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1968-05-17 第58回国会 参議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十七日(金曜日)   午後三時七分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          伊藤 五郎君    理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君                 佐多 忠隆君                 黒柳  明君    委 員                 井川 伊平君                 植木 光教君                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 北畠 教真君                 小柳 牧衞君                 平泉  渉君   国務大臣       国 務 大 臣   田中 龍夫君   政府委員       総理府特別地域       連絡局参事官    加藤 泰守君   事務局側       常任委員会専門       員         鈴木  武君       常任委員会専門       員         瓜生 復男君   説明員       自治省行政局行       政課長       林  忠雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○連合審査会に関する件 ○小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置  等に関する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖繩及び北方問題等に関する特別委員会開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案審査のために、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。  小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案について、地方行政委員会から連合審査会申し入れがございましたが、本委員会がこの申し入れを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  なお、連合審査会開会日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  8. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 次に、小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定措置等に関する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 この法律案暫定措置等に関する法律案となっておるのですが、この暫定措置というのは、これはある程度期間をいうことになろうと思うのですが、政府の見通しとしては、この暫定措置というのは何年くらいにわたるという見込みを持っておられるのか。
  10. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘のごとくに、確かに暫定措置でございますので、われわれは、この中の条文が一日も早く軌道に乗りまして、あるものはこれと相次ぎまして出ます復興法なりに受け継がれるでございましょうし、あるものはまたこの基本的な考え方で当分の間処理されると、かように相なりますが、この暫定法に盛られました基本的な考え方といたしましては、今後の相当長期にわたりましての小笠原復興のための開発理念と申しますか、基本的な考え方でございます。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば、この法律案の第三章の九条の第二項に、「賃借権存続期間は、借地法第二条第一項本文の規定にかかわらず、この法律の施行の日から十年とする。」と、こういうことを書いてあるわけですが、この十年というのとこの暫定措置の終わる期間とは何にも関係がないのですか。
  12. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問に対しましては、本立法に当初から携わりました担当者からお答えいたします。
  13. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 私からお答えをさしていただきたいと思います。  この権利の調整規定の中の賃借権設定は、返還の瞬間におきまして現在使用しておる方々の住宅を確保するその安定のための措置という意味で、その瞬間の調整という意味暫定法に載っているわけでございまして、ここでは十年といっておりますが、設定されました賃借権条件としての期間を一応十年というふうに定めたわけでございまして、この賃借権設定ということがむしろ暫定措置の主眼でございまして、したがいまして、この十年という期間を一応定めておりますけれども、借地法そのものは十年との関係では二条第一項は一応排除されておりますが、その他は適用される、こういう関係になります。そういう意味におきまして、暫定措置というのは、実はこの関係につきましては、むしろ賃借権設定——返還に伴いまして瞬間的に措置をしなければならないその賃借権設定、その賃借権条件を一応十年ということにしたというふうに御理解を願いたいと思います。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この暫定措置法案暫定というのは、期間の定めがないと、この法律案はいろいろな問題を包括的に処置しようとするものであって、そのいろいろ問題が一つ一つ片づいていけばそれはこの法律案の内容からはずされていくと、そうして最後のものが片づいたときにこの法律案は事実上効力を失ってしまう、それで実際上廃止されることになる、こういうことでしょうか。
