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1967-05-31 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十一日(水曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君 理事 玉置 一徳君       安倍晋太郎君    小澤 太郎君       大野 市郎君    鹿野 彦吉君       熊谷 義雄君    小山 長規君       坂田 英一君    坂村 吉正君       田中 正巳君    丹羽 兵助君       野呂 恭一君    藤田 義光君       湊  徹郎君    粟山  秀君       伊賀 定盛君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    島口重次郎君       中澤 茂一君    芳賀  貢君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    中村 時雄君       斎藤  実君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         食糧庁長官   大口 駿一君         水産庁長官   久宗  高君  委員外出席者         農林大臣官房技         術審議官    原  政司君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農政局農         産課長     遠藤 寛二君         農林省農地局建         設部長     小川 泰恵君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         水産庁漁政部長 池田 俊也君         水産庁漁政部漁         業振興課長   藤村 弘毅君         水産庁生産部長 亀長 友義君         水産庁調査研究         部長      森沢 基吉君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月三十一日  委員赤路友藏君及び栗林三郎辞任につき、そ  の補欠として芳賀貢君及び中澤茂一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小漁業振興特別措置法案内閣提出第六九  号)  外国人漁業の規制に関する法律案内閣提出第  九六号)  農林水産業振興に関する件(農作物の作付及  び生育状況並びに米価問題)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。東海林稔君。
  3. 東海林稔

    東海林委員 きのう農林省のほうから今回の干ばつ状況並びにそれについて農林省として次官通達を出した内容等報告を受けたわけですが、私は、それに関して一、二の点だけ御質問してみたいと思います。  まず、この次官通達に書いてあることですが、これは特別に変わったこともないので、きわめて常識的なことが書いてあるのですが、ただ一つ、この第二項に揚水機械の手配のことを書いてあるわけですが、これらについて過去の例等を見ますと、ある程度国で予算措置等をして、運搬に対する諸経費とか、その他のことも助成したこともあったように思うのでありますが、今回は、ただ文書での通達だけで、そういう経費面での援助とか、そういうことについてはまだ考えておらないのかどうか、いま検討していて今後そういうことを善処しようとするのかどうか、その点をお伺いします。   〔委員長退席長谷川(四)委員長代理着席
  4. 太田康二

    太田説明員 過去におきます干ばつ応急対策でございますが、干ばつが非常に激甚の場合に、その通達でも、たとえば揚水機設置をはかられたいというようなことを申し上げておるわけですが、井戸水路の掘さく、あるいは揚水機の購入、借り入れ等に対しまして、そのつど助成措置を講じたのが過去の例でございます。  本年度の干ばつにつきましても、やはり応急対策事業として非常に多い過去の例に準じて助成措置を講ずるということで、その検討をいたしておるところでございます。
  5. 東海林稔

    東海林委員 しまのような考え方であるならば、そういうことをやはり地方庁にはっきり明示するとしないでは、地方庁取り組みがうんと違うし、また、農民取り組みも違うと私は思うのです。そういうことを今度は書いてないわけですが、どういうようなことで書いてなかったか、また、そういうことを近く文書か何かではっきりと地方通達することになっておるかどうか、そこを明らかにしてもらいたい。
  6. 太田康二

    太田説明員 御承知のとおり、その内容予備費要求になると思いますが、そういった点につきまして、やはり大蔵省と最終的に話を詰めなければならぬわけでございます。私のほうといたしましては、もちろん過去にも似た例がございますし、当然予備費要求をせざるを得ないと思っておりますが、まだ財政当局と話が十分詰まっておりませんので、必ずそういう助成を出すからやりなさいと言うわけにもまいりませんので、一応現在の段階では、指導通達として、やるべきことをお願いいたしたということでございまして、そういうことを出しますれば、当然過去の例に準じて助成が来るものであろうということは、少なくとも農政局を通じての県への指導では考えられることであると思いますので、別段支障はないのではないかというふうに考えております。
  7. 東海林稔

    東海林委員 この金額の問題は計数的に整理するのに若干時間がかかるかと思いますけれども、過去のそういう実例があるのですから、至急にそれは大蔵当局と話し合って、従来に準じてやるということについて了承を得て、それを地方に流してもらわなければ、やはり困るのです。農民は、やりたいけれども、全部自分の金をもってやるのでは困るという考え方の場合と、これについては相当の国の助成なり地方庁助成があるという場合とでは、実際はうんと違いますよ。そういう点を明確にしないと、こういう通達をしただけで、こんな文章でこんなものを出す程度なら、これは何も効果のない、きわめて常識的なあたりまえのことを言うておるにすぎないと思うのです。せっかく通達を出す以上は、そういう裏づけをやはりされて、そうして地方農民が積極的に対策を講じ得るように、至急に手配してもらいたい、このことを強く要求しておきます。  政務次官、どうですか。ここで政務次官責任ある答弁をはっきりしてもらいたい。私は、いますぐ何ぼ出すというようなことを言えと言うのではないですよ。大蔵当局と早急に折衝して、従来の例に準じ、そういう措置を講じ得るように善処するという趣旨の御答弁をいただけばいいと思います。
  8. 草野一郎平

    草野政府委員 十分に努力いたします。
  9. 東海林稔

    東海林委員 次に、新聞によりますと、利根下流地帯では、もう水田がひび割れしておるという写真まで出まして、田植えが非常におくれておるというような地帯、あるいはまた、海水の逆流のために水門を閉鎖しておるというような問題が出ておるわけですが、そこで、お伺いしたいことは、利根上流には御承知のように多目的ダムが幾つもあるわけです。特にことしは、上流地帯の山岳にはうんと雪が降った、降雪量が多かったわけですから、貯水量は相当豊富にあるのではないか。調べたわけではないですけれども、常識的にそういうふうに判断するわけです。多目的ダムというのは、名前のとおり、発電だとか洪水調節だとかいろいろありますが、こういう干ばつの際にはやはり農業用水としてこれを活用するというのが多目的ダムの当然の使命であろうと思うわけです。  そこで、まずお伺いしたいことは、多目的ダム放水するというようなことの決定について、農林省建設省あるいはほかの関係省とどういうようなことになっているのか。これは建設省だけにまかしてあるのか、それとも農林省もそれについて十分な発言権を持っておるのかどうか、まずそういう点をお伺いしたいわけであります。
  10. 小川泰恵

    小川説明員 ただいまのお話でございますが、利根川上流多目的ダムは、御承知のように、藤原ダム相俣ダム薗原ダム矢木沢ダムと、農業関係の水をためておるダム四つございまして、それに二十九日現在でかんがい用に使える水が七千五百万トン貯留されております。これの放流につきましては、農林省建設省との間で緊密に連絡をとりまして、最低限度流量、すなわち栗橋地点において毎秒百十トンというものを確保するような流量を流すようにすでに話し合いつけまして、その計画に従って放流をやっております。したがいまして、利根下流におきまして、現在幸いにして小潮でございますので、潮の遡上が比較的少のうございまして、一番困っておりました大利根ポンプ場でも、一台ポンプを運転いたしておる状態でございます。
  11. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、具体的にお伺いしますが、今回特に農業用水不足を補給するために、いつから、どのダムから何ぼ出しておるかという点と、栗橋でいまどれだけの流量があるか、その点をひとつ数字的に説明してもらいたい。
  12. 小川泰恵

    小川説明員 最初の段階といたしましては藤原ダムから放水を始めておるわけでございますが、自然流量が刻々変化いたしますので、それを勘案いたしまして、栗橋の測水所においてすでに二十七日から百十トンというものをずっと持続して流している次第でございます。
  13. 東海林稔

    東海林委員 私は最近の事例をあまり知らないのですけれども、かって七、八年前ですが、私が建設委員をしておったとき、岐阜県の下呂状況を見に行ったことがあるのです、あそこが水害にあったというので。その原因は、上流にやはりダムがあったのですが、非常に干ばつ続きであった、幸い驟雨が来たというので、喜んで貯留した、もうやむだろうと思ってダムに一ばいためておった、ところが、さらに降雨量が大きくなったというのであわてて水門を開いた、そこで、一度にどっと出て、下呂温泉地帯一帯に非常に水害を起こした。当時、たしか建設委員会に中部電力の責任者を呼んでただしたことがあるのです。あれからずいぶん時間がたっておりますし、そういう苦い経験を経ておりますから、最近のダム放水等については相当合理的になっているとは思うのですけれども、そういう点、いますでに放流をやっておって大体計画どおり流量が流れておるということであれば、そこで私はやや安心するのでありますが、今後とも、多目的ダムとしてせっかく農業者も相当の経費を負担してやっておるわけですから、そういう点遺憾なくやっていただきたいと思うのです。  そこで、お伺いしたいのは、栗橋で百十トン程度の水を流しますと、多目的ダム建設計画の当時に考えられておった地域に対する農業用水不足なしにいくということになるわけですか。どういうことになりますか。
  14. 小川泰恵

    小川説明員 具体的に申し上げますと、利根川上流ダムのほうがまだすっかり完成していないわけでございます。たとえば下久保ダムなどはまだ建設中でございまして、貯水を開始していないわけでございます。下久保ダムが完成しました場合には、栗橋において毎秒百四十トンという割水量を確保できるわけで、これが確保できますと、ほぼ満足に満たすことができると思うのでございますが、百十トンでは少し足りないわけでございます。まあかつかつ何とか間に合うだろう。  なお、もう少しつけ加えますと、江戸川利根川本流に分かれているわけでございますが、江戸川のほうに流れる水を、江戸川最低要求量四十トンということに現在押さえまして、それ以上の水は利根本流のほうに流れるように建設省のほうで措置してくださっておりますので、利根下流におきましてもかつかつ間に合う状態であろうかと考えております。
  15. 東海林稔

    東海林委員 私が伺っておるのは、四つダムのうち一つはまだでき上がっていないという点は私も大体承知しているのですけれども、たとえば藤原なら藤原多目的ダム建設する場合には、大体利用地帯というか、受益地帯というか、そこに農業用水をどの程度、こういう計画があって、みんなアロケーションでやっておると思うのですが、そういう意味で、百十トンというもので三つ多目的ダム農業用水として計画した地域というものは大体必要水量がまかなえておるかどうか、こういう趣旨でお伺いしております。
  16. 小川泰恵

    小川説明員 現在でき上がっておりますダムにつきましては、十分その機能を発揮しているものと思っております。
  17. 東海林稔

    東海林委員 いや、発揮しておると思うというのじゃないのですよ。思うとか思わないとかいうのでなしに、発揮しているかどうかという実情をお聞きしているわけです。
  18. 小川泰恵

    小川説明員 実情、発揮いたしております。
  19. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、新聞等に出ております。亀裂を生じて植えつけができないというような状態は、このダム計画等とは関係のない地帯だと理解していいわけですか。
  20. 小川泰恵

    小川説明員 これは、ちょうど今月の二十日前後が大潮にあたりまして、利根川の河口から塩水の浸入が相当ありまして、一番下流地帯ではポンプの運転ができない状態がございました。この時期にはまだダム放水を始めておりませんもので、栗橋流量も百トンを切った状態がございました。その後、先ほど申し上げましたように、農林省建設省の間で打ち合わせの結果、百十トンの放流を始めておりますので、その結果、最下流大利根ポンプ場も現在運転可能な状態になっております。したがいまして、現在におきましてはダム十分機能を発揮していると申し上げられると思います。
  21. 東海林稔

    東海林委員 だから、利根下流地帯で植えつけが不能な地帯は、多目的ダムとしての受益地帯に入っておらないと理解されるが、そのとおりですかということを伺っておる。
  22. 小川泰恵

    小川説明員 現在でき上がっております三つダムにつきましては、農業用特定用水は含まれていないので、不特定用水としての水が含まれているわけでございます。したがいまして、大きな意味では全部受益しているわけでございますが、特定にこの地区がどうこうということにはならないと思います。
  23. 東海林稔

    東海林委員 そういたしますと、大体初めの計画どおりうまくいっているという話と、どうもそこが食い違うような気がするものだから、もう少しそこをはっきりわかるように説明してください。専門家にということでなしに、われわれしろうとにもわかるように説明してください。
  24. 小川泰恵

    小川説明員 現在でき上がっております三つダムが完全に機能を発揮いたしましても、利根川の渇水が完全に解消できるという計画ではないわけでございます。したがいまして、いまは、三つダムがフルにその機能を発揮しておりましても、ある程度被害が起こることは、これはやむを得ない。当時の計画からそうなっておるわけでございます。
  25. 東海林稔

    東海林委員 一応質問を終わりたいと思いますが、初めに私が質問しました農林省予算措置については、ぜひ早急にお願いしたい、こういうことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  26. 中澤茂一

    中澤委員 関連して。  この通達の第二に、「農林省手持機械の活用について」とあるのですが、手持ち機械の所在はどうなっておるか。
  27. 太田康二

    太田説明員 農林省の各地方農政局ポンプがあるわけでございまして、県の要請によって各農政局から貸し出しを行なっております。   〔長谷川(四)委員長代理退席委員長着席〕 その実情を申し上げますと、五月三十日現在、東北農政局で、保有台数二十四台のうち、これを全部貸し出しにあてております。関東農政局が、五十七台のうち、十九台を残しまして、三十八台の貸し出しを行なっております。東海農政局は、四十八台のうち十台を貸し出して、まだ三十八台手持ちがあるわけでございます。そういうふうに、地元の県の要望に応じまして貸し出しを行なっておる、こういうことでございます。
  28. 中澤茂一

    中澤委員 これは、この前の大干害のときに、農林省直轄で持つものは持て、それから、農民みずから自主的にやるものは、あのときは二分の一の補助金ですか出した。全国的な大干害で、特に西日本はあのときはひどかったのですが、そのときの機械手持ちが現在それだけの台数としてあるのですか。
  29. 太田康二

    太田説明員 おっしゃるとおりでございまして、農政局管内で持っておりますのは、全部でたしか三百三十三台でございます。
  30. 中澤茂一

    中澤委員 この前の大干害西日本がひどくて、そして、あらゆる対策をやってあげたわけですよ。いまの貸し付け機械だけで、いまの干害状況から言って大体間に合うという見通しですか。どういう見通しですか。
  31. 太田康二

    太田説明員 私が聞いておりますのは、たしか一台の能力が平均四十ヘクタールというふうに聞いておりますので、これをよほど有効に使わない限り、いまの三百三十三台では、これで干ばつ対策を全部カバーするというわけにはまいらないのではないかというふうに思っております。
  32. 中澤茂一

    中澤委員 揚水のできるところは、水のあるところは、この機械を借りてきて揚水をすればいいけれども、この前の大干害のときにもだいぶ問題になったのですが、局所的に水の間に合わないところがあるわけだ。そこでは、あのときはすぐボーリングして地下水を取らしたわけだ。それに対して、たしかあのときは、国が二分の一の補助金、県がそれに対する残の二分の一かな、何かそれで日本じゅうやらしたというあれがあるのですが、今度の場合も、地区別に見たらおそらく揚水不可能な地点があると思うのです。要するに、伏流水を取らせるなり、あるいは地下水を抜かして、揚水ポンプを局所的につけなければ間に合わないところがあると思うのです。その辺はどうなんです。被害状況自体がわれわれまだ報告がないからわからないわけだが、どうなんですか。このポンプだけで間に合うのか、あるいはこの前のような対策をやらなければ間に合わない地点があるのかどうか。もし間に合わない地点があるとすれば、これは至急大蔵省と折衝しないと、さっきの話で東海林さんが言うたように、通達を出してこれで話は済んだ、これはまさに農林省責任のがれだけじゃないですか。至急見通しを持って財務当局と話を進めて、この前の干害対策の例があるんだから、あの基準でやるとかなんとかという話を進めぬと、まだこれは気象庁の予報だと当分だめだというのでしょう。
  33. 太田康二

    太田説明員 先生もおっしゃいましたとおり、一応農林省大蔵省話し合い基準をつくりまして、激甚災害というものにつきましては、土地改良区の実施する干害応急対策につきまして、従来の四割の補助を五割補助にした例はございます。  そこで、ポンプだけを設置すれば間に合うのかどうかという御質問でございますが、まさに、水源のないところにポンプ設置しても意味がないわけでございまして、実は、過去におきましてそういった事例等もありまして、ポンプ設置につきまして多少財政当局からいろいろいやみを言われたこともあるわけです。しかし、もちろん、そういった地帯につきましては、先ほどお話しのように、井戸の掘さく水路を掘るとかということに対しましても、当然従来の干害応急対策では補助の対象にいたしておりますので、今回におきましても、そういった例に準じまして、当然補助すべきものというふうに考えております。その点につきましては、先ほど東海林先生からも御質問がありましたように、財政当局とも至急話しまして、従来の例に準じてやるからというような方向で検討いたしたいと思います。
  34. 中澤茂一

