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1968-05-23 第58回国会 参議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————   委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      笹森 順造君     小柳 牧衛君      長谷川 仁君     大谷 贇雄君      佐藤 一郎君     内田 芳郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木與吉郎君     理 事                 木内 四郎君                 増原 恵吉君                 山本  杉君                 森 元治郎君     委 員                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 小柳 牧衛君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 羽生 三七君                 大和 与一君                 黒柳  明君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君        国 務 大 臣  鍋島 直紹君    政府委員        科学技術庁原子        力局長      藤波 恒雄君        外務省中南米・        移住局長     安藤 龍一君        外務省欧亜局長  北原 秀雄君        外務省国際連合        局長       重光  晶君        水産庁次長    森沢 基吉君        通商産業省公益        事業局長     井上  亮君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省条約局外        務参事官     高島 益郎君     —————————————   本日の会議に付した案件日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関  する協定締結について承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○メキシコ合衆国領海に接続する水域における  日本国船舶による漁業に関する日本国とメキ  シコ合衆国との間の協定締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○原子力の非軍事的利用に関する協力のための日  本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定の  締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付) ○原子力平和的利用における協力のための日本  国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国政府との間の協定締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関する協定締結について承認を求めるの件及び  メキシコ合衆国領海に接続する水域における日本国船舶による漁業に関する日本国メキシコ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 かねて重大なこの原子力協定に触れたいのですが、けさ見過ごしできない新聞記事があったから、これからまずどうしても触れなければならない。  それは、官房長官が、沖繩返還に関して本土並み返還がよろしいのではないかと個人的に考える、これは世論だというようなことを、きのうの大浜さんの私的な諮問機関といいますか、基地問題研究会、久住さんがやっているあれの会合お話をしたのですね。  要点は、国民世論本土並みを支持しているようだが、琉球政府もそういうことを言っている、とすれば、一つ考えではないか、これはあくまで個人であるが、こういうことで言っております。それからさらに、わりに具体的なのは、総理は、まだ白紙だと、外務大臣白紙だと言っているので、詳しいことは言えないけれども、いずれにせよ白紙だという立場であるから、具体案を提示して話に入るのはまだその時期じゃないのじゃないか、アメリカ選挙でも終わったら、日本の国会では一月の施政方針演説に、その返還に対する方針を打ち出すこともできるだろうし、選挙後、アメリカとの話し合いをするために総理も六月ごろ渡米するんじゃないかというような、たいへん具体的なことがけさ載っている。これは軽々にできないので大臣に伺うのだが、要するに、世論というものをそういうふうに把握して、本土並みという意見が閣僚の間にだんだん台頭してきたのかどうかということ。それから、近く月末に日米会談をやるそうだが、それは、そういうふうな線である程度の具体的な考えがあって、その上で交渉に臨むものなのかなどという勘ぐった見方も出てくると思う。御意見を伺いたい。
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も新聞紙で木村官房長官記事は見たのですけれども、この記事は閣内においてある程度の打ち合わせをして発言になったのではございません。したがって、木村官房長官発言個人的見解の域をいまは出ないと思います。したがって、私としては、木村発言をこの外務委員会の席上で何らかのコメントをいたすことは適当でない、こういうふうに考えております。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 それにしても、総理の一番の側近で内閣のかなめ、総理の秘書、官房長ともあろう者が、たいへん具体的に話を進めたということは、全然ないんだということではない。幾ら官房長官個人といっても、具体的な案はいまのところはまだない、アメリカ選挙後、日本では施政方針演説でしゃべる、六月ころ総理が行って話をする。あまりスケジュールがはっきりしておるのでね。これはただ知らないだけでは済まないので、もう少しその間の事情があればお聞きしたい。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは個人発言でも、森さん御指摘のように、かなり具体的ですから、私はどういう意図のもとでそういう発言をしたのか、根拠があるのか木村官房長官にただすことにいたします。まだいたしておりません。
  7. 森元治郎

    森元治郎君 それでは本土並みというのは、なるほど最大公約数というか、決してこれはだめだというあれではないようですね。ただ、本土並みということが、しろうと、専門家政治家を含めて、核兵器を持ち込まない、いかゆる非核三原則適用地域沖繩になり、核兵器事前協議の対象にするということならば、まあまあ一般では受け入れやすい傾向を持っているようだと思うので、外務大臣もいままで何だということはまだ一回も言っていないようですが、考え検討するに値する大きな要領を得た案だとお考えになるかどうか。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そこまで言われると少し誘導尋問が過ぎるような感じがいたしますが、しかし、日本側とすればやはりそういうことも検討しなければならぬことは事実でしょうが、それに対して価値評価を加える、私がここで申し上げることは、ちょっと森さんの誘導尋問にかかり過ぎる感じがいたします。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 そう引っ込まなくても、国民というのは何も知らないようで、はだで感じ取る感覚というのはこれはお互いに政治家としてほんとうにおっかないくらい感ずるのですね。新聞記事見たって、すっとんきょうな記事はありませんね。大体その辺に向かって記事が出ている。ただ、有事に核兵器を持ち込むのかどうかといったようなことはありますが、とにかく本土並みでやってくれ、現行条約どおり事前協議か、新たに別個に事前協議をやるか、特別な核持ち込み交換公文ができるかどうかは別として、いいところですな、この辺は。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いいところか悪いところかというお答えというよりかは、日本側としてはそういうことは検討しなければならぬ問題であることは事実でございます。それをいいか悪いかという価値判断は、この際、いろいろ外交交渉相手もあるものですから、ここで私が申し上げることはまだ適当ではない、こう思います。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 外務大臣白紙ですか。沖繩を核基地問題を含めて、総理は、どうするかということについては白紙だと。しかし、国民世論動向科学兵器発達客観情勢をにらみ合わせていくと言う。外務大臣白紙なんですか。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 白紙ということばでありますが、要するに、白紙という意味は、日米間で継続的な協議をする場合に、日本基地あり方はこうだときめて外交交渉に臨まないのだ、いろいろアメリカ側と話し合ってみよう、その間にいろんな客観情勢変化考えられるからという意味で、基地あり方は、最初から政府方針をきめて、ひとつその方針を貫徹さすということ、最初からそういう方針をきめてその方針のもとに日米の継続的な協議をしょう、こうはしないのだということが白紙という意味でしょう。これは白紙といっても真空管の中で政治をやっているわけではないのですから、いろんなやはり客観情勢というものを頭に入れながら交渉しなければならぬわけです。だから、その白紙という意味は、初めから基地あり方政府がきめて交渉ということではないということがやはり適切な解釈だと私は思っております。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 総理の言う三条件——国民世論動向科学兵器進歩国際環境などを考慮してという、この三つの基本の中の一つ国民傾向というのは、大体この辺で落ちついてきたように見受けられます。この前も総理に伺ったのですが、外務大臣科学進歩というものから見たら、あそこに置かなくてもいいんじゃないか、もっと下がってよそに行ってもらっていいんじゃないかということを、どうお考えになるか。また、国際情勢は、アメリカがいなければならぬ、アジア平和のためにいなければ、沖繩をつかんでおかなければ、自由使用にしておかなければならぬという、国際情勢はそれを裏づけることが薄くなりつつある。このくらいには認識をされるかどうか。科学兵器の問題と、科学技術進歩と、それから国際情勢はやわらかいほうに働きつつある傾向だというふうにお考えになるかどうか。そうなれば、おのずから白紙はだんだんと埋められる傾向になって、結論はどうだということはおのずから結論出てくると思うので、大体の国民世論がその辺のところが強いように私どもも聞いたり見たりしております。あとの二点は大臣はどんなふうにお考えになるか。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 全体として、アジア情勢というものが緊張緩和傾向にあるということは、これは言えると思います。ベトナム戦争も和平への話し合いができておるということ、これは一つの大きな変化でありますから、これが再びまたあの話し合いが御破算になって戦争が激化する事態は私はあってもらっては困るし、ないであろう、こう考えておりますから、全体のアジア情勢は、緊張がどの程度ということに問題はありますけれども、大局的に見れば、緊張緩和方向にある。それから軍事科学の面においては、これは核の問題についても非常な変化があることは事実でございます。しかし、やはり単に軍事科学というものの変化ということと沖繩とを結びつけて考えるということの点には、ただ抽象的に原則論だけでいかぬ面もありましょうけれども、やはりこれもまた大局的に言えば、核に対する軍事科学には変化が起こりつつあることは事実であります。そういうふうなことは、こまかいことをいろいろ言えばありましょうけれども、大局的には私はそういうふうに思っております。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 こういう問題、やはり日本協議も、十分下相談もやり、アメリカでもそれぞれ機関を通じて御相談するであろうが、とどめは総理がしかるべきときに向こうに行って話を最終的につけるのが常道だと思うがいかがですか。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いずれにしても両三年の間にめどをつけたいと総理は言っているんですから、両三年の間に、こっちから行くか向こうから来るか、いずれにしても日米間の話し合いは必要である、こういうことであります。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 一両年なんという、英語の翻訳の論争ばかりやっているようだけれども、七〇年前でしょうね。一九七〇年前に——「前」というのは、十二月三十一日ではなくて、余裕を持った前、昭和四十五年前にめどをつけるというふうにおっしゃってもいいんじゃないですか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) めどはやはりなるべく早いほうがいいという意見でございます。早くめどをつけるほうがいいと思います。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 これはほんとうに一日でも早いほうがいいというので大いにそれは努力をしてもらいたいと思うが、参議院選挙前に何か政府は、世論動きなどを見ていって、喜びそうなことを言って、諸君の言うとおりにいくなどというような、何か沖繩対策に対して明確な線で国民に訴え、そして世論をさぐろうとするか引っぱろうとするか、そういうことはお考えになっていますか。ということは、よく新聞では中国政策の転換を参議院選挙前に何か決定して、その場を通じて国民理解協力を求める、また政党との争いの議題にするのだということが出ております。したがって、沖繩問題に対して何か国民に訴えるとか、うまくいけば国民の支持を得たというふうに選挙後言うかもしらぬ、勝てば。負ければぺちゃんこですが、勝てばそう言ってもいいんでしょう。そういうことをする用意があるかどうか。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま沖繩問題メイン・イッシューにして選挙をやっていくという考えはございません。沖繩問題に対する自民党政府見解を述べて、選挙に対して、沖繩問題に対してはこういう考えであるということを述べて理解は求めますけれども、これを選挙メイン・イッシューにして、森さんが御指摘になるように、選挙でこれをメイン・イッシューにして、国民の結果がこういうふうになったんだからといって沖繩問題解決にこの参議院選挙を利用するという考えはありません。また、積極的に特に選挙を有利に導くために特別な沖繩に対しての政策を出して、そして参議院選挙にこれを有利にしようというような考えはございませんから、その点はフェアな選挙をやる考えでございますから、候補者の森さんもどうぞ御心配なく選挙を争っていただきたいと思います。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 それはただ安保条約の堅持、沖繩返還は悲願だという題目だけでは、これは絶好の機会をのがすのですね。それに大きな方針すら立っていないというのは、私は自民党政府としては怠慢と言われてもしかたがない。絶好のチャンス、しかも、一両年になってきた今日、大きな線を出していかないで古い題目ばかりでは国民は盛り上がりませんよ。私は、まあこれは官房長官でも呼んでこなければ事情わかりませんので、これ以上お尋ねいたしません。     —————————————
  22. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  長谷川仁君及び笹森順造君が委員を辞任され、その補欠として小柳牧衛君及び大谷贇雄君が選任されました。     —————————————
  23. 羽生三七

    羽生三七君 先日もお尋ねしたことだし、いま森君の質問お話がありましたが、外交相手のあることですから、日本はこうだと最初から大前提をきめてかかるようなことはしないというお話でしたが、それはある程度わかりますが、しかし、いやしくも沖繩返還というような重要な問題について、何も日本の基本的な方針がなしに漫然と懇談に入るというようなことは私はおかしいと思う。日本考えておる返還の方式というものを提示して、これに対してアメリカがどういう考えを持っているか、そこから話し合いが始まらなければ私はおかしな話だと思うのです。それは外交ですから、相手があるから、私は結果としてどうなるかそれはわからぬということは承知しておりますよ。しかし、出発点はそういうことでなければおかしいじゃないですか、これは。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政府考え方というものが全然ないということでは交渉にならぬですけれども、いま言ったような日本政府の基本的な考え方、ことに基地あり方などに対しては日本はこういうふうに考えると、こういう方針をきめて交渉ということにはなかなか立ち至らないと思います。しかし、まあ話し合いですから、何も政府考え方も何もなしにということはできませんから、いろいろ政府考え方は述べましょうけれども、いまやはり国民が一番関心を持っている基地あり方について、ここでもう結論を出して、日本政府方針はこうだと、こういうことで日米沖繩返還に関する協議に入るということは、そういうところまではいかぬということでございます。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると結局、先日もお尋ねしたことですが、極東情勢全般についてアメリカ検討をして、その検討の結果によって基地態様もきまる、こういうことですか、一口に言えば。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 基地は、政府が従来言っているのは、極東情勢、それから軍事科学進歩世論動向、これの三つを、一つ基地あり方について政府が考慮するときの——考慮するほかにいろいろありましょうけれども——重要な考慮のこれが要件であるということを申し上げているので、そういう考え方はいまも変わっておりません。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 これは世論動向はおよそわかっていますね。それから科学技術進歩発達も、これは一両年に革命的な大変化が起こるはずもない。若干の進歩はあるでしょうが、大変化があるはずはない。ベトナムは漸次、時間はかかっても平和の方向に向かっておる。そうなれば日本の腹はきめていいじゃないですか。いまの三つ要素をいつも出されますけれども、それはもう繰り返すようですが、世論動向はおおよそきまっている。科学技術発達は一両年にそんな革命的変化はない。ベトナムはほぼ平和に時間がかかっても向うであろう。それならば、日本はこうあるべきだというものは出してもいいじゃないですか。出さないとすればおかしな話ですね。それだから極東情勢全般を見て、なおかつ、ベトナムが片づいても極東情勢に関連をして基地態様もきめていくというその問題、そういうことになる可能性がありそうな気もするのですが、どうですか。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま言った軍事科学の点、世論動向なともいろいろ——世論動向などもこれを示唆するような世論調査などにもいろいろありますけれども、しかし、もうこれがきまってしまった、極東情勢だけだ、軍事科学ももうきまってしまった、そう断定も私はできない。やはりこの三つ要素ということを頭に入れながら、ある時期が来れば日本政府方針はきめるべきでしょうね。最初の第一回の会合にこちらからきめて、旗立ててこうだというようなところまではいかないということを申し上げておるのでございます。時期が来れば、日本方針をやはりきめることが、ある適当な時期が来れば、適当だと思います。その考え方は私も否定しないのです。しかし、近く数日後に始まろうとする第一回会合には、まだこうだと言って旗を立てて交渉に入るのは適当な時期だとは思はない、こう申し上げているのです。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 たとえば、第一回の会合はどういうことから始めるのですか。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは相手もあることですから、こっちの思いどおりにいきますかどうか。しかし、いま森さん、羽生さんが非常に関心をお持ちになっている極東情勢一般検討ということも、これは話し合い一つの重要な項目になることは明らかだと思います。
  31. 森元治郎

    森元治郎君 もちろん、これは交渉ごというのは本気になるというのは、やはり小さいことから大きいところに入っていくという交渉はあまり大ものの交渉じゃないのです。でかい交渉はでかい原則から始まって小さい交渉にいく。今度は時間つぶしみたいでもあるし偵察的な交渉でもあるし、何か場つなぎ的、そして相手を打診するような変なへっぴり腰のおかしな交渉。それはアメリカは何も言わないと思うのです。こうやるつもりだと言わなければ、合理的なアメリカ人はそういうことはない。ちょうど日本人が、会えばお天気の話なんかして二、三分費やすようなことをしますが、向こうはあの件でと来ますからね。外務大臣は、まあひとつ大から入ってくださいよ。
  32. 黒柳明

    黒柳明君 一問関連して。最近の沖繩様子を、要するに、外務大臣どのように評価されるかを私は聞きたいのですが、軍労務者のストがございました。当然従来の米軍ですと相当の処分をするかまえを見せなければならなかったわけですが、すぐその翌日には賃上げの方向に、さらに労務者のほうに有利なほうに向かいましたが、アンガーもその前にはワシントンに行って団体交渉権を取ってきたというようなうわさもありますし、今度は米の民政府の建物も基地内に入ったと。これは従来からそういうことを言われておったのですけれども、そういう体制になった。さらには、主席公選から立法院の選挙——主席公選も従来からの要望であったのですけれども、今度は相当与党のほうは不利じゃないかということで主席公選というものを目の前にやらなければならない。一連の様子を見ますと、何かアメリカが、時の流れといいますか、世論動向といいますか、いまさんざん言われましたその動きアメリカ自体が何かつかんでいるような気がするのですけれども。要するに、もう施政権返還しなければならないのじゃないか、まあ基地の問題まではともかくも。このような評価も下されますし、私もそれが妥当じゃないか、こういうように思うのですけれども、大臣はどうです。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は森さんのきのうですかの質問にもお答えをしたわけですが、二十三年という年月は長過ぎる。よその国をいわゆる他民族が支配する年限としては長過ぎる。ここにいろんな問題が起こってくる可能性を持っている。だから、だれがどうということじゃなくて、この二十三年という期間を通じて人心の大きな変遷のあったということを、これはアメリカ日本もそれを自覚して、この沖繩施政権返還の問題というものの話に入る出発点にしなければいかん、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  34. 黒柳明

    黒柳明君 それが二十三年の過去の問題じゃなくて、現時点においてそういう返還が非常に表面にクローズアップしてきた。一つ、二つ、三つ表面にあらわれてきた。そのこと自体が、要するに、アメリカとしても、この時の流れには勝てないのじゃないか、暗黙のうちに、まあ施政権ぐらいは返したほうがいいんじゃないか。このようなことも、一つ話し合いがあったかどうか、これはわかりません。あるいは官房長官個人発言かなんかわかりませんけれども、あるいはもしかするとそういう話があったのか。あるいは官房長官そこらあたりを察しての発言であるのか。ともかく私はそういう動向というものをアメリカが的確につかまえているのじゃないか——当事者ですからね、向こうは。そうすると、今度は日本政府の場合、例のベトナムと同じように今度もおくれをとるようなことがあって、いつまでも主導権を握らなければならない日本政府が何か遠慮がちで、それでいつまでも白紙だと。外務大臣も中国問題や何か積極的に発言されていますけれども、この問題を、思い切って沖繩問題についても、官房長官以上に思い切った発言をされるぐらいの雰囲気がもう必要じゃないかと思うのですよ。アメリカのほうがそういう動向であるということは、これはもう私も内々伺っていますし、官房長官発言そこらあたりをキャッチしているのじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや、アメリカ自身も、この問題をただ時間かせぎということでなくして、真剣に施政権返還という問題を話し合おうというアメリカの態度だと思います。したがって、これで、近い将来において沖繩施政権返還という問題というものはやはり解決一つの機運が生まれつつあるというふうに私は見ておるわけでございます。
  36. 黒柳明

