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1968-05-08 第58回国会 衆議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月八日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君 理事 内海  清君       池田 清志君    浦野 幸男君       大野  明君    佐藤 孝行君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       阿部 昭吾君    井上 普方君       石川 次夫君    島上善五郎君       下平 正一君    福岡 義登君       渡辺 惣蔵君    吉田 之久君       北側 義一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設省計画局長 川島  博君         建設省河川局長 坂野 重信君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         自治省行政局振         興課長     遠藤 文夫君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)   進藤武左ヱ門君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月六日  委員葉梨信行君及び石川次夫辞任につき、そ  の補欠として大野明君及び高田富之君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員大野明辞任につき、その補欠として葉梨  信行君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員葉梨信行君及び小川新一郎辞任につき、  その補欠として大野明君及び北側義一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大野明辞任につき、その補欠として葉梨  信行君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員齋藤邦吉君、橋口隆君及び高田富之辞任  につき、その補欠として澁谷直藏君、大野明君  及び石川次夫君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 五月二日  国立市南地区道路改善に関する請願(小川新  一郎紹介)(第五〇四七号)  入間川等改修工事促進に関する請願(小宮山  重四郎君外一名紹介)(第五一一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  水資源開発公団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七二号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、水資源開発公団から総裁進藤武左ヱ門君に参考人として出席を願っております。  参考人の御意見は質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 このたび水資源公団法の一部改正になることにつきまして、私どもにどうも不可解な点が多々ございますので、一応お伺いいたしたいと存ずるのでございます。  愛知用水公団のいままでの経緯を実は私なりに調べてみますと、昭和何年でございましたか、いわゆる愛知用水のみをやった。その後豊川用水を、昭和三十六年でございましたか、取り入れた。さらにまた木曾総合計画、あるいはまた三重用水計画というようなものを愛知用水に取り入れてまいった。何ゆえにこのように当然違う地域であります豊川用水、あるいはまた三重用水、あるいは木曾総合というものを愛知用水公団に吸収してきたのか、この点ひとつお伺いいたしたいのでございます。
  4. 今泉一郎

    今泉政府委員 御承知のように、愛知用水公団愛知用水を手がけまして誕生いたしました。その後豊川用水事業も今春通水の運びになったわけでございますが、愛知用水公団はあの愛知地方水資源開発目的とした公団でございます。一方、水公団のほうも全国的に水資源開発目的としておる、そういう関係でございますから、この際、豊川用水事業の完了を待ちまして一本となりまして、全国的に統一的、効率的な水資源開発をやってまいる、そうすることがより一そう水資源開発事業の効果的な促進にいいのではないか、こういう考え方から、統合するのが妥当である、こういうような考え方に立ち至ったわけでございます。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 私そこでふしぎに思いますのは、愛知用水公団は、発足当時から農業用水主体といたしたものであったはずです。最初は、三十トンの水のうちで、一・八トンを工業用水に用いる、あるいは上水道にいたしましても一トンしか用いないというようなことであったはずでございます。ところが、それがだんだんと多くなりまして、昭和三十六年当時におきましては、工業用水に大体五トンぐらい使うことになった。現在では、愛知用水——もと愛知用水です。豊川用水も何も含まずに、愛知用水のみを見ますと、実に九トンに余るものを工業用水にとるようになっておると伺っておるのでございますが、この点いかがでございますか。もと愛知用水のみの用水使用量は、農業用水工業用水上水道用水の区分はいまどのように変わってまいっておりますか。
  6. 佐々木四郎

    佐々木説明員 愛知用水は、確かに、出発の当初計画いたしました農業以外の都市用水は、毎秒一・七トンという水量をきめましてスタートを切ったわけでございます。これが今日ではこの都市用水の量がかなりふえておりますが、その間、昭和三十九年に約三トンの水をさらに都市用水に回しました。それから今後の見通しでございますが、大体愛知県等のあの地域都市発展工業発展等から見通しまして、昭和五十年に約八トンぐらいの水がほしい、こういうことになっております。これに対しまして、農業のほうの関係は、当初三万ヘクタールというかんがい受益面積計画いたしましたが、たまたまあの地域におきまして、経済成長といいますか、産業の発展が急速に伸びまして、受益農耕地事情が急激に変化いたしまして、これだけの地域全部にこの農業用水がかかる、これはその地域農民農家、この人たちのそういう要望等もございまして、現在のところ、約一万五千ヘクタールというものが、これはもうほぼ変わらない数字として、愛知用水区域農業用水をまかなう対象の面積である、こういうふうにいたしております。  一方、そういう両方の事情がそういうふうに変化してきておりますので、愛知用水施設は、当初三十トンという水を流す断面の施設を持っておりますし、ダム、調整池等もそういう水量をまかなえるような施設になっておりますので、農業のほうで受益面積減少に伴う水の余剰水をそういう必要な工業用水に、すぐ近くにあるわけでございますので、回していく、こういう考えでいま申し上げたような変更をやってきたわけでございます。これは、いまお話がちょっとございましたが、農業用水のほうから無理に都市用水のほうに回しておるとか、そういう意思なり考えは毛頭ないのでございまして、あくまで、一方では、農業関係には土地改良区という法定の団体もございまして、その意向を十分聞きながら、それと連絡しながらそれらの地元意向をくみながらやってきておりますし、また、都市用水に転用する場合は、当然、愛知用水建設に投下した金なりそういうものを回収し、適切なる工業用水単価もとにいたしまして資金を回収しておる、こういう事情でございまして、農業のほうが結果的には、地域の特性もございまして減ってきておりますけれども、無理してこれを減らしておるということじゃございません。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 いまのお話でございますと、三万ヘクタールの農地が一万五千ヘクタールに変わるために農業用水が余ってくるので、都市用水のほうに使う、こういうお話でございますが、当初よりそのようなおそれが多分にあったのじゃないか、私どもにはそのように考えられるのでございます。   〔委員長退席渡辺(栄)委員長代理着席〕  特にここでお尋ねいたしたいのは、それではいままでの地元負担金が、三万ヘクタールから一万五千ヘクタールに減ったのでございますから、未収金がかなりあるだろうと思いますが、その額は一体幾らあるのか。おそらくばく大なる額になったと存ずるのでございますが、その責任は一体どうされるのか。かつ、今後その未収額をいかにして完全に徴収していく計画がおありなのか。それについて、いままでの未収額水資源にそのまま渡した場合に、水資源はこれをどのようにして解消していくおつもりなのか、計画性があるのか、その点ひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  8. 佐々木四郎

    佐々木説明員 愛知用水は三十七年から徴収の時期に入りまして、数年間に、まことに不成績でございまして、未収金がたまっておるわけでございます。過去のこの間の事情はいろいろございますけれども、今日どういうふうになっておるかということだけは申し上げておくことが必要だと思います。  実はここ二、三年来特に私どものほうでも強くこれに対しましていろいろ接触いたしまして、当初の農民負担農民が出さなければならない額の範囲内であくまで正規賦課をしてもらうという線を出しまして、今日の段階では、昭和四十二年度ごろからほぼその線が了承といいますか、地元人たちの納得の線も出てまいりまして、ことしごろからは大体正規賦課額軌道に乗っておるわけでございます。   〔渡辺(栄)委員長代理退席委員長着席〕  これはなぜそうなったかと申しますれば、先ほど申しましたように、つまり受益面積減少部分というのは受益区域からはずれるために、農民負担金は入らないことになります。その部分につきましては都市用水から入ってくるものでまかない、残っておる受益面積、つまり、今後愛知用水の水を使う農家、この方々は、当初の計画に近い、ほぼそれと同じ額を負担金として出す、そういたしますと愛知用水が初めに計画いたしました資金計画がほぼまかなえる、こういうことでございまして、先ほど申し上げましたような都市用水水量をそちらのほうでまかなうことによって、負担金徴収減分収入として入ってくる、そういうことがほぼ計算ができますので、そういう点地元のほうでもよくわかりまして、大体いまのところではほぼ正規軌道に乗りつつある。したがいまして、今年の秋に統合した場合、おそらく、いまの段階では、統合後はそういう正規負担土地改良農民のほうとも話し合いがつきまして、そして規定どおり徴収軌道に乗っていく、こういう見通しでやっておるわけでございます。
  9. 今泉一郎

    今泉政府委員 ただいま農林省からお話がございましたように、いわゆる負担金問題、あるいは農水の工水への転用問題というようなものは、ただいまのお話のような状況で着々と地元方々との話も進んでおるわけでございます。引き継ぐまでには、そういう方針でほぼ解決見通しを得た上でお引き継ぎをいただけるもの、こう思っておりまして、私どもは、引き継ぎましたならば、さような同じ方針をもちましてこれを実行し、円滑にこれを処理してまいりたい、かように存じております。
  10. 井上普方

    井上(普)委員 私がお伺いしておるのは、一体未収額はどれだけあるのか、それに対して徴収した額がどれだけで、それについて今度どういうような方針で進んでいくんだ、こういうことをお伺いしたのでございますが、御答弁はまことに抽象的なお話ばかりです。どうも私に納得いかないので、具体的に未収額収入額、それからそれに対してどういうような方法で取っていくんだという方法をひとつお示し願いたいと思います。
  11. 佐々木四郎

    佐々木説明員 愛知用水収入として見込まれますのは、農民賦課金のほかに、水道とか電気とか、そういうものもございますが、農民負担金についてだけ申し上げますと、四十二年末現在で、未収費として残りますのが、元本で約三十一億ございます。これに未収の利息が約十三億ばかりありますが、元本でいきますと、三十一億ございます。いままでに入ってきておりますのが、四十二年末で四億八千八百万円ございます。これは、先ほど申し上げましたように、ごく最近の二年くらい前ごろからぼつぼつ入りかけたのが、最近特によく入ってきておるのでありますが、実はそれまではほとんどこれがゼロに近かったということでございます。残りました三十一億というものは、今後正規償還年限等におっかぶせまして、先ほど申し上げました都市用水のほうからの収入増もございますから、この三十一億というものを今後十数年間にわたりまして回収していく、こういうことでございます。
  12. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、元金と利子と含めまして四十四億未収金があるのです。そして収入額がわずかに五億足らずなんです。こういう経営がいままでなされてきておるわけなんです。したがって、今後私どもがおそれるのは、当初の目的である、すなわち農業用水に使われるよりも、むしろ工業用水のほうに——水資源に移ったならば、愛知用水の水は必ずや工業用水のほうに回される可能性がある、このほうに優先的に回されるように考えられるのでございます。しかも愛知用水は、いままでじっくりとあの地方に根を据えて、農家土地改良区と十分に話し合いが進みながらやってきた公団でございます。これがいきなり水資源に転嫁いたしましてこの未収額を取り得ることは、まず団体が全然違うのでございますから、そういうことは不可能に近いと思うのでございますが、大臣、いかがでございますか、この点どういうようにお考えになりますか。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろ理由はあったのであろうと思いますけれども、ずいぶん大きな未収金を持っておるわけで、あまり感心したことではないと思っております。しかしながら、これを水資源公団に引き継ぎますといいましても、やはり過去にこういういきさつがあって受益面積が減ってきたというのでございましょうから、今度主体が変わったからといって、急にこれをぎりぎり徴収するといったようなことはできるものでもございません。御指摘のように世の中が変わっていきまして、ことにあの地方先進地域でございますから、やはり地域経済の変貌というようなことが現実にあったわけでございますから、いままでの愛知用水公団のやってきました地元との折衝なりその結果なり、これから改めていこうという気持ちは私ございません。もちろん、農業用水に必要なものを削って工水に向けるなんという気持ちもさらさらございませんで、土地経済事情農業用水が要らなくなる、その部分は、それはその他の用途に向けるということはもう当然だと思いますけれども農業用水を削り込んでいこうというような気持ちは全然ございません。  それから、この未収金の問題につきましても、いままで農林省の指導のもと徴収の方式なりその金額なりというものはある程度めどがついてきたようでございますから、それをそのまま受け継いで尊重していくということ以外になかろう、それが結局一番いい方法ではないか、こう思っております。
  14. 井上普方

