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1967-06-30 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)    午後一時十七分開会     —————————————   委員異動  六月三十日     辞任         補欠選任      温水 三郎君     大森 久司君      園田 清充君     横井 太郎君      堀本 宜実君     和田 鶴一君      櫻井 志郎君     宮崎 正雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 青田源太郎君                 大森 久司君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 津島 文治君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 横井 太郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    衆議院議員        農林水産委員長  本名  武君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林省蚕糸局長  石田  朗君        水産庁長官    久宗  高君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農政局参        事官       加賀山国雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米価問題に関する件) ○日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○中小漁業振興特別措置法案内閣提出衆議院  送付) ○外国人漁業の規制に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、温水三郎君、櫻井志郎君、園田清充君及び堀本宜実君が委員を辞任され、その補欠として大森久司君、宮崎正雄君、横井太郎君及び和田鶴一君が選任されました。     —————————————
  3. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 農林水産政策に関する調査として、米価問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 簡単に大臣お尋ねいたします。  大臣も御承知のように、米は直接統制でありますけれども、これは予約制内容としておるわけでありますが、その予約制のたてまえは、当時の米穀懇談会政府答申しておる内容からも明らかなように、作付前に価格をきめるべきであるという太い柱を政府答申しておるわけであります。したがって、予約制を尊重される立場からいえば、当然作付前に米価決定して、安心してその決定した価格を受けとめて農家生産に従事をするべきものでありますけれども、この予約制がとられてから昨年までの経過を見ますと、ことしも同様でありますが、意識的にか無意識的にか、生産者米価決定は、国会の会期終了後に生産者米価諮問審議会が招集され、その後に政府によって買い上げ価格決定をされておる経過であります。  そこで、私、大臣に簡単明瞭にお尋ねをいたしたいのでありますが、農家は、この予約制を前提として、米価決定すれば概算金を受領して、それをもって夏場の資金繰りに充てておる。これも、大臣は、日常の農家の実態から熟知をされておることであります。しかも、その夏場の金を政府から概算金で受領するという時期は、おそくとも七月十四日の盆前にはこれを用立てをする、こういうことになっておる。お盆は、申し上げるまでもなく、十四日であります。したがって、一体、ことしの生産者米価をいつごろにきめるめどで、いつごろ事前に政府米価審議会を招集して大臣諮問をされるのか、その日程は、いま、実に重大な関心事になっておるわけであります。したがって、私も、米価審議会委員の一人として、上旬にはこの審議会は招集さるべきであると強い要請を委員会でも申し上げましたし、大臣もこれを受けとめておられるはずであります。したがって、麦の価格の告示も終了いたしました現段階におきましては、大臣としては、私がいま申し上げましたようなもろもろの情勢を判断されまして、さだめし国民が期待するであろう、あすから七月になりますが、上旬に米価審議会を招集され、なおその後のいろいろな経過を経て米価決定される手順をお持ちだと思うのでありますが、七月の何日に米価審議会を招集される御用意でありますか、その点を七月何日と日にちだけを明確に御答弁を願えれば、私の質問はこれで終わります。
  5. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 米の米審開会していただく日をなるべく早くきめたいと思いまして、各方面といろいろ協議をいたしておるのであります。きのうもそういうことをやったのでありますが、まだ日取りを決定する都合になりません。このあいだの米審委員会でも申し上げましたように、準備の整い次第、なるべく上旬からおそくとも中旬にかけてはやりたい、こういうことで、できるだけ準備を急いでするようにいたしておるわけであります。
  6. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 準備の整い次第というのは、事務的な準備は、もう上旬にはできると事務当局は言うております。したがって、準備とは何を言うのですか。
  7. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私どものほうでも、いろいろ事務的な資料整備その他のことは、これは一週間かそこらで急がしてやれば整えられると思っておりますが、やはり私ども農林省だけでいろいろ決定をいたすのにはそれだけの自由を持っておりませんので、党その他と相談をいたしまして、なるべく早い機会に開会をいたしたいという方向相談を進めておる最中であります。
  8. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私に約束された時間はもうありませんから、これ以上お尋ねはいたしませんが、この際大臣に強く要請しておきますことは、なるべく上旬、中旬にかかるかもしらんという御答弁でありますが、それが中旬にかなりウエートがかかりますと、会期が二十一日で終わりであります。その会期末を控えて米価審議会が開かれますと、米価審議会と本院における山積した重要法案審議において、非常な困難を政府当局がこれは期せずして受けられるということは覚悟してかかるべきであるということを注意申し上げておきます。
  9. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件につきましては、この程度にとどめます。     —————————————
  10. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  11. 北條雋八

    北條雋八君 私は、生糸日本の伝統のある蚕糸事業が停滞しまして、生産額が非常に落ちてまいりまして、輸入までもしなきゃならないというようなことに至ったその原因は何にあると大臣はお考えでございますか、まずもってその点を伺いたいと思います。
  12. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 原因はいろいろあると思いますが、一つには、化学繊維発達によって、天然絹糸のシェアがだんだん侵されてまいりました。一方におきましては、需要の異常な増加が逆に出てきているわけであります。そういうことで、現在までのわが国蚕糸業はいろいろの原因がふくそうしておりますけれども、まず最初に申し上げましたほうの化学繊維等の、何といいますか、急速な発達が、少なくともわが国蚕糸業について大きな影響を持ってきている、これは見のがすことのできない事実であると思います。
  13. 北條雋八

    北條雋八君 かつて、昭和三十三、四年ごろ、政府は、反当八十円程度補助金まで出しまして桑園減反をしました。そうして、強制的といいますか、桑を抜かせて農民の生産意欲を喪失させたということは事実であります。いまになってその当時からの推移を考えてみますと、生糸需要見通しの誤り、また、適地適産の認識不足、また、場当たり的なこそくな価格対策と、せんずるところは養蚕事業に対する軽視ということが原因じゃないかと思うのであります。そういう意味から、私は政府責任が非常に重大だと思います。昭和三十六年に農業基本法が制定されました当時でさえ、養蚕事業斜陽産業視をしまして、そうして農業基本法のいわゆる選択的拡大の対象からはずされておったということは、軽視の何よりの証拠じゃないかと思います。何といってもこれは農政の失敗と言わざるを得ないのでありますが、大臣はその点をどう感じておられますか、その所信を伺いたいと思います。
  14. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) あの当時の施策について私は批判するつもりはございませんけれども、当時の天然絹糸に対する需要の減退というものは、北條さんよく御存じだと思っております。にわかにナイロンその他が伸びてまいりました。こういうことの結果、わが国需要の一番お得意先でありましたアメリカ婦人用絹靴下というものは、ナイロンににわかに置きかえられてまいりました。ところが、ナイロンの単糸、つまりよりをかけない糸だけでは、どうも味わいが出ませんので、よりをかけるために日本絹糸が必要であるというようなことから、だんだんそういうことの需要が回復してまいりました。  そういうときの状況の見きわめ方につきまして、あるいは化学繊維発達の将来の見通しを過大視した傾向はあったかもしれませんが、それは、その当時の政府というよりも、日本人全体がそういうことを言っておりました。しかし、最近の傾向を見ますというと、やはりお蚕さんの口から出た天然絹糸の持ち味というものについて非常な魅力を各国でまたわきたたされてきておる現状でございまして、私どもは、そういう意味で、当時の日本人全体の一般的な通念が、天然絹糸というもの、ことにいま申し上げましたように非常に化繊が発達してまいりました時代における日本養蚕業というものは、御存じのごとく、繭も暴落し、生糸も暴落いたしまして、当時の政府は、御承知のごとく、これを買いささえるために非常な努力をいたして、種々特殊法人なぞをつくりまして保護につとめたわけでありますが、世界的大勢にはかないませんでした。  しかるに、御存じのような傾向になってきておりますので、しかも、現在、なお中共あるいは韓国なぞまでもそういうものの増産を将来を見越してやってきておるということにつきましては、私どもも現在の段階において将来を見越しましてやはりこれの増産につとめるということは、国内農業対策としても、あるいは日本貿易上の立場から見ましても、ぜひ必要なことである、こう考えるわけでありますが、あの当時のことは、一般的傾向は私が申し上げたとおりだと思います。
  15. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、政府として、減反を奨励したといいますか、強制したのでないにしても奨励したということは、やはり見通しを誤った、この点については責任は感じておられるわけですか。
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 当時の政府責任ということになると、私もよくわかりませんけれども、いま申し上げましたように、たとえばイタリアが今日養蚕製糸はほとんど力がなくなってきておりますが、ああいう経過なぞを見ましても、わが国はしかし、よく今日までささえてまいったと、私どもはかえってそういうことのほうに感心をいたしておるのでありますが、一番得意先であるアメリカ市場御存じのような状態になりましたときに、無理やりに農家がよく事情を知らずに蚕を飼い、繭をつくってみても、それはただたたかれるだけでありますから、当時の政府といたしましては、あるいは農業団体でもそうでありますが、こういうふうに一生懸命で蚕を飼って生糸をつくっても一コリ幾らにしかなりませんよと、こういうことのために対処することを考えることは、その当時としては当然なことではなかったかと私は思うのであります。一般的に農家のほうでもそういう傾向でありました。御存じのように、掃き立てのときに糸目の相場をきめるのでありますからして、その相場を見ておって、今年はたとえば幾ら、いままでどのくらい掃き立てたものを、これはこんなに掃き立ててはまずいというような感情が農家にも出てまいりますし、農業団体のほうでもそういう観測をいたしておりますから、そういうことに従ってやっぱり当時はやったわけであります。これは、あの当時としては、為政者ももちろんのこと、農家自体もそういうことについてはこれが当然だと思ったのではないかと思います。  ただ、しかし、むしろ政治的には、そういう場合に減反をさせるために桑畑をつくっておりました農家に対して政府がどのようなめんどうを見る処置をしたかというふうなことについては議論があると思いますけれども、当時の傾向で逆に桑畑減反させなかったらどうなったかということを考えてみましたならば、その時代養蚕及び製糸というものについてはもっと大きな経済的打撃があったんではないかと、私どもはそのように理解いたしておりますし、御存じのように、その当時からございましたいろいろな特殊法人なぞの、何と申しますか、会社の歴史を書いたものとか、いろいろなものを見ても、やはり私がただいま申し上げましたような判断をいたしておるものが多いようであります。
  17. 北條雋八

    北條雋八君 その当時の政府と言われたけれども、それはまあ大臣がかわられても、やはりどこまでも農林大臣としての責任はあるのでありますが、御承知のとおり、三十七年ごろから、養蚕地帯構造改善事業が、この桑を入れることによってだいぶ成果を上げてきております。それから、わが国には御承知のとおり火山灰地帯が非常に多いのでありまして、桑なんぞの生育に非常に適したところがあります。また、基幹労力が都市に流出いたしまして一般には農業も因っておりますが、そういう点から考えても、養蚕ということはいわゆる三ちゃんでもある程度りっぱに事業ができるという点もあります。基幹労力にかかわらず、りっぱにやっていけるという特典があります。それで、加うるに、経済成長に伴って糸価が上がってまいりました。その強気も含まれて、そして、現在では、養蚕というものは、特に山村においては、選択的拡大の欠くべからざる産業だというふうに思うのであります。そういう意味から、農業部門の中で山村においては特に選択的拡大に欠くべからざる産業ということを大臣は認められるかどうかですね、その点を伺いたいと思います。
  18. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 養蚕業は、いま御指摘のように、山村においてもわりあいにできるものでありますし、ことに現在の国際的な環境を見ますというと、私どもは、これに力を入れてりっぱな農業となり、また、日本経済の大きな一翼をになえるものであるというふうに考えております。したがって、いま、地方におきましては、養蚕業を中心とした構造改善事業でかなり成功いたしておるところもございます。ただ、農業の中で、養蚕業ほど労働力を必要とする農業はないのであります。これは、養蚕をあまりよく見られない人は、養蚕業労働力というのを軽視しておりますけれども、ほかの作物は植えて一定期間というものは植物それ自体が成長してまいりますけれども養蚕というのは四六時中目を離すことができないものであります。蚕が休んでいるときにだけ若干桑を供給することが休まれるだけでありまして、いままでのようなやり方ですと、一番労働力を食っているのは養蚕業なんであります。  そこで、私どもは、養蚕を伸ばしてまいりますためには、やはり構造改善を進めると同時に、どうしても省力をいたしまして近代的な養蚕業をやりたい。このごろ、各地においては、昔私どもが子どものころ見ました養蚕から連想いたしてみますと、隔世の感がありまして、非常な進歩をしてきております。私は、そういうようなものをなるべく政府が力を入れて援助をいたしまして、ああいう近代的な養蚕業を発展させることによってこの地位を確保いたしてまいりたいと、こう思っております。
  19. 北條雋八

    北條雋八君 そうすると、政府わが国養蚕事業重要性を認めておられるわけでありますが、そうするならば、将来の施策に対してどんな構想を抱いておられるのか。また、重要性を認めておられる以上は、内外の需給見通しによる長期の生産計画というものを当然立てなければならないと思うのでありますけれども、その点についていままでどういう方針によって計画政策を進めておられるか、その点を伺いたいと思います。
  20. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御存じのように、蚕糸業振興審議会で、ただいま御指摘のような問題については鋭意検討をしていただいておるわけでありますが、最近の需給状況に対処するためには、まず第一に、繭の増産をはかることが先決であります。基本的には繭を増産するということが基本でございますので、昨年九月に中央蚕糸協会から要望のございました繭の生産増強対策、こういうものについて力を入れてまいる。それからさらに、養蚕家のためには、先ほどちょっと触れましたように、構造改善等に助成することによって繭の合理的な近代的な生産を助成するようにいたしてまいりたい。審議会答申をいただきましたならば、さらにその方向に従って努力をして所期の目的を達成するようにいたしてまいりたいと、こう思っております。
  21. 北條雋八

    北條雋八君 そうすると、まだ審議会答申というものは出ておらないのでありますか。  それからもう一つは、このあいだいただいた参考資料の中でありますけれども、繭の生産生糸需要見通し、十ヵ年間の見通しがありますが、これは諮問に対する答申数字でありますか、どうですか。これと関連があるんですか、ないんですか。
  22. 石田朗

    政府委員石田朗君) 最初に、事務的な点を整理してお答えを申し上げたいと思います。  ただいまお話がございましたが、資料として提出いたしました中に、今後の需要及び生産見通しがございます。これは、現在、私どものほうで編成し、農政審議会懇談会等でも御論議いただきました一つ見通しでございまして、このようなものを基礎にしつつ、今後蚕糸業振興審議会において、具体的なやり方においてこれを推進しこれを達成する努力を続けてまいるという基本について御検討願い、御結論をいただきたいというふうに考えております。
  23. 北條雋八

    北條雋八君 そうすると、いまの計画というのは、いつごろできまして、いつごろから実施するお見込みでありましょうか。
  24. 石田朗

    政府委員石田朗君) 三月に蚕糸業振興審議会が再編成されました際に、特に生産部会というものが設けられまして、このような問題の御検討をいただいております。その後、いろいろ専門家の間で検討をしていただいております。私どもといたしましては、でき得る限り七月、八月の間にこの生産部会において一応の御結論をいただきたいというふうに考えております。しかし、これは、現実に審議会の御論議をいただきませんと、最終日時を明確にはできませんけれども、私どもとしては、そのようにお願いいたしたいというふうに考えて取り進めております。
  25. 北條雋八