    黒柳明君 官房長官の言った、来年の六月ごろ総理が行ってそこで話し合いということは、外務大臣考えられませんか。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはは、いま申されたように、総理がこの間行かれたときは、ただ両三年とかという抽象的な共同声明になっておりますから、あれを具体化する方法が日米間に講ぜられなければならぬことは当然であります。それはどういう形をとるかは別として、日米間のこれは事前協議が相当煮詰まっていくでしょうから、そこで、日米間で話し合うという場面がなければならぬ。そいうことでないと、めどをつけるということの、めどをつける場合において、そういう段階が必ず来ることは明らかでございます。
  38. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つだけ。  何か安保の事前協議に関連して手直しを考えなければならぬことをいわれている向きもあるようですが、一応問題になっているのは、いま自動延長か、固定延長かということだけなんですね。だから、一九七〇年の時点で何か手直しということを考えるようなことの動きがあるのか。問題の自動延長か固定延長かということだけに問題を限定されておるのか、その辺はどうなんですか。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま自民党の中でも安保調査会というのがありまして、いま検討を加えておるわけでございます。その党としての検討を加えておる結論も、これは当然に、いつであるかわかりませんが、結論も出てまいるでしょうし、そういうことで、一九七〇年以後の安保条約というものに対する自民党の態度というものがきまることになる。しかし、大きな流れは、一九七〇年以後においてもこれを存続するということは、自民党の大きな流れでございます。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 それはもうわかっているのですよ。自民党がいますぐ安保を解消しようと思っていないことはよくわかっているのですが、大局的に、存続はこれはわかっているのですが、その場合いつも論議になるのは、自動延長か固定延長かだけですね。ですから、いろいろな問題が十年間に起こっておるので、その時点を踏まえて、自民党としては何らかの手直し、つまり自動延長か固定延長かだけでなしに、いまの手直しというような条件も場合によったら起こり得るのかどうか。これは外相のお考えでもいいです。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自動延長ということばもおかしなことばだと私は思っております。自動延長というふうに、まあしかし一九七〇年、じいっと置けば、そんなに有効期限というものはないのですから、安保条約は続いていくわけです。そういう形がいいではないかという意見が相当に多いことは事実です。しかし、自民党の中にも何か固定論者がないというわけではなしに、そういう意見の人もおられると思います。そこで、やはり党としても、一九七〇年後の安保というものに対して、党の意見もひとつ調整しておく必要があるということで、安保調査会というものでこれを検討を加えておるわけでございます。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと外相誤解しておるようですが、自動延長か固定延長かという議論に固定しておるけれども、十年間の変化を踏まえて何か事前協議条項等にも関連をして手直しするというような考えもあるのかどうか、その点をお尋ねしておるわけであります。そういうことも起こり得るのかどうかということ。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一九七〇年が来ても、何も、そのままでいいのではないかというのは、これは改正論ではないのです、これはね。しかし、固定しようということになれば、これは改正になるわけですからね。条約の改正。だから、改正論者というものの中にはいろいろなことを考えている人もおるかもしれませんが、そのままでいいではないかというのは改正論を伴っていないというように、われわれは受け取っておるのでございます。
  44. 森元治郎

    森元治郎君 魚に入るのだが、ニュー・ジーランドとの条約だが、これは一言に言えば、七一年から操業ができなくなる。無期限にできない、ただ、それまでの間は魚はとらしてもらえる、こういうことかね、ポイントは。
  45. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) ニュー・ジーランドとの協定は、まさに先生の御指摘のとおり、七〇年までは操業の継続が認められ、七一年以後は日本の操業が禁止されるという取りきめでございます。いままで漁業水域の取りきめによって国家間で締結いたしましたこの種の漁業協定の中では、過去の実績に基づきまして操業の継続を認める。しかし、無期限に認めるという定めをしておるものはいままでに欧州条約があっただけでございまして、この欧州条約と申しますものは現在八カ国が入っておりまして、実績は十年間、一九五三年から六十二年までの実績を限って操業の継続を認める。それ以外の各種の漁業協定では、いままで約十五でございますが、その中では、みんな三年ないし十年の操業の実績の継続を認めるという定めになっておりまして、日本の場合ば、たまたま一九六三年に試験操業に入って六四年、五年と二年間だけの実績がある。六六年からニュー・ジーランドの国内法が制定されましたので、実際には実績は二年間だけしかなかったんです。その後六六年から計算しますと、五年間の七〇年まで操業が認められるということで、実績二年に対して五年の操業を認められるということでございまして、各種の国際慣例と比較しまして決して無理でない取りきめであるというふうに考えております。
  46. 森元治郎

    森元治郎君 少し芸がないと思うのは、自分であの辺のタイの漁業を開発してやって、ニュー・ジーランドも食べてみたらうまいなんて言って、このごろニュー・ジーランド人も食べ始めて、そして、じゃまになったので帰ってくれ、これで、ああそうですがと言って条約を結ぶのは、これはあほうだと思う。もっと、ああでもない、こうでもないとずっと延ばしていって、牛がいるか馬がいるんだか知らぬが、何か買ってやって、もうとれません、とらせませんなんという条約をぬけぬけと結ぶというのは私は芸がないと思うんですが、どんなものですかね。
  47. 森沢基吉

    政府委員(森沢基吉君) この前もお答え申し上げましたが、ニュー・ジーランド自体漁業につきましてはいわゆる後進国でございますけれども、沿岸のタイにつきましては、かなり前から小型のトロール漁業が地元にございまして、約八千トンほどのタイを漁獲をいたしております。日本の漁船がいわゆる母船式はえなわ漁業ということでこの地域に入りまして漁業を開発いたしましたのが一九六三年以降でございますが、むしろ地元の漁業としては向こうのほうが前からとっております。ただ、最近日本のやはり漁業の進出等に刺激をされまして、ホリオーク首相が、議会等におきましても、もっとニュー・ジーランド政府ニュー・ジーランド漁業開発を促進すべきであるという強い要請が議会から出ておるということも事実でございますが、タイにつきましては、むしろ向こうのほうが早くとっているというのが実態でございます。
  48. 森元治郎

    森元治郎君 ただぬけぬけともうとらせませんという条約でしょう。もうとらせない、やむを得ません、再来年の終わりまでとらしてくださいと、こういう条約をぬけぬけと結ぶのはたるんでいると言うんだよ。これはやっぱりもう少し、ああでもないこうでもないと引き延ばして、その前にオーストラリアが日本人ぎらいだったがこのごろよくなってきた。フード・センターができたから食いに来てくださいなんて招待状が来ている。昔、われわれはオーストラリアといったら好きじゃなかった。ニュー・ジーランドだって、あそこにはウランがあるかもしれない。何があるかわからぬ。一緒に投資をやって商売をやるということのその見返りとしての魚をとるという努力が足りない。少し短気だと思う。  それはそれとして、それでは外務大臣に伺いますが、ちょっとこうやって魚をとり始めると五年間で終わり、あとはとれません、ニュー・ジーランドは。それからメキシコのほうは、協定のあとは不安定。アメリカはバートレット法でタラバガニの暫定取りきめで、二年か何かで変わっていくというたびごとに漁獲量が減っていく。日ソ交渉でもだんだん魚をとる範囲が狭くなり種類も狭められてくる。攻められる一方なんですね。そうすると、外務大臣は太平洋漁業条約構想なんというのをどこかでぶったことがあると思うのだが、そのでかい構想はこの事態にどういうふうに対処する構想なんですか。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はこの漁業問題というのは国際紛争の種になっておると思うわけです。だから、これがもう少し広地域にわたってある程度安定した漁業ができるような条約のできることがいまでも理想だと思っております。太平洋地域全般に通ずるような漁業条約というものができて、各国の漁業問題というものがそういう平和的秩序のもとに解決されれば好ましいと思っておりますが、まだどうもそういう機運が熟してこないものですから、各国ともいま、たとえば漁業専管水域の、漁業水域の問題にしても、みな各国がそれぞれ自己主張をしまして、国際的に一つ協定をつくって、お互いの漁業というものをもう少し安定した基礎の上にのせるという機運にまだなってこないわけでありますから、いま太平洋地域というような広い範囲の漁業協定というものが現実に具体化するような状態になっていない。しかし、理想的に言えば、私はそういうものができるべきだという考えは今日も持っておるわけでございます。
  50. 森元治郎

    森元治郎君 これを関係国に呼びかけてはおらないわけですね。
  51. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろ打診をしてみましたけれども、そういうふうなマルチラテラルな漁業協定というものを結ぶ機運にはまだなっていないというような判断でございます。そういうことで、これを進めていっても無理だという考え方です。
  52. 森元治郎

    森元治郎君 とるのは日本ばかりで、あとは漁業の後進国ばかりで、カヌーに乗っかってやっているのですから、小規模な、気の毒になるくらいのものですから、太平洋漁業条約にみんな入れと言ってもなかなか入り切れないと思う。これはだんだん狭められてくる。ことにソビエトは三陸沖から茨城県の沖まで見える銚子のほうまで下がってきている。そうして領海接続水域、フィッシング・ゾーン、そういうところはうかうかしていられない。日本でもある程度みずから線を早く引っぱるような作業を開始していなければならないような事態に追い込まれていると思うのですが、どうですか。そこまではまだ考えておりませんか。
  53. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) これは日本自体がそのような漁業水域を設定するということになりますと、その波及する影響というのは非常に大きなものだと思います。現在は、日本は韓国との間には専管漁業水域を設定しておりますが、それ以外の国とは日本漁業水域を持っていないという法的立場にございまして、もし日本がかりに漁業水域を設定して外国漁船の操業を排除するということになりますと、これはたいへんなことになります。日本が現在まで締結している、また、締結に努力をしているそういう漁業協定自体がむずかしくなる、そういうふうに考えます。また実際問題として、先生御指摘のようなお話でございますと、現在日本の周辺十二海里の中で外国漁船が操業をしているというようなことは現実問題として起こっておりません。もしそういう問題が実際起こるようになれば措置しなければならないというふうに思います。
  54. 森元治郎

    森元治郎君 魚の関係はどうしても業者まかせになる傾向が昔から多いのですね。だんだん世界は狭くなってきますし、国際間のトラブルは、遠洋漁業における大企業の進出で問題が起きて日本が後退するようなことばかりになる傾向にあるんですね。だから、こういうことも政治家としても大局を考えて、業者の自主的責任も相当あるんですが、業者の規制、自粛ということは徹底してないと思うんですよ。おそらく十二海里といったって、中に入って行ってやっているんだろうと思うのです、悪いけれども。これがだれも知っていて、しかも知らないふりして外交交渉やっている。外国では資料を山ほど持ってきて突きつけられている。これの連続が日ソ交渉であったり、ニュー・ジーランドでもそうだと思うのです。ということは、この条約の第二条に関する交換公文があるでしょう。これだって、日本漁船に対する違反の取り締まり権というものは日本に認められている。第一次的責任が日本にあるのか、こういうふうに、何か取り締まりされるような事件が予想され、また実際にあるためにこういうものが交換公文にあると思うんだな。だから、業界、業者というものの自粛もはかりつつ各国と交渉する。ことにインドネシアなんかの場合には、あの多島海をみんな線引っぱって入らせないというむちゃなことをやっている。これをひっくり返すにも、こっちのマイナスが突っ込まれないだけの資料はきちんとやっていかなければ、私は漁業はどんどん追い込まれてくると思います。どうですか。
  55. 森沢基吉

    政府委員(森沢基吉君) いま先生のおっしゃいましたことは私たちも全く同感でございます。あらゆる国と漁業交渉やります場合、あるいは条約による年次会議をやる場合、いろいろ日本の漁船の違反操業問題が議論をされるわけでございます。われわれといたしましては、いわゆる違反者に対しましては漁業法の規定あるいは省令上の規定によりまして、行政処分なり司法処分なりを厳格に行なうという態度でいきたいと思いますし、さらに業界自体も、最近は世界の情勢につきましては、以前と違いまして相当目を開きまして、国際協定というものはわれわれ自身がまず順守をしなければならぬという気分が、強く遠洋漁業方面については起こってきたという傾向がございますので、今後も水産庁といたしましてはこの指導は強化していきたい、こういうふうに考えています。そうでなければ、先生御指摘されますように、国際競争において非常に不利な立場に立つという事態が起こると思います。
  56. 森元治郎

    森元治郎君 メキシコの条約、一言で言ってもう一回補足説明してください。
  57. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) メキシコとの漁業協定の内容は簡単に申しますと、今後五年間、つまり一九七二年の末までの間、太平洋岸の一定の水域におきまして、日本の実績のある水域におきまして一万五千五百トンのマグロを捕獲することができる、漁獲することができるということが協定の内容のおもな定めでございます。したがって、協定の有効期間も五年間というふうに定めておりまして、七二年の期間の満了する前に、さらにその後の取りきめにつきまして別途打ち合わせをするという態度でございます。なお、メキシコにおきましては、メキシコの漁業水域法によりまして、五年間に限って外国で実績のある国については操業を認めてよろしいということになっておりまして、現在のところ政府としましては、五年間の協定しか締結できないという立場にございますので、将来五年の期間の満了する前に日本交渉するということになります場合は、当然メキシコ側の国内法が変わらなければ、そのような交渉を再び行なうことはできないという関係にございます。
  58. 森元治郎

    森元治郎君 なかなか再交渉はむずかしいだろうな。どうなの。
  59. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) これはわかりませんが、現在実績のある国はアメリカ日本でございまして、アメリカ日本と同様な協定を結んでおります。五年間の期間でございます。日本も五年間ということでございますので、これは日本の問題だけでなくて、アメリカも当然同じような関心を持っておりますので、これからの推移いかんにはよりますけれども簡単ではもちろんございません。メキシコも、五年間と申しますのは、当然現在の時点におきましては五年間しか認めないという立場でございましょうから、これからの日本の操業の実績及び米国の操業の実績及び日米両国のメキシコに対するいろいろな工作によってメキシコ側の態度も変わってくる可能性があるということでございます。
  60. 羽生三七

    羽生三七君 先ほど森委員がこのニュー・ジーランドに関連した際に述べられたことは非常に結論的に重要だと思うのですが、日本が公正な漁業に従事しているにもかかわらず、相手国との間の純然たる競合で規制が強まっていくのか、あるいは日本にいろいろな意味の行き過ぎがあって、つまり自粛的な要素があって漸次こういうふうになっていくのか、各国がこういう制限措置をだんだん強化していくことになったのか、その点は私非常に重大な問題だと思うのです。ですから、その点、もし公正な立場をとったにもかかわらず、なおかつ、次から次と制限をしてくるようなことがあれば、これは国際的にまっこうからあらゆる日本側の主張を突きつけて相手側に譲歩を迫ることができると思うのですが、その辺が日本側に弱みがあると非常に問題なので、その辺どうなのか聞かしてください。
  61. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 私ども、この漁業水域の問題に関しましては、この前も御説明いたしましたとおり、支配的には、やはり海洋法会議におきまして領海の幅員を定めるいろいろな提案があったときに、領海の幅員を六海里とし、その外側にさらに六海里の漁業水域を設けるという、いわゆる米加共同提案というのがございまして、これが非常に多数の支持を得ましたけれども、最終的にはこれが破れました。そういうものが契機になって、海洋法会議以後、各国が非常にこの漁業水域というものを、十二海里の幅員を定めた漁業水域というものを国内法において制限する傾向を強めてまいっております。したがって、動機といたしましては、日本の海洋漁業、遠洋漁業が動機となってそのような傾向が生じてきたというのでは必ずしもなくて、一般的に領海の幅員の拡張、あるいは漁業に関する沿岸国の排他的管轄権の主張というような、そういう主権上の要求の配慮がございまして、これが契機となってそういう一般的な慣行が生じてきているのが現状でございます。日本はそのようなあおりを受けておるわけでございますが、日本といたしましては、そのような漁業水域というものを全然否認するというものでは決してございません。国内法によって一方的に設定しこれをすべての外国漁船に適用するということはこれは国際法上認められない、しかし、実績のある国については実績を認める、そういう協定締結することによって、その相互間に漁業水域というものを認めるということであれば、これは国際法上差しつかえない、そういう若干柔軟な態度でございます。したがって、現在日本といたしましては、そのような意味での漁業水域は漸次国際法上慣行として固まりつつあるというふうに考えております。これはどこにも成文法規としてはございませんから、発端といたしましては、先ほど申しましたとおり、海洋法会議において具体的に提案があった、これを基礎にそのような傾向が生じてきておるということでございます。もちろん、他の動機といたしまして、日本の活発な遠洋漁業が多少の動機になっているということもございましょう。それは否定できませんが、一般的に支配的な要因といたしましては、この海洋法会議における米加共同提案というものが骨子になっておるというふうに考えております。
  62. 羽生三七

    羽生三七君 じゃ、逆に、日本の近海に諸外国の漁船が近接して何か問題が起こって日本側から問題を提起したというようなケースはあるのですか。
  63. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) 日韓漁業協定におきまして、日本と韓国と両方の間で漁業水域を十二海里として定めるという定めをしております。これは、日韓間におきましてはそういう紛争をこれによって避けようということでございます。それ以外の国につきましては、ソ連の船がかなり近接して試験操業等のことをやっておるということは聞いておりますけれども、まだ十二海里の中まで入ってきておるということは全然ございません。これは将来の問題でございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、もしそのようなことになれば、日本としても何らかの措置をせざるを得ない、かように考えております。
  64. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本国ニュー・ジーランドとの間の漁業に関する協定締結について承認を求めるの件を議題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  67. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  メキシコ合衆国領海に接続する水域における日本国船舶による漁業に関する日本国メキシコ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  68. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって、全会一致をもって本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  70. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び  原子力平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  71. 森元治郎

    森元治郎君 大和君がだいぶ一生懸命原子力をやりたいらしいから、その前にちょっと時間があいているから聞くのだが、説明だけしてください。これは政府委員にお願いします。それは十条と十一条だけを特に説明してください、日米のほうの。
  72. 重光晶

    政府委員(重光晶君) 日米の十条、十一条は、これはいわゆる査察に関連した問題でございまして、十条から申し上げますと、十条A、Bと分かれておりますが、まず重点的に申し上げますと、Aの(2)に、日本アメリカから供与を受けた特殊核物質等が軍事的目的に使用されないことを日本が保証しております。  それから、次の(3)は、日本アメリカからもらったそういった物質を、アメリカと特に合意してほかに移す以外は第三国には移さない、こういうことでございます。  それから、Bはこれのうらはらでアメリカ側の保証の問題でございますが、Bの(1)において、アメリカ側は、これは核物質は大部分アメリカから供給を受けるのでございますが、それから生じたいろいろな関連物質をアメリカ側日本から渡す場合に、そういった核物質等はアメリカアメリカの軍事目的に使用しないということを(1)に言っているわけでございます。  それからまた同様に、日本からアメリカに移されたそういった物質も、日本政府が同意した場合以外は第三国等に移さない。したがって、AとBは、これはアメリカ側の義務と日本側の義務と両方が書いてあるわけでございます。  十一条は査察そのものの問題でございまして、これは査察のこまかいことがここに書いてありますが、これに関連して、ことにBでございますが、この十一条は、アメリカが査察をするのであって日本が査察するというたてまえになっておりません。それはアメリカ日本との関係では、実際上日本アメリカから核物質あるいは原子炉その他に関する情報をもらう、そのための協定でございますし、元来、この協定の目的そのものが日本の現在持っております原子力発電計画に合わせた燃料を長期にわたってアメリカに供給をコミットさせる、そうしてそれに対して日本はそれを買うことをコミットしない、こういうための協定でございますが、それに関連して、アメリカが、日本側が軍事目的にそれらを使わないということを査察するというのがこの十一条のBでございます。それでこの内容は、これは現行の規定に比べますと多少査察がゆるくなっておりますが、この問題でいままでもいろいろ問題になりましたのは、この査察というのは協定において書いております。また、現行の協定でもそうでございますが、これも協定に基づいて実際上はアメリカの査察を受けていないのでございます。それは、アメリカ日本とそれから原子力機関と、この三者の協定によりまして、アメリカの査察を実は原子力機関に移管しておるわけでございます。そういう複雑な実情でございますが、この原子力機関によって現実に受けておる査察と、それからこの協定に書いてある査察と、これは字句の上で多少出っぱり引っ込みがございます。と申しますのは、大ざっぱに申しますと、原子力委員会の査察は、査察の技術的なことから申しますれば、わりあいに寛大な査察と申しますか、そういうものでやっておるわけでございます。これが現状でございます。ところが、この協定によって、将来核防条約が成立し関係国がこれに参加しますと、御承知のとおり、核防条約では原子力機関と条約参加国が協定を結びまして一般的な査察の制度を確立して、核防条約参加国がすべてその査察を受けるということになっております。したがって、日英協定でもそうでございますが、この日米協定でも、将来それができた場合には実際上の査察はそちらのほうに科す、そうして必要ならばこの十一条は改定する、こういうたてまえになっておるわけでございます。  簡単に申しますと、さようでございます。
  73. 大和与一