  15. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 先生の御説、大体そのとおりであろうと思います。この法律の題名におきましても「暫定措置等に関する法律案」ということになっておりまして、中にはいま先生指摘のような形で一応ある程度期間残っていかざるを得ないものもあるわけでございますが、いわゆる暫定措置というものとしてほかのものをあげてみますと、たとえば第八条関係で相当いろいろなものについて暫定的に政令で定めるようになっておりますが、こういうものにつきましては、もうできるだけその法律趣旨に合うように、たとえば技術的にいま直ちにその法律がそのまま適用されてはいろいろ障害、差しつかえがあるというようなものを、むしろ暫定的にスムーズに移り変わるように措置をしたいということでございまして、いま申し上げましたように、この条項の中にはある程度長くその規定としては存続していくものもございますが、その趣旨は、先ほど申し上げましたような意味で、返還に伴うその瞬間における関係、その関係暫定的に措置をとりたい、こういうことでございます。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 この第八条に六つの項目が列挙しておりますが、第一の「戸籍及び住民基本台帳に関する事項」という点ですけれども、現在小笠原に住んでおる人たちですね、純粋の日本人でなくて、外国移民といいますか、その系統人たちですね、そういう系統を持った人たちですが、この人たち一体国籍とか戸籍というものは現在どういうことになっているのですか。
  17. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 最初国籍について申し上げますれば、国籍法によりまして、父母日本人であれば当然その子も日本人ということになりますし、また、父親日本人であれば、父親がわかっておる限りにおきましては日本人である、あるいは父親がわからぬ場合でも母親が日本人であれば日本人、また日本の領土に生まれたら父母がわからない場合も日本人というふうになっておると思いますが、そういう関係で、あすこに住んでおられる方々は、私すべて個別に当たってはおりませんけれども、まず全部が日本人考えていい、国籍法上はそう考えていいと思います。ただ、戸籍につきましては、戦前戸籍関係事務を、東京にございます法務省法務局——東京法務局戸籍事務を処理させることになっておりまして、その関係戸籍事務は一応は東京法務局で処理されるようになっておりますので、そこにもし手続をとりますれば、当然戸籍に登載されるわけでございます。ただ、何しろ交通がほとんど本土との関係におきましては閉ざされておりましたし、またいろいろその届け出をするにつきましても不便がございまして、実際に届け出をされた方というのは非常に少ない状態でございます。したがいまして、戸籍の上におきましては、相当数の方が戸籍に載せられていない状態であるわけであります。この第八条におきまして、戸籍についての特例を定めたい、こういうふうにしておりますのも、そういう状態を短期間にできるだけ早く処理して、正規の戸籍に登載されるようにしたい、そういう趣旨特例を定めたいと思っておるわけであります。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ小笠原はいままでアメリカ施政権下にあった。実際はあそこの二百何十人の人というものは、アメリカ統治下に置かれておって、そこで自治体といいますか、とにかくコミュニティが形成された。そうして、おそらく生まれた者の、何ですね、届け出だとか、死亡者の何とかいうようなことは、そこでやっておったでしょう。それはアメリカのコントロールのもとにあったわけですね。そうすると、この日本側のいう戸籍とは違うわけですね。今度どういうふうに切りかえようということになるのですか。たとえば、その際に、中には、私は日本もとにとどまりたくない、たとえば子供教育関係やあるいは就職関係で、私はグアムに行きたいというような人もおろうかと思うのです。そういうときに、これはどういうことになるのですか。
  19. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 戸籍簿を新たに調製するやり方につきましては、これは法務省が直接やられるわけでございますので、いま詳しく申し上げる能力がないわけでございますが、アメリカのほうで一応届け出をさせまして、その事実関係は把握されているようでございます。その事実関係をこちらとしては引き継ぎまして、それを戸籍簿に登載する、その手続についての特例を定める、そういう方向考えているようでございます。それから、グアムに留学されている方も、その点はもちろん当然把握されておりますし、またグアムあるいはハワイ等結婚のために行かれている方も、その結婚の事実につきましては十分把握されているようでございます。そういう事実をアメリカ側が持っております。その事実に基づきまして戸籍簿調製をはかるようになろうかと私考えているわけでございます。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 その戸籍簿調製をはかる前に、いまあそこへ住んでいる人たちが、たとえば就職関係教育関係等で、日本統治下に入りたくない、たとえばグアムに移住したい、あるいはハワイに移住したい、そういうときには、それはどういうことになりますか、直ちにそれは許されるか、そうしてその国籍を抜く問題とか戸籍上の問題とかはどういうことになりますか。
  21. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) それは日本国籍離脱の問題であろうかと思います。日本国籍法によりまして離脱できる条件がそろいますれば、離脱は簡単にできるはずでございます。一般には、アメリカのほうで国籍を取得する場合には、日本側国籍離脱が簡単に認められるようになっていると私思いますが、そういうことで、一応はやはり戸籍に登載をいたしまして、そうしてさらに離脱の必要な場合には離脱手続をとる、こういうことになるのではないかと、私戸籍のほうの直接の責任者でございませんので、そういうふうに考えております。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、前の小笠原人たち内地へたくさん来ていますね、その人たち戸籍小笠原にあるのですか。
  23. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 人によりましては、本土の市町村のほうに転籍をされている方もあるようでございます。しかし、転籍をされてない方は、先ほど申し上げました東京法務局にある戸籍簿に当然登載されているわけでございます。したがいまして、今後小笠原が返りまして、小笠原の現地で戸籍関係の処理が行なわれるようになります段階には、その戸籍簿向こうに移されるかと思いますが、当分の間、帰島者が、旧島民本土におられる関係で、いま直ちに東京法務局にある戸籍簿向こう返還されると同時に、移されることはないと思います。いずれにいたしましても、旧島民が帰島されることに伴いまして、向こう戸籍事務が行なわれるようになるわけでございますので、その事務関係はいま申し上げましたような帰島の状態とのからみで処理されていく、そういうふうに考えております。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、これはこちらに引き揚げておる人々の数は把握できておると思うのですけれども、いろいろな調査をされておって、大体どれくらい帰るかということもおわかりじゃないかと思うのですが、その帰る希望者はどれくらいあるのかということをお伺いしたい。
