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1967-06-07 第55回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月七日(水曜日)     午後二時三十六分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 天野 光晴君 理事 池田 清志君    理事 細田 吉藏君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 佐野 憲治君    理事 永井勝次郎君 理事 神田 大作君       内海 英男君    熊谷 義雄君       塩谷 一夫君    中山 榮一君       橋口  隆君   三ツ林弥太郎君       水野  清君    伊賀 定盛君       稻村 隆一君    川村 継義君       神門至馬夫君    中澤 茂一君       細谷 治嘉君    渡辺 芳男君       稲富 稜人君    小沢 貞孝君       小川新一郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         建設省河川局長 古賀雷四郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    森 宏太郎君         大蔵省主計局主         計官      嶋崎  均君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         農林大臣官房参         事官      大田 康二君         農林省農林経済         局金融課長   今村 宣夫君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         気象庁予報部長 今里  能君     ————————————— 六月一日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として小  沢貞孝君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員小平忠辞任につき、その補欠として稲富  稜人君議長指名委員に選任された。 同月七日  委員中川一郎君、阿部昭吾君及び楢崎弥之助君  辞任につき、その補欠として中山榮一君、細谷  治嘉君及び中澤茂一君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員中山榮一君及び細谷治嘉辞任につき、そ  の補欠として中川一郎君及び阿部昭吾君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  昭和四十二年五月以降の干ばつ及び降ひょうに  関する災害対策      ————◇—————
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十二年五月以降の干ばつ及び降ひょうによる災害対策につきまして調査を進めてまいりたいと存じます。この際、おはかりいたします。  先ほどの理事会で協議いたしました結果、昭和四十二年五月以降の干ばつ及び降ひょうによる被害状況等調査のため、現地に委員を派遣することに決定いたしたのでありますが、理事会決定のとおり、委員派遣承認申請を行なうことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  つきましては、派遣地派遣期間、期日、派遣委員の員数及びその人選、並びに議長に対する承認申請手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田原春次

    田原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 田原春次

    田原委員長 まず、本日は、農林省当局から干ばつ及び降ひょうによる被害状況について説明を聴取いたします。農林省大田官房参事官
  6. 大田康二

    大田説明員 昭和四十二年の五月以降の干ばつ並びに最近のひょう害につきましての概況につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず最初に、干ばつ概況でございますが、五月以降の干ばつ被害は、御承知のとおり、当初は東北、関東を中心として北陸、東海近畿、四国にわたっておったわけですが、その後、東海以西田植え期に入るに従いまして、近畿、中国、九州の一部も含めまして、現在までわれわれの調査によりますと、被害を受けておる県が全部で三十一県ということになっておりまして、その被害面積は、六月五日現在で十五万八千ヘクタールということに相なっております。特に被害面積の大きい県を申し上げますと、千葉茨城、新潟、岐阜ということに相なっております。なお、東北地方が従来は被害中心であったわけでございますが、東北地方におきましては、五月二十八日以降の降雨あるいは対策の効果というものが出てまいりまして、かなり被害面積は減少したというふうに考えております。  そこで、先ほど申し上げました十五万八千ヘクタールの内訳でございますが、まず第一に、植えつけを行なったのちに用水が不足したものが約十万三千ヘクタール、それから植えつけ用水不足のために枯死寸前のものというのが約一万五千ヘクタール、それから植えつけが遅延をいたしておるものが四万ヘクタール、こういうことに相なっておるのでございます。  これに対しまして、各県におきましては、応急対策事業といたしまして、ポンプを大幅に動員してポンプアップをいたしておりますほか、水路の掘さく、あるいは浅井戸の掘さく、さらには河川の瀬がえ等の工事を実施中でございます。また、稲苗老化防止対策、あるいは苗代の再仕立て、予備苗確保等水稲栽培方法についての指導も行なっております。  それから予備苗確保の問題でございますが、この点につきましてのわれわれの状況把握によりますと、各県におきましては、極力隣接地区からの確保に努力しておるのでございまして、その結果、現在の段階におきましては、他府県からの援助を特に受けなければならぬというような実情にはないように承知いたしております。  以上が干ばつの六月五日現在の概況でございます。  ひょう関係でございますが、ひょうにつきましては、まず最初が五月十四日の降ひょう関係でございますが、現在われわれが各県から聞き取りまして承知いたしております五月十四日の降ひょうによる農作物被害でございますが、関係県といたしまして、宮城、茨城、栃木、埼玉という四県の被害を掌握いたしております。これによりますと、作物といたしましては、水稲、麦、野菜果樹、桑あるいは工芸作物バレイショ等、多岐にわたりまして被害を受けておりまして、一応、被害金額——県報告でございますが、これによりますと、六億七千九百万、こういうことに相なっております。この関係につきましては、近く私のほうの統計調査部数字もまとまりまして、皆さま方に御説明できるというふうに考えております。  それからいま一つ、五月下旬及び六月上旬の降ひょう関係でございますが、御承知のとおり、五月の下旬から六月の上旬にかけましての降ょうによる被害、これまた県報告による結果でございますが、五月中におきましては、五月二十八日から三十日までの三日間にわたりまして、北は山形県からは南は宮崎に至るまで、約十三県にわたりまして降ひょうによる被害があったようでございます。その内容といたしましては、やはり麦、野菜果樹工芸作物桑等がおもなものになっております。それから最近、六月の五日に東京秋田にやはり降ひょうによる被害があったようでございまして、東京の場合には、主として麦、それから野菜等被害をこうむっているようでございまして、その金額は二億八千百万という県報告の結果が出ております。秋田県につきましては、六月五日にたばこ、トマト、水稲等被害があったようでございますが、なお内容については調査中、こういうことでございます。     —————————————
  7. 田原春次

    田原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 ただいま干害なり降ひょう被害状況についてお伺いしたのでありますが、五月の二十八日は、久留米市を中心といたしまして、一市六町一村にわたりまして、幅六キロ程度で、直径約四センチくらいのひょうが十センチ程度積もったわけでございます。この被害についての数字は、いまおっしゃらなかったのでございますが、どの程度報告を受けておるか、まずお尋ねしたいと思うのであります。
  9. 大田康二

    大田説明員 先生お尋ねの、福岡県の五月二十八日の降ひょうによる被害についての被害額でございますが、県報告によりますと、十億三千九百九十四万八千円、こういうことに相なっております。
  10. 細谷治嘉

    細谷委員 ただいま十億三千万程度被害農林当局でも把握いたしておるようでありますが、これは六月一日における調べだと思うのでありますが、この後に被害が増大しておると思うのであります。その辺のことはキャッチされていらっしゃらないかどうか。
  11. 大田康二

    大田説明員 先ほど申し上げました数字は、県から六月五日報告がございました数字で、十億三千九百万と申し上げたのでございまして、実は私のほうの統計調査事務所を通じての被害金額把握につきましては、いましばらく時間をおかしいただきたいと思っております。なお、六月一日以降、先生のおっしゃるような被害がふえたのではないかというようなお話については、まだ十分把握しておらない、こういう実情でございます。
  12. 細谷治嘉

    細谷委員 実はこの地帯一帯は、農林省でも最近指定されましたように、果樹園芸——古くからやっておるのでありますけれども、新興地帯と申し上げても過言でないのであります。そこで、果樹園芸等農作物の直接被害と、それから、この辺は有名な耳納カキという名の富有カキ等ができるわけでありますから、いわゆる果樹樹体ですか、そういうものの被害がかなり多いのではないかと思うのであります。いまの十億三千万という把握の中に、当面の直接の農作物被害と、樹体被害というものは入っておるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  13. 大田康二

    大田説明員 県報告では一応樹体の損傷も含めての数字であるというふうに理解をいたしております。
  14. 細谷治嘉

    細谷委員 大体六月一日現在の調査によりますと、農作物の直接被害と、それから樹体自体被害は、千億のうち、大体六対四くらいになっておるのではないかと私は思うのであります。しかし、六月一日以降、私のお聞きしておる町村等お話によりますと、県がまとめました各町村被害額を上回っておるものがありますから、これを当然上回るのではないかと思うのでありますが、そこでお尋ねいたしたいのは、直接の農作物被害と、とにかく青い葉っぱは全部落とされてしまったわけですから、同化作用ができないので、枯れていってしまう。直接の被害をどうやるかという対策と、もう一つは、果樹園芸地帯樹体の保護をどうするかという対策と、二つあると思うのでありますが、こういう被害に対して当局としてどういうような対策を講じようとしておるのか、これをひとつお尋ねしておきたいと思うのであります。
  15. 千野知長

    千野説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  まず、全面的に葉が落ちておりますと、本年の結果は当然ございません。と同時に、来年の結果もあまり期待できない。おそらく、枯死しない場合でも、三年くらいは本格的な収穫は望めないだろうと思います。しかし、できるだけそれに対して病虫害の防除等を行ない、なお、新しく葉が伸びてくるような刺激的な窒素肥料等の追肥を行ないまして樹勢の回復をはかるということが当面の対策になろうかと思います。中には、被害のはなはだしいものに至りましては、一部枯死するものも出てこようというふうに考えられます。現在われわれが聞いておる範囲内では、枯死するものは比較的少なくて、手入れいかんによっては今後かなり回復するだろうというふうに伺っております。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで私もお願いいたしたいことは、まあ十億三千万程度といたしますと、六億程度がとにかく直接の農作物被害、四億程度というのが、これから三年ぐらい続く、あるいは回復するかどうかわからない樹体被害という形できておるわけですね。したがいまして、その辺のことを考えてひとつ対策を講じていただかなければならぬと思うのでありますが、県の知事のほうからは、地元のこの一市六町一村の要望を集約いたしまして、天災融資法適用等九つ要望の具体的な点がこの陳情書の中に書かれてございます。むろん、直ちにこの問題すべてをどうこうということではございませんけれども、直ちに手を打たなければどうにもならないところにきている点がございます。その辺のことをひとつお尋ねして、どういう具体的な対策を講じようとなさっておるのか、これを簡明率直にお答えいただきたい、こう思うのであります。
  17. 大田康二

