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1968-04-26 第58回国会 参議院 沖縄及び北方問題等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)    午後一時十二分開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      長谷川 仁君     北畠 教真君      小柳 牧衞君     平島 敏夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 五郎君     理 事                 増原 恵吉君                 山本茂一郎君                 岡田 宗司君     委 員                 井川 伊平君                 植木 光教君                 内田 芳郎君                 大谷 贇雄君                 北畠 教真君                 田中 茂穂君                 平泉  渉君                 平島 敏夫君                 山本 利壽君                 川村 清一君                 片山 武夫君                 春日 正一君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        外務省北米局長  東郷 文彦君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる  日本国政府代表設置に関する暫定措置法案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ただいまから沖繩及び北方問題等に関する特別委員会を開会いたします。  沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表設置に関する暫定措置法案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  3. 伊藤五郎

  4. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 委員異動について報告いたします。本日、長谷川仁君が委員を辞任され、その補欠として北畠教真君が委員に選任されました。     —————————————
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 これから法案についてお伺いするわけですが、まず第一にお伺いしたいのは、この法案は「沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表設置に関する暫定措置法案」となっていますね。一体暫定」というのはどういうことですか。
  6. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 那覇に設置されることになります諮問委員会は、沖繩本土に復帰いたします際に備えまして、本土沖繩経済的社会的一体化施策について勧告または助言する機関でございます。そこで、沖繩本土に復帰するまでの間における臨時的な機関と言うことができますので、その意味を「暫定措置法案」という名前であらわしたわけでございます。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この諮問委員会暫定的なものである、したがって、そこに任命される日本国政府代表暫定的なものである、そういう意味なんですか。
  8. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そのとおりでございます。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえばそういう意味暫定的な委員会であっても、そこに出る日本国政府代表というものは、これは暫定でなくてちゃんとした資格でちゃんとしたものとして出るのじゃないのですか。
  10. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 日本国政府代表という資格はちゃんとしたものでございますが、その代表職務自体、その職はやはり暫定的なもの、こういうぐあいに考えております。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、すべてこの委員会というものは暫定的なものであると、こういうことですね。
  12. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そういうことでございます。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 この委員会性格がそういう暫定的なものであるということから、この日本国政府代表というものも暫定的なものである、こういうことになるのですがね。もうすでに高瀬氏は日本国政府代表として向こうへ行って、そしてこの諮問委員会に参加しておるわけですね。どういう資格でもって——というよりも、どういう法的根拠に基づいて任命されたのですか。
  14. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 現在高瀬代表日本政府代表として出ておられますのは、身分としては外務公務員と申しますか、全権大使という資格で、諮問委員会における日本政府代表という閣議決定がありまして現地へおもむかれて活動しておられるわけでございます。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 もし、それでもって資格が足りるというなら、こんなもの出さなくていいのじゃないですか。これを出して正式に任命するという以上は、これまでは高瀬代表資格というものは暫定じゃないですか。どうなんですか。
  16. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもがこの法案を提案いたしましたのは、一体化施策について諮問委員会協議をしまして、そして高等弁務官に対しまして助言し、あるいは勧告するという、そういう内容の、半ば外交的な事務であり、半ばは総理府のいわゆる本土沖繩一体化施策の問題でございます。したがいまして、正式にはやはり総理府の職として日本政府代表任命したい。それに伴います任免の諸規定とか、あるいは分限とか、あるいは給与とか、そういう関係規定を整備いたしまして、十分の御活躍ができるような体制に持っていきたいというのがこの法案内容でございます。ただ、佐藤ジョンソン会談が行なわれまして、そうしてこの法律案ができますまで代表を送らないということになりますと、本土沖繩のせっかくの一体化施策が進まない。そこで、そのためにひとつ、現在のこの外務公務員身分日本代表として即刻おもむいてもらって一体化施策を進めよう、こういうことに各政府とも話がきまりまして、三月一日に発足したわけでございます。そういう意味では、いま御指摘のように暫定的でございます。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 この法律案が通って初めて正式の代表ということになる。この法案が通らない間は仮の代表ということなんですか。
  18. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 日本政府代表としては、もう仮も何もございませんで、正式でございます。総理府に置きましても同様でございます。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、要らないのじゃないですか、この法律案は。これを出して正式にするというなら、正式になる前に正式であるというような、これ、論理的矛盾じゃないですか。
  20. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 正式な日本政府代表でございましても、私どもは、沖繩の置かれておりますこの特殊な地位——日本領土の一部であって潜在主権を持っていると、そこの同胞は日本人だと、いつかは、そう遠くないうちに施政権返還が約束されている、そのための準備のための一体化をいろいろ進めていくための協議機関。そういう見地から、この職はあくまで総理府に置きたい、純粋の外交官というよりも、むしろ総理府機関として置いて活動していただきたい、こういうぐあいに考えているわけでございます。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはわかってるんですよ。だけれども、初めに、高瀬代表任命されたときから正式である、こういうことなら、何も正式の代表として、わざわざこういう法律案を出さなくてもいいのじゃないかということを私は伺っているわけなんですよ。その、沖繩一体化をどうこう、そのための委員を出して、代表を出して云々ということは、これは私だって承知して質問してるんでね。問題は、この代表のいままでのそうすると法的根拠はなかったのじゃないかということです。
  22. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この政府代表資格におきましては変わりませんが、いま申し上げましたような趣旨から、この職を総理府に置きまして、そうして特別職にしまして、その指揮監督内閣総理大臣外務大臣が共同して行なう。いまのままでございますと、事実上は共同して行なっておりますけれども外務大臣指揮監督を受ける、身分上はそういう形になっているわけでございます。で、私ども一体化施策でございますので、内閣総理大臣外務大臣が共同して政府代表指揮監督をする。それから、その任免内閣が行なう。それから、それに伴いますいろいろ諸給与その他の問題も、はっきりと政府代表としての資格によるふさわしい給与その他をきめたいと、そういういろいろ政府代表として十分に御活躍願い、わが政府一体化政策を進めようという体制にふさわしいそういう代表としたい、こういうのがこの法案趣旨でございます。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、いままでは高瀬代表外務大臣指揮下にあったのですね。今度はそうでなくなる。いままでの代表とこの法律案が通ってからの代表とは、その性格が変わるわけですね。つまり、いままでは純然たる外交官としての資格であったと、今度は外交官ではないのですね。そうすると、この法律が通る前とあととは、その資格が違ってくるわけですな。どうでしょう。
  24. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いま申しましたように、この外務公務員立場でございますが、総理府特別職になりますと、普通の政府職員特別職としての資格になるわけでございまして、まあ外務公務員資格をどうするかという問題もあろうかと思いますが、この主体は総理府特別職ということになりますから変わるわけでございます。それからまた、指揮監督におきましても、内閣総理大臣外務大臣協議して指揮監督をするようになりますから、その点がいまより——いま事実上行なっている事情より法律的にはっきりするわけでございます。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、これは三政府代表によって構成されるわけですが、琉球政府代表ですね。これはもうすでに法律的根拠に基づいて任命されておるのですか。
  26. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 現在は、琉球政府代表は、松岡行政主席から琉球政府代表という任命がありまして、そうして琉球政府職員としてこの代表職務を行使されているわけであります。で、これに関する立法につきましては、三月の五日に行政主席のほうから立法院法案勧告されております。その内容は、大体ただいま御審議中の法案内容と一部違っておりますが、大体同じような内容になっておりまして、三月の十八日に第一回の審議が行なわれましたが、まだそれ以来、そうこの審議が進行していない、いま審議中でございます。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 聞くところによると、琉球立法院においても野党はこれに対して反対をしておるということなんですがね。野党側反対理由はどういうことにあるか。
  28. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 沖繩立法院のその内容についていろいろこまかく申し上げることについて多少差しさわりもあるかと思いますが、まあ、私がごく反対の大きな理由として聞いております点は、本土沖繩との一体化というものは、現状固定化であると、したがって、沖繩施政権返還祖国復帰に対して決してプラスにならないと、一体化施策そのものが。こういう見地から、そういう機関を設けてもあまり意味ないじゃないかと、こういう趣旨の御反対があるように聞いております。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 この琉球立法院における野党反対のために、この法案は相当審議に日数を要するのではないかというふうに私ども考えておるのですけれども、その見通しはどうですか。
  30. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもの承知しています限りにおきましては、これは主として行政府のほうからの御意見でございますが、一部沖繩与党のほうのお立場も含まれていると思いますが、できるだけ早くひとつ本土法律が成立することを期待している、早く成立すれば沖繩法案も早く審議に入るだろうと、こういうぐあいに私どもお話を聞いたことはございます。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まあわれわれがこれを審議しておって、それで、その審議が早くなると向こう審議が早くなる。これは沖繩でも野党反対をしており、こっちでも野党反対しておる。そうすると委員長、これを審議をえらい急がれるということは、沖繩の与党あるいは琉球政府を大いに助けるつもりで急いだんじゃないですかな。これは委員長にお答え願いたい。
  32. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) お答えします。この法律案はやっぱり一体化のために必要ではないかと思いまして、なるたけ早いほうがいいと考えましてお願いをいたしておる次第であります。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 と、別に、なにですね、向こう審議関係はないと、こういうことですな。いや、これ、関係させられると、これはやっぱり困るのですよね。私はどうも琉球立法院の与党なり、琉球政府の思惑に沿うような審議をするつもりは別にありませんからね。  それで次にお伺いしたいのは、そうすると、たとえばこういうような形でこの法律案が通って、そうしてこれに基づいて日本国政府代表が新たなる資格を持って出ていく。ところが、琉球政府代表は、まあ主席任命はされて琉球政府代表として出てはおるけれども、なお琉球立法院でいま審議中の法律案が通らない限りはやっぱりある意味で仮の資格暫定的な資格しか持っておらぬと、こういうことになりますね。
  34. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 資格につきましては、このただいま申し上げました日本政府代表の場合と同じじゃないかと私は思いますが、その身分その他所要の体制を整備していない代表であるという意味では、やはり暫定的だと考えております。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、アメリカ代表ですね。このアメリカ代表国務省によって任命された外交官なんですか。それともやはりこういうふうな何か法律的基礎に立って任命されたものであるのか。私はまだ、アメリカの議会でこういう法律が出てそれに基づいて任命された代表だとは聞いていないのですけれども、その点はどうなんでしょう。
  36. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) アメリカのほうでは、米国代表任命のために国内で特別の立法はしておりません。現在のアメリカ代表国務省身分を持っておりまして、任命は大統領による任命と承知しております。アメリカ国内法上の根拠は、昨年の日米共同声明及びこれに基づきます諮問委員会設置に関する交換公文でございます。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この委員会代表ですね、三人おるわけですけれども、現在はそれぞれに資格が少しずつ違うのですね。そう思われるが、どうでしょう。
  38. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはそれぞれの、日米両国国内法令上の取り扱い方、そういうものが違うということもございます。沖繩琉球政府の場合も若干は違うかもしれませんが、そういうもっぱらそれぞれの代表の属する政府部内の法制上のたてまえが違っておるということに基づくものでございまして、代表としての資格においては何ら相違するところはございません。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に伺いたいのは、この諮問委員会そのもの佐藤ジョンソン会談に基づき、その後かわされた琉球諸島高等弁務官に対する諮問委員会組織及び任務に関する交換公文、まあこれに基づいて設けられたものですがね。この委員会基礎になっておるまあたとえば法的根拠というかな、高等弁務官布令とか何かそういうものがあるんですか。この交換公文に基づいてただ漫然と設けられただけのものなんですか。
  40. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 交換公文根拠にしまして、そうしてこの立法を要する政府はそれぞれの立法を行ないまして、諮問委員会が、それぞれ代表任命しまして、発足したわけでございまして、法律上どういう諮問委員会についての法的措置をとるかは、それぞれの政府の実情で措置される、かように考えます。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 おかしいですね。高等弁務官のもとに置かれた諮問委員会でしょう。そうすると、高等弁務官の命令といいますかね、だけなんですか。やっぱり高等弁務官がこういう重要な委員会を置くとすれば布令とか布告とか、何かそういう高等弁務官の発した何か法的根拠になるものがなければ、この諮問委員会なるものは、これは存在が法的根拠を持たないということになるんじゃないですか。外交的な措置としての佐藤ジョンソン共同声明それから交換公文には基礎を置いておるけれども、その高等弁務官のもとにおいて組織されたにもかかわらず、その組織に関する何か法的根拠がないということは、この委員会法的根拠を欠いておるということになるんじゃないですか。
  42. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) その点につきましては、この今回設けられました諮問委員会は、高等弁務官下部機構とかそういう指揮監督に入るような機構ではないのでありまして、あくまで高等弁務官に対して助言または勧告を行なう三政府代表からなる国際的機関、したがって、高等弁務官に従属したものではございませんから、したがいまして、何らそういう布令とかそういう関係のものは要しない、かように思います。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 おかしいですね。高等弁務官がこの諮問委員会の最初の会議で演説していますね。そうして高等弁務官は、ちゃんとこの会議性格というかあるいは権限というか、そこで取り上げる問題というか、そういうものについてはっきり指示をしている。これはまあ、あるいは交換公文に基づいているのかもしれぬけれども、そういう指示をしている。それから、高等弁務官諮問に答え、あるいは高等弁務官に対して勧告をする、こういうことでしょう。そうすれば、高等弁務官に附属してない対等のものだとは言えないと思うんですがね。どうです。私はこれは対等機関だとは思いませんがね。大臣どうです。その辺どうお考えになりますか。
  44. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの御質問の中におきまして、高等弁務官のもとに、高等弁務官云々とございますが、われわれは当該諮問委員会高等弁務官に従属いたしました機関ではない。同時にまた、高等弁務官に隷属するものではなく、そのもとにあるのではなく、高等弁務官に対し意見を述べ勧告を行なう対等機構である、かように考えておる次第でございます。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 対等のものであるというそれじゃ法的根拠は何ですか。ただ対等のものであると言ってもね、少なくとも諮問委員会というものが、その諮問を発する人に対して対等ということはちょっとおかしい。その法的根拠を示してください。