    ○大和与一君 私は前段としてプルトニウムのことを聞いて、それからその次には核の平和利用の国際的視野に立ったあらゆる角度からのお尋ね、それから第三には法案の内容に盛り込んだやや具体的なものに対するお尋ね、こういうふうに分けてお尋ねしたいと思います。  プルトニウムについては、最近日本の原子研力究所で純度の高いプルトニウム十八グラムが生産されたということですが、私に説明するのじゃなくて、国民にわかりやすく、それは一体どういうことか、そういうふうに御説明をいただきたいと思うのです。
  74. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 御説明を申し上げます。  プルトニウムは、ウランの燃料を原子炉に入れまして燃焼させました結果、そのウランの内部に新しく生成されます原素でございます。これを再処理という処理の工程を通じまして抽出をいたしまして、新たな分裂性の燃料として平和目的に活用しよう、こういうことでございますが、そのプルトニウムを燃料として実用化するにはまだ研究をしなければならない点が残っておるわけでございまして、現在日本におきましては、まず原子力研究所におきまして、再処理の施設の非常に基礎的な試験装置をつくりまして、先年来その基礎実験をやっておりましたところ、先般、新聞にも報道されましたごとく、十八グラムのプルトニウムが試験的に生成された、こういうことでございます。そのプルトニウムを得たもとの燃料は、国産一号炉と称します一万キロワットの国産でつくりました原子炉があるわけでございますが、その中に入れて燃しましたウラン燃料の中から抽出したものでございます。で、この抽出の一番の目的は、そういった再処理の基礎的技術を身につけるということを主眼にいたしておるわけでございますけれども、できましたプルトニウムはわずかではございますけれども、これを今後の研究用に使うことはもちろんでございます。
  75. 大和与一

    ○大和与一君 そういう答え方じゃなくて、国民はこれができたことによってどういう利益を受けるか、国が世界の国々の中に並んで生きていく場合にどういう利益を受けるか、それから、平和についてはそれがどういうふうに貢献するか、こういうふうな言い方を国民に向かってわかるように言ってもらわぬと、ぼくなんかもしろうとだから、だんだんわからなくなりますから。
  76. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 原子炉の中でできましたプルトニウムを将来の新しい原子炉——高速炉というものに使えるようになりますと、現在日本で建設されております原子力発電所の使い方よりは百倍以上の燃料の使い方で効率化するという問題がございます。具体的に申しますと、現在動いておりますタイプの原子炉では、ウランの中に含まれている〇・七%程度のものしか有効に使えないものが、ほとんど理論的には一〇〇%まで使い得るという技術的な進歩ができ得るわけでございます。そういう時代になりますと、その時代の原子炉というものは全部高速炉ということになるわけでございますが、現在その高速炉の開発というものを、去年できました動力炉・核燃料開発事業団というところで自主的に開発すべく現在せっかく努力中であるわけでございます。それらに使います量というものはグラム・オーダーでございませんで、相当の多量な量になるわけでございますけれども、したがいまして、今回できました十八グラムと称しますのは、量的には問題にならない量でございます、その意味から申しまして。しかしながら、日本でも自力で使用済み燃料の中からプルトニウムを抽出する技術が基礎的に確立する一歩を現実に示した。こういう意味におきまして、今後のわが国におきます再処理技術の確立、ひいてはプルトニウムの有効利用の技術の確立に対しまして非常な自信を得たという意味で大きな意義があると思いますし、現在までは、プルトニウムは研究用といえども外国から輸入しなければならない。現にいまお願いをいたしておりますこの協定の中にも、今後数年間の使用量として三百六十五キログラムのものをアメリカに期待しようとしているわけでございますが、将来は、日本の原子炉の中からできますプルトニウムを順繰りに循環をいたしていきまして、できるだけ早く自立的な燃料のサイクルを確立するというのが原子力計画のねらいである、それの端緒という意味でございます。
  77. 大和与一

    ○大和与一君 やはり原子力局長という肩書きのような答弁でつらいけれども、まあいいわ。それじゃ、いまお話しになったような内容を持っている国ですね、これは世界でどのくらいありますか、全部でなくてもいいけれども。
  78. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) アメリカ、イギリス、フランス、ソ連、中国等は、かねてからそういう技術が確立されておりますことは御承知のとおりでございますが、そのほかインドでありますとか、イタリー、ノルウェー等におきましても、小規模ながらそういう技術があると聞いております。
  79. 大和与一

    ○大和与一君 原子力の平和利用ということに徹するということと、国際査察を進んで受けるということは、日本のいまのいわゆる原子力憲法というか、非常に積極的にお話しされていると思うのですが、これは日本が世界で一番目に言っているのか、あるいはこの内容を政府はどういうふうにそれを押し進めていく、早くもっとりっぱにしていく、こういうふうな心がまえはどういうふうになっていますか。
  80. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) わが国におきましては、御承知のように、原子力開発の当初から、原子力基本法に基づきまして平和目的に徹して開発研究が進められているわけでございます。したがいまして、いま問題にされておりますプルトニウムにつきましても、これをすべて平和利用——具体的に申しますと、先ほど申し上げました高速増殖炉でありますとか、あるいは新型転換炉に入れて燃料として使用する、こういう方針になっているわけでございます。
  81. 大和与一

    ○大和与一君 このプルトニウムは、原爆にも原子燃料にも使える非常に危険なものなんですね。それを平和利用に使うということになれば、その原爆に使えるという危険性ですね、それは一体どういうふうにして防ぐか、どういうふうなことを考えているわけですか。
  82. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 具体的に、いま申し上げました原子力基本法に基づきましてできております原子炉等規制法がございまして、プルトニウムはもちろんのこと、濃縮ウラン等につきましても、これを使用する者はすべて政府の許可を要することになっております。また、それからできましたプルトニウム等につきましての処分等につきましても、すべてこの法律によって規制されることになっておりまして、その許可を与える際には、許可条件として、平和目的に限られるべきこととか、あるいは原子力の計画的開発遂行に支障がないこととかいったような観点から判断されることになっております。
  83. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、原子炉の中でウランを燃料として燃やすときに、その灰の中にひとりでにたまってくるわけですね。そうすると、発電用であっても、研究用であっても、原子炉さえあればプルトニウムはできる、こういうことですか。
  84. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 原子炉の中で使用された場合には、自動的にその中にプルトニウムが発生することは、お話しのとおりでございます。しかし、このプルトニウムを再び使えるように安全に抽出するためには、再処理工程という相当技術的にむずかしい工程が要るわけでございます。これは現在、先ほど引用いたしました原子炉等規制法によりまして動力炉・核燃料開発事業団のみがこれを行なう、こういうことになっておるわけでございます。原子力研究所におきます先ほど申し上げました基磯研究は別といたしまして、そういうことになっております。
  85. 大和与一

    ○大和与一君 プルトニウムが原子燃料になるといっても、そう簡単に使えるものじゃないようですね。うっかりすると爆発するかもしれない。一体なぜそういうことが起こるのか、それをどうして防ぐのか、一体、損害を与える範囲、力というものはどれくらいな被害を与えるか、こういうことをお聞きしたいのです。
  86. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 純粋なプルトニウムがある一定量集まりますと自動的に連鎖反応を起こしますことはお説のとおりでございますが、それを起こらないようにするために、再処理工場あるいは加工工場等につきましては、いわゆる「臨界管理」と技術的なことばで申しますが、その設備のあらゆる工程におきまして、臨界を起こすような状態に絶対にならないような物理的な設計あるいはコントロールの規制をいたすわけであります。そのためにもやはり、先ほど引用いたしました原子炉等規制法等によりまして、許可の段階、さらには設計や工事方法の認可、それがそのとおりできているかどうかの政府による検査の段階等を通じまして厳重に管理することになっておりまして、自動的な連鎖反応、すなわち臨界状態に達することを防止いたしておるわけでございます。爆発等の危険性はないようになっております。
  87. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、日本ではきょうまでは、量にもよりますけれども、いわゆる爆発というようなことは一回もない、そういうことですね。そうすると、それは実際の燃料にするためにはウランとまぜ合わせる、あの手この手を使うといういまのお話の説明になるんですか。
  88. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 原子炉の中から取り出されました燃料からプルトニウムだけを抽出するという作業を再処理工程と申します。そのあとでまたウランとまぜ合わせたり、あるいはプルトニウムだけを使いまして燃料体をつくり上げるという加工工程が別途あるわけでございます。
  89. 大和与一

    ○大和与一君 いま日本にあるその発電炉は、もともとプルトニウムの燃料用に設計されたわけではない。だから、研究や練習のためにためしに一部ちょっと突っ込んでいるぐらいだと言うことができるんですか。
  90. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 現状はそのとおりでございまして、現在動いております炉あるいは建設中の炉は、すべて天然ウランとか濃縮ウランを使う炉でございまして、プルトニウムを使うことにつきましては、今後の研究段階が残っておるわけでございます。現在、動力炉・核燃料開発事業団で開発を手がけております高速増殖炉あるいは新型転換炉等はプルトニウムを使うことを考えておりまして、これに入れる燃料体の研究につきましても並行して行なわれております。
  91. 大和与一

    ○大和与一君 それから、本命は未来の発電炉といわれておる高速増殖炉ですかね、これであろう。それは一体いつごろできるんでしょうか。そして、それが実用化されるまでは、在来の発電炉または改良型、あるいは新型転換炉といいますか、こういうものを使ってやらなくちゃならぬ。その場合にも危険度は全くない、あとは高速増殖炉というのは、それがもう一つりっぱなものになるが、現在は少しも心配はない、こういうことですか。で、いつごろできるのか、高速増殖炉というのは。
  92. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 現在の計画では、高速増殖炉につきましては、実験炉を昭和四十七年度までにつくって、それから、それをもとにいたしまして、原型炉と称しますのを昭和五十一年度ごろまでに完成させるというのが目標でございます。それから新型転換炉につきましては、昭和四十九年度までに原型炉をつくる、こういうのが計画になっております。
  93. 森元治郎

    森元治郎君 ちょっと関連。  現在十三基建設中その他の在来型——軽水炉というのかな——これからつくるやつ、いま十三基持とうというやつ、これもプルトニウムを燃やしたいという努力はするんでしょう。
  94. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 本命はやはり先ほど触れました高速増殖炉等でございますけれども、それらが実用になるまでの間に相当プルトニウムが生成されるということが考えられるわけでございまして、高速炉が実用になる時期までの間に、在来のいわゆる軽水炉——いま森先生がお話しになりました軽水炉にもプルトニウムをまぜて使うことができれば、よりベターである、こういう観点からそういうことに対します研究も実はされております。プルトニウムのサーマル利用と称する研究がこれに該当するわけでございます。
  95. 大和与一

    ○大和与一君 濃縮ウランを必要としない炉というのが研究されておるとすれば、一体どういうものか。それは世界的にどういう国がやっているか。で、日本も同時に並行的にそのことも研究しつつあるのか。それは一体いつごろできるのか。
  96. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 濃縮ウランを必要としない原子炉の代表的なものが先ほど御説明申し上げました高速増殖炉でございまして、昭和五十一年度ごろに原型炉をつくることを目標にして、実用化はそれ以後になるわけでございます。
  97. 大和与一

    ○大和与一君 このプルトニウムがウランの灰の中にたまるけれども、実際は、天然ウランのうちで燃えるのは百四十分の一以下、九九%は燃えないウラン二三八であるといわれております。そうすると、それが原子炉の中でプルトニウムに変わる。だからプルトニウムをもう一ぺん出して再び燃料としてとことんまで燃やすことができれば、世界のウランの資源というものは百四十倍にふえるというふうに考えられる。それはいつごろできるのですか、こういうことも研究しているわけなんですか。
  98. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) おっしゃるとおり、理論的に高速炉が実用化されますと、百倍以上の効率化が実現する、こういうことになるわけでございますが、いま世界各国におきまして、その高速炉を将来の原子炉の本命と心得て鋭意研究、開発に努力している国は、米英ソ、フランス等がございます。それに日本が実は仲間入りをいたしまして、まあマラソンにたとえれば、現在その五カ国が先頭集団として走っておると言えるかと思いますが、まだどの国におきましても、いつになったら、ほんとうに実用化するかということにつきまして的確なる予想を立てているところはないのでございますが、まあ、わが国におきましては、先ほど申し上げましたように、今後約十年ぐらいの間に少なくとも原型炉を実現させまして、その成果に基づきまして昭和五十年代の半ばから後半には実用化に至らしめよう、こういう努力目標で進んでおるのでございます。
  99. 大和与一

    ○大和与一君 それはいまから急速にウランの需要が世界的に広がる、そうしてウランというものはそうたくさんないから、底をつくのではないか、なくなるんじゃないか、そういう心配があるのであります。それは一体ウランは現在どういうところにあって、そうしてどのくらいの量が、大体でいいんですが、あるのかということをお聞きしたい。
  100. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 現在ウランの資源はカナダ、アメリカ、濠州、南阿等に広くまたがっておるわけでございますが、現在比較的安く、要するに経済的にとれると予想される量は、世界で現在七、八十万トンである、こういうぐあいに現段階では言えると思いますが、これは将来の探鉱によりましてだんだんにむしろ拡大されていくものとわれわれは期待しておるわけでございます。残念ながら、わが国におきましては、探鉱の努力にもかかわらず、あまり良質のものがございませんから、海外に主として依存しなければならないと思いますが、その場合には主としてカナダ等の優良鉱山がさしあたっての対象になろうかと思います。
  101. 大和与一

    ○大和与一君 もう少しそれを具体的にどの国ということをちょっと教えていただきたい。
  102. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) おもなるウランの包蔵国を申し上げますと、カナダ、米国、南アフリカ、フランス等でございます。なお、オーストラリア等がこれに続いております。
  103. 大和与一

    ○大和与一君 そのほかにインドとかチベットあるいはソ連と中国の新疆ウイグル自治区はそれによって国境の争いがあるのじゃないかと思いますが、そういうことは書いてないですか。
  104. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) ソ連の資料は実は入手されておらないのでございます。
  105. 大和与一

    ○大和与一君 この原子力基本法第二条をきめる場合に、やはり政府としては世論動向を相当調査というか、それに十分気をつけて踏み切ったと思うんですが、そうすると、その世論動向をお調べになるには一体どういうふうなことをやっていたか。ただし、これには二つあると思う。一つは、核そのものがいけないという意見。二つには、たとえば東海村をつくる場合に、その地域の人がもし間違いがあっては困る、こういうことの反対。この二色あると思いますが、その辺の調査はどの程度徹底的にやって、これなら国民の信頼がある、こう思っておやりになったんなら、そのデータを示していただきたい。
  106. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 原子力の開発利用に関します計画の推進にあたりましては、原子力委員会を中心といたしまして関係各界に広く意見を求めまして具体的な計画をつくっておるわけでございます。先般も、今後の原子力開発利用に関します長期目標をまとめましたいわゆる長期計画なるものをまとめておるわけでございまして、原子力発電の開発あるいは動力炉・核燃料事業団によりまして、先ほど来申し上げておりますような自主開発の方針、あるいは原子力研究所におきます関連基礎研究の計画等が組み立てられておりますわけでございまして、そういう線に沿いまして行なわれるわけでございます。
  107. 大和与一

    ○大和与一君 これはやはり今後とも国民動向を確実につかんでおかなくてはいかぬから、たとえば防衛の問題、国防の問題、あるいは憲法第九条を中心にした憲法に対する賛成・反対の国民動き、あるいはまた、防衛についてはシビリアン・コントロールということをいわれておるんだけれども、これがほんとうにそのように具体的に動いていなければやっぱり日本の国は心配なんだから、そういうところまで配慮して、そうして常にそれを的確に把握した上でこの問題に対処していく、こういうことでなければいかぬと思うんですがどうですか。これはちょっとあなたでは無理かな。外務大臣から。
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国民世論というものはこれは変化するものですけれども、やはり一つの定着したものを感ずる。それは、やはり憲法九条に示された平和主義の精神といいますか、日本はみずから進んで戦争しないという、こういうこと。そうしてまた核兵器は持たない。むしろ日本は世界から核兵器をなくするということは努力を傾けていく。みずからは持たぬ。こういう国民の定着しつつある世論を変えるということはほとんば不可能に近いと、私自身は思っておるわけです。しかしながら、やはり原子力の平和利用という面からいきますと、まだ地方には原子力発電所を設ける場合にいろいろなトラブルがありますね。そのトラブルというものは、核兵器に持っておるような一つ感じでは私はないと思うのです。たとえば漁業ですが、自分のやはり生計の基礎になっておる漁業が非常に悪い影響を受けるとか、そういうふうなことでありますから、戦争に結びつかない、兵器に結びつかない原子力の平和利用というものは、これは政府がやはりいろいろな国民に対する啓発の面が要ると思いますが、その努力をすることによって国民の納得を得られるということを私は信じます。そうでなければ、発電の場合でも、日本の将来のエネルギー源というものが今日のように石油というものだけに依存したら、これはもういまでも総エネルギーの七〇%に向かっているんじゃないですか。そうして九九%まで原油は海外に依存しておる。海上の輸送というものの安全が確保されないときには一体どうなるかということになれば、とてもいまのような状態で置いては、戦争の世界を予定しておるんじゃないけれども、地域的な紛争でも起こって、そうして海上の輸送が確保できぬということになればたいへんなことになりますから、原子力の平和利用という面については、国民に説明をすればこれは理解されるものであるというふうに感じます。そのためには、やはり政府が、平和主義に対する政府考え方というものは、これは明確なものでなければいかぬ。そういう、国民に対して疑惑を持たすようなものがあってはいけない。それさえあるならば、政府の平和利用に対する積極的な態度は国民理解を得られるものであるというふうに感ずるものでございます。
  109. 大和与一

    ○大和与一君 そういう大事な質問はだんだんあとで出しますが、プルトニウムについては最後に、現在のプルトニウム生産の段階では、絶対に、いわゆる核兵器的な恐怖症というか、心配というか、そういうことは物理的にはないということは断言できるのですね。
  110. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 先ほど最初お話に出ました、原子力研究所でできましたプルトニウムの量は十八グラムでございまして、量的にもこれは問題にならないということははっきり言えると思いますし、それから、相当のプルトニウムの生成が予想されるわけでございますけれども、これは先ほど来申し上げておりますように、原子力基本法に基づいた原子炉等規制法によりまして厳重に管理されますので、核兵器に転用されるということは絶対にないと確信しております。
  111. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 午前はこの程度とし、午後は一時再開いたします。それでは休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会
  112. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  及び原子力平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題といたします。  午前に引き続き、御質議のおありの方は、順次御発言を願います。
  113. 大和与一