    大田説明員 県からの要望として、実は九項目にわたる要望が出ておるわけでございますが、たとえば一番目の天災融資法適用、あるいは二番目の自作農維持資金ワク拡大等につきましては、統計調査部被害数字がまとまりませんと、なかなか具体的に、適用になるかどうかというような点につきましての最終的な決定をするわけにはまいらないのでございまして、これらを待ちまして、従来の基準等に適合いたしますれば当然発動すべきものというふうに考えております。  それから第三の制度金融償還期限の延長と延滞利息減免等につきましては、実はケースバイケースで解決するということで、被害が非常に大きいような場合には、直接農林省から金融機関あてに、そういった点についての便宜をはかられたいという趣旨の通達を出した例もあるわけでございますが、これは具体的なケースバイケースの問題として処理ができるというふうに考えております。  それから四番目の共済資金早期支払いについてでございますが、この点につきましては、最も制度が完備いたしておるわけでございますので、再保険特別会計からの連合会に対する概算払い、あるいはさらにその先の農家に対する仮渡し等につきましては準備をいたしておりますので、請求があり次第これにこたえてまいりたいというふうに考えます。  等外麦政府買い入れ等要望につきましては、先生も御承知のとおり、原則として等外麦買い入れということはいたさないことにいたしておるのでございますが、これも今後さらに検討をいたしまして、実は等外麦の上についての買い上げをやった例もないわけではございませんので、今後の被害状況もさらに詳細に検討いたしました上で検討をいたしたい、こう思っております。  それから六、七などのいわゆる補助の経費の関係でございますが、これらにつきましても、やはり被害状況等把握の上で考えてまいりたい、いまここですぐこういったものは助成の対象にいたしますということは申し上げにくいのではないかというふうに考えております。  所得税減免あるいは特別交付税増額等、実はこれは私のほうの直接所管するところではないわけでございますが、特別交付税増額等につきましては、従来も自治省等でそういったことを考えてくれているように聞いております。それから所得税減免につきましては、当然被害を受けた方の所得が減るわけでございますから、そういった取り扱いを受けるべきものというふうに考えております。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 天災融資法適用するかどうか、あるいは自作農維持資金ワクをどうするかということは、なお被害が拡大する傾向にあるようでありますから、その調査の結果を待つ以外にないと思うのでありますけれども、私は、これはやはりあの被害状況からいきますと、どうしても天災融資法適用というものはすみやかに発動していただかなければならぬ状態ではないか、こう思っておるのであります。  麦あたりは、これはとにかくゴルフボールくらいのやつが落ちてきて、幸い、雷雨のために人畜がみんな家の中に引っ込んだところへざあっときたわけですから、人畜被害はなかったのでありますけれども、それだけに、青いものはみんな坊主になってしまった、こういう状況にあります。麦はむろん実は落とされるわ、幹はたたき折られるわというかっこうになりましたから、焼いて捨てているというところが多い。ややいいところが収穫をしている、こういう状況のようであります。きわめて深刻でありますので、この等外麦政府買い入れということについてもひとつ十分に御検討をいただきたい。  それから苗しろは、これはとにかく重いゴルフボールをあの苗しろの芽が出たところにたたきつけたようなものですから、十センチも厚いやつがきたのですから、じゅうたん爆撃を食らったようなものなんですね。そういうことですから、この再仕立て等についてはひとつ特段の配慮をいただきたいと思うのであります。  そこで、この点について要望書には書いてないのでありますけれども、なかなか条件がむずかしいのでありますが、激甚災についての農業関係適用可能性はあるかどうか、これは調査に待たなければならぬのでありますけれども、この辺についてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  19. 大田康二

    大田説明員 先生がおっしゃったとおり、やはり統計調査部数字が出てまいりませんと、ちょっといまにわかにお答えができないという実情でございます。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 おそらくこの辺一帯というのは——激甚災というのは、実際問題となりますと、一般財源がどうのこうのというので、大きな市になりますと、ノアの洪水でもなければ激甚災適用されないようなかっこうになっておるわけで、ずいぶん法律ていさいに私ども問題点があると思うのでありますけれども、十億以上の被害のうち八割は久留米市なんですね。久留米市でありますと、人口十九万、一般財源も相当持っておるところでありますから、この法律適用というのが現行法ではなかなか無理な点があろうかと思うのでありますが、実態はいまのような壊滅状態にあるのでありますから、一般土木と違って、農業についてはわりあいに激甚災にかかりやすいような条件もあるようでありますから、ひとつ十分に御検討いただきたいと思うのであります。  最後に一つお聞きしたい点は、いまのは農産物でありますけれども、森林関係にやはり相当の被害が起こっておるというように聞いておるわけです。この点はどういうふうにキャッチされていらっしゃいますか。
  21. 大田康二

    大田説明員 私不勉強で、実はまだ森林被害がどうなっているかよく承知いたしておりませんので、後ほどよく関係筋の話も聞きましてお話し申し上げたいと思います。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 地形を、こらんいただいているかと思うのでありますが、鹿児島本線をずっと通っていきますと、左側に耳納山という、観光道路になるような非常に尾根の長い山がございます。この山を越えまして八女郡の上陽町、星野村というところまでこのひょうがいっているわけですね。この上陽町の調査によりますと、農作物以上に森林関係被害が多かった。私が話を聞いたところによりますと、この上陽町だけで、先ほどお調べいただいた農作物被害というのは六千万円程度、十億三千万円の中に上陽町の分が六千万円程度入っておるわけです。ところが、町の調査によりますと、森林被害が約二億円に及ぶといわれているわけです。新聞によりますと、この町だけで四億円の被害があるということが一昨日の新聞に出ておったという状態なんです。ゴルフボールの四センチくらいのやつが降ってくるのですから、これは森林あたりも確かに大きな被害を受けておるのじゃないか、こう私は思うのであります。この辺のこともひとつ十分に念頭に置いていただいて、対策を十分に講じていただくことをお願い申し上げたいと思うのであります。  簡単でありますけれども、私の質問を終わります。
  23. 田原春次

  24. 小川新一郎

    小川(新)委員 この間の災害対策特別委員会でもいろいろとお尋ねをしたのでありますが、それ以後まだ雨が降っておりませんので、きょう現在の利根水系その他各河川水系の水量並びにダム貯水量、それから干ばつ被害を受けている各県から、ダム放水量はどれくらい要求があるのか、それが一つであります。  第二点は、閣僚会議ではどういうことが論じられたのか。  以上の二点をまずお尋ねします。
  25. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 お答えいたします。  利根川のまず流況について申し上げますと、栗橋地点でただいままでの最低が八十七トンという事態が二日の日に起こっておりますが、その後ダムを二日の二十二時から五十トン放流いたしまして、七日の九時現在で百三十九トンになっております。  それから、下流の千葉県に一番縁の深い流量としましては、布川の流量が三日の日に三十六トンに下がっております。それが、ダム放流の影響がだんだんあらわれまして、現在は百トンになっておりまして、ちょうど八日が大潮でありますが、大潮に向かう流量としては非常に適切な流量になっておると考えます。  それから、江戸川の流量でありますが、野田地点は、この前、河川管理者協議会によって、四十トンにセーブして流すということにいたしまして、ただいま四十トンを確保しております。  それから鬼怒川水系でございますが、この辺は非常に干害がひどかったのでございますが、その後五十里の上流等におきまして雨が降りましたので、現在佐貫地点が二十五トンを確保するということで進んでおりますが、現在の流量は二十五・八トンという流量であります。  それから利根川水系の雨量について簡単に申し上げますと、ただいままでおもなところで降ったのは、東京がただいままで四ミリ降っております。それから藤原で三十九ミリ、それから五十里で九十・八ミリという雨が降っております。それから鬼怒川の沿岸には相当の雨が降っております。  それからダムについて申し上げますと、利根川水系につきましては、矢木沢ダムでございますが、これは今年の終わりにほぼ竣工します、まだ完成していないダムでございますが、この総貯水量は一億五千三百七十万トンでございまして、貯水量は現在一億四万トンでございます。それから現在放流している流量は六十七トンでございます。なお、二十五トン程度現在上流から流入いたしております。  それから藤原ダムにつきましては、総貯水量は三千百一万トンでございますが、現在の貯水量は二千百七十七万八千トン、放流量が毎秒七十七.六トンでございます。なお、流入量は毎秒七十九・三トンでございます。これは矢木沢から流れてきた水が入っているわけでございます。  それから薗原ダムにつきましては、千三百二十二万トンの総貯水量でございますが、現在は七百六十五万トン、放流量は毎秒十二・五トン、なお上流から三・二トン程度流入量がございます。  相俣につきましては、総貯水量が二千万トンに対しまして、現在の貯水量が九百九十九万七千トンでございまして、放流量が毎秒九・九トン、流入量上流から四・一四トンございます。  ただいままでが利根川上流ダムでございます。  鬼怒川関係といたしましては、川俣ダムの総貯水量が七千三百十万トンに対しまして、一千百九十四万三千トンの貯水量がございます。それから放流量は二十八・八トン、流入量は現在上流から二・七七トンでございます。  それから五十里堰堤でございますが、これは三千二百万トンの総貯水量に対しまして、百三十六万四千トンの貯水量でございます。放流量は三・八三トン、流入量も三・八三トンで、流入放流になっております。  それから相模川のダムでございますが、相模川につきましては、相模城山二つダムがございます。  相模ダムにつきましては、四千八百二十万トンの総貯水量に対しまして、九百四十八万七千トンの貯水量がございます。放流量は二十四・六トン、流入量上流から十三・二八トン流入いたしております。  城山ダムは五千百二十万トンの総貯水量でございますが、現在は七百十一万五千トンという貯水量でございます。放流量、ちょっと、これは明確にいたしておりませんので、省略さしていただきます。  それから多摩川の小河内ダムにつきましては、一億八千五百四十万トンの総貯水量でございますが、現在の貯水量は一億六百九十一万二千トンでございます。放流量は現在毎秒十八・五トンでございます。なお、流入量が四・八六六トンございます。  ただいままでは大体七日の九時現在の状況でございます。それから多摩川等につきましては七時の状況でございますので、御了承願いたいと思います。  それから山口貯水池で、貯水量が六百二十五万一千トン、村山貯水池(上)で二百万六千トン、村山(下)で八百八十六万三千トンでございます。放流量は現在八・五九一トンを放流いたしております。なお、流入量は十・四八三トンございまして、若干の貯留を行なっておるというような状況でございます。  それから、閣僚会議——私が申し上げるのは適当かどうか存じ上げませんが、御趣旨によりまして、閣僚会議の結果だけ簡単に御報告さしていただきます。  閣僚会議のありましたときの資料につきまして、これは前日干ばつ対策関係各省庁連絡協議会がありまして、それに基づく資料でございますので、各省とも御了解になれる資料でございますので、御報告いたします。  天気概況は、六月中旬まで本格的な雨は期待できない。しかし、徐々に梅雨に入りやすい気象状態になっておるということでございます。  それから五月の降水量は全国的に五〇%未満、それから六月に入っても寡雨の状況は基本的に変わらないだろう。少ない雨の状況は変わらない。  それから被害につきましては、農業関係で十四万四千ヘクタール、東北、関東を中心として二十三県にわたって用水不足、作付遅延、枯死寸前となっているというような報告でございます。  それから工業関係では、京葉工業地帯の一部に用水不足が起こっておる。また、京浜工業地帯につきましては、二〇%程度の制限が行なわれておる。  それから一般給水関係では、全国的には例年に比べて特に深刻な情勢ではない。神奈川県下の大部分で二〇%の給水制限を行なっておる状況でございます。  河川関係では、特に利根川水系と河武隈川水系につきまして、平水流量の非常に著しく減っておるという現象が見られております。  対策では、農業関係では、各県内のダム放流や、水路や井戸の掘さく、揚水機の設置等が行なわれており、被害面積の半ばが救済可能となった。  それから工業関係では、京葉工業地帯で取水制限、自主節水を行なっており、農業との関係では問題は出ていないという状況でございます。  一般給水関係では、神奈川県下の横浜その他の都市におきまして、六月六日から給水制限率を二〇%から二五%にアップする。  河川関係では、利根川水系ダムを緊急放水を行なう。約五十トンでございます。なおそのほかに、各電力会社のダムにつきましても放水を要請いたしております。必要があるならば放水されるように要請をいたしております。  以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。今後の状況によっては、関係各省担当官の会議をやるということにきめております。
  26. 小川新一郎

