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1967-06-15 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十五日(木曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 石野 久男君    理事小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 福井  勇君 理事 三木 喜夫君    理事 内海  清君       池田 清志君    岡本  茂君       桂木 鉄夫君    佐々木義武君       世耕 政隆君    石川 次夫君       吉田 之久君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣已君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         参 考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ————————————— 六月十五日  委員山内広君及び佐々木良作辞任につき、そ  の補欠として石川次夫君及び吉田之久君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員石川次夫君及び吉田之久君辞任につき、そ  の補欠として山内広君及び佐々木良作君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出第七  三号)      ————◇—————
  2. 石野久男

    石野委員長代理 これより会議を開きます。  委員長指名により、私が委員長の職務を行ないます。  原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君、日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石野久男

    石野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 石野久男

    石野委員長代理 両参考人には御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。  御意見の聴取は、質疑応答の形式で行ないますが、どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  5. 石川次夫

    石川委員 今度の法案につきましては、だいぶ熱心に、詳細にわたってもう質問が行なわれておるようであります。したがいまして、私はその前提になるきわめて基本的な問題につきまして質問をしたいと思っております。  御承知のように、日本資本自由化ということが叫ばれまして、技術格差という問題が大きくクローズアップをされておるわけであります。ところで、いまさら申し上げるまでもないわけでありますけれども、ヨーロッパにおきましても、アメリカ資本導入に伴って、この技術格差ということが非常に大きな問題になっておるわけであります。しかし、ヨーロッパアメリカとの技術導入の比率は大体五対一、ヨーロッパのほうが非常に少ないわけであります。まあそれでも日本に比べては格段にヨーロッパのほうが技術が進んでおるという一つめどにはなる、こう思っておるわけでありますけれども、このヨーロッパそれ自体でも、エレクトロニクスなどはアメリカ資本が大体九割もヨーロッパの市場を席巻しておるという実態になっておる。それでこれが非常に大きな問題になっておるわけであります。日本の場合には、技術輸出が七に対して技術導入が九十三というようなきわめて惨たんたる状態でありますから、資本導入につきまして非常に強気な見方をする人がありますけれども、その技術格差という面を通じて技術を伴った資本導入というものに対抗できるかどうかということが、きわめて大きな今日的な課題になっておると言わざるを得ないと思うのであります。そこで、日本といたしましても、外国技術導入依存をするという形を何らかこの辺でもって断ちたいというのが、今日の与野党といわず日本全体を通じての至上命令ではないか、こう思っておりますので、結局はこの法案にも盛られておりますように自主開発という道をどこでどうやって確立をするか。これは非常に大きな問題だと思うのです。ところでヨーロッパあたりでも、この原子力が原動力になってEECというものができたわけでありますけれども、航空、宇宙あるいは原子力というものはほとんどアメリカに席巻をされておる。何とかこれに対抗しなければならぬということで、特に原子力関係ではヨーロッパが力を合わせてアメリカ技術に対抗しようということで形を変えた一つナショナリズムというものが非常に強く台頭いたしておる。そういう場合に、日本技術関係者は一体どうかといいますと、私は技術屋を多く知っておりますけれども、技術導入をされて、それに依存をするということをこれ以上続けたらとんでもないことになる。ということは、技術導入された時点においては、もうすでに外国では、新しい技術開発ができるというめどのたったものだけを日本輸出をする、こういうことになっておるわけであります。したがって、その技術をものにしたという場合には、特にアメリカにおいては新しい技術開発がすでにできておるという時点で、あとを追いかけていっておる。こういうことをいつまで繰り返しても、日本はほかの国に追いつき、あるいは追い越すということは不可能であるということで、正しい意味での技術におけるナショナリズムということは、今日資本自由化ということがきっかけになった時点におきましては、非常に大きな問題として本腰を据えて取り組まなければならぬ問題ではないか、こう思っておるわけであります。その点についてひとつ科学技術庁長官所信を伺いたいと思っております。
  6. 二階堂進

    二階堂国務大臣 石川さんのお説のとおり、技術開発の問題は、将来の日本にとって、私は政治の問題として大きな問題だと考えております。技術を制するものが経済を制するということばを私は身にしみて痛感いたしておるわけでございます。特に資本自由化に伴いまして、資本力の大きな国が技術を伴ってわが国に入ってくるということになりますと、資本のみならず、技術でもって日本産業界を支配するという状態になってくるおそれもある。こういうことを非常に痛切に感じておりますので、何といたしましても、技術の自主的な開発ということについて、国全体が官民一体となって総力をあげて解決に努力していかなければならないと私は思っております。  原子力関係技術あるいは宇宙開発技術、あるいは電子産業技術等を考えてみましても、基礎的な研究をやらなければならない部面がまだ相当残されておる。また、これを開発するにつきましても、これは政府自体ビッグサイエンスに取り組む態度というものを明確にして、国の進むべき方向を明らかにして、そして企業あるいは大学関係研究者こぞって、この研究開発が進められるような体制にするということが第一だと考えております。特に原子力開発につきましては、御承知のとおり、原子力委員会のほうで長期にわたる計画を樹立され、そして新型転換炉あるいは高速増殖炉という新しい分野に、しかも燃料効率性を考えた自主的な開発というものに取り組む姿勢を明らかにいたしておるわけでありまして、それを進めるために、新しい事業団をつくって、新しいこうした方面に精力的な努力を傾けていくという姿勢をつくるために御審議を願っておるようなわけでございます。  従来わが国は、造船界におきましても世界一だ、こう言っていましたが、資本自由化を迎えるに際しまして、造船業界も非常に心配をいたしておるような状態である。世界一だと誇っておったこの造船技術すら、すでに大きな資本力技術力に押されて、将来の海運業界がどうなるかという心配をいたしておるような現状を考えてみるだけでも、さらに進んだ原子力関係、あるいは特に電子産業関係などは非常におくれておるという感じを強くいたしますので、今後国といたしましてはやはり長期計画を立てまして、そうして国が取り組む姿勢を明らかにし、それに官民一体総力を結集して研究開発に臨む態度を明らかにしていくことが大事だ、かように考えております。そういう決意のもとに今後この技術開発に取り組む決意でございます。
  7. 石川次夫

    石川委員 一応その所信ことばの上ではそれでいいと思うのでありますけれども、具体的に国民所得の中で二・五%までこれを研究開発費に向けたいという一つ目標長官がこの前言明されたわけであります。ところがアメリカの七兆円をこすような一年間の技術開発費、これはとうてい日本でまねしようと思ってもできないと思いますけれども、いかんせん現在の日本科学技術費用というものは、非常におよび腰で政府の腰がきまっていないということが数字の上にはっきり出ている。これは毎年ある程度伸ばしてはおりますけれども、問題にならぬ数字であることだけははっきりしておると思うのであります。アメリカの〇・五%足らずというようなていたらくであります。これではたして技術を振興することができるか、技術というものが経済を支配するんだという体制になっているかどうかということは、もう数字が明瞭に物語っているのではないか、こう思うのでありますが、特に七兆三千億円というような膨大なるアメリカ予算の中で政府が出しているのは七割です。軍事科学ということも含まれているということももちろんありましょうけれども、日本は平和に限るということを言っているだけに、なおさら軍事にかわるだけの熱意をもって取り組まなければならぬという一つ使命というものを負わされておる、こう思うわけであります。二・五%というのは一応の目標で、これだけではまだ足らぬと思っていますが、一応二・五%まで持ち上げるとして、そのうち政府外国並みに七割これを負担する、こういう決意が持てるかどうか、このことをひとつ伺いたい。
  8. 二階堂進

    二階堂国務大臣 国民所得の割合から申しまして、研究投資を四十六年までに二・五%に持っていくという目標を明らかにいたしております。これは国がきめた経済社会開発計画の中で明らかにいたしております数字であります。これに向かっては私どもも政府責任において研究投資をふやすという決意を持っております。ただ国投資する、アメリカ並みにというわけにはまいりますまい。アメリカとかソ連は軍事費がほとんど大部分を占めておるし、また軍事費の中で民間協力を求めて、民間などにも相当な金を注ぎ込んでおるという現状わが国の国情とは明らかに違います。違いますが、研究投資をふやし、また税制の面でも民間研究開発が一そう促進できるようにという優遇措置なども講じておりますので、そうしたもろもろの諸政策をばひとつ総合的に推進して、可能な限りそういう目標に向かって国の投資をふやす、こういう考え方でございます。
  9. 石川次夫

    石川委員 いまのはほんとうに私の質問に対する答弁にはなっていないと思うのです。これはやはり国がほんとうに七割ぐらいまで持つのだというような意欲を持たなければできぬ。ということは、実は私は日立に席を持っていたことがありますが、日立中央研究所は、日本の国立の研究所にないようなりっぱなものです。りっぱなものではありますが、やはりこういうところで研究される対象となるものは、利潤追求と関連のあるものに限ってのみ研究をせざるを得ない。こういう宿命といいますか、そういうことにならざるを得ない。したがって、もっと基本的な基礎研究というふうなものは、国自体が取り組まなければならぬというのが当然だと思うし、それからさらに、宇宙とか海洋とか原子力というような民間衆知を集める体制をつくらなければならぬというビッグサイエンスの時代になりますというと、これまた国がやらざるを得ないというのは、私が説明するまでもないと思うのであります。そういうことになりますと、やはり民間研究開発費用の七割を持つというふうなこと自体、やはり私はどう考えても、政府の取り組み方の姿勢というものが非常におよび腰である、こう断言しても差しつかえない、こう思っております。  ところで、私はここで質問をするつもりはないのですけれども、ちょっと触れてみたいのは、宇宙の問題については、この前、三木さんからことこまかに質問があったわけです。ところが、宇宙の問題も科学技術庁が統一をするという姿勢になっておりませんで、東大が非常に独走、といっては語弊があるかもしれませんが、突っ走っておる。それから、海洋の問題も一つありますね。海洋の問題は、これから大陸だなの調査の問題もあるし、あるいは海底の何といいますか、所有権の問題までこれから出てこよう。海底調査をどうするかというような大きな問題がこれから行なわれようとしていて、これとどうしても取り組まなければならない。これもやはり国でやらなければ、どこもやるところがありません。そういうときに、東大は、これは確かに技術はすぐれておるし、独特の高いものを持っておりますから、それ自体研究することを否定するつもりは毛頭ありません。しかしながら、ここでは白鳳丸、あるいはまた淡青丸、こういう船をつくって独自の研究を始めておる。科学技術庁のほうでは潜水調査船をこれからつくるのだといって、いまつくっておると思いますけれども、これを統合していく場合は、一体どこにあるか、これはまた、宇宙と同じように、いつかまた私はこれを取り上げる時間があれば追及をしたいと思っておりますけれども、科学技術庁というものができました以上は、そういう民間衆知、あるいは政府の力というものを糾合して、ビッグサイエンス、あるいは基礎研究とうものに取り組むのだということの使命を負わされたのが科学技術庁じゃないか、こう思っているわけです。ところが、科学技術庁は、こういうふうなビッグサイエンスに取り組む場合に、傍観者的だとは私はあえて言いませんけれども、何かそれを全部、衆知を糾合して指導をするだけの力というものを発揮できない状態になっているのではないか、科学技術庁というものは、こういう場合にどういう役割りを持っておるのかということをひとつ伺いたいのです。
  10. 二階堂進

    二階堂国務大臣 率直に申し上げまして、ビッグサイエンスに取り組む政府姿勢、これはたいへんな問題でございますけれども、石川先生のおっしゃったような政府姿勢というものが私は大事だと思っております。科学技術庁ができまして十年余りになると私も承知いたしておりますが、この間、歴代長官がおられまして、あるいは科学技術庁方々原子力委員会方々、あるいはこれに関係のある政府研究機関、力を合わせて、いろいろな問題と取り組んできておられまして、またそれらの機関あるいは委員会等は、それぞれの成果をあげて、目的に向かって努力をしてこられたことは御承知のとおりだろうと思っておりますが、しかし、いま申されましたように、宇宙開発問題一つをとらえてみましても、実際目標は明らかにされておりましても、ほんとうにこれをやれるのかどうかということを深く検討してみますというと、私は率直にいって、いまのようなままではなかなかむずかしい。したがって、これを目標年までに実際実現するということになりますというと、政府、あらゆる研究機関民間、こういうものが一本の姿になって、そしてこれだけの仕事はやれるという体制をつくっていかなければいかぬと私は思っております。海洋の問題にしましても、そうであります。ですから、従来科学技術庁は、そういう関係各省技術開発研究費等につきましては、調整費をもって各省予算を分けて、そして研究協力体制の強化をはかってきておりますが、私はそういうことだけではいかぬと思っております。実際は、科学技術庁科学技術開発等についてはやはり主体性を持って、一元的といえば、現状では少し問題になるかと思いますけれども、少なくとも、姿勢としては、科学技術庁というものがあって、そこが総合的に研究開発を進めていく、そして現在進んでおるものはさらに進めていくが、おくれておるものはさらに努力をして追いつくような体制というものを国の責任においてつくっていくという姿勢が大事だと私は思っております。現状はなかなか思うように参っておりませんが、今後そういう方向で私は決意を固めて、前進にさらに前進を重ねていくような体制政府としてもつくっていくべきだと考えております。
  11. 石川次夫

