運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-14 第58回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十四日(木曜日)    午後二時三十四分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君 理事 内海  清君       池田 清志君   稻村左近四郎君       浦野 幸男君    大野  明君       澁谷 直藏君    正示啓次郎君       田村 良平君    廣瀬 正雄君       井上 普方君    島上善五郎君       下平 正一君    福岡 義登君       渡辺 惣蔵君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         運輸省自動車局         業務部長    渋谷 正敏君         専門員     熊本 政晴君     ————————————— 三月十二日  委員下平正一辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長指名委員に選任された。 同日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員井上普方辞任につき、その補欠として枝  村要作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員枝村要作辞任につき、その補欠として井  上普方君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二八号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際おはかりいたします。  本案審査のため、明十五日午後一時三十分、阪神高速道路公団から参考人出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶり者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐野憲治君。
  5. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 ただいま上程されておる道路整備特別措置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、二、三ただしておきたいと思います。  まず最初に、昭和二十七年の国会において道路整備特別措置法並び特定道路整備特別会計が制定されまして、自来、三十一年——二十四国会だったですか、日本道路公団法が制定されて、預金部資金による有料道路公団が実施する、こういう任務を背負ってまいったわけでありますが、これらの沿革、並びに今回改正されようとする真の意図は一体どこにあるのか、どういうところ問題点があって今回の改正に踏み切られたのか、それらの点についてお聞きしておきたいと思います。
  6. 保利茂

    保利国務大臣 佐野さん御案内のように、日本道路公団は、発足当時には比較的小規模の道路にも手を出しておったようですけれども、国土開発要請が、縦貫的幹線道路整備を非常に強く要請されるという事情になってまいりました。そこで、幹線自動車道採算の見込みの立つ路線について、いわば大規模の道路について道路公団がその機能を発揮するというようになってまいっておりますが、現状は、国道及び高速道路等整備が進みます一方において、地方道整備がたいへん立ちおくれておることは、はなはだ遺憾であります。そうかと申しまして、それでは地方道にも十分の手が伸びるということは非常に困難なものでありますので、各地におきまして、地方公共団体採算上の見通し等もあって、地方で手をつけてやりたいというような要請も発然起こるわけです。それらの要請にもこたえる必要があると考えまして、予算的にはすでに説明申し上げましたような措置をとっておりまするし、それを法的にも裏づけする必要があると感じましてお願いをいたしておる次第であります。
  7. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 ただいまの大臣お話を聞いておりますと、非常に新しい装いをもって道路政策に対しましても検討を加えられておる、そういう姿が法律の中にもうかがわれるわけですけれども、しかしながら率直に沿革を見てまいりますと、昭和二十七年、朝鮮動乱から、いわゆる産業基盤の確立へという大きな動きの中で、有料道路に対するこの法案が制定された、そして道路公団に受け継がれていった過程考えますと、率直に申し上げますと、公共事業そのものは非常に中央集権的な性格を内在しておるわけです。ほうっておくと中央集権の方向をたどるのが、公共事業の持っておる内的素因だと私は思いますが、そういう意味から考えてまいりますと、いままで地方がやっておりました有料道路を国がやらなければならない。権限を剥奪する、特に道路公団もできてまいって、地方のやっている権限を奪してまいった。剥奪するためには、やはり公共事業の持っておる中央集権的な意義なり当時の時代の要請なり、いろいろのものがそこに加わったの、だろうと思います。しかしながら、今日に至りまして、道路公団がたくさんの有料道路をしょっておる、もうめんどくさくなってしまった、実際の機能としてもそれをやることができ得ない、だから逆に地方に戻そうとする。いままでは権限を剥奪する、今度は、たくさんの事業量をかかえておるから、これを地方に押しつけようとする、何だかそういうふうな便宜主義的な考えが背後にあるのじゃないか、こういう点を私おそれるわけですけれども、実際はどうなんですか。
  8. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまの、公共事業中央集権的な色彩を帯びているということにつきましては、私は、必ずしもそう思わないのであります。国が国の大きな力をもってしなければやはりなかなか開発ができない面については、願うところは、これはもうもろもろの地域開発計画が示しておりますように、狭い国土でありますから、全国的にできるだけバランスのとれた国土開発をやっていきたいということが大きな基本だと思います。その基本にのっとってたとえば縦貫幹線自動車道等計画しておるわけですが、これが政治の上の中央集権ということにはあるいは当たらぬかもしれませんけれども、よほどその辺の考えを持たないと経済的な中央集権ということにおちいる一面の危険がないとはいえないのじゃないか。すなわち、僻地の開発等をこいねがっておるのに、逆に大きな道路がいく、交通が簡便になってくるというようなことになると、繁栄したところにどうしても人は寄ってくる、経済は動いてくるというようなことになるおそれは十分にあると思いますから、その辺は十分気をつけていかなければならないと思いますけれども、中央集権をねらって公共事業をやっておるということは、これは私は当たっておらぬのではないかと思います。
  9. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 最近の河川法改正、あるいは道路法なり、いままた都市計画法改正を提案しておるわけですけれども、少なくとも戦前には、すべての道路なり河川なり都市計画、これがいわゆる機関委任事務として与えられておった。それが、新しく憲法、地方自治法に従って、それぞれの法律は、古い機関委任事務から、新しい管理責任を明確にした法案が出てまいっておるわけですけれども、しかしながら、この法案の中にもいろいろと大臣権限留保事項が非常にたくさんあります。その運用面を見れば、補助金その他によって、過去の法律のもとにおける機関委任事務と何ら変わらないのであります。  そこで私は大臣にお伺いしておきたいと思いますのは、たとえば第四次五カ年計画をつくりました場合を例にとりましても、第五次五カ年計画を昨年つくられました場合を見てみましても、財政上の問題、この点から、特に地方道というものはそういう意味においてまま子扱いになっておる。たとえば第五次五カ年計画の場合におきまして七兆三千億円を要求された。ところが、閣議了解事項によりまして六兆六千億円になった。ところで、中身を見てまいりますと、地方道単独事業として一兆九百億円を要求しておった。ところが、七兆三千億円が六兆六千億円に下がったにもかかわらず、地方単独事業だけは一兆九百億円から一兆一千億に上積みになっておるわけですね。第四次道路整備五カ年計画の立案の過程におきまして、やはり同じように四兆一千億円にきまった。建設省要求いたしておりましたのが六千億円であった。閣議了解決定事項を見てまいりますと、八千億円に変わってきてしまった。要求よりも上積みになってくる。こういうのは、単なる数字を合わせるための計画目標なり事業量を定める、こういう道具に使われてしまっておるのではないか。そういういままでの整備長期計画の樹立にあたって見られるのと同じ態度が今度の場合も見られるのではないか、こういうことを感ずるわけですけれども、そういう点に関しましてどうお考えになるかということと、もう一つは、昨年度において閣議了解事項になった、少なくとも七月、おそければ秋までには閣議決定をするのだ、こういうぐあいに委員会において述べられたのですけれども、すでに本年度が終わろうとする。法律的な立場に立ってみましても、年度内に財源を明らかにした正規の五カ年計画がなぜでき上がらないのか。予算国会審議にかけられており、その基礎をなすところの五カ年計画予算審議に当たっておるにもかかわらず、なお決定していないというのはどういうことですか。
  10. 保利茂

    保利国務大臣 佐野さんは法律の造詣が非常に深いのですから、私からお答えしようがありませんけれども、道路五カ年計画閣議了解のままで推移して閣議決定がたいへんおくれておるという御指摘については、そのとおりでございます。就任後もだいぶ督促いたしまして、どうやらこうやら近く決定段階にまで来ておりますから、近いうちに決定してもらうつもりでございます。
  11. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 地方単独の問題についてちょっと御説明いたします。  地方単独につきましては、一応いままでの地方単独がどのくらい実施されておるかといいますと、それと、地方財政考えまして今後の五カ年にどのくらい地方単独になるだろうかという想定でございまして、そういう想定のもとに、七兆三千億のときには一兆九百億というような数字地方単独で出したのでございます。その後六兆六千億という閣議了解段階に至りまして、この辺の数字については百億、二百億というような精度がなかなか得られないわけでございまして、そういうことでちょうど一兆一千億ということにした次第でございます。
  12. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 おかしいじゃないですか。みなさんのほうが一兆九百億円でいいのだ、こういう計画を策定して、他のものは有料道路なり一般道路その他は削られる。しかしながら単独事業だけはふやす、これは一体どういう考えか。それも前回の五カ年計画にも行なわれたわけです。六千億要求しておった。しかしながら八千億円になった。一体どうして計画作成過程の中でそういうおかしな問題が出てくるかというと、これに関連いたしますけれども、道路整備五カ年計画を見てまいりますと、道路整備五カ年計画の中に市町村道も含まれておるわけですね。しかも、いま百万キロの自動車道延長の中で市町村道が八十四万キロをこえておるわけですね。約八四%ないし五%程度道路の中における市町村道であるわけですね。その市町村道一体どう整備していくか、これは重大な問題だと思います。県道の場合におきましても——国道は二十七万キロでしょう。そうした中で一番大切な道路基幹となるべき市町村道路を中心としての整備、これを考えてまいりますと、その場合に、市町村道市長村長管理する。戦前のように、機関委任として市町村長道路をまかしておったのではないですよ。県道は、いわゆる政府県道として県知事にまかせておったわけじゃないでしょう。いまはそうじゃなくて、市町村長管理をしているのだ。この管理している道路整備しようとするのに、管理者である市町村長から何らの意見も聞かない。県知事から何らの意見も聞かない。五カ年計画を立てる、きまったものは県知事に通告する、これだけの法律になっておるでしょう。目標事業量を定める、一体こういう問題をどうお考えになるか。地方自治民主主義基盤だといわれる。しかも政治目的として地方自治が存在しておるわけでしょう。行政目的のために地方自治があるわけじゃないですね。民主主義は、みずからが参加する、みずからが決定するという地方自治のたてまえから考えてまいりましても、五カ年計画を立てるのに、管理者からの資料なり現況報告なり、今後の改良に対するところの方向なり、それらを何ら求めることもなくそういうようにかってに決定する、こういう法律あり方自体の問題が、計画を立てる場合におきましても、四十年の五カ年計画の場合でも、先ほど指摘いたしましたとおり、ただ一定の金額、七兆三千億が六兆六千億になった、まあまあだといっておる、また、いわゆる地方単独事業をふくらませる、こういう操作をやっておる。全く町村長を無視しておるだけでなく、私は、地方自治の面から考えましてもたいへんな問題を含んでおるのではないか、かようにも考えますので、それらの点に対する大臣考えをこの機会に明確に示していただきたいと思います。
  13. 保利茂

    保利国務大臣 道路整備計画を立てるにあたりましては、御案内のように道路審議会に諮問するようになっておりますが、その委員の構成について、これは十分とは言えないかもしれませんけれども、ただいまお話しになりましたような地方代表者の方々を委員にわずらわしておりますのもそういうわけでございます。  それから道路基幹町村道だとおっしゃいますが、私は、やはり幹は国道であり、県道であり、枝が町村道だと思っております。しかし、その幹のほうも何さま整備が手がつけられないほどおくれておったわけですから、長い間努力をしていただいて今日の程度にまで整備されてきておるわけであります。これから枝のほうに力を入れていかなければならぬというところにきておるのではないか。自動車取得税等新しい財源をも生み出していこうというのも、それはもちろん十分ではございませんけれども、市町村道整備が急を要しておるという要請にこたえたいというあらわれだと御理解を願いたいと思います。
  14. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 いつかの機会に前の大臣にも言ったのですが、たとえば、終戦後出てまいりました公営住宅法——住宅建設法に変わりましたけれども、その場合を見てまいりますと、住宅の不足はどうだ、住宅事情はどうなっておるか、こういうことをまず事業主体である市町村なりから資料を集めて、集めたものを県がまた整理をして国へ提出する、そういう中で国が大局的な住宅政策についての方針を決定する、こういうたてまえをとっておりますね。一体道路なり河川の場合なぜそういう順序をとることができないのか。あなたは、道路審議会にかけた——審議会があることはよく存じております。これは単に学識経験者が参加しておるだけでしょう。実際に当たっている市町村はどうなるのか、道路財源はどうなんだ、こういうことの意見は全然聞かなくて計画をお立てになるというところに、法的に何ら担保がないでしょう。運用においてはある程度までやっておられると思うけれども、法的な担保が何一つないでしょう。市町村管理者担保されてないでしょう。こういうむちゃな法律をつくるからそういう問題が起こるのではないか。と同時に、時間もありませんが、たとえば昭和四十二年三月末の建設省資料ですが、御案内のとおり、一般国道が七三・三%が改良されておる。舗装は六七・六%だ。都道府県道は、改良は三三・五%、舗装は一九・四%、市町村道は、改良はわずかに一二%、しかも舗装は四・四%、これが四十二年三月末における道路統計ですね。八十四万キロもあるこの膨大な町村道路に対して、しかもその進捗率を見てまいりましても、改良はわずか一二%だ、舗装は四・四%だ。こういう中で市町村に対して一体どれだけの特定財源を与えてきておるのですか。ガソリン税なり軽油引取税なり、こういう一つ目的税というものの中で、これらの自動車が運行しておるその中で、居住住民たち日常生活のためにたくさんの道路を使っておるわけですね。そうした中から出てくるガソリン税軽油引取税が、なぜ国が八五%も取ってしまわなくちゃならないのか。一般道路国道が七三%も改良されておる。この背景となっておるのは、特定税源であるところガソリン税である。県の場合におきましては、譲与税といわゆる軽油引取税である。これで四六%の財源が保証されておる。ところが、市町村道に至っては一体何を与えてきたのですか。市町村道の中に自動車は走っていないのですか。バスやトラックが走っていないのですか。現実の問題としてガソリン税町村に一銭もよこさない、こんな不公平なこと、しかも町村道改良しようという意思も聞かない。法律的には、おまえたちのことはおれがかってにきめるのだ、目標と量をきめてあげるのだ、通知するだけだ。しかも財源は一銭もないように持っていく。こんなばかげたことをやっておるから、一二%なり、舗装が四・四%という数字が出てくるのじゃないですか。こういう点に対してどうお考えになりますか。
  15. 保利茂