  25. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 三月の末に郵送意識調査を私のほうでいたしたのでございますが、目下集計中でございますので、はっきりした数はまだちょっとわかりませんけれども、こちらから発送いたしました件数は三千九百五件発送いたしました中で、回収されたのが千七百九十件——これは世帯です。それから調査不能であったものが五百四十一世帯。したがいまして、調査不能で返ってきたり、重複したり、死亡したりということで調査できなかったものを除きましたものの中での回収率は五七%になっていたと思います。その五七%の中で、ぜひ帰りたい、大体帰ると思うというもの、それからまだちょっとわからぬけれども帰る可能性が強いというものを合計いたしますと、人員で六五%くらいになろうかと思います。したがいまして、この五七%の中の六五%でございますが、しかし考え方によりましては、この回答を出された方がむしろ積極的に帰りたい方が多いだろうと考えるわけです。したがって、回答出さなかった人は、むしろ帰るという意思が少ない方ではないか、そういうふうにも考えられますので、そういうものを勘案して考えますと、大体三千名から四千名くらいの方が一応帰る意思があるというふうに推定——これは私の個人的な推定でございますが、そういうふうに推定しているわけでございます。  なお、この五七%と申しますのは、郵送によります調査の場合には、大体この程度のものがほぼ普通でございまして、特に少ないというものではないと判断しております。  以上のようなことで、全体のまあ約九千名とか一万人というふうにいわれます中で、三千ないし四千の方が帰島の意思があるのではないかというふうに推定しております。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 その出したあれは、世帯あてに出したわけですね。そうすると、そのうちで、たとえばこちらへ渡られたときにたいへん小さかった、あるいはこちらへ移ってからあと生まれた子供たち、そういうような人たちは、中には帰りたくない、こっちへとどまっていたほうが生活上も、それからいろいろな点からいってもなれてしまって、島へ帰りたくないという人がいるように私も聞いておる。そうすると、向こうに帰る人は、戦前ずっと向こうに住みなれた人で、大体において老齢もしくはかなり年配の人が多いんじゃないかというふうに思うんですが、そういうふうでしょうか。
  27. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  確かに、世帯数での割合を考えてみますと、先ほど申し上げました六五%よりも上回っておりまして、六七%程度世帯別の帰るという意思表示のあった世帯ということになっております。先生指摘のように、確かに、若い方よりも年をとったといいますか、昔向こうに住んでいた方々帰りたいという意識が強いということは、傾向として当然うかがわれるのではないかというふうに私も考えております。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうまだはっきり確定はしてないけれども、三千ないし四千の人、しかも昔から向こうに住んでおって、帰心矢のごとしだった人々から、したがって年配の人、そういう者を基礎にして今後向こう開発を行なわなければならぬということになるわけですね。いろいろそういう点から、たとえば若年労働力の不足とか、あるいは、いま言ったように、若い人たち日本の農村でも漁村でも離れていく傾向が多いのですけれども、そういう事態で開発がうまくいくものかどうか、それに適した方策を考えておられるのかどうか、そこいらひとつどうなっているのか。
  29. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  先生の御指摘の点は、これは私たちも今後の帰島計画及び開発計画策定につきまして非常に参考になる御意見だと思います。確かにそういうことも十分考えられますので、帰島計画、それから復興計画策定につきましては、そういう点を十分考慮していきたいと、そういうふうに現段階ではお答えをするよりほかないわけでございまして、いまの時点まだ調査結論がはっきり出ておりませんので、まことにあまり答弁が御満足いかないかと思いますが、そういうような状態考えられるので、十分その点は考え復興計画策定、帰島計画策定をしてまいりたいというふうにお答えさしていただきたいと思います。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 なかなかむずかしい問題だと思うのですよ。いま小笠原返還されることになった、そこでこっちにいて帰心矢のごとしの人々はわっと帰りたいという意思表示をしておるけれども、もう戦後二十数年こっちでもってかなり生活基礎ができたというような人たちはやはりこちらの生活を捨てて向こうへ戻りがたい、時がたつにつれてまあ内地におったほうがいいんじゃないかという空気が出てきて、向こうへ帰る人が私はさらに減っていくんじゃないかという気がするのです。そこいらのところはどうお考えになっていますか。
  31. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  先ほど申し上げました数字の中におきましても、ぜひ帰りたい、まあ大体帰ると思うという合計したパーセントは約四〇%ぐらいでございまして、残りの二五%はまだはっきりしないけれども帰る意思があるというような程度のものでございまして、そのいろいろな、どういう復興計画策定されるのか、あるいは帰島の際のいろいろな条件はどうなるかというようなことが、当然今後帰島するかしないかの意思決定にも影響してまいるわけでございます。そういう意味におきまして、十分その点を考えていかなければならないというふうに思うわけです。いずれにいたしましても、小笠原返還に伴いまして、小笠原復興ということは、国とし、また東京都のほうでも、非常に関心を持っている事柄でございますので、復興がスムーズに行なわれるようにいろいろな条件考えてまいらなければならないというふうにいま考えているわけでございます。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは大臣にお伺いしたいのですが、今後小笠原復興計画を立てる場合に、その人口の規模はどれくらいが至当であるとお考えですか、どうお考えですか。