    北條雋八君 この需要見通しで見ますと、桑園面積は十年間ほとんど横ばいになっておりまして十アール当たり収繭量が非常にふえてきているんですが、三十九年の六八キロ二〇に対しまして、四十年はかえって減って六四キロ四二、それからまた、四十一年はちょっとふえまして六五キロ一八、四十二年は出ておりませんけれども、四十二年もやはり三十九年よりずっと下回るのじゃないかというふうに思って、こういう調子で行くなら、四十六年八八キロ〇五、それから五十一年が一〇〇キロ〇五ということになっていますが、こういう見通しの根拠が非常に疑わしいように思うんですが。
  26. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、確かに、四十年、四十一年は、一つには特に春繭の時期に冷涼な気候に見舞われ、その他の蚕期におきましてもそういうような条件がよくなかったというようなこと、それから最近新植桑園がふえてまいっております。そのようなことから、新植桑園未成桑園がこの面積に加算されておりますために、総平均として収繭量が伸びないというような点がございまして、四十年、四十一年がはなはだ停滞をいたしている感を与えておるわけでございます。全体といたしましてこのような反当収繭量を伸ばしていくということが基本的に必要であり、かっこの可能性が適切なる施策を得ますならば可能ではないかというふうに考えまして、従来のそういった災害や新植桑園増加等条件を除きました収繭量増加計画、これに新技術の導入の度合い等を勘案いたしまして将来の反収見通しを立てたわけでございます。  ちなみに、現在におきましても、各県のうちで最も反当生産力の高い山梨県等は、ほとんど十アール当たり百キロの線に進んでおります。このような線に進むことは、これは技術的には可能であり、そこまで推進をはかってまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  27. 北條雋八

    北條雋八君 四十二年の見込みは、どのくらいになる見込みでしょうか、何キロぐらいに。
  28. 石田朗

    政府委員石田朗君) 四十二年の数字は、これは現在春繭がようやく出回りましたわけで、実績収量はまだ明らかでないわけでございますが、全体は面積はそう変わりないと思いますが、春繭生産は、現在の第二回目の収量予想におきましては、昨年に比べまして六%の増産と、こういうことになっております。その程度増加は期待できるのではないかというふうに考えております。
  29. 北條雋八

    北條雋八君 次に伺いたいのは、せんだっての委員会でも、わが国蚕糸業の衰退を心配されて武内委員から質問がありまして、その質問に対する農林大臣お話に、大臣は、わが国蚕糸業の将来は決して斜陽産業視はしていない。海外の需要に対しても明るい見通しを持って今後の振興発展にますます力を入れ、輸出貿易の進展をはかるという旨の所信を述べられました。そうするならば、輸出産業としての方向づけは、加工輸出方向か、それとも原料輸出重点を置くかということが伺いたいのでありますが、この参考資料の一ページを見ましても、ここ二、三年来は原料シルクよりも加工品のほうが急にふえてきております。この点につきましてもう一度大臣の御見解を伺いたいと思います。
  30. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御存じのように、昔は原料生糸が非常に大きな部分を占めておりましたが、最近の傾向から申しますというと、日本織物としての輸出がかなり大きなウェートを占めるようになってきておりますので、ことに日本の特殊な絹織物について非常なあこがれがあるわけでございます。そういうことももちろん伸ばしていくべきであると思いますが、一方においては、日本生糸を輸入いたしまして、そしてそれぞれの国でその国の需要に合うような織物を製造いたす傾向もございますので、なまの原料生糸輸出も決しておろそかにするわけにはいきません。両建てで、そのときの需要に合うようにやってまいったほうがいいんではないかと、こう思っております。
  31. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、どちらに重点を置くということは、はっきりしていないわけですね。この表で見ますと、三十八年まではずっとローシルクのほうが多くなっておりますが、三十九年になって初めてとんとんになっていますね、ローシルク加工シルクの比率が。そうして、四十年は今度は加工のほうがふえてきて、四十一年がますます急激にふえてきております。ですから、この調子でいけば、むしろ加工のほうがだんだん多くなるのじゃないか、そういうことを考えるのですが、その点はどうなんでしょうか。
  32. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、現状をあまり生産会社の経理について詳しくございませんけれども一般的に言われておりますのは、加工織物のほうがマージンが多いようでございます。それは、まあもちろん相手方が日本の特殊な友禅であるとか西陣みたいなああいう織物に対するあこがれが依然として強いという傾向もございまして、フランスあたりに行ってみますと特段にそういうことを感じます。けれども、一方において、先ほども申しましたように、ローシルクを輸入いたしまして、それぞれの国の需要に合うようなものをつくってまいる、相手方の業界の要望もございますので、私どもといたしましては、傾向としては織物のほうがだんだんふえるかもしれませんが、ローシルクもやはりいま申しましたような事情で依然として需要はそれに伴って活発ではないかと、こう思っております。
  33. 北條雋八

    北條雋八君 私も、加工がどんどんふえてくることは、やはりローシルクよりも加工シルクのほうがシェアも多いし、いろいろ向こうの注文に応じたデザインなどもこのごろは便利な世の中になったんですから、向こうから注文をどんどんとって、国内で加工品をつくって、それでそういうものをどんどん輸出するというほうが、国策からいってもいいんじゃないかと思うのであります。で、加工重点が移ってくるのなら、何もいまあわてて生糸の海外市場の確保を無理にあせってする必要はないようにも思うのでありますが、その点はどういうふうに考えられますか、一応御所見を伺いたいと思います。
  34. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいま北條先生からお話がございましたように、加工度がだんだん高くなり、かつ、それ自身が日本産業として有効なる面があるのではないかと。これはまことにそのとおりであろうかと思います。私どもが現在の法案で考えておりますのは、まず第一に生糸、絹織物全体を含めました絹需要、こういうものとしての海外市場の確保、これをまず第一歩として大きく考えております。このような需要の確保がまず全体の基礎になる。そのために現在考えております対策がきわめて有効であろうというふうに考えております。しかしながら、この形態が、ただいま大臣お話しいたしましたように、向こうの機屋がわれわれと一緒になって絹の宣伝をしてくれるという重要性は捨て切れませんので、ローシルクのままで売るということをやはり考えていかなければならないかと思います。今度の対策自体も、ローシルク輸出を考え、かつまた、輸出用絹織物につきましても今回の措置によって有効な対策を講じようと、こういうふうに考えてこの法案を提出しておる次第であります。
  35. 北條雋八

    北條雋八君 そういう点から、私は、できるだけ加工シルク輸出をふやすべく政府のほうでも力を入れるほうがいいのじゃないかというふうに思うのです、機織りの技術も日本は一番優秀なんでありますから。ただ、向こうの嗜好、デザインに合うようにつくるということはなかなかできにくいことだと思いますが、そういう点もまだ研究の余地はあると思います。その点は、時間がありませんから、その程度にいたします。  これは局長に伺いたいのですが、桑園の集団化を促進するような場合に、農業構造改善事業の指定区域内におきましては、かえ畑とかそのほか地盤整備に要する費用等に対しては、国から七〇%の補助が受けられるわけであります。ところが、それに隣した指定地外ではこの恩典に全然浴することができないのであります。そういう場合に、蚕糸業の振興を現在促進していることでありますから、それが適地であり、しかも相当面積がまとまっていて集団化の育成に適する場合には、指定外であっても、桑園の造成とかあるいは屋外条桑飼育設備等の事業に対しては、やはり指定地内の場合に準じて相当の補助をしてやるということがいいのじゃないかと思うのです。そういうようなことについて考えられたことがあるか、御意見を伺いたいと思います。
  36. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたように、構造改善事業は、工業化予定地域等を除きました市町村についてこれを指定してやっていくことになっておりますが、しかしながら、この事業費の限度等もございまして、全農家にまで行き渡る、こういうわけにはまいらないことも実態でございます。そうでないものにつきましては、これは全体の農林省の基盤整備及び近代化施設の種々の制度がございますので、このような制度を活用してその推進をはかってまいるということに相なる、また、現実にもそう進んでおるわけでございます。たとえば、基盤整備につきましては土地改良事業の助成または低利資金、あるいは近代化につきましては近代化資金等を活用してその推進をお願いいたしておる、こういうことになっております。
  37. 北條雋八

    北條雋八君 では、次に伺いたいことは、養蚕と農薬の対立は、これは戦後の新農薬が登場いたします前から宿命的な関係にあったわけでありますけれども、長野県の蚕糸課でもって調べた結果によりますと、蚕の農薬被害が急増しました昭和三十四年以来、同県下の被害調査が行なわれまして、それによりますと、蚕が受けた被害と、それから桑が汚染されてそのために桑が使用できなくなったその桑の被害を繭に換算しまして統計で出ておるのですが、これは長野県だけの数字でありますけれども、三十四年度が七トン八、三十五年が九トン六、それからだんだんふえてきまして、三十九年は三五トン二という繭の被害になっております。これはおそらく全国でも調べておられるのじゃないかと思うのですが、全国で最近どのくらいの繭の被害があったか、蚕の被害があったか、おわかりだったら伺います。
  38. 石田朗

    政府委員石田朗君) これにつきましては、統計調査部で全国的なそのような被害調査を行なっておりますが、この結果によりますと、四十一年におきまして全国で農薬によります繭の減収量、これは九三・五トンと、こういうことに相なっております。
  39. 北條雋八

    北條雋八君 蚕の農薬中毒というのは、急性のものと、それから徐々に中毒症を起こして死んでしまういわゆる慢性のものとあるようでありますが、これにがかったらすぐ死んでしまうものはよくわかるのですが、慢性のものはなかなかわからない。それで、繭をつくるときに薄っぺらな繭をつくったり、あるいは全然繭をつくる機能を失ったりするようになってしまって、これが繭の生産に目に見えない被害を与えていると思うのです。反収が思うように伸びないという原因も、精細に調べれば、農薬の害毒というものが相当影響しているのじゃないかというふうに思うのです。そういう点について、農政局の加賀山参事官が来ておられるそうですから、もし調べられた結果があるなら伺いたいと思います。
  40. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) ただいまのお尋ねでございますが、国庫補助が始まりまして何年かたっておりますが、だんだんと面積がふえまして、ただいま北條委員から御指摘のように、若干その周辺の作物に悪い影響を与えておるという状況でございます。しかし、そういうようなことにわれわれが気がつきまして、というのは、そういうことがないようにと思いまして、昭和四十一年度において、特にそういうふうなことに関する被害の防止ということで、地区の協議会、それから県の協議会等がございますけれども、関係方面の人たちに集まってもらいまして、防除をする場合には実施計画を正確に立てさせまして、できるだけそういう被害のないように努力をしてまいったというわけでございますが、その中でただいまのような蚕糸局長が申し上げたような数字が出ているというのは、まことに申しわけないと思っております。  北條委員の御質問の、農薬が蚕にどのような影響を与えるかということにつきましては、ただいま各県にいろいろと試験研究を依頼いたしております。また、国の蚕糸試験場の支場というのがございますが、そういうところでもいろいろとそういった関係の研究をやっていただいておりまして、その内容につきましては十分私ここでは承知いたさないわけでございますけれども、できるだけそういう試験研究を通じまして被害が少ないようにというそういう努力は続けておるわけでございます。
  41. 北條雋八

    北條雋八君 特に農薬の散布がこのごろでは飛行機を使ってやるようになりましたし、そうでなくても果樹園と桑園というのが非常にくっついてあるわけであります。私は、これに対して、もっともっと蚕に被害のないような薬を発見するとか、そういうような開発をやっておられるのかどうか、また、害の強い農薬は使用を禁止するとかいったようなことについての研究が足りないのじゃないかと思うのですが、そういう点について自信はおありになりますか。
  42. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) 農薬の被害につきましては、近年非常に世上をお騒がせ申しておりまして、できるだけそういうことのないように、たとえば、ここでいまお話しになっておりまする桑の問題ではございませんが、水稲に非常に大量に使っております水銀剤等につきましては、来年をもちまして一〇〇%非水銀糸の農薬にかえる、そういうような努力もいたしておりますし、本年度から科学技術庁に開発研究費を理化学研究所のほうにお願いいたしまして、できるだけ低毒性の農薬をつくるというような努力を現在続けておるわけでございます。  ただ、北條委員の御質問の蚕と農薬との関係ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、私ここで十分にお答えするだけの材料を持ち合わせないわけでございますけれども、それが生産者に対して悪い影響を与えるというのは現在の統計の数字でもあるわけでございますから、できるだけそこのほうの研究を進めまして、できるだけ被害のない、害のない農薬の開発に努力いたし、早い時期にそういった低毒性の農薬にかえていくという努力を引き続きしてまいる必要があるというふうに考えております。
  43. 北條雋八

    北條雋八君 蚕糸試験場の養蚕部でもこれは前に発表したことがありますけれども、例のストマイシン、これは水銀農薬にかわる抗生物質ですが、これでも蚕はやられておる事実があるんですね。ですから、水銀剤はもちろんですけれども、特に蚕に影響のある薬が相当まだあるのじゃないかというふうに思います。これはほんとうに重大な問題じゃないかと思うのです。農薬はどんどん普及されるし、養蚕振興の大きな一つの壁じゃないかと思います。この点についてはもっと慎重な調査をされて、そして養蚕振興にそごを来たさないようにやっていただきたいと思います。時間がありませんから、これはその程度にしておきます。  次に、法案自体について二、三ちょっと伺いたいと思うのですが、本改正法案によって事業団が輸出の適格生糸の売買業務を行なうことになっておるわけでございますが、この措置の効果と意義について伺いたいと思います。  その一つは、蚕糸価格安定制度は、このあいだうちから同僚議員がいろいろ質問されて、非常に複雑だということはよくわかるんですが、特別会計による価格の異常変動、それからまた、事業団による中間安定、それから特別会計による輸出適格生糸の特別買い入れと特別売り渡しの三つの制度が設けられておる中で、今回、事業団による輸出適格生糸の売買業務が新たに行なわれることになったわけであります。そこで、特別会計による特別買い入れ及び特別売り渡しの規定と今回のこの改正措置との関係はどう整理されているのか、この点をわかりやすく伺いたいと思います。
  44. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、糸価安定特別会計及び蚕糸事業団、この二つの制度によりまする価格安定制度、これが現在実施せられておるわけでありまして、その一環といたしまして、ただいまお話がございました事業団による買い入れ、売り渡し及び事業団からの特別会計の買入れと、こういうような制度があるわけであります。このような価格安定制度によって価格の安定をはかりますことが、現在といえどもやはり基本でございます。現在のようにかなり高い水準において価格が推移いたすというような事態におきましては、輸出の振興をはかりますには、単なる小幅安定だけでもなかなか済まない、こういうことに相なりまするので、従来の価格安定のファンクションとは一応別の一つのルートといたしまして、事業団において輸出用の生糸の買い入れ、売り渡し、その実体といたしましては、事業団が一定期間は動かさない、一定の価格輸出用に売り渡すと、こういうことを実施してまいる。したがいまして、その面におきましては、輸出生糸は強度の価格の安定、いわば一定価格、建て値制とでもいうような姿をとるわけでございます。従来の価格安定制度は、国内価格安定の問題としてファンクションをいたしております。さらに、その生産増強による拡大均衡が達成せられますまでの間、輸出を確保し、海外市場を確保するための特別措置として、今回の事業団による輸出生糸の買い入れ、売り渡しという措置を講じなければならない、こういうことに相なったわけであります。
  45. 北條雋八

