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1967-05-17 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十七日(水曜日)    午後二時十四分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      北條 雋八君     北條  浩君  五月十七日     辞任         補欠選任      矢山 有作君     北村  暢君      北條  浩君     北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 森中 守義君     委 員                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 和田 鶴一君                 北村  暢君                 達田 龍彦君                 中村 波男君                 村田 秀三君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  桧垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君        食糧庁長官    大口 駿一君        林野庁長官    若林 正武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        林野庁職員部長  吉原平二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和四十二年度農林省関係施策及び予算に  関する件)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、矢山有作君が委員辞任され、その補欠として北村暢君が選任されました。     —————————————
  3. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 昭和四十二年度農林省関係施策及び予算に関する件を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 森中守義

    森中守義君 きょうは、林業中心に、ことに労働力確保問題等で少しく大臣及び長官にお尋ねしたいと思います。  林業白書の一〇四ページで言われておりますように、「農林業から他産業への労働力流出は著しいが、山村地帯における最近三年間の労働力流出状況農林省農家就業動向調査」により他の地帯と比較してみると、農家人口減少率就職者流出率就職者離村率山村がもっとも高く、農山村平地農村の順に低くなっており、また、男子出稼ぎ率および農業従事者出稼ぎ率も、山村がもっとも高くなっている。これらのことから、林業就業者は、山村地帯における農家と密接な関係があるだけに、今後とも山村労働力流出によりかなり影響をうけるものと考えられる。」と、こういったように、白書自体が将来の届望を試みる場合に、山林労働者がいかにむずかしい状態にきているかということを証明をしております。私は率直にこの林業白書のとおりに現状を見ておりますが、まさに将来の林政の中にこのことをおいて他に重要な問題はないのじゃないか、こういう言い方もできるのじゃないかと思うのです。したがって、講じようとする施策の中にも、きわめて平板的な内容施策の大綱が示されてはおりますけれども、もっと具体的にこういう現状に対し労働力確保のいかなる将来の展望をお持ちであるのか、大臣からひとつ率直簡明に御所見を伺っておきたいと思います。
  5. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国有林経営してまいりますのにいまいろいろな問題がございますけれども、その中で一つの難関は、やはり労働力の問題でございます。これは、単に労働力がほかの産業の発展的な伸びにつれて一般に農村山村から労働力流出するということ以外に、林業についての特殊な性格があることは、白書でも書いてあるとおりでございます。で、ただいま、そういう問題とあわせまして、この森林行政を国家の要請にこたえるためにいろいろな施策を講じようといたしておるわけでありますが、そのために、たとえば四十二年度予算におきましても、林道の開設、それから新たなる造林、そういうことについてあとう限りの、許される範囲の予算要求をいたしまして、ただいま御審議を願っておるのでありますが、そういう将来の計画に基づきまして、労働力の問題を含めて、ただいま、農林省、ことに林野庁部内において、いろいろ方針、方向について検討づけをいたしておりますので、まずもってそのことを林野庁長官からひとつ御報告をいたさせたいと思います。
  6. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林業労働力対策の概要につきまして御説明申し上げます。  まず、林業労働者就業対策でございまするが、林業労働者就業改善をはかりますために、主要林業地域におきまする労働力需給動向というものを調査公表をいたしまするほか、これらに基づきまして就業改善連絡会というふうなものの開催等を行なっておるのでございます。  また、林業就労態勢整備対策といたしましては、その整備をはかりますために、主要林業地域におきまする協業体に対しまして、安全衛生関係器具備品等を助成をいたしたいというふうに考えておるのでございます。  さらに、林業労働問題の啓蒙対策でございまするが、各種社会保障制度等につきまして啓蒙指導を行ないますために、林業関係事業主林業労働者対象といたしました現地講習会というふうなものを開催いたしたいというふうに考えております。  さらにまた、後継者対策でございまするが、山村青年グループ活動促進をはかりますとともに、山村青年全国技術交換研究会というようなものもございまして、積極的にこういった会にも参加をさせるというような施策をとってまいりたいというように考えております。  予算的には、四十二年度におきましては、昨年度の三倍強の予算を編成いたしまして、ただいま申し上げましたような対策を総合的に進めてまいるつもりでおります。もちろん、私どもといたしましては、これで十分であるというふうには考えておりませんので、さらに対策強化促進をはかってまいりたいというふうに考えております。
  7. 森中守義

    森中守義君 それでは、長官にもうちょっと具体的にお尋ねしますが、なるほど現状と将来の展望、一通り概念的にはわかる。そこで、もっと、具体的に把握されていると思うのですが、白書の中で示されている図表では、どういう流動状態にあるのか、これだけでは正確でない。そこで、昭和四十年現在で、大体全国林業労働者の数、それから三十五年以降の減少状態、こういうものをつかんでおりますか。
  8. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林業従事者についてでございまするが、昭和三十五年に約四十万人、その後若干ずつ減少をしてまいりまして、昭和四十年におきましては三万人減の三十七万人ということに相なっております。その中で雇用者でございますが、ちょっと古い統計がございませんので、昭和三十七年におきまして、林業雇用されましたものが約二十二万人でございます。これが三十八、三十九と若干減少いたしておるのでございまするが、昭和四十年におきましては、三十七年と約同数の二十二万人というような一応の統計数字になっております。
  9. 森中守義

    森中守義君 雇用者だけでなくて、ちょっと私の問い方がまずかったようですが、林業就業者——経営者も含めて、そういう人口が把握されておりますか。
  10. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先ほど初めにお答え申し上げました林業就業者四十万が三十七万に減ったと申し上げましたが、これがただいま先生の御質問数字でございます。
  11. 森中守義

    森中守義君 林野庁独自の調査であるかどうかわかりませんが、多少数字に誤差がありますですね。それは、総理府が発表したわが国人口を四十年の国勢調査の結果をまとめたものがある。これによれば、四十年の林業就業者は二十六万人、三十五年に四十四万人、したがって、その落差というものは十八万人である。簡単に言うならば、三十五年の四十四万人から早くも十八万人減少しておる。現在では二十六万人になっておる。したがって、この率はすでに四〇%減少しておる。こういう言い方をしているんですよ。したがって、これを年率にずっと直していけば、相当指数としては高いものになる。しかるに、先ほど言われたような指数をもってしても、この流出状態を阻止することができるかどうか、私は労働力確保の問題はその点にあると思う。長官説明された各般施策というものが起死回生の妙薬たり得ない、それがどういう見通しを持つかというのが労働力確保の重要なかなめになっているのじゃないか、こう私は思う。だから、この国勢調査の結果による総理府統計に見えるところの四〇%減少、これが将来どういったような状態に発展すると思いますか。先ほどお述べになったような施策で食いとめることができるかどうか。どういう展望をお持ちであるか。いうなればそのことが今日の林政の大きな問題でないでしょうか。したがって、四十一年度は、四十二年度は、四十三年度はという将来の見通しをひとつ聞かしておいてくれませんか。
  12. 若林正武

    政府委員若林正武君) 私が先ほどお答え申し上げました統計は、総理府労働力調査に基づく統計数字でございます。ただいま先生からお話のございました国勢調査数字でございまするが、これは、九月末におきまして一週間をとりまして、その間に林業就業した者ということで、狩猟業を営みます者も含めましての数字でございます。いずれにいたしましても、農山村、特に山村地帯から林業労働力というものが将来減少するであろうということにつきましては、私どもも今後の林業経営というものを考えました場合に優秀な労働力確保するための対策を強化しなければならないというふうに考えておるのでございます。具体的には、生活環境というものを整備いたしますとともに、さらに労働環境というものも整備をはかり、あるいは労働条件改善というようなことにつきましても積極的に促進をいたしまして雇用の安定をはかってまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  13. 北村暢

    北村暢君 関連。ただいまの国勢調査の結果と、それから——私も農林省統計表を持っているのですが、その統計は三十五年四十万というのですね。それは農林統計による統計表なんですが、この数字が違うというのは、これはやはり説明してもらわないというと、一万や二万違う数字じゃないわけですね。片一方は四十四万が二十六万に減ったというのだし、それから農林統計統計表のほうを見ると、四十万が三十七万に減ったというわけですから、十一万差があるわけです。十一万というか、差し引き十五万くらい差があるのです。これは従来統計が非常に不備だということで指摘せられて、林野庁から出る統計表というものは発行停止になっているわけです。そういうようないきさつもあるので、やはり国勢調査の結果がそういうふうになって出た理由説明しておかないというと、どっちを信用すればいいのかわからない。これはこんなに違うのだったら、ものさしが違うのですから、論議ができないですよ、これじゃ。ですから、そういう点はあまりにもずさん過ぎるし、国勢調査の結果こういうものが出たのはいかなる理由かということをはっきりしておかないと、従来の統計と非常に違うのですから、そういう点はやはり説明をはっきりしておかないというと、見た人はわからないですよ。この点、ひとつわかるように説明していただきたい。
  14. 若林正武

    政府委員若林正武君) 総理府労働力調査のやり方でございまするが、これは、全国から二万五千世帯を選びまして、十五歳以上の七万人を対象といたしましたサンプリング調査によりまして、毎月末一週間に就業いたしましたおもな産業について分類をいたしておるものでございます。国勢調査調査の方法につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  15. 森中守義

    森中守義君 長官ね、いま北村君が私が言いたいことまで言ってくれましたが、こんなに数字開き過ぎると、大体国会で何を中心に尺度を求めていいかわかりませんよ。もちろん、林野庁も権威ある調査もやっておられるだろうし、総理府労働調査の結果もうなずけないことはない。しかし、最も権威のあるものはやっぱり国勢調査ではないかと、こう思うのですね。最近いろいろ野田という局長調査あたりを見ましても、従前の国勢調査のファクターと違ってかなり精密にやっているのだから、ありとあらゆるものが間違いない。しかも、この国勢調査は、全体的に各方面の、学界はもちろん、各行政機関等においてもこれが尊重されておると、こういう実は言い方をしておるんですね。ですから、これはいまにわかにここでどこでどう食い違ったかというのを探求するのは、多少短時間では無理かと思うのですが、この辺の数字の調整をただつなぎ合わせたり切ったりというそういうのでなくして、もっと林業労働者のあるいは就業人口の正確さというものを期す必要があるんじゃないですか。大体、これはお読みになったことがありますか。
  16. 若林正武

    政府委員若林正武君) 見ております。
  17. 森中守義

    森中守義君 見た中で、林野庁統計とこれが顕著な開きがある。そのまま放置していくんですか、あるいは、統計局と、統計のとり方がどこが違っているのか、どこでこういう数字開きがあるかという、そういう協議はしなかったんですか。
  18. 若林正武

    政府委員若林正武君) 協議はいたしておりません。私ども、この国勢調査数字について、この調査時点が九月末ということでございまして、林業労働臨時日雇い的性格に加えましてただいま申し上げました九月の末ということに相なりますると、林業におきましてはどちらかと申しますと就業が少ない時期でもあるというふうなことから考えますると、過少に推計されているのではなかろうかというふうな感じがいたすのでございます。林野庁といたしましては、先生から御指摘のございましたようにいろいろな統計というものがあるわけでございますので、今後林業施策というものをいろいろ講じてまいります場合、私どもといたしましても、私どもみずからこういった統計というものを整備をしてまいりたいということで、林業労働動向調査というものを今年度から始めたいというふうに考えておるのでございます。
  19. 森中守義

    森中守義君 いろいろお尋ねしていくと、問題があまりにも多過ぎる。これはもう早く出ているんですよ。それに、さっき、長官が、これは見たと、こう言われる。見て、確かに計数的に相当開きがあるということも認められる。そういうふうなことが判明すれば、林政基本になることですよ、これはさっそく総理府あたりと、いろいろ協議をされなければ、そうでなくても、白書の中で言われているように、就業人口山村においては他の平地と違ってずいぶんひどいとみずから認めているんですから、その基礎になるということで計算をしなきゃまずいんじゃないですか。それが第一点。  それからそういう現状を踏まえて、新しい——四十二年度からですか、新しい調査段階になる。これも実ははなはだ時期を失っている。少なくともこの国勢調査の結果に言われている、三十五年からわずか五年間に、年率八%ですよ、減少状態は。これは異常な減少ですよ。そういう事実がすでに五年間の統計としてあらわれているにかかわらず、いまから自前の調査をやると、これじゃ少し怠慢のそしりを免れぬじゃないですか。いかがですか。
  20. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先生からただいま御指摘ございましたが、私どもも、統計整備ということについて従来御指摘のような問題があったわけでございますが、今後整備につきましては先生の御注意を体しまして十分努力してまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  21. 森中守義

    森中守義君 それじゃ、さっきの質問に戻りますが、ここに出ているのは四十年、その後つまり四十一年、四十二年あるいは次年度、四十四年度というふうに、年率どの程度減少を見込むのですか。さっきお話しになった施策によってぴしゃっととまりますか。その減少見通しはどうです。
  22. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林業労働力動向に基づきまして、ただいま今後の見通し等につきましても試算中でございます。したがいまして、ただいま、来年度幾ら再来年度幾らだというような的確な数字までまだ持っておらないのでございます。
  23. 森中守義

    森中守義君 それは、将来のことですから、きちんと四十一年度にはどのくらい、二年度、三年度ではどのくらいという見通しは困難であるかもわからないけれども、一応、林政を推進していく上においては、ある程度見通しを持たなければできないと思うんですよ。その見通しのないところに林政そのものに大きな欠陥があるのではないか、こう思うのです。現状の二十六万人で、あとは一つも減らないと、最低これだけは確保できるという、そういう自信はないでしょう。それと同時に、皆さんが言われている将来の林業を考える場合に、最低どのくらい必要ですか。少なくともこの国勢調査の結果による現在の二十六万人というのは、人為的にこういう数字を出しているのじゃない。自然に流出したものを差し引いた数ですよ、これは。そういうことでしょう。であるとするならば、今日の林業を進めていくのに最低どのくらい人間が必要であるか、いかなることがあってもこれこれは確保されねばならぬという、そういう数字はお持ちでなくちゃいかぬと思うのですがね。最低数字はどのくらいということにしているのですか。白書の中にもそれがない。
  24. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林業労働力につきましては、御承知のように、専業労働者というものもございます。さらにまた、農山村におきまする農業労働力というものとの関連におきましての労働力というものもあるわけでございまして、今後の農家人口というものがどうなるかというふうな問題、あるいはわが国経済の発展の過程におきまして、他の産業あるいは農林業それぞれの動き、あるいはこの態様によって就業者の数がきまってくるのでございまして、一義的に幾らときめこむわけにもいかないのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。今後におきましても就業人口というものは減少傾向を続けるであろうというふうに考えられるのでございますが、これに対応し得るように技術高度化なり経営近代化ということをはかってまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  25. 森中守義

