○久宗
政府委員 外国人漁業の規制に関する
法律案の提案理由につきまして、補足的に御説明申し上げます。
この
法律案は、提案理由で御説明申し上げましたと
おり、
外国人が
わが国の港その他の水域を使用して行なう漁業活動の増大により、
わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずるおそれがある
事態に対処いたしまして、
外国人が漁業に関してする当該水域の使用につきまして必要な規制
措置を定めようとするものでありまして、
法律案の内容といたしましては、第一には、本邦の水域において
外国人等の行なう漁業の禁止、第二には、
外国漁船が本邦の港に寄港しようとする場合についての農林大臣の許可に関する事項、第三には、
外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等の転載等の禁止、第四には、権限の委任、条約の効力等についての所要の
措置につき規定いたして
おります。
以下、その細目につき若干補足させていただきます。
第一に、
外国人等の漁業の禁止についてでありますが、これは第三条に規定いたして
おります。すなわち、
日本の国籍を有しない者または
外国法に基づいて設立された法人その他の
団体もしくは
外国に本店もしくは主たる事務所を有する法人その他の
団体は、農林大臣の指定するものを除き、本邦の水域において漁業を行なってはならないことといたして
おります。なお、この場合の漁業とは、水産動植物の採捕または養殖の
事業をいうことといたして
おります。
第二に、
外国漁船が本邦の港に寄港しようとする場合についての農林大臣の許可に関する事項についてでありますが、これは第四条及び第五条に規定いたして
おります。まず、
外国漁船の船長または船長にかわってその職務を行なう者は、当該
外国漁船を本邦の港に寄港させようとする場合には、海難を避け、もしくは航行や人命の安全を保持するため必要な行為のみをしようとするとき、
外国から積み出された旨の証明のある漁獲物等の陸揚げのみをしようとするとき、または
外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等の陸揚げであっても
わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生じることとはならないものを除き、農林大臣の許可を受けなければならないことといたして
おります。農林大臣は、この寄港の許可の申請があった場合には、当該寄港によって
外国漁船による漁業活動が助長され、
わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずるおそれがあると認められるときを除き、その許可をしなければならないこととするとともに、農林大臣は、
外国漁船が寄港の許可を受けるべき場合においてその許可を受けないで寄港していると認めるときは、その船長に対し、当該
外国漁船を本邦の港から退去すべきことを命ずることができることといたして
おります。
なお、
外国漁船とは、
日本船舶以外の船舶であって、漁労設備を有するものまたは漁業の用に供され、もしくは漁場から漁獲物等を運搬しているものとし、また、本邦の港とは、港湾法上の港湾区域の定めのある港湾及び漁港法上の漁港といたして
おります。
第三に、
外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等の転載等の禁止についてでありますが、これは第六条に規定いたして
おります。この規定は、本邦の港以外の水域におけるその証明のない漁獲物等についてその転載等の行為を規制することにより、
外国漁船に対する寄港許可制度とあわせて
わが国漁業の秩序の維持に万全を期そうとするものであります。すなわち、
外国漁船の船長は、
外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等を、港以外の本邦の水域において、他の船舶に転載し、または他の
外国漁船から積み込んではならないことといたして
おります。また、
外国漁船以外の船舶の船長は、港以外の本邦の水域において、
外国から積み出された旨の証明のない漁獲物等を
外国漁船から積み込んではならないこととするとともに、本邦の水域以外の水域において
外国漁船から積み込んだこれら漁獲物等を、本邦の港において、陸揚げし、または他の船舶に転載してはならないこととして
おります。なお、これらの転載等の禁止は、
わが国漁業の正常な秩序の維持に支障を生ずることとならないと認められる場合には、適用しないこととして
おります。
第四に、その他の所要の
措置についてでありますが、これは第七条から第十条までに規定いたして
おります。その一は、権限の委任についてでありまして、寄港の許可及び退去命令についての農林大臣の権限は、その一部を都道府県知事に委任することができることといたして
おります。その二は、条約の効力についてでありまして、本
法律案に規定する事項に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定によることといたして
おります。その三は、罰則について所要の規定を整備いたして
おります。
以上をもちまして本
法律案についての提案理由補足説明を終わります。