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1967-05-10 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 小峯 柳多君    理事 砂田 重民君 理事 橋本龍太郎君    理事 武部  文君 理事 平岡忠次郎君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    木野 晴夫君       佐藤 文生君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    中山 マサ君       粟山  秀君    唐橋  東君       木原  実君    有島 重武君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         科学技術庁資源         局長      佐々木 即君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         農林省園芸局長 八塚 陽介君         水産庁長官   久宗  高君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部長 曽我 正雄君         大蔵省銀行局特         別金融課長   小宮  保君         農林省農林経済         局消費経済課長 森実 孝郎君         農林省畜産局牛         乳乳製品課長  松本 作衛君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君     ――――――――――――― 四月二十四日  物価安定対策確立に関する陳情書  (第一九八号)  物価値上げ反対に関する陳情書外一件  (第一九九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  3. 大野市郎

    大野(市)委員 前回の委員会で、個別の食品のうちで乳価の問題が問題になっておりました。それをいろいろ掘り下げてまいりますと、実は本日の委員会でも農林大臣出席を求めまして、農林大臣心がまえから聞いてまいりませんと、はなはだ対策がおぼつかない感じを持ったものでございます。したがいまして、本日、都合で農林大臣出席のないことを遺憾に存じます。委員長におかれまして、早い機会に倉石農林大臣の御出席をわずらわして国政の審議を進めさしていただきたい、これをまず冒頭にお願いしておきます。  さて、政治論になりますので多少問題がそれるのでありますが、根本でございますので……。行政指導はやめたほうがいいということと、行政機構の中での行政指導は当然やらねばならぬという基本的な問題が一つありますので、これを牛乳の問題に限定してお話しさしていただくと、当面の畜産局長がおりますので、畜産局長に、行政機構としてのいわゆる消費規制ということが、明らかにお仕事の中に規定されておりますが、その消費規制という内容行政指導撤廃ということは、どんなふうなウエートをもって差別を考えておりますか。
  4. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 ただいま御質問のありました行政指導の問題でございますが、申し上げるまでもございませんけれども農林省組織の中に牛乳乳製品等生産から消費に至るまでの指導を行なうということが規定されておるわけであります。そういう意味におきまして、われわれは牛乳生産なり流通消費につきまして指導をいたすということは当然の任務であろうかというふうに考えておるわけでございまして、今後におきましても生産合理化流通段階合理化につきましては指導をいたしてまいりたいと考えております。  ただ、先般問題になりました指導価格の問題につきましては、本来この牛乳価格というものは、当事者の間で自由にきめられるというふうな性格を持っておるものでございますので、したがいまして、その中身にまで立ち入りまして具体的な価格指導はいたさないということであるわけでございまして、一般的に生産流通消費関係につきましての指導をいたすことは、もちろんあるというふうに考えておるわけでございます。
  5. 大野市郎

    大野(市)委員 この判断は、高度の政治的判断で私どもは見たいと思っておりますが、局長としての牛乳に対する立場は、ただいまのお話で一応私ども意味はわかるのでありますが、問題は、自由価格とおっしゃるけれども需給アンバランスは明らかなんです。需給アンバランスの明らかなものに対して、価格面に対する内面指導というような対策を重ねないで、野放しにされた結果になっているのです。それで、私どもの感触では、当面の農林省所管の専務に属する牛乳であり、またあなたの所管であるその仕事行政指導という内容になりましたときには、やはり価格内面指導は放てきすべきものでないという見解を持っているのです。その見解根拠は、需給アンバランスのままで放置してはならないということなんです。これが私ども見解の違うところです。その結果惹起されたものは、自分の飲みものだから始末をしなさいという残酷きわまる、結束のない大衆消費者に対して、解決策を突き放したという印象世間一般が持っていることなんです。本日、大臣が御出席であれば、私はこの問題の責任の探明をいたしたいと思っておりました。後日に譲りますが、これが出発点なんです。ですから、そういう価格の支持の行政通達を撤回なさる前に、打つべき手を打たれて、なぜそういうことの心配をかけられなかったかということが、いまこの委員会でも、意見はみんなそれに攻撃の矢が向かっておるのです。ひとつこれは腹に置いていただきたい。  しかし、すでに矢は放たれまして、まさに消費者団体で、結束を持っておるグループ方々が立ち上がって、この問題をみずからの手でやっておる形でございますので、われわれ国会議員たる者は焦燥の感にかられまして、こんなことでいいんだろうか、こういう気持ちで一ぱいなんです。この問題は、とにかく基本の問題になりますから、所管事項流通消費という段階にまで手を入れていくべきであります。いままで、どうかすると生産が中心になっておりました農林省根本的な態度の問題に、私どもはひっかかりを感ずるのです。いろいろな農林省組織の中で、人手の問題とか、あるいはいままでは平穏無事であったがゆえに問題にならなかった流通、最終の消費段階ということが、非常な大きなウエートで政治問題になってきています。この解決がありませんと、生産者といえども消費者なわけなんですから、生産者消費者というものは国民という立場からは変わりはありません。こういうことで、繰り返すようでありますが、出発点立場を変えた考え方でおります。  そこで、当面の収拾策として——恒久対策については、これは、生産の問題では別な場面、農林委員会もございましょう。そういうところで、その問題でわれわれは突き詰めて、長期計画に対しての需給のバランスの回復の問題には努力をいたしたいと思いますが、当面の問題として、野放しにされたこの行政指導撤廃後の大衆動き方、そういうものには関心を持っていただかなければならぬが、今日、新聞に伝うるところ——われわれは新聞ニュース以外の情報に欠けておりますが、各種の新聞の伝うるところによりますと、牛乳集団購入交渉に成功した実例がたくさん伝えられております。こういう点に対して、畜産局長として、消費行政指導される立場から、どの程度情報を把握されておるか、その実態を御報告願いたい。
  6. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 消費の一般的な形といたしましては、小売り店配達をするという形でございます。しかし、たとえば特定のアパート地域であるとか、工場であるとか、あるいは職場というような、かなり職域的な形で集団的な購入というものが普及をいたしておりますし、今後も普及するであろうというふうに考えております。その全国的な実態というものについては、必ずしも明らかにいたしておりません。
  7. 大野市郎

    大野(市)委員 それははなはだ怠慢だと思います。現実に各新聞に連日大きな見出しで報道されておることを拾っただけでも、私はノートに一ぱいとってきております。それらの事態は、それらのグループの諸君が独自の立場で、配給業者と折衝を重ねて、家庭主婦が時間をさいて、仕事を捨てて、そうして交渉に成功しておる事例が幾つか載っておるんです。そういうことを担当省として、消費まで見るというのであれば、つぶさに情報を収集されて、その中で前進できることがあれば、十分の手を伸ばしてあげるというのが私は根本だと思うのです。  特にその中で、冷蔵庫置き場所とか、冷蔵庫を貸してくれる制度があるならば、われわれはおっ放されたけれども、われわれの団地においては十三円の牛乳も飲めるんだという声がニュースに載っておるんです。そういう事柄は御承知でありましたかどうか。
  8. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 新聞等を読んでおりまして、各地区におきまして、消費者がまとまりまして、集団購入をしたいというふうな要望もあります。現実にそういう動きがあるということは、十分承知をいたしておるわけです。
  9. 大野市郎

    大野(市)委員 そういたしますと、物価を安定せしめる方法は、生鮮食料品に関しては、もう古くから原理はきまっておるので、冷凍車冷蔵庫かで時の経過と場所を移動する以外に方法はないのでしょう。だからその声が起きておるなら、これは予算措置だけの問題です。予算措置だけの問題に対して、われわれが四十二年度で衆議院を通過せしめました予算の中では、モデル地区というので、そういう着想農林省用意がある。用意があるが、いかんせんそれは何十という数にはならないものでしょう。そうしますと、それだけに——家庭主婦は階級も政党も問わないのです。あらゆる国民が、家庭主婦がその問題にみんな関心を持っておる。そういたしましたなら、そういうことに対して、昨年の例などでも、新しい着想が出てまいりますと、予備費から回して、そして予備費支出をもって新規事業に充当した実例があります。農林省が考えられ、民間が考えられて、そういうわかり切ったことで、いわゆる呼び水というものの方法があるなら、それを大胆に大臣に進言され、そうしてそれらの予算化というものをされる御意思ありやなしや。
  10. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 お話の点でございますが、われわれも流通消費段階をどのように合理化したらいいかということで、実はいろいろ内部的に検討もいたしたわけでございます。しかし、現実問題といたしまして、多数の小売り業者競争があり、組織されない消費者がありまして、そこでなかなか消費段階合理化というのはむずかしい問題になっておるわけであります。したがいまして、このような状態に対しまして、何らか合理化をしていくようにするためにはどうしたらいいかということで、実はこれの改善のための事業施設というものにつきまして予算化をいたしたわけでございます。最初の年でございますので、これはモデルでございまして、将来一般化されるような形のものとして普及されるようなものでなければならないというふうに考えまして、その点につきましては三十地域につきましてモデル的にそういうふうな研究をやりまして、どういうふうな施設でどういうふうにやれば最も合理的にいくかというふうな形を見きわめまして、それに対して必要な助成をするというふうな考えでございまして、今後もこういうふうな考え方で進んでまいりたいというふうに実は考えておるわけでございます。
  11. 大野市郎

