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1968-05-15 第58回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午後三時三十二分開議  出席委員    委員長 小泉 純也君    理事 久野 忠治君 理事 四宮 久吉君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 福田  一君 理事 島上善五郎君    理事 西宮  弘君 理事 岡沢 完治君       奥野 誠亮君    白浜 仁吉君       高橋 英吉君    永山 忠則君       丹羽 久章君    松浦周太郎君       松野 頼三君    小松  幹君       堀  昌雄君    山花 秀雄君       山下 榮二君    伏木 和雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省選挙局長 降矢 敬義君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇七号)  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇八号)      ————◇—————
  2. 小泉純也

    小泉委員長 これより会議を開きます。  去る五月十日当委員会付託になりました内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案、並びに昨十四日当委員会付託になりました内閣提出政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案議題とし、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。赤澤自治大臣
  3. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容概略を御説明申し上げます。  御承知のとおり、選挙制度審議会は、昨年十一月、選挙区制その他選挙制度根本的改善策が実現されるまでの間、さしあたって現行選挙制度改善に関し講ずることが適当な措置について、政府答申をいたしました。政府といたしましては、この答申にかんがみ、かつ、最近の選挙実態をも考慮して、公職選挙法所要改正を行なうため、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、立候補制度について、最近の選挙実態にかんがみ、立候補届け出期間を二日間に短縮することとしたほか、各選挙について供託金現行の倍額に改めることといたしました。  第二に、選挙運動について、その合理化をはかることといたしました。  まず、選挙運動のための連呼行為制限を緩和し、衆議院議員参議院議員及び都道府県知事選挙以外の選挙についても、車上の連呼を認めることとしたほか、街頭演説のできる時間を車上の連呼の時間と同様、午前七時から午後八時までといたしました。  次に、文書図画による選挙運動につきましては、選挙事務所を表示するためにその場所において使用する文書図画の数の制限を撤廃するとともに、いわゆる置き去り文書撤去義務を明記することとするほか、居住者等の承諾を得ないで掲示されたポスター居住者等において撤去できることとする等、その合理化をはかることといたしました。  また、言論による選挙運動につきましては、衆議院議員参議院議員地方選出議員及び都道府県知事選挙における個人演説会回数制限を撤廃し、これらの選挙においては、候補者は、その個人演説会の開催中、都道府県選挙管理委員会交付する一定の標識を掲示しなければならないことといたしました。これに伴い、個人演説会場を表示するための公営立て礼制度を廃止し、個人演説会会場外に掲示することができる文書図画についてもその合理化をはかることといたしました。  その他、日本放送協会または一般放送事業者が行なう選挙に関する放送についても、新聞紙または雑誌の選挙に関する報道評論の自由と同様、放送番組編集の自由について規定整備をはかることとするとともに、日本放送協会または一般放送事業者が、立ち会い演説会実況放送をするときは、選挙管理委員会と協議しなければならないことといたしたのであります。  第三に、ポスター掲示場の投票区ごとの配置を実情に即するよう改めることとする等選挙公営制度合理化をはかることといたしました。  第四に、選挙運動員等に対する実費弁償等基準額実情に即するよう改めることといたしました。  第五に、政党等のいわゆる確認団体選挙期間中に行なう政治活動に関する規制及びその態様について合理化をはかることといたしました。すなわち、確認団体については、政談演説会回数制限を撤廃するとともに、ビラの頒布を自由化し、参議院議員都道府県知事及び市長選挙における確認団体ビラ並びに都道府県知事及び市長選挙における確認団体ポスターは、衆議院議員選挙におけると同様、所属候補者選挙運動のために使用することができることとする一方、政党その他の政治団体は、国または地方公共団体等が所有しまたは管理する建物において文書図画を頒布することはできないことといたしました。その他、違法な政治活動用文書図画について撤去命令制度を設けることとしたほか、確認団体街頭政談演説をすることができる時間を、選挙運動のための街頭演説におけると同様、午前七時から午後八時までといたしたのであります。  以上がこの法律案要旨であります。  次に、政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容概略を御説明申し上げます。  昨年政府は、第五次選挙制度審議会答申に基づいて、政治資金規正法及び公職選挙法所要改正を行なうため、政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案を提案いたしましたが、審議未了となったことは、御承知のとおりであります。  政府といたしましては、選挙制度審議会答申趣旨並びにさきの国会における論議の経緯等にもかんがみ、現実に即しつつ政治資金規正改善をはかるため、引き続き検討を重ねてまいりましたが、このたび成案を得てこの法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について、御説明申し上げます。  まず、政治資金規正法改正についてであります。  第一に、政治資金寄付制限についてであります。  まず、寄付総額につきましては、個人のする寄付にあっては最高額を一千万円とし、会社その他の団体のする寄付にあってはそれぞれの団体規模に応じて制限を加えることといたしました。この場合、会社のする寄付については資本または出資金額労働組合等のする寄付については組合員等の数、その他の団体のする寄付については前年における経費の額を基準として、それぞれの団体規模に応じつつある程度弾力的にその限度額を定めることといたしました。  また、これらの制限額範囲内において寄付をする場合には、政党及び政治資金団体に対する寄付については制限を設けないこととし、それ以外の政治団体または個人に対する政治資金寄付については、同一の者に対し、年間五十万円をこえてはならないことといたしました。しかしながら、現在の選挙制度のもとにおいて、直ちにこれらの規制を行なうことは必ずしも実情に即さないので、当分の間に限り、政党及び政治資金団体以外の政治団体並びに個人に対する寄付については、経過措置を講じつつ政党及び政治資金団体に対する寄付限度額の二分の一という別ワクを設けるとともに、その範囲内においては、年間を通じて、同一政治団体に対しては百万円、同一個人に対しては五十万円をこえて政治資金寄付をしてはならないことといたしました。なお、法人その他の団体の負担する会費にかかる収支報告書の記載については、三年間に限り、寄付以外の収入と同じ取り扱いとすることといたしました。  次に、国または公共企業体請負その他の契約関係にある者及び日本開発銀行等政府関係金融機関から融資を受けている会社のする寄付につきましては、当該請負その他の契約にかかる売り上げ高または融資額がそれぞれ売り上げ高総額または長期借り入れ金総額の二分の一をこえている場合においては、政治資金寄付を禁止することといたしました。また、国から補助金等給付金交付を受け、または資本金等出資を受けているいわゆる特定会社その他の特定法人のする寄付につきましてもこれを禁止することといたしましたが、これらの場合において、国と直接の関係のない地方公共団体の議会の議員または長の候補者等に対してする寄付については、適用を除外することといたしております。  なお、地方公共団体請負その他の契約関係にある者、地方公共団体から補助金等給付金交付を受けている会社その他の法人等のする寄付についても、国の場合に準じて、政治資金寄付を禁止することといたしました。  さらに、三事業年度以上引き続いて欠損を生じている会社のする寄付、匿名及び他人名義寄付並びに外国人等のする寄付につきましても、これを禁止するとともに、寄付のあっせんにつきましては、寄付者威迫を加えたり、賃金、下請代金等から天引きして寄付を集めることのないよう措置することといたしました。  以上の政治資金寄付制限と関連して、その違反者に対する所要罰則規定を設けることといたしております。  第二に、政治団体届け出並びに収支報告及びその公表等についてであります。  まず、政治団体届け出があったときは、その内容公表して、これを国民に周知することとするほか、会計帳簿及び収支報告書に記載すべき内容等について改善合理化を加え、政治資金公開趣旨を徹底するとともに、政党及び政治資金団体収支報告書には、当該団体の行なう自主監査の意見を記載した書面を添付することといたしました。なお、収支報告書提出及びその要旨公表につきましては、年二回を年一回に改めることといたしますが、政党及び政治資金団体並びに上半期の支出額が三百万円をこえる政治団体にあっては、さらに六月三十日現在における収支報告書提出しなければならないことといたしました。  第三に、政党等の定義についてであります。  今回の改正によりまして、政治資金寄付に関しましては一定制限が加えられることとなり、かつ、政党本位政治活動の推進をはかるため、政党に対する寄付政党以外の政治団体に対する寄付を区別して制限することとなりますので、政党政党以外の政治団体との区別を明確に規定することといたしました。  また、政党中心資金調達を容易にするため、各政党について一の団体を限って政治資金団体を設けることを認め、これに対する政治資金寄付については、政党と同様の取り扱いをすることといたしました。  このほか、党費会費及び政治活動に関する寄付等についても、その内容を明確にして、規制合理化をはかることといたしております。  以上申し上げましたほか、これらの改正に伴いまして、個人または法人寄付政党または政治資金団体に対してした場合には、その寄付金について課税上の優遇措置を講ずることとする反面、政治家の姿勢を正す意味において、政治家個人に帰属すると認められる寄付については、政治資金寄付であることを理由として課税を受けないものと解してはならない旨を明らかにするとともに、その他必要な関係規定整備を行なうことといたしております。  次に、公職選挙法改正について申し上げます。  第一は、公職候補者等寄付規制についてであります。すなわち、公職候補者等選挙区内にある者に対してする寄付は、政党その他の政治団体または親族に対してする場合及び公職候補者等がもっぱら政治上の主義または施策を普及するために当該選挙区内で行なう講習会等において必要やむを得ない実費の補償としてする場合を除き、全面的に禁止することとするとともに、この場合の講習会等には、参加者に対して供応接待が行なわれるようなものを含まない旨を明らかにいたしました。また、公職候補者等がその役職員または構成員である会社その他の団体がこれらの氏名を表示しまたはこれらの者の氏名が類推されるような方法でする寄付についても、政党その他の政治団体に対してする場合を除き、一切禁止することとしたほか、後援団体のする寄付等禁止期間を延長するとともに、後援団体以外の団体特定公職候補者等推薦しまたは支持するものについても、後援団体に関する制限に準じて制限を設けることといたしました。  第二は、連座制等についてであります。いわゆる連座制につきましては、選挙運動実態にかんがみ、数個に分けられた選挙区の地域における選挙運動または多数の選挙人が属する職域または組織を通じて行なう選挙運動を主宰した者をも連座対象者範囲に含めるとともに、公職候補者または総括主宰者等意思を通じて選挙運動をした公職候補者父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者と同居の有無にかかわらず、連座対象者範囲に含めることとし、同居している父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者意思を通じているものと推定することといたしました。  また、選挙犯罪を犯し罰金の刑に処せられた者については、当該選挙犯罪がきわめて軽微なものである場合を除き、裁判所が情状により公民権を停止しない旨を宣告することができる制度を廃止することといたしました。  以上がこの法律案要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小泉純也