  46. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 先ほど御質問がございましたように、この諮問委員会職務権限とかなんとかというふうなものが、高等弁務官の何らかの法的指示がないのもそのためであろうと存じますが、これは両国の首脳の佐藤ジョンソン会談によりまして、その交換公文によって置かれておるものでありまして、さような意味におきましても、高等弁務官が本諮問委員会に対しまする分掌規程やあるいは布告だとかなんとかというようなものを、文言を出すべきものではない。これはあくまでも交換公文に基づく直接の機構である、私はかように存じております。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、それじゃ次にお伺いするのは、それはそれとしてね、それじゃ、この三者構成によってできたこの諮問委員会は、それ自身の何か組織規程ですね、規約というようなもの、憲章というようなものを持っておるのかどうか。それの運営についてのちゃんとレギュレーションを持っておるのかどうか、それはどうなんです。
  48. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) ただいま長官からお話しになりましたように、諮問委員会交換公文をもとにして置かれたものでございまして、たとえばその議事手続とかあるいは諮問委員会としての事務局——事務局と申しますか、この委員会固有事務をさばいていくのにどういう仕組みをつくるかと、こういう問題は、それぞれの諮問委員にまかされておるわけでございまして、まだ緒についたばかりでございまして、具体的に何人事務局員を置くとか、そこまでは固まっておりませんが、いずれにいたしましても諮問委員にまかされておるわけでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この諮問委員会はまあばく然とできたと、で、これからその諮問委員会そのもの組織もこの三人によって行なわれると、そうして、それに必要な、何というのですか、組織規程というのか、そういうものもこの三人によってつくられる。それから、それに基づいて事務局も構成される。それから、この諮問委員会並びに事務局運営規程もこれからできると、こういうことでございますか。
  50. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) この諮問委員会の内部のいまおっしゃったような問題につきましてはそのとおりでございまして、現に固まりつつあります。しかし、諮問委員会のその機能とか性質とかそういう問題につきましては、交換公文ではっきり規定されておりまして、この沖繩経済社会及びこれに関する事項の分野において一体化を進めるために高等弁務官勧告し助言するというはっきりした使命を与えられておるわけでございます。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは三つ政府代表によって構成される、その根拠交換公文だ、こういうことになってくると、それ自体としての法的根拠というものはないわけですね。ただ、交換公文によって各国政府はこういう代表任命して、それで構成される一種の、外交官の集まり、そこで論議をする、こういうことなんですか。
  52. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 委員会設置に関しましては、交換公文ではっきり目的規定しておりますので、普通の国際機関におきましてもみずからの憲章というものがあるわけでございますが、それに当たるものは交換公文でございます。それ以上に特に高等弁務官なりだれなりがいろいろな規定を出すということは、この諮問委員会設置及び運営に関しては必要ないことであると考えます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 交換公文に基づいて三つ政府代表がこういう諮問委員会を構成した。とすれば、この諮問委員会性格なりあるいは何なりについて交換公文に基づいて、さらにちゃんとそれ自体としての組織規程なり何なりを持つ必要があるんじゃないですか。それがないということにたると、ただ交換公文でこういう目的のために設けられたものだというだけではまことにばく然たるもので、これは機関としての名に値しないものじゃないですか。
  54. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 諮問委員会自体根拠につきましては北米局長から御答弁されたとおりでございますが、諮問委員会事務局あるいは諸手続諮問委員会議事手続その他組織等につきましては現在検討中でございまして、事務局長も、二、三日前でございますか、任命され、それから、議事手続のうちいろいろこの案を検討しておりますが、さしあたり必要な議事手続は合意されてきまっております。したがいまして、組織として活動するのには何ら支障はございません。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 さっき北米局長は、交換公文だけ、そんなものをつくる必要ないと言う。必要ないということばを言われている。いまの特連局長のほうは、それ自身つくりつつあると。必要がないならつくりつつある必要はないのです。どうなんです、それは。どうも話がよくわからない。
  56. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 私申しましたのは、この委員会設置すること自体につきまして、交換公文のほかにさらにまた憲章のようなものは必要ないと思いますということを申し上げたつもりでございます。この交換公文によってできました委員会自体組織なり運営というものに関しては、いま特連局長から説明申しましたように、着々準備が進んでおるわけでございます。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほどぼくが聞いていたのは、この交換公文に基づいて諮問委員会ができたとすると、それ自身規約というか、憲章というかが必要であろうと、こういうことを聞いたのです。そうしたら、必要ないと、あなたはいまは着々つくりつつあると。それでいま北米局長も着々つくりつつあるということを認めておられることで、そういうのは必要だと、こういうことなんですね。
  58. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そのとおりでございます。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、それがまだできてない。この諮問委員会はまだつくりかけの建築中、完成しない建築みたいなものですか。
  60. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはいろいろの見方があろうかと思いますが、現に、現在諮問委員会をさしあたり運用するに必要な諸規定はできておりまして、したがいまして、現在まですでに三回にわたった勧告が行なわれております。したがいまして、さしあたりこの諮問委員会の活動をするのにはいまのところ支障がないわけでございます。諮問委員会の任務、さらに具体的ないろんな勧告、助言の仕事が広範になってきます場合には、それに応じまして規定を整備されて、陣容もさらに整備されて、それに対処していかれるものと承知しております。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、結局私どもから見れば、まだそういうきちっとしたかっこうをとっていない、いま、まだそれを固めつつある段階だと、こう見られるのですがね。そうすると、この委員会はまだほんとうにでき上がったものではない、こう言ってもいいんじゃないかと思うが、あなたはそうお考えにならない、できていると考えるか。
  62. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは、もう三月一日に正式に発足をいたしておると、そうして現に私も過般出席いたしまして、いろいろ御審議内容も承ってまいったのですが、もう活動は何ら支障なく行なわれております。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまあなたの御説明ですと、これからだんだん仕事もふえていくと機能も拡充されていかなきゃならぬ、それにつれてだんだんそういう手続とか運用方法とかというものもちゃんと明示されたものが必要になってくる、こういうふうに言われたと思うのですが、そうでしょうか。
  64. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ええ、さしあたり現状におきましては活動するのに必要な最小限の規定は整備されておりまして、今後さらにそれを事務局組織を中心にしまして諮問委員会運営について支障のないような体制がとられるものと考えております。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まだ組織が整備されておるわけじゃない、未整備だと、こういうことですね。  そこで伺いたいのですが、もういますでにそういう活動をしておると、別にいまのところは支障なくそれが行なわれておる、それだけに整備されているというならば、それだけの範囲においてやっぱり何かちゃんと規定されたものがあろうと思うのですがね、それをお示し願えませんか。
  66. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私ども、実はこの三代表によって合意された議事手続の一部を持っておりますが、ただ、これをそのままお示しできるかどうか、よく打ち合わせてみたいと思います。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは別に秘密の機関じゃないのでしょう。この諮問委員会のことをここでもって論議しているのですよ。これを見せていただいて、われわれに研究さしていただかなくちゃ審議が進まぬじゃないですか。
  68. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいま御指摘になりましたように、別に隠しだてするような内容ではないと思うのでございますが、ただそういう外交的機関議事手続を、この過渡的と申しますか、さしあたり必要な規定をつくった、合意した、それを日本政府のほうで一方的に公表することが妥当であろうかどうであろうかというだけの問題でございまして、内容は、たとえば会議の点につきましては、毎週二回、火曜日と金曜日に定例会議を開く。いずれか一人の委員の要請に基づいて臨時会議も開ける。こういう点とか、それから補助要員を陪席させる会議は、別段の定めのない限りは非公開であるとか、それから、補助要員以外の者の参加も認めることができるとか、それから、会議録の問題とか、それから、表決はこの三委員の賛成によって行なわれる。それから、助言と勧告につきまして文書で行なうとか、あるいは口頭で行なうことを妨げない。そういう内容。それから議長は互選によって決定する。それから、議長は諮問委員会会議の司会をする。それから、若干のこまかい議事手続がございます。それから、必要に応じて委員会の活動を補佐せしめるため補助要員の中から任命する者で小委員会設置できる。こういうような諮問委員会運営に必要な諸規定がさしあたり定められているわけでございます。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 私、きのう総理府のほうから、きょうの質問内容はどういうことだということを聞かれたときに、この諮問委員会のそういう何か規程のようなものがあったら出してくれということを要求しておいたのです。それは、この諮問委員会それ自体についていろいろお伺いしようと思ってそれを要求したのだけれども、出してくれなかったわけですが、いま言ったような理由で出されなかったのですか。
  70. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私は聞いてはおりませんが、やはり若干の配慮をしたのじゃないかと思うわけでございます。別にその他の理由があるわけではございません。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 ここに出る日本政府代表のことについてきめるのですから、この委員会性格そのものもやはり論じなければならないと思っていたのですがね。どうです、それについてもう少しちゃんとしたものを審議の資料として出していただけますか。
  72. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) それは会議運営議事手続のようなものでございますか。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうそう。いま言ったなにですね、そのほかにたとえば構成に関するもの、その他あったら。それだけですか。会議運営議事手続以外は、これはもう何もないのですか、事務局の構成とか、その他。
  74. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) それ以外の別のこの規程というものは、私はいま承知しておりません。ないと思います。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、いまお話しになったとことによりますと、三者の賛成ということは、たとえばその三者のうち一者が反対ならば議題にも供し得ない。もちろん、勧告も、この委員会勧告として成立しない。それから、諮問に対する答申も答申として成立しない、こういうことになるわけですね。
  76. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、これは佐藤ジョンソン会談のそういう一体化施策を進めるための機関としてできた機関でございますから、したがいまして、やはり三代表がそれぞれ合意をして勧告を行なうことが、これがこの勧告が実施される上でも権威もあるし、重みもあるし、そういう意味で、合意が前提になっておるものと考えるのでございまして、実質的には、御指摘のように、合意を私どもは前提としておると考えております。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 「琉球諸島高等弁務官に対する諮問委員会組織及び任務に関する交換公文」の(一)の中に、「委員会は、常設かつ専任の態勢で運営されるものとし、適当な補助要員によって補佐される」、こうありますが、この適当な補助要員というのはどういうものでしょうか。
  78. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どものこの日本政府代表の補助要員としましては八名を予定しておりまして、そのうち二名は参事官で、三名が調査官になっております。あと三名がいわゆるもっと事務的な職員を三名置くということで、八名を任命したい。そのうち五名はすでに南連事務所勤務で発令をいたしたわけでございます。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 この補助要員というのは、これは日本側の、つまり日本政府代表についている補助要員であって、この諮問委員会に属しておるわけじゃないのですね。諮問委員会そのものに属しておるわけじゃないのですね。
  80. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そのとおりでございます。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 その事務局が設けられますね。この事務局というのは諮問委員会そのものに属しておるわけですか。
  82. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) さようでございます。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 この事務局がやはり事務を行なうためにそこに属するその人員ですね。それはこの三つ政府から派遣されるのですか。
  84. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いまいろいろ検討されておるようですが、大体事務局の専属の職員は、三政府がその職員の中からそれぞれ出し合うということになっております。もちろん、特殊な機能の人とかが必要な場合には、それぞれの負担において事務局として採用される場合もあると思いますが、いまのところ、各政府から出していくということになっております。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは補助要員のうちから出るのではない。別に三政府から出されるのですか。
  86. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いまのところ、別に考えております。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 事務局長はだれが任命されたのですか。
  88. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私がこの前参りましたときに事務局長が決定いたしまして、ちょっと名前は失念いたしましたが、沖繩の人だと承知しております。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、それはそのもとにいま言った事務局が構成されるわけだけれども、まだ構成はできてない、こういうことですか。
  90. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 事務局はたしか二名くらいがきまったのじゃないかと思っておりますが、その他は、現在事務に対処するのにはそれぞれの政府の補助要員がアシスタントとして委員会運営に支障のないように協力しておるわけでございます。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まだ事務局も固まってない。各国の補助要員がそれを助けておるということだと、この諮問委員会はまだかなり固まったものとは言えないわけですね。
  92. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私もその点につきまして、向こうへ行きましていろいろ聞きましたが、近くひとつ至急のうちに整備していきたいというのが事務局側意見であり、三代表の御意見でございました。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは希望ですね。しかし、現在ではまだ固まっていない、こういうことですか。
  94. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いまのところ、そういう状態でございます。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 だから、私はさっきからこれはまだ建築中のものじゃないのか、でき上がったと言えないのじゃないかということを聞いていたのは、そういうこともあるのではないかと思って聞いていたのですが、いや、もうできてちゃんと運営されているのだと言うから、おかしいなと思って聞いていたのです。  そうすると、まだこの諮問委員会はほんとうに固まったものではないと、こう言えますね。
  96. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先生が御指摘になります、固まったものではない、あるという点もございますが、私どもはいまのこの諮問委員会運営するのに必要な体制はとれておると、かように考えております。
  97. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に「諮問委員会目的は、琉球諸島の施政権が日本国に返還される時に同諸島の経済社会構造が日本本土におけるものと円滑に統合されるように準備を行なうため、ならびに琉球諸島の住民の経済的な安定、保健、教育および福祉を増進するため、高等弁務官権限内にある経済的および社会的事項ならびに関連事項について、高等弁務官に対し、助言しおよび委員間で合意された勧告を行なうこととする」、こうなっておるわけですね。それで、ここで大体この諮問委員会目的が限定されておるわけですが、そこでお聞きしたいのは、「琉球諸島の住民の経済的な安定、保健、教育および福祉を増進するため」とあって、いわゆる政治的なものに関連するものは、これはここから排除をされておる。どうですか、その点は。これから排除されておると、こう考えていいわけですね。
  98. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いま御指摘になります政治的な問題にもいろいろございましょうが、まあ主とした任務が経済上、社会上その他関連事項と、こういうことになっておりますから、したがって、純粋に政治的な問題というものがその主要な議題として取り扱われるとは私どもは考えておりません。で、そういうものはまた別途、別の機関において解決ができるわけでございますから、諮問委員会としましては、さしあたってはそういう純粋に政治的な問題は入ってこない。ただし、いろいろなこういう関係の事案を協議なさっている間には、付帯的に政治的な問題が関連してくることはこれは十分予想ができますから、それまでも排除しておるとは考えておりません。
  99. 岡田宗司

