19. 小野明

    小野明君 人事局長はお見えですね、総理府の。  いま御説明になりましたようなこの健康診断、あるいはレクリエーション表彰と、これはきわめて少ない額であると。それではこれ以外に何も福利厚生というのはやらないのかといいますと、概念的に非常に規定がむずかしいという点もありますから、その点はわからないわけではありませんけれども、かなりやはりやられておる。実際にはやられておるように指摘もされておる。臨調からも指摘をされておるし、あるいは実際にもおやりになっているのではないか、このように私は考えるのであります。  そこで、総理府人事局長お尋ねしたいと思いますが、庁費その他を福利厚生に使っておるとまあ考えられるのでありますが、その内容はどういった方面に使われておるのか、各省ごとといいますとなかなかむずかしい点があるかと思いますけれども、かなりの省にわたって特徴のある点がありましたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  20. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) お答え申し上げます。  ただいま先生から、各省ごとに何か特徴のある予算の使い方があるのではないか、そういう点について何かわかっておる点はないかという御質問でございますが、あるいは先ほどからお答えがあったかも存じませんけれども、いわゆる国家公務員職員福利厚生経費と申しますのは、ことしから一人当たり千三百円、やや増額されましたわけでございますが、その内訳もあるいはもう申し上げたかも存じませんが、健康診断関係レクリエーション関係、それから表彰関係、大体三つに分かれておるわけでございます。  ただいま先生のお話しの点は、これ以外にあるいは予算上の措置としまして何かほかのほうからいろいろ苦心をしておるのではないかという御質問かと存じます。実は、各省で具体的にどういうことにいろいろ御苦心なさっておられますかにつきましては、まだそこまでいまのところ調査が行き届いておりませんのでございますけれども、いろいろの面につきまして、職員のなるべく福利になりますようにという点から、かなり苦心をなさっておられるやに私は承っておりまするけれども、具体的に、それではどこの省でどうなっておるかという点につきましては、残念ながらいまのとろこはっきりいたしてはおりませんということをお答え申し上げます。
  21. 小野明

    小野明君 これはどうですかね。臨調答申がございますが、その臨調答申について、この答申にうたわれている内容実現をしていくという責任はどの省庁にあるわけですか。主管庁はどこですか。
  22. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) お答え申し上げます。  御指摘のごとく、昭和三十九年に臨調のほうから、もっと十倍ぐらいにするようにという御勧告を得ておるわけでございます。つきましては、努力十分——十分と申しまするか、あるいは足らない点はございまするが、努力はとにかくいたしておるつもりでございます。この点、いまのこういう関係につきましては、実は総理府人事局とそれから人事院の御関係のほうと協力いたしましていたしておるわけでございまして、では、この勧告実現の何といいますか、衝に当たるといいますか、責任といいますか、一体それはどこにあるかという御質問でございますけれども、この点につきましては、直接的には各省庁がいろいろおやりになるという点に尽きるかと存じまするけれども人事院並び総理府人事局といたしましては、各省課長会議等におきまして十分なる連絡調整をはかりまして、一体となってこの実現に邁進するというのが現実の姿であると申し上げてよかろうかと存じます。
  23. 小野明

    小野明君 そうしますと、この福利厚生費内容に関する限りは、総理府なり人事院でやっぱりイニシアチブをとってやらなければならぬのだ、こういうことですね。
  24. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 仰せのごとく、各省とのいろいろの協議をしまして、人事院人事局で手分けいたしまして、単価の増額等につきましてはお願いを申し上げておるということでございます。
  25. 小野明

    小野明君 そうしますと、三十九年の九月に、この問題に関して臨調答申が出ておるわけであります。この答申によりますと、「国家公務員福利厚生面一般に貧弱である。いわゆる法定外福利費職員二人あたりわずかに年額九百円」、現行千円でありますけれども、「に過ぎず、民間企業比較してもはるかに低額である。その結果、予算不当流用外郭団体からの援助等弊害を生じている。また福利厚生施設等には、省庁によって大きな不均衡がみられる。」と、こういうふうに指摘をされておるわけですね。  それで、この問題は、それでは予算不当流用あるいは外郭団体からの援助、こういう問題は、具体的には何なのか、どういう事実を指摘しておるのか、これが当然総理府なり人事院のほうでは握られておらなければならぬと思うのであります、この主管省であればですね。そこで、この内容は一体どういうふうになっておるのか、ひとつ各省庁ごとに明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  26. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) ただいま先生の御指摘臨調答申でございますが、民間に比べて非常に低い、民間のほうは官庁に比べて十倍もそういった法定外福利費用が充実しているという意味答申でございますが、一体その答申の基礎となった資料といいますか、どういう根拠に基づいてそういう答申がなされたのか、私どもではいろいろ調べたんでございますが、残念ながら、その根拠といいますか、資料は見当たらないわけでございます。どういう事実をさしてその十倍も違うといっているのか、単なる——たまたま厚生経費として計上されております、三十九年で申しますと九百円でございますが、この九百円というものだけを単純に見て、民間に比べて非常に低いと、こういうふうに言ったのかどうか、その辺が私ども実は非常に判断に苦しんでいるわけでございます。  たとえば、日経連調査によりますと、法定外福利経費として、たとえば住宅について申しますると、最近の資料では民間の一人当り一カ月千七百一円という数字が出ております。しからば、こういう数字について、住宅問題について国の場合はどれだけの経費が、予算が盛られているかという点を調べてみますと、たとえば四十三年度の予算で申しますると、宿舎関係予算総額としては九十九億四千万円の予算が計上されておるわけでございます。その対象となる職員が約四十八万六千人余りございますので、一人頭にいたしますと約二万円余りの金額が予算的に計上されておるわけでございます。これに見合う民間従業員一人当たり年額事業主負担額としては約一万八千二百円で、これで見ますると、必ずしも宿舎関係予算が国の場合は民間に比べて劣っているということは言えないんじゃないか。たとえば、別の角度から申しますと、国設宿舎入居率等民間の同種の社宅の入居率比較いたしましても、国の場合は二七・五%の入居率がございますが、民間の場合ですと二七・八%、おおむね見合っているわけでございます。宿舎について、住宅関係についてたまたま私ども調べた点を申し上げたわけでございますが、その他生活援護的な費用として、たとえば給食施設であるとか、理髪の問題であるとか、あるいは医療施設の問題、その他いろいろ福利厚生活動内容はございますが、私どもでは、いままでの調査によりますと、十倍というのは、とてもそういう差があるとはとうてい考えられないというふうに考えているわけでございますが、この点につきましては、もう少し私どもでもいろいろな角度から調査し、現在も研究し続けているというのが実情でございます。
  27. 小野明

    小野明君 臨調答申は納得しがたいというような御答弁なんですが、私のお尋ねしているのは、そのあなたが答弁されている以前の予算不当流用、あるいは外郭団体からの、何ですか、寄付金ですか、援助等弊害を生じている。だから、この事実はどのように握られているのか。これがわからないで、あまり公務員民間団体の場合も違わぬのだと言われても、その事実をしっかり握って説明されぬことには私ども納得できないんですね。
  28. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいま先生のおっしゃいました臨調答申の中に、低額のために予算不当流用外郭団体からの援助等弊害が生じているという文句があるけれども、これについて具体的につかんでいるかという御質問でございまするが、この点につきましては、どうもわれわれのほうといたしまして、予算不当流用等につきましては、これはまた別途検査をされるあれがございますけれども、また外郭団体等からの援助といいましても、これなかなか各省ごとにいろいろむずかしい問題があるようでございまして、実はわれわれといたしましてこれはつかんでおらないのが現状でございます。
  29. 小野明

    小野明君 これはそれぞれ明らかにする機関の場もありましょうけれども、やはり福利厚生面を担当されている主管庁としては、一体どういう内容、事実に基づいてこれを指摘をされているのか、あるいは民間との開きが十倍程度もあるのだ、それを十倍程度引き上げなければならぬのだという根拠を明らかにするのが、私は人事院なり総理府の仕事ではなかろうかと思う。この点はいかがですか。
  30. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) この答申といいますか、勧告といいますか、この点を受けまして、第一次的には各省責任を持っていろいろこういう弊害は除いていただくということが望ましいかと存じます。けれども、われわれのほうとしまして、総合調整をいたします見地から、各省にもう一ぺんわれわれとしましてはそういう点をよく聞きまして、そういう弊害なりあるいは不当のことが起きないようにわれわれのほうでは、まあ臨調が十倍程度とおっしゃっておりますが、この点はいろいろ問題はあるかもしれませんけれども、とにかく一般的には少ないということはこれははっきりしている点だとまあ確信いたしておりまするので、こういう弊害なり不当流用等の起きないような方法におきまして、予算増額等措置にわれわれとしては十分の力をいたしていきたいと、かように存じております。
  31. 小野明