    保利国務大臣 私は、端的に申しまして、国道地方道整備をとにかく急がなければだめだ、そうしてだんだん枝へいくということでいくよりしようがないのじゃないかと思う。しかしながら、お話のように、町村道の八十三万キロというのはとにかくたいへんなものでございますから、これを整備するということはちょっとじゃないけれども——一面、国道地方道整備を急ぎつつ、町村道整備についてもあとう限りの財源を確保してまいるということよりしようがないのじゃないかと思っておるわけなんです。もうこの国会でもずいぶんお話がございましたが、いずれも国道の混雑を何とかせよということばかりでございます。幸い佐野委員から町村道整備ということで非常に強い指摘をいただいて心強く感ずるわけでございますけれども、とにかくガソリン税をかりに手を入れましてみたところで、まだまだ国道あるいは高速道に用うべき余地があまりに多過すぎるという状態は、これは認めなければなるまいと思うわけです。しかし、とにかく八十三万キロという町村道整備ということはゆるがせにできないことでございますから、最善を尽くしてとにかくこの整備を急いでまいるということを考えていきたいと思う。
  16. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 市町村に対して、後進地域なり奥地開発なり、いろいろ法に基づく補助がありますね。そこで、市町村道にも五カ年計画を立てるようにということが、こういうような整備の一環として出ておるわけなんですけれども、これは去年からそういう制度が発足しておりますが、これを見てまいりますと、町村道に対しまして、昭和四十年に四十三億円、昭和四十一年に九十四億円、昭和四十二年に百二十三億円、わずかこれだけの補助が出ておりますね。しかもこの中で町村道に対する補助として厳密に整理してまいりますと、九十億円が、法に基づく、補助をしなくちゃならないという規定による補助である。一般道路補助というものはわずか三十億円にしかならないわけですね。一体三十億ぐらいの金を出して、八十三万幾らですか、八十四万キロの町村道に対する補助というのは何ですか。一体どうしてこういうばかげた補助金町村道に与えるのか。何か町村道整備するために特別の措置をとったのかと思ってながめてみますと、発足した去年わずかの三十億円だ。その点、本年度はどうですか。
  17. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 一般道路事業の中で、特に地方道として行なわれます市町村道補助事業は百二十三億でございますが、実は市町村につきましては街路事業の中で相当入っておるものと私たちは思っております。
  18. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 よく存じております。だから私は一般道路の中で街路は別として、わずか三十億円ぐらいの金を補助金として出すほうも出すほう。そのために町村が非常に事務的にもたいへんだと私は思うのです。いわゆる設計をつくらなければならない、承認を得なければならない。わずか三十億を出すのに大臣権限が留保されなければならない、こんなばかげた話がありますか。わずか三十億円ですよ、大臣。こういうことで、わずか三十億の金を出すのにさえも一々大臣承認を得なくちゃならぬという権限が留保されておる。こんな補助金なんて、町村に対してあまりにも私は無礼な態度じゃないかとすら、この数字を見て思ったわけです。試みに、市町村にどれだけのものが出ておるか。いま申しましたような直轄——これは北海道関係がおもですけれども、直轄市町村長は三十六億円負担しなくちゃならない。それから一般道路に対して、補助事業の裏づけとして九十二億円出さなくちゃならない。街路に百六十八億円負担しなくちゃならない。土地区画に対しまして七十六億円負担しなくちゃならない。単独事業としてことしは幾らですか。八百三十六億円見込んでおるわけでしょう。そうしますと、一千二百八億円、これだけの金を用意しなくちゃならないということになっているわけですね。しかもこれを交付税法によって見てまいりますと、去年の場合は、いわゆる延長に対するところ改良その他を見込んでおりますが、面積で維持修繕費を見ておる。これを見てまいりますと、去年は、第二種交付金だった二十五億を市町村に出しておる。二十五億円という金は、一メートル当たり二円八十銭にしかならないわけです。それを合わせましてやっと二十九円しか見込まれないわけですね。ことしは自動車取得税その他の関係がありますから、四十一円ですか見込んでおります。これくらいのことで一体やっていけますか。自動車取得税も入ったじゃないかと言われる。町村には財源があるのだろうと言われる。実際上はどうですか。しかも皆さんがこのために決算を比較してみればよくわかると思うのですけれども、いろいろ問題点決算の中で出てきておると思います。一体これだけのたくさんの金を負担しなくちゃならないのに、目的税源も与えない、みんな取っていってしまう。やっと三百五十五億円、まあ平年度は五百五十億円ぐらいになりますが、その五%引いた七割をよこすとしてみたって、これは限度があるじゃないかと思う。これで一体町村道の改修というものは進んでまいるだろうか。そこで、おたくが本年度三千九億円を出していわゆる道路整備事業をやるという数字の中に、一体単独事業は入っているのですか、どうですか、その点ひとつ。
  19. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 四十三年の地方道関係——これは一般道路街路を含めてでございますが、大体われわれの推定では三千九億となっております。これには単独事業が入っておりません。その中の市町村道の分でおよそ推計いたしますと、街路を含めまして八百九億ぐらいが市町村関係にいくものと思われます。
  20. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 この八百九億円で、改良が四百七十六キロ、舗装が三百五十キロ、本年はこの程度しか見込まれないわけでしょう。一体この中でどうして単独事業というものを見込むことができなかったのですか。単独事業を合わせて一体幾らぐらいの進捗率を今年度は見込まれるか、こういうのを発表される中になぜ単独事業を抜いてしまうのですか、総合的に把握する面から……。
  21. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 単独事業につきましては、これは非常に維持的経費もあると思います。四十三年度地方単独事業としていま私たちの推計しておりますものは全国で二千六十億くらいで、このうち約半分が市町村単独事業になろうかと推定いたしております。その中で、いま言われましたように、改良幾らになるか、舗装幾らになるか、ちょっとこれは推計しかねております。しいて推計いたしますと、そのうちの半分ぐらいが維持的な経費に使われるのではないか、あとの半分がまあ舗装みたいなものに使われるのではないかというような想定でございます。
  22. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 地方財政計画の中ではっきり出してきているわけでしょう。維持修繕費道路幾ら持つと出してきておるでしょう。それからまた、単独事業としては幾らだ、いま申し上げました町村幾らだ、こういうこともはっきりしておるでしょう。単独事業は、県は一千二百八十八億円、市町村は八百三十六億円、こうでしょう。そうしますと、皆さんの今年の計画の中に、単独事業を抜かして八百九億円という。ところが、単独事業は八百三十六億円、これだけやらなくちゃならない。もちろん、これには交通安全の中の道路の分が入っておりますから、県と市町村を合わせまして二千六十億円という財政計画の中に六十四億円だけはよけい加わっておりますから、二千百二十四億円、これだけの単独事業だということを明らかにしているわけでしょう。二つ合わせてどうなるのだろう、これでは五カ年でどういう目標に到達することができるか、こういうことになるわけなんです。  それと、もう一つお伺いしておきたいのは、五カ年計画が発表になっておりますね。地方道改良が一万一千四百四十キロ、舗装が二万四千百九十キロありますね。これは街路も含んでおりますね。一兆八千億円だ、そのうち市町村道は五千億円だ、県道は一兆三千億円だ、こういう数字を出しておりますね。この中で、改良は二千七百三十キロ、舗装は二千九百キロ、市町村道の場合はこうしておりますね。それで改良率は昭和四十一年の末が一二・四%からやっと五年間で一二・五%に引き上げるんだ、舗装は四・二%から五・四%に引き上げるんだ、こういう数字が出ておるのですが、この改良の二千七百三十キロ、舗装の二千九百キロ、これはやはり単独事業が入っているのですか、入っていないのですか。
  23. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの数字は私どもがこの前に推定で出したものだと思いますが、実は五カ年で市町村道にどれだけの改良ができ、どれだけの舗装ができるかの延長でございますが、そのパーセントと、いま先生おっしゃいましたパーセント、これは改良済み、舗装済みのものをさらに街路計画で再改築するものは入っていないわけでございまして、未改良道路改良するのをパーセントであらわしております。舗装についても、未舗装のものを舗装にするというような数字であらわしております。実際の市町村道でやられるものが全部そのパーセントに影響してくるものではございませんで、いま先生のおっしゃいました数字は、いまいろいろ計数を整理しておる次第でございますが、ほぼそれに近い数字だと思います。それにつきまして、やはり先生のおっしゃっておられるように、市町村道改良延長とか舗装延長とかいうものが非常に少ないじゃないかということになるかとも思います。私たち、やはり市町村の問題については、八十三万キロもございまして、今後どうするかの問題は、これは非常に大きな道路行政の問題だと思います。いろいろ推定はいたしておりますが、われわれ昭和六十年くらいの時点で見ます場合に、やはり幹線の道路といたしまして、車が主として交通する道路として四十万キロくらい必要だろう、そのほかにやはり区画街路的なものが約三十万キロぐらい必要だろうというような推定をしております。これについて今後どういう形でそれを実施していくか、あるいはどういうものを国が補助の対象とするか、どういうものを地方が単独でやってもらうような財源の問題を考えるかということを現在いろいろ検討しておる次第でございます。
  24. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 いままでの決算面から見ますと、皆さんのほうはいろいろ検討されただろうと思いますが、有料道路の場合、一般道路の場合あるいは単独事業の場合、どうですか、最初の皆さんの目標決算面とどういう歩みを続けておりますか。
  25. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いままでの五カ年計画の推移をながめてみますと、第四次五カ年計画、総額四兆一千億で出発いたしまして、これは三年目で改定になったわけでございますが、三年間の実績をとってみますと、やはり一般道路がたぶん五五・六%にいっておったと思います。有料道路がおくれておりまして、これが四〇%程度、それから地方単独はかなり当初の計画より進んでおる、大体六〇%近くまでいったのではなかろうか。いま地方単独の推計と実績を比較してみますと、その時点の地方財政のいい悪いによって非常に影響があるのでございますが、この数年についていいますと、われわれの推定したものより以上に地方単独が実施されているという現状があります。
  26. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 決算面から見ると、有料道路目標よりややおくれておる、特に地方道における府県道がほぼ予想の線をいっておる、単独事業は非常にオーバーしてきておる、こういう中で考えられるのは、私たち地方行政委員会で非常に心配しておりましたのは、道路なり河川なり、砂防なり、海岸なり、こういう事業によって地元町村から負担金を取ってはならない、こういう規定を置きましたので、全国的な決算を見ましても、海岸の場合、河川の場合、あるいはまた、砂防工事の場合におきましては、地方財政法の規定によって取っていないわけです。しかし、道路の場合だけは、いわゆる寄付その他の行為によって町村から県道改良なりあるいは補修の場合に出していっておる。これらの金の持っていくところがないということから単独事業にいく。だから、単独事業数字的には非常にふえてきておる、けれども、実際の改良率なり舗装率はその割りに進んでまいらない、こういう場合に、やはり府県は地方財政計画にのっとってある程度までやる、不足する分を町村に押しかぶせる。町村はその分をかぶってやっておる。いま申しましたような国道の場合を見てまいりましても、相当に改良が進んでいる、舗装ができておる。その中で取り残された町村道、その町村道においてすらも、三十億円のいわゆる補助の行くえを——追及と言ってはおかしいが、見てまいりましても、ほとんど国道県道の代替できる道路にしか補助をやっておらない。だから三十億円で済むということにもなるのでしょう。一般町村道に対しては何ら措置されていなくて、逆に国道——皆さんの目標を達成するために県道財源不足を市町村等に押しかぶせる、これがいわゆる単独事業となって化けてきておる。町村の場合におきましても、町村道をやる場合におきましては、寄付なり部落奉仕なりの形でこれをやっていっておる。ですから、数字的に見てまいりましては、非常に地方財政の豊かさを反映しておるのではないかという現象を見ますけれども、実際問題としてはたいへんな事態に直面しておると思います。そういうものに目を向けるときに、わずかの自動車取得税というものを新しくつくる。これは雑税です。町村では軽自動車税を取っておる、府県では自動車税を取っておる、その上にもう一つ取得税を取る、まさしく雑税だと思います。質のいい税金じゃないと思います。こういう雑税を与えて、わずかの財源しか補助してない。先ほども申しましたように、国がガソリン税を持ち、軽油引き取り税を持ち、譲与税を持つというのに対して、あまりにも財源措置としては不適当だと思います。皆さんのほうが単独事業といったって、それはどうなるかわからない。だからこそ、ああいうむちゃに——要請するときには一兆九百億円、確定のときには一兆一千億円といった、全く変な操作がここから出てくるのじゃないか、かようにも考える。  町村道の現況に対して大臣としてはどうですか。行政管理庁から、去年の八月だったと思いますが、町村道整備に関する勧告が出ております。市町村道というものはあまりにも立ちおくれておるし、住民の生活を考えていない。いわゆる高速道路だけに重点を置かれておるのではないか。本来の道路というものは、生活面を中心とした道路基盤とならなくてはならない。アメリカの場合もそうです。諸外国でもそうです。まず町村道財源を与える。町村基幹道路は国の財源をそこに投入していく。日本の場合は逆になってきておるのではないですか。去年は一般会計において八百二十億円を出した。ことしは四百七十億円、一般会計から出る分が半分くらいに削られてしまっておる。逆に、ガソリン税は去年よりも二十億円よけい見込んだ形でこれで押しつけられておる。それはどこに裏づけをやっておるだろうか。たとえ自動車取得税がわずか入ったといたしましても、一体幾らですか、問題にもならないでしょう。先ほど私が申し上げましたような、町村が負担しなくてはならない四十二年度計画の中から比較してみましても、これは問題にならないと思うのです。しかも大臣、今度の予算の中においても問題になりましたような交付税をあるいは引き下げる、逆に交付税から貧乏な町村に与える金を国が借金をして借りていく、こういうばかげた措置をやっておる。この法人税、所得税、酒税の三税の三二%、これが町村税に対する唯一の財源になっておるわけです。こういう中で、それを国が借りていき、逆に率を引き下げようとする。これでは町村道はどこに道を求めていくか。ほとんど押し詰まった中で、しかも荒れ果てた町村道をかかえて全国の市町村長はみんな苦しんでおる。この間、大臣のふるさとの佐賀県の災害を三日間歩いて見てまいりまして、全く市町村道の悪さに私もあっけにとられてまいったわけであります。町村道だから町村がやるというのではなくて、五カ年計画で皆さんが整備計画の中に入れたでしょう。しかも財源の問題もここで取り上げられておる。去年の初年度で発足したのに、なおも五カ年計画閣議決定ができないというのは、財源の問題が一番大きな問題になっておるからだろうと思います。この前も言った、地方単独事業における財源というのは一体問題になっておるのですか。皆さんのほうが五カ年計画をやろうとする場合に、現実的に六千億円内外の金が不足してくる。ガソリン税値上げでいくか、一般財源を入れるかどうかというところに焦点がしぼられておるように聞いておるのですけれども、単独事業一兆一千億円に上げて、それらの財源というものは一体どこでやっていくのか。しかも、これらがたとえ達成されたとしても一体どれだけの改修率になるのか。しかも国道県道整備されてくる。その一切のしわ寄せが市町村道に寄ってくる。これらの点に対して行政管理庁は見るに見かねて勧告をやっておる。地方制度調査会におきましても、やはりこの問題が重大な問題として取り上げられておる。しかしながら、現業を担当いたしておる、しかも大臣補助金によって権限を留保している。しかし、町に対しては法律的にも何らの担保がない。そういう形の中で一体町村道事業というものは進めていいのか。法律的にも財源的にも、このままでは町村道一体どうなるか。これらに対して打開の方法なり方針がありとするならば、お聞かせ願いたいと思います。
  27. 保利茂