    大野(市)委員 この問題はあなたと論議をいたしましても、予算関係した問題でもありますから、結局心がまえの問題になるわけです。私は卒直に申しますが、牛乳で家計がぶっ倒れようとは思っていないのです。しかしながら、とにかく一番関心を持つ共通の消費品なんです。それにもめんどうを見てくれないということになりますと、政治不信が起こる可能性がある。すでに起きておるのです。私どもはこれが一番心配なんです。そのために使用する予算が何億であったって安いものですよ。あなたとこれ以上の予算論議をしても、他に関係がございますから、きょうの私の発言は大臣に十二分に伝えていただいて、実現の方向で御検討願いたい。  それから、容器の問題で前後二回にわたって当委員会で、私がポリエチレン容器はどうかという問題を出しましたが、これに対しましてはなはだ不本意な、研究も試験もしていないで、薄っぺらなポリエチレン容器は使用にたえないという独断をそれぞれの立場の方が答えられまして、実は私もびっくりしたのでありますが、たまたま私ども知識が足らないので、新聞社ニュースをいただく以外方法がないのでありますが、二月二十一日の読賣には、二年前にスイスですでに開発されておるポリエチレンフィルムというもので、これは一本二十五銭から三十銭しかかからないんだ。ガラスのびんが一本十四円であるけれども、五十回ぐらい使えるというので、割ってみると一回が二十八銭になる。だから二十八銭と二十五銭−三十銭ではとんとんであるけれども、いわゆるびん洗いの機械の償却だとか、びん置き場の敷地を確保しておくこととか、あるいは配達人回収費なんというものを計算すると、びん一回の代金は一円五十銭から一円七十銭になるという報道があるのです。私は真偽を確かめてございません。しかし、重要なニュースだと思います。われわれが期待していたものがすでにニュースとして報道されておった。しかも、厚生省へは口頭で四十一年の九月にある乳業会社が打診をしておるという記事もあるのです。私はよもや農林省あるいは政府当局が、新聞にここまで載ったものに対して、根っから否定をせられるはずがないと思うのですが、容器の改良の方向でという心がまえになればさがすはずなんです。これがあなたのほうには情報として、あるいは研究課題として入っておるかどうか。
  12. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 容器の問題は、特に厚生省関係の問題でございますので、私たちのほうといたしましては経費の合理化の問題ということで考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、特にポリエチレン等につきましては、必ずしも私のほうで衛生上の問題がはっきりいたしませんので、その点につきましては農林省自体としまして、その問題をいままで十分取り上げてはおらないわけでございます。
  13. 大野市郎

    大野(市)委員 大臣の御出席を要求する理由はそこにあるのでして、そこでとまってしまう。ですから、心がまえがこうせねばならぬということであれば、われわれも努力するし、政府努力してもらわなければならぬ。その努力がなければ何の合理化ができますか。きょうは大臣がおられないが、しかしながら、それぞれ上司には御報告をなさるでしょう。厚生省農林省公取、すべて政府の機関でしょう。これは厚生省仕事だ、国民はそんな区別はしていませんよ。国会議員は何しているのだと言う。われわれ地方に帰って地方の識者と会った場合、国会議員は何をやっておるかと攻撃にさらされる。また、政府は一体であるべきじゃないか。それが担当が違うから私のほうではございませんというような答弁でその場をのがれられておるのがこういう結果になる。私は、きょうはその担当厚生省がおりませんので、この問題も記録にとどめて、出られたときにあるいは再質問をさせていただきますが、こういうことに対して、局長ひとつ、あなた政府委員なんだから、ぜひこれの衛生上、経済上可能かどうか、究極の結論を当委員会にあなたから取り次いでまとめて報告をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  14. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 厚生省と相談をいたしまして、お話のような形でやりたいと考えております。
  15. 大野市郎

    大野(市)委員 それから、今度はやはり具体的の事例でございますが、四月二十二日の讀賣記事によりますと、移動大型販売車東京ストアが、十三円牛乳をそのまま十三円でもよりの方々販売をしておる。これはA牛乳業者の某系列卸売り業者から仕入れたものであって、これが十二日から始まったが、十八日に仕入れを断わられて取りやめになった、B乳業の某系列卸売り業者から十九日はとれたが、これも二十日は打ち切りにされた、そこで東京ストア公取委員会提訴をした、公取委員会独禁法違反の疑いで調査を始めたという報道が戦っておるのであります。越えて四月二十四日の東京新聞によりますと、二十二日に東京ストアは五千本を再び売り出して、二十四日からは二万本程度十三円の牛乳一般大衆消費者に売ることになるだろうという記事が載ったのであります。讀賣のその後の記事を調べましたが、そのことに対する結末の報道はございません。しかし、公取提訴があったという記事でございますので、真偽はわかりませんが、公取の方にこの点に対して具体例としてお答えをいただきたい。
  16. 曽我正雄

    曽我説明員 ただいまの件についてお答えいたします。  その東京ストアの件につきましては、私どものほうといたしましても新聞その他からキャッチいたしまして、その後当事者東京ストア並びに関係人を呼び出しまして、目下審査を行なっているところでございます。もし不当な圧力を加えているような事実が明らかになれば、われわれとしては措置をとりたいと考えております。
  17. 大野市郎

    大野(市)委員 公取の問題は、またいろいろ関連の御質問がおありのようですから、それだけにいたしておきます。  そこで、合理化カルテルという名前がえらくにぎやかになってまいったのでありますが、集団購入実例がたくさんあるということを、先ほど新聞からのニュースとして引用をいたしましたが、いろいろな例があるのです。そうして値段もいろいろです。しかも地元のメーカーに切りかえがあるというおもしろい記事もあります。つまり、中小メーカーがえらく協力をして、大メーカー協力がにぶいような印象を受ける記事がたくさん載っております。これはやはり注目すべき社会現象経済現象でしょうけれども大衆飲料としての牛乳性格からいきますと、当委員会としてはやはり検討をいたしたい問題だと私は思う。農林当局としても問題をひとつ熟視をしていただきたい。  その中で、静岡で県一本の合理化カルテルができて成功したという記事を発見しまして、われわれ雑務に追われて知識がたくさんございませんでしたが、一つ方向ではないかということで注目をいたしたわけでありますが、静岡県の牛乳小売商業組合合理化カルテルに成功したということは事実でありますか。
  18. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 ただいまお話の点につきましては、静岡牛乳商業組合が結成されたというのは事実でございます。しかし、御承知のように、合理化カルテルをやります場合は農林大臣認可を必要とすることになっておるわけでありますが、その認可に対する申請もございませんし、したがいまして、合理化カルテルをやられたという事実はないものというふうに判断をいたしております。
  19. 大野市郎

    大野(市)委員 新聞報道真偽のほどは私どもわかりませんが、農林省のただいまの報告が公式のものと思います。しかしながら、一つの大きな提案だと思います。ただいま申し述べたように、各地で集団購入で成功した実例がもう出ているんだから、これをひとつ伸ばしてあげるためには、何か小売商業組合がそれらの末端の段階流通機構合理化をはかるという方向に持っていく法的根拠、あるいは同業者を説得する必要もありましょうが、そういうような問題でやはりこれは重要な課題だと思うのです。  これに対して、実は私質問いたします前に、合理化カルテルであり中小企業であるので、てっきり中小企業庁のごやっかいになるんだろうと思いましていろいろ下調べもいたしましたが、そちらももちろん大元締めで関心は持ちますが、農林省がやるんだということになりまして経済局下調べをいたしますと、農林省所管中小企業育成強化をはかるのはわれわれの任務でございますが、牛乳ということになりますと畜産局でございますと、こういうわけで、まことに知識のないのを披露してはずかしい次第ですが、回り回って、牛乳のそういう中小企業者指導育成、そういう問題全般畜産局にかかっておるということに決着がなりましたが、畜産局長は、私ども新聞紙上でたまたま見つけました静岡の例のような形を、興味を持ってこれを掘り下げて、ものにしようという御熱意がありますかどうか。
  20. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 先ほどもちょっとお話を申し上げましたけれども流通段階におきます合理化につきましては、従来からいろいろな提案がなされてまいっておるわけでございますけれども現実に実行に移されておるという場合がなかなか少ないわけであります。これは、もちろん小売り業者競争というものが一つはあるわけでございますけれども、一方では、消費者の従来の消費慣行と申しますか、そういったものがその合理化をはばんでおる面も確かにあるというふうに思われるわけであります。合理化を進めていくといたしますと、小売り段階になりあるいは消費者段階というものを一つ方向に持っていかなければ、なかなかやはり合理化というのは進んでいかないのではないかというふうに考えております。そういう意味から、何らか合理化をしていくというためには、地域的にまとまってやっていくということが必要ではなかろうかというふうに考えております。四十二年度で私たちが実施いたしたいと思っております小売り改善モデルも、そういうふうな考え方から地域を指定しまして、その地域ぐるみ合理化がどのようにできるかということを考えてまいりたいというふうに考えておるわけでありまして、ただいま先生のおっしゃいましたようなそういう点につきましては、精神といたしましては、われわれとしては今後前向きの方向で考えていくべき性質のものというふうに考えておるわけでございます。
  21. 大野市郎

