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八木一郎君 もっと具体的にもその問題に沿って申し上げたい点があるのですが、たとえば、
海外のニューヨークのある商社は、ほんとうに一定
価格で一
年間入ってくるという約束を取りつけてくれるならば、千俵くらい単位に特定の用途に使う計画を立てていきたい、こういう信頼
——国際
会議に行っては、
日本は、
法律を出して国会をバックに国際商品
生糸を安定します安定しますという宣伝のほうが行き渡って、実際はそうなっていない、こう言われておるのでありますから、この機を逸せずに、真に値段の高いことよりも安定がほしいんだ、安定しておれば注文を出しますという人がおるし、また、
事業団の中には、そういうことになれば、私も
生糸商で
海外で飯を食った経験が豊かだから、
生糸をしょって
海外へ行って働きますよと、こういう熱意のある人さえあるのですから、これは注文しておきますけれ
ども、値段、値ごろがちょっと高いからどうかなんということを心配せずに、これによう似た例がありますのは、トウモロコシを
日本はタイ国と
輸入商社でやっております、
政府はうしろにおって。商社で買い付け契約をして、一年ぎめで八十万トンとかなんとか数量をきめております。これは月々はニューヨークのシカゴのトウモロコシ相場の
平均を
基準にして一定
基準がきまっている。そうして、月ごとの
基準がきまって受け渡しが進んで、非常にスムーズな年率一〇%の
増産が動いている、こういう事例があるわけです。こういう事例はほかにもありますが、こういうことになるはずです。なるはずだけれ
ども、
仕事が商社の
仕事でなく役所的な
仕事を
事業団がやるというところに一まつの不安を持つわけですから、その不安は
蚕糸局長の
行政努力で排除して、ぜひ実を結ばせていただきたい、実らせていただきたい、こういうふうに思います。そうして、
農民、
生産者の不安がないように、
海外には羽が生えてどんどん飛ぶように売れていくという時日が来るように期待をいたしまして、次の第三点にあげてあります
生産対策を徹底的に
実行する、これは口ではこう言えますけれ
ども、この点についてお尋ねいたします。
これは専門家の皆さんの
意見をいろいろ総合してみますると、また、資料によりましても、
一つには、反収を、単位面積からのとり上げ高を倍増するというくらいの
生産性を上げる可能性が出ております。まずそれは桑づくりからだ、こういうことになっておりまして、桑づくりのためには肥料の増投と病害虫防除の
手段等が有力であって、これさえすれば
生産性は倍増する、
生産費は二割、三割の大幅な引き下げが可能になるということまでは出ておりますけれ
ども、具体的な
実行策が一向どうもぴんとこない。
蚕糸局長は、この
段階で、ひとつこの点に関して抜本的な予算的な手を打ってみようという
考えはございませんか。
私はこのほど、
農村を歩いておりますと、養鶏団地を中心に、その付近にある住宅団地、これが、養鶏から来るにおい、くさみで、養鶏団地を引っこすか住宅団地を引っこすかしてもらわなければ困るという
農村公害の実態に触れまして、これはどちらかで解決しなければいかぬということでいろいろ
検討を加えましたところが、過日、東海北陸ブロック
蚕糸会議というのがありまして、そこに熱心な方から提案がございました。鶏ふんの処理を中心にして、静岡県、愛知県、岐阜県あたりの問題になっているいま私の言うようなことは、これは私が
考えてみたのは、
仕事は、
蚕糸局の
仕事ではなくて、公害部を新設して厚生省にやらせようという、
農民の生活を守りその環境をよくしていくという、いわゆる憲法二十五条ですかの責任を果たす
行政官庁がまず手をつけなければいかぬ
課題だと、こういうふうに思いますので、その
関係者にも
事情を聴取いたしましたところが、全国的にこの問題がある。そこで、
手段方法として、たとえば市役所が清掃自動車を買い付けてそういうにおいのする根源を適当なところに持ち運んでいくという
考えも
検討されておるということであります。その困り物の処分を桑園に持っていったらどうだということで、ただ、そのままではいかぬそうですが、これにチップつまり木材のかすなどを混ぜますると、これは得がたき肥料になって、従来行なわれてきた化学肥料のほかに有機質の肥料としてきわめて価値の高いものになるから、これは、公害対策を推進をして、その困り物の処分を