    小川(新)委員 よく了解いたしました。  これは六月五日の毎日新聞に出ているのですけれども、この中にちょっと問題になることがいわれている。これはまだ私も調査しておりませんので、あえて御質問するのですけれども、「生まれてはじめての干害だという宇井てるさん(四九)は「ポンプを買うため融資を申入れたら、凶作を見こしてか、一円も貸してくれない。ついに保有米を売ってポンプをすえた。」と訴えている。」という記事がありました。これはどういうところに融資を申し込んだのか、私も調べておりませんのでまだわかりませんけれども、現在閣僚会議までやって総理大臣が答弁しているそういう大事なときに、「無情な日照り」と題して新聞でこのようなことが報道されているということは、これがたとえば農協であったら重大問題。まあ一般銀行で預金もないところへ金を貸してくれというようなばかなことはおそらくない。保有米を売ってというからには、この方は相当な農家だ。でありますから、これは私が想像するのでありますが、これは農協だと思うのであります。もしも農協であるならば、これはたいへんな問題であります。こういうことが現在行なわれているようになっておりますが、これについてどういうふうにお考えになっておりますか。また、調査をしてお答えをいただくわけでありますが、これについての対策を、こういうことがあると非常に困りますので、ひとつお答えいただきたいと思います。
  27. 今村宣夫

    ○今村説明員 ただいまお話がございました件につきましては、私もただいまお聞きをしたような状態でございますので、私のほうとしましても十分調査をいたしたいと考えております。  貸し付けの相手方、どこへ申し込んだのかということも一つ問題でございますし、あるいは農協であるのか、あるいは農林漁業金融公庫でございますのか、その辺によりまして、あるいは公庫等でありましたら、個人のそういう施設について貸せるか貸せぬかというような問題もございますので、その辺のことは十分調査をいたしてみたいと考えております。
  28. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はいまの答弁ははなはだ不親切だと思う。これは六月五日に出ている。こんなにでかく出ている。それも毎日新聞ですよ。こういう記事が出て、これを読んで、これは日照りのことでわれわれこうやってわあわあ騒いでいる、当然こういう記事に対しては敏感でなければならぬ。これが事実であるとかないとかいうよりも、農林行政を担当している皆さん方が、こういった新聞記事が出たときに、こういう問題が出ている、これはたいへんだ、すぐ係官を派遣して調べるとか、新聞社に問い合わせるとか、事実これが一体どうなのかという——きょうは七日、二日もたっているのに、それはきょう初めてお聞きしたのです——私がたまに毎日新聞だけ持ってきたわけではない。農林関係だってとっているわけですから、それに対する答弁がいまのようでは、こういった大事な日照りの問題については慈悲がないと思うのです。この間も私憤りを感じたことは、大臣、次官が視察にも行っていない。今度こういった大きな記事が載っているのも見落としている。そこに私は問題があると思う。幾らここで災害対策をやったって、血が通わないような行政をやったら何にもならないのです。その点はどういうふうにお考えになっていますか。
  29. 今村宣夫

    ○今村説明員 災害の場合におきましては、農家の方々も非常に御苦労なさっておることでございますし、また、私たちとしましても、災害の場合におきます融資につきましては、従来からも、適時適切にそういう融資が行なわれまして、できるだけ農家の方々のお役に立つという趣旨に基づきまして、いろいろ指導してまいったと思っておるわけでございます。また、そういう趣旨におきまして、今後ともそういう融資につきましては特段の配慮をなすべきものと考えておりますし、また、そのような方向に即しまして一そうの努力を続けていきたい、かように考えております。  お尋ねの件につきましては、私たちのほうとしましても早急に調査をいたしまして、金融機関として至らざる点があればこれを是正する、また、農家と金融機関との間の何らかの感情的なそごに基づくものでありますならば、それはよくお互いに話し合っていただいて、そういう感情のわだかまりをなくする、そうして一日も早くそういう災害復旧につきましてお互いに努力をいたすという方向において私たちとしても力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  30. 小川新一郎

    小川(新)委員 努力することよりも、もうこれは努力以前の問題、感情問題なんて、こんな問題はないですよ。農協が当然貸してやるのがあたりまえです。農民のためにならないような農協だったら、農協じゃない。だからいろんな問題が起こるのです。この問題は農協であったら私のほうにすぐ知らしてもらいたい。これはお願いします。よろしいですね。  それからまた、ポンプが非常に値上がりしておる。この報道によると、一万五千円くらいのポンプが、二万円出しても買えない。品不足でプレミアムがついておる。井戸掘り人夫も引っぱりだこだ。そうして五反くらいのお百姓さんでは食っていけなくて、出かせぎに行く。この間の新聞によりますと、自殺者が出ておる。この間先輩の先生に聞いた。死ぬ話なんかやめてくれと言われておりますけれども、ほんとうに破産し、中には井戸を掘っておってガスにあたって死んだ方もおる。こういう死んだとか生きたとかいうことをここで言いたくありませんけれども、それほどまでいま切実な悩みがある。これはまた違った角度から言いたいのでありますけれども、こういった今回の干害に対しては人的な損害も出ておる。これに対しては早急に対策を講じなければならぬ。閣僚会議や、そういったものが非常に活発に動いておりますけれども、上のほうだけやって、下のほうまでそれが通わない。どこかでストップがかかって、防波堤がどこかにあるのだったら、何にもならないと思います。その点十分注意していただきたいと思います。  次に、天災融資法の問題でありますけれども、天災融資法は、三十億円にならないと発動しない。それも広範囲な地域にわたってである。そうしてそれは国民経済に著しい障害が起きたときにそれを発動するのである。先ほどもどなたか先生方が言っておりましたけれども、こういうふうに災害というものは、一地域の小さなところ——この福岡県のひょう害の問題もそうですが、一地域の住民が全滅状態になっておるときには、激甚災害である。それが三十億にならなければだめだ、十億にならなければだめだ、一億円に達しなければだめだという。額が中心であって、その救うべき人の損害ということは論じられていないのでありますけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
  31. 大田康二

    大田説明員 先般神田先生の御質問に対してもお答え申し上げたわけですが、決して何もしないということではないのでございまして、現在の天災融資法の体系は、実はいま先生がおっしゃったようなことになっておるのでございまして、地域的な災害、確かにひょう害のごときは、被害を受けられた農家の方は全く全滅というようなことで、たいへんお気の毒なことであるわけでございますが、一応天災融資法は、御承知のとおり、農協の資金を原資としまして、これに国と県で利子補給をして安い金利の三分なり六分五厘の資金を借りるようなことにいたしておるのでございますが、地域的な災害の場合には、一応県で国が実際やっておると同じような措置を講じてくださいということで県にお願いをして処置していただいておる、こういうことでございまして、それが、先ほど先生がおっしゃいましたように、地域も相当な範囲にわたった、額も、先ほど具体的に三十億とおっしゃいましたが、一応現在の段階では三十億ということを基準にやっておりますが、そういったことで三十億を上回り、なおかつ、そういったことは国民経済に重大な影響を及ぼすということの解釈の一つの基準になっておるわけでございますが、そういった場合には国が出ていって、国と県でいま言ったような利子補給をいたしまして低利の経営資金を貸し付ける、こういう制度になっておりますので、何もいたさないということではないことを御承知おきいただきたいと思います。
  32. 小川新一郎

    小川(新)委員 利子補給といって、困った人が金を借りるわけですね。そこから利子を取るという考え方——利子というのは、何かもうける考え方なんです。それは利子補給もいいですよ。確かに補給してくれている。けれども、これは五分六厘とか六分七厘とか、ちゃんと法律で定められていますね。けれども、六分七厘とか、取ることは取る、なぜそれを全面的に補給できないかという点です。この点についてはどうお考えですか。
  33. 大田康二

    大田説明員 やはり金利を考えます場合に、金を借りれば当然金利がつくのが常識でもあるわけでございまして、その際金利の基準になりますのは、他の金利との比較権衡の問題あるいは預金金利との関係等があると思うのでございます。そこで、天災融資法の金利につきましては、実は被害激甚の農家につきましては三分の資金をお貸しすることにいたしておるわけでございますが、実際の運用におきましては、いままでの例で申し上げますと、ほとんど大部分が三分資金ということになっておりまして、次期作経営資金というような意味におきましては決して高い金利の金ではないのではないかというふうに考えております。
  34. 小川新一郎

    小川(新)委員 これが高いとか高くないとかいうことではなくて、こういう問題が出ている。たとえば埼玉県の本庄、深谷、行田にかけては毎年ひょう害が起きる。福岡県も今度甚大な災害が起きたけれども、ここは初めてだ。ところが、埼玉県の本庄、深谷、行田にかけては毎回ある。去年お借りした、先年お借りした、その利子だけでたいへんだ。農協なんかもっとひどい。たとえば、その融資額のうち、借りた額を差し引いて農民に渡しておる、そういう事実が起きておる。だから私は、この際利子補給をするのであるならば、利子補給することはありがたいけれども、全面的にこれを補給してゼロにしてあげたらいい、こういう考えを持っておる。  それで、農業の問題、これはいろいろありますけれども、農民の方々にとってみればほんとうにたいへんなんですね。そこでそういったお尋ねをしたわけでありますけれども、こういった問題はいつも繰り返されるのでありますが、ほんとうに小さな地域でも、金を貸すのではなくて、見舞い金をもっと政府が出すとか、もっとほかの考え方はできないでしょうか。
  35. 大田康二

    大田説明員 もちろん、各作物の態様によりまして、とるべき措置というのは違ってくるわけでございますが、一例を申し上げて御参考に供したいと思いますが、たとえば干ばつ等の場合に、苗の再仕立てをしなければならぬ、仮植え田を設置しなければならぬ、あるいは他県から稲苗を輸送してこなければならぬというような場合には、過去におきましては、そういったものに対する助成ということをいたした例もあるわけでございまして、それぞれの被害の態様によりまして、いま先生のおゃしゃったような補助金等の助成措置ということも考えておるのでございます。
  36. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから、天災融資法の経営資金の貸し付け限度が、内地で二十万、北海道で三十五万ですね。これはこの前の四十年五月の一部改正のときのあれでありますけれども、物価が上がってきますから、当然これはスライドされなければならぬという問題が出てくるのですが、このスライドについてはどうお考えですか。
  37. 今村宣夫