    小野明君 この問題は、庁費でもって充てておるんだが、臨調指摘にもありますように、人件費福利厚生面に充てておるんだと、こう指摘をされておるんです。だから、人件費をこういうものに流用するなんていうことは、これはきわめて重大な問題でしてね、その後こういった事実があるかないか、きょうは検査院のほうを呼んでおりませんので、その点は明らかにできませんけれども、一つ問題は、そういう流用ですね、不当支出がないようにやっぱり福利厚生費増額をしておく、やみでこういうものが使われないように配慮をするということがやっぱり重大ではなかろうかと、こう私は考えるのであります。  そこで、先ほど人事院職員局長も言われておりましたが、そんなに低くはないと、こういうふうにまあ言われるのであります。しかし、まあこれは国公地公と、いわゆる公務員一般民間との比較、これは社会保険料というのはほとんど同じですからね。給与も変わりません。問題はやっぱりいわゆる法定外福利費民間でいえば企業内福祉費、これが私は見合って考えられなければならぬ問題だと思うんです。そういう観点から私は質問をしておるわけです。そういう比較が間違っておれば訂正をしていただかなければならぬと思うんです。しかし、この昭和四十一年度の日経連福利厚生費調査、これによりますと、企業福利厚生事業負担額、これは従業員一人月額七千六百九十八円、そのうちに法定外福利については四千三百十六円である、年額にして五万一千七百九十二円、こういうふうに報告をされておるんであります。日経連ですね、四十一年。これはまあ御存じかもしれませんが、これに対して、公務員については国公地公、これは別々に明らかにしていただきたいと思うんですが、実際の支出額、これは一体どれくらいになっておるのか。これは自治省のほうとも関係があります。それで、総理府のほうと自治省と双方にお尋ねをしておきますが、日経連はこういう数字を発表しておるんですが、一体どのような数字になっておるのか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。
  32. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) お答え申し上げます。  先生のおっしゃいました日経連調査につきましては、先ほどからいろいろあるいは申し上げておる点があるかも存じませんですが、この日経連のお調べになった民間調査に対して、国家公務員関係は一体どういうふうに、どんなような額になるかという点でございますが……
  33. 小野明

    小野明君 地方公務員もひとつ……。
  34. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 地方公務員のほうは自治省からお願いいたします。  この比較につきまして先ほどからいろいろお話がありましたように、たとえば宿舎関係等とって見ましても、これちょっといまのような関係、それから給食関係、その他のいろいろな点でちょっと予算的にはっきりつかめない。各省各庁でおやりになっている点もございまして、比較できない面がございます。  ただいまのところはっきり申し上げられまする点は、先ほど申し上げましたように、今年度から職員福利厚生費が一人当たり千三百円、そのほかにただいま申し上げました国設の宿舎とか、あるいは各省各庁で個々具体的にやっておりまする給食、理髪、その他のいろいろの厚生施設という点でございまして、これを総合的に一人幾らというふうに計算いたします点は、ただいまのところつかんでおらないのが現状でございます。
  35. 小野明

    小野明君 自治省
  36. 寺本力

    説明員(寺本力君) 地方公務員職員厚生費につきましても、国家公務員に準じまして、一人当たり年間千三百円を地方交付税で措置をいたしておるわけでございます。また、民間法定外福利費につきましては、先生指摘のように、昨年十二月の経団連の調査によりますると、従業員一人当たり月額四千三百十六円ということになっておるわけでございます。まあこの点、確かに公務員福利厚生費が現行の額で必ずしも十分でないという気はいたすわけでございまして、自治省といたしましては、地方公務員の福祉の増進のために今後ともにこの増額について努力をいたしてまいりたい、そういう気持ちを持っておるわけでございますが、ただ、先生指摘民間公務員の場合の比較という点に相なりますると、非常に問題があるのでございまして、たとえば通勤費のように公務員におきましては通勤手当で措置いたしておる、あるいは被服費のように被服の貸与規程というようなもので県がやっておる、あるいは住宅費のように地方公共団体職員住宅として建設をしておるというようなものもございますし、また育英、あるいは育児、奨学、あるいは給食、こういうようなものにつきましては、対住民というような関係もございまして、地方公共団体自体で直接実施しにくい、こういう問題がございますので、表面的にこの比較をいたしますることは非常に困難であるわけでございます。  そのほかにまた、地方公共団体といたしましては、千三百円の交付税措置のほかに、独自でいろいろ厚生事業をやっておるようなものもあるわけでございますが、かりに標準府県といたしまして岐阜県を一つ例にとって、民間の厚生事業費と比較をいたしてみたわけでございますが、そういたしますると、総額におきまして岐阜県のほうが約三千円でございます。民間のほうが四千三百十六円となっておりますので、千円程度県の場合標準府県におきまして下回っておるというような結果が出ておるような状況でございます。
  37. 小野明

    小野明君 総理府なり人事院におきましても、特に民間公務員との差ということで給与に違いが出れば勧告をするということになっておる。しかし、そこに働く労働者そのものにしてみれば、やっぱりこういった福利関係も重視をしませんと、この辺も比較は非常にむずかしい点があるかと思いますけれども、やっぱりこの考慮の中に入れておきませんと、人事院が出しておる勧告そのものの信憑性——実質その労働者を取り巻く生活改善の模様は一体どうなのかということになりますと、正鵠を得ない点が出てくるのではないか、こういう心配を私は持ってくるのであります。  日経連が明らかに法定外福利費として月額四千三百十六円、しかも年額五万何がしを計上しておる。それで、国公地公の場合は千三百円である。こういうことになると、これは非常に私は問題があると思うのです。それで、日経連報告は一体どういうことなのか、どういうものに基礎を置いておるのか、あるいはこの調査公務員調査人事院がやられておる調査というものはどこが違うんだという点を、ひとつ明確にしてもらわなければ困ると思うのです。それで、これはたとえば住宅の問題にしても臨調指摘しておる。「公務員住宅のうち義務的なものと福利厚生的なものとを区別し、設置基準を明確にした上、できる限り速かに少なくも民間企業の線までの充足をはかるべきである。」、こういうふうに臨調住宅の点については指摘をしておるわけです。ですから、日経連のこの報告調査というのは一体どうなんだ、この点をひとつ少し御研究をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  38. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) 人事院といたしましても、福利厚生活動につきまして当然研究し検討しなければならないということは、よく私ども承知しております。したがって、ただいま先生の御指摘のような問題につきまして、臨調答申なり、あるいは日経連調査について、どういうようなものの考え方からこういう数字が出たのか、こういう答申が出たのかということについていろいろ研究しているわけでございます。まだその詳細な結論は出ておりませんが、それぞれの項目につきまして、私ども力が足りないのでございますが、いろいろ検討はしている、なお今後ともその点につきましては十分考慮してまいりたい、このように考えておる次第であります。
  39. 小野明

    小野明君 文部省の管理局長にお尋ねをいたしたいと思います。これはいまの質問でお聞きのように、一体教職員については、それでは福利厚生の実施状況は一体どういうふうになっておるのか、この点をまずお尋ねをしたいのですが、またそれに要する費用のうち使用者が負担をしておる額は一体幾らなのか、そしてその事業内容は一体どうなのかということをお尋ねをしたいと思います。
  40. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 教職員は、国立学校、それから公立学校、私立学校と三種類ございます。国立及び公立学校につきましては、先ほど総理府並びに自治省がお述べになった公務員一般原則と教職員もほぼ同様でございます。たとえば国家公務員でありますれば、年額一人当たり千三百円の福利厚生費予算措置がなされておりますし、それから公立学校教職員であればやはり年額一人千三百円の財政措置がなされております。それによって給付内容も、ほぼ同様の健康診断あるいはレクリエーションないし表彰といったような事業が行なわれておりまして、特に教職員として変わった点はございません。
  41. 小野明

    小野明君 教職員については変わりはないということですが、地方公共団体では、職員に掛け金を負担させて、県から補助金を出して互助会を組織をしている県がかなりあるわけです。教職員互助会ですね。これは御存じだと思いますが、これの設置状況並びに補助金額、地方公共団体から補助を出している、その千三百円のものに基づいて補助を出していると思うのですが、この補助金額の一人平均額というのは幾らになるか。そうして互助会の事業内容は一体どういう内容になっているか、御説明願いたい。
  42. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 地方の教職員福利厚生を広くとらえますと、そのための基本的な制度といたしましては、使用者が直接行なうもののほかに、地方公務員の共済組合がございます。地方公務員の共済組合は、一般職員、警察、教職員というぐあいに分かれておりまして、教職員につきましては公立学校共済組合があって、そこで短期給付及び長期給付事業をやっているわけでございますが、御承知のように、現在の公立学校教職員共済組合が現在の形になりましたのは昭和三十七年以来でありまして、それ以前から事実上の教職員の互助の仕組みといたしまして、これも教職員だけではなしに一般職員あるいは警察職員にも同様のものがございますが、互助会組織が行なわれているのは事実でございます。現在では、これは四十一都道府県に設置されておりまして、ものによりまして、条例によって設置されているもの、あるいは任意に設置されているもの等、必ずしも一様ではございません。これに対しまして都道府県が補助をいたしているのも、大体県によって違いがありますが、平均いたしまして年額三千円程度の補助をいたしているようであります。掛け金につきましては、互助会のそれぞれの自主的な規約によりまして、およそ職員一人当たり給与の一%から一・五%程度の掛け金をもって運営がなされているようでございます。
  43. 小野明

