運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-04-05 第55回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月五日(水曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 大久保武雄君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    濱野 清吾君       原 健三郎君    堀川 恭平君       山村新治郎君    内藤 良平君       渡辺 芳男君    山下 榮二君       松本 忠助君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 三月二十五日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として秋  田大助君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員板川正吾辞任につき、その補欠として岡  田利春君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡田利春辞任につき、その補欠として板  川正吾君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十三日  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三二号) 同月三十日  近鉄小倉駅に地下道設置等に関する請願(岡本  隆一君紹介)(第二三四号)  鹿児島県十三塚原大型空港設置に関する請願  (池田清志紹介)(第二四一号)  旧日田線鉄道用地道路転用に関する請願(藏  内修治君紹介)(第三〇二号)  国鉄戸塚駅の線路高架化等に関する請願(藤山  愛一郎君紹介)(第三五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  千歳空港民間専用国際空港として整備拡充  に関する陳情書外二件  (第三二号)  空港及び航空保安施設等早期拡充整備に関す  る陳情書  (第三三号)  港湾運送事業料金の変更に関する陳情書  (第三四号)  四日市港の港湾整備事業に対する国庫負担率引  上げに関する陳情書  (第三五号)  東和歌山民衆完成後の国鉄ダイヤに関する陳  情書(第三六  号)  東北新幹線及び通勤高速線早期実現に関する  陳情書(第四三  号)  釜石、水沢両市及び陸前高田、盛岡両市間に国  鉄バス運行実現に関する陳情書  (第七五号)  対馬航路改善に関する陳情書  (  第七六号)  境港に水面貯木場設置に関する陳情書  (第七七号)  地方空港拡充整備に関する陳情書  (第七八号)  山陰本線及び伯備線の早期複線化に関する陳情  書外一件  (第七九号)  智頭線の建設促進に関する陳情書  (第八〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三二号)  陸運に関する件(南海電鉄踏切事故に関する問  題)      ――――◇―――――
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。金丸政務次官
  3. 金丸信

    金丸政府委員 ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、御説明申し上げます。  日本鉄道建設公団は、昭和三十九年三月に設立されて以来、鉄道新線建設を推進することによりまして交通網整備をはかり、もって経済基盤強化地域格差の是正に寄与することにつとめてまいりました。  御承知のとおり、鉄道新線建設には、巨額の資金を必要といたしますので、国及び日本国有鉄道からの資金のほか、民間資金導入をはかってまいりました。これまで、この民間資金導入は、公団鉄道建設債券を発行し、これを関係者が引き受けるという形で行なってまいりましたが、何ぶんにもこの債券元利支払いについては政府による保証の措置がとられていないため、事業規模の拡大につれ、債券の発行による資金調達に困難を感じております。  したがいまして、今後さらに鉄道新線建設を推進するためには、財政資金の増額につとめることはもちろんのことでありますが、鉄道建設債券元利支払いにつきまして政府が保証できるよう措置することとし、建設資金調達円滑化をはかることが必要であります。  このような見地から、このたび鉄道建設債券についての債務に関し、政府がこれを保証することができる道を開くこととし、日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  この法律案内容は、政府は、法人に対する政府財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、鉄道建設債券にかかる債務について保証することができる旨を定めたものであります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 これにて提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 内藤隆

    内藤委員長 次に、昭和四十二年度運輸省及び日本国有鉄道関係予算等について、政府当局から説明を聴取いたします。金丸政務次官
  6. 金丸信

    金丸政府委員 昭和四十二年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は二十五億五千二十五万二千円、歳出予算総額他省所管計上分百三十五億四千六百七十五万九千円を含み一千三百四十七億一千九百四十万一千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百七十七億四千四百四十二万六千円の増加となっており、約一五%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では百六億四千六百二十八万七千円、公共事業費では七十億九千八百十三万九千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億三千六百二十九万五千円で、前年度に比較して約六千万円の増加となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、加入対象車両数増加によりまして、歳入歳出予算額を前年度の約三割増に当たる一千二百四十二億八千二百七十二万四千円といたしております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は、港湾整備五カ年計画の第三年度として港湾整備を推進するため、前年度より約七十七億円を増額して七百六億八千九百七十八万五千円といたしております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は二十五億二千四十二万二千円で前年度に比較して約二億四千六百万円の増加となっております。  このほか、昭和四十二年度財政投融資計画中には、当省関係分といたしまして約四千五百三十億円が予定されております。  昭和四十二年度予算におきましては、当省は、経済社会の発展に伴なって立ちおくれの著しい運輸関係社会資本の充実をはかり、国際収支の安定のため貿易外収支改善と、船舶鉄道車両等の輸出の振興につとめることとしております。  また、航空機事故自動車事故等交通事故防止するため、交通機関基本的使命である交通安全対策並びに運輸関係公害防止対策を強力に推進するとともに、物価安定に資するため、物的流通近代化運輸関係事業基盤強化等重点を置き、諸施策を積極的に推進する所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げますと、昭和四十二年度の予算編成にあたりましては、まず四十二年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮して収入を見積もり、損益勘定において収入支出予算八千五百七十二億円を計上し、資本勘定において収入支出予算四千七百六十七億円を、工事勘定において収入支出予算三千七百八十億円を計上いたしまして、第三次長期計画に基づき大都市通勤輸送改善及び主要幹線輸送力の増強並びに保安対策強化等を推進してまいりたいと考えております。  運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十二年度運輸省予算の大綱及び昭和四十二年度日本国有鉄道予算説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、委員長におかれまして、会議録に掲載していただくよう御配慮をお願いいたします。
  7. 内藤隆