    北條雋八君 今回の改正措置は、そうすると、どんな状況のときに発動するのか。たとえば、価格が最高価格以下、それで買い入れ価格以上の場合もやはり行なうのかどうか、これが第一。  それから次に、今回の措置における買い入れ価格及び売り渡し価格は、たとえば本年の春蚕期についてキロ当たり何円ぐらいのところを考えておられるのか、その点もついでに……。
  46. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございました第一点につきましては、今回の改正法の条文の二項にその条件が書いてあるわけでございます。「事業団が繭及び生糸価格の適正な水準における安定を図るために必要な数量の生糸を保管しておらず、かつ、生糸輸出を確保するため特に必要があると認められる場合」、こういうふうになっております。前段は、いわば事業団の買い入れがしばしば行なわれて、相当買い入れ数量がある。つまり、中間安定帯を下回るような価格がしばしば出るというような事態におきましてはこの業務の発動はいたさない、いわばそういうような趣旨であると理解しております。それで、かつ、このような特別措置を講じなければ輸出を確保することがむずかしい、こういうふうに考えられる場合ということでございますので、これは事業団の買い入れ、売り渡し価格、もしくは他の価格安定帯の、何円になったらどういたす、こういうことではございませんが、若干ラフな言い方に相なりますけれども、中間安定帯価格の上限のうち、高目のところ以上のとことで常に推移いたしておると、こういうような形に相なろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。  それから第二点でございますが、先日他の先生の御質問に対してもお答えをいたしましたが、この事業団が輸出生糸の買い入れ、売り渡しをいたします価格は、この法案の基礎になりました蚕糸業振興審議会の建議におきまして、その生糸生産原価を基準として、国際糸価等の経済条件を参酌してきめると、こういうことに相なっております。したがいまして、このような考え方で今後この価格事業団が定め、政府との関係においても、政府でこれを承認いたしてやらなければならないと思いますけれども、この場合に、これが幾らになるかという御質問、これはごもっともな御質問でございますが、実は、現在、繭の価格におきまして製糸会社と農民との間で価格協定が進んでおります。これがきまりませんと、はっきりいたさない。いま何円と申しますことは、それにいささか影響を及ぼすおそれもございます。また、対外的にも、幾らにきめるということは、最後にきまります前にこういうところで発言をいたしますと、その点でも対外的な影響もございますので、計数的に申し上げますことは差し控えさしていただきたい、こういうふうに思います。
  47. 北條雋八

    北條雋八君 次に伺いますが、この措置はいずれにしても民間業界の協力がなければ円滑な運用は絶対できないと思いますが、どんな協力を期待しておられるのか、その具体的な内容を示していただきたいと思うのです。糸価が上昇傾向にある場合の民間業界の協力というものはなかなかむずかしいのじゃないかと思うのですが、どれだけ期待が持てるか、はなはだ疑問に思うのです。また、繭価は県別に協定しておりますけれども、現在は、地方に農政局というものができたのでありますが、農政局単位で繭糸価格を協定できないかどうか、そういうようなことも考えておられるのかどうか、その点もつけ加えて伺いたいと思います。
  48. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、この措置が事業団組織を最も有効に活用して推進いたします制度であると同時に、また、関係業界の十分なる協力を必要とするという点は、お話のとおりであろうと思います。この点につきまして、元来、この措置自身が、関係各業界をほぼ網羅いたしております中央蚕糸協会の要望案、これを一つの基礎とし、また、きっかけとして審議が開始され、かつ、蚕糸業振興審議会におきましては各業界を代表する方と思われる方もほぼ入っておられますので、この方々の全面的な御賛成を得、そうしてこの立案がなされております。私どもは、このような業界の協力体制は、これは十分とられ得るものというふうに考えております。これは、いまお話がございましたが、一つには、事業団に対しまして糸を売り渡します製糸業界の方、かつまた、それが養蚕農民の方々の御協力をもまた得なければならぬかと思います。さらにはまた、輸出を担当される輸出業界、その他蚕糸業界全体の御協力がこれには必要になってこようかと思います。  なお、申し上げますと、衆議院におきまする参考人の御意見を聞かれます場合に、このような主要な業界、養蚕製糸及び輸出業界の関係の方々が参考人として責任者の方々が出てこられて、それらの方々がいずれもこの案に協力して輸出確保の方途を講じてまいりたいということを申し述べておられました。この点でも十分関係業界の御協力は得られるかというふうに考えているわけでございます。  なお、繭価の問題でございますが、お話のように、繭価は各県別に団体協約によってきまっているのが現在の実態でございます。これにつきまして、さらに広域に値段が一定してまいるということになればなおよろしいではないか、あるいは全国一本ならばなおよろしいではないかという種類の御意見はございます。しかしながら、実際の団体協約をやられます方々が、県における養蚕農民の団体の方と、そこに買いに来られる製糸業界の方々でございます。このような体制を全く組みかえることはなかなかむずかしいことであろうかと思います。ただ、私どもといたしましても、現在の繭価格は、繭の出回り期の前後一定期間におきます生糸価格を基準として、それに比例配分方式の方法によりましてそれを基礎にして協定をいたす形に相なっております。そのような基準のとり方につきましては、いわば地域別と申しますか、ブロック別にその基準のとり方を一定いたすということにつきましては、関係業界はその意見に一致をみております。そのようなことで、まず基準によってブロックごとに一定のものにしたい。具体的に話し合いをされますのは各県別にされましても、それを一定にしたいということで本年より推進しているわけでございますので、そのような方向に次第に進むことかと思います。私どもも、できる限り県別にはなはだしきアンバランス等が起こらないように指導いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  49. 北條雋八

    北條雋八君 いま言われたブロック別というそのブロックは、どういうブロックなんですか。
  50. 石田朗

    政府委員石田朗君) 現在考えておりますのは、各農政局ごとにそのような基準をきめたらよろしいのではないかと考えております。ただ、そのような方向で取り進めておりますが、この基準を提案されますのも、結局は、養蚕農民の団体とそれから製糸業界の間の話し合いに相なりますので、その話し合いがまとまってまいりませんと、実際の遂行は困難になるわけでございますけれども、そのような方向で指導をいたしている、こういうことでございます。
  51. 北條雋八

    北條雋八君 次に伺いたいのは、この措置によって年間三万俵、一期間が一万五千俵程度輸出を確保する方針のように伺っておりますけれども、これは事実なのでありますかどうかですね。  それからなお、三万俵とすれば、事業団がこの業務に充てる資金は十億で足りるのかどうかですね、その点を……。
  52. 石田朗

    政府委員石田朗君) この数量につきましては、要するに海外市場を確保するための最低必要量はどのくらいか、こういうことであり、かつ、現実に、先ほどお話がございましたように、関係者の間でこの問題について十分話し合いをいたしまして最終の計数を定めることに相なろうと考えますけれども、一応のめどといたしましては、いまお話しのように、年間三万俵、半期一万五千俵というものを考えておるわけでございます。そうして、かつまた、私どもの概算といたしましては、これがたまってまいります場合と、それから次々に輸出が行なわれてはけていきます場合では若干違ってまいりますけれども、これがたとえば半年分たまった場合をかりに——資金の所要量計算でございますから、かりにそういうふうに考えましても、大体五十億円ぐらいの資金に相なろう。その二割程度基本的に政府の出資金を以て充て、他は借り入れ金をもってやるということが順当ではないか、こういうふうに考えております。
  53. 北條雋八

    北條雋八君 五十億だと言われますけれども、そうだとすると、この業務についての事業の経理をどう想定しているのか、その資金繰りをどうするのかですね。衆議院委員会答弁では、売り渡し価格は一出回り期を通じて一定にする方針だというようなことでありますが、そうすると、金利とか倉敷はキロ当たりどのくらいになるのかですね。なお、この五十億という根拠は、かりにキロ当たり七千円としますと、一期一万五千俵ですから、六十三億円の資金が要るわけですが、これについて五十億というのは安く見ているんじゃないかと思うんですが、キロ当たりはどのくらいに見ておられるか。
  54. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、この所要資金というものは、先ほど申し上げましたように、買い入れましたものがどんどんはけてまいります場合には、資金の所要量は小さくて済むわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました半期たまってしまうというようなことは、これは通常はむしろ少ないと考えるほうがこの制度としては順当でございます。したがいまして、半期のものの資金を考える必要は必ずしもないと思います。かつまた、ただいまお話がございましたが、いまの価格自体が今度定めなければならない、こういうことでございますので、幾ら幾らというふうに考えますことはむずかしいわけでございますが、大きく申し上げましていまの五十億円を若干こえる程度、このくらいの資金があれば十分やれるのではないか。むしろ、現実にはそれより下回ってまいるのじゃないか。こういうふうにいまのようにどんどんはけてまいりますればそれより下回っていく、こういうふうに考えております。  なお、在庫する金利、倉敷等も、これはどのくらい在庫するかによって違います。かりに半年ずっと在庫いたしましたとした場合に、キロ当たり百円程度であろう、こういうふうに思います。
  55. 北條雋八

    北條雋八君 時間も来ましたから、最後にもう一点伺いたいと思いますが、生産の一割をこの措置によって輸出に振り向けたいということになるわけでありますが、そうなら、生糸価格水準にかなり影響するものと考えられます。現に、現在の価格水準はこの措置を織り込んで形成されているともいわれております。したがって、国内の価格水準へ影響することをできるだけ避けねばならないわけでありますが、この点の調整をどう考えておられますか、生産の一割を目安にしたというその根拠はどこにあるのですか、その点を伺いまして、私の質問を終わります。
  56. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、必ずしも生産の一割、こういうふうに考えたわけではないのでございまして、先ほど最初に申し上げましたように、どの程度輸出を確保いたしますならば海外市場確保の目的が達成されるか、こういうことが基本的な点であろうかと思います。かつまた、現在、先ほど申しましたように、春繭におきまして六%の増産であり、年間におきまして大体去年に比べて八%の増産が統計調査部の調査によれば見込まれております。かつ、従来の輸出実績があり、自力で出るものもありますので、このような事業団の取り扱いをいたしましても、国内供給力は昨年を上回わるものがあるとういふうに考えてよろしいかと私どもは考えております。しかしながら、さらに今後、お話がございましたように、国内価格問題、国内需給問題、その他基本的にいろいろ考えなければならない問題がございますので、この数量決定につきましても、必ずしも硬直的な考え方であるばかりがよいのでないとも思われます。それらの点につきましては十分各方面を勘案いたしまして妥当な線をきめてまいりたいというふうに考えております。
  57. 達田龍彦

    達田龍彦君 この蚕糸事業団法の一部改正法案でありますが、すでに本委員会でもあるいは衆議院においても大体論議が煮詰められておるわけでありまして、それでもなおかつ私は政府答弁あるいは方針を聞いたり見たりしているわけでありますけれども、たいへん内容的に多くの問題を抱えていると理解をいたしておるのであります。特に今回出ている事業団法の一部改正というのは、価格の安定、あるいは輸出の振興ということが中心になっておりますけれども、その根底をなすものは、何といっても繭の生産体制の問題、あるいは将来の需給見通し、あるいは輸入と輸出の均衡ということが根本的に解決をされなければ問題の基本的な解決にならないと思います。特に、製糸、繭産業の過去の実績を見てみますと、農業政策というものは非常に変動があり、困難な戦後の実情の中にあってもとりわけ低迷をし、しかも一貫性のない蚕糸行政というのが行なわれておるという現状、あるいは過去の認識の上に立つときに、はなはだもって、私は、不安と、将来に対する危惧をいろいろな説明はされておりますけれども抱いておるのであります。そういう意味において、いろいろすでに当委員会でも、解明が、これができるできないはいざ別にいたしましても、質疑応答の中での解明は一応出尽くした感じが非常に強いのでありまして、ただ、わが党としてまだ残っている問題としては、事業団の今日の機能と運営の問題について、数点、重点的に御質問をしてみたい、こういうふうに実は考えておるのであります。  それで、質問のまず第一点は、事業団は昨年発足をいたしておるわけでありますから、この機能と運営を、いま直ちに、すべての機能であった、あるいは運営であったと理解することは、そういう結論を出すことは、私はまだ実績に徴して少し早いと思うのであります。早いと思うのでありますけれども、特別会計におけるところの価格安定の過去の実績を見てみても、必ずしも有効に価格安定の機能が果たし得ているとは私は判断できないのであります。政府答弁によりますと、法律があることそれ自体が安定に役立っておるという理屈を展開をいたしておりますけれども、私はそういう消極的な安定ではなくて、積極的な意味での役割りを果たすことこそ特別会計におけるところの価格の安定でなければならぬし、さらに、それに加えて、今日の時点の解決をはかろうとしたのが事業団におけるところの価格の安定でなければならぬと私は思うのであります。そういう意味において、今日まで、事業団においてもあるいは特別会計においても価格安定のための発動がなし得なかった、なされなかったということよりもなし得なかったということは、法律が発動できなかった状態はいいことであるという一面もあるけれども、事実は、そうではなくて、発動するような状態、内容需給関係が非常に異常な状態で狂っておるところにこういう状態が出たと思うのであります。でありますから、そういう意味において、私は、そういう今日的な状態の見通しを誤った事業団の今日の設置、運営等について、非常に疑問と問題点を考えておるのでありますけれども、こういう事業団が今日まで発動できなかった状態に対して、見通しの問題、あるいは当時どういう判断をしておったのか、そういう問題をひとつ具体的に御説明をいただきたいと思うのであります。
  58. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいま達田先生からお話がございましたそのおことばの中にもございましたが、蚕糸事業団ができましたのは昨年三月でございます。ようやく一年を経ておるわけであります。その間、事業団の各種の役割りのうち、あるいは短期保管業務であるとか、あるいは生産に対する助成であるとか、こういうようなものにつきましては、その役割りを果たし、事業を実施いたしてまいったのであります。  この事業団の業務といたしまして、価格の中間安定をはかるという点が一つの主要なものになものになっております。その場合におきまして、中間安定の実施のシステム、これが、御承知のように一定価格の場合にこれを買い入れ、一定価格の場合にこれを売り渡す、こういう制度でございます。現実問題といたしまして、昨年四月以降、この買い入れ価格に相なりますという事態が出てまいらなかった。これは、ある意味におきましては、いま達田先生がお話しのとおり、非常にけっこうなことも言えるわけであります。そのようなことで、この売り渡しをもまた行なうというような事態に相ならなかったというのが現状でございます。これにつきましては、この蚕糸事業団設立の趣旨にかんがみ、また、今後これがどのように役割りを果たしていくかという点につきまして、皆さま方にも十分これを見守っていただかなれけばならない。ただ、いまもお話がございましたが、全体が季節変動もございますけれども、むしろ大きな年次変動を減してまいるというようなことがこの価格制度の大きな役割りになっております。そういう意味で、設立以後いままでの事態をもってこれの必要性云々ということを論ずることは、これはできないのではないかと、こういうふうに考えております。
  59. 達田龍彦

    達田龍彦君 いまの説明では、私は、ほんとうのことをとらえた説明とは受け取れないのであります。  さらに、問題点をしぼって御質問申し上げますが、事業団をつくったのは、少なくとも、想定された価格の状態というのは、中間安定帯の中に価格を落ちつけていこうということがやはり本質的なねらいであったはずであります。ところが、そのとおりいかないということは、生産体制にいたしましても、あるいは需給見通しにいたしましても、あるいは輸出入の調整の問題にいたしましても、そのとおりの機能調整というのが動かなかったからこそこういう状態になったはずであります。そういう意味における事業団の運営と、果たした役割り、これは事業団の問題じゃなくて、基本的な蚕糸行政全体にこれに当てはめるような姿をとり得なかった欠陥があるわけです。そういう点を一体事業団をつくる当時にどうお考えになっておったのか、その点が聞きたいのであります。
  60. 石田朗

