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1968-05-09 第58回国会 参議院 社会労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月九日(木曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員の異動  五月八日     辞任         補欠選任      林屋亀次郎君     横山 フク君  五月九日     辞任         補欠選任      川野 三暁君     船田  譲君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山本伊三郎君     理 事                 鹿島 俊雄君                 黒木 利克君                 大橋 和孝君                 藤田藤太郎君     委 員                 植木 光教君                 紅露 みつ君                 玉置 和郎君                 林   塩君                 船田  譲君                 山本  杉君                 杉山善太郎君                 藤原 道子君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君        発  議  者  藤田藤太郎君    衆議院議員        社会労働委員長        代理理事     田川 誠一君        社会労働委員長        代理理事     河野  正君    国務大臣        厚 生 大 臣  園田  直君        労 働 大 臣  小川 平二君    政府委員        厚生政務次官   谷垣 專一君        厚生大臣官房長  戸澤 政方君        厚生省医務局長  若松 栄一君        社会保険庁医療        保険部長     加藤 威二君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        大蔵省主計局主        計官       辻  敬一君        文部省大学学術        局大学病院課長  吉田 寿雄君        厚生省医務局次        長        北川 力夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○医師法の一部を改正する法律案(第五十七回国  会内閣提出、第五十八回国会衆議院送付) ○社会保険労務士法案衆議院提出) ○保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案  (山本杉君外一名発議)     —————————————
  2. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  医師法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 大橋和孝

    大橋和孝君 前回に引き続きまして、今回のこの医師法の一部改正に対していろいろと御意見を伺いたいと、こう思うわけであります。  まず、きょうは、臨床研修についてでありますけれども臨床研修をするときにあたって結局は教育病院あり方というものが問題になると思うわけでありますが、いま厚生省のほうで考えておられるところのいわゆる教育病院というか、臨床研修生を引き受けるところの病院は、大学以外では一体どこを何カ所ぐらい考えておられるのか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  4. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 今度の臨床研修を行なう場所といたしましては、従来のいわゆるインターン病院というものよりはかなり指導的な能力について厳選いたしたいと思っておりますので、いままでのいろいろの会議等の結果から見ましても相当厳選する。したがって、従来のインターン指定病院というものが二百七十一カ所ございましたが、少なくともまあこの半数前後のものに……
  5. 大橋和孝

    大橋和孝君 何カ所ですか。
  6. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 半数前後のものに限定するのが適当ではないかというのがいままでのおおよその御意見でございます。しかし、これを最終的に決定いたしますのは、個々の施設のそれぞれのリストの調査表をもとにいたしまして試験研修審議会で十分に選考していただいて最終的に決定いたしたいと考えております。
  7. 大橋和孝

    大橋和孝君 何カ所を用意しておられるのですか。大学病院以外で何カ所か個所を……。
  8. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 一応、今度の試験研修審議会審議にのせるために、現在私ども予備調査をいたしております。その予備調査は、少なくとも現在の指定病院の二百七十一カ所はそれぞれ調査表を提出してもらっておりますし、そのほかにも新しい病院等都道府県衛生当局がこれは研修病院の候補としてあげることが適当だと思われるものが若干これに追加されておりまして、したがって、現在は二百八十以上のものが私どもの手元に予備調査表が用意されております。
  9. 大橋和孝

    大橋和孝君 そんなばく然たることを言っておらないで、あなたのほうで、少なくとも今度この法律を通すわけだから、法律を通すときには一体何カ所ぐらいを用意してやるかということができていなかったら、予備調査で云々と言っておったのじゃ目安がないわけですね。目安は何カ所に置いておるのだということをいまお尋ねしているわけです。
  10. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) いままでの各方面の御意見を聞いたところでは、およそいままでのインターン病院の約半数という程度が大体適当であるといわれておりますので、大体百四十程度になろうかと思っております。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 局長は、あるいは大臣からもできたら伺いたいと思いますが、一体実習病院の適正な基準といいますか、指定するのはこれぐらいのものであったら指定したらいいという、その基準はどういうふうに持っておられますか。
  12. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 原則的には、一応基礎的な研修でございますので、診療各科がそろった総合病院であることが望ましいということ、かつ、各診療科十分指導能力のある指導医がいるということ、それから必要に応じて大学その他の教育機関との連携もとれて必要な補充的な指導体制が得られるということ、それから施設自体といたしましては相当施設設備基準がある、それから各種のコンファレンスその他を行なって研究活動的な内容が充実している、それから病理解剖等一定率以上というふうに行なわれていて相当研究的な体制ができているというような点、その他、大まかには、特定器械等をある程度考慮に入れるか、あるいは器械というふうなことにこだわらずに検査内容というものを考慮に入れるかというような点が現在までに議論されております。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうすると、もう一つそこで加えて尋ねておきたいことは、じゃ、いま局長のほうで考えておられる二年間やるというその臨床研修は、内容一体どう考えておられるのか。何と何をこの二年間にやってもらわなければ相ならぬと考えておられるか。おそらく、国民の側から考えれば、いまのすぐ免許証をもらったばかりのお医者さんに研修させるという意味であれば、相当内容を要求しているだろうと思うのですが、それについてこの法律をつくる段階にあたってどう考えられたか。
  14. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 臨床研修やり方につきましては、現在まで一応素案として考えられておりますのは、臨床研修というのは当該各科独立診療に必要な知識と技能を体得させる、あわせて患者医師基本的関係を理解させるということを一番の基本的な目標にいたしまして、実施の方針といたしましては、特定のそれぞれの病院診療科に属して行わせる、ただし、いわゆるGPといわれますような全科的なものを勉強したいという場合には、それらの連絡責任者と十分に連絡をして本人の希望に即応するような体制をとらせる、また、各科臨床各科監督指導責任者のもとにおいて、関連する領域についてはそれぞれの関連責任者連携をさせてある程度関連分野勉強が十分にできるように配慮する、また、指導体制につきましては、各科指導者で構成される臨床研修連絡会というようなものを設けて各科間の連絡をはかる、また、指導やり方については、臨床研修運営計画というものを設けまして、各科領域ごとにそれぞれの研修計画を設けて、その中に入院、外来、救急、あるいは症例選択等、その症例もできるだけ普通の一般診療に必要な各科疾病ごとのある程度症例の合理的な配分ということを考えて有効な運営計画を立てるというふうに現在考えております。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 この内容ばく然といたしておりまして、私まだそれではよく納得ができないわけでありますが、私はそこのいまの局長答弁の中からも考えることば、今度の研修というのはいままでのインターンの中で行なわれた研修とは意味が違うと思うのです。いままでの研修は、免許証を与えるために必要な実習をさせるというか、臨床的な実習というのが主体になっているわけでありますが、今度は、この前の質疑の中にもありましたように、医師免許証を渡すわけでありますから、それまでにかなりのベッドサイド・ティーチングもスモールグループ・ティーチングも行なわれるということが前提であって、少なくとも医師免許証を渡された時限においては医者としての欠格条件はないのだ、完全に医者としてやれるだけの能力のあることを見定めて医者になっているわけでありますが、いまの国民医療に対する水準が非常に大きく要望されている意味においてもっとそれを円熟させる、習熟させるという目的だと思うわけであります。そういう点から考えますと、この研修内容というものは、もっと深くもなろうし、あるいはまた、もっと幅広くもなろうし、そしてそれがほんとうに受ける患者の側に立って非常にプラスになるというもので、信頼ができるというものにならなければならぬと思うのであります。そういう点からいって、私は、いまのお話を聞いておりましても非常にばく然としていて、そして、その内容の中には、いままでのような研修といいますか、実習といいますか、そういうものを含めたようなあいまいさがあっては相ならぬと思うわけであります。ですから、ここで明確にしてもらいたいことは、このあいだの論議の中でも申しましたけれども医師免許証を渡すまでの間に、文部省側の医学の教育という中で非常にウエートを高めて、いま言われた中に入っているような事柄は、もう免許証を渡す前にやってもらいたい事柄がたくさんある。そういうことを今度の研修の中では明確にしておかないと、免許証をもらうまでに当然やらなければならぬようなことを、免許証をもらってもまだだらだらと繰り返すということになれば、若い勉強しようと思っている者に対しては時間の空費にもなろうし、また二年間だらだら遊んでしまう。いままでの一年間のインターンの中で実効がなかったのをまた二年間で繰り返すということになって、非常に大きな問題を残すんじゃないか。そういう意味で、臨床研修というものの内容というものは、もうここで画期的なものでなければならぬと考えるわけです。そういう点を踏んまえて、もっとも、これから審議会にかけて、あるいはまたいろいろ検討される面もあるからして、私が言うようなことには相ならぬかもしれませんけれども、しかし、そこのところの研修というものに対しては相当に意欲を持たせて、そういうハイレベルでもっとこういうものを考えてもらわなかったら、実際そこでまた同じようなことを繰り返す、私はそういう危険を非常に感ずるわけです。そういう観点から、いまの御答弁の中ではまだ十分明らかにしてもらえない点は私のほうもよくわかりますけれども、特に研修内容というものはもっともっと高めてもらいたい。  同時にまた、そんなふうにしてほかに連絡をとって、いままでのインターンでやったような、あるいは免許証をもらう前の実習的なものでなくて、もっとほかに治療に結びつき、医療にも結びつき、同時にまた、医者患者関係のもっと信頼感にも結びつくところの相当権威のあるものにしていかなければならぬ、こういうふうに私は思うわけです。そういう点は十分ひとつ配慮していただきたいと思います。  それから、先ほど申しました教育病院適格条件、これがまた非常に問題だと思うのです。いまのように現在のあるままを考えて、そこにはたとえば教育病院とされるところの大学以外の病院を考えた場合には、そこにはかなり臨床的に経験のすぐれた人が国立病院などにはいらっしゃいます。だからしてそれはイコール病院として適格であると、こういうふうには相ならぬと思うわけです。ですから、少なくとも卒業して免許証を持った人がより国民のそうした信頼をになうような研修をするということになれば、その受け入れるところの教育病院なんというものはもっともっと国の力で国の援助によってそれをいいものにするということが先行するのじゃないかと思います。そういう意味で私は適格性をどういうふうなところで表現されるかという質問をしたのでありますけれども、それにつきまして、いろいろ審議関係があるかもしれないし、すぐかくかくであるということにならぬかもしれませんけれども、私はいまここで先ほどの答弁を聞いても少し不満に思いますのは、医師法を改正してこういうことをやるというならば、こういうものにしますというものが先行するんだと思いますね。こういうふうにしたんだからこういうところへ来て勉強するんだということになって、それを見て国民がこれがなるほど自分生命を預けるところのお医者さんの研修場所だということが納得できるものが出ておれば、それで問題がないだろうと思います。ところが、今度の場合は、そういうことに対して非常にばく然としているわけですね。  それから、私は非常に問題があると思いますが、特に、いまの話を聞きましたように、二百七十から二百八十の総合的な病院がある。おっしゃるところの基準といえば各科があってそして比較的指導体制があるというわけでありますけれども、その指導体制各科があるということも非常にあいまいなわけですが、どういうふうな指導体制——これは私は少しあとからお尋ねしようと思うんですが、そういうふうな形で、二百八十のやつを百四十ぐらいにしぼってやるのだ、こういう形だけが出ているということになれば、しぼったところのものは、それはしぼられたから、半数になれば、よりりっぱな病院になろうとは思いますけれども、しかし、その病院適格性基準から考えてみると、非常にまだばく然としております。これに対して私は非常に不満です。少なくとも厚生省が一番根っこになって責任を持たなければならぬ国民医療国民生命、そういう病気というものに対して責任を持たんならぬ厚生省が、特にこういうような医者になる人の研修というものに変革を与える場合に、病院というものがこういうふうにして教育を与えるのだということを先に明確に示すべきではないか。そういうことで私はいま不満に思うわけでありますけれども、そういうことから考えて、もっともっと教育病院厚生省としてどう考えておられるかということを国会場所——いま現在示すことができにくいと思うならば、少なくともこういうふうなビジョンで、こういうふうなものにする、こういうふうなものを出してもらいたい、こう思うのです。  これは私のほんの私見でありますから、まだまだいろいろな面からは批判があるとは思いますけれども、少なくとも教育病院であるというならば、いまの大学病院と少しも損色のないものにしなければならぬ、私はこういうふうに思います。だから、少なくともその教育病院内科医長なら内科医長外科医長なら外科医長というものは教授にしてもいいと思う。これは文部省教授という制度をとっておられるけれども厚生省でも教授というあれを出してもいいんじゃないかと思う。そこいらのところの可否は私はよくわかりません。わかりませんけれども、少なくともポジションは大学教授とちっとも変わらないような教授というような資格を各教育病院に与えて、同時にまた、そういう人があれば、その下には、教授を助け、研究を広く指導していくという助教授立場の人も要るだろう、講師立場の人も要るだろう、また、それをやるところの助手の立場の人も名前は違いましても要るのですが、そういうスタッフを教育病院の中にはそろえて、そしてその講師級までの間には、こまかく分析するならば、たとえば内科であるならば、血液のほうをやるとか、心臓のほうをするとか、高血圧のほうをするとか、胃腸方面、ガンの方面、いろいろあろうと思います、同じ内科のものでも。そういうものに対して一人一人権威として持って、そういう人たちがそういう立場から総合的に指導できるような体制をつくらなければ、指導体制とか教育病院とかばく然として言ってみたって、非常に見劣りするんじゃなかろうか。たとえば大学を卒業してそして医師免許証をもらいたての人がどうしようかと考えた場合に、やはり自分信頼できるようなそういう指導者のあるところへ行って指導を受けたい、また、同時に、こちらでは心臓をやったがこちらでは胃腸のことをやりたい、いろいろなところでそれを学びながら、むしろ開放的に——いま大学病院の中では医局というもので閉鎖されておりますけれども、むしろ今度は、教育病院のほうは開放的になって、どこでもそういうことを勉強できる。たとえば時間があって、午前中診療をして、診療中にベッドサイド・ティーチングを受けるなら、午後はそういうところのいろいろな講義も聞けるし、いろいろな研究もできる。先ほど局長おっしゃったようないろいろな症例の検討もできるし、また、ディスカッションもできるし、レクチャーもできるというような形のものになっていかなければ、国民ほんとう教育病院勉強した人をあれは値打ちがあるというふうには受け取らぬのじゃないか、こういうふうに思うのです。  そういう観点からいって、教育病院あり方を、百四十にするとか百三十にするとかいうことだけでもってしぼったら、教育病院として基準内容がよくなるというものではないのではなかろうか。そういうふうなことで、一方には研究もできる必要があると思う。教育病院あたりでは、ただ単に診療だけをしているわけじゃなしに、少なくとも各科医長教授の待遇でもってやるとすれば、いろいろな研究もできる。たとえば、患者をみて、どういうことか起これば、それはすぐ動物実験に移して動物実験でやってみる。このごろ、外科あたりでも、心臓移植あたり、そういうものを動物実験でやっておられるわけですね。そういうものなんかも教育病院でどんどんとできる状態にならなければ、教育病院ほんとう基準というものはないのではないか。また、そういうことになれば、いままでの弊害でありますところの、大学に行かなければいけないという、いわゆる教授を先頭とするところの医局の中に閉じこもるということが打破できて、教育民主化ということも自然にできてくるのじゃないか。そういうことを考え合わせますと、今度の、医者になってからあと研修というものは、目的の置き方によっては非常に変わってくると私は思うのですが、そういう観点について、もう一回研修病院についての考え方大臣のほうにお伺いしてみたいと思います。
  16. 園田直

