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1967-06-07 第55回国会 衆議院 地方行政委員会消防に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月七日(水曜日)     午後二時八分開議  出席小委員    小委員長 奥野 誠亮君       大石 八治君    木野 晴夫君       古屋  亨君    太田 一夫君       細谷 治嘉君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君  出席政府委員         消防庁長官   佐久間 彊君         消防庁次長   川合  武君  小委員外出席者         地方行政委員長 亀山 孝一君         地方行政委員  山田 久就君         参  考  人         (朝日新聞論説         顧問)     荒垣 秀雄君         参  考  人         (東京工業大学         工学部教授)  崎川 範行君         参  考  人         (東京消防庁消         防総監)    山田 義郎君         参  考  人         (福岡八女市         消防本部消防         長)      徳田 正明君         参  考  人         (茨城鹿島郡         神栖消防団         長)      城之内元衛君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 奥野誠亮

    奥野委員長 地方行政委員会消防に関する小委員会を開会いたします。  消防に関する件について調査を進めます。  本日は、消防に関する件について、参考人から意見を聴取することになっております。参考人として、朝日新聞論説顧問荒垣秀雄君、東京工業大学工学部教授崎範行君、東京消防庁消防総監山田義郎君、福岡八女消防本部消防長徳田正明君、茨城鹿島神栖消防団長城之内元衛君、以上五名の方々が出席されております。  この際、参考人各位にごあいさつ申し上げます。  参考人方々には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本小委員会は、最近における火災の実態から見て、消防関係法令整備及び消防施設整備強化をはかるため特に設置されたのであります。したがいまして本小委員会の今後の調査に資するため、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いと存じます。  議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ大体十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に本小委員諸君からの質疑に対し、お答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは荒垣参考人
  3. 荒垣秀雄

    荒垣参考人 私、荒垣でございます。消防審議会委員を仰せつかっておるのですけれども、全くのずぶのしろうとでございまして、皆さんの御参考になるようなことを言えるかどうかたいへん疑問に思うのでございますが、しろうとくさい意見を四点ばかり申し上げてみたいと想います。  大震災のようなああいう問題の場合には非常に権威のある機関がございますから、そういうことには触れませんが、第一には人命救助の問題ということなんです。火を消すことももちろん大切なことなんですけれども、最近の火災というものが非常に性格が変わってきておりまして、死者が非常に多い。四十一年度の火災における死者が千百五人になって、交通事故死の一万人の一割に達しておるのですが、その火災のふえておる理由はいろいろあると思うのですけれども、たとえば不法建築が多くなっておるとか、モルタル家屋で何階建て以上のものがあるとか、屋根裏みたいなところに従業員を寝泊まりさせて非常階段もないというようなことの、建物不法建築関係もあると思うのですけれども、家具調度とか衣類とかいうようなものが、石油製品になったり、化繊というようなものが非常に多くなって、燃えると毒ガスを発生する、そのために中毒死を起こしたり、煙による窒息死を起こす、そういうケースが非常に多くなっておるんじゃないかと思うのです。炎ですと、炎の速度というものはたいしたものじゃありませんので、炎から逃げることはできるのですけれども、煙の走る足というものは非常に早いものですから、その煙のほうにやられてしまうというように、火災性格が最近だいぶ変わってきているところからして、人命死傷、ことに死というもの――焼死、焼け死にということを言いますけれども、実はこれは不正確なことばであって、実際には窒息死あるいは中毒死をして、そうしてそのなきがらがあとから焼けるというような実感のことが多いんじゃないかということを、私はしろうと考えですが、そういうふうに思っております。したがって、火を消すことももちろん大事ですけれども、人命救助をまず第一にするということ、そういう方針を全国の消防関係の方に徹底さしていただきたいと思うのです。しかも、大量なる死傷を出す可能性が非常にふえてまいりまして、最近の都市生活は、経済発展やその他によって、デパートであるとか劇場、アパートその他高層建築地下街といったような不特定多数の人たちが非常にたくさん集まる場所がたいへん多くなってまいりました。そういうところで火災発生しますと、大量の死を招く。ついこの間のブラッセルの百貨店の建物でも、わずか六階建て建物ですけれども、三百十一人が死んで、負傷者が百人。日本でも古くは白木屋の火事西部デパート東宝劇場火事京都国際ホテル火事というような経験もあるのですけれども、そういう大量死を招くような場所が非常に多くなったということからして、人命救助のほうも大量救助方法を考えてもらいたいということ。それの予防法としては、もちろん建築そのものにあるわけですけれども、どうも日本のああいう大きなビルには逃げ場所がない。ほとんど廊下や階段煙突そのものになって、かえってそこでばたばた倒れてしまうというような実情なんで、これはやはりどうしても建物ビルをつくる場合には、外側非常階段をつくらなければならぬのじゃないか。これは建築基準法のほうでそういったようなことをいろいろきめていただきたい。外側階段をつくったりしますと、どろぼうが入る、盗難心配があるといったようなことの心配もあると思うのですけれども、これはある程度、二階なら二階まで外側非常階段をつくる。そして、それからあとはレバーを押せば下まで届くとか、あるいはどうせ一階くらいのことですから、それは救助網をやって飛びおりても、近所の人がはしごをかけてもいいわけですから、そういうようなことをやる。それから、西武デパート等火事にかんがみて、隣の建物との間に、ビルビルとのブリッジをつくったそうでありますけれども、こういったこともどんどん掲げて実行していただきたい。これもやはり盗難心配当事者は非常にするだろうと思いますから、そこは可動式にするとかいうようなことを考える。  それから私、ときどき峡谷に面しておる非常に風景のいい温泉地の旅館に泊まることがあるのですが、ほとんどが断崖絶壁に面しておりまして、逃げようがない。そういうところをやはりビルビルホテルホテルとの間にブリッジをつくるということで、大量の死を免れるようなそういう施設が必要であろうかと思います。それから、地下街火災というものが、まだ日本では経験がないのですけれども、これが起こったらたいへんなことになるのではないか。ことに先ほど申しましたように、現代の火災というものが、炎そのものよりも煙がこわいのだということから見ましても、地下街火災というものは、排煙の効果のある機械力なり何なりがあるかどうかはなはだ疑わしいと思っておるのですが、そういう点で、大量の血を見ないうちに十分の予防措置を講じていただきたいというふうに考えます。  それから第二点は、飛行場防災対策なんでありますが、私、実は消防審議会委員になりたてのころに、消防庁で今年度の重点施策要綱というものの説明がありまして、それを全部聞いておりましたところが、空港関係のことが一言半句もないのですね。それで非常にふしぎに思いまして――去年の春は全日空の飛行機が、これは海に落ちたのですけれども、百三十三人が死んだ。それからカナダ航空が、これは飛行場滑走路そのもの事故を起こして、六十四人が死んだ。そういう大量死を招いた航空事故があるにもかかわらず、消防庁の今年度の重点施策要綱の中に全然触れていないということは一体何たることだと思いまして、私は、しろうとの悲しさで知らぬものですから伺いましたところが、それは運輸省管轄である、空港消防はすべて運輸省管轄なんである、消防庁というものは直接の責任もなければ関係もないのだという説明があって、実は私、しろうとでびっくりぎょうてんしたのであります。この空港消防関係については、国連か何かの機構で国際的な消防力基準を示す協定があるそうでありますが、羽田空港では、運輸省管轄のもとにおいて、空港消防というものがございまして、その消防力は、化学車三台、給水車二台、救急車一台、破壊消防車一台、それに人員も事務系統も含めて三十人ぐらいおられるそうであります。一応それは民間空港国際協定基準最低限度は保っておるそうでして、別にその協定に違反するものではないのだそうであります。しかしながら、実際には、大事故が起きると、とてもそんな消防力じゃ手に負えるものではない。たとえば消火せんなんですけれども、消火せんは、羽田空港にはビル消火せんはありますけれども、滑走路にはないのだそうであります。で、御存じのように、あわ消火剤化学消火剤ですが、これを滑走路の中へまく。不時着がある、あるいは胴体着陸をする、強行着陸をやるというときには消火剤をまいたりしますが、これをやるためには、非常に大量の水が要るわけなんですね。ところが化学車には二トンの水しか入っていない。それに給水車が二台あるということで、その消火剤を放射するに十分の水がすぐそばにない。切れると、空港ビルまで取って返して水を補給しなければならぬ。飛行機のことですから、非常にスピードを要する、しかも大量のガソリンを持っておる、旅客もたくさん乗っておる。そういうところで、そういう化学消防をやるに十分な給水施設もないということではたいへん心細い。日本国際空港の信用にもかかわることでありますし、そんなことよりも、むしろ人命救助、助かるべき命も助からぬということで、人道問題でもあるわけです。スピードを要する空港消火について、あまりにスローモーであり、あまりに弱体であるということを、そのときに初めて私、知ったわけなんです。現にカナダ航空事故の場合は、これはあっちこっちに調べてもらったのですが、空港消防では手に負えないものですから、応援の電話をかけた。初め、一一〇番にかかったそうです。あとから一一九番のほうにつなぎ直したそうです。そこであの近所自治体消防がかけつけて、最初の車が現場に到達するまでに十七分かかったそうであります。これは普通の火災でも、初期消火というものは一分か二分で勝負がきまるというくらいなんですが、空港で大量のガソリン爆発して燃える、そういう現場に到達するのに、最初消防車が十七分もかかったということでは、これはもう仕事にならぬと思うのです。あとの祭りであるということだと思うのです。  それで、どうしてそんなにおくれたかと申しますと、これもあっちこっちにちょっと調べてもらったのですが、まず第一に直通電話がなかったのです。現在はついておるそうであります。それから、その晩は濃霧だった。非常に深い霧があったのです。大体羽田というところは季節によっては霧だのスモッグが発生しやすいところであるのですが、その晩は非常に霧が濃くて、なかなか自動車スピードを出して走れないという事情もあったそうでありますし、それから外部から応援する消防車というものはかってに空港の中へ入れないわけなんです。これは当然のことでして、離陸、着陸、たくさんの飛行機が飛んだり着いたりするのですから、これはやはり指令塔指令にまたなければ、かってに入れない。かってに入ったら、かえってまた別の大事故を起こすということにもなりますから。したがって、空港の入り口において空港当事者の指示を受けて、その案内で誘導されなければ、その滑走路や何かの火災現場に入ることができないわけなんです。そういうようないろいろな関係があって、最初の車が着いたのが十七分。それから、あとから続々と行ったのが一体何分かかったか知りませんが、相当かかったようでして、実際には、この消火活動救助活動には間に合わなかったのが実情であったようであります。  そこで、外国の例をいろいろ聞いてみますと、大体空港消防というものは自治体消防がやっておるところが非常に多いそうでありまして、ただ、ロンドンは航空省がやっておる。ローマは国家消防がやっておる。アメリカもたしか自治体消防がやっておるそうであります。  現在、羽田空港東京消防庁との間に話し合いが大体進んで、まあ空港運輸省管轄でありますけれども、自治体消防東京消防のほうの出張消防で、化学車二台と救助車一台、そういうものをあそこに常置しようという話が進んでおるそうでありまして、たいへんけっこうなことだと思うのですが、消火せん、水道なんかにしましても、そういう空港ビルの火を消すだけのための消火せんということでははなはだ心もとないのであって、やはり滑走路そばに強力なる消火せんが必要である。できるならば、そこに地下貯水槽というものをつくることが非常に緊急なんじゃないかということを私、しろうとなりに考えておるのでございます。  第三点は、羽田空港から飛び立つ飛行機が、すぐ隣接川崎石油コンビナートの真上を、毎日大体三百機ぐらい飛んでおるということなんでありますが、もしも万一のことがあった場合には、これはもうたいへんなことになるので、日本産業の根幹に大きな打撃を与えると同時に、人命死傷というものもかなり大規模なものになるのじゃないかということを考えるのですけれども、実際にはみんなのんきで、なれっこになっておって、案外平気で毎日そういうことを繰り返しておるのが実情のように思います。いろいろ聞いてみましたところが、国際線は直接には川崎コンビナート上空を飛ばないそうです。国内線、727なんかの中型機以下の国内旅客機その他の飛行機川崎コンビナート上空を通るのだそうです。何もかも全部ひっくるめて、一年間に十二万機が羽田を離着陸するのですが、つまり月一万機の割合、そのうち川崎石油コンビナート上空を通るものが月ざっと九千機、日に三百機、そしてその飛行機が通る真下にある川崎には、石油タンクが千四百本ございまして、付近の工業地帯のも入れますと、二千木という石油タンクが林立しているのです。その石油の量は三百六十万キロリットルだそうであります。それで、すぐ川向こう空港にごく近いところだけでも石油タンクがざっと六百本、百六十万キロリットルのものがその飛行機真下に立っておるわけでして、もちろんそのコンビナートの上を通るときにはなるべく早く高度を上げろ、そしてなるべく早くそこを避けてわき道に入れということが一つ不文律になっておるそうでございますが、それに違反するものが月に十機ないし十五機あるということを聞いております。しかし、これは多摩川の川幅一つ隔てたすぐ隣接地なんでありますから、飛行機は、離陸してもあるいは着陸するときでも、十分なスピードが出ないので、無理に高度をとったり、無理に方向転換をするとかえって失速して落ちるという可能性もあるわけでして、一体これはどういうふうにしたらいいのか私も実はよくわからぬのですが、片方は飛行場のほうが先にできたのだという、川崎コンビナートのほうではもとからここはあるのだといって、これは水かけ論になると思うのですが、風向きの関係もございますし、横田基地米軍飛行機の発着する方向との交錯というようなこともありましょうが、何か埋め立て地をもう少し広げて、コンビナート上空を飛ばなくてもいいような滑走路、現在のB滑走路以外のもう一つ滑走路をつくることによって、この飛行機川崎コンビナート石油地帯に墜落するという、あってはならないような大惨事を予防する方法をいまから講じていただきたいというふうに考えます。  ちょっと長くなりまして失礼しましたが、第四点は、大型タンカー日本湾内内海や狭い運河の中にどんどん入ってくるということの危険についてなんでございます。これは殷鑑遠からず、英国ではこの間大型タンカーが座礁して、その海岸がたいへん汚染されたり、大被害を受けたのです。あれは外海でしたからまだよかったようなもので、爆撃機で油を焼いたりなんかすることができたのですけれども、日本瀬戸内海であるとか、東京湾とか伊勢湾とかいった、水島や岩国や徳山や四日市や川崎なんかの石油コンビナートのあるような、そういう内海や内湾に十万トンだの二十万トンだのというようなタンカーがどんどん入ってくるということはたいへん危険じゃないか。しかも瀬戸内海にしましても、京浜運河にしましても、非常に交通が混雑しておりまして、いわば踏切や横断道路が一ぱいある平面交差の国鉄が走っていると同じように、そういう船が行き来する中をそういったタンカーが通るわけですから、自分がどんなに注意してもぶっつけられないとも限らない。そういうことになったらこれはたいへんな災害を起こして、もちろんこれに火がつくというようなことになりますれば、工業地帯にも延焼したりして災害をさらに大きくいたしますし、漁業は全滅する、あるいは瀬戸内海国立公園の美しい風景というものも失われてしまうというようなことになってはならないのであって、何か大型タンカー安全水路を指定するとかあるいは航行を禁止する水域を設定するとか、あるいは大型タンカー外海にだけとどめて、コンビナート地帯にはパイプとかなんとか、そういうようなものによって輸送する、直接には湾内には入れないというような方法をいまから考えておかないと、いざというときになって悔いを残すことになるのじゃないかというふうに考えます。  いろいろ申し上げましたけれども、大体一年に火災で五百億円も焼いて、毎日一億五千万円ぐらい灰にしておるわけですが、おまけに一年に千百人以上というものが死んでおるわけなんですが、どうも日本では一文惜しみの銭失いで、災害が起こってみないと、大量の血を流してからでないと対策を講じないというくせがとかくあるように思いますので、どうか国家のほうも相当な補助金を出す、また各自治体もそれに刺激されて、思い切って自治体の予算を消防予防や救済のほうにさく、官民そろってのそういったムードを、どうか国会の皆さん方のほうからひとつ出していただきたいというふうに考えるわけでございます。  たいへんしろうとっぽい意見で恐縮でございましたが、大体そんな点でございます。どうも失礼いたしました。(拍手)
  4. 奥野誠亮

