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1967-06-28 第55回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十八日(水曜日)    午後二時二十七分開議  出席委員    委員長 八木 一男君    理事 天野 公義君 理事 奧野 誠亮君    理事 小山 省二君 理事 板川 正吾君    理事 島本 虎三君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       八田 貞義君    三原 朝雄君       加藤 万吉君    河上 民雄君       工藤 良平君    中井徳次郎君       岡本 富夫君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君     ――――――――――――― 六月二十三日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として地  崎宇三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員葉梨信行辞任につき、その補欠として八  田貞義君が議長指名委員に選任された。 同日  委員八田貞義辞任につき、その補欠として葉  梨信行君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  公害対策基本法案内閣提出第一二八号)  公害対策基本法案角屋堅次郎君外六名提出、  衆法第一一号)  公害の顕著な地域等における公害防止特別措置  法案角屋堅次郎君外七名提出衆法第一二  号)  公害対策基本法案折小野良一君外一名提出、  衆法第一六号)  公害対策基本法案岡本富夫君外一名提出、衆  法第二四号)      ――――◇―――――
  2. 八木一男

    八木委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  ただいま運輸委員会において審査中の内閣提出公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律案について、運輸委員会連合審査会開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木一男

    八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、連合審査会開会期日等につきましては、運輸委員長と協議の上しかるべく取り計らうことといたしますから、御了承ください。      ――――◇―――――
  4. 八木一男

    八木委員長 内閣提出公害対策基本法案角屋堅次郎君外六名提出公害対策基本法案角屋堅次郎君外七名提出公害の顕著な地域等における公害防止特別措置法案折小野良一君外一名提出公害対策基本法案及び岡本富夫君外一名提出公害対策基本法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八田貞義君。
  5. 八田貞義

    八田委員 公害対策基本法精神というものが最もはっきり出ていたのは厚生省の原案であったと思います。それが各省、各方面との交渉の結果、精神では後退したと思います。したがって、厚生省の現有の業務のところだけが残ったとの印象が感ぜられます。厚生省の苦心と努力を認めつつも、なお次のようなことを質問いたしたいと思います。  まず、法文を通読しまして感ずることは、公害行政監督行政であるかのような印象の与えられることでございます。それは技術面の未発達技術行政官不足と能力の低いこと、行政組織の旧態と国民公害についての正しい知識不足は相まって公害行政立場を弱めていることを認める必要がございます。むしろ私は、政府当局かいままでの環境衛生行政の拡張ぐらいにしか考えていないのではないかとさえ邪推したくもなるくらいであります。  公害行政は、最も進歩した技術に裏づけられた技術行政官、それは知識だけ持っているのではなく、技術を駆使できる行政官の存在があって初めて具体化されるものであります。どこの国でも非常に高い技術行政官の試験による認定が行なわれていることを知る必要がございます。一つ条文解釈だけで事を進める警察官的厚生行政は、この公害行政発展を機会に再検討されるべきであると思うが、どうですか。
  6. 舘林宣夫

    舘林政府委員 公害対策のようなきわめて広般な、しかも都市づくりというようなものが根本となるような施策を、単に取り締まりのようなものを中心にして受け身の立場で実施したことによってはその目的は達せられないことは御指摘のとおりでございまして、従来のような個々企業取り締まり、制限というような限度でなくて、各種の国の施策基本的に考え、公害防止観点から施策を進め、予防的な視野に立って公害防止をはかるということが必要でございまして、この点から、従来の取り締まり行政に偏した厚生行政のようなものの考え方は十分改め、より広い視野からこの行政に取り組んでいく必要があるということは御指摘のとおりに思っております。
  7. 八田貞義

    八田委員 すなわち国民本位厚生行政というものを進めていかなければならぬ。そのためには技術中心とする行政官は、ことばどおりパブリックサーバントに徹することが必要であります。厚生行政技術行政官は、したがって専門職で一生を終わる人があってもよい、むしろ公害行政専門職でなければつとまらない。大気、水、騒音、それぞれが異なった自然科学での部門であることは、それぞれの専門職でなければならないことを示しております。諸外国においては公害行政官などはなく、大気汚染水質汚濁騒音振動はそれぞれ別の専門職であてられ、一生を過ごしておりますことは、機構づくりよりは責任体制の確立であります。役人づくりよりは専門家養成研究機関の整備にあると思いますが、いかがですか。
  8. 舘林宣夫

    舘林政府委員 公害施策を具体的に進めてまいります場合に、非常に高度の専門知識を必要とする点が多いわけでありまして、その決定のいかんによりましては、これが直ちに国民の健康に影響し、あるいは他面においては企業に対して大きな負担をかけるというような問題をさばくといいますか、処理する必要を生ずる点がきわめて多い。そしてこのような技術行政基本となって公害施策が進められるということは御指摘のとおりでございまして、それにしては今日このような基本法を制定して公害対策を幅広く進めようという今日の日本の実態は、その必要な技術者におきましても、あるいは学問研究におきましても、かなりおくれたものがあるということは御指摘のとおりでございまして、今後まず、各種機構あるいは単なる取り締まりのような規則をつくるだけではなく、それを実行し、正しく推進する意味合いでの技術の推進をはかる必要がある、かように私どもも考えております。
  9. 八田貞義

    八田委員 御承知のように、遠いようで近いというのは男女の仲です。近いようで遠いというのがたとえば親戚とか、さらに役所研究機関との関係というものが近いようで非常に遠いのですね。ですから、私が申し上げたのは研究機関行政に当たっておられる役所との関係ですね、これを密接にやっていきませんと、この公害行政というものは正しく進んでいかないのです。その点を私は特に申し上げておきたいと思うのです。  次いで、公害ということばでございますが、公害ということばわが国では乱用されておりまして、いろいろの意味に使われております。本基本法公害定義が与えられておりますが、これで一般国民は納得するであろうか。わが国で使われておる公害ということば意味するものは、大別しますと大体次のように分けられると思います。  その一つ公害現象総称として、たとえば大気汚染水質汚濁騒音振動本質的には大気汚染の一部にすぎませんが悪臭、さらに地盤沈下等一般市民はこのほか何でも現象面をとらえて公害と称しておるようであります。  さらにまたもう一つの分け方は、公害発生原因による総称として取り上げられております。たとえば産業公害都市公害交通公害建設公害生活公害、その他何でもこういった発生原因による公害というふうなとらえ方があります。  ところで、法理論によるところの公害概念というものを規定しておく必要があるのではないだろうか。これは英国におきましてニューサンスを二つに分けまして、パブリツクニューサンス、それからプライベートニューサンスという、こういうふうに法理論的に公害というものを分けております。本基本法では、第一条、第二条に見られることばからは、産業公害としての公害現象のうち大気汚染水質汚濁騒音振動地盤沈下悪臭パブリックニューサンス立場で取り上げているように思われます。ところが一方第六条では、生活公害自動車公害も取り入れておるように思います。しかし第一条がある以上、これは産業公害対策基本法としたほうがよいように思われるのですがいかがですか。
  10. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御指摘公害定義の問題でございますが、御指摘のようにイギリスのパブリックニューサンスといいますのは、原因者がはっきりしておりまして、それが公衆に対しまして生活妨害があるという場合にはっきりと私法上の損害賠償とかあるいはその他刑事上の責任を追及できる場合をパブリックニューサンスとして扱っているようでございます。本基本法公害という概念は、御承知のように、公害現象が昔は原因者がはっきりわかっておりましたけれども、それが原因者が複合化しまして原因者がはっきりわからないというような状態に最近なってきつつあるわけでございます。したがいまして、従来よりも現在公害という概念はだんだん広がってきております。したがって、公害対策上、いろいろの現象対策として取り扱わなくちゃいけませんので、そういう面で、この法律では公害というものを、大気汚染水質汚濁騒音振動地盤沈下悪臭という、現在日本におきましていろいろ各地で公害現象が起きております中で最も広範に起こっている問題、重要な問題を取り上げて、この公害対策対象といたしたわけでございます。御質問の、第六条で自動車その他の問題の産業公害対象として、はっきりしないじゃないかという御質問につきましては、自動車のような問題につきましては、それが大気汚染、あるいは振動、あるいは騒音といった問題として公害が処理されていくようにわれわれとしては考えております。
  11. 八田貞義