    政府委員石田朗君) 事業団設立の際におきまする考え方、これは諸先生も昨年の審議において十分お聞き取りであったろうかと思います。これは、従来の糸価安定制度の中における現実の糸価の動き、これを考えまして、異常変動防止以外に、中間安定における安定実現ということが非常に必要であるというたてまえにおいてこの実現を見たわけでございます。かつまた、この設立の場合に基本的な構想を組み立てます背景は、そのときまでにおきまする従来の需給及び価格の変動及びこれから見通し得る将来を予想してできておるわけでございます。最近におきまする需給の、ことに内需の急激な増大によるところの変化、及び、特に昨年、年間におきまする価格の急激な上昇、このようなものが、確かに、従来の需給及び価格の動きという面から見ますと、若干違った姿をいたしておる。さらに、基本的に輸出対策その他を今回お願いしておりますように講じまして、これに対する対策を講じていかなければならぬ。さらにまた、生産増強等の基本的な対策につきまして、一そうこれを推進してまいらなければならない。こういう事態でございますけれども、しかしながら、現在の需給の非常な逼迫状態と申しますか、これが一つの落ちつきを見せてまいりますならば、基本的な形での事業団の輸出対策の現在の特別措置だけでありません、さかのぼって安定措置の順当な動きというものがまた十分期待いたされるのではないかというふうに考えております。
  61. 達田龍彦

    達田龍彦君 私はさっぱりその説明でわからないのでありますが、端的にお尋ねをしますが、事業団をつくった当時のいわゆる生産体制、需給体制、それによるところの価格の安定ですね、それに基づくところの中間安定帯の設定、そういう状態になるべく期待をし、そういう施策をしながら事業団というものの法案をつくったはずであります。そのとおりいかなかったということは、いま申し上げたように、見通しを誤ったのかどうか、それをはっきり私は述べてもらいたいと思います。
  62. 石田朗

    政府委員石田朗君) この点につきましては、ただいまお話を申し上げたとおりでございまして、当時、そのときまでの過去の経験、この集積におきまして一つ見通しを立ててこの措置をとったのであります。かつまた、私どももこのような姿において価格が安定され、輸出もその姿で振興されていくことが順当な姿であり、そのような全体のための生産対策その他が実施され遂行されてまいりますならば、再びそのような姿に相なってまいろうかと思います。しかしながら、現在のような内需の非常に急激な増大等々から起こってまいりました価格の上昇、このような特殊な状況に対応いたしましては、現在お願いをいたしておりますような特別措置をも講じまして、この間の海外市場確保策を講じ、その間になお生産対策等を推進いたしまして、全体として順当な形での価格安定と生産の発展というものが期せられるような姿に持ってまいらなければならぬでしょうし、また、そうなってまいるであろうというふうに考えております。
  63. 達田龍彦

    達田龍彦君 大体、見通しを誤ったのかどうか、その点についてきちんとした御答弁をいただきたいのです。
  64. 石田朗

    政府委員石田朗君) 現在の事業団が設立せられましたときの考え方、これは基本的な姿としてはそういうことで進んでまいるべきであるというふうに考えております。さらに、一年後に追加してこの特別対策をお願いいたさなければならぬということは、それなりの特殊な事情があるということは、その新たなる事情が追加されてこの特別対策をお願いいたさなければならないようになったという点は、そのとおりであります。
  65. 達田龍彦

    達田龍彦君 さっぱり何を言おうとしているのかよくわかりませんけれども、私は、これは事業団の将来の機能と運営についてたいへん重要な問題だと思っているんです。なぜなれば、今回出ている輸出機能を事業団に持たせるということは、経済原理の上から考えていけば、生産体制が増産しない限り、国内の需要は圧迫されるんです。したがって、価格の異常高騰ということは、原理的には避けられないという本質を持っておるのであります。そういう意味で、今日そういう国内体制のすべてのものが基礎として調整されない段階の中で輸出をはかるということは、事業団の価格安定の機能というものがより一そう果たし得ないという客観主体情勢をつくるのであります。そういう意味で、私はそういう面の心配がたいへん強い。であるがゆえに、この問題に対する見通しがどうなんだということはたいへん重要なんだから、その点について、いろいろくどくど言わなくてけっこうですから、どうなんだということを言ってもらえれば、それでもって、聞いている皆さんだって、また国民だって、それによって判断できるのでありますから、何もあなたたちに全部がかぶさっておるのじゃない。何もかも自分たちの思いどおりいかないのでありますから、そういう点をはっきり、間違いであれば間違い、見通しの甘さがあったなら甘さがあったと率直に認めてほしいんです。
  66. 石田朗

    政府委員石田朗君) この点、ただいま申し上げましたように、最近におきまする内需の急激な増大と価格の上昇というような、そのとき予想しておりました以上の事態が生じてまいったということは事実でございます。
  67. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、私はさらに心配があるのであります。それは、いま若干触れましたように、今日、異常に生糸の値段が高騰をしておる。綿製品もそうでありますね。そういう状態であるということは、元来、需要に供給を調整をしていく、生産を増大するという機能を根本的にやらない限り、価格の安定は望めないのであります。ところが、そういうことを根本的にやることが第一義でなければならぬのにもかかわらず、まあその理屈はわかりますけれども、この中に輸出の機能を持たせるということは、いま申し上げたように、逆に国内の価格を圧迫する結果をつくることは当然であります。なおかつ、将来、事業団に輸出業務を持たせることによって、事業団の価格安定の機能というものはいよいよやりにくくなるということを私は懸念するのであります。この点についてどうお考えになりますか。
  68. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、今回の措置は、事業団が物を扱いますことによって、輸出用の価格がいわば建て値制に近い形、そういうことによってそのファンクションによって輸出につきましても一定の市場確保をはかってまいろうというのが基本でございます。これは、基本的には権力をもっていたすわけではございません。いわば業界の共販的機関とも申しましょうか、こういう形で事業団が動いてまいる、こういう形に相なったわけであります。かつまた、先ほど北條先生からもお話がございましたように、この間の量的関係その他あるいは価格関係、これらがいかなる波及効果を他の譜面に及ぼすか、これらはやはりわれわれとしても十分考えなければならないわけでございます。それらの点も十分考え合わせまして、現在、昨年よりはかなりの増産が達成されつつあります。それらの状況もにらみ合わせまして、無理のない形で、しかも市場確保の任務を基本的に果たし得るように推進をはかってまいりたいというふうに考えております。
  69. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうも、すとんと落ちるような御回答でないので、私はこれで審議を終わっていいのだろうかという疑問を持つくらいでありますが、さらにお尋ねをいたしますけれども事業団をつくった本来の趣旨というのは、価格安定が第一でなければならぬのであります。その証拠には、今回の改正の輸出業務を持たせるというのは、附則で簡単に取り扱っておる。しかも、暫定的なものであります。ところが、事業団の本来の仕事である価格安定の機能というのは、生産体制あるいは需給の体制、輸入の調整等の根本的な蚕糸産業全体のいわゆる基礎の上に安定しなけりゃならぬという要素を持っているのであります。これは一気に直ちにいまの農林省の実力と力ではできないものだから、最終的に考えたのは、これはいま巷に公団の廃止の問題が出ておるので、その延命策ではないかと疑われる節があるのは、これと並行して、これだけではどうも今日機能が十分果たし得ないから、確かに市場確保ということは必要です、この必要なことを一つの足がかりにして公団の存置をきめるのではないかと思われるような節が今回出てきているというところに一つ問題があると思うのです。でありますから、はっきりしていただきたいのは、輸出業務をこの際これに持たせることによって、確かに輸出機能は市場の確保という意味でできるかもしれませんけれども価格の安定という第一義的なものが機能としては果たし得ない、むしろ蚕糸あるいは絹業界全体としての価格というものはいまより以上に高騰するのではないかという心配があるのであります。そういう意味で、この機能の第一は安定機能である限り、安定機能を果たさせるようなことを今日的には考えるべきにもかかわらず、輸出という必要性を私は否定はいたしませんけれども、そのことによって逆に本質的な安定機能というものが阻害されるというこの矛盾に対して、矛盾と思わなければどうかしていると思うのでありますけれども、そういう点に対して、一体どう考えておられるのか、はっきりお答えしていただきたいと思います。
  70. 石田朗

    政府委員石田朗君) いまお話がございましたが、私ども事業団の機能は、基本的に価格安定をはかりまして、それによって蚕糸業の経営の安定をはかってまいるということにあると考えております。しかしながら、他面におきまして、輸出振興と申しますか、今後の蚕糸業の安定的な、長きにわたる発展というものを考えます場合に、海外市場確保ということがどうしてもゆるがせにできない問題であることも事実であります。現に、昨年、蚕糸事業団法案の成立を見ました際に、衆参両院において附帯決議をいただいております。そのいずれにおきましても、輸出体制について基本的に対策を講ぜよという御決議をいただいておるわけでございます。蚕糸業界においても、その点、基本的に関係者の総意による要請があるわけでございます。それらの要請にも即応いたしまして、現在のような輸出特別措置を立案し、御審議を願っておる次第でございます。
  71. 達田龍彦

    達田龍彦君 それではお尋ねしますが、事業団でいうところの価格の中間安定ですね、そこにおさまるのはいつごろだという見通しをお持ちですか。
  72. 石田朗

    政府委員石田朗君) この点につきましては、できるだけすみやかにそのような体制に持ってまいることが必要であると考えております。それで、その点は、したがいまして、先ほど来お話しいたしておりますように、生産増強の対策、全体の需給の拡大的なバランスの回復ということとも伴って基本的には実現いたしてまいる。その間におきましても、なお価格安定措置が十分に機能いたしてまいりますように、すみやかにその機能が回復するように私ども努力してまいらなければならぬというふうに考えております。
  73. 達田龍彦

    達田龍彦君 安定するための機能を果たすための具体的な方策をどういうふうに組み立てて進められようとしているのか、お聞きをしたいと思います。
  74. 石田朗

    政府委員石田朗君) いまお話がございましたが、先ほど来お話ししてございますように、中間安定帯の下限価格にぶつかるような事態が起こってまいらないということが、この制度が一つには動いてまいらない原因でございます。そのようなことでございますから、この点については、私どもは、そのような事態が諸般の需給等の情勢におきましても、いつ出てまいるかということは、これは一つの時期を予想することはできないわけでございます。しかしながら、全体としましては、安定帯の中におさまることによりまして自然に輸出ができるという体制にすみやかになりますことがほんとうではないかというふうに考えております。
  75. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、ここは政策の場ですから、こう思います、こういうふうに考えます、検討します——では困るんですよ。ものの考え方を聞いているのではありません。どういうふうにしていくのだという具体的に安定するための方策が組み立てられておらなければ、政策ではないのであります。問題は、ただ、こういうふうに考えます、それはこうでありますと、それが問題ではないのです。具体的に安定するために、これは政治でありますから、行政府としてどういうふうにやっていきますと、したがって、こういうふうに安定させますということが必要であります。このことを聞いているのであって、あなたの単なる判断をします、考えを持っておりますでは困る。その点をはっきり具体的に説明してもらいたいんです。
  76. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、この点では、基本的には生産の増強をはかりまして需給の拡大均衡を実現する、こういうことであろうと思います。なおかつ、価格の安定そのものにつきましては、これは取引所に対する指導監督でありますとか、各般の措置を講じまして安定にできるだけ遺憾なきを期してまいりたい、こういうふうに考えております。そのような点で、先ほど来お話がございましたように、全体の蚕糸業の発展施策そのものがただいま安定への道であろうかというふうに思うわけであります。
  77. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ具体的なものがないという理解すらできないような御回答でありまして、非常に不満であります。  時間の関係もありますから、若干進めますけれども、さらにもう一点安定の問題についてお尋ねをいたしておきますけれども価格決定というのは需給関係によってきまることは当然だと思います。生産量の関係等ももちろんでありますけれども輸出入と国内の需給体制によってこれはきまるのです。そういう意味で考えてまいりますときに、いまの価格がいわゆる安定帯の中におさめ得ない異常な状態であるということ、これは今日政府のほうでもお認めになっているところです。そこで、そういう状態の中で、さらに機能として事業団が年間三万俵でございますか、輸出を確保する、こういうことになりますと、国内の需給関係が圧迫をされまして価格が上昇することは、これは原理であります。それをお認めになりますか。
  78. 石田朗

    政府委員石田朗君) 先ほどもお話し申し上げましたように、昨年から本年にかけても、現に繭は増産傾向にあるわけであります。従来の輸出の実績を考え、今後の輸出をやってまいりたいという量を考えてまいりますと、ある程度の量を事業団が買い入れまして、なおかつ国内供給は昨年より増加してまいろうかと思います。かつまた、先ほど申し上げましたように、この輸出そのものは、建て値制に類似した形をとりますが、やはり経済法則によって行なわれていく制度でございまして、輸出そのものは向こうの買い手との間に一つの量が実現していくと、こういう形でございます。したがいまして、それらを考え合わせまして、この点は実際の需要の問題とも相なりまするけれども、国内及び海外、これらを全体をバランスのとれた発展に持ってまいることはできるのではないかというふうに考えております。
  79. 達田龍彦

    達田龍彦君 いいですか。いま申し上げたように、需要に供給が追いつかないという形になりますと、どうしたって価格は上がるのであります。さらに追いつかない形で輸出の確保をするということになると、国内価格は私は上がることは当然だと思います。上がらないというならば、上がらないいわゆる政策をとらなければならぬのでありまして、ただ生産の増強をはかりますと、こういうこと、基本的にはそうでありましょうけれども、増強をどういう形で具体的にプログラムに載せて増強をしていったら安定がはかられ、さらに輸出をしてみてもなおかつ安定帯の中に安定がはかられるような形がとり得るという、その具体的な政策と実行が必要である。それをどうしておるのかということを聞いておるのであって、ここで経済学の問題を話しておるわけじゃないんです。そういう経済原理があるから、それに基づいて、政策的に機能として果たすことがあるのではないか、それをどう押えるんだ、そのことをあなたが説明してくれなければ、こうでございます、ああでございますと、ただ自分で考えておることだけを言われたのじゃ、現実には動かないじゃありませんか。その点、具体的にどうしますということをこの場で御説明をいただきたいんです。
  80. 石田朗

    政府委員石田朗君) 基本的に繭及び生糸生産増強をはかってまいるという基本的な考え方のもとに生産対策を推進してまいるということについては、前々御説明いたしましたとおりでございます。本年度の繭の生産につきましても、そのような基本的考え方に基づきまして民間業界の盛り上がりとも関連して生産増強対策を推進いたしております。そのような結果、年間八%の増産が予想されるというような姿としてあらわれてまいっておるわけであります。明年になりますれば、さらに上置きしてこの上に生産増強がはかられてくると思います。このような姿の上にこの対策を実施してまいるのでありまして、したがいまして、その間に内外の価格需給の調整というものは、これは数量決定価格決定等がからみます。これについては業界のいろいろ意見も聞き、十分に具体的な決定をいたしてまいらなければならないと思います。それは、基本的な生産対策の実現とともに、需給の拡大均衡の対策が漸次はかられてまいる、こういうことを私ども目標といたしております。
  81. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、この法案それ自体のねらい、それから今日置かれている蚕糸産業というか、全体の行政の中で何らかの方法をとって生産の増強なり輸出の振興をはからなければならぬというのは当然だと思います。そういう意味で、この法案自体に期待するものは非常に大きいのであります。大きいのでありますが、それだけにまた大きな不安と危惧を持つ内容があまりにも多いのであります。であるがゆえに、この際国会の中で明確にしておかなければならぬと思っておるのであります。  そこで、もう一点さらに突っ込んでお聞きをいたしますけれども、この法案がおそらく通るでありましよう。通るとしたときに、現在のいわゆる国内の価格水準が、輸出業務を事業団が機能として果たすために、国内の価格が現状よりも上がると見ておるのか、下がると見ておるのか。上がるとするならば、どの程度見通しを持っておられるのか、あるいは、現状に押えるとするならば、どういう対策で押えようとされるのか、この点を明確にひとつ御答弁いただきたい。
  82. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたが、生糸価格は、いま価格安定措置をいろいろ考えてはおりますものの、これはやはりある幅の中で経済法則による価格決定が具体的には行われる、こういうことでございます。と申しますのは、生糸価格の変動等も非常にいろいろな要因によって引き起こされてくる、こういうことでもあるのでございまして、現に春繭出回り期が迫ってまいっておりますが、この間の見通しにおきまして、業界内部で今後値下がりするという者、値上がりするという者、かなり大きく二つに意見が分かれ、両方ともかなりの自信をもって主張をいたしておるようなのが生糸生糸市場の場におきますいろいろな議論でございまして、いまお話がございましたが、計画経済なり、公定価格制度をとっておるわけではございませんし、価格の動きがどうなるということを私がこの立場で申しますことは、これは逆にそのことによる価格への影響ということのほうが大きな問題であろうかと思います。この点については、上がる、下がる、こういう議論は差し控えさしていただきたいと思います。
  83. 達田龍彦