    小野明君 人事院のほうに、ほかの委員会に呼ばれているようですが、再度お尋ねをしておきたいと思うのです。あなたのほうでは勧告を毎年出されている。しかし、教職員なり、地方公務員国家公務員にいたしましても、先ほどから申し上げているように、民間との賃金の差ということが問題になっている。しかし、実際の公務員教職員の場合には、この法定内福利はもちろん、法定外福利というものが合わさって実質賃金を形成していると思うのです。そうしますと、この日経連調査報告についても、あまり検討しておらぬ。いま検討中である。私は昨年も総裁にも申し上げている。この問題、非常に重要だから検討して、ぜひ勧告の中に入れてもらいたい、こうまで申し上げているのです。ところが、調査中でございますというぐらいの答弁で、それでは一体人事院公務員民間との賃金の差というものをどのようにつかまえているのか。相手の日経連が堂々と発表しているのに、これに対してどうだということも言えない。全く情けない状態じゃないか。これについて、私ははっきり勧告の対象としてもらいたいという要求をすると同時に、この日経連調査あるいは臨調の意見等についてもひとつ調べてもらいたい。そしてその結果を報告をしてもらいたい。このことを要望しておきますが、最後に御答弁いただきたい。
  44. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 先に給与関係をお答え申し上げたいと思います。  先生実質賃金とおっしゃられたわけでございますけれども、これは被用者が受けますところの便宜とか利益とか、そういうものを総体的な感じでお話しになっているかと存じます。その中には、いわゆる賃金と、それ以外の福利厚生関係が含まれるのではなかろうかというふうに思うのでございます。  で、福利厚生関係賃金との関係につきましては、その性格、区分という関係がいろいろ問題になっていることは御承知のとおりでございまして、基準法でも給与法でも税法でも、いろいろこまかい議論をしておるわけでございます。で、申し上げるまでもございませんけれども、私どものほうの給与の立場から申し上げますと、給与のほうは労働の対価ということでございまして、使用者が支払わなければならないものというはっきりとした内容を必要といたしております。したがって、評価も、たとえば現物給与的なもので評価が必ずしもはっきりしない、そういったものにつきましては、賃金給与概念の中としては原則として排除するという性質になっておるものでございます。で、基準法でもそういうふうになっておりますし、給与法でも、一般給与法でも、それと大体対応した関係におきまして、給与というのは労働の対価としてはっきりとしたものであるという観念をしておりますし、したがいまして、宿舎、食事、制服、その他これらに類する有価物、現物給与的なものが職員に支給されまたは無料で貸与される場合には、これは給与の一部として法律によって調整をする。したがって、原則としてはそういうものは給与ではございませんけれども、そういうものが真にほんとうに給与目的で支給される場合に限りまして、法律でこれを俸給の一部として調整するという厳格な規定を設けておるわけでございます。現在におきましては、そういう給与法の五条の規定によって現物給与として、給与目的として支給されるようなそういう宿舎、食事、制服等につきましてはまだ調整しているものはないわけでございまして、現在はすべて給与は現金で支給されるという形になっているわけでございます。したがいまして、いわゆる福利厚生関係におきまして職員に便宜を与えるという関係は、一般給与法における給与概念には入っておらないわけでございまして、したがってそういう意味合いにおいて給与に関する報告勧告という概念には普通一般的には入らないというふうに考えているわけでございます。  もちろん、それ以外の先生の御指摘の問題につきましては、先ほどから御審議がなされておりますように、給与給与として民間との比較をするということとあわせまして、福利厚生関係につきましては、それはそれなりに調査をして、いい状態に推進をするということが必要じゃなかろうかというように考えておるのでございます。
  45. 小野明

    小野明君 そういうことをあなたが言うから、公務員がいつまでも千円、九百円、この前までは千円だった。やっと三百円上がったわけですね。民間のほうが五万も、しかも法定外で上がっておる。臨調も、十倍程度上げろと、こういう指摘をしている。あなたも公務員でしょう。自分のことだと思って、ひとつまともに受けとめてもらいたいと思う。  賃金だけを比較すれば、それはそうかもしれません。しかし、公務員の人の生活というものは、それは社会保険もある、あるいは企業内福祉、こういうもの、いわゆる福利厚生というものが合わさって構成をされておるものなんです。だから、この面は人事院としては、いわゆる臨調指摘をしておる、これだけ法定外福利で差があると臨調指摘をしておるこういう問題を、これは純粋な給与ではないからよろしいのだ、比較の対象にならないのだ、こういうことで人事院がおって一体いいものかどうかですね、この辺は総理府の見解もいただきたいのですがね、いかがですか。
  46. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 誤解があってはなりませんので、もう少し真意を申し上げたいと思うのでございますけれども、私はもっぱら給与のことをやっておりますので、先ほど先生の御指摘の上では、給与勧告報告の中でそういうことを処理したらいかがであるかという御質問でございましたので、福利厚生関係は、基準法の関係から申しましても、一般給与法の関係から申しましても、給与概念には一応入らないと、したがいまして、給与に関する報告勧告には一応入らない問題でございますということを申し上げただけでございまして、それ以外における福利厚生関係をそのままにしておいて、現在の状況で放置しておいていいかどうかという問題については、これば別の問題でございまして、問題としては、先生の御指摘のように十分民間調査もいたし、中の調査も十分いたしまして、適切な状態に持っていくということが望ましいことは申すまでもございませんで、その関係はいままで御審議になりました方向で、私どものほうといたしましては職員局の方向で推進をするということであろうというふうに考えるのでございます。
  47. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。それじゃ、人事院はどういう方法で一体その福利厚生の充実をはかるのですか。勧告でなしとすれば、具体的にどういう方法ではかるのですか。また、千三百円になったことについては人事院はどういう関係の働きをその間でやったんですか。この点をひとつお答えをいただきたい。
  48. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) 給与局長はもっぱら給与勧告という角度から申し上げたわけでございますが、こういう問題について人事院はどういうような働きかけをするのかと。公務員法のそういう関係を拾ってみますと、公務員法の二十二条に、「人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。」という条項がございます。あるいはまた二十三条には、「この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に」申し出ると、こういう権限もございます。  ところで、福利厚生の問題でございますが、まあ大部分はこれは人事局の所管になっております。しかも、その福利厚生というものは、私が先ほど申しましたように、勤務条件の基礎的な事項ではなく、その周辺的な問題であると、使用者が労務管理上行なうサービスといいますか、そういう性格のものであろうというふうに思いますが、しかしながら、その福利厚生の中身いかんによりましては勤務条件そのものにもかなり影響がございますので、人事院としてもこの問題に無関心であってはならないというふうに考えております。したがって、いま申しましたような問題につきましては、私のほうでもただいま小野先生からいろいろお話がございましたような点につきまして、今後とも研究を続けてまいり、その点について総理府とも十分御連絡申し上げ、またその調査の結果著しく官民の開きがあるということでございますれば、いま申したような法律の規定もございます。そこまで踏み切るかどうかという問題は、これはまた将来の問題でございますので、私から軽々にそこまで申し上げることはいかがかと思いますが、法律的にはそのようなことでございます。  で、千三百円の問題につきましても、これは実質的には総理府と絶えず御相談しながら大蔵当局に働きかけてまいって実現したような次第でございます。
  49. 松永忠二

    ○松永忠二君 お話はわかりましたが、事実上、いま自治省からお話があったように、自治省比較的的確に地方公務員民間の実態をよく知っているわけです、答弁を聞いていても。ところが、あなたのほうは比較的そういう点について的確性を欠いた答弁をやられているわけです。また、事実、小野さんがいま質問されている地方公務員の互助会あるいは地方の教職員の互助会等の組織があるのに、国家公務員にはそんなものは全然ないわけですよ。そういうことについても非常におくれているわけなんです、国家公務員は。そういうことが明らかになって、すでにお話のように臨調のそういう報告もなされ、勧告もなされている。日経連からもそういうような関係も出ているわけなんです。こういうときこそ、ひとつはっきり調査をされて、関係の法律を活用をして明確なやはり勧告をしてもらう。勧告をしてもなかなかそれが実現するということは容易じゃないわけなんですから、だから、こういう点で最大の努力を傾けていただかないと、私たちもきょうの答弁を聞いていて、むしろ人事院のほうが的確な資料内容の把握がなされて答弁されるというふうな筋合いだろうと思うんです。そっちのほうは非常にばくとされておるのに、自治省のほうはむしろ地方公務員の実態をよく福利厚生について把握をされておるということは、少しそういう点についてやっぱり賃金じゃないんだという考え方、外側のほうなんだという考え方が出てきて、そういうことになっているのではないかというふうに心配をするわけなんです。だから、いま御答弁のありましたように、ひとつ十分調査をされて、きめられた権限内で勧告をされて実現の運びになるように、御努力をひとつ要請をしておきます。
  50. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) ただいまの御質問でございますが、人事院としてそういう問題については何にも調査していないじゃないかというような向きのお話でございますが、実はかなり詳しい調査もしております。おりますし、ただ、ここで結論を申し上げますと、私どもの結論がどうも民間と比べてそれほど劣っていない、こういう調査がいろいろ出ておるもんでございますから、その点を数字で実は申し上げかねる問題がいろいろございますので、いかがかと思って遠慮しておるわけでございますが、もう少し実はその点は深く調査いたしまして、自信のあるものを申し上げたほうがよろしいのではないかという感じがいたしますので、実はこの問題につきまして目下調査の途上であるということを申し上げておきたいと思います。
  51. 小野明