    小泉委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。
  5. 小泉純也

    小泉委員長 これより内閣提出政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、御発言は、先ほどの理事会でお取りきめをいただきましたとおり、御協力のほどを切にお願いいたします。  島上善五郎君。
  6. 島上善五郎

    島上委員 私は、ただいま提案されました法案につきまして、総理大臣に御質問いたします。  最初に、御注文申し上げておきたいのですが、私どもきわめて不満ですけれども総理出席時間はきわめて短い。そこで、私もきわめて簡潔に御質問申し上げますから、総理も、私の質問した点について簡単、明快、かつ率直にお答えをいただきたいと思います。  もう一つ申し上げておきたいことは、政治資金規正法問題は、総理もかねてしばしば言っておられるとおり、国民政治不信を回復し、民生政治の基盤を確立するために、きわめて重要、緊急な課題でありまするから、私は、自民党を不利にしようとか、総理を困らせようとか、そういう狭い量見ではなくて、国民不信のはなはだしい日本政治現状を憂うる、こういう高い次元に立って質問をしたいと思う。そこで総理も、美しいことばで、その場しのぎをするということではなくて、国民を納得させるに足るような責任と誠意のある御答弁をいただきたい、こういうことをまず御注文を申し上げておきます。  それで、まず順序として、きわめて平凡な、当然なことではありますが、そこからひとつお伺いしたいと思います。  民主政治とは、世論を尊重する政治である、また一方、責任を重んじる政治である、私は、かように確信しておりまするが、総理の御所信はいかがでございましょうか。
  7. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 おおむね私も同じような考えです。
  8. 島上善五郎

    島上委員 それでは、総理は、一昨年の、いわゆる政治の黒い霧発生以来、総理自身政界浄化を強調し、そのために政治と金の関係をされいにすること、そして選挙制度審議会からこの問題に関して答申があれば、尊重して、勇断を持って実行するとしばしば国民に公約し、答申に先立ちました昨年一月の総選挙でも、総選挙の際の重要な政策の一つとして国民に公約してまいりましたが、今日までことごとくこれを裏切り、あなたの党内からでさえ、「国民に耳ざわりの良いことばかり言って、ちっとも実行しない“有言不実行”の現体制では自民党国民から見放されるということだ」、これはあなたの党の有力な人がきのう発言したばかりです。こういう非難がこう然とあげられているようなこの現状に対して、先ほど私が引例しました総理の公約のりっぱなことばにかんがみまして、どう責任を感じ、反省しておられるかをお伺いいたしたい。
  9. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私が政界を浄化したいという、その考え方には今日変わりございません。昨年も、また一昨年以来、私は一貫してこれを考えております。ただ、その行き方として、昨年御審議をいただきましたような政治資金規正法、この行き方もあると思います。またそれが、審議経過等にかんがみまして、私はやはりこれを変えて、ことし提案しておるような一歩前進、現実に即したものにする、かような行き方もあります。したがいまして、ただいまの御批判は私の行き方についての御批判だと思います。私自身は、ただいま政界浄化について考え方を変えておりません。そうしてこのことは——いろいろ自民党内部について御心配のようですが、このことは総裁である私におまかせをいただき、また自民党役員諸君にもひとつおまかせをいただきたい。(「だいじょうぶですか」と呼ぶ者あり)これはだいじょうぶですから、自民党おまかせをいただきたい。
  10. 島上善五郎

    島上委員 あらためて答申を読み上げるまでもなくよく御存じだと思いますが、その骨子だけを簡単に拾い読みしてみますが、「最近の政治資金をめぐる問題、選挙実態等、諸般の政治情勢に鑑みるときは、これを選挙制度全般改善が実現されるまで現状のまま放置することを許さないものがある。当審議会は、当面緊急に措置することを要する事項として政治資金規正および連座制強化等について、その改善合理化を図る必要があるものと認める。」これは前文の一節ですが、そうして、政党政治資金は、個人献金党費によりまかなわれることが本来の姿であるが、今日直ちに政治資金寄付個人に限ることとすることは混乱を招くおそれがありますので、当面次のようにされたい。それは、「政党は、できるだけすみやかに近代化組織化を図り、おおむね五箇年を目途として個人献金党費によりその運営を行なうものとし、当審議会は差し当り、次の措置を講ずべきものと考える。」そうして寄付は、個人はおおむね一千万円、会社法人は、年間、おおむね二千万円をこえてはならないという点と、国または公共企業体請負その他特別の利益を伴う契約の当事者であるもの、及び特定政府関係金融機関から融資を受けているものは、いまの金額のおおむね二分の一に相当する額をこえてはならないということと、政治団体に対する会費については、政治資金寄付と同様に取り扱うものとすること、それから税制の優遇措置につきましては、個人の受けた寄付に対する課税個人のした寄付についての優遇措置その他その合理化を検討する、こういうような答申がなされております。  この答申がなされたあと総理大臣はこの答申を十分お読みになって、そのあと政府自民党立法過程の調整にかなり手間どりました。私は、昨年の六月八日の衆議院の本会議で、あまり手間どるものですから緊急質問をいたしました。そうすると総理大臣は、御丁寧にもわざわざ選挙制度審議会設置法の第三条を読み上げて、このとおり他の審議会にはない法律があるので、私はこの法律を尊重して、答申どおり小骨一本も抜きませんという名言をもって答えられました。  ところが、どうでしょう。私は古いことを、いま時間がございませんから長々と申しませんけれども、去年出された案もかなりの骨抜きでございました。私ども不満でした。ところが今回は、この去年の案からさらに大幅後退をして、答申の骨らしいものは全部抜き取ってしまった。あとかたもないものとなってしまった。これでも総理は、小骨一本も抜かない、答申尊重の案だとおっしゃることができますか。この裏切り、国民を愚弄し、国民世論に対する挑戦、あなたはこれでも政治的良心をお持ちの政治家だと言い切ることができますか。お答えいただきたい。
  11. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 島上君は、選挙制度審議会におきまして終始熱心に御検討なすった方であります。ただいまのようなその答申についても、みずから筆をとられた人だと思います。私は、さような意味で、この答申趣旨、その基本的精神、これは尊重した考えでございます。今回のこの案が理想からよほど後退しておる、確かにさように私も思います。しかし、これが現実に即した案のように思います。したがいまして、ただいま、もっときつい案を考えろと言われる皆さん方にしても、程度の低いものについては、必ずこの程度は通してやろう、かようにお考えではないだろうか。ただいまのお話を聞きながら、私は、いま結局この案は通るなと、かように実は思ったような次第であります。  申し上げるまでもなく、私は、今回のこの御批判、いろいろな御批判は甘んじて受けるつもりでございます。何よりもやはり政界浄化のために、また選挙粛正のために一歩でも前進すること、これが私ども課題ではないか。また政界浄化選挙粛正、これは一朝一夕にでき上がるものではございません。不断の努力こそ初めてこの政界を浄化し、選挙を粛正するものだ、かように私は考えておる次第でございます。そういう意味で、ぜひともひとつ御審議のほどお願いいたします。
  12. 島上善五郎

