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1968-04-26 第58回国会 参議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)    午後二時十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村喜四郎君     理 事                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 小野  明君                 鈴木  力君     委 員                 大谷藤之助君                 久保 勘一君                 剱木 亨弘君                 近藤 鶴代君                 内藤誉三郎君                 中野 文門君                 千葉千代世君                 松永 忠二君                 柏原 ヤス君    国務大臣        文 部 大 臣  灘尾 弘吉君    政府委員        文部大臣官房長  岩間英太郎君        文部省初等中等        教育局長     天城  勲君        文部省大学学術        局長       宮地  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        渡辺  猛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を続行いたします。  なお、政府側より灘尾文部大臣天城初等中等教育局長宮地大学学術局長が出席いたしております。  質疑の申し出がありますので、これを許します。千葉君。
  3. 千葉千代世

    千葉千代世君 委員長、ちょっと速記をとめてください。
  4. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記をとめて。
  5. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 速記を起こして。
  6. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は、国立学校設置法の一部改正法律案関連して、国立大学養護教諭養成に関する学部創設の問題及び現行法の中で大学既成学部養成課程運用等を中心に質問したいと思います。  まず、その前提として、現在養護教諭を取り巻く幾つかの問題点を明らかにしていく必要がございます。  そこで、まず、四十三年度の文教予算の中に新たな養護教諭養成所予算が計上されていない。私は、この前の臨時国会のときですが、ちょうど予算折衝段階でございましたので、特にその点について文部大臣にお尋ねいたしました。そのとき、当局の答弁は、一応現在のところでは、いまの定数のもとで需給ということを考えれば、地域によっては多少のアンバランスはあるけれども、養成計画としてはひとまず第一計画を終了したと、こう答弁されました。ほんとうに五カ年計画充足率を満たしているのかどうか、こういうことで、そのとき討論を重ね合ったわけでございますけれども、その後資料等によりまして見ますというと、まだ十分にそれを果たされていないように思うわけなんです。  で、お伺いいたしますが、養護教諭のその後の定数に対する実員充足状況はどうなっていますでしょうか。
  7. 天城勲

    政府委員天城勲君) 養護教諭充足状況でございますが、たしか昨年の秋の国会機会だと思いますが、当時私から、五月一日の指定統計状況を御報告申し上げたわけでございますが、これは年度当初でございましたので、その後の状況も含めて直近の数字の様子を申し上げたいと思っております。  その後九月と十一月に状況を把握したのでございますが、一番新しい十一月の状況で申し上げますと、標準法定数でいきますと一万三千三十四人というのが定数になるわけでございますが、これに対しましての実員が一万二千六百四十七人でございますので、三百八十七人充足されていない、プラス・マイナスといたしますとそういう数字になります。ただ、これを県別に見てまいりますと、定数以上に持っておられる県もございますので、差し引きそういう形になりますが、定数以上を持っている県を除きまして、純粋に定数まで充足分だけを計算いたしますと、なお六百九十五人という数字が未充足でございます。なお、四十三年度のをいま計画しておりますが、これが予定どおりまいりますれば、大体全体の四二%ぐらいまで充実するという見通しであるわけでございます。現在の実情だけ御報告申し上げます。
  8. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの六百九十五不足と。しかし、過員の県があるということも聞いたんですが、過員の県は幾つぐらいでしょうか。大体何県ぐらいでしょうか。
  9. 天城勲

    政府委員天城勲君) 過員の分、三百人名でございますけれども、県で申し上げますと十県でございます。
  10. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、過員については、何か大蔵省との折衝の中での暫定処置として九七%見ていくとかというお話し合いができて実施されているとかと聞いたんですが、そのとおりなんでしょうか。
  11. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御存じのように、定数充足五カ年計画を進めているわけでございまして、その間に全体の児童数とのバランスで教員定数がある程度減ってくるわけでございますけれども、その減り方につきまして、いま御指摘のように九七%の保証を続けておるわけでございます。それを上回っている場合に、いま申し上げた上回っている県が十県あるというわけでございます。
  12. 千葉千代世

    千葉千代世君 この九七%の、これは保証というんでしょうか、ちょっとことばはわかりませんが、保証しているとなると、これはずっと続いて保証していくというわけなんでしょうか。四十二年度だげ保証したと、こういうことなんでしょうか。
  13. 天城勲

    政府委員天城勲君) それは三十九年から始まっております。いまの五カ年計画基礎児童生徒数がございますので、その児童生徒数基礎教員の総定数をはじく場合にとってきた、まあ保証と普通言っております数字でございまして、五カ年間続けてきたやり方でございます。
  14. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、これは四十三年度で終わるわけでございますね。
  15. 天城勲

    政府委員天城勲君) 一応計画は、四十三年で五カ年計画は終わるわけでございますので、もちろん四十三年もいたしております。
  16. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、当然定数法を変えるかなにかしませんとこの過員の分の対処ができないことになりますけれども、定数法改正などについてどういう考えを持っていられるでしょうか。
  17. 天城勲

    政府委員天城勲君) 四十三年度で一応終わります第二次の五カ年計画の中身は、御存じのように学級規模の縮小と教員定数改善をはかってきたわけでございますが、一応これで四十三年でこの計画が終わりますので、当然それ以後の問題を考えなければならぬわけでございます。この場合どういう方法教員定数全体の充足をはかっていくかという状況は、過去の五カ年間のように児童減という傾向がございませんし、なお中学校については若干ございますが、全体の流れは過去五カ年間と非常に事情が異なってきておりますので、いわば生徒の減る機会にそれを利用してうまく教員数充実をはかるという簡単な方法が、今後なかなかできかねると思います。しかし、この五カ年間にすでに宿題になっております問題がたくさんございますので、当然定数の問題を考えなければならぬと、かように思っております。  その方法につきましては、たまたまいま課題になっております養護教諭の問題は、この五カ年間で学級規模のほうに重点を置いておったために、率直に申しましてやや養護教諭のほうの手が薄かったかと思います。したがいまして、今後の計画におきましては、従来の実施上いろいろ問題になりましたところは第一優先として定数上の配慮をしなければならぬ、かように考えております。具体的な問題はもう少し広くいろいろな要素を加味しなければならぬと思っておりますが、養護教諭に対しましては当然この中で考慮される課題優先順位をもって着手したいと、かように考えております。
  18. 千葉千代世

    千葉千代世君 定数法そのものを変えていくという構想はございませんか。
  19. 天城勲

    政府委員天城勲君) いま申し上げたことは、結局定数法そのもの改正に及ばなければできないわけでございますので、四十四年度以降においていま申し上げましたような点を考慮しながら、定数法改正問題を検討いたしておるということを申し上げたわけでございます。
  20. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま過員のことを伺いましたが、定数に満たない県もあるように調査では私知っていますのですが、これは詳しい数字は要りませんけれども、大体何県ぐらいでしょうか。私のは少し古い数字ですけれども。いま四十二年十一月のような調査のことをおっしゃっていましたですね、そのころの調査定数に満たない県は幾つぐらいでしょうか。一番定数に満たないで一番少ない例は別にしても、人数はどのくらい、定数に足りないのは。
  21. 天城勲

    政府委員天城勲君) 先ほど申しました十県がいわば過員の形でございますので、その他の県が該当いたしますが、そのうちから需給がかっちりいっておりますのが三十県が未充足の県でございますが、その中には一名とか、二、三名というところがございます。いま先生の御指摘の少しまとまっているところでございますが、やはり北海道が一番多くて百四十九名未充足でございます。それから、あとは愛知が九十八名、この辺も多いほうじゃないかと思っております。それから埼玉が八十五、茨城が七十四、大体こういうところが多いところで、あとは一けた、せいぜい二十名、三十名程度でございます。
  22. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの定数の、実数ですけれども、これは産休などを除いてございますか。
  23. 天城勲

    政府委員天城勲君) ただいま申し上げました六百九十五は産休を除いております。
  24. 千葉千代世

    千葉千代世君 定休と休職も。
  25. 天城勲

    政府委員天城勲君) はい、除いております。
  26. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま養護教諭定数の問題を伺ったんですけれども、その次に市町村支弁のいわゆる養護職員というのがいますわけですね。免許状を持ったのと持たないのとごっちゃになって、市町村で支弁しているのがいるわけなんです。その実情をどのように把握していらっしゃるか。
  27. 天城勲

    政府委員天城勲君) いわゆる養護職員と言われている方々でございますが、これは五月の指定統計数字公立の小・中学校で三千五百四十八名現在おられます。これはちょうどこの五カ年間ぐらいに逐次減ってきておる。減ってきているというのは、一部は教員にかわられる方もあるし、おやめになる方もあるわけですが、大体一割ぐらいは減っておるのでございますが、養護教員にかわっていった率から見ますと、なお減り方が少ないのでございます。と申しますのは、やっぱりそのあとに市などでは養護職員を新しく採用しているのじゃないかと思いますが、なお三千五百四十八人現在おられます。
  28. 千葉千代世

    千葉千代世君 その配置状況も、さっき養護教諭県費負担のほう、その状況がたいへんアンバランスなんですが、この養護職員のほうも配置状況は大体平均的なんでしょうか。それとも、市町村財政状況によってかなり違うと思うんですけれども、どうなっていますでしょうか。極端にひどいところありますか。
  29. 天城勲

    政府委員天城勲君) これはやはり県によって非常に違いがあるようでございます。少ないところですと、全県で一けた、あるいはせいぜい十名から二十名程度のところと、たとえば一番多いのは鹿児島の三百四十九人、それから兵庫の百九十五人、京都の百六十三人、長野の百五十人というふうに、あるいは宮城県の百四十五人というふうに、百人以上かかえておられる県もございます。広島も二百五十五人、多いほうでございます。
  30. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、これは義務制の小中合わせた数でございますか。
  31. 天城勲

    政府委員天城勲君) ただいま申し上げた数字は小中の合計の数字でございます。
  32. 千葉千代世

    千葉千代世君 たとえば、いまおっしゃられた、鹿児島の三百四十九とおっしゃいましたか。そうしますというと、資格を持たない数と、それからいわゆる県費支弁市町村支弁との数にあまり開きがないようでございますね。これはどこに原因があるんでしょうか。これ、県とは限りませんけれども、一般的でけっこうです。
  33. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘のように、鹿児島の例などでは県費負担養護教諭よりも職員のほうが多いというような状況でございます。これはいろいろの点が考えられるのでございますが、先生御案内のように、認定講習をやっておりまして、資格付与機会を与えて資格は持っている方がだんだん多くなっているのでございますけれども、大体女子の方で任地関係が非常に現実の問題として障害になっているようでございまして、たとえば県庁所在地の都市なら志望するけれども、すでにそこは満ぱいであって、郡部や僻地のほうへ行っていただきたいと言われても、家庭の関係、家族の関係で行かれないというような需給の面から来る障害がかなり多いのではないか。  それから、養護職員方々には、看護婦免許状などを持っておられる方がおられるものですから、遠いところに行くくらいならば近くで別の資格のほうで勤務するというケースもあったりしまして、地域的な需給アンバランスが私は一番大きいのではないか。  もう一つ年齢関係もございまして、県費負担職員にする場合に、県でもいろいろ条件をつけている県もあるようでございますが、これにつきましては、私たちもできるだけ養護教員充実ということから協力してもらうように県には指導しておるのでございますけれども、主としてこの需給関係がマッチしないために、資格がありながらほかへ行ってしまうということが一つの大きな原因ではないかと、かように思っておるわけでございます。
  34. 千葉千代世

    千葉千代世君 その任用がえしない理由の中に年齢的なことが述べられたわけなんですけれども、各県によって新規採用年齢ですね、先生の数が足りないときは年齢を引き上げていって選考基準にするし、先生が余るときは年齢を下げていってこうやっている。それは県々の実情によりますけれども、特に養護教諭の場合には、いろいろな前歴の関係上、養護教諭の制度が発足して間もなかったという実情で、年齢については相当緩和してほしい、五カ年計画のきめられた三十七年のときに特にその点で、各県で任用がえするときの条件年齢の制限をあまりつけないようにという文部省の指導をお願いしてあったわけなんですが、そういう点でかなり効果があがっていると把握していらっしゃるんでしょうか。
  35. 天城勲