    保利国務大臣 佐野さんからの、特に町村道の荒廃、したがって、整備が立ちおくれておるということ、非常に御心配なこと、同感でございます。おそらく佐野さんの地元でもそうだろうと思いますが、町村道もきることだけれども、そこを通っておる地方道だけでも早く整備してくれ、この声のほうがより一そう強い。私らのところでは現実にはさようでございます。その地域地域によって、地方道整備の進んでいるところ、おくれているところによって、同じ県内でもずいぶん違うと思うのです。しかし、どちらにしましても、町村道整備というものを、だからといってほうっておくわけにはまいりませんから、五カ年計画の中に第一に取り上げているわけでございまして、町村道はほったらかしておいていい、そういうけしからぬ考えはもう少しもないわけで、何とか町村道整備も急がなければならない、そういうことで、自動車取得税などの新しい税まで考えてやっておるわけでありますけれども、だんだん地方道整備が進んでまいりますと、何さま八十三万キロという町村道でございますから、これに本格的に立ち向かって国の施策としてやっていくというようなことになりますれば、これは財源等についても新たな検討を要するのだ、こういうふうに考えるわけでございます。
  28. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 特に行政管理庁の勧告なり、地方制度調査会の答申なり、これに対してどういう形で建設省は取り組んでおりますか。
  29. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 勧告は私ども尊重したいと思っております。ただ、現状といたしまして、これは言いわけめいてくるのでございますが、車の増加が非常に激しい。道路整備が、一つのバイパスをやるにしても、どうも時間がかかってそれに伴っていけないという事情があります。いまの道路整備が現状を交通打開だけに追われてきゅうきゅうとしておる。さらに、道路整備といたしましては、将来の地域開発を含めたものもやらなければいかぬし、また、いま佐野先生おっしゃいました生活環境の整備、これも一つ道路の持つ役目かと思います。そういうものを考えまして、何がいま一番必要か、何を緊急にしなければならないかというところに、われわれ、道路の投資額を配分するときに非常に苦労しておる次第でございます。長い目で見れば、いま言いました地方道市町村道整備、こういうものにも十分力を入れてまいらなければならないと思います。いまの勧告については、将来ともひとつそういう方向になるように十分取り上げていきたいというふうに考えております。
  30. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 きょう運輸経済懇談会がいろいろな鉄道の建設について問題を出したと思いますが、あの中にも非常に参考になるいろいろな問題点があると思います。少なくとも私たちは、ガソリン税とか、こういうものは地方道におろすべきだ、そしていまの多くの交通麻痺なりいろいろな問題が起こっているところに新しい道路をつくらなくてはならない。これは産業基盤、いわゆる民間設備投資の行き過ぎに道路が追っかけ回されておるんだ。そのために、道路は本来の生活基盤を中心とする生活道路でなくちゃならない、この原則からいって、いまのような、町村道が通過道路だ、通過交通だ、そういうような形になってしまって、本来の日常生活に直結した道路になっていない。雪が降ってくる、あるいはまた、ちょっとした、二・五メートル以下でしかも自動車の通れない町村道が四割も占めておる。火事が起こったらどうするんだ。たいへんな問題だと思います。そういうほとんど生活の中で孤立しているような形になる。たとえば雪の中に閉ざされているいろいろな問題を見てまいりましたが、ほんとうに考えなくちゃならない問題がたくさんあると思います。しかも、大臣地方の税金というものは国が七割まで税金を持っていっておる。一番質のよい税金を持っていっておる。あとの三割しか財源としては府県、市町村のほうに残していない。しかも、大衆課税だいわれる人頭税的なものしか残っていない。いいものはみんな国が持っていってしまっておるわけですね。しかも目的税の税源すらもそういう形になってしまっている。その中で町村道をやれといったって、できるものじゃないのですから、思い切ってやはりガソリン税なりそういうものは町村に戻す、そしていわゆる交通麻痺の重大な原因をつくっておる設備投資の行き過ぎ、一年間に一四%程度と経済企画庁が見込んだのに、二四%をこえる、こういうでたらめな設備投資をやれば、関連するいわゆる社会資本としての産業基盤整備というものに追われてくる。こういうものはやはり開発者が利益負担をする、こういう本来の一そのために資本家、産業が栄えておる根源を道路がつくってやっておるのですから、その投資効果に見合うものをその企業からいわゆる取り戻す、そして一般の日常生活道路に対しましてもガソリン税その他を投入する。外国だってそうやっておるじゃありませんか。そういうぐあいに、さか立ちしてしまっておる道路行政というものをこういう時期にやはり考え直さなくちゃならないんじゃないか。外国から見てまいりますと、全くさか立ちだと思います。しかも、年々におけるところ道路投資というのは非常に世界の高水準を抜いておるけれども、実際の道路本来の生活道路として考えますと、全く貧弱だ。財源においても、制度面においてもさか立ちしてしまっておる。これをもとに戻して、企業家なりそういう方面から、当然、開発利益なり、それらに対するところの、補完的と申しますか、いわゆる基本的な税金というものは町村道なりに戻さなければ、問題解決ができないんじゃないか。こういう点についての大臣の所見を一応伺い、それと同時に、この前の私の質疑の中で、五カ年計画で一千五百億円の予備費を持つというのは一体おかしいじゃないか。いままでの道路計画の中に予備費なんというものは一文も見られなかったのに、今度は出てきておる。おかしいじゃないかと言ったのですけれども、これらの取り扱いに対しましても、二年目になる今日、一体どういうぐあいに話が進んでまいっておるかということについて、二つの点に対してお聞きしておきたいと思います。
  31. 保利茂

    保利国務大臣 国道それ自体が、とにかくこの十数年前までは今日を予想するような自動車の状態でなしに、極端に言えば、荷馬車の通る道路国道みたいなものだった。それが今日この大量の、しかも大型の自動車がふくそうする——これはまあ日本の経済、産業のとにかく飛躍的な発展の姿でございます。これをまかなっていくということに忙殺されておる。そうしなければ国力の発展というものはまた期しがたい。国力の充実をはかっていきますためには、何をておいても、物資の交流をなめらかにする交通の整備が第一であるということで、まあ国道地方道整備を急いでおるわけでございます。そうかと申しまして、町村道のほうが放置されておっていいわけのものではございません。したがって、放置しておくわけにはいきませんから、五カ年計画として取り上げて、可能な限り財源を捻出して、何とかこの五カ年計画の遂行をはかっていこう、これはいろいろ佐野さんの御意見はございますが、傾聴すべきだと思いますけれども、一兆一千億を予定いたしております整備事業につきましても、おおよそ財源の手当ては可能ではないかと考えておるわけでございますが、しかしながら、町村道整備に本格的に取り組んでまいりますためには一段のくふうを要するという御意見には、そのとおりと思います。
  32. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 この五カ年計画の二年目なんですが、ことしの予算を見ておりますと、あとの三年は二五%以上の伸びをやらなくちゃ五カ年計画を達成できないという逆数字が出てくるわけです。住宅の場合もそういう問題が出ましたが、一体二五%からの伸びをもっていかなければ、あと三年で五カ年計画目標に到達できないわけですけれども、ことしのように一般財源の八百二十二億円を四百七十億円に削り取ってしまう、こういう措置でしかも二五%に対する自信をお持ちですか。
  33. 保利茂

    保利国務大臣 ことしの予算が、先ほどおしかりをいただいておりますように、地方から多額の融通まで受けなければ財源確保ができなかった、あれだけの予算財源の確保ができなかったというような事情がございまして、私どもといたしましては、とにかく道路整備というものは国力充実の基盤なんだから、これをゆるがせにしてはいかぬ。せっかく八百二十二億という、一般会計から本年度は投入をされておるわけだから、せめてそれだけは確保したいということでやったわけでございますけれども、何さま国が地方からお借りしなければ予算が組めないというような事情でございましたものですから、四百七十億という、はなはだ満足できない形で予算の御審議をお願いせざるを得なかったということは、まことに私も残念に思っておるわけであります。  もう一つ、この五カ年計画で、六兆六千億の中に千五百億の予備費は一体何するんだ、これは私は、まったくそのとおり、何するかと言いたいところでございますけれども、いかに財政の苦しさをあらわしておるかということにもなろうかと思いますし、しかし、これがことしのようなばかりでなしに、とにかくこの種の長期計画というものは後年度ほどその幅が広がっていくということは、どの計画にしましても、住宅にしましてもそうなんであります。住宅にしましても、三年でやっと五〇%をこえるということでございます。三年で五〇%しかやれなかったものをどうしてあと五〇%やれるのだという、だんだんの御指摘をいただいておりますが、この種の長期計画は後年度ほど幅を広げていかなければならぬものであるということは、財政当局もよく理解をいたしておりまするし、著しい財政上の異変でも生じれば別でございますけれども、さもない限りは私は達成できると思っております。
  34. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 じゃ、もういいです。
  35. 加藤常太郎

    加藤委員長 岡本隆一君。
  36. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この間予算委員会で、道路の問題について建設大臣の御意見をいろいろ承りたいと考えておったのでございますけれども、時間がございませんでしたので、きょうは補足的に質問をきせていただきたいと思います。  最初に、建設大臣にお尋ねいたしたいと思うのでございますが、日本の道路行政というのは曲がりかどにいま来ているんじゃないか。それはどういうことかと申しますと、国土縦貫自動車道の建設が非常に促進される気配が出てまいった。そこをたすきをかけるような横断自動車道の路線が決定いたしております。また、それをずっと結びつけるところの、たとえていえば東名道路、あるいは山陽道路といったものも建設の計画が出てまいっております。やがては本州、四国を含めて、日本の国土を亀の子のように、周囲を取り巻くものと、縦断と、それをまた横断するものというふうな道路網が完成しなければなりませんし、そういう方向へ道路建設というものを持っていくべきである。そういうふうな段階になってまいりましたときに、従来のような、自動車専用道路を高速自動車道と呼んで、そしてそれを有料制でやっていくというふうな考え方を改めるべきではないか。なるほど、名神高速道路、あるいはまた東名道路、こうしたところは有料制で、やがては早晩ペイできて無料開放できる。しかしながら、それじゃそういう考え方を北海道の道路であるとか、あるいは中国道路、四国道路、あるいはまた東北道というふうなところへ持ってまいりましても、それはいつの日か開放できる、こういうことになってくるわけでございます。しかも、それが日本の国土開発の幹線道路でございますし、また、国内の大都市間の遠距離を結ぶところの幹線道路ということにもなって、国道としてはこれが一番中心的な基幹道路ということになっていくわけで、この基幹道路開発並びに建設を、有料道路で走る者がみな金を払え、こういうふうなことでは、私は日本の道路行政というものは非常にゆがんだものになると思います。また、こういうふうなことをやっている国がないわけですね、もしそういうことでいくとするなら……。だから、建設大臣としてはそういう点いかがお考えになりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  37. 保利茂

    保利国務大臣 確かにそういうところに問題があると私も思っております。そこで、いま有料道路の数もたくさんあるようでございますけれども、建設に着手いたしております縦貫自動車道というもの、一体この料金をどうきめるかというところにかかってくると思うわけでございます。かりに近畿圏と首都圏との間、ここが非常に利用率も高いし、また経済的に負担力も強いところだと思うわけでございます。東北等に向かえば向かうだけ利用率も低くなるでしょうし、また、負担力の弱いそういうところと同じ料金でいいのかどうか。それからまた、しょせんは道路でございますから、一日も早くこれらも無料開放の日を迎えなければならぬ。かりに減価償却というようなことで、そうすれば負担力の強い、利用度の高いところは早く開放されてくる、東北あたりの予想される地帯はいつまでも料金をしょっていかなければならぬということが出てくるのではないか、それは私はあえて不合理だと思うわけです。そういうことについては、新しい料金の設定にあたりまして十分検討していただかなければならぬと考えておるわけでございます。ただいま道路審議会の料金部会でいろいろ御検討いただいております。そういう点についても十分の検討をいただいて妥当な料金を設定したいものだ、こういうふうに思っております。
  38. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、利用度の低いところは公共投資で料金を薄めていって償還するべきだ、建設料金を薄めていって安くするのだ、そうしてそれ自体で早く償還できるような、東名、名神、それから山陽道路といったところは減価償却主義でいく、こういうお考えなのですか。あるいは、いま言われておりますプール制ですね、早く償還が終わっても、そういうところは相変わらず同じに取っておいて、それで後進地域へその償却のために回していくというプール制ですね、どちらを考えておられるのか。あるいはそれの混合方式もあると思うのです。だから、そういう三つの行き方でとにかく有料制度は続けていって、それで、やはり道路個々単位と申しますか、一つ一つ道路については必ずしも減価償却主義はとらないが、日本の道路網が完成するまでは全体として有料道路方式でいく、こういう考え方でおられますか。そういうふうなところ、これはまあ今後の問題でありますから、いま早急にきめなければならぬ問題ではないと思います。だから私は曲がりかどに来ているという表現をしておりますのですが、まじめにそういう問題を議論すべき時期に来ておるのでございますから、こういう問題を持ち出したのでございますので、一応大臣のお考え、また建設省もある程度そういうことを考えておられると思うのでありますが、いま考えておられる段階でお答えを願ったらけっこうなんです。いまおっしゃったことがそのとおり行なわれなければ、大臣、あなたうそをついたではないか、別にこういうことを申すつもりは全然ございません。気楽な気持ちでひとつおっしゃっていただきたいと思うのです。
  39. 保利茂