  33. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたしますが、たいへんむずかしい御質問でございまして、現在おられます約二百名ばかりの方々のまず定着を考え、それから意識調査をいたしておりまする旧島民方々の帰島の問題を考えまする際に、全然今度は見方を変えまして、もとの、戦前小笠原あり方はどんなあり方であったろうか、こう考えまする場合においては、これはある程度まで日本第一線基地であったことは間違いないわけでございます。そういうふうに、非常に戦略的なと申しますか、日米もし戦わばというような当時の場合の日本の第一戦基地という姿ではないわけでございます。そうなりますと、お帰りになる方々あり方が、やはり政府がいたします先行投資いかんによって非常に相対的に違ってくると、この前旧島民方々とお会いしたときにも、とても自分がいますぐ飛んで帰ったってロビンソン・クルーソーみたいなもんだから、やはり政府としてはある程度までの先行投資をしてもらわなければならない——これは昭和十九年に強制疎開をいたしました国の責任からいたしましても、ある程度先行投資はもちろん必要でございますが、その先行投資と見合って旧島民方々がどこまでお帰りになるか、これはもとおられました方々は相当ノスタルジアを持っておられまして帰りたいと言われますが、お若い方々になりますと、非常にまた反対な結論が出ておりますので、大体何ぼということを軽々にうっかり申すこともできませんが、まあもとは約七、八千ぐらいおられたと、それから以上申し上げましたことを御勘案いただきまして、ひとつ御類推いただきたいと存じます。
  34. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 私から補足説明をさせていただきます。  いま長官のおっしゃられたことを数字的にちょっとあれしてみたいと思いますが、戦前七千七百人と言われておりましたが、そのうちで、農業関係しておりました方々が三一%、漁業一四%、工業が二・九%、商業が六・一%、これを大体合計いたしますと五四%くらいになるわけです。その他、勤労者が三四%、その他の職業これが一一%、無職等加えまして四六%ということになっております。いま長官の言われましたように、当時陸海軍関係で労務者が相当入っておりますので、この勤労者というのは大体そういう軍の関係者であったのではないかと指定できるわけでございます。したがいまして、普通の平和産業といいますか、そういうものに関係しておりました方々が五四%ということになりますと、七千七百の五四%ということでございますので、三千から四千の間というのが普通の意味推定できる数字ではないかというふうに考えるわけでございます。もちろん、いま長官がおっしゃられましたように、今後の投資関係、特に農業はどうあるべきかということにからんできますと、多少の差は出てまいるかと思いますが、一応の数字的な、長官のおっしゃられたのを数学的に裏づけすれば、そういうことになるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ私も、七千七百なんというのじゃとてもむずかしいと、こう思っております。そこいらが妥当な数字だと思うのですけれども、特に、行ってごらんになって、結局、手がかりになるのは父島ですか、ほかは開発するにしても、たいへん手がかかるし、まず村をつくる。人の住めるところというと、父島ぐらい。しかし、そこへ一ぺんにどっと三千、四千入れるということも困難でしょう。初め漁業、それから農業、それからあとそれに伴う商業とかなんとかというものがいくんでしょうが、やはりあなた方の調査された結果では、まず父島以外はちょっと急場に人を入れるということはできないと、こういうふうにごらんになっていますか。
  36. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 父島と特に母島でございますが、この両方の開発をどういうふうにやっていくかという問題は、今後の復興計画におきまして十分関係方々の御意見を伺ってきめてまいらなければならない問題でございますが、先生の御指摘のように、父島が現在、人が二百名ばかり住んでおる。まあアメリカ軍もいる。そういう関係で、一応生活条件がそろっておるわけです。また、二見湾という非常にいい港が現在使われておりまして、多少施設の整備をすれば使える、こういうことでございますので、いろいろ父島のそういう現在すぐに使えるという、そういう条件、その条件は十分活用していくのが開発の促進にもなるだろうとまあ考えるわけでございます。したがいまして、そういうようなことをよく考えて、母島開発につきましても、できるだけ早く着手する方向父島施設及び生活環境をうまく利用していくということが、少なくも復興計画最初段階におきましては必要な判断ではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから硫黄島ですね。硫黄島の利用について、あそこに飛行場がある。それでジェット旅客機の乗員の訓練に使うということが伝えられているのですが、それは行って見て、直ちに使える可能性がある、少し直せば使える、そこへたとえば、どのくらいの人を送るのか、そういうことについては、すでに調査されておるんですか。
  38. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 硫黄島の飛行場につきましては、ちょっと私、運輸省あるいは防衛庁の関係の方のはっきりした調査報告を聞いておりませんので、はっきりしたお答えができないのでございますが、いずれにいたしましても、飛行場そのものがアメリカ軍がいままで使っていると言いましても、一種の緊急着陸用の飛行場として使っている程度でございまして、これを本土で特に運輸省のほうでパイロット養成に使いたいと、こういう場合に、やはり着陸につきましてのいろいろな整備をしなければならないのではないかというふうに、非常にはっきりした結論めいたものを伺っているわけではございませんが、大体の推測では、そういうふうに伺っているわけでございます。したがいまして、返還になりますれば、できるだけ早くそういう点を整備して、パイロットの訓練用にも使っていきたい、そういうふうに運輸省は考えているようでございます。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、そういうところは、現在こっちに引き揚げている島民の帰還と別問題ですわね、全然新しい人をこっちから送ることになるわけですから。硫黄島には前には、特にあすこで農業をやっている人はいましたが、今後もそういう人の住めるところじゃない。そうすると、これは全然別個に考えていまのような開発をやる以外にないわけですね。つまり、ジェット機の訓練とか、そういう開発以外にはやりようないわけですね。
