運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-10-18 第52回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年十月十八日(火曜日)委員会におい て、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  消防に関する小委員       大石 八治君    大西 正男君       奥野 誠亮君    亀山 孝一君       久保田円次君    和爾俊二郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    吉田 賢一君  消防に関する小委員長                 大西 正男————————————————————— 昭和四十一年十月十八日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 和爾俊二郎君    理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君    理事 細谷 治嘉君       大西 正男君    亀山 孝一君       登坂重次郎君    永山 忠則君       藤田 義光君    村山 達雄君       山崎  巖君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    安井 吉典君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 塩見 俊二君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (給与局長)  尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       上村千一郎君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵事務官         (主計官)   秋吉 良雄君         自治事務官         (行政局長)  長野 士郎君         自治事務官         (財政局長)  細郷 道一君         自治事務官         (税務局長)  松島 五郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 十月十二日  委員島村一郎君及び周東英雄君辞任につき、そ  の補欠として久保田円次君及び永山忠則君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与改定に関する問題等)      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公務員給与改定に関する問題等について質疑の通告がありますので、順次これを許します。秋山徳雄君。
  3. 秋山徳雄

    秋山委員 先般の当委員会におき産して質疑を重ねてまいったわけですが、そのときには人事院総裁もお見えになっておりませんので、当時お見えになっておらない関係部分について、再度質疑を続けてまいりたいと思います。  人事院勧告が出されましてからすでに六人委員会を通じ、あるいはまた閣議決定がなされたという報道がなされております。特にまたそれに関連をいたしまして、参議院におきましては、総裁政府閣議決定については、非常に強い不満があるようにも報道がなされておりますし、その中で、特にまだ残された道は議会での修正前例もあるんだというふうなことをおっしゃったという新聞記事があるわけですけれども、それらにつきまして、なるほど総裁は確固たる信念を持って公務員のことごとについて対処してくださっておる、こういうふうに私は理解をいたしたのでありますが、先般あなたの代理の方がお見えになりましたときにはそれほど強くは発言がなされておりません。したがって、私どもはその新聞報道を見まして非常に心持ちを強くするわけでありますが、総裁といたしましては、今日におきましてはどういう勧告の処理に対しましての心がまえと申しましょうか、そうしたお考えがありますか。この席でもう一たび御答弁がいただければ幸いだと存じます。
  4. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のとおりに、私ども勧告につきましての従来の上実績を見ますと、最近においては、まあ幸いにして内容についてはそのまま取り入れられておりますけれども、遺憾ながら実施期日の面においていつも切り下げられてまいっており、私どもとしてはやはり四月調査の結果における官民比較を追っかけて埋めようという立場でありますから、少なくとも五月にさかのぼっていただかないと筋が通らぬというたてまえでおります関係から、この実施期日が切り下げられることは非常にわれわれとしては遺憾と申しますか、残念と申しますか、まことに困ることなんで、せめて、ことしは例年に比べますと率も予想外に低かったといわれているぐらいに低い率で、したがって、財源も、全体から見ると去年とほとんど変わらぬ財源だということがございまして、ことしこそはもう絶好のチャンスではないかということで、例年やっておりましたけれども、ことしは特に努力をいたしまして、関係の閣僚の皆さんにもじっくりすわり込んでお話をしてまいったのでありますけれども、残念ながら内閣段階においては先ほどお話しのようなことになりまして、われわれとしてはことしは特にそのショックが大きかったわけです。ちょうど参議院のあの社会労働委員会の日は、その閣議決定のあったすぐあとでございまして、たいへん私もショックで、多少動揺もしておったということで、八つ当たりがましいことも申し上げたりして、いまから思いますと、たいへん恥ずかしいこともありますけれども、しかしそれは別でありまして、この勧告実施期日の面において、どうも内閣段階においては、われわれの理想の段階にいっておらなかったという点についての遺憾の気持ちは、今日少しも変わりはないわけです。したがって、いまのお尋ねになる点でございますが、参議院社労で申しましたのは、これはもう国会の諸先生方にあらためて申し上げるまでもないことでございますけれども、私どもとしては内閣段階でまだあきらめたとはいえない立場にある。すなわち私ども給与勧告は、衆議院議長参議院議長、すなわち国会にもすみやかに適切な措置をとられんことを切望すると書いてお出ししてあるのですから、まだ国会に対する勧告がものをいうのはこれからの段階である。何もここで落胆してしょげ返るには及ばぬだろうという気持ちを持ち続けて、最近は、いろいろな委員会においてそういうお尋ねがありますたびに、国会に対する勧告も忘れないようにということを念を入れて申し上げておるわけです。したがって、国会に対する勧告に対して、国会がどういう御処置をとるか、これは唯一の立法機関としての国会の機能というものが全面的に働きます。一々こういう方法もありましょう、ああいう方法もありましょうということを、われわれ部外者の分際で申し上げるのはかえって失礼な話で、あらゆる国会の権能をお使いになって、私ども勧告趣旨が実現するようにお計らいいただきたいということがわれわれの願望であります。
  5. 秋山徳雄

    秋山委員 私はまだ一年生でありますので、従来の長い国会の歴史の中でいろいろ調査を進めておらないわけですけれども、先般の参議院での御答弁の中には、前例があるというお話であったように記憶しておりますが、もしそうでありましたならば、そのときの状況がわかっておりましたならば、いつ、どういう形で、どういう意見のもとに立って国会修正がなされたか、お示しをいただければ幸いだと思います。
  6. 佐藤達夫

    佐藤説明員 従来いろいろなケースがございますが、俸給表関係で御修正になった例が、私どもの調べた範囲内において少なくとも三回はございます。大体は初任給政府原案よりも上げるという修正をしていただく、昭和三十一年の勧告に対する関係一つ、それから昭和三十五年の勧告に対するものが一つ、それから昭和三十七年の勧告に対するもの、大体俸給表関係ではその三つがおもな御修正実績だろうと思います。そのほかに、たとえば俸給表の形を教育関係でいいますと、三本立ての俸給表ということにいまなっておりますが、そういうことは国会の御修正でなされておるわけであります。そういう意味修正が、そのほかにも二、三ございます。
  7. 秋山徳雄

    秋山委員 いま御答弁にありましたように、過去三回にわたって国会修正もしたという事例は、私はとうとい慣例の一つではないかとも考えられますし、それほどまた国会先生方も熱心にこの問題と取り組んで、与野党を問わず、かなり力強い発言努力によってなされたものと了解いたします。そういうことを通じて考えましたときに、ことしはちょうどILOの八十七号条約批准がなされて最初の年でもありますし、そういうことを考えましたときに、なお一そうそうした感が深まってくるわけでございます。特にいま総裁から言われましたように、ことしは前年に比べてみて非常に低い勧告でもあるし、同時にまた、政府の中においてもいろいろ出費はありましょうけれども、現在予測されておるもののうちでは、さほどでもなさそうな気もしないわけでもありません。そういうことごと考えてまいりますと、私ども考えからすれば、当然そうしたことも考慮に入れてこの問題と取り組んでいかなければならないような気もするわけであります。同時にまた、いま世間でいろいろ起こっておることの中に、二十一日には、いろいろな関係で昨年はできなかったと称される自治労すなわち地方自治体に勤務をしておる方々、こういう人たちまでもが、ことしこそはどんなことがあっても実施をしてもらわなくてはという意欲に燃えて、いまストライキ——ということばはあまりいいことばではないとは思いますけれども、しかも自分たちが禁止をされておる中において、これをあえて決行しなければならない、こういうことになってまいりますと、この熱意というものも非常に高まっているのではないか、こういう気がするわけであります。その中で、自治省公務員課長である森清さんは内簡というものを出しまして、各府県を通じて市町村にまでこれを浸透させる、特にこの問題については全員が一人一人、ストライキをやるかやらないか、それに参加をしたほうがいいか悪いか、こうした投票を行なう、そういうところがかなり本年は多く見受けられたと思います。その中において、各地においてはこの問題を中心として、その投票そのものがけしからぬ行為である、ストライキに通ずるものである、こういう理解のしかたが自治省の中にあるようであります。同時にまたこれに対して、各単位組合に対しても、市町村長なりあるいは府県知事なりがかなり力を入れて、この行為もいけないんだ、ところによってはそういう投票を行なわせたということについて処分もしなければならぬ、こういうふうな声もあるところもあるわけであります。私が知っているところでも、かなりこの問題がこじれて、市町村長やあるいはそこの単位組合とかなり大きなもつれが現在出ているところすらあるわけであります。こういうことを考えてみたときに、やはり小さい町村においては公平委員会などで取り上げようともしませんし、あるいはまたそこに現在の段階ではあまり強く訴えてもいかない、こういうふうなことごとがありまして、そのつど、それでは議員バッジをつけている者がわからない市町村長知事部局に対していろいろ説明をしてもらいたい、こういうふうなことも間々起こっておると聞いております。そういうことになってまいりますと、これはどこからどこまでが不当行為なのか、そういうことも何かわかりにくくなってまいりますし、ところによってはこの問題とからみ合わせて、専従職員の申し出があっても三月も四月も延ばしておるのを幸いとして、これもこの問題とからみ合わせてものを考えていく、こういう市町村態度すら出ているわけであります。こういうことごと考えてみますと、何かILOの八十七号条約批准をしたために、より以上組合員には不便、不利益があるのではないか、こういう考え方も出てくるのじゃないかとも思います。これらを総体的に考えられて、人事院人たちが、各府県人事委員会に向かってどういう態度を現在とりつつあるのか、こういうことについてもひとつお知らせをいただければ幸いだと思います。
  8. 佐藤達夫

    佐藤説明員 問題は、私ども人事院地方人事委員会との関係ということになりますが、これは地方自治のたてまえを貫いて制度ができております関係上、はなはだ——われわれとしては、ちょっともう少し何とかならぬかというような気持ちを抱く場面もございますけれども、これはさい然と分野が区別されておりますから、指図がましいことも、その他の口出しは一切できない。たとえば人事委員会連合会の総会がありますと、私はお客分としてそこへ出てごあいさつ申し上げる。そのほか事務的には、給与調査その他地方人事委員会人事院と一緒にやっております。いわば地方人事委員会にお手伝いをお願いしておるというような関係はございますが、そういう意味の連絡はございますけれども指導なり指図がましいことは一切できませんし、また差し控えておるというわけであります。
  9. 秋山徳雄

    秋山委員 大体総裁のお考え方もわかりましたけれども、なるほど法の上では区別があるのは間違いありませんが、いま地方人事委員会組織の状態などを見てまいりますと、ところによっては人事課長委員になっておったりなどしているところもあるわけであります。こういうことになりますと、自治省指導も何か非常に欠けている気がするわけであります。特にそういう時期でありますので、人事院考え方についても、どういう形でかは別として、何かそういった意思表示をしてもらう必要があるのじゃないか、こういう気もしないわけでもないわけです。もしそうでないと、自治省指導が片寄ってしまって、先般の公務員課長の内簡になってみたり、あるいはそれをより上回っていろいろな施策が行なわれたり、先ほど申し上げましたように府県人事委員の選出の場合においても、いま申し上げましたような人事担当知事部局の人が人事委員になっておる事例すらあるわけなのであって、これを是正するには一体どこでどうしたらいいかということも、こういう機会にこそ考えることが必要かとも思われるわけであります。  それだけを考えてみましたときに、人事院というものが、国の場合には人事院はこういう態度をとっている、したがって、府県においても府県の独立したりっぱな委員会になるべきではないか、こういうことくらいは言ってもらったらどうかという気もするわけです。これも公式の場合に言うことについてもし差しさわりがあるとするならば、いまお話の中にもありましたような懇談会のような形もあるかもわかりませんけれども、その中においてもそういうことを一言申し述べていただくことによってかなり是正ができるのではないか、こういう気もしないわけではありません。そういうことごともひとつ含んで考慮をしていただければ幸いだと思いますが、そのことについて一言ごあいさつ願いたいと思います。
  10. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ただいま申し上げたような接触の場面はいろいろございますし、幸いにして人事委員会皆さん方は、中央にありますせいか私ども兄貴分として立ててくださっております。したがいまして、そういう懇談機会、あるいは個人的に人事委員長あたり、私のところにしょっちゅう来られますので、そういう際にはいろいろ気のついた点は申し上げておりますし、今後とも気をつけて申し上げてまいりたいと思います。
  11. 秋山徳雄

    秋山委員 それでは総理府にちょっとお尋ね申し上げたいと思います。副長官がまだお見えになっておりませんが、増子さんお見えになっているということですので伺いたいと思います。  先般の質疑を繰り返すことは避けたいと思いますけれども、昨日ですか、公務員共闘人たち総務長官にお会いをして、いろいろ希望を申し上げたと聞いております。その新聞報道の中に、閣議はすでに決定をしたけれども皆さん方の強い要望があるので、もう一たび考え直してみたい、そうしてその結果はいずれ報告をするというふうなことが新聞記事となって報道されていたようでありますが、これらについて事実どういう話がなされましたのか、知っておりましたならば御報告いただきたいと思います。
  12. 増子正宏

    増子説明員 昨日公務員共闘の代表として各単産の委員長が数名見えまして、総務長官申し入れ書を持ってこられました。その申し入れ書内容は、結論的には、閣議決定をすみやかに再検討して、その撤回方と、それから勧告どおり五月実施地方財源の確保をするように強く要求します、こういう趣旨でございます。総務長官は、この申し入れ書を受け取るということだけにしておいてほしいということを特に言いまして、その申し入れ書は受け取りました。  なおそれについては回答をほしいという話がありましたのに対しまして、いずれ回答いたしますということでありました。
  13. 秋山徳雄

    秋山委員 そういうことであればこれ、はまた話が多少違ってくると思いますが、それはそれといたしまして、先週の委員会において私も質疑したわけですけれども、その中において公務員関係の人や地方公務員の数もはっきりできなかった。あらましのことで大体二一百二、三十万人ということであったわけですけれども、そのときに私も要らざることかもしれませんが、あなた方があずかっているということになりましょうか、こうした給与関係を非常に期待を持って見ている職員の方、あるいはそれによってかてを得ている家族の人たち、こういうことを考えたときに、しかもことしはILOの八十七号条約批准になりまして、ドライヤーもそれらしきことを言っておることも間違いのない事実でありましょう。そういうさなかに迎えた人事院勧告でありますので、これこそはどうしても親心を持っても実施を五月期にしなければならない、こういうことごとが非常に強まってくるだろうと思っておったわけですけれども、それがそうではなく決定をした、こういうことについては非常に遺憾と思わないわけにはまいりません。しかしながら、その報道記事の中にはいろいろなことがありますけれども、その中で、森総務長官は口ぐせのように、ことしは少なくも八月ぐらいまで実施時期を上げていかなければならないのではないかということを言っておったと聞いておりますが、それがそうでなくして昨年どおりきまったということについては、内部的ないろいろなお話があったということも想像ができるわけですけれども、それらについて、六人委員会なら六人委員会の中でいろいろ議論がなされたと思いますが、この一番大きな支障になったのは、一体どの辺のところからどういう意見が出てきたのか、こういうこともこういう機会お知らせをいただければ幸いだと思います。
  14. 増子正宏

    増子説明員 ただいまの御質問の中で、実は前回のこの委員会で御質問があり、私答弁を留保した点にもお触れになりましたので、この機会に申し上げておきたいと思います。  公務員関係組合員の数というような意味お尋ねがあったようでございますが、この人事院勧告取り扱いいかんによって影響を受けます者といたしましては、国家公務員がまず第一でありますけれども、この中での一般職職員というのは大体四十九万人、これが人事院勧告の直接の対象者でございます。そのほかにいわゆる五現業職員が約三十七万人ぐらいございます。それから特別職国家公務員でありますけれども特別である者、つまり防衛庁の職員あるいは裁判所、国会職員、そういった特別職が大ざっぱに申しまして三十万人ございます。この合計百十六万人がいわゆる国家公務員でございます。そのほかに、国家公務員に準ずる者としまして三公社職員があることは御承知のとおりでございまして、これがおおよそ七十六万人でございます。この七十六万人は御承知のように人事院勧告の適用は受けないわけでございまして、いわゆる団体交渉によってきまるものでございます。それからさらに地方公務員としまして、これも大ざっぱに申しまして約二百万人でございます。これらを合計いたしますと三百九十万をこえる数になるわけでございますが、これらの職員前回に申しましたようにいろいろな形で組織化されておるわけでございます。このうち国家公務員一般職の者と、それから地方公務員の大部分組織いたしております者を私ども公務員共闘というふうに言っておりますが、これが概略百八十五万でございます。その大部分地方公務員地公労でございまして、百六十三万人ほどがそれに該当いたしております。それから三公社の七十六万人と五現業の三十七万人、これで百十三万人ほどになりますが、この組織化されたものがいわゆる公労協で、約九十万人ございます。以上が大体総評系でございますが、そのほかに同縦糸としまして官公労十一万というのがございます。組織状況は大体さようなことでございます。  それから次に、この人事院勧告取り扱いが九月一日から実施ということに閣議決定いたしましたにつきましての経過、あるいは論議の内容等について御質問があったわけでございますが、この閣議状況等につきまして私つまびらかに申し上げるわけにはまいりませんけれども、私が承知しておりますところでは、六人の関係大臣それぞれ相当熱心な議論を戦わしたと承知しております。お話にもありましたように、また国会委員会におきましてもしばしば申し上げてありますように、森総務長官としましては、いわゆる給与担当大臣としまして、人事院勧告趣旨が十分に達成されるように前向きで相当主張もされましたし、最後までその主張を堅持されたことは私も承知いたしております。しかしながら、最終的に決定を見ましたのは、やはり何といいましても今年度の今後の財政の見込みの問題が一番大きな障害といいますか、問題の好転にとって一番大きな点であったように承知しております。
  15. 秋山徳雄

