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1968-05-21 第58回国会 参議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十一日(火曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      楠  正俊君     奥村 悦造君      内藤誉三郎君     栗原 祐幸君      沢田 一精君     米田 正文君      近藤 鶴代君     村上 春藏君  五月二十日     辞任         補欠選任      奥村 悦造君     赤間 文三君      瀬谷 英行君     小柳  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          藤田  進君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 大河原一次君     委 員                 石井  桂君                 大森 久司君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 村上 春藏君                 沢田 政治君                 田中  一君                 鈴木 一弘君                 片山 武夫君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  保利  茂君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国務大臣     宮澤 喜一君    政府委員        経済企画政務次        官        山下 春江君        経済企画庁水資        源局長      今泉 一郎君        林野庁長官    片山 正英君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        行政管理庁行政        管理局審議官   北山 恭治君        農林省農地局参        事官       佐々木四郎君        建設省計画局総        務課長      河野 正三君        建設省住宅局住        宅総務課長    白川 英留君    参考人        水資源開発公団        総裁      進藤武左ヱ門君        水資源開発公団        理事       金子 美雄君        水資源開発公団        理事       小林  泰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○水資源開発公団法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○名古屋都市計画事業大曾根土地区画整理事業計  画の再検討に関する請願(第二二号) ○東京外郭環状高速道路建設反対に関する請願  (第三九号)(第三九二号) ○新治山治水事業五箇年計画確立に関する請願  (第五四号) ○特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験の特例に  関する請願(第一四三号)(第八〇二号)(第八  〇三号)(第一一七二号)(第一一七三号)(第  一一七四号)(第一二一一号)(第一二一二号)  (第二〇七三号)(第三一〇三号)(第三二二五  号)(第三二六四号)(第三三五一号)(第三四六  七号)(第三五三一号)(第三五六四号) (第三  七二七号)(第四七〇一号) ○中小企業者団体に対し公共地下駐車場事業特  許等に関する請願(第一八一号)(第一八三号) ○主要地方道枚方水口線及び彦根八日市水口  線の国道編入等に関する請願(第三一四号)(第  三三六号) ○兵庫芦屋風致地区美観保持に関する請願  (第三五五号) ○群馬県休泊堀の一級河川指定に関する請願(第  五〇三号) ○戦傷病者に対する公営住宅割当等に関する請願  (第二三四九号) ○公営住宅建設基準並びに入居資格条件の適正  化に関する請願(第二六九二号) ○都市開発法案の一部修正に関する請願(第三  一三一号) ○都市計画法及び都市開発法制定反対等に関す  る請願(第三一九一号)(第三二〇六号)(第三  二〇七号)(第三二〇八号)(第三二〇九号)(第  三二一〇号)(第三二一一号)(第三二一二号)  (第三二一三号)(第三二一四号)(第三二一五  号)(第三二一六号)(第三二一七号) (第三二  一八号)(第三二一九号)(第三二二〇号)(第三  二二一号)(第三二二二号)(第三二二三号)(第  三二二四号)(第三二二八号)(第三二三六号)  (第三二六五号)(第三二九〇号) (第三六五八  号)(第四二四七号)(第四二七二号) (第四二  九九号)(第四三一四号)(第四三三六号) (第  四七〇二号)(第五一九四号) ○国道一六一号線の整備拡幅等に関する請願(第  三五四一号) ○名神高速自動車道路通行料金引下げに関する  請願(第三五四二号) ○都市計画法案に関する請願(第四〇五四号) ○都市計画法案修正に関する請願(第四〇五五号) ○都市開発法案早期成立に関する請願(第四  八四五号)(第四九五一号)(第四九五二号)(第  四九五三号)(第四九五四号)(第五一九三号)  (第五二三二号) ○東京都国分寺市けやき台住宅東側道路交通騒  音防止に関する請願(第四九五〇号) ○国電板橋駅、東上線下板橋駅間の谷端川暗きよ  化等に関する請願(第四九七五号) ○兵庫芦屋風致地区高層マンション用ビル  ディング建設反対に関する請願(第五一〇五号)  (第五一九五号)(第五二三一号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る五月十七日、近藤鶴代君、楠正俊君、内藤誉三郎君及び沢田一精君が委員辞任され、その補欠として村上春藏君、奥村悦造君、栗原祐幸君及び米田正文君が選任されました。また昨二十日、奥村悦造君及び瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として赤間文三君及び小柳勇君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、まず補足説明を聴取いたします。坂野河川局長
  4. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 治山治水緊急持置法の一部を改正する法律案内容は、本法の第三条の第一項に「昭和四十年度」とございますのを「昭和四十三年度」ということに改正するものでございます。附則といたしまして、施行期日は「この法律は、公布の日から施行する。」ということ、それから第二点は国有林野事業特別会計法の一部がこれに伴いまして変更がございまして、第八条に附則を次のように一項加えるわけでございまして、その内容は、昭和四十二年度から実施しておりますすでに実施済みのもの、あるいは四十二年度から四十三年度において繰り延べたものは、この新治水事業五ヵ年計画四十三年度以降となっておりますので、この中に含めるということでございます。それから同じく治水特別会計法につきましても、附則の中に一項つけ加えまして、二十一項に、治山の場合と同じように昭和四十二年度においてすでに実施した治水事業及び多目的ダム事業ですでに施行したもの、その中には繰り越したものも含めて、この新治水事業五ヵ年計画の中に含めるということが、新しく本法改正に伴って改正がなされるわけでございます。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わります。
  5. 藤田進

    委員長藤田進君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 沢田政治

    沢田政治君 最初に、まあ治山治水法案でありますが、災害防止がこの法案のねらいになっておるわけでございますから、過般十六日に起こった十勝沖地震、これに対して本会議でも若干の質問をいたしたわけでありますが、全般的な問題は別として、大臣が見えられておりますので、特に建設関係に所属する災害状況と、これに対するとるべき措置、とろうとしておる措置、また現にとっておる措置、これについて大臣から御見解をお伺いしたいと思います。
  7. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今次災害に対しましては、先般来政府といたしましては、本会議でもその対策を明らかにいたしておりますが、今朝の閣議でも、それぞれの災害状況を一応取りまとめておりまして、その対策について御相談いたしました。いろいろ当面激甚地指定という要請が非常に地元のほうから強うございますけれども、ただいまの現行法規基準をもってしては、必ずしも該当しないのじゃないかという状態にございますが、先般も明らかにいたしておりますように、今回の災害の実情に見ますと、激甚地に準ずるの措置をとにかく講じてまいりたいという、はなはだ不明確な点もございますけれども、行政上可能な限りにおいて激甚地に準じてこれを取り扱っていこうということに、今朝の閣議でもお話し合いができておるわけでございます。建設省所管の分につきましては、大体取りまとめもできておりますので、局長から御説明申し上げます。
  8. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 被害状況を申し上げますと、建設省所管公共土木施設被害は一道四県に発生いたしまして、現在までの被害額は三十九億六千二百万ということで概算被害報告が出ております。その内容は、河川関係が三十三カ所、海岸が一カ所、道路が六十四カ所、合計九十八カ所でございます。以上直轄関係でございます。  それから、補助関係で、個所道路河川等合わせまして千二百六十七カ所、三十八億五千万でございまして、都市施設が二十六カ所の一億一千百六十二万、住宅関係が全体で全壊が二百五十七戸、半壊が千四百二十八戸、一部破損等を含めますと、かなり、それ以上の数字にのぼっております。  対策でございますが、先ほど大臣おっしゃいました、対策本部ができまして、公共土木施設に対しましては、直轄河川につきましては緊急に復旧を要する個所については、既定経費を立てかえて復旧工事実施中でございまして、また早急に現地調査を行ない、予備費要求をいたすことにしております。  直轄道路につきましては、交通不能の個所については、既定経費により、一車線以上の交通をすでに復旧しております。また、早急に現地調査を行なって、予備費要求する予定でございます。  補助につきましては、緊急復旧を要する個所について、地方公共団体において応急工事実施し、現地準備完了を待って早急に査定を実施する予定でございます。  それから、住宅につきましては、住宅金融公庫災害復旧住宅融資の対象となる災害として、主務大臣による指定を手続中でございます。その他住宅金融公庫において現地に係り官を派遣して住宅相談に応ずるというようなことをやっております。  以上が簡単な被害状況並びに対策の概況でございます。
  9. 沢田政治

    沢田政治君 けさの新岡では、官房長官が、きのうの夕方の記者会見だと思いますが、激甚地災害指定には無理だと、こういうようなまあ新聞発表を行なっておるわけでありますが、なるほど法律から見ますと、被害総額が一定の限度に達しなければ法律適用をできないと、こういうことに相なることは、私も法律内容は熟知いたしております。が、しかし私は、まあ建設大臣に聞くのはこれはどうかと思いますが、去る十七日に本会議で、えび地震例等もあげ、あの際は内外から非常に激甚地に推定すべきである、こういうまあ要請があったわけでありますが、準ずるということでついに該当させなかったと、したがって、今度の地震においては該当さすべきであると、指定すべきであると、こういう質問を私はいたしたわけであります。これに対して、総理は、一部ではもう指定しておるし、今後指定を拡大するであろうという答弁をいたしておるわけであります。まあその詳細については、新聞等にもはっきり、そういうような答弁をしたことは明確に出ておるわけでありますが、その後、まあ議運でこれを議論したかどうかわかりませんけれども、間違いであったとか、思い違いであったとか、まあこういうことで非常に渋っておるわけでありますが、私には何らの連絡もありません。これはもちろん、国対とか議運でこれはもう御相談することはけっこうでありますが、少なくとも私は党の基本政策にのっとって、私も一議員として質問しておるわけであります。その際ですね、まああれが間違いであるか間違いでないか、私は新聞の報道の限りにおいて知るわけでありますが、全然間違いであったからとかという連絡は、私にはありません。したがって、私はまあ閣僚の一人として保利建設大臣に聞くわけでありますが、一国の総理がですね、いやしくも本会議ではっきり明確に、激甚地災害指定する、法の適用がもう現にしつつあると、調査の上さらにこれを拡大しよう、こういう答弁をしておるのだから、やはりそれを守らなけりゃいかぬと思うわけでありますね。もし何かの勘違いであったならば、発言した議員に対して、本意はこうでなかったと言うのは、これは当然じゃないですか。したがって、やはり当時本会議保利建設大臣も見えられておりましたので、私の記憶違いかどうか、私は絶対記憶違いじゃないと思うのです。明確にそういう答弁をしておるわけであります。いかがですか。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私もその席で御質問もいただいておりますから、あれですが、総理答弁がどういう答弁だったか、実ははなはだ申しわけありませんけれども、私は記憶がないのです。しかし、これはもう御質疑をされました沢田議員が一番よく御承知でございましょうから、お話しのとおりであったろうと思います。思い違いをしておったんじゃないか、これは私がこうお答えいたしましても、もしそういうやりとりがあっておれば、沢田議員、御満足になろうはずもございませんから、私申しわけありませんが、おそらく総理——私はもしそういうことであったら、災害救助法発動じゃなかったかと思っております。災害救助法発動しており、それをさらに追っかけてやらなきゃならぬということが、あなたの御質問とかみ合ったんじゃないかという、そういうふうに——しかし、きょうもそういう激甚地扱い方について、結局広範な激甚地指定ということは、今度の災害の場合に実際は無理だろうということ、しかし相当赤澤自治大臣が青森県をずっと、一部回ってきて感じて言っておりますことは、やはり奥地のほうに入っていきますと、ちょうどおりから長い相当豪雨もあったし、そこへまた地震が起きた、相当寒村でひどい災害を受けているところがある、そういうところはやはり激甚地扱いをしないというと、実際公共団体が持てないんじゃないか、これはまあそういう際に激甚地指定は、必ずしもいまの法律ではできないようになっておるということは、おそらく私ども沢田議員と同じ考えでございまして、これはやはり立法上の、何といいますか、手直しをすみやかにしなければいかぬのじゃないか。そしてとにかくひどく災害を受けているにしても、何も一人でみんなかぶるわけじゃないわけです——やはり災害をかぶる人は個々の人であって、狭い区域であっても、全体としては軽微であっても、実際被害を受けている人は、非常な深刻な災難を受けるわけでございますから、そういう点において、どうも必ずしも現行基準がいわゆる立法の趣旨と合致しない点があります。それをどの程度激甚地に準じてこの対策を講じていくという埋め合わせができますか、とにかく可能な限度において埋め合わせをしていこう、行政措置として可能な限りはその扱いをしていこうというように、私ども考えております。しかし、総理とのお話のやりとりは、私はこれはそんたくするわけですが、おそらく災害救助法発動との取り違えじゃないか、というように私は感じます。
  11. 沢田政治

    沢田政治君 いまの現行法——長たらしい法律でありますが、激甚地災害指定法律ですね、これの適用基準といいますか、要件といいますか、はたしていまのままでいいかどうかということは、非常に、政府自体としても、それぞれの党自体としても考えるべきだ、被害者が多ければこれは該当させる、少なければ泣いてもらう、これは個人にとっては、十人が被害を受けようと、百人が受けようが、苦痛というものは変わらぬのですね。しかも天災地変ですね。みずから失火を犯したとか、交通事故を起こしたと違うわけであります。これは不可抗力であります、いまの科学ではね。やがてそれは政治の面で、犠牲が多ければ、多少にかかわらず、受けた苦痛というものは、個人にとっては同じだから考えべきだという大臣の説に、私も賛成なわけでありますが、ただ、私はまあ国政審議のあり方として、一国の総理が、間違いであるからということで、発言した議員に対して何らの連絡もなく、あれは間違いであったとして、間違いとして処理されたのじゃ、幾ら私がここで、——たとえばただいま議題になっている法案を審議しても、答弁が間違いであったということですべて処理されたならば、私はもう議員としての権威というものは保持できないと思うのですよね、これはね。しかも、私は間違いやすい表現じゃない。演説はへたでありますけれども、間違いやすい表現でなくて、えび地震の例をあげて、あのときは該当させなかったから、今度は被害相当大きいようですから、これはやはり該当さすべきであるというように、間違わぬような表現で私は言っておるはずなんですね。ところが、もう間違いであったとかどうとかと、こう新聞では非常に騒がれておるわけであります。  そこで委員長、私はもうそういうように、ここで発言し、本会議で発言しても、あれは間違いであった、錯覚であったということで、もうみずからの判断で処置されるのじゃ、私はもう幾らここで審議しても、審議する自信を持てないわけです。したがって、まあ災害ということになりますと、ただいまの法律とも関係がございますから、まあ総理大臣が来れなければ、総理大臣の代理として総理府長官か何か呼んで、一体あれは間違いであったのかないのか。間違いであったとするならば、どういう処置をとるのか、責任をとるのか、この点を明確にしてもらいたいと思うのです。それを要求したいと思いますが、これは委員長いかがですか。
  12. 藤田進

    委員長藤田進君) 官房長官に言ってみましょう。続けてくれませんか。
  13. 沢田政治

    沢田政治君 それではお伺いしますが、最初建設大臣農林大臣、また林野庁長官、見えられておると思いますからお伺いしますが、昭和四十三年度を初年度とする治水事業五ヵ年計画、まあ総額にして三千五百億円ですか、これの治水事業五ヵ年計画ですね、二兆五百億円、これの計画根拠、見通しなり、こういうものを、提案説明にあるわけでありますが、もう少し明確に分解して、ちょっと説明願いたいのですがね。
  14. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 新治水事業五ヵ年計画総額は二兆五十億でございます。その中身といたしましては、治水事業費が一兆五千億円でございまして、その平均の伸び率は、昭和四十三年度が約二千億弱でございますので、それをベースにいたしますと約二二%の伸びとなっているわけでございます。その中身河川ダム砂防機械等と分かれておりまして、その一兆五千の中身はそういうことでございますが、その詳細な内容につきましては目下検討中でございまして、あるいは内容が若干変動することがあるかと思いますが、大体河川が、その一兆五千のうち九千、ダムが二千八百、砂防が約三千億というぐあいに考えております。この治水事業の一兆五千のほかに、地方単独あるいは災害関連事業等で約三千億見ておりまして、それ以外に予備費の二千億というものを加えまして、全体で二兆五百億というふうに相なっておるわけでございます。これは昭和四十三年度以降、建設省におきまして長期的な構想長期計画というものを昭和六十年度までに見込みまして、それは約二十三兆でございます。その二十三兆の第一期の計画といたしまして、この二兆五百という計画を考えておるわけでございます。
  15. 沢田政治

    沢田政治君 ちょっと内容に入ってお伺いするわけでありますが、建設省としては、昭和四十三年度の予算について大蔵省との折衝では二兆四千億円を要求しておったと思うのであります。この二兆四千億円の計画根拠ですね、これは具体的に私はわからぬわけでありますが、たとえば河川砂防ダムに対して具体的にどうするのか、こういう方向は寡聞にして私わからぬわけであります。計画もけっこうだし、予算要求もけっこうだけれども、中身を知らなければこれはいかぬと思うわけでありますね。したがって、河川砂防あるいはダム事業、これは具体的に何をやろうとしておるのか、どういう構想を持っておるのか、それを具体的に知らせてほしいと思うんです。
  16. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、当初要求の二兆四千億というのは、昭和四十三年度を起点といたしまして昭和六十年度までにつきまして、長期的な治水構想というものを打ち立てたわけでございます。その根拠をなすものは、最近の河川流域におきます産業経済の発展、あるいは都市及び周辺における人口、産業集中というようなそういう関係、それから気象的な、非常に最近の気象条件からいいまして異常な局地的な集中豪雨、そういうことの災害実態、あるいは土石類による災害が非常に多い。そういった最近の災害実態等流域条件の変化というものを踏まえまして、従来考えておりました治水長期計画というものを再検討いたしまして、一応二十三兆という全体の構想を打ち出したわけでございますが、その第一期の五ヵ年計画といたしまして必要最小限度といいますか、重点的にその事業をしぼりまして、最初の五ヵ年では二兆四千くらいは必要であるというぐあいに根幹的な重要な事業というものを重点といたしまして、とりあえず二兆四千、もちろんその中には現在手をつけております継続的な事業もございますし、また新規に着工するものもございますけれども、中小河川対策、あるいは土石類対策、それからもう一つ、最近非常に渇水による深刻な水不足を来たしておりますので、それに対処するための治水ダム等のいわゆる水資源開発というものを織り込みまして、このうち特に緊急を要するようなものを重点的に織り込んで二兆四千というものを要求したわけでございますが、いろいろな関係で、先生御承知のように二兆五百ということに落ちつきました。その中身は、先ほど申し上げましたように、それぞれ河川ダム砂防機械というぐあいに、それからそういったものを織り込んだ治水事業、それに地方単独あるいは災害関連等予備費というものを含めて二兆五百ということに落ちついたわけでございます。まだこの中身は、一体河川がどういう河川を何河川で、しかもどれどれの河川幾らつけるというような問題は、目下作業中でございまして、一応の目途といたしまして、先ほど申し上げましたが、河川ダム砂防の内訳は作業の目算としてはやっておりますけれども、今後の作業をだんだん詰めてまいりまして、その段階ではっきり五ヵ年計画中身というものを明確にいたしてまいりたい、というぐあいに考えておるわけでございます。要は、長期構想の中で特に急を要するものを重点的に五ヵ年計画としてやっていきたいというわけでございます。
  17. 沢田政治

    沢田政治君 いま言われますように、今回の二兆五百億円のうち、予備費二千五百億円ですか、関連事業地方単独事業に三千億円、計五千五百億円が別ワクに組まれて、従来の計画とは非常に大きい差が出ているわけですね。それは別として、いま現行の五ヵ年計画ですね、現在の五ヵ年計画、つまり昭和四十年度から昭和四十四年度の一兆一千億円の実施状況ですね、これはどうなっていますか。これは河川局長林野庁長官にお伺いしたいと思いますが、実施状況はどうなっていますか。
  18. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 現行の一兆一千の五ヵ年計画のうちで、治水事業が八千五百ということに相なっておりまして、昭和四十年度から四十四年度までに八千五百の治水事業をやりたいということで、その当初の計画伸び率は毎年平均一二%ずつ伸ばしていこう、四十年度の当初予算から出発いたしまして、毎年一二%ずつ平均で伸ばしていこうということで進んでおったわけでございますが、実績はかなりこれを上回りまして、一七・一%ずつ毎年ずっと伸ばしてまいりました。全体的には当初昭和四十二年度までの全体の実施予定が五三・一%、トータル、それだけの消化をする予定でございましたが、それが実績は五五・八%進んでまいりました。金額にいたしまして四千七百四十一億消費いたしております。それから、その他災害関連事業地方単独事業を加えますというと、一兆一千に対しましては五千五百二十億進捗いたしておった次第でございます。
  19. 片山正英