蚕糸局で受け取って、そうして何とか手がありそうなものだという
一つのヒントを得たわけであります。
生産の一番有力な
手段は一反歩の単位面積からの収量を上げていく、それには簡単にはそれだということですから、これはぜひ
実行し予算化してもらいたい。こういうことがもしできるならば、東海北陸の
会議にも提起されましたが、桑の植えつけ本数を千二百本詰めて密植にして短期に収益をあげていくという技術専門家の
意見も出まして、なるほどいろいろとあると思うのですが、この急所のところをぜひひとつ真剣に
実行の方向で御
検討を願いたいと思いますが、御感想を聞きたい。
その二つには、さっき言った
トマト娘の例なんですね。いま、
養蚕がふえております府県の実態を見ますと、三ちゃん農が一ちゃん農になって、副業
養蚕が専業
養蚕になる、そこがふえているということは明らかである。そうなりますと、これはやはり機械化助長
政策を新予算でお取り上げになった
蚕糸当局のお
考えに一致するわけですけれ
ども、また、技術革新を取り入れていくという
考えにも合うわけですが、
生産対策からいくと、とにかく
生産費を積み上げてくる
基礎が日雇い賃金並みというんでしょう。これは乳価の場合はかなり苦労して直した。乳価は、そういう機械的なことではいけない、技術を加味した部分だけでもスライド指数化方式で修正をしていこうということに
生産費の積み上げが変わってきております。これは
蚕糸局の
仕事でぜひ積み上げてもらいたい。
生産対策は、以上のようにあげてきますと、いろいろあります。しかし、結局は、
政府蚕糸当局の熱意いかんにかかってくる問題だと、こう思うのであります。
それで、たとえば山村地帯に特に
養蚕の普及をせよということを、本院としては第五十一回国会、
衆議院では今回の第五十五回国会で附帯決議までやっておりますが
蚕糸局当局としては本件をどう取り上げをしてきているのか、これからどうしようとしているのかということを聞きたい。
第二点は、やはり熱意いかんという問題で一番大きなバロメーターとしては、後継者の問題であります。後継者農家育成施策の中で
養蚕青年農家づくりともいうべきものが見るべきものがないだろうかということで
農村を歩いて、私の目に写ったところでは、どうも出てこない。これは、きのう
局長に聞いてみたら、後継者は、おやじのやっている
仕事をそのまま継いだのじゃ、例の無利息の五十万円融資の恩典、優遇措置が受けられないことになっている、そのせいじゃないかということを聞きましたが、何かしらんけれ
ども、四十年度の資料でも、二千七百四十七戸のうちで、
養蚕はわずか四十四戸、まことに
養蚕青年農家づくりの
見通しとしては、いわゆる成長農業といわれている畜産や園芸部門千三百十戸に比して、あまりに斜陽的なような感がいたしますが、これもやはり
政府の熱意のたいへん要るところだと思いますが、どうでありますか、伺いたい。
こういう点が、
行政調査会などで三年も前にきめた
蚕糸業界の
情勢は全く変わったけれ
ども、またこれがむし返されて、
蚕糸局縮小とか、
事業団がどうとかこうとかというような悲観的消極的な
見通しも伝えられているような事態になってしまってきていると思いますが、私は、本件については、はっきりと
農林大臣の口から、五月二十七日の参議院の
予算委員会で述べられておりますように、明快な御
答弁の中に力強い信念的な態度で言っておりますように、将来は絹に対する潜在
需要が
一つの
世界的なムードとなってあらわれてくる可能性があるんだという明るい不動の
見通しに立って、こう思って速記録を見ますと、同じような
見方をしている同志が、
衆議院の
委員会の
審議の中にも、
参考人との
質疑応答の中にも出ております。そこで、私は、こういう意味から、活発な
蚕糸行政を、
海外に向かって
日本の
基準価格七千円はあたりまえだということにして、しかも、伸び行く
蚕糸日本のそれは
繭増産にありという割り切った
政策に力をいたすんだ、このように理解し、このように確認いたしたいのでありますが、締めくくりとして御明答を期待して私の
質問は終わらしてもらいますけれ
ども、しっかりひとつ信念を持って、自信を持って内外に展開をしていただきたい、こう思うのであります。