  40. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 硫黄島は御承知のように、非常な激戦地でございまして、したがいまして、あすこに日本の兵隊さんの遺骨が相当まだあるわけでございます。また、激戦地であった関係で、不発弾も相当多いというふうに、調査の結果では出ているわけでございます。したがいまして、この遺骨収集と不発弾の処理、この二つをまず行ないませんと、いずれにいたしましても、ほかの開発事業ができないわけでございます。そういうことで、まっ先に硫黄島につきましては、そういう仕事をやる必要があろうかと考えておりまして、まあジェット機のパイロットの訓練は、いまさっき申しましたような整備を少しすれば使えるわけでございますので、飛行場そりものは、いま申し上げたような形で、今後できるだけ早く利用できるようにするといたしましても、その他の部分につきましては、先ほど申し上げましたようなことをまず最初にやるということになりますれば、この不発弾の処理及び遺骨収集ということがなかなか、調査の結果によりますと、たいへんな事業であるように考えられますので、さしあたってはそれをやっていく。そういうことで、その後どういうふうにしていくかは、復興計画で十分検討したい、こういうふうに思っております。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 小笠原からアメリカ人が引き揚げる、しかし、ロラン局が残りますね。そうすると、そのアメリカのそのほうの関係者というものは残るわけでしょう。これは父島と、それから硫黄島に残るわけですか、どのくらい残るのでしょう。
  42. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ロラン局のありますのは南鳥島と硫黄島でございます。したがいまして、父島にはございませんで、硫黄島に三十五名ぐらい、南鳥島のほうは三十名ぐらいの人が勤務しているようでございます。合計しまして両方で六十五名程度でございます。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、規模は縮小されないで、将来日本がかわるまではその程度の規模で残るわけですか。
  44. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ロラン局を拡充するというような話は全然聞いておりません。まあ外務省からの情報によりますれば、まず、このロラン局は少なくも現在の規模で当分の間はいくのではないかというふうに思います。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、開発計画を進めるにしても、あるいは、まあ向こうへ人が帰って住むにしても、何といったって交通が一番大切なんですが、その交通について、政府としてはどういう方針を持っておられるのか、大臣、この点、どういう方針で臨まれようとしているのですか。
  46. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この交通の問題は実は非常に重大でございますが、ことに、コマーシャルベースに立っての交通ということは、これは方かなか将来ともにむずかしいのじゃないか。当分、開発に当たります交通関係は、別途国のほうでやらなきゃなりませんが、さらに、その後におきましても、東京都なり何なりがよほどの助成存しなければ、実際においては、とうていむずかしい。戦前の場合は、東京から父島母島に年間二十四航海で、また、硫黄島に六航海でありますか、日本郵船のほうでいたしておったようでございますが、これは今後は非常にむずかしい問題でございますが、やはり国なり東京都の補助航路のようなかっこうでいかざるを得ないであろうと類推いたします。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは一番大切なことなんですが、いま、その方針がまだはっきりしていないで、補助航路になろうと思われますではちょっと心細いように思うのですが、私もよく知らないのだけれども、離島振興法で、離島に対してはいろいろ航路の補助ができておるわけですから、したがって、それから見ても、当然これは政府で相当補助をしなければ維持できないことだろうと思うのですが、これはちっとやそっとの補助じゃ、とうてい私はできないと思います。相当なパーセンテージの補助をしなければならない。
  48. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私が補助航路になるだろうと申しましたのは、当分の間、国なり何なりの責任航路でいかなきゃならぬ。責任航路に対して後に補助航路になるだろうということでございまして、コマーシャルベースの航路には今後、将来ともにならない。それに対しては二、三の会社がやはり希望を申し出ておるような向きもございますが、その際におきましては、やはり補助航路といたしましても、相当程度の助成がなければやっていけない、かように存ずるのでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 空路のほうはどういうことになっていますか。たとえば父島に飛行場をつくるといったって、大型の飛行場はとてもできるものじゃないし、小型といっても、今度は航続の問題がある。そうすると、結局、飛行艇の問題が出てくるわけなんだけれども、それらはどういうことになっているのですか。
  50. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これは空路となりますと、小笠原島だけの問題じゃ、とてもペイしません。将来、たとえば国際空路のガソリンの補給基地とか中継基地とかいうふうな意味で、小笠原からオーストラリアのほうに日本の航空路が延びるとか、また、小笠原が中継でアメリカのほうに延びますとか、そういうふうな場合には、これはやはり国際航路としての価値が出ましょうが、そうでない、単独に小笠原を終点といたします空路でございますれば、これはもうとうてい民間では不可能じゃないか。しかし、現実には、もしやるとしますると、やはり普通の程度をはるかに越えた補助航路としてでなければ、とてもやれないのじゃないかと、こういうふうに考えます。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま言われたような国際航空の中継基地であるとか中継空港というようなことは、どうも小笠原の場合ちょっと考えられぬのじゃないかと思うんですがね。むしろ、たとえば八丈島から延ばせぬものかどうか。その際、飛行場を父島につくるのはたいへんだから、あるいは飛行艇というものを使うことになるんではないか。そういうものに対して政府は特別な措置を講ずるつもりはないかという点をお聞きしたいんですがね。
  52. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 飛航艇でございますが、ただいま水陸両用の飛行艇をアメリカのほうからあれしたのがございます。それがしかし、聞くところによりますと、飛行艇というのは波が一メートルぐらいありますと、もう着水できないというようなことでございますし、現在の飛行艇は非常に足が、つまりスピードがおそいのでありまして、自衛隊のほうでただいま試作いたしております分ができ上がりましたといたしましても、数年後でないとやはり実用には供し得ないと思いますが、これとても、やっぱり波が高い場合には着水できないうらみがございます。そこで、父島の現在あります飛行場をさらに延ばそうと、距離を長くできるんじゃないかというような計画もございまするし、硫黄島まで参りますと、今度、硫黄島からまた父島に戻る航路もなかなかむずかしい。まあ航空路といたしましても、なかなか小笠原というところは簡単にいかないようなところでございます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく、船で行くか、飛行機で行くか、いずれにせよ、こいつを整備することがまっ先だと思うんですがね。これらについての計画はすでに作成されつつありますか。