    中澤委員 じゃ、至急財政当局とやらぬと、ただこの通達だけでやれといったって、向こうでは、県なら県、土地改良区なら土地改良区で、そういう局所的に水のないところで、これはポンプアップしなければ、地下水を取らなきゃだめだという地点が出たものは、やりようがないじゃないですか。至急それを見る体制を、財政措置をとらないで、ただこの紙っぺらを出して、しっかりやれ、機械は貸してやるぞ、これではまさに無責任体制農制というものですよ。やはり、もう少し血の通った政治をやってやらぬと、農民とすれば、植えつけがおくれれば、場所によれば全くその減収は確実という地帯がいっぱいあるのですから、そういう点にいま少し積極的にひとつやってもらいたい。また午後災害特別委員会でぼくは少しこの問題をやります。  そこで、まだ大臣が来ないようですが、建設部長がきょう来ているからお伺いしておくのだが、例のガソリン税の問題なんだ。あれは一体ことし予算要求をどのくらいしたのですか。
  35. 小川泰恵

    小川説明員 ちょっとただいま数字を持っておりませんので、少しあやふやなことを申し上げるかもわかりませんが、大体フルに考えまして、成立いたしました予算とほほ同額の要求をしたのだと思っております。
  36. 中澤茂一

    中澤委員 建設部長、私はあなたとおととし個人的にも話したでしょう。政府がはっきり、昭和四十一年度は百二十九億だ、昭和四十二年度は推定で百四十一億だというのは、予算委員会答弁しているのです。そこで、私はあなたに、来年度は百四十一億要求しなさい、政府答弁しているのだから、こうあなたと個人的にあなたの部屋で話し合いをしたことがある。ところが、百四十一億は要求していないでしょう。どうして要求しないのですか。
  37. 小川泰恵

    小川説明員 百四十一億と申しますのは、ガソリン税全体、農林省関係の全体でありまして、そのうち地方税に回る分が一キロリットル当たり一万三千円でございますか、ちょっと数字ははっきり覚えておりませんがございますので、それを削除した全額を要求したわけでございます。
  38. 中澤茂一

    中澤委員 そこで、いま御承知のように農林省ばか大蔵省にコンプレックスを感じておるらしい。どうも予算要求が弱くていかぬ。大体政務次官は、ここでばかり大みえを切るけれども、予算要求は弱くていかぬ。  そこで、いま農村文化並びに近代化を進める上で一番の欠陥はやはり道路だと思うのです。国道はどんどんと数兆円の予算をかけて進んでいく。県道もこれに匹敵して進んでいく。ところが、町村道と農道が一番おくれている。皆さんいなかを歩いてみれば一番よくわかる。国道県道を走っていて村へ入ると、まるで極楽から地獄へ落ちたみたいな道路です。さっと快適に走ってきて、きょっと横丁に入ったとたんに、砂煙で窓もあけていられないような状態です。そこで、この府は能書きばかり言っているが、近代化文化もありゃしない。だから、建設部長ばかに控え目な要求ばかりしているけれども、とにかくこれはやはり市町村道と並行してやっていかないといけない。農村近代化並びに文化を進めていく上には道路開発が第一だ、こういう意味において、私は、ガソリン減免道路というものが非常に大きな効果を出しておると思うのです。これは、いま機械化でどんどんと消費量が進んでいるから、これをどんどん進めていけば、むしろ町村道より農免道路そのものによって農業近代化というものが大いに進められていくと私は考えておるのです。  だから、そういう面において、政務次官、遠慮していてはいかぬのです。取るものは徹底的に取らないとだめです。おそらく四十二年度は、政府は百四十一億と言うけれども、百六十億くらいあると私は見ている。私の推定計算では、機械台数、この前の資料を出したのから調べてみると、大体百六十億くらいの減免分があると思います。四十三年度はおそらく二百億近いガソリン税農民からの吸い上げがあるのではないか。だから、そういう面において農林省はいま少し正確な数字を把握して、四十三年度予算だって八月から編成にかかるのだから、政務次官、来年は農免道路のやつを——農林省独自の立場の調査もわれわれ資料をもらっているが、あれを正確に把握して、この道路予算は一銭でもよけいに取る、そういう体制農免道路というものを今後推進していかなければならない。  いま農村に行って一番喜ばれるのは農免道路です。農林省はちっともありがたくないけれども、農免道路だけはありがたい、農民はこう言っている。農林省はこのごろぼけちゃって、農民の省だかどこの省だかわからなくなってきちゃった、しかし農免道路だけはありがたいと言って、引いたところの農民はこれだけ感謝しているのですよ。  だから、農免道路予算については、八月からまい。何も遠慮することはないのですよ。このごろ農林省は、どうも見ていると、予算要求のときに大蔵省に気がねばかりして、びくびくしている。そういうことじゃ私はいかぬと思うのだ。やはり要求すべきものはとことんまで要求して、特に農民の喜ぶこの農免道路予算というものは遠慮なくひとつ取ってもらいたい。  建設部長、どうでしょう。思い切り取る腹がまえでやりますか。——建設部長、まあ建設部長か問題なんだ。あなたに提案しているのだから。じゃあ檜垣さんでもいいよ。
  39. 桧垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 農林漁業用ガソリンの税率相当額に相当する原資をもって農林漁業用の特別な道路予算財源に使うということは、国会の御鞭撻等もございまして、制度化されてきたわけでございます。消費量につきましては、昨年度も農林省の統計調査部の機構を駆使いたしまして取りまとめたのでございますが、これはお話に出ましたような財政当局に対する気がね等は毫も交えないで集計をいたしたつもりでございます。もっとも、初めてのことでございますから、あれが動かすべからざる真実であるかどうかは、私もそれは言い切る自信はございません。でございますので、明年度につきましても、さらに精密に調査をいたしまして、調査結果に基づいた予算要求をいたしたいと思っております。ただ、私どもの事務的な検討の結果からの感じで申しますと、精密に調査をいたしましても、調査漏れがあって消費量が急激にふえるというようなことは、これはどうもそう期待はできないというふうな感じだけは持っております。
  40. 中澤茂一

    中澤委員 去年の統計資料はもらったけれども、四十三年度予算要求はまたも八月から始まるわけだ。どのくらいの伸び率を見ているわけですか。その資料はまだまとまらないだろうが、大体いままでの毎年の伸び率はあるんだね。だから、本年度予算の消費はどのくらいの伸び率だろうとんと、簡単に消費の伸び率を見るわけにはまいらぬのではないかという気がするわけです。と申しますのは、四十二年度の予算要求の際に調査いたしましたとき、全体として機械のたとえば馬力数等はふえておりますけれども、消費燃料の経済的な方向というような問題がからんでまいりますので、一がいに機械の馬力数の増加というだけで消費量を測定するというわけにはまいらぬというような傾向もありますので、この段階でどのくらい伸びるということはちょっと申しかねるのでございます。
  41. 本名武