    内藤委員長 それではさよう取り計らいます。      ————◇—————
  8. 内藤隆

    内藤委員長 次に、今国会に予定されております運輸省関係政府提出法案について、説明を聴取いたします。町田官房長
  9. 町田直

    町田政府委員 資料としてお配りしてございます「第五十五回国会提出予定法案」をもとにいたしまして、今国会運輸省として提出いたしたいと存じております法案につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  まず、運輸省関係の今国会提出予定法案は十件でございまして、そのうち予算関係法案が五件、その他が五件ということでございます。  順次御説明申し上げますと、一番初めは、運輸省設置法の一部を改正する法律案でございます。内容は、第一点が、運輸省航空局飛行場部を置く。第二点が、運輸省付属機関として電子航法研究所及び航空保安職員研修所を置く。第三点が、船舶技術研究所所掌事務改正する。第四点が、運輸省地方支分部局として東京及び大阪地方航空局を置く。第五点が、その他所要の改正を行なうという内容でございます。  この法律案につきましては、三月二十二日の閣議で決定いたしまして、国会に提出いたしてございます。  それから二番目が、船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案でございます。  内容は、第一点が一定総トン数以上の船舶につきまして、一定海域における油の排出を禁止いたします。また、総トン数二万トン以上の船舶につきましては全海域における油の排出を禁止する。同時に、これらの船舶に対しビルジ排出防止装置設置し、油記録簿備えつけを義務づけるということが第一でございます。第二点といたしまして、船舶廃油を処理する事業の適正な運営を確保するため、運輸大臣がこれに対して必要な監督を行なう。第三点が船舶廃油を処理する施設整備促進するため、国は港湾管理者施設整備費の一部を負担する等の措置をとるということでございます。  本法案は三月三十一日の閣議で決定いたしまして、国会に提出してございます。  三番目が船舶整備公団法の一部を改正する法律案でございまして、船舶整備公団の発行する債券にかかる債務につきまして、政府が保証することができることとする。同時に、運輸大臣指定する有価証券取得のため余裕金の運用をすることができるという改正でございます。  この法案につきましては、三月二十二日の閣議で決定いたしまして、国会に提出してございます。  それから四番目が、外貿埠頭公団法案でございます。これは東京、横浜、並びに大阪、神戸、二つそれぞれ別々でございますが、これらの港の外貿埠頭施設整備を推進し、かつ効率的使用を確保するために、京浜外貿埠頭公団並びに阪神外貿埠頭公団を設立するという法律案でございます。  この法律案につきましては、予算関係法案でございますけれども、まだ実は関係省庁間の調整が若干残っておりますので、まだ閣議決定にはなっておりません。できるだけ早い機会閣議決定をいたしまして、国会に提出いたしたいというふうに考えております。  それからその次が、日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案でございまして、内容はただいま提案理由を御説明いたしましたとおりのものでございます。  以上が予算関係法案でございます。  それから次に五つございますが、それはまず第一は、飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律案でございます。内容は、航空機騒音による障害防止するために、航空機運航等に必要な規制をする。同時に、特定の飛行場周辺における航空機騒音による損失を補償するという内容のものでございます。  それからその次が、船舶積量測度法の一部を改正する法律案でございます。これは船舶安全性を向上させ、各国のトン数測度関係法令改正されつつある現状に即応するために、船舶積量測度方法を改めるという法律案でございます。  その次が、船員災害防止に関する法律案でございまして、内容は、船員労働災害防止するため並びに船員災害防止計画の策定による船員災害防止対策計画的推進をはかる等のために、船員保険特別会計からの補助による船舶所有者の自主的な船員災害防止活動促進をはかるということでございます。  それからその次が、昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案でございます。これは恩給の額の改定措置に準じまして、公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金額改定を行なうものでございます。  それから最後が、観光事業財団抵当法案でございまして、観光事業に関する信用の増進により、観光事業の健全な発達をはかるために、施設を包括的に対象とする財団抵当制度をとるというものでございます。  この五つの法案につきましては、現在関係省庁あるいは法制局法案の準備を進めている最中でございまして、できるだけ早い機会に今国会に提案いたしたいというふうに考えております。  以上、簡単でございますが、五十五国会提出法案内容を御説明いたしました。      ————◇—————
  10. 内藤隆

    内藤委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  この際、南海電鉄踏切事故について、政府当局から説明を聴取いたします。金丸政務次官
  11. 金丸信

    金丸政府委員 四月一日の十九時二十六分、南海本線、樽井9号踏切道——第三種でありますが、和歌山市行き五両編成急行列車がトラックと衝突し、二両転落いたしまして二両脱線し、五名のとおとい人命を失い、二百十八名の重軽傷者を出すに至りましたことはまことに申しわけない次第でございまして、心から遺憾の意を表する次第であります。  今回の事故によってなくなられた方々の御冥福をお祈り申し上げると同時に、遺族の方々並びに負傷された多数の方々に対し、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  運輸事業における輸送安全確保につきましては、常に最も一意を注いでおるところでありまして、今回の大事故につきましては徹底的に原因を究明し、再びかかる事故が起こらないようつとめる所存でございます。また不幸にしてなくなられた方々につきましては、十分敬弔の意を尽くすとともに、負傷された方々の治療につきましても、万全を期せしめるよう南海電気鉄道並び森吉運輸株式会社を指導しております。さらに自後の補償措置につきましても、最大限の誠意をもちまして同南海鉄道森吉運輸株式会社に当たらしめるよう考えております。  なお、事故直後、運輸省におきましては、運輸大臣を長とする南海電鉄事故対策本部を設けまして、南海電鉄に対し、万全の救護活動事故の速急な復旧についての措置を講ずるよう要請をいたしました。そのほか必要なる善後措置を整える体制を整えておる次第でございます。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  13. 久保三郎