    国務大臣園田直君) 研修病院あり方が特に重大な問題だということは御指摘のとおりでありまして、懇談会審議会等に御相談する場合は、直接私が出向きまして、次のような観点から御相談をしたいと考えております。  第一は、将来の教育病院というもののあり方というものをお伺いする必要がありますから、将来の教育病院あり方というものが、いまはいろいろな経費だとか施設関係大学附属病院というものが設備も整って重点になっておるわけですが、将来は大学附属病院というものはお医者さんをつくるということに重点が置かれて、卒業したあとというものは、やはりその他の公立病院ある私立病院等を十分に整備をして、そこでほんとう社会とつながった修練の場所を与えるべきでなはかろうかということを考えておりますので、その方向をどのように決定するかということ。  それからもう一つは、この研修生が二年の期間になっておりますが、御承知のとおりに、これは義務規定ではなくて努力目標を示したものであります。したがって、われわれのほうは全部入っていただきたいと思いますが、研修制度を受けられない方もあるし、中には一年でやめられる方もあると思いますので、二年間の一貫した教育計画をつくったがいいのか、あるいは、一年ごとの、一年目は一年目でやり、さらに二年目はまた二年目でやるということにつくったがいいのか。  さらには、もう一つは、研修のおもな課程でございますが、一般個人経営病院を描いて、そうしてなるべく広範にわたる勉強をしたいという方もあるでしょうし、ごく専門的な研究をしたいという人もあると思いますので、教育計画なり整備、あるいは指定病院等を一本の線でやったがいいのか、あるいはそういうふうに数本に分けてやったがいいのか、こういうことについての専門家の御意見も十分承ってやりたい。  いずれにいたしましても、御指摘のとおりに、まず第一に国民信頼、第二番目には研修を受けられる新しいお医者さん方の希望というものもあります。それからもう一つは、現在、そうは言いまするものの、大学病院以外の病院施設は必ずしも十分ではありません。したがいまして、指定された病院から各方面にその病院長計画によって、あるいは個人病院、あるいは特殊なものにすぐれておる病院、あるいは特別な研究が進んでおる病院等に幅を持たして、病院長研修生との対話の中に一つ問題点を見つけ出して、それぞれ期間を区切って病院長が配属するとか、そういうことについての幅も持ってもらったらいいんじゃないか、こういう観点から懇談会並び審議会等には話をしたいと、こう考えております。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 大臣おっしゃいますように、非常にむずかしいと私は思います。しかし、私はきょうはそういう話を聞いておりまして局長にちょっとお尋ねしたいのですが、内容をどういうふうに高めていくかということは非常に大問題だと思うのですが、局長がこういう制度を考えられるまでに、少なくともこうするんだというビジョン、まあ大臣からビジョンは伺いましたけれども、もう少し具体的なものを持たないと——じゃ、私が局長にお尋ねしたいと思う点はこうなんですわ。そういうようないま大臣がおっしゃっているような形にするのにどのくらいの時間がかかりますか。いつごろになったらそういう形がぴちっと国民の前に示されると思いますか。
  18. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 研修につきましては、いわゆる官制の研修あるいは画一的強制的な研修ということをできるだけ排除しよう、どこまでも自主的な研修であるというたてまえをとっております。したがって、カリキュラムもこうこうでなければならぬということは必ずしもきめるつもりはございません。大学等におきましては、できるだけ大学自主性にゆだねる。したがって、東大と阪大、京大でそれぞれ違ったやり方をおやりになるということもこれはやむを得ない——やむを得ないじゃない、当然なことであるというふうに考えます。しかし、一般教育病院につきましては、大学ほど放任といいますか自主性にゆだねるといっても、ある程度の限度がある。したがって教育病院等についてはある程度指針的なものは出しておこうじゃないかという考え方をとっております。したがって、現在も各科ごとにそれぞれ専門家にお願いいたしましてカリキュラム等基本な的ものは全部つくっております。たとえば内科であれば、内科基本的なカリキュラムはこうだ、この程度のことはやってほしいということを考えております。しかし、これは必ずしも強制するという意味ではございませんで、これを参考にして、それぞれその施設能力、特殊性、あるいはそこに従事している医師のそれぞれ専門分野もございますので、それらを取り入れた形でやっていく。しかし、基本的には、カリキュラムは、たとえば内科で申しますと、教育期間中に、消化器、循環器、内分泌、代謝、血液、泌尿器、呼吸器、神経、アレルギー、膠原病、感染病、中毒の各種というようなものをそれぞれきめまして、それぞれに適当な症例を配分していく。また、診断法、検査法につきましては、各種器官の診断法、眼底検査等も含めましての理学的な診断法、あるいは基礎的な各種の検査法、血液、検便、あるいは各種の採液——十二指腸液、漿膜腔液あるいは脊髄液等のそれぞれの採液の技術、あるいは主要臓器のエックス線検査の関係、あるいは血清、血液等の生化学的な検査内容、あるいは心電図その他の生理機能的な検査というようなものをそれぞれ計画的、系統的に勉強させる。また、症例につきましても、入院患者について少なくとも二年間に四十例以上の症例を扱ってほしい。その症例も、初めからしまいまでのきちんとしたレポートをつくってほしい。それから症例の二年間で四十例以上扱うということの中には、少なくとも消化器、循環器、内分泌、代謝、血液、泌尿器、呼吸器、神経、アレルギー、膠原病、感染症等の例をそれぞれ二例ずつ以上は必ず含ませるようにしてほしい。また、救急患者相当数は扱ってほしい。また、外来患者についても、一人の患者の初めからしまいまでのレポートをきちんとしたものを少なくとも八十例以上は扱ってほしい。受持患者の剖検例については、少なくとも二体以上は実際に自分で立ち会って初めからしまいまでの検査をやる。また、病歴につきましても、それぞれあるフォームで必ず全部整理をして、いわゆるケース・レポートを全部整備するというような、これは非常に大まかなことでございますが、こういうような、内科ならば内科のそういう計画、それぞれ外科にはどう、泌尿器科にはどうというような一応の基本的な計画を立てております。  これらのものを標準にいたしまして、教育病院等ではさらにそれぞれの研修計画を立てていただく。このような研修計画が実行できるためには、病院それ自体の施設あるいは職員の充実がなければなりませんので、これらのことができるような施設を検討するというために、現在、先ほど申しました調査表というものを各病院別に個別に全部調査をいたしておりまして、それには、各科患者数であるとか、あるいは実際に検査が行なわれている実績であるとか、あるいは放射線治療その他がどの程度どのような内容で行なわれているか、また、研究用の図書がどの程度整備されているか、また、剖検の実態であるとかいうようなこと、それからさらに指導医につきましては、全部指導医の個人的な経歴をとりまして、そしてどの程度の経歴があり、どの程度指導能力があるかということも全部個人ごとにある程度判定できるような資料を調査いたしまして、さらにそれらの方々が病院内で現在どのような研修計画研修研究のためのカンファレンスをどの程度の回数を持ち、どの程度医師が集まってそれらの研修会をやっているかという実績、また、そういうようなものをやるためのいろいろな設備、講義室あるいはカンファレンス室あるいは剖検室というものがどの程度整備されているかということを現在全部調査をいたしておりまして、これによりまして研修審議会の先生方に個別的に判定をいただき、そしてさらにはこういう計画が実際に行なえるような体制を先ほどのように研修責任者連絡協議会を設けて確立していく。これが何年間の間に完全に確立されるかということは、その内容と高さによりましてそれぞれ違ってくると思いますが、これはもうできるだけ早急にやっていきたい。したがって、このようなものをやりましたら こういう教育病院の担当者の会議等もやりまして、お互いに教育病院自体の練磨研修というものをやっていきたいというふうに考えております。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 いろいろ話を聞きまして、私も少し展望が持てたわけです。そういうようなことは非常に聞かしてもらいたかった点なんですが、しかし、いまの話を聞いておりまして、いまのそれぞれの内容を考えてみると、何と申しますか、免許証を与える前のことの総ざらいになるかわかりませんね。私はもちろんいまおっしゃったことは不必要だとは申しません、もちろん必要だと思いますけれども、それだけくらいのことでそれがほぼ将来のビジョンだというふうなことになるとすれば、国民は失望するだろうと思うのです。これだけ非常にむずかしくなった、進んだ医学の中で、また同じそういうことを二年間も堂々めぐりしておるのだということであれば、もっと高いレベルでいま医療というものが要求されておる段階ですから、まだまだ失望するのじゃないかというふうな感じを持つわけでありますが、しかし、最後のおことばの中には、これからそれをひとつ早い期間にもっと煮詰めるのだと。また、大臣のほうでは審議会にかけ専門家意見を徴してやられるんだということですから、そういう意味で私は了解して、教育病院あり方というのはいまのお話を承った範囲でとどまるようなことではてんで意味をなさぬと思います。  それからいまお話を承りまして、二年をおいてほぼそれを考えておられると。それもいいと思いますけれども、まあ医卒懇あたりで言われております専門医制度と今度の二年間のあれというものが一つのワンステップということに考えられておる、そういうことも聞いておりますが、そういうもののからげ方についてはどういうふうに考えておられるのか。また、同時に、いまやられることが、その二年だけじゃなくて、その次にずっと続いていくところの医学教育の中で、二年間にやったことが非常に大きな基礎的なあるいはまた大きな将来の勉強のいしずえになっていくような形になっていくのが正しい行き方だと考えるのですが、ただ、いろいろな臨床場面、あるいは何例についてどうというようなことが自力でやられるならば、ちょうど学校の中で教育の中でやられておるのと同じようなことになるのじゃないかと思うのです。  同時に、また、もう一つ伺っておきたいことは、そういうことをやるために一体どのくらいの費用がかかると思っておられるのか、そういうものを充実するためにどういうふうに考えられておるのか、それからいまの制度でもってそういうことが十分にやられるだけの余裕があると思っておられるか、その辺をひとつ……。
  20. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 今度の研修というものといわゆる専門医制度というものとの関連をどうつけるかということでございますが、専門医制度というものは、私どもが法規的にあるいは制度的に考えているものではございませんで、学会が自主的にこれを認定しようということでございますので、今度の研修と直接的な関連はないわけでございます。しかし、せっかく専門医制度というものが将来運営されるとすれば、こういう研修と無関係であるということは適当ではないと思いますから、そういう意味で、研修というものが、少なくともそれぞれの各科の専門医制度というものが行なわれる場合に、この二年間が専門医としての研修の一部として初期コースとして算入されるということが望ましいというふうに考えます。現実の問題といたしましても、現在全科そろっているわけではございませんけれども、現在相当進展しております専門医制度におきましても、それぞれ研修施設を指定されておられます。したがって、たとえば内科の専門医のための研修施設というものがどういう施設でなければならぬというような限定がございます。そういう場合に、いわゆる教育病院というものが同時に内科研修病院と一致するということであれば、当然この二年間の研修というものが内科の将来の専門医を認定する場合のジュニア・コースになるということを私どもは期待しているわけでございます。しかし、これは専門医コースというものが各科によって非常に態様が違っておりますので、各科によりましては必ずしも一致するかしないかまだ予見できませんが、少なくとも一番基本的な内科外科系統におきましては当然そのようにしていただくことを私どもとしても希望しております。  また、現在のそういう病院あるいはこれからの教育病院が、今度の研修にたえるような施設であり、また、予算的な面でも十分かというお話でございますが、これは今度の病院調査によりまして相当の資格を厳選してやることによって相当能力がある。したがって、将来努力をすることによってその任にたえることができるであろう。そしてまた、予算的な面においては、必ずしもいままでのインターンの予算というものは十分ではございませんでしたけれども、少なくとも今度の研修におきましては、ある程度の予算措置もいたしましたので、少なくとも教育病院等においても一人当たり年間約三十六万円という経費がつぎ込まれますと、これは従来の大学等における研修に要する費用から見ましても相当の経費になりますが、少なくともこれでスタートができるのではないか。将来さらにこれを強化することによって一そう向上さしたい、そのように考えております。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまのお話で、まあスタートするということに私はまだ危惧の念があるわけです。どうもわずかばかりの予算のつけ方でもってスタートをして、ほんとにそうしたいま局長がおっしゃられたようないろんなものに取り組むことができるかどうか。私は、もう一つ、先ほど聞いて御答弁をいただいておらぬのでありますけれども、いまのような教育病院のシステムでいわゆる教育の機能というものがそこで出てくるかどうか。それなりの時間あるいはまた設備的にもほんとに教育の効果があらわれるのには、いまの状態でほんとに時間的にも余裕があるのか、私はそういうようなことも考えてみたい。だからして、いまのような百四十でありますか、それの厳選されたところをいまのようなシステムで置いておいて、そしてたくさんの外来患者、たくさんの入院患者に追い回されておるという状態でこういう若い人たちが配属されて、ほんとにそういう機能を発揮できるかどうか、私は非常に疑問に思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。もう少し教育病院として機能的に、あるいはまた制度を早急に改善するというか、あるいはあらためて私先ほどから申し上げているような一つ教育病院というものをつくり上げていくのかどうか。そういうことでもしなかったら、いまのままであのような忙しい外来患者をさばいておったら、特にまた独算制で追い込まれておるいまの状態で、そういうような理想はわかりましても、実際の状態としてはそういう機能を発揮できないのではないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  22. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 確かに、日本の医療機関は、病院といわず、診療所といわず、非常に忙し過ぎるということは、私も全く同感でございます。しかし、最近の特に皆保険以来の医療需要が非常に高まってきておりますのに対して、医師その他の医療の供給能力というのは医療需要の高まりほど増加いたしておりません。したがって、医療機関全体が非常に忙し過ぎる状態にあるということは、御指摘のとおりであります。こういう中で研修をやっていくということは、たいへん忙しい上にまた忙しい状態が積み重なることは私も心配いたしているところでありますが、現在の教育病院として指定されようというような病院は、その中でも比較的医師その他の職員が充実した病院になると思いますし、そのほかに、今度の研修助成の中にも、五人について一人という割合で指導医を少なくとも非常勤でも何でも何らかの形で陣容を強化し得るような手配もいたしておりますので、少なくとも研修によって奪われるような時間をある程度そういう非常勤職員によって補う、あるいは非常勤職員を大学等から招聘いたしまして指導にも当たらせるというような形で人的な意味の配慮もいたしておるわけでございます。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 このあいだうちの質疑の中でも大臣からお話を承ったのでありますが、教育病院では研修をする人には診療に対しては期待をしていないのだ、こういうようなお話を聞いたわけでありますが、いまのような指定病院にしようというような病院にはスタッフがそろっているとおっしゃいますけれども、いまの段階でこのままのシステムにしておくなら、いま私の存じている範囲では、また違うかもしれませんが、おそらくもって、何と申しますか、大きい病院が、独立採算のために、入院患者ではあまり利益があがらない、むしろ病院をよくするためのいろいろな借り入れ金や何かを考えるなら、外来でかせがなければならないというので、外来に対するウエートが相当高い。それをもっと端的に言うなら、これまた失礼を言うようだけれども、レントゲンや臨床検査等も一回、二回は全部それに当てる。そうして、外来さばきのために外来の患者さんに対してあらゆる検査をそこで実施をする。また、お薬は袋に入れて大きな手さげに入れなきゃいかんほど渡しているというのが大きな病院の実態だと思います。実際にそういうことをやって、外来というものに対しては、ちょっとかぜを引いたり、あるいはちょっとしたような患者さんに対してまで非常に精力を奪われているわけでありまして、こういうようなシステムのままでおいていま勉強しようという人をかかえ込んだところでたいへんなことなんだから、私は、もっと端的な気持ちから言うなら、おそらくそういう人が入ってくるでしょうが、実際の簡単な診療はそういう研修生にまかせておいて、そうして指導に当たる経験のある人は別な仕事をするということになるのではないかという懸念を持っているわけであります。おそらく局長はそういう状態は見ておられると思いますが、いまのままでいくならば、おそらくここへ入ってくるところの若い研修生はむしろ第一線のそういう患者診療を担当させられて、そうしていままでおった人は別の方面に行くというふうにならなかったら、研修体制はできていかないのじゃないか。そうなってきたら、国民医療を受ける側に立つと、非常に経験の乏しい人が第一線で全部やってしまうということになって、この研修あり方が前のインターン時代の失敗と同じようなことが繰り返されるという心配を私はいまこの話をしている中でも想像させられるわけであります。  こういうことからいって、私は、この教育病院を、先ほどから話しておられて、まだそんなふうではだめだと思うのでありますけれども、もっと適確な指導体制というか、あるいは研究体制というか、あるいはまた、いろいろレクチュアをするところの時間をとる、あるいはまた、そういうことをする機能が発揮できるような設備あるいは人という、いろいろな面からもっともっと教育病院を充実するということを考えなければいかぬ。いままでのお話を聞いてみれば、いろいろなところで調査もし、あるいはまた専門家意見もまとめてされるというわけでありますけれども、それをいつまでくらいにあなたのほうで考えておられ、完ぺきなものにするかということは、まあやってみにゃわからぬということなんでありましょうけれども、そんなことではなしに、少なくとも年限を切っていつまでくらいにかくかくの病院にいたしますということくらいにしておかないと、いまスタートしてもまただらだらと行く危険性は大だと思います。端的に私がいま申し上げたように、今度の研修に行く若い人たちはおそらく第一線の治療をさせられ、そうして患者の注射からあるいはまた処置に追い回されて、そうしてその時間が済んでしまう。先ほどからおっしゃっておるような医療水準の高まったものを身につけて、そうしてまた今後専門的な研究にまでずっと進んでいけるような段階にいけるということにならない。そういうことが非常に阻害されるのじゃないか。いままでどおりのあいまいな形で、あるいはまた安月給で二年間ふん縛られて、そうして忙しい外来で、あるいはまた入院患者の治療に追い回されておって勉強にならないということになるのじゃないかと私は心配しておるわけでありますが、少なくとも二年か三年かを切って、そうして第一段階にはこういうことをする、第二段階にはこういうことをする、第三段階にはこういうことをする、それに対してはこれくらいの費用が要るというまでくらいのことはもう早くつくってもらわなければいけない。私はこれは厚生省ばかりに言っているわけではない。大蔵省にもわかってもらって、相当のそういうものの裏づけをぴっちりしてもらって、少なくともこういう制度厚生省で考えておるならば、それに対してはこれくらいのことをしなければならぬという大蔵省と厚生省との間のいろいろな話し合いができて、そうして第一次は何ぼ入れる。今度は何ぼやる、こういうふうなことにならなければ十分にその目的を達せられないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。  特に、私は、いろいろ調べてみましたけれども、いままでのこの教育のために使っているお金というものは、年次的に考えたならば、予算から見て、三十九年には年間わずか五百万くらいしか使っていないわけです。四十年に二千万、四十一年に一億、四十二年に二億、四十三年八億五千万と、こういうふうに、今度の予算で八億になったわけです。こういうふうになっているわけですが、こんな八億ばかりで百四十の病院ほんとうにいまのような機能に持っていくというのはたいへんだから、ここ二年三年の間にはこれの二十倍もかかるほどの金を入れてもらって、そうしてぴっちりとした教育病院にしなければ、ほんとう国民が願っておるところの水準の高い医者づくりということはできないのじゃないかと思うのですが、そういう観点についてはどう考えておりますか。
  24. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 新しい医師が、研修に名をかりて、外来その他あまりにも忙し過ぎて、実際に研修ができないのではないかという御心配でございますが、これについては、先ほど来も申し上げましたように、いい病院というものは現在の一般病院の水準よりはかなり高い医師その他の職員を持っております。極端な例で申しますと、たとえば虎の門病院というようなところは、いわゆる医療法の定員でいいますと五十八名の医師医療法できめられた定数でございますが、それが百二十七名いるというようなことで、これは非常にいいほうの極端な例でございますけれども、その他そういう公的な病院の中にはかなり資質のすぐれたものがたくさんございます。もしも百四十というような数になりますと、あるいはその中にはかなり資質としてはある程度おくれたものも入ってくるかもしれませんが、これもまた、ある面ではそれぞれ経営主体も違っておりますために、一律にこれを国が統制し強制していくということは困難でございましょうけれども、できるだけ教育病院というものの自覚と使命においてそういう内容をよくしてもらいたいと思っております。  なお、私は、特に考えますのは、結局これは人数とか設備とかということでなしに、ほんとう教育病院というものをうまく運営するという場合には、その施設指導的な医師の方々の心がけ、努力というものが最終的に教育病院の成果をあげるかあげないかの境目になるものと考えております。そういう意味で、教育病院というものを十分誇り高いものにし、自覚と責任をもってこの運営をやっていき、日本の医療を向上させる大きな責任と覚悟をもってやっていただくという方向でできるだけ努力したいと思います。  経済的な援助等につきましては、これはいろいろ設置主体等の異なる病院でございますので、これを一律に国がいかにも統制していくということは必ずしも適当ではないと考えております。少なくとも研修に直接的な経費についてはできるだけ援助してまいりたいというふうに考えております。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 私、ちょっと文部省のほうにお話を承りたいと思うのですが、外国あたりでもこうした医師免許証をとってから後の教育というものに対していろいろ考慮されておるわけだと思いますが、そういうところをよう勘案して、文部省としては、一体大学の中でどういうふうにこういうふうなことを取り扱っていかれるのか。いままでのインターンをやってこられた経験からしまして、もう免許証をとってしまった状態の人に対するわけでありますから、まあ無給医局員だとかそういう人も含めるということになるわけでありましょうが、特に二年として区切ってやられることに対してはどうか。それから先ほどからお話を厚生省のほうから聞いておりますけれども、こういうものの質問の過程にあったようなことを考えて、文部省としては、一体、外国の例から比較してどういうふうに考えておられるのか。私は、文部省のほうで大学附属病院でやられることが、いまの局長から話を聞いているところの教育病院よりはより上の格にあるような感じがするわけでありますが、その格づけすることはよくないとしても、前からやっておられた関係上、あるいは教室のスタッフからいっても、そういうところに国民信頼はあったように思うのでありますが、しかし、現在のままではまた大きな弊害があると思うわけでありますから、そういう観点から、今後の免許取得後の教育に対してはどういうふうな展望を持ち、外国の例なんかもどういうふうにこれを消化して日本の状態を今後持っていかれるのか、そういうことのお考えをちょっと聞いておきたいと思います。
  26. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) 従来のインターンにつきまして、大学附属病院として一定の部分をお引き受けしてきたわけでございますが、先ほど来先生の御指摘にございましたように、インターンに対する大学附属病院としての指導あるいは教育は必ずしも十分でなかったということは十分反省しているわけでございます。そこで、今回の新しい臨床研修ということでございますが、それを大学附属病院としてお引き受けするにあたりましては、いままでのインターンに対するような考え方ではとても不十分であるということで、目下文部省の中に大学設置審議会というのがございますけれども、その中の医学専門委員会において昨年の秋以来鋭意御審議をいただいているところでございます。二年の臨床研修やり方、あるいはカリキュラム等につきましては、厚生省のほうとも十分連絡をとりながら目下最終的なまとめの段階に入っているところでございます。いずれにいたしましても、各大学におきましても非常な意欲をもちまして、また、非常に真剣味をもちまして従来のインターンとは違った臨床研修制度の効果を十分に発揮しなければならないというような気持ちで取り組んでいるところでございます。  この二カ年の臨床研修を行なう臨床研修員につきましては、大学病院としては前にも御指摘いただいておりますけれども、これに対する手当あるいは協力謝金というようなものが十分でないというような御指摘でもございますので、これにつきましては今後厚生省等とも十分相談して妥当なものにしてまいりたい。そして、真に日進月歩の医学の向上に即応できるようなそういう臨床研修あるいは医学の基礎づくりに大学病院としても最大限の努力をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、この二カ年の所定の臨床研修が終わったあとでございますけれども、先生御承知のとおり、現在、国立大学だけを取り上げてみましても一万名になんなんとするいわゆる無給医局員といわれる方々が研究を重ねておられるわけでございますけれども、これらの無給医局員のあり方につきましても、従来は明確な社会的な地位あるいは処遇というような面で非常に問題がございましたので、これらの問題につきましても十分検討いたしまして、できるだけ早い機会にすっきりした形にしたい。そうすることによって、これらの二年の臨床研修を終わった方々につきましても、大学として、あるいは大学附属病院として、できるだけこれらの医師の方々の研究に役立つようなそういう場所にしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  27. 大橋和孝