    本名委員長 石田宥全君。
  42. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣にお伺いしますが、きょうは米価の問題についてお伺いしたいと思うのです。  御案内のように、本年度の米作については、ほとんど資材は投入してありますし、労賃も投下してある。年々そういう点を勘案されて七月の上旬におおむね米価が決定されておるわけでありまして、本年度も大体七月上旬をめどとしてきめられるのではないかと考えられるのでありますが、いかがでございましょうか。
  43. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米価につきましては、生産者と政府農林省事務当局とはかなり前からいろいろな考え方について相互の資料を持ち寄って打ち合わせをいたしておりまして、いまその最中であります。まあいつごろになりますか、御承知のように、それぞれ数十科目にわたって資料が計算されるわけでありますけれども、それの見方等について、生産者の見方、その見方についてはどういうものだろうかというような、こまかな相談をいまやっている最中であります。それが、結局意見の二本のレールで、その食い違いを調整することはできない点もあるかもしれませんけれども、なるべくひとつその間の話し合いで、筋の通った、説明のできるようなものを相互につくり上げたいと、たいへん精力的に両方で集まって勉強していなす十数項目について話し合い中である、こういうことでありますが、農林省が対象として話し合っておられるのはどこなんですか。それが農協だけだということになると、私ども異議がある。これは一体どこですか。
  44. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 まず農業団体の大どころの幹部と私も数回お目にかかりました。大体の団体側のお話は聞きましたが、さらに、そういう大どころがつかんでくる要素というものは、およそそのずっと下、と言っては失礼かもしれませんが、下部機構の全国の要望等が重なって来ているんだと思いますが、いろいろな方々を相手に話をしているわけであります。
  45. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 農業団体は、これは系統団体でありますから、地方の団体まで入れる必要はなかろうと私は思うんです。ところが、全国的な組織である農民団体もあるわけです。農民団体といたしましては、先般食糧庁の企画課長を呼んで準備の状況などを伺っておりますけれども、農林省のほうからは一回もまだ意見を聞きたいということの話もないし、これは農業団体と農民団体とでは相当意見の相違がございますので、農業団体だけを相手にお話し合いになるということになると、むしろ混乱を大きくするのではないかという心配があるわけですが、それらの配慮はどのように行なわれておりますか。
  46. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 大体私は全然しろうとなものですから、農林省の役人に命じまして、生産者の方々の意向を十分ひとつできるだけ時間をかけて聞いてみろ、こういうことを言っているんでありますから、いまお話しのように、いろいろな団体がありますならば、その人たちが申し出て話を聞いてもらいたいという御要望があれば、どなたとでもお目にかかってお話を承ることにやぶさかなるものではありません。
  47. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、最初に戻るわけですけれども、最初に申し上げましたように、もう物財費は投入してありますし、借り入れ金ばいたしておりますし、植えつけが終わったところでは労賃は払っておる、そういう状況でありますから、早く米価がきまりませんと、概算払いによって支払いをしようとする支払いに支障を生ずるわけです。そこで、いろいろなことがございましょうけれども、やはり七月の上旬を目途として準備が進められておるのではないかと考えておったわけです。いまの大臣答弁では、どうもその点がはっきりしないわけですけれども、米作農民実情をお考えくださればよくおわかりになることでありますから、そのめどを明らかにしてもらいたい。
  48. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 一生懸命やっていますから、大体両方で何べんか会って話しているうちには、いまおっしゃったようないろいろなファクターについて両方の見解が明瞭になってくるでありましょうからして、これは率直に申し上げますならば、そのようなものはやはりなかなか政府与党のほうでも御意見もかなりあるようでありますから、そういうところとも調整をいたしまして、十分懇談をして、できるだけきめたい、こう思っています。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 昭和三十年ころから毎年七月上旬には必ず決定をしておるのです。ですから、それは話し合いのこともございましょうけれども、やはり前段申し上げるような事情がございますので、七月の上旬には、いろいろな事情があっても——昨年のように日米合同委員会かございましても一応はやはりその前に決定されておるのであるが、七月上旬に決定をするということをめどとして作業をお進めになっておるのではないですか、どうなんです。
  50. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府の買い入れに支障のないようにきめたいと思っています。
  51. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 買い入れに支障のないようにということであれば、もう繰り返しませんけれども、やはりおよそ七月上旬に決定がされないと、各方面に支障を生ずることは明らかなので、先般の委員会では例年どおりにきめる所存であるという答弁が行なわれたのでありますが、ここではその前の答弁は取り消されるわけですか。
  52. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いま申し上げましたように、生産者米価をきめなければ買い入れに支障を生ずるでありましょうから、できるだけそういうことのないように努力をしたい。ただ、私、毎年の様子を見ておりますと、まことに感心しないような騒がしい状況もございましたが、今度は、もうなるべく事前によく皆さんで話をして、そして世の中が納得するような方法で、納得するような価格できめるためにひとつ最善の努力をしたい、こういうので各方面の方にお目にかかってお話を承っておるわけでございますから、政府が食管法に基づいて買い入れをするのに支障を生じないようにいたさなければならぬ、そういう考えでやっておるわけであります。
  53. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 法律に基づいて支障を生じないようにとおっしゃいますけれども、麦価については六月末までにきめなければならないという規定があるのですが、米価については必ずしもその期日を明示しておらないのです。大臣は例年のようにきめたいという答弁をされたのでありますから、例年といえば七月上旬にきめておるのだが、やはり七月上旬をめどにして作業をお進めになっておるのではないですかと聞いておるのです。この前の答弁を取り消して、いつになるかわからぬ、こういうことなんですか。どうもそういうニュアンスに聞こえるのですが、どうなんですか。
  54. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そんなことはないのですよ。この間参議院の予算委員会で藤枝自治大臣が政治資金規正法について日を切って御説明になった。ところが、その御説明になった日にそのとおりにならないで、自治大臣はたいへん正直な方ですからお苦しみになっておる。その御様子を拝見して、あの轍を踏んではならぬ、こういうようなことで、私は、一生懸命で間に合うようにはするが、うかつに石田さんの前で日を切った日には、あとでほかのほうと調整が手間どれでおくれたようなときに、また彼は食言だとやられても困るので、その辺のところはひとつそういうことでやっていこうと思っております。
  55. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣も正直な方だと信頼をいたしまして、大体この前の答弁では例年のとおりということでありますから、そのおつもりでお運びだと思います。  そこで、次の質問を申し上げますが、米価審議会委員の任期が六月七日で期限切れになるようですね。そこで、いますでに次の新しく委嘱をされる委員についての準備が進行中であろうと思うのです。ことに昨年は十一名ほどの委員の方が辞任を申し出ていらっしゃるわけです。そういう事情もございますから早目に——、先ほど申し上げますように、米については期限の規定はございませんでしたけれども、麦価については六月末までにきめなければならないということになっておりますから、六月七日に期限切れになるというと、それまでには米価審議会というものを構成されなければならないから、その準備の状況をお伺いをしたいわけです。  あわせて、最近だいぶマスコミで問題になっておりますところの、国会議員を除外するかしないかというようなことでたいへん注目を浴びておるようでありますが、これらについてあわせて御所見を伺いたいと思います。
  56. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 六月七日が米審の委員の方々の任期、そのとおりであります。麦価のこともありますし、なるべく早くきめなければいけませんが、やはり、いまここでどなたにお願いするだとかいうふうなことを任期中に申し上げることは、現在まだやっていらっしゃる方に失礼であろうと思いますので、何しろ七日過ぎてからお願いをいたす、こういうことであります。
  57. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 きのうの内閣委員会でもそのような答弁をなさったようでありまして、まことにじょうずな答弁と言わなければなりませんけれども、ただじょうずな答弁では困るのですね。ことに国会議員の問題などは、すでに大臣承知だと思うのでありますけれども、政府のほうから国会に対して委員の委嘱をしたいということで、政府の申し入れに基づいて国会議員を国会で推薦をして委嘱をしておるわけです。ところが、今度は、去年のような混乱にかんがみてというか、国会議員を除外したい、こういう意向が強いように伝えられておるのです。私は、立法府と行政府との関係などについて議論をするならば現在の日本の政治全体について議論をしなければならないので、いまここでそういう問題をかれこれ申し上げようとは思いませんけれども、従来の国会議員を委嘱をするというその経緯にかんがみて、当然国会議員はこれに参加せしむべきである、こう考えておるわけです。その点についてはどうですか。
  58. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そのことにつきましては何べんかここでもお話が出ましたけれども、国会議員としてお願いしているというわけではなくて、学識経験者二十五名以内をもって構成するというので、学識経験者として先生方にもお願いしてきた、こういうことであります。したがって、その中に国会議員があれば、そういうようなところへ出ていくためには国会の承認を要する、こういうことであります。しかし、ただいま、国会議員の方をわずらわさないでいくべきか、いかないがいいかということについては、まだ何もきめていないわけであります。ですから、いまここで何とも申し上げようがないわけであります。
  59. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 まあ、腹がきまっていないからということで逃げておられるようでありますけれども、大体の経緯を申し上げると、農林省から学識経験者として議員を推薦してもらいたい、承認をしてもらいたいということから、国会議員が参加するに至っているわけです。同時に、先般議院運営委員会の理事会では、与野党満場一致で、国会議員を除外するなどということはすべきではないということで、議長から勧告したはずだが、まだ勧告しておりませんか。
  60. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 全然聞いておりません。
  61. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 まだお聞きになっておらないとすれば、あるいはそのことが園田副議長を中心としていろいろな裏話のようなものが新聞に出たことであるかもしれませんから、私は大臣を信頼いたしまして、その点別途考慮をいたしたいと思いますが、少なくとも大臣、すなおにひとつ答弁をしてください。国民生活の中で何が一番重要かというと衣食住で、その食の中の一番大きな部門を占める米の価格について、国会でほとんど議論されないで、そうして昨年のような場合には米価審議会も答申をすることすらできないというような状態のもとに政府が決定をされてしまう、こういう状態が一体好ましい姿であるかどうか。どうでしょうか。
  62. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これはいろいろ考え方があると思います。しかし、米価につきましては、御存じのように、法令に基づいてただいま政府がきめるということで、そのきめる際には、生産者の所得を補償する考え方で食管法の命ずるところに従ってきめる。現在の食管法の期待しておるやり方でけっこうではないかと私は思っています。
  63. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 実は、以前には米価審議会は公開しておったのですが、公開の中で審議を進めることは好ましくないということで、河野さんが農林大臣の時分に非公開に踏み切った。これを非公開にするにあたって河野農林大臣は、米価については十分国会の審議をしていただきたい、こういうことを発言されておる。また、それが当然であると私どもも考えておったのですが、最近になりましては、国会の開会中ならば国会で論議をしないで米価がきまるというようなことはあり得ないと思われるのでありますけれども、ここ数年間、通常国会が会期切れになりますと、農林水産委員会でひとつ議論をしようということになっても、委員長はこれを公報に掲載されるのですけれども、ここ三年間くらい、それ以上かもしれないが、全然これはやっていない。全然審議をさせない。一体、国民生活にこれくらい重大な影響のあるものを国会で全然論議をする機会を与えないというようなことは政府並びに与党の責任なんですけれども、そういう姿が好ましいものであるかどうか、ひとつ大臣の所見を承っておきたいと思うのです。
  64. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 国会は国権の最高機関でございますから、ひとつ十分御検討を願うことはけっこうなことだと思います。
  65. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いま申し上げたように、公報に掲載をし、それから野党の委員は全員出てまいりましても、委員長が行くえ不明になって、与党の委員が一人も出てこないということになると、これは開会するわけにいかないのです。委員長が不在なら開会できないのですが、それを何年間もやられておる。そういうところに、私どもは、これくらい国民生活に重大な影響のある米価決定というものは当然国会で決定すべきであるという主張をせざるを得ない。そうしてまた、それが当然であろうと考えておるのです。現行の食管法では政府がこれを決定することになっておりますけれども、場合によると、もし農林大臣のほうで国会議員を除外するというような委員の委嘱のしかたをなされば、私どもは、食管法の改正案を本会議に上程をして、そうして、米価は生産者米価消費者米価ともに国会の議決事項にするという法律の改正案を提案しますよ。これは当然だと思うのです。私は、そういう立場で、今度の国会議員の取り扱いの問題については、やはりむしろ従来のように——しかも従来のような米審委員の委嘱のしかたに問題がある。というのは、とかく大蔵省のひもつきの委員であるとか農林省のひもつきの委員であるとかいうような委員が多くて、本来ならば、国が管理をしておるものでありますから、政府が買い手でありますし、農民は売り手でありますから、売り手と買い手の間に十分話し合いをして、そこできめるということも、外国でも行なわれておるところもありまするし、それも一つの方法だと思うのですけれども、今日までの経緯にかんがみて、今日の段階においてはむしろ国会でこれを決定するということが最も適切妥当な措置である、かように考えておるわけでありますが、それについては大臣はどうお考えになります。
  66. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもは、現状のやり方でいいんではないか、こういうふうに思っています。
  67. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 現状のやり方ということになりますと、結局は米審の中には国会議員も含む、同時に、大蔵省農林省等のひもつきの委員と目されるような委員も相当数入れて、結局は結論が出せないような委員構成をなさる、こういうふうに受け取れるわけですが、そうなんですか。
  68. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 率直に私の気持ちを申し上げますが、おこらないでいただきたいと思う。  私は、三者構成的な委員会とか審議会とかというものは、どうも成果があがらないんじゃないかと思うのです。たとえば、ことしの春闘で、公労委にかけて一あれは毎年毎年二カ月浪費するわけです。二カ月ただほったらかしておくだけです。そこで、ことしは、こういうことではおもしろくないから、この二カ月の間に調停——調停は御承知のように労使双方と中立委員でありますから、そこで何とかして有額回答を出して、ストライキなどやらないほうがいいではないかという新しい見地に立って、新しい打ち出し方をして、春闘もああいうふうにわりあいにうまくいきました。  それで、先ほど来、大蔵省のひもつきとか農林省のひもつきとかというおことばもございましたが、大体、先ほど来お話しの国民の主食である大事な米の価格について答申を求められたならば、それらの人々は、おそらく、自分の過去の経歴とかそういう立場を離れて、国家の、国民の中の有識者の一人として、米価はこのように算定すべきではないかというようなことはおっしゃっていただけるんじゃないかと思うのです。そういうことを期待しているわけなんで、そうでなくて、いま例に引きました公労委のように、わしは労働組合だ、わしは経営者の代表だと言っているんでは、そんな者を集めて形だけの審議をするのは、初めからばかばかしいことだと思うのです。私は、米審の皆さん方のような学識経験者は、そういう立場もさることながら——私ども自身でも、農家の人々に翌日への生産意欲を強く持っていただくためには、本来ならばできるだけ米価は高く買ってもらうほうがいいと思います。ただ、そのことだけを言っておったのでは、国民全般の経済のことも考慮しなければなりませんからして、この辺が妥当だろうということできめなければならぬわけでありますが、そういう意味で、私は、米審の委員の構成も、やはりいっそのこと三者構成みたいなことにして、最終決定は中立委員に頼むというようなことも考えられないことはないと思っておるのでありますけれども、それも、公労委その他労働関係のあれを見ますと、なかなかうまくいかない。そこで、個人的な立場を離れて国家的に考えてひとつ判断をしていただくように、委員の皆さま方に心から御期待を申し上げるよりしかたないのであります。  だからして、委員になられた方々にはそういう意味で、大所高所から、国民がなるほどこの辺だなと思われるような適当な、きわめて妥当な答申を得たい、こう期待いたしておるわけで、いままで経験がありませんけれども、私は、そういうことを期待して米審の委員を御委嘱申し上げたい、こう思っているわけであります。
  69. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いまの御答弁は、大臣、腹を立てるどころか、私も、そういう角度で、公労委に仲裁をさせるような、これは性質はちょっと違いますけれども、そういうふうな解決の方法もあり得る、これは私どもは私どもなりにひとつ検討に値する問題だと思っている。ことしは間に合わないでしょうけれども、農林大臣は労働問題の専門家でベテランでありますから、それらを参考にして、十分検討に値するものだと私は思うのです。そういう点をも含めて、国会で決定するにいたしましても、いま物価対策特別委員会というようなものもございまするし、あるいは、新たに米価対策特別委員会というものをつくって、そこで十分討議をして、最終的には国会の議決を問うという方法も十分検討に値する問題であろうと私は考える。それらの点については、ことしは間に合わないことでありますので、これはひとつお互いに検討したいと思います。  次に、先般私が一般質問を申し上げました際に、食糧の自給度の問題について、大臣は、あとう限り自給度を高めるよう努力をしたいという御答弁があった。私も、もっともだと思ってこれに賛成をしておるわけです。実は、自給率一〇〇%でも足らないので、ことしの天候がどういうことになるか、これはわかりませんけれども、国際的な食糧事情は悪化の一途をたどっておる状況でありまするから、したがって、相当程度の備蓄を必要とするという、そういう考えをこのごろ強く持つようになったわけであります。  さて、かりにあとう限り自給率を高めようという、そういう大臣の御方針であるとするならば、いろいろな要素はございましょうけれども、何と申しましても、やはり価格というものが相当大きく左右することは、これは否定できない事実であります。  そこで、本年度の問題でありますが、いま農業団体と話し合いの最中だということでありますけれども、この体算定方式については、きのうの内閣委員会の御答弁によりますと、先ほども伺ったわけでありますが、十数項目について生産者団体との間で検討を進めており、できるだけ双方の主張を折り合わせたいという答弁をされておるわけです。従来算定方式については農業団体と政府との間に大きな食い違いがあるわけですね。なるほど生産費及び所得補償方式という大きなワクの中では一致しているわけでありますけれども、価格を形成する要因にはいろいろな食い違いがあるわけです。その食い違いがはたして意思統一できるかどうかということには大きな疑問を持たざるを得ないわけでありますが、いまやはり、政府が意見なしに農業団体と話し合うということはあり得ない。自分の意見を何にも持たないで話し合ったって、これは全然前進しませんね。そこで、政府はどういう腹案で農業団体と意思統一のために話し合いを行なわれておるのか、その点どういうことでしょう。
  70. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 石田さんのお話のように、農業団体は、いま全国のそれぞれの下部の団体の資料等が着々と中央に来ておるようであります。そういうものによっていろいろそろばんを置くわけでありますが、その十数項目の要綱の中で、考え方があるいは開くかもしれません。その開いておる考え方につきましては、こういう要素をこういう解釈でお取り入れになる理由は一体どういうことであるかというようなことを突き詰めてよく伺ってみよ、こういうことを私は命じておるわけであります。いまその作業をやっている最中であります。  これにつきましては、もし一致すればたいへんありがたいことでありますし、究極においてどうしても一致しない点も出てくるでありましょう。そういう場合には、国民の主食でございますので、政府はこういう考えでこういう結果で米価を決定する考え方になります、生産者団体の方々はこういうお考え方でこういうとり方をしてこういう結果になったんであるということを、もちろんわれわれに大きな影響力を持っております自由民主党の政務調査会にも詳細に御報告をいたして、そして国民大衆にその内容を詳細に報告することがいいと思っているのであります。国民というものはそれについて判断を正確にしてくれるでしょう。われわれのほうが誤りであるならば、その誤りを指摘される面も出てくるでありましょうし、やっぱりそのようにして全部ができるだけ納得していただくようなことできめたい。額もそのとおり。そういうデータをいま研究を続けておる最中でございます。
  71. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 少なくとも昭和三十五年以来とってまいりました生産費及び所得補償方式という算定方式は堅持される御方針でありますか、それまでも変えようとするお考えなのか、この点をひとつお聞かせを願いたいのであります。
  72. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 さっきからあなたもよく御存じのように、私はあんまりよく知識を持っておらない。自分で自覚しておりますから、それで、この問題についてもいろいろな専門家にいろんなお尋ねをいたした中に、いわゆる指数化方式とか、あるいは積み上げ方式だとか、いろんなことばがございますが、一体これはどういうふうに判断をすべきであるかと私が問いましたことについて、明確な回答を与えてくださった方はありません。時間を見て石田さんにも教えていただこうと思っておりますが、指数化方式と申しましても、あるいは生産費所得補償方式と申しましても、結局は、先ほど来お話しの十数項目にわたるデータの積み重ねということについては一致しているわけであります。最終的にはそういうことになるわけです。そのとり方の要素をどういうふうなところをとつつかまえてとるかということに相違が出てくるのだと思います。もちろん、生産者米価をきめるときの食管法がわれわれに命じておるところは、生産費を償うように考えろということが法律でございますからして、私どもといたしましては、生産費と所得を補償するというたてまえで米価は決定せらるべきものである、このように理解しております。
  73. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 席をあらためまして大臣に御説明を申し上げるまでもなく、きわめて簡単明瞭なんです。いまのわれわれのいうところの生産費及び所得補償方式というのは、それは大臣、だれでもわかるのです。たとえば、種苗費、肥料費、薬剤防除費、その他の材料費、小農県費、大農具費、土地改良施設費、それから資本利子、公租諸課賦、地代、これはもう動かしがたい生産費ですね。生産に要する動かしがたいものであって、最初から申し上げておるように、すでに支出しているものです。したがって、支出しておるものに対しては利息も計算をしなければならない。これも当然でしょう。問題は、こういうふうに固定的にだれが計算をしてもほとんど相違のないすでに支出したものの生産費に、プラス農民の所得をどう計算するか、これだけの問題です。要するに、農民の所得というのは、私どもが主張しておるのも、あるいは農林省が主張しておるのも、都市の製造工業労働者の五人規模以上をとるか、三十人規模以上とかあるいは百人規模以上とか、そういう点に相違はあるけれども、自家労賃を都市の製造工業労働者のどういう規模にバランスさせるかという、これだけなんですよ。それが農民の所得部分になるわけです。もちろん、直接労働時間、間接労働時間というものとかけ合わせて計算はしなければなりませんけれども、きわめて簡単明瞭なことであるから、別な機会を得なくとも、ここでひとつ御説明を申し上げておきます。  それから、先ほど来米審の委員の問題についていろいろ御意見もございましたが、私も意見を述べたわけですけれども、なるほど、各界各層のそれぞれの委員は、一体どういう決定のしかたをしたら、どの程度に決定をすることが全国民のためになるか、国益になるか、そういう信念で取り組んでおることは論をまちません。ただ、しかし、そこで大きく分かれることは、食糧は国内で自給をし、でき得べくんば備蓄をしなければならないという考え方の主張と、安ければ外国から持ってきたらいいじゃないかという主張と、ここに大きな分かれ目があるのです。要するに、私どもはいつも言っておるのですが、日本の国の国策はかつては農業と工業と両建てで来た。   〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕 ところが、農業基本法ができたときに、工業立国に踏み切って、農業を犠牲にして、安ければ外国の農産物を入れるべきであるという基本的な見解が農業基本法の際に示されたのです。そうすると、そういう点で基本的に対立するものがありますから、したがって、国のため国民のためといっても、ここに意見の相違が出てくるわけです。だから、お互いにこれは国民のため国家のためという考えではあるけれども、そこに相いれないものが当然生じてくるということを頭に置いて今後の委員の委嘱に当たっていただきたい、こう思うのです。  時間がぼつぼつまいったようでありますから、最後に、まあ大臣の意見も大体わかりました。大体わかりましたが、そこで、基本的な米価の決定については農業団体の意向も聞き、そのほかの意見がある人があればその意見も聞きましょうということでありますから、また時間があれば、私どもも団体を持っておりますので、先般は企画課長を呼んで実は作業の経過などを承ったわけでありますけれども、われわれの考え方というものもできれば直接大臣にもあるいは食糧庁長官にも申し上げたい、実はまだ申し上げておりませんから、そういう機会も得たいと思います。  ただ、ここで伺っておきたいことは、米価の中にはいろいろな要素がございまして、いわゆる基本米価という基本的なものと、それから、各種の加算というものがありますね。予約減税というようなものもあり、あるいは硬質米加算というようなものもある。あるいは時期別格差というものもございます。これはそれぞれやはりいろいろな歴史的な経過を経て今日に及んでおるのでありまして、昨年度までそれが存続をいたしておるわけであります。したがって、急に突如としてこれを切り捨てるとか削除するというような御意向はなかろうと思うのでありますが、特に伺いたいことは、先般も私一般質問の中で触れておきましたように、所得の地域格差の是正という問題、これは政府の政治の基本的な柱の一本なんですね。これは総理大臣もしばしばおっしゃっておられるし、農林大臣もおっしゃっておられる。地域格差を是正しなければならない、これは当然なことです。そこで、地域格差の是正というものが端的にこの米価の中にあらわれておるものは、いわゆる時期別格差であります。かつては八百円、六百円、四百円でありましたけれども、その後、それほど大きな金額を必要としないのではないかということで、六百円、四百円、二百円ということに、やはり三段階でずっと二百円ずつ落としてきておるわけです。これは、いま申し上げまするように、地域格差の是正という点において、一期作しかできない、いわゆる単期作しかできないその農場、農村に対する一つの配慮であることが一つと、もう一つは、最近配給米の食味の問題がだいぶ問題になってきております。だいぶ大臣の耳にも入ることだろうと思うのでありますが、食味の点から見ますときに、この早場米というものは昔は味つけで使われたものなんですね。味つけ米として広く全国に行き渡ったものなんです。そして、相当やはり価格に差があったものなんです。そういう面で、地域格差の是正という問題と食味の問題というようなものと合わせて、かりにこれが統制でない状態のもとで、自由経済のもとにあるとすれば相当なハンディがつくのがまあ当然なわけなんでありまして、そういう議論がしばしば行なわれた結果、時期別格差が今日まで存続いたしておるわけでありますが、特にこの問題について大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
  74. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 本年の米価決定にあたりまして、いまのような時期別格差その他のことも慎重に検討してきめたいと思っております。
  75. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大体、全体の米価の決定というものは相当慎重におやりになることはけっこうですよ。けれども、私がいま申し上げましたような、予約減税であるとか、あるいは硬質米加算であるとか、あるいは時期別格差であるとかいうようなものは、それなりに地域的な関係やあるいは時期的な関係があり、あるいは硬質米加算のごときは米質そのものの関係でありまして、味は悪いけれどもたきふえがするというようないろいろな問題がございますが、とにかく、十数年間ずっとやってきたものをやめなければならないような理由がございますか。
  76. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 歴史的なそういうことを全部参考にいたしまして、ただいま慎重に検討中でございます。
  77. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大体歴史的なそういう経過にかんがみて検討するという御答弁でありますから、まあいわゆる既得権的なものでございまして、これは存置されるであろうというふうに、そういうニュアンスで伺ったわけでありますが、大体そういうことなのでしょうね。
  78. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほど申し上げたとおりであります。
  79. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 どうも大臣は、自治大臣があげ足をとられたということでだいぶ警戒的なようでありますが、あまりそう警戒ばかりされておりますと、ことしの米価決定はなかなか混乱をしますよ。混乱を避けたいというような御趣旨のような答弁でありますけれども、そう秘密主義でいまから——もうすぐなのですからね。六月七日に任期切れになる委員の委嘱についてもまだ全然その考え方もきまっておらない、あるいは基本的な問題についても慎重検討はけっこうですけれども、いま私が、そういう慎重検討をするにしても、こういう問題というものは動かす必要がないのではないか、そういうふうに伺っておるわけなので、そんなものにまでそういう慎重論で御答弁になるようでありますと、これはなかなか農業団体も農民団体も承知しませんよ。そういうことであると、米価審議会など開かれる以前にひとつ大動員をいたしまして、相当にこれはあばれ回らないと、どうも大臣の本音を聞くことができないのではないいかと心ひそかに考えておるわけでありますが、どうですか、考えの一端ぐらいはもう少し具体的に述べられていいのじゃないですか。私どももそんなものにこだわっているわけじゃないから、大臣あのときこう言ったからなんて、そんなあげ足をとろうとは思わないけれども、この前にここで答弁されたことをすぐここで別なことをおっしゃるから、そういうことになると、いままで考えておったことと全然変わってくるから、それじゃ困るということなので、この段階で具体的な問題にまだ全然答弁できないような態度でありますと、これは私はちょっと穏やかでないと思うのですね。そんなことで農民をいいかげんにごまかしていこうというお考えでは、おさまりませんよ。農民は、米価の算定方式にいたしましても、何もかも最近ではよく勉強しておりますから、そういうものに対しては、ある程度のことはやはり具体的な点を少しは出して、そして誠意のある答弁をなさるのが、事態を円満に混乱のない状態で解決をされる最も賢明な策であろうと考えるのでありますが、どうですか。
  80. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いつもこの前申し上げたことと違うことを言っているというお話でありますが、ちっとも違ってはおらないつもりであります。  それから、いまの時期別格差その他のことにつきましては、いまあなたから承るばかりでなくて、いろいろ生産者団体等からもお話がございます。そういうことについてただいまいろいろ打ち合わせ中でありますから、したがって、慎重に検討しておる、こういうことを申し上げたわけであります。  農業団体や農民団体が承知しないだろうというお話でありますが、いままで農林省もたいへん努力はされましたけれども、それより時間的に早く農業団体に呼びかけて、先ほど来申し上げておりますとおりに、何べんか事務当局は先方のお考えを承り、参考にしていろいろな努力をしておる。そのことは農業団体もよく御存じのはずであります。  私が合理的にみんなの納得する値段できめたいと思いますのは、私も自民党の代議士でありますから、昨年米価の陳情で大ぜいの選挙区の方がおいでになりました。議員会館に私をおたずねになりました農家の方々は、われわれがいま看板に出している数字が取れるなんということは初めから思っておりませんよ、しかし、たいていのところで常識的にひとつ先生何ぶんお願いしますというのが圧倒的多数ですよ。そこで、私は、そういう農家の人々の——労働争議でもそうですけれども、一万円要求したからといってそれが獲得できると思っている組合員は一人もいないんであって、常識的なところで線が引かれることをみんなが承知していろいろおやりになります。そういうことのやり方がいい悪いは別として、やはり私どもは、原則としては翌日の生産意欲を持ってもらうためにはできるだけいい価格で買うべきであると思いますけれども、一般の経済状態に制約を受けてまあまあこの辺ならばということできめなければならないことも、もう何人もよく承知していることでありますから、やはりただいまの農林省かじみちに農業団体とそろばんをとって話をしておることがずっと地方に浸透いたしておりますから、それで御不満であるということがあればやむを得ないかもしれませんけれども、そういうことでできるだけ話し合いつけて、両方で、なるほどおまえの計算はそうか、おれの考えとは違うけれども、その辺のところだろうというようなことで円満にやってまいりたい。その一点に集中して努力を継続してまいるわけであります。
  81. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 あなたのお気持ちの表現がわからぬことはないのですよ。わからぬことばないのだけれども、自分のほうはどういう算定方式をとるかも考えていないし、ただ一方的に相手側の意見を聞いておるというだけなんですね。それでは、一方の陳情を聞くだけで、作業は進むはずはないじゃないか。だから、大体政府考え方では、こういう要素はこういうふうに計算をすればこういう結論になるようだ、こういう要素のものはこういうふうに計算をすればこの程度になるようだくらいのことが示されなければ、一方通行じゃないですか。陳情を受けているだけじゃないですか。話し合いじゃないでしょう。  これは大臣でなくて長官に伺いますけれども、作業というものはもう進められていなければならないと思うのです。その作業を進めるにあたって、大体算定方式なり、いままでとり来たった方式があるわけです。そのうちどれかを変えるなら変える、あるいはいままでどおりのものを出してみて、それがどんな結論になるか、そういうことによって今度は農民側の要求というものも聞いて、それをいろいろ修正すべきは修正し、訂正すべきは訂正し、そうして参酌すべきは参酌をしていくということでなければ、大臣は究極目標だけを示しておられるけれども、その過程は全然何もない。それじゃ進みつこないじゃないですか。長官のほうは一体どの程度に準備するのですか。
  82. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私が申し上げておるのは、まず生産者のお話をよく承る。同時に、何べんか会っているわけでありますから、たとえば金利の計算あるいは労働賃金をはじき出す計算、そういうことについても、あなたのほうはいまこういうふうに御主張なさるけれども、こういうような考え方はおとりになりませんかといったようなことはもちろんなければ、陳情だけでありますから、そういうことについていろいろやっておりますが、その過程でありますからして、それをいまどこまで話がついたとか何とかいう段階でないものですから、私は申し上げられないわけです。逐一その報告を受けておりますから、先ほど来申し上げておりますように、事務当局がどういう考え方を持とうが、最終的には農林大臣の私が方針を決定するわけでありますから、その決定する資料をつくるために、私がよく理解ができるような相互の話し合いをしたそのデータを持ってきなさい、こういうことを言っておるわけでありますから、一方通行じゃなくて、こういう点についてはこういう考え方をとることはできないかというような、もちろんあらゆるデータについてそういうお話し合いを継続中で、まだ早いんじゃないですか、何かしゃべるのは。
  83. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 早くない。もう早くないですよ。  時間がまいったようでありますが、一点確認しておきたいことがあるわけです。議院運営委員会で、これはおそらく理事会ですけれども、国会議員を除外するというようなことはすべきでないということを衆議院の議長から政府に勧告をする、こういうことが満場一致できまっておる。ところが、先ほど大臣は、全然まだ聞いていない、こうおっしゃったわけですが、これはすぐ問題にしなければならぬわけでありまして、これは間違いございませんね。確認しておきます。
  84. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまのお話のようなことば全然聞いておりません。
  85. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これで私の質問は終わります。
  86. 倉成正

