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1967-05-12 第55回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十二日(金曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員の異動  五月十二日     辞任         補欠選任      小平 芳平君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 大竹平八郎君                 温水 三郎君                 大橋 和孝君                 竹田 現照君                 二宮 文造君     委 員                 黒木 利克君                 佐藤 芳男君                 高橋文五郎君                 山本茂一郎君                 小野  明君                 岡  三郎君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 瓜生  清君                 岩間 正男君                 石本  茂君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    政府委員        防衛庁参事官   鈴木  昇君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸大臣官房会        計課長      山上 孝史君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省航空局長  澤  雄次君        気象庁長官    柴田 淑次君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        運輸省海運局参        事官       野村 一彦君        運輸省航空局監        理部長      手塚 良成君        会計検査院事務        総局第五局長   佐藤 三郎君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        今村 義夫君        日本国有鉄道理        事        仁杉  巖君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣  提出) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第五十一回国会内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十一回国会内閣提出) ○理事の補欠互選の件     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたします。  前回に引き続き、運輸省決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 竹田現照

    竹田現照君 きのうの私の質問を、きょう大臣から見解を統一してお答えをいただくことになっておるのですけれども、それを承りたい。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 滑走路の保安につきましては、その強度を公示いたしまして、就航する航空機の運航重量を規制いたしまするとともに、定期的及び必要に応じましては、随時点検等を行ないまして、その機能の保持をはかることにいたしております。千歳東滑走路補修の必要上、四月二十八日から五月八日までの間閉鎖いたしまして、その間、民間機西滑走路使用させることにいたしたのでございますが、短期の使用ならば就航いたしておりまする民間機運航重量等を考えますると、いずれもその強度に対しまして安全上支障のないものと考えられておった次第でございます。しかしながら、今後の西滑走路使用状況を勘案いたしまして、関係庁と協議をいたしまして、かさ上げその他の整備について早急に検討の上、善処することにいたしたいと存じます。
  5. 竹田現照

    竹田現照君 いまのお答えですけれども、それでは現行運航している飛行機許容限度というのはどういうことになるのですか、これから検討を加えるとおっしゃいますけれども。
  6. 手塚良成

    説明員手塚良成君) お手元に資料をお配りいたしたかと思いますが、「滑走路強度一覧表」という表がございまして、下から三段目に「千歳(A)(B)」とございます。これはA滑走路B滑走路ということでございまして、Aと申しますのは東側滑走路、Bというのは西側滑走路でございます。その最初の欄、Aのほうで、強度換算単車輪荷重)二十二・七トン、それから西側のBが十五トン、こういうふうに書いてございます。滑走路の長さが、Aのほうが二千七百四十、Bは二千七百、これの使用機材は、A滑走路のほうがB727、DC7C、それからBがバイカウント828、YS11、かようにここに書いてございます。なお、摘要に、飛行場所管といたしましては防衛庁所管、こういうことになっております。  そこで、なお少し書き足りないところもございますが、まずA滑走路のほうで、使用機材といたしましてB727、DC7Cと書いてございますが、DC8におきましては、国内線運航いたします場合の単車輪荷重は二十一・五トンでございますので、Aにつきましては、DC8も問題はないわけでございます。問題は、先般のクローズをいたしました間の問題でございまして、このA滑走路クローズをされました期間、先般御質問にもございましたが、DC8が何回使用したかという実績のお話もございましたので、ついでにお答えいたしますが、この四月二十八日から五月八日まで、先ほど大臣の御説明にもございましたが、この期間日本航空は東京札幌便といたしまして、DC8で五月六日に二往復、五月七日に一往復運航いたしております。これがこのB滑走路である西側滑走路使用いたしたわけでございまして、この際のDC8の単車輪荷重は、もちろん、先ほど申し上げました国内線通常の場合の二十一・五トンというものでは、この滑走路強度に適応いたしませんので、重量制限が行なわれております。当日飛びました型体は、百十六名のお客を乗せまして八十七トンという重量で飛んでおります。この際の単車輪荷重は十九トンということになっております。したがいまして、この表でごらんになりますと、十五トンよりはなお若干オーバーいたしておるわけでございます。実際問題といたしましては、この滑走路強度飛行機重量との関連の問題におきまして、これが常時の強度としてここに掲げてありますようなワク内にぴったりはまっておる姿で飛びますことが最も望ましいといいますか、そうあるべきであると思いますが、これは常時反復継続しております場合に、そういう姿を望むのでございまして、ただいま大臣からも御説明がございましたように、臨時便のごとく二、三回程度で飛びますような場合におきましては、若干のこういった常時きまっております強度をオーバーして飛びましても、直ちに滑走路に安全上の影響があるということにはならないわけでございます。したがいまして、この場合に、前申し上げたような姿で実際西滑走路使用いたしましたので、この使用の姿といいますのは直ちに事故に結びつくものではないとわれわれは考えております。しかし、冒頭に申し上げましたごとく、やはり臨時といえども、こういう重量制限をオーバーしないように飛びますのが最も望ましい、こう考えられますので、今後B滑走路使用状態を勘案いたしまして、ただいま大臣の御説明にございましたとおり、やはりこの滑走路に対する早急なる措置をとるべきではないかというふうに考える次第でございます。
  7. 竹田現照

    竹田現照君 きのう防衛庁お答えは、このB滑走路は四月の二十八日から九日間使用しているというお答えでしたね。きょういただいた資料では、これ十二日間になっておりますね。二十八日から五月八日までですから、十二日間になるわけですね。そうじゃないですか。二十八、二十九、三十、それに八日間ですから十一日間ですか、その点はどうなんですか。
  8. 鈴木昇

    政府委員鈴木昇君) 主滑走路クローズいたしましたのは、四月二十八日の夜から五月七日の八時まででございます。十日でございます。
  9. 竹田現照

    竹田現照君 いま監理部長からお答えがありましたのですけれども、許容が十五トンのところ十九トン、オーバーである。ですから、きのう私が言ったように、本来使うことが好ましくない滑走路に、五月の三日にすでに陥没事故が起きているにもかかわらず、なおかつ、許容量をオーバーしているDC8、こういうようなものを使用させて、いま私が質問しているからこういうことが明らかになっておりますけれども、ですから、どうもなかなかはっきりものをおっしゃいませんけれども、空港使用がどうも営業優先になっているような心配が私はするんですよ。特に千歳飛行場なんかは、これからちょうど観光シーズンでもありますから、ですから、そういう、日航なんというのは世界一きわめて安全性をとりながら飛んでいる航空会社だと言われておりながら、なおかつ、こういうようなことをやられ、しかも、陥没事故が起きているにもかかわらず、はるかにオーバーをするような飛行機を飛ばしているということは好ましくないということだけでは済まないのじゃないか。事故が起きてしまったら一体どういうことになるのですか。きのう大倉委員がおっしゃいましたように、人柱が立たないとそういう問題に対するきびしい制限というものはやられないのかどうか。ですから、おととし以来私が御質問しているのは、私はそういう事故が起きることを懸念をして言っているのですけれども、現実にはこういったことが明らかになってきているわけですから、今後は航空局として、民間航空に対してどういう行政措置をとられるのか、この点ひとつはっきりお答えをいただくことと、それから、きのう澤局長は、早急に運輸省防衛庁民間航空との間の委員会を発足をさせて安全運航を期すると、こうおっしゃっておったですけれども、それはいつからやられるのですか。これは毎日飛んでいるわけですから、あまり役所式に決裁でずっとやって一月後なんて言っておったのでは、これは話になりませんけれども、その点はどういうふうに進められるのか、お答えをいただきたい。
  10. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) 御指摘のように、727あるいはDC8は、このBランと申しますか、西側滑走路許容限度をこえておりますが、この重量限度は非常に、何と申しますか、ゆとりがあるものでございまして、この何トンというのは、これまではランウエーがこわれないという限度でございます。それをこえて何べんかこういきますとランウエーがこわれるおそれがある。ここに書いてございます許容限度というのは、一応無限回ということばを使っておりますが、無限回許容限度でございます。そこに若干のアローアンスがあるわけでございます。滑走路の長さのほうは、これはアローアンスが非常に少ないものでございますから、通常その飛行場飛行機を入れますときは、まず長さを考えて入れる。先ほど大臣及び手塚監理部長からお話し申し上げましたように、この西側滑走路補修期間が九日間であるというような事情も考えまして、特に禁止措置はとらなかったわけでございます。これは北海道に行っておりますのはほとんどが727、これが主力でございます。これをとめるということは非常に一般にもあれがございますし、絶対危険であるということであればとめますが、その辺は今後防衛庁とよく連絡をとって万全の措置をとってまいりたいと思います。  それから、もちろん、この滑走路補修で片方が閉鎖されますときには、すぐAIPで航空局で各航空会社に出しておりまして、その滑走路強度を各航空会社のほうは十分承知いたしておるわけでございます。それから現地連絡会議——たいへん申しわけなかったのですが、昨日調べましたら、懇談会という形で定期的に現地ではやっておりますのですが、これをもっと形式的といいますか、正式なものにいたすように、本日大臣の御命令で、さっそく現地管理事務所長に電話を入れたいと思っております。
  11. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃその点はわかりました。  重ねて大臣に最後にお伺いいたしますが、ちょうど一年ばかり前に、千歳ばかりじゃなくて、国内空港について、私がきのう以来質問をしているような御心配はないのかということで、ここ一、二年だいじょうぶですというお答え中村運輸大臣からございました。何回も繰り返しているようですけれども、事故が起きてからでは始まりませんから、国内空港でこういうような陥没事故なんというものが想定をされるようなことがさしむき起きないのかどうかですね、もう一度ここではっきりお答えをしていただいて、安心して飛行機が飛べるような状態にしておいていただきたいと思います。
  12. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 千歳空港におきまして滑走路の一部の陥没事故がありましたことは、まことに申しわけない次第であると存じております。運輸省といたしましては、各飛行場滑走路飛行場の生命でございまするので、この管理補修につきましては、常に最善の注意をいたしておる次第でございまして、毎日検査官が五回滑走路の全部を点検、検査をいたしまして、そして不安な個所については、常に事前に補修をいたしまして、そして万全を期するような措置を講じさしておる次第でございます。今後とも、関係官を督励いたし、事故の絶対にないように十分な注意をいたしてまいるつもりでございます。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 昨日、安全飛行のために、羽田空港整備の問題と、それから成田国際空港の問題について質問したわけですが、それについて、政務次官のほうから大臣のほうに連絡ございましたか。
  14. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 羽田B滑走路の問題が第一点、それから成田の問題が第二点でございますが、いずれも事務当局を通じて連絡を受けております。
  15. 岡三郎

    岡三郎君 いま澤さんから隣でお話を聞いたような状態だと思うんですが、時間的にいって、またそれも無理からぬことがあるかと思うんですけれども、われわれ自体がやはり羽田着陸の問題を考えたときに、南西風とか北東風、いわゆる海側から吹いてきたり反対側から強風が吹いてくるという場合に、いつでも海沿いのAラインとかCライン滑走路を使っておるということではこれはうまくないということは、これは過去かなり前から言われておったわけです。しかし、その後、国際空港新設問題等があって、こういう問題についてこれをどうするのかという関係が一応ペンディングのような形になってきたと思うんです。ところが、羽田空港は、成田空港ができた暁においては、これを国内線に専用させるというふうな形から、やや羽田空港に対しての意欲が少し薄らいできておるのじゃないかという関係が、非常にわれわれとしては心配なんです。積極的にやっぱり羽田空港が、ここ数年は国際線を受け入れて、国内線もますます大型になってくる。こういうふうな状況の中において、絶えずひやひやとした状態で離着陸が行なわれておるということ、特に最近騒音防止関係で、こういう公害問題と関連して騒音というものが非常に大きくなってきておる。そういうために、飛行制限というものがかなりきびしくなってきておるわけです。それから、われわれ議会が先般も川崎の上空を、特に石油コンビナート等上空というものを飛行機が旋回するということについては、非常に危険度があるというふうなことで、これの飛行制限というものもかなり強く運輸当局要請せざるを得ない状況がここにある。そういうことになるというと、羽田飛行場というものがかなり半身不随的に、何というか運航というものが制約されてきておる。その中で熟練したところの機長によって運航されておるということから、日航機長会等が、何とかしてすみやかにBの滑走路延長してもらいたい、二千五百メートルないし三千メートルに延長してもらいたい、これはDC8とか、あるいはボーイング727くらいの飛行機着陸できるような滑走路にしてもらいたい、こういう要望が出されたことについて、昨日、深航空局長のほうから、まあここのところ三年くらいでひとつ千五百メートルを二千メートルに延ばしたい、その後、スポット問題等があるので、問題はさらにそれから時間を延ばして、滑走路を二千五百メートルにしていきたいという話があったが、それでは実際言って、間に合わぬではないか。そういうことで急速に、この安全運航という面から見て、緊急に、これは羽田というものが日本最大空港ですから、そういう点で、成田国際空港のできるということの意味合いということを考えないで、すみやかにこれを着手する。着手するとは言っておったけれども、時間の経過が今後六年くらいかかるのじゃないかというふうなことが、時間的な説明があったわけです。これでは間に合わぬ、こういうふうにわれわれは考えておるので、すみやかにやってもらいたいという話をしたらば、四十三年に政府資金の投資が集中する、成田国際空港ないし大阪空港なりローカル飛行場に対する整備というものが集中するので、資金的に集約した工事をすることがむずかしいということと、スポットの問題との関連があったわけですが、しかし、それを聞いても、さらにわれわれとしては、急速に最重点として羽田B滑走路整備をすべきである、これを放置しておいて、事故があってからでは間に合わぬというふうなことで、専門的な立場で、日航機長会運輸省当局陳情要請書を出しておるというこの段階が、やはりひとつ踏み切って整備をするよき時期ではないかというふうに考えて申し上げたわけです。これについて、いまここですぐ大橋運輸大臣から、こうしますという返答をいただければけっこうですが、できない場合においても、急速にひとつ本格的に検討してやってもらいたい。  それから、東京湾における船舶の航行問題との関係も出てくるやに、きのう答弁があったわけです。そういうことをひっくるめて御回答願いたいと思います。
  16. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 航空界の諸問題につきまして、平素いろいろと御協力を賜わっておりますことは、まことに感謝にたえない次第でございますが、昨日並びにただいま、羽田空港整備の問題につきまして、御懇篤な御質問をいただきまして……。  御承知のとおり、羽田空港は、成田国際空港新設との関連におきまして、二つの大きな宿題を持っておるのでございます。第一は、スポットの増設の問題であり、第二は、B滑走路延長の問題でございます。これは運輸省といたしましては、ともに早期に実施しなければならぬ問題であると考えておるのでございます。B滑走路につきましては、すでにいろいろ設計上の研究を行なっておるところでございまして、東京湾の航路との関係上、二千五百メートル以上の延長はなかなか困難であるとは存じておりまするので、したがって、その限りにおきまして、何とか二千五百メートルに延長をいたしたいと思っておりまするし、また、スポットにつきましても、近くジャンボージェットの就航等を考えますると、これもまた早急に整備をいたしたいと思っておる次第でございます。  ところで、御承知のごとく、わが国の空港整備五カ年計画ないしは成田空港新設等関係上、四十三年度におきまして非常に空港整備経費が集中し、かさむということは、これは事実でございまするので、そうした観点から、この二つ計画を同時に完成せしめることは、資金繰りの上からいって困難であるという趣旨で、昨日まで事務当局からお答えを申し上げておったと思う次第でございます。このことは、私も今朝来事務当局を通じて詳しく説明を受けたのでございまするが、この工事の実施と経費支払いというものは、予算の経理の上から申しまして、いろいろな方法を考え得ることは御承知のとおりでございまして、ときとしては、その年度経費支払いの余力のない場合におきましては、あるいは予算外国庫負担契約等措置を通じまして、現実にいろいろな便法が講じられており、これが予算の原則から申しまして、はたして望ましいことかどうか、この点は私どもよく存じませんが、現実には、そういった方法によりまして、資金供給力資金需要との隔たりというものをいろいろくふういたしていることが今日までの実情だと思うのでございます。私は、これにつきまして、四十三年度並びに四十四年度空港整備予算の編成というものの上においては非常な困難があろうとは存じますが、この辺はやはり政治的な見地からも、十分事態を正しく認識して、正しく処理する必要があろうかと存じまするので、今後とも、十分大蔵当局連絡の上検討して、これらの重要な問題について、あやまちなき処理をいたし得るように努力をいたしたいと存じております。
  17. 岡三郎

    岡三郎君 いま運輸大臣から誠意のある答弁があったのですが、特にそんなことを言ってはなんですが、ときどき大臣がかわられて事態が少し薄められたり、強められたりする傾向がなきにしもあらずですので、ひとつ大橋大臣のときに、いま言ったような事態について、運輸省のひとつ懸案の中における緊急課題として、やはりこれはここ二、三年においてすみやかに処理すべき問題である。昨日はとにかく、とりあえず二千メートルまではやるということで航空当局は言われたわけですが二千メートル先の二千五百メートルまでいかなければ、二千メートルでは意味がない、実際言って。大型着陸にはちょっと不自由する。ですから、やはり画龍点睛という意味を含めて、二千五百メートルへの延長ということをひとつ緊急課題として早急に……。これは今後、大臣、しつこくこれから聞きますから、目的を達成するまでは。そうしないというと、最大なる羽田の玄関というものは絶えずおびやかされているということではたまらぬということです。これは大臣も御同感だと思います。これはほかの予算関係もございますが、いま言ったようなことで、緊急重要事項としてひとつ処理していただけるようでございまするので、この問題はきょうはこれであとへ問題を持ち越します。  そこで今度、この問題を少し方向を変えて時間をちょっともらいたいと思うのですが、それは選挙中にアメリカ原子力商船が横浜に寄港するというふうな問題があって、そうして、これについてわれわれも、しばしば、どういうふうにこれを受け取るのか、特に私、運輸委員として、国際港といわれているところに一般商船と並行して原子力商船が来る、しかし、将来ますます原子力商船というものはふえてくるのではないか、こういうふうなことを考えたときに、一般商船でさえも事故が非常に多い。港湾の中に原子力商船が来るということによって、その危険というものは、一体どういうふうに考えているのか。こういうふうなことから、いろいろと意見を聞かれたわけですが、その後、政府アメリカ要請に対して断わられたということについて、お聞きしたわけですが、この間におけるひとつ経緯をまず第一にお聞かせ願いたいと思うのです。
  18. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まず第一に、羽田B滑走路の問題につきまして、今後いろいろな機会に当局を鞭撻するからさよう心得ろという、まことに御親切なおことばを賜わりまして感謝を申し上げます。  御承知のとおり、政府部内にもいろいろな部局がございまして、ことに予算の獲得の問題につきましては、大蔵省に対しまして、運輸省といたしましてもなかなか強力とは言えない立場にございまするので、国民を代表して有力な御声援をいただきますことは、まことにありがたいことと存じます。  次に、原子力商船の問題の経緯でございますが、運輸省に関しまする限り、正確に記憶いたしておりませんが、たしか二月ごろであったと存じます。アメリカ大使が運輸省においでになりまして、ただいま米国が運航いたしておりまする原子力商船は非常に不経済であるので、これを長く運航させることは、政府としても補助金の関係上むずかしい、そこで大体七月ごろまでで運航を打ち切ることにしたいが、最後の航海の途上において極東に運航される機会に、神戸または横浜という日本の港に寄港したいので、これを認めてもらいたいということを、アメリカ大使から、運輸省に来て御依頼がございました。いろいろ検討をいたしました結果、運輸省だけで処理することは困難な問題でございまするので、この問題を外務省並びに原子力委員会に移牒いたしますると同時に、アメリカの大使館に対しましては、日本の当該の官庁に対して正式な手続をもって御相談くださるようにという趣旨で一応回答をいたしたような次第でございまして、運輸省に関する限り、ただいま申し上げた程度の接触があったような次第でございます。その後は、内閣の原子力委員会並びに外務省におかれまして御検討を続けられたと思うのでございまして、これに対しては、アメリカ政府当局から正式の依頼状も来ておったと思いますが、それらを検討されました結果、現在の日本の、原子力船に基づいて生じまする諸般の損害につきまして、損害賠償の基本となるべき基本的な法規ができておらぬという理由で、もしも損害のあった場合に、その損害の処理に難渋するからということで断わられたものと心得ます。
  19. 岡三郎

    岡三郎君 私は、その損害という問題と同時に、安全性といいますか、そういう問題が非常に強く言われてきておると思うのです。それで、時間がありませんので端的に伺いますが、その後、原子力商船に対する取り扱いということで、原子力商船の寄港する母港という問題が論議されて、その中に横浜の磯子という名前が出ていたことを記憶するわけです。そういうふうないわゆる港の指定という問題についての検討運輸省でなされておるのか。あるいは外務省なり原子力委員会なりと相談するということになっておりますが、これは一つの港の指定ですから、運輸省という形になっておるのかどうか、この点についてただしたいと思うのです。
  20. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 横浜の磯子の一部を埋め立てまして、そうして、そこに日本の保有いたしまする原子力商船の母港をつくりたいという話は、これは原子力委員会においてただいま検討をお進め中の事柄だと存じております。もちろん、これにつきましては、港の利用の問題でございまするので、運輸省といたしましても、決定に至るまでの適当な段階で検討をいたすことになっておるわけでございます。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 あまりよく私のほうが聞き取れなかったのかもしれませんが、最終的に港の決定というようなことはどこでするのですか。
  22. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 原子力商船の母港でございましても、これはやはり港湾の一部でございまするので、そういう意味で、港湾法を所管いたしておりまする運輸省所管に相なることと存じます。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、いまその検討をどの程度までされておるのか、その経過をちょっと伺いたいと思うのです。つまり、港湾局なら港湾局として、原子力商船の寄港する母港というものに対して、どのような経過でいま検討されておるのか、その内容をひとつお伺いいたします。
  24. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいまのところでは、原子力委員会におきまして、港湾の一部を原子力商船の母港にするという問題についての諸般の準備を進めておられる段階でございまして、まだ正式に港湾当局者がこれをどうするというところまで進んでおるわけではございません。しかし、事実上、港湾局といたしましては、非公式にこの原子力委員会から連絡を受けまして、この磯子の地区の一部に原子力委員会としては母港をつくりたい、そういう趣旨で地元と相談を始めるのだという話だけはもちろん了承をいたしております。
  25. 岡三郎

