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1968-05-22 第58回国会 参議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十二日(水曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      谷口 慶吉君     山本 利壽君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 川村 清一君                 黒柳  明君     委 員                 井川 伊平君                 植木 光教君                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 北畠 教真君                 小柳 牧衞君                 近藤英一郎君                 平泉  渉君                 山本 利壽君                 森元 治郎君                 春日 正一君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        総理府特別地域        連絡局参事官   加藤 泰守君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        農林省農地局管        理部長      中野 和仁君        水産庁漁政部長  岩本 道夫君        自治省行政局振        興課長      遠藤 文夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置  等に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○沖繩祖国復帰促進に関する請願(第四三二号) ○日ソ平和条約締結促進等に関する請願(第三  五四五号) ○沖繩返還に関する請願(第三五四九号) ○沖繩祖国復帰早期実現に関する請願(第三八  二〇号) ○北方領土日本復帰促進に関する請願(第三八  二一号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖繩及び北方問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十一日、谷口慶吉君が委員辞任され、その補欠として山本利壽君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、理事辞任及びその補欠互選についておはかりいたします。  岡田君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川村清一君を指名いたします。     —————————————
  6. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方ば順次御発言を願います。
  7. 川村清一

    川村清一君 この法律は、将来、北方領土がもし日本復帰した場合におきまして、やはり歯舞色丹とか、国後、択捉であるとかいう領土日本に返りまして、そして、日本人がこの島に復帰する場合に、どういうふうな処置をとるかという場合に、やはりこれは大きな、大切な一つケースになるであろうと私は思うのであります。そこで、そういう立場からいろいろお尋ねをしてみたいと思うわけでありますが、この法律は、第二条にうたっておりますように、「旧島民ができるだけすみやかに帰島し、生活再建をすることができるように配慮するとともに、この法律の施行の際現に小笠原諸島住所を有する者の生活の安定がそこなわれることのないように努めなければならない。」と、こういう「(国及び地方公共団体の責務)」をうたっているわけですが、そこで、旧島民ができるだけすみやかに帰島するということが目的になっておりますが、旧島民であるということ、また、旧島民家族であるということをだれが一体証明するのか、何を根拠にして旧島民であるということを証明するのか、この点をお聞きしたいと思います。
  8. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問でございますが、昭和十九年に国に帰られました以後、もちろん民間の団体ではございますが、町会やら何やらおつくりになりまして、そうして団結をかたくし、今後のいろいろな問題に対処されたわけであります。その間におきましても、あるいはアメリカからの見舞い金の配分の問題やら、そのほかいろいろなケースがございました。さような関係から、これは確かに旧島民であり、また旧島民家族であって、新しく日本に返ってから生まれた人であるとか何とかいうようなことは、非常にはっきりとレジストいたしてあるわけでございます。また、今回のこういうような措置にあたりましても、旧島民方々に対しましての一体帰意思があるものかどうかというようなことも、われわれのほうといたしましては意思調査などで、個別に伺っているような次第でございまして、旧島民という方々家族並びにその異動につきましては、ある程度まで詳細に把握いたしております。
  9. 川村清一

    川村清一君 ある程度まで詳細に把握しているとおっしゃいますが、旧島民であるということを法律的に証明するものはこれは戸籍だと思うのです。この小笠原諸島に住んでおられた方の一体戸籍ですね、戸籍事務、これらのことにつきましてはどうなっておりますか。
  10. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お尋ね小笠原諸島戸籍の問題につきましては、これは法務省が所管しているわけでございますが、私の聞いているところを申し上げますと、法務省といたしましては、終戦直後に小笠原諸島住所——本籍を有していた者の戸籍を取り扱う事務所といたしまして、東京法務局にその仕事をやらせると、こういうふうにいたしまして、それを特に戸籍法の特例という形で、当時のポツダム政令措置をいたしております。したがいまして、その戸籍を扱う東京法務局におきまして十分把握されているわけでございます。
  11. 川村清一

    川村清一君 この小笠原諸島に住んでおられた方々が、まあ、本土強制疎開をされた。で、小笠原に住んでいる間は、それぞれこれらの人々小笠原五つの村に戸籍があったわけでございますね。そうして疎開されて本土へ帰りましてから、その五つ村役場は、このサンフランシスコ条約が発効するまでは——二十七年の四月までは、東京都の港区にこれが存在して、この事務をたしかとられておったはずであると思います。したがって、これに対しては、国がやはりその人件費、その戸籍事務を取り扱っている職員に対しての人件費として補助金を二百七十七万ほど出しておるはずなんでございます。その後サンフランシスコ条約第三条が発効いたしましたので、これの職員が都の職員になりまして、それからこの五つ村役場戸籍事務というものは東京法務局小笠原関係事務所に引き継がれたと、こういうふうに考えておるわけです。したがって、その五つの村の役場戸籍されておった人々は現在はっきりわかるわけでございますね。そういう意味において、法的に旧島民ということははっきりしておると、こういうふうに言われればわかるわけですが、ただ、確実に把握されておるなんと言われましても、いわゆる籍が法律的にはっきりしてないと、さて、それははたして旧島民であるかどうかという問題が出てまいりますので、お聞きしているわけです。私のいま申し上げたことでよろしゅうございますか。
  12. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 先生お話のとおりでございます。ただ、旧島民とわれわれが言う場合におきましても、実は本籍のない方もあると思います。と申しますのは、あちらに住所を移しましてあすこで仕事をやっていた、しかし本籍本土にある、そういう方もあるわけであります。そういう方のむしろ把握のほうがむずかしいんじゃないかと実は私考えているわけでございますが、この関係は、実はそういう方々は大体がいわゆる強制引き揚げによって引き揚げられた方々でございまするので、その当時の記録なりをもとにいたしまして、また、そういう方々がつくっている団体といたしましての小笠原協会等におきまして、そういう関係の資料が一応そろっているわけでございます。したがいまして、先生指摘のような点、非常に何といいますか、的確にというと少し私あるいは言い過ぎになるかしれませんが、大体において長官がいま言われましたように、把握できると、そういうふうに思っております。
  13. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、旧島民戸籍五つの村、すなわち旧大村、旧扇村袋沢村、旧沖村、旧北村、旧硫黄島村、この五つの村に所属しておったわけであります。ところが、この法第十九条におきましては、この五つの村に属していた権利義務小笠原村に帰属すると、こういうふうに書かれておりますね。この五つの村に属しておった権利義務というものは一体どういうものですか。
  14. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 十九条におきまして規定しております旧村の権利義務と申しますのは、私どういう権利があるのかという点についてはあまりはっきりつかんでおりませんけれども、しかし、聞くところによりますと、東京都に対する債権債務関係が多少あるように聞いております。また、いわゆる村有土地等があります場合には、その権利は当然小笠原村に引き継ぐと、こういう趣旨でこの規定を置いたわけでございます。
  15. 川村清一

    川村清一君 その五つの島にそれぞれ自分の籍があり、その五つの村に役場があって、その役場戸籍が置いてあるわけです。ところが、それが一切消滅してしまって小笠原村というものに帰属するとなった場合に、旧島人一体戸籍はどうなるんですか、その戸籍本籍地はどこになるんですか、その自分本籍地の村がなくなって小笠原一つになってしまう、そうすると、前の島人本籍地はどこになりますか。
  16. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) これは戸籍法処理の問題になると思いますが、本籍地市町村が合併その他で変更になりました場合には、当然その変更された後の市町村に属することになります。
  17. 川村清一

    川村清一君 その辺は少し議論すると議論の余地があると思うのですが、かってに村をなくしてしまって、そうして小笠原村に一つにしてしまう。これは一体今度は歯舞色丹なんかに当てはめて、やはり北方領土の方も色丹村に本籍地のある人がある、歯舞村に本籍地がある人がある、そこに父祖伝来の墓なんかもあるわけです。ところが、その後その村を一つにしてしまった。そうすると、本人の承諾なしに、かってに、情勢が変わったからといって本籍地を変えてしまうということはおかしいでしょう。議論していけば議論がありますけれども、時間がありませんから、ぼくはやりませんけれども。その次にお聞きしますが、それじゃ小笠原の島に土地を持っておりますね。その土地所有権は一体何によって証明しますか。だれそれは父島にこれだけの土地を持っておるということは何によってだれが証明してくれますか。
  18. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 土地所有権はもちろん土地登記簿ということになるわけでございますが、小笠原諸島におきます登記簿は焼失いたしまして現在ございません。したがいまして、登記簿による証明ということはできないわけでございますが、復帰に伴いまして、それをどういうふうに措置していくかということが非常に大きな問題となっているわけでございます。ただ、東京都が昔の課税関係で持っておりました土地台帳、これがございまして、それにいわゆる付属地図がございまして、この二つで少なくとも昭和十九年当時の所有関係は確認できるわけでございます。それをもとにいたしまして、その後の問題、それから現地における境界等の確認、そういうような事務を、今後、法務省がやっていくということになっておるわけです。そういうことで、帳簿上の問題とそれから現地との照合、そういうことを通じまして、どの土地がだれのものかということを明確にしていきたい、そういうふうに考えております。
  19. 川村清一

    川村清一君 登記簿が焼失してなくなってしまった。そうすると、証明するものはその当時地租、税金を取り立てておったいわゆる土地台帳、それと付属地図くらいしかない、それがただ一つ証明の材料なんでございますね。ですから、そういうことになりますと、やはりいろいろな問題がこれから派生するおそれがたぶんにあるのじゃないかと思うのですが、そういう問題が派生した場合の一つ処理として、法律の中にいろいろ書かれておりますから、それで処理されるのだと思いますけれども、私お聞きしたいことは、この小笠原島が施政権を分離されまして、アメリカ施政権下に置かれましてから以来、日本本土におきましては、大きなやっぱり改革がなされておるわけですね。一つには農地改革がなされておる。一つには旧漁業権改正がなされておりますね。ところが施政権下にないから、小笠原の場合には農地改革が行なわれていないし、旧漁業権改正補償等もなされておらないわけですね。これらのことはどうするのですか、おくればせながらこれからするのですか。それらの本土においては大きく改革されましたそのことは、今後、小笠原島の復帰に伴ってそれらの問題はどう処理されるのか、お聞きしたい。
  20. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 小笠原島につきまして農地改革をやるかどうかというお尋ねでございますが、御承知のように、調査によりましても、現在農地がございませんで、全部ジャングル化しているような状況でございまして、農地法をそこですぐ適用するということにつきましては問題があるわけでございます。そこで、この暫定措置法におきましては、一応、旧小作人耕作意思があれば申し出をいたしまして、特別の賃借権を優先的に認めるという形にしまして、そして開墾が進みましたときにおきまして農地法適用するという考え方をとっているわけでございます。
  21. 川村清一