    岡田宗司君 その次に、「高等弁務官権限内にある経済的および社会的事項」と書いてある。そうすると、この「高等弁務官権限内にある」ということに限定されるということは、はたしてこの諮問委員会高等弁務官対等立場にあろと言えるのかどうか私は疑問だと思うのですがね、どうなんでしょう。
  100. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはまあ高等弁務官に対する勧告・助言機関でございますから、したがいまして、その勧告、助言は高等弁務官権限内にあるものであることが原則——原則と申しますか、これが当然だろうと思います。しかし、それだからといって、高等弁務官権限というのがなかなかむずかしいのですが、たとえば大統領行政命令の問題もございましょうし、布告布令であって、ワシントンに関連する問題もございましょうけれども、その勧告した結果、いろいろな措置を要するもので権限外にわたるものがないのかというと、私はそうも言えないと思います。ですから、勧告自体の取り上げる対象はやはり高等弁務官権限内のものであるということを一応認めておいて、そのあとはその措置について関連して出てくるいろいろ権限問題があろうかと思います。そのようなことはやはり日米協議委員会のほうへ報告されることになっておりますから、したがいまして、高い次元で、外交ルートで処理していただくようになろうかと考えております。
  101. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、助言とか勧告というようなものがなされたときに、高等弁務官はこれを拒否することができるということですか。この交換公文にはそんなことは何も書いてないけれども、私は、高等弁務官は助言とか勧告を必ずいれなければならないのではなくて、拒否することができるものと解しておるのですが、そうじゃないですか。
  102. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) まあ、その助言とか勧告が法的に見まして拒否できないかというと、私もそれは拒否できると思いますが、しかし、これは佐藤ジョンソン会談あるいは日米交換公文に基づきまして、一体化を促進するための機関として三政府がそれぞれ代表を出した機関であり、三政府代表の合意によって高等弁務官勧告されるのでございますから、その勧告の結果を高等弁務官が拒否されるような事態は起こらないと、私どもはさように確信しておるのでございます。
  103. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは希望的な確信でね、あなた、そう確信しておるのですけれども、たとえばその高等弁務官権限に触れるすれすれの問題が起こるでしょう。たとえば、この諮問委員会のほうでは権限に触れないと、こういう解釈をとっても、高等弁務官のほうで権限に触れるということになれば、拒否する場合も起こり得るのですね。
  104. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) いまの勧告なり助言が出るまでには、これが先ほどお話しのように、全会一致でございますから、米国政府意見代表しております米国側の代表の賛成も入っておるわけでございます。そういう米国側の政府の意思の入った、賛成した勧告が出てきまして、これを高等弁務官が実施しないということは、私には理屈の上から言ってもそういうことはおかしいし、また、ないと思うのでございます。いまのそのすれすれのような問題が確かにあろうと思いますが、それは前段において、おそらく勧告を出す出さぬという場面において問題が出てくると思うのです。そのような場合には、そもそもこの諮問委員会というのは日米琉三者相談の上沖繩一体化を進めていくと、こういう考えから出発したものでありますから、その段階において、いわゆるすれすれの問題につきましても日本政府の意向をいれて、アメリカ政府の意向をいれて勧告をつくるという努力がなされるわけでありますので、実際問題として、出てきた勧告高等弁務官によって握りつぶされるあるいは拒否されるということは起こらないと、われわれは見ております。
  105. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはまあ実際の運用上の問題で起こらないだろうということであって、理論的には勧告は拒否され得る場合もあるわけでしょう。しかし、実際にはいまあなたが説明されたようなことでまず起こらないと、こういうことなんですね。
  106. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 理論的に申せば、米国政府諮問委員会における代表に対して訓令を出す、それからそのあとになって高等弁務官に対して別の訓令を出すということになればそういうことが起こるかと思いますが、一つの政府として、理論的にはあまりそういうことは予想されないことではないかと考えます。
  107. 岡田宗司