    政府委員天城勲君) 養護教諭になる方々のいろいろな養護教諭養成につきましては、先生一番お詳しいわけでございますが、いろいろな機関がございまして、一番これが多極多様にわたっておるわけでございます。したがいまして、養護職員からすべて第一次的に吸収できればかなりいいわけでございますけれども、先ほど申したような事情で、必ずしもそういう状態になっておりません。年齢の問題につきましては、われわれも御指摘のように、当初から必ずしもすっきりした一本の養成計画がない、複雑な養成機関卒業生ないしは資格取得者という形でございますので、その点につきましては十分指導してまいってきておるつもりでございますけれども、やはり赴任の地域関係などが非常に大きな影響になっておると思います。最近の大学卒業生などを見ましても、やはりそういう状況がかなり出ておりまして、先ほど申し上げた北海道なんかの場合にも未充足理由には、これはひとり養護職員に限りませんが、任地関係が非常に大きな要素になっておるようでございます。それから、具体的に東京長野広島、香川、いま私ちょっと知っている県で、その辺は年齢の緩和をかなり努力してやっていただいておる県でございます。
  36. 千葉千代世

    千葉千代世君 これはいまの任用がえのできない理由の中に講習の問題がありますが、後にちょっと講習に触れたいと思うのですが、その前に年齢の件でございます。わりあいに高年齢者が多いのです。一般教員の男子の平均年齢女子平均年齢は大体幾つくらいでしょうか、おわかりでしたら、ちょっと答えていただきたいのですが。
  37. 天城勲

    政府委員天城勲君) ちょっと男女別にわかりませんけれども、校長先生を除いて一般職員平均年齢は、私たち資料ございますが、三六・三歳になっております。
  38. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、養護教諭年齢構成はおわかりでしたら、ちょっと大体の見当を……。
  39. 天城勲

    政府委員天城勲君) 養護教諭平均年齢は三六・九歳になると思います。ですから、若干平均が高うございます。
  40. 千葉千代世

    千葉千代世君 平均しますと、若い方がふえてきましたからこうなりますけれども、たとえば、これは四十年度のでございますけれども、四十年度、四十一年度にもかなり多いのですが、五十歳以上というのが一割というところもありますが、東京などもかなり年齢の高いのが多いのです。ことし六十歳で、もう五割増しの退職金をもらってやめる方も相当多いわけなんです。その年齢を推定していっても、養成計画関連してきますんですが、十年後にかなり多くの人数がやめるという想定がつくわけなんですが、やめるといってはおかしいんですが、年齢的に見ますとそういう年齢になっていくわけなんですが、その点はどのように想定していらっしゃいますでしょうか。
  41. 天城勲

    政府委員天城勲君) いま非常に対照的な平均年齢を申し上げたわけでございますが、養護教諭三十六・九歳、それから先生たまたまいま年齢別のことをおっしゃいましたが、私たち資料で申し上げますと、全国平均でございますが、五十歳以上は、養護教員は八・八%、一般教員は六・九%ですから、確かに比率は高うございます。それから、四十歳以上で見ますると、養護教員のほうが三六・二%、それから一般教員のほうは二七・九%ですから、相対的に養護教員の方のほうが高年齢の方が多いと思います。ですが、幸いに若いほうの方が年々ふえてきておりますし、十年たてば、簡単にいえば、いまの五十歳からの方は普通の常識でいくと退職になる方でございます。
  42. 千葉千代世

    千葉千代世君 いつ退職ですか。十年後……。
  43. 天城勲

    政府委員天城勲君) 十年たてば大体いまの五十歳以上の方は退職するのが普通の姿でございますので、そのあと傾向を見てまいりますと、年々、現在の事情から見ますと二千名前後の資格者が出てまいりますので、新陳代謝——われわれの考えておる退職率を三%と考えましても、数の上で不足するということはいますぐは予想されないと思うんでございます。ただ、先ほど来申し上げている需給関係というものが現実にございますものですから、養成数あるいは免許状取得者の数のうち、現実養護教員になられる方の歩どまりを若干考えなければならないものですから、そのこともあるから、これから将来の問題をもう少し検討してまいりたいと思っております。特に国立大学養護教員養成所ができまして、これが八つが今後フルに卒業生を出してまいりますと、ここの卒業生はおそらく基幹要員として中核になっていただけると思いますし、いままでそこの卒業生がないものですから、今後そういう点で実態が少し変わってくるかと思いますが、御指摘のように、十分将来のことは考えていかなければならぬと思っております。
  44. 千葉千代世

    千葉千代世君 年齢ですけれども、十年後と一般的にいっておっしゃったんですが、年齢をもっと延ばしていきたいと思っております。私、東京できのうも電話で調べてみたんですが、現に満六十四歳の方がいるんですね。それでたいへん元気でいらっしゃいますんですが、そういうふうですから、いま言ったのは、一般として、校長が満六十で、それを考えてみてという話にしておいていただかないと、六十四だから、おまえ多いんじゃないかということを言われると困るんです。  あと続けて進みますが……。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 関連。いまの局長の御答弁を伺っておりまして、これちょっとお聞きしたいのは、いまの養成計画で年とった人がこうやめていくでしょう。若い人がふえていくから、いまのところ将来足りなくなるという想定はしなくてもよろしいという意味に伺ったのですけれども、文部省養護教諭を十年間いまの定数でいくつもりなのかどうか、基本的に。つまり、この学校教育法の二十八条では——これはあと千葉先生からほんとう質問があると思いますから、私は関連ですからあれですけれども、各学校に置かなければいけないということになっておるものが当分の間置かないということになっておるのですが、十年あと議論をするときにいまの定数法議論をするということでは、どうも私はいただけないような気がするのです。その前提がどうなっておるのか伺って、あと千葉先生質問を続けてもらいたいと思います。
  46. 天城勲

    政府委員天城勲君) 先ほど申したように、この定数基準が四十三年で一応今度の計画は終わりますので、当然それ以後につきましては改善をはからなければならぬ、その中で養護教諭問題は当然考えていく要素だということを申し上げたわけであります。  ただ、需給計画につきましては、まだその計画がきまっておりませんので、どういう数字になるか正確なことを申し上げかねるわけでございますが、ただいま申し上げたのは、現在の持っております数字から、免許状取得者と、それから今後の年齢構成年齢の進行による新陳代謝との関係を見ていきますれば、ある程度数字的な見通しができるという事情を申し上げたのでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、養成機関と、それから養護教員になってまいりますそのソースと申しますか、それが非常にたくさんあるものでして、しかも、そこから出てくる方々資格と実際の就職との比率が非常に違うのでございます。たとえば各種学校養成機関でございますと、資格をとった中から実際に養護教諭になられる方が二十数%という非常に低いものですから、また大学短大にしましても、現在まだ四分の一ぐらいしか現実には養護教員にならないという実情がございますものですから、先ほど申した需給関係とあわせて、この問題を考えなければならぬというつもりで申し上げたつもりでございます。定数問題がどうなるかということがきまりますれば、もちろんそれと将来の需給計画というものは十分合わせるべきものだと、かように考えております。
  47. 鈴木力

    鈴木力君 まだ私はよくわからぬのですが、これは関連ですから、あまりくどくは申し上げませんが、定数法が将来どうなるかわからぬと。それはそれで私もそのとおりだと思います。わからぬ場合に、定数法がない場合には本法に返るわけでしょう。そうすると、本法では各学校必置になっておりますから、そういう場合に一体どういう考え方になるのかということを聞きたかったんですが、いまの御答弁ですから、関連ですから、千葉先生の御質問が済んだあとにこの問題を少し私にも聞かしていただきまして、私の質問をちょっと保留させておいてもらいたいと思います。
  48. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、現在の需要と供給の関係ですね、それはどうなっておりましょうか。具体的には、養護教員養成機関国立公立私立、民間でございますか、ことばはいろいろになっておりますけれども、それは大体幾つぐらいあって、そこから大体どのくらい出て、そうしてその養護教員に就職したものはどのくらいあるかというのが概括おわかりでしたら、説明していただきたいのです。
  49. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは千葉先生も御承知と思いますが、養護教諭養成機関では、大学短大大学は十校現在ございます。短期大学は二十四校、それから国立養護教諭養成所八つ、それから国立養護教諭養成課程といっております養成機関が、これも八つございます。それから、公私立養護教諭養成所八つございます。そのほかに、保健婦養成所養護教諭養成機関として指定したものが三十一ございます。したがいまして、それらの総数は現在八十九でございます。  で、これらの機関のうち、昭和四十二年三月に修了者を出しましたものは六十四でございます。その他のものは、まだ学年進行で卒業していないものが、その差の二十五校はまだ卒業者を出していないのです。四十二年三月の修了者養護教諭免許状を取得いたしました者は二千百十八人、そのうち公立の小学校、中学校養護教諭として就職いたしました者は、免許状取得者の約三六%に当たります七百六十八名でございます。
  50. 千葉千代世

    千葉千代世君 この七百六十八名というのは、全部の数ですね。それで、国立養成所の中で、これは昭和三十七年に五カ所ですね、一級の養護教諭免許状を取ったもの。三十八年に三カ所で、計八カ所が一級になっています。あとは二カ所、三カ所、三カ所、こうなっていますが、いままで三十七年以降で国立養成所を出て養護教諭にならない者は大体どのくらいございましょうか。養護教諭になるというのでこれに入って、それでならない者の概数でけっこうです、四十二年までの。
  51. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 非常に名称がややこしいので、先生のお尋ねのあれを一年課程の分でございましたら、七割でございます。それからもう一つ、やはり八つあります高等学校を卒業して三年行きます養成所のほうでございますと、ことし北海道教育大学と岡山大学の二校の養成所がこの三月に卒業者を出しました。で、これはほぼ一〇〇%に近いのですが、北海道教育大学のほうは三十六名、岡山大学は四十名でございます。四十名定員のところ、岡山で一〇〇%、北海道教育大学のほうは四十名定員で三十六ということになっております。ですから、まあ一〇〇%に近いという数字でございます。
  52. 千葉千代世

    千葉千代世君 この養成所をつくりますときに、討論の中で、あるいは養成所の設置の提案のときにも、大体全部の人が養護教諭になってもらうという、こういうふうな希望と、そういうふうな指導でやるということであったわけなんですが、この七割就職して、あとの三割は大体どの方面に行ったんでしょうか。——これはいいです、いま聞くのはちょっと何でしょうから。というのは、私の伺いたいのは、後の需給計画も、ことし養成所予算を計上していないために、この一〇〇%就職率というようなことでずっとやっていって計算されては困るということを考えたわけですから、それで伺っているわけです。
  53. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 先ほど初中局長から答えましたことに関連するのですが、私のほうは養護教諭養成ということで、供給の面は一応いろいろ供給計画を考えておりますが、その場合に過去の実績といたしまして一〇〇%近く見積もりますのは、ことし二校卒業しました国立養護教諭養成所のほうは、これはことし初めての実施でございますので、これは九十数%でもよいと思います。その他のものにつきましては、一応御参考までに申し上げますが、いまの国立の一年コースの養成課程は七〇%を見積もって今後の供給計画の中には入れております。それから、公私立養護教諭養成所、こちらのほうはそれより比率が高うございますので、実績は七九%でございます。過去数年。で、そのくらい。それから、大学短大の課程認定をいたしましたもの、これは大体二五%の実績でございますので、免許状取得者の二五%を見積もって供給計画を立てております。そのほか保健婦学校等で指定をいたしましたものの終了者は平均が二七%くらいございます。そういうふうに過去の実績を一応もとにいたしまして将来の供給計画を立て、その数字を見積もっておる次第でご、ざいます。
  54. 千葉千代世