    奥野委員長 どうもありがとうございました。  次に、崎川参考人にお願いいたしたいと思います。十分ぐらいにまとめていただければ幸いだと思います。崎川参考人
  5. 崎川範行

    ○崎川参考人 崎川でございます。  今日の時代は、皆さまも御承知のとおり技術革新時代といわれまして、新しい技術が次から次へと出てまいりますが、それによって世の中の姿がどんどんと変化をしていく、そういう実情にございます。ところでこの新しい技術が生まれてまいりますと、それに伴って新しい災害原因がそこに発生してくる、そういう事実がございます。それは、たとえば車のスピードが早くなればそれだけ危険性が多くなる。あるいは化学工場におきまして新しい生産様式が進みますと、反応に使います圧力も高くなりますし、温度も高くなる、スピードも上がってくる。それだけではなくて、非常に不安定な爆発性化学物反応工程に取り入れられて使われる。そういうようなことがどんどん多くなってくるわけでございます。あるいは家庭を見ましても、家庭の中に石油がどんどん入ってくる。あるいはプロパンガスがどんどん入ってくる。火のつくエアゾールが入る。また電気の使い方もウナギ登りにのぼってくる。いろいろなそういうことから、新しい近代技術が進みますに従って、それに伴った新しい事故災害原因発生してくる、これはまあ当然のことということが言えるわけでございます。  ところで、こういう新しい技術が進んでまいります前提に、一つ進歩前提として、重要な研究、あるいは技術の領域があるのでございます。それはいわゆる安全工学、セーフティー・エンジニアリングと呼ばれておりますけれども、その問題が前提として確立されまして、その安全技術進歩のもとに、いつでもそれをたてとして、その範囲内で新しい技術が開発されていく。そういうのが技術革新の姿だということになります。こういう場合に、安全工学、これは都市建築の面で申しますと防火の問題、あるいは耐震の問題、そういうことに通ずるわけでございます。工場におきましては産業災害、それをすべて含めまして、その安全工学的な面が怠られますと、そこにいままでに存在しなかったような新しい、またおそろしい、また規模の大きい事故発生してくる、そういうことが考えられるわけであります。  で、今日の日本実情を見ますと、依然として火災発生世界に冠たるものがありますし、私ども化学工業に関する仕事が専門でございますけれども、化学工場災害を見ましても、化学工場における爆発火災、そういう点においては、おそらく世界の中で特に群を抜いて多いのではないだろうか、そういうように感じております。  私、実は多年にわたりまして消防関係仕事とそれから化学工場の保安の仕事関係をしてまいったのでございますけれども、いままでに、少なくとも戦後を考えましても、非常に大きな爆発事故が幾つか起こっております。そういう場合に、しばしば原因調査を命ぜられまして、調査に当たったこともございますが、そういう経験からいたしまして、日本爆発事故、あるいはその他産業災害火災などの発生原因傾向――大体の傾向でございますけれども、そういう点に二つの傾向があるように思うのでございます。その一つは、日本は非常に技術は進んでおりますけれども、一応は欧米に対しまして、技術の上で多少後進国ということが言えるわけでございます。そういう関係で、今日の日本産業進歩は、多くは欧米で開発されました新しい技術を導入して発展させたものなんでありますが、こういう欧米で開発されました新しい技術を導入いたします場合に、それらの国で開発の前提として行なわれました安全に関する技術確立、その面を忘れてしまって、それをあるいは知らずに、その技術を導入するのに急であって、それの安全性に対しての十分な理解をしないで導入してくるという場合が多いのでございます。これは開発して売り込むほうでは十分なインストラクションなどがちゃんとついているのでありますけれども、とかくそういうことがおろそかにされまして、自動車で申しますと、車だけ買ってきて、動かし方だけで、安全な運転方法を十分修得しない、あるいは動かし方だけ教わって、とめ方を知らないというような、そういうたとえができるかもしれませんけれども、そういった形で導入してまいりました場合に、当然予想されるようなことでございますが、非常に大きな爆発事故などが起こって、これは多くの場合は建設直後に起こりまして、試運転というようなところにさえ非常に大きな事故が起こる。これは日本における安全工学に対してのまだ関心の薄さということを示すわけでございまして、このことは都市家屋火災におきましてもやはり同じことが言えると思います。このごろ中毒窒息死が非常に多いというのは、家屋の構造とその中で使用されます燃焼器具、燃料その他の関連についての十分な研究というと大げさになりますけれども、十分な知識が確立されていないからだ、そういうことがございます。それからもう一つ原因は、これは安全工学のABCというものに類する、そういった非常に単純な知識において一般的に非常に欠けておるものが多い。あの大きなタンカーでありますとか、タンクであるとか、あるいは化学工場施設、そういったものに大きな火災爆発発生したというような場合に、その原因が非常にささいな無知から起こっておるということが非常に多いのでございます。たとえばエアゾールの工場で、当然だれが考えてもわかるべきはずの、その中でたばこを吸うことはできない、そこでたばこを吸ったために爆発事故が起こった。いろいろ調べてまいりますと、せんじ詰めるとそういう知識の欠除から起こっておる、そんな事故日本では非常に多うございます。家庭におきましてもプロパンガスの扱い方、石油コンロの扱い方、電気器具の扱い方などに関しましての一般の知識というものが非常に低い。これは高級な面からごく一般的な面に至るまで、全体的に防災の知識、安全工学の基礎知識というものが欠けているという問題がございまして、こういう点を私どもは非常に憂慮しておりまして、この改善がすみやかに行なわれなくてはいけない。そういう意味で、私どもは学校におきましての安全教育、それから大学などにおきます安全工学的な研究の拡充、そういうことをずっと述べてまいりましたのでございますけれども、なかなかそういうことは通らないわけでございまして、本年初めて横浜大学に安全工学科という学科ができて、これは日本におきましての一大進歩なのでございますが、これはもっと一般の安全工学並びに消防に関しましてこういう教育や研究の設備をふやしていかなければならない、これは非常に緊急な問題だと思われます。それと同時に、一般の人々への防火のごく基礎的な知識、こういう教育は実はなかなか簡単に行なわれることではございませんで、プロパンの販売業者あるいは石油の販売業者が一つの教育者の立場となりまして、そして家庭への防火教育、安全教育を普及していくという、そういうやり方がなかなかできない。あるいは防火に関しまして、消火器など、少なくとも石油ストーブなどを使いますところではどこでもほしいものでございますけれども、これを備えることは現実的になかなかむずかしい問題がございます。こういう場合に、消火器というようなものを一般に購入させないで一つの貸し付けの形をとって、それの備えつけと保守と指導に当たるというようなことはできないだろうか、こまかい面を申すとそういう問題がございます。まとめますと、安全や防火に関する工学的な研究施設や教育機関というものを拡充する、それから一般の安全教育というものを非常に普及する策を考えていただきたいと思うのです。  もう一つ、私はいろいろな災害調査などしておりまして非常に応じたことでございますけれども、このごろの技術進歩というのは非常な速さでもって、これはアメリカのある雑誌がそういう調査をしておりましたけれども、今日のその技術進歩の速度というのは、ちょうど指数曲線を描きまして加速度的に上昇している、そういう事情でございまして、それに伴いまして災害の増加、それは量、質ともに考えまして、やはりそのような爆発的な曲線を描いて上がっていくのではないか、こういう場合にいつでも困る問題が一つございますのは、それに対してある処置を講じようとします場合に、なかなか規則の改正、法規の改正ということがすみやかに行なわれない。これはいたしかたないといえばそうでございますけれども、その一つの規則の改正が行なわれないうちに相手の災害はどんどんと発生してまいりますし、さらに新しいものがあらわれていく、いつでも規則が事故を追っかけておるが、それもだんだん追いつかなくなって、だんだん激しい事故が起こるのではないか、そういう心配が非常に濃厚なんであります。  それから一昨年でございましたか、西宮の国道でプロパンのタンクローリーが転覆して、ガスを放出して爆発火災が起こりました。ああいうことは当然起こり得べきことだとして、これは消防庁でも心配しておられましたし、高圧ガスの関係の通産省でも心配しており、あるいは交通のほうの公安委員会でも心配しておられたことだと思いますけれども、あの自動車の構造並びに運行の規則に関して急速に手を打って改正するということがなかなかむずかしい。それはあのタンクローリー一つに関しましても、高圧の部分は通産省の管轄でございますし、車自体は運輸省管轄になります。また、運転のしかたは警察のほうの管轄になりますし、火がついてしまったら消防管轄になります。そういうことが分割されておりますために、急速な緊急な改変ということ、改善ができないで、みなそれを心配しておるうちにああいう事故が起こってしまう。そういうことから考えまして、日本の法律の点でたいへん重大な問題かもしれませんけれども、何か法律の改正に、安全問題、防災の問題に限りまして一つの機動性を持った改正ができるような、そういう機関はできないものか。たとえば公安委員会に対しますような一つの防災委員会というようなものをつくりまして、これはいろいろな方面から選出された委員でもって構成されまして、これは決して天下りのものではない、しかしそのかわりに非常な権威をもちまして、その防災委員会での決定は非常に急速に、緊急勅令というようなことが昔あったように記憶しておりますけれども、そういった働きというと語弊があるかもしれませんけれども、そういった今日の加速度的に進んでいきます技術と、それに応じて発生する災害というものに応じますような機動力を持たせた法令をつくり、あるいはそれを適当に管理する、そういう措置のできる何か組織がほしいと思うわけでございます。  時間を超過いたしまして申しわけありません。(拍手)
  6. 奥野誠亮