    八田委員 基本法自然科学立場要点があるのか、社会科学立場要点があるのかを明らかにすべきであると私は思います。この両者の区別を明確にすることは困難でありましょうけれども、基本法というたてまえは、立場が明確でなければいけないと思います。私は、基本法社会科学立場が強く出され、単独法自然科学的立場が表面化するものと思います。公害というジャーナリスティックのことばで表現されるすべての事象関係あるものを、何でもいっておこうというのは欲ばりであってうっかりすると基本法で問題が解決するというような錯覚を起こす危険がございます。この点、さらに御答弁願いたいと思います。
  12. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御指摘のように、法律上は、いま申しましたように六つの現象をとらえておりますけれども、その対策その他につきましては、先生がおっしゃいましたように、自然科学的な立場に立って当然はかられるべきものだ、かように考えております。   〔委員長退席板川委員長代理着席
  13. 八田貞義

    八田委員 ですから英国で発足し、いまでは世界各国が採用しているニューサンス法理わが国では確立していない、こういうふうに私は印象づけられておる一人であります。ところで、基本法は簡単明確に基本方針を述べればよいと思うのです。現在行なわんとする行政内容まで述べる必要があるのであろうか、こういうふうにも思うのであります。いわゆる公害についての学問的内容は年々大きく変化し、また発展しているのであって、現在あまりこまかく規定しておきますと、将来学問発展に対応した動きができなくなるのではないかということが気がかりになります。基本法改正がしばしば行なわれることは好ましいことではないと思うからでございます。この点についてもう一回見解を表明願いたいと思います。
  14. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御指摘のように、公害問題というものは年を追って内容的にも、あるいは質的にも変化する問題でございます。したがいまして基本法では、公害問題をどういうふうにしてなくしていくかという考え方なり、あるいは対策方針、そういったものをいわゆる理念的に、あるいは抽象的にうたっている問題でございまして、公害の中に含まれておりますいろいろ技術的な問題とか、あるいはそれに類するような問題につきましては、当然公害を除却する、あるいは防止する法律、あるいはその他の制度内容は、科学発達とともにそれぞれの対策が立てられるべきだと思います。先生の御指摘のように、諸外国におきましても、公害の規制についてのいろいろの基準その他につきましては、しょっちゅう検討が行なわれておりますし、またいろいろな制度も、そのつど技術的な改正が行なわれておるようでございます。
  15. 八田貞義

    八田委員 さらにまた、この公害対策基本法という法律を読んでおりまして、非常に形容詞が多いんじゃないだろうか。たとえば「国民の健康を保護する」とか、「経済の健全な発展との調和」、あるいは「生活環境を保全する」といったような、非常に形容詞が多過ぎるのですね。経済発展国民の健康の保護が対立しておるという前提は、現在のわが国公害現象の重要な前提一つではあっても、それは公害という現象の一部を表明しておるにすぎません。公害現象は、技術社会発展必然的現象であって、経済体制の罪であるとするのはもはや古い考え方であります。技術社会発展、つまり生産技術革新と、それに裏づけられた大量生産方式規模拡大、人口の都市集中生活条件向上は、公害現象を起こす可能性を内蔵しているのであって、その可能性を知り、防止するのが国の仕事であると思います。産業公害に重点を置くのは、行政年次計画の問題であり、単独立法の問題であると思いますがいかがですか。
  16. 武藤き一郎

    武藤説明員 御指摘の前段につきまして、国民の健康を保護するということにつきましては、この法律では絶対的なものと考えております。その点につきましては、「経済の健全な発展との調和を図りつつ、生活環境を保全することを目的とする。」というふうに規定いたしまして、「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」というのは、生活環境にかかっております。  それからもう一つの御指摘技術的な問題につきまして、単独法の必要があるではないかというような御趣旨だろうと思いますけれども、この点は、やはり公害現象というものがそういう問題をはらんでおりますけれども、その他の、それ以外の問題とも密接に関係しておりますので、やはりそういう点を含んだ総合的な対策なり、法規体系というものが必要かと思います。なお、先生の御指摘については、今後やはり検討すべき問題も含んでおると思います。
  17. 八田貞義

    八田委員 公害本質と、現在起こっておる公害現象とを区別することが必要ではないだろうか。基本法本質だけを取り扱えばよいと思いますが、この点いかがですか。
  18. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害本質的な問題及び基本的な問題を取り扱うと同時に、公害を総合的に防止する、あるいは対策を立てるということが必要かと思います。今日まで公害につきましてのいろいろな諸方策は、それぞれの問題ごと立法なりあるいは対策は立てられてきたわけでございますけれども、御承知のように、最近の経済の急速なる発展に伴いまして、あるいは急速な都市化現象ということが起こりまして、日本におきましては外国と違いまして急速にあちこちで公害問題が起きているわけでございます。したがいまして、個々対策あるいは技術的な対策のほかに、やはり公害対策をここでそれぞれの立場から共通すべき問題を取り上げ、また総合的に遂行する必要のある問題については、そういう方向から検討するということが切実に痛感されまして、今回公害対策基本法という基本的なあるいは総合的な対策法を立案したわけでございます。
  19. 八田貞義

    八田委員 私の質問のやり方が非常にまずいかと思いますが、私の考え方は、基本法というのは社会科学的な立場から、単独法というのは自然科学的な立場からというふうにあるのがほんとう法律の姿ではないだろうか、こういう質問趣旨でございます。  そこで、さらにお聞きしたいのは、第一条で事業者発生者または原因者という意味ことばで表現しない理由は一体どういう意味ですか。事業者発生者または原因者という意味ことばで表現したほうが、私はいいと思うのですけれども、特に事業者という名前で表現された理由は何ですか。
  20. 橋本道夫