    千葉千代世君 四十三年度の予算の中に養成所設置の予算要求が行なわれなかった理由を、私、文部省の当局の答弁を求めたんですけれども、一応計画は済んだからやらないんだとおっしゃったんですね、この前の国会のときに。いまずっと供給源を述べられたわけですね。そして、今度は需要のほうを一方見ていきますというと、過員の県、それから少ないところ、定数法によってこう見ていきますと、ずいぶんアンバランスがあるし、特に僻地などにも今度はずいぶん大事な役目を果たすんじゃないか。そこへもってきて定数法のことを考えていらっしゃるとおっしゃったんですけれども、まだそれは具体的でない。そうすれば、学校教育法の二十八条、これに沿ってやはり計画を立てていく必要があるんじゃないかと思うんですが、これはいままでたびたび当委員会で申し上げてあるので、きょうは省略したいと思うんですけれどもね。  各県の実情から推して、その県々でどうしても養護教諭が足りない。これは単に養護教諭の問題だけではなくて、教育全体の問題であるからというので一般教員、それから父兄の方々から署名をとって、きのう現在で十七万ちょっとこしておるわけなんです、署名の人員が。それで、これはほんとうの署名で、実人員でございますから、国会に請願の手続をいまとっている最中で、きちっとこれは上がってまいります。いままでも過去三、四年でも大体年度によって六万のときもありましたし、九万のときもありました。文部省のたいへん熱心なあれと与野党の決議をずっと過去何年か上げていただいております。四十国会から始まって、ずっと一、二、三、四回と上げていただいているのです。それで、これは各党とも共同でもつて推進してくださっているのです。そのお陰で養成所国立もこれだけできたわけなんです。しかし、ことし予算を切られてしまったので、それじゃ実際に充足計画がいいかどうなのか。文部省では一応計画を終わったので、ことしは計上しないということを答弁されたわけです。ですから、私も知っているところにはそれぞれそのようにお答えしておいたのです。ところが、実情はそうではなくて、ほんとうに必要なんです。必要な根拠というのは、いま言った二十八条へ向かって充足率をきちっとしていかなければならないのじゃないか。五カ年計画が終わったあと、その後はどうなのかと言ったときに、五カ年計画の終わる最終年度にはこれこれと、それが終わったならば一校一人必置の学校教育法二十八条に向かって発展的にこれを推進していくという御答弁を幾たびかいただいているわけなんです。ですから、やはりそれに向かって養成計画も必要じゃないか。現実にも過員の県、足らない県はやっぱり多いんですね。それを満たしていかなければならない。県によっては、養護教諭もやはり県支弁よりも市町村支弁のほうが多いようなところもあるわけですから、それとかね合わせてやはり県費支弁の養教の免状を持った者を置いていくのがたてまえなわけですから、その線に沿った需給計画を立てていかなくちゃならないんじゃないか、こういう点から伺うわけなんですけれどもね。全然要求しなかった根拠で、これはこれからもそのつもりでいらっしゃるわけなんでしょうか。そのときには需給とにらみ合わせて考えるということもこの速記録に述べられているわけなんです。どうなんでしょうか。
  55. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 過去、養護教諭の五千名増という年次計画で、一応四十二年度をもって養成所の設置も終わったということでございますが、それで将来の問題といたしましては、やはり何といいましても定数の問題が一つと、  それから先ほど初中局長が申しましたが、ある県では余り、ある県では足りないというように非常にアンバランスでございます。したがいまして、地域ごとの充足状況ということもやはり頭に置く必要があるんではないか。そういうことで、定数関係あるいは地域状況、こういったようなことを考慮しまして、結局は需給関係がバランスを保たなきゃいけませんので、そういう観点から将来も問題については検討したい。それですから、四十三年度絶対につくらなかったんで、今後どういうことがあってもつくらないということでもございませんし、しかし、つくるとすれば、いま言ったような状況を勘案しなきゃならぬと思います。  それから、先ほど初中局長が申しました非常に足らない北海道とかあるいは茨城とか、こういうところはこの養護教諭の三年課程の養成所をつくりました。その卒業生がこれから出ていくわけでございます。したがいまして、たとえばいまの定数のままですと、茨城などは現在七十名余り足りない。これは二年——二年と言っちゃあれですが、一年その養護教諭養成所卒業生は四十名ですから、それが二カ年で八十名出れば、定数が動かぬとすれば、もう茨城は、現状では不足している二番目か三番目の県になっておりますけれども、今後定数が動かぬとすれば、二年たてばそのままでも充足県になってしまう。いろんな関係がございますので、将来の問題として十分その点を考慮して、この養護教諭養成所の新設ということは考えたいということでございます。
  56. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと関連。どうもまたわからなくなったんで、大学局長に伺いますがね、茨城大学にある養護教諭養成機関は、茨城県の養護教諭となるということが目的として設置されてあるのかどうか、これをはっきりしてくださいよ。
  57. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これはブロックごとに、一応八ブロックということで設立したわけでございます。したがいまして、茨城県にあるからといって、茨城だけのためということではございません。  ただ、いままでのこれは卒業生は、ことし二校ですから、今後の状況はわかりませんが、本年の実績を見ましても、たとえば岡山大学から四十名卒業いたしました。そのうち大体三分の一の者は岡山県に就職しております。三分の二は他県にということで、必ずしもその県に全部ではございませんが、いろんなその他の状況を見ましても、やはりブロックというふうな計画を立てましても、そこがそのブロックで予定したとおりに卒業生は実際就職してくれないという実態は、その他の養成機関のことを調査してみましても、そういう事実があるわけでございます。
  58. 鈴木力

    鈴木力君 だから、さっきの局長答弁、私は間違いだと思うのですよ。たとえば茨城県がいま七十何名か不足がある、そのときに、あなたはいまの定数でいけば茨城大学から四十名出ますから、二年たてば茨城は間に合うはずです、こういう答弁をしているわけだ。場当たりの答弁では私どもずっと審議をするのにぐあいが悪いということです。岡山でさえも三分の一しかその県に行かないというのでしょう。茨城県は関東のブロックです。交通機関の発達しているところでは、他の県からもだいぶ入っているわけです。そういうふうに場当たりで、七十何名足りないのは、茨城大学があるから茨城県は間に合います、こういうふうな、そんな御答弁いただくのなら、とても審議にならないわけです。もう少し本来ある姿がどういう趣旨であるかというところから立って、まじめに答弁していただきたいと思います。
  59. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) いまの鈴木先生のような御理解に聞こえるような御答弁を申し上げましたのは申しわけございません。一応仮定をすればというような前提を設ければよかったと思いますが。  それから、北海道が百四十九名現在未充足で非常に不足しているのですが、北海道に置きました養成所卒業生は、これは北海道は広地域でございますから、北海道にほとんど全部が就職しているという状況でございます。
  60. 千葉千代世

    千葉千代世君 茨城県のいまの足りないものを補うとおっしゃったのですが、茨城ではかなり年齢的に高い方もいらっしゃるわけでしょう。そうすると、やめる方もあるから、もっと実際的には足りないほうはふえていくわけですね。たとえば、いま言われたように、茨城大学を出ても茨城へ就職するとは限っていない。それが証拠には、東京国立養成所一つほしいということで皆考えたし、あるいはできれば東京都立でもいいからというので話したのだそうです、ずっと。そうしたら、いや、東京では選考式にすれば各県から幾らでも志望者があるから、よその卒業生がみな来るから、東京には要らないのだといって、都議会のほうで請願をしたけれどもそういう答弁であったということがあったのです。これは去年もございました。そういうわけで実らなかったのです。ですから、いま申し上げたように、そう簡単にはいかないと私は思っております。  私はもう一点心配なことは、いま量の問題ですけれども、質の問題はやはりあると思うのです。量と質の増大をやはりはかっていかなければいけない。そういう意味で、国立学校設置法関連した面で伺いたいと思います。  それで、先ほど養成の過程の問題おっしゃられたのですが、それは国立学校設置法の六条の二、「国立大学の学部に、文部省令で定めるところにより、学科又は課程を置く。」というのがありますけれども、これによってできているわけなんですね。そうすると、それによってできている養護教諭養成課程は現在どことどこの大学にございますのですか。
  61. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) いまお尋ねの養成課程は山形、茨城、金沢、愛知教育、神戸 岡山、徳島、熊本の八大学でございます。なお、国立学校設置法六条の二の規定ということでございましたが、実はそうではございませんで、これは看護婦免許状を持っている者を入学資格といたしました一年の課程でございまして、一応形式的に申しますれば、先生が御指摘になられた根拠条文ではなくて、これはしいて申しますれば、免許法第五条の別表第二の規定によります指定教諭養成機関、そのように私どもは解しております。
  62. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの指定教諭養成所ではなくて、国立学校設置法の六条にありましょう。「国立大学の学部に、文部省令で定めるところにより、学科又は課程を置く。」という、その養成課程だと思うのですよ。だから、指定養成所ではなくて、たとえば東大なんかでございましても、医学部でしたか、養護教諭になる課程がありましたね。ああいうようなのを私聞いているわけです。正規の課程になっているわけなんですね。学部を置かないでやるというふうなところ。学部を置くのはあとのほうの三条のほうでまた申し上げたいと思いますけれども、六条の二による養成課程というのは……。
  63. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) くどいようで恐縮でございますが、先生の御指摘の条文の学校ではございません。課程ではございません。ですから、たとえばいま東大の課程をおっしゃられましたが、それよりも、むしろわかりよいのは昔の学芸学部、いまは教育学部と言っております中に、小学校とか中学校養成課程がございます。それとこの養護教諭の一年の養成課程とは違います。
  64. 千葉千代世

    千葉千代世君 それを伺っているのじゃないのです。それは別なんです。いま局長さんのおっしゃったのは、三十七年に五個所できたいわゆる養成所なわけなんですよ、一年養成のです。それは高等女学校を卒業して看護学の修業を三年やり、国家試験受けた者に、さらに一年の養護教諭の課程をやって一級くれるというのです。それが国立養成所の一番初めで、三十七年からです。続いて三十八年と、二年続いてできたわけで、計五カ所ですね。一カ所三十名養成で五カ所できているわけなんですね。それはわかるのです。それではなくて、国立学校設置法の六条の二に規定がございますね。  私なぜこれを伺うかというと、質の高いものをたくさん出していくという意味で聞くのです。国立学校設置法の三条を改正すれば、学部を置けるわけなんです。養護教諭養成の学部を置くつもりなら、置けるわけなんですよ。それをやる方法と、もう一つは、学部を置かないで、現在ある学部の中に課程を置いてもいいということが省令で定まっているのです。それは予算さえ取ればできるということになっております、省令で。ですから、文部省予算を計上して、この課程を置くために予算がこれだけ必要だからということになればいいわけです。たとえば、あれは東大の医学部だと思うのです。医学部という学部が国立学校設置法によってあって、その中に保健学科でしたか、名前は失念いたしましたが、その中で養護教諭のやはり一級もくれるのです。その課程のことを申し上げているのです。つまり四年制をやっていくということです。だから、質のいい者がほしいと同時に、いま量も増さなければならない。質のいい者という根拠は省略しますが、当面やはりこれから養成所をたくさんつくって、必要な養護教諭の免状を持ったものをそこに教師として配置してもらいたいとか、あるいは各県の指導主事の質を高める。指導主事のいい悪いはここで論じませんよ。現実にあるものの中で、やはり大学を卒業したのが第一条件になっている。ところが、各県の教育委員会に置かれている指導主事というのは、大体昔の高等女学校を出て、赤十字等の三年の看護課程をやって、その上に養護教諭の免状を持つ者に指導講習をやっていますね、文部省で。その方々がいまいるわけなんです。ところが、大体年齢がもうずっと来ておる者もあるし、新たに置いていく場合にも、実際に養護教諭の質を高めていくためにも必要です。養護教諭の実際の経験を持った者と免状を持った者がそこに教員としていなければならないというのが、私は後の議論で言いたいと思うのですが、そういう意味で質の高いものがほしい。それから、現場にも質の高いものがほしい。同時に、量が足りないから満たしていきたい。こういう意味で、この設置法の問題ですから、そこに焦点を合わせて伺ったわけです。どうなんでしょう。
  65. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 現在、先ほどから先生の例を引かれます東京大学の医学部の保健学科、こういうようなもので、養護教諭養成をあわせて行なうことができる課程として文部大臣が認定いたしておりますのは、東大のそれとか、奈良女子大の家政学部等七つでございますけれども……
  66. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは東大と奈良女子大と、それからどこでしたでしょうか。
  67. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 東京大学のいま申しました医学部保健学科、それから金沢大学の教育学部、大阪教育大学、奈良教育大学、それから奈良女子大の家政学部保健学科です。それから岡山と高知の教育学部、国立は以上でございます。
  68. 千葉千代世