    大野(市)委員 前向きに考慮するという言明でございますが、この問題に関しまして、ちょうど公取の方もおいででありますので、ただいまの中小企業団体組織に関する法律の中の第三条の商工組合、またそのうちにいわゆる安定事業合理化事業があるそうでありますが、合理化事業として発足ができたならば、いわゆる「その物の販売方法に関する制限」という条項に該当するので、販売に関する方法というのは、すでに実例の出ていますような月ぎめ店頭販売、こういうような配達方法改善取引方法改善なんですが、そういう問題に限って業界が意思が相合致い  たしてまいりましたならば、そういうことでただいまの商工組合合理化事業合理化カルテルが認められますかどうですか、事前にお伺いしたいと思います。
  22. 曽我正雄

    曽我説明員 ただいまの件は、調整規程のいわゆる認可ということで、合理化事業につきましては公取といたしましては協議という形になっております。その申請がございますれば、われわれのほうとしては当然それについて検討するのでございます。なお、本件のような場合でございますので、特に積極的要件でございます原価の引き下げとか、そういった値下げのためのものであるならば、われわれとしても、畜産局と同様前向きの姿勢でこれを検討したい、そういうふうに考えております。
  23. 大野市郎

    大野(市)委員 ぜひそういう方向で、一つの手がかりだと思いますので、お進めいただきたいと思います。  最後に、もう一つだけ伺いたいのでありますが、コールドチェーンということが盛んに叫ばれまして、われわれもその成果に期待しておるのであります。そういう問題に対するPRといいましょうか、どういうふうなところまで進んでおって、将来どうなるのだろうかというような事柄が、家庭の食生活の品数がふえる、安価である、いろいろな利点でわれわれは期待をしておるわけでありますが、御出席水産庁長官から、その点について簡単でいいですから一言おっしゃっていただきたい。
  24. 久宗高

    久宗政府委員 コールドチェーン全体につきましては、むしろ科学技術庁のほうからお答えいたしたほうが総合的かと思うのであります。私どもの関連だけで申し上げますと、いずれにいたしましてもチェーンと申しますように、生産から流通全般を見ましての一つの組み合わせになりますから、その関連におきまして、私どもで分担しております分野で申し上げますと、現に行なっておりますものは、産地の冷蔵施設を当然これは整備しなければならないわけでございますので、産地の冷蔵庫の整備と、それを運んでまいります冷蔵自動車等につきましての補助を現在までやっております。また、冷凍魚そのものの消費の普及につきまして、今日まで協会を通じましていろいろ宣伝をいたしてまいったのでございますが、やはり最終的には消費者知識と申しましょうか、解凍技術を含めました一連の問題がございますので、本年度から小売り業者の御協力を願いまして移動展示車等につきましても補助をいたして進めたいと考えておるわけでございます。なお、もう一つ、全体といたしまして多獲性魚の問題がございますので、この多獲性魚を物価安定との関連において、どういう時期に買って、どういう時期に放出するかという一連の試みを、生産者団体と組みましてやっておるわけでございます。  以上のようなことが、水産庁の相接担当いたしておりますものでございます。ただ、コールドチェーンそのものにつきましては、これは釈迦に説法でございますが、非常に総合的なものでございますので、私どもだけではございませんで、各省の御関係も含めました総合的な組み立てが要るわけでございます。ある部分だけが完成いたしましても結びつかないという問題と、水産関係で一番悩みといたしておりますのは、最終的には消費者の保蔵能力がどういう形になるかということでございまして、そこでチェーンが切れてしまうおそれがあるわけでございます。その辺のところをどう持ってまいりますか、各省とも御連絡しながら突っ込んで検討したいと考えております。
  25. 大野市郎

    大野(市)委員 私がこの問題を打ち出したのは、やはり消費者が期待しておるのです。それで、いまにもそれは普及するのかと思い込んでおるのです。一方、鮮魚の小売り商の連合会とか、そういう団体は、そのためにいわゆる冷凍をしない魚、それが負けてきはしないかというふうな取り越し苦労をしまして、それで地方コールドチェーン反対というふうなものを出しておりますので、私が先ほど述べましたように、せっかく政府がくふうをして食生活を豊かにしようというやさきに、PR不足のために、一方はぬか喜びをしておる、一方はない鬼におびえておる、そういうようなばかげたむだが行なわれておる。そういう意味でこの問題は、水産庁長官は、まだチェーンのある部分が未熟であるので、いわゆる普及の段階ではないというお話でございますが、科学技術庁のほうでいろいろのデータを集められておるそうでありますが、きょうは時間の関係で私の持ち時間もございませんので、そういうものはわれわれも知りたいことでございますから、ひとつ資料として委員会に提出していただけたらしあわせだと思いますが、委員長においてお取り計らいをいただきたいと思います。科学技術庁段階でいろいろ御研究があるようでありますから、将来これまたひとつ前向きの姿勢で、普及のできるような方策をお進めいただきたいと思います。  以上で終わります。
  26. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 大野委員のおっしゃるように、資料として整えて出させますけれども、いまは説明は要りませんか。
  27. 大野市郎

    大野(市)委員 時間の都合で……。
  28. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 武部文君。
  29. 武部文

    ○武部委員 私は、前回農林大臣出席がなかったので、宮澤国務大臣政府見解を問いただしたわけでありますが、本日も農林大臣出席がありません。まことに遺憾でありますが、特に農林大臣が四月十一日の新聞記者会見において発言をされたことについて政府見解をただしたわけでありますが、その際に、農林大臣見解政府見解ではないという宮澤大臣の回答がありました。また、私のその質問に対する宮澤大臣の回答は、そういうことはないだろう、また農林省担当官も、そういうことはない、こういう説明でありました。その記者会見の新聞記事を、ほとんど全部にわたって私は取り寄せて調べてみました。ところが、残念ながらこれはどの新聞にも同様な記事が載っておるのであります。したがって、私はこの際、基本的な政府のいわゆる消費者の乳価に対して見解が異なるので、大臣がいないのはまことに残念でありますが、特にこの機会に意見を申し上げ、政府のほうとしての統一見解を、次会でもけっこうですからぜひ出していただきたいと思います。  まず、新聞報道によりますと、小売り牛乳の値上げ幅は一本二円程度が常識的な線だという発言でありますが、常識的な線だということは、少なくとも私どもの解釈を言うと、あたりまえだということであります。二円の値上げはあたりまえだ、こういうふうに農林大臣ははっきり言明をしておるのであります。もう一つ報道によりますと、四月の一日にさかのぼって値上げをするということは好ましくない、こういうことも言われておるのであります。四月の一日にさかのぼって値上げをすることはいかぬが、これから値上げをするのはあたりまえだ、これもだれもが考えることであります。宮澤大臣は、政府としては消費者の乳価が上がることについては反対だ、むしろ指導価格撤廃によって下げることができるのだというような意味の答弁をされておる。これは畜産局長からもされておる。そうなってくると、農林大臣の説明と、畜産局長の説明や宮澤大臣の説明とは全く相反するのであります。こういう点について政府の統一見解を私はただしたいのであります。  もう一点は、このような発言が行なわれたあとに、私の手元にある調査によれば、非常に多くの県で値上がりが起きておるのであります。現実にいま起きている状況を説明いたしますと、四月の上句に値上げをした都道府県は十県、四月の中下句から正月にかけて値上げをいたした県が三十五府県にのぼっておるのであります。ということは、あまりそういうふうに言いたくないのですが、農林大臣が説明をして、二円はあたりまえだというようなことを言ったあとに全国的にどんと値上がりが起きておる、こういうこととが端的に私は指摘できるのではないかと思うのであります。したがって、少なくとも年間百七、八十万トン程度牛乳を飲んでおる状況ですから、これはたいへん大きな影響を与えると思うのですが、本日は大臣がおりませんから、こういう点の食い違いについて政府の明確な答弁を次会にぜひやってほしい、この点がまず第一であります。これは質問でありませんから、私の意見として申し上げておきたいと思います。  次に、公取のほうに独禁法の問題について質問をいたします。  前回のこの委員会で、四月六日から四月八日にかけて、特に兵庫県、大阪等がそういうケースが著しいと思うので、独禁法の四十六条に基づいて立ち入り調査をした、こういう説明がありました。自来きょうまで一カ月以上たっておるわけでありますが、この調査でどのような結果が出ておるのか、この点をまず最初に公取のほうからお伺いしたい。
  30. 曽我正雄

