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1967-07-20 第55回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午後二時四十五分開議  出席委員    委員長 田原春次君    理事 天野 光晴君 理事 池田 清志君    理事 細田 吉藏君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 佐野 憲治君    理事 永井勝次郎君 理事 神田 大作君       金子 岩三君    砂田 重民君       世耕 政隆君    増岡 博之君       三池  信君   三ツ林弥太郎君       山下 元利君    渡辺  肇君       井手 以誠君    石橋 政嗣君       河上 民雄君    神門至馬夫君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       浜田 光人君    福岡 義登君       山本弥之助君    渡辺 芳男君       内海  清君    小沢 貞孝君       小川新一郎君    鈴切 康雄君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         防衛政務次官  浦野 幸男君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         厚生省社会局長 今村  譲君         中小企業庁次長 金井多喜男君         建設省河川局長 古賀雷四郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         防衛庁防衛局第         一課長     今泉 正隆君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      緒方 雅彦君         大蔵省主計局主         計官      長岡  実君         文部省管理局教         育施設部長   中尾 龍彦君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     飯原 久弥君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局農         産課長     遠藤 寛二君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         林野庁指導部治         山課長     高桑 東作君         林野庁業務部長 片山 正英君         運輸省港湾局技         術参事官    栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     犬丸 令門君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木課長     山本 正男君         気象庁予報部長 今里  能君         労働省職業安定         局審議官    岡部 実夫君         建設省計画局宅         地部長     井上 義光君         建設省都市局街         路課長     三宅 正夫君         建設省河川局次         長       多治見高雄君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省河川局砂         防部長     木村 正昭君         建設省住宅局住         宅総務課長   角田 正経君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君     ————————————— 七月二十日  委員大原亨君、岡本隆一君、川村継義君、神門  至馬夫君山本弥之助君及び塚本三郎君辞任に  つき、その補欠として福岡義登君、中澤茂一君、  井手以誠君河上民雄君、渡辺芳男君及び内海  清君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  昭和四十二年七月の集中豪雨による災害対策  請 願   一 小諸周辺の干害及びひよう害対策に関     する請願井出一太郎紹介)(第三三     三九号)   二 同(林百郎君紹介)(第三三四〇号)   三 同(下平正一紹介)(第三四四一号)   四 同(中澤茂一紹介)(第三四四二号)   五 同(原茂紹介)(第三四四三号)   六 同(平等文成紹介)(第三四四四号)   七 同(小川平二紹介)(第三五〇三号)   八 同(小沢貞孝紹介)(第三五〇四号)   九 同(吉川久衛紹介)(第三五〇五号)  一〇 同(小坂善太郎紹介)(第三五〇六     号)  一一 同(羽田武嗣郎紹介)(第三七一八     号)  一二 同(増田甲子七君紹介)(第四一五一     号)      ————◇—————
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  この際、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会において協議いたしましたとおり、災害対策に関する件について、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会審査案件付託になり、その審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 田原春次

    田原委員長 次に、請願審査に入ります。  本日の請願日程十二件を一括して議題といたします。  本会期中本委員会付託になりました請願は十二件であります。その取り扱い等につきましては、先ほどの理事会において協議いたしたのでございますが、この際、紹介議員説明等を省略し、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中第一ないし第一二の請願は、いずれもその趣旨妥当と認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕
  10. 田原春次

    田原委員長 なお、念のため御報告申し上げておきますが、本委員会に参考送付されております陳情書は、久留米市等の降ひょう被害対策に関する陳情書外三件であります。      ————◇—————
  11. 田原春次

    田原委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、一昨日に引き続き、昭和四十二年七月の集中豪雨による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢貞孝君。
  12. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 おとといに続いて、若干時間が許されましたので、質問をいたしたいと存じます。  激甚災害特別財政援助法について、おとといは、来週中にこの法の第二章関係公共土木とか、文教施設その他厚生施設関係激甚指定は確実である、こういう御答弁がありました。それから第五条関係、これは農林施設災害だと思いますが、これも確実である、それから十二条、十三条、十五条、中小企業関係激甚指定も確実である、こういうような御答弁がありました。そのときに、どなたかの質問中に、天災融資法発動されますか、こういうような質問がありましたが、答弁では、たぶん来週ごろ発動されるではなかろうかというような御答弁がありました。  そこで、天災融資法激甚指定、第八条ですか、これについてお尋ねしたいわけですが、まず最初に天災融資法発動、これは国民経済に甚大な影響を与えたり、二県以上にまたがったりというような条件があるようなんですが、いままでずっと災害対策特別委員会等お尋ねしているところによれば、たぶんことしの農業所得推計の〇・一五ですか、三十億をこすような場合に発動される、こういうようなぐあいに聞いておりますが、今度の場合には、私たち考えてみて、当然もうこれは、事務的な手続は別として、発動される、こういうように理解いたしますが、その点はよろしゅうございますでしょうか。
  13. 太田康二

    太田説明員 先般もお答え申し上げたわけでございますが、御承知のとおり、天災融資法発動の基礎になります被害額につきましては、統計調査部数字をもって従来とも判断をいたしております。この点につきましては、できる限り早く被害調査をいたしまして、その集計の結果を待ちまして、その際、天災融資法発動するかどうかにつきましても検討をいたします。  なお、あわせて、激甚法適用になるかどうかも、その被害数字を見ませんと、実は激甚法発動基準が、ただいま先生のおっしゃいましたようにA基準B基準がございまして、B基準のほうでは、三十一億をこえ、かつ一都道府県特別被害農業者の数が農業者のおおむね三%をこえる都道府県が一以上あるもの、こういう基準になっておりまして、いずれにいたしましても、被害額を十分に掌握いたしません限り、まだ現在の段階で云々できないということになっておるわけでございますので、できる限り至急に取りまとめましてその可否を検討いたしたいと思います。
  14. 上村千一郎

    上村政府委員 激甚災害指定につきまして、一昨日の当委員会におきまして、おそくとも来週中には指定をというふうなお答えをいたしましたが、一刻も早く被災地の方々が復興に立ち上がっていただきたいという意味もございまして、あすの閣議にかけましてそして決定をいたすべくただいま事務を進めております。一昨日の当委員会におきましても、一刻も早くというお話でございましたので、その手はずで進んでおりまして、あすの閣議にかけまして大体決定をいたしたい、こういうつもりでおります。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 たいへんスピーディにやっていただいて、ありがとうございました。  それで、確認しておきますが、激甚法の二章関係、これは公共土木その他の施設だと思いました。それから、五条の農業施設災害、それから十二条ですか、中小企業関係、これだけがあすの閣議できまるということですか。
  16. 上村千一郎

    上村政府委員 それでは、ちょっと詳細に申し上げておきます。  激甚災害特別財政援助法対象事業としましては、先ほどの第二章グループという公共土木事業その他の関係、これはすべて指定対象にいたしたいと思います。それから、個別方式の点につきましては、第五条の農地農業用施設、林道、それから十二条、中小企業信用保険特例、それから十三条、中小企業近代化資金助成法特例、それから十五条、商工中金貸し出し金利特例、それから十六条、公立社会教育施設、十七条、私立学校施設、十八条、私立学校振興会業務特例、それから十九条、市町村施行伝染病予防事業、それから二十条、母子福祉資金に関する国の貸し付けの特例、それから二十四条、小災害復旧事業元利補給、大体そんなところでございます。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どうもたいへんありがとうございました。  この際、若干地方的なことをつけ加えてお尋ねさしていただきたいと思います。  七月災害の三週間ほど前に、小諸佐久方面を襲うた豪雨による大災害がありました。これも、今度の七月災害と同じように、いま副長官が読み上げられたものについて、激甚指定の中に入れていただけるかどうか。
  18. 上村千一郎

    上村政府委員 実は一昨日の当委員会において、私、検討中と申し上げましたが、これも激甚災害指定に入れることに大体方針をきめまして、そして七月災害と同じような処置をいたしたい、こういう心組みで進めております。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ありがとうございました。  それでは、おととい、みな同じような質問ですし、各地へ行って同じような陳情要望があるわけですが、例の改良復旧の問題について、私この間、質問なり答弁を聞いておって、たいへん疑問に思いました。質問の中でこういうことを言う人がおりました。ここでの御答弁は、改良復旧をどしどしやると言っていらっしゃるけれども現地へいけば必ずしもそうではないのではないか、こういうような御質問がありまして、これは法律に忠実に査定官なり何なりがやろうとすれば、法律においては原形復旧以外のものを禁止している。原形復旧が不可能なもの、困難なもの、それから何とかのものと、こういうごく限定したもの以外には改良復旧はいけません。関連はいいけれども改良はいけない、こういうようなことになっているわけです。一般の地方の人が聞くときには、改良復旧をやりますやりますという答弁をしておられたので、これは改良復旧ができるのではないか、こういうような受けとめ方をしていると思いますが、私は、との法律がある限りは、このワクの中でやろうとすれば、きわめて限定されたもの以外には改良復旧は困難ではないか、こう考えます。ところが、おとといの河川局長の御答弁——長官もそうだったかとも思いますが、改良復旧をこの際大いにやらなければいかぬ、こういう御答弁のようだったので、これを具体的に末端まで浸透さしていただくためには、何らかの具体的な指示、こういうものをしていただかなければ、査定官が来たときにどうだとか、なかなか複雑な問題が現地には起こってくると思いますので、これに対処する具体的な方法、この点について、これは副長官からお願いしたいと思います。
  20. 上村千一郎

    上村政府委員 いまお尋ねのような方針災害対策本部は考えております。方針としてはそうでございますが、具体的な問題になりますと、関係省庁が当たりますので、その方針に基づきましてどうするかということにつきましては、ただいま列席をいたしております関係省庁の方からお答えをさせていただきたい、こう思います。
  21. 多治見高雄

    多治見説明員 お答え申し上げます。  ただいまの、災害復旧原形復旧にとどめず、改良を加えて改良復旧を大いにやれという御趣旨でございますが、従来からわれわれ考えておりますことは、単に原形復旧しただけでは再度災害の心配が非常にあるということは、これは常識といいますか、当然でございまして、できるだけ改良工事を加えまして、それによってあと災害を防ぐということに主眼を置いてやっていこうということで、従来ともこの点は努力しているつもりでございます。御承知のように、財政的なワクその他で、完全に理想的にそれが行なわれているというふうには言えないかと思いますけれども、今後ともそういった方向努力してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  22. 太田康二

    太田説明員 先般もお答え申し上げたわけですが、農業用施設復旧にあたりましては、原形復旧のみでは再度災害のおそれのあるものにつきまして、極力災害関連工事をあわせ実施する、こういうことによりまして施設改良復旧を行なうということに、私どものほうもいたしておるのでございます。なおその趣旨等が十分徹底していないというお話でございますので、現地等災害査定官等を派遣いたしておりますので、これらを通じましてその趣旨につきましての徹底をはかってまいりたい、かように考えております。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この間も災害視察の中で話をしたのですが、原形復旧するということは、災害の起こった場所にもう一回災害が起これ、日本語の文字を正しく解釈するならば、そういうことになるわけです。それからまた、法律もそういうように書いてあるわけです。法律の中では、原形復旧することが不可能なとき、それから著しく困難なとき、それから不適当な場合、この三つ以外には原形復旧しなさいと命じているわけです。いま建設省農林省のほうからお答えがあったけれども、これは事務的サイドではなかなか困難だと私は思います。ここにおいては、極力改良と、こう言われますけれども法律がこうなっている限りはなかなか困難だと思いますので、これは政治的な立場でなければ、あるいはまた——さっきも話をしたのですけれども、この法律のできたのは、公共土木施設災害復旧国庫負担法昭和二十六年、農林水産業施設災のほうは昭和二十五年ですから、その当時の経済的な事情からは、とにかくいろいろ大幅なことをしちゃいかぬ、予算を節約しなければならぬという立場から、原形原形ということにこだわった法律ではなかろうか。これは、私たちあとから読んでみてそう感ずるわけです。しかし、今日においては、文字どおり解釈するならば、災害にあったところはそのとおりにやれというのは、もう一回災害にあいなさい、こういうことですから、これだけ経済事情が発展してきた限りにおいては、今度は改良復旧することがあたりまえなんだ、改良してやることがあたりまえなんだという方向法律改正なり何なりを持っていかなければならないと思います。しかし、きょうあすしかない国会ですから、その件については困難かと思いますので、これは政治的な立場において、総理府長官か何かのところで、それが下まで必ず浸透するような具体的な方法を講じていただく、こういうことを特にお願いして次の質問に進みたいと思います。  次に、私は厚生省お尋ねをいたします。  現地へ行ってみて——これはまだだれからも質問が出ておらなかったようですけれども、一日のたき出しが百円、これはいかにも少ないじゃないかと言ったら、視察に行った人は、何だ、そればっかりのことか、こう言うわけですね。読んでみると、なるほど、厚生省というところは金を出すのを出ししぶっているのかと思われるほど、だいぶ少ないわけです。一週間もたって、たった百三十円にあげてくれる、こういう状況だと思います。そういうようにしてみると、生業に必要な資金の貸与、これは一件当たり一万二千円というようなぐあいに、単価がたいへん低いわけです。聞くところによると、ことし単価を改正してよくしてそういうことになった、こういうようなぐあいにもお聞きしておるのですが、これは単に厚生省だけではどうにもならない問題だとしても、物価はずいぶん上がっておりますから、この単価は時宜に合うように改正していただかなければならない、こう考えますが、今回の災害はどうにもしようがありませんか。
  24. 今村譲