    石川委員 実は、東大でやることを一がいに私は非難しようとは思っていないのです。東大東大としてのすばらしい技術一つ持っておるのです。ただ、東大オンリーというようなセクトでもって行なっていくということは、これからビッグサイエンス開発していこうとするときに非常に障害になる、こういう感を非常に強くするわけであります。しかし、東大のほうとしては、あるいはこういうことを言うかもしれません。カリフォルニア工科大学には付属研究所がありまして、ロスアラモス研究所というところでは原爆の研究を専門にやっておる。あるいはまた、そこに付属しておりますジェット推進研究所というところでは、月観測ロケットのサーべーヤーだのマリーナというのをカリフォルニア大学で独自の力でやっているじゃないか、だから東大だってやれるのだ、こういうようなことをあるいは言うかもしれぬと思っております。しかし、これはあらかじめ申し上げておきたいのでありますけれども、ロスアラモス研究所というのは、原子力委員会の厳重なる統制下に置かれて、その委託を受けながら、その指導を受けながらこの実験をやっておるという事実を見のがすわけにいかぬと思います。  それから、ジェット推進研究所あたりでは相当の成果をあげてはおりますけれども、これまたNASA——これは私も行ってみましたが、非常に膨大な機構で、私もあっけにとられるくらい雄大な組織でありましたけれども、このNASA委託研究という形で、やはり国家機関であり、統合研究機関であるNASA指導下においてこれを行なっておる、この事実を無視することはできないと思うのであります。そういう事実を無視して、ただ、カリフォルニア大学でもこれだけのことをやっているじゃないかということとは、現在の宇宙でも海洋でもだいぶ、形が違っておる。したがって、どうしてもこれは科学技術庁が奮起一番して、そういうものを統合するだけの力を持って、そういう持導下において目的づけられた基礎研究から始まって、そういう開発研究を行なっていくというようなことをやらない限りは、日本はとてもほかの国に追いついていくことは不可能だ、こういうことをしっかり踏まえていただかなくちゃならぬと思っております。宇宙開発について言うならば、これは余談になりますけれども、宇宙開発審議会会長兼重さんは、宇宙開発について、どんな規模で、どのような目的で、いつごろまでにやったほうがよいかというようなことについては議論をしたことがない、兼重会長自体がこういうことを言っている形で宇宙開発というものは進められたというふうな、きわめて無統制なやり方だったのではないかということが言われるわけであります。  そこで、一つ重大な質問を私は科学技術庁長官に申し上げたいと思っておりますが、これと問題は無関係ではありません。ということは、この委員会にかかっておりませんけれども、公団公社というものは極力減らすのだ、こういうことで、実は佐藤総理からも至上命令のようなかっこうで出されております。それから特殊法人というものは、やはり公団公社と同じ性格を持つわけであります。そこで、文教委員会内閣提案として出ております学術振興会という法案があるわけであります。この間長官に聞きましたところが、よくそのことは知らぬとおっしゃっておるわけでありますが、これはおそらく閣議を経て出されたものではないかと私は考えておるわけであります。ところが、この学術振興会というものの中身をいまさらここでいろいろ申し上げるつもりはございませんけれども、これは科学技術予算を持った一つ特殊法人というものができるわけであります。四十億以上の予算を持つわけであります。これは科学技術庁のほうとの関係はどうなっているかということをちょっと聞いてみまして、よくは調べておりませんけれども、文部省科学技術庁共管にするかどうか、こういうことが話し合われた結果、それは共管ではない、文部省の専管である、こういうことであります。科学技術庁のほうは非常に弱腰だと私は思うのでありますけれども、しかたがない。それじゃ一つ協定書というか、覚え書きというものをかわして、そこで運営をしようということになった。この覚え書きは一体どうなっておりますか。
  12. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先日石川さんからこの問題で、どうなんだということをちょっと立ち話で私も承りましたので、私そのときには十分承知をいたしておりませんという簡単な返事を申し上げましたが、実はこれは閣議で出された法案でございまして、そのとき、事務当局からもいろいろ説明を聞きましたし、また本庁といたしましても、この問題については、石川さんのおっしゃったような議論もあります。ただもって文部省だけに全部おまかせするというわけにはまいりません、こういうことでもございましたので、私は、閣議の席上で、これは通産省あるいは科学技術庁等とも非常な関係のあることでありますから、将来問題があったときには科学技術庁とよく連絡をとって、そして協力していくような考え方を持ってもらわなければ困ります、そういうことを私は条件としてこれを承知いたしますということを発言しておいたわけでございますが、いろいろな問題があるようでございますので、ひとつ検討をさらに重ねてみたいと思っております。
  13. 石川次夫

    石川委員 科学技術庁長官閣議でこれを了承されたというのは、非常に私は軽率で考えが浅かったんではないか、こう思っておるのです。それで、いま覚え書きの問題については御返事にならなかったですけれども、覚え書き自体がいろいろともんちゃくがあって、なかなかまだ覚え書きを決定するところまでいっていないというような段階のようであります。しかし、覚え書きをもらった程度で、それで共管にもならないで、よく連絡をとりましょう、こういうことで、特殊法人、これは公団公社と同じ性格のものでありますけれども、振興会ができれば、これはひとり歩きします。ひとり歩きしますというと、これは文部省だけでやはり宇宙もやろう、海洋もやろうという——これは直接には結びつかないかもしれませんけれども、そういうことで独自の城壁をつくって、そこで独自の力でもってやっていこうという体制で、ひとり歩きを始める、こういうことは目に見えておると私は思う。ほかの立場からもいろいろこの法案については問題がありますけれども、科学技術のこの特別委員会という立場においても相当大きな問題をはらんでおるのではないか、こう思っております。あやまちを改むるにはばかることなかれということわざもありまして閣議公団公社を減らしていくんだということだとすると、これなんかは最も先に提案閣議でもって引っ込めてもらいたい。これをやらなければ、科学技術庁長官の資格はないんじゃないかと思うくらいなんです。これはぜひこういう反動的——と言っては語弊がありますが、これは時代逆行の懸念がある。一つのセクトをまた強める危険がある。科学技術振興の障害になるのではないか。こういうことで言っているので、社会党なるがゆえに反対だということは毛頭ないわけで、ここはすなおにひとつ理解をしてもらいたいと思っております。これは閣議提案を差しとめるというくらいの決断を持ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  14. 二階堂進

    二階堂国務大臣 その点につきましては、ひとつ十分検討をしてみたいと思っております。ただ閣議で一ぺんきめたことをこれからひっくり返せ、そうでなければおまえは科学技術庁長官の資格はないんだというおしかりでございますが、そこまでは、私も資格がなくなることは別といたしまして、そこまでいまここでそうしますということは言えないわけでございますが、問題があるところはさらによく私も検討いたして善処いたしていきたいと考えております。
  15. 石川次夫

    石川委員 このことについては、これ以上申し上げませんが、これはメンバーもきまっていますね。だれがその上に乗っかるかという有力メンバーも二人ほどきまっております。大体これでもってやるんだというふうなことで強引に推進をはかっておるようにも聞いておりますけれども、公団公社を廃止するという至上命令ともからんで、これは科学技術の振興のためには前途にはならない。先ほどから申し上げておるように、科学技術庁衆知を集めて、科学技術の推進、特にビッグサイエンスなんかの場合には国が中心になってやらなければならぬのだ、こういう大勢とは逆行するというような危険もありますので、ここで直ちに提案を差しとめるということは、なるほど大臣の立場としては言えないと思いますけれども、これは十分お考えになっていただきたいと思うのです。これは絶対に通すべき法案ではないし、出すべき法案ではなかった、こう私は考えておるわけであります。その点を十分胸に入れて今後善処をしてもらいたいということをお願いを申し上げておきます。  それで、さらに基本的な問題になって、原子力の問題に入れなくて恐縮でありますけれども、OECDの科学政策委員会日本に対する勧告が出ておるわけであります。これはいまさら申し上げるまでもないと思うのでありますけれども、こういうことが書いてあります。原子力委員会、放射線審議会、宇宙開発審議会海洋科学技術審議会、これらは法的地位はほぼ同じようであるけれども、原子力委員会のような強力な自主的権限のあるものから純粋に助言的立場にあるものまでさまざまある。政府が助言機関を広い範囲で利用する必要があることは明らかであるが、能力と信望を有する委員と、恒久的機能を持つハイレベルの機関審議だけに努力を費やして任務を終わらせるべきではない、こういうことが書いてあるわけです。私は、いま申し上げました宇宙の問題あるいは海洋の問題というのは、単なる助言的立場のこういうかっこうではなくて、強力な指導、助言というものを持つ、あるいは企画立案も含めたこういう審議会というものの上に立って、海洋とか宇宙とかいうものを進めなければいかぬのじゃないか、こう思う。OECDの科学政策委員会日本に対する勧告でありますから、率直に聞くべきだと私は思っております。  ところで、原子力の問題に戻るわけでありますけれども、ここでは原子力委員会はたいへん高く評価をされておるわけであります。これはもちろん日本民間で全然原子力というものが開発されないときに、まず原子力基本法をつくるなり原子力委員会というものをつくって、日本全体に対する助言、指導、企画というものができるような形を整えて、この原子力というものは出発をした、こういうことで、海洋やそれから宇宙なんかと違った形で、相当指導できるだけの要素は一つ持っておると思うのです。現実にどうかというと、私は、有澤さんを前に置いてたいへん恐縮でありますけれども、助言くらいはしておるかもしれません、でなければ企画立案はしておるかもしれません。指導をする、あるいは衆知を集めてこれを糾合するというような体制は全然とられておらないと私は残念ながら思わざるを得ないわけであります。それで、実は私がなぜ今度の法案に関して原子力委員会のことを特に強調したいかと申しますというと、先ほど申し上げたように、あらゆるビッグサイエンスの場合において、ビッグテクノロジーの場合において、国が統合してこれを指導するというような力を持たなければならぬという時代になってきておるというときに、原子力だけはそういう体制を整えるだけの素地があるということを言いたいのであります。したがって、原子力研究体制というものをすかっと強力なものにして、模範的なものに整えて、その上に立ってこれに右へならえという形の指導というものを行なう先導的な役割りを果たさなければならぬのが原子力の場ではないだろうか、こういうことを思いますので、この原子力開発の機構の問題については、私は、特に原子力委員会役割りというものを少し強めていっていただかなければならぬということを痛感しておるわけであります。  そこで、その原子力委員会の問題に入る前に、一つ長官に前提として伺いたいのでありますけれども、科学技術の振興という場合に、大学が大学の中に閉じこもって、大学の自治という名前で独特の研究をやろうとする気持ちは私はよくわかる。それは、一つは思想による差別は受けたくない。科学振興の場には思想による差別は受けたくないということが第一点であります。それから戦争のための科学の研究協力を求められたくはない、こういう二つの目的があって、国の指導というものから離れた大学の自治という城壁を築いてその中で研究したいという気持ちも私は理解できますけれども、しかし、これは国自体としてもこういう方針で進んでもらわなければならぬ、こう思うのですが、長官ひとつ御意見を伺いたい。
  16. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私は、従来からしばしば委員会でも申し上げておるとおり、大学の自治あるいは研究の自由というものは一つの強力な国家機関によって統制すべきじゃないと思っております。あくまでも大学の自治あるいは研究の自由というものはそういう立場で進めらるべきものだ、こういうふうに考えております。
  17. 石川次夫

    石川委員 ことばの上ではそういうことで、長官そうお考えになっておられるのだと思うのですけれども、今度の動力炉・核燃料開発事業団ができるときに、戦争協力ということはあえて私は申し上げません。しかし思想の自由というものから離れて、どうも原研に対して信頼できないという気持ちの裏には、こういう考え方が多分にあったのではないか。これは政府が考えておるのか、あるいは協力しようとする民間がそういう気持ちになったのか、それはわかりませんけれども、あくまでも思想は自由だという前提に立って科学は進めていかなければならぬということは、これは大前提だと私は考えておるわけです。その点で私はあまり突っ込みませんけれども、どうもその点、遺憾の点が多いということは申し上げておきたいと思います。  きょうは丹羽さん、たいへん御都合の悪いところを出ていただいてほんとうに恐縮でございます。そこで素朴な質問でありますけれども、原研でいままでいろんなプロジェクトが行なわれておったわけであります。たとえばCP5——私がだいぶ前に国会に入りましたときにそういうものができかけたということでたいへん新聞をにぎわしたわけでありますけれども、それから重水減速の国産一号炉、水均質炉、半均質炉、こういう開発が次々と国産二号炉あるいは三号炉、こういうふうにタイムスケジュールがきめられておったわけでありますが、これがなぜかほとんど中絶をしてしまっておるわけでありますけれども、これは一体どういう経過になっておりますか、ひとつ伺いたい。
  18. 丹羽周夫