    岡三郎君 聞くところによるというと、まあ磯子を含めて二十カ所というふうな話が出ておるわけですが、こういう検討をまだなされておらぬわけですか。
  26. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 正式にはまだその検討はいたしておりません、運輸省といたしましては。
  27. 岡三郎

    岡三郎君 だから、正式にということはどういう内容か。やはり民間商船ですからね、ただ原子力を使っておるということが一つの大きな問題点になってきておるわけですが、実質的に原子力委員会が港の選定をある程度進めて、ここが適地であるというふうな形の中で、ある一つの具体的な案を提出されてから運輸省検討するということになるのですか。そこのところが、非公式と公式ということがどうもはっきりしないのです。一体公式段階というのは、いつごろどういう経過でそういう問題が持ち込まれてくるのか。やはり主管省としての運輸省として、その点が明確になっておらぬと、どうも心もとないという感じがするわけですが……。
  28. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私の申し上げようが不完全でございましたかもしれませんが、申し上げたいことは、特にどの港ということで運輸省としてこれを母港に認めるかどうかという検討をする段階には、まだ話が取り運んでおらないのでございまして、現在の段階では、原子力委員会自体が、さてどこを母港にしようかといって、いろいろ原子力委員会において決定の準備のために諸般の調査を進めておる、こういうことでございます。ただ、先ほど私が申し上げましたのは、こういうふうな準備中である、特に横浜の磯子にしようという話もあるんだということを非公式に私ども聞いておると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  29. 岡三郎

    岡三郎君 われわれのほうから意見をまじえて言えば、やはり港の関係としての主管省の運輸省が主導的な立場に立って、原子力委員会なら原子力委員会と協議するという形でいかないと、港に対する整備とか、そういうふうな問題についての責任というものは運輸省にあるわけですね。ですから、原子力委員会は港に関してはしろうとではないかと思うんです。ただ、沿岸人家に五百メートルとかなんとか言って、まあいろいろと説明があったようですが、われわれのほうからするというと、運輸省自体として、やはり積極的に、この問題がすでに爼上にのぼっておるとするならば、やはり連絡を十分とられることは必要であるし、原子力委員会のいろいろ資料というものを求めることも必要であるが、運輸省自体としてこれをどういうふうにするのかという主体的な立場の確立というか、いわゆる主要なる方針、基本方針というものを立てることになっておらぬのかどうか。向こうのほうから、いま調査検討しているやつをやがてもらって、あと私のほうでこういたしますということだけに尽きるのか、その点どうなっているんですか。
  30. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは私も、いま事務当局が参っておりませんので、詳しいことは存じておりませんが、原子力委員会のお考えといたしましては、公共港湾の一部を借り受けて、そうして、それを使用しようというような考え方ではなく、原子力委員会の所持する特定の港湾、いわゆる工業港的な運営でもって港をつくりたいと、こういうことではないかと存ずるのでございます。ただしかし、それが磯子というようなことになりますと、公共港でありまする横浜港ないしは東京湾というような見地から申しまして、運輸省といたしましても、多大の関心を持っておるばかりでなく、責任を持っておるわけでございまするので、その点からいって、終局的にはやはり運輸省として了承を与えるということにならなければならない事柄だと思うのでございますが、ただいまの段階では、まだどこにしようかということについてきまっておらず、きまった上で、ここを原子力の母港にしたいからという話になるわけでございますが、そこまでいっておらない段階で、いろいろあちらこちらの港を物色いたしておるというのが、原子力委員会のただいまの仕事の段階ではないかと思います。もちろん、こうした段階におきましても、運輸省の港湾局はこういった問題について専門的な知識を持っておりまするので、そういう意味で、非公式にいろいろ事前に相談を受けましたり、あるいは助言を求められたりはいたしておりまするが、これは公式の手続とは直接に関係はないことでございまして、そこで先ほど私は、非公式に知らせば受けておるだろう、こうまあ申し上げたような次第でございます。
  31. 岡三郎

    岡三郎君 どうも説明がはっきりしないんですが、まあはっきりしないなりにわかってきたんですが、要するに、原子力商船に関する限りは、原子力委員会が主体になっていま検討している、しかし、港のいわゆる管理者は運輸省であるから、やがてそれがある程度はっきりしたら運輸省にそういう話があるだろうというふうな、いま答弁を受け取ったんですが、しかし、私は、きまってからじゃ困るという意見なんです。つまり、いまの原則として、商業港の一部を使うのではなくして、独自の立場でそういうふうな港の設定をして、そうして、それをつくっていくのだというふうな形であるならば、一体その地域はどこなんだということになるわけです。ところが、具体的に話を進めていくというと、磯子の港をこれからどういうふうに埋め立て地につくるかということになると、少なくとも、これは磯子というのは御存じのように、東京湾の中にありますから、そうするというと、東京湾自体の内部においてそういう母港をつくるということ自体、非常な関心があるわけです。これは商船が絶えず出入しておりまするから、特別な港という形になったとしても、それはやはり商港の一部であるというふうにわれわれは見るわけです。だから、原則から言うてそれははずれるというふうなことをわれわれは考えざるを得ないのであります。全然いま使われている商業港でない独自の立場において、大島なり八丈島へ持っていってつくるというならば、これはまた別の考え方が出てくるけれども、船舶がふくそうしているところの港へ持ってきて原子力船の母港をつくるということ自体が——どういう基準でつくられるかということになるというと、独特のケースでこれはつくられるというような話にもなっているようですけれども、そういう点で、私は、きまってから運輸省がそれを受けてどうするかということではおそい。やはり運輸省が積極的に、港湾管理者としていまの商業港全体の中における一つの位置といいますか、磯子は少なくとも埋め立て地にいろいろと埠頭が出てきておりますが、あすこはほとんどガソリンタンクが林立している場所です。そうするというと、原子力商船なら商船にしても、何か事故が起こった場合においては、その及ぼす影響というのは非常な私たちは大きな問題があると思う。もうあすこは日石の製油所が御存じのようにできているし、そのほか、かなり各種の工場が将来いろいろと規模を大にして設備を整えていくというふうな状況にあるのですから、そういう点では、原子力商船の母港としては不適当ではないかというふうにも考えるわけです。ところが、原子力委員会のほうとしては、磯子は適当であるというふうなことで、それで、そちらのほうがどんどん作業を進めて、結論として運輸省はそれを受け取って、磯子につくるのだということでは、これは主客転倒じゃないかというふうな気がするわけですがね。きまってからということは、ちょっとやめてもらいたいのだが。
  32. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まことにごもっともな御意見だと存ずるのでございますが、ただここでひとつ考えなければなりません点は、申すまでもなく、原子力商船と申しますのは、本来商船として利用するという形のものでございまするので、一般商港に商船として出入しても何ら特別の危険は一般的にはないのだということが前提になるべきものではないかと思うわけなのでございます。ただ問題は、原子力商船の母港ということになるわけでございますが、母港ということになりますと、ときどき原子力の動力の燃料を入れかえるとか、そういったことを一年に一回とか二回とかやられる、そういうために特別にそこへは入ってくるというのだろうと思うのですが、それよりももっとひんぱんに一般商港に出入するということ、しかし、それも特別に危険はないんだと、こういうことが前提となっておる船だと思いまするので、そこで、私どもといたしましては、特別にこの問題についていまああだこうだというふうにいたすところまでいっておらないわけなのでございます。ただしかし、この原子力の商船の母港ということは、危険の有無という問題より、いろいろ地元の人心に及ぼす影響が大きいものでございますから、そういった点も今後の取り扱いについては、十分考慮に入れなければならぬとは考えております。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 いま大橋運輸大臣が言ったことについて、どうも納得できないけれども、安全だということだったらば、どこでもいいわけですよ。しかし、危険だから損害の問題について具体的な取りきめがなされておらぬから困る、それはやっぱり核燃料を動力にしているわけですから、大きな事故とか、衝突事故とか、大破するとかいうようなことが、これから次第に、原子力商船がいまの程度ならいいですけれども、どんどんと増加するというふうなことになってくるならば、そうは言っておられぬと思うのです。そうなれば、やはり港の周辺の安全性とともに、原子力商船の通過する、港に入ってくるところの航路の問題とか、そういうふうな問題については、一般商船と錯綜せないような一つの配慮というものがなされなければ非常に私は危険だと思うのです。横浜港内部においても、しばしば海難事故というものがあるわけですね。そういうふうなことで、先般、タンカーがイギリスの海岸のところで難波を起こしたと、そういうふうなことから非常な大きな問題になっている。まあ、めったにあり得ないことであるけれども、一たん事故が起こったら、これはたいへんなことになってくる。これは油の問題ですから、まだやりようがあるとしても、まして原子力の場合は、ずっとこれが残ってきますね。そうなるというと、母港という形になって、これからどんどんと竣工してくるところの原子力商船が絶えずそこへ出入するということになれば、航路という問題が非常な大きな問題に私はなってくるんじゃないかと思うのです。外洋を回っているならまだいいですよ。外洋の場合において事故があったとしても、それは別問題として、人口稠密地帯に船が錯綜してくる。そこへ何も好きこのんで原子力商船の母港をつくるということは、ちょっと常識からはずれているんじゃないかという考え方があるわけです。それは一般的な商船としてこれを使用するわけですからいいにしても、やはり燃料自体違うわけです。だから、その点について私の言わんとするところは、ひとつ原子力委員会がいろいろなことをやられておると言っても、港の責任といいますか、港湾の管理者としての運輸省が、やっぱりそういう諸条件というものをにらまえて、主体的に、港の設置という問題については必要があるということで進められるならば、主導的にやはりやっていってもらわなければ私は困ると思うのです。原子力商船なるがゆえに、原子力委員会で港の設置をどこにするのかというふうなことでは、やはり問題は解決しないんじゃないか。いま具体的に磯子の例をとってみるというと、磯子というところはタンカーが絶えず出入しておるところです。大きな船が、タンカーだけではないわけです。そういうふうなものと衝突事故が起こったときにどういうふうになるかということが、まず頭の中に浮かんでくるわけです。ですから、この点については、原子力委員会にまかせるのでなくて、運輸省当局として責任を持ってそういうふうな港の問題を主体的に処理してもらいたいというのが私の考え方なんです。
  34. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御趣旨よくわかりました。御承知のごとく、原子力商船の母港でございましても、最終的には港湾審議会にかけまして、港湾計画の一部として運輸省が責任を持って決定すべき事柄でございまするので、今後はいま少し事務当局を督励いたしまして、十分に運輸省が主導性を持ってこの問題に当面するようにいたしたいと思っております。特に東京湾につきましては、そうでなくても運輸省として非常に重大な関心を持っておりますので今後一そうそういう考え方で進ませていただきたいと存じます。
  35. 岡三郎

    岡三郎君 特に横浜の地元としてはこれは重大なる関心を持っているわけです。ひとつ運輸省のほうとしても、特に東京湾の中に原子力商船の母港をつくるということは、ちょっとこれは異質の問題であるのじゃないかという気がまだ強いわけです。  まあ、それはそれといたしまして、ちょうど科学技術庁の村田原子力局長が来ておりますのでお尋ねいたしまするが、原子力委員会として、いま言った原子力商船の母港というものをどういうふうにあなた方のほうで考えて取り扱っておられるか。
  36. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) じゃあ速記を起こして。
  38. 村田浩

    政府委員(村田浩君) ただいま原子力船に関しまして原子力委員会としてどういう立場でこれに臨んでおるかという御質問と思いますが、その前に、原子力第一船のわが国における開発計画につきましては、御案内のとおり、日本原子力船開発事業団というものを設けまして、これに責任を持たして進めてきておるわけでございますが、この事業団の監督官庁、主管官庁は総理大臣の掌を受けます科学技術庁と、それから運輸省と、両省庁の監督のもとにあるわけであります。そこで、原子力委員会立場は、この日本原子力船開発事業団のほうから、ただいまいろいろ御指摘ございましたこの第一船の母港——サービスサイトと申しておりますが、この母港を含めまして原子力船それ自体の設計、構造、機器等の設備、これらの安全性につきまして許可申請が総理大臣あてなされました際に、総理大臣の諮問を受けて原子力委員会が独自の立場でその安全性検討審議し、許可すべきかいなかを答申する、こういう法律上の仕組みに相なっておるわけであります。ただいまの状況はどうなっておるかと申しますと、日本原子力船開発事業団のほうから原子力船それ自体の設計、構造等につきましての資料提出いたしまして、船の機構上の安全性等の審査を申請してまいっておられまして、去る四月の三日から原子力委員会の原子炉安全専門審査会、特別の審査会がございますが、そこで専門家の検討を受けておる段階でございます。この検討はまだ途中でございまして、この検討が終わりますると、その結果を原子力委員会に答申し、原子力委員会はその答申内容をさらにチェックいたしまして総理大臣へ答申する、こういう手順に相なるわけであります。この原子炉安全専門審査会の中には、原子力自身の専門家はもとよりでございますが、船でございますので、船舶関係の専門の方も含めて御審議いただいておるという状況でございます。  そこで、ただいま問題の母港でございますが、御指摘のとおり、船ができまして燃料取りかえ、あるいは、その他いわゆる修理等を行ないます場合に、この母港といわれるところにつながれるわけでございますが、ここにつながれまして船がおります際の安全性につきましては、同じくこの原子力委員会の安全専門審査会で安全性検討を慎重にしていただくわけでございます。しかしながら、現段階におきましては、まだこの母港がどこに定まるということは、事業団のほうから申請が出ておりません。私ども承知しますところでは、いろいろとこの候補地を検討された結果、ただいまのところ、横浜地区に候補地をしぼられた、そうして地元ともいろいろ折衝をしようとしておられる、こういうふうに了解しておるわけでありますが、もちろん、地元のいろいろ御了解を得た上のことでございますけれども、そこで、母港をここにしたいということに事業団としてきまりますと、そのことを、安全性につきましての追加申請という形で申請してまいります。その申請を受けまして、原子力委員会の安全専門審査会が、安全上その場所が適切であるかどうか、適当であるかどうかということを慎重に審議されて、その結果を、先ほど申しましたとおり、原子力委員会に答申してまいる、こういう段取りに相なるわけでございますが、現段階はまだそこまで至っておらないというのが状況でございます。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 よくわかりました。  そうするというと、事業団が母港というものについていま主体的に取り組んでいるわけですね。そうして、それを何といいましたかな、安全専門審査会で検討してその答申を原子力委員会に出す、そうすると、いまのところは、母港としての検討は、いわゆる東京湾内における磯子の場所であるということで、ほかはありませんか。
  40. 村田浩

    政府委員(村田浩君) 事業団のほうでこの横浜地区にしぼってまいりますまでには、全国、現地調査も含めて、約二十カ所程度検討されたと承知しておりますが、母港としましては、安全上の問題はもちろんでございますけれども、それ以外にも、この母港としての機能を果たす意味からいろいろと満たすべき要件がございますし、さらに、この原子力船というものはかなり水深の深い船でございますので、その場所の水深の状況とか、あるいは海上気象上の状況とか、付近に適当な技術的能力を備えたたとえば造船所というようなものがあって補修に便利であるかどうかといった、いろいろなそういったような要件をあわせ検討した結果、私どもの承知しますところでは、ただいま横浜地区にしぼって考えていきたい、こういう状況であるわけであります。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 大体経過はよくわかりました。したがって、この原子力商船の母港という問題については、単に事業団だけではなくして、将来、これがもしも設定されるとするならば、諸外国の原子力商船もやはりこういうところへ寄港するという形にならざるを得ないのではないかと思うのですが、これは運輸省としてどう考えておりますか。
  42. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいま原子力局長からお話ございましたように、現在の段階では、原子力事業団のやっております原子力商船についての母港ということでお考えのようでございます。  で、将来の問題につきましては、実は、外国の商船が入ってまいります場合には、御承知のとおり、炉規制法その他のいろいろの条件がございまして、そういうことで考えていくことでございますので、ここがすぐそのまま外国の商船に利用されることになるかどうかということは、まだこの際、はっきり申し上げられる段階ではないじゃないかと、こういうように考えております。
  43. 岡三郎

    岡三郎君 何かそこら辺も明確を欠いていると思うのですがね。いわゆる事業団の原子力商船ということで、いま適地を求めている。しかし、当然、将来やはり安全性とかいろいろな問題を含めた場合において、どれだけの規模になるかはいまわれわれは承知しておりませんが、やがては、ここが原子力商船の一つの大きな港になってしまうのではないかというふうな想像がなされるわけです。ですから、そういうふうな面で考えていった場合に、まあ磯子の地域においては、石川島播磨というような大きな造船所がありまするし、いろいろと問題点をうんと含んでいると思うのですが、いずれにいたしましても、ひとつ運輸省のほうが主体になってこの問題と取り組むようにいま大橋運輸大臣から言われたわけですが、原子力委員会運輸省の共管のような形でいろいろ検討されていくというふうに考えますが、この点について、非常に関心を持つところのこういう点について、やはり、きまってから運輸省がこれをどうするのかということでは私は困る。そういう点を先ほど運輸大臣に言ったわけですが、この点について、ひとつ十分なる、緊密なる連繋をとってやってもらいたい。原則的に言うと、東京湾に設置することについては反対です。特に商船が錯綜して、それでなくても非常に事故が起こり、滞船だとか、そういうような関係で、非常にいまの港湾自体としても能力的に飽和状態になっている。そういうふうなところに、新しく磯子のような埋め立てのところには大きなタンカー船がどんどん入ってこなければいかぬじゃないかという点で、非常に安全性の問題からいっても、これは問題にならぬじゃないか。従来、原子力委員会の言うところの安全性、要するに、原子力の軍艦が来るとか来ないとかという問題に対する安全性に関する検討ですね、そういうものと比較にならない。横須賀よりももっと横浜の港というものは商船が錯綜しております。こういう点についても十分検討をしていただきたいというふうに申し上げて、この問題は終わります。  時間をとってすみませんが、もう一つ、話は変わりますが、最近における気象庁に対して、行政管理庁のほうから、当たらない予報では困るじゃないか、もっと当たるようにせい、というような勧告が出されたわけですが、この勧告をめぐって気象庁の見解をひとつお伺いしたい。ああいうものが不満であるかどうか。
  44. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 最近、行政管理庁から文書をいただきまして、予報が当たらないということについて、いろいろ勧告なり御意見をちょうだいしたわけでございます。で、その行政管理庁からの文書に対しましては、現在、大急ぎで検討している最中でございまして、その文書の中で、すぐに実施できる、もっともだと思われることはさっそく実施したいと思いますし、また、若干時間がかかるものもあるようでございますので、そういうものはできるだけ早く実施して、一日も早く少しでも予報の精度を向上させたいというように考えている次第でございます。
  45. 岡三郎

    岡三郎君 どうもいまの柴田さんの答弁を聞いているというと、あれじゃ当たりそうもないなというような気がするのですがね。何か迫力がないな。私は何も「生懸命にやっておらぬとは言っていないのだが、問題は、いま言ったような勧告の内容として、いますぐやれる問題と、それから、なお時間を要する問題とがある、こう言われたのですね。それをもうちょっと具体的に、簡明に言ってもらえぬですか。こういうふうになれば当たるのだ、いま当たらない原因、逆に言うと、当たらないのにはこういうわけがあるから当たらないのだと、ピンぼけした気象官ばかりいるわけではないと思うので、その点、もうちょっと具体的に言ってもらえないですか。
  46. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 先ほどはだいぶん抽象的に申し上げまして申しわけございません。御指摘によりまして、もう少し具体的に申しますと、現在、天気予報が当たらないという原因を申し上げなければならないと思います。その予報の当たらない原因の一番大きな要素は、何と申しましても予報の技術の点でございまして、これは日本のみが技術が悪いのでは決してございません。現在の気象学というものがこの程度までしかいっていないということが大部分の原因でございます。そのほかにも、これはもう申し上げるまでもございませんけれども、諸施設、人員の整備というものが十分でないということにも原因するのでございます。諸施設、人員と申しましても、施設の面におきましては、主として外国の資料の入手という点でございまして、気象というものは、御承知のように空気が相手でございますので、日本だけのものではございません。日本の気象を左右するのはもっと東のほうの、大きく言えばヨーロッパまでの資料の迅速かつ正確な入手ということが最大の要素になっております。そういう意味におきまして、世界的にもっと早く資料を入手する必要があるのでございます。現在は大体北半球全部の資料を取っておりますが、それを入手するまでには約六時間を要するという現状でございまして、これは世界的の問題になってまいるかと思います。その点につきましても、各国と協力いたしまして、できるだけ早く資料の入手ができるように取りはからうつもりでございます。
  47. 岡三郎