    岡田宗司君 つまり、アメリカは精神分裂の状況がなければそれでちゃんと通るということですか。
  108. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) さようでございます。
  109. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうしてそういうことを言うかというと、片方は国防省ですね、国防総省によって任命された在沖繩軍司令官でしょう。そうして、この委員会におけるアメリカ代表というのは国務省によって任命されている。アメリカでもときどき国務省と国防総省の間の意見の違いがあることは、それがときどきちぐはぐになっていることがいろいろあらわれているということは北米局長も御存じのことだと思う。だから、そういう精神分裂的なこともあるのじゃないですか。
  110. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) もしさようなことがありますれば、われわれとしてはこれはまことにかっこうな外交交渉の問題として取り上げたいと思います。
  111. 岡田宗司

    岡田宗司君 ひとつ大いに積極的にそういう問題を取り上げるようにしていただきたいと思います。たとえば布令一一六号の問題についても、形の上から言えば、これは高等弁務官の発した布令ですから、高等弁務官権限の中で変えられることになるわけです。実際において、今日、国防総省並びに国務省と相談しているだろうと思います。それがまとまらないということは、やはりそういう問題に関連があるので、そうでなければとっくにこの問題はまとまっているはずですが、北米局長どうですか。
  112. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) その問題に関しましては、いま岡田議員のお話しになりましたように、長いこと国防省、国務省で相談していると称しております。そういうことはアメリカ政府部内におきましてのみならず、日本政府の間においてもいろいろ問題につきまして各省間で議論することもありますので、これが国務省と国防省の意見が違うからどうというふうには私必ずしも考えておらないのであります。
  113. 岡田宗司

    岡田宗司君 意見が一致していれば早いので、意見が一致していないから延びている、そう見ていいのじゃないですか。それはそれとして、一つの例として、布令一一六号は、形の上から言えば、高等弁務官の発した布令になるのですね。これのたとえば改正問題は琉球諸島の住民の経済的な安定ということと非常に関係がある。そうすると、諮問委員会にこの問題が取り上げられたとき、そうしてある種の勧告がなされたときに、これは形式の上ではちゃんと高等弁務官権限内のことだから、それは高等弁務官においてこの勧告に基づいて布令を改廃することになりますか。
  114. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) いまの御指摘の点は、ものごとの筋道としてはそういうふうに動くはずだと思います。
  115. 岡田宗司

    岡田宗司君 実際問題として、この問題は、高等弁務官はやはり本国の国防総省なりあるいは国務省と相談をして、その意見の一致を見ない限りはこの布令をどうすることもできないというのが現状じゃないか。
  116. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 具体的にいまの一二八号の問題に関しては、車がむろん直接の雇用者でありますし、そういう立場も含めまして、ワシントンにおいて関係方面でいろいろ現地の実情も考えて議論し、また最近は米軍の四軍を統一して現地で団体交渉を認めるという、これはアメリカの軍としては非常に珍しい措置をとられたわけであります。この問題を諮問委員会で取り扱うかどうか。私どもといたしましては、この問題は経済社会の関連事項に入る問題と考えまして、諮問委員会としても当然取り上げていい問題だと考えますが、ただ、これはまた直接布令の改正とか、あるいはこの問題は同時に現地の軍の問題でもありますので、これをどういう形で取り上げることができるか、そういうところはこれからもう少し研究し、また考えてみなければならぬものと思っております。
  117. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、布令一一六号のような問題は、形の上からいくと、この委員会で取り上げて、そうして勧告が行なわれれば、高等弁務官はそれを実施することになるわけだが、実際問題としてははたしてこの委員会で取り上げられ得るかどうかもなお疑問の余地を残している。それからまた、取り上げられて勧告されても、高等弁務官がみずからの判断でその布令を改正するとか撤廃することはできない。やはりワシントン話し合いをつけなければそれはできない。こういうことになってくると、この諮問委員会というものは、ここに書いてある目的権限といいますか、そういう額面よりもだいぶ割り引きして考えなければならぬものだと思いますが、どうですか。
  118. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) その点は、先ほど申しましたように、諮問委員会には、米国政府の訓令を受けて出る米国の代表もおりますので、諮問委員会において扱うことが適当な問題については、諮問委員会の段階において米国政府の意思が固まらなければ勧告は出ないと思います。したがって、そこにおいて取り上げられて勧告が出されたということになれば、これは問題が布令を改正する場合には、手続的にはワシントンまで回るわけでしょうし、また、現場ですぐに行政的にできることならば、その場ですぐ手続がとられる、こういうふうに思っております。
  119. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは三政府代表によって構成されるけれども、この三政府代表意見の一致を見なければ問題自体も取り上げられないということになってくると、たとえば日本側と琉球政府側でこういう問題はこうしてもらいたいと言っても、アメリカ代表が、いや、これは議題として取り上げるのは困る、こういうことになりますと、これはアメリカ側が与え得るものだけしかこの委員会では問題にならないということです。やはり、この諮問委員会というのは形はりっぱに見えるけれども中身はさほどのものではない。激しいことばで言えば、羊頭狗肉であるということになりはせぬかと思いますが、どうですか。
  120. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは、三政府代表と申しましても、やはり沖繩本土との一体化の問題でございますから、したがいまして、本土代表沖繩代表というのがやはり相当な役割りを演じられる。したがって、それはもちろんいろいろな特殊な事情がございますから、米国政府代表のほうでいろいろな御意見のあることは、これは当然でございます。しかし、その場合にも、あくまで本土沖繩一体化を進めようということについて合意しておるわけでございますから、したがいまして、少しでもアメリカ側の不利に——不利と申しますか、一体化施策について特別に反対意見を出すとか、あるいはそれをチェックするとかというようなことが相当ひんぱんに行なわれるとは私どもは考えておりません。
  121. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、「委員会は、また、特別の研究および調査ならびに適当な個人および機関との協議により、琉球諸島の経済的および社会的発展の状況を継続的に検討し、かつ、高等弁務官に対して長期経済計画に関する勧告を行なうものとする」と、こういうことが書かれているのですがね。この「特別の研究」とは一体何か。それから、ここに「特別の研究および調査ならびに適当な個人および機関との協議により」という「個人および機関」とは一体何か。これはどういうことですか。
  122. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは、諮問委員会は、沖繩の長期経済計画について協議していくということが大きな使命にもなっております。したがいまして、たとえば、昨年来沖繩の長期経済計画について民政府のほうから、日本経済研究センターの大来先生のところ、それからアメリカのDM、JMでございますか、そういう研究機関に委嘱しまして、そういう調査報告書を提出してもらっております。そういう報告書もございますが、諮問委員会として、さらにそういう問題について、研究機関とかあるいは特別な研究者とか、そういうものに対しまして研究を委嘱して、そしてその報告を協議の参考資料にするということが予想されるわけでございます。現に諮問委員会から勧告されておりますが、現在米側で管理しておる開発金融公社を琉球に移管する問題については、日本本土における経済人に調査を依頼しまして、そうして、できるだけ早い機会に結論を出してもらおうというような勧告が行なわれております。そういう場合の「個人」というのはそういうようなことであると考えます。
  123. 岡田宗司

    岡田宗司君 大来調査報告といいますか、あれは諮問委員会に提出されたのですか、それとも、それは高等弁務官に、つまり米民政府に提出されたのですか。
  124. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはまだ諮問委員会ができます前に、民政府のほうから委嘱いたしましたもので、高等弁務官のほうに三月の初めに提出になっております。
  125. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、まだ諮問委員会としてはそういうことを、いろいろ調査なり研究を個人または団体に委嘱しているだけであって、それらの調査や研究の報告を受けておらない、こういうことですか。
  126. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは聞くところによりますと、民政府のほうでこの報告について十分検討されているようでありまして、近い機会に諮問委員会のほうでもその報告書を受けていろいろ協議されるものと考えております。
  127. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから高等弁務官、つまり米民政府で、いろいろ独自な調査をしたり、あるいはまた米民政府で立てた政策で一体化関係のあるものは、これは諮問委員会にやはり何らかの形で付議されて、諮問委員会の助言なり勧告を受けるのか。それとも全然それとは関係なく、米民政府はそれ自体として自分たちの方針なり政策なりを立てて行なうのか。その点はどうなんですか。
  128. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 個々の行政措置の問題は、民政府でやられる場合はあると思いますが、本土沖繩一体化の問題で諮問委員会の所管事項につきましては、これは諮問委員会によって勧告を受けて実施されるようになると思います。
  129. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、この諮問委員会が発足をして、まあ、その委員資格自身はどうもまだはっきりしないものがあるのだけれども、一応発足した。今日まですでに、諮問に答えて、あるいは答申をしているとかあるいは勧告をしているとかいう例は、どういう事例ですか。
  130. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは勧告が最初に行なわれましたのは三月の十一日でございまして、この第一回の勧告におきましては、本土沖繩一体化を進めるために、日本政府から総合的な調査団を派遣してもらいたい、派遣すべきであるという勧告高等弁務官にされております。  それから第二回目の勧告は、第十二回の会合におきまして——四月の十二日でございます一これは先ほど申しました開発金融公社の琉球政府移管の問題について、本土のそういう専門家に委嘱して至急調査をしてもらうという内容勧告でございます。  それからいま一つ、人事交流につきまして、今度できます沖繩の琉球大学の保健学部及び特定の医学研究所への日本の専門家受け入れ——専門家を日本本土から沖繩へ受け入れるべきであるという趣旨勧告が同日に行なわれております。  この三つ勧告が現在まで行なわれました勧告でございます。
  131. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、高等弁務官はこの勧告をいれて、そうして高等弁務官として、たとえば日本政府に対して調査団を派遣するように要請をしてきた。あるいはまた、他の二点についてもこの勧告をいれてそれを具体化する措置をとる。そうでしょう。
  132. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これらの勧告につきましては、それぞれ日本政府代表を通じましてそのような措置をとられております。
  133. 岡田宗司

    岡田宗司君 政府としては、調査団派遣をきめて、もう出しましたか。
  134. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この調査団の派遣につきまして、私は諮問委員会のほうから出席を求められまして、去る二十日から二十二日の間、沖繩へ参りまして、諮問委員会に出席をいたしまして、この調査団派遣の準備についての打ち合わせを行なって帰ってきたわけでございます。
  135. 岡田宗司

