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1967-12-15 第57回国会 参議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年十二月十五日(金曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山本 利壽君     理 事                 内田 芳郎君                 小柳 牧衞君                 岡田 宗司君                 佐多 忠隆君                 黒柳  明君     委 員                 井川 伊平君                 植木 光教君                 大谷 贇雄君                 源田  実君                 日高 広為君                 川村 清一君                 春日 正一君    国務大臣        国 務 大 臣  田中 龍夫君    政府委員        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生 復男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告派遣議員報告     —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ただいまから沖縄問題等に関する特別委員会開会いたします。  派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました北方領土問題及び安全操業問題等に関する調査のための委員派遣について、派遣委員から御報告を願います。川村清一君。
  3. 川村清一

    川村清一君 本特別委員会の谷口、井川委員と私の三名は、北方領土問題、北方水域における安全操業問題、漁船拿捕事件の実情及び千島等引き揚げ者援護問題等に関する調査のため、八月二十七日より七日間にわたって札幌及び根室を訪問し、町村知事からこれらの問題について事情を聴取したのを皮切りに、つぶさに現地当局その他関係者から説明及び要望を聴取し、また、巡視船に乗船して根室珸瑤瑁水道視察を行ないました。以下その概略を申し上げます。  今回の視察は、領土問題担当特別委員会からの派遣としては初めてのものであるということで、戦後二十二年間「島よ帰れ」の悲願を叫び続けてきた地元人々期待は大きいものがありましたが、本特別委員会名称が「沖縄問題等」に関する特別委員会ということで、北方領土が明示されていないことについて不満があり、国会北方領土問題特別委員会を設置するか、あるいは本特別委員会名称を「沖縄及び北方領土に関する特別委員会」と改称して、北方領土問題の解決沖縄の陰に隠れることのないようにしてもらいたいとの要望がありました。  根室におきましては、まのあたり望見できる父祖伝来の地を一日も早く返してほしいとの引き揚げ者の切々たる訴えを聴取いたしました。その際、最近における日ソ関係の進展を背景に、去る七月、三木外務大臣の訪ソの際、コスイギン首相が提案いたしました「中間的な措置」について地元人々から期待を寄せる声も聞かれました。  視察当時、根室市では北方領土復帰強調月間動運実施中であり、市長以下全職員が北方領土の地図とスローガンを名刺に印刷し、街路のテーマ塔に同様のスローガンを掲げるなど、町ぐるみの運動を展開中でありました。  現地関係者返還要求する北方領土範囲としては、「千島列島全部」との意見もありますが、「色丹島及び歯舞諸島は北海道の付属島嶼で、千島列島とは性格的に異なる。また、国後・択促の両島は、日本人が早くから開発してきたもので、日本固有領土である」との道当局の見解の線でほぼ固まっていると考えられます。領土復帰要求と並んで重要な懸案である安全操業問題につきましては、歯舞色丹周辺水域宗谷海峡二丈岩周辺及び沿海州沖合い海域に大別され、それぞれについて要望を聴取いたしました。特に、歯舞色丹海域に関する赤城試案については、「現段階においては領土問題の早期解決が困難である以上、赤城試案に満足するものではないが、その範囲でもかまわないから領土問題と関連を持たせないで推進してほしい」との要望がなされました。  このほか、ソ連官憲によるわが国漁船拿捕、臨検が頻発している現状にかんがみ、未帰還漁船及び乗り組み員の早期返還、釈放の実現方について陳情があり、また、千島等からの引き揚げ者援護対策として北方協会の資金が不足している現状を改善されたいこと、旧漁業権を補償されたいこと等の要望がなされました。  また、派遣議員団巡視船に乗船して珸瑤瑁水道を南下し、貝殻島周辺コンブ採取状況視察し、水晶島などを間近に望見いたしたのでありますが、その際、たまたまソ連監視船日本漁船を追跡臨検するのを目撃し、一同緊張感を覚えたのであります。幸い日本漁船は間もなく釈放されましたので、わが一行を乗せた巡視船は直ちに接舷して事情を聴取いたしましたが、偶然にもこのようなきびしい現実に接し得ましたことは、きわめて意義深いことであったと考えます。  以上概略申し上げましたが、詳細は文書をもって委員長に提出いたしますので、それを会議録に掲載してくださるよう委員長においてお取り計らいいただきたいと存じます。  以上で御報告を終わります。  なおこの際、お許しをいただき、私見を申し上げたいと存じます。  私どもは、現地関係住民期待願望にこたえて、一日も早く現地のなまの声を国会に反映したいと考え、詳細な報告書を作成して委員会関催を待っていたのでありますが、政府当局都合等関係で延引し、八月末の調査報告が本日ようやくなされたことは、現地住民に対し、申しわけなく、まことに遺憾であります。この点明らかにしておきます。以上です。(拍手)