    大橋和孝君 そのお話で、文部省のほうでは、いま、臨床研究生の制度についての研究会といいますか、何かそういうようなものをこしらえられていろいろ検討されている。いま、ちょっとお話にも出ていたようでありますが、そういう者には謝礼金なんかも八百円とか六百円とか与えるとか、あるいはまた、研究する場合にはそれを月謝みたいな形でとるとか、いろいろやられて、何でも発足されて一月ですか何月ごろからもうさかのぼってそれを実施するとかという話をちょっと聞いておりますが、そういうようなことはどういうふうな組織でどういうふうなことが検討されて、どういうふうなことになっているのか、ちょっと詳しく説明いただきたい。
  28. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) ただいまの御質問でございますけれども、いわゆる従来無給医局員といわれておられる方々の中にはいろいろな態様がございます。たとえば、すでに他に本務を持っておられる方々もおりますれば、あるいは他に本務を持っておられない方々も多くおられます。あるいはまた、不定期に大学病院に来られてそうして研究をされている方々もおりますれば、定期的に週三日あるいは週四日というように来られてそうして研究を積まれている方々、いろいろございます。国立大学について申し上げますと、これらの中で、特に他に本務を有せず、しかも週三日以上定期的に大学病院に来て診療にも従事されていられる方々、これらの者が約二千三百名余りでございますけれども、昭和四十二年度におきましては、これらの二千三百名余りの方々につきまして、先生先ほど言われましたように一日六百円の診療協力謝金、月二十五日計算ですと一万五千円になりますけれども、こういうことで当面診療協力謝金ということで差し上げているわけでございます。しかし、これらの額につきましては必ずしも私ども十分だと考えているわけではございません。もう少し十分に診療協力に見合うようなそういう協力謝金を差し上げなければならないという気持ちでおります。今後とも、こういうことにつきましては、財政当局と十分相談いたしまして、全経済生活をカバーするというふうなことは当面非常にむずかしいと思いますけれども、できるだけ経済的な裏打ちをもいたしまして、ほんとう研究が安心してできると、そういうふうな方向へ努力していきたいというふうに考えているわけでございます。
  29. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうすると、いま文部省の中で持たれておるそういう研究機関というものは、将来、無給医の人たち、あるいはまたずっと続いて研究する人たちに対しても、どういうふうにしていくのかということは、そこで協議されていくということなんですか。
  30. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) 現在行なわれております大学設置審議会の中の医学専門委員会の中でもこの問題が取り上げられておりますけれども、やはりこれば抜本的に大学附属病院あり方ということにおいてもう少し深く時間をかけて検討する必要があるということで、近々大学附属病院あり方に関する研究調査会を発足させたいということでただいま準備いたしております。その中で、卒業後の医師研修あるいは研究につきまして、大学病院はどの程度あるいはどこまで責任を分担すべきであるかというようなこと、あるいはまた、二年の臨床研修にかかる臨床研修医と、それを終わったあと研究のための医師、これらの相互の関連をどうするか、あるいは処遇をどうするか、そういうようなことにつきましても、大学附属病院あり方研究調査会、私どもこう仮称して呼んでおりますけれども、これを近々発足させまして、十分に、しかも妥当な結論をお出しいただくように目下準備を進めているところでございます。
  31. 大橋和孝