    奥野委員長 ありがとうございました。次に山田参考人にお願いいたします。
  7. 山田義郎

    山田参考人 東京消防庁山田でございます。お手元に資料をお配りしてございますので、ごく要点だけ御説明申し上げたいと存じます。  まず第一に「日本消防の現況」と題しましてここにいろいろ書いてございますが、この点につきましては、国の消防庁のほうからいろいろ御説明があったことと思いますので省略させていただきます。ただ一言申し上げたいのは、戦前から戦時中にかけまして、あれほど防空は消防なりとして消防力強化に国をあげてつとめた時代がございましたが、その時代でも警視庁官制あるいは特設消防署規程等によりまして、消防署が置かれた市は三十二市でございました。ところが昭和二十三年に消防組織法が施行されまして、自治体消防制度になりましたその当初におきましては、ここに書いてありますように百二十一市、現在では六百四十市が消防本部署を置いて消防の充実をはかっているような現況でございます。このことを戦前と戦後を比較してみますと、非常に伸び率が高いのでありまして、これは消防という事務、事業が、自治体消防の現在の制度が一番適合しておるというような証左ではないかというふうにも考えられますし、またそのことがここ数年一部落、一市町村全滅というような大火がなくなったことも初期消防力の強化があらわれていることだというふうに思いまして、今後さらに自治体消防としての現行制度をひとつ伸ばしていくようにいたしたい、かように第一点は考えておる次第であります。  第二点の消防の近代化と科学化という問題でございますが、これはいま崎川、荒垣参考人からもいろいろ申し上げましたように、もうわれわれが新しい時代に即応する消防体制を整えなければならぬことは論をまつまでもございません。ただ問題は、そこにアイウエオと五点書いてございますが、要はやはり施設を充実しなければいかぬというようなこと、さらにはわれわれ自体が教育訓練をして高度な技術を身につけた消防人を育成しなければならぬということ、さらにはいろいろな化学消防手段を研究開発しなければならぬということに要約されるかと思います。特に先ほど荒垣参考人から話がありましたように、最近の高層、地下街あるいはまたホテル等の火災におきましては、火と戦うより煙と戦うのがわれわれのいま一番大きな現況でございます。この煙がなかなかくせ者でございまして、まず煙の中へ入りますと目が見えない、透視がきかなくなる、呼吸上ガスマスクが必要である、さらにはそういうようなガスマスクをつけたりしますと非常に行動が制約される、さらにまた熱気がこもって消防の活動を減殺される、こういうようなことからいたしまして、この煙を消す、消煙というようなことの研究を目下私のところでは徴々ながらやっておりますが、やはりこれは国の研究所なりあるいはまた大学なり、あらゆる科学的機関におきましてこういう煙対策についての研究を進めていただくよう特に希望いたしたいと存じます。  消防力施設の増強につきましては、これはもう次の消防の財政の問題にからみ合いますが、問題は財源の問題でございまして、財源が何とかなれば、これは現在の日本消防工業力で、はしご車でも化学車でもあるいはまた救助車でも、あらゆるものができますが、問題は消防財源にかかっておりますので、財政につきましてはいろいろと先生方の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  その次の三の財政の問題は、これはもう国の消防庁からいろいろ御説明があったと思いますが、要は現在の補助金をふやしていただくとか起債ワクを拡大していただくとか、さらには現在の交付税の算出基準が人口単位になっておりまして、昭和四十年の算出単価が人口一人当たり六百五十七円というようなことになっておりますが、これも消防職員一人当たりとかあるいは消防団員一人当たりとか、算出の基礎の御研究を願って、できるだけ現実に合うような交付税を交付していただくように希望いたしたいと思うのであります。と申しますことは、消防の決算で、どうも需要額だけ消防費が使われていないじゃないかというようなことをよく言われるわけであります。これはやはりわれわれのような消防本部署を置いたところは需要額一ぱい使っておりますが、ここにも団長さんおりますけれども、消防団だけでやっているようなところは比較的に消防経費をかけておらないというようなことからいたしまして、全国を集計すると、決算額においては需要額まで使っておらないというのが現状ではなかろうかと思うわけであります。そういうわけでありますので、交付税の算出の基準をひとつ御検討願って、現状に合うようにしていただきたいということを特に希望したいと思います。  それからもう一つは、現在、自治体消防制度でありますから、自治体が財政を負担することは当然でございますけれども、これはさらに国といたしましていま申しましたような補助金がございますが、いまの補助金は任意的なあるいは奨励的な補助でございますので、これを戦前のような警察費連帯支弁金といったような制度で、できれば三分の一程度国家が連帯支弁金的に持っていただけないだろうかということを希望いたしたいと思うわけであります。と申しますことは、ここにもちょっと書いてありますように、年間五百億、さらに無形の損害を加えれば三千億にもなんなんとする火災損害があるわけであります。これらが結局国のほうへは税の減免、減収というようなことで響いてきますし、またさらには大火が起きますればその地域の経済、治安、あらゆる面に渋滞、障害を来たすわけでありますので、消防という事務、事業が自治体だけでやるというたてまえにはなっておりますものの、それに国が若干の義務的な補助金を負担していただいて、両々相まったならば、さらに強化されるのではないかというふうに考えるわけであります。  その次の第四点、液化ガスの対策の問題でございますが、これもいま両参考人からいろいろお話がございましたとおりでございますが、要は、現在のところ消防は全然ノータッチでございまして、消防法の中に何とか取り締まりの面を挿入する、要するに消防法上の危険物に指定する、あるいは通産の所管でございますので、通産側の規定の中に、消防に届け出るとか同意するとかあるいは通報するとかいうようなことを入れていただきたいということを希望いたしまして、ここに四つの点を書き入れてございますけれども、いずれにいたしましても、その下の表にございますように、LPガスの伸び率というものは非常なものでございまして、昭和三十六年には四万四千トン程度の使用量でございましたのが、昭和四十一年度においては二十四万九千九百トン、二十五万トン近い消費量でございますので、これが消防対策につきましては、消防からも強力に関与できるようにいたしたいというのが私どもの希望でございます。  その次の第五は広域消防行政の問題でございますが、自治体消防制度の一番の悩みと申しますか泣きどころと申しますか、市町村単位というような関係から、市町村ごとにその強弱がございますし、また設備します消防力にも当然強弱がございます。そこで、高層建物一つできれば、はしご自動車はどこの市町村でもほしいわけでありますが、全部の市町村がはしご自動車を持つわけにもまいりませんので、数市町村合同して、一市町村がはしご自動車を持つ、隣の市町村は化学者を持つというような運営になると、非常に運営が合理的になるのじゃなかろうかというような面からいたしまして、広域消防行政ということを国からも御指導願っておるわけでありますが、これがまた市ごとに、財政の問題からいたしまして、大きい市町村がどうしても小さい市町村の分を負担するような関係になるものですから、組合消防とか委託消防とかいう制度が制度上ありましても、なかなか進捗しないような現況でございますので、これらもひとつ強力に国のほうから御指導願うのでありますが、先ほど申しましたような、国からも三分の一程度の義務的な補助が出ますと、こういう問題も非常に楽に進捗できるのではなかろうかと考える次第であります。  最後は、消防職員の勤務条件の緩和と申しますか、勤務条件をさらに強化していただきたいという意味でございます。と申しますことは、御案内のように全国の消防のほとんどが一昼夜交代の二部勤務制度をとっておりますけれども、これは火事へ行くというだけのことでしたらそれでもいいのでありますが、最近は御案内のようにいろいろ予防行政、さらには査察とか検査とか、日中骨内を巡回する度合いも非常に多くなっておりますので、どうも二部勤務制度ですと、当番日の翌日は非番日でありますので、結局オーバータイム、超過勤務をさせるというような関係から、なかなか能率が上がりかねておるような現状であります。これを当番、非番、そのあくる日は日勤、そしてまた当番、非番、日勤というふうに三部制度の勤務制度に変えていただくと、消防の能率も非常に上がるのじゃないかというふうに考えるわけであります。警察と必ずしも対比するわけではございませんけれども、警察は三カ年画の増強計画を立てて、全国の警察官が三部制度を実施する。もちろん大都市はもう現在全部三部勤務になっておりますが、そういうような状況下にもありますので、消防職員の勤務制度を改善弧化していただきまして、これらにつきましての消防能力の増強をはかっていただくことを強く希望するわけであります。  以上、資料がお配りしてありますので、ごく要点だけでありますが、よろしく御審議を願いたいと思います。(拍手)
  8. 奥野誠亮

    奥野委員長 どうもありがとうございました。  それでは次に、徳田参考人にお願いします。
  9. 徳田正明

    徳田参考人 福岡県の八女市の消防徳田でございます。本委員会に、特に小都市であります八女市の私を参考人としてお呼びしていただきましたことを非常に感激し、感謝申し上げます。  私が申し上げたいことは、二点にしぼりまして、特に現行消防関係の法令で救急業務を実施しておるわけでございますが、その問題と、いま山田参考人からお話がありました財政の問題について、二点をお話ししたいと思います。  全国の消防本部署は、いま申しますように六百四十ばかりありますが、その中で人口の少ない、いわゆる中小都市にランクします消防本部署は半分以上でございます。特に人口五万以下は二百四十の消防本部署があるわけでございますが、その中で現に救急業務を実施しております消防本部署が約百三十ばかりあります。それで、今回消防法の改正案によりますと、また先般政令で改正されました人口が五万以上、こういうようなところが救急業務を義務づけておる。実際はそういうふうな実情ではありません。消防本部署のあるところは、つとめて救急業務をやってくれぬかというふうな地域住民の強い要望がありまして、特に八女市の場合でも、人口は五万に何千人か切れますが、ライオンズ・クラブから寄付をいただきまして、私どもとしてはやれる体制ではありませんが、特に管内に国道三号線が縦貫しております、そういうふうな関係死傷者が非常に多いというようなことで、昨年の八月から救急業務を実施しておるわけでございます。ところが、この救急業務につきまして、先般の改正案によりますと、都道府県に補完と申しますか、補完行政で実施させる、そして人口五万前後の、現に実施しておる、救急隊を持っておる消防本部署はこの指定からはずすんだというふうなことでございますが、補完行政で、まだ救急業務を実施していない市町村のところに県で救急隊を設置するというふうなことになりますと、自治体消防で現に非常に無理して実施しておる関係と、どうも現実の問題が合わぬような気がするわけでございます。どうかそういうふうな面につきまして、実情の二百幾つかの消防本部署の五万前後の市町村の救急業務が十分やれますように、特に政令その他の改正、また国の消防法改正等につきまして要望したい、かように思っております。  それから二番目の財政についてでございます。現在、消防本部におきます消防力基準というのが消防庁で定められておりますが、それによりますと、八女市を例にとりますと、消防職員を約六十五名配置しなければいけない。実際は八女市の場合は現在二十七名おります。福岡県の十九の消防本部署の中で七番目でございます。新設の消防本部で一番人間が多い、こういうことでございますが、三十人、四十人前後の消防本部の中で一番困っておるのは、この人員の問題でございます。国の消防力基準によりますと、八女市の場合には六十五名置かなければいかぬ。そうすると、財政のほうの交付税の問題はどうかと申しますと、三十一名である、こういうふうなことでございます。ところが、実際に八女市にどれだけ交付税の算定があるかということをいろいろ計算しますと、八女市の財源を持ち出しておる分が四十年度で約六百万、四十一年で七百五十万、四十二年になりますと、さらにこれがふえるわけでございます。そういうふうなことでございます。消防本部署を設置しておる市町村におきましては、現在交付税の補正段階、こういうふうなことのみでは十分な消防力の充実はできません。現実に二十七名の職員が救急業務を、地域的な強い要望で実施する、また火災にも出動しなければいかぬ、こういうふうなことでございますので、どうか人員一人当たり、また国の基準をもっと現実に近いランクに切り下げていただきまして、その分は国で交付税として見るのだ、こういうふうなことにお願いしたい、かように思っております。  なお、救急業務の問題でさきに申しましたが、八女市の実情を二分間ばかり地図によって説明いたします。  この区域割りの分が八女郡でございます。二十九年の町村合併で八女市が誕生したわけでございますが、八女市は現在これでございます。それで、これが広川町でございまして、これは立花町でございますが、ここが久留米市になります。そうすると、現在消防本部はここの位置にあるわけでございますか、この国道三号線――赤の線か国道三号線でございます、これが縦貫しております関係上、交通事故が非常に多い。それで、私のほうとしましては、広川町から、また立花町から非常に強い要望がありますので、人命に関すること、また出動しなかった場合に新聞等で非常に非難を受けるわけでございます。そこで八女郡の中に消防本部が一つしかないわけです。それで消防団の訓練、また日ごろの火災出動、そういうことも応援協定のあるなしにかかわらず、やはり消防の問題でございますので、現実には出動しておる、こういうふうなことでございます。救急についても、ここの三号線、特に三号線につきましては出動しなければいかぬだろう、こういうことで出動しておるわけでございますが、その出動する場合に、ほとんど五割以上は通過住民でございます。鹿児島の人とか福岡市の人、また関西、広島の人、こういう人がこの三号線を車に乗ってずっと上り下りする、そして交通事故を起こす。そこで、広川、立花町に組合消防または救急の応援協定を結ぼうやないかという話を現実にしましても、私のほうの人ばかりけがをするんじゃありません、通過住民で、よその方がけがされるので、これはやはり国で何とかこういう面は見てもらわなければあなた方もたいへんでございましょう、こういうふうなことでございます。そうすると、実際に困るのは消防本部で働いておる私以下二十七名でございまして、国にいろいろそういうことを聞きますと、救急業務協定を結べばいい、いま私が申しましたようなことを話されるわけです。それで、あなたのほうは指定になっておらぬ、そうしたら、あしたからしなくていいか、こういうことになるわけでございますが、今日の救急業務が各消防本部署で事実行為としてされておる以上は、なかなか政令指定になっておらぬから救急業務しないというわけにはまいりません。どうかそういう面を十分御賢察くださいまして、本委員会でよい成果をお願いしたいと思います。  以上。
  10. 奥野誠亮