    政府委員片山正英君) 林野関係の進捗状況についてお答え申し上げます。  総額といたしましては、五ヵ年で千六百七十億という予定でございましたが、四十二年度末におきまして、当初の計画といたしましては五五・四%を一応計画いたしておりましたが、結果といたしましては五六・八%の実績を見たわけでございます。  以上でございます。
  20. 沢田政治

    沢田政治君 現行治水事業の五ヵ年計画の進捗度、これをもう少し砕いて、たとえば五ヵ年計画額と、その内容も、河川ダム砂防機械予備費、地方関連費もあるわけでありますが、こういうふうに砕いて、年度ごとにどういう状況になって進捗度を示しているか、これを数字でちょっとあげてもらいたいと思うんです、私のとっておる調査が間違っておるかどうか確認したいもので。
  21. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 年度ごとのやつは、後ほど先生に御報告したいと思いますが、トータルでとりあえず申し上げますと、治水事業の先ほど申し上げました八千五百億、現行の一兆一千の治山治水事業は、八千五百億の中で河川が五千二十億見ておったわけでございますが、それに対して実施額は二千八百六十六億でございます。  ダムが、当初が千六百七十億見込んでおりましたのが、実施額が八百七十六億でございます。砂防が千七百八十億に対しまして、実施額が九百八十二億でございます。機械が三十億に対しまして十七億、三カ年で実施いたしております。それから災害関連事業でございますが、当初五百六十億見込んでおりましたが、それが二百八十九億実施いたしております。地方単独事業は九百四十億見込んでおりましたのが、四百九十億でございます。予備費のほうはまだ使用いたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、トータルで一兆一千に対しましては五千五百二十億現在までに実施いたしております。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、大体正確なようですが、一応この資料をもらったかどうかわかりませんけれども、どうも建設委員会の場合、非常に親切じゃないですね。こういうのをやっぱり審議にあたって、こういう資料等は前の日に配付してほしいと思うのですよ。われわれは一生懸命調べなくちゃならぬから、非常に手間どるわけですね。非常にこういう点は建設委員会の場合、議題をぽんと出して審議してくれと、しかもきょうきた議題は、きょうきただけでしょう。これはもう少し資料等は親切にやっぱり出して審議しやすいように私はしてもらいたいと思うんですね、今後の問題として。  次に建設大臣ということになると思いますが、これは局長でもけっこうですが、建設省は、昭和三十八年に策定した国土建設の基本構想を去年の八月改定して発表しておるわけですが、その中で、昭和六十年まで二十年間、二十兆億円の治水投資を行なう必要がある、こう言っておるわけでありますが、そうして、そのために重要水系は十二年間で、その他の水系は十五年間で改修するのだ、こう言っておるわけであります。この長期治水計画の具体的な根拠といいますか、こういう一つの水系、どことどこどこをどういうようにやるのか。これは単なる何というか、観念的な想定じゃなく、ある程度頭に入れて、どこどこを開発する、こういう一つの構想があるんではないかと思うわけですね。したがってそういう構想というものを、抽象的じゃなく、観念的ではなく、もう少し明らかに示してほしいと思うんです。それと同時に、治水利水計画から見た国土総合計画及び地域計画、また加えてさらには都市計画について、建設省河川局はどう見ておるか。さらに都市地域の治水投資の効率及び災害被害額、これもどのように評価して、また推計しておるか。これはやっぱり全然考えておらぬどころことじゃない、やっぱり相当予算要求するたてまえから、相当綿密な長期展望というものを考えておると思うので、この際その点を明らかにしてもらいたいと思うんです。
  23. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 国土建設の長期構想の問題でございますが、これは国土建設の長期構想では二十一兆というぐあいに昭和四十一年から六十年までに二十年間で二十一兆という数字を構想の中でうたっておるわけでございますが、それも単価構成等をいたしてまいりました考え方は、変わっておりませんので、先ほど申し上げました昭和四十三年から昭和六十年までの二十三兆ということを申し上げましたが、年度をずらしたり、それから単価を構成いたしてみますと、大体国土建設の長期構想で考えております二十一兆と、私ども先ほど申し上げました二十三兆というのは大体合うわけでございまして、まあ、この二十三兆というのに至る前に、実はこれは膨大な話でございますが、私どもはここ三、四年、あるいは二、三年くらいかかりまして、全体の水系ごとの全体の構想というものを、実はこれは夢みたい話でございますが、一体今後治水をどれだけやれば完璧であるかという一定の考え方、統一をとりまして、五大河川あるいは中小河川等につきまして規模の考え方を一応考えて、その中で私どもは大河川は少なくとも災害のというか、降雨の対象となる雨の規模を大体百年に一ぺん、二百年に一ぺんというようなものを一応の想定に考えております。それから中小河川によって若干それを減らしておりますが、そういうような一つの考え方をもって、それともう一つの水資源の将来の伸びがどうなるかというようなことをある程度考えて、それを織り込んで、実は五十二兆という全体の計画を立てたわけであります。これはいろいろ議論があろうかと思いますが、そういう作業をいたしまて、その第一期といいますか、昭和六十年度までを目標にいたしまして、昭和四十三年から十八年間でございます、その間にこの国土建設の長期構想と大体見合ったような、バランスのとれた額が二十三兆ぐらいになるわけでございますので、一応そういう観点から、その中で総ワク的に実は二十三兆という額を、全体の五十二兆の中で出したわけでございます。したがいまして、個々の水系ごとに相当大まかな作業をやっておりますので、はっきりした実は作業というのは、その二十三兆の中の第一期の五ヵ年計画というものにつきましては、かなり詳細な積み上げをやっておりまして、それが二兆四千というのが二兆五百ということになったわけでございますけれども、それを現在その手直し作業をやっておりまして、先ほど申し上げましたようにあと二、三ヵ月かかるわけでございますけれども、そういうことで二十一兆なり二十三兆の水系ごとの詳細な中身というものは、まだはっきり確定いたしたわけではございませんが、一応の計算の根拠としては、概算的には、はじいておるわけでございます。それから水資源につきましても、昭和六十年ごろまでには一体どのくらいの水需要の伸びがあるか、というものを一応各地域ごとに試算いたしておりまして、その第一期計画として、先ほど申し上げましたように、少なくとも五ヵ年計画ではこの程度の水の開発をやっていこうじゃないかということで、それにつきましてはかなり詳細な積み上げ、各施設計画というものができておるわけでございます。また目下それを再検討いたしております。  そういうことでございまして、それからその次の問題は、災害の一応の想定でございますが、これはいろいろ実は試算をやっておりまして、従来の過去の実績を詳細ここ数カ年にわたりまして災害の額とそれから災害実態、そういうものとの関連性を実は計算いたしておりまして、流域内の試算額と、それからあるいは国民総生産との関連、災害の額との関連、そういうものを統計的に確率計算いたしまして、これも電子計算機等に実はかけて計算いたしておるわけでございます。それによって、これだけの投資をすれば、これはマクロ的な計算でございますけれども、全国でこれだけの投資をすれば、これだけの災害が減ってくるであろう。しかも一方において、災害の額の何といいますか伸びがございます、同じ災害、出水があっても、災害の額というものは年々ふえるわけでございますので、その辺の相殺関係というものを計算いたしまして、はじいておるわけでございます。現在の統計的な計算によりますというと、災害の額は、一般災害と公共土木、そういうものを含めまして約三千億でございまして、これは国民所得の約二%に当たるわけでございます。それからなお、統計的には人員の、死傷者、行くえ不明等を含めまして言うと、大体八千人というような現在の年平均が出ておるわけでございます。その辺から、現在の実績と将来の投資した場合との相関性のカーブをつくっておりまして、そういうことから治水の経済効果というものをはじいておるわけでございます。  あともう一つ質問ございましたが、ちょっと失念いたしまして……。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 いい、また聞くから……。非常に二十兆、二十一兆円ですか、こういうのをいまはじいている。金額のほうを先に出して、数字のほうはどれだけを推計しておるのか、被害というのは。こういうのがあとになるというのは、ほんとうはおかしい。大体そういうものを推計、想定して、金額はこれこれになるということを出すのがほんとうだけれども、金額のほうが先に出て、目下電子計算機か何かわからぬけれども、はじいておるということじゃ、これはちょっと本末転倒といいますか、順序が逆だと思うんです。特に私あとで触れたいと思いますが、たとえば治水事業というものはいろいろな方法があるわけです。まあ釈迦に説法でありますが、現在まで、明治の初期は別として、最近の治水はほとんどダムとか高水——高い水、高水位の堤防をつくるとかこういう方法があるわけですが、低水というものも、この際やはり工事の一つの施行政策として考えられぬかどうかということもありますが、これはあとで聞きます。  それからもう一つは、今度は都市に人間と言えば悪いけれども、人口が非常にふえますので、都市周辺に全国民の八〇%も密集するじゃないか、こう言われておるわけなんで、今後都市周辺の治水というものも、非常に緊急を要する問題になるじゃないか、まあ八千人ぐらいの被害人口になるかどうか、これはもう何というか都市づくりいかんによってはこれは大惨事をもたらす可能性があると思うんで、そういうのをもう少し評価するなり、計算するなり、想定するなりすべきじゃないかと思うんです。これはあとで触れます。もう一回、この問題については。  次に、政府が去年策定した経済社会発展計画ですね、計画なんてやたらに多いんで、どの計画かちょっとわれわれも混雑するわけでありますが、経済社会発展計画、昭利四十二年から昭和四十六年までは公共投資総額二十七兆五千億円に押え、この中で国土保全に一兆八千億円の数字をあげている、おると思います。そこで今回の治水あるいは治山事業を引いても二兆四千億円になる、こういうように私としては考えざるを得ないわけであります。そういうふうに見ております。したがって経済社会発展計画をこの内容から見まするならば、改定する必要があると考えるわけでありますが、この理由としては、まあたとえば政府長期計画には計画性が欠けている。いま私指摘しているわけでありますが、具体性が欠けておると思うんです、これはどうしても内容を分解してずっと想定してみますと。そういう意味でやはり経済社会発展計画を改定する必要があるんではないかと、こういう疑問を持ってくるわけであります。その点はどうですか、先ほどの質問とも若干関連、重複してくるわけだけれども。
  25. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 先生の御指摘のように経済社会発展計画は、昭和四十二年度以降の五ヵ年計画でございますが、経済企画庁を中心にして策定されたものでございます。その中で先生の細質問のように国土保全を一兆八千百億ということになっております。それでこれを計算いたしますのに、海岸を除きまして治山治水と両方入っております、それを従来のシェアで治山を除きまして、そして治水だけ計算いたしますというと、一兆四千二百億というのが中間的に出るわけでございます。これは、単価をスライドしたり年次が合い違っておりますのでそういうものをスライドいたしますというと、治水の総投資額が二兆八百億ということに相なるわけでございまして、私どものいま考えておりますのが二兆五百億でございますが、大体三百億の違いは計算のあれによって多少の誤差はございますけれども、大体この経済社会発展計画の考え方と私どもの考えている治山治水五ヵ年計画の線とは、大体バランスがとれているというぐあいに考えておるわけでございます。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 ある程度答弁されておりますが、ちょっとまだ解明できないわけですが、治山事業の経済社会発展計画の中に示される国土保全はどの程度かという点と、私理解できないのは、それと、今回の二兆五百億円との相違ですね、これ、どのような点にあるのか、いまの答弁ではちょっと内容的にわかるようにはならぬわけですね、この相違というのはどの点にあるのですか。
  27. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) いや、いま申し上げましたように、計算上でいきますと二兆八百億ということで、私どものいま出しておりますのが二兆五百億ということで、大体合っているということ、これは矛盾ないと思います。三百億ぐらいの違いはございますけれども。治山のほうはひとつ林野庁のほうに……。
  28. 片山正英

    政府委員片山正英君) 治山のほうも建設関係の御計画と大体同じでございます。数字で申し上げますと、大体千九百億ぐらいになると経済社会発展計画の大体の数字とわれわれは想定いたすわけでございます。それを四十二年度の価格に換算いたしますと二千二百五十億というふうにほぼ相定されるわけでございます。経済社会発展計画は四十二年から四十六年でございますから、一年ずらした形でわれわれの想定いたします額となるわけでございます。
  29. 沢田政治

    沢田政治君 林野庁長官からお伺いしたついでに、もう一つ私お伺いしたいと思いますが、去年の八月ですか、羽越線の災害が、新潟地区ですね、大きい災害があったわけでありますが、こういう点から見ても、国有林野の災害がきわめて非常に大きいと思うのです。非常に因果関係にあると思うわけであります。たとえば、非常に木材需要が逼迫しておるわけでありますから、非常に何といいますか、乱伐と言えばちょっと悪いかもわかりませんが、計画よりも上回った伐採をしておることは、私も承知しております。これは国有林、秋田は八〇%くらい国有林ですから、そういう面から非常に山腹の崩壊ですか、非常に出水も早くなってくる、集中豪雨なんかにはすぐ、はげ山でありますからすっと、水が一挙に出てくる、こういう傾向が非常に見受けられるわけです。したがって国有林野の治山事業ですね、これが方向的にどの方向を指向して、どういう具体的な計画を持っておるのか、またそういう計画がどういう方向を向いて何を目的として、どの方向を向いておるのか、これはあとで聞きますが、砂防治山ですか、非常に何といいますか、こんにゃくの裏表のようにわからぬような話もございますので、どういう方向を向いておるのか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。これは別に、洪水に関係あるのは国有林だけじゃないのですね、民有林といいますか私有林といいますか、これも農地解放で解放されなかった相当な山地主もあるし、民有林もたくさんあると思いますが、この民有林の治山事業またそれを長期的にどう見ているのか、この点をかなり具体的にちょっとお知らせ願いたいと思うのです。私、この点も勉強してみたいと思いますから。
  30. 片山正英

    政府委員片山正英君) 最初国有林を含めたいろいろな伐採関係の御指摘がございました。現在私たちが山を計画いたします基本といたしまして、全国森林計画というものを実は策定いたしているわけでございます。これは農林大臣の認可のもとにやっておるわけでございます。その前に、実は林業基本法というのがございまして、これが——閣議決定を経た森林基本計画というのが実はあるわけでございます。これは四十一年の四月一日に林業基本法に基づきましてつくりましたものでございますが、それをもとにいたしまして農林大臣が全国森林計画というものをつくるわけでございます。その内容といたしましては、国有林、民有林分かれているわけでございますが、先生御指摘の国有林の乱伐という話、ちょっとございましたが、御説明申し上げますと、全国森林計画に基づきまして国有林の計画を樹立するわけでございますが、御承知のように木材需要その他が非常に要請されております。したがいまして、私たちのいまの国有林伐採はいわゆる成長量、いわゆる木が伸びているその量よりは大体一・八倍、いわゆる八割増し伐採を実はやっているわけでございます。しかしながら、その伐採をいたしておりますけれども、国土保安上からいたしますれば、それは悪い林相を改良していかなければならない。そうして成長度の高い、いわゆる粗悪林を変えていくという方向でございますので、成長は非常に上がってくる、そういう中での伐採でございます。それから国土保安上非常に御不安があるということにつきましては、先生御承知のように、保安林という制度がございます。これも保安林整備臨時措置法というものがございまして、その中で現在保安林の増大をはかっております。国有林は保安林面積が大体四分の一くらいでございます。これが将来は約四三、四%くらいまでに伸ばしていく予定でございます。その中で保安をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。  その次に、先生の御質問治山関係でございますが、治山関係につきましては、先ほど申し上げました新五ヵ年計画の三千五百億の中には国有林が実は七百億含んでいるわけでございます。民有林が二千八百億、そういう内容でございます。その内容につきましては、これは建設省とも十分御連絡の上で三千五百億というものをわれわれとして打ち出してきたのですが、内容としては復旧、いわゆる山地復旧、それから予防治山、あぶない山がくずれそうだ、予防治山、それから保安林の整備、災害あとの整備、これがおもだった内容として実施しておりますことで、そのような形でございます。
  31. 沢田政治

    沢田政治君 官房長官お見えのようですから、お聞きいたします。私お聞きすることは、この前の去る十七日ですか、本会議の席上で、私誤解のない表現えび地震の際には、内外から非常に強く要望されたけれども、激甚地災害指定をしなかった、準ずる扱いをするというようなあいまいな措置で糊塗した、糊塗というと悪いけれども、実際はそうなった。したがって、今度の被害相当大きいようですから、今度は適用すべきであると思うがどうか、という考えを総理に対して私質問いたしたわけであります。例をあげて示しているわけでありますから、災害救助法との間違いがあるとかないとか、これはありますけれども、ぽかんとそれを私は聞いたのじゃなく、例をあげてこうだから今度は指定すべきであるという主張をしたわけであります。その際の答弁は非常に満足する答弁をいただいたわけであります。私もおやっと思ったわけでありますが、激甚地災害をすでに一部には指定しています、さらに詳細に調査をして、それを拡大していきます、こういう答弁をいただいたので、私も安堵と同時に喜びを覚えたのであります。ところが次の日の新聞を見ますと、あのことは間違ったとかないとか出ておるわけでありますが、私は何のことか、一時は非常に戸惑ったわけでありますが、少なくとも一国の総理が本会議易でああいう重大なことを間違うはずはないし、間違うような私聞き方をした覚えはないと思うのです。えび地震の例をあげて聞いているわけでありますから、したがって間違いであるかどうとか、新聞に出ておりますが、一体真相はどうなんですか。いや、君の発言に対して間違いであったとかいうような連絡も、私には一向ないのですよ。あれはやはり間違いじゃないでしょう、そのとおりおやりになるのでしょう。
  32. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これは率直に申し上げて総理の言い違いでございます。と申しますのは、将来の問題として申し上げたのではなくて、激甚地指定をすでにやっておる地域もあります、こういうことを申し上げておるわけです。こういうことはあり得ないことでございます。したがって、いまお話ありました激甚地指定の問題と災害救助法発動とを取り違えて発言しておる、これは私といたしましてもおわびをしなければならぬことだと思っております。ただその後政府部内でいろいろ検討しておりますが、御承知のとおり、激甚地災害指定にはいろいろ手続がございます。またその指定基準そのものが政令で定められておりますので、これは客観的に定められておりますので、今後今回の地震で出てまいります被害状況の集計、実は私はいま手元に持っておりまして中間的な集計はございます。それによりますと、基準にやや近くなっているところもございます。全体としての被害状況を見ますと、全体としての基準には合っておりませんが、たとえば五条、農地等の問題の適用におきましては、Bの基準によりますと三十五億、これは標準税収と関係しますので毎年多少違っております。それに対して被害額が三十億になっております。えてしてこういう災害でございますから通信その他の関係もありまして、日がたつに従って被害額が多く出てくる。新潟地震でもあったことでございますが、まだ私どもはこの被害額の集計がこれで結論が出たとは思っておりません。  第一の点としましては、被害額の今後の増加に伴いまして、この基準に合うような条項が出てきたら、その条項だけでも発動すべきではないかと考えております。  第二は、きょうの閣議でも問題になりまして、総理がみずから発言いたしまして、そういう基準というのはいま政令できまっておりますが、今回の地震の特徴なんか見ますと、局部的に非常に激甚な場所がある。全体の規模としてはそこまで達しないが、局部的に見て非常に激甚であって、まさに激甚地として指定すべきところがあるのではないか。したがって、この基準のきめ方そのもの、固定的なものとして考える必要はないのではないか。基準そのものの改定も含めて、将来政府部内で検討すべきではないかということも、きょうの閣議で発言がございました。またいま申し上げたとおり、被害額の集計が今後増加するにつれて、せめてB基準に合うところがございましたならば、それについて発動はもちろん惜しまないという考えで、現在検討中でございます。
  33. 沢田政治