    丹羽参考人 私、原研理事長を拝命しましてからちょうど満三年と十日余りになるのであります。私は過去のいろいろな事実もできるだけ見聞——見るわけにはいきませんでしたが、聞くべく努力したのであります。そこで、いま御質問がありました、いろいろなプロジェクトがあったのにかかわらずほとんど成果をあげていない、あるいは立ち消えのようになってしまったという事実も一つ、二つあるやに思います。  そのうちの一つがいわゆるセミホモジニアスリアクターといいますか、半均質炉のプロジェクト——はっきりプロジェクトとまでいっておったかどうかは知りませんが、そういうものが、かっては大いに有望視されてやりかけておったけれども、それが自然消滅してしまった。これはやめますということは、おそらく当時の理事者から原子力委員会には御報告か御承認を求められたことであろうと思いますけれども、一番大きな例がこの半均質炉であろうと思います。それで私、これがどうしてそういうふうになったのだ、今後の参考にもなるからという意味で、やや深く調べてみました。その原因はいろいろございましょうが、大別して二つあったと思います。  そのうちの一つは、おそらくあれを始めたのはいまから五、六年前からだと思いますが、まず第一番にあげられる点は、これは原研の恥を申し上げるようではなはだすみませんが、ほんとうに原研の所内の一致団結といいますか、所をあげての大事なプロジェクトである、したがって、これは各理事はもちろんのこと、いろんなデパートメントがありますが、それらがほんとうにこれはひとつぜひやり遂げるのだということで、挙所一体的な完全なる体制がなかったと、どうも言えそうであります。それが一つ。  それからもう一つは、例のビスマスというものを考え出した。これはいろいろな人に聞きますと、非常にむずかしい問題であって、あれを取り上げてやろうとしたこと、これ自身も非常にあのプロジェクトの完成を困難ならしめた原因の一つではないかというようなことも聞いております。世界ではほんの一部分ある国で半均質炉的な研究を続けておりますが、いま世界各国はあれにはあまり手をつけていない。当時は、一応理論上としては有望視されたようなものであったようでありますが、その当時はあまりいろいろなはっきりしたプロジェクトもなかったものですから、原研がむしろ自発的に考えて、原子力委員会の御承認を得て始めたものではあったらしいのですが、いま申し上げたような理由、その他にもありまするが、十分なる成果をおさめない前に、もうちょっとこれは望みがないからやめようというふうに原研の中で自発的に考えて、これはやめさしていただきますというふうにお届けしたというふうに考えております。  ちょっとこれは、いまから申し上げますことは、はなはだ差しさわりもありますし、いかにもなまいきそうに聞こえるかもしれませんが、ちょうど四年半ぐらい前に、いま先生がおっしゃいましたいわゆる国産動力炉の開発というプロジェクト的なものをやれというディレクティブを当時の原子力委員会から原研にいただいておりました。私がちょうど就任いたします一年半ぐらい前にそれが出されておりました。ちょうど私が就任いたしました直後ぐらいにその経過の中間報告が出てまいりました。それはもちろん、私もはなはだ無知でありましたけれども、できるだけ話を聞き、内容を読みしてみましたが、結論は出ておりませんでした。むしろこういう点が問題だ、こういう点が問題だという問題点を羅列しておったにすぎないと言っても差しつかえない程度の中間報告でありました。そこで私は、その後いろいろ内外の方々、先輩諸公に御意見を伺いまして、意を決して、私は就任直後、半年ぐらいたったときでありましたか、原子力委員会のお方々の前で、ああいう原子力というものは日進月歩でありますので、当時はそういうことであろうということもよくわかりますが、原子炉というものはほかにいろいろなタイプがある。すでに世界各国でもいろいろな、ほかのもっと進んだような形のものも着々と実験的に進めておる。と同時に、燃料政策というものも、ある型式の炉の開発には非常に関係がある。したがって、あるものだけをつかまえて、これをこういうふうに研究開発をやれということでは、少し片手落ちじゃなかろうか、世の中にいま考えられておるいろいろな型の原子炉というものがある。それを総合的に、一貫的に、そして燃料政策も取り入れた一まあ燃料政策と一口に申し上げましても、いろいろなことが含まれておることは申すまでもありませんが、それらを一括して総合的に考えた上で、そのうちの一つをまず、タイムスケジュール上急ぐから、こういう方法でやれということでなければいけないと思う、したがって、せっかくちょうだいいたしておりましたあのディレクティブもあわせて、もう一度原研としましてはこういうふうに進むべきものであるということを立案さしていただきたいと思います、ということを申し上げたのであります。したがって、例の国産動力炉というものはあのとおりのやり方ではやらないということに、その後原子力委員会がお持ちになりました動力炉開発懇談会というもので一応の結論を出され、私、一昨年暮れには原子力委員会の御命令で先進諸国の原子力機関なり研究所なりの現状はなぜそうしているか、どういう理由でそんなことをやっているかというようなことを調べさせていただきまして、帰ってきて、ある結論を提出いたしました。幸いにしてその結論にほとんど近いような結論を昨年の初めに原子力委員会はおきめになりまして、ただいまではすべてのものがその方向で進んでおるというようなことでありまして、四年半ぐらい前に一応お示しいただきましたいわゆる国産動力炉開発というプロジェクトは、むしろそれを何と申しますか中絶的な形にさせた犯人の一人は私であろうと思います。  その他、先ほど石川先生がおっしゃいました科学技術振興に関する基本的問題につきましては、私、長らく科学技術会議議員をさしていただきまして、臨時行政調査会における科学技術行政改革案を立案する班にも属しまして、すでに答申はいたしております。その中で、先生の御質問のありましたことについては申し上げたいとも思いますけれども、質疑応答の形でありますので、あえてここでは述べることを御遠慮申し上げます。
  19. 石川次夫

    石川委員 いままでの経緯は一応わかりましたけれども、現実の問題として、このプロジェクトの立て方がどうだったかということは別問題といたしまして、全部中絶をさせられたということによる原研の科学者の意欲を挫折をさした、挫折感というものはかなり大きかったと私は思っております。それか何か知りませんけれども、いま、現在、日本全体も頭脳の流出ということが非常に問題になっておりますけれども、原研自体も頭脳の流出ということは相当顕著に出ております。何か腰を据えてやろうと思っても、プロジェクトが確立をされないし、何か自分の好きな研究というものも十分に腰を据えてやるわけにいかぬというようなことが頭脳の流出となってあらわれておるのではないかと思っておりますけれども、これは非常に残念な現象だと思っております。  それで、話があちこちしってたいへん恐縮でありますけれども、実は、こういうプロジェクトをつくるということは、原研の中だけでおやりになるということ自体非常に問題があるのではないか、私はこう思っております。それはやはり原子力委員会というものを拡充強化したような形で、そこが全体を掌握をし、原研で一応の案ができたら、そのあとのプロジェクトを一体どういうふうにすべきかというような指導のできるような体制というものはやはり原子力委員会自体が持つべきではないのだろうか、これを原研だけに一応まかせっぱなし——まかせっぱなしではないのでありましょうけれども、現在の原子力委員会の実態からしますと、そこまで、プロジェクトまでこまかに指導をし、助言をするというところまでの力は私は持っておらぬと思います。そういうことで、やはりそういうふうな総合的な力を結集をして、プロジェクトの設定まで大体きめてやるだけの力を原子力委員会というものは持つべきではないだろうか、こう私は常々考えております。  そこで模範的な一つのケースとしましては、英国の原子力公社というものがあげられるのではなかろうか。これは、燃料部門あるいは動力炉の開発、あるいはまた、基礎研究というような部面を踏まえて、原子力委員会のような強力なボードというものがそこの上にあって指導助言を与えるという立場に立って、打って一丸となって原子力公社というものができておるわけであります。これは私が申し上げるのは釈迦に説法かもしれませんが、そこで、英国においてもそうでありますが、どこの国でも、自主開発はどうしてもやらなければならぬという非常な熱意を持っておるわけでありまして、したがって、たとえばイギリスにおきましては、高温ガス炉というものを入札をしましたときに、アメリカのものが落札をしたのです。落札をしましたときに、英国の原子力公社というものは、これは外国のものを使ってはいかぬ、高かろうが、とにかく自主開発の線に沿うために国産のものを使えという命令を出して、アメリカの安い入札をした高温ガス炉というものを断わった。こういうこともあったわけであります。それだけの熱意を持って自分の国のものを、自主開発研究というものを伸ばしてやるのだ、またそれだけの力を持って、民間導入する動力炉というものも断わっても自分の国のものを何とか育て上げてこれを使わせるのだ、これだけの力を持った原子力機構というのはどうしても必要ではないか。それでなければ、現在のような形では、アメリカに首の根っこを押えられて動きがとれなくなることは目に見えております。そういう点で、私は、有澤さん個人の率直な意見を伺わしてもらえれば、おそらく英国の原子力公社のような形が望ましい、こうお考えになっているのではないかと思うのですが、有澤さんの御意見を伺いたいと思うのです。
  20. 有澤廣已

    ○有澤説明員 ただいま、原子力委員会日本における原子力平和利用の発展において果たす役割りの上において弱体である、ついては、言ってみれば日本における原子力平和利用の体制をイギリスの原子力公社のような体制にしたらどうかという御質問であります。一般的に申しますと、私もそのように考えます。ただ、私この問題につきましては若干疑念を持っておるところがあります。その一つは、わが原子力委員会一つの大きな任務として、わが国における原子力の平和利用を確保するという任務でございます。イギリスの公社みたような形になりますと、どうもそれ自体政府機関の中に入ってしまう。つまり、言ってみますれば、その機関自身としての独立性というものが著しく失われるおそれがあるという点でございます。この点をもう少し私十分究明いたしたいと存じております。原子力委員会を強化するということにつきましては、私も非常に賛成でございまして、原子力平和利用が今日のような段階にまで発展してまいりまして、しばしば御議論のありましたように、わが国における技術の立ちおくれ、なかんずく原子力開発技術における立ちおくれ、アメリカとの技術ギャップの大きさ、そういうものを考えますと、これは相当強力な体制をもってこの原子力開発の仕事に臨まなければならない、こういうふうに考えました。この委員会におきましてもそういう御質問がありましたし、また世間でもそういう御意見の方もあるように思いますので、この点につきましては、日本原子力平和利用の体制をここでひとつ大きく踏み出すといいましょうか、新しく踏み出すことになりますので、長期にわたってどういうふうになるかということを十分考えた上で、この問題に何らかの結論を得たいと考えております。  それからもう一つの点は、最近イギリスにおきましても、ダンカン・バーンという人の本が出まして、イギリスの公社のモノポリー、あまりに公社は独占的であり過ぎる、それがためにイギリスの原子力産業の発展がほかの国に対しておくれているのではないか、こういうかなり有力な意見も出ております。この点も、まだ私実はその書物自身は拝見いたしませんが、イギリスの新聞なんかにはその意見が伝えられております。そういう点もありますので、イギリス公社に対するこういう批判につきましてもなお十分検討した上で、わが国における原子力委員会の強化の問題と取り組みたい、こういうふうに考えております。
  21. 石川次夫

    石川委員 モノポリーになる懸念があるということ、あるいはまた、国家機関の中にあまりにも溶け込んでしまうのじゃないかという危険のあること、これは私もわかります。わかりますけれども、現在の原子力委員会だって独自の権限も何も持っていないのですから、一つの段階としてはそのぐらい強力なものをひとつやってみた結果、批判としてはモノポリーになり過ぎるというようなことにもなったのだと思いますけれども、しかし、少なくとも原子力の科学というものは、ほかの科学と違って、日本の場合には、ほかから完成された技術を持ってきて、それに手回しよく改良を加えて産業の成長、経済発展をはかるというようなことで異常な高度成長というものを実現したと思っておりますけれども、しかし原子力の場合はまだまだ未開発なんです。未開発なだけに、何としても自分の力でもって自主開発を進めていかなければならぬというものも一つ課せられた大きな任務だ。それだけにまた、真剣に取り組まなければならぬ。そしてまた、将来の日本のエネルギーの主力になるというふうなことも考えますと、これはたいへん重要な課題になっておるので、この体制としては、少なくともいまの原子力委員会のような弱体な形で、日本原子力衆知というものを結集できるかどうかということは、だれも疑問に思っておると思うのです。たとえば、どこの国へ行きましても原子力委員会というのは、これは軍事力ということも背景にあるということはわかりますけれども、膨大な機構です。非常に大きなビルディングをばんと据えて、そこであらゆる衆知を結集して、この強力な力をもって指導に当たっておるという姿を見ると、何としても日本原子力に取り組む姿勢というものは、軍事科学というものの必要がないにしても、それだけの部分、やはり平和利用ということで、異常な熱意をもってこれに補てんをしていかなければならぬということを考えますと、あまりにも弱体過ぎると思っておるのです。そういう点で、いまの原子力公社というものについてはいろいろな批判も出てはおるでありましょうけれども、現在の日本原子力委員会よりははるかに進んでおる。一つの過渡段階としては、そういうことから批判が出ればまた考え直せばいい——そう簡単にいかぬかもしれませんが、そういうことも考えられるわけなのであって、いまのような非常に弱体で、しかも民間の力というものを統率も何もできない、ばらばらに研究開発が進められておるというようなことは、私は非常に遺憾だと思うのでありますけれども、少なくとも現在の原子力委員会ではどうにもならぬ。たとえば現在の日本原子力委員会の中のいわゆる事務部門というのは一体どういうふうになっておりますか。
  22. 有澤廣已

    ○有澤説明員 原子力委員会の事務局といたしましては、科学技術庁原子力局があるわけでございまして、私どもは事務的な問題はこの原子力局を通じて処理していっておるわけでございます。
  23. 石川次夫

    石川委員 それこそ完全に政府機関の中に溶け込んじゃっているかっこうで、英国の原子力公社のモノポリーというものよりも、なおひどい形じゃないかと思うのです。独自の権限というものは発揮できないかっこうじゃないですか。英国の原子力公社を批判する資格はないと思うのです。
  24. 有澤廣已

    ○有澤説明員 いや、私が批判しているわけじゃない。批判をしているのは、イギリス人が批判しているのです。
  25. 石川次夫

    石川委員 それであと一つ、ついでのようなかっこうで恐縮でありますけれども、有澤さんに伺いたいのですが、アメリカのAPDA高速増殖炉、エンリコ・フェルミ炉というものに参加する日本技術者の技術水準というものが高く評価されて、概念設計に参加をするということになっております。原子力委員会としてはこれにどういうふうに関係をされ、これは原子力委員会のほうを経由したとか相談をしたというかっこうになっておるのかどうか。どういう形でこれはいくようになっておるのか。それをちょっと伺いたい。
  26. 有澤廣已

    ○有澤説明員 このAPDAへの参加につきましては、四十一年にそういう話がありまして、われわれのほうにおきましても高速増殖炉の原型炉をつくろうという方針を決定いたしましたが、日本におきましては、高速増殖炉に関する研究がまだたいへんおくれておる、ついてはこのAPDAの計画に参加して、そこでいろいろの研究をするし、また経験を積むということは、わが国における高速増殖炉開発に著しく役立つであろう、こういう考え方から、幸いにこれは電力中央研究所のほうでその契約資金も出して、その当事者にもなって、そしてこの計画に参加することをおきめいただきました。むろん、これにつきましては私どものほうにもいつも相談がありまして、私どもの意見も述べました。そしていま各界から二十名くらいの研究者を先方に送っております。ちょうどあのフェルミ炉が故障を起こしましたものですから、すぐその故障の修理といったような面では大きな経験を持つことができるだろうと思いますけれども、今回この高速増殖炉の設計に参加するというようなことが可能になってまいりまして、これにつきましても、設計に参加するということは非常に研究にも勉強にもなりますし、また経験も積むことになりますから、私どもはこれに参加できることを非常に喜んでおる次第でございます。
  27. 石川次夫