    橋本説明員 法文作成の過程のかなり事務的な具体的なことでございましたので、私から御説明申し上げます。  ここのところをどうして原因者と書かなかったのかという問題でございますが、一つは、現在の時点では、産業公害の問題は事業活動によることが大きいということを重視いたした結果、事業活動という問題についての責務を問う場合には事業者という形の取り上げ方をするのが妥当だろうということが一点。もう一つは、費用負担のほうでございますが、事業活動にかかわる公害を防止するということは、当然に第三条の規定のごとく事業者責務になっておりますが、事業活動による公害を防止するための国、地方公共団体の実施する事業についての費用負担をだれに負わすかという場合に、原因者という形で書きますと、事業者以外の一般的な個人的な活動も含めてしまうという問題等もございまして、産業公害の問題を非常に重要視いたした形になっておりましたので、原因者と書かずに事業者という形で明らかにしたわけでございます。そのほかのものは、国として問われ、地方自治体として問われ、あるいは住民として問われる責務として第四条、五条、六条という形で分散して書かれておるというわけでございます。
  21. 八田貞義

    八田委員 その点が私はちょっとひっかかるのです。そうしますと、なぜ経済の健全な発展との調和をことさらに言わなければならなかったか、その点はどうですか。
  22. 武藤き一郎

    武藤説明員 「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」という字句は必要ではないのじゃないか、こういう御趣旨だろうかと思います。これにつきましては、国民の健康を保護することは絶対的でございます。ただ、生活環境といいますものは、産業がなかった時代には、まあ一例をあげますと、川のせせらぎは清く、また魚も住んでおったわけでございますけれども、やはり産業発展に伴いまして、あるいは工場を建てる、あるいは住宅を建てるというようなことが起こりますと、現実の問題として、その川もある程度の汚濁ということもやむを得ないような現象になるわけでございます。したがいまして、生活環境の問題は、やはり生活を豊かにする経済発展との調和は、国民生活向上と相まってある程度やむを得ないような現象も具体的には起こってくるわけでございます。したがいまして、もちろん経済を優先するという意味ではございませんけれども、現実の問題として、生活環境が、産業発展によって、産業がなかった時代よりもある程度変わってくるということは、ここではやむを得ないことでございまして、その生活環境経済とどう調和するかという問題は、その具体的な事象事象できめられるべき問題だと思いますけれども、そういう点を考慮しましてこの文句が入ったわけでございます。
  23. 八田貞義

    八田委員 説明は、私は不十分だと思うのですが、第三条に、なぜ無過失論が採用されなかったか。公害の場合、無過失ということがあるだろうか。発生源がなければ公害というものは発生しない。法律上はともかくも、道徳的には責任はあるはずであります。しかもまた「協力」というような道徳的なことば法律に書く必要があるかどうか、この点いかがですか。
  24. 武藤き一郎

    武藤説明員 この法律無過失責任の問題を扱うべきではなかったか、こういう御意見でございます。現在御承知のように、原子力によります損害とか、あるいは石炭鉱業のような問題につきましては無過失責任規定を認めている例がございますが、どのような範囲無過失責任を課するかということは、やはり過失責任を基調としておりますわが国法体系上、いろいろ均衡を考えていかなければいけない問題でございます。それから、公害内容が御承知のようにいろいろ複雑でございます。また発生者等も多様でございます。どのような型についてどのような範囲無過失責任を負わせるかということは、立法上なかなかむずかしい問題がございましたので、本法案では検討するに至らなかったわけでございます。今後この問題につきましては十分検討していかなくてはならない問題じゃないか、かように思っております。
  25. 八田貞義

    八田委員 いわゆる公害被害というものは因果関係で証明することは、特例を除いてまず不可能であろうと思います。疫学の方法でやっと証明されるものでございます。また、被害の起こる諸条件がすべて証明されていないのであって、したがって、過失かいなかを定義づける条件をあらかじめ規定することはほとんど困難な場合が多い。現在では一つ一つの例により新しい知見が加えられている段階であります。労働基準法原子力法にすでに認められている無過失責任論の必要は公害対策において特に強いと思われます。いまの御答弁では、単なる言いのがれにすぎないのではないだろうか。労働基準法とか原子力法にすでに認められている無過失責任論必要性を、公害対策においてなぜこれを法文化されておらないか、この点をもう少しはっきりと言ってほしいと思います。
  26. 武藤き一郎

    武藤説明員 いま御説明しましたように、原子力とか、労働基準関係あるいは石炭鉱業等につきましては、これは原因者が非常に特定できるわけでございますけれども、御承知のように、いま公害というふうにいわれている問題につきましては、どの発生者原因者であるかわからない場合が非常に多いわけでございます。したがって、無過失責任という問題をかりに取り上げたといたしましても、だれが原因者であるかわからないということになりまして、責任を追及することについてはまだ問題があるわけでございます。したがいまして、この問題については研究問題として残したわけでございます。
  27. 八田貞義

    八田委員 基本法に何でもかんでも盛り込んでいこう、こういった考え方でこの法文作成がなされているようであります。ですから、私は先ほど申しましたように、基本法というのは社会科学的の立場が強く出してあるべきであって、単独法において自然科学的な面を出すというのがほんとうは正しいのです。ところが、その両方ごっちゃにしちゃって、あれもこれも何でも基本法の中に盛り込んでいかなければならないということからいたしまして、私はその考え方無過失責任論というものをこの際は基本法で避けておこうというふうな結果になったのではないだろうか、こういうように思うのですが、この点はいかがですか。
  28. 武藤き一郎

    武藤説明員 先ほど御質問がありました、技術的な問題については単独法あるいは実施法段階ではっきりすべきであって、基本法におきましては社会科学的な観点だけで問題を処理したらどうだ、こういう御提案だろうと思います。御意見のように、実体法あるいは取り締まり法といいますか、そういう問題につきましては、やはり公害がいろいろ科学的な問題から起きておる問題もございますので、実体法の中におきましては、そういう体系中心に当然いろいろの諸法律が立てられるべきだと考えます。ただ、基本法の中にも、最小限の技術的な問題も、具体的には規定はないと思いますけれども、いろいろ関連するところには触れていることはやむを得ないことではないかと思います。
  29. 八田貞義