    井上(普)委員 収入額がわずか五億に足らない。未収額は四十四億にのぼる。しかもこれはいままで現地で土地改良区と十分に接触しておった愛知用水公団ですらこうなんです。ましていわんや、これが水資源になった場合に、はたしてこの未収額を取れるかという点につきまして、私は大きい疑問を持たざるを得ない。しかも大臣、これはこういうことなんですよ。いままでの土地改良区が、このたび愛知用水から水資源公団に移った場合には、各農家改良区に加わっておる人たち賛成を三分の二以上とらなければ移れないんですよ。そういう地元との折衝過程においてむずかしい問題が私はあると思うのです。受益面積が減ってきたと大臣おっしゃいますけれども受益面積はあまり減ってないのです。ただ、水の単価が高いために減ったのじゃなかろうか、これは私の想像でございますが、そう思うのです。おそらく、あの付近でございましたならば、一反歩当たり四千円近くあるいはそれ以上、幹線についての田まで引く水になりますと、まだそれよりも高くなりましょう。そういうような問題があるから未収金が多くなっているのだと私は思うのです。まして、農民の三分の二以上の賛成を得なければ水資源に移ることは不可能でしょう、現在の法律からいいましたら、そういうことになりますと、未収額というものはますます大きくなってくるのじゃないか。それをまたカバーするためにおそらく都市用水のほうにこれが転嫁されていく可能性が多いのじゃないか。ために、農業用水というものは採算面の上においてずんずん圧縮されていく可能性があると私は思うのです。これらのことについて一体どこで歯どめするのか。農業用水は要るだけは十分に出します、こうおっしゃられたところで、やはり企業採算ベースからいきますと、どうしましても都市用水のほうに売り込もうというような意図が露骨にあらわれてくるのじゃないか。ここらの歯どめを一体どうするのか、この点をひとつお伺いいたしたいと思うのです。
  15. 佐々木四郎

    佐々木説明員 ただいまの御質問の内容に私どものほうのいろいろの事務上の問題もございますので、ちょっとお答え申し上げておきますが、まず第一点は、愛知用水を今度合併することによりまして土地改良区の同意が要るのじゃないかというお話でございます。今回の合併に伴います措置は、愛知用水公団権利義務を一切水資源公団のほうに引き継ぐということになっておりますので、愛知用水土地改良区の同意法律的に、事務的に進めなければならぬということにはなっておらないわけでございます。つまり、愛知用水土地改良区と愛知用水公団が従来結んでおりました、持っております権利義務はそのままそっくり水資源公団に移るという、こういうたてまえでございます。  その次は、愛知用水受益地域受益農家農民負担の問題は、ただいま四千円とおっしゃいましたが、たぶんこれは愛知用水の一番初めの計画考えておりますときに三千八百とかいうような数字もあったかと思いますが、現在、先ほど申し上げましたようないろいろないきさつがその後起こってきておりますので、反当の毎年の賦課額というものは二千数百円程度になるかと思います。かなりこれは変わってきております。   〔委員長退席渡辺(栄)委員長代理着席〕 この点についてはよく土地改良区のほうにも浸透しておると思いますので、先ほど来申し上げましたように、この徴収の残額というものは、数字的にはかなり大きく出ておりまして、たいへんな数字のように見えますけれども、実は徴収済み額のほうもここ一、二年の間に入ってきた額が大部分でございますので、この最近の徴収の傾向を今後続けていきますならば、先ほど申し上げましたようなことでほぼ今後十数年の間にこの回収はできる、こういう見通しを持っているわけであります。
  16. 井上普方

    井上(普)委員 いまあなたのお話しを聞いておりますと、後楽園のマジックにかかったようなお話しでございます。後楽園でいま世界魔法団をやっておるようなんですが、それに類したようなお話しである。当初は反当三千八百円、現在では二千三、四百円に反当賦課額が変わっておる、こうおっしゃる。しかし、未納額が三十一億で、金利が十三億も加わっているのですよ。そうしてあなたのおっしゃるように、農家の水に対してはこれは十分にやります、こうおっしゃる。一体それでは三千八百円から二千四百円まで反当の賦課額がどうして下がるのですか。片一方においては、農業用水には十分やるんだと言っておる。片一方においては、未収が三十一億で、金利が十三億も加わってきておる。しかも、いままで入ってきておるのはわずかに五億に足らない。金利もどんどん上がってこなければいけない。ところが、三千八百円から二千四百円に反当の賦課額が下がってくる。こう申しますと、この点、何といいますか、魔術以外に解決方法がないでしょう。あるいは償還期限を長く延ばしたのですか。どうなんでございますか。
  17. 佐々木四郎

    佐々木説明員 いまの点は説明不十分でございまして、おわかりにくかったのはたいへん申しわけないのでございますが、実はあの愛知用水建設に対する負担金徴収方法というのは、年賦償還額償還期間に全部ならして勘定する場合と、それから前期半分は高くして、後期半分は安くするというような方法もございますので、先生が先ほどおっしゃいましたのは、たぶん、最初の何年間か、前期半分くらいは高い段階金額ではなかったかと思います。私が申し上げておるのは、全期間平均いたしました場合に二千数百円程度になるはずだと申し上げております。それで、それをどういうふうに今後徴収していくか。まあ年平均ならして同額ずつ取っていくということになりますれば、いま申し上げたように二千数百円程度になって、結果的にそれではもしそれを前期後期と分ければどれくらいになるかということは、私いまここで計算を持っておりませんが、そういうことが一つございますのと、それから国営事業等におきましては、先ほど申し上げました、全部ならしますと平均二千六百三十一円になります。それから国営事業償還期間等が、この愛知用水の当初のそういうものをきめたときと今日では変わってきておりまして、国営事業では、当初十年間であったのが、今日では十五年間まで償還期間を延ばすことになっております。そういうこともこれに影響しておりますし、さらにまた、都市用水に対する転用がございましたために、それに伴いまして愛知県当局がかなりこれに対しましてはいろいろ援助をしておる、そういうことから、農民負担金がなるべくふえないように、そういうことをいま申し上げたようにいろいろな手を打ってきておりますので、先ほど申し上げた数字からいたしますと、一見たいへん矛盾したようなふうにお受け取りになって、たいへん恐縮でございますけれども、そういう事情がございますので、いま申し上げましたように負担金が二千数百円程度で済むはずである、こう申し上げておるわけであります。
  18. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私には、反当三千八百円から二千六百円ですか、下がった理由が納得できません。と申しますのは、先ほど来申しますように、金利はどんどん——償還期間を五年延長したとおっしゃいますけれども、そういうことは当初からある程度予想がついたはずです。さらにはまた、この収入がわずかに五億足らずですよ。こういうような状況から考えまして、さらにはまた、いま地元におきましては、愛知用水水資源に移管することに反対の声が農民の間からかなり起こっておることは御存じでしょう。こういうようなことから考えますと、水資源に移す場合には、これは土地改良区の三分の二以上の同意を必要とします。あなたは、いままでの権利義務をそのまま移すのだから心配ない、こうおっしゃいますけれども地元農民においては水資源に移ることについては反対の声が上がっておる。その中において三分の二の同意を得なければならぬということになりますと、かなりむずかしいと思うのでございますが、この点いかがでございますか。
  19. 佐々木四郎

    佐々木説明員 愛知用水土地改良区の間に今回の統合合併反対であるという声を私どものほうは受け取っておりませんが、問題は、実質的に愛知用水土地改良区が従来やってきておること、それから今後いろいろ約束されておること、水の管理、配分、それからいまの使用の問題、これらのことが従来の経緯等をそのまま受け継がれていかれるならば、統合されたといたしましても、愛知用水管理というものは従来のとおりにやる方法をとっております。愛知用水の水の管理施設管理というものは従来どおりの方式をとっていくことにしておりますので、その点については、土地改良区も農民農家団体の方も十分知っておるはずでございまして、合併することによって自分たちが何か影響を受けるとか何とかいうことはあり得ない、こういうふうに考えております。
  20. 井上普方

    井上(普)委員 あなたのおっしゃるのはあくまでも推測であって、現地においてすでに農家から反対の声が上がっておるのです。その中において三分の二の同意を得なければいかぬという、これは並みたいていのことじゃないと思うのです。この点、まだ未収額がさらに大きくなるのではなかろうかと私は憂うると同時に、ためにこれが都市用水のほうに転嫁せられるおそれがある、こういうことを私は憂えるのでございますが、一体どこで歯どめをするのか。農民土地改良区がほしいだけの水は十分に流すということはここで確約できますか、いかがでございますか。
  21. 佐々木四郎

    佐々木説明員 それはもう十分確約できます。先ほど申し上げましたように、将来の見通しといたしましては、長期で八トンの水は分けられる。また農業用水のほうも支障ない。やはり愛知用水事業目的からいたしまして、知多半島、あの辺の農業の水というのが一番主体でございましたために、愛知用水土地改良区の同意なり何なりなしにこういう問題が解決できるとは私どもも思っておりません。
  22. 井上普方

    井上(普)委員 その点はまずおきまして、続きまして、私はまことにしろうとでわからない点がございますので、ひとつお伺いいたしたいのでございます。  愛知用水公団方式、あるいはまた水資源開発公団方式、あるいは国営土地改良事業方式というような方式がいままでの土地改良事業に行なわれておるわけでございますが、これの特徴、長所と欠点を、あなた方のお知りになっているところをひとつお示し願いたいと存ずるのでございます。
  23. 今泉一郎

    今泉政府委員 愛知公団でやっておりました事業のやり方と、水資源開発公団でやっております事業のやり方とをいろいろ比較してみますと、その考え方、思想というものはこれは同じなわけでございますが、若干の点について相違がございます。それは、一つは、事業の業務の範囲と申しますか、水資源公団におきましては、従来、農業関係のみならず、各種の利水事業もやっておるわけでございまするが、農業に関しましては、国営級のものを主としてやっておった、こういうことになっております。それに対しまして、愛知公団のほうでは、先生もつとに御承知のように、いわゆる愛知公団方式というのをやっておりまして、県営クラスのもの、あるいはさらに末端の団体のものまで、いわゆる細いと申しますか、小さい末端の水路まで一貫してやっておった、こういうふうなことになっておる。この点が一つの相違といえば相違です。それからもう一つは、都市用水関係についての資金調達につきまして若干の相違がある、こういうことだと思います。  第一点につきましては、今回の合併に際しまして話が出まして、四十三年度の予算を組みます際にも、なるべくそういう差は解消していったほうがいいのじゃないか、ことに、新しく木曾用水事業をやる、あるいは三重用水事業をやるという際に、従来の愛知公団愛知用水事業あるいは豊川用水事業というものをやってこられたのとあまり大きな懸隔があっては、これは必ずしも適当じゃない。いろいろな事業はございますが、できるだけ同じような実施方式をとりたいものであるという考え方で、県営クラスまでは予算上もさしあたり従来どおり愛知公団のほうにやっていこう、こういうことをやっておるわけであります。  なお、土地改良法と、いわゆる公団でやる事業との関係につきましては、法律上も実際上も非常に種々複雑でございますが、実態的には、国庫の補助等、そういう利点と申しますか、便宜と申しますか、そういう点につきましては、公団がやります際にも、土地改良法に基づいて国その他の者、愛知公団がやります際にも、国庫補助率等については特段の差はない、こういうふうに心得ているわけでございます。
  24. 井上普方

    井上(普)委員 それで、このたび水資源公団に移管統合した場合、一体農業サイドから見た場合にどのようなメリットがあるのか、この点をひとつお示し願いたいと思います。
  25. 佐々木四郎

    佐々木説明員 水資源公団発足以来、各地で農業関係事業を進めてきておりますが、公団事業になりました場合は、まず第一に、何といいましても資金手当てが大幅によくなる。それから、他の農業以外の用水等もあわせてやっていくという性格のものが強いわけでありますが、この場合に、水資源公団は一括してこれらの資金手当てをやっておりますので、仕事を進めてまいる場合に非常に円滑に工事を進めることができる。実は愛知用水のほうでもそういうことは可能なようになっておりましたけれども、先ほど企画庁のほうからも御説明がありましたように、ほぼ同一目的を持っておりますものでございまして、実質的に両公団の内容的なやり方というものは非常によく似通っておりますので、木曾川水系につきましてもこういう水資源公団方式を適用してやるということは、あの予定されております事業の性格からいいましてたいへんふさわしいものではないか、こういうふうに考えております。
  26. 井上普方