    ○大和与一君 核について、特に平和的な観点から、まああらゆる角度からいろいろお尋ねしたいと思うんです。一九六七年の夏の中近東の危機の最中にフランスのド・ゴールは、アメリカは冷戦の事実上の勝利者となったが、そのことに気づいていない。また、パリ大学のド・ベルジュ教授は、米ソ間の平和共存を不平等な競争であると言っている。あるいはまたレイモン・アロン教授は、今日の世界で巨人国家と呼ばれるのはただ一国しかない。それはアメリカだ。ソ連はもはや第二番目の大国でしかない。いわゆる世界の警察官というか、バックス・アメリカーナというか、政治力、特に経済力やなんかソ連と比較しても二十五対一だ。軍事力でもICBM、IRBM、ABM……そういうふうなことを言っておりますが、これは一局面、一観点の傾向というふうに見るのが限度であるのか大臣の御見解を承りたいと思います。
  114. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いかにもフランス人らしい見方ですけれども、私はその説をとらない。それはなぜかと言えば、原子力の——原子力といいますか、核兵器核兵器の場合はある一定の抑止力までいかなければ問題にならぬのですよ。ちょっと原爆を二つか三つを持ったからといったところでそれが大きな力だとは思いませんが、ある一つの抑止力まで持ってきますと、抑止力まで持ってきたということは、ソ連の現状はそこまでやっぱり核兵器を開発していますから、そうなってきたら、世界にはアメリカだけが巨大国家で、ソ連はアメリカに比べれば核戦力の上においてはアメリカに対抗する力はないと、こういうふうに断定することはできないと思います。これは実際問題としてそういう核攻撃をやれば、完全に核の報復力を持っておりますから、そういう抑止力を持ってきたら、原爆を向こうは幾ら持っておって、数量の上で何十分の一といっても、それで核の抑止力というものは有効に働かないのだという説にはどうも私は同意いたしかねます。それはフランス人の見方でしょうね。
  115. 大和与一

    ○大和与一君 ドイツのベルリン問題がありまして——フルシチョフのとき——それからキューバ、中近東、ベトナム、このときに幸いにして核が使われなくて済んだ。これはアメリカとソビエトの良識ということばが当てはまるかどうか知らぬけれども、一つはそういうものがあった。もう一つは、現実的なバランス・オブ・パワーであるのでそういう政策にならざるを得ないのだ、これはどっちの見方ですか。
  116. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは核ばかりでもないでしょう。核の抑止力を持つだけの力を持ってきたということは、核だけでほかの力というものをその国は持ってないということはあり得ないことですから、やはり核の抑止力を持つということは、軍備の上においても相当な軍備を持っているということですから、そういう意味においてバランス・オブ・パワーというものはそこに成り立っていると私は思います。核だけ切り離すことはできないけれども、それだけの核開発をやるということは、相当なそれに対応する総合的な戦力を持っているという証拠でもあるわけですから、そこは、核というものを一応除いて考えても、バランス・オブ・パワーというものは持っているということだと思います。
  117. 大和与一

    ○大和与一君 これは日本としては考えられぬことですけれども、しかし、平和利用に徹するということは、やっぱりもろ刃の剣みたいなことがあるわけですね。そうすると、科学にはモラルがないんだから、やっぱり最後は人間の意思だと思うんですよ。そうすると、たとえばアメリカにはリンカーンの民主主義の原則やら、フロンティア精神やら、ソビエトにはレーニンの革命精神、あるいはスプートニク第一号の誇りとか、イギリスにはやっぱり戦前の民主主義がある、フランスにはパトリオチズムというか、側の愛国主義というか、そういう思想もある。中国には、御承知のようにたくさんの哲学がある。それでお尋ねしたいのは、自民党の総裁候補である三木さんに聞くんですが、最後には人間の意思なんだが、哲学なんかでも、世界のそういう人間の意思というものは、こういう大事なときに、自分の国がかわいいから、背に腹はかえられぬから、ボタンを押すとかというふうになる。自分の国の利益も十分に御存じの上での三木さんの世界的な御見解をお聞きしたい。
  118. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、ベトナム戦争なんかを見ていまして、それはたとえばケサンなんかの包囲——海兵隊が包囲されたわけですが、あんなときに原爆という声が少し出たんですね、民間の声の中に。しかし、そんなことは気でも違わなければ私はできないと思うんです、そういうことは。あのベトナム戦争に原子兵器を使うということは気違いにでもならぬ限りはできない、それは。アメリカから言えば、早いですよ、勝負は、そういうことになれば。ゲリラ戦全般ということではなくして、第一点の戦略的な目的のために、早いですけれども、使われないですよ。それは何かと言ったら、一つの大きな世界世論というものの成熟したものと感ぜざるを得ない、これは。おそらく、核兵器というものは持っておってもこれを使う機会というものはない。そう願いたいし、使う機会は私はないのではないか。核兵器を使って、そうしてこれが世界戦争に入っていくということは、これはもう非常にそういうことはちょっと考えられないわけですが、それは何かと言ったら、やはり人間の良心という、こういうものを背景とした世界の世論というものは相当な成熟の度合いを示しつつある。したがって、核兵気を持ったところで、それをむやみに使うことはできない時代が来ておる。そこにやはり根ざしておるのは、人類の生存であるとか、人類の生存を維持するという、一つの人類社会存立の基礎条件ですからね。生存を維持するということは、一切の善でしょうからね、これは。人類の生存に刃向かっていくものは悪ですからね。私は、善というものを死守していこうというのが人類の良心でもあるし、その良心にさからって、そむいて、かってなまねはできぬ時代が来た。このことは、やはり世の中は進歩しないようだけれども、歯車はうしろへは回っていない。歯車は速度はおそいけれども、人類には前進があり進歩がある。そのように私は歴史をとらえておるものでございます。うしろへは動いてはない。速度だけに問題がある。しかし、動いておる方向は前進の方向である、こう思います。     —————————————
  119. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) この際、委員異動について報告いたします。  佐藤一郎君が委員を辞任され、その補欠として内田芳郎君が選任されました。     —————————————
  120. 大和与一

    ○大和与一君 最近いろいろなことばがはやって、相手を五回おれのほうは全滅する力を持っている、おれのほうは十回全滅する力を持っている、こんな妙なことばがはやっている。一ぺん全滅したらやらぬでもいいことですが。そうすると、核時代の均衡の中核というものはあくまで核兵器だから、核なしの均衡原理というものは切り札のないトランプをやるようなものだ。そうすると、核の平和利用についても全く同じことが言えますね。
  121. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いわゆる核を持っておっても、核というものはなかなか使うことはできない時代が来た。だから、核を持たなければ絶対に国の安全を確保できぬということの論理はやはり通用しない。これはしかし集団安全保障体制というものを私は否定しないんですね。しかし、人間がみずから核兵器を持たなければ国の安全が保持できぬとは考えられない。そこで、核の平和利用の面においては、これは危険もありますよ。いま言われたように、核兵器と紙一重ですからね。そうなってきたら、人間のこういう意思というものでしょうね。意思というものが最後にものを言うので、そうなれば、その国自身が、ただ政府考えだけでなしに、国民自体が、やはり核兵器を開発したりして核戦争の不安を拡大するような方向をとらないで、平和な道で自分の国というものをやはり将来発展さしていこうというその考え方国民がやはり徹しているということが保障でしょうね。指導者がそういう考えでなくても、国民がやはりいつか核兵器を開発したほうがいいんだと考えておれば危険ですよ。したがって、やはり民主化の徹底といいますかね、そういうことは常に必要である。これは日本だって昔を考えたら油断ならぬ点がありますね、昔の日本の歴史を考えたら。やはり民主化の徹底というものは、これはやはり要るのだ。そういうことならば、そういう前提の上に立てば、指導者が核兵器をひとつ開発してやろうと思ったところでできないんですから、やはり基盤であるものは国民というものがどう考えるかということで、これはやはり日本の社会というものが、そういう危険な指導者が出てこないような民主化された社会というものをつくっておくということが何よりの保障だと、こう考えています。それさえするならば、もう平和利用の面で、いわゆる原子力の平和利用というものが、一流の国家になっても核兵器の開発への危険性は持たない、その社会全体がそういう社会であれば。
  122. 大和与一

    ○大和与一君 日本が絶対に核武装しないということを前提条件とすると、生産の日本の先端企業面というか、たとえば宇宙とか、原子力とか、ジェット機という生産の面では、永久にアメリカの技術に依存しなければならないのかどうか。これは長官、いかがですか。
  123. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 現在の原子力の技術水準はまだアメリカに多少依存している面があると思いますけれども、少なくとも平和利用というものを将来の発電あるいは原子力船——商船ですね——あるいはアイソトープというような点から考えていきますと、少なくとも、現段階においては、アメリカ協力なりあるいは外国の協力を得ることも必要でございましょうけれども、少なくとも十年、二十年後には日本において十分でき得るだけの体制を現在から整えていくべきである、また、そういうこともでき得るというふうに考えます。  なお、御承知のとおり、核爆発という点になりますと、現状においては日本はできない。これは濃縮技術がないんですから、二、三%濃縮技術すらでき得ない状態で、現在動力炉・燃料公団でアメリカとは違った遠心分離法で実はその研究をやっておる、これは発電用のために。そういう状態でございますけれども、ただ、ロケットに使うとか、あるいは御承知のとおり、そのほか核爆発の平和利用というものも三十年後、五十年後にはあるいは出てくるかもわからない、これは巨大な土木工事であるとか、そのほかに。そういう際においては、これは徹底した国際間協約をもって平和利用に徹するという時代が来るときもあるいはあるかもしれないと思いますが、現段階ではございません。
  124. 大和与一

    ○大和与一君 科学がもっと発達してくると、いまの核というわれわれの常識、考え方から、あるいは太陽がもっともっと開発される——あまりよくしろうとでわかりませんよ、わからぬけれども、これは無限大かもしれぬ。あるいは地球の三分の二は海ですから、この海に対する資源の開発、これはたいへんなことだと思う。たとえば海から石油をとっている。オーストラリア、ニュー・ジーランド、南阿連邦なんかやっていますけれども、それから干満の差を利用する、こういうことをやっていますね。こういう、科学がもっとどんどん進んできた場合に、いまの核と科学の関係、よくわからぬけれども、もっといまの核をさらに上回るすばらしいものができるだろうという、ちょっと抽象的だけれども。
  125. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 海洋開発はまだ緒についたばかりだと考えます。ただ、アメリカやフランスの先進国では、御承知のとおり、資源の開発等々やっておりますし、日本の近海の大陸棚にもアメリカの巨大ないわば資本を持つ石油会社が相当——二十億とか三十億を金をかけて資源の調査をしたい、こういうようなことも言ってきているわけで、日本としても安閑としておられないわけでございます。ただ、現在そういった海洋資源の開発、あるいはそのほかに魚族の養殖とか、発電とか、いろいろあるわけでございまして、現在まだ原子力のエネルギーと海洋開発と結びついた段階ではございません。ただ、将来においてはおそらく潜水船ですね、そういったものは電気などでは短期間しかもぐれませんから、原子力潜水船であれば相当期間もぐれるわけですし、そういう点があるとか、海水の淡水化、これはもう現実の問題として話題にのぼっております。そして、その単価も現在の水道料金とあまり変わらないくらいでいけるのじゃないかというふうにまでいわれておるわけでございます。そういった点に原子力との結びつきがあるいは今後急速に出てくるのではないかというふうに考えます。
  126. 森元治郎

    森元治郎君 海の水を真水——普通の水に変えるやつ。これはどのぐらいまで進んでおりますか。その候補には、これはやっぱり茨城県の涸沼——外入りの海がずっと入ってきて魚の釣り場ですがね、これをもうぜひやってもらいたいんだが、その仕事は一体どこまで進んでいるのか。予算の点、だれが研究してどの程度まで来ているのか。今後やる気があるのか。
  127. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 日本におきましては、まだ机上研究の段階を済んでおりません。ただ、私たちに入っておる情報によれば、アメリカにおいて大体百五十万キロワットぐらいの原子力発電所を現在設計中であって、ロサンゼルスの近傍だそうですが、そうしてその余熱で一日六十万トンの海水をいわゆる真水化できる。そしてそれを配給すれば、現在のロサンゼルス近傍で配給しておる水道の料金とそうたいして変わらない、大体ペイする段階であろうということで、現在ここ数年間に実現したい、こういうふうに考えております、こういうことでございます。
  128. 森元治郎

    森元治郎君 そこまで具体的に行っているのだから、電力屋のことばかり考えないで、これはもうたいへんな国民の福祉には役立つものだから、ぜひ鍋島さん、いつまで長官やっているか知らぬが、ぜひやってもらいたいと思う。
  129. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) これはぜひ私もやりたいと思いまして、アメリカに今度調査等々に行けば、ぜひ調べてきていただきたい、データをぜひもらいたい。なお、現在大体五十万から六十万くらいの発電でございます。東電第二の福島につくるのが七十万キロワット前後でございます。あるいはこれに海水の淡水化の施設を附設することができるのかどうか、そういう点もあわせて、これは一番非常に興味ある問題であるし、日本において必要のある問題でございますから、力を入れてまいりたいと思います。
  130. 大和与一

    ○大和与一君 先日来たアーノルド・トインビーが日本で言い残していったことばで大事なことがあるのですが、いま世界の平和を乱す国、可能性のある国はアメリカとイスラエルだと、こう言って行ったのですが、アメリカ戦争に負けたからおさまるでしょうけれども、イスラエルは容易じゃないですよ。また第四回が始まるかもしれぬという心配もあると思うのですが、そのイスラエルの原子力の現状というか、どれくらいおわかりになっておりますかね。
  131. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 原子力局長からお答えいたさせます。
  132. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 詳しくはいま手元に資料ございませんけれども、研究用の原子炉が二つあるということでございます。そのうち一つアメリカからの輸入によるものであるということがわかっております。それから原子力による海水の淡水化につきましても、アメリカとの共同による計画がいま進行中であると聞いております。
  133. 大和与一

    ○大和与一君 ネゲブ砂漠にフランスとの秘密協定で入手したデモナ原子炉というものを持っていますね。そしてこれは国際管理を受けていない。そうすると、もう原爆一号があるのではないかといわれておる。しかも、ウランは山の中からだけでなしに、テッド・シー——死海の燐酸肥料工場の副産物として独自のウラン資源を開発しておるらしい。品度はウラン鉱と一体これは変わるのか変わらぬのか、品度の違いですね。それから量は一体どれくらいなのか。想定でいいです。しかも、運搬手段としてフランスの例の原爆用の戦略機ミラージュを一機ぐらい持っているのじゃないか。こういう話もぼくは聞いているのだけれども、その辺全然外務省でも、何かありませんか、どっちでもいいんだけれども。
  134. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 一部、一時そのような新聞情報が出たことは記憶に残っておりますが、その当時フランスや海外に問い合わせたところでは、フランスはそれを一応否定をしておるというような事実がございます。私ども詳細なインフォーメーションは持っていないのが実情でございます。
  135. 大和与一

    ○大和与一君 それで外務大臣にちょっと突拍子もないことを申し上げるのですが、ベトナムの和平については日本は実質的にあまり手助けができなかった、非常に残念であると、口だけ言っておったけれども、それでこのイスラエルとアラブとの争いについて、これはどこでも世界の平和について日本が積極的に発言することはいいわけですね。そうすると、私はある私の友人が技術屋で、アスワン・ハイダムが、完成ではないけれども、大体一九七〇年から動く。そうすると、そのネゲブ砂漠にいったら、その水は余るはずです、あれだけ大きな川だから。それをネゲブ砂漠に持ってきてアラブとイスラエルとの共同であそこに一つ楽園をつくる。緑にする。これはいまの人間の科学でいったら、科学的に可能だと思うわけです。そういうことを国際連合か何かに言って、何も日本が技術を独占するのじゃなくて、日本も手助けして、そうして、そのかわり世界じゅうがお互いに出し合って、そういう一つのイニシアチブを外務大臣としてとっていいのではないか。着想が突拍子もないけれども、まるっきりうそでないと思う。そういうことについてはどういうお気持ちですか。
  136. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) きょう大和さんの御発言を聞いてみまして、歴史的な委員会ですよ、これは。あなたの言われたことはみな実現しますよ。人間、可能性のあることを、ないようなことを頭に考えられませんよ。海洋科学、太陽熱の利用、それから海水の利用、ここで提起されたものは、これはやがてはどれだけかかるか、実用化されるのに年限はかかるでしょう。これはやはり委員会の席上で正式に論議されたというのは、歴史的な委員会であると言えるのではないか。これはやはりほんとうにそうだと思うのですよ。人間の頭で、やはり人間というものは一つの想像力を持たない社会というのはつくらぬですね。可能性はないのです。そういう意味で敬意を表するのですが、このアラブとイスラエルの問題、ちょうど去年私は国連総会に出てグロムイコ外務大臣、ラスク長官と会ったときに、この問題を米ソともに立場にとらわれているのではないか。だから、世界の世論というものは、必要以上に中東問題については割れておるのですね、世論が。必要以上に世界世論を割っておる責任は米ソにあるのではないか。これはイスラエル側の言うことばかりに立って解決をしようと思えば解決できない。ですから、またアラブの言うことばかりでイスラエルの生存権を認めないような形で、そうして解決できるわけではないし、そういうことで、日本考え方が一番公正だ。だから、決議でも日本は両方に賛成したんですよ。日本はどちらかと言うと、アラブ側ともイスラエル側とも見られるような決議案に賛成して、国連でも非常に注目を浴びたのですが、私はああいう立場が正しい立場ではないか。これは皆とらわれて一方のほうにするので、相当この紛争に対して日本というものを、もっと日本の立場というものを尊重して、紛争の解決日本が入っていくように、米ソ両国ともやはり日本の立場を尊重すれば、非常にこの解決に役立つのではないかということを二人に話したわけです。両方ともが必要以上に世界世論を割っておる張本人である。ラスク長官、グロムイコ外務大臣に言ったわけですが、実際問題としてこれを解決するためには、長続きするためには、両方の立場をやはり尊重しなければならない。いまのところは、大和さんの言われるようなことが具体化するような雰囲気でないですよ。存立を認めぬのですから、アラブは国としての。そこで、しかし、こうやって根本的な解決ができぬままに日がたってくれば、一つはいろいろ考えてみる機会を与えつつあることは事実です。感情を内向さすようなマイナスの面もあるけれども、一方においてはこのままではいつまでたっても解決できないぞという、そういう考え方戦争当事者に与えつつあることも事実なんです。ですから、そういう、いまあなたが言われたような実際に民生の安定に役立つような提案が行なわれて、それが両国でこれを受諾できるようなことになれば、非常に平和というものは前進をすると思いますが、いまのところは、まだまだとても歴史的なこの対立の両国ですから、そこまでは行かぬが、一つのやっぱりいまの御提案というものは、やはり貴重なる御提案だろうと私は思います。
  137. 大和与一

    ○大和与一君 その米ソの核拡散防止条約交渉では原子力の平和利用面の差別制の問題に重点が置かれてきた。しかし、核拡散防止条約の真の問題点は、むしろ非核国の安全保障である、これをどうするかということがむしろ重要な問題だと思いますが、いかがですか。
  138. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま核防条約、国連で審議が進んでおるわけですが、一つの問題は大和さんが御指摘のように核兵器を持たない国の安全保障。しかも、この条約を結んだら核兵器開発の機会を奪うのですから、なおさらやっぱり非核保有国の安全保障の問題。もう一つは、いまここで論議されておる原子力の平和利用に対して、この核拡散防止条約がその研究開発、これを阻害するのではないかというこの二つの点が、こまかい問題ありますけれども、焦点になっておるわけであります。そして非核保有国に対する安全保障というものはいまは安保理事会の決議で行こうとしておるわけですね。そして、核を持たない国に対して核で攻撃を加えたり核兵器を種にして脅迫を加えたりすることに対して核保有国が国連憲章の条項によって守ろうということでこの問題を解決していこうというのですが、非核保有国は、その国連憲章にのっとった保障ということだけでは、もう少し端的な保障がないと不安だという、そういう批判というものが、インドのごときも核防条約に対してはきわめて消極的な態度をとっておるわけですね。そういうのが現状で、これは大問題の一つでございます。
  139. 大和与一