    八田委員 ですから、私は何回も言うようですが、無過失責任法理がまだわが国では確立してないというふうに感ずるのです。こういう点に非常に努力を今後とも払っていただきたいと思います。  それから、第四条、第五条を並べてみますと、中央集権的であるとの印象が与えられます。第四条で国の根本方針がきめられるのはけっこうでありますが、それが施策、政策といったような具体的なものとなると、第五条に移ると、この施策をそれぞれ地方でやれというように見えます。場合によっては国できめた施策より、よりよいことができないということが起こり得るのではないだろうか。たとえば現在でも大気汚染の警報、法律的にはこんな強い表現をとっておりませんが、大気汚染の警報で国で指示したものが亜硫酸ガスで〇・二PPM、二時間となっておりますが、地方によってはこれより厳重にしたいし、また可能である地理的条件産業条件があるのに、国の指示を上回ることができないで困っているということを耳にいたします。国は必要最小限、これ以上悪化することは許さないという程度の指示をすればよいのであって、あまり局地的の問題に口を出す必要はない。公害問題は、地方自治団体の若い技術官によって開拓され、鮮明され、何とか対策が進められてきた歴史的事実と事情はまだ当分続くことが予想されることを認めなければなりません。公害対策は広域行政を強く要求します。ことに大気汚染水質汚濁はそうでございます。この場合、広域行政の必要が地方公共団体責務の弱化を招くことであってはならない。そこで第五条はどんな意味を持ってくるのであろうか。大気汚染水質汚濁騒音振動地盤沈下自然科学的にはそれぞれ異なった学問説明されるものであります。発生条件、影響の起こり方、影響の評価は決してそれぞれ同じ科学で証明はできません。ただ社会科学面では同じ説明が許されます。いわゆる公害問題の説明、解説に大気汚染が利用されることが多いのであります。各審議会の答申や本基本法でも、どうも大気汚染がまず頭の中にあって、その大気汚染対策考え方に沿ってものが書かれているように思います。これは自然科学的には間違いであります。たとえば汚染技術的解決についてだけ見ますと、大気汚染発生源においてのみ解決されますが、水質汚濁発生源対策の上に公共投資による公共用水処理が付加されるのであります。大気汚染で、発生源対策を通った汚染空気を一カ所に集めて、公共投資によりさらに清浄化させるということは当分は絶対にできないことであります。大気汚染のこの公共投資が、いわゆる緩衝地帯の設置に当たるのでありましょうが、それはもう発生源対策と別の技術であり、考え方であります。このため各国は、大気清浄法はあっても公害防止法といったものはございません。こういった点から考えますると、私はこの第五条のあり方についての御答弁をいまの質問によってお答え願いたいと思います。
  30. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御指摘は、公害問題の処理のしかたについて、歴史的な発展過程から、やはり地方公共団体中心に、かつまたその地方公共団体におきまして技術的な問題が中心になって進められるべきである、こういう御議論だろうと思います。御指摘のように外国におきましても、地方のそれぞれの、アメリカでいいますと各州あるいは各市等でいろいろ公害対策が行なわれておりますし、ドイツにおきましても、最初ラントで公害対策が行なわれて現在に至ってきておりますが、御指摘のようにその後いろいろ公害問題が広範囲になってきまして、連邦政府が乗り出してきている実情でございます。日本におきましても、皆さま御存じのように、大阪、東京、福岡というような工業都市におきまして公害防止条例がまずスタートいたしまして、その後各地にいろいろの条例ができまして、その後いろいろ国がそれに対して対策を援助するという方向に至りましたことは先生の御指摘のとおりでございます。  この本案で、第四条、第五条と並べて、国のほうを先のほうに書いて、いかにも公害問題は国が第一次責任があって、次に地方公共団体がやるのだというようなニュアンスではないかというような御指摘でございますけれども、現在におきましては、そういう歴史的な経過のほかに、御承知のように公害問題が広範囲になってきていますし、それからまた国としていろいろ公害対策を積極的にやるべきではないかという議論もございますし、また、地方に対していろいろ援助をすべき問題もございます。したがいまして、国の責務にこの公害基本法では非常に重点を置いたわけでございます。決して地方の自主性なりあるいは歴史的な発展過程の事実を否定するものではございません。第五条では、住民の健康を保護し、生活環境を守るために、国の施策に準ずる施策を講ずるとともに、当該地域の自然的、社会的条件に応じた公害防止に関する施策を策定し、実施する責務を有するということをうたっておりますが、これは前段におきましては、国の施策と同種の施策を講ずることができる、たとえばばい煙規制法という法律がございますけれども、その法律に従いまして、国とそれぞれの責任分野を持って施策をやっておるわけでございます。それからその次の、自然的、社会的条件に応じた公害防止に関する施策をやるということにつきましては、先ほど申しました公害防止条例の中で、騒音の問題とかあるいはばい煙の問題とか、その地域、地域の特徴的な問題を、その地域にマッチした対策を、それぞれ条例をつくってやっているところでございます。
  31. 八田貞義

    八田委員 それに関連してずっと見てまいりますと、第二章で、環境基準がきまれば、あとはおのずから国の施策がきまるというような印象を受ける書き方には、机上作戦の感がいたします。環境基準ができ、それに応じて排出規制がきまり、排出規制が現在の技術技術的に満足できない場合には立地規制に至るということは、だれでも考えることができるし、そうありたいと思うのですが、具体的にこの順序でやれるというほど、学問発達は順序立っておりません。相互に連絡のつくのは将来のことであります。学者がこう考えられるということを、そのまま法律に書いてよいものであろうかどうか。
  32. 武藤き一郎

    武藤説明員 第二章に移りまして、第一節で環境基準というものを今回設けたわけでございます。この環境基準といいますのは、御承知のように、公害対策行政の目標になる施策でございます。それから第九条で排出の規制についてうたっておりますが、現在ばい煙規制法とか、あるいは水質保全法その他の法律によりまして水についてのいろいろの規制を行なっておりますけれども、この点は御指摘のようにまだ不十分でございます。それから土地の利用関係では、現在都市計画法等がございますけれども、こういうふうないわゆる計画法の運用について、従来まだ不十分な点がありましたので、今回政府でも都市計画法の改正等を計画しておるところでございます。御指摘の学者の言う順序でとおっしゃいますけれども、やはり環境基準なり、排出規制なり、土地利用の計画等は、どこが先でどこがあとということでなしに、総合的に運用がはかられなくてはいけない問題であろうと思います。
  33. 八田貞義

    八田委員 そうなんです。お答えのとおりなんです。環境基準、排出規制、土地利用及び施設の整備、それぞれが良心的の意味でアズ・ファー.アズ・プラティカブル、またはアズ・ファー・アズ・ポッシブルで並行して進めばよいのです。他がきまらなければこっちがきまらないというやり方は、責任のなすり合いと思います。総合計画は政治の最高指導方針で行なわれればよろしい。厚生省が他省に対し抵抗または優位に立ちたいという考え方がなければ幸いであります。もし環境基準がすべての施策中心になり得ると考えておるとしたら、思い上がりもはなはだしい。環境基準、排出規制、土地利用は、それぞれ異なった場の学問にその基礎を求めているのであります。言うならば、同じ場の中の順序ではない。この事情が公害問題の解決を困難にしているのであります。この困難をすなおに認め、協力してこれを乗り切るべきであり、ある立場が他の立場をリードするというような考え方法律の中にあるということに対して私は疑問を持つのであります。先ほどの答弁が、互いに協力してやらなければならぬということを強調されましたから申し上げるのでありますが、その精神でやっていく、これは公害問題に取り組んでいく正しい姿勢であろうというふうに思うわけであります。この点に対してもう一回御答弁をお願いいたします。
  34. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害対策は、あらゆる施策の総合的な調和のある対策が必要であるという御意見については全面的に八田先生の言われるとおりでございます。ただ、環境基準というものを今回新しく設けましたのは、現在いろいろの公害に対する施策がとられておりますけれども、現在環境基準というような施策についてはとられておりません。この点は新しい問題としてそこに特に重点を置くということではございませんけれども、やはり一つの新しい問題として十分に検討すべき問題であることは、政府部内でも一致した意見でございます。
  35. 八田貞義