    千葉千代世君 はい、わかりました。そこで、実際はありながら開店休業のがございますね。具体的には、私の調べた範囲では、大阪なら大阪の保健学科でしたか、そこは生徒募集はしていないようでしたね。それで、国立養成所が大阪にできているわけなんですが、その大学のほうのはいまたしか二年くらいもう養成していないというようなことが、ちょっと調べにありましたけれども……。
  69. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これはいま以上申しましたのは、そこの学部学科の養護教諭になれる、養護教諭の免状が取れる課程として文部大臣が認定をしているもの、しかし、それは本来養護教諭養成所のように養護教諭になる人ということで初めからやっていないで、たとえば保健学科あるいは家政学部、東大とか奈良女子大のそういうもの、その他の教育学部、これはそれぞれそういう養護教諭免許状も取れるけれども、それを取らないで初めから自分の専攻しておる学問をやるという者が多うございまして、募集はしておりますが、現実には養護教諭の免状を取って出ていく者がいないというのが現状だと思います。
  70. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは募集して、来ないのかやらないのかわかりませんけれども、保健学科そのものをやっていないわけですよ、大阪のはね。
  71. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これはいわゆる養護教諭養成課程とかいっておりますと、もう初めから養護教諭になろうという人々が入るので、少なくとも七〇%とか一〇〇%近くの者がなっていくわけです。ところが、教育学部とか家政学部という場合には、本人が将来養護教諭になろうと思う人はそこで免許状の取れるように単位を取っていく。しかし、現実には養護教諭になるつもりがないので、せっかく文部大臣の指定はいたしておりますけれども、実際の卒業生養護教諭免許状を持って出ない。したがってまた養護教諭に就職する者がないというのが実態だと思います。  それで、お尋ねではございませんが、ちょうどこういう調査がありますので申し上げますが、免許状を取りました者で見ますと、東京大学の医学部保健学科は終了者が二十人のうち十六人は一級免を取っておるようでございます。それから、金沢ではおらない。それから、大阪教育は一級免を九人が取り、二級免を一人、合計十名が取って出ております。奈良教育は一級免を五名、それから奈良女子は家政学部の保健学科は二十二名修了しましたが、そのうち養護教諭免許状の一級免を取っている者は三名しかいない。岡山大学は全然免許状を取っていない。こういうかっこうが実態でございます。
  72. 千葉千代世

    千葉千代世君 よくわかりました。そこで、現在の国立学校設置法の中でできる部面というのは、それだけしかないわけです。現実にはないわけです。ですから、そういう取れるようでありながら、実際は取れないし、現に奈良女子大を出た方々も、免許状を取っていながら実際は養護教諭になった方は幾人もいらっしゃらないわけです。特に大阪なら大阪の学校の現場に入っている人にお会いしましたけれども、やはり理想と現実とかけ離れたとか、いろいろなことを言っておられました。  要するに私が言いたいのは、せっかくそういう道がありながら、これが養護教諭専門の養成課程ではないために、いま局長のおっしゃられたように、まだ隘路があるわけです。私は、現在の国立学校設置法の六条の二でもできるけれども、一歩進めて国立学校設置法の三条を改正して、そして名前はいまはっきりいたしませんが、とにかく養護教諭養成の学部を設置して、一般教員養成と同じような養成をするという考えをきちっとこの際固めたほうがいいような気がいたしますのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。学部設置にしても、国立学校設置法を変えなければできないわけですね。これはいま提案されておるように、何々学部を創設するということをしないとできないわけなんです。そうしたら目的が明確になって、養成の学部をきちっとしてくれれば、そこで今度四年制のものをきちっと出て、いまでも質の高いものもありますが、しかし、出てきた経過から非常にアンバランスが強いので、質の中にも非常に高いのもありますし、まあ大体高いのですけれども、そういうようないろいろアンバランスがありますわけですから、それを埋めていく方法としても、今後の発展としても、それが望ましい姿ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  73. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 先生の御質問の趣旨はよくわかります。ただ、現状におきましては、これは先生のおっしゃる学部のそういうコースではございませんが、国立養護教諭養成所、高等学校を卒業して三年行きます。これをつくりました趣旨も、従来いろいろなものがありましたし、特に看護婦資格を持っておられて、一年間行く課程をつくったりしてみても、結局養護教諭になられるいわゆる歩どまりが非常に悪いというようなこともありまして、三年課程の養護教諭養成所をつくったいきさつもあるわけでございますが、先ほど来、養護教諭の供給源としていろいろな機関がございますが、一番そのうちで確実なのは、現在のところ養護教諭養成所でございます。したがいまして、それを一歩進めて、大学の学部にそういうコースを持ったらどうだという御質問だと思います。  で、御趣旨はなるほどそのように考えます。ごもっともと思いますが、先ほど来いろいろ問題になっております養護教諭需給関係、それが一つ問題であろうかと思います。それから、現実の問題といたしまして、いろいろ需給計画を立ててまいります場合に、一番確実な養護教諭養成所に以たような養護教諭養成課程卒業生も、これはせっかくそういう目的で入りますから、一〇〇%養護教諭になっていかなければならぬと思います。ところで、養成機関が非常にたくさんございますから、せっかくそういうところを出ても、いわゆる需給のバランスの見通しを十分立てて行ないませんと、いろいろ問題があるのじゃないか。先ほど来、先生が四十三年度、養護教諭養成所予算要求しなかった理由は何だという御質問にお答えいたしましたのと以たような問題があるのではないか。  それと、もう一つは、養護教諭養成所というものを、今度はそれを廃止して、むしろ四年制の大学養護教諭養成課程というふうに置きかえるのか、並立していくのか、またその専門の養成機関同士の長短も考えなければならぬのじゃないか。せっかくの御意見で、私ども趣旨といたしましては非常にごもっともと思いますが、現在のところではとりあえず、ことしからこの二校でございますが、卒業生を出し始めて、あと二、三年の間に卒業生を完全に出すようになります八つ養護教諭養成所、これのいろんな評価等も十分考えなければならぬ問題ではないか、このように考えております。
  74. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、いま言った質と量を考えた場合に、いまの養成所で量をふやしていくということはできる。この現時点なら現時点でもいいと思うのですけれども、一歩進めていくという意味で、もう一つは、養成所ということで、この卒業していらっしゃった方々のお話を聞きますというと、やっぱり、同じ何なら短大にしてほしいしという意見があるわけなんです。これは皆さんが聞かれるとあるいは変に思うかもしれませんが、学校へ赴任していきますね。そうすると、みな大学を出ていらっしゃる、先生方が。それで、子供にも紹介する、PTAにも紹介して、養護教諭養成所卒業生でございますと言うと、そういうのがあったのですかとまず聞くというのです。それで、これはどういうものだということをまず説明するということですが、それは内容的にも自分に誇りを持っているから、何を聞かれても堂々と答えればいいわけです。しかし、やはり社会通念として、大学ということを、学校の中にいますと、かなりいろんな点で考えさせられる点があるというのです。  そこで、これはどうなんでしょうか。いまあります養成所ですね、三年の。これを四年にしていくとか、あるいは短大を設置していくとかして、質のほうを四年で、量のほうを短大で、将来は四年制に向かっていくというこういう構想のものでやる。そうすると、短大設置の場合に国立学校の設置法の、もし間違ったら訂正しますが、三条の三で短大設置ができるのですね。設置法三条の三で短大を置く場合のことは規定されているようですが、どうなんでしょうか。
  75. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) そういう短期大学をつくるといたしますれば、三条の三のところが至当だろうと思います。
  76. 千葉千代世

    千葉千代世君 つくるとすればね。
  77. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) はい。
  78. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、このいまの養成所ですね、養成所のことについてさっき御答弁いただきましたけれども、今後の問題としてでもよろしいのですけれども、四年制と、それから短大の二年ですか、二年でもいいし、あるいは三年でもよろしいのですが、そういうような方向で、質と量とを兼ね備えて進めていくという方法について考慮の余地はありませんか。
  79. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 先ほど来申し上げておりますように、養護教諭養成の確保、特に計画養成あるいは養護教諭に恥じないというりっぱな養護教員養成するために、いろいろな観点から養護教諭そのものの養成を目的とした大学なり短大なりがあるということは、趣旨としてはこれはけっこうなことだと思います。したがいまして、先生のおっしゃることは私ども趣旨として反対する理由はないと思います。  ただ、現実の問題といたしましては、養護教諭の需要供給の問題とか、それからせっかくそういうことでいろいろな養成機関がある中で、とりわけ養護教諭養成所という特別なものを数年前につくって、まだ八校のうち二校がやっとことし三月卒業生を出した、そういう時期に、まだそれの帰趨も見ないで、もうすぐいろいろなその他というのは、ちょっといろいろ関連する問題もあるのではなかろうか、そのように考えますので、趣旨としては私どもけっこうと思いますが、ただ、現実の問題といたしましては、養護教諭需給状況関連とか、あるいは養護教諭養成所卒業生に対する社会的な評価なり、あるいは活動状況なり、いろいろなことを考えて、具体的に先生のおっしゃることを実行するかどうかをきめたい、そういうことでございます。
  80. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、養護教諭充足五カ年計画の終わりになって、それから学校教育法二十八条にも進んでいく。そうすると、一校一名にしていく場合に、小学校と中学校、これは私、質問ですから、中学校の数と小学校の数、それを一名ずつにしていって、そうすれば、大きい学校も小さい学校もあるわけでしょう。そうすると、大きい学校で二千名いても一名ということはないわけですから、大体どのくらいで二名にするかということ。いまここに、小学校千名について一名、中学校千二百名について一名という定数になっていますね。そういうふうにいいほうに変えていきたいという意向はわかったのですけれども、これを推進していく場合に、一校一名をとりあえずやっていくというふうな考え方でいく場合には、どのくらいこれから必要だと思いますか。人数を現員と比較してみて、学校数と差し引きしていただいて。概略でけっこうですから。
  81. 天城勲

    政府委員天城勲君) ごく大ざっぱに現在の学校数と、それから現在置かれている学校数との差を見ますと、あと一万九千人くらい養護教員を配置しなければならぬ、こう思っております。
  82. 千葉千代世

    千葉千代世君 もっと詳しく聞きたいのですけれども、時間の関係で……。一万九千名、概略にして要りますね。そうすると、定数法の期限が切れれば本法に返る、さっき鈴木委員から関連質問したのですけれども、私もそう思います。しかも、二十八条の中で、当分の問という百三条があるのですけれども、確かに全く当分の間ということなんですが、長いことそのままになっている。そうすると、やはりこの際それに向かって一歩を進めるならば、一応これで完了したからということではなくて、この二十八条の充足率を実際化していくためにどれだけ要るかということを、最小限、年次的に今後計画を立てていく段階じゃないか、このように私考えるわけなんですが、それはいかがでしょうか。
  83. 天城勲