    大橋和孝君 先ほど若松局長のお話の中にもありましたが、大学というところは大学の自治ということが尊重され、また、それが当然だと思うわけでありますが、私は世界各国の例を見ましても、免許取得後の教育というものに対して二年に区切られたことに対しては、まあ二年でいいような感覚を受けるのであって、非常にあいまい性がある。しかも、その二年の間、外国でやっているような義務制もなければ、今後の改正になってみたら、あいまいもこたる二年であるわけでありますが、私は、そんな二年云々ということは問題じゃなくして、国民がひとしく願っておるところの、命を託するところの医者のレベルを上げるということから免許取得後の教育というものに対しては国民としては相当期待をしているわけだと思います。  また、もっと俗に言えば、どの医者にみてもらおうかと思ったらそれをさがすのにいま困る、実際どれぐらいの者が実力がある先生だとして自分の命をかけてみてもらっていいか困るような状態になっておるというようなわけでありますからして、患者医者とのほんとうに人的なつながりを深めるためにおきましても、この教育は非常に大事である。外国もそれに対して非常にいま力を注いでやっておる。いま話を聞けば、大学のほうにおきましても、そういう調査会をつくっていこうとされておる、また、厚生省もそれをするための学者の意見を聞くというようなことで発足しておられるようでありますが、この問題はたいへん重大であるし、実はりっぱな教育病院をつくってもらうための期間はずっと早めなければならぬと、こういうふうな観点から考えますと、これは文部省厚生省で何ぼいろいろなことを協議されておっても、そこに主計官も来ておられますけれども、大蔵省から金が出なければ何もできぬ。大蔵省のほうでは何でもぎゅうぎゅう締められて、今度の予算折衝の経過を見ましても、まあいろいろそれは理由はありましようけれども、非常に予算がつきにくい。それがこの発展の上にも非常な支障を来たすと思うのですが、少なくもいまの段階で、医師法を一部改正しようという段階においては、大蔵省、それから文部省、それから厚生省ほんとう一体こん然となって、こういう免許取得後の教育をどうしていくか、それが日本のいまの医療あるいはまた国民生命を守る上においてどういうふうだということの観点から、もっと費用を——私、先ほど、年々の予算に盛られてきた経過をお話ししましたが、もう二十倍、三十倍というお金を入れても、早急にこういうものをつくって、これで進むんだというものをつくるために、ただ単に大学の自治だから大学大学でやるとか、あるいはまた文部省文部省でやる、厚生省厚生省でやるとか、あるいはそれに対して予算云々ということになっておったんでは、ぎしぎししてなかなか前進みをしない。そうしている間に、結局は、法律だけはできたけれども、実際そこでやるところのりっぱな環境なり場なりというものがつくられていかない。これでは非常に嘆かわしい状態だと思います。私は、現町点に、この医師法の一部を改正することをこうして議論している間に、私の心でもそう思っているわけです。こういうことが議論されるまでにそういうものがきちっとできて、少なくとも厚生省はどういうことをする、あるいはまた文部省のほうではこういうふうに考えておられる、それに対しては財政的な裏づけを大蔵省がするというふうな形で、三者が相まってほんとうに何よりも大事である命をつかさどる医者教育ということに対してはどうするかというものを打ち出さなければならぬ。それがあってはじめてこの法律改正に踏み切るのが当然だと思うのです。しかし、いまの状態でこうしたことがやられていること自身も、一歩考えれば前進するところの過程にあるとは考えられますので、いまのその審議会あるいは調査会、いろんなことを聞きましたけれども、これに対しては何年間を目途としてかくかくするんだというもう少し強力な、裏には大蔵省の大きな財政裏づけのできるように大蔵省も一枚入ってもらって、そしてこの免許取得後の教育をどうするんだということに対しての考え方をひとつまとめてもらいたい、こういうふうに思うのですが、そういうことについて、文部省、厚生大臣、あるいはまた大蔵省の主計官も来られていますから、主計官のほうの御意見も伺っておきたいと思います。
  32. 園田直