    小野明君 その問題はひとつ、厚生経費として千三百円でしょう、それだけしか国の予算はない。それで、民間日経連調査はこれだけ、五万もある。こういう基礎から考えると、どうして公務員のほうが悪くないというような結果になるのか、それはちょっとふしぎに思う。
  52. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) これはさっきも申し上げましたように、住宅関係だけをとらえてみましても、たとえば日経連調査でいきますと月額千七百円という数字が出ております。ところが、わが方でいきますと、それに見合う経費としては一人年額二万円余りの金額が出ておるわけでございます。そうすると、この問題について言いますと、民間住宅問題についてはほとんどまあそう劣ったものではない。  たとえば医療施設関係を少し詳しく申し上げますと、医療施設におきまして、国の中央官庁四十二機関について申しますと、単独設置の機関が二十五機関でございます。共同設置の機関が十機関、他省庁のものを利用している機関が二機関でございます。全体として八八・一%が何らかの形で設置しておるわけでございます。ところが、民間について申しますと、五百人以上の規模の事業所について申しますと、設置率が八五・三%。おおむねこの設置の基準といいますか、設置率については民間に比べて決して劣っていないという数字が出ているわけでございます。  それから、たとえば給食関係について申しますと、そういう給食の何らかの施設を持っている機関が国の場合では九七%ございます。民間で申しますと、八一・四%。これについても国のほうがむしろ民間よりか進んでいるわけでございます。  ただ、こういう問題について金額がそれじゃ幾らなのかということになりますと、金額のはじき方が非常にむずかしいという点がございますので、数字の上ではたして民間に比べて劣っているのか進んでいるのか、その辺は私どもはもう少しいろいろな角度から研究いたしませんと申し上げかねる、こういうことで、実はさっきいろいろお話がございましたが、あまり詳しく、その点はもう少し調べてからということで御遠慮申し上げたような次第でございます。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまたまたま住宅の問題が出たので、ちょっとお聞きしたいのですが、国家公務員公務員住宅について、課長職以上の者が入っている率ですね、それから課長補佐以下、こういう分け方はどうかと思うけれども、どの程度公務員宿舎というものに入っているのか、それをまず聞きたいと思う。これは総理府のほうに。
  54. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) それは大蔵省の……。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 それじゃ、総理府はわからぬのですか。
  56. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) はい。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 こういう点については、人事院のほうはどういうふうに思っていますか。
  58. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) それは大蔵省の所管でございますので、私どものほうではつかんでおりません。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 それじゃ、端的に聞こう。それでは、人事院自体として、たとえば人事院職員住宅関係について現実にどうなっておりますか。いまの私が言うように、いわゆる課長以上の者、あるいは課長以下の者、そういうものの公務員住宅の充足関係、そういうものはどうなっておりますか、人事院については。
  60. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) 人事院職員についてでございますか。
  61. 岡三郎

    ○岡三郎君 そう、人事院の人について。
  62. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) 人事院職員について申し上げますと、課長職以上について公務員宿舎に入居を希望している者については一〇〇%入居しております。それから、課長補佐についてもおおむね、希望しながらはいれないという数はほとんどないように私は承知しております。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 ほとんどないというが、そこら辺はっきりしてくれないかな。
  64. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) その点は実は明確にしておりませんが、これはまず一〇〇%と申し上げていいと思います。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 その下。
  66. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) 係長につきましては、まだ必ずしも十分……
  67. 岡三郎

    ○岡三郎君 どのくらいの充足率。
  68. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) その点はいま手元に資料がございませんので、ちょっと申し上げかねます。
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 一般職員は。
  70. 島四男雄

    政府委員島四男雄君) 一般職員についても、まだ一〇〇%ではございません。多少入りたくてもはいれないのが若干ございます。その数字は実はいま手元にございませんので、明確なことは申し上げかねます。少なくとも課長補佐以上については一〇〇%入居していると、こう申し上げてよろしいと思います。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、これは大蔵省の国有財産局になるのかどこになるのかわかりませんが、そこでやっていると思うのですが、総理府自体にこれを見るというと、われわれが関知するところでは、やはり高級公務員のほうは大体公務員宿舎に入っている。下級公務員のほうは比較的そういうふうな点については恵まれておらぬのじゃないか。これが逆にならねば私はいかぬと思うのですがね。要するに、こういう問題について総理府はどういうふうな充足率になっていますか。
  72. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 手元にちょっと資料を持ってまいりませんでしたので、正確なお答えは申し上げかねますが、ただいま人事院がお答え申し上げた大体その方向でございます。大体各省似たような方向でございます。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、たとえば課長、局長、あるいは課長補佐、こういうふうな人の住居のかまえ方というものは、大体坪にするなりそういうものにすると、どういうふうになっておりますか。これはわからぬですか。あなたが入っているところはどうなっていますか、局長クラスは。
  74. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ちょっと、どうも数字に弱いものですから……。私がただいま入れてもらっておりまする公務員宿舎は、アパートの建物でございまして、部屋数は八畳、六畳、四畳半の畳でございます。それから、別に四畳程度の板の間と、それから何といいますか、リビング何とかといいますか、ああいう板の間の応接間みたいなものでございますが、それが大体……。
  75. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまはやりの何LDKとか、あるだろう。
  76. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) それがちょっと弱いのです。その八畳ちょっと広いぐらいの板の間が、別に応接間みたいのがございます。あとは御承知のようなおふろと、それから……
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、これはクラスによって違っていますか。
  78. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 私の個人の体験といいますか、経過から申し上げますと、最初昭和三十年ごろには六畳の間と四畳半二つのところに入れていただきました。
  79. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこはいまだれが入っていますか、どういうクラスが。
  80. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) その後五回かわっておりまして、まあ御承知のように年ごとにだんだん充実したものができまして、まあ私も年月がたつごとに少し広いほうに、新しくできたところに入れてもらっている次第でございまして、いろいろ種類がたくさんあるようでございます。
  81. 岡三郎

    ○岡三郎君 私の聞いているのは、たとえば局長クラス、あるいは部長クラス、あるいは課長クラス、ここに境目があるのかどうかということを聞いているのです。文部省あたりはどうなんですか。あなた、局長ですから、局長は何LDKに住んでいるのか、課長になるとどうなるのか。  一般的に私が聞いているのは、住宅事情という問題についてもいろいろ考え方があるけれども公務員宿舎自体が全体的に不足している。こういうふうな面で、かなり国有財産局等においても、いろいろと建設用地というものを獲得するのに苦労している。しかし、各省庁によってかなりまたこれが違うし、これはたとえば前のオリンピックのあとの施設を利用して税務職員にこれをしたとか、あるいは最近においてはいわゆる運輸省の高級公務員が国鉄の官舎に入っているとか、いろいろ住宅事情については指摘されてきているわけです。そういう点で、あるいは上に立つ人が、いわゆる官舎というものを払い下げてもらったとか、いろいろな事例があって、いまかなり住宅の問題については国民的に関心を持っている。そういうふうな中において、国として一体こういうふうな問題についてどういうふうな一つの方針をもって建設しているのかということについて、これは大蔵省に聞きましょう、あとで。  いま私が聞いているのは、どうも歯切れが悪いのですが、私の言っているのは、いわゆる課長、部長、局長になると、だんだん広くなるのかどうか。その家族の構成とか、そういうものではなくて、クラスによって広さが違ってくるのかどうか、こういう点がどうなっているのかということをもう一ぺん確かめておきたいのですが、これはわかりませんか。
  82. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 大蔵省は来ておりますか。答えられますか。
  83. 佐藤吉男

    説明員佐藤吉男君) いや、答えられません。これは局が違います。
  84. 岡三郎

    ○岡三郎君 局が違うから、宿舎事情がわからぬ。だけれども、みんな自分で入っているのでしょう。入っているならば、大体わかりそうなものだと思う。これは架空的なものではなくて、現実的に自分たちが入っておる問題だ。大臣の、何というか、邸宅というか、これは大臣はときどきかわるから、これは家賃は払っておらぬと思うのですが。
  85. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) そんなものはないですよ。
  86. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういう大臣官舎というのはないですか。
  87. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ないです。
  88. 岡三郎

    ○岡三郎君 大臣というのは浮き草稼業みたいなものだから、ないのかもわからぬけれども、しかし、人事院総裁とか、何とか公団の総裁とか、いろいろなああいうものについては、ああいう職種についてはあるのでしょう。どうです。総理府、わからぬですか。どうも住宅には無関心らしいな。たとえば参議院には、参議院事務総長にはちゃんと宿舎がありますよ。次長にもあります。あと下へ来るというと、公務員宿舎に入っておる。そういうふうな形で、たとえば人事院においては人事院総裁が入っているところは家賃を払うのか払わないのか。——わからない。そうかなあ。
  89. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) それでは、小野君の質問を続けていただいて、なお、わかったら答弁してもらいましょう。
  90. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) いまの先生の御質問には正面からお答えするのはちょっと何でございますけれども人事院といたしまして、この宿舎の問題につきましては、従前から職員団体等の希望、職員側の希望も非常にございまして、それについていろいろ調べてまいってきているわけでございます。  それで、給与勧告の中には直接は入らないわけでございますけれども、それと同時期に従来人事院総裁から総理大臣及び大蔵大臣に対しましてこの関係の充実方を要望をしてきているわけでございます。一番最初は、昭和三十九年にこの関係調査をいたしましたところ、第一点といたしましては、民間入居率を調べてみましたところ、公務員のほうは約二割で、民間のほうは二六%であったという関係で、相当な入居率の違いがございますので、この関係の充実方をお願いいたしたいということが第一点でございます。それから、第二点といたしましては、入居の関係におきまして、ただいま先生から御指摘がございましたような関係といたしましては、人事院のほうのやっております中で、職員の採用という問題がございます。つまり、地方から人を採るといったような場合に、どうしても住居があるかないかということでいわば勝負になる場合が相当ございます。かつ、若い人において入りたいという希望が非常に多うございますので、そういう関係につきまして、独身寮を建てるとか、あるいは若い人たちにつきましても入居ができるだけできるような形に建ててもらいたいという二点につきまして要望をいたしてまいっておりまして、政府とされましても、その関係を非常に重視することによって、大体この次の年度から約一万戸ずつ、これには共済組合からの施設の建設というものもかなり入っておりますけれども、毎年一万戸程度ずつ増設がなされてまいっておりまして、昨年民間入居率を調べましたところが、大体公務員のほうにおいても、民間はほとんど二六%程度で動いておりませんが、公務員の場合には二〇%が二六%程度になってきたということで、いま職員局長から御報告がございましたように、ほぼとんとんの状態になってきているという関係で、こういう施設の状況は非常に充実してきているというのが実情でございます。
  91. 小野明