    曽我説明員 ただいまの件につきましては、お説のとおり、四月上旬から兵庫県並びに愛知県、それから四月十三日からは全国にわたりまして十団体、四業者のところを一斉臨検をやっておるのでございます。現在のところは、これらの関係人につきまして一応審尋をやっておるのでございます。この審尋はまだ続行中でございまして、この結果については、いまここで御説明申しかねる次第でございます。
  31. 武部文

    ○武部委員 いま審尋をやっておるということですが、非常にこれは関心が深いと思うのです。少なくとも一カ月以上たっておるわけでして、いまの段階でこの内容について全然説明ができないということでは、実際問題としては困ると私どもは思うのです。おそらく国民としても非常に注目しておると思うのです。ですから早急にこの結論について当委員会報告するように、特に公取として進行を急いでほしい。この点は要望になります。  それから、先ほど大野委員からも質問がありましたが、四月二十日の東京ストアの妨害のことについては、非常に詳しく新聞報道されております。これは、たしか十六、七日ですかに始まって、二十日にはこれが妨害だ、独禁法に違反しておるというので、訴えが公取にあったはずであります。これももうすでに二十日経過しておる。これは全国的なケースと違うわけで特殊なケースでありますが、この点について少し内容を説明してほしいと思います。  それから、特に荷どめという記事新聞に発表されておりまして、相次いで荷どめによって安い牛乳がストップさせられておる。ついこの間は消費者団体の皆さんが、こういう荷どめが相次いでおる、これは独禁法違反じゃないか、こういう点で公取のほうにそういう訴えをしておるという新聞記事さえも出ておるわけであります。毎日飲む牛乳のことですから、一カ月も二カ月も先の、結論が出るまでというようなことで荷どめをどんどんされたのではたまったものじゃないので、早急にこれについても結論がほしいわけでありますが、いまの東京ストアの問題についてもう少し説明をしてほしいと思いますし、この妨害は独禁法のどういう条文でどういうふうになるのか、まずそれをお伺いしたい。
  32. 曽我正雄

    曽我説明員 ただいまの東京ストアの問題は、私どもも、先ほど申し上げましたように新聞記事その他から一応事情はわかっておりました。続いて当事者東京ストア並びに関係者について、私どものほうとしては事情を聴取並びに現地にもおもむいております。ただその間に、これは双方のいろいろな言い分もございますし、その裏づけについて目下審査をやっておる段階でございますが、不当な拒否であれば当然独禁法の問題になると思います。不当拒否の場合でしたら、一般指定の一号ということでございます。それから、その他いろいろ取引拒否というような問題も起こりつつあると思いますし、今後も起こるのではないかという考えは持っておりますが、現在の段階では、われわれのほうにそういう申し出がございました場合は、先ほど申し上げました全国的な問題と切り離して、それはそれの独自の立場で私どものほうとしては処理していくつもりでおります。
  33. 武部文

    ○武部委員 残念ながらまだ結論が出ておらないようでございますが、公取の北島委員長は十三日に、こういう妨害行為に対しては、きびしく取り締まるということをはっきり言っておられるわけです。相次いで起きておるわけですから、早急にひとつ公取としての結論を出していただきたい。これは要望になります。  続いて、前回の委員会で四党で共同決議を行ないましたが、その乳価の問題についての共同決議の中に、「集団購入店頭販売等の奨励策を講ずるとともに店舗の改装等に低利・長期の資金を確保すること。」、こういう一項目があります。これは大蔵省の金融課長にお伺いいたしますが、こういう低利、長期の資金を確保するということが決議をされて、政府を代表して宮澤大臣のほうから、趣旨はもっともだ、妥当だと思うので大いに努力をする、こういう答弁がありました。したがって、これについての政府見解をひとつ、予算的な措置等についてお伺いをしたい。
  34. 小宮保

    ○小宮説明員 政府関係金融機関の牛乳販売関係に対する融資でございますが、最初に昨年度の実績を簡単に申し上げます。  実は統計等が若干整備されておりませんので、一部推計にわたる点は御了承願いたいと思いますが、国民金融公庫におきまして——実は国民金融公庫につきましては、今度の委員会がございますものですから、九つの支店につきまして抽出的な調査をしてみたのでございますが、設備資金で八十八件の五千二百万円、運転資金で八十四件の四千万円、計百七十二件の九千二百万円、こういうぐあいになっております。これで国民公庫全体、全国の店舗についてどのくらい融資が行なわれているかということでございますが、大体推計といたしましては九億前後ぐらいになるのじゃないかと考えます。  それから中小金融公庫でございますが、中小金融公庫につきましては、これは牛乳全体につきましての統計が必ずしも完全ではございませんけれども、全国の統計がございます。これによりますと、設備資金で九十六件、三億九千万円、運転資金で六十八件の二億七千万円、計約七億弱くらいの融資が行なわれております。  それから商工中金につきましては、これは残念ながらどうしても統計資料を間に合わせることができませんでしたが、私どもの感じでは、大体中小、国民とほぼ似た程度の金額の融資が行なわれておるのじゃないかと考えております。  それで、今年度につきましては、これは御承知だと思いますが、政府関係金融機関全体の融資規模と申しますか、これの伸びが総合計で一八%くらいになっております。中小関係につきましては大体二一%くらいの伸びを示しております。ほかの金融機関に比べても、中小関係につきましては相当思い切った重点的な財政資金の配分を行なったというふうに私どもは心得ております。もちろんこれは牛乳販売関係だけではございませんけれども、全体の傾向を示すものとしてお受け取りを願いたいと思います。  それから、やや具体的な問題に入りまして、それでは端的にどういう措置があるのだ、こういうことでございますけれども、それにつきましては、牛乳関係について私は三つばかり申し上げておこうと思います。  一つ生産関係でございまして、生産関係は、先生御承知のとおり昭和三十六年から農林公庫におきまして乳業関係の融資が行なわれておったのでございます。これが去年の春で、実は限時立法で切れるところであったわけでございますが、五年間延長されまして、四十一年度からまた融資が再開されております。これは集約酪農地域におけるいろいろな飲用牛乳処理施設とか乳製品処理施設に対する融資でございますけれども、これの融資が四十年度が十五億くらい、四十一年度は、実はいま申し上げましたような制度の切りかえがあったものでございますから、五億くらいしか出ておりませんけれども、四十二年度につきましては相当程度、十二億くらいの融資を私どもは期待しておるわけでございます。  それから第二番目に、最近非常にやかましくいわれておりますいろいろな流通機構関係でございますが、流通機構についても、開発銀行の関係におきまして四十一年度から流通機構近代化という特別のワクを設けまして、これはまあ先ほどもお話の出ておりましたコールドチェーンその他いろいろなものが入っております。もちろんこれは牛乳だけではございませんで、そういうコールドチェーン等を頭に置いた流通機構近代化関係の融資として、四十一年度はたしか百八十億くらいだと思いますが、四十二年度は思い切って二百二十億ということにふやしております。  それからもう一つあげさせていただきますと、中小企業金融公庫におきまして、従来販売関係は全部代理貸しと申しまして、中小公庫が自分でお金を貸しませんで、市中の金融機関に委託をいたしまして貸しておったのでございます。そういたしますと、限度額一千万までしか貸せない、こういう問題があったのでございますけれども、実はそれではどうも流通機構の整備ということからふさわしくないということで、ごく最近、三月であったと記憶しておりますが、卸についてこれを直貸しにする。直貸しにいたしますと、自動的に融資限度額が三千万までふえるわけでございます。それの卸関係のいろいろなコールドチェーン、ボランタリーチェーン、倉庫、そういったものについての融資をかなり思い切ってやろう、こういうような措置を最近講じております。
  35. 武部文

    ○武部委員 わかりました。  そこで、農林省にちょっとお伺いいたしますが、農林省予算の中に、団地などで牛乳の共同購入をする場合に冷蔵庫の新設の補助金があると思うのですが、それは幾らですか。
  36. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 昭和四十二年度の予算におきまして、新しく小売り改善モデル施設ということで予算を計上いたしておるわけでございますが、その金額を申し上げますと、モデル事業といたしましては約五百万円でございますが、事業費の補助金といたしましては三百三十万円ばかりを計上いたしておるわけでございます。
  37. 武部文