    岡三郎君 気象上における資料の入手について一番支障を来たしているのはどういう点ですか。たとえば、東のほうへいくとヨーロッパまでと言いましたが、ヨーロッパのほうには気象協定があるわけでしょう。問題はやはり中国の気象条件がうまく取れにくいということなんですか、どういうことですか、もうちょっと具体的に言ってください。
  48. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 先ほどヨーロッパと申しましたのは確かにヨーロッパでございまして、御指摘の、中国の資料につきましては現在大体うまく入っております。最もネックになるところはインドでございまして、インドの資料の入手がおくれるということが現在われわれの一番困っているところでございます。中国はいま申しましたように大体うまく入っております。
  49. 岡三郎

    岡三郎君 インドの資料の入手のむずかしいということはどういうわけですか、どこに原因があるのですか。
  50. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 実はインドはああいう広い国でございまして、通信網があまり完全ではない。たとえば二千キロくらいの遠いところを電線でつないでいる。ああいう国でございますので、電線が、災害などによってひんぱんにこわれるということでございます。
  51. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると当分当たらないということなんですか。たとえば町で言っているのは、最近は遠足シーズンですね、きのうは珍しく当たったと、こう言っていましたよ。午後になって晴れてくるというので、朝行くか行かないかというところでだいぶ学校なんかで考えていますよ。このごろ天気予報は当たらない、当たらないけれども午後晴れというから行ってみようというので、きのうは晴れて珍しく当たったという、これは皮肉だかおほめのことばだか知らないけれども、私はたまたま運輸委員だが、一体このごろ何をやっているんだ、こう言うわけです。それでこのごろ漁師が外に漁に行く場合においても、春先というのは突風があるんですね。そういうふうないろいろな気象条件というものを考えてくると、徳川時代に返って経験の上に立った予報のほうが当たるということをまた言い出しておるのであります。最近ちょっとテレビ等を見ておって聞いたところによると、東条ウエザーというのですか、あの責任者に言わせるというと、当てようとしないのだ、責任を持っていないのだというふうなことで、もうちょっと何というか、天候というのは人間の生活には欠くことのできないものである。設備の不足とかそういうものについては積極的に政府に対して言うべきじゃないか。気象に伴っていま一番言われておるのは生命の問題なんです。気象と生命、気象と生活というのはこれはもう重大な関係にあるし、これがこういうことでは困る。ところが、いまお聞きすると、インドがうまく入らないということで、これはネールさんに聞いてみなければわからないが、インドの資料の入手が不十分であるということだけですか、もっとはかにありませんか。前によく気象観測船のことが言われておりましたが、気象観測船は思うような調達ができたのですか、もう少しこうやれば当たるのだということを、気象学的にみて無理だと言われておるのですが、やはり積極的に半分くらいは当たらないと困るのじゃないかと思います。
  52. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 施設の面につきましては、御指摘のようにインドだけでは決してございません。私が申しましたのは、インドもその一つの大きな原因であるということでございます。御指摘のような観測船、つまり太洋の中の観測船の不足ということも確かに観測網の不足ということになるわけでございます。このことにつきましては、従来からも先生方が御指摘になっておるとおり、われわれのほうもそのつもりで計画を立てておる次第でございます。  なお、予報の的中率が最近悪いというその原因でございますけれども、これは先ほど申しましたとおりでありまして、繰り返すことになりますので省略させていただきますが、ともかく技術屋のわれわれといたしまして最も進めなければならないことは、やはり気象学というものをもう少し進歩させなければならない。現在学問的に限界にきている、つまり限界ぎりぎりまでの仕事をしているというのは確かでございまして、そして先ほどおっしゃいましたように、東條さんのことはどうかしりませんけれども、いいかげんに天気予報をやっているということは決してございません。これは私は大きなことを言うようでございますが、この機会にはっきりと先生方に申し上げておきたい。一生懸命に職員は自分の仕事に取り組んでいるということをこの席上ではっきりと申し上げておきたいと思います。
  53. 岡三郎

    岡三郎君 それはわかっておるのだし、いまひとつこういうものを契機にして、気象庁を鞭撻するというか、もう少し何とかしようじゃないかという気分を逆に盛り立てていかなければならない。こういうのは生活に密接に結びついておりますから、気象学の問題はここでやり取りする時間はございませんが、そうするというと、各大学の気象学の先生は眠っておるということですかどうですか。これも施設の不備なのか、そこらをもう少し突っ込んで、かくすればもう少し進歩するのだとか、いま柴田さんの言われたように、気象学的に言うといま限界だ、みんな一生懸命やっているけれども、いまの状態はなまけても何にもしているわけじゃない、限界にぶつかっているんだというふうに聞いたんですがね。その点どうしたらいいと思うんですかね。少し専門的な知識を具体的にここで言ってもらいたいと思う。
  54. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 大学の先生方も一生懸命研究されているということは確かだと思いますけれども、何ぶんわかりやすく申しますと、相手が空気でございまして、いろんな要素によって変化をするものでございます。ただ一つの原因で空気状態が変化するというものでは決してございません。あまりにも変化する要素が多過ぎるんでございまして、その多過ぎる要素をどういうように組み合わせすれば将来の空気状態の変化がつかめるかということが非常に複雑なのでございます。したがいまして、学問的にそれを現在の程度までしか現在はつかんでないということでございます。これを進歩さすためには、やはり学問的に研究をもっと十分にするということにほとんど尽きてしまうわけでございます。研究を十分にするためにはいろんな施設も必要でございましょうし、またそれに伴う若干の人員も必要になってくるということでございます。気象庁におきましても、先生御承知のように、気象研究所というものがございまして、あそこで現業業務を離れましてもっぱら気象学の進歩に対する研究をやっております。そういうような状態でございますので、現在のところ、はなはだ申しわけございませんけれども、この程度でございますが、将来は、今後はそういうような考えられるすべてのことにつきまして、できるだけ人員、予算をちょうだいするようになお一そう努力をいたしまして、皆さんの御期待に沿うようにやっていきたいと考えております。
  55. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連して。長官の話を聞いているというと、どうも頼りないんだな。あなたの言わんとするところは、われわれはこういう場を与えたんですから、あなたがいまきちっと言うべきことは言わなくちゃいかぬと思うんです。というのは、機材が足りない、あるいは施設が足りない、人員が足りない、これ予算をつけろと、そうすればわれわれは最大の努力を払って必ず的確に当てて見せると、それをよこせと、こういうふうに出なさいよ。そうでなけりゃね、限界が来てますの何のかんのと言ったって、国民は信頼しませんよ。だから、観測船が足りなければ観測船をつけろと、人員をよこしなさいと、そうすればわれわれも大いに成果を発揮して当てて見せますというくらいのたんかを切りなさいよ。それじゃね、あまり良心的な、学者さんの良心的な答弁であって、せっかく国会の席に出て答弁しても、あなたの効果が出てこないんだな。これじゃ予算をひとつとって気象庁にあげましょう、こういう気魄にならぬですよ。この際に予算をとって足らざるものは補わせるのだという答弁を引き出すように、あなたやんなくちゃだめだ、そうしなさい。
  56. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) たいへん御激励をいただきましてありがとうございました。予算、人員につきましては、ここ数年来だいぶ整備さしていただくことができました。非常にありがたく思っております。たとえば通信網につきましても、従来からのトン・ツー式がもう来年、再来年あたりで、全国で全部テレタイプ式になります。これによりまして迅速に気象資料の交換ができますので——これは国内の話ですが——できますので、たいへん予報精度の向上について役立つと思います。で、将来は気象庁として計画を立てておりまして、少なくも五年計画は持っておりまして、その五年計画に、必要な施設から順位をつけまして、できるだけ大蔵省のほうにお願いして整備させていただきたいと思います。決して遠慮して整備を控えているというようなつもりは私は決してございません。なお、今後とも一そう御激励のほどをお願いする次第でございます。
  57. 岡三郎

    岡三郎君 いま柴谷さんが言ったことと同感で、まあ空気を相手だから、つかみどころがないと言ってしまえばこれは終わりだと思う。生活上において欠くことのできないものだ。で、軍事的に言うてかなり気象というものも非常に重要な関係があると思うのですが、そういう点については、米軍のほうの気象関係とか、あるいは諸外国、特に北のほうでは、いわゆるソヴィエトとか、あるいは北鮮とか、韓国とか、そういう四辺の状況の通信のそういう連絡は円滑にいっているのですか。
  58. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) それに対しましてはもう申し分ございません。中国は先ほど申しましたとおりでございます。それから北鮮も同様でございます。したがって、現在資料の入手がないという国は一カ国もないわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、北半球全部を集めるのに六時間ほどかかるということを、もう少しできるだけ早くしたいというように考えているのでございます。
  59. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、その六時間というのはこれは天気予報にはたいへんな時間のロスだと思うのですが、それをやるためには経費的な面が中心ですか。つまり、すみやかに気象の資料を入手するために、国際電話なり、あるいはその他いろいろとやられているかもわかりませんが、そういう点についての経費がネックになっていますか。六時間をたとえば二時間に短縮するのにはどういうことをすればいいのです。
  60. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 外国とデータの交換は現在どうやっているかと申しますと、東京は御承知のように、日本の全国の気象データを東京の無線局から全世界に放送しております。それと同じように、ソ連はハバロフスクに放送局がございまして、ハバロフスクからソ連のデータを全世界に放送しております。それを東京で受信するわけでございます。そういうように、各国、国際規約できまっておりますので、各国の放送を東京で受信しまして、そのデータを収集しているわけでございます。しかし、何ぶん放送でございますので、空気状態が悪かったり、いろいろな原因で受信が不十分だということがございますので、これはどうしても海底ケーブル線を使いまして、ケーブルによって収集しなければならないということは気象庁も計画しております。幸い、本年度予算には、ホノルルと東京の間の海底ケーブル線の借用料をちょうだいいたしましたので、日本アメリカの間の資料の交換は、非常にハイスピードな通信によって交換できることになりました。なお、本年だと思いますが、本年はグアム島と、豪州のケアンズというところがございます、そこの間に海底ケーブル線が新設されるということになっておるようでございますので、さっそく来年度はその海底ケーブル線を使うつもりでございます。なお、ソ連との間の関係につきましては、日本海の海底ケーブル線が、これは時期は忘れましたが、来年か再来年でございます、に完成するということでございますので、それが完成でさましたら日本海の海底ケーブル線を使いまして、モスコーまで陸上線で持っていく。つまり、そういたしますと、豪州からアメリカからソ連まで全部、ケーブル線でつながりますので、もっと早く資料が交換できる。要するに、ケーブル線ができる時期ということにかかわっているのでございます。
  61. 岡三郎

    岡三郎君 大体まあ、だんだんわかってきたというようなことで、そういうことを初めから言ってもらいたいんですよ。ですから、まあ資料の収集にかなり予算がついてこなければいかぬし、それに伴うところの人員といいますか、働く人々が必要だということもわかるわけです。ひとつその点について、気象庁のほうから、いま五カ年計画があると言っておりましたが、もうちょっとこれをスピードアップしていくようにわれわれも協力したいと思うので、ひとつそういうふうな点について、ネックはどういうふうになっているか。それに伴って改善するには、こういうふうな計画を進めている。いま、ここのところをこういうふうにやったら、さらに情報というものがある程度確かなものになってくるという点。それからもう一つは、やはり長期予報という問題についても、これは産業に及ぼす影響が非常に重要ですから、そういうふうな点で、ひとつ気象庁の充実の問題についても、われわれも真剣に取り組んでいかなければならぬし、これはもう日本の農業自体についても最大関係があるわけです。そういう点について、ひとつ資料をまとめて至急に出してもらいたい。やはりこれはもう、夏がくれば来年度予算の方向へ取りかかっていくわけで、そういう点で四十三年においては、新しい一つの角度をもってひとつ、気象庁の充実という面についてわれわれも努力したいと思いますので、そういう点の資料提出をお願いしたいと思います。一応、これで区切っておきます。
  62. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 五カ年計画その他の先生のお話につきましては、さっそく資料をまとめまして提出さしていただきたいと思います。  それからまた、来年度予算につきましては、目下来年度予算の要求編成中でございますので、それにつきましても、できましたらさっそく差し上げたいと思います。なお、今後ともひとつ気象庁に対しましてよろしくお骨折り願います。
  63. 岡三郎

    岡三郎君 それから行政管理庁の勧告ですよ、あれに対してやはり気象庁としてまとめているわけでしょう。それをすみやかにひとつ出してほしい。言われっ放しじゃ、これは何ともならぬから。これに対する気象庁の見解といいますかね、そういうものをひとつ具体的に書いたものを至急お出し願いたいと思います。
  64. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 目下、先ほど申しましたように検討中でございまして、その検討を早急に済ませまして、さっそく提出いたしたいと思います。時期につきましては、ちょっといま、何月何日ということは申し上げられないのが残念でございます。
  65. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 委員の異動について報告いたします。  本日、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。     —————————————
  66. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) この際、理事の補欠互選についておはかりいたします。  委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に二宮文造君を指名いたします。     —————————————
  68. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 柴谷君。
  69. 柴谷要

    ○柴谷要君 ごく簡潔に五問だけ、自動車局長質問したい。くどくどしい答弁は要らぬから、簡単明瞭にひとつ願いたい。  その一つは、個人免許を一体全国で何台しているか。そのうち東京で何台か。これをまず第一に。
  70. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 四十一年末の個人タクシーの全国の車両数は一万三百六十二両でございまして、そのうち特別区でございます東京都につきましては、五千百七十三人でございます。
  71. 柴谷要

    ○柴谷要君 将来、個人免許の問題については、どう運輸省としては考えておられるのか。
  72. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーにつきましては、運転者に希望を与える、それからタクシー界に新風を与える、こういうふうな理由で、三十四年から逐次増加してまいったわけでございますが、個人タクシーの性格上、一人一車制でございまして、その勤務時間がわりあい最初に働き出しますのがおそうございますのと、それから家に帰りますのもわりあいに早く帰るというようなことで、早朝なりさらに深夜の点で個人タクシーの勤務がわりあい少ないというような面から、そういう面は法人タクシーで全面的にカバーするというようなことになりますので、法人タクシーと個人タクシーとは十分その間の均衡をはかりつつ、今後とも増加してまいりたいと考えております。
  73. 柴谷要

    ○柴谷要君 最近、業界新聞で見た内容なんですけれども、個人タクシーが事故を起こした場合に、賠償能力がない。問題が非常に多く最近は出ている。こういうことが書かれておったのをちょっと見たのですが、この問題について運輸省はどう見られているか。また、事故の結果はどういうような状態になっているか。それについて答弁願いたい。
  74. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーは、経営者と運転手とが同一であるというような事情で、事故の賠償能力の点については、相当、個人タクシーの発足のときから一応問題がございましたのですが、それで、われわれといたしましては、個人タクシーが組織化されまして、そういう組織化がされたところでお互いに共済的な制度を設けていくというようなことで、賠償能力を強化していく。あるいはまた、現在強制保険は百五十万でございますが、最近の賠償額も非常に上がっておりますし、そういう面から、強制保険額にプラスしまして、任意保険というものをできるだけつける。東京陸運局管内では、免許の際には任意保険をつけるという条件までつけまして、賠償能力を補うという措置を講じてまいったわけでございますが、最近、個人タクシーの増加に伴いましてそういう事故も若干ふえてまいりましたし、最近には、京浜の踏切で、個人タクシーが乗客を乗せてなくなった。その場合の賠償ができなかったというようなことで問題になっているわけでございますが、今後とも先ほど申し上げましたように任意保険を相当大幅につけるというふうな面で指導してまいりたいと考えております。
  75. 柴谷要

    ○柴谷要君 東京に個人タクシーが五千百七十三台ある、こういうことですけれども、代務者を指定して許可を取っておる台数は何台ぐらいあるのですか。  それから、まとめてひとつ質問するから。その代務者を指定した。それから、代務者の指定をしたのは、本人が実は運行に耐えない、病気であるとか、あるいはまた勤務に耐えないのだということで代行者を指定をした。ところがその指定した代行者が免許を受けた人間から譲渡を受けようと、こういうことになって、そうして陸運局に申請をして、これが代務者が今度は免許者になった。こういう事例があるはずです。その際に、大体売買されておる相場は百三十万から百八十万、平均すると百五十万でつまり売買をされておる。この事実は私は数回知っておる。これを運輸省はそういう内容を知っておって代務者として指定をし、そしてその代務者にその免許を許しておるのか。  それから、免許を、新たに個人として有資格者が免許申請をしておるけれども、二年も三年もかかっても免許が下がっておらない。こういう事例等あるのだが、これは片手落ちじゃないか、こう考えられるのだけれども、この点はどうか。  それから、特に最近代行者を指定しなければならぬというような状態の体の悪い人がたくさんいる、免許をもらった人の中に。そういうのに健康の状態も調査もしないで免許をおろしておるのか。この点をひとつ運輸省から聞きたい。
  76. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーの代務運転者の問題でございますが、御承知のとおり個人タクシーはある一定の年齢以上であり、また運転経歴も非常に長いし、それから事故歴も非常に少ないというふうな人に限って免許いたしておるわけでございまするから、それにかわって代務する場合につきましては、その個人タクシーの免許を受けました人が長い間病気にかかって運転できないというふうなことで生活にも支障をきたすというふうな場合には、やはりどうしても代務運転者を認めなければならないというふうな事情でございますので、そういうふうな代務運転者につきましては、個人タクシーの免許を受けられる条件に該当するようなりっぱな運転手でなければ代務運転手に指定しない、こういうふうな考え方で臨んでおるようなわけでございますが、代務運転者の数につきましては、くるくると変わるものでございますので、それを完全に把握することはできませんので、数についてはちょっといまのところは持ち合わせがありませんけれども、そういうふうな方針でもって、そう簡単には代務運転手を認めるというふうな考えは持っておりません。  それから、個人タクシーの免許が非常におくれているじゃないかというふうなお話でございますけれども、特に東京陸運局の管内でその問題がございまして、それは三十九年のオリンピックの開催のときに非常に大ぜいの人たちが個人タクシーの免許を申請いたしまして、そのオリンピック対策としては必要な数についての増車はいたしたのでございますが、その際残ったような人たちの数が数千人ございまして、それを東京陸運局管内におきます法人、個人を合わせて需給状態をにらみ合わせつつ、その収入状態なり実車率等を勘案して逐次増加するというふうなことが、陸運局長の諮問機関でございます自動車運送協議会というのがございまして、そこの答申からも、そういうふうな需給状態を勘案しつつ増加していくというふうな御答申もございますので、そういう線に沿って逐次増加しているような次第でございます。
  77. 柴谷要

    ○柴谷要君 実は代務者が指定をされて、そうしてどうしても免許者が病気で耐えられない、病気のために仕事に耐えられない。代行者に譲りたい、こういうことで代務者が陸運局に申請をする。その場合に個人タクシー協会の担当者がいるわけです。そういう場合にその担当者のところに持ち込むわけです。その担当者が一応テストというか、調査をして、これはよろしいということで陸運局のほうに申請をする。ところが、その陸運局でそれは不適格だということで却下をされる。そうすると、今度はその免許者が権利をもう他に譲ろうとしても譲ることができなくなる。権利がなくなっちゃう、免許がなくなっちゃう。こういう事例が取り行なわれておるということを聞いておるのだが、それは事実かどうか、この点を聞きたい。
  78. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーにつきまして全国的な組織あるいは地区別の協会のようなものがございまして、そこで個人タクシーの人たちが非常に年をとって、老齢に達したというふうな場合に、その協会があっせんして譲渡のあっせんを行なうというようなことはやっているやに聞いておりますけれども、その協会みずからが価額を統制するとかいうふうな行き過ぎたことをやっておるかどうかということについては、われわれは全然聞いておりませんし、役所の立場自身といたしましてはそこまでいくべきものではないと、こういうふうに考えておるものでございます。
  79. 柴谷要

    ○柴谷要君 局長、誤解されて答弁を……。私の言うのは、個人タクシーの協会の担当者がこの人は適格者であると、だからというので陸運局に申請をした。ところが陸運局ではこれはだめだと言って却下してしまった。一回却下されますと、免許者は今度は他の人に権利を譲ろうとしても譲れない。そこで効力が失効する。こういうことを聞いておるのだが、これは事実かどうかと、こういう点なんです。
  80. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) そういうことはございません。
  81. 柴谷要

    ○柴谷要君 ない……。それならば一人の代務者ができた。本人はもうどうしても郷里へ帰ってしまって、東京から引き揚げていくんだ、だから代務者に譲っていくんだと、こういうことで約束ができたので陸運局に申請をした。これを却下されたので、それで今度は違う人が申請をした、その人に許可がおりた。こういうことになったらその人の権利というものは移っていくというふうに解釈して間違いないね。これは局長、陸運局でやっておることとあなたの言うことと全く違いがなければいいけれども、違いがあったらたいへんなことですから。
  82. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 質問の御趣旨をもう一ぺん伺いたいと思いますが、代務者が個人タクシーの免許を持っておる者から譲り受けをしたいというふうな申請をしたところが、その代務者の譲り受けの事案について却下された、そして新たに他の人が、代務者でない人が当該譲り渡し人に相当する人から譲り受けをしたいというふうな場合に、それが譲り受けの許可が与えられたというふうな場合でございますか。
  83. 柴谷要