    国務大臣園田直君) 御指摘の点は、非常に大事なものであり、しかも、現時点において早急にやらなければならない問題であることは、申すまでもございません。したがいまして、関係各省とも相談をして、早急にその実施ができるように進めていきたいと考えております。
  33. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) 文部省といたしましても、この医師研修問題につきましては、厚生省等とも十分御相談をしながら、効果が大いにあがるようなそういう方策を早急に実施に移したいと、こういうふうに考えております。  なお、先ほど申し上げました審議会の中の医学専門委員会、これは常置のものでございますので、今後とも医学教育あり方ということでここで検討を続けてまいりますし、また、特に大学附属病院あり方につきましては、近々これを発足させまして、短くても一カ年、長ければ大体二カ年ぐらいを目途としてこの結論を出していただきたい、このように事務当局としては考えているわけでございます。
  34. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 臨床研修制度の予算につきましては、先ほどお示しのとおり、年々予算を増額してまいってきたわけでありますが、特に四十三年度におきましては、厚生省文部省一般会計、特別会計を合わせまして七億四千六百万円を計上いたしております。前年の補正後の予算の一億二千三百万円に対しますと、飛躍的増加をはかった次第でございまして、これによりまして改正による新制度の円滑な実施をはかることができると考えております。  今後の問題といたしましては、新しい制度の実施状況等を勘案いたしまして、財政事情もございますが、引き続き所要の予算措置を講じてまいるようつとめてまいりたいと考えております。
  35. 大橋和孝

    大橋和孝君 あと、私は、学位の制度の問題だとか、あるいは専門医の制度の問題だとか、あるいはまたその基礎となってやられているところのいろいろな関連した制度上の問題についても、もっともっとお話を承っておかないといけないと思って、たくさんお尋ねするところの材料をつくっておりますけれども、時間がありませんので、最後にお願いをしておきたいと思うのですが、特に先ほど辻主計官のほうからもお話しになって飛躍的にあれを盛ってもらったというようなお話でありますけれども、先ほど来お話ししたように、こういう生命を守るところの医者教育というものをもっと真剣に考えてもらって、先ほどから重ねて言っているように、いまの七億、八億というものを十倍にも二十倍にもなるように、教育の場をよくするところの設備を国でもってやってもらうべきだ。それができないならば、いろんなことを言ってもなかなか空念仏に終わるということを先ほどから重ね重ね申し上げているのでありますが、特にそういう点を考えていただきたい。  それから私は、三月の終わりに、二十五日から二十九日まで五日間沖繩へ第五次の調査団で行ってまいりました。沖繩の医療制度というものを見てまいりました。最悪の状態がいま沖繩でやられているということを感じて帰りました。それとあわせて考えてまいりますならば、これから厚生省のほうで考えておられるところの医療制度あるいはまた医療保険の問題に対していろいろ改正が行なわれると思いますけれども、今度の医師法の一部改正というものは、そういうふうなことの展望のもとに今後相当将来のビジョンを持った改正であってほしいと思っておったわけであります。ところが、いま申したように、そうした肝心なお金を入れて、そしてりっぱな設備と場とをつくるということについては、それが後退をして、ただ規則が先へ行ってしまう。起こってくることはどういうことが起こるかと申しますと、その指定された百四十の病院に対して、若い医者は、このままの法律がもし通るとすれば、二年間張りつけられる。義務づけということではないが、そういうことが本意であるということでもって張りつけられる。逆に言えば、そういうところへは若い医者は行くけれどもあとの僻地の診療とか、そういうところに対しては医者はますます払底をする、こういうようなことになって、ほんとう国民が要望していることと逆の方向に行くということがあり得ると思うのです。そういう点から考えて、こういうような法律をつくられて今後運営される上においては、相当のきびしい将来の展望というものを国民の前に出さない限り、後退をしていくということに非常になり得るのではないか。沖繩の状態を見てきて、日本の医療も後退すれば最悪の状態があすこにサンプルがあるなということを感じてまいったわけでありますが、いま園田厚生大臣が非常に積極的にこういう問題に対しても取り組んでもらっておりますので、私どもこの審議の過程においても将来期待しているわけでありますけれども、今度のこの法改正の中で特に免許を持った後の医者教育というものがいかに大事であるかということに対して、あらためてこれに対しては大蔵省のほうにおいても十分配慮して、そして予算づけをして、ほんとう国民が願うところの、あるいはまた厚生省としても希望されるところのものが達成されるということに対して、経済的な裏づけと、同時にまた、大学のほうにおきましても、あるいはまた文部省のほうにおいても相当な強力な力を入れて、ほんとうに三者一体となっていま申したようなものを時限を切って、先ほど文部省のほうからお話のあったように、一年なり二年の間にぴしゃっとしたものをつくってもらうということが特に必要だと思いますので、そういうことを要望して、私はまだたくさん聞きたいことがありますが、これはまたの機会で聞かしていただくことにして、時間がないようでありますから、私の質問を終わります。
  36. 小平芳平

    ○小平芳平君 専門家大橋先生からいろいろ質問がありましたので、私のお尋ねする点はごく大まかな問題であります。  まず、現在、大学で、この研修制度が発端となって、卒業試験を拒否している、あるいは国家試験を拒否している、卒業はしたけれども試験は拒否している、こういう人たちがどのくらいあるか、一番新しい現状について御説明を願いたい。
  37. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) ただいまの御質問の中にございました文部省関係の数字を申し上げてみたいと思いますけれども、一月以来、国公私立大学合わせまして十二、三の大学が授業放棄あるいは卒業試験拒否というようなことでいろいろと紛争が続けられておりましたけれども、きょう現在、まだ授業を拒否しております大学は、国立大学で三大学でございます。東京大学、東京医科歯科大学、京都大学、この三大学でございます。これの数は、正確にはいまここに数字を持っておりませんけれども、約千百名前後ではなかろうか、このように大体推計いたしております。以上でございます。
  38. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 第四十四回の試験を今回行ないましたが、この際に、試験を受ける資格のある者が二千九百六十六名というものが当然受験をする資格を持っているはずでございます。それにもかかわらず、その中で現実に受験した者が一千百六十五名でございます。したがって、千八百名程度の者が受験をしていないということになります。
  39. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで、先ほど御指摘があったように、医師の不足が現状であって、優秀なお医者さんがもっともっとどんどん輩出してもらわなければ国民医療の面から重大な問題になるという現状にあるときに、こうした授業も放棄する、あるいは国家試験も資格はあるけどれも受けない、こういう現状は非常に重大な問題である、これは当然ですけれどもね。ですから、今度のこの法律改正によってどんな見通しを持っておられるか、伺いたい。     —————————————
  40. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、川野三暁君が委員辞任され、その補欠として船田譲君が選任されました。     —————————————
  41. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 医師が総体的に非常に不足している現状におきまして、しかもこのたびのこういう医師法改正の問題で一そうまた医師が不足してくる状態が起きてきたことは、まことに遺憾に思っております。現実に医師になれるはずの者たちが国家試験を受けないというために、現実に医者になれない。そのために、大学等における医師が不足し、したがって、大学から当然各地の病院診療所に出ていく人たちがそこで抑制される。その結果、末端の医療機関で医師の不足が一そう拍車をかけられているということは事実でございまして、こういう医師不足の解消のためにも何とかこの問題を早く解決したいというのが私どもの念願でございます。  今度の医師法が成立すればこの問題が適切に解決できるかどうかという点につきましては、御承知のように、医学生、あるいは現在すでに卒業してボイコットしている医師が、必ずしも今度の改正に賛成しているわけではなく、相当はっきり反対している者もございます。しかし、大学当局等の見方からいいますと、今度の改正が一段落すれば、それで何らかの方向が一応定まったというこでと相当落ちつきを取り戻してくる。したがって、国家試験の受験者等も従来よりはかなり改善されるのじゃないかというふうに見込んでおります。
  42. 小平芳平

    ○小平芳平君 非常にばく然とした御答弁ですけれども、私がお尋ねした点は、この法改正後、かりに国家試験が行なわれますね。それはいつ行なわれる予定か。まあ法律が通った場合のことですけれども、それはいつ行なわれるか。そして、現に国家試験を受けてない人が千八百余名、そのほかに新規卒業生が加わるわけですね、千八百名のほかに。その人たちの中でどの程度の人が受験をされるという考えを持っておられるか、これが非常に大きな問題だと思うんですがね。
  43. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいまのお話のように、千八百名程度が試験を受けていない者で、ことしの三月に卒業した者が当然受験資格が出てまいります。これも三千名以上が受験資格を持ってくることになります。したがって、五千近い者が試験を受ける可能性があるわけでございます。試験の期日は、法律が通りますとそれから正式に医師国家試験審議会というものが発足し、そしてそこで新たな試験方針を確定し、さらに試験の準備を行ない、試験問題の作成その他いろんな手続を経まして、約二カ月後に試験が実施できるものと考えております。したがって、大体七月初めぐらいになろうかと考えます。
  44. 小平芳平

    ○小平芳平君 五千名ぐらいの有資格者がいる。大体七月には法律が成立した場合は実施できると。そこで、この法律を政府として成立させたいというその御提案の趣旨もわかりますけれども、実際問題として五千名の人がほとんど受けないというような事態では、全く改正した意味がないと思うんですが、この点、大臣はいかがですか。
  45. 園田直

    国務大臣園田直君) この法律案をかりに可決をしていただきまして、その後の試験を約五千名がほとんど受けないということは、きわめて大事な問題であります。いまの若い医師並びに学生の諸君が騒いでおられる問題は、一つには、この改正の問題、もう一つには、医学生の研究制度、あるいは医局等の諸問題についての問題があると思いますが、この法律案につきましては委員会で衆参両方でいろいろの貴重な御意見が出されておりまして、この法律案をもしも可決していただきましたあとは、その御意見に従って、厚生省が主体となって、将来、若い医師の諸君、学生諸君が望むような可能性の方向に逐次誠意をもってやっていくという見通し、あるいはまた、医学学校の問題等に対するいろんな問題等によっていまの学生諸君の運動は変わってくると思いまするが、私もまた文部省のほうとも力を合わせましてその意のあるるころを十分連絡をして、なるべく受けていただきたい。そうすれば、ほとんどが受けられないような事態は避けられるのではないか。また、避けるように努力をしなきゃならぬ、こう考えております。
  46. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣が、若い学生が騒いでいる問題はというように言われましたが、ほかの点はおきまして、医師法の一部改正に関係する問題として、その問題点で政府が考えているこの改正が、一番現状として可能ないい案なんだ、したがって、国家試験を受けないというようなそういう心配はないんだ、国家試験を拒否するというような必要はないんだ、今回の改正案が非常に納得できる、また、日本の医療制度の将来にとっても、あるいは学生本人にとっても、また長い間大学へ通わせてくれた家族にとっても、今回の改正で安心していかれるんだというようなお考えかどうかですね。私は必ずしもそう考えていないのであって、それはとりあえず一歩前進のために成立ということも考えられますけれども、しかし、こうしてこれだけ二千人という大ぜいの人が、すでに大学を卒業して、本人の家族もどれほどか早く一人前のお医者さんになってくれることを期待しているにもかかわらず、なおかつ国家試験を受けないでいるというこの現状は、政府として、厚生省として、そうした学生の身になり、あるいは受験を拒否している者の身になって考えた場合に、まだまだ改善すべきことがある。二、三の内容にわたってお尋ねしたい点もありますけれども、そういう点、とりあえず一歩前進だからこれを成立して、それで大臣は将来は出た意見に沿って考えていくと言われますけれども、この一部改正成立の段階で明らかにすべきことは明らかにし、約束すべきことは約束し、そして安心して試験を受け、お医者さんになっていかれる道をはっきり示していくということが大事だと思うのですが、いかがですか。
  47. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほど私の答弁が不十分であったかもしれませんが、これを可決すれば、学生諸君または若い医師になられた方々の御不満やあるいは問題が解消して、全員が受験をされるという意味ではございませずに、結論は小平委員と同じでございますが、この法律案の中には、いろいろ学生諸君が疑問としておられた、義務制ではないかとか、あるいは、低賃金で義務制にして、そして義務ではないといいながら登録制をとって、実際は格づけをして、法律では義務とはなっておらぬが、実質上の義務になるのではないかとか、あるいは、身分的にも不安定であるとか、いろいろこれに対する反対の理由があったわけでありまするが、その中で、国会の御審議を通じまして修正された点もございまするし、あるいはまた、小平委員はじめ各委員から、いろいろ今後注意すべき点、あるいは早急にやらなければならない点、あるいは運営上の注意等、あるいは教育環境の整備等をお示しになったわけでありまするが、これが可決をいたしますると、現時点における第一歩の進歩ではあると思いまするが、さらに、それに基づきまして、各委員から御注意を賜わった貴重な御意見をもとにして、今後に対してこれが第一歩であるという行政当局の熱意と誠実によって、いま反対しておられる方々が何割かが受験をいたされるだろう、その誠意を尽くさなければならぬだろう、こういう意味でありまして、結論は先生と同じ意見でございます。
  48. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、この内容を二、三お尋ねしますけれども、衆参通じてもう何回か審議が重ねられてきておりますので、まあ抽象的な答弁をなさったこともあるし、わりあい具体的に御答弁なさったこともありますが、できるだけ具体的に現状としてわかっていることがあったらお答え願いたいと思います。  初めに、大学附属病院へ行く者と国立病院へ行く者の待遇の違いですね、身分、待遇の格差が生ずるではないかという点については、いかがでありますか。
  49. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 現在の段階では、確かに、大学病院あるいは国立病院の場合と、一般教育病院の場合とでは、かなり格差が生ずると思います。私どもといたしましては、できるだけ一般的に生活の安定が得られる程度の何らかの手当てをしたいと考えましたけれども、残念ながら力及ばずしてそこまでいきませんでした。これら大学病院あるいは国立病院等における処遇についても、今後はできるだけ改善したい。また、一般教育病院等におきましては、これは比較的予算とかというようなものに拘束されませんので、それらのものについては、できるだけの待遇ができるように、また、してやるように指導してまいりたいと考えております。
  50. 小平芳平