    八田委員 どこの国でも、公害行政は、公害被害を受けるものの利益を守る官庁が総合的な責任を持っております。公害関係ある問題は、わが国役所で見ましても、すべての省に関係があり、それぞれ利害関係は相対立していると思われるくらいであります。どこの国でも、まず住民の立場から声が出て、やがてそれは害を出す側、現在では産業がこの対策に当たり、そして結局はまた住民の側に戻ってまいります。米国ではUSPHSが大気と水についてのすべての責任をとっております。決して狭い意味の衛生だけではなくして、パブリック・ヘルス・サービスは排出源対策、拡散機構、影響の調査と評価及びそれぞれの部門の研究の推進、地方の職員の配置、機構整備への資金的援助のすべての面を取り扱っております。被害者の立場でしか公害行政はあり得ないというのは米国だけでなく、世界各国共通の通念であります。わかりやすい例をとれば、自動車の排気ガスの規制、排気ガスを少なくする工学的技術研究は、ヘルス・サービスの行政の中で工学部門の人々が協力しております。とても日本では考えられないことでありましょうが、これが長年の経験の中から到達した結論となっております。同様に英国では、大気汚染のすべては住宅省の責任で進められております。  一方、公害研究でいえば、研究は全く各方面でどんどん進められておりますが、それを総合して行政面に利用するためにどうしたらいいかをきめるのが衛生当局またはそれに類似した当局の役目であります。行政権力を行使するところだけで研究が進められるとするような狭い考え方が通るほど公害問題は簡単ではありません。わが国公害関係ある行政が、各部門ごとに各省が発言権があるので、第二章のような書き方、すなわち、まず環境基準があり、他がそれに続くといったような書き方しかできないかとも思いますが、それでは救われないのは被害者であります。だからこそ、日本では厚生省の衛生技術官がもう一度深い反省をして、他省の行政官と同じ場で高次の討論のできるよう資質の向上をはからなければならぬと思いますが、いかがですか。
  36. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御議論は、欧米では公害対策の推進なり責任は衛生当局が負っておるではないか、日本厚生省はそういう点をもう少し技術官も含めて積極的な責任と権限を有すべきであるという御意見だろうと思います。この点は厚生省に対します御激励のことばと受け取っておきます。また、この席には各省の方々もおられますので、欧米等の行政のあり方についての御意見もいま聞いておられることと思いますので、こういう点はこの公害基本法が成立いたしました後におきましても、国民の健康と生活環境を守るということにつきまして各省は今後ともこれまで以上に協力していただくということについて、厚生省も協力を求めたい、かように思っております。ただ、公害対策基本法の主務管庁に厚生省が当たるようになりましたのも、やはり公害対策についての厚生省責任というものを負わされたものとして、厚生省自身責任の重大さを痛感しておるところでございます。
  37. 八田貞義

    八田委員 だいぶ時間もたちましたからはしょってやりますが、第二十一条で、事業者が国及び地方の行なう公害対策に費用の全部または一部を負担するとありますが、これは税金の二重払いになりませんか。公害発生者は、まず発生源対策に十分な費用を投資するのが当然であります。その他のことは各地方行政機関とその地区の事業者との間の話し合いで行政的にきめればよいと思います。基本法はなぜここまで書かなければならないのか、むしろ、税金を新しくつくったほうがいいのじゃないかというふうな感じが持てますが、いかがですか。
  38. 武藤き一郎

    武藤説明員 二十一条を置きました趣旨は、たとえば幾つかの工場がございまして、公害防止施設、たとえば排水処理施設というようなものをそれぞれつくらなくてはいけないということがありました場合に、技術的あるいは経済的な観点から共同でつくったほうがより合理的だ、あるいは短時間の間に一挙に整備したほうがいいというようなときでございます。それからまたグリーンベルトを共同でつくって、いろいろな公害防止に役立てるということが事業者にとって必要なこともあるわけでございます。そういう場合に、初めにそういう約束をいたしまして、国または公共団体が事業者にかわりましてその事業を行なう。それの受益の範囲内といいますか、そういう範囲内で全部の場合もあるし、大部分は一部であろうと思いますけれども、反射的な利益もあるわけでございますから、そういう場合に一部を負担するということをたてまえにいたしておるわけでございます。  第二項に「法律で定める。」というふうに書いてありますが、第一項のほうはそういう場合に負担するというたてまえ論を書いたわけでございまして、第二項の場合は、やや義務的に負担させる場合にそういう問題をこまかく法律で書いておかないとやはりよくないということで、法律的に書くようにしたわけでございます。
  39. 八田貞義

    八田委員 実際を申しまして私は基本法の問題じゃないと思うのです。これは単独法であっていいのです。  それから二十三条は、主として中小企業対策と思いますが、これも非常にこまか過ぎるというふうに思われます。これは単独法でいいのじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。  また、第二十一条-第二十三条は、公害対策にはあらゆる機関が協力すべしで済むような気がするのです。協力のやり方は場所、時期によって変化してよいと思います。ここにも公害すなわち産業公害という現時点での問題点のみが提起されておるように思われます。現在存在し、社会問題化している公害現象だけが公害のすべてではなく、一つ公害がなくなれば次の新しい公害が発生してくると思います。たとえば大気汚染水質汚濁は、やがて大地、空気、水、そして食品を総合して考えなければならぬ環境汚染立場で総括する時代が近いと思います。問題は費用負担ではなく、責任体制の確立ではないでしょうか。この点いかがでしょう。
  40. 武藤き一郎

    武藤説明員 二十三条で、必要な金融上、税制上の措置について努力しろということは、公害問題が最近非常に急速に起こってまいりまして、企業等についても従来以上の公害防止責任を負っていただく、また早急に対策を立てていただくという観点からは、やはりある程度の援助措置も必要であるというような観点からこういう規定を置きまして、税法の改正とか、あるいは公害防止事業団というものをつくりまして公害防止施策について努力をするというような状態になってきたわけでございます。先生の御指摘のこういう末梢的――末梢的とはおっしゃいませんでしたけれども、こういう問題よりももっと責任体制なりあるいは総合的な体制について重点を置くべきではないかという御議論については、もちろん同感でございます。
  41. 八田貞義