    ○柴谷要君 その二回目に申請をしてもそれは譲り受けができないと、こういうんです。陸運局はそれは許さないというんです。一ぺん代務者が申請をして不適格だといって却下されますと、その免許者は譲ることができない。権利が失効してしまうというんです。権利失効しているというんです。いいですか。ですから個人タクシーの協会の扱う人がそういうふうな指導をしておるから、だから出す場合には最も適格者でなければだめだということで厳選をしておると、こういうことです。そういうことがだから陸運局としてきまっておるかどうかということをあなたに伺いたい。
  84. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 代務者をきめる場合には、先ほど来申し上げましたように、個人タクシーの免許資格を十分に持っておるような者でなければ代務者として認めないということになっておりますし、代務者に個人タクシーの免許を譲り渡そうとする場合におきましては、すでにその車についてもよく乗っておりますし、それから譲り渡し人との関係も信頼関係が非常に厚いというふうな関係で代務者に譲り渡す場合については、比較的簡単に許可が与えられるものと従来から考えております。したがいまして、代務者で譲渡、譲り渡しのことが認められないというような場合は、非常に譲り受け人のほうで、譲渡人の現在の車庫とかそういうようなものを全面的に変えるというふうな、事業計画を全面的に変えて譲り受けを受けようというふうな場合には、やはり譲り受け人の事業計画等について十分審査する必要がございますし、特に車庫等の問題につきましては、その当該車庫等が車両制限令で許されない場所に車庫をつくる場合には、これも認められないというようなことでございまして、譲り渡し人と同一の事業計画でやる場合には、代務者に対する譲り渡しというものはわりあいに簡単にまいると考えております。
  85. 柴谷要

    ○柴谷要君 それでは二つ一ぺんに聞きますから……。代務者が指定をされた。で、この人は十分に資格があるということで陸運局は認めたのだから、譲渡の場合にはこの人には譲渡はさせられる、こういう見解でございますね。それはわかりました。  それならば、今度は、業界紙にも載っておったのですが、法人が、個人タクシーが権利を放棄したい、あるいは譲渡したい、譲りたい、こういった場合には、法人にもそれを買い受けるだけの資格を与えてほしい、こういう要請をいま陸運局にしておる、こういう業界紙が出ておるのでございます。これに対する見解はどうですか。法人がつまり個人の買収にかかる。これに対して運輸省としては、法人には与えるか与えないか。これをひとつはっきりしてもらいたい。
  86. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーの免許は、先ほど申し上げましたように、長年運転を経験してきたそういう運転者に対して希望を与える、あるいはタクシー業界に新風を与える、こういうような設立趣旨でございますので、法人にそういうような免許を与えることについては認めることはできない、かような方針でございます。
  87. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、航路の行政、とりわけ離島航路行政について若干質問をしておきたいのでありますが、それは、いまの離島航路では、相当整備をしなければならない問題点がたくさんあると思います。たとえば船が老朽化しておる、おそい、あるいは料金が高い、時間が非常に長くかかる、こういういろいろな問題があります。また企業によっては赤字で運航ができないというような状態があるのであります。  で、いま運輸省としてこの離島航路のこういう欠陥、隘路というものに対して、どういう整備計画というか、再建計画というのをお持ちであるのか、まず御説明を願いたいと思います。
  88. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 離島航路につきましてのわれわれとしての基本的な考え方と申しますか、そういうものは、離島と本土との交通を確保するということは民生の安定上非常に重要なことでございますので、最後までこれを維持していく、そういう観点からやっておる。したがいまして、なかなか採算が合わぬ場合が非常に多いわけでありますが、そういう採算が合わないで業者がやめていくということになっては確保することはできませんので、そういうものは赤字があればそれを補てんしてやっていくといういわゆる補助金の政策をやっていくことがまず第一点でございます。  それからさらに、従来から離島航路は非常に老朽船が多うございまして、これでは非常に危険でもございますし、それを代替建造して、そして漸次合理化して近代化していくということがどうしても必要なことでございますので、その面からの代替建造いわゆる近代化ということに力を注いでおります。そのために融資を、財政融資を行なっております。そして法律的には利子補給もできる体制にはなっておりますが、まだ利子補給というところまではまだ発動いたしておりません。それからいままでの離島航路というのは、非常に老朽船である上に非常に小型船である。小型船であること自体に非常にこれも危険が多いことでございますので、これをできるだけ大型化していくという考え方をして、同じような融資ということでもってそれをバックアップしておるわけでございます。  それからもう一つは、離島航路事業者というのは非常に零細企業の場合が多うございます。これでは非常に企業基盤自体も弱いということでございまして、これではまあ使命達成にいろいろな問題がございますので、これも同じ航路に、同じ島に幾つかの業者がせり合ってやっていくような場合、できるだけこれはひとつ一本になって、集約と申しますか統合と申しますか、そういうことで強い業者になってもらうということ、そういうことで指導いたしております。その裏づけといたしましては、先ほどの代替建造の融資などのときの融資比率を少し変えるとか、あるいは補助金の場合、補助金をやる場合、そういう集約そのものについては少し手厚くやるというそういう裏づけでもって行政指導をやっているような次第でございます。
  89. 達田龍彦

    達田龍彦君 その場合に、運賃の場合について何か施策がありますか、運賃。
  90. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 離島航路の場合、ほかに代替する交通機関がございませんので、どうしても島民としてはこれにたよらざるを得ない、そういう観点から、運賃が非常に高くなるということは非常に好ましくないことでございますので、われわれとしてはできるだけ低位に押えるという方針でやっております。しかし、あまりむちゃくちゃに安くするというのもまあ問題がございますので、やはり他の航路運賃と勘案しながらできるだけ押えていきたい、こういう考えを持ってやっております。
  91. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで具体的な内容に入りますけれどもね、確かにいま補助金制度がとられていますね。それでこの補助金制度のたてまえというのですか、これは企業補助のたてまえに立つのですか、それとも航路補助のたてまえに立っているのか。それから、それはどういう具体的な基準、あるいは割合というか、そういうものになされておるのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  92. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 企業補助か航路補助かというお話でございますが、これは航路補助というたてまえをとっております。  それじゃあどういうような基準でもって補助をいたしておるかということでございますが、これは欠損が出たときだけに補助をするということでありまして、それで欠損額を、基準欠損額というものをある一定の基準に基づきまして、いままでのまあデータによりまして、大体この船にはどれぐらいお客さんがいままで乗っているか、それから船価とか船員費とかそういうものがございますから、そういうものから見まして基準になる欠損額が算定できる見通しが立つわけであります。それを算定いたしまして、もう一方実際に出た欠損の実績でございますね、それと両方出してみるわけです。そしてどちらか少ないほうの七五%を補助すると、こういうやり方をやっております。特に集約をした場合は、先ほどちょっと申しましたように、この七五%を八〇%まで補助をすると、こういうふうにやっております。
  93. 達田龍彦

    達田龍彦君 それでですね、これは地方公共団体とりわけ県の補助制度というものは制度化されているのですか。地方の負担能力によってその残った部分を負担し得る状態にあるのか、あるいは制度として国が補助した場合においては、地方公共団体も幾らかの割合で補助をしなきゃならぬという制度になっておるのか、そこら辺どうですか。
  94. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) ただいま申しましたように七五%は国の補助をいたしますが、残りの二五%は地方の都道府県ないしは市町村がやることになっておりますが、ところがまあ市町村財政、いま苦しい場合もございますので、その場合、国、まあ自治省所管でございますけれども、交付金という形で流しておるということになっておりますので、大体そのように行なわれておるというふうに聞いております。
  95. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで今度は、あとで集約的に聞きますけれども、企業の経営形態ですね。これ、私は離島の問題というのは一般の観光航路だとか、あるいは商業航路とは違ってまさに住民の生活に直結した、言うなれば国道的な存在の幹線航路があるわけです。たとえば私の長崎県なんかは壱岐、対馬というところはすでに壱岐に四万、対馬に七万という島民が住んでいるわけですね。五島の場合もしかりです。しかもその時間たるや壱岐の場合については博多から出て約六時間、七時間という長い時間かかるわけです。そういう状態のところは私はまさにこれは国道であるという認識に立たなければならない性格を持っておると思うんであります。そういう場合について私どもの考えとしては、できれば国営あるいは公共有化された船舶をつくって、企業主体も国ないしは公共団体が企業経営に当たるという仕組みをしない限り、いわゆる営利を追求する企業であってみればどうしても採算を重点的に取り上げるから、結果として高い料金あるいは不便な航路をしなきゃならぬという結果が出てくるわけであります。そういう意味で、今日経営形態の問題として全部民営ということになっておるのか、あるいはいま申し上げたように幹線的な離島航路に対しては、ないし公共有化された経営形態というのがあるのかないのか、そういう点をお伺いしておきたいと思います。
  96. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) いまのところ国が直営しておるという離島航路はございません。それで、たとえば公共企業体ですね、たとえば国鉄がある幾つかの航路をやっております。それから道路公団が、いま先生おっしゃいましたように、これはもう道路と同じじゃないかという意味から、たとえばみさきからみさきへ両方から出ておって、もうあと少しのところをつなげば、それがまあ一本の道路になるわけですが、そういうところを道路公団が道路と同じようにやっておる。道路とみなしてやっておるという形の航路がございます。
  97. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、実はこれは運賃の問題とも関連があるわけですけれども、私はいまの補助金制度というのが、いわゆる航路の赤字が出た場合について一定の基準によって補助をすると、まあそういう補助のしかたも一面いいと思いますけれども、離島の国道的な幹線的な性格を持っている航路については、今日いろいろ調べてまいりますと、陸地のバス料金あるいは国鉄料金よりも非常に高いものを運賃として支払って船に乗っておるという現状にあるのです。私は、考え方の原則としては、こういう国道ないしは幹線的な航路に対しては陸地のバス料金ないしは国鉄料金と同等のものを運賃として認めていくことが性格上正しいんじゃないかと思うんであります。そういう意味では離島の諸君は、そういう意味で非常に不便というのか、犠牲を受けているわけでありますね。それで補助のあり方を運賃も含めて、バス料金ないしは国鉄料金に見合うような体制に持っていくという、これは全体でありません、いま申し上げたように幹線的な離島の航路に対して私はしていくべきではないかという意見を持っておるわけであります。これは一方、いまの補助体制からいえば一歩前進させなければなりません。そういう面について、これは企業経営の面もありますけれども、経営主体をできれば国ないしは公団あるいは公社というものが持っていくという体制もあると思いますけれども、そういう問題と含めて、こういう離島、僻地にある島民の生活の安定、福祉の向上のためにも、そういう形を一歩進めてとるべきではないかと思いますが、こういう点について運輸省当局はどうお考えになっておるか。それから将来これに対する対策が講じてあるのかどうかお伺いしておきたいと思います。
  98. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 離島航路の運賃が高いんじゃないかというまず最初の問題でございますが、これはいま補助をやっております航路についてだけ調べてみますと、平均運賃が一キロ当たり三円七十二銭という料金になります。これをバス、これはまあ離島のバスも含めてでございますけれども、キロ当たり平均運賃はどれくらいかと見ますと、五円ないし六円というのが普通でございます。そうしますとバスに比べては相当安いようになっているわけです、いま補助をやっておる航路につきましては。ところが一般の船同士で比較いたしてみましても、一般の航路の平均運賃はキロ当たり七円四十九銭、これは先ほどのバスの五円ないし六円というのよりも少し高うございますが、この一般の航路に比較してこの離島というものは特に低く押さえるようにやっておりますので三円七十二銭というふうになっておると思うんです。で、陸上の国鉄運賃は、いま賃率は三円六十五銭で、この補助対象の航路につきまして三円七十二銭といったような、国鉄の賃率と似たような賃率になっておりますので、離島航路について特に運賃が高いということはないんじゃないかと、こう思うわけです。
  99. 達田龍彦

    達田龍彦君 それは補助対象の航路はそうかもしれませんよ。ところが、たとえば壱岐航路を見てごらんなさい。これはバス料金よりもうんと高いですよ。これは補助対象航路にはなってないと思うのですよ。それから五島の長崎−福江間のほう、これだって言うなればドル箱の航路ですよ。これなどは補助する必要はないわけでしょう。ところが、これはそのバス料金からしますとうんと高いものになっていますよ。そういうのがいけないのだと言っているわけです。だからそういう面をどう改善していくかということは、幹線道路であり、いま申し上げたように本来陸地であれば国道をひくべきところでありませんか。そういうところに対して、離島であるがゆえに高い料金を払って本土と行き来をしなければならぬというのは、これは間違っておるのじゃないか。そういう原則に従って国の態勢をとっていくことが正しいのではないか、こう私は言うのですよ。そういう点について、どうお考えかということをただしているのですよ。
  100. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 幹線道路と幹線航路という場合に、どういうものを幹線航路というか、いろいろ考え方もございましょうけれども、いわゆるほんとの国道一号線に当たるような航路につきましては、先生のおっしゃるような、国が直接やったらいいじゃないか、で、非常に安くやったらいいじゃないか、これも一つの考え方で、非常にわれわれも同感の考え方でございます。ところがなかなか、いろいろ既存の航路がありますし、どの辺で切るか、幹線航路というものをどういうふうに切るか、これは程度問題がございまして、いろいろの切り方もございますし、これはなかなかやりだすと非常にむずかしい切り方の問題だとかいろいろございます。しかし、考え方としては私は一つの考え方だと思います。  で、先ほど申しましたような道路公団というものがやる航路というものが少しづつふえつつあります。これもいま先生のおっしゃるような考え方にいったんじゃないかと思うのですね。相当長い航路、いま先生のおっしゃるように壱岐航路というようなものになりますと、いろいろ予算問題等ございまして、早急に実現は困難かと思います。それで先ほどのそういう壱岐航路などは非常に高いではないかとお話がございますが、これはバス等に比較しまして船一ぱいつくるのに非常に金がかかるわけです。投下資本が非常にかかるということと、何といいますか、運航の稼働率と申しますか、そういうものがバスのように非常に回転、同じような回転でなかなかやりにくいという点もございますし、いろいろな面でコストそのものが高くならざるを得ぬ面がございまして、航路によりまして高いものもあるかと思いますが、われわれといたしましては、そういう幹線についてはできるだけ運賃値上げは押えていきたい、こういうように考えてやっております。国が将来そういうものを全部やる意思はないかということになりますと、運輸省だけの判断ではなかなか申し上げにくいものもございますが、私自身は、非常に重要な航路、そういうものは、そういう考え方というものは成り立つんじゃないか、こういうふうに考えております。
  101. 達田龍彦

    達田龍彦君 たとえば長崎県の場合だってたくさん離島航路ありますよ。しかし、バスで行けるところの航路に対して、離島間を結ぶために走っている航路に補助されている場合があるのですよ。これは私は一面では公共性があるという意味で補助していくことも妥当かもしれません。ところが現実そういう制度の中から矛盾が出てきているのです。これはよくあなたのほうでも検討いただきたいと思うのですがね。たとえば長崎県のいま申し上げたような対馬航路、壱岐航路、福江航路というのはまさにドル箱航路ですよ。ここでもうけたやつを他の損しているところに企業としては金を回しているきらいがあるわけですよ。しかし、現実に壱岐−対馬航路、あるいは壱岐−長崎航路、福岡航路というのはまさに船以外に行く方法がないわけでしょう。そういうところにはドル箱的な航路であるがゆえに収益率からいえば非常に高い収益をあげているわけですよ、補助してませんよ、現実に。そしてそこの料金が高いというのですよ。いいですか、いまあなたが指摘されたように補助したところは安いんですよ。補助されてないところは高い。しかし、ドル箱航路であるがゆえに収益性がその企業としては高いのですよ。そこら辺をよく検討してごらんなさい、そういう矛盾が出てくるのです、航路補助の中では。特に長崎県の二つの航路の中では出てきております。で、船に乗ってみても六時間も七時間も乗せられている、そしてその取り扱いだって非常に問題のある取り扱いがあるのですよ、島民に言わせれば。この壱岐−対馬航路というのは人間よりも動物を大切にするんだ、こう言うのです。なぜだとこう聞くと、いつでも定員以上に乗っておりますよ、ほとんどが。それだけ人が多いわけですから定員以上に乗って、ほとんどの人たちは、二等に乗っちゃった人は甲板に出る。雨に打たれ風にさらされているという状態。ところが、牛だとか豚が一緒に乗ってますよ、これは全部倉庫の中へ入っちゃうわけで、これは一体人間よりも動物を大切にしているじゃないかと、こう島民は言うのです。なぜそういうことするんだと聞くと、これには保証金がかかっているからしようがありませんと、こう言うのですよ。こういう状態が航路行政の中で行なわれているのですよ。ですから、いまの航路補助の制度というのは、いま言ったように、企業全体から考えてみれば、もうけているところに対して、集中的に、私は本来は料金を下げるだとか、あるいはサービスを向上するだとかいうふうに持っていくべきです。そうじゃなくて、そこでもうけたもので他でもうけないものと相殺をして会社全体の企業運用をはかっているという実態が出てくるのです。赤字を出したところに対してはあなたたちは航路補助をやるでしょう、ですからその航路補助によって、一つの航路では補助をもらいながら一つでは多くもうけているという状態が企業経営の中では出てくると思います。こういう点に、私は今日の航路補助の立て方に問題が出てくると思います。これは今後ひとつ十分検討していただきたいと思います。  それから、将来、私はこの問題について、私自身ももう少し検討し研究をしていきたいと思いますが、この方向は、将来としては、こういう壱岐−対馬航路等の問題については、幹線航路であり、船以外で行く方法がないわけですから、そういうところに対しては、明らかに私は国鉄料金ないしはバス料金並みの運賃体制というものを、国の強い行政指導の中でしくべきが私は正しいと思います。そういう方向についても、ひとつ十分この補助金の体制と含めて、さらに船舶補助の体制と含めて総合的に検討していただきたい、こう思っております。  それから船の定員の問題ですが、この定員はどういうきめ方をしていますか。
  102. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 定員の算定をいたしましてこれをきめるのは私のほうの船舶局のほうでございますので……、定員のきめ方の基準になりますのはスペースですね、面積幾ら当たりに幾らというふうな基準できめておるはずでございます。
  103. 達田龍彦

    達田龍彦君 専門家じゃないわけですね、おたくは。
  104. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) はい。
  105. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、これは専門家じゃないのでお尋ねしてもわからないと思いますが、船に乗っている人たちの話によりますと、定員というのは荷物を全部持っているわけですから荷物の置き場がないのです。これはほとんどの航路がそうです。だもんだから、荷物の置き場がないから、自分が立っていて荷物を置いているという二等船客が多いのですね。一体荷物置き場も定員のスペースに入っているのかということが非常に島民の中で言われている。それから等級のきめ方、一等、二等のきめ方、これはどういうふうにきめますか。
  106. 野村一彦

    説明員(野村一彦君) 等級のきめ方でございますが、これは運輸省として別に一定の基準を設けて指導しておるわけではございませんが、基本的考え方としては、ピラミッドと申しますか上級の等級を少なくして下級の等級を多くするという方針でございますが、具体的には当該事業者が計算をしまして、そして一定の設備によりまして差をつけて申請してきますが、それを検討して認めておるということでございます。  それからスペースの問題でございますが、これは私も専門家でございませんのでよく知りませんけれども、私の理解しておりますところでは、大体すわる幅を基準として定員を出しております、船舶検査官が。その場合に、壱岐−対馬航路等のように長い航路になりますと、あるいは寝られる方がある、そうしますと、それだけはみ出す方が出てくるということで、その辺の基準の取り方もこれは検討しなければならぬと思います。
  107. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、あなたのほうでそういうものをきめる場合に、荷物の置き場所の問題を考えておりますか。  それからもう一つは、一等、二等、三等とあるとするならば、一等はどれだけのスペース、それから二等はどれだけのスペース、こういう基準があって一、二等をきめておりますか。
  108. 野村一彦