    ○小平芳平君 その程度のことならば、安心だということにならないですよ。格差ができるということは当然考えられる、しかし、努力したけれども、力及ばず格差の解消はできそうもない、将来努力をするというだけだと、むしろ不安に思うほうが当然であって、将来身分上の格差については心配はないから、待遇についても心配はないからという、もう一歩前進したものはありませんか。
  51. 園田直

    国務大臣園田直君) これは、案をつくります当初から、目標を、大学の所管である文部省とそれから国立病院その他の所管である厚生省との立場、予算の費目が違いまするが、何とかして予算の費目が違っても同じ待遇をしたい、それから身分もぜひ統一をしたいということを目標にやってまいりましたが、残念ながら文部省のほうは無給医局員やその他の問題もございまして、私のほうと文部省の予算の支出の費目等も違っておる関係上、若干の差が出てきたわけでございます。また、身分につきましても、それぞれ研修する場所によって立場が違ってくるわけでございますが、これについては両院とも強い御意見でありまするし、決議等もつけられておりますので、私の責任において身分、待遇等は早急な時期に統一をしたい。保険の問題については、これはなかなか実質上はやらなければなりませんがそう簡単にはできないと思いまするが、財政当局とも相談をして、来年度予算にはせひ待遇それから身分等もできるだけ統一をしたい、このように考えております。
  52. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの問題について、文部省と大蔵省から御答弁を願いたい。
  53. 吉田寿雄

    説明員(吉田寿雄君) 大学病院におきまして所定の臨床研修を行なう医師についてどういうような地位を付するか、与えるかということでございますが、ただいま厚生省のほうからお話がございましたとおりでございまして、国立病院なりあるいは他の指定病院と、身分あるいは社会的地位を統一するということが、残念ながら今回はできなかったわけでございます。つまり、大学病院におきましては、一般に、教職員と、それから学生、それから学生に準ずるものとして研究生という、この三つの身分と申しますか区別があるわけでございまして、今回の臨床研修医は、一応研修生に準ずるということで考えていたわけでございます。しかしながら、先ほど来お話がございましたように、他の指定病院等と身分が違うということにつきましては、いろいろと問題が出されております。御指摘をいただいておりますので、厚生省等とも十分御相談して、早急にできるだけこれを統一するという方向に文部省としても努力をしたい、このように考えているわけでございます。
  54. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 臨床研修生一人当たりの単価は、予算では月額一万五千円となっておりますが、これは、御承知のように、国立病院について従来からございますいわゆるレジデント、それから大学附属病院におけるいわゆる無給医局員とバランスを考えましてきめた単価でございます。  なお、現状におきましては、厚生省文部省、それぞれ勤務実態、処遇に若干差がございますので、その実態に即しまして、厚生省におきましては予算科目は非常勤職員手当、文部省においては謝金として計上した次第でございますが、今後におきましては、新しい臨床研修制度におきます勤務の実態等を勘案いたしまして、明年度以降研究してまいりたいと存じます。
  55. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、ここに大臣が言われた方向で文部省当局もまた大蔵省当局も検討するという答弁であります。明らかにいま大蔵省のほうでは明年度以降というふうに言われましたが、大臣としても、来年度からは、社会保険の問題などは相当むずかしいということはいまお話がありましたが、そんなことも、国の予算の立て方、そういうような問題で身分や待遇の差がなくなる、それは明年度から期待できる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  56. 園田直

    国務大臣園田直君) そのように考えております。
  57. 小平芳平

    ○小平芳平君 それからもう一つは、教育病院の問題ですね。教育病院がはたしてそれだけの内容を持った教育病院ができるのかどうか。この点については、先ほどもお話がありましたが、現に試験を受けるという人たちは、そのことについて疑問を持ち、不安を持っておるわけでしょう、現実問題として。一体、試験を受け、そしてお医者さんになろうという場合には、割り当てられた教育病院へ行って二年間というものをいろいろとやらなくちゃならないかでしょう、これに対するいろいろな不安、これに対してはいかがでしょうか。
  58. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) この問題は再三討議をされておりますが、何ぶんにも研修を行なう場所が、大学附属病院、あるいは公私立の大学附属病院、公私立と国立病院、あるいはその他の小的病院、あるいはその中にはさらには民間病院も一部入っておると思います。そういう意味で、それぞれ設置主体等が違っておりますので、これを権力的に統一的に整備するということはきわめて困難であると思いますが、できるだけいままでのいろいろの御意見によりまして水準の高いものに整備ができるように指導してまいりたいと考えております。  なお、そこへ行く学生が、それぞれ希望したところに行けるかどうかということも、予算が三つの項目に分かれております。国立病院の予算、文部省の予算、それから一般公私立大学あるいは一般病院に対する補助金というふうに三本建てになっております関係上、本年度におきましては若干そういう割り当て的なことが起こるのはまことに残念でございますが、これは今後実施いたしました実情に応じまして、明年度からは実情にできるだけ即するような形に運用できるように予算的な面においても配慮してまいりたいと考えております。
  59. 小平芳平

    ○小平芳平君 この問題も、大臣、たしか衆参両院を通じて再三再四問題になった点でありますけれども、これは厚生省当局も初めから当然予想できた問題だと思うのですね。これが、国会審議段階で、指定した病院がどの程度設備を持ち、どの程度の受け入れ体制を持ってはたして教育ができるかどうかということは、これはもう初めからその道でやっていらっしゃる関係の皆さんが全然予測できないということはないと思うのですね。ですから、少なくともこうした個人の身分、重大な身分にも関係する、それはまあ身分の問題じゃないと言われても、やはり二年間の研修というものはその人にとっては重大な問題でありますので、これに対して、いま局長の言われた程度の準備なのか、あるいは、もう一歩具体的にそうした不安を持たなくてもよろしい、まあよろしいというほどにいかないまでも、具体的な対策をお持ちかどうか、いかがでしょうか。
  60. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実は、御承知のように、インターン制度の場合には、厚生省が予算を一本化いたしましてこれを実施しておりました。ところが、今度は、インターンじゃなしに、大学あるいは教育病院研修を行なうということになりまして、従来と制度的に若干変わってまいったわけでございます。しかも、この制度は、インターンのように法律で強制するといいますか、制度として義務的な制度でなしに、自主的な制度でございますので、これを厚生省が一本で予算を組んでまいりますと、大学等に対しても厚生省から予算を配賦して云々というようなことになります。そういたしますと、大学当局といたしましては、何か医療教育研修に関して大学厚生省が支配するというような観念が持たれる危惧がございまして、そういう意味大学自主性というものを侵すおそれがないかということが考えられまして、事実そういう議論がございましたので、そういう意味から、大学自主性というようなものを尊重する意味で、大学はできるだけ大学自体におまかせしたほうがよろしい、そういうことで、官立大学については当然文部省が予算を組むべきだというような考え方になったために、結果としては研修生が行く場所を拘束するような形になりました。これらの点は、実情に沿うように今後検討してまいるということにいたしたいと思います。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 いえ、そうじゃなくて、私がお尋ねした点は教育病院のことですよ。教育病院内容充実、施設、それから受け入れ体制、こうした病院ではたして十分な研修を二年間受けられるかどうかというその病院の実情ですね。特に学生が心配しているような面は、現状としてはとても二年間研修を受けるなんという現状じゃないという面もあるわけですね、人手不足であるとか夜勤とかね。そういう点についての具体的な配慮はいかがですかということです。
  62. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 大学以外の一般教育病院整備につきましては、これは当然私どもも積極的に助成してまいらなければならぬと思います。先ほど来のお話もありましたように、そういう意味で、直接的な経費といたしましては一人当たり年額三十六万円見当を今度は助成するということにいたしておりますが、将来は、教育病院それ自体が医療機関としてあるいは各種の研究能力等も持てるように、器械その他の設備、あるいは研修生の宿泊設備等、その他いろいろな面で財政的、資金的な援助もしてまいりたいと考えております。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少し安心して研修に行かれるような御努力があればと思うのですけれども、しかし、現状としては、相変わらず学生ないしは受験資格者に相当な不安を持たしたままだということは明らかだと思うのですね。もっと、そうした不安は必要ない、日本の医療制度の現状からいって、現状はこうなんだからこういうふうになるのだという説得力がないように思うのですがね。  それからもう一つ国立病院で非常勤の医師が非常勤手当を受けることになっている。この非常勤医師の問題について、社会保険の適用はどのようになっているのか、その点について。
  64. 北川力夫

    説明員(北川力夫君) 国立病院の非常勤医師につきましては、常勤職員ではございませんけれども、やはり非常勤という形で病院の職員になるわけでございますので、そういった面から社会保険の適用を考えていかなきゃならぬと思います。社会保険の面におきましては、御承知のとおり、健康保険につきましては、臨時の雇用者でありますとか、あるいはまた季節的な業務に使用される者でありますとか、あるいはまた事業場が一定しないところに使用される者でありますとか、そういった者は健康保険の適用から除外されておりますけれども、それ以外の者は、いま申し上げましたような形で実体的な使用関係がございますれば健康保険の適用があるわけでございますから、そういった意味合いで、今回の新しい臨床研修に従事する医師が入ってまいりまして、保険の適用にかなうような実体がございますれば、これは健康保険等を適用していくことになると思います。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 おしまいのほうがあまりはっきりしませんでしたが、要するに、新しく研修に行く人は社会保険の適用を受けられるということですか。
  66. 北川力夫

    説明員(北川力夫君) 研修をしながら診療にも携わるというふうな形態でございますので、実際上は、その勤務形態は非常勤でございますけれども、おそらく実体的な使用関係に入るだろうと思いますので、結論といたしましては、適用していくことになるだろうと、こういうことを申し上げたわけでございます。——適用することになるとこういうことを申し上げたわけでございます。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの問題をもう一つ。非常勤の職員として働いているその人たちが、一方では診療に携わる、一方では研修を受けるということになるわけですか。そういう点の勤務の形態についてもう少し具体的に御説明してください。
  68. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 非常勤の職員として、現実に診療も行ないますし、また、研修も行なうわけでございます。国立病院本来の機能に従事するという意味では、フルに八時間なら八時間という形で勤務するのでなしに、勤務はそれより少し少なくなる、そして、研修がその間に行なわれるという意味で、これを非常勤職員として扱うことが適当であろうということで非常勤にしておるわけでございます。
  69. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣からそれじゃ……。
  70. 園田直