    ○大和与一君 その核の平和的利用に踏み切ったこの前提に立つと、それじゃ、米ソは共同宣言したとか軍事同盟で保護したなんと言っても一〇〇%ではないですね。で、非核国にとっては大国のかさの下で平和時はいいだろうけれども、いざという場合にはどうも役に立たぬという皮肉なことばも出るでしょう。ですから、結局、廃棄または縮小さえすれば平和が来ると、こういう簡単なものでなくて、いまさら、それじゃ持っておる国が核を全部やめたと、こういうこともちょっといまのところは残念ながらなかなか考えられない。平和利用ということを認めることが前提であれば、そうすれば結局核の管理というか、世界的管理というか、完全管理というか、それ以外にはないのじゃないかと思いますが、どうですか。
  140. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、将来は国際連合のようなものが、あるいはまた別の国際機関でもいいですけれども、核兵器を管理して、そして世界平和の維持機構として、有力な維持機構としてこれが働いていくというような仕組みができてくるような条件が整えば、世界の平和というものは非常な前進を見ることになりますが、まだなかなか国際的な機関核兵器の管理をゆだねるというようなところまでは、これは相当な長い期間を経過しないと、そこまで行かぬ。しかし、大きな歴史の動きというものは、結局は一つの世界を目ざし、また、核兵器というものの国際管理を目ざして歴史は動いていっているものだと思いますよ。しかし、それにはもう非常な、人間の意識がそういうふうに変わってこないと、なかなかいまはそういうふうな意識ではないですからね。しかし、方向としてはやはりそういう方向に歩んでいっているものとわれわれは考えるものでございます。
  141. 大和与一

    ○大和与一君 ギリシア語でアトムというのは「分けられないもの」ということだそうですね。そうすると、具体的に、先般の中近東の危機に際して、地域的に核を使わないというようなことが——中南米でしたか——最近できましたね。ああいうことはやはり絶好のチャンスじゃなかったかと思うのです。というのは、中南米を一つの集団地域として、それなのにアメリカもソビエトもそういうことには全然触れない。これはやっぱり世界の平和を一つずつ地域的にもつくっていく、そういう努力が当然なされなければならないと思うのに、一体なぜそういうことをしなかったのだろうか。こういう疑問が起こるのですが、いかがですか。
  142. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、ラテン・アメリカでは核防条約とも関連があるわけでしょう。非核保有地帯というものをつくろうと。南米は世界政治からの一応そう中心にいませんからね。圏外と言ったら悪いけれども、一応圏外で、核戦争が起こっても、ああいう南米だけは生き残るだろうというようなことを冗談に言う人もおりますから。だけれども、この中近東の場合は、核の脅威ということがあまり起こらなかったですね、あの中東紛争のときには。だから実際は、ラテン・アメリカの人たちがここだけはもう非核保有地帯にしようという、そこの住民が非核保有地帯を制定しようという、そういう動きはありますけれども、現実に紛争が起こったときに、ここは核は使わぬ地帯にしようということはなぜ起こってこないかというと、実際核は使えないということですよ。それはどちらからでも——ソ連、アメリカでしょうが、深入りしておったのは。これは核兵器はここで使わぬということを宣言しようということを言い出すこと自体がおかしなことだと、世界から見れば、使うつもりがあったのかということで。ああいう紛争が起こったときに、なぜそんな問題が起こらなかったのかという大和さんの御疑念は、結局そういうことは実際現実の問題として言い出すこともできないような核兵器に対しては世界の世論でないかという気がするのですがね。
  143. 大和与一

    ○大和与一君 いま私がお尋ねしておるのは、やはりアメリカなりソビエトを含めてもいいが、少しわがままで、自分たちは既得権を持ったと、平和利用についてもあまりやらさぬほうがいいと、こういうけしからぬ気持ちがあったらいかぬ。だから、具体的に言うと、それじゃユーラトムとEECの関係ですね、これは一体核の平和利用を含めてほんとうにうまく話し合いができておるのかどうか、それをお尋ねします。
  144. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このユーラトムこれと国際原子力機構との関係ということをお話しになったのだと思うのですが、これは今度の核防条約を見ましても、一番もめた点ですね。このいわゆるユーラトムにおける査察という問題が一番実質的な——ほかに大きな問題がありますけれども——具体的な問題としてもめた点ですが、これはEEC、ユーラトムとIAEAとの間で査察の協定を結んで、そしてやはり国際原子力機構の査察を受けるというのは、その協定に基づいた査察をユーラトムが受けるのだということで、査察の国際的統一性というものを保持する形をとったわけですが、われわれとすれば、一体どういうふうなユーラトムと国際原子力機構との協定ができ得るかということを注目しておるわけですよ、われわれも。差別待遇をされてはかなわぬということで。だから、うまくいくかどうかという大和さんの御疑念は、しばらく経過を見ないとわからないですね。どういうことになっていくのか。ユーラトムはユーラトムで非常にやっぱり独自性というものを主張しようとするし、あまり独自性を主張したら国際原子力機構としての権威はなくなるし、ユーラトム以外の国はユーラトムだけが特権を持つべきではないということで、非常にこの問題はちょうどおさまっているような感じはしますけれども、やはり問題を将来残す課題で、いまはちょっと予測できないということだと思います。
  145. 大和与一

    ○大和与一君 それから非常に疑心暗鬼が起こると、デリケートな関係にあるのでありますから、ユーラトム内部の団結を破ったり、共同体を破壊すると、こう進むのではないかと思っている。今度はまた内輪の中でまたお互いに心配するというようなかっこうになりますね。だから、たとえばアメリカに対抗できる非常に安価な濃縮ウラン製造のアイソトープ分離工場を共同創設しようと、こう言っているのに、アメリカはこれに対して何かじゃまするというふうなところがあるのではないか。もう一つは、最近アメリカのある有名な学者が、数年間でアメリカは濃縮ウランを世界中に売り飛ばして、国際収支の赤字なんか一ぺんに取り返してやる、こう豪語している人もいるのです。この辺の関係についてもう少し御意見を聞きたい。
  146. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 欧州の数カ国で共同で濃縮ウラン工場を建設しようという計画があるということは承知いたしておりますが、これに対しましてアメリカがそれを妨げるような行動に出ているというようないまのお話につきましては、私どもは存じておらない次第でございます。なお、アメリカの現在の濃縮設備の能力と申しますか、これは濃縮度によっても違いますが、年間三千トンとか四千トンとかと、こういうオーダーがあるわけでございまして、各国の原子力開発の予測、原子力発電のこれからの建設テンポの予測から申しますと、いずれそれでは足りなくなると、アメリカ自身でもやはりいずれかの段階では第二工場の増設をしなきゃならぬ、こういうことを考えておるようでございまして、そのことにつきましてアメリカから先般参りましたAECの責任者等がわがほうにも説明などいたしておることから見ますと、まあほかの国に対しまして、そういうような将来の構想についてのPR等はあるいはやっているかもしれないと存じております。それ以上、詳細はちょっと存じておりません。
  147. 羽生三七

    羽生三七君 いまの問題に若干関連することですが、去年の予算委員会で私は一つの提案をしましたね、開発可能な国々が共同して国際共同研究機関をつくってはどうかと。これはまあ実際に平和利用とそれから軍事利用との区別が明確にならない時点においてむずかしい問題ではあると思うけれども、とにかく絶対的に軍事的には利用しないという前提条件のもとで開発可能な国々が国際的に共同開発研究機関をつくる、研究組織をつくる。それは国際的な査察を受けても一向かまわないし、その参加国同士の間でもそれはいいと思いますが、結局、その開発の、何というか、秘密といいますか、それを外国に盗用されることをおそれて、まあ秘密の保持ということが非常な問題になっておるわけですけれども、しかし、どうせ査察を受けるのですから、その辺は一国一国が争って、自国だけの開発で、しかも、その査察に抵抗していろいろなトラブルを起こしているよりも、私は開発可能の国々が国際的な共同研究機関をつくったらいい。これはまあ外務大臣は十分考慮しようという、去年——一年前の話ですが、御答弁になった。実は、これは私はさんざ考えたのですよ。もう専門家意見もずっと聞き、いろいろ考えてみて、それじゃどうしたらいいかという場合に、結局そんなこと以外にないのじゃないか、そういう気持ちがして昨年ああいうお尋ねをしたんですけれどもね。こういうことはもう全然実現不可能な遠い夢物語か、あるいはいいとすれば、そういうことを国連あたりでひとつ提起してもいいのじゃないかという考えもするのですが、どういうものでしょうか。
  148. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一国だけでは、開発といっても、ことに低開発諸国では容易なことではないです。しかし、原子力の平和利用の研究というものは魅力ある研究ですね。各国でやりたいですよ、それは。そういう点で共同研究というものは確かにアイデアとしては一つのアイデアだと思いますね。しかし、まだそこまで、低開発諸国の中にこういう共同研究をやろうという——原子力に限らず——まだ機運がそこまで来ないのですね。みな、だんだん地域的な協力の機運も出てきていますけれども、いままでは大体低開発諸国というものは横の連絡もなかったんですね。植民地の母国なんか、自分の本国と直接連絡をとって、横の連絡はとらせないようにしてきたのですね、植民地政策として。そういう点で、地域協力というものがようやくいまそういう機運ができかかっているときで、原子力のようなやはり高度な研究を隣接の国々が協力してやろうという、そこまでの機運は出てないですけれども、将来はやはり羽生さんの言われるようなことが具体化してくる時代が私は来るのではないかというふうに思います。いまはちょっとなかなかそこまで話がまとまらないです。
  149. 羽生三七

    羽生三七君 低開発国を誘ってという意味じゃないのです。それはずっと先の話で、そうでなしに、アメリカ、ソ連、イギリス、フランスですね、それらの国を除く——まあEEC諸国の中にはそういう能力を持っておる国もあるんでしょうが——たとえばイタリーとか、あるいはインド、それから北欧にもありますね、そういうような国々も参加して、それを私は言っておるわけなんですよ。そうして、そういう国々が一緒になって、それで米英の独占に対抗すると言うとちょっと語弊がありますが、つまり、一方的な支配を許さぬようにそれが共同で研究機関をつくっていく。そういうことを意味しておるのです、私の言うのは。まだまだ全然能力を持っておらぬ低開発国を誘ってという意味じゃないのです。
  150. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原子力局長からそういう例をあとで補足してもらうことにいたしますが、ユーラトムなんかは一番原子力開発で一つ協力関係ができ上がっているのですが、これはやはり原子力を輸出産業のように考えておるのですね。だから、そういうユーラトムの中でやはり競争なんですね。新しい原子炉を開発して、それを輸出産業に。だから、今度の場合でも、ずっと核拡散防止条約というものを、この経過を眺めておると、核燃料の問題なんかが非常にやはり——輸出産業のときには核燃料というものをつけなければ輸出産業というものはなかなか成り立たない、どうして核燃料を確保するかというようなことが非常にやはり大きな問題になってくる。それはなぜかといったら、原子炉をやはり輸出産業に持っていこうという、そのためにはやはりドイツはドイツでフランスは競争相手なんですね。だから、自分がなるべく有利な原子炉を開発しようという点で、そういう点でもう初めから国境——国の境界線を除いて共同研究というのは、まあ超音速飛行機がやっておるような、あれこそまさしく共同研究をやっているわけです。共同開発をやっている。ああいう、形のはどうも進んでないようですが、しかし、具体的な例もあるようですから、原子力局長から答弁いたします。
  151. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) ユーラトムの下部機構には共同研究をする組織もございまして、一例をあげますと、放射性物質の海洋投棄に関する研究というようなものは各国共同でやっておりまして、わが国もそういうものには部分的に参加をいたしている、こういう例もあるわけでございます。
  152. 羽生三七

    羽生三七君 ひとつこれは研究してみてください。
  153. 大和与一

    ○大和与一君 核防条約のできかたにもよりますけれども、これができて加入したら、核保有国と非核国との間の平和利用開発の開きがうんと大きくなるのじゃないかという心配がある。その場合に、その開きを少なくするというための核防条約のつくりかた、これは一体どういうふうなことになるのか。これは別に限度もなかなか言えないだろうけれども、その辺よほど注意してつくらんと、入ってみたら置き去りにされる、ますます内輪のけんかになるということですな。
  154. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、日本もこの核防条約の最初の草案に対して強く言った点でした。これは日本ばかりでなしに、各国ともみながその危惧の念を持つことは当然ですから。今度の最終的な米ソの最終案——十八カ国軍縮委員会に出した最終案の中には、相当改善のあとが見られるのです。それは、平和利用の面から言えば、本文の中に相当入れて、詳しく規定を入れてきた。それはどういうことかといえば、一つには、この条約というものが原子力の研究開発をいささかも阻害しないという原則と、これがお互いに協力し合うのだ——いわゆる核兵器を持っている国ですね、これはやはり原子力の利用の面においても有利な地位に立っている国は、これに対して情報を提供したり、いろいろな点において協力し合うという原則をうたっているわけです。それからまた、その成果に対しては、低廉にたとえば核爆発エネルギーが平和利用になったとき、その研究費などをみなこれに加算されるという日には、とても平和利用にならないですから、それは研究開発費なんか入れない低廉な費用でこれを供給するというような、そういう幾つかの、非核保有国を非常に不平等な地位におとしいれないためのこういう平和利用に関する条約は、だいぶ改善はなっているけれども、なおかついろいろな危惧の念があるから国連においても議論をされているわけでございます。  これは社会党の方向でもお考えにならなければならんでしょうが、われわれとしても、核防条約というものは確かに何もかもみな、一から十までいいものではないですね、やはり非常に不平等性というものを固定化する面もあるわけです。しかし、それならば、こういうものを野放しで次々に核兵器を開発する国がふえていくということを考えますと、やはりそういう国々が次々にこれから第六、第七、第八と核兵器保有国がふえていくことが核戦争の拡大の危険を持っているという、ほんとうに一から十までいいことじゃないけれども、この選択の前に立たされるということで、これはやはり社会党も決定に対してずいぶんいろいろとお考えになることになるだろう。われわれもそうですよ、これは。しかし、われわれとしてはその精神には賛成するという立場をとりながら、できるだけ条約が公正な条約になるように、いまだいぶ国連の場を通じて努力はしているのですけれどもね。
  155. 大和与一

    ○大和与一君 日本政府だけ入っておればあとは少ないほうがいいという——これは冗談だけれども。そのジュネーヴの十八カ国会議ですね。一九六七年でしょう。そのときに非常に改善されたとおっしゃるけれども、そうすると、その当時の日本並びにドイツは、その改善されたと思われるのを、満点ではないけれども、一応それを認めざるを得ないんではないか。もしもそれを拒否するならば、結局アメリカの燃料供与と技術協力を通じて東京やボンの政府が操作されてしまう、こういうおそれがあったと思うのですがね。それがなおさらに改善されるということになるのですか、これから一生懸命にやっていくのですから。
  156. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大筋はもう変えられないと思います。大筋は変えられないけれども、部分的には全然修正の余地がないとは言えないでしょう。さらにまは、国連の安保理事会などの決議というものは、これは条約の素案とは違うんですから、いろいろ文句などにも修正は可能でしょうがね。しかし、荒筋は変えられないけれども、日本はドイツよりもきびしい態度をとっている、この核防条約に対しては。いまは何とも言わないのですからね、精神に賛成する以上のことは言っていないので、いろいろな日本の立場をコミットするような決議には参加しないのですからね。日本はそういうことで非常に自由な立場を維持することに努力はしていますが、しかし、いまわれわれ自身が考えても、そんならば核兵器が拡散していいのかというこの条約のねらいというものに反対という立場というものもなかなかとれないのではないかというところに、この条約の不平等性は認めながらも、なおかつ、やっぱりこの条約の持っておる核戦争防止への役割りというものは正当に評価しなければならぬではないかという点でいろいろ考えさせられておるわけでございます。
  157. 大和与一

    ○大和与一君 たとえばフランスのピエールラト工場にアイソトープの濃縮分離工場があるんです。四工場で、第二の工場までで濃縮度六%のウラン二三五が得られるが、民間原子炉用燃料としてはこれで十分である。そうすると、平和利用だからといって一〇〇%に近づく努力をしなかったら——これはもう九五で大体水爆になるでしょうね——その努力をしなかったら、平和利用の国際競争からいって必ずこれは脱落するのだ。六%でいいのだ、平和利用はあとはやらなくてもいいじゃないか、そういうふうな一つ限界というか、そういうふうなお尋ねに対してはどのようにお答えになるのですか。
  158. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 原子力発電所に使います濃縮ウランは通常二%とか三%とか、こういう濃縮度のもので十分でございますので、ただいまおっしゃいました六%以下で十分であるという点は、その意味においては言えると存じます。爆弾にする場合には九十数%、こういうことでございますので、その間非常に大きな開きがあるということがはっきり言えると思います。
  159. 大和与一

    ○大和与一君 そこで、三木さんのややお家芸みたようなことになるかもしれぬのだけれども、こういうふうな一群の非核所有国と核所有国との立場には、非核所有国とそうでないのと案外これは逆説的に言うと一脈何か通ずるものがあるかどうか。また、それを活用することによって、いままでいろいろなたくさんのまだ不十分な点がありますけれども、それによって世界の平和というものがうまくいくというようなことに考えられるかというようなこと、どうですか。核保有国と非核保有国との間に、案外ややどこかに、両方ともどうにもならぬという気持ちはあるのだけれども、何か全体のために、こわさないためにつながるところがあるというような言い方はちょっと無理ですかね、これは。
  160. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それば私はあると思います。あるということは何かといったら、核戦争というものをどうしてやはり防止していくかということについては、核保有国も非核保有国もこれは共通のものだと思います。そういう点で最終的に核戦争を防止しなければならぬと、人類の生存を維持するために、この一点では核保有国も非核保有国も一致しておる。このことが、いろんな点で立場が違いながらも結びけるものを私は持っていると思います。
  161. 大和与一

    ○大和与一君 さっきもちょっと言いましたけれども、アメリカは、原子力援助協定など、それから平和利用の国際通商競争の面でイニシアチブをとっておったけれども、これにも一つ管理のひもがついておった。結局、平和利用面でも支配体制の保持ということをアメリカはいまも考え続けておるのではないか、こういう感じがしますが、ちょっと質問ダブるかもしれませんけれども、アメリカの平和利用に対する世界への貢献はいい、奉仕はいい、公正な配分はいい、しかし、それ以上こなまいきなことは注意せねばならぬが、そういう野心は出ていないですか。
  162. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり先端を行く科学あるいは産業と言っていいかもしれない、原子力科学産業は先端を行っておるだけに、これが一番やはりわが国が発達しておるのだということはアメリカのプライドを満足させるでしょうね。そのことから来る、やはりリーディング・ネーションでありたいという考えを持っているでしょう。しかし、それだからといって、あまりにも利己的になって、よその国に対する原子力の平和利用に対する機会均等性というものを非常に打ち破ってくれば、これはほかの国の反発を買ってそしてその優位な地位というものが維持できなくなる。それはなぜかといったら、ほかの国までそんなに条約だけでしばるというわけにはいかないですからね。自分だけが独占して、ほかの国に対してはあまり均等にそれを利益が享受できるような機会を与えないということになれば、違う方法を考えるでしょうからね、非核保有国は。ですから、そこにはやはり節度というものが働くんじゃないでしょうかね。しかし、みなこれ各国ともサンタクロースみたいにはなりませんからね。それはみんな自分の国の利益というものを考えるでしょうけれども、しかし、必ずそこには極端な利益の追求ということが結局において自分の国の利益を失うことになって、節度の論理というものが国際関係ではある程度やはり適用されてくるということに考えておるわけであります。そのために、核拡散防止条約の中にもいろいろそういう現象に関連する条文が挿入されたというのもそういう一つのあらわれであるというふうに見ておるわけであります。
  163. 大和与一