    保利国務大臣 ありがとうございます。いままで有料道路はたくさんこま切れみたいにあちこちあるわけでございますね。そこでそれぞれ料金設定をして、そして償却が済めば開放するというふうに言っておるわけです。今度の縦貫自動車道となりますと、これはやはり相連関して一連のものでございます。ちょうど来年の五月には東名の全線開通が予定されておるわけなんです。いままでの料金設定じゃちょっとまずい。そこでやはり全体の料金の立て方というものを初めてここで検討されなければならぬところに来ているわけです。それで慎重に検討しておるわけであります。事務当局のほうではまだなかなか異論があるようでありますけれども、私の頭の中では、先ほど申しましたように、こっちのほうは補助制度で幾らか薄めたらいいじゃないか。おそらく岡本さんは、東京−大阪間が無料になるときはこっちのほうが無料になるように、あとは国で負担すればいいじゃないかというようなことが頭におありになるのではないかと思うのですけれども、私は、有料道路の性格からいたしまして、これはやはりプール制といいますか、そっちのほうを多分に取り入れることがほんとうじゃないだろうか。これは脱線でございますけれども、アメリカの金門橋、あれは早く元を取ってしまっているのに、二十五セントとか幾らかいまでも取っているわけです。それじゃ何のために取っているのだ。幾らか利用者に返してもいいなというような話を十年ほど前に聞いたことがあるのですけれども、やはりそういうことで有料道路の企業主体がプールしておるんじゃないかということがどうも残っているせいかもしれません。ほんとうの意味からいって、やはり負担力の強いところと負担力の弱いところ幾らか経済的な調整ということも考えていく、そういうことが、露骨に申しまして、私の貧弱な頭の中にあるわけでございます。プール制をどこまで縦貫自動車道の料金制の中に取り入れられますか、そういう点をただいま真剣に討議していただいておる、そういうことです。率直に申し上げます。
  40. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 局長にお尋ねしますが、東名道路ができますと、東京−名古屋間の料金はどれくらいになりそうな見通しか。それから、これからきめられる問題でしょうが、名神でいまキロ幾らでしょうか私も忘れましたが、名神と同じような程度で大体いけるかどうか。それからまた、東京−神戸間を走ればどれくらいかかる予定ですか。
  41. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 東名が三百四十六キロございまして、名神が百九十キロございます。両方つながりますと、東京から西宮までが五百三十六キロ、納五百三十キロになるのでございます。現在の名神の料金でいいますと、小型乗用車でキロ七円五十銭でございます。七円五十銭をかけますと約四千円近くになる。普通トラックでキロ当たり九円五十銭でございまして、これをかけますとやはり五千円以上になるというようなことになろうかと思います。こうなった場合に、いまの有料道路のいろいろ利用状況その他から考えまして、はたして名神そのままの料金でいいかどうか、問題になろうかと思います。特に東海道につきましては非常に定期のトラックが多いわけでございます。いま料金部会でいろいろ検討してもらっておりますが、事務当局の考えとすれば、やはり遠距離逓減とか、それから反復して使うような路線トラックについての割引率を上げるというような、こういうものがやはり必要になってくるんじゃないか、このように考えております。
  42. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、料金制度が非常にに複雑になるのですね。それだけでなしに、まあ遠距離逓減——遠距離用のものを乗せる、しかしながら、近距離のものもやはりどんどん乗せることが——遠距離交通によって道路がふくそうしているというよりも、中距離もしくは近距離との中間といいますか、そんなに遠くないところのもので道路というものはふくそうしているわけでございますから、せっかくあれだけ金をかけてつくった道路でありますし、もっともっと道路の使用効率を上げるような方向に持っていくべきではないか、私はそう思うのです。  それで、この間も東名道路の進行状況を視察に参りましたときに、ちょうど清水のところで勝澤君が、とにかく東名ができたとしても、清水あたりのあの辺の交通、ことに夜間の交通ラッシュというものはなくならないんじゃないか、やはり夜間どんどんトラック輸送が行なわれ、そのためにあの辺の住民が深夜騒音で非常に迷惑をしておる状況は緩和しないのじゃないか、だから、できるならあの区間だけでも無料開放せよ、こういうことを、半ば本気、半ば願望的な形で申しておりましたが、しかし、それは私は結果としては事実であろうと思うのですね。そこで、せっかくできた道路の使用効率を高めるためには、何としても何らか特別な財源措置というものを考えて、無料開放すべきである、こういうふうに実は思っておるわけなんです。  これは大臣、この前もちょっと触れたのでございますが、なるほど、東名やそういうものができてくると——少し話は変わってまいりますけれども、ことしのガソリン税の収入ですね、大体政府の見込みが三千八百八十六億ということになっております。そして去年は三千三百六十三億ということになっております。ところが、道路公団によって上がってくる道路使用料の水揚げが、四十二年では三百二十七億円なんです。だから去年は大体ガソリン税の一割に満たない。それから四十三年は五百四十五億見積もっておられます。これは一割四分ぐらいになると思うのですね。いま日本が道路財源の主軸としておるのは、ガソリン税と、ほかにもちろん財投のお金がございますが、しかしながら、一応、料金というものはそれほど大きな比率を持っておるのではございませんから——意見の相違はありますよ、私はガソリン税だけで上げていくということには反対でございますが、もしガソリン税を一〇%なり二〇%上げれば無料開放の財源は出てくるわけです。そうすれば、ガソリン税を上げて無料開放すれば、一応一般道路がそれだけすいてまいります。一般道路がすけば、そこのところをローで行ってはとまりローで行ってはとまりしておるいまのスローモー運転を、快適とまではいかないまでも、そこそこのスピードで走れるようになれば、一割ぐらいはすぐガソリンを節約できると思うのです。また、ブレーキやその他の車の消耗を考えれば、結局、自動車使用者全体でその使用料分をガソリン税その他の形で持ったといたしましても、使用者全体からいけば同じことになるわけなんですね。しかし、私はもう少し違った形で財源考えるべきだとは思うのです。たとえて言えば、道路開発によって非常に企業が利益を得るわけですね。製品をどんどんすみやかに届けられる。たとえて言えば、大阪の電気製品のメーカーが東京あるいは九州へどんどん品物を搬送いたしますのに、いま一般道路でとんとことんとこ行けば、大阪から鹿児島まで運ぶのには一昼夜かかる。それを十時間かそこらで送達できるようになれば、企業としても非常に能率が上がってまいりますし、また、東京の自動車メーカーが、でき上がった車を運ぶにいたしましても、どんどん高速道路、自動車専用道路で運んでいけば、非常に利益を得るわけなんですね。だから、そういう企業側にも道路財源を負担させたらどうか。いま企業減税を特別措置法の形でいろいろやっておられますね。その特別措置法を整理して、それで企業減税の一部を——この間本会議では、この租税特別措置法で二千八百億ぐらい企業減税がある、また、地方にそれがはね返って千八百億、合わせますと四千六百億という企業減税があるわけであります。だから、この企業減税の整理をかりに一〇%なり二〇%なりして、比較的道路建設によって利益を得られると思われるような企業から少し財源をはき出してもらおうという形にすれば、必ずしもガソリン税を上げなくてもいいわけなんです。だから、そういう何らかの財源は、われわれのような頭の悪い者が考えなくても、政府には有能なビューローを持っておられるのでありますから、そういうビューローに十分そういう問題を検討させていただきまして、何らかの形で新しい道路構築の財源考えるべきでないか、そのことによってできた道路は、さあどんどん通ってください、こういう形に持っていかれるべきではないかと私は思う。ただ、私はすべての道路を無料開放せよと申しておるのではございません。例をあげて地域の方にしかられるか知れませんが、たとえて言えば、大山道路であるとか、あるいは箱根の登山道路であるとか、半ばレジャー的なものと、国道を結ぶところ基幹道路とははっきり区別すべきだと思うのです。基幹道路については無料開放すべきである。半ばレジャーを含むところのものについてはそれなりに料金を設定されるということについては、現在の制度を残しておかれればいいと思う。また、有料道路の中にも、地方的にも必要な生活基盤産業基盤の上から必要な道路と、半ばそういった観光開発的な意味のものと二つあろうと思うのです。だから、その点はよく整理していただいて、観光開発的なものについては従来どおり料金制度を残していく、しかしながら、国土開発であるとか日本の産業基盤強化のための基幹道路的なものについては、この際思い切って無料開放の方向へ政策の検討を開始される必要があるのではないか。曲がりかどに来ているというのは、そういう意味のことを申しておるのでございますが、そういう点についての大臣の御意向はいかがでございましょうか。
  43. 保利茂

    保利国務大臣 先日から岡本さんの御意見を伺っておりますが、どうも頭の回りが悪いので、ようやく大体御存意のところがわかったように思います。これは非常に重要な問題でございますから、よく検討させていただきたいと思うわけでございます。ただ、先ほど来申し上げております料金設定、たとえば東名道路の全線開通の暁における料金の設定いかんというものは一どなたかも仰せになるように、国道一号線の混雑ぶりというものはとにかくたいへんです。そこで、東海道の一号線のバイパスを急がなければならぬということであくせくいたしておるわけでございますから、来年の五月に全線開通をいたしましたときに、どれだけ混雑している車両が東名道に転移して一号線の緩和を見るようになりますか、これはもうかかって料金のつくり方いかんというものが非常に大きいと思います。かりに一万両の利用の場合と二万両の利用の場合を考えますと、料金は、二万両ならば半分でいいという計画予定がありましょう。そういうことになりますから、要は、とにかく現在の国道一号線のふくそうしている車両をどこまで東名道に吸収することができるか、非常に重要な点であります。  で、少し話は筋は違いましょうけれども、やはりある程度料金をいただくということは、結局利用者負担——一番大きく利用するといえば、岡本さんの例にあげられるものであれば、要するに大きな企業等が主としてこれを利用するというようなことになりますけれども、そのほうはちと高こうてもいいじゃないかということになってまいりましょう。私は事務当局にもお願いいたしておりますのは、要は、一号国道の現状をどの程度に緩和できるように高速道を利用できるか。利用できなければ、これは料金設定が悪いということになります。極端なところ一つあるらしいのでございますが、橋が有料である、一キロか二キロ上のほうをずっと回っていけば無料であるというので、わざわざ二キロもそういうふうに迂回して、やはり料金を回避して、あまり十分の利用ができないというようなところもあるようでございますから、そういう事例等をよく研究しまして、この東名道路の料金、したがって、循環道路の料金設定というものは非常に慎重でなければならない。しかし、それとはまた岡本さんの御意見は違うようでございますから、その点につきましてはわかってまいりましたから、よく検討さしてみたいと思います。
  44. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、東名道路については、減価償却費よりも政策料金という形でいく、こういうことなんですね。
  45. 保利茂

    保利国務大臣 これはちょっと表現を誤っておるかもしれませんが、それは主体は減価償却料金でいきたいわけでしょう。しかし、償却料金も、十年で償却するか二十年で償却するか、三十年で償却するか——おおむね三十年ということになっているようですけれども、しかし、そうはいいながらも、今日までの有料道路の料金や償却状況を見ますと、計画どおりいっているのは一つもないのですよ。うまくいっているところはもうその半分もかからない、全然見込みも立たぬというのもあるようでございますから、そこで、政策料金といい、償却料金といい、これはことばの争いみたいになってくるんじゃないか。とにかく、あなたが言われますように、せっかくつくった基幹道路がその基幹道路の役を果たし得るように十分に利用せられるということが一番大事である、そういう料金をつくってもらわなければならぬ、私はこう思っております。
  46. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、来年になりますと中央道もだいぶ完成いたしてまいりますね。そうすると、中央道の一部と東名と名神の三本の、そうした意味自動車道ができるわけですね。そこで、最初は料金決定のときには、およそこれくらい通るであろうという見込み台数から償還を考えて料金をきめていきます。だから、名神にいたしましても、最初のものよりも少しいま料金が安くなっております。しかし、東名の場合は名神以上に交通量が多いと思うのです。だから、償還のスピードもおそらく東名は名神以上に早かろう。勢い、いま大臣のおっしゃったような考え方からいきますと、ある期間に償却できるようなら、できるだけ安くしていくんだ、そうすると、名神について考える場合、それから東名について考える場合、それから中央道について考える場合、非常に変わってくるわけです。中央道は東名や名神ほどの利用度はありません。そうすると、その三本の道路についての料金の均衡、比率、それをどういうふうにされますか。それぞれ独自の立場で、ここは早く償却できるから安くしてやる、ここのところは長くかかりそうだから、中央道は東名ほど車が通らぬから、比較的高くしておかぬことには当分もとへ戻せぬ、こういうことになってくるのか、あるいは三本をプールにしてお考えになりますか。そういう問題も含めて——金丸さんがここにおられますが、金丸さんにとっては非常に関心の深い問題であろうと思うのでございますが、これはどういうふうにお考えになりますか。東名だけ特にキロ当たり料金が安くなって、中央道はキロ当たり相当高い、名神との間にも不均衡がある、こういうことになると、それぞれの地域の方からもの言いが出てまいりますが、どういうことになるのでしょう。
  47. 保利茂

    保利国務大臣 せっかくいま料金問題で真剣に検討を願っているときでございますから、私がなまはんかなことを申し上げて牽制するようなことは慎みたいと思うのでございます。たとえば名神につきましても——この間私も実は通ってみたのでございます。そしていろいろ事情を聞いてみますと、あの滋賀県の——栗東でございますか、栗東以西の利用率は非常に高い。残念ながら、栗東以東、小牧までの利用率はがた落ちに低い。それは結局まだ名古屋まで通じていないということだ。これがこの五月には岡崎まで開通、供用する。そうしますと、名古屋−岡崎、こうなっていきますから、今日利用度の低い栗東以東も非常に高くなってくるんじゃないかと関係者は見込みをつけております。そういうことで東名が完成しまして東京−大阪間が直通ということになってまいりますと、全然様相が変わってくるだろうと思う。つまりそれだけ道路価値が飛躍的に高くなるわけでございましょうから、したがって、現状の名神の利用度、また料金のあり方をもってきめると、とんでもないことになるんじゃないかということを私は感じておるわけでございます。それから主要な中央道もほぼ相前後して来年開通いたすわけでございますので、やはり東京−大阪間と同様の妥当な料金がそこにつくられなければならぬ。そこまでいわゆるプールのなにがはまり込みますかどうか。しかし、どちらにしましても、そういうところがいま検討に苦心をされているところでございますから、御意見道路局長から当然道路公団にもお伝えもしましょうし、検討することにいたします。
  48. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 お考えを承っておりますと、名神と東名とは一本の路線だから、当然プール計算的になるだろう——プール計算ということばはおかしいかもしれませんが、統一料金、中央道については、それと格差がつくとおかしいから、同じ程度にとどめておこう、こういうことのようでございますね。当面は私はそれで議論はいたしません。というのは、まだ東北道が着手いたしておりませんし、中国道路もまだ計画を始めたばかりでございますから、当面私はそれで異論はないのです。ただしかしながら、そういうふうな計画が始まったときに、東北だとかあるいは中国がどうなっているか、あまり先のことを言うと、来年の話をしたら鬼が笑う、こういうようななにもございますが、しかしながら、一応心がまえとして、やはり道路政策を立てる場合には、将来の方向というものをみんなしっかり持っているべきであるし、そういうふうな時期になる以前に、ある程度そういうことを考えつつ、いろいろな政策を立案していかなければならぬと思うのです。だから、日本の幹線道路については将来これは無料にすべきである、そういうたてまえに立って新しい財源をいまから考えるべきだ。たとえて言えば、地方税に回っておりますが、ガソリン税に比べれば軽油引取税は安いのです。しかしながら、道路をいためる率ははるかに大きいわけですね。だから、そういう点も考慮に入れてもいいし、また、プロパンガスについてもいろいろ問題が起こった減税でございますから、これにつきましても、同じように道路を使用しながら片方は非常に税負担が軽減されておるというような不均衡でございますから、こういうことについても早急にその措置考えるとか、あるいはいま申しましたそんな直接利用だけでなしに、いまの企業負担というようなものも配慮の中に入れつつ、将来の日本の道路財源の体系をいまから考えていただいて、そういう措置を講じつつ料金を薄めていく、できるだけ安くしていく、そのことによって道路の投資効果をあげる、こういう方向へ持っていっていただくようにお願いをいたしたいと思うのです。これは一つの提唱でございますから、もうこれ以上議論も必要ないのではないかと思いますので、次の問題に入っていきたいと思います。  道路構造令の第九条では、ある程度の広さのものには歩道を設けなければならぬということになっております。ところが、最近改良工事が行なわれつつある国道にも、歩道のないところが至るところにあるわけなんです。道路構造令には、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ないときには歩道をつけなくてよろしいということにはなっておりますが、現在現実に改築が行なわれておる、私の近くでありますと、たとえば一号線の枚方バイパス、あれも事故が多くて困るが、歩道がないのです。それから国道九号線にも、あるところや、ないところやら、いろいろあるんですよ。だから、一部、京都府のほうで、歩道をつくるというよりも、車道との区別をつける、ちょっとした構造物をつくることによって、人の通るところ自動車の通るところとを国道の中に区別しておる、こういうようなところがあるわけでございます。だから、この道路構造令第九条の歩道と車道の区別というものを、今後道路改築の場合には必ず守っていくという御方針なのか、財政硬直化ならそれができぬでもやむを得ぬ、こういうふうなことなのですか、この点の御方針を承りたいのです。
  49. 保利茂