    岡田宗司君 その調査団の規模あるいは構成、目的、そういうものはどういうものですか。
  136. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは先ほどちょっと触れましたように、本土沖繩一体化施策——佐藤ジョンソン会談に基づく新しい事態に対処するための一体化施策——につきまして、日本政府関係省庁、大体十五、六になると思いますが、その官房課長または参事官を中心にしまして調査団を編成いたしまして、五月の末に一週間の予定で現地へ行く。それから調査項目につきましては、沖繩本土一体化のすべての分野にわたって総合的に調査を行なう。で、その調査の受け入れについては、琉球政府、民政府諮問委員会の全面的な協力を得るということでございまして、調査項目等につきましては、目下日本政府側におきまして各省庁と打ち合わせ中でございます。
  137. 岡田宗司

    岡田宗司君 その調査はいつごろまでに完了して、諮問委員会に報告といいますか、あるいは高等弁務官への報告ですか、どっちか知らぬが、完了されるのですか。
  138. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いまの予定でございますから、若干のズレはあるのでございますが、調査が終わってから約一カ月程度でまとめて諮問委員会のほうへ報告したい、かように考えております。
  139. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、琉球開発金庫ですか、あれについてはまあ大体琉球政府へ移管されることになるんだが、その調査というものはどこで行なうのか。それからまた、それはいつごろまでに報告がなされるのか。その報告に基づいて、さらにそれは琉球政府に移管されるべきだという勧告がなされるのか。これが日本側からの財政投融資が行なわれるのに間に合うようになされるのかどうか。そこらのところはどういうことですか。
  140. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 諮問委員会のほうではおそくとも半年以内に調査の報告をもらいたいということのようでございます。もちろん、沖繩現地へ出かけて調査をすることになると思われます。なお、その後の措置につきましては、ただいまのところ、はっきりきまった日程はございません。
  141. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはどこへ調査を委嘱されたのですか。
  142. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 本土におられる経済人、金融のお詳しい人ということで、具体的に名前がある程度固まっているようでございますが、まだ確定するのはいましばらく時間的な余裕が要ると思います。
  143. 岡田宗司

    岡田宗司君 まだきまっていないのですね。
  144. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 御本人が外国に行っておられる関係もございまして、まだ本人の御承諾を得ていないわけでございます。
  145. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、 「東京にある日米協議委員会は、琉球諸島高等弁務官から諮問委員会の作業の状況について通報を受けるものとする」とありますが、この協議委員会にすべての問題が通報されるわけですか。ただ助言とか勧告が出された場合、そのことが通報されるだけであるのかどうか。
  146. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 個々の勧告ができました場合に、それをただこちらへ書面で通知するというだけではなしに、われわれとしましては、協議委員会を東京で開きまして、そこで、たとえば高等弁務官自身出てきてもらって、そこで、こういう勧告がなされた、これはこういうことであるというような、これに関連するすべての事項をそこで十分話し合う、こういう形に持っていきたいと思っておりますが、まだ諮問委員会が発足早々で、報告を受けるというところまで来ておりません。もう少し諮問委員会の活動が進みましたら、いま申し上げたような形で報告を受けるというふうに持っていきたいと思っております。
  147. 岡田宗司

    岡田宗司君 日米協議委員会というのは、これはときどき会う協議委員会であって、ちゃんと事務局を持って恒常的な仕事をする機関ではないのですね。
  148. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) お話しのとおりでございます。
  149. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはそうすると、その協議委員会の開かれるたびに、たとえば高等弁務官が出席して報告をする、あるいは他の方法で報告をする、こういうだけであって、日米協議委員会諮問委員会との間の恒常的な連絡というものはない、こういうことなんですか。
  150. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) いわゆる事務的に恒常的な連絡ということは、制度としてはございませんが、むろん、われわれも総理府と御一緒にわがほうの代表とは常時連絡しておりますし、そういう意味で実質的な連絡はございます。  それから、いまの報告の点につきましては、これは先ほど申し上げましたように、ある時期をおいて定期的にやったらいいのではないかと思っております。
  151. 岡田宗司

    岡田宗司君 片方は恒常的なもので、そうして勧告も相当しばしば行なわれる。片方の日米協議委員会のほうは恒常的なものでなくて、随時開かれる。こういうことになっている。この関係はあまり恒常的な関係であるとは言えないわけですね。  それからもう一つは、勧告なり答申なりが、通報するだけで、日米協議委員会で、たとえば勧告なり通報なりに基づいて協議をして日米協議委員会で処置をするという場合もあるわけですか。ただ通報を受けるだけにとどまるのか。
  152. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) この交換公文で言っておりますことは、諮問委員会がやっていることを、東京における外務大臣、在京米大使の間の高いレベルの協議委員会に通報して、現地でいかなることが、沖繩においていかなることが行なわれているかということを常に明らかにしておこう、こういう趣旨でございまして、諮問委員会自体はそこで三者が集まって協議して、そこで出てきた勧告というものは高等弁務官の手によって、先ほど申しましたように、実施に移される。本来そこで完結し得るものでございますが、しかし、問題によりましては、むろんそういう勧告があれば、あるいはまた勧告の実施上のいろいろな問題が、かりに現地でうまくいかないというようなことでもあれば、協議委員会においても当然取り上げて話されることになると思います。
  153. 岡田宗司

    岡田宗司君 この日米協議委員会というのは大体年に何べん開かれるのですか。
  154. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) これは岡田委員御承知のように、わがほうの援助予算をきめるということで発足いたしまして、その後沖繩の住民の安寧福祉に関する問題も取り上げるというふうに発展してまいりましたが、現在までのところ、援助予算の関係で、これは時期が来ますれば年に二度くらいは必ずあると思いますが、そのほかは、昨年あたりは数回会合いたしましたが、その後は、本年に入りましてからは、予算以外で特に開いておりません。しかし、この協議委員会で話し合うべき問題についてもわれわれ日ごろ研究しておりまして、しかるべき準備ができたときには、たびたび開きたいと思っております。
  155. 岡田宗司

    岡田宗司君 こういう諮問委員会ができましても、この諮問委員会目的とか権限とかというものは非常に限定されておる。そうして沖繩問題等について日米間でもっていろいろ話をする場としてこの日米協議委員会というのが前よりも活用できる状況になってきておるとすれば、これは相当ひんぱんに開かれてしかるべきものであるし、また、日本側としてもかなりいろいろ、たとえば政治的な問題に関してもこういう委員会で取り上げないと、諮問委員会では取り上げられないことになっておる問題もあるわけですから、したがって私は、日本側としてはこの場合は、この協議委員会は相当活用すべきものだと思っております。最近ではいつごろ開かれるか、たとえば七月に開かれるというような話もあるということを聞いてるんですが、最近はいつごろ開かれますか。
  156. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) この問題は外務大臣もたいへん御熱心でございまして、いろいろわれわれにも準備、研究を命ぜられておりますが、総務長官ともよく相談いたしまして、いまおっしゃったような時期にもできればやりたいと思っておりますが、まだ具体的にいつというところまで固まっておりません。
  157. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、日本側としては次の協議委員会にどういうものを議題とするおつもりですか。
  158. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) いろいろな問題がございますが、現在の段階で、まだ次回は特にこの問題と言ってこの席で申し上げるほど固まっておりません。
  159. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、この委員会は、経費はどこで持つのですか。
  160. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 経費につきましては、それぞれの政府で持つことになるわけでございます。
  161. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは三者等分ですか。
  162. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) それぞれの代表のスタッフは当然それぞれの政府が持ちますが、諮問委員会事務局の経費、運営費、それが中心になろうかと思いますが、これは等分に負担するということでございます。
  163. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは高等弁務官諮問委員会であるけれども高等弁務官がその費用を負担するというものではない。
  164. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そこが、しかし私どもはさよう考えておりませんので、高等弁務官に対する諮問機関でございますが、三政府代表の構成する機関でございますから、三政府がそれぞれ分担するということでございます。
  165. 岡田宗司

    岡田宗司君 この委員会はどれぐらいの予算で出発したのですか。
  166. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいまのところ、この委員会の共通経費として大体概数のきまっていますのは三万ドルと聞いております。
  167. 岡田宗司

    岡田宗司君 一万ドルずつ負担しておると、こういうことですか。
  168. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) さようでございます。
  169. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは、日本政府代表とか補助要員の経費は除いてあるんですね。
  170. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ええ。日本政府代表の分はこれはもう日本政府の予算で見るわけでございます。
  171. 岡田宗司

    岡田宗司君 どうもまだふに落ちないのだけれども日本政府代表ですね、この法律が通ってから正式な資格を持つ。琉球政府代表はまだこれに類したような法律立法院で通過しておらぬ。それから、アメリカアメリカでもって国務省任命した外交官が出て来る。どうもいまのところ、ここの委員会はそれぞれの代表の地位が同じでない、こういうことからこの委員会の構成が少しちんばじゃないかと思うんですがね、もう一ぺんこの点はっきり伺いたいのですが、どんなものでしょうか。
  172. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 三政府代表という資格は、もう全くきちっとしておるわけでございまして、それに対する設置の法的手続につきましては、三政府それぞれの立場からの法的措置を要するところは法的措置をとるし、また、そういう法的措置をとらないで設置できるところはとらないということでございまして、したがいまして、岡田先生のいまおっしゃいますように、何だかまちまちのようにお感じのようでございますが、私どもは、資格としては各政府の正式の代表にきまって委員会が構成されるのでございますから、その点は何ら支障はないんじゃないかと考えます。
  173. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、もう一ぺんこの諮問委員会性格なり、それからそれの運用なりというものを検討してみたいのです。さっきあなたが示されたような、あるいはそのほかに何か規則とかそういうものがありましたら、それを資料としていただけませんか。
  174. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいま読み上げました議事規則のようなものは、これはお出しできると思いますが、私はいまのところそれ以外にきまったものはないと承知しておりますが、なおよく連絡してみたいと考えます。
  175. 岡田宗司