    ○今村説明員 お尋ね天災融資法の貸し付けの限度でございますが、これは四十年度におきまして天災融資法を改正いたしましたときに、現在の貸し付け限度額をきめたわけでございます。この限度額をきめます際の一応のめどとしてとりましたのは、農家経済調査の農家の階層の現金支出を、どの辺の階層の農家がどの程度出しているかということをベースにして検討いたしたわけであります。そういたしますと、御存じのとおり、天災融資法で融資をいたします金は、次の農業経営に要する資金として貸し付けるわけでございます。そうしますと、そういう農家の階層のどの程度に該当するかということを見てみますと、その当時の金で大体一町五反ないし二町の経営階層の経営費であるということでございます。その後一年数ヵ月を要しておりますから、そういう意味合いにおきましては、経費がふえておることも確かでございます。しかし、その当時に私たちとして備えました金額の算出基礎としてとっております階層は、平均的に見ますれば相当高いところにあるわけでございますので、そういう点を考慮いたしましてチェックをいたしましても、おおむね現在の金額で妥当なのではないかというふうに考えております。もちろん、農家としては、三分資金でございますから、特に災害のときでありますので、たくさんな金額を借りたいというお気持ちは十分推察できるわけでございますが、そういうことで、私たちとしましては、その金額が適正であるかどうかを十分チェックしながら、それが不適当であるというような事態がございますならば、それを再検討すべきものであると考えますが、現段階においてはおおむね妥当な額ではないかというふうに考えております。
  38. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま質問した常襲ひょう害地帯における対策というのは、何か特別な考えがおありになりますか。
  39. 今村宣夫

    ○今村説明員 実は、先生のおっしゃいますとおりに、埼玉県の深谷地区等につきましてはひょう害を非常に受けやすい地帯であるということは、私も十分承知をいたしております。そこで、埼玉県におきましては、そういう特定の地域——と申しますと語弊がございますが、そういう地域に毎年見ます災害に対応いたしますために、県自身で天災融資法に準ずべき制度をつくりまして、そして災害を受けましたときに、県が予算を計上してそして天災融資法に準じて融資措置を講ずるという制度を持っております。それが災害が相当大きゅうございまして天災融資法の発動を見ましたときには、その天災融資法の融資に切りかえていくという措置を講じております。ただいま参事官からお話もございましたが、各県におきましてもそういう災害の対応のしかたをとってくださることが——これは決して国が天災融資法の発動をなまけて、そして肩を抜くという意味では全然ございませんで、国は国として尽くすべきところは十分配慮を尽くさなければいけませんけれども、県自身としましてもそういう対応対策というものを立てていただくことが、地域的な激甚災に対応する相当有効な手段ではないか、かように考えております。
  40. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がございませんので、最後に一問だけ……。  いまの問題ですが、要するに県はやっている。私が聞くのは、もちろん、災害があるから県がやるのですが、毎回こういうふうにあるところに、これはもう去来のやつはことし返して、ことしはまた来年とずっと続いているわけです。それが定期便のようにくるわけです。だから県だけの対策ではなくして、国が何かそこでさらにやれないかという質問なんです。
  41. 今村宣夫

    ○今村説明員 実は御存じと考えますが、そういう重複被害を受けました農家につきましては、借りかえ限度額というのを上に乗せましてそして天災資金をお貸しするということになっておるわけでございます。といいますのは、天災融資の償還期限中にまた災害を受けた、そこでまた二十万円借りるということになりますと、前の償還をすべき金がないというわけでございますから、前の天災融資の償還をすべき金として二十五万円を融資するという形になっています。したがいまして、一応天災融資法におきましてもそのような配慮はなされておるわけでございますが、同時に、災害がある一定の規模に達し、かつ激甚な災害に対して融資をする。早く言いますと、数億程度の、しかも県の段階で処理し得る範囲と考えられる災害に対してはどうするか、そういうふうに分けて私たちとしても今後検討してまいらなければならないというふうに一応考えておるわけでございます。
  42. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、私の質問はこれで終わりますが、最後に御要望一ついたしておきます。  それは、いま毎日新聞に出ていたような実態であるということをよく御理解くださいまして、いろいろな対策を講じているのだから何とかなるだろうというのでなくして、実際はもうポンプが値上がりしている、人手も足りないし、それから実際面においてはいろいろな理由があって金も借りられない、また、中には自殺までしている、こういうようないろいろな問題が重なっているということをひとつお考えくださって、この間も申し上げましたように、大臣もしくは次官が現地を視察すべきである。私質問しましたときに、必ずそうするように努力するというお返事でありましたが、もちろん、それに対して行ったか行かないかという質問はいたしませんが、少なくとも皆さん方は最高の責任者の下にあってそういった対策を講じられている方でございますから、一応現地を御視察くださって、ほんとうにこの新聞紙上にあるような事実であるならば、早急に対策を講じられることをお願いしまして、私の質問を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  43. 田原春次

  44. 稲富稜人

    稲富委員 先刻参事官より御説明のございました今回の福岡地方におきまするひょう害の問題につきまして、実は先般私大田事官質問いたしましたときに、その当時福岡県はおそらく被害総額が五億五千万くらいじゃないかと言っておりました。そのような資料によって先日は御答弁なさったのでございます。それが本日は十億を突破しているというような状態になってまいっておるのでございます。先日の私の質問に対しまして、大田事官は、たぶん天災融資法適用も福岡の場合受けるんじゃなかろうかとというような、非常に期待できるような御答弁があっておったので、私も非常に安心いたしておったのでございますが、先刻来の細谷委員質問によりますと、ただいまから調査しなければその結果が出ないなんという、まるきり先日の答弁とは違った御答弁をなさっているのでございますが、その点の変化はどこに根拠があるのでありますか。被害が大きくなってそう変わってきた、こういうようなところはどこにあるか。私はその点をまず大田事官に承りたい。
  45. 大田康二

    大田説明員 私、ひょう天災融資法を発動した例があるということを申し上げたつもりでございまして、今回の被害につきまして直ちに天災融資法が発動になるというふうに申し上げたつもりではなかったのでございまして、もしそう聞き取れるような私の答弁でありますれば、たいへん失礼を申し上げたかと思って、あやまらなければならぬかと思うのであります。前回の被害は、確かに先生のおっしゃるとおり五億五千七百万程度と申し上げましたが、今回県の報告によりますと、これが十億三千九百万になっておるのでございます。しかし、先ほど来すでに話も出ておりましたように、一応天災融資法を発動する場合の基準といたしましては、やはり何と申しましても統計調査部数字が基礎になりますので、この結果を待ちまして、財政当局とも相談の上、発動すべき場合には発動する、こういうことになろうかと思います。
  46. 稲富稜人

    稲富委員 私はこの際参事官の前のことばをいろいろ責めるわけではございませんが、それは速記録にも載っておると思いますが、たぶん天災融資法適用を受けるだろうという御答弁があっておったと記憶しております。しかし、そのことを私は責めはいたしません。ただ私がここで申し上げたいのは、先刻参事官の御答弁の中にもありましたように、今回のひょう被害というものは局部的に非常に著しいということであります。先刻私、写真を参事官に提出いたしたのでございますが、大きなひょうが降っている。しかも、あの地方ではひょうが降ったなんということは実に開闢以来のことでございまして、被害をこうむった農民というものはほんとうにぼう然自失たる状態であるのでございます。  そこで、こういうような被害に対してまず天災融資法適用の問題でございますが、もちろん、天災融資法の中には、その被害程度が国民経済に大きな影響を及ぼすと認められた場合、こういうふうにうたってありますが、この国民経済というものの解釈なんです。国民全体がそれによって経済の影響をこうむるんでなくして、被害をこうむった国民は非常に影響をこうむっているんだから、この意味はその点にも解釈される。その人の経済に影響を及ぼすような被害をこうむっているんです。こういう点も考えられると思うのでございますけれども、それはへ理屈だとおっしゃるならば、その法の精神の解釈までは問わぬが、要は、こういうような被害をこうむった人には何らかの手を差し伸ばして政府は救済の道をつくってやることだ。これが天災融資法の精神でもあり、また、政治としてのあたたかい態度でなくちゃいけないと私は思う。ただ単に、範囲に入らないからこれは除外されるのだ、こういうような状態であっては、涙のある政治であるとは言えないと私は思う。被害状態なんかを見ますと、私はこの間現地を見てまいったのでございますが、たとえば麦のごときは全部落ちてしまっております。それを焼こうといたしましても、立ったままでは焼かれないから、実の一つもついていないのを刈っております。刈ってどうするかというと、刈って焼く、こういうのでございます。あの炎天の中に、実のついていない麦を刈り取っているそのみじめな状態は、ほんとうに私たちが涙なくしては見られないというような状態でございます。あるいはまた、果樹地帯に参りましても、果樹がほとんど落とされてしまっております。果樹によって生計を営んでおって、従来融資を受けておりまして、ようやく金を返してしまった、本年度から収入があるというときに、その収穫が全部なくなってしまう、こういうような状態に置かれている。こういうような惨状であるのでございますので、こういうような実情を見るときには、ただ形式的な、法のその条件にかなっているから入れるのだ、かなっていないから入れないのだというような問題ではなくして、こういうような悲惨な農家、悲惨な被害者に対しては、できるだけひとつ天災融資法の範囲によって救済されるような方法を講じてやるという立場に立って考えるべき問題じゃなかろうか、私はかように考えます。こういう意味から申し上げましても、私は被害実情のほうは先般も申したのでございますが、今回のひょう被害がたとえば福岡県が十億円だとしましても、今回の被害は、関東地方にもひょう被害が出ております。これは同じ天然自然現象によって生じた被害でございますので、前にも例があると思うのでございますが、たぶん雨のときの例があったと思うのでありますが、何月何日から何月何日までの雨によるものはこれを総合して一つ被害の対象にするという問題、こうなりますと、私は、今度のひょうのほうも、同じ天然自然現象によって生じているひょう被害でございますから、いつからいつまでのひょう被害におけるこの区域内の被害は、天災融資法適用を受けるのだ、こういうような解釈、こういうような取り扱い方をするということが非常に親切なゆえんである、私はこう思うのでございまして、こういうような方法でもとるという御意思をもって対処していただきたい、かように考えるわけでございますが、これに対して政府はどういう考え方をして取り扱いをされようとするのであるかを承りたい。
  47. 大田康二

    大田説明員 確かに先生のおっしゃいましたように、ひょう害の場合には、被害を受けた農家の方が非常に悲惨である、しかも、ひょう害は、通る筋がございまして、受けられる方は毎年受けられるというようなことで、たいへんお気の毒であるということはよく承知いたしております。したがいまして、過去の例等におきましても、確かに先生のおっしゃるように、たしか三十億円が一応現在の基準になっておるわけですが、これを下るような小規模の災害につきましても、いろいろ局地的に農家の被害程度が深刻であるというような場合には、その及ぼす影響等も考えまして発動した前例もないわけではないのでございますが、われわれといたしましては、最終的には、何と申しましても統計調査部数字がまとまりませんと、何とも申しようもないわけでございますが、これらをすみやかに集計していただきまして、前向きで検討はいたしたい、かように考えております。
  48. 稲富稜人