    石川委員 エンリコ・フェルミ炉に日本の科学者が参加をするということは、これ自体は非常にけっこうなことだと思います。だれも否定はできません。しかし、これはこういう形でやって、やはり高速増殖炉まで——アメリカで非常に早く進んでおる、これを導入するという前提になる危険性がきわめて大きいのではないか。ということは、この電力中央研究所、松永安左工門さんのやっておりますこれが中心となって、そういうものを派遣するということをきめたわけであって、これは民間のユーザーの研究所ですね。電力会社の中央の研究所という一つ機関になっておる。そこが中心となってエンリコ・フェルミ炉の高速増殖炉の設計に参加をするというふうなことになれば、今度この事業団をつくって自主開発高速増殖炉新型転換炉をやるんだ、こういう方法を立てながら、いち早く向こうの技術導入をしたほうがいいのではないかというようなことになる危険性がきわめて大きくなってくるのじゃないか、こういうことを私は懸念しておるわけであります。その点は、見通しとしてはどうでしょうか。
  28. 有澤廣已

    ○有澤説明員 高速増殖炉は世界の大きな研究課題と言いましょうか、開発目標になっておりますので、各国とも国際協力を進めておるわけでございます。ドイツとアメリカ、イギリスとアメリカというふうにそれぞれ国際協力を進めております。私どももこのフェルミ炉の計画に参加するということは、この国際協力一つというふうに考えております。そこで要員の勉強、訓練というふうなものがいち早く行なわれる。それで、そういう要員たちが日本に帰った後には、わが国において高速増殖炉の原型炉をつくるためのきわめて重要な要員になってもらう、こういう考え方でございまして、まあ勉強に行っておるということでありまして、先方で開発されました増殖炉を導入する、こういう考え方は毛頭ありません。
  29. 石川次夫

    石川委員 私に与えられた時間がもうきてしまったのですが、いろいろ聞きたいことがあるのですが、機会をあらためて伺います。きょうは非常に基本的な問題だけを伺ったわけでありますけれども、軽水炉の導入をするということは、これは既定の事実でやむを得ないと思っておりますが、これは前からこの委員会でいろいろ質問がありましたように、軽水炉の導入をすることを積極的にはかることを通じて、日本技術者というものがほとんどそこに参加をしなければならぬということになって、日本自主開発の余裕というものはそこで生まれなくなるのではないかということを、この委員会でもすでに指摘をされておると思うのです。そこで、私はこのエネルギーの開発長期構想というものについても、その場合に急いで軽水炉を入れるということよりは、日本長期の展望に立った場合には、そのエネルギー計画というものを変更してでも、とにかく自主開発日本の国産の炉を使うのだという態勢について見直さなければならぬということも一つ考え方じゃないかと思っており、また同時に、この技術者の不足というものを補うという体制をひとつ科学技術庁長官あたりも立てられて、毎年大学から二百人ぐらい出るそうでありますが、こんな程度ではとてもこれからどんどん開発をされようとするこの原子力に対応するだけの技術者としてはきわめて不十分で、やっと軽水炉を導入するだけに手一ぱいだというような形にならざるを得ないのじゃないかと思うのです。そういう人材養成のことについてもひとつ考え直してもらわなければならぬ、こう思うのですが、この点長官にお伺いしたい。
  30. 二階堂進

    二階堂国務大臣 この人材養成の問題は、原子力開発の総合的な計画の中でも私は非常に重要な部門を占める一つの問題だと思っております。技術の革新の時代に備えて自主的な開発をやるためには、先ほどから申し上げておりますように、国が取り組む姿勢というものをまず明確にして、それにどうしても必要な人材とそれから燃料対策、こういうものを強力に養成し、確保するという政策を進めていかなければならぬと思っております。宇宙関係の人口にしましても足らないし、原子力関係の頭脳にしましてもまだ不足しておる、技術がおくれておる、こういうことでございますので、人材養成のことにつきましては、関係しておる研究機関を通じて強力に人材養成にもつとめるとともに、また文部省ともひとつ密接な連絡をとりまして、将来の人材の不足に備える施策を進めてまいりたい、かように考えております。
  31. 石川次夫

    石川委員 時間がありませんから、あと二点ほど簡単に質問いたします。  燃料公社の今井さんにおいでいただいておるわけでありますけれども、軽水炉を導入して、濃縮ウランを全面的にアメリカ依存するというような形になったんでは、どう考えても、日本の将来についてもうアメリカに首の根っこを完全に押えられるという懸念があるわけです。自主開発と言うからには、どうしても燃料開発も考えていかなければならぬ。御承知のように、二十年後に四千万キロ、あるいは三十五年後にはそれのまた四倍というふうな構想が一応できておるわけであって、年間でいいますと、燃料産業だけでもって二千億円から八千億円という非常に膨大な産業にふくれ上がってくるということになるわけです。この燃料開発ということも、動力炉の開発とともに重視をしなければならぬ非常に大きな問題だと思っております。これについては、海外の探鉱を進めるとか、いろいろな問題もあるわけでありますが、これは時間がありませんから省略いたします。  そこで、燃料部門というのは、それ自体、濃縮ウランについても全面的にアメリカ依存するというかっこうではなくて、どうしても日本でも部分的にでも自分の燃料をやはり確立していかなければならない。こういう至上命令だと思うのですが、その点について今井さんはどうお考えになっておりますか。
  32. 今井美材

    今井参考人 ただいま私どもが受け持っておりまする研究開発の仕事の一部に、いわゆる濃縮ウランの製造方法を研究するというのがございます。これはせんだっても一応お話も出ておりましたが、私どもが担当いたしておりまするのは、そのうちで、かつて原子力委員会の下にありました専門部会がこれをこそ日本はやるべきであるという方法をおきめ願った方法がございまして、それは遠心分離法と申しております。と申すのは、日本は特別に安い電力を持たず、また非常な大電力がなくてはならない濃縮方法という宿命のために、なるべく電力の少なくて済む方法ということから、この遠心分離法というものが出てまいりました。その他、化学的分離法などという基本的な研究もあるにはありますが、私、主として遠心分離法の研究開発をいたしておるということを、まずお答え申し上げたいと思うのであります。  さて、お尋ねの趣旨は、どんな程度にできたかということでありまするよりも、どうするべきかということになりますと、私がお答えすべき筋ではないかと存じます。しかしながら、いわゆる濃縮ウランの安定供給ということにつきましては、究極これは国内で若干の自給ができなければ不安であると私は存じておりますので、この研究長期計画にも示されておりまするごとく、なるべく早く、できるかできないかはっきりしろという段階について責任を果たすべきものであると思っております。
  33. 石川次夫

    石川委員 いまの燃料の問題は、いずれあらためて詳しく質問をしたいと思っておりますが、とにかく自主開発ということのために、燃料部門の研究開発というものを相当強化をしなければならぬときに、今度の法案というのは燃料公社を発展的に解消するような形になっておるわけです。燃料部門というものはやはり再然と自主開発の方途をつけるという意味では、あいまいもこな今度の事業団のような形の中に埋没した形にしたくないというのが率直な私の意見なんであります。したがって、結論はいま申し上げませんけれども、どう考えても、今度の事業団というものは、きわめて不安定な、間に合わせといいますか、公団公社をふやさないというような制約をもって無理につくられた一つ事業団という形態ではないだろうか。これは単なるトンネル会社になってしまうのではないか。ほんとうに今度原子力開発のために本腰をすえてかかるということであるならば、原子力委員会というものを強化するという道を通じて、ボード的な性格を持たせまして、燃料部門あるいはまた動力部門、あるいは基礎研究の部門というものを、あるいは企画立案し、指導する役割りを果たすようなボード的なしっかりしたものをつくっていくというような形にしないと、いまの軽水炉の導入に非常にやっきになっておる連中は、新型転換炉なんかとうてい間に合わないということで、早くも産業界にまかせるべきだというふうな強い意見産業界から出ておるわけです。表面的には、かりに出てくれば、新型転換炉研究に大いに協力いたしましょうと言いながら、実際は新型転換炉をいち早く向こうから導入するという腹をきめておる会社もたくさんあるわけです。こういうようなことで、ほんとうに今度のような中途はんぱな事業団というものでは、英国の原子力公社のようにぴしっと自主開発の方途をつくるために、アメリカで落札したものを断わったというようなき然たる態度はとてもとれない。ほとんど民間の言うがままになってしまうし、また民間も非常に熱心にこの新型転換炉あるいは軽水炉の導入というものに取り組んでおりますだけに、また技術者の問題やその他からいいましても、今度の事業団はきわめて中途はんぱなものにならざるを得ないということを私は懸念しておるわけであります。  最後に一つ有澤さんに伺いたいのでありますけれども、三年ごとにレビュー・アンド・チェックをするということが、本会議石野議員の質問に対して答えがあったわけです。これは採算がとれなければ、ほかのものを入れるという簡単な気持ちだと思うんです。そのくらいのことしか大蔵省としては考えていないんだろうと思う。いままではそういうことでやってきたわけですが、日本産業界はそういうことで済ましてきたわけですが、こと原子力の問題については、非常に秘密部門も軍事的なものもからみ合って、きわめて多いというようなこともありまして、どうしても自主開発に持っていかなければならないし、また燃料自体アメリカに押えられてしまう、あるいは動力炉も全部アメリカから輸入をするのだというふうなことを繰り返していくわけにいかないということも考えながら、このレビューアンド・チェックということを考えますと、レビュー・アンド・チェックというのは、もちろん大蔵省だけでやるのではないと思うのであります。いろんな総合機関というものがあると思うのですが、それはどういう機関でやるのかということが一つと、もし三年ごとのチェックで、採算がとれぬという簡単な見方で、これはこれに変えようじゃないか、導入しようじゃないかという結論をしたときに、き然としてそれを断わるだけの腹がまえがあるかどうかということをひとつ有澤さんから伺いたいのです。
  34. 有澤廣已

    ○有澤説明員 この事業団計画を推進するにあたりましては、言うまでもなく膨大なお金が要りますし、人材も必要であります。いわゆるビッグプロジェクトでございます。そのビッグプロジェクトでございますから、これは何が何でもやり遂げるというふうに考えるわけにもまいりません。やはり研究の展開といたしましては、ある適当な時期にいままでの進みぐあいをちゃんとレビュー・アンド・チェックしていくという手続をとって進むべきものだと私は思います。そのレビュー・アンド・チェックを大蔵省でやるということは絶対にない。大蔵省にはそういう技術的な判断ができるはずがありません。ですから、このレビュー・アンド・チェックをする委員会というような専門家の委員会を設けまして、ここでレビュー・アンド・チェックをしてもらいますが、しかし、三年あるいは四年目にもうすでにこれで経済性がペイするとか、そういうような判断ができるはずはありません。最初のうちは、おそらく技術的な可能性、この問題についてのレビュー・アンド・チェックが行なわれると思います。われわれのほうでは、日本の国情といいましょうか、日本のエネルギー状況に照らし合わせて、最も日本の国情に適した新型転換炉をデザインしてこれを開発するという考え方に立っております。いまのところは、重水減速で沸騰水冷却、そういう形のものを考えておりまして、これには濃縮ウランの供給といいましょうか、濃縮ウランの入手の点をも考えまして、プルトニウムをブレンディングしてプルトニウムを使えるような、それと天然ウランとプルトニウム、これで運転のできるような新型転換炉を考えておりますが、そういうデザインの炉は、まだ外国においてはやっておりません。でありますから、私どもは経済性に見合うという単なるそういう観点からレビュー・アンド・チェックが行なわれることはあり得ないというふうに考えております。わが国において、最も国情に適したそういう新型転換炉開発していくにあたりまして、技術的な困難が研究によってなお打開ができるとか、どうしてもエンジニアリング上それは不可能であるとか、いろいろの技術的な判断は、これは十分専門家から客観的な御判断を得ていかなければならない、そういう意味におきましてはレビュー・アンド・チェックをする必要がある、こういうふうに考えておるわけであります。
  35. 石川次夫

    石川委員 たいへん疑問になる点もたくさんあるのですが、実は私の持ち分の時間がありませんから、いずれあらためて質問するとして、最後に技術長官に、振り出しに戻ったような話で恐縮でありますけれども、科学技術基本法というのを前々から出す計画があるわけです。実は八年ぐらい前に、私も自民党の皆さん方と一緒に泊まり込みでもってこの科学技術基本法というものの素案をつくったことがあるのです。それはそのままでいまだに日の目を見ない。いろいろ事情はありましょうけれども、やはり科学技術基本法というものの中身については私もいろいろ意見はあります。意見はありますが、出す出すと言いながら、なかなかこれが出てこない。非常に私は残念だと思う。この賛成、反対を私は言うわけではありませんが、科学技術基本法というものをどうしてもつくるべきものであるという基本的な態度を私は持っておるわけでありますけれども、これがいまだに出てこないが、今国会にはたして出るのかどうか、また今度も日の目を見ないで、またこの次も日の目を見ないでということで、いつまでもたなざらしになったままで終わってしまうものであるかどうか、私も非常に関心を持っておるだけに、懸念をしているわけであります。これは今国会で出ますか。
  36. 二階堂進

    二階堂国務大臣 この基本法を制定するということは、科学技術の政策を推進する上におきましても、基本的な問題であろうと思っております。この法律をつくる過程は、従来、石川先生もおっしゃったように、長い間の議論を経ておるようでございますが、ただいま私は、党内におきましてもまとめるべく、党のほうにもお願いをしておりますが、大体人文科学、自然科学の範囲等において意見の調整ができつつあると思っておりますので、できますならば、この二十日ごろまでにはまとめて国会に提出するように取り計らいたい、こういう考え方でございます。
  37. 石川次夫