    保利国務大臣 これはなかなか事務当局でもやかましいかもしれませんけれども、しかし、佐藤総理も、歩行者優先ということを、総理になられたときに言っておられました。ここ一両年、交通安全対策というものは国会の御意思でもあるし、その線に沿うて強化しておるわけでございます。極端に言いますれば、そういう施設のないところ自動車は通れぬというくらいの考えで、とにかく自動車の通るところには安全な歩道がどうしても持たなければならない。これはこういう交通事情がだんだん緩和していくという方向でございますればけっこうでございますけれども、事実は逆でございまして、ますます交通が激化していくということを予想せられておるのでございますから、完全な歩道修築とまではいかぬにしましても、防護さくをとるとかいうようなことは最少限やって、歩行者の安全をはかっていくという基本的なかまえを持たないといかぬのじゃないだろうか、私はそういうふうに思っております。とにかく歩行者優先、安全を交通激化の中ではかっていこうとするのですから、相当困難は困難だということはわかりますけれども、そのくらいの基本的な身がまえは必要じゃないかと考えておりますから、努力してまいるつもりでおります。
  50. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私はかねがね申しておりますのですが、少なくとも道路というものは、現在までの考え——現在というと語弊がありますが、以前の考え方は、道路というものは、人も通り車も通るところである、こういう考え方に立っておったわけですね。しかしながら、こう車が多くなってまいりますと、人と車というものを厳然と区別する必要がある。ところが、昨年でございましたか、東北地方道路状況を視察に参りました。東北地方でも、すでに山形であるとか郡山であるとか、至るところで車がふくそうしてまいりまして、バイパスをつくれバイパスをつくれという要求が出ておりました。私はそのとき言っておったのですが、また、そのときに痛感したのでありますが、バイパスは幾らつくりましても、すぐそれに住宅や工場が取りつくのです。結局それは街路化するのです。だから、そういう意味では、せっかく道路をつくっても非常に生命が短い。都市街路にすぐ変わってしまいます。都市の中で交通が難渋をきわめるから、少し迂回するようなバイパスをつくります。そうすると、すぐ住宅や工場が取りついて街路化してしまって、都市がそれだけふくらむことになるわけですね。そうすると、またバイパスとこれは追いかけっこのようなことになってくるわけですね。だから私はそのときに言ったが、せっかくバイパスをつくるのなら、やはり寿命を長くするという意味と交通安全という意味と二つをかけて、少し金がかかってもそれは自動車専用にしてしまうべきではないか、そうするとバイパスの寿命が非常に長い、また、それに見合った都市計画をやればいいのであります。だから、そういう意味で、これからのバイパスの建設とか、あるいはまた新しい道路を開く、そういうような場合には、何といっても、少しお金がかかっても自動車専用道路にしておいて、ところどころ必要なところにランプをつけて、そのランプに見合ったところ都市計画をその地域その地域でやらせる、こういう形にして、一応、車を走らせるということが主たる目的でそういう形で構築される道路については、自動車専用という形にすべきでないか、こういうことを考えておるのでございますが、そうしますと、いや、そんなことを言っても、自動車専用道路にしたら住民が土地を出さぬとか、建設費が高くつく、こういうふうなことで、いまのところ建設省側は渋っておられる模様でございますが、もうそんな段階でないと思うのであります。大臣も佐藤内閣を背負っておられるようなお方でありますから、これはやはりもう少し雄大な構想を将来に持っていただかなければいかぬと思いますし、また、日本の道路建設のかまえ方というものについては、やはり従来よりも一歩前進したものをひとつ打ち出していただきたいと思うのでございますが、御意見を承りたいと思います。
  51. 保利茂

    保利国務大臣 御提案の趣意はまことにもっともだと思います。そういう事例は私も承知をいたしております。なるほどこれはバイパスのバイパスたるゆえんがあるなと思うようなところ——これは言うのは御遠慮しておきますが、あったのであります。こういうふうになれば市街地近傍のバイパスとしては、なるほどいいなと思うところがあるのでございます。決して事務当局がそういうことに消極的であるということは私は信用いたしません。ただ、要するに、この間から予算委員会でやかましゅうございましたその地帯の土地の利用計画をどう持つかということにこれは直接関連してまいりますが、しかし、現状はまさにそういうものを要請している事情になっているという認識は持っておりますから、よく研究してみます。
  52. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これも一つの提案的なものでございますけれども、いま日本の道路建設は非常に急速に進んでおります。しかしながら、それにもまして自動車の量がふえてきているわけであります。だから、これは自動車の急増のあとを道路が追っかけているというふうなことでございますから、建設省単独ではどうすることもできない問題でございます。やはりこれは国として一つ考え方というものを今後打ち出していくべきではないか。佐藤総理は三Cよりもマイホーム、こういうことを言われました。マイホームというのは、これは住宅という意味のホームでございますが、しかし、ホームの周辺にはやはり土地環境というものがあるわけなんですね。だから、いわゆる都市計画街路といったような形のもの、あるいは区画街路といいますか、地域住民が絶えず利用しておる道路、そういうものを生活街路といいますか、そういうふうな生活環境の道路と、それから遠距離交通の通過道路的なものを考えていかなければならぬと思うのでございます。しかしながら、とにかく道路投資に比べても非常に自動車の量がふえていく、だから、やはりその点、国としても三Cよりもマイホームというものを現実に生かして、住宅建設と一緒に街路整備もどんどん進めていき、それに見合った自動車の量というふうに考えなければ、何ぼ道路投資をやっても、いつまでたっても私は今日の交通難というものは絶えないと思うのです。ことに、いま私の感じでは、まるで日本の道路投資というものは、日本の自動車生産の量を上げるためにやっている、完全に自動車の生産業者の利益のために道路投資がある、そういう考え方も持てないことがないほど、自動車のあとを追っかけているわけです。自由化になったらたいへんだ、だからどんどん国内の生産量を上げなければいかぬ、生産性を高めなければいかぬ、それにはどうしても国内でそれだけ自動車を消化しなければなりませんから、勢い、町には自動車があふれ、ガソリンはぼんぼこたくし、スモッグは起こる、交通事故は起こる、こういうことで日本の産業が成り立っておる。自動車産業なんかが経済の主柱になっているわけですね。だからそういう点、日本の経済の主柱を自動車産業やあるいはテレビというような——テレビというものが悪いというのではございませんが、そういうところに置く前に、住宅やあるいは生活環境の整備といった方面に国の財政投融資、あるいはまた、いろいろな税制その他の面での転換をやっていただいて、そのことの中からもう少し住みよい日本、安心して町が歩ける日本、そして気持ちよく日々が暮らせるような日本にしていくように方向を変えていくべきじゃないか。これは建設大臣としてのあなたにお尋ねするということではなくて、一つの私の提案として、また、同じ政界人としての、しかも自民党の重鎮のあなたとして、こういう方向へも少し考え方を振り向けていただきたいと思うのでございますが、ひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  53. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまのお考え考え方としては私はそのとおりに考えております。と申しますのは、自動車会社のために道路をつくっているというのは、ちょっと私は事情を申し上げておきますけれども、そうではなしに、ともかく自動車の生産台数にしてももうアメリカに次ぐ世界の第二位だといわれるくらい、とにかく異常な経済成長を遂げているわけであります。そこにまた今日の日本があるゆえんもあるわけであります。そして、それは非常に困難な内外の経済の動き等もございますけれども、ともあれ、この経済繁栄をアジアの中でただ一国謳歌歌しておる。それじゃ実際国民の生活というもの、生活環境というものは、その経済繁栄を謳歌するような状態にあるかというと、全く御指摘のとおり、道路にいたしましても、住宅にいたしましても、経済繁栄を謳歌どころか、その乏しさに実は恥ずかしいような気がいたします。私は予算編成当時にもそのことを訴えております。何が経済繁栄であるかと言ってがんばりましたけれども、微力でどうもいかんともしがたいところがございまして、ねらいは、やはりこれだけの国力を充実し、経済を繁栄させていく終局の目的は何だ、やはり国民の生活、しあわせな生活というものを築き上げるための努力ではないか、それが道路の面においても住宅の面においても現状のようではあまり情けなき過ぎるじゃないかということが、基本的な私の考え方なんです。住宅の問題にしましても、道路の問題にしましても、そういう考え方で実はやっておるわけであります。このかまえは私の基本的な姿勢であるということを申し上げておきます。
  54. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 終わります。
  55. 加藤常太郎

    加藤委員長 内海清君。
  56. 内海清

    ○内海(清)委員 かなり時間が経過いたしましたので、できるだけ簡単に、主として今回の措置法の法案を中心にしてお尋ねいたしたいと思います。  ただその前に、いまもいろいろ論議されましたが、今日のわが国の産業経済の発展の面から見ますと、その観点から見る道路問題というのは、非常に重要な問題でございます。したがって、それぞれにいま道路整備や拡充が行なわれておりますけれども、私は、きょうは一般的な道路問題で一つだけお願いしておきたいと思いますのは、少なくとも今日までの幹線道路であります国道、私どもは中国で二号国道でございますが、これは十分にひとつ早急な整備が行なわるべきであると考えるのであります。と申し上げますことは、この間実は御承知のような尾道−向島の架橋の落成がございまして、道路局長おいでいただいたわけでございますけれども、あの尾道の駅から西へごくわずかな区間、街路が町中にあるわけですが、あるいは局長ごらんいただいたかもしれないが、現在少なくとも二号国道の中でこの地点が一番隘路になっておると思うのであります。これは近く尾道のバイパスである程度緩和しようということでありますけれども、これはなおしばらく時間がかかるようであります。これにはいままでのいろいろのいきさつがございまして、やはり地元のそれに対する十分なる理解と協力ということも必要でありますが、そういう点において多少の問題があったようでありますけれども、バイパスができましてこれが緩和されるまでにしばらく時間がかかりますし、同時に、町中でありますから、たとえバイパスができましてもこの点は早く解決しなければ、やはりなかなかさばけない問題だというふうに私は見ておるわけでございます。これはごく局部的な問題でございますけれども、少なくともいま中国におきます幹線はこの二号国道である、その一部にかようなものがあるということは、全般的にながめまして非常な問題である、こう思っておりますので、これは地方的な問題でございますからあれでございますけれども、少なくとも幹線の一部にそういうものがあるということ、これを十分御認識いただいて、早急にこれはひとつ解決の方向に取り組んでいただきたい、このことをまず一つお願いしておきたいと思うのであります。  時間がありませんから、端的に法案の問題にしぼっていきたいと思いますが、今回の特別措置法の一部改正、それは私が申し上げるまでもございません、昭和三十一年以来日本道路公団で行なわれてまいりました有料道路事業の一部、ことにそれの中のローカル的なものだと思いますけれども、これを地方公共団体に行なわせよう、こういうものだと思うのであります。以前は大体そういうふうなものは地方公共団体で行なっておったが、道路公団ができて中止されておった。それをまたもとの姿に返そうというふうなことだと思うのでありますが、この公団から地方公共団体に移されるもの、これはどのような地方有料道路であるか、その点につきましてひとつお伺いしておきたいと思います。
  57. 保利茂

    保利国務大臣 二号国道のふくそう状態、岡山、倉敷とか尾道、最も混雑をきわめておるところであると心配いたしております。尾道バイパスは、督励をいたしまして四十三年中には東部のほうの半分くらいが完成しますわけでありますが、西部の半分は翌年度くらいにはぜひ達成したい。東部のほう半分はこれによってよほど緩和できるように思います。ひとつ努力いたします。  あとの点につきましては局長からお答えいたします。
  58. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 今度特別措置法の改正によりまして、どういう道路を県で有料道路としてやらせるかということだと思います。実はいままで道路公団でこういう県道以下の有料道路をやっておったわけでございます。その基準といたしましては、特別措置法にありますように、国の利害に非常に関係のあるものということと、やはり有料道路としての基準といたしましては、そのほかに、回り道があって有料道路として料金をとられても支障がないようなもの、あるいは、もう一つの基準といたしまして、有料道路として通行者に非常に利便があるようなもの、これを有料道路としてできるようなことになっておるわけでございます。その有料道路をどんなものをすべきかということは、いままでの考え方自体を変えておるわけでございませんが、施行主体を公団から県に移すということについては、最近県でも非常に工事の施行能力が大きくなってまいりました。その中でやはり県でもできるような一般の道路有料道路、こういうものは県でやってもらうという考え方でございます。県道以下のものでございましても、非常に技術的な問題のございます長大な橋梁とか、非常に施工の困難なトンネルとか、また、大都市周辺の自動車の専用道路みたいに膨大な金がかかるものについては、今後とも公団がやっていきたいというように考えております。
  59. 内海清

    ○内海(清)委員 最初要望と法案について一度に申し上げましたが、要望につきましては、大臣から、いま尾道のバイパスの東半分は四十三年度に終わるということでございます。これは私ども承知しておりまして、これは早急に進めていただきたいということでございますが、これの西半分ができましても、尾道市内の問題は当然解決しなければならぬ問題です。一方通行にしてみたが、うまくいかない、またもとに戻す、いろいろ問題があるわけです。したがって、やはりそういうところには交通事故が多発しやすいという状況もあるわけで、道路の路線が変われば商店がさびれるということで一時反対したような部面がありましたが、いまはむしろ悲鳴をあげて、早くやってほしいという地元の要望さえ出ておるのであります。これはバイパスができましても早急に解決しなければならぬ問題と思いますので、これは重ねて要望申し上げておきます。  それから、有料道路公団から公共団体に移される問題これにつきましては、もちろんいま御説明ございましたような方向に行くべきだろう、かように私どもも考えておるわけでありまして、県道以下のものでも技術的に困難なものについては、やはり中央で見なければ、ほんとうにその使命を達成するようなものができぬであろう、かように感じておるわけであります。  そこで、次に一応お尋ねしてみたいと思いますのは、措置法に基づきまして現在地方公共団体が独自に建設しておるもの、こういうふうなものがあるだろうと思うのであります。現在のそれらの営業路線の数、あるいは延長キロ、これはどういうふうな形になっておるか。同時に、それの償還の状況ですね、これがどういうふうであるか、あるいは工事中のものにつきましても同様なことでございますか、わかりますれば、お知らせ願います。
  60. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在、特別措置法で地方でやられておる路線につきましては三十三路線ございまして、延長が三百三十九キロございます。なお、現在工事中のものが十八路線ございまして、二百二十二キロという数字になります。この採算の状況でございますが、採算の問題はおのおののルートによって違いますが、計画の収入よりは上回っておるのが大体十三路線あろうかと思います。また、計画の収入に達していないのが、これもまた同じような十二路線くらいあるというような現状であります。
  61. 内海清