    ○倉成委員長代理 午後一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ————◇—————    午後一時五十八分開議
  87. 本名武

    本名委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業の規制に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  88. 兒玉末男

    ○兒玉委員 質疑に先立ちまして、資料提出の要求をいたしたいと思います。  一つは、昭和四十年度、昭和四十一年度米の生産費調査の八〇%バルクラインを中心とする前後五%農家の平均生産費。それから、もう一つは、生産費調査農家中、耕作面積一町歩以下の農家戸数。  以上二点を資料として提出方を要求したいと思います。
  89. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 作成さして提出いたします。
  90. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、引き続きまして、中小漁業振興特別措置法案外国人漁業の規制に関する法律案について御質問をいたしたいと存じます。  本日はせっかく大臣も御出席でございますので、昨日御質問いたしましたが、特に今回の中小漁業関係振興特別措置法案は、国際的に変動する世界の水産業界の動向に対処する、国内の中小漁業の近代化等を通じましてこれに対処するというのがそのねらいになっておるわけでございますが、まず基本的な問題としてお伺いをしたいのは、何と申しましても、いま世界の動向が、やはり自国の水産資源の確保という立場から、専管水域の設定なり、いわゆる領海の範囲を拡大するなど、多くの規制が加えられ、かつて世界一の水産国を誇りました日本も現在では第二位という段階に置かれております。こういう情勢から、考えていかなければならないことは、今後の日本列島を中心とする国内水産業者の従事するための水産資源の保護、こういうことがきわめて必要ではなかろうかと思うのですが、特にこの際大臣にお伺いしたいのば、最近の情勢を見ますと、いわゆる高度経済成長政策がもたらした結果、内水面においても、あるいは沿岸漁業等におきましても、特に公害による損害というものが非常に目立っておるわけでございますが、こういうふうないわゆる沿岸漁民の魚族資源保護、広範な水産資源の保護ということについて、まず大臣の御所見を承りたいと存じます。
  91. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 水産業も農業と同じように、水産業と申しましてもいろいろ範囲もございますが、沿岸のなかん、ずく零細なほうにおきましては、やはり生産性は御承知のように低いわけでございます。これについては私どもは特段の措置を講じておるところでございますが、さらに、ただいま御審議を願っておる法律等にもそういう趣旨でいろいろ考えておるわけでありますが、その上にまた国際的な制約が日本漁業全体についてだんだん重圧として加わってくることをわれわれは予期しなければならないと思っております。  したがって、将来の日本の漁業政策については、そういうことはきわめて重要なファクターになってくるだろう、こう思っておるわけでありますが、ただいまもう一つの角度からお話がございましたように、わが国の工業生産が伸びる、そのためにいろいろな公害の問題が引き続いて起こってまいります。政府は公害対策基本法案を策定いたしまして、これも御審議願うわけでありますが、公害につきましては、ひとり人間に対する害ばかりでありませんで、われわれが必要とする食糧そういうものにも多く影響を持ってまいります。したがって、御存じのように、公害対策基本法ですべてが完備するとは私どもは決して考えておりません。なおその足らないところを逐次補完してまいらなければなりませんが、ただいま御指摘のように、公害による魚族に対する害等は大小いろいろありますけれども、各地にそういうことが起こってきております。私どもは、まず第一には、他の産業が伸びることによって必然的に生じてくる公害を漁業についてどのようにこれを抑止するか、これは非常に大きな問題でございますが、公害対策基本法制定にあたりましては、やはり私どもはそういうことにも力を入れて対処いたしてまいるべきである。また、それがごく沿岸だけではなくして、やがてはやや遠方の魚族にも及んでいくことを予定して考えなければなりません。したがって、いま申し上げました公害対策基本法の措置で決して十分だとは思っておりませんが、将来ともそういうことについて出てくる影響を予想して万全の策を講じてまいりたい、こう思っております。
  92. 兒玉末男

    ○兒玉委員 すでに、特に工場排水の及ぼしたいろいろな具体的な事例が多いわけでございますが、特に、十年ほど前までは相当魚族の住めるような地域が、ほとんど次々に排水のためにおかされている、こういう実情から考えます場合に、同時にまた、今回提案されておりますカツオ・マグロなり、とにかく沿岸漁業において欠くことのできない問題、やはりこのような水産動植物等の繁殖と保護ということがきわめて大事でございまして、特に水質汚濁ということがその最大の元凶でありますが、農林省として、特に水産庁としてこういうふうな水質の調査ということについてどういうふうな施策を講じようとしているか。特にこれは基本的な点として昨日も若干長官にお伺いしましたが、今回の公害対策基本法の関連から、やはり水産庁はもう少し指導性と積極的な立場から取り組んでいくべきではなかろうか、こういうふうに考えますので、この点お伺いしたいと思います。
  93. 久宗高

    ○久宗政府委員 昨日もお話ししたわけでございますが、水質そのものにつきましては、試験場関係もほとんどこれに動員されまして、水質の問題、特に被害が起こりました場合の調査にあたっておるわけでございます。  なお、具体的な問題といたしましては、主として河川の関係で私ども独自のパトロールをしたいということで、四十一年度は河川を中心にいたしまして若干の人員を配置したわけでございますが、さらにそれを沿岸に広げまして、私ども独自のルートから水質そのものの汚濁の度合いをキャッチしたい、こう考えておるわけでございます。
  94. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いままでのいろいろな農林省関係の説明、水産庁関係の説明なり、また、先般発表されました今後の沿岸漁業等において施行する施策等を見ましても、特に水質汚濁については都道府県等に調査を依頼する、こういう点等が書いてあるわけでございますけれども、この点、私は、非常に他力本願的な考え方ではないか、もう少しやはり水産庁が自前で、予算の拡大を通じてなど、積極的な取り組みをすることが必要ではないか、こういうことを昨日も御質問しましたが、せっかく本日は大臣も御出席であるし、問題はきわめて基本的な、また、今後の水族資源の確保という点からも重要な課題でございますし、公害対策基本法の制定と並行的に今後徹底的に論議をしていく課題でもありますので、この際特に大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  95. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 昨日お話し合いがあったようでございますが、地方の試験場を活用すると申し上げたようでありますが、やはりせっかくそういうものがあるわけでありますから、そういうものを活用して水質基準調査研究等をやらせまして、あるいはそれによっては排水の規制等、その試験に基づいてそういう施策を講じてまいりたい。いまお話が魚族のことでございますが、同時にまた、人間にも直接影響のある排水がありますことは、原因はまだ不明であるとは申しながら、新潟県あたりにもすでにその実例が出ておるわけであります。私どもは、そういうことにかんがみまして、このたび公害対策基本法を施行するにあたりましては、やはり、いま申し上げましたように、たとえば地方調査によって排水の規制をする、あるいはそれをどのように処置するかということについて検討して、万全の対策を講じてまいりたい、こう思っております。
  96. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、やはり水産資源あるいは漁場の開発、このことはきわめて重要な問題ではなかろうかと思います。今回の法案制定も、やはり近海から遠洋漁業が大体その中心になっているわけでございますが、要するに、今後の水産資源の確保ということは、このような漁場の開発と資源の開発ということについて積極的な取り組みが必要ではなかろうかと考えるわけでございますが、このような点についてどういうふうなお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  97. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまの公害の問題が起こらないでも、御承知のように、わが日本人の摂取いたします蛋白資源の供給源である魚族のことを考えてみますと、これは放置しておくどころではない。さらに力を入れてその増産をはからなければならない。その増産のためには、沿岸漁業について、あるいは港の改修をやるとか、漁場の新しいものをつくるとかやらなければならないことに迫られているところへ、ただいまお話しのような公害の問題も新たに続出してまいった。したがって、沿岸漁業等について特段の努力を傾注しなければならないということにつきましては、農林省においてもよく承知いたしておることでございます。いまの公害問題のことにつきましては、ただいま私が申し上げましたように、水質の基準試験をいたしまして、その結果に基づいてこれに対する対策を逐一とっていかなければならぬ、こういうわけでありますが、さらに、私どもといたしましては、魚族の確保というようなことにつきましても、同様に、沿岸漁業を強化してまいるために努力を傾けておるわけでありますが、今後もさらにそういうことについて一そうの努力をいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  98. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に水質調査関係で、これは長官にお伺いしたいと思うのですが、石油精製業及び染色繊維業等の周辺にあるところの調査については、特殊調査ということばが使われておりますが、これは具体的にどういうふうな対象について行ない、どういうふうな範囲までこの調査を行なえるのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  99. 久宗高

    ○久宗政府委員 先ほどお答えの中で抜かしたわけでございますが、全体の水質関係につきましては、御承知のとおり、企画庁を中心といたしまして一連の調査計画的に進められておるわけでございます。その中で相当の水域につきまして水質基準の設定のための調査地域が指定されまして、今年度もすでに十九水域については指定が済んでおるわけでございます。水産庁は、その中で特別に生物関係調査を受け持っておるわけでございます。それの地域で現在までいたしましたのは五地域でございます。  そこで、お尋ねの石油工業の関係の問題につきましては、このような一連の水質調査とは別に、被害そのものが出ておりますために、先ほど申し上げましたような県の試験場なりあるいは国の試験場のメンバーを動員いたしまして特別な調査を若干やっておるわけでございますが、ただいま御指摘の特別調査ということばは、特には使っておらないと思うのでございますが……。
  100. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまこのような企業に対しては特殊調査ということがはっきり書いてあるわけです。特殊調査ということはどういうふうな範囲と規模において行なおうとするのか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  101. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 石油に関しましては企画庁のほうで調査をいたしておりまして、水産庁のほうとしては特別な調査はしておりません。ただいまのお話は、企画庁の調査になっているものと考えております。
  102. 兒玉末男

    ○兒玉委員 同じくやはり漁場の開発のことでございますけれども、大臣にお伺いしたいと思うのです。  政府の予定、農林省の予定を見ますと、遠洋漁場の開発のために大型の政府調査船を現在建造の途中だということを聞いておりますが、これが就航し、現実に調査活動に入れるのは大体いつごろからであり、また、これの調査範囲、あるいはこれがもたらす効果というものはどういうふうに計画をなされておるのか。きわめて重要な問題でございますので、この際お聞かせをいただきたいと存じます。
  103. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 調査船は三千トンの船を新造いたしまして、それに要する人員の予算等は四十二年度の予算に計上いたしました。これの活動範囲等詳しいことは政府委員からお答えいたします。
  104. 久宗高