    岡田宗司君 さっき三つ勧告が出たということですが、次の議題は何を予定しているのか。日本側としてはどういう議題を取り上げることを予定しておるのか。その点はどうでしょう。
  176. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 日本政府といたしましては、いろいろな議題を考えておりますが、たとえば、琉球政府の予算なり、あるいは政府機構の面において、国の事務と県の事務を分別してそれぞれ継承し、あるいは措置するような方法はとられぬかというような、現在の琉球政府は国県事務をあわせて行なっておりますが、沖繩県ということを考えた場合には、国の事務一体どうなっているかということをはっきりする必要があるのじゃないか、そういうものについて検討したらどうかというような問題、あるいは、これは米側から出されていますが、文教の、教育関係につきまして、教育の水準を本土相当分に引き上げるにはどういう問題があるか、そういうような姿をはっきりさせて、所要の措置をとるべきだというようなことを内容とする議題が出ておるわけでございます。琉球政府のほうの議題は、いままでのところ一つあるわけでございますが、これは開金の移管の問題でございましたから一応措置がとられているわけでございます。で、おそらく近い委員会におきまして、それぞれ当面の議題について話し合いが持たれまして、この次の議題が決定されると考えております。
  177. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえばいま問題になっておる軍労働者の地位の問題ですね。もちろん、一一六号に関する問題、あるいは軍労働者の賃金の問題ですね、そういう問題について、この委員会で日本側もしくは琉球政府側から議題として取り上げるようにやるつもりはあるのでしょうか。
  178. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) その点につきましては、さきに東郷北米局長からお答えがあったと思いますが、日本政府代表からは、総合布令の問題について議題にすることを要望しているわけでございます。しかし、まだそれを議題にすることについて合意しておりません。それからまた、いま直ちにかりに合意があっても、いま直ちにすぐに議題にするかどうかという問題もありましょう。たとえば新総合布令というものが、まだその方向がきまっていません。したがいまして、かりに合意ができましても、若干の時間的余裕等もございましょうから、いつの時点になるかもわからないわけでございます。日本政府の側からはそういう希望を申し出ておるわけでございます。
  179. 岡田宗司

    岡田宗司君 新総合布令が固まってしまったら勧告する余地はなくなってしまうので、固まらないうちに取り上げて、何か勧告し得るような方法をとらなければならないのじゃないかな。
  180. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いろいろそれはございましょうが、大体いまの一一六号についての問題点は、大体お互いに認識されておると思うのでございまして、したがいまして、それらに対する過去一年間米側で研究された成果がどういう方向になるかということをあらかじめ承知した段階でないと、私のほうからも、具体的に議題にしたいということがなかなか言えないのじゃないかと思います。そうであったとしても、大体の問題点は、この諮問委員会でございませんでも、いろいろな場所、機会を通じて相互に問題点は認識しておると思うのでございます。
  181. 岡田宗司

    岡田宗司君 この委員会目的ですね。目的のうちに「住民の経済的な安定、保健、教育および福祉を増進するため」というようなことが書いてございますけれども、たとえば例のアメリカの軍人・軍属及びその家族によって沖繩の住民に加えられる犯罪、これに対して、人権問題になっておりますが、こういう問題は、これは施政権の根本に触れる問題あるいはアメリカの軍に関する問題であって、この委員会では全然取り上げることができないのですか。
  182. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この諮問委員会は、日々生起する個々の事象をとらえて協議するというようなことは、成規のそういう運営のしかたじゃないと思いますが、ただ問題によりまして、いま御指摘になった問題につきましては、たとえば沖繩本土の制度の一体化の促進ということがございますから、したがいまして、そういう見地から、この制度の問題として議題になっていくことはあり得ると思うわけでございます。
  183. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、これはアメリカの軍の地位に関する問題でしょう。そうすると、この問題に触れるということは、この委員会の範囲外の問題だと私は思うのですが、これはたとえば裁判権の問題、警察権の問題に関係があると、これは取り上げられますか。
  184. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いろいろ議事運営と申しますか、軍の問題に直接関連したものをストレートに議題にされるということは私はなかなかむずかしいと思います。思いますが、沖繩の全体の制度を本土への復帰に備えて漸次本土の制度に近づけていこう、制度の一体化をはかっていこうという趣旨もございますから、したがいまして、そういう面でやはり触れてくる場合もあり得るというぐあいに考えております。
  185. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは早急の問題にはならないわけですか。
  186. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは、政府の調査団が参りまして、一応調査の結果を出しまして、そうして諮問委員会に報告した結果、諮問委員会としてはどういう手順でやるかということをおきめになろうかと思います。したがいまして、いますぐの議題としてすぐそれを取り上げるということは、現在のところは考えられていないように承知しております。
  187. 岡田宗司

    岡田宗司君 アメリカの軍人・軍属及びその家族の沖繩住民に対する犯罪の問題、これはもう警察権の問題とかあるいは裁判権の問題に関係があるのですけれども、この問題はしばしば国会でも問題になり、こういうことで佐藤総理及び三木外務大臣も、これは何らかの解決をはからなければならない、それでアメリカ側とこの問題について話をするというようなことを国会でも答弁されておりますが、これは日米協議委員会で取り上げるかどうか、その点北米局長からお聞きしたい。
  188. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) いまお話しのような問題、特にいわゆる人権問題というのは、結局は、窮極的には裁判権の問題になってくると思いますが、こういう問題はなかなか正面から取り上げてこれをどうしようと言っても、多くの問題は軍隊の駐留ということ自身から出てくる問題でもございますし、なかなか内地の本土における地位協定と同じようなものを沖繩に考えるということは、実際問題としていろいろ困難でございますし、これをたとえば協議委員会のようなところで正面から取り上げてみても、なかなかこれは動くということは見通しが立ちにくいわけでございます。しかし、沖繩住民の日常起こってくる生活上の、生活を改善していくという見地から、協議委員会なりあるいは外交ルートにおいてその改善の努力を積み重ねていきたいと思っております。
  189. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この次の日米協議委員会にこの問題を持ち出すつもりはないということなんでしょうか。
  190. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) この問題は外務大臣もたいへん心配しておられる問題でございますので、われわれとしても、どういう形で具体的に効果のあがるようなことができるかという観点からいろいろ研究しておるわけでございますが、まだ次回に特にこの問題をやろうというところまで確定してはおらないわけでございます。
  191. 岡田宗司

    岡田宗司君 この問題については、本国会でも佐藤総理並びに三木外務大臣からいろいろ御答弁があったわけです。したがって、これはやはり取り上げていただかなければ困る問題でありまして、特に沖繩の住民のほうでも非常に期待をしておる問題ですからね。これはひとつ外務当局としても積極的に取り上げるという態勢で臨んでもらいたいんですが、どうでしょうか。
  192. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) お話しの次第は、大臣にもとくと報告いたしまして、さらに研究を続けたいと思います。
  193. 岡田宗司

    岡田宗司君 田中総務長官、この問題について積極的に三木さんとお話しになってそうして取り上げるように進めるおつもりでしょうか。
  194. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 努力をいたしたいと存じております。
  195. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、私の質問は終わります。
  196. 春日正一

    ○春日正一君 いまずっと法案自体に対しては非常に詳しい質問があったので、私は基本的な点だけ確かめておきたいと思うのですけれども、この諮問委員会を何のためにつくったかという目的ですね。
  197. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 諮問委員会は、この来たるべき沖繩の施政権の返還に備えまして社会経済その他の関連事項についての本土沖繩との一体化を促進しまして、各方面の格差を是正し、あるいは制度の面でも一体化を進めて、そうして本土復帰の際の困難を縮めていく、そういうことのために、いま申しました事項について諮問委員会協議をしまして、高等弁務官勧告をして実施を求めるというために設けられた機関でございます。
  198. 春日正一

    ○春日正一君 その一体化ですがね、何を一体化するのかもう少し具体的に。一体化と言えばいろいろあるわけですわ。この委員会でやる一体化というのは何と何だと、そこを少しはっきり聞かしていただきたいと思います。
  199. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) たとえば端的に申し上げますと、たとえば教育を例にとりますと、沖繩の教育水準は、いろいろな面から見まして、本土の相当県の教育水準と比較しまして相当大きい格差があるわけでございます。したがいまして、そういうものをどのようにして改善していくか、それから教育の制度におきましても、教育区というような特別な公共団体がつくられています、本土にない制度がございます。したがいまして、そういうものの取り扱いをどうするか。それからまた社会保障の問題を例にとりますと、たとえば医療問題、これはもう御案内のとおりでございますが、お医者さんをはじめとした医療事情というのは、本土との格差が特にはなはだしい。こういうものをどういうぐあいに持っていくか。あるいは社会保障制度、社会保険制度、そういうもので、本土社会保険、社会保障にあって沖繩にないもの、そういうものがあるわけでございます。で、そういうものを漸次整備をして、そうして本土沖繩県として返ってくる場合に、本土の制度に円滑に合わさっていくような方向で、あらゆるそういう分野の格差是正を含めた制度の一体化をはかっていく。こういうことでございます。
  200. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、教育、社会保障ですね、主としてそういうものですか。警察はどうなんですか。
  201. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 代表的な例で端的に申し上げましたんでございまして、いわゆる沖繩の警察制度をどうするかという問題につきましても、もちろん、制度論として入ってくるわけでございます。今度も立法院のほうで新しい民立法による警察法を制定されるように聞いておりまして、まあ、それらの中でも相当本土の制度に近いものに警察制度が変わっていくということに聞いておりますが、そういうものも私どもは含まれておると思います。
  202. 春日正一