    稲富委員 それで、今回の場合も、先例もあることでありますから、そういうような取り扱いで天災融資法適用に対して十分の——もちろん、これは結果から見てのことでございましょうけれども、そういうような対処のしかたをやっていただきたいということを強く要望しておきます。  さらに、この機会にもう一つ申し上げたいと思いますことは、こういうような常に窮屈な解釈をしなければできないような天災融資法、これに対しましては、やはりひょう被害のごとき局部的な被害をこうむったものは直ちに天災融資法適用を受けるのだということの安心を与えるような、こういうような基本的な法の改正を今日やる必要があるということをわれわれ考えます。これに対して政府はどういう考えを持たれておるか。その被害をこうむった人間というのは、再び立つことのできないような状態でございますので、こういう被害をこうむった場合には国の援助を受けるのだ、何とか国から助けてもらうのだ、こういうような安心感を持つことによって次の生産にまた立ち上がろうという気魄を持つわけでございますので、こういう点から申し上げましたら、当然今日私たちは一歩足を進めまして法の改正まで持っていくことが必要であると思うのでございますが、これに対してはどういうような考えを持っておられるか、ひとつ承りたい。これはほんとうは大臣でなくちゃ責任ある答弁はできぬかもわかりませんが、そういうようなことでひとつ大臣に話していただいて、あなた方も事務的に扱う者として、われわれのそういうような注文はむずかしい注文であるか、どういうふうにお考えになるかを承りたいと思うのです。そうすると、苦しいいろんなあなた方の扱いもせぬでもいいと私は思う。その点を率直に聞かしていただきたいと思う。
  49. 大田康二

    大田説明員 実は先般神田先生の御質問に対してもお答え申し上げたわけですし、きょう今村金融課長からもお話がありましたように、実は、小規模な局地的な災害あるいは一県だけに起こったような災害につきましては、各県におきまして大体原則として天災融資法に準じた措置を県単独で講じられておるのでございます。まさにいまの天災融資法の考え方の基本を流れる思想が、先生も十分御承知なので、申し上げなくてもいいのかもわかりませんが、やはりいま書いてある、国民経済に重大な影響を及ぼす災害、こういうことになっておりますので、一応金額の基準をつくり、あるいはやはり被害として数県にまたがるというようなことも一つのメルクマールにもなっておるのでございまして、やはり局地的な災害につきましては県単独でお願いするということは、決して無理を申し上げているのではないと私は考えております。それに国として何にもしてないじゃないかということでは実はないわけでございまして、これもあるいはおしかりをいただくかと思いますが、自作農の維持資金というのは、もちろん、災害がございますと、天災融資法の発動のような場合に、ワクを新たにふやしましてその被害を受けた県に配分するということもいたしておりますが、根っこから維持資金というワクもあるわけでございまして、これでの手当てもできるわけでございまして、決して国が何もしていないというわけではないということをこの際申し上げておきたいと思います。
  50. 稲富稜人

    稲富委員 いまの参事官の御答弁、私は非常に不満なんです。あなたは農林省の方ですから、ほんとうにいかにして農民が生産に挺身する意欲と希望を常に持たせるかということは、農林省としては常に考えなくちゃいけないことなんですよ。嶋崎主計官がいらっしゃるが、参事官は大蔵省じゃないのですから、やはり農民側のことを考えていただきたいと思う。そうすれば、局地的な極端なる被害に対しては、何らかの形でこれを救ってやる、こういうようなことを考えてやることがやはり必要なんです。ただ県にこれをまかせて何とかやらしているのだ、われわれはそれを高みから見物しているのだというような考えではいかぬ。要は、農民が被害をこうむった場合は、ほんとうに農民が被害をこうむったところに行きますと、ぼう然自失ですよ。どうしますかと言っても、何にも言いません。われわれが尋ねましても、答弁もいたしませんよ。まるきり無神経なんですね。そういうような悲惨な状態にあるときにも、少なくとも国から救いの手を伸ばしてもらえるのだという期待があればこそ、その苦しい中からやはりまた一つの希望を持って次の生産に挺身する。この農民の心理というものをあなた方は十分くんでやらなければいかぬでしょう。これがためには、たとえば国民全体の経済には影響ないとしましても、その被害をこうむった国民には非常な経済的な影響があるのだから、こういう点からひとつ十分考えて、何とかこれに対する救いの手を伸ばしてやろうじゃないか、こういうことで考え、法の精神はまたそういうことで立法することが、救済に対する立法の精神であると考える。ただそれをやっているから、自分たちはそういうことをやる必要はないのだ、農林省からそんな考えを持っておったら、だれがあえて取り上げますか。大蔵省ならば金を出さぬようになさるかもしれぬけれども、それはひとつ農林省がまずこういうものには何とかして法を立ててやらなければいかぬという気持ちを大いに持ってもらわなければいかぬと私は思うが、その点はどうか。あなたは農林省の参事官ですから、十分に考えていただきたいと思います。
  51. 大田康二

    大田説明員 先般来御審議もございましたし、本日ただいま先生から烈々たる真情の披瀝もございまして、よく私それを肝に銘じまして、上司並びに大臣にも御報告申し上げまして、検討をいたしたいと思います。
  52. 稲富稜人

    稲富委員 それから次にお尋ねしたいことは、最近災害なんかが起こりますと、天災融資法というものをただ一つのたてにして、天災融資法だけで何でもやっていこうという考えがある。ところが、天災融資法というのは、これは金を借りたものは返さなければいけないということで、農民から言いますと、こういう災害に対して何とか補助してもらいたい、これがほんとうの助けるということなんです。天災融資法もいいんですよ。これは、いまも言いますように、大いに適用してもらって、それに対してひとつ方法をとってもらわなければいけないが、それと同時に、これに対する助成措置というものもやっていただかなくては、返さなければいけない金というのは農民に負担がかかるので、負担のかからないような救済措置をとることが必要なんです。そういう点から申し上げますと、先刻細谷委員質問いたしておりましたが、あるいは苗しろに対する助成措置であるとか、あるいは種の助成措置などというものは、将来これは検討しなくちゃいけない、こういうことでございますが、こういうものに対する助成措置をひとつやっていただきたい。  さらに、果樹に対しましては、先刻申しましたように、今回の果樹被害というものが、これは先刻園芸局長も答弁されましたように、おそらく三年間はだめだろうというみんなの観察でございます。そうすると、いかにしてこの樹勢回復をやるかということが必要なんです。これに対しては、私は、かつて樹勢回復についてはいろいろ助成したこともあると思うのでございますから、今回のこのひょう被害に対しては、前例もあることでありますから、この樹勢回復という意味においての何らかの助成措置を政府でとることをまず考えていただきたいということを農林省にお願いしたいと思いますが、どうでございますか。
  53. 大田康二

    大田説明員 助成の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げたわけですが、被害の態様あるいは被害を受けた作物等につきましての扱いに先例がいろいろあるわけでございまして、従来の例に準じて、稲苗の輸送あるいは再仕立ての経費、あるいは仮植田の設置等の経費につきましては、干ばつ等の場合見た例もあるわけでございますので、私、農林省の態度といたしましては、当然先例に準じて補助してしかるべきものというふうに考えておるのでございます。  なお、いま先生の肥料のお話が出たわけでございますが、確かにかつていわゆる農薬、肥料等の生産資材に対しましても助成したことがあったのでございますが、実はいろいろな意味におきましてその実効の確認等をすることがむずかしい問題もございますし、さらには、こういうことを言うのは心苦しいわけでございますが、会計検査院等に非常に指摘も受けたりいたしまして、実際その実効がいろいろな意味で問題のある補助金であるというような指摘を受けたこともございます。  それから、これも先生おっしゃったわけでございますが、確かに自作農経営資金というような形で天災融資法で融資の道も講じておるわけでございまして、これも借金なんだから返さなければいかぬ、補助金とは違うじゃないかという御議論もあるかと思いますが、一応のそこに線を引いておるわけでございまして、いろいろな理屈を申し上げてもいたし方ないわけでございますが、いずれにいたしましても、最近の事例に準じて補助すべきものは当然補助するという態度で私のほうは財政当局と話し合いをしたい、このように考えております。
  54. 稲富稜人