    秋山委員 先般も私申し上げましたけれども、これが役所だから、金がないから実施ができないのだということかもわかりませんけれども、これが民間の生産工場や何かだった場合にはそれだけでは済まされないわけですね。ところによっては借り入れ金をしても給与はまかなっていかなきゃならない、こういうことだろうと思うのです。特にそういう場合には、労使のほうで両者相寄っていろいろ相談もなさるでしょう。ところが、国や地方自治体の場合にはなかなかそれをしないで、一方的にこれをきめて押しつけていく、こういうことが生まれてくるわけであります。そうすればどうしたって、ゴムまりを押してもおわかりのように、片っ方を押せば片っ方から反発が出てくる。これは当然なことだと思います。そういうことについて先般、あなたもここの席でお聞き及びだろうと思いますけれども自治省公務員課長からは、ここで読み上げましたような内簡も出されている。しかもいま私からお話ししましたように、ところによっては投票行為自体も違法なんだというふうに自治省からいってきているんだからということで、かなり締めつけているようですが、こういうことが一体行なわれていいんですか。どうですか、給与担当大臣として責任を感じませんか。その点もひとつ御説明を願いたいと思います。
  16. 増子正宏

    増子説明員 公務員給与がいわゆる労使双方での話し合い、団体交渉によってきめるようになっていないこと、これは御承知であり、また御指摘のとおりでございます。これにはいまさらその理由等申し上げるまでもないかと存じますが、いずれにしましても公務員特殊性ということに基づきまして、法律によりましていわゆる団体交渉による労働協約締結権というものを否認し、そのかわりに人事院という中立機関勧告制度というものをとっておるのが、現在の公務員制度でございます。したがいまして、もちろん考え方としまして両者話し合ってきめるということもあるわけでございますけれども、現在の仕組みがそうなっていない。したがって、御指摘のように一方的にきめられるということにもなるわけでございますが、しかし、そこへまいりますまでに、この公務員給与をどの程度改めるべきかということにつきましては、人事院が相当の日時なり経費を使いまして調査をいたした結果によっておるわけでございます。この意味勧告は、たびたびいままでお話がございますように、政府によってできる限り尊重されるというか、この完全実施が一番望ましい、こういうことでございまして、政府におきましても、それぞれ担当の大臣がこういった見地から今日まで努力を重ねてきたことは事実でございます。まあ、私どもとしましては、まことに遺憾と感ずるわけでございますけれども、最終結論が、勧告は九月一日から実施するということになったわけでございます。従来の考え方、当初のわれわれの考え方からしますると、まことに残念な結果でございますけれども閣議において決定したことでございますので、私は、この際はこれをどう批判するという立場にはないわけでございます。  なお、しかし、それでは一方において職員団体等が政府決定に対して不満とし、また自分たちの主、帳をさらに貫徹するためにいろいろな違法な行為に出てもやむを得ないのではないか、それに対していろいろと制限を加えたりすることは間違っておるのではないかという御指摘かと思うのでありますけれども職員団体の違法行為につきましては、それがどんな理由であっても私どもは許されないものというふうに考えております。したがいまして、職員に対しましては、何が違法であるかということについては十分の認識を持っていただかなければなりませんし、できる限りそういった違法な挙に出ないように努力するといいますか、そういった方向に指導するのが、むしろわれわれとして当然のつとめであるというふうに考えておるわけでございます。
  17. 秋山徳雄

    秋山委員 あなたのお話を聞いておりますと、何かちょっと間違っているんじゃないかと思うわけですね。私は、政府で何もしないんだから何をしてもいいんだろうということを言っているのじゃないわけですよ。そういう誤解をもとにしてあなたがいろいろおっしゃってくれるんじゃ困るわけで、そうじゃなくて、私は一時間ばかり、半時間ばかりのストライキなんというものは、ストライキじゃないと思っているのですよ。ふだんの日でも、指定をされた日でなくても、人事院勧告というものは一体くその役にも立たないじゃないか、前向きの姿勢、前向きの姿勢と言うけれども、ちっとも前を向いていない、じゃないか、去年どおりであれば、うしろ向きとは言わないまでも、横を向いているんじゃないか、こういうことだろうと思うのですよ。いま長い期間にわたって自民党政権ですよ。その人たちが、いつも同じことを繰り返して言っている。これが一歩でも進んでいなければ、前向きではないわけですよ。そういうのを詭弁というのであって、おかしい、じゃありませんか。五年たてば、一ヵ月ずつ上げていっても、もう結論が出ているわけだ。それをあなた、人事院勧告制度が生まれてから何年たちますか。あなた御存じですか。あなたが知らないでそういう答弁をしているなら、これは受けとめますよ。そうじゃないはずだ。前向きだ、前向きだと言っても、どこも前を向いちゃいない。前を向くのならば、私はけちなことを言わないけれども、一ぺんにできなかったならば、ことしは一ヵ月繰り上げましょう、来年はまた一ヵ月繰り上げましょう、これが前向きなんだよ。そう、じゃないですか。それもできもしないで前を向いていますと言うのは、どこが前を向いているのだ。そういう答弁じゃ、あなたどうかと思いますよ。むしろ、逆に言えば、人事院勧告なんか困ったものだ。政府ではちっともその意思がないじゃないか。私なんかうちへ帰れば、細君からは、こう物価が上っては困るのだ。それだけなら、現状ではまだまだ苦しいながらもやりくってきたけれども、新聞で見れば、お米の値段もここでもって一〇%近く上げなければならぬといわれているのだ。そんなことがあったら、一体これからどうしたらいいのだろうということを一人の人が一人の人に話しかける。それが三人になり四人になり、そう、だそうだということになってきたら、大正年間の米騒動みたいなものが起こらないと、だれも保証できませんよ。保証できますか。普通子供が泣いても、ただ黙りなさいと言っても黙らないかもしれない。何かちょっとくれてやることによって完全に黙るでしょう。あなた子供を育てたことありますか。ものごとというのは、私はそういうものだろうと思う。前向きだ、前向きだと言うが、前を向いてほんとに歩っているのか、ただ向いているだけなのか、横を向いているのか、いまのやり方では少しも感じられない。それじゃ、あなたの目測によって何年たったならば、これが完全に実施ができる時代が来ますか。いまの状態を見ていくと、何年も何年も実施ができないのだから、このままいったら、百年もたってもできませんよ。五年、十年たってできないものが、百年たってできるという保証ができますか。どうですか。
  18. 増子正宏

    増子説明員 人事院勧告趣旨につきましては先ほど申し上げたとおりでございますので、政府としましてはこれをできるだけ尊重してその趣旨の実現をはかるという態度であること、これは従来とも変わりなく、今後もちろんその方針でまいることと信じますが、しかし、結論においては、おまえがそんなこと言うけれども、ちっとも前向きになっていない、じゃないかという御指摘でございます。それは私も現実はそのとおりであると存じます。しかし、それにもかかわらず、やはり前向きで進まなければならぬということは否定できないことでありますし、私ども事務当局としましては、できる限り最大の努力をいたしたつもりでございますが、遺憾ながら私ども考えたとおりに最終決定がなされなかったということでございまして、この点はわれわれとしましても非常に残念に思っておるところでございます。  それから今後の問題でございますが、何年たったら完全、実施されるか、これは私も将来のことを予測しまして確言できるはずもございませんが、しかし、そうあきらめてしまってもいけないことでございます。われわれとしましては、最後まで努力を続けるべきだというふうに考えておるわけでございます。
  19. 秋山徳雄

    秋山委員 前向きということを言われるのですが、前向きということは一体どういうことなのですか。いまの段階においては、人事院だけが一生懸命この問題に取り組んで、政府がやる見通しがないのだということが初めからわかっていれば、人事院にしたって骨を折る必要がないのですよ。そういう人にだけ骨を折らせて、政府のほうで一考だにしない。そしてあなたは、口を開けば前向きだと言う。前向きということばはどういうことなのですか、ちょっと教えていただきたいと思いますね。
  20. 増子正宏

    増子説明員 先ほど来申し上げておりますように、完全実施に向かって近づくことであろうと存じます。
  21. 秋山徳雄

    秋山委員 そうすると、いままでは前向きでなかったということですか。
  22. 増子正宏

    増子説明員 従来ももちろんその心がまえであったわけでありますが、ただ、結果的にはその考え方が実現を見なかった。その点については、政府においてもしばしば遺憾に思っておるということを申し上げておると存じます。
  23. 秋山徳雄

    秋山委員 それじゃ前向きじゃなくて、足踏みしているのじゃないですか。
  24. 増子正宏

    増子説明員 前向きであるというのは、私先ほどから申し上げておりますように、心がまえ、態度、方針の問題でございます。それから、最終的にきまった姿というものは、これは結論でございます。
  25. 秋山徳雄

    秋山委員 これはいま始まったのじゃないのだよ。それじゃ、前向きということばは取り消しなさい。どうなんだ。
  26. 増子正宏

    増子説明員 私、いままで申し上げておったことを前向きというふうに申し上げたことは、何ら間違っていることとは思っておりません。
  27. 秋山徳雄

    秋山委員 それじゃ、国語の中に書いてあることは——あなた、国語勉強してきましたか。
  28. 増子正宏

    増子説明員 私、国語を勉強したつもりでございますけれども、その勉強の中からは、前向きということを私いままで使いましたことを取り消さねばならないというふうには感じないわけでございます。
  29. 秋山徳雄

    秋山委員 私は、国会へ来てから奇異なことをずいぶん感じている。日本の国会なんだよ。その中においても、エレベーターに乗ってみれば横文字ばっかり書いてある。どこの国のエレベーターだかわからない。一例をあげれば、こういうこともある。こういうことごとはだれがやっているか。これは国会を管理している人がやっているとおっしゃるかもわからないけれども、いまの政治状態を見ていくと、あなた方事務官僚が中心になってやっていることは間違いなさそうです。そういう方々がほんとうに熱心に取り組んでくれば、あなた方の同僚が同じような気持ちで、ほんとうに日本のことばのように、前進というものはどういうことである、こういうことを知っている人たちがやっているならば、そういう答弁はできないはずですよ。あなたの答弁を聞いていると、黙ってじっと足踏みを——足踏みもしないで黙ってじっと見ているだけなんだ。そうじゃありませんか。よその国のことばを私は使っているのじゃない。日本のことばを使っているはずです。だから、そういうことから考えれば、あなた方の場合には、やはり前向きということばは使うべきじゃない。だから、これは必然的にお取り消しを願いたい、こういうことなんです。
  30. 増子正宏

    増子説明員 私ども考え方、姿勢としましては、あくまでそのつもりでおりますので申し上げておるわけでございますが、しかし、これは先生からごらんになりましてそうでないとおっしゃられれば、まことに私としましても何と申し上げようもないわけでございます。
  31. 秋山徳雄

    秋山委員 これは変なことを言うようですが、誠意の問題なんですよね。ほんとうにあなた方がそのつもりになって、誠意がどこかにあふれているならば、どこかで何ぶんかのものはあらわれてこなければならない。もしもそれがなされなければ、これは誠意もなければ努力もない、こういうことだろうと思うわけですがね。それもきょうこのごろ始まったのなら、前向きの姿勢で一生懸命やりましたけれどもこれはできませんでしたということは、あり得るかもしれない。年々歳々それが行なわれていたのでは、これはだれが考えても、どこにもあらわれてこなければ、当然、あいつは何を言っているのだ、うそっぱち言っているのだろう、議員なんというものを人をばかにしてしまって、その場だけ答弁が過ぎればそれでいいのだという考えが、どこかにあるからですよ。そうじゃありませんか。
  32. 増子正宏

    増子説明員 私ども努力なり誠意が十分でなかったという御指摘でありますれば、私、心からおわびを申し上げます。
  33. 秋山徳雄

    秋山委員 だから、先ほども言ったように、差しつかえない限りで、六人委員会なり閣議なりで、どういう理由でどうしてもできないのか、これをいままで完全実施ができない年代を通じて、このときはこういう問題このときはこういう関係、このときはこういうあり方、そういうことがあろうかと思いますので、いままでのことを歴年を通じて御説明を願います。
  34. 増子正宏

    増子説明員 従来におきましても、人事院勧告の尊重ということは歴代内閣の方針であったと承知いたしております。  なお、御承知のように、昭和三十五年から五月一日実施という内容勧告になっておるわけでございますが、それに対しまして、いろいろと政府部内におきまして検討しました結果、遺憾ながらそのとおりに実行できずに、三十五年におきましては十月から実施され、その後三十八年までこの十月一日実施が続きまして、その翌年の三十九年、四十年と九月実施に改められておるわけでございます。この十月から九月になりました点につきましては、私どもこれは、見ようによってはきわめて微々たるものでございますけれども、やはり人事院勧告の完全実施に一歩進めたものというふうに考えるわけでございます。  そうして、これらの状況に至りました点は、私ども承知しております限りにおきましては、やはり財政状況ということが一番大きな問題であったということであります。もちろんそれが唯一の理由ということではございませんけれども、結局は財政上の処理をいかにするかということにつきまして、積極的な結論と申しますか、人事院勧告をそのまま実施するに至らなかったということでございまして、今回におきましても、財政状況につきましては大蔵大臣からるるとその実情について述べられまして、今年の状況におきましては、実は九月の実施も非常に困難なのであるということでございました。しかしながら、九月をさらにおくれるということは、この事態としては許されない、適当でないというふうに政治的にも判断するので、各省庁におきまして今後相当経費の節約に協力していただくということで、九月実施もやむを得ないというような説明があったと承知いたしております。
  35. 秋山徳雄