    達田龍彦君 まことにもってこれはおかしな話でありまして、その産業全体を進めていく立場に立つならば、将来の価格の大体の見通しというものを立てて、その中において蚕糸行政、生糸行政全体の方策を進めていく、そういう立場にあるのが今日の蚕糸局の立場であると思います。それに対する回答としては、私はきわめて不満足であります。こういう状態の中で、今後輸出業務を持たせる、あるいは生産増強をされると言ってみても、一体国は本気でこの問題を考えてくれるんだろうかという不満と不安を農民は持つのではないかという気がしてなりません。  さらに時間の関係もございますので進めてまいりますけれども、もう一つ私が心配になるのは、いま申し上げたように、根本的な価格の安定の問題と、さらには輸出機能を持たせた場合においては、事業団の第一義的な価格の安定よりも輸出機能だけが先行し、それが主たる業務になるような形になりはしないかという私は危惧があるがゆえに問題を提起しているわけでありますけれども、同時に、もう一つは、輸出をするということになりますと、元来、輸出基本というのは、国内で余るから外国に市場を求めて売っていくという、こういうのが第一義的に考えなければならぬ基本だと思うのであります。しかし、なおかつ世界的に需要が非常に多いので輸出産業としてこれを伸ばしていこうという施策がとられなければならぬと思うのでありまして、あくまでも国内の需給の安定の上に国外市場の進出というものはなされなければならぬ。そうしなければ、国外における競争力も弱いし、安定した海外への発展はあり得ないというのが基本的に私は正しいと思う。そういう意味においては、今日の日本生糸産業あるいは繭産業というものは、きわめて不健全なものであり、きわめて内容的に矛盾と欠陥を持った状態の中で海外に出ようというのでありますから、海外に出たときにおいても、きわめて生糸それ自体が不安定であります。言うならば、親の経済基盤がはっきりしていないところに外遊をさせていい勉強をしてこいといったって、そうはいかないのであります。そういう状態に今日の生糸輸出を持っていこうというのが今日の状態ではないかと思うのであります。  そこで、そのためには、国内の輸出業者、あるいは生産業者、生糸業者、そういう人々に、国内のほうが需要があるわけでございますから、ほんとうに政府が考えているように事業団に供出するだけの協力体制があるのかどうか、この点に私は疑問があるのであります。そう思っておりますと言ったって、なかなか業界自体も、いろいろ参考人の意見を聞いてみても、役所にここで少しつらあてがましいことを言うとおこられはしないだろうか、あとでしっぺがえしを食わないだろうかというので、相当控え目な参考人の発言であったと実は私は考えている。これは一〇〇%この業界あるいは養蚕業者の意見だとは私はとれない節が今日の養蚕政策全体を見るときにあるがゆえにそう思うのでありますが、そういう意味で一体協力体制がとられるのかどうか。これはいままでの回答の中で、とられると言っておりますけれども、どういうふうに具体的に協力体制をとらせようとしているのか、あるいは業界全体としてもどういうふうにこれにこたえようとしているのか、もう少し確信のある、なるほどと思うような具体的な御説明をいただきたいのであります。
  84. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がありましたが、戦前におきましては、輸出のほうが多いという意味生糸輸出産業と言われましたが、また、そういう種類の産業も相当多くございました。内需がかなりの大きさを持ってかつまた輸出をいたすという姿に全体の産業体制が変わってまいり、かつ、それはそれなりに健全な姿であろうという御趣旨でありますならば、ただいまの前段のお話がありましたことは、私もそうであろうと思います。しかしながら、この点につきまして、私どもといたしましては、日本経済全体を考えまして蚕糸業の健全な発達を考えるという立場に立ちますと、国際的な需要の増進というものもございますし、内需と輸出と両市場を確保して蚕糸業の発展を進めてまいるべきであるというふうに考えているわけでございます。  これに関する関係業者の協力体制はどうか、こういうお話がございましたが、先ほども申し上げましたが、本来、このような措置をとることは、関係業界そのものからの強い要請でございます。そのような要請に基づきまして、しかも、その強い要請は、養蚕業者、製糸業界、輸出業界、これらの一致した姿において出てまいった要請でございます。それらをさらに十分に検討をし、練りまして、このような案になっているわけでございまして、私ども、先日の参考人の御意見等々にかんがみまして、かつまた、これ自体がそのような蚕糸業の長期的発展の上に立った必然の措置であるという点からいたしまして、関係業界の協力という点においては十分に期待し得るものというふうに考えております。むしろ、協力ということではございませんで、業界自体がこの措置を推進していかれるものというふうに考えております。
  85. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、今度は輸出価格の問題ですが、今後市場をアメリカに求めたいという方針のようでありますけれども、全体的な国際市場の状況を見てみれば、アメリカへ求めることもたいへん妥当な行き方だろうと思いますけれども、問題は、海外市場における価格競争の問題になりますと、非常に危惧する問題が多いわけであります。したがって、この方向として一般的に見てアメリカ輸出する場合に、あるいは中共の生糸、あるいはソ連ですか、あるいはその他イタリア等々からの生糸輸出価格ですね、これと比較して、一体事業団の取り扱い価格というものはどういうふうな見通しをされておられるのか、それをお聞きしておきたいと思います。
  86. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまのお話でございますが、海外市場の価格、及び、現実に今後、先ほど北條先生のお話がございましたように、具体的にその価格をいかに定めていくか、これは重大な問題でございまして、関係者の間ではいま寄り寄り議論がされております。これは、最終決定に至りますまでには、かなり十分な検討と、細部におきます微妙なる決定の措置が必要かと思います。したがいまして、計数的に申し上げることはむずかしいと思いますが、現実におきましてアメリカ市場日本生糸と競合いたしますものは、韓国生糸でございます。それで、韓国生糸は、現在、日本生糸よりも一〇%から一五%安いといわれております。しかしながら、現在の価格自体、変動時における価格でございまして、これが建て値制に移りました場合にどのような姿をとるか、これはまだわからないわけでございます。これは、幾つかの外国の業界等との連絡等々によりまして、昨年来、ある程度の情報を把握しており、それらに基づいて検討が続けられております。従来の価格そのものから直にははじき出せない、こういうふうに考えております。
  87. 達田龍彦

    達田龍彦君 まことにもってこれは困った話でして、輸出をするならば、大体の輸出の基準価格というものは当然きめて、そうして、そういう見通しを持って海外に品物を出すという体制が当然あってしかるべきだと思います。これはあるんだけれども言えないというのならば、これはまた国会軽視でありまして、そういう態度であるならば、国会の審議としては審議が進みません。私は考えるに、おそらくは参考人の意見もそうでありましたけれども、外国に出す場合については、いわゆる生糸生産国の比較においては若干高くなるのではないかという御意見がかなり多いのであります。これは、衆議院における参考人の供述の中にも、若干高くなるのじゃないか、高くなっても、日本生糸は品物がよろしいからけっこう売れるんだ、取引はできるんだ、そういう御意見がかなりあるようであります。しかし、私は、それにも非常に不安と疑問を持つのであります。外国においては、価格の安いものが何といったって市場の占有率は高いはずであります。幅をきかしてくるのであります。高い状態で出すということは、それだけ無理が出てくるのであります。生糸そのもののことよりも、違った要素によって取引されるという要素が強いのであります。そういう違った要素によって生糸の取引がささえられる限り、そういう客観諸情勢が変わったときには市場の確保が困難になるという予想を持つがゆえに不安定であります。私は、そういう意味において、海外市場を安定的に確保するためには、価格競争においても優位性を持つということが当然必要であると思うのであります。そうなければ、ほんとうの意味での安定した、しかも発展する貿易というものはできないだろうと思います。そういう意味で今日事業団はつくった。そうして、農林省あたりの考え方では、いまにでも生産が追いつくようなことを言っておりますけれども、四年も五年もかかってやっと生産が追いつくかもしれません。その間というものは、輸出において、いま申し上げたように国内体制が非常に不安定でありますから、価格体制においても外国との競争においても不安定だし、市場の確保にも不安定をかこいながら貿易をしなければならぬということが続くと思うのであります。私の判断では。その限りにおいては、貿易競争においてきわめて不利な困難な状態の中でやっていかなければならぬ、こういうわけでありますから、そういう点に対して私はたいへん不安を感じます。したがって、少々高くても売っていけるだろう、こういう見通しというものに対して、私は非常にあまいと判断をいたしておりますので、こういう点に対して蚕糸局ではどうお考えになっているのか、お尋ねをしておきたい。
  88. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまお話がございましたように、従来の変動する価格の体制から、いわば建て値制とも言うべきものに移りますことによって、これは国際競争上その意味では一つの優位に立ち得るわけであります。優位に立ち得るわけでありますが、他面におきまして他の競争の側面がある。価格の水準もそうであるし、その他貿易輸出努力とか、各般のことがあろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、この措置によってあとは手をつかねておのずから一定のものが実現するかというと、これは必ずしもそうではなかろうと思います。このような全体の価格安定、輸出価格の一定維持という点において格段の措置を講じますと同時に、輸出努力についても従来以上の格段の措置が必要でございましょう。また、その間においてコスト引き下げその他の努力をいたしまして、将来において基本的に国際競争力を強化して外国と対抗し、海外市場に進出できる基本的な体制を整えることが必要なことはもちろんであります。これらの措置を講じつつ、かつ、今回のこの制度によりましてこのような新たなる一つの大きな武器を手に入れるということが海外市場確保のための大きな前進であるというふうに私どもは思っております。
  89. 達田龍彦

    達田龍彦君 回答としては満足なものではありません。これ以上いろいろ質問をしてみても、満足のいくような回答というのか、体制というのか、引き出せそうにもありませんし、また、体制がないゆえにその程度の回答しかできないのではないかという気がいたします。  そこで、さらにもう一つお伺いをいたしておきます。私は、その逆の場合もあり得るのじゃないかと思うのであります。たとえば海外に安く売らなければならぬ、買い上げ価格よりも。一応事業団が買い上げますね。そうして、それを輸出業者に売るわけでございましょう。それを今度はアメリカのどこか契約した商社に売り出す、こういうことになるわけですね。そうしますと、いま申し上げたように、まあ常識的に考えてみると、他の輸出国よりも若干でも日本生糸が高いということになると、市場を確保するためには日本生糸輸出価格を下げなければならぬということも当然場面によっては出るのじゃないかと思うのであります。その場合に、輸出業者が事業団から買い入れた価格よりも安く売らなければならぬという、いわゆる差損というのですか、その差が出てくるわけですね。それを一体どうするかということは、それは輸出でありますから、生きものでありますから、どうなるかわかりませんし、そういうことも想定してみなければならぬと思うのでありますけれども、そういう場合には一体どういう対策をおとりになろうとするのか、お伺いをいたしておきたい。
  90. 石田朗

    政府委員石田朗君) 輸出の場合に、輸出生糸事業団が取り扱いまして、これを輸出業者に一定価格で売り渡すわけであります。その場合には、必ず輸出すべきこと、それからその場合の価格その他についていろいろな条件がついて回ることは、これは当然だろうと思います。かつまた、輸出業界におきましては、このような形で全体の生糸輸出が建て値制のような強度な価格安定の制度をとってまいる、こういうことになりますと、輸出業界全体としても一つの協調体制が必要になってまいろう、また、そのような気運にあろうと思います。そのようなことによりまして、全体としての日本生糸は大体幾ら幾らで売られるのだろう、したがって、そのような値段で向こう側としても契約を結んでまいる、こういうような体制に持ってまいるように、これは業界体制としてもしなければなりませんし、われわれとしてもそのようなことが必要であろう、こういうふうに考えております。
  91. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうも、局長の回答というのは、ただたくさんものを知っているというだけであって、どうするということは何一つないのでありまして、これまたまことに不満であります。確かに、よそがどうだとか、輸出の量がどうだとか、業界の内容がどうだとか、そういうことはよく知っていらっしゃるけれども、どうするかということになると、からっきしこれで満足だというものがない。私は非常に不満であります。  そこで、具体的にいま申し上げたようにそういう差損が出た場合、一体どうするのか。これはやはり政府のきちんとした考えがなければ、業界だって不安だろうと思いますし、一体どうなるのだろうかということで、輸出に対して協力できないという姿がその中から出たらたいへんだと思うのであります。でありますから、そういう差損が出たら一体どうするのか、もう少しきちんとしたお答えをいただきたい。
  92. 石田朗

    政府委員石田朗君) ただいまのお話でございますが、先ほども申し上げましたように、一定価格で売り、かつ、したがって、全体の輸出価格はこの程度に相なるということを期待して売り渡すわけでございます。その際、差損ということは私どもは考えておらないわけでございます。
  93. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ話がかみ合いませんから、これでやめましょう。  それでは、何か張り合いがなくなりましたので、最後に、輸入の問題について二、三質問をしたいと思うのであります。政府に対して、事業団の業務の持つ機能の中に輸入業務を入れたらどうかという、業界でございますか、建議があったということを聞いておるのであります。私は、元来、これはそう本質的に原則的になければならぬと思ってはおりません。しかし、事業団が輸入をする機能を持つということは、自由化体制の中でも、あるいは自由に経済を発展させるためにも、これは私はあまりいい方法ではないと実は思います。しかし、思いますけれども、現実に日本の国内の需給関係、生産体制あるいは輸出強化を考えるならば、これは好むと好まざるとにかかわらず、輸入を事業団の中で運営をしなければならぬという要素が非常に強いということだけは言えると思うのであります。それは、考えてごらんなさい。事業団が価格の安定をはかるためには、まず第一に考えなければならぬのは、繭の手持ちを持つ以外に価格の安定をはかることは非常に困難ですよ。今日、繭の手持ちがないがゆえに、これを放出したりあるいは買い上げたりする機能を持たないがゆえに、価格の安定機能が果たし得ないのが致命的な欠陥であります。であるならば、今日、輸出をしようという考え方に立つならば、国内の需要が非常に高くなっておるのでありますから、それに対する供給が伴わない限り、手っとり早い方法としては、輸入にたよる以外に方法がないという状態になるのであります。輸入業者だって、生産が伴わなければ業界として立っていけないから、よそから繭を買い込んでそうして国内の一需要を満たすということを考えていかなければ、業界も立たないじゃありませんか。また、皆さんが国内のそういう需給の逼迫している状態の中で輸出を考える限り、事業団としての繭を持たなければならぬ。持つためには、たとえば、例として外国から繭を輸入をして、その手持ちによって価格の調整をはかるという方法をとるならば、ある意味では価格調整機能を果たし得るのであります。その意味で、私は、一方で国内の需給の逼迫した状態の中で輸出という形を事業団がとろうとしながら、それを調整する機能が生産以外に手段がないという状態の中で、いま直ちに生産がそれに追いつけないという国内体制である限り、何としても輸入という問題を考えて、国内の需給の調整と同時に価格の安定をはかる以外に本来の価格安定の方法はないのであります。そういう意味で、私は、本来持つべきものではないけれども、今日持っていかなければならぬ多くの要素と矛盾を持っておるのではないか。にもかかわらず、今日やらなかったということが問題ではないかと思うのでありますが、この入れるか入れないかという論議はあると思います。あると思いますけれども、そういう状態であることだけは間違いありません。また、事業団が持たざるを得ないという要素があることは間違いありません。そのことが、事業団の第一義であるところの価格の安定に対しては、手持ちの繭を持つ以外にこれを調整する機能はないのでありますから、その欠陥をどうしていくのか、この点がたいへんに心配で、心配というよりも、すべての問題がここでくずれるのではないかと危惧をいたすのでありますが、ただ、いままでの回答みたいに、おれはたくさん知っているぞという回答じゃ困ります。こういうことなんだ、これで安心いただけると、こういう回答をいただきたい。場合によっては、大臣からお答えをいただきたい。
  94. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は、あなたのおっしゃる御趣旨と全部一致はしておりませんけれども蚕糸事業団のような事業がその目的を完全に果たすためには、輸入もやはり取り扱うべきものである、こう思っておりますが、こういうことにつきましては、政府部内でさらに検討を続けてまいりたいと思っております。
  95. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、いまみたいな検討という国会答弁用の検討では困るんです。いま申し上げたように、価格の安定機能というのは、それ以外に今日とり得ないのではないかという気がいたすのであります。そういう多くの問題と要素をかかえながら、なぜこれが取り入れることについて問題があったのか。まあ局長の御答弁によりますと、自由化の問題が一つ障害になっておるようでございます。その他については、ほとんど具体性のあるいままでの回答の中では答弁として出ていないのであります。自由化問題だけでこれがやれないということであるならば、これは私は考え方としては適当ではないと思います。その他どういう理由があるのか。そして、いま言ったような、そうでなくても安定という機能というものは先ほどから私が論議しているように非常に無理じゃないかという気がしておるのでありますが、これは先ほどからの御回答で私は満足をいたしておりませんけれども、いずれにしても、そういう要素が出てきておることは事実でありますので、そういう点をどうお考えになっておるのか、伺いたいと思います。
  96. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) この法律を作成いたします過程におきましてはいろいろ議論がありまして、私どもとしては、お説のように、調整機能を果たすという意味から申しましても、また、蚕糸事業団のような性格の機能を十分に発揮さして効果をあげるためには、輸入についてもある程度のことができるようにするほうがいいと思っておるのであります。しかし、御承知のように、韓国または中国糸等の輸入は、それぞれ別個な形式でやっておりますし、それから国によっては保税に入れておるところもあります。そういう関係で、検討というのは、ただ単なる検討という御返事とおとりくださらないで、あなたの御指摘になったような点について一方草案の当時十分いろいろ政府部内で検討いたしましたが、いろいろな関係がございまして今回は提出いたしました法案のようになったわけであります。なおこれから部内において検討をいたして機能が十分発揮できるようにしてまいりたいという意味で、ほんとうの意味検討でありますから……。
  97. 達田龍彦