    沢田政治君 内容的に検討しておることはよくわかります。いまの法律のままでいいのかどうか。百人が被害を受けようが一人が受けようが、個人というものを対象にとるならば、被害を受けた人というものにとるならば、苦痛度は同じなわけですね。この法の検討は別ですが、私が聞いておるのはそういうことじゃなく、議長の責任と権威に関することなわけです。本会議質問して答弁された。それが間違いであるということで、自分だけ間違いであるという判定をして、それを糊塗するということは許されないと思うんです。そういうことを許されるならば、議員としての権威はないことになります。全然私は間違いであったということは、連絡を受けておりません。そういうことで政府部内で間違いであったということで、自分が答弁した間違いを自分で解釈をしてそれで済むものでしょうか。
  34. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) この点は補佐の立場にあります私の手落ちでございますので、ここであらためておわびを申し上げます。
  35. 沢田政治

    沢田政治君 この問題についてはそれ以上触れません。ただ非常に釈然としないものがあります。気持ちの中でこれを残しておきたいと思います。  なお今後の参考のためにお聞きしたいわけですが、これは珍問になると思いますが、森というのと林というのと、ぼくはこのほうのしろうとであるわけでありますが、一体どう違うのでしょうか。二つ合わせれば森林になるわけでありますが、森、林はどういう違いがあるんでしょうか。
  36. 片山正英

    政府委員片山正英君) 突然のあれで学術用語として普通使っていることばとしては、しかく明確じゃございませんが、ただ一般的に常識的に見ますと、林というのはおおむね平地にあるような概念を持っております。森というのは字のようにとがっておりますから山というような概念、そのようなふうに常識的に思っております。われわれ使うのは森と林という文字を一緒にしまして森林ということばで使っております。
  37. 沢田政治

    沢田政治君 非常に名答弁されたようですが、木が二つで林、木が三つで森、これは山というのを連想させますね、漢字で書いても。それは別として、現行治山事業、五ヵ年の進捗状況ですね、たとえば民有林治山の場合、国有林治山の場合、これを年度ごとに——私なりにちょっと調べていますけれども、ちょっと簡単に言ってください。
  38. 片山正英

    政府委員片山正英君) 年度ごとにというお話でございますので、国有林につきましては——その前にまず内容から申し上げますと、復旧治山でございます。復旧治山につきましては四十二年度末で五七・四%の進捗でございます。予防治山につきましては少し落ちますが五〇・四%、それから防災林につきましては五六・九%、保安林改良については五七・八%、地すべり防止につきましては五九・九%、その他につきまして六〇・六%、総体としまして先ほど申し上げました五六・八%というふうになっております。  なお、国有林、民有林別の進捗状況を申しますと、国有林につきましては大体五六%、民有林につきましては五七%、ラウンドナンバーでございますが、大体計算しますとそういう形で進捗しております。
  39. 沢田政治

    沢田政治君 河川局長に伺いたいと思いますが、先ほども若干触れたと思いますが、最近の集中豪雨、こういうもので、非常に都市化も急激に何というか、都市化されておるわけであります。したがって、これは私の意見じゃありませんけれども、従来の直轄優先を改めるべきじゃないか、こういう声もあちらこちらで私聞くわけであります。と同時に、私のさらに聞きたいことは、特に都市河川に対する治水事業をどういうふうに対策を立てておるか。これは単にいたずらに被害を想定しただけじゃなく、将来、治水というものと都市生活、これをどう調和させるか。これは決して私は被害妄想狂に想定しただけではなく、佐世保ですか、あるいは神戸ですか——去年だったですか、神戸ですね、ありましたね。それと何か神奈川県でボタ山のようなものがくずれて、あれは急傾斜地との関連も出てくると思うのだけれども、私は人口が都市集中すればするほど、都市周辺の治水というものをいまから考えておかなければ、十軒ぐらいの農家が押し流されたじゃない、すごく人口の密度が高いのだから、思わざる非惨事を惹起する可能性というものは、ますます高まってくると思うのであります。そういうことだから特に都市治水——いままでは治水というと、水系とか、かんがい地帯、農業地帯ですね、こういうものが、村落地帯が想定されておったわけでありますが、都市治水というものも急務じゃないかと思うので、これに対する対策をいかにお考えですか。
  40. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 先生御指摘のように大河川はこれは十分とは申し上げられないわけでございますけれども、最近の災害実態を見てまいりますと、気象条件関係も確かにあるわけでございまして、非常に局地的な集中豪雨の傾向がふえておりまして、大河川全体に大雨が降るというケースは、比較的少なくなっておる事情もあるかと思いますが、中小河川が非常にまだ改修が進んでいないために、中小河川災害が非常に最近ふえております。特に先生御指摘のように都市河川災害が特にいろんな面でふえているわけでございますので、そういう点を踏まえまして、新治水事業五ヵ年計画におきましても、中小河川並びに都市河川対策というものに相当重点を置いて目下作業中でございます。四十三年度の予算におきましても、すでに直轄河川中小河川と比較しますと、伸び率の点におきましても、相当な違いを出しております。たとえば四十三年度の場合ですと、直轄の平均の伸び率は七%しか見ておりませんが、中小河川では一五%ばかり見ております。都市河川につきましてはさらに平均二〇%ぐらいの予算を見ております。そういう関係で、どうしても先ほど御指摘ございましたとおりでございまして、大河川幾らか、ひとつ最小限度のペースにいたしまして、当分の間都市河川中小河川に重点をひとつ置こうじゃないかということで、具体的にそういう計画をやっておりまして、今年度、四十三年度におきましては、先ほど申し上げましたように、内地の直轄河川予算よりも今年度に至りまして内地の補助河川の改修費のほうがふえたわけでございまして、これは明治以来そういうことはいままでございませんので、大体従来は直轄河川の改修費というのが多かったわけでありますが、今年度からはその立場を異にしまして、中小河川の改修費のほうが直轄河川の改修費を上回ったという事実もそこにあらわれていろわけでございまして、都市河川対策につきましては、河川の改修の問題、あるいは砂防の点におきましては特に都市の地域内に影響する土石流の被害というものがふえております。あるいは急傾斜の被害というものがふえておりますので、そういうものを、都市河川河川の改修、あるいは土石対策というようなものを重点的に新五ヵ年に織り込んでおりまして、そして四十三年度におきましても、すでにそういう方向で進めておるわけでございます。
  41. 沢田政治

    沢田政治君 今度の五ヵ年計画で約四百河川を施行する、こういうことになっておるようであります。つまり都市河川として三百三十河川ですか、このほか宅地開発関連河川が八十河川、このうちの半分程度を五ヵ年度内ですね、五ヵ年で完成させる、こういう御計画のようですが、そういう御計画どおり事が運ぶ見通しがあるのかどうか。いまから即断はできないにしても、そういう一つの見通しもあわせてこの際お聞きしておきたいと思うんです。  それから、関連するわけでありますが、多摩ニュータウンで多摩川の支流の何ですか、あれは大栗川ですか、大栗川等の治水並びに河川改修があるわけでありますが、この治水に対するですね、特に公共投資額はどの程度ですか。私も調べてみようと思ったんですが、ちょっとわからぬので、お聞きしたいわけでありますが。また、国と東京都、さらに住宅公団等の事業主体のアロケーションは、どのように処理していくように具体的に考えているのか、この際ちょっとお聞きしておきたいと思うんです。
  42. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 新治水事業五ヵ年計画で先ほど先生おっしゃいました数字は若干——二兆一千というか、二兆四千が二兆五百ということに最終的には内定いたしましたので、その関係で若干、たとえば都市河川が三百三十河川とおっしゃいましたけれども、おそらくこれはちょっと下がりまして二百七、八十くらいじゃないか。それから、宅地関連の八十というのが五十程度というようなことに考えまして、まあどのくらい概成いたしますか、今後の予算の成り行きにあるわけでございますが、できるだけ新五ヵ年でこういった河川を重点的に実施いたしたいというぐあいに考えております。  それから、具体的な問題として多摩のニュータウンの大栗川等の件でございますが、ちょっと金額幾らというものをいま持ち合わせておりませんけれども、考え方といたしましては、下流のほうはできるだけ直轄河川でできるものはやっていこう、それから上流のほうは中小河川等によって、いわゆる補助事業として河川改修は進めるわけでございますが、なかなか河川の改修費だけでは、急速にまいるというわけにまいりませんので、宅地造成のほうの事業から応分の分担をもらって、それと合わせてひとつ合併施行のような形でやっていこうということで、考え方といたしましては、直接宅地開発と関連する経費の半分くらいは、ひとつ宅地のほうから何とか捻出してもらうというようなことで、これは最終的にはきまっておりませんけれども、事務的にそういう話を進めておりまして、そういうことによって、中小河川中小河川で重点をしぼると同時に、宅地の造成費のほうから一部ひとつそういった経費を捻出してもらうということで、事務的に打ち合わしておる段階でございます。
  43. 沢田政治

    沢田政治君 宅地のほうから取るって、こういう河川とか、治水ね、これはどういうものでしょうかね。これはちょっと疑問があるのですね。国なり自治体が、やはり国民に水の被害を与えないというのが、私は基本的な政策だと思うのです、初歩的にとるべきだと思うのです。宅地のほうから取るということになると、個人負担になるのかどうなるのか。これは非常に問題が多いと思うのです。まあそれはそれでおくとしましょう。  次に、林野庁長官にお伺いしたいわけでありますが、国有林野には国有林野の特別会計があるわけですね。したがってこの会計の、まあ私なりに見てみますと、経営の収支見通し、これは容易じゃないのですね。したがって新治山事業の五ヵ年計画による国有林野内の治山事業実施にあたって、すべて事業勘定で負担するというのは、あまり同情なさ過ぎると思われるわけですが、私国有林と毎日背中合わせに住んでおりますし、国有林の中で生まれた男ですから、同情的になるわけですが、非常に困難だと思うのです。今後これは一般会計でやはり負担するのが当然と、こういうように考えておるわけですが、長官どう考えていますか。  特にこの際ちょっと小言を言っておきたいわけでありますが、国有林野の雇用形態といいますか、雇用の現状というのは、まさに前近代的ですよ。昔の封建領主が人足を使って山をつくらせたと同じようなかっこうですよ。われわれが使ってやっておるのだから、五反百姓でもあんた方ここに住んでおられるんじゃないか。そうでなければとっくに東京周辺の産業予備軍としてあなた方が追い込まれる運命にあるのだ、救ってやっているのだ、こういう感覚があるように印象的に私としては感じられるわけです。非常に労働条件は低いわけです、地場賃金とかなんとかいって。農家の主婦の方がひまに製材工場に行くような賃金を想定して地場賃金ということで、非常に低い。これはすでに新聞等でも出ておるようです。もう署長だか、局長がやった表彰状を突っ返した、表彰状では生活できないといって突っ返した。そのことが物語っておるように、非常に労働条件が低位にある。非常に低いわけです。ある人は、もう生活保護法の適用を受けたほうがいいという方々も、全林野の調査によりますとあるようです。しかも、それは国家公務員ということで罷業権まで奪われておる方ですよ。こういう存在は許されないと思うのです。しかも八カ月雇用で、作業員の方は長くて八カ月雇用で首を切られる。国家公務員が毎年八カ月で首を切られたり、また雇われたり、雇われなかったり、こういう不自然なことはないと思うのです。特にそういう人件費は、特別会計の事業費から出ているでしょう。そういう、何というか、治山とか、こういうような金があったらば、もう少し労働条件は人並みにすべきだと思うのです。しかも常用されておる。国有林の中でも定員外であるということで、労働条件はもちろん、休暇とか退職金、すごい差があるのですね。常用ですよ。三百六十五日通年で働いておる方ですよ。国家公務員が同じ作業、同じ職務をしておりながら、定員外であるということで、格段の劣悪の労働条件の中に呻吟しておるわけですね。これはそういう面からいって、これは治山とか、こういうものは一般会計から出すようにしたらどうですか。まあこの際あなた、いろいろな思惑とか、立場があると思うのだけれども、やはり明確にこういうふうにすべきじゃないかということを、この際言ってもらいたいと思うのですね。
  44. 片山正英

    政府委員片山正英君) 御質問が三点ほどあったように記憶いたします。  第一点は、特別会計が今後苦しくなるのじゃないか、その点はどうだ、こういう御質問だと思います。御承知のように、特別会計は昭和二十二年、林政統一以来、いわゆる北海道の国有林、内地の国有林、御料林、その三つに分けまして、昭和二十二年に特別会計で発足してまいったわけでございますが、おかげさまでその後順調な推移をたどってきておるわけでございます。ただ、今後の問題といたしまして想定いたしますと、国有林の収入の一番のもとは、やはり木材の売り払い代金でございます。かような段階で、現在国有林の木材の生産量というものを見ますと、先ほどちょっと触れましたように、ある程度の増伐を重ねている現在におきましては、今後五ヵ年をわれわれは一応想定をいたしますが、これ以上国有林の増伐にもっていくことが非常に困難である、山を荒らすことになるので困難であるという生産量の制約を、遺憾ながら持たざるを得ない。しかし五年後からは逐次また回復するであろう、こういう想定は持っておるわけでありますが、したがいまして、今後五年という一応想定をいたしますと、生産量はあまり変わらないということになりますと、したがって収入も、木材価が非常に上がれば別ですが、これまた上がること自身が安定上思わしくないわけでありますから、そういう施策でございますので、収入は今後あまり上がり得ない。ところが、労賃その他については先生御指摘のとおり、今後われわれは打開し、解決していかなければならない、かように思う次第でございます。したがいまして、その中で収支を見ますと、今後収入というものに対して多少制約がある、利益が少なくなる、これは当然あろうかと思います。そこで、この治山の大幅な増加をわれわれは国有林の中でも一緒になってやっていくわけでございますが、極力合理化の中で進めたいと思いますが、これは関係省とも関係ございますが、四十一年から実は十大流域につきましては、一般会計からの繰り入れもしていただいておる実績はございます。したがいまして、今後の推移につきましては、われわれとしても企業内の努力をはかりながら、関係方面と連絡をしながら解決してまいりたい、かように思う次第でございます。  それから、先生の第三点の雇用の問題でございますが、御承知のように、国有林は定員内と定員外がございます。定員内は国家行政組織法十九条に基づきまして、いわゆる定数として定め得る者は定員内ということにしておるわけでございますが、山の作業と申しますのは、季節的に非常に変わっておりますし、転々として変わるというようなことから、いわゆる定数として定めにくいという性格がございます。したがいまして、非常勤職員として雇っておるわけでございます。しかしながら、雇用形態といたしましては、極力安定するというのが、われわれの方向でございますので、季節労務じゃなしに常用的な姿に持ってまいりたい。しかし大半は、先生御指摘のように季節労務でございます。一定期、八カ月とかそういう形でございます。しかし国有林事業作業が、やはり北海道とか先生の東北とか、そういうところほどうしても季節に左右されやすい性格のものでございますので、今後の機械化とかいろいろな方面を通じまして、なるべく雇用を長期化して、安定してまいりたい、その中で賃金その他も十分配慮していきたい、というふうに存ずる次第でございます。  御参考までに、いま林業労務、国有林労務と同じ種類の建設関係のいわゆる屋外労務者との関係を見ますと、大体賃金はおおむね同じでございます。それから過去四、五年の推移を見ましても、約倍になっております。これまた上昇の率もおおむね同じでございます。したがいまして、われわれもそういうふうに関連産業との形も考慮しながら、十分御期待するように賃金については努力してまいりたい、というふうに考えておる次第でございます。
  45. 沢田政治

    沢田政治君 国有林で働く人々の雇用の不安定、労働条件の非常に劣悪だということはたくさんあるのですよ、これは。ただ問題は、これは当委員会の問題じゃないからこれは別個にまた御意見をお伺いしたいと思いますが、国有林というのは、営利のために存在するものじゃないと思うのです。基本的には国民の山なんですよ。国民のものなんですよ、これは。だからこの中に営利採算、企業性というものを私は持ち込んだならば、政策的には非常に間違いだと思うのですよ。営利採算ということになると、やはり独立会計とか独立採算ということになると、やはり山を裸にしなくちゃならぬわけです。いま秋田県でも天杉がとれるところはもうないでしょう、ほとんど。上小阿仁に幾らか残っていますか、全部何百年前の祖先が残したものを全部食いつぶしておるわけですね。治山治水とも関係が出てくるし、これはたいへんなことになると思うのです。だから、国民の山は、木材を売ったならば会計において帳じりの合うとか合わないとかじゃなく、国民全体に利益をもたらすべきものであるから、これは赤字になってもいいじゃないですか。そういうぼくは態度を貫くべきだと思う。いま現在は採算とれないけれども、次の時代の国民に残していくべきですよ。一応赤字になったとしても、そういう態度だけはどうしても貫いてもらいたいと思う。ひところは公社、公団化するとか企業性を持ち込む方法などをお話になられたようでありますが、一応はいま断念しておられるようでありますが、やはりいま現在の目先の採算じゃなく、国民に財産を残してやる、そういうことが治水治山、そういうことになって、国民の被害を救うことになるという基本的な立場に立つべきだと思うのです。そういう意味では、やはり長官も若干の一般会計から繰り入れていただいた実績があるから、今後はさらに努力したいということでありますから大いにやってください。われわれもこれは一緒にがんばりたいと思うのです。これはこのままではもう自前でまかなえ、赤字を出すなということになるとこれはたいへんなことになる将来の国民に対して、そう思います。それは答弁しなくてもけっこうです。  次にダムですね。ダム治水は、たとえば治水、利水の二面の効果を持っておることは、これはもちろん釈迦に説法、そのとおりでありますが、建設省の推定で見ますと、新規需要がどれだけ河川に依存するのか、あるいはまた河川と農業水利に対する需要調整ですね。これはどのように、何といいますか、実行していくのか。慣行水利権なんかとの関連が出てくるわけです。農水道との関係ですね、これはどうですか。
  46. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) お答えいたします。  新規の私どもの一応想定しております需要の増といたしましては、河川の、この中で河川の依存量でございますが、昭和四十三年度から昭和六十年度までの河川に依存する都市用水が幾らぐらいふえるかということで、これはいろいろ想定がございまして、人口想定、あるいは工業の生産量、その他から想定いたしまして、工業用水道につきましては原単位等があるわけでありますが、それからいきますと、昭和四十三年度から六十年度まででは一日当たりで都市用水七千九百十万トン、この程度はふえるだろうというぐあいに考えておるわけであります。それから農業用水の問題があるわけでございますが、この七千九百十万トンというのは、これは四十三年度以降でございますが、私どものいろんな統計では昭和三十九年度を実はいろいろ統計の基礎にしておりまして、それからいきますと昭和三十九年度に対して都市用水は八千五百十万トンという数字でございますが、農業用水のほうは、これはいろいろ農林省との最後的な調整がとれておりません。私どもの一応の試算では農業用水の需要増が四千八百万トンくらいふえるのじゃないかというぐあいに考えております。これはいろいろ今後農林省と詰めてまいりたいと思いますし、また農業用水の使用のしかた、合理化等いろんな問題があると思いますが、一応の試算では都市用水が八千五百十万トン、農業用水の四千八百万トンが、昭和三十九年度以降昭和六十年度までの新規増というぐあいに考えておるわけでございます。農業用水につきましては、いま先生御指摘のように慣行水利権という形で、そういった水の需要量というものがふえておるわけでございますが、実際の今後のいろんな水利調整等にあたりましては、その辺のかね合いを十分考慮して、特に都市用水につきましては、今後ダムあるいは河口ぜきその他の天然湖沼等の開発によって、急速な非常に需要の増が多いわけでございますので、そういったものに対処してまいりたい、というぐあいに考えておるわけでございます。
  47. 沢田政治