    秋山委員 意地が悪くなるかもしれませんけれども増子さんは人事局長になられたのはいつですか。
  36. 増子正宏

    増子説明員 昨年の六月でございます。
  37. 秋山徳雄

    秋山委員 人事局長の更迭がいろいろ行なわれると思いますけれども、人がかわっても、人事局長という職制はつながっているはずですね。ですから、こういう問題は、とりもなおさず一貫をして人事局では承知をしているはずであります。ですから、先ほど来いろいろ申し上げましたようなことも起こってくるわけであって、したがって、前向きということであれば、私は、年々歳々少しずつでも変化が起こってこなければならない、こういうことだろうと思うわけです。しかも、私たちのようにあれもやらなければならない、これもやらなければならない、幅は広いけれども奥行きがないというのじゃなくて、あなた方の場合には、あらまし専門的なんですから、これをほんとうに、あなたが何回か繰り返しておっしゃったように、前向きの姿勢で常時取り組んでいくのだということであれば、先ほどから繰り返しますように、少しずつでも何か変化が起こらなければならない。ところが、それが起きてこないのが非常におかしい。だから、努力をしていないのじゃないかと言われても、これはやむを得ないことなんであって、努力をずっと続けているのだということであれば、これはあまり能力者とは言えないわけですね。失礼だけれども、そう言わざるを得ない、こういうことでなかろうかと思うわけですよ。  だから、先ほど来言いましたように、一方的に、おまえなんかは法律できめられておるのだからいけないのだと言いながら、その反面何としても善処の方法がない。いま聞けば、そのおもなる問題は、いろいろあろうけれども、主として財源的な問題だ、こうおっしゃるわけですけれども財源というものは使い方なんであって、あなた方がほんとうに人に仕事をやっていただこう、十分なる働きをしていただこう、こういうことを考えられているならば、当然の結果として、それが優先的に考えられるべきなんですね。そうでしょう。そうあらねばならないはずであります。私なども、小学校時代から今日まで、そういうつもりで処世をしてきたつもりです。ところが、こういう場を通じていろいろあなた方の話を聞いておると、なかなかそうではない。何とか世の中を渡っていくために、うまいことを言いながら、うろちょろうろちょろごまかしていけばそれで事が済むんだ、こういうふうにしか受け取れないわけですよ。ですから、私はくどいようだけれども、何回となく質疑を重ねたわけですけれども、そういうことではならないので、あなた方同僚諸君が、もっとこういう問題ではほんとうに真剣に取り組んでいくべきである。同時にまた、財源が乏しいなら乏しいように、たとえ半月でも一月、ずつでも、毎年毎年それを前進をさしていく、こういうことであれば、これはとうの昔に人事院勧告が完全に行なわれている、こういうことだろうと思います。ですから、こういうことに向かってあなた方の同僚と相寄り、相話し合って、そういうことにつとめていただかねばならない問題だろうと思います。同時にまた、せっかく閣議決定とはいいながらも、まだ予算編成が終わったわけじゃありません。ですから、ほんとうにあなた方がそういう心持ちをいまでも捨てておらないならば、当然の帰結として、それを考え直していただいて、予算編成までに十分検討をして善処をしてもらいたい、私はこういうふうに考えます。  せっかく大臣見えたので、大臣にこういう機会お尋ね申し上げたいと思います。聞くところによると、御病気をなさってまだ完全ではないということですから、その点も私は気にしないわけではありませんけれでも、お差しつかえのない時間、ひとつごしんぼういただいて、それこそは前向きな姿勢で御答弁いただければ幸いだと思います。  いま増子人事局長にいろいろ質疑を重ねてまいりましたけれども、六人委員会というものができまして、これは年々のようでありますけれども、これが何回か繰り返されながら今日まできておるわけです。ことしも昨年どおり九月に決定をしたということでありますけれども、私はそういうことがあってはいけない。できるだけ早い機会にこの委員会を開いて、そして委員諸公の大ぜいの御賛同をいただきながら、人事院勧告がせっかく出され、総裁も確信を持って出されておることでもあるし、特にことしはILOの八十七号条約批准も行なわれてきているのですから、そのときに迎えたことしの人事院勧告実施ということについては、かなり重大な要素があろうかと思うわけであります。こういうときにこそ、人事院がおっしゃったように、思い切ってできるだけこれが完全実施ができるように努力をしなければ、おそらく未来永劫こうしたものは完全実施までいき切れないんじゃないか。もっと強く言えば、こういう状態を続けていくのならば、人事院そのものが要らなくなってくるような気がしないわけでもありません。これが長く続いていくことによって、職員人たちのふんまんはますます強まってくるし、ことしでさえもいろいろ各地で問題が起こりつつあります。そういうさなかですから、私はあえて申し上げたいと思いまするけれども、六人委員会なり閣議なりできめる際におきまして、どういう態度閣議に臨まれ、六人委員会に臨まれてまいったか。そしてまた、森総務長官は、ことしは何としても一ヵ月繰り上げても八月実施は行なうべきものであるということを常時新聞紙を通じて発表されていたはずでありまするけれども、それすらも実行できないで九月になった。こういうことを想像ができるわけですけれども、毎年毎年繰り返し行なわれていることの中で、その要素としては、自治大臣が、地方財源が乏しいので、できればこれの実施時期をおくらしていただきたい、こういうことが、常時と言っても過言ではないように言われておったとも聞いておりますが、そういうことを聞くと、私はますます残念さが増してくるわけですけれども、自治大臣としてこの六人委員会に臨むときに、どういう態度で臨み、そしてまたどれほど御努力をなされ、他の人たちからもどういう意見が出たか、これも許される範囲内でけっこうですが、お知らせをいただければ幸いだと思います。
  38. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 公務員給与に関しまして、人事院勧告が出されたわけでありまするが、私のほうといたしましては、基本的な姿勢としては、もちろんこの人事院勧告を尊重する。もちろんこの尊重するという意味の中には、実施の時期も含めまして尊重したいという態度で当初から臨んでおったことは、これは六人委員会としても当然皆さん方の共通した考え方であったわけであります。それで、三回会合を開いたわけでありますが、同時にまた、一方におきましては、ことしの財政の見通しなり、あるいはまたいろいろの新しい歳出要因等が出てまいっておりますので、大蔵大臣のほうにおかれましても、こういったような諸事情等を検討され、なかなか結論に到達することができなかったわけであります。きょうはちょうど人事院総裁もお見えになっておりますけれども人事院総裁から、特にこの間におきまして、私どもに対しまして、ぜひ勧告を尊重してほしいという切実なお話も、その途中で受けておった次第でありまして、したがって、六人委員会では、真剣にこういった要素を検討してまいったわけであります。  ただいま、自治大臣として地方財政の事情から特に足を引っぱったんじゃないかというようなお話がございましたが、私はそういった発言をいたしたことはございません。ただ、この決定にあたりまして、ただいま申し上げましたとおり、ことしの財政事情が相当に苦しいという事情につきましては、私どもも了解をしておるところでございますし、また、地方公務員給与につきましては、これはもうすでに御承知のとおり、国に準じて決定をする、こういうたてまえになっておるわけでありまして、何と申しましても、国家公務員給与決定ということが主題になっておるわけでありまして、むしろ私どもとしては、この決定に従った地方公務員給与財政的な処置につきまして万全を期したいというような点も、一方にはもちろんあったわけでございまするが、そういったようないろいろな事情からいたしまして、最終的には、ことしの財源の都合上、まことに遺憾だけれども九月実施に踏み切らざるを得ないというような、もっぱら財政上の関係で、私どもも完全実施の方向に進みたいと思いましたが、事実上財政事情の関係でそのことができなくなったというふうな結果に相なった次第でありまして、その点御了承いただきたいと思う次第であります。
  39. 秋山徳雄

    秋山委員 歳入関係財政事情のためにということがおもな原因なようですけれども、そういうとを聞いてまいると、それではもっと財政的に苦しいときがきたらば、全然人事院勧告がなされない、行なうことができない、こういうことも予測をしなければなりませんが、その点はどうなんですか。
  40. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 実は六人委員会の審議の過程におきましても、先ほどお話がありましたとおり、こういった問題につきまして毎年いろいろと論議をかわすということは、これはまことに残念なことであり、またむだなことではないか、何かそこにすっきりした線を引いてこの問題を解決する方法はないのかというような議論が出てまいったのでありまするが、その中で実は御承知のとおりぎりぎり一ばいの予算をいま組みまして、そうして人事院勧告がこの四月をベースにして五月にさかのぼって実施をするというふうな勧告がいま出るような仕組みになっておるわけでありまするか、こうなってまいりますると、ぎりぎり一ぱいの予算を組んでおいて、そうして一千億以上の予昇をとたんに捻出をするということは、実際問題としてこれは非常にやりくりとしてはむずかしい問題じゃないか。したがって、この点については、この人事院勧告の時期なり、あるいは予算の組み立ての方法なり、こういったような問題につきまして、ひとつ真剣に今後検討していこうじゃないかというふうな話も重大問題として出てまいったような次第でありまして、ただいまお話のありました財政事情が悪くなったらどうするか、あるいはよくなったらどうだというようなこと、これはそのときどきにそういう事情もあろうかと思いまするが、むしろ私はこういうふうなことに左右せられないような、もう少し従来から委員会でも問題になっておりましたように、そういった人事院なりあるいは予算の組み方なり、そういった点に今後は前向きでひとつ取り組んで、こういったいざこざのないような仕組みでやるようにしてはいかがかということを、実は痛切に感じた次第でありまして、お答えになりましたかどうですか、その点私の考え方を申し上げましてお答えにかえたいと思います。
  41. 秋山徳雄

    秋山委員 いま大臣がお見えになる前に人事局長さんにいろいろ申し上げたわけですけれども、もうこの制度ができてから一年や二年じゃないわけです。長い期間これが行なわれているのですよ。しかもその中で、実施時期が完全に行なわれたということはほとんどないといっても過言でないわけです。こういうことが続かっていくということは、普通常識で考えますと、五年でできないものが十年でできるということは断言できないのだし、十年たってできないものが百年たってできますというわけにはいかない、こういうふうにしか思えませんけれども、いま自民党政権は非常に長いわけですけれども、終始一貫といっても過言ではないほどに、この問題と自民党政権というものが同じといっても過言でありませんね。そうすると、いままで長い間かかってできなかったのだから、これではおそらく自民党政権が続く限りは、少なくも完全実施は行なえない、こういうふうに考えざるを得ないわけですけれども、一体、自治大臣は六人委員会の一人として、これらについて来年なり再来年なりできる見通しがありますかどうか。これも先ほど来人事局長の話を聞いておりますと、六人委員会人たちはほんとうに前向きの姿勢でこの問題と取り組んで、何とか実施をした  いのだということを考えられておったということでありますけれども、もしそうだとしたならば、この問題はとうの昔に解決済みであるはずなんですね。それができないところに何か支障があるのじゃないか、こういうふうなことも考えないわけにはいかないわけです。これはもう事実なんですから、もしほんとうにそういうふうな考えがありまするならば、毎年毎年一ヵ月ずつ繰り上げてもできるわけですから、このために公務員の人は、ことしでさえも九月実施ということになると、あらまし一人当り一万数千円ずつ損害をしなければならない。損害というのはいいことばじゃないかもわからぬけれども、それだけ家庭に響いている実情というものもあろうかと思うわけです。やはり人を使っていくなら使っていくように、その人たちが仕事がしいいように不平不満ができるだけ少ないように、そうして仕事に励みを持ち、仕事そのものがおもしろくてしょうがないというふうにしむけていくことが一番能率が上がってくることだろうと思うわけですけれども、一体あなた方はそういう考えを持ったことがないのでしょうか。その点をもう一ぺん、悪いけれども考えを聞かしていただきたいと思います。
  42. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 ただいま仰せのとおり、公務員が喜んでその職務に専念をするというような取り扱いをする、またそういうふうにしなくちゃいかぬということにつきましては、私も全く同感であるわけであります。ただ、この問題につきまして、先般もいろいろ議論をしたのでございまするが、いままで過去一、二年間やはりこの問題をひとつ解決をしようということで問題になって、それが実現をしないということで御不満はごもっともだと思うわけでありますが、この継ぎ目と申しますか、技術的になかなか困難な点もあるようでございますが、しかしこれはやはり前向きでその方法等を検討してやろうということになればやれない問題ではないと私は思うわけでありまして、この点につきましては、真剣に政府のほうにおきましても、あるいは党とも相談をいたしまして、この問題の解決の方向に努力さしていただきたいと思います。
  43. 秋山徳雄

    秋山委員 いま全部は聞いておらなかったわけですけれども、いまのおことばの中に、ほんとうにやる気があればできないわけでもない、これは何かの形でやらねばならない、こういうことのようだったわけですけれども皆さん方にそういう気持ちがあれば——もうこれだけ年数がかかっているのです。二十三年からいえば十年一昔ということばがありますけれども、それをはるかにこしている年月ですね。それならば自民党政権のうちでできなかったのじゃないかと思うわけです。もしできないとするならば、これはほんとうにやってやるという親心がないのじゃないかということも考えられますし、先ほども例をあげて申し上げたわけですけれども、子供を育てる中においてもいろいろのことがあります。ただ泣いたからといって、なぜ泣くのだろう、こういう原因を突きとめないで、ただしかってばかりいてもしようがないわけですね。そういうことも考え合わしたときに、やはり大臣として、あなたの場合には多くの地方公務員をかかえているわけですから、これはいま申し上げましたような、いいことばで言えば親心とでも申しましょうか、そうした気持ちを十分に持って、そうして不平不満が少しでも消え去っていくように努力をして、そしてできるだけ仕事に専念をしていただくようにしむけていく必要があるのではないかと思います。  ところが、あなたの部下から出された内簡というものがありますね。これをあなたは御存じですか。おそらく各府県に出す書類なんだから、区分はどうか知りませんけれども、やはりあなたも知らないというわけにはいかぬと思う。公務員課長から内簡が出されておりますね。それをよくごらんになってください。その中には、「とくにILO八十七号条約の発効及びこれに伴う改正法律の施行により」ということばが入っている。それで最後には、組合員がほんとうに不平不満があり、同時にまた、ことしこそはILO条約が批准になって初めての人事院勧告なんだから、これはこのときにこそ実施をしてもらおうじゃないか、そういうことの上に立って、ほんとうに政府人たちがわけがわからなければ、力ででもこれを何とかさせよう、こういう気持ちになるのも、私はある程度やむを得ない面もあるのじゃないかという気がしないわけでもありません。だからといって、これはおっしゃるとおり、ここにも書いてありますとおり、やはりいいことじゃないと思います。いいことじゃないのだけれども、それをしむけていくのはだれなんだろうか、こういうこともやはり考える必要があろうかと思います。  ここにも書いてありますように、ことしはILO八十七号条約批准に伴っての重大な年なんですよ。少なくとも多くの職員の人にそうした考えを持たしてはならない、私はこう思うわけです。もしもこの文書を出すならば、自治省として市町村長府県知事と一緒になって、皆さん方が要望のように、少なくともいま設けられている人事院趣旨に基づいてこれを完全実施させるからそういうことはやらないように、こういうことであるなら話はわかります。そうじゃない。そういうことにはひとつも触れていないで、けしからぬ行為だからいけないのだ、こういうことですね。しかも、それだけではなくて、今度はそのために各市でいろいろ問題が起こっているところもあるわけですよ。ストライキをやったほうがいいか悪いかという投票を行なう。それすら違法なんだからいけないと、こう言っているわけですね。それでは片手落ちだと思うのですよ。だから、もしこういう通牒なり内簡なりを出すならば、もっと上の段階において、少なくとも局長ぐらいの名前をもって府県に対していろいろ通達なり示達をしていく、こういうことが望ましいのではないかと思うのです。いざとなれば、こんな内簡なんというものは公のものじゃありません。いま国会の中でもいろいろ議論されているように、公私の区別が云々ということもあります。私に言わせれば、公私の区別なんということこそおかしいと思う。人間である以上は、いつどういう場合においても、人間としての誠意を披瀝して、人間としての努力を傾けていって、それが人類のためになっていくように努力をすべきものであると思う。これが、ここからここまでは公なんだ、ここからここまでは私のことなんだと、それでは公の場を離れれば何をしてもいいのだということですよ。そういうものの考え方すらもおかしいと思うのです。だから、私はあえてそういうことを聞きたいのですが、こういうことは私は将来は行なうべきじゃないと思いますが、大臣としてはこういう内簡についてどうお考えになっておりますか、お尋ねいたします。
  44. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 内簡につきましては、私もこれを出すときから相談を受けて承知をいたしておる次第であります。この内簡は法律的にどういうふうな効力があるか等、いろいろ問題がありましょうが、私はこの内簡の解釈といたしまして、今回自治労、その他において公務員給与の引き上げ、あるいはベトナム戦争反対、その他の闘争目標を掲げて、そしてストライキをもくろむというような計画が行なわれていることが明らかになってまいったわけであります。したがって、ただいまの公務員給与の問題とは全然別個に、やはり違法なストライキ行為、特に政治目的を掲げた政治的なストライキ、こういうふうなストライキ等は、これは非常に望ましくないものである。また、これは法律に違反するものである。また、違反した行為をした場合におきましては、それは当然それなりの処分を受けなくてはならぬ。しかしながら、地方公務員というものも非常に数は多いわけでありますし、また団体の数等も非常に多いというような状況でございますので、やはりこういった違法な行為をするにあたりましては、法律の解釈上あるいはその他いろいろの問題があとに発生をしてくるわけでございまして、したがって通牒というよりもむしろこういった違法行為ストライキあるいはそれに伴う結果、そういうふうな問題について十分にひとつ地方理事者なりあるいは組合員等が間違いのないようにという意味でこういった解釈を打ち出したというようなわけでございまして、これは格別にこういった行為をやったことがどうかということではなくて、むしろ親切といったら語弊があるかもしれませんが、自治省としては考え方をあらかじめ十分徹底をさしておくというような意味におきまして必要と考えて内簡を出した次第であります。
  45. 秋山徳雄