    奥野委員長 ありがとうございました。  それでは次に、城之内参考人にお願いします。
  11. 城之内元衛

    ○城之内参考人 茨城鹿島神栖消防団長城之内元衛でございます。ただいまから参考人としての意見を申し上げます。  御承知のとおり、昭和二十三年消防組織法が施行されて二十年を経過した今日、国をはじめ都道府県、市町村及び消防関係者のたゆまない努力によりまして、現在の消防にまで盛り立ててきたのであります。しかしながら、自治消防たてまえをとっている現在の消防制度下におきましては、市町村の財政事情及びその他の事情から、一挙に消防力を理想的な段階にまで到達させることはきわめて困難であって、幾多山積した諸問題をかかえながら、消防力の拡充、強化に懸命の努力を続けている次第であります。したがいまして、これら諸問題を早期に解決するためには、国、都道府県の強力な御援助と御協力をお願いしなければならないと思うのであります。それで、消防団員の一人として常に身にしみ、感じている幾つかの問題点を申し上げるものでございます。  まず第一は、消防団員の確保の問題であります。企業の地方進出は農業地帯の青壮年層の大きな働き場になっているため、消防団員のほとんどがこれらの職場に流れ出まして現金収入の道を開いておるのでありまして、昼間における火災には全く消防団員の活動を期待することができない現況に置かれているのであります。本県におきましても、十年前の昭和三十二年には七万五千人おりましたが、現在では四万四千人となっており、基準団員数より一万七千人少ない状況にあります。  この対策として、消防の常備化、団員の処遇改善、あるいは教養訓練の徹底など、国におきましても適切な施策をとられているのでありますが、これらの方策も焼け石に水といった状況にあります。ゆえに、さらに団員確保のための施策が強く望まれる次第であります。  次に、市町村財政状況と消防施設の問題であります。茨城県における市町村の財政事情は、昭和四十年度において歳入二百八十四億六千四百万円、歳出二百七十三億九千八百万円になっており、形式収支残高は十億六千六百万円となっておりますが、実質収支は六億七千万円にとどまり、前年度から見て八・二%の低下を示しておるのであります。また、赤字団体も二団体から九団体にふえているのであります。  消防費におきましても、予算総額の約三ないし四%程度にとどまり、その少ない財源の中から消防力の増強のために年間約一億二千万円程度投資いたしております。しかし、一向に充足率の伸びを見ておりません。これが原因とするところは、一に市町村合併当時に整備したポンプの更新時期に入っていることと、二には各地に諸団地造成が行なわれ、その地域の施設強化に追われているからでございます。茨城県下を申し上げますと、昨年度の国庫補助は二千五百九十三万円、県費補助は七百万円交付していたのでありますが、充足率は遺憾ながらポンプにおいて四〇・二%、水利において一七・六%といったところであります。  これらを考え合わせるに、もっともっと国及び道府県の補助政策を増強していただかなければならないと思うのであります。さらには、起債の増額と償還期限の延長、消防施設基準額の改定など、時宜に即した施策を望むものであります。市町村消防費予算の約九〇%に相当する火災損害額を毎年出しているという現実の上に立って、消防力の増強は急務中の急務であると考えられます。  第三点といたしましては、予防消防行政の面でありますが、近時、建築物の高層化、危険物製造所等の激増等によりまして、消防に課せられた職域はますます拡大され、さらには、これらに対する知識と技術が要求されてきているのであります。現行においては、防火管理者制度、消防設備士制度、危険物取扱主任者制度及び各種保安要員制度等多くの施策がとられております。これらも形の上ではまことにまとまったように見受けられるのでありますが、残念ながら中身は空転の連続でありまして、これらの制度が一〇〇%に活用できる日がくることを期待しているのであります。  また、関係法令、すなわち建築基準法及び高圧ガス取締法等と消防法との関連を考えるとき、何かが不足しているのではないかと思われるのでありまして、これらも強力に整理されるよう望むものであります。  以上申し上げましたが、最初に述べたとおり、市町村は消防を十分に果たす責任が課せられており、市町村の消防に要する経費は、当該市町村がこれを負担するという現行消防制度に、市町村消防力の低下または現状維持ということが続くのではないかと考えられます。すなわち、国において法律改正または財源措置が行なわれているにもかかわらず、市町村の財政が追いつけないのが現在の市町村消防の実態と思われます。  ちなみに、私の村の消防の実態を申し上げて御参考に供したいと存じます。  私の村、すなわち神栖村は茨城県の東南端にあって、鹿島灘と利根川に面し、人口およそ一万五千五百、面積七十二平方キロの純農村であります。  消防力につきましては、現在八百四十二名の団員を擁し、二十八分団の編成によって、およそ二十一の密集地を対象に消防活動を行なっております。また、本村は水防管理団体の指定をも受けておりますので、消防団員即水防団員でありまして、水防の任も課せられているわけであります。  機械力につきましては、現在三輪ポンプ自動車一台、手引き動力ポンプ二台、小型動力ポンプ三十台をそれぞれの地域に配置しております。しかしながら、これら現有の消防力をいわゆる国の示す消防力基準に比較してみました場合に、団員については若干多過ぎる傾向にありますが、消防ポンプについては充足率三八・九%という低い率であり、また水利施設につきましては七・四%というあまりにも低い率であります。もっとも本村の水利につきましては、いわゆる基準に適合した水利施設は前述のとおりはなはだしく不足いたしておりますが、村財政の負担軽減という考えから、地下水を利用した深井戸をおよそ十年間に三百五十ほどつくりまして、現在これが平常の火災には相当の効果をあげております。  次に、財政的な面を申し上げますと、本村の消防費予算は、三十六年度が四百十六万円で、自来年度を追うごとに増額され、四十二年度におきましては九百六十万円が計上されております。これを総予算と比較いたしますと、各年度ともおよそ三%ないし三・五%の比率になっております。なお、本年度の消防費を性質別に分類いたしますと、人件費が三百十二万円で三二・三%、団員の退職報償金掛け金、施設の補助等の補助費等が二百九十五万円で三〇・七%、旅費、需用費、備品購入等の物件費が三百五十六万円で三七%という割合を示しております。  次に、本村における火災発生状況を申し上げますと、三十二年から四十一年までの十カ年間の発生件数五十件、罹災棟数六十二棟、被害額およそ五千九百五十万円でありまして、これを各年に平均いたしますと、一年間に五件発生し、六棟を焼失し、五百九十五万円の損害を出していることになります。もっとも、火災発生は年々多発化の傾向にあり、損害もそれに比例してふえている現状であります。  なお、これを原因別に見ますと、数件の放火、落雷によるものを除いては、すべて失火によるものでありまして、そのほとんどが炊事場やふろ場などの火の不始末と子供の火遊びによるものでありまして、こうしたことからも予防消防の必要性が痛切に感じられるわけであります。  以上が本村における消防の概況でありますが、私が昭和三十年から消防団長として現在まで、直接消防に従事してきた体験から、消防について申し上げますならば、これは前にも述べたとおりでありますが、いわゆる消防は、「紺のはっぴのえり元に火消頭と書いてある」という歌の文句じゃありませんが、はっぴは四百年の消防の歴史と伝統、そして、その底をとうとうと流れる愛郷精神と人間愛を秘めて、江戸時代のいきな町火消しの名残りをいまにとどめているわけであります。しかし、経済の成長に伴って社会構造が複雑化し、人間の生活様式が高度に近代化された現時点で消防を考えてみますときに、単に愛郷精神の発露だけで消防を論ずることは非常に危険なことだと思われるわけであります。すなわち、消防も社会の進展によって対象物が年々歳々複雑多岐となり、火災の様相も非常に多種多様になってきていることを考えてみますに、これに追いついていくには、消防精神もしかることながら、やはり時代に即した科学的な要素をもっと取り入れ、すなわち、消防機械の増強と近代化、それに対する知識の修得が当面の急務と考えられます。また、火災のほとんどが失火に原因していることを考えますときに、予防行政の徹底化をはかることもまた急務かと思われます。これ以外にも、先ほど申し上げましたように、団員の確保、団員の処遇改善、常備消防など、消防の近代化のためには幾多の問題が山積しておりますが、こうした問題を現実に移して解決していくためには、自治消防とはいえ、貧弱なる地方財政ではいかんともなしがたく、やはり国庫に相当の御負担を願わなくてはならないわけであります。すなわち、国庫補助の引き上げ、また老朽化した機械設備の更新を認めていただくなど、財政面での大きな援助を必要とするわけであります。  特に私の村におきましては、御承知のように、現在工業整備特別地域の指定を受け、重要港湾に指定された鹿島港を中心として、臨海部に一大工業地帯が造成されようとしております。こうしたことから考えてみましても、国の施策である地域開発が進められるにつれて、そうした地域での消防力もまた急速に近代化の必要に迫られるわけであります。このような特殊事情に処するためにも、国は単に補助金の増額にとどまることなく、特殊な地域に対する特別な財政措置をも十分にお考えをいただきたいと思うのであります。  以上申し上げまして、参考人としての私の意見発表といたします。(拍手)
  12. 奥野誠亮

    奥野委員長 ありがとうございました。  以上で、参考人の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 奥野誠亮