    説明員(野村一彦君) 一等、二等、三等についての、三等の等級についての具体的な基準というものはございません。それは向こうの大体造船計画が出てきます段階においていろいろ話はあると思いますけれども、運輸省として別に法定の基準というものはございません。それから荷物置き場も、これも何といいますか、法律上の義務として設けておるわけではございません。
  109. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、これはあなたのほうで将来検討して、私は強い行政指導なり法律的な制度をつくってもらわなきゃならぬと思うのですけれども、そういう一等、二等のスペースのきめ方がきめてないために、ある船によっては二等よりも一等のスペースが多いという船があるのですよ。これは実質的な島民にとれば運賃値上げですよ。二等に行きたくても二等が満員だから、やむを得ないから一等のほうに行っちゃうということになれば、企業のほうではそれだけ利益をあげているのです。これが幹線航路にあるのです。いま言ったように、こういうように離島の人たちは道路的存在ですよ、離島航路というのは。それでもって二等と一等とどちらが多いかと言ったら、一等が多いような船が今日運航されている。私は名前を言えというなら、ここでは言いませんけれども、あとで言いますけれども、運航されている。これはいまあなたが指摘されたように、行政上の私は大きな欠陥があるのですよ、ここに。きめるにあたって、船はつくったが、一等、二等のスペースのきめ方がきめてないためにこういうことが出てくるのです。これは行政上明確な行政指導をしない限り、将来運賃をずっと押えていくという立場に立ったとき、そういう船が出てきますよ。ですから、この点については、いまみたいに野放しの状態ではいけません。まして幹線のそういう道路的な存在の航路についてはより強力な行政指導なり、あるいは法の裏づけをもってこれをきめていかない限り、こういう形態は必ず出てまいると思いますから、十分ひとつ検討いただきたいと思います。  それから定員の問題についても、いま申し上げたように、一人のスペースの取り方について、これはもう少し検討してもらわないと、現実に乗っている状態というのは、船員さんに聞いてみると、事務長に聞いてみますと、とにかくあぐらかいててもいいからすわった状態でなんだと言う。荷物は一体どこに置くんだと言うと、そんなものは考えておりませんと、こうやっている。それじゃ、あんな壱岐−対馬航路のように六時間、七時間もかかるところはすべて荷物を持っておりますよ。普通の観光ルートあるいは商業ルートというものは別に全部考えているようですが、あんなものは全部持っておりますよ。こういう点についてもきちんとした法律上の定員のきめ方をしない限り、これまた問題のあるやり方です。それからもう一つは、私は重要な問題というのは、定員はきめているけれども、定員以上に乗ったか乗らないかということはだれがこれは監督しているのですか。この点どうですか。
  110. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) そのきめられた法令による定員が守られているかどうかという、法令の実施を確保する問題という面になってきますので、海上保安庁が取り締まるというかっこうになると思います。それから海運局も行ってみたときには、そういう事実があれば、これは当然注意をいたします。ところが、一便一便全部当たってみるというところまでは手が回っていないのです。それから目についたときは注意をしておるというのが実情かと思います。
  111. 達田龍彦

    達田龍彦君 これも現実には定員オーバーがほとんどですよ。特に壱岐−対馬航路、福江−長崎航路というのは——まあ最近福江−長崎航路は二回になりましたから、これは緩和されました。しかし、一番多いのは対馬−博多航路、これはもうほとんどが定員オーバーですね。これをそのまま見のがしている。これはいままで事故が起こらないからいいようなものの、あの老朽化しした船ですから事故が起こったときには一体行政当局としてどういう責任をとるかといわれる問題になるのですよ。この点非常に定員オーバーがはなはだしいわけですから、どういう行政上の指導をするかについて、ただ海上保安庁におまかせしているという程度では問題の解決になりません、これは。ですからこういう点について運輸省の運輸行政としてどうしていくのか、きちんとしたものを私は立てる必要があると思います。どうですか。
  112. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 安全の観点から定員をきめておるわけでございまして、そういうものを法令できめている以上は、それが守られてないままに放置しておくというわけにはこれはいかないと思うのです。やはり定員のきめ方自体に問題があるならそれを再検討いたしますし、そして、きめたものはやっぱり守らせるようにあらゆる努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  113. 達田龍彦

    達田龍彦君 これはそういう手ぬるいことではいけません。運賃との関係があるのです。運賃というのは定員のやっぱり基礎があるはずです、収益性の問題から考えて。そうすると、定員オーバーの状態を続けていくと、それだけ収益性が高くなるわけでしょう。これは企業家としてやむを得ぬと言いながらもやるのです。ですから、本来定員一ぱいでもって運賃はきめられておるはずですから、それ以上のものはそれ以上の利益になるわけだから、そういう点を行政庁として私はきちんとやっぱり行政指導していかなきゃならぬというのです。もしそれ以上のものであるならばこれは運賃に影響しなきゃならぬ問題です。だから、単なる定員のオーバーを監督する監督しないの問題じゃありません。その船が収容力がないならば収容力のある船にかえるという行政指導も突っ込んでやるべきですよ。それから欠航が非常に多いんです、壱岐−対馬航路。これはこのために定員オーバーの原因をつくるのですよ。しかも船が非常に老朽化してしかも小さい。こういういまのいわゆる離島航路の宿命的なものすべてこの壱岐−対馬−博多航路は持っているわけです。ですから私はこういう問題については、いま申し上げたように、まだ事故があまりないからいいようなものの、起こることは私は容易に想像できるところですから、早急に運輸省としては、他の航路もそうでしょうけれども、この航路については十分そういう面を検討をして将来そういう不安のないように、特に離島の人たちはこの航路について大きな不満を持っておりますから、厳重に私はそういう面の検討をして、将来こういうことがないようにしてもらいたい、こういうことを要望して終わりたいと思います。どうですか。
  114. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) いろいろな問題点の御指摘を願いまして、われわれとしてもすでにいま先生のおっしゃったようなことがあるということも聞いております。それで、いま全部そういう問題点についてどうするかということを考えつつある問題でございますが、私自身もまだこの航路に乗ったことございませんが、できるだけ早い機会に一ぺん実情をよく見まして、いま先生のおっしゃったような諸点をできるだけ早く改めていきたいと、かように存じております。
  115. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にとどめます。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      —————・—————    午後二時八分開会
  116. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、午前に引き続き運輸省決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 あまり時間もありませんので、要点だけを質問いたしたいと思うのですが、きのう羽田空港の問題、それから成田の新国際空港問題について質問したわけですが、その詳細は速記録に詳しく出ておりますので、これはあとでごらんになっていただきたい。また私は運輸委員をやっておりますから、運輸委員会でまた時間をかけてやりたいと思います。きょうはほかの予定がありますので簡単にお聞きしますが、羽田が非常に狭隘になっている。年々国際線も多くなり、そのためにこそ、これは成田のほうに農民の土地を強制接収までして新しい空港をつくろう、こういうことをやっているわけですね。そういう中で、やはり非常にいまの現情勢の中で問題になるのは、米軍のチャーター機が月々増加しているという問題だと思うのです。これは資料をもらいましたが、昭和四十年度MAC、チャーター機でやってきましたのが四十年度は年間八百四十機、これは月に直しますと大体七十機平均というようなかっこうになっております。これが四十一年度には月平均百十八機、それから四十二年になると、一月が百九十九、二月が二百、三月が二百四十一、四月が二百三十四と漸次高騰を示しているわけです。そこに米軍機も、これは数はそれほどではないけれども入っておる。自衛隊機も入っておる。こういうことになりますと、相当なウエートをこの軍関係でとられるということになるわけです。これが一そう羽田の狭い空港をさらに狭くしている一つの大きな原因だと思う。その結果は羽田空港の運営にやはりいろいろな大なり小なりの影響を与えているだろうということが考えられます。何といっても米軍が優先だと、そういうことであります。さらにまあ管制の問題、その他何かとこれはしわが寄ってくるわけですね。こういうことを考えますと、私はこの問題についてはっきりやはり対処すべきじゃないかというふうに考えるわけです。問題は、米軍とこの問題についていままでも折衝されておったやにも聞いておるのでありますが、この結果は、はなはだ実績としてはあがっていない。私はこの問題をやはり明確にして対処すべきじゃないか。ことに最近の情勢ではベトナムの米軍は増強される情勢にある。最近のニュースによりますというと、ウエストモーランド南ベトナム米軍司令官は十六万人の増派を現在大統領に対して要請をしている。そうすると、四十五万前後のものが六十万になる。結局はこれは羽田がますます使われる。そういう現象にあるということがはっきりしていると思うんですね。そうしますと、私は国民感情から言っても、羽田が狭いというので成田のほうにあのような無理までしていま新空港をつくっているさなかに、その羽田がだんだん軍用機に多く使われるということになりますと、そこは非常に国民も感情から言ったって、それから非常に航空行政そのものの中に大きな矛盾があるわけですね。こういう問題をやはり明確に対処すべきだというふうに思うんですが、まず第一に運輸大臣はこれに対してどういうような見解を持っておられるか、お聞きします。
  118. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、日米安保条約に伴いまする地位協定によりまして、日本空港に対して米軍の使用を認めることに相なっておることは御承知のとおりでございます。しかし、何と申しましても日本の民間飛行場につきましては、日本民間航空の用に供するというのが第一目的でございまするので、この目的をそこなう程度にまでアメリカ軍の利用を認める理由はないわけでございます。政府といたしましても、さような考え方をもちまして、常に米軍のチャーター機の離着陸に対しまして対処いたしてまいっておる次第でございます。すなわち、民間機の離著陸する羽田飛行場に対しましては、米軍機に対して特別に離着陸についての優先権を認めるということは慣行上いたしておりません。あくまでも一般と同列に、利用を認め得る時期においてこれを認めるというやり方をいたしておるのでございます。優先的な取り扱いをいたすという考えはなく、またそういう事実もございません。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はお聞きしたいんですが、いままでそれでは米当局とこのような折衝をどの程度やってるのか。これはいろいろな機関の関係から言いますと、日米合同委員会の航空分科会ですか、ここでまあそういう話が一体何回くらいなされたのか。これに対して相手方はどういう一体話をしているのか。あるいはまた、日米合同委員会の本会議そのものでこういう問題が出されたのかどうか。これは外交折衝を含む問題でありますから、外務大臣がこれに対してどういう意思表示をして、どういう答弁があったか。あるいはさらに日米安保協議委員会というような上のクラスでの話し合いにまで持って行っていただく。どうしても大切だったら、これは当然トップレベルの話し合いをやらなきゃならぬというふうに思う。機関は幾つもあるわけですね。そういう中で、どうしてもこの問題を私は明確にするためには、いまの情勢から言えばどんどんふえる傾向にあるわけですから、このままで放置しておけば、どこで一体限度を引くのか、これがはっきりしないわけなんですね。すると、ずるずる追い込まれるのじゃないか。情勢でしかたがない、アメリカのこのベトナム戦争に協力をするのだという日本政府のたてまえをとっている限りは、これはどろ沼に落ちるような危険性があるのだ。だから、はっきり言えば、やはり当然立川なり、横田なり、ジョンソン基地なり、厚木基地なり、あのブルー14のところだって四つの飛行場がこれは米軍の何にあるのですからね。それをわざわざ羽田まで伸ばしてきている。このやり方については、原則的には私はとりあえず当分の措置としては羽田使用しないという明確な意思決定をして、そしてこの米軍との折衝を私は始めなくちゃならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  120. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 仰せのとおり、チャーター機の羽田飛行場使用につきましては、日米間で折衝をいたしました事実はございます。当方といたしましては、基本的な考えとしては、日本民間航空の利用を阻害しない範囲において地位協定に基づいて米軍チャーター機の利用を認める、こういう方針で進んでまいっておるわけでございますが、その交渉経過の詳細についてのお尋ねでございますので、この点につきましては政府委員から申し述べます。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間の関係から簡単にやっていただいて、資料として出してもらいたい。
  122. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) はい。これは航空分科会よりももっと高度な問題といたしまして、合同委員会で取り上げて、外務省の北米局長から先方のほうに申し入れまして、先方は今後これ以上羽田のMAC、チャーター機の機数はふやさない、それから、どうしても羽田を使う場合には書間帯、午前十一時から午後六時までの、羽田が比較的閑散な時期に羽田を使う、そのように努力します、こういう回答がまいりまして、現在の使用状況を見ますと、四月は三月より若干減っております。それから実際の使用状況も、書間帯の使用に努力いたしているように思われる次第でございます。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 その年月日を言ってください。いつですか。最近ですか、その北米局長の申し入れというのは。
  124. 澤雄次

    政府委員澤雄次君) こちらから先方に申し入れましたのは三月の下旬で、先方から回答のございましたのは四月の十六、七日かと思います。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの大臣答弁では、阻害しない範囲内で認めるということなんですが、現状ではなかなかそういうことになっていないのじゃないか。まあきのうもお話出たのですけれども、通報の内容を調べてみるというと、その大半が、半分近くがもう軍の通報関係なんですね。それからまあこれはチャーター機の数も相当なウエートになってきているし、それから管制がそのために非常にわずらわされているわけです。そういうことですから、どうしてもこれは限度というものが明らかにならなきゃならぬし、限度をどうするか。あいまいな、抽象的な阻害しない範囲などということでは、実際は守られないと思うのですよ。私はやはり使用させないという明確な線がこれは出される必要がある。その根拠ははっきりしていると思うのですね。大体ずるずるいつの間にかこのベトナム戦争に対しても協力体制を日本政府は打ち出していったのだけれども、これはおかしいですよ。きのうも問題になったようですけれども、安保六条といいますけれども、安保の適用を受けますか。これは極東の範囲外でしょう、ベトナムは。そうでなければ、七年前のこれは安保委員会における政府の統一見解というものを最近変更したのか。変更したのでなければ、少なくともこれは安保の適用内じゃありませんよ、だれが言ったって、強弁しない限りは。これは準用したり、あるいは拡大適用したりということにはなるかもしれない。これは正しいことではありませんけれども。そういうことを政府はやっている。なにせフィリピンの北、日本周辺というのが統一見解でありますから、どんなに地図をさがしたって、フィリピンの北にはベトナムという国はありません。したがいまして、当然これは準用しているんだとか、あるいはその精神を拡大して適用しているんだというふうに説明しなければ説明は成り立たない。それだって正しくはないのですね、厳格な安保の実施という面から考えたら。そういうことになりますと、私ははっきりやはりこれは断わる理由がある。法的にあるんだ。法的根拠のない協力体制を現在とっているのが日本政府立場です。そしてそのために羽田の民間空港がだんだん軍事化の方向に性格を変えられつつある。そして、さらに最近のアメリカの極東戦略のいかんによっては、これはほんとうに軍事的な性格がますます濃厚にならざるを得ない。そういう客観的な情勢を持っているんですから、この点についてどうでしょう、私は明確に使用をとりあえずとにかくやめる、これがひとつはっきりした線で意思決定がなされなければならないと思うのです。限度がありません。この点いかがお考えですか。
  126. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 岩間委員の安保条約についての御解釈もよくわかりましたが、政府といたしましては、この羽田におけるMAC、チャーター機の飛行場使用は、あくまでも安保条約に伴う地位協定に基づくものと心得ております。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 心得ておりますと言うのですけれども、根拠が、いつの間にか既成事実みたいに持ってきたのだけれども、とにかく準用でしょう。それではなんですか、政府は極東の統一見解を変えたのですか。南ベトナムを含めると、こういうことになりましたか。もっとも、きのうは何か三木外務大臣は、ベトナムは極東の範囲外でない、範囲外でないというような実にあいまいなことばだが、実際は範囲内に入るのだというような答弁をしたらしい。これは全くいままでの統一見解をじゅうりんするものですよ。そこのところはそういうふうにはいかぬのじゃないですか。その点どうです。
  128. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 運輸省といたしましては、条約の解釈のことでございまするので、外務当局並びに法制局当局の解釈に従いまして、政府機関として業務を実施いたしておるのでございますが、チャーター機の飛行場使用につきましては、やはり安保条約にもとを持つものと心得ております。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 実際の面からいってもどうですか。一方で成田であれだけ騒いで、何か強制的に空中から測量をやる。これに対して基地反対の人たちは、このようなひどいやり方はけしからぬと言って、これに対する反対の声をあげているわけでしょう。そうして土地の接収までやって、一方で拡張しなければならない。そういうときに、これは米軍機がだんだんとウエートを多くしてあそこを使用するということについては、これはどういうふうに考えられますかね。私はこういう点から考えても、これは納得できない問題だと思うのです。いかがです。
  130. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) お説のとおりに、羽田飛行場は、本来の目的は日本の、また日本に離着陸いたしまする民間航空を目的といたしているのでございますから、この本来の目的を破壊するような程度にまでこの米軍機の利用を認めるということは、これは政府としては断じていたすつもりはございませんし、同時に、さような事態はあってはならぬという考えを持って対処してまいっているのでございまして、先ほど申し上げました日米安全保障条約に基づく合同委員会を通じまして、このMAC、チャーター機の利用の自粛を交渉いたしましたのも、いま申し上げましたような趣旨に基づく次第でございますからどうぞ、さような点は十分御理解を賜わりたいと存じます。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 何でしょう、どんどん外国の航路が、日本にやってくる機数がふえているわけでしょう。国内線も非常にふえている。これは統計局に見ればわかるわけですね。そこへ米軍機がふえれば、結局民間飛行場としての機能は、本来の目的からだんだん別なほうに変わるというのは当然でしょう。だからどこに限度を引くのです、それなら。それを阻害しない範囲内というのはどういうふうに引くのです。これはことばの上の観念の遊戯をやっていてもしようがないですね。どこに引くのですか。
  132. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほど来申し上げましたとおり、当初はほとんど二十四時間中どの時間にも離着陸を行なうというような状況でございましたが、ただいまの飛行場の利用状況から見まして、午前十一時から午後六時までの飛行場のすいている時間にできるだけ限って利用を許すというようなことにまで相なったわけでございますし、また、ここを利用するチャーター機の機数も逐次減少させているような状況でございまして、米軍との話し合いによりまして、米軍としても現状以上にはこの機数をふやすつもりはないということでございまするし、私どもも現状以上にふえるものではない、こう心得ております。また、もし将来非常にふえるというようなことでございましたならば、これは羽田以外の米軍の保有いたしております本来の基地を十分に利用してもらうという方法によって、羽田の利用機数をふやすつもりはございません。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 中村運輸大臣のとき国際空港の問題が起こった、国際空港の先行き見通しがなくなった、そういう時期がありました。そういう時期の中で、昨年だったと思いますが、日米貿易経済委員会で、むしろ横田や立川の基地を、飛行場を逆に民間の飛行場に使わせろ、そういう折衝をするということを、これは運輸委員会で決意のほどを披瀝したことがあります。そういうことから考えると、私はずいぶんこれは——いまの現状はこれは認めるのだ、そうして先はどうなるかといえば、いまの情勢の中ではどうしてもこれは狭隘になら、ざるを得ない。ここを非常に使わざるを得ない。そういういわば運命的なものの上に立っているわけでしょう。これは限度をどこまで線を引くかといっても、こんなのはいざというときには役に立たんです。ですからこれはどうしてもそこから事故も考えられるし、それからいろいろな絶えざる圧力を受けているわけです。労働強化の問題もあるだろうし、それから管理の面におきましても、非常になかなか思うようにいかない面もあるのです。ここにいられる人は現地の人は少ないようですけれども、現地の人だったら、もっと強く言ってくれというような要望をむしろ持っているのじゃないかと思うのです。  そういう点から言いまして、私は少くともその点を明確に一線を引くということ、これはとりあえずの問題。それから第二の問題としては、基本的にはやはりこのブルー14の系列下にある四つの飛行場というのは、これはどういうふうにするのか。この首都周辺にこういう飛行場が依然として幡踞しておる。この問題をむしろ私は問題にすべきときが来ているのじゃないかと考えるのですが、そういう面については何一つ交渉しない。ただ現状を黙認するという上に立っての折衝だったら話にならない。当然これは外交折衝の、ことに相当のところで、トップ・クラスの問題として私は討議されるべき問題だと思うのですが、そういう基本的な立場に立ってやられる考えがあるのか。それからそれを外務大臣は外交折衝まで、主務大臣として当然閣議においてもそのような要請をしてそういう方向にこれは変えていく、そういうお考えがあるのか。これはやはり外交の問題ですから、あなただけのところでは解決つかない問題だと思いますから、そういう基本的な態度についてはどうなんですか。少なくともそのことが非常にいま重要じゃないんですか。事故が起きないからということじゃないと思う。昨年起こりましたあの三回連続の事故の中にも、あれはブルー14の問題が非常にあるわけですから、いわばかたわの飛行場羽田はされているわけですから、そうすれば、少なくとも正常な姿を取り戻すというそういう努力をこれはやるというのはあたりまえだと思う。そういう点についてもこれはお考えどうですか。あくまでも現状はしかたがない、そうして安保のたてまえでこれはやっていくのだ、しかし、安保のたてまえも、さっき申しましたようにはなはだあいまいなこれは議論だと言わざるを得ない。これは一つの強弁です。強弁が今日まかり通っているのかも知れないけれども、これは強弁ですよ、確かに。極東の統一見解を変えたんなら変えたんではっきりこれは国民の前に明らかにしなければならない。ところが、極東の見解は七年前のあのままの見解を変えていない。そうして実際はアメリカの現在の侵略戦争体制を前提として全部それに合理化して合わせていくというようなやり方をやっていけば、これはわれわれの安全を守るということはできない。民間航空の機能を完全に果たすこともできない。したがって、これは日本の独立に関する重大な問題なんですが、このことについてはこれはどうお考えになりますか。私は外務大臣は、少なくともこれはこの内閣の意思として決定して、こういう問題についてとにかくもっと基本的な問題でやはりやるべきだ。日米安保協議委員会なんかではこれはどうしてもやるべきだし、それから貿易経済委員会あたりでもはっきり出すべきだし、それから夏には佐藤総理の渡米が伝えられている。こういう問題はやはり明確に私はすべきだというふうに思うのですが、この点いかがですか。
  134. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いわゆるブルー14の設定によりまして、羽田飛行場の機能が幾ぶん制限を受けておるということは、これは御承知のとおりの事実でございます。しかしながら、このブルー14の設定ということ自体、安保条約による米軍の日本に対する防衛義務というものの履行と重大な関係がある事柄でございまするので、ただいままでのところ日本政府といたしましては、その前提のもとにいろいろとくふうをこらして、羽田飛行場の利用の少しでも完全になることを期しておるような実情でございます。しかし、いろいろ航空機の情勢、あるいは武器の進歩による攻撃的兵器の性格等もいろいろ時勢に応じて変遷をいたすものでございましょうから、将来におきまして必要があれば、十分外務当局と協議をいたしまして、適正な必要な措置を講ずるようにいたしたいと存じます。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に、政府アメリカのベトナム侵略行動を合理化してあらゆる場合に説明されているから、いまのような説明になるかもしれないが、今日もうアジアの人民をはじめとして、世界の人たちはこの正体を知っている。これは侵略軍です。侵略軍の輸送に日本の基地が使われている。これに力をかしているということになるのですから、こういうものと平和的な民間の利用というものは両立しないのです。先にいって必ずこれは矛盾が出る。そこから必ず不測の事態、不祥事が発生する根拠にもなる。それからやっておること自体が、どう考えてもこういうことにつながってくるのでありますから、しかしこれはここで時間の関係で議論するひまはありませんけれども、とにかくこの事態についてもっと私は検討をして、そして技術的にもいろいろ意見を、実際あそこで働いている人とか、そういう人の意見ですね、それから国民の世論も聞いて、こういう点についてはただいまのような答弁では私どもは十分でないと思う。しかし、ここで論議する時間がありませんからこのくらいにしておきますが、いずれまた別の機会にこの問題はもっともっと具体的な事実をあげて詳細にお尋ねしたいと思います。     —————————————
  136. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、日本国有鉄道決算について説明を聴取いたします。磯崎副総裁。
  137. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 初めに一言おわび申し上げます。本来総裁が出まして、総裁から御説明申し上ぐべきところ、やむを得ない用事のために、きょう午後名古屋に出張いたしまして、お許しを得まして、私副総裁の磯崎でございますが、私から御説明することをお許しを願いたいと思います。  お手元に昭和三十九年度の私のほうの業務概要並びに決算の簡単な説明書をお配りいたしておりますので、これに基づいて御説明いたします。  昭和三十九年度日本国有鉄道の業務概要及び決算につきまして簡単に御説明申し上げます。  昭和三十九年度は、旅客の輸送需要は、前年度に引き続きまして比較的順調な伸びを示しましたのに対しまして、貨物のほうは、経済界の沈滞機運の浸透を反映いたしまして、前年度とほぼ同程度の輸送量となったわけでございます。一方、経費のほうは、前年度に対しまして、仲裁裁定による人件費及び利子、減価償却費等資本経費の大幅な増加がございましたので、総計におきまして三百億の損失を計上せざるを得なくなりましたことはたいへん残念でございます。  また昭和三十九年度工事経費決算額は二千五百九十二億円でございます。御承知のとおり日本国有鉄道といたしましては、輸送力がすでに限界に達しておる実情にかんがみまして、昭和三十六年度から東海道線の幹線をふやすという工事を初めといたします輸送力の増強を中心といたしまして、第二次五カ年計画を策定いたしまして、その推進につとめてまいった次第でございますが、この第二次五カ年計画に関する三十九年度までの決算総額は九千四百九十八億円でございまして、全体の計画に対しまして約七〇%の進捗率と相なりました。また東海道の幹線増設工事につきましては、予定どおり完成を見まして、おかげさまで昭和三十九年十月一日に開業の運びとなった次第でございます。  しかしながら、国鉄基本問題懇談会、これは政府の内閣に設置されました懇談会でございますが、この意見書に示されておりますとおり、今後の輸送力の増強あるいは輸送の安全対策の推進等をはかる喫緊の必要が生じましたので、昭和四十年度から第三次長期計画に着手いたしまして、七カ年にわたりまして、総額約三兆にのぼる投資をせざるを得ないような事態に立ち至っております。  最後に、なお、昭和三十九年度予算の執行につきましては、会計検査院から三件の不当事項と改善の意見表示三件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、今後さらに綱紀の粛正と予算の効率的運用に一段の努力をいたしたいと思っておる次第でございます。  以上、たいへん簡単でございますが、三十九年度の業務概要並びに決算の御説明を終わります。
  138. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。佐藤第五局長
  139. 佐藤三郎