    井上(普)委員 どうもお役人さんは、何といいますか、出したら、その場のがれの御答弁が多いのでありまして、いまになれば、これがいいのだ、こういうお話でございますけれども、これは何じゃございませんか、いままで愛知用水公団は、国営の土地改良事業、県営土地改良事業あるいは末端の団体営の土地改良事業までやってきた。ところが、水資源のやり方というのは、これは国営土地改良のみのことを主体にしていままでやってきていると思うのでありますが、これはどうでありますか。
  27. 今泉一郎

    今泉政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう点につきまして、今度合併後に新規に木曾川の用水事業三重用水事業をやります際には、何と申しますか、例外として一貫施工の精神を生かしていきたいということで考えておるわけです。これは先ほど申し上げましたとおりであります。
  28. 井上普方

    井上(普)委員 ただいまのお話でございますけれども、確かにいままでの水資源のやり方と、今度合併統合したときとは、やり方が現実に違ってきている。私のほうの吉野川も水資源がやっておられますけれども愛知用水統合した姿と大いに違っているわけです。そしてまた、今度木曾川水系の総合基本計画というものはまだ立てられていないはずです。いかがですか。   〔渡辺(栄)委員長代理退席委員長着席
  29. 今泉一郎

    今泉政府委員 木曾川の基本計画は、ただいま関係省並びに地元方々と鋭意詰めている段階であります。もちろん、われわれとしての関係の役所としての一応のプランは相当詳しいものを持っているわけです。この案につきまして、地元各県の方々、また各種の利害関係方々といま十分お打ち合わせ中で、なるべく早くでかしまして、今後の事業実施に支障のないようにいたしたい、こう考えております。
  30. 井上普方

    井上(普)委員 いままでの水資源のやり方といいますものは、基本計画が策定され、そして各関係の府県との協議もととのった上で水資源がやってくる、これが水資源のやり方であるし、法的にもそうきまっておると思うのです。ところが、このたびの木曾川水系の基本計画はまだできていない、煮詰まっていない、その段階において統合をやるということは、法的にも疑義があるし、また、これが先行して、地元関係府県に対し、あるいは町村に対して、あるいはまた土地改良区に対して、圧力になるおそれがある、このように思うのですが、いかがでございますか。
  31. 今泉一郎

    今泉政府委員 先生仰せのように、法律の規定あるいは理論からは、そのとおり、基本計画を立てまして、それに従って実行する、これは当然でございます。ただ、従来の水資源開発の実情は、これも御承知のとおりでございますが、国営でございましょうが、公団営でございましょうが、青写真の一応の調査作成と地元方々とのお話し合いというのが総合関連しながら進んでまいる、そして円滑に実行するに至る、こういうのが実情じゃないかと思います。少なくとも、私どもは、この計画作成の段階を通しまして、いわゆる先生御懸念のような圧力というふうなことは毛頭ないように、そのためにいま十分なるお話し合いを持っているわけでございます。
  32. 井上普方

    井上(普)委員 この木曾川水系の基本計画ができていないさなかにおきまして、木曾の用水事業というものを水資源が組み入れる、あるいは三重の用水計画を組み入れるということにつきまして、大きい問題がある、私はこのように指摘いたしたいと存ずるのであります。これは法的にもおかしいところがあるし、かつまた、地元に対しての十分な納得もまだとれていない段階において移管するというのは、私どうも納得いたしかねるところであります。ただいまの御説明によりますと、水資源公団は多く事業をかかえておるわけでございますけれども、そのうちで木曾総合三重用水の両事業愛知公団方式並みに一貫した施工をやられる、こうおっしゃられておるわけです。一貫施工が有利なのでございましたならば、当然、水資源がやられる今後の計画におきましてもすべて一貫した施工をやられるのがいいのじゃないか、このように思うのでございますが、どうでございますか。やる御意思があるのですか、ないのですか。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 結局、地元では、仕事はしてもらいたい、しかし、なるべく負担はしたくない、こういうことなんでございますから——どこでもそうでございます。そこで、いままでの水資源のやり方と愛知用水公団のやり方と比べましたら、水資源のやり方のほうが、言ってみれば、少し条件が辛いと申しますか、きついわけです。今度の場合、いまの木曾と三重でございますが、主体がかわったからといってお家の風を押しつけるということは、やはり、先ほどから御指摘のように、いろいろ地元に不安もあるでございましょうし、隣で愛知なり豊川なりのほうをやったのを見ておられますから、無理に水資源のほうの家風を押しつけるというのはよくないだろう、地元に不安を与えるでありましょうし、いきさつもありますから、これに限っては妥協をしよう、いままでの愛知用水公団のお家の風を受け継いでいこうということでございます。先ほどの例の未収金の問題についてもそうだと思うのでございます。ですから、これに限ってひとつそういう妥協をしよう、こういう気持ちでございます。
  34. 井上普方

    井上(普)委員 妥協してやっていこう、そうして農民負担を少なくしよう、こういう話でございますけれども、それでございましたならば、全国に行なわれております水資源土地改良事業というものも当然そういう要求が出てくると思うのです。それに対してはどうでございますか。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこを実は、これに限ってと、裏から申し上げたつもりなんでございますが、この場合も本来ならば辛くやるのが、水資源のほうから申せば、筋道でございましょうけれども、そう急にいままでのいきさつを無視することもいかがかと思われますので、これに限定してひとつ従来の愛知用水公団のほうの家風を受け継いでいこう、こういうことでございます。
  36. 井上普方

    井上(普)委員 農林省にお伺いしますが、たくさん国営の土地改良事業が行なわれております。ところが、豊川用水愛知用水に吸収せられてしまう、あるいはまた印旛沼の干拓事業水資源のほうに吸収せられてしまう、八郎潟も事業団に吸収せられてしまうというようなことで、この吸収につきまして過去三回とも現地における労働組合とかなりトラブルを起こしておるように聞いておるのでございます。今回の水資源統合する場合には、このトラブルが起こらないような処置をあなた方はおとりになったのか、また今後どういうような方向で進められるおつもりなのか、その点ひとつ伺いたいのであります。
  37. 佐々木四郎

    佐々木説明員 確かに、過去におきまして、ただいまおあげになったような事例では、公団事業のほうに移す場合いろいろ問題がありました。ただ、私どもといたしましては、それに該当する印旛とか、あるいは豊川とか——八郎潟はちょっと事情が違いますが、そういう事業をなるべく早く完成させまして事業目的の効果を早期に出さないと、これに関係する人々、特に農家、そういう方々の期待にこたえられませんので、事業促進ということを思うあまり、それに従事される職員の方々、それらの人たちの条件はなるべく有利にこれを持っていきましてやってきたつもりでございます。国営事業でやっておりますものを承継してやっていくというやり方につきましては、私どもとしましては、できる限り、原則として、途中から国営事業公団事業でやるということはあまり好ましくない。やはり最初から公団事業でいくなら公団事業国営事業でいくなら国営事業というふうにいたしませんと、従事する職員の人たちの不安もございましょうし、その希望によってその職場についておられることでもありましょうから、なるべくそういう方向をとっていきたい。ただ、個々の事例では、たとえば今回のようにいろいろその場所場所によって特別な事情がございますので、そういう場合には、将来そういうことはあり得るというようなことも考えながら進めていかなければならぬ、そういうことを気をつけて、今後国営事業あるいは公団事業というものの区別をはっきりしていきたい。この両事業の振り分けといいますか、基準と申しますか、そういうものは、先ほど水資源局長がお話しになったとおり、国営事業のほうは、土地改良法に基づきまして土地改良長期計画にのっけられておる仕事を今後年次的に計画的に進めていくということははっきりきめております。一方、水資源公団事業になるものにつきましては、別途の水資源開発二法と称する法律の規定に基づきまして進めることになっておりますが、水資源開発公団事業といえども農業用水がかなりこれに関係いたしますので、農業の側といたしましては、やはり水資源開発公団事業のほうにも他の利水目的と一緒になってやっていく場合にはこれと一緒になってやらざるを得ない、こういうことでございます。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 最初の御答弁はなかなかすっきりしておったのですが、途中からどうもふにゃふにゃになってしまって、何ですが、結局、それじゃ、土地改良十カ年計画にのっておる事業につきましては、これは国営で土地改良事業で行なっていくんだ、こう考えてよろしゅうございますか。
  39. 佐々木四郎

    佐々木説明員 土地改良長期計画の中に盛り込まれておりますものは、今後十カ年——と申しますのは、昭和四十年から十カ年でございますが、これはきわめて大ざっぱな概略のものでございます。この中で三千ヘクタール以上の国営資格を持っておるものは一応国営事業として将来この期間内にやろう、こういうかまえでございますが、これを一つ一つ具体的にやっていく場合に、先ほど申し上げました水資源開発二法の法律目的にぴたりと合致し、そうしてそちらのほうでやっていいというものがかりに含まれることになった場合に、私どもは必ずしもそういう仕事が多いとは思っておりませんが、中にはそういうものも出てくるであろう、そういうものが出てきた場合には、先ほどのようないろいろな手続はもちろん踏みますけれども水資源開発公団事業としてやる場合もあり得る、こういうことでございます。
  40. 井上普方

    井上(普)委員 それじゃもう一点念を押して聞きますけれども、このたびのようにあるいは国営土地改良事業公団に移管されるということは今後やらないように努力するということはお約束できますか、どうでございます。
  41. 佐々木四郎

    佐々木説明員 なるべくそういう方向で努力いたします。
  42. 井上普方

    井上(普)委員 それから豊川用水、あるいはまた愛知用水、あるいは木曾総合三重用水というようなものが全部水資源になってまいりますと、東海地方における土地改良事業というものが非常に少なくなってくるわけです。その国営の事業量を、現在はやられておりますけれども、これを移管しないというお約束はできますか、どうでございます。
  43. 佐々木四郎

    佐々木説明員 現在の段階で、東海地域木曾総合三重用水の今回の公団事業の移管以外に将来あの地域公団に移す考えはございません。また、国営事業はさらにいろいろな計画もございまして、これらの計画は実を結ぶのがどういうふうになっていくのかはまだ予測はできませんけれども、私どもといたしましては、あの地域に特に国営事業が他と比して少なくなっておるとか、今後なるんだというふうに、はっきり申し上げるようなものではないと思っております。
  44. 井上普方

    井上(普)委員 東海地方は、都市開発が非常にメガロポリスで行なわれておることは存じておりますけれども、あの地方におきましても、まだまだ残された農地土地改良というところがたくさんあると私どもには考えられるわけでございます。これらに対して十分に土地改良を行なっていく、いわゆる国土の均衡ある発展ということには、都市近郊において農地を確保するということも重大な使命であると思うのです。そういう意味合いにおきまして、特に東海地域におきましては、国営の土地改良事業が現在よりも少なくならないように極力御努力願いたいということを希望しておきたいと存ずるのでございます。  続きまして、私、水資源公団にお伺いするのでございますが、現在の水資源公団は五大水系ばかりに限局して今後も事業を進めるおつもりなのかどうか、この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  45. 今泉一郎

    今泉政府委員 水資源公団は現在五大水系について仕事をやっておるわけでございますが、法律上もそれに限定されることにはなっておりません。また、将来の水需給あるいは水資源開発の必要性を考えますれば、五大水系に限定されるというのは必ずしも適当ではないのじゃないか。全体として日本全国についてやはり緊急なところから適時手をつけていくというふうにしなければ、将来の水需要に応じていくということに差しつかえがあるのではなかろうか、かように存じております。
  46. 井上普方

    井上(普)委員 私の地元におきましても、水資源が吉野川総合開発をやられておるわけでございます。その点につきましては、私、個人的には大いに異論のあるところであったのであります。しかし、一応関係各県の同意も得てやられつつあるのでございますけれども、先般水資源公団が香川用水をつくって、池田ダムをつくり、香川県に農業用水工業用水を分水するという計画が出された。ところが、一体それじゃ農林省計画しております吉野川の北岸用水、これにつきましてどうなんだということになりますと、実は勾配が足らなくて水が下に流れない、あるいはポンプアップしなければならない、こういう問題が起こりました。それで、地元におきましては、これを一メートル五十ないし二メートル上げてくれという陳情に農林省あるいは建設省に参ったようでございますが、その際の農林省当局あるいは建設省当局のいわくには、香川用水につきましては十分な調査ができておるのだ、ところが、吉野川に最も関係のある北岸用水については、調査が不十分なために、いままでの二十メートルでしんぼうしてほしいというようなお話に承っておるのでございますが、これはどうなんでございますか。
  47. 佐々木四郎