    国務大臣園田直君) いまのは社会保険を適用するために言いましたので、誤解があると思いまするが、診療には携わらない、研修のために働くのでございます。実務には携わらない……。
  71. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 昨年の年末の臨時国会のときに、医師の不足、特に農村あるいは都会から少し離れたようなところにお医者さんの来手がないというような問題について質問をさしていただいたわけですけれども、この問題について、どうしても医師が絶対数が足りないのが原因でございますか。聞くところによりますと、たとえば歯科医などというものは、歯科医師会と歯科大学との関係の中で、ことしは何千人しかつくらない、こういうようなことがあるということを私は耳にしたわけですけれども、こういうことは事実でございますか。
  72. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 歯科医師の養成について、歯科医師会と定員を幾ら幾らというような相談の上できめているというふうなことはございません。
  73. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、どうしてお医者さんがどんどんつくられないか。それからもう一つ伺ったところによりますと、最近はいろいろな新しい病気も出てきたし、だんだん専門化してきて、いままでわからなかったような病気も発見することができるようになったことは非常に喜ばしいことですけれども、そういうふうにお医者さんがあんまり専門分化してしまって、そして、そういうお医者さんでは、田舎とか都会から少し離れたようなところへ単独ではなかなか行ってくれない、こういう話を聞いてきたのですけれども、その辺の問題について御答弁いただきたい。
  74. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 医師の不足ということの原因には、いろいろな要素がございます。医師の絶対数といたしましては相当ふえておりますし、また、人口十万当たりに対する医師の数というものもふえております。しかし、それ以上に国民医療需要というものが非常に大きくなってきた。従来医療を受けなかったような方々が安易に医療を受けられるようにいろんな制度が変わってきたというために、医療需要が非常に膨大になったために、医師の相対的な不足が激化してきたという状態が現状の実態であろうと思います。そういう意味で、当然、医療需要が大きくなるということは望ましいことでございますので、これに即応するように現在医師の養成能力を急激に増加いたしております。昭和三十三年に二千八百二十名でありましたものを、いまは三千九百六十名まで医学校の定数を増加した。そういう意味で、千名以上この十年間で定数が増加しているわけであります。しかし、この増加が、現実に卒業生とし、あるいは現実に医師として出てくるのはまだここ数年後でございますので、そういう意味で現在がある意味では一番苦しい時期ではないかと思います。そういう時期でございますので、僻地であるとかというところに、あるいは都会の周辺部というようなところに、医師の充足が困難になってきておりますが、これらの点は、絶対数の増加と同町に、医療機関それ自体を医師に魅力あるものにしていくということによって、地方への分散もはかる、また、僻地等の特殊地域の問題については特殊な対策を講ずるということで解決していかなければならぬと思います。  なお、専門的な分化のために医師が多くなるということはこれまた当然のことでございまして、医師不足の一つの要因として将来とも考えていかなければならぬ問題だと思っております。
  75. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その点についていま私が質問をさせていただいたのは、そういうふうな専門分化したお医者さんがふえてきて、それは非常にいいことだけれども、そういうお医者さんが、単独では、都市周辺部、あるいは農村、辺地そういうふうなところにはなかなか行ってくださらない。一つの大きな病院なら病院を建てて、お互いに五人なり十人、もっと大きければ五十人、六十人、そういうふうに行くならばいいけれども、たったひとり心臓病なら心臓病の専門家、しかもそれが心電図の専門家であるというお医者さんならば、田舎のほうに行ってくださらないわけです。そういうお医者さんだけでは都市の周辺部とか田舎にはなかなか来てくださらないということが言われているわけです。そこで、国民一般の要望として、総合的な診療医というものを求めていると思います。こういうお医者さんをやっぱり適当に養成していかなくてはならないのではないか、こういうふうに考えますので、その点のお考えなり見解を伺いたい。
  76. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) お話のありましたように、一般的な医師、つまり窓口的なことを担当していただく一般的な医師と、それから高度な専門化された医師というものが両方必要であるということは、お話のとおりと思います。そういう意味で、現在いわゆる一般的な能力を広く持った開業医という形のものは年々相当数増加しております。そして、都会よりも、むしろ大きな都会地以外のところでその対人口の密度がだんだん高くなりつつあります。一方、田舎のほうは、そういう一般的な医師はある程度充実しても、専門的な診療能力がない。現在、地方におきましては、病院というものが小規模なものが多いために、専門的な方が来たがらない。そういう意味で、私は、地方における病院というものも、現在のような小規模の病院を乱立するのでなしに、大規模の病院をむしろ集約的にやっていくということが地方における高度の医療を普及させるために必要であろうというふうに考えておりまして、そういう意味で、新しい医療制度を検討する場合に、病院計画というようなものを十分検討してまいるつもりでございます。
  77. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしますと、いまが一番苦しいときで、今後数年間を出ずして都市の周辺部とか辺地のようなところにもお医者さんが行き渡ると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  78. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 現在の養成計画から見ましても、たとえば人口十万対百十一人というような状況でございまして、これが昭和五十年、六十年に百二十なり百三十なりということになるという見込みはございますが、しかし、諸外国の例を見ますと、アメリカあたりでは現在すでに百五十、また、ドイツ、イタリアあたりではすでに百六十ということで、まだまだ格差がございます。そういう意味で、数年間である程度の緩和が起こるということは必ずしも望めない。将来とも現在の養成能力をさらに大きくしていかなければ、とてもこの膨大化する医療需要を消化することは困難である。そのいう意味で、将来ともまだまだ医師の養成能力を拡大しなければならぬというふうに考えております。
  79. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後に、それではもう一つ伺っておきたいのですが、救急病院の宿直医はインターンのような学生がやっている、こういうふうな話を聞いたのですけれども、もしもこれが事実とすれば、明らかに医師法の違反ではないか、こういうふうに思うわけですが、御見解を伺いたい。
  80. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) インターンが単独で宿直するということは、これは適当でないと思います。従来のインターン研修方針の中にも、救急の勉強をしなさいということを言っております。それは、どこまでも正規の医師と組んで、そして正規の医師指導を受けながら救急の仕事を勉強し、あるいは救急の宿直もやるということを指導しているわけでございまして、単独でやるという趣旨ではございません。
  81. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 実は、今度のこの医師法の問題について、私どもは学生からヒヤリングをしたことがございます。そのときに、来てくれた学生が、自分たちは救急病院でお医者さんがなかなか宿直をしてくれないので自分たち単独でこういう問題を取り扱ったことがある、こういうふうなことを聞いたものですから、実は驚いたわけでございますが、それはたてまえとしては単独でやることは禁止しているわけですね。
  82. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) そのとおりでございます。
  83. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) この際、私は、厚生大臣にお聞きしておきたいのですが、本日の新聞で、イタイイタイ病についての調査の結果、政府の態度を表明されたことは、非常に国民の期待に沿っておるとも思うのですが、この機会にひとつ政府のこれまでの経緯と今後の対策について厚生大臣から一言……。
  84. 園田直

    国務大臣園田直君) 御報告がおくれましたが、委員長の御質問でございますが、富山県のイタイイタイ病は、御承知のごとく、三十八年から四カ年間にわたってその実体の原因究明につとめてまいりましたが、本月研究班からその結末の報告を受けたわけでございます。この報告は、事実は事実、推定は推定、わからないものはわからないものと明瞭に記載してございまするが、御案内のごとく、この委員は、各界の権威であり、しかもこれに経験のある方々であって、この研究班の水準というものは世界的レベルであると言ってもよいと存じます。なおまた、この研究班は、相当真剣に、相当詳細に研究をいたしました。その結果、私としては、関係各省とも連絡の上、次のような見解をきめたわけでございます。  一つは、イタイイタイ病は、カドミウムの慢性中毒に、妊娠であるとかあるいは栄養失調であるとかあるいはその他が誘因となって発生したものであること。  二つには、原因物資であるカドミウムについては、自然界に微量に存在するものを除いては、神通川上流の三井金属神岡鉱業所の事業活動に伴い排出されたもの以外には見当たらない。  三番目には、カドミウムは、農作物、飲料水等を介して体内に吸収され、長年月にわたって蓄積されたと見られること。  以上の見解のもとに、厚生省としては、本事件に対する原因究明はこれが最後の認定でありまして、終止符を打ち、今後の研究は、予防あるいは治療、この種の公害が出ないようにという観点から関係各省とともに研究を進めてまいる所存でございます。  なおまた、今後、いわゆるイタイイタイ病は、公害による疾患として患者に対する保険医療あるいはその他の問題で地元の県とも協力をしてできる限りの措置を講じていきたい。予算はすでに準備をしてございます。さらに、本事件を契機として、大気汚染防止のための具体的な施策を強力に推進をして、再びこのような事件が発生することがないように最善の努力を傾注するものとして、あわせて公害による被害救済制度の早期確立をはかるなど、国民の健康を守る立場から公害問題に一段と積極的に取り組んでまいる所存でございますが、この四年間の間にわたりまして両院の各委員から適切なる御意見や貴重な御指導を賜わり、これに協力を賜わりましたことを、この際心から御礼を申し上げておきます。  最後に、一つだけ申し上げたいことは、公害というものと司法当局の決定する訴訟の問題とは別でございまして、公害というものが、たとえば人体に入る経路、あるいはその他のものが逐一明細にわからない点もございます、正直言って。しかしながら、薬とか毒というものは、御承知のごとく、蓄積作用あるいは相乗作用等がございまして、理論的な機械的な面だけでは解決できないけれども、さらに動物試験、臨床の例等を加えまして推定をするものでございまして、あくまで証拠が全部あがらなければ公害の認定はできないということであるならば公害というものはわからないわけであります。ただ、私が、委員各位の御指導にもありましたとおりに、国民の方々あるいは国会の各位の御支持と御了解を願いたいと思いますことは、企業というものが、戦争中、個人を犠牲にして生産増強をはかるとか、あるいは特殊の目的のために急速に生産をやったようにやるべき時期ではなくて、あくまで今日においては人間の生命と健康というものを考えてそのワク内で企業は考えるべきであって、やはり人間のしあわせに貢献するための企業でありますから、最終的には人間のしあわせに貢献する企業は繁栄し、しからざるものはいつの日にか衰えていくという、この点を企業の方々も国民の方々も国会の各位の方々も御理解を願って、私の出しました見解に御支持を賜わりたいと考える次第でございます。
  85. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  86. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  87. 大橋和孝