    秋山委員 そういう説明を聞くと、私は先般の委員会で、大臣はお見えになりませんでしたけれども、森公務員課長にも申したことがあるのですが、何かそういう説明を聞いておりますと、地方公務員人たちは法律も知らない、あるいは忘れているかもしれない、だから注意をするのだ、教えてあげるのだ、こういうことのように聞こえてならないわけですよ。私はそうじゃないと思うのです。公務員もやはり法律も知っておれば、自分が地方公務員であれば地方公務員法もちゃんと知っているわけですよ。それよりも、もっととがめなくてはならないものは、人事院をつくったのはあなた方なのですね。そうしていまお話の中にもありましたように、団交権やあるいはストライキ権も取り上げてしまったのはやはりあなた方なのですよ。それならば、その以前に政府はなぜ責任をとらないかということが言えるわけですよ。できなきゃできないように責任を負うべきものなんだ。それをほったらかしておいて、法律上いけないのだからということは、自分は法律は無視するけれども、おまえたちは順法しなければいけないのだということになってしまうわけですね。むしろ私どもの子どものときから教えられてきたことは、やはり政府を担当するようなごりっぱな方方は、自分がまず第一に法律を守り、すべての秩序を守っていく。だから、国民もこうならなきゃいけない、こういうことでなければいけないはずですよ。明治から大正にかけての人たちは、みんなそういう気持ちで政務を担当したわけですよ。ところがいまはそうじゃありませんでしょう。そういうことに問題が私は起こってくると思う。あなた方だけがりこう者であって、地方公務員がばかやろうなんだということじゃけしからぬことですよ。私は、そうじゃなくて、佐藤さんのことばをかりて言えば、まずえりを正してとおっしゃいますけれども、それがほんとうであるならば、真実であるならば、まずもって自分が率先躬行していかなければならぬことだろうと思います。そのことをさておいて、おまえたちは地方公務員法も知らないのか、地方公務員法にもこういうことが書いてあるのだからということは、私は受け取れません。そういう考え方は私はいっときも早く忘れていただいて、まず自分が先に守るべきものは守り、行なうべきものは行なって、そうして人に向かっても自分たちもこうしているのだからこうしていただきたい、こうすべきものである、こういうことが私は行なうべき事柄であり、常時忘れてならないことだろうと思います。だからこそ、いま毎日の新聞をひもといてごらんなさい。決算委員会で取り上げたようなことごとが、あるいは自分たちの先輩だった人のことを言うわけじゃないけれども、田中彰治さんのような人が出てくるのですよ。私は地方へ行っては言っています。田中さんという人は国会がつくり上げたんだ、こう言わざるを得ませんよ。国会の先輩諸君がああいう人をつくり上げた、そう言ったからといって、一言半句も言えないでしょう。天から降ってきて田中彰治さんができたわけじゃない、長年のこういう場を通じていろいろそういう要素をつくり、そういう人をつくり上、げた、私はそうだと思う。そういうことはやはり改むべきはいつときも早く改めてほしい、私はこう思います。  それから、自治大臣はまだお時間があるそうですが、小沢大蔵政務次官は時間がないそうですから、そちらにちょっとお尋ねを申し上げてみたいと思いますけれども、いままでお聞き及びのように、いろいろな人たちがおっしゃることは、財源がない、財源がない、財政事情が悪いのだ、こうおっしゃっているようであります。そうかと思うと、先般の新聞紙に報道されていることを見ますと、大蔵省としては国家公務員財源は措置をするけれども地方公務員の分については今度はやらなくてもいいような、地方財政的に非常によくなってきているのだ、こういうことが書かれております。私ははたしてそうかどうか疑問がありますが、この席でそれらについてもう一たび御説明をいただきたいと思います。
  46. 小沢辰男

    ○小沢説明員 地方公務員の今度の勧告を九月から実施をするといたしますと総計三百四十三億が交付団体の関係の必要な所要額でございますが、総体で四百六十一億と九月実施考えておるわけでございます。地方給与財源につきましては、今後の地方の税収見込み等を十分検討いたしまして、自治省とよく協議をいたしまして適切な措置を講ずる考えでございますけれども、先生おっしゃるように、若干地方財政事情が好転をしているようにも承っておりますが、私どもは、九月決算の様子というものが十月、十一月の上旬ないし中旬までのうちに見当がつくと思いますので、その状況等も十分勘案をいたしまして、なお今後自治省と十分協議をしてまいる所存でございます。
  47. 秋山徳雄

    秋山委員 そうすると新聞に報道なされていたことはうそですか。
  48. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私、寡聞にして新聞の記事を覚えておりませんけれども、私どもは現在地方財政状況の見通しを自治省ともいろいろお話を申し上げておりますけれども、まだ法人税等について確たる見通しがつきませんので、その見通しを十分つけた上で御相談を申し上げる、こういう段階でございまして、いまのところ地方が非常にいいから全然考慮しないとか、あるいは悪いから考慮するとかという時期ではまだございません。
  49. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの政務次官のお話ですと、まだ財政的な見通しが立っておらないからということでありましょうけれども、もしそうだとしたならば、閣議決定がしたように、人事院勧告をいつから実施するか、こういうことも私は早計に過ぎたのじゃないかと思うわけです。なぜならば、いまあなたのおことばにもあるように、もう少し検討すれば、あるいはより以上の余剰財源が出てくるかもしれません。それを待ってからきめてもおそくはなかったはずなんですね。だから、いままで給与担当人たちからお話を聞いておったのも、あなたも聞いておられておわかりでしょうけれども、ほんとうに誠意がある、誠意がある、六人委員会は誠意があったのだと言いながらも、何かあなたの答弁とは食い違っている面があるような気がするわけです。もしほんとうに誠意がありますならば、もう少し、あなたのおっしゃるように、税の見通しなりあるいは何なりを見きわめをつけて、それからでもおそくはないはずだと思いますが、その点いかがですか。
  50. 小沢辰男

    ○小沢説明員 おっしゃいますように、国税につきましても、まだ法人税の結果を九月期決算につきまして私ども十分つかんでおりませんので、今年度自然増収がどれぐらいあるのか、そういう点の正確な見当をつけるわけにはいかない時期でございます。しかしながら、実は追加財政需要といいますか、大蔵省へいろいろ各方面から要望をいただいております追加財政需要につきましては、御承知と思いますけれども、その最も大きな一つ給与財源でございます。なお、それに匹敵する一もちろん消費者米価のいろいろな取り扱い決定いかんにもよりますけれども、食管会計の繰り入れ問題がございます。その他いろいろ補正要因というものがございまして、消費者米価の問題を別にいたしまして考えてみましても、相当数といいますか、千数百億にのぼる財政需要があるわけでございます。したがいまして、私ども財政当局からしますと、九月実施もなかなかめんどうでございまして、財源の見通しから言いますと、非常に困難な状況でございます。しかし、昨年もああいうような時期におきまして、昨年は非常に赤字で苦しんだ財政事情でございましたが、それでも実績をくずしたくないというので九月実施という線を決定いたしました経緯にかんがみまして、ことしもそういうように、財政状態としては非常に困難ではありますけれども、見通しはそう楽観を許しませんが、しかし、せめて昨年並みの九月実施はどうしても確保しなければいかぬだろう、こういうことと、もう一つは、八月に勧告をいただきまして以来、いつまでもこれを不確定にいたしておきますのもどうかと思いまして、できるだけ早くこの公務員給与改定については政府としての態度をきめるべきじゃないか、こういうことから、いろいろ各省とも相談をいたしまして、今後できるだけ節約もしていただくというような御協力をいただける線も出てまいりましたので、それやこれや勘案いたしまして、早期に決定をするということになったわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  51. 秋山徳雄

    秋山委員 説明を聞いていると、もっともらしく聞こえる点もないわけじゃないわけですが、いまおことばにもありますように、ほんとうに自然増がどの程度あるのかということがまだわかっていない、その中で優先的にこの問題は早くきめなければならぬ、こういうことのように承ったわけでありますけれども、それじゃ、この段階において、おたくのほうで試算をした、いわゆるめどをつけた自然増というものは、どのぐらいを予期して九月実施財源を求めたか、こういうことがあろうかと思いますが、その点をお知らせいただきたいと思います。
  52. 小沢辰男

    ○小沢説明員 これも私どもとしては十一月の大体上旬ないし半ばまでの法人税の関係の見込みを正確に把握いたしませんと、なかなかことしの自然増収はどれぐらいだという判断ができかねておるわけでございまして、目下いろいろ主税局を中心にいたしまして、国税庁やその他関係ところが鋭意検討をいたしておる最中でございます。しかし、八月までの実績等を見ますと、若干去年よりは、ほんの少しでございますが、いいようでございますから、少なくとも五、六百億から七百億あるいは八百億というような、その辺のところで自然増収というものが必ず見込み得るんじゃなかろうかというような気もいたしておりますが、数字そのものにつきましては、まだ大蔵省部内で確定的な数字を出しておりません。もっぱら九月期決算のデータを待っておるところでございます。
  53. 秋山徳雄

    秋山委員 政務次官は非常に答弁がじょうずなんで、私どもはわかったような、わからないようなことになりがちなんですが、昨年は自然増はどのくらいありましたか。
  54. 小沢辰男

    ○小沢説明員 昨年は御承知のように赤字財政のときでございまして、決算と、私ども見込みました当初予算との比較では、二千三百八十一億円の減でございます。
  55. 秋山徳雄

    秋山委員 それに見合って、ことしは七、八百億ないし千億くらいは自然増がある、こういうことですか。
  56. 小沢辰男

    ○小沢説明員 たいへん恐縮でございますが、ことしの数字は、先ほど申し上げましたように、まだ私どもとしては検討中でございまして、どれくらいという数字は持っておらないわけでございますが、昨年と比べて確かに財政状況は好転していることは事実でございます。
  57. 秋山徳雄

    秋山委員 先ほど質疑を重ねた中でも話が出たわけですけれども地方においてはかなり好転をしておる、こういうことなんですが、地方が好転をしておるということは、やはりとりもなおさず国税のほうにもかなり好転が予測できる、こういうことじゃないかと思いますが、いまの段階でかなりもうつかみ得ているんじゃないかという気がするわけですがね。例年によれば、臨時国会なんかもかなり早目に召集がされているわけですけれども、ことしはそうでもなさそうですが、あまり数字の伸びが多過ぎるので、びっくりしているということでもないのですか。
  58. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私ども、何回も申し上げて恐縮でございますが、九月期決算というものの行くえを見ませんと、やはり見当がはっきりついてまいりませんので、いまのところ推定する材料は、八月までの実績に基づきましてことしの傾向を知る以外にはないわけでございます。八月末の租税収入の実績を前年同期に比べますと、二%くらいよく なっておるわけでございます。しかしながら、これは御承知と思いますけれども、金融緩和に基因します法人税の即納率が向上しているという点がございますので、こういう点や、それから清酒の売り上げ、酒税の関係が相当影響してまいっておりますものですから、これらをやはり割り引いて考えていかなければいけないと思います。したがいまして、この八月の実績をそのまま全体の年間の好調といいますか、好転の資料に延ばして考えるわけにはいかないと思いますが、先ほども申し上げましたように、やや好転をしていることは事実でございます。
  59. 秋山徳雄

    秋山委員 くどいようですが、地方のほうはかなり好転をしている、こういうことのようですが、大蔵省でごらんになっている目で見て、地方のほうはどの程度よくなっているというふうに予測が立てられますか。
  60. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私、先生に先ほど答弁をいたしました問題、もし誤解があると悪いので申し上げておきたいのでございますが、中央、地方とも若干好転のというふうに申し上げたような印象を与えましたのは、昨年と比べてのことでございまして、依然として財政状況が中央においても苦しい、地方においても苦しいことは、これはもう事実でございます。したがって、私ども本年度の補正の財政需要額、それに応ずる財、源の捻出ということに非常に苦労いたしておるということ、その結果こういうような事態になったことを申し上げたわけでございますので、誤解のないようにしていただきまして、地方も昨年の非常に苦しかったあの時代と比べて若干好転はいたしておるというような感じを申し上げておるわけでございまして、本年度決して楽観を許さない、中央、地方ともやはり今年も相当苦しい事情にあることだけは御了承願いたいと思います。
  61. 秋山徳雄

    秋山委員 そういう御答弁をいただきますと、今度は逆に、先ほど申し上げましたように、新聞紙を通じて報道されておるところによりますと、繰り返すわけではありませんが、地方には手当てをしなくてもいいのだというようなことが報道されておりましたけれども、そういうことは考えから除かれて、国のほうで交付団体、不交付団体を問わず、これは手当てをしていく予定でございましょうね。
  62. 小沢辰男

    ○小沢説明員 昨年、一昨年もあるいはまた従来のやり方も、実は先生御承知のように、交付団体以外の分について国のほうで手当てをしていることはなかったと、あるいは記憶違いかもしれませんが、私そういうふうに記憶しておるわけでございます。交付団体の分につきまして昨年、一昨年地方税特別会計のほうからたしか融資をしておるように伺ったわけでございますが、今年どういうふうな処置をとりますかにつきましては、今後の地方財政の税収の見込み等を十分つけた上で自治省と相談していきたい、こういうように考えます。
  63. 秋山徳雄

    秋山委員 時間の請求をされておりますので、簡潔に一つだけ聞いておきたいと思いますが、いわゆるベトナム戦争によっての特需関係ですね。これは御存じのように、さすが金持ちのアメリカさんでも、いまかなり苦慮しておるようなんですが、それほどに膨大な戦費の支出が行なわれておるし、したがって、かなり多くの特需が本年度はきておるということが予測をされておりますが、この特需関係だけの想定は一体どれくらいありますか。
  64. 小沢辰男

    ○小沢説明員 たいへん恐縮でございますが、資料を持ってまいっておりませんので、後刻御返事さしていただきたいと思います。
  65. 秋山徳雄

    秋山委員 答弁ができなければ、これはしようがないのだけれども、今度は自治省のほうにお尋ねを申し上げたいと思います。いま大蔵省の政務次官からのお話にもありましたように、地方においてはかなり財政的に好転がなされておるということのようでありますが、特に新聞紙を通じてうかがい知るところによりますと、大蔵省では、今度は地方のほうの財源については考えなくてもだいじ上うぶ間に合うんだ、こういうことが報道されておりましたけれども、これについて、自治省は現在の状況においてどういうふうにごらんになっておりますか、財政的な面で御答弁いただきたいと思います。
  66. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 どういう観点からお答え申し上げるか、ちょっといま迷っているわけでございますが、地方財政が好転しておるかどうかという問題からまず申し上げたいと思います。  御承知のとおり、この九月の各地方の数字等をとりまして、自治省としてはいろいろ検討をいたした次第でございます。その結果、各地方団体におきましては、御承知のとおり、ことし公共事業等につきましてはこれを繰り上げて施行するといったような関係等もございまして、地方の予算としてはほとんどいっぱいの事業費を計上しておるというふうな状況に相なっておりますし、また地方交付税にいたしましても、あるいは計算上出てまいりまする特別交付税にいたしましても、また特別地方事業債にいたしましても、ほとんどこれはすでに九月県会等におきまして予算に計上をいたしておるような状況でございまして、したがって、現段階におきまして地方に相当の財源の余裕があるというふうには私ども考えていないわけであります。特に御承知のとおり、昨年の地方財政計画におきましては百五十億円の節約というものをされておるような状況でありますし、またこの九月の予算の編成の状況を見てみましても、相当に積み立て金を取りくずして予算に充当しておるというような状況等もあります。そういうふうな状況でございまして、現在の地方財政が非常に好転をしておるんだというふうに考えておるわけではございません。ただ一点、単独事業費は若干ふえておりまするが、これは御承知のとおり、昨年非常に圧縮されたような状況でありまして、その点については若干明るい点がございまするが、これにいたしましても、そういった前からの因縁つきの事業費といったような点も相当あるようでございまして、そういったような意味におきまして、地方財政が非常に好転をしたんだというような楽観の気持ちは、私どもはただいま持っておらない次第であります。  それからその次に、一体給与財源を自前で処理ができるかどうかというようなお尋ねかと思うわけでありまするが、これはただいまも小沢政務次官からお話がありましたとおり、特にこの九月期の決算状況というものは非常に重大な関係を持ってくると思うわけであります。伝えられるところによりますと、若干の法人税等の伸びもあるようにも想像せられるわけでありまして、法人税が中心になって伸びて、交付税に相当の増加が見込まれる、あるいはまた特に法人税につきましては、御承知のとおり、現年度の収入も地方財政の収入にもなってまいるわけでありまして、そういったような九月決算期の数字というものは、今後のこの給与財源考えるに当たりましても非常に重要なポイントになってくると思うわけでありまして、したがって、はたして非常に高額の自然増収が出て、あまり国のほうに迷惑をかけずにやっていけるかどうか、あるいはまた期待するほどのものが出なくて、相当の援助を受けなくちゃならぬかどうかといったような未確定な要素が非常に多いわけであります。そういう状況にございますので、この前の給与財源閣議決定に当たりましても大蔵省といろいろ折衝いたしまして、そういうふうな未確定要素の状況でございますので、この地方公務員給与改定が行なわれる場合の必要な財源については、地方財政の現状を考慮して適切な措置を講ずるということで大蔵省とも話し合いをつけて、そういう事態においてあらためて大蔵省と相談をして適切な措置を講じたい、こういう方針でおります。
  67. 秋山徳雄

    秋山委員 これで最後にしますけれども大蔵政務次官からのお話ですと、ことしの自然増収は大体七、八百億円程度、こういうことに理解をするわけですけれども、その中で九月実施に踏み切ったんだ、こういうことだろうと思います。したがって、これが千億なりあるいは二千億なりというふうに、かなり数字の伸びが出てきたという場合には、当然国家公務員並びに地方公務員に対しての人事院勧告実施ということについては、問題として再度閣議で御相談をいただける、こういうふうに理解するしかないと思いますけれども、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。
  68. 小沢辰男

    ○小沢説明員 先生のお話でございますが、遺憾ながら、私どもはそうは考えていないのでございます。公務員給与ベースアップの財源だけがこれからの追加財政需要額でございませんで、御承知と思いますが、今年度の米価の引き上げだけの分をとってみましても、実は七百億をこえる食管の赤字がふえるわけでございます。そのほか、例の米作増産対策費で五十億円、あるいはまた固定資産税の補てん分がございます。あるいは義務的経費、生活保護とかあるいは国民健康保険、医療費問題とか、そういうものを考えましても千数百億円にのぼる財政需要額が実は見込まれるわけでございます。そういたしますと、私どもとしては、自然増収のいかんにかかわらず、この公務員給与ベースアップにつきまして、いまの九月実施を、政府として将来別にこれだけを考えまして税の自然増収のいかんによって再考し直すというようなことはとうてい考えられないのでございまして、ことに公務員給与も、財源は一切税収入をもって、国民の税金でまかなっていかなければならぬという立場にございます。他の財政需要額と十分総合的に判断をした上で決定をしていかなければならぬ立場でございます。各省の既定経費の節約まで大幅にお願いしょうという現状でございますので、これを将来にわたって改定をするという考えは持っていないのでございます。御了承いただきたいと思います。
  69. 秋山徳雄