    森中守義君 やっぱりそれだけでは納得できませんね。なるほど、近代化も行なわれるでしょうし、省力化も行なわれるでしょう。しかしながら、いま言われるように、現状を維持するということはやっぱり考えられませんよ、このままでは。現状を維持する、すなわち四十年の二十六万から減少しないであろうという、こういう見方は、少し甘過ぎる。ないものをなぜ持たぬかと言ってもしょうがないんですけれども、少なくともこの年次における省力化はこのくらい、機械化はこのくらいというような、各般の要素を一つの基準にして、最低この程度は向後何年間限度においては確保されねばならぬぐらいの、そういう要員確保あるいは労働力確保というものに神経を使っておかないと、私はたいへんなことになるんじゃないかと思いますよ。きょう本会議で総理並びに農林大臣からも各質問者に答えて、この問題はかなり大きい問題なんです。私は、そういう意味から、どのくらいにとどめていくのか、さっき言われるように現状を維持するなんという見方はどうしても考えられない。決してこれは至難なことじゃないと思う。いろんなことを検討して、最低このくらいの人員の確保が必要であると、全体的な基本政策の中に労働力確保の問題はいま少し真剣に考慮されていいんじゃないか、こう思うんです。いかがですか。それができないというならば、まさに日本の林政場当たり主義、将来の展望はそういうことでは持てないというように言い切ってもいいんじゃないかと思うんです。いかがですか。
  26. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 端的に申しまして、労働力の面から林業経営というものについて非常に困難性があるということを私ども承知いたしております。ただ、私少し研究が足りませんで、先ほどの総理府統計局統計農林省で出しております統計との間に差異のあるその根源等についてまだ私自身も研究不足でございましたが、お説のように、やっぱり農業なり林業なりを一定の計画に基づいて進めますために要する労働力の限界というものはあるわけでありまして、それがなければ計画が立たないはずでございます。御指摘のとおりでありますが、そのために、やはり一般の農業のほうと同じく、林業におきましても、どのようにして近代化していくか、どのようにして省力化していくかということについて、われわれ当局としては大きな研究課題であり、それと真剣に取り組んで予定の方針だけは貫徹することにつとめるのがわれわれの義務でございまして、そこで、四十二年度予算にも、林道開発についてある程度思い切った計画を立てるという前提のもとに予算要求もいたしておることは御承知のとおりでありますが、森中さんも御存じのように、大体、林業における従事者も、その付近を取り巻く農山村労働力が主体でございまするからして、これがやはり他産業が発展的に伸びてまいります影響を受けて農村と同様に労働力を吸収されていく傾向はいなみがたいものでございますが、さりとて、先ほど申し上げましたように、林業計画性を進めてまいるために要する労働力というものの確保については全力をあげなければなりません。そのためには、林野庁長官も申し上げましたように、経営面においては近代化あるいは林道開発等をやって省力をはかることも大切でありますが、一方においては、林業に従事することによってある程度生活保障が得られるような賃金体系を考えることが必要であろうと存じます。それらの面について若干まだ私どものほうで研究不足の点もあるかもしれませんが、そういう点につきましては林野庁としても一つ計画は持っておるわけでありますからして、さらに鋭意検討いたしましてわれわれの想定が行なわれるように、ひとつ極力すみやかに努力をしてまいりたい、このように存じます。
  27. 森中守義

    森中守義君 いまの大臣の答弁で一応了承できます。  そこで、この時点において、基本になる要員確保の一番大事なものが欠けておる、このことを私は特に指摘をしながら、時間がありませんから次に進んでまいりたいと思いますが、林業就業者年齢構成変化、これも三十五年からかなりのテンポで高齢化していることは事実だ。したがって、四十一年があればけっこうですが、なければ四十年でもいいです、どういう構成変化を遂げてきているのか、年齢構成内容をひとつ示してください。
  28. 北村暢

    北村暢君 ちょっと関連。いま年齢構成のほうに入りましたから、その前に、いま林業就業者統計について質問がございましたのですが、これは国有林の問題は林野庁自体がよく押えているはずなんです。したがって、国有林就業者労働者の実態は一体どのように減ってきているかということですね。総雇用量、延べ日数で延べ人頭数のとそれから実人頭数ですね、それがどのように変化しているか、その率等、おわかりになったらひとつはっきりさせていただきたい。
  29. 若林正武

    政府委員若林正武君) 年齢構成の推移でございまするが、実は、民有林の林業労働者につきましては、そこまでの実態を把握いたしておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるのでございまするが、国有林関係労働者につきましては、現在……
  30. 北村暢

    北村暢君 三十先年と四十年の統計しか出ていないから、それでひとつ言ってください。
  31. 若林正武

    政府委員若林正武君) 作業員の関係でございまするが、昭和三十六年の人頭数でございまするが、これが十八万六千八百七十五名で、昭和四十年度におきましては十三万八千百十五名でございます。したがいまして、三十六年を一〇〇といたしますると、七四というふうな指数になっております。もちろん、この間作業員からの定員化によりまして作業員自体の数は減っておる点につきましては御了承いただきたいと思います。
  32. 北村暢

    北村暢君 実人員のは、いま三十六年と言ったけれども、三十五年は幾らだったのですか。それから延べ人員数にして三十五年と四十年を比較して説明してください。
  33. 若林正武

    政府委員若林正武君) 三十五年の数字をただいま持っておりませんので、三十六年でひとつ御了承をいただきたいと思います。延べ雇用人員数につきましては、三十六年が千八百七、七万人で、四十年が千三百七十万人、指数にいたしますると、一〇〇に対しまして七三、かような推移になります。
  34. 北村暢

    北村暢君 これは非常に都合のいい数字をとっているのですが、その一年前の三十五年は非常に多いんですよ。延べ人員数にして二千百三十四万、これは概数ですが。四十年が千三百七十万。で、約五年間の間に六四%に減っているわけです。それから人頭数からいくというと、それが三十六年に十八万と言いましたけれども、三十五年は二十四万おるんです。それが四十年では十三万八千。これでいくというと、五八%になっている。四二%減っている。したがって、先ほどの国勢調査による四〇%減っているというのは、国有林はそれ以上に減っているんですよ。国有林の場合、作業員が。それで、いま、長官は、作業員の中から定員の中に入った者があると。そんなものは何百人も入ってないですよ。それが定員の中に入ってこれが減ったというのだったら、その定員の中に、あなた方三十五年から四十年までに何人入れたか、ひとつ発表してください。
  35. 若林正武

    政府委員若林正武君) 定員化をいたしました数字を申し上げますると、昭和三十五年七百五名、三十六年一万二十九名、三十七年三千八百四十六名でございます。
  36. 北村暢

    北村暢君 いまの定員化したのを入れても一万名足らずで、これはたいへんなものが減っているということです。これは人頭数から何から言っても急速に減っている。これはひとつ十分知っていただきたいと思う。したがって、先ほど来いろいろな対策を設けてというのでありますけれども、これは後ほど出てくると思いますが、簡単な対策ではとまらないですよ。これはもう林業に見切りをつけてどんどん出ていくのですから。したがって、いま質問のあります年齢も、若年労働者がどんどん出ていきますから、林業労働農業と同じように高齢化していっている実態が出てきている。これをひとつ大臣は十分考慮に入れて、五年間でやや半分になろうとしているわけですから、これはもうたいへんだと思いますね。
  37. 森中守義

    森中守義君 林野庁長官、手元に答弁する資料がないからお答えがないのですか、それとも、全然そういうものは手がけていないという意味なのか。つまり、さっきの私が民有、国有を問わずお伺いした年齢構成、どちらですか、つかまえていないのですか、それとも、答弁の資料を持っていないのですか。
  38. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林業労働者全般につきましての数字は、林野庁として現在持っておらないのであります。ただし、国有林野事業に従事いたします労働者につきましては、年次別の推移、年齢構成につきまして資料はございます。
  39. 森中守義

    森中守義君 私は、林野庁の方向がどっちに進んでいるのかは、白書なり、あるいは講じようとする施策なり、あるいは大臣の所信表明なり、こういうものよりあらかた理解しているつもりなんです。しかし、いま長官のお答えからいけば必ずしもそうでない。よろしゅうございますか。非常に重要な問題ですよ。年率どのくらいの状態山村から他産業へ移っていったかというその把握と同町に、おおよそ年齢の構成ぐらいのことが理解されずに林政全体を扱っているということになりますか。  これも総理府統計局の発表ですが、ちょっと御参考までに読んでみます。十五歳から十九歳までが——もちろんこれは昭和四十年です、三・二%で、これは三十五年に対して六八・八%の減少、ものすごい減少ですよ。それから二十歳から二十四歳までが全体に対する六・九%で、これが六三・〇%の減少。二十五歳から三十四歳までが二六・七%で、これが四四・二%の減。三十五歳から四十四歳までは二八・四%、四十五歳から五十四歳までが一八・九%というように、漸次若年労働者減少している。非常に高年齢化の方向をたどっている、こういうことです。  さて、これで再生産というものを考えた場合に、満足すべき方向を向いているかどうか、おおむね私は答えが出ているんじゃないかと思うのですね。ですから、さっきの問題と同じように、こういう年齢構成等も十二分に把握をしなければまずいじゃないか、こういうふうに思うのです。なければしょうがない。しかし、こういうことにも留意をしなければ、林政の体をなしませんよ。特にこれは長官のほうに留意をしていただいて、さっそくこういう具体的な問題に取り組んでもらいたい、こう思うのです。  それと、さっき北村君の質問に対する答えがないようですが、国有林における年齢構成、これがひとつわかっていたら示してください。これはわかっているでしょうね。
  40. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林業労働者が逐年高齢化をする、あるいは女性化をするということで、非常一質的な変化を招来いたしておるということにつきましては、私どもも理解をいたしておるところでございます。先生のただいまの御注意に従いまして、今後のそういった面からの対策ということにつきましても十分ひとつ配慮をしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  それから国有林関係の作業員の年齢構成でございまするが、年度別の推移につきましてただいま手持ち資料がございませんので、別途資料として提出させていただきたいと、かように考えております。よろしくお願い申し上げます。
  41. 川村清一

    ○川村清一君 関連大臣にちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、私、森中委員質問を聞いておって、非常に納得がいかないわけであります。と申しますのは、言うまでもなく、農業基本法に基づいて農業白書を、林業基本法に基づいて林業白書を、沿岸漁業振興法に基づいて漁業白書を国会に報告するという、法律的にいろいろ規定せられておる。それに基づいて政府は国会にそれを提出されておるわけでございます。で、この林業農業、漁業、三つの白書を通じて、第一次産業の大きな問題として、この労働力の問題が出ているわけであります。いずれも非常に労働力流出しておると、そうして若年労働力が減って、中高年労働力ばかりで、それがこの 次鷹巣の発展を非常に阻害しておると、生産力を上げる上に非常に阻害要因になっておるということがいわれておるわけであります。ところが、いま林野庁長官の御答弁を聞いておりますというと、白書にはそういうふうにはっきり書かれている、それが大きな問題として指摘され、提示されておりながら、労働力流出についてはどういうふうに流れていっているのか、それによって年齢構成がどういうふうに変わってきておるのか、こういうことがわからない。国有林ならはっきりとわかるけれども、民有林その他についてはわからないと、こういうことでは、何を一体基礎にしてこの白書というものをつくられて国会に提出されておるのか、白書の権威そのものを私は疑わざるを得ないわけであります。一体、そういうきちっとした資料に基づいて責任をもって政府は国会に提案されておるのかどうか、この点ははなはだもって私は疑問を持たざるを得ないので、あえて関連質問に立ったわけでございますが、大臣、これはどういうことなんですか。大臣は、いま、林野庁長官の御答弁を聞かれておって、行政責任者として納得がいかれますか。国有林の問題についてはわかるが、ほかのことについてはわからないと。わからない者が何で白書に書かれてそういうことを国会に出されておるのか。非常にこれは国会を軽視しているというふうに言われてもしかたないことじゃないかと思うのですが、大臣の責任ある御答弁を私は得たいと思うわけであります。
  42. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど森中さんにも率直に申し上げましたように、ただいま政府が国会に出しております農林関係の三つの白書につきましては、それぞれ私どもよりどころがあってこういう経過を発表いたしておるわけでありますが、ただいま問題になっております林業白書につきましていまここで質疑応答がございました中で、その事業の基礎になります労働力の流動性等については、これはひとり農業だけにとどまらず、林業も同様でありましょうし、同町にまた、漁業のほうでも同じ方向をたどっておるわけであります。私どもは、国有林の場合については、それぞれの地方にそれぞれの局もございますからして、その基礎になるものはもちろん持っておるはずでありますが、ただいまここで林野庁長官のお答え申し上げておりますのは、ここにいま年齢構成等に対する資料の持ち合わせを持っておりませんので、後刻資料として差し上げると、こういうことを申しておるわけでありますが、一般論といたしまして、私は、全体の農林省所管の三つの白書の基礎になります労働力について、もう少し実態を克明に調査研究いたしておく必要があることは痛感いたしております。したがって、なおそれぞれ部局を督励いたしまして、そのような問題の基礎的なものにつきまして至急に調査をいたし、できるだけそういう点についての論議の中心になり得るデータを作成いたしたい、こう思っております。
  43. 若林正武

    政府委員若林正武君) 私のお答え申し上げましたのが必ずしも十分でなかったので、御理解いただきますために、林業労働動向の問題につきまして若干申し上げさせていただきたいと思います。  この林業白書をつくります場合に何を基礎にしたかということでございまするが、国有林林業労働動向につきましては、これは全部資料がございます。民有林につきましては、全国一本にいたしました数字というものがそこまでまだ整備されておらないのでありますが、主要林業地域等におきまする林業労働動向、これにつきましては資料があるわけでございます。また、林業従事者は、御承知のように、大体農家との兼業が多うございまして、約八割というものは農家イコール林家であるというふうなこととの関連におきまして、農家農業労働力動向というふうなものからもある程度推定のできるというふうな見方もございます。  いずれにいたしましても、労働勤向の統計整備につきましては、今後万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  44. 森中守義

    森中守義君 まだそういう総括的な結論に入るのにはちょっと早い。といいますのは、国有林の場合に、平均の勤続年数、これはつかんでいるでしょうね。これも、さっきと同じように、三十五年から四十五年に至る推移、これを合わせていくとどうか、発表してください。
  45. 若林正武

    政府委員若林正武君) その推移につきましての数字は、手持ちがございませんので、これも資料として提出させていただきます。(「資料じゃなくて、あなた白書に書いてあるじゃないか。読んでいるのかね」と呼ぶ者あり)
  46. 森中守義

    森中守義君 それから同じく国有林の場合、男子就業者と女子就業者の比率、これもわかりませんか。しかも、三十五年から四十年に至る五年間の推移。
  47. 若林正武

    政府委員若林正武君) この推移につきましては手持ちがございませんが、昭和四十年度におきまする男女別の就業人員について申し上げますると、男子が三万九千二百十九名、女子が一万二千八百四名、かように相なっております。
  48. 森中守義