    大橋和孝君 ただいま審議をされておりますところの医師法の一部改正に対して、反対の意見を述べたいと思います。  その趣旨は、医学の研修の本来のあり方でありますけれども、今回の研修医師としての免許を与えられた後のものであって、それを二カ年間と区切るところに非常にあいまいさがある。もっと医者というものは高度な研修を続けてしなければならないのに、そのあいまいな二年ということを付したことによって、むしろ二年で事が足りたような感覚もある。ところが、また、その二年というものも、法のたてまえからいえば、拘束もなければ、あるいはまたそうすることに対しての努力目標という程度のものでありまして、二年間というものに対して非常なあいまいなものがあるわけであります。特に、国民の側から、生命の大事な点から要望するところの医者教育というものは、もっと深くとうといものであると考えます。そういう観点から、もっと医者に対しては十分な研修ができるように要望しておるために、そうした観点から、あいまいな規定のもとに二年間置いて、そうしたことで糊塗するような法の立て方は、非常に間違っておると私どもは考えるわけであります。特に、また、研修をするところの場所整備につきまして、教育病院としての整備はまだまだ不十分であります。特に展望すら明確でないということに対しては非常に遺憾の点でありまして、こうした法改正と同時に、研修をする場所がいかに整備され、そしていかに整備が充実しておるか、これが先決な問題だと思うわけであります。そういう観点で、この法律を設定する段階においてあいまいさがあるということは、非常に遺憾と思う次第であります。また、そこに研修をするのに指導をする体制というものも非常にあいまいさが残っております。特にその指導スタッフというものが充実されていなかったならば、この研修目的を達せられない。特にこの医師法改正にあたりましては、いままでのインターン制が二十何年間行なわれて、しかもその中でいわゆる教育病院あるいはまたそれを指導する指導要員というものに対しての十分な配慮がなかった。それが長く放置されておったために、あのインターン生の問題も非常な実質を欠いたものになってまいりました。そのために、このような混乱を来たしておる。私は、この法律の設定の上において非常に明確さを欠いておる、同じくインターンのいままでの悪かったことがこれからも繰り返されるのではないかという心配のもとに、指導要員の整備が不十分であるということに対してきびしくこれを指摘したいと思うわけであります。  特に、もう一つの理由は、こうした大事な国民生命をつかさどるところの医者の免許取得後の研修というものに対して、ほんとうに充実したものにするために、国はもっと大きな援助措置を早急にしなければならないし、するということが明確化されていないというところにこの法改正に非常に不十分さがあると考えるわけであります。そういうようなことから考えますと、今後、免許取得後の医師教育というものは、医療全体の制度の中から、あるいはまた国民医療観点から、あるいはまた医育制度、こういうすべてのものを含めて大きな重大な使命を持つと思うのでありますからして、今後できるだけ早い機会に、特にまた医療制度が抜本的に改正されようという状態で、その以前までに、もっとこうしたものを完全に整備をし、完全に制度化をして、同時にまた、大きな国からの裏づけをもって国の責任において教育の場を充実して、そしてどの医者も好んでこの教育研修ができるような場所をつくることが最も必要であると思います。同時にまた、二年というあいまいな設定ではなくして、医者というものがその診療に当たる限り、日進月歩の医学に対応するところの研修を絶えず行なえるような場所と、そしてそうした組織、あるいはまた地域的あるいはまた物質的なすべての条件を早く具備することが必要である、そういうことを申して、私の反対の理由とするところであります。  同時に、ここで私は修正の案を出させていただきたいと思うのですが、修正の趣旨を説明させていただきます。  修正の案文は、お手元にお配りいたしましたのでありますが、技術的な規定が多いので、読み上げることを省略しまして、委員会議録に掲載をしていただくということにいたしまして、案文に即してその要旨を御説明させていただきたいと思います。  修正の第一点は、新たに第一章中に加えようとする第一条の二は、医師は、その任務を十分に果たすことができるようにその基盤を築くために、自主的に絶えず研修に努めるべき当然の責務を明らかにするとともに、これに対応いたしまして、その自主的研修に関して必要な万般の援助措置を講ずるべき国の責務を定めたものであります。  修正の第二点は、第二章の次に一章を加える改正規定、すなわち新しく第三章の二として臨床研修制度を設けようとする改正規定につきましては、医師は、生命を取り扱うというその任務の重大性にかんがみまして、かつ、絶えず進歩する医学をフォローしていくために、医師が自主的に一生の間医学の研修に努めるべきは当然でありますが、しかし、医師は、免許を得れば医師として一人前であり、したがって、たとえ軽い義務であったにしましても大学病院やあるいは指定病院等におきまして二年以上の臨床研修に努めるべき義務というようなものを負わされるべき筋合いではないとの考えによりまして、このような押しつけの臨床研修制度の新設を取りやめるために、この改正規定を全面的に削ろうというものであります。  修正の第三点は、附則第二項の修正によりまして新しく加えられることとなります附則新第二項でありますが、本項は、修正の第一点において申し述べました新第一条の二第二項に規定してあります医師の自主研修に対する国の援助措置のうち、新しく医師の免許を受けた後できる限り早い時期における臨床研修につきまして、特に昭和四十五年三月三十一日までに、いわゆる教育病院整備指導医の充実その他臨床研修の実があがるようにするために必要な措置か完了し、臨床研修体制が確立するように、国の設置する施設整備、その施設におけるところの指導医の充実、設置主体のいかんを問わず施設における指導医となるべき者の養成など、国のみずからなし得る事柄にあっては直接に、国以外の者の設置するところの施設整備、その施設における指導医の充実など、国の直接の手の届かない事柄にあっては各種の指導助成等によって関接に、必要な方途を講ずべき義務を政府に負わしめるものであります。  その他は、関連規定の整理のための修正であります。  以上が修正案の内容でございます。  どうか、この修正案をお認め願いますようにお願いを申し上げる次第であります。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、医師法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。  理由は、質疑の過程で申し述べましたので、省略いたしますが、研修二年のあいまいな点、施設整備が整っていない点、このような点が若い学生諸君の不安と困乱の解消になっていない。もっと医師としての希望責任に燃えて取り組める体制をすみやかに整備すべきである、このように考えます。厚生省は、前回の国立療養所の特別会計移行の問題といい、今回の問題といい、かえって困乱を助長するようような、巻き起こすようなことにもなりかねない、そういうような厚生行政のあり方に反対であります。  次に、大橋委員提出の修正案に対しては、以上の理由から賛成をいたします。
  89. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  90. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより医師法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました大橋和孝君提出の修正案を問題に供します。大橋和孝君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  91. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 少数と認めます。よって、大橋和孝君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  92. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  93. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、皆さんの各党各派の御承認を得ましてただいま議決いたしました医師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出いたします。  原案を朗読して提案にかえます。    医師法の一部を改正する法律案に対する附    帯決議(案)  国民生命健康の保持を預る医師の職責の重要性にかんがみ、国は、その養成のための医学教育はもちろん、医師となってからの医学研修についても、特段の配慮を払う責務を有すべきである。よって政府は、とくに次の諸点について、解決を急ぐべきである。  一、医師免許取得後における臨床研修の実をあげるための教育病院整備及び指導体制の充実をはかること。  二、研修中の医師について、その身分と処遇の改善をはかること。  三、医師試験研修審議会委員構成と運営が民主的に行なわれるよう配慮すること。  四、無給医局員の解消をはかるための財政措置を強化すること。  五、専門医、学位制度大学院等関連部門の検討整備に努めること。  六、医師免許取得にひきつづく臨床研修にとどまらず、広く医師全般に通ずる医学研修体制について整備に努めること。  以上であります。
  94. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) ただいま述べられました藤田藤太郎君提出の附帯決議案を議題に供します。  藤田藤太郎君提出の附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
  95. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、藤田藤太郎君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
  96. 園田直

    国務大臣園田直君) 医師法の一部を改正する法律案の採決にあたりまして、ただいま当委員会から付せられました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、実現に向かって十分努力をする所存でございます。
  97. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  98. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後二時四十五分開会
  99. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  社会保険労務士法案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  100. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は大臣に質問して明確に確認をしておきたい。  この法の第二条の業務のところで、労務士の事務は社会保険を向上するためですから、そこでここに明確にしてありますように、労働争議に介入することを除く、これが一つの問題。それから——六条に、その社会保険労務士が業務をされるわけですが、ここで二以上のものを設けてはいかぬという厳格な問題がある。それから十八条の報酬は、これは報酬規制をして、一定の報酬以上のものをやみで取ってはいかぬという、これが法の三つの柱だと思う。これはやっぱり厚生省も、両方で管理されるわけですから、ここのところは厳格に厳密に守っていただきたいということをひとつ大臣に確認をしておきたい。
  101. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 御指摘のございました諸点は、この法案の三つの眼目あるいは柱であると理解いたしておりますので、成立の上は、法の施行の上で十分遺漏なきを期してまいるつもりでございます。
  102. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 厚生省といたしましても、ただいまの労働大臣答弁と同じ態度でまいりたいと、かように考えております。
  103. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もうひとつでありますが法の二十七条、これについては、会計士とかまたは税理士とか計理士とか、付随して業務を行なうということであります。そのようなところは大蔵省の監督になると思いますが、この法律に基づいて、やはり労働省と厚生省が、そのほかの仕事は別ですが、社会保険労務士のやるこの業務というものは、そのもの自身は監督をきちっとやっていただきたい。先ほど申し上げた三つの原則との関係がそこらあたりからくずれたら、せっかく法律をつくった意義がなくなるから、その点の監督行政は十分にやっていただきたいと思います。
  104. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 税理士、公認会計士は、それぞれ税理士法、公認会計士法で業務の範囲が定まっておるわけでありまして、大蔵省が監督いたしております。そこで、大蔵省とも十分連絡をとりまして監督に万全を期していくつもりであります。
  105. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 厚生省といたしましても、同様の態度でまいりたい、かように思います。
  106. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ質問したいと思うのですが、商工会議所、労働組合等がその会員のために指導サービス業務として労働社会保険諸法令に関する事務を行なっているのは、法第二十七条に違反するのかどうか。なお、事務組合が行なう場合はどうか、ちょっと質問をいたします。
  107. 河野正

    衆議院議員(河野正君) ただいま藤田委員から御質問のございました、商工会議所あるいは労働組合等がその会員あるいは組合員のために行ないまする指導とか、あるいはまた、サービス業務として労働社会保険諸法分に関しまする事務を行ないますることは、それは法第二十七条には抵触しないという見解でございます。ただし、指導サービス業務として行なうわけでございますから、そのための経費というものは無料あるいは実費弁償の範囲にとどまるべきものと考えるのでございます。  なお、いまの後段のお尋ねにございました点につきましては、労災保険法、失業保険法に定めます事務組合が行なう事務というものは、同条ただし書きの「他の法律に別段の定めがある場合」、この項に該当するものでございますから、したがって、同条には抵触しないという、こういう見解でございます。
  108. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ありがとうございました。
  109. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 他に御発言もなければ、、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  110. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  111. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  社会保険労務士法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  112. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  113. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。
  114. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 速記を起こしてください。     —————————————
  115. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 次に、山本杉君及び藤田藤太郎君発議にかかる保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案(参第十四号)を議題といたします。  発議者より提案理由の説明を聴取いたします。藤田藤太郎君。
  116. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ただいま議題となりました保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案について、その提案理由を申し上げます。  看護婦または准看護婦の制度は、傷病者、じょく婦に対する療養上の世話または診療の補助をすることを業とする女子という定義が示しているように、たてまえとして女子が当たるものとされています。  他方、男子がこれを業とする場合については、男子である看護人については、看護婦または准看護婦に関する規定を準用するという条文が一つあるだけであります。看護婦または准看護婦の規定が準用されるのでありますから、男子も、看護業務を業とするときは、女子である看護婦または准看護婦に要求される資格と同じ資格がなければならないことになっているのであります。現在、男子であって、法が要求する資格を得て看護業務に従事しているものは、約五千人を数え、また、毎年の男子の養成施設入学者は六百名という数字を示しているのであります。ところが、現行法律における扱いを見ますと、一面、その資格に関しては、男子についても、女子と同様の基準を要求しておきながら、他面、その有資格者を示す名称については、女子に、看護婦、准看護婦という名称を与えているにかかわらず、男子には、ただ男子である看護人とだけ規定するにとどめて、すべてを準用するというむずかしい法律用語の中にあいまいなまま放置しているのであります。看護婦、准看護婦という名称を男子に準用するわけにはいきませんから、男子は、資格を得ても、看護人と称するほかないのが現状であります。看護人ということばは、一般的に、看護する人という意味に使われることばでありますから、看護業務に従事する男子については、有資格者を無資格者から区別する名称がないということになるわけであります。  このような法の不親切を正してもらいたいという関係者の要求は、十三年前から出されてきたところであります。この要請にこたえることは、一面、憲法に定める両性の平等原則に近づけるために、また、せっかく、資格者として働く人々の勤労意欲を高めるためにも、必要と考えられますので、この際、男子である看護人の資格をあらわす名称を法定したいと存ずるのであります。  そこで、男子たる看護人であって、看護婦と同等の資格要件を満たすものには看護士の名称を、また、准看護婦のそれに相当するものには准看護士の名称をそれぞれ法定することにいたします。  以上が法律案内容であります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  117. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。
  118. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  119. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  120. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 全会一致と認みます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  121. 山本伊三郎

    委員長山本伊三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会      —————・—————