    秋山委員 そういう話になると、またおかしくなってしまうんだな。さっきあなたのお話しになった自然増収が、ことしは八月の段階でせいぜい八百億どまりだ、こういうことでしょう。その中で人事院勧告の問題と取り組んで、六人委員会先生方が非常に熱心にこの問題と取り組んでおる。あまりなおざりにもできないので、一応昨年並みにきめた、こういうふうに質疑を通じて理解をしたわけです。しかも、いまいろいろお話がありましたように、千数百億の財政需要額があるんだ、こういうことも聞いたわけです。そういう中で九月に実施をするということを決定したのであれば、当然それ以上税収の伸びがあれば、これは何%かわからないけれども、それに見合った増というものが考えられてしかるべきじゃないか、こういうことだと思いますけれども、そうでないと、いままで質疑を重ねたのが何もならない。非常におかしくなってしまう。そうじゃありませんか。
  70. 小沢辰男

    ○小沢説明員 千数百億の財政需要額と私申し上げましたのは、支出面で考えられる需要額でありまして、それについて財源等をいろいろ苦慮をいたしておる最中でございます。しかしながら、公務員給与ベースアップというものを八月に勧告をいただきまして今日まで放置することはできませんので、いろいろ各省にも節約をお願いをしながら、その協力を得て何とか財源を捻出しようということでありますから、政府として九月実施ということを決定願ったわけでございます。将来先生おっしゃるように自然増収がどうなるか、七百億になるか八百億になるのか、あるいはそれ以上になるのか、九月決算を児ないと判断がいたしかねますけれども、しかしながら、給与財源だけを私ども考えることはできませんで、他の財政需要額全般との見合いで考えていかなければならぬものですから、たいへん恐縮でございますが、今後改定をするということは、政府として考えておらないわけでございますので、御了解いただいておきたいと思います。
  71. 秋山徳雄

    秋山委員 さっき聞いたときだって、やはり財政需要はかなり多いのだということですよ。それを承知の上で、それに見合う財源はたった七、八百億円しかないんだ、にもかかわらず、その段階において九月から実施をしようということでしょう。それは間違いないことなんだ。しからば、あとの財源はどうしようかということで苦慮していることもわかります。いま言われた数字の中で、ワク内で九月実施に踏み切ったものなんだから、ほんとうに努力の意思があれば、基本になるべき税収入がもっと伸びてくれば、当然もう少し何とか努力をすれば出てこないはずはないわけですよ。そういう答弁じゃ、私はおかしいと思う。
  72. 小沢辰男

    ○小沢説明員 先生のおっしゃるように、自然増収が幾らと想定いたしまして、おそらく自然増収がこれだけだろう、したがって、それじゃ九月実施だ、こういうことにきめたわけじゃございません。とにかく各省の節約までお願いをして、たとえ苦しくとも、何とかひとつ九月実施という実績は後退はできないだろう、こういうことで、私ども九月実施財政当局として了解をしたわけでございますので、そういう実情にございますから、先生のおっしゃるように、実はいろいろな考えられる財政需要に応ずる財源につきましては、まだ相当不確定な要素がたくさんございます。それほど苦しいのですけれども、これだけは早くきめなければいかぬだろうということで、九月に実施をさしていただくように踏み切ったわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  73. 秋山徳雄

    秋山委員 上村副長官がお見えになっているようですが、先ほど来お聞きのように、森長官は、ことしは何としても昨年よりも前進をしなければいけない、少なくとも八月に実施しなければいけない、この熱意はあったように私も伺っております。いまいろいろ御答弁の中から出てきたように、大蔵政務次官のほうでは、いろいろ出る金はありましょう、しかし、八月の段階における税の自然増収というものは五百億か六百億、せいぜいいっても八百億だ、こういうことなんですね。そういうことを想定として考えていきますならば、これが二千億なり二千五百億なりにかりに伸びたとするならば、それだけ基本になるべき税がふえているんだから、森総務長官の言われておったように、当然の帰結として、何ぶんかはやってできないことはないんだ、こういうことが考えられると思うんだけれども、六人委員会の中心となる総理府考え方として、いま私が大蔵省にお尋ねしたような角度から見て、これに勢いを得て、閣議決定をされたようなものの、そのときの段階においては、わずかの財源しかなかったことを想定して、そういう苦しい中でも九月実施をするというんですから、これがかなり税収が上回ってきたということが出てきたならば、そのときは、人事院総裁が言われるように、もっと力を込めて、六人委員会がこれを何とか保障し、こういうことで発言力が増大されていけば、当然の帰結として、これはかなり先に進んだ——先ほど来いろいろことばの中に出てきたような前向きの姿勢で、一ヵ月でも二ヵ月でも三ヵ月でもこれが上昇していくんじゃないか、こういうことが考えられると思いますが、それだけの御熱意がありますかどうか、最後にお尋ねをしておきます。
  74. 上村千一郎

    ○上村説明員 秋山先生がいまいろいろおっしゃったような意味はよくわかるわけでございまして、給与担当の機関といたしまして、八月十二日に人事院勧告がなされ、致すと、その日に関係の閣僚の方がお集まりになられて、その席におきましても、給与担当の機関といたしまして、森長官からも強くただいまのような御要望をいろいろ申し上げておるわけであります。でございまするが、何しろ財政当局のお考えというものが強く左右するわけでございまして、八月十二日の段階におきましては、まだ見通しが非常に立ちかねておるというようなこともございましたし、また大蔵大臣も御出張であるというようなこともたびたび重なったのでございますが、私どものほうとしましては、この完全実施の線を非常に強く主張申し上げ、いろいろいたしたわけでございます。が、先ほど大蔵政務次官から詳細に御報告なされるような次第でございまして、とにかく財政上そういうふうであるということであればいたしかたがないということで、六人委員会におきまして森長官も了承されたという結果でございます。
  75. 秋山徳雄

    秋山委員 これでやめるつもりだったんですが、何か話がつかなくなってしまった。おそらく政務次官から話がありましたように、そのときの段階においては、せいぜい大幅に見ても八百億円程度しかない財源ですよ。その中で、先ほど御答弁がありましたように、地方だけでも三百四十三億となる。それを含めた財源というものが考えられてきたんだから、自然増がより以上増してくれば、当然やりくり算段だってできるはずなんだから、それができないはずはないんです。やれないということは、とりもなおさず熱意が足りないということじゃないですか。私はそう理解せざるを得ないと思うのです。だから、私は六人委員会の自治大百も含めて、そういう方々にお願いすることは、そういう事情なんだから、九月決算がはっきりとしてきて、より以上財源が出てきたならば、当然の結果として、何ヵ月かさかのぼってもらいたい、こういうことを私は希望しておきます。  これは答弁していただいても、行ったり来たり同じことだと思います。それでなかったならば、六人委員会人たちが熱意があると言いながらも、熱意がなかったとしか理解できませんので、そういうことを含めて最後に申し上げて、きょうの私の質問を終わります。
  76. 岡崎英城

  77. 細谷治嘉

    細谷委員 まず、時間がありませんから、関連質問という形で、公務員給与についてポイント、ポイントだけをお尋ねしたいと思うのです。  まず、佐藤人事院総裁お尋ねしたいのでありますが、新聞の記事を拝見いたしますと、佐藤人事院総裁は、先ほど秋山委員質問に対してお答えがあったのでありますけれども、こう言っておるんです。一として「三公社現業職員には団交権があるが、公務員には認められていない。したがって団交権の代行という見地から第三者である人事院勧告という機能を果たしている。このことからも人事院勧告には重大な意味があることを了解すべきだ。」そして次の一は、「人事院は過去十八回勧告したが、三十五年以降は勧告の中身については尊重されるようになったが、実施時期は切り下げられている。今回も同様でまことに遺憾だ。過去三回政府決定した原案が国会修正されたことがあるので、こんども国会で慎重審議してほしい。」こういうふうに述べておるのですが、この新聞記事は正しいのですか。お認めになりますか。
  78. 佐藤達夫

    佐藤説明員 趣旨はそのとおりであります。最後の修正をしていただきたいというところまでははっきり言ったかどうかわかりませんが、とにかく、私どもは先ほど申しましたように、国権の最高機関である、また立法機関である国会に対して直接勧告を申し上げておるのでございますから、その勧告をこれからたよりにしております。国会のしかるべき御措置を期待しておるという趣旨のことを強調したわけです。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 このとおりの趣旨だということでございまして、人事院勧告は申すまでもなく政府国会にしたわけでありますから、過去三回政府決定した原案が国会修正されたことがあるので今度も国会で慎重審議してほしいという意味は、国会でやはり人事院勧告の線に沿うて修正してほしいと人事院はお考えになっておると理解しておるので、そう確認してよろしいですか。
  80. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども勧告の完全実施を念願して必死になってその努力をしておるわけでありますが、遺憾ながら政府段階ではそれが貫き得なかった。しかし、一方においては国会に対する勧告というものはまだ残っておる。それをひとつ生かしていただきたいという趣旨で強調したわけであります。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 生かしていただきたいということは、人事院勧告の線に沿うて、あるいは人事院勧告どおり、慎重審議の上、修正をしてほしいというのが人事院考えだと、こういうふうに私は理解し、そう確認したいと思います。
  82. 佐藤達夫

    佐藤説明員 修正一つでありましょうし、議員提案ということもありましょうし、いろいろ手段をお持ちでありますから、その手段をお用いの上で適正な御裁断を仰ぎたい、こういうことであります。
  83. 細谷治嘉

    細谷委員 次に、総務長官はいらっしゃいませんので、上村副長官お尋ねしたいのでありますが、今度の問題にかんがみて人事院勧告のあり方について再検討をすべきだ、こういうことを考えておるようでございますが、また森総務長官もそうおっしゃっておるのであります。去年もこのことはあったのです。去年も勧告のあり方について検討したわけですが、やはり従来どおりになったわけです。今度もほんとうに検討するつもりなんですか。お尋ねしておきます。
  84. 上村千一郎

    ○上村説明員 この前、附帯決議の趣旨に沿いましてこれが何らかの対策をすべきである、あるいは改善策を講ずべきであるというわけで種々検討をいたしたわけでありますけれども、現段階におきましては従来のままということで今回の閣議決定をしたわけでございまするけれども、しかしながら、いろいろな問題点は含んではおりまするものの、何といたしましてもひとっこれが改善策を講じたいという熱意は少しも変わっておりません。  なお、今日に至るいろいろな検討の経過につきましては増子人事局長から説明をいただきたいと思います。
  85. 増子正宏

    増子説明員 昨年の人事院勧告取り扱いにつきまして閣議決定いたします際にも、特に総理から勧告の時期等について検討することという指示がありまして、また一方では国会内閣委員会におきまして、人事院勧告の完全実施ができるように政府としては財政措置等について万全の努力をすべきであるという附帯決議もなされておりますので、そういった趣旨から関係各省相寄りまして、人事院勧告制度というものについてこれをスムーズに処理する何らかの改善方法はないかという意味での検討をいたしたのでございます。  その一つとしましては人事院勧告の……(細谷委員「その経過は知っている。もう時間がないから答えないでいいんだ」と呼ぶ)人事院自身の勧告時期の問題、それから政府のこれを受け入れる財政措置等の面、いろいろ問題がございまして、あれこれ検討いたしたのでございますが、現在まで、先ほど上村副長官が申しましたように、具体的な結論は得られなかったのでございますが、しかし問題は解決したわけでございませんので、なお引き続きこれらの問題を検討してまいりたいということでございます。
  86. 細谷治嘉

    細谷委員 去年一年やって従来どおり今後も検 討するということでございますけれども、問題点というのは財政問題ですね。そういう問題点に何ら触れないで勧告時期だけ検討したって結論は 出っこないですね。まあしかしこれについてはこれ以上聞きませんが、先ほど秋山委員質問で小沢政務次官は、国の財源は五百億円かあるいは八百億円程度しか自然増は期待されない、こうおっしゃっておるわけです。  そこで自治省お尋ねしたい。かりに八百億円伸びたといたしますと、地方財源はどういうふうにはね返ってきますか。
  87. 細郷道一

    細郷説明員 八百億円の内容は、何税が何によって伸びるかということによっていろいろ違うと思いますが、従来所得税が八百億円といった場合には、通例三税がその七割ないし八割、したがいまして五百五十億から六百億くらい。それに対して交付税が三割と見る、こういうことでございまして、他方地方税自体を見てみますと、八百億のうちの法人税がどれくらい伸びるかということによるわけでございますが、御承知のように法人税の伸びに対して地方の法人関係の伸びは大体四割前後、こういうふうに見ております。
  88. 細谷治嘉

    細谷委員 八百億伸びたとしますと、従来の慣例からいきますと大体地方税の伸びというのが四割ないし四割五分、いま財政局長が答えたとお り。そうしますと、地方税というのは三百二十億になりますね。交付税のはね返りというのが、八百億のうちで三割あったとしますと大体二百四、五十億、三百二十億と二百五十億でありますから合わせて五百七十億程度、こういう伸びですね。これで地方公務員給与財源が大体まかなえると思うのですか。
  89. 細郷道一

    細郷説明員 地方公務員給与改定の九月実施の場合の所要財源は御承知のように四百六十一億であります。したがいまして四百六十一億の財源がありますれば、総体としてはまかなえるという計算でございます。ただ地方財政の現状におきましては、御承知のように、今年は年度当初に節約をしておるといった事情もございますし、また公共事業の完全実施のために、すでに九月におきまして、府県段階において約二百六十億ほど財政計画を上回った税収を見込んでおるといったような事情もございます。また、府県市町村のそれぞれの事情もあるわけでございますので、そういった面をももう少しよく検討いたして、適切な措置を講じなければならない、かように考えております。
  90. 細谷治嘉

    細谷委員 イエスかノーかを私は聞いているんですよ。五百五十億でやっていけるとお考えかどうか、やっていけないでしょう。私は自治省態度というのは、大蔵省にまるきり引きずられていると思うのだな。小沢政務次官は、五百億から八百億と言うのですがね。五百億から八百億の税収というのは、どの新聞を見てもないのですよ。私は、全部これ、切り抜いてきているんだ。どの新聞を見ても五百億か八百億というのは、きょう初めて聞いたことだ。ずばり言うと、六月ごろの段階で、自然増があるいは五百億か六百億くらいだろうと書いた新聞がありましたけれども、いまの時期で、国税の自然増が五百億から八百億だという記事は一つもない。みんな一千億をこえるのですね。そして補正要因というのは幾らかというと、米価を含めて千八百億か千九百億といっているのだ。そうして自治省態度というのは、あなた方、困るとすぐ、新聞記事はうそだというのです。しかし新聞記事というのは、いままで見ていって、まるきりうそなことはないのだ。当たらずといえども遠からず、こういう実情なのです。そこで私はこの前にもちょっと申し上げたのでありますけれども、ある新聞の自治省の見積もりはこう書いてある。十月七日の新聞ですよ。「地方公務員給与財源、自力でまかなえる、自治省が判断」、こういうことで、どういうふうに書いてあるかというと、大体地方税が四百億から四百五十億伸びる、言ってみますと、国税が約一千億円伸びるということです。いいですか。交付税は二百二十億から二百五十億伸びる、合わせて幾らになります、六百五十億以上伸びるのだ。だから大体自治省としても今度は財源措置をしなくてもやっていけるのだ、こう判断した、こういっている。ところが八月二十五日の新聞を見ますと、地方税が四百億程度、交付税が三百億程度、合計七百億円程度伸びる、これでもやっていけないのだ、どうしてもやはり人勧財源については国から考えてもらわなければいかぬのだ、こういっている。二ヵ月後の十月七日には、それよりも金額は六百五十億円以上ということでありますが、大体変わらないのだ、大体やっていける、こういっている。いま小沢次官に聞きますと、これよりまた悪いのだよ。それでもやっていけるとおっしゃっているのだ。数字が全く合わない。しかも新聞でも大体一千億ペースでものごと議論している。私ども一千億ペースで九月実施という財政上の理由からの結論が出たと思ったら、きょうは五百億から八百億というのです。一体、自治省、これでやっていけるのか、あなた方が八月見積もってこれでやっていけないのだと言ったよりもっと収入は悪くなっているのだよ。一体どういうふうにやるのですか、これを明らかにしてほしい。これは小沢次官、五百億か八百億というのは、かりそめにも国会の場において述べたことは、これはまだわからぬ、わからぬということで——それは決算でありませんからわからぬと言えましても、事もあろうに国の財政を握っている大蔵省は、いままでの例であまり数字は違っておらないのですよ。昨年の赤字は幾らか。二千六百億の赤字公債を発行している。狂ったのはどうかといいますと、大体決算では二千三百億、四百億円程度狂った。これは二百億円くらいが最後の決算で年度末に出てきたのであって、大きな狂いはしてないですよ。ですから小沢次官の五百億か八百億という見積もりは、これも数字を直してもらわなければ、これは秋山さんの議論を蒸し返さざるを得ない、はっきりしてくださいよ。議論にならない。
  91. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私どもは、はっきり申し上げますと、先ほどもるる御説明したとおりでございまして、九月期決算を見なければ本年度の自然増収を正確につかむわけにいかない、それが現在のところ、はっきりした態度でございます。ただし、従来ある時期においては五百億といわれ、ある時期においては六百億といわれ、ある新聞、ある時期においては八百億といわれてまいりました。ことばは足りなかったのですが、しかし私どもとしてはあくまでも今後の九月期決算を見なければ、本年度の自然増収が幾らあるかということは、いま申し上げる段階ではございません。来月の上旬ないしは中旬までの間に九月期決算を正確に見通した上で自然増収云々ということを申し上げたい、これが正確な答弁とひとつ御了承願いたいと思います。
  92. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほどは大体五百億か八百億程度の増を見積もられておる。いまのおことばでは、ある新聞は五百億、ある新聞はある時期には八百億といった。こういうことになって、新聞の数子をお使いになったので、実質上は、先ほどの五百億から八百億であるという自然増はやはり取り消されたのではないかと理解する。そうでないとおかしいですよ。これは五百億なのか、八百億なのか、一千億かわからないで、財政事情ということを根拠にして六人委員会が九月実施以外にないのだという結論を出すということは、前向き、前向きと言っていながら、不確定な、五百億なのか、八百億か、一千億かわからぬで結論を出すなんということは不見識きわまる。ある程度のめどを持って、しかも財政事情ということに重点を置いて九月にやる以外にないという結論を出したとしか理解できないのですが、これははっきりしてもらわぬと、前に進めないのですよ。五百億から八百億というのは、これはある時期にある新聞がいったということであって、いまはいえないけれども財政事情からは九月実施とせざるを得ないと大蔵省は判断した。そういう判断に基づいて六人委員会が結論を出した、こういうことなのでしょう。
  93. 小沢辰男