    久保委員 いまの御報告でありますが、これから原因その他についてはっきりしてくるだろうと思うのでありますが、さしあたって二、三お尋ねしておきたい。  一つは、踏切道改良促進法が五カ年計画昭和三十六年にできました。さらに引き続いて、この五カ年計画を延長した。それによって踏切道改良促進してきたわけでありますが、実は私の手元に、昭和三十七年の八月運輸省の担当の部局である鉄監局の、当時これは南武線踏切事故があった直後でありますが、やはり今日と同じような、国会を中心にした大きな問題になったわけであります。そこで三十七年の八月に運輸省鉄監局踏切保安設備緊急整備計画要綱なるものをつくって、それで整備を一そう促進しようということに決着がついたと思うのであります。お手元にこういうものはお持ちになっておらぬかもわかりませんが、おらぬければ私の資料をごらんいただきたいのでありますけれども、この整備計画要綱によりまして、第四種踏切は今後八年間に整備を完了する、いわゆる全踏切道を、言うならば都市においては立体化によってなくしていく、それから幅員二メートルをこえる保安設備のない踏切道三万四千七百カ所は次のような方法で解消していくということになりまして、いわゆる踏切道改良促進法によって指定を行なった。当時指定をしたわけですね。千七百カ所の第四種踏切道予定どおり三十八年度中に整備を終えること、それから踏切道改良促進法に基づきこれから指定されるものは四十年度までに保安設備整備するのが三千二百カ所、四十年度までに三千二百カ所の整備を終えるということでありますが、この三千二百カ所は計画を繰り上げて三十八年度中にすべての踏切警報機または遮断機設置する。また、その他の第四種踏切道複線電化区間にあるもの、その他特に危険な個所で優先すべきもの九千三百カ所は四十年度までに踏切警報機設置を完了するというようなことで、その他もございますが、緊急整備計画をお立てになったわけであります。  この進捗状況はどうなのかということでありますが、時間の制約もございますから、あえてこまかいことをこの席で御発表いただかなくてもけっこうでありますが、総括的に、緊急整備計画要綱、この三十七年八月に策定したものは現実にどうなっているのか、どういう扱いをしたのか、それをまず第一にお聞きしたい。  それからもう一つは、七日に関係閣僚会議をやりまして、政府部内の方針を確定するというのでありますが、要は、原因のいかんにかかわらず、事故はできた。事故ができた大きな原因は何かというと、前近代的な踏切がたくさんあるからできた。それを直すのには金である。問題は予算に尽きるわけですね。りっぱな計画要綱ができているし、法律もできている。ところが実際にはそういうことにはまいらぬので、たとえばいま読み上げたように、南武線踏切事故があった直後にはこういうものをこしらえた。今度はまた別なものをつくるのではなかろうかという考えをするわけであります。何かショックを与えると、ぴょこんと飛び出す。ところが、それで終わってしまう。衝撃を与えられたそのときだけは、言うならば何かつくってたいへん注意を集中するのでありますが、どうもこれが一年以上もったためしはなさそうにわれわれは思う。だから、これはどうなっているのか。七日に閣僚懇談会をやるというが、そこで何を要求しようとしているのか、これをまず第一にお聞きしたいと思います。
  14. 金丸信

    金丸政府委員 あと先になってまことに恐縮でありますが、七日の閣議の問題につきましては、実はこの対策につきまして運輸省でも一つの案をつくったのですが、運輸省だけではいかない、総理府との関係もありまして、その調整を現在いたしておるようでありますが、まだその結論が出ておりませんので御報告するわけにもいきませんが、一応そんなような過程をいまとっておることを御報告申し上げたいと思う次第であります。  なお踏切改良事項につきまして、私の知る範囲におきましては、予定どおり進んでおるというように承知いたしておるわけでありますが、詳細につきましては、鉄監局長から御説明申し上げます。
  15. 増川遼三

    増川政府委員 踏切道改良につきましては、踏切道改良促進法に基づきまして、政府といたしましては、従来からこれを強力に推進してまいったのでございます。昭和三十六年度から四十年度までの五カ年間におきまして整備いたしました踏切道数は、立体交差が八百十カ所であります。構造改良が二千七百六十九カ所、保安設備整備をいたしました個所が一万二千五百五十五カ所となっております。この間に整理統合されました踏切道の数は七千三百四十五カ所にのぼっておりまして、この結果、昭和三十六年には七万七百三十八カ所ありました踏切道が、四十一年四月一日現在で申しますと、六万一千三百八カ所に減っております。保安設備のない踏切、第四種の踏切も六万一千百二カ所から四万一千七百六十四カ所に減少しておるのでございます。踏切道改良につきましては今後ともこれを強力に推進していきたいと考えておりますが、促進法によるものといたしましては、昭和四十一年度以降五カ年間に、立体交差化約六百カ所、構造改良二百五十カ所、保安設備改善整備が六千九百五十カ所、こういう改良計画を現在遂行しておるところでございます。  また、これまでに促進法によりまして指定いたしました個所進捗状況を申し上げますと、立体交差化につきましては、国鉄、私鉄合わせまして七六%の完成率でございます。それから構造改良につきましては九四%、それから保安設備整備につきましては八五%でございます。このうち古く指定いたしましたものはほとんど完了いたしておりますが、立体交差化等の経費の非常にかかるところ、用地の買収の非常に手間どっておるもの、こういうものがございますので、立体交差化につきましては進行率がやや低くなっております。  なお、昨年の十一月におきましても第四次の指定をいたし、また今年の四月一日に追加指定で百二十五カ所ばかりを指定いたしました。これが遂行に万全を期したいと考えている次第でございます。
  16. 久保三郎