    奥野委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。木野晴夫君。
  14. 木野晴夫

    ○木野小委員 ただいま各参考人から消防の現地の御苦労の状態、また御健闘のありさまをお聞きいたしまして、心強く感じておるのでございます。  消防といいます仕事は、縁の下の力持ちだとわれわれ一同心から感謝いたしております。また、参考人から、災害は忘れたときに来ると申しますか、最近の災害の現状を聞かせていただきまして、非常に得るところがあったのであります。私、参考人方々に気のつきましたところを申し上げ、また御意見をお聞かせ願いたいと思うのでございます。  まず第一は、なわ張りということでございます。参考人の話にございましたが、東京空港消防隊がおりまして、最低の基準だけは備えてあるということでございますが、これは東京の消防庁管轄に入っているのでございますか。また、どうなっているのでございましょうか。聞きますと、東京の消防庁の出張所ができた。そして、荒垣先生がおっしゃいましたのは、空港消防隊であると聞いておりますが、こういった点、どうであろうかと思うのでございます。  また、東京空港と同じような問題が大阪にもあると思います。大阪は、兵庫県と大阪府にまたがっておりますが、ああいったようなところの消防はどこの所管になっているのでございましょうか。  そしてまた、最近、海岸の埋め立て地帯がございますが、その場合に、川を隔てて、ここは何々市、隣は何々市、隣は何々町となっている。ところが、工業地帯は一体となっておりますから、そういった場合にどういうふうになっておるのでありましょうか。  また、参考人から話がございましたタンカーの問題、そういった場合の湾内の権限、それはどうなっておるのでありましょうか。  いろいろあるような気がいたすのでございます。そういった場合に、私は、最近の消防仕事が、これが技術の点からも非常に厚田化してこなければならないと思うのとともに、実は広域的な消防というものを考えていかなければならない。その場合に、自治体消防でありますが、場合によりましては、神奈川県と東京都でありましても、またがるところの地区消防隊というようなものもあってしかるべきではなかろうか。  そしてまた、先ほど外国の話がございましたが、国家消防隊というものがあってもいいのではないかと思うのでございます。こういった現在の自治体消防と、それから広域化いたしました場合の組織、機構の問題、そういったものにつきまして、参考人から御意見なりをお聞かせ願いたいと思うのでございます。  その次に、消防庁の権限の問題でありますが、たとえば、火災原因不法建築があるというような話がございました。不法建築の場合に、これは建設省の所管だと思うのでございますが、その場合に、もっと消防庁消防職員の権限があっていいのではないか。そういった点に権限の拡大する余地がなかろうか、ないしは、それを一本化することによって、強力かつ簡素化できる点はなかろうかと思うのでございます。そうすることによりまして、消防職員のモラルの向上といいますか、職責に対する士気の高揚というものをはかれるのではないかと思いますので、そういった警察、建設省その他の権限の点につきまして、消防職員に与える点はないだろうかという点が第二でございます。  それから第三に、消防職員の士気の高揚ということが非常に大事ではなかろうかと私は思うのでございます。といいますのは、先ほど話がございましたが、火災原因には、不法建築ないしは交通違反、そういったものがもとになってきております。そして、その災害の防止にあたりまして、けがをしたり、ないしは人命を失っております人が消防職員の方々にはあるわけでございます。そういった意味で、私は、表彰といいますか、それについてもっと考えていただきたい。ないしは、どういったことがよかろうかと思うのでございます。  実は、私の地区で先般南海電車の大事故がございましたが、事故の救急に当たりましたのが消防団員でございました。そして、それを受けたところの救護に当たったのが各地の病院でございます。病院につきましては厚生大臣の表彰がございました。消防につきましては、私は、まだ消防庁長官の表彰ないしは大臣の表彰を聞いておらないのでございます。現地の各病院は、救助に当たって非常に力を尽してやっておられましたが、それに劣らず消防職員も血まみれになって救出に当たっております。こういった方々の表彰についても考えていただきたいと思うのであります。  最後に、私は、プロパン事故その他いろいろの事故ないしは火災事故を見てまいりますと、何と申しますか、人命尊重の点が欠けている、日本人にはプロパンが危険であるが、しかしながら、そこまで十全にやる必要はないんで、このくらいはやむを得ぬというような安易な考え方といいますか、人命尊重の根本的な考え方が足らないと思うのでありまして、教育といいますものを非常に痛切に感じておるのでございます。そういった点につきまして、参考人の御意見をお伺いいたしたいと思うのでございます。  いろいろ多岐にわたりましたが、まず第一のなわ張りにつきまして、荒垣先生、それから山田先生にお伺いいたしたい。それから各種の権限につきまして山田参考人、そしてまた表彰その他につきましても山田先生、それから徳田、城之内各参考人方々に、それから教育につきまして荒垣参考人にお願いいたしたいと思います。
  15. 荒垣秀雄

    荒垣参考人 私しろうとだもんですから、あまり詳しいことは存じあげないのですけれども、この軍の飛行場でない民間空港飛行場ですね。それについては、国連に国際民間航空機構というものがあって、その協定によって国際空港消防力基準というものができておるんだそうでございます、したがって、東京とか大阪とかいうところは、国際空港としてその基準にまあまあ合致したものを持っておるわけでして、それは言うまでもなく、やはり飛行機を管理しておる運輸省管轄のもとにおける空港消防というものがあるわけでございますね。ところが、先ほども申し上げましたように、空港消防の実態というものが十分ではない。ことに飛行場で大量のガソリンを持っておる飛行機が発火して、しかも多数の旅客がいる、一瞬を争うというようなときに、寸刻を争ってこれを消火し、救助するだけの十分な施設を持っていないわけですね。それで、まあそういう場合に、外に、つまり自治体消防東京消防に応援を求めるということなんですけれども、あそこはどれくらい離れていますか、かなり遠いんですが、全速力で、フルスピードで来れば二分くらいで到達できるところらしいんですけれども、交通が混雑したり、濃霧が発生したりなんかすると、アプローチに相当時間がかかるということもございますし、また、飛行場滑走路のことですから、かってに入れないというようなこともあるものですから、外部から応援に来た消防隊がそこに入るのにはそういったいろいろ繁雑な手続みたいなものがあるわけですね。そこで、そんなことで手間どってしまって、大切な貴重な時間を空費してしまうというようなこともあるわけなんでして、今度運輸省と自治省、消防庁との間でいろいろ話し合いができて、あの空港の中に東京消防庁の出張所というものができて、それが消防車化学消防車や救急車なんかのそういうものも持って、あの中に待機するということになって――これはまだなっていないのですね、話し合いが進んでおる程度のようですが、これが実現すれば、いまの役所の管轄の問題の法規改正をしないままでできるわけなんですけれども、やはりできれば、飛行場の中なんかの事故は非常に一瞬を争うものだけに、どっちかに一元化する。運輸省飛行機のことはやるけれども、火災発生した場合にはやはり消防庁にまかせる、専門家にまかせるということのほうがいいんじゃないか。たとえば、空港ビルそのものは、これは東京消防庁の責任にあるんでしょう。ビル火災が起こったときには東京消防庁がやるんです。しかし、その飛行場の中の滑走路の中で飛行機事故を起こした場合は、これは運輸省管轄空港消防がやるという、まことにややこしいことになっておるわけですね。そういうところをもう少し、別にお役所がなわ張り争いをしておられるわけではないと思うけれども、自治体消防なら自治体消防に一元化して、空港ビルも、空港そのものの中の事故も一元的にやるというふうにしたほうが機動力も発揮できますし、それから、日本飛行場はあぶないぞ、うっかり行くと、日本事故が起きると死んでしまうぞというようなことだと、日本国際空港の信用も非常に失墜することになるわけです。東京や大阪でさえもなおかつこれくらいの弱体なんで、その他のローカル空港に至っては推して知るべしです。いわゆる天皇コースというものがございますけれども、陛下が大分の国体においでになったときに、初めは大分の空港着陸される予定であったのが、急に変更になって、福岡着陸をされて、福岡から汽車で大分においでになった。われわれもそれ以後それにならいまして、九州へ行くときには大分や熊本なんかにはおりないのです。天皇コースを通って、福岡へおりて、そこから先は汽車で行くということを私自身もしておるわけですけれども、ローカル空港なんかのそういった消火、救急の設備というものは、非常にこれはそういう設備があるとも言えないくらいのものらしゅうございまして、そういう点で、日本空港というものは非常にたよりない消防力、救急力しかないということを痛感するわけでございます。  それから、不法建築のことは私でなくてよろしいのでありましょう。教育のお話がございましたが、これは崎川先生のほうにお願いいたします。私それだけでよろしゅうございましょうか。
  16. 山田義郎

    山田参考人 お答え申し上げます。  ただいま空港消防のことに関しましては、荒垣参考人からお話のあったとおりでございます。ただ問題は、なわ張り争いしておるわけではありません。ただ両者が協定いたしまして、現在持っておる消防力を効率的に運用するという方針には変わりありません。しかし、私どものほうでは、あすこへ出張所をつくるべく、もうすでに三年ばかり前に化学車二台を買って、現在羽田に配置してございますが、空港のほうで土地を提供してくれないものですから、いまだにできない一番ガンになっておるわけです。それで、カナダ航空事故が起きましてから、またそういう問題を蒸し返しまして、先ほどお話がありました滑走路内の消火栓とか貯水池とか、それから協定とかいう問題をできるだけ話し合っておるのですが、いまだに私どものほうの出張所がまだ土地問題で未解決のままになっておるような現状であります。ただ問題は、やはり空港空港消防力で、運輸省所管、要するに空港管理者が常備するという形でございますが、私のほうは、やはり反面消防組織法上の管轄区域でございますので、決して権限争いというようなことでやっておるわけではございません。いま申しましたようななかなか隘路がございますので、今後極力努力いたしまして、隘路を打開して、できるだけうまくやりたい、かように考えております。  その次の、タンカーの問題に関しての港湾内消防の権限、限界というような御質問と思いますが、これはいま消防法上から申しますと、岸壁に係留しておる船舶は私のほうの一応消防対象物になっておるわけであります。もちろん外洋、内海、港湾の中は保安庁の一応所管というような形になっております。しかし、保安庁は現実には消防力を持っておりませんので、その点は、いま東京港に関しましては、なすり合いとか権限争いとかはいたしませんで、全面的に、私のほうで消防艇を十一隻持っておりますし、消防に全責任を持ってやっている気持ちでございますけれども、法的には、いま申しましたように、若干そこに食い違いがあることは事実でございますので、今後こういう点も御検討をお願いいたしたいと存じます。  それから県境、市境にまたがる場合に、消防隊をどうするかという問題でございますが、これは県境にしろ市境にしろ、やはりいま自治体消防というたてまえから市町村ごとにつくっておりますので、その問題は、結局先ほど広域消防のところでも申しましたように、相互に応援協定を結ぶとか、同じ県下内でしたら委託したり受託したりして、ちょうど東京都下十六市が東京都知事に対しまして消防業務を委託しております、私らはそれを受託いたしまして、いま一本化してやっておりますけれども、そういうような形をとって有無相通ずる形式でやるほうがいいと思います。しかし、現実の問題といたしますと、やはり応援協定なり、あるいはまたいまいう委託、受託というような問題が、財政問題等がからみましてなかなかむずかしい点がありますので、事が思うほど順調には運んでいないというのが現実でございます。  その次に、不法建築に対する消防庁の権限という問題でございますが、これは消防法によりまして建築主事が建築許可をする場合には、その前にあらかじめ消防庁の同意を経なければならぬということで、私のほうには全部の出願書類が回ってきます。私のほうは、それに対してイエス、ノーを与えて送り返しておるという形をとっておるわけであります。しかし、現実の問題といたしましては、私のほうでイエス、ノーを言う場合は、防火、消防に関するような面だけに一応限定しておるような形であるわけであります。でありますから、不法建築の全面的な責任は、やはり建築を許認可する建築当局、建築主事の責任であると私は考えております。しかし、それかといって消防的な面、特に建蔽率違反というような問題は、すぐ隣の建物建物がくっつけば燃焼するというようなこともになりますので、そういう問題は消防も極力排除するようにつとめておりますけれども、都の外周地帯における現在の土地状況からいたしますと、なかなか守りかねているのが現状のようであります。その他、でき上がった建物を無届けで増改築するというような不法建築はないでもございませんけれども、これらの点は、先ほど申しましたような消防の平素における検査、査察等によって摘発をして、できるだけその改善に努力させております。けれども、これも私のほうでどうも十二分に検査、査察するだけの余力もございませんものですから、思うようにはまいりませんが、最近建設省のほうから消防と協力して違反建築の一斉検査をやろうということも申し入れられておりますので、今後さらに一歩進めていきたいと思っております。  その次に、士気の高揚に関連いたしまして、不法建築からの火災によって公傷を起こした場合とか、南海電車の事故に対する表彰というような問題の御質問がございましたが、これは不法建築によって消防戦闘中に事故を起こしたから、あるいはそうでない建物だからといって、消防士がかりに公傷を受けたにいたしましても差別はいたしておりません。私どもといたしましては、やはり火災が起きれば不安があるわけですから、その危険とか不安を除去するためにベストを尽くすという方針でやっておりますので、そういう点に関して士気が上がるとか上がらないということはないと思いますが、問題は、やはり火災でけがをしたような場合には、できるだけ厚い法の援護をしてやる。それからまた、先ほど申しましたような南海電車の事故等によりまして非常に活動しました現地の消防署、消防団員等に関しましては、これは国のほうの消防庁でお答えすることかもしれませんが、所定の手続きをいたしますれば表彰されることと思います。  最後に、プロパン事故等に関しまして人命尊重の念が欠けておるのではないかという点でございますが、これはまだ人命尊重へいかない前の不注意が私は非常に問題だと思うのでございます。たとえば、この間も葛飾のゴムを溶解する工場で、工員が三日ばかりかぜを引いて休んだから、あしたから出るといって、夜届けに工場長のところに来たわけですね。中小企業の小さい工場です。そこで、自分はゴムの溶解にガソリンを使っているのですから、たばこを吸ってはいかぬということを知っていながら、ひょっとたばこを吸って、ぽんと火事を起こして大きな事故を起こした例がございますが、そういうふうに、人命尊重とかなんとかいう念より先に、不注意が介在して事故が起きている。この不注意を除去するためには、教育訓練に待たなければならぬわけですが、これも火災予防その他でいろいろ宣伝につとめておりますものの、なかなか一般のそういう住民のすみずみにまで不注意を除去する教育訓練ということになりますと、容易ではございませんが、消防といたしましては、極力そういう点にも努力をいたしてはおります。  以上、お答え申し上げました。
  17. 徳田正明