    説明員佐藤三郎君) 日本国有鉄道昭和三十九年度決算に関しまして、検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が三件、改善事項が三件でございます。不当事項として掲げましたものは東京工事局、それから大阪新幹線工事局におきます給排水管の敷設工事の施行が設計と異なっていたというものが二件ございます。それから物件におきましては、車両用信号炎管の点火装置の購入にあたりまして、仕様書と異なったものを検収不十分のまま購入したという事案でございます。  次に改善事項の第一点は、ケーブル敷設工事の埋設、埋めます場合の積算が実情に合っていない。したがいまして、これを実情に合うように改善を求めたものが一件。それから隧道、トンネル工事におきまして、やはり所要の材料、特にコンクリートの所要量の積算が実情に合わないというもの、これに改善を求めましたものが一件、それから立体交差の関係におきまして、工事の進捗が十分でないということで、建設省と合わせましてその改善方を求めましたものが一件。以上でございます。
  140. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  141. 大橋和孝

    大橋和孝君 ただいま説明を承りまして、三十六年度、三十七年度までは黒字にずっとなってまいったわけでございますが、三十九年度から三百億の赤字に転換をした。それからまた四十年度の見込みは相当千何百億に当たる赤字になっている、こういうことをやっぱり私なりにも調べさしてもらい、お聞きもしたわけでありますが、やはりこの人件費の問題とか経費の問題、あるいはまた利子の問題、いろいろあるようでございます。特にまた東海道の新幹線におきましても、第一年度は少し赤字であったが、第二年度は黒字に転換をしてきたということで、これはまたある意味においてはこれが相殺されるというような形になっております。こういうふうな経過の中で、次には岡山までの新しく新幹線を計画しておられる。こういうようなことを踏んまえまして、東海道の新幹線の中では外資はどれくらい入っておったか。あるいはまた、そうしてあとの償還の問題、その見通しというようなものを聞き、同時にまた新幹線におきましては、買収に対して非常にお金がかかっておりました。特に倍以上の経費がかかっておったんではなかろうかと思うのでありますが、この次の岡山までの延長に対しましては、相当トンネルもあるようでありますし、その経費の見込みと、将来の実際においての、いままでの経過から考えてまた大きなそこになるのではなかろうかと思うわけでありますが、そういう観点からいままでの東海道新幹線の経過と、それから今後の計画そのもの、あるいはまたそれが何か長崎までその次の計画もあるようであります。そういうことを踏んまえて、いま鉄道のほうではどういうふうな見通しとどういうふうな見解を持っておられるか。時間もありませんので、逐一まとめて質問しますので、御答弁願いたいと思います。
  142. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) まず第一の御質問でございますが、昭和三十九年度までは運輸収入も輸送量も大体伸びておったわけでございます。で昭和四十年度以降、実は旅客輸送におきましても貨物輸送におきましても、徐々に実は伸びが減ってまいりまして、ことに昭和四十一年、昨年運賃を上げさせていただきましたあとからは、実は予想以上の収入の減を来たした次第でございます。これらにつきましては、いま先生のおっしゃいましたとおり、いろいろ理由があると思っております。たとえばいわゆる社会全般の産業経済界の不況等も一つの原因だろうと存じますが、やはり道路の発展、あるいは自動車の生産量の増加等に伴う国鉄の独占性の崩壊等、いわば輸送構造の変化が、旅客の面でも貨物の面でも徐々に起こりつつあるという具体的な直面した事実からも目をおおうわけにいかないというふうに考えております。現在それらに対していかに対処すべきか、また都市の過密化問題と関連いたしまして、これはもう鉄道でなければどうにもならない、いわゆる通勤輸送の問題を今後どうするかということが、私どもに課せられました大きな問題でございまして、何と申しましても三兆にのぼる膨大な資産をもって仕事を運営しておりますので、これを有効的に使えるか使えないかは、やはり国民の皆さま方に対する非常に大きな経済的な問題と思いますので、これらを総合いたしまして、今後、現在進捗しておる第三次長期計画の中において極力収入をふやす、極力経費を節約する、しかしある程度の人件費のアップはこれはやむを得ないことと考えまして、今後の経営を続けてまいりたい、全般論としてはそういうふうに考えております。  それから次に東海道新幹線でございますが、ただいま御説明申し上げました三十九年度予算におきまして完成させていただきまして、九月から開業したわけでございますが、開業当時はまだ車両も少なく、列車回数も少なかったのでございますが、昭和四十年には年間平均いたしますと一日約八十本になりました。それから昭和四十一年百十本、現在の昭和四十二年度は大体年間平均百三十本ぐらいの列車を動かす予定にしております。その結果、収入は徐々に好転いたしまして、三十九年度はただいまお話のとおり八十億の赤字でございます。それから四十年度も百二十三億の赤字でございましたけれども、まだ正確に四十一年度決算は出ておりませんが、大体百六十六億の黒字に転じまして、本年度四十二年度、ただいま国会で御審議中の予算におきましては二百三十八億の黒字を組み込んでございまして、これは現時点におきまして大体予定どおりいくというふうに考えています。この東海道新幹線の建設費は約三千八百億所要いたしました。そのうち用地費が大体一五%の六百億になっておりまして、いろいろずいぶん用地の買収につきましては関係者も努力いたしましたが、極力用地を安く買う、しかし地元の方には極力御迷惑をかけない、いろいろなむずかしい情勢の中で用地買収をいたしましたので、当初よりは相当用地費が上がったことは事実でございます。今後は、後ほど御説明いたしますが、山陽新幹線につきましては十分とは申しませんが、極力前回のように予算が足りなくなったということなどのないような予算を組んでおりますが、かと申しまして、多少たっぷりしたと申しますか、余剰ぎみの予算を組むわけにはもちろんまいりませんので、いま想定いたしますぎりぎりの線で予算を組んでおるわけでありまして、東海道新幹線を建設する際に、世界銀行から八千万ドルの借款をいたしました。日本金にいたしまして二百八十八億でございます。当初一億ドルの予定でございましたが、いろいろな事情で八千万ドルになりまして、これは条件といたしましては、実は私のほうで現在借りております一兆数千億の金の中で一番実は条件のいい金でございまして、利率が五分七厘五毛、借り入れ期間は三年半の据え置き、二十年償還、資金効率からいいますと非常にコストの安い資金を借りました。すでに昭和四十一年度までに二十七億を償還いたしました。四十二年度以降五十六年度までに二百六十一億を償還いたすことになっておりまして、先ほど申し上げました黒字、赤字はこれらを全部含めまして減価償却費、それから利子、それから償還額等を含めましての黒字、赤字の数字を申し上げたのでございます。  なお、山陽新幹線の建設につきましては、後ほど御質問によりまして詳しい御説明を申し上げますが、一応大阪−岡山間ということで現在計画いたしておりますが、これは大阪−岡山間の現在の東海道並びに山陽線の輸送力が、昭和四十六年度時点にはほぼ現在の東海道線を凌駕するような過密な状態になるというために、やはり大阪−岡山間に一本複線を引かなければやっていけないということに端を発したものでございまして、それは東海道新幹線を延ばすという形でもって一応現在昭和四十六年度までに岡山まで、大阪−岡山間約百七十キロの工事をいたしたいというふうにいたしまして、今年度予算にもその一部を計上さしていただいたわけでございますが、用地買収あるいはその他の隧道等につきましては、担当の仁杉理事からもう少し詳しく御説明することをお許し願いたいと思います。
  143. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 先ほど東海道新幹線の用地費の問題がございましたが、御承知のとおり当初千九百億ぐらいでありましたのが三千八百億くらいになり、千九百億当時は百五十億ぐらいを考えておりました。まあ少し辛過ぎたと申しますか、決算をいたした結果は用地費が六百億ということになり、大体一五%、総工事費三千八百億の約一五%ぐらいということになっております。それで山陽新幹線はいま副総裁から説明がございました百六十キロで千七百億というふうに考えておりまして、その中では御承知のとおり隧道も相当延長がございますので、たしか、いま数字ははっきりしておりませんが三十数%あると思いますが、そういう関係もございまして、用地費はかなり減っておりますが、それでも千七百億のうち二百億、約一二%を見込んでおります。大体この程度で始末がつくのではないかというふうに考えて、その目標に向かって努力をしておるという状態でございます。
  144. 大橋和孝

    大橋和孝君 山科、京都、あるいはまた山崎、あの近郊の状態でありますが、われわれとしては新幹線ができたとき、長距離の輸送量が非常に円滑に進むためにもう少しこの付近の交通が緩和されるということを考えておったわけです。まあ私が先ほど赤字のことに触れましたのもそういうことであるわけでありますが、私はいままでの既設の鉄道というものの利用状況、あるいはまたそれに対する便利さというものをもっと近代化することが必要ではないか、現在では私どもいつも陳情を受けているわけでありますが、山科方面から京都、大阪に向かう人なんか、ほとんど朝になれば死にもの狂いの状態のようであります。あるいはまた鉄道の駅の少ないのも、あるいはまたいろんな駅の設備の悪いのもいろいろ問題になっていると思うんでありますが、私はやっぱりこういう新幹線ができるということが、一つは私はやっぱりそういうふうな過密ダイヤを調整するという大きな目標があるので、私どもとしてはこれをそういうふうな価値の上から判断をしているわけでありますけれども、これがしかし比較的こういう実態においてはそれがあらわれていないということは、鉄道当局のほうではどういうふうな観点をしておられるか、こういうものに対して、もっとどういうことでこれを処理しようという考えでおられるのか。それからまた新幹線ができて、その付近の人々に対して、いま騒音とか振動とかいうことで非常に大きな問題を出して、最近ではその音を何とかの何ホンということで調べていろいろ考慮して非常に困っておられる状態もある。こういうことなんかも今後この新幹線を進められるときにおいてはどういうふうに考えておられるのかということを少し明らかにしていただきたい。
  145. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の第一のほうでございますが、いま御指摘の山科付近から京都、大阪への通勤と、小田原方面から東京への通勤、これが東海道線で一番実は過密だったところでございまして、新幹線ができまして、御承知のとおり特急列車あるいは急行列車の大部分を新幹線に移したわけでございます。その分だけ現在線がすいてまいるわけでございます。その穴埋めといたしまして、通勤列車並びに貨物列車を、貨物列車は主として夜でございますが、昼間のラッシュアワーには通勤列車を入れたわけでございますが、私どもの入れました通勤列車の輸送力の伸びよりも実は通勤客の伸びが大きいということで、やはり根本的な通勤対策をやらなければならないということで、現在京都−草津間に複々線の工事を始めておる次第でございまして、複々線になりますれば輸送力は相当飛躍的にふえる。それから小田原−東京間も同じようにもう一線東海道の通勤専用線に当たるものをつくるということでもって現在やっておりますが、結局私どもの輸送力増強の工事はどうしてもいろいろ手間がかかります、時間がかかりますが、通勤客の伸びのほうが非常にテンポが早い。都市の過密化状態のテンポが早いためになかなか追いつかないというようなことで、とりあえずの問題としては、時差通勤その他いろいろお願いをいたしておりますが、やはり根本的にはもう車をふやしたのではどうにもならない。結局線路をふやして列車をふやす以外に方法はないという結論に到達いたしまして、現在の第三次計画の中には、通勤輸送に約五千億の金をつぎ込むということにいたしておりまして、いまの京都付近の問題につきましては、草津と京都間の複々線が完成いたしますれば、四十五年度中に完成の予定でございますが、これができますれば、あとは車両さえ入れれば通勤は緩和いたしますので、一応一息つけるというふうに考えております。  それから東海道新幹線の騒音の問題、それが今後の山陽新幹線についてどういうふうに考えているかということにつきましては、現在いろいろ私どものほうでも技術研究所がございまして、騒音の防止等についてはいろいろ検討いたしております。二、三具体的な考え方につきましては、まだそれが実行できるかできないか、どの程度の効果があるかということはいまいろいろ実験研究中でございますが、担当の仁杉理事から詳しく御説明さしたいと思います。
  146. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 東海道の新幹線の騒音につきましては、その後いろいろと御苦情もございまして、その一つとしまして、沿線の変電所の付近で、非常に大きな変電所が騒音を出すという問題もございます。これにつきましては処置をいたしております。ただ一番問題になっておりますのは橋梁付近、ことに鉄げたの付近におきます騒音の問題でございます。これは私どもが当初考えましたのよりもちょっと大きく、九十ホン以上ありそうなところもございます。そこで今後の山陽新幹線の建設につきましては、そういう市街地——長い橋梁河川等は別でございますが、そうでない市街地等を通るところにかけます橋梁等につきましては、コンクリートまたは鉄にいたしましても、道床バラストを置くようなかっこうにいたしまして、騒音を少なくするということにいたしたい。それから東海道線につきましても、病院、学校等につきましては多少の手を打っておりますが、これは決して新幹線ばかりでなしに在来線の問題もございますし、道路の騒音等の関係もございまして、公害全般といたしましてどういうふうに考えるかということで、まだ解決をいたしておらないということでございます。  山陽新幹線につきましては、いま申しましたようにいろいろ手を考えておりますが、市街地等につきましてはできるだけ騒音を出さない、出したものもなるべく広く散らさないというような方向につきまして検討をいたしておりますが、これらにつきましては、やはり地元の県、市等の御協力を得ましていろいろ手を打っていきたいと思いますが、まだ具体的に申し上げる段階になっておりません。今年度末ぐらいになりますと、ルートも確定いたしますので、話がだんだんまとまると思います。もう少し研究をさしていただきたいというふうに考えております。
  147. 大橋和孝

    大橋和孝君 特にそういう点は東海道の新幹線でありますので、配慮をしていただきたいと思います。  それからもう一点は、今度は湖西鉄道と申しますか、琵琶湖の西側に公団でやられるようになっております。あれもそうした意味で近くなるんでありましょうし、われわれとしてもいろいろそれを検討しているわけでありますが、ことに公団であれをやられるというのはどういうふうな公団の資金運用があるか、ちょっとその点を詳しくお聞きしたい。
  148. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 湖西線の概要を申し上げます。この線は昭和三十七年に工事線になりまして、その後昨年の十二月二十八日に着工の認可を受けたものでございまして、現在鉄道建設公団におきまして工事に着手しておる段階でございます。総工事費といたしましては、ほぼ三百四十二億程度に考えております。完成の年次は昭和四十六年度中でございます。従来の四十一年度までの建設費といたしましては、約十七億を要しております。なお今年度四十二年度におきましては、約十六億ばかりの予算を組んでおる次第でございます。一応湖西線の概要は以上のとおりでございます。
  149. 大橋和孝