    佐々木説明員 徳島県の北岸用水が調査不十分だということを申しましたのは事実でございまして、実はあの種の大きな土地改良事業を始める場合には、事前に相当の年月を費やしてかなり綿密な調査をやりまして、計画をつくりまして、さらにそれがまた着工する段階までにはかなり日にちを要するというのが従来のやり方になっております。北岸用水、つまり吉野川下流地域の水の関係と申しますのは、御承知と思いますけれども、早明浦ダムの建設時点では十分徳島関係の水源、量等を見込んであるはずでございますが、個々の徳島県のどこの場所をどういうふうに農業開発を進めていくか、この問題はいろいろむずかしいこともありまして、北岸用水そのものは、実はいま申し上げました手続、つまりかなり長い年月をかけて調査をするためには、農林省から直轄調査費というものを出しますが、そういう予算をつけまして調査を進めていくわけでございますけれども、その調査費もまだ計上されてない。これは御承知のように、土地改良法の手続によりまして、地元の申請によって進めてまいる関係もございますから、地元、県等から農政局を通じまして申請がまいりますならば、当然私どものほうで必要な調査費を要求し、計上し、調査を進めていくという段取りをつけるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘になった池田ダムの問題は、一応そういう計画が出てまいりましたために、検討を加えまして、こまかい綿密な調査、計画はまだでき上がってはおりませんけれども、若干ダムアップいたしましてやらなくてもあの計画経済的に効率的にやれるという見通しを私どもは持っております。御承知のとおり非常に細長い地域でございまして、比較的傾斜地でございますから、計画を立てることはたいへん複雑でございますし、むずかしいのでございますけれども、必ずしもそういうことをやらなくても、全地域にみなポンプで揚げなければならないとか、そういうことには絶対ならない、そういう見通しを持っておりますので、これは調査しなければわからぬじゃないかと言われればそうなんでございますけれども、およそ私どもの常識からしてそういう見通しがございますので、池田ダムを特にこの際上げなくてもいいというふうに考えております。
  48. 井上普方

    井上(普)委員 あなた方は、吉野川と何ら関係のない香川県の用水につきましては、農地につきましては十分御調査になっておる。吉野川と直接関係のある北岸の流域については御研究になってない。そうしてあなたはいま、二十メートルのダムであまり費用はかからない、このダムかさ上げをやらないと言いますけれども、必ずそこにはポンプアップの施設が要るはずです。あるいはまた、あそこに阿波用水という大きい用水がありますが、この用水を一メートル五十下げれば、そうしたらこの用水関係解決するのだというような御答弁、お話と私は承った。用水全体にわたり末端にまで一メートル五十下げるには、ばく大な費用が土地改良区の団体にはかかってくる。こういうことをお考えにならずに、なぜ——ダムを一メートル五十ないし二メートル上げることによる水没家屋は全然ないのです。お考えを改めるお気持ちはございませんか。と申しますのは、吉野川の水というものによってあの流域の農民は何百年来苦しめられておる、と同時に、利益を受けてきたのです。その水を、早明浦をつくり、そうして何ら関係のない香川県に分水するのです。持っていくのです。片一方のほうにはいままで十分調査し、たっぷりした水を与える。片方、流れておる吉野川の流域農民にいたしますと、この水をとるのにダムをわずか一メートル五十ないし二メートルかさ上げしてくれれば、この用水の水路を一メートル五十下げなくても、あるいはポンプアップしなくても済むじゃないかというような、県民感情としましては、あるいは流域農民の感情としてはまことに割り切れないものがあるために、御承知でございましょう、いま池田ダムの建設につきましては、水資源のほうから徳島県議会に対しまして、同意書を出せ、同意をくれいということを出しておるはずです。ところが、このことが解決されぬ限りは、議会においてはこれを同意するのをやめるのだというようなことすらいわれておるわけです。で、最も関係の深い、しかもいままでこれによって利益を受けると同時に被害も受けてきたこの流域住民にとっては、これは流域住民のまず利益を考えるという立場でなければならないと思います。そしてその水があがるならば、国土開発的な意味合いから他のほうに分水するということも、私はこれは可能であろうと思います。しかし、たちまちの問題としまして、流域農民が大きい被害をこうむるというこの事業については、これは感情といたしましてもまた割り切れないものがあるのは当然だと思うのです。水資源といたしましてはどういうようなお考え方で進まれるのか、お聞かせを願いたいと思うのでございます。
  49. 今泉一郎

    今泉政府委員 先生御指摘のように、この法律に基づきまして吉野川の水資源開発基本計画を修正するために、徳島県に御照会申し上げて、まだお返事はいただいておらないような状況でございます。私は、この吉野川の水を利用しまするにつきましては、もちろん、この四国全体のためを考えますとともに、地元の沿岸住民について直接この水を利用しておられた方々のお立場を十分尊重すべきことは、これは論をまたないことであると思います。したがいまして、このいわゆる北岸用水の問題を含めて意外にも徳島県側からいろいろな御要望がございまして、われわれといたしましては、関係各省とも相談いたしまして、できるだけ前向きにこれは検討して、御期待に沿うようにしたい、こう思っております。  ただ、その北岸用水の件につきましては、その基本的な、水をどこからとればいいか、また、どういうふうにしてとればいいかという一つの技術問題であり、また同時に、それに伴います経費の問題もあるかと思うのでございます。その辺につきまして十分具体的に検討しないといけないのではないか、そういう意味で、農林省並びに建設省御当局がこの計画の変更の可能性あるいはその妥当性をいま十分技術的に検討しておられるわけでございますから、その結果をまちまして基本計画の修正に対処してまいりたい。水を沿岸農民の方が利用される、また今後もその地方の便益に供する、そういう必要はこれは十分あり得るのは当然でございまして、そのためにも、具体的な方法論として十分専門的に慎重に御検討願って、その結果によりたい、私はこう思っておるわけでございます。
  50. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、いまのお話でよくわかったと思います。これほど吉野川の流域農民にとって重大な関心があり利害関係があることにつきましてまだ調査もできていない。技術的にまだ検討する余地があるのです。そういうことをやりながら、まだこのダムの高さにつきまして実は二十メートルにする、それは香川県で吉野川と全然関係のない分水です、完全なる分水です、それを同意を要求せられておるわけなんです。ところが一方、流域住民の最も関心のある問題についてはまだ研究ができていない、技術的に解明する余地がある、こういうことでは、どうも一方的じゃないか、流域住民にとってはしんぼうできないのは当然だろうと思うのです。住民としましては、要求として、一メートル五十ないし二メートルかさ上げをしてくれ、しかもそれは水没家屋が全然ない、たかだか二億円くらいの金によって全部解決できる問題なんです。それを技術的にも解決してない、また研究の余地もある、こういう問題をぽっと政府から府県段階におろされてきたところに、大きい問題があると思うのです。これらについてもう一度担当の大臣として検討し直す余地があると思うのですが、いかがですか。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳しいことを実はよく承知しておりませんのですが、長年むずかしい問題でありましたのが、ともかく関係者の合意ができて、吉野川を総合開発するということになったわけでございますから、せっかく円満に動き始めた話でございますから、これは主として農林省の調査なり御意見なりと思いますが、今後それもよく聞きまして、いまの段階ではあまり予断を持たずに検討してみたいと思っております。
  52. 井上普方

    井上(普)委員 予断を持たずに再検討されるということを私は信頼いたしますが、この問題につきまして特に流域住民が非常な不満を持ち、感情的にも納得がいきかねておる点を指摘いたしまして、大臣の今後の善処を要求いたすものでございます。  続きまして、昨日でございましたか、自民党の池田議員から、徳島県の阿南という地帯がございますが、あそこで水の不足をえらく来たしておるんだなという御指摘がございました。それで私も、あなた何で知ったんだと言って実はお聞きいたしたのでございますが、一級河川の那賀川下流におきましては、水不足のために塩害が非常に大きく出ております。工業用水の不足を来たし、ぎりぎり一ぱい以上に取りつつあるのが現状であります。そのために——と申しますか、それも一因ではございますが、下流におきましては塩害が非常に大きく出てきておる。この点は、昨年建設委員一行が視察いたしましたときにも指摘されたのでございます。ところが、何ゆえにこのように水が不足してきておるかと申しますと、那賀川の上流には長安というダムがありますが、その上流に陰平と日早というダムを建設する計画があったわけでございます。ところが、その計画は、いままで一河川一事業という方式で県営の発電をやるのが当然ではございましたけれども、もちはもち屋ということで、電力会社に実はこの開発を譲ったわけでございます。その計画のときに——公益事業局長、ちゃんと聞いておいてください。特にこのときに、昭和三十六年に同意ができた、そして申請を出したのでございますけれども、通産省のほうにおきましては、実に四年にわたりこの書類を——ダム建設事業を押えたがために——県との話し合いでは、四十年までに陰平のダムをつくり、日早のダムは四十二年までにつくるという話し合いができておったのでございますけれども、それが事業がおくれたがために、水の流量が不足いたしまして塩害が起こっておるのでございます。私もその際につくづく思ったのでございますけれども、公益事業局というものは一体国民のほうに顔を向けておるんだろうか、あるいはまた、電気事業会社のほうに顔を向けておるんだろうか、大きい疑問を持たざるを得なかったのです。四年にわたりこの事業をおくらした原因は一体どこにあるのだ、公益事業局が許可を出さなかった理由はどこにあるのだ、この点ひとつお示し願いたいと思うのです。
  53. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。  ただいま、陰平の発電所の許可の問題だと思いますけれども、相当長年月を要して、怠慢ではないかというようなお話でございましたが、確かに、一つの計画に対しまして数年を要するということは、私も、御指摘のように、これは必ずしも手ぎわのよいことではない、こう考えております。その点につきましては私ども今後十分反省してまいりたいと思います。しかし、事情をよく調べてみますと、これは先生も御承知のことと思いますけれども昭和三十五年から数年間、地元におきまして水没補償問題に関しまして関係者の意見が対立いたしまして、公聴会を開けないような事態でございました。私ども許可するに際しましては、やはり公聴会を開きまして、そうしてその了承を得た上で許可するというような立場で処理いたしておりますので、そのために、関係者の意見調整ができました最近に許可を行なったというのが実情でございます。
  54. 井上普方

    井上(普)委員 公益事業局長、それは話が違います。と申しますのは、県と電力会社との間に、水没道路、つけかえ道路、これの交渉があったのです。そして、その具体的な内容にまで実は県と電力会社との間に話がついておった。ところが、通産省の公益事業局がこの道路のつけかえには高過ぎるといって延ばしたのが実情じゃありませんか。私も関係市町村あるいは水没する方々とお目にかかったところが、そういうような利害関係者の間における対立なんというのはありませんよ。しかも四年間ほっておくとは一体何事です。ために、下流におきましては塩害が出てまいったのであります。鹿児島県の池田さんさえ心配なさるような事態が出てきておる。その一つの大きい原因は、通産省が四年間もこの書類を握りつぶしておったところにあるのです。どう責任をとられるつもりですか。
  55. 井上亮

    井上(亮)政府委員 いずれにいたしましても、地元関係者との間にいろいろ補償問題が解決しない、そのために、私どもといたしましては、公聴会が開ける段階でないというふうに考えまして、地元としての調整がとれるのを待って許可したというのが実情でございます。
  56. 井上普方

    井上(普)委員 地元関係者の利害が錯綜したとおっしゃいますけれども、あなた方いつごろ調査に参られましたか。それは電力会社が事業を延ばすために一方的に交渉に入らなかったんじゃございませんか、どうでございますか。
  57. 井上亮

    井上(亮)政府委員 当時、私、責任の衝におりませんでしたので、いつ調査したかという御質問に的確にはお答えできませんが、当時からやっております私どもの部局の者から詳細に話を聞いてまいったわけでございますが、いずれにいたしましても、道路の工事費の値上がり等、その他それに関連する補償問題等、当事者の四国電力と関係者の間で話し合っておりますが、その話し合いがつかなかったということは、双方から私ども事情を聞いて、双方話し合いがつかないというのであれば許可するわけにはまいらない、したがって、一日も早く話し合いがつくようにということを私どもといたしましては要望いたしまして、それで、おくれたことははなはだ不手ぎわでございますけれども話し合いがついた結果許可をしたということでございます。
  58. 井上普方