    ○久宗政府委員 お尋ねのございました大型調査船でございますが、先般進水をいたしまして、一応九月には新しい任務につけるように、いま急いで完成を目ざしておるわけでございます。本年度は年度途中にもなりますので、一応私どもで考えておりますのは、東海黄海の少し南側のほうでの調査をまず手始めにやってまいりたい、さらに、サケマス関係の問題につきましてもことしの計画に入れたいと考えておるわけでございますが、いずれにしても、年度途中になりますので、本格的な調査につきましては各方面の業界とも突っ込んだ御相談をいたしまして、せっかく三千トン級の船ができましたので、これをフルに活用いたしまして漁場の開発に当たりたいと考えておるわけでございます。
  105. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この調査船というのは、現在までに水産庁には一隻しかないのですか。初めての調査船ですか。それから、同時に、これの調査する範囲というのは大体どの程度の範囲ですか。太平洋沿岸だとかいろいろあると思うのですけれども、どの程度機能を持っているのか、この点もお聞かせをいただきたいのです。
  106. 久宗高

    ○久宗政府委員 水産庁におきましては相当の調査船を持っておりますけれども、三千トン級というような相当大型の調査船は今回初めて持つことになるわけでございます。したがいまして、相当これにつきましてはいろいろな調査要求を実は盛り込みたいわけでございますが、あまり八方の要求をそのまま一つの船に集約いたそうといたしますと無理がございますので、私どもといたしましては、主として新漁場開発を頭に置きまして、そういう形の調査船に想定をいたしておるわけでございます。  なお、これと呼応いたしまして、お聞き及びと思いますが、東大の海洋研究所のほうでも、これは主として海洋学を中心といたしましたほぼ同型の船ができ上がりまして、これらとも呼応いたしまして新漁場の開発につとめたいと考えておるわけでございます。  機能から申し上げれば、どこの海にも行けるわけでございまして、どこからどういうふうに手をつけていくかにつきましては、先ほども申し上げましたように、それぞれの業界においてこれに対しては強い御要望もございますし、私どもといたしましても、いわば新しい試験場が一つできたくらいの感覚をもってこれの運営に当たりたいと考えておりますので、まだ最終的な運航計画をきめておりませんけれども、考え方といたしましては、新漁場開発を中心といたしました、また、この大型船でなければできない地域につきまして成果をあげてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  107. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私の聞きたい点は、三千トンといえばかなり大型の調査船であり、その性能もかなり広範にわたった調査が可能なものではないかと思いますので、そういう点から、その構造なり内容等を聞きたいわけであります。  それから、もう一つは、最近海洋開発ということばが使われておりまして、先般、朝日新聞であったかと思いますが、とにかく現在日本の国土の約七〇%にあたる大陸だなというのがあって、この大陸だなのいわゆる深海に属する部分にかなり多量のたん白資源というものがあると報道されておりますし、このような深海の調査ということも、洋上における操業からこういうふうな立体的ないわゆる水産資源の開発という点できわめて興味ある問題として私はこの論調を読ましてもらったわけですが、こういうこと等を含めた調査船ではないのかどうか、この辺の点についてどのような構想をお持ちであるのか、これに関連してお聞かせいただきたいと思います。   〔委員長退席、森田委員長代理着席
  108. 森沢基吉

    ○森沢説明員 兒玉先生の御質問に私からお答えをいたします。  第一点の大型調査船の性能の問題でございますが、先ほど長官から申し上げましたが、もう少し補足をいたしまして詳しく申し上げます。総トン数が三千二百トンであります。ディーゼル式の電気推進機を備えた最も最新式の船でございまして、大体航海速力が十三・五ノット程度くらいは出せます。御指摘の航続距離の問題でございますが、長官も言われましたように、ほとんど世界のどの海洋へも出られますので、大体航続距離八千海里の性能を持っております。これに約七十程度のベッド数がございますので、船員のほかに研究者あるいは漁場開発に関連と興味を持つ企業の方々もこの大型調査船に一緒に乗っていただいて海洋開発ができるものだろうというふうに考えております。  それから、これは漁労なり漁場開発を主体とする船でございますので、いかなる装置を持っておるかということを申しますと、第一点としては底引きトロール漁業でございます。船尾のほうから網を引き上げますスタントロールの施設をかね備えておりまして、大体千二百メートルくらいの水深の曳航が可能でございます。それから、第二点といたしましては、マグロのはえなわ。これは、船首からマグロのはえなわが、大型船でございますけれども特にできるようにくふう設計してございます。それから、第三番目は、先ほど長官も言われましたサケ・マス関係の資源調査開発ができるようになっております。さらに、二十トン程度の漁艇を一隻積みまして、きんちゃく網であるとか、あるいは棒受網であるとか、そういう大型の船の上から直接できないような操業をすることを考えております。このほかいろいろ研究施設あるいは急速冷凍施設などをかね備えております。これは東大の海洋研の船と違いまして漁場開発が主体でございますが、いろいろ海洋学とか、あるいは漁労だとか、放射能とか、そういう基礎的な試験研究もできるように実は構造として考えてございます。  それから、第二点の深海開発の御質問でございますが、一般的に申し上げまして、日本の近海の大陸だなは世界じゆうでも最も開発を十分にされておる水域であろうというふうにわれわれは考えております。これに対するいろいろな資源保存並びに開発の研究も今後とも続けなければなりませんが、私たちの考えておる一つの方向としては、大陸だなの上のやや深いところにおきます養殖技術の開発、これは潜水技術の開発とも関連をいたしまして、表層における魚類の養殖だけでなくて、養殖を立体的に開発する可能性があるだろうということをいろいろ考えております。  それから、世界の漁場全体から申し上げますと、非常に海洋は広大でございますし、一般論として申し上げれば、現在世界の漁獲高が約五千二百四十万トン、さしたる技術の革新がなくともこれを二倍程度にすることは容易であるという学説もございます。しかし、これは全般論でございまして、日本の企業全部がそういう漁場で操業する採算性が立つかどうかということもございますので、日本の企業といたしましては、むしろ残された漁場としては南半球のトロール漁場、あるいは従来あまり日本の行っておりません北西太平洋のトロール漁場、さらに南部太平洋あるいは大西洋におきます南緯四十度程度の高緯度地方のミナミマグロの漁場の開発、さらに、まき網等によりますマグロとかカツオの漁場の開発、これらは比較的外国の沿岸の近くになりますが、小型の漁船を使いますエビのトロール事業、こういうものを今後の開発対象として考えております。したがいまして、そういうものにも大型調査船が大きな役割りを果たすというふうに持っていきたいと考えております。  それから、あと先になりましたが、海底の開発につきましては、御質問のとおり、科学技術庁でいま潜水調査船を建造中でございます。これができ上がりましたならば、おそらく運航が海上保安庁を中心に行なわれまして、われわれも主として日本の近海の深い海の調査開発というふうなものに活用できるものだと考えております。
  109. 兒玉末男

    ○兒玉委員 現在科学技術庁が計画している海底開発のための調査潜水船ですか、これは当然水産資源という面から見るならば水産庁が中心になってやるべき性質のものではないかと思うのですが、この所管が科学技術庁に置かれておるのはどういうような関係でそうなっておるのか、その点お聞かせ願いたいと思います。
  110. 森沢基吉

    ○森沢説明員 総理府に海洋科学技術審議会という審議会が総理大臣並びに各省大臣の諮問機関として設置をされております。この審議会にいろいろ海洋開発の問題が諮問されまして、これに対して審議会が御答申になりました中に、潜水船を含めまして調査船の問題の御提案がございまして、実現の緒についたという経過がございます。この調査船は、ひとり水産だけでなくて、いろいろ、海洋学の全般的な研究の問題あるいは海底地下資源の開発の問題、さらに漁業資源の開発の問題、あるいは気象関係、地理学関係、非常に広範な用途に応ずるための各省の共用施設であるという性格のものでございますので、予算は一括して科学技術庁が取りましたけれども、船の運航につきましては、最も船舶を多く保有し、かつ熟練な船員を持つところの海上保安庁を窓口にやるのが最も適当であろうということで、いまのところは、海上保安庁がお預かりして、そういう各省の意向を反映しながら運航する、こういうぐあいになっております。したがいまして、水産関係におきましても、そういう御指摘の海底開発につきましては極力この船を活用するような方向で技術庁とも打ち合わせていきたいと考えております。
  111. 兒玉末男

    ○兒玉委員 中小漁業は日本の漁業の中核でございますから、こういう調査機構、漁場の開発ということについて特に大臣としても積極的な取り組みを要望したいと思います。  次に、これは昨日も若干申し上げたわけでございますけれども、現在、非常に太平洋上の重要な魚族資源の豊富な地域におきまして、日米安保条約によってリマ水域というのがあるわけでございます。これは長官も御存じだと思いますが、これは非常に問題が大きいのでありまして、昭和二十七年からこれが米軍並びに日本の海上、航空自衛隊等の演習場として漁獲の制限があるわけであります。そして、この制限というのは、いまから十五年前の昭和二十七年にこれが設定されまして以来一ぺんも内容について変更もされておらない。しかも、沿岸漁業から近海漁業と構造改善の推進に伴って、相当漁獲の技術も改良されて、このリマ水域において相当多数の漁労ができる状況にあるわけでございます。ところが、現在、補償関係におきましては、昭和二十七年当時この漁場で漁労しておった船主だけ、その船の隻数だけが補償の対象になっておる。十五年経過した今日においては、実質的には船の隻数だけあって、ほとんど漁労していない。こういう時代の推移にそぐわない状況に置かれておりまして、特に私の出身県である宮崎県関係の漁民は非常な打撃を受けておるわけですが、少なくとももう十五年間でありますから、そういう制限区域の解除についてどうお考えになっているのか。一ぺんにできないといたしましても、十分演習上の目的は達成できたものと考えるわけですが、これについて特にこの際大臣に強く要望し、御所見を承りたい。  同時にまた、もう一つ、きょうの新聞にも発表されましたが、現在、鹿児島県の内之浦、それから種子島の宇宙センターの設置に伴うところの漁獲制限ということが漁民の重要な問題になっております。この点について、特にカツオ、マグロの主たる漁場でありまして、関係漁民にとっては死活の問題であります。こういう関係漁民の意向なりが十分に事前に尊重されないままに、それが今後どういう形でなされるか知りませんけれども、本日の報道では、科学技術庁、文部省、農林省、運輸省、郵政省等関係各省が一本になりましたこの対策協議会といいますか、そこで実験の時期を発表されております。これは今後さらに相当紛議をかもす問題であり、何といいましても漁業関係の主管大臣である農林大臣の発言が最も尊重されなければならない立場にあるわけでございますので、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  112. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまお話のリマ水域のことにつきましては、私も報告を受けております。これは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律、こういうことで、内閣総理大臣は合衆国軍隊の演習のために漁船の操業制限区域を定めることができる、こういう趣旨でいままで行なわれてきたわけでございますが、水産庁で調べてみますと、ただいまお話しのような点につきまして、いろいろまだ十分でないところもあるわけであります。したがって、現在のこの利用関係から見まして再検討をして、さらに交渉を進めてみたい、こう思っております。  それから、ただいまお話しの種子島のロケット打ち上げのことにつきましては、先般来科学技術庁長官からの話もございまして、これはやはり平素漁業の人々と一番親しみを持っております水産庁がお話の仲に入って努力をすることが一番いいだろうということで、私ども先般来いろいろその間に入って努力いたしてまいりましたが、その経過は、水産庁長官がじきじきに漁村の人々に当たっておりますので、長官から経過をひとつ御報告いたさせます。
  113. 久宗高

    ○久宗政府委員 昨日も申し上げたわけでございますが、種子島周辺におきますロケットの問題につきましては、発足当時必ずしも十分な御連絡がございませんで、さようなことから相当実はこじれた問題になっておったわけでございます。ただ、ロケットのほうの計画から見ますと、昨年度中にも数発の試験をぜひしなければならぬというような緊急の事態になったわけでございますが、科学技術庁におかれましても、今後の問題も含んで考えた場合に、漁民の方々の十分納得された上での御協力を得る必要があるということで、急遽関係省が集まりまして、政府としての対策の問題について突っ込んだ検討をいたしたわけでございます。とりあえず昨年度内におきます打ち上げは延期いたしまして、さらに具体的な政府としての施策の内容を固めて、近々現地の方々とさらに具体的なお話を進めるような段階に来ているわけでございます。水産庁といたしましては、鹿児島、宮崎両県にまたがります折衝の過程におきます若干の問題はございますが、基本的にはやはり、ロケットを打ち上げなければならぬという事実関係があるにいたしましても、被害を最小限度にしていただきたい、また、東大のほうの御関係と科学技術庁のほうの御関係が錯綜いたしますと、現実に操業を規制される日時がふえますので、何とか同じような方向に、同じ時期に打てないものかということで、ずいぶん詰めた議論をいたしたわけでございます。いろいろな施設の関係もございますので、必ずしも同じ水域に同時に落ちるような実験ということはむずかしいようでございますけれども、少なくとも実験をいたします期間、たとえばどういう月にやりました場合に一番現実の操業に支障が少なくて済むかということを当面研究いたしまして、昨日も実はそのような会議が開かれておったわけでございますが、時期につきましては、相当両方の実験の具体的な内容を詰めまして、一番漁閑期に相当する時期に集中してやろうということで、ある程度の具体案が固まりつつございます。なお、当初にお話のございましたものよりも、だんだんやっているうちにふえていくのじゃないかということが、この種の問題につきものでございまして、事実そのような問題もございまして、漁民の側から見まして非常に不安であるという問題もございますので、全体として上げます個数と申しますか、こういうものにつきましても、具体的にめどを示しまして、その上で漁民と折衝して、それぞれの話の調整をつけていこうというような段取りに考えているわけでございまして、昨日の会議には私は直接出ておりませんでしたが、次長が出ました報告によりますと、ごく最近の機会にさような具体的な打ち方の問題も含めました内容を示しまして、現地の漁民の方々と御相談しようという段階に来ているわけでございます。
  114. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは特に政治的な問題でありまして、先般科学技術庁長官にも予算委員会でお伺いしたのですが、とにかく、東大のロケット研究所にしましても、あるいは種子島の今回の問題にしましても、結局行きつくところは宇宙開発という共通の問題じゃないかと私は思うのです。ですから、宇宙開発の一元化という点から申し上げますれば、東大の場合もほとんどが最近は失敗に終わっているようでございますが、国の経費を同じように使うならば、やはりこれを統合する方向に持っていくべきだと思うのです。しかも、大臣も御報告を受けておられると思いますが、この種子島の東海岸というのは唯一の黒潮の流れで、特に年間三十数億のカツオ、マグロを中心とする水揚げのできる貴重な海の宝庫になっているわけです。そういう点から考えますならば、科学技術庁長官も先般鹿児島に来た際に、技術開発というものは当然一元化すべきであるということを言われておりますし、同時にまた、地域漁民のそれこそ生命を賭した抵抗もある、こういう情勢から考えますならば、やたらに実験の時期を発表して刺激を与えるということよりも、もう少し、両者の意見がどこで調整できるか、こういうふうな点から処していくべきじゃなかろうかと思うのですが、まずこの点、最も被害を受けるのは漁業関係でございますので、その立場から特に大臣の御所見をひとつ承っておきたいと存じます。
  115. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 宇宙開発に関する研究につきましては、いま三つそれぞれいろいろな研究を進めておることは御承知のとおりでありますが、ただいまお話しのように、これはやはり科学技術庁で統一してやるべきであるという政府側の見解で、この間予算委員会でも科学技術庁長官がそのように御報告申し上げたとおりであります。そういう方向で政府は対処いたしてまいるはずでありますが、それにつけましても、やはり、ただいまお話のありました、あの近海における漁業のこうむる損害につきましては、私どもはそれを保護するという立場に立って万全を期してまいりたい。なお努力を続けてまいるつもりであります。
  116. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは多少技術的な問題になろうかと思いますので水産庁長官にお伺いしたいのでありますが、先ほども大臣からややこしい法律の名前を読み上げられましたが、リマ水域というこの九千平方キロの広大な水域における制限については、当然これの撤廃なりあるいは制限緩和の方向に進んでしかるべきじゃないかと思うのですが、これは法律条項であるのか、あるいは日米安保条約におけるところの相互協力関係という、安保条約というものが解消されなければ根本的解決はできないのかどうか、この辺まずその根拠について明らかにしていただきたいと思います。
  117. 久宗高