    ○武部委員 それではこれで最後になりますが、いま聞きますと、約五百万ですね。先ほどの大野委員質問にもありましたが、特にこの問題が取り上げられるようになってから自主取引によって非常に安い牛乳を飲む。そのために、土地さえ団地のほうが確保すれば、そのところに冷蔵庫を持ってくるのはメーカーなりあるいは販売業者が持ってきて直接配達して安くする、こういうケースが非常に多い。私はこれがどんどんふえてくると思うのです。そうすると、五百万円どころの話ではこれは問題にならぬと思うのです。したがって、先般この委員会で、集団購入とか店舗の改装とか、そういう面についての低利、長期の資金を確保することについての決議がなされているわけですから、いまの金融課長の説明とあわせて、これからどんどん出ると思うので、先般の決議を十分尊重して、そういうような点についての申し出があった場合に、ぜひ適切な措置をとるように願いたい。これを最後に要望、同時に質問として申し上げておきます。
  38. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 お話のような点につきまして十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  39. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 佐藤文生君。
  40. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 私は青果物の生産流通、そして消費の問題について質問をしたいと思います。  これは総理府の統計局で東京の消費者物価の値上がり率を調べた数字ですけれども、昭和三十五年を一〇〇として、昭和四十年では食糧については一四〇・三、家賃地代については一三九・九、教育費の一六八・二と、こういうぐあいに消費者物価の値上がり率が出ておりますが、その中で、食糧の値上がりの最大は生鮮食料品でありまして、その値上がり率は一七〇・四ということになっております。したがって、生鮮食料品の値上がりを抑制できれば消費者物価の値上がりが大きく押えられるのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。特にまた家計支出のうちで最大の支出は、エンゲル係数によりましても三六・八で、食糧でございまして、その中の最大は生鮮食料品であります。したがって、私は青果物を中心にして質問をしたいと思いますが、委員長の許可を得まして、流通機構がわかりやすいように資料を張らせていただきました。   〔佐藤(文)委員、図表を示す〕  まず私は、生鮮食料品消費者価格は、やはり生産者価格に大きく左右されるということを考えまして、これは大分県にできます高冷地キャベツを例にとったのですが、生産者と書いてあるところから右のほうにずっとおりているのが北九州市の中央卸売市場のある地域です。それからその生産者を中心にして左のほうにおりているのは、生産県である大分の市場であります。したがってこの資料から、右のほうを大阪にとれば、左のほうが阿波物価といわれておる徳島地方にもなるでしょうし、あるいは右のほうを仙台にたとえれば、左のほうの市場が青森市場になるでしょうし、東京近郊の市場、こういうぐあいに、これは一つモデルになるのではなかろうか、こう思いましてこれを書いたのでございます。  昨日、私は赤坂の八百屋さんでキャベツの値段を調べてみましたところが、ちょうど四十円でございました。大体、一番下のほうに大阪、東京のキャベツの消費者の値段が四十五円と、こう書いてございますが、昨日のキャベツの東京の市場の小売り価格は四十円である。大体一玉二十センチ、二十円で生産者が出したキャベツを、大分の市場で二十六円七十銭というぐあいにせり相場が確立されますと、それから歩合と運賃、容器代を引いたのが生産者に渡っていく。それから仲買い人と小売り人が三割ほどとって三十五円になる。それが消費者価格になっていく。それから東京の市場あるいは北九州の卸売り市場になりますと、卸売り人と仲買い人と小売り人とがそれぞれ入って、消費者価格が、北九州では三十七円八十銭、東京、大阪では四十五円、こういうぐあいに、高冷地キャベツがそれぞれの流通過程を通るうちにこういう価格になるのですが、これは大体生産者価格の二・五倍ですから、大体まあ生産者価格の三倍くらいが私は妥当じゃないかと思うのです。イギリスでも、アメリカでも、フランスでも、大体生産者価格に対して消費者価格の青果物の平均値というものが、消費者価格を一〇〇にして、生産者価格は三〇ないし三五ということになっておりますので、非常にキャベツは安く消費者に渡っているという、これは一つの例であります。  ところが、三十九年のことでしたが、キャベツとは違いますが、白菜の値段が非常に下がりました。産地仲買い人が生産地に行きまして、暖冬異変で生産過剰になったために、白菜を一個一円というぐあいにたたき買いをされました。それが、産地仲買い人から卸売り人に渡ったときがちょうど十円、卸売り人から仲買い人を経て小売り店にいったときには二十五円になった。そこで消費者のほうは、これはまだ非常に高いじゃないか、産地のほうじゃ一円で買いたたかれている白菜が小売り店では二十五円、二十五倍になっている、これは高いじゃないかということで、仲買い人、卸売り人、産地仲買い人をそれぞれ調べてみたのですけれども、いろんな理由でそう利潤を得ていない。みんなやっとやっとの、まあ赤字にならない程度でもって流通をさしておるんだということがわかったわけです。生産者が一番そこでひどい目にあっているわけですが、私は、農林省所管の方にお聞きしたいのですが、この生産過剰になって非常に野菜が暴落する、こういったようなことで産地に対するところの対策はそれぞれとっておられると思うのですが、現在どのような対策をとって、どういうような産地対策をしておるかということを園芸局長にお尋ねいたします。
  41. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいまお話になりましたとおりの形になっております。私どもといたしましては、生産者あるいは消費者の両方のために生産が需要にマッチし、かつ安定的に供給されるということが、あらゆる場合の必要不可欠な姿勢であろうというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましては、第一番に生産の安定的な、いわば合理的な体系をつくる。もちろん野菜につきましては、御承知のとおりこれは日本の農家のほとんど大部分がそれなりに野菜をつくっておる、かつ百二十万戸程度の人たち販売をいたしておる、きわめて零細になっております。地域もあちらこちら、季節もあちらこちらであるというようなことで、一挙にその全部を行政の対象にするというのはなかなか困難でございます。したがいましてとりあえずと申しますか、大消費地向けに安定的に供給をするという産地をつくっていこう。しかも、多くの野菜が需要されるわけでございますが、すべての野菜にわたってというわけにもまいりません。大体二十二種類ぐらいが比較的目立った野菜でございますが、そのうちの六割ないし七割程度のもので、約六品目ないし八品目でカバーいたしておりますが、とにかくそういう野菜をつかまえて、そしてそれを大消費地に安定的に供給する、そういうために野菜の近代化された産地をつくっていくということで、従来三百十産地、今年度さらに百三十産地を加えまして四百四十産地ということで、大体そういう産地の出荷量が、大消費地入荷量に対してどれぐらいの割合になっておるかと申しますと、約五割から六割近くになっているが、それを、さらにそのカバー率を今後もふやしていくというようなかっこうで、産地の近代化をはかりつつ大消費地に対する安定的な供給基地にするという施策をとっておるわけでございます。一方、御指摘になりましたように、野菜につきましては零細な、非常に多数の生産者の方がつくっておられるので、最も完全な自由競争に近いかっこうになりやすい。かたがた天候の影響をきわめて敏感に受けまして、三割ないし四割程度の作況の変動というのは間々あり得ることでございます。さらに時期といたしましても、かりに最盛期が一週間ないし十日ずれるということになりますと、それだけでまた値段が上下するというようなことで、きわめて価格的にはデリケートでございます。  一方消費者のほうは、絶えずいろいろのものを、しかも日常必需品としてどうしても買いたい、こういう性質を持っておりますので、価格の騰落が非常に激しい。価格が急に暴落いたしますと、これはやはり生産をするという意欲をなくしてしまうというようなことで、価格の暴落がまた生産に対して悪影響を与える。そういうことで価格安定の機構を、これは、従来法律ではなくていわゆる民法法人で、キャベツあるいはタマネギ等でやってまいったのでございますが、昨年の野菜安定法で、昨年十月から、そういう価格保険的な機能を営む制度をつくりまして、そうしてただいま申し上げました指定された生産地から指定された大消費地へ向けて出した品目については、そういう暴落のあった場合に価格補てんをするというようなシステムをとって進めておるわけでございます。野菜につきましては、いろいろ行政上扱いにくい——別に弱音を吐くわけではございませんが、扱いにくい性質のものでございます。順次体制を整えてまいりたいというふうに考えております。
  42. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 野菜生産出荷安定法、これができまして、それを運用して、ただいま言ったような暴落を補償しよう、こういったようなことで運営されていると思うんですが、これはいい対策だと思うんですけれども生産者に聞いてみますと、まだまだ納得がいきかねる点が非常にありまして、不人気な面が私はあるんじゃないかと思います。具体的に申しますと、この安定法の内容というものが、キャベツ、タマネギ、白菜、トマト、キュウリ、大根の六品目について、全国三百十カ所に産地を指定しまして、京阪神あるいは北九州、東京といったようなところに出荷するというのでありますが、この補償基準額の引き上げをいま少しやってもらいたい。  第二は、国の負担金をいま少し増してもらいたいという問題、暴落がなかったときに負担金を無事戻しをしてもらいたい、こういったような問題点が私はあるんじゃないかと思うのです。この点について、野菜生産出荷安定法についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ただいま申し上げました野菜の指定品目、これは六品目でございます。かつ本年度さらに二品目を追加いたしたいと思っております。ただ、野菜安定基金と申しますか、いまの価格保険の対象になっておるのは、キャベツとタマネギ、それから白菜の三つでございまして、その他のものは、まだそういう制度になかなかなじみにくい性質のものでございますので、対象になっていないわけでございます。ただ、御指摘になりましたような、たとえば補償基準額が比較的低い——大体補償基準額の考え方は、異常年を除いた過去五カ年というものの平均の三分の二ということになっておりますので、冒頭御指摘になりましたように、野菜価格が傾向的に上がっております。したがいまして、過去五カ年の平均をとるということは、現在の水準からすると低いという感じを生産者のほうが持たれる。これは私どももよくわかるわけでございますが、ただ、しからば最近の水準で算定をするかということになりますと、これはまたなかなかむずかしい問題でございます。と申しますのは、これは平均でございますけれども、先ほどもお話になりましたように、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、昭和四十年の野菜の価格水準は一九七、約倍になっておりますが、四十一年はまた一九七が一八〇近くに一応落ちておるというようなことで、なかなか価格は、私どもが考えましても、生産者のコストその他から見ますと、あるいは需要に対して供給が十分追っつかないという現状から見ますと、傾向的に上がると思いますけれども、一体どれくらいの水準にするかということになりますと、どうしてもやはり過去の平均というようなことを考えざるを得ないので、現在はそういうことをやっておるわけでございます。一般的なものといたしまして、この野菜の安定基金が発足いたしまして、まだ昨年の十月一日から発足いたしたのでございますが、一般的に私どもも、これが完全な制度である、十全の機能を果たしている、あるいは生産者のほうに非常に喜ばれておるとは必ずしも思っておりません。多々改善をすべき点があると思っておりますので、これは各府県の代表の方、あるいは会員の方々研究をいたしております。そういう研究の項目の中の重要なアイテムとして、ただいまの問題は今後もなお検討いたしたいと思っております。  それから国庫負担金の問題でございますが、これは御承知のように、一昨年までは国の負担三分の一、府県の負担三分の一、会員の負担が三分の一ということになっておったわけでございます。四十一年度国の負担が二分の一ということで上がったわけでございまして、そういう点で、私ども過去においてある程度の国としての勉強はいたしたつもりでございます。  それから、これは保険の場合にいつも問題になることでありますが、確かに最近は価格がずっと上がっておりますので、せっかく金は出してはあるが一向に戻ってこない。したがって、あの存在理由が疑われるというようなことで、無事戻しという声もあるのでございます。少し極端な言い方をすれば、保険は実行されないほうが一般にいいわけでございまして、保険が実行されるよりも値段の高いほうが生産者にとってはいいわけでございますから、ある意味では、無事戻しの声が出るということ自体は、生産者にとっては決して悪い事態ではないと思いますけれども、しかし気持ちとして、出してある金がいつまでも戻ってこないというのでは、何となしに掛け捨てという感じがすることも、これまたいなめないことであろうと思います。そういうことにつきましても、ただいま申し上げましたように、重要な検討すべき項目として、目下府県、会員と私どもでいろいろ検討をいたしておる次第でございます。
  44. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 私は蔬菜の価格というものは、生産価格消費者価格とのバランスをとるというか、調和点をとることが大切だと思うのです。ところが野菜が非常に暴落した場合に、各地区で蔬菜価格暴落対策協議会というのをつくっております。これは福岡の例ですけれども、非常に野菜が暴落したので出荷規制を行なって、そして隔日に出荷をすることをやろうじゃないかということで、月、水、金の三日間は市部、火、木、土の三日間は郡部の生産者が、それぞれ野菜の全品目の出荷をやめるということを申し合わせて、品不足で消費者に迷惑をかけないために、集荷調整員を各市場に派遣して、特定の市場の入荷不足を防ぐ、こういったようなことをきめて野菜の暴落対策をやっておるわけです。出荷を減らさないと価格は上がらないのだから、出荷を減らす。これに対して消費者のほうは、もってのほかである、生産者が人為的に生活必需品の価格をつり上げることは納得できない、こういった紛争が起こるわけです。これに対して農林省あるいは出先の農政局ではどういう指導をしておるのか、これについてお聞きをしたいと思います。
  45. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 ちょっと、私その福岡の事例がいつで、そのときに具体的にどういうふうに指導したか、ただいま資料がございませんので、そのことについて申し上げるということになりますと若干不正確でございますが、ただ私どもの気持ちといたしましては、そういう出荷どめをしなければならないほど暴落をするという不幸な事態がないようにやっていくことがまず先決であろう。しかし、また消費者の方にも御理解願わなければならないのは、非常に暴落をして、コストも償わないというような事態が続くと、生産者のほうは当然のこととして来年度は作付規制をされる。おのずからちゅうちょされる。そうすると、その次の年はまた供給が不足になるというようなことにもなりますので、そこのところは、やはり生産者の方が著しく害を受けられないような自衛手段を講じられるということについては、消費者のほうにも御理解を願わなければいかぬだろうと思います。私ども野菜の行政を担当する者といたしましての第一番の目的は、そういう不幸な事態に至らないように生産の当初から計画的に指導していく、そういうふうにやっていくことが一番望ましいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 生産者対策について、一応私の疑問点の質問を終わりたいと思うのですが、この生産着から大都市向けの中央卸売市場には、大体このキャベツの例ですが、八〇%北九州の大都市のほうに流れていきます。生産県である地元の大分の市場には二〇%しか流れていかない。そういうことで、たまたま近郊都市である中小都市以下の小さい市場の能力が非常に弱いために、出荷の対象になかなかならなくて、かえって生産県のほうが品不足で困っておるという例があるわけです。これを私、見まするのに、どうしても近郊都市における青果市場の統合なり力をつけるという方法、これをやる必要があるのじゃないかと私は思うのです。したがって、近郊都市における青果市場の統合なりあるいはその強化の方法なり、そういうものについてどういうお考えを持っているかお尋ねをいたしたいと思います。
  47. 森実孝郎