    ○小沢説明員 私ども財源の見当につきましては一番大きな要因が自然増収であることは間違いございません。しかしながら、その自然増収を正確につかむことは、やはり九月期決算というものを見てみなければつかめない。ただし先ほども言いましたように、八月末における税収入の実績等がございます。しかしながら例年——先生は専門家でいらっしゃいますので、御承知と思いますが、減税の効果が現実にあらわれてまいります時期も、これまた上半期、下半期によって違ってまいりますので、必ずしも八月の実績で二%くらい好調だからといって今後の税収が非常に伸びていくのだとも楽観できない面がございます。また先ほど申し上げましたように、清酒の異常な伸び等もございましたし、また法人税の収納率がよくなる、繰り上げ納付といいますか、そういう現実の金融緩和に基づく姿もございますので、したがってなかなか楽観は許さないのだというふうに御説明申し上げたのですが、自然増収の見当をたとえ八百億とつけましても、先ほど申し上げました食管の赤字が七百億をこえるというような、今年度の米価の引き上げ分についてだけ考えましてもそういう情勢でございますし、その他補正要因でございます財政需要というものにまだまだたくさんあるわけでございますから、したがって、各省の節約、不用というようなことにつきまして昨年並みに御協力を願って、何とか昨年の実績の九月実施という線だけは守っていきたいということから九月実施というふうに私どもも了承したわけでご、ざいまして、したがって、自然増収がはっきり幾らというふうに見込みまして、それならばこれは九月の実施が可能だというふうな計算をいたしておるか、こう言われますと、私ども九月期決算を見ないと、自然増収を幾らと判断することは軽軽に公の席上で申し上げるわけにいかないわけでございますので、その点はひとつ先生の専門的な判断におまかせをいたしますが、御了承いただきたいと思うわけでございます。
  94. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣、御病気入院中のようでありますので、一問だけ……。  昭和四十年度の地方団体の超過負担は、地方財政計画に織り込まれておらない分、公共事業等の超過負担があるわけです。これは「地方財政」という自治省財政局編集の中に詳しく四十一年度の超過負担の見込みがあるわけです。それによりますと、おおむね一千百億円あるわけです。今年一部解消したわけですけれども、これがこの雑誌に書いてあるとおりかどうか、これは大臣に確認していただきたい。  それからもう一つは、参議院社会労働委員会で、この一千百億円という超過負担の分は来年度必ず解消いたしますとお答えになったそうでありますが、そのとおり理解してよろしいか、この二点だけをお聞かせいただいて、あとは大臣に御遠慮申し上げて、ほかの人に御質問いたします。
  95. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 超過負担につきましては、その金額につきましては、大体その雑誌に発表されたとおりでございます。これは自治省の計算のとおりでございます。  それから超過負担の解消の問題でございますが、これは自治省といたしましても、地方財政といたしましても、非常に重大な地方財政圧迫の要因でございますので、これが解決に全力を尽くしたいということでまいっておるわけでありまして、特にこの超過負担の解消につきましては、単に大蔵省が解消すると言うことだけではなかなか容易でないと判断をいたしまして、予算編成の過程におきまして、各省が、自分がこれだけたくさんの仕事をしたのだというような考え方から、ことさらに単価の見積もりを小さいところでがまんをしたり、あるいは土地、その他の無償提供を織り込んでみたりというふうなことも必ずしもなかったわけではないように感ずるわけでありまして、したがって、私も就任早々閣議発言をいたしまして、予算編成の過程から超過負担の原因の発生をしないように、そういうふうな意味で予算も編成さしてもらい、そしてそういう原因を除くように御協力を願いたいということを申し上げたわけでありますが、その後も、この問題は重大な問題でございますので、ぜひとも解消いたしまして、すっきりした姿で健全な地方財政を打ち立てなければならぬと考えておるわけであります。ただ、ただいま社労かどこかで明年度全部解消するんだということを言明したというお話がございましたが、実は、私、当時まことに恐縮でございましたが、ちょうど入院中で出ておりませんで、その事実をまだ承知をいたしていないわけであります。しかしながら、この超過負担の問題は非常に長いむずかしい問題であり、また、超過負担の原因も非常に複雑であり、まだ超過負担の内容そのものもなかなか検討を要すべき問題があろうかと思うわけであります。昨年度は大蔵省の非常な勇断で三百数十億の超過負担の解消に御協力を願ったわけでありまして、私どもは、やはりことしもそういった各省の御協力を得ながら、さらに大蔵省にもこの超過負担の解消について御協力を願うように努力いたしたいと思う次第でありまするが、しかし、一挙に一千数百億というものが解消できるかどうか、これはそういう気持ち努力いたしたいと思いまするが、必ずしも従来の経緯あるいは超過負担のおのおのの性質等から考えまして、これを一挙に全部解消できるかどうかということにつきましては、残念ながらこの席ではっきりお答え申し上げることができないと思いますので、その点は御了承願いたいと思います。
  96. 細谷治嘉

    細谷委員 参議院で来年一年で千百億の超過負担を解消しますと言ったのを衆議院のこの席で答えられないというのはおかしいと思うのです。きょう私は参議院社労の議事録を持ってきませんから、だれが答えたか知りませんけれども参議院で答えておって衆議院で答えられないという手はないと思うのです。しかし、大臣は御病気ですからこれ以上申しませんし、大臣はお帰りになってよろしいですが、質問財政局長にしますけれども、これだけはひとつ念頭に置いていただきたい。いま大臣は、大蔵省のたいへんな御好意で三資数十億程度の超過負担の解消を四十一年度にしましたと言っておったが、これは大臣、大蔵省の計算ですよ。当時大臣大臣ではなくて、永山さんがすわっておったんですが、自治省の計算では二百五十億の解消です。見かけは三行数十億だけれども、実質は二百五十億でございますということをはっきりこの席でも答えたのです。これは大蔵省のごまかしなんで、いわゆる自然増収分まで含んで名目的に三百数十億だということになっておるわけです。それを大臣みずから大蔵省の数字にいまこの席で合わせられては、先ほど私が言ったように自治省自主性なしということになりますので、ちょっとは強腰でやっていただきたい。大蔵省が地方財政は好転したと言いますと、その翌日くらいは、府県の決算状況を見て、いや、大蔵省の言うとおり好転してないのだと言っておるかと思うと、一ヵ月か二ヵ月しますと、大蔵省のペースどおりになっておるんですね。それが自治省の姿です。さいふを握られておるとこれほど人間は自主性がないものかと思うのでありますが、そういうことでありますから、大臣、いまの三百数十億の好意的な解消をしてもらったということばは、これは実質ではありませんから、また、いままで自治省は答えたことはありませんから、その点は念頭に置いていただいて、直ちに病院にお帰りいただいてけっこうであります。  財政局長、千二百億解消するというのは参議院で答えたでしょう。だれが答えたのですか。
  97. 細郷道一

    細郷説明員 当日は政務次官が出ておられまして、そういう努力の気魄をお答え申し上げたわけであります。
  98. 細谷治嘉

    細谷委員 もう先ほど来から気魄論とか前向き論というのはあきあきしておるわけだ。そこで私は、小沢政務次官がお答えしたような税の自然増収ということであれば、自治省の十月七日の新聞発表のだんだん自前で大体やれるのだという考えはここで改めていただかなければいかぬ。もしそれでやれるとするならば、秋山委員指摘したように、自然増収が伸びたなら財政事情一点ばりで去年どおりの九月ということにしたならば、やはり八月にするなり七月にするなりしていただかなきゃならぬ。いずれかです。これについて自治省、ひとつお答え願いたい。
  99. 細郷道一

    細郷説明員 十月何日かの新聞の記事自体は、私は、正直言って関知しておりません。特に、自治省のそういう判断ということも、これは事実に相違しております。おそらく非常に勉強された新聞記者の方が感想記事を書かれたんだろうと思います。私どもとして、正直言って、なかなか本年度の場合の自然増収の見積もりはむずかしいと考えております。普通に景気がいつものように何%かずつ上向いていくときと違いまして、一回落ち込んでおりますので、会社自体もいろいろ過去の不良債務を整理するといったようなことも考えられます。そういった意味で、税としてのはね返りの自然増収の見積もりは非常にむずかしいと考えております。そういった点からいたしまして、私どもはやはり相当の自然増収がないと、地方財政として給与会計をまかなうことができない、こういうふうに考えておるのでございます。したがいまして、閣議決定におきましても、最悪の場合には、いろいろの国の措置も必要だということで、昨年同様適切な措置を講ずる、こういう決定をいたしたわけでございます。
  100. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連で、小沢政務次官にちょっとお聞きしたいのですが、先ほど自然増収の見積もり額でいろいろ議論が出ておりました。今日の段階において、九月決算が出なければわからないという状態で、当局者として控え目にお答えになるのは当然であろうと思うのですが、実は先般、補正予算の財源その他について総理と大蔵大臣お話になられたときには、地方交付税の増収額として二百五十億というものをあげておられる。ということは、私は三税が大体八百億を期待できる。三税が八百億になるのでしたら、自然増収が一千億内外になるんじゃないかという、こういう基礎のもとに出されたんじゃないかと思うのですが、二百五十億と新聞に出ております額は、交付税の増しだけじゃなくして、ぜひともこれだけは確保してやらなければいかぬという意味で書かれたのか、自然増収を一応千億と見た場合にはこうだと書かれたのか。その点いかなる根拠に基づいて二百五十億という数字を出されましたか。これをお答え願いたい。
  101. 小沢辰男

    ○小沢説明員 政務次官の限界がございますので、たいへん恐縮でございますが、——いま渡海先生から自然増収の件につきまして特に、この前新聞でも確かに交付税の増加分二百五十億、正確に言いますと、二百五十六億でございますが、これが出ておることは事実でございます。したがいまして、これが補正予算のいろいろな打ち合わせの際に話題になったことは事実でございます。それを、それじゃ、どういう計算でそうなったかということになれば、当然三税の三二%ということで考えてみますと、三税分が八百億ということになるわけでございますから、渡海先生のおっしゃった計算は確かに私どもとして二百五十六億円の交付税分ということを割り出してきますと、当然、自然増収の三税分が八百億という計算は、おっしゃる計算どおりになるんじゃないかと思います。ただし、三税八百億と考えた場合に、しかりば自然増収一千億か、これは少しそのままに私計算はなるとは思われませんのでございまして、一日然増収ほぼ九百億円見当として、三税分八百億と想定すれば、その三割二分、二百五十六億交付祝の分が出る、こういう計算になることだけはひとつ御了承願いたいと思います。
  102. 細谷治嘉

    細谷委員 私が先ほど来申し上げておったことかかなり数字的にはっきりしてきたわけですが、国税自体の自然増は幾らになるかは別として、大域当局としては交付税が大体二百五十億程度伸びる。そうしますと、逆算しますと、国税三税といりのは八百億円程度伸びる。そうしますと、それか大体税全体からいいまして、従来の慣例からいくと八割か、七割五分くらいに当たるのだから、まあ一千億、税全体としては一千億程度、こういうことに数字の帰結としてなると思うのであります。  そこで私はもう時間がありませんから、自治省に申し上げておくのでありますが、地方財政計画で一千億程度は、これは国が公共事業をやらせながら超過負担として地方財政にしわ寄せさしておるわけだ。公共事業重点、それをてこにして建設公債という名のものまで発行して景気の刺激をやっているわけですから、超過負担というのは、これは必然的に起こってくるわけですね。地方財政計画で見ていないワク外の数字が出てくるわけだ。そこで三十七年は地方財政計画と地方税の差額はどのくらいあったかというと、千二百五十八億円あるのだ。昭和三十八年は地方財政計画よりも千五百四十七億円地方税は上回っておるわけだ。いいですか、上回ってなおかつ昭和三十六年から七年くらいにこれくらい上回って、千三百億とか、千五百億くらい地方財政計画の収入より上回っておりながら、なおかつ三十六年くらいから地方財政はぐんぐん悪化していったわけです。三十九年になりますとどうなったかというと、地方財政計画に比べて九百八十六億円の税の伸びがあったわけです。そのときはどういうことをしたかといいますと、九百八十六億円の税の伸びと、そうして地方交付税の百五十億の伸びとあって、そうして別に交付税の先食い百五十億で財、源措置をしたというのが昭和三十九年度の実態なんですね。昭和四十年度はどうなったかというと、これは税が落ち込んだわけですから、地方財政計画よりも下回った。そこでほぼ全額これも節約を百五十億ばかり強要したわけですけれども、三百億円の特別会計への借り入れ、いってみますと、交付税の先食いということでやったわけですね。これは三十七年から四十年、昨年までの実績を見ますと、三十九年は九百八十六億の自然増があって、地方財政計画を上回る地方税の収入があってなおかつ人事院勧告の財.源として百五十億円見たわけですね。ことしはどうかといいますと、地方税では四百億か四百五十億三十九年度より少ないのです。そうして交付税は三十九年度の百五十億より二百五十億程度になるわけですから、百億くらいふえております。これはどうしても国のほうで、ある程度の財源を見てやらなければ、準じたベースアップ措置というものはできないということに、これはもう日本の一級の公務員といわれる大蔵省官僚の頭脳を借らぬでも、小学校の一年生の数字からも出てくるわけですが、これを自治省が、いやまかなえるということはけしからぬことであって、ひとつこの問題についてはいままでの例からいっても当然何らかの措置をある程度しなければならぬということに私はなると思うのでありますが、簡単に大蔵政務次官自治省財政局長のお答えを聞きたい。
  103. 小沢辰男

    ○小沢説明員 先ほど自治大臣が、閣議決定の際に、地方給与財源について、今後の税収の見込み等を十分把握した上で適切な措置をとることに大蔵省とも打ち合わせがなっておると答えられましたが、そのとおりでございまして、主として九月期決算を中心にする税の自然増収等の見込みを十分つけた上で適切な措置をとるということに私ども考えております。
  104. 細郷道一

    細郷説明員 いま御指摘のようないろいろな事情があるわけでございますので、そういった事情もあわせて財源措置を考える、こういうふうにいたしたいと思います。
  105. 細谷治嘉

    細谷委員 これは時間がありませんのでこの程度にします。政務次官、どうもたいへんお待たせいたしました。  次に、ILOの問題について若干お聞きしたい点があるのです。  第一点は、この国会で私ども答弁することは自治省の統一見解であるかどうか。——意味がわからぬですか。この地方行政委員会自治省が私ども質問に答えることは自治省の統一見解であるかないか、ほかの統一見解があるのかないのか、これをお尋ねしているのです。
  106. 長野士郎

    ○長野説明員 私どもがお答えいたしますことは、もちろんお話しのとおり自治省の見解でございます。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、ILOの交渉をめぐって、ある市長が、この席で問題になった点について議論されたときに自治省に電話したそうです。そのとき、国会で私に答弁したことは統一見解ではなくて、いま私が電話で答えていることが統一見解であります、こういう回答をした人があるようであります。あるようでありますということはどういうことかといいますと、私がその市長に、だれが言ったんです、自治省のどなたが言ったんですと聞いたところが、さすがにそれは言わないで、私がそういうふうに受け取ったんです、こういうふうに逃げましたから、私は、ようですと、こういうふうに言っているわけです。しかし、問題は重要です。国会で答えることは自治省の統一見解でないんだ、一課長が、課長補佐が答えることが自治省の統一見解ということになりますと、たいへんな問題でありますから、私は、ようですということでたいへん恐縮でありますけれども、念を押して聞いておるのです。
  108. 長野士郎