    達田龍彦君 大臣がほんとうの意味検討されるそうですから、時間もございませんので、最後に一点だけ質問して終わりたいと思いますが、需給見通しについて、かなりおおらかな説明を局長はされておるようであります。確かに、今後の傾向としては、絹の需要が増大するのではないか。現に、そういうような徴候がいろいろな資料や御説明から、また、現実に国民が生活している状態の中で絹を取り入れている状態を見るときに、そういう感を深くいたすのであります。しかし、一面、私は不安に思いますのは、過去のいわゆる養蚕政策あるいは製糸政策というものを考えてみたときに、非常に一貫性のない不安定な行政をしたがゆえに特にそういう気がいたすのでありますけれども、また、そういう歴史の中からでも、絹の特性というものがあらわれてきている景気がいい場合についてやはりこれが消化されている。経済の非常に好調なときにこれが需要が高まっている。これは、やはり絹が、何か新聞に載っておりましたように、高級消費財というような性格を持っているがゆえにそういう要素を持っておると思うのであります。その意味においては、高級消費財だという性格を持つ限り、それは、大臣がよく言われるように、日本人のいままでの歴史の中で絹に対する特殊な愛着があるんだということも一面あるかもしれませんけれども、これは私はそのほんとうの要素ではないと思います。やはり少し余裕が出てきたから少し高級品でもという気持ちがあり、それにまあ愛着が加わっていくのじゃないかという気がいたすのであります。そういう意味では、景気の変動によって需給というものがたいへん左右される品物であるということはその要素の中に認めなければいけないのじゃないかと思うのであります。でありますから、今日の需要というのは、このものの本質から考えてみたときに、日本のいまの国民経済が上向きになり、生活が少しでも潤沢になっておって、少し上質のものについても手が回るという状態にあるがゆえにこういう需要が増大しておるのであるから、その意味では景気の変動によってはこれがまたがたりといく要素も反面持っておると理解しなければならぬと思います。私は、そういう意味において、政府がいま考えているような今日の景気の状況、今日の経済の実勢、国民経済状況、国民生産性の状態から判断してさらに増大するであろうという判断は、非常に不安定な要素もあるがゆえに心配であります。この点、私はそういう意見を持っておりますけれども、どういうふうにお考えになっておりますか。
  98. 石田朗

    政府委員石田朗君) この需要見通しは、おっしゃいますように、われわれとしても非常に慎重に行なうべきものだと思っております。実は、最近五ヵ年間では、実に五ヵ年間で五割といったような需要増大を見ておるわけであります。そのままの傾向で今後進むと考えることは、これは危険であろうというふうに思います。われわれといたしましても、もっと長い期間をとり、かつまた、所得増大の傾向、これとにらみ合わせまして現在の見通しを立てておるわけであります。それで、この場合に、したがいまして、私どもといたしましては、こまかな景気年次変動と大きな所得増大の傾向、これらをいかにかみ合わすべきかという問題でございますが、大きな傾向としては、私ども、現在の需要見通し基本的には大きな誤りはないというふうに思っております。こまかい景気変動との関連でございますけれども、実は、ここ数年におきましては、若干景気の後退いたしました時期におきましても、必ずしも特にその影響を受けて後退しているということではありませんので、その間においても絹需要が非常に増大しておるということがここしばらくの情勢でございます。しかしながら、ただいま申しました大きな見通しに立ちまして、しかもこまかい変動等についても十分注意を払っていくということは必要であろうかと思います。かつまた、そのことが、国内市場、海外市場等、各方面の市場確保を十分はかってまいらなければなるまいというゆえんでもあろう、かように考えております。
  99. 達田龍彦

    達田龍彦君 最後に、大臣、先ほど決意はお述べになりましたけれども、先ほど来のいろいろな論議の中でも、生産体制にいたしましても、あるいは需給の均衡の問題にいたしましても、価格の安定の問題にいたしましても、輸出入の調整の問題にいたしましても、たいへん大きな問題点と今後政策努力をしていかなければならない問題がたくさんあると思うのであります。そういう意味で、この問題に対しては農林省も十分な努力を真剣にしていただくことをお願いいたしたいのでありまして、大臣のそれに対する態度の決意といいますか、態度の表明をいただいて、終わりたいと思います。
  100. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お説全く同感でありまして、私どもは、統制ではございませんから、政府がきめた方向に引っぱって行こうというわけではございませんけれども、やはり行政としてはいろいろの面できめこまかいお手伝いをすることでなければうまくいかないと思います。これが最終的な目標は、先ほど北條さんにも申し上げましたように、私ども蚕糸業というものについては決して失望いたしておりませんで、これからますます拡大されることを期待するような方向努力を続けてまいりたいと思っております。
  101. 武内五郎

    武内五郎君 もうすでに同僚委員の諸君から質問が大方出尽くしておりますので、私の質問はほとんどなくなったようになりましたが、ただ、前回私の質問で留保いたしておりました点で一、二伺って本日の質問を終わりたいと思います。  特に、今回、私ども蚕糸事業団法の改正法律案審議するにあたりまして、この事業団は今日の蚕糸業界の動きの中心になってこれから成長していくものだと実は考えておるから、まじめに一生懸命やっておるわけでありますが、しかも、それには、前回も強く指摘いたしましたが、増産をまずしなければならない。その大きな使命のある増産をするためにはどうしたらいいか、これを具体的に出せ出せと、こういう追及をやっているわけであります。満足な案もありませんですが、私はそこで大臣に、これは大臣に対する宿案として、ぜひ具体的な案の再検討をお願いしたい。特にここで増産が問題になりまするので、しからば、増産をはばんでいるのは一体何なのか。特に繭の生産が低下した。この低下ということについて、前回私は低下と言ったら、その途中の計算数字について多少の相違があって、これは相違ではありませんけれども、中間の報告で一ヵ月分足らない。それで御注意を受けたので、これはありがたく御注意をちょうだいしておきます。いずれにしても、低下しておる。あるいは、よく言って停滞、ひいき目に言って停滞している。これを前進させるにはどうしたらいいかということが問題だと思います。いろいろ考えられる点がありますが、まず、私は、今日の蚕糸業が持っている欠陥、増産をはばむ欠陥というものを一つ二つ指摘したい。たくさんあると思う。知っているだけでもたくさんある。それを一つ二つ指摘したい。  まず第一は、御承知のとおり、価格の不安定ということであります。その中で特に繭の生産費において養蚕農家の労働に対する報酬がきわめて安い。こういう関係から繭生産の意欲が減退したので、それが今日にあらわれてきておるのだという私どもの考え方です。  それからもう一つは、今日、日本養蚕業界の持っているきわめて非民主的な古い形が出ている。これはどういうことかというと、大臣も信州の御出身でよくおわかりと思いますが、昔、養蚕の特約組合というのがあった。大きな製糸業者が村へ入って養蚕業家と特約を結ぶ。これには蚕種も機具も一切自分の気に入った、自分のところの製糸に合致するようなものを押しつける。価格はほかより少しよいので、みな喜んで飛びつくが、精算してみると、機具代、蚕糸代を引かれるとかえって安くつくという昔の話がある。しかも、これは村のそういう者が集団的に特約組合をつくってやった。製糸業者の下請連中ですが、こういう形があったのであります。私は今日もまだそれが残っていると思うのです。いろいろな形で、文句は変わっておりまするが、団体協約という形でこれが出ておるのであります。そこには、あるいは農協も入っておるでしょう。あるいは村の顔役諸君も入っておるでしょう。そういう者がその中心になって、仲介して、会社と団体協約を結ぶ。みなそこの村の者はいつの間にかそれに吸収されている。農民の自主性というものは全然ありません。私は、そういうところに今日の養蚕意欲の低下が出てきておると思います。したがって、繭の価格決定も、ほとんど養蚕農民が関知しないうちに決定されておる。そういういろいろな機関で、これは合法化されておる。あるいは県も関係しておる。新潟県で、数年前、私どもが知っておる限りでも、いまでも振り売りというのがある。これはフリーに売るのでそこから出たのかもわかりません。これは買うほうは抜き買いと言う。その協約を乗り越えて売ったものが振り売り、協約を乗り越えて買ったものが抜き買い、こういうような形が出ておる。しかも、それは県も関係しておる。こういうような非民主的な形が今日残存しておる。しかも、これが合法化されておる。県も関係して、繭なんかの取引を抜き買いをしてやっておる者を警察力で押えようとしているものが出てきたりしている。私は、今日、大きな使命を持っている繭の増産をはばむ見えざる力が出てきておるのは、そういうところにあると思うのです。こういうような形が出ておる。これを直すのにはどうしたらいいか。これは容易なことではないと思うのであります。これは全く容易ではないと思うのです。一大決心で、しかも相当の歳月をかげながら直していかなければならないのではないかと思うけれども、直す方向をやはりとらなければ増産が可能にはならないと思います。しかも、今年、大臣の出身地でありまする長野県で、そういう非民主的な、養蚕農家を縛り、押えるような、そういうワクを乗り越えて、それを乗り越えて繭価格を少しでも高く買ってくれる——何も県内の業者や何かとだけ取引する必要はない、なんぼでも高く買ってくれる業者に売ろうじゃないか、こういう運動が長野県を中心にしていま起こりつつあるのであります。私は、これは、やはりそういうところから起きておると思うのです。そういう非民主的な形が残っているから、それを乗り越えていこうとする動きのあることは否定できないと思うのです。そういうようなことがありまするので、これは増産をはばむ大きな力であると考えます。  私は、時間がありませんので、これから何か衆議院のほうから修正された案件が回ってきているので、それの説明があるそうですから、多くの問題に触れることを避けますけれども、きわめて重要な問題一、二点について触れて今日質問を終わりたいと思うのであります。そこで、私は、増産には、そういう古い欠陥を直して除却していくと同時に、増産させる基盤というものを養蚕農民に与えていかなければならないと思うのであります。それには、桑園の開拓、開発もあるでしょう。桑園の改良もあるでしょう。いろいろまたそれに伴って新しい技術の採用、新しい機械の採用ということが考えられる。この増産の基盤を造成する政府の具体的な対策というものは、今日までずいぶん長い間説明を聞いておりますけれども、出てこないのであります。全く出てきておりません。時勢とともに考えるとかなんとか言っておりますけれども、具体的に出てこないのであります。それでは、私も、ほんとうに審議で満足するわけにいかぬのであります。それを私はここで強く御指摘申し上げて、しかも、最近、農林省が中心になって、増産のための機械化を進めてきている。新しい機械、桑の枝を払っていく機械、これは容易ではない。いくら養蚕農家が今日景気がいいからとかどうとかいったって、買えるはずはありません。今日、日本農業の大きなガンは、小さい農家でさえ耕うん機やあるいは乾燥機や一切の農機具を新しく買っていかなければならぬという宿命図が今日の農民の大きな負担になっていることを考えると、それと同じ養蚕農機械を新しく入れようとするところに養蚕農家の負担が大きくなってくることは避けられない。一体、これに対する対策はあるのか、具体的に示してもらいたいと、私も言ったし、鶴園君も言っている。それをはっきりしてもらいたい。私はもうはっきりした御答弁をいただく時間はありませんので、大臣に私はそういう点を特に御注意を申し上げて、増産対策蚕糸業界の民主化についての具体的な対策というものを検討されることを特に御要請申し上げて、私の質問を終わります。御決意をひとり……。
  102. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) たいへん養蚕のために御心配をいただきまして、ありがたく拝聴いたしたわけでありますが、御存じのように、最近は、だんだんと県養連が中心になりまして協約が進歩をしてきております。普通の地方の製糸家との間にはもちろんそうでありますが、組合製糸がだんだん発達して、組合員の繭を組合製糸が購入いたします。そういうことの話し合いの間にはきわめて民主的に価格決定されておるわけでありますが、相場の変動につきましては、これはもうよく武内さんも御存じのように、需要の関係で大体繭高に掛け目がきまりまして、それを基準にして協定いたしてまいっておるわけでありますから、昔のようなことはだんだんなくなってまいりますが、基本的に、先ほど来私どもがお答えいたしておりますように、この価格をできるだけ安定する措置を講じ、蚕糸事業団の機能を十分動かすように指導いたしまして、繭並びに生糸増産に全力をあげてまいりたいと、こう思っております。
  103. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  武内君から発言を求められておりますので、これを許します。武内君。
  107. 武内五郎