    八田委員 結局問題点は、費用負担ではなくて責任体制の確立なんです。そこで私は責任体制の確立について次のことを注文しておきたいのです。  まず第一は、原因をつくっているものがその原因の直接的防止に対しての第一義的の責任を負う。国は、国の根本方針をきめるだけでよい。そのほか研究発展技術者向上と確保、正しい配置があります。国の仕事は、地方で行なう具体的の行政に対する経済的、技術的援助が本命であって、財政的、金融的方面での公害対策への態度の決定であります。地方自治体は、個々または広域で具体的対策の直接の責任を分担すべきであります。被害を受ける者に直接接触する者が真の姿を知っているのでありますから、行政が血の通ったものになるべきものとすれば、地方自治体がその責任を負うべきものであります。   〔板川委員長代理退席、委員長着席〕 中央では真の状態をからだで知ることができないからであります。こういった責任体制の確立ということが、非常にこの点欠けているのではないだろうか。費用負担ではないのが、むしろ責任体制の確立を強く打ち出されておくことが一番必要ではないだろうか、こういう意味であります。
  42. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今日の公害問題がますます複雑化してまいりまして、施策を進める上でも総合施策が必要であるということで、国の基本的な姿勢を示し、また総合施策の推進をはかる意味合いからこの基本法ができたわけでございまして、従来から公害の具体的な事象の処理というようなことは地方ベースで行なわれてきておりますし、今後ともに具体的な解決は、地方で解決し得る範囲はあくまでも地方で解決するという方針でいくべきことは申すまでもないわけでございますが、最近の公害そのものの態様はなかなか地方だけでは解決し得ない大きな問題を控えておるわけでございまして、その意味合いから基本法も必要になってくるし、責任区分も明確を欠くということから、今回この基本法を提案するに至ったわけであります。したがいまして、公害処理の基本的なルールといたしましては、具体施策はあくまでも地方公共団体が当たって作成してまいる。しかし、国は最高責任をとるし、大きな基本方針は国がきめてまいる。かような方針でこの基本法の骨ができ上がっておるように思うわけでございまして、先生のおっしゃっておられる趣旨は十分生かされ、なおかつ今日のわが国公害問題を処理するための方向としてこのような基本方針を打ち出した、かようなことでございます。
  43. 八田貞義

    八田委員 非常に歯切れの悪い答弁でございますが、やはりその責任体制の確立は地方自治体にあるのです。もう国はただ最高方針だけを定めればいいのです。血の通った公害行政をやっていくという場合には、からだで現実を知っておる地方自治体でやるのが一番正しいのですね。それが、中央集権的なにおいが非常に強いのです、この法律を見ておると。ですから私は、国の仕事というのは、国の根本方針を定めるだけでよいのだ。さらにまた地方で行なう具体的行政に対する経済的、技術的援助が本命なんだ。ですから、この点は十分に、今後の行政を展開される場合において、現在の地方の自治体におけるところの組織強化、こういう面に重点を置かれてやっていくということが血の通った行政の姿であろう、またそういった姿が持ち来たされる、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、さらにこの第二十条ですね。救済のための制度とは一体何ですか。ニューサンス法理無過失責任が採用されれば、この救済制度単独法のほうでよいような気がいたします。確かにこの問題は四日市市の問題から発想されたと思います。四日市市で、企業側の責任の不明確さが四日市問題を起こしているのであって、救済制度はますます今後も責任をぼかすことにはならないか。現在の日本で、被害者は確かに市民側であります。しかし、表面化しませんが、産業側も被害を受けているのが増加しております、ことに大気汚染水質汚濁で。この産業被害も救済制度で助けるというのでありましょうか。気の毒な市民がおりますが、救済制度根本的に基本法の問題か、単独法の問題か、または他の法律の問題か、はたまた行政上の問題か、こういった考え方の上に立って救済制度というものを置こうとしておるのであるか。もちろん、被害を受けている多数の住民、地域社会の人々を放置し、結論が出るまでがまんせよというのではないのであって、基本的によく考えた上でこの救済制度を置かれたのかどうか、この点をひとつはっきりとしていただきたいと思います。
  44. 舘林宣夫

    舘林政府委員 最初に、前段の御質問に対していま一度お答え申し上げます。  公害政策全般をながめた場合に、公害対策を全部推しはかって並べてみますと、地方公共団体が実際上それのさばきをつけ、処理していくことが中心である、この点は御指摘のとおりであります。しかしながら、この基本法で取り上げたものは、そのような地方だけでは処理し切れないような問題がたくさんある。国が基本方針をきめ、国の方針として進めなければならない問題が、最近の公害問題の解決には重要になってきておる。したがって、その部分を特に取り上げて基本法として今回制定しようとするのである。したがって、この基本法だけをながめてみますと、いかにも国の処置する部分が非常に多く表現されておりますけれども、実体の処理はあくまでも地方公共団体が具体的の処理に当たる事例は非常に多かろう、かように思うわけでありまして、したがいまして、御指摘のように地方公共団体公害を処理するような施設、能力あるいは財政上の措置その面の充実をはかっていくことが公害対策を具体的に進める上には非常に重要なことである、この点は御指摘のとおりでございます。  それから被害の救済問題は、法律的な処理を今後考えておるか、あるいは施策の処理として何らかの措置を講ずるということが中心で考えておるかということでございますが、被害の救済として今後考えていかなければならないものは、むしろ法律的な処理のむずかしいものの救済が大部分でございまして、したがって、これが直ちに裁判を補うような、別の法律の処理ができようとは私ども思っておらぬわけであります。したがって、裁判で処理し得ないようなものをどのように取り上げ、どのような処理をはかっていくかということを検討する必要があるわけでございまして、しからば、このような条文を設けまして何を考えておるか、具体的にいま考えておるものがあるかということでございますが、具体的な事例としましては、他の法令の前例としまして、基金の制度や保険の制度等が他の原子力等の法律にあるわけでございまして、私どももそういうような形のものを今後適用していかれればよろしいということで検討はいたしておるわけでございます。その点は具体的に今後施策の面に乗せていくということで、あくまでも救済制度を具体化する努力をする必要があるし、それはそう遠い将来に延ばせない実態がある、そのように考えておりまして、早急に検討してまいりたいと思うのでございます。
  45. 八田貞義

    八田委員 私が言っているのは、たとえば産業側の被害ですね。これがいまは表面化しておりませんけれども、産業側も被害を受けているというものが増加してまいってきておるわけであります。ことに大気汚染とか水質汚濁では非常に産業側の被害というものが起こってきているんですね。そうしますと、この救済制度産業側の被害も助けるというお考えがあるのかどうか、この点です。
  46. 舘林宣夫

    舘林政府委員 特に産業としましては重化学工業対農水産業というような関係産業被害が起こっておることは御指摘のとおりでございまして、そのような問題の処理が今日までも大きな社会問題となり、具体的にはある程度の処理も行なわれてきておるわけでありまして、当然に救済制度の場合にはそのようなものも対象にして考えるべきである、かように考えております。
  47. 八田貞義