    久保委員 いまお話しのパーセンテージでありますが、これは計画に対する進行パーセンテージだと思うのですが、そうですね。
  17. 増川遼三

    増川政府委員 法律に基づきまして指定をした個所進捗状況でございます。
  18. 久保三郎

    久保委員 それは指定に大体合っているというか、それに近いものが実際的に改良されているということであって、私の質問申し上げているのは、全体の踏切改良をどの程度促進しているのか、三十七年の八月にこういうりっぱなものをつくっていたんだが、それに合っているかどうか聞いているわけです。だから、資料はあるいはお持ちになってないと思うので私先ほど申し上げたようなわけでありますが、少なくとも今回南海鉄道事故に対してとらるべきものは、法律や何かをいじくる前に、予算措置をどうするか、それから大幅にやるのにはその財源をどういうふうに求めていくのかということが、一番問題だと私は思っているのであります。ただ指定された個所数に対してでき上がったのは何%と言われても、それは別に悪いことではございませんけれども、指定の数をしぼっていけば、——立体交差の例でもいまお話のありましたように、その指定をしたがそれに対してさらにどうもかんばしくない成績だ、それは言うならばやはり金の問題が裏にあるわけであります。だからそういうものをどうしたらいいかというのには、単に指定をどうするとかこうするとかじゃなくて、言うならは、繰り返し申し上げますが、予算をどうするかということで、積極的な前向きな方策を考えない限り、どんなりっぱな整備計画を出しても、これはだめだ。だから、むしろ本気に政府がやるとするなら、いまの踏切道改良促進法、その中で、いま御発言があった指定の問題、これに対しては政府が全面的に責任を持つという法体系に改めることが必要であります。それから、五年間なら五年間の計画は、これはやはり政府においてオーソライズされなければならない。単に運輸省あるいは鉄監局の五カ年計画であったんでは、これは何にもならぬと思うんですね。だから、二つのいわゆるポイントを置いて促進法に息を入れてやる、こういう必要が私はあると思うのでありますが、それは鉄監局長どう思っていますか。いまの促進法に対して、五カ年計画政府において資金的にもオーソライズされるように法的に整備することが一つではないかと思うんだが、その点はどう思いますか。
  19. 増川遼三

    増川政府委員 ただいま御指摘のとおり、資金的な面で非常に苦しい点はわれわれも認めておるところでございます。したがいまして、促進法に基づきますものにつきましては、これはぜひとも完遂をしていただくと同時に、それ以外につきましても十分計画を立てまして、国鉄並びに私鉄各社、それぞれ踏切道整備については強力に措置を行なっていただくという強い信念を持ってやっておるわけでございますが、このたびの事故を契機にいたしまして、運輸省だけでなく、総理府の交通対策本部を中心といたしまして、目下新たに対策を練っておるわけでございまして、ごく最近のうちに踏切事故防止緊急対策要綱を確立いたしまして、これに対しましては応急対策並びに恒久対策というものを盛りまして、これに対する実際の行政指導を行なうとともに、今後の計画に対する国としての助成措置というものもはっきり確立していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 久保三郎

    久保委員 この種の予算案を見ますと、私鉄に対しての助成でありますが、踏切対策として保安設備整備については三千二百万円ほど出そうということでありますが、その中身は、四種から三種に直すものが六十四カ所、四種から一種にするものが十九カ所、そういう対象をあげて、いま申し上げた三千二百万程度の助成金を組んであるようでありますが、これはこの程度で——この程度というか、大体この六十四カ所、十九カ所というようなものは、全体から見れば、これはまことに少ない数だと思うのでありますが、これはどういう観点からそういう数字を出してきたのか、それをひとつお伺いしたい。
  21. 増川遼三

    増川政府委員 ただいまの補助金は、赤字会社及び準赤字会社に対しまして国が保安設備整備費用の三分の一を補助するということで算出したものでございまして、非常にわずかのものでございます。  その他の一般の私鉄に関しましては、今回の予算折衝に際しまして、開銀の融資によりまして助成をいたすということに相なっておりまして、四十二年度の私鉄関係立体交差化につきましては、工事費が二十三億一千六百万円、踏切保安施設整備につきましては十四億三千六百万円、なおATSその他の運転事故対策費といたしまして六十五億四百万円、以上合計いたしまして、保安対策費といたしましては百二億五千六百万円、こういった工事費を計画しておるわけでございまして、この半額に当たります約五十億円を開銀から融資を仰ぐ、こういう考えでございます。また、本年度から開銀の融資金利を従来の八分二厘から七分に引き下げていただくということもきめてもらっておりますので、これによりまして私鉄関係計画整備は大体順調にはかどるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  22. 久保三郎

    久保委員 話が前後しますが、国鉄、私鉄を問わず、踏切道改良については、いままで促進法を中心にしてやってきたのでありますが、やや最近、報告があったような形で整備されたものも出てきたので、それぞれの事業計画の中では、だんだん踏切対策費というか改良費というか、そういうものは、私鉄の場合でも国鉄の場合でも、少なくなってきている傾向ではないかと思うのだが、これはどういうふうになっていますか。
  23. 増川遼三

    増川政府委員 私鉄関係で申し上げますと、四十二年度におきましては、輸送力の増強その他の高架、乗入れ、そういった工事及び踏切関係、保安等の経費、これを総合計いたしますと、総工事費で三百十億ばかりの計画に相なっておるのでございますが、このうち、立体交差化踏切及びATSその他の保安対策、こういったものにつきましては、先ほども申し上げましたように、約百億の経費を計上しておるわけでございまして、全体のうちの三分の一は保安対策費だというふうに考えておりますので、決してこれを軽視しているものではないと考えております。
  24. 久保三郎