  54. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) お答えいたします。  現段階におきまして、まだそこまでまいっていない状態でございます。しかし、父島にどういう程度の飛行場がつくれるのか、あるいは硫黄島との関係をどういうふうに持っていくのかというようなことにつきましては、運輸省でいろいろ調査をやっておりますので、その結論によりまして、復興計画段階でその問題を十分取り上げていきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま船を使う場合には、二見港というのはすぐに有効に使用できるのかどうか、どれくらいの大きさの船があそこに入れるのですか。
  56. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 二見は二千トンぐらいのものであれば接岸できるようでございます。もちろん、湾そのものは非常にすばらしい湾でございますので、相当大型のものも入れると思います。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、向こうへ返す人々ですね、いつごろから返すというお考えですか。もちろん、農業開発や何かということになると、これはなかなかたいへんですが、漁業はわりあい早いと思うのだが。
  58. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 旧島民の帰島の時期の問題でございますが、もちろん、水産業に従事される方は、いずれかといえば、この仕事の場が、ある程度すぐに整備されると思いますので、帰島の可能性も早く出るのではないかと考えているわけです。農業につきましては、もちろん、これから開墾して、またいろいろ病虫害の問題等もございますので、多少そういう点を考慮して考えなければならぬわけでございますが、しかし、われわれといたしましては、この復興計画を遂行していく段階におきまして、もし希望者がありますれば、もちろん帰島していただいて、その方々の御協力によりまして復興事業を進めていくというのが当然であろうと考えているわけでございます。まあ、そういうふうに考えますので、復興事業の進捗に伴って、その帰島者の数はだんだんとふえていくと、こういうふうにまあ考えていいのではないかと思います。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 農業はあと回しにして、たとえば漁業の従事者が向こうへ帰ると、ところが、こっちで自分でもって資金を持っておって、向こう父島へ行って、自分で家を建てて、船を持っていって漁業をやるというようなことは、非常に金のかかることで、なかなか帰りたい人全部がそういうことはできるものではない。どうしても政府のほうで何か家を建ててやって、それからまた、それは政府の金でもって建ててやるにせよ、あるいはまた、長期の年賦でもって貸し付けるにせよ、いずれにせよ、政府の金が出されて向こうへ住めるようにしてやる。たとえば船なんかでも、そういうふうな人にはやはり金を貸してやらなければならぬでしょう。そういうような手はずですね、それから、その漁業をやる人たちがとった魚や何かを貯蔵したり、あるいは内地へ持ってきたりすることについてのいろいろの施設だとか、あるいは、それに対するいろいろな援助ですね、そういうものは一体計画されているのですか。
  60. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) いまの水産業をやられる方々の問題でございますが、水産庁のほうでいろいろ検討をしておりまして、すでに四月の九日でございましたか、水産庁及び東京都の水産課の方が三名、そういうようなことにつきまして現地の方との打ち合わせを兼ねて調査に参ったわけでございまして、いずれにいたしましても、水産業協同組合のような形のものを早くつくって、先生の御指摘のようないろいろな問題について早く手当てをしたい、そういうふりな観点から、水産庁のほうでいろいろ検討を加えておる段階でございます。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 帰島する人を住みつかせるためには、家をつくってやらなければならないですね。父島には何か市街地のようなものあるいは部落を形成させなければならぬですがね、それは最初政府としては、何戸くらいつくってやるか、そして、そこへ何世帯あるいは何人くらい入れるのかですね、そういう大まかな計画でも立てておりますか。
  62. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) まあ一応の住めるところをつくり得るとすれば、現在の父島の大村地区ということになろうかと思います。その点につきましては、もちろん、帰島者の意識調査もまだ結論出ておりませんし、また、その中でも特に、場合によりますれば、父島に一応帰って、さらに母島へ渡るというような、そういう考え方の人もあろうかと思いますが、また、それと違う考えを持っておる方もあるわけで、そこらあたりがまだはっきり調査としてつかんでいないわけでございます。そういうような現状でございますので、先生の御質問の点につきましては、まだそこまで計画を進める段階に至っていないということを申し上げざるを得ないわけでございます。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは大臣に伺いますがね。まあ、いよいよ返還協定が批准されて効力を発生する、それに基づいて、いよいよ開発計画をやる、そして、こういう暫定措置法をもって、あそこでもって人が生活できるような道を開いていく、こういうことになるわけですが、いま聞いていると、あんまりいろいろな計画は具体的には進んでおらぬようです。進んでおる進んでおらぬは別にして、帰ってきた以上やはり政府として至急何らかの方法をとらなければならぬ。それに対する予算措置というものは現在どういうことになっておりますか。本年度の予算にはこういうような、これから起こるいろいろな計画を実施するための予算は、どういうふうに組まれておるのか。