    島上委員 現実に即すとおっしゃられますけれども、腐った現実に即されてはかなわぬです。新聞でもそれを大きく取り上げております。あなたは理想とおっしゃいますけれども、あなたの理想はどういう理想か知りませんが、これは時間がありませんからあまり長々としゃべられては困りますが、あなたの党で、いまから五年前ですよ、五年前に三木武夫外務大臣組織調査会の会長をしておったときです。五年前の三十八年十月にこういう答申をしていますよ。いろいろありますけれども、「本来党の経常費は党員の納入する党費によってまかなわれることが理想であるが、」五年前に言っているのですよ。そうして今度の答申は、これから法律がかりに成立しても、おおむね五年間にその理想を達成するようにということを言っているのです。あなたの党で答申してから、通算すると十年になるのですよ。しかもその十年間に、この案はその間に理想に達しようとする案ではないのですよ。私は、いまの段階で、もう抽象的なことばでは満足しませんから、具体的に伺いましょう。  この答申の骨というのは、大骨、中骨とでも申しましょうか、骨は、第一に会社法人その他の献金限度を二千万円に押えたこと。個人の場合一千万円。第二は、このワクの中で、過渡的ではありまするけれども、派閥と個人への献金をそれぞれ五十万円にとどめたこと。第三には、公開の原則を貫くために会費寄付と認めて届け出るということ。第四には、減税措置個人からの場合に限る。第五には、五年をめどに寄付はすべて個人にするように、それまで党の組織化近代化をはかり、党の運営費選挙費用など、すべて党費個人浄財献金によるようにするということです。  このほかに、こまかい点、いわゆる小骨もありまするけれども、一体総理大臣、今回の法案は、この五本の骨が全部抜き去られていることを御存じでしょう。全部、ことごとく……。二千万円、これは無制限ですよ。あなたは、これで骨が一本でも残っているとお思いになりますか。  しかも驚くべきことには、あなたは政治資金規正法だとおっしゃいますけれども、私は、これは政治献金奨励法だと思う。さらに言うならば、政治献金督促法だと思う。督促法ですよ。  ここに昭和四十年と四十一年度の会社献金のベストテンがあります。資料があります。それはこまごまと申しますと時間がかかりますから申しませんが、たとえば川崎製鉄というのがある。これは昭和四十年に……(「時間だよ」と呼ぶ者あり)いや最初のスタートが七分おくれていましたから。千二百七十四万円献金しておる。今度の法律によりますると一億一千五百二十万円献金できる。何と十一倍です。もっとひどいのがあるのです。もっとひどいのがありますよ。日本鋼管、これは昭和四十一年、献金は一千万円。ところが、今度の法律によりますと一億二千六百万円献金できる。十二・八倍の献金ができる。そうしてこれが無税ですから、政治献金奨励法であるばかりではなく、督促法なんですよ。あなたは、お忙しくていらしゃいますけれども、大新聞には一通り目を通していらっしゃると思う。私が民主政治世論政治だということを強調したら、そのとおりだとおっしゃいました。この政府案に対して、ここに切り抜きもたくさん持ってきていますけれども、新聞は、それこそ筆をそろえて政府案の骨抜きを非難し、やみ献金奨励法であるとか、あらゆる酷評を与えております。私はいままで、この問題に関していろいろな新聞その他に目を通して見ましたが、自民党の機関紙以外には、政府案を、総理大臣が言うように一歩前進だなどといって、消極的にもせよ支持している新聞は一つもありません。あったら御指摘願いたい。まさにごうごうたる四面楚歌ともいうべき非難であります。総理大臣、あなたつんぼじゃないでしょう。この声があなたの耳に聞こえないはずはないと思う。世論を尊重するならば、ここらでもう一ぺん答申案を読み直して、静かに胸に手を当てて世論に聞いて考え直す、この案を引っ込めて出し直しをする、このくらいのそれこそ勇断があってしかるべきではないかと思うのだ。いかがですか。
  13. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま御審議をいただくばかりですから、これはまだ引っ込めるというような考え方は持っておりません。ただいま新聞の評判が悪い。確かに新聞の評判は悪い。これは私は、別に声ではございません、目で見たのです。しかし、そういうことではなしに、お互いにやはり政治家でございますから、政治家皆さん方が国会でおきめになること、これは私はそこに信頼を置いております。政治家は一体この事案をどういうように見られるか。評判も評判だけれども皆さん方のほうがもっと権威を持っておられる、かように私は思っております。   〔「時間だよ」と呼ぶ者あり〕
  14. 島上善五郎

    島上委員 時間はまだあとありますから、だいじょうぶです。  あなたは、きのう同僚の小松君の質問に対して、いたずらに観念論に走ることなく実現可能な案、一歩でも理想に近づく案、こういうように答えました。そうですね。そうすると、審議会答申はいたずらなる観念論、こういうことになりますか。また、一歩でも理想に近づくとおっしゃいますけれども政治献金奨励法政治献金督励法で、理想とは反対の方向に、一歩どころではない、数歩走っているではありませんか。理想というものは、さっき私が指摘した党費によってまかなうという理想を掲げて、それに三年か五年の間に近づくというならばわかりますよ。そうじゃないのですよ。私は美辞麗句の答弁は要りません。具体的に答えてもらいたい。どうしてこれは理想に一歩近づく案ですか。
  15. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は先ほどもっと詳しく申したかった。そうしたら島上君も御理解いただけるだろうと思った。しかし、どうも時間をとるようだから、私は結論だけでお答えした。どうも納得されないようですから、もっと詳しく触れます。これはもちろん時間のうちでございますから、さように御了承願います。時間の外じゃございません。  私はいま政治に携わっておりますが、政治くらい大事なものはないのだと思っております。したがいまして、これは免税措置が——いわゆる特殊な公益措置その他について免税措置もありますけれども政治くらい大事なものはないのだ、かように思いますと、これに免税措置をとるのは当然じゃないだろうか、私はかように思います。ことに政治そのものは、これは国民大衆の中にとけ込まない限り政治がよくできるわけはありません。りっぱな政党は生まれません。国民と対立するような政党というものはないはずなんです。国民の中にとけ込んで初めて政党になる。国民がもり育ててこそ初めてりっぱな政党ができる。だからこそ私は、政治に携わる政党、そういう意味でこればまことに大事な仕事だと思います。だからこそ一面で、政界の浄化も必要なんだ。国民の不信を買うような政治があってはならない、政党があってはならない。そのために必要なことは、これはもう合法的なもの、また浄財であればやはり国民は進んで政党を助けてやる、育成してやる、これが民主国家の当然の責務じゃないかと思う。ただいま言われますように、この献金のいわゆる限度がなくなった、青天井だ、かように言われますけれども、私は、これは分相応な献金をするところに意味があるのだと思います。ただいまの状態は、各会社そのものがたいへん規模が違っておりますから、そういう意味で分相応な寄付をする、あるいは献金する、こういうことが望ましいのだ、かように思いますから、これが選挙制度審議会でも分相応だということに特に力を入れていると思います。この趣旨は守られておると思います。  また、先ほど言われますように、今度はいわゆる法人会費というもの、これはもうやめよう、これは寄付扱いにする、同時に公開の原則はとっていこう、しかし、過渡的な措置として三年間はやむを得ない、かように実は申しておるのであります。したがって、これもちゃんと選挙制度審議会趣旨、その精神を守っておる。これはやはり、公開制が無視されていればこれは何をかいわんやですが、公開制はちゃんと守られておる。そうして三年間のしんぼうをひとつ願いたい。そうしてこれはりっぱなものにしよう。すでに御承知のように、選挙制度審議会でも、党がまかなわれるのは党費並びに個人寄付となっている。しかし、いま直ちにとはいわない、五年間の猶予を与えるから、その間に近代化組織化をはかれという。私どもも、今回この法律によりまして、三年間の過渡期間を与えるから、組織化、さらに近代化をはかれという、これもこの精神を守っておるんだと思います。  さらにまた、ただいま派閥云々の話が出ております。私は、これは本会議でも説明いたしましたが、人の寄るところ必ず親疎の別があるのだ。親しい者はそれらの仲間ができる。これを外から見れば派閥、かように言われますけれども、しかし、現実はそうでないでしょう。大きいところの自民党の派閥、しかし、それぞれの党におきましても全然派閥がないとは言い切れないのじゃないか、かように私は思います。そういうことを考えますと、派閥は本来よくない、近代化をはかるべきだ、しかしながら、やむを得ず現実をやはり見なければならぬ、それこそ忠実なる政治家が当然やるべきことだ、政治家というものはそういう意味で進んでいく、これが必要なんだと思います。昨日も、そういう意味で本会議質問を受けました。私はやはり言われておるように、現実に即し、しかも理想を持ち、その目標に向かって前進していく、これがなければならぬ、かように思います。  ちょっと時間をとりましたけれども、いまのような考えでおります。
  16. 小泉純也

    小泉委員長 島上委員に申し上げますが、お約束の時間を過ぎておりますので、結論をお願いいたします。
  17. 島上善五郎

    島上委員 だいぶ時間をとったので、答弁は要りませんから、最後に申し上げておきます。  この法案は、時間がなくなってあまり内容に立ち入れませんけれども内容に立ち入れば立ち入るほど、どうにもこうにもならぬ最低最悪の法案です。いまの総理の答弁に私はもちろん満足しません。これは国民も満足しないと思う。むしろ正直に現実に、こうおっしゃいますけれども現実に即応するということは、腐った現実の中に足を突っ込んで動きのならぬ状態になるということ、それしか解釈できない。党運営経常費から選挙の費用まで、財界まるがかえでやろうとする体質がどうにも改革できないならできないと、正直におっしゃったほうがまだかわいらしいところがあると思う。先ほども申しましたように、今回の案は政治資金規正法の名に値しないものです。政治資金奨励、献金奨励法であり、政治献金督促法である。審議してあそこを修正し、ここを修正し、とうていそういうような審議に値するしろものではないのです。政府は、いさぎよくここでこの案を引っ込めて、出し直しなさい。それこそ、ふだん総理の使われる勇断というものです。いままで提案がおくれたのも、あなたが党内をまとめることができないという、要するにリーダーシップがなかったというところに最大の原因があるのですから、総裁としておやめなさいと言いたいところだが、これはあなたの党の問題だから、そこまで申しません。申しませんが、出し直しするということができないならば、いま野党三派提案の答申どおりの案が現に提案されているんですから、これを審議して今国会で議決する、これが最善の道だと思う。私どもは、今回の政府案に対しては、審議に値しない最低のものである、こう言わざるを得ません。  終わります。
  18. 小泉純也