    小野明君 人事院はもうよろしいです。  自治省お尋ねをいたします。きょう行政局長においでいただきたいと思っておったのですが、まあしかたがありませんが、互助会の掛け金の社会保険料控除に関連をいたしまして、昭和四十一年の六月に行政局長から通達が出されております。それによりますと、いま互助会が行なっております短期給付について、四十四年の三月三十一日までに共済制度の充実によって吸収せい、こういうことになっておるのであります。それで、この共済組合の短期給付の整備拡充という問題が前提になっておるのですが、この整備拡充という問題は、この通達か出されて以来どういった措置がとられておるのか、また互助会の事業による補完が必要でなくなるまでの社会保障の充実、こういう問題についての見通し、展望というものについて伺いたいと思います。
  92. 寺本力

    説明員(寺本力君) 昭和四十一年の六月十六日付で、自治省行政局長から、職員の組織する互助会の運営について、という都道府県知事あての通達が出されておることは事実でございます。この通達が出されるに至りました理由につきましては、先ほど先生が申されましたように互助会の掛け金を職員がいたしております。この互助会の掛け金につきましては、昭和四十年の所得税法の改正によりまして、社会保険料控除の対象としないこととされたわけでございます。そこで、法律上そういうことになったのでありますけれども、まあ申せば、激変緩和と申しますか、暫定措置、経過措置といたしまして、若干の期間その互助会の掛け金を社会保険料控除の対象とするという特例を施行令で認めるという措置がとられてまいってきたわけでございます。その特例措置が適用になりますのは、来年の三月三十一日までということに相なっておるわけでございます。その措置が講ぜられました際の与野党並びに政府側の相談によりまして、将来この互助会の医療給付、互助会が行なっております家族療養費の付加金というような制度につきましては、これを共済組合の付加給付の中に漸次吸収をしていく、そのかわり、その三年間という間は社会保険料控除の対象として取り扱おう、こういうような与野党、政府間の話し合いのもとにこの通達が出されておるという背景があるわけでございます。  そこで、この通達に基づいていかなる措置がとられたかということでございますが、四十二年度及び四十三年度の地方公務員共済組合の事業運営の基本方針というものを出しておるわけでございます。この毎年度出しております事業運営の基本方針におきまして、国庫の家族給付が七割でございます。これと見合うように付加給付につきましても漸次充実をしていくようにという指導をいたしてまいっておるわけでございます。現実に共済組合の付加給付はかなり充実をされてまいっておるわけでございます。したがいまして、その限りにおきましては、互助会の医療給付というものが共済組合の付加給付によって肩がわりをされておるというような実情に次第になりつつあるということでございますが、これは要するに、互助会でございますと、職員が掛け金を払う部分が多くて地方公共団体が負担する部分が非常に少ないわけでございます。したがいまして、それを共済組合の付加給付のほうに吸収いたしますと、これは折半で地方団体職員が負担をするというようなことに相なるわけでございますので、そういう見地から少しでも職員の負担を軽減したい、こういう意向のもとに、できるだけ共済組合の付加給付に吸収をするという考え方でおるわけでございます。  それから、今後のこの互助会制度と一般的に広い意味での福利厚生制度と申しますか、社会保障制度と申しますか、そういうものとの関連における見通しという点でございますが、その点につきましては、われわれといたしましては、互助会の性質というものは非常に沿革的な存在でございまして、画一的、全国的な共済制度とはまた違った持ち味と申しますか、そうしたものを持っておるものであるわけであります。したがいまして、いわば地方公共団体が自主的に職員福利厚生という面にそれぞれ配慮をいたしておるその実情というものを、われわれは無視すべきではない、さように考えておるわけでございまして、今後におきましては、互助会の行なっております医療給付はできるだけ共済組合の付加給付のほうに吸収をいたしまして、そうして職員負担の軽減をはかるということにいたしますとともに、互助会が行なっております福祉事業、これと共済組合が行なっております福祉事業、この面における競合という問題かあるわけでございますけれども、この点につきましても、共済組合が福祉事業としてやっていくのか、あるいはまた互助会がやることにいたしまして、共済組合が事業を取りやめる、そういった点につきましては、現在、昨年度の予算によりまして、地方団体の厚生事業全般にわたりまして実態調査を実施いたしましたその結果を参考といたしまして、一つの基準のようなものでもつくってみまして、そうして互助会と共済組合の制度がともに合理的にかつ能率的に運営されてまいるよう、地方団体を指導してまいりたい、さように考えておるわけでございます。
  93. 小野明

    小野明君 どうも前のほうの答弁とあとのほうの答弁と、食い違っておるような気がするのですけれども、共済組合は共済組合としてやられる、しかし、互助会はこれは漸次短期給付なども共済組合の中に吸収してしまうのだ、こういう考え方は変わりはないわけですか、いかがでしょう。
  94. 寺本力

    説明員(寺本力君) 重ねて申し上げて恐縮でございますが、現在、家族が医者にかかったというような場合にその療養費の付加金というようなものを互助会が支給をいたしておるわけでございます。現在共済制度では家族は五割負担でございますので、それを共済組合の付加給付と互助会の付加給付で五割めんどうを見て、大体十割にしている、こういうような実情になっておるわけでございます。ところが、互助会のほうは、職員の負担という点から考えてみますと、地方団体が非常に多くの部分を負担している互助会もございますけれども、概して職員の掛け金が大部分でございます。そこで、共済組合の付加給付としてこれを実施いたします場合には、地方団体職員が半々で負担をするというかっこうになってまいりますので、現在折半で、しかも職員の掛け金の多い互助会で医療給付を実施いたしますよりも、共済組合のほうで折半負担で地方団体の半分の負担において実施するほうが職員の負担の軽減になる、われわれとしてはそういう考え方を持っておるわけでございます。ですから、互助会が行なっておりますところの医療給付にのみ限りまして、これは共済組合の付加金のほうに吸収したほうがむしろ得策ではないか、さように考えておるわけでございます。
  95. 小野明

    小野明君 そうすると、やっぱりまだすっきりしないですけれども、法の体系の上からも多少その混乱があるのではないかというような感じがするのです。というのは、地方公務員法の四十二条によりますと、これは地方公共団体の義務として使用者が全額費用を負担し、その責任において厚生制度を実施しなければならぬと、「しなければならない」と義務規定をしておるわけですね。ところが、この共済組合の短期のほうを見ますと、次に掲げる事業を行なうことができると、こういう任意規定をやっておるわけです。そうしますと、やっぱりこれは制度の上からも、法的な体系の上からも、違っておるのではないかというふうに解釈するのが妥当ではないか、こう思うんですが、この両者の関係はどうなりますか。
  96. 寺本力

    説明員(寺本力君) この厚生制度と共済制度の関係ということでございますが、非常にこれはむずかしい御質問でございますけれども、われわれとしましては、共済制度はいわば国民の生存権の保障というような見地から国の政策として国民のための防貧的な制度としてつくられておるもの、さように考えておるわけでございます。厚生制度のほうは、まあなまいきなことを申しますれば、近代的な雇用関係における被用者、使用者の立場から、被用者の労働意欲の向上と申しますか、そういう面、あるいは生活扶助というような立場から、地方団体の義務において行なう制度である。さような違いがその間にはあると、かように考えておるわけでございます。したがいまして、体系的、制度的にはこの両制度の間には明瞭な区分がある、さように考えておるわけでございます。
  97. 小野明

    小野明君 そうしますと、体系的にも別なものであれば、あなたのところの出した通達そのものは多少間違っておるんではないか、こういう解釈が成り立つわけです。  それで、もう一つ申し上げたいのは、福祉事業、共済組合の行なっておる福祉事業の額の問題ですね。これは御承知のように、共済組合の短期給付の額の九十五分の五ということになっておる。この範囲内でとされておるんですけれども、これを月額に直しますと、大体一人が七十二円ぐらいになる。たった七十二円です。そうしますと、先ほど申し上げた民間公務員との差、これを埋めなきゃならぬというような点から考えましても、この共済制度のほうの使用者側の拠出金を上回ってしまう、これを重視するならですね、こういう結果になるわけです。そうしますと、共済制度が質的に全部転換してしまわなきゃならぬということにもなるんですが、一体、この九十五分の五に押えられておる、月額七十二円に押えられた中で、しかも互助会がやっておるものを全部吸収してしまえ、こういう矛盾した通達を出された点については、これはいかがですか。
  98. 寺本力

    説明員(寺本力君) この通達におきましては、漸次互助会の給付を共済組合の短期給付に吸収することが望ましいので、別途短期給付の付加給付を充実するよう地方団体に対して指導をするほか、必要な措置について検討する予定であること、こういうことを申しておるわけでございます。この必要な措置について検討をするということはどういうことを申しておるかと申しますと、現在この付加給付につきましては、法定給付費の大体一〇%相当額というものをやっておるわけでございます。そこで、この一〇%のワクというものを多少でも拡大をするか、あるいは、昨年度行なわれました健保特例法のような措置によりまして短期給付の財源というものがかなり余裕を生じてまいるというような場合には、若干特例的な措置といたしましてこの付加給付のほうの割合というものを特例的に拡大をするか、恒常的に、恒久的な制度として付加給付の割合というものを拡大するか、あるいは暫定的な措置として拡大をするかという方法上の問題はあろうかと存じますが、付加給付のワクを拡大をするということをこの必要な措置として一応考えておったわけでございます。この点につきましては、この通達を出しまして以来、財政当局のほうと種々打ち合わせをしてまいっておるところであるわけでございます。
  99. 小野明