    政府委員天城勲君) 需給関係から申しますと、定数関係が一番需要数を規制いたしますので、便宜私から申し上げますが、ただいまいろいろな種類の養成機関があることを大学局長からも説明がございましたのですが、特に国立養護教諭養成所その他四年制大学ないしは短大の課程に認可を受けましたのが、学年進行によって卒業生を出してまいりますと、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年でかなり学年進行が進みますが、その段階では大体四千名ほど資格を持った方が出てくるわけでございます。定数との関連、もちろん今後の問題でございますけれども、約四千名の資格者の中から現在実際に就職された方は四割ぐらいでございます。これの歩どまりという問題が一つ先ほど申しておるようにあるわけでございますが、四割と考えれば千五百人でございますが、このくらいの減耗率を見込んでの供給はいまの養成計画からは可能なわけでございます。先ほど申し上げた一万九千というのをごく大ざっぱな言い方をいたしますれば二万人、年々二千人ずつ供給していくという前提に立てば十年かかってしまう。しかし、いまの資格者数と就職者との比率が四〇%台でございますので、これがどう直るかということが一つ見通しでございますが、半分ぐらいしか就職しないのだということになれば、四千名出ても二千名しか就職しないというような関係が出てまいりますので、何と申しましても需給関係見通しということを十分考えていかなければならないと思います。  それから、全校必置の方向で、法律上、当然そうなるべきだという御指摘でございますが、私たちも一応四十四年度以降定数改正を考えていかなければならぬと思っておりますが、その場合に、他の専科教員の問題であるとか、あるいは教育困難な地域における教員定数充実の問題、あるいは事務職員の問題、いろいろ今後改善すべき点についての要望が出ております。それらを勘案しながら、この養護教員定数を考えていかなければならぬと現在思っておるわけでございまして、いま申し上げたような大ざっぱな見通しはできるわけでございますけれども、最終的には定数法改正とあわせまして、養成の問題につきましては、省内で大学局と十分連絡をとって、そごのないように計画を考えていきたい、かように考えております。
  84. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの減耗率ですけれども、さっき言った年齢構成を見てみますと、一どきにがたっと減りますから、この点はもう事実として出てきますのですけれども、それからもう一つは、やはり女子教員のいろいろな、赤ちゃんを育てたりなんかしていくために若い方々がやめていくとか、そういうことがなかなか多いと思うのです。ですから、相当これを満たしていく条件をつくっていかなければならないことと、もう一つは、きょうは時間の関係義務制だけにしぼったわけなんですけれども、幼稚園の養護教員設置の問題、私ぜひこれをやりたいと思うし、それから高校にもずっと配置していく必要がある。特に青年期におけるいろいろな生理的な問題とか、青年心理の特徴的なものに対するやはり母親的な役目とか、そういう点についても、非行少年なんか見ますというと、かなり大きな問題を含んでおると思うのです。ですから、そういうふうな面、ひいては大学まで養護教員が必要じゃないかということを考えているのです。まあ、いまのような社会の中でいろいろな、食べもののことから、いろいろな問題を考えていった場合には、養護教諭というものはこれから発展さしていかなければならないといったときに相当数を——義務制にしぼられてこれだけなんですから、もっと需要のふえていく段階にいくのじゃないかということを考えますので、これは充足計画をやはり十分に考えていただきたいと思うのです。  そこで、いま市町村支弁養護職員の問題を伺ったのですけれども、講習を各県でやられていますね。養護教諭資格付与講習でございます・それはことしの予算を見ますと百八十万のようですけれども、私、これはもっと増額してもらいたいという観点から伺いたいのですが、この講習資格を持たない者にとってはたいへん喜んで受講しているのです。しかし、一方、旅費とか宿泊の問題とか、単位を持っている者とそうでない者とかち合ったりして、かなり問題点もあるわけなのです。大体、昨年度でもけっこうですが、実施状態はどんなふうになっていますか。
  85. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) お尋ねの養護教諭免許状を持たない養護職員資格付与講習でございますが、御承知のように、昭和四十年度から四十五年度までの六カ年計画講習を実施しております。その講習の受講者延べ数は、四十年度で五千四百八十人、四十一年度、延べでございますが、五千八百六十三人、四十二年度五千五十人、こういう人数になっております。ただ、四十二年度実員を申し上げますと、四十二年度は二十七の県で三十の会場で、延べでは三千二百五十七名ですが、実員は千六百二十九人が受講いたしております。大ざっぱでございますが、一応状況はそういう状況でございます。
  86. 千葉千代世

    千葉千代世君 講習を実施されて、各県で運営しているわけなんでしょうけれども、問題点は大体どういうところにありますか。
  87. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは先生も御承知のように、文部省と都道府県教育委員会とが共同主催でやっておるものでございます。そのほかに都道府県が単独でやっておる講習もございます。文部省がやっておりますのは、これは一人が二単位ということで、先ほど百八十万円の金額が少ないというお話もございました。これにはいろいろ理由もございますが、問題点と申し上げるほどのものになりますかどうですか、受講生に対しての旅費が支給されないとか、あるいはもっと単位数が年間よけい取れるようにしてもらいたいとか、文部省のほうは二単位ですが、都道府県のほうはもっと単位が取れるように、これは長期にわたってやってまいりますが、そういうようなことで関係者からいろいろの御要望等が出ておったことは承知いたしております。
  88. 千葉千代世

    千葉千代世君 余談ですけれども、これは運営していらっしゃる側から聞きますというと、やはりもう少しお金がほしいということです。だれが運営してもお金はたくさんにこしたことはないけれども、最小限やはり運営そのものと、それからもう一つは、いま言った旅費とか宿泊費とかになりますと、講習会場に近い方はよろしいのですけれども、県によってずいぶん遠くから泊まりがけで来るわけです。家族のある方でお子さんの小さい方は出られないという実情にあるわけです。それで、行きたくても何年も延ばすわけです。単位も、東京なんかですと、島が特別に講習をするとかなんとか便法をやるわけです。そういうふうな配慮とか、いろいろの手だてがあると思うのですけれども、その点をひとつ御調査の上、万全の対策を立ててほしいと思います。
  89. 鈴木力

    鈴木力君 関連養護教諭の問題、私はいままでの御答弁を伺って、どうも心配になってきたわけです。それは需給関係とかいろいろの御答弁をちょうだいしましたけれども、基本的に文部省——これは大臣に伺います。文部省は、学校という機能の中で、職種の中での養護教諭という職種をどう位置づけし、どう把握しておるのか。つまり、法律は法律ですけれども、教育的な機能としての学校での養護教諭をどう見ておるのか、まず基本的に伺いたいと思います。
  90. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私はざっくばらんな話を申し上げたいと思いますが、実はこの養護教諭教員の問題について、内部でいろいろ話も聞いてみましたり、また委員の皆さん方のこの問題に対する強い御関心のほども承っておりますので、文部省としてどんな考え方をすべきかということについていろいろ話し合いもしてみたのであります。率直に申しますと、なかなか、先ほど来千葉先生の詳細な御質問を通じていろいろな問題点がこの問題にはあると思うのでありますが、質の問題、量の問題、どれをとらえてみましても、問題点はたくさんあるわけでございます。そこで、文部省の事務当局としましては、先ほども、各校に一人ずつ置くとすればどうなるかというふうなことを考えますというと、約二万人の人を必要とする、こういうことになりますと、これは容易でないということを事務当局としては考えるのは無理からぬと思うのであります。したがいまして、お答えが何となしにこう消極的なようなお感じはあるいはお受けになるのじゃなかろうかと思うのでございますが、私もこの問題は、先ほど来の千葉先生の詳細な御質問を通じましても、幾多の問題点をかかえておるということを大いに啓発されたわけでございます。  私はとにかく、あるいはしろうとの言うことで脱線するところがあるかもしれませんけれども、保健衛生と申しますか、ことに小・中学校の中でやはり、保健衛生に関するしつけでありますとか、知識的な教育でありますとか、こういう問題は非常に大事なことじゃないかと思います。同時に、学校の衛生環境をよくしていく、こういうことについても、養護教諭の果たされる役割りというものがもっともっと発揮せられていいのじゃないか、こんな実は考え方をいたしているのであります。そういう何で、御質問があったからお答えするというのじゃございませんが、養護教諭の問題をもっと積極的に教育の場において取り上げていかなければならぬはずのものじゃないのかと、こういうふうなことも実は内輪でいろいろ話し合いをしたようなわけでございますが、実現するということになりますと、先ほど来の質疑応答を通じましても、なかなか容易ならぬ問題があろうかと思いますが、特に千葉先生の御質問の中で一番御心配になっていらっしゃるのは、これから先どうするのかという点について御心配になっていらっしゃるように実は伺ったのであります。  この点は、なるほど昭和四十三年度の予算につきましては積極性のあるものが見られないのでありまして、御心配もごもっともだと思いますけれども、ちょうどいままでの計画が一応四十三年度で終わりになります。私どもといたしましては、これをそのままもうこれで済んだのだというようなつもりであってはならぬと思うので、現在の充足状況というものが決して十分でない、しかも法律制度の本旨から申しますというと、いわば一時的な便法として不十分ながらやっておるということでございますので、一ぺんに本則に返るということがむずかしいとしましても、文部省としましては、その方向に向かってやはり一歩でも二歩でも前進していくというかまえでもってものごとを考えていかなければならないのではないかと思います。  そこで、来年度以降の問題になってくるわけでございますが、いま申しましたように、五千人の養成計画ができたということで足れりとしないで、積極的に前向きにこの問題を検討していく。その間にはいろいろ考えなければならぬ問題がございましょう。それぞれの地方の実情もありましょうし、またそれぞれの方々の境遇もおありになろうと思いますが、大きくいえば、やはり日本の人口構造の関係なんかもあるいは出てくるかもしれぬとも思いますし、いろいろの面から考えまして、できるだけ積極的に改善をはかっていくというかまえで今後の計画をひとつ検討してみたいと思っておりますので、そのようにひとつ御了承いただきたいと思います。
  91. 鈴木力

    鈴木力君 大臣のいまの御答弁でわかるような気もいたします。ただ、私は、私自身が教師をやったものですから、多少ひがみを持っているのかもしれません。それは、たとえば二十八条で「小学校には、校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」、これが本則ですね。いま法律の文章はこうなっている。確かにいまの学校制度で小学校教育をやる場合には、養護教諭と事務職員が欠けているというのは、私は完全な教育機関にはなっていないと思う。ところが、それがいろんな都合によるとかで、不完全なままでも学校は走っていることを是認している政府の態度に、どうも教員は割り切れない気持ちを持っている。しかも、「当分の間」というような、これは法律の私は逃げるためのといいますか、よくいえば救済措置とかなんとかいうでありましょうけれども、その当分の間が二十年も三十年もということになってきたら、やっぱりいまの教育をまじめに考える者は、どんなことがあってもほんとうに国の機関が、政府が教育を完全なものにしようとする意図があるかないか、これはどうもわからないようなひがみがある。これはひがみですからお許しをいただいて、御質問じゃございませんが。  やっぱり私どもは、土木を考えますと、橋をかける場合にはコンクリートの調合の比率というものは技術的にきまっているわけです。鉄筋もなければならない。そのときに、予算がないから鉄筋は抜いて橋をかけろということは土木行政ではないはずなんですね。それから、いまセメントがちょっとないから、間に合わないから、セメントを抜いて橋をかけろという土木行政は私はなかろうと思う。ところが、教育行政の場合にはいろいろな理屈をつけて、附則で何とかやれば救済できるから、その附則を「当分の間」として未来永劫に生かそうというようなそういう態度が見えるので、どうも心配なわけです。ですから、私はさっき養護教諭をどう見ているかという場合に、ほんとうにいまの学校教育を推進していくためになければならないと思っていらっしゃるのかですね、あればいいのだけれども、あるにこしたことはないけれども、まあだんだんにやらせるようにというような気持ちなのか、その辺をもう少しはっきり伺いたいと思う。
  92. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、あるべきだと考えております。ただ、問題は、いまのように実際問題としてこれを満足すべき結論までいくのには相当な時間がかかるということも、また現実問題として御了承いただかなくちゃならぬと思いますが、あるべき姿としましては、それぞれ適当な人が配置されるべきであると考えます。
  93. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、さっきのこれはことばじりじゃないですけれども、なぜことし養護教員養成予算を取れなかったか。再三局長さんからの御答弁をちょうだいいたしますと、需給関係見通しが立たないから置けなかったとか、需給関係見通しを立ててやりたいというふうに伺うのです。私は、需給関係というのは一体何のことかということなんですね。それは定数法というそれにこだわっていらっしゃる。どうしてもこだわっていらっしゃるような気がするのです。かりに、いま大臣の答弁のように、置かなければならないのだと。これは私どもだってだれだってそうです。さりとて、この二万人というのを来年度から、いますぐ置きますぞといま言ってみたところで、これはできないということが、これはだれの常識でもわかっておるのですから、そこまでは言うつもりはありませんけれども、しかし、新しい定数関係を、需給関係見通しをつけて、それから養成するのだというこのお考え方は、どうも私は納得できないわけです。かりにあと二万人必要だ、これはわかっているわけです、「なければならない」という立場に立てば。そのうち何人にするかということは、財政的な事情や、あるいはまたそれこそ養成計画とも関係するのですから、何人ということはないにしても、少なくともことしならことし、かりに二百人や三百人の養成機関をつくってみたところで、それが需給関係見通しを狂わせると考える、そのお気持ちが私にはどうしてもわからないのです。  そこで、もう一ぺん局長さんに伺いたいのですけれども、需給関係見通しとおっしゃるのは、何をさしていらっしゃるのか、これをはっきり伺いたいわけです。
  94. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 五千人、養護教諭を増員するという計画を、年次計画を立てまして、その限りにおきましては、四十三年度の定数というものを片方に見ますと、一応そこで需給のバランスは、先ほど初中局長からも申しましたような、幾つかの県では五十名以上不足している県もございますが、幾つかの県は定数をオーバーしたようなかっこうになっている。したがいまして、今日までは一応四十三年度の定数までを目途に需給関係はバランスが大体とれるように進んできた。需給見通しというのは、今後の定数養成とのバランスがととのわないと、かりにいまの定数のままですと、来年からは養護教諭養成所卒業生がまたほかに二校、ふえてくる。そうしますと、いまの定数のままでいきますと、来年は供給のほうが三、四百多いというような——これは全体の養成数字でございます。各県はもちろん多少の相違はございますが、多くなるという数字になる。せっかく養成をする場合に、養成をしてもその人々が就職ができたいということであったのでは、これはせっかく養成してもお気の毒でありますし、そういうことで、将来の需給のめどを定数養成とがうまくマッチするように考えていかなければいけない。まあそういったようなことをいままで申し上げたつもりでございますが。
  95. 鈴木力