    井上(普)委員 あなた、双方とはだれとだれのことですか。
  59. 井上亮

    井上(亮)政府委員 道路の問題につきましては、四国電力と県の関係になると思います。
  60. 井上普方

    井上(普)委員 道路の関係につきましては、昭和三十六年五月三十日に県と電力会社との間には話がついているのです。金額を申してみますと、三十六年の五月三十日に、陰平の発電所の工事関係、国道、県道の改修費として七千万円、それから道路及び橋梁の拡幅工事費として一億三千万円、この当時に契約ができておるのです。それをできてないというのはどこに理由があるのですか。
  61. 井上亮

    井上(亮)政府委員 先生御指摘ありましたように、確かに昭和三十六年五月三十日に四国電力の社長と徳島県知事との間で覚え書きが結ばれたわけでございます。その点は事実でございますが、しかし、道路の工事費がその後値上がりしたというようなことから、道路のつけかえ及び補修費等につきまして値上げ要求が県から四国電力に提出されたわけでございます。ですから、覚え書きの線ではなくて、その後値上げ要求がありました。そのために、再度両者間の話し合いを続行したというのが事実でございます。
  62. 井上普方

    井上(普)委員 再度のそういう話は実はわずかな金額なんです。県のほうは幾ら要求して、幾らで妥結したのですか。
  63. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいま私の手元に幾らという資料はございませんけれども、いずれにしましても、その後県からの値上げ要求があって、そして両者の話し合いが行なわれたということだけは確かめてございます。
  64. 井上普方

    井上(普)委員 それは金額にいたしましてせいぜい一千万円ないし二千万円の話です。補償費が大体二億のところで、あったといたしましても一千万円、五%くらいの金額のはずです。それを口実にして事業会社のほうが延ばしたのじゃございませんか。解決いたしました金額は、私も手元に持っておりますけれども、わずかなものです。それに金利も含めておりません。これを四年間も公益事業局のほうで押えておく理由は、私はどうも納得いたしかねるのです。どうでございますか。
  65. 井上亮

    井上(亮)政府委員 いずれにいたしましても、一ぺん覚え書きを交換して、やろうという話し合いになったものが、長年月かかるということにつきましては、先ほども申し上げましたように、必ずしも手ぎわのいいものではない。今後こういうことにつきましては、できるだけすみやかに関係者の意見調整を終えるように、側面から私どもも指導して努力したいと思います。しかし、本件につきましては、先生も御承知のように、一ぺん覚え書きはできましたけれども、その後、その覚え書きをさらに修正の要求があったわけでございますので、そこに若干時間はかかったと思いますが、繰り返すようですけれども、相当長年月かかるということは手ぎわのよいことではない、反省いたしたいと思います。
  66. 井上普方

    井上(普)委員 公益事業局長、あなたはおっしゃいますが、昭和三十六年から四年間というものは、高度成長政策の名のもとにものすごく物価の上がったときです。いまも上がりつつありますけれども……。その中において、物価の値上がりによる道路のつけかえの費用が上がるのは当然です。ところが、それを押えておいて固執した。しかも、あなたのほうが押えることによって利益をこうむったのはだれかといえば、四国電力です。といいますのは、水力発電は、御承知のように、このごろはピーク時の発電になっております。火力発電、重油発電のほうがコンスタントな発電をやるようになっている。ために、ある需要が出てくるまではともかく水力発電のほうは押えておいたほうが得だという考え方に立って、あなたは手ぎわがよくはなかった処置だとおっしゃいますけれども、この事業を四年間も押えておった。ために、四十年に完成のダムがまだできていないのです。そのために、池田さんからも指摘されるように塩害が起こっておる。直接原因ではありませんけれども、間接の原因。これさえあれば塩害は防げたのだということになっておるのです。  そこで私は、四国電力が公益会社か、一体公益事業をやっておるのかどうかということについてお伺いしたいのですが、やっておりますか。どうでございますか。四国電力会社は公益事業だとあなたはお考えになりますか。どういう会社をさして公益事業とおっしゃるのか、定義をひとつお教え願いたいと思います。
  67. 井上亮

    井上(亮)政府委員 四国電力は、電力の発電及びそれを供給いたすことによりまして住民の利益にも奉仕する。そのために、私どもは電気事業法でこの会社を監督いたしておるわけでございまして、消費者の利益に奉仕し、あるいは進んで地域社会の福祉に貢献させるように私どもは指導いたしております。電力会社は、いま公益事業法によりまして公益事業としての規制も受け、監督も受ける立場にございます。
  68. 井上普方

    井上(普)委員 監督したとおっしゃいますが、しからば、この事実は監督しておりますか。  四国電力の子会社に四国企業という会社があります。これはどういう会社かといいますと、四国電力の使う電気機器、車両、重油、不動産、土木建築工事、これらを一括下請する会社であります。重油にしても、車にしても、不動産にしても、この会社を通らぬ限り四国電力は物を買わないのです。いわばトンネル会社になっている。しかも、そのトンネル会社の四国企業という会社は、この前まで社長をやっておった中川以良という人が全株を持っているのです。こういう存在を子会社として認めておる会社を公益事業としてあなたは監督したことはありますか。
  69. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ややかたい話を最初に申し上げまして恐縮かと思いますけれども、私どもは、電気事業法にのっとりまして、電力会社の諸般の建設、その他料金、諸般のことを監督指導いたしておるわけでございますが、子会社の運営についてまではこの法律によりますと触れていないわけでございます。しかし、私はここで法律論をやろうというつもりはございません。やはり電力会社全体として地域に相当なウエートのある産業でございますから、そういった意味では、私ども法律にあるなしにかかわらず、監督してまいりたいと思います。しかし、四国企業がどういう運営をやっているかということにつきましては、私ども詳細には存じておりませんけれども、しかし、そう間違ったことはやっていないんじゃないか、こう考えております。
  70. 井上普方

    井上(普)委員 そう間違ったことはやってないという御認識ですが、四国電力が買う自動車、それから重油、不動産、全部これを通さなければ四国電力に納入できないのですよ。いいですか。そういうシステムになっているのです。そしてその株はだれがお持ちかといって調べてみますと、現在四国電力の会長である中川以良という人個人が全株持っているのです。トンネル会社じゃないですか。それに対して、あなたは、あまり悪いことをしてないと言いますが、配当にいたしましても、一一%配当をやっておる。全部自分のふところに入るでしょう。(「それはどうせ下請だろう」と呼ぶ者あり)下請じゃないですよ。トンネル会社ですよ。四国電力が公益会社であるならば、安く材料を入れなければならない、重油にしても、あるいは車両にしても。ところが、それを一たんトンネル会社を通して、そこでマージンを取られるでしょう。企画庁長官、どうですか、こういう会社が存在することについてはどう思います。全株、しかも個人が持っておるのですよ。四国電力が持っておるのじゃないのです。
  71. 井上亮

    井上(亮)政府委員 先ほども申しましたように、下請会社の全貌については私ども把握しておるわけではございませんけれども、しかし、一般の例といたしましても、やはり電力会社みずからが、職員を置いて、部局を設けて資材を購入したほうがめんどうがない場合もありましょうし、あるいはみずからの電力会社はすっきりした人事なり組織の体制にして、資材の購入等については下請会社を使うというような場合があり得ると思います。ですから、それはケース・バイ・ケースに会社の方針にもよりましょう。もう少しすっきりしてみずからがやりたいというところもありましょうし、みずからの人件費なり何なりをセーブしまして子会社にまかせるという場合もありましょうし、一がいに悪いともきめつけられないのではないか。四国企業は、先生御指摘のように、資材購入をそこに担当させてきておるということのようですが、そういうことは、会社として一番効率的なやり方は何かということもありましょうから、私は一がいに悪いとも言い切れないのではないかというように考えております。
  72. 井上普方

    井上(普)委員 これは日本通運と同じような運営でございましょう。子会社をつくって、トンネル会社をつくって、リベートをおくって、そうして会長が全部株を持っておる、しかもそういうような事業をやらせておる会社、これを公益事業と言えるか。近ごろの経営者は、こういうように自分で子会社をつくってもうけるという、どうも経営者的な良心が非常に薄くなっておる。これがその一つのあらわれじゃないかと思うのですが、大臣がどうでございます。
  73. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実情を調べたいと思います。
  74. 井上普方

    井上(普)委員 実情をお調べになって、報告書をすみやかに出されて善処されることを要求いたしておく次第でございます。  こういうようなことをやりながら、片一方におきましては、先ほど申しましたように、あなた方は四年間もともかく許可を押えておる。ために、下流におきましては塩害が起こってきておる。二次的な現象ではございましょうけれども……。こういうようなことをやられて、はたして公益事業であるかどうかということについては、私は大きい疑問を持たざるを得ない。これらについて、次に行なわれる日早ダム、あるいは全国におきましてもこういうケースはたくさんあると思うのです。私が調べただけでも、遊休水利権というものはかなりある。さらにまた、各県各県の同意は得ながらも、会社の御都合によって引き延ばしたりするケースがたくさんある。それについて、公益事業局としては、電力会社とか、そちらのほうにかばり顔を向けずに、国民のほうに顔を向けた行政をあなた方がやっていただくことを強く要求いたしまして、私は質問を終わります。      ————◇—————
  75. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 理事会の協議により、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  76. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 水資源公団法の採決を前にいたしまして、附帯決議をめぐってまだもう少し与野党で話し合いの必要がある模様でありますので、その間の時間を利用いたしまして、当面の建設行政の問題点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  政務次官と計画局長に来ていただいておりますが、最初にお尋ねいたしたいと思いますのは、宅地建物取引業法ができた基本的な精神、考え方はどこにあるか、一応御説明願いたいと思うのであります。
  77. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  宅地建物取引業法は昭和二十七年にできた法律でございますが、当時、日本の経済の復興も軌道に乗りまして、宅地建物に対する需要がだんだんと高まってきたわけでございますが、そういうときにあたりまして、宅地建物取引業者と、お客さんである利用者との間でいろいろ問題が起こってまいりましたので、業者の営みます営業に対しまして、業務内容の適正な運営をはかり、取引の公正をはかる、せんじ詰めれば、やはり利用者でございます消費者の保護をはかるというために業態を規制する必要があるということで、法律が二十七年にでき上がって、今日に至っておるわけでございます。
  78. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは大体宅地建物の取引をする人の、ことに利用者側の保護が目的であるということでございますが、しからば、そのために取り締まりの対象になっておる業者とは、いかなるものを業者と呼んでおりますか。
  79. 川島博

    ○川島(博)政府委員 法律の二十三条に「適用の除外」がございまして、国及び地方公共団体はこの法律の適用がございませんが、それ以外の団体あるいは個人につきましては、営利を目的とするといなとにかかわらず、いやしくも業として行なっておる以上は法律の適用があるということでございます。
  80. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 国及び地方公共団体以外の者が「業として行なう」という「業として」というのは、どういうことですか。
  81. 川島博

    ○川島(博)政府委員 宅地建物取引業法と申しますのは、宅地建物の売買等の行為を継続反復的に行ない、その行為が社会通念上事業の遂行と見ることができる程度のものである場合をさすものでございまして、必ずしも営利を目的とするもの、すなわち商行為として行なうものだけをさすものではございません。
  82. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 商行為として行なわなくても、反復売買をすれば業になる、こういうことですか。
  83. 川島博

    ○川島(博)政府委員 はい。
  84. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、今度は、除外されておるものが地方公共団体以外にございますね。住宅公団であるとか、あるいは地方住宅供給公社であるとか、それから農地開発機械公団、八郎潟新農村建設事業団、産炭地域振興事業団、それから公害防止事業団というふうなものが除外されておる。それから、反復業として行なっておる、ことに営利を目的としたもので、信託会社であるとか、あるいはそうした類似の信託業務をやっておるような銀行、こういうようなものが、宅地建物取引業ではない、こういうふうにみなされておりますが、それはどういう理由に基づくものですか。
  85. 川島博