    久保委員 数字のことだからよくおわかりにならぬかと思いますが、昨年度に比較して四十二年度、新しい年度としては多くなっているのか少なくなっているのか、それはわかりますか。大体われわれの感じとしては、少しダウンぎみのように見ておりますが……。
  25. 増川遼三

    増川政府委員 従来の実績から見ますると、三十九年度から四十一年度までの三カ年におきまして、保安工事関係は合計で二百二十七億でございます。年平均いたしますると、七十億余りでございます。これに対しまして、四十二年度は約百億でございますので、従来よりももっと積極的に取り組んでおるという姿になっております。
  26. 久保三郎

    久保委員 そのこまかい数字はあとで出していただきたいと思うのですが、よけいになっていればそれだけ熱心かと思うのでありますが、しかしその数字だけではおそらく当面する世論にこたえることは私はなかなかむずかしいと思うのです。そこで、これは閣僚会議にお出しになるのだろうと思うけれども、すでに予算はいま、国鉄を含めて審議中でございます。でありますから、今年度さらにやるとすれば何がしかの補正をするなり、予備費の中から回してもらうというようなことになると思うのでありますが、閣僚会議に行く中身については発表ができぬそうでありますから、気持ちとしては、まず第一に予算措置はどんなふうに考えておられるのですか。
  27. 増川遼三

    増川政府委員 従来の計画をさらに相当促進するという姿に今後の対策を持っていきたいと考えておりまして、それに見合う予算関係につきましては、十分なる御理解をいただきまして、必要に応じまして対策費の増強をお願いする考えでございます。
  28. 久保三郎

    久保委員 いままでいろいろ御答弁もありましたが、言うならばこの問題を解決するのには非常な決意というか、そういう決意と、これを裏づけする予算的な措置がなくてはならぬと私は思うのであります。  そこで、大臣はおりませんで政務次官いらっしゃるけれども、一大決意という場合には、法律などの修正あるいは少しばかり要綱を変えてみても、これはものにならぬと思うのです。だから、この際やはり、五カ年計画というのがあると思うのでありますが、これを五カ年という長い期間ではなくて、もっと短かい期間に一ぺん直して、徹頭徹尾やってみる、こういう必要があると思うのです。いままごまごしていると、おそらく、踏切の数を減らせばいいのだということで、無人踏切というか第四種の踏切を整理統合というところへばかり力点が行って、その他の第一種にしてもあるいは第三種にしても、整備が行き届かぬ、立体交差もなかなか思うようにいかぬ、しかし踏切は整理統合で少なくなりましたというようなことに最後にはなってくるのではなかろうかという心配をしているわけです。だからそういう点も十分考えてやるべきだと思うのでありまして、どうも七日過ぎないといろいろな線が出ないようでありますが、私はそういうふうに思っております。もしも法律的に国民に約束するならば、いまの踏切道改良促進法では約束にはならぬ。なぜならぬかというと、南武線事故もあったし、最近ではいま問題になっている南海電車の問題もあった。だから極端な言い方をすれば、いまの法律では防げなかったということに実はなるわけであります。だから、どうしてもその法律を中心にして考えるならば、鉄監局なりあるいはその他のところで立てた計画が着実に実行されるという保証がない限りは、どんな法律をつくっても大した意味はない。補助金を多少赤字会社の私鉄に出すとか、指定されなくても、これをやりなさいと言われなくても当然やらなければならないような計画を、鉄監局が先頭に立ってやったらどうか。しかしそれは金がかかって技術的にもむずかしゅうございますから立体交差はだめだといったら、指定したができなかった、できなかったらあとで事故が起きた、こういうような悪循環を繰り返すのではなかろうかと私は思うのであります。そういうことであってはもはや何事もできないのでありますから、法律的にどうしてもやるというならば、いまの促進法の中に、先般申し上げたように、政府がすべて責任を負う、計画もその裏づけになる予算も全部責任を負いますという保証がない限りは、私はうまくいかないだろうというふうに思う。これは要望でありますから申し上げておきます。  それからもう一つ申し上げたいのは、この南海電車の事故原因一つになるかどうかわかりませんが、踏切道というか、その交差点で、あるいは前後の取りつけ道路そのものが、何かでこぼこしていてどうもぐあいがよくいっていないという新聞記事があります。われわれもときたまそういう踏切を見受けます。踏切を渡る板が半分欠けていたり、そこのまん中に穴があったりというようなことはしょっちゅうありますが、そういうところで問題を起こすということがあるわけであります。しかもその前後の取りつけ道路というか、そういうものの改良くらいは、日常の踏切道の維持管理のために当然やらなければならぬ仕事だと私は思うのであります。そういうものについて、いままでもやっているか知らぬが、人手のないところではたいへんだと思うが、思い切ってもう一ぺん踏切の査察をしたらどうか。この際だから全体的に踏切の査察をする、そうして洗いざらい全部踏切の問題点を出してきてやっていくということも私は必要でないかと思うのだが、そういう考えはあまりありませんか、どうですか。  それから時間もありませんから続いて申し上げますが、交通事故は、運輸省で担当するのは陸海空でありまして、ほかの自動車その他の事故のほうが事実としては多いのであります。それらの問題は、すでにもはや三回も連続して去年やった。しかしそれに対して保安対策というか、万全を期すための対策は十分であるとは言いがたい実態。それから海のほうでも、ついこの間イギリスの近辺の海洋において巨大なタンカーのいわゆる海難があった。そのためにえらい国際的な問題というか、公海上における問題ではあるが、イギリス自体はたいへんな騒ぎである。これはよその国のことじゃなくて、日本自身にも巨大なスーパータンカーが出たり入ったりしているわけだ。これに対しても安全対策が十分とられているかというと、これまたそうではないということは御案内のとおりであります。そういうことを考えると、単なる南海電車の踏切事故ばかりではなしに、あしたと言わず今日ただいまでも、陸海空三方面から交通戦争がしかけられる。これに対しては無防備にひとしいというのが日本の現状ではないだろうかと私は思うのであります。これはさっき申し上げたように、何か事故が起きたときにぴょんと飛び上がる。衝撃を与えると飛び上がってしまうが、落ちてきたとたんにあしたのことは忘れてしまう、こういうことなんですね。だから、これは一様には言えないと思うのでありますが、運輸省だけの力あるいは政府だけの力ではできない面もあろうかと思うのでありますけれども、少なくとも政府が真剣に姿勢を正すということでこの問題に取っ組まない限りは、どんなものができようとも私はうまくいかないと思うのです。だからここでお聞きしますが、運輸省にはそういう事故を専門に扱う部局がございますか。航空局の事故は航空局、海のほうは海運局あるいは海上保安庁、鉄道のほうは鉄監局、こういうふうに分かれておるのだろうと思うのでありますが、もはやそんなに分かれて論議したり仕事する段階ではなさそうに思います。せめて運輸省だけでも陸海空全体についての交通事故に対する対策、そのための対応する機関、組織、そういうものをやはりこの際はつくっていくべきだと思うのです。そうでないと、たとえば、話は飛躍しますが、小さい船に満載喫水線をつけるという問題一つとりましても、なかなかこれは同じ運輸省の中でも問題が出てくる。海運局と船舶局、海上保安庁と海運局。今度も思い切ってタンカーの海水汚濁の問題を提案する運びになりましたが、これだって海運当局からいえば、どうも好ましくないような空気が出てきておる。そんなことで事故が防げようはないのです。だからそういう点も考えて、組織の面でも考えるべきじゃなかろうかと思う。運輸省自体が各局で背中合わせになっているようでは、残念ながら陸海空の事故は防げないのではないか、こういうふうに思うので、そういう組織に対しての対策は考えているかどうか。
  29. 金丸信