    ○長野説明員 お話しのような事例があるといたしますと非常に申しわけないことでございますが、いろいろ担当しておる者の間で多少表現のしかた、あるいは受け取り方とかそういうものに行き違いがあるような、異なった印象を与えるような場合もあるかと思いますが、それはことばの足らない場合等いろいろでございますけれども、しかし、申し上げております趣旨の中で、国会で申し上げたことが正しくなくて、お話しのとおり電話で申し上げることが正しいんだというようなことは、これは全然考えられないことでございますので、どういう行き違いがあったかよく存じませんけれども、ひとつ御了承願いたいと思います。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうことはあり得べきことでありますから、いまの行政局長答弁で私は了承します。  もう一つお尋ねいたしたいのです。私が、これもまたある市長に、そう言ったのかと言ったら、そのとおりと言いました。これは市長が確認したわけですが、あなたのほうで、ながら条例、いわゆる行為の制限条例なりあるいは登録条例というような準則を示しましたね。これに一字一句でも修正を加えると違法だ、こういうふうに自治省はお答えしたそうであります。これは確認しているのです。どこの市長が言ったかということは申し上げませんが、違法ですか。
  110. 長野士郎

    ○長野説明員 登録条例、制限条例等について、いろいろこれをめぐりまして論議がありますことは先生御承知のとおりでございますが、特に制限条例につきまして私どものほうで流しておりますところの準則というものは、私どもとしては最も適切なものだという考え方、結論に基づきまして十分指導いたしておることは、これはそのとおりでございます。したがいまして、私どもとしてはできます限り制限条例の準則を実現をしてほしいという気持ちを持っておりますが、それが一言一句、少しでも異なれば全部違法である、こういうことではない。これは事柄によりますので、すぐ違法であるということはもちろん断定はできないと考えております。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 事柄によりましてすぐ違法だとは言えないというのですが、自治省設置法第四条一項十五号に「地方公共団体の人事行政が地方公務員法によつて確立される地方公務員制度の原則に沿って運営されるように協力し、及び技術的助言をすること。」と書いてある。地方自治法十四条には法律と条例との関係というのが書いてある。条例というのは、これは地方公共団体が権限を持っているのでしょう。自治省は適当な助言と指導をするだけでしょう。どこから違法というのは出るのです。どういう範囲が違法なんですか。
  112. 長野士郎

    ○長野説明員 先ほど申し上げましたように、もちろん条例を制定するというのは地方団体です。ただ、地方団体がつくります条例の内容について、いかなる事.項を盛るのがこういう問題について適切であるかというようなことにつきまして条例の準則等を示しまして、そして地方団体にアドバイスする、指導するということは、これは自治省としての任務であろうと考えておる次第であります。
  113. 細谷治嘉

    細谷委員 助言、指導でしょう。違法だとおっしゃるのなら、去年ILOの問題でもめたときチェックオフの問題について——これは条例に定めがあればいいわけですよ。なぜ条例の準則を示さなかったのです。そこまで条例でつくれといって条例にゆだねながら、あなた方の気持ちと食い違ったら違法だ。違法呼ばわりをするなら、条例にゆだねぬで法律できめられたらいいでしょう。その場合は地方公共団体、地方自治というものはふっ飛ぶかもしれない。しかし、そうしたほうがいいと各地方団体は言っていますよ。準則をつくって、準則から違ったことをやったら違法呼ばわりをされるなら、法律できめてください。こう言っているわ。そこまでいくなら、違法呼ばわりをするなら、なぜ昨年チェックオフのときに条例の準則を示さなかったのです。条例の準則を示しておらぬでしょう。そのとき何と言ったか。これは条例にゆだねているのですから、条例をつくろうとしたら、条例はつくらぬでください、袋引きという手があると指導しているでしょう。今度の場合は準則をつくっておいて、準則と一字一句、あるいは一字一句と言わぬけれども、若干の修正でもしたら違法だ、こういうふうにやられたら、これはたまったものじゃないですよ。どうなんですか。
  114. 長野士郎

    ○長野説明員 ある場合には条例の準則をつくって指導し、ある場合にはつくらないでおいて、態度が一貫しないじゃないかというような趣旨を含めてのお尋ねでございますが、特に御指摘のチェックオフ等につきましては、これは当時担当しておりませんでしたので、正確には承知しておりませんが、いろいろな事情がございまして、そういうことも何か一つの話し合いと言いますか、何かありまして、そういう適切な指導というものを積極的にするもしないも、うんもすうも言わぬ、ざっくばらんに言いますれば、そういう空気の中でものがとり進められたように聞いておるのでございます。これは正確かどうか知りませんが、何かそういうふうな記憶があるわけでございますが、そういうことが一体いいかどうかということになれば、確かに御指摘のとおり、やはりそれ自身がいいのかと言われれば、問題があると思います。したがいましてそういう場合にも、必要なる条例なり何なりというものを、具体的な場合というものを予定をいたしまして指導すべき事態ではないかという御議論でございますと、そのとおりであるということを申し上げるほかはないかと思います。だからと申しまして、今度準則をつくって指導しておくことがいかぬ、こういうことには直ちにならぬというふうに思います。ただしこれはあくまで準則でございますから、お話がございましたように事柄の内容次第ではございますが、一字一句違えば違法であるとか、したがってもうそういうことであれば地方団体の条例制定権にゆだねる必要はないじゃないか、法律でぴしゃっときめたらいいじゃないかという意見があるというお話もございますが、私どもとしては一字一句違ったらそれはいかぬのだというふうには考えていないわけでございます。ただ担当しております者といたしましては、せっかくいろいろ検討いたしました末につくり上げた一つの準則でございます。それが、その趣旨が実現されることを期待するという気持ちも大いにあるわけでございまして、それがある意味で事由のないもの、あるいは不適切な表現に変わるということにつきまして、ときには強く指示をすると言いますか、指導が少し行き過ぎるという点があるかと思いますが、それは気持ちについては、それだから自治権を制限するとか条例制定権を奪うというような気持ちで申しておるわけではないことをひとつ御了承を願いたい、こう思います。
  115. 細谷治嘉

    細谷委員 私が言うのは、自治省ともあろうものが、自治権を奪って何でも法律できめれば自治省が要らぬから、あなた方もめしの食い上げになっちゃうから、そういうことにならないようにという意味で申し上げているわけですからね。  ところで、私はいまのお答えを聞きますと、自治省ずいぶん御都合主義だと思うのです。どうも自分の気に食わぬときは、チェックオフの条例で準則を示さぬで、そしてとにかくそれはつくらぬでいいぞ、袋引きという手があるじゃないかということを陰のほうで指導した。今度の行為の制限条例についても、どういう実態かと言いますと、自治省のおっしゃるとおりの一字一句変えない条例は通していますけれども、裏のほうでは、従来の慣行は尊重して運営しようやという確認をしたところもあるように承っているのです。ところで、私がお尋ねしたいのは、ある県で、あるいはある市で、その行為の制限条例というものが議会のいろいろな関係で九月の定例会で制定されなかった。そのときに自治省はどういつでいるかというと、制定されないんだから賃金カットをしない場合は地方公務員法違反であり、県民の税金で組合活動をした職員に給料を払うことは背任になると自治省の見解はいっているんです。これはそうなりますか、はっきり答えてください。
  116. 長野士郎

    ○長野説明員 制限条例は、もう私が申し上げるまでもなく特例の条例でございます。したがいまして、その特例の措置が認められません限りは、職員団体の業務に有給で従事するということは法律上で認められていない、これは明らかなことだろうと思います。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 あなた方の示した条例準則、一字一句変えては困るとおっしゃるやつには、実施時期は公布の日からこれを施行すると書いてある。この法律が施行になったのは六月十四日ですよ。公布の日から施行する、その間どうしますか、六月十四日にさかのぼってこれを実施すると書いてないでしょう。その間どうしますか。
  118. 長野士郎

    ○長野説明員 法律論を厳格に申しますと、法律が実施されまして、施行になりました以後におきまして、特例条例がございません限りは、条例のそういう定めがありません限りは有給で従事するということはできない、こう考えざるを得ないかと思います。
  119. 細谷治嘉

    細谷委員 そうなりますと、あなた方の示した準則というのは、一字一句変えちゃ困るということになりますと、あの準則が法律違反じゃないですか。法律は六月十四日からでしょう。条例準則自体がおかしいですよ。公布の日から施行するけれども、六月十四日にさかのぼらなければ筋が通らないということでしょう。いつまでに条例を制定しなさい、こういうことは書いてないでしょう。九月の定例会でやって、いろいろな事情で否決された。これはその地方公共団体の意思が決定したわけですけれども、流れたとか——これはどうしたって制定しなければいかぬ、五十五条の二の六項ですか、どうしたってこれは条例にゆだねて制定しなければいかぬ問題でありますが、時期については書いてないでしょう。それを違法呼ばわり、背任呼ばわりするということは、いささか自治省はノイローゼにかかっているのじゃないかと思うのですよ。御都合主義、ノイローゼ、こう言わざるを得ないのです。これは自治体がいろいろな議会の事情なり、あるいは長のいろいろな考えがあって、その条例というものについて若干の修正をする、あるいは国家公務員に準じたやり方をやる、地方公務員は準ずるというたてまえだから、そういうことでやる、そのことが問題となって、たとえば継続審議にして、次の議会で制定するようにしようじゃないかという申し合わせを議会がした、そしてできた。公布の日からやる、九月とは書いてないのですよ。九月定例会できめろと書いてないのですから、十月だって十一月だって、八月だっていいはずですよ。これははっきりしておいてください。私はポイントだけ申し上げて、時間がないからこの問題を打ち切ります。
  120. 長野士郎

    ○長野説明員 法律が施行になりまして以降、法律的に申しますと、制限条例がございません場合は、職員団体の業務に有給で従事することができないということでございます。制限条例が必ず法律の実施と同時に必要なわけではございません。これはなくたって地方公務員法というものは当然実施できる、要するにそれは有給の例外の道を開くこと、かできないというだけでございまして、法律施行にはちっとも差しつかえないわけでございます。ただ制限条例で規定するような事項を早く実施したいという御観点からならば、そういうお話が可能だと思います。したがいまして、制限条例が制定されない限りにおきましては、そういう制限の特例を含む場合はないということで実行されるわけでございますので、その点では準則で公布の日から施行すると書きましたことは、あながちそれが違反をしているということにはならないわけでございます。ただそこまで申してしまいますと、非常にぎくしゃくした話になるわけで、そこで最初の議会におきまして制限条例をつくることを私どもは非常に期待したわけでございます。そこまでの間のことをあまり言い立てますと、これもいま申し上げましたようなことになりますので、最初の議会においてつくるということで考えていくことがある意味じゃ常識を兼ね備えた考え方じゃないか、そういう意味であの準則は公布の日から施行するということに考えておいたわけでございます。それがある制定可能な時期を越えてしまいますと、それがどういう形であれ、否決であろうがあるいは提案を取り下げたのであろうが、いずれにしろ越えてしまいますと、どうもそれまでも、いついつまでもいいんだ、その次に準則どおりこしらえればいいん、だということはなかなかこれは言いかねるのじゃないだろうか。そうなれば、形式論としては否定せざるを得ないということになりゃしないだろうかということなんでございます。
  121. 細谷治嘉

    細谷委員 長野局長のおっしゃる意味で、あえて準則は公布の日から施行する、激変というのもなん、だろうから、六月十四日ということを厳密に書かなかったのだろうと思う。そうして一番近い次の定例議会でこれを議決してもらう、こういう自治省指導精神だったと思うのだ。ところ地方団体というのはいろいろな事情があって、そうやってみたけれども否決になったところもあるし、議会が流れたところもあるし、撤回したところもある。こういう実例が現に出てきているわけですから、未来永劫にというか、あるいはつくるつくるといいながらつくらないということじゃなくて、前向きに取り組んでおる限りにおいては、地方団体のそういう事情は、あまり法律をしゃくし定木にやって、いや背任だ、やれ法律違反だとか、こういうことは私は問題があるのじゃないか、こう思うのです。そこまであなたのほうで格式ばってくるのだと、公布の日から施行するという準則が法律違反じゃないかという議論まで出てくるから、その点を私は長野局長に、その辺の事情はしゃくし定木、じゃなくて、上から見ているんだから、じょうずな指導をして、背任呼ばわりとか違法呼ばわりはしないで、なるべく早くそれはっくるように指導なさったらどうかというのが私の質問の精神なんだ。どうですか。
  122. 長野士郎

    ○長野説明員 先ほど申し上げましたように、公布の日から施行するという意味は、元来この特例条例がなくても公務員法そのものはちゃんと実行できるわけで、この条例がなければ有給で職員団体の業務に従事することができない、これだけの話でございます。そう言いますとあれでございますが、そういう趣旨もありますから、準則で公布の日から施行すると書きましても、これは法律的にそれが違法だということは先生おっしゃるように少しもない、私はそう思います。しかしこれは法律論争をここでいたすわけではございませんからあれでございますが、それとあわせまして、やはり条例制定可能な時期までのところをいろいろとめんどうなことにすることもいかがかというようなこともあわせて考慮の中にあったと思います。したがって、おっしゃいますように六月県議会では無理なところが多いわけでございますから、七月以降の地方団体の議会におきまして、そうして私どもの常識論から考えますと大体九月の定例議会においては、そういうことの制定が必要なところにおきましては全部制定をするということが当然のことと、これは一般にも受け取られておりまして、そういう努力を各地方団体がいたしたわけであります。ところが、二、三の地方団体におきまして条例の制定に至らなかったということがあるわけであります。しかしこれにもいろいろな事情が実はあるようであります。至らなかった事情の中にもいろいろありまして、あれこれせんさくするということはいたしたくないと思いますけれども、そういう意味で九月の定例議会のあとでもなお制定できない事情の中で、従来の慣行に従って幾らでも有給で職員団体の業務に従事させてよろしいでしょうかというようなことになりますと、自治省といたしましても、それはけっこうでございますと言うことはとてもできません。したがいまして、必要なら一刻も早く条例をつくる、それから条例が制定されなくても公務員法そのものは施行になっておりますから、それでやるというのならそれも一つの見識であります。ある地方団体の責任者は、したがって今後は賃金カットするんだということを、新聞紙上だけでございますが、発表されたところもあるように聞いております。これは一つの常識だろうと思います。しかしながら、必要のあるところは一日も早く条例の制定をいたしまして、いままでどおりの方法でやるということでない、打ち切りをしていただくということが望ましいわけであります。そういう意味を含めまして、いつまでもだらだらと従来の慣行でそのままやっていけばいいんだというようなことになっては困りますから、多少ことばは過ぎるかもしれませんけれども、やはり厳密にいえばこれはいかぬと申さざるを得ない。その辺の事情をひとつ御了承願いたいと思います。
  123. 細谷治嘉

    細谷委員 これは法律に基づいてできるだけ早く制定すべきものだ、そういうことを自治省としては強く望んでおる。しかしいま直ちに違法だ、背任だ、こういうことじゃないけれども、好ましくないことだからできるだけ早くそういう条例をつくってもらわなければいかぬ。もし条例ができないのなら、これは賃金カットしてもらわなければいかぬ、こういう考え方だと確認してよろしいですね。いまお答えになったことはそうでしょう。
  124. 長野士郎

    ○長野説明員 私どもは先ほどから申し上げましたとおり、九月までは大体許し得るといったら語弊がございますけれども、一応それが限界だと考えておるわけであります。したがいまして九月以降の状態におきましては、そのままのことをやっておるのがよろしいということを申し上げるわけにはまいらぬわけでございます。
  125. 細谷治嘉

    細谷委員 よろしいとは言えないが、好ましいとも言えないが、違反だと言うこともできない。違反だ呼ばわりもせぬ、背任だ呼ばわりもせぬ、こういうことですね。そうでしょう。
  126. 長野士郎

    ○長野説明員 どうも繰り返していささか失礼なようでございますけれども、やはり問われれば、それは支出はできない、条例のない限りは賃金カットはしなければならぬ、これはどうも申さざるを得ない。ひとつ御了承を願いたいと思います。
  127. 細谷治嘉

    細谷委員 そうなってくるとまた開き直らなければいかぬわけなんだがね。さっきのことばと違いますよ。そうなってくるとまた公布の日にさかのぼらなければいかぬわけです。早くつくれ、九月にできなかったことはまことに遺憾だ、こういうことでしょう。それでいいんでしょう。いいとは言えないけれども……。
  128. 長野士郎