    徳田参考人 お答えいたします。  表彰の問題につきましてだけ申し上げますが、私もいま先生が御質問されましたように感ずるわけでございます。事実は、地方の消防本部にいきますと、私は八女市に勤務する前に、福岡県の田川市の消防本部に勤務しておりましたが、炭鉱災害がありまして、大きな水没事故また炭鉱の火災事故、二件ありまして、たくさんな死傷者が出たことがございます。テレビ等でも報道されまして、御存じのように、出る画面は、はっぴを着た消防団員や消防本部に勤務しておる作業服を着た消防職員が出るわけでございます。事実現場でいろいろそういう救助その他をしますと、ほかの関係につきましては、通産省その他からいろいろ表彰について問い合わせがあるようです。消防の場合は、いろいろ都道府県を経由しまして表彰を具申するわけですが、けがをしておらなければいかぬとか、特殊ないろいろな制限があるのでございます。同じ人命救助をする場合、特に消防の士気の高揚の面で、数のワクはありましょうが、そういう特殊な災害の場合――また三井山の災害があったわけでございます。また大牟田、こういった場合も同じ消防団員が出動するわけでございます。こういう特殊なときには、上のほうから特にそういう特別の配慮を願って、具申がおくれるとかいうことのないような線で、上のほうからいろいろと考えていただくと非常に幸いじゃないかという感じがいたします。  以上であります。
  18. 城之内元衛

    ○城之内参考人 お答えいたします。  団員に与えられます待遇と申しますのは、団員の報酬問題と次に表彰制度であります。国の表彰制度を見ますと、藍綬褒章、黄綬褒章、生存者叙勲、功労章、永年勤続功労章、そのほかに団体章といたしまして表彰旗、竿頭綬を与えているのであります。わが茨城県にも割り当てがありまして、以上の割り当てによりまして上申をしておるのでありますが、この上申に該当する方が相当数おりまして、非常に当局が苦労しておる次第でございます。したがいまして、この割り当てを拡大していただきまして、消防士気高揚の一面になるならば幸いと思います。私は、父親が明治四十三年から消防組長をやりまして、明治、大正、昭和と、過去の消防組長、現在の団長でありますが、これを二十一年間、私は十三年、三十四年間親子でやりました。表彰は受けておりませんが、士気ますます上がりまして、努力をいたしております。しかしながら、一般のものは必ずしもこれによって算定することはできにくいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  以上でございます。
  19. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私に対する御質問じゃございませんが、ただ南海電車についての事実だけちょっと補足をさせていただきます。  南海電車関係の表彰の点につきましては、関係消防団、それから関係の医療機関に対しまして、消防といたしましても消防表彰規程に基づく表彰状を授与することにいたしております。たしか七日の日に知事から伝達をされるということになっております。私のほうは、すでに決裁を数日前に済ませております。
  20. 木野晴夫

    ○木野小委員 参考人から丁寧に御回答いただきまして、ありがとうございました。  私ちょっと一言だけお尋ねいたしますが、広域化の問題で申し上げましたのは、東京都でいいますと、東京都消防の総監は、三多摩とかそういったところから受託する、それとともに神奈川県のほう、京浜工業地帯といいますか、そことも同じくらいに密接にやらなければならぬのではないか。先ほど荒垣先生の話がございましたが、災害につきましては神奈川県、東京都ということはございませんので、実は京浜工業地帯というところで一つにならなければいかぬのじゃないか。そしてまた大阪でいいますと、大阪、神戸、兵庫といったところが一体となってしなければいかぬのじゃないか。そういった意味で、この際地区消防といいますか、そういったものをもう少し密接にやられたらどうかということを申し上げたいのでございます。
  21. 山田義郎

    山田参考人 お答え申し上げます。  東京の三多摩の十六市から消防業務を都知事に委託、知事のほうは受託いたしまして、それで現在、東京消防庁としては、東京、三多摩一体として消防行政を行なっております。川崎とはどうかという問題でございますが、現在川崎とは委託、受託という形ではやっておりませんが、相互応援協定という形で、お互い川一つ隔てて隣接している市同士でありますので、その点は十分消防力を活用して災害の防除に当たっております。さらにそれを広い意味で、もう少し広域化したらということは確かでございますが、応援協定で一番問題になりますのが、お互いの市の勢力が同じくらいだというのが一番いいのでございます。これは相互に応援協定を結んで、行ったり来たりできますけれども、たとえば東京と浦安、あるいは東京と埼玉県の大和町というようなところと応援協定を結んでおりますけれども、これは一方的に行くだけで、向こうから来るということは期待できないわけであります。しかし、東京といたしましては、そんなことはかまわずに、そういう協定も結んで一方通行でもやっておりますけれども、これが地方へ行きますと、財政問題がからみまして、なかなかそうはいかないのが現実でございます。しかし、先ほども申しましたような点は、何とか参考人として申しました義務的、分担的な補助金でも出ると非常にやりやすくなるということを申し上げたいと思います。
  22. 奥野誠亮

    奥野委員長 細谷治嘉君。
  23. 細谷治嘉

    ○細谷小委員 まとめて御質問申し上げますので、それぞれからお答えいただきたいと思います。  最初に、荒垣先生は消防審議会委員をなさっておるのでお尋ねいたしたいことは、消防法にあります別表、これはずいぶん古色蒼然たるものなんで、近代的な別表になっておらない、こう思うのであります。さらに、この消防法というのが、危険物につきましては特別に政令が詳しく設けられまして、その政令を受けてまた省令があります。その省令等に書いてあります危険物でありますと、たとえば勝島倉庫の爆発になりましたメチルエチルケトンパーオキサイド、こんなものは省令のほうには出てくるのでありますが、別表には「過酸化物」と書いてあって、文字どおり無機物の過酸化物しかないわけですね。ですから、私は消防法、それを受けての政令、省令というのが、体系が非常に混乱しているのじゃないか、こう思っておるわけなんです。これについて、消防審議会委員もなさっていらっしゃいますから、ひとつこの辺のことについてお聞きしたいと思います。崎川先生は特にこの方面についていろいろと啓蒙的な論文も書かれていらっしゃるわけです。この別表が現在の消防に当てはまるに値するものかどうかという、学者としての率直な御意見をひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。  次に、山田総監にお尋ねいたしたいのでありますが、せんだって私は、小委員会消防庁を見せていただいたのであります。消防庁が昨年発行した「東京の消防」というパンフレットを拝見いたしますと、国がきめました基準に対しまして、消防ポンプ自動車というのは、あるいは消防署なり所というのは八割程度あるわけでありますが、はしご自動車、化学自動車等になりますると、五〇から六〇%程度、救急車というのは確かに一〇〇%近くなっているのです。消防吏員というのも半分くらいしか充足されていない。先ほど八女消防長か、六十一名かの基準に対して二十七名ばかりしかいないと言われた。これまた半分です。しかも、これは特別区と三多摩地区を比べますと、三多摩地区は、消防士というのは基準に比べて三分の一くらいしかおらぬ。ところが、東京消防庁総監の年来の願いというのは、二部勤務を三部勤務にしたい。しかし、二部勤務、三部勤務なんという議論の起こるような状態にないわけなんですね。富裕団体といわれる東京消防庁消防力といたしまして、これにも書いてありますけれども、三十六年から四十一年の実績というのは、化学車はほぼ計画どおりいきましたが、ポンプ車なんというのは五分の一くらいしか充足していない。三多摩あたりになりますと、六分の一くらいしか充足していないという事情なんですね。ですから、基準に追いつくために努力しているかと思うと、そうではないのです。基準からもっともっとだんだん離れていくような現況にあるわけですね。これは主として財政上の問題かと思うのでありますが、これについて、現地の総監として千百万人の生命を預かっておるわけですから、ひとつ率直な御意見を聞かしていただきたい、こう思っておるのであります。  それから第二の問題は、私は四月二十日付の全国消防長会が出したたいへんりっぱなパンフレットをいただいたわけです。山田総監が会長であります全国消防長会の「液化石油ガス保安行政に関する要望」となっておりまして、「消防法の中に、液化石油ガスのスタンド、充てん所、販売所等の施設に関する構造、設備、管理等の基準を設け、災害予防行政の徹底をはかること」それから第二は、家庭用のことで、第三は、「タンクローリーによる路上運搬の危険性は、火災発生の危険とともに、ガス漏出による広範囲の爆発、延焼にある。このため、L・Pガスの運搬について消防が責任のもてる態勢をとるため、石油類と同様な規制をはかることとする。」申すまでもなく、これは別表に入れてほしい、こういうことなのであります。ところが、第五十五国会に出ておりまして、いま参議院が審議を始めようとしております消防法の一部を改正する法律案になりますと、皆さん方の要望とはほど遠い。少し進んだということで、消防庁あたりはちょっと胸をなでおろしているんじゃないかと思うんですが、内容はほど遠いんですね。ただちょっと届け出をすればいいというんですね。届け出をするだけで、おたくのほうで基準をつくる権限があるわけじゃない。ただ届け出をすれば、ああ、そうですか。ものも言えないわけです。ちょうど先ほどの羽田のあれで、火事が起こったら消してやるぞ、だから土地を何とかしてくれといっても、なかなか土地を物色してくれないというような現状でありますから、私は、皆さん方消防関係者としては最低限の内容の要望だと思うんです。それとはほど遠い法案しか出てないのであります。なかなか言いにくいところでありましょうけれども、お聞かせいただきたいと思うのであります。  それからもう一つは、先だってブラッセルのデパート火事がありまして、私は、新聞や週刊誌で、若い女性が空中を飛躍している姿を見たわけです。幸いさかさまになって飛び降りてはおりませんで、ちゃんと立っておるのですけれども、落ちたときはおそらく死んでいるでしょう。そういうことでありますが、先ほど荒垣先生がおっしゃった人命救助――おたくのほうで調べた資料を私は拝見したことがあるのでありますが、この国会の周辺で、消防法の基準に合う建物というと、衆議院と参議院の三つの会館ぐらいらしい。あとは御本尊の消防庁のある人事院ビルはじめ、みんな消防法にはずれている。消防法の規定する退避施設というものを備えておらない。おたくのほうの調査に出ておったと思いますが、人命ばかりでなく、貴重な文化財も燃えていくという段階でありますので、二、三年前のおたくの資料と現在でも変わっておらぬのかおるのか、この辺をひとつ率直に教えていただきたいと思うのであります。  それからもう一つ山田総監に申しわけないのでありますが、先ほどちょっと御意見が出たんですが、どうも消防というものは県もやっていいじゃないか、国もやっていいじゃないかという意見があった。これは私はよろしくないと思う。自治体消防というのは貫くべきだ、こういう観点に立っておるわけです。ところが最近、新潟地震のあのコンビナート火災で驚いてしまって、自衛隊まで三次防の中に化学消防大隊を二個大隊置くんだ。いってみれば、コンビナートに対する現在の消防力がないということです。日本消防力の不備をたな上げして、そんな消防にまかせることはできぬ、自衛隊にやってもらわなければいかぬというのは、ますます消防組織を混乱させる。いってみれば、消防力を弱体化させるゆえんではないかと思うのであります。そういう点について、私は自衛隊が自衛消防力を持つということはあたりまえのことと思うが、よそまで応援するための化学消防大隊を二箇大隊つくるということは、これは消防庁は一体なめられているのではないか。一体どういうことでそういうことを考えているのかという気がするのであります。ひとつ第一線で東京都の消防をやっておられます総監に、この辺の消防組織の基本的なあり方――そんなような意見が出るのは、私は現在の消防力が劣弱だから起こっておると思うのでありますが、この辺についての御意見を聞かせていただきたいと思います。  徳田さんに一つお聞きしたいのでありますが、あなたのほうで大体引っぱり出されるのは、よその町に応援にいかなければならぬということです。新設消防署でありますから、おそらく火事のないときはいかにも遊んでいるのではないかということで、救急業務というものは消防に押しつけられたのではないかと思うのですが、これは警察がやったっていい。ところが、救急業務というものは、いまは火事よりも頻発して、東京では一カ月一万件ずつ救急車が出動している。たいへんなことです。そういうことになってまいりますと、新設消防で今度の消防法の改正で必置が押しつけられて――しかも、ライオンズ・クラブなんかからもらった自動車があるから、ひとつやろうかといってやってみたら、たいへんな負担になっておるわけです。おたくもおそらく二十七名いるうちの五、六人は救急業務にかかりきりじゃないかと思う。いってみますと、逆に人員が三分の一くらいしか基準にないわけですから、現実に消防の訓練、平常の予防訓練という形がどうしても手抜かりになっておるのではないかと思う。ですから、救急業務をやるならやるとしても、ことしは千五百名ばかりの定員が消防でふえるのでありますけれども、こんなことではどうにもならぬと思うのであります。その点で、二十七人のうち大体どのくらい救急業務に専任になっているのか。この辺のことをお教えいただければと思うのであります。あなたのおっしゃる区域外はどうする、財源措置はどうするのか、いろいろな問題がありましたが、その点を具体的にお示しをいただきたいと思います。  城之内さんに、きょうの新聞に書いてあるのでありますが、消防署員や消防団員で、遺族の方には何か消防庁あたりで奨学金というものをくれるということですが、たいへんいいことです。いいことでありますが、いろいろなことを消防庁は考えて、前向きで消防団員のことを考えてきたようでありますが、現在消防団として一番やってもらいたい具体的なものは何か、それをひとつずばりお聞かせいただけたら、こう思う。  先ほど表彰の話がありましたけれども、けがをした場合のいろいろな問題とか、いろいろあるでしょう。今度はそういう災害による消防団員等の補償の問題は、九百円だったのが千三百五十円で、これはたまったものじゃないという、東北のほうから財政負担のことでだいぶ強く陳情も起こっておるようでありますが、団として、いろいろございましょうけれども、何を一番団員は望んでいるのか、こういう点を具体的にお聞かせいただいたら幸いと思うのであります。
  24. 奥野誠亮