    森中守義君 そこまで数字がつかめてあれば、大体推移もわかるでしょう、同率でずっと流れてきているか、あるいは、女子が少なくなり男子がふえているのか、逆に女子がふえて男子が減っているか。一般的な概念としては、どんどん流出しているわけですから、その補充としては女子だろう。しかし、女子職員を入れるにしても、これは限度がありますね、職種によって。だから、どうしても男子でなければならぬというような事業もだいぶあると思いますから、これはやっぱり推移を示していただかないというと、私はつかもうとする労働力人口動向ということは明確でない。わかっていたら教えてください。
  49. 若林正武

    政府委員若林正武君) 傾向といたしましては、女性がふえるという傾向にございます。お話のございました三十五年対四十年の推移につきましては、別途資料として提出させていただきます。
  50. 森中守義

    森中守義君 たいへんくどいようですが、手元に答うべき資料がないからお答えできないのか、あるいは把握ができていないのか、そこはどうですか。それによって資料といってもすぐできるもの、いまから調査しなければできないものというように分かれてきますから。その辺はどうですか。
  51. 若林正武

    政府委員若林正武君) 国有林につきましては、全部把握ができておりまして、すぐ資料として提出できます。
  52. 森中守義

    森中守義君 まああとで資料が出るということですから、それに基づかなければいま一がいに言えませんけれども白書の中で言われているように、あるいは国勢調査の結果が物語っているように、相当きびしい試練の中に立っていることは事実だと思う。  そこで、いま農林省林野庁で考慮すべきことは、現有の労働力、これをいかにして重宝なものとして処遇をしていくかということに一つの問題があるんじゃないかと思う。したがって、その観点からいま何をお考えになっているのか、具体的にお示しをいただきたい。
  53. 若林正武

    政府委員若林正武君) 私どもといたしましては、まず林業労働者がだんだん高齢化していくということにかんがみまして、やはり、後継者対策といたしまして、若い労働力を入れていくという必要があろうかと思うのでございます。そういった面でもちろん労働条件その他の問題とも関連いたすわけでございますが、若い労働力、優秀な労働力というものが山村に残ってくれるというふうな施策をいろいろ講じてまいるというような考え方でございます。
  54. 森中守義

    森中守義君 まあおっしゃることは概念的にはわかりますが、もっと具体的に一そういうこととでなくて、いろいろおやりになっているでしょう。たとえば、賃金をどういうように保障するのか、あるいはまた、雇用の安定をはかるにはどうすればいいか、こういうもっと実際問題として何をやらんとするのか、そういうことですよ。そのお答えは、二回も三回も同じようなことを聞きましたから、もっと内容的なことを答えてもらわなきゃ困る。
  55. 若林正武

    政府委員若林正武君) 国有林野事業を運営してまいります場合に、やはり、国の企業といたしまして、経営近代化、あるいは合理化というのは、当然進めてまいるわけでございます。その事業の実行に当たりましては、私どもは直営、直ようというものを原則といたしまして雇用の安定をはかってまいるという考え方で進めておるのでございます。さらにまた、この雇用の安定をはかりますためには、ただいまは、作業期間の延長、あるいはいろいろな作業の組み合わせ、作業仕組みの改善というふうなことによりまして雇用の安定をはかっておるのでございまするが、昨年六月二十一日だと記憶いたしておりまするが、国会におきまして林野庁側から答弁がございましたように、基幹要員の臨時雇用的なもの、こういったものにつきましては、今後そういう制度を改善してまいりたいというふうなことで現在慎重に検討いたしておるような段階でございます。その他直接的な問題といたしましては、労働条件改善とか、あるいは賃金問題、こういったものの改善に努力をいたしておる次第でございます。
  56. 森中守義

    森中守義君 いまの要員の制度改善ということは、簡単に申し上げるならば、雇用区分として、常用作業員、定期作業員、月雇い作業員、日雇い作業員、四つの種類に分かれている。つまり、日給制ですね。しかも、こういう人たちは、定員外に置かれている。定員法の中に入っていないんですよ。これを定員法に入れようというのか、そのことは直ちに給与総額のワクの中で賃金支弁をしようというのか、そういう抜本的な制度改善を意味するのですか。
  57. 若林正武

    政府委員若林正武君) 定員に入れるというふうな考え方でなくて、私が申し上げましたのは、ただいま先生からお話のございましたような雇用区分がございます。で、将来そういった雇用区分で行くのがいいのか、あるいは、もっと雇用安定のために何か別の措置をとったがいいのかというようなことで現在検討いたしておるような次第でございます。
  58. 森中守義

    森中守義君 長官ね、定員の中に入れるのがいいのか、もっとほかにいいことがあるかというその検討を加えるということですが、すべて国家公務員でしょう、この人たちは。そうじゃないのですか。それでいながら、定員外、ワク外にあるというようなことば、他の官庁にこういう例がありますか。むしろ、私は、なぜ定員法制定の際に将来禍根を残すような日給制というものを残したのか、それ自体に問題があると思う。だから、ここでさっき大臣の答弁にもありましたように、日々発展する林野行政であり、しかもそういう方向に前向きの姿勢をとろうとするならば、まずこの辺ですよ、変えるのは。私は昔のことはよく知りませんけれども、何といっても国家公務員でありながら、日給制に置いておく。しかも、さっきちょっと触れられた賃金の問題等については、他の国家公務員等に調停もしくは裁定等が行なわれる。にもかかわらず、日給制だけは地場賃金を対象にしてこれらの対象にならぬ。こういうむちゃな話は私はないと思う。ですから、行管の関係もありましょうし、財政当局との関係もありましょう。しかし、先ほど来お尋ねをしておるように、山村における労働力流出が非常に目立っておる。しかも、それぞれ資料が出てくればもっとはっきりしますけれども、三十五年から四十年に至る推移からしても、異常な状態だと私は考えざるを得ない。そういうことになれば、何が一番大事かということは、雇用の安定、すなわち定員外を定員内に組みかえるということである。同時に、事業費等の支弁に基づく賃金の支払いではなくして、明らかに給与総額の中より支弁するような方法が、将来の国有林の中における日給制の問題を解決する、しかも雇用の安定をはかる重要な問題でないかと、こう思うのですがね。こういうことにいままで議論を種み重ねたか、あるいは何かの打開策、方向づけをしたことがありますか。
  59. 若林正武

    政府委員若林正武君) 国有林におきまする造林事業でございますとか、あるいは伐採事業、こういった現場の屋外作業につきましては、御承知のように、季節的なりあるいは天候といったものの制約があるわけでございます。また、作業個所というものも変わっていくというふうなことで、非常に変動要因が多いわけであります。こういった仕事に従事いたしておりまする作業員というものにつきまして、これを定員化する、定員内職員としていくということにつきましては、恒常的に置く必要がある職であるかどうかというふうな問題と関連いたしまして、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような作業員を定員内職員にするということについては考えておらないのでございます。私どもが現在検討をいたしまして、また、実際にその方向で進めておりまするのは、通年雇用という方向へ逐次持ってまいりたいということでいま進めておるような次第でございます。
  60. 北村暢

    北村暢君 先ほどの、なぜ減っていくか、そして要員確保のための対策は何か。これについて、いま森中さんから指摘されておるように、まず雇用の安定をして不安なしに働けるような状況をつくってやる、それから賃金を要求してやる。これは悪いから出て行くんであって、ほかの産業と比較してよければ残るわけなんです。悪いから出て行く。したがって、まあそういう基本的な考え方が一つあると思うのです。  そういう中で、先ほど、一万何千名の者が定員化されたと。これはほんとうの作業員じゃないんですよ。一万何千名もやったのは、これは全公務員について労務者で常勤職員でおった人を一これは農林省だけやったわけじゃないんです。各省全部常勤職員をやったんで、そういうことで定員外の職員が減った、定員化したということは、これは作業員は減っていないんですよ、大体。それは間違って入った人もおるようですけれどもね、林野庁から言わせれば。ですけれども、大部分はそういう人じゃないということです。  したがって、この日給制の作業員は、常用を除いて、定期、月雇い以下は常に不安定である。したがって、先ほどの答弁で長官は、昨年の三月二十五日の当委員会における確認に基づいて、直営、直ようというものを拡大をしていく、そして雇用の安定をやっていくと。これは原則としてはそうなんです。そのあり方として、具体的に基幹要員について何と答弁したか。臨時的なものはないように解決していくというのか、何かここのところを薄ぼんやりとわかったようなわからないような答弁をされましたけれども、これは重要なんですね。ということは、この問題をめぐって労働省の見解がはっきり出ておるんだ。これは御存じだと思うのです。労働省の昨年四十一年の七月に一応の見解が出ておって、「毎年一定期間雇用と失業の反ぷく繰り返しとある特殊な事情にあることは雇用安定の立場から好ましくないので、これらの労働者雇用安定に資するため、通年的な身分保障およびこれに関連する休業補償、退職手当などについて、その実施の具体的措置について農林省および関係者と今後活しあいを行うこととする。」と、こういうことですね。労働省ではこれに対する一つの見解を持っておるわけです。今後の失業保険法の改正の問題と関連して、季節労働者について失業保険を適用しないという問題も、このように国で雇用している、先ほど森中委員からも言われているように、国家公務員でありながら、毎年反復繰り返して失業するこういう事態というものは好ましい状態じゃない。したがって、これは、身分を安定させるために休業補償をする、あるいは退職手当などによってこの雇用が継続するということをやるべきだということで労働省では見解をはっきり示しておるわけですね。ですから、基幹要員についてはうやむやとごまかしたような答弁をされたのですけれども、やはり休業補償なら休業補償をして、首は切らないで雇用を継続するというようなことについて、積極的に一これは法制的な問題もあるし、公務員制度の問題とも関連するのでむずかしい問題です、簡単にはいかない問題です、しかしながら、それを積極的にやるというのかやらないのかということですね。これはやはり私ははっきりしてもらったほうがいいと思うのでありますから、これはそういう点でひとつもう少しはっきり答弁していただきたい。そして、仕事は通年化できるように仕事を拡大していって、そしていまの定期作業員というものをなるべく常用化していく。常用化すれば、一応目的を達するわけですから。それを先に進んで定員化するかしないかというのはまた問題が出てくるのですが、とりあえず常用化をしていくということですね。これは事業計画によって可能であるわけです。したがって、まずそれをやる。それでもなおかつ季節的にどうしても仕事の切れる者については休業補償をする、こういう方向で私は整理されるべきだと思う。そして、それは非常にむずかしくないと思うのです。というのは、先ほど言ったように、作業員はずっと半分くらいに人員は減ってきているでしょう。減ってきているんですけれども、逆に常用化というのは、林野庁の政策もあるかどうか、進んでいるんですよ。確かに。そして、定期作業員もふえてきている。ほんとうの臨時的な月雇いとか日雇いというようなのはぐっとパーセントが少なくなってきているんです。したがって、これはやり方によって私はこの問題は解決できると思っております。労働者がどんどんふえてくるなら、全部雇用化するというのは、これは仕事がなけりゃとてもできないわけです。ところが、幸いかどうかわからないけれども労働者はどんどん減っていっているんですからね。したがって、これはほんとうに農林省がやる気になればできる問題である。したがって、そういう点からいって、これについての近代化、合理化という問題もあるけれど、こういう雇用近代化していくことこそが今後の国有林のほんとうの意味における近代化であるというふうに思うのですがね。農林大臣は、労働大臣をやられまして、労働問題では専門家なんですから、私どもがとやかく言う筋合いじゃないのでありますから、ひとつ労働大臣——じゃない、農林大臣のそこら辺の見解を、もう労働省がそういう見解を出しているんですから、ひとつ農林大臣のはっきりした御意見をお伺いしておきたいと、こう思います。
  61. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま政府の諮問機関で公務員制度審議会というものがございますことは御承知のとおりですが、あれをつくりますときに、公務員とはそもそも何であるかということから根本的な問題を把握しようではないかということで、政府側も職員組合側も非常に賛成されて設立されましたが、ああいうところで——いま事情で停滞しておりますけれども、やがて開始されますというと、やはり公務員とは何であるかということから基本的な労使関係について御審議を願うわけでありますが、そういう場合に、しばしばいままでも論議されております一つの問題は、単純な労務者を公務員としてきびしい法律の中で規制することがいいかどうかということも非常に大きな問題であります。その問題の中の一つは、林野庁のいま問題になっておりますような人たちも検討の対象になっておることは間違いないのであります。一般の人たちから見て、それに対して賛成、不賛成、いろいろ御意見もあるようでありますけれども、先ほど来のお話で、まず第一に私ども基本的に申し上げましたのは、林業というものはどこまでもやっぱり維持確保してこの生産をあげていかなければならないという前提に立つわけでありますから、そういう前提に立ちますというと、いろいろな必要な要素がありますが、その要素の中の大きな部分を占めるのは労働力でございます。その労働力が今日のような傾向になっておるので、省力化近代化等をすることによって省力を考える。これも林野庁長官が申し上げましたとおりでありますが、これから計画を立てて、計画どおり進めてまいりますためにどれだけの所要の人員が要るかということはもちろん計算が立つわけでありますから、その労働力を必要な部分を確保するということの前段に立って、先ほど来お話しのように、この労働力確保するためには待遇はどうすべきであるかというふうなことは引き続いて大事な問題でございます。林野庁関係の従業員にいたしましては、この作業員の賃金は、その雇用の大部分が先ほど申しましたように地元の農山村農業労働力に依存いたしておる関係でございますので、労働力供給の基盤にあります一般的賃金を考慮して決定することが事業を実行してまいるのに必要でございますが、しかし、それは一般的な賃金体系のことを申すのであって、現在のところはとにかく公務員でございますから、したがって、例の公労法等にも拘束を受ける。前段に申し上げましたのは、公労法によって拘束を受けさせることの可否、これはひとつ研究課題でありますが、それをそのままにおくといたしますというと、やはり公労法関係によって公務員としての扱いがされる。その間において、先ほどの事業の特性からかんがみて、ただいまのようなほかの公企体にない特殊な雇用関係を持っておるのが林野庁、こういうことでございます。したがって、それを通年雇用にするとかどうとかということをいま林野庁長官に回答を求めるのは、私はその答弁は非常に困難だと思います。もっとも、公務員制度審議会の答申が出れば別でございますけれども、出ないにしても、私どもは政府としていまさっきから申し上げましておるような過程でありますので、そういう基本的な問題も含めて、林野関係の従業員の賃金体系について、それぞれ所管の長官等を督励いたしまして、早急に農林省としての態度を決定するために研究をいたしたいと思っております。  要は、繰り返すようでございますが、いまのような一般社会環境の中で必要であるところの労働力確保するためには、理屈だけ言っておったんでは間に合わないのでありまして、いま北村さん御指摘のように、待遇が悪ければほかの産業に転換するほうがいいのでありますから、そのこととのかね合いがございますので、待遇改善等についてもやはり今日の客観的情勢をにらみながらひとつ至急に相談をいたしまして、われわれのほうの方針がきまりましたならば、政府部内でそれを実行に移してもらうように努力をいたしたいと思います。たいへん難物ではございますが、私が責任をもって検討いたしたいと思っております。
  62. 北村暢