  4. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 今回北方方面の御視察においでいただきました議員団方々、ほんとうに御苦労でございました。今回御提出の報告書は正式に受理いたしまして、議長のほうにも提出いたしたいと存じます。  この委員会は、「沖縄問題等」として、北方領土も含んでいることは事実でございますが、急激にこの沖縄小笠原の問題が取り上げられまして、政府もこれに全力を注いだわけでございまして、十月の二十日に社会、公明、民社、共産の四党共同によって委員会開会の御要求がございました。委員長においてもさっそくにその取り計らいをいたしまして、委員会開会公報にも掲載したわけでございますが、ちょうど総理外務大臣が訪米いたします前に党首会談というものをやるから待ってもらいたいというような政府側からの回答がございまして、党首会談でいろいろ各党意見が代表的に述べられた模様でございます。それで、続いて委員会を開くには、その訪米の準備等多忙のために、もう事実上不可能な状況でございました。  総理が帰られましてから直ちに聞きたいという申し出を委員長としてはいたしましたが、これまた党首会談ということでございまして、続いてこの臨時国会の本会議あるいは予算委員会等において外交問題がしきりに論議いたされましたような関係から、この委員会において総理外務大臣の詳しい意見を聴取することが不可能でございました点は、委員長としても非常に遺憾でございますけれども、この委員会における皆さん方の御活動というものが、今回の沖縄問題あるいは小笠原問題等についての前進の歩を進めたことは疑いもないことだと私は確信するものでございます。ことに、いま報告のありました北方領土に関する、北のほうの方々の非常な御熱意、御希望ということも、本委員会としては十分に認識しているわけでございまして、いままでがとかく沖縄問題に集中された感がございますけれども、今後はこの委員会がますます沖縄小笠原問題等についても建設的な意見皆さん方からちょうだいするとともに、北方領土返還に向かって大いに御活躍をいただき、政府を鞭撻していただきたいと、かように考えるものでございます。そうして、この委員会名前も「沖縄問題等」というのでなしに、北方領土ということを加えてもらいたいといういま御希望が述べられたわけでございますが、このことも衆議院沖縄問題等特別委員長と話し合いまして、その方向に進もうではないかということにいたしまして、この委員会の理事の方々にも御相談をいたしましたところが、そのように取り計らえということでございましたので、わが党の、自由民主党のほうにもそのことをすでに伝えておりまして、この次の通常国会あたりからこの委員会名前北方領土を含めた名前に大体変えたいという意向であるように考えております。その点を御了承いただきたいと思います。北方方面においでになりました議員の方に感謝するとともに、委員長としていまの点をつけ加えて御報告いたします。     —————————————
  5. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 次に沖縄現地事情調査について、先般当委員会から議院運営委員会を通じて議長に申し入れましたところ、許可され、それが実現いたしたのでございますが、その調査の結果は、参議院沖縄派遣議員団報告書として、去る十一月十日、議院運営委員会を通じて議長に提出し、また同日、内閣総理大臣にも参考送付しておきました。この際本委員会においても報告を聴取することといたします。内田芳郎君。
  6. 内田芳郎

    内田芳郎君 沖縄派遣議員団の御報告をいたします。  沖縄派遣議員団は、山本委員長以下、岡田佐多黒柳、長谷川、森の各委員及び私の計七名からなり、沖縄現地事情視察するため、十月四日から五日間にわたって本院より派遣されたのであります。  第五十六回臨時国会終了後、政府衆議院及び各党調査団が相次いで沖縄を訪問いたしましたが、本派遣議員団は、その後における現地意見及び要望等を聴取し、これを来たるべき国会に反映させるとともに、米国を訪問する佐藤総理に対してできるだけ誤りのない材料を伝えることをおもな目的といたしたのであります。  このような趣旨から、派遣議員団は、現地において最近とみに高まりを見せております施設権返還問題をはじめとし、本土との一体化の諸問題等各般にわたりまして、琉球政府行政府、立法院及び上訴裁判所、並びに民間団体として復帰問題研究会祖国復帰協議会経済団体弁護士会教職員会福祉団体報道機関等の各代表と懇談し、また、沖縄本島にあっては、糸満町、コザ市、名護町等を訪問し、さらに石垣島及び宮古島を視察して、これら各地において意見聴取を行ないました。また、アンガー高等弁務官及びカーペンター民政官会談し、種々意見を交換する機会を得たのであります。  その内容を以下簡単に申し上げます。  沖縄祖国日本復帰し、日本国憲法のもとで本土並みの生活を営みたいとの願望は、疑うべくもありません。先島の果てにおいても、派遣議員団に対する盛んな歓迎のうちにこの願いが切々と訴えられたのであります。  復帰の際の基地の取り扱いについては、各党各界の間に意見の相違はありますが、即時全面復帰については、大方が一致しております。佐藤総理ジョンソン大統領との会談において、復帰の時期を明示することを要望し、この会談にかける現地期待は大きいものがありました。  もちろん、沖縄を取り巻くきびしい国際環境を考えるならば、復帰問題の解決にはなお幾多の困難が予想されるのでありますが、本土沖縄とが一体となって今後ともめどをつかむために努力すべきであります。  一部には即時復帰を懸念するものもあります。一般に、復帰に際して経済面に不安が持たれておることは、事実であります。このため、経済界は一致して復帰責写真日米両国政府が作成、明示することを要請いたしております。