    今村政府委員 御指摘のように、たき出し臨時応急握りめしということで始まっておったわけでありますが、昨年九十円というのを、ことし約一一%上げまして、一日百円、六日目以降は百三十円というふうに上げたわけでございます。そういうようなかっこうで、普通の事態ならば、栄養とか、野菜とか、ビタミンとか、いろんな議論が出てくると思いますが、臨時応急たき出しというかっこうでありますために、手当てがだいぶ低かったというので、私ども毎年予算について極力努力をしてきておるつもりでございます。今後もいろいろ努力をしてまいりたいと思います。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どうもおざなりのような答弁に聞こえるのですが、実は適用そのものがシビアーなんですね。住家半壊、または半焼した世帯数の三割以内しかだめだとか、それから、災害によって住家またはその周辺に堆積した土石竹木等日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去については、半壊または床上浸水した世帯の数の一割五分のものしか見ていない、あとの八割五分の人には何にもしないのだ、こういうことなんです。これは、どういう人を選ぶか、あるいは金だけやって適当にやれ、こういうことかもしれませんが、とにかくこの適用についてはシビアー過ぎる、こういうように考えるわけです。これについてはどうでしょう。
  26. 今村譲

    今村政府委員 たとえば浸水しました場合でも、何と申しますか、全部が全部、玄関口に大きな石があるとか木があるというわけではございません。過去のいろいろな実例から、きまったのはだいぶ前からでありますけれども、大体一割五分ぐらいのものは、そういう市町村が現実に木を取っはらっておる、あるいは土砂を取り除いておるというような実績があったから出てきたことだと思います。災害状況によりましては、じわじわと新潟県のような長期間の冠水の場合とか、今度のように山地で急激に土砂が出るとか、いろいろ違うかと思いますけれども、これは県下の市町村災害の各種の実態に従って、彼此流用して、県がそれぞれに合わせてきめるということでございますから、被害状況に応じては、全部で一割五分ということでありましても、ある村では二割、三割というふうに、全体の総数の中で上下するというしかけにしてございますので、その辺ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これも、時間がありませんので、いろいろ言っていてもしかたがありませんので、先に進みたいと思いますが、いずれにしても、そういう要望各地において非常にたくさんありました。われわれも考えて、あまりにも適用する基準がシビアー過ぎる、その上に持ってきて単価が安過ぎる、これではどうにもならぬじゃないかと感じてまいりましたので、この点については、法律を改正しないといけなければ、その方向で、あるいは適用をゆるやかにやればそれぞれの措置ができるなら、そういう方向でひとつ善処してもらうようにお願いしたいと思います。  それから、おとといの質問で、上村長官が、個人災害の問題について真剣に取り組む段階である、全般的に大きくやれば、これはなかなかたいへんな問題だと思うので、法律をつくることは非常にやっかいな問題でもあろうかと思う、ある目的に限ってやったほうがいいんじゃないかというようなことについて検討をしている、こういうような御答弁であったように記憶いたしております。個人災害については、これはもう各委員あるいは各地方の、ひとつ何とかしてくれという御要望だと思いますので、これについてはひとつ徹底的に取り組んでいただきたい、こう思います。私は前の災害対策特別委員会でも申し上げましたが、個人災害を何とかしょうということでこれから法律をつくっていくということは、非常に研究を要する問題だと思いますので、時間的にもたいへんひまがかかると思います。そういうことではなくして、メニュー方式によって、県あるいは市町村、こういうところへ持っていって、災害の何割について財政援助をする、こういうようなことをすれば、きわめて立法も楽ではないか、また今回の災害にも間に合いはしないか、こういうように考えるわけです。たとえば、私たち視察に行った、あれは堺だったと思いますが、あの県においては、床上浸水について、一戸、県が五百円ずつ、それから市が千円ずつの見舞金を、何万戸ありましたか、全部に出しているとか、あるいはまた、ひょうだとか凍霜害の災害については、県や市町村は、肥料、農薬、こういうようなものについて出しているとか、もういろいろ千差万別で地方自治体はやらなければならないわけです。したがって、これを一々こまかく法律できめていくということはたいへんなことと思いますので、被害額の何%というような限度を置いて、メニュー方式によって総合助成というようなものを地方自治体を信頼してそこに出してやる、こういうぐあいにやっていただけば、立法的にはあまりむずかしくなくて、しかも当面の対策にも間に合う、こういうように感ずるわけですが、上村長官のこの間の、個人災害研究するということから一歩を進めて、具体的に総合助成方式のような、いま言ったようなものについて至急取り組んでいただきたい、こういうような考えを持っておりますが、いかがでしょう。
  28. 上村千一郎

    上村政府委員 一昨日の石橋委員質問の際にも申し上げたのですが、実は個人災害の点につきましては、当委員会におきましても、昨年の静岡県あるいは山梨県下を襲いました集中豪雨の際におきましても非常に論議の的になり、また今回の集中豪雨の際も、都市災害というような一つの特色を持つとともに、それは当然個人災害という点が重視されるということに相なるわけでございます。実は個人災害という問題につきまして多くの論議がかわされておることは確かでございますし、また非常に重要な問題だと考えられるわけでございます。それで、昨年も関係各省ともいろいろ協議してやったのですが、御案内のように、個人災害というのは非常にバラエティに富んでおりまして、これをどういうふうに把握していくか、いろいろな問題があるわけです。それで、実際の問題としましては、昨年度におきましては、従来、災害救助法の点で救助し得る部面、あるいは金融措置で措置すべき部面、あるいは税制面で措置すべき部面というふうに、与えられておりまするところの点をフルに発揮いたしまして個人の方々に対しましてこれが処置を講じた、こういう経過になっておるわけです。ところが、今回の災害におきましても、個人災害というものにつきましての重要性をまた大きく呈示したというわけです。昨年来も非常にその点苦慮しておりますが、結局感じられるのは、現在農地関係につきまして個人災害の点がございます。何か対象をはっきり固定させるとか、いろいろな点を考えないと非常にむずかしいという状態になっておるわけです。しかしながら、重要なことでございまするので、ひとつ検討をいたしたい、こういうふうな考えでおるわけでございます。
  29. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間なので質問を終わりたいと思いますが、まだ質問者がたくさんあるらしいので、希望だけ申し上げておきます。  いまの個人災害研究し出すと、これは容易なことではない、私はそう思います。だから、ぜひともいま当面の役に立たせるためには、メニュー方式によって、自治体を信頼して、床上浸水のところに見舞いを出すなら、自治体の中で適当に出しなさいというぐあいにして、被害額をめどにしてその何%とかいうようなものにおいてメニュー方式で総合的に自治体に助成してやる、こういうような方法が一番適切ではないか、立法上もたやすくはないか、こういうように考えますので、その点はぜひお願いをいたしたいと思います。  特別交付税を増額しろというような要望もたくさんあり、これも質問したいわけなんですけれども災害がたくさんになって、あっちにもこっちにも特別交付税を振りまいていくと、同じワクの中ではどうせ足りなくなる、こういうふうに私は考えますので、特交についてもひとつ万全を期していただく、いまの総合助成についてもひとつ検討していただく、こういうお願いをしまして、時間ですので終わりたいと思います。
  30. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 浜田光人君。
  31. 浜田光人

    ○浜田委員 私は、非常に時間が限られておりますし、わが党の委員長さんですから、できるだけ御協力を申し上げる意味で、ずばりずばり質問してみたいと思うわけであります。  ただ、今回の七月災害に対しましては、国会並びに政府当局は、いち早く現地調査団を派遣されて、いろいろ実情も把握していただき、あるいは見舞い等もしていただいたことに対しては、被災地区の一員として心から感謝し、お礼を申し上げる次第であります。  そこで、現地では今回の災害というものが非常に広範囲で、しかも爪で山肌をはいだような個所が、私が調査しただけでも六百十九カ所もある。昨日も電話で聞いてみますと、一千をこすという。呉だけの範囲でもそうなんですね。ましてや、広島県下ではばく大な山肌や山津波のこういう被害を受けておるだろうと思うのです。笑えない話なんですが、九日の災害が起きて一週間目の十六日に、私の家自身がどろ水に入ったくらいなんですが、その百メートルも離れたところに市営住宅の方々がたくさんおられるのですが、朝五時半ごろ、そこの堆積土砂をのけるのにブルドーザーを入れたわけです。すると、そのブルドーザーの音にたまげて、また山津波か、こう思いまして、二十歳と二十二歳のご兄弟が二階から飛びおりて大けがをする、こういう状態なんですね。それだけ恐々としておるのです。ですから、この際、そういう思わない広範囲な多くの被害の出た個所、そういう地域、これらに対してまず応急的な対策があるでしょう。それから恒久的な対策もある。そういう点について政府はまずどういう措置をとろうとしておるのか、そういう点についてお伺いしたいと思う。
  32. 上村千一郎

    上村政府委員 いろいろと今回の災害につきましては局部的あるいは予想外の被害が生じておりまして、ほんとうにお気の毒だと存じております。これが対策としましては、何といいましても緊急に対処すべきことでして、できるだけ早く政府としましてもこれが処置をして、そして被災された方々の復興に対しまして配慮しなければならぬという心組みで、直ちに緊急対策本部を設置し、引き続いて調査団を政府も派遣いたしたわけであります。心組みとしましては、緊急なものにつきましては何としましても適切な処置を講じていくようにという心組みでおるわけです。個々の点につきましては、きょう各省庁の者が列席いたしておりますので、対策本部といたしましての心がまえというものだけを簡単に申し上げまして、各省庁から説明をいたさせることにいたしたいと思います。
  33. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  災害の発生いたしました場合の当面の応急措置といたしまして私どものほうで実施しております工事の実情を申し上げますと、災害によりまして破堤いたしました個所をまずとにかく締めるということが第一でございまして、破堤個所の締め切りについて特に優先的にやるということで、破堤の現場に人を派遣いたしまして、設計その他応急にその場できめて、直ちに工事にかかるという方式をとっております。同様に、道路の交通不能になりました個所につきましても、直ちに現場に人を派遣して、その場で工事設計を概略きめまして、直ちに応急工事にかかるというふうに処置いたしております。応急工事といたしましては、とにかく早くやるということを主眼にしてやっておりまして、その後の恒久的な復旧工事につきましては、あらためて設計その他詳細にやって、順次施工していくというわけであります。とにかく、応急工事につきましては、早くやるということを主眼に実施いたしております。
  34. 太田康二

    太田説明員 私のほうも建設省と同様でございまして、農地農業用施設、林道等の関係、いわゆる農林漁業施設につきましては、できる限りその復旧を早くいたすということを基本にいたしております。特に、ほうっておけばさらに次の災害被害が大きくなるとか、あるいは本年度できる限り早くやれば植えつけに間に合うというようなものにつきましては、査定前着工というようなことも認めましてこれが復旧につとめてまいりたい、かように考えておるのであります。  それから、新生崩壊地等の治山の関係でございますが、このうち緊急なものにつきましては、本年度の予算の中から金額を充当いたしまして新生崩壊地の復旧事業に充ててまいるということを考えております。  なお、それ以外に、農作物等の災害につきまして、特に水稲関係でございますが、これらの被害につきまして農業共済の概算払いあるいは仮渡し等の措置につきましては、すでに関係団体に通達をいたしまして、そういった要求があれば、すみやかにいま申し上げたような措置をとるようなことをいたしております。  それから金融の問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、天災融資法等につきましては、統計調査部被害調査結果がまとまりませんと、その発動の可否につきまして決定をいたしかねますので、とりあえずつなぎ融資をやっていただきたいということを関係金融機関に依頼いたしましたし、ざらに、過去におきます借入金等の条件緩和等につきましても、あわせてそのとき依頼をいたしましたということで、応急対策としては、以上申し上げたような措置を講じておるのでございます。
  35. 浜田光人

    ○浜田委員 ただいまの説明で、できるだけ早く措置するのだ、こういう御答弁なんですが、それは個々によっては確かにもう測量もされたり、やっていっておられる、そういうケースもあります。しかし、さっきも申し上げたように、ばく大な個所でありまして、実際住民は戦々きょうきょうとしておる。しかも、この九月は台風の時期です。いままで、瀬戸内海というものは、特に瀬戸内海沿岸、海岸地帯というものは、背後からの水やあるいは山津波、こういう災害というものはほとんどないところですね。二十年災害は、これは特別です。軍が砲台をつくるために無計画に伐採したり、そして何も専門技術家がおらないのに泥をどっと流してきたところに雨がさたのですから、これは特別ですが、そのほかはそういうことは考えられない。しかし、台風はしばしばあるのです。豊後水道から瀬戸内海に入って来る、この台風被害というものは海岸地帯にはある。これはやがて九月には来るのです。さっきも申し上げましたように、あとからも質問出しますが、非常に地割れがしたりして、地割れ予防をしなければならないところがたくさんあるわけです。そしてまた、ずっと見てまいりますと、二十年災害のあのおそろしさから堰堤をやったところの下はみな助かっておる。そういう点で、住民は、そういう砂防堰堤なりあるいは治山堰堤なり、こういうことを強く要望しておる。そういう点から、実際応急対策として、しかも九月台風に備えて、具体的にそういう予防措置といいますか、これをどのようにおとりになるお考えか。
  36. 上村千一郎

    上村政府委員 一昨日もちょっと答弁の中に触れたわけでございますが、いま先生がおっしゃるような心配が非常に強いわけでございます。それで、この前の七月の集中豪雨の際におきましても、幸いなことには実際上は七月の十五日に集中豪雨は来ませんでしたけれども、当時の気象庁の観測では、台風第八号のくずれが来るというような情報が入ったわけです。それで、急速な応急処置をするように命じてはありますものの、物理的な状態におきまして、そう直ちにというわけにいかない状態である、それかといって、来た場合これはたいへんなことだということで、そういうような危険な場所はとりあえず避難するより処置がないというようなことで、関係各府県に対しまして、その危険個所というものを至急点検するとともに、それに対応しまして緊急避難の処置のできるような配慮をしていただきたいことを指示いたしたことがございます。九月の状態におきましても同じようなことが起きるわけでございますが、とにかく危険な個所につきましては、九月に来るということをよく頭に入れながら応急処置をやっていく、そしてどうしてもそれが間に合わないような場合が起きる、あるいは、現在の状態におきましては、相当な工事をやりましても危険が起きるおそれのあるような個所におきましては、これは避難の体制といろものも考えなくてはなるまい、こういうような心組みでおるわけでございます。とにかくこの際におきまして危険個所その他については、総点検的な考え方をもってそして応急処置を講じ、それに並行しまして恒久的な対策も考えるべきである、こういう方針災害対策本部では持っておる次第でございます。
  37. 多治見高雄