    ○久宗政府委員 いまの根拠の問題もございますが、私どもとして一番関心を持っておりますのは、御指摘のとおり、相当広い海域にわたっておるわけでございます。なお、最初のお話のございましたのが非常に前のことでございますので、最近の演習その他の実情について私のほうではよく存じませんけれども、いずれにいたしましても、現在の漁業の状態から見まして、また、すでにあの地域が非常に古い時期にああいう広大な水域を規制いたしました関係もございますので、非公式には防衛庁のほうを通じてお話は数回しておりますけれども、あらためて、最近の利用の状況を聞くなり、削減してもらえないものかどうかについての交渉につきましては、積極的にお話を進めてまいりたいと考えております。
  118. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際特に大臣にお伺いしたいのは、いま長官が答弁されたとおり、非常に広大な水域が十五年前にそういうふうに規制をされたまま、その後の推移というものはあまり検討も加えないままに来ておるということが明らかにされたわけでございますが、今後太平洋岸においても最も重要な漁場であり、沿岸漁民の期待というものも大きいわけでございますので、これに対してできるだけ規制の区域を縮小するなり撤廃の方向に今後積極的にひとつ御努力をいただきたい。そのために、関係漁協等の事情なりはまた水産庁のほうでも十分調査をしていただいて、これが撤廃縮小の方向にぜひひとつ御努力をいただきたいと思うのでありますが、この点について大臣の御所見を承りたいと存じます。
  119. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 根拠法は先ほど私がここで申し上げました長い戒名の法律から出ているようでありますが、しかし、時代の進展に伴いまして、そういう演習場が昔のままにそのとおり必要であるかどうかということについては、いろいろ考え方があると思います。したがって、われわれのほうの漁民の仕事にも影響を及ぼすわけでありますからして、このことにつきましては至急にひとつ関係当局と相談をして、なるべく私ども漁村の人々の利益を伸長いたしてまいることのできるように努力を続けてまいりたいと思います。
  120. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、若干方向を変えましてお伺いしたいと思いますが、特に今回のこの法案の成立にあたりまして考えますことは、確かに船主は金融面においてもあるいは税制面においても優遇されるわけでございますけれども、これに実際従事する漁業労働者、これは昨日も資料を提出していただきまして、漁業種類別の漁船甲板員の出漁一日当たりの給与額及び年間出漁日数、これは賃金を中心とした資料をもらったわけであります。また、先般の漁業白書等によりましても、決して沿岸漁家の所得というものはそんなに多くはない。同時に、この船に乗り組んでいる漁船労働者の労働条件、この点は、特に大臣は労働問題のベテランでありますので、これは陸と海とを問わず十分御理解をいただいているものと思うのですが、特に、このいただきました資料によりますと、これはもちろんこれですべてを論ずるわけにはいきませんけれども出漁一日当たりの給与額というのが、たくさんの漁業種類がございますが、平均二千百十六円、年間出漁日数が百八十四日。これで計算いたしますと、年間の収入というのが、大ざっぱに見ても四十万ちょっとしかないのではなかろうかと思うのです。このほかにもちろん他の部門に仕事に出ると思うのですけれども、こういうふうな給与面における乗り組み員の状態というものは、やはりもう少し改善をされる必要があるのじゃなかろうかと思うのです。特に、今後中小企業が伸びていくためには、その底辺をなす漁業労働者の待遇ということは非常に重要な問題じゃなかろうかと思うのですが、この点についてまず大臣にお伺いしたいと思います。
  121. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 昨年海員組合の紛争がございまして、そのとき私は双方の依頼を受けまして仲に入りました。この船員の賃金体系というのが非常に複雑でありまして、いまだによく頭に入らないほどなかなか複雑なもので、びっくりいたしましたが、そのとき気がつきましたことは、ただいま御指摘のような小さな漁船に乗り組んでおられる単純なる労務者の賃金体系である。私はその後農林省に入ることになりましたので、このことについてはいろいろ念頭にもあるわけでありますが、先般参議院の委員会でも、久宗長官から、この零細な漁業関係の労働者に対しては、さらにその待遇改善であるとか賃金体系についてのできるだけの是正に政府側としても対処いたしてまいりたい、こういうふうにお答えをいたしておるようなわけでありまして、われわれの考え方も全く同様でございます。  そこで、そういうことにつきましては、これは御承知のように自由な雇用関係に立っておるわけでございますけれども、やはり、船内の装備であるとか安全関係であるとか、そういうことについて私どもの立場で、なるべくそこの従業者の安全を守り健康を保持するような施設はどんどん進めさせてまいりたい、こう思っておるわけでありますが、もし必要でございましたならば、詳細な雇用関係等は政府委員のほうでわかっておると思います。
  122. 久宗高

    ○久宗政府委員 ただいま大臣が申されましたことに尽きるわけでございますが、私ども一番苦慮しておりますのは、基本的には労使の関係といえると思うのでございますけれども、その中に国がどのくらい介入すべきかという問題が一つございます。したがいまして、いろいろな諸制度について議論いたします場合に、私どもといたしましては、漁船労働関係の組織ともいろいろ御意見を交換しておるわけでございます。内容の熟してまいりましたものにつきましては、ある程度それを法律の制度の中に組み入れるという形で、特に船員の設備の問題でございますとか、あるいは基本的な船舶の安全に関する問題というようなものを逐次制度の中に織り込んでまいっております。昨日申し上げましたように、若干今度の一斉更新といったような機会に、それを漁業法上の一つの義務づけにいたすというような措置も実はとっておるわけでございます。何と申しましても、やはり中小漁業関係につきましては、基本的な労働関係の諸問題を解決いたしまする前段階といたしましての経営の不安定という問題が相当具体的に出ておりますので、このほうの裏打ちをいたしますと同時に、特に労働の確保という点から申しますと、これと並行してまいりませんと、中小漁業のほうでは、むしろ労働者を確保できないことによります倒産と申しますか、あるいは漁業をやめてしまうといったような問題も、一部の漁業種類には出ておりますので、一般の経営指導と関連をいたしまして、労働条件の改善につきましての指導につきましても、特別の考慮を払ってまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、手足が十分ございませんので、中央におきますお話し合いは相当のところまでのお話ができるわけでございますけれども、残念ながら、末端までそれを徹底いたしますのに若干苦慮をいたしておるのが実情でございます。
  123. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま長官も答弁されたわけですが、何といいましても、これからりっぱな船ができましても、そこに働きに来る労働者の条件がやはり改善され、将来の希望というものが持たれなければ、優秀な労働者は集まらないと思うのです。現在、このような、特に漁船の場合は雇用対象も非常に小さいし、また一人一船主というような状況において働く労働者の待遇なり労働条件、労務管理等、いろいろ非常に複雑多岐であります。特に水産庁としては、こういうふうな中小漁業者の育成強化と同時に、ここに働く中小漁業労働者の福祉向上、こういう面に対する労働賃金体系、あるいは労務管理、こういうもの等について一定の指導方向というものを明らかにする必要があるのじゃないかと思うのですが、こういうような労務管理なり賃金体系、労働条件等の改善については、どういうふうな行政指導をしているのか、この点、大臣あるいは長官でもけっこうでありますので、お聞かせをいただきたいのです。
  124. 久宗高

    ○久宗政府委員 昨日、この問題につきましては、二十トン以上の船とそれ以下につきまして、具体的に申し上げたわけでございますが、指導要綱というものをつくりまして、これはもちろん運輸省その他とも十分御相談をいたしまして、この段階において当然指導要綱の中に盛り込むべき一連の問題は網羅しておるわけでございますが、実はしばしば労働関係の団体から御注意を受けておりますのは、指導要綱は出ているけれども、それの末端への徹底につきまして非常に不十分であるという御指摘を再々受けておるわけでございます。事実これははなはだ不徹底でございまして、手足もございませんために、指導要綱がそのままになって、十分徹底していないというのが残念ながら現実でございます。ただ、最近になって非常に変わってまいりましたのは、昨年来大臣の指定漁業の一斉更新と関連いたしまして、それぞれの漁業種類におきまして、今後のあり方と申しますか、あるいは一般の許可の一斉更新におきまして、その漁業種類が不利な扱いを受けやしないかといったような御懸念もありまして、相当それぞれの漁業種類につきまして御検討が進んだわけでございます。また同時に、今回提案しております中小漁業特別法に指定を受けられるかというような問題も含めまして、たまたま時期を同じゅうしまして、それぞれの担当者におきまして、経営問題、労務問題まで踏み込んで相当の検討が各漁業種類におきまして行なわれたわけであります。その際におきまして、従来とかく別扱いになっておりました労働問題が、企業それ自体の存立問題というふうに意識されてまいった傾向がございます。中央審議会におきます審議におきましても、審議の大部分はその労務問題を中心に論議が進められたような経緯がございます。さような意味におきまして、私どもといたしましては、直接県その他を通じまして、あるいは私どもの出先を通じまして、機会あるごとに、現在実施しております指導要綱の徹底をはかろうと思っておりますが、一番手っとり早い方法といたしましては、それぞれの漁業種類におきます経営者の団体におきまして、そのような斯業の将来につきましての検討が行なわれました際に、それと関連いたしまして、船主の側におきましてこの労働問題を下部まで徹底してもらう。また私どものルートといたしましては、県その他を督励いたしまして、単なる経営問題としてではなく、労働問題を同時に関連して考えるように指導してまいりたいというふうに考えております。これは今回の指定の中でも申し上げておりますカツオ・マグロ漁業におきましては、特にその零細な規模のものについて非常に労務の問題が出ておりますので、協会自体におきましても、あらためてそのような特別の委員会ができたようでございまして、労働のほうの組織と、まだ定期的というかっこうにはなっておらぬようでありますけれども、数回にわたりまして、あらためてカツオ・マグロ漁業におきます労務の問題、またそれをどういうふうに指導すべきかといった問題につきまして、検討が行なわれているような段階にきております。
  125. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に本年度は漁業法による大臣の漁業許可の最初の一斉更新期ということがいわれておりますが、この四十二年度に講じようとする施策の中の、特に「中小漁業従事者の福祉向上」の欄の三〇ページの(3)でございますが、「漁船船員の労働環境の改善」という項の末尾のほうで、こういうことが書いてあるわけです。「四十二年に行なわれる許可の一斉更新後に建造される船舶には、船員設備基準を強制適用する。」、この一斉更新が行なわれたあとに建造される船舶には、このような乗り組み員のいわゆる労働環境の改善をはかるための設備基準を強制適用する。そうしますと、この更新までにある船に対しては一体どういうふうな処置がとられるのか。もちろん、農林大臣の許可制の内容は、漁場、漁法、魚種、漁船規模、いろいろと総合的な判断によって許可されるようになっておりますし、その関係船も七千六百隻という膨大な隻数になるわけでございますが、これは経営者の経済状態、経営内容等によってある程度の格差はあったといたしましても、特にこういうふうな法律制定なり、五年間に一ぺんの更新の時期でもありますので、戦後もうすでに二十二年、漁業に従事する労働者の立場は、やはり労働条件の基本的な問題としても、この際思い切った行政措置をとるべきじゃないかと思うのですが、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  126. 久宗高

    ○久宗政府委員 実は現在でも、船員の設備を頭に置きまして、それを直していこうというものにつきましては融資の道も開かれておりますし、また現に現在まで建造されておりますものも、一般の労働事情の変化、特に相当の設備をいたしませんと優秀な船員が集まらない、また、そのこと自体が経営に非常にはっきり響いてくるというような経過もございますので、相当進んでおるわけでございますが、私どもが一斉更新後の建造にと言っておりますのは、これを法的に強制しようと考えておりますので、強制するということになりますと、これはやはりある時期を限りまして、それ以後の建造についてはそれを強制するという形をとらざるを得ないのではないかと思うわけでございます。現在ありますものに一斉にある線を引いて、これ以下のものはいけないという形は必ずしも現実的でないと考えますので、いまのように一斉更新後におきます代船建造の際に、個別に当たりまして一つ一つ直していこう、こういうことでございます。ただ、それはごく一部ではないかという御懸念かと思いますけれども、さようなことではございませんで、現在におきましても、現在の労働事情その他から考えまして、それぞれの船主におきましていろいろな努力がなされておるわけでございます。ただ、私どもは強制するにつきましては、一つの区切りをつけまして、更新後の代船建造の際というふうに規定をいたしたわけでございます。
  127. 兒玉末男

    ○兒玉委員 きのうの長官の御答弁、私も十分聞かなかった点があるのですが、先ほど二十トン以上の漁船については云々と言われましたが、その点を再度御説明いただきたいと思うのですが……。
  128. 久宗高

    ○久宗政府委員 中小漁業の中で、二十トン以上の漁船漁業につきましては、昨日申し上げましたように、漁船及び小型船船員の労働条件改善指導要綱というものがございまして、これによりまして賃金制度等の労働条件の改善についての指導をいたしておるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたのは、今回の一斉更新後におきまして建造されます総トン数二十トン以上の船舶に対しましては、漁業法上の船舶適格条件といたしまして、船員設備基準等を強制適用することにしているわけでございます。また、総トン数二十トン以上の全船舶に対しまして、船舶の安全性の確保の見地から漁船性能基準の改正、これは主として復元力が一番おもな問題になると思うのでございますが、そういうものを改正いたしまして、これによって客観的にそのことが守られているかどうかがわかりますように、乾舷マークの表示を義務づけておるわけでございます。個々に魚倉をどうするか、何をどうするかという問題があるわけでございますが、そういうものを集約して一つの船に表現いたします場合に、かりに非常に積み過ぎておるという場合には、乾舷マークを割ってしまえばこれは違反であるということが明らかになるように、乾舷マークの表示を義務づけるという形をとったわけでございます。
  129. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほどいただきました賃金関係資料によりましても、操業日数が非常に長期にわたる漁業もあるわけでございますが、この点、昨日も聞いたかと思うのですけれども、これらの長期の乗り組み員の保健衛生に関しては、大体どういうふうな指導をなされているのか。同時にまた、いま二十トンという一つの線を引いておるわけでございますが、二十トン以下と以上との関係においてはどういうふうな差異があるのか、二十トン以上というふうに規定をしたのはどういうことなのか、この点お聞かせをいただきたいのです。
  130. 久宗高

    ○久宗政府委員 船員の衛生に関しましては、たとえば水その他をどのくらい積むというようなこと、そういうことを全部規定したものがございまして、その詳細は、もし御必要がございますれば担当者から申し上げますが、一番よく問題になるのは、洋上におきます病気の際にどういう措置をとっているかという問題がございまして、これにつきましては、現行の船員法におきまして、乗り組み員が百人以上または総トン数三千トン以上の船舶につきましては医師の乗り組みが義務づけられておるわけでございます。漁船の場合には、これの適用になりますのはほとんど母船式漁業に限定されるようなことでございますので、そのような形のとれないもので相当航海日数の長いものにつきましては、四十一年度から予算をとりまして、まだ不十分なものではございますけれど、たとえば北洋のサケ・マス関係につきましては、北海道の水産会に助成をいたしまして、海上保安庁の協力を得まして、巡視船に医師を乗せまして巡回診療をいたしておるわけでございます。さらにカツオ・マグロにつきましても、インド洋地域までこれを拡大いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  いまのこまかい水の問題その他につきまして、御必要がございますれば担当者のほうから御説明させたいと思います。
  131. 亀長友義

    亀長説明員 先ほどの御質問の二十トンという区分をした理由でございますけれども、二十トン以下の船舶は通常航海日数が非常に短いのであります。また同時に、その他の船舶関係の法規、具体的に申しますと、船舶の安全を規定しております船舶安全法、あるいは船員の労働関係を規定しております船員法、あるいは船舶職員の定数をきめております船舶職員法、こういうものもすべて二十トンで区切っておりますので、これにおおむね見習って、船員設備基準の強制であるとか、あるいは乾舷マークをつける強制基準を同じように二十トンということにしたわけでございます。
  132. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほど長官の御説明がありましたが、船員の保健衛生ということは、私は専門でございませんのでよくわかりませんけれども、一ぺん港を出て帰るまでは、それこそ海の上の仕事であり、いつどこでどういうふうな病気にかかるかという、非常な不安というものが相当あると思うのですが、このような保健衛生対策について、いま御説明ありましたとおり、一定規模の乗り組み員と一定トン数の大型の船はそういう保護政策がとられても、それ以下の零細な漁船であって、比較的長期の漁業に従事する、そういうまさに中小以下の漁業に対する保護政策、助成政策というものについて、特に労働条件の改善の一環として、この際積極的に取り組んでいかれるべきではないかと思うのですが、これについての御所見を承りたいと思います。   〔森田委員長代理退席委員長着席
  133. 池田俊也