    ○長野説明員 早くつくれというか、もしどうしてもつくりたいというなら早くつくってもらわなくちゃならぬ、私どもが許容し得る時期の限界としては九月の定例議会までだ、こう考えておる次第であります。これは世間一般でもそれが常識だと考えておるはずでございます。したがいまして、それ以降現在の状態におきましてもなおつくらないままにおきまして、従来の労働慣行とかいうことを口実にいたしまして有給の状態にしておくということは、私どもは違法だと言わざるを得ない。その点につきましてははっきりさしておかぬといかぬだろうと思います。
  129. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省のやることは何ですか。法律の施行期日と違っても違法じゃなくて、地方団体が公布の日ということでしゃにむに——九月と書いてないのですよ。まだ違法だと言うのですか。そういうことならこれは最後までやります。それはわからないですよ。
  130. 長野士郎

    ○長野説明員 どうも説明が不十分で、あるいは申し上げることが十分おわかりいただけなかったのかと思いますが、自治省の準則に公布の日から施行すると書いておりますのは、それを直ちに違法だということにはならないということを私は先ほどから申し上げておるわけであります。要するに制限条例というものは、極端に言えばなくてもいいのです。なくったって公務員はちゃんと施行になるわけです。ただし職員団体の業務に有給で従事させる場合の特例を開きたい、開いてやりたいという場合だけ条例が必要である。したがいまして法律的に申しますと、その条例ができました以降におきまして、その条例に規定しております場合において、有給の形で給与を受けながら職員団体の業務に従事できるわけでございます。その条例がありません限りは有給の形で職員団体の業務に従事できない。これはきわめて法律だけの身もふたもない話になって恐縮でございますが、そういう性質のものでございます。したがいまして、条例の準則に何月何日から施行するということ、それは書いて書けぬこともございますまい。あるいはまた地方団体で条例をつくります場合に、いついつから施行するということを書いて書けぬことはございません。しかしながら書かなければ違法だ、公布の日から施行するということを書かなければ違法だということにはならないと私は思います。ひとつ御了解を願いたいと思います。
  131. 細谷治嘉

    細谷委員 どうしたって了解できないんだよ。あなたがそこまでおっしゃっているんならどうしたって了解できない。公布の日というのは九月と書いたらいいでしょう。九月三十日から施行するとかあるいは九月定例会とか何とか——九月定例会ではいかぬでしょうが、書けばいいでしょう。いろいろな事情があって——それはおっしゃるように法律があるのですから、特例を開くには条例以外にはないわけです。その条例ができてないわけですから、あとは法律どおり、それはそのとおりですよ。そのとおりなら、条例ができておらない、九月定例会を期待をしたのならば、六月十四日から、条例が制定されるその間の問題は法律的にはどうなるか。自治省がそれで合法的だと考えたからいいんだというふうには私はどうしたって理解できない。そこはどうしても問題が残る。ですからいまの自治省考えについては私は理解できない。長野さん、あなた初めはいいと思ったけれども、きょうの答弁についてはまたむちゃに歯切れが悪い。  きょうは時間がありませんから、最後に一つお願いをしておきたいのです。埼玉県の蕨市で市会議員の除名問題というのが起こっておるわけです。すでに御承知のことだと思うのですが、その経過と結果と、これに対して自治省はどうお考えになるのか。時間がありませんからきょうの委員会では質問しませんので、いま申し上げたことをひとつ資料として次の委員会までに御提出をいただきたいと思います。  以上で終わります。
  132. 岡崎英城

  133. 安井吉典

    安井委員 時間がもう二時になりますので、おなかもすいたし、問題はたくさんあるのですが、問題提起程度の質問にしておいて、この次にまた詳しくお尋ねしたいと思うのですが、第一点は、地方公営企業に働いている職員の賃金改定の問題について、今度の人事院勧告に関連して政府はどう考えているか、それの財源措置に協力をする等の問題も含めまして、ちょっと伺っておきたいと思います。
  134. 細郷道一

    細郷説明員 公営企業の特殊性からいたしまして、財源措置は国としていたさない、個々の団体の経営の状況等を見、また給与決定の原則等を参酌して、個々の団体の問題として処理をしていただく、こういうふうに考えております。
  135. 安井吉典

    安井委員 これは、いまの細谷さんと行政局長との押し問答みたいなことになって時間がかかると思いますから、きょうは深く入った質問をいたしませんけれども、そういうふうな態度だけでは私は問題の解決はできないのではないかと思います。九月実施ということ自体に人事院勧告の問題があるし、それに対する地方公務員給与改定財源の問題についてもなおはっきりしたお答えがきょう得られてない段階でございますが、この地方公営企業に働いている職員も、一般職職員の改定が行なわれるという際には、いつもの年の例では必ず何らかの措置がとられているわけですよ。それをただ単に地方公営企業の原則論といいますか、そういう機械的な考え方だけでそのまま放置するというふうなことでは、これは問題が大きく残ると思いますので、この次の段階に、地方公務員給与問題が議論される際にさらにまたお尋ねしたいと思いますから、あとの宿題としてひとつ御検討おきを願いたいと思います。  それから第二点は固定資産税の減収補てんの問題であります。先ほどの小沢大蔵政務次官答弁の中にも、補てん措置を考えているというふうなお話があったようでありますが、自治省としても、当然補正予算の中で措置されるということはこの春の通常国会の約束の中から行なわれていると思いますが、それにつきまして、どこでどれだけ減収がなされているか。特に固定資産税、都市計画税、それから電気ガス税のこの三税にわたっているわけですが、それについての調査が十分行き届いているか。それからまた補てんの具体的な方法はどう検討が行なわれているか、それについての法律措置も必要なのかどうか。それから予算の要求についてはどういうふうに運ばれているか。それらの点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  136. 細郷道一

    細郷説明員 各税目の数字は税務局長からお答えいたすことにいたしますが、この次の補正予算では私どもこれは必ず実現をしたい、こう考えております。  それから具体の補てんの方法、これは問題のある点でありますが、方法についてはまだ検討中でございます。ただ、私ども考えておりますことは、基本線として減収額そのものずばりに個々の団体に補てんをすることは避けたい。各団体を——まあ全国に及ぶ問題でございますので、何と申しますかできるだけ客観的な指標によって配分の方法をきめたい、かように考えておりますが、目下その具体的方法は検討中でございます。
  137. 松島五郎

    ○松島説明員 どこでどれだけ税目別に減収が起こったかという点につきましては、前回地方行政委員会の際に資料をお配りしてございますが、固定資産税につきましては土地、家屋、償却資産、都市計画税につきましては土地、家屋、電気ガス税につきましては水道事業、工業用水道の別に、大都市、都市、町村別にそれぞれ減収見込み額を出したものを表としてお配りをいたしてございますので、ごらんをいただきたいと思います。
  138. 安井吉典

    安井委員 その客観的指標という点でありますが、免税点の引き上げは条例で措置されるわけで、それを措置したところとしないところとあるのではないかと思います。若干しないところもあるのではないかと思うのですが、免税点の引き上げはしないけれども補てんだけはもらったというふうなことになっても困るし、それからまた、同じ免税点の引き上げは行なっても、一〇〇%行なわないで半分しか行なわなかったというようなところもないではないでしょうし、そういうふうな正直者がばかを見るというふうなこともないようにすることも必要だと思うのですが、その点はどうですか。  それからまた、その補てんのやり方をどうするかによるわけですが、やり方によっては法律措置が必要だと思いますが、どうですか。
  139. 細郷道一

    細郷説明員 現実の免税点がどれくらいになったかの状況は、これもよく調べた上で議論をしないといけないわけでありますが、ただ、制度として免税点の引き上げをいたしたという点に前回国会修正があるわけでございますので、私どもとしてはその点もあわせて検討いたしますが、どちらかといえば、やはり制度として引き上げられた額に対して、全体として五十億なら五十億という補てんをしていきたい、こういうふうに思っております。  それから、その具体的な方法によっては、おっしゃるとおり、あるいは法律を必要とするということも考えられます。
  140. 安井吉典

    安井委員 大蔵省のお考えも、ちょっとこの際伺っておきます。
  141. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 固定資産税の減収補てん措置の問題につきましては、当委員会におきまして大蔵大臣から御答弁した趣旨にのっとりまして、その後の固定資産の状況等並びに自治省ともよく相談いたしまして、具体的方法につきましては今後検討してまいりたい、かように考えております。
  142. 安井吉典

    安井委員 それで、もう一度来月の初めに小委員会もあるそうですから、そのときに少しさらに詰めることにいたしまして、きょうはこの程度で終わっておきたいと思いますが、いずれにしても、完全補てんというお約束どおり進めていただきたいことをこの際申し上げておきます。  それから第三番目には、税制調査会の固定資産税に関する作業がどうなっているか。特にこの委員会においていろいろ出された注文があるはずでありますが、そういうような点について、ひとつ簡略でよろしいですから、経過と現段階における状態はどうなっているか、そういうことをちょっとお話し願いたいと思います。
  143. 松島五郎

    ○松島説明員 税制調査会は、御承知のとおり現在は長期の税制の問題について御審議をいただいておる段階でございます。まだ審議の段階でございまして、結論という状態まで至っておりませんので、私がここで税制調査会の意見はこうであったというような断定的なことを申し上げるわけにはまいらないことを御了承いただきたいと思います。  固定資産税の問題につきましては、固定資産の評価のあり方、税率の問題、さらには負担調整の問題、免税点の問題等について現行の制度を御説明を申し上げるとともに、そういった問題についてどう考えるかということについて御意見を伺ってまいったわけでございます。調査会の御意見ということになりますと、ただいま申し上げましたように、個々の方の御意見はございますが、調査会としてまとまった意見という段階になりませんので、私がここで、だれがこう言ったというようなわけにもまいりませんし、ちょっと申し上げにくいのでございますけれども、まあ大力の方の御意見というような意味で、その大方というものを何人のうち何人かというようなことでなくてお聞き取りいただきますならば幸いだと思うのでございますけれども、そういう意味で申し上げさせていただきたいと思います。  固定資産税につきましては、三十九年の新評価以来、特に土地につきましてはいろいろ問題があって、負担調整措置というのが三十九年度の改正でも二割増しというようなものが行なわれ、さらに今年度の改正で一割、二割、三割というような負担調整措置が講ぜられてきた、そういうような状況からいって、その過程までにはいろいろと税率の問題とか課税標準の特例の問題とかいうものを検討されてきたけれども、結局今年度から新しい負担調整措置というものが始まったばかりだ、そういう点から、この際あまりあれこれと手をつけるということはかえって混乱を増すのではないだろうか。したがって、土地については昭和四十五年度まで据え置きとなっておることでもあるから、一応現在の負担調整措置の推移を見て問題を検討していったらどうであろうかというのが、私の観測と申しますか、感じた調査会の大体の空気のように感ぜられるのでございます。  あと、こまかい——こまかいと申しますか、その他の点につきましては、たとえば農地についてはいろいろ御意見はございましたけれども、特に介在農地といいますか、都市周辺の宅地介在農地について、農地という地目のもとに評価を行なうのは必ずしも負担の公平の上から適当でないのではないかという御意見が相当ございます。  大体そんなような状況でございます。
  144. 安井吉典

    安井委員 答申はいつごろの見込みなんですか。
  145. 松島五郎

    ○松島説明員 この長期の見通しと申しますか、その点につきましては、大体二十日ごろから起草委員会——この間一回やりましたけれども、この間は項目だけの整理という程度でございまして、一応のいまの予定では、二十日、一十一日と続けてやって一応の原案を、中間報告というような形で原案をまとめたいという程度でございます。
  146. 安井吉典

    安井委員 それは地方税もですね。
  147. 松島五郎

    ○松島説明員 いまの予定は国税、地方税を通じましてでございます。
  148. 安井吉典

    安井委員 この前、小委員会の計画があったのが、何か自民党の御都合で早目に委員会をやめてしまって、固定資産税の小委員会がこの間はできなかったですね。ですから、私きょうはほんとうは、起草が始まる前にもう少し議論をしておきたかったのですが、来月また委員会があって、その際、小委員会も開かれるそうですが、どうもあとになりそうですね。税制調査会のほうはどうあろうと、国会国会議論をして、それに対処していけばいいわけでありますが、少しこの委員会における作業のほうがうまくそれと並行していけなかったというようなうらみがあります。きょうはもう時間がないものですから多くを申し上げませんが、私どもはこの前の春の議論の中でも、これは来年すぐ全部を実現せよということではありませんけれども、長期的な意味も含めた発言ではありますが、基礎控除の問題だとかあるいはまた累進税率制だとか、そういう基本的な問題提起もいたしていたわけであります。それからまた一年一年評価が上がっていくという中から、免税点の問題も毎年毎年変わってこないと現実に即さないよりな気がします。つまり四十一年度ベースで免税点は国会修正はしたわけでありますが、これから四十二年度になったらまた一〇%、二〇%、三〇%というふうに評価が上がるわけですから、そうなった場合に、ことしは免税になった人が来年は税金がかかるということが出てくるわけですよ。それから毎年毎年こうなっていくわけですね。そういうふうな評価の上げ方と免税点とをスライドさせていかなければいかぬとか、そういうような問題も出てくるのではないかと私は思うのです。  さらにまた、今度いただいた各国の固定資産税の資料によりますと、農業用不動産については、英国は完全に非課税にしている。ドイツでも特例を設けているようだし、フランスも農地については三十年間の非課税の規定がある。それから住宅減税の問題については、それぞれの国が、ニュアンスは違いますけれども、相当な考慮を払っているということもわかります。もちろん各国の税制は、それぞれの国の沿革やら、それからそれぞれの国の税制全体の中における不動産課税の置かれ方というようなものでまるきり違うものですから、それをそのまま取り入れるというわけにはもちろんいきません。たとえば不動産課税だけで地方税を全部まかなっている国もあるわけですね。私どもの場合にそれをそのまま取り入れるというわけにはいかないと思いますが、やはり外国の税制の中にヒントは得られると思うわけです。そういうような意味合いから、農業用不動産に対する課税の問題や住宅課税の問題は、もう少し検討の余地があるのではないかと思うわけです。当面いま私が伺っておきたいのは、そういう農業課税の問題、住宅課税の問題、それからもう一つは課税最低限といいますか、免税点の引き上げの問題、この三つだけにしぼっての検討はどうですか。
  149. 松島五郎

    ○松島説明員 まず農業用の資産に対する課税について外国の例もお引きの上でいろいろお話がございましたが、先生も御指摘のとおり、それぞれの国の税制は、ある部分をとらえますと独自の色彩を持った免税なり減税なりが行なわれている部面もございますが、また別な面をとりますと、日本では課税をしていないようなものまで課税をしている例もございまして、これはやはりそれぞれの国の税制を全体として一つのものとしてとらえませんと、なかなか比較がむずかしいのではないかという感じもいたします。それに御指摘のような歴史的な事情とか、その国の経済事情とかいろいろからんでおりますので、外国でこうやっているからすぐに日本にということもなかなかむずかしい問題があろうかと思います。  農業用の固定資産税につきましては、先ほども申し上げましたが、税制調査会の御議論を聞いておりますと、いなかのほうではやはり農業用の固定資産税に財源を求めざるを得ないという状況からいって、農地だけを据え置いておくのはどうであろうかという御意見も若干ございました。それにも増して問題になりましたのは、先ほども申し上げましたように、都市周辺における宅地介在農地が非常に不公平ではないかという御議論があったのでございます。  それから免税点の問題につきましては、御指摘のような問題もございますけれども、先ほども申し上げましたように、税制調査会としては固定資産税がここ二、三年いろいろな変遷を経てきております関係上、しばらくはやはり現行の制度で安定をさした上で、さらに考えていったらどうかという御意見が多いのでございまして、個々の免税点をどうするかとか、あるいは御指摘の基礎控除をどうするかというような問題については、やはり今後の負担調整問題というようなものの推移を見て、さらに来たる昭和四十五年度に評価をどうするかという問題とも関連して考えていったらいいのじゃないか。いま直ちにあれをどうする、これをどうするといっても、固定資産税がいままでたどってきた道を振り返ってみますと、かえって混乱を増すのではないかという空気が強かったように感ぜられるのでございます。
  150. 安井吉典

    安井委員 いま直ちにと言ったって、これはいま新しく固定資産税を取り出したわけじゃないのですから、これまで一体何をしていたのか、こういうことになるわけです。もう少し真剣に問題を考えて勉強するという態度がなければだめですね。そういう意味で、問題はたくさんあるわけですが、きょうは問題提起の程度にとどめておきますから、税制調査会の答申は答申として、私どもは私ども立場でもっと掘り下げた議論をしたいし、それに対応する自治省のほうの御準備もひとつお願い申し上げておきたいと思います。  きょうはこれで終わります。      ————◇—————
  151. 岡崎英城

    岡崎委員長 この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  消防関係法令の整備及び消防施設の整備強化をはかるため、小委員十名からなる消防に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長の選任についておはかりいたします。  小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。それでは小委員に       大石 八治君    大西 正男君       奥野 誠亮君    亀山 孝一君       久保田円次君    和爾俊二郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       安井 吉典君    吉田 賢一君を指名いたします。  小委員長には大西正男君を指名いたします。  なお、おはかりいたします。  ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十八分散会