    金丸政府委員 ただいまの久保先生の御質問、全く私も同感でありまして、問題は予算等の問題につきまして、なかなかわれわれが考えておるほど予算がつかないという面もありまして困難性があるのですが、一日も早くこれを解決することは当然のことだと思うわけでありますが、先ほど全線にわたる踏切の査察をやってみたらどうだ、こういうお話、まことにごもっともな、一番金のかからないまず第一の方法で、一番最悪のところは速急に手をつけなければならないだろうということもありますし、それにつきましては前向きにひとつ再検討して、大臣にも報告して、やるような方向へ持っていきたい、こう考えておる次第であります。  それから陸海空、この問題につきまして、事故はもう至るところにころがっておるというお話をお聞きいたしまして、まさにそのとおりであろうと思うわけであります。大きいタンカー等が入ってきた、これが爆発したらどうなるのだろうというようなことを考えてみますと、消防艇も満足にはないというようなことも考えてみますと、こういう問題についても対処しなければならないということも考えなければならぬわけであります。そういう意味で、いろいろ御意見を承りまして、私もその意見をもっともに思うわけであります。ただ陸海空別々に各局、各局で事故の問題については当たっておるのであろうというようなお話でありましたが、この問題につきましては、官房の開発課が全部扱っておるようであります。なお詳細につきましては官房長から御報告いたしますが、せひひとつ、踏切の問題につきましては、先ほどのお話のように、前向きで解決していきたいと考えております。
  30. 町田直

    町田政府委員 ただいま政務次官からお答え申し上げましたが、交通安全に関する運輸省全体のやり方といたしましては、昨年の夏に交通安全及び交通災害対策本部という、訓令でつくりました、一応省内としての組織がございます。事務次官を本部長といたしまして、そういう本部をつくっております。御指摘のように、それぞれの陸海空の災害あるいは交通安全というものにつきましては、それぞれの所管でやっておりますけれども、お話がございましたように、調整したり、あるいはここが中心になってやらなければならない、たとえば海水汚濁の問題というようなものがございますので、そういう問題は官房のこの本部が中心になってまとめていくという形をとっている次第であります。
  31. 久保三郎