    多治見説明員 本日までの私どものほうでやっております応急工事の実態を数字で申し上げます。  先ほど申し上げました道路の不通個所が、広島県につきましては三百十九カ所でございます。本日までに回復いたしましたのが二百五十一カ所、残りが六十八カ所ということで、目下交通可能な状態に戻すように工事中でございます。それから仮橋をかけて応急的に渡れるようにする必要のある個所が十九カ所でございまして、そのうち十五カ所はすでに仮橋をつくって渡ることができるようになっております。残りの四カ所が工事中でございます。それから川の破堤いたしました個所が八十九カ所ございまして、これに対しまして現在までに応急に締め切りの完了いたしましたものが七十三カ所、残りにつきましても目下応急工事を至急完成するように努力中でございます。   〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 浜田光人

    ○浜田委員 ただいま建設省のほうでは、道路関係、大きな河川ということについての応急対策の御説明をなさったわけでありますが、私は、主として今回の災害というものは、しばしば政府当局も申されるように、急傾斜地帯、そして都市災害個人災害、こういうことが特質的な点だろうと思うわけです。そこで、急傾斜の問題はやはりこの堰堤関係にあるわけですね。私が調査した範囲のことを考えましても、大体道路は確かに少なくとも一車両、二車両通れるようにやられる、また、やられてきた。したがって、中国の地建等はそういう点ではもう一応あと始末も済んだように思うのです。ところが、問題は、さっき言ったように、急傾斜の山津波の措置、これをどうするかという問題、しかも、また十六日に第二次災害が起きておるのですよ。あと片づけをやっていると、また人間が生き埋めにされているのですね。そういうケースがたくさんあるのですよ。これをどうするか。ただ副長官が言われるように避難せい避難せいだけでは、私はいけないと思うのです。早く自治体等も協力させて——これは県とか市町村というものは窓口ですから、被災者はどんどん押しかけるのですよ。そして、どうしてくれるのだ、どうしてくれるのだというものですから、県は少しはクッションがありますが、市長とか町村長とかいうものは、いま被害地域ではノイローゼになっている。だから、勢いどうしても何か手をつけなければならぬ状態になっている。さっきの激甚指定地域の問題でもそうですが、実際そういう住民の要求の窓口ですから、それにこたえるためには何とかやろうとするが、これも指一定地域でないと、二割五分はみな自治体が負担しなければならぬ。こういうことになりはせぬだろうかと思うと、やはり心が鈍るのです。そういう、県知事さん、市長さんはおらぬと私は思いますが、人間はそうです。だから、この指定も早くやってもらわなければならぬ。本日質問しようかと思っておったら、副長官から、明日はきめるということなんですが、それは明日閣議できめて、土曜日には少なくとも総理府できちっときめて政令を出して各市町村に御指示になるかどうか、そういう点もこの際お聞きしておきます。  それと、いまの砂防関係はまたあとから聞きますが、さっき激甚の説明を各個条ごとに副長官はなされた。ところが、副長官は二十条から二十四条へぽっと飛ばれた。飛ばれた中の二十二条、これは住宅関係ですね。今回の大阪、神戸、広島、九州、これら全被災地域から見て、二十二条の指定はどのようになされようとしておられるのか、その点をお聞かせいただきたい。
  39. 上村千一郎

    上村政府委員 浜田委員も御承知かと思いますが、この激甚災害指定につきましては、指定基準があるわけでございます。そしてその指定基準に達しました場合に、これに対しまして、内閣から中央防災会議に、激甚指定にしていいかどうかという諮問をいたすことになります。その答申に基づきまして閣議決定をし、それから政令公布、こういう状態になるわけであります。  実は前半の御質問は、あすの閣議にかけて決定を見るべくいま運んでおるという状態だが、一体いつごろ、末端といいますか、被災地のほうへ指示がいくのかということでございますが、あすは金曜日でございまして、それできまりまして、それから一定の公布手続ということになりますと、いま事務当局もここにおりますが、おそくとも月曜日までには政令ができまして政令公布という状態に相なるであろう。これは全く事務的なことです。ですから、一昨日私ここで、おそくとも来週中、こういうふうに御答弁申し上げておりますが、実は一昨日さよう申し上げておりましても、ここの委員会の皆さま方あるいは被災地の方々におきましても、一刻も早く、できるならきょうにでも、こういうふうなお話がありまして、その意図でやっておりますので、決して延ばすわけではない。可及的すみやかに事務手続を運んでいく。ただいまのところ、月曜日には公布されるであろう、こういうふうな予定でございます。  それからいまの二十二条の問題につきましては、御案内のように、現在、あすの閣議段階におきましてそこは指定基準に達していないのです。しかし、もちろん、いろいろな査定その他の調査の集計がまいるわけでございますので、二十二条につきましては現在調査中でございまして、基準に合致いたしますれば、これはもちろん措置の対象に相なっていく、こういうわけでございます。
  40. 浜田光人

    ○浜田委員 確かにそういう基準があって、基準に達すれば実際お願いしはせぬのですが、正直言いまして、それは少し足らぬでしょう。しかし、過去でも、たとえば千二百戸とかいっても、それが千百戸でも、あるいは状況によったらあるでしょうし、また、二十二条を見ましても、全体で千二百戸であり、一町村で四百戸またはその区域内の二割以上、こうなっておるでしょう。そうしますと、たとえば私の住んでいる呉市なら呉市をとって、それは四百戸以上になる、しかし実際は当てはまらない、こういうことになるかもわからない。そこらはケース、ケースによってよく実情を把握してもらいたい。そうせぬと、零細な被災者を公営住宅等を建てて入れようと思っても、入れないですよ。二重の災害を受けるようなんです。そういう点も、政治でありますから、よく配慮していただいて、それらの基準についてよく実情に合うようなお考えをしていただきたいと思うわけです。  次に、いまの災害復旧等について可及的すみやかにと、こういうことなんですが、これは、大蔵省来ておられるかと思うのですが、いまの災害復旧は、三、五、二の年次計画を立てておられようかと思うのです。私はこの災害対策基本法を読んでみましても、三条の二項には、第一に災害予防、災害応急対策、災害復旧ということが掲げられておるのですね。しかるに、これが三、五、二という比率はどういう考えで出てきておるのか、いわゆる査定が終わらないとか、あるいは災害の年は、予算を組んでおらぬから、やらないといわれるのか、次の年に五にしてたくさんやるのだと、こういう点ですね。そういう点についてひとつお聞かせ願いたい。
  41. 長岡実

    ○長岡説明員 三、五、二の比率の根拠は、私ども正確にお答えできないと思います。御承知のように、終戦直後、それから昭和二十八、九年、三十一、二年くらいまでの間は、私の記憶するところでは、災害は六年ないし七年かかって復旧しておりました。これは当時から非常に問題になりまして、国会でも御指摘を受けておったところでございます。これは理由はひとえに財政上の理由だと思います。これをでき得る限り私ども災害復旧は何とか促進しなければならないというので、毎年毎年促進をしてまいりました。そのときの一つの基準が、公共土木災害負担の法律等によりまして、緊急を要するものは三年間でやろう、その三年間の場合に、初年度三割と申しますのは、これは六月あるいは七月くらいに起きた災害につきましては、率直に申しまして、やろうと思えばもっと復旧のテンポは早められると思いますけれども、大体九月の下旬あたりに相当大きな台風が参ります、そのころになりますと、それから現地査定に参りまして災害復旧に着手するわけでございますから、まあ五割はとてもいかないであろう、そういうようなところからおそらく初年度は三割というようなことが出たのじゃないかと思います。現在、災害復旧のテンポは、緊急のものは三年間、その他のものは四年間ということでやっておりますが、財政の都合もございまして、一挙に全体を三、五、二まで短縮することはまだできない状態にございますけれども、毎年少しずつテンポを早めまして、四十一年、すなわち去年発生した災害につきましては、初年度が三割、次年度に四一%、合わせて七一%までの復旧がはかられるというところまでこぎつけたような状態でございます。
  42. 浜田光人

    ○浜田委員 私は、いま大蔵省が説明なさったように四年を三年というのではなくして、三年をまだ二年にしなければならぬと思うし、そして三、五を逆に、この予防対策やら応急対策やら、第二次災害を防止する意味で、少なくとも初年度に五割はやらなければ、第二次災害はどんどん起きますよ。特に今回のような急傾斜、都市災害、こういうのが、とんでもない次の第二次災害の原因になるのですね。そういう意味で、今回は特に、いまも御説明なさったように、雪の降る地域と違いますね。みんな暖い地域ですよ。しかも、この七月初めの災害です。さっきから御説明なさっておるように、査定せぬ前でもどんどんやっていこう、すみやかにやるのだ、こう言っておられる。災害対策基本法を読んでもそうですよ。それを三、五、二とかいって三年、四年、五年でやっておられるから、次々拡大するのですよ。  そういう意味で、私、副長官にお聞きしますが、さっき言うた情勢からいっても、沿岸地帯で、雪なんかの国とは違います。おくれたら雪でもう工事ができぬという地域とは違う。しかも、時期から見れば、一カ年間の比較的早い災害ですね。こういう意味で、今度の災害は最初の年に五くらいの比率でこの災害復旧をやってやろう、やるべきだ、こういうお考えになっていただきたいと思うのでありますが、所信のほどをお聞かせ願いたい。
  43. 上村千一郎

    上村政府委員 実は財政上のことでございますので、五割がいいのか、四割がいいのか、三割がいいのか、いま主計官も、自分自身もはっきりしたその比率は言えないということを言っておられるのでございますが、災害対策本部としましては、とにかく応急な処置につきまして、これはやるべきことは早くしなければならぬ、そのために、たとえばいまのところ三だけやってしまったから、あとはちょっと待っておってというようなことは、これは災害に対する処置として不適切である、こういうような点は感ずるわけでございまして、その点につきましては、大蔵当局としましても、とにかく緊急なものにつきましては当然処置をされていくものだというふうに私は思っております。
  44. 浜田光人

    ○浜田委員 そこで、具体的な問題を聞きますが、私が住んでおる呉は、かつて二十年災害でいろいろ砂防地区の指定をやったわけです。やったけれども、地図があれば一番よくわかるのですが、建設省の役人さんに聞いても、全くそうだと言うんだが、国道から山手、あるいは県道から山手と、こういう砂防地区の指定をやっているのですね。普通なら、その川なら川を指定しておれば、ずっと一貫した改修がなされておる。ところが、国道から上は砂防指定地域で堰堤もある、流路工もつくっておる。ところが、その下は指定河川となっておらぬから、市が管理しておる。そうすると、極端になると、上は広い川幅だけれども、下は国道から狭くなったりしているのですね。それがはみ出したりしておるのですよ。こういう点を全部一貫したそういう指定にし直す、こういうお考えがあるかどうか。
  45. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えします。  ただいまの指定の問題、砂防地区の指定の問題かと考えますが、ただいまのお話にございましたように、現在、国道を境にして上のほうが指定されておって、下流が指定されていないということになっております。それで、この地区の指定につきましては、県知事の査定によって建設大臣が指定するということになっておりまして、県知事がまず第一次的に、どこを砂防地区に指定すべきかということを検討しておきめになるわけでございまして、お話の部分につきまして早急にそういった実態を調べまして、県のほうと打ち合わせて、この指定の必要があれば直ちに指定をいたしたいということで目下調査中でございまして、できるだけ早く結論を出したいと思います。
  46. 浜田光人

    ○浜田委員 時間がございませんから、最後に副長官、この災害の一つは何億とかからないかもわかりませんけれども、数寄せますと、一地域でも何十億というようなものですね。さっき申し上げたような数なんです。災害復旧を完全にやろうといたしますと、これから少なくとも五年、十年かかるかもしらぬ。そういうときに、その地域等は国の直営で災害復旧を行なとしましても、ほとんど堰堤になろうかと思いますが、これらをやられるお考えがないかどうか、そういう点につきましてお伺いします。
  47. 上村千一郎

    上村政府委員 この問題につきましては、一昨日どなたか委員の方から御質問がありまして、河川局長お答えをいたしたかと思われますが、御質問ごもっともな点でございますが、何しろいろいろと多方面にも関係することでございますもので、十分検討して処置をいたしていきたい、こう思います。
  48. 浜田光人

    ○浜田委員 もうこれでやめますから……。  たくさん砂やら岩やらが流れ出ておりますね。これを除去するのに、いろいろ基準はございます。ところが、さっき言うたように数が非常に多いので、一カ所ではとても基準に当てはまらないのですが、一団地二千立米なら二千立米、そういう地域を固めてそういう認定基準にしていかなければならぬと思うのですが、それらについてのお考えを伺いたい。
  49. 多治見高雄

    多治見説明員 御承知のように、従来基準がございまして、土砂量の量等について、採択するかしないかということをきめておりましたが、今回の災害等を検討いたしまして、幾つかの流域を合わせて一本で被害があらわれるというような地形その他については、従来の基準検討しまして、合わせて考えられるようにできればいたしたいということで、いま検討いたしております。
  50. 浜田光人

    ○浜田委員 もう一点、最後に、やはり特殊的な問題ですけれども、これこそ政府の大きな政治上の問題だと私は思うのですが、呉市や佐世保なんかでもそうですが、軍の指示によった防空壕がまだ無数にあるんですよ。これもまた私の山なんだが、大きなコの字型に掘っちゃって、そして十一空廠が旋盤なんか入れてやっておる。もう山なんか立ち木がなくなってしまい一まあそれはいいんだけれども、それが原因して、上は農道ですが、その農道が一メートルくらいずつたりしておるのですよ。今日、呉にはまだ二千くらいあるのです。昨年だって二百メートルぐらい向こうのところにぽかっと大きな穴があくんですからね。そういうのが無数にあるのです。これらがやはり特に都市災害の大きな原因にもなっておろうかと思うのですが、これらに対して政府はどういう措置をされますか。
  51. 上村千一郎