    小野明君 どうもわからぬのですがね。この法律によりますと九十五分の五という七十二円ぐらいの中に、互助会の事業を全部入れてしまえ、あるいは先ほどあなたが御答弁なさったように、どうも厚生制度四十二条、四十三条は体系的に別な感じがいたしますという答弁からすると、これからこれはなしくずしにいろいろなことはやられるでしょうけれども、はっきり互助会というものを認めていくか、厚生制度というものを確立するか、どっちかしかないように私は考えるのですが、この点はひとつ明確にしていただきたい。
  100. 寺本力

    説明員(寺本力君) 地方公務員の厚生制度の問題につきましては、確かに共済組合法が昭和三十七年にできましてから約五年半ばかりたつわけでございます。その間、共済制度の充実ということにわれわれとしましては追われっばなしでございまして、まことに厚生制度のほうにつきまして職務怠慢と申しますか、十分な指導もいたしてまいっておらないわけでございます。この点は非常にわれわれとしても遺憾に存じております。大体共済制度のほうが昨今軌道に乗ってまいっておりますので、次にこの厚生制度の充実整備という点に力点を置かなければならぬということで、昨年度、厚生事業の実態調査というものを行ないまして、すでに統計資料が出そろっておるわけでございますので、本年度におきましては、その結果を十分慎重に検討いたしまして、この厚生制度の整備充実という方向でわれわれも進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  101. 小野明

    小野明君 そうしますと、いまある互助会というものはやっぱり厚生制度の一環をになうものと、こういうふうに解釈をしていただきたいし、そういった何といいますか、扱い方が自治省としてもされるものかどうか、それをひとつ伺っておきたい。
  102. 寺本力

    説明員(寺本力君) 地方公共団体が独自で厚生事業を行なっておりますもののほかに、その厚生事業の一環として、互助会に補助金を出すということによって地方公共団体が互助会の運営に参加をしておる、さようにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  103. 小野明

    小野明君 総理府人事局次長に伺いますが、この点は地公法四十二条にあると同時に、国公法の七十三条の能率増進かなにか、そういった項目があると思うのですね。いろいろ自治省の方が言われるように、厚生制度そのものと共済制度というものとはっきり体系的には別である、こういうことになりますと、七十三条に即して、国公のほうにつきましても能率増進のあの条文のとおりにもっと力を入れなければならぬと思うのですが、この点は公務員の厚生制度、こういった問題についてどうですか。
  104. 宮内通雄

    説明員(宮内通雄君) ただいま自治省のほうからお答えになりましたような考え方と同じ考え方をむしろとっておりまして、所管につきましても、厚生制度につきましては総理府人事局並びに人事院で共管いたしておりますし、共済につきましては大蔵省が所管しておる、こういったことで、私のほうといたしましては、職員の厚生制度の充実といった方向で仕事を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 小野明

    小野明君 大蔵省にお尋ねをしたいと思いますが、税法の改正で、互助会から税金を取るということになりまして、互助会としても四苦八苦をしておる。普通の生命保険の会社でも、税法にいう免除団体になっておるわけですね。社会保険料を認められておる。ところが、互助会というのは、いまお聞きのように、地方公共団体が条例に基づいてやっておる。これから税金を取るということは、私は矛盾があるんじゃないか。幸いに、政令によって一年延長をしていただいたのでありますけれども、やっぱりいま自治省なり総理府が言われておりますように、はっきり地方公務員法の四十二条に基づく厚生制度、あるいは国公法の七十三条に基づく能率増進計画こういうものの一環をになうものである、こういうことになりますと、やっぱりこの地方公務員法四十一条に定めておりますような、社会的な水準に置かなければならぬという公務員福利厚生生活の実態から見ても、やはり多少のそこは——多少ではありません、税法上も当然考慮されてしかるべきではないか、このように考えるんですが、この点はいかがですか。これはまあ大蔵省と、自治省にもひとつお尋ねしておきます。
  106. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) お答え申し上げます。  先ほど小野先生質問の互助会の掛け金に関しまする税法上の扱いでございますが、これは自治省からもお答えがございましたように、四十年の所得税法の全文改正のときに、社会保険料控除の制度を洗い直したわけでございまして、そのときの基本的な考え方といたしましては、やはり社会保険料の控除というものは、御高承のように、全額所得から控除するわけでございます。ただいまお話がございましたが、生命保険料控除とその点で非常に違っております。社会保険料控除を対象にいたしますものとしては、法律による制度であり、かつ強制加入であり、強制徴収されるものであるということを基本にいたしておるというのが現在の所得税法の考え方でございます。  そういう改正を考えましたときに、当時の記録によりますと、やはり互助会というものは、いろいろな経緯はあるけれども、基本的には任意の相互扶助の組織である。したがって、ただいま私が申し上げた条件からいうと、これは社会保険料控除の対象としては適当ではない。ただ、一挙にそういう制度に切りかえをいたしますと、やはり経過的に問題が生ずるであろうということで、いわば経過措置として、政令の附則で一年間従前どおり社会保険料控除の対象にしておくという規定を置いたこと、これは小野先生御高承のとおりだと思います。その後いろいろの経緯をたどりまして、本年もまた政令改正をいたしまして、四十四年の三月まではこの掛け金は従前どおり社会保険料控除の対象にするという規定になっております。したがいまして、現状におきましては、来年の三月までで経過期間は終わる、それ以降は社会保険料控除の対象にはならないということになるわけでございます。  その間、御承知のように、昨年の改正のあとの姿におきましては、互助会の規約をある程度変えていただきまして、短期給付に主力を置き、かつ全員加入という制度的な約束を規約として盛っていただくというような規定があったわけでございます。これにつきましては、自治省からお答えがありました、漸次付加給付部分に互助会の家族療養費部分と療養給付の部分を繰り込んでいくという行政的な考え方の原則があって、本年の改正におきまして実態を見ましたところ、なおその条件が直ちに適用できる互助会というものがいわばほとんどない。これを強行いたしますると、かえって地方によっての、また組織によっての不均衡が生ずるかもしれないということが一つで、なお一年間延長いたしました。  将来の問題といたしましては、やはり全体の立場から申し上げますと、こういう強制制度でない、かつ法律に基づく制度でないものを、恒久的に社会保険料控除の対象とすることは適当ではなかろうと考えております。
  107. 小野明

    小野明君 それなら、生命保険会社というのは、これは強制加入か、こういうことも言いたくなるくらいですね。  それで、いま総理府なり自治省が言われるように、厚生制度、公務員の能率増進計画という点については、強制制度に比べてまだ研究が足りない、こういうことを言われておるわけですね。それでしかも、地方公務員法の四十二条によると、地方公共団体責任において厚生制度を実施しなければならぬ。これは互助会なんかにまかしておく性格のものではなくて、地方公共団体責任を持ってこの制度をつくらなければならぬわけです。また、国家公務員法に基づきましても、いま総理府人事局次長の言われたように、また法律にも書いてあるように、実施しなければならぬわけですね。その一端をになっておる、こういうことになりますと、当然私はしかるべき措置というものがなされていいのではないか、こういうふうに考えるのですがね、重ねてお尋ねしておきます。
  108. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) ただいまの小野先生指摘の生命保険料控除とのバランスという問題は、これは将来の問題として私どもも研究は十分いたすつもりでございます。ただ、申し上げましたように、生命保険料控除というものは、これは無制限ではございません。年間のワクがございまして、そのワク内で、どの保険会社に支払ってもそのワク内ならばよろしいという制度でございまして、現行法では最高三万七千五百円でございますが、そのワク内にこれを吸収するかどうか、これは一つの方法として研究さしていただきたいと思います。
  109. 小野明

    小野明君 総理府人事局長さん、自治省お尋ねしたいのですが、厚生制度は七十三条に基づいて使用者の公務員を使っておる責任の官庁がきちっとしなければならぬ性格のものであると私は考えるわけですね。そういたしますと、そういった一端を地方公務員の場合には教職員の互助会あるいは県職員、市職員の互助会というものがになっておる。そうすると、現状はそういうことであるけれども、将来の計画として、この厚生制度、四十二条に基づく制度なりあるいは七十三条に基づくそれぞれの実現というものは、一体どのようにお考えなのか、これをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  110. 宮内通雄

    説明員(宮内通雄君) 先ほど来局長が答弁いたしましたように、人事院とも協力いたしまして、臨調の御答申あるいは御指摘民間との比較等を十分検討いたしまして、従来の実績を十分考慮の上、その充実をはかってまいりたい、かように考えております。
  111. 寺本力

    説明員(寺本力君) 先ほども申し上げましたように、われわれといたしましては、本年度の課題といたしまして、厚生制度の整備充実という点につきまして何らかの方向を出さなければなるまい、さように考えておるわけであります。せっかく昨年度実施いたしました調査結果がまとまっておりますので、これを中心にいたしまして、鋭意検討いたしたい、さように考えておるわけでございます。
  112. 小野明