    武内五郎君 本日まで各位の熱心な御討議で蚕糸事業団法の審議が進められてまいりまして、いよいよ満場一致の御可決になったのであります。つきましては、ただいま可決されました日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党の三党共同提案による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同をお願い申し上げます。  以下、案文を朗読いたします。    日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当り、特に左記事項の実現に努力すべきである。        記  一、生糸類の輸出を振興するには、急速かつ計画的に繭の増産を図り、輸出余力を確保することが基本的な条件である。したがつて、繭生産停滞の原因を除去し、繭の増産体制の強化と生産費の引き下げならびに繭取引の合理化を図るため、抜本的対策を樹立するとともに、その実行に必要な予算措置を講ずること。  二、山村地帯に対しては、繭の増産対策をその農業構造改善の一環として特に強力に推進することとし、必要な予算措置について特段の配慮を加えること。  三、日本蚕糸事業団が本法に基づく事業を実施するに当つては、一定期間、一定価格輸出するいわゆる輸出新体制として、その適切な運用を図り、もつて海外市場の維持拡大に遺憾なきを期すること。  四、輸入生糸わが国蚕糸業の安定成長に好ましからざる影響を与えないようその調整措置についてすみやかに検討すること。  五、生糸及び乾繭の取引所については、その過当投機により繭糸価格安定制度の運用に支障を来たさないよう臨機適切な規制措置を講ずること。  六、基準糸価の設定に当つては、特にその基礎となる生産費算定の適正化について検討すること。   右決議する。  以上であります。
  108. 野知浩之

    委員長野知浩之君) おはかりいたします。  武内君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  109. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  110. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、政府におきましてもその趣旨を十分尊重いたしまして、慎重にその施策を進めて御期待に沿うようにいたしたいと存じます。
  111. 野知浩之

    委員長野知浩之君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。     —————————————
  114. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 次に、中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業の規制に関する法律案を一括して議題といたします。  まず、両案について提案理由の説明を聴取いたします。倉石農林大臣
  115. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 中小漁業振興特別措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  わが国の漁業は、その漁獲金額において世界最高であり、動物たん白食糧の重要な供給源として、国民経済上きわめて重要な役割りを果たしておりますが、その生産の態様は、大規模漁業から零細な沿岸漁業まで、多種多様となっております。その中にあって、中小漁業は、総漁獲金額のおおむね半ばを占め、わが国漁業において主要な地位にありますが、最近、漁業経費の増大、国際的な漁業規制の強化等に対処して、その近代化と合理化をはかることが緊要となっている業種が見られるのであります。  このため、これらの業種にかかわる中小漁業について、沿岸漁業等振興法に規定する中小漁業に関する国の基本施策方向に沿って、生産性の向上その他経営の近代化を促進してその振興をはかる施策計画的に推進するための措置を講じ、わが国漁業の健全な発展に寄与することとし、本法案を提出した次第であります。  次に、本法案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、本法案による措置の対象となる中小漁業者及び業種の範囲であります。中小漁業者は、漁業を営む個人または会社で一定の要件に該当するもののほか、漁業を営む漁業協同組合及び漁業生産組合といたしております。また、業種は、漁業生産活動の相当部分が中小漁業者によって行なわれている業種であって、漁獲量の変動、漁業経費の増大等により当該中小漁業者の相当部分の経営が不安定となっておりまたは不安定となるおそれがあるため、その振興をはかることが特に必要と認められるものとして政令で定めるものといたしております。  第二は、農林大臣は、対象業種ごとに、その業種の振興に関する施策計画的に推進するため、経営の近代化の目標及び目標達成のため改善すべき基本的事項を内容とした中小漁業振興計画を定めなければならないことといたしております。  第三は、農林漁業金融公庫は、対象業種にかかる漁業を営む中小漁業者に対し、農林漁業金融公庫法で定めるところにより、その者が中小漁業振興計画において定められた経営の近代化の目標に達することとなるように漁船の建造等を行なうのに必要な資金の貸し付けを行なうものといたしております。また、これに伴い、附則で農林漁業金融公庫法を改正し、同公庫がこの資金を貸し付ける場合の貸し付け利率を一般の場合よりも低く定めることといたしております。  第四は、農林大臣は、対象業種にかかる漁業を営む中小漁業者が合併、現物出資等を行なう場合において、その合併、現物出資等により当該中小漁業者の営む漁業の生産性が著しく向上し、中小漁業振興計画において定められた経営の近代化の目標に達することとなる旨の認定をすることができることといたし、当該認定を受けた中小漁業者に対しては、租税特別措置法で定めるところにより、法人税または登録免許税を軽減することといたしております。また、対象業種にかかる漁業を営む中小漁業者の有する固定資産について、同法で定めるところにより、特別償却をすることができることといたしております。  以上が、本法案の提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願い申し上げます。  次に、外国人漁業の規制に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近において、外国漁船がわが国近海における操業に進出する機運が見られるとともに、わが国の港への寄港等によりその操業活動を増大させようとする動きも認められるのでありますが、これをこのままに放置すれば、一定の秩序ある規制のもとに行なわれているわが国漁業に及ぼす影響はきわめて憂慮すべきものがあると考えられるのであります。また、わが国アメリカ、ソ連等の諸国との間において漁獲規制等に関する条約を締結し、これを遵守すべき義務をわかち合っているのでありますが、わが国近海においてこれら条約のワク外にある外国人漁業の操業活動を放任助長することは、国際条約遵守の観点からするわが国の国際的立場をも著しく困難とするおそれなしとしないのであります。  このような事態に対処して、政府は、昨年九月、外国人漁業の操業活動を規制する旨の閣議決定を行ない、以来、その趣旨に沿って、行政措置により、外国人が行なう漁業活動及び漁獲物等の外国漁船からの陸揚げにつき必要な規制を行なってまいったのでありますが、なお十分とは言いがたい状況にあります。このため、今回、これらの規制を含めまして、外国人が漁業に関してするわが国の港その他の水域の使用につき必要な規制措置を講ずることにより、わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずるおそれがある事態に対処することとし、本法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず、第一に、外国人及び外国法人は、農林大臣の指定するものを除き、本邦の水域において漁業を行なってはならないことといたしております。  第二に、外国漁船の船長は、海難を避け、または航行もしくは人命の安全を保持するため必要な行為のみをしようとする場合、外国から積み出された旨の証明のある漁獲物等の陸揚げのみをしようとする場合等を除き、外国漁船を本邦の港に寄港させようとするときは、農林大臣の許可を受けなければならないことといたしております。また、許可を受けて寄港すべき場合において、許可を受けずに寄港している外国漁船については、農林大臣は、その船長に対し、当該外国漁船を本邦の港から退去させるべきことを命ずることができることといたしております。  第三に、一定の場合を除き、外国漁船の船長は、港以外の本邦の水域において漁獲物等を転載し、または積み込んではならないこととするとともに、日本船舶等の船長は、外国漁船から転載を受けた漁獲物等を本邦に陸揚げしてはならないこと等といたしまして、これらの転載等により外国人の漁業活動が助長されることを防止することとし、外国漁船に対する寄港許可制度とあわせて、わが国漁業の秩序の維持に万全を期することといたしております。  第四に、本法律案に規定する事項に関して条約に別段の定めがありますときは、その規定によることとするほか、権限の委任及び罰則につき所要の規定を設けております。  以上が、本法律案の提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願い申し上げます。
  116. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 次に、中小漁業振興特別措置法案に対する衆議院における修正点について説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長本名武君。
  117. 本名武