    上村政府委員 この点は確かにそういう点があると思います。私自身もその点を経験し、見ておる一人でございますが、確かにそのままになっておる。それで、これをどうするかという問題につきまして、これは一応検討する必要があろう。その施設が国有財産に入っておるのか、あるいはそうでないのか、どういう施設であるかというようなことによりまして、多少政府内部の所管の問題もございましょう。でございますが、そういうものが原因になりまして災害を誘発しておるという点は確かでございますから、この際におきまして十分検討を進めていきたい、こう思っております。
  52. 三宅正夫

    ○三宅説明員 防空壕の埋め戻しにつきましては、現在のところ、都市災害といたしまして補助対象にしております。補助率は二分の一でございます。
  53. 浜田光人

    ○浜田委員 さっき副長官も言われ、あなたも言われるが、実際そういう二分の一出しておるというなら、自治体は、今回の災害なんかでも、住民から声を聞かぬでも対策を立てられておったのだ。さっき言われたように、政府の管財なら、やらなければならぬし、とうにやっておるでしょう。ところが、実際はほとんど民間の財産、敷地、宅地、山地で、みな十一空廠、海軍、海軍航空隊、海軍工廠とかが命じてやらしておる。だから、そういうことを論議しておったのではこの問題は解決しないんです。これこそ私は終戦処理だと思うのだけれども、こういう席ですから、財産や農地補償のことは言わぬ。ほんとうの終戦処理はこういうところへやるのが政府のつとめだと私は思うのだ。そういうところから、そういうちゃちなことでなくして、根本的に取り組んでいただきたい。再び災害がこういうことが原因になってあったら、政府を徹底的に追及しますよ。そういうところで質問を終わります。
  54. 田原春次

  55. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは副本部長お尋ねしたいと思いますが、今回の災害の中で人災か天災かという問題はたくさんありますが、その人災であった場合の責任はどうなりますか、この点をお尋ねいたします。
  56. 上村千一郎

    上村政府委員 お尋ね趣旨はわかりますが、その人災ということの意味ですね。直接その災害を与えておるという故意、過失の問題がございますれば、民法上の問題が発生するでしょうし、その形態におきまして非常に違うだろうと思う。いまいわゆる人災というようなことばが使われておりますのは、天災ではあるけれども、人為的ないろいろなことがからんでおるんだ、もう少し政府はしっかりやれというような意味におきまして人災ということばが使われておるだろうと思うのです。とにかく、いま天災に対しましての処置をやっておるわけでございます。人災ということになりますと、今度は具体的にどういう点をどうということになって、いま言ったように、完全に民法上の、各個人個人が法的な損害賠償請求権なりその他いろいろな問題について救済を得るというようなことに該当する場合もあるでしょうし、あるいは今後の立法措置として無過失損害というような場合も起きてくる、いろいろな場合があると思うのでございます。お答えになるかならぬかはわかりませんが、まあそんなことであろうかと思います。
  57. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 天災とか人災とかいうのは、ことばの遊戯でわれわれやっている前に、命を失った方々あるいはその家族、そういう方々から見れば、災害というものは、これは不可抗力である、ところが、防げるものは防ぐのが政治である、また、危険なことがあらかじめわかっておるところに、その危険を増長するようないろいろなものをつくったり、そういうことをすることに対して、社会的な道義、いろいろな問題が出てくると思う。そういう問題で、その責任というものがいつも不明確であるがために、次の災害を起こしておる。これは政治の貧困と一口に言えばそれでおさまってしまう問題ですけれども、それだけでは済み得ない問題があるので、あえて質問したわけであります。  実は七月三十日付の「サンデー毎日」の十七ページに「ゴルフ場をつぶしてみせる」、これは悲惨な文章になっております。これは神戸市葺合区葺合町の市ケ原にあった事件であります。いまいただきました「災害特報」の裏のこれがそうです。二十一人全滅です。その中で特にひどいのは、その文章に出てきますところの梅本矢市さんの御家族で、八人家族のうち七人死んじゃって、たったお一人になっちゃった。これに対して、この責任というものはどうあるのかということでこの記事が出ておるわけなんです。これはいろいろと問題がたくさんあります。  これについて、わかる範囲で私お尋ねしたいのでありますが、まず、この地点は、風化第三層といわれておるような非常な危険地帯、こんなところにゴルフ場をつくることは危険であるといわれておるにかかわらず、昭和三十七年にこれは許可されておる。こういったこの地帯の実態というものはどうなっておりますか、これをまずお尋ねしたい。——それでは、総務副長官、副本部長は、こういった社会的な問題が週刊誌にでかでかと出ておりますが、これに対するお考え、また所見はいかがでしょう。
  58. 上村千一郎

    上村政府委員 実は私、今回の災害対策の副本部長並びに兵庫県下の災害調査の団長としまして参りました。市ヶ原地区は、その当時早くございまして、現場には行くことはできませんでしたが、ヘリコプターで三回にわたりましてそこをよく拝見しております。お説のように、非常にお気の毒な状態である惨状を拝見させていただきました。これも一昨日の当委員会で申したのでございまするが、私ヘリコプターで見まして、とにかくその地区というものは、住民の方々は、避難をすることを勧告されて避難はしましたけれども、実際上見たところは、そうえらく変化しておるとはきっとお思いになっておらなかっただろうと思います。ところが、ヘリコプターで見ると、それは周辺に、カントリークラブができた、それから一方は宅地造成がずっと表六甲のほうに一ぱい進んできておる、こういったような変化というものがどう響いてきておるかといろことを見まして、これは特に六甲山系が風化のひどい花こう岩でできております点から考えますと、非常に私考えさせられたわけであります。しかしながら、その原因がどうなっておるか、こうなっておるかということにつきましては、今後慎重に調査してそして対処すべきものだ、こういうふうに思っております。
  59. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これらの死者に対しては、県または国がどのような見舞いまたは対策を講じられておるのですか。
  60. 上村千一郎

    上村政府委員 この点につきましては、各省庁の方々から御答弁させていただいたほろが具体的になるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、災害救助法が発動されてまいりましたが、またより多くの救助その他の点が拡大される、こう思います。
  61. 今村譲

    今村政府委員 これは災害救助法の点につきましては、死体の捜索、それから発掘、その埋葬、これは災害救助法に基づくところの措置でやっておるわけでございます。
  62. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 このゴルフ場の実態というものを私は実は知りたいのです。ということは、いま御答弁できる方がおそらくいないと思うのですけれども、これはあくまで質問でございます。私がこういったことをまず確認してはっきりしたわけではございませんので、実は質問するわけなんです。実はこれはあくまでも質問でありますから、誤解のないように。  こういうことを聞きたいわけなんですが、このゴルフ場のメンバーの中に、警察署長さんが歴代なっていらっしゃる、それから、さる有名な関西の、日本で一番か二番といわれるような組織暴力団の組長が入っていらっしゃる、それから顧問には知事がなっていらっしゃる、それから特別会員には市長さんがなっているといわれているのです。私はその各人一人ずつ聞いてきたわけではありませんから、そうだということをここで断言いたしませんが、こういうことがもしも事実であるならば、これはえらいことだと思うのです。このゴルフ場が原因で二十一人も人が死んでいる。なかんずく、梅本さんの御家族は、八人のうち七人まで死んでいるのです。七足のぞうりやげたを並べて御主人が泣いていらっしゃる。そうしてこの「サンデー毎日」では、何が何でもおれの一生の間にこのゴルフ場をつぶしてみせる、こんなことを発言するからには、よっぽどこれは恨んでいる。われわれがこの災害対策委員会で何だかんだと言っている間にも、これらの御家族の気持ちというものは、これは絵や筆には書けないと思う。これは副本部長さんだって同感だと思うのです。お互いに人の子、また人の親として、お子さんと奥さんと一挙に七人も失っちゃったんです。いま私が述べたようなことがもしも事実であるならば、これはたいへんなことだ。  それから、もう一つここに大きな問題が隠されている。実は昭和三十七年の七月でありますが、関西電力がここに高圧線を立てております。これは御存じのとおりです。その高圧線はなぜ到れないのですか。岩盤の下をくり抜いて、そこに高圧線の橋脚をしっかりやったために、第三層といれれる風化地帯の六甲山系の土質にも耐えられる。それがゴルフ場の土どめだけがくずれて二十一人の方が犠牲になったということは、兵庫県とか神戸市の許可基準が甘いのじゃないかと思うのですが、この点についてお答えができますか。   〔委員長退席、永井委員長代理着席〕  私はいつも災害対策質問しているのですが、満足なお答えをいつも聞かれないわけですね。こういうことでは、ほんとうに何のために委員会をやっているかわからない。こういう重大な問題が社会問題として週刊誌に、それもきょう出た「サンデー毎日」に大きく出ているからには、これはほんとうにたいへんな問題だと思う。事実であるか、うそであるかは別としましても、こういう問題が出たというだけでも社会問題なんです。もしこれが事実とするならば、そのゴルフ場のメンバーに警察の歴代の署長さんが——名前を言ってもいいんですよ。ここに書いてある。その方々が何のためにそうやっているかということになると、これは疑いを持たれる。特に私が疑問に思うことは、昭和三十七年の四月ですか宅造法が改正になりましたその後の七月です、第十二ホールをつくるためにこの改造をやったのです。ところが、この許可といろものが非常にあいまいであった。それが一つの原因になって今回くずれたのじゃないかと地元では言っているのです。だから、そういう問題が起きてきますと、おれは知らないんだ、あれは土質が悪かったんだ、あれは第三層なんだ、そういうことは関係ないんだということで、二十一人死んだ責任はどこにいったのだという問題になりますと、非常に社会的にも不明朗であり、また、われわれ災害対策委員会としても、そろいう問題を取り上げなかったということは、ここで犠牲になった方々に対して申しわけないと思います。総務副長官、副本部長立場として、こういうことがもしも事実であるならば、どう一体対処なさろうとしているのか、これはまだ調査しなければわからぬですけれども、その点についての御見解をまず承りたいと思います。
  63. 上村千一郎

    上村政府委員 実は、このゴルフ場と市ケ原地区のがけくずれとの因果関係、その他いろいろと調査を進めていかなければならない、こういうふうに思います。  それからなお、もしゴルフ場が今回の災害の原因になっておる、因果関係があるということになりますると、いまのようないろいろな問題を何かと検討いたしていかなければならぬ、こういうふうになるかと思いまするが、いまのととろ、どういうふうになっておるか存じていないのでございます。いま、どこの所管かということで、きょう列席いたしておられる各省庁お話しておりますが、いまのところ、ちょっとどの省庁も存じていない関係にございますので、至急調査いたしましてそして御報告をいたしたいと思っております。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは私もあくまでこうであるときめつけているわけではございませんので、実態調査をやってもらって、どこまでも追及していきたい、こういう考えでございますので、小委員会ぐらいつくって——こんなに一カ所で二十一人もなくなったのですから、ばらばらに一人、二人死んでいって合計二十一人ではございません、こ  の葺合地区だけで、一カ所だけで二十一人もなくなったということになれば、これはほかのことと違いまして、人命が失われたのです。特にまだ死体があがっていないそうですね。これはもうたった一人の交通事故の問題だって責任追及になる時代でございます。だから、さきに私は、天災なのか人災なのか、その責任というものはどこまで一体これが範囲になるかという前提のもとに聞いておる。きょうは質問のあれが唐突だったもので、お答えの準備ができていらっしゃらないので、私としても、不満足でありますけれども、それ以上追及することができませんのでやめておきますが、総務副長官、そういうわけでございますので、早急にこの実態調査をしていただきたい。  それから、もしも、先ほど申し上げましたように、暴力団の最高幹部が入っておるようなところへ、これが事実であれば、警察の署長さんがそこの会員の名簿に名を連ねておった、これはいまの署長ではないのですが、昭和三十九年一月一日現在といわれております。そういった方々が一緒にやっているということがもしもわかったら、この地区の人たちはたいへんな騒ぎになる、これはもうわあわあ騒ぐのではないか、私はそれを心配している。それが第一点。  第二点としては、このような執念で、梅本さんが、このゴルフ場を一生の間につぶしてみせるというようなこと、これに対して、政府のほうとしても、特別にこの方、一家七人もなくなったのですから、何らかの形でお見舞いをしてあげたらどうかと思いますが、その点いかがです。
  65. 上村千一郎

    上村政府委員 実は小川委員も御存じかと思いますが、お心持ちその他はよくわかるわけでございまして、個人といたしましてする分にはいろいろなことがございましょうが、政府として正式にやる以上は、この同一の条件にある方に対しましても同じような処置をするということに相ならなければなりません。でございまするので、お心持ちはよくわかりますけれども、これはひとつすべての条件に当てはまる意味におきまして、検討をさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただ、これがすべての条件に当てはまるかどうかということになると、私も全事例を判断しなければわかりませんが、こういうふうに出てしまったことでありまして、非常にこれは社会的な問題になっておるので、あえて総務副長官お尋ねしたわけなんです。この問題はこれぐらいにいたします。  実は、これは本委員会でも相当問題になったと思うのですが、こういった個人災害を受けられた方々に対する損害の補てんというものは、現在のところございません。ただあるのは、金を貸してあげるとか、そういった融資的なことはあるのですけれども、それに対して、死亡者に対して三百万円とかいう交通事故のような補償というものはない。これに対して、将来個人災害で天災を受けた方々に対する損害補償というものに対する見解はどうでございましょうか。
  67. 上村千一郎