    小野明君 総理府人事局次長、もう少しこれは、その場限りの答弁ではなくして、あなたにはできぬかもしれませんが、明確なひとつ充実計画というものを立てていただきたいと思うのです。法律のことに関する限りは、前の増子人事局長の衆議院の地方行政委員会での答弁があるのです。あなた御存じか知りませんが、地方公務員法四十二条のほうがはるかに進んだ法律である、七十三条もそれに合わして検討しなければならぬという答弁がなされておる、昨年ですね。  それで、その上に、これはILOの勧告の二十一号、労働者余暇利用施設の発達に関する勧告、さらに百二号、労働者の福祉施設に関する勧告、それと百十五号、労働住宅に関する勧告、こういうものがあるわけです。この点については、一体総理府はどのようにお考えなのか、検討されておるのかどうか、ひとつお尋ねしておきたい。
  113. 宮内通雄

    説明員(宮内通雄君) 御指摘の、増子人事局長は昨年の七月に御答弁いたしております。その線に沿いまして検討いたしましたが、各省の実態が区々で、これは先ほど答弁いたしましたように必ずしも十分なものではございませんが、少なくとも四十三年度におきましては、例の共通経費としての厚生経費の投資単価を引き上げる、これが一番の施策であると思いまして、今年関係当局にお願いをいたしまして、まあようやくこれだけは実現を見た。あとの点につきましては、人事院調査を進めまして、充実の線を進めてまいりたいと思います。
  114. 鈴木力

    ○鈴木力君 ちょっと、これは大事なことだと思いますので、まず自治省のほうにお伺いをします。  さっきの通達の四と五、一番あとのほうはわかったような気もするんですが、大体この意味はこういうことですか。ある互助会が五〇%の医療給付をしておる、家族の場合。共済組合が五〇%の医療給付を持っておる。その場合に、おっしゃるように共済組合が一〇〇%医療給付を持てば、これは一番職員にとっては有利なわけですから、そこでこの四項の趣旨はそういうふうに指導するというふうに読めるわけですけれども、そう読みますというと、この趣旨は、共済組合がかりに短期給付を六〇%にした場合は、互助会のほうは四〇%にして、一〇%分は移行していく、そういう意味のことを言っているのですか。共済組合のほうは進行しようがしまいが、互助会のほうはだんだんだんだんに共済のほうに吸収をしていくのだ、そういう意味なのか。その意味においてはこれは非常に重要なことを含んでいると思いますから、その辺をはっきり伺いたい、こう思います。  それから、大蔵省の先ほどの答弁でどうも私は納得できないのは、一番最初に所得税の社会保険料控除の対象になりましたときには、法律に基づくというのはいまの税制で差しつかえなかったはずです。その根拠は、四十二条のいままで適用されました地方公共団体の任務のところ、この四十二条に基づいて地方公共団体が条例をもってこの種の団体を設立をして、そして事業をやっているものは、社会保険料と同じ扱いを受ける、こういうことになっておったものが、整理されてはずされているわけです。あなたはいま法律に基づかないと言うけれども、これは地方の公共団体の場合、一斉にやり得る場合でなければなかなか法律ではむずかしい。しかし、地方行政の法律の根拠は四十二条ではっきり法律があって、この法律を受けて地方公共団体が義務として議会で条例でこの事業を決定しておる。それを法律に基づかないから本来ならばこれをはずすのだという考え方で御答弁をなさる。この考え方については納得いかないので、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  115. 寺本力

    説明員(寺本力君) 先ほど小野先生の御質問に対しまして私の説明がちょっとあいまいでございまして、非常におわかりにくかった点があったと思いますので、もう一回そこのところがらちょっと申し上げてみますと、共済組合の付加給付と申しましたのは、法律の中で「政令で定めるところにより、前条各号に掲げる給付にあわせて、これに準ずる短期給付を行なうことができる。」、こういう規定があるわけでございます。そういたしまして、政令では、付加給付は、「自治大臣が地方公務員共済組合審議会の意見をきいて定める基準に従い定款で定めるところにより行なうことができる。」とあります。共済組合の定款でやるわけでございますが、自治大臣の定める基準と申しますものは法定給付の一〇%以内ということにいたしておるわけでございます。そこで、現在共済組合では法定給付の一〇%以内の額で付加給付をそれぞれ実施をいたしておるということでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、この法定給付の一〇%以内というその割合というものをもう少し拡大をいたしまして、そうして付加給付の充実をはかる、そのことをここでは一応当面の措置として考えておったわけでございます。そのほかに、それだけではもとより十分ではございませんので、やはり医療保険制度の抜本改正の問題とも関連をいたすわけでございますけれども、家族療養費の引き上げと申しますか、そういう問題についてもわれわれとして努力をいたしたい、そういう気持ちもここに含めまして書いたつもりであろうと思います。
  116. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 先ほどの私のお答えが若干舌足らずでございまして、御迷惑をおかけしたと思いますが、四十年の全文改正のときにそのような制度改正が行なわれておりまして、四十年の全文改正の考え方は、法律に基づく制度、と申しますのは、もう少し申し上げますと、組織のしかたとか、あるいは給付の内容でございますとか、あるいは掛け金の基準でございますとか、そこまでを法律がきめておるものという意味で申し上げたつもりでございます。ですから、先生のおっしゃいますように、厚生のためにつくったという意味で法律的な根拠があるではないかとおっしゃる点、ごもっともだと思いますけれども、私どもが考えておりますのはもう少しこまかい制度の中身を法律がきめておるという意味で申し上げたつもりでございます。
  117. 鈴木力

    ○鈴木力君 先に大蔵省のほうにもう一ぺんお伺いしますが、それはそういう読み方は大蔵省の今日までの四十年に改正したときの読み方であるということはわかるのです。ただ問題は、大蔵省がこの種のものを扱うときに、何か三百代言的みたいに、しぼれるものはしぼるのだということでこの法律というのを読んで、はずしていくというふうに聞こえてならないということなんですね。大体出発をいたしましたときには、公的な機関としてさすがに法律、条例で定められていないものはこれは無理だという議論はずいぶんあったわけでしょう。しかし、法律、条例で定められているものはこの対象にしようということで出発をしてきているわけですよ。地方公務員の場合ですがね。それを、国が全部法律で一律にやらなければこれは対象にならないという言い方は、ほんのわずかでも所得税を取ろうとするものの立場だけであって、苦労してきておる地方自治団体なり地方職員の立場というものには全然思いやりのない言い方だ。だから、法律ということばの中に、地方公務員には条例というものも含めた解釈をする、そうしてもうこの社会保険料というもの、いまも延期をしておりますけれども、延期をしておるその考え方を思い切って正式な態度にきめるべきだと、こういうことを私が言っているわけです。特に、さっき申されましたように、だんだん共済組合に吸収すると。これは吸収できるのが一番いいわけですけれども、そう簡単にはできそうもない。そういう状態である限りは、これはもう一年で、来年度からはどうしますなんておどかしみたいなことは言わずに、この種の考え方を貫くということがむしろ大蔵省の基本的にとるべき立場ではないのか、こういう趣旨で聞いておるわけです。  それから、自治省のほうに。大体わかるような気がするのですけれども、だから私は心配で聞いているのです。ここをはっきりしたいのは、必要な処置について検討する予定であると。予定はわかるのですけれども、問題は、いまこの家族の医療給付なんですね。それで、短期給付は五〇%、付加給付がその一〇%、どう考えたって残るわけでしょう、現行上。それを拡大する予定だというけれども、一〇〇%家族の医療給付ができるように拡大をする年限というのは、見通しはおそらくついていないんだろうと思うのです。そうしますと、そういう見通しがつく前に、何か互助会のほうを吸収していくんだという方向が先に出るというようなことでは、これはどうもせっかく善意を持って検討されておる自治省も、善意どおりには受け取れないような結果になるわけです。だから、少なくともそういう方向に努力をする場合であっても、この移行していく、あるいは吸収していく度合いというのは、少なくも一〇〇%の医療給付を持っている地域については一〇〇%をはずさないという原則をはっきりしておいてもらわないと、将来は不安だし、そしてそれは前に向いているとは思えない。その点をはっきり伺いたいと思います。
  118. 寺本力

    説明員(寺本力君) この通達の考え方は、少しでも地方職員の負担の軽減に資そう、こういう考え方から発しておるものであるわけでございます。何か抽象的に互助会を共済組合にすべて吸収してしまうような印象を与えておることは確かにいなめないかと思うのでございます。その点はこの書き方も非常に悪いかと思うのでございますけれども、気持ちとしましては、やはり社会保険制度でありますところの共済制度の中に短期給付というものを吸収しておく、そうすることによって社会保険料控除の対象にもなるし、また職員の負担軽減にも資するんだ、そういうことからのみ出ておるわけでございます。互助会の存在につきましては、先ほども申し上げましたように、歴史的な沿革もございますし、また共済制度を補完する役割りというものを十分に果たしておるわけでございますので、これをわれわれとしては決して無視できない存在であるというぐあいに考えております。互助会全体を共済制度の中に吸収してしまうというようなことはわれわれとしては毛頭考えておらないわけでございます。
  119. 小野明

    小野明君 体系的に別なものですから、私は、吸収してしまうということを考えないというので、まあまあ安心ができるわけですけれども、やはり厚生制度が共済組合の補完であるというようなことばが出るのですが、これはやはり取り消してもらいたい。これは法律四十二条と四十三条は別ですから。これはどうですか。これをはっきりしておかなきゃいかぬ。
  120. 寺本力