    沢田政治君 この水の開発にあたって、特に利水の場合、慣行水利権との調整というのは、ぼくは外国のことは知りませんけれども、ある程度、全面的にじゃないある程度現在までずっとこう歴史的に見て、慣行水利権というものは、ある程度尊重されてきた歴史的な事実は私知っております。たとえば発電所をつくる場合でも、かんがい用水——農水ですね、これにはやっぱり水を取る口をつけるとか、こういうようになされてきておるし、建設省なんかで河床を下げる場合、やはり何というか農地に対する水については、ある程度保護していることはわかるわけでありますが、こういう点は、ただ欠けておる点があるのじゃないかと思うのは、これは全部そうであるかどうか、まだ私不勉強ですからよくわかりませんが、たとえば利水の、発電所をつくる場合なるほど水は確保される。水をたんぼに持っていく。ところが落差がつくでしょう。すごい勢いで何というか下がってきてあの中で回されるものだから、水温が、水の温度が下がってくるわけですね。それをそのままたんぼに持っていくものだから、寒冷地帯においては相当被害を受けるわけですね。こういうものに対するやはり救済といいますか補償というものは、あまりなされておらぬわけですね。こういうのはどう考えられますか。これはもちろん通産省の関係になると思うのですが、そういうものはまだ相当例があると思うのですが、これはいかがなものでしょうか。
  48. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) これは発電所の問題は、先生がおっしゃいましたような通産省の問題でございますけれども、水温の問題は、数カ年前からいろいろ全国各地で問題になっておるようでございまして、水温の研究会というか水温調査会というようなものができて、水温と農業との関連はどうだというような、いろんな農業の時期的な問題がございますし、それから量的な問題もあるわけでございます。そういうことで、できるだけ発電所としては、できるだけあたたかい部分、下のほうから水を取らぬで上のあたたかい部分から水を取るというような、その辺の水の取水と、それから出てくる水の温度との関係等でいろいろ検討されておるようでございます。詳細につきましては、実は私その辺のところの量的な関係等はつかんでおりませんが、いろいろ通産省等におきましても、今後のそういった発電所の設計あるいは取水の施設の改良等についても、いろいろ検討されておるように聞いております。
  49. 沢田政治

    沢田政治君 次は確認の意味で聞いておきたいわけですが、新規の需要ですね、どんどんふえてくるわけですね。したがって河川の寄与する度合い、河川依存度ですね、これが八一%くらいというのは大体これは間違いないですか。たとえば一日想定八千五百十万トン、その内訳は上水に三千三百四十万トン、工業用水五千百七十万トン、そうして、河川の寄与度八一%、これは間違いないですか。
  50. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 河川の依存量は、大体従来の実績からいきましてはじいたわけでございまして、全体の総需要の新規は約一億五百二十三トンというふうにはじいております。その中で都市用水につきましては八千五百十万トン、従来の実績からいきまして、あちこちの資料を集めてその結果、河川の依存量がまあこの程度ということで踏んでおるわけでございます。
  51. 沢田政治

    沢田政治君 まあ洪水の防御といいますか、洪水を防ぐ、この河川改修の場合ですが、たとえばこれは農業水利との関連について問題になると思いますが、現在の河川改修方式ですね。これは先ほども私触れたわけでありますが、ほとんど高水方式がとられておるわけですね。明治二十九年以前はほとんど低水方式でありましたね。もちろん当時の経済状態と、いまの科学技術の発展と経済情勢が全く違いますから、輸送の面においても、時代の要請といいますか、河川は単に利水というか、治水というか、そういう面ばかりじゃなく、交通の非常に大きな手段の一つであったという面もあったと思いますが、明治二十九年以前はほとんど低水方式でやってきておるわけでありますが、最近においては、ずっと利水ということになると高水と、こういう方式をとっておるわけでありますが、私は技術者でもないし専門家でもない、全くのしろうとでありますが、堤防を築くということも必要ですよ。はんらんを防ぐという意味では。それなりの目的があると思いますが、この際、低水方式というものも考えていいんじゃないか、こういうように考えるわけであります。砂利をどんどん取り過ぎて河床が下がって、農業用水との関係で問題を起こしているところもあるけれども、そのほかに天井川でありながら川砂利の採取を禁止したり、規制したりしておるところも非常に多いと思うのです。そういうところは低水方式で河床を下げてはんらんを防ぐと、こういう方向もぼくはやはりとっていいんじゃないかと思うのです。  それと、これは将来の勉強のためにお聞きしたいわけでありますが、低水方式と高水方式と、経費的にはこれはどっちが多くかかるものでしょうか。
  52. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 高水方式、低水方式の問題でございますが、ずっと明治以来、特に大正、昭和の初期、現在まで堤防方式というものがとられて、水は堤防をつくってある程度水位を上げてそれを早く河口に持っていこう、こういうことで行なわれたわけでございますが、明治の初期のころは、確かに舟運、舟航の便等をはかる必要があって低水方式というものが行なわれたというぐあいに解釈しているわけでございます。先生御承知のように、非常に最近、砂利の採取だけの原因ではございませんが、いろいろ総合的な原因で今日——砂防ができたり、ダムができたり、あるいは雨の降り方、山地の崩壊の状態、そういうようなことによって変わるわけでございますが、河川によってはかなり川底を掘ったほうがかえって治水上ぐあいがいいというようなところもあるわけでございまして、そういう点は実は数年前から調査いたしておりまして、河川の改修方式の特に稼動計画検討をやっておりまして、特に砂利資源の問題等もございますので、今後の方向としては、幾つかの河川につきましては、そういった川床を掘ったほうがいいというような結論が出てまいりますと、そういう河川についてはひとつ砂利資源の開発というものを考慮いたしまして、そうしていわゆる低水方式と言えるかどうか知りませんが、川床をできるだけ低く保つような改修方式も考えていきたいというぐあいに考えております。それら天井川のようなところについては、また別に新しく低いところに川をつくるということも考えるべきじゃないか、そういう点等についてはいま検討している段階でございます。一般的には、従来は川床を掘ったほうがやはり高くつくのでございまして、堤防方式のほうが従来安かった。しかし、いろいろ用地買収等の関係で非常に都市河川につきましては、いろいろ問題があるわけでございます。堤防方式にするということは、あるいは工事費が高くつくかもしれませんが、一般的には従来は低水方式のほうが高くついておったというようなことがあるわけでございます。しかし、砂利採取等もかみ合わしていきまして、場合によっては砂利採取等とからみ合わせて考えていくという方式がとられれば、河川によってはそういう低水方式のほうが安くいくところもあるのじゃないか、というようなぐあいに考えておるわけでございます。
  53. 沢田政治

    沢田政治君 私、この砂利の何といいますか、政策といいますか、政策といいますと大げさでありますが、計画が非常に明確じゃないと思うのですね。砂利ということになると、建設資材ですね。その他の用途があったとしても、道路とか、鉄筋コンクリートの建築物をつくるとか、ダムとか、ほとんど九〇%以上は私は建築資材だと思うのです。したがって、砂利の何というか需要、こういうものの見通しを明確に立てる時期に来ているのじゃないかとぼくは思うのです。ただ制限したり、規制したりする法律はありますけれども、そうじゃなく、建設省自体として大体砂利はどれだけ必要かと、また将来長期展望に立ってどれだけの砂利が必要であるかと、したがって川砂利の保存度はどれだけであるのか、おか砂利は幾らか、山砂利は幾ら——山砂利というものは石を砕けば幾らでも出てくるからそれは別として、そういうことについての需要の見通し、供給の見通し、こういうものを明確にしなければ、いま非常に問題になっておりますね。河川の砂利が制限されるので、今度はおかを掘る。埼玉県なかんで非常に問題になっておるようでありますが、公害が起きて井戸水も出なくなったというようなこともありますので、これはやっぱり建設資材であるから、建設省として砂利の需給計画、こういうものを明確にする時期が来たんじゃないか。これは建設資材という面ばかりじゃなく、やはりおか砂利を掘ってたんぼの水が全部漏れたとか、井戸水が枯渇したとかたいへん問題になっておりますので、この際その必要性があるのかどうか、大臣、これひとつ答弁してください。
  54. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 砂利の需給問題につきましては、実は通産省に骨材小委員会というのがございまして、骨材対策の一環として骨材の需給問題等について、各省の関係者もその中に委員として入っておりまして、一応昭和四十一年度に砂利の需給の基本的な計画というものをつくりまして、その中に建設省としても一応タッチいたしまして、四十五年度ごろまでにはできるだけ砂利の繰り延べをはかると同時に、砂利と砕石とのバランスをはかっていこうというような基本的な考えに立ちまして、それに対応して河川側のほうの砂利の採取可能量はどのくらいであるのか、それに対して年間の採取量からいってこれくらいしかもたぬから、それに対してできるだけ規制を加えて引き延ばしをはかると同時に砕石転換を進めて、四十五年度ごろまでには大体両方を同程度まで持っていこうというような基本的な計画を打ち立てたわけでございます。先生御承知かと思いますが、あとで資料をお届けしてもけっこうであります。そういうようなことで、河川としては一応昭和四十一年度以降の掘さく可能量は全国で六億トンぐらいで、年間一億六千万トンぐらい要っておりますので、昭和四十一年度以降、その当時の資料では大体四年程度しかもたないということでいっております。そのとおりに現在すでに規制をして砂利の採取を禁止しているところもございますし、場所によっては十年ぐらいもつところもございますけれども、平均的な全国マクロ的にはそうでございますので、したがいまして、建設省としてはできるだけ各河川ごとに砂利採取の基本計画あるいは採取の規制計画というものをつくっておりまして、それに基づいて一定の区間、区間をしぼりまして、この区間にはどの程度とってよろしいということを、毎年そういった規制を年度当初にいたしまして、それに基づいて砂利の計画的な採取を現在やっておるところでございます。
  55. 沢田政治

    沢田政治君 どうも、私、どう考えてみても、この砂利の採取ということとこの建設行政というものは、非常に深い関係があるわけですね。この所管が通産省に砂利の所管があるというのは、どうもうなづけないんです。もちろんこれを製品という面、商品という面から考えたら通産行政所管ということになるんです。これは商品だって資材ですね、それをすぐ加工するとかというのではなくて、そのまますぐ使わなければならない面もあるから、この所管はどうしても建設行政と不可欠の関係があり、表裏一体をなすもので、どうも通産省が砂利の管轄をするということは、基本的に疑問を感じませんか。私も衆議院におったときには商工委員であったけれども、どう考えてみても、身びいきしてみても通産省が砂利のほうを所管しておるということは、いろいろな役所のなわ張りがあったとしても、やはり建設行政を円滑にして効率をあらしめるという角度からいったら、なわ張りとか、人間的な小さい感情的なものは別として、行政効果をあげるという面からどうお考えですか。いまのままでいいというふうに考えておりますか。やはり道路にしてもあるいはまた建築物にしても、ダムにしても、もう砂利というものが大半を占めるのだから、やはり建設業務と表裏一体の関係にあるから、これはわがほうで所管したほうがいいというふうにお考えになりませんか。
  56. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 砂利の問題は、従来建設資材の一つでございますけれども、所管上は通産省のいわゆる資材行政といいますか、そういう通産行政の一つになっておりますので、そういった需給の問題等につきましては、通産省を中心にして建設省もこれに協力して需給の問題等についてタッチしておるわけでございます。砂利採取に伴ういろいろ公害問題は、先生御承知のように非常にやかましくなっております。そういう観点から砂利採取の法律はそういう観点で建設、通産の両省の共管ということでいま御審議願っておるわけでございます。そういった砂利採取に伴ういろいろのそういった公害防除等の問題につきましては、むしろ建設省の立場から強力にそういった規制を加えていきたいということでございますけれども、建設資材といいますと確かに建設省が一番使うわけでございますが、資材の行政は通産の所管でございますので、そういう立場から建設省のほうも側面的協力をするという立場でやっておりますが、採取の行為等につきましては、非常に国土保全の立場上から見ましても、また砂利のウエートから見ましても、まだまだ河川の砂利のウエートのほうが大きいのでございます。しかし、将来は河川の砂利がだんだん減ってまいりまして、山砂利あるいは砕石のほうのウエートが多くなってまいりますので、そういう観点からいきますと、共管程度でやったほうがいいのではないかということで、今度の法律改正でも建設、通産の共管ということに相なっておるわけでございます。
  57. 沢田政治

    沢田政治君 ちょっと失礼ですが戻らしていただきます。先ほど洪水防御、この点を私質問したわけでありますが、その際に私基本的にどうも理解できない点が一点あるわけです。それはたとえば洪水を防止する、防御する、治水をやる、こういうことになっても水源の水の出る度合い、状況というのが非常に問題になってくるわけでありますね、幾ら下のほう、下流を堤防なりあるいは高水方式でも低水方式でも、洪水防御をしても、水の出るほんとうの水源地、これを乱伐をしたりはげ山にしたら、非常に集中的に早く水が出てきます。そういうわけですから、一貫してこれは考えなければならないわけであります。堤防をつくるだけではなく、水源地から考えなければならないわけです。そうなると所管上非常に重複する面があるわけですね、一貫性に欠けると思う。たとえば下流のほうは建設省、上流のほうの植林とか治山ですか、そういうものは砂防工事かあるいは治山かわからないようなものも農林省の管轄、こういうようなことになって非常に錯綜しております。ぼくらしろうとが考えても、どういう区分けをしておるか、ちょっと想像がつかないのであります。コンニャクの裏表がどっちかと聞かれるように非常に錯綜しておるわけです。したがって一貫性に欠けると思うし、さらに河川法十六条ですが、十六条で工事の実施基本計画を策定することになっておるわけですが、そういう意味で上流計画というものを、建設省はどう計画しておるのかということですね。もっとかみ砕いて言いますと、砂防建設省ですね、いま、そうでしょう。治山という面からいって砂防的なものを含めて、農林省のほうですか、しかもこれが農林省のほうは下流のほうに事業を延ばそうとしておるし、建設省のほうはこれを上流にさかのぼろうとしておるわけでありますね、全く二匹の性質の違う魚のように交互に交錯しておるわけであります。そういう面に対して、これは非常に困ったものだと思っております。何か取りきめもあったらしいけれども、しかし、これは単なる取りきめだけでは防げないと思うんです。いっそきちんとしたほうがいいじゃないかと思うんですね。やはり上流から下流まで河川管理なら河川管理は、建設省なら建設省、どっちでもいいんです。国民のためにそういう工事をやったり、行政をやっているんだから。これはやはり河川局長と林野庁のほうですね、治山のほうは。両方から、ですからそれに対する態度を聞きたいと思う。国民としてはどっちでもいいから、きちっとしてもらいたい。役所のなわ張り紛争には国民は興味を持たぬ。やっぱりりっぱな山を育て、洪水を防ぐ、こういうのが国民の悲観ですから、そういう立場を踏まえて、やっぱり長官と局長から、ぼくは腹蔵ない腹をここでお聞かせ願いたいと思うんです。
  58. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 砂防治山の一体化という問題でございますが、私どもとしては、いろいろな計画の面でも、先ほど申し上げましたように、今度の治水五ヵ年計画の段階におきましても、農林省のほうと十分連絡をとっておりますし、いろいろな問題等につきまして、計画の内応についても、相当突っ込んだ計画がそれぞれ行なわれまして、その間の調整を十分はかっておるつもりですが、先ほど先生おっしゃいましたように、農林と建設の間にはいろいろな私どもの取りきめがございまして、それに基づきまして現地の分担等も、大体この区域は治山である、この区域は砂防であろうということも確立しているつもりでおりますし、まあ今後におきましても、治山関係砂防関係と十分密接に連絡をとって、そういうところから国民の批判を受けないように、十分ひとつ万全の連絡調整を保っていきたい、こういうように考えておるわけでございます。従来あるいは若干現地等において、ちょっと地先の人たちが見られて、どうも何か地域的に重複しているというふうに誤解される向きがあるかもしれませんが、私どもの担当者同士の間では、別に現在何らのトラブルもございませんし、スムーズにいっているわけでございます。今後ともそういう面につきましては、ひとつ最大の努力を払っていきたいと考えております。
  59. 片山正英

    政府委員片山正英君) 治山砂防との調整の問題と存じますが、建設省の御答弁のとおりでございますので、林野庁といたしましても山を守るという、そういう形の中で推進してまいりたい。なお連絡あるいはお打ち合わせ等は中央、地方を問わずやっておりますので、現在のところ円滑にいっていると、われわれは存じておる次第でございます。今後とも連絡を密にして、先生の御指摘のないように進めたいと思います。
  60. 沢田政治

    沢田政治君 まあお二人とも非常にりっぱな誠実な答弁をしておるわけでありますが、私はなかなかその点まだ割り切れておらぬと思うわけです。一番おそれるのは、国民としてはどっちで仕事をしてもいいけれども、りっぱにでかしてもらえばいいわけだけれども、ただ私心配するのは、大体両方で所管というものが明確じゃなく錯綜しておる場合は、往々にして二重投資になりゃせぬか、こういう点を懸念するわけです。せっかく国民の税金を二重にというか、不必要に使うということになると、たいへんだと思うのですよ。それでまあ非常に問題がない、連絡調整がうまくいっている、こういう答弁のようですが、なかなか事実はそうじゃないと思うのです。というのは、昭和三十八年ですか、何か取りきめしましたね、両方でですね。大体仕事の内容というものをこういうふうに割り切ろうじゃないかという、なわ張りというのですか、汚ないことばで言えばなわ張りというようなものを、何かお取りきめになったようですが、その際にもなかなかうまくいかぬというのは、その後たとえば人事面において、砂防とか何かのポストに農林省のほうから建設省のほうに何か人を持ってきて、経験者ですね、治山のほうの。そうして今度は農林省のほうに建設省から砂防の何というか、ポストにおった人を持っていく。こういうふうにして双方の感情的な調和といいますか、そういう仕事上の調和をはかろうと、こういう御苦心も非常にされたようでありますが、その一事をもってしても、非常になわ張りというものは錯綜してきている。こういうことを雄弁に物語ると思うのですね。何も、何というか、建設省から農林省に持っていき、農林省から建設省に持っていくということは、これは常態ならば必要ないでしょう。ところがこれはそうじゃないのですね。これは国民から見たら、ばかにしたようなものですね。うまく割り切れていますか。やはり一貫管理、一貫施行、こういうのが望ましいのだけれども、これはもう一回再答弁してもらいましょうか。これはどうでしょうか、答弁用の答弁じゃなくね。
  61. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ただいま農林省、河川局から御答弁申し上げましたように、これはなるほどあなたのおっしゃるように国民のためのやっぱり仕事ですから、これはやはり国民の利便ということを第一に考えなければならぬし、また同時に、二重投資にならないように予算の効率化をはかるということは、政府に課せられた一番大きな任務であるわけでございますので、その点につきましては、いま両当局で話しておるように万全の体制をとってやっているわけであります。ただ各省所管がおっしゃるように、すべて割り切ったような形でいけば非常に望ましいことであるかもしれませんけれども、現状、まあこれなんかもその一つかもしれませんけれども、どれをとらえてみても相互に関連のないものというものはないわけで、ただ問題は、政府一体としてそれに対して臨む、かりに下のほうに多く投資をしても、上のほうが荒れておったのでは何にもならぬことに、さいの川原みたいなことになるわけでございますし、したがって施行上の実施運営上の連絡を十分密にやれば、それぞれ特色を持った義務といいますか、任務を持っておりますから、その任務を特色を生かして、国民の期待にこたえるように持っていけばいいのじゃないかと思うわけでございますが、私はいま治山砂防の問題につきましては、なお一そう御注意等もいただいて、両省間において協力体制をさらに充実してやってまいるようにすれば、必ずしも機構上一貫的なものにしないでもいいのではないかと、私は考えております。
  62. 沢田政治

    沢田政治君 前にもお聞きしたのですが、洪水ということになると、村落地帯の農村地帯の洪水ではなく都市に人口が密集してくると、非常に家屋の流失、あるいは人的な損害ということも、ある場合には非常に何といいますか、重大問題化してくる。これはやはりがけくずれもそうですね。これに対する防御策、これも考えなければならぬということも指摘したわけですが、そこで私がお聞きしたいのは、まあ砂防もけっこうですよ。そういう関連でなく、治水というような面ばかりじゃなく、こういういま議題になっておるような法律とか、こういうものと、急傾斜地の法案、ここにまだ来ておりませんけれども、いつかお出しになりましたね、これとの法律的な関係というのはどうなりますか。大体砂防というものと効果が似ているようですね。これとの関連はどうなんですか、急傾斜地の場合にどういうところに主として適用させるのか。これは非常に重複しているような面もあると思いますので、その関連をお聞きしたいと思うのです。
  63. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 端的に申し上げますと、急傾斜地のほうはいわゆる治水事業ではございませんので、治水事業というと、川があって要するに水を治めるということでございますので、そういった山地の崩壊によって流出した土石流が出て、それが渓流に流れてだんだん川に入ってくる、そういった河川との関連を主としたいわゆる治水事業としての一環としてやってまいりますのが、いわゆる治山なり砂防事業でございまして、その中には、内容としては土石流対策とか渓流工事とか砂防ダム、いろいろな費目的には通常砂防とかいろいろ言っておりますが、そういうのが砂防工事でございまして、急傾斜地のほうは、そういう川もないところ、直接的に海岸だとか、あるいは都会の中で非常に傾斜の急なところがある、そういうところで非常に傾斜が急なために、大きな雨が降った場合にどっと斜面が崩壊するために、非常に人家連檐の地域に対して人命の損傷を与える、それに対する対策を考えるというのが、急傾斜地の崩壊の対策でございまして、砂防の場合は要するに河川なり水と、そういった渓流と関連のあるものが砂防事業だというふうに、私どもは考えております。端的に申し上げればそういうことでございます。
  64. 沢田政治