    鈴木力君 私がひがんでいると言うのは、そこのところにひがみがあるのです。さっき大臣は、やはり法律の本則ですね、学校教育法の二十八条にのっとっての「なければならない」という立場をおとりになっていらっしゃった。ただしかし、大臣もおっしゃるように、それが一ぺんにはできない。これはもう私どもも理解できるわけです。本来であれば、二十年たっている今日こんな議論をしているということは、ほんとうはおかしいのでして、少なくとも二十年たっている今日は、各学校に全部いるべきだと思うのです。それが置けなかった。それはしかし、過去のことだからしょうがないといたしましても、少なくともいま局長が、いまの定数でいくことになりますとという想定でものを言っていらっしゃるわけです。大臣がおっしゃる、学校にはなければならないのだ、そういう立場でものを考えている場合には、まあ定数法をつくって計画的にやっていかなければならないことはわかるにしても、百に一でも、いまの定数法で続くという想定が立つのですか、立たないのですか。
  96. 天城勲

    政府委員天城勲君) ちょっと私から申し上げます。端的に申しまして、四十三年度に五カ年計画も終わりまして、四十四年度以降において教員定数の問題は前向きに考えなければならぬと思います。その中で養護教諭定数充実の問題は、いろいろの要素の中で最重点に考えるべき問題だ。これは先ほど来申し上げているとおりでございます。  それから、需給関係の問題と定数との関係も確かにございます。同時に、現在の養成機関が非常に多様でございまして、総数で申しますれば歩どまりが四割以下でございまして、資格者はいるのでございます。その点を考えませんと、養護教諭プロパーの機関をただふやすことによってだけ資格者をふやしても、この歩どまりの問題がどうなるかということと、それから、たいへんこの養護教諭資格の問題は複雑でございまして、保健の免許状を取る方もおられますし、それから看護婦資格を持っておられる方もある。まあ、大体養護教諭一本でなくて、いろいろな資格をあわせ持たれる方があるようでございますものですから、需給関係が普通の国語の先生あるいは英語の先生というような形で計画を進めにくいのでございますね。結論としては、その歩どまりがございませんので、余分に養成しておかなければならないということはございます。しかし、現在の時点で有資格者免許状を有する者と、実際に充実できる人間、あるいは減耗補充等の趣旨から申しますれば、足りないという数ではない。ただ、現場の需給関係が非常にむずかしいという点を申し上げておったのでございまして、おそらく大学局におきましても養成機関の今後の増設とか増員とかという問題を閉じてしまうということを申し上げたこともございませんので、十分考えたいというふうに考えておるわけでご、ざいます。
  97. 鈴木力

    鈴木力君 これはもう何べん申し上げても結局同じことを蒸し返すことになりますが、何べん伺ってみても局長さんの御答弁はいまの定数にこだわっているんです。二十八条をどう読んでいらっしゃるのか。それから、まあ法律は別ですよ。法律は別だけれども、私がさっき申し上げました、たとえば学校というものは校長と教頭と教員養護教諭というものがいなければいけない、いなければ学校という機能は完全なものではないのだということを、土木行政で鉄筋が欠けたらほんとうのコンクリートの橋にならないんだという、こういうようなものの言い方が違うとおっしゃるのか、私のその言い方が正しいというふうにお聞きくださるのか、どちらです。
  98. 天城勲

    政府委員天城勲君) 私たち、そのことを何も否定して申し上げておりません。ただ、現在の養成数とそれから需要の関係からこういう状況になっていますということを申し上げて、基本的に養護教諭の本質論について先生と異なったことを申し上げたことは一度もございません。
  99. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、私はいままでのことはしようがないと申し上げておる。将来のことです。将来のことを申し上げる場合に、いまのコンクリートの場合だったら、橋がかからないはずですよね。そうでしょう。鉄筋が足りなかったら、その橋をかけるということはないはずだ、土木行政だったら。学校養護教諭という鉄筋が欠けておっても、外から見れば学校があるから、そうして入学もさせるし授業もしているし卒業もさせるから、だから、学校を走らせているということなんでしょう。その認識がほんとうに教育の中身に入って理解した認識であるとはどうも私は理解しにくいということなんです。もし私の申し上げたようなことに文部省かお立ちになるなら、需給計画見通しがつかないから養成あとでもいいという話はどうしても私は納得できない。  いま有資格者がいるとおっしゃるけれども、有資格者養護教諭になっていない方は二万人もいないでしょう。あと二万人いなければ養護教諭は全校に配置にならないという状態のときに、かりにその人たちがこれからどんなことがあってまた就職を希望するかもしれないけれども、いないはずです。そうすると、いま養成して、需給計画養成したら余って就職させるのに困るというふうな事態が来るとは考えられない、ほんとうに私が言ったような意味で養護教諭充足させようということをまじめにお考えになるなら。それを何か弁解ばかりしていらっしゃって、よし、わかった、ほんとうに来年はやるんだということばがどうも出てこないので、私はひがんでいるというふうに、まあ自分がひがんでものを言えば一番差しさわりがないから、そういうつもりで申し上げているんですが、その辺がどうも私にはわからない。  これは養護教諭だけでありませんけれども、教育の社会にはよくあるのです。予算が足りないからがまんしろと。そうして不完全なままで教育をやらせておいて、そうしてまあ何とかというふうなことになっておる。この考え方を基本的に変えないと、私はやっぱり日本の教育というのは前進をしたいと思うのです。やっぱり役人、というとことばが悪いけれども、役人の皆さんがいろいろつくった法律にこだわってしまってですね、教育というものにどうもどこか感覚が遠ざかっていらっしゃる。ここに誤りがあるのじゃないかという気さえするのです。  で、まあこんなところで押し問答してもあまり意味がないと思いますけれども、やっぱり私は最後に大臣に、これはもう年次計画で何十年かかるというようなことでなしに、養護教諭というのは学校に必置すべきものである。そうすると、いままで二十何年間必置できなかったということは、やっぱりこれはまあいろいろ努力をしたけれどもできなかったということだと思いますけれども、それにしても、やっぱりこの国の機関、政府としてですね、これはやっぱり私はりっぱだったとは言えない。そういたしますと、いよいよ今度は腹を据えて、他とのバランスとかなんとかということじゃなしに、養護教諭は必置制を目ざして、最短距離で必置制にいたしますと、こういう御答弁をぜひいただきたい次第です。
  100. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど橋をかける話と教育とのお話がございましたが、これはまあ教育関係、このような仕事に関係を持つ者としましては、鈴木さんとみな同じようなもどかしさを感じておると私は思うのであります。何と申しましても、形にあらわれにくい問題につきましては、自然取り上げられることがあと回しになってくるというふうなことが決していままでなかったとは言えないのでございます。そういう意味で、これは事務当局の問題というよりも、むしろ政治の問題というふうに私は思うのでありますが、遺憾ながらわれわれとしましても思いながらなかなか実行できないというふうな問題が少なからず過去においてもあり、また現在でもあるわけでございます。事務当局が積極的に勇ましい答弁をしたいところだろうと思うのでありますけれども、さて大蔵省へ持ち込めば、御承知のようないつも経過をたどっておる。来年のことをどうとかと、こうお尋ねになりましても、来年しっかりしたことをやろうとすれば、やはり気持ちも新たにしなくちゃならぬと思いますが、同時に、大蔵省とやり合うのに足るだけのものを持ってやっていかなけりゃならぬ。そういうところから、自然答弁もきわめて慎重過ぎるほど慎重な答弁を事務当局としてはいたしておると思うのであります。  しかし、問題は私が考えなけりゃならぬ問題でございますので、先ほど申しておりますように、なかなか急なことにはいかぬと思いますけれども、私は現状でもって固定しようというふうな考えはもちろんございません。一歩でも二歩でも前進する姿においてこの問題と取り組んでいきたい、そういう考え方でもって事務当局にも十分検討してもらいたいと かように存じておりますので、その程度でひとつ御了承願いたいと思います。
  101. 千葉千代世

    千葉千代世君 じゃ最後にもう一点だけ伺います。この文部大臣の指定する養護教諭養成機関に在学する学生に対して、日本育英会の奨学資金を貸与して、かつ返還免除の処置を講ずることについて、文部省はどのように考えていられるかということ。で、四十三年度の予算要求のときにそういう要求をなさっているかどうか。
  102. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 文部大臣が指定いたします養護教諭養成機関に在学いたします学生に対しまして、日本育英会の奨学金を貸与するということは、また貸与した暁には養護教諭に就職すれば返還免除の処置を講ずるという考え方は、私どもも先生と同じようにそのように考えております。それで、数年来大蔵省にも予算要求をいたしておりますし、四十三年度におきましても七千五百万円ばかりの予算要求をいたしました。  ただ、現実の問題といたしましては、従来から一条学校には奨学金の貸し出しはなされておりますが、御承知の国立養護教諭養成所、高等学校を卒業して行きます三年課程の。これはいきましたが、その他のものにつきましては、言うならば、これはまあ一条学校でもございませんし、各種学校的なものであるというようなこと、その他いろいろな理由から、結局は国の財政上の問題もありますが、私どもの努力の足りない点ももちろんございますが、実現を今日まで見ていないというのが実情でございます。
  103. 千葉千代世

    千葉千代世君 その点について、強い要望もありますし、意見もありますけれども、議員立法でこの改正案を提案しておりますので、そのときに詳しく質疑を重ねたいと思っております。  私、これで終わります。
  104. 鈴木力

