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国務大臣(
三木武夫君) 佐藤
総理と私の
考え方が違っておるんじゃないかという
質問かと思うのです。私は違っておるとは思わぬのですよ、私自身は。
外交政策というものは長期的に見る目が要る。
外交はやはり現実ですから、
外交は現実的に処理していかなければならぬのですけれども、全然長期的な展望というものを持たない
外交政策というものは私は疑問に思っている、そのときそのときでやることでは。やはり長期的に
外交政策の
方向があっていいということで、しかし、
方向があっても、現実は
相手があることですから、こちらだけが中共に対していろいろ言って、
向こうからやはりそれに呼応するものがなければ、現実の
外交政策というものはうまくやっていけぬのですね。そういう点で、佐藤
総理のそこで読まれたことは、現実の日中関係というものを言っていられるに違いない。私はそれにもかかわらず、日中関係というものは、やはりこれは両方で改善していかなければ、これだけ近いところにおって、お互いに地理的に中共も
日本も永久に地勢学上の地位というものは変えることはできない。これはどこにも引っ越しはできぬのですからね。そうなってくると、それなら対決あるいは
戦争というものを日中関係で
考えられるかといったら、
考えられないですからね。どうしても、やはり困難であってもお互いに平和的に共存する道を探究するということが、やはり日中両国の
政治家の私は責務だと思うんですよ。しかしいますぐにはなかなか——いま佐藤さんが
指摘されたような問題がありますからね、すぐにはいかぬが、そこへ持っていかなきゃならぬ。ただ、しかし、私は
一つは、何かいま大和さんも言われておったが、目がさめてみたら
アメリカと中国とが仲直りしておった。まあ仲直りもそれは私はけっこうだと思うんですよ。目がさめてみて
日本がびっくりするようになったっていいと思う。
アメリカと中共がそういうふうなことはないかといったら、何か乗りおくれたらたいへんだと、目がさめたら
アメリカと中国が仲直りしておって、
日本の頭ごしに仲直りしておったら
日本はこれはもう取り残される、こういう焦燥感をやっぱり日中関係に持つことは私はきらいなんですよ。だから、バスに乗りおくれたらたいへんだというので、バスに乗りおくれるなという
考えでの日中関係、これは私はとらないのです。それは中国関係で、
ベトナムが片づいて、このごろは
新聞なんぞは中国、中国と書きますから目につきます。その姿勢にこたえて言ってるんじゃないですよ。私はもう去年ASPACのときから同じことを言ってるんですよ。
ベトナムが片づきそうなんでバスに乗りおくれたらたいへんだと思って
発言していると思ったら違う。これだけは大和さんに言っておきたいのは、どうもバスに乗りおくれたらたいへんだということで日中問題を
考えるほど、やっぱりそんななまやさしいものじゃないのです。これはやはり
日本の
外交の最大の課題です。それを何か乗りおくれた、
アメリカから頭ごしにやられたらたいへんだ。
ベトナムが片づいた、だから中国問題、これをやらなければたいへんだという、そういうひとつの焦燥感の中に
考えるべき日中問題ではない。これは永久に大きな問題であると思います。