    説明員(寺本力君) 非常に、沿革的に申しますと、互助会のほうがずっと先からできてまいりまして、これがいわばいまの共済制度ができます前には、共済制度というぐあいに呼ばれてきておったわけでございます。新しい共済制度が昭和三十七年にできましてからは、まあ補完という言い方が非常にぐあいが悪いかと思うのでございますが、立て方は別といたしましても、相互に、共済制度の面で職員福利厚生をカバーしておるものもあれば、あるいは厚生事業として互助会が福利厚生をカバーしておる面もあれば、相互補完と申しますでしょうか、そういうような意味で申し上げたわけでございます。互助会の現在果たしております役割りというものをわれわれとしては決して無視できないんだという趣旨のことを申し上げておるわけであります。
  121. 小野明

    小野明君 これで終わりますが、あと総理府ですね、この厚生制度についていろいろな問題があることが明らかになってまいったのでありますが、これはやはり私はかなり大がかりな検討をしてもらわなければならぬのではないか、このように考えるわけです。というのは、この問題について審議会あるいは調査会、こういったものを設置して検討をしていく、こういう機関が必要なのではないか、こう考えるわけです。この点はなかなか答弁しにくい点もあるかと思いますが、御意見を承っておきたいと思います。
  122. 宮内通雄

    説明員(宮内通雄君) 厚生につきましては、先生御承知のように、その根本基準の実施にりきまして人事院が担当いたしておりますし、また給与勧告に関連いたしまして御指摘のような分野がございます。そういった意味人事院が専門的な見地から調査をいたしておりますし、私のほうはそれを受けまして、その実施について各省庁とともに厚生制度の運営をはかるわけでございますので、それぞれの立場におきまして、十分この制度の中身について調査検討ができるかと思います。そういった意味で、今後大いに推進してまいりたいと思います。
  123. 小野明

    小野明君 さらに研究推進するということで、私は不満なんですが、管理局長、公務員法というのは、あなたも御承知のように、公務員労働基本権の制限、これの代償措置としてつくられたものですよね。管理局長、そうでしょう。そうしまして、当然、人事院、あるいは県に置けば人事委員会ですが、この機関というのは給与と同時に、民間水準との比較という面で、この法定外福利厚生制度というような面を取り上げて勧告の中に含ませていく、こういうことが私は当然ではないか、こう考えるわけであります。そこで、この問題に対する見解と、当然この人事院なり人事委員会の勧告の対象となるべきである、こういう問題についてお考えをお尋ねしておきたいと思うのです。
  124. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 教職員は、先ほど申し上げましたように、身分的に申しますと、国家公務員地方公務員、それから私立学校、三種類ございまして、教育に従事しているということでは共通でございますが、身分の取り扱いは、それぞれの身分の種類によって、またその身分相互間の共通的取り扱いに左右される面が多うございます。特に給与ですとか、それから福利厚生だとか、こういうものにつきましては、むしろ大部分共通的に扱われまして、教職員なるがゆえの特殊性というものが特に打ち出される余地が少ないのじゃないかと思います。  たとえば、使用者としての福利厚生制度につきましては、国家公務員につきましては総理府人事局、それから地方公務員につきましては自治省のほうでやられておりますし、共済制度につきましては、国家公務員につきましては大蔵省、地方公務員につきましては自治省の総括のもとに共済組合制度によって行なわれておりまして、文部省としては、文部省が担当しております国立学校あるいは公立学校の部分につきまして、共通的に処理される段階で私どもの立場から要望なり意見を申し上げ、共通的処理がきまれば、その一環としての国家公務員たる教職員あるいは地方公務員たる教職員としての処理をいたしている、こういうことでございますので、文部省として特に積極的にどうということはございませんけれども、希望といたしましては、福利厚生制度は少なくとも民間に劣らない程度に手厚くしていただきたいという希望は持っておりまして、それぞれの機会あるごとに共通的処理を担当せられる向きに対しまして要望し、一応制度がきまれば、その制度の範囲内でできるだけその趣旨を生かすべく努力をするつもりでございますし、またやっておる次第でございます
  125. 小野明

    小野明君 まあ優等生の答弁ですが、私のお願いしておるのは、人事院勧告の対象になるように積極的にひとつ働いてもらいたい。教職員のこういった問題はあなたの管轄にあるわけですから、それぞれまあ管轄というのはあるでしょうけれども教職員の問題については少なくともあなたがそういう問題についてはやはり勧告対象に入れろと、しかも臨調答申もあるわけですから、もう少し積極的な御答弁をいただきたいと思うんです。
  126. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 使用者として行なう福利厚生事業のための予算措置、現在一人当たり千三百円になっておるもの、これの増額等人事院勧告に入れるということでありますと、先ほど人事院給与局長ないし職員局長からお答えがあったように、現在人事院勧告としては給与勧告という形になっておりますので、この種のものが給与というとらえ方になりますと、まあ私十分承知しておりませんが、また別の問題が起こるおそれもございまして、直ちに給与勧告の中に含めていただきたいということを申すことは文部省としてもいかがかと思いますが、もっと広い意味で、人事院もこの福利厚生費増額、特に実態をよく把握して、まあ実態に即した増額を何らかの形で政府に勧告すべきだという御趣旨でありますれば、文部省といたしましても、そういうぐあいに事が処理できて、ものごとが促進できればけっこうだと思います。それからまた、共済制度につきましては、これはまた年々拡充改善につとめておるところでございますので、理想といたしましては互助会的なものがなくても済むようにいたしたいという気持ちは自治省と同じでありますけれども現実の問題としてなかなか一挙にそこまでまいりませんし、まあ現在互助会というものが存在して、しかも各都道府県が条例までつくってこれを法的に運営しておるということであれば、弊害がない限り、この運営が円滑に行なわれるように文部省といたしましても立場に応じて協力をいたしたい、かように思います。
  127. 千葉千代世

    千葉千代世君 関連。何か管理局長、人ごとみたいなことをおっしゃってるんですけどね、私たいへん見当違いだと思うんです。これは団体協約ね、これがなくなるときに御承知の政令二百一号というのが出たわけですね。その中に、団体協約は無効になる、しかし福利厚生についてはこのまま残していくと。残していくという内容は、当該官庁との交渉権を持つということであったんです。したがいまして、文部省が全国の教職員との交渉をどのようにしてきて、いままでどうしたかということが出てくるわけです。そうすると、文部省はそういう中で福利厚生について積極的に取り上げて、そして教員の特殊性その他を生かしてどういうふうにしたかということを考えてみれば明白になると思うんですよ。ですから、もしそれが十分な交渉も行なわないし、そういう点もできなかった場合には、さっきここの給与局長ですかおっしゃっておりましたけれども、二十二条によって、当該官庁に勧告することができるということがあったのですね。ですから、給与福利厚生とは、区分は別であるけれども、関連があるわけなんです。あなたのおっしゃるのは、給与の中で勧告はできないと。それは人事院の権限なんですよ。ですからね、文部省福利厚生については教職員についてこれこれしなければならないと、これこれの隘路がある——予算的その他の問題とか、法的にこういう隘路があるとかということで、そういうことがきちんとしたならばやはりそれを実行に移して、そして人事院給与と関連して、あとであなたが述べたような形で勧告をしていくという、そういうことだったら当然やるべきことだと思うのですよ。全然それが、必要であるならば何とかということばでやられたら、これはたいへんなことだと思うのです。どうなんですか、これは一体。
  128. 村山松雄

    政府委員村山松雄君) 私が申し上げましたのは、人事院勧告するように文部省も働きかけろということでございましたので、人事院に働きかけるにしても、現行制度でできないことを働きかけるわけにもまいりませんので、給与勧告の中に含めてくれという働きかけはまあできないと。給与勧告以外の方法で、人事院学校教職員福利厚生制度の拡充についてもっと実態をよく把握して進展させるようにという働きかけならば、文部省の立場に応じていたしましょうと、こう申し上げたつもりでございます。
  129. 小野明

    小野明君 最後に、大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  この問題は非常にじみな問題でもあると思うのです。しかし、先ほどから申し上げておりますように、教職員の場合にも、実質生活を形づくると、こういった点については、やっぱり民間との実際の生活の比較といいますか、給与を除いた実質賃金比較と、こういう面が私はあってしかるべきではないかと思いますし、人事院もそういった検討をされておるわけです。そういった答弁もあっておるにもかかわらず、管理局長が非常に、何といいますか、不熱心な姿勢でだけしか御答弁がないわけですけれども、それでは私ども不満と言わざるを得ぬ。この面について、先ほど総理府にもお尋ねをしておりますように、実際に日経連報告との間に差がある、これはどうなるのか、福利厚生はどうなっておるのかという点について、審議会あるいは調査会を設けるなり、あるいは地方公務員労働基本権の制限に伴う代償措置としての地方公務員法、これに当事者がしなければならぬのだと、こういう義務規定になっております問題でありますから、積極的に取り組んでいただかなければならぬと思うのです。大臣の御見解を承っておきたいと思うのです。
  130. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 職員福利厚生の問題はきわめて重要な問題だと考えます。この問題について、先ほど質疑応答を承っておりまして、私も非常に啓発されたような気持ちがいたしておる次第であります。政府側のお答えの中にもございましたように、人事院においてもいろいろ調査をしておられるようであります。また、自治省側においても、すでに調査も進んで整理をしておられる、こういう段階のように伺ったのでありますが、その辺の進行の状況を促進してまいるということも私どもとして必要ではないかと思うのであります。何らかの結論を得て、そしてそれを実行に移すという方向に向かって関係当局それぞれ考えておることと思うのであります。文部省も、その間にありまして、この福利厚生の増進という立場において積極的に検討もいたしますし、また各省の御検討に対しましても御協力いたしまして、いい成果があがるようにいたしてまいりたいと存じております。さよう御了承いただきたいと思います。
  131. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会      —————・—————