    ○大和与一君 やはりジュネーヴの軍縮会議のとき、そのアメリカの代表の一人が、米国は少なくとも平和利用の面では非核国と同様の国際査察を受ける用意があるのか、こう聞いたところが、それにはソ連はきわめて消極的だ、彼らは条約の全目的、非核諸国に核兵器を生産させないようにすることだと言っておったと。それじゃ、アメリカは原子炉の一部を非核国と同様の管理下に置くことも真剣に考えているのかと聞くと、核所有国の平和利用活動の管理は非核国に対する管理とは同じ形を持ち得ない、なぜならば、非核国は核兵器を持っていないが、われわれはすでにそれを持っているからである、こういうことを言ったという話があるけれども、ほんとうですか。
  164. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私ども、フォスター氏が日本へ来て一日話しておったのです。そのときにフォスター氏は、平和利用の面についてアメリカが国際的査察を受けることに対しては同意するという意見——それにはそうこまかい条件をつけませんでしたけれども、原則として平和利用の面については国際査察を受けることをどんどん許すということ。イギリスもやはり同じような発言を行なっていますが、ソ連だけが——ソ連は何回もグロムイコ外相にも私からも言ったんですけれども——どうも査察を受けるというのは、核平和利用という名のもとに核兵器を開発したりすることを防ぐための査察なんで、すでに持っちゃった国を何で査察する必要があるかということで、なかなかやはり理由はわからぬと言うから、それはやはり軍縮というような場合を考えてみても、何か平和利用と核兵器の開発も一緒だと言えば、どこまで軍縮というものが行なわれつつあるかということの基準も測定できないしというような話をしたのですけれども、がんとしましてね、なかなかソ連は応じない。米英だけは査察に応じてもよろしいということで、ソ連は反対した。
  165. 羽生三七

    羽生三七君 その問題で、私しろうとでわからないのですけれども、軍事利用と平和利用という場合、つまり、ソ連とかアメリカの場合ですね、その場合の軍事利用と平和利用と区別して、平和利用の場合、平和利用について——軍事利用は別ですが——平和利用について査察を行なう。受け入れるか、受け入れぬかは別の問題です。その場合には、どういう限界があるのか。どこのところで区別が——ここは軍事利用であってこっちは平和利用だというそこのところは一体どういうふうなのか、ぼくらしろうとでわからないのですが。
  166. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) これは非常にデリケートで、はっきりしたものはないと思います。ただ、問題から言えば、原子力利用は発電とかあるいは原子力船とか、その他アイソトープというふうにきまっていますから、目的によって非核国は全部査察を受ける、核保有国はおそらくみずから軍事利用という陰に隠れてそれ以外のものを見せる、こういうことで、多少向こう主導権が握られるのではなかろうか。一番心配なのは研究用の場合ですね、これがほんとうに軍事利用につながるのか、平和利用だけなのか、この点については向こう主導権があるのじゃないかと想像されて、この点はやはり外務省を通じてなり何なり、査察という問題が具体的になってくれば、やはり日本からはこういうものをやったらどうかという相当具体的なものを出して国際協議にかけていくというようなことにならざるを得ないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  167. 羽生三七

    羽生三七君 その点がかなり具体的にならぬと、条約上表面は平等に見えても、実質上何の意味もないことになりかねないから、かなり具体的に実体を、どういうものを対象とするのか研究すべきことだと思います。
  168. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) そのとおりだと思います。
  169. 大和与一

    ○大和与一君 非核国に対しては核放棄という重大な主権の拘束を認めながら、自分たちの間では、AMBという競争——新たな核軍備競争に入っている自由を持っている。それで地下実験は相変わらずやっておる。ずいぶんかってな話だと思うのですが、そうなると、ちょっと邪推も入るかもしれぬけれども、そういう大国は、日本の平和利用のほんとうに強力な飛躍的発展というのは、案外喜んでいないのじゃないですか。その辺はどうでしょうかね。
  170. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは喜んでいるかいないかという問題はむずかしい問題ですが、向こうが喜ぼうが、喜ぶまいが、日本はやらざるを得ないですから、喜ばぬでも、妨害ということはできぬですからね。内心はあまり発達することを喜ばぬと思ったって、そのこと自身から日本は影響を受けるとか、向こうがあまり喜ばなくても、これはこっちはやらざるを得ないわけですからね。それが日本の研究開発を阻害してやろうという挙に出たときだけに問題になるので、心の中でどう思っているということは、概して大きな意味は持たないのじゃないかと思います。
  171. 大和与一

    ○大和与一君 ここまでお尋ねしていきますと、やはり中国との問題が非常に大事だと思うんです。中国が核兵器を開発すれば、これは仮定に従えば、兵器生産、平和利用、原子炉の輸出ということになるでしょう。そうすると、平和利用の計画に中国が乗り出して、そしてアジアの他の国々に対していろいろ援助をするということはあり得る。皆さんのいまつかんでおる資料から言うと、中国の核の利用というものは、軍事がいまは圧倒的に優勢である。しかし、平和利用もうらはらなんだから当然やっている。それは一体どういうふうな見当ですか。
  172. 藤波恒雄

    国務大臣(藤波恒雄君) 中国の原子力の開発の実情については明確ではございませんが、相当のレベルに達しているものと想像されます。軍事利用の面におきまして、いろいろ核爆発の実例もございますし、また原子力艦船につきましても、すでに建造したのもあるそうでございますし、建造中のもある、こういうぐあいに聞いておる次第でございます。
  173. 大和与一

    ○大和与一君 そこで、中国をやっぱり国連へ入れるほかないですよ。そういうふうになれば、いわゆる重要指定国ですか、あれからはずれるが、これくらいの意欲を大臣はお持ちでないんですか。
  174. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまやっぱり中共の国連加盟の点でむずかしいのは、代表権問題でやっているんですね。単純な国連加盟でないんですよ。そこにやはり中国問題の複雑な背景を示しているんですね。単純な中共が国連に入るということに対する国際社会の表決を求めているのではないのです。台湾を追い出して、そのかわりに中共を入れて中国を代表させる。そういうところに、やはり国連だけで中国問題というものを解決するには、国連も大きな一つの推進力にはなるでしょうけれども、また、背景にはアジア全般の情勢というものも変化がないと、こちらのほうは何も変化しないのに、国連だけで代表権を取りかえることだけが中国問題の解決だとは断定できないものもあるんじゃないでしょうかね。こっちのほうの本体のほうの変化が起こってこないと、国連総会で票数で一票、二票というものを争って中国問題が解決できるとも思いませんけれども、これは国連も大事ですよ。しかし、やっぱり国連だけだというのではなくて、台湾、中共をめぐるアジア情勢変化というものも頭に入れなければ、国連だけで中国問題を解決しようということにも少し無理があるんじゃないかなと、大和さん、私は思っているんですよ。
  175. 大和与一

    ○大和与一君 私も断わっておきますが、中共の言うことは何でもいいということは思っておりませんから。そんなのぼせていないんだから。いいものはいい、悪いことは悪い。そう断わっておいて、いまの中国は、佐藤内閣はまだ信用できない、戦争はしかけられたら相手にするけれども、自分からやることはない、こう一応われわれ常識的に聞いております。そうなると、実際に中国の脅威ということは、それ以外のファクターがありそうな、それはあしたのことはわからないと言えばお互いさまですけれども、そういう点はどうでしょうかね。
  176. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまアジア全体を見ますと、中共の脅威を感じている国もたくさんおるわけです。その国の事情によって脅威の感じ方が違いますよ。日本の場合は、核兵器の開発というものは全然これは脅威でも何でもないんだということは言えると思いますよ。核兵器の開発というか、核兵器それ自体が不安の種である。しかし、日本はいま日本自身の安全保障条約というもの、安保条約もありますし、したがって、軍事上の脅威を中共から受けておるとは私は思わない。軍事上の脅威、また経済上も、中共は人口は多いにしても産業産展の段階というものは、日本に比べれば非常にまだ産業の発展の段階というものはおくれておるし、また経済の国力から見てみましても、国民の一人当たりの所得というものは非常に低いものですから、そういう意味において、現実に中共が日本に対して大きな脅威を与えておるという説に私はこれは賛成しない。これはやはり現実にはそういうふうには中共を見ていないということでございます。
  177. 大和与一

    ○大和与一君 私はこの前ちょっと一問お尋ねしたことがあるんですが、アメリカと中国はポーランドのワルシャワで百回以上やっている、それは大臣は、内容なんか何にもない話のようだ、こうおっしゃっているけれども、やはり中国の四千年の歴史を少し勉強してみると、それはあんなに先生の国はないですよ。あらゆるいいことも悪いことも全部やっているわけだから、その歴史を繰り返しているわけだ。そうすると、ちょっと会ったというのでも、顔を見ただけでも一顰一笑注意していないと、案外そんなところでパイプがつながったら、ソ連がばっと出てくるのですから、そのとき日本は、いつもにやにやしておったからたいしたことはないと、これでは手おくれになると思うのです。そういうことがあり得る。だから、今度ひょっとしたら日本が追い越されて、夜が明けたらやられたということになったのでは困るということを申し上げたつもりなんです。  それで、五月の九日に全国新聞編集責任者を前にして、佐藤総理は、中国こそわれわれを敵視している、それを改めてもらわなければならない、米国が中国政策を変える場合は必ず事前に日本に相談するだろう、その相談がない以上、日本も現在の政策を変える必要はない。これは外務大臣として寸分一厘も間違いない、これと同じですか、そこら辺のことを聞かしてください。
  178. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 佐藤総理と私の考え方が違っておるんじゃないかという質問かと思うのです。私は違っておるとは思わぬのですよ、私自身は。外交政策というものは長期的に見る目が要る。外交はやはり現実ですから、外交は現実的に処理していかなければならぬのですけれども、全然長期的な展望というものを持たない外交政策というものは私は疑問に思っている、そのときそのときでやることでは。やはり長期的に外交政策方向があっていいということで、しかし、方向があっても、現実は相手があることですから、こちらだけが中共に対していろいろ言って、向こうからやはりそれに呼応するものがなければ、現実の外交政策というものはうまくやっていけぬのですね。そういう点で、佐藤総理のそこで読まれたことは、現実の日中関係というものを言っていられるに違いない。私はそれにもかかわらず、日中関係というものは、やはりこれは両方で改善していかなければ、これだけ近いところにおって、お互いに地理的に中共も日本も永久に地勢学上の地位というものは変えることはできない。これはどこにも引っ越しはできぬのですからね。そうなってくると、それなら対決あるいは戦争というものを日中関係で考えられるかといったら、考えられないですからね。どうしても、やはり困難であってもお互いに平和的に共存する道を探究するということが、やはり日中両国の政治家の私は責務だと思うんですよ。しかしいますぐにはなかなか——いま佐藤さんが指摘されたような問題がありますからね、すぐにはいかぬが、そこへ持っていかなきゃならぬ。ただ、しかし、私は一つは、何かいま大和さんも言われておったが、目がさめてみたらアメリカと中国とが仲直りしておった。まあ仲直りもそれは私はけっこうだと思うんですよ。目がさめてみて日本がびっくりするようになったっていいと思う。アメリカと中共がそういうふうなことはないかといったら、何か乗りおくれたらたいへんだと、目がさめたらアメリカと中国が仲直りしておって、日本の頭ごしに仲直りしておったら日本はこれはもう取り残される、こういう焦燥感をやっぱり日中関係に持つことは私はきらいなんですよ。だから、バスに乗りおくれたらたいへんだというので、バスに乗りおくれるなという考えでの日中関係、これは私はとらないのです。それは中国関係で、ベトナムが片づいて、このごろは新聞なんぞは中国、中国と書きますから目につきます。その姿勢にこたえて言ってるんじゃないですよ。私はもう去年ASPACのときから同じことを言ってるんですよ。ベトナムが片づきそうなんでバスに乗りおくれたらたいへんだと思って発言していると思ったら違う。これだけは大和さんに言っておきたいのは、どうもバスに乗りおくれたらたいへんだということで日中問題を考えるほど、やっぱりそんななまやさしいものじゃないのです。これはやはり日本外交の最大の課題です。それを何か乗りおくれた、アメリカから頭ごしにやられたらたいへんだ。ベトナムが片づいた、だから中国問題、これをやらなければたいへんだという、そういうひとつの焦燥感の中に考えるべき日中問題ではない。これは永久に大きな問題であると思います。
  179. 大和与一

    ○大和与一君 それは大臣がぼくを知らぬからで、そんな低級な質問をしているわけじゃない。やっぱりアメリカも結局最終的には日本よりもアメリカの国家、民族がかわいいのだから、そこまでいったら、どうしてもてめえのほうがうまいことをしますよ。あたりまえだ。そのかわり日本もそうじやなきゃいかぬ。その気持ちでおやりになっているというふうになるべく思っているわけですよ。ですから、やっぱり中国に対して、ただバスに乗りおくれるというのじゃなくて、やはり何といったってあの七億、八億の人口を持っておって、たいへんな人間がおるはずです。それと人間的にほんとうに友好的に、どんな形でもいいから、ただ、お茶飲んだということで、そんなことだってえらいごまかしだけれども、あんなことじゃいかぬので、少し、見つかったっていいじゃないですか、堂々とやれば。アメリカより中国のほうが——こんなもの何でもないので、いつかこれが歴史的にアメリカと結びつくかもしらぬ。こういうやっぱり私は非常に尊い接触だと思うんですよ。そういう努力はアメリカですらやっているのだから、そんなもの日本が当然やるべきじゃないかと、こういうように非常に積極的な、いい質問なんですから、ちゃんと答えてもらわなければならないと思います。
  180. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それをお答えするのを忘れましたが、日中間の接触の方法というものを日本検討したらいい、いろんな方法論がありますから、これはやっぱり検討すべきだと思います。
  181. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと、たまたまそういう話が出たからですが、ずっと以前、池田総理が初めて組閣したときに、そのときに私もまあ若干個人的にも接触をして、それから予算委員会で質問に入った。それで日中問題を少し前進さしたらどうですかという話をしたわけですね。そうしたら即座に、郵便、気象協定を結びましょうと、こう出たわけです。たまたま中国へ行く人があって、ぼくはある人に相手方を打診してもらった。ところが、向こうからは何らの反応もなかったわけですね。ところが、ある政党が、最近になって郵便、気象協定をなんて言って、二、三日前、新聞に出していますね。そんなものはあんた五年も、六年も、七年も前に池田総理が、そんなものはいつでもやりましょうと、こう答えている。ですから、あの時点から見ると、ずっと日本外交は後退しておるのじゃないかという印象すら受けるのですね。これは実際国交回復をしていなくともできる協定であるし、それから相手側が反応を示さなきゃ意味のないことであるけれども、それにしても何かあの時点よりもむしろ後退しているという印象ですが、これは別に質問というわけじゃないけれども。
  182. 大和与一

    ○大和与一君 いまから各論に入ります。  特殊核物質の民有化ですね、そういうことでお尋ねしたいと思うのですが、アメリカでは一九六四年の八月に特殊核物質の民有化に関する法律ができた。所有を広く民間企業に認めることになった。わが国もこれにならって、四十一年の閣議できめ、本年の七月からやろうというわけですね。それでわが国の法律では民有、官有いずれでもよいということになっておる。行政措置で民有化もできる、こういうふうになっているのですね。しかし、本格的な原子力発電に乗り出すという場合に、この民有化ということがはたして絶対なくちゃならぬ条件だろうか。少なくとも少し早くないか。核燃料に関する規制法で平和目的に限られるように政府が監督できることになっておるけれども、何といっても精製プルトニウムなどの管理をよほど厳正にしないと将来に禍根を残してはたいへんだ。民有化に対する政府の心がまえをお聞きしたいのです。
  183. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 民有化につきましては、いま経過は大和さんの言われたとおりでございます。したがって、アメリカの民有化という意味ではありませんが、日本の発電の現状、しかもようやく軌道に乗って、大体発電が一九七五年——昭和五十年度に六百キロ、あるいは十数基、六十年度ではおそらく百基以上になるだろうと思います。そういういわゆる玄関口からちょっと入ったところ前後にいま来ておる状態。そうなれば、やはり日本のそれぞれの現状から見てアメリカと同様民有化を認めていくことが妥当であろう。それはいろいろな各発電所の形態もありましょうし、今後の発展のためによかろうということで通産省とお話をして認めたわけでございます。ただ、問題はそれに対しての安全性の問題、あるいは規制の問題、これはあくまでも法律が出ておりますから、それに基づいて政府みずからが規制していくわけでございまして、それは民有化であろうと国有化であろうと、日本国内では特殊核物質についての規制は徹底してやる、これはいかなる場合でもやるという基本的な原則がございます。したがって、それは原子力基本法に基づいてやりますから平和利用であり、自主、民主、公開の原則を貫く、こういうことでございます。なおそのほかに、御承知のとおり、国際原子力機構の査察も受けるわけでございますから、アメリカから入ったものに関しては。したがって、そういうものからいっては民有化の点で特に逸脱するというような御心配はない、かように考えます。
  184. 大和与一

    ○大和与一君 アメリカ日本との技術が、まあ向こうのほうが少し上だといたしますね。しかし、絶対安全圏にある日本の現在の技術でしょうから、したがって、官であっても民であっても心配ない、こういう意味ですか。
  185. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 原子力基本法に基づく安全審査、あるいは規制ですね、こういう安全の装置をしなければ保有しちゃいかぬとか、あるいはそれを使う場合はどうであるとか、詳しくは原子力局長が持っておるわけでございますがしかし、その基本は原子力基本法で平和利用、自主、民主、公開という原則でありますから、今後御心配は要らない、このように考えております。
  186. 大和与一

    ○大和与一君 ほんとうは官でやる。十分に金が回ってくるならば官でいいのだけれども、いろいろな都合でさいふは一つしかないからあまり来ない。民間のほうは持っているからいい、こういうことになりますか。
  187. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 現在アメリカ等で実用化されましたタイプの炉は、現在、各電気事業者がいま民営形態で建設を行なっておりまして、政府の金を使いましてのその新しい型の炉の開発につきましては、午前中も申し上げましたように、動力炉・核燃料開発事業団等におきまして、今後十年間に約二千億もの資金を投じて開発をしようということで進んでおるわけでございます。
  188. 森元治郎

    森元治郎君 関連して。さっき大和さんが質問したのは、本土並みと同じで、衆議院の質問なんか聞いても、九電力を野放しではどうなるだろうか。やはり国の力が若干管理というか、そういうものがいまの幼稚な段階ではいいのじゃないかというのが、まあだれが考えても質問は同じになるのですね。ところが九電力はなかなか力が強いから、悪いことにはあっちこっち飛び地になっているから、ちょっと来いと言っても行かないでしょう、忙しいといえばそれまでの話です。原子力産業会議があったり、それから電力の事業者連合会、いろいろな組織があっても、私が見ていてもよく連絡つくと思うくらいです。日本人はこまかいからちょこちょこするのが好きだから動いているが、外国じゃ動きませんよ。アメリカはAECでしょう、そして下の工場といったって多年手なれた工場であり、安定した工場であり、こっちはこれからスタートする、資金の配分だ、原子力利用長期開発計画というのもあるでしょう、最も大きな問題をかかえているのに、機構は国家的な力がやっぱりたばねて引っ張ていくのがすなおな発展だと思うのです。特に将来、濃縮工場でも出てくれば、当然昔のような砲兵工廠のように、国の息のかかった工場になるだろうと思う、当然民間というわけにいかないでしょう。そこで私の聞きたいのは、自民党政府というのは国家管理とかいうと非常にいやがるのですね、バックのほうの関係で。炭鉱だってそうでしょう、国家管理に近いようなところまで寄ってきて、管理というのはいやがって、一社案といって、わけのわかったようなわからぬようなことを萩原吉太郎君がやっている。これは体質として、一歩、石炭でもって国家管理を許せばほかもくる、社会主義的政策を実行した形になっちゃまずいという、相談しなくても、体質的に自民党のバックの財界と自民党というのが国家管理はきらいだと思うのですが、その点に対する御回答と、一体、国の力がもう少し及ぶべきだ、指導すべきだ、お世話になることがうんとあると思うのです。何も電力国家管理をいま言っているわけではない、そういうことについては長官はどういうふうにお考えになりますか。
  189. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) これは通産省から申し上げるべきかと思うのでございますが、私の考えで申し上げますと、おそらくやはり九電力とございましても、電力需用なり、あるいは需用地の問題なり、あるいは今後における電力を実際どういうふうに供給するなり、あるいは九電力自体でも、その資金力、技術陣、そのほか相当違います。したがって、それを総合するか、ブロック的になるか、少なくともそれをコントロールして、いわばそれを管理するということは語弊あるかもしれませんが、そういったふうに原子力発電についてはいく方向に進むべきではないか、また、この点も通産省も相当お考えになっております。しかし、あくまでこれは自主的、いわば広域運営というような形で原子力発電については進めるべきではあるまいか、まあ現在では東電、関電等が先べんをつけておりますが、これが数年たちますと必ず広域運営という形で、総合されたその各電力会社のスタッフが先行して、そういうことをやっていくようになっていくのではなかろうか、また、そういうふうに指導さるべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  190. 森元治郎