    ○内海(清)委員 そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、四十三年度予算によりますると、特別措置法の改正によって、有料道路の融資として、事業費六億六千七百万円ですか、それの約一五%、つまり一億ということでございましょう。この事業費の六億六千七百万円で建設が予定されておる有料道路は、延長キロがどのくらいの見込みであるか、これをちょっとお尋ねしておきたい。
  62. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ことし一億の融資を行なって助成いたします地方有料道路といたしまして、実は六路線くらいを考えたいと思っております。ただ、この中で私たち県とも折衝して最終的にどの路線を融資の対象にするかをきめるわけでございますが、まだはっきりことしの対象路線というものはきめておりません。候補になるものといたしましては、熊本の菊池−阿蘇道路、菊池から阿蘇高原に行く道路とか、山形−福島間の西吾妻道路というようなものもございます。その他については今後県との交渉ではっきりルートをきめたいと思っております。
  63. 内海清

    ○内海(清)委員 大体六路線が考えられておるという、これは一般の有料道路であるか、あるいは観光道路的なものであるか、どういう方面のものでございますか。
  64. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほど言いました菊池−阿蘇道路、これは観光と地域開発と両方になるかと思います。また、西吾妻の道路になりますと、主として観光的な要素が多いかと思います。そのほかにもいろいろ——いま千葉の市川の近くで考えておりますが、これあたりはほとんど産業道路ではないかというように考えております。
  65. 内海清

    ○内海(清)委員 地方的なものを考えますときに、やはり観光的なものは比較的出てきやすいものだというふうに思うのでありますけれども、先ほどもいろいろ論議がございましたが、わが国のいわゆる縦貫の幹線道路などができてまいるということを想定するならば、観光はもちろん必要でありますけれども、やはり産業道路的なものがまず優先的に考えらるべきではなかろうかというふうな気がいたすのであります。したがって、今後のこれらの路線決定にあたりましては、それらの点を十分御勘案の上御決定になることを要望しておきたいと思うのであります。  それから、この改正によりまして、いわば地方公共団体が建設いたします地方有料道路に無利子で融資するわけでありますが、先ほど大体の基準というものは承りましたが、そういう基準のみによりまして融資されるのかどうか、この点を重ねて伺います。
  66. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほど言いましたのは、特別措置法にもあります有料道路としての基準だと思います。今度貸し付けの対象にする基準でございますが、これはいろいろの考え方があろうかと思います。まずわれわれといたしましては、都道府県道主体となるのでございますが、これのいわゆる未改良道路改良するため、一次改築というものについては特別なものにしたい。特別なものといいますと、やはり観光地に通ずるようなものとか、非常に通過交通の多いというようなものだけにしたい。といいますのは、一次改築はやはり住民と非常に密接に関係がございますので、そういうものについてはなるべく公共でやっていきたい。そういうものが終わった二次改築——さらにそれで交通がさばけないというようなものを二次改築の主体にしていきたいと考えております。ただ、そのほかにも、小さな橋なりトンネルをくぐるようなもので、都市の周辺で通過交通を主とするようなものについては、この対象にしていきたいというふうに考えております。
  67. 内海清

    ○内海(清)委員 融資基準ということになると、当然今後こういうものに対する希望も多くなってくるだろう、いろいろな問題が出てくると思うのでありますけれども、これは二次改築以上のものについて大体やる、そういかざるを得ぬのじゃなかろうかと思うのであります。  そこで、さらにお尋ねしてみたいと思いますのは、従来特別措置法に基づいて地方公共団体が独自で建設しつつある有料道路、これは今回の融資対象になるのかどうか、伺いたい。
  68. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いままでもすでに建設大臣の許可を得ましてやっておるものにつきましては、そういう融資がなくても十分採算のとれる、また、それによって料金もこのくらいで採算がとれるときめた、そういうものでございますので、特に今回はいまのところ工事中のものについて融資することは考えておりません。
  69. 内海清

    ○内海(清)委員 その点は問題だと思うのでありまして、一五%程度でございますから、今後も融資があるから十分やっていけるということよりも、やはり従来のような考え方で、これは融資がなくても十分やっていけるんだというものもありましょうが、その辺のけじめというものは今後非常にむずかしくなってくるであろうという気がいたします。しかし、現在工事中のものはすでにそれで処置されておるので、これはやむを得ぬものかとも思いますけれども、こういう法改正が出てまいりますと、これはまたその辺の問題も出てくるのじゃなかろうかという気がいたします。しかし、これにつきましてはいまさらいろいろ申し上げる要もないと思います。  次に、道路公団が現在建設しておりますもの、このローカル的な有料道路のうちで今後地方公共団体が建設することになりますと、基準に合致するものは地方公共団体に引き継がすのかどうか。つまり、いま道路公団がやっておるもので、今回の改正地方公共団体が建設する基準に合ったものはこれをやらせるかどうかということでございます。この点についてひとつ……。
  70. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在道路公団が供用開始しております地方道は二十七本ございます。また、工事中のものが五本ございますが、これについて県の有料道路に引き継ぐかどうかということでございます。実はいまのところ、これについては道路公団がそのままやりたいというようにも考えておりますが、今後の問題になりますと、有料道路の料金の問題にからんでまいりましてプール制の問題がございますプール制ということになりますと、やはりどういう形でプール制をとるかが今後の問題だと思います。たとえば、地域的に非常に関係のあるようなものはプールしたらいいじゃないかというような考えになってまいりますと、そういう非常に関連するものが、一方は公団管理している、一方は県が管理しているということでは非常に問題にもなりますので、そういうものにつきましては今後どうするかを検討していきたいと思っております。原則としては、現在やっておるものは公団でそのまま無料になるまで管理をしていきたいということを原則にしたいと思います。
  71. 内海清

    ○内海(清)委員 いまの料金問題にからんで、これを移すか移さぬかという問題があるようであります。私もこの点をひとつお尋ねしたいと考えておったわけです。つまり、昨年から道路審議会の料金部会と申しますか、ここでいろいろ料金のあり方について検討されておるようであります。この料金の問題の一つに、いま局長のお話になりましたような、高速道路以外の一般の道路のプール制という問題があるようでありますが、今回の改正によりまして従来から償却のおくれておったようなところ、そういう地方有料道路がとかく地方公共団体に移されるのではなかろうか、こういうふうな心配もあるようであります。いまの御説明によれば、そういうふうに移したほうが、料金問題の解決にプール制のたてまえからいいということであるならば、私はこういうふうな問題は起こり得ないと思いますけれども、なかなかこの償却がむずかしいようなものが地方に移されるのではないか、こういう心配の向きもあるようであります。この点はやはりはっきりしておくほうがいいだろうと思いますが、いま審議会の料金部会におけるこのプール制の問題これはどういうふうにいま審議状況がなっておるのか、その辺のところをひとつお聞きしておきたい。
  72. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 昨年の秋からやっておりまして、まだそういうプール制の問題は具体的なところまでいっておりません。
  73. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、この問題は、現在建設省考え方としては、そういうふうなものは地方に移管して料金問題を解決しよう、こういうお考えがあると承知しているわけです。  それから次にお尋ねしておきたいと思いますのは、貸し付け金の償還の問題です。これは政令で定めることになっておるようであります。これでどの程度のことを考えられるのか。大体聞くところによりますと、五年据え置きで十年の均等償還というふうなことが考えられておるようにも承りますが、その辺はどの程度に……。
  74. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 償還期間は、据え置き期間を含めて十五年以内としております。据え置き期間といたしまして五年以内——ということは、工事が完成して、車が通り、料金が正常に入るようになれば、その次の年から五年以内でも償還を進めていただくというふうに考えております。据え置き期間の五年というのは、一番長くても五年という意味でございます。
  75. 内海清

    ○内海(清)委員 この償還の問題につきましては、一応そういうことも考えられると思いますけれども、地方における有料道路ということ、これは観光道路であればまた違う面もございましょうし、あるいはその辺が産業道路である場合にどうというふうなこともあろうと思いますが、何と申しましても、地方有料道路ということでありますから、この償還の期限などにつきましては、これはそれぞれのその地域の状況、産業あるいは人口の分布、そういうふうなこともある程度加味されなければ、地方公共団体として困るような事態が起きぬとも限らぬと思うのであります。しかし、それは一々の問題を解決することは非常に困難だと思います。したがって、できるならばこれを長くするという、このことが必要なんじゃないかという気がいたします。これは実際それぞれの融資の場合に十分検討になるところだと思うのでございますけれども、できることであるならばこの融資の償還期間が長いほど地方公共団体ではこの事業が進めやすい、こういうことに相なるだろうと考えますので、その点につきましてはどういうふうにお考えになっておるだろうかということであります。
  76. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は私どもといたしましては、以前、二十七年の当時の旧道路整備特別措置法でも、貸し付け金の回収を約十五年ということにしておりまして、有料道路自身がやはり十年ぐらいたって採算がかなりよくなるものでないと、なかなか十五年の償還もできないと思いますので、やはりそういう点は、有料道路を採択いたすときに、これがほんとうに採算に乗るか乗らないか、乗らないようなものについては、やはり有料道路というものより、いまの工期は多少おくれるとしても、公共事業としてやるべきだということになると思いますので、その辺は、採択にあたりまして、採算性のいい悪いということは十分慎重に検討して行なえば、十五年の償還というのは、そう県に迷惑をかけることはないというように考えております。
  77. 内海清

    ○内海(清)委員 さような御意見もございましょう。しかし、これが地方に参りますと、たとえば観光道路であるとするならば、その地方ではそこが唯一の観光地だという場合、こういう場合に、最近のレジャーブームから申しますと、そういうところにも、農閑期とかその他に相当の人が集まるという、こういうこともあるわけであります。したがって、道路問題はそういうところに限ってまたやかましくなるという問題もあるわけでありますので、いかにへんぴなところのそういう国民にも、やはりできるだけそういう楽しく暮らすという機会を与える意味におきましても、ある程度考えらるべきじゃなかろうかという気がいたすわけであります。これらの点につきましても十分ひとつ御検討いただきたい、こう思います。  それから、いま一つお尋ねいたしたいと思いますが、第五次の道路整備五カ年計画、この整備目標及び事業量、これがほとんど建設省の案として決定をされておるようであります。ところが、いろいろ御承知のようないきさつがありまして、五カ年計画の総資金としましては六兆六千億、これが決定いたしたわけでありますが、本年は二年目になっておるわけであります。ところが、その際に、私どもの承知いたしましたものでは、国費で千八百億不足する、地方費で一千億程度不足する、こういうふうなことを承っておったのであります。この不足財源は、今回は地方のものにつきましては自動車の取得税その他である程度補われるのじゃなかろうか、こう思うのでありますが、昨年は、そういう資金不足ということで、揮発油税でありますとか軽油引取税を引き上げなければならぬのだろうか、こういう議論もあったわけであります。ところが、四十三年度予算を見ますと、一般会計からの財源としまして、先ほども議論がございましたが、昨年よりも三百五十二億円ばかりこれが減っておるわけであります。しかも揮発油税でございますとか、あるいはその他のこういう目的税というものの収入が、建設省資料を見ましても、ふえるどころか、横ばい程度になっておるように思うのであります。そういうふうに予測されておる。そこで、いまこの五カ年計画の二年度でありますが、この財源対策というものをいまの段階でどういうふうにお考えになっておるだろうか、この点をひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  78. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま第五次の総額六兆六千億の五カ年計画閣議決定のための数字を詰めておるような次第でございますが、これのいろいろ財源の問題でございますが、財源については、現在のところ、この六兆六千億の中で国費がどのくらい要るか、地方費がどのくらい要るかは非常にわかるのでございますが、その国費をどういう形で調達するかについては、今後の見通しはいま何とも言えないような状況だと思います。  ちょっと概数を申し上げますと、国費で必要なのが約二兆八千億くらい、これに対しまして特定財源が二兆二千億、さらにもつと強気で見ればもう一千億くらいふえるのではないかと思われますが、大体二兆二千億くらいの特定財源に対しまして、一般財源が六千億ということになろうかと思います。そうなりますと、これをどう調達するかについては、今後——いままでの五カ年計画では一般財源が逐次潤沢にふえてきたわけでございますが、こういうことは財政の硬直化がいつまで続くかによって非常に問題が出てきはせぬかと思います。そういう点は、今後の毎年毎年の特定財源、及びどの程度の一般財源が入れられるか、こういうのは財政状況等を見合わせまして、今後の財源の確保をどういう形でするかを考えていきたいと思っております。  なお、地方費について言いますと、大体いまの計画では地方費が二兆一千五百億くらい要るだろう、これに対しまして特定財源が約一兆三千億くらいあると予想されます。地方の一般財源といたしましては約八千三百億くらいでございます。これは旧計画に比べますと約九百億くらいしかふえてないということで——これはもちろん自動車取得税その他が入るという仮定をした場合でございます。九百億くらいのふえ方でこのほうはまかなえる可能性が強いのではないかというように考えます。
  79. 内海清

    ○内海(清)委員 この道路五カ年計画財源ということは、私はこれは非常に重要な問題だと思う。せっかく昨年五カ年計画がきまったわけでありますけれども、それが財政硬直化ということが原因しておりましょうが、いまのような状態でいくならば、これはとうていこの五カ年計画を達成するわけにはいかないのじゃなかろうか。したがって、こういう五カ年計画が設定されました以上、これについてはひとつ十分財源確保の問題を早急に政府としては考えられなければならぬ問題である。しかもわが国の産業、経済の発展の基盤をなす道路問題でございます。そういう点におきまして今後この問題は非常に重要な問題になってまいると思います。ひとつこれに対しまする大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  80. 保利茂

    保利国務大臣 御指摘のように、五カ年計画財源問題は決して楽観を許さない。しかしながら、この計画の達成は、これは最小限ぎりぎりやり遂げなければならぬと思いますから、いろいろの方策を講じまして、全力をあげて達成するようにやりたいと思っております。
  81. 内海清