    川村清一君 当時、小笠原島には農家が約四百戸ほどあって、そうしてその七割までは小作者であった。それで三割が自作農であったと、そういうふうに書かれておるわけでありますが、そうしますと、確かに当時の耕作権というものはこれは認めていますね。認めておりますけれども、農地法適用しない、農地改革をやりませんから。そうしますと、こういう話を聞いておるのですが、本邦在住の旧島民の間において小笠原に所在する土地売買した。そういう事実があるように伝えられておるのでありますが、いま、まだ小笠原にも帰らない日本本土におる地主の間において土地売買された場合には、それは一体有効なのかどうか。それから不在地主というもの、これは一体どういうことになるのか、認められるのかどうか。これはちょっと重大な問題を今後はらむんじゃないかと思うのですが、それに対する御見解をお聞きしたい。
  22. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) いま先生の御指摘の点は、私らも非常に問題があると思っているわけでございますが、土地売買そのものは、これはできないことはないと考えられるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、登記簿がございませんものですから登記できない、そういう状態売買が行なわれる、こういうことでございますので、その契約そのものがどういう状態で今後処理されるのかという点、これは法務省のほうでいろいろ考えておられることと思うわけですが、登記簿を再開する段階で、その点をどういうふうに登記を済ましていくかということ、これは再開の時点における処理としては、相当慎重に検討してやらなければならないというふうに考えております。契約そのものは有効というふうに考えていかざるを得ないと思うわけです。
  23. 川村清一

    川村清一君 契約そのものは有効であると、しかし、登記事務が再開されておりませんので、法律的にそれがどういうふうになるのかわかりませんけれども、また、あなたの御答弁を聞いてもその点が確実でないのですが、東京都の美濃部知事などのお話を承りますと、小笠原島は何とか観光地として開発したい、観光開発をしたい。できれば国立公園にしたい、あるいはできなければ都立公園にでもしたいといったようなことを言われておる。そうしますと、観光地にするというような一つのめどが持たれれば、これはさっそく、やはり将来を考え観光会社などが土地を取得するための活動を開始すると思うのですよ。そうすると、旧島民土地を持っている者が、登記簿にはないけれども、やはりあなたが先ほどおっしゃったように、地租を払ったその台帳が、土地台帳があるわけですから、その土地でもって売買していく、そうすると、観光資本がその土地を買収していく、こういうようなことが一体認められるのかどうか、そういうこととこの法律のねらいとがどういうことになるか、これはちょっと問題になると思います。  もう一点お聞きしたいことは、この法律は先ほど申し上げましたように、旧島民がすみやかに帰島して生活再建ができるようにということと、現に小笠原に住んでいる現住民の方の生活が安定されるということ、そうすると、旧島民でない人は小笠原に行けないのですか、これは開発のためのいろいろな仕事がありますね。それで労務者などとなって行く人は、これはもちろん行けるでしょうけれども、小笠原に行って住んで、あそこで漁業をやりたい、あるいは農業をやりたい、あるいはまた観光事業をやりたいとか、こういう考えを持っておる方は小笠原に行けないのかどうか。
  24. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) まず第一点の観光資本の進出の問題でございますが、この点につきましては、われわれ仕事をやっておる者といたしましても、小笠原開発が合理的あるいは総合的、計画的になされなければならないというふうに考えているわけでございますので、特にこの法律におきましても、三十五条におきまして、土地形質変更等制限ということをいたしております。それによって、いま先生の御懸念されたような、観光資本がやたらに進出して小笠原諸島の今後の開発にマイナスになるようなことについての押えというものはある程度できると、そういうふうに考えておるわけでございます。もちろん今後復興法を制定していただく段階におきましては、さらに復興計画の遂行上支障がないように配慮も行なわれる予定でございます。  それから旧島民の方以外の方々向こう渡航できるかという点につきましては、もちろん渡航はできるわけでございます。ただ、渡航はできますけれども、たとえば漁業を営むと、こういうふうにいたしましても、この法律の十六条におきまして漁業規制を一応やることにいたしておりますが、この規定によりまして、東京都知事許可を受けて漁業を営める者はいわゆる旧島民及び現島民の方に限って認めようと、こういうふうにいたしておりますので、向こうへ行って漁業を営むということは、まずこの規定上できないということになろうかと思います。なお、もちろん土地を所有していなければ向こうでうちを建てて住むわけにもまいりませんし、また、かりに旧島民の方から土地を買って土地を持っておりましても、これは三十五条の制限内においてできることでございまして、その点はやはり旧島民の方とは違って、ある程度の制約は受けざるを得ないというふうに考えております。
  25. 川村清一

    川村清一君 今度は完全に小笠原島は日本領土になるのですね、日本の国土に。そこで、こういう法律でもって、自由に行って居住することを制限したり、その土地へ行って自分のやろうとする仕事ができないようにチェックされる、こういう特別法をつくるということは、憲法に対してどうですか、憲法違反になりませんか。
  26. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) もちろんやたらなことを法律規定するというのは憲法違反ということになろうかと思います。ただ、何といいましても、この小笠原諸島が二十数年間放置されて、現在無人島に近い。したがって、非常に荒廃しており、これをやはり日本返還されたその時点において、国として、また都としていかに開発して有効に使っていくかということを考えなければならぬわけでございます。そういう意味復興事業というものが計画的に総合的に行なわれなければならないという観点から考えまして、やはりそういう制限をある期間、これはもちろん長期にわたってではございませんが、ある期間制限を加えるということも、憲法上、いわゆる公共の福祉という範疇に入るものとして許されるものと考えております。
  27. 川村清一

    川村清一君 とにかく旧島民以外にひとつ出かけて行って、まあ一獲千金、もうけてやろうといったような考え方で、観光資本であるとか、その他漁業資本なんかが入り込んでいくことを強力にチェックするようにやってもらわなければ困ると思うのです。  そこで、漁業についてお尋ねしますが、これは十六条の一項、二項にあるわけでございますが、十六条の、「(小笠原諸島周辺海域における漁業操業制限)」というところで、「小笠原諸島周辺海域で」と、こういうふうに制限される場所を、周辺海域ということばで表現しておりますが、小笠原諸島周辺海域といえば、これは具体的にいえばどういうことです。
  28. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 十六条にございますように、「小笠原諸島周辺海域農林省令で定めるものにおいて」規制をするという趣旨でございまして、小笠原諸島周辺海域というのは、常識的に考えて島の周辺海域で、別に限定はないわけでございますが、それを農林省令限定をしようという趣旨でございます。限定をいたします趣旨は、現地島民小笠原におきます漁業操業実情を勘案して妥当な範囲を定めようという趣旨でございまして、原則的には、従来、日本施政権の及んでいなかった小笠原諸島周辺の三海里の範囲を一応定める予定にしておりますけれども、何も三海里にこだわる必要もございませんので、特別の場合にはそれ以上についても指定をしまして、漁業調整上必要に応じて操業制限海域とする趣旨でございます。
  29. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、第十六条第二項におきましては、これは漁業協同組合をここにつくるという考えだと思うのですが、その漁業協同組合の管理する共同漁業権を設定する意思があるのですか、ないのですか。
  30. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 小笠原復帰いたしますと、漁業法適用になりますので、当然、都知事漁場計画を立てまして、漁業権の免許をしなければならぬことになるはずでございますが、ただ、小笠原の事情は戦前と今日とでは非常に実情が違っておりまして、戦前におきましては五つ漁業組合がございまして、五百三十六人の漁業者がいて、組合員になっておったわけでございますが、現状では十五人から二十人ぐらい細々と漁業をやって、グアム島の需要に応じて、月に十日ぐらいしか操業していない状況でございますので、今後、返還後の漁業秩序がどうなるか、漁業の実態がどうなるかということを見定めませんと、漁業権という強い物権的な権利を設定いたしますことは問題がございますので、当分の間は都知事許可ということで運用してまいりたいと思っております。すなわち一般的に漁業操業は禁止しておきまして、特定の者に許可をして漁業をさせるという所存でございます。
  31. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、もっと具体的に申し上げますと、都知事許可漁業というもの、その許可漁業権を行使する海域というものは、いわゆる普通いわれている領海三海里、その三海里の幅の間で操業する漁船についての漁業権については都知事許可をする。それ以外の者はさせない。いま考えている考え方はこういうことでございますか。
  32. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 御指摘のとおりでございます。
  33. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、問題は三海里以上の海は今度は公海ですから自由漁業になりますね。そうしますと、これは東京都知事許可漁業でなくても、そのほかの県の県知事の許可漁業、あるいは農林大臣が許可をした許可漁業は三海里以上のいわゆる公海において自由に操業できる、こういうことになるのでしょう。
  34. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) ただいま御指摘海域につきましては、現在におきましてもすでに御指摘のように操業ができているわけでございます。と申しますのは、施政権が及んでいないのは小笠原諸島周辺三海里の海域でございまして、ここは米国の管理下にございますので、現在わが国の漁船が入ることができないわけでございます。その三海里以上の遠い海域におきましては、現在公海でございますので、わが国の漁船は現在でも行けるわけでございますから、将来、小笠原返還になりましても、その点は変える必要はないと思います。したがいまして、特に規制を要するのは、現在、日本施政権が及んでなくて日本の漁船が行ってない、そのために資源が培養されまして、海の宝庫として三海里内の海域が非常に将来有望な漁場になっておりますので、そこの資源を保護し、そこに新しい漁業秩序を立てるという意味合いにおきまして、ただいま御説明申し上げましたような措置をとりたいと考えております。
  35. 川村清一

    川村清一君 それはちょっとおかしいのでないですか。小笠原諸島周辺海域における漁業操業制限をするところが三海里以内ということ、それで私は、第二項における共同漁業権を一体知事の免許で設定するのかどうかということをお聞きしているのであって、釈迦に説法でございますが、三海里というのはわずか五千四百メーターでしょう。そうして、岸から五千四百メーターのところは、これは操業制限する。あとは自由であるということになると、現在の、いただいた政府の調査団の報告書によりますと、もう実に幼稚な漁業をこの島はやっているわけですね。カヌーなんかでやっている漁業でございますから、それは三海里の外に行けといったって危険で行けるものではないのです。ですけれども、やがてこれはだんだん発展していって、漁港も整備されて、漁船もできてくれば、三海里ぐらいのところではどうもならぬ。やはり回遊魚も漁獲しなければならぬでしょう。そうすれば定着漁業だけではなくて、マグロとかカツオとか、そういういい魚種があると報告書に書かれておりますが、それらをやはり資本漁業にどんどんとられてしまって、そうしてせっかくここへ行っても、まあ三海里から外はいけない。三海里の中だけはやれる。外のほうはみな大きな漁業にとられてしまったのでは、これはせっかく向こう漁業をやろうとしている方々をひとつ助けてやろうと思っている、そういう考え方と全然相反したような実態が出てくるのじゃないですか。
  36. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) ちょっとおことばでございますが、川村先生誤解があるように思うわけでございます。三海里の範囲内を東京都知事許可制にしますゆえんのものは、三海里の範囲内では現島民及び旧島民以外の者には魚をとらせないという趣旨でこういう措置を講ずるわけでございまして、三海里以上の海域は全部が自由漁業ではございません。大部分が知事の許可漁業であるか、または大臣の直接の許可漁業になっておるわけでございまして、たとえば近海のカツオ、マグロのごときは大部分が大臣許可になろうかと思います。したがいまして、将来、小笠原漁民に実力がつきましてやれるということになれば、そういう大臣許可なり都知事許可を受けて三海里以上でもどこでもやれるわけでございます。それから三海里以上のところは小笠原現住民、あるいは旧島民でなくとも、現在許可を受けてやれるわけでございますが、三海里の範囲内はもう原則的に許可しませんから、現島民及び旧島民以外のものは三海里の範囲内に入れない、こういう趣旨で、現島民及び旧島民を保護しようという趣旨で、こういう措置をするわけでございます。
  37. 川村清一