    沢田政治君 大臣にまだお聞きしたいこともあるわけです。ちょうど三分の一ぐらい終わったわけですが、時間もたっていますし、大臣も非常に出席率がいいので、これ以上長くなっても他の委員質問もあるかもわかりませんから、一応次の機会に譲りまして、今回のこの本案審議にあたっては、これで質問を一応中止します。
  65. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは大臣最初河川行政に対する基本的な考え方、そういう精神についてお伺いをしておきたいと思うのです。  これは先ほどからの質疑治水、利水——まあ治水がなければ利水がないというようなことは、わかっているわけでありますけれども、どういうような基本的な姿勢で、精神で大臣は臨んでいるか。確かに流域の住民にとっては、この河川行政ということにものすごく重要な関心があるわけであります。大臣の所信表明から見ると、ことしの所信表明では住宅投資、あるいは土地行政、そういう方面に大きな重点が置かれ、道路行政にはかなりの深い関心が置かれているようなんですけれども、その配慮が悪いというわけではありません。そういうわけではありませんけれども、治水行政関係のほうが、やや軽視をされているのじゃないか、そういう点を非常に心配するのです。その点についてはどうお考えになっておりますか。基本的な精神と今後の方針、その点をまずお聞きしておきたい。
  66. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は全国あまたの河川を見て、この河川によって地域の方々が潤いを持たれて、不しあわせを招くことにならないようになるということが、一番望ましい。特に日本の経済成長が非常に著しい勢いで、少しオーバーな表現でございましょうけれども、国土の大半が都市化の状態に進んでまいっている。そこでこの都市用水の需要といいますか、あるいはある意味においての非常に貴重な資源を、これをどう生かし得るかということは、今後の国民経済の上に与える影響というものはきわめて重要である。そういう意味で、この治水、利水ということが非常に重要度を増してまいっている。特に昨年の災害等にあらわれたところが、中小河川といいますか、都市河川と申しますか、そういうところに非常に大きな災害をもたらしてきている。で、現行一兆一千億の規模を持つ治水事業が推進せられているけれども、こういうものはこの程度を持ってしてはとても治水、利水の国民生活、国民経済上からくる要請にこたえるということはできないのじゃないかということで、昨年来治水計画の改定を検討されて、先ほど来お話のような計画を持たれておるので、たまたまそういうところへ就任いたしまして、私も非常に実は困難な事態を、ちょうど財政硬直化であるとか総合予算主義であるとかという、財政上もかなり圧迫が来ているほかに、五ヵ年計画は改定しなければとうてい時代の要請にこたえられない、そういう中に挾まりまして、五ヵ年計画の改定をどうしてもやらなければいかぬ。内容につきましては先ほど来お話しのように、いろいろ問題も残っております。あるいは災害関係が多過ぎるじゃないかとか、あるいは予備費予定されている額が大きいじゃないかというような御批判もございますけれども、やはり現行一兆一千億を少なくとも倍程度にはこれを拡大して、そうして次のステップへのやはり規模、内容もさることでありますけれども、先ほど来お話しのように、経済社会発展計画等からしても、あるいはいろいろの国土建設長期構想からしましても、相当膨大な事業費を要するわけでございますから、やはり財政の好転を待って、さらに飛躍した計画樹立をしなければならない。そういう上からいたしまして、少なくともとにかく二兆円という声を聞かないと、新計画ならばこれは樹立する価値なしということで、まあ努力をいたしまして、いろいろ御批判はございます、私も満足いたしているわけではございませんが、しかしながらまあまあ経済社会発展計画で想定する二兆八百億に近いところにこぎつけたということで、一応了承せざるを得ないというところで御提案申し上げているようなわけでございますが、とにかく資源の少ない国で、私は考え方といたしましては、水だけはとにかく先進国の中では、どこの国よりも恵まれた水資源というものはいただいているわけでありまして、この資源をわれわれ国民生活の上にどうしてもより有効に生かして、水をおそれるということじゃなしに、水の持ってきたらすところの資源のとうとさというものを、国民生活の中に生かしていくということが、私は治水問題に一番大事なことじゃないかと、こういう考えで取り組ましていただいておるわけでございまして、そういう上から道路あるいは住宅、彼此みなしかりでございますけれども、治山治水というものは、何といっても長期展望しまする場合に、国土建設の最も重要な仕事であるということを痛感をいたしておるわけでございます。
  67. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣のお説でこの点はわかりましたけれども、非常に積極的に治水関係の問題を考えていきたいということで、それはわかるのですが、総合予算制度ということになって、また財政硬直化、総合予算制度になる、こういうことになりますと、どうしても産業経済の、特に財界の要求というものは非常に大きなウェートになってくる。いまも水資源の問題が出ましたけれども、水資源の利用そのものについても、総合予算というワクにしぼられて、いわゆる都市化あるいは産業都市集中ということから伴う住宅であるとか道路であるとか、そういうものにウエートはかかってきて、建設行政というものが国民のほうに目を向けるのではなくて、そういうふうな経済に奉仕するという形だけに力が入ってくる、そういう心配があってはならないと思うのですね。そういう点については、大臣はどう思っていらっしゃるのか。
  68. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私はもう基本的に私どもお互いが政治に携わって、参与をしておりますということは、そしていろいろな施策を講じてまいりますと、あるいは経済成長のために努力を払うとか、これはすべて国民生活をよりよくしていきたいという願いにほかならない、またそういう責任を持っておる。したがいましてすべての政府施策というものは、それが国民生活にどう公益をもたらしていくかという観点から、ものごとを考えていくべきである。経済成長それ自体は、それはもう成長しても、それによってもって国民生活に何らの潤いが来ないということでは、全くナンセンスであると思うのですから、したがって終局国民生活をよりよく築き上げていくために奉仕をいたしていかなければならぬという、強い私は考えを持っておるわけであります。
  69. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 初め建設省の案では二兆四千億という投資規模であったと思うのですが、それが三千五百億減ってきたわけです、二兆五百億という規模になったわけでありますけれども、これでまあ金額とすれば二割いってないような削られた額でありますけれども、五ヵ年計画そのものの前途というものは、かなり縮小せざるを得ないだろうし、そうすると当初構想よりはかなりおくれて、この前途では大臣の言われたワンステップも少し後退せざるを得ないワンステップになる。この前途というものはだいじょうぶですか。
  70. 保利茂

    国務大臣保利茂君) まああらかた大小河川で大きな災害というものを招かないように整備をするというためには、五十兆円とかまあたいへんな天文学的な、先ほども河川局長申しておりますようなことであろうと、これは事実そのとおりであろうと思うのです。それを国民の総力をあげて一歩一歩、とにかくどう積み上げていくかと、現実に積み上げていくということが、私は現代の国民の責任だと考えておるわけであります。お話しのように、先ほども申し上げましたように、なるほど建設省内部で二兆四千億という事務計画を持っておられたということは、私も就任いたしましたとき承知いたしております。ただ二兆四千億がそのまますらっといくような状態であればたいへんけっこうなことだけれども、残念ながらそれはむずかしいと、とにかく内容につきましてはこれからの問題でもございますけれども、とにかく二兆円を下る計画の改定ならば私はこれはやらないということで、二兆円をこえ切るものをかち取ることができれば、これはひとつ計画の改定をやろう、どうしてもしかしやりたいということで、まあやっとこさっとこぎつけたところでございまして、私自身が御指摘のように、決して満足いたしておるわけじゃないということを御了承願いたいと思います。
  71. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この昭和四十三年度の治水関係予算総額ですね、それは総事業費で二千八百十二億五千二百万と、治水事業、海岸、急傾斜地あるいは災害復旧関係事業全部入れるとそうなると思うのですけれども、四十二年度の予算に比べては九%、補正後の予算に比べては八%の伸び率と、例年のこのところの伸び率は一〇何%でしたか、一七、八%というような伸び率を示しておるように思います。その半分にも満たないという現状で、どうも大臣の御答弁とは、御熱意のほどとはちょっと違うような感じを受けるのですけれども、これがはたして万全を期することができるのかどうかですね。
  72. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは数字の問題になりますと、おそらく鈴木委員のおっしゃるとおりでありましょう。一に今後の努力と——私は財政の好転の上にわれわれが努力を積み重ねていくという以上の決意を要する、ということを考えております。
  73. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 財政の好転ということばでございますけれども、それがぼくはいま一つ大きな問題があるのじゃないかと思うのです。というのは、総合予算制度に今度踏み切った。これはことしだけではなく、おそらく今後も続けられるだろうと。これは一番の財政の合理的な経済的な運用ということが、総合予算制度だと思うのですけれどもね。そうなっていくと、その第一回目の総合予算制度のときに、いまあげたように、例年の半分に満たないような伸び率ということになりますと、好転好転と言われても、やはり国債の収縮とか、そういうことも考えられると、思うようにいかないのじゃないかと思うのですがね。そういう点で、財政の好転ということがあっても、私はなかなか困難になるのじゃないかということを思うのですよ。その点はどうですか、決意のほどを……。
  74. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 弁解をするわけじゃございませんけれども、今年度がまたどうなるか。大体そういうことはなしで済まなきゃいかぬと思って、たぶんそうであろうと思っておりますけれども、昨年は五%の繰り延べを受けておる。それが今年は持ち越されておるわけです。それをならしますと、差し引き勘定しますと、一九%ぐらいの伸びにはなるわけです。で、今後大体四十三年度ベースで二二、三%伸ばしていけば、大体いままで計画せられておることは達成できるのじゃないか。これがなかなか容易じゃないけれども、それだけにひとつがんばっていかなきゃならないと考えておるわけでございます。
  75. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣が特に中小河川に重点を置くということを前に述べられているのですけれども、この中小河川というのは、一級水系の知事委任区間及び二級水系に属するものに限る、こういうように考えられているのですけれども、わが国の河川総延長の二分の一ないし三分の二に及ぶというように推定される中小河川と、ここで言っている中小河川ということとは、これは違ってくるんではないか、その点どういうふうにお考えなんですか。
  76. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 中小河川といいましても、いろいろ予算上のいわゆる中小河川の改修というのと、大臣がおっしゃっているのは中小河川というような意味でございますが、中小河川の改修と私ども通称しておりますのは、費目上は中小河川の改修事業中小河川改修、小規模河川、それから局部改修、そういうものを総括いたしまして、まあ、規模的に見て中から小に至るものに一括して中小河川、そういうものを五ヵ年計画で重点的にやっていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。ですから、基本的には分かれるわけでございます。
  77. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはぼくは中小河川というのは、いままでは災害の場合以外にはほとんど顧みられていなかった。だから、具体的な例を取り上げて申し上げたいのですが、災害云々がなくても久留米川という川が新河岸川の流域にあります。なお、あの久留米川の場合には、東京都に久留米団地ができた。したがって久留米団地のほうで今度はし尿浄化の装置もつくり、ふろおけの水も流れるということで、絶えず埼玉県に入ってくるわけです。わずかな雨でも洪水の危機にさらされている。しかもそれがかんがい用水に取り入れられているので、稲が倒伏をしてしかたがないという、そういう状態になっている。こういう点なんかは、実際問題として新河岸川全体の改修となれば、百五十億も百六十億もかかる問題だと思いますけれども、確かに住宅公団が家を建てるのはけっこうなんですけれども、そういった問題が必ずあとで発生してくる。それに対しての十分なる対策がなされなければ、これは一住宅ができて、そのために下のほうの住民は思わぬ災害を絶えず受けなければならない。県道をぶち切らなければ水が流れないなんてことが年じゅう起きている。そういう点について、今度、久留米川は一つの問題でありますけれども、これはどんなふうな状況になっているのか、早急に手を打たなければいけないのじゃないかと思いますが。
  78. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) これは久留米川というのは、確かに新河岸川の支流でございまして、新河岸川につきましては、今年度からそういった中小河川の重点ということで新規に改修につとめております。先生のおっしゃるように確かに宅造に伴いまして、非常に水の出方が早くなっている。しかもその量もふえているということで、特に宅地の関連等の河川につきましては、都市河川の中でもさらに重点を向けていきたいというふうに考えております。四十三年度予算におきましても、そういうものを重点的に考えておるわけでございます。東京都のほうでも都の単独費を相当そういった河川にぶち込んでおりますし、できるだけ今後はひとつ重点的にそういった方面の河川に重点を置いて施行していきたいと、かように考えております。あと予算幾らついておるとかいうことは、ちょっといま資料持ち合わしておりません。
  79. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはあとで詳しく教えてください。地元の住民に言わせれば、東京との境に堤防をつくって、水は東京都に流したほうがいいという声もあるくらいで、これはほんとうに考えなければならない。  その次に、小規模河川の改修事業補助率というのは、一級水系中の二種事業が十分の四、二級水系が十分の四ということで、中小河川の改修事業補助率が一級河川が四分の三、二級河川二分の一というのに比べると、だいぶ違ってきている。これは法律違反にならないか。
  80. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 従来の関連からいって、一定計画に基づいた改修は旧法時代からずっと十分の四ということでいっております。その中で特に四分の三を取り上げましたのは、中小河川、要するに一定計画に基づいた中小の中で、比較的規模の大きいものを対象にいたしまして、一級の法律をその中に当てはめまして、四分の三というものをむしろ例外的に取り上げたわけでございます。十分の四というのは、従来の予算補助の段階で従来の例にならって、それをそのまま踏襲しているということでございます。法律違反ということはございません。
  81. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それで、さっきのぼくは中小河川といいながら、中の河川のほうは補助率が——中小河川の大きいのといえば中の河川でしょう、小規模じゃないんでしょう。だからその意味がどうかよくわからないんですね。そういうのを特に中小河川と呼ぶことが奇妙じゃないかと思うんですよ。大臣、その点どう思いますか。
  82. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 非常にこれはよく実は私どもも混同されるもんですから、あれですけれども、確かにこの中小河川中小河川といいますのは、私どもはこれは間違うと困りますが、中小河川対策ということばと、中小河川改修ということで分けておるわけでございますので、大臣の言っておられますのは、規模の大きさで、大体常識的に中小河川対策ということであると思います。
  83. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはいまの治水の問題に関連して、急傾斜地の問題です。この急傾斜地の崩壊対策事業で実際現在緊急に手を加えなければならないところが、自然のがけだけでも全国で七千三百カ所だと、こういうことを聞いている。いま一カ所六百万ぐらいかかるだろう。最低それぐらいかかるということで、建設省が当初半額は地方団体が負担するということで十五億円の予算要求をしている。ところが最終的には三分の一に近い六億円ということ、国費がそのうち三億円ということになってきたのでありますけれども、十五億円がそのまま認められても三十年かかるのが、六億円となれば倍の七十年以上かかる。そういう点について、国民のほうでは、こういう危険についてはこれはもう絶えずさらされているわけです、生命の危険に。一刻も早くということから、だれもが願ってることなんですけれども、この事業説明においては、予算説明のときには、前年度に引き続き緊急に対策を講ずるところについて事業を促進すると言ってるわけですね。その緊急な、それじゃその急傾斜地の問題となれば、全部緊急だとは思うわけでありますけれども、その中の特にまた緊急ということになって、十五億が六億に減ってきたのか、あるいはその緊急に対策を講ずる場所というのは、一体どういうところを指しているのか、その点について。
  84. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) まあ全体の数は、先生のおっしゃいましたように、私どもの調査で七千三百四十二カ所というように出しております。これは人家が五戸以上の影響のあるところということで、しかも傾斜が三十度以上というそういう物理的な条件を加えて、そういうものを調査してはじき出したわけでございますが、その中で緊急を要すというのは、やはり一連の人家の多いところ、五十戸以上というものを考えてみますと、七百十一カ所その中にあるわけでございます。それから現地の状態が非常にそういった急傾斜地の高さが高いというのも、これは非常に危険な状態でございますので、そういうものを考えてみますというと、十戸以上の人家のあるところで高さが十メートル以上というものを拾ってみますと、約四千二百七十カ所ぐらいございます。その辺はやはり重点でございまして、その中で実際物理的に見て、また同じ高さが十メートル以上あっても、すぐにでも対策を必要とする、非常に崩壊の危険の多いところと少ないところとあるわけでございます。そういうものを拾いまして、一応五ヵ年計画、これは治水の五ヵ年計画と別個の問題でございます、急傾斜地崩壊対策の五ヵ年計画としては一応千百ヵ所、そういう条件に合致するものを選びまして、少なくとも五ヵ年で千百カ所ぐらいやっていきたい。先生御指摘のように、四十二年度は三十六ヵ所でございまして、昭和四十三年度は私どもの目標では百カ所をやるようにしております。まあ財政との関係で今年度は伸び率は三倍ということではね上がりましたけれども、事業費が六億程度でございますので、なかなかこの程度の予算ではもちろん不十分でございますけれども、まあ明年度以降におきまして、できる、だけこの予算の増額をはかっていただきまして、できるだけそういった重点を要するところから実施していきたいというぐあいに考えております。
  85. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 昭和四十三年度において、新たに六水系を一級河川指定していますね、河川の総合的な管理を強化すると、こういうことを言われているわけですけれども、その指定では、四十年度に十五、四十一年度四十、四十二年三十水系、本年度六水系合計九十一水系ということになってきたわけですけれども、旧河川法の場合には、適用河川が百十四水系、直轄工事の施工河川が百十六河川。こういうことから見ると、一級河川としての、一級水系としての九十一本の指定をすることによって、治水行政というものは万全を期せられるのか、前の旧法の場合よりも後退している感じをどうも受けるのですけれども、その点はどうですか。
  86. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 旧法の適用河川の数と、今度の九十一水系とは若干の差はございますけれども、やはり水系の指定には、直轄で現在やっている数がその中で相当数ございます。大体八十九水系を現在直轄でやっているものの中で指定しているわけでございまして、大半はやはり重要なものは直轄事業でやっているものでございますので、そういうものを重点にやっております。そういう面からいきますと若干残っておりますけれども、九十一水系で従来やっている直轄河川というものは、大体カバーできているというくらいに考えておりまして、これは適用河川の数の計算のしかたと若干計算によって変わってくるわけでございますが、大体九十一水系におきましては、先ほど申し上げたように重要な河川はおおむねカバーいたしておるわけでございます。なおしかし、まだ数河川につきましては、今後指定を要する水系もまだ残っておるわけでございます。
  87. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。   午後一時休憩      —————・—————   午後二時十五分開会
  92. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから委員会を再開いたします。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発願を願います。
  93. 田中一

    ○田中一君 他の委員からいろいろ本質的な問題について質疑があったと思いますが、私は二、三年来愛知用水公団の運命がどうなるかという点については、非常に巷間うわさが流れておったわけです。そのために真剣に総裁以下これに取り組んでいるかどうかという問題については、非常に疑問を持つのです。しかし、今日こうして一元化という形になったことについては、これはまあ当然そうならなければならぬものじゃなかろうかということも考えますが、この法文にあらわれている事後処理の問題について二、三伺っておきたいと思います。それは愛知用水公団の清算はどういう形で行なおうとしているのか。清算が行なわれる場合には清算人ができて、その清算をするのにどのくらいかかるのか。あるいはそういうことでなしにして、この法律を見ますと二名の、愛知用水公団から二名が水資源公団のほうにいくと、これも二年間に限定しておっていくのだというふうになっておりますが、その辺はどういうふうになっておりますか。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この点は法律にございますように愛知用水公団の一切の権利義務を水資源公団が承継いたしますので、したがって清算という問題はございません。愛知用水公団は単純に解散をするという形になるわけでございます。  それから理事のことでございますが、まあ非常にきびしい理屈で申しましたら、職員はともかく、役員はできるだけ少なくするのが、私はほんとうだと思っておりますけれども、まあ愛知用水公団の役員は、おのずから従来の愛知用水公団の、まあいろいろ個人的にもなれておられましょうし、それから役員としての従来の仕事についてのいきさつなり知識なりというものも知っておられる方が残られることも必要でございましょうし、そういったようなことから、二年間に限って水資源公団の役員として理事二人を増員した。と申しますことは、少なくともそのうち一人は、従来の事情を知っておられる方を水資源公団のほうの何かの役員にきてもらうと、そういう考え方でこういうことを法律に書いたわけでございます。しかし二年もいたしましたら、その間現在の両公団の職員の融和もはかられますでしょうし、また従来のいきさつも二年のうちには新しい改組の水資源公団の人々にもよくわかるのでございましょうから、それ以上そうしておく必要はなかろう、こういう考えでございます。
  95. 田中一