    ○池田説明員 漁船船員の保健衛生の問題につきまして、水産庁といたしましてどういうことをやっているかということは、先ほど長官から御説明申し上げたとおりでございますが、若干それに補足しながら申し上げたいと思います。  御指摘のように、漁船の船員のいろんな生活環境というのは非常にきびしいわけでございます。それで、非常に大きな商船でございますと、たとえば三千トン以上というような商船でございますと、医者を乗せるというような規定がございますが、それ以下の船についてはそういう規定もございません。もちろん、小さな漁船でございますと、そういう余裕もございませんので、私どもといたしましては、応急的な措置ができるように漁船の衛生担当者の教育をするということが、まず一つの方法として考えられるわけでございます。それで、毎年補助金を計上いたしまして、そういう担当者を集めまして、応急的ないろんな措置をやるような——修練会ということばを使っておりますが、そういうような事業を行なっておるわけでございます。  それからさらに、そういう漁船船員の保健と非常に関係のあります食事でございますが、これにつきましても、食生活の改善をはかるというような見地から、漁船乗り組みの司厨員の技術の修練会というような事業を実施しているわけでございます。  それから、先ほどこれも長官から申し上げましたが、海上におきましていま申し上げましたようなことでまかなえないような病気が出ました場合に、それに対する対策を考える必要がございますが、これにつきましては、従来は集団操業を行なっております場合に、水産庁から一定の補助金を出しまして、補給船あるいは保安庁の巡視船に施設を設け、さらに医者を置きまして、集団操業をしている場合の小型船舶においてそういう不慮の事故がありましたときに往診をする、こういうような措置をやっているわけでございます。これは特に何トン以上というような制限ではもちろんないわけでございますが、相当沿岸から離れてやっております場合でございますから、ある程度の、たとえば四十トン程度でありますとか、あるいはそれ以上の船が該当する、こういうことになると存じます。非常に小型の場合でございますと、これは沿岸でやっておりますので、急に病人が出ましたような場合には港に帰ることができるわけでございますので、大体そういう集団操業を一応目標にいたしまして、そういうような事業をやっているわけでございます。
  134. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まだいろいろとこまかく聞きたいのですが、時間の制限等もございますので、せっかく大臣も御出席でございますから、法案についてのおもな点についてお伺いしたいと思います。  これは特に今回の法案の冒頭にも書いてありますとおりに、特定の中小漁業ということばが使われておるわけでございます。名称は確かに中小漁業振興特別措置法となっているわけですけれども、特に今回はその対象もカツオ・マグロ漁業と以西底びき、この二つの種類に限定され、しかもその中にさらに特定の漁業というふうに限定をされておるわけでございます。やはり今日の日本の漁業全体の立場から考えますならば、カツオ・マグロ漁業なり以西底びき漁業等は比較的に安定した部類に属しておるのじゃないかと思うのであって、むしろそれよりも、経済力の弱い、船の建造なり改良なりあるいは経営規模を少しでも増強しようとする資本力の弱い層に重点を向けて、全体のレベルをアップしていくということが、先般設定された沿振法なり、あるいはこれに関連する漁業全体の政策としても、そこに重点を置かれてしかるべきじゃないかと思うのですが、こういうふうな形態をとらざるを得なかったというのは一体どういうことなのか。特に、今回のこの法案制定の志向する重点というのがどこにあるのか、この点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  135. 久宗高

    ○久宗政府委員 これも昨日申し上げたと思うのでございますが、中小漁業全体が確かに問題ではございますけれども、それに対して特別な措置をとろうといたしますと、どうしてもある程度のしぼりをきかせざるを得ないわけであります。したがいまして、私どもといたしまして、中小漁業の振興につきましての基本的な骨組みをつくっていただきまして、それの中でそれぞれの業種を指定いたしまして、それについて特別な援助をいたそうというのがこの法案の考え方でございます。他の法案におきましてもこうした形をとっておるものは相当ございまして、たとえば中小企業近代化促進法におきましても、そういう基本的な法案をつくりまして、その中でそれぞれの業種を取り上げて特別な措置をとっていくという形をとっておるわけでございます。繰り返して申しますように、私どもといたしましては、国際的な競合関係の相当はっきりしておりまする業種で、かつ緊急に措置の必要のあるものを取り上げたわけでありますが、いずれにしても、これに限定するつもりはないわけでありまして、そのような必要が生じましたものにつきましては、かつ、それについての業界における受け入れ態勢もほぼ整ったというものにつきましては、これを指定していくことを別に限定しておるわけではございません。したがいまして、今回の措置といたしましては、中小漁業一般ではなくて、やはり特別な業種を指定するという形におきまして、したがって、相当の手厚い措置もそれに伴ってできる、こういう形をとりたい。また、振興計画といったようなものを有権的につくりまして、そのラインに沿った援助をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  136. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に大臣にお伺いしたいわけでありますが、もちろん、これは一定の期間の計画を立てて、順次その対象を拡大するという説明でありますけれども、当面、資本力の弱いところにこそ力点を置くべきではないか。こういう重点の指向の順位といいますか、その点を特に長官にお聞きしたかったわけでありますが、この際、特に大臣に対してお聞きしたいのは、こういうことをするならば、ますます資本力の弱い業種とこのような指定を受ける対象業種との格差は拡大をしていくのではないか、こういう懸念を持つものでありますが、この点どのようにお考えか、お聞かせいただきます。
  137. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま水産庁長官申し上げましたように、こういう形の法律でありますから、特定のものを指定することはやむを得ないことでありますが、趣旨は、この法律を施行することによってねらっておる目的が達成されるならば、さらにその趣旨を広げていくことになるわけでありますから、ただいまお話しのような御趣旨も、やはり法の精神としては含まれておるわけであります。
  138. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは特に長官にお伺いするのですが、この第三条に、中小漁業の振興計画ということが政令によって定められることになっておりますが、この振興計画は現在どういうふうな作業が進められておるのか、その内容がわかっておれば明らかにしていただきたいと思うのであります。
  139. 久宗高

    ○久宗政府委員 この振興計画につきましては、本法がかりに成立いたしました場合に、私どもといたしましては、法文では明定してございませんけれども、沿岸漁業等振興審議会にはかりました上で、決定してまいりたいというふうに考えておるわけであります。しかし、現在の段階で考えております幾つかの考え方を申し上げますと、これは漁業種類ごとにそれぞれ違ってまいると思うのであります。  一応カツオ・マグロについて申し上げれば、一経営体当たりの使用漁船の隻数を増加させること、つまり、複船経営にもってまいりますことがやはり根本ではないかと考えますので、そういう形によりまして経営の基盤の強化をはかりたいというのが基本的な考え方でございます。それから、漁獲量の安定と増大、資金繰りの円滑化、労働条件の改善等を考えました場合に、これもまさに多数の複数の漁船の経営によって初めて所期できるものと考えますので、複船化ということが、やはりこの問題では中心になってまいるだろうというふうに思います。それから、具体的な施設関係で申しますと、労務費の節減でございますとか労働活動の能率化等によって経営の安定をはかるということになりますと、現在の段階では、しばしばここでも申し上げましたパワーリールといったようなものをこれに取り付けてまいりますことが必要になってまいると考えられます。また、漁獲物の鮮度の維持によります有利な魚価の確保ということも必要でございますので、漁獲物の高性能冷凍設備、急速冷凍でございますね、こういったものの施設というようなことが経営上もぜひ必要でございますので、こういった問題は振興計画の中に具体的に盛り込みたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、以西底びき関係でございますが、少なくとも現在の段階では、お示ししました計数によりましても、比較的経営はいいじゃないかというふうにお考えかと思うのでありますけれども、これも例の網目の制限がございますし、また今後の競争関係を考えますと、相当思い切った経営の合理化が必要になってまいるというふうに考えられるわけでございます。そこで、この場合におきましては、使用漁船の適正船型への移行ということを主として中心に考えておるわけでございまして、船舶の大型化、これは統数については若干いろいろ議論が現在あるわけでございますが、この点につきましては、業界とも現段階での問題をさらに突っ込んで検討いたしたいと思いますけれども、やはり何らかの形で船舶の大型化が必要になってまいるだろうというふうに考えられるわけでございます。この点、マグロのほうの場合の振興計画内容と、多少以西の場合には違ってまいるというふうに思うわけでございます。  この振興計画そのものをつくります場合に、他のこの種の法令でどうやっておりますか、多少調べてみたわけでございますが、振興計画として表にあらわれますものは、比較的抽象的に、経営関係ではこういうことをどうするというような書き方になっておりますけれども、私どもといたしましては、せっかくこういうような形でつくりますので、なるべく具体的にしたい、こう考えておるわけでございます。しかし、そのために非常にある特定の形に限定してしまいまして、動きのつかないものにいたしますのも、若干問題があると考えられますので、最終的なその振興計画の中にどこまでを表現いたしますかにつきましては、さらに今後審議会の御意見も聞きながら、また業界の現段階での御要望も聞きながら、なるべくこの振興計画そのものが単なる目標というような形でなくて、これによりまして、それが具体的な業界の経営合理化の指針になりますような形に、かつ弾力的なものであるように取りまとめてまいりたいと考えておるわけでございます。
  140. 兒玉末男

    ○兒玉委員 どうもただいまの長官の答弁は抽象的で、きわめてばく然としておるわけでありますが、少なくとも今回のこの法律を制定した以上は、やはりより多くの業種が指定をされて、その恩恵に浴して全体の振興に役立つということでなければならないと思うのでありますが、特にこの際、大臣にお伺いしたいのは、今回カツオ・マグロと以西底びきに限定をされておりますが、中小漁業の中で特に中核を占めるこの業種の一応の整備計画の、政府が考えておるような目標達成の年次というものは、一応どの年次ぐらいを目途に置いてこの達成を考えておるのか、この点をお聞かせをいただきたいと存じます。
  141. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 一応五年をめどにいたしてまいりたいと思っております。
  142. 兒玉末男

    ○兒玉委員 その間、業種については、現在の二業種だけに限定をするのか、あるいはその後具体的に追加するとすれば、どういうふうな業種を中心として考えていくのか、この点、いま少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  143. 久宗高

    ○久宗政府委員 五年と申しましたのは、一業種につきまして振興計画を立て、それの目標年次を置いてやってまいりますので、それを五年と考えているわけでございます。この五年間だけこの特別法をやる、こういう意味ではございません。そこで、指定の問題でございますが、四十三年度におきましては、準備の関係と、また外部条件がどの程度熟しているかという点を考えまして、たびたび御説明しておりますように、カツオ・マグロと以西底びきを考えているわけでございますが、その他の業種につきましても、すでに若干調査したものもございますし、それのさらに詳細な吟味と、また同時に、業界におきます準備の進捗状況、またさらに国際条件でも非常に変わってまいります場合には、さようなものも加わって、必要があれば順次指定を拡大してまいりたい、こう考えているわけでございます。
  144. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に私がお伺いしたがったのは、現在のカツオ・マグロなり以西底びきよりも、経営力も非常に弱いし、また生産所得水準も低い、こういう層に対して、やはり今後その重点を向けていくべきじゃないかというふうに考えるわけでございますが、この辺はどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  145. 久宗高

    ○久宗政府委員 私どもも、中小漁業という範疇で並べました場合に、比較的常識的な観念といたしましても、カツオ・マグロないしは以西底びきというのは、むしろ上のほうのクラスになりますので、これからスタートしてまいるにつきましては若干問題があるようにも考えるわけでありますが、何ぶんにも、この問題につきましては、単に振興計画を立ててそれで引っぱっていくという問題ではなくて、業界自体に、さような振興計画を受け入れて、それに沿って調整をしていこうという意欲がどの程度盛り上がるかによりまして、この効果が現実にあらわれてまいりますので、さような状況から申しますと、今日までこの中小漁業特別法を準備している過程におきまして、それぞれの業種におきましていろいろな御準備が進んだわけでございますが、この段階におきましては、この二業種でございますれば、かような法律を最初に施行いたします場合に、私どもといたしましても、ほぼこれはやれるというめどがつきますので、さような意味で取り上げているわけでございます。もちろん、他の業種につきましても、経営が相当困難なものもございますし、また国際関係上放置できないものもございますけれども、主として現段階で申しますと、国際的な競合関係が現実の問題となっておって、しかも、このような金融措置と税制措置によりまして相当の効果が現実に期待できると考えられますのは、当面はこの二つの業種でございますので、これからまず始めてまいりたいということでございます。繰り返し申しますように、この二つに限定するつもりはないわけでございまして、法律で規定されておりますような指定の条件が熟してまいりますれば、これを指定いたしますのにちゅうちょしないつもりでございます。
  146. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際、大臣の時間も迫っておりますので、お聞きしたいのですが、今回のこの特別措置法によって、特に金融措置として年率六分五厘、三年据え置きの十八年の償還ということになっておりますが、昭和四十年でございましたか、農林漁業金融公庫法一部改正の際、金利については五分以下にすべきだという附帯決議がたしかなされてあったと思うのですが、こういうことについて、今回の法案の制定にあたりましても、関係業界からも特に五分以下にしてもらいたいという要望が強かったといわれておりまするが、特に現行の金利から一分下げた六分五厘にいたしましても、今日の中小企業の経営の実態から考えまして、まだ非常に金利が高いのではないか。同時にまた、融資する金額を三十億程度と御説明いただいておりますが、これで十分所期の目的が達成できるかどうか、この点、大臣にお伺いしたいと存じます。
  147. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御承知のように、この農林漁業金融公庫の金は預金部資金の金でございます。そこで、これはただいまのところ六分五厘ということになっておりますので、これを活用いたします本法の金利も、やはり六分五厘にせざるを得ないわけでありますが、私どもといたしましては、四十二年度予算にいろいろな融資について金利を引き下げた関係もございますし、なお十分に検討して、なるべくそのように持ってまいるように努力をいたしたいと思います。
  148. 兒玉末男

    ○兒玉委員 三十億のワクの問題でございますが、これで初年度の計画が十分遂行できるかどうか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  149. 久宗高

    ○久宗政府委員 三十億の資金でございますけれども、一応分けて申し上げますと、漁船の建造関係で申し上げますと、カツオ・マグロ関係では十八億九千九百万円という計算になります。それから以西底びき関係が約六億で、漁船建造関係が二十五億でございます。その他が漁船用機具の設備の近代化の資金ということになっているわけでございまして、やはり計算してみますと、代船の関係から申しまして、船の資金が相当大きな部面を占めるわけでございます。いまの足りるか足りないかという問題でございますが、私どものいままで詰めました計算から申しますと、三十億でございますれば、ほぼこの計画につきましてそう大きなそごを来たすようなことはまずないというふうに見越しておるわけでございます。
  150. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま長官の説明になった対象で申しますと、今回新しく大臣によって更新されるカツオ・マグロなり以西広びき漁業に従業する隻数の大体どの程度の比重を占めているのか、全体の何%くらいであるのか、またこのカツオマグロ漁業なり以西底びき漁業に対して、いま振興計画を遂行する過程の上において、大体三十億程度の資金で全体の何割、何%程度がその対象として消化できるのか、この点お聞かせをいただきたいのです。
  151. 久宗高

    ○久宗政府委員 御質問にそのままずばりお答えする数字にならないわけでございますが、御質問趣旨からいって、こういうことがお聞きになりたいのかということで御説明いたしますと、カツオ・マグロ関係で申しますと、四十六年度までに法定耐用年数に達する漁船が千六百二十隻ございまして、それに対しまして建造率がかかるわけでございます。そのような関係から申しますと、各業種ごとの中小漁業者の所有割合をかけまして、初年度におきましては四百六隻の五分の一の六〇%ということで四十八隻分、約十九億というものがカツオ・マグロ関係で出てまいります。  それから、以西底びきの関係では、一般に中小漁業者の所有船で四十六年度までに法定耐用年数に達する漁船数が四百十七隻ございまして、このうち、合併でございますとか承継による大型船へ移行いたしますものの見込みが百十二隻、合併、承継によらないものが百二隻というような計算が出てまいりますので、これらをかみ合わせて計算いたしますと、初年度におきましては以西底びき関係では十四隻、約六億というものが計算上出てまいります。  それから、近代化の設備でございますが、高性能の冷凍機、これは三十四隻分、約四億円、それからパワーリール関係が二十一隻分、六千万円、網を上げます装置が三十一隻分で四千万円、計五億円というような内訳で、この全体の三十億が出てきているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、耐用年数から見てどのくらいのものが建造にあがってくるだろうかというものを頭に置きまして、現在のような積算で三十億を準備いたしておるわけでございます。
  152. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ここで大臣にお伺いしたいのですが、これは前後しますけれども、今回のこの法律の制定と同時に、特にいまも説明がありましたが、経営近代化ということで、単船経営から複船経営あるいは合併、こういうふうな形でだんだん経営規模を拡大することになっておるわけでございますが、今回の更新によって所有船隻数というものがどの程度ふえる見込みがあるのか。許可をされる隻数、それからトン数はどの程度ふやせるのか、この辺はどうなっておりますか。特に今回の法律の趣旨から申しますならば、当然中小漁業振興であり、また漁業生産というものを高めるという立場から考えるならば、トン数の増加なりあるいは隻数の増加というものを考慮する必要があるのではないかと思うのですが、この辺はどういうふうになっているのか、お聞かせをいただきたい。
  153. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府委員からお答えいたします。
  154. 亀長友義