    北村暢君 いま大臣から御答弁がありましたが、公務員制度審議会の抜本的な、公務員というものは一体何かという問題からやるのは、それはそれなりに問題点として私はあると思うのです。ですが、現在は、一般職の公務員であるわけですね。給与は特例法に基づいてやっておられるが、一般職の公務員である。それでこれは常用化していくということは、合理化近代化をやろうと言っているのですから、したがって、その近代化なり合理化なりというものをやっていく中で事業計画によって仕事を通年的にできるような仕組みは技術的に可能である。そういうふうな方向で常用化をしていってもらいたい。これは制度上の問題と関係なしにできるわけです。  それからそういう点をやっても、技術的にいってもどうしてもできないものがありますね、常用化が。一年間通じて使うといっても、仕事の気候的な地域的な関係でどうしてもできないというところもそれは出てくるわけです。それは、なるべく雇用期間を延ばすというくふうはするけれども、どうしても二カ月とか三カ月切れるというものが出てくるわけですね。それについては労働省は一つの見解として休業補償をしたらどうかという意見が具体的に出ているわけなんです、具体的に。そうすると、したがって、これは首を切るんじゃなくて、休んでもらうということですね。休んでもらうというのだから、雇用はつながるわけです。そうすれば、雇用が安定するということでしょう。それを労働省はやるべきだと、こう言っているんですよね。いま、こういう人は、失業保険をもらっているわけですから、六割は国で補償しているわけなんですよ。いまちょっと出せばできるわけなんです。ところが、従来の林野庁の考え方というものはまことに古い考え方で、一般の民有林の労働者というような臨時的な安い労働を使うといったような感覚が頭から抜けない。したがって、これに踏み切れないわけだ。私は、合理化なり近代化というものの考え方がそういう方向に行って差しつかえない、労働省もそういう判定をしているじゃないか、こういうことです。  それからもう一つは、いわゆる作業員と称する人を定員の中に入れるか入れないかという問題がある。これについては、少なくともいままで折衝してきた過程においては、機械関係要員、これについては定員の中に入れるということはもう約束ができているわけなんです。それは、ブルドーザーなり何なり機械関係で国家試験の免許を持たなければならないりっぱな技術を持った人がいるわけです。そういう人は、北海道開発庁なり何なりではもうすでに定員の中に入っている。農林省林野庁では定員の中に入っていない。これはほかとの関係があるから均衡上入れられないんだと、こう言っているだけなんであって、入れないという理屈は何もない。行政管理庁でも、林野庁さえいいと言うならそれは入れましょうと言っている。しかし、これは、定員を増加することについては、閣議決定があって、定員を新たにふやすということはなかなかできないということで、欠員補充ならいいということになっている。したがって、定員に入ることはもう約束されているわけなんですね。それまで否定せられたようなことを言われるというと、ちょっとこれはおさまりがつかないわけなんであって、作業員は全部定員化しないということでは、これは従来の約束上からいってまずいんですよ。それは聞き流しておくわけにいかない。公務員制度上の問題があるならば、それは林野庁の機構全体にも大きく影響してくる問題であるし、それはそれなりのときにやればいいのであって、元来の国家公務員法なり各省の設置法なりというものにおける定員の取り扱いというものは、これは平等に取り扱われていいんだと、そういうふうに思っておるわけですけれどもね。ひとつそういう点で、私の言うのはあまり無理なことは言っていないはずなんで、労働大臣——じゃない農林大臣、どうもくせか出るんですが、農林大臣もひとつそういう点で十分検討されて御配慮願いたい、こう思います。
  63. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 農林大臣に就任いたしまして、いろいろ人事のことを見ておりますと、林野庁関係におきましてはいろいろ複雑でございまして、まだ十分研究もいたしておりませんけれども長官をはじめ、また従業員である組合の方々の御意見もよく承って、ひとつ万全を期してまいりたいということで研究を進めてまいりたいと思っております。
  64. 森中守義

    森中守義君 いま、身分上の基本的なことについては、大臣北村君との間でかなり中身のある意見が交換されましたから、それ以上のことを付言いたしませんが、いま一つ、賃金の問題が何としても身分の問題と同じに重要だと思うわけです。そこで、おそらくこれも数字をお持ちであるかどうかわかりませんが、雇用区分別の基準内賃金、これをひとつ明らかにしてください。常用、定期、月雇い、日雇い、それから平均。——職種別じゃありませんよ。
  65. 若林正武

    政府委員若林正武君) 雇用区分別ですか。
  66. 森中守義

    森中守義君 そうそう。
  67. 若林正武

    政府委員若林正武君) 昭和四十年度の一日平均の額を申し上げます。常用作業員、これは平均いたしまして千六百七十五円でございます。二千五百四十円から千二十五円というふうに幅が職種によってございますが、平均で申し上げますると千六百七十五円。それから定期作業員が千五百二十六円。月雇い作業員が九百四円。日雇い作業員が七百二十円。全部を平均いたしますると千二百八十二円。これは昭和四十年度の一日当たり平均でございます。
  68. 森中守義

    森中守義君 これは私がもらった資料ですから、ちょっとこれも数字が食い違っておる。いま長官が言われたのはどれなのか私もよくわかりませんが、私の手元にあるのでは、四十年の格付け賃金として、常用が千四十一円、定期が九百七十八円、月雇いが七百二十四円、日雇い七百九円、平均八百九十六円、こういうように出ている。これに間違いありませんか。
  69. 若林正武

    政府委員若林正武君) 私申し上げましたのは、基準内外の合計で申し上げたのでございます。
  70. 森中守義

    森中守義君 それはそれでいいとしまして、次に示してもらいたいのは、失対賃金の三十五年以降の上昇率、これは手元にありますか。
  71. 若林正武

    政府委員若林正武君) 三十五年以降の上昇率は、手元に持っておりません。(「持っていない持っていないじゃだめだ」「職員部長かなんかいないのか」と呼ぶ者あり)
  72. 森中守義

    森中守義君 それから生活保護基準額の上昇率、これも三十五年以降の推移はわかりませんか。
  73. 若林正武

    政府委員若林正武君) 手元にございません。
  74. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。
  76. 若林正武

    政府委員若林正武君) さっそく数字を取りそろえまして後刻お答え申し上げます。
  77. 森中守義

    森中守義君 私が言わんとするのは、賃金の面で極力雇用の安定をはかっていきたい、まあこういう数回の答弁があった。しかもまた、そのことが当面の課題の一つなんですが、いま私がお尋ねした失対賃金の三十五年以降の上昇率並びに生活保護基準の上昇率に比べて林野庁関係の日給制関係においては上昇率が低いということですよ。こういったような状態で、はたして雇用の安定をばかろう、あるいは身分の保障ができておるかどうか、この辺に私は問題があると思う。ですから、さっきの答弁からいけば、詳細な資料はないにしても、いま私が二つあげた失対賃金にしてもあるいは生活保護法適用者にしても、いわばこれはボーダー・ライン層、こういう人たちと対比してみてもはるかに悪いというこういう答えが出てくる。その事実を把握しておりますか。
  78. 若林正武

    政府委員若林正武君) 必ずしも低いというふうには考えておりません。
  79. 森中守義

    森中守義君 それならば、具体的に一つここに問題を提起しましょう。職種の中に、炊事手、育苗手、こういう職種がありますね。これは、失対賃金の上昇率やあるいは生活保護基準の上昇率とは違って、内部の問題ですから、これは把握しておられると思う。まず、この中で、炊事手が常用何名、育苗手が常用何名、そして、こういう人たちの四十年における基準内賃金並びに基準内外の賃金の合計額、これをひとり示してもらいたい。
  80. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいま数字を取り寄せますので、しばらくお待ち願います。
  81. 森中守義

    森中守義君 それじゃ、おおむね私がもらっている資料に間違いがないか、御参考までに聞いておってください。  炊事手は、常用で千三百五十一名、定期で千七百三十五名、日雇い九百二十三名、育苗手は、常用が二百六十四名、それから定期で四千五百六名、それに日雇いが千六百二十七名、いずれもこれは婦人就業者のようです。そこで、問題なのは、この基準内賃金及び基準内外賃金です。四十年で基準内賃金が、育苗手で五百七十六円、炊事手で六百二十一円、内外の合計が、育苗手で七百三十七円、炊事手で九百二十九円、こういう数字になっているが、間違いない、私はそう思っておるのですが、もしこの数字に十円、二十円の差があればあとで訂正もいたしますが、そうして問題なのは、一体この金額が生活保護基準に及んでおらないということです。非常に重大な問題です。その結果、林野庁の中にこの関係の人で生活保護法の適用を受けている人がおるでしょう。把握していますか。私の把握しておるところでは、全国で三十六世帯、正確なものがある。しかし、さっき申し上げたように、この種職種の人がおおむね千六百数十名おりますが、大体、これに該当する人は、七百五十円の生活保護法の基準以下の賃金ですから、当然これは生活保護法の適用を受けねばならない、こういうことになる。三十六世帯の事実問題として保護法の適用を受けているこの実情を把握しておりますか。
  82. 若林正武

    政府委員若林正武君) 調査いたしております。
  83. 森中守義

    森中守義君 調査して、済んでおりますか。三十六世帯生活保護の適用者が現実に発生しているという事実を肯定しますか、しませんかと、こう聞いているんですよ。
  84. 若林正武

    政府委員若林正武君) そういう事実があるということは、私ども調査をいたしまして承知いたしております。
  85. 森中守義

    森中守義君 ということは、三十六世帯が林野庁職員の中で生活保護法の適用を受けている、こういうように理解していいですね。
  86. 若林正武

    政府委員若林正武君) 数につきましては三十六というふうに正確にはわかっておりませんが、若干お話のような事実があるということは承知いたしております。で、なぜそうなっておるのかということにつきましても調査をいたしておるわけでございまするが、まだ全部完全に調査が終わっておりませんので、全般につきまして詳細に申し上げるということはまだいまの段階でできないと思うのでございまするが、把握いたしました範囲内におきましては、たとえば世帯主がいままで仕事をやっておりまして病気で休んだとか亡くなったというふうな場合に、扶養家族も相当ございまして、女主人が働きに出たというふうなことによりまして、いまお話しのような事態が出ているというふうな事例もあるようでございます。
  87. 森中守義

    森中守義君 なるほど、そういったように、おのおの世帯の構成内容とかあるいはケースは違うでしょう。しかし、問題なのは、いわゆる生活保護法の七百五十円に満たないというこの現実ですよ。これをどう見るかという問題です。なるほど、未亡人になったり、いろいろな関係の家庭も多いでしょう。しかし、七百五十円という生活保護法の当然適用になるような賃金でいいかどうか。のみならず、実際問題として現状においてはほぼ正確な数字として三十六世帯が保護法の適用を受けておる、この事実をどう見ますか。これは倉石農林大臣、国の機関に従事をしておる者で生活保護法の適用を受けておるというこの現状をどういうようにあなたは見ますか。
  88. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 個々の事例を拝見しないとよくわかりませんけれども、世帯主が勤務をいたしておる者が生活扶助を受けておるというそのことが私も実は理解できないのでありまして、御承知のように、ある一定の職について収入を持っておる者が生活保護を受けておるはずはないのでありまして、生活保護者が受けるべき給与と等額であるとか、あるいはそれより低い収入のものがあるではないかというお話ならば、そういうことについては別な問題かもしれませんけれども、従事員で公務員の資格を持っておる者が生活扶助を受けておるということについては私はまだ事情をよく存じませんが、林野庁長官のお話のように、若干そういう低所得の者があるということならば、先ほど申し上げましたように、一緒に調べてみたいと思います。
  89. 森中守義

    森中守義君 これは、すでに長官からも、調査をしておると。しかし、その事実は肯定されました。私も、大臣と同じように、こういう話をいままで聞いたことがない。しかし、実在しておる。この現実を踏まえなければ労働力の安定確保をはかるとか、あるいは将来の展望を試みるといっても、とてもじゃないがこれはできないことだと思うのです。あえて私は失対賃金の上昇率あるいは生活保護基準の上昇率をさっきお尋ねしたのも、いかに劣悪な条件の中に育苗手といい炊事手といい置かれておるか、これを実は聞きたかったからです。しかも、その答えは、林野庁長官からも肯定されたように、事実問題として三十六世帯程度の保護世帯がある。これはもう重大な問題じゃありませんか。しかも調査をしておるとか、そんな話を聞いているということでは、どう考えてみても納得がいきません。もちろん、保護世帯というのは、民生委員等の権限に属しており、公にすることを禁じられておるようですから、なかなか把握も困難じゃないかという気もしますけれども、皆さんの所管の中にそういう者がある、これは一体どういうことです。したがって、この改善改革ということは、先ほどから言われるように、賃金の面でもかなり配慮をしながら雇用の安定をはかっておるという答えなんですが、はたしてそういう答えになるかどうか、いま少し御意見を聞かせてもらいたい。
  90. 若林正武

    政府委員若林正武君) 生活保護を受けておる者よりも一部賃金が安いということについては、承知をいたしております。
  91. 森中守義

    森中守義君 ちょっと、最後のことばがよくわからない。
  92. 若林正武

    政府委員若林正武君) 生活保護を受けるよりも賃金の一部におきましてそれを下回っておる、そういう者があるということにつきましては、事実ございます。
  93. 森中守義

    森中守義君 事実を認めるというわけですね。
  94. 若林正武

    政府委員若林正武君) そうでございます。
  95. 中村波男

    ○中村波男君 これは、昨年の五月、本委員会で私が取り上げて、林野庁長官並びに大臣に迫った問題でありますが、長官がその後おかわわりになったことは承知しておりますが、そのときにも、こういう実態があるから早急に実態調査をして、少なくとも生活保護基準を下回る、国の直ようする職員の賃金が低いというようなことは許されないことではないか、こういう立場で昨年相当論議をいたした問題でありますが、今日、そういう実態がまだ調査中であるとか、いま直ちに答弁のできないような実態というのは、全く怠慢というよりもわれわれの申し上げた意見に耳をかそうとしない林野庁の態度ではないかというふうに私は憤慨に似た気持ち関連質問にいま立ったわけであります。  そこで、倉石農林大臣にお尋ねいたしますが、労働大臣当時、近代的な労使関係を確立するためにいろいろと御努力されたその手腕に期待いたしまして、いま申し上げましたように、少なくとも農林省すなわち国が直ようする職員の賃金が生活保護基準を下回るような賃金である、こういうことに対しまして、大臣としてどういうふうにこれをお考えになっておるだろうか。いま森中委員質問に対して一応の方向は示されましたけれども、あらためてその点をひとつお尋ねをしておきたい、こう思うわけです。
  96. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど北村さんに申し上げましたときにちょっと触れましたように、私どもは、林野庁のいろいろな職種別による雇用関係を見まして、たいへん複雑である、これをしかもああいう単純労務者の諸君を国家が俸給を払うということによって国家公務員という制度にしばりつけておくこと、そういうことがいいか悪いかというふうな問題について、実は検討をなおいたしておるわけであります。ところが、御承知のように、林野庁の臨時雇用の人たちにつきましては、全くその地方の農山村におけるその日その日のいわゆる労働賃金と匹敵する程度雇用の条件が行なわれておるものであるとわれわれは理解いたしておるわけでありまして、そのことのよしあしについて先ほど北村さんからお話がございましたので、もし公務員として現状のような状態で継続するということならば、それはそれなりに賃金体系についても雇用の条件についても再検討をいたしたいと、こういうことをお答えいたしたわけでありますが、いろいろ雇用関係が複雑でございますが、要は、森中さんとの質疑応答でも申し上げましたように、重要な林野の行政を保持していくためには必要な労働力確保しなければならぬ、そういう前提に立ってわれわれは雇用の条件を考えるわけでありますから、全部をひっくるめて検討をいたしたいと、先ほど申し上げたとおりであります。
  97. 中村波男