    ○田中一君 職員は全部収容する、事業としても収容するようになっていると聞いておりますが、おそらく職員の待遇の問題について、あるいは労働条件とか給与の問題とか、いろいろな意味で多少格差があるのじゃないかと思うのです。その場合に格差是正という問題をどう考えているのか。どちらが高いかは私も知りません。しかし、これは是正しようという場合、公平が一番いいのですから、どういうようにその労働条件、給与その他の問題を解決しようとするのか。その点は格差が全然なくて同じ平等の、愛知用水公団も水資源公団も給与体系は同じだと思います。似ていると思います。しかし、賃金等の格差はどうなりますか。どう調整しようとするのか。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、体系は大体似ているようでございますけれども、一緒になりましたときに、キャリア等が同じであるにもかかわらず多少の格差が生ずるということは、幾つかの場合に避けがたいだろうと思っております。しかし、これを急に調整をするということは、既得権をやり方によっては害するようなことにもなりかねませんので、まあ一緒になって一つの雰囲気になってから労働条件についても話し合ってひとつきめていこうと、こういう基本的な考え方でやっていきたいと思っております。したがって、まあどちらかと申せば、そういう場合には条件のいいほうにさや寄せをするということがだんだんに起こってくる。これは給与そのものが年とともにふえてまいりますので、まあ現在のところ無理をしないで、先々融和ができるように考えるという基本の考え方を持っております。
  97. 田中一

    ○田中一君 そうすると、いまの事情を知っている役員が二名入るということと一緒に、二年間のうちには、その格差というものがかりにあるとすればそれを是正する、その場合には高いところにそれを求める、いろいろ条件があるならよい条件のほうにそれを求める、賃金ならば高いほうに基準を置いて、そこに合わせていくというように理解してよろしゅうございますか。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういうことを原則としてそう考えるということになりますと、またこの労働条件なんかの話し合いがむずかしくなると思うのでございます。しかし、円満に話し合える限り、また結論がつく限り、結果としてそうなってもそれでやむを得ないのではないか、そう思っております。
  99. 田中一

    ○田中一君 この問題はやはり一番、合併とか、あるいは二つのものが一つになる場合に常に問題になるところなんです。民間の大産業、大企業にしても、最近のように合併の問題で起こっております問題はそこにくるわけですね。あなた方は、労働組合を弾圧するためには格差があったほうがいいのだというような考え方も、なくもないのではないかと思うのですがね。しかしこれは、明確にひとつ、政府がそれを考えようとするのか、あるいは水資源公団がそれぞれの実態に応じて是正をしようとするのか、その点、もし宮澤長官で言いにくければ、水資源公団のほうから答弁してもらってもいいです。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは水資源公団当局と職員との間でやってもらうのが本筋と思います。その際、しかし監督をする立場でどういう気持ちでおるかということにつきましては、先ほど申し上げたように考えております。決して労働条件の格差を設けてどうかしようというようなことではなく、円満に話し合いのできるように公団当局にまかせていく、こういうふうに思っております。
  101. 田中一

    ○田中一君 それでは総裁にこの点について伺いたい。
  102. 進藤武左ヱ門

    参考人進藤武左ヱ門君) お尋ねの点につきましては、一応いろいろの権利義務の承継になりますから、現在の愛知用水公団の組合と愛知用水公団の締結した労働条件は、われわれが承継することになるわけでございます。そのあとは、組合がどういう形になるかというのは、将来の問題でございますけれども、そのできます組合と十分話し合いをしまして、そして話し合いの結果労働条件の変更があるかもしれませんが、しかしいま大臣もお話しのように、急にこれを変更していくというふうなことはあり得ないし、またそういうことはわれわれは考えておりません。
  103. 田中一

    ○田中一君 もう一つ伺います。ここに、四十四条の第二号に「内閣総理大臣指定する金融機関」というのを今度新しく加えられたわけです。これは愛知用水公団債の発行の原資を求めるどこかを指定しよう、こういう考え方なのかですね、何を想定しているのかひとつ明らかにしてください。
  104. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) この規定は、余裕金の預け先といたしまして、現在の愛知用水公団法におきましては、銀行のほかに、金融機関といたしまして、いわゆる愛知用水公団等と系統を同じゅうします、農民の機関でございます、代表でございます農林中金等に預金ができることになっております。ところが、水資源公団法におきましては、銀行というふうに一定の金融機関に限られておるものでございますから、実際に預金するしないは、これは公団の資金繰りその他の自由でございまするが、農林中央金庫等に預金をでき得るように法律を広げておきたい。そういう趣旨にほかなりません。それ以外に特段の趣旨はないわけでございます。
  105. 田中一

    ○田中一君 そうすると、水資源公団では、銀行のほかに農協とかその他農民団体が常に取引、取引というか関係の深い、取引の深いところを大体指定するのだ、こういうわけですね。他の特定なる市中銀行等を、都市銀行等を指定しようというつもりはございませんね。
  106. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 実際のあり得べき場合としては、先生のおっしゃるようなことになるかと想定しております。
  107. 田中一

    ○田中一君 この要綱の第十四のね、「愛知豊川用水施設等の建設に要した費用の賦課徴収等については、愛知用水公団法の廃止後においても同法の規定に基づいて公団が行なうものとする」ということは、これはその法律を生かしておくということではなくて、それをそのまま準用しようという考えでやっていくのだということですか。それともこれは、新しくもし方法が、その立法の必要があれば、水資源公団法に入れたっていいのじゃないかと。その点はどういうことなんですか、その運用の点は。これは総裁ひとつ答弁してください。
  108. 藤田進

    委員長藤田進君) 総裁にお求めですか。
  109. 田中一

    ○田中一君 総裁がちょっとまだ早ければ……。
  110. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 若干私から技術的な点もございますので御説明申し上げますが、これはすでに合併、これまでに愛知用水ができておる、豊川用水も合併までにはすでに完了した上で両公団合併の際引き継ぎをいたすわけでございますが、それに要する建設費用の賦課徴収等につきましては、すでに実体ができておりまするために、その割り当て方法等も相当話が進行している。場合によっては、手続上も一部進行しておる場合もあり得るわけでございまする。したがいまして、さような経費の賦課徴収手続は、従来どおりの一貫した手続によって済ますのがよかろう、こういう趣旨合いでございます。
  111. 田中一

    ○田中一君 これは最後ですがね、公団に入る二人の理事は、給料は愛知用水公団の給料ですか、あるいは水資源公団の給料になるのですか。職員の場合は同じだというから、その点はどうですか。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) たまたま現在、両公団とも俸給が一緒だそうでございます。
  113. 沢田政治

    沢田政治君 ただいま同僚議員から、今度吸収される愛知公団の労働者の労働条件をどうするかという問題が出されましたが、それぞれ御答弁なされておりますが、もう少し詰めてお伺いいたしたいと思います。  いまの質問、御答弁を聞く限りにおいては、まあ労働条件は、雇用はもちろんのことでありますが、労働条件はそのまま継承するということ。しかし総裁の御答弁によりますと、変更することもいつかはあり得ると。まあ労働条件でありますから、よく変更するか悪く変更するか、いつかは変更されることは、これはあり得ると思いますが、さらにこれに関連して長官からは、低いほうにならしていくことは、これは常識としては考えられぬ、やはり高いほうにならすということになるのではないか、こういうそれぞれの答弁がなされておるわけでありますが、もちろん多くの民間企業でも吸収合併、まあいろいろあるわけでありますが、ほとんどがやはり高いほうにならしておるわけですね。したがって、私はよもや低いほうにならすとは思いませんが、この付近のことをどう考えておるか。これは後ほど紛争が起こっちゃ困ると思うのですね。だから、あいまいな答弁じゃなく、きちんとここで私は詰めておきたいと思うのです。  それともう一つは、労働協約が、現在愛知用水公団の労働組合と管理者側との間にあると思いますが、その労働協約がどうなるのかということですね。当然労働協約が引き継がれると思いますが、特にいま議論になったように労働条件ですね、これは引き継がれるから、協約もそのまま引き継がれることになるわけでありますが、御案内のように、労働協約は労働条件だけ継承しただけでは完全とは言えないわけであります。労働協約の内容を大別いたしますと、規範的な部分と債務的な部分と二つに分けられるわけでありますが、したがって労働条件等の問題は、これは規範的な部分に属するのだというように考えますが、債務的な部分についてどう考えますか、それも引き継ぎますか。
  114. 金子美雄

    参考人(金子美雄君) 第一点の御質問の、労働条件についての将来統合する場合の心がまえという点についての御質問でありますが、原則として低くなるということは考えておりません。ただ、こまかい就業規則ですとか、あるいは手当の点につきましては、——まあ一つの手当につきましても、出し方にはいろいろあるわけであります。どちらがいいとか悪いというのは、高い低いの問題ではなくて、考え方の点でいろいろの違った方式がとられている場合もある。そういう点についてはどちらにするかというような点は、労働組合との、先ほど総裁が申しましたように、協議の上でいずれかをとるということでやっていきたいと考えております。  第二点の、労働協約の点でありますが、これは統合のときに有効な労働協約が存在しておりますならば、それはそのままそっくりわがほうで引き継ぐことに相なります。内容によって引き継ぐ部分と引き継がない部分が区別されるということはございません。
  115. 沢田政治

    沢田政治君 まあ基本的にはそういうことでいいと思うのですけれども、今度の吸収合併は好んで労働組合が解散する場合と違うわけです。管理者側のほうに責任があるわけですね。したがって、これがもう労働組合が解散したのだから、その労働協約というものをわれわれは守る必要がない——しかし、組合の名前は変わるけども、実体は残っておるわけですね。したがって専門的に言いますと、余後効の問題で非常に議論になると思うのです。もしあなたがこれを拒否するならば問題が出てくると思うのです。それで、基本的には下げることはあり得ないけれども、部分的にはこうならさなくちゃならぬということは、何を考えているのか、ぼくもあまり内容承知しておりませんのでわかりませんが、たとえば職務給のつけ方とか、職務の評価のしかたですね、そういうのが若干違ってくることもやむを得ないと思います。そういう意味で、全体としては務働条件を低下させないという一つの歯どめがあるならば、まあそういう部分的なことはやむを得ないとは思いますが、そういう点は留意してほしいと思うのです。それで、非常に軽く、全部引き継ぎます、労働協約万般と言いましたけれども、労働条件のほうについては大体わかったような気がします。ただ規範的な部分、いわゆる管理者と労働組合の権利義務の問題、これは規範的な部分と称されておるわけでありますが、これですね、これを承継するかどうか。団体交渉をどうするとか、いろいろな労使の間の慣行といいますか、そういう基本的な権利義務を明確にした平和条項があるかどうかはわかりませんけれども、そういうものも一応新しい協約——労働組合が一緒になるかどうかはわかりませんよ。一緒にならないかもわからぬ。これは労働組合の全く自由であって、管理者が一緒になれとか、二つのほうがいいとかということになると、これは不当労働行為ですから、これはよもやしないと思いますが、いずれにしても、新協約が締結されるまで、そういう権利義務を含めた、債務的な部分を含めたものを全部完全に継承するということを、ここでお約束をしていただきたいと思うのですよ。これは自分の意思によらざる吸収合併になるのだから、管理者が違うということだけでも非常に不安なのに、あまつさえそういう部分を持ち越してまた吸収されるということになると大きい問題だと思いますので、この点はひとつ、企画庁のほうじゃなくて、当事者、管理者は水資源のほうですから、そちらからここで明確にしてもらいたいと思う。
  116. 金子美雄

    参考人(金子美雄君) ただいまの御質問につきましては、われわれはわれわれの政策でどうこうするのではなくて、現在御審議を受けておりまする法律案の経過規定、つまり、一切の権利義務を承継するという法律の規定として労働協約が存在しておれば、その労働協約でわれわれが負うべき義務というものは、ただいま御指摘の規範的な部分も含めて、すべてそのままわれわれは承継していかなければならないものだと了解しております。  なお、組合の組織がなくなりますと、協約の当事者がなくなるわけでありまして、おそらく組合は水資源開発公団の組合に合併するか、あるいは場合によりましては、現在いまのままの形で存続するか、いずれにしても、組合は存続するとわれわれは予想しているわけであります。そういうことになれば、法律の規定によりまして、われわれはそのまま協約を順守しなければならない義務を負うものだと了解しております。
  117. 沢田政治

    沢田政治君 これは非常に重要なことだと思いますが、労働組合を結成したり解散することは、これは全く自由なわけです。これはもう何人といえども、第三者が介入したり支配したりすることはできないことは明らかなわけです、そこで、私もよくわかりませんが、吸収される際に、労働組合を残してそのまま吸収して、今度は水資源の労働組合と一緒になってそのとき解散するのか、それとも、何というか、解散して吸収されるのか。これはもう愛知用水公団の労働組合が判断すべきことであって、もし前者で、愛知用水公団が解散して吸収された場合——しかし人はおるわけですよ。形式的な問題ですが、解散したけれども人はおって、そうして吸収されてから、今度はある時期を置いて労働組合が一緒になる、水資源とですね。こういう場合があり得ると思うのですね。その場合、あなたが言っておるように、適法な労働協約、適法な労働組合が存する限りということを言っておりますけれども、前者の場合、解散して入っていった場合、解散してやめたわけではなくて、みんな雇用が継続していて人がおる、そういう場合に、そういう形をとっても余後効はある、というように私は解釈したいわけだけれども、いかがですか。
  118. 金子美雄

    参考人(金子美雄君) これは組合が事実上解散して存在しない、ただ解散いたしましても、従来から水資源開発公団に存在しておる水資源開発公団の労働組合がそれを継承するということであれば、愛知用水の組合は解散いたしましても、水資源開発公団の労働組合が事実上その権利義務を継承するわけでありますから、愛知用水の労働組合に対する関係は、それを継承した水資源の労働組合に対する権利義務の関係と私は同じであると思います。そういうことがなしに、その組織というものが全然なくなってしまいますと、団体交渉にしましても、つまり、われわれが義務を履行すべき相手方というものがなくなるわけでありますから、全然なくなってしまうと問題は別でありますけれども、実際問題としてはそういうことはあり得ない、何らかの形でどこかに継承する、こういうふうに考えております。
  119. 沢田政治

    沢田政治君 もちろん、全然なくなった場合は、当事者がないのだから争いはないわけだ。あり得ることはないわけだ。それで、水資源の労働組合と愛知用水公団の労働組合で労働条件が全く同じだったら、たいした問題ではないんですよ。ところが片一方は低い、愛知のほうが高いということになると、こっちのほうを適用するんだということになると、解散して入っていった場合問題が起こってくるわけですね。だからその場合には一つの方便として、解散して入っていくんだから、実体は残っているんだから、余後効というのは当然認めた前提に立って団体交渉しなければならぬという、きわめてすなおな解釈をしているわけですが、いかがですか。
  120. 金子美雄

    参考人(金子美雄君) 本質的にはその問題は、愛知用水の労働組合が水資源開発公団の組合に入っていく場合に、水資源開発公団の労働組合との間で、どういう話し合いなり、権利義務の承継関係で話をとりきめて入るかという実態に従うものだと思います。御指摘のように、われわれは全くその点については、組合の間でどういう話し合いがきまるかということに従って行動するわけであります、原則としては。従来の労働協約というものが、いかなる組合でありましょうとも、そこに承継されるという形をとるならば、われわれはそれを守っていかなければならないと考えております。
  121. 沢田政治

    沢田政治君 基本的にはわかりますが、それで、こまかいことでありますが、たとえば継承職員の退職金ですね。さらに公務員共済組合員としての地位ですね。こういうものも当然継承され、不利益なことにはならぬのじゃないか、またならしちゃいかぬと思うんですね。これはきわめて常識的なことですが、これは間違いないですね。それと同時に、非常にいろいろこまかいことがあると思うんですけれども、労働条件等引き継ぎする場合に、もちろん団体交渉してきめこまかく話し合う用意は、水資源としてあるわけですね。
  122. 金子美雄

    参考人(金子美雄君) あります。
  123. 沢田政治

    沢田政治君 次に、ちょっと何か忘れたようですけれども、また思い出したらあとで聞きたいと思いますが、いまの水資源公団の管理機構といいますか、運用の中身といいますか、七、八省にまたがって、それぞれ各省からそれぞれのポストの人が行っておるわけですね。したがって、ぼくは行政の効率的な運用という立場から、行政効果をあげるという立場から聞いておるわけですが、何か非常に、農林省から行ったのは農林省のポストだけ、それ以外は絶対与えない、他のことは一切やらせぬ、そして二年ぐらいで農林省の確保したポストにはまた農林省から送り出して交代する、参勤交代をやると、こういうように厳格ななわ張りがあるやに聞いておるわけですね。しかも行政官庁もたくさん多いので、水資源の本省といいますか、公団の本宅が一つの事業をやる場合に、何というのか、専用のバスを仕立てて、各省を毎日巡回してお伺いをたてなければ、一つの計画実施というものは軌道に乗らぬ、こういうことに相なっておるやに聞いておるわけです。非常に非能率的だと思うわけでありますね。七つ、八つの役所から判こをもらって、そうでなければ実施に移されないなんて、こんなのは非常にめちゃくちゃだと思うんですね。ですから、やはり水資源の一貫開発といいますか、総合開発という観点から言えば、いつまでもこういう存在は許されないと思うんですよ。二年か三年でやめちゃうならいいんですよ。もう十年も二十年も公団方式で水資源開発するということが続くならば、やはりそこに骨を埋めるというような人たちを集めて、そうして仕事をするというのが、当然じゃないかと思うんですけれども、そういう不便を感じていませんか。また宮澤大臣にお聞きしたいわけですけれども、そういう存在でいつまでもずるずるといっていいんですかね、これはどういうものでしょうか。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 水資源開発関係法律ができましたときのいきさつは、もう御承知のとおりでございまして、たいへんなことであったわけでございます。しかし、ともかくそれを水資源公団という主体にまとめたわけでございますから、まあここに進藤総裁おられますが、非常に御苦心なすって、現在公団はたいへん中もよくいっておりますし、いい仕事もしてもらっていると思います。役所関係が確かに非常に多いので、いろいろ御迷惑になっておりますし、これは私どものほうがたまたま所管でありますから、調整するのも非常に苦労しているようでございます。しかし、何分にも権限関係が各省にまたがっておりますから、このことをやはり調整以外の方法でこなすやり方はございませんので、苦労しながらもとにかくまとめていく、そういうことよりほかないと思っております。しかし、かなりおかげさまで話はスムーズにいくようになりました、初めのころに比べますと。  それからこの役人の役員の問題ですが、将来長い時期を考えますと、職員の中から役員につけるということは、当然あるべきことなんでございましょうが、たまたま公団の年齢が若うございますから、まだこの役員になるほどの年齢層の人が、いわゆる生えぬきの中から出ていないというのが実情であろうかと思います。
  125. 沢田政治