    奥野委員長 細谷君の御了解を得たいと思うのであります。おあげになった別表は、荒垣参考人関係がなく、崎川参考人関係があるそうです。
  25. 細谷治嘉

    ○細谷小委員 審議会の委員として御意見がおありだろうと思って、お聞きしたんです。
  26. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 審議会の中で危険物部会と特殊災害部会と、部会を二つ設けて御審議願っております。先生の御質問の点は、危険物部会で御検討願っております。荒垣先生はそのほうの部会に所属しておられませんので、崎川先生にお答えいただくのが適当かと思います。
  27. 崎川範行

    ○崎川参考人 あの別表なるものが今日の実情にそぐわないことは早くから認められておりまして、その問題が具体化してまいりましたのは、先ほどお話しになったメチルエチルケトンパーオキサイドの爆発のときに、その薬品があの別表では第一種の危険物の中に入っている。これはそういうことから問題が始まりまして、そして今日、消防審議会におきましてあの別表を全面的につくりかえる、そういうことになりまして、東大の工学部の難波桂芳教授が委員長になりまして、いま全面的なつくりかえ、そして現在の実情に合った分類、そういったことを作成する作業中でございます。現在かなり進行しておりますから、間もなく答申が出ると思います。
  28. 山田義郎

    山田参考人 お答えいたします。  東京消防庁消防力が、国の基準について、ポンプについては八〇%、その他については四、五〇%の現状にあるのに三部勤務とはという御質問でございますが、これはまあ国の基準が、御案内と存じますけれども、財政的な基準と、国の消防庁のほうで財政ということを抜きにした消防力基準と、二色ございます。この消防力基準というのがなかなかややっこしゅうございますけれども、十万都市を一応の母体として組み立て、それを東京のような大都市に引き延ばすというような関係から、この基準のこしらえ方、読み方というものが非常にむずかしいわけであります。そんな関係からいたしまして、これを論議いたしておりますと、なかなかこれ道遠しで、いつまでも結論が出ませんので、一応の数字を基礎にいたしまして、基準を出した関係から、東京消防庁の現有勢力とはこのように非常に隔たりがあるわけであります。しかし、これとてももちろん数年来この基準に追いつくように努力はいたしておりますものの、なかなか、御案内のように財政事情その他からいたしまして、二部勤務によるところの基準へ追いつくことが困難な現状にあるわけであります。しかしその反面におきまして、先ほど来お話がありましたように、いろいろと消防体制も複雑化し、科学化してまいりますので、さらにその査察とかあるいは検査とか、そういうような消防行政的な事務を強化する必要から、どうしてもその基準に追いつくという方向よりも、同じ経費をかけるにいたしましても、二部勤務から三部勤務に方向を変えて人員のまず充足だけでもしていこうというようなことからいたしまして立案いたしました関係から、三部勤務ということを、先日御視察いただいたときにも、また本日も申し上げておるようなわけであります。そういうようなわけからいたしまして、地方の消防へ行きますと、もちろん三部勤務どころか、まだ二部勤務をさらに充実しなければならぬという過程にあることは事実でありますが、それはまたほかの参考人からの説明で御了承願いたいと存じます。  その次にLPガスの問題に対します私の全国消防長会としての要望書といいますか、希望書と申しますか、お願いと申しますか、それと現在の実情とはあまり隔たりがあるではないかということは、お説のとおりであります。ただ時間的に、それはLPガスという問題を取り上げたときに、通産省の所管になっておりますが、消防の別表を入れるか入れないかというようないろいろな問題があったときのそれは陳情書でございます関係から、いろいろなことを盛りだくさんに盛り込んだのでございますけれども、国の消防庁と通産省とのいろいろな話し合いからいたしまして、消防のほうには届け出義務を、それから通産省の関係の法律のほうには、消防に関するいろいろな許可したときは通報するとか、いろいろなことを一応盛り込むことに了解がついて現在に至っているというふうに聞いております。通産省のほうの法案がいまどの程度まで進んでおりますか知りませんが、一応そんな関係からいたしまして、その要望書と現実とは若干誤差がありますけれども、その陳情書、要望書をつくった時点は、まあ消防の別表の中に入れていただくといったような前提に立っての陳情書でございますので、その辺ひとつ御了承願いたいと存じます。  その次に周辺官庁の消防施設の問題でございますが、二、三年前と現在とはどうかということでございまんが、現在のこまかい資料をちょっと持ち合わせておりませんが、二、三年前に申しましたのは、そういう消火せんとか避難階段とかいう、そういう問題でなくて、消火器とかなんとか、そういうこまかい消防設備等が欠けておるというようなことを指摘したことがございます。その後それぞれ官庁の管理者といろいろ話し合いまして現在に至っておるわけでありますが、必ずしも充足された満点の官庁ばかりではございません。不十分な点もないでもございませんが、これはまた今後におきまして、さらに話し合いを続けまして設備していただくよういたしたいと考えております。  最後に自治体消防の問題でありますが、これは御説のとおり私も自治体消防は貫くべきだという強い考えを持っております。ただ三次防等におきまして、自衛隊が化学消防大隊をつくるとかつくらないとかいう問題でございますが、これは私は反対でございます。同じそれだけの国費を投入するならば、やはり平常時の消防にも役立つわれわれ自治体消防の側に国費を投入していただきたいということを言いたいわけであります。  そんなような関係からいたしまして、本日の資料の第一にも、消防の現況といたしまして、先ほど申しましたように、戦前に比較いたしまして、戦後消防本部署が六百幾つもできたということは、やはり消防の性質が自治体消防に適しておるからでもあります。ただ自治体消防といたしますと、一番泣きどころが財政的な脆弱さでありますので、自治体消防の線はあくまでも貫く、その半面に、国が若干のバックアップをしていただきたいということをお願いするわけであります。  以上であります。
  29. 徳田正明

    徳田参考人 お答えいたします。  救急業務の問題でございますが、特に、消防本部署でいまやっておるのを警察にやらしたがいいじゃないかというふうな質問もあったわけでございます。現在長い消防の歴史、また事実上たくさんな範囲で現在消防本部署をやっております。そういうふうな関係で、十分財政またその他の整備をすれば、警察よりか、むしろ消防本部署のほうが実際に合うじゃないかというような感じがいたします。当直員の員数その他につきましても、十分そういうふうなことを感じます。  もう一つ、私のほうは新設の消防本部署でございますが、二十七名のうち、救急隊員として警防要員を兼ねて六名指定しております。六名の中で申、乙ありますので、当務員が三名、三名のうち運転手であります機関員が一名、それから分隊長、監督者が一名、一般の救急隊員が一名、こういうふうな組織で動かすわけでございます。火災の訓練また予防のいろいろな行政につきましても、全然手薄になってやれぬのではないかというふうなことでございますが、十分そういうふうなことのないように、多少の勤務の過重になりますが、いろいろ組み合わして実施しております。  なお、人員につきましては、私ども現地の小さい消防本部署で見た場合、先ほど申しますように、消防力基準はあまりにも絵にかいたもちのように感じますので、たとえば人口千人に対し消防署員一名ということで、すっきりしたものにしてもらいたいと思います。  なお、他の市町村にいろいろな関係で出動しておりますが、この問題につきましては、特に組合消防と申しますか、特殊な機関消防として現在の法令でいろいろと一部事務組合をつくれるようになっておりますが、なかなかむずかしい問題がありますので、そういったことで自治体消防の中で組み合わしてやれば、十分やれるのではないかというふうに感じております。
  30. 城之内元衛

    ○城之内参考人 申し上げます。  現在自分たちとして最もやらなくちゃならないことは何かといったら、やはり消防でありますからして、水利の面が悪い。すなわち、充足率が私の村において七・四%、これで火事が起きたならばまことに申しわけがない。よって、まず第一に水利の問題を解決しなければいけない、かように考えております。それからもう一つ、ポンプの数が三七%というところの充足率でありますが、これまた非常に低い率でありまして、村民の、部落住民の期待に沿い得ないんじゃないか、かように考えております。  もう一つ、団員につきまして特に私が希望いたしますのは、教養、訓練の徹底であります。消防は、言うならば組織ある団体でありまして、一挙手一投足命令によって動きますとともに、その命令をうまく利用して本来の職務を果たすわけでありまするが、現在の自治体消防団員の訓練をいたしておりますというと、例を言うならば、速足行進をやる場合において、最初の発進が右足であるか左足であるかというようなことがわからぬ者がある。あるいはまた挙手の敬礼は右手で敬礼することにきまっておるのであるが、左手でやって、これではまずいですかと聞く者がおる。これは本気で聞いておるのでありまして、私は、それはどちらでもいいのであるが、規定によりまして右手ということになっているから、皆さんは右手でやることになりますぞと、かようにやっておるわけでございます。その他回れ右の動作においても、そういうような個々の動作まで指導しなければならぬというようなことでありまして、今後における団員の教養、訓練は非常にむずかしい問題と思います。しかる場合において、私どものほうでは、消防学校並びに県のほうから職員に来ていただきまして訓練していただくわけでございまするが、まことにお恥ずかしい次第でございます。過去、いまから数年前は軍隊出身者が多うございましたから、そういうような手数も省けて直ちに操作訓練、操法訓練ができたのでありまするが、現在はまず各個教練から始めなくちゃならぬ、かようでございます。  終わります。
  31. 奥野誠亮

    奥野委員長 小委員及び参考人方々に御相談申し上げたいのでありますが、いろいろな事情がございまして、四時半までには終わりたい、こう考えておったわけであります。お尋ねいただく方がまだお二人ございますので、お尋ねいただく方も参考人方々も、簡明に質疑応答に御協力いただければしあわせだ、かように考えますので、よろしくお願いしたいと思います。依田圭五君。
  32. 依田圭五

    ○依田小委員 それじゃ簡単にお聞きしますが、山田さんに二点だけ。一つは、最近高層化してまいりまして、たいへんな地下街ができたり、あるいは最近市街地開発法がまた出ますが、おそらく通過するということになると、東京なり大都市の情勢は非常に変わってくる。現在三十一メートル以上の区域あるいは地下三階以上については、特に消防法あるいは条例などを強化したようでありますが、現在の状態でよろしいのかどうか、いろいろ申し上げたいのですが、簡単に、満足なのかどうか。  それからもう一つは、火災の発見なんですが、いま望楼だとか火災報知器、あるいは道路につけた火災報知器、あるいは電話等を使ってやっておりますが、統計上一体どれが有効で、これをひとつ合理化するというか、望楼なんか役に立っておるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。  非常に質問の趣旨が簡単ですから、おわかりじゃない点はひとつくんでお答え願いたいと思います。  もう一つは、東京工大の崎川先生にお聞きしたいのは、最近消火器の研究なんですが、消防大学校あるいは消防研究所等を通してだいぶやっておるわけなんです。しかし、私も十年ほど前に地方議会の消防委員をやりましたが、当時と非常に格段の進歩をいたしておるということは一応考えるわけなんですが、家庭に対して、相も変わらずPTAやその他の地域団体を通して、粉だとか、そういった消火器のいろいろのものを持ってくるわけですね、これでやれというようなことを指導されたり、PTAやその他婦人会がやっておるわけです。何か画期的なものはないか。単に家庭の問題だけでなくて、もっと大きな問題、たとえば何か大阪の方では新しいことを始めたらしいのですが、大学の研究機関と消防研究所あるいは消防大学との連帯は十分に行なわれておると思いますが、その辺について、大学側のお立場から御意見があれば、ぜひこの機会にお聞かせ願いたい。これが一点。  もう一つは、細谷さんの方からお聞きいたしましたが、従来救急業務の警察移管論というものがあります。これをひとつ荒垣先生に、報道機関の朝日においでになりますから、救急業務の警察移管論というものがだいぶあるのですが、これについて一言その御意見をお聞かせ願いたい。
  33. 山田義郎