    森実説明員 ただいま御質問がございました地方市場の整備の問題でございますが、御指摘のように、最近、産地の大型化とか専門化がかなり進んでまいりまして、これは果実、蔬菜とも同様の状況と思いますが、どうしても産地側といたしましては集荷力が大きいと申しますか、価格形成も比較的均一化している、また決済信用も確実だ、こういう大型の市場を選好する傾向が非常に強まってきております。そういう意味で大型市場、特に中央卸売市場に計画的に出荷する体制がかなり強くなってきております。さらに輸送面でも、これがやはりある程度計画的な大型輸送というものが合理性を持っているという点も否定できない面が出てきております。こういったことの反面、地方の弱体な市場が集荷能力が低下いたしまして、一方地方消費生活が従来と違って非常に高度化してきたという事情がございますので、近時、地方市場の整備の問題が提起されていることは事実でございます。このような点から、農林省といたしましては、四十年、四十一年度に青果、水産市場について調査を実施いたしまして、四十二年度は予算を計上いたしまして地方市場対策協議会というものを設けまして、関係者の御参集を賜わりまして、地方市場の問題について一つ方向づけを賜わりたいと存じております。問題になります点は、確かにいろいろ多岐にわたっておりますが、やはり中心になりますのは、ただいま御指摘のように、一つは老朽化した施設というものをどうやって近代化していくか、それによって能率的な集分荷をどうやってはかっていくかという点、それから弱体な地方の問屋というものをどうやって統合強化していくかという問題、それから自治体の市場問題に対する行政の基本的な方針をどうやってつくっていくか、特に取引ルールその他、こういった問題が中心になるだろうと思いますが、私どもといたしましてはこの協議会の結論を得て、逐次施策を実施したいと思っております。  なお、当面の事情に応じまして、弾力的にこの問題に対処するために、公設の地方市場につきましては地方債のワクを大体五、六億計上いたしまして、施設整備の実施をはかるとともに、民営の卸総合センターにつきましては、開銀融資その他のあっせんを行なうことを本年度から組織的に行ないたい。その面ではまだ十分ではございませんが、具体的な必要があれば、ことしから逐次やっていきたい、かように思っております。
  48. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 地方市場の統合という方向にいま指導しておるというようなお話でございますけれども、これは一定の認可基準に達すれば簡単に認可ができるということで、小さな十万ぐらいの都市で、青果市場が三つも四つもあるところがある。それをやっと一つに統合しようとするやさきに、新しい青果市場の申請が出る。そうすると、府県知事はそれは許可しない、こうなるというと裁判で負けそうになる、こういうことで新しい市場がまた認可になる。こういったような面については一体どういうように指導をしておるのか、その点お聞きしたいと思います。
  49. 森実孝郎