    沢田政治君 まあここだけじゃない。これはもう全部の特殊法人について言えることだと思うので、ここだけでこれを強調するということは、ちょっと酷だかとも思うのだけれども、水資源公団の管理職ですね。これは農林省で理事を二人いままで既得権として確保しておったならば、農林省は二人確保する、建設省のほうで二人確保しておったならば、能力があろうがなかろうが、その欠員が出た場合建設省からやる、そんなふざけたことは許されないと思うんですよ。やはり能力でやるべきだと思うんですよ。国民は税金を出しておいて、泣きますよ、こんなばかなことをやれば。やはり官僚のためのおば捨て山を確保してやるための税金じゃないと思うんですよ。だから、これはここだけで強調すると非常にえげつないと思うけれども、やはり経済企画庁が国土を総合的に開発する官庁の親玉であるならば、やはりこういう点を明確に将来改めべきだと思うんですね。それと同時に、この何というか、そういうふざけたようなことをやるなという半面が一つと、もう一つは、大臣も触れられておったように、中堅の職員といいますかね、こういう人がたがいくら努力しようが、いくら能力があろうが、どうせ管理者、理事は各省のそれぞれのいままでの割合によって天下ってくるのだ、われわれはいつまでたっても万年軍曹だ、こういうことではほんとうに仕事に精を打ち込んでやれないと思うんですね。そういう意味から重ねて聞くわけですが、これを是正するお考えがあるかどうかということですね。それで、いま現在この水資源開発公団の管理職、理事ですね。こういうのは、各省からどういう割合によって出ていますか。——私見ればわかるんですけれども、私まだ調べておりませんので。それと、これはよその特殊法人はいいんですが、どれだけの処遇をしておりますか。何か聞くところによると、退職金も、もう給与の六割五分ですか、もらう、二十四、五万円ももらう、こういう話を聞いているわけですが、その実態は、局長、これはどうなっていますか。
  126. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 退職金のことはちょっとつまびらかにいたしませんので、公団のほうに聞いてお答えいたすようにいたしたいと思いますが、これは人事の、具体的な個人の方々の御経歴に関することではございますが、ただいま水資源公団におきましては、総裁、副総裁のほかに理事八名がおられますが、大体役所の出身の方が多うございまして、建設省二名、農林御出身の方が二名、それから通産省御出身の方が一名、それから厚生省、企画庁それぞれ一名おられる。大体御経歴を拝見しますと、そういうふうに見えるわけでございます。
  127. 沢田政治

    沢田政治君 再び大臣の御見解を伺ったわけですが、ここだけ部分的にとらえて——これは行政機構全体の問題ですから、ここで再びこれをとらえて、何というか、いじくるということは、これは保留しておきます、行政機構全体の問題ですから。それで、政令で定めるということかあるわけですけれども、今後吸収に際して政令で定めるというような事項を、どういうことを政令で定めようとしておるのか。その諸事項があったら、後ほどの問題もありますので、ここで明らかにしておいていただきたいと思うのです。はっきりきまっておらなくても。
  128. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 政令で定めたいと考えておりまする事項は、法律の第二十条第四項関係、すなわち事業実施計画の認可をした際の工事、その工事はどうするかということでございますが、その際は事業の名称、事業実施区域、実施計画の年月日等を官報に掲載するというような趣旨のものをつくりたい。それから第二十二条第二項の政令でございますが、これは施設管理規程の内容でございまして、これは当然の常識といたしまして、施設の名称、貯水等の方法その他施設の維持、修繕に関する事項、それから水象または気象の観測に関する事項をきめたい。それから第二十九条第二項の政令でございますが、これは水資源開発公団が愛知豊川用水施設を利用してかんがいをやるもの、そういうもののおります土地改良区等の施設の管理並びに災害復旧に必要な費用の範囲、負担金の額の算定方法、支払い方法等をきめたい。それから附則第二条第三項関係で申しまするというと、登記関係のこまごました手続を規定いたしたい。大体、こういう見込みでございます。
  129. 沢田政治

    沢田政治君 前回の委員会でも、あるいはお聞きしたと思いますが、まだ釈然としないので、もう一回お聞きしたいわけでありますが、木曽川総合と三重用水の両事業所、これは国営事業として基礎的な調査等されてきておったわけですね。それをどういう理由があって突如としてこれを国営でやらないことになって、公団でやることになったわけですか。だから、私ども考えるならば——いいんですよ、これは中身はわかりますよ。だから、やるんであったならば、最初から公団でやるというように計画してやるべきですね。それを木に竹をつぐように途中から——国営で基礎調査等をずっと十四、五年もやってきたそうですが、それを急にこれを変更するということについては、満足なほうもあるだろうけれども、不満なほうも出てくるわけですね、当然。だから、どうしてこうなるのかということですね。当初から、やはり公団でやるならやるというふうに計画しておけば、こういう問題は出てこないわけですね。そうすると、他の地区の国営でやっておるところも、将来どうなるのか、また取ってかわるのかということで、非常に意欲といいますか、そういう行政意欲に対しても大きく水をかける結果になりはしないかということを憂えるわけです。現に当事者が言っておりますよ、いま国営でやっておるのだけれども、将来また取ってかわられるかもわからぬということで……。特に農林省関係の方々も、地元の方も多いようですからね。いつどこに置かれるかということで、非常に戦々恐々と言えば、表現が非常に過ぎますが、非常に雇用の不安におののいておるということなんで、どうしてこういうふうに取ってかわることになったのか。国営事業としてやっておるものが、将来突如として取ってかわることがあるのかどうか。この点明らかにしてもらいたい。この点は農林省。
  130. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 今回、水資源公団と愛知用水が合併するに際しまして、現在農林省が国営でやっております木曽川における二つの事業、木曽総合、三重用水の国営事業をその時点で水資源公団のほうにお願いしよう、こういう計画になりました理由は、この二つの事業は、国営事業で現在やっておりますけれども、その実体は両事業ともまだ本格工事に入る段階ではございませんで、いままで両事業に対しまして約五十人の農林省の職員を配置いたしまして、事業を進めるべきいろいろな段取り、地元との交渉等に携わっておるわけでございます。実はこの二つの事業が国営事業として着工いたしましたときには、すでに木曽川は水資源開発促進法に基づきます指定水系になっておりまして、いずれはこの二つの事業水資源公団事業のような形で進められるべきものであるというふうに考えられたわけでございます。もしその時点で——指定水系だけでございまして、基本計画がまだでき上がっておりませんので公団事業になり得ない。もしその時点で公団事業にしようとするならば、さらに何年か今日の段階まで待たなければ仕事が進まない。しかし、事業のほうは地元の人々の非常に強い要望がございますし、準備だけでも早く進めるべきである。また事業のやり方といたしましては、そういう承継ということもあり得るというような判断から、この二つの事業を国営として二、三年前から着工ということになったわけでございます。  なお、いまお尋ねの、こういうことをやると、今後もそういうことが起こるのではないかというお話でございますが、この点につきましては、先般の当委員会でもお尋ねがございましたが、私どもといたしましては、過去の問題はともかくといたしまして、農林省の国営事業を工事の途中から、着工の途中から公団のほうに移す、承継していくといったような、そういうやり方は原則としてなるべくとらないように、そういう方針を立てております。ちなみに、なおこれらの仕事はいずれも農業以外の部門の水の開発もたぶんに含まれておりますので、国営事業とするよりは公団事業とするほうが、事業効果の発生もはるかに早いというようなことから、いま申し上げたような方針で進めてきたわけでございます。
  131. 沢田政治

    沢田政治君 東海農政局管下の国営事業ですね。東海農政局関係の国営事業、これは両事業の移管によってどうなるのですか、将来。
  132. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 東海農政局管内の今後の国営等は、決してこの両事業が公団に移ったからといって、国営事業がなくなるとか縮小されるとかいうようなことでございませんで、あの管内にはなおたくさんの農業の地域も含まれておりますので、農林省といたしましては積極的に国営事業を進めてまいりたい、こういうように考えております。
  133. 沢田政治

    沢田政治君 私の言わんとするところは、どこどこを国営事業でやれ、どこどこを公団でやれということをいま指摘しているのじゃないのです。私もこれに対してどういうように話を詰めたらいいか、これは専門家じゃありませんのでわかりませんが、いずれにしても基準というものはないのすね。二つに分けて、国営事業はこういう基準でやる、公団のほうはこうやるという、一つの基準とか標準とかものさしがないのですよ。だけれども、どちらも不安におののいている状態ではいかぬから、やはり長期計画を立てて、ここは国営で継続していくのだ、将来最後まで。ここは初めから公団でやるのだというように、よしあしは残ってくるけれども、はっきり割り切ったほうがいいじゃないかということですね。双方から不安がありますね。双方から不満があるわけで、したがって、それをいますぐということじゃないけれども、現にトラブルが起こっているわけですからね。不満が表明されているのだから、だからやはりこれを可及的すみやかに長期計画を立てて、ここの区分はここでやるというように分けたほうが、事業の準備もできるし、心がまえもできるからいいと思うのでありますが、そういう心がまえありますか。
  134. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 土地改良事業は、御承知と思いますが、土地改良長期計画に基づいて、その全国計画によって進めてきておりますが、この中におそらく今後計画内容次第によっては、水系の地域いかんによっては、他の目的の利水と非常に関係の深いような総合的な開発の公団施行にふさわしいようなものも、若干含まれるのじゃないかと思いますが、原則的には土地改良法に基づく長期計画によって国営事業は進めておりますが、公団事業のほうは水資源開発促進法に基づく規定による方法でやっていくつもりでございます。御指摘の点については、さらにいま申し上げましたような原則論だけでなしに、もっと明確にその区別をつけていくことができるならば、私どもとしましてもそういうことを検討してみたいと思います。
  135. 沢田政治

    沢田政治君 最後に、もう一回これは聞いておきたいと思いますし、まだ理解私できておりませんので。この前の委員会で、未収金ですね、をお聞きしました際に、三十七億円ぐらいの未収金が残っておる。これはたいへんなことであると、困ったものだと。しかし、吸収される際、移行する際、十月一日まではレールとして乗せると。金額は実際入ってくるかどうか、レールとしては、これはもうきりをつけるのだ、めどをつけるのだと、こういうことを言っておりますが、ことばとしてはそれで通ると思うのです。大体どこからどれだけの、どういう方法でどう負担してもらうということはできると思うのだけれども、もっとこまかく、未収金がなぜ残ってきたのかというような一つの故事来歴といいますか、経過も私寡聞にしてわからぬわけです。どうしてこうなったのか。そうして、レールと一口に言いますけれども、どこそこからどういう方法で負担金を徴収するということを、明確なことをここで明らかにしてもらわなければ、これは国政審議の場で、レールに乗っけますから安心してください、農林省が全責任を負いますからと言ったって、農林省がポケットマネーを使うわけじゃない。国民の税金なわけですね。だから、そういうあいまいな表現じゃなくて、かくかくで、この方面からこのくらい、こういうことでこうと、ここで明確にしていただきたいと思うわけです。  さらにこれは問題ないかもわかりませんけれども、世銀からお金を借りる際に、愛知用水公団がこういう条件で、こういう工事内容によって、こういう用途で、こういう事業をやるからという条件でお金を借りていると思うのですね。つかみ金で出しているわけじゃないと思うのです、これはね。したがってこれが水資源に移行されるということになると、相当条件の変更にもなるわけだね。したがって、世銀との関係ね、そういうものは了解を得ているのかどうか、手続をとっているのかどうかですね。その点を明らかにしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  136. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 第一点の未収金の問題でございますが、もう少しこまかにという御説明を申し上げますと、愛知用水事業が完了いたしまして、徴収を開始する時点では、受益面積が二万三千ヘクタール。その二万三千ヘクタールに対しまして、農民負担金を規定に基づきまして課したわけでございます。そのとき資本元本で約六十億円の負担金を賦課したわけでございます。これにはもちろん利子と償還年限等が条件としてくっつきますが、その時点から今日まで約六年——七年目に入っておりますが、この間約五億円の金が入っただけでございまして、本日の時点——昭和四十一年度末の時点で、残されます金が、徴収未済の金が約三十七億、こういうことになるわけでございます。なぜこういうことが起こったかということでございますが、一番大きな理由は、二万三千ヘクタールの受益農地が、今日では約一万五千ヘクタールというふうに減少しております。つまり愛知用水は、昭和三十年に計画されましてスタートを切りましたけれども、それから年とともに非常にあの地域の土地の利用状況が、経済の発展につれまして急激に変化いたしました。その急激な変化によって、農家のほうはたとえば二種兼業の農家が非常にふえるとか、それから自分の持っている農地を売買するというような事態が、非常な勢いで発生してまいりました。いわば受益農地の間に、経済の成長発展につれまして、土地を中心にいたしまするところの激動期が起こったために、愛知用水負担金が一方では課せられておりながらも、これらのものに対しまして、農家が負担して金を出すという、そういう意識が非常に薄らいできているというのが、実態であるわけでございます。たまたまこれに対しまして、工業用水道の利用が、また予想以上に急激にふえましたので、先ほど申し上げました二万三千ヘクタールから一万五千ヘクタールの差、約八千ヘクタール分の農業川水は要らなくなる。実は私どもといたしましては、もともと農業用水を目的にいたしました事業でございますので、なるべくこれらを守って、地域の農業目的を達成しようということではございますけれども、一方ではそういう他の利水の用途が非常に急激に強く要望されますので、これもまた地域の方々の強い要望もございますので、その農業として余った水を都市用水のほうに転換する。そのことによりまして、都市用水側からは、水利使用料に相当する金が入ってくる。一万五千ヘクタールの農地につきましては、従来どおりの——当初どおりの契約とほぼ変わらない程度の農民負担金、反当年大体いまの段階では二千数百円ぐらいになります。この額は当初はやはり二千六百円程度でございますので、ほぼそれと同じような額を、一万五千ヘクタールぐらいのところから徴収できる。これはすでに一昨年ごろから、土地改良区のほうと話し合いをいたしておりまして、いまの段階では土地改良区もこの線をほぼ了承しておりまして、総代会や役員会等で、土地改良区とまた関係農家との間にもそういう話が進みまして、先ほど申し上げました約五億の徴収済みの金額は、実はそのうちの半分以上はここ一年の間に入ってまいった額でございまして、いまその軌道に乗りつつあるという段階であります。そういう軌道に乗りかかっておりますので、このやり方をさらに、まだ若干の合併までには日数がございますので、その間にはっきりさせていこう。しかして、また合併後におきましても、私どもといたしましては、この愛知用水の負担金問題、愛知用水の管理問題につきましては、農林省で管理監督の責任を持つことになりますので、引き続きそういう線でやっていく、そういうレールに乗りかかっておる。しかもこれは必ずそういうふうに乗るであろうという見通しのもとに進めてきておるのであります。  もう一点お尋ねの世界銀行につきましては、確かに愛知用水公団というものをつくって、それが愛知用水事業をやるから世界銀行が借款を認めたわけでございますけれども、この問題はすでに世界銀行のほうにも連絡しておりまして、水資源公団合併ということになりましても、世銀と愛知用水公団が契約いたしましたすべてのことは、そのまま水資源公団のほうで引き継ぐことにいたしておりますし、政府保証のこともそのままでございます。世銀のほうの内意は大体、水資源公団にこれが移っても、いまの契約をそのままであるならば、あまり異存はないというような情報を受けております。
  137. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 多少重復するかもしれませんが、初めに行管に伺いたいのですが、今度の特殊法人のこの統廃合の法案ですから、それについて伺っていきたい。どういう基準によるか、その基準と、それから現在どの程度まで、百八ある特殊法人の整理が進んでいるか、その進捗状況最初この二つを。
  138. 北山恭治

    説明員(北山恭治君) 特殊法人につきましては、臨時行政調査会が十八の特殊法人につきまして、整理、統廃合の意見を出しておりますことは御承知のとおりでございます。政府におきましては、昨年の四月以降、百八ございます特殊法人につきまして、その全部につきまして実態調査いたしまして、その結果、四十二年の十月及び十二月の臨時行政改革閣僚協議会で九つの特殊法人につきまして、整理、統廃合等のことがきめられたわけでございますが、そのうち今年度内に措置をすべきこととなりました郵便募金管理会と、それから魚価安定基金、それから愛知用水公団及び北海道地下資源開発株式会社につきまして、今国会で提案されておる次第でございます。  特殊法人の整理いたします場合の基準的な考え方といたしましては、特殊法人の設立の目的をすでに果たしておりますものは、すみやかに廃止するということが第一点でございまして、その次に、設立の目的が近い将来に果たされることが予定されているようなものにつきましては、一定の期限を経た後に廃止するという考え方でございます。なお、業務の内容とか実績等から見まして、特殊法人としての存立の意義が乏しくなっているものにつきましても廃止するということでございます。なお、関連性の強い業務を行なっておりまして、お互いに総合いたしましたほうが効率的である、というような特殊法人につきましては統合する。大体以上四つの点を、基準的な考え方として検討をいたしてまいったわけでございます。
  139. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そのほかにある、現在全部で百八あると思うのですけれども、それの統廃合の検討は、いまの答弁以上には進んでいないのですか。
  140. 北山恭治

    説明員(北山恭治君) 百八あります特殊法人の中で、行政監理委員会がその統廃合等につきまして意見を出されております特殊法人が、数にいたしまして二十五ございます。この監理委員会から意見の出ました二十五の特殊法人のうち、先ほど申しました臨時行政改革閣僚協議会で方針のきめられましたものが九つでございまして、それ以外のものにつきましては、なお引き続き検討をするということになっているわけでございます。現在、行政改革につきまして三カ年の改革計画を各省庁から出していただいた上で、行政改革本部で検討を進めて、政府としての改革案を作成するということになっておりますが、その際に、この残っております特殊法人につきましても、引き続き各省庁で検討を願いまして、改革案の出されましたものにつきましては、調査検討を進めるということになっている次第でございます。
  141. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 水資源開発公団か経済企画庁扱いになっているわけですね、担当の官庁が。その理由は。
  142. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは主として沿革的なものでございまして、先ほども申し上げておったのでございますが、水関係法律を二つつくりましたときに、非常にむずかしかったわけでございます。これは、水資源開発促進は昭和三十六年、それから公団法も三十六年、一緒でございます。それで、各省の権限がたいへんにややこしうございまして、いまの法律お読みいただきましてもそうなっておりますが、どこへ持っていくかということが、したがって同じようにやかましい問題で、結局、比較的中立的な立場にある経済企画庁が預かったというのが、真相でございます。
  143. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 今度の愛知用水公団が、これで一つになるわけですけれども、愛知用水公団は農業水利を目的とした一つの地域的に限定されたものだ。ところが水資源開発公団のほうは、全国的な水系指定というような、多目的な総合開発になっている。立っている立場が非常に違うわけですし、したがって性格等も非常に違うわけですね。その二つが一緒になっていくというその必要性、これは一体どういうところにあるのか。
  144. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 本来の愛知用水公団の法律のたてまえから申しますと、愛知用水公団自身は豊川、愛知用水の仕事を今年で完了いたすわけでございます。たまたまそこへ、この木曽、三重といったような、近くの問題が出てきたわけでございますが、一応愛知用水公団は法律で定められた仕事は完成いたしますが、その長い間仕事をしております間にいろいろ経験、知識等貴重なものを公団自身としても持ち、またそういう人々を持っておるわけでございますので、そこでこれは水資源開発公団とかなり類似の仕事でございますから一緒にすることがよかろう。その際に木曽、三重というものが、これが事実上もう今度やるのだというようなことになっておりましたので、それはこの新しく水資源公団に入ったところの愛知用水公団の人々の経験をおもに生かしながら仕事を続けていこう、こういうことでございます。
  145. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 現在の、いま話が出た木曾の総合利水の問題ですね、この問題は三重用水を含めて農林省ですでに農業水利の目的から国営事業としての開発が進められているということですが、それとの関連はどうなっているのですか。
  146. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 現在国営でやっております木曽川総合と三重用水の事業計画そのものは、水資源公団に移りましても、計画そのものは内容的には変わりはございません。  それから事業のやり方につきましては、公団事業になりますので資金手当等が若干変わります。といいますのは、国営の場合は、農業以外の資金は委託を受けて農林省がやりますけれども、公団事業の場合は、そのほとんどが政府資金の借り入れを公団がやりまして直接やっていく、こういうふうになっております。
  147. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 国営でやる場合と公団でやる場合と基準がどこが違うわけですか、これは。
  148. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 国営でやる場合は、先ほどもお答え申し上げましたが、土地改良法の規定によります平均面積三千町歩以上の資格を持つものでやっていくということでございますが、その考え方は、公団事業のほうでも大体農林省では国営級の仕事を公団のほうにやってもらう考え方であります。
  149. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうなると、基準というものは大体同じような基準であるということになれば、何も国営でやっているのをここで水資源開発公団がやらねばならない、手がけねばならない、その理由はどういうわけですか。
  150. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) この両事業は、先ほども申し上げましたように、農業以外の水の手当てといいますか、計画も非常に多分に含まれておりまして、それらの農業以外の都市用水等の仕事をやっていく場合には、資金手当等の差異もございまして、現実には公団事業でやるほうがはるかに事業のスピードアップができる、事業効果の発生が早い、それから委託でやるよりも直接水資源開発公団がみずからの資金で手当てをしてやっていくほうが、よりやりいいという利点があるのであります。
  151. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それで実はちょっとおかしいのですが、いまスピードアップの問題が出たのですが、水資源開発公団では、この木曽総合開発に対する基本計画はもうできているのですか。
  152. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 現在まだ基本計画はできておりませんが、これはもう非常に現地並びに企画庁を中心にいたしまして、もちろん農林省のほうでも木曽総合、三重用水、いずれも計画の基本は固まっておりますが、若干の調整等を要する点はございますので、これらの点を急いで調整して、早急に基本計画を立てる段階にきております。
  153. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 何だかもやもやとしてきたのですけれども、基本計画ができてなければ、合併されたとしても公団としては直ちに事業に着手ができないことになるのじゃないですか。その基本計画、また基本的な構想というものはいつごろ固まり、いつごろ策定される見通しなんですか。
  154. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 御承知のように、十月一日に両公団合併いたしまして、それから本格的に木曽川の総合用水事業並びに三重用水事業に取りかかるわけでございますが、その事業の着手、執行に差しつかえのないように、ここなるべく最近の間において計画を固めてまいりたい。ただいま佐々木参事官からも御説明申し上げましたように、われわれといたしましても、相当青写真を持っているわけでございます、具体的なものを持っているわけでございます。若干調整を要する点がございますので、その点につきまして関係者の方々とお話し合いを申し上げておる、こういう状況でございますので、ただいま申し上げましたように、支障のないように成案を得たい、こういう見通しでございます。
  155. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次は、借り入れ金の問題ですが、愛知用水公団の現在の借り入れ金の未償還額はどのくらいになっておりますか、世銀やいろいろ合わせて。
  156. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) 現在借り入れいたしております償還の状況を申し上げますと、借り入れ先は世界銀行と余剰農産物の資金それから政府の運用部資金と三通りございまして、元本で申し上げますと、総額三百六十七億でございます。これに対しましてすでに償還いたしましたのが五十四億四千七百万円でございまして、残りが三百十二億七千六百万円残っております。
  157. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それで合併してからあとの返済計画と資金繰りの方法、これはどういうふうになっていますか。
  158. 佐々木四郎