    大橋和孝君 湖西線もさることでありますが、もう一つ私はこれに比べて京都周辺ではあの山陰線の高架の問題、特にあれは三十七年ごろから何か車両が平面交差をする場合に一万台ですか……、の規約があって、それ以上のものは高架にしなければならないということになっているはずなんでありますが、そういうことでもってもう三十七年ごろから立体交差、それならば高架にするという、あるいはまた、その上まで複線化する、また非常に人口の稠密なために周辺部のベットタウンの関係もあって、そのほうがよかろうという京都市からの話もあって、私京都の市会をやっておったころにはそういうことで陳情に参ったこともあるわけでありますが、ああした問題は特にいまの交通事故の非常に多発の場合、特に私は山陰線でも朝ですか、夕方ですか、貨物線が入って市場へ物を入れる場合には、もう三十分か四十分立ち往生させられるという現状であります。また東海道線におきましても、あの山崎の辺に行きましても非常にたくさん列車が通る。ときにはほんとうに車で待っているのに二町も三町も続いて二、三十分も待たされるという現状であります。ああいうことが起こっておるのに、私は湖西線もさることながら、もっとこの山陰線の高架、複線化ということももっと積極的に進められるべきものでなかろうかと考えておるわけでございますが、この点についてはどうなのか。同時にまた非常に都市の鉄道を複線化する問題についての、その地方の自治体の負担分ということが相当大きくなっているわけであります。こういう点は一つのルールがあるのでありましょうから、ここでいま議論してすぐどうなるものでもなかろうかと思うのでありますが、しかし、このごろ非常にどこの地方でも圧迫されておる状態であって、それがなかったからやらないということではなかなかそうした問題が解決できない。そういうことで遅延をしてもう五年以上になって、困るのは何かといえば市民である、国民であるということになるわけであります。そういう観点から鉄道のほうではどういうふうにこれを根本的に考えておられるのか、それらの点についてはもっと積極的に、貧困な自治体でもこれが耐えられるような何かの方弁を考えながら推し進めているのかどうか、もっとそこらのところの積極的な姿勢をお尋ねしておきたい。
  150. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 国鉄線路の高架化の問題につきましては、実はただいま御指摘の京都二条のあの踏切は、実は初めあそこだけ単独で立体交差にしようという話だったわけでございますが、その後先生方の強い御要望もございまして、どうせあそこだけやるならば、もう全部京都−二条間をやってしまえ、あるいはもう少し先までやれというお話がございまして、ただいま御指摘のとおり、むしろ園部から別線をつくったらどうかという御意見も私自身承ってよく存じております。そのあとのことは非常に費用がかかるし、一応取りやめて、現在の山陰線に並行して複線化しようということで一応市と話がまとまったわけでございますが、その後、いまの踏切一カ所だけ高架にするのじゃもうだめだ、いま申しますとおり、京都市内ずっと高架にしようということにお話が強く出まして、ちょうどそれと時を同じくいたしまして、全国から同じようなお話が約六十カ所くらい急に降ってわいたように起こってまいりました。これはただいま先生から御指摘のとおり、交通事故の防止という点がまず第一の問題、あるいは都市交通の緩和と申しますか、それが第二の問題、さらにこの鉄道線路が都市のまん中を通って非常に都市を分断している、そのために救急車や消防自動車の通行に非常にじゃまになるというお話がございまして、大体人口十万以上くらいな都市にほとんどこの問題が起きてまいりまして、いわゆる都市の再開発の問題として取り上げざるを得なかったわけでございまして、私どもといたしましては、先ほど申しました通勤輸送と並んで非常に大きな問題の一つでございますが、いま試みに試算いたしますと、現在出ております約六十数カ所だけで約四千億の費用がかかる。そういたしまして、いままでどおりの分担費用の分担割合でまいりますと、国鉄が半分、それから建設省が半分、その建設省はその半分をさらにただいま先生のおっしゃったように、地元に三分の二なり半分なり負担させるわけでございます。一応建設省と国鉄との割合は、多少場所によって違いますが、原則として半々ということになっております。まず私どものほうからだけ申しますと、私どものほうのいまの第三次計画の中には、とてもそこまで実は入れてないわけでございまして、単独の立体交差につきましては多少入っておりますが、そういう連続したいわゆる高架化の予算は全然入っておらない。しかも二千億という膨大な負担をするのではとてもできないということで、これを私鉄並みの、五〇%負担のところを一五、六%の負担にしてほしい、あとはひとつ国で出していただきたいというふうなことを考えまして、実はことしの予算に大体百億の要求をいたしまして、都市の高架化に対する国の補助と申しますか、そういう形でもって出していただかないと、とても国鉄だけで、国鉄の運賃の中から四千億の半額を負担することは全く不可能で、ほかの通勤輸送やあるいは複線化を押えなければやっていけないということになりましたので、私どものほうといたしましては、二千億のうちのせいぜい一五%くらいの負担はできますが、あとはできないので、ぜひ国でお願いしたいというのが第一点。  次の点は、ただいま先生御指摘のいわゆる建設省の負担分につきましては、いま申しましたとおり半分なり三分の二を地方にぶっかけるわけでございます。これに対して地方のほうでもこれは負担できない、これもやはり国で持ってほしいというお話が同時に出まして、それでは結局ただ各省間の話し合いだけでは済まないということで、私どものほうといたしましては、何とかこれを正式に法律でもって取り上げていただきまして、そして都市の高架化問題として、国鉄も私鉄も含めまして新しい立法措置を講じて、そしてそれにきちっと予算をつけるということによって、国鉄の工事費の一部も国で見ていただくし、またいま御指摘の地方の負担もできるだけ国で見てもらう、こういうような方向で、国鉄と地方の市町村との問題が非常に似ているわけでございますから、同じような方向で法律をつくっていただきまして、それによりまして予算措置を講じていただくというふうに政府にいまお願いいたしまして、政府部内でもいま関係の建設省、自治省、運輸省等で寄り寄り御協議中というふうに承っております。私どもといたしましては、せめて法律だけでも今度の国会に出していただきたいというふうにお願いいたしておるところでございます。根本的にはやはりそれ以外に解決の方法がない。これを全部国鉄利用者の運賃で負担することは、これは全く不可能でございますので、やはり国の一般税収その他から見ていただきたい、こういうふうな方法でもって都市の高架化は進めてまいりたい。大体いまの四千億の工事を、現在の時点から申しますと、約十年ぐらいでやらなければ無理じゃないか、いま御指摘の京都−二条間はもちろんそのトップクラスに入っておりますが、半分は約五年間、あとの半分はあとの五年間、合計十年間でその六十カ所、約四千億の高架化工事をするということを前提として政府でいろいろ御検討願いたい、こういうふうなことになっておる次第でございます。
  151. 大橋和孝

    大橋和孝君 どうもありがとうございます。私もその特別委員会もありまして、いま話をしているわけでありますが、ひとつそういうことも国鉄のほうから積極的にそういう姿勢でもってやっていただかないと、実際困るのは、いま申したように、そういう状態に置かれておることです。どうかひとつそういう点に配慮していただきたい。  それからもう一つ、時間もありませんから、私は一つだけお伺いしたいのですが、今度新幹線ができて、切符を売るのもああいうふうにして計算をされて、非常にうまく進んでおります。新幹線のいろいろ駅の状態なんかを見ましても、外国並みの非常にすっきりしたものがある。職員の態度もなかなかうまくいっておるというふうに私ども見ておるわけであります。私が一番その中で、京都のほうからもいろいろいままで数回も陳情を受けて、いままで国鉄とも、あるいはまた労働省とも話し合いをしましていろいろ折衝したが、なおまだそれがそのままになっているということでありますので、ここでひとつ赤帽の問題を提起したいと思うわけであります。非常に近代化された中に赤帽の状態というのは私は前時代的なものだと思うわけであります。ちょっと調べて資料なんかももらいましたが、あの赤帽の制度は結局鉄道弘済会直接になって、そして雇用関係が成立をして、そして健康保険もあるいはまた身分の保障もあるところは数カ所あるようであります。私はこれは非常にいい形じゃなかろうかと思っておりますが、たとえば京都駅だとか大阪駅なんかを見てみますと、今度は一人の人が何か契約をしておる。そしてその人が任意に一人一人を駅管理局というのですか、管理局のほうに話し合いをして、そして一人一人が何というか、自由業のような形でやっておるというために、社会保障もなければ何にもない。ところが、その中で世話役をやっているというか、まあ実力者というか、だれかの代表という名前の人が結局ピンはねをして、そして遊んでおりながら相当の収益を得ておる。これはまあ昔のやり方で、私は非常に前時代的な、いまごろこのように進化した鉄道の中でこういう人がおるということは、私は非常に嘆かわしいと思うわけであります。特に私は、あのユニホームを着て赤帽をやっておる方、われわれいままでそれを聞くまでは、あれは国鉄の従業員だと思っていた。私ども一般の客から見ると、あれは国鉄の職員と見ているのです。ところが、そういうような前時代的な雇用関係にあって、そしていつも何か親分に駆使されてピンはねをされて、そしていつもあえいだ生活をしておる。身分保障もなくて、健康保険もなければ失業保険も何にもないわけだ。またひどいのは、管理局と個々別々にやって、そういう取りまとめる人もないところもある。そういう三つの雇用関係にあるらしく、各駅の報告をもらいましたら、そうなっているわけです。国鉄としてはこういう状態で置いておいていいのか。まあそれはいままでそうなってきているのだから、なかなかできませんという話で答えておるのでありますけれども、こういう際に一ぺん国鉄としては、こういうのはもっと考えて、やはり国鉄職員として入れるか、あるいはまた弘済会の職員とするか、もっと身分を明確にして、近代産業としての国鉄のなかでそういうふまじめな雇用関係、あるいはまたそういう人がおるということ自身が私は非常に国鉄の名誉にも関すると思うわけでありますから、もっと進歩的ながっちりとした雇用関係を得るような方向にしてもらったらどうかと思うわけでありますが、こういう観点について一ぺん御所信を承っておきたいと思います。
  152. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) 構内の荷物の運搬人、いわゆる赤帽につきましては、いま形態は先生のおっしゃったとおりでございまして、またこれを国鉄の直営にすべきか、あるいはそういう構内営業として処理するかということは問題があると思います。ただ、まあ私どもの職員の関係からいたしますと、どうしてもそういう単純作業は直営でいくということについては非常に問題がある。できるだけそういう単純なる労務作業については請け負いをいたしていきたいという方針をとっておりまして、したがってこれを直営化するということは非常に困難だと思いますが、おっしゃるように、いろいろ雇用関係が不安定であるという問題はあろうかと思いますが、これをそれかといって直ちに弘済会なら弘済会の職員にするかどうか、これもまたいろいろ問題があるようでございます。しかし、おっしゃるようにいろいろな不合理な点もあるようでございますので、さらにこの点につきましては検討をさしていただきたいと思っております。
  153. 大橋和孝

    大橋和孝君 一言だけ。いままでもこれはいろいろ問題があるということはわかるのです。わかるのですけれども、私はその問題を悪かろう安かろうの方針でいけば、それが問題が深刻になってくるのであって、私は荷物を取り扱っている荷役の方、あるいはまた一時預かりの方、やはりあれは職員ですね、たぶん。こういうようなことがあって、単純業務とは言うけれども、ほかに単純業務はあるわけです。そして荷扱いという役はやはり荷物を持っている人に対しては絶対必要な役であるし、そしてまた重大なサービス業務として鉄道に対しての信頼感をあそこらでいろいろされるわけですから、そういう観点からいけば、私は単純業務として直営にすべきだとか、あるいは鉄道の職員にすべきでないとかという考え方自身がおかしいと思う。もう少しそこらのところを合理化すべきものは合理化しながら、あるいはまた悪かろう安かろうでなくて、そこらの人たちのある程度身分も、あるいは収入も保障されるような形でこれが改良されなければうそだと思うわけです。ですからこの問題は、必ずしもすぐ職員ということを私は主張するわけではありませんが、少なくともそうした意味で鉄道の中にあんなウエートを示して働いている人たちは、もっと近代化されたほんとうにすっきりしたものでなければならぬと私は思う。特に私は医療費の高まりつつあるときに、いまごろ保険も何もない状態で、しかもそれが一人だけのサービスの業態に属している場合、病気をしたらどうするのだという不安があるという。そういうような心の状態で、国鉄の幹部の人たちがそれを一方の人だけにまかせておくという考え方に対しては私は非常に不満を感じておるわけです。ですから、これは今後検討するということでありますから、私も了承いたしますが、ごく短い期間にそのようなものを十分検討して、そしてこれがほんとうにいいという方法をひとつ示していただきたい。私はこれを期待して終わるわけであります。
  154. 瓜生清

    ○瓜生清君 私は、四十年の八月に国鉄の監査報告書というのが出ております。これに関連しまして、主として第三次長期計画に関する問題を質問したいと思います。  まずお聞きしたいのは、第三次長期計画というものは、資金的に見れば二兆九千億円ですか、約三兆近いものを予定しておるわけですが、それの調達の内訳というものは一体どう考えられるか。それをまず聞きたいと思います。
  155. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 第三次長期計画資金計画でございますが、第三次長期計画全体の資金量といたしましては、いま先生のおっしゃった二兆九千七百二十億でございます。そのほかに約一兆の借り入れ金の返済金がございます。合計いたしまして約四兆の所要資金になるわけであります。四兆の所要資金をどうやって調達するかということにつきましては、いわゆる道路などと違いまして、税収とは全く関係のない仕事をいたしておりまするので、結局自分の金と借金という二つのカテゴリーしかなかったわけでございます。その際に、先ほどちょっと申し上げました政府の国鉄基本問題懇談会におきまして、いろいろこの点が実はたいへん議論になりまして、その二つのほかに、政府出資というものをすべきかすべきでないかということがいろいろ議論されましたが、それもその時点では結論が出ませんで、さらに今後検討しようということになって、一応この資金計画は借入金と自己資金この二つでもって構成したわけでありまして、正確に申しますと、三兆九千七百四十六億でございますが、そのうちこれをつくりました昭和三十九年度の時点におきましては、自己資金が約八千七百億、それから外部資金で三兆九百億、約三兆一千億でございます。その割合でもって全体で四兆の所要資金をまかなう、こういう計画であったのでございます。
  156. 瓜生清

    ○瓜生清君 先ほどの話にありましたけれども、結局これだけの膨大な計画を遂行するのに、内部資金のほうが少なくて借入金のほうが多い。したがって、それに要する利子というものが非常にばく大な額になるわけですね。こういうところの何といいますか、資金調達の最後の締めくくりというものに対して、はたして関係者はうまく収束する経営上の自信があるのかどうか、そういう点についてひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  157. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問につきましては、実は昨年運賃改定の際に、非常に御議論になったところでございまして、私のほうの七年間の資金計画をごらんくださいますと、やはり四十三年時点から経営状態が悪くなる、こういう資金計画をお出ししておったわけでありまして、この点については、ずいぶん予算委員会あるいは運輸委員会で御質問があった点でございます。結局この原因は、いま先生のおっしゃったとおり非常に外部資金が多い。しかも、私どものほうで借ります外部資金は、大体平均利率がよくて七分でございます。最近は七分三厘くらいの金を借りております。したがって七分以上の金を借りて公共事業をやろうということ自体が、非常にむずかしいことは当然でございますが、しかし一応冒頭に申しましたとおり、やはり自己資金と借金以外にない。しかも、自己資金についてはそう急激に収入が伸びることは考えられない。伸びるとしても、ごく漸増しかしない。一方投資いたします約三兆円という金が実際に収入を生むためには、ごくラフに申しますと、複線、電化等につきましては、投資が始まりましてから約十年、それから通勤輸送等につきましては十五年ないし二十年の間は利益は生まないといういままでの経験上の数字が出ておりましたので、現在の時点のこの資金状態から見ますと、いまおっしゃったとおり借入金がふえる、そして利子がふえる、そして人件費が上がるということで、当初の計画から申しましても、四十三年から四十六年度時点までは、徐々に経営状態が悪くなってくる。しかしこれが現在の二兆九千億の投資が済みますと、大体これで何と申しますか、新しい意味の、それほど近代化されたとは申しませんが、ある意味の近代的な鉄道ができ上がってくるのだ。それによって徐々にこれから四十七年度以降は収入状態がよくなってくる。こういう長期の計算をいたしまして、四十六年度までは経営状態が悪くなっても、これから投資効果が上がってきて、それが収入に反映してくれば、徐々に収支状態、経営状態がよくなってくる、こういう見方でもって見ておったわけでございます。
  158. 瓜生清

    ○瓜生清君 そこで具体的にお聞きしますけれども、第三次長期計画には三本の柱がありますね。輸送力の増強、あるいは保安対策、それから通勤対策等々があるわけですが、こういうものを着実に実行する一つの要素として、昨年の三月五日ですか、運賃値上げがあったわけですけれども、あの運賃値上げによって、従来と比べてどの程度の営業収入というものがふえたのか、大ざっぱな数字でいいですから、教えてもらいたいと思います。
  159. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨年の運賃改定によりまして、当初千六百億ぐらいを増収するつもりでおりましたが、実際には約千億弱ということになったわけでございます。それがいま申しました自己資金として二兆九千億の中に繰り入れられてくる数字の分でございます。実はその点で非常に何と申しますか、私どものほうで見方が甘かったと申しますか、運賃値上げの影響、ことに国鉄の持っている陸上交通の独占性の崩壊というものが、思ったより実は早いということに非常に大きな問題が実はあったわけでございまして、その点昨年御説明いたしたほど、実は収入が上がってないという点が一つの問題点でございます。
  160. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうしますと、その千六百億円の運賃値上げによる増収を見込んだけれども、実際は千億程度にとどまっておると、言いかえますと、大体六割程度しかまあ何といいますか、思った数字が入ってきていないということは、すでにもうこれから先はわかりませんけれども、第一年度で六百億円のいわゆる狂いが来ていると、こういうぐあいに解釈できるわけです。そこで今後は一体いかがです。
  161. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨年の減収、すなわち予定どおり収入が上がりませなかったために、御承知のとおり、昨年の暮れに補正予算を組んでいただきまして減収補てんで四百五十三億の減収をたてまして、そのかわり——実はそのかわりと申してはおかしいのでございますが、借金でそれを穴埋めする、まあこういう形をとったわけでございます。したがいまして、工事量といたしましては四十年度の初年度が三千三百億、それから昨年度が三千五百億、明年度が三千七百八十億と、ちょうど一兆ちょっとこしたわけでございまして、一応工事量としては確保いたしたわけでございますが、ただ、資金の内容が非常に悪くなっておる。御指摘のとおり、結局、自己資金が足りなかった分は、借金で穴埋めいたしましたために その分が利子となって経費にはね返ってくる、こういう形を出したわけでございます。今年度以降につきましては、実は昨年度の収入見込み等をよく検討いたしまして、さらに私どもといたしましても収入増加の努力をしなければならない、これはもう当然でございます。相当の収入努力を見込みました上で昨年度の、さっき申しました補正予算で減らしたものに対しまして約七%ぐらいの増収を見込む。これはいま予算委員会で御審議願っておりますが、この線だけはどうしても確保したいというふうに考えておる次第でございます。こういたしますと、約七百億ぐらいの自己資金、七百七十億ぐらいの自己資金が出ますので、足らずまえは、現在出している予算は、ごらんのとおり、特別債その他の借金でまかなう、こういう形になっておるわけでございます。
  162. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうしますと、逆説的に言えば運賃収入が期待したほど上がらなかったということは何ですか。こういう要素というものはないのかどうか。運賃が上がったために、確かに輸送構造の変化というものはわれわれもよく了解できますけれども、国鉄を利用する度合いというものが減少したというような、そういう徴候はあるのかないのか、お聞かせ願いたいと思います。
  163. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) その点は非常にまあいろいろな角度から検討いたしており、現在またしておりますけれども、まず第一に三十二年、三十六年と今回と、三回最近十年間に運賃値上げさしていただきました。いずれもやはり運賃値上げの三カ月ぐらいは何といいますか、直接すぐ影響があらわれてまいります。大体三、四カ月しますと、いままでは元へ戻っておりました。ところが、四十一年度に上げました結果、通勤輸送は相当大幅に上げさしていただきましたので、従前と同じような伸びを示しておりまして、全然といっていいほど私どものほうの輸送量から申しますと影響ございませんです。一番影響のございましたのは、旅客運賃ではやはり百キロ前後のところでございます。これはたまたま自動車生産量の急激な増加と反比例いたしまして、たとえば自動車を買った人はガソリン代だけと運賃を比較するということになりますと、三人乗れば自動車のほうが安い、こういうふうな計算になってしまう。いま一番運賃値上げのあとでお客さんが減りましたのは、やはり百キロ前後の近距離と申しますか、中距離と近距離の間ぐらい、特に東京付近の土曜、日曜、祭日等の休みの日の、ほとんど投資をしないで済んだ収入源が、徐々にいま失われつつあるということが一点であります。それから貨物収入につきましては、やはり上げたためにいわゆる高級品と申しますか、私のほうの貨物収入はまだ昔の従価等級と申しますか、ちょうど税金のように、値段の高いものは運賃をよけい払う、こういう運賃制度がまだ残っておりまして、なかなかこれを一律に均一運賃的なものに直せないわけでございます。したがって、やはり影響の大きかった高級品が、どうしても鉄道から去ってしまう。しかし農産物とかあるいは木材とかいったものは、やはり鉄道に残っているということで、結局運賃を上げましたために高等級の貨物が相当国鉄から去らざるを得なかったということが、率直ないまの時点におきます反省の点でございます。
  164. 瓜生清

    ○瓜生清君 その問題は、私は率直に申し上げまして、国鉄の見通しというものがずさんだったような気がするんです。そのことをきょうは追及することはやめますけれども、少し話題を変えまして次の問題に入りたいと思いますが、現在東海道の新幹線だけを考えた場合、これは黒字なんですか、赤字なんですか、お答えいただきたいと思います。
  165. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) これは先ほど大橋先生にお答え申し上げましたように、東海道新幹線だけでは四十一年度から利子を払いまして減価償却費をまるまる計上いたしまして百六十億ぐらいの黒字、それから本年度では大体二百三十億ぐらいの黒字になるというふうに考えております。
  166. 瓜生清

    ○瓜生清君 東海道新幹線は、将来ともいわゆる旅客というのですか、輸送だけに限定されるのかどうか。その利用の方法がまだほかに頭をしぼればあるのじゃないかという気がするのですけれども、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  167. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、当初東海道新幹線には旅客のほかにある時期が来たら貨物輸送をする。ことに深夜貨物輸送をし得るということで研究をいたしておったのでございますけれども、実はその時期がまだ現在——深夜はほとんど線路の保守とそれから電車の架線の保守に全精力を費しておりまして、深夜貨物列車を運転いたしますと線路の保守が非常にむずかしくなるというようなことが一点。それからもう一つは、貨物輸送は旅客輸送と違いまして、非常にイニシアルコストがかかるわけでございます。もし東京で貨物輸送を始めようといたしますと、現在埋め立て中の大井埠頭、あそこに貨物駅をつくらざるを得ないと思いますが、やはりそれだけで数十億の金が要ってしまう。それから名古屋にしても大阪にしても、いずれも一応の予定地は考えておりますけれども、ばく大な投資が必要になってくるということで、むしろそれよりも東海道の現在線でスピードの速い貨物列車を動かしたほうが有利じゃないかというふうな計算を現在いたしております。幸い新幹線ができましたことによりまして、現在線から夜行の寝台急行はもう四本しか残しておりません。全部やめてしまいましたし、特急も大阪特急は全部廃止してしまいました。そのほか、急行、準急とも全部減りましたので、その減りましたダイヤの、ことに夜のダイヤに貨物列車を、相当スピードの速い列車を入れました。そしてそれがむしろ現在の東京−大阪間の新幹線輸送にかわる輸送をしている、こういうふうな考え方をしております。いま直ちに貨物輸送に使うということは投資の状況から申しまして、ちょっとまだ具体的には考えておらないような次第でございます。
  168. 瓜生清