    亀長説明員 現在、漁業者の漁業は農林大臣の許可制になっております。本法の今回対象に指定いたします以西底びき網並びにカツオ・マグロは、いずれも大臣許可の対象になっております。したがいまして、この許可の本旨が、漁業の資源の保護あるいは秩序ある操業、経営の安定ということを目的に、ある特定の人に限って漁業を行なうことが認められておるという関係がございますので、必然的に、そこに使用される船舶につきましても、ある一定の範囲以上は自由に船を大きくしたりすることはできない。ある基準があって、それに従った場合のみ船を大きくすることができるという制度になっております。これは、許可になっております者が、一般の国民なり第三者を排除して特権的に漁業が行なえる、したがって、特別の理由がない限り、原則として、ある特定の人だけが船を大きくするということは、第三者を排除したことの反面から言っても適当でないという見解もございますし、また一方、資源との関連から言いましても、自由に船を大きくするような事情では必ずしもない漁業の場合もございます。したがいまして、今回の中小漁業振興法でねらっておりますのは、漁業法に基づきますそのような許可なり船のトン数のあり方という問題とは一応切り離して、経営なりあるいは全体の事業計画の面において合理化をはかるというのがこの法律のねらいでございます。したがいまして、直接この法律で指定をされた漁業であるからといって、現在許可を受けておる人がそのために特に船型を大きくするということは、原則としてはないもの、別の問題というふうに考えております。もちろん、以西底びきなりマグロの資源なりあるいは経営の現状から見て、より大きくしても差しつかえない、あるいはそれが許可が受けられない第三者に対しても合理的な説明がつくという範囲内においては、トン数の増加ということも十分考慮される余地も出てまいると思いますけれども、一応は別個の問題というふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  155. 兒玉末男

    ○兒玉委員 経営規模の拡大なりあるいは特に近代化の目標として現在の経営状態より発展させていくためには、許可制度に対して、いまも御説明がありましたけれども、いま少し前向きの姿勢で弾力性のある運用ということを考えるべきじゃないか。しかも御説明がありましたとおりに、以西底びきの場合については、近代化目標としては経営規模の拡大の一環として船の大型化ということが主張されながら、カツオ・マグロ漁業については、いわゆる船型の大型化ということが近代化の目標になっていないという点が指摘されるのですが、この辺は、若干いまの御説明によると矛盾をしておるように思うわけでございますが、このように同じ指定された以西底びきとカツオ・マグロ漁業の間において、こういう基本的な点において食い違うというのは、どういうところに原因があるのか、この点お聞かせいただきたいと思います。
  156. 久宗高

    ○久宗政府委員 漁業種類によりまして、振興計画の中身も当然変わってくるわけでございますが、いまのカツオ・マグロにつきましても、これまでの期間、個々の船をつくります場合に、一時大型船、しかも非常に大きな船をつくった時代がございますが、そのような経過から見まして、いろいろな経験を積みました結果、必ずしも一時つくりましたような大型船が合理的とはいえないというようなことで、今日でも、どれが一番適正な船であるかということにつきましては、若干いろいろな議論があるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、複船経営でやったほうが有利であるということだけははっきりいたしております。さような意味におきまして、カツオ・マグロにつきまして、特にある船型を指定して、これでなければいけないというふうに限定するのは、むしろカツオ・マグロの実態に即さないのではないかというような判断があったわけでございます。  以西底びきにつきましては、スタントロール化、そういう形の漁法に切りかえることによりまして、相当の労働の節約ができますので、これが一つの具体的な目標になってまいるであろうと思います。そうなりますと、どのくらいの船でなければそういうような施設ができないかという具体的な問題が出てまいりますので、そこで、これにつきましては、ほぼ適正船型というものが業界の中でもある程度できてきておりますし、またそういう指定が可能ではないかと思うわけでございます。以西底びきの場合におきましても、昨年あたり私どもが考えておりましたものに対しまして、一番ぎりぎりの、現段階ではもっと違ったトン数においてもスタントロール化は可能ではないかというような新しい議論が出てきておるわけでございますので、なおこの辺につきましては、最近の実情を含めまして振興計画の中で具体化してまいりたいと考えておるわけでございます。漁業種類によりまして当然違わざるを得ないわけでございます。
  157. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に広範な漁業種類、また同じ漁業関係でもいわゆる上中下——上中下というよりも、大中小といいますか、そういう経営形態、あるいは漁船の性能という点においても相当の相違があるのですが、これを画一的にこの許可の有効期間というのが五年間に統一されているのは、どういうことでこうなっておるのか。やはり私は、業種なりあるいは経営の内容等によって、当然これからの漁業というものが時代の趨勢に即応しながら変化をし、進歩していくと思うわけでございますが、これが全部の業種が五年というように許可の有効期限が限定されておるのは、どういう理由であろうか。これの若干の短縮なり、また先ほど質問いたしました隻数なりドン数等の修正というものがあってしかるべきではないかと思うのですが、もし、そういうふうな弾力性を持たせることについて、そういうことをしたらどういうふうな弊害が起きるのか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  158. 久宗高

    ○久宗政府委員 御質問意味がちょっと私のみ込みかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、許可につきましては、許可全体の調整をいたします必要がございますので、大臣漁業につきましては、一斉更新というような形をとっておるわけでございます。いまの御質問は、おそらく、振興計画の中身が非常にかたいものであって、その結果が現実の漁民の要求にぴったりしないようなおそれがあるのではないかということだと思うのでございますけれども、私どもといたしましては、振興計画政府責任において立てるわけでございますけれども、これはまさに合作でございまして、ある種の振興計画をきめたために、業界がそのような形に追い込まれて、そうして技術的には相当問題があるのにもかかわらず、そういう形でなければたとえば補助が受けられないとかいうような、妙な運営にならないことをまず念頭に考えたいと思うわけでございます。したがいまして、これらの問題は、業界で長い御要望もあって相当の勉強が進んでおりますので、そういうものを私どもはくみ取ってこの振興計画の中に織り込んでまいりたい。ただ、ある程度の踏み切りはせざるを得ないと思うのでございます。つまり、特別な援助をいたすわけでございますので、それの中で、少なくとも客観的に見てこのような方法がよろしい、しかも業界の大多数の方がこの方向でなければならぬというようなものであれば、一部の方に若干の異論なり御反対はあるだろうと思うのでございますが、振興計画におきましてはなるべくその大筋のものを盛り込みまして、運営が非常にかたいために、たまたまよく構造改善その他で御批判を受けるような形には持ってまいりたくない。これはあくまでも業界が自主的に本来の振興計画を立てて、それを目標にして進んでまいりたいというのがこの法律の趣旨でございますので、その趣旨を生かして処理をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  159. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは専門的なことだし、よくわからぬのですけれども、いままで読んだ範囲で特に大臣にお伺いしたいのは、もちろん、許可制度というのは、大きな権利を伴う問題であり、また一生を左右する生業に関連する問題でありますが、今後の漁業界の発展のために、いわゆる経営力の強いところと個別的な経営をしておる零細経営、こういうものとの間において、トン数の許可なり隻数の許可等においても、かなりの問題が私は残されるような気がするわけでございます。こういうふうな経営力の強いところがたくさんの隻数を確保し、それから経営規模の小さいところが今後増大しようとする意欲というものが失なわれるような弊害も懸念されるわけでございますが、許可についての運用等については、相当長期の展望というものとこれからの発展の可能性というもの等に対して、単に業界という一つの既存の組織といいますか、こういうものの意向をうのみにするのではなくて、水産庁としては、前向きの姿勢でこの許可制度についてもこの際検討を加えていく必要性があるのじゃなかろうかと、私はしろうとなりに考えるわけでございますが、この辺についてどのような御所見をお持ちか、お聞かせいただきたいのであります。
  160. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま水産庁長官がお答えいたしましたが、ことしは一斉更新の年でございますので、私どもといたしましても、もちろん業界の意見も参考に承るのでありますが、ただいまお話しのような点については、もちろんそういうことを含めて公平に、将来性を見通して新しい許可をするようにいたしたい、こう思っております。
  161. 兒玉末男

    ○兒玉委員 調査室の資料によりますと、これは長官でけっこうでございますが、これから経営規模を拡大するなり、あるいは単船から複船経営に移行する、そういう場合には、先ほど長官の答弁があったとおり、個人経営の隻数をふやすということはほとんど不可能であるという点から考えるならば、このいわゆる許可漁船に関係する権利の譲渡といいますか、売買ということを通じない限りは、この規模の拡大なり複船経営移行ということはできない。しかも、この資料によりますと、トン当たり二十万から三十万という権利がついておるということがここに書いてありますけれども、これは私は非常に問題を含むものじゃないかと思うのです。こういうような権利の譲渡なり、あるいは資金力の弱い者は結局つぶれていって、資金力の強い者がますます強大になっていくという傾向を勢いたどらざるを得ない、そういう経過をたどるのではないかというふうに思うわけです。これは長官でもけっこうでございますので、この辺どういうふうなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  162. 久宗高

    ○久宗政府委員 許可の売買に関連いたします一連の問題がございまして、私どもも非常に苦慮をいたしておるわけでございますが、これは許可制度そのものから出てまいるものとは言い切れないわけでございまして、一般の経済状態の中で、特に金融のあり方と関連いたしまして、特定の許可を限定いたしました場合に、それに現実的にはある価額なり価値なりが生じてしまうという問題であろうかと思うのであります。そこで、私どもといたしましては、それが現実の経済の中で金融も含み、税も含み運用されますので、そのものをたとえば法律的に排除してしまうということは実はできないわけでございまして、それ自体は禁止ないしは排除ができましても、別の形でもって経済的には意味のある、ある動きが当然それに伴って出てまいりますので、この問題につきましては、むしろ現実の許可の運用におきましては、いま申されましたようなお話の弊害が具体的に出ませんように、少なくとも形式の上であまりそこに大きなそごができませんように、業界、それぞれの業種におきまして許可の形式と実態がかみ合いますように、処理をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。許可制度の上でこれらにつきまして特殊な措置をとろうといたしましても、現実の金融との関連でこれはなかなか困難な問題ではないかということで、きわめて実際的な扱いをいたさざるを得ないというのが実情でございます。そのような許可の売買に伴って相当な負担がかかるわけでございますが、これはそれだけの負担をかけても漁業経営が成り立っているというふうには必ずしも考えられないわけでございまして、現在の金融との関連で、このような特殊な限定をいたしますと、そのような価額が出てきてしまうという事実問題といたしまして処理を考えたいと思っております。
  163. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの御答弁は私は理解できませんので、これはまた後ほどお聞きをすることにしますが、大臣に特にこの際、中小漁業以外の外国人漁業の規制に関する問題について、四時まであとわずかでございますので、お聞きしたいのでございます。  今回この法律が制定されようとしているわけでございますが、現在まで近海操業に対する政府対策というものは、漁業法並びに水産資源保護法の規定に基づき、外国人の行なう漁業等の取締りに関する省令、さらには指定漁業の許可及び取締り等に関する省令の一部を改正する省令等によって、昨年の十二月、本年の二月から、それぞれ近海における外国船の操業等に対する一応規制を加えておったわけでございますが、今回これがさらにその取り締まりといいますか、制限を強化する意味から、今回の法律制定になったものと思うのですが、特にこれは具体的に申し上げて、ソ連とお隣の韓国を対象とする問題でございますが、やはり全体的な問題としては、単にこれは国内問題ということで処理できない国際的な意義を持ったものだと思うのです。これについて、今後のこの取り扱いなり、法案を制定するにあたって相当慎重な配慮がなされなければいけないと思うのでございますが、まず第一点として、この点について大臣の御所見を承りたいと存じます。
  164. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 このたびの法律で予想いたしておりますようなこと、つまり、外国漁船が自由に各国の港に寄港してそこで商売をするようなことは、大体御存じのように禁止されておるわけであります。わが国も、やはり海難等でわが国の港を利用するような場合は別でありますし、それからいま韓国のお話がありましたけれども、韓国の漁船が公海で漁労をいたしまして、一たん釜山へ引き揚げて、それを輸出として持ってまいるということについては、これはもう普通のことでございますが、わが国の漁港を基地にして漁労をするという考え方のような行動は、これは当然取り締まるべきである、そういう考え方でありまして、このことは、いまわが国が初めて考え出したことではありませんで、どこの国でも同じ方式によっていたしておることだと思います。
  165. 兒玉末男

    ○兒玉委員 きのう長官の御説明によりますと、特に隣の日本の近海に来て魚をとっているソ連と韓国が、一番制限がきびしい、まだほかの国のほうが幾らか弾力性があるということをお聞きしておるわけでございますが、どうも日本の近海に来て、こればもちろん公海の自由であり、魚をとるのはかってでありますけれども、韓国とソ連が特に日本のこういう入港なりその他の規制がきびしい。今回出されているこの法案を見ますと、まだその点日本のほうが非常に寛大であるような印象を受けるわけでございますが、この辺、隣接との関係でございますので、非常にデリケートではございますけれども、たとえば従来ソ連と日本、アメリカと日本の間にそれぞれ条約なり協定を結びまして、公海上における制限等はそういうふうな円満な形における——円満というのは妥当ではありませんが、そういう一種の協定等によって、お互いの立場を守るということが行なわれておるわけですが、この辺の関係についてちょっと解しかねる点があるわけでございます。特に韓国では緊急避難の場合以外は絶対に入港を認めないという点等と、今回のこちらの法制定との関連性ということについてお聞かせをいただきたいと思うのです。非常に不公平のような気がするわけでございますが……。
  166. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもは少しも不公平に扱おうといたしておるわけではございませんで、いまお話しのソビエトも、それから韓国も、やはり自分の国では同じことをやっているわけであります。したがって、わが国も先般、先ほどお話しのように農林省令で一応いたしましたけれども、やはりこれは国の方針として法律で明確にその趣旨をいたしておくことが必要である。このことは、ひとり韓国漁船、ソ連漁船に対して適用するわけじゃありませんで、世界の各国の漁船について同等に取り扱うわけでありますから、特に不公平なことはないんじゃないかと思っております。
  167. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点はまた後ほどいろいろ御相談をしたいと思うのですが、大臣も御承知のとおり、世界の各国の趨勢として、自前の専管水域というものがあり、大陸だなの設定等によって、領海といいますか、専管水域をどんどん拡大する傾向にあるわけです。日本の場合、大体原則として三海里説をとっておるわけでございますが、もちろん、これはやたらに日本の領海を拡大するということが、そろばんをはじいた場合に、損得計算では決してプラスのみには考えられぬわけでありますけれども、こういうふうに世界の趨勢というもの、自国の専管水域を拡大をしていくという傾向というものを全く無視するわけにはいかないと私は思うし、この資料にもございますとおり、一九五八年あるいは一九六〇年の海洋会議等におきましても、やはり領海の拡大という傾向は非常に強いわけでございますが、この点は、特に今回のこの法案の提案と軌を一にしまして、やはり日本も世界の趨勢に呼応しながら、根本的な検討を加える時期に到達をしておるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、これはなかなか微妙な問題でございますけれども、こういう趨勢に対して今後どういうふうな対処をしていかれる御所信なのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  168. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまお話しのように、専管漁業水域十二海里説をとっておる国はたくさんございます。日米漁業交渉等では、そういうことはあるにもかかわらず、やはり従来のわが国の既得権と申しますか、操業をいたしておる問題については、十二海里法にあえて固執はしておらないようでございます。アメリカとソ連との間にもいろいろな漁業交渉がありますが、相互に十二海里を認めておる模様でありますが、なるほど専管水域十二海里説をとっている国は多く、あるいはまたその傾向のようでございますけれども、これは必ずしも国際公法で承認されておるものではございません。私ども日本が主張いたしておる三海里というのは、一応これは国際公法で言っておる三海里説、わが国は、それにつきまして今日の漁業の各国の動向等にかんがみて、もちろん研究はいたしておりますが、いろいろな過去の伝統的なわが国の漁業の活躍いたしておることを考えてみますと、にわかに専管十二海里説をとるということの可否については、そう早く判断をすべきではないのではないか。慎重に検討はいたしますけれども、一応いまのところはいまの態度を変えようとは思っておらないわけであります。
  169. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣の時間がないそうでございますので、あと御要望を申し上げたいと思うのです。  特に中小漁業振興特別措置法案の中で御質問し、まだたくさん不明の点もございますけれども、要するに、私は、中小漁業の中でも、経営規模の小さな、小以下の漁業に対する政府の保護政策、また今回のこの振興計画に優先的に取り入れて、全体のレベルを高くしてもらうこと、同時にまた、先ほど質問いたしましたが、漁業資源確保のためのいわゆる公害対策なり、あるいは水産資源開発のための積極的な取り組み、同時にまた、中小漁業に従事する労働者の対策として、特に待遇改善なり労務管理の適正、こういうもの等を通じまして、中小漁業に優秀な漁業労働者が集まってくるような受け入れ態勢というものをこの際考えていかなければ、前近代的な労務管理方式では、今後の中小漁業全体の前進を期待することはできないし、どんなに中小漁業を経営する経営者が太りましても、その企業の発展は期待できないのじゃないかというふうに考えますので、これらの点で、特に今後の振興計画を進める上において、また策定の上においても、十分御配慮していただきたいということを特に大臣に要望しておきたいと思います。
  170. 本名武

    本名委員長 次会は、明六月一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会