    ○中村波男君 もう一つ、根本的な問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、定期作業員の賃金体系と臨時作業員の標準賃金は、その権限が中央と地方といいますか、臨時作業員については営林局にまかせてある。したがって、その賃金基準というのはどこから引き出されてくるかというと、いま大臣が言われたように、地場の他の労働者の賃金を基準にして出しておるというのが理論的な説明であります。したがって、ここで大臣にお伺いしておきたいのは、同じ営林署に働いておる職員でありながら、中央で管理しておる職員と、いわゆる地方営林局で管理しておる職員というものがあることによって統一がとれないという、こういう大きな予盾が出てきておると思うのであります。これらの点についてどうお考えになるか、あわせてお尋ねしておきたいと思います。
  98. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 公務員の雇用関係の中における賃金体系というものは、御承知のように、一般職の公務員でありますならば、法律に規定されておるとおりに支払わなければならないわけであります。そこで、臨時的にどのような雇用契約で採用されているか私はよくその点を存じませんけれども、したがって、その臨時的なものは、いまお話のように、あるいは地方の営林署で随時雇用関係を取り結ぶかもしれません。そのために、たぶん、従来その付近の地場の労働賃金が右へならえで採用されているのではないかと理解いたしておるのでありますが、その程度の知識しか持ち合わせがありませんので、さっき申し上げましたように、基本的な問題をひとつ全部総括して研究をいたしてみたいと思っております。
  99. 北村暢

    北村暢君 そういう認識は、はなはだ迷惑なんで、困るんですけれどもね。給与特例法で、これの第三条の二項で、国の経営する企業に従事する職員の給与については——これは、臨時であろうと、何であろうと、一般職の国家公務員であることは間違いない職員なんです。そうして、その給与のきめ方は、大臣は民間の同種の労働の賃金と比較してきめると、こういうふうに理解されておるようですけれども、特例法ではそうなっておらないのですよ。「一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員」——これは、一般の農林省の職員だとか何とかの国家公務員ですね。「及び民間事業の従業員の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということで、それは大臣のおっしゃられる民間の同種の労働賃金というものも考慮するということはあるのですけれども、それだけではないんですよ。はっきりといわゆる国家公務員の給与、したがって、これは、月給制といういわゆる職員、大臣の理解している職員ですね、一般の営林局や何かの事務をとっている職員、こういう人の給与も勘案いたしまして総合的にきめなさいということになっているんですよ。したがって、育苗手は、民間の苗畑の人の賃金と比較してきめろということにはなっていない、法律で。そこに根本的な誤りがある。林野庁は、従来は地場賃金、地場賃金ということで、地場賃金が低いので国有林だけ上げられません、こう言っているのでありますけれども、それは法律のたてまえからいくというと、地場賃金と一緒にするなんということにはなっていないんですよ。やはり、一般職の国家公務員、あるいは企業体の公務員、こういう人の賃金給与というものを勘案して、そうしてその地場の問題もありますから、それも勘案して、その他の事情を考慮してきめなさいということになっているんです。どうも、ほかのほうはほおっておいて、先ほど森中さんも指摘せられているが、ボーダー.ラインの一番安いところの賃金をきめている。民間の林業労働者の低賃金というもの、これをきめている政策をとっている林野庁の政策についてはあとから私は明らかにしたいと思いますけれども、そういうところにだけ右へならえする。それもとんでもない、おくれてやろうというんですから、こういう生活保護世帯の給付額よりも下回るものも出てくるのはあたりまえなんです。そういう観念だから。だから、それをひとつ観念的に改めてもらわなきやならないということですね。  それから地場賃金というものとの比較の問題なんですけれども、いま言う国の企業体として相当大きな企業体ですよ。ところが、地場賃金と比較するそのものというのは、民間の林業経営しているものに労働組合のあるようなものはまずない。地域的には山林労働者の労働組合はありますよ。しかしながら、一つの企業なり何なりというものについては、ほとんどない。そういうようなことで全く零細なものです。したがって、比較する対象が、まず比較すべからざるものと比較しているということです。国の企業の経営規模からいって、大臣だって大企業と中小企業に賃金の格差のあることは十分御理解いただけると思うのです。それが、従来の観念は、そういう地場賃金理論でもってやってきているんですよ。これはまことに比較すべからざるものと比較しているということです。そこに問題がある。したがって、給与特例法に基づく正当な賃金の評価のしかたを農林省自体が頭を切りかえてもらわなければ、いま大臣が答弁しているようなことによると、民間の同一業種の賃金と比較してと、こうおっしゃられたのでは、私はいつまでたっても改善されない、こういうように思うのです。これは法律にちゃんと指定していることですから。  おっしゃるように、公務員制度審議会でそれがどっちになるのか、民間にしたほうがいいのか公務員にしておいたほうがいいのか、そういう問題がありますけれども、その結論はいつになるかわからないんですね。もう十何年聞こういう形でほおっておいてこられているわけです。これはいま始まって要求しているわけではないんです。いまだに解決できない問題なんですね。それは、根本的に考え方がとり違っているからそういうことになってしまう。したがって、ここに農林省統計表もありますが、労働省の毎勤統計と比較しても低くなっているのですね、国有林の労働賃金というものは。こういうことからいって、林業労働の賃金はもちろん低い。これは具体的にいま職種別にこういくというと、これは非常に差があるものですから、低いものはべらぼうに低い、こういうことになる。それがやはり地場賃金、いわゆる民間の同一業種の賃金、いわゆる大臣も御存じの終戦直後ありましたPWの考え方で、地域別業種別賃金、これはもう廃止になっているわけですよね、従来はこれによってきた、これがあった場合は。これがなくなりましたから、したがって、この特例法の精神に基づいて当然検討せらるべきものがされてないということなんです。これは政府みずからが法律を守るたてまえから、私は大臣のような、もっと問題点のあることは十分承知しておりますけれども、現在の法律の規定の中でやってもらわなければいけない問題でございまして、その点はひとつ十分考慮してもらいたい。
  100. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいまお話のございました作業員の賃金でございますが、御承知のように、その雇用の大部分というものが地元農山村農林業労働力に依存しておるわけでございます。で、その労働力の供給の基盤におきまする一般的な賃金というものを考慮するというのは当然でございまするが、さらに一般産業動向というようなことにつきましても十分に配慮いたしまして決定をしてまいるようにしておるわけでございます。(「わかったようなわからないような答弁だ」と呼ぶ者あり)
  101. 森中守義

    森中守義君 これは実はいまさらの議論としてこういうことを言わねばならぬことがはなはだ残念なんです。そこで、先ほど、保護世帯が三十六、おおむね間違いなくある。それは否定されない。そこで、一歩進んで考えた場合に、いま質問がありましたように、大体これは政策賃金であるのか、あるいはまた、独立採算制のきびしい予算環境の中にこういう措置をとらざるを得ないのか、そのどっちなんでしょう。
  102. 若林正武

    政府委員若林正武君) 御承知のように、国有林野事業は、企業特別会計ということで運用いたしております。したがいまして、賃金問題というものも、そう考えます場合におきまして、財政事情というふうな点につきましても配慮してまいるのは当然でございます。
  103. 森中守義

    森中守義君 どうも、どっかで質問と答弁が行き違うんですよ。お答えがわからないでもありませんよ。しかしながら、一面においては、やはり低賃金という一つの政策賃金であるのか。他面、独立採算という予算環境の中にかかる低賃金をとらざるを得ないというものであるのか。あるいは、ばく然と地場賃金、こういう賃金でよかろうという惰性あるいは慣習の中にこういう賃金体系がとられているのか。この三つの中のどれが一番強い要素ですか。そのことの説明がないと、根本的な問題の解明にはなりません。したがって、その三つのどれに該当するのか、ひとつ明確なお答えをいただきたい。
  104. 若林正武

    政府委員若林正武君) 私ども、低賃金でいいというふうには考えておらないのでございます。で、生産性の向上その他によりまして経営改善をはかりますとともに、高能率高賃金と申しますか、そういうことで労働条件改善ということもはかってまいりたいというふうに考えているわけであります。ただし、その場合におきましても、一つのワクといたしましてやはり特別会計の財政事情というものも当然あるわけでございます。
  105. 森中守義

    森中守義君 そういうお答えであれば、ますます不可解千万ですよ。大臣の所信表明の中にも、あるいは予算説明の中にも、きょうこの場における大臣並びに長官のしばしばの答弁の中にも、労働力確保ということは重要な課題である、したがって、雇用の安定をはからねばならぬと。しかも、いま、高賃金高能率という原則に立っていると、こういうお話なんですが、一体先ほどから問題に供しましたように、生活保護基準よりも下回るようなこの現状をどういうふうに見ますか。賃金を構成する際にそういう対比を私は当然すべきだと思うんです。しかも、先ほど北村君より公労法上の問題いろいろ提起されておる。こういうようなことから総合的に判断しても、七百五十円を割っていいという答えはどこにもない。いわんや、今日の林野財政の中でこの程度に圧縮をし、かつ低賃金を強制しなければならぬような財政事情だとは思えない。ですから、いま少しこういう低賃金に追い込んでいるという事情を詳しく説明してください。それだけじゃわかりませんよ、何が根本的な問題であるのか。
  106. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先ほどもお答え申し上げましたように、賃金につきましては、地場賃金というものとの関連におきまして決定をいたすわけでございまするが、さらに他の産業動向というふうなものも十分考慮いたしまして決定をするということになるわけでございます。そういうことで御承知のように労働組合との団体交渉の中におきまして最終的にきめてまいるというふうなことで従来やってまいっておるのでございます。
  107. 森中守義

    森中守義君 大体はっきりしてきました。地場賃金でなければならぬというものの考え方、それ自が間違っている。林野庁の中に働いている人たちが、月給制の場合に、地場賃金でなければならぬという根拠は一体どこにありますか。特別に林野庁で賃金綱領というそういう賃金の憲章的なものでも持っていますか。  それと、いま一つは、他の産業に、ことに国家公務員の中において、地場賃金を採用しているところがありますか、その例が。
  108. 若林正武

    政府委員若林正武君) 給与特例法に基づきまして、民間事業の従業員の給与——と申しますのは、同産業同職種というそういう数字につきましても、やはり賃金を決定いたします場合の一つの要素として考えてまいるわけでございます。
  109. 北村暢

    北村暢君 民間賃金を考慮するという場合、国家公務員の人事院の給与調査は、事業所規模五十人以上、企業では百人以上、国家公務員の給与を民間給与と比較する場合に、これがもう非常に大きな問題になっている。私どもは、国家公務員というのはもっと大きな規模の民間の給与と比較すべきだということを主張している。五百人規模くらいのものと比較していいんじゃないかと主張しているのですが、現在、事業所規模五十人、それから企業の規模百人以上ということで、民間給与と比較する場合の対象がたいへんな問題だ。  いま、長官が、他の産業とも比較をすると、こうおっしゃられましたが、毎月勤労統計による統計表の基礎になっている五人、百人、二百人と、こうありますわね。そういうものを平均されて毎月勤労統計は出ているのですが、その毎月勤労統計最低規模のよりも国有林の日給制の賃金は低いんですよ。最低より低いんですよ。したがって、五人規模の給与よりも低いということであります。国有林という大組織を持ってやっているものが、五人規模よりもさらに低い賃金で現在の日給制の賃金というものがきまっている。平均でもそういうふうに低いのです。これは、他の産業とも比較いたしますというふうな筋合いのものじゃない。その点をひとつ十分調査——統計を見ればすぐわかる。そういうことになっているんですよ。したがって、地場賃金と比較してきたからこういうことになっちまった。これはひとつ他の産業を考慮するということですから、他の産業を考慮するということは、いわゆる労働省の毎勤統計、これの全産業のことを指すのじゃないかと思うのですが、他の民間産業と比較しというのは一体何を指しているのか、この点をはっきりしていただきたいということなんです。  それから先ほどの大臣の御答弁で、公務員制度審議会の問題とも関連するのですが、生活保護基準よりも低い公務員が現在農林省の中におるということ自体が問題だ、そういうものは公務員にしないほうがいいんじゃないか、こういうことが言われておりますけれども、これは不必要な人を置いているわけじゃない。国有林経営の上において、昨年のこの委員会で、直営、直ようを拡大していくという国有林基本的な経営のあり方についての確認ができている。当時の坂田農林大臣が答弁されている。これは努力するとかなんとかじゃないんです。はっきりやりますと約束されて国民に正式にお答えしている。そういう点からいって、国鉄で言えば、いろいろ新線を建設したり何なりするのに、請負とか何なり入っています。しかし、汽車を運転するその者を請負でやるなんというところはない。電通だって、根幹となるものはやはり直営でやっているわけですよ。国有林野事業の、苗木をつくって、木を育てて、そして伐採をしていく、これは国有林野事業の根幹の仕事なんですね。したがって、これを私どもは直営でやっていきなさいと、こう言っておるわけです。いろいろ林道をつくったり、治山事業をやったりするのは、請負事業の土木事業でいまでもやっているわけですね。しかし、根幹の事業はやはり直営でいくのが筋だというので、それが確認されているわけだ。そのためには、こういう人が絶対に必要なんですよ。したがって、これは公務員制度審議会で公務員じゃなくするとかなんとかということになると、これはまたたいへんな問題が出てくるわけでありまして、現在の事務系の職員と作業員というものが一体になって国有林野事業というものが行なわれているのでありますから、そういう意味において、私は、簡単に公務員でなくするとかしないという結論を出されるということは、これは大きな問題なんでありまして、それは了承できない。  いままで私ども主張してきたのは、公社化の意見もありますけれども、公社化すらも国有林のあり方としては正しくないということで、やはり国有林というものは行政である。しかし、現業でありますから非能率でいいというわけにはいきません。したがって、民間の能率というものを取り入れてやっていくということはいいでしょうけれども、しかし、能率をあげて利益をあげることが本旨ではない。現業であるから、民間の能率をあげるといういいところを取り入れてやっていくのは、企業的にやっていくというのはこれは是認するとしても、私どもは、国有林野事業というのは、いまの特別会計制度の中で国土の保全その他の大きな任務というものを持っておるわけですから、そういう意味において、私はやはり現在の国営の事業という形の中でやっていくべきだ、こう思っているんですよ。  したがって、そういう中で、先ほどの地場賃金との比較が、そういう考え方でいままで林野庁が処理してきたというところに、先ほど特例法から申しましたように誤りである。誤ったことを今日までずうっと主張してやってきたところに今日的な問題がある。したがって、それを改めるということが、他の産業との均衡というようなことが言われましたけれども、一体、他の産業というのは何を指すのかね。地場賃金だけでなしに、他の産業の均衡と、どういうところと比較しようというのか、そういうところをひとつもう少しはっきりさしていただきたい。
  110. 若林正武