    川村清一君 誤解しているわけじゃないので、そういうことで将来は力がついてくると、大きな漁船も持ちますから、そうすると、大臣の許可漁業も持つでしょうし、また知事の許可漁業を持って三海里以上に近海のカツオ、マグロ漁業をやるような島民も出てくることは当然であり、また、そういう時期が早くくることを私どもは望んで、またそういうような政府の援助をしていただかなければならないと思うのでございます。それまで何とか大臣許可漁業も、少しこの辺の回りを遠慮する方法をとられないものかどうかということを考えて申し上げておるのでありまして、そこで、たとえば北海道なんかは漁業協同組合の管理する共同漁業権が、距岸二十五海里くらい出ているところがある。三海里じゃないのですよ。二十五海里くらいの共同漁業権を持っているわけなんです。そういうようなことも考える必要があるのじゃないか。私の時間が過ぎましたから、いろいろ聞きたいことがありますが、やめますが、そこで、一つここだけお聞きします。部長さん、これはどうも私理解できないのです。新聞の切り抜きなんですが、実はこの間、「青鉛筆」という囲み記事の中にこういう記事が出ておった。「小笠原諸島海域を守っていた米海軍が、グアム島に引揚げたのに目をつけて、本土の漁船が大っぴらに密漁をしているという。島民の漁場である沿岸三カイリ内にのりこんで来る抜け目ない連中は、いずれも二、三十トン級の動力船。装備、性能の点で、島民の原始的なカヌーはおよびもつかない。三十センチをこえるイセエビなどをとり放題にとっていくそうだ。島民からの訴えで、水産庁は九日取締り船を出すことに決めたものの、六月一日の正式返還までは米国領だから、つかまえる法的根拠はゼロ。「まさかグアム島の米軍に引渡すわけにもいかず」と頭をいためている。」というこの記事、これは水産庁としてどうお思いになりますか。
  38. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 小笠原返還が大体めどがつきましたことしの初めに、さっそく水産庁としまして、御指摘のような事態が心配されますので、都道府県知事あてに通達を出しまして、みだりに小笠原周辺三海里に入って魚をとることはいけない、厳重に取り締まるという通達を出したわけでございます。現在三海里の範囲内に入りますものは、領海侵犯でアメリカにつかまって、行けないはずでございますが、返還が大体明らかになりますと、アメリカ側も取り締まりの手をゆるめるということで大目に見ますので、それをいいことにして不心得な連中が三海里の中に入って、培養されている資源に目をつけて、これを乱獲しようという傾向がなきにしもございませんので、そういう通達を出したわけでございますが、その後もそういうことをちょいちょい耳にしますので、特に心配されるのは返還の前後、実際に施政権返還が行なわれます直前直後が一番そういう空白になりがちな気がいたしますものですから、特に四百八十トン級の白竜丸という取り締まり船を急遽現地に派遣をいたしまして、その三海里の周辺を俳回をいたしまして取り締まりを厳重にする。それにつきましてはアメリカ大使館とも連絡をとりまして、三海里内についてもわが国のほうで取り締まりをさしていただくという申し入れをしまして、現地の在住の軍のほうとも話をつけまして、現在取り締まりを実行中でございます。したがいまして、新聞で御心配になっていることはごもっともと思いますが、そういうことが起こらないように十分注意をして取り締まっていきたいと考えております。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 田中長官にお伺いしたいと思います。実は美濃部知事が一昨日こられまして、そのときにお伺いした問題ですが、行政の問題では一応東京都の何でやることになっておりますが、開発にあたっていろいろ仕事の区分ですね、これがどうもまだはっきりしていない。そういう点を一体どうお考えになっているのか。これはやはり仕事を進めていく以上に、その仕事を進める主体がはっきりしていないと仕事がなかなかうまく進まない。それはおいおい仕事をやりながら区分をつけていくということもありましょうけれども、そういうことをやっていると、あとでいろいろ摩擦が起こる、二重に仕事が行なわれる等々が出てくると思うんですが、そこはひとつはっきりさしてもらいたいんですが、政府としてはどういうお考えですか。
  40. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その点はたまたま、過般、美濃部知事とお目にかかった際に、都知事のほうからも御注意がございまして、田中さん、あまりあわてて小笠原の問題を着手なさると、これはあとでかえってそのことが非常に計画性を欠いてくるようなことがあるから、十分慎重にお考えになって対処なさったらよかろうという御注意も承ったのでありますが、私はいろいろと委員会等を通じましての話を承りましても、全くそのとおりであろうと考えるのでございます。そこで、やっぱり総合的な、今後、小笠原開発をどうするかというような問題につきましては、これは国なり、あるいは東京都なり関係方面におきまして十分と計画を練りまして、そうして行なわなければならぬ。ただ、その中におきましても、小笠原の問題についての各般の事務の中で、国の固有事務と、それから都なり、あるいは村というものの固有事務、こういうふうなものが法制的にさい然と分かれるわけでございますから、国の事務につきましては、もちろん国が国費でもって支弁しなければならない。それから都、村の事務につきましては、これは一定の御援助もいたさなければならぬ、こういうようなことで、今後その面におきましても復興法その他どのように行なうか、やはり東京都と緊密な御協議を遂げながらやっていかなければならない、かように考えてみますと、ただいま御質問のような乱脈な姿ではなく、整然とした私はおのおのの所管なり所掌の分限並びにそれに対しまする財政的な問題等々が逐次解決されてまいる。一応考えますと、分界もわからないし、どうなるだろうかというようなことでございますが、私は扱ってまいりまして、いろいろとやってみますと、そうはならないと感じておるのでございます。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ何ですね、小笠原返還の日米間の協定も通りましたし、それが発効すれば大体七月一日ごろからいよいよ仕事を始めなければならない、そうすると、それまでの間にある程度の仕事の分担の区分というものはつけておかなければならぬではないか。そのことで具体的に大まかでいいんですけれども、どういうふうに仕事の区分をやっていくのか、これは国のほうの方針、都のほうの方針等ありましょうけれども、まず国のほうとしてはどういう仕事を国のほうでやるんだ、どういう仕事を都のほうでやるんだ、それから出先機関を向こうにつくる場合に、都の出張機関になるか、あるいは国の出張機関になるか、国のほうの出張機関は、いままでの例ですと、各省それぞれ仕事がまちまちでうまく統一がついておらないというようなこともあるわけです。たとえば国のほうはこれだけの仕事をやるんだが、それが各省の間でうまくまとまって、そうして統一的にできるだろうか、それにはどういう方法をとるということを、もう少し具体的に方針を示していただけないものでしょうか。
  42. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まず小笠原といたしまして一番大事な問題は、こちらに返還されました後に、これに対しまする輸送の問題、船をどうするか、こういうふうな問題につきまして、これは当初はどうしてもやっぱり国で借り上げて運航しなければならない、それから住民の方々の食糧の輸送その他の問題をどうするか、これもやはり食糧管理事務なり何なりをいたしておりまする国が行なわなければならぬ。それから現地のほうの役所の関係におきまする事務所その他のもの、この総合事務所の建設その他につきましても当然行なわなければなりません。それからすぐに引き受けなければならない気象観測業務、こういうふうなものでございますとか何かになりますと、やはり国のほうでやらなければなりません。それから先行投資として必要な港湾の関係でありますとかその他のもの、ことに応急の措置はやっぱり行なわなければならぬ。それから通信業務、これもやっぱり郵政省その他の担当のほうで、すぐには電話連絡はできませんが、電信の関係の応急の措置をとる、こういうふうなこと、ほとんどこういうふうなまっ先にやらなければならない先行投資の大部分というものは、国の負担でやっていかなくてはならない問題があります。  それから、自治体とされまして、やはりすぐになさなければならない仕事といたしましては、自治体の支庁の建物でありますとか、あるいは自治体のいわゆる教育の関係の学校の施設やら、あるいはまた先生の確保、こういうふうな関係はやはり都とされてやらなければならない、こういうふうにいろいろ分けてまいりますると、特に応急の暫定法で考えなければならぬ面は、国の負担が大部分ございましょう。それにつきましては、各省の既定経費によってまかなわれる分と、それから相当高額になりまして、どうしても措置できないものは予備費でお願いしなければならない、こういうことに相なります。東京都のほうにおかれましても、予算をいろいろおきめになっておられるようでございますが、なおまた復興法段階に相なりますと、これは明年度の予算で八月には概算要求を出さなければならないというような予算上の措置、並びにそれに伴いまする復興法上の計画というものも立ってまいると思います。しかし、暫定的には応急の措置は国と都のほうでよく相談をしながらやってまいれば、さしたる混乱はなく、スムーズにいくのではないか、かように考えます。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 都のほうでは、とりあえず、三カ月くらいあとの補正予算が組まれるまでの間、一億五千万円支出するということをきめているんですね。国のほうはやはりこれを予備費から出すなり何なりするでしょうけれども、一応早急に取りかかる、結局四十三年度内の予算ですね、補正予算を組むようになるかしりませんが、補正予算は組まないという方針です。組まないとすると、年度末までに一体どのくらい予備費の中から支出するのか、大体の概算もまだめどがついておらないですか。
  44. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 先生の御指摘のように都のほうではすでに一億五千万という経費を一応考えておられるようでございますが、まあ国といたしましても、先ほど長官が御指摘になりましたようないろいろな点について仕事をやっていかなければならぬので、早急にこの経費をどうするかという問題を検討しなければならない段階であることはおっしゃるとおりだと思います。ただ、いろいろ何といいますか、既定経費のやり繰りがどの程度できるか、そういう検討がまだ十分にできておりませんので、それでは一体予備費をどの程度要求したらいいのかということもやはりできない状態でございます。先生の御指摘のように、随時どの程度の経費を本年度使えるかという点、早く結論を出したいと思っておりますけれども、いまの時点においてまだそれをお示しできる段階ではございません。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま田中さんは輸送の問題をまっ先に取り上げられた、全くそのとおりだと思います。とにかく飛行機で行くたって飛行場はない、一々硫黄島へ行って、硫黄島から戻るというんではたいへんでしょう。まあ飛行機はともかくとして、船による輸送、こういうものを何とかしなければならない。これは商業ベースでできないですから、結局、政府で借り上げて使う以外にないと思う。都でもそんなことを言っていました。これはやはり何ですか、国と都は別にやるのか、それから、もし国で船を借り上げてやるとすれば、それはどこがやるか、たとえば総理府が担当ということになりますれば、総理府が船を借り上げて、そうしてそれを運航するのかどうか、そういう点どういうふうになりますか。
  46. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。先生指摘のように、交通をどういうふうにするか、それにからんで輸送の問題が当然出てまいるわけでございますが、さしあたり、われわれ考えておりますのは、やはり自衛隊とか海上保安庁の艦船を用いて応急措置をとりたい、そういうふうに考えております。先生のいま御指摘になられましたように、東京都で用船の計画もあるということも私も聞いております。その点につきましては、もちろん東京都だけで、東京都にまかせ切りでいいかどうか、われわれも十分考えなきゃならぬ問題だと思います。その用船そのものをやはり国のほうでもそういうことを考えなきゃならぬのか、そこらあたりは、やはり都と十分打ち合わせをしていきたいというふうに考えております。その場合に、もし用船ということになった場合に、どこがやるかということにつきましても、いまの段階ではまだどこがやるというふうにはっきりきめておりませんけれども、今後この復興事業につきまして、自治省が中心になってやっていただくことになっておりますので、もし用船ということになった場合に、どういう形で、どこの経費でというようなことにつきましては、自治省を中心に検討をしていきたいというふうに考えます。いずれにいたしましても、都のほうで積極的に用船という線を打ち出しておりますので、もちろん都がやっていただくということも、まかせ切りでもちろんいい場合もあろうかと思いますが、都のほうとその点は十分打ち合わして、むだのないようにしなければならぬわけでございますので、よく緊密な連絡をとって考えていきたいと思います。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうも話を聞いていると、都のほうが積極的なんですね。大体わずかであるけれども予算をきめた。一番大切な輸送の問題なんかでも、まず都のほうでは用船でやろう、片方のほうでは、政府側のほうじゃ、自衛隊やあるいは海上保安庁の船を使おうということですけれども、海上保安庁や自衛隊の船というのがそうひんぱんに、何ですね、使えるかどうかの問題もありますね。それからまた、いろいろな建設のための資材を運ぶのに、はたして適当かどうか、そういうこともありましょう。だから、やはりこういう問題は一番先着手しなければならぬことですから、都のほうでそういう積極的な考えがあるならば、あなたのほうでは、これは早く話して、きちっとものをきめたらいいじゃないですか、どうなんですか。
  48. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実はまだ都のほうと、内々調整しているんですけれども、お答え申し上げるような段階まで行っていないんでおったんですが、実は都のほうがはっきり計画をきめたというお話もありましたが、私ども、実際都のほうと国のほうとの実はかね合いもあるものですから、実を言いますと、内々話しておりますが、はっきり国のほうの段階、計画そのものがはっきり固まっているというところではないようであります。いまお話がありました一億何ぼというのは、これはたしか都のほうの予備費が一億何ぼきりしかないわけでございまして、さしあたり、補正予算を組む前は、その範囲でもって何とかしのがざるを得まいというようなことで、その範囲内でやるというようなことで、現在具体的な事業内容を固めており、用船というようなものも、必要があるならば国とも相談いたしまして、結局用船というものを考えざるを得まいという程度のところで、私は輸送の問題につきましても、第一に国のほうの、御指摘がありましたように、国のほうの段階の自衛艦とか、そういうふうなものがどの程度一体いけるものか、さらにそれにつきまして、どの程度のものが運べるか、これは船によりまして、たとえば何といいますか、普通の護衛艦になると、人は乗せますけれども物は載せない、ところがいわゆる荷物運搬用の揚陸艦と申しますか、そういうものを使えば、これはある程度のものは載るわけですけれども、今度はその数も少ないし、どの程度使えるかというようなこともひとつ考えなければいかぬ、それとの関連におきまして、さらに都とも相談いたしまして、チャーターが必要なのか、チャーターするためには、これは運輸省ともあれしているわけでございますけれども、一体どの程度の貨物量が必要なのか、船ばかり大きなものをとってみたところで、荷物がどの程度毎月必要なのかというようなところの議論を実はいまやっている。  まあ私どものほうの関係機関と国とが相談をいたしました上で、荷物につきましては、運輸省あたりでも、これは専門家が向こうにおるわけですから、そちらと相談しまして、これから年間におきましてどの程度の仕事をやらなきゃいけないか、やるべきか、それとの関連において、荷物をどの程度運ばなきゃいけないか、どの程度荷物を、暫定的に本年度どの程度の仕事をやらなきゃいけないから、国は逆に、船をどういうものを出さなきゃならないかということを固めていかないと実は固まらない。その辺のところをいま内々でやっておるものですから、どうも一方だけで固まらないもので、たとえば一例を申し上げますと、総合事務所とかの組織とかいうふうなものが、あるいは本年度の予算というものをどの程度までやるかということによって、荷物のほうも変わってくるというようなことをやっているもので、実は早いところ、お示しできるところまで申し上げたいわけでございますけれども、なかなか——もちろん御指摘がありましたように、私のほうだけということも、東京都だけということも、重複してやるということも、これはナンセンスなわけでございますから、その辺のところも調整しながら進めていきたい。はなはだ、まあお話しございましたので、現在の私どものやっている段階考え方を申し上げまして、なるべく早い段階に固めまして、全体として矛盾のないよう、合理的な形で移行できるように努力してまいりたい、かように考えおります。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまお話があったように、なかなか国のほうでは方針が固まらないから、都のほうだって困るだろうし、それからまた、さて一番先に必要な輸送の問題だってきまらない。これだから困るのですよ。これだから田中さんに私は、一体着手するのにどこから始めるのか、そして、そのための計画は立っているのか、立たないのかということをお聞きしたのですがね。これだから、七月一日から戻ったって、これはすぐ仕事が始まらないような気がするのでね。やはりここいらはもう少し何ですね、それは全体の大きな計画が、たとえば美濃部都知事がこの間、復興には五百億から千億かかるだろうと言った。そんな計画をいますぐに立てて、その大きな計画の初年度がどうでなんて言っていると、それはもういつまでたったってきまりゃしないのですね。まずさしあたり、本年度内あるいはここ三カ月内に、一体どれくらいの仕事をやればいいのか、それはすぐやはり話がつくのじゃないですか。そこらどうなんですか。
  50. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 輸送の問題だけに集約してお話を申し上げますと、いまお話の御懸念の点でございますが、われわれのほうでは、関係各省会議等におきまして、すでにLSTを月一回、二千トン級のものは必ず現地のほうに出しまして、そしてその間のいろいろな輸送のあれを確保する。これは月一回というのは最低月一回で、その他必要に応じてはいたします。こういうふうなものでございますと、既定経費の分でまかなえるわけでございます。  それから、東京都のほうにおかれましても、将来この航路につきましては、補助航路にどうしてもしなきゃならない。で、この前もたくさん議員の方々小笠原においでになります場合にあたりましても、東海汽船でございますか、八丈のほうに行っております汽船会社のほうで、私どものほうにも来られまして、一体どうしたらいいかというような御相談があったのでありますが、結局東京都のほうとしては、これはもう東京都の小笠原島になるわけでありますから、これに対しまする将来を見通しました補助航路というものは、どうしてもこれは国のほうの暫定措置とは違わなきゃならないものでございます。ところが、会社のほうといたしましても、それに対しまして、相当船内の改装のためにある程度まで日にちを要するので、あらかじめすぐにでも契約をしてもらいたいといったような、それこそ先行の投資の関係もありまして、都のほうでは予備費や何かで予算もお組みにならざるを得ないような状態でございます。  なお、こういうふうな補助航路が、東京都と、それから運輸省と、どういうふうなことでこの補助航路をやっていくかという具体的な取りきめになりますと、まだ都との間に明確な御相談ができ上がっておりませんが、何はともあれ、とりあえずこの補助航路はどうしても必要であるし、それに必要な船の改装その他にも、先行投資しなきゃならないような時期にもなっておりまして、それを東京都のほうとしては非常に急いでおられる、こういう状況でございます。大体ただいまは輸送の問題だけにしぼってお答えをいたしました。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは早くきちっときめて、輸送路を確保するということは、一番先に解決しなきゃならぬことですから、早くやってもらいたいのですが、次に、さて向こう仕事をすると、現地人は二百何十人しかいない。労働力の問題が大きな問題になろうと思うのですが、人を連れていかなきゃならない。その人ですがね、技術者だとか行政方面に携わる人とかっていうのは、どうも島民というわけにもいかないので、島民でない方が行かれるだろう。しかし、大体において、向こうですぐに要る労働力、そういうものは、主として帰りたがっている島民のうちから募集をして、そして向こうへ行って、そして向こうでもって生活のできるように、住居を与える、そして仕事を与えるという方法をとられますか。
  52. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 先生の御指摘の点、これは旧島民の帰島の念願と申しますか、そういうものとの関係で、当然考えなきゃならぬ問題だと思います。したがいまして、緊急事業を遂行する上に必要な労働力につきまして、旧島民方々で希望者があれば、当然募集いたしまして、行っていただくというふうにしたいと思っております。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると父島ですね、そこに根拠地ができるわけでしょうけれども、三十人や五十人は何ともないですけれども、やはり何百人というような人が向こうへ帰るということになると、住居の問題がまっ先に解決されなくちゃならない。そのあとそれに伴って生活に必要ないろいろな物資の供給とか施設の問題ですね。そういう問題が大切だろうと思いますけれども、そういう点については、どういう方針を持っておられるか。たとえばまず何百人ぐらい向こうへ人が行くことになるか。そうしてそれをその人たちが住むことができるようにする施設ですね、どういうものを考えておられるのか。そのためには、やはり父島に市街地というほどでもないだろうけれども、まず第一に集落の形成をやらなきゃならない。その計画は立てつつあるのか、その点どういうふうになっておりますか。
  54. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  先生の御指摘の点、特に住居、それに伴う水とか電気、そういうような問題は当然まず考えられなければならぬことでございますが、現在のあそこの父島の大村地区における水の量は、大体三百人ぐらいの方が限度だと思います。したがいまして、いまのままではそれ以上はちょっと無理だと、こういうことになりまするので、その水源の確保等も先行的にしなければならないわけでございます。そういうことを加味しまして、あの地区に水、電気の問題が一応そろっておりますので、そこに何らかの形でプレハブみたいなものでもやむを得ないかと思いますが、人の住めるところをつくって、労働力をあそこに集中していきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。ただどの程度のものがいますぐに計画として立てられているかという点につきましては、ちょっといまの段階、そこまで具体化しておりませんので、申し上げられませんけれども、考え方といたしましては、いま申し上げましたような水、それから電気とのからみにおきまして、そちらの開発に伴いまして徐々に投入できる労働人口もふえるかと思います。それに伴いまして、当然父島、母島の開発が促進されていくというように考えております。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 何ですね、いろいろと行政に携わる人ですね、これは国並びに都の、そのほかにいま言ったようなまず最初の開発につくような人ですね、そういうものを、まず三カ月くらいの間にどのくらい実現するというのか、あるいはどのくらい向こうへ送るのか。
  56. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実は先ほど御指摘ありましたように、おそらく復帰直後ないしは——におきまして、一体どの程度のものを送り込んで、どの程度仕事をするかということと、それからその次に、本年度一ぱいくらいどの程度仕事がやれるかやれないかということ、さらには復興計画でどういうふうな方向で固めていくかというふうに、何段階になるか、段階を分けて考えていかなければいけないだろうと思いますけれども、一番最初の段階の、その復帰直後の三カ月というのですか、二、三カ月というのか、それはわかりませんけれども、この段階は、おそらく東京都でもいまいろいろしておりますけれども、いま人間が住む場合における制約要件を考えてみますと、一番の問題は、やはり水のようでございます。プレハブのほうは、無理をすればわりあい早く建つようですけれども、そうしますと水のほうの水源の関係の、これはやはり行きまして、応急に整備いたしましても、すぐに明日から水ができるというわけにはまいらない。そうしますと、少なくとも最小限度、この水の隘路が解決するまでは、先ほど大体三百人くらいですか、三百人くらいしかいま水が使えない。向こうに人間を、帰りたいからといって送り込んでみて、とたんに水がないからまた給水船だというので、ぶざまなことをするのもあれなので、その範囲内でもって何というか実をいいますと、その水の状況も、行って見てきただけで、現実のほんとうに夏の気候によっても、あれたしか水の状況が違うようなんで、三百人を要するのも一応推定をしているだけで、非常に実をいうと不確かなようでございます。ですから、夏の雨量の状況とか、ことしの夏どのくらいの雨が降るかということのかね合いも実はある。そこら辺を見計らいながら、これはその辺の見当の範囲内で応急に送り込んで、最低限度、水だとか、そういうふうな応急施設の整備をとりあえずやる。それをやりながら次の、結局何といいますか、数カ月分の計画を固めていくというような形の段取りで、これは、はなはだ何というか、おしかりを受けるのでございますけれども、やはりやらざるを得ないのじゃないだろうか。その辺がどうも何というか、何度も調査団を派遣したといいますけれども、いま申しましたように、ことしの夏の雨の降る量まではとても想定できない。その辺のところをあれしながらやっているのでございますから、その点御了承いただきたい、かように考えております。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 水は非常な制約になることは私も聞いて、これはたいへんなことだと思っているのですけれども、何ですか、小さいダムみたいなものがあるのか、それとも井戸なんですか。たとえば深井戸を掘って水が供給できるのかどうか。
  58. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実はあそこの父島の地形が、大体小さな島で小さな谷になっておりまして、各谷ごとに小さなダム、もしくはたまり水というふうなものをつくってやっておるようです。父島の本土そのものは、これはアメリカが、現在の住民がし尿の地下浸透をやっている関係で、現在住民が住んでいるところそのものからは、実はこれは井戸は掘れないという状況になっております。ですから現実としていま使っております水源以外に、一番簡単に水がたまりそうなところのポケットの応急の何といいますか、ダムというよりも、むしろたまり水ですか、そういうところに取水施設をつくることと、それから運ぶ側の応急の配管というような作業が、私しろうとでございますけれども、おそらく一番何といいますか、合理的とか何とかいうよりも、一番時間的に早くできる水を取るしかけじゃないんだろうかと、まあそういうふうなことを応急にやらせまして、まずそちらのほうの隘路を解決していくというようなことが、さしあたりの手じゃないか。まあこの点、現在都のほうで詰めておりますので、あるいはもう少し研究が進んでいるかもしれませんが、私が聞いているのはその程度の段階でございます。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 井戸は全然見込みはないんですか。
  60. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) これはむしろ場所によりますけれども、現在父島の住民が住んでいる地区でもって、各戸に自分で井戸を掘るという方式はだめでございます。それ以外の地域の井戸は——井戸と申しますか、地下水と申しますか、そういうような形のものは、場所によっては可能じゃないかと思います。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、たとえば東京都を見ましても、二十三区以外でずいぶん大きな深井戸を掘って、地下水をくみ上げて供給していますね。あの島がそういう地下水がないというなら別だけれども、もし地下水が出るとすれば、やはり地下水を、適当な補給池やなんか掘って、そして配管するということも可能じゃないんですか。そこらはまだ調査はラフな調査もできていないんですか。
  62. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実はおっしゃるような可能性は実はあるわけでございます。あると申しますのは、実は御存じのように、戦前一万人以上もおったわけでございますから、水の絶対量が、たとえばいまおっしゃったような水とか、スプリングをつくるとか、あるいは地下水といいますか、湧水ですか、地下湧水というようなものをおっしゃるような形でもってやるとか、どちらが一番合理的とかいうことは別といたしまして、水がないというのではないので、結局時間をかけてある程度考えさしていただければ、必要な水を確保することができないという意味じゃございません。  ただ御指摘が、それはあくまでどういう形でやるのが一番合理的かということが、復興計画段階で御質問がありますと、早急にここ二、三カ月というようなお話でございますと、さしあたり、どういうかっこうでやるのが一番早くできるか、むしろ金がかかるというよりも、早くできるか、ボーリングをやるよりも、たまり水をさがして引いたほうが早いだろうというようなことを申し上げているわけでございまして、先生の御指摘のような点は、結局必要度と、それに対応するところの計画のタイミングと、かね合いの問題で進めさしていただきたい。おっしゃるような点は、先生の御指摘のとおりで、可能性はあるだろうと思っております。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 地下水をくみ上げるとわりあい早いですよね。機械が非常に発達していて、技術が発達していて、地下水はわりあいに早くくみ上げられるんじゃないですか。何万人分も供給するというのならたいへんだけれども、そうでなければ、五百人分とか千人分ぐらいの地下水をくみ上げるのは、そんなにむずかしい問題じゃないんじゃないですか。
  64. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) いや、それはちょっと、実はこちらの内地の常識でいいますと、おっしゃるとおりになると思いますけれども、現実に私ども一カ所について、地下水が一体取れるのか取れないのか、極端に言うと本土ならばすぐに——時間がかかると申しましても、かりに引こうと思えば、ボーリングの機械を持っていくか持っていかないか、ボーリングの機械を持っていくよりも、その辺の湧水を引っぱったほうが早いじゃないか、そういうふうな議論をしている段階なものでございますから、おっしゃる点も十分わかりますので、どちらが早いか十分に検討してみます
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、けっこうです。
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 父島、硫黄島から米軍が撤退すると思うのですけれども、そのときに、いまかれらが保持している諸設備ですね。相当こちらが利用できるものが、いま言ったように、これからプレハブつくるとか何とかしなくても、利用できるものがあると思いますが、そこらあたりの話し合い、これはどうなんでしょう。また、いつごろから撤退を始めて、いつ完了するんでしょうか。まあこれは簡単だと思うんですけれども。
  67. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) すでに来月の十五日ごろまでには家族が引き揚げるような状況でございます。したがいまして、返還までには家族はほぼ引き揚げておると、こういう状態になると思います。  いま先生の御指摘になりました施設、もちろん硫黄島のロラン局を除いて全部引き継ぐわけでございますので、父島と硫黄島につきましてはですね。そういうことでございますので、特に父島の施設は全面的にこちらが引き継ぐと、こういうことになりますので、米軍が使っていた施設は、十分に活用できるわけでございます。これは今後の復興事業に活用してまいるのは当然なわけでございます。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、あの父島の気象台も含めて全部ですか。
  69. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 父島の気象台は、運輸省の気象庁で引き継ぐわけでございます。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 次に、復帰前に先生を派遣するなんということが新聞に出ていましたけれども、医者と看護婦ですか、復帰前に。それから今後復帰後は相当いろいろなものが、いま言われましたように派遣というか、労務者なんかも含めて行なわれると思うのですが、復帰前は気象庁からの派遣というのはないんですか。
  71. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) われわれいま計画しているのは、この協定が発効するのが六月の末ごろというふうに見まして、その時点においていろんな仕事の上で空白がないようにというつもりで、いろいろ考えておるわけでございます。したがいまして、いまの気象関係仕事も、もちろんその時点において引き継ぎが行なわれるように万般準備をいたしておるわけでございます。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体復期前に引き継ぎをみんな完了するようにできると。先生の人選がなかなか困難だという話を聞いているんですけれども、それも大体できるわけですか。
  73. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 教育の関係は主として都がやられることになるわけで、都のほうでいろいろ人選をされておるようでございます。私詳しくは聞いておりませんけれども、十分その復帰時点において先生、確保できると予想しております。
  74. 黒柳明