    ○川島(博)政府委員 御指摘のように、住宅金融公庫でございますとか、住宅公団その他の公団事業団、住宅供給公社等が適用から除外をされておりますが、これらの公団事業団は、いずれもいわば国策の代行機関といたしまして、国にかわって国の政策を遂行するという性格のものでございまして、本質的には国と同一の性格を持つということから、特にそれぞれの公団事業団の設立の根拠となっております法律で、宅建業法の適用につきましては国とみなすという規定がそれぞれの法律によって置かれておるわけでございます。また、地方住宅供給公社につきましては、これは国の政策代行機関ではございませんけれども、県あるいは人口五十万以上の大都市が出資をいたしまして、いわば県なりあるいはそういう大都市の分身としてやはり住宅政策を肩がわりして行なう団体でございますので、特に地方住宅供給公社法によって地方公共団体とみなすことにされておるわけでございます。同様のものといたしましては、日本勤労者住宅協会も同じく適用除外の扱いをいたしておるわけでございます。なお、銀行あるいは信託会社等につきましては、それぞれ銀行法ないし信託業法によりまして監督規制が行なわれておりますので、適用の除外を受けておるわけでございます。
  86. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 銀行は明らかに営利団体です。それから信託会社も営利団体です。営利を目的として反復宅地建物の取引をやっておる。それが単に銀行法とか、そんなもので除外できるわけがないです。かってに銀行法で大蔵関係がそんなものを申しつけたって、建設省ははねたらいいのです。何で銀行が適用除外を受けるのですか、われわれには承服できない。どういうわけですか。
  87. 川島博

    ○川島(博)政府委員 この信託会社等に関する特例に関しましては、宅地建物取引業法の二十二条の五にございますが、信託会社あるいは銀行につきまして宅地建物取引業法が全面的に適用を排除されておるわけではございませんので、いわゆる免許とか取り消しとか、いわゆる団体そのものに関する監督処分につきましては、これは重複を避ける意味におきまして、それぞれの銀行法あるいは信託業法によりまして大蔵大臣が監督をする。しかし、実際の取引行為自体につきましては、これは当然、業法の適用を受けまして規制を受けるということになっておるわけでございます。つまり、この団体の免許あるいは取り消しという点に関してだけ、監督大臣が二重に監督するということを避けるために、それぞれに譲っておる。取引の実態については当然この業法により規制を受けるということになります。
  88. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 大体精神はこういうことでしょう。宅地建物取引業者には間々たちの悪いのがおる、そしてまた、ああいう不動産の売買というのは、一般の消費者は——普通の消費財でありますと、大体の相場を知っておる。また扱い方も知っておる。商品の性質も知っておる。だからまあ特定の保護をしなくても、八百屋さんに別に許可をしなくても、品質は買う側の人がちゃんと吟味して買うであろう、こういうことで、その他のものにしても大過なくまあまあ売買が行なわれるだろう。しかし、宅地建物については、一般の人は一生に一ぺんか二へん——それは特定の人は別ですよ。しかし、通常、一生に一ぺん宅地建物の売買ができたら、その人はしあわせだというふうにすら、今日の時勢では言わなくちゃならぬ。したがって、そういう登記の方法とか、あるいはそれが抵当に入っておるとか入っておらないとか、あるいは他に特定の権利が設定されておるかおらないかとか、そういうようなことについて暗いから、それを利用して不正な商行為をやるものがあるから、そういうことがないようにしてやらないといかぬ。それには、これを免許制にして、悪いことをしたものは再びそういう業につけぬようにしようではないか、こういうところから宅地建物取引業法ができた。したがって、そういうふうなことをやるおそれのないものについては適用除外にしてもいいじゃないか、だから国及び地方自治体の代行機関のようなものは除外してもいい、また、銀行などは、そういうふうな悪いことをしたら、銀行法というものがあってきびしく大蔵大臣に取り締まられておるから、そういうような悪いことはまあやらない、だから、悪いことをやる心配のないものは取り締まりの対象からはずしてもいいではないか、こういう発想から大体除外規定というのができておるのでしょう。そうじゃないのですか。
  89. 川島博

    ○川島(博)政府委員 そのとおりでございます。
  90. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、そういう精神から出ておる宅地建物取引業法の取り締まりが、最近になって、地方自治体が持っておるところの開発公社、これに出てきているわけなんですね。私の地元の宇治で開発公社が宅地建物の売買をやっておった。これが免許をとっておらなかったということで、もぐり営業だ、非常にけしからぬというので、検察当局に非常にきびしい取り調べを受けて、まるで極悪犯人であるかのごとき取り扱いを受けて、新聞に喧伝されておる。非常に迷惑をしておるわけです。なるほど、それは、これが取引業者の免許をとらなければいけなかったということは、これは一つの過失です。これはすなおに認めます。しかしながら、いまあなたが言われた、これは地方公共団体の代行行為をやっておる。だから、これは公共機関の分身なんだから、普通の宅建業者などでは絶対ないという気持で、そんなものは要らぬのだ、こう思ってやっておったのですが、それが、おまえのところはもぐり営業をやっておって、しかも何億にのぼるところの取引をやっておる、けしからぬ、こういうことできびしい取り調べを受けて、新聞なんかではもうそれはひどいものです。こういう見出しです。「手口は悪徳不動産屋」「市長が公社を個人利用」「ひどい無法市政」などという見出しで書いておる。こういうようなことを新聞が書いておるのは、これは全部検察側が情報を流しておるのです。こういうふうなばかなことを検察側がやっておるということは、まことに善良な、まじめにやっておる市政を、いかにもそれが悪徳市政であるかのごとく喧伝をして市民にそういう不信の念を植えつけて、故意に市政を毒しているという形になるのでありますが、これは法務省はどういう解釈をしておられるのですか。一体いま言うところの宅建業法というものは、悪徳不動産屋がばっこしないようにやってきたんだ、だからそういう意味の、いわば公正なる取引をやるようにということを目的としてできておる法律であって、そうしてまた、たまたまそういう意識で不用意に免許をとっておらなんだ、その免許をとっていないことが、故意にもぐり営業をやる悪徳行為だというような認定をして、そしてきびしい態度で臨むというのは、いかなる理由に基づくものなのか、ひとつ法務省から御説明願いたいと思うのです。
  91. 石原一彦

    ○石原説明員 本件につきましては、先生も御承知だろうと思いますが、宇治の市長に対する収賄事件が端緒となりまして、その捜査中に発覚した事件でございます。したがいまして、検察庁といたしましては厳正な態度をもって本件に臨むという点につきましては、一般事件と同様に変わりないものと思うのであります。ところで、現在捜査中でございますので、その内容にわたって申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、本件は、先生御指摘のとおり、宅建業法のいわば無免許営業ということで現場捜査中の事件でございます。もちろん、事件の捜査にあたりましては厳正な態度をもって臨むのでございますが、その捜査にあたりましては、通常の事件と同じように、そのような犯罪を起こした動機あるいは内容、それに基づいて利益を得たかどうかというような、あらゆる点を考慮いたしまして処分が決定されるもの、かように考えるものでございます。もとより、この宇治の公社が通常の不動産業者とは違うという点につきましては、検察官も十分認識しているものと考えるのでございます。先ほど御質問の中に、検察庁から情報を流したということがございましたけれども、その点は調査してみなければわかりませんが、捜査の内容を秘匿するという点につきましては、これはすべての検察官が十分了知しているところでございまして、検察庁からさような誹謗にわたるような言語を用いて新聞発表等をするような意味で情報を流したということはないのではないか、かように考えております。
  92. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 宇治の市長の収賄事件から発生した、こう言われますが、しかし、この市長には収賄の事実はないのです。あなたのほうが何ぼ調べられても収賄の何が出ないから、今度はひょっとしたら開発公社を洗ったら出てくるかもしれぬというので開発公社を洗った。洗ってみたら何もそういう不正のことが出てこない。出てきたのは、ただ免許をとっておらなかったということだけなんだ。何も出てこないから、免許をとっておらなかったということだけが、ものすごい悪徳行為であるかのごとく放送されるというようなことですね。それは新聞にそう書いてあるのですよ。四月十三日の読売です。こういうふうに書いてあります。「新庄市長は「私にやましいところはない」と断言しているが、京都地検首脳は「最大の被害者は市民。こんなブローカー的行政が許されてよいものではない」という。」こう書いてあるのです。京都地検の首脳は、最大の被害者は市民だ、こんなブローカーみたいな行政は許されてはいかぬ、こうはっきり断定しているのです。これは読売新聞が書いているのです。それではあなたは、読売新聞がこういうことを書いておるということは、そんなことは絶対あり得ない、事実無根だと言い切れますか。
  93. 石原一彦

    ○石原説明員 先ほど先生のお話しでは、検察庁から発表したというようなお話がございましたので、そのような事実はないであろう、こう申し上げたのでございますが、新聞ももとより一つの世論の代表機関といたしましてみずからの取材活動を行なうのであろうと思います。その範囲内におきましていろいろな情報をとって記事にするということは、これは当然あり得べきことであろう、かように考えております。
  94. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 取材活動を新聞はやります。その取材活動をやるところの新聞記者にものを言うと言うことは、慎重でなければいかぬ。そして、いやしくも検察首脳ともあろう者が、そのことが犯罪を構成しておるやら、しておらぬやら、あるいはその内容がどの程度のものであるかということがはっきりしない間に、こういう断定的なことを言って、すっかりどろを塗る、善良なる市民に対して——それはあやまちはないとは言いませんよ。しかし、ただ、うかつに免許を取っておらなかったということだけですね。一つの過失です。過失に対して、それがものすごい悪徳行為であるかのごとき形で発表するということですね、こういうことは慎まなければいかぬことであると思いますが、そうはあなたはお思いになりませんか。
  95. 石原一彦

    ○石原説明員 地方公共団体の長、あるいはそれに勤務している人に対する犯罪でございますと、厳正にやれというふうに先生方から叱咤激励されるのが通常なのでございますが、逆の場合なので私もややとまどっている次第でございますが、事件の処理は処理といたしまして、もし事実そのような発表あるいは誹謗的なことを検察庁から言ったとすれば、これはやはりよろしくないことであろうと存じます。しかし、私は、京都地検のいわゆる首脳という——部長以上の方を存じあげておりますが、みずからそういう点を申し上げるような人ではないであろう、かように考えておる次第でございます。
  96. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 まあ厳正にやれと言われるのに、逆に私がいかにも厳正にやるなと言うておるかのごとく言われますが、悪いことは厳正にやればいいのですよ。また、善意でもってやっておっても、人間あやまちのない者はないのですよ、そのあやまちに対して、いかにもそれが悪徳行為であるかのごとく取り扱って、しかも市民は、自分らの選良として、自分らの代表として選挙しているのですよ。その都市のシンボルみたいな存在ですね。それに対して不当な評価をし、それがいかにも極悪非道であるかのごとく誹謗的な発表をするということは、これは私は検察当局としても慎むべきであると思うのですね。それで、この問題は、先ほどから建設省からの答弁もありますように、業として行なう、反復これをやればそれは業だということかもしれないが、しかしながら、一応除外されている団体が相当あるわけですね。除外されている団体が相当あって、しかもそれは国もしくは地方自治体の代行機関であり、その行政目的に一致した行為をやっておるような場合には除外してもいいんだ、こういうことなんですね。そうすると、宇治の開発公社がやっておるのもまさにそのとおりなんです。それを一歩も出ておらないのです。そういうふうなことも十分検討をしないでこういうふうなことをやられる。このような、いかにももう——再三調べられるのは私はいいと思うのですよ。しかし、その捜査の結果を一々、報道陣の求めに応じてインタビューして、ああだこうだと中間報告して、そのたびに新聞に書かせるというふうなことは、ことさらにこれは市政を故意に混乱させよう、こういうふうな意図があるかのごとく見えるわけですが、こういうことは厳に慎んでもらいたいと思うのですが、そういう点について法務省としてはどう考えておられますか。
  97. 石原一彦