    政府委員若林正武君) 私が他の産業と申し上げましたのは、一般民賃の動向でございます。  それから、失対賃金、生活保護の関係と、それから国有林の賃金の三十五年からの推移を申し上げます。  失対賃金でございますが、三十五年を一〇〇といたします。対前年比で申し上げます。三十六年が一一六、三十七年が一一〇、三十八年が一〇八、三十九年が一〇九、四十年が一一二でございます。  生活保護の関係は、三十五年を同じく一〇〇といたしますると、三十六年一一六、三十七年一一八、三十八年一一七、三十九年一一三、四十年一一三でございます。  国有林の平均賃金でございますが、同じく三十五年を一〇〇といたしますると、三十六年一二一、三十七年一二〇、三十八年一一二、三十九年一一六、四十年一一一、以上のように相なっております。
  111. 森中守義

    森中守義君 そこで、結論を得る前に、少し変わった角度から私は問題を提起してみたいと思う。それは、なるほど事業会計という独立採算のワクの中で確かに人件費も支弁される。それはよくわかる。そこで、じゃその余の事業経営が、はたしてこういう過酷な賃金体系を押しつけるのと同じように非常に詰めた歳入歳出の状態であるかということになると、いろいろ問題があるようです。たとえば、林道一つ例をとってみたい。林道ですね、これは昭和四十年の内部監査として、札幌、秋田、高知、熊本の四局の総合監査をやっているわけです。その報告書が私の手元にあります。これは、林野庁から出された、ある意味では部外秘のものかわかりませんが、この中に、林道がいかにむちゃな状態にあるか。つまり、建設省がやるべき仕事までも林野庁がやっている。このために相当多額の金が使われている。だから、簡略に言うならば、こういう金をつぶしてなぜそっちに回さないのか、こういう極論も私は出るのじゃないか、出してもいいだろう、こう思うんですよ。  そこで、お聞きしたいのですが、大体、林道の中に公共的林道というのがあるのですか。まあここに言われているから、私はこのとおり言うのですが、内部の通用語であるかもわからない。よろしゅうございますか。この指摘をされている——会計検査院がどうであったかよくわかりませんが、これはまた機会があれば決算委員会等でも問題に供すべきだと思うのですが、もし手元に持っておられるならば出してみてください。一九ページにこう書いてある。「公共的林道の延長割合」「新設林道において、地域開発林政協力の意義をもつ公共的林道が、新設総延長に占める割合をみると、第五表のとおりであり、高知、熊本局が比較的多く、札幌局は皆無となっている。」と。そこで特に註釈を加えて、「公共的林道とは、ここでは直接国有林野事業上、必要としないもので、」と言っている。いいですね。「直接国有林野事業上、必要としないもので、外部からの要請がなかったから建設しないであろう林道、並びに特定団地の開発のために長期的に相当、大規模の投資を必要とし、営林局経常経費では実行が不適当で本庁において特別に計画する必要がある林道とする。」と、こういうように指摘していますよ。簡単に言うならば、林野庁それ自体は必要じゃないのだ、しかし、外部からの要請、そういうことによって、つくらぬでいいものまでもつくっておる、それが高知、熊本は特に多い、こういうふうな指摘をしながら、五表によれば、三十七年度に高知で公共的林道をつくったのが六キロメートル、三十八年度で六・九キロメートル、三十九年度で十一キロメートル、熊本の場合には、三十七年度が十二・九キロメートル、三十八年度が十一・六キロメートル、三十九年度が二十六・七キロメートル、こう言っておりますよ。  だから、これは、内部監査で指摘をされておるように、本来林野庁林道計画にのっていたのじゃないんだ、林道として設定する必要はなかった、しかし、外部からの圧力等によってつくらざるを得なかったと、こう言っておる。極端な言い方をするならば、林野事業経費のむだ使いですよ。そういうことになりませんか。言われておるように、これはもしその必要があるとするならば、建設省の道路政策としてやるべきものを林野庁がやったと、こういう明らかに経費のむだ使いがある。この林道をもっと圧縮してごらんなさい。林野庁林道政策として必要な林道設計、林道計画、それに当てはめた場合、必要ないんだ。こういう金を実はむだ使いしておる。これと賃金を比べてみた場合、どういう感じがしますか。どう考えてみてもいただけない。大臣就任以前のことですから、今の大臣にこういう問い方をするのもどうかと思いますけれども、これは明らかに低賃金に片や労働者を追い込みながら、行政の面では勝手なことをやっている。まさにつじつまが合わないということですよ、こういうことでは。どう思いますか。
  112. 若林正武

    政府委員若林正武君) 国有林野事業におきまして、林道を開設する場合でございまするが、経営計画というものがございまして、これは五ヵ年を期間といたします計画をつくっております。その中に、何年にはどこの林道幾ら開設する、何年にはどこの林道をどれだけやるというふうな計画が立てられているわけでございます。そういった計画に基づいて事業の実行をやります林道と、それからもう一つ、直接五年なら五年の計画にのっていないような林道につきましてももちろん開設をやる場合がございます。さらにまた、国有林野事業の使命から申し上げますると、御承知のように、所在地域の地域開発なり、あるいは関連産業の振興なり、あるいは地域住民の福祉の向上、こういったものに国有林野事業というものが積極的に寄与してまいるというふうな大きな使命も持っておるわけであります。  先生から御指摘のございました林道は、経営計画五年なら五年、この間に開設をするというふうに計画されておらないもので、ただいま私が申し上げましたような国有林野事業の使命達成のために必要な林道の開設でございまして、その計画期間中には計画としてはのっておらなかったかもしれませんが、国有林野自体といたしまして、そういう林道ができますれば、管理の面におきましても、あるいはまた、将来の伐採、造林、そういったものにもこれは使うわけでございまして、要らないものを私どものほうでつくっておるというようなことはないのでございます。
  113. 森中守義

    森中守義君 これは、これ自体を私は問題にしているのじゃないので、あまりこれに時間をかけることは好まないのですが、しかし、内部監査のこの指摘というこの事実をどう受けとめるのですか。あたりまえのことだというように受けとめておられますか。もちろんこれは長官の決裁によって出された書類だと思う。精細に監査をしながら、直接林野事業には必要ないんだ、こういうことを言っておりますよ。いいですか、もう一回念のために読み返してみましょう。「公共的林道とは、ここでは直接国有林野事業上、必要としないもので、」と言っている。必要としないのだと言っている。「外部からの要請がなかったら建設しないであろう林道、」みずから必要としない、他からの圧力あるいは要請等によってつくったんだと、こう言っている。これは、何と抗弁されても、林野庁の当初の計画にのっかっている林道計画じゃありませんよ。必要でないと言っている。検査院の検査の結果——検査書をまだ見ておりませんから、そういう外部監査の結果がどういったことになるかわかりませんが、少なくとも内部の事情に詳しい、しかも専門家が監査の結果、こういう答えを出した以上、これは長官の言われるようなことでは得心できません。必要としないと言っているじゃないですか。  そこで、もう一回、じゃあ聞きますけれども、たとえば、四十二年の林道事業が百七十八億ついていますね。こういったように特別会計として毎年林道予算というものはついている。そういう中からこれが出たのですか、それとも、予備費なりあるいは他の款項目等からの移用もしくは流用であるのか、その辺の事情もあわせてひとつ聞かしておいてください。
  114. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先生のお持ちになっておられますのは、おそらく監査報告ではなかろうかと思います。監査報告と申しますのは、監査をいたしました監査官個人のこれは意見でございます。林野庁の意見ということではございません。その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。(笑声)  それから予算関係でございまするが、もちろん林道事業費の中から支出をされるものもございましょうし、さらにまた、御承知のように、現在、予算の一括配賦方式をとっておりまして、予算上は積算の基礎といたしまして林道事業幾ら、造林事業幾らというふうに分かれてはおりますが、予算の執行にあたりましては、第一線の経営者の創意工夫によって国有林経営というものの適正な運営をやらせてまいりたいということで、現在、予算の一括配賦方式というのをとってやっておるわけであります。したがいまして、中には手簿上は他の細目等から流用されるものもあろうかと思います。
  115. 森中守義

    森中守義君 なるほど私は新米ですから、そういう体裁のいいお答えでもはいはいということになるかもわかりませんが、しかし、いまのお答えはどうしても納得できない。監査官個人の意見ですか、これは。私も三十一年からここに厄介になっております。しかし、いかなる報告文書なりその他の文書等を問題にした場合でも、その庁の責任ある地位の人が、一監査官の責任において書いたものであって個人の意見だなんということは聞いたことがない。(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)何ですか、それは。そんなことで了承できるはずはないじゃないですか。国家行政組織法を読み直してください、もう一回。国家公務員法を読み直したらどうですか。あるいは、内部の職務規程なり何なりあるでしょう。監査官の説明、提起した問題は、個人の意見として扱っていいということになっておりますか。そんなばかみたいなことを言ってはだめですよ。それは取り消してもらおう。少なくともここに書いてあるのは、ちゃんと「取扱注意、昭和四十四年三月三十一日まで」と書いてある。「昭和四十年度総合監査報告書、総括編」で、発行は「林野庁」です。監査官個人の意見ですか。妙なところにひっかかるようだけれども、まあしろうとですから、そうなめた答弁をされてもしかたがないかもわかりませんけれども、そんなものじゃないはずですよ。もう一回答えて、訂正するなり何なりしなさい。
  116. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 少しことばが足りなかったか、説明があまり上手でなかったと思います。林野庁の仕事は特別会計で、国家としては重要な仕事でございますので、部内に監査官制度がありまして、事業の監査を別個にいたしております。経理、会計等についても監査をいたすわけであります。したがって、執行担当者のほらといたしましては、やはり、そういう監査につきましては、それ相当の参考資料として行政に注意を払うべきものであると思いますが、先ほど林野長官が申しましたのは、その監査の報告であって、林野庁としては計画に基づいてその計画に基づいて仕事をいたしたのだという説明を申し上げたんだと思いますので、ことばの足りませんでしたことは私がおわびをいたしますので、そのように農林大臣としては考えておりますし、実は私はそのことについてあまりつまびらかにいたしておりませんが、先ほど来お話し申し上げました基本的な問題等もあわせて検討をいたしてまいりたいと思いますので、御了承願います。
  117. 森中守義

    森中守義君 まあせっかくの御答弁ですから、それはまあそれでけっこうですが、ただ、申し上げたいのは、何回も繰り返すようですけれども、低賃金で置きながら、片やこういう不必要なものまでもやっている。しかも、これは、七百三十五円とかそういうものじゃない。けたが違いますよ。おそらく、別段試算をしたわけじゃございませんが、相当高額の経費が不必要なものとして出ている、こういう一語に尽きると思う。ですから、毎年の予算編成の際に林道予算というものはついているわけですから、こういう一定の計画に基づいて必要とするものであればいい。しかし、この監査報告に言っているのは、必要としないものをやったんだと、こう言っているわけですから、どう考えてみてもその辺の単位が極端じゃないか、こういう意味合いで理解をしてもらいたい、こう思うのです。  同時に、いま一つの問題がございます。それは、林野庁がこういう書類を出しておるわけです。三十九年の三月九日に、「林野監第六十三号」というものを長官名で各営林局長あてに出しております。これは別段文書をいまここで見せてほしいと、こう言うわけではございませんが、その内容というのは、たとえば検察庁あるいは警察、こういう向き等に対し、人事の異動等があったならば、公経理として餞別を出してよろしい、こういう文書です。しかも、最近に至っては、単価が安過ぎるからその基準を改定するというわけで単価改定を行なっている。これも、私は、各省庁の中に公経理の中で餞別を出したという話を聞いたことがない。これはどうですか。これもいまの公共林道の話と同じで、やってならぬことをやっている。まさにこれは国費の乱用である。乱用というよりも、厳密に言うならば、違法であり、非違行為ですよ。記憶がありますか、長官、この通達に。
  118. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいま先生からお話がございましたが、私ちょっと記憶いたしておりません。(「記憶ないといったって、正式の文書で出ているじゃないか」「警察と検察官にだけなぜ餞別をやらなければならないのか」と呼ぶ者あり)
  119. 森中守義

    森中守義君 だれかこれのよくわかる担当の部長あるいは経理関係の人はいませんか。ちょっと明らかにしておくところはしておきましょう。長官名の各営林局長あての通達の日付は三十九年三月九日、そして「林野監第六十三号」で、件名は餞別等の「支出基準について」、こういう文書です。(「盲判を押したのじゃないか」「とんでもないものを出している」と呼ぶ者あり)
  120. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま問題に供せられました問題につきましては、私も初耳でございますが、従来あるいは官庁等において慣行的に何か行なわれておったのではないかと存じますが、そういうような問題が表面化いたしますというと、これは官紀の問題としてゆるがせにできない問題でございますので、私就任前のことではありまするが、将来厳にそういうことのないように戒めるつもりでございます。  それから先ほどのお話の公共林道のことにつきましては、これも林野長官の御説明が若干足りなかったかと思いますが、昭和四十一年度予算要求にあたりましていろいろその計画等についてあらましの話を聞きましたときにも、経済社会発展計画にも申しておりますように、国土の保全及び水資源の確保のほか、国民の保健休養のための資源の開発保存等、森林の公益的機能の増大につとめると、こういう方針もございますし、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、今日のわが国森林行政の中で生産性を上げていくために私どもから見ましても一つ欠如しているものは林道開発がおくれておることではないかと、このようにもまあ申しておったわけであります。したがって、そういうことにつきまして、林道を極力予算をとって開発しようという方針林野庁において決定いたしておるわけでございますが、その林道につきましては、従来の方針林道もさることながら、ここで申しておりますように、われわれのつくりました林道を公共的に利用できて、そしてその地方に便宜を与えられるようなものは、やはりあとう限り林道として事業をするほうがいいのではないかと、こういう考えも実はその中にあるわけでありまして、いま指摘されておるようなものがはたしてどういう性質のものであるかということについて私がここで陳弁いたすわけではありませんけれども方針としてはいま申し上げたようなことで林道も活用されることは好ましいことだと、こういうまあ考え方は一応持っておるということをつけ加えて申し上げておきます。
  121. 北村暢