    小泉委員長 次は堀昌雄君。
  19. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、いまの総理の答弁を伺っておりまして、総理が事実といいますか、この法律をあまりよく理解しておいでにならないという点がありますから、前段でここをちょっとはっきりさしておきたいと思います。  総理は、身分相応な寄付ということを、昨日の本会議でもおっしゃいましたし、きょうもただいまおっしゃったわけです。私どもがあの答申の中で、資本金の千分の二・五またはその会社の所得の百分の一いずれか高いほう、こういうことにきめました理由は、これが要するに身分相応という原則を示したわけです。ところが、今度の改正はどういうことになったかと申しますと、資本金十億円までの会社は全部五百万円寄付が認められることになったわけです。よろしゅうございますか。現在国税庁が出しております資料でこれを精査してみますとどういうことになるかと言いますと、一千万円以上五千万円までの企業にいまの五百万円というのを適用いたしますと、その所得金額の三七・四八%ということになるわけです。五十万円ならば三・七四八%ですけれども、十倍になってしまうわけです。それから五千万円から一億円までの会社については、同じように五百万円の寄付を認めれば、その所得金額に対して一〇・四五%になるわけです。ところが、現在法律で定められておりますところの寄付が、法人昭和四十一年に三百七十億円実は寄付をしておるわけですけれども、これをずっと調べますと、所得階層別に見ましても、大体一%より少しふえるということに現実にはなっておるわけです。その比率を申し上げますと、大体一会社当たり一千万円以上のところで一・七八%、五千万円から一億円までのところで一・三三%、一億円から十億円までで一・〇八%、十億円から五十億円までで一・〇九%、五十億円以上一・三八%、百億円以上一・三二%、現在の寄付はこのように大体所得の一%を少し上回るということになっておりまして、これは所得階層別にはっきりしておるわけです。ところが今度の改正は、こういう改正のしかたになったものですから、下のほうは身分不相応な寄付を強要される可能性が明らかに出てきたわけです。総理はこのような計数の中身は御存じないから、いまのように身分相応の寄付をさせたいとおっしゃったと思うのですが、身分相応になるのは、今度のやり方でまいりますと、十億円以上のところはようやく身分相応の大体一%ぐらいになります。しかし、五百万円に底上げをしてきたというのは、せっかく千分の二・五というルールをきめて、小企業あるいは小さな中企業が身分不相応な寄付をしないようにという配慮をしておったのを根底からくずしておるわけですが、総理はこれについてどうお考えになりますか。
  20. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この法人寄付というものは、別に税金ではございません。だから平均して取るものじゃございません。したがって、あるものは全然献金をしないものもございましょうし、あるものはちゃんと献金をするものもある。これがいわゆる政党を支持しているその形でございますから、ただいまのような何か税金のように割り当て式に各平均してどうこう、こういうものでないことだけはひとつ御了承をいただきます。
  21. 堀昌雄

    ○堀委員 私が申し上げたのは、現在行なっておる寄付と所得金額の比率、これは現在行なっているわけですよ。政治献金もその中に入っているわけですよ。それとその会社の所得金額との比率は、大体一%というのが現在の実情だということを申し上げておるのです。だから、現在の寄付全体は正常な姿だということを言っておるわけです。所得に対して百分の一ぐらいの寄付をすることは、その企業としてはおかしくない。しかし、今度は五百万円まで寄付してよろしいということにしたために、そのために小さな企業にとっては所得の三〇%も寄付ができるようになるではないか。いままでは、私どもは、千分の二・五または百分の一ということで、大体正常な形を答申してあるにもかかわらず、それを取っ払って十億円以下は五百万円としたことは、身分不相応な寄付をさせる可能性が出てきたということを申し上げておるわけです。一律の議論じゃないです、これは。どうもそこを十分総理は御理解になっておらぬようなので、ちょっともう一ぺん……。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは寄付のできる限度ですね、それはこれまでだということなんで、そこまで必ずやれというわけじゃない。だから、そこのところを間違えないように、やっぱり賛成される方が出すのですから。したがいまして、五百万円になったからそれまで強制して取り上げる、こういうものじゃない。ちょっと話が食い違っておりますが、これは平均じゃないのだ、その点を御了承いただきたい。
  23. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私が申し上げておるのは、総理よろしゅうございますか、要するに一億円の資本金の会社の所得金額というのはどのぐらいかと申しますと、平均値は三億九千万円ぐらいです。そこで、要するに今度は五百万円を寄付させることになると、これは平均値から類推をしたわけですが、三・五九%ぐらいになる。ところが、それより以上のところは、大体百分の一ぐらいになっているわけです。だから上のほうはいいけれども、下のほうに五百万円というふうに底上げをしたのでは、限度額ですからそこまでできるとなれば、無理をしてするような可能性が出てくるではないか。それは身分不相応な寄付ではないのか、こう聞いておるのです。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも話が違うのは、平均値を持ってこられるが、平均値はこの場合に持ってくる必要はないことです。とにかく会社が希望し、進んで政党を援助する、こういう場合の限度を示しているんだから、いまは平均値を持ってこられるとちょっと問題です。これは平均値じゃない。だから会社が、おれは自民党を支持してやろう、おれは社会党を支持してやろう、こういう方があるだろうと思います。そういう場合にやはり分相応なことをやる、資本金の小さな会社でそれが多額の寄付をすればこれは分不相応だ、それを言っているのです。
  25. 堀昌雄

    ○堀委員 要するに、私がいま申し上げておるのは、身分不相応なことをしないということを総理は非常に強調されていますからね、しかし、これは身分不相応な寄付をする道を開いておる。するかしないかは向こうのかってですけれども、五百万円までしてよろしいというのは——これまでは自由ですから、幾らでもいまできるわけです。たとえ一億円の資本金の会社が一億円寄付してもいいんですが、選挙制度審議会では、身分相応にしたいから、資本金の千分の二・五あるいは百分の一ときめたわけです。だから、それはそのほうが正しかったわけで、今度の五百万円にしたのは身分不相応な寄付をさせる可能性が出てきた、こういうことを言っているので、必ずすると言っておるのじゃないのですが、その点は、時間がありませんから、総理あとで資料を差し上げますからよくごらんをいただきたい。  私は、もう一つ、この前も総理に予算委員会で資料を提出してお話し申し上げましたが、特に総理が錯覚をしておられることがある。それは何かというと、政治資金というものはだんだんたくさん要るものだ、政党の活動は金が非常にかかるものだ、こうおっしゃっておるわけです。自由民主党が三十九年、四十年、四十一年にどのくらいの費用をお使いになっているかといいますと、三十九年には、自由民主党と、国民協会から自由民主党へ出した分とを合わせて純計をいたしますと十七億でございました。四十年には三十七億、四十一年には六十一億、こういうふうに実は最近自由民主党のお使いになっている資金は非常にふえてきている。これは自治省の資料で明らかなんです。ところが、そういうふうにどんどん金がふえてきたら、自由民主党の得票数がふえておるかと思って調べてみますと、自由民主党の二十九回、三十回、三十一回の得票数は、二千二百七十四万、二千二百四十二万、二千二百四十四万と、全然ふえてないのですよ。金を一生懸命使っておられるけれどもふえてなくて、投票数の総数は非常にふえてきていますから、相対的に自由民主党の得票率というのは下がってきた。  なぜ私が総理にこういうことを申し上げるかというと、いまの日本の民主主義は非常に前進してきましたから、金を使ったからその政党に支持が集まるというものではないのです。政党国民意思を正しく実現して、政治の中にこれを具体化するコースをとるときに、私は政党にこの国民の支持が集まると思うのです。それならば、いま国民がこれほど願っておる政治資金規正を、国民の願う方向で総理が処理をされたら、私は、自由民主党は参議院選挙で得票はふえるだろうと思う。残念ながら、われわれにとっては幸いかもしれませんけれども国民にとっては不幸なことでありますから、こういう政治資金規正法を出されることで、国民は金を使う以上に非難をして、今度の参議院選挙は前回にも増して自民党の票が減るのではないか、私はこう思うわけです。総理は、そこら辺についてどうお考えになりますか。
  26. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、自民党のためにたいへん御心配をいただいておることをほんとうにありがたく思って、感謝をいたします。ことに私は、政界政治に金がかかるということは、これは避けなければならないとかねてから主張しておるものであります。ただいま堀君の言われるように、金は使ったが支持層は減った、このくらいばかみたいな話はないのですから、それは私の蒙を開いていただいた、こういう意味でたいへんありがたく、お礼を申し上げます。  しかし、今回のこの案は、これから非常に金がたくさん入るような、そういう奨励策である、こういうことを考えてみますと、私はそうは思わない。これは、金を出す人はそれこそ国民なんですから、国民は、ただいま言われるように実際に働きもしない政党を支持する、こんなばかな話はないということで、こういうものは強制ではございませんから、そういうところに出してくるのは好む人だけが出すのです。そういう金ですね。だから私は、いま言われるような趣旨が大事なことではないか。これはまじめに、政治のあるべき姿というものはいま堀君の言われるとおりでなければならぬ、私はかように思います。したがいまして、そういう意味で今日私もその案をやっておる。  ただ、いま言われます年次が、やはり選挙がございますからそういう際はどうしてもお金がよけいかかっておる、こういうようにごらんになるだろうと思います。しかし、全体といたしまして、どうも浮いた調子で金がたくさん使われる、金のありがたみがわからない、こういうことでは申しわけないと思います。だから、そういう意味でももっと厳正でなければならぬだろう。私は、直ちに答申案のような方法をやることがいいのか、こういうことを考えますと、これは大事なことですよ。とにかくみな票はほしい、当選はしたい、こういう場合に、こうしたら票は取れるという場合があるのでそれがやはり法網をくぐってやる、そういうことは政界を浄化するゆえんではないと思う。したがって、要るものは堂々と認めてやる、そういう方向で自然にワクを締めていく、こういうことでなければ実際には処理ができないのではないか、かように思って、ただいまも心配しておるわけです。
  27. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで私は、今度の問題の中で、やはり一番大きな一つの問題は課税上の問題だと思うのです。御承知のように、現在は、資本金の千分の二・五及び所得金額の百分の二・五を足したものの二分の一は法律で減免されるわけでございますから、そのワクの中で今日まで自由民主党は寄付を受けられて、少くとも今日、年間百億の寄付を受けられておるわけです。全部で三百二十一億の中で、これは自民党だけではありません、派閥の中に入った総計でありますが、百億近い金がいっている。そこで、今度そういうことで税が減免された場合にどういうことが起こるかというと、さっき私が申し上げた中小企業が、同じ税金を取られるのなら、身分不相応でもひとつ五百万円自由民主党に器付しておこうか、五百万円寄付しておけば、これは税金にならなくてどこかでまた生きてくるだろう、実はこういうことになってくるわけですね。だから、税金の減免がなければ、身分不相応なこういうことは起きない。これまでのようにワクの中になれば、その他の寄付も勘案しますからいいのですが、今度別ワクで全部減免ということになると、要するに、あなたの金を五百万円、身分不相応な寄付をするということが今度起きる道が開かれた。これは非常に重要な問題ですから、そこで総理大臣にお伺いしたいのは、一体現状とこの改正案を出した場合と、自由民主党なり保守党が受け取られる金はふえると思いますか、減ると思いますか、同じだと思いますか。
  28. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、これからだんだん減ると思います。ことにいま三年間という過渡的な規定がございますけれども、この三年間の過渡的な規定が必ず役立つと思います。したがって、各会社とも、政治献金なりその他の寄付というものをはっきりしなければならないということになると、おそらく株主だって黙って寄付を承認するようなことはないだろう、したがって、これは必ず減るだろう、かように私は思っております。この点は、おそらくいまの納税の場合でも間違いないだろうと思いますが、堀君のことですから、よく御承知のことだと思います。いま年限は三年間ということになっております。だから、その三年の間にこれから将来のことを見通して、それに合うようにしなければならぬ、かように思いますので、私は減ると思います。
  29. 堀昌雄