    山田参考人 まず第一問の、超高層あるいは地下街等に対する消防の設備が現在で十分かということでありますが、結論的に言えば、まずだいじょうぶであるというふうに思っております。ただ新しいケースが続々と出てきておりますので、絶対安全かと言われますと、ちょっと答えが鈍りますけれども、一応現在のところ法規で許される可能な範囲の最強の消防設備をしていただいておりますので、まずだいじょうぶであるというふうに考えております。特に霞ケ関の超高層建築等につきましては、高層部分につきましては、建築主側がスプリンクラーであるとか、消防専用階段であるとか、消防専用のエレベーターであるとか、そういうような他のビルにないような設備をしていただきまして、消防とマッチして、安全の万全を期したいと考えております。  その次に、火災発見について望楼は必要であるかどうかという問題でありますが、昨年東京都内に七千八百件の火災がございまして、一番多いのは一一九の報知電話でございます。これが五千六百五十六件、約七二%ございました。その次が警察電話で七百八十五件、約一〇%でございます。望楼は百四十七件で二%ございますが、二%といいますと、百四十七件は必ずしも数は多くございませんけれども、それだけ燃え上がって、炎が屋根を突き抜けて初めて発見できるわけでありますから、二%といいましても、ほかの火災の二%とは比べものにならない延焼拡大性があるわけであります。そんな関係からいたしまして、都心部におきましては付近に高層建物ができておりまして、視野の悪い場所もありますので、漸次休止いたしておりますが、周辺地区あるいは三多摩地区においてはまだまだ望楼は必要である、かように考えております。
  34. 崎川範行

    ○崎川参考人 消防器に関しましては、昔の消火器に比べまして飛躍的に有効であるというようなものがまだでき上がっておるとは言い切れないと思います。今日ABCと言っております粉末消火剤、あれが一番いいとされております。で、家庭におきます消火剤消火器は、消防庁の検定のない安いものがたくさん入っております。その点で、はたしてその内容が、十分効果があるものかどうか、疑問なものがあるのではないかと考えます。また消防庁検定のものというのは比較的値段が高いので、一般の家庭に入りにくい。そういう意味で、先ほど私、それを貸して、貸し賃をとって、そして安い費用で、富山の薬みたいなそういうやり方はどうだろうということを申し上げたのはそんな意味でございます。  それから消防大学と一般の大学との消防技術に関する連絡というような問題でございますけれども、今日の大学の教育におきまして、消防とかあるいは安全工学に関する領域というものは非常に貧弱でございます。そのために大学が消防のほうに援助をしているというようなことは、消防大学校に一部の大学職員が講義に行く以上のことはないわけでございます。これはアメリカの例で申しますと、アメリカの大学の工学部には消防工学科あるいは安全工学科というのがございます。今日の消防職員というのは非常に科学的知識を必要といたしますので、そういう学校を出た学生を消防職員に任用するというような、そういうことが私は非常に大事なんではないかと思いまして、教育の面で、そういうことも考えていただきたいと思っておるわけでございます。
  35. 荒垣秀雄

    荒垣参考人 消防の救急業務というものは、私のおぼろげながらの記憶によりますと、たしか戦前の昭和何年ころでしたか、警視庁に重田消防部長という方がおられまして、そのころにだんだん交通事故がふえてまいりまして、そして法規によらないで、消防のサービスとして救急業務が始まったのがそもそもの始まりだと思うのです。それがそのままずっとサービスとして続けてこられて、したがって予算の裏打ちもなしにやってきたのが、戦後になりましてから立法をされまして、消防法か何か、その関係の法律の中に、消防の任務としてそれがつけ加えられたのじゃないかと私は思っておるのですが、そもそもの発生からしてそういう長い伝統がありますから、やはり従来どおり消防庁の任務として継続されるほうが適当ではないかと思います。ただ救急車も、さあっと行って、どんな病人かもわからないで乗っけて病院に持っていくというだけではなしに、無電の装置かなんかを持っていて、どこにベットがあいておるかということを確めながら――行ってみたらベットが一ぱいでだめだったというので、二つ三つ病院を回るうちに死んでしまったということがないように、それからもう一つは、救急車が出動する初めから、あの中に医者と看護婦くらいが乗って、とにかく止血とかなんとかいう応急処置ができるというふうに、もっと改善されればたいへんけっこうだと存じます。
  36. 小濱新次

    ○小濱小委員 私は荒垣論説顧問一つお伺いしたいと思います。あと山田総監にも一つお願いいたします。  先ほど、ドーバー海峡のイギリス沖における十二万トンタンカーの座礁事故についてのお話がございました、川崎コンビナートの問題と。イギリスの場合は外海であったために非常に被害が少なかった。東京湾内で起こる事故は、これは内海でありますから危険が感じられるわけです。そういう点で、いままでに起こったタンカー事故を調べてみますと、あの横浜港の問題、鶴見の沖、それから川崎、室蘭、こういう問題等があげられますが、いつの場合でも大きな事故を起こし、そうして消火の処置がないというような状態になって、もう燃え尽きるのを待っているというような状態で終わっているような結果の報告を聞いておるわけであります。その被害も、室蘭だけでも総額二十二億何がしになっておるようであります。また、いままでなくなった方々ももう数十人にのぼっておるわけです。こうした問題が最近科学消防ということで大きく取り上げられているわけですが、荒垣委員は先ほど、私はという何か謙遜のことばがございましたけれども、いろいろと経験深い立場から、この科学消防について、海上の油火災についての対策をどういうふうにしていったらいいのであろうか、これはその衝に当たる人々は真剣に考えてきた問題でありましょうけれども、特にそういうことに経験の深い荒垣さんから、率直な御意見あるいはまた名案でもあれば聞かしていただきたい、こういうふうに思いますので、お願いいたします。
  37. 荒垣秀雄

    荒垣参考人 経験などはないのでございますが、英国の海岸の資料も十分目に触れておりませんのでよくわからないのですけれども、あの場合は外海で座礁して、だんだんと油が漏れて、そして非常に風浪が激しくなって、だんだんと中の油槽が破れて広がった。だいぶ措置がおくれたようでして、あとから考えてみれば、初めから爆撃して油を全部焼きとってしまえばよかったのかもしれませんが、その措置がかえっておくれて、もっともこれは船主やなんかの承諾かなければ、あとから損害賠償なんか受けてたいへんなことになるそうですけれども、だいぶ広がってから、英国の海岸とか、あるいはフランスの海岸にまで広がるのじゃないかということからして爆撃が始まったので、かなり手おくれになったように聞いております。内海とか、小規模に油が漏れた場合は、いわゆるオイルフェンスとかいうようなもので船のまわりを取りまいて、油が拡散するのを防ぐ、そうしていろいろなあわ剤などでだんだん火を消すとか、あるいはおがくずみたいなもの、あるいは砂とかいうもので海底に沈ましてしまうとか、いろいろな方法があるのでしょうけれども、外海の場合は、まあ外海であったからこそ爆撃というようなことができたわけですが、これが日本瀬戸内海とか東京湾とか、そういうところになりますと、爆撃でその油を焼いてしまうことによって処置をするということは、これはとうてい不可能で、かえって大きな災害を招くことになりますから、これはたいへんなことになると思うのです。まあしかしその後の英国の現状もよくわかりませんけれども、たとえば油がだんだん広がって、海岸まですっかり汚染されたために、海水浴場としては観光価値もなくなってしまう。そのために軍隊や地元民が出て海岸の砂を洗ったり何かしておる。観光シーズンが来るまでにはすっかりきれいにしなければならぬために、たいへんな金を使っておる。それからエビの漁業なんかも、プランクトンが死滅してしまったために、非常に大きな損害を受けておるというようなことを聞いておりますが、外海でさえそういう状態ですから、内海というようなところでそういう事態が起きれば、そういう漁業の上の被害はもちろんのことですけれども、もしもこれに火がついて、沿岸の工業地帯あるいは都市にまで延焼するというようなことになったらとんでもないことになる。そういう意味で、先ほども申しましたように、内湾や内海に十万トン、二十万トンなんという大きなタンカーを入れることが、そもそもたいへんな危険をおかすことになるのじゃないか、だから、そういうものは外海にとどめる、そうして外海で何かプールをして、そこからパイプラインか何かを引くとかいうようなことを考える。海上交通の非常にひんぱんな航路を、そういう危険なものを乗せている、陸上で言えばタンクローリーみたいなものですね、これの大規模なものですから、これが交通ひんぱんなところを通るということ自体が非常に危険なわけですから、そういうところは通らないように、通る水路を指定する、そして航行禁止の水域を設けるというようなことをいまから講じておかないと、悔いを千年に残すようなことになるのじゃないかというふうに考える次第でございます。
  38. 山田義郎

    山田参考人 いま荒垣参考人から申したとおりでありますが、ただ消防といたしますと、万が一大きなタンカー内海火災になったということを考えますと、簡単に消えないという結論でございます。そこで、先般東京瓦斯の埠頭へ着きました二万トンばかりのタンカー消防設備を視察してまいりましたけれども、結論だけ申し上げますと、平生の場合に、万が一タンカーから火事が出たような場合には、ある程度消えるだけの消防設備があるように思います。ただこれが衝突したり座州したりして、破れて火がついたというようなことになると、タンカーとしての消防設備はゼロに近いと思います。そんな関係からいたしまして、来たる二十三日も、石川島造船で五万トンばかりのタンカーができ上がるので、それの視察にも行きますが、そういう結論を得まして、さらにタンカー消防設備は運輸省の所管でありますので、もう一歩進んだ消防設備の備えつけを慫慂したい、かように考えております。
  39. 小濱新次

    ○小濱小委員 もう一つ山田総監にお伺いします。いま荒垣顧問の御意見はよくわかりました。しかしながら現実にいま日本でも十五万トンの船ができておるわけですね、東京丸ですか。外国ではもうすでに二十万トン、二十五万トンの計画を立てておる。また日本のこの東京湾内にも二十万トンのドックもできているということです。こういう状態で、先ほども荒垣さんが言われたのですが、たよりない日本消防力、それからもう一つは起きてはならないそういう事故が一応想定されるということの話もあったようでございますが、そういう大惨事が起きてから対策を練っているという向きがあるけれども、そういうことではおそいのだということです。いろいろ聞いてみますと、川崎のあのタンカー事故が起こった、日本の二千トンの船と向こうの二万何千トンかの船と衝突いたしまして事故を起こした。あのときには、川崎には化学消防艇がなかった。その後四十トンの船をつくった。横浜のは三隻あるけれども、二隻は老朽船だ。一隻は三十八年につくった船である。東京には十一隻あるということでありましたが、はたして横浜の港、もう一つ向こうに今度は磯子の沖合いに港ができたわけですが、あそこまで東京の十一隻の船が全力を出して飛んでいって何時間かかるか、こういうことになりますと、油火災の警報を受けてから発動して飛び出しても、とても間に合わないだろうと思うわけです。そういう点で、そういう油火災に対する対策が講じられなくてはならない。聞きましたところでは、海上保安庁では昨年度何か一隻鋼船をつくりたい、こういうことで願ったところが、大蔵省で削られてできなくなってしまったということなので、新潟のあの火災を通して非常におそろしいことをわれわれは知っておりますが、この対策を急いでしなければならないな、こう思っておるわけです。そういうことについて、まことにたよりない日本消防力と、私はこの海上について申し上げたいのでありますが、そういう点について、これからの対策を大いに練ってもらわなくてはなりませんが、御意見を聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  40. 山田義郎

    山田参考人 起きてはならない事故が起こりがちでありますので、これに対する対策はいまから考えておかなければならないということ、当然でございます。そこで東京港と申しますか、横浜、川崎、東京、千葉を含めた東京湾内でそういうタンカーのような大きな事故が起きたらどうするかということでありますが、現在の消防力は御指摘のとおり必ずしも十分ではございません。特に先ほど申しましたように、保安庁との所管、あるいはまた市町村消防というようなたてまえからいたしまして、簡単に東京湾内における水上消防署制度というのを一気に増強することが不可能とも思いますが、しかし私といたしましては川崎、横浜、東京、千葉がそれぞれ自分で大きな消防艇を持つということはとても不可能だと思いますので、東京湾内を一つ消防単位と考えて、そして少なくとも百トンくらいの消防艇を置いておいて、そういうような事故に対しては最も急速に出動もでき、消火に当たれるような体制をとりたいというふうに考えて、一、二話を進めたこともないわけではございませんが、何しろ百トンくらいの船といいますと二億以上かかりますので、そう右から左にできかねているのが実情でございますが、御指摘のようにこのままでは決していいと思っておりませんので、何とか国の消防庁とも話し合いを進めて、いま申しましたような構想を今後において一歩前進させたい、かように考えております。
  41. 奥野誠亮

    奥野委員長 参考人方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次会は六月十三日、火曜日午後一時から開会することにいたしまして、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十五分散会