政府としては、復帰による経済的影響を最小限に食いとめ、復帰とともに十分な施策が行なえるよう今日から配慮をいたすべきであります。一方現地においても、過渡期をおそれず、復帰体制確立のための研究を進めることを希望いたします。  那覇を中心とする沖縄産業開発は、想像以上に目ざましいものがあり、一方、先島では軍事基地が少ないため、落ちついた雰囲気が感ぜられました。沖縄主要産業である砂糖及びパインアップル産業の成長のため、なみなみならぬ努力が払われているあとがうかがわれますが、政府としては、今後かんがい等に力をいたすべきであります。また畜産については、将来国内産業となることを考慮し、その奨励に当たるべきであると考えます。  市町村財政、教育、社会福祉等に関する格差是正の問題は、復帰実現すれば大きく解決に向かう性質のものでありますが、それまでの間、個々の問題に十分な検討を加えつつ、本土との一体化のため一そう援助を強化すべきであります。  アメリカ軍人等による犯罪の防止を効果あらしむるためには、単に犯罪予防措置のみならず、裁判制度確立が重要であると考えますが、行政命令関係する問題でもありますので、今後日米間で取り上げるよう政府に働きかけるべきであると思います。  アンガー高等弁務官との会談においては、特に具体的な問題として、日本政府琉球政府との間の人事交流可能性琉球開発金融公社琉球政府に移管する問題、本土社会保障立法沖縄にも読みかえ適用する問題等を取り上げ、意見を交換したのでありますが、これらについては今後その実現のため努力を続けるべきであります。  その他詳細につきましては、すでに議院運営委員会を通じ議長あて報告書を提出いたしましたが、今回の訪問によって、直接現地事情に触れ、また、幅広く意見を聴取し得たことはきわめて有意義であったと考えます。私は、派遣議員一同とともに、九十六万の沖縄同胞祖国に抱き取る日が一日も早からんことを念願するものでありますす。  なお、文書で提出いたしました報告書は、本委員会会議録にも掲載していただきたいと思いますので、委員長においてお取り計らいくださるようお願いいたします。  以上で御報告を終わります。
  7. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは、川村君及び内田君の報告中にございました報告書会議録掲載方につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう、取り計らいます。  両報告はこれをもって終わります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  9. 山本利壽

  10. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 田中総理府総務長官から発言を求められております。この際これを許します。田中総理府総務長官
  11. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) このたび総務長官に就任いたしました田中でございます。何とぞよろしくお願いいたします。  今回の佐藤総理ジョンソン大統領との共同声明によりまして、小笠原諸島の返還が決定いたしました。また、沖縄施政権返還問題につきましては、その解決への方向づけがなされたのでございまして、このような重要な時期に総務長官を拝命いたしましたことの責任の重大さを痛感いたすものでございます。  私といたしましては、沖縄問題につきましては同声明方針に沿って施政権返還早期実現のために努力をいたしますとともに、当面、沖縄本土との一体化施策を一段と進めてまいる所存でございます。  小笠原につきましては、さしあたり復帰準備体制の整備に力を注ぎたいと存じております。  なお、北方領土につきましては、わが国固有領土であるとの立場から、その返還につきまして引き続き努力を重ねてまいりたい、かように考えておりますので、何とぞ皆さま方の御協力、御支援によりまして本問題が解決いたしまするように、なお一そうの御支援方をひとえにお願いいたしまして、ごあいさつといたします。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっと一言。新しい総務長官に御就任になりまして、いま御努力方向を示された。ひとつ一生懸命やっていただきたいと思いますが、これは総務長官並びに局長にお願いしたいのですが、来年度の総理府予算のうちで、やはり沖縄に対して相当な金額が計上されると思うのです。予算編成期にあたりまして、いままでの各省予算がつくられます場合に、大蔵省に対します各省予算要求がなされてそれに対して査定が行なわれるわけでありますけれども、その沖縄に関する予算要求総理府予算に計上される、それがどんなものであるか、私どもも知りたいわけであります。ひとつ四十三年度の沖縄関係予算についての要求の資料がございましたら、それを委員に配付してもらいたいと思う。  それから第二は、小笠原返還ときまったわけですが、これもまだいろいろ方針も決定しておらないようでありますけれども、いずれ近い方針が決定されるだろうと思いますので、それらのきまりましたものを、ありましたら逐次文書にして委員に配付していただきたい。それをお願いしたいと思います。
  13. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ただいま岡田委員から御要望の点は、次回の委員会及び適当な時期にお伝えすることにいたします。そういうように取り計らいたいと思います。  次回の委員会は、十二月二十二日が定例日でございますが、なお政府側と折衝いたしまして、できるだけ各大臣の出席可能な日を選びまして決定いたしたいと思います。それは公報をもって御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。   午前十時五十二分散会      ——————————