    石川委員 たいへん舌足らずの質問になって残念でありますが、時間がありませんので、あらためていろいろな疑問点について詳細にまた質問する機会を持ちたいと思います。きょうは、この程度で終わりにしたいと思います。
  38. 石野久男

    石野委員長代理 吉田之久君。
  39. 吉田之久

    吉田(之)委員 私は、きょう初めて科学技術委員会へ出てまいりまして質問をさしていただくことになりましたが、実は当選後しばしばこの委員会には傍聴に参っておりまして、私自身わが国の電力事業を推進いたしております電気労働者の組織である電労連の一組合員でありまして、したがって科学技術振興の問題、特に原子力開発問題については深い関心を持っている一人でございます。しかしながら、もとより科学者ではございませんし、全くのしろうとであります。ところが、私はこの委員会に参りましていろいろと先輩各位の質問を伺っておりまして、また皆さん方の答弁を聞いておりまして、ひどいときにはほとんど半分ぐらいが外国語でしゃべっておられる。これがはたして日本の国会の委員会審議なのであろうか。私は、特に今後わが国科学技術振興を飛躍的に増進させるためには、特にまた核の平和利用を推進していく、原子力の異常な開発を高めて、人類のエネルギーの夢である高速増殖炉わが国において完成させる、こういう国家的な大事業を続けていこうとするならば、一部の学者たちの対話に終わる科学技術振興論であってはならないと思います。あくまでもすべての国民に納得し得る論議をまず国会で範を示し、また、その責任者たちがそういうことで国民に理解納得を求めていく、こういう基本的な姿勢がなければ、どうにもならないのではないかというふうな気がしてならないのでございます。非常に専門的な、かつ高踏的な感じを抱かせる論議が多うございます。私は一部の学者たちの、あるいは一部の政府の役人たちの独占物でない科学技術振興対策を広く国民の中におろしていくために、いろいろと一ぺん素朴な質問をしてみたいと思いますので、どうか答えられる皆さま方も、そういう点で、国民に対してこの問題の理解、納得を求める、国民の疑問に対して皆さん方が答えていく、こういう気持ちでお答えをいただきたいと思う次第でございます。  私は、先ほど来石川委員が、そしてまた、きのうわが党の佐々木良作氏からもいろいろと各般にわたっての質問がなされました。あるいは若干重複するきらいがあるかと思います。あるいは粗雑、無札な点があるかもしれませんけれども、あらかじめ御了承をいただいておきたいと思うのです。  私は、質問をいたします前に、長官に申し上げたいのでございますけれども、われわれは、いま当面する日本科学技術振興の問題にあたって、あるいは日本の総合エネルギー対策を樹立するにあたって、考えれば考えるほど、わが日本民族というものは非劇的な宿命をにないながらこの問題と取り組んでいかなければならないというふうな立場に置かれているということを痛感いたしております。  話はいささか余談になるかもしれませんけれども、日本が徳川三百年の鎖国の夢をむさぼっている間に、諸外国では新大陸を続々と発見し、そしてこれを確保していった。おくればせた日本があわてて侵略戦争を行なったけれども、ついに第二次世界大戦で破れた。そして、わが国は、第二の大きな人類の課題であり、エネルギーの発見であるこの原子力開発において、十年間いわば鎖国状態に置かれてきておった。こういう二重、三重の悲劇的な宿命を負いながら、なおかつ、日本人はこれから日本の民族と世界の平和のためにどうしてもアメリカやソ連に追いつき、追い越すだけの技術振興をはかっていかなければならない。さすればわれわれは一体どうすればいいのであろうかという問題から出発しなければならないと思うのです。  私の考えでは、およそ人類の歴史においては、  科学の進展というものは、好むと好まざるとにかかわらず、軍備と申しますか、戦争用意のための軍備拡大競争というものが科学技術振興の大きな牽引車の役割りを果たしてきたということは、認めざるを得ないと思うのです。しかしながら、わが国においては、平和憲法のもとに、本格的な再軍備を行なうことは、もとよりこれを放棄いたしております。本格的に軍拡競争に参加しない日本が、なおかつ、科学技術振興のためにこれに追いついていかなければならない。諸外国において現に軍事力というものがその大きな牽引力であると長官もお考えになるならば、今後の日本においては、諸外国における軍事力にかわる強力な牽引車は一体何なのであるか、このことをまず御質問いたしたいと思います。
  40. 二階堂進

    二階堂国務大臣 なかなか答弁のしにくい質問かと思いますが、私は、基本的には、いま吉田さんのおっしゃったような科学技術振興に対する考え方に全く同感でありまして、科学技術が国民の生活のためになるものであり、また、国民経済日本経済全体の向上に役立つものでなければならない、それがわが国における科学技術振興施策の基本でなければならぬと思っております。お説のとおり、科学技術の進歩に対して、アメリカやソ連その他の国におきまして軍事というものが果たしてきた役割りというものは、これはもう実際実際そのとおりだろうと思っております。宇宙開発、ロケット開発あるいは原子力開発もみな一つの武器として、戦力として利用されておる、これは現実であります。しかしながら、わが国は戦争に破れた結果、そういうものは一切否定しております。平和利用のみに限るということが鉄則になっております。私どもはその鉄則のもとにあって、科学の技術の振興、特にエネルギー開発というものは進めてまいっておりますし、またそれだけに、先進諸国と比べて非常に悪い条件と申しますか、予算の面におきましても、軍事と結びつかないという面で、予算の獲得もいままでの傾向を見ておりますと、少ないという点もございますけれども、しかしそういうものと結びつかないかわりに、日本経済を向上させ、国民生活を豊かにしていく、そうして平和のためにすべてが利用されるという基本的な考え方が中心になって、牽引力になって今後のわが国技術水準の向上、科学開発というものが進められていかなければならぬと私は思っております。
  41. 吉田之久

    吉田(之)委員 もう少し具体的に聞いてみたいと思うのですが、先ほども私が申しましたように、また長官がお答えになりましたように、現に軍備というものを本格的に持たない状態の中で、しかし各国のいずれにも劣らずわが国科学技術を振興して、そうして総合エネルギー対策を樹立していかなければならない。さすれば、私は、それにとってかわるだけの、日本政府として、そうしてまた、日本国民としての異常なまでの努力をしなければ、こめ問題に対応することはできないと思うのです。異常なまでの努力とは何か。それは、まず異常なまでの努力政府がしなければならない。同時に、学者たちもしなければならない。あるいは電力事業者たちも、あるいはメーカーたちも、そしてそこに働いている労働者たちも全部がほんとうに心を一つにして、われわれは二十世紀における日本国民としての最後の一大国民的な事業をなし遂げなければならないんだ、このぐらいの精神統一と、そうして体制とがなければ、そして、それを裏づける予算がなければ、しょせんは蜃気楼に終わってしまうのではないかというふうな気がするわけなのであります。特にこの際われわれが心しなければならないことは、日本の特殊事情として、あの第二次世界大戦のあとで、原爆を受けた唯一の被爆国として、何か核問題については、あるいは原子力問題については一種のアレルギー体質を持っているかの感じを私はするわけなんです。私はこういう点も、われわれはほんとう軍事力にはわき目も振らないで、しかも、なおかつ、そのハンディを越えて平和利用を国民の一大事業として推進するんだ。したがって、その平和利用に至る安全度においてはかくかくしかじかなんだということの国民に対する十分な理解、納得の求め方というものがなければならないと思いますので、そういう点についても十分ひとつわれわれの気持ちをくまれながら、これからの質問に答えていただきたいと思うのです。  まず、いま申し上げましたように、この大事業を遂行するためには惜しみなくつぎ込まれる予算がなければならない。さらにまた、確固たる組織がなければならない。また、その組織を担当するところの責任というものが明らかにされなければならない。そしてまた、国民的な頭脳の結集というものがはかられなければならない。ところが、この次々の点をただいまから質問したいわけでございますけれども、わが国予算の貧弱さという点について、これは、政府がいま向こう十年間に二千億の予算を組んでやるというように申してはおられますけれども、それは諸外国と比べてまことに微々たるものに過ぎないのではないか。先ほど申し上げましたように、諸外国というのは、単なる科学技術振興費だけではなしに、その横に隠れたる軍事費というものを持ってのことでございますけれども、われわれは単身裸でこの道一筋に開発を進めていかなければならない。こういうことを考慮に入れられながら、ひとつわが国と諸外国、特によく似通っているドイツあるいはイギリスやイタリアと比較して、この国々が科学技術振興のために組もうとしている予算長期的な展望、これと比較した日本予算、そういうものをひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  42. 村田浩

    ○村田政府委員 わが国原子力関係予算を諸外国、特にわが国と状況の似た国々のそれと比較したときに、どのようになっているか、こういう御質問でございますが、わが国は、先ほど吉田先生の御指摘がございましたように、戦後ある期間、原子力研究開発は禁じられておりまして、昭和二十九年あるいは三十年ごろから初めて原子力研究をやろうということになってきたわけでございますが、同様な情勢にあったのがドイツとイタリアでございます。わが国においては、昭和二十九年に初めていわゆる原子力予算として二億五千万が計上されまして後、漸次増加いたしましたが、今日四十二年度の政府予算は総計しまして百五十三億円でございます。  これに対しまして、たとえばドイツでございますが、ドイツにおきましても昭和三十一、二年まではわが国とほとんど同じ程度の額を支出しておりましたけれども、その後、ドイツ連邦におきまして原子力省というような専門の政府機関が設けられた関係もございまして、逐年予算が増加しておりまして、一九六五年度においては約四百五十億円、一九六六年度においては約六百十億円——円貨換算でございますが、その程度の原子力予算を計上いたしております。  他方、イタリアにおきましては、わが国より若干おくれて実際の原子力研究開発に着手したようでございまして、イタリアのやり方としまして、まず最初に米国あるいは英国ですでに開発されておりました技術をもろに買ってまいりまして、そして原子力発電所をまず建設してみるというようなやり方からスタートしましたために、当初かなりの予算を投入いたしましたが、いまから四、五年ほど前には一時予算面におきましてもスローダウンしまして、一時は百億円を切る予算しか計上しておりませんでしたが、この両三年漸次増加してまいりまして、一昨年一九六五年あたりの予算では約二百億円に近づいた予算を計上しております。  それからイギリスについてお話がございましたが、イギリスは、わが国原子力研究開発についての歴史がだいぶ違うわけでございまして、戦争末期においてすでにみずからの原子炉をつくることにしまして、一九五三年ですか特に原子力公社というものを設立して、自来その原子力公社を中心に軍事利用を含む原子力研究開発をやってきております。したがいまして、原子力公社の予算がほとんど全部イギリスの原子力予算になるわけでありますが、多いときには円貨にしまして年間約一千億円をこえたことがございますが、その後一応の上限に達しまして、これはおそらく核兵器関係等の開発のこともあったかと思いますが、最近では年額にしまして大体八百億円から九百億円程度の予算を計上しております。
  43. 吉田之久

    吉田(之)委員 特にドイツとほとんど同じ時期にスタートしたわが国が、今日わずか十年の間に非常にドイツに水をあけられたというふうなことをわれわれはしばしば聞いておるわけでございますけれども、長官はこの問題について、なぜ日本とドイツの間にこのような格差が生じたのか、どういうふうにお考えになっているか、お聞きをいたしたいと思います。
  44. 二階堂進

    二階堂国務大臣 一口に言えば、これは政府原子力開発に対する取り組み方が違っておった。ドイツは、先ほど予算の面でも局長がお答え申し上げたとおり、たいへんな予算をつぎ込んで開発をやった。それに比して、日本は全く比較にならないようなわずかな予算をつぎ込んでまいっておる。私はこういうことを率直に認めなければいかぬと思います。
  45. 吉田之久

    吉田(之)委員 ならばお聞きいたしますが、今日その一番責任者でおられる長官は、いままでの積年のおくれを取り返して、今後これに追いついて、諸外国と肩を並べて、わが国科学技術の振興、核の平和利用推進をやっていくためには、十年間にわずか二千億の予算でそれをなし遂げ得るとお考えになっているかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  46. 二階堂進

    二階堂国務大臣 これはもう私がしばしば申し上げたとおりでありまして、私は、次の時代に挑戦していくという政府態度が必要だと痛感をいたしております。したがって、ことしの予算の編成のときも、大蔵省といろいろ議論をいたしました。十年間に二千億、こういうことを話をいたしましたら、そんな膨大な金を使わぬでもいいじゃないかというような話もございましたが、しかし私どもの熱意を了解していただきまして、新しい法人もつくる、できるだけ予算もふやそう、こういうことを認めていただきましたが、しかし私はこれでもって満足すべきものでは毛頭ないと考えております。これは言うならば日本の産業の基盤を育成する重大な問題でありますから、先ほど申し上げますように、これは国民生活、国民経済につながるエネルギー源でございますから、私はそういう高い観点からこれらの問題をこれから積極的に進めてまいる決意でございます。十年間に二千億、年割りにしても年間二百億、ですから、これくらいの予算は当然つけなければいかぬ。また、そうしていくことによって、民間も学界も、それこそ国民総力をあげての結集体制というものができる、それをつくっていかなければならぬというかたい決意でございます。
  47. 吉田之久