    ○堀委員 確かに三年たった先は多少減るかもしれません。ただ問題は、私がちょっと試算をしてみましたら、こういうことになるのです。資本金百億以上の会社というのはいま百三十六ある。このルールで計算をいたしますと、四十七億五千百万円を実は寄付できることになる。現在は幾らになっておるか、計算はできておりませんが、この間の私ども答申によりますと二十七億二千万円になるのですから、資本金百億以上の会社だけで今度は二十億ふえるのです。こういう仕組になっております。それから五十億以下、その他をずっと計算いたしますと、理論的数値として総計をいたしますと、中小企業を含めまして千七百六十八億九千百万円というのが理論的数値の上限です。ですから、一応現在百億くらいが自由民主党の派閥にいっておりますが、それが総計千七百六十八億九千百万円になるのです。だから、これは現在以上に青天井になるということを数値的に裏づけておると私は思うのです。だから、それが減るかふえるかは、企業側の人たちの心がまえの問題でありますから、私どもの側からはいかんともしがたいわけでありますが、しかし、少なくとも審議会答申は、ワクを設けて減らそうとしたわけです。しかし、今度は、ワクがなくなったということだけは間違いがないのですから、その点は少なくとも三年間は非常にふえる。三年先からはまた別ですが、三年間は急激にふえるだろう、こう見通しておるのですが、総理はどうお考えですか。
  30. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 このワクが、大きなワクと小さなワクという相違はございます。しかしながら、今回はワクがないということではございません。  それから、先ほど、どうせ税金を取られるのなら税のかからない献金にしよう、そういう考え方は、やはり政界の浄化とは反対の方向につながるものです。私どもは、そういうものは避けなければならない。こういうことを審議し、こういう際に活発な意見が交換されて、国民の皆さんも、そういうことでなしに、やはり命ぜられた税金だけはきちんと払おう——いま何だか、納税ということがたいへんな損をしているように見られておる。これはもう変えなければいかぬのです。したがって、いまのことはあまり心配することはないだろう。それよりも、今回の改正が一つの別ワクでありますが、しかし、いままで審議会が示したワクよりも非常に大きいのだ、そのワクまで献金が拡大されるか、かようになりますが、おそらく三年後を見ると、全部を公開する、その公開したときに、過去は一体幾らしたのか、こうした話に必ずなると思います。したがいまして、今日からこのものが出ますれば、ワクは広いけれども実際は公開して、株主からはその責任追及をされる、こういう意味で締まってくる、かように私は思います。
  31. 堀昌雄

    ○堀委員 最後に、実はこれまで派閥と個人に対しての献金は、二千万円のワクの中に入れることになっていたわけです。今度は、当分の間は二分の一に限って別ワクだ、こういうことになったわけですが、この当分の間にやはり問題があると私は思う。だから、いまの三年の問題は五年間に処理されればいいと思いますから、五年間の処理の終点は、要するに個人に切りかえられる終点であるわけで、これは三年たってまだ審議会答申のところまで実はいかないのですよ。三年の経過措置をつけて、それで個人に全部いってしまうということになるのなら、私は経過というものはあろうかと思うのです。しかし、少なくともそれではちっとも前進しない。答申の線に少なくともどこかで到達するということがはっきりしているならば、私は、最初長期の十年だっていいと思うのです。しかし、全然そういう方向になっていないところに、この改正が非常に国民批判を買っておるもとがあると思うのです。だから、少なくとも総理は、この個人と派閥で二分の一別ワクにしたのを、これだけワクを拡大したのなら、せめてこれはワクの中だ、このくらいは、いま出た法案だけれども、あなたのほうで直すくらいの処置をされることが、政治資金規正しょうという考えの基本に立つものじゃないかと思いますが、どうですか。この点だけをひとつ伺っておきます。
  32. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 具体的な個々についての改正案、これは私この席では申しませんが、ともかく皆さん方から熱心に御審議をいただいて、そうして政界の浄化、選挙の粛正に役立つように、さらにこの法律をりっぱなものにするように御協力を願いたいと思います。私はいまその案をどうこうするとは申しません。ことに党の近代化、これを積極的にはからなければなりませんから、これはもう政治家の心がまえ、政党のあり方だと思いますので、政党中心に金が集まるようになれば、派閥や何かに金を出すような人がなくなりますから、このことはあまり心配しておりません。  当分の間ということは問題でございますが、党を中心に金が集まるようになれば、これは直ちにやめるべきです。これは三年待たなくても、近代化の問題は早くやらないと、それこそ国民から見捨てられる政党になる、かように思いますので、この近代化こそは国民批判する一番わかりいいことですから、これはみずからやらなければならぬということである、かように御理解をいただきたいと思います。
  33. 堀昌雄