    上村政府委員 実はこの個人災害の問題につきましては、一昨日石橋委員からも御意見が出ました。その際にもお答えを申し上げ、先ほどの小澤委員でございましたか、お話の際にもお答えをいたしたわけであります。  個人災害の点、それからいま小川委員がお考えになっておる感じ方というものにつきましてはわからぬわけじゃございませんが、個人災害というものについてどう対処するかということは、非常にむずかしい問題——というのは、非常にバラエティに富んでおりますし、しかも、これをどう処理するかにつきましては、昨年の集中豪雨の際以来各省庁とも連絡を密にいたしまして検討をいたしておりますが、非常にむずかしい状態になっております。もちろん、農地関係につきましては個人災害の点はございます。それから、先ほどもお答えいたしましたけれども、税制部面あるいは融資の部面、その他災害救助法の対象部面というような点につきましてございます。また間接的には、あるいは自治団体に対する交付税の問題、その他間接的には及んでまいりますが、直接的な個人に対する災害の補償関係をどうするかという問題は、特に今回のように都市災害の特色を持ち、必然的に個人災害という問題が重要視されるという意味においては、何らか考えなくちゃならぬという点もあるのですが、何しろ昨年来からも当委員会で非常に問題にたっておるわけであります。こういう意味からいたしまして、いま、死亡した方にはどれだけとか、金額を三百万とか、やれどうとかいうふうなお考えも出ておりますけれども、これは非常にお心持ちはわかりますけれども、これを立法措置についてどうするかという問題につきましては、非常にむずかしい点があるわけでございまして、石橋委員にもお答えいたしましたような結果でございます。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それからもう一点でございますが、これは個人災の一つの例としまして、たとえば家がつぶされます。家をつぶした流れてきた土砂を取り除くのは、やはり個人がやらなければならないのですか。その土砂、岩石、そういったものを取り除く費用は、国や地方自治体が見てくれるのですか。それとも、個人災として、自分の家がつぶされた、自分の庭が埋まっちゃった、自分の家の縁の下に砂が入っちゃった、その点も個人が負担しなければいけないのでしょうか。
  69. 三宅正夫

    ○三宅説明員 現在の都市災害の推積土砂につきましては、各個人の宅地から市町村長が指定したところまで出した土、それを運び出すのが補助の対象になっておりまして、各家屋の下から土を一定の場所まで持っていくのは、各個人が行なうことになっております。補助の対象にしておりません。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、個人が持っていけるような石や砂利ならまだいいですが、あなたも私と一緒につぶさに見ているのですから、これは違うとは言えませんが、市ケ原ですが、二かかえもあるような大きな岩が個人の力で運べますか。そういうときにこそ機械化部隊の動員が必要なんです。
  71. 三宅正夫

    ○三宅説明員 いま原則を申し上げたのでございまして、そういうふうに、放置しておけば公益上非常に重大な支障があると市町村長が認め、市町村がどろを動かしたものは、補助の対象にいたしております。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 じゃ、そのとおり申請して、数が多いからといって、抽せんするとか、席順にするとか、そういうことはございませんね。これははっきりしておかないと困りますから。
  73. 三宅正夫

    ○三宅説明員 そういうことは絶対ございません。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今回の災害で自衛隊が出動してくださいましたことに対しては、私ども国民としましては非常に感謝しております。また、公明党としても非常に感謝しておりますが、実は自衛隊が五島列島には出動しないというテレビニュースが出ましたが、これは事実でしょうか。
  75. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  今回の災害で自衛隊が出動いたしましたのは、長崎県につきましては、福江市及び佐世保市でございます。  五島列島につきましては、奈良尾町について、水路の復旧につきまして自衛隊の出動を求めるかどうかということにつきまして、県のほうから自衛隊にお話がございまして、ヘリコプターで県と自衛隊とで現地状況を見たのでありますが、その結果、県のほうで特別工事としてこれを行なうということで、要請がございませんでした。出動もいたしませんでした。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 じゃ、結局は出なかったのですね。ところが、あの五島列島というととろは、御存じのとおり、出かせぎの島であります。屈強な青年、壮年はいないのです。おばあちゃんとそれから御婦人だけで、あの大きな岩っころを動かしておるテレビニュースが、私ども視察に行った翌日、日本テレビで出された。それで、自衛隊が来ないか来ないかといって嘆いているところを放送されておりました。県が一々言わなければ出動はだめだということはわかりますけれども、ああいうテレビや何かで出て、それを見て、政府としては、それは県からこないからいいんだというのでなくて、ほんとうに実態をテレビニュースに映していますから、それをほっておくという手はないと思うのです。それに対してはどうなんでしょう。
  77. 今泉正隆

    ○今泉説明員 そういったニュースも出まして、調査した結果が先ほど申し上げましたところでありますが、どういった場合に出るかというのは、もちろん法律で書いてございますが、具体的に出るか出ないかという場合に、自衛隊としては、大原則が、一応知事の要請に基づいてその上で判断して出るということになっておりますので、この奈良尾町の場合も、県と十分連絡をして調査をして、その結果、県のほうで特別の工事としてやりたい、やるんだということでございましたので、要請もなく、また出動しなかったわけであります。
  78. 細田吉藏

    ○細田委員 関連して。  先ほどの土砂の問題で建設省にもう少し念を押しておきたいのですが、これまでのやり方、一定の場所までは個人が出す、それからあとは補助の対象にするのだ、こういうお答えなんですが、これは街路課長、私と一緒に行った経験からもおわかりのように、今度の災害を受けているようなところは、どちらかというと、これまであまり災害がなかったようなところが多いのです。そこで市町村長さんとまどっておるという傾向がある。この問題に限りません。対策でよくわからないというような方が多いわけなんです。そういう意味で、はっきり指導してもらわぬと、どこの市では、どこまで持ってこい、どこの町では、門口まででよろしい、とにかく表の道路のところまで出せというような指導になる場合もある。そこで私は、ほんとうはああいうものも問題にしたいと思っているのだが、この問題を別に切り離してみると、あなたの言っている一定の場所というのは、至近なところでいいから道路に出せばいいのだ、あとはこっちでやるというようにすべきだと思うのです。そうして、そうするのだとおっしゃるならば、そういう指導をすべきだと思うのだが、どうかということを一点お尋ねしておきたい。それはどうですか。
  79. 三宅正夫

    ○三宅説明員 私、先日先生と一緒に現場を拝見いたしまして、そういった市町村の排土に関する作業は非常におくれていると私自身も痛感いたしました。それで、そういったふなれな市町村のことでございますので、そういった排土事業を至急できるだけ行なうように県を通じましていろいろ指導しております。それで、いまおっしゃったように、遠くまで持っていくということは非常に不合理でございまして、できるだけ近くにたくさん数多くそういった集積場所をきめましてそうしてどろを運び出すこともあわせて県のほうに指導しております。
  80. 細田吉藏

    ○細田委員 それは家の中にあるどろも問題があると思っているんだけれども、その問題を一応切り離して——道路に出して、どうせトラックやコンベヤーで運ぶんだから、前まで出せばいいということにしないと、トラックなんかありはしない、人を頼んで運ぶなんということは、これは実情に合わない、だから、家の中のどろも私は問題にしたいと思うのですけれども、玄関先に道路があるのですから、道路までは出させる。道路のやつはどうせ並んでいるんだから、それをずっと片っ端からさらっていく、こういうことにしなければいかぬと思う。そういうふうにお願いしたい。  それからもう一点。あなたは、別に必要があるところは補助の対象にするんだ、こういう話だが、実際はこれは市町村の指導の問題もあるんだが、いろいろやると、これはほんとうかどうかわかりませんけれども、会計検査でたいへんだということを言う人がおる——ということは、逆に言うと、認定をなるべくきびしくする。公のためにこれが必要であるというのは、よほどのことだ。いま言った大きな石なんかは当然やらなければいかぬが、そのほかの問題は、なるべく対象にならないように、市町村がするようなふうになる傾向があるということなんだ。そこで、いわゆる会計検査の問題もあるだろうし、会計検査はあとのことだから、あとでもいいと思うのですが、今度の災害の実情などを見ると、公共的な色彩にどうしてもやらなければいかぬのだ。つまり、個人災害というものは、さっき上村長官の話があったが、いろいろ話すとむずかしいと思うけれども、理屈のつく限りのものは手当てをしてやろう、個人災害類似のものであっても、理屈がつくならやってやるという考え方に基本的に立ってもらわなければ困ると思うのですが、この点について理屈があれば……。
  81. 上村千一郎

    上村政府委員 いま細田委員のおっしゃったとおり、ごもっともです。昨年のことでございましたが、松代群発地震の際に、私、調査団長として参りましたときに、いま御質問のようなことがよく起きておりました。宅地の中に土砂が入る、あるいは岩石が入る、こういうような際におきまして、個人災害の問題につきましての十分な措置がほとんどできないという際でございましたので、理屈がつく限りひとつやってもらいたい、そうしてその認定はどうしてもそこの県なりその他自治団体でやっていただかないと、一々個人に認定させたのではまたいろいろな間違いが起こる——間違いと言ってはおかしいのですが、いろんな均衡を失する場合も生じますので、その自治団体が認定した場合におきましては、理由がつく限りこちらのほうで考えるというふうに申し上げてきたわけです。お説ごもっともだと思うわけでございまして、本部としましてもそういうふうに考えていきたい、こう思っております。
  82. 天野光晴

    ○天野(光)委員 関連して。これはどういうふうなところに当てはまるか、きょうは各省庁みなおいでですから、お考え願いたい。  今度の災害で、西宮市に起きた災害です。これは住宅地の崩壊による大災害なんですが、たまたま一家全滅で、子供さん一人、奥さんが大重傷で顔がいびつになって入院して、ほとんどどうにもならないという話なんですが、その二人だけが残った。ところが、崩壊した場所はそのまま砂利一つ取り除いていない。一体これはどうしたんだ。これを取り除かないと、崩壊した上のところに、ロープをつないで、うちが三軒も宙に浮いている。その下がやられると大災害が起こるのですよ。それがぺちゃんこになって何もなくなってしまう。その下の家は水が来ればそのまま三軒も四軒もぞろぞろ流れ落されるという状態になっている。そのうちの者が死んじゃって、奥さんが一人入院しているけれども、これは話のしようもどうしようもないから、そのままほうってあるのだという現地の状態にぶつかったわけです。これはすぐに追っかけて災害が起こる可能性もあるから、すぐ措置をしろ、どんな問題があろうとも、ともかくすぐに応急措置を講ずるように、何とかするようにやってきたのですが、その場合の土砂の崩壊の払いのけというものは、親族会議なんか開いて了解を求めないとできないのか。個人のものだからといってそのままにしておけば、また七十ミリ程度の雨でも、その次のうちが完全にゆがんでいるのですから、そのまま持っていかれる状態にあるので、そういう場合における指導はどのようにやっておられるのか、やはり総合的に副長官からお答え願いたい。
  83. 上村千一郎

    上村政府委員 天野委員がおっしゃいますような、そういうところも生ずると思うのです。この問題につきましてどうするかという具体的な問題でございましょうが、これは建設省のほうからお答えさせていただきます。
  84. 井上義光

    ○井上説明員 いまの天野先生の、災害を受けました場合の住宅の復興につきましては、住宅の復興につきましても、敷地の整備につきましても、現在のところ、住宅金融公庫から融資をする。そのほか、宅地の擁壁とか排水施設の場合には、その改善につきましては、知事なり市長なりから勧告なり改善命令がございました場合には、四十万円を限度として融資するという制度にいたしております。  ただいまの問題でございますが、土盛りするとかあるいは擁壁を強化するなりしまして保全措置が講ぜられるか、あるいはそれを移転除去する必要があるかという問題がございますが、その点につきましては、別途基準によります行政庁の監督なり指示によりまして、住宅金融公庫から融資をするということでございます。
  85. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私、あとで一番最後に質問をするので、具体的にやりますが、全然ピントの違う答弁をしてはだめです。私の言っているのは、措置をどうするという問題ではないのだ。復興の措置をどうするかということを聞いているのではなく、現在、手がつけられないである。その家族が全部死んじゃって、生き残った奥さんが、いま言ったとおり、臨床尋問もできないほど重傷である。あとは小学校の生徒が一人生き残ったということで、これは話にならない、手をつけられないということになっている。その現状の始末をそのままにしておいたのでは、この間三百ミリ降ったからああいう災害が起こったので、今度五十ミリ降れば、その下の家は完全にゆがんで、石垣はみなゆるんでいるのですから、直そうがどうしようが、そのまままともに水を受ければ、その下の家が何軒もやられてしまうという現実の問題に対して、これは手をつけられないといって放置しておく手はない。私は、そういうものをそのまま放置しておくのは遺憾千万である。そういう点の適切な措置を講ずることはできないのかということです。第二の災害、第三の災害が起こる可能性がある。それをそのままにしておくということは非常に適当ではないのだから、それに対して適切な措置を講ずることはないのか、こういうことを聞いている。
  86. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 政府委員に申し上げますが、質問に答えられるような陣容を整備して出席しておいていただきたい。できないならできないで、あと回しにして、責任のある答弁を要求いたします。
  87. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、法律のいまのたてまえからいいますと、個人のものでございますから、強制的には一応できないようなたてまえになっております。一般的には、勧告なり何なりをいたしまして、この措置をとってくれということしかできないわけでございますが、ただ、先生御指摘の点、実は見てまいりまして、非常に危険だということで、県を通じまして適宜な措置をとるようにということでやっておるわけであります。いまのお話のように、個人の合意その他を得られませんと、すぐには手はつけられませんが、お話のように非常に危険でございますので、緊急的に何らかの措置をとるほうがいいのではないかということで、いま検討いたしております。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 がけくずれ対策費が二億円計上されましたけれども、新聞によりますと、一億円しか使えなかった。これは大蔵省が出ししぶったと書いてありますが、事実ですか。
  89. 長岡実

    ○長岡説明員 お話のように、四十二年度に事業費で二億円、国費で一億円の予算を計上いたしました。予算計上の際に、この予算をどこへ使うかというのは、いわゆる予算の配分基準については、実態調査をした上で配分しよう——ということは、率直に申し上げて、私どももがけくずれの防止が二億円で済むとは思っておりません。全国に非常にたくさん個所があるだろうと思うのでございますが、その場合に、一体どういう基準のものから措置を講じていくべきかということにつきましては、実施官庁である建設省としても、何か一つの方針をもって実施していかなければならないということで、普通の年でございますと、まず調査費を計上いたしまして、調査の結果が出て実施基準等がきまりますと、事業費を計上するのがならわしでございますけれども、最近、非常にがけくずれの災害がふえておりますので、ことしは調査費と事業費を同時に予算に計上したわけでございます。たまたまその調査が終わらんとするときに今回の災害が起きたわけでございますけれども、私ども決して予算出し惜しみするつもりで実施をおくらせておったわけではございません。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 結果は逆に裏目に出たわけですね。基準をどうするかということは、何もいまに始まったわけじゃないので、百年も二百年も国がずっと続いてきて、何回か鉄砲水とか、こういった豪雨による被害というものがあったわけです。今回が初めてならば、これは基準もきめなければならぬでしょう。どこへ金を使わなければならぬかということを考えなければなりませんけれども、過去にも何回かあったから、がけくずれ対策費として金をつぎ込むということで計上されたのだ。私どもとしては、いまあなたがおっしゃったように、二億では足らない、これは事実です。足らない金がさらに足りなく使われているというところに、こういう新聞記事、世論というものがわき上がってくるわけです。その点どうですか。
  91. 長岡実