    ○黒柳明君 やっぱり先ほどお話がありましたように、できると思うということじゃなくて、都と国とよくタイアップしてやらなきゃならない。この点が非常に困難だという話を聞いたものですからね。自治省のほうはその点、何か派遣する先生の人選が非常に困難だと……。
  75. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実は現在派遣する職員につきましては、学校の先生だけでもないんですけれども、ほかにやはり政府関係もしくは東京都の職員のほうも、現実の人選の問題はいまやっておるわけでございますが、一方におきまして、実は、たとえば現地に行きます職員につきましての手当の問題だとか、そういうふうな問題もあわせて実はいま進めている最中でございまして、学校の先生の問題につきましては、まあいずれにせよ、何といいますか、どこからでも持ってくるというよりも、現実に東京都で教育委員会の所管にある先生のうちからやるということ以外に手がないので、この点は、やはり人選そのものは東京都の責任においてやると、こう申しておりますので、これはただ時間が若干おくれておりますけれども、たとえばいま申しました手当の問題とか、その辺についての調整の問題のかね合いもあって、いま進行中であるというふうに聞いております。
  76. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局、都とのかね合いになると思うのですが、先ほどなんかも言われている航路の開発なんかも、運輸省に東洋汽船はじめ四社が申請してある、こういうことなんですが、これは運輸省だけにまかせるのじゃなくて、当然都で、総理府のほうもこれにタッチして、当然足がなければ、LSTが月は一ぺんといっても、これはいつまでもこういうことじゃならないと思いますので、運輸省のほうともよく相談して、早急に都のほうがきめると、こういう方向に向かわなければならないと思うのですが。  それから教育問題ですけれども、要するに復帰後にはグアム島には行けないわけですね。そうすると六月、九月に中学生あるいは高校生が卒業するわけです。そうなると結局英語しかしゃべれない。日本に留学するということも、非常にこれは問題があると思いますけれどもね。その点は、これは現地のほうの希望、本人の希望も相当加味されなければならないと思いますが、そこらあたりもいまから考えておきませんと、早急に起こる問題じゃないかと思うのですが、これも文部省とのかね合いと、こういうことになると思うのですけれども、これはどうなんですか。
  77. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 教育の問題、御指摘のように非常に重大な問題であるわけでございます。まあ東京都のほうで、これは教育はむしろ東京都が主としてやられるものでございますので、われわれとしては、東京都に御援助申し上げるということでまあいくわけでございますが、いろいろまあ知事さんの御発言をお聞きいたしましても、場合によれば秋川ですか、あすこの高校を使うとか、あるいは現地につくるとか、いろいろ検討されているようでございます。まあそういう意味で、知事さんもこの前行かれて、現地方々から十分希望を聞かれたと思いますので、現地方々の希望に沿うように措置されることと考えております。   〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 これもやはり現地へ行ってみて一番、またこちらに来た人の話を聞きますというと、やはり子供の教育問題というのが一番心配で、特に特殊な事情で教育されてきておりますから、この前私質問したように、すぐ日本式ということになっても、これはちょっと問題がある。さらに、いま言ったように、卒業を間近に控えての、もうわずかの人数ですけれども、当然住んでいる人自体がわずかなんですから、たとえ十二人ですか十人ですか、中学校を卒業する人が、であったにしても、これはすぐに日本に持ってきて留学するといっても、まずそれだけの人を専念してめんどうを見なければならない。そうすると、今度はこちらに来る経済的なものも、これは加味しなければならないと思いますので、これはもう等々ということですけれども、先ほどから言うように、よく都とタイアップしながらやっていただきたいと思うのです。  それから魚、漁業の問題ですけれども、結局まあ島民が帰れるのは、相当時期がたつと思うのですけれども、要するに現地の言い分としては、帰島後でも日本からの船団か何か来たら、これはたちまちとり尽くされてしまう。だから、できれば島民だけが魚をとる、こういうようなことの方向にいけば非常にいいんだけれどもと、こういうようなことを言っておりましたけれども、それは確かにあそこは、いま現在は非常に魚の宝庫と、こういうふうに思われます。しかし、あれはまだまだ、わずかの島民がいままでカヌーかなんかでとっていたのですから、ですからまだ資源が豊富にあると思うのですけれども、いま言ったように、帰島後の問題、あれでもう漁船か何か入ったら、たちまちなくなってしまうということは、もう目に見えておるのですけれども、ここらあたりの調整は、どのようにするわけでしょう。
  79. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 漁業の問題につきましては、御指摘のような点が非常に心配されるわけでございますので、この法案の十六条第二項によりまして、小笠原諸島周辺漁業につきましては、知事の許可を受けなければ営んではいけないということにいたしまして、その場合に許可をいたします対象を、旧島民を中心にごく限定をいたしまして、御心配の点がないような措置をしたいと考えております。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっとそれに関連して。まあいままでアメリカ施政権下にあって、その島のまわり、領海三海里は全然入れなかったわけでしょう。ところが今度日本の領海になる。島の住民を保護するために漁業権を設定しても、密漁というか、そういうことを無視してどんどん入っていく場合が多いのですね。たとえば三陸沖でも、それからどこでもそういうことが起こって、いつも紛争が絶えない。そういうものについての監視とか、あるいはそういうことを阻止する方法ですね。それを至急考えておかないと、たちまち起こるものじゃないですか。それをどうお考えになっていますか。
  81. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 先生の御心配の点が一番おそろしい問題でございますので、漁業調整及び漁業取り締まりの態勢につきましては十分検討いたしまして、御心配のようなことが起こらないように配慮してまいりたいと考えております。
  82. 黒柳明