    説明員佐々木四郎君) これらの借り入れ余は、先ほどお話し申し上げました農民負担金以外のものにつきましては、これは順調に予定どおり償還を進めておりますが、農民負担金だけが先ほど申し上げましたような事情で、過去の償還未済額がかなり多額に残されておりますが、今日の時点では、この未済額はここ一、二年間の農民、農家、土地改良等の団体、公団、農林省、愛知県、これらの関係者の協力によりまして、ほぼ成規の償還ができる見通しになりまして、すでに昨年ごろから、そういう軌道に乗りつつございますので、いまの私どもの見通しでは、合併時点までにはこれらの借り入れ金のすべてにわたりまして、ほほ当初どおりの約束の償還が可能になるものと考えております。
  159. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまのは、農民の負担金の未収入金が取れるという見通しの上ですね。  その次に、いま水資源開発公団計画が五大水系ということですが、この水系をふやす計画があるのか。あるとすれば、どことどこか。
  160. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 法律上、水資源開発公団は、特に、先ほど先生御指摘のように、全国的に水系を指定して開発を行ない得る、こういうたてまえになっております。それで、最近の主として都市用水等を中心といたしまする水需要の非常な増加に対応しまして、具体的にいろいろ検討しております。この中には、既存の指定水系の中でも新しい施設を考えておる、新しいダムをつくる、そういうことのほかに、さらに新しい水系の指定ということもいろいろ具体的に考えておりますが、いままだ内定しているというところまではいきませんが、たとえば関東地方におきましては、利根水系に隣します相模川等とか、あるいは淀川の水系につきましては木津川等とか、こういうふうなところ、あるいはさらに中国地方におきまする江川とか、こういう点はいろいろ至急やはり検討を進めなければいけない、いろいろ案を練っている次第でございます。
  161. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 岐阜県の養老町で三重用水計画についての反対運動が起きているわけですが、こういうように木曽水系ではかなり豊富な水といわれながらも、どうしても水利権では上流と下流の県の間で絶えず争っているわけですね。四十年に新河川法ができてからも、建設大臣が一級河川の管理をすることになっているわけですが、そういう紛争とか争い以外の対立という県同士の問題は、これは河川局長からの答弁がほしいんですが、地元まかせになっておる。そういうことがどうしてこんななわ張り争いのようなことがあるのか、われわれには見当がつかないんですが、そういう点については、かなり広域の利水対策という観点に立ったものをきちっとしておかなければならないのではないか、そういうふうに考えられるわけです。その点についての具体的な計画と、それからいまお聞きしました紛争解決の方法について、所信があったら言っていただきたい。
  162. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) それでは建設省の立場を申し上げます。  建設省といたしましては、河川法に基づきまして水利の調整をやっておるわけでございますが、新しく河川の水利使用、水利使用といいますか、河川水の占用を許可いたす場合には、一級河川大臣の直接の管理下につきましては、すべて建設大臣が直接担当いたしておるわけでございますが、一級河川のうちでも県知事にその管理を委任しておる区間がございます。その区間につきましては、ある限度を定めまして、その限度以上の場合には大臣が許可するということになっております。そういうことでございますが、大部分の、建設大臣が管理権に基づきまして水利権を許可する場合でございますけれども、その場合にはもちろん各省と協議をいたすことになっておるわけでございます。問題は、その既得の水利権といいますか、既得の水利使用者との調整問題でございます。これは取り扱いとしては、私どもはできるだけ新規のいわゆる水利希望者と、従来から水利権を持っている人たちとの間で、できるだけ調整を自主的にひとつ現地同士でやっていただいて、その上に乗っかるというとおかしいですが、そういう調整ができた段階において水利権の承認をするというのが、大体原則的な基本的態度でございます。そういう観点からこの三重用水の場合でも、できるだけやはり当面、農林省あるいは関係県、そういう観点からあるいは経済企画庁等におきまして、できるだけ現地における調整をおはかり願いたい、私どもとしてはそういうことを期待しておるわけでございます。それができました暁におきまして、いわゆる水利権的な河川法に基づく処分を農林省等の協議を受けて進めていきたいというように考えております。
  163. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そうすると、効果的な調整力というものはもっぱら発揮しないで、とにかく話し合いのつくのを待っておるということになるんですね。
  164. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) いま建設のほうからもお答えがございましたが、決して待っておるというわけではございませんので、これは私ども経済企画庁といたしましても、そういった計画をつくる。そのためには、それぞれ農民の方々の既存水利権の合理化等につきまして、あるいは農業を中心とする用水でございますれば、農林省のほうにおはかりしなければならない、また、建設省のあれもございますし、関係各省相まってそれぞれ協力いたしまして、現地の方々と十分に鋭意お話し合いを進めておるわけでございます。いろいろ先生御指摘の三重用水の水源問題と申しますか、分水問題いろいろあるようでございますが、ただいま関係各省一丸となって協力して話を進めておる段階でございます。
  165. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 経済社会発展計画では、水需要の飛躍的増大ということについては、これは種々の対策を講じなければならないということがはっきり出ているわけです。しかし、企画庁のほうでは、その需要が一体今後どういうふうになっていくかということは、計数的に抑えてあるのかないのか。大まかに農業利水はこのくらい何はどれくらいということがあろうと思いますけれども、これがただ目の子では困るわけです。実際問題、どういうふうに計数的に出しておるのか。
  166. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 実は私ども非常に大まかな計数はございますが、それではとても将来の、最近非常に急激に変貌しつつある需要を予測するには十分でない。こういうふうな観点から、去年から昭和五十年、六十年を目標といたしまして各府県にもお願いしまして、水の需要を調査しております。それによりまして、私どももそういう調査をいたしておりまして、その調査に基づきまして、新しい水系の指定また施設の新設等、種々先ほどお話し申し上げましたように鋭意進めてまいりたいと思っておりますが、一般的に申しますれば、農業用水につきましては、つとに先生方御承知のように、おおむねそう大きな変動はあるまい、しかしながら都市用水、上水道、工業用水につきましては、今後ますます大きくなるであろう、これに対処する方途いかん、こういうのがわれわれに課せられました課題ではないか。同時にまた治山治水も、先ほど治山治水五ヵ年計画についての御審議もありましたわけですが、もちろんそれを前提としましてこの需給面におきましては特別考えていかなければならぬじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  167. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは水源地対策の問題になるんですが、下流のほうでは確かにダム等ができれば利水、治水そのほかでかなりの広範囲の利益というものが考えられるんですけれども、水没地帯をはじめとした水源地というのは、若干環境は変わるし、土地は減り人口は減少する、町村の行政水準も下がる、こういうふうになってくるわけです。そういうことについては、現在の水資源開発促進法では具体的な水源地対策はなくて、わずかに水没地帯の補償ということが行なわれるだけですが、そういう点で総合的な水源地対策について、また総合的な援助対策というようなものが必要じゃないか、こういうふうに思われますが、どういうふうに考えておりますか。
  168. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) お話しのとおりだと存じます。それで実は先ほど長官からもお話がありました水資源開発促進法並びに水資源開発公団法の制定の際も、その点が議論になりましたように伺っておりまして、で、水資源開発促進法の第四条第三項でございますか、これには、計画をつくります際には、治山治水はもちろんのこと、後進地域の開発についても十分考慮を払わなければいかぬ、こういうふうな趣旨の規定もございまして、われわれといたしましては、公団を監督する立場といたしましても、もちろん適正な補償をいたすことは当然でございますが、そういう大きな水没等があります際に、直接の水没された方のみならず、その地域一帯に相当大きな影響がある、いうならば過疎的影響があり得るのではないか、そういう点につきまして各府県、ことに水源地県のほうからいろいろ、何らかの対策が必要じゃないか、もう少し追っかけて対策を進めよ、こういうふうなお話があるやに伺っております。私どもといたしましても、これは各省に関係しますし、非常に広範な問題であろうと思います。その行政上また財政上も相当広範な大きな問題になると思います。しかして従来各省の各出先ごとにその問題につきまして、それぞれの工事を実行します場合、具体的にいろいろ考慮してまいっておるわけでございますが、さらに一段とその御指摘の問題については、関係各省と相談をいたしまして検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  169. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは長官に御答弁願いたいんですが、水対策ということになると、各省に分かれている。そういうことで、どうしてもいろいろな問題で連絡その他思うようにいかないこともあるでしょうし、利害というものが重なるときもあるし、そういう点を考えると、内閣の中に水対策の閣僚協議会というようなものが必要じゃないか。そうすれば慣行水利権の問題、いろんな問題等についてもよく話し合えるということで解決ができていくのじゃないかと考えるのですが、その点は長官はどうお考えですか。
  170. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 実際問題といたしましては、閣僚会議を設けまして閣僚の間で話し合いでぴしっときまるというようなことは、なかなかございませんで、やはりちゃんと下までおりまして、下のほうから話がついたところできまるというのが実情でございます。そこで、いま経済企画庁でやっておりますことは、実際上そういうことをいたしておりますので、内閣の一部としての経済企画庁が、各省の横の取りまとめをしましてそして閣議等でものをきめるという、実際それに似たようなことをやっておるわけでございます。
  171. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 最後に具体的な問題で聞きたいのですが、水資源東京導水をつくりましたそのときの問題なんですが、これは行田で現在建設省は利根川の堤防拡張工事の土地買収にかかろうとしておるわけですが、ところが水資源が買収したときには宅地が坪六千円という値段でやったらしいのです。そのことから現在建設省が堤防拡張工事をするのに非常な困難を来たしておるようですが、この点の経緯を最初河川局長のほうからちょっと伺っておきたいのです。
  172. 坂野重信

    政府委員坂野重信君) 先生の御質問は、一般の堤防の工事とそれから水資源公団でおやりになっておる工事との買収の単価の相違ということじゃないかと思うのですが、それにつきましては、若干そういう問題が現実に起きております。私どもとしては、事前に公団の買収単価というものと一般の河川改修事業単価というものをできるだけ打ち合わして、なるべく一致した単価で買収できるようにということを、実は公団側にも御希望申し上げておるわけでございますが、なかなかタイミング等の関係もあって必ずしもできない面もございまして、そういう段階でできるだけ河川の買収費のほうにおいて説明のつく限り、どちらか先行したほうに買収費を近づけるというような努力はいたしております。しかし、今後ともこういう事例のございました場合に、できるだけ事前にひとつよく連絡をとりまして、両方で単価が食い違うということはおかしな話でございますので、できるだけそういう調整をやっていきたいというふうに考えております。
  173. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは長官に聞いていただきたいのですが、三十六年に東京導水として開発公団が買ったのが、宅地が坪六千円です。現在建設省のほうの工事事務所から買収価格として交渉のあったのは、宅地で坪二千七百二十円、畠については坪千百円で現在交渉があるのです。たんぼについては千二百円、ところが水資源公団は二千七百五円、実際その周辺というのは建設省の示した相場をはるかに上回ったものです。ここにはっきり言えば、宮澤長官は物価の問題についてはかなりうるさいほうで、物価の番人のようなもので期待しておるのですが、開発公団がとてつもない値段で買うということになれば、取引価格の値上がりは避けられない。物価上昇の大きな原因を、公団がみずからおやりになっておるのじゃ、ないかというふうにしかとれない。それじゃ、いわゆる物価の番人をしているとは言いませんけれども、そのコントロールを扱っておるといわれる企画庁としては大きな失敗だろうと思うのですが、しかも、それが建設省のいまの答弁でわかるように、開発公団と建設省の間には話し合いがされてなかったということですね。いかに急ぐ仕事であるからといっても、実際の相場の四倍、五倍の値段で買うということになれば、将来ここのところの堤防の拡張をしたい、学校を建てたい、何をしたいということができなくなってくる。そういうようなおそれがあってはならない。親方日の丸というわけではないでしょうが、自由に例の資金でできるからというのでやられるということになれば、そういうような甘い考えがあったのでは困るわけです。こういう点については、どういうふうにお考えですか、また今後どういうふうに調整していくかということ。
  174. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点につきましては、実は政府及び政府関係機関の土地取得を一括してどこかの部門で行なえないかということを、だいぶ検討してみたことが実はあったわけでございます。ただいまのような御指摘の場合は、実際ときどきございますし、またときには政府関係機関同士が競合する場合も実はあったりいたします。しかし、なかなか一括してやるということが、実情むずかしゅうございますので、いまの段階で、一つは予算の執行面である程度の、これは大蔵当局になりますわけですが注意をしてもらうということですが、もっと根本的には、やはり地価表示制度に持っていかざるを得ないと思って知ります。
  175. 藤田進

    委員長藤田進君) 私、最後に若干ただしたいのですが、念のために愛知用水公団の人員と、現状、水資源と合わせると理事以外の職員は何名ですか。
  176. 今泉一郎

    政府委員(今泉一郎君) 水資源公団が約千五百人でございます。それから愛知用水公団は五百五十人と相なっております。したがいまして、二千五十人程度、こういうことになります。
  177. 藤田進

    委員長藤田進君) そこで長官、資料を見ますと二ページに竣工年度が書いてあって事業の全貌が出ております。大体一両年でほとんど竣工になるのです。愛知用水公団から引き継ぐ理事二名は今後二カ年を限度として、二カ年といいますと、ことしを入れましても四十四年、ことし入れなければ十月だそうですから大体四十五年になるでしょう。そうしますと、その木曽川水系は基本計画は未決定でしょう、そうしますと、ほとんど竣工するのです、残務は、いまごろ、やはり出来高払いその他の関係もあって、そんなに残務整理はないです。そうすると、局長の答えた既指定河川のさらに増強の工事をするとか、新しい河川指定をするとかいうことでありましたが、役所のテンポからすると、いまからそんなことをやっていたのでは、これはあとで行管にも聞きますが、いま二千名余の貴重な技術陣なり等々が全く国家行政能率から見ても非常に不経済なことになる。したがって、これは水資源公団というものを極端に整理して、縮少しつつこれを解消するか、あるいは次の計画ができて着工できるまで、財政の裏づけその他を含めて、その間事業所をあまり持たない公団ということが、はっきりと出てきているんですね。これらについて、いま局長の答えた新しい水系指定とかいうような構想が、長官としてもあるのかどうか。あるとすればこの竣工期日ですね、竣工年度等の見込み、この見込みが大体いまの土木機械その他の能率から見れば、この程度の予算でしたら当然これは消化されなければなりません。木曽川が五百億ですか、全部で二千数百億というものがあったようですけれども、残工事は一千あまりしかないのですね、半分がほとんど竣工してしまう。こういうふうに見ますと、数字的に見ても愛知用水公団合併するけれども、さらに問題は次の水資源公団のあるべき姿ということについて、当然いまの段階に検討さるべき性格のものですね。これらを総合してどう対処されようとするか、長官に伺っておきたいと思います。
  178. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 水資源の総合開発ということは、今後わが国にとってもう必要がないことではなくって、逆にますます必要になることは明らかであろうと思います。したがって、水系を指定しまして総合開発計画を書くということは、先ほどから各委員の御質問にもありますように、利害関係が非常にふくそういたしまして、短時日ではなかなかできにくいのでございますから、相当長い時間をかける覚悟をいたさなければなりません。したがって、わが国のこれからの必要需要などを考えますと、やはりだんだん新しい水系なり何なりを指定をするということについて、前向きの準備をしてまいらなきゃならないということは、私どもそう思っております。水資源開発公団の仕事がもう必要がなくなるというようなふうではなく、むしろ逆であろうと思っておりますので、先ほど局長が申し上げましたように、幾つかの水系を前のほうを見ながら考えていくということにすべきだと思います。
  179. 藤田進

    委員長藤田進君) ところが、水資源局は今度解消されるでしょう。企画庁の水資源局というのはなくなるんじゃなかったですか。そういう姿勢等から見ても、そうしてこういう土木工事等は大きな工事用機材、そういうものを持ち、むろん技術陣を抱擁しておるわけです。おそらく二千五十名ですから、技術陣の方がこの種公団では多いはずなんです。いずれにしても、そういうものが一工事個所が竣工すれば、次の開発に移っていくということが、タイムリーになされていきませんと、非常なロスなんですね。同時に、国家資源開発がそれだけおくれてくることになる。ところが、あと一両年で大体片づいて、木曽だけが残るということなのに、次の用意というものがさっぱりない、担当の局はこれで解消される、こういうことでいいのかどうか、行管の意見はどうなんです。
  180. 北山恭治

    説明員(北山恭治君) 愛知用水公団が水資源開発公団に統合されることになりました理由の一つに、技術者等人員を有効に活用するということがあったと思いますので、そういう意味で水資源開発公団に愛知用水公団が統合されました効果も、御意見がございましたように、技術者等人員を有効に活用するという点にあると思いますので、十分そういう点は考えられなければならないと思いますが、いま申しましたように、水資源開発は全国的にまだ仕事があるわけでございますので、統合されました趣旨が生かされるようになると考えておる次第でございます。
  181. 藤田進

    委員長藤田進君) 統合というもの、今日法案で出ているわけだが、私が指摘しているのは、統合後におけるここ両三年の先が一体どうなるのでしょうかと、いまのようなことで。水系指定にしても、なかなか一年や一年半ではできてない、いままで。財政の裏づけしかり。能率を削減しないように将来水資源公団の運営については、これを解消するのではないという言明ですから、この際長官から——私いま指摘しましたことは、それは杞憂にすぎないので、年度別に事業計画実施に移して、そしてロスなくやっていくように一体するのかしないのか、そこだけ確めておきたいと思います。
  182. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういうふうにしてまいりたいと思っております。
  183. 藤田進

    委員長藤田進君) どっちのほうですか、二つ言った。
  184. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお答えいたしましたとおり、水資源の総合開発という必要が薄れるとは考えませんので、前向きにさらに指定すべき水系等々、十分前向きに考えていくべきだと思っております。
  185. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  186. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  189. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委長長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  191. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、請願第二二号名古屋都市計画事業大曽根土地区画整理事業計画の再検討に関する請願外七十八件を一括して議題といたします。  まず、専門員から説明を聴取いたします。  速記をとめてください。    〔午後三時五十八分速記中止〕      —————・—————    〔午後四時十一分速記開始〕
  192. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起こしてください。  それでは、ただいま審議いたしました請願は、請願第三九号外三十三件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、請願題二二号外四十四件は、保留とすることに決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  195. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  建設事業並びに建設諸計画に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則節五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕
  196. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出の時期等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十三分散会