    ○長岡説明員 小川先生のおことばでございますけれども、日本では至るところに危険な地域があるといたしましても、どういう状態のところが危険であって、そしてそこにお金をつぎ込めば一体とまるのかどうかということをはっきりしていただかない限り、私どもとしては、そのままの状態では予算を使うわけにいきません。そういうことを申し上げておるわけでございます。
  92. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 何かまるでよその国の災害を論じておるような態度では困る。大蔵省であろうが、建設省であろうが、自治省であろうが、一緒になって国土を守っていかなければならぬ。あなた方の怠慢はとにかくとして、確かに建設省は、こういう点が不備だ、こういう点が弱い、こういう点はだめじゃないか、こういう点はだらしがないといって、金を使うほうも協力体制をしいてもらって、一日も早く国民のこの不安を取り除かなければならないのが政治であり、所管官庁の任務である。そのことを言っておきたい。  時間がありませんので、あなたとかけ合いをやっていてもしようがないから打ち切りますが、神戸の例の高層住宅がひっくり返ったのがございます。あれは下水道の不備によるものだといわれておりますが、この点どうですか、調査は進んでおりますか。
  93. 多治見高雄

    多治見説明員 現在調査いたしておりますけれども、まだ原因がこれであるという確定的な原因、結論は出ておらないわけです。
  94. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 一体、この調査というのは、どのくらいあればできるのですか。いつでも、調査中だ、やれ何中だ、こういうことをわれわれ聞くためにこの暑いのにこれだけ大勢集まっておるのではないのです。一体調査というものは早急にやらなければならぬ。どんな努力を傾注してもやらなければならぬ。先ほどの二十一人の被害もそうです。いまの神戸における住宅団地のひっくり返った災害もそうです。こういう大きな事件は早急に調査しなければならぬ。いつまでたっても答弁は、調査中でございますという。この次ぎ委員会はいつ開かれるかわからない。このようなことではわれわれは迷惑です。この点は改めていただきたいと思います。  最後に、時間がありませんから、私は一言副長官にお願いしたいことは、先ほど委員長からお話がありましたように、この災害対策委員会は、矜持のあるもの、また権威のあるものとして、答弁者はもっとちゃんとした大臣方も出ていただいて、ほんとうにお互いがその原因の究明と責任の追及をして、二度とこういう災害が起きないようにやっていくのが政治であると思う。それを怠っておるところに人災といわれる原因があるのでありますから、その点重ねて強く要望して、私の質問を終わらしていただきます。
  95. 永井勝次郎

    ○永井委員長代理 河上民雄君。
  96. 河上民雄

    河上委員 私の選挙区でございます神戸も、このたびの七月水害の中で最も大きな被害を受けた地区でございまして、私も、社会党の視察団として、十日、十一日、災害の非常になまなましい際に、全市を視察いたしたものでございます。私は他の委員会に所属しておりましたがために、本日は特にお許しを得てここに参っておるわけでございます。したがって、過去の各委員の御質問の内容を十分に承知していないために、あるいは重複のおそれがありますけれども、何ぶん時間が二十分と非常に制限されておりますので、できるだけ時間を守って質問を終わりたいと考えております。したがって、用意してまいりました質問を少し整理いたしまして、いま同僚委員質問せられたことにあわせて、集約して質問したいと思うのであります。  第一は、今回の水害の被害の大きな特徴は、公共災害もさることながら、個人災害が非常に大きいということでございます。額におきましてどういうことになるかわかりませんが、おそらく二対一くらいに多いのではないかとさえ思われるのでございます。神戸市内のひどい各地区を回りましたが、先ほどお話がありましたように、土砂がたんぼあるいは住宅に流れ込みまして、しかも、ほんの二、三秒の間に入ってくるようなことでございます。長田区の商店街では、商品が全部だめになって、一点三十円くらいの広告をしながらいわば投げ売りをやるような状態でございます。  こういうことに対して、いつも繰り返されることでございますけれども個人災害に対する災害補償は全くないのでございます。先般石橋委員よりこの点に対しまして御質問があり、それに対して政府のほうから、宅地あるいは住宅についての災害補償につき前向きの検討をしたいという、やや積極的なおことばがあったと伺っておるわけでございますけれども、政府においてはどういう具体的なプランを考えておられるか。農地につきましては、例の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基づいて相当の補償がなされておるのでございますが、農地と宅地と何ゆえ区別しなければならないのか、われわれとしては理解に苦しむのでございます。一説によれば、私有財産に対する助成に疑義があるということでございますけれども農地においてすでに認めております以上は、宅地においてこれを拒む理由、根拠は非常に薄いというふうに考えざるを得ないのであります。この点につきまして前向きの検討をすると答えられた以上、これについて、いま、しかとこれだということはないまでも、こういう道も考えられる、ああいう道も考えられるという点があるのではないかと思います。その点について政府のお考えを示していただきたいと思います。
  97. 上村千一郎

    上村政府委員 個人災害の点につきましては、当委員会におきましても、今回に限らず、前々から委員の方々から熱心な意見が出されておるわけであります。そして今回の災害が都市災害を特色とし、必然的に個人災害というものが重要度を増しておることは間違いないのでございまして、石橋委員の御質問の際にお答えを申し上げたとおりでございます。ただ、いま政府が、ではどの程度考えておるかというような問題でございますが、これは過般の本会議におきまして、総理みずから、個人災害というものについては、非常にむずかしい問題である、要するに、災害救助法の対象とか、あるいは融資、あるいは税金というような問題において対処していくわけであるという御答弁があったわけです。この前の石橋委員の御質問に対しましてお答えしたように、昨年の静岡県下、山梨県下を襲った集中豪雨の際におきましても、当委員会におきまして非常に熱心に個人災害に対する問題の御意見が出ておる。それで、私ども中心になりまして各省庁に向かって熱心にいろいろやったのですが、個人災害という問題につきましては、非常にバラエティに富んでおると申しますか、これを措置づけるに難点が一ぱい出ておるわけです。それでなかなかうまくいっていない。こういう意味におきまして総理みずからも本会議においてああいう御答弁をされたものだと思います。しかし、この個人災害という問題につきまして、何らか打開し、そして罹災者の方々におこたえしていくということの努力をする必要があるだろう、そういう点から考えますれば、石橋委員が一昨日おっしゃいましたが、農地あるいは宅地とか、そういうふうないろんな対象を限定していくというような行き方というものは、私はきわめて貴重な御意見であろうと思いましたので、結局、何か対象を特定化するという方向におきましてひとつ検討をいたしていきたい、こういうふうなことを申し上げたわけでございます。そんなわけで、実は現在の段階におきまして、いま政府が個人災害について従来措置をされておる以上にどういう方向で考えておるかということは、まだお答えをする段階には至っていないのが実情でございます。
  98. 河上民雄

    河上委員 農地をやって宅地はやれないということが、非常に説明が納得しにくい問題だと思うのです。いま、対象を限定しながら少しずつでもやっていくということも一つの考えだ、そういうことの一つのあらわれとして農地についてはやっているというふうに理解いたしますならば、次に宅地についても対象を限定してやっていくということが可能じゃないか、こういうふうに私は思うのでございます。農地法律的に可能になったということは、その他の問題についても法律的に可能になる最も雄弁な証拠じゃないか、こんなふうに思うのですが、災害が起こるたびに、個人災害が大きいということをいわれるわけでございますけれども、大体個人災害について今回の被害額というものをどのくらいに見込んでおられるか。また、それにつきまして、いろいろバラエティがある、こう言われましたけれども、それを大まかにどういうように計算しておられるか、それをまず伺ってみたいと思うのであります。そういうことが立法的な一つの布石になるんじゃないか、こういうふうに思いますので、伺いたいと思います。
  99. 上村千一郎

    上村政府委員 個人災害の金額その他につきましては、いま調査はできておりません。
  100. 河上民雄

    河上委員 これは立法して個人災害に対する補償をする前提として、当然そういうことはやっていただきたい、こういうふうに思うのであります。  時間もございませんので、これについては後ほどまた触れることにいたしますが、個人の住宅が今度非常にやられているのでございまして、中小企業については融資その他の面でいろいろありますが、個人住宅に関してはどういうような措置が講ぜられることになるでしょうか。
  101. 角田正経

    ○角田説明員 個人住宅につきましては、基本的に、災害を受けまして個人でお建てかえになるのが非常にたいへんだというような方につきましては、大体被害戸数の三分の一程度までは公営住宅でカバーする、三分の二の補助をいたしまして公共団体でつくっていただき、それに入っていただくということを措置いたしております。個人でお建てかえになります方につきましては、住宅金融公庫から復興の資金を貸し付けをいたしております。
  102. 河上民雄

    河上委員 いまのお話では、ほとんどないにひとしいような感じであります。  最後に、住宅金融公庫から貸し付けをするというような話ですけれども災害復旧の場合、ことにこういう激甚災害の場合に、特別な措置を持っておりますか。
  103. 角田正経

    ○角田説明員 住宅金融公庫からお貸しいたしますのは、一般の災害激甚災害でも同じでございまして、二戸当たり、災害復旧の場合でも六十七万円を限度といたしましてお貸しするようにいたしております。あるいは、土地の整備その他必要がございますれば、整備に必要な経費もあわせてお貸しするようにいたしております。ただ、手続その他につきましては、一般の場合より非常に簡素化いたしまして、簡単にお貸しできるような措置をとっております。
  104. 河上民雄

    河上委員 住宅金融公庫の貸し付けぐらいは、激甚災害の場合には特別な考慮をする、措置をするというくらいのところまで——先ほど、個人災害については態様が非常にバラエティに富んでおるから、一つ一つ対象を限定しながらやるというようなお話がございましたけれども、その一つの前提として、せめてそういうことくらい考えられないものでしょうか。
  105. 角田正経

    ○角田説明員 先生の御指摘でございますが、ただいま申し上げましたように融資でございますから、額その他も十分とは申せませんけれども、応急の復旧に必要な程度まではお貸しすることにしておりますので、一応私どもとしては現在同じような措置でやっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  106. 中澤茂一

    中澤委員 ちょっと関連して。  これは政治問題で、いま副長官が、本会議で総理が融資その他でと言ったのですが、これはわれわれ長年災害に取っ組んでいるが、個人災害と小災害は全く処置なしなんですよ。これを機会にやはり一歩前進する体制をつくらなければ、いつまでたってもこれが問題なんです。そこで、石橋君、河上君から質問があった問題ですよ。農地は個人の所有を最高三十三万まで認めておいて、宅地に対しては何らやらないというのは、これは全く矛盾なんですよ。先ほど天野君の言った問題だってそうでしょう。宅地に対する災害復旧、これは大蔵省の言い分は、私ら長い間やっているからわかっているんだが、金持ちも貧乏人も一緒に見るわけにはいかぬというのが大蔵省の長い間の言いのがれなんです。それは確かにある。そこで、われわれは、一定の限度を切ってもいいと思うのです。宅地に対しては、一宅地に対して最高三十万なら三十万、五十万なら五十万と、頭を切ってもいいと思うのです。それだけのものは見るという基準をこの際何としても前進させないと、先ほどの天野調査団長の発言の問題だって、もしこれができていれば問題はないのです。三十万までは見るんだといえば、個人は三十万までは工事できるのです。個人災害農地だけは見ていて、宅地は全然見ないというのはおかしいですよ。  それと、先ほど細田委員質問、これも韮崎災害のときに大問題になった。前が県道だと、県道に出したものは町村は知りませんという問題が出てしまった。とにかく自衛隊が出ているから、うちの中から外に出せと言って、われわれは督励して出させた。県道に出したものは韮崎市で片づけるということはできない。県がやるのです。県と韮崎でけんかになっている。ですから、県道であろうと村道であろうと、基準を統一して、うちの前に出したものは責任を持ってやるという方式を考えないと、これは災害土砂が入ったときにいつも問題になるのです。だから、そういう基準を明確にすること、どこまで出せ、あとは、県道だろうが村道だろうが同じなんだ、そういう基準を明確にして指導をしていくことです。  それからいま一つは、総理の本会議答弁は、私、非常に不満なんです。個人災害融資というなら、いまの天災融資法以外に方法がない。そうじゃなくて、個人の農地も見ているんだから、宅地も限度を切って見るということで前進しなければしょうがないですよ。確かに金持ちの大きな邸宅も、貧乏人の小さい家もみんな見るということは不平等だ。だから、私は頭を切ってもいいと前から言っているのです。三十万なら三十万まで見ていこう、こういう一つの前進をするように各省検討してもらわぬと一これは政治問題ですから、大臣が来たときにこの問題はいま一度明確にさせなければいかぬと思うのです。だから、そういう点については答弁は要りませんが、ひとつ真剣に検討してもらいたい。しかも、今度個人災害がこれだけ多いのですから、これを契機にとれを一歩前進させるという姿勢をとってもらわなければならぬ。いつもこの問題でもめるのですから、ひとつ十分検討してください。
  107. 河上民雄