  64. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は大体、かいもくと申しちゃ過言かもわかりませんが、見通しがなかなか立てにくうございますので、本年度におきましては、暫定法の御審議を願いますると同時に、まず既定経費でまかなってまいる。しかしながら、これも必要に応じまして、既定経費ではまかなえない場合におきましても、予備費がございますので、これで充当してまいる。それから、この暫定法に引き続きまして、復興法と申しますか、ある程度までの将来の見通しをつけました建設計画を法制化いたしておるわけでございますが、この復興法と相なりますと、少なくとも来年の通常国会には、これが内容の御提案をいたさなくっちゃならぬと考えますれば、もう八月には概算要求を出さなければならぬというようなことでございますので、大体一暫定法に必要な措置は既定経費と、まかり間違いましても予備費で充当いたし得る、かように考えます。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ計画ができてないし、いまのところはあまり金がかからないけれども、しかし、復興計画を立てて、それを進めていくということになると、これはやはり相当な予算を必要とするわけですね。それはやはり四十四年度の予算に頭を出すと、こういうことになりますか。
  66. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 私から答えさせていただきますが、先生の御指摘のように、四十四年度には頭を出すのは当然のことでございまして、むしろ、頭を出すということではなくて、やはり第一年度としての計画が進行できるように努力したいと思っているわけでございます。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、復興五カ年計画なり七カ年計画の第一年度ということは最も望ましいことですけれども、いまのお話ですと、概算要求をするのに、まだ具体的な計画ができていないということになると、結局、なかなか、その復興法に基づく復興計画の実現のための予算ということにならないのじゃないですか。だから私、頭を出すのかと言って聞いたのですがね。もしそれができるなら、もう復興法がこの国会ででも、とにかく曲がりなりにも通って、そして、それに基づいて、もう少し細密な計画が年度別にできて、そして、それに基づいて政府に予算要求をされるということになるのじゃないですか。だから、そういう計画がまだできない、復興法ができないということになれば、四十四年度に、はたして第一年度としてその計画の施行ができますか。
  68. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 私ちょっとことばが悪かったかもしれませんが、私の申し上げましたのは、先生指摘のように、第一年度としての計画をできるだけ考えていきたいということでございまして、もちろん、先生指摘のように、復興法ができなければ、ほんとうの意味復興計画そのものも、まあ第一年度はできないわけでございますが、ただ、本年度の、先ほど長官指摘されました八月に概算要求をしてということは、復興計画そのものは、もちろん、法律ができていない限りにおきましては、法律に基づく復興計画というのはできないわけでございますが、それ以前におきましても、やはりいままでの調査結果及び今後の専門的な調査もとにいたしまして、ある程度の必要な基礎的な計画というものは、ある程度目鼻は立つのではないかというふうに考えるわけでございます。そういうものをもとにいたしまして概算要求をし、それによって来年度の予算を御承認願うということにいたしまして、その承認されました予算が復興法に基づく計画の第一年度に当たるように持っていくと、こういうことに手続的にはなろうかと考えるわけでございます。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 参議院の選挙が済むと臨時国会が開かれるわけですがね、今国会に審議が終了しないで成立しない法律案かなり出ると思うのです。そういうものも臨時国会にもう一度かけられてくるのだろうが、この臨時国会へ復興法は提出されますか。
  70. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) どうも、いまのところのあれでは、復興法は、臨時国会がもし開かれましても無理ではないかと存じます。むしろ、暫定法に基づく実施段階がようやっとどこまで軌道に乗るかという程度のことでございまして、復興法の御提案となりますと、ある程度まで将来を見通した計画性を持ったものでなくちゃならない。暫定法の場合は、何と申しましても、応急に、さしずめ、あるいは交通を確保するとか、あるいは通信を確保するとか、あるいは先行投資としてのどうこうというふうなことでございますが、復興法となりますと、実はもっと将来を見通した計画的なものでなくちゃなりませんので、この臨時国会は無理であろうと私は類推いたします。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 四十四年度の予算に盛り込むとすれば、どうしたって、そうなれば、四十四年度の予算を審議する通常国会には復興法を出さなければならぬわけでしょう。それまでには間に合いますか。
  72. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それまでにはぜひ間に合わせなければならぬと考えております。
  73. 黒柳明

    ○黒柳明君 選挙権についてですけれども、何か新聞の伝えるところによると、総理府と法制局は消極的で、自治省は非常に積極的であるというふうなことが伝えられておりますけれども、これはいかがなんでしょう。
  74. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) そういう新聞報道がございましたが、別に自治省と総理府あるいは法制局の間で意見に食い違いがあるというわけではございません。自治省のほうできめられることであって、総理府であれこれ言う筋合いではないと私思っておりますので、自治省の御判断によって考えていきたいと思います。
  75. 黒柳明

    ○黒柳明君 自治省のほうは、現段階でどうなんですか。
  76. 林忠雄

    説明員(林忠雄君) 同じ自治省でも私、行政局のほうで、この法案を起案をいたしましたが、現在、選挙局のほうでこれに対してどう考えているかの最近の詰めを実はいたしておりませんので、申しわけございませんが、現在答弁するあれを持ち合わせておりません。
  77. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど、復興計画ですけれども、調査団が行って検討して間もなく帰島と、こういうふうになるわけなんですが、その大まかな見通しというものはついていないのですか。要するに、さっき岡田先生がおっしゃったように、いつごろ帰るか——いつごろ帰るかということでなくしても、どのくらいの範囲の間に整備をされていくのか、要するに、帰島が行なわれるのかというような大まかなプランというものは何にも立っていない、まだ、調査団が行ってきたというそこでストップしているのですが、この調査の結果、さらに本格的な技術的な調査というようなことから始まっていくのですか。ちょっとまだ調査団のあとのことがわからないのですけれどもね、帰ってきてから。