    稲富委員 いまのいろいろな事情をおっしゃったのは、嶋崎主計官に私どもお気に召さぬことばかり常に申し上げまして、非常に申しわけないのですけれども、樹勢回復とかあるいは農薬の補助なんかの問題は、ほんとうに被害をこうむった人たちから申し上げますと、たとえ小金額でありましても、非常にこれは発奮する材料になるのでございますよ。こういう点から、補助というものが金額以上に非常に貴重な結果を生むわけでございます。それで、こういう問題に対しては前例もあったことだし、特にこういうような惨たんたる状態の中においては、何らかの助成措置をひとつ農林省で考えていただきたいということが一つ農林省がそういう助成措置を考えた場合は、農民の実情及び農民の今日の経済状態等も十分勘案し、さらに被害状態等も考えて、大蔵省におきましても農林省の措置に対して御協力願いたい、こういうことを私はきょう嶋崎主計官に特にお願い申し上げたいと思うのであります。もちろん、従来会計検査院等でいろいろな指摘があったことも事実でございましょう。しかしながら、こういう問題はお互いに直せばできることであって、やはり今後そういうことのないように十分注意をして取り計らえば、しかもこれに対しては県なり市町村なりが十分その点を知りながら取り計らえば、そういう支出に対しては不都合なんか生じないと思う。かつてそういうものがあったがために、今後においても被害農民に対して犠牲をなすということは、私はあまりにも忍びないと思う。どうかそういう点から、今回の惨たんたる被害状態、ほんとうに全滅なんです、こういうような状態から見まして、ひとつ何とかこの際そういう助成措置を講じていただきたい、農林省はそういうことでひとつ措置していただきたい、これに対して大蔵当局も財政措置等に対して十分御協力願いたいということを特に私は申し上げまして、はなはだ失礼でございますけれども、嶋崎主計官に特にお願い申し上げ、御協力をお願いいたしたいと思います。
  55. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  御承知のとおり、災害というのは、災害ということだけで非常にお気の毒な事情にあるわけでございます。そういう意味合いから申しまして、できるだけ助成策を講ずるということは当然のことだと思うのであります。御承知のとおり、わが国は非常に災害に恵まれた国——と言うと語弊がありますけれども、台風があり、雪があり、あるいは霜があり、雷がありということで、非常に災害の態様が多くて、しかも天災が非常に多い国だといわれておるわけでございます。戦後いろいろな事情がありまして、試行錯誤的に行政として一体どういう災害対策が講じられるかということについて、たびたびの試みをやってきておるわけでございます。そういういろいろな行政的な諸制度の積み重ねの上に、戦後少なくとも十数年たって天災融資法ができたのは、実は天災融資法の前にいろいろこういう試みというものがあって、具体的な先例というものがあって、それを集大成して手直しをし、こういう形に訂正されているわけです。  それから天災融資法とは別の、自作農維持創設資金というものがありますが、そもそも自作農維持創設資金の性格というものは、いわゆる農業経営を維持していくという考え方から、それが維持できなくなったという場合に、自作農創設の精神から考えてどういう手当てを講ずべきかというようなことをあわせ考えてそういう制度ができてきた。それを災害の場合にどういうように運用していくかということも、やはりたくさんの先例というものを積み重ねて、いまやだんだん災害についての対策というものは一つの体系をなしておるのだろうと思うのです。  ただ、その体系というのが非常に複雑でございますので、理解しにくい点があろうかと思いますけれども、農林省のほうのこの行政に通じております方々は、われわれのところに相当こまかく事柄を持ち込んで、災害農民に対してできるだけ手厚い措置があるようにということで御要求があるわけでございます。そういうような経緯がありましてできた天災融資法でございます。先ほどお話がありましたように、いわゆる国民経済的に相当大きな被害があるというのは、国民経済という字を入れて、個人の災害ということではないと思うのです。やはり、国民経済というものはわが国の経済という意味なのだろうと思うのです。これは法制局あたりともさんざん議論をしてそういうことになっておるわけでございます。それはどういうことかと言いますと、やはり国の財源を使うこと、国の行政機能ということの限界はどこにあるのだろうか、そういう意味で天災融資法が発動する原因をどういうぐあいに考えるべきか。非常に局地的に極端な例を言うと、このごろ雷の季節でございますけれども、おしかりを受けるかもしれませんが、雷にあたって焼けるというような場合には、これは灰しか残らぬわけでございます。そういうような場合とだんだん権衡をとって、一体どういう程度の局地的被害に対して国が援助措置を講じなければならぬのか、国の行政責任の限界というものをどのように考えるのかということが、やはり問題の基本になっておるのだろうと思うのです。もちろん、先ほど参事官が言われましたように、日本の国の国民経済はだんだん大きくなっているわけでございますけれども、基準自体はそんなに窮屈に運用しているわけじゃない。ただ、少ないとはいわれませんけれども、三十億の基準の場合に、それがすぐ二十億台でのせるというようなことになると、そこのところで何かうまい理屈はないだろうか、それから、いつも災害ごとに判断をするということになろうかと思いますけれども、たとえば気象条件関係から、少し口を曲げる程度で何とか一つの気象災害というような解釈ができる限度においては、農林省の御意見あるいは気象庁の御意見等も十分に参考にして、従来、法律を非常に窮屈な形で運用するというよりは、できるだけ災害を受けた方々の気持ちになって各省とも努力をしてきておる点は、もう皆さま方すでに御承知のとおりだと思います。したがって、今回の災害につきましても、われわれいたずらに金を惜しんで三十億の基準を一文なりともというような考え方でこれを運用しようというような気持ちは毛頭ありません。しかし、御承知のとおり、県報告が、過去の例から見て、相当過大な報告であったこともあるわけでございます。もちろん、すべての報告がそうだったというわけではありませんけれども、あったこともあるわけであります。そういうものを運用する基準として、やはり全国的に統計調査部というものがある、統計調査部調査自体は、出先の諸農業団体あるいは農業者、あるいは市町村等の意見も十分聞いてそして判断をされてくるものでございます。それを一つの基準にしまして、その被害金額というものをもとにしながら実態的な運用を行なわざるを得ないわけでございます。そういう意味で、いま直ちに天災融資法適用になるだろうというようなことを言い切るのは、まことにわれわれとしては困難である。しかし、その法の運用自体について、やはり法律でございますし、われわれ行政官としては、法の規制の範囲内でできる範囲の裁量というものを働かすわけでございます。ある程度限界はあろうかと思うけれども、不利に不利に事柄を解釈しようという気持ちは毛頭ないということを御理解願いたいと思います。  なお、農林省からも、そういう気持ちで私のほうには十分説明もあり、被害状況等について農民の立場に立った御議論がなされるものであるというぐあいに私は考えておるわけであります。
  56. 稲富稜人

    稲富委員 嶋崎主計官に特に私は申し上げたいと思うのですが、私たちは、何も県庁とか市町村報告をうのみにして、政府に対してこういう処置をとれと言っておりません。被害状態も、ただ、県庁から十億がきた、十億の災害だと言っておりません。私たちも、ここで皆さん方に被害状況に対して対策を考えてもらう以上は、現地に行って、それぞれの現地の惨状を見て、しかもその人の家庭経済にどういう影響を及ぼしているか、こういう点を私なりにやはり見て、それほどの責任を持ってわれわれは発言しております。ただ、県庁の陳情を受けた、あるいは市町村の陳情を受けたから、それをうのみにして、補助さえもらってやったらいいのだとか、そういうようなけちな根性は私たちは持ちません。私たちは実際農村の実情を見て、この被害状態を見る場合に、何とかこれに対しては救いの手を伸ばすことが、すなわち政治としての役目じゃないか、こういう観点から、私たちは皆さん方に対して実情を申し述べて、これに対して何とか考えてもらいたい、こういうことを言っているのです。私たちは、そういう意味から、ほんとうにこの惨状を見るに忍びずして、こういうときに手を伸ばすことがあたたかい政治だ、こう思ってやっております。特に農村の被害のことは、雷さんが落ちたからすぐ補助をやれとか、そういうことを私は言いません。やはり農業経営者というものは農業によってその生産をとっている。その農業が全滅しているということは、その収入の場所がなくなっているわけなんです。それだけ精神的な被害、経済的な被害は大きいわけなんです。こういうものに対して、ただ、法の範囲に触れないから救済の手を伸ばせないのだということは、あまりにも情において忍びないじゃないか、何とかこれに対して方法が出るものならば方法をやってやることが必要じゃないか、こういう見地からわれわれは言っている。ことに、私先刻から言いますように、あるいは助成の問題に対しても、たとえその助成が十分な助成ではないといたしましても、何とかこれに対して政府があたたかい救いの手を伸ばすということは、ほんとうに意気消沈したこういうような農民に発奮の一つの精神を与える、これが非常な薬であり、これがすなわち次の生産に転進する一つのもとになるのだ、こういう意味からも、ひとつ何とかやるべきじゃないか、こういう考え方でわれわれは言っているのです。どうかそういう意味で政府もこの問題に対処していただきたい。特に天災融資法の問題につきましても、当然これは基本的な法改正を将来見るといたしましても、これに対して当然考えていただきたいことは、この手続等にいたしましても、簡素な手続で融資を受けるような方法を講じてやるという、こういう一つの親切な取り計らいというものが必要じゃないか。特に、災害にあってぼう然自失の状態にある国民に対しては、やはりできるだけ親切な取り扱い方をするということが私は必要であると思う。ただお役人さんの形式的なものにとらわれてものごとを処理するということは、私たちは、こういう災害等に応じましては好ましからざることである、かように考えます。どうかこういう意味で、今回の問題は、いずれ災害に対する実情報告が参りましょうから、それが来ましたならば、ただいま申しましたようなあたたかい気持ちでこれに対処していただきたいということを希望申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  57. 田原春次

    田原委員長 天野光晴君。
  58. 天野光晴

    ○天野(光)委員 事務的なことを二、三お尋ねしておきます。  今年度の干ばつが相当深刻になっておることは、最近この委員会でも実態調査をやることになりましたが、その干ばつが容易でないという段階において、農林省としてとられた措置ですね、その経過等を具体的にひとつ説明していただきたい。
  59. 大田康二

    大田説明員 先ほど本年度の干ばつの概要につきまして申し上げたわけでございますが、先生お尋ねの、現在まで一体政府は何をやったのだということにつきましての概要につきまして御説明を申し上げたいと思います。  まず第一は、五月以降の干ばつ対策につきまして万全の措置を講ずるよう、五月十九日付で、農林事務次官名をもちまして東北、関東及び北陸の各農政局長あてに通達をいたしました。そのおもな内容を簡単に申し上げますと、用水の配分等について慎重に取り計らわれたい、あるいは、用水確保のためにポンプ等の設置をやられたい、それから、地方農政局にポンプがございますから、貸し出しに遺憾のないようにされたいというようなこと、それから、あとは苗の確保の問題でございます。それからなお、被害地域が、先ほど申し上げましたように漸次拡大をいたしましたので、六月六日付で、他の地方農政局長あてにも同様趣旨の通達を行なっております。なおその際、特に西日本におきましてはむしろ今後は局地的な豪雨の問題がございますので、そういった水害の対策についても遺憾のないようにしてもらいたいというようなことをうたったのでございます。  それから、大臣の指示もございまして、閣僚会議も随時開かれるということになりましたことに応じまして、六月二日に、本省に事務次官を長といたします災害対策本部を設置いたしました。そして、直ちに同日会議を開きまして、いろいろと情勢の分析、あるいは対策についての協議を行なったのでございます。  なお、地方農政局におきましても、必要に応じまして随時対策本部の設置をいたしておりまして、すでに関東、東北等におきましては設置の上、発動を見ておるという状況でございます。  それから、六月五日付で農地局長から、これまた地方農政局長あてに「昭和四十二年五月以降の干ばつ対策について」という通達を行なったのでございます。実はこれを出しました趣旨は、先ほど申し上げました五月二十九日付の通達で、ポンプの設置はしなさいというようなことをいったのだけれども、それに対して助成をするのかどうか、そこをはっきりしないのは非常に不親切ではないかという諸先生方の御指摘がございました。そこで、その局長通達の中で、いわゆる干害応急対策事業、井戸を掘ったりポンプを設置したりあるいは借り入れたりした関係の工事費、ポンプの設置費等でございますが、こういった干害の応急対策に要した経費の助成につきましては、原則として過去の例に準じて措置するのだということをはっきりいたしたのでございます。  それから第四番目に、これも先ほど触れましたが、県の要請によりまして、地方農政局保有のポンプを六月五日現在で百八台貸し出しをいたしております。なお、これは今後必要に応じまして、要請がございますれば貸し出すような準備を各農政局でいたしておるということでございます。  それから第五番目に、被害の大きかった当初でございますが、東北、特に宮城、山形、福島には、五月二十五日から二十八日まで係官を派遣いたしまして、被害状況調査並びに応急対策についての指導を行なったのでございますが、さらに、災害対策本部の設置と同時に、本部員会議によりまして、被害の大きな地区に三班の——内容は、山形、福島両県下、栃木、茨城両県下、群馬、埼玉、千葉の各県下、これに三班を編成いたしまして現地調査、指導に当たるということを決定いたしまして、すでに派遣をいたしております。  それから第六番目が、先ほど建設省の河川局長からもお話がございましたが、利根川水系について異常な水量の減少、水位の低下等からして、建設省において、六月二日、利根水系河川管理者協議会というものが開催されたのでございます。六月八日が利根川河口の大潮時に当たるのでありまして、この時期にできる限り上流から放流するということで、六月二日以降六月七日までの期間、本川上流ダム群の、藤原ダムあるいは矢木沢ダム等の毎秒五十トンの緊急放流を行なうということの決定をいたしたのでございます。  ただいままでにとりました措置の概要は、以上のとおりでございます。
  60. 天野光晴