    河上委員 いま中澤委員から、多年この問題で苦労してこられて、御発言があったのですけれども、実際災害地を歩いてみますると、一体これはどうしてくれるんだという声が非常に多いのでございまして、この際、災害対策基本法その他においても、被災者の士気を鼓舞するということが一つの問題になっているわけであります。これについて、先ほど私は、具体的プランを聞きたい、こういうふうに申し上げたけれども、ともかく、まずこの問題は責任を持って検討するというか、次の場合には、必ず個人災害について補償するという方針だけでもここで打ち出していただくことを希望いたしまして、これはまだ何度も繰り返される問題だと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしまして、次に移りたいと思います。  同じような個人災害の問題でございますけれども、今度は神戸のほうで起こりました一つの特徴でありますが、乳牛が非常な犠牲になっておるのでございます。私も見ましたけれども、牛がもう足をあげてかたくなっておりまして、土砂に埋まったのをクレーンで引き揚げておるというような悲惨な状態を見たのであります。ところが、これに対して、家畜に関する共済組合が十分できていないために、何らの補償の道がないというようなことを聞いておるのでございますが、これについて政府はどういうようにお考えになっておるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  108. 松永正隆

    ○松永説明員 いまの先生のお話では、家畜の組合ができていないというようにお伺いしたのですが、神戸にも必ず家畜共済組合があるはずでございますから、それに加入さえしておりますれば、死亡した牛、馬等は共済金が支払われるということになるはずでございますが、その辺の事情はいかがなものでございますか。
  109. 河上民雄

    河上委員 乳牛は二百八十頭死んでおりまして、豚が四百頭死んでおるのですが、それにつきまして、個人の落ち度であるのかあるいは制度上の欠陥であるのか、まだよく調べておらないのですけれども、そこでは丸山酪農組合というのに三人ほど入っており、また、神戸搾乳組合というものもあるのですけれども、それに入っていない人もあるというようなことですが、いずれも任意組合であって、個人の親睦をはかったものであるというようなことでございまして、どうもはっきりとした法的な裏づけがない組合があった。これは制度上の欠陥なのか、それとも個人の落ち度なのか、その辺はちょっとわからないのですけれども、いずれにせよ、そういうことについて全くどうもお手上げだというような状態になっておるわけなんです。  これと関連いたしまして、鶏は今度の場合は五十羽というふうに比較的少なかったのでございますが、養鶏共済制度については法的にないように思うのでありますが、こういう問題もこの際考えるべきではないか。神戸のようないわゆる大都会においては、いわば都市酪農とでもいうべきものが存在しておるわけであります。こういう都市周辺に存在しております都市酪農というものを保護していく意味からいっても、こういう制度を考える考えはないか、それを伺っておきたい。
  110. 松永正隆

    ○松永説明員 前段のお話でございますが、この地域の家畜共済について義務加入の制度になっておるわけであります。したがいまして、加入すべき義務を組合員が負っておるわけでございますが、しかしながら、実際のこの共済金の支払いは、加入して掛け金を払っておらないと支払いを受けられない、こういう制度上のたてまえでございます。現在も義務加入制度にはなっておりますけれども、全頭加入にはなっておりませんので、昨年の制度改正で、包括共済という引き受け制度の改善をやりまして、少なくとも農家の飼育している牛、馬等につきましては全頭加入するというふうな改正が行なわれたのでございますが、ただ、対象となっておりますのは種豚だけでございます。肉豚と鶏は現在制度化されておりません。したがいまして、四十一年度から鶏共済につきましては調査を始めまして、向こう三カ年間いろいろ実態について調査いたしまして、その上で制度改正についての検討を行なうという段階になっております。肉豚共済も前年度調査いたしまして、その結果を目下検討中でございますが、なお調査上不備な点もございますので、引き続いて調査なり検討なりいたしたい、こういう段階でございます。
  111. 河上民雄

    河上委員 いまの御答弁で、非常に法的な保護がない状態に放置されておるという現状である、今後研究していくというお答えがあったわけでございますが、これは単に偶発的な事件ではないと思いますので、何とぞひとつ法的な整備を急いでいただきたいと思います。  今回の災害につきまして見てまいりますと、災害は大体二種類ございまして、一つは、御承知のとおり、河川の夫改修部分のはんらんによるものであり、もう一つは、がけくずれによるものであるということがわかっているわけでございます。   〔永井委員長代理退席、委員長着席〕 先般神戸市の当局者の話によりますと、思ったほど宅地造成が原因である場合が少なかったというようなことでございましたが、ただ一つの大きな例外として、市ケ原の問題があるわけでございます。市ケ原では、御承知のとおり二十一名の死者を出しておりまして、神戸市における全死者の五分の一に及んでおるわけでございます。この問題は先ほど小川委員から追及されましたので、時間の関係でやめますが、私はもう一つの河川の問題につきまして政府の御答弁をいただきたいと思います。  御承知のとおり、昭和十三年のあの水害の教訓にかんがみまして、昭和十四年にとられた特別措置によって立てられた計画、国家が責任を持って都市の河川について改修に当たる、こういうようなことで計画を立てましたところ、戦争並びに戦後の疲弊の時期のために、全計画の六〇%しかできなかった、その残りの四〇%が今回のはんらんの原因であるというようなことでございまして、そのような意味におきまして、やはりがけくずれの場合と同様に、広い意味での人災、がけくずれの場合は民事的な人災のにおいが強いのですが、河川の場合も、政治的な意味の大きな人災ではないかというふうに私は感じておるのでございます。  その河川の改修につきまして二、三の点を伺いますけれども、第一は、堰堤に非常に力を入れたので、昭和十三年の場合に比して比較的災害が少なかったという功績は認められるのでございますが、もう一つの、昭和十三年の経験で問題になりました暗渠の問題がございます。暗渠が大きなはんらんの原因となったのでございますけれども、布引川の場合、暗渠を開いておいたために今回は被害を見なかったのでございます。この暗渠自体につきまして非常に大きな問題があるのじゃないかというふうに感じて私は質問いたしましたが、開いた川の場合はごみ捨て場になる危険があるというので、衛生上どうしても暗渠が必要だというような市の答弁がございました。したがって、今後、平常の場合の衛生状態をよくするという目的と、非常の場合のはんらんを防ぐという両方の目的を達成するためには、暗渠をどうするかということが非常に重要な問題だと思うのでございます。都市河川の場合、この暗渠の問題をどういうふうに処理するかということが非常に重要でございますが、これにつきまして政府は一体どういうように考えておられるか、伺っておきたいと思います。
  112. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 河川の場合に暗渠をつくるということは、原則的にやらないつもりでございます。特に今回のような集中豪雨になりますと、一ぺんに水があふれてきまして、暗渠でははけ切れない場合が間々あるわけでございます。特に今回の上流地区の——宅地開発のためかとうかわかりませんが、がけくずれ等によりまして大きな木が流れてきた、特に木の根が多いようでございますが、そういった点で暗渠がふさがれるという問題がありますし、洪水がかりにその暗渠の大きさではけたとしましても、そういった詰まったような場合の処置はできないわけでございます。暗渠という点につきましては、これは今後河川改修には最悪の場合に限ってやるようにして、原則的には許さないという方針でいきたいと思います。いままでもそういう指導方針をとってきましたし、今後もそのようなつもりでやっていきます。ただ、神戸市の場合は従来から暗渠が掘られておりまして、したがいまして、その断面が非常に小さいという問題もございます。宇治川等につきましては、われわれとしましては、暗渠の断面を広げていくということでただいま実施いたしております。しかし、暗渠の場合にはどうしても上流からの流出物に対しまして弱いわけでございまして、流出物をいかにとめるかということが一つの問題点でございます。したがいまして、これらの流出物をとめるためには、砂防堰堤あるいは流木よけ等の効果的な方法検討するということにいたしたいと思っております。  さらに、平常の場合にはきたないから暗渠にするということは、これは市民の道徳意識の問題にかかわるわけでございまして、幾ら口をすっぱくして言っても、下水を流したり雑物を捨てたりしますと、川はよごれてきます。これは暗渠の場合も同じだろうと思います。したがいまして、開渠にしても、そういった問題がなくなれば川はきれいになりますし、特に都市における下水道の整備によってこれらの問題を解決するようにしたらどうかとわれわれは考えておる次第でございます。
  113. 河上民雄

    河上委員 もう一つ、暗渠の問題と関連して、下水道の容量が——下水道ができた当時のその地域の人口と現在とではだいぶ違ってきておるわけでございまして、今後都市再開発法がもしできました場合に、都市部における人口の稠密はいまよりもっと多くなると思うのでございます。そういう場合に、現在の下水道の容量では、ちょっとした雨ですぐあふれるという状況が生まれるおそれがあると思うのであります。今回でもそういうことがあったわけでございますけれども、現在日本の都市部では、御承知のとおり、建物の高さは二階に達していない。一・七階とか一・五階くらいといわれておるわけでございます。これがもし都市再開発法によりまして平均三階あるいは四階というような事態が生まれてまいりますと、当然下水道の能力の限界を越えるような事態が生まれてくると思うのでございまして、そういうことを考えますと、下水道の容量を大きくするという工事が当然待たれるわけでございます。そういうことに対しまして当然財政的な措置が伴わなければならない、こういうことが考えられるのでございますけれども、これにつきましては政府はどういうふうにお考えになっておられるか。
  114. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 担当課長が参っておりませんので、具体的なお答えができるかどうか存じませんけれども、私が知る範囲でお答えいたしたいと思います。  下水道整備は、都市周辺におきましては非常に重要なことでございます。しかしながら、人口が集中いたしますと下水道の容量が足らなくなるのじゃないかという御指摘の点もわかります。下水道の計画といたしましては、地下に埋渠を設けるためには非常に財政的な問題がございまして、現在でも下水道につきましては、河川の雨量に対する強度よりも若干落ちております。しかし、現在の段階で国の財政力等を考えますと、そういう百ミリ、二百ミリに耐え得るような管渠はとうていできるはずはございませんので、これらの計画でただいま進めておりますが、特に今回下水道の五カ年計画等もつくりまして、さらに、下水道の負担率の増加等も財政的に裏づけができましたので、今後そういうことによりまして地方財政の負担を緩和するようにできるだけ努力するつもりでございます。
  115. 河上民雄

    河上委員 私は、現在起こっております災害につきましていろいろ御質問したかったのでございますが、すでに同僚委員がいろいろなさっておりますので、いま申しましたように、今後の対策というものにしぼって御質問いたしているわけでございますが、先ほど問題になりました市ケ原問題に関連いたしまして、宅地造成等規制法の改正が必要ではないかというふうに考えるのでございます。あの場合にはあの法律が施行せられる前に許可になったのかと思いますけれども、ああいう場合にあれを取り除く、つまり、単に規制するだけではなくて、宅地造成を禁止する区域を設定する権限を与えるべき時期が来ているのじゃないか、こんなふうに考えるのでありますが、政府ではどういうふうにこの問題について考えておられるか、特に神戸のように花こう岩の深層風化のはなはだしい地区におきましては、普通の宅地造成規制基準では非常に危険であるということが今回わかったわけでございますから、そういう土質の差というものを十分考慮に入れた基準というものが一方では必要ではないか、こんなふうに考えるのでございますが、政府のお考えを承りたいと思います。
  116. 上村千一郎

    上村政府委員 実は神戸地区あるいは兵庫県南部地区の方々におきまして、いま河上委員がおっしゃるような御要望が強くあることは承知いたしておりますし、私も現地調査団長として行った際に、知事さんあるいは市長さん方からも強く御要望がございました。その宅地造成に関してどういうふうに法を改正するかというような諸般の問題につきましては、今回のいろんな特殊性その他を貴重な一つの教訓としましてひとつ検討をいたそうというのが、いまの政府の態度でございます。
  117. 河上民雄

    河上委員 今回の風水害は昭和十三年以来のものでございまして、ちょうどかれこれ三十年たっているわけでございます。六甲山系ではおそらく非常に昔からそういうことが繰り返されてきたのではないかと思うのでございまして、今後三十年の神戸あるいはいわゆる阪神間というものを考えてみますと、もっといまとは違った都市の発達が考えられるわけでございまして、一方で緊急の災害救援を急ぐとともに、同時にいまここでそういう問題を考えるべきではないかと思うのでございます。ことにそれは政府においてなさるべき大きな任務であるというふうに私は考える次第であります。  すでにもう許された時間がまいりました。はなはだ残念でございますけれども、すでに私の聞きたいことは他の同僚委員から述べられましたので、私の質問をこの程度で終わりたいと思いますが、ただ一つ、先ほど、激甚災害指定は近々に行なうという、非常にはっきりしたお答えがございまして、うれしく思っておるわけでございますけれども、今回の災害は非常に局部的に猛烈であったという特徴を考えまして、災害基準というものもそういうことを十分に考慮して地域の指定を行なっていただきたい、また、災害査定官の派遣を同時に急いでやっていただきたい、こういうことを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 田原春次

  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がありませんから、私は二十分の時間を守ってやりたいと思います。  私は申し上げたいことはいろいろありますけれども、一括してまず第一番にお伺いをしておきますが、本委員会で、今次災害に対して、法改正の点あるいは行政措置の点等が出ました。それで、いろいろ委員の意見を聞きましても、あるいは現地要望を見ても、現在の激甚災害援助法あるいは中小企業関係天災融資法、あるいは農林水産業関係の暫定法等、もう法改正をしなければならない時期に来ておるということは明らかに言えると思うのです。この秋にはまた台風シーズンも来ることですし、直ちに法改正——あるいは個人災害の問題も起こっておりますので、そういう点も含めて、直ちに法改正に取りかかる必要があろうと思うのです。それで、委員長にも決意をお聞きをし、直ちに法改正に取りかかる措置に出るかどうか、それをまずお聞きすれば、私はその中に意見をずっと入れていけばいいと思いますので、それだけまず最初に聞いておきたいと思います。
  120. 上村千一郎