  78. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) ただいまいろいろ調査団を派遣しておりますけれども、その調査団は、主として、アメリカ軍が現在使っておるいろいろな施設を引き継いで、まあ民生上の空白ができないようにするにはどうしたらいいかということ、及び、まあ、それ以外に、できるだけ、復帰に伴いましていま緊急に何かやらなければならぬものがあるかないかというようなことを主にして調査しているわけでございます。返還になり一ましたら、今度はむしろ、復興のための基本的な調査ということになるのは当然であろうと思います。そういう意味におきまして、その調査の進展に伴いまして、既定経費の中で予算がもし使えるものがございますれば、その予算に基づくいろいろな施設の拡充なり何なりということが当然行なわれるかと思います。そういうような段階で、いろいろまあ旧島民方々にも協力していただけるようなあれがございますれば、その方々には、あちらに行っていただいて協力していただくと、こういうことになりますので、帰島そのものはあるいはその時点にもう始まると、こういうことになるのではないかと思うわけです。ただ、大々的にやはり帰島していただくというふうになりますたは、食糧の問題とか、あるいは水の問題とか、あるいは電気の問題とか、そういうような問題につきまして、やはり国あるいは都のほうで責任を持って保障できるようなそういうことが、ある程度やはり目鼻がつかないと、帰っていただくこともできかねるのではないか、そういうふうに考えますので、そこらあたりを勘案いたしまして帰島計画を進めていきたい、そう思っているわけでございます。
  79. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣ですね、学校の先生は何か七、八人すぐ派遣されるらしいですけれどもね、現地のお話聞きますと、選択の自由があればいいのじゃないかと、こういうふうな話伺ってきたわけです。要するに、いまアメリカ教育を受けているわけですね。ですから、これからまるっきり日本式に切りかえられることも非常に不安だと、こんなことを聞いているのですけれどもね、その選択の自由というのはもうなくなったわけですね、完全に。
  80. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) そのお話は、東京都知事がそういうお考えをお漏らしになったように聞いておりますが、選択の自由をどうのということよりも、徐々に切りかえてまいらなくちゃならぬ問題じゃないかと思います。  それから、いまの学校の問題にいたしましても、なかなか現在の百七十何名の方々に対して、その子弟の教育の問題もさることでありますが、今度帰島される方々の学校の問題は、それとはおのずからまた違った考え方教育内容になるだろうと思いますし、これは現実の問題に即して徐々に考えたい、かように考えております。
  81. 黒柳明

    ○黒柳明君 結局、父島にいる人は徐々に当然日本式に訓練されると思うのですが、グアムや何かにいる人はどうなるんですか、結局、徐々にということば。
  82. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) グアムの留学生といいますか、あそこのハイスクール及びカレッジに行っておられる方、につきましては、われわれもどういうふうにしたらいいか、非常に頭を悩ましたわけでございますが、いろいろグアムのほうのアメリカの軍人の方々の御好意もございまして、現在、一年の方につきましては、ちょっと問題が残っているわけでございますが、二年、三年の方はそのままあそこで引き続いて勉強にいそしむことができるという、そういうふうなことになっているわけでございます。したがいまして、現在一年の方につきましては、どういうふうに措置をとるか、これはまあ東京都が主力になってやられるわけでありますが、われわれも東京都に十分御協力申し上げまして、できるだけ摩擦の起きないようにしたい、そういうふうに考えております。
  83. 黒柳明

    ○黒柳明君 母島はだれもいないわけですけれども、あそこはこの際だというわけで、密漁——密漁よりもむしろ上がって、何か金になるような木を伐採しているという、こういうようなことを聞きますけれども、特別な何か措置をとっているのですかね。
  84. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 母島につきましていま先生の御指摘のような点、特に陸上のものについてのあれにつきましては、そのものをとることについての規制ということは別に何もいたしていないわけでございますが、ただ、そういうことをする者がどういう人かと言いますと、漁民ということになります。したがいまして、水産庁のほうにおきましては、あの周辺の海域、特に三海里の範囲内は入るなということを行政指導しておりますので、そういうそれに違反する者も多少はあるかもしれませんけれども、善良な方々は十分あれに従ってくださっているというふうに考えております。なお、本日水産庁から監視船として白龍丸が向こうに出向いて監視をするということになっているわけでございます。
  85. 黒柳明

    ○黒柳明君 昨日総理が、ロラン局はこちらの扱いがまだなれていないから向こうの管理のもとに置く、徐々にこちらでなれたら当然こちらで管理すべきものだというようなことを答えられたのですけれども、要するに、ある時点において、あるいは返還すぐにでも、ロラン局の要員というものの養成というか、向こうにおいて訓練をする、こういうようなことを始めるわけですか。総理のお考えは、当然こちらで管理すべきだ、ただ、現時点において扱い方がちょっとなれていないので、だからすぐに返還というわけにいかないだろう、しかし、ロラン局は日本で管理すべきだ、こういうようなことをおっしゃっておったのですが、そこらあたり、まだ全然考えていないのですか。
  86. 加藤泰守

    政府委員加藤泰守君) 総理の御答弁はどういう御趣旨か、私よくわからないわけでございますが、確かに現時点におきましては、ロラン局の操作につきましては、レベルが相当違うというふうには聞いております。将来のことにつきまして、それをどうするかという点は、まあ、あの基地はそもそも安保に基づく提供施設に一応はなるわけでございますので、そのほうの関係で処理されるものと考えております。
  87. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 本案に対する本日の質疑は一応この程度といたします。  なお、次回の委員会は五月二十日月曜日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会      —————・————— 五月十六日本委員会に左の案件を付託された。(予備審査のための付託は四月二十七日)  一、小笠原諸島復帰に伴う法令適用暫定   措置等に関する法律案