    森元治郎君 関連してついでに聞いておきますが、これは伺うだけでいいです。再質問しないから詳しく答えてください。  原子力開発利用長期計画、昨年三月策定されたわけです。金の手当、開発体制とか、あとは自主開発だったかですが、自主開発、開発体制、資金、これについては何か原則的なものが策定されているんですか、私詳しく知らないのでお聞きいたします。
  191. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 電力につきましては、先般来、原子力委員会そのほかで計画を大体立てておりますのは、あるいはけさ申し上げたかと思います。昭和五十年までに約六百万キロ、それ以前の昭和四十五年までに百三十万キロくらい着工する予定、これは大体協定の裏側に出ております十三基でございます。したがって、それらのことから考えて、昭和六十年になりますと、大体三千万キロ以上四千万キロ、そうしますと、日本の総需要電力の約三〇%近いものをどうしても必要とする、いわばそれだけの電力を出すために油を運ぶ等々すれば、それは運べなくなるといいましょうか、タンカーが三千数百隻要るということになりまして、実際上非常に困難になる。したがって、原子力でカバーしけなればならぬ、こういうことでございます。それに要する資金でございますが、百基としても一基五百億の百倍、それくらいの資金量は要ることになるわけでございます。したがって、これは電力会社等もそれぞれ具体的に合わせながら国家資金を相当投入していくという形をとらざるを得ないのではなかろうか、さらに、これに要する結局問題は、体制といいますか、いまの広域体制になってくるでありましょうが、人員の確保が相当必要になってくる。おそらく八千人から一万人くらい要るのではないか。したがって、それになりますと、何としても現在のこれは文部省の教育にもお願いしなければならぬし、さらにそれを各原子力研究所、そのほか現在ある発電所について、実地的にこれを研修していくという方法を講じなければならないというようなことを、いま非常に大ざっぱでございますが、考えておるというのが現状でございます。
  192. 森元治郎

    森元治郎君 短期計画を承りましたが、長期計画はまた別の機会にしたいと思います。
  193. 羽生三七

    羽生三七君 いまのに関連して。かりに昭和五十年の時点、六十年もあるけれども、一応五十年の時点として、それが諸外国の現在のレベルで、どこの国がほぼそれに匹敵するわけですか。日本昭和五十年になったときに、相手の国も進んでいってしまうけれども、現在の時点における相手国の諸外国の原子力発電というのは、どの程度の規模になりますか。
  194. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 現在はアメリカ、イギリスが圧倒的に群を抜いておりまして、すでにアメリカは一九七〇年で約七百万キロワットございますので、昭和五十年に六百万キロ強といいますのは、ちょうどアメリカの一九七〇年に匹敵する、こういうことでございます。それからアメリカは、いまの推定でまいりますというと、七十五年には三千万キロワットくらいに達する、こういう予想でございますので、そのころになりますと、日本もだいぶ追いついてまいるといいますか、日本のいまの計画は相当将来急カーブでのぼっていく、こういう計画になっておるわけでございます。
  195. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、日本も七、八年たてば現在のアメリカの規模に匹敵する、こういうことですね。
  196. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) さようでございます。
  197. 大和与一

    ○大和与一君 ちょっと思い出したのですが、フランスで核をつくるときに、議会で与野党が非常に熱心に長い間討議をしたそうです。日本の議員は何も知らぬのじゃないかとずいぶん悪口を言われているのですが、そのフランスの議会の討論の中で、私ども参考になることがずいぶんあると思うのですが、その与野党を通じて熱心に討議したものを日本語に直して、ひとつ適当なときにくれませんか、これは資料要求です。  次に、天然ウランの確保の問題ですね。これはあれですな。衆議院で鍋島長官は、将来のことを考えると、カナダなどから天然ウランを確保するために全力を尽くさなければならないと言うかと思うと、他方、三木外相は、各国とも盛んに探鉱、採鉱をやっておるからそう悲観する必要はないのではないかということですが、少しこれは違うような気がするのですが、この辺はどうでしょうか。
  198. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまここで打ち合わせいたしましたが、あまり違ってないようです。私もその発言の中に、カナダというものに相当ウエートがかかっていくだろうということも言っておるのです。いま一番カナダが有望ですからね。そういうことも言っておりますので、そう根本的に違いはないようでございます。
  199. 大和与一

    ○大和与一君 それで、この三十年間で百六十一トン、これを少な過ぎるといえるか、多過ぎるといえるか、これで多過ぎる場合には何かあるでしょう、余ったら、何かあとのほうに文句があるようですね、これはまたあとからお聞きしますけれども、これは三十年というやつがもう固まっておって、その間はもう一ぺんきめたらだめだということなんですかね。これは実際は計画的にいうと足りなくなるのですか、これは概算ですね。
  200. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 百六十一トンの中で、この協定の裏に附表としてございます。この四、五年間に大体現実化するであろう十三基の原子力発電の所要量、それが大体百五十四トンかになるかと思います。したがって、その分の供給、いわゆる濃縮ウランの供給をアメリカ協定において了承をしておる。しかも、その間において出たり入ったり多少することは御承知のとおり。要らぬとなれば要らぬと言えばいい。ただ、問題は三十年間の十三基でございますが、率直に言ってあと十年後になったら、今度は濃縮ウランでなくて、転換炉とか、あるいはプルトニウムを使う増殖炉になっていく傾向が相当あるのでございます。したがって、この協定ではいま申し上げたように、この附表にあるように十三基のものの三十年間分をアメリカから——賃濃縮するかもしれませんけれども、供給するということを約束しておるということでございます。あとの差額の濃縮ウランは、御承知のように、研究用とか原子力船とかが現在考えられる供給量になっておるというのが実態でございます。
  201. 大和与一

    ○大和与一君 そうしますと、そういうふうに非常に早い速度で進歩するでしょうから、ほかの国からもまた出るようになるかもしれない。あるいはソビエトの場合、現に力を持っていて出してないわけでして、これも話をつければ出してくれるかもしれない。こういうことになると、買うほうからいえば、コマーシャルベースでいかなければ損ですから、そのときになれば話はできるのですね。
  202. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 十三基の三十年間でございますから、それ以外にやはり日本で開発する場合もございましょうし、それ以外にまた日本にも濃縮技術が、あるいは現在研究しております遠心分離法であるいはできるかもわかりません。また、ぜひできるようにしなければならない。どうせ三%程度の濃縮度でございます。まあそういうことは別にあるわけでございます。
  203. 大和与一

    ○大和与一君 だからやはりある人は、三十年もアメリカだけに世話になっておると、ふぬけになると言って心配する人もあるそうがありますね。だから、いわゆる国民から考えて制約とか拘束とか、その他の不安というものはないのですか。いまはほかの国が出す力がないから、やはりとりあえずはこうしよう、これしかないじゃないか。しかも、一応やむを得ずそういうふうに腹をきめたのだからやっていく、こういうことになるのですか。
  204. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) とにかく十三基分の三十年間は、アメリカからこの協定どおり持ってきてもらう。しかし、日本に濃縮技術がもっと早くできて、要らなくなれば断わることもできるという体制になっております。
  205. 大和与一

    ○大和与一君 濃縮ウランの供給を保証される反面、わが国に課せられる条件ということでお尋ねします。
  206. 森元治郎

    森元治郎君 大和さんに関連して。なるほど百六十一トンは契約したが、それを買わなかった場合、向こうは供給する義務があるのですね。あるけれども、日本は何かの都合で買わなかったときには、契約は百六十一トン全部を契約して初めて向こうが供給の義務が出てくるので、契約しない分がもしあったとすれば、その残りの分は解約になりますか。
  207. 大和与一

    ○大和与一君 ちょっと。同じ質問をするからもうちょっと聞いてから。だから、政府は百六十一トンの需要はわが国にとって義務ではないと言っているのですね。右の規定は、米国としては必ずしも供給余力が十分ではないとの理由で、右契約分をいつまでも権利として保留することは許されない場合もあるとして、結局百六十一トンの需要を強制するのじゃないか。ちょっとことばはいまの質問と同じようなことになったけれども。
  208. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 二つの点、御質問があるわけでございますが、最初の点でございますが、この契約は実際のやり方は、この付表にございます十三基の計画一つごとに契約をするのが原則になっております。たとえばあるFならFという計画に対する一応の目標数字が十二トンというぐあいに書いてございますけれども、日本側の都合によりまして、かりに半分しか契約しなかった。六トンしか契約しなかったという場合には、特別の場合を除いて、原則としてはあとの残りの六トンというものはアメリカ側の供給義務が解除される、こういう形になっております。しかし、これにつきましても「別途合意される場合を除き」、というぐあいに書いてございますので、アメリカ側が了承すれば、その残りの余った分をほかへ転用するという合意も取りつけ得る余地は残っているわけでございます。  それから第二番目の点でございますが、これは第八条のBに関連する御質問かと思いますが、日本側がなかなか契約を結ばないというような段階で相当年月が推移して、アメリカ側として将来の計画上早くその点をはっきりしてもらわないと、ほかへの供給とか、将来、計画に差しつかえるという場合を考えての条項がこれでございまして、「U−二三五の濃縮ウランの量の最大限に達し、かつ、」云々と書いてある十八ページのところの問題でございますが、一応アメリカからその契約督促の要請ができることになっておりまして、その要請がありましても、なおかつ契約をしない、こちらの都合によりまして契約をしないという分については、この供給義務を解除されることが了解される、こういう形にはなっております。
  209. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、何といったって三十年の話だね。三十年の話で、ABCD十三まである、そうすると、最初の契約は、そのうちのA発電所は、お金の手当ての関係もあるだろう。炉の能力の関係もあるだろう。あるいはメガワットの違いもあるだろう。それによって、契約が第一回が二〇%、その次が一〇%とか、これは格別にABCとやればいいんで、三十年まで全部約束しなくてもいいんでしょう。最初は三〇%約束をして、あとまた二〇%とか、それは自由なんですね。
  210. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 百六十一トンを一括契約する必要はございません。第八条のD項にございますように、原則としては、附表に掲げる計画ごとに契約すると、こういうことになっております。
  211. 森元治郎

    森元治郎君 ワクだけ持っていて、あとはそのときそのときにやるわけだ。
  212. 大和与一

    ○大和与一君 第八条Dによれば、附表に掲げる発電所の一つ一つについて、その発電所が必要とする濃縮ウランの総量の入手を確保するためには、その発電所が附表に記載されているとおりに建設開始されること、また、その発電所に要する濃縮ウランの総量についてあらかじめ契約を締結する必要がある。したがって、第一に濃縮ウランの供給を確保するためには、わが国でその発電所の建設計画をかってに変更することは許されなくなる。そうすると、これはわが国の自主性が害されるという感じもするのだが、どうでしょう。
  213. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) D項に書いてございますのは、附表に掲げる計画ごとに原則として一括契約をするということが書いてあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、日本側の都合によりましてその全量を契約をしなくてもいいという余地は残されております。なお一般的に申しまして、この附表につきましては、アメリカとの合意によりまして内容を変更することができる、こういうことになっておりますので、日本側の将来計画が途中で規模なり様式なり変わりました場合にはそれを修正いたすと、こういう考えております。
  214. 森元治郎

    森元治郎君 それは交換公文とか何とか、別途の文書の交換があるのですか、ここへ出してない。
  215. 重光晶

    政府委員(重光晶君) いま原子力局長だから御説明申し上げた八条のD項につきましては、御承知のように、この計画どおりの総量を原則として契約する。しかし、それに引き続きまして、そのあとの文章で、日本側が計画のため割り当てられた濃縮ウランの総量より少ない量について契約することを希望する場合はということは、少ない量を契約することができるわけでございます。ただ、アメリカとしては、総量百六十一トンをコミットしておりますから、それは少なく契約された場合にはそれだけ減るわけでございます。そして、その減った場合には別途合意される場合を除いて総量から減ってしまうのだというのが、この第八条D項の規定でございます。この「別途合意される場合を除き、」というのは、その一定の計画については購入量を日本側の希望で減らしたのでございますから、その余った分をほかのところに使うということについてアメリカと合意ができればほかにいく、その場合には総量の百六十一トンは減らない、しかし、そうでない限りは総量が減るのだ、こういうことになっております。
  216. 大和与一

    ○大和与一君 そういうことになっておるらしいのですがね。当面、米国以外から濃縮ウランを入手できる見通しはない、また、わが国において濃縮ウランを必要としない新しい型の炉の出現の見通しも必ずしもはっきりしてない、こういう現状だとすると、事実上、各発電所ともそれぞれ三十年間分の所要総量をあらかじめ契約しなければならない。したがって、第七条Aの供給保障は、少なくとも当面わが国から見れば受領義務となるのではないか、どうですか。
  217. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) すでに午前中にも御論議がございましたように、軽水炉でございますから、増殖炉とか、新型転換炉が日本で使われるのはまあ五十年前後、それから現在開発しておる濃縮の設備等がほんとうに動くのも、うまくいってやはり五十年前、四十八年、九年で、その間におきましては現在続々とすでに建設しております十基ないし十三基のものは軽水炉である。しかも、その軽水炉であって三%前後の濃縮ウランを使いますから、濃縮ウランを供給している国が実はほかに、まあイギリスの御承知の日英協定できめられておるもののほかは現実として考えられないというわけでございます。したがって、ここ四、五年のところはどうしてもアメリカに濃縮ウランの供給を仰がなければならない、こういうのが現実の姿でございます。
  218. 大和与一

    ○大和与一君 提供された情報、核燃料、原子炉などについて、提供国側はそれらの正確性、完全性、適合性を保証しないとあるのですね。日米協定第五条によれば、提供された情報、核燃料、原子炉などについて、提供国側はそれらの正確性、完全性、適合性について保証しないことになっている。この協定は双務的となっているけれども、実際にはわが国に対し原子炉、濃縮ウランなどを提供する米国側のみの特権となることは明らかでありましょう。この規定がおかれた趣旨は、原子力産業がまだ新しい産業であるために情報が不完全である、設備が不備であること等を提供国側の責任とすると、提供をしぶるおそれがあるからだと言われるが、このような趣旨が今後三十年も貫かれるというのははたして妥当であるといわれるかどうか。附属交換公文第八項では協定の改正を目的とする協議ができることとなっているが、この第五条を将来改める方向で努力するつもりはありませんか。
  219. 重光晶

    政府委員(重光晶君) 五条の問題につきましては、いまお説のとおり、われわれでも考えております。現状を申しますと、先生お話のとおりに、今はとにかく原子力工業が始まったばかりであって、だれも将来の見通しがつかぬということで、こうなっているわけでございます。これは、たとえばアメリカが諸外国と結んでおる、たとえばスペイン、スイス、スウェーデン、ノルウエー、これらの協定にもみな二国間協定では同じ規定があるわけでございます。しかし、これも大和先生がおっしゃいましたとおりに、技術は進歩する、したがって、ほかの査察の問題その他もございますが、これらの点につきましても、その技術の進展にあわせて、これは当然変えていくべきものだ、こういうふうに考えております。
  220. 大和与一

    ○大和与一君 次に、附表に掲げてある発電所計画以後の計画と協定との関係についてお尋ねします。日米協定第九条Aによりますと、百六十一トンというワクは合意により増ワクできるものとされている。また、附表の発電所計画は第七条Aによれば、そのワクの範囲内で随時修正できるものとされている。で、附表に掲げてある十三基の発電炉は今後五年間に建設される、または建設が開始されるものということであるが、原子力発電計画の進展により、まもなくその後の発電所計画が必要となってくるのではないか。その場合に、当分は軽水炉すなわち燃料として濃縮ウランを必要とするのであれば、この協定の供給ワクを広げ、附表を改正していくのであるのか。もしそうであれば、新たな計画が立てられた時点から炉の耐用年数に従って二十五年から三十年の期間が必要となり、この協定の有効期間は三十年以上に延長せざるを得ない、こういうことになるのでしょうか。
  221. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 十三基は御承知のとおり昭和四十六年前後、四十五、六年ぐらいから着手いたしまして、五十年までには大体でき上がっていくというまあ計画でございます。したがって、その前後になりますと、やはり五十年が一つのピークで、あるいはその後計画されるものが濃縮ウランを必要としない型式の原子炉になっていく可能性も相当あるのでございます。また、一面その前後になりますと、天然ウランを入手すれば、日本においてある程度濃縮でき得る体制ができるということで現在進んでおります。これは非常に困難な問題であるかもしれませんが、進んでおります。したがって、そういうものを取り入れて十三基の三十年間の燃料を確保したというのが現実でございますので、その後の経緯はその時点に立ってやはり延長とか、あるいは濃縮技術のほうから見ていくというふうに、ちょっと現在においてはあるいは軽水炉でまだ進めていけば増量も考える。そういう時点に立って昭和五十年前後に再検討をしなければならない時期がくると、かように思います。
  222. 大和与一

    ○大和与一君 国際原子力機関の活用についてお尋ねします。アメリカは、さっきもちょっと触れましたように、ソビエトの言い分なども聞いて、原子兵器の禁止が含まれていないことを理由に反対したので、二国間協定をつくったんですね。わが国が日米原子力協定によって対米依存度を深めたのも、このような米国の二またかけた政策に原因するのではないかと思います。原子力機関が設立されてから二年後の昭和三十四年に、わが国は機関を通じてカナダから三トンの天然ウランを輸入した。その後この機関はこのように提供機関としての役割りを果たしているでしょうか、それが一つ。それから原子力機関は今日では査察の面で重要な役割りを果たすようになったのでありますが、設備や燃料の提供という面でも、これを活用することにより、国際協力は二国間協定よりも、むしろ原子力機関を通じて行なうという方向に向かうことができないものであろうか、その二点です。
  223. 重光晶

    政府委員(重光晶君) 第一点の原子力機関がウラン燃料その他の配給と申しますか、そういう役割りを現実にやっておるかどうかというお尋ねについては、実は原子力機関の憲章によりましてそういうこともやれることになっておりますが、現状は、その燃料の供給にいろいろアドバイスなり、それから連絡その他のことはやっておりますが、直接、機関の所有の燃料を各国に売り渡すというところまでは、実は原子力機関がそこまで現実には進歩していないわけでございます。  それから第二点の、日本が、たとえば日米あるいは日英の条約で、日本アメリカ及びイギリスから受ける査察、こういう二国間のものは原子力機関の査察のほうに移すべきではないか、これは全くお説のとおりでございまして、現行の日米協定におきましては、まだだいぶん前でございましたので、この協定では原子力機関でどういう査察をやってもらうとか協議してきめるということになっております。いま審議をお願いしております新しい協定は、原則としては将来は国際原子力機関の査察におきかえていくという原則をうたっております。これは条約面でございますが、実際はこの現行協定日米も日英もそうでございますが、両国からバイラテラルな査察を受けるたてまえでございますが、実際は日英と原子力機関日米原子力機関、この三者間の協定によりまして、アメリカなりイギリスの査察を原子力機関に移管して、現実にわれわれが受けておるのは原子力機関の査察を受けておる、これが現状でございます。それからまた御承知のように拡防条約ができますれば全面的にこれに移管される、こういう状態でございます。
  224. 大和与一