    鈴木力君 一番先に、きのうちょっと関連で御質問申し上げましたが、付属の入学試験のときに特別に扱って高等学校に入れている。きのうはまあ突然だったので御答弁をいただけなかったのでありますが、きょう最後の質問なので、その御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
  105. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 昨日でしたか、富山大学に例を引かれておっしゃいましたその件、実は昨日も申し上げましたように、私どもその実情を十分把握いたしておりませんので、実情を把握しないで一般論としてお答えするのもいかがかと、実情調査の上しっかりした考え方を答弁さしていただきたいということを申し上げましたが、そういうことで、きのうのきょうでございますので、十分な調査ができておりませんが、富山大学にさっそくきのう状況を聞きましたが、あまり十分詳細な点がわからないのですが、一般に指導要録ですかに、五段階評価で記録する、それで上級学校に行くときはそれを出すとかいったように、その点では、いわゆる五と一番下の一が七%、それから四及び二が二四%、三が三八%、こういったような比率が一応五段階の場合の正常分配曲線の理論による数字であるというふうになっておるようでございますが、実情におきましては、若干そこのところが、富山大学の付属中学では、高等学校への入学試験を子供が受けます場合の調査書の提出が若干違った形になっておるようでございます。いまの正常分配曲線の理論によります数値に、そう激しく違いませんが、たとえば五が七%というのを、五が二八%、四が二四%というのを四が三二%の比率の評価をいたして出した。ただ、これに対しまして、県教育委員会といたしましては、父兄等から批判の声も一部出ているけれども、まあ四十一年度から学校関係者の間では、まあ現在の富山大学付属中学校の実態からは、一応了解されるといったようなことになっておるそうでございます。  それ以上の状況はちょっと、きのうの、きょうでございますので、もっと専門家にも調べさしたいと思っておりますが、一応そういう状況でございますので、これにつきまして、もう少し県の教育委員会のほうの意向も聞いてみたいと思いますし、また富山大学の付属中学校生徒の実態も調査してみたいと思っております。そういうことで、昨日に引き続いてきょうも十分な御答弁ができませんが、その程度で御了承いただきたいと思います。
  106. 鈴木力

    鈴木力君 きのうのきょうですから、いまのあれをちょうだいすればそれでいいのでして、あとやはり御調査をいただきたいと思うのです。  私が申し上げるのは、きのうから議論したことですから、時間もありませんから蒸し返しませんけれども、やはり付属という学校がエリートだということを、自分も認め他も認めるという形になってしまっておる。だから、入学試験のときからそういう形になってきておって、これが常識になってしまって、あと高校入学のときに、他の学校からの生徒にいろいろな問題が出される。これはやはり教育的に非常に大きな問題だと私は思うのです。局長はいま大きくは違っておりませんとおっしゃいますけれども、七%が二八%になってしまうということになれば、私どもから見ればあまり小さな問題じゃないですね。五の数を七%から八%にするだけでも、ちょっと教師は抵抗を感じているだろうと思うのです、いまの分配曲線からいえば。それが二八%も五にしておいて、局長さんもたいしたことではありませんけれどもというふうにお感じになっているうちは、私はこの付属の欠陥は直らぬだろうと思うのです。だから、やはり七%が二八%になったら、これは大きいというふうにお感じになって御調査をいただきたいと思います。ただし、私はこの問題だけで解決するとは思いませんので、きのう柏原先生からも出ましたように、やはり全体の調査をなさいまして、そうして付属全体のあり方と関連してこういう問題も検討していただいて、いわゆる教育界の中に付属というのが周囲からも認められるような、自分もそれで成果をあけていくというようなことに、さっそく手をつけて検討をされてもらいたいと思います。局長のたいしたことはないがというのはどうも気にかかるのだが、これはことばじりじゃなくて、ことばの頭のほうをつかんだわけですが、いかがですか。
  107. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) いまの、付属学校がエリート学校になってはいけない、あるべき姿でなければいけないということは、昨日来私も申し上げましたし、また大臣からもお話がございました。ただ、入っております生徒には、これは私はあまり責任がないので、学校がそういう選抜をしたのがいけないと思うのです。それで、にもかかわらず、非常にエリート的な学校にして選抜をして入れておって、その子供たちが、理論的な正常分配曲線ですか、それだけで上級学校へ推薦されるのも、子供にとっては同情しなければならぬような問題があるような感じがいたします。そういうようなこともございましてちょっと申し上げたわけですが、たいした違いじゃないということがまた問題でございますれば 相当達しますので十分検討したいと思います。
  108. 鈴木力

    鈴木力君 局長さんのいまおっしゃったように、これはいま子供がどうとか、直接的にこれを直せば公平になるとかという問題じゃないと思うのです。私はやっぱり、付属の入学のときというよりも、付属のあり方全体からバランスをとっていかないといけない問題だと思いますから、いま局長さんのおっしゃるように、ひとつ検討をされていただきたいと、これは御要望だけ申し上げます。  その次、時間がありませんので、簡単にお伺いいたしますが、国立の電波高等学校について伺いたいのです。これは実は去年の国会だと思いますが、国立学校設置法の審議のときに、この委員会でも附帯決議をつけて、できるだけ高等専門学校とするように、こういう附帯決議をつけたはずでありますし、また、この法案の審議に入りました冒頭に、自民党の楠委員からもそういう御質問がされて、御答弁もちょうだいしているのでありますが、やはり楠委員の御質問に対しての局長の御答弁、どうも私は納得いかない点がありますものですから、もう少し伺いたいと思うのですが、文部省がこの電波高等学校をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、専門学校にしようという附帯決議に対しても文部当局としてはどういう態度でいらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  109. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 電波高校の高専昇格の問題でございますが、まあ私ども委員会でも先生方からも御意見を承りましたし、また関係者からも強い要望があるということは十分承知いたしております。申し上げるまでもございませんが、現在の六、三、三、四の学校体系に対しまして、それについて最近商船高等専門学校の、いわゆる六、三、三、四の単線型に対して一部複線的な形が生じまして、で、こういうことは何も単線ということにもいろいろ理由がございましても、社会の需要その他いろんな事情からこういう工業高専の制度がとられたわけでございます。  ところで、次に電波ということでございますが、私どもといたしましては、一応関係者の強い要望もございますが、またこれは考え方によれば、電波は工業の一部門でもございますし、そういうような観点から、これは工業高専に適さないというふうに初めから考えておりませんで、十分検討すべき問題だというふうには考えております。  ただ、いろいろこれは、現場の卒業生は直接に電波関係の技術者として社会に出ますし、またいろんな国立の電波高校以外にも似たような学部学科のものが大学なり高等学校にもございます。そういうようなことから、電波関係の技術者養成需給関係等も、これは学校制度と同時に需給関係も十分検討する必要がある、まあこういうことから、文部省としても一応、文部省だけでいいとか悪いとかいうことじゃなくて、十分関係者の調査並びに審議を願って、結論を出したい、こう考えまして、先般来文部省関係者の、学識経験者の会議を持ちまして、現在検討をいたしておるというのが状況でございます。
  110. 鈴木力

    鈴木力君 いまの単線か複線かということになりますと、たいへんむずかしい問題になると思いますし、いろいろな意見も出てくると思いますから、いま局長さんが御答弁なさいましたように、やはり技術者養成機関だということで、これはやはりいわゆる一般の高等専門学校と同列に見てどうこうというふうでなしに、御検討いただきたいと、こう思うのです。  それで、もう少し若干伺いたいのは、一体この電波高等学校ができたのはたぶん昭和二十四年だったと思いますが、どういう目的でこの高等学校を設置されたのですか。これは初中局長さんに伺ったほうがいいのですが。
  111. 天城勲

    政府委員天城勲君) 電波高等学校の目的でございますが、これは一言で申しますと、高等普通教育並びに無線通信に関する専門教育を施すことを目的とする、こう申し上げていいと思います。
  112. 鈴木力

    鈴木力君 規則は別として、二級免許状を取るということが一つの目的としてやられていないのですか。
  113. 天城勲

    政府委員天城勲君) 現実に、通信士の試験は国家試験でございますので、ここの卒業生は二級の通信士の資格を国家試験を通っております。
  114. 鈴木力

    鈴木力君 昭和二十四年発足、これは何年でもいいわけですけれども、この発足のころは、たぶん、いまのテレビとかレーダーとかマイクロウェーブとか、こういう電波関係事情というのは現在とはまるきり条件が違っておったときに発足したと思うのですね。そしてその当時二級の免許状を取れるように教育をする、ここで発足した高等学校だと思うのです。ところが、高等学校は同じ制度で今日まで続いておりますけれども、まわりはまるきり条件が違ってしまっている。  特にこの免許法関係で申し上げますと、当時からいままでのうちに、国家試験を受けて、その合格率はどういう推移をたどってきておりますか、伺いたい。
  115. 天城勲

    政府委員天城勲君) あまり古いほうの資料は手持ちがございませんが、ここ五年ほどの状況で申し上げますと——それからちょっとその前に、電波高等学校は本科のほかに専攻科がございます。それから、別科というのがございます。これは中心は大体本科、専攻科でございますが、合格率は年によって非常に違うわけでございます。これは純粋に能力の問題以外に、やはり海運界あるいは通信界の需給関係がかなり影響していると思うのでございますが、たとえば三十七年は四三・七%、三十八年になりますと一八%、それから三十九年になりますともっと悪くて四・五%、四十年では二一・三%、四十一年が三五・四%というような、非常に変動がございます。
  116. 鈴木力

    鈴木力君 これは文部省に伺ってもわからないかもしれませんけれども、電波通信士の国家試験は電給関係によって甘くしたり辛くしたりするようになっているのですか。
  117. 天城勲

    政府委員天城勲君) 実は海運界の求人関係に波があることは事実でありまして、そのために試験を、たいへん申しわけないのですけれども、甘くしているか辛くしているか、その辺は私もはっきりいたしませんが、非常に悪い状況のときには生徒のほうも非常に取りかえてしまう、それがあるのじゃないかと思います。
  118. 鈴木力

    鈴木力君 やはり合格率は需給とはあまり関係ないでしょうね。どうもおかしいと思う。  それで、くどくど私は申し上げませんが、時間もありませんものですから。私のほうもやはり調査をしてみましたら、年々合格者が減っていくのですね。そしていま試みにと思って、私もある学校へ行って聞いてみたのです。三年間で、一般教養ですか、高等学校の課程の基礎科目と専門技術科目との課程を、いまの電波の進歩した状態に合わせるということは、どんな優秀な生徒を集めて、どんな教員がおったにしても、できない、こういうことですね、技術的に。そういう訴えを私ども聞きました。それから、いま合格率がどんどん下がっていくというのは、これはやはり試験のほうがそういう進歩の度合いによって高くなっていくから、そこでやはり私どもは高等専門学校にすべきではないかという意見を持っておるわけですけれども、したがいまして、私は、これは免許状とからむものですから、就職先も免許状を必要とする就職先が大部分ですし、したがって、とか商業とか、そういう免許状を必要としないところとは別個な立場で、やはりこれは検討すべき問題ではなかろうかと、こう思っておるわけなんですけれども、その点どうですか。これは学術局長か、どちらでも……。
  119. 天城勲

    政府委員天城勲君) バトンタッチの仕事になりますので、適宜二人でお答え申し上げます。  御指摘のように、年次によって非常に違いますし、また、特に電波関係の技術者というものの需要が、先生指摘のように最近非常に広がっております。陸上にもたくさんあるわけでございまして、現に海上就職者というのは、資格ある者の中からでも四分の一しか海に行っておりませんし、あとは陸上の通信関係、あるいは弱電関係の技術者として働いております。  で、ひとつ海運界のほうでは、最近外航船舶の船舶通信士の資格の変更がございまして、一級無線通信士が必要になってきております。そういう関係から申しますと、この一級通信士の養成大学短大が現在御案内のようにございますので、そっちの面が非常に正面に出てくるかと思っておりますが、高校段階でそれだけをねらってまいりますと、やや不十分だという実態は私率直に言えると思います。したがいまして、電波高校の養成目的を、特に航海、外航船舶の通信士、一級無線通信士の養成ということを正面から考えるならば、教育の内容ももう一ぺん検討しなければならないということは確かにあろうと、かように考えております。
  120. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、私は多少考えが違うのですけれども、電気通信大学ですか、あの大学は船員の養成を目的とした大学なんですか。そうでなくて、いわゆる電気通信関係の学問研究の場だと思うのですけれども、そうじゃないのですか。
  121. 天城勲