    ○黒柳明君 先日美濃部さんが、要するに政府としては小笠原の総合事務所と、東京都としては支庁長を置いて、それは村長と総合事務所の次長と兼ねたいと、こういうようなことを発言したのですけれどもね。これは総理府との話し合いというようなのはどの程度か、これはまあただ単なる発言かどうか。
  83. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) それは総理府というよりも、自治省が主として東京都との間で調整をしておるわけでございますが、大体そういうような了解になっているようでございます。
  84. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから観光の問題は、やはり知事なんかも言っていたわけなんですけれども、特殊な観光会社か何かが帰島と同時に、復帰と同時に入っていって、また、がたがたがたがたやる可能性もあると思うのですけれどもね。地元としてはやはり当然、観光地としても開発すること自体、それは希望しておるけれども、やはりそれが主体になった開発というものは迷惑だと、こういうようなことが希望として付されておりますけれどもね。そこらあたりの観光業者の乗り込み——東洋の、日本のハワイというようなこと、確かにそういう条件は整っております。調査団の報告を見ましても、観光地として非常に適しておると、あるいは国立、国定公園あるいは都の公園と、こういうようなことも言われておりますけれども、それに伴って、便乗しての観光会社進出、たちまち利益本位の観光というようなことが考えられると思うのですけれども、そのあたりのコントロールをぜひしていただきたいと思うのですけれども。……
  85. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 先生の御懸念、確かに国のあれとしてわれわれも考えておるわけでございます。観光事業小笠原地区において、今後検討していかなければならない問題だと思います。その意味で今後の復興計画段階で、それをどういうふうに取り上げるかということは、十分検討されていくものと私は考えております。ただ、それまでの問題といたしまして、さしあたって、この法律三十五条におきまして、「土地の形質の変更等の制限」ということをすることになっております。まあそれによりまして、先生がいま御懸念されたようなものはチェックできるというふうに考えているわけでございます。
  86. 黒柳明