    八田委員 産業側の被害もこの救済制度で十分に考慮していく、こういう御答弁ですから、この点は非常に市民の側だけが表面に出て強くうたわれておるようですが、産業側の被害というものも十分に頭に入れて救済制度を生かしていくということは私は非常に必要であると思う。  それから第二十六条の公害対策審議会は国と地方に置かれるべきであります。繰り返し述べておりますように、いわゆる公害というものは地域特殊性があることから、真相は地方でのみしかわからない。審議委員は学識経験者だけでよいのであるか、市民代表を入れるべきではないだろうか。学識だけで明確に説明できるほど公害に関する学問は進歩しておりません。たとえもめることがあっても、各方面の情報交換、理解を進めるための努力は惜しんではならぬ、しこりをあとに残してはならぬ。こういうふうに考えるのでありますが、この審議会委員の選定のしかたですね。市民代表を入れるか入れないか、この点をはっきりさしていただきたいと思います。
  48. 舘林宣夫

    舘林政府委員 第二十六条、二十七条に書いてございます審議会の趣旨は、国の基本的な公害施策を立てる上での審議会でございますので、あくまでもそれは社会科学的、自然科学的な高い視野からの配慮に基づいた方針の決定ということでございますので、学識経験者が委員となっておるわけでありまして、ただいまお尋ねの地方公共団体公害施策を具体的にさばいていく場合、役人だけが方針をきめるということではなくて、広く一般の声を聞くという意味合いから、そのような目的の審議会をつくり、その委員の中に市民を入れたらどうかという御意見でございますが、これは各地方、地方の実情に応じまして必要があればそのような委員会のようなものを設けて、知事が公害問題の処理にあたって広い範囲意見を聞くということが生じてくるか、かように思う次第であります。
  49. 八田貞義

    八田委員 私がさらにお聞きしたいのは、公害対策審議会は国だけですね。ところが、前にも申し上げましたように、公害というものは地域特殊性があるのですね。どうして地方に公害対策審議会を置かれないのですか。
  50. 舘林宣夫

    舘林政府委員 必要に応じては地方も地方独自の、すなわち地方にゆだねられた範囲の、その地方の公害の具体的対策を立てるにあたっては、やはりその地方としての学識経験者を集め、あるいはただいま先生仰せられたように地方の一般市民の方々の声も聞くということで審議会のようなものが必要とされるかもしれません。そのような場合には当然に地方条例等において独自の審議会をおつくりになるということはたいへんけっこうでありまして、今回政府の出しましたこの基本法の案といたしましては、特にそのようなものを規定として設けることを必要とするというような表現をいたしませんでしたが、これは各地方の実情に応じておつくりいただくということの趣旨で省いたわけであります。
  51. 八田貞義

    八田委員 実際は基本法というものはそういったことを書いておかなければならぬ。条例にゆだねるというようなことでなくて、公害というのはほんとうに地域特殊性があるのですから、しかも学識だけで明確に説明できるほど公害に関する学問は進歩してないのです。簡単に学識経験と書いてありますが、学問はそんなに進歩しておりませんよ。はたして学識経験なんというものを持っておる委員がどれほど集められると思っておるのですか。むしろ地方に対策審議会を置くべきなんですね。学識経験者だけではだめですよ。それほど公害に対する学問というものは進んでおらない。ですから、むしろ各方面の情報交換とか理解を深めるためにも市民代表を入れたほうがいい。これがほんとうに今後の地方公害対策を進めていく場合に一番大切な点ではないかと思う。この点が欠けておることが、私がこの基本法を見て、これはほんとう基本法といえるものであろうかというふうな考えを持つわけなんです。ですからここで単に答弁のがれでなくて、これを具体的にどういうふうに進めていくかという決意をさらに表明願いたいし、これは大臣にも強く言っていただきたいと思います。いかがですか。
  52. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今日現に各地方公共団体に二十九の公害の審議会を持っておるわけであります。したがいまして、公害施策を進める上で地方公共団体がその必要性を認めてそのようなことが行なわれておる実態があるわけでありまして、したがいまして、今後ますます、この基本法に従って中央が施策を進めるにあたっては、地方自体としては何らか審議会のようなものを設けて広く一般の声を聞いて具体的方策を進める必要を生じてくるもの、かように私ども考える次第でございまして、できるだけそのような審議会を設けて円滑に実施せられるような指導はいたしてまいりたい、かように思います。
  53. 八木一男

    八木委員長 舘林君、八田君の質問一つ答弁が抜けております。大臣に強く言うということはどうですか。
  54. 舘林宣夫

    舘林政府委員 いまの先生の御質問の御趣旨を強く大臣に伝えます。
  55. 八田貞義

    八田委員 私が強く大臣に申し上げてほしいと言うのは、公害というものは地域特殊性があるからなんです。こういう点に考えを持って、これから審議会の運用というものを考えていかなければならない、こういう意味であります。  それから最後に申し上げたいことは、多くの公害関係研究者、地方行政官というものは、基本法が意に満たぬものであっても、基本法の論議に手間取って公害問題の解決をおくらせるような結果にならないようにしてほしい、そして早く具体的対策が国できめられることを切望しております。いまとなっては基本法の通過を妨げることは、ますます今後のほんとう行政がおくれることになることを心配しておるのであります。次にくる個々公害現象に対する単独法が早く、りっぱなものでありたい、こういうふうに切望しておるのであります。基本法制定のムードがすなわち公害対策であったということにならぬように心配しておるのであります。公害とは、ということの論議よりは、何をいかにして具体化するか、できるか。学問発達がたとえおくれていても、わかっていることはあるのでありますから、そのわかっていることをぜひ強力に進めることのできる技術、組織、そうして行政力を待ち望んでおるのであります。もし抽象的な精神規定だけで公害対策が前進し、政治の責任が果たされると考えているとすれば、それは国民を愚弄するものであります。この点に対するところの決意の点を御表明願いたいと思います。
  56. 舘林宣夫

    舘林政府委員 確かに仰せのごとく、公害対策基本法ができたからといって公害対策が解決するものでもないし、大幅に推進されるものでもないわけでありまして、具体的の施策個々に行なわれ、また、その施策を進める上では、十分な科学的な研究なりあるいはそれに従事する従事者なり充実をはからなければ、公害対策は実際には進まないわけでありまして、その点は十分私どもも考えまして、基本法の制定を待つとか、いたずらに観念論に走るということなしに着実に公害施策を進める努力をいたしてまいります。
  57. 八田貞義