    ○堀委員 終わりに、少なくとも総理として、総裁として政治資金規正される方向でものを考えていただきたいということを強く要望して、終わります。
  34. 小泉純也

    小泉委員長 山下榮二君。
  35. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 私は、政治資金規正法の問題をお伺いする前に、政治姿勢の問題について佐藤総理に伺いたいと思うのであります。  今日、御承知のごとく、政界といわず、財界といわず、官界といわず、あるいは産業界といわず、まことにいかがわしい汚職事件の連続でございます。これは要するに、どこにその原因があるかといいますと、一にかかって日本政治の姿勢にあるのではなかろうか、こう考えられるのであります。佐藤総理は、総理就任早々政治の姿勢を正す、えりを正して、正しい政治運営する、こうお答えになった。しかし、御承知のごとく政界は黒い霧におおわれ、昨年の一月には政界浄化のために国会が解散されまして、国会の出直しという姿勢をとられたのであります。しかるに、その出直しをされた政界浄化のかけ声もどこえやら、また大阪タクシー事件等が出てきまして、政界に黒い霧はあとを断たないのであります。こういうことに対して総理は、どう一体今後対処し、どう政界を浄化し、どう日本政界、財界、官界、あらゆる面を粛正していくという決意がございますか、伺いたいと思います。
  36. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 政治の姿勢を正すことは、これがまず新しい世をつくるといいますか、世直しになる、かように私は思います。  ただいま一部汚職が発見された、そういうことで全体が腐っている、かように言ってしまうことは、言い過ぎではないだろうか。政治家自身がみずからを責める、そういう立場に立って非常にきびしい表現をせられることはもっともだと思います。いいことだと思います。しかし、いま大部分の国民は、間違わないで、額に汗して営々として働いているのですから、そういう際にその勤労の努力も見ないで、とにかく世の中が腐っている、かように言う言い方は必ずしも当たらないだろう。しかし、とにかく現実の問題として、ただいまあげられましたようなLPGの問題が起きたり、あるいはまた最近は日通事件、これはあまり政界関係がないようですが、それにいたしましても、ずいぶん腐敗した、乱暴な経営の実態が出てきている、こういうようなこともありますから、これは声を大にされることはけっこうだと思いますけれども、とにかくわれわれは、悪は憎むが、やはり善は進めていく、そういう心がけでなければいかぬと思います。私は、そういう意味で非常に希望を持ち、楽しみがある、かように私は思っておりますので、この上とも、ただいま言われますように、政治に携わるみずからにきびしくして、そうして国民の協力を得るようにぜひともするよう、一そう努力するということをひとつ申し上げておきます。
  37. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 みずからの姿勢を正していかなければならぬということは当然のことでございますが、いま総理ことばにもございましたように、日通事件で四億あるいは五億ともいわれておりますが、政界に流れたであろうとうわさをされておるのであります。また、けさの新聞を見てみましても、御承知のごとく、日本化学繊維協会に多額の金の使途の不明がございます。これも新聞の一部の報道するところによりますと、政界にその一部が流れたかのごとく報道をされておる。共和製糖の事件をあげるまでもなく、各界をながめてみましてもそういう実情であります。これが多かれ少なかれ政界とつながりがない、こう断言し得るものはない、こう申し上げて過言でなかろうと思うのであります。私は、こういう問題をまず粛正し、こういうことがもっと正しく運営されるということにならなければならぬと思う。そのためには政治の姿勢を正さなければならぬ、これを申し上げておるのであります。一体総理として、ただ単なる国会だけを考えておるのではなかろうと思いますが、こういう点に対していかようにお考えになっておりますか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、国会を切り抜けるということだけに狂奔しておるわけじゃありません。ただいま御指摘になりましたように国づくりに実は専念している、これが私の実態でございますから、ただいま言われるようなことはございません。  しかし、私は、政治資金規正法をつくるにあたりまして、一つ考えた。皆さん方にもくふう願いたいと思いますのは、なるほど政治に金がかかること、これは悪だという。したがって、これは政治の金のほうを縛りさえすればその悪が除けるような考え方政治資金規正をやりましても、これは私、できるものじゃないと思うのです。それよりもむしろ、政治に要る金は合法的に、明朗に堂々と支持するような、そういうことをくせづけることが必要なんじゃないか。いま言われるようなLPGだとかあるいは日通がどうした、こういうようなものは、いわゆる政治献金があったのかなかったのかわかりませんが、表には出てこないのです。私は、表に出て堂々と明るく明朗に献金されるもの、これはむしろ——先ほど奨励法じゃないかと言われますが、しかし、その政党自身が自分たちに必要なものだ、国民に必要なものだ、したがって政党を支持し、育成するのは国民の責務だ、こういうことを考えれば、その献金も明朗なものを出すのだ、堂々とやるのだ、そういうようにのぼすべきじゃないのか。そういう意味法律をつくるべきじゃないのか。どうも政党はけしからぬから金をたくさん使わせないようにしよう、そこで縛りさえすればこれでいいんだ。それこそどろぼうを奨励するようなものだと私は思います。でありますから、金の集め方もまた金の使い方も合法的であって、そうして国民からいつでも批判を受ける、こういうようなものにあるべきだ、かように思ってただいまの案を出しておるわけであります。でありますから、日通事件その他のものが、私は政界関係がないように祈ってはおります。しかし、ただいま捜査の段階でございますから、この機会に私もえらそうなことは申しません、どういうことになっているか……。しかし、こういう事柄というものは、いまのその大事な必要な金を縛っておるところにこういう問題が起こるのじゃないか。むしろ堂々と出せるもの、それを規定してやれば、だれも罪悪を犯す者はなくなるだろう。そうして分相応な献金ならば、いわゆる汚職の疑いもないし、それによって特別な利権を得ることもないのだ、かように私は思いますので、そういう意味で、今回の案が甘いとか言われますけれども、まあ実情はある程度甘いかもわかりません。しかし、これが現状じゃないだろうか、かように思って法案を御審議いただいておるような次第でございます。
  39. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 私は、ことばを返すようでございますけれども、いまの総理ことばは、まことに聞き捨てならないことばであると思っておるのであります。それじゃ、一体政府は、なぜ選挙制度審議会政治資金規正法改正審議を委託したのかということになるのであります。先ほど島上君の質問の中にもございましたように、かつて三木さんは、組織委員長とかいう資格で、党の近代化という問題について党に答申をされたことがあります。献金個人と、党の運営党費でまかなうべきである、こう答申されたことは先ほどお話しのとおりでございます。しかるに、いまのことばを返して申し上げるようでございますが、表に出ない金があるからそれを表に出してやっていく、こういうことをおっしゃるのでありまするが、それなら、なるほど政治資金規正法答申と全くかけ離れたものが出てくるのもふしぎではないな、こういう感じがいたすのであります。これは私は、総理としてはもっと前向きの姿勢で政治資金規正法というものを考えてもらわなければならぬ。政治資金規正法改正されるならば、これとうらはらである選挙公営というものを考えなければならぬ。選挙公営が確立をして、選挙並びに政党運営が完全に個人寄付政党党費でまかなわれるという体制が確立して、初めて理想的な選挙が行なわれ、政党近代化が行なわれた、こういうことにならなければならぬ、こう思うのでありますが、総理は一体これに対してどうお考えでございましょうか。
  40. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 山下君に申し上げますが、私の説明したことを誤解のないように願います。私も、金のかかる政治がいいと言っているのじゃない。金はかからないようにしなければならない。しかしながら、献金のほうを、会費あるいは寄付のほうをうんと縛れば、それで金は使えないからだいじょうぶだと考えることは、あまりにも簡単過ぎて現実に合わないのだということを実は申しておるのであります。ただいまのように金をかけることは、これはどうしても避けなければならない。でありますから、ただいま言われますように、いわゆる選挙制度の仕組みだとか、あるいは政党政治活動だとか、あるいは国民政治意識の問題だとか等々がからみ合っている現実でございます。それらのものと全部からみ合わしていかないと、金がかからないようにするということはできない。いままでしばしばいわれますように、小選挙区になれば金はかからないといわれる。しかし、小選挙区は絶対に反対だという。もう皆さん方、みなそうだろうと思います。そしてこれは現実に金がかかる。そうかと思うと、選挙は自由にしろ、うんと金のかかるような方法をいわれる。これも選挙が自由になれば、これは私は極端な金のかかる方法だと思います。しかし、その要求をされるその辺に何か矛盾を感じられないのだろうか、かように私は思うのです。これはほんとうにまじめに、私が自民党だけの立場で言うわけじゃないのです。お互いにこういうことを考えてみれば、首尾一貫した考え方選挙運動とも取り組もうし、選挙規制とも取り組もう、こういうことになってほしいと思う。  しかし、私はただいま車の両輪論を言うわけじゃありません。ありませんから、御承知のように、ただいま政治資金規正法規正法として提案して御審議をいただいております。もしも車の両輪論を言うならば、ただいま選挙区制がきまらないうちにこんな案は出しません。しかし、私はこの案を出しておるのですから、これは両輪論ではない。しかし、ほんとうに政治資金、金がかからないようにしようというならば、ただいま言うように、選挙制度の仕組み、さらにまた、政党政治活動なり国民の意識なりともからみ合わして、正しいものをつくり上げなければならぬ。しかし、それには相当の時間がかかります。だから私は、今回の案は非常に甘いという御批判でございまして、これは必ずひどい思い切った批判を受ける、かように思っておりますが、私あえてこの批判を受けつつも本案を提出したゆえんのものは、以上のような点からでございます。
  41. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 選挙公営に対してはいかようにお考えになりますか。
  42. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 公営は、ただいまは選挙制度ということで簡単に申しました。私は、公営の範囲はおそらく拡大されるものだ、かように思っております。
  43. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 総理はいま、金のかからないようにするために政治資金規正法を提案した、こうおっしゃったのでありますが、先ほどからの質問にもございますように、政治資金規正法改正案そのものを見ますと、答申案はおろか、従来よりもさらに政治献金が多く受けられるような体制にこの法案がなっていることは、もう御承知のとおりであります。あえて多くを申し上げません。私は、一歩でも二歩でも前進をするというのでありますならば、それは答申案に近づけるような方向でいくべきじゃないか。これは五十五特別国会に提案されたときの政府案よりもはるかに後退した案として出てきている、こういうことだと思うのです。理想へ向かって前進されておるんじゃない、こういう感じがいたすのであります。したがって、私は、法案の中身についてはいずれ後日審議をいたしたいと思いますから、きょうは法案の中身についてはとやかくは申し上げません。ただ、大筋だけ申し上げますならば、その制限額が野放しになっておるということ、免税措置にこれを繰り入れられたということ、あるいは、当然会費等、公開しなければならないものを三年間の非公開にされたということ、こういうこと等は、これはまさしく時代逆行であって、政治資金規正法を中心とした第五次選挙制度審議会答申に反する行為ではなかろうか、こう思うのであります。それに対していかようにお考えですか。
  44. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、確かに、前回に提案したものと今回提案したものと比べてみると、今回のほうが現実の問題に取り組んでおる、かように思いますので、ただいまのような御批判があろうと思います。私は、それでずいぶん思い切った御批判も実はいただいております。しかし、前回提案いたしましたものは、審議経過等から見まして成立はできないのです。(「成立させないんだ」と呼ぶ者あり)成立しない案にこだわるよりも、成立の可能なもの、その案をやることが、これがいわゆる現実に即した案ではないか、かように思うのであります。ただいま成立させないんだ、かように言われますけれども、この選挙制度あるいは政党は、これはお互いにみんな立場が同じ立場において選挙制度のあり方、政党のあり方については発言権を持っておる。これはおそらく、総裁であろうが、幹事長であろうが、また一般党員であろうが、同じだと思います。それほど重大な意味を持つものなんです。したがって、これは自民党の中におきましてなかなか意見がまとまらなかったという——せんだって赤澤大臣か非常に率直に、自民党の協力がなければ法案はできないんだ、かように本会議で答えておりますが、私はさようなものだと思うのです。これはなるほど皆さん方から、指導力、指導性を発揮しろ、指導力がないじゃないか、かように言われますけれども、こういう事柄で各党員の行動がかってに縛られれば、これはたいへんなことだ。私は、これは幾ら自由民主党、名前が自由民主党でありましても、この問題については党員と同じ立場で考える。私は、社会党におかれましても、民主社会党におかれましても、また公明党におかれましても、おそらくこれは代議士である限り必ずりっぱな発言力を持っておられる、かように思います。したがいまして、この問題は、ただ単に党の組織からどうこうだというような、簡単なことできめるべきじゃない。これこそほんとうに良識によって、皆さんが納得されることが必要だ、かように私は思います。
  45. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 時間が参りましたから、最後に一言だけ申し上げておきます。  いま申し上げましたように、佐藤総理が先ほど来日をすっぱくなさって申されておる、理想に向かって前進をしていかなければならぬ、こういうことであったならば、五十五特別国会に出されたものをさらに手直しをして、前進した姿で出していただくならば、われわれはこれと真剣に取り組んで審議をする決意がないではないのであります。しかし、いま出されている案、一歩も五歩も後退した案では、私は、これは審議に値する案であるとは考えられないのであります。それよりもむしろ、野党三派が提案している政治資金規正法を中心にして審議することのほうが、はるかに時代に順応する方策ではなかろうか、かように考えるのであります。そのこともひとつ念頭の中に置いていただきたいことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 小泉純也