    ○内海(清)委員 この点につきましては、ひとつ大臣財源確保の問題について今後十分なる御努力を要望しておきます。  それから私は、最後に、これはひとつ大臣に御要望申し上げておきたいと思います。  私は実はきょう第五分科会で例の中国−四国連絡道路の問題を取り上げました。というのは、ルート問題じゃございません。結局、私どもが考えまする場合に、瀬戸内海沿岸のベルト地帯の開発というのはいま非常なもので、御承知のような新産都市あるいは工特地域がずいぶんあるわけでございます。したがって、今後ますます瀬戸内海が発展いたします。しかし、瀬戸内海沿岸で一番魅力のあるのは、今日船によりまする交通輸送という、いわゆる船が最大限に利用されるところに大きな魅力がある。したがって、これが阻害されることがあっては相ならぬ。もちろん、いわゆる中国、四国を結ぶという架橋、これは必要でございます。これによってますますこの地域が発展することは当然でございます。将来考えますときに、どうしてもこれは結ばれなければならぬだろう。しかし、これが結ばれて発展すればするほど、さらに瀬戸内におきまする船舶の航行は激しくなる、こう考えざるを得ぬのであります。そういう点から考えまして、いま架橋地域というものはみな狭水道のところであります。瀬戸内は従来から、御承知のように、わが国におきまする海運の一つの重要航路になっておる。しかも多島海であります。そういうところに橋をかける場合に——これもかけられなければなりませんが、それによって少しでも海運関係の障害を起こすことは十分考えなければならぬ。これをやります以上、海陸両面から見まして、やはり交通運輸の重大性から見て、安全第一主義でなければならぬ、かように私は思うのであります。橋ができますればいろいろな施設もできましょうけれども、一番狭水道であって、船の航行が激しい。ここは実は一時間に六、七十隻の船がそれぞれ架橋地点の主要航路を通ります。しかも瀬戸内は一番海難の多いところであって、その海難の七、八〇%はいわゆる架橋予定水域であります。こういう点から考えまして、さらにそういう地点で将来瀬戸内には大型船の航行を制限する必要があるかもしれない。しかし、それも現在は考えられていない。なお、造船所にしましても、いまあそこでは三十万トンのものを建造中という造船所ができつつある。そういうものも考え、もしここの架橋水域で海難でも起きますとたいへん。いまの新産あるいは工特地域は、主として石油のコンビナートあるいは原油やLPGの貯蔵基地であります。したがって、そういう非常に危険なもの、可燃性のものあるいは爆発性の薬品、そういうものを運ぶのでありまして、いま瀬戸内を航行しておりますものの三分の一程度は、そういうものを運んでおるタンカーであります。でありますが、もし十万トンのタンカーが衝突事故を起こしたといたしますると、瀬戸内の沿岸はたいへんな災害であります。外洋を控えておりません。しかも潮流の激しいところであります。あるいはLPガスが衝突によって爆発いたしましても、これはたいへんな損害であります。  そこで、私はもう多く申しません。ただ主要航路だけであります。これは海底トンネルにすべきではないか、こういうことを、実は海難防止の問題とともに、きょうの運輸の分科会で、時間の関係で十分話ができませんでしたけれども、一応問題を提起しておきました。運輸のほうでも重ねてこれは論議したいと思いますが、向こうのほうが担当の省でありますから、十分御検討願って、そうして将来の架橋問題につきましては、建設省とほんとうにこれらの問題を検討していただく。いずれにいたしましても、瀬戸内の架橋はまことにけっこうです。これはやらなければなりませんが、海陸両面の交通運輸ということは安全第一に行なわれなければならぬ、このことをひとつ基本にしてこの問題の解決に当たっていただきたい。大きい橋ができますと見通しがききません。これは特別な装置をしますと、一番必要なそういう個所でレーダーがききません。しかも鉄の橋脚でありますから、部分的でありましょうけれども気象の変化あるいは霧が発生する。さらにまた、海の中に大きい橋脚ができますから、潮流の変化がくる。いろいろな問題が考えられるわけです。ですから、海運関係者並びに沿岸の人々はひとしくそういうことを望んでおるわけであります。ことに海運関係者としてはいま真剣に考えておりまして、いずれ近いうちに中央のほうにも陳情の形等が出てまいると思います。だんだんとこの架橋問題も決定の方向に向かいつつありますので、これらの点もあわせて考えてこれが決定に踏み切っていただきたい、こういうことをひとつ要望しておきたいと思います。  これで終わります。
  82. 加藤常太郎

  83. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がありませんから、建設大臣、端的にすぱすぱ答えていただいてけっこうです。  今回の法改正によりまして、地方公共団体有料道路づくりが、財源確保を優先するために、この有料道路で観光道路に転換するような気配があるのです。それで、普通の道路をつくることを優先していただきたいのでありますけれども、観光道路づくりのようなところにこういった有料道路をつくるというような懸念が生じてきた場合には、建設省としては何らかのそういった注意とか勧告はするのですか。
  84. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在地方公共団体が行なっております有料道路は、先ほど言いました三十三路線でございますが、これをよく見てみますと、やはり圧倒的に観光道路が多いかと思います。たとえば山梨県の富士山ろくの有料道路、これはもうほとんど観光といえるものじゃないかと思います。ただ、山梨県では、御坂のトンネルもやっております。これあたりになると、観光道路というより、いまの国道の役目を果たすような、幹線道路みたいになるかと思います。現在地方公共団体でやって、やはり採算がとれるものということになりますと、まず観光道路のほうにいくのではないか。今度、基準を下げることによりまして、観光道路だけじゃなくて、産業道路もできるような形になることをわれわれは期待しております。
  85. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最も必要なそういう産業道路に優先的に国が——今回の長期間の融資は、十五年ですか、二十五年ですか。
  86. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 十五年でございます。
  87. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 十五年ですね。これは当初は二十五年を建設省が希望しておった。しかし、大蔵省との関係で十五年に縮まったとわれわれは解釈しているのです。そして無利子ですね。こういった非常に優遇措置をして道路づくりをやるのでありますから、産業道路にやっていくほうが私はいいというように感ずるのですが、これもお金を取る道路でありますから、産業に及ぼす影響というものを考えたときには議論も当然起きてきますが、こういった点、ただ観光道路——秩父の観光道路が、今度東京から三峰からずっと入りまして埼玉県へ——私、関係しておりますので申しわけないのですが、通じましたけれども、あまり使用がないのですね。そういうところへばく大な資本を投下してそういった道路づくりをしていくということには、私はちょっと疑問があるのです。この点については、大臣、どういうふうに考えておられますか。
  88. 保利茂

    保利国務大臣 小川さんの御懸念は、一般地方道整備を急ぐために、幾らかでもそっちに余裕があればそそぎ込まなければいかぬじゃないかという御懸念から出ておると思うのです。一般道路整備は、これはもう公共事業としてできるだけ進めてまいります。ただ、地元各県におかれましても、公共事業では一般道路としては取り上げないけれども、県の発展のために、地元の発展、開発のためにこういう計画は持ちたいということでやっておられるので、今後もやられるわけでしょうから、そういうところには、これはもう程度はとうてい比較にならないわけですけれども、とにかく、それも七分四厘か五厘の地方債の高利だけで地方にやらせるということも酷であろう、六分四、五厘までは金利を落とすような措置は、国としてもとるのが妥当じゃなかろうかというような考え方から出て、一般道路整備のほうにもちろん重点を置いていかなければならぬことは、もうお説のとおりであります。
  89. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣のそういう姿勢を伺っておいて私も今回安心しましたが、確かに観光道路中心でなくて、産業の優先、また交通の優先、こういうことを考えてつくっていかなければならぬということは、これはもう十分わかると思うのです。  それで、今回の法改正によりまして、道路公団が、こういった有料道路の償還を見込んだ料金制度を持っておるが、今度都道府県がやった場合のほうが安い基準でできるのですか。その料金を取る値段……。
  90. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 一般有料道路の料金の問題は、これは建設費を償還するということと、やはりそこを通る車の便益の範囲内で料金をきめるようになっております。建設費を償還するという点からいいますと、やはりいままで県営でやりましたものが金利が七分四厘というようなことでございますので、金利を安くすることといたしますために、その料金はいままでの県営よりは下がるものと思っております。
  91. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 道路公団にまかせるよりは県でやったほうが安い有料道路でできると、こう解釈していいですか。
  92. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 県でいままでやっておったものより金利を下げますから、安くなるということは言えると思います。
  93. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設大臣、私、先ほど皆さんが御質問しているのをちょっと聞き漏らしたので、再度聞くのですが、道路財源の確保のために揮発油税はことし上げませんか。
  94. 保利茂

    保利国務大臣 特定財源としての揮発油税を創設せられましたときに——それが幾らか上がりましたか——創設されまして、私どもとしましては、ヨーロッパあたりの先進——先進といいますか、ヨーロッパあたりの状態を見ましても、日本よりも高い率を課しておることがございます。日本の社会投資のおくれからいたしますと、もっといただく余地がありそうに思うのですけれども、一応、物価問題が現状のごとくでありますから、今日の税率でもって一つの定着状態になっておりますし、これが課税率に手を入れますと、直ちに物価に刺激を与えるというような懸念もあると思います。したがいまして、言い出したくても実は言い出し得ないでおるというのが実際でございます。
  95. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、道路財源のその求め方でございますが、この間も私は質問したのでありますが、一般会計予算からは今年度減らして、また、そういったところにも思いやりのある保利大臣の善政がしかれていきますと、道路五カ年計画に要する六兆数千億のばく大な金というものは一体確保できるかということを私は考えるのですが、この点について御説明いただきたい。
  96. 保利茂

    保利国務大臣 先ほども御質問がございましたように、六兆六千億の財源の確保というものはそうなまやさしいものでないということを覚悟いたしております。しかし、また同時に、日々の車両の増加状態から見ましても、ガソリンの消費量というものはやはり予想を上回るというような状態で上回っていきます。たのむべからざるをたのむようなことはいたしませんけれども、とにかくそっちにも相当期待をかけられる。まあ財政の好転をひたすらこいねがっておるわけですけれども、とにかく六兆六千億は何としてもやり遂げなければならぬわけですから、これはあらゆる策を……(小川(新)委員「その点について聞きたいのですよ」と呼ぶ)とにかく、これは特定財源を増大するか、一般会計からのその導入額を大きくするかという、その中において考えていくほかないと思うのであります。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いつも私は保利大臣にごまかされちゃうのですからね。人がいいから、最後になると、何だかわけがわからないことでもって、大臣の顔を見ていると、責められないで、非常に私は人情もろいので突けないのですけれども……。苦境なことはよくわかりますが、そういう点が非常にあいまいもこであるということが、四十三年度道路予算の上にあらわれている。伸び率が、昨年の伸び率から見たら、全部半分です。それは大臣御承知ですね。私は、一々、何々が何%、昨年の伸びが何%、ことしの伸びが何%と、子供みたいなことは言いませんが、全体の伸び率を平均しても、半分以下に押えられているのです。私は、いつも、建設大臣というえらい方が施政方針というものを述べるときに、ことしの大臣は橋大臣だとか、いや、ことしは道路大臣だとか、ことしは住宅大臣だとかいうことをちまたで言っているのですね。それは、方針が、一番先に住宅を持ってくるから、住宅のほうに重点的に投資をしていくんだ、道路のほうはことしはちょっと伸びを押えていこうとか、こういう一つのカラーというものが予算面にあらわれてくると思うのですが、建設大臣はそういうカラーに左右されたところ道路予算を四十三年度に組んだのですか。
  98. 保利茂

    保利国務大臣 御批判はこれはいろいろあると思いますが、たとえば去年の四十二年度に比してこうだ。しからば四十二年の実態はどうなのか。予算はなるほど組んである。しかし、五%の繰り延べというものはとうとう三月までに解除できなかった。それはどうなるか。四十三年度にその五%の繰り延べは、また同じことをやれば同じことですけれども、そういうことのないことをこいねがい、国際収支の状態も、聞き及んでおりますところ、だんだん改善の糸口が出ておるようでございまするからそういう事態なしに、四十二年度に繰り延べられました五%というものはこの上に当然使っていけるわけでございますから、それでもって、おまえ、それじゃどこに重点置いたんだ。それは道路にしましても、住宅にしましても、どっちも甲乙つけがたい今日の状態でございますが、しかし、直接市民生活の実際からいって、手足を伸ばす、そしていこいの場所を早く得るということは何よりも切実なことで、伸び率のところ道路よりも幾ら住宅のほうが伸びておるというところは、そういうところにあるわけであります。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、ことしの予算というものは、財政硬直またはポンド切り下げ、ドルの防衛、こういった一連の日本の経済を取り巻く諸般の情勢というものが道路予算に反映されてきた。だから、そういった外郭の変化というものが好転された場合には、四十四年度以降の予算というものは、四十三年度に組んだ姿勢よりもさらに伸びていくのだ、そういうふうに私は理解しているのですけれども、それはあくまでも他力本願的な考え方でありまして、みずからの日本の道路の状態というものはこうであるからこうであるという考えの上に立って組まれているのではない、経済情勢ということが非常に影響されてこうなったというふうに大臣お答えになっておりますけれども、それと、その繰り延べのことですけれども、これは予算決算の問題になってまいりますが、当然予算というものは施行されなければならない。繰り延べということはいいことじゃない。いろいろな事情があるでしょう。しかし、昨年の予算の伸び率から見ると、繰り延べの率から判断して、まことに道路予算の伸びというものは小さい、こう私ども野党としては見ているわけです。この点について、いまの外部の経済情勢とかね合ってどうお考えになっておりますか。
  100. 保利茂

    保利国務大臣 とにかく繰り延べがあろうとなかろうと、昨年の伸び率より、伸び率としましては落ちていることは間違いございません。それは小川さんの御指摘のとおりでございます。ただ、住宅にしましても、三年計画の三年の間に五〇%やっとこえるというくらいの計画達成の状態であります。しかも道路五カ年計画においてはばく大な財源を要する。それは一般財源をもってはかなり大きな穴があるわけでありまして、それを特定財源をもって、いまお話しのようにガソリン税でもうんと上げてもらえば、これはまことにイージーなことでありがたいことでございますけれども、なかなかそういうものを期待するということも困難であろうと思います。ただ、大蔵大臣も申しておりますように、こういう長期、中期の計画というものは後年度ほど幅広くなっていくということは、財政当局も勘定の中に入れておるわけでございます。それにさらに、ただいま皆さんがおっしゃいますように、道路整備を急がなければならないこの現状からして、私どもが一生懸命努力をして何とか計画年次の計画どおりの達成ははかってまいりたい、こう考えております。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 保利大臣をしてなおかつそこまでしか道路予算の伸び率を伸ばせられなかったということは、ほかの大臣だったらもっと低いであろう、実力大臣でここまでだけしか伸ばせられないということで私どもはまあがまんする以外にないんじゃないか、こう考えているのですが、まことに残念でありますが、ひとつ実力大臣といわれている保利さんのお力をもって、ひとつ来年も再来年もその次も大臣をやられていただいて、何十年でも大臣をやられていただいて、悲願達成の暁まで大蔵大臣を追及していただきたい、このように私考えております。  そうして、これは具体的な問題でありますが、事業費の資金不足のために、道路の用地買収にはね返ってくる、そのために買収がおくれる、そして地方公共団体が負担するところ地方債に大きくおんぶする。先ほど申し上げましたような、地方公共団体におんぶする、なかんずく地方債におんぶしていく、このような結果にはね返ってくるようでありますが、これの影響は、どういうふうに地方公共団体財源に影響してまいりますか。
  102. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路の事業費が非常に少ないために、この対策の一つといたしまして、公共用地の先行取得を府県でやってもらおうということで、自治省の所管の公共用地先行取得債というものをふやしてもらった次第でございます。これについては、なるべくそういう事業費の不足を補うために先行してもらいたいということと、やはり早く買っておかないと、あとから用地を買うことが非常に困難になるような場所もございまして、また、一年たてば金利以上に用地費が上がるというようなところも、国道のバイパスあたりで非常に多いものですから、そういうものをできるだけ活用していただいて、それについては後年度に必ず金利を見て用地の再買収をするということで、一時県がそういう地方債を借り入れるということになりますが、それによって金利その他については県に迷惑をかけないように考えておるつもりでございます。
  103. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設大臣がお出かけになるようですから、建設大臣にある問題をお聞きしたい。  実はいま大事な問題が起きていることは、東京都内に約五十二カ所、学校の中を道路が通っている、こういう事実は大臣は御承知ですか。
  104. 保利茂