    八田委員 個々公害現象に対する単独法ですね、これの制定というのは非帯に早くやってほしい、しかもりっぱなものであってほしい。ですから、基本法の審議に手間どってくれるなというのがみな国民の声なんですね。ですから一体――今度の国会には、船の油に対するところの規制法とか、それから飛行場における騒音、これだけしか出ておらぬのです。個々公害現象に対する単独法、一体どれぐらいの期間をかけて出されるお考えか、この点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
  58. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この法案で明確にされております点は、費用負担に関する法律を別に定めるということが書いてございます。したがいまして、政府といたしましても、できるだけ早い機会にこのような費用負担に関する法律の制定をはかる所存でございますが、そのほかに未規制公害、たとえば騒音に対する総合的な防止法というようなものができておりませんので、具体的にはできるだけ早急にこれも制定いたしたいし、また、公害基本法の柱の一つになっております環境基準を具体的に運用してまいる上で、既存のばい煙規制法あるいは水質保全法というような法律をどのように改定していく必要があるか、あるいは都市計画、産業立地等に公害対策をどのように織り込んでいくか、法規制をする必要があるかということを検討いたしてまいりまして、これらの点はできるだけ早急に法改正をしてまいりたいということで、現にすでに法改正の準備をいたしておる状況でございます。
  59. 八田貞義

    八田委員 現在公害行政は、地方自治体の職員、ことに大きな都道府県及び工業都市の職員の異常な努力によって開拓され進められております。そうしてこの状態は当分続くほどのポテンシャルが少なくとも精神面では準備されております。この人たちの望んでおるのは技術であり、具体的方策であります。この地方行政官の実践は尊重さるべきであり、今後も中心になろうと思います。この点についていかがですか。
  60. 舘林宣夫

    舘林政府委員 その点は私どもも実感としてよく体験いたしておりまして、公害に関しまする講習会、打ち合わせ会等を開きます場合に、集まります地方職員の真剣さというものに私ども非常に打たれるわけであります。ところが、それらのものを訓練する技術的な根拠というものが今日必ずしも十分でございません。したがってそういうものに対する国の体制を非常に急いで固める必要がある、かように感じておる次第でございます。そのほか、公害のそのような技術的な根拠になります研究分野、技術者の養成というようなことが非常な急務となっておりまして、本年度においても、それらの点で配慮した予算を獲得いたしましたけれども、今後ともに大いに努力をしてまいるつもりでおります。
  61. 八田貞義

    八田委員 公害現象の悪化の速度は研究発展より早い。これはわが国のみならず世界各国の情勢であります。とにかく努力することしかない。完全な研究結果の完成まで何もしないということは許されません。また、あたりまえのことでありますが、直ちに役立つように見える研究は、その時点でのみ有用であっても将来には役立たなくなるし、蓄積された研究のないところに具体的解答が期待できないということを公害の場合もよく考えてもらいたいと思います。研究でのブーム現象は危険であります。研究研究であり、行政行政であると同時に、研究行政は正しく関連づけられなければなりません。どっちかがどっちかの下僕になってはならぬ。ですから、この研究体制の整備について十分な配慮をしていかなければならないし、特にこの四十二年度予算において、公衆衛生におけるところのこういった技術者養成の計画なりが予算面ですっかり制限されてしまった。しかもこの専門官が養成されないとこの問題はとうてい解決できません。こういった研究体制の整備についてどのような年次計画を持っておられるかどうかこの点ひとつはっきりとお答え願いたいと思います。
  62. 舘林宣夫

    舘林政府委員 実はいまから数年前から、公害を含めまして環境衛生全般の中心となる研究所を設置する必要があるということで、予算要求等の努力をしてまいったわけでありますが、しかしながら、ただいま先生仰せられましたように、公害の進み方の実態よりも研究のほうが追いつかないという事実があるということで、いまから場所を獲得し、建物を建て、学者を集め、研究を進めるということでは今日の公害に間に合わないということで、大幅に全国的に大学あるいは研究機関公害研究をお願いする、あるいはそれによって公害方面の研究の進展をはかるということを考慮することにいたしまして、本年度はそのための委託研究費を一億円計上いたしたわけであります。この一億円は、公害のような広範な分野に対して必ずしも多い金ではございませんけれども、厚生省研究費といたしましてはかなり画期的なものでございまして、そのような観点から、当面は公害研究を非常に幅広く進める努力をいたしておるわけでありますが、お尋ねの技術者の養成につきましては、国立公衆衛生院に本年度から公害部を設置いたしまして、その中に三室を設け、それによってあわせて研究体制も進めるし、公害関係技術者の養成をするということで努力をいたしております。しかし、将来の計画はどうかということでございますが、これはあくまでもただいまお尋ねのように、どうしても公害中心機関となる公害研究所のような総合的な研究機関の設置を必要としますし、かような機関を設けて専門の技術者の養成の努力をしてもらう必要がある。かように考えて、年次計画をつくりながら私どもとしてもその実現に努力をしてまいりたい、かように思っております。
  63. 八田貞義

    八田委員 そういった年次計画について特に私は注文を申し上げておきたいのは、公害関係ある科学は、自然科学も人文科学も、公害の解釈次第では無限に広がってまいります。工学技術による防止研究ならば、現在の工学技術面を拡大強化すればよいと思います。衛生面でも同じであります。基礎になる科学なしに公害科学発展はありません。仕事や研究課題が増加しているのに、現在の規模だけで研究者を顔だけ向けさせようとするから成果があがらないのであります。生産と同じように、研究でも、仕事の量に応じて人の配置が行なわれるものであろうと思います。現在の日本では研究費だけが特に叫ばれますが、人数が絶対に不足していることにもっと声を大きくする必要があります。研究者はエリートではもはやないのであって、世の中の歯車の一つにすぎません。どこの国でも空気、水または大地の研究機関があり、それが衛生研究機関、工学研究機関と協力して公害防止に必要な科学的成績をまとめておるのであります。研究立場と方法の異なるものを一堂に集めてみましても研究の効果はあがらない。いわゆる公害というものはそれだけでまとまる科学体系ではあり得ない。公害研究不足しているものがあるとすれば、それはいままでの経験だけでは解釈し、発展することのできない部分の研究不足していることであります。だからといって、この新しい部分だけで公害対策ができるのではなく、現存の科学の土台の上に新しい知見が必要なのでありますが、研究考え方、設備、人、予算は、ちょうど原子力研究原子力衛生研究と非常に近いのであります。すなわち、あらゆる面で最も新しい、最も進んだ技術知識がそのまま利用されねばならぬのであります。医学的な面でいえば大学、大病院の臨床みたいなものであって、だれでもできることを心がけてきた衛生の考え方はもう捨てるべきであります。とにかく公害ということばにだけだまされてはなりません。社会党の案に公害防止研究所というものがありますが、こういった研究所のあり方については、いままで申しましたような観点から私は反対であります。したがって、既存の設備を拡充強化する。そして研究機関は幾つあってもいいのです。みな対象となるものは違うのですから。そういう考え方に立って公衆衛生院の設備の整備強化に向かって、四十三年度予算においては十分公衆衛生院の機構機能が大きく発展できるような予算獲得に向かって大きな努力をされんことを切望いたしまして、私の質問を終わります。
  64. 八木一男

    八木委員長 なお、運輸委員会との連合審査会の開会日時は、運輸委員長と協議し、明後三十日午前十時と決定いたしましたのでお知らせいたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五分散会