    森実説明員 ただいま御指摘がございました地方市場の条例規制の点でございますが、現在十数県で条例がつくられまして、青果なりあるいは水産なりの市場の規制が、登録制とか許可制とかあるいは届け出制等で行なわれております。これは地方自治法に基づく固有事務についての条例という性格を持っているもので、特に法律上の根拠が具体的にないという性格のものでございます。実はただいまも御指摘のございましたように、大分、熊本その他の数県で条例の適用についての不許可処分の問題が裁判で争われた事実があります。まだその一部は係属していることも御指摘のとおりでございます。地方市場の問題を、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように今後議論する際は、この地方庁の行政の基準というものをやはり協議会等で十分御審議いただき、その取引組織のあり方、取引ルールの問題、こういった問題を施設整備の問題とは別にやはり御議論願って、条例等に基づく地方市場の運営について、地方庁の行政のあり方について一つの基本方針を与えていただくということが、先ほども申し上げまし一たように、この協議会での焦点の一つではなかろうかと私どもも思っておるわけであります。
  50. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 地方市場の問題は、近郊都市における蔬菜の価格安定に非常に影響がありますので、ぜひひとつそれはいまあなたが言われたような方向で的確なる指導をしていただきたいと思うのです。  大都市における中央卸売市場の卸売り人の数でございますが、東京で大体卸売り人が二十五でございますか、あるように聞いておるのですが、この二十五人の卸売り人がおるということは、いろいろ私調べてみますと、売り上げの総額が非常に少ない卸売り人もあるし、非常に大きなのもあるし、その点が非常にアンバランスな面が多いのですが、この統合というものはある程度できないものだろうか、これをすることが大きな問題だろうと思うのですが、この点について課長の御意見をお伺いしたいと思います。
  51. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のように、現在東京には七市場、十二分場ございまして、十七人の卸売り人が青果物の卸売り業務をやっております。この中には確かに全国一、二の数百億の扱いのある者から、十億とか二十億という非常に零細な扱いの者まで多岐にわたっておることもまた御指摘のとおりでございます。この零細な者の中には、もっぱら近郊蔬菜を扱うとかあるいは特殊のくだものを扱うというふうに、ある程度品目が特殊化したものもございます。一がいに大小だけでは論じられない点もございますが、全般といたしまして、青果の卸売り人につきましては、経営規模が弱体なものは非常に経営が不安定で、やはり信用決済機能に問題があるということを十分考慮していかなければならぬと思います。それからまた弱体なものが集荷力が低いために、間接集荷その他にたよらざるを得ない面もかなり大きく、どうしても集荷経費も割り高になるという点から見まして、ある程度青果の卸売り人については大型化をできる限りしていくような統合は、最近の産地の大型化とか消費生活の変化からして必要ではなかろうかと考えているわけでございます。  この問題につきましては、実は統合に伴いまして、独禁法の適用に関し、立法論的にも解釈論的にもなかなかむずかしい問題がございまして、実は御案内かと思いますが、金沢の市場の問題で現在審判が係属中の問題もございます。そういった点もございまして、画一的にすべてというわけにはいきませんが、やはり産地の大型化、専門化の実情、全国的な規模での商品流通の実情、品ぞろえの要請、こういった点を考慮し、さらに卸売り人の決済信用を高め、価格形成の充実化をはかるという観点に立ちまして、統合の問題については、必要に応じ、私どものほうも従来の方針を踏襲いたしまして進めてまいりたいと思っております。
  52. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 これは私のしろうとの考えですけれども、大体一日やはり売り上げの総額が百万円以上はなければならぬと思うのです。それが、東京あたりでは百万円以下の卸売り人があるのじゃないかと思うのですね。卸売りの総額を二十五で割ってみますと、どうもそういうような数字が出るのです。したがって、一日百万円以上の売り上げのないような卸売り人は、やはりだんだんと整理統合していくのが、私は流通機構の整備の上において非常に合理化になるのではないか、こういうぐあいに考えておりますので、その点も十分ひとつ御検討願いたいと思います。  次に、市場の交付金の問題ですけれども、それぞれ生産者あるいは仲買い人、小売り人に市場が交付金を出しておるのです。これは地域によって違うかもしれませんが、大体一分ずつのような記憶を私はいたしておりますが、その交付金を出しておるのですが、これの全廃と申しますか、そういうことはできないものであろうかどうか、こういう点について御返答願いたいと思います。
  53. 森実孝郎

    森実説明員 現在中央卸売市場の卸売り人が支出しております交付金は、荷主に対するいわゆる出荷奨励的な性格のものと、仲買い人、小売り人等の買い出し人に対して支払っております買参交付金というものと、二つに分かれております。この交付金につきましては、三十八年に現在の中央卸売市場の卸売り人の手数料率の引き下げをはかります際に、あわせてこの交付金についても規制が行なわれております。現在の料率を申し上げますと、買参交付金はおおむね一%、それから出荷奨励金はおおむね千分の六、これは市場によってだいぶ差もございますし、計算方式も差がございますが、大体〇・六ないし〇・七%程度が東京あたりでは標準だろうと思います。  ただ、だれにどう配分するかという問題につきましては、たとえば野菜の指定産地とか果実の大型産地とかいうふうに、大型の荷主に対して優遇する施策を講じております。この問題については、交付金の合理化、削減を検討しながら手数料の改定を行なうという議論が一つの基調としてあることは事実でございます。しかし、現在の機能を見ておりますと、出荷奨励金というのは、やはり大型化してきております産地の組織を強化し、指導育成に充てるための、農協のいわば指導経費としてもっぱら充当されているという側面もありまして、やはり共販体制の整備の一つの基礎になっているという側面が見えるようでございます。さらに買参交付金につきましては、これがいわば仲買い人団体とか小売り団体のいわゆる市場の基本原則である代払いの機構が担っております金利差の負担とか、そういう代払い経費の負担というものに充当されておりまして、いわば市場信用の基礎になっているという点も看過できない点でございます。  私どもといたしましては、やはり現実にこの出荷奨励金と買参交付金が持っております機能は機能として評価しながら、今後ともひとつ交付金の問題と手数料の問題を全体の連関の中で常時検討していかなければならないと存じているわけでございますが、現状において、いまこの交付金を削減するということは、必ずしも現実的ではないのではなかろうかというふうに存じているわけでございます。
  54. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 市場の手数料は昭和三十九年、池田内閣のときにそれぞれ下げられたのですけれども、仲買い人の手数料というのは、御承知のとおりきまっておりません。これは相対売りですからなかなかきめられない、こういうのですけれども、ある場所によっては二割、あるところによっては一割というぐあいに、これはもう相手によって違うと思うのですけれども、この仲買い人の手数料というのをある程度きめるということはできないものかどうか。これをきめますとある程度いいのじゃないかと私は思うのですけれども、この点お考えはどうですか。
  55. 森実孝郎

    森実説明員 御案内のように、中央卸売市場の取引につきましては、卸から仲買い、卸から小売りに対する売買についてはせり取引を原則とし、その代金の支払いについては、市場ごとに違いますが、買い受け人団体が代払い機構をつくりまして、一律に三日後、五日後というように現金決済をしております。これが現在の中央卸売市場の市場信用の基礎になっております。したがって、これが支払いについては例外は認めないということになっておるわけでございます。そしてこういった決済の画一的な処理と、それから仕切りの改ざんを厳格に規制していくということが基礎になりまして、実は手数料という問題を画一的にきめるということも一つの合理的な根拠を持っているわけでございます。これに対しまして、仲買い人の小売り店に対する販売あるいは地域外の他市場に対する分荷等につきましては、完全な相対取引でございまして、仲買い人の重要な機能の一つは、こういった買い手に対する信用供与機能という点にございまして、その決済もかなり長期化しているのが事実でございます。また画一的でございません。そういった意味で、決済条件等も、仕切りの方法等も全く相対で自由にやれるというたてまえで、またそこに仲買い人の信用機能があって、それを積極的にやはり利用すべき点があるという側面がありまして成り立っております関係上、いわば面一的な取引処理を前提にしておりませんので、この手数料を一律に規制していくということは、仲買い人の機能なり制度の本旨からいっても、本質的にはかなり無理な点があるのではなかろうかというふうに考えております。
  56. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 政策に合理性がないとなかなか永続しないという一つの大きな証左になったのですが、東京の小売り店が、昨年ですか安売りデーを始めまして、いまではそれがうたかたのように消えてしまって、安売りデーをやっておる店が何軒くらいあるか知りませんが、ずいぶん減ったのだろうと思います。このようにして小売り店の経営と申しますか、そこにしわ寄せをやっても、私は蔬菜の流通過程における合理化にはならないと思うのです。したがって、小売り店に対して登録制を実施し、あるいは団地ができた場合においては、私は小売り店というのは大体三百五十軒ないし五百軒くらいのお得意さんがあると経営ができると思うのですが、この小売り店の登録制の問題について、もうそれを実施する段階にきているのじゃないか。蔬菜の価格というのが市場において自由なせり相場できまるのですから、小売り店の登録制を実施していく、そして小売り店が生活の安定を得た上でサービスをしてもらう、こういったような対策をひとつ考えるべきじゃないかと思うのですが、その点についてどういう御意見を持っておりますか。
  57. 森実孝郎