    保利国務大臣 私、正直に申しまして、存じません。
  105. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣は子供を非常に大事になさる。そのために、通学路に対して今回三分の二の国庫補助の増額をしていただきました。これで問題になっておりますことは、五十二カ所の中で、中野区だけでも、桃園第二小学校、江原小、二中、八中とその他三校。要するに、学校の中を区道が通っているのです。区道が通っているということは、現在の交通安全対策の中で、道路づくりの姿勢としてはたいへんな問題だと思うのです。ここにも出ておりますが、ごらんになってけっこうです。   〔小川(新)委員保利国務大臣に書類を示す〕 これはあるおかあさんが投書したのです。それを産経新聞が取り上げてキャンペーンを張っておりますが、こういう大問題が都内にある。地方道でありますが、建設大臣としまして、当然こういう道路は何らかの処置をしなければならぬ。その第一番目にやっていただくことは、横断歩道橋をつくるとか、地下道にするとか、いろいろな方法が国としてやることがあると思う。そういう点についてどう処置していただけるでしょうか。
  106. 保利茂

    保利国務大臣 ちょっとこの新聞を読んでいるひまもございませんけれども、無責任なことを申し上げるわけにいきませんから、ひとつ当局を督励しまして、一ぺん見聞きして、適切な措置をとるようにいたしましょう。
  107. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、これが事実であれば、何らかの財政措置、または横断歩道橋とか、地下道にするとか、道路を閉鎖するとか、そういった児童の交通安全を守るためには政府として処置してくれるのですか。
  108. 保利茂

    保利国務大臣 そのどっちが先か、学校があったところへあとから道路がついたとはどうも思えませんね。やはり拡張したか、あるいはグラウンドをこっちにやったかというようなことで、本来そこへ安全施設を講ずべきものであったと想像しますけれども、実際はそうであるかどうか。そしてまた、現実にそういうふうな危険な状態にあるようであれば、これはもうとにかくそういうためには歩道橋であるとかなんとか、そういう施設をするようになっておりますから、必ずするようにいたします。
  109. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いろいろな理由はあると思うのですが、いかなる理由があっても、相手は子供です。小学校なんて、ほんとうに満六歳くらいの子供が通学するのですから。これは土地問題で土地がないから建てちゃったとか、いろいろな事情があるのです。学校だけを責めるわけにいかない。こういう問題については、いま大臣から力強いお約束をいただきましたので、私どものほうとしましても、これからよろしくお願いしたいと思うのです。  それからもう一つは東名道路の問題です。これは大臣にお尋ねしたいのですが、東名高速道路のハイウエイに今度バス会社が入るということになっておりますが、どこの会社なんですか。
  110. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 バスの免許は運輸大臣の所管でございますから、運輸省からお答えいたします。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、ちょっとその前に、この東名高速道路のこういったバス会社を入れるということは、やはり運輸省と話し合いの上で大臣考えになると思うのです。これは運輸省だから、おれは知らぬというようなことはないと思うのです。閣僚会議でも話が出ると思うし、いろいろな土地問題等出ると思うのですけれども、こういった選考問題は運輸大臣の所管だといって、建設大臣が知らないということはないのでしょうね。
  112. 保利茂

    保利国務大臣 道路管理者意見は、運輸大臣は聞かれることになるのがたてまえでございますから、したがって、開通の暁にはそういうことであると思います。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、当然、運輸大臣と建設大臣——所管であるところの運輸大臣のウエートが非常に高い。あの会社はだめだとか、この会社はだめだという選考にまで建設大臣はいろいろと意見を述べられますか。
  114. 保利茂

    保利国務大臣 あの会社がいいとか悪いとかいうことは建設大臣にはわからぬと思うのでございます。ただ、この道路を利用していただくのに、どういう利用をするかということについての意見を申し出るのが筋合いじゃなかろうかと私は思うのであります。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではもう一点、お忙しいところを悪いのですが……。  ここは有料道路ですね。そうすると、そういった営利会社が有料道路へ入ってきた場合には、そういった料金というものは、一台さあっと入っていくトラックや普通の車と同じ料金を、毎回通っておる回数に計算してバス会社の経費の中に計上するものなんですか。それを一点。
  116. 保利茂

    保利国務大臣 これは私がお答えすべき筋合いではなさそうでございます。もうすでに名神でバスが通っているのでございましょう。(「だからそれを聞いているんだよ」と呼ぶ者あり)それは私は存じません。運輸当局が……。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは、お忙しいから、その前にもう一点。  市町村道路整備計画について、西村大臣は、現在八十四万キロの市町村道路に対して、整備する基準として一級、二級、三級に区別して、重要な路線から優先的に手をつけたいということを発表しているのですが、保利大臣は、こういった市町村道路整備に対して、一級、二級、三級というような等別をつけた道路整備の方法というものを継続なさってまいりますか。
  118. 保利茂

    保利国務大臣 そういう考え方で道路局においては検討を進めておるようでございます。しごくもっともだと思います。
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、新産都市、産炭地振興などの特別立法に基づくものについては三分の二の補助がありますが、これを今回さらに拡げて一級、二級道についても改修費の三分の二程度補助をしたいと西村さんが発言しておりますが、大臣、そこまで考えておられるのですか。
  120. 保利茂

    保利国務大臣 これはひとつ局長から……。
  121. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この問題は前の西村大臣にも事務当局の素案をいろいろお話した程度でございまして、現在いろいろ検討しております。一級、二級、三級というのは、やはりいまの市町村道八十四万キロというものが性格的に種々雑多であるということが実態調査をしてわかってまいったのでありますが、まず、一級というのは、県道に匹敵するような町の中の幹線の道路、三級というのは、家のまわりの足元の道路というような性格別にしたわけでございまして、それを今後どういうふうに整備していくかということは、今後の問題だと思いますが少なくともいまの県道に匹敵するようなものについては、道路法改正するときにはなるべくこういうものは県道に編入していこうじゃないかというような思想を持っておるわけでございまして、いま山村とか、そういうようなものを拡大していこうということは、私たちのほうも企画庁と考えておりまして、それに特殊立法に基づきます市町村道整備というのは、山村についていいますと、山村の指定町村がふえれば当然ふえてくるというように考えております。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは、先ほどの答弁を……。
  123. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 名神の場合についていいますと、普通のバス、これは観光バスでキロ当たり二十二円でございます。それに対して、路線バスはキロ当たり十六円ということにしております。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この十六円だの二十二円だのという算定はどこで出したのですか。
  125. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは名神ですと、きめるときに、普通の乗用車、小型乗用車、そういうような種類を九種類ぐらいつくりまして、おのおのについて算定したものでございます。
  126. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 現在名神の場合は入っておるのは一社だけですか。
  127. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 三社でございます。
  128. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いま入っておるのはどことどこの会社ですか。
  129. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 日本国有鉄道、日本急行バス株式会社、日本高速自動車株式会社、以上三社でございます。
  130. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この三社のうち、日本国有鉄道を除いた二つは私企業ですね。
  131. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 民間会社でございます。
  132. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 民間会社がこの名神高速道路に権利を持ったということは、どういう選考でこれはやられたのですか。
  133. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 昭和三十九年に当該三社が運輸大臣に申請を出しまして、運輸省といたしましては、それぞれ審査し、運輸審議会に諮問して免許した次第でございます。
  134. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 バス会社の規模、または株主の数、または資本の額、こういった問題、それから事故等があるとかないとか、そういった問題を運輸省で種々検討して、工事をするときの一般入札のように、みんな集めてそれぞれ審査をしてこの名神高速道路にバス会社を導入したかどうか、この点どうですか。
  135. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 当時申請が三社から出されまして、運輸省といたしましては、道路運送法の第六条の免許基準に適合するやいなやを慎重に検討した結果、免許になったものです。
  136. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今回の東名高速道路は、現在同社申請が出ておりますか。
  137. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 分析して申しますと、東京−名古屋間の全線については二社でございます。これは日本国有鉄道と東名急行株式会社、二社でございます。それから部分的に申請いたしておりますのは、小田急電鉄株式会社でございます。
  138. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはいつまでに締め切るのか。そうしてその締め切り期間内に出た範囲の数だけを路線の許可にするのか、それとも、不適格な会社があれば運輸省としてはそれを不合格とするのか。
  139. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 現在の道路運送法のたてまえは期限を切っておりません。したがって、本事案につきましては、来年全線開通するところ目標にいたしまして、現在申請になっておりますこの三社について、先ほど来申し上げました道路運送法の第六条に適合するかどうか、慎重に審査した結果決定いたしたいと思います。
  140. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 運輸省としては、この路線について大体何社までバス会社が入って運行するのが可能と見ておるのか。そうして何社まで一体許可する考えなのか。この点についてお願いいたします。
  141. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 現在審査段階でございまして、何社が適合であるかどうかは、現在は申し上げられません。
  142. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、きめられないのですか。
  143. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 現在は審査中でございます。
  144. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 許容量はどれくらいありますか。
  145. 渋谷正敏

    ○渋谷説明員 それも現在審査中でございます。
  146. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点は、時間がありませんからもうやめますが、東名高速道路の取りつけ道路が開通に間に合わないという事態がいま発生しております。静岡県で、「交通渉滞は必至か」というような新聞記事が出ておりますが、このインターチェンジのおくれは一体いかなる理由によるのか。これは静岡市中島の静岡インターチェンジ、国道一号を結ぶ市道駒形中島線のうち一・二キロ、この区間……。
  147. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 東名高速の静岡のインターチェンジがございます。それから国道一号線に都市計画道路で入っておるわけでございます。その都市計画道路の用地の買収が一部おくれております。そういうことと、国鉄とその都市計画道路がいま平面交差になっておりますので、国鉄の静岡の駅から西側について鉄道を高架にする工事を急いでおります。これがやはり来年の七月くらいにならないと高架はできないのじゃないかということでございまして、この四月末に供用を開始いたします東名高速の静岡−富士間につきまして、静岡のインターチェンジから静岡へ入る方法といたしまして、いま先生の言われました都市計画街路を十分に使えないような状況でございますので、かりにいまの安倍川の右岸の堤防の一部を使って国道に取りつけるような仮取りつけの方法でインターチェンジを結びたい、そう考えております。
  148. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、いまのような進行コースでいきますと、東名高速道路から来たのとこっちから入るというところでそれで車の渋滞は防げるのですか。
  149. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、いまの安倍川の右岸を通りまして、それが国道一号線に乗るところに非常に問題があろうかと思います。これにつきまして、昨年の暮れから、静岡の県警、県の道路管理者道路公団といろいろ検討いたしまして、乗る方法を、迂回路を使いまして、いまのままなら八千くらいのものは十分さばけるという結論になっております。
  150. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一日二万三千台以上といわれているのですね。たいへんな数ですけれども、安倍川の堤防の上を上がっていくのですが、これはどうなんです。
  151. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 昨年の十月ころの交通量の調査では、あの辺の一これは静岡市内でありませんが、外で大体二万八千くらいの交通量がある。そのうち、もし名神と同じような料金にした場合に、いまの東名に乗る台数がほぼ八千くらいを予想されております。その程度であれば、いまの信号で十分処理ができるというように県警のほうと話をいたしまして、両方ともこのくらいならいけるじゃないかというような話し合い済みでございます。
  152. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことにあやふやな答弁ですよ。これは問題ですよ。あの堤防の上を八千台以上の車が走るなんということはちょっと想像できないです。  これはまたあとで私ども調査してやりますが、最後に、主要地方道国道昇格について、財政硬直を理由にことしは取りやめるということを聞きましたけれども、まさかほんとうじゃないでしょうね。
  153. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 主要地方道国道昇格については全国から非常に要望が強く出ております。これについてはいままでできるだけ早い機会に昇格を実現させたいとは思っておりましたが、実は現在出ております要望路線が全国で一万キロ以上になります。これにつきまして路線の持つ価値をいろいろな面から検討しております。また、これは当然国の予算の増額を来たすものでございますので、やはりいつでもできるというものではないように思われます。時期を見てこれをやりたいと思います。  また、この要望の中には、国道にして早く整備をしてくれというのが皆さんの希望でございまして、国道にしたけれども整備はちっとも進まないというようなことで、せっかく昇格をしたけれども沿道の人たちの希望を満たさないような状態では何にもなりませんので、その辺を考えまして、適当な時期に早く実現させていきたいと思います。
  154. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点、何か答弁が最後にこうなっちゃったのですけれども、ことしはやめるというわけじゃないですね。やるというのですね。どっちなんです。
  155. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 少なくともことしから昇格いたしまして、いまの補助率を三分の二から四分の三にすることは、ことしはちょっと不可能だと思います。
  156. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 結論としては、ことしはやらない、こういうことなんですね。わかりました。ではひとつ前進していただきたいと思います。  先ほど中野の桃園第二小学校の校庭の件はちょっと急いではしょっちゃったのですが、これは大事な件なんです。大体中野桃園第二小学校については、架道橋をつけるか、下を掘るかというような財源措置は、都のほうから要請があった場合には、国はめんどうを見てあげられますか。
  157. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 その辺はよく調べないと何とも言えませんが、普通われわれ常識で考えますと、学校の校庭の中に、区道であろうと、道路を通すということはあり得ないと思うのですが、それがあとからそういうものを校庭の中に通したということになれば、当然区道の事業の中でそういうものはやるべきだと思います。その事業が補助の対象になるかならないかによって、国が金を出すか出さないかということになろうかと思います。
  158. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それが私はいけないと思うのですよ。なぜかというと、それはどんな理由にもせよ、都市計画の中で土地問題が解決しないからこういうことになっちゃっているのですから、これは総合的に——学校問題というものは、こういう危険な問題があれば、あとからできようが、先にできようが、この問題については国が見てあげなければ、子供がけがしたり死んだらどうするのです。これは通学道路の問題だって補助が出ているのですから、この点は理由のいかんを問わず、ひとつやってくださいよ。お願いします。
  159. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 必要なところには歩道橋をかけるということは必要だと思います。ただ、これを国が出すか、都が単独でやるか、区が単独でやるか、こういうことは今後の問題だと思います。先生のおっしゃいましたように、ここに何らかの方法で横断の施設をつくるようにいたします。
  160. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 以上をもって私の質問を終わらしていただきます。
  161. 加藤常太郎

    加藤委員長 明十五日午後一時理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会