    吉田(之)委員 重ねてお聞きをいたしますが、いまの長官のお話はちょっとニュアンスが、内部でうまくすり変えられていると思うのです。まず初めには、われわれは大胆に未来に向かって挑戦していかなければならない、そのためには——ドイツなんかと比べてみても、日本のおくれというものは、明らかに日本の貧弱きわまる予算がもたらしたものであるということはいま率直にお認めになったと思うのです。したがって、当然十年に二千億程度の予算は認めてもらわなければならぬ、これは一ぺんに後退していると思うのです。あなたが勇敢に挑戦しながら、それに対して大蔵省が大なたをふるってくるときに、今後どのような態度で、この大蔵省や政府のすべての人たちを、そして国民を納得させていく気魄をお持ちになるかどうか、非常に抽象的な聞き方で申しにくうございますけれども、やはりまずあなたが相当き然たる態度を示さなければ、また十年間、ドイツに対してもさらにさらにおくれていく。あなた自身、率直に申されて、他のいろんな情勢は抜きにして——先ほど私の考え方に同意されて、われわれは二十世紀の一大国民的な事業としてこれと取っ組んでいかなければならないんだ、そのためには、科学技術庁長官のあなたの独自の考え方からいえば、大体どのくらいの金があれば、一応諸外国に追いついていけるであろうか、まず予算の面だけに限ってみて、一度おっしゃっていただきたいと思います。
  48. 二階堂進

    二階堂国務大臣 これは私が張り切って決意だけを表明したところが、実際は予算編成になりますと、これは財政事情のいろいろな制約もありまして、なかなか思うようにまいりません。われわれ自民党が政府をとっておりますが、将来民社党さんなり社会党さんが政府をとられてみましても、原子力の金だけでもなかなかたいへんなことだろうと私は考えます。しかし、私はいま申し上げましたような非常な決意でもってこれとぜひ取り組みたい。二千億がどうかというような議論があったということから考えて、二千億をとることもたいへんだというような気持ちもあります。しかしながら、それくらいの金はどうしてもつけなければおくれを取り戻すことはできない、それだけでおくれを取り戻すことに十分であるとは考えておりません。国会におきましても、議員の各位のほうから、こういう科学技術開発予算等に対する政府態度についていろいろ御批判があります。また強い激励のことばも賜わっておりますから、そういうような国会全体の議論をひとつバックにもいたしまして、私は国民的世論の背景をもってこういう原子力予算等の獲得に努力をいたしていく決意でございます。
  49. 福井勇

    ○福井委員 関連。吉田委員の激励的ないろいろの御意見については私も非常に賛成しております。ドイツのことが出ましたので、有澤委員か村田局長——村田局長はロンドンにおったか、ドイツと非常に格差ができてしまったということを当局は何だか認めてしまわれたような気がしますが、私は十年も水があいておるとは思っておらぬ。ドイツは戦争前からカイザーウイルヘルム研究所等を中心にしてすでにその研究成果があったから、基礎があったから、戦争に負けたあと、しかもアメリカに、ボーアをはじめみな向こうに行ってしまったという空間はあったにしても、相当日本よりも——仁科さんを中心としただけのなにとはだいぶ違っておる。水を十年あけられたと有澤委員は思っておられますか。
  50. 有澤廣已

    ○有澤説明員 技術水準において十年の格差があるとは私も考えておりませんが、しかし最近において、ドイツが原子力平和利用の点において非常に意欲的な進出をしておる、この事実は認めざるを得ないと思います。これはどういう点かという先ほどの御質問にもありました。確かに予算が、日本の場合よりもはるかに多い連邦政府予算がついておるということもあります。しかし、またドイツのメーカーといいましょうか、メーカーの力がなかなか大きい、その大きいメーカーがこの問題に積極的に取り組んでおる。つまり単に海外から技術導入するということに満足しないで、早く自主的な技術的な基盤をドイツ国内につくろう、この非常な意欲があるということ、一方予算もありますけれども、この両者が今日あのドイツの非常に意欲的な進出を見ておるゆえんであろうと思います。
  51. 福井勇

    ○福井委員 ドイツのことが出ましたので——科学対策特別委員会では超党派でやっておりますし、いま石川さんも吉田さんも非常にりっぱな研究と、また意欲的な、心配をされた質問が出ましたので、自民党側の者が一人も質問しないと、何だか研究も何もしておらぬように思われてはいけませんから、関連でお許し願って一分間だけ申し上げたいと思いますが、意欲的なドイツのことが出ましたので、たくさん私も聞きたいことがありますが、ドイツだけに限りましょう。  そういうような事態にあるときに、先般ハイゼンベルグが参りました。私はジュネーブの会議で三回ばかり会っておりますが、こういう熱心な委員会もあることでありますし、原子力委員会においても、当局においても、一日や二日や三日ではない、もう一カ月近くも——今日の西ドイツの原子力の学術的にも、これに関連したいろんな面においてもリーダーであり、いやドイツだけではない、ボーアなきあとのヨーロッパ指導的中心であるといっても過言でない学者であり、イタリアのアヤルディやフランスのペランなんかも一緒に含めて、相当な、私たちは啓発される中心人物だと思いますので、こんなに一生懸命にやっておる委員会にも呼ぶように原子力委員会が働いて、大臣もそのつもりでおっていただかなければいかぬと思いますが、受け持ちが原子力委員会ですから、やはり何か意見を聞くくらいな、ひとつ啓発してもらう意味で、これは大臣の責任じゃございません、責任じゃございませんが、ハイゼンベルグが来ておったそうだということでなく、西ドイツがどんどんやっておるというひとつの重要な時期に際会しておりますので、せっかく原子力界の指導層ともいわれる人が来たときには、しかるべく国会の科学技術特別委員会のメンバー等に接触をひとつ願いたい。かって学術会議が相当な人を呼んだことがございました。これからひとつ原子力委員会が受け持つという大きい責任を持っておりますから、シーボーグを呼んだり、あるいはもうしばらくペランも来ていませんから、日本と競争しておるところのフランスのペランあたりも呼んだり、ヒントン卿は年をとってだめだろうし、ボーアは死んでしまったから残念でありますが、そういうなにを、大臣は必ず予算はとってくれると思いますから、画期的な啓発の努力を続けていただきたいと思います。  いま、関連で頼みましたので、二、三時間お尋ねしたいことがありますけれども、希望だけ申して私は終わります。
  52. 二階堂進

    二階堂国務大臣 福井先生からのいまのお話でございますが、私もそれはうかつでありまして、そういう学者の人なり、あるいは事業家の人が来られた際には、ひとつ有澤先生ともよく連絡をとりましてそういう機会をつくりたいと思っております。また、これほど熱心にいろいろ科学技術のことについて研究し、また議論してくださる皆さんも、私はそういう諸国にも出かけていって、そうして現実の姿も見ていただくようなことも、これはもう当然私どもは考えるべきだと思っておりますから、そういうことについても十分ひとつ今後考慮してみたいと考えております。
  53. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いまちょうど西ドイツの話が出たので、関連して。  ただ予算の面からだけの西ドイツのとらえ方ということは、今度の動力炉開発事業団法検討の、そういう取り組み方だけでは問題が処理できないと思います。たとえば、私は本を読んで見聞しただけですからわかりませんから、ひとつお伺いしたいのですが、日本は半均質炉はもうすでに放棄した。ドイツはいまなおこれに取り組んでやっておる根性があるということです。これは私は見習うべきものじゃないかと思うのですが、そういうことをひとつ聞いておきたいということ。  それから、いま、業者のほうが力が入っておるのだというような、こういう答弁だったと思うのですが、しかし私読んだところではわからないのですけれども、火力一キロワットあたり二円七十銭か三円六十銭のものが、ドイツが開発しておるところの原子炉では、一円八十銭から二円七十銭くらいになるだろうという推定を持っておるようであります。この二つを見ましても、経済的にもすでに新しい型の原子炉というものがこういう進歩をして、半均質炉を日本は放棄したのに彼らはまだ根性を持ってしがみついてやっておる、こういうところが私はあるような気がするのです。こういう点をひとつお聞かせいただいて、あるいは参考にしたいと思います。
  54. 二階堂進

    二階堂国務大臣 丹羽理事長からもまたお話があろうかと思いますが、先ほど予算の面においていろいろ御質問がありましたので、端的に国の取り組み方が足らなかったのだ、こういうことを率直に申し上げましたが、これは先ほどからお話がありますとおり、私はそれだけではないと思います。これはもとよりであります。私は国民全体の科学技術、一般的に申しますと、これに対する国民的関心というものが、世論というか支持というものが非常に薄かったということが一つあるのじゃないか、これは何も国民に責任があるということを申し上げているのじゃないのですよ。私もアメリカで長い間勉強いたしましたが、非常に西欧諸国の人はものの考え方が科学的であり、理屈詰めだ。特にドイツ人なんか科学に対する教育といいますか、考え方というものが、日本人の一般的な考え方とよほど違っておると思うのです。日本人は非常に直観的であり、観念的である。西欧諸国の人は非常につき合ってみて、勉強していましても物理的であり、科学的である。私はそういうふうな国民的な、思想的な背景というものがあるのだと思います。それが今日科学技術が不振におちいった原因のすべてであるとは申しません。また、業界の人も、有澤先生がおっしゃったように、業界自体がユーザー自体開発に非常に熱心である。一口に言うならば、国民総力をあげての科学技術開発に対する熱意と申しまするか、政府を含めて足らなかった、こういうことにあろうかと思っております。特に最近におきましては、先ほど吉田さんが申されましたように、原子力開発についてはアレルギー体質的な国民感情もある。宇宙開発をやっても、あるいは原子力発電の施設をつくろうとしましても、これは非常に何というか、原子力といえば、核といえばすぐ危険だ。これは危険なことはわかります。私も被爆国の国民として、そういう感情があることは、これは見のがすことができないと思っております。それを無視するわけにはまいりません。まいりませんが、私は、原子力発電所ができる、そうすると、漁民の方々がすぐ反対される、これは反対される理由はよくわかります。わかりますが、そういうものが何でも危険だという考え方では、電力の開発も、産業の進展も、これは国民的立場から考えると、非常に困った問題がある。そういうことも国民的理解の上に立って私は推し進めていかなければならぬと思っております。  なお、また具体的なことにつきましては、丹羽理事長のほうがひとつ御専門でございますから、お答えしていただきたいと思います。
  55. 丹羽周夫

    丹羽参考人 ほんの一つ二つの点につきまして、いまの三木先生の御質問にお答えしたいと思います。  まず第一番にドイツではいまだに半均質炉に取り組んで懸命にやっておるじゃないかとおっしゃいましたが、はなはだ失礼な推察であるかもしれませんが、たぶんそれはユーリッヒという研究所で一生懸命にやっておりまするヘブルベッドタイプのいわゆるAVRと称するハイテンペレチャガスクールドリアクターのことをおっしゃっているのだろうと思いますが、これは真の意味といいますか。ほんとうの半均質炉とはいえないと思います。私は一昨年の暮れにこれを見てまいりました。もうすでに臨界に達しましす。一生懸命にやっております。ということでありまして、かつて原研がやり始めて消してしまったものとは、だいぶ違ったものであります。  そからもう一つ、ドイツの科学技術振興あるいは原子力開発のおくれの問題であります。ちょっとこれは三木先生の御質問と違いまして、石川先生のお話だったと思いますが、私、一昨年の暮れにドイツへ参りまして、ドイツは先ほど来のお話しのように、原子力行政も政府として一貫的に権力をもって支配しておることは間違いありません。それは何かというと、ちょっと日本語では訳しにくいのですが、ドイツ語の名前を申し上げますと、ブンヂスミニステリウム・フュル・ウィッセンシャフトリッヒェ・フォルシコンク、科学技術研究省とでも申しますか、そこでやっております。ではありまするけれども、私帰ってきてからしょっちゅう——その前に申し上げたいことは、ドイツのユーリッヒ研究所の所長であるプロフニッーサー・ベンチャーとの会話の中で日本のいまいろいろ議論しておることもよく知っておる。一昨年の十月でありましたが、ちょうどドイツも、私が参りました当時から一年七カ月前までは同じことをやっておった。したがいまして、福井先生がおっしゃいましたように、初めて一昨年の十月から、勘定して一年七カ月前に、こういうようなタイプのリアクターをこういう方法で研究開発しようということをきめたのでありまして、私は、進んだ型のリアクターの研究開発と申しますか、それはそんなにひどく日本よりも進んではいない。ただああいう国でありますので、いわゆる純粋基礎的な研究、これはマックス・プランク・インスチチュートもありますし、その他もございますし、ハーンなんという人もおりますし、それは、そういう基礎的な研究という点においては、日本よりはもっと早く進んでおったということは申し上げられると思いますが、どうしてドイツがともかくも日本現状よりは進んできたかといいますと、有澤先生が一部おっしゃいましたよしうに、私もそう考えるのですが、いわゆるビッグビジネスというものがある国は、アメリカとドイツだろうと思います。ドイツのジーメンスあるいはAEG、ブロンボベリはそれほどでもないですが、こういうものがある。アメリカにはそれに匹敵するものが多々あることは御承知のとおり。その代表的なものがGEであり、ウエスチングハウスその他ゼネラルダイナミックスなんというのもありますが、そういうものがたとえばユーリッヒにおきましてはどうしているか、いまのAVRというタイプとEL4というフランス型のタイプのリアクターの研究開発をやっておりまするが、政府もユーリッヒ研究所へ約半額前後の必要なる資金を出しておりまするが、残りの半額は、AVRとEL4のタイプではAEG、ジーメンス等女が分かれて分担しておりますが、そのAEGなり、ジーメンスなりが関係のある電力会社とタイアップして、必要なる研究費の約半額をドネートしている。そういうようなことも非常に彼らの研究開発を進めておる大きな原因の一つであろうというふうに私は考えます。
  56. 吉田之久