    久保委員 官房長、対策本部というのは私の質問に対する答弁ではない。対策本部というものはどういうものかわかりませんが、事故があったときに、それとそれぞれ連絡調整するということでありまして、たとえば海水汚濁の問題は、これは事故に直接関係はないのですが、開発課でおやりになるということは、これはそういう二つくらいにわたるところでやって、開発にも関係あるということでしょうが、私が言うのは、事故という名のつくものは運輸省のここでやる、全部ここでこなすのだという、事故防止対策課でもいい、そういうところで一ぺんやらなければ、全部各局で持っているものを取り上げなければ、おそらくうまくいかないだろうと言うのです。なぜならば、運輸省の性絡そのものが、最近は向きがだいぶ違ったと思うのですが、いうならば認許可を当然するところですね。そうすると、それは本来ならば企業者側のサービス官庁です。事故防止というのは、企業の利益追求から見ると、これはマイナスです。うしろ向きなんですね。だからうしろ向きの政策をそこにくっつけること自体がどうも前進しない原因でもある、そう私は思っている。だからそういうマイナスだと思われるようなものは全部取り上げてしまう。そこで官房なら官房で、どこかでこれは強力にやっていくということじゃないと、なかなかむずかしいのではなかろうかと思うのです。そういうことが一つであります。これはそうする必要がある。もしも運輸省が国民大衆の生命と財産をあずかる唯一の省であるというふうな誇りと自覚を持っているとするならば、私はそのとおりだと思う。もっとも企業者の仲間であり、これを保護育成する官庁であるということならば、いままでどおりでけっこうだと思うのであります。そうではないという時代の認識をするならば、私の提案どおり考えていくべきだと思うのです。別に押しつけはしません。しかし、私はそう思う。  それからもう一つ、いま国会の中では、御案内のように、交通安全対策特別委員会というのがございます。私のほうは公約に基づきまして、すでに要綱はできまして、いま法案の作成段階でありますが、まず第一に交通安全基本法案なるものをいま策定中であります。大体の試みというか、腹案ができますれば——要綱はできましたが、さらに手直しをいたしまして、それぞれの機関に出していくわけであります。その中でいうならば、いま申し上げたようなものも基本法の大きな柱として私は必要だと思っておる。何にしても、事故に対する国の責任、企業者の責任、それから単なる政令や何かで縛っておくような安全の基準というか、そういうものではなくして、やはり基本法として、政府も国民もその中でそれぞれの分野において事故を防ぐというものを、この基本法の中にひとつ盛り込んでいこう。もちろん基本法だけでは具体的には推進しませんから、六つか七つのいわゆる関連法律は同時にそれぞれの機関に出していきたい、こういうふうに思っておる。ついては、交通安全基本法というのは、もちろん運輸省だけの問題ではありません。なんぼ陸海空といっても、これは警察庁の仕事もある、建設省も、厚生省も、文部省もある。そういうことでありますから、一がいに言えないと思うのですが、運輸省の中では、そういう交通安全基本法、それに関係する法律、そういうものをこの際、制度としてきちっとしていかねばならぬという考えはあるのかないのか、参考のために聞かせてほしいと思います。
  32. 町田直

    町田政府委員 ただいまのお話の前段でございますけれども、交通安全及び交通災害対策本部というのは、事故が起こりましたときにつくっておりますものではございませんで、訓令でございますけれども、恒久的な形でつくっておるものでございます。ただ御指摘のございましたように、各局で持っております安全対策を全部取り上げて官房でやる、こういう形にはなっておりません。それは御承知のように、各局でやっております仕事それ自体が、事業に対する補助とか行政指導その他ございますと同時に、やはりそれに密着した安全対策あるいは災害対策というものもございますものですから、それを全部取り上げるということも組織的になかなかむずかしいという点もございますので、そういう形にはなっておりませんけれども、いろいろ調整をいたしましたり、あるいは各局だけに単独に所属しておりませんものをやるという形でやっておる次第でございます。いま御指摘のありましたような方向で考える必要も十分ございますと思いますので、お話の点今後検討させていただきたいと思います。  それから交通基本法というようなものでございますが、総理府にございます陸上交通安全調査室が中心になりまして、陸上交通につきましての交通安全基本法というような考え方をいま練っておる最中でございます。私ども当然運輸省といたしましてそれに関与いたしまして、相談をいたしておるという段階でございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 官房長、いまの総理府でおやりになっておるのは、陸上交通安全基本法なるものを考えておる、こういうことですね。ところが、なるほど陸上の交通事故というのが非常に多いことは事実でございます。交通戦争の八、九割をこれでとっておる。ところがいわゆる海空のほうもかなり最近は深刻になってきた。交通安全といえば大体三者の領域を合わせたものだということだと私は思う。だから当面する陸上だけの考え方でもたいへんだと思いますが、この際基本法をつくるというならば、陸海空全体の領域を含めた安全対策でなくちゃならぬ。というのは、航空法一つとっても、安全対策というものが航空法の中に逃げ込んでいる。航空法でそういうものが逃げられておる。海のほうもそのとおりですね。そういうものを考えると、やはり陸海空三者を一体としたものの基本法でなければならぬ、こういうふうに思うわけです。いかがですか。
  34. 町田直

    町田政府委員 まことに御意見ごもっともでございます。ただ陸海空一緒にした一つの交通安全基本法という体係がよろしいか、あるいはそれぞれ別途のものでいったほうがいいかという点については、まだいろいろ問題はあると存じますので、運輸省といたしましても十分検討させていただきたいと思います。
  35. 内藤隆

    内藤委員長 細田吉藏君。
  36. 細田吉藏

    ○細田委員 今回の事故原因は目下おそらく調査中じゃないかと思うのですが、おわかりであればひとつお答え願いたいのです。  その一点は、トラックが線路の上にとまった。それからぶつかるまでの間の時間がどの程度あったか。おそらく、これは三種ですからベルが鳴るわけですが、鳴るよりも前に自動車が線路の上にとまっておったのではないかと、私は新聞記事その他で想像しているのですが、鳴り始めてから乗っかったとすれば、これはたいへんなことになるのですが、その辺が、おわかりになったら、あとの質問にちょっと関係ありますので、先にお答えいただきたいと思います。
  37. 増川遼三

    増川政府委員 現在関係者が警察のほうに逮捕されまして取り調べを受けておる最中でございますので、私どものほうの係官が直接質問することができなかったわけでございます。したがいまして警察当局を通じまして聞きましたところによると、現在のところでは、警報が鳴り出す前に踏切道に入り込んだものというふうにいわれております。
  38. 細田吉藏