    小泉委員長 伏木和雄君。
  47. 伏木和雄

    ○伏木委員 ただいま提案されました政治資金規正法改正案につきまして、総理の基本的な政治姿勢についてお伺いしてまいりたいと思います。時間の関係で、法案の細部につきましてはこの際省略しておきたいと思います。  まず、お伺いしたい点は、この政治資金規正法は、今日国民世論が最高潮に達して、この法案の成否を見守っております。このことの起こりは、四十一年の共和製糖の汚職事件、それに引き続き四十二年にはLPG、そうして現在の日通問題、このように相次ぐ政界の汚職事件に対して、国民政治不信がここに集中されていると私は考えるわけです。この国民政治不信を一掃してこそ真実の民主政治である、私はこのように理解するわけです。したがって、この政治不信一掃のためにも、率直に国民世論に耳を傾けて、国民の声を率直に受け入れて初めてこの政治不信が一掃できる、私はこのように理解しております。総理の率直な意見をお伺いしたいと思います。
  48. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私も、政界の浄化、選挙の粛正、これにはすでに私の所見を申し述べております。この方向に向かってこの上とも進むつもりでございます。
  49. 伏木和雄

    ○伏木委員 そこで、総理に伺いますが、国民世論にこたえて、総理は今日まで、いろいろな表現をもってその国民世論にこたえてまいりました。まず第一番目には、共和製糖事件直後には、一大決心をもって積年の病弊を根絶するために、積極的かつ具体的措置を講ずる、このように言われております。今回の政治資金規正法改正案が総理の一大決心なのか、総理が一大決心をしてこれだけのことしかできないのか、総理の言う一大決心とは一体どういうものなのか、この点を明らかにしていただきたい。
  50. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 民主政治、これはもう申すまでもなく、国民世論の支持がなければ政治はできない。前回の解散が、ただいま言われるように、政界の汚職、汚濁、これを一掃しようということで解散にとったわけでございます。私は、国民がわが自由民主党の堂々たる態度に支援を与えてくれた、かようにいま確信しております。その後において、LPGあるいは日通事件等々、いまなおこの種の汚濁、不正があとを断たない、それはまことに残念に思います。しかしながら、私どもが努力しておる、これは国民もよく理解してくれている、かように確信しております。
  51. 伏木和雄

    ○伏木委員 私が伺ったのは、今回、国民批判を受けながら出ておるこの政治資金規正法総理の一大決心——総理が一大決心をしてたったこれだけのことしかできないのかという点を伺っておるのです。
  52. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 総理の一大決心はこの程度か、こういうことを伏木君は言われますが、私は、ただいまの政界の浄化に対しましては不断の努力こそ必要だ、かように思っております。一歩一歩前進すること、これが私どもに課せられた仕事のように思っております。
  53. 伏木和雄

    ○伏木委員 総理が四十一年の札幌の一日内閣において、総裁公選に立った際にこう言っております。私は今後も政権を担当する決意である、これは政界の積年の病弊を根絶したい。総理が政権を担当する、それは積年の病弊を根絶するということは、佐藤内閣の時代において政界の腐敗を——積年の病弊と総理みずからが言っているこの腐敗を根絶するとあるのです。このようなゆうちょうな法案で、一歩前進とか、あるいは現実に即してとか言われておりますが、このようなことで一体、佐藤内閣の時代に積年の病弊を根絶できるのか。あなたが言われている、その病弊の根絶は佐藤内閣の使命だ、こう言っていることといまの法案に対する姿勢とは、矛盾するんではないですか。
  54. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、確かに北海道におきまして、積年の病弊を根絶するということを申しました。御承知のように、積年の病弊というのは、ここにこつ然としてあらわれたこと、そういう病弊ではございません。何年も何年も積み重なってきたものでございます。これを直す、これは一朝一夕にこれにきく薬はなかなか見つからない、かように私は思います。私はやはり、こういうことこそ不断の努力が必要なんだ、そうして絶え間ない努力をすることによりまして解決するのではないか。今回の法案がたいへんゆうちょうなものだ、けしからぬと言われる。しかし、私はさようには思わないので、昨年の国会に提案したものが不成立になった、それから考えますと、今回やはり成立を期する、そういう意味ではあるいは前のものよりも後退したものであっても、そのほうが実際的ではないだろうか。政治というものは、私は、現実の問題だ、だから実際的に処理できなければこれは意味をなさない、かように思っております。その場合に大事なことは、やはりその目標をはっきり持つことだ、それは遠い遠い目標か知りません。しかしながら、そういうものにしろ、とにかく目標、理想を大きくし、それに向かって前進する、そこに政治家行き方があるんじゃないか、かように私は思っております。
  55. 伏木和雄

    ○伏木委員 総理の言われる理想とか目標とかいうものは何なんでしょうか。
  56. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは申すまでもなく、選挙の粛正であり、政界の浄化でございます。したがいまして、そういう意味におきましては、これはもう政治資金の問題、あるいは選挙制度の問題、あるいは政党の活動の問題、それらが毎日批判の対象になるだろうと思います。だから私はどこまでも、政界浄化は忘れたのか、こういうような批判を昨日の本会議で聞かれましたけれども政界の浄化を放棄したわけではありません。それこそが皆さん方も望まれることであり、国民全般も望むところであり、それに向かって前進をする、かような意味でございます。
  57. 伏木和雄

    ○伏木委員 総理の言う理想ですね、この政治資金規正法政治資金のあり方というものについての総理理想はどうお考えになっておりますか。われわれは本来個人に限るべきものである。答申でも五年をめどとして個人に戻せ、このように言っておりますが、総理自身現実理想論を言っておりますが、その総理自身政治資金に対する理想とは何でしょうか。
  58. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま私どもは、選挙制度審議会答申の線で行動しておるのが現実でございます。したがいまして、政党がまかなわれるのは党費並びに個人献金だ、かように言われております。だから、この方向で私どもは努力いたします。しかし、これはあの答申にも言っておるように、五年間という一つの目標を置いて、その間に党の近代化をはかり、組織化をはかれ、かように申しております。おそらくこれは、政党の活動、選挙などにおきましてもはっきりその方向で行くべきだ、政党中心選挙が行なわれることが望ましいのだ、こういうような意味だと思います。そのためにもどういうような選挙制度がいいか。ある者は小選挙区がいいのだというようなことを言っておりますが、これは皆さんも反対だ、かように言われるから、これはしばらくおくといたしまして、今度は選挙制度がもっと自由であるべきものだという。しかし、これが自由であるためには、おそらく先ほど——今度はだいぶ緩和をいたしましたけれども、それにいたしましても、まだまだみんなが言っておられるような理想的な姿ではない、かように思います。しかし、おそらく自由であれば、きっと金はかかるだろうと思います。ここらにやはり国民政治意識の問題もある。だから、そういう点とも真剣に取り組まなければならない。だから、私が申し上げましたように、ある程度過渡的な措置をとることはやむを得ないのじゃないか。ここに問題があるように思います。だから私は、批判を受けながらもそういう点で現実を直していく、そういう方向でいこう、かように実は思っておる次第であります。
  59. 伏木和雄