    ○石原説明員 先生のおっしゃることはまことにごもっともなことであると存じます。御趣旨はよく了承いたしました。  なお、この事件につきまして、同じような形態でやっているところが相当あるわけでございます。私ども聞いたところによりますと、全国で二百以上のこの種の法人があるようでございますが、そこは全部免許を取ってやっておるということでございますけれども、たまたまこの宇治がやっていなかったわけでございます。  なお、つけ加えて申し上げさしていただきたい点は、先ほど、厳正なる処理をいたすと申し上げたのでございますが、事件処理にあたりましてはこれらの事情を十分考えているだろうというふうに考えるわけでございます。と申しますのは、収賄が成立するかしないか、これはいま検察庁で捜査中でございまして、普通かような事件であれば、逮捕勾留して調べるのが通常でございますが、この事件につきましては、先生も十分御承知だと思いますが、不拘束で調べているわけでございます。宇治の市長というその身分、あるいは当時市会等もあったようでございますが、それらの事情も十分考慮いたしまして、捜査としては非常にやりにくかろうと察するのでございますが、不拘束で調べているのでございます。そういうような点を考えますれば、検察庁といたしましては、態度としては厳正な態度をもって臨むのでございますが、処理は適正に行なわれるだろう、かように期待しておるのでございます。
  98. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは、たまたま自分の使っておる部下の中から汚職に関係した者を出したということについては、もちろん市長も責任を負わなければならぬし、あなたのほうが、そういう部下を使っていたんだから、まあそれに関連して何かそういう汚職的なものがありはしないかということで捜査されたということは、やむを得ないとは思っておるのです。しかしながら、連日のように新聞がどんどんそれを書き立てました。これは社会党の推薦した、社会党に党籍のあった市長であります。また京都府は、御承知のように蜷川知事が革新知事であります。したがって、参議院選挙を前にして革新勢力に対して何とかどろを塗りたい、こういうふうな意図に出たものではないか、こういうふうなことをわれわれは考えたくなってくるほど、新聞が大きく取り上げたわけですね。それは新聞が取り上げるのは自由でありましょうが、その資料をあなたのほうからたびたび記者会見しては提供されるというふうなことになってくると、そういうふうなジャーナリズムの取り上げ、まあ保守的なジャーナリズムの取り上げ方に対して検察当局が非常な協力をやっておられる、こういうふうに受け取れますから、私はこういうことを申し上げるわけなのです。だから、処理は早くしてもらわなければ困るのです。もう参議院選挙を前にしているのに、どろを塗って、塗りっぱなしで、それで何ら青天白日であるということを立証しないままでやられたのでは、これは革新勢力はものすごく不利ですよ。だから、これは私は取り扱いがきわめて政治的であるという点において不満を抱くものであって、別に悪いことをしたものはぴしっとやられたらいいです。いかに私自身だって、かりに何かがあれば、遠慮なしにやってくださいよ。私は、悪いことをした者を処分するのに、何でもまた寛大にしてくれ、そんなけちくさいことを決して言いません。しかしながら、かりにこの免許を取っておらなかったということが、なるほど、取引業法によりますと、免許なしにすれば「三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金」ということになっております。しかしながら、その目的というものが、悪徳行為を取り締まることが目的としてこういう罰則も設けられ、そしてまたこういう宅建業法というものができておるわけなんです。しかもその取引行為というものは、いま建設省の計画局長が申しました、いわば市の外郭団体として——外郭団体というよりも、市の代行機関としてやっておるものであって、理事長は市長である、それから専務理事は管財局長である、それからその理事は市の職員、たとえば助役その他の市の職員やら、議会の議長も入っておるのです。議会も関係しておるのですね。そしてその取引のたびに、市の財産を購入するか市の財産を売る以外にはやっておらないのですから、この取引行為というものは、市の財産を処分するか、あるいは市の財産を市にかわって購入するか、この二つよりやっておらないのです。だから、これは不特定多数を対象にしておらないのです。これは業という限りにおいては、不特定多数でなければならぬと思うのですよ。一つの理由として、業というのは、取引の対象が不特定多数であるということ、その次には、やはり報酬を受けるということが、業というもののほんとうのすなおな読み方だと思うのですよ。いま局長は、報酬を得ていようが得ていまいが、利益をとっておろうがおるまいが、それは業だと言われましたね。私はそういう考え方には反対です。業というのは、不特定多数の人と取引をし、その取引を通じて利益をあげるということが業だと思うのです。だから、そういう意味においては、売買行為を代行しているだけですから、利益も何もないのですよ。なぜこういうことをしなければならなかったかといえば、これは今日の地方財政の貧困ですよ。その次には、政府のやっている高度経済成長ですよ。どんどんどんどん物価は上がる。ことにものすごい土地の値上がりですよ。だから、学校を建てたい、学校建築の計画を立てておる、しかしながら、一般に一ぺんに予算はない、補助もない、起債も一ぺんにできない、しかたがないから、ひとつ代行機関をつくって、土地だけでも借金して買っておこうじゃないか、こういうことから全国にどんどんたくさんできた。たくさんできたというのは、本来なら、こんな開発公社などというものがあるということ自体が、これはもう地方自治の間違いですよ。こんなものを黙認しておられるところに日本の自治行政の貧困がある。その自治行政の貧困を補うために、やむなく地価の暴騰に対してそれに対処するためにこういう開発公社ができておる。そういう開発公社を業者として取り締まるのだという考え方自体に間違いがあると思うのですが、それはそれでいいとして、しかし、免許がなかったということで非常なきびしいなにを当てがっていくということは、私はどうかと思うのです。だから、その点は法務省も考えてもらわなければ困ると思うのです。  そこで自治省にお尋ねいたしますが、自治省ではこんなことをいつまで自治体にやらしておくつもりか。これは当分各自治体としてはやむを得ぬと思いますが、自治省としては、これはやむを得ないもの、こういうふうに思っておられると私ども思うのでありますが、自治省としてはこういうふうな運営というものをどう是正していこうと思っておられますか。このことと、このやむを得ざる自治体の自衛手段としてのこういう開発公社の存在というもの、これは自治省の将来方針と、また自治省の地方財政の運営のあり方、こういうものと非常に関係があると思っておるのですが、自治省ではどう思っておられますか。
  99. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 一般に開発公社といわれておるものでございますけれども、これはつくられました理由その他はいろいろあるわけなんでございますけれども、いまお話にございましたような、市が本来行なうべきことを別に財団法人というようなものをつくって行なわせますということは、ややもすれば責任が不明確になったり、監督が不十分になったりするという点がございますから、私どもとしては、できるだけそういうものは慎んでいくべきであるという指導をしてまいるとともに、かりにそのような形で運営をする場合には、団体として適正な運営をされるように努力するというような指導をしてまいっておるわけでございますけれども、御指摘のように、開発公社、そういうものがつくられます原因がいろいろあるわけでございまして、その中には、御指摘のような地方財政という問題ももちろんあるわけでございます。そちらのほうの面からの問題につきましては、本来市町村が行なうべきものなら極力市町村が行なうような形の制度が確立するというふうに全力をあげてまいりたい、かように考えております。
  100. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは自治省が、そういう道路であるとか、あるいは公営住宅であるとか、学校であるとかいうふうなものの建設計画をその自治体が立てた場合に、それについて、数年後を見越てある程度長期的展望に立ったところの事業に対して起債を許してやれば、こんな開発公社みたいな苦しまぎれのことをやらなくてもいいのですよ。それが、そういう制度が全然ないから、結局、当面ことしやる事業に対しては起債はつけますけれども、しかし、将来の長期計画に対するところの起債というものを全然認めない。一方、地価の値上がりは何年もほっぽらかしておる。だから、四、五年たてば土地が二倍、三倍に上がっている。そんなに地価が高騰していったのでは、とても公共事業をやれない。やむを得ないから、代行機関としてこういう開発公社というものを窮余の一策として編み出してきた。そうすると、全国にずらっとそれが広がって、今日の開発公社オンパレードというような形になって、全国の府県で開発公社を持っていないものはありませんし、また大きな都市やそこここの都市開発公社を持っていないところもない。ここまで開発公社が大きく——三百九十四と建設省では私の手元へ報告してまいっておりますが、三百九十四も開発公社ができたということについては、自治省並びに政府に大きな責任があると思うのです。地価がこんなに値上がりになることを放置してきたということ、その地価値上がりに対してどう対処していくかというふうな自治体の弾力的な財政運用の権限を与えておらないということ、そういうことが今日開発公社がこのようにできてきたということなんですね。しかもその開発公社が、いまの免許を受けておるものは二百二十二、免許を受けていないものが百七十二あると、建設省は報告を私の手元へしております。百七十二も免許を受けておらないものがある。その中に宇治市が入っておる。それで宇治市がたまたまひっかけられた、こういうことになるわけです。そうすると、残りの百七一、これも宇治市と同罪ですよ。厳正にやると検察当局が言われるなら、この残り百七十一みんなやってもらわなければならぬ。ひとり宇治市だけがどろを塗られて泣き寝入りになるわけにいかぬですよ。だから、宇治市がもし告発されるなら、今度は岡本隆一が全部ほかの無免許のものを告発しますよ。そういうことになりますよ。そうしなければ、ひとりだけがそんな不公平なことはないですよ。百七十二もあるのに、一つだけ告発されて、ものすごいどろを塗られて、そして泣き寝入りになる、そういうことはできません。残りのものも同罪じゃないですか。ただ免許がないだけのゆえをもって宇治市が起訴されたり、あるいは顔にどろを塗られるということなら、残りこれだけあるよというので、それを全部告発しますよ。そういうふうな事態になっておるということについて自治省として大きな責任があると思うのです。だから、自治省としてはこの責任をどうとってもらえるか、こういうことになってくるわけでございますが、あなたにそれをいま御答弁願っても、かなり大きな問題でございますから、やむを得ないと思いますが、自治省としても、何といいますか、他山の石、対岸の火事、こういうふうな形で考えないで——これは、自治体がただ免許を取ればいいじゃないか、こういう問題ではないと思うのですよ。免許を取って、法に触れぬように運営すればいいじゃないかという問題ではないと思うのです。これは地方自治体の財政運用のゆがんだあり方だ。そしてまた、この運営を誤れば——また現実に誤った運営をやって、たとえば開発公社が工場誘致を見込んで工場用地をどんどん造成した、しかしながら売れないで、負債で赤字で困っておるというふうな自治体もあるということも聞いております。だから、そういう誤ったことがないように、この開発公社の運営というものについては、自治省としても、さらにまた建設省としても、私は適正な指導をしていかなければならぬと思うのです。御意見があればあとでお答え願ったらけっこうです。  そこで、さらにお伺いいたしますが、そうすると、百七十二免許を受けてないものがありますが、建設省のほうでは、私が資料を要求いたしましたら、この免許を受けてない百七十二のうち、百三はまあ免許を受けずにそのままでいてもよろしい、免許を急いで受ける必要のあるものは残りの六十九だ、こういうことでございますが、そういう区別はどこでされますのか、お伺いしたいと思います。  それから、いまの住宅公団であるとかその他の公的機関では、法律にそれぞれ明記してあるから、これは銀行もそうですか、免許を受けなくていいことになっておる、こういうことでございますね。ところが、開発公社については、先ほどの何では、法律の規定がなければみな免許が要るのだということであったように理解いたしましたが、そのうち百三は免許を受けなくてもいいのであって、六十九は免許を必要とするのだ、こういうことでございますが、それでは、免許を受けなくていい開発公社と、免許を受けなければならない開発公社と、性格的にどう違うのか、それを御説明願いたいと思います。
  101. 川島博

    ○川島(博)政府委員 先ほども御説明ございました全国のいわゆる民法法人たる公社は三百九十四ございますが、このうち、免許を受けている公社が二百二十二、残りの百七十二は受けていないわけでございますが、その免許を受けるか受けないかということは、公社の設立の目的なり事業なりによって判断をすべきものでございます。形式的には、公社の定款なりあるいは寄附行為におきまして、その目的なり事業内容なりに、宅地建物取引業を行なう実体的な規定があるかどうかということが、まず免許を受ける受けないの形式的な判断になるわけでございます。ただ形式的に定款なり寄附行為に、宅地建物の売買等を業として行なうという規定がございましても、実質的にそういう業を行なわない以上は、法律上は免許を受ける必要はないわけであります。私どものほうは、大体、市なり県の公社が事業を行ないます場合は、これは同一県内あるいは市の中で事業が行なわれますので、民法三十四条によって、法人の設立許可につきましては府県知事に権限が委任されておるわけであります。したがいまして、公社の事業の実態につきましては、業法との関連におきまして知事が監督をしているわけでありますが、私どもがただいま申し上げました数字につきまして、免許を受けている公社、受けてない公社の区別は、これは当該法人並びに業法を所管しております県のそれぞれの部局に照会をいたしまして取りまとめた数字でございます。したがいまして、免許を受けてない公社というのは、定款あるいは寄附行為上も、あるいは実態といたしましても、取引を営んでいないというものの報告を取りまとめた数字でございます。
  102. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、あなたのほうから資料をいただきまして、それで百七十二の内訳として、免許を受けてない理由について、公共用地取得のみで、一般を対象としないというのが百三である。それから、設立後間もなくて、まだ事業開始していない、だから、いまのところはいいのだ、これは早く取らないといかぬというのが十三。相当年数がたつが免許を取っておりません、しかし免許を取るように準備中であるというものが五十六ある、こういう説明でございました。そして百三については免許は要らぬのだ、こういうようなことを、この資料を持ってきてくれた人が私に説明しておりました。だから免許の要らない百三というのは、これは法律的ななにはどこにもないのですね。宅建業法には、先ほど説明があったように、それぞれ法律あるいは宅建業法で適用除外されているものがある。それについては免許は要らぬということは、法律的によろしい。ところが、この百三については、そういう法律の規定も何もないのですよ。たまたま事業内容が一般を対象としていないから、それでいいのだ、こういうことでありますが、一般を対象としなければそれでいいのだ、こういうふうな法律的根拠はどこにあるのか。そしてまた、先ほど局長が説明された、利益を得ようと得まいと、何であろうと、とにかく反復売買行為があれば、それは宅建業法取り締まりの対象になると一番初めにお答えになりましたね、それとちょっと合いませんね。
  103. 川島博