    吉田(之)委員 先ほどから福井さんや三木さんのほうからいろいろ関連されましたように、いま日本がドイツと比べて、先ほど長官もお認めになったように、確かに水をあけられた、あるいは有澤先生が御答弁になりましたように、確かに、十年の格差とはいえないけれども、ある程度の格差がついておる。この問題については、われわれの国としては非常に大きな関心事でなければならないと思うのです。各委員からも申されたとおりでございますけれども、特にいま長官がお述べになりましたが、日本人が科学に少し弱いのではないかというふうなお気持ちをお持ちのようでありますけれども、私はそうは思わないのです。日本人の数学的な頭脳というものは、最近もいろいろと話題になっておりますように、決して諸外国にまさるとも劣らない。日本人というのは非常に分析もすぐれておると思うのです。ただ、悲しいかな、それを総合的に組み立てていくという力、総合的な判断、こういう点では確かにまだ非常に訓練が足りないのではないかというふうな気がいたします。しかし、ドイツでなし得ることが日本でなし得ないはずはないというぐらいの気概は持ってひとつ奮起してもらいたい。ただ委員会でじんぜん答弁に日を送る、事業団ができればそれでいいんだ、まさかそうはお考えになっていないとは思いますけれども、何かわれわれ国民の受ける印象はそういうことになっておりますので、この機会に、いま丹羽先生からも申されましたような諸外国の貴重な御意見なども参考にして、大いにひとつこの辺で奮起していただきたいということを申し上げておきます。  特に、先ほど丹羽参考人がお述べになりましたように、ドイツの場合、電力に対してその研究費の二分の一近くを負担しておるというふうなお説のように私は拝しましたけれども、ともかくそういう官民一体となって、なわ張り争いをするのではなしに、ともかくひとつ国民的な合意の上でこの問題と取り組んでいこうじゃないかというふうな気持ちを持っていただかなければ、私はどうにもならないのではないかというふうな気がいたします。  あまり大きな問題ばかりとらえておりましてもいけませんので、一応それはそれとして、私は今度ひるがえって、科学技術振興費の予算の組み方について一言申し上げたいと思うのです。  私は過日原子力研究所へ行って、その方々に会ってまいりました。私のほうの原電の人たちにもいろいろと会って聞いてまいりました。彼ら第一線で一番この研究と真剣に取り組んでいる若い研究者たちの意見です。ともかく日本科学技術振興に対する単年度予算という制度は、われわれの研究を促進するには百害あって一利ないということを彼らははっきりと申しております。ともかく一年のうちの大半を予算の概算要求に明け暮れ、そして政府の原案がきまったころから直ちにその年の予算の完全消化にいろいろと頭を悩まし、ときには必要なものが買えない。ときには、不必要なものでも予算の消化のためにはとりあえず買っておかなければならない。そして四月ころからまた来年度の予算要求に頭を使わなければならない。こういうことでは、私は科学技術の振興などとはとても及びもつかないと思うのです。愛知揆一先生がかつて五年間のころがし予算ということを述べられたと私は聞いておりますけれども、特に科学技術振興費に対しては長期にわたる、少なくとも数カ年にわたる一つ予算のワクというものを明確に確保してやるというふうな姿勢を示さない限り、せっかくの金が生きた効果を発揮しないのではないかというふうな気がいたします。この点、有澤先生どのようにお考えですか。
  57. 有澤廣已

    ○有澤説明員 おっしゃるとおり、科学技術研究というのは、研究者が考えているように事が運ぶとは限りません。思わざる困難に逢着することもあります。なかなか予定のとおりに研究が進行しないということがあります。それにもかかわらず、研究を進めなければ所期の効果を、所期の結論を得ることができない状況にありますので、おっしゃるような予算の単年制度によって著しく縛られるということは、研究の上においてはなはだ支障を来たす場合があるだろうということは、十分私理解ができます。ただ私どもそういう点も考えまして、この原子力予算においては特に債務負担行為をいたしまして、翌年度あるいは翌々年度にまで及ぶような予算を計上するというふうなことをもつとめておりまして、原研あたりの予算におきましては、ときにより、年にもよりますけれども、大型の施設を用意するとか、あるいは研究所をつくるとかいうような大型の費用、しかもわりあいに長くかかる施設の建設等におきましては、いずれもこの債務負担行為を使うことにいたしてやっております。それで幾らか埋め合わせをしている、こういうふうな形になると思いますが、日本の財政制度の上からいって単年制度をどうするかというふうな大きな問題は、私どもにはなかなかわからない点もありますけれども、科学技術の振興の面だけから申しますと、単年制度でないほうが望ましいという御意見に私も賛成でございます。
  58. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま債務負担行為を併用してやる方法はあるんだというふうなお話でございますけれども、しかし、この債務負担行為というのは、特に特別の研究目標を与えたときにあらかじめ明確に定められる制度であると私は思うのです。絶えず日常の研究に対して対応でき得る制度ではない。したがって、債務負担行為だけで、いま申しております科学技術振興に対する予算の有効な使用のしかたを解決する制度にならないと私は思いますので、その点は日本政府予算全般の制度の中で処理しなければならないなかなかむずかしい問題でありますけれども、ひとつ長官のほうでも、いま有澤先生がお答えになりましたような趣旨を体して、大蔵省等とも今後積極的にかけ合っていただきたいと思うのです。  特に東海の場合、原子力研究所で申しておられたことなのでございますけれども、科学技術開発というものは非常にテンポの早いものである。急テンポのものだ。しかしながら、日本科学技術振興費の予算の伸びというものは毎年数%の伸びでしかない。これではどうしてもついていけない。まあ数%か数十%か知りませんけれども、それは日本の総予算の伸びに比例して、伸びてわずかに頭をもたげつつある程度なのではないか、これでは、先ほども申しておりましたけれども、科学技術開発の急速なテンポについていくことが現にできない。研究原子炉を四つも持っておるけれども、われわれはそれをいわば死蔵しているにすぎないことに将来なるのではないだろうかというふうな懸念が現にございます。日本予算の貧しさについて、あるいはその運営のまずさによって、現地の若き研究者たちの中に非常に不満や焦燥感が現にあるということを申しておきたいと思うのです。  濃縮ウランの国産化の基礎研究について、燃料公社のほうから東京工大のほうにその研究委託しておられるとか聞いておりますけれども、その点について今井参考人の御意見を承りたいと思います。
  59. 今井美材

    今井参考人 濃縮ウランの研究は幾つかに分かれておりまして、一部分を東京工大に委託いたしております。委託いたしておりまする分は、大学の研究にふさわしいような特別の意味のある、しかも施設としては非常に小さくてよろしい施設でございまして、われわれが自分の手でやっておりまするものは比較的大型で、大学の研究等に適していないものでございます。さような分担をもってやっておるのでございまして、経費のほうはどのくらいの比率になるか、ちょっといまお答えいたしかねますが、大体は一対十か二対十くらいのところで、大きいほうを自分が負担してやっておるのでございます。また、自分のほうでこれにあずかっております人間はおよそ十名くらいでございます。
  60. 吉田之久

    吉田(之)委員 われわれの聞いたところでは、この十年間の予算が五千万である。本年度の予算は一千万にすぎない。現地では、この程度では真に十分な濃縮ウランの国産化の基礎研究ができないのではないかというふうな気持ちを持っているかに聞いております。いまの御答弁によりますと、大筋のところは燃料公社自身でいろいろと御研究になっているようでございますけれども、しかし、現に委託している委託先の大学において、それがとても十分な研究に値するものでないとするならば、これはやはり一つの大きな問題であろうと思うのです。予算というものは、特に科学技術振興の場合には一定額をこえないと、それは意味が失われるという場合が非常に多くあると思います。したがって、中途はんぱな節約というものはむしろ何の意味も持たないのではないか、集中して使うところに初めてこの面での予算の効果が生まれると思いますので、ひとつこういう委託のしかたについても現地の人たち、研究者や学者たちとよく相談されて、彼らが意欲をもってそれを研究するに足る十分な措置をしなければならないのではないかというふうな気がいたしますので、念のために申し添えた次第でございます。  最後に予算の問題で長官にお伺いいたしたいと思うのです。高速増殖炉の次に来たるものは、われわれは核融合反応の研究であり、これの完成であるというふうに聞いております。水素爆弾をいかにして平和利用するかというふうな問題になるのだろうと思うんですけれども、実はこの最も重要な問題これは一九八〇年以降に完成されるという説もあれば、二〇〇〇年以降に初めて実用化されるんだというふうな説もあるようでございますけれども、わが国においてこの重要な核融合反応の研究に対してどの程度の予算を組んでおられるのか、あるいはいま予算がないとするならば、今後どのように組もうとしておられるのか、ちなみにイギリスやアメリカのそれと比較して御答弁をいただきたいと思うのです。
  61. 村田浩

    ○村田政府委員 予算面の数字のことでございますので、私からとりあえず御答弁申し上げます。  わが国における核融合の研究につきましては、原子力委員会が設立されました十何年前からいち早くこの問題に取り組まれまして、専門部会を設け、いろいろ御検討の結果、まずやはり基礎的なところを十分固めていくべきだということから、その計画大学関係でやっていただくことになりまして、現に名古屋大学にプラズマ研究所というものが設けられ、ここで核融合の基礎となります高温のプラズマの物理的性状等を中心とする基礎研究が集中的に行なわれてきております。それで諸外国の状況を見ますと、アメリカ、イギリス、ソ連はもとより、フランス、西ドイツ等におきましても、最近いろいろの形で、より大型の実験装置を使って、そうして核融合のより工学的な実験を進めようという傾向が明らかに出ておりますので、原子力委員会では長期計画をつくられます際にいろいろ検討いたしまして、その結果、最近新たにまた大学の研究者、国立研究所研究者、原研の研究者等を含めました核融合専門部会を設けられまして、ここにおきまして昭和四十四年度からスタートできることを目標に新たなる核融合の開発プロジェクトをつくるべく、ごく最近その作業にかかられたところであります。  それでこういう状況でありますので、現段階におきましては、まだわが国の核融合関係予算といいますのは基礎的研究と、それから部分的な研究、たとえば高温の測定技術開発とか、そういったことに集約されておりますが、ただいまの予算規模で申しますと年額にして約四億円程度でございます。  これに対しまして、私どもの得ておる情報で昭和四十一年度における米英等の予算額を見ますと、アメリカにおいては約八十億円、イギリスにおいては約四十五億円、西ドイツにおいては約七十億円、フランスが約二十五億円程度を予算として掲げておるようでございます。
  62. 吉田之久

    吉田(之)委員 この辺にもやはり一つのバロメーターとして、日本科学技術振興に対する予算のあまりにも乏しいことが証明されていると思います。私は、何も日本がいま核融合の反応研究に、直ちに諸外国に追いついて、同じように取っ組んでいけと申しているわけではございませんけれども、一つわが国のこの種の予算の乏しさというものを証明しているような気がいたしますので、この点ひとつ長官は、予算だけではありません、組織もあとからいろいろ申し上げますけれども、あるいは頭脳の流出を阻止する、国民的な頭脳を集める、いろいろな問題が一ぱいありますけれども、特に予算の問題においても、この現状では、わが国の動力炉の開発、核の平和利用というものは、しょせんおぼつかないぞということを、ひとつあらためて御認識いただいておきたいと思うのです。  私は、次に組織の問題について申し上げたいと思います。まず、こうした大きな国家的な事業をなし遂げんとする場合には、よほど確固たる組織がなければならない、き然たる方針がなければならないと思うのです。その点についてきのうも佐々木良作氏の質問の中で、原子力発電所の設立をめぐって国営か、民営か、あるいは特殊法人かというふうな問題でいろいろとその組織と運営について論議されたことを私は承っておりました。激しい論争があったことも承りました。今度のこの事業団の設立についても、われわれは非常に多くの疑問を持っております。私は、政府やあるいは各省庁に、日本の今後の原子力開発をどういう組織で引っぱっていこうかというふうな基本的な考え方、定見と申しますか、そういうものがまだないのではないかというふうな気がしてならないのであります。公団をつくったり廃止したり、あるいは新しい事業団をつくったり、あるいはその大部分を民間にまかしてしまったり、まさに朝令暮改ではないかというふうな気持ちが、現に原子力問題と取っ組んでいる人たち、あるいは電力問題と取っ組んでいる人たちの中に、非常に大きくそういう不信感というものが頭をもたげてきておることを私は知っておりますので、特にこの組織の問題について申し上げたいと思うのです。  有澤先生にお伺いいたしますが、有澤先生は、われわれ原子力委員会は行政機能を持たないのだ、持つべきではないのだ、あくまでも学者的な良心に恥じない立場で直截に意見具申をする委員会であるべきなんだというふうなことを過日の参議院本会議やあるいは衆議院のこの委員会において述べられたと私は聞いております。そういうお考えであるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  63. 有澤廣已

    ○有澤説明員 原子力委員会が、学者的な立場とばかりは申せませんが、ナショナルインタレストの立場に立ちまして、そして原子力問題について調査審議、決定をしていく、そしてその決定した事項については総理大臣に尊重してもらう。尊重してもらうというのは、法律の中に、総理大臣は委員会の決定を尊重しなければならない、こう規定されてあります。こういう規定のある委員会は一なるほど原子力委員会は八条機関だといっておりますけれども、こういうように法文の中に総理大臣がその決定を尊重しなければならないと規定してある八条機関というものはほかにありません。ですから、私どもはこの条文をたてにとりまして、私どもの委員会の決定を政府によって実行してもらうようにつとめていきたいと考えておるわけであります。  原子力委員会が行政委員会といいましょうか、あるいは行政機関一つということに相なりますと、どうしてもこれは政府一体の考え方に立っていかなければなりません。そういたしますと、これは非常にいろいろの問題が起こってくる。特に私は平和利用——政府も決して原子力軍事利用をやるということは申しておりませんけれども、国民の立場から申しますと、やはりこの問題は一つの客観的なといいましょうか、政府の外にある機関がその良識をもって判断した決定ということに対してより多く信用を持つのではないか、こういうふうに考えられます。それがために、私いままで、いま御指摘のあったようなことばを申し上げましたのは、委員会が持っておる非常に重要なこの一つの問題と、それからもう一つは、日本において原子力の平和利用を大きく推進するこの役割り、この平和利用を大きく推進するためには、なるほど権力を持ったほうが統一的にやりやすいということは確かであります。が、そうなりますと、最初に申し上げましたような問題は一体どうなるのだろう、この点を十分考えなければならないということであります。私自身も、その問題をもう少し十分考えたい。いろいろな問題点がありますが、そういう問題点も十分考えた上で原子力委員会のいわゆる強化の問題について結論を得たい、こういうふうに実は考えて、いま御指摘のあったような話を申し上げたわけでございます。
  64. 吉田之久