    ○春日正一君 前にここへ沖繩代表が来まして、私、一体化ということであなた方は何を望むかという質問をしたら、一言で言えば、日本の憲法、これを沖繩に全面的に実施してほしい、沖繩県民の望みはそこなんだというふうに答えられておったんですけどね。日本の憲法で規定されておる基本的な人権の擁護、権利、そういうものを全面的に沖繩に実施していくんだという立場でこの委員会が活動するということじゃなくて、特に社会保障とかあるいは教育とか警察とかという、その面に限って一体化が目標にされているという、そこのところの理由はどういうことですか。
  203. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいま御指摘になりましたように、憲法が適用になる、日本の諸法令が適用になるという状態はもう施政権返還の状態でございますから、したがいまして、それが最終の目標でございます。そこへ近づくために、施政権は返ってこないけれども、返ってくるまでの間に、沖繩の住民の民生福祉全般の水準を本土の国民の受けておる民生福祉の水準に近づけていく、その努力を総称して私ども一体化と言っておるのでございまして、もちろん、いまあげましたほかにも、経済問題もございますれば、その他全体の制度の問題も入ってくるわけでございます。
  204. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、この諮問委員会高等弁務官との関係ですね、さっきいろいろ話もあったようですけれども、そこのところをもう一度はっきり聞かしておいてもらいたいんですが。
  205. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先ほど申し上げましたように、経済社会その他関連事項、制度を含めましてのそういう一体化施策につきまして、諮問委員会協議を、三政府代表協議をいたしまして、そうしてその合意によって高等弁務官に所要の措置をとることを勧告をする。高等弁務官はそれに基づいてそういう措置をとるということでございまして、で、その諮問委員会性格は、三政府代表から成ったいわば一種の国際的機関のようなものでございまして、高等弁務官に従属しておるんじゃなくて、独立した権限行使のできる機関、このようなものと考えております。
  206. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、こういうことですね。高等弁務官高等弁務官、これはアメリカ政府から任命されて、あそこに存在しており、諮問委員会は三政府代表で構成された国際機関で、形の上ではこれは別々なものですね。別々なものであり、しかし、取り扱う問題は高等弁務官が行なうべき職責の中で特に民生とか、警察とかそういうものに関する職責の一部の問題に対して意見を述べるということに限られるということですか。
  207. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは高等弁務官権限内ということでございますが、局等弁務官は沖繩の施政についての全責任者でございますから、したがいまして、そういう意味から申しますと、権限内ということは、非常に広範——すべての問題でございます。しかし、諮問委員会としては、社会的、経済的及びそれに関連した事項で純粋な政治問題等は取り上げない、そういうような制約はございますけれども、しかし、相当広い分野にわたる一体化施策が含まれる、かように私どもは考えております。
  208. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、どういう問題が取り扱われるんですか。いま言われた高等弁務官、あそこで政府みたいな意味——政府なんだから、全体の権限を持っている、その中で相当な問題にということになると、その相当というのは一体どこまでなんだということですね。
  209. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはいま申しましたように、たとえば例を教育にとりましたが、教育、民生福祉あるいは経済ですね。経済と申しましても、いまお話に出ましたような長期経済計画、この経済計画は、すべての沖繩の産業、農業はもちろん、あるいは第二次産業、第三次産業を含めた沖繩経済全体の問題についての計画を対象にしておるわけですから、これは非常に広いわけでございます。まあその他、たとえば建設の関係とか、わが国の各省が所管しておりますような、いろんな行政がすべて含まれるわけでございます。
  210. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、さっきの基地の問題ですけれども、これはアメリカの基地を撤去するかとか、核兵器を許すか許さぬかというような問題は、これは日本政府でもまだ白紙だというようなことを言っている状態です。こういう問題は諮問委員会が直接取り上げないとしてもですね、少なくとも沖繩での県民の生活というものは、基地とのかかわり合いなしには考えられない状態ですね、これはあなたも御存じのとおり。たとえば基地の拡張がやられる、土地が取り上げられるというようなことですね。そうすると、これは農民と言うけれども、農地が取られ、農民の生活が脅かされるというような問題になれば、これは民生上の問題にもなってくる。基地の拡張、そのための土地の取り上げとか、黙認耕作地の立ち入り禁止とか、そういうような問題、こういう問題については、諮問委員会で取り上げるんですか。
  211. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) いま申し上げました内容の所管事務、所管事項でも非常に広範なわけでございまして、いま御指摘になりましたような問題は、もし必要のある場合には、これはその他の外交ルートなりあるいはその他の方法によって解決すべきで、諮問委員会の問題としては私どもは適当ではないと、やらないということより先に、諮問委員会の取り上げる問題としては適当ではない、かように考えております。
  212. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、そのほかに基地の騒音であるとか、あるいは岡田委員がいま言ったような、米軍の軍人あるいは軍属、家族等による沖繩県民に対する人権問題ですね、こういうふうな問題は、日本政府の考えとして取り上げるのが適当でないということでみずから限定しているのか、取り上げたいけれどもアメリカがそれを好まないのか、そこの点どうなんですか。
  213. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 諮問委員会設置された趣旨にかんがみまして、私どもは、やはりそういう社会経済関連事項の一体施策ということをまず一般的に総合的な面から取り上げていくということでございまして、個々の問題、特に基地と関連の深い問題、軍と直接関係の密接した問題、そういう問題は、もっと必要があれば、日本政府としてとるべき必要があれば、ほかの機関で取り上げればいいのであって、諮問委員会として取り上げるのは適当ではないんじゃないか、かように私どもは考えております。
  214. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、渡航の問題なんかどうですか。
  215. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは前回もございましたけれども、やはり施設権者としての権限に基づく出入国の管理の問題でございますから、これらの改善につきましては、私ども渡航会議等もやっておりますし、また、そういうものを通じてできるだけの改善を求めてやっておりますので、その問題を諮問委員会の問題にして取り上げるということは、ただいまのところ考えておりません。
  216. 春日正一

    ○春日正一君 しかし、先ほども言ったように、基地の問題、そこから派生してくる土地の取り上げの問題、騒音の問題、人権の問題というようなものは、沖繩の県民が毎日毎日一番苦しんでいる問題でしょう。そうして、日本の本土においてはそういうことがあれほどひどくはないわけです。基地のそばへ行けばそういう問題もあるけれども沖繩の場合とは質的にまるで違っているんですね。日本でそういう犯罪があれば、とにかく日本の警察官が逮捕し、留置し、裁判にかけるということもあり得るわけだし、ところが、向こうでは全くそういう法的な保障もなしに人権じゅうりんがやられほうだいになっている。そのことは、この前日弁連の調査団がここで報告もしたとおりですが、だから、一体化されていない日本との違いで一番苦しんでいるのはそこでしょう。全く無権利な状態に置かれている。そこを適当でないと言って避けて通るとしたら、沖繩の県民のいま一番切実に望んでいる問題は取り上げないのだということになるんじゃないか。そうして、実際取り上げている問題は民生だとか、教育だとか警察だとかいうような、これはアメリカの軍の目的なりなんなりから見れば直接的でないもので、しかも、現実にはそういう生活が苦しいあるいは基地からのいろいろな被害ということで沖繩の県民が祖国復帰を要求しているというのは、そこからのがれたいから要求しているのだし、そうしたことがあるために非常に広く祖国復帰の運動が起こっているということを考えてみると、アメリカ沖繩保有の目的というのは軍事基地、この目的には絶対触れない、そうしてそのもとで高等弁務官がやっていく民生安定的な仕事、これをよりよくやれるように手伝ってやる諮問委員会ということになれば、この諮問委員会の任務というのは、米軍基地の安全あるいは沖繩における米軍支配の安全を助ける、そういう役割りしかないということになるんじゃないか。その意味でやはり高等弁務官の下請の委員会だというふうに言われるのも、法制上はこれは別々のものだと言うけれども、その任務なり仕組みから見て、下請の委員会だというふうにしか考えられないけれども、その点どうなんですか。
  217. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは、実はその施政権の返還はこれはまあ非常に高い次元の問題ですから、これは外交的に計画的に進められる。それで、それにうらはらになって、施政権の返還が実現したときに、沖繩がわが国の一県として円滑に入ってくるための措置をその間にとっておきませんと、返ってきた場合の混乱は非常に大きなものになるわけであります。したがいまして、まず施政権が米側にあることを一応認めつつ返ってきた場合の一体化措置を進めでおく、こういうのが諮問委員会の使命でございます。したがいまして、特にお触れになりました沖繩の住民の基本的な諸権利の擁護はそれじゃしないのかという問題でございますが、これは、施政権が返らなくても基本的権利の問題については日本政府も重大な関心を持っておりますから、したがいまして、諮問委員会の場ではなくて、外交ルートなりそういう適当な外交ルートを通じて解決を進めていく問題だ、諮問委員会の任務としては、施政権を一応向こうに認めながら、施政権が返ってきたときに円滑に合わせる諸般の施策を進めていきたいと、こういうことでございます。
  218. 春日正一

    ○春日正一君 施政権が返ってこない前にやるべきことをやるということが望まれておることなんだし、だから、おそらくそういう意味で、沖繩野党も全体としてこういう諮問委員会反対するという態度をとっているんだろうと思いますよ。そこで、この委員会の仕事のやり方ですけれども三つの国の代表の合意がなければ勧告ができない、こういうことになっているんですね。そこで、合意されたものが勧告された場合に、これは法的に言って高等弁務官を拘束できるものかどうかという問題ですね。
  219. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先ほどの御質問にもございましたと思いますが、やはりその三政府代表が合意をして高等弁務官勧告したという以上は、私は、高等弁務官はそれを最大限に尊重して実施されるというのが、これはもうそういうぐあいになるだろうと確信しております。
  220. 春日正一

    ○春日正一君 なるだろうという山野局長の確信ではなくて、条約上あるいは法的な根拠を聞いているんですよ。
  221. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 先ほど東郷北米局長から御答弁ございましたように、アメリカ政府から任命された代表がおるわけでございます。したがいまして、高等弁務官はやはりアメリカ政府職員と申しますか、そういう立場にあります。したがいまして、その本国から代表として来られた代表を含めての合意を、合意に基づいて高等弁務官勧告された場合に、高等弁務官がそれを実施しないということは、私どもは考えられないと思います。
  222. 春日正一

    ○春日正一君 私その説明を聞いているんじゃないですよ。それはそういうことに本来ならなるはずだけれども、先ほど岡田委員も言ったように、精神分裂というような事態も起こり得るだろうということも言われた。だから、私の聞いているのは、この法的にたとえば勧告をする、その勧告に対して、高等弁務官は無条件で勧告されたものはやらなければならぬということになっているのか、あるいは、その勧告をやるかやらぬかは高等弁務官の裁量にまかされておるのかと、それが覚書なりあるいは委員会規定する文書の中ではっきり規定されておるのかどうかと、そこを聞いているんですわ。
  223. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 高等弁務官勧告を実施しなければならないという意味の字は交換公文にもございませんが、しかし、考え方としては、いま特連局長が申しましたように、向こう政府の意思が入った勧告でございますので、これが向こう政府機関によって実施が差し押えられたということはわれわれは予想してもおりませんし、また、交渉の経過においても勧告は、必ず実施されるのだということで、いまそういう共同声明にもなり交換公文にもなったわけでございます。
  224. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると結局、法的に拘束する保障というものはないと、ただ当事者においてうまくいくだろうという希望があるということだけだと思うのですけれども、そうすると、この委員会勧告というものは二重の関門を通らなきゃならぬわけですね。第一番には、三者が合意しなきゃならぬ。だから、日本側からあるいは沖繩側から問題を提起しても、これはアメリカが合意しなけりゃ議題になり得ない。拒否権を持っている、実際上の。そういうことで一つの大きな関門がある。そこで大体こされてしまうと思うのですよ。こされるという意味は、ろ過されてしまう。日本側からどんなにこれを持ち込もうとしても、アメリカ代表がイエスと言わなければ、議題にもなり得ないということになり、そうして議題になってつくり上げたものでも、法的に言えば、高等弁務官がぐあいが悪いと思えば、それを全面的に実施しなくても、あるいは曲げようがゆがめようがどうにでもなるという仕組みにこれはなっておるということだと思うのですけれども、そこのところはどうですか。
  225. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) われわれは、関門はやはり先ほど申し上げました理由で一つだと思っております。この諮問委員会ができたことの意味は、むしろそういう関門と申しますか、そういう話を三者で集まってする場所ができたというところに非常ないままでにない意味があるものだと思っております。お話しのように、確かにその関門の場におきましては、アメリカ側も日本側も拒否権を持っておるわけでございます。わがほうといたしましても、アメリカ琉球政府だけの意見で、こっちができないことを多数決できめられるというのは理屈の問題としては困る場合もあるわけなんでございます。あり得ると思うのでございます。同じように、今度は勧告が出ます場合には、アメリカ政府の意思の入った全会一致という勧告でありますので、この関門を通れば、これが実施されないということは、これはまあそもそも話し合いにももとるし、そういうことは予想しておらないわけでございます。
  226. 春日正一