    上村政府委員 実は楢崎委員がいまおっしゃったような点につきまして、過般本会議で細田委員からも、同じ御趣旨かと思いますが、御質問がございまして、当時閣僚も御答弁されておったかと思いますが、いま直ちにどういうふうに取り組んでいくかということは、ちょっとまだ御返事をいたす段階に至っておりませんけれども、十分前向きで検討をいたしたいという心組みでおることは事実でございます。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは当然当委員会理事会でも直ちに問題になることと思いますから、本委員会自身の発議によってこの問題は進められると思いますので、ひとつ前向きでお願いをします。  そこで、私は一点だけお伺いをしておきますが、災害と自衛隊との関係でございます。私ども、自衛隊の存在そのものにはいろいろな意見をすでに出しておるところでございますが、しかし、少なくとも現時点で災害に対して自衛隊がいろいろ協力をされておる点については、地元の方々も非常に感謝をしておる。私は、自衛隊自体が国民に愛される、そういった自衛隊になるともし政府が思われるならば、むしろ、こういう災害と取り組むという問題については大きな力をここに入れる必要があろうと思います。われわれの主張からいえば、自衛隊は国土建設隊にかえて、そうして自衛隊の持っておる土木建築機械等の高度の技術あるいは人力をそういう平和な国土建設のほうへ向けるべきであるという主張を持っておりますので、そういう意味も勘案して、これから災害に対する出動あるいはその予防に対して自衛隊は取り組む必要があろうと私は思うわけです。  それで、以下数点お伺いをしておきますが、まず、災害派遣をするようになっておりますけれども、一体、自衛隊の任務というのは自衛隊法三条にありますけれども、八十三条の災害派遣というのと、この三条とはどういう関係になっておりますか。
  122. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  自衛隊は、直接または間接の侵略に対しましてわが国の平和と独立を守ることを主たる任務といたしておりますが、それと同時に、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たることもまた任務といたしております。災害による出動は、後者の一つの例でございます。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうであろうと思っておるわけです。  そこで、災害派遣に対する訓令によって実際なされておりますが、自衛隊は、先ほど申しましたように、土木建築機械等非常に優秀なものをそろえておられる。災害があったときに、ここではどういうことをやるか、そういった判断、用意等は  一体何かきまりがあるのですか。
  124. 浦野幸男

    ○浦野政府委員 御承知のように、自衛隊の災害派遣は、天災とか地変とか、あるいは災害のあったときでございますが、災害に対してどういうことをやるかということは、大体その災害状況に応じて県知事から要請のあった、それに基づいて災害復旧の計画あるいは応援に出動するようにいたしております。大体県知事の要請によって決定をいたしております。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 県知事が要請して出動した際に、ここではどういうことをやるということは、知事の具体的な要望によってやるのか、あるいは派遣された部隊長の判断によってやるのか。それはおそらく話し合い、協議してやるということになるのでしょうが、その辺をお伺いしたかったわけです。
  126. 今泉正隆

    ○今泉説明員 具体的な事例でございますので、私からお答え申し上げます。  お尋ねそのものからいいますと、両方あるわけでございます。知事から要請があります場合に、A地区ではこういう状況であるから、こういったことを任務として出てくれないかという要請があります。それに応じて、大きく分けますと、人命を保護する場合、財産を保護する場合というふうに、これも両者重なり合っておるものもありますが、具体的に、たとえば生き埋めになった方を救出する、あるいは、不幸にしてなくなられた方の遺体を収容するといったような場合、あるいは堤防を補強する、あるいは、すでにつぶれてしまった道路を復旧する、水路を復旧する、あるいはまた、一応災害がおさまったあとで給水をするというようなことに分かれますが、これは知事の要請の中にそういったことが含まれます場合もありますし、出動しましてから現地で部隊長が判断する場合もございます。ただ、知事の要請の場合には、何としましても、私たちそれに要する装備を任務に応じて持っていくこともありますだけに、要請を受けました場合に、ときによっては自衛隊のほうから、何が主たる任務なのか、何をやってほしいのかということをわりに詳しく聞いてから出動することもございます。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私も社会党の調査団長として福岡、佐賀、長崎に行ったのですが、あの出動の期間を延長してほしいという要望があったはずです。それは報告として本庁のほうに届いておりますか。
  128. 今泉正隆

    ○今泉説明員 具体的にどの地域で出動期間を延長してくれということがあったということについては、内局の私のもとにはまいっておりません。ただ、広島県の呉市で、これは遺体収容を主たる任務といたしました場合でありましたが、一応その作業が終わりましたあとで、さて今度は呉市のほうで、どういう復旧工事をやるかということにつきまして、あるいはまた、その復旧工事をやる場合に、これは自衛隊にやらせるか、あるいは市の工事としてやるかということにつきまして方針がおきまりにならない時点がありまして、片や、自衛隊のほうでは、九日の日曜日から十三日まで、不眠不休ではございませんけれども、途中若干休憩はしておりますが、連続して海田市から呉まで行っておりまして、多少間があるので隊員を休ましたいということで、撤収といいますか、休止をいたしました際に、市民の方あるいは呉市議会で、自衛隊は人命の保護だけしかやらないのかという御質問がありまして、それはそうではなくて、一たん休止をするのだ、また市の態度がおきまりになったら再び出動するのだということで御了解を得、それからまた、事実、十三日の午後から出まして、今度は復旧工事のほうに当たったという実例がございます。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 訓令によると、撤収についてのいろいろな規定があります。この訓令自体からいえば、期間というのは明確になっておりませんね。知事から、どうぞ撤収をしてくださいと要請があれば、そうすることになっておるのですね。だから、知事が、ある期間おってくれと言えば、そのとおりなるのですか。それとも、部隊長の判断で、いや、あんなに言ってはおるけれども、もうこのくらいでいいというふうに部隊長がきめてやるのですか。その辺はどうなっておりますか。
  130. 今泉正隆

    ○今泉説明員 法律的にいいますと、まず、災害派遣そのものに出動します場合に、知事の要請があって、それを一応自衛隊なりに判断をして、出動することがやむを得ない事態であると認めたときに出ますが、そのことは撤収の場合にもそうでございまして、知事の要請を原則として撤収することが大部分でありますけれども、部隊長の判断で、知事の要請を待たずに撤収することも全然ないわけではございません。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 知事が一応の期間要請しますね。しかし、ずっと長引くというときに、その派遣期間の延長を知事が希望した際に、部隊長が、いや、もうそれは必要はないというような判断は何でやるのですか。部隊長が知事の要求どおりならないで撤収ずる場合ですよ。部隊長の撤収の判断の基準というのはどういうところにあるのですか。
  132. 今泉正隆

    ○今泉説明員 これは、自衛隊法の災害派遣の任務に適合する仕事がなお存しているかどうかということが判断の基準になろうかと思います。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは文章ではそう書いております。文章にはそれだけしかないのですよ。しかし、具体的には、判断しなければいけませんですね。それは部隊長の判断になるのですか。そこは私は問題だと思うのです。これは佐賀でも長崎でもその要請がありました。部隊長はどういう判断をするのですか。ただ単に抽象的な文章だけしかないのだから、そうすると、部隊長がもうこのくらいでいいというのは、実にあいまいですよ。私はそう思うのだが、その点はどうですか。
  134. 今泉正隆

    ○今泉説明員 その点は、先ほどお答え申し上げましたとおり、部隊長の判断するのはそういう基準によるわけでございます。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 しかし、これは知事なら知事が要請した判断のほうを私は重く見るべきだと思うのです。知事がこれだけ延長してくださいと言ったときには、それだけの基礎があると思うのです。それを、まぼろしの敵に対して用意しておるような部隊長が、災害のことがそうわかるはずはないのだから、むしろ、知事あるいは市町村長が要請する判断のほうが私は基準になるべきだと思うのですよ。その辺をどうお考えになりますか。あなたは事務官だから、これは長官に聞きたいところですけれども
  136. 浦野幸男

    ○浦野政府委員 出動するときも知事の要請に基づいて行く、撤収するときも、これは知事と話し合いの上で撤収するのが当然だと思います。部隊長の判断でかってに撤収するということは一もう仕事がほとんど完了して、知事側から見たって撤収しても差しつかえないという両者の判断が立って、そこで撤収するのが当然だと思います。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそうであろうと思うのです。それで、結論を言えば、大体自治体の長が要請すれば、自衛隊はもう九分九厘——全面的にと私は言いたいけれども、それに協力する、だから、もし期間延長の要請が出れば、それに協力する、そういうふうに解しておっていいわけですね。
  138. 浦野幸男

    ○浦野政府委員 さようでございます。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間があと五分しかありませんからもうやめておきますが、この自衛隊の災害派遣の趣旨からいって、あなたは、第三条の公共の秩序の維持とおっしゃいました。それからいえば、本会議でも問題になりましたように、あすの対策よりもきょうの予防、ほんとうにこの災害問題に取り組むのだったら、予防に取り組む必要がある。そこで、自衛隊が災害があってから出動するというこの考え方を飛躍して、ほんとうに愛される自衛隊という意味からも、国土の安全という意味からも、私は、予防の点に自衛隊が真剣に取り組む必要があろうと思う。それに大きな力を出すようになれば、私は、国民の自衛隊に対する考え方はずいぶん変わると思いますよ。だから、この予防にどう取り組むか、協力するか。この訓令では、第九条に予防派遣というものがあります。しかし、これは、もうあの辺がくずれるかもしれぬというので、寸前の緊急の予防だけやって、これが予防派遣なんて、大げさにここにいうのはおかしいですよ。予防派遣というのだったら、ほんとうに予防の工事をするときにも、市町村が金がないから、国も大蔵省がしぶるから、ここに余っておる人力、機械等を出す、これが最も合理的な考え方ですよ。だから、この予防に対する協力、これに対して私は長官の考えを聞きたい、あなたは政務次官でございますが、あなたのお答えをもって長官のお考えといたしますから、責任あるところをひとつお願いしたい。
  140. 浦野幸男

    ○浦野政府委員 確かに、災害が起きてから急遽現地におもむくということはもう手おくれだ、もう災害が起きそうだから、そういう予防のために派遣をしろ、こういう御趣旨だと思いますが、これはごもっともなことだと思います。ところが、現在におきましては、自衛隊は、ただ、どこかに災害が起きそうだから、そこに派遣しておくというわけにはまだ参らないわけでございまして、予防のために派遣するということは、やはり現地の知事がそういうことを要請された場合には、そういう予防のために出動することもございます。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が言っているのはそういう意味じゃないのですよ。これも言おうと思っておったのですけれども災害復旧事業だけではとても災害を防げない。そうすると、そこに災害関連事業というものがありますね。たとえばそういう災害関連事業といったような問題のときに、自衛隊が協力ずるというような道は開けないものかということを私は聞いているのです。
  142. 浦野幸男

    ○浦野政府委員 現在のところでは、災害復旧事業そのものに自衛隊が出動するということは、やはり知事が要請された場合には、検討して出動する場合もありまするけれども、現在のところ、ただそういう工事を自衛隊が行ってやるということは一いたしておりません。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 仕組みが現在はそうなっているのです。だから私は、そういうふうに自衛隊の活用の道を開く考えはないだろうか。これは、増田長官だと、非常にずばりものを考えられる方ですから、ぱっと言われるだろうと思うけれども、あなたはかわりに出ていらっしゃるから、言いにくいでしょうが、その辺を私は申し上げているのです。現在のままではそうなっていないので、もう少し予防に対する協力の道を拡大するという方向で考える余地はないかということを言っているのです。
  144. 浦野幸男

    ○浦野政府委員 これは、将来そういう意味で、やはり愛される自衛隊という面から見れば、災害、あるいはそういうものに対してできる限り広範囲に活用していただくということが好ましいことだと思いますので、十分検討してみたいと思います。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、その点はいずれ内閣委員会等で別固に問題にしますから、その姿勢で、これは将来というようなのんびりした考えでなしに、こういう点はあなた方が考えている自衛隊のためにも必要だと思うから、国民の側からもこれは望んでいるところだと思うから、早急にその検討をしてもらいたいと思います。  それから、最後に一点だけ聞いておきます。  基地周辺整備法、これが昨年国会を通過しました。とれが災害関係があるかどうかというのは問題でしょうが、しかし、少なくとも、たとえば要請が届いております佐世保の水道なんかは、米軍あるいは自衛隊の使用している量が非常に多い。それでこの水道の災害について、これは佐世保に限ってもよろしゅうございますが、基地周辺整備法による助成というものがそこにまた道が開けないかどうか。これはすでに要請がいっておると思うのですけれども、お伺いをしたいと思います。
  146. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま佐世保の水道の件について先生から御質問がございましたけれども、具体的に、まだ佐世保の水道につきまして、そういう災害があった、それから障害の実態がかくかくしかじかであったというような陳情を受けておりません。ただ一般的に、先ほど先生からいろいろ災害の問題に関連してのお話がございますけれども施設庁といたしましては、昨年成立しました基地周辺整備法によりまして、従来も行政措置でやってまいったことでございますが、かりに演習場等が自衛隊等の行為によって荒廃される、それによって下流の河川がはんらんするおそれがある、要するに、荒廃することによってそういう河川に障害を起こすというおそれがある場合には、直ちに、この河川の改修等に対しまして、当該市町村長に対しまして国は補助金を出しましてそして護岸工事等を措置するというようなことにいたしておりますので、そういう策を事前に講じておりますので、そういう周辺に対する障害といいますか、災害といいますか、そういったものの被害は少なくなっているというふうに考えております。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私、これだけでもうやめますが、いまの問題は、あそこは水道をたくさん使っているんだから——ほかの基地でもあると思うのですよ。それで、きょうあるいはおとといの委員会でも問題になっているのは、できるだけ法の拡張解釈をして、その精神にのっとった措置をするというのが、法改正の前の行政措置として必要だと思うのです。だから、この佐世保の問題は、いまのような回答では困るのですよ。これは道が開けると思うのだ。基地周辺整備法を何とかこれに結びつけてやれると私は思うのです。何とか前向きに考えてみる、そうすれば何とかなりはしないか。その辺は私は陳情がいっておると思うのだ。総理府のほうから区分けでいってないのかもしれませんがね。もう少し積極的な御答弁をひとついただきたいと思うのです。
  148. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま佐世保市におけるところの水道の災害につきましての先生の御質問でございましたけれども、残念ながら、まだ具体的に承知しておりませんが、この障害の実態、それから原因、こういったものを至急現地から報告を受けまして検討してみたいと思っております。
  149. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ終わります。
  150. 田原春次

    田原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十一日、本会議との関連もありますので、一応、午後二時理事会理事会散会後委員会を開会の予定にいたしておきたいと存じます。  これにて散会いたします。    午後五時四十分散会