    ○川島(博)政府委員 何が取引業かということにつきましては、宅地建物取引業法第二条の二号に定義があるわけでありまして、「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行なうものをいう。」法律上はこういう定義がされているわけであります。これを実際問題としてその内容をかみ砕いて申しますと、業として行なうということは、そういった行為を反復継続的に行ない、その行為が社会通念上事業の進行と認められる程度のものである場合をさすというのが、われわれの行政指導上の基本方針であります。したがいまして、そういう法律の文言あるいは行政指導方針に照らしまして、実際上そういう業を行なっていない公社については、法律上も宅建業法による免許を受ける必要はないわけであります。問題は、そういうことを実態としてやっておって、しかも業法上の免許を受けていないという場合に初めて問題になるわけであります。
  104. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 法律上の根拠はなくても、あなたのほうはそういうふうに認定するのだ、こういうことなんですね。
  105. 川島博

    ○川島(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、根拠は宅建業法二条の二号の定義に該当する行為が現実に行なわれているかいないかということが、判断の基準になるわけでございます。
  106. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 その行為が行なわれているかどうかということは、業として行なうということですね。業として行なうということの解釈であるわけですね。だから、不特定多数を取引の対象としておるか、あるいはそうでないかということ、それからもう一つは、報酬を得ているかいないか、この二つが、業というものとみなすということの一番大きな柱だと思うのです。しかし、市のほうは、報酬を得てなくても、不特定多数を対象にしていればだめだ、対象になるのだ、そういうことなんですね。
  107. 川島博

    ○川島(博)政府委員 一般に公社が業法上問題になりますのは、土地を入手して造成して、それを個人に売るという場合でございます。この場合は売買行為でございますから、報酬でなくて、対価の授受になると思います。これはまさに業法無視になるわけでございます。したがいまして、不特定多数を相手にするということが一応要件でございますけれども、それによってもうけるとか、もうけないとかということは、この業であるか、いなかを判断する基準には入らないということを申し上げておきます。
  108. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 附帯決議の話し合いがついたようですから、結論を急ぎます。  それでは伺いますが、こういう場合はどうですか。いま公共用地取得のみで、一般を対象としていないというが、これは公共用地の取得のみが事業内容だ。しかしながら、公共用地の取得は、やはり不特定多数から買うんですよ。そうでしょう。買うほうは不特定多数で取得して、今度は渡す側は宇治市の自治体だけですね。買うほうを考える場合は、多くの人から、幾らにも分かれているのですから、たくさんの人から買わなければならぬ。まとめて渡す、こういうことですね。それはかまわぬのだとあなたはおっしゃる。そうすると今度は、そういうふうな財源を得るために、市有財産なら市有財産を処分しなければならない、そうすると、宇治市の財産を処分する、これも処分の相手を求めるのですから、不特定多数になりますね。しかしながら、その物件の出どころは市の財産以外にはないのです。そうすると、それも売買の片方は不特定多数であるが、しかしながら、売り買いのどちらかが必ず特定のものだ。市という自治体という特定のものだ。こういうふうな場合には、これはやはり私はこのカテゴリーの中に入ってくるのじゃないかと思う。同じ市の代行機関という限りにおいては、あえてこの法律の根拠を必要としないという考え方ですね。このカテゴリーの中に入ってくるのじゃないですか。
  109. 川島博

    ○川島(博)政府委員 その辺は確かに先生御指摘のような問題点があると思いますが、私のほうは、やはり立法の趣旨から、いかなる業態を取り締まりの対象にすべきか、むしろ実態から判断すべきであろう。この場合に保護せらるべき対象は何かと申しますと、やはり宅地難に苦しんでおる一般庶民、需要者でございます。したがいまして、市から一括して買い受けたということは、なるほど、不特定多数ではございませんけれども、その売る対象が、たとえば宇治市が買いまして、宇治市の財産を公社が府に売るとか、あるいは住宅公団に売る、こういう場合でございますれば、これはもちろん業としての規制は必要でないと思いますが、少なくともそういうものでなくて、一般人を対象にその土地を分割して売るというふうなことになりますと、これはまさに消費者保護の精神からいって業法の規制対象とすべきであろうというふうに私は考えます。
  110. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この宇治市の場合には、申しあげておきますが——これは計画課長も聞いておいてください。売買行為ですが、売っておりますのは宇治市の市有財産です。学校がほかに移転して校舎のあとが要らなくなったとか、あるいは巡査の駐在所を市が提供しておったのがもう要らなくなったとか、そういったところ、あるいは公会堂が新たにできたので、古い公会堂の土地建物が要らなくなったというようなものを、他の事業の財源にするために処分しておる。その処分しておる件数は九件よりないのです。そうしてまた、買い受けておるのは、関西電力とか酸水素油脂工業ですね、これが自分のほうのレクリエーション施設にしたり、あるいは従業員の宿舎にしたり、それから防衛庁の共済組合だとか、その他二、三を個人に売っておりますが、これも不特定多数には売ってない。一筆でまとめてばっとその人に渡しておる。分譲などということは全然やってない。だから普通の商行為ではない。とにかく公的な資産を他の財源にするために払い下げをやっておる。その払い下げの代行を開発公社がたまたまやった。そういうことを使命としてつくったのですから、それをやった、こういうことですね。それから買う場合にも、学校敷地であるとか、都市計画街路であるとか、あるいは府道の用地を府に代行して買ったとか、あるいは市道であるとか、駅前の広場であるとか、そういうようなものの用地だけより買っておらないですね。だから売買件数というのはきわめて少ないのです。そんなに反復やっているんじゃないですよ。だから私は、先ほど局長が言われたように、この宇治市の開発公社の場合には免許の要らない部類に入るべきだ、こう思うのです。ところが、これはそういうようなことを合計すれば二、三十回商行為をやっておりますから、だからそれでもぐり営業だ。それは金額は大きなものにのぼりますよ。大きな小学校の用地なんかを買うとすれば、何千坪か何万坪か知りませんが、そういうことになるのですから、大きなものになりますので、金額としては大きいのですが、対象としておる件数としてはそう多くない。たとえば買い受けも、売ったり買ったりしている代表となっておる人ほか何名から買っておりますね。一つの学校用地なら、代表者ほか十五名くらいから買っておりますね。そんなのを全部合わせても百名に足らぬ。九十何名くらいです。九十何名くらいの人から売買行為があったからといって、それを不特定多数だ、それは不動産ブローカーだ、もぐり営業の悪徳ブローカーだ、こういうことにされてしまって、それで革新市政必ずしも清潔にあらずなんというようなことを新聞に書かれたのでは、しかも市長は、ぼくの、何といいますか、刎頚の友ですよ。そんなのはぼく自身がものすごいどろを塗られたようなことになっているんですよ。だから、これは遠慮なしに街頭へ出てどんどんやれ、おれも一緒に君の潔白を弁護するために街頭演説をやるから、やれというようなことを言っているような状態で、こういうような市政の混乱をしておる市民に、検察当局ともあろうものが、厳正であることは望ましい、同時に公正でなければならない、その公正であるべき検察当局が、保守的な政治勢力のいかにも背景であるかのごとき誤解を受けるような行為をされたということは、はなはだ遺憾であると思うのですね。その点、話がもうついたことだから、はしょって結論を急ぎますが、これはあなたのほうも、開発公社がこれだけたくさんできておるということは御承知のとおり。しかも、これが地価の値上がりに対処するためにさまざまな土地の売買行為をやっておる。中には、土地造成をやって、それを売って自治体がもうけて、それを財源にしておるという、全くブローカーそのままの公社もなきにしもあらずですよ。これは、そういうものとそうでないものとを画然と区別して指導してもらわなければならない。同時に、検察当局がそういうような検察権を発動される場合には、そういうようなことをやっているかやっていないかは、調べてみなければわかりませんね、やっているかやっていないか、調べるまではわからないのなら、十分その調べがつかない間に、不当に名誉を傷つけるような行為をされるということは、はなはだ遺憾であると思うのです。これは検察当局を名誉棄損で訴えたっていいくらいだと私は思っております。そんなことをしてあえて行政を担当する者同士がどろの塗りっこをしていては困りますが、しかしながら、早く結論を出して、そして悪いことは悪い、この点は間違っておった、しかしながら、私がいま説明したような実態からいくなら、これは当然他の免許の要らない業者と同じ程度のことよりやっておらなかったということをはっきり公表してください。それでなければ困ると思うのです。こういうようなことは免許が要らなかったのだ、またそういう宇治市がやっているようなことで免許が要るというなら、ほかにも同罪になるのが全国に百七十二あるのだ。百七十二の一つなんだ。しかも百七十二のうちで建設省は百三は免許はなくてもいいと言っておるのだ。その百三の中の一つに入っておって——これを加えて百四ですよ。百四の中の一つに入っておって、宇治市については検察当局のやっておったことは間違いだということをはっきりさしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  111. 石原一彦

    ○石原説明員 先ほど厳正ということばだけ使いましたが、検察の基本方針といたしましては、厳正公平かつ不偏不党でございます。先ほどの御質問の中に、社会党のみをねらい撃ちするというようなお話でございましたが、さようなことは決してございません。  なお、迅速かつ適正なる処理をするということにつきましては、機会を見て検察庁によく連絡したいと思っております。
  112. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 しからば、万一宇治市があなたがいま言ったようなことで処分されるということなら、他の百七十二も同じように処分されるのでしょうな。それも聞いておかなければならぬ。
  113. 石原一彦

    ○石原説明員 捜査の端著がございますれば捜査を開始するのが、検察庁の原則でございます。
  114. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 わかりました。
  115. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後一時三十四分休憩      ————◇—————    午後三時三十八分開議
  116. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案に対する、質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     …………………………………
  118. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより討論に入るのが順序でありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  119. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     …………………………………
  120. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 なお、ただいま議決されました水資源開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、渡辺栄一君外三名より、四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡辺栄一君。
  121. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました水資源開発公団法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党並びに公明党四派から附帯決議が申し出されております。  ただいまからその内容を朗読いたします。   政府は、本法施行に当り、左の諸点について、適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、愛知用水公団の懸案事項の処理及び木曾川水系における新規事業の実施に当っては、同公団の組織及び経験を十分に活用し事業の円滑な推進につとめること。  二、愛知用水公団の職員は、全員統合時期の労働条件をもって、水資源開発公団に引き継がれ、完全雇用を保障されること。  三、木曾総合三重用水両国営土地改良事業公団移管にあたっては、その職員の希望を尊重して配置転換を行うとともに、東海地区の国営土地改良事業の縮少はしないこと。    今後国営土地改良事業事業量の確保と職員の身分の保障につとめること。  四、水資源開発公団事業と国営土地改良事業との分野を明確にするとともに、国営土地改良事業として発足した事業については、原則として今後公団に移管しないこと。    右決議する。  以上であります。皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  122. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  123. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決定いたしました。  この際、宮澤経済企画庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤経済企画庁長官。
  124. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議を拝承いたしました。本法の施行にあたりましては、御決議の趣旨を尊重いたしまして、運用に遺憾なきを期したいと存じます。     —————————————
  125. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  127. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次回は、来たる十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会