    北村暢君 いまの大臣林道——だから、私は、林道というものについて、林道法か何か法律をつくらなきゃならないと思うんですけれどもね。いまの大臣のおっしゃるような拡大解釈する林道というのはいままでないんですよ。保健休養とかね。それば歩道ぐらいのものはありますよ。林道というのは車道ですからね。したがって、いま森中君の指摘している公共的林道というのは、いわゆる政治林道なんですよ。だれかが顔をきかせて、そしてつけなくてもいいやつをつけたとかね。たとえば選挙に関連をしてとんでもない林道がついたとか、そういう性格のものなんですよ。これは明らかに不必要なものですわね。それは困ると言っているんですよ。国有林の木のない方向へ林道が走っているわけですから。そういう林道はちょっと困るんであって、将来長官の言うように五年後なり十年後なりに国有林の木を切り出すという目的があって、それに乗ってくるというんなら、まあちょっと早目につけましたで理屈はつく。ところが、木が何にもないという方向に国有林林道がつくというのはちょっとおかしいんじゃないか、そういうのが指摘されているんですよ。いいですか、はき違えないでください。勝手に解釈して、観光のためでございますなんて解釈されたって困るんです。そういう林道のつけ方はない。あいまいもことしているから、私は林道というものについての法律をつくって、そしてきちんとした規格に基づいてやることを主張しておるんですけれども、まだそういう段階にきていないようですけれども やはり林道には林道の目的があるんですから、はっきりそういう考え方で、いわゆるスカイライン的な観光の道路なんというものも将来林業経営なり国民の休養衛生という形で、国有林でもってそういう林道までつけていいというんなら、それのようにまた変えていただかなければならぬ。いまそういうふうな形になっていないんですよ、大臣のおっしゃるような。それで、大臣、だから、何でも自由にできるといったら、それは大間違いなんだ。それは困りますよ。  それからいまの餞別の問題、私も初めて聞いたわけなんですけれども、これはあなたいま林野庁は黒い霧で一番注目を浴びているところでしょう。その黒い霧をもみ消すために検察庁なり警察に餞別を出すんでしょう。だれが見たってそういうふうにしか受け取れないですよ。正式の文書通達をして、しかも、それが最近物価高騰のおりから千円や二千円の餞別を包んでもありがたくないから、もっと増額しようだなんという、こういうふざけたことが大体おかしいでないですか。それで、これは大臣はすみやかにこれを調査をして、もしかりに農林省だけでなしにほかの省庁にもあったとすれば、これまた大問題ですから、調査の上直ちにこれは撤回をすると、そのことはここではっきり言えるんじゃないですか。その点ははっきりしていただきたい。
  122. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど森中さんお読みになりましたとき、実は私の耳を疑ったのでありますが、皆さん間違いなく同じことをお聞きになったようであります。しからば、やっぱりそういうことがあったかもしれません。私どもとしては、まことに遺憾千万なことでございますので、将来を厳に慎み、官紀を粛正するように努力をいたします。
  123. 森中守義

    森中守義君 大臣、きょうはまたことのほかに非常に懇切ていねいな説明が先から先にあるものだから、どうも質問が先に進まないんですよ。とにかくものを言うなと、こういう意味じゃないかと思うんですがね。  そこでね、大臣、そうそう簡単に大臣の答弁があったからよろしゅうございますというわけにいかぬ問題もたくさんあります。重ねていま林道の問題も出ましたから言うんですけれども大臣がお話しになるように、絶対いかぬと、そういうむちゃを言っているんじゃない。一定の計画があるんだから、しかも、四国のどこに、熊本のどこに、あるいは長野や札幌のどこにという順位もあるでしょう、予算関係のあることですからね。必要とするものを一〇〇%年度で消化するということは、これはできません。しかも、工事それ自体が多年度にわたることも当然あることですから、だから、そういう順位に従って正当な機関の計画に従って行なわれていくべきものは、それはもう当然であるし、むしろそういうベースに直さねばならぬということなんです。これが私は当然なことだと思う。ところが、出されている監査報告によれば、その必要がない。したがって、計画のベースにはまっていない。そういうものをどんどんやらせるということは予算の使用としても適当でないし、いわんやそういう剰余金——というのじゃないでしょうけれども、こんな金があるなら、むしろ賃金のほうに回したほうがいいのじゃないか、まあこういう実は一つの引き合いに出した問題なんです。ですから、これは、いま北村君が言うように、林道の問題についてはもっと基本的にいろいろ整備することもありましょう。私の知ったところあたりでは、林道がついた、しかしそれは有料道路というわけで金をとっているところもありますよ。とっていないところもある。で、そういう態様は多少異なっているようですが、画一的に林道政策を進めていくには、きちんとした基本を持たねばならぬ。今日、その基本に従って予算の構成が行なわれ、執行されていると、こう思うのですけれども、それ以外によけいなものをやっているから問題だ。したがって、これは、いうところの政治道路、あるいはどっかのボスが強引に林道をつけさせたという、そういうそしりを免れない。そしりを受けないようにしてもらいたい、こういう意味なんです。  それと、さっきの餞別ですが、まあこれは私よく読んでみたところが、餞別だけじゃありませんね。祝儀にもやっているし、香典も出している。相当内容はこまかですよ。たとえば、いま申し上げた祝儀、餞別、香典のほかに、消防の出ぞめ、森林愛護組合、地元の祭典、文化祭、地元慣行による行事、請負人労務者見舞、事故見舞、あるいは報道担当者包み金、こういったようにかなり具体的に明示してある。金額も明示されている。私もこれを聞いて実は大臣と同じように耳を疑いました。もちろん、各省庁等において何がしかの金をみんなが出し合ってこういう措置をしていることは、私も知っている。しかし、予算の出どころがこれは事業費ですよ。明らかに国家予算だ。地元関係等に、協力をしてくれるからという意味では、なるほど慣行的なことも一面あるでしょうけれども、これが国家公務員ないしは地方公務員である判検事あるいは警察等に至っては、問題はあまりにも大きい。おそらく各省庁にこういう例はないのじゃないですか。もうはなはだ重大な問題だ。よくいままで、林野庁というのは閉鎖的な官庁で、あまり民主化されていなかった、こういう話をしばしば聞いたのですが、そういう鎖国状態の中で非民主的な官庁機構の中にこういうものがある。私はさっきの大臣のお答えで応了といたしますが、こういうものの考え方、国の予算をどう心得ているか、大臣の依命通達じゃないからいいようなものの、私は長官の責任は免れないと思う。検査院がどこを見てきたのか、あるいは内部監査がどういう点でこれを見ているのかわかりませんが、これはやっぱり問題の提起のしかたでは重大な問題になりますよ。各省庁に、こういう餞別を出せ、祝儀を出せ、香典を出せと、こういう通達を出したところはない。絶対と言っていいくらいないでしょうね。これも私が問題を提起したのは、よけいなところに金はどんどん使っておりながら、賃金は押えておるじゃないか、こういう論拠を求めたことなんですが、さっき林道の問題については大臣からお話がありましたけれども、直ちにこの通達を撤回される御意思はありますか。
  124. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 本日の委員会は、私が国会議員になりましてから初めて承る新しい問題がたくさん提起されまして、非常に参考になりました。私は官庁づとめは経験がございませんけれども、ただいま御提起のようなことにつきましては、先ほど北村さんにお答えいたしましたように、厳に官紀振粛のために取り締まりをいたすつもりであります。
  125. 森中守義

    森中守義君 まああまりそういうきわものばかり並べてもしようがありませんが、例の黒い霧のあとに軽井沢の林野交換の問題が一つ問題になったり、あるいは先年の十勝市の問題があったりして、とかく問題が多過ぎます。今日、独立採算が窮屈である、しかるがゆえに、事業費といい、人件費といい、極力節約をしなければならぬと言いながら、こういう冗費というよりも、法律に沿わないようなことをたくさんやっている。こういう姿勢を変えなけりゃ、正しい林野行政は成り立たない。現場の山の中に行ってごらんなさい。事業の近代化とかあるいは人並みの生活という、そういう表現に値しないようなところはたくさんありますよ。そういったように現場で一生懸命に苦労さしておきながら、上層段階は何をやるかというと、こんなことやる。まさにこれはつじつまが合いません。  そういう意味から、私は本論に戻りますが、何といっても労働力確保のためには安定雇用、身分の保障生活保障という意味で、いま少し賃金というものが合理的にしかも現代的に姿勢を変えねばならぬ、こう思うのです。そこで、先ほど来問題になっておりました日給制の地場賃金というその制約、その慣行というものをこの際破るべきであろうし、同時に、きのうあるいはおとといと問題になってまいりました三公社五現業への有額回答、こういう一連の問題が両三日中には整理される、こう思う。したがって、月給制といわず、日給制といわず、すべていわゆる三公社五現業の水準に合わせ、よそ並みに林野庁職員に対する賃金措置をおとりになるお気持ちであるかどうか、それをひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  126. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、林野の雇用関係がいろいろ複雑でございますので、その間の事情をつまびらかに調査をいたしまして、賃金体系その他について十分にひとつ資料をもって検討をいたしたい、このように思っております。
  127. 北村暢

    北村暢君 先ほどの森中委員に対する答弁の中で、失対賃金の上昇率その他答弁されましたけれども、その中で日給制についての上昇率、何か三十六年、二二%なんという数字がちょっと書き落としましたけれども出ているんですけれども、これは仲裁裁定なり調停で決定した引き上げ率ではございませんね。そういうふうにはなっておらない。これは、いわゆる実収賃金について、あとで計算してみたらこういうふうになっておったと、こういうことでしょう。それで上がったということで、失対賃金なり何なりの上昇率と比較して答弁されても、それを、はあ、さようでございますかと、私はそう言うわけにはいかない。まことに不まじみですよ、答弁が。仲裁裁定なり調停なりというもので決定した引き上げ率というものはわかっているでしょう。それがいま団体交渉でも一番中心の問題になっているところじゃないですか。それを、国会で、従来の引き上げになった率が二二%上がりましたとか二〇%上がりましたとかいってあなた報告して、そのように上がったと、国民はそういうふうに理解しますよ。それでいいんですか。これがいま一番問題になっているところでしょう。そういう不まじめな答弁をしてけしからぬですよ。
  128. 若林正武

    政府委員若林正武君) 国有林の賃金につきまして申し上げました数字は、前年度対比の実収賃金でございます。
  129. 北村暢

    北村暢君 いま問題になっているのは、春斗相場というものとの論議で問題になっているんですから、実収賃金ではこれは幾ら上がったというのでは、これからの今度の春斗の解決にあなた方一体どういうふうに解決するのですか。実収賃金なら実収賃金でやるという率を立てなければいけないでしょう。昨年は七十五円、八・三二%でしょう。この前の年は五十五円ですか、六・六五%でしょう。賃金の紛争が起きて正式にものごとを解決するときに、そういうパーセントしか出ていませんよ。実収賃金について幾ら上げましたなんということで解決していないでしょう。それは一体どうするのですか。したがって、月給制のほうも、あなた方、実収賃金で上がったというふうに計算して、それが上がったものだと、こう思っているんですか。どうですか、そっちは。
  130. 吉原平二郎

    説明員吉原平二郎君) ただいま北村先生の御指摘のは、先ほど長官が申し上げました対前年比二〇ないし一〇数%というぐあいに上がっているということは、実収賃金としてはわかるけれども、いわゆるベースの改定としてはそれは問題にならぬのじゃないか、ベースの改定はそんなにはいっていないのじゃないかという御指摘だと思います。そのとおりでございます。ベースの改定をしますときに実収賃金を上げたということをもってそれを置きかえるという意味で申し上げたものではございません。
  131. 北村暢

    北村暢君 実収賃金で論議したってだめなんです。実収賃金は内容が違うのですから。いま春斗で賃上げ幾らでかりに調停委員会に入ったとして、林野庁幾ら上げたいといったときに、実収賃金で上げますというパーセントを言いますか。そういうものは言わない。そんなことになっていないんです。四十年度は六・六五%上げた。四十一年度は八・三二%、七十五円上げた。上げた結果が、あとでたって見たところが、先ほど言った一二%ですか、一二%上がっておったと、こういうことですね。そういうことでしょう。したがって、あなた方と労働組合との間で問題となっているのは、いわゆる現場裁量というものがあるから、七十五円上げたのが、実際には、総予算というか、賃金の総額というか、それを頭数で割ってみたら何%上がっていたというだけであってあって、先ほど来問題にしているのはそこにあるんです。就業人口がどんどん減ってきている、年齢構成が高くなってきている、こういうようなことをだてに論議してきたのじゃないんです。それは確かに作業員の労働力確保という問題もあるけれども、実際に調停案で実施したところが上がっておったというのは、この内容が変わっちゃっているのでしょう。実施直前四月の段階、翌年の三月の段階において、若年労働者がどんどんやめていって、そして平均の向い賃金の者だけが残ったということになれば、これは総予算としてはふえてくるでしょう。それからまた、これには出来高というものが含まれていますからね。したがって、出来高の場合はベースにならぬでしょう。これは一般の公務員の賃金、労働者の賃金でも、超過勤務手当まで含めてベースを上げるなんていうことはない。そんな理屈は全然成り立たない。したがって、論議にならない引き上げた率を出してきて論議しようといったって、だめですよ、そんなことは。そういう非常識であるということがわからないですか、あなたたちは。ごまかそうといったってだめなんです。専門家の農林大臣のところでそういういいかげんなことであなた国会の答弁を逃げようといったって、それは許されない。いま問題になっているでしょうが。現場裁量の問題が、何の原因でこれだけ調停なり仲裁できめてやったものが一年たってみたところが上がっておったという結果になるのかどうかということについて、一年間検討するという約束で検討したのでしょう。そういうことなんでしょう。そういう点についてもう少し親切な誠意のある答弁をしてもらわないというと、質問が次に進まないですよ。どういうことなんですか、それは。
  132. 若林正武

    政府委員若林正武君) 御指摘のように、先ほど私からお答え申し上げましたのは実収賃金の数字でございますが、仲裁裁定なりベースとの関連におきまする推移を申し上げますると、三十五年を一〇〇といたしますると、三十六年が一一〇、三十七年が同じく一一〇、三十八年が一〇八、三十九年が一〇九・五、四十年が一〇六・六五でございます。
  133. 北村暢

    北村暢君 それから見ますというと、失対質金の上昇率と、また、生活保護世帯の基準の上昇率と比べて、明らかに低いでしょう、各年次比較して。若干同じようなのもありましょうけれども、総体的にいって低いようですね。この点は認められるですか。
  134. 若林正武