    吉田(之)委員 先ほどから石川委員質問に対しても有澤先生は同じようなことをおっしゃっておりました。特にイギリスの原子力公社については、それが平和利用をしなければならないという点において、政府機関の中に入り込んでおることについて疑問を持つ、わが国においてもそういうふうな気がするというふうな意味で申されたと思うのです。いまもわりとはっきりと、この原子力委員会というものが政府機関の中には入り込むべきでない、しかしわれわれはその委員会において十分衆知を集めて検討した結果を総理に答申するのだ、総理は特に原子力委員会の答申に対しては尊重しなければならないという規定が厳に一項書かれておるのだ、こういう御説明のようであります。しかし、私は先ほど来いろいろと、われわれ国民が国家と一緒にこの大計画をなし遂げていこう、その牽引力をあらためてはっきりと確立しなければならないと申しておりますにもかかわりませず、あなたは、政府みずからがこの重要な原子力開発の決定権を持つことは危険を感ずると言わんばかりの御説明をしておられるように私は思うのです。私はこの辺に非常に大きな問題があると思います。われわれがこの問題を推進するならば、その決定も執行もやはり責任は断じて政府がとらなければならない。今日の日本政府に対してはその権限を与えるについては、有澤先生自身としては一まつの不安を感ずるというふうなお気持ちのように私は受け取るのです。そういう意味でおっしゃっているのかどうか。これは非常に大きな問題だと思います。そうでなければ、先ほど来のあなたの御回答がどうも私には納得できないのです。政府機関の中に良識ある皆さん方がみずから入り込むこと自身われわれはその平和利用の問題において危険を感ずるのだというふうなことがどうして言えるのですか。政府を信頼しない場合はそのことが言えると思います。しかし、政府が積極的に平和開発一本で進もうという姿勢を堅持していると確認するならば、いまおっしゃるような先生の構想と申しますか、組織の考え方というものは非常にあいまいなものであって、むしろこの問題を推進するには役立たないというふうな気がするのです。
  65. 有澤廣已

    ○有澤説明員 私が申しました疑問として考えております点は、原子力委員会は、御承知のように、基本法におきまして、原子力軍事利用を阻止して平和利用に限る、このことを一つの大きな任務としております。政府もむろんしばしば言明しておりますように、平和利用に限るということになっておるわけです。ところが、具体的な問題について平和利用か軍事利用かあいまいな——あいまいと言っては悪いのですが、境界があるわけです。どこかでこれは軍事利用でいけないとか、これは平和利用でよろしいとかいう判定を下さなければならないところ、そういうボーダーラインがあるわけです。はっきりしているところは、これはだれが見ても平和利用であるとか軍事利用であるということは、見ればはっきりわかるわけではありますけれども、どっちかちょっとわからないような問題点がありはしないか。そういうときに、これは軍事利用であるとか、これは平和利用であるという判定を下す機関原子力委員会一つ役割りだ、私はこう考えておるわけです。その判定を下す機関政府内部であったならば、国民はどういうように考えるだろうか。政府はなるほど、平和利用に限る、このことをしばしば言明しておるからそうに違いないのだが、しかし、この問題は広い国民からいいますと、やっぱり第三者といいましょうか、政府でない第三者の良識、判断にまちたい、こういう気持ちがありはしないでしょうか。おそらく私は原子力委員会というものを設けまして、原子力基本法でああいう形のものを設けた趣旨もそこにあるだろう、こう考えております。ところが、平和利用につきましては、なるほど御指摘のありますように、これは政府と一体となって権限を持ってやったほうが、確かに首尾一貫もして好都合であるということは、これは明らかであります。ですから、イギリスのAEA公社におきましてもそういう形にいっている。そのほうがどんどん政策を一貫的に推進することができる、こういうことについては私も全然異議はありません。おっしゃるとおりだと思います。が、それでは一体その前の問題とあとの問題とをどううまく解決をつき得るような委員会の強化案というものが考えられるだろうか、そこが実は私の非常に悩んでいる点で、そこをまだ十分考え抜いておりませんので、これは私一人の考えではとてもだめで、あっちこっちの御意見も十分承って、そうして今日、いま御指摘のありましたように、いよいよ日本において大型プロジェクトを立ててこれを遂行しようという場面になってきておりますので、原子力委員会は従来のような形のままでよろしいかどうか、もっと強化を考えなければならぬのじゃないか、この点はこの委員会でもしばしば御指摘になりました。中曽根委員からは、有澤委員は案外保守的だとまでおっしゃられました。あるいは保守的かもしれませんが、私自身としましては、いまのような考え方に立っておりますので、これは政府機関になったほうがいいと、ここではっきりとすぐさま結論を出すことができない、こういうことを申し上げておるわけでございまして、むろん政府機関になったほうが平和利用を推進するというその面だけを見れば、好都合であるということについては私も異議はありません。
  66. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま先生のお話を聞いておりますと、少しニュアンスは違いますけれども、自衛隊の場合のシビリアンコントロールという問題がいろいろと論議されておりますけれども、何かそれに似た一つの、ほんとうに平和利用オンリーに執行さしていくための安全な指導機関といいますか、そういうものが要るのだ、計画機関が要るのだ、非常に微妙な点が出てくるからというお気持ちのようであります。私は、それはそれなりに先生のお考え方はあり得ると思います。しかしそれは牽引力にはならないと思うのです、私の先ほど言う、いわば時にはブレーキの役割りを果たします。ブレーキといえば、少し首をかしげられると思いますれども、ブレーキもあっていいと思うのです。なければいけない。特にこの原子力の問題、核の問題ですから、だからアクセルを踏むものとブレーキをかけるものと、そういう二つの機関が確かにあってもいい。しかしわれわれがいま特に求めているのは、政府を信頼して、かつ求めているものは強力な牽引力なんです。その点ではいまの先生の構想からいえば、原子力委員会はある程度の指導や推進はもちろんなさるでありましょうけれども、強力な牽引力となって、この問題をひとつ全責任をもってかぶっていこうというふうな執行機関になり切ろうとするお気持ちは、現在のところお持ちになっておらないというふうに私は判断いたします。  それはそれとして、私は先ほど先生がおっしゃった先生の理論と現実の中にすでに幾つかの矛盾が出ておるということを指摘いたしたいと思うのです。確かにこの委員会の答申に対しては、総理は特に尊重しなければならないという点が書かれているのだ、したがって、われわれは良心に基づいて科学的な検討を行なって、それを総理に進言すればいいのだ、こうおっしゃっております。しかし、はたして総理はあなた方の意見を現に尊重しているのかどうか。いま具体的な議題となっておりますところの事業団法の問題、あなた方はこの事業団をつくるときに、燃料公社などは合併吸収はしない、あくまでもそれは独自の、いままでの使命を果たす公社として存続させるんだ、別個に事業団をつくっていろいろと総合的な計画を推進していくんだ、こういうことを絶えずおっしゃっておった。現に、この事業団をつくるというための政府予算原案、二月二十八日にきめておりますけれども、その数日前に有澤委員らが総理にお会いになって、直訴して、あくまでも燃料公社は残してほしいということを言われたということを、われわれは、新聞でも承っているわけなんです。しかるに、こうした単なる一部分の機構の問題ですら、原子力委員会の総意が総理には受け入れられなかった。逆に政府は、どうしてもこの際、臨調の答申もあるのでと言ったのか言わないのか知りませんけれども、ともかく一つでやってくれと言われて、今日有澤委員らは、心なくもかどうか知りませんけれども、その方針に追従をしておられる。若き学者たちは、あるいは研究員たちは、大内グループの一番信頼すべき、気骨ある学者と聞いておった有澤先生が、ああいうへなへな腰では、われわれは一体何を信頼すればいいのか、われわれはついていけないではないか。こういうところにも今日のこの問題について、特にこの問題を推進する重要な組織の問題について、多くの批判、不満が出ておりますので、いま私が申しました、先生のおっしゃる論理と、しかし現にすでに来たしている破綻と申しますか矛盾とのこの問題について、御説明をいただきたいと思います。
  67. 有澤廣已

    ○有澤説明員 原子力委員会におきましては、この動力炉開発事業を推進していくための中核的な機関として、どういう機関を設けるべきかについては、いろいろ検討をいたしました。そして私どもが最善と考えましたのは、動力炉開発をやる事業団事業団という名前はどうでもよろしいですが、そういう特殊法人をこの際設立することである、こういうふうに一応考えたわけであります。それですから、そのことを一応総理に、これはまだ総理に答申といいましょうか、委員会の決定を伝達するという意味ではないのですが、その考え方について総理の意見を聞いたのです。私どもはこういうふうに考えておりますから、ぜひそれをひとつ実行してもらうようにお考え願いたいということを申し上げました。総理は、その考え方はよくわかるが、しかし政府の方針としても、新しく事業団といいましょうか、公社、公団、特殊法人をつくらないという方針をきめておるのだから、そこに一つの問題点があるのだ、こういうお話でございました。それで私どもも、委員会としましては相当激論をしたのです。内面的なお話を申し上げることは控えますけれども、相当激論をいたしました。委員会はしばしば危機に陥ったことは事実であります。だけれども、委員会として一番大きな意味を持つような意見は、われわれがこの際動力炉を開発をしよう、また日本としてすべきである、そしてそのためには、わが国の官民が一体となって、この動力炉の開発に当たるべきである、こういうことを懇談会はむろんのことですが、その他の場所においてもしばしば述べてきました。その述べてきたということはどういうことかといえば、委員会はその問題についてみずから国民に呼びかけをしたんじゃないか、この呼びかけをやった当人が、もうだめだというふうなことでは、この呼びかけは全く無意味になる。呼びかけられた人と、呼びかけに応じてわれわれもそれに呼応して立とうと考えた人々は、そこで、原子力平和利用の問題については、もう一ぺんに幻滅を感じてくたくたになる。へなへなになってしまう。呼びかけた者は一たん呼びかけたならば、その初志をあくまでも貫徹するように持っていくべきである、こういう議論委員会の内部における意見を支配したと申し上げていいと思います。しかし、それにしてもわれわれの考えておる事業が十分にできないような体制であるならば、われわれも決意せざるを得ない。その見地から、いろいろ事業団をどういうふうな形にすべきかということを検討いたしましたところ、まあ燃料公社と合体したという場合には、これは政府においても認められるし、またわれわれのほうから考えてみましても、動力炉の開発燃料開発というものは、いわば一体化というか不可分のものでもある、その点から考えますならば、燃料公社とこの動力炉事業団といわれるものと合体した形においてここに新しい事業団をつくるということでわれわれも満足すべきである、こういう議論になりまして、それでその旨を答申いたしたわけでございます。  ですから、なるほど結論から申しますと、最初にわれわれが言い出した形のものとはやや違ったこういう今日の法案のような形になっておりますけれども、しかしわれわれはこれをもっても動力炉の開発——燃料開発もむろんのことですけれども、動力炉の開発を推進しなければならないし、またそれでもって推進できるのだ、こういうふうに考えております。私は、委員会がそういうふうな形になりましたので、実は大学の関係者の人々、それから民間にいられる人々の意見もひそかに聞いてみました。そういう人々は、私どもが先ほど申しましたように、おまえたちが一ぺん言い出してこれでやろうときまったのに、そういうことだけでもう撤回するなんということだったらば、今後二度とわが国において動力炉を開発するなんということは、幾ら言ってもわれわれはついていかない、こういうことを言われたわけです。そこで私どもは、いまのような決定を下して総理のほうに申し上げたわけでございます。
  68. 吉田之久

    吉田(之)委員 いろいろといま有澤先生から御弁解があった。私は弁解としか受け取れません。いろいろとその委員会の内部で論議されたことはあったでございましょう。しかし国民はそういう委員会の内部の最後の苦悩の論議を別に知っているわけではないし、そうすると、結果、表面的に出てきた態度の豹変と申しますか、結局は原子力委員会というものも政治の前にはきわめて無力な存在にしかすぎなかったではないかというふうな印象だけを残しているわけなんです。燃料そのものの開発と、そしてこの事業団の仕事とはまさに不可分のものなんだとあとで理屈をつけてみずから慰めておられるにすぎない。われわれはその組織がどうなったかというような問題よりも、原子力委員会にき然たるバックボーンがないのではないか、信念がないのではないか。今日、選挙制度調査会においては高橋会長らが、あくまでもおれたちの答申は正しいのだと言ってがんばっておるわけです。やはり原子力委員会はもっともっとき然たる態度をもって対処しなければ、いかにあなたが原子力委員会が直接政府機関に入らないユニークな存在としてその本来の使命を果たそうとお考えになっても、国民は一切信用いたしません。そういう経過においてつくられようとする事業団について、たいへんな疑問と失望と、そういうものをいま多くの人たちが持っておるとしても、決してそれは持っておることが間違いであるなどとは言えないと私は思うのです。いろいろと、こういう組織の問題についても、あまりにも原子力委員会は無力ではないかというふうな批判が現にございますので、どうかそういう点も考慮に入れて反省の材料とし、また今後の態度の決定の一つの重要な材料として臨んでいただきたい。  あと、頭脳の結集の問題とか、あるいは官民一体の問題とか、具体的な問題とか、まだまだ用意し、申し上げなければならない問題がございますけれども、長官の時間もあるようでございますので、一応はここで、中間で切らしていただいて、なるべく早い機会に続いて質問の機会を与えてくださいますようにお願いをいたしておきたいと思います。
  69. 石野久男

    石野委員長代理 両参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございました。  次会は、来たる二十二日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時十五分散会