    ○伏木委員 いまの総理の答弁によりますと、選挙制度審議会で、五年をめどにして個人あるいは党費に限ることを理想としておる。そのことは、総理自身理想でもあるような答弁だったと思います。しかし、今回の法案を見てみますと、現行法からその理想に近づくのではなくて、むしろ現行法よりその理想から遠のいていくということは、法人献金ワクの拡大であり、また税の優遇措置という面にこれがはっきりあらわれておる。したがって、私は、前回の政府案どころか、現行法よりもこれでは後退するのじゃないか、こういう危惧を抱くわけです。総理が言う理想に向かってということには、今回の法案がとうてい及ばない、一歩も前進していない、こう私は考えるわけですが……。
  60. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは見解の相違かわかりませんが、私は、とにかく現行法よりはよくなったと思います。たとえば、これは一つの例をとって申せば、ただいままで法人会費というものは、これは公開制でなかったけれども、今度はちゃんと原則として法人会費、これは野付とみなす。したがって、それを公開の原則に乗せる。これはもう前進に違いないのです。ただ、過渡的に三カ年間だけは現状のままでいこう。現状よりか、三年という期間はついておりますけれども、これは前進でございます。三年たてばこれは改正されるのです。これほどまではっきりしたものを後退と言うのはひどいですよ。もっとかけ足で改正しろとおっしゃれば、それはりっぱな理屈でございますが、これを後退とおっしゃると、これは私も一言なきを得ない、かように思います。
  61. 伏木和雄

    ○伏木委員 これは、私が言っておる大きな問題は、個人に限るという問題です。理想個人に限る。したがって、法人は優遇すべきではない。将来なくしていくべき法人優遇措置を講ずるべきではない。現状やむを得ない措置として若干の法人献金は認める。これはある程度やむを得ない。法人においても二千万円は認めているわけですから、その点ではやむを得ないけれども、将来縮小すべき、将来なくしていかなくてはならないその法人寄付に対して免税措置を大幅に見てきたという点は、これは明らかに後退である。  それからもう一つ、公開の問題をとらえても、私は、決して前進にはなっていないと思う。本来政治資金は、先ほどから何べんも答弁がありましたように、公開にして、明らかにしていく性格のものであって、この公開にするのに何ら猶予の期間を設けることは認めるべきではない。現行法によれば、政治献金届け出をすることになっております。しかし、今回の法案によりますと、会費は三年間は届けないでいいということを明確にしてしまった、これは明らかに後退であります。法律でもって明らかにこれを認めてしまうということは、これは現行法よりも後退している。本来政治資金は、金額の大小は別としても、いま即座に公開すべきものなんです。それに経過措置を置くということは一歩も前進していない、こう思います。
  62. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、その法人をどういうように扱うか、ただいま法人というものが、日本の社会制度のもとにおきましては、法人の無視はできません。ちょうどこれは組合というものを考えると同じように、組合、法人、こういうようなものはやはり現在の社会制度のもとにおいては無視ができない、かように私は思っておるのです。しかし、これもこれからだんだん進んでいくと、政党の場合においては法人考えることはやめろ、こういうところまで発展するかと思います。思いますが、皆さん方も大蔵委員会では、個人経営をやめて法人経営に移そうという、いろいろなことをやっておられることがあるのですから、そういうことなどを考えますと、やはり法人という仕組みは、今日の社会においては無視はできない、かように思います。しかし、政党の場合においては、この法人あるいは党費、みんな党費を払う、そういうので有料党員を獲得する、これは政党近代化から言えば当然のことだと思います。したがいまして、わが党におきましても、いわゆるこの会費を納めておるそういう党員の募集、非常に積極的に働いております。これはそういう方向にこれからいくと思います。これが選挙制度審議会のねらいでもあると思います。したがって私どもは、組織づくり、こういうことでは近代化の方向へ努力いたしております。  それから問題は、ただいまの状態では、法人会員というものがその法人の支払う党費、これは現行法では、一般党費はこれを明らかにする必要はないということでありますから、いわゆる届け出党費幾らという金額は出ますけれども、何の何何という法人が幾ら出しておる、そういうようなことはわからないのです。しかし、今度のたてまえでは、法人会費を出すという制度はやめよう、したがってそれを寄付ということにしよう、寄付と区別すべき何ものもない、これがそこで公開するということになります。しかし、いま直ちにというのは、それは無理だろう。だから、三年間ということでひとつその猶予期間を与えよう、こういうことであります。伏木君からは、猶予期間を与えるとは何事だというおしかりを受けました。これは私どもと伏木君との間の意見の相違でありますが、実際問題として猶予期間を与えることはやむを得ないのじゃないか。選挙制度審議会においても、党費並びに個人献金、これが理想の姿だから五年の間にひとつ近代化をはかれ、こう言って、これだって猶予期間を与えているでしょう。いま三年ですね。(「五年は違うよ」と呼ぶ者あり)その五年が違っておれば取り消しますが、とにかく選挙制度審議会答申では、これは理想の姿としてそういうものを考える。この近代化をはかれ、こういうことを言っている、かように思います。だから私は猶予期間をある程度与えておく、これでいいんじゃないか。そこに議論が集中されれば、まだまだこの案を審議していただけるものと私はたいへんしあわせに思います。どうかよろしくお願いいたします。
  63. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間がありませんから、答弁は短くお願いしたいと思います。  それはそのくらいにしておきまして、私は、政府の答弁の中で分相応ということばがしばしば出てくるのですが、分相応ということが政府ではわかってないのではないか、こう考えるわけです。ということは、前回の政府案のときも、法人の最高二千万円、最低五十万円、このときも私は個人に限るべきだと言ったときに、政治資金は分相応だ、それで最高二千万円、最低五十万円、こう言っておった。今回の政府案では十倍にもなった。大会社で大きいところでは二億以上献金できる、最低五十万円にしてしまった。こうはね上がって十倍になっておりながら、やはり分相応、全く分相応の見解なんというものは単なることばであって、これは自由民主党のふところぐあいが分相応じゃないか、こういうふうに思うのですが、分相応とは、一体何を根拠に分相応というか。となると、前回の政府説明があまりにもでたらめな分相応を出してきた、こういうことになると思います。
  64. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 資本金で会社の場合をいろいろ区別するわけですが、これはやはり、一億の資本金の会社も百億の会社も同じというわけにはいかぬだろう、そこらに分相応があるだろう。組合の場合だって、三十人の組合の場合と、あるいは百人あるいは一万人、こういうようなものが全然同一だ、こういうわけにはいかない。それはやはり、区別があるのがそれがいわゆる分相応だ。これは自民党、受けるほうの政党考え方じゃございません。だから、自民党は大きいから分相応にたくさん集める、社会党はそれより小さいからそう集めぬでもいい、こういうようなものじゃございません。これは納めるほうです。
  65. 伏木和雄

    ○伏木委員 次に伺いたい点は、冒頭に総理から伺った点です。国民の声に率直に耳を傾けるという御返事があったわけです。今回の政府案について、この政府案が一歩前進になる、あるいは現行法よりすぐれている、または今日の腐敗政治を浄化できる、けっこうだという世論がどこにおありか、そういうものをどこかで耳にしておるか。国民世論に耳を傾けるという総理のおことばですから、ひとつ今回の政府案を支持するような国民世論がどこにあったか、これをお答え願いたいと思います。
  66. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまのこの程度では政界の浄化は達せられない、こういう批判でございますが、この程度ではという、そういうところに実は問題があると思います。もっと浄化のためには積極的にもっときびしいものをやれ、こう言われるのが一つの国民的な要望かとも思いますけれども、それはやはり実情に合うという、そういうことを勘案していただきたい。私は、その御意見については敬意を表します。私は、これでもう事足れりというのではございません。今後とも不断の努力をする、かような立場でございますので、無視ではございません。
  67. 小泉純也

    小泉委員長 伏木君、時間が来ておりますから……。
  68. 伏木和雄

    ○伏木委員 それでは最後に申し上げておきたいことがありますが、掃除をするにも、きれいなかわいたぞうきんでふき掃除をすればきれいになりますが、よごれたぞうきんでふくと、かえってよごれていくものです。規正法自体があまりにも現状現状、よごれた現状をあまりにも深く追い過ぎて規正法をつくったのでは、かえってよごれていくもとになる、私はこう考えております。したがって、少なくとも答申に基づいた選挙法を出し直すか、あるいは三党の共同提案の成立を期するか、このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  69. 小泉純也

    小泉委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時十九分散会