    政府委員天城勲君) ことばが足りませんでしたけれども、制度としてはございますが、主体は短大の分野でございます。
  122. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、短大があるから高等学校はほうっておいてもいいという理屈ということにはならないと思うのです。相当やはり船のほうにも行っておりますね。それから、船に行かない者の事情を、船に行く者が全部じゃないからいいという考えにとられると、あそこの学校生徒たちは相当これは悲しむであろうと思いますよ。どうせ一級が取れない。一級どころではない、二級も取れない。どうせ取れないからということで、免許状のない就職先をさがすという傾向がいま出てきております。それから、いまの陸上だけでも、やはり通信士の免許状のある者の就職先が非常に多いわけです。必ずしも船だけが通信士の免許状を必要としないわけです、いま。そういう面からすれば、せっかくの国立のものが、だれが見ても免許状取れない課程にいま追い込んでおるというのは検討すべきじゃないですか、こういうことなんです。  たとえば、いまの高等学校がだんだんこのままで推移をいたしますと、免許状を取るというところにはもう全然重きを置かなくなってしまって、どこかの電気メーカーかなんかのほうにでもというような安易なものに生徒が流れていく危険性が出てきておる。それを当事者たちも心配をしておるわけなんです。当初出発をいたしましたように、最低二級の免許状は取らせるのだ、そしてそれがだんだん一級まで上がっていくんだと、そういうやはり目的に合ったように学校そのものを変えていくべきではないのかと、こういうことを考えておるんですけれども、そういう点について全然やはり免許状ということは抜きにして御検討なさるということなんですか。
  123. 天城勲

    政府委員天城勲君) ことばが非常に不十分だったかもしれませんけれども、先生のおっしゃるような事情を十分前提に置きまして、いま申し上げましたように、一級通信士が外航船舶で法定要員としてきめられましたものですから、その点を十分考えております。それから、卒業生の進路についてという、いま先生指摘の面もたぶんにあろうかと思いますし、最近の卒業生資格の取り方の状況、逐年の状況等も検討いたしておりますので、その辺の変化は十分考慮に入れた上でこの問題を考えていきたい。むしろ、先ほど私申し上げましたように、これは技術的にはいまの高等学校では不十分ではないかという気持ちは持っております。それから、高専制度にするしかたについて、大学局としていろんな御要望もあるので、いま審議会で調査している、検討している、そういう状況でございまして、電波高校についての実態は私のほうにも専門職もおりますし、いろいろ調べておる段階でございます。
  124. 鈴木力

    鈴木力君 時間がないのでこれでやめますけれども、やはりいまおっしゃったように御検討いただきたいと思います。その免許状というのがからんでいるということで、高専と同じレベルということではなしに、やはりこの問題にということで御検討いただきたいと思うのです。  もっとも、やるということになりましても、決定をしましてからも、教育課程をどうするかとか、年度まぎわになって検討を始めるとかいうことでなしに、できればもうすぐ始めるという腹を固めて、そうして教育課程をどうするかというような具体的な検討に入っていただくように、これは御要望申し上げたいと思います。  たいへん時間がなくて恐縮ですが、もう一言だけ伺いたいのですが、大学局長さんにお伺いいたしたいのです。いまの新制大学で、新制大学といわれている戦後出ました大学で、教官の定数、それから生徒の授業の単位、それから建物の設備、広さ、これについて大学設置基準の上にいっているものと下にいっているものとの比率はどうなっていますか。時間がないためにこれを分けて伺いませんで、一括して伺います。
  125. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) これは個々の大学によって違いますけれども、総じて申しますと、国立大学でございますれば、設置基準の教員定数よりは相当上回っているというふうに申し上げていいと思います。と申しますのは、設置基準は一応標準的な基準ということになっておりますが、特に経営等の関係教員の就職が思わしくない私立大学等と国立大学は相当違いますし、そういう関係で現在の設置基準は一応最低の基準というふうに実質的には考えておりまして、国立大学のほうはそれより上回っておると思います。施設基準につきましては、大学設置基準を満たしていない国立大学は、これも個々によって違いますけれども、大まかに申しまして、大学設置基準で大学の設置認可の審査をいたします場合の基準よりは上回っていると考えていいと思います。
  126. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、あれですか、授業を受ける単位は生徒は五十人ですね、設置基準では。それから、かりに合同する場合でも、二百人をこえてはいけないという規定が設置基準にありますわね。そうすると、いまの大学国立大学に関する限りは、二百人以上集めて合同の授業をしているような実態はないとおっしゃるわけですね。
  127. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) そういう御質問でございますと、これは授業のやり方につきまして、特に教養部の関係とか、あるいは法学部、経済といったようなところでは、私いまそういうきわめて詳細な調査資料としてないと思いますのでお答えしにくうございますが、実態として、そういう授業のやり方としては二百名をこえておるものは絶対にありませんと申し上げる自信はございません。ただ、設置基準でいいます教員数とか施設基準と申しますのは、その入学している何人に対して何坪ぐらいでどういう教室を持ってとか、あるいは教官の数は何人というのが大体設置基準のたてまえでございます。それを現実の授業をやる場合に、二百人集めたり十人でやるとかいうことは、まあ設置基準にも一部そういう点はございますが、ちょっと私自信ございません。先ほど申し上げましたのは、いわゆる大学をつくったりします場合の基礎になります数字に基づいてのことを申し上げた次第でございます。
  128. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、私のほうがだいぶ不勉強で新しいことを教わりましたのですが、二百人をこえて授業をするというのは、これは設置基準の一部なんですか、授業体系に、私はその数字をどうこうというわけじゃないのですが、私がほんとうに伺いたいのは、そういう二百人以上をこえて授業をしているのは、授業の都合ではなしに、設置基準の第六条、第七条ですか、それから十二条。六条と七条には、この講座制の大学は専任教授を置かなければいけないとか、それから学科目制には専任教授または助教授と、いろいろ設置基準できめられているでしょう。そして兼任教員がやる場合は総数の半数をこえてはならないとあるのですよ、これは十二条ですかに。そのいまの教官教授が、その設置基準のとおりに専任教授がいないために、やむを得ず合併授業をして、二百人をこえてはならないのだと、大学の人たちが私どもに説明をしてくれるのはそういうことなんです。  時間があれば具体的な大学をあげてどの教科はどうかということを伺ってもいいですけれども、きょうは時間がありませんのでやめますけれども、そういう点で、少し局長のほうは、なかなかびっくりしないでおおようにしておられるところは非常に敬意を表しますけれども、私はやっぱりこの私立大学に比べれば問題なく国立大学が進んでおる、これは認めますけれども、少なくとも大学をつくったときに、大学というのはこういうものをつくろう、そう言い出してつくった大学が今日まだ最低だと。第一条に規定されているその最低に達していない大学は、何か私の感じでは、これは自信がありませんけれども、感じでは、相当数あるのじゃないかという感じがするのです。そういたしますと、やっぱりこの大学の設置問題、大学設置でいろいろと検討なさる場合にも、そういうおくれている面についてのもう少し綿密な検討と対策というのが必要なのじゃないか。これはさっき私が申し上げましたような養護教諭の問題等も同じなんです。大学もほうっておけば、何とか授業をして卒業生を出しているからということでいってるはずだと思われると、ちょっと私はどこかもの足りないような感じもするのですが、しかしあとで、これはほんとうあとでよろしゅうございますが、大学を点検をなさいまして、いわゆる専任教授の配置、それから再任教授がいない場合には助教授でかえることができるという条項もありますけれども、やっぱりいまの大学の研究と教育機関のあわせた状態のときには、相当この点については御検討いただきたいと思うのです。  このように申しますのは、いま非常に問題になっておりまして、これはこの前にも出たのですから蒸し返しませんけれども、国家公務員の総合定数制ですか、ああいう問題がからんでまいりますと、何かうわさには何%とか一律に減らすのだというような意見も出てきている。ところが、大学自体は、調べていただきますと、たしか設置基準を相当下回っているところがあるはずなんです。その設置基準から下回っているようなときに、一本にして定数を減らすのだというようなことが、誤解か正解かわかりませんけれども、伝わったりしますと、これはやっぱり相当に不安も与えていると思います。そういう点から、私はやっぱり、まずとりあえず定数の問題については、設置基準を満たすように、これは質的な問題もあると思いますけれども、手だてをお願いしたい、こう思いましていまお聞きしたわけなんですが、あとでもこれを調べていただきまして、できれば調べた結果をお知らせいただきたいと思います。
  129. 宮地茂

    政府委員宮地茂君) 先ほど申しました、先生がいろいろ条文をあげられました中で、講座なり学科目で、教授、助教授、助手とか、こういったようなものは、この設置基準に基づきましてもう少し詳細な内規的なもの等がございまして、大学をつくったりします場合は、設置審議会の審査委員のほうでいろいろ審査しております。そういった意味では、国立大学はそちらのほうの教官定数等に設置基準を削っているものはない。ただ、省令の設置基準の中にあります授業のやり方として、おおむね一つの授業科目が五十人だ、あるいは特別の場合を除いて二百人をこえない程度で授業は行なうようにといった、こういうことにつきましては、ちょっと実態を私のほうでそういう調査はいたしておりませんので、今後御指摘のような点も勘案いたしまして、できる限り調査をして御要望におこたえできるような資料を整えたいと存じます。
  130. 鈴木力

    鈴木力君 最後に、これは御要望を申し上げたいのですが、さっき申し上げましたように、大学ができまして新制大学と称されておる。それが大学をつくるために地元もいろいろと努力をされていらっしゃるし、文部省はもちろん努力をなさっていらっしゃると思いますけれども、やっぱりまだ大学設置という立場からいたしますと、その条件は、きわめて私は大学の目的を達成するための条件は整っていない、こういうふうにどうも見ざるを得ない。  たとえば、私ども去年奈良の女子大学を拝見いたしましたときも、あそこの理学部の学生の実験室を見ましたら、気密室というのですか、空気と温度と湿度を一定にしておって機械の実験をする、こんなちっぽけな部屋一つしかない。中小の小クラスの理化学関係の会社と比べたら、ものすごく劣るような気がいたします。学生たちが交代にやっても、全部の学生がそれを使い得ない、そういうような実態が所々方々にあるのじゃないかと思う、私の知らぬのが。  したがって、この大学の問題については、全学連対策もさることながら、何人かの部分に神経をどうこうじゃなしに、そうじゃなしに、もっと基本的な問題を、次から次へと条件を整えて、そういうことから学生を、ほんとうに学問がやれるような雰囲気に、むしろそういう施設なり設備なりの条件のほうでリードしていくということが大事じゃなかろうか。こういう意味で、いま局長さんの御答弁をいただきましたが、よく御検討くださいまして、もう一段とやっぱり大学に対する対策というのが、設備の面からいいましても、それから人件費の面からいいましても、努力をする点が多々あるのじゃないか、こう思いますので、御検討の上善処を御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  131. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  132. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  133. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。国立学校設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  134. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  楠君から発言を求められておりますので、この際これを許します。楠君。
  135. 楠正俊

    ○楠正俊君 私は、ただいま可決されました法律案につきまして、附帯決議案を提出いたしたいと存じます。皆さんの御賛同をお願いいたします。  次に案文を朗読いたします。     国立学校設置法の一部を改正する法律案     に対する附帯決議(案)   政府は、近年における電波通信技術の発達と  重要性にかんがみ、国立電波高等学校の高等専  門学校への転換を図ることについて速やかに検  討し努力すべきである。   右決議する。  以上であります。
  136. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) ただいま楠君から提出されました附帯決議案を議題といたします。  ただいまの附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  137. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 全会一致と認めます。よって、楠君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。灘尾文部大臣
  138. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿いまして、すみやかに検討し、努力いたしたいと存じます。
  139. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  140. 中村喜四郎

    委員長中村喜四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会