    ○大和与一君 日本のいまの原子力の発展はほとんど外国の援助によって行なわれているので、協定に基づいて必然的に相手国または国際原子力機関の査察の問題が付随してくると、将来、原子炉核燃料再処理施設などにおいて国産率が高まっていく場合には、国際原子力機関の査察を受けることは日本のみの決意にかかってくる場合もあるのではないか。で、原子力機関憲章では保障措置は外国から援助を受けたものについて適用されることとなっておるが、国産のものについても査察してもらうことはできる。ほかに、米国は自国の一部発電所について機関の査察を受けておる。もっとも核防条約に入れば、核燃料については国産のものも査察の対象となる。こういうふうに理解していいんですか。
  225. 重光晶

    政府委員(重光晶君) おっしゃるとおりだと思います。現状は、アメリカからもらったもの、イギリスからもらったものだけでございますが、核防条約に入りますと、一般的な国際原子力機関の査察ができますれば、日本の管轄下におけるすべての核燃料その他の査察を受ける、こういうことでございます。
  226. 大和与一

    ○大和与一君 しかし、業界としては、査察はあんまりしたくないとか、あんまりきびしくしたら困るという声もあるんですが、この際、国際査察を受けることについて政府の基本的態度、まああんまり甘やかしちゃいかぬということになりますけれども、少し基準の内容ですね、査察の基準の内容も含めてお答えいただきます。
  227. 鍋島直紹

    国務大臣(鍋島直紹君) 便宜、私から簡単にお答えしておきますが、結局査察を受ける場合、各会社において一番心配しておるのは、商業機密、ノー・ハウをそのまま持っていかれて、そして他国にそれが漏れていくというようなことであろうかと思います。しかしながら、核防条約ができて国際原子力機関の査察を受けることになれば、やはり問題は査察の方法にあると考えます。目的は平和利用に徹しておるかどうかということですから、その間における査察をでき得る限り、査察の方法をやはり簡略にするとか、重点だけを十分してその目的を達するようにする、しかも、その小さな部面における商業機密、日本で開発した機密をそのままただで持っていかれるというようなことにならないような方法を、具体的にやはり、これは今後実際上の査察という面では原子力委員会としても意見を出して、そういう査察方向へ進められるように国際原子力機構との話し合いを進めていかなくちゃならぬというふうに考えるわけでございます。
  228. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。いまの件で、鶴岡国連大使かな、このあいだの演説の中で、簡素化と機械化と言っていますがね、私よくわからないんですが、たとえばどういうことなんですか、これは専門的なことになるけれども。
  229. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 査察の対象は核燃料が主体でありますが、それを使う場所は、原子炉あり、あるいは再処理工場あり、燃料加工工場あり、いろいろ千差万別であるわけでございまするが、加工工場あるいは再処理工場というところを例にとってみますと、その中のチェックポイントというのが幾つかあるであろうと思うのでありますが、そのチェックポイントを自動的に記録装置によって実態が明らかにされるようなくふうができれば、常時査察員がそこにいなくても済むというようなことが考えられるわけでございます。こういうことにつきましては、IAEA、国際原子力機関そのものでも、いろいろ各国のエキスパートを集めて検討会などをいたしておる段階でございまして、わが国でもエキスパートを出しまして、そういう会議へ参加させるなり意見を申し述べるなりということでやっております。今後もそのような努力を続けなければならないと思っておるわけでございます。  なお、この保障措置の方法の中には、記録の保持の義務だとか、あるいは報告の義務といったようなものがあるわけでございまして、これらにつきましても度が過ぎますと非常に支障があるわけで、これらにつきましても、必要最小限度の記録の内容であってほしい。こういうことで、従来もわが国の規制法によりまして、政府が要求をいたしております記録と報告の範囲にとどめてもらうよう要請いたしまして、そのようなことになっておるのでございますが、今後につきましても、簡素化という面ではそういう点にも留意しなければならぬ、こう考えております。
  230. 羽生三七

    羽生三七君 それで、それは外務省なり科学技術庁で鶴岡大使に連絡をとって、そういうことになったのですか、鶴岡さんが一つの思いつきでやったのか。
  231. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 鶴岡君の演説の前には各野党等とも私会談をしまして、そういう模様も伝え、そして参考に供するようにしましたので、演説の内容は、相当本省との打ち合わせの結果です。
  232. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと答えが違うのです。全般的な問題じゃないですよ。簡素化とか機械化ということで科学技術庁でそういう問題を、原子力局長のほうでもいいのですが、いろいろ検討して、それで機械化するとか、簡素化するという演説の中に入れてくれと言ってやったかという、こういうことなんです。
  233. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 従来から査察の問題というものはなかなか込み入って、よその人が来るわけですから。そういうことじゃなしに、これをできるだけ人間がやるということよりも——人間がやらなければならぬのですけれども、感じが人間が中心になってやるというよりも、機械化して、そしてなるべく商業上の機密というようなものが、機密の保持というようなものに不安になるような形を起こさぬようにすることがいいというように、外務省でも科学技術庁でも意見が一致しておったわけです。だから、われわれのいろいろな査察の将来の問題の中に、いま言っておった機械化というものを書いてあるわけですけれども、特に演説に際して打ち合わせがあったというわけではないが、従来から査察に対する両省の基本的な考え方の中に、そういうものがあったということであります。
  234. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけ。そのことは、そういうたとえば機械化するならばこういうようになるだろうというような、一つの何か考え方があって、つまり思いつきでなしに、具体的にこうすればこうなるというような、ある程度のそういう機械化の進歩があって、それを受けてやったのかどうかということです。
  235. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 査察技術の中で機械化という問題は、いま研究されつつある重要な問題でございまして、まだ進歩しつつある段階というのが実情かと思いますが、査察の合理化ということにつきましては、いまの機械化等も含めまして合理化すべきことにつきましては、かねてから外務省も加えてのいろいろな検討会の際でありますとか、あるいは原子力産業会議に設けられております査察に関する検討会といったところで出ました要望というものが、かねてから何回か出ております。それらが外務省のほうにもいっておるわけでございますので、そういうものを反映して動いていただいておるものとわれわれ考えております。
  236. 大和与一

    ○大和与一君 日米原子力協定付属交換公文第8項によれば、日米両国が核防条約の当事国となった場合は、日米原子力協定の改正を目的として協議を行なうこととなっているが、協定第十一条に定める保障措置を改正して、核防条約第三条に沿うように査察対象を限ることができる見通しがありますか。
  237. 重光晶

    政府委員(重光晶君) この交換公文8項に書いてあります協定の改正でございますが、その改正点、いろいろあると思いますが、査察問題が一番重要な問題の一つになると思います。したがいまして、いま御指摘になった十一条の規定は当然改正の対象になる。ことに、これとそれから国際原子力機関の査察とはたてまえが少し違ってまいりますし、それから国際原子力機関の査察そのものも簡素化していくという見通しがあるわけでございますから、それに基づいて、ことに御指摘になりました十一条の点は改正の非常に大きな問題点になると思います。
  238. 大和与一

    ○大和与一君 交換公文第八項によれば、査察条項の改正についてでありますが、日米両国が核拡散防止条約の当事国となったときは日米協定の改正を目的とする協議が必ず行なわれることとなっている。これは主としてどの条項を改正することを目的とするか、簡単でいいです。——じゃ、飛ばして、それで協議の際は、このようなきびしい査察を核防条約の線までしぼることを主張する方針理解してよろしいですか。
  239. 重光晶

    政府委員(重光晶君) いまから協定の内容を全部予測することはできませんが、われわれとして一番関心のあるのはこの査察の問題でございます。そして、現在の査察が現行の原子力機関の査察程度に簡素化するというお話でございましたが、実はわれわれの気持ちは、現行よりももっと簡素化してもらいたい。査察問題はいままで話が出ましたように、簡素化してもらいたいということと、それからほかの国と差があってはならぬ。これは午前中話の出ましたユーラトムの問題でございます。この二つの観点から改正を目指す所存でございます。
  240. 大和与一

    ○大和与一君 ですから、わが国が核防条約について、非核保有国のみならず、核保有国も国際査察に服すべきことを主張しておる。この精神からすれば、核防条約に関連する協議の際、日米協定において米国も国際原子力機関の査察に服すべきことを主張すべきであると思いますが、どうですか。
  241. 重光晶

    政府委員(重光晶君) お説のとおりだと考えます。
  242. 大和与一

    ○大和与一君 日米協定締結交渉の際に、わが国はこの双務性を主張したことが報道されており、これに対して米国は自発的に原子力機関の査察に服するのはよいが、二国間協定で縛られるのは好まないとの理由から、これを拒否したといわれておる。わが国は核拡散防止条約成立の際の協議において、再び三たびこの点での日米平等を主張する決意があるかということをお尋ねします。
  243. 重光晶

    政府委員(重光晶君) この核防条約ができましたあとの問題は、実は日米間だけの問題ではなくて、すべての条約に参加した核保有国の問題ともなるわけでございまして、それからアメリカ、イギリスは正式に平和利用については査察を受諾するということを言っております。したがって、私どもの考えとしては、当然そういうことになるものと考えております。
  244. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっといまのことに関連して。何かアルゼンチンの人なんかが、東海村ですか、発電所の査察に近日くると新聞に載っておったんですが、来たのですか。
  245. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 東海村の原子力発電所に対します国際原子力機関の査察員の査察が今度初めて行なわれるわけでございますが、査察員がきょう到着したそうでございますが、二十八日から実際の査察が行なわれる予定になっております。
  246. 森元治郎

    森元治郎君 その場合の査察の基準は現行の基準でやるわけですね、国際原子力機関の。
  247. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) お話のとおり、現在の国際機関の査察要綱に基づいてやられるものと考えております。
  248. 森元治郎

    森元治郎君 それはきわめて不満な、直してもらいた点がたくさんある現行の基準でやられるわけですね。
  249. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 先ほど来申し上げておりますように、今後は合理化につとめてもらいたい。こういう要望は出しておるわけでございますけれども、現在においては、現在有効であります機関の要綱によるのはやむを得ないかと思います。
  250. 森元治郎

    森元治郎君 そのときもちろんだれか立ち会うのでしょう、もちろん。
  251. 羽生三七

    羽生三七君 それでどういうかっこうでやるのか。国会議員がぶらっと見るようなわけじゃあるまい。おそらく専門的なことをやるのでしょうが、どういう形をとってやるのか。もしわかっておったら知らせてください。
  252. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 査察の目的から申しまして、ポイントはやはり炉の中で使用されましたウラン燃料の中に、生成したプルトニウムの計量と申しますか、それの数量把握ということにあると思いますので、現場に行きましての監察は主として原子炉運転記録のチェックでありますとか、あるいは燃料在庫量の記録のチェックというようなことが主になろうかと存じております。  先ほどお尋ねの、科学技術庁としては立ち会うかというお話でございますが、もちろん従来ともそうでございますけれども、担当官が立ち会うことになっております。
  253. 大和与一

    ○大和与一君 それはやっぱりいまの調べ方が、手でさわったりなんかしてもしようがないでしょう。そうすると、向こうで機械を持ってきてやるのですかね。それともこっちにちゃんと機械があって、それを見れば、国際的なそういう査察の水準があって、主として数字なんですか。どうもその辺が、見たぐらいじゃわからぬでしょうからね。もうちょっとやさしく説明してください。
  254. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 原子炉の中身は放射線が一ぱい充満しておりますので、立ち入ってながめるわけにまいりません。したがいまして、運転記録の数字でありますとか、それから炉の性能のチェックでありますとか、そういうことが主になるはずでございまして、原子炉の運転を一時とめて見ろというようなことはないことになっております。
  255. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、十八グラム取ったとか、たいへんな騒ぎです、十八グラム。かりに秘密といえば、実に少ない燃料からうまく取れたなと向こうも思えば、これは諸外国にはないうまいことをやっている。そこを見られれば商業的秘密になるわけですか、一つの。ほかじゃ十三グラムしか出ないはずが、十八グラム出ているのは相当なものだという、それは秘密かね。たまに教えなさいよ。
  256. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 東海原子炉の設備につきましては特に秘密はないと考えます。査察される査察員がめぐりまして見る場所につきまして、特に秘密はないと考えております。それから設計書の提出義務などでございますけれども、現在要求されておりまして出しておりますものは、いわゆる原子炉年鑑等に通常出ております設計概要図といったようなものでございまして、特に製作上のノーハウ等がそれによってわかるというようなものとはだいぶ違うのでありまして、比較的簡素なものであると考えております。
  257. 森元治郎

    森元治郎君 私の伺ったのは、東海村のコールダーホール型を見るわけでしょう。
  258. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 先ほど申し上げました少量のプルトニウムが生成されましたと申しますのは、東海の原子力発電所でございませんで、原子力研究所のほうの試験装置の中で行なわれたものでございます。
  259. 羽生三七

    羽生三七君 その研究所が別に査察を受けるようなことはないんですか、それはどうなんです。
  260. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 今回の査察員は東海炉だけでございまして、原子力研究所の査察は行なわない予定になっておりますけれども、従来から原子力研究所につきましては、すでに何回か原子力機関の査察が行なわれております。いずれこの次には、そういう先ほどのお話の施設についても査察の対象になろうかと考えております。
  261. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、今回のプルトニウム何グラムか知らぬが、それを出し得た能力というものは査察にきた人が驚くほどのことはない、普通あたりまえのことですか、かなりな力なのか、それはどうなんです。
  262. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) この原子力研究所でプルトニウムを生成しました試験装置は、技術的に申しますと溶媒抽出型によるものでございまして、すでにこの技術は国際的に一応実用化されておるもので特別の秘密というものはないわけでございます。
  263. 大和与一

    ○大和与一君 お二人にまだうんと質問があるそうですが、私のほうはもう少しで終わりますから、しばらくおつき合いください。軍事目的に使用しないことを保障する義務が双務的となったことについてお尋ねします。前回の外務委員会で、たとえば米国から提供された燃料をわが国で使用した後、そこから回収されたプルトニウムが米国に売却された場合に、米国はそれを軍事目的に使用しない義務を負うことになったと説明されておりますね。しかし、プルトニウムについていえば、この協定第九条Bによって、わが国に対し三百六十五キログラムまでの供給が保証されているけれども、この量は交換公文第五項によれば、一九七〇年まで、すなわちここ二、三年の需要量である、その後の必要量については、同項において一九七〇年代の初めになれば世界的に余裕ができると思われるが、米国は増ワクについて日本側協議する旨を述べておる。しかし、当分の間、少なくとも日本側からは米国にプルトニウムが売られる可能性は少ないのではないでしょうか。
  264. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) お話のとおり、この協定に盛られております三百六十五キログラムのプルトニウムはここ数年間の必要量でございます。動力炉・核燃料開発事業団でありますとか、原子力研究所で研究開発用に使うものでございます。それから、将来の需給につきましてのお尋ねでございますが、昭和五十年代になりますと、わが国におきましても相当量のプルトニウムが生成される見込みでございます。したがいまして、高速増殖炉あるいは新型転換炉等が実用期に入りますまでの間は相当需給にゆとりが出るものと想定されております。
  265. 大和与一

    ○大和与一君 そうすると、プルトニウムだけじゃなく、濃縮ウラン、原子炉なども対米輸出の可能性が当分の間ないと思うのですね。そうすると、第十条において、米国が日本側から提供されるものを軍事目的に使用しないことを保障する義務を規定し、双務的としても、実際には米国側に適用される可能性はほとんどないんじゃないかと、こういうふうに考えていいですか。
  266. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 先ほど五十年代におきまして需給にゆとりが出るだろうと申し上げました。そう考えておりますが、われわれといたしましては、高速炉が実用化されまでの間に、現在のような軽水炉のタイプにプルトニウムをウランと混ぜて使う技術が開発できれば、有効に燃料化できるという観点から、それらの研究もやっておりますので、それらの成果いかんにもよるわけでございますが、われわれとしてはできれば国内でできますプルトニウムは、国内で有効に原子力発電に使いたい、こういうような念願でございまして、たくさんのプルトニウムが外国へ輸出されるということは必ずしも考えておらないわけでございます。協定上はそれの余地を残しておると、こういうことに考えておるわけでございます。
  267. 大和与一

    ○大和与一君 日米協定第六条の規定についてお尋ねします。日米協定第六条のA、Bは、原子炉及び特殊核物質の移転を日米いずれの側からもできるように双務的な規定としている。しかし、一方の当時者は政府または民間であるのに対し、他方の当時者は民間のみである。なぜこれを日英協定第一条(1)(b)のように双方の当事者を政府または民間としなかったのですか。
  268. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 日米協定におきましては、第四条では政府間同士の取引につきまして規定をいたしておりまして、第六条で民間取引のケースを書いておるわけでございます。第七条は両条に関係するわけでございますが、いずれにしても、そういうぐあいに分けて書いてあるわけでございます。それから日英協定のほうは、二条でそれをまとめて書いてあるということでございますので、日米協定のほうの各条をあわせて考えますれば、当事者はすべて含まれておりまして、日英協定の範囲とは変わらない、こういうぐあいに考えております。
  269. 大和与一

    ○大和与一君 日米協定第七条A及びDは、米国政府から日本政府または民間に対し、濃縮ウラン及びプルトニウムを供給することをきめているので、この第七条A、Dと第六条Bとを合わせれば、特殊核物質については一方の政府または民間、他方の政府または民間のいずれの間にも移転が可能となる。しかし、日英協定では、日米協定の第七条に該当する第二条で英国政府から日本政府または民間に対して天然ウランの供給を行なうことをきめているほかに、第一条(1)(b)において双方の政府または民間のいずれもが取引できる仕組みとなっている。日米協定第六条と日英協定第一条との差はどのような事情によるのですか。
  270. 藤波恒雄

    政府委員(藤波恒雄君) 日米協定の第五条、第六条、第七条と合わせていただきますと、日英協定の範囲と合うものと考えております。
  271. 大和与一

    ○大和与一君 そちらのほうでもっと質問してもらいたい顔をしているけれども、残念ながら本日はこれでやめます。
  272. 羽生三七

    羽生三七君 いまのことに関連して、いま日英が出たから、日英の現行協定ですね、これは全然、量というものは規定していないわけですか、今度の新協定にもそれがない、量というものは全然ない、そういう協定というものはあるのですかね。
  273. 重光晶

    政府委員(重光晶君) 日英協定日米協定と非常にそういう意味で違うわけでございます。日米協定アメリカに要するに百六十一トン、三百六十五キログラムの燃料をコミットさせる。ところが日英間においては、そういう日本の必要とする燃料、具体的にいえば、濃縮ウランを大量に外国に出すという状態にイギリスはないわけでございます。それは現行協定をつくったときにもそうでございますし、現状もそうでございます。したがって、日英協定には、現行も新しい協定にもそうしたことは規定されていない、具体的に。ですから早い話が、技術的な協力その他が表面に出てくる。日英協定においてはそういうことになるわけであります。
  274. 森元治郎

    森元治郎君 これは資料ですが、査察関係の資料、これは大部のもので、ちょうどガットの関税譲許表みたいにでかくちゃこなせないけれども、薄いわかりやすいものがあれば。査察の基準かそんなことを書いたもの。  それから原子力産業会議あたりで要望事項もあるのでしょう、こんなふうに直したいとか。そんなものを二つ、何かわかりやすい資料があったら、むずかしいのは要りませんよ、頭が痛くてわからないから。
  275. 三木與吉郎

    委員長三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会      —————・—————