    ○春日正一君 だから、そうしますと、結局、政府の前提としておることも、三者の合意とこの関門を通るということなんですけれども、これはアメリカ側から見れば、結局自分の沖繩支配にとって好ましくないもの、こういうものは関門を通さないだろう。そこを通ってその議題になるものは、アメリカ沖繩支配にとって都合のいいもの、こういうものが通る。これはこの間の委員会で総務長官言われましたけれどもアメリカから愛される委員会、こういうものでなければ実際上役割りは果たし得ないということになるわけだから、アメリカが好ましくないと言えば、それは好意的に配慮できないと言えばそれでおしまいなんです。そうでしょう。愛される委員会は、アメリカの望むところだけが取り入れられる。そういうことになれば、アメリカ側が沖繩をわが国に返還するという、そういう条件のもとで、やはりそれに適応した軍事支配の体制をつくっていく、そういう目的にかなうもの、そういうものを論議し献策するという諮問委員会になるのじゃないか。論理としてどうしてもそうなるでしょう。こしてしまうのだから、全部気に食わぬものは。そうすると、これは沖繩県民の利益にかなう諮問委員会ということではなくして、アメリカ沖繩支配のための諮問委員会ということが、このこしてしまうというところにはっきり出ているのじゃないですか。
  227. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 私どもは、先ほど来申しますように、沖繩本土へ返ってくるときの格差を是正し、一体化をしよう、そして、その分野はやはり沖繩百万住民の経済上のあらゆる問題、将来の沖繩経済計画、そういうものを含みました経済全体の問題、それから、あるいは教育、社会福祉その他全体の行財政の問題、そういう非常に広範な問題でございまして、それからいま一つは、これはやはりアメリカ政府も日本に施政権を返還するんだという立場から一体化をやろうということに合意を見ておるわけでございますから、したがいまして、そういう面から見ますと、ただ、まあ問題を特定問題に限定すれば別でございますが、全体としまして、やはり三者がそうあまり大きい意見の相違でなくて、一般的な問題としては、やはり一体化施策についての勧告が円滑に行なわれると。それはたとえば直接施政権の問題に関連します問題とか、あるいは純粋に政治的な問題とか、そういう問題は、これは諮問委員会の問題にはなりません。しかし、そういう問題は、また必要があればほかの外交ルートというのがありますから、そういうルートをもって解決していけばいいじゃないか。諮問委員会の使命としてはそれだけの使命でも非常に大きい使命であると、私どもはそのように考えております。     —————————————
  228. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 委員異動について御報告をいたします。  本日、小柳牧衛君が委員を辞任され、その補欠として平島敏夫君が委員に選任されました。     —————————————
  229. 春日正一

    ○春日正一君 結局、まあこういうことでしょう。この委員会が設けられたのは、日米共同声明できめられたことの具体化ということでつくられたと。そしてこの共同声明では、沖繩アメリカ軍の基地の日本と極東の平和と安全についての重要性ですね、これを確認して、そうして沖繩施政権返還といっても、アメリカの基地はそのまま残すと。核基地をなくすかなくさぬか、あるいは自由出撃というようなことを、それをやらせないかどうかというようなことは、いまだに白紙という状態になっておる。白紙といえば私たちはそのままだろうというふうに、現状では、政府が取ると言わない限り、白紙と言っている限りは核つきであり、あるいは自由出撃を許すという、そういう立場での返還ということしか考えられないわけだけれども、そういう方針で沖繩が返ってくるという場合のこの一体化だから、アメリカの軍事占領というものがかっこうな基地としてそっくり残る。そうして基地の機能を十分発揮させるということを前提として、その条件のもとで沖繩県民のいろいろな要求なり矛盾というものを何とか調整していこうということになるわけだから、結局、これは基地の支配者にとっては一番むずかしい問題ですわ。外国軍隊が他国を占領している場合、一番おそろしいし、やっかいなものは、そこの住民が離反すること、不満を持って抵抗するようになるそのことがおそろしい。それを日本側が手伝ってまあ静めてやる。基地はそのままだ。そこから受ける苦難なり犠牲は忍べということになる。そういう役割りを果たさせる、そういうことに実際上なるのじゃないか。私の受けた印象はそういうことです。
  230. 東郷文彦

    政府委員東郷文彦君) 御指摘の点について政府委員から意見を申すのは差し控えたいと思いますが、お話しのように、この諮問委員会は昨年十一月の日米会談の際に合意のお話ができたものでございますが、共同声明には、沖繩の返還問題、沖繩を日本に返すという目的のもとに日米間でこれから継続的に協議をする、つまり、従来までは沖繩の返還問題自体というのは、それ以前の共同声明を見ましても、いわば両方の言いっぱなしで終わっているわけでございますが、昨年十一月の共同声明におきまして、初めて返還問題自体を取り上げ、日本に返還するという目的のもとに今後両政府で継続的に協議していくということを確認し合ったわけでございます。しかし同時に、この問題がすぐ片づくということはできないので、その返還の実現に至るまでどうするかという観点から、特に経済社会の分野において住民の福祉を向上したり本土との一体化を進める。こういう趣旨でこの諮問委員会もできたものでございまして、われわれも、先ほどから特連局長が御説明申し上げておりますように、この委員会の活動によりまして、沖繩住民の生活、民生福祉の向上ができますれば、それはわれわれにとっても、沖繩の住民にとっても前進であるという考えで、今後もこの委員会等動かしていきたいと考えておるわけでございます。
  231. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  232. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。岡田委員
  234. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は社会党を代表いたしまして、反対の討論をいたします。  第一に、佐藤ジョンソン会談によって政府沖繩返還のめどをつけ得る、こう言っておりますけれども、それはきわめてあいまいであります。両三年のうちに返還の期日のめどをつけると言っておるが、何らそれは保障されておらない。したがって、返還それ自体がわれわれにとっては明瞭でない、こう言わざるを得ないと思うのです。  第二点はですね、返還される場合の沖繩の姿について、私どもは軍事基地がないことを欲しております。ところが佐藤総理は、この問題については白紙であると、こういうことを言っておりまして、その白紙といううちには、核基地つきの返還も含まれておるわけであります。また同時に、現在沖繩から直接ベトナムへB52の発進しておるような直接戦争への参加の問題もこの「白紙」といううちには含まれておると想像されるわけであります。で政府はですね、この問題についてもはっきりした答申を示しておらぬ。返ってくることについてのめどもついておらぬ。その返還の際に最も重大な問題である基地の問題についても何ら明確な方針を示しておらない。そして、そういう最も基本的な点が不明確なままに、本土一体化を促進されるためにつくられるというこの諮問委員会なるものが、はたしてそういう返還を目ざすものとして明白な性格を持っておるかどうかということが明らかでないわけであります。そういたしますと、これはこのいわゆる一体化の面において、アメリカ側が部分譲歩をやりまして、そしていわゆるアピーズメント・ポリシーによって現在の沖繩の状態を固定化していく。つまり、アメリカが従来沖繩アメリカの軍事支配のもとに置き、そして基地として自由自在に使用するという性格をそのまま続けるために、沖繩の住民あるいは日本の国民のそれに対する反対をアピーズするためのものじゃないか。こういうことも言われると思うのであります。したがって、この諮問委員会なるものは羊頭を懸げて狗肉を売るものである。その看板と中身とが大違いであると、こうも言えるのじゃないかと思う。  それから第三には、この委員会設置に関する交換公文によりますとですね、この諮問委員会目的というものはきわめて限定をされております。そして高等弁務官権限に触れる問題とか、つまり施政権に関する問題とか、あるいはまた、さらに自治権の拡大と政治的な問題と特に沖繩返還それ自体に関する問題とかは、一切この委員会では取り上げる権限がないようになっております。こういう点からも、この委員会一体化の促進という点についても、その根本問題に触れることができないという点で、やはり羊頭を懸げて狗肉を売るものではないか、こう言わざるを得ないわけであります。  それから第四点はですね、この委員会は、議題を取り上げるにしても、あるいは助言、勧告を行なうにしても、三者の合意を必要としておるわけであります。これは、アメリカの施政に対して、つまり、アメリカが施政権を持って沖繩でかってなことをやっておることに対して、いまの沖繩の住民の地位を向上させ、そしてまた沖繩の住民のだんだんに権利を拡大していくという点から見ましても、これはアメリカ側でその議題に取り上げることをスクリーンできるようになっているわけであります。つまり、議題の取り上げ方を見ても、アメリカ側が選択権を持っているようにできておるわけであります。まあ、いろいろ御説明があって、いや三者の合意といううちには、アメリカ側もちゃんとこの返還ということを踏まえて一体化を促進するんだからそういうようなことはないと言っておるけれども、おそらく少しむずかしい問題になってくれば、この三者の合意ということが、議題の取り上げ方さえスクリーンすることが起こり得るわけであります。そういたしますと、この諮問委員会なるものの活動とかそういうものは、やはり、アメリカ側の意に沿うものに限定をされてくる。アメリカ側の承認するものに限定されてくるわけであります。したがって、この諮問委員会がストレートに沖繩住民の権利の拡大、ひいてはその返還促進の役目を果たすかどうか疑問だと言わなければならぬわけであります。まあ、そういう観点から、私どもはこの諮問委員会そのもの目的とか意義とか機能とかというものについて非常に多くの疑点を持っておるわけでありまして、したがって、こういう性格のあいまいなままでは、また羊頭を懸げて狗肉を売るようなものでは反対せざるを得ないわけであります。したがって、そこに日本政府代表任命するこの暫定措置法律案反対せざるを得ない。これが私ども反対理由であります。
  235. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  沖繩島那覇に駐在する諮問委員会委員となる日本国政府代表設置に関する暫定措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  237. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 伊藤五郎

    委員長伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお次回の委員会は五月八日水曜日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会