    ○天野(光)委員 それで、私の聞きたかったのは、いわゆる干ばつ対策として井戸を掘らせる、ポンプアップをさせるという指導をした、これにがかった経費が相当ばく大にのぼる、それに対する助成はどうなるのだということを聞きたかったわけです。過去の例によってこれを措置するといういまの説明ですが、いままでの例から言うと、どういう形で、どういう助成をしておるのか、具体的にひとつ……。
  61. 大田康二

    大田説明員 まず、先ほど、各県で水路の掘さく、あるいは井戸の掘さく、瀬がえ等の工事をやっておるということを申し上げましたが、こういった工事につきましては、原則として四割の補助をいたすということにいたしております。それからポンプの設置あるいは借り入れ、これに要した経費につきましては、市町村、県あるいは土地改良区等の公的機関が公営でいたしたもの、これにつきましては同様四割の補助、それから数人の共同施行のものにつきましては二割五分の補助、これが従来の一般の場合の例でございます。
  62. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうしますと、ポンプの設置に対しての助成の扱い方が違うようですが、公共団体等がやるもののほうが助成率が多くて、個人あるいは個人に準じた形でやるものに対しては助成率が少ないというのは、どういう理由でそういう差があるのですか。
  63. 大田康二

    大田説明員 数人の農家が共同してポンプを購入して用水補給を行なうという場合が、いま申し上げたように二五%ということになっておるのでございますが、通常われわれが承知しておる事例によりますと、こういったケースの場合は、ポンプの使用が終わりますと、これを転用する場合が非常に多いのでございます。そういう場合が多うございまして、先ほど申し上げた土地改良区あるいは市町村等の場合と違うのでございまして、対策を講ずる場合にも、同一に取り扱うのは適当でないのではないかという観点で補助率を変えている、こういうふうに承知しておるわけであります。
  64. 天野光晴

    ○天野(光)委員 こういうことは逆論になるのですが、それでは、もし公共団体でそれを処分したような場合はどうなるのです。いま言ったとおり、公共団体のほうは、買い取ったものだから継続的に持っているであろう、こういう意味で、この次はポンプを買う金には助成措置を講ずる必要がないから、助成率を高くする、一方、個人的なものは、個人であるからあるいはこれを売却してしまうおそれが非常に多いので、助成措置を講じて、かつ毎年同じ段階で買ってやることになってはたいへんだから、これは助成率を少なくするのだというふうに聞いたのですが、どうですか。それでは、公共団体等が買い入れポンプを転売したということになりましたら、その助成金を取り上げるのですか。いままでの考え方としてはどうです。
  65. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 ただいまの共同施行の場合に補助率が少し低いわけであります。これは転売ということよりも、そのポンプは非常に小型ポンプが多いのでございますが、エンジンも当然くっついておりますし、そういうものを共同で買った場合は、一応干ばつのときにはそれを据えつけて使いますけれども、その水がある程度かかりましてそのポンプの効用が一応果たされますと、エンジンなんかは実際には何にでも使えるわけでございますね、その他の農作業、そういう方面に使うことが非常に多い。ところが、市町村や土地改良区の場合は、これは土地改良区は一つの水利組合である、市町村は地方公共団体でございますので、そういうところできちんと買ったものは、そこに据えつけたら、その目的のために使っていくということでございまして、いまお尋ねの、補助金を受けて他に転売したというようなことがございますと、これは共同施行であろうが、法定団体であろうが、そういう補助金を受けて買ったものを別に売り飛ばすということは、これは補助金の適正な使い方に当たりませんので、別途の方法を考えなければならぬと思います。それは共同施行の場合も、法定団体の場合でも同様であろうと私は思います。
  66. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうすると、ちょっとそこのところおかしいと思うのですが、災害を受けて干ばつになると、一番身近に感ずるのは個人ですね。そこで、水利組合あるいは市町村等においてこれをやるという段階、あるいは水利組合等は相当スピードアップできると思いますが、市町村等でこれをポンプアップするためにポンプを購入してこの地域をやろうというところまでいくのには、相当私は時間がかかると思うのです。やはりそれを待っているわけにいかないから、それで、共同してそれらをやろうじゃないかという段階のほうが非常に多いのではないか、そういう点で、私は、このポンプの購入に対する補助金のくれ方に段階がついておるのは非常に不自然だと思うのです。これはかえって個人なんかのほうが経営の負担なんか多いのです。いわゆる市町村あるいは水利組合等の、要するに自治団体になりますれば、これは他の組合、他の地域にも持っていって使うことが幾らでもできるわけですが、一方は、自分のところで買い取ったら買い取ったままであるという姿のほうが多いのではないかと思うのです。そういう点で、助成金を支給する率がどうも不自然に思うのですが、それが全然不自然だと事務当局では思っておりませんか。
  67. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 いまのようなお話は当然あると思いますけれども、事実いままでこういう干ばつを受けた場合に一時的に緊急に使うわけですね。そうすると、実態的に、いままで共同で購入してやられた方々のポンプ、エンジン等が他の用途に向けられることが多いものですから、そういうことがあると、うんとかんがい用に使おうという目的でこちらは出しておりますたてまえ上、その他のほうにそれを使ってそれで利益をある程度受けているというのならば、そういうことが非常に共同利用の場合に多いので、その場合は若干国の補助率も下げるべきが当然ではないか。別に理屈ということよりも、実際にそういう場合が多いからそういうふうにしておるということであります。
  68. 天野光晴

    ○天野(光)委員 こんなことで議論してもどうにもなりませんが、私はこれは非常に不自然だと思います。実態をもうちょっと私のほうでつかんでみてから検討したいと思います。  もう一つ天災融資法適用になって融資を受けたというのが過去例年相当あるはずですが、その融資を受けたものの返済の実態はどうなっているか。要するに、予定どおり入っているのか入っていないのかということです。
  69. 今村宣夫

    ○今村説明員 天災融資法の償還でございますが、災害を受けました農家の方々は、連続災害を受けた場合は別でございますけれども、おおむね翌年から通常の農業経営の形態に返るわけでございますが、その償還状況は良好でございます。ただ、例年災害あるいは農業経営がうまくいかなかったというふうなことで返せないという状態になりましたときには、県とか市町村が損失補償をいたしておりますので、そちらのほうから金が返ってくるという状態にも相なります。また、どうしても経営がうまくいかないというふうな場合には自作農資金を融通するという方途は別途ございます。もちろん、自作農資金を融通したから償還がよくなるというものではございませんけれども、農業経営の維持安定のためにはそういう方法を講じておりますので、全体としてながめますれば、その償還は比較的良好であると思います。
  70. 天野光晴

    ○天野(光)委員 この問題も、ここで議論したところで責任ある答弁は得られないと思いますから、議論はしないのですが、天災融資法の償還状態について、この次の委員会までに、わかるように印刷したものを出していただきたいと思います。  私は常識的に考えて、先ほどから問題になっておりますが、激甚災の指定を受けて、立つことあたわざるような状態にたたきのめされた農家を復興するために貸し与えた金に対し、ようやくこの間少し下げて——私がやんやん言って少し下げたのだと思います。この間も私は妥協しないつもりだったのですが、やむを得ず妥協して、今度三分に下がったのでありますが、利息を取ることは不自然だと思うのです。これは普通の中小企業とはちょっと筋が違うのでありますから、そういう点で、言われたとおり、万が一の場合には損失補償を県あるいは市町村でやるということになれば、全額返ってくるわけですが、その借りた農家が最終的に農業経営をやめてどこかに夜逃げしていってしまうというようなもの以外は、これはもうせっせと働いて返しておることは、現実の実態としてはそのとおりなんです。だから、そういう点で、災害にたたかれて、ともかくもある金を使うということは、普通の中小企業のような場合ですと、年に三、四回くらい回せるものを、農家ですと、どんなにうまく回しても一回、二回回せるのは少ないと思うのです。そういう状態において、わずかな三分の利息でも、これは中小企業に一割で貸した利息と同じような金利計算になるわけですから、そういう点で少なくとも激甚災の指定を受けた地域に対する貸し出しは無利息にしろというのが私のいままでの主張であります。これは今国会中にできることならば法の改正をやるように党内で調整をしてやるつもりでありますが、そういう点で、その天災融資法で貸した金ですらも、すたりができてしまって、返済ができないで赤字だらけで困っておるということになりますといろいろ問題があるので、お聞きしたわけですが、そういう点、どの程度のものがいわゆる中間における市町村の自治団体、県等でかわって支払いをしたのか、実際問題としてすたりがどの程度あるかということを統計的に出していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
  71. 田原春次