    ○瓜生清君 次に通勤対策の問題について一、二お伺いしたいと思うのです。その一つは、いわゆる国鉄の長期五カ年計画の中の大きな柱である、主として大都市の通勤対策というものが計画どおり順調に進んでおるのかどうか、それについて伺いたいと思うのです。それはなぜかといいますと、実は私はいま目黒から渋谷まで、いわゆる電車で通っておりますけれども、ここ数カ年間、身近な私の経験からしますと、目黒の駅は少しよくなった。いま渋谷の駅の裏側の改札口を修繕している。その程度の変化しかないわけなんです。しかもあの線にお乗りになった方はよく経験されると思いますけれども、渋谷駅は電車とプラットホームとの間が少しあいておるわけです。それを毎日のようにアナウンスして「あぶないから気をつけなさい。」こういうことがどうして早く解消できないのか。だからほんとうに、私は毎日あれを利用しておるわけですから、一体国鉄の言っておる、何といいますか、通勤対策なんというものは、ほんとうにおっしゃるとおりに進んでおるのかどうか、非常に大きな疑問を持つのですよ、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
  169. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 大都市付近の通勤輸送につきましては、実はこの前の長期計画からいろいろ金を入れておりましたが、ただいま御指摘の山手線につきまして申し上げますと、一番あそこでやりましたことは、十両運転にいたしたことでございます。電車を長くしたことでございます。これによりまして、いままで八両のものが十両になれば一割二、三分の輸送量がふえるということで、まずほとんど十両運転が完成いたしました。また電車も、御承知のように、大体古い、三つドアの電車はなくなりまして、緑色の四つドアの電車にいたしたわけでございます。これによりまして電車自体の収容力もふえますし、またドアが、幅が広く多いので、乗降が非常に早くなるというような改善を山手線ではしたわけでございます。それに従いまして、もちろん各駅のホームを全部延長いたしまして、いま渋谷などでは原宿寄りに大々的にホーム延長工事をいたしております。こういったように、なかなかお客さんの目にはすぐ見えませんが、相当実際に工事をいたしております。たとえば中央線で申しますれば、すでに御承知のように、荻窪まで複々線が完成いたしました。荻窪からは地下鉄にじかに乗り入れをするということになっております。あるいは東海道線、中央線、東北線、常磐線、総武線、現在五正面作戦をとって全区間につきまして工事を始めております。もう少し詳しい工事内容につきましては、仁杉理事から御説明申し上げたいと思います。
  170. 仁杉巖

    説明員(仁杉巖君) 東京付近におきます五正面作戦と申しますのは、ただいま申しました中央線では、とりあえず三鷹から東京、中野から地下鉄に入りまして呉服橋のほうに行くという線路を営団がつくっておりますが、それに乗り入れるということ、それから四十三年十月には東北線の赤羽−大宮間、これはただいまは電車線と汽車線二線、四線でございますのを、これを貨物線二線の分離をいたしまして六線にするという仕事をしております。それから常磐線につきましては取手から綾瀬まで、この間に張りつけまして二線線増いたしました。これも営団の九号線と申しまして、綾瀬から北千住を通りまして、不忍池を通って日比谷のお堀ばたを通りまして小田急の上原に至りまして狛江のほうに小田急に沿って延びていくという線路でございまして、この線に取りつけるような線路を考えておるわけです。それから房総線でございますが、これはとりあえず津田沼から張りつけまして両国に至りまして、両国からもうすでに工事をやっておりますが、隅田川の下を、地下を通りまして馬喰町、本町等を通りまして東京駅の下に入る。さらにそれが抜けまして、これが今度の東海道の湘南線の線増になりますが、品川まで地下で抜けてまいりまして、それから品鶴線と申します現在鶴見から品川までの貨物線に横須賀線を乗せまして、それから鶴見からは、現在ございます平塚から新鶴見までございます貨物線を旅客線に直しまして、そこに横須賀線を乗せるというようなこと、これに伴いまして実は非常にめんどうでございますが、貨物を通すことができなくなりますので、鉄道建設公団が外郭環状線と申しますか、武蔵野線と申しますか、相当雄大に新鶴見から府中を通りまして、小金井と国立の間を通りまして、所沢を経まして南浦和を通り、さらに常磐線の馬橋に抜けまして、それから総武線の船橋に抜けるというような外側にぐるっと環状線をつくりましてこれに貨物を乗せる。さらにこれに一部旅客を乗せるというような雄大な計画を立てております。これが四十六年度までにできますと、先ほど申しました東海道の列車が増発できるというようなことになります。そのほかちょっと見ておりませんが、先ほど瓜生先生からお話がございました山手線に関連いたしまして、実は大井に四百両ばかり入ります二階建ての、これは世界にも例がないのでございますが、二階建ての電車庫をつくっております。これが現在の山手線の十両運転、もう十両以上延ばすことはいろいろな意味においてむずかしいと思います。思いますが、この十両運転をいたしましたときに入ります列車を全部そのほかの場所と合わせまして、池袋あるいは品川等と合わせまして入れるような電車庫をいまつくっているというようなこと、さらに大井阜頭に百四十五万平米の土地を東京都から買う契約をいたしまして、これに新幹線の車両基地のみならず、貨物の取り扱い所並びに貨物のヤードというようなものを入れる、それに伴いまして汐留からさらに新鶴見のほうにかけましての線路を増設するというような、まあ通勤輸送に関係いたしまして膨大な工事を現在やっております。これ先ほど副総裁からお話しましたように、非常に苦しい予算の中ではございますが、緊急にどうしてもやらなければならないということで、借金の金をこれにつぎ込んでやっているということで、比較的通勤輸送の対策工事は順調に進んでいるということであろうと思います。
  171. 瓜生清

    ○瓜生清君 最後にお伺いしたいのは、たしかきのうだったですか、参議院の予算委員会で石田総裁が、ここ二年ぐらいは運賃値上げはしないが、通勤通学定期は上げるというようなことをおっしゃったように聞いているのですけれども、事実なのかどうか、そういう問題について、ひとつ副総裁から説明してもらいたい。
  172. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昨日総裁が申しましたことは、非常に通勤通学定期の割引率が高い、何とかこれを法律できめられている五割の線まで戻したいということを前提といたしまして、まあ一度にはできないけれども、二度ぐらいの間にぜひ五割、せめて法律できめられている五割、現在大体通勤輸送は平均六割七分で、通学輸送が八割五分引きになっておりますが、せめてこれを特に通勤のほうだけでも五割引きに持っていきたいということを前提といたしまして、一度にできないから二度ぐらいだろう、そうすると二度ぐらいのうちの初めのほうをなるべく早くやりたいけれども、そうよくもならないのにすぐやるわけにはいかないという程度のことを申しましたので、いま具体的に通勤定期の値上げ等は考えておらないわけでございます。  ただ先ほど先生の御質問関連いたしまして、これは一つの見方でございますが、いま仁杉が申しましたいろいろな工事をやりますと約五千億かかります。五千億かかりまして、昭和四十六年度時点で、輸送する通勤客が約百二十五万ふえるというような計算をいたしております。そうすると大体通勤者一人当たり三十五万円くらいの投資になるわけでございます。それが全部利子がかかりますので、大体一人当たり三十五万円の工事をいたすといたしますと、大体一人当たり年二万円くらいの——七分といたしまして二万円ちょっと利子がかかります。現在の定期ですと、通勤客からいただく定期の運賃が一万二千円でございます。ですから一万二千円のお客さんを百二十五万人運ぶのに五千億かけますと、結局大体利子の半分くらいしか出ない、こういうふうに非常にひどい計算になっておる。定期以外のお客さんは現在の輸送力で十分運べるのであります。たとえば昼間などは中央線でもガラガラでございますし、ただいま申しましたように大井にあれだけの金をかけて電車庫をつくりますのも、結局昼間電車を置く場所がないからであります。朝夕だけ二時間くらい働きまして、あと全部昼間寝ておるわけでございます。昼間のお客は現在の輸送力で十分運べる、結局朝夕のラッシュ時以外の時間に置く場所がないということで五千億の投資をいたしますので、結局いまの運賃でいきますと、大体利子も払えない、経費はもちろんのこと利子も払えないという計算も出てまいりますので、いずれこれは何らかの形で政府から保証していただくなり、あるいは受益者に持っていただくなりということを考えざるを得ない状態にあることは事実でございます。いますぐどうこうということは考えておらない段階でございます。
  173. 瓜生清

    ○瓜生清君 以上で終わります。
  174. 石本茂

    ○石本茂君 私は現在国鉄当局がサービスをしていらっしゃいます中の保安対策の部分につきましてお伺いしたいのでございますが、先ほど大橋委員のほうでも踏切の保安対策につきまして、るる御質問がございまして、御答弁がございましたので大体わかったのでございますが、先刻副総裁が申しておられましたように、輸送構造の変遷に伴いまして、いわゆる自動車の運行がすごく多くなってきております。そのために都市周辺でございますと、私は毎日板橋から通っておりますが、例の赤羽から新宿に行きますところの貨物列車は、ものすごく長いのが池袋線のあの辺を通りまして、どうかいたしますと、一時間近く待つこともございますし、立川近くのあすこにも、ものすごく長い踏切がございましてあすこで私一時間以上待たされまして、講義におくれたというのが私最近の体験でございますが、ますます年ごとに待つ時間が長くなってきております。そういう意味から先ほどの御意見よくわかりましたけれども、どうか利用者のサービスももちろんでございますが、地域住民の、いわゆる国民の足をそのためにおとりになるということがないように、特段の御配慮を早急にお願いしたいと、このことはもう御説明いただきましたので、私もさらに重ねて要望するものでございます。  それから次にお伺いしたいと思っておりますのは、駅の構内の保安に関しますことでございますが、たとえば東京の玄関の一つであります上野駅でございます。私は北陸の人間でございまして、しょっちゅうあすこを利用さしていただいておりますが、ここは実は旅客と貨物と一緒くたでございまして、あすこに一時間もおりますと、ガアガアと長い貨物をつけました貨物の輸送車が長い列をしてものすごい音を立てて——もちろんあれは金の輪だと思うのでございますが、一時間もおりますと頭がどうかなりそうな状態でございますし、年寄り、子供も多いのでございますし、いなか者も多うございますから、そういう繁雑した中で、不安な気持ちでいつも待つわけでございますが、一体あれはどうにかなるものでございますのか、将来もあのままで放置されますのか、ほんとうに行きますたびに、涙が出るほど悲しい思いがいたすのでございます。その点からひとつお話をお伺いしてみたいと思います。
  175. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの石本先生の御質問の、前段の踏切につきましては、大体私ども年額、踏切対策といたしまして百億くらいの金を実際計上いたして使っておりまして、最近非常に建設省あるいは地方自治体との折衝が早くなりまして、おかげさまで昭和三十六年から四十年度まで七百カ所、四十一年度だけで二百数カ所の立体交差が完成いたしまして、大体このくらいのテンポで今後とも進めてまいりたいというように思っておりますが、ただ大都市付近におきましては、一カ所だけの立体交差だけではだめなんで、さっき申しましたように、連続的に高架にしなければだめだということで、さきに御答弁申し上げましたように、各省にお願いいたしまして、何とか法律でもってこの問題を解決するようにしていただきたいということをお願いしている次第でございます。  それから上野の問題につきましては、実は私ども非常に心配いたしておりまして、私のほうで、じかに扱っている小荷物は、すでにこれは上野はやめまして、小荷物は隅田川の貨物駅に持っていってしまっております。ところが現在残っておりますのは、よそさまのことで申しわけないのですが、郵政省の郵便がやはりあそこにまだ残っております。それから新聞社の新聞が、これは私のほうで扱っておりますけれども、新聞社の新聞が大体都内で印刷いたしておりまして、隅田川駅に持っていく時間が非常に惜しい。あるいは新聞は非常に列車の選択が厳格でございまして、どうしてもこの汽車でなければいかぬという列車がございまして、結局いま新聞と郵便物だけが上野に残っている次第でございまして、私ども何とかこれを解消いたしたいと思って、何とか隅田川の貨物駅にまとめたいと思っておりますが、なかなか両方ともうんと言ってくれませんので、一応現在の時点では、新聞が大体三分の一くらい、郵便はほとんど全部ということで、結局上野駅の根本的な改造を始めておりますので、それと関連してもう少し、みなお客さんの通る根っこのところで動くものですから非常に私ども心配で、この間、実は一人郵政省の車で人を殺傷したこともございますので、非常に私ども心配いたしておりまして、警備その他とも万全を講じておりますが、やはりあれだけの人の通るところに、あれだけの小さい車をがらがら引っぱること自体が非常に非近代的でございますので、何とか今度の改造のときにできるだけあそこの旅客からは隔絶したいというふうに思っておりますが、郵政省、あるいは新聞のほうの御要求もなかなか強いものでございまして、それらの具体的な問題といたしまして、できるだけああいった危険のないようなふうに設備をつくり直すという方向で考えたいというふうに思っております。
  176. 石本茂

    ○石本茂君 ただいまのお尋ねしましたことの関連だったのでございますが、いま伺いまして、荷物がほとんど隅田川の駅のほうにいったということで非常にほっとしたわけでございますが、駅といいましても、いろいろな場所、いろいろな種類があると思うのですが、比較的安気の場所で勤務しております駅職員の方と、それからさっき申しました上野にしてもそうですし、池袋もそうでございますが、私がいつもお世話になりますところは、ほんとうに死にもの狂いでわれわれも通っておりますが、駅の方も必死になっておりますが、ああいう場所で勤務なさる職員の方に何か特別の勤務条件の配慮とか、あるいは健康管理の面で特段の配慮がされておりますものかどうか、短かい時間そこにおってさえものぼせてしまうものですから、ちょっとお伺いしてみたいと思います。
  177. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうは、いま給与制度がいわゆる純粋の職務給的なものにまだなっておりませんので、どっちかと申しますと、年功序列的の色彩の強い給与体系にいたしておりますために、いまおっしゃいましたようなこまかい配慮がまだできておらぬという点が多々ございます。しかしながら、健康管理につきましては、できるだけの意を用いまして、たとえば一日太陽の当たらない出札係については、人工光線を当てさすとか、あるいは部屋に冷房装置をつくるとかいうようなことで、できるだけのことをやっておるつもりでございますし、また非常に忙しいところにつきましては交代制を、二交代制を三交代制にするというふうなことをいたしておりますが、給与そのものは、まだまだ年功序列的な給与の色彩が強い、純粋に職務給的なものにまだなってないということをお答え申し上げておきます。
  178. 石本茂

    ○石本茂君 よくわかりました。できますことなら、やはり日の当たっている場所と日の当たらぬ場所があるように思いますので、そういうことも特別に御配慮いただきますことによって、われわれ旅客になります者、いわゆる運んでもらいます者も安心してすべて信頼し切っていま毎日運んでもらっているわけでございますから、たいへんうれしいと思うわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから次にお伺いしたいと思いますことは、列車の中に持ち込まれます危険物、これは客車でございますが、これは見分けてくださいと申しましても、ものすごくむずかしいことだと思いますが、先般例の新幹線の「ひかり号」でございましたか、事前にああいう危険物を見つけてくださいまして大事に至らなかった、非常にわれわれ国民としてほっとしたわけでございますが、同時にああいうことが今後もあるし、いままでもあったかもしれない。それが大事に至らないで済んだということだと思うのですが、当局とされましては、ああいう点につきましてどのような配慮をされておりますのか。国民の一人として安心して乗せていただきたいという意味でお尋ねいたします。
  179. 今村義夫

    説明員(今村義夫君) お話しのとおりに新幹線でああいう爆発事故が起こりまして、非常な不安を国民に与えたと思うのでございますが、したがいまして、われわれといたしましてはそういった不安を一刻も早く除去することが必要であるということでございますので、まず駅頭、ホームなり、あるいは駅の車内の警戒を厳重にすることが必要であるということで、いままでもやっておりましたけれども、これを公安職員を駅頭なり、あるいは車内の巡回に当たらせるという数をふやしまして、いままでは三十一本ぐらいやっておったものを、これを六十七本くらいやらすというようなことにいたしまして、厳重な警戒をまずやっております。それからもう一つは、このお客さんに列車の出発なり出発前、あるいは出発直後にお客さんのほうにもできるだけそういった危険物、車内に置き去りにされているような持ち主不明のような荷物がありましたならばお知らせくださいというような注意もいたしまして、また車掌はこれは当然の職務でございますけれども、できるだけ車内を巡回して、そういう不審な荷物の発見につとめるということをいたしたわけでございます。なおもしそういった不審なものがございましたら、その場合の措置といたしまして、まあこの間は幸いあれが未然に防止されたわけでございますが、これは車掌が適切な措置をとりまして防止したわけでございますけれども、今後もしそういうことがあって、爆発の危険性があるというような場合には列車をとめる。これはもう非常事態で、とめてそういった危険の除去、あるいは旅客の誘導その他にも万全を期するというようなことで、あの直後直ちにそういう指示をいたしまして、目下その体制で進んでいるわけでございます。もちろん、これは私どものほうでお客さんの荷物を一々点検するわけにはまいりませんので、これでもう万全でございますというわけには、もちろんまいらないと思いますけれども、私どもとしてできるだけのことはいたしておるつもりでございます。
  180. 石本茂

    ○石本茂君 よくわかりました。  最後に一つ、先ほど瓜生委員も申しておりました件でございますが、再び石田総裁が御留任くださいましたときのおことばの中にも、先ほど出ておりました公共性のあるいわゆる通勤あるいは通学者に対します定期の割り引きだと思いますが、これは非常に重い荷物になっているということをやはり申しておられますが、先ほど副総裁の御説明で大体わかりましたけれども、やはり受益者に対する自己負担というものに重点を置こうとされますのか。あるいは国家の財政にといいますか、それにたよって依存していくほうがいいのかということで、おそらく当局の中でいろいろ御論議もあろうかと思いますが、大体の方向としまして、どのようなことをいまお考えになっておられますのか。総裁のおことばを聞いておりますと、これはやはり公共負担というものに対して非常に不満を持っていらっしゃるというふうに受けとめたわけでございますが、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  181. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、その点非常に政府部内においても議論のあるところだと私は考えております。一説には、それは全然全部受益者負担にしろという説のあることも確かであります。それからいま総裁が言われたとおっしゃいましたように、ぜひこれは政府のいろいろな政策から出たものであるから、政府でもすべきであるというような議論もございまして、いろいろ議論の結果、この前の昨年の運賃値上げのときに一応全部受益者負担ということにさしていただいたわけであります。しかし、かと申しまして、それが理論上絶対正しいかどうかということについてもいろいろ議論がございますし、また一方、国家財政のふところのぐあいもあると思いますから、今後具体的な問題になりました際に、やはり政府部内でいろいろ御検討願って、何と申しますか、全部右とか全部左ということでなくて、あるいは受益者がある分、あるいは政府がある分ということも考えられますし、あるいは場合によってはまた前回のように全部ということも、いろいろ考え方があると思いますが、もう少し時期が熟しましてからいろいろ検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  182. 石本茂

    ○石本茂君 最後に、これは私の小さな持論でございますが、先ほど来御答弁の中にもたくさん聞きましたし、いただいております資料にも再々見せていただいておりますところの、いわゆる通勤通学ラッシュの緩和でございますとか、それから安全対策の強化でございますとか、特に輸送力の増強というようなことにつきまして、私はこれはどうしても国家のやはり背景、国の責任においてこういうことがなされるべきであろうということをいつも考える一人でございますので、どうか国鉄当局におかれましては、サービスの面で、それもこれも全部公共性を負うものだというのではなくて、国家の責任においてするべきだ、という小さな見解を持っている国民もたくさんおりますことを御理解くださいまして、今後とも私どものため、国民のためによい国鉄のサービスをしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は所用ができましたので簡単な資料要求と、ただ一つの問題についてだけ伺っておきます。あと詳しくは運輸委員会その他もありますので、そちらで伺います。  第一に、四十二年度の実行計画、これを出してもらいたい、資料として。国鉄の予算のいろいろ国会に出している資料がありますね、昨年から七カ年計画を出しましたね、あれが今年度はそのとおりになっていない、この点について詳細やりますから。この実行計画というのは違うじゃないですか、で、実行計画なるものを出してもらいたい。だから、国会に提出用と実際内示している予算というのとはもうずいぶん違っているということで、実に複雑な国鉄の姿があるということが一点。これは資料をいただいてから質問します。  もう一つの問題は、自衛隊の列車利用、ことに省線電車ですね、非常に混雑している。そういう省線電車を実際に自衛隊が鉄かぶとをかぶり、銃をむき出しにしたまま移動している。こういうことが最近ひんぱんに起こっております。具体的に申しますと、五月九日の朝九時から十時に山手線の池袋駅から新宿駅、こういうところで自衛隊が移動をやっております。これはどの部隊ですか、練馬部隊か市ケ谷部隊か、これは調査して出してほしいと思います。これはどういうふうになっているのですか、法規上。あの混雑の中で自衛隊の銃剣などにお客が触れるわけですが、こういうことは通例認めていいのかどうか、この問題をこれだけお聞きしておきます。
  184. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの資料提出いたします。  それからあとのほうの問題、実は私いま初めて伺ったのでございますけれども、これは規則とか何とかという問題よりも、むしろお互いのモラルの問題だと思います。自衛隊がそれは鉄道を利用してくださることは、われわれとしてはお金を払っていただくわけですから、ありがたいことですけれども、かといって、ラッシュの最中に剣つけて乗るんじゃ、これまた非常にお客にもあぶないということで、これは普通はそういうことはないと思うのでございますけれども、十分調査いたしまして、これはお互いの一つのモラルの問題として解決してまいりたい、こういうふうに考えております。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点も何か資料がありましたら、ここに出してもらいたいのです。やはりほかに移動トラックとかそういうものを持っているので、わざわざ混雑しているそういうところを自衛隊が使う必要があるのかどうか、これだけです。
  186. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会