    政府委員若林正武君) 率が低いということは認めます。
  135. 北村暢

    北村暢君 その率が低いということはどういうことかといったら、あなた方が全産業あるいは他の産業との均衡を考えて、地場産業だけでなくてと、こういうふうなことを言われておりますけれども、明らかに失対賃金なり生活保護基準の上昇率よりも低いということは、失対賃金なり生活保護の基準のほうに近づいておるということです。改善されるというような形になっていない。そうでしょう。昨年、一昨年の五十五円、七十五円というのは、これは失対賃金から見てもはなはだしく低いですよ。しかも、昨年の例をとって言えば、この七十五円を云々する前に、月給制についてはすでに六・五%の仲裁裁定が出ているのです。出て以降にこの日給制の問題が問題になってきた。そのときに、あなた方は、一体何といって調停委員会に説明されているのですか。六・五%がすでに月給制に出ているところに、あなた方は、三%か三・五%しか上げられないといって説明している。それは歩み寄りということもあるが、それにしても、すでに六・五%というものは、定期昇給を含めれば一〇%ですよ。日給制のほうは定期昇給がないのですから、当然春闘の積み上げ分を一〇%近いものを出すのがあたりまえですよ。一〇%出さなければならないものを、三・五%だといって非常識きわまりないことを説明するというその態度、これは自主的な交渉によって解決する当事者能力とか何とかいう問題以前の問題だ。全く誠意も何もないやり方ですよ。それが今日の実態でないですか、あなた方の。それでどうして他の産業と均衡のとれたというところに近づけることができますか。春闘相場が一〇%上がっているというのに——ことしは一三%でしょう。一〇%といっているのに、三%しか上げられませんということで、全産業との均衡を是正するように、こういう非常識なことをあなた方は平気でやっているんだよ。それで誠意があると言えるか。そういう実態なんです。ことしは一体どうされるのですか。去年の非常識はかんべんするとして、ことしは一体どうするのですか。
  136. 吉原平二郎

    説明員吉原平二郎君) ただいま先生がおっしゃいましたのは昨年の例でございまして、本年度は、全体の官房長官の話等がございましたいきさつは先ほど大臣から御説明があったと思いますが、昨日、われわれのほうでは、各調停段階にございます月給制職員につきましては、公労委のほうに意向を表明し、現在団交中でございます。他の組合の月給制の職員それから日給制職員の分につきましては、団交の席上におきまして、われわれとしまして現在の段階において昨年の調停程度のものについては引き上げるつもりであるということを表明しているわけでございます。
  137. 北村暢

    北村暢君 そうすると、ここは団体交渉の席ではないのですから、額を幾らにせいとかなんとかいうことを私は言いません。言いませんけれども、ものごとの考え方の問題について従来の例に基づいて私は話している。いまあなたの説明によれば、昨年程度ということを言うから、昨年でいけば七十五円、日給にして。七十五円引き上げる。これはことしはちょっと昨年より総体の額が上がっておりますから、同じパーセントにしても、七十五円になるのかどうかわかりませんけれども、そういう程度のものというわけですね。まあ昨年よりも非常識でないことだけは事実ですね。昨年程度のものを出す。昨年が八・三二%ですよ。こればお認めになる。ところが、春闘相場というのは八・三二%じゃないでしょう。昨年の場合、これは一〇%ないし一一%ですよ、定期昇給分を入れて。民間の相場からいっても、一〇%ないし一一%、これが常識なんです。そうして、また、失対賃金を見ても、生活保護世帯の基準を見ましても、昨年は一二%あるいは一三・五%上がっている。ことしは、すでに失対の賃金は七百十円で一三%上がっていますね。それから生活保護世帯も一三・五%上がっています。そうすると、昨年並みという八・三二%というのは、これは低過ぎませんか、常識的に。あなた方は、春闘の相場というのを、一体どういうふうに考えているのですか。地場賃金を低くすればいいんであって、春闘相場というものは何にも考える必要はないと、こうおっしゃるのですか。どうですか。
  138. 若林正武

    政府委員若林正武君) この場合におきまして、何%引き上げをやるとか、金額を幾ら引き上げますというふうなことはちょっと申し上げかねまするが、作業員の賃金の改善ということにつきましては、私どもといたしましても前向きで検討をしてまいりたいと思っておるような次第でございます。
  139. 北村暢

    北村暢君 あまりやると、ここで賃金がきまってしまったのじゃたいへんなことになりますから、それはやりませんけれども大臣ね、いま長官も昨年並みと、こうおっしゃられた。前向きでひとつ考えたいと、こういう含みのある御答弁であったのです。したがって、私は春闘相場というものをやはり正しく反映していただきたい。月給制のほうは、国鉄あるいは三公社五現業、公労協の線で、まあ多少の高い低いはあろうといえども、やや同じようにいくのですね。定期昇給分を入れれば一〇%ないし一一%上がっているわけですよ。ところが、日給制のほうは、昨年は八・三二%でしょう。従来、林野庁のものの考え方が、月給制のほうを六・二五%だったから、まあ六・五六%、これでも若干こえたというふうな感じですが、これは定期昇給分を含んでいるのと含んでないのと区別していないわけですよ。定期昇給分が含んでいるときと含んでいないときとやはり区別して春闘相場というものが考えられているのですから、日給制というものは定期昇給というのはないのですから、したがって、月給制のほうの六・二五%というか、あるいは、六・五%というものは、定期昇給を入れれば、三・五%を入れれば一〇%になるんですよ。最低見積もって。したがって、定期昇給のないものは一〇%上げるというのはあたりまえのことでしょう。それが何年も下回って押えられてきているこの事態ですね。これは私はパーセントでものを言いたくないんです、ほんとうは。労働組合の要求しているのは、春闘相場を正しく反映するというのは額ですよ。物価の値上がりや何かにしても、いままでの春闘相場といわれている四十五百円、四千三百とか、この額が問題なんです。低い水準のところに四千幾らやれば、パーセントはうんと高くなりますよ。うんと高くなるけれども労働者の積極的な要求からすれば、月給制のほうが四千五百円もらえるときに、なぜ日給制は四千五百円もらえないのか。同じ物価が上がり、同じ生活をしていくのに、これは必要なんですよ。そういう考え方からすれば、パーセントでものを処理したら、基本が小さいですから、額が小さくなるのはあたりまえですね。だから、その論議は私はとりたくない、実際は。したがって、やはり春闘相場というのは額で上げるべきだ。四千二百円なら四千三百円上げるべきだ。それが一三%であろうと、一五%であろうと、パーセントはあとから出るのでしょう。額で上げるべきだ、こういう考えすら持っているんです。  私は、幾らパーセントを上げろとか、幾ら額を上げろとかここで論議するわけではございません。実際のいままでの林野庁の日給制に対する賃金引き上げに対する考え方というものが、先ほど来言われている地場賃金にあまりにも拘泥し過ぎて、それのみに拘泥し過ぎて、他との均衡というものを失しておった。そのために、非常に安い賃金になってきている。これはもう過去五年なり六年ずっとそういうことで押えられてきている。したがって、先ほど最初に言った作業員がわずか五年の間に約半分になってしまった。これはやめたくてやめているのではなくて、食えないから、若い人は来ないし、おる者もおれないからやめていって、それで急速に減っちまっているんですよ。そこで、いくら労働力確保する、何だのと口で言ったって、賃金を上げなきゃ食っていけないから、おれないですよ。そういう実態にあるということを大臣は十分ひとつ御理解をいただいて、せっかく長官が前向きで善処したいということでございますので、ひとつこれを大臣のほうで倍考慮していただきまして善処していただきたい、こう思うのです。所見をひとつ聞いておきましょう。
  140. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 本日のこういう場所で北村さんと賃金の問題について論争しようとは思いませんけれども、いまあなたがしばしばおっしゃった春闘相場なるもの、これはまあ通俗語でございまして、今日の経済界で、しかも弱電機なんかが四千円以上出していることについては、私自身は非常に批判的であります。まあ、しかし、民間産業のことを批評はいたしませんけれども、そこで、国家公務員というようなものを民間産業の賃金ベースとつながりをもって判断するところにそもそも誤りがあると私は思っておるのであります。もっと、国家公務員というものの特殊性から見て、それぞれりっぱな待遇をなすべきである、こういうふうに思っておるわけであります。現実は、ああいうことでとかくきめられるわけであります。  そこで、今回政府がいたしました態度は、せっかく公労法によって調停というものが二カ月あって、いつでもこれが飾り物で、ここで実のある回答をしたことがない。したがって、組合側のほうでは、仲裁裁定が出れば政府はそれを尊重するという公労法の規定に従ってやるべきものであるということはわかり切っているにもかかわらず、下部からの突き上げその他の事情で、やむを得ず、心ならずもスト宣言というふうなことになってまいる。そうしますというと、もしそれが行なわれれば、必然的に管理者は法律に基づいて処分しなければなりません。毎年毎年そういうことを繰り返していることば、わが国の労使慣行にとってよくないことだと。そこで、今度は、どうせ調停段階においても何分かの回答が出るはずであるからして、政府は誠意をもってそういうような方向で管理者の指導をしようじゃないかということになりまして、私ども率先してそのことをやらせたわけであります。そういうことの意を受けて、林野庁におきましても、公務員につきましては昨年の仲裁裁定を下回らない程度のことは何とか善処いたしたいという回答をいたしたものであると思っております。ただ、問題は、日給の労務者のことであります。これは先ほど来お話がありましたように、私どもとしては一定の労働力確保しなければならない。その前提に立って賃金もきめらるべきものではありますけれども、林野特別会計の内部の慕情で、雇用関係がああいう特殊な形で行なわれておる。そういうことについては、私がさっき申しましたように、私の責任において根本的に再検討いたすことは部内でいたしますけれども、当面この林野の労務者につきましての処置につきましては、林野庁長官が責任をもって処理されることを私は期待をいたしておるわけであります。
  141. 森中守義

    森中守義君 きょうは、おおむね林業関係で終了することになりますが、いまの北村君の意見と大同小異です。そこで、特に所見を聞いておきたいと思いますことは、いま話がありましたように、ここで額を幾ら幾らということは、これはとうていできる話じゃありません。そこで出された額については林野庁の場合には他と同様な取り扱いをするという、こういう意思があるかどうか、これが第一点。  それから日給制の場合には、これも、きょうの本論でありましたように、地場産業に合わせるというものの考え方ではなくして、さっき長官の言われる前向きの姿勢というのがそうだと。したがって、企業間の話し合いによって、あくまでも率でなく額で、しかもそれは地場産業にこだわらないで、あくまでも出された調停の額を中心にやるという御意思があるかないか、この際もう一回明らかにしてもらいたいと思う。それで、地場産業との問題ですが、これは大体全国的に見て組織された労働者というのは比較的に少ないんです。同時に、賃金構成それ自体も、決して近代的であるとは言えない。ですから、そういうものが今日の地場産業の賃金基準になるとはどうしても考えられません。また、一つの問題は、林業全体の政策の中でこの賃金の問題というのはかなり大きな比重を持つことになりますから、この際は、日給制の賃金を月給制並みに上げていく。そして、民間の同種産業もこれに準ずるような方向が当初からの問題である労働力確保というこういう観点よりも相当重要な問題だと思います。  要するに、率でなく額で、しかも地場賃金に合わせるということでなくて、むしろそれを引き上げるような方向にいくべきじゃないか、こう思います。したがって、いま一通りの説明は聞きましたけれども、もう一回ひとつあらためて御意見を聞かしておいていただきたい。
  142. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 出された額というお話でございますが、調停段階におきましては、先ほど申し上げましたように、昨年出されました仲裁裁定の額を下回らない程度には出したいと、こういうことを三公社五現業の管理者は従業員に答えたいと思うがいかがでございますかということを政府に対して伺いを立ててまいりましたので、それはけっこうなことであると、こういうことを政府としては了承を与えましたので、三公社五現業の責任者はそれぞれ職員に対してそのような通達をいたして検討をいたしたはずでございます。その調停案がどういうものが出るかによりまして、林野庁のごとき公務員関係、いわゆる五現業でありますその管理者は、たぶん、政府に対して、こういう回答が出てまいりましたがいかがすべきやということの相談があると思います。初めから、政府は、昨年の仲裁裁定を下回らない程度にひとつ調停段階で検討したいということについて了承いたしておるのでありますから、調停段階における金額が出てまいれば、それに対して政府は当然了承を与えるものであると私は理解いたしております。  日給制の労務者につきましては、これはもう先ほど来しばしばお話のございましたように、雇用関係が一般の公務員としての月給制のものと違っておるのでありますからして、それについていま私がここでとかくのことを御返事する自由を持っておりません。したがって、ただいまお答えいたしました、林野庁長官のお答えもございますように、適当に今日の状況を判断して処理するものであると私は理解いたしております。
  143. 北村暢

    北村暢君 まだ日給制のほうは調停にも何にも入っていないわけですね。月給制のほうは、ほかの三公社五現業と同じように、調停が二十二、三日かに出る。なるべく調停で解決したいと。これはそのとおりでけっこうであります。それが出た以後において、まだ調停にも何にも入っていない日給制の者が自主交渉でもってきめようということなんですよ。それは最終的には調停に行くかもしれませんよ。しかし、日給制だけは全然いまの調停には入っていないわけなんですね。ですから、その趣旨を考えながらやるということは大臣せっかくおっしゃるのですから、きょうのこの貴重な何時間もかけてこの論議をやっているのですから、この国会の意思というもの、論議の経過というものを十分踏まえて、日給制の賃金についてそういうふうに私は大鹿の答弁を受け取りたいと思うのですけれどもね。それでいいでしょうな。
  144. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お互いにどうも専門家を相手にしてむずかしいことを言い合ってもしようがないのですが、いまのようなお話をなさる北村さんも、たぶんおなかの中ではたいていわかっていらっしゃることだろうと思うのですけれども、その辺のところは、いかがでしょうか、長官がさっきお答えいたしましたことで私は管理者に一任をしていただいたらと思うのでありますが。
  145. 森中守義

    森中守義君 きょうは、ほかに省内の各局長もお越しいただきながら、問題が林業という特殊な部門に集中して、たいへん御迷惑かけましたが、後日そのような問題あるいは林野行政全体についてお尋ねする機会もございましょうから、これで私の質問を終わりたいと思うのですが、最後に、林野庁長官のほうに、私が提出を求めるというのではなくて、後日提出するというお約束があった幾つかの資料、この点をひとつお願いをし、かたがた、幾つかの特殊な問題等も飛び出してまいりましたが、とかく風評が出ないように、なお一そうの自重自戒を大臣のほうに要望いたしまして、質問を終わります。
  146. 若林正武

    政府委員若林正武君) 資料につきましては、さっそく調製をいたしまして提出をいたします。
  147. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会      —————・—————