    衆議院議員(本名武君) 中小漁業振興特別措置法案に対する修正点につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  この修正は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派の意見一致を見て共同提案により行なわれたものであります。  御承知のとおり、内閣提出にかかる中小漁業振興特別措置法案は、農林大臣が定める中小漁業振興計画の円滑な実施をはかるため、低利な農林漁業金融公庫からの融資と税制上の優遇措置を講じて中小漁業の近代化を促進してその振興をはかろうとするものであって、この振興計画の策定は、本制度の根幹をなす最も重要な施策となっておるのであります。  したがいまして、農林大臣が振興計画を定め、またはこれを変更しようとするときは、広く学識経験者の意見を聞いて、民主的に適切な計画を定めることがぜひとも必要な措置であると考えられるのであります。  このような観点から、中小漁業振興計画を定め、またはこれを変更しようとするときは、事前に、この法律案の母法である沿岸漁業等振興法に基づく沿岸漁業等振興審議会の意見を聞かなければならないように追加法定しようとするものであります。  このことに伴い、法律案第三条に新たに三項を加え、沿岸漁業等振興審議会の権限を拡大するとともに、附則に一項を加え、総理府設置法を改めて、沿岸漁業等振興審議会の設置の目的を整備しようとする次第であります。  以上、簡単でありますが、修正点についての趣旨説明を終わります。
  118. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 次に、両案の補足説明及び資料説明を聴取いたします。水産庁長官
  119. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 中小漁業振興特別措置法案につきまして、補足的に御説明を申し上げます。  この法案は、提案理由で御説明申し上げましたとおり、振興をはかることが特に必要と認められます業種に属する中小漁業につきまして、その振興に関する施策計画的に推進するための措置を講じて漁業の健全な発展に寄与することを目的としておりまして、中小漁業の振興に関する国の講ずべき措置について規定いたしております沿岸漁業等振興法に即応して提案いたしました。  この法案の内容といたしましては、第一には、この法案による措置の対象となる中小漁業者及び業種の範囲、第二には、農林大臣による中小漁業振興計画の策定及び公表等に関する事項、第三には、この計画に即した漁船の建造等に要する資金の農林漁業金融公庫からの貸し付けに関する事項、第四には、この計画に即するように行なわれる合併、現物出資等の場合における課税の特例等に関する事項につき規定いたしております。  以下、その細目につきまして若干補足させていただきます。  第一に、二の法案による措置の対象となる中小漁業者及び業種の範囲についてでありますが、これは第二条に規定いたしております。  中小漁業者の範囲は、漁業を営む個人または会社であって、その常時使用する漁船の合計総トン数が二千トンをこえない範囲内において政令で定めるトン数以下であるもの、漁業を営む漁業協同組合及び漁業生産組合といたしております。また業種は、指定業種として政令で指定することといたしておりますが、指定業種の指定は、漁業生産活動の相当部分が中小漁業者によって行なわれている業種であって、漁獲量の変動、漁業経費の増大等により中小漁業者の相当部分の経営が不安定となっており、または近い将来不安定となるおそれがあるため、振興をはかることが特に必要であると認められるものに限り、行なうものといたしております。なお、指定業種といたしましては、昭和四十二年度においては、カツオ・マグロ漁業及び以西底びき網漁業の二業種を指定することを予定いたしております。  第二に、農林大臣による中小漁業振興計画の策定及び公表等についてでありますが、これは第三条及び第四条に規定いたしております。中小漁業の振興に関する施策計画的に推進するためには、中小漁業の経営の近代化の目標を示すとともに、目標達成のための改善すべき基本的事項を明らかにしておくことがきわめて重要なことであることにかんがみまして、農林大臣は、指定業種ごとに、これらの事項を内容とした中小漁業振興計画を定めなければならないことといたしております。この計画の期間は、五年間といたしたい考えでございます。  また、農林大臣は、中小漁業振興計画を定めたとき、またはこれを変更したときは、その要旨を公表するとともに、その計画の達成のために必要な助言、指導及び資金の融通のあっせんを行なうものといたしております。  第三に、中小漁業振興計画に即するように行なう漁船の建造等に要する資金の農林漁業金融公庫からの貸し付けに関する事項でございますが、これは第五条に規定いたしております。農林漁業金融公庫は、中小漁業振興計画において定められた経営の近代化の目標に達することとなるように漁船の改造、建造等を行なう中小漁業者に対しまして、それに要する資金の借り入れの申請に基づき、農林漁業金融公庫法で定めるところによりまして、当該資金を貸し付けるものといたしております。また、これに伴い、附則で農林漁業金融公庫法を改正し、このような場合における漁船資金の貸し付け利率を一般の漁船資金の貸し付けの場合よりも低利の六分五厘と定めることといたしております。なお、昭和四十二年度においては、この資金の貸し付けワクとして三十億円を計上いたしております。  第四に、中小漁業振興計画に即するように行なう合併、現物出資等の場合における課税の特例等に関する事項でありますが、これは第六条及び第七条に規定いたしております。  これは、中小漁業者が中小漁業振興計画に定める経営の近代化の目標に達するために合併、現物出資等を行なう場合があり、その合併、現物出資等を円滑に行なわせるために課税の特例の措置を講ずることを定めたものであります。この場合、農林大臣は、中小漁業者に対して、その者が合併、現物出資等を行なうことにより、その漁業の生産性が著しく向上し、かつ、計画に定める経営の近代化の目標に達することとなると認められる旨の認定を行なうとともに、現物出資についてこの認定をする場合には、当該出資にかかる資産が当該出資を受ける法人等の営む指定業種の漁業に必要なものである旨の認定をあわせてすることができることといたし、これら認定を受けた中小漁業者等については、租税特別措置法で定めるところによりまして、法人税または登録免許税を軽減することといたしたものであります。また、指定業種の漁業を営む中小漁業者は、租税特別措置法で定めるところによりまして、その有する固定資産について特別償却をすることができることといたしております。  なお、以上の課税の特例の措置は、この法案と関連して別途提出され失般成立を見ました租税特別措置法の一部を改正する法律におきまして規定されております。  その内容は、農林大臣の認定を受けて法人が合併した場合の清算所得にかかる課税について繰り延べを認めるとともに、農林大臣の認定を受けて現物出資した場合にも当該法人の特別経理を条件に課税の繰り延べを認めること、また、これら合併及び現物出資の際の会社の設立、増資または不動産、漁船の取得の登記等に関する登録免許税を軽減すること、及び指定業種の漁業を主として営む中小漁業者の漁船の償却にあたっては通常の償却額の三分の一の割り増し償却を認めることとなっております。  以上をもちまして、中小漁業振興特別措置法案の提案理由の補足説明を終わります。  続きまして、外国人漁業の規制に関する法律案の提案理由につきまして、補足的に御説明申し上げます。  この法律案は、提案理由で御説明申し上げましたとおり、外国人がわが国の港その他の水域を使用して行なう漁業活動の増大により、わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずるおそれがある事態に対処いたしまして、外国人が漁業に関してする当該水域の使用につきまして必要な規制措置を定めようとするものでありまして、法律案内容といたしまして、第一には、本邦の水域において外国人等の行なう漁業の禁止、第二には、外国漁船が本邦の港に寄港しようとする場合についての農林大臣の許可に関する事項、第三には、外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等の転載等の禁止、第四には、権限の委任、条約の効力等についての所要の措置につき規定いたしております。  以下、その細目につき若干補足させていただきます。  第一に、外国人等の漁業の禁止についてでありますが、これは第三条に規定いたしております。すなわち、日本の国籍を有しない者または外国法に基づいて設立された法人その他の団体もしくは外国に本店もしくは主たる事務所を有する法人その他の団体は、農林大臣の指定するものを除き、本邦の水域において漁業を行なってはならないことといたしております。なお、この場合の漁業とは、水産動植物の採捕または養殖の事業をいうことといたしております。  第二に、外国漁船が本邦の港に寄港しようとする場合についての農林大臣の許可に関する事項についてでありますが、これは第四条及び第五条に規定いたしております。まず、外国漁船の船長または船長に代わってその職務を行なう者は、当該外国漁船を本邦の港に寄港させようとする場合には、海難を避け、もしくは航行や人命の安全を保持するため必要な行為のみをしようとするとき、外国から積み出された旨の証明のある漁獲物等の陸揚げのみをしようとするとき、または外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等の陸揚げであってもわが国漁業の正常な秩序の推持に支障を生ずることとはならないものを除き、農林大臣の許可を受けなければならないことといたしております。農林大臣は、この寄港の許可の申請があった場合には、当該寄港によって外国漁船による漁業活動が助長され、わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずるおそれがあると認められるときを除き、その許可をしなければならないこととするとともに、農林大臣は、外国漁船が寄港の許可を受けるべき場合においてその許可を受けないで寄港していると認めるときは、その船長に対し、当該外国漁船を本邦の港から退去すべきことを命ずることができることといたしております。  なお、外国漁船とは、日本船舶以外の船舶であって、漁労設備を有するもの、または漁業の用に供され、もしくは漁場から漁獲物等を運搬しているものとし、また、本邦の港とは、港湾法上の港湾区域の定めのある港湾及び漁港法上の漁港といたしております。  第三に、外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等の転載等の禁止についてでありますが、これは第六条に規定いたしております。この規定は、本邦の港以外の水域におけるその証明のない漁獲物等についてその転載等の行為を規制することにより、外国漁船に対する寄港許可制度とあわせてわが国漁業の秩序の維持に万全を期そうとするものであります。すなわち、外国漁船の船長は、外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等を、港以外の本邦の水域において、他の船舶に転載し、または他の外国漁船から積み込んではならないことといたしております。また、外国漁船以外の船舶の船長は、港以外の本邦の水域において、外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等を外国漁船から積み込んではならないこととするとともに、本邦の水域以外の水域において外国漁船から積み込んだこれら漁獲物等を、本邦の港において、陸揚げし、または他の船舶に転載してはならないこととしております。なお、これらの転載等の禁止は、わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずることとならないと認められる場合には、適用しないこととしております。  第四に、その他の所要の措置についてでありますが、これは第七条から第十条までに規定いたしております。その一は、権限の委任についてでありまして、寄港の許可及び退去命令についての農林大臣の権限は、その一部を都道府県知事に委任することができることといたしております。その二は、条約の効力についてでありまして、本法律案に規定する事項に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定によることといたしております。その三は、罰則について所要の規定を整備いたしております。  以上をもちまして、本法律案についての提案理由補足説明を終わります。  続きまして、御配付いたしております資料につきまして、ごく簡単に一応の御説明をいたしておきたいと思います。  「中小漁業振興特別措置法案関係統計資料」という横刷りのものがございます。それから御説明いたしますが、最初のページに目次がございますので、ちょっとごらんいただきますと、一応三つに分かれておりまして、中小漁業全般の生産量及び生産金額、それから第二に主として中小漁業の中でのおも立った漁業についての概況、第三がカツオ・マグロ漁業及び以西底びき網漁業につきましてやや各論的に少し詳しいものを載せております。  以下、順を追いまして、ごく簡単に御説明を加えておきたいと思います。  一ページをおあけいただきますと、全体の漁獲高がここに出ておるわけでございますけれども、三十五年と四十年と比較をいたしております。なお、最近、四十一年度の数字が出まして、全体といたしまして七百七万トンという数字が出ておりますが、その内訳がまだ十分整理できませんので、ここでは全体の漁獲高の中で、沿岸漁業でございますとか、あるいは中小漁業、あるいはその他の漁業に分けまして数字を出しております。ちょうど真ん中辺の構成比を見ていただきますと、沿岸漁業が三三%、中小漁業といわれますのが約半分五二%となっておりますが、金額でごらんいただきますと、一番右の端でございますが、沿岸は金額で申しますと四一%のウエートを持つということでございます。  次のページをごらんいただきますと、二ページでございますが、ここでは主として中小漁業の範疇に入りますものにつきましての大体の生産量と生産金額が載せてございます。これは一応の参考のために載せております。  第三ページでございますが、漁業の内容、収益性の中身について多少触れておりますので、簡単に御説明いたしますと、上から二番目のところに、今回指定を予定しております以西底びき網漁業のいろいろな計数が出ております。一番右をごらんいただきますと、投下資本利益率というのがございまして、やや安定しているかのように思われるわけでございますが、三十八年以降やや下り坂になっておりますのと、先の見通しを考えますと、いろいろ網目の制限でございますとか、韓国との競合関係もございまして、必ずしも楽観を許されないということで、対処の措置が必要ではないかという感じを持っておるわけでございます。  次のページをごらんいただきますと、四ページでございますが、上段のほうにカツオ・マグロ漁業の数字が出ておりますが、一番右をごらんいただきますと、投下資本利益率がはなはだ悪いわけでございまして、特に三十八年以降急激に下降をいたしまして、四十年度におきましてはマイナスになっておるというような事情でございます。これは、もちろんカツオ・マグロ全体をひっくるめたものでございますので、こういう計数になっております。  それから第五ページでございますが、これは主要漁業の物的生産性を指数であらわしましたもので、注の(1)のところをごらんいただきますと、各種の漁業種類につきまして、毎年の漁獲量を年間の漁獲努力量——これは漁船トン数に操業日数を掛けたものでございますが、それで割りましたものを、三十五年を一〇〇といたしまして指数化いたしましたもので、まん中辺に以西底びき網漁業の数字がずっと出ておりますが、三十七年以降ずっと下降の傾向をたどってきておりますので、警戒を要するように思われます。また、マグロはえなわ漁業、右から二番目でございますが、これも下降の傾向をたどりまして、八三という数字が出ております。  次の六ページにおきましては、これは自己資本比率の推移を見ておるわけでございます。特徴的なものはマグロはえなわでございまして、右の半分の一番下のほうをごらんいただきますと、四十年度におきまして平均いたしまして自己資本の比率で一四%ということで、非常に低くなっております。特にトン数でごらんいただきますと、相当設備に金がかかりますので、二百トンから五百トン、あるいは五百トン以上というところになりますと、非常に低い自己資本比率になってしまっておるわけでございます。  七ページでございますが、これ以下は各論でございます。ちょっと御注意いただきたいのは、上の段のカツオ・マグロのところで、三十九年と四十年の許可隻数が、急に四十年がふえておりますが、これは近海マグロをこの中に組み入れましたための制度改変によるものでございまして、次のページに注がついてございますので、御注意をいただきたいと思います。  二ページ飛ばしまして、九ページでございますが、いま言いましたカツオ・マグロと以西底びきにつきまして、階層別、経営組織別に組み直したものをここに掲げておきましたので、ごらんいただきたいと思います。  それから一〇ページの使用漁船隻数別経営体数でございますが、これは後々の御議論のときにも出ると思いますが、カツオ・マグロでどのぐらいの隻数の経営を典型的な形として考えるかといったようなときに御参考になるかと思うわけでございます。一隻持っているもの、二隻、三隻とございますが、三隻のところで線を引いてみますと、約九六%をカバーすることになります。  それから一一ページでございますが、表の第四でございますが、これは使用漁船の船型別の隻数でございます。左側にトン数をずっと書いてあるのでございますが、ごらんいただきますと、カツオ・マグロはトン数がばらつきがございます。以西底びきの場合は五十トンから百トン、百トンから百五十トンのところに集中的にあるわけでございます。おのずから船型が問題になる漁業種類ではないかと思うわけでございます。  それから一二ページは、これはどうもあまりいい表でないのでございますが、これはカツオ・マグロが輸出に対してどのぐらい寄与しているかということを表現したいためにつくった数字でございまして、以西底びきはあまり意味がございません。上のほうでごらんいただきますと、生産の中でどのぐらいが輸出入に回っているかという数字がございます。一番右の端をごらんいただきますと、四十年度におきまして、数量にいたしまして三九・一%、金額にいたしまして三七・四%といったようなウエートを輸出に対してもっているわけでございます。  それから次の一三ページでございますが、表の六でございます。これは金融機関の関係を一応洗ってみたわけでございまして、ごらんいただきますと、上が実数で、下に構成比が書いてございますので、構成比のほうでごらんいただきますと、カツオ・マグロ漁業におきましては農林中金から借りているものが非常にウエートが高いわけでございます。たとえば三十九年度末で——これは十二月末の数字でございますが、五二・四%というウエートを持っております。これに対しまして、以西底びきは、別の依存度と申しますか、たとえば地方銀行に対する依存度が高うございまして、約四五%、それから農林公庫のウエートも相対的には高いようでございます。非常に特徴的な違いがあるように思われます。  それから一四ページの表七でございますが、これは農林漁業金融公庫の側からどんなふうになっているだろうかというものをカツオ・マグロと以西底びきとに分けまして出したわけでございますが、カツオ・マグロでも総計でも同じでございますけれども、三十七年、三十八年に件数も金額も非常にふえておるわけでございます。それ以後景気の循環もございまして、三十九年度には相当しぼられまして、それで急激に落ちているように思うわけでございます。そのような経過を含めまして、あらためて相当投資が要るのではないかというふうに思われるわけでございます。  はなはだ不十分でございますが、一応中小漁業につきましては、御参考のために以上のような数字をまとめたわけでございます。  なお、引き続きまして、同じく横刷りでございますが、「外国人漁業の規制に関する法律案参考資料」と横刷りのものがございます。これをちょっと簡単に御説明申し上げておきたいと思います。  最初のページのところに目次がございますが、一は世界の主要国別漁獲量の推移、二番目にわが国の漁業の漁獲量の推移等、三といたしまして近隣諸国の漁業概要、四番目といたしまして日本近海におきます外国漁船の操業の事例、五は港湾・漁港一覧、六番目は最近の海外における日本漁船の操業状況というような編成にいたしております。  最初の表でございますが、一ページは世界の主要国別の漁獲量の推移で、FAO資料から抜き出したものでございます。御承知のように、ペルーがカタクチイワシが非常にとれますために膨大な漁獲量となりまして、漁獲量といたしましては世界一になっているわけでございます。わが国は、金額では世界一でございますけれども、量におきましてはさような意味で二位になっております。この中で特に注目されますのは、ソ連関係におきまして三十六年以降逐年非常な伸びを示しておるわけでございます。中共関係の数字がほしいわけでございますが、三十五年までの数字で切れておりまして、その先がわかりませんので、ここには掲げておりません。  それから二ページでございますが、わが国の漁獲量の推移、これは先ほど中小漁業のほうで御説明いたしましたものでございますので、省略いたしますが、漁船勢力の推移が右のほうに出ております。約三十八万隻でございます。無動力船がそのうちまだ十六万隻もあって、三十六年以降減ってはおりますけれども、相当ウエートがあることがわかります。  それから三ページでございますが、これはほんの御参考までに、いわゆる指定漁業と申しまして大臣が許可しておりますものにどんな漁業の種類があって、どんなふうにやっているかということをおおよそまとめたものでございます。  四ページでございますが、近隣諸国の漁業概要ということで、これは韓国の数字をあげております。特徴的なのは、無動力船が八五%もあるということでございます。  それから五ページは台湾の漁業でございまして、漁船隻数で申しますと韓国の約半分、漁獲量は右に掲げたようなものでございます。  それから六ページにソ連の数字が出ておりますが、これはFAOの資料でございまして、四十年度ははっきり出ておりませんので、これはあらためてまた御説明の際にでも詳しく申し上げたいと思います。  それから七ページは、最近に日本周辺におきまして動きのあったソ連と韓国の動きにつきまして一応記述をいたしております。  八ページ、九ページに、漁港、港の問題になりますので、港湾法によりますものと漁港法によりますものとつけ加えておきました。  最後の一〇ページでございます。この図をごらんいただきますと、これは最近の日本漁船が世界の七つの海をどこでどういう活躍をしておるかということを一応付加したものでございまして、ごくざっとしたものでございますが、さような活動状況になっておるわけでございます。  たいへんはしょりまして恐縮でございますが、以上でございます。
  120. 川村清一

    ○川村清一君 ちょっと資料をお願いします。  せっかく説明いただきました資料でございますから、中小漁業のことでございますけれども、七ページに、経営体数、就業者数、生産量等の推移でカツオ・マグロの表がありますが、これは隻数が出ておりますが、ひとつここへ総トン数を入れていただきたい。  それから九ページ、一〇ページ、一一ページ、これは階層別経営組織別経営体数、使用漁船隻数別経営体数、使用漁船の船型別隻数とあります。これを経営体の経営体別、いわゆる個人、漁業協同組合、生産組合、その他の法人別に分けていただきたいと、こう思うわけであります。  それから外国人漁業のほうは、二ページの表ですが、これは質問の中で聞きますけれども、それはそれといたしまして、主要漁業について、種別ごとに生産の推移、着業統数の推移、それから漁業就労者、それから漁業労働者の賃金調べ、こういったようなものをつけた表をいただきたい。  それから三ページ、せっかくこういう表を出していただいたんですから、これに漁獲量をひとつつけていただきたいと、こう思うわけであります。隻数、漁場、それからトン数が出ておるわけでありますが、漁獲量が出ておりませんから、それを出していただきたい。  それから七ページ、これはソ連と韓国の日本近海に来ている漁労の実態が出ておりますが、これはいったいいっこういう状態を視認されておるのかちょっとわかりませんので、ソ連などは相当早くからわが北海道あるいは三陸沖合いに来ておりますから、わかりましたら年次別に、それから漁獲量等につきましても、ソ連などは発表しておる数字があると思うのであります。発表しておるものがなければ推定量でかまいませんので、漁獲量をひとついただきたい。  それから一番最後の九ページ、せっかく漁港の表を出していただきましたので、これをもっと発展させていただきまして、第一次整備計画、第二次整備計画、第三次整備計画、それぞれ都道府県別に計画に載せられた数字、それから完成港、その年次。一次、二次で完成できなければ、あるいは次の計画に繰り越されておるわけですから、その繰り越された数、したがって、その事業の繰り越し、それから事業の進捗率、こういったようなことがはっきりわかるような資料を出していただきたい。  それからこれに関係ないものも若干ありますので、お願いします。  第一は、昭和四十一年九月十六日付、運輸省員基第六六四号、漁船及び小型船船員の労働条件改善指導要綱。  二番目、昭和三十七年八月三十一日付、水産庁三七水漁第四七七四号、漁船船員の労働環境改善のための措置要綱。  三番目、海難事故件数調べ、昭和三十五年以降、これをトン数別、海域別、業種別、それから人的損害。これはおそらく四十年か四十一年ぐらいまでしか出てこないと思いますので、ぜひ四十二年の六月末まで、これはことし北のほうで海難事故が非常に多かったので、確実な数はもちろん出てこないと思いますけれども調査されてまとまるものでけっこうでございますから、四十二年の六月末まで調査されて、トン数別、それから業種別、それから人的損害数、これを出していただきたい。  それから四番目に、拿捕事件の件数調べ、これは昭和三十年以降、海域別、それから帰還、未帰還数。  それから五番目、世界沿岸国の領海調べ、これは世界で三海里だ、六海里だ、十二海里だと、いろいろありますから、三海里を主張している国、六海里を主張している国というふうに世界の各国を分けていただきます。さらに、領海の外側にあるいわゆる排他的管轄権を行使する水域——専管水域ですね、そういうものを持っておる国、その専管水域の幅、これをひとつつけていただきたいと思います。  それから六番目、日韓条約に基づく無償三億ドル、有償二億ドル、それから民間協力資金三億ドル以上、そのうち漁業協力資金九千万ドル、韓国漁業振興にいろいろ使われておる韓国の漁業振興計画、これがまあ日本政府相談にあずかっておることと思いますから、その計画の実態を出していただきたい。それから協力資金が利用されておるならば、その資金の金融の実態、いわゆる金利、償還期間等、こういったようなものについてもひとつ出していただきたいと思います。  七番目、ことしは漁業権の一斉更新の年でありますが、許可方針、許可の基準がすでに庁内においては決定されておるといったようなことも聞いておるわけでありますが、もし決定されておりましたならば、それを出していただきたいし、未決定でございますならば、まあ検討されておりますところの方針、そういったようなものを出していただきたい。  以上です。
  121. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまの川村君の資料要求に対して、政府の御答弁を願います。
  122. 久宗高

    政府委員(久宗高君) 一ぺんにたくさん伺いましたので、ちょっと自信がないのでございますが、できるだけ調製いたしましてなるべく早く出したいと思います。ただ、二、三おそらく表が資料という形で計数がまとまらぬものもあると思いますので、それはあるいは口頭で御説明させていただくなり、便宜内容を御説明いたしたいと思うわけでございます。時間的には、若干中には仕分けのつかないものがございまして、間に合わないものもあると思いますけれども、できるだけ調製いたしまして提出させていただきます。
  123. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 両案についての質疑は、後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会