    ○細田委員 先ほど来の久保委員の御質問、質疑応答の中にもいろいろ出ておりますが、これはおそらく第四種を第三種に格上げをして設備を改良された、こういうものだろうと思うのです。ところが第三種というものは、なるほどそれを横断しようとする車にとっては、列車が来ますよ、こういうことを知らせるわけだ。ところが逆に電車の運転をしておる側からいうと、自動車が線路を支障しておりますよということは、見るまで全然わからないわけだ。そこにこの種の事故が非常に大きな結果をもたらしておるわけですが、ここのところをよく考えないと、何ぼでも起こる可能性がある。ことに列車がスピードアップしております。幾ら踏切をよくするといっても、全部有人踏切にするわけにいかない。三種というものがどうしても大部分になると思う。そうなりますと、線路に支障を及ぼしておる、そのため事故が起こったというのは、これまでも非常にたくさんあったと思う。今後これは幾らでも起こる可能性がある。しかも、先ほど来話が出ておりますように、踏切の状態が悪ければエンストを起こす可能性がある。そうでなくても、鉄道線路を横切る場合に勾配が前後にあるというのは普通です。何万と国内にある。したがって、自動車がとまる可能性というものは非常に多い。そこで、要するに防護といいましょうか、やや専門的なことばで恐縮ですが、これについて徹底的な措置を今後考えないと、幾ら踏切を直してもだめなんです。その点について、これも私詳細なことはわかりませんけれども、すでに川崎の南武線事故があったときにもこういう話が出ておったのだが、そういう防護を、つまり自動車が線路を支障した場合、それに向かってくる列車、電車、そういうものに対する防護の器具などは持たせることにたしかなっておったはずだと思うのだ。たとえば旗であるとか、雷管であるとか、発煙筒であるとか、どれが適当かは別としまして、たしかこれは持たせることになっておったはずだと思うのですが、これは全然何も持っておりませんか。今度の場合、防護は何もしておりませんか。
  39. 原山亮三

    ○原山政府委員 営業用のバスとかそれからトラック、そういうものにつきましては、「踏切警手の配置されていない踏切を通過することとなる場合は、当該自動車に赤色旗、赤色合図燈等の非常信号用具を備えなければ、旅客の運送の用に供してはならない。」こういうふうになっておりますので、今度の場合でも、こういう踏切警手のおらない踏切でございますので、当然こういう非常用の信号用具を備えつけておく必要がございます。
  40. 細田吉藏

    ○細田委員 備えつけておくというのは、自動車が持っておるという意味ですか。
  41. 原山亮三

    ○原山政府委員 さようでございます。
  42. 細田吉藏

    ○細田委員 それを営業用に限られたのはどういう趣旨ですか。自家用だって線路をじゃまするのは同じことですが、その辺はどうお考えです。
  43. 原山亮三

    ○原山政府委員 いままでの考え方は、特にバスの場合には旅客を多数運送いたしますので、そういう旅客を保護するという意味でございまして、それでトラックの場合におきましては、従来は非常に大きいトラックあるいは重量のダンプが非常に少のうございましたから、営業用についてのみ規制いたしておりますけれども、御指摘のように、自家用につきましてもそういう必要性が出てまいりましたので、今後保安基準の面におきまして改正等を検討してまいりたいと考えております。
  44. 細田吉藏

    ○細田委員 そこは非常に大事な問題なんです。いいですか。バスというのは乗客がよけい乗っておるからということでありますが、そうじゃない。鉄道のほうがひっかかるのだから、じゃまするのは自家用だって何だって同じなんです。ですから、これは早急に改正をしてください。つまり、自動車は一たん踏切では停止せよ、じゃんじゃん鳴っておったら横切るな、みんな自動車のことは言ってあるけれども、上に乗っかってくる汽車のほうは考えてない。ですから、全面的にその点を、今度の場合の——今度だけではありませんけれども、この教訓を生かして、これを徹底的にやってもらわなければならぬ。この種の事故は多いですよ。今後何ぼ起こるかわからないほど非常に大きな問題をはらんでおるということです。これまでも言われておることですけれども、これはぜひ考えていただきたい。  それから、このごろは大事に至らぬことが多いですけれども、小型なんかについてどこまで考えるか、これも早急に技術的に検討して、小型も考えていただかなければいかぬ。  それからもう一つは、今度の場合持っておっただろう、こういうお話ですが、実際は、電車にとまっているぞといって通告をした、通知をした、あるいは線路をかけ出してどうこうしたということも、どうも新聞を見ますとあまりないようでございますが、持っておっても、何も使わなかったということのようです。これはこの前にも私は申し上げたことがあると思うのですが、自動車の免許をとりますときに、道路交通法の規則やら、その自動車のいろいろ専門的な知識も必要ですけれども、踏切に対する教育というか、そういうものをぜひ強化してもらいたい、こういうことを、私はいつか何かの事故の際に申し上げたことがあると思うのだが、これはもう結果が大きいですからね。今度の死傷者の数を見てもわかるように、大きな結果をもたらすのですから、踏切というものに対して、自動車の免許証をくれるときに、もっと徹底的な教育をしてくれぬと困ると思うのだが、この点についてひとつ運輸省をして、特にこれは警察庁のほうと御連絡をとって、徹底的な教育をしてもらわなければならぬ。今度は雷管や旗を持っていても、何も使わない。極端に言えば逃げちゃうというような無責任なことになったら、たいへんなことになる。こういう点についてぜひお考えをいただきたい。これは大切な問題ですから、今度の事故原因をいろいろ調査して、やはり一番のポイントはそこにあると思いますから、この点十分お考えをいただきたいと思うのです。政務次官、ひとつ……。
  45. 金丸信

    金丸政府委員 ただいまのお話、まことにごもっともであります。十分事故原因を究明いたしまして対策を講じたいと考えております。
  46. 内藤隆

    内藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会