    森実説明員 最近全国の小売り商の中で、業種によって差はございますが、小売り商の登録制あるいは許可制、そういった問題の提案が行なわれていることは事実でございます。私どもといたしましては、現在食料品の小売り店というのがやはり地域的にある程度消費者を独占するという関係もあり、消費者自体にも、食料品の買い出しについては買い回りという慣行が一般的にない。そういう意味においては、許可制度というものはやはり有効な競争関係の発生を阻害し、消費者にとっても、やはり場合によっては問題になり得るのではないか。またそういった業種別の許可制、登録制というものが日本の現実の現在の社会制度、法律制度全体の中で合理的な根拠というものを持ち得るかどうか、こういった制度上あるいは実態上の点、さらに最近生鮮食料品流通段階が非常に流動的な過渡的段階にある事情等を考慮いたしまして、現状において許可制、登録制を採用していくということには、やはり基本的に疑問があるのではなかろうかという考え方を持っております。ただ、あくまでも現在の小売り業を中心に、その中で近代化を進め、大型化をはかっていくということにつきましては、政府としても特に力点を置いて施策を進めるべきであるという考え方をとっておるわけでございます。
  58. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 これは小宮金融課長にお聞きしたいと思いますが、小売り店に対する金融の措置の問題でありますが——いませんか。それでは中小企業庁のほうに伺いますが、環衛公庫が今度の国会で成立するのですが、その中へもちろん食肉が入っておるのですけれども、野菜とそれから魚屋さん、こういったようなところに対するところの金融措置を私はやるべきじゃないかと思うのですが、近代化資金でもって各府県の窓口でサービスはするようになっておるのですけれども、なかなか現在の魚屋さんあるいは野菜屋さん、こういったようなところでは、そういう金融の恩恵を受けてないのが実情じゃないかと思います。特にコールドチェーン組織がだんだん普及してきますと、一番消費者関係するのはこの小売り店なんです。そういった小売り店が数軒でもって冷蔵設備を持つとか、あるいは貯蔵庫を持つとか、こういったようなためにも、私は金融の措置を当然考えるべきだと思うのですが、その点についてどういうお考えを持っておるのか、お聞きしたいと思います。
  59. 金井多喜男

    ○金井政府委員 環衛公庫の件につきましては、実は中小企業庁は一応所管からはずされておりますので、私、その点については所管外ですので、答弁を省略させていただきたいと思います。  全般的な問題といたしまして、中小企業小売り店流通合理化からする金融対策につきましては、大きくは、従来とも中小企業金融公庫、国民公庫あるいは商工中金等におきまして、小売り業者も含めまして、販売業者に金融の措置を講じております。  なお、先ほど別途大蔵省の担当課長から大野先生の御質問について御答弁がございましたように、小売り業者に対しまして、従来の代理貸し制度をこの際改めまして、一般のメーカーと同じように直貸しの対象にして、その結果おのずからそういった政府関係金融機関の融資限度も従来の三倍にふえる、こういうかっこうに相なっております。  一方、別途私どものほうといたしましては、中小小売り業の流通合理化、近代化ということの一環といたしまして、次のような措置を講じて、今後とも積極的に推進してまいりたい、このように思っておりますが、それは、大きく分けて二つあろうかと思います。  一つは、従来とも設備近代化資金という制度がございまして、その制度は、国と県から、無利子の金を該当の設備について需要総額の半額を府県を通じて融資する、こういうことになっておりますが、この設備近代化資金制度について、特に昨年度から、こういった生鮮の魚なり肉なりあるいは野菜についてのコールドチェーン組織を発達させるというような点から、四十一年度におきまして、国と県と合わせまして二十四億の融資制度を考えて、実施中であります。今年度につきましては、この制度をさらに、従来は八大都市が対象でございましたが、これを人口十五万以上の全国の都市、この数は大体八十九都市ぐらいになろうかと思いますが、そういった都市に拡充してまいりたい、このように思っております。  それからもう一つ小売り業者が、お尋ねのように共同して流通合理化をはかり、消費者へのサービスの向上をはかるという点から、かねがねボランタリーチェーン制度の普及、徹底につきまして、私ども調査費を計上するとか、あるいは先ほどの設備近代化資金と同じように、高度化資金制度がございますが、こういった制度によって、今後相当これにつきましては重点を入れて拡充強化してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  60. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 いまの金融措置ですけれども、これは私の私見ですが、食肉と青果商、それから鮮魚商ですから、これだけは農林省関係で非常に簡単な方法で金融の措置を受けるようにやるべきじゃないか、こういうぐあいに私は思うのです。これが蔬菜なり鮮魚なり、そういうものの物価安定に非常に影響があると考えております。その御意見が一つと、いま一つの問題は、経済課長でけっこうですが、労働市場に労働情報センターがあって、双方の情報によってそれぞれ需給のバランスをとっておると同じように、蔬菜の情報センターをいま少し力を入れて、そうしてその需給のバランスを行政的に指導しながら、これを具体的に市場に対して指導していく、こういったようなことをやるべきだと思うのですが、この情報センターの設置について、本年度は二億五百万円ですか、予算を取っておるようですけれども、この問題について、将来の見通しと、どういう方法でこれを指導せんとするか、その方法についてお聞きしたいと思います。  以上の二点で終わります。
  61. 森実孝郎

    森実説明員 農林省といたしまして食品関係業種について特別の方法を考えたらどうかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、現行の制度金融、たとえば今度新しく発足いたしました中小企業振興事業団あるいは設備近代化資金制度、さらに食肉につきましては環衛公庫、こういった制度の活用、並びに、確かに御指摘のとおり、その手続とか要件等はなお改善を要する点がたくさんある、こういう点についての改善努力は今後も続けてまいりたいと思っております。問題はこういった改善努力可能性、見通し、運用の実態等を考慮いたしまして、御指摘のような問題は今後の課題として、そういったいま申し上げたような各事項との関連において今後検討してまいりたいというふうに考えておる次第であります。  なお、流通情報センターの事業については、所管の部長がおりませんから、園芸局長から便宜答弁いたします。
  62. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 流通情報センターにつきましては、所管が統計調査部になっておりますので、いずれ機会がありましたら統計調査部長からまた申し上げることにいたしまして、現在の段階では、本年度は各府県にございます統計調査事務所、これが施設の整備をするという段階でございます。もちろん青果物につきまして、端的にどういうふうになっているかというコミニュケーションが行き渡るということは、一般的に価格の安定にきわめて役に立ち得るということは言うまでもないと存じますが、ただ、具体的にはそれをどういうふうに響かせていくか、活用していくかというのは、これは実際問題としてなかなか問題があろうかと思います。そういう点につきましても若干の検討は進められておりますが、ただいま申し上げましたように所管の部長でもございませんし、まだ検討も初歩の段階でございます。  この程度でひとつ御了承願いたいと思います。
  63. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 これで終わりますが情報センターの将来の見通しについて、いま少し的確な資料をいただいて、そしてお聞きしたいと思うので、これは後日に残しておきたいと思います。これで私の質問を終わりたいと思います。
  64. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 唐橋東君。
  65. 唐橋東

    ○唐橋委員 ちょっとした手違いから関係局長等が出席されていないですし、また私の質問が一局だけの関係でなしに各局に関係がございます。農林省並びに経済企画庁関係もございますので、委員長のほうの取り扱いで一括して次会にしていただけるならば、そのようにしてもけっこうでございます。しかるべく取り計らってください。
  66. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 唐橋委員からの申し出もございましたので、次会に一括して質問願うことといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九会散会