    ○黒柳明君 それからいまLSTが月一回就航するということですけれども、これは当然必要条件としてですけれども、必要があると硫黄島に飛行場があるのですし、それから船で父島でも母島でも行けるということですから、これは常時行ける態勢にはするのですか。また、当然飛行艇があれば父島の二見港あたりへ気象条件がよければどんどん着水できるわけですね。そういう態勢も含めてLSTが月一回の就航と、こういうことを考えているのですか。これ相当ひん。はんに行く必要が出てくると思うのですよ。必要があればわれわれも行きたいというようなこともある場面には出てくると思うのですけれども、LSTだけで行っていますとやっぱり時間がかかりますからね、いろいろな条件が考えられるわけですし。
  87. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) まあLSTを利用するというのは、やはりあそこの小笠原復興事業をすみやかにやっていくというための一つの方便として考えているわけでございます。したがいまして、一般の方々をこれに乗せて行くというようなことまでは考えていないわけです。まあ緊急にどうしても必要だということで、よくお話を伺って、まあ場合によればそれは考えなきゃならぬ場合もあるかと思いますけれども、一般的にはこのLSTへの乗船は考えていない、復興事業に必要な限度において考えていきたいというふうに考えております。
  88. 黒柳明

    ○黒柳明君 一般の人じゃなくて、たとえば国会議員が行きたいというようなときですね、何か必要があったときなんか、当然飛行場を使って、あるいは飛行艇を出して、あるいはそこに船を待機しておいて行くとかいうようなそういう手段は、絶えずアメリカの場合はそういうふうにしていたわけですから、日本のときもそういうことは当然考えられるのじゃないかと思うのですけれどもね。   〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕
  89. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) いま私申し上げましたように、その復興事業に必要な関係においてこれを利用していきたい、そういうことでございますので、先生の御指摘のような点も十分含んで考えていきたいと思います。
  90. 春日正一

    ○春日正一君 この暫定法で、旧島民ができるだけすみやかに帰島し、生活再建ができるよう配慮すると、こうなっているのですが、大体これが実現していく、つまり復興計画というのですか、これはいつごろになる見通しですか。
  91. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 復興計画そのものは、もちろん確定的なものは、われわれとしてはこの法律の三十六条で復興法の制定をお願いするつもりでございますので、確定的なものはむしろ復興法ができた段階で確定する、こう言ったほうがいいと思います。しかし、それ以前において何も復興計画を立てないわけではなくて、やはり何らかの形で立てていかなければならぬ。特に四十三年度におきましては、これは予算上の制約もございますので、大きなことはもちろん考えられないわけでございますけれども、既定経費の中でできるだけやれるものはやっていくということに考えているわけでございます。ただ、四十四年度以降の問題といたしましては、もちろん予算をぜひこの関係のものも見ていただきたい、こういうふうに考えますので、予算の編成の過程においては、何といいますか、復興計画の案といいますか、そういうものは当然考えられなければならぬというふうに思うわけです。その中で、さしあたって緊急に必要だというものをやっていくと考えていったらいいのじゃないか。それが、法律ができましたあと、本来の復興計画の内容として実現していく、そういうふうに考えているわけでございます。
  92. 春日正一

    ○春日正一君 具体的な復興計画復興法でやると、これはわかるのですけれども、小笠原島民は、御承知のように、ああいう事情で軍事的な必要から強制疎開した、それでずいぶん苦労してきた。そこで、返ってきて、帰れる事態になって、どうして帰れるかという点について非常に不安に思っている。いまの暫定法の段階でも、その点、自分たちの力だけで帰れるものじゃない、どうしてくれるのだということで、非常に不安に思っている。それと、この暫定法の中でも、ただ生活再建ができるように配慮するということだけじゃなくて、もう少し国が全面的に援助をするというようなことを盛り込んでおきませんと、この不安はなくならないし、将来問題が残ると思うのですけれども、その点どうですか。
  93. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 暫定法は、その法律の名のとおり、復帰に伴いますその瞬間においてどうしても手当てしなければならない問題を手当てしているつもりでございます。しかし、何といいましても、旧島民生活再建の問題、それから現島民生活の安定の問題というような問題は、もちろんその返還の瞬間においての問題ばかりでなくて、長期的な面もございますので、そういう問題は、国及び都の責任として今後十分やっていくのだということを明らかにするという意味で第二条というものを設けたわけでございます。したがいまして、この第二条というのは、単に暫定措置法案の精神というよりも、今後小笠原をどうしていくかという場合の国及び都の責務を明らかにしたと、そういうふうに考えているわけであります。   〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕  そういう点、何といいましても、暫定法そのものが、いま申したような意味で、返還時点における国内法令適用そのものに無理が、そのまま適用すれば無理が生ずるようなのを、何らかの形でスムーズに移り得るようにという配慮が中心でございますので、先生指摘のような点、確かに旧島民方々に不安というかそういうものがあることはあるいは否定できないかと思います。ただ、いま申しましたような意味で、第二条でそういうことをうたい、今後の復興法の基本的な考え方といいますか、そういうものを示して、それで旧島民の援護その他は十分やっていくということを明らかにしてきたというところに、まあ旧島民方々にわれわれの考えていることをひとつ理解していただきたい、そういうふうに考えているわけです。
  94. 春日正一