    田原委員長 神田大作君。
  72. 神田大作

    ○神田(大)委員 関連で少し御質問申し上げます。  先ほどからの質問は、ひょう害の場合に少なくとも天災融資法適用を受けられるように、天災融資法を発動するかどうかということでありましたが、農林省の参事官は、いろいろ検討したいという御返事でございました。大蔵省の主計官は、雷が落ちてうちが焼けたところまで及ぼすようなことになるから、そんなことは理屈に合わぬということでありますが、これはわれわれ聞き捨てならないことでありますので、私は関連でその真意をただしたいと思うのですが、農業災害というものは、火事になってうちが焼けたというものと性質を異にするのです。これは日本の農業生産力を増大し、主食を主体としたいわゆる食糧その他の確保を期するために、これは国民的責務をもって再生産を行なうのであるから、雷が落ちてうちが焼けたと同じような考えで天災融資法の問題を議論することは筋違いであると私は考えるのです。  それで、主計官もひょう害を受けたところを見たことがあるかどうかわからぬが、たとえば、栃木県あるいは群馬、福島、埼玉というところは、常時ひょう害の災害地ですから、年じゅうどこかでもって全滅しておるあの農作物を見まして、その農家がもう農業を捨てて、むすこは百姓をやらないで見捨てる場合もあります。三多摩のひょう害では、六十八になるおじいさんが、目の前に全滅した農作物を見まして、自殺をしたのです。こういうような悲惨な状況になった場合において、天災融資法の融資の金なんかは、大企業に対する融資なんかと比較すれば、全くささいなものです。そういうことでございますから、毎年毎年ひょう害ができて、天災融資法をどうするどうするというような騒ぎをしないで——これはある程度、県でもって適切なる施策を講ずればいいが、なかなか県としてもできない。いままでは県で単独で肥料に対しての補助を出したり、あるいは種苗に対する補助金を出したり、そういうことをやっていますが、ささいなものです。しかしながら、県がそういうことでやっていますから、県がそういう対策を立てる程度の災害が起きた場合には、ひょう害の場合は特別な施策でもって天災融資法を発動すべきであると私は考える。これは、この法文によりましても、国民経済に影響を及ぼすと思われた場合には、政令でもって発動できるのですから、何もそんなむずかしい解釈をする必要はないと思うのです。たとえば、ある地域、ある部落で全滅あるいは七、八割の被害をこうむったとか、それはそのときそのときに御検討願って、少なくとも七、八割から全滅というような場合においては、これは金を貸すのですから、やるわけじゃなくて、返すのですから、そこらの温情、これは当然認められるべきものではなかろうか。私は毎年毎年ひょう害について農民の皆さんとひざつき合わせて話をして、どうしたらいい、こうしたらいいといっても、これは防ぎようがない。作物をいろいろ変えてみるけれども、それでもとても合わぬという、農民にとってはのがれられない災害なんで、そういう意味合いにおいて、大蔵省の主計官におかれましても、法文の解釈ができるわけですから、この点、ひとつ農林省、大蔵省でよく御相談をして、このひょう害の場合には天災融資法をもっとむずかしくなしにすぐ発動して、安い金を貸して再生産に努力させるという施策をとってもらいたいと思うのですが、ひとつ主計官並びに参事官のほうから、御答弁願いたいと思います。
  73. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 お答えいたします。  先ほど私も、たとえが悪いかもしれませんがということばを冠したと思うのですけれども、あまりその問題については深入りするつもりはありません。ただ、御承知のとおり、国民の職業はそれぞれ評価はあるでございましょうけれども、やはり火事にあってたなおろし資産を焼いたというような場合の例が、ある程度農業についても、作物というのは、たなおろし資産である場合、それから固定資産に相当する場合とあると思うのですけれでも、そういうことは別にして、ただ非常に局地的に激甚な被害を受けたという例として、適切じゃなかったかもしれませんけれども、申し上げた次第でございます。  そういうわけで、先ほどるるお話し申し上げたと思いますけれども、要するに、国民経済的というものの考え方、国の行政権の責任分野というものをどの程度に考えるか、先ほど農林省のほうからもお話がありましたように、局地的な対策については、それぞれそういう地元の一番近い自治団体においていろいろな対策を講じられて、なおそれでカバーできないところを国が出動するというのが、やはり行政の分野調整という点から見て、あるいは考え方として、いろいろな批判はあろうかと思いますが、やむを得ないものじゃなかろうかというぐあいに思っておるわけでございます。  ただ、ひょう害につきましては、先ほど来、農林省のほうからも、私のほうからも申し述べたと思いますけれども、局地的に非常に大きな被害があるということにつきましては、私も百姓の生まれでございますし——百姓の生まれというとおかしいのですけれども、百姓の孫であることは間違いない。農村の出身でございますのでよくわかっておりますし、また、現に写真その他で皆さん方からたびたび陳情を受けておりますので、その悲惨な被害状況については十分わかっておるつもりでございます。それに対する対策につきましても、先ほど来御説明がありましたように、通常基準として設けられておるものにつきまして、過去において相当程度弾力的に対処してきた。弾力的に対処するというのも、これは行政裁量でございますから、あまり極端なことはもちろんできません。しかし、できるだけそれを救うという方向で考えていくということについては、農林当局はもちろんそういう御要求をなさるわけでございますし、受けるわれわれとしましても、そういう考え方で、ひょう害に限らず、過去の災害に対処してきたつもりでございます。ひょう害につきましては、特に局地激甚という一つの特色があるわけでございますから、そういう点を十分参酌して天災融資法の適切な運用を考えていきたいというぐあいに思っておる次第でございます。
  74. 大田康二

    大田説明員 先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、被害額が三十億を下回るような場合の災害でございましても、局地的に農家の受けられた被害が非常に深刻であるというような場合には実は発動した前例もないわけではないのでございまして、そういったことを考えまして、統計調査部数字等が明らかになりますれば、こういったことも十分勘案の上、その処理をしてまいりたいというふうに考えております。
  75. 中澤茂一

    中澤委員 関連して。  どうだね、変える考えはないかね。国民経済だとか三十億だとかいう話があったけれども、農民から言わせれば、そんなことはおかしいのだ。全滅しているのですからね。あなたは、さっき、上司や大臣にもあれして検討すると言っているが、きょう実は大臣の出席要求をぼくはしていたのですが、どうしても農林水産委員会で漁業をきょう上げるから、頼むという。来なければ来ないでいいが、どうするのだ。至急検討するという約束は電話でしてもいいわけだ。何とかこれを変えようじゃないか。災害のときには、国民経済なんて、そんなでかいことを言う必要はないのだ。中近東のあらしでもきたときは、国民経済と言っていいが、ひょうが降ってきたのに、国民経済なんて、そんなワクはとったっていいじゃないか。私が前から議論しておるように、局地的に被害があったときに、災害農家の被害状況区分をつけ——いまもついているけれども、そしてそれは小さい県にまかせろ、そういう形で知事が裁定したものは国が見てやる、こういう方式にすれば、この問題は一挙に解決してしまう。いままでもあなた方は行政官としてきわめて無理な裁量をやっているんだよ。気の毒じゃないか、ではひとつここで弾力的にいこうなんて、ダブル災害をくっつけたりなんかして金額を上げてみたり、これはサバ読みしているのだけれども、このサバを認めて、あのサバを認めて、くっつけて、何とかいけそうじゃないかということを事実いままでもやっているのですよ。それはあなた方としても不愉快だろうと思う。要するに、何月災害、何月災害というのを込みにして天災融資法適用する特例をやったことがある。込みにしなければ金額が乗ってこないからだ。そのガンは、国民経済ということばと、三十億ということばにある。これを取っ払おうじゃないか。どう考えておりますか。
  76. 大田康二

    大田説明員 私、軽率なことを申し上げると、あとでおしかりを受けるようなことになりますので、先ほども申し上げましたように、上司にも大臣にもよく先生たちの御意見のあるところを申し上げまして、その判断を受けた上で申し上げたい、かように考えます。
  77. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 私のほうにも御質問があったものと思いますので、お答えいたします。  先ほど来何べんも申し上げておるように、この問題は何べんか議論をされて、そのつどいろいろ御吟味願っておるところであります。国民経済という問題につきましては、相当程度議論があったところであろうと思うのです。そういう意味合いから、天災融資法ワクを取っ払われるという御提案に対しては、私は必ずしも適切であるとは思っておりません。そういう御意見があったことは、これはわれわれ職務でございますので、必ず上司に報告して、われわれ内部の議論を固めてはおりますけれども、従来とも、こういう議論はたびたび上司に上げて御相談をした結果、現在の制度があるわけでございますので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  78. 中澤茂一

    中澤委員 これはやはりどうしても法律を変えなければだめだと思う。災害でもいつも問題になるのは、特殊災害、それから水害やいろいろ台風の場合、個人災害に対する対策が何もないということ、それから十万円以下の小災害が見捨てられている。これも皆さんの運用で、連櫓災害ということで、五万円二つ、ちっとは離れても、くっつけて見るということを現実にやっているわけだ。この三つは、私は、災害の場合はどうしても一歩前進させなければいけないと思っているのだ。個人災害、小災害、それからいま一つはいまの特殊災害だ。局地的に全滅してしまう災害、この三つというものは、やはり参事官、ちっとは考えなければだめだよ。少し前進する方向を出しなさいよ。われわれも国会でこれは与野党話し合いでこの三つは一歩前進した姿勢で問題を解決しないと、この三つさえ災害問題でけりをつけておけば、もう災害があっても、われわれこんな委員会やらなくたっていいんですよ。自動的に動いていくのだ。この三つの難点が災害にはいつも出てくる。一方、あなた方も、忙しいのにここに来て、われわれにああだこうだ言われるのはいやだろうから、この三つさえけりをつければ、災害は、委員会を開かぬでも、自動的にあなた方ずっとやっていけるのだから、そのほうがあなた方も楽でしょうが。何だかんだ言われて、一生懸命、国民経済だとか——国民経済なんて、あのときに大蔵省が無理にくっつけたんですよ。それは大蔵省の立場としてはわからぬわけじゃない。無制限に小さいほうに持っていかれるのは大蔵省として困るから、国民経済という大きなことばでワクをはめておけば、そう小さいものまでめんどうを見ぬでもいい。これは大蔵省の立場はわかります。しかし、実際あなたの家が災害になったときにどうか、それをまず考えなさい。自分の身で人のことを考えなければだめだよ。自分が百姓をやっていて農作物が全滅すれば、自殺したくなる。現に自殺した者まで出ているじゃないか。それぐらい、災害というものは局地的現象なんだから、今度の場合だって、何らか方法をやって見てやるとか、あるいはダブル災害——ダブル災害がくればともかく、こなければどうにもならなくなっちゃうのだから、この際何とか法改正の前進の姿というものを出さなければいかぬと思うのです。われわれもこれから与野党の、有力な与党の理事さんもたくさんおいでだから、ひとつ話し合いを進めて、この三つを何とかして、これは災害のたびに問題になっているのだ。小災害、個人災害、それからひょう害、突風——突風なんというものは、一ヵ所ぱっと吹き抜けるだけだけれども、屋根は飛んじゃう、家は倒れちゃう、農作物は全滅しちゃう。これは日本じゅう一ヵ所しかないものだ。そうかといって、災害を受けた農民にしてみれば、全財産を持っていかれたような災害を受けているのです。それを何でも一般災害の基準で押えていくという考え方自体に問題がある。嶋崎さんは首を横にひねっているけれども、反対なら反対で、あなたが反対なら、こっちはやるだけだ。どっちでもかまわない。そういう点も、あなた方も行政官として一歩前進する姿勢をつくっていこう。法律で一挙に全部いまの三つを解決するなんというのは、これはなかなか無理だと私も思うが、漸進的にこういうネックになっている問題を解決していく姿勢というものを行政官としてとってもらいたいと思うのだ。あとは政治の問題ですからね。これはもう立法機関が考えるものですから、われわれもこれから努力するが、皆さんのほうもそういう前向きの姿勢で——特に大蔵省はいつもうしろ向きなんだ。それで、全部うしろ向きならいいけれども、つまらない金を二千億も三千億も出したりするからしゃくにさわるのです。そういうものもうしろ向きで出さないというのなら、これは話はわかる。そういうつまらないものを出しておいて、わずか二、三億の金で農民が喜んで生産にいそしめる金を、うしろ向きにうしろ向きにバックしていくから、つい文句を言いたくなるのです。ですから、そういう点について、今後の問題として当特別委員会の有力な理事の皆さんで御相談願って、やはり一歩前進の姿勢で法改正に問題をしぼっていく、そういう点については皆さんにもひとつ御協力を願いたい。特に大蔵省はうしろ向きにならないように、前向きで御協力を願いたい、これだけをお額いしておいて終わります。
  79. 田原春次

    田原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会