    ○春日正一君 農業の問題ですが、これはさっき川村委員から質問があったので重複するところは避けますけれども、戦前にあすこには、エビとかトビウオ、サザエ、テングサ、カメ、タコその他のたぐいですね、相当広い地先権というのがあったのですね。あれはどうなりますか。
  95. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 戦前におきましては、カツオ、マグロ、ムロアジ、サワラ、トビウオ等の魚類、あるいはサザエ等の貝類のほか、エビ、タコ、アオウミガメ、サンゴ等の水産動物をとっておりまして、漁法としては、一本づり、ひきなわ、棒受け網の漁法がおもであったわけでございます。当時の漁業権は地先専用漁業権が七つあったわけでございますが、復帰後におきましては、戦前と今日とで海の事情も変わっておるかと思いますが、特にその漁業をやります人たちが全然違っておるわけでございまして、戦前五つ漁業組合に結集しておりました五百三十六人の漁業者はちりぢりばらばらになっておりまして、現在現島民漁業をやっておりますのは十五人ないし二十人にすぎません。しかも、グアム島の需要に応ずるために、一月に四、五トンの漁獲をあげておるにとどまっております。四、五トンの漁獲をあげますのには月に十日も働けばいいということでありまして、その自余の日数はアメリカ軍の労務者として働いておる実情でございまして、そういう現在の現島民に、今後、復帰後帰島する漁業者が加わって、おそらく漁業協同組合が設立され漁業が営まれるわけでございますが、それがどういう形になるのかもう少し見きわめませんと、直ちに現漁業法共同漁業権を設定いたしますのには問題がございますので、当分の間は東京都知事許可制にいたしまして運用してまいりたいと思っております。したがいまして、直ちに漁業権の設定はいたしませんで、漁業秩序が落ちつきます当分の間は、知事の許可という制度のもと漁業の秩序の確立をはかり、また漁民の利益を守っていきたい、かように考えております。
  96. 春日正一

    ○春日正一君 私の聞いているのは、さっきあなたが三海里とこう言われたのです。ところが、この地先権というのを見ると、相当広いものですね。たとえば父島、母島三千メートル、北、中硫黄島では一万五千メートル、南硫黄島では二万メートル、領海の範囲から相当隔たった広いところに設定されておったのですね。だから、それがどうなるかということを聞いておるのです。
  97. 岩本道夫

    説明員岩本道夫君) 先ほどもほかの先生の御質問でお答えを申し上げましたとおりに、原則としまして現在日本施政権が及んでいない三海里を頭に置きまして海域を指定し、都知事許可制にしていきたいと考えておりますが、これはあくまでも原則でございまして、漁業調整上必要がありますれば三海里以上につきましても特別に都知事許可制ということを考えております。したがいまして、今後おそらくあそこで営まれると思われます一本釣りとか、ひき釣り、棒受け、あるいはかご漁業というような業態を考えまして、具体的にその海域を指定して許可制を運用してまいりたいと思っております。三海里にとらわれるというつもりではございませんが、まあ現在施政権関係で三海里を一応の基準と考えているわけであります。
  98. 春日正一

    ○春日正一君 農業の問題ですけれども、さっきの答弁を聞いていますと、現在農地でないから農地法適用しないのだと、こういう説明ですけれども、しかしもともとあそこは農地であったので、しかも帰っていく場合でも、法律に従って、もとの所有者、もと耕作者ということがはっきり設定されているのですね。そうすると、これは現在農地でないというのは、まあ戦争で疎開させられた、ずっとアメリカ軍が占領しておったという事情で、ジャングルみたいになってしまったというようなのが実情ですから、今度はまあこれを開拓して農地にしよう、そこに戻っていこうと、その戻っていくことが規定されているわけですから、当然これはいまはやりのことばで言えば潜在農地というふうに言えると思うのですよ。そうしたら、当然ここに農地法適用される対象になり得ると思うのですが、その点どうなのですか。
  99. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほどもお答え申し上げましたように、現在農地でないことは確かでございます。そこにいきなりあの農地法適用するのは、やはり無理ではないかと思います。しかし、そのまま放置しておきますというと、いろいろな問題が出てくるわけでございますので、所有権を持っておった昔の自作農が帰って開墾することは、当然所有権を持っておりますからいいわけでございます。それから賃借権につきましては、大部分は期間の定めのない小作契約になっておったはずでございますから、そのまま帰りましてその賃借権に基づきまして開墾ができるわけでございます。ところが、こういう戦争あるいは占領というような特殊な事態のために、途中で期限が切れてしまっているような小作権がございます。それにつきまして、やはり耕作者の保護ということが必要でございますので、特にこの法律によりまして、この法律が施行されましたあと一年間——本人が帰るかどうか考えたあとで、それから以後一年間の間に地主に対しまして申し出をしまして、申し出をしますと、原則的には耕作権が設定されるといいますか、賃借権が設定されるという構成をいまとりましたわけでございます。それから、そうかといいまして自力で開墾するというのはなかなか困難だと思います。そこで、まだ現在、具体的にどういう開拓方式がいいか、復興計画の一環として考えていきたいと考えておりますけれども、大幅な国の援助が必要ではないかというふうに考えております。そういうふうにして順次進んでまいりました暁におきまして、相当数の農家が帰島いたしまして農業がやられる状態なったときに農地法適用いたしたい。そうなりますと、そのとき農地法適用いたしますと、不在地主でありますと、もちろん現行の農地法によりまして所有制限規定がございますので、国が買収するというような形になるものと存じております。
  100. 春日正一

    ○春日正一君 それで、旧小作の耕作権を認めると、当然旧地主土地所有権も認める。これは所有権があるわけですよ。そうすると、そこの開拓がむずかしいということになると、その土地農地にならないでしまうというようなことになれば、結局そういう土地が観光業者とか土地ブローカーとかいうようなところに回っていくというようなおそれが出てくる。さっきもお話がありましたけれども、あそこは、しばらくジャングルのままほうっておけば農地として解放される心配はない、だから旧耕作人に働きかけてそうさせるような動きもあるというようなことを新聞でも報道しておるのですね。だから、そういうようなことになってしまう、そういうことも出てくるわけですけれども、そういうことを防ぐような措置ですね、これは考えておりますか。
  101. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 先ほども申し上げましたように、旧耕作者で賃借権の切れている者について特別の制度を設けたわけでございます。それから、現在まで賃借権が続いている者につきましても、それはそのまま耕作をやることができる。その両方につきまして、地主との間にもめごとがありますれば、東京都知事のあっせんをするという規定も置いてございます。そこで、先ほど申し上げました中での権利につきましても、   〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕 地主のほうからは特別の場合以外は小作人申し出を拒否できないということにしておりますので、また地主土地を売りましても、この農地法が施行されるまでの間耕作権があるということでもって第三者に対抗できるという規定も置いておりますので、まずだいじょうぶではないかというふうに考えております。
  102. 春日正一

    ○春日正一君 小笠原土地所有関係ですね、これはまあ私一々聞いておると時間がかかるので、時間の関係で私のほうで調べたので言いますけれども、あそこは非常に小作地が多かった。大体七五%ぐらいが小作村であった。相当大きい地主もおったわけですね。一々言いませんけれども、たとえば三万坪以上、これがあの例の見舞金の出たときの支給の届け出ですね、あの文書で見ても、父島が二十、母島が十六、硫黄島が六というふうに、相当大きな土地所有者がいる。特に硫黄島産業株式会社というのは、これも調べてみると百五十万坪以上の土地を持っておるのですね。だから、非常に大きな土地所有者の会社になっておる。そして大部分が小作地だったのですね。そういうものがそのまま小作関係地主関係といったものを復活させるということになれば、その影響というものはどういうことになるか、その点考えたことがありますか。
  103. 中野和仁

    説明員中野和仁君) その辺、われわれ過去の資料等を見まして、いま先生指摘のような実態がわかったものですから、いろいろ心配をしたわけであります。そこで、先ほど申し上げましたような手続をとったわけでございます。そうしまして、実際に帰って耕作をする意思耕作者がやりまして、農地法適用した場合には、先ほど申し上げましたように、不在地主であれば、最終的には国が買収する。で、大きな地主が在村しておりますれば、一ヘクタールを残しまして国が最終的には買収するという形になるのでありますから、その点は心配がなかろうというふうに考えております。
  104. 春日正一

    ○春日正一君 この方式でいきますと、私のほうも考えているけれども、議論しませんけれども、結局、古い小作制度、もう本土では二十年前になくなっている、これを一応復活させて、島に古い支配関係をつくり出して、それからこうやっていこうということになれば、そこにいろいろ複雑な問題が出てくるのじゃないかと思います。政府のねらいというものもそこらにあるのじゃないですか。つまり、島に古い支配関係をずっと復活させて、そういう力関係もとでの小笠原への復帰というようなことを考えているのじゃないですか。どうもそうとしか思えないのですがね、このやり方というものは。
  105. 中野和仁

    説明員中野和仁君) 繰り返すようで恐縮でございますけれども、われわれのほうは農地法の番人みたいなもので、その辺からいろいろ考えましてこういう制度にしたわけでございまして、決して古い地主、小作関係をもう一ぺん戦前のものに戻した上でそういうことをやりたいというふうな考え方からこういうふうになったわけではございませんし、先ほどから申し上げますように、主としてこれはいずれ農地法につながる問題でございますから、東京都知事とまたよく相談といいますか、よく東京都庁と相談しまして、そういうことのないようにやっていきたいというふうに考えます。
  106. 春日正一

    ○春日正一君 結局、そういうことになるように法律がなっているのですが、旧耕作権を特別賃借権という形で認めるというような規定を見ると、結局個人がそこへ入っていって、何か個人の力を中心に農地をつくらせる、開拓をやらせるというような印象を受けるのですが、その点はどういう方式で小笠原の農業を復興させようというふうに考えておいでになるのですか。
  107. 中野和仁

    説明員中野和仁君) この制度を暫定措置法で設けましたのは、もし何もいたしませんと、先ほど私が申し上げましたような、あるいは先生の御心配のような事態が起きるものですから、一応そういう制度を設けまして、その上で開拓方式をどうするかということにつきましては——現地では病虫害の発生等もあるようでありますし、それから戦前小笠原の農業がそのまま復活するということもないですが、内地の農業事情がかなり変わっておるものですから、このままでいかないかもしれない。どういう作物がいいかという問題もあると思います。その上にもう一つは、かつての農家が全部もう一ぺん農業に携わるかどうか、この辺、旧農家の帰島の意思、開墾の意思というものをこれから十分調査いたしまして、その上でどういう規模でどういうふうに開拓をしていったらいいか一その場合に、あるいは都営がよろしいか、あるいはそういう農家の集まりの団体がやりまするか、あるいは国営でやりまするか、その辺もあわせて考えていったらどうかというふうに考えております。
  108. 春日正一

    ○春日正一君 小笠原の場合、いつでも言われるけれども、あれがジャングルに化したということは、歴史的な事情でそうなっておるわけですから、八丈へ行って農業の人たちに聞いてみても、帰りたいには帰りたいけれども、われわれの資金、そういう力ではとてもやれそうもないということで、国の援助というものを非常に強く要望しております。そういう歴史的な事情からいっても、当然農地の開拓というようなことは国の責任ですね。もちろん東京都も関係してくると思いますけれどもね。それで、復元し、新しく農業がやれる条件をつくってやるということをはっきりしておかなければ、なかなか帰るにも帰られぬということになるのじゃないですか、その点どうですか。
  109. 中野和仁

    説明員中野和仁君) われわれのほうとしましても、御指摘のような気持ちでおるわけであります。先ほど申し上げましたのは、その気持ちの上に立ちまして、どういう方式でやったらいいかということをこれから復興計画の一環として考えていきたいというふうに考えておるわけであります。
  110. 春日正一

    ○春日正一君 次は、地方自治の問題です。農業のほうはわかりました。地方自治の問題ですけれども、小笠原の復興という場合、当然、現在おる島民あるいはこれから帰っていく小笠原島民がそこで十分繁栄してやっていけるように、島民の希望なり何なりというものが取り入れられなければならない、そう思うのですけれども、今度のこの暫定法を見ますと、先ほど岡田委員からも質問がありましたけれども、国では総合事務所をつくる、東京都は支庁をつくる、それから職務執行者としての村長、こういうもので運営する、こういう形になるわけですけれども、この辺の関係ですね、これはどういうことになるわけですか。国は国でやっていく、都は都でやっていく、まあ相談はするといっても、そういうような形になるわけですか、その点はっきりしていますか。
  111. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 実は、この点は先ほどもお話があったわけでございますけれども、小笠原現地において、国の責任、あるいは都の責任、村の責任においてやらなければならない仕事がさしあたりたくさんあるわけでございます。しかしながら、現在住民はほとんどおらないわけでございますけれども、いずれは帰ってまいりまして相当な規模になれば、当然小笠原村というものはつくらなければならない。そうなりますと、やはりいまのうちからそういうものはすぐにつくっておくのが当然だ。仕事もそういうふうな形で法律的に行なわれるだろう。それから、やはり東京都が仕事をやっておるものについても、何というのですか、現在都の仕事があるわけでありますから、当然都の出先が必要である。それから、現地ではさしあたりふなれのものでありますから、国のほうがやる仕事もある。それを実は国が現地でやらなければいけない。こういうことで、関係機関がばらばらたくさん置かれるということもおかしいので、それをまとめようじゃないかということで、実は形式的に三本立てになったわけであります。先ほどもお話がありまして、東京都と話をいたしまして、形は三本立てになりましても、実質的にはこれら三つが一体となって運用するというような形の運用のしかた、その具体的な内容を目下検討中でございまして、現在、その話し合いをいたし、大体了解をいたしております。こういうようなことであります。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 小笠原村の村長ですね、職務執行者、これは都知事が任命する。これは暫定法ですから、選挙というわけにいかぬ。これはわかるのですが、その上に自治大臣の同意を得なければならないという規定があるのです。これはどうしてそういうことを必要とするのかということですね。
  113. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) これも実は、小笠原の今後の措置というものにつきまして、まあ先ほどもお話し申しましたように、国と都と村というものが一体となってやっていくということのために、具体的なその責任にあるところの村長というものにつきましても、やはり国と都というものが一体となってやるということについての相談した形にしておくのが適当であろう、かような考え方でこのようにしたわけであります。
  114. 春日正一

    ○春日正一君 先ほどの話では、東京都と大体協力してやっていくというような話し合いもついているし、それから美濃部さんが言った、総合事務所の次長が支庁長と村長をするというようなことも大体話がついているというような状態ならば、村長といえばもっと小さな権限でやるわけですから、ほんとうに住民に密着したもので、何も自治大臣の同意というようなことは必要はないんじゃないか。むしろ私どもおそれるのは、京都の教育長の任命問題で、これが文部大臣の同意が得られないということでいろいろトラブルを起こしている。ああいうような形で、国のほうがその意思をそこへ押しつけているような、そういう結果が出てくるということになれば、やはり地方自治の侵害になる。それだから、こういう点はこの法律からはずしたほうがいいんじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、どうですか。
  115. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) やはり、この小笠原地域の特殊性上、国が相当積極的に関心を持ってこの復興に取り組む、当面の措置についても国が責任を持ってやっていくという形から言いますと、やはりこのような形が私どもとしては一番よろしいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  116. 春日正一

    ○春日正一君 国が主として執行していくということですけれども、ついでにお聞きしますが、大体小笠原復興をどのくらいの割合で東京都と国と、金の出しぐあいといいますか、それは考えているんですか。
  117. 遠藤文夫

    説明員(遠藤文夫君) 全体的に国と都あるいは村の財政的な分担の問題でございますけれども、結局行なうべき仕事の中身との関係も実はあるわけでございます。具体的に、国のほうが相当関心を持たなければならない仕事の多いわけでございますし、都のほうが主体性をある程度持つ仕事もある。結局、その辺の各事業ごとの国と地方団体との責任の分担というのが、財政的な負担の割合も、全体的な総合計画におきますところのどういう仕事をするかということについて、事業ごとに考えていかなければならない分野があると思いますので、その辺の関連との間で検討いたしませんと、全体としてつかみで何%ということも申し上げられない状況でございますので、御了承願いたいと思います。
  118. 春日正一

    ○春日正一君 それでは、国のほうが主として仕事をするんだから、同意を必要とするという根拠がないわけです、はっきり。どれだけ金を出すかめどがついていないで。  それでもう一つお聞きしますが、この暫定法では政令の委任事項というのが非常に多いですね。ところが、実際には一つ小笠原村という自治体をつくっていくという問題だし、これは上部団体である東京都と非常に深い関連を持っているということになれば、こういう政令をつくる場合に、都の意見を十分くみ入れて、そうしてつくらなければ、実際出てきた政令が仕事をしていく上でいろいろ矛盾を起こしてくるようなことになるおそれがある。で、ほかの場合の政令でも、政令できめる場合、たとえば通産省の意見を聞かなければならぬ、厚生省の意見を聞いてつくれとかという規定があるのですよ。そうだとしたら、この小笠原復帰のための暫定法の中でも、これらの政令をつくる場合に東京都の意見を聞いてつくれというようなふうにはっきり規定しておくことが、出ていった政令がほんとうに実情に即したものになる。そうでないと、実際上実情に合わぬ、国の一方的な考え方でワクをはめてしまって、そのワクの中で復興を強制していくような結果のものになる、そういうおそれがあるわけですけれども、この点、大臣どうですか。この法律の中で、東京都の意見を聞かなければならぬというようなことについて、両方の合意でそういう政令をつくって政府として出すという処置はとれないものかどうか。
  119. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この法律は暫定法でございますから、何と申しましても応急の措置をやらなきゃならぬ。ただいままでの話でも、主としてむしろ国の分野でやっていかなければならぬ面が非常に多いのでございます。春日先生等のお話は、むしろ暫定法の次に復興法がき、さらにまた恒常的なノルマルな状態に戻る場合には、ぜひ自治体と国というものが吻合一体となっていかなければなりませんが、暫定法の場合には私はむしろその必要がないのじゃないか、かように考えます。
  120. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと。これはいま住んでいる人たちの問題ですが、日本へ返ってくる、生活の不安がある、あるいは子供の教育の問題、それについて、たとえばアメリカの国籍を得たいというような人もおるのじゃないかと思うのですが、そういうのがおるかどうか、そういう場合には直ちにそういう手続をとってやるのかどうか、その点伺いたい。
  121. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) その点につきましてはっきり調査をしているわけではございませんので、いるかいないかの点はちょっといま申し上げられませんが、しかし、もしそういう方がおられました場合には、もちろん国籍法の問題として処理されてしかるべき問題だと思います。国籍法におきまして、もしアメリカの市民権が取れるような条件があるとすれば、当然日本の国籍から離脱できるわけでございますが、ただアメリカの国籍が簡単に取得できるかどうか、これはアメリカの問題でございますので、ちょっとわかりかねるわけでございます。
  122. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでありますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  125. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  126. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 私は、ただいま可決すべきものと決定されました小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の四派共同提案として附帯決議案を提出いたします。  趣旨説明は省略させていただき、案文を朗読いたします。    小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は本法の施行に当り、次の事項に関し、遺憾のないよう配慮すべきである。  一、小笠原諸島復帰後のありかたについては、国民の願望に応えるとともに、特殊な立地条件等に適応せしめ、自然と産業の融和した新しい村づくりを指向し、努力すること。  二、硫黄島における戦没者の遺骨の収拾を速やかに実施すること。  三、復帰に伴う現島民生活の激変に対しては、就業、子弟の教育、医療等について十分配慮し、その不安解消のため適切な措置を講ずること。  四、旧島民の帰島に際しては、現島民等の間ににおいて権利の調整措置等に関しいたずらに紛争を生ずることのないよう万全を期し、いささかも感情的な対立を招くことのないよう指導すること。  五、農業経営に対しては、農耕作物の撰択、新技術の導入、輸送手段の確保等に十分な指導と援護を行なうこと。  六、漁業に対しては、濫獲状態を生ずることのないよう資源保護に万全を期すとともに、漁港施設、漁船及び漁具の調達、冷凍庫、冷凍船の配備等につき、援護措置を講ずること。  七、現島民生活再建、旧島民の秩序ある帰島の援護及び帰島後の事業資金の調達については、長期かつ低利の融資の措置を講ずること。  八、交通、通信施設の整備が優先的手段であることにかんがみ、海、空の航路の開設等につき、特に配慮すること。  九、復興法の立案及び復興計画の策定については、小笠原諸島の現状を十分に掌握し、国、東京都が緊密に連繋し合うとともに、現島民島民の意向をも尊重して、速やかに成案を得るよう努めること。  十、復興開発のため多額の経費が予測される状況にかんがみ、国の費用負担について特別の財政措置を講ずること。右決議する。  以上であります。  御賛成くださるようお願いいたします。
  127. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいま山本茂一郎君から提出されました附帯決議案を議題といたします。  山本茂一郎君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  128. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 全会一致と認めます。よって、山本茂一郎君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田中総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中総務長官。
  129. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後の小笠原諸島に対しまする施策を実施してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  130. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  132. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) これより請願の審査を行ないます。  第四三二号、沖繩祖国復帰促進に関する請願外四件を議題といたします。  まず、調査室長より報告いたさせます。
  133. 瓜生復男

    ○専門員(瓜生復男君) 今会国中、本特別委員会に付記されました請願はお手元の表のとおり五件であります。  第四三二号、第三五四九号及び第三八二〇号の三件は、沖繩の祖国復帰の早期実現に関するものでありまして、戦後二十四年を経過した今日、なお沖繩住民が祖国同胞と国民生活をともにできないことは悲しむべきことであり、また、米国による沖繩統治の長期化は米国の国際威信を失うばかりでなく、日米相互の信頼を阻害するものであることを考慮して沖繩返還措置を強く要請するものであります。  次に、第三五四五号と第三八二一号の二件は、国後、択捉、色丹歯舞諸島の日本固有の領土のわが国への返還に関するものでありまして、ソ連との平和条約の締結を促進して、これら北方領土復帰のため一そうの努力を払うよう要望しております。  以上で御説明を終わります。
  134. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  135. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記始めて。  それでは、第四三二号、沖繩祖国復帰促進に関する請願外四件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  138. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 継続調査要求についておはかりいたします